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1973-07-11 第71回国会 衆議院 商工委員会 第41号
公式Web版
会議録情報
0
昭和四十八年七月十一日(水曜日) 午前十一時一分
開議
出席委員
委員長
浦野
幸男君
理事
稻村左近四郎君
理事
左藤
恵君
理事
田中
六助君
理事
羽田野忠文
君
理事
山田
久就君
理事
板川
正吾
君
理事
中村 重光君
理事
神崎 敏雄君 天野 公義君 稲村 利幸君 内田 常雄君 小川 平二君 越智 伊平君 木部 佳昭君 小山 省二君 近藤 鉄雄君
笹山茂太郎
君 塩崎 潤君
田中
榮一君 八田 貞義君 増岡 博之君 岡田 哲児君
加藤
清政君
加藤
清二君 上坂 昇君 佐野 進君 竹村 幸雄君 藤田
高敏
君 渡辺 三郎君 野間 友一君
近江巳記夫
君 松尾 信人君 玉置 一徳君 宮田 早苗君
出席国務大臣
通商産業大臣
中曽根康弘
君
出席政府委員
内閣法制局
第四
部長
別府 正夫君
公正取引委員会
委員長
高橋 俊英君
公正取引委員会
事務局長
吉田
文剛
君
公正取引委員会
事務局取引部長
熊田淳一郎
君
通商産業省企業
局長
山下
英明君
通商産業省企業
局次長
橋本
利一君
通商産業省化学
工業局長
齋藤 太一君
中小企業庁長官
莊 清君
中小企業庁次長
森口 八郎君
中小企業庁計画
部長
原山 義史君
中小企業庁指導
部長
生田 豊朗君
委員外
の
出席者
商工委員会調査
室長 藤沼 六郎君
—————————————
本日の
会議
に付した案件
発電用施設周辺地域整備法案
(
内閣提出
第一一 七号)
化学物質
の
審査
及び
製造等
の
規制
に関する
法律
案(
内閣提出
第一〇八号)(参議院送付) 大
規模小売店舗
における
小売業
の
事業活動
の調 整に関する
法律案
(
内閣提出
第一〇九号)
中小企業者
の範囲の
改定等
のための
中小企業基
本法等
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
第八 四号) ————◇—————
浦野幸男
1
○
浦野委員長
これより
会議
を開きます。
内閣提出
、
発電用施設周辺地域整備法案
及び参議院から送付されました
内閣提出
、
化学物質
の
審査
及び
製造等
の
規制
に関する
法律案
の両案を順次
議題
とし、それぞれ
政府
より
提案理由
の
説明
を聴取いたします。
中曽根通商産業大臣
。
—————————————
—————————————
中曽根康弘
2
○
中曽根国務大臣
発電用施設周辺地域整備法案
につきまして、その
提案理由
及び
要旨
を御
説明
申し上げます。 わが国の
電力需要
は、
国民生活
の
向上
と
国民経済
の
発展
に伴い、今後とも毎年一〇%程度の伸びが予想されています。 他方、ここ数年
電力会社
が
発電所
の
立地
を
計画
しても、
地元
の同意が得られないため、国の
電源開発計画
に組み入れることのできないものが増加しており、また、これに組み入れた後においても
地元住民
の
反対
にあって建設に着工できない例も多々生ずるに至っております。このままの状態が続けば、数年後には
電力不足
がきわめて深刻な問題となることが懸念されるところであります。 このような
住民
の
反対
の根底には、
一つ
には
環境保全
の問題があることは御
承知
のとおりであり、
発電所設置
による
公害
を防止し
環境
を
保全
するため、今後とも最大限の努力を払うことは言うまでもないところでありますが、
立地難
のもう
一つ
の
理由
として、
発電所等
の
立地
による
雇用機会
の
増加等
による
地元
の振興に対する
寄与
が他
産業
に比べて少ないということが大きな問題としてあげられようと存じます。事実、
発電所等
の
立地
が予定されている
地点
の
地方公共団体
は、
住民福祉
の
向上
に資する各種の
公共用施設
の
整備事業
の
推進声
強く要望しております。
本法
案は、このような
状況
を踏まえて、
発電所等
の
立地
を
円滑化
し、電気の
安定供給
の
確保
に資するため、
発電所等
の
周辺地域
において
住民福祉
の
向上
に必要な
公共用施設
の
整備事業
を推進するための
措置
を講じようとするものであります。 次に
本法
案の
概要
について御
説明
いたします。 第一は、国は、
火力発電施設
、
原子力発電施設等
の
発電用施設
の
設置
が確実である
地点
のうち、その
設置
の
円滑化
をはかる上で、
公共用施設
を
整備
することが必要であると認められる
地点
を指定し、公示することとしていることであります。これについては、
当該地点
が
工業
再
配置促進法
の
移転促進地域
をはじめ
一定要件
に該当する
地域
に属するときは指定しないこととしております。 第二は、この指定された
地点
の属する都道府直の知事は、
当該地点
が属する
市町村
の区域とこわに隣接する
市町村
の区域において行なおうとする
道路
、
港湾
、
漁港
、
水道
、
都市公園等
の
公共用施設
の
整備計画
を作成し、国の承認を求めることにしております。この
計画
には、
公共用施設
の
整備
に関する
事業
の
概要
と
経費
の概算について定めるもので、他の
法律
の
規定
による
地域
の
整備等
に関する
計画
との調和及び
地域
の
環境
の
保全
について適切な配慮が払われるようにしております。 第三は、
整備計画
に基づく
事業
の
実施
に要する
経費
の一部を
発電用施設
を
設置
する者に負担させることができることとしております。これは、
発電用施設
を
設置
する者が
地域社会
に対する協力という観点から行なうもので、
整備計画
に基づくを
設置
する者と協議して、
地方公共団体
の負担する金額の一部を負担させることができることとしています。なお、国は、この
経費
の負担について
関係者
の
申し出
があればあっせんに当たることししています。 第四は、国が承認した
整備計画
に基づいて
地方公共団体
が
実施
する
事業
のうち、
特定
の
施設
の
整備事業
については
通常
の
補助率
を特別に引き上げて
適用
することとする等
事業
の円滑な
実施
をはかることとしています。この
特定
の
施設
は、
道路
、
港湾
、
漁港
、
水道
及び
都市公園
のうちから
政令
で定めることとなっておりますが、たとえば
市町村道路
は、
通常
三分の二とされているのを四分の三に、
漁港
は十分の五を十分の六に引き上げることができることにしております。このほか、国は
地方債
の起債について配慮する等財政上、金融上の
援助措置
を講ずることといたしております。 以上が、この
法律案
の
提案理由
及びその
要旨
であります。 何とぞ慎重御
審議
の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。 次に、
化学物質
の
審査
及び
製造等
の
規制
に関する
法律案
につきまして、その
提案理由
及び
要旨
を御
説明
申し上げます。 御
承知
のように、
PCB
による
環境汚染
及び
被害
の発生は、非常に大きな社会問題となりましたが、これは、従来の
化学物質
の
安全性
に関する
考え方
に再
検討
を加える必要のあることを痛感させるものでありました。すなわち、新しい
化学物質
の
開発
と利用は、
国民生活
の充実に多大な
寄与
をなすものである反面、このような
化学物質
の中には、その
使用
に際し、あるいは
使用
後の廃棄を通じて
環境
を
汚染
し、人の健康に
被害
を及ぼすおそれのあるものがあり、その
防止体制
の確立をはかる必要があることが明らかになったわけであります。 このような新しい
人体汚染
の形態は、
化学工業
の
発展
に伴い新たな
化学物質
が年々生産されていることを
考え
るとき、単に
PCB
の問題としてのみではなく、
化学物質全般
について
安全性
を
確認
する必要があること、そしてその結果問題とされた
化学物質
について
環境
に放出されないよう、その
製造
、
輸入
、
使用
及び
消費
にわたり
クローズドシステム
を確立する必要のあることを強く認識させるものであります。 このような
状況
にかんがみ、昨年の国会におかれましても、早急にその
対策
を講ずるべきである旨の決議がなされたところであり、
政府
といたしましては、昨年七月から、
通商産業省
に
設置
されております軽
工業生産技術審議会
「
化学物質
の
安全確保対策
のあり方」について
審議
をお願いし、慎重な
検討
をいただいたところであります。その結果、昨年十二月に、
施策
の内容につき同
審議会
の
答申
を得ましたので、ここにその
趣旨
に沿って
化学物質
の
審査
及び
製造等
の
規制
に関する
法律案
を提出することといたした次第であります。 次に、この
法律案
の
要旨
を御
説明
申し上げます。 第一は、
新規化学物質
に関する
審査
及び
規制
であります。 これは、
新規
の
化学物質
を
製造
し、または
輸入
しようとする場合において、それについての
事前審査制
を採用し、その
化学物質
が
PCB
に見られるように
自然環境
において分解しにくく、生物の体内に蓄積されやすいものであり、かつ、継続的に摂取される場合には人の健康をそこなうおそれがあるものであるかどうかを判定することとし、安全であるという判定結果が出るまでの間は、
製造
または
輸入
を認めないこととしております。 第二は
特定化学物質
の
規制
であります。 ただいま申し上げました難
分解性等
の
性状
を有し、かつ、人の健康をそこなうおそれがある
化学物質
は、これを
政令
で
特定化学物質
として指定し、その
製造
が
使用等
において
環境汚染
をもたらさないよう所要の
規制
を
行なべ
こととしております。すなわち、
特定化学物質
の
製造
及び
輸入
については、
許可制
とし、その
使用
についても、
環境汚染
を生ずるおそれがない
一定
の用途以外の
使用
は認めないこととするとともに、
製造業者
及び
使用業者
に対しましては、その
製造
及び
使用
に関し、
一定
の
技術
上の
基準
を順守させることとしておりますほか、
既存化学物質
が
特定化学物質
に指定された際すでに出回っている
当該化学物質
及びそれを
使用
した製品について、その回収をはかること等
環境
の
汚染
の進行を防止するために必要な
措置
をとるべきことを命ずることができることとしております。 なお、
既存化学物質
のうち、
特定化学物質
の疑いの濃いものについては、
特定化学物質
の指定に至らない間においても、その
製造
、
輸入
または
使用
の制限に関し必要な
勧告
をすることができることとしております。 以上がこの
法律案
の
提案理由
及びその
要旨
でありますが、以上申し上げました
本法
案に基づく
施策
は、
PCB類似
の
性状
を有する
化学物質
による
環境
の
汚染
を未然に防止するために必要なものであり、
既存
の
公害関係法規等
と相まって、
化学物質
の
安全性
を
確保
する上できわめて重要な
役割り
を果たすものであると
考え
ております。 何とぞ慎重御
審議
の上、御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。
浦野幸男
3
○
浦野委員長
以上で
提案理由
の
説明
は終わりました。 両案に対する
質疑
は後日に譲ることといたします。 ————◇—————
浦野幸男
4
○
浦野委員長
内閣提出
、大
規模小売店舗
における
小売業
の
事業活動
の
調整
に関する
法律案
を
議題
といたします。
質疑
の
申し出
がありますので、順次これを許します。
近江巳記夫
君。
近江巳記夫
5
○
近江委員
本法
の目的につきまして
確認
しておきたいのですが、
一つ
は
消費者
の
利益
、二つには大
規模小売店舗
における
小売業
の
事業活動
の
調整
、三つには
周辺
の
中小小売業
の
事業活動
の
確保
、そのうちどれを重点にしておる
法律
であるかということについてお伺いしたいと思います。
中曽根康弘
6
○
中曽根国務大臣
百貨店法
をほとんど全面的に改めましてこういうことにいたしましたのは、
一つ
には
消費者保護
という時代の要請が強く出てまいりましたのを強く出すということ、それから、
スーパー
のような、あるいは
百貨店類似
のものが出てまいりまして、先般も
質問
がございましたが、これが
脱法的行為
ではないかと思われるような
競争
を営んできておる、そういうものをやはり
規制
の
対象
に入れる、そして
百貨店
及び
大型小売店
あるいは
中小小売業商店街等
との
調整
をはかるという点、それからやはり
公正取引
という面がそういう面からも出てくると思いますが、
公正競争
という点に注目いたしまして、全部を
考え
て提案された
法案
である、このようにお
考え
願いたいと思います。
近江巳記夫
7
○
近江委員
私がいま申し上げた三点のどれにもウエートをかけて
考え
ておるという
大臣
のお話でございますが、
消費者
の
利益
を
保護
するために、
本法
において具体的にどういう
措置
をおとりになっておるわけですか。これは
局長
でもけっこうです。
山下英明
8
○
山下
(英)
政府委員
条文
上の
文言
としましては、第一条に「
消費者
の
利益
の
保護
に配慮し」ということが明記されておりますほかに、十一条を特掲いたしまして、この
法律
で一番大事なポイントでございます
届け出
を受理したあとでそれを
審査
し、必要な場合には
勧告
、
変更命令
を出すわけですけれ
ども
、その際、
審査
をし、
勧告
を出すかどうかを
判断
しますときに、「
消費者
の
利益
の
保護
について配慮し、」という
条文
を置いたわけでございます。これがもしかりになかったといたしますと、実際上は
政府側
の
審査
でいろいろとそういうことも配慮するとは思いますが、どちらかというと、
大型店舗
が進出します際に、その
地域
で
中小小声商業
に
相当
の
影響
を与えるということが主たる
判断
の
要素
になりがちでございます。その際に、そういう
要素
のほかに、さてその
大型店
が出た場合にそこの
近隣住民
の
消費者
の
利益
をどれほど益するものかどうかということも忘れずに
判断
すべきであるということを
法律
上明文化しておる次第でございます。
近江巳記夫
9
○
近江委員
届け出
があった場合、
通産大臣
が
審査
をして、問題があるものについて
審議会
の
意見
を聞いて
変更
の
勧告
を出すのは第七条ということになっておるわけですが、はたして
通産大臣
が
審査
できるのかどうか、
届け出
があったら、
中小
は除いてその他のものは
地元
の
意見
をまず聞いてから
通産大臣
が
判断
して
審議会
にかけるべきではないか、このように思うのです。また、この
審査期間
はどのくらいを予定されておるわけですか。これも
局長
でけっこうです。
山下英明
10
○
山下
(英)
政府委員
届け出
が出ますと、それは手続的なことになりますが、その
届け出
の写しを直ちに
地元
の
商工会
、
商工会議所
に送付いたしまして、同時に
審査
を開始いたします。もしも
審査
の結果、
勧告
が必要であるという場合には、三カ月以内にそれをしなければなりませんので、受理しました
政府側
としては
相当
に急いでこれを
審査
せねばなるまいと思います。そして
勧告
をするといたしましたならば、資料をそろえて
審議会
にはかる、そうしますと
審議会
は、
自分
だけで
審議
せずに、
地元
の
商工会
、
商工会議所
から
意見
を徴します。先ほど申し上げましたように、
届け出
と同時に
コピー
が行っておりますから、
商工会
、
商工会議所
では直ちにそれを周知徹底させて、
地元
の
意見
は
届け出
と同時に聴取しておるわけでございます。いま申し上げた手続が
一つ
の流れですが、それと同時に、もちろん
地元
の
商工会
、
商工会議所
が
届け出
の
コピー
を受け、
意見
を聴取し、これは大きな問題である、これは
相当
に
影響
があると
判断
した場合には、
審議会
から問い合わせのある前に、
自分
から進んで
審議会
に
意見
を持ってくる、あるいは直接
政府当局
に持ってくるということでございます。この辺は、旧
百貨店法
において多年
経験
を積んできたやり方をベースにしておりまして、私
ども
としては
関係者
の
意見
は
相当
に、
相当
にといいますことは十分に聴取できるものと
考え
ております。
近江巳記夫
11
○
近江委員
第十条の「
改善勧告
」について
罰則
は設けないのですか。この点についてはどのようにお
考え
ですか。
山下英明
12
○
山下
(英)
政府委員
これには
罰則
をかけておりません。その
理由
は、この
法律
の主たるねらいは、
中小小売商業
に
事業活動
の
機会
を与えるために、大
規模店舗
が進出する際はまずその
面積
を
考え
る、それから
開店
の日を
考え
る、それから営業するときの閉店時間と休日、こういう点がこの
法律
による主たる
規制項目
でございますが、さらに進んで顧客の送迎とか、その他営業に関する
行為
において、大
規模小売店舗
と
中小小売商業
の
利害関係
を
調整
しようという、どちらかといいますと
主要規制対象
以外にさらに追加さるべき事項でございますので、この点については、
政府側
の
改善勧告
をもって
指導行政
で足りるのでないかという
考え
でございます。
近江巳記夫
13
○
近江委員
これは
確認
の
意味
でお伺いしたい。大
規模
の
小売店舗
というのは、大
企業
の建てる
基準面積
以上の
建物
が
対象
になることはむろんでありますが、
中小企業者
が建てる
寄り合い
のそういう
百貨店
、
協業組合
や
合併会社
が
近代化
のために建てるものであっても、
基準面積
以上であれば
対象
となるのかどうか、これをひとつ
確認
の
意味
でお伺いしたいと思うわけです。
山下英明
14
○
山下
(英)
政府委員
これは今回、従来の
百貨店法
の
企業単位
の
規制
から、
大型店舗
の
建物
を
規制対象
にいたしまして、
法律
の立て方が大きく変わりました
関係
で、大きな
店舗
、
建物
を建て、その中で
小売業
を営む以上は、俗にいいます
寄り合い百貨店
、ただいま御
指摘
の
中小小売業者
が集まってやる大
規模店舗
も
規制対象
になります。ただし、その場合に、十一条後段の
規定
で、もちろん
中小小売商業
の
近代化
ということは、
中小企業政策
また
政府
の
政策
の根本でありますので、
規制対象
には一応なりますけれ
ども
、そういう場合にはむしろ促進すべき
事業
でありますので配慮することが
規定
されておる次第でございます。
近江巳記夫
15
○
近江委員
この
答申
におきましては、「大
規模小売店
の新
増設
が
特定
の
地域
で集中的かつ大
規模
に行なわれ、
周辺中小小売商
がこれへの
対応体制
を整えることがきわめて困難な場合等には、」「大
規模店
新
増設
について
勧告
、
措置命令
」云々、このようになっておるわけですが、
本法
の
運用
については、このような大きな問題のあるもののみが
対象
となるのかどうかですね。
特定
の
地域
に集中的かつ大
規模
に行なわれなくても、
周辺中小小売商
に
影響
を及ぼすことが十分
考え
られるわけですが、
本法
の
運用方針
についてお伺いしたいと思います。
山下英明
16
○
山下
(英)
政府委員
おっしゃいますとおりに、
答申
及びその
答申
をつくります前の
委員会
における議論の場合には、過去の
経験値
から見まして、いま御
指摘
のような大
規模店舗
が集中的にある一
地域
に重なっている場合を特に明記されておりますけれ
ども
、この
原案
におきましては、大
規模店舗基準
以上のものであります限りは全部
届け出
を
審査
いたします。そしてその際に、そういった
集中地域
でなくても、特殊のその
地方
の
事情
によって
本法
でいう摩擦が起きる、
調整
が必要だと
判断
しました場合には、やはりこれを
規制
の
対象
にし、
勧告
をしていくつもりでございます。
近江巳記夫
17
○
近江委員
この第七条におきまして、
通産大臣
は大
規模小売店舗
の
店舗面積
についてこの
減少勧告
をすることができることとなっておるわけですが、
届け出面積
から減少させる場合、どういった
基準
でこの
面積
ならよいという
判断
をするのか、この辺についてお伺いしたいと思います。
山下英明
18
○
山下
(英)
政府委員
この
判断
の
基準
は、従来の
経験
からいいまして、ある程度数値的な
経験値
もできてはおります。それはそこの商圏、人口ですとか
売り場面積
あるいは
交通事情
その他を加味しました
一つ
の数量化された
基準
もできておりますが、私
ども
はそういうものを参考にいたしまして、その
地方
の
事情
に合わせて
判断
していくべきだと思います。そして
開店日
をおくらせれば
原案
のままでいいのか、あるいはやはり
申請面積
よりも二割ないし三割切らなければならないのか、それはそのときの個別の
事情
によると思いますが、最低限はもちろん
基準面積
まで、
地方都市
における
申請
がありましたときに、千五百
平方米
までの間でどこまで削減するかという
判断
をすることになろうと思います。
近江巳記夫
19
○
近江委員
局長
のおっしゃることもよくわかるのですが、その辺をよく通産省で煮詰めてやはり
考え
ておかなければ、もちろん
ケース
・
バイ
・
ケース
はわかるわけですけれ
ども
、何か非常にばく然としていますね。その辺はいまここで私がこれ以上言っても、そこまでの準備はないわけですから、これは特に何かの尺度といいますか、やはりあらゆるそういう
調査
をなさった上で、何らかの基本的な
考え方
に基づいてプラス・
ケース
・
バイ
・
ケース
の
現地判断
、
現地
の
事情
を考慮して決定をする、この辺のところをお
考え
になるべきじゃないかと思うわけです。そうですね。——それじゃそういう点をよく
整備
なさるように、これは申し上げておきます。 それから、たとえばこの
基準面積
以下の
建物
をおのおの異なった資本で隣合って建てる場合は
本法
の
対象
とならない。これが将来
通路
とか
連絡橋等
によって接続された場合、
本法
の扱いとしてどうなるのか、また
本法
の何条によってどのような
措置
がとられるのか、これについてお伺いしたいと思います。
橋本利一
20
○
橋本政府委員
御
質問
の
趣旨
は
一つ
の
建物
と解釈するかどうかという問題にかかってくるかと思います。当初設立した場合に、いわゆる
一つ
の
建物
と認められないような形で、しかも
基準面積
以下である場合には
調整
の
対象
になりませんが、その後
通路等
をもってつなぎ合わせ、
一つ
の
建物
とみなされるような場合には
本法
の
適用対象
になります。具体的には第三条の第八項に
一つ
の
建物
の解釈につきまして「屋根、柱又は壁を共通にする
建物
及び
通路
によって接触され、」という
文言
がございまして、
通路
によって接続されるということで
一つ
の
建物
と読むべきかと思います。さような場合には、
本法
第五条によりますところの「大
規模小売店舗
における
小売業者
の届出」を出して、必要とあらば
大臣
の
調整
の
対象
になる、こういうことでございます。
近江巳記夫
21
○
近江委員
それから本案は
届け出審査制
であるわけですが、これは基本的には
許可制
と
考え
てよいのか、また
届け出制
と
考え
てよいのか、この辺についてお伺いしたいと思います。
橋本利一
22
○
橋本政府委員
届け出制
であるか、
許可制
であるかということは、法制的に割り切りますとやはり
届け出制
に属するかと思います。ただ、
審査
を慎重にやるということで、
届け出
を受けましたら直ちに
事前審査
をやる、必要な場合には、問題のある場合には
勧告
もしくは
命令
あるいはこれを担保するための
行政命令
あるいは
罰則等
の
適用
によりまして強行し得るようになっておりますので、事実上
運用
上におきましては、必要ある場合には
許可制
と同様の効果を期待できる、かように解釈しております。
近江巳記夫
23
○
近江委員
じゃ約束の時間ですから、これで終わります。
浦野幸男
24
○
浦野委員長
板川正吾
君。
板川正吾
25
○
板川委員
大
規模小売店舗
における
小売業
の
事業活動
の
調整
に関する
法律案
について若干
質疑
をいたしたいと思います。 この
法律案
を読みまして、どうも私
ども
何となくこの
法律案
の
名称
がぴんとこない
感じ
がするのです。たとえば
百貨店
とか
スーパー
とか、具体的にそのものを表現しているならいいのですが、大
規模小売店舗
における
小売業
の
事業活動
の
調整
に関する
法律案
、大と小と相反する文字が混在するために、どうもこの
法律案
の
名前
が、大小が相次いで並んでおるために読んでぴんとこない。ここで
名称
についてちょっと申し上げたいのですが、大
規模店舗
における
小売業
の
事業活動
の
調整
に関する
法律
、こういうふうな言い方ではおかしいのですか。大
規模小売店舗
、そしてまた
小売業
と出るので、どうもこの
法律
の
名前
がなじみにくいのですが、大
規模店舗
における
小売業
の
事業活動
、こういったほうがすなおに読める、また読んで頭に浮かぶような
感じ
がするのですが、
法案
の
名称
について、これは
事務当局
でけっこうです。
山下英明
26
○
山下
(英)
政府委員
原案
はむしろより正確にしたいということで、大きな
事務ビル
の下で小さな
たばこ屋
とかあるいは
菓子屋
などの
小売業店舗
が入る場合もあるわけでございますが、それは省こう、その大きな
建物
が主として
小売業
を中に入れている
建物
であるから大
規模小売店舗
と称しようていうので、より正確にするという
意味
でそこに
小売
の字が入ってしまったわけでございます。
板川正吾
27
○
板川委員
まあこれは特別議論することじゃないのですが、大がつき、小がつき、また小がつくというので、
法案
の
名称
がどうもなじみにくい
感じがい
たしますから、お聞きしました。 そこで今度は第一条の「目的」の根本理念というものについて伺いたいと思います。 その前に、
百貨店法
の改正案といわれておるのですが、この
百貨店法
の目的というものをどういうふうに理解しているか、これは
事務当局
でいいですが伺いたい。
山下英明
28
○
山下
(英)
政府委員
現行の
百貨店法
も、基本的な
趣旨
は、
百貨店
の営業
面積
の拡張に伴って
中小小売商業
の
事業
機会
が失われることのないように
調整
しようという
趣旨
と解釈しております。
板川正吾
29
○
板川委員
そうですね。
百貨店法
を見ますと、第一条で「この
法律
は、
百貨店
業の
事業活動
を
調整
することにより、
中小
商業の
事業活動
の
機会
を
確保
し、商業の正常な発達を図り、もって
国民経済
の健全な進展に資することを目的とする。」こういうふうに書かれておって大
規模
な
百貨店
の
事業活動
を
調整
して、
小売
商業の
事業活動
の
機会
を
確保
するという
趣旨
から
百貨店法
が生まれて
運用
されてきたことは御
承知
のとおりでありますが、この
法律案
の第一条の「目的」を見ますと、「この
法律
は、
消費者
の
利益
の
保護
に配慮しつつ、大
規模小売店舗
における
小売業
の
事業活動
を
調整
することにより、その
周辺
の
中小小売業
の
事業活動
の
機会
を適正に
確保
し、
小売業
の正常な発達を図り、もって
国民経済
の健全な進展に資することを目的とする一このようにうたわれておりますが、「
消費者
の
利益
の
保護
に配慮しつつ、」というこのことばがなければ、ほぼ
百貨店法
の
趣旨
と同じ、こういうふうに
考え
てよろしいでしょうか。
本法
の根本理念というのが、「
消費者
の
利益
の
保護
に配慮しつつ、」という新しいことばを除けば、「大
規模小売店舗
」というのを
百貨店
に読みかえると、
百貨店法
のほぼ延長、
百貨店法
と同じ
趣旨
を持っておる、こういうふうに理解してよろしいかどうか。
山下英明
30
○
山下
(英)
政府委員
おっしゃるとおりでございまして、大
規模小売店舗
という
名前
で、
百貨店
と、俗にいう
スーパー
等々が入ったこと、これが大きな
一つ
の
要素
でありますのと、
消費者
の
利益
ということを明文化したこと、これが違いでございますが、
中小小売商業
との
事業
調整
がやはり根本であると思います。
板川正吾
31
○
板川委員
従来は
百貨店
という
企業
主体を
規制
する
法律
だった。今度は
店舗
を中心に
百貨店
も大型
スーパー
も同一に
規制
をする、
届け出制
から
事前審査制
に戻るが、しかし根本的には
百貨店法
の精神もこの中に盛り込まれておる、こういうふうに理解をいたしたいと思います。 そこで今度新しく入りました「
消費者
の
利益
の
保護
に配慮しつつ、」ということばがありますが、この
考え方
、理念というのが
本法
の中でどのように位置づけられるのだろうか、これを伺いたいのであります。産構審の
答申
を見ますと、
産業
構造
審議会
流通部会の中間
答申
としては、「新しい経営
技術
導入による
消費者
物価問題に対する貢献、豊富な品ぞろえによる
消費者
の多様化した欲求の充足等大
規模小売店
による流通
近代化
の効果を十分生かしつつ、大
規模小売店
進出に対する
中小
小売
商の円滑な対応を可能にするため、届出制によりその進出を事前に周知させることを中心に行なわれるべきであろう。」とし、また、「届出制に移行する場合でも、大型
小売
商の大
規模小売店
の新
増設
が
特定
の
地域
で集中的かつ大
規模
に行なわれ、
周辺中小小売商
がこれへの
対応体制
を整えることがきわめて困難な場合等には、このような大
規模店
新
増設
について
勧告
、
措置命令
等を発動しうる余地を残しておく必要があろう。」こういうふうにいっております。これはとにかく
届け出制
にしてある程度自由にさせていこうということになるが、
規制
措置
のほうは「
勧告
、
措置命令
等を発動しうる余地を残しておく必要があろう。」という
意味
で、非常に消極的な思想をこの
答申
は盛っておるわけであります。こういう産構審の
答申
の思想と今度事前
届け出
、
事前審査制
というものを採用した
本法
と若干の食い違いがあると思いますが、この
消費者保護
の配慮という理念と
本法
との
関係
について
説明
を願いたいと思います。
山下英明
32
○
山下
(英)
政府委員
原案
のほうから先に御
説明
しますと、一条に明文を入れまして、そこで目的をはっきりさせましたほかに、十一条前段におきまして、この
法律
で最も肝心な点と思われます
届け出
が出ました際に、
政府
がこれを
審査
する、そして
勧告
すべきかどうかを決定せねばなりませんが、そのときに、ほかの
要素
に加えて、その
周辺
消費者
にとってどれだけその
大型店舗
の進出が
利益
になるかどうかを
判断
すべきである、配慮すべきであるということを明文で
規定
しておるわけでございます。これは一条も十一条も現行
百貨店法
と違った点でございます。ただいま先生が
審議会
答申
をつぶさに御披露くださいましたが、率直に申しまして、
審議会
における議論においては、現在の
百貨店法
で欠けておる点、つまり
スーパー
の問題を別にしまして、
消費者
利益
というものをもっと
小売業
行政で重視すべきでないか、特に物価
関係
でございますが、そういう御
意見
が比較的主導的であり、かつ
答申
の中にもニュアンスとしてはそういうものが強調されておったと思います。私
ども
はもちろん
答申
にできるだけ忠実に
原案
をつくったわけでございますが、正直に申し上げまして、
原案
をつくる過程におきましても、第一次
原案
から何度も
調整
、修正をして、ただいま提出しているような
原案
になったわけでございまして、
答申
にはできるだけ忠実のつもりではございますが、特にその
審査
の条項等におきましては、
消費者
の
利益
もさることながら、その
周辺
の
小売業
の
調整
も十分従来の
百貨店法
の精神を引き継いでいこうという点が少し強くなっておると思います。
板川正吾
33
○
板川委員
そうですね。産構審のニュアンスよりも、
本法
の
運用
にあたっては、この旧
百貨店法
、廃止される
百貨店法
の精神のほうに重きを置いて、そして
事前審査制
というのをきびしく運営して
小売業
の
事業活動
等を適正に
確保
できるようにする、ただし、それをやるのであるが、
消費者
の
利益
というものも念頭に置きますということで、重点は、この
小売業
の
事業活動
等を適正に
確保
するという第一条後段のほうにあるということに私は理解をいたします。 いま
局長
、十一条の問題で触れられましたから、ついでに十一条にいきますが、十一条を見てください。「
消費者
に対する配慮等」という第十一条の
規定
は、どうも私は、いまの精神からいうとこの
意味
がよく理解できない。これは十一条で「
消費者
に対する配慮等」というならば、たとえば「通省
産業
大臣
は、第七条第一項、第八条第一項又は前条第一項に
規定
する
措置
の
運用
に当たっては、
消費者
の
利益
の
保護
について配慮」せい、こういうことで、十一条は配慮のしかたを具体的にここに
規定
すればいいんじゃないだろうか。それを「あわせて」云々ということをいいますから、この十一条の
規定
というものがどうもちぐはぐな
感じがい
たします。これは「
消費者
に対する配慮等」というならば、
消費者
の
利益
保護
について配慮するという点まででよろしいんじゃないだろうか。あとは、「あわせて、大
規模小売店舗
における
中小小売業
の
近代化
」云々というのは、別の
法律
でも読むことができますし、七条の
規定
でもそういう
趣旨
を守ろうとしているわけですから、必要はないんじゃないだろうかと思うのですが、この点はどう
考え
ますか。 〔
委員長
退席、稻村(左)
委員長
代理着席〕
山下英明
34
○
山下
(英)
政府委員
おっしゃる点は私も実は同感でございます。ただ、多少便宜主義もありまして、つまり配慮事項が大きなもので二つある。
一つ
は
消費者
の
利益
保護
であり、
一つ
は、
寄り合い百貨店
等、真に
中小小売業
の
近代化
政策
というものも忘れてはならないという、この二つの配慮事項を
一つ
の
条文
で並べたという便宜的な弊害はあると思います。
板川正吾
35
○
板川委員
実際これはちょっとおかしい文章に私は感ずるんです。 ついでに伺いますが、「
消費者
の
利益
の
保護
について配慮し、あわせて、大
規模小売店舗
における
中小小売業
の
近代化
その他の
小売業
の
事業活動
の円滑な遂行に支障を及ぼすことのないよう配意しなければならない。」とあります。
消費者
利益
の
保護
については配慮せよと主張し、
小売
商業
近代化
その他については配意しなければならないとありますが、この「配慮」と「配意」というのは、
法律
上どういう区分があるんですか。これは法制局から聞きたいんですが、法制局来ておりますか。
別府正夫
36
○別府
政府委員
お答え申し上げます。 本条第十一条は、この
法律案
のほかの
規定
、実質的な内容をなしております第三条から第十条まで、あるいは第十二条から第十四条までのように権利を制限したり義務を課したりするというような
規定
とは異なりまして、先ほど
板川委員
の御
指摘
のように、
通産大臣
が
勧告
または
命令
を行なうにあたっての心がまえを示している、いわゆる訓示
規定
と称しているものでございますので、当方で
法律案
を
審査
いたします際にも、用語の使い分けにつきまして、いまの権利を制限するような
規定
ほど、ことばの
意味
の差異と申しますか、神経質にならなかった点があるということを一応お断わりしました上で御
説明
申し上げたいと思います。 さて、「配慮」と「配意」につきましては、いろいろ字引きなどを引きましても、そのことば自体に非常に大きな
意味
の差があるというようなことはないようでありますけれ
ども
、この
法律案
全体の構成、あるいは第十一条について
板川委員
ただいま御
指摘
ございましたように、前段と後段に若干の質の差があるというような点から見ますと、次のような御
説明
ができるんじゃなかろうかと思います。 まず、第十一条の前段は、第一条の目的に「
消費者
の
利益
の
保護
に配慮し」と書いてございますので、その字句をそのまま用いることによりまして、今度の
法律
で、大
規模小売店舗
における
小売業
の
事業活動
の
調整
をする際に
消費者
の
利益
が阻害されることがあってはならないという、いわば時代の要請をはっきりさす、鮮明にするというような
趣旨
でその字句をそのまま使うということをせざるを得なかったのであります。 次に、第十一条の後段、いまの「配意」のところでございますけれ
ども
、これは先ほど御
指摘
ございましたように、この
法律案
がいわゆる
建物
主義というような構成をとりました結果、
事業活動
を
調整
する必要がほとんどないような
中小小売商業
者をも、形式上は、形の上では
調整
の
対象
に含んでしまうようになるということを
考え
まして、この
法律
の
運用
にあたって、大
規模小売店舗
内の
中小
小売
商まで
調整
の
対象
とするものではないということを明らかにするために、特に
勧告
または
命令
の
運用
の心がまえを明記するという
趣旨
で書いたわけでございます。これは、先ほど
山下
企業
局長
が申したとおりでございます。このことは、これも御
指摘
ございましたように、第七条ないし第八条には
勧告
なり
命令
の要件のところで、一応解釈上当然ということも言えないことはないわけでございますが、これをさらに明確にするためということでございますので、前段と異った用語を用いるほうが、いわばそのニュアンスの差ということが明確に出るかと思いまして、前段と異なった「あわせて、」「配意し」という表現を使ったわけでございますので、その点御了承いただきたいと思います。
板川正吾
37
○
板川委員
私は、後段の「あわせて、」以下は、実は蛇足だろう、こういう
感じ
がするのですが、この「配慮」というのを私もいろいろ字引きを引いてみましたら、配慮とは心を配る、心づかいとありまして、配はまあわかりますが、慮はおもんばかり、よくよく
考え
る、あるいは思いめぐらすこういうようにおもんばかりという
意味
がいわれております。この「配意」というのは、ではどういうのかというと、心を配るという。やはり同じですよ。そして配意とは心を配る、そして配慮と書いてありました。結局、配意も配慮も同じで、じゃ意とは何ぞや、こう字引きを引いてみますと、意とは心、心ばせ、こんなことがあります。結局、配慮と配意というのは、語彙として変わらない。変わらないのをこの
法律
の
一つ
の
条文
の中で書きますと、何か特別な意義が、異なる意義があるように
感じ
ます。これはおかしいんじゃないかと思うのですが、どうもいまの
説明
では、大体、後段の「あわせて、」以下がおかしいじゃないか、この「配意」もおかしいじゃないか、あまり使ってないことばでおかしいんじゃないかと思うのですが、もう一ぺんひとつ
説明
してください。
別府正夫
38
○別府
政府委員
お答え申し上げます。 ただいま
板川委員
御
指摘
のとおりでございまして、字引きを引きますと、配慮も配意も、具体的ないわば言いかえでございますけれ
ども
、心を配ること、心づかい、心配というようなことでございまして、おっしゃるとおりにそう差はございません。ただ、先ほど申し上げたことの繰り返しにややなるかと思いますけれ
ども
、前段のほうにつきましては、目的にそういう
趣旨
が書いてあるがけで、
規定
の内容としては、大体そういう
規定
が書いてないということもございますので、目的と同じことばを使う必要があるだろうということで配慮ということばを用いたわけでございます。 なお、後段につきましては、先ほど来御
指摘
おりますように、私のほうからもお答え申し上げましたように、七条、八条等で実は
中小企業者
に対する配慮——簡単に配慮と申し上げますが、配慮は十分読み取れるということもいえますが、なお蛇足というような御
指摘
もございましたのです仕れ
ども
、たとえ蛇足的なものであっても、この十一条で
通産大臣
の
運用
にあたっての心がまえを書く以上は、なお一そう鮮明にすることが必要じゃなかろうかという
意味
で、あわせて配慮する。号の際に同じ配慮ということばを使うよりも、いわば前のほうに書いてあることをさらに明確にするという
意味
では、違うことばを使ったほうがその
趣旨
が出るのではなかろうかというつもりで書いたわけでございます。
板川正吾
39
○
板川委員
蛇足ですからちょっとじゃまになるが、まあそれはそれでいいといたしましょう。 今度は通産省に伺います。この
法律
は、従来の
企業
規制
というものから
建物
規制
に変わった、たとえば
寄り合い百貨店
、
寄り合い
スーパー
、こういったものも、
一定
の
面積
を占めればもちろんこの
規制
の
対象
になる、こういうことになりますが、ちょっと私、これで一体これはどうなるのかといま
考え
ついたんですが、じゃ、商店街がずっと
寄り合い
的に
一定
の
面積
の
店舗
を連続して行なった場合には、この
法律
の
規制対象
にはなりませんか。商店街が
店舗
をずっと
寄り合い
スーパー
的、
寄り合い
店舗
的に軒を連ねてやって、この
規定
の
売り場面積
以上を占めておった場合に
本法
の
対象
にならないんですか。
橋本利一
40
○
橋本政府委員
先生御
指摘
の
ケース
が
本法
に
規定
する
一つ
の
建物
と解釈できるかどうかということにかかってくるかと思います。
一つ
の
建物
と解釈される場合には、
基準面積
をこえる場合には当然
本法
の
適用対象
になってくるわけでございます。
板川正吾
41
○
板川委員
普通はならないかもしれませんが、
寄り合い
スーパー
、
寄り合い百貨店
というのは、もちろん
基準面積
をこえる場合
規制対象
になる。したがって、商店街組合というもので連続した
店舗
を持った場合に
対象
には当面はならない、こういうふうに理解していいですね。
橋本利一
42
○
橋本政府委員
お話のように一応
本法
の
対象
になるわけでございますが、ただ十一条後段の
趣旨
等から、事実上の問題としては
運用
上大体フリーパスすることになるだろうと
考え
ております。
板川正吾
43
○
板川委員
さっきの第一条からの議論にちょっと戻りますが、この第一条の目的が
百貨店法
から引き継がれた、
中小小売商業
の
事業活動
の
機会
を適正に
確保
する、こういう
考え方
に重点を置くならば、たとえば
中小小売商業
者が集合して
寄り合い百貨店
、
寄り合い
スーパー
、こういうものを経営する場合と、大資本
百貨店
あるいは大商社を背景に持つ
スーパー
、こういうものの進出に対して同一な扱いをすべきじゃない。これこそ配慮なり配意なりが十分加えられていいんじゃないだろうか。要するに、
中小企業者
が集まって
スーパー
なりあるいは
百貨店
なり
寄り合い
で行なうという場合と、大資本が進出する場合とは、扱い上差があっていいんじゃないだろうか、
運用
上ですね、こう思いますが、この
考え方
はいかがですか。
橋本利一
44
○
橋本政府委員
御
指摘
のとおり、
運用
上差等があってしかるべきかと
考え
ます。
板川正吾
45
○
板川委員
わかりました。 第七条
関係
で伺いますが、この七条の一項、これは第一条の目的の
消費者保護
の明文を除いた第一条の目的を具体的に扱おうとしたのがこの第七条の精神ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
橋本利一
46
○
橋本政府委員
御
指摘
のとおり、第一条の目的を生かしての
調整
手段の
規定
でございます。
板川正吾
47
○
板川委員
第一条の
消費者保護
の
規定
を除く目的を具体的にあらわしたのが七条の精神だ、こう思います。 ここで伺いますが、第七条に、「
通商産業大臣
は、第五条第一項又は前条第一項若しくは第二項の
規定
による届出があった場合において、その届出に係る大
規模小売店舗
の
周辺
の人口の
規模
及びその推移、
中小小売業
の
近代化
の見通し、他の大
規模小売店舗
の配置及び当該他の大
規模小売店舗
における
小売業
の現状等の
事情
を考慮して、その届出に係る事項が
実施
されることによりその届出に係る大
規模小売店舗
における
小売業
の
事業活動
がその
周辺
の
中小小売業
の
事業活動
に
相当
程度の
影響
を及ぼすおそれがあるかどうかを
審査
し、そのおそれがあると認めるときは、大
規模小売店舗
審議会
の
意見
をきいて、その届出を受理した日から三月以内に限り、その届出をした者に対し、その届出に係る
開店日
を繰り下げ、又は
店舗面積
を減少すべきことを
勧告
することができる。」とありまして、その中で、
通産大臣
は「その
周辺
の
中小小売業
の
事業活動
に
相当
程度の
影響
を及ぼすおそれがあるかどうかを
審査
し、」とありますが、この
審査
する機関、これはどこでやりますか。
橋本利一
48
○
橋本政府委員
通産大臣
が行なうわけでございます。 〔稻村(左)
委員長
代理退席、羽田野
委員長
代理着席〕
板川正吾
49
○
板川委員
もちろん
通産大臣
が行なうとあるのですが、通産省で
審査
をすることになりますね。この
条文
では、通産省で
審査
をして、おそれがないということになれば、そのまま六カ月後には
店舗
のオープンはよろしい、こういうふうに解釈をいたします。これは
事前審査
の第一の関門ですね。おそれがないということになれば、そのまま通って認められるわけであります。
通産大臣
の
審査
というのは今後の
運用
で実はなかなか重要なポイントになると思います。
通産大臣
の胸先三寸で簡単におそれなしとしてオーケーしてしまうようなことになる可能性がありますが、
審査
にあたっての
通産大臣
の心がまえというのはどうでありますか。
中曽根康弘
50
○
中曽根国務大臣
立法の
趣旨
、三つないし四つの法の目的をあげましたが、その法の目的が実現するかどうかということをよく周囲を見渡し、また
届け出
の内容、本質等をよく精査いたしまして、その調和をとれるかどうかを確信を持ってやれるという場合にこれをパスさせる、そういうことであろうと思います。
板川正吾
51
○
板川委員
これは
法律
を
運用
する上で実は一番重要なポイントだと私は思いますから、十分慎重に
審査
をされることを要望しておきます。 七条一項の後段に、その
審査
をして、そのおそれがあると認めるときは、大
規模小売店舗
審議会
の
意見
を聞いて、
届け出
したものに対して
開店日
の繰り下げ、
店舗面積
を減少すべきことを
勧告
することができる、こういうふうに書いてあります。これはおそれがあると認めたときでありますが、これはここで聞いたかどうかわかりませんが、繰り下げあるいは
店舗面積
の減少という
勧告
ができるのでありますが、
被害
の
影響
の程度によっては、無期限まで
開店
を延期させることも可能か
店舗面積
の減少というのはゼロまであり得る、こういうふうに
説明
があったようでありますが、
確認
してよろしいかどうか伺いたい。
橋本利一
52
○
橋本政府委員
第七条の
勧告
は、大
規模小売店舗
における
小売
事業
の活動によりまして、
周辺
の
中小
企業
が
相当
程度の
影響
を受けるおそれがある。そういった場合に、そのおそれを排除する必要左範囲内において
勧告
を行なうことになっておるわけでございますが、そういった
勧告
の性格を前視といたしまして、必要とある場合には、
店舗面積
につきましては、
店舗面積
の合計が
基準面積
と同一になるまで削減も可能であるかと
考え
ております。したがいまして、さような場合には、個々の
企業
にとっては全面的に削減ということも可能性としては出てくるかと思います。同様な
趣旨
におきまして、
開店日
の繰り延べにつきましても、情勢によりましては、その
影響
の度合いによりましては無期限ということもあり得るかと思いますが要は
周辺
の
中小小売商業
者に及ぼす
相当
程度の
影響
、あるいはそれを排除するために必要な限度ということで本条を
運用
していくことになるかと田います。
板川正吾
53
○
板川委員
わかりました。 七条二項について伺います。七条二項で「その地区内にある
商工会議所
又は
商工会
の
意見
及び
通商産業省
令で定めるところにより申出をした者の
意見
をきかなければならない。」こうありますが「その地区内」というのはどういうふうに解釈いたしますか。
橋本利一
54
○
橋本政府委員
大
規模小売店舗
の進出の
影響
のあるものは、非常に広範な
地域
に及ぶ場合もございますが、第一義的にと申しますか、主としてその
影響
の出る
地域
はやはりその
周辺
にあるかと思います。先刻御
承知
のとおり、
商工会議所
あるいは
商工会
というのは
一定
の
市町村
を区域として乱立されておるわけでございますので、そういった
意味
合いから、法文上は
関係
の
商工会議所
あるいは
商工会
といったような表現をとっておりますが実際上、
運用
上必要な場合には地区外の
商工会議所
等の
意見
も聞く必要もあるかと
考え
ております
板川正吾
55
○
板川委員
それからこの法文では、その大
規模小売店舗
の所在地がその地区内にある
商工会議所
又は
商工会
の
意見
を聞かなければならないというふうになっておるわけです。これは大
規模小売店舗
審議会
がその
意見
を聞くということになっておりますが、大
規模小売店舗
所在地がその地区内にある
商工会議所
という
意味
は、その行政区のというふうに理解してよろしいのでしょう。
商工会議所
というのは行政単位にありますし、
商工会
もそうですから、そういうふうに理解していいでしょう。
橋本利一
56
○
橋本政府委員
商工会議所
等につきましては、
地域
を限って
設置
されるわけでございまして、言いかえますと、
商工会議所
の
地域
ということでございます。
板川正吾
57
○
板川委員
商工会議所
は行政単位にあるいは
商工会
も行政単位に行なわれていますから、行政区単位というふうに理解してよろしいと思いますが、これは従来
百貨店
審議会
の中にありました商調協といわれております機関ですね、これは今後も
商工会議所
または
商工会
の中に置かれるというふうに
考え
てよろしいのですか。
橋本利一
58
○
橋本政府委員
存続させる方向で
考え
ております。
板川正吾
59
○
板川委員
百貨店法
の
運用
の歴史を見てきますと、
百貨店
は、先ほど言いましたように、
小売
商業の適正な
事業活動
の
機会
を
確保
するというたてまえで
運用
されてきた。その
運用
の従来の
基準
というのは、
百貨店
がつくられるその
地域
の
商工会議所
にある商調協といわれている機関の
意見
を聞いて、そして
商工会議所
が通産省に
答申
をしておる、こういう経緯をたどってきたと思うのです。
百貨店法
当初は、
百貨店
がつくられる
周辺
の
商工会議所
の
意見
を聞いた。昭和三十年代においては、
百貨店
ができますと、その
周辺
の
小売
商業が重大な
被害
を受けたからそういう方式をとってまいりました。しかし、四十年代になりますと、
商工会議所
の中に設けられた商調協の
意見
を受け入れただけでは
百貨店法
の
運用
が十分でないという事態になってきた。実は
百貨店
ができることを
周辺
の
小売
商業は大賛成になってしまった。初めは
反対
しておったのですが、実は
百貨店
ができると、そのおこぼれ、あるいはその
周辺
がいわば商店街的になって、そのおこぼれ
利益
を受ける。だから商調協は、
百貨店
ができることに
反対
する
理由
はほとんどなくなってきた、こういうふうにわれわれは実態を見ておるわけであります。ですから、もしこの
小売
商業者の適正な
事業活動
を
確保
するというたてまえをとるならば、この大
規模小売店舗
ができる
地域
の
商工会議所
ではない、かえってその
周辺
の
商工会議所
なりの
意見
を聞く必要がある。そうじゃないと、
本法
の目的が実は達成されない形式的な
運用
になる可能性があります。この点をどういうふうに補ってカバーしていくか、
運用
上の心がまえを伺いたい。
橋本利一
60
○
橋本政府委員
必要がある場合には、事実上
周辺
の
商工会議所
の
意見
が反映されるように、あるいは
周辺
地区における
中小小売商業
者の
意見
が反映されるように処理してまいりたいと思います。
板川正吾
61
○
板川委員
それはどこで……。
橋本利一
62
○
橋本政府委員
法文上は
規定
はございませんが、
運用
上の問題として処理いたしたいと思います。
板川正吾
63
○
板川委員
そこで七条の二項をもう一ぺん聞きたいのですが、読んでみます。「大
規模小売店舗
審議会
は、前項の
規定
により
意見
をきかれた場合において、その
意見
を定めようとするときは、その大
規模小売店舗
の所在地がその地区内にある
商工会議所
又は
商工会
の
意見
及び
通商産業省
令で定めるところにより申出をした者」——修正案が出ていることは、ここに
消費者
及び
小売業者
その他の者の
意見
を聞かなければならない、こういうようになるのでありますが、この
条文
でいいますと、その
意見
を定めようとするときは、地区内にある
消費者
、
小売業者
あるいは省令で定めるところにより
申し出
をした者の
意見
ということになって、その地区内にあるということがかぶさってくるような
感じがい
たしますが、これは通産省令で定めるところにより
申し出
をした者と、こういうところで幅を広げることができるのですか。この
法律
上読めるのか読めないのかということをお伺いします。
橋本利一
64
○
橋本政府委員
ただいまお読みになりました「地区内」ということばは、「
商工会議所
又は
商工会
」までにかかりまして、「省令で定めるところにより申出をした者の
意見
」という「申出をした者」というところにはかかりません。
板川正吾
65
○
板川委員
そうしますと、「通産省令で定めるところにより」という省令で定める場合に、いま言った
趣旨
をこの中に織り込まれるものと理解してよろしいかどうか。
橋本利一
66
○
橋本政府委員
さようでございまして、特に資格を限定せず、
小売
商業者、
消費者
あるいは学識
経験
者等
申し出
のあった方の
意見
をお聞きすることにいたしたいと思います。
板川正吾
67
○
板川委員
わかりました。 それから、実は
本法
に直接
関係
ございませんが、
商工会
という文句が出てきましたから
通産大臣
に
一つ
伺いたいことがあります。
商工会
法については、昭和三十五年に私
ども
商工会
の組織等に関する
法律
の立法に参加したのでありますが、このときに実はこの商工
委員会
で一番議論になりましたのは、
商工会
をつくって、結局これは自民党の末端の選挙運動に利用するのじゃないか、こういうことが一番論争点になったわけです。当時
政府側
は、絶対にそういう
特定
の政党のために
商工会
というのは利用しない、こういう言明を当時の
大臣
も再三されておりまして、そしてそのために
商工会
法第六条に「
商工会
は、営利を目的としてはならない。」、二項として「
商工会
は、
特定
の個人又は法人その他の団体の
利益
を目的として、その
事業
を行なってはならない。」、三項で「
商工会
は、これを
特定
の政党のために利用してはならない。」こういうふうに実はこの六条の三項を追加することによってこの
法案
が成立をしたのであります。ところが、その後の運営の実態を見てまいりますと、まさに私
ども
が心配して危惧しておったように、選挙の際には
商工会
が政治団体化する
運用
が行なわれている。これは全部とは言いません。そういう
法律
違反の
運用
が行なわれていることに対して、一体通産省としては、
商工会
というものに厳正にこの
法律
を守らせるためにいかなる指導をされてきたか、この点について伺っておきたいのであります。
中曽根康弘
68
○
中曽根国務大臣
商工会
は、現在でも、また創立の当初以来も、政治的には厳正中立を守っているだろうと思います。
商工会
の中における個々人が
自分
の信条に従って政治的な支持を行なうということはあり得ましょうし、また、そのメンバーがそういう政治的団体を結成して応援するということは個々的にはあり得るかもしれませんが、
商工会
として
特定
の政治団体を特に応援するとか政治
行為
をするということはないと思っております。
板川正吾
69
○
板川委員
法律
上はそう
規定
してありますから、
商工会
の加盟メンバーが個人的にどの政党を支持するか、これは自由なんです。それは私
ども
とやかく言いません。しかし、
商工会
の組織を通じて
特定
の政党の候補者を推し、その選挙活動をするということは
法律
違反であり、間違いだと思いますが、実はそういう事例があらゆる選挙の際に行なわれておるのであります。たとえば、埼玉県で知事選がありました。その際に、
商工会
の組織を通じて、上からの
命令
をもって、この
商工会
は何台用意しろ、この
商工会
は何台用意しろ、こういう指示で、
商工会
あてに何百台という示威運動をするための自動車を集めさせた例があります。ですから、これは適当な
機会
にぜひ
商工会
に通達身出して、厳正に
法律
を守れという指導をしていただきたいと私は思いますが、いかがですか。
中曽根康弘
70
○
中曽根国務大臣
承知
いたしました。
板川正吾
71
○
板川委員
次に、公取に伺います。 しばしばここでも議論になってまいりました、昭和二十九年告示第七号で行なわれました
百貨店
に対する公取の特殊指定の内容について、とりあえず
説明
していただきます。
吉田文剛
72
○吉田(文)
政府委員
特殊指定の内容でございますが、簡単に申し上げますと、まず第一は、納入業者に対する不当な返品、第二は、商品納入後の不当な値引き、第三は、納入業者に著しく不
利益
となる委託販売取引、第四は、特売等に供する商品を著しく低い価格で納入させること、第五は、商品の不当な納入拒否、六は、手伝い店員の不当な
使用
、七としては、上記の要求、つまり手伝い店員の不当
使用
の要求を拒否したことを
理由
とする納入業者に対する不利な取り扱い、第八は、景品つき販売の原則禁止、以上でございます。
板川正吾
73
○
板川委員
昭和二十九年告示第七号で「
百貨店
業者が、左の各号の一に該当する場合を除き、」という書き出しがら、一号から八号にわたっていま言った不
公正取引
の特殊指定が行なわれているわけであります。これに対するいままでの
運用
状況
について
説明
していただきたい。
吉田文剛
74
○吉田(文)
政府委員
いまこの全部についての
運用
状況
は手元にそろっておりませんが、八つの特殊指定の内容のうちで一番重要なるものは、第一番目の不当返品、それから第八番目の景品つき販売の原則禁止であるというふうに
考え
ております。この
運用
状況
につきましては、先ごろの当
委員会
でも申し上げたとおりでございまして、これは過去三回にわたって改善
計画
書を出させ、厳重な指導をいたしておりますけれ
ども
、まだ必ずしも改善されておりません。今後は、より一そう強力な行政指導によって、不当な返品あるいは不当な派遣店員、こういうものは廃止の方向に持っていきたいというふうに
考え
ておるわけでございます。
板川正吾
75
○
板川委員
この
百貨店
における特殊指定の問題ですが、派遣店員の問題がここでもしばしば論議をされました。この派遣店員について特殊指定の六号で「
百貨店
業者が、自己の販売業務のために、納入業者にその従業員等を派遣させて
使用
し、または自己が直接雇用する従業員等の人件費を納入業者に負担させること。ただし、納入業者の納入に係る商品について、
通常
百貨店
業者の従業員のもっていない販売に関する特殊な
技術
または能力を有する従業員等を派遣させてその商品の販売業務に従事させることが、当該納入業者の直接の
利益
となる場合を含まないものとする。」というように
規定
をされております。わかりやすく言えば、特殊な品物で、その販売について特殊な
技術
、技能を必要とする場合に、納入業者は納入した物を販売してもらえば
利益
になるわけですから、お互いの
利益
となる場合は派遣店員はよろしい、こういうように限定して派遣店員が認められております。ところがこの間、参考人に聞きましても、この派遣店員についてはまことに申しわけないというか、みずからの非を認めておられますが、この特殊な技能、特殊な能力を必要とするという場合以外の派遣店員というものに対して、従来公取はどういう指導を行なってきたか、伺いたい。
吉田文剛
76
○吉田(文)
政府委員
特殊指定には先生おっしゃいましたように書いてございまして、特殊な技能あるいは
技術
あるいは能力を持っている者、それから派遣店員を出させることが当該納入業者の直接の
利益
となる場合は除かれております。これ以外のものにつきましては、別にこの条項に該当しませんので違反とはなりませんから特別の指導はいたしておりませんが、ただ、特殊の
技術
あるいは能力というような点の解釈の問題で、この場合は、
通常
百貨店
の売り場店員の持っていない販売に関する
技術
、能力であって、その習熟に一年以上の期間を要するものというような解釈を従来とってきているわけでございます。これからはずれるものは、このいわゆる特殊な
技術
、能力に該当するものではないということで指導してきているわけでございます。
板川正吾
77
○
板川委員
従来の
運用
は、さっき言ったことがちょっと私はひっかかるのですが、「
通常
百貨店
業者の従業員のもっていない販売に関する特殊な
技術
または能力を有する従業員等を派遣させてその商品の販売業務に従事させることが、当該納入業者の直接の
利益
となる場合を含まない」、だから、その
百貨店
従業員の持っていない特殊な
技術
または能力というのは、少なくとも一年以上たたなくちゃわからないようなものということを
運用
の
基準
としておるようでありますが、一体この一年以上というのは初めて聞いたのですけれ
ども
、一年以上という
基準
はどういうことでできたのですか。特殊な
技術
または能力ということを一年以上というのはあまりにも
基準
が低過ぎるのじゃないですか。
吉田文剛
78
○吉田(文)
政府委員
私がいま申し上げました一年以上というのは、昭和四十五年十一月十七日の「手伝店員問題について」という通達の中にうたってございます。繰り返しますと、「
通常
百貨店
の売場店員のもっていない販売に関する
技術
能力であって、その習熟に一年以上の期間を要するもの」というのを一応の
基準
にしておるのであります。
板川正吾
79
○
板川委員
この
百貨店
の派遣店員というのが非常な数字に、まあ二割ということにこの間報告もありましたが、いずれにしましても、この点は今後厳正に扱ってもらいたいと思いますが、時間となりましたから、最後に伺います。 この
法律
は読みづらいのですが、大
規模小売店舗
における
小売業
の
事業活動
の
調整
に関する
法律
が今度成立した場合に、この告示七号はどうされますか。改正をする意思がありますか。それともこのまま読みかえていくのですか。
吉田文剛
80
○吉田(文)
政府委員
従来の
百貨店
につきましては、特殊指定を現在のところ特に改正する必要はないと思っております。ただ、量販店につきまして、これは大
規模小売店舗
法が提案されました背景となった
小売業
の構造変化等の
事情
を踏まえまして、量販店についてどうするか、目下
検討
中でございますが、少なくとも、大型の量販店につきましては、仕入れ面を中心に何らかの
規制
が必要であるというふうに
考え
ております。ただ、それをどういう形でこの特殊指定に織り込むかということは現在
検討
中でございます。
板川正吾
81
○
板川委員
この間、参考人の
意見
を聞いたときには、まあ大型
スーパー
は、派遣店員等については、
百貨店
と違って、あまりないようですね。あるいはその他返品とか不当値引きとかいろいろな点も、
百貨店
よりも歴史が浅いだけにないようであります。 しかし、今度この
法律
ができて同一に扱われることになりますと、
百貨店
だけはこの
規制
を受ける、大型
スーパー
は受けないということになりますと、そこに将来差別がつく可能性があります。ですからその点は、この告示七号の精神をもとにひとつしかるべく
検討
していただきたいということを要望して、
質問
を終わります。
羽田野忠文
82
○羽田野
委員長
代理
中曽根通商産業大臣
から発言を求められておりますので、この際、これを許します。
中曽根通商産業大臣
。
中曽根康弘
83
○
中曽根国務大臣
去る七月四日の商工
委員会
の冒頭に、その前日の中村先生の御
質問
にお答えする発言を行ないましたが、十分意を尽くしていない点がありましたので、本日あらためてお答えを申し上げます。
本法
案が
建物
主義をとり、
寄り合い百貨店
等をも
対象
としたのは、再度大型
スーパー
が疑似
百貨店
方式で事実上脱法することを排除するためのものであります。したがって、大
企業
のダミーについては、
寄り合い百貨店
等の形態をとる場合も、立法の
趣旨
からして当然
勧告
、
命令
の
対象
となります。 しかし、純粋の
中小小売商業
者に対しては、
本法
案の立法
趣旨
にかんがみ、原則として
調整
の
対象
としないよう
運用
すべきものと
考え
ます。 なお、
本法
案の
運用
にあたっては、万一にも
中小小売商業
者の
寄り合い百貨店
が大
企業
のダミーとならないよう、厳正な
審査
を行なう決意であります。また、万一大
企業
のダミーが純粋の
中小
企業
と偽って高度化資金の融資を受けていることが判明した場合は、
中小
企業
振興
事業
団法第二十二条の
規定
に基づく業務方法書等の定めるところにより、繰り上げ償還をさせることはもちろんであります。
羽田野忠文
84
○羽田野
委員長
代理 中村重光君。
中村重光
85
○中村(重)委員
大臣
の、私の
質問
に対する統一見解に基づいて
質問
を進めてまいりたいと思いますが、与党のこのような出席の状態では
審議
を進めるわけにはまいらない。五名の
理事
の中で一名はやむを得ない
事情
で退席をされたようでありますけれ
ども
、ほかはわからないのですね。
委員長
は常任
委員長
会議
に行っているようでありますからやむを得ないといたしましても、このような出席状態で野党に協力を求めるということ自体、あまりにも与党の誠意がなさ過ぎると私は思う。きょうの
理事
会でも、この
法案
の採決が行なわれたあとに、
中小企業基
本法
の改正について
審議
してほしいということであった。私
ども
はそれに協力をすることにやぶさかではないという協力的な姿勢を示したわけだけれ
ども
、これでは話にならぬじゃありませんか。与党の出席をこれからどんどんすすめる——いま若干入ってまいりましたが、
委員長
は努力をしてもらいたい。よろしいですか。
羽田野忠文
86
○羽田野
委員長
代理
承知
しました。
中村重光
87
○中村(重)委員 いま
大臣
の統一見解がなされたわけですが、この第十一条の後段の
規定
というのが前回の
委員会
の場合におきましては入っておりましたが、これは削除されているわけであります。その点私は了といたしますが、
板川委員
の
質問
に対しまして
企業
局長
のお答えがございました。十一条後段については、いわゆる便宜主義的な点があると思う。その
一つ
は、
消費者
の
利益
ということを
考え
るのだ、
中小小売業
の
近代化
その他、
小売業
の
近代化
活動の問題云々は、
寄り合い百貨店
等のことを配慮してという
意味
のお答えが実はあった。そうなってまいりますと、十一条後段というものはやはり
寄り合い百貨店
というのが中心になっておるような印象を
企業
局長
の答弁からは私は受けたわけであります。そうではなくて、
企業
局長
、第十一条の後段は、むしろショッピングセンター、こうした場合に、この十一条後段というのが多く
適用
されるという形になっていくのではないか。
寄り合い百貨店
の場合は高度化資金を使って、そして共同
店舗
を
設置
する、組合が共同
店舗
をつくる、その中に組合員が入る、その組合員には、やはり
近代化
融資等をやらなければならないという場合が出てくると私は
考え
るわけです。したがって、十一条後段は
寄り合い百貨店
というのが中心ではなくて、デベロッパーであるとか、そういったいわゆるショッピングセンターというものが、むしろこの十一条後段を
適用
して、中に入る
中小
企業
の
近代化
をはかっていくということに重点が置かれていくのではないか、そのように思うわけです。したがいまして、せっかく、明快ではないといって
大臣
の前回の統一見解を削除されたわけでありますけれ
ども
、先ほどの
企業
局長
の答弁では、これと私は完全矛盾とは申しませんが、矛盾に近いものがあるというように印象を受けるわけでありますが、その点をひとつ明確にしておいていただきたいと思います。
山下英明
88
○
山下
(英)
政府委員
おっしゃるとおりでございまして、先ほどの私の
板川
先生への答弁におきまして、十一条後段に関する部面で、
寄り合い百貨店
というのを引用いたしましたことが誤解を招くおそれがありますので、その点を訂正させていただきます。 十一条後段は、正確に申し上げれば、大
規模小売店舗
となる
建物
に入居いたします
中小
小売
商についての特例を定めて配慮事項を明記したものであります。
中村重光
89
○中村(重)委員 それで了承いたします。 法制局はお見えですか。——いま
質疑
をいたしておりますこの大
規模小売店舗
における
小売業
の
事業活動
の
調整
に関する
法律案
の中に、いまお聞きの
寄り合い百貨店
が実は
対象
になるわけですね。
寄り合い百貨店
というのは、
中小
企業
振興
事業
団法に基づくところの資金が実は融資の
対象
となるということになるわけです。ところが、この
寄り合い百貨店
がダミー化したような場合、繰り上げ償還という形がなされるということになってまいりますが、この
法案
の中には、
中小
企業
振興
事業
団法と
本法
案との
関係
というのが明らかになっていないわけです。私は、
寄り合い百貨店
が
本法
の
対象
となるということになってまいりますと、そしてそれに基づいていろいろと
調整
行為
等が行なわれてくるということになりますれば、やはり
中小
企業
振興
事業
団法の
関係
をこの法文の中に明記しておかなければいけないのではないかという
感じがい
たしますが、その点、法制局の見解はいかがでございましょうか。
別府正夫
90
○別府
政府委員
お答え申し上げます。 ただいま中村委員から御
指摘
ございましたように、
中小
企業
振興
事業
団法では、
法律
的には明確にはなっておりませんが、一応根拠といたしましては、先日来この御
審議
でお話が出ておりましたように、振興
事業
団の業務方法書によりまして、ただいま御
指摘
のございましたような、たとえば
寄り合い百貨店
、
寄り合い百貨店
の中に入っております
小売
商が大
企業
のダミー化した場合に、それに対して、たとえば融資の繰り上げ償還をさせるというようなことは可能だというふうに
考え
ております。ただ、振興
事業
団法と今度の
法律
とをいま中村委員御
指摘
のように、いわばつなげると申しますか
調整
をするというようなことをすることが適当かどうかという点につきまして、われわれの
判断
を申し上げますと、振興
事業
団法はいわば融資を中心にいたしました助成法でございますので、その助成の
対象
につきまして、いわば非常にこまかく選別をする、あるいは途中から変化をしたときに最初の融資の条件あるいは融資の契約に反するようなものにつきまして、いわば懲罰的な繰り上げ償還というようなことを
考え
ることも可能だろうと思いますが、今回のこの
法律
では、ある
建物
、大
規模小売店舗
と
考え
られるような
建物
の中に入ってくる
小売
商についての
判断
ということでございますので、入ってくる際の
判断
ということがまず第一に働くだろう、しかも、入ってくる際の
小売
商の実際の
判断
につきましては、七条、八条の
規定
について、先ほど関連して御答弁申し上げましたように、その際に
周辺
小売
商への
影響
があるかないかの
判断
を十分いたしますので、その際に実質的にその資本系統等の
審査
をすることも
考え
られるかと思いますが、入って営業をやっておりますものを資本がどうか融資がどうかというようなことをあとからさかのぼりまして
調整
をすることは必ずしも適当ではあるまいということで、このような形にいたしましたために、振興
事業
団法のようないわば助成法的なものと、今度の
法律
のようないわば
規制
法、
事業
者間の
事業活動
の
調整
をある視点から
規制
をするというような
法律
との間に差が出てくることもやむを得ないかと存じておるわけであります。
中村重光
91
○中村(重)委員 一応了承することにいたしますが、
企業
局長
、本
法律案
と
中小
企業
振興
事業
団法と
関係
があることだけはお認めになりますね。
山下英明
92
○
山下
(英)
政府委員
認めます。
中村重光
93
○中村(重)委員 お認めになるならば、私
ども
にお配りになります
法律案
の参照
条文
の中に、
百貨店法
、
中小小売商業
振興法、
小売
商業
調整
特別
措置
法、割賦販売法、登録免許税法、
通商産業省
設置
法、
地方
自治法、こうあります。
中小
企業
振興
事業
団法をこれの中にお入れにならないのはどういう
事情
でございましょうか。
山下英明
94
○
山下
(英)
政府委員
先ほど来御討議いただいておりますように、
中小
企業
振興
事業
団の場合には、その
事業
を通じて私
ども
としては間接的に
関係
がある、こう
判断
いたしたわけでございます。 〔羽田野
委員長
代理退席、
委員長
着席〕 いま読み上げられました関連
法律
は、きわめて
本法
と直接的なものをあげた次第でございます。
中村重光
95
○中村(重)委員 そのような答弁は私は事実と矛盾すると思いますよ。私が読み上げましたものが直接的に
関係
がある、
中小
企業
振興
事業
団法は間接的であるということが言えますか。それじゃ
一つ
一つ
これを
説明
をしていただいて、
中小
企業
振興
事業
団法との比較をしていただきましょうか。
寄り合い百貨店
が
本法
の
対象
になる、しかし
大臣
の統一見解の中で明らかにされたように、ダミー化するといったような場合がこの
調整
の
対象
になってくる、認めない、後日これが発見されたという場合、振興
事業
団法に基づいて繰り上げ償還をさせるわけです。そういう事態が発生をいたしますと
本法
案に基づいて今度は
届け出
であるとか、あるいは
勧告
命令
という
調整
行為
が働くわけなんです。最も
関係
の深い
法律
が
中小
企業
振興
事業
団法ということになるのではありませんか。これが間接である、したがって必要がないのだ、私が読み上げたものは直接的なんだというようなことは、いささか実態にそぐわない答弁であると私は理解をいたしますが、そうではないのですか。
山下英明
96
○
山下
(英)
政府委員
間接、直接はあるいは語弊があるかもしれませんが、実際的にはきわめて重要な
関係
がありますが、私が申し上げましたのはきわめて形式的でございまして、参照
条文
で
法律
を並べておりますのは一から七までありますが、そのうちの六
法律
は全部この提出
原案
でどこかに引用したり改正したりしてある直接的な
関係
でございます。それから
一つ
の
中小小売商業
振興法は、今国会に同時に出しましたので直接
条文
に出てきませんけれ
ども
入れた、こういう形式的な
関係
でございます。
中村重光
97
○中村(重)委員 私が
指摘
いたしますように、
関係
条文
として
中小
企業
振興
事業
団法をこれに入れたほうがよかったと思っているのですが、入れないほうがよかったと思っているのですか。
山下英明
98
○
山下
(英)
政府委員
先ほど来御討議いただきましたように、きわめて重要な
関係
がありますので入れたほうがよかったと反省いたします。
中村重光
99
○中村(重)委員 入れるべきであるともう少しすなおに非は非としてお認めにならなければむしろこの
審議
を混乱させるのです。落ち度がないということにはならない。入れてなかったからといって、この
法律案
というものを私
ども
が
審議
をするについてこれを否定をするというような形のものではないわけであります。しかし、これほど
関係
を持ちます
条文
が参照
条文
として落とされている。にもかかわらず、これが間接であるから入れなかったという積極的な拒否
理由
をおあげになるから私はこれを
指摘
せざるを得ないわけです。もう少し
委員会
の
審議
というものをなめらかに行ないますためには、すなおな態度で対応していただきたいということを御注意申し上げておきたいと思います。 それから次にお尋ねいたしますが、お尋ねをいたします前に、
大臣
はきょうは十二時五十分ごろ用があるという連絡を受けたわけですが、適当な時間に御退席になってけっこうでございますが、しかし次に
質疑
をいたします一、二問だけはお聞きいただきたいと思います。 食堂は
百貨店
、大
規模店
——むしろこの食堂というのは
百貨店
が中心であろうと思うのでありますけれ
ども
、総売り上げの何%程度を占めているんでしょうか。
橋本利一
100
○
橋本政府委員
ただいま持ち合わせておりませんので至急取り寄せて御答弁申し上げたいと思います。
中村重光
101
○中村(重)委員
大臣
、私が聞いていただきたいと申し上げておりますのは、食堂は
百貨店
の
売り場面積
の外になっているということです。そして外になっていますからその食堂をずいぶん広くとる、そしてあとでこの食堂をたとえば半分なら半分にすることだってあり得るわけですね。そして三千平米なら三千平米の中にその食堂を半分にして入れるということがある。その場合はあらためてまた
届け出
等をなさなければならぬという、何と申しましょうか、新
増設
の形式をとるわけです。きわめて複雑なやり方です。同時に、この食堂というのは、
百貨店
の総売り上げの、私もここで資料を持っていないわけでありますが、
相当
な比率を占めていると私は思うわけです。これは外であるということに問題があるということが一点であります。 それからいままでは
対象
となっておりました階段、トイレ、これも今度は三千平米の外になったということです。ところが独禁法では、依然として
企業
主義でやろうとしていらっしゃるのです。いいか悪いかは別ですよ。
本法
案では
建物
主義になるのです。同じ
百貨店
、いわゆる大
規模店
の行政運営の中に、片や
建物
主義、片や
企業
主義ということになる。それから公取の場合は、独禁法の場合は食堂は
対象
になっているのです。
本法
案の場合は食堂は外である。こういうふうになるわけです。こんなに相矛盾したことがあってもよろしいのかどうかということを私は問題視するわけです。 しかし、大
規模店
というのは通産省の、何と申しましょうか、大
規模店
の
面積
が三千平米、千五百平米、それ以上を
調整
をするという形になるわけであります。独禁法は持殊指定に基づいてそれに対するところのいろいろな取り締まりをやっていくということになってくるわけですから同一でなくてもよろしいというようなことも成り立たないとはいえないかもしれません。しかし、あまり好ましいことではないというように私は思うわけであります。ましてや本
法律案
を提案するにあたって公取と何らの相談がなされていないということも、やはり私は適当な
措置
ではなかったのではないかという
感じがい
たします。今後の行政運営の
関係
もありますので、
大臣
並びに
公正取引委員会
の
委員長
にそれぞれお答えをいただきたいと思います。
中曽根康弘
102
○
中曽根国務大臣
公取とはよく相談をいたしましていろいろの法体系の間に矛盾がないように、また
運用
におきましてもお互いによく協調し合って、そのおのおのの法の目的を発揮できるようによく連絡をいたしたいと思います。
高橋俊英
103
○高橋(俊)
政府委員
目下御
審議
願っておる通産省
関係
の
法律案
の
大型小売店
に対する
規制
の目的と、私
ども
の扱っておりますところの独禁法による
百貨店
に対する
規制
の目的と一〇〇%同じというわけにはいかないんじゃないかと思います。というのは、私のほうのは、その経営を営む
事業
者がその唯一的な地位を乱用するというふうなことを中心に
規制
の
対象
としております。したがいまして、非常に小さな普通の専門店、
小売
店が
寄り合い百貨店
を形成したという場合に、これが資本的なつながりが全くない、それ自体がどっちかといえば
中小
企業
に属する、こういう場合にも、その
店舗
の配置という点では
規制
の
対象
としてけっこうでございます、そういう必要があると思いますが、私
ども
のほうからいいますと、その
事業
者という点からいえば、その点若干違う。
面積
の点は多少の食い違いがあるかもしれませんが、大体の大筋としてはそう大きく隔っておりませんが、要するに
事業
者の
規模
が大きくて、これは一般の
小売
店とは違うし、納入業者に対する価格の面などから
規制
の
対象
にすべきであるというのが特殊指定の目的になっておりますから、少しはその間に差があるというのは中村委員もお認めになっておられるようでありますが、そういう
趣旨
でございますので、まああまり食い違ったことをやらないように注意はいたします。双方の連携を密にいたしまして、おのおのの目的から遺憾なきを期したいと思っております。
中村重光
104
○中村(重)委員 一〇〇%同じでなければならないというように私も
考え
ないのです。
公正取引委員会
は、
公正競争
という立場から特殊指定をやって取り締まりをやっていかれるということになるかといって通産省も、
消費者
の
利益
、いわゆる出小
企業
の
利益
をそこなわないような両者が共存するという形の行政運営というものがなされなければならない。これらのこと等から
考え
てみますとたとえば食堂の問題で、片や
売り場面積
の中に入る、片やこれが外であるということは決して好ましいしいものではない、少なくともその点だけでも日一でなければならないという
感じがい
たします。今後十分
検討
されて、是正すべきものは是正をしていくという点を十分配慮してもらいたいということを強く要請をしておきたいと思います。
大臣
、御退席になってけっこうでございます。 具体的な問題で一、二点お尋ねをいたしまして私の
質疑
を終わりますが、先ほど
板川委員
から特殊指定の問題に対しましていろいろ
質問
がなされたわけでありますが、伊勢丹が三年で手伝い店員を全廃するといった新聞報道をしたわけですが、これを
実施
したのかどうか。それから伊勢丹が
実施
をするしないにかかわらず、その他の
百貨店
に対する公取の指導、手伝い店員に対する指導はどう進めているのか、これを完全になくする時期はいつなのかということを伺いたい。
熊田淳一郎
105
○熊田
政府委員
ただいまの
百貨店
の手伝い店口の問題でございますが、まず伊勢丹の問題でございます。伊勢丹からは、初め五年
計画
で手伝い店員をなくしていきたいという
計画
であったけれ
ども
、これを三年に縮めるつもりである、そういう線でいま納入業者と協議をしておる、こういう
申し出
がございました。 私
ども
といたしましては、ひとり伊勢丹に限りませんで、現在の
百貨店
に対します特殊指定、これから見まして、まだ現在の手伝い店員の
状況
はその
規制
が十分守られておらないという
状況
でございますので、今後すべての
百貨店
につきまして、六号の
規定
によりまして、特殊技能を要するものはやむを得ませんけれ
ども
、それを除いたものにつきましてはできるだけすみやかに手伝い店員をなくしていくという方向で指導をしたいと思っておるわけでございます。
中村重光
106
○中村(重)委員
百貨店
に対する独禁法及び景表法の
規制
、これがまことに不十分だと私は
考え
ているのですが、この
規制
の
状況
はどうなっているのですか。
熊田淳一郎
107
○熊田
政府委員
景表法の問題につきましては、
百貨店
の特殊指定の八号に景品の提供についての
規制
の
規定
がございます。これによりまして、
百貨店
は原則といたしまして商品の購入を条件としてはいかなる景品提供もできない、これが原則ということになっております。もちろん例外的に
周辺
の
小売
店でやっておるものと全く同じもの、あるいは
周辺
で
小売
店が一斉に景品つき販売をやる場合には、それと実質的に同じ条件のもの、こういうようなものは例外として認められておりますけれ
ども
、あとは原則として景品つき販売を禁止をするということになっておるわけでございます。こういうことによりまして景品についての
規制
はなされております。 それから表示の問題でございますけれ
ども
、この表示につきましてはいろいろ個別の問題がございまして、こちらから警告を出した
ケース
が過去においても二、三ございます。たとえば正絹と表示し、あるいは絹一〇〇%と表示しておる帯締めとかいうようなものにつきまして、実際には合成繊維がまざっておるというような組成分につきましての虚偽の表示がなされておる、こういうような
ケース
もございました。また、大蔵省払い下げダイヤモンドというようなうたい文句をつけましてダイヤモンドを販売する、その場合に大蔵省から払い下げたものであるかどうかは弁別がつかないというような
ケース
もございまして、こういうようなものにおいて弁別がつかない場合には、大蔵省の払い下げということはうたわないようにというような指導もいたしておりますが、こういういろいろな
ケース
が最近出てきておりますので、表示の適正を期するという点から
公正競争
規約をつくらせるように現在指導をいたしております。
中村重光
108
○中村(重)委員 むずかしい場合もあるということはわかるわけであります。昨年八月でしたか、
百貨店
で販売していた和装用品の不当表示、これに対しては公取は警告処分をしているようであります。いまお答えのとおりです。ところが、公取の資料等から私
ども
見ますと、この種の事件というものは当然排除
命令
を出すべきではなかったか。これを警告処分に付したのはどういうことからですか。
熊田淳一郎
109
○熊田
政府委員
これは当時
委員会
におきましていろいろ慎重に
審議
がなされたわけでございますが、これはやはり
百貨店
の公平を期するという面もございます。といいますのは、実際にはほとんどすべての
百貨店
におきましてこういうような表示が行なわれておるようでありましたけれ
ども
、実際に私
ども
公取が把握いたしましたのは、つまり試買をいたしましたのは、そのうちでほんの一部でございました。そういうような点で公平の点に問題もございましたし、それからその組成分について全く絹が入っておらないというような
ケース
はほとんどございませんで、大部分が合成繊維がまざっておる、こういうような
ケース
でございまして、その場合にそれでは何%まざっておればそれは排除
命令
に
相当
するか、あるいは警告に
相当
するかというような点も、非常に
判断
のむずかしい点もございました。まず公取といたしましては、これは最初の事例でもございますので警告をいたしまして、それでも直らないという場合には排除
命令
をするのが適当であろう、こういう
判断
から警告をいたしたわけでございます。
中村重光
110
○中村(重)委員 公取の検査結果が発表されているわけですね。ところが、申し上げたように警告である。排除
命令
は出していない。いまのようになかなかむずかしいといったら排除
命令
はなかなか出せないですよ。あなたのほうのやり方はおざなりだ。もっと厳正な態度で
消費者
利益
を守って いくということでなければならないと私は思う。今後十分厳正に法の
運用
をはかっていくという点を強く求めておきたいと思います。 公取
委員長
にお尋ねをいたしますが、
委員長
が御出席でない当
委員会
におきまして、
本法
案の
対象
になりますものが従来の
百貨店
だけでなくて大型
スーパー
等が今度入ってくることになりますが、私の、
百貨店
と同じように
本法
案の
対象
となる大
規模小売店舗
は特殊指定にする必要があるのではないかということに対しまして、これを
検討
するという答弁がなされているわけであります。
委員長
のお
考え方
はいかがでございましょうか。
高橋俊英
111
○高橋(俊)
政府委員
今回
大型小売店
舗ということで、従来いわゆる
スーパー
マーケットといわれるようなものが
百貨店
と同じような
建物
規制
を受ける。
百貨店
も
届け出制
であるといたしましても同じランクになったわけでございますが、この
機会
に私
ども
としましても、従来はいろいろな形で実際には
百貨店
の私
ども
のほうで
規制
しております
建物
の大きさに達しないような方法でのがれている
スーパー
マーケットがかなりあったと思いますが、実態に即しまして——もちろんいま形の上でもうすでに
大型小売店
舗である、
百貨店
同様であるというふうなものも実質的にはあると認められます。そういうものは、いまの私
ども
の
考え
としては、原則的には、先ほど私も申しましたほんとうの
意味
での小さな業者の
寄り合い百貨店
であるというものを除けば、いまの三千平米とか千五百平米というものの解決は、私のほうで実質的にそれは一体として
一つ
の業者が行なっているのと同じであるというふうにみなせますが、これはいまの特殊指定の中に取り込んでしまうというような方向で
検討
してみたいと思っております。大体そういう方向にすればほとんど落ちこぼれはないというふうに
考え
る次第でございます。
中村重光
112
○中村(重)委員 時間の
関係
もあり、これで
質問
を終わりますが、本
法律案
を
審議
をしてまいりまして、
政府側
の答弁にきわめて不明確な点があった。私の
質問
に対しまして
大臣
の統一見解を二度までも出さざるを得なかったということ等、十分反省をしていただきたい。問題は、今後の法の
運用
が私はきわめて重要であると
考え
ます。省令の改正も行なわれなければなりません。
中小小売業者
との共存共栄、
消費者
利益
、これらの点に十分ひとつ法の
運用
に遺憾なきを期して、この
法律案
が有効に働くことができるように
政府
の一そうの努力を期待をいたしまして、私の
質問
を終わりたいと思います。
浦野幸男
113
○
浦野委員長
午後二時三十分から
委員会
を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後一時十二分休憩 ————◇————— 午後二時三十七分
開議
浦野幸男
114
○
浦野委員長
休憩前に引き続き
会議
を開きます。
質疑
を続行いたします。野間友一君。
野間友一
115
○野間委員 現行の
百貨店法
では新設あるいは
増設
が
許可制
になっておるわけですけれ
ども
、これが今度は
届け出制
ということに変えられるわけですが、この許可から
届け出
とした
理由
は何なのかということからまずお伺いしたいと思うのです。
山下英明
116
○
山下
(英)
政府委員
現
百貨店法
は
企業
でとらえまして、
一定
基準
以下の店を持っておる
企業
を
百貨店
としてとらえまして、その
企業
数は実際には二百前後でございますが、その
企業
が
売り場面積
を新
増設
する場合には一件一件許可をする、こういうたてまえでございます。言ってみれば、
企業
行政として、しかも新
増設
を原則禁止で許可ではずしていく、こういうことでございます。これに対して今度は
スーパー
その他大
規模小売店舗
を法の
対象
にしようということで研究いたしました結果、まず
一定
基準
以上の
小売
を営む
建物
を
対象
にしなければいかぬということでございますが、大きな
建物
を建てるということを原則禁止で許可で許していくということは少し無理があるのじゃないか。それから今度その中で
小売業
を営もうとする者、これにつきましても
一定
基準
を設けて、それから先、それを越えるものは
届け出
をしてもらって、そして大きな
小売
面積
を新しくつくって営業をすることは差しつかえないが、その場合に、法の
趣旨
である
周辺
の
中小小売商業
と摩擦を生じる場合にはこれを
規制
していこうというたてまえにしたほうが、今回の新しい
法律
の目的、
趣旨
かつ
規制対象
から見て適しておると
判断
したわけでございます。
野間友一
117
○野間委員 私がお聞きしたのは、実質的な
理由
についてお聞きしておるわけです。要するに、
許可制
というのは当事者が官庁に手続をして、それに対して何らかの官庁の行政処分が必要になるわけですね。ところが、
届け出制
の場合はそうではなくて、当事者が官庁にしかるべき形式的な手続を具備したものを持っていく、それだけでいい、これが
許可制
と
届け出制
の根本的な違いであると思うのです。私がお聞きしておるのは、
許可制
から
届け出制
にした実質的な
理由
は何なのか、こういうことをお聞きしておるわけです。
山下英明
118
○
山下
(英)
政府委員
一般的に、それが禁止されるということが
届け出制
に変えることによってなくなります。したがって、
基準
以上の
店舗
をつくろうとする場合でも手続に従って
届け出
を出す。そして
政府側
から三カ月以内に、
審査
の結果これを
変更
すべしということがなければ、そのまま自由に
計画
を実行できることになります。したがいまして、いままではおよそ
百貨店
の新
増設
はすべて許可が要ったのですが、今回は法の
趣旨
に沿って、場合によっては住宅
地域
に新しく
スーパー
が進出して、それが近隣
消費者
の
利益
になる、かつ
中小小売業
には圧迫にならないというような場合には、
届け出
を出して、そのまま自由に
計画
を実行できるという効果になります。したがいまして、
原案
でねらっております点も、いい、
消費者
のためになる、かつ流通
近代化
に役立つ範囲の
大型店舗
は自由にしてもらおう、こういう意図が含まれております。
野間友一
119
○野間委員 そうしますと、
百貨店
についていいますと、従前の
許可制
が今度
届け出制
ということで手続が緩和された、こういうふうに見ていいわけですね。
山下英明
120
○
山下
(英)
政府委員
手続的には従来の
百貨店
もまず
届け出
を出します。しかし七条、八条にございますように、それは
審査
を受けますから、その
百貨店
の進出が、従来にもありましたように、その
地元
で問題が起きる場合には、今度は
審査
後は従来の
許可制
と同じ効果を持つようになります。
野間友一
121
○野間委員 そこまで回りくどく言わなくても、一般的に
考え
て許可と
届け出
は違うわけです。先ほど申し上げたとおりなんです。すなおにお答えになったら時間が省かれますが、要するに
百貨店
については従前は
許可制
だったけれ
ども
、それが
届け出制
になった、これは緩和された、当然のことだと思うのですが、この点について
確認
を求めておるのです。私はいわゆる条件、
事前審査
、そういうことはいま聞いておりません。
山下英明
122
○
山下
(英)
政府委員
百貨店
も
届け出
でけっこうでございます。
野間友一
123
○野間委員 けっこうだから緩和されたというふうにどうしてすなおにお答えにならないのか。この産構審の「流通革新下の
小売
商業」、この中にも八三ページのところに書いてありますが、「現行
百貨店法
は緩和すべきである」、それからなお、八五ぺ−ジには「届出制に移行する場合でも、大型
小売
商の大
規模小売店
の新
増設
が
特定
の
地域
で集中的かつ大
規模
に」行なわれておるということで、許可から
届け出制
に緩和される。緩和されますと、これが「
特定
の
地域
で集中的かつ大
規模
に」行なわれるというような内容がこれに記載されてあります。こういうことからしても、要するに、許可から
届け出
になるということは緩和であり、それによって
百貨店
がいままで以上に進出する、そういう条件ができたというふうに私たちは理解しております。これはおそらくそのとおりだ、この本にもその
趣旨
のことが書いてありますからそのとおりだと思いますが、もう一度その点について、念のためお答えいただきたい。
山下英明
124
○
山下
(英)
政府委員
とくともうおわかりのことだと思いますので、結論を端的に申し上げれば、従来の
許可制
が
届け出制
になったという範囲では緩和になっております。 それから
答申
を引用なさいましたが、きょう午前中も答弁申し上げましたように、
答申
をいただいてからできるだけそれに沿うような
原案
をつくりましたが、そこにありますように、大
規模店舗
が集中して問題を起こす特別な極端な場合に、
届け出
を受けてもこれを
審査
して許可
変更
をしていくようにするという
趣旨
のことが書いてございますけれ
ども
、その点につきましては、私
ども
は、
答申
をいただいたあとで
原案
をつくる段階で多少ニュアンスの差が出ておりまして、
原案
のように
届け出
、
勧告
、
命令
という体系をとって、そこに、
審査
の際に、七条にございますように特別に数行の
条文
を入れて、
審査
方針を
規定
したわけでございます。
野間友一
125
○野間委員 それが八五ぺ−ジにも続けて書いてあるんですよ。「そのような大
規模店
新
増設
について
勧告
、
措置命令
等を発動しうる余地を残しておく必要があろう。」確かにこの点についても言及してあるわけですね。ですから、結局
届け出
ということで、
許可制
から今度は緩和され、そして
届け出
をした場合に、特別の
事情
があれば
勧告
等の
一つ
の
措置
が例外としてとれる、こういう
一つ
の歯どめがあることは私は否定しないわけですが、基本的に許可と
届け出
の点についていまお聞きしたわけです。 続けて聞きますが、
売り場面積
について、これは先ほどからその
面積
の範囲について、壁はどうかとか、食堂あるいは階段、踊り場、いろいろ出ておりましたけれ
ども
、いずれにしても十大都市では三千平方、その他では千五百平方、これについては従前の
百貨店法
と変わりないわけですか。この
売り場面積
の根拠、これをひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
橋本利一
126
○
橋本政府委員
本法
案を立案するにあたりまして、先ほど来話が出ております従来現行
百貨店法
がとっておる
企業
主義から
建物
主義に変わったわけでございます。この主たるねらいは、やはり
大型店舗
がいわゆる疑似
百貨店
の形で事実上脱法することを回避するために
建物
全体としてとらえるそういった
趣旨
から
建物
主義を導入するに至ったわけでございます。 その
建物
主義に変わるにあたりまして、
基準面積
をいかように定めるかということは非常に議論のあったところでございます。
百貨店法
が制定されましたのは三十一年、それから戦前の
百貨店
沖が昭和十二年だったかと思いますが、さような井からとっておった三千平米ないしは千五百平米というものを現在時点においても
適用
するかどうか率直に申し上げましてそういう議論もあったわけであります。少なくとも二倍、三倍にしてしかるべきでないか、かような
意見
もあったわけでございますが、反面、
建物
主義をとることによりまして、
基準面積
以下のものを直接
規制
の
対象
にしづらくなるというような点も考慮いたしまして、従前採用しておりました三千ないし千五百平米というものを
基準面積
として、従来の慣行と申しますか、一応なじみのある数字として採用した、こういうことでございます。
野間友一
127
○野間委員 そうすると、確たる根拠なしに三千あるいは千五百、従前の
百貨店法
の
面積
をそのまま踏襲したというふうにいまお聞きしたわけですが、この
面積
の
基準
が
相当
と
考え
ておられるかどうか、お答え願いたいと思います。
橋本利一
128
○
橋本政府委員
経緯的にはただいま申し上げたようなことでございますが、当面この程度で適当と
考え
ております。
野間友一
129
○野間委員
スーパー
の
店舗面積
、
売り場面積
、これの最適
規模
は一体どのくらいなのか、お答え願いたいと思うのです。
橋本利一
130
○
橋本政府委員
いわゆる最適
規模
というのは、商業、
工業
にかかわらず非常に算定が困難かと思います。ただ、先ほど先生が御引用になられました流通部会の
答申
の中に、セルフサービス方式の場合には千ないし千五百平米の
規模
において単位当たり
面積
あるいは一人当たり販売高が一番高く出ておるという表現があることは事実でございます。
野間友一
131
○野間委員 いまお答えになったわけですが、確かに五一ページによりますと、これは
スーパー
の場合ですが、千から千四百九十九平方、千五百とは書いてないのですよ。千四百九十九平方、このものが「売場
面積
当たり、従業員当たり販売額が最も大きく、営業
経費
率も最も低くなっており、
一つ
の最適
規模
を示している。」こういうふうに、いま引用しました産構審の報告書には出ておるわけですね。そうしますと、最適
規模
であるこれらのものが今度の
規制
の
対象
にはならない、こういうことになるわけですね。この点について事実の
確認
を求めたいと思います。
橋本利一
132
○
橋本政府委員
おっしゃるとおり、
届け出
の
対象
にはなりません。
野間友一
133
○野間委員 そうしますと、要するに、この
法案
の立法
趣旨
の中には、
中小
小売
商の
保護
というのがあるわけですが、
スーパー
の最適
規模
であるこういう千から千四百九十九、この
売り場面積
のものが
規制
されないということについで、通産当局は一体どう
考え
ておられるか、この点をお聞かせいただきたいと思います。
橋本利一
134
○
橋本政府委員
先ほ
ども
申し上げましたように、最適
規模
であるかどうかということは問題が残っておるかと思います。したがいまして、後ほど触れたいと思いますが、問題は、
法律
によりまして
企業
の営業
行為
を
規制
するという場合に、特に本件につきましては、いわゆる大
規模
な
大型店舗
と
中小
小売
商との間に抜きがたい
競争
条件上の格差が那辺にあるか、どの程度の
規模
になればこの格差を法的に補完是正する必要があるかという観点から本件を
判断
いたしたいと思います。 ただいまも申し上げましたように、なるほど千ないし千五百平米におきましては、単位
面積
当たりあるいは一人当たり売り上げ高というのは最高額になっております。ただ、売り上げ高が単位当たり多いか少ないかという点だけ申し上げますと、先生の御引用になりましたのは、三百平米以上のセルフサービス方式ということでございます。コンビニエンスストアとして
中小
企業
庁が指導しております百ないし三百平米、このあたりの
規模
のほうがむしろ単位当たりの売り上げ高から申し上げますと数字としては高いといったような現実がございますので、必ずしも一人当たりあるいは単位
面積
当たりの販売高が大きいからといって、そこに
調整
の
対象
を区別するということは、現実問題としては困難かと思います。 試みに申し上げますと、チェーンストアの上位、大手十社が昨年の三月以来約一年の間に出店いたしました数は百四十三件でございます。この百四十三件の中で、先生の御
指摘
になる千ないし千五百平米に属する
店舗
の数は九件でございます。一割にも満たない、こういった
事情
にあることをわれわれなりに解釈いたしますと、やはり
消費者
ニーズにこたえるためには、少々回転率が悪くとも、商品展開を広くする必要があるのじゃなかろうか。そうなれば、
売り場面積
一平米当たりあるいは従業員一人当たりの売り上げ高というのは当然減ってまいるわけでございます。ただ、そういったことによって、
消費者
に対してワンストップショッピングの
機会
を与えるといったような形、あるいは少々回転率は低くとも高率のマージンが期待できるといったような品物も展示するといった必要性から、だんだん
規模
が拡大していっているのじゃなかろうかと解釈するわけでございます。さような点から千ないし千五百平米というのは、物理的に見ますと、平均値で見ますと三百平米以上のセルフサービス方式をとる店においては最も高い数字が出ております。いわゆる大
規模小売店舗
といたしまして
規定
いたしまして、
中小小売商業
者との間に
競争
条件の差異があり、したがって、そこを
調整
してまいる必要があるということにはならないのではなかろうか。さような観点から、従来どおりの三千ないし千五百平米というものを
基準面積
に採用したわけでございます。
野間友一
135
○野間委員 この前の井狩参考人と私との
質疑
にもありましたが、いわゆる
百貨店
系列、この
スーパー
、この
売り場面積
、これも同じく
規制
の
対象
にならぬわけです。あとでさらにまた申し上げますが、しかもいま産構審のこの報告によりまして先ほどから
質疑
が展開されておりますけれ
ども
、いずれにしても千から千四百九十九、これは
一つ
の最適
規模
、こういうふうになっているわけですね。したがって、おそらく
スーパー
が、これらの
届け出
、つまり
基準面積
以下、これはともかくとして、
届け出制
を免れようとすれば、しかも最も効率的なこのような
売り場面積
で
地域
で営業できる、これに対しては何ら
規制
の
対象
にならぬということになると思うのです。そうだといたしますと、このようなものがたくさんあちこちに出ていく、これは効率がいいからできますよ。しかも、いま申し上げたような
百貨店
系列の
スーパー
がほとんど
規制
の
対象
にならぬ、こうなりますと、
周辺
の
中小
小売
商、これらはたいへんな打撃を受けることは事実だと思うのです。明らかだと思う。一体このような
売り場面積
、いまの最適
規模
で、これらの
周辺
の
中小
小売
商、これらが
影響
を受けると
考え
ておるのかどうか、どのように思われておるのか、そのあたりをひとつ御回答を求めたいと思います。
橋本利一
136
○
橋本政府委員
現状におきまして
地元
の
中小小売商業
者とトラブルないしは紛争を起こしておりますのは、かなり大きな
規模
、大体
売り場面積
が一万平米をこえるような
ケース
でございます。したがいまして、現状をもって将来を言うわけにはまいりませんが、少なくとも
スーパー
については、従来は自由と申しますか、行政指導以外には法的根拠のある
規制
はやっておらなかったわけでございます。したがいまして、将来の
店舗
展開がどうなるかという問題がございますが、現在の時点におきましては、もちろん
影響
は全くないとは申し上げませんけれ
ども
、
相当
程度の
影響
を与えるというところまでならないじゃなかろうか。ただ、さような場合には十分これは
地元
で話し合いをさせるように、従来
特定
店舗
においてとっているような行政指導を展開してまいりたいと
考え
ております。
野間友一
137
○野間委員 きのうですか、行政指導についていろいろ批判が出ておりましたが、行政指導で問題が解決するなら、実際いってこんな
法律
は要らぬわけです。こういう
スーパー
からいってほんとうに最適
規模
であるものがどんどん、しかも何の手続も要らずにできるわけでしょう。そうしますと、
中小
零細
企業
が最も深刻な打撃を受けることは当然だと思うのです。そのような多少の
影響
はあってもそう大したことないというような
考え方
でこの
法案
をつくられるとしたら、これはもう大きな誤りだと思うのです。
許可制
を
届け出制
にした、これは緩和になるわけで、したがって私たちは、むしろ
百貨店
並みに、
百貨店
サイドに
スーパー
を引き上げて
許可制
にする、しかも、この
店舗
面精も、それぞれの
地域
の特性によって、さらに従前の
百貨店法
の
売り場面積
をむしろきびしく
規制
していくという態度が必要であって、従前の
売り場面積
を踏襲するということは、私は
中小
小売
商に対する打撃が非常に大きい、このように思うのです。これについて再考する
考え方
があるのかないのか、
通産大臣
お答え願いたいと思うのです。
中曽根康弘
138
○
中曽根国務大臣
やはりいままでの千五百あるいは三千平米という
基準
は、歴史的にそういうスケールできたので、
小売
商業、商店街おのおのその数字に対応するようなかまえをみんな歴史的にもやってきたと思うのです。その数字をにわかに広げたりあるいは縮めたりするということは、対応ずるほうのかまえ方においてもいろいろな変化を及ぼして、すぐ即応というわけにいかないという情報もあるのではないかと思うのです。でありまするから、一応その
基準
でいって、今後流通界に大きな変化が起こるとか、お客さんの方向に大きな変化が起こるとか、そういうものがありましたら、われわれもその事態に応じて法を再
検討
するという
考え方
を十分持っていきたいと思っておりますし、また、この法を
運用
する上におきまして、
中小
企業
のほうの擁護ということは一貫して流れておる
考え方
でありままして、また、この
委員会
におきまして皆さま方の御
質問
もそういう角度からの御
質問
、御
検討
が非常に多うございました。そういう点も私たちはよく踏まえまして、法の
運用
に遺憾なきを期していきたいと思っております。
野間友一
139
○野間委員 ただ、従前の法は
許可制
ですね。ですから、これがどのような処理がされたのか、これはまた
一つ
の問題でありますが、それにしても、少なくとも
許可制
ということでそのチェックはできたと思うのです。ところが、今度はそうではなくて
届け出制
というふうになりますと、これはいままでの比ではないと思うのです。特にいま申し上げたように、最も効率のいい、これが
規制
の
対象
にならないということになりますと、こういうめんどうくさい手続をするなら——これは効率もいいわけですから、千五百以下というところが、とりわけ各
地方都市
とかあるいは団地等々にどんどんできていくということになりますと、従前の、長年つちかった
中小
小売
商が非常に大きな打撃を受ける。したがって、従前の
百貨店法
、いままでの実態あるいは経過からして、今度新しく法ができた場合に、
売り場面積
が従前と変らなくてそのままスムーズにいくということはあり得ないと私は思うのですけれ
ども
、
大臣
の見通しとしてはこれでいいというお
考え
ですか。
中曽根康弘
140
○
中曽根国務大臣
現在の時点においては、これでいいと思います。大きな変化を与えるということは流通界にかなりの波乱も起こしますし、これを施行してみまして、そうしてお客さんの声やあるいは
小売
商業
関係
の声もよく聞いてみて、そうして 来もし
検討
する必要があれば
検討
するにやぶさかでない、こういう弾力的な態度で行きたいと思います。
野間友一
141
○野間委員
大臣
、そういう答弁をされますけれ
ども
、実際私はあちこち
現地
の声も聞いてみたのですが、これがこのまままかり通るというとたいへんなことになるという声もあちこちで聞くわけですね。ですから、おそらくこの
法案
が通りますと、私はいろんな問題がたくさん出てくると思うのです。そういうような
考え方
で対処されますと、私はたいへんなことになるということを警告したいと思うのです。しかも、先ほ
ども
若干あげましたけれ
ども
、大丸社長の井狩さんの話にもありましたけれ
ども
、要するに
百貨店
がどんどん
スーパー
業界に進出している、しかも大部分がこの最適
規模
、この
店舗
である。こういう実態をどのようにお
考え
になるのか。この前にも引用して
質問
したのですが、
百貨店
協会が「
関係
小売
企業
調査
報告」というのを出しておるわけです。これは昨年の五月です。表には秘密の「秘」と書いてありますが、これはどこでも入手できます。これによりますと、
百貨店
系列は非常に数が多いのですが、百十五社がこのアンケートに回答があって、そのうちの五十四社が
関係
小売
企業
を持っておる。しかも、
関係
小売
企業
の数が百三社、こういうことから書き出してありますが、百三社の
関係
小売
企業
店舗
の数が五百三十七店、結局一社平均が五・二店を持っておる。五十店以上持つ
百貨店
が二社ある。こういうことがあるわけですね。しかも、
売り場面積
は一店の平均が千二百四・一平米、六大都市では千三百六十二・七平米、六大都市以外の都市では八百九・五平米、こういうことになっておるわけです。ですから、
百貨店
系列の
スーパー
、大量販売店、これらについては、ほとんどこれは
規制
の
対象
にならぬと思うのです。これは
一つ
には、先ほどから産構審の
答申
を引用しておりますように、この程度のものがやはり効率が最もいいということがあるからこそ、こういうような
売り場面積
になっておると思うのです。
百貨店
はずうたいの大きいのがたくさんありますけれ
ども
、結局
スーパー
にしてみれば、このようなものが最適
規模
だということで、こういう店があっちこっちできておるということになろうかと思うのです。こういう実態を踏まえた上で、
大臣
、やはり同じようなお
考え
でしょうか。こういうのがどんどんできると思うのですが、どうですか。
中曽根康弘
142
○
中曽根国務大臣
一面におきましては、やはりお客さんの利便ということも
考え
る必要があります。
法案
の中にもそういうことが書いてあります。でありますから、
公正競争
ということを
確保
して、ただ独禁法に違反するような強者が優位を持って弱者を圧迫するということがないように、これは先般来いろいろ派遣店員とか、その他の問題でも御
質問
がございました。そういう点は厳重に
規制
をしつつ、やはりまた一面において、お客さんの便利あるいは低廉なる物資の供給ということも
考え
る必要がありますので、しばらく様子を見ていきたい、こういうように思うわけでございます。
野間友一
143
○野間委員 しかし、効率のいいのがちょうど抜け穴のところにみな集中しておる。しかも、いま申し上げたように、
百貨店
の系列の
スーパー
が最もそこにいっておる。これからどんどんこれが出てくると私は思うのです。ですから、そういうような
考え方
は、私は率直に申し上げて甘い、こう言わざるを得ないと思うのです。 そこで、産構審
答申
の中に大手の
百貨店
、それから
スーパー
、これらが
地方都市
の
百貨店
あるいは
中小
スーパー
、この系列化の傾向があるという事実が
指摘
されております。この実態は一体どういうものであるのか、具体的にひとつ御
指摘
を願いたいと思うのです。
橋本利一
144
○
橋本政府委員
大手
スーパー
が
地方
スーパー
と業務提携をやっていくということにつきましては、幾つかの例がございます。これは一方から見ますと、商品展開を豊かにするということ、あるいは
地方
百貨店
にいたしましても、そうした都市の大手
百貨店
の信用を
自分
の店にもつけたいといったような感触もあるかと思いますし、あるいは共同仕入れといったような面で緊密な
関係
を都市
百貨店
と
地方
百貨店
との間に結んでいっているのもございます。一応当方で調べましたところでは、
百貨店
系の
スーパー
あるいは専門店等は九十六社程度あると理解いたしております。
野間友一
145
○野間委員 さらにこの産構審によりますと、大手のナショナル・
スーパー
・チェーン、それから中堅の
地方
スーパー
チェーン、それから小型
スーパー
、これらの間の
企業
規模
の格差の増大、これに伴う縦の系列化、横の提携の進展、これらが見られるようになろうという
指摘
が、これは五二ページにあるわけですね。しかも、これらの前に、バーテイカル・インテグレーション、これによる生産部門の
利益
の取り込み、こういう
指摘
もあるわけですけれ
ども
、このいわゆるバーテイカル・インテグレーション、これらの具体的な例ですね。これは垂直統合というふうに訳すると思うのですけれ
ども
、このように大手がずっと
中小
を系列化していく、あるいは
スーパー
同士、同じように
百貨店
、
スーパー
がそうやっていく。それによって
企業
の
規模
が非常に格差が大きくなる。縦、横、十文字にこのようにからめて系列化させている。こういうような現象、実態がいまの産構審でも
指摘
されておりますが、具体的にどことどこはどう交差して、どう系列化されておるか。先ほど九十六社という
指摘
がありましたが、これについて具体的にひとつここで答弁願いたい。もしいますべてについて答弁ができなければ、資料としてひとつ本
委員会
に提出されたいということを要求したいと思うのですが、どうですか。
橋本利一
146
○
橋本政府委員
流通部会における
答申
も将来の
発展
の方向という形で表現いたしておりまして、そういった
意味
合いから現在時点でかなり実証的に個別、具体的に多くのものを申し上げるという段階に至ってないと思いますが、たとえばダイエーグループ、西友グループ、ジャスコグループニチイグループ、こういったものがその例に当たるかと思います。
野間友一
147
○野間委員 この間の参考人の
質疑
の中でも私は引用したのですが、例の日経流通新聞、この編集によりますと「豊かな時代の流通戦略」の中で出ておるわけですね。しかもこれによると、先ほど御
指摘
申し上げた
百貨店
や大型
スーパー
の系列化、ここに商社がからんでくるわけですね。商社がこの世界に入ってくる。これが
一つ
の大きな特徴だと思うのです。具体的にこのからみ合いというものをいま申し上げた資料から
指摘
したいと思いますが、これは神崎委員もたしか本
委員会
で
質疑
をしたと思います。三菱商事、これは昭和四十四年には西友ストアと契約して、そして西友に二百億円融資しておる。西友が仕入れる商品の二〇%を三菱が扱う。それから大手の食品問屋、これは広屋というそうでありますが、ここに資本参加をして、問屋を通じて
スーパー
を支配している。さらに伊勢丹との折半出資で丹菱
開発
をつくりまして、大
規模
ショッピングセンターの
開発
、運営、こういうものに当たっている。この三菱の系列はこういうふうになっているわけですね。それから三井物産が昭和三十年代に
スーパー
対策
委員会
、これをつくりました。四十年には一〇〇%出資で第一
スーパー
をつくっておる。それから問屋の系列化としては物産食品販売、エフワン、こういうものを系列化している。エフワンは、これは繊維ですね。それから名鉄
百貨店
、これとラファイエットの提携をあっせんして、物産はラファイエット社からの繊維製品の
輸入
を担当するということでここに入っておる。それから丸紅、これはダイエー
スーパー
向け専門の配送会社エンゼル、これをつくっておる。これ以後丸紅繊維流通センター、これをつくっておるわけですね。そして
スーパー
への商品供給、これをやっておる。また緑屋、これにも資本参加をしている。それから伊藤忠商事、これはマイマートという
スーパー
を直営しておる。それから伊藤忠繊維流通センター、こういうものもつくりまして、これは西友ストアなどへ商品供給をしている。それからレナウンニシキ、繊維問屋、これを系列化している。それから合弁会社マグニン・ジャパン、これをつくりまして、ダイエーあるいは伊藤忠それからマグニン、これらが合弁会社をつくっておる。それから住友商事、これがサミットストアですか、これは一〇〇%出資。日商岩井が高島屋グループと提携している。こういうふうに商社は、
百貨店
あるいはとりわけ
スーパー
、この業界にたとえば資本参加、それから問屋の系列化、配送センター、流通センター、これによる供給面から
スーパー
を系列化している、それから
百貨店
と提携して直接進出する。こういうようなことが非常に顕著であるわけですが、このほかにも
スーパー
への融資、それから
店舗
設備のリース、これらの形で大商社の
スーパー
の系列化、こういうものが進められておるということがこの引用しました資料の中に書いてありますが、こういう事実を通産省は把握しておるのかどうか。これはいま
指摘
申し上げた日経流通新聞の中に記載があるわけですが、どうですか。
橋本利一
148
○
橋本政府委員
ただいま御
指摘
のような方向にあるということは当方でも
承知
いたしております。具体的に一体総合商社が
関係
の
スーパー
等にどの程度納入しているか、二、三の例につきまして申し上げますと、A社の場合には年間の仕入れ総額が八百四十億程度ございまして、それに対する総合商社からの直接取引は十五億五千万、一・八五%、二%弱という数字が出ております。それからB社の
ケース
につきましては、四十七年度の仕入れ総額が二千五百八十億、これに対しまして総合商社からの仕入れ総額が七十七億、比率にいたしまして三%程度になっておりますが、商社の直接納入の大きいものでもせいぜい数%程度ではなかろうかと思います。それから先生の御
指摘
のあった商社の息のかかった問屋との
関係
でも、高いものでせいぜい一割前後ではなかろうか。さように見ておりまして、系列化の方向はだんだん出てまいってはおりますが、流通部会の
答申
にもございますように、将来の方向として一応提言と申しますか、示唆しておるわけでございますので、現状では、系列化の方向は出てきつつはございますが、まだその
行為
が目に余るほど大きく、たとえば先ほど申し上げたような納入比率が過大になっておるというところまではいっておらないというのが現状認識でございます。
野間友一
149
○野間委員 これは別の資料ですが、ことしの一月五日の日経流通新聞に、特集、塗りかわる流通地図、こういう報道がなされております。これは都市銀行の流通融資系列、それから主要商社の流通業との
関係
ということで、多少これについても
指摘
を申し上げざるを得ないと思うのですが、三菱が西友、ジャスコ、ニチイ、長崎屋、オーケー、伊勢丹、これは株式の保有、それから融資、リース、商品供給、人材派遣、こういう形でかかわっておるということ、それから三井物産がダイエー、西友、ニチイ、長崎屋、イトーヨーカ堂、いづみや、東光ストア。丸紅がダイエー、ジャスコ、長崎屋、イトーヨーカ堂、いづみや、東光ストア、緑屋十字屋。伊藤忠がダイエー、西友、ニチイ、長崎屋、イトーヨーカ堂、それからいづみや、東光、サニー。日商岩井がダイエー、いづみや、東光。兼松江商がニチイ、長崎屋。住商がニチイ、いづみや、サミットストア。トーメンがダイエー長崎屋。蝶理がダイエー、ジャスコ、イトーヨーカ堂。日綿実業がダイエー、長崎屋。このようにこの新聞は
指摘
しておりますが、このそれぞれのかかわり合いが、先ほど
指摘
申し上げたように株式の保有やあるいは商品供給、それから融資、リース、人材派遣、こういう形で
一つ
の表が出ておりますが、これによると、ほとんどの総合商社がそれぞれ
スーパー
と非常に深いかかわり合いを持っておる。私たちは、最初、大手の
百貨店
あるいは
スーパー
、これらが
中小
の
スーパー
あるいは
百貨店
を系列下におさめてそしてシェアを握る、こういう方向で動いておるというふうに
考え
ておったのです。ところが、いろいろ調べてみますと、それだけではなしに、その背後にはやはり商社がある。商社が、何のことはない、このような
スーパー
に対する系列化支配、こういうものをいま盛んに強めておるということが先ほどの資料、それからいまの日経流通新聞、これから明らかにうかがわれると思うのです。先ほ
ども
申し上げたのですが、この間のときですが、いわゆる買い占めで悪名高い商社が、このような世界に、しかもこぞって大量に
計画
的に進出をしつつある、こういう実態を
通産大臣
はどのようにお
考え
になっておるのか、御
意見
をお聞かせ願いたいと思います。
中曽根康弘
150
○
中曽根国務大臣
現在は流通革命の時代といわれますように、非常に大きく商業界、
小売業
界の激動しておる時代であります。お客さまの嗜好も非常に変わりますと同時に、また一面においては国際化もしております。品物について、国境を越えていいものを欲するという、そういう時代にも変わっておりますし、そういうお客さま側の変化にこたえていろいろな商法を生み出して、大資本、中資本、小資本あるいは流通界外のものが、たとえば商社のようなものが納品しようと思って非常に鮮烈な
競争
を展開しておるという時代になっております。 そこで、これらの大きな戦国時代みたいな乱戦状態をこの
法案
によって一応整理をいたしまして、そしてその後どういう変化が流通革命の上に起きてくるかよく
検討
しながら私たちは対応していこうと思うのです。もちろんたとえば都会の大きな
百貨店
が
地方
の小中
百貨店
の系列化を行ない、あるいは
スーパー
や
小売店舗
に至るまでの系列化を行なっていくという事実も私らは非常に関心を持って見ておりますし、資本系列においても、あるいは商品系列においても、あるいは輸送、配達系列においてもさまざまなアイデアがいま出て、商品コストを安くしようとしておることも見のがしておりませんが、一貫して言えることは、
中小
企業
を
保護
するということ、それから
消費者
の利便を
考え
るということ、それから大資本とか巨大な土のが横暴なことをすることは許さないということこれは商社の問題についても御答弁申し上げたとおりでありまして、流通界についてこの戦国時代の様相をもう少しよく見詰めまして、必要あらば第二段、第三段の処置もしなければならぬ、そう思っております。
野間友一
151
○野間委員 そうすると、端的に申し上げて、このような商社のいわゆる系列化進出はそれなりに評価をされておるのか、あるいは憂慮すべき事態というように
考え
ておるのか、これはどんどんこれから進むのか、一般の常識と申しますか、書かれてありますが、この点どうですか。
中曽根康弘
152
○
中曽根国務大臣
力のあるものが自由を乱用して、その力を膨張させようという傾向がある場合にはわれわれはこれを監視し、またいろいろな面において
規制
をする必要が出てくるのではないかと思います。しかし、お客さま本位で、そしていい商品を安く売っていこうという面があるならば、これはまたお客さまが喜ばれることであって、あながち否定することでもない、そういう調和をどういうふうにとるか、これは実態を見きわめながら
検討
していきたいと思っております。
野間友一
153
○野間委員 ただ、ここで問題になるのは、何度も申し上げておりますように
売り場面積
ですね。この
一つ
の
規制
からこぼれ落ちるというか、むしろ
規制
にならないのが系列下の
スーパー
の実態であるという事実、それからこの
法案
によってスーパ一が
売り場面積
の
一定
基準
以上については多少とも
規制
の
対象
になるということについて、私も全然否定するということはないわけですけれ
ども
、しかし少なくとも
届け出
ということで緩和され、しかもそれにかからないのは非常に効率的な
スーパー
といわれておる。しかも一そこへ商社がどんどん進出してくるということは非常に憂慮すべき事態だ。とりわけ
中小
小売
商の皆さんは何百年、何十年の昔から、ほんとうに
一つ
一つ
血と汗の結晶で開拓して
自分
の販路を展開されてきたというような
一つ
の歴史的あるいは沿革的な、そういう経過からして、やはり何としても中心は——
消費者保護
はまた別の側面で問題になりますけれ
ども
、こういう
中小
小売
商をやはり
保護
するという立場からひとつ
考え
ていかなければならぬのじゃないか、そういう立場からものを
考え
た場合には、いま申し上げたような
一つ
の現象、事実、こういうものは非常に憂慮すべき事態である。この中で
中小
小売
商が軒並み切り捨てやら、あるいは深刻な打撃を受ける、極端に言いますとそのように私は思うのでありますが、これは誤りですか、どうですか、ひとつ
大臣
の御見解を承りたいと思います。
中曽根康弘
154
○
中曽根国務大臣
必ずしも誤りではないと思いますし、そういう傾向がなきにしもあらずであると思って、われわれは深甚の注意を払って見ておるところであります。それで、先ほど申し上げましたように、大きな力のあるものが自由を乱用して小さいものを圧迫するということは、われわれはこれを許しません。しかし一面において、
スーパー
というものが出てきたことによって、どれくらいお客さんが便利になったかということも見のがせない事実であります。われわれはそういう面から、一面において、
中小小売商業
振興法のような
法律
を出し、あるいは無担保、無保証の特別の金融制度も創設し、あるいは
事業
主報酬制度も今度の年から実行し、こういうふうにして専門店、小型店独特の味を持っておる
小売
商業、零細商業を
保護
しつつ、たくましく伸ばしていこうと思っておるわけです。
規制
ばかりが能ではないので、振興ということも非常に大事な面で、そして
競争
させつつ両方が
発展
していく。
競争
的共栄、
競争
的共存といいますか、そういうような形がやはり体系としては長い目で見て望ましいのだ。その場合に
中小
雰細
小売
商業がどうしても力が足りませんものですから、そういう点については国家がもっと力を入れてこれを助長しようと思っておる次第であります。
野間友一
155
○野間委員 たいへん私もくどいようですが、効率的な
スーパー
が結局
対象
にならぬわけでしょう。しかも、
規制
の
対象
にならない商社については、いわゆる反社会的と申しますか、悪質な
行為
はこれを
規制
していくということはそのとおりだと思うのです。ただし、
法律
上の根拠がなければこれらを
規制
することはできないということなのですね。そうすると、結局千五百以下のそういう
スーパー
等については、これはもうほんとうに野放しになる。単に行政指導というようなことしか発揮できないということになると思うのです。ですから、千五百以下でありますと、これは脱法
行為
ではありませんから、こういうものがどんどん出てくる。それについて行政指導といいましても、正直申し上げて限界があると思うのです。ですから、そのような事態を踏まえた上で、
売り場面積
が
規制
の
対象
にならない以下のものについて、このようにどんどん商社が進出して
小売
商業が非常に圧迫を受けるという場合に、どのような効果的な
措置
が
考え
られるのか、ひとつ
大臣
に重ねてお伺いしたいと思うのです。
中曽根康弘
156
○
中曽根国務大臣
先ほど来申し上げておりますように、たとえば商社がいろいろな場面へ進出してくる。洗たく屋まで出てくる、こういうようなことは適当でないと私らは
考え
ておるわけです。それで、それらの実態に応じてわれわれは総合商社法みたいなものも
検討
してみたい、事実に即してわれわれはよく
検討
いたしてみたい、こういうことも答弁申し上げておるのであります。しかし、一面において自由経済、自由
競争
ということで商品がよくなり、お客さまに一番利便な世界が現出するのでありまして、これをあまり角をためて牛を殺すというような形になるとかえってお客さまにも不便になります。共産党とわれわれの
考え方
は、統制とか
規制
を好むか好まないかという点によって非常に違うだろうと思います。われわれは自由経済がもう長い目で見ていいと思っておりますから、できるだけそういう原則を踏まえながら、ある限度以上にきた場合にはこれを
規制
する、こういう
考え
に立っておるわけです。この
法案
も、そういう
趣旨
によりまして千五百平米あるいは三千平米という
基準
値を一応出したのでありますけれ
ども
、しかし、今後の実態を見ながら弾力的にいろいろ
検討
も加えていく、これは先ほど申し上げたとおりであります。
野間友一
157
○野間委員 関連して
消費者保護
との
関係
で若干
質問
したいと思うのですが、先ほどあげました垂直統合、いろいろなそういう系列化をして、そして私たちはカッコつきの流通の
近代化
だの思うのですが、このような大資本あるいは大商社、これらの
近代化
によって商品が安くなるかどうか、いわゆる
消費者
の
保護
になるかどうか、その点をさらに私たちは
考え
てみたいと思うのです。先ほ
ども
申し上げたように、要するに、商社の買い占め、商社がほんとうに市場を占有しますとあのような生活関連物資まで買い占めて、そして大多数の国民に値段をつり上げて迷惑をかけるというような事態
一つ
を
考え
てみても、商社が直接このような
中小
小売
商の世界に入って、そして系列化していく、市場を占有していくという事態になりますと私は、これは単に流通が
近代化
されてコストが下がるということには決してならぬと思うのです。きのうも一丁三十三円のとうふの話がありましたけれ
ども
、
一つ
、二つ目玉商品をつくって顧客を勧誘して、そして結局高いものを売る、こういうような実態についても私は若干知っておるわけですけれ
ども
、そういうようなことから
考え
ましてどうなんでしょうか。垂直統合とかいうようなもので、あるいは
近代化
で、はたして
消費者
の
保護
、物が安くなるというようなことが出てくるかどうか、
大臣
この点についてはいかがですか。
中曽根康弘
158
○
中曽根国務大臣
これは担当するものの心がけにもよるのでありまして、べらぼうなもうけをしようと思ったら、おっしゃった垂直統合のような場合はこれが硬直してきて、おとりやえさはいいけれ
ども
、それ以外は全部値が高くなるという危険性がなきにしもあらずでしょう。しかし、その場合には
中小
零細あるいはその他の
小売
商業が実力を発揮して、それらの硬直したバーティカル・インテグレーションをたたくでしょうし、そこにまたおもしろい
競争
原理も働くわけであります。ですから、やはり自由を
確保
しておくということが終局的に見て、長い目で見て、お客さまや国民全体のためになる、そういうふうに思いまして、私たちはもちろんある限度を越したものは統制しますが、できるだけ自由を
確保
する。これは思想においてもそうだし、流通界においても同じである、そういうように思うわけです。
野間友一
159
○野間委員
大臣
、私も決して社会主義国であるという認識はもちろんありませんし、また、いまの資本主義体制、それを前提にしてものを申し上げておるのです。
百貨店法
だってそうでしょう。あれは要するに、
中小
小売
商を
保護
するために
許可制
にして、大資本が圧迫しないように
一つ
の歯どめをしようということでできたと思うのです。ですから、そういう
意味
において、私が申し上げるような弊害がある場合には、いかに自由
競争
、自由経済の世の中であるからといって、これを野放しにするわけにはいかない。これは
大臣
の御
指摘
のあったとおりだと思うのです。私はそういうことを踏まえた上で御
質問
申し上げておりますので、その点ひとつ念のために申し上げたいと思います。 続けますが、いま申し上げたように、垂直統合によって物が安くなるかどうかということなんですけれ
ども
、私は安くならないと思う。いまの
スーパー
の例もありますし、またアメリカの例もあると思うのですけれ
ども
、率直に申し上げて
大臣
、いかが、ですか。こういうようなことで系列化していって、
一定
地域
の市場を占有して値段をつり上げて、結局お客さまには高いものを買わしていく、プライスリーダーが一体何%占有することによって生ずるかということはいろいろ議論はあるところですが、少なくともこのような商社の進出を許すということになりますと、結局このようなプライスリーダーになって、この一部のものが価格をきめていくというような結果になりはせぬか。そうだといたしますと、むしろ
消費者
、要するに顧客の立場から見て、
保護
どころか不
利益
になる場合だって十分あり得ると思うのです。これらについて何か方策、手だてがありましたらひとつお聞かせ願いたいと思います。
中曽根康弘
160
○
中曽根国務大臣
強い力を持った者がそういう垂直線合をやったという場合には、そういう強い力と
関係
のない
中小
零細
小売
商業はチャンスとばかりに一斉に彼らを論難し、あるいは商圏を広げていく努力をするでしょう。そこにやはり先ほど申し上げましたように、おもしろみがあって、垂直統合というものがそれで破綻してくるモメントもあるので、そういう
意味
で、できるだけ自由活動の分野を広げておくということは非常に大事なことであって、垂直統合自体を牽制する
意味
においても自由というものを大いに
確保
しておくようにしていきたいと私は思います。それで、かりに垂直統合をやったという場合におきましても、恣意的に値を上げるというようなことをやれば、長い時間をかけてみれば、これは必ずたたかれるに違いありません。そういう点からして、そういうことは大いに監視する必要はありますけれ
ども
、それを法的
規制
や何かでやるということよりも、自由
競争
の原理にまかせたほうがよろしい。もちろんカルテルとかトラストの弊害はわれわれもよく知っておりますから、そういう点については独禁法を発動し、あるいは公取等とも連絡して、よく監視をしていくつもりでおります。
野間友一
161
○野間委員 独禁法等の
規制
の
対象
になる場合は、これは別の話になるのですけれ
ども
、私が一貫して御
指摘
申し上げておるのは、このような系列化の中で
中小
零細
小売業者
が打撃を受け、また、
消費者
の立場に立った場合でも、必ずしも物そのものは安くならない、こういうことを申し上げておるわけなんです。
消費
財の流通機構というのは、ここに一九六四年に通産省の
企業
局が出された本があります。これの中にも流通段階の数、この問題について
指摘
があるわけですが、この数が減ってもいわゆる流通コストは下がらない、こういう
指摘
がありますが、これはいかがですか。
事務当局
でけっこうです。
橋本利一
162
○
橋本政府委員
御
指摘
の点は流通段階の数が減ればということについて、それでも流通コストは下がらないという御
趣旨
かと思いますが、ここに
一つ
の
調査
がございまして、東京における一般
小売
店とチェーンストアの物価指数の比較でございますが、一般に見ますと、
通常
の
小売
店で販売いたしております価格よりも当然一段階か二段階、流通段階が少ないと思われますチェーンストアにおける物価指数のほうが低く出ております。
野間友一
163
○野間委員 そうしますと、「一九六四年の流通機構」の中にはこういう
指摘
があるわけですね。いわゆる「大量取引に伴う流通段階の短縮が可能であれば全体の流通コストを左右することもあり得る。」という
指摘
があるわけですね。これは二三ぺ−ジにあります。そしてアメリカとの比較がしてあるわけですね。これによりますと、要するに非常に流通が
近代化
されたアメリカ、この中で、それじゃ流通コストが下がったかどうかということについて二四ぺ−ジに
指摘
があるわけです。結局アメリカでも流通コストが五〇%前後、これは二五ぺ−ジにも表がありますが、これはわが国もほとんど変わらないわけですね。要するに、数を減らして
近代化
しても、結局流通コストそのものはほとんど変化がない、こういう
指摘
が通産省自体によってなされておるわけです。これはやはりその流通段階が、ある面では確かにそれによって、コストというか費用が軽減される面もあると思うのです。ただ問題は、むしろその配分がたくさんの数に配分されると
一つ
当たりの配分が少なくなるし、また数が減りますと配分が多くなるという結果が、これは確かに現象面としてあると思うのですが、これはアメリカと日本とあまり変わらない。しかも、その構成
要素
、人件費ですね、この彼我の相違、これを考慮に入れるならば、いかに近年わが国においても賃金コストの上昇が著しいとはいえ、なおかつわが国のほうが流通部門の合理化が総体的におくれている、こういう
指摘
までちゃんとあるわけです。この点はどうなんですか。そうすると、
企業
局で
考え
ておられた、この本をものにせられた、これは改められるわけですか、どうですか。
橋本利一
164
○
橋本政府委員
流通マージンの日米の比較でございますが、先生ただいま御
指摘
になりましたように、両国における流通マージンは大体同じかというふうに
考え
ておりますが、ただ、内容的に見てまいりますと、アメリカの場合には、大型
企業
のシェアが日本より非常に高いということと、それから人件費はやはりアメリカのほうが高く、かつ国土が広いために物的流通費が日本より高く出ております。さような点から、アメリカでは物流面、仕人面での合理化を推進しているということかと思いますが、わが国におきましても、やはり賃金上昇というものが毎年高く出てきておりますので、今後ますますその流通マージンというものを高くしていくと申しますか、上昇傾向に向かうのじゃなかろうか。そういった立場から一そう流通近化を進めていく必要がある、かように
考え
ております。
野間友一
165
○野間委員 それはわかります。やっても、この比較の中にありますように、流通コストそのものはそう変わりはないのじゃないかどいうようなことは、これはどうなんですか。これは変わりますか。
橋本利一
166
○
橋本政府委員
賃金が上昇傾向にございますので、よほど流通
近代化
に努力をいたさないと流通コストは上昇する可能性がございます。
野間友一
167
○野間委員 時間の
関係
もありますので、次に
質問
を進めますが、いずれにしても、何度も繰り返し申し上げておるように、許可が
届け出
になったということと、それから
売り場面積
が従来と変わっていない。しかも、最低
規模
の特に
スーパー
の
店舗
、千から千四百九十九、この中で、商社が
百貨店
などを系列化して、
中小
都市あるいはその他の小都市に進出しておる、こういうようなことをいま私が
指摘
したわけですが、こういう点から
考え
て、
本法
案は、これはやはりいまの流通問題でもそうですが、これによって多少
スーパー
が歯どめになるという現象面がありましても、
中小
小売
商の
保護
あるいは
消費者保護
という点から、これで全うできるかどうかということになりますと、私は違うと言わざるを得ないと思うのです。 そこで、具体的にその
条文
について若干の
質問
をしたいのですが、この七条は
一つ
の歯どめのところですが、これも何回も皆さんお聞きになっておるわけですけれ
ども
、「
相当
程度の
影響
を及ぼす」という「
相当
程度」とは、具体的に一体何なのか。どのような
基準
を持っておるのか。これをひとつお聞かせを願いたいと思うのです。
山下英明
168
○
山下
(英)
政府委員
七条でるる書いてございますが、結局
周辺
の
中小小売商業
にどういう
影響
を与えるか。これは従来
百貨店法
の
経験
もありますので、商圏人口とか
売り場面積
あるいは従来の
小売業
の売り上げ高とか、さらにそこを通過する
交通事情
であるとか、人口その他による一応の
経験値
から数量的なものもございますが、それを
基準
にいたしまして、その
届け出
のあった
地域
における特殊
事情
とほかの
大型店舗
の
状況
、それからそこで購買する
消費者
の
事情
、それと
中小
小売店舗
の
事情
とを勘案しまして
判断
するわけでございますが、その場合に、
周辺中小小売商
業の
事業活動
の
機会
を削減するという場合に、
相当
程度の
影響
がある、あるいはないという
判断
をするわけでございます。 先ほど来先生が非常に心配をしておられますが、
届け出
のありましたものについては、そこの七条の
規定
もフルに活用いたしまして、
事前審査
という形を特に法文に明記いたしましたわけで、むしろ
許可制
とほとんど変わりのない
運用
ができますし、先ほど来御心配の点は、
届け出
のあったものについては、ないと思っております。
野間友一
169
○野間委員 これは七条によりますと、最初に
審査
するわけですが、
審査
する場合には、行政サイドで
審査
して、おそれがあると認めるときに限って
審議会
の
意見
を聞く、こういう二段がまえなんです。そうですね。そうしますと、まず、
審査
そのものが行政サイドでいかようにもなる。つまり、その時点においては、おそれがないと認めれば、これは
審議会
にかけることは要らぬわけですね。私は、これは大きな問題があると思うと同時に、この
審議会
にかける場合に、
審議会
の
審議
の内容あるいは運営、これは一体どうなるのかということです。とりわけ私がここで提起したいのは、この
意見
の
申し出
について、省令で定めるところにより
意見
の
申し出
ができるという
規定
が七条二項にあるわけですが、この
申し出
人、この範囲は一体どうなのか、こういうことについて、その省令の中身についてお聞きをしたいと思います。
橋本利一
170
○
橋本政府委員
まず、第七条の
審査
のやり方でございますが、
通産大臣
に
届け出
がありますと、
大臣
が直ちに己れをもよりの
商工会議所
あるいは
商工会
に通知いたすと同時に、かねがね諸般の資料を準備しておきまして、その資料に基づいて
審査
をいたします。資料の内容といたしましては、当該
地域
の人口動態あるいは当該
地域
における
中小小売業
の
近代化
の
状況
あるいは他の大
規模小売店舗
の配置並びに活動
状況
、かようなものを十分に資料を駆使して、
届け出
のあった案件につきまして事前に厳正な
審査
をやる。単純に
審査
と書いてございますが、
事前審査
を十分に遂げるわけでございます。その間、一方
商工会議所
あるいは
商工会
に案件を通知してございますので、そちらのほうからも
意見
があがってくる、あるいは必要に応じて
地元
の
意見
も聴取するといったようなことで
審査
をいたします、おそれのある場合に、第二段階として
審議会
にかけるわけでございますが、
審議会
におきましては、
事務当局
から
事前審査
の結果を詳細に
説明
して、
相当
程度の
影響
を及ぼすおそれありと
判断
した根拠を示すわけでございますが、それをベースにして、
審議会
といたしましても、それぞれ
判断
するにあたって、今度は正式のルートとして
商工会議所
あるいは
商工会
に
意見
を徴する。それぞれの
商工会議所
、
商工会
はいわゆる商調協、これの構成メンバーは
地元
の
消費者
、
小売業者
、学識
経験
者によって構成するわけでございますが、その商調協の
地元
における
調整
の実態あるいは満場一致を見ない場合には少数
意見
を付して
意見
を上げてくるかと思いますが、それを
審議会
としては
商工会議所
あるいは
商工会
経由で聴取いたしまして、通産当局からの
説明
、あわせて
地元
におけるそういった
調整
の結果を勘案いたしまして、
審議会
としての態度を決定し、
通産大臣
に
答申
する。
通産大臣
はこの
答申
を尊重して、その案件を処理する、かようなことになるかと思います。したがいまして、
審議会
としての態度は、
勧告
を発動する必要があるかないか、あるいは発動するとしてどの程度の内容のものであればいいかということを
事務当局
の
事前審査
の結果をよく踏まえ、または
地元
の
意見
をよく反映させる形で聴取した上で決定することになるかと思います。 それから、第三点として
申し出
をしたものの範囲でございますが、これは特に資格を限定いたしておりません。省令によって、
一定
期間内に
一定
の手続で
申し出
るようにというようなことを
規定
いたすつもりでございますが、
申し出
をする者としては、一般
消費者
、
小売業者
あるいは学識
経験
者、それぞれ
自分
の
意見
を開陳すべく
申し出
をした人に対してその
機会
を与える、かように
考え
ております。
野間友一
171
○野間委員 いまの答弁の中で二点ばかりさらに答弁を求めますが、この七条は二段がまえと申し上げましたが、まず行政サイドで
審査
をして、
審議会
の
意見
を聞く、こういうふうになると私は
条文
から解釈するわけですが、いまの答弁によりますと、この
審査
の段階で何か
地元
の
意見
を聞くというような答弁があったと思うのですが、そういうのはこの法上では全く触れてないわけですね。それはどこを根拠に言われるのかということが
一つ
です。 それから、
審議会
の
審議
の内容について、公開なのかどうかということと、口頭なのか。つまり、公開主義、口頭主義をとるのか。単に書面で上げてこいということだけなのか。 そしてもう
一つ
は、その
申し出
をする手だて、これはどのように告知するのか。もし省令の中に入れるとすれば、どういうふうに
考え
ているのか。もう一ぺん答弁を求めたいと思います。
橋本利一
172
○
橋本政府委員
御
指摘
の第一点でございますが、まさに法文上はさようなことは書いてございません。
事務当局
として
審査
をし、
意見
をきめる段階において、必要とあらば、あるいは先ほど申し上げた
商工会議所
等に通知してございますので、その線に従って
意見
を
申し出
たときに聞く。ただ、
審査
を最終的にいたすのは
通産大臣
でございます。 それから、第二点の
審議会
は公開かどうかという点でございますが、これは非公開でございます、 それから、文書によるかどうかということでありますが、
審議会
の
答申
は、
商工会議所
から文書で上がりますし、あるいは
審議会
から
大臣
への
答申
も文書で上がることになるわけでございますが、必要に応じて
意見
を口頭で聞くこともあり得るかと思います。 それから第三点の
申し出
の手続につきましては、省令でございますから当然官報にも載りますが、幸い
法律
が成立し実行段階に入る過程におきましては、十分に
関係
の方面に、
説明
会等を持ちましてPRをいたしたいと思います。
野間友一
173
○野間委員 いま省令で述べるように保障するという
趣旨
の発言があったと思うのですが、省令の中で、いわゆる
利害関係
人、
小売
あるいは
消費者
これらが口頭で
意見
を述べるという権利、これを省令の中にちゃんと記載されるかどうか、さらに
確認
を求めておきたいと思います。
橋本利一
174
○
橋本政府委員
意見
を
申し出
る者は、
申し出
るにあたりまして
自分
の
意見
の
概要
をその
申し出
る際の書面の中に書いていただきますが、必要に応じて
審議会
等の場において口頭で補足していただく、かようにいたしたいと思っております。
野間友一
175
○野間委員 補足というのは気になるのですが、これは本人が
申し出
れば口頭で
意見
を述べるという権利を省令の中には
規定
しないのですか。どういう形で口頭の
意見
を担保するのですか。
橋本利一
176
○
橋本政府委員
書面で
意見
の
概要
を提出していただきます。必要ある場合に
審議会
に出席していただいて補足
説明
を聞く。原則は書面での
意見
の開陳でございます。
野間友一
177
○野間委員 必要があるかどうかは、だれが
判断
するのですか。
橋本利一
178
○
橋本政府委員
審議会
の会長でございます。
野間友一
179
○野間委員 そうしますと、必要があるかどうかを会長が
判断
をして、そして必要がなければ、これはもう口頭では
意見
の開陳をさせない、こういうことですね。そうすると、権利でないわけですね。単に会長の裁量によって、場合によれば聞く、聞きおくという程度だと思うのです。そうだとすれば、麗々しく七条二項では、いかにも、いまの話にありました
小売
とか
消費者
の
意見
を聞くということが書かれておりますけれ
ども
、実質的には、要するに書面で
意見
書を出す。それですべて事は済むのじゃないですか。それは私はおかしいと思うのです。少なくとも必要があるというのは、これはむしろ
意見
を
申し出
たほうなんです。ですから、その
申し出
たほうが口頭の請求をすれば、これを当然許すということがたてまえじゃないかと思うのですが、これはどうですか。これは行政不服
審査
法の
関係
ではそうなっていますね。
橋本利一
180
○
橋本政府委員
申し出
てくる
意見
の内容にもよるかと思いますが、案件が多数ございます。過去にもそういった実績がございますので、大体書面を見ることによって、言わんとするところ、あるいはそれによってこちらが処置すべきことはおおむねのところがわかる場合が多いかと思います。そのような場合といえ
ども
、口頭で
説明
を求めないような場合であっても、当然
審議会
としては、さような
意見
があったということをテークノートして、
答申
する場合に
通産大臣
にも
意見
を出すということになるかと思います。
野間友一
181
○野間委員 単なるテークノートでは困るのですよ。要するに、私が申し上げたいのは、必要があるから口頭の
意見
の開陳を請求するわけなんですから、それをどうしぼるか。 たとえば、同じような
意見
のものはこれをしぼっていくという方向について、私はそれに対する
反対
はないわけですよ。しかし、少なくともこういう非常に大事な問題ですから、
意見
の開陳を請求すれば、これは必要があるから請求しておるわけですから、これを原則として認めるという方向でしなければ、ほんとうにこれが要するに
利害関係
人の
意見
を聞くということにはならぬと思うのです。しかも私が申し上げたいのは、
意見
書を出せということになりますと、これはまさにお上の仕事そのものだと思うのです。
消費者
やら
小売
商にきっちりした書面を書け、こんな酷なことがありますか。書面をきっちり書かなければだめだ。これはもう全部書面
審査
の段階ではねられてしまうわけです。しかも、必要があるかどうか、この
判断
についてまで、これを会長が
判断
するまでとにかく詳細な
意見
書をつけろということになりますと、これは私は、ほんとうに
消費者
とか、そういう
利害関係
人の
意見
を聞くということにはならぬと思うのです。したがって、私は、そういう態度でなくて、本人が請求すれば
意見
を聞くというふうにするべきだと思いますが、どうですか。
橋本利一
182
○
橋本政府委員
審議会
の段階に至る前に、
地元
における商調協等の場もございます。その場でも
意見
を申し述べる
機会
はございますので、
審議会
の段階では原則として書面で
意見
を述べていただきまして、必要とある場合には口頭で
意見
を述べる
機会
を持つ、さような形で
実施
してまいりたいと
考え
てます。
野間友一
183
○野間委員 それはだめですよ。そんなことではほんとうに大衆の
利益
を
保護
することはできませんよ。重ねて私はその点について強く要望するわけですが、特に訴訟との
関係
でお伺いしたいわけです。 従前の
許可制
であれば許可処分の取り消し訴訟ということで訴訟になじんだわけですが、この場合に、七条の要件を具備するかどうかということについて訴訟の
対象
となり得るのかどうか、この点をお聞きしたいと思います。 それから当事者適格をお伺いしておきます。
橋本利一
184
○
橋本政府委員
異議申し立てをし得る人は、この
法律
の
規定
によりまして、直接その権利なる
利益
を侵害された、直接的に
影響
を受けた当該
小売
商は当然のことでございますが、
本法
自体、
周辺
の
小売
商のことも、
中小
小売
商との
関係
で
調整
行為
をやるわけでございますから、
周辺
の
中小
小売
商も異議を申し立てる資格がございます。ただ、一般
消費者
につきましては、そういった
行為
の反射的な結果としての
影響
しかございませんので、これは適格性はないかと思います。要するに、大
規模小売店舗
の中に入る
小売業者
と、それから
周辺
の
中小小売業者
が適格者と
考え
ております。
野間友一
185
○野間委員 訴訟の
関係
ではいかがですか。
橋本利一
186
○
橋本政府委員
訴訟の場合にも、ただいま申し上げたと同様のことになろうかと思います。
野間友一
187
○野間委員 そうしますと、具体的な請求の
趣旨
はどうなりますか。それと訴訟の
関係
についてなぜ法文化しないのか。この二点についてお伺いしたいと思います。
橋本利一
188
○
橋本政府委員
大
規模小売店舗
の中に入居いたしまして
通産大臣
の
調整
行為
の
対象
になった
小売
商業者につきましては、たとえば
店舗面積
の削減が度を過ぎておるとか、あるいは
開店
延期の日が長過ぎるとかいったような形で訴訟ができるかと思いますし、反面、
周辺
の
中小小売商業
者におきましては、
通産大臣
の処分が軽過ぎる、もっと
面積
を削減すべきである、あるいはもっと延長期間を長くすべきであるといったような事項をかまえて訴訟できるかと思います。さようなことでございますので、一応この法文の中には
規定
を置かなかったということでございます。
野間友一
189
○野間委員 法制局は来てないわけですか。
浦野幸男
190
○
浦野委員長
法制局は来ておりません。
野間友一
191
○野間委員 来てないようですから、あらためてもう一度
確認
いたしますが、不服
審査
法あるいは行政訴訟法、いずれにしても不服
審査
あるいは訴訟の
対象
になる、その当事者適格は
影響
を受ける
小売業者
である、こういうことですか。
橋本利一
192
○
橋本政府委員
さようでございます。
調整
行為
の
対象
になる大
規模小売店舗
内の
小売業者
と
周辺
の
中小小売商業
者ということになるわけであります。
野間友一
193
○野間委員 そうしますと、
勧告
のない場合にはどういう訴訟が起こせるのですか。つまり、
届け出
をしますね。あれこれ
審議
します。しかし、その結論は
届け出
そのものを認容するという場合には、認容処分の取り消しになるわけですか。それとも認容処分そのものは行政
行為
になるわけですか。
橋本利一
194
○
橋本政府委員
不作為の場合には
対象
になりません。
野間友一
195
○野間委員 そうでしょう。だから一生懸命手だてをやっても、行政処分がなければこれは訴訟の
対象
になりませんよ。これが多少減額されたという処分があれば、その処分がどうだという訴訟は確かに起こせるかもわからない。しかし、何らの手だても、つまり行政処分がなければこれは訴訟の
対象
になりませんね。そういうことですね。そうしますと、単に
利害関係
人が一片の書面を出すだけで、しかも、
審議会
の会長が必要がないと認めれば口頭による
意見
の開陳もできない、あるいは訴訟にも親しまない。一体どうやって救うのですか。七条では麗々しく「
変更
勧告
」と書いてある。しかし、何らこれを担保するものがないじゃありませんか。いかがですか。
橋本利一
196
○
橋本政府委員
先ほど来申し上げておりますように、大半の案件は
相当
程度の
影響
を与えるおそれがある場合という——
審査
が要るわけでございますが、大半の案件がやはり
審議会
にかかる。
審議会
にかかるということは、
地元
の
商工会議所
あるいは
商工会
に付設される商調協の場で十分
意見
が煮詰められてくるわけでございますので、そういった
意見
があわせて
審議会
の
審議
の場に反映されてくることになるわけでございますので、特に口頭による
意見
の開陳を原則といたさなくても、十分
意見
を吸収し得るのではなかろうか、かように
考え
ております。
野間友一
197
○野間委員 ですから、実際いま申し上げたように麗々しく書いてあるけれ
ども
、
利害関係
人の
意見
を十分聞く、しかも司法
審査
の
対象
にはならないということになりますと、これはもう行政サイドにすべてまかす以外にないんじゃないですか。だから、通省産がきめればそれに対して何の文句も言えない。単に一片の書面を出すということだけじゃありませんか。しかも、その書面を出さなければだめだということになりますと、これは加害
関係
人が全部そういう
一定
の形式を持った書面を出さなければならぬ。出してもそれが全く
意味
がないことになるのじゃないですか。そういうことでこの第一条に立法目的が書かれておりまして、
消費者
の
利益
の
保護
あるいは
中小
小売
商の
保護
ということをうたってありますが、これを担保するものにはならぬ、こう言わざるを得ないと思うのです。とりわけ私が最初に
質問
申し上げた
許可制
と
届け出制
の違い、これがいまここに出てくるわけですね。
許可制
の場合には、これは処分の
対象
になるから、訴訟の
対象
になりますよ。ところが、
届け出制
の場合には、これがないわけです。これは致命的じゃありませんか。 次に
質問
を続けますが、
審議会
の構成についてお伺いしたいと思います。
橋本利一
198
○
橋本政府委員
審議会
の機能として
考え
ておりますのは、
本法
の
調整
行為
の
通産大臣
の諮問に答えるということが大きなポイントになってくると思います。(野間委員「構成です」と呼ぶ)現行
百貨店法
における委員の構成は学識
経験
者七名ということで、
関係
利害人を入れない学識
経験
者のみで構成いたしております。
本法
による大
規模小売店舗
審議会
におきましても、大体
百貨店
審議会
と同じような機能を果たすということから、現在の構成を踏襲したいという方針でおります。
野間友一
199
○野間委員 えらい時間をとって申しわけありませんが、もうしばらくお許し願いたいと思うのです。そうしますと
消費者
とかあるいは
小売
商、これらの代表者は
審議
委員にはならぬわけですか。
橋本利一
200
○
橋本政府委員
現在の
百貨店
審議会
の七名の構成について申し上げますと、
消費者
代表が二名、学者が二名、ジャーナリストが一名、
商工会議所
代表一名、金融業界代表一名の構成になっておりますが、これはそれぞれが学識
経験
者という立場に立って参加いたしておるわけでございまして、直接商業者等をこの委員に加えるというふうには
考え
てはおりません。
野間友一
201
○野間委員 それじゃ時間の制約が参りましたので、最後に一点だけですが、現行の
百貨店法
の
許可制
のときでも、不許可にしたのはわずか一件なんですね。これは二万平方メートル以上新設の場合です。これ一件しかないわけです。先ほど同僚委員の
質疑
に対して、行政指導の段階でいろいろ
調整
したりあるいは削減、こういうものもあるということでしたが、確かにこれはあります。しかし、基本的に不許可にしたのは一件しかない。つまり
許可制
の時点においてですらこのような結果しか出てないわけです。これは昭和四十五年以降のもので、通産省からもらった資料なんです。しかも、これが今度は緩和されて
届け出制
になる。しかも、ほんとうに司法
審査
の
対象
にもならなければ、どんなに
意見
を上げても結局通産サイドでこれが全部処理されていく。しかも、
審議会
の
審議
委員の中に
利害関係
人が入ってないということになりますと、これはもうたいへん大きな問題だと思うのです。その点を
指摘
して、私が先ほどから申し上げておるような具体的な問題点を入れて、さらに再考した上で
本法
案を提出されたい、このように
考え
ますが、最後に
大臣
いかがですか。
中曽根康弘
202
○
中曽根国務大臣
この
法案
の
一つ
の眼目は、
百貨店
に対してはいままでのような
許可制
の実質を持たせながら、しかも
スーパー
もこの中に入れ込む、そういう
意味
で厳重な
事前審査制
、ほとんど
許可制
に準ずるような
措置
をこれでとったわけであります。そういう
意味
において、
百貨店
に対する
審査
と同じような厳重な
審査
をわれわれはやって、
地元
に対する諸般の
影響
、特に
中小
零細
企業
に対する
影響
というものを重要視してやっていく。いままで商調協において一番摩擦が起きたことはそれでありますし、
スーパー
が近ごろ方々へできるについてわれわれのほうへ苦情を申し入れてくるのは、
中小
零細
企業
でもあります。したがいまして、当然その問題が重点に置かれると思いますので、われわれはそういう観点に立って、
地元
の
中小
企業
との
調整
というものを主眼に置いて厳重な
審査
を行なう、こういう
考え方
を持っております。 そのほか二、三の点につきまして御
指摘
になりましたけれ
ども
、われわれはいままで御答弁申し上げましたように、この法の
趣旨
というものは、
一つ
においては、お客さま、
消費者
のためを
考え
、もう
一つ
においては、最近大きく成長してきて各地で摩擦を起こしている
スーパー
というものを正式に
規制
の
対象
に取り込むということ、それからもう
一つ
は、流通の合理化という面もありますし、また一番大事な眼目は
中小
企業
の擁護という面があるわけであります。そういう法の精神を体しまして各セクション、セクションにおいて厳重なチェックを行ないまして、そして法の
趣旨
を生かしていきたいと思っておるわけであります。
野間友一
203
○野間委員 最後に、一点抜けましたので、最後のほうにお聞きした訴訟の
対象
にならないという結果についてはいかがですか。
中曽根康弘
204
○
中曽根国務大臣
これは行政処分としての
勧告
、
変更命令
があった場合にはもちろん訴訟の
対象
になりますけれ
ども
、
届け出
の段階ではまだならないのは、行政処分に対する異議申し立て、そのほかの法令の指示するところであると思います。
野間友一
205
○野間委員 ですから、不作為の場合には訴訟の
対象
になりませんので、
届け出
があって、しかも
変更命令
がない場合には、これはそのままということになるわけですね。この点が非常に大きな欠陥であるということを最後に御
指摘
申し上げて
質問
を終わります。
—————————————
浦野幸男
206
○
浦野委員長
以上で本案に対する
質疑
は終了いたしました。 本
法律案
に対し、
田中
六助君外三名より、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党四党共同提案にかかる修正案が提出されております。
—————————————
大
規模小売店舗
における
小売業
の
事業活動
の
調整
に関する
法律案
に対する修正案 大
規模小売店舗
における
小売業
の
事業活動
の
調整
に関する
法律案
の一部を次のように修正する。 第七条第二項中「
通商産業省
令で定めるところにより申出をした者」を「
消費者
又はその団体、
小売業者
又はその団体その他のもので
通商産業省
令で定めるところにより申出をしたもの」に改める。 附則中第十五条を第十六条とし、第十一条から第十四条までを一条ずつ繰り下げ、第十条第二項中「前項」を「前二項」に、「同項」を「各本項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項を次のように改め、同条を第十一条とする。 前条第四項において準用する第九条第四項において準用する第八条第一項又は前条第五項において準用する第十四条第一項の
規定
による
命令
に違反した者は、三百万円以下の罰金に処する。 2 次の各号の一に該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。 一 附則第四条第三項の
規定
に違反した者 二 前条第一項又は第二項の
規定
による届出をせず、または虚偽の届出をしたもの 附則中第九条の次に次の一条を加える 第十条 この
法律
の施行の際第三条第一項に
規定
する
建物
において
小売業
を営んでいる者は、当該
建物
ごとに、閉店時刻の繰下げにつき第九条第三項の
規定
による届出をした場合を除き、この
法律
の施行の日から起算して一年以内に、その閉店時刻を
通商産業大臣
に
届け出
なければならない。ただし、その閉店時刻が同条第一項の
通商産業省
令で定める時刻以前であるときは、この限りでない。 2 この
法律
の施行の際第三条第一項に
規定
する
建物
において
小売業
を営んでいる者は、当該
建物
ごとに、休業日数の減少につき第九条第三項の
規定
による届出をした場合を除き、この
法律
の施行の日から起算して一年以内に、その休業日数を
通商産業大臣
に
届け出
なければならない。ただし、その休業日数が同条第二項の
通商産業省
令で定める日数以上であるときは、この限りでない。 3 前二項の
規定
による届出は、第十二条第二項及び第十三条の
規定
の
適用
については、第九条第一項又は第二項の
規定
による届出とみなす。 4 第九条第四項及び第十五条の
規定
は、第一項 又は第二項の
規定
による届出があった場合につ いて準用する。5 第十一条の
規定
は、前項において準用する第 九条第四項において準用する第七条第一項又は 第八条第一項に
規定
する
措置
の
運用
について準 用する。6第十四条第一項の
規定
は、第一項又は第二項 に
規定
する
小売業
を営んでいる者が第一項若し くは第二項の
規定
に違反し、又は第四項におい て準用する第九条第四項において準用する第八 条第一項の
規定
による
命令
に違反した場合につ いて準用する。7 第十七条の
規定
は、第四項において準用する第九条第四項において準用する第八条第一項又は前項において準用する第十四条の
規定
による
命令
についての異議申立てがあった場合について準用する。
—————————————
浦野幸男
207
○
浦野委員長
この際、修正案について提出者より
趣旨
の
説明
を求めます。中村重光君。
中村重光
208
○中村(重)委員 ただいま提案されました修正案につきまして、私から提案の
趣旨
を御
説明
申し上げます。 修正案は、お手元に配付されているとおりでございますが、修正点の第一は、第七条第二項において大
規模小売店舗
審議会
が
通商産業大臣
の
変更
勧告
等について
意見
を定めようとするとき、
意見
を聞かなければならない「申出をした者」を「
消費者
又はその団体、
小売業者
又はその団体その他のもので申出をしたもの」に改めることであります。 申すまでもなく、本案は、
消費者
の
利益
の
保護
に配慮し、大
規模小売店舗
の
周辺
の
中小小売業者
の
事業活動
の
機会
を適正に
確保
しようとするものであります。したがいまして、
通商産業大臣
が
変更
勧告
等を行なう場合に、
消費者
、
小売業者
等の
意見
が十分反映されるよう、これらのものを明記する必要があると
考え
、修正した次第であります。 修正点の第二は、この
法律
施行の際、大
規模小売店舗
において
小売業
を営んでいる者は、その閉店時刻及び休業日数が
通商産業省
令で定める
基準
をこえているときは、この
法律
の施行日から一年以内に
通商産業大臣
に
届け出
なければならないこととし、この
届け出
については、
変更
勧告
、
変更命令
等の
規定
を
適用
する旨の
規定
を附則に設けたことであります。
原案
におきましては、
本法
施行の際、
既存
の大
規模小売店舗
において
小売業
を営んでいる者の閉店時刻及び休業日数については
通商産業大臣
の
変更
勧告
等の
対象
になっておりませんが、
本法
制定の
趣旨
である
周辺
中小小売業者
の正常な
発展
及び
本法
の
対象
となる大
規模小売店舗
における
小売業
と
既存
のものとの公平を
考え
ますと、
既存
の大
規模小売店舗
における
小売業
の閉店時刻及び休業日数についてもチェックすることが必要であると
考え
、修正した次第であります。 以上が修正案の提案の
趣旨
であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
浦野幸男
209
○
浦野委員長
以上で修正案の
趣旨
の
説明
は終わりました。
—————————————
浦野幸男
210
○
浦野委員長
これより討論に入るのでありますが、本案並びに修正案につきましては、討論の
申し出
がありませんので、直ちに採決に入ります。 まず、
田中
六助君外三名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
浦野幸男
211
○
浦野委員長
起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。 次に、ただいま議決いたしました修正部分を除いて、
原案
について採決いたします。 修正部分を除く
原案
に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
浦野幸男
212
○
浦野委員長
起立多数。よって、本案は
田中
六助君外三名提出の修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。
—————————————
浦野幸男
213
○
浦野委員長
本
法律案
に対し、稻村左近四郎君外三名より、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党四党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 まず、提出者より
趣旨
の
説明
を求めます。稻村左近四郎君。
稻村佐近四郎
214
○稻村(佐)委員 ただいま提案されました附帯決議につきまして、提出者を代表して、私から提案の
趣旨
を御
説明
申し上げます。 まず、案文を朗読いたします。 大
規模小売店舗
における
小売業
の
事業活動
の
調整
に関する
法律案
に対する附帯決議(案)
政府
は、
本法
施行にあたり、次の諸点について適切な
措置
を講ずべきである。 一 大
規模小売店舗
における
小売業者
の届出については、厳正な
審査
を行ない、万一にも大
企業
のダミーが寄合
百貨店
の形態をとって、
本法
による
調整
をまぬがれることのないよう十分
措置
すること。 二 大
規模小売店舗
審議会
及び商業活動
調整
協議会の組織及び運営については、
消費者
、
中小小売業者
及びその従業員の
意見
が十分反映されるよう
措置
すること。 三 閉店時刻及び休業日数の
基準
の設定にあたっては、従業者の福祉、
地域
との融和等を重視し、特に休業日数については十大都市、その他都市の区別を撤廃するよう
検討
すること。 四
百貨店
業者等の
基準面積
未満の大
規模店舗
についても、
本法
の
調整
措置
に準じ適切な指導を行なうとともに、駈込み新
増設
については、従来の行政指導を強化し、
本法
の
趣旨
に基づいて処理すること。 五
百貨店
における派遣店員、不当返品等の不公正な取引方法の
規制
を厳格に
実施
するとともに、
本法
の制定にともない新たに
対象
となる大
規模小売店舗
における
小売業
の不
公正取引
方法の特殊指定について
検討
すること。 六
百貨店
、大型
スーパー
、商社等による
中小
小売
店の系列化等の抑制について強力な指導を行なうとともに、
中小小売業者
の
事業
分野の
確保
について適切な
措置
を講ずること。 七 大
規模小売店舗
の進出により直接
影響
を受け、
事業
転換を余儀なくされる
中小小売業者
に対しては、その円滑な
実施
を図るため所要資金の融資等特段の配慮を行なうこと。以上であります。 各項目の詳細の
説明
につきましては、これまでの
審査
の過程において、委員各位には十分御理解いただけたことと存じますので、この際、省略させていただきます。 何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
浦野幸男
215
○
浦野委員長
以上で
趣旨
の
説明
は終わりました 直ちに採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
浦野幸男
216
○
浦野委員長
起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。 この際、附帯決議について
政府
から発言を求められておりますので、これを許します。中曽根届商
産業
大臣
。
中曽根康弘
217
○
中曽根国務大臣
ただいまの附帯決議の御
趣旨
を尊重いたしまして、行政に万遺憾なきを期する次第であります。どうもありがとうございました。
浦野幸男
218
○
浦野委員長
おはかりいたします。 本案に関する
委員会
報告書の作成につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
浦野幸男
219
○
浦野委員長
御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————
〔報告書は付録に掲載〕 ————◇—————
浦野幸男
220
○
浦野委員長
次に、
内閣提出
、
中小企業者
の範囲の
改定等
のための
中小企業基
本法等
の一部を改正する
法律案
を
議題
といたします。 これより
質疑
に入ります。
質疑
の
申し出
がありますので、順次これを許します。
田中
六助君。
田中六助
221
○
田中
(六)委員 ただいま
議題
となりました
中小企業者
の範囲の
改定等
のための
中小企業基
本法等
の一部を改正する
法律案
について御
質問
を申し上げますが、その前に、
大臣
にまず二点ほどお聞きしたいのです。 その
一つ
は、総理
大臣
は現在の日本の経済情勢をインフレーションじゃないというふうなことを言明なさったわけでございます。しかし、現実に日本の経済学者のおもな人たち、下村治先生を除いては、インフレーションの内容について、コストプッシュインフレーションだとかデマンドインフレーション、スタグフレーション、その他各角度からインフレーションであるという見解を持つ学者がほとんどでございますし、
国民生活
の立場から見ましても、最近の卸売り物価指数というのは異常な値上がりで、昔のように卸売り物価指数と
消費者
小売
物価指数が大きな差があって、安心だという経済情勢ではございませんし、一方また総需要の抑制というようなことからも、ある程度の手当てが行なわれておるわけでございますが、これは大蔵
大臣
にお聞きするのが順当かと思いますけれ
ども
、
通産大臣
も、日本の零細な
企業
から上は大
企業
を含めまして、
産業
の大きな責任者として現在の経済情勢をどういうふうに見ておるか。総理
大臣
の言うようにインフレーションじゃないというふうに見ておるのか、あるいは私
ども
国民がほんとうに皮膚で
感じ
ておる、毎日の生活でこれはインフレーションじゃあるまいかと思う、そういうような立場から大きなギャップを感ずるのですが、
大臣
はどのような御認識をお持ちでしょうか。 〔
委員長
退席、羽田野
委員長
代理着席〕
中曽根康弘
222
○
中曽根国務大臣
この問題は、インフレーションという定義をいかに解するかということによって人々の回答が違うと思います。
自分
はこのようなものをインフレーションと
考え
る、そういうこのようなものをインフレーションと
考え
るという
考え方
によってその結果が出てくるのでありまして、ある者はインフレーションであると言い、ある者はインフレーションでないと言うのは、定義の変化、根底が違うからそういうふうに変わってくるのだろうと思います。 下村さんの説も私拝読しておりますが、現在の日本は物価騰貴の圧力のもとにある、したがって総需要をカットしなければいけない、こういう点においては大体皆さん一致しておるのであると思います。しかし、物価騰貴の原因が悪循環を起こして、循環ごとに心理的に投機的に上がってくる形勢にあるかといえば、そこまではいっていない。だから、そういう悪循環のもとに物価が騰貴する状態をインフレーションであると定義すれば、現在はインフレーションではないと言い得るでしょう。しかし、物価問題に非常に鋭敏な学説や学者がおって、そういう物価騰貴の圧力があり、一部にそういう現象が出てきておる状態をインフレーションであるといえば、これはインフレーションとも定義できるだろうと思うのです。ですから、定義をどういうふうにとるかということによるので、インフレであるかないかということを断定的に私が言うことは、定義をどう申し述べるかということにかかっておるので、いまここでその定義をぐだぐだ言うことは必ずしも適切でないと思います。しかしともかく、国際的にもかなり物価高の形勢で、海外からの物価高が流れ込む危険性もございますし、また、総需要を全般的に見た圧力がかなりあって、ややもすれば上がろうとしておる気配にあることは事実であると認識しております。
田中六助
223
○
田中
(六)委員 インフレーションは定義の問題、見る見方の角度の問題からいろいろ
考え
られるのであって、いま
自分
がぐだぐだ言うことはちょっと差し控えたいということでございますが、ほんとうは時間が許せば
大臣
のぐだぐだ言う御見解を聞くことのほうがわれわれの理解を深めるのではないかという気がいたしますけれ
ども
、時間もございませんので、定義の問題として私も一応聞いておきたいと思います。 それからバンクレート、つまり公定歩合の問題でございますが、日銀の公定歩合について、日銀の総裁はもちろん、各
大臣
が、近く公定歩合を引き上げるのだとか、引き下げるのだとかいうことを非常によく言う。それから日銀の総裁そのものもそれが現実になる事前に平気で、このバンクレートの問題をぺらぺらしゃべるのですが、こういう傾向は私は世界にほとんどないと思うのです。それから昔は、少なくとも私の記憶している限りでは吉田、池田内閣、佐藤内閣のときもそういうふうなことは少なかったんじゃないかと思うのですが、大体中央銀行の中心レートである国の公定歩合というものは極秘裏にすべて処理すべきものであって、それをもう数カ月前からそういうことをしゃべって、いよいよそれが実現できるときはすでに各マーケット市場はそのレートを織り込み済みで、何ら市場繰作はなされないのが日本の最近の傾向だと思うのです。十六年前、私、イギリスにちょっとおるときに、バンクレートのリーケージ、つまり漏洩事件があったのですが、これが漏れたために時のマクミラン内閣、初期でございましたが、てんやわんやで国をあげてイギリスは大騒動をしたことがあるのですが、それほど中心金利というものは極秘であらねばならない。そうなれば多少金融的な操作で経済が運営できると思うのですが、日本の最近の
状況
というものはまるでほんとうになってないのですが、そういう傾向について、私はあまりにもすべてが民主化という観点から、そういうことまでが妙なぐあいに走っているんじゃないかという気がするわけでございますが、この点、閣議にいつも御出席で、しかも重要閣僚を占めておられる
大臣
の御見解をお聞きしたいと思います。
中曽根康弘
224
○
中曽根国務大臣
その点は全く同感であります、公定歩合のような問題が、事前に新聞に載るというようなことは適当なことではございません。ただ、日本のジャーナリズムが近ごろは非常に鋭敏で、知る権利を行使いたしまして、非常に早くものごとを伝えますので、そういう点で
政府当局
もこれを秘密にしておくという努力はいろいろしておるけれ
ども
、自然に漏れてしまうという形になってしまうのかもしれません。いずれにせよ、
田中
委員のおっしゃることはまことに同感でございます。
田中六助
225
○
田中
(六)委員 こういう中心金利の問題については、今後とも閣議あるいは
政府
は十分慎重戸やってほしいというふうに
考え
ます。 それから
中小
企業
の基
本法
の一部改正
法案
でございますが、最近の経済の情勢から見まして、スミソニアン体制で日本は大きく円の切り上げをやったわけで、過去二年間ぐらの間に、三百六十円から二百六十円、いまフロートしておりますけれ
ども
、百円もレートを実質的に切り上げておるわけでございます。こういうことがどの程度
中小企業者
に響いておるかということを私
ども
憂えるわけでございますが、幸いに
政府
は一生懸命の
対策
をやっておりまして、現実にあまりこれに対する
被害
が大きくひずみとしてあらわれていかいということも聞いておるわけでございますが、これは
事務当局
でけっこうでございますが、この二年間の間、つまり
中小
企業
の倒産件数でございますが、四十六年の上半期、つまり一−六月、それから四十七年の一−六月、四十八年の一−六月、この間にどの程度
中小
企業
が倒産しておるか、件数をお知らせいただきたいと思います。
莊清
226
○荘
政府委員
四十六年の一−六月で四千六百四十八件でございます。このときは三百六十円レートの時代でございます。それから四十七年の一—六月は三百八円のスミソニアンレートでございますが、三千六百十五件、それからことしの一−六月は、かりに二百六十五円と申し上げておきますが、現在のフロートのもとで三千四百三十四件という倒産件数でございまして、全体といたしまして四十七年及び四十六年の水準を下回っておるという
状況
でございます。なお、四十七年の年間の倒産件数というものが約七千百件でございまして、四十六年に対しまして二二%の減でございまして、この四十七年というのは、一年間を通じまして、四十二年以降の最低の倒産件数であった年でございますが、その四十七年に比べましても現在は平穏に経過しておるという
状況
でございます。
田中六助
227
○
田中
(六)委員 四十六年の一六月四千六百四十八件、四十七年一六月三千六百十五件、四十八年−六月三千四百三十四件、傾向としてはどちらかというと下がっておる。しかし、この数字だけでは数字の魔術がございまして、内容的にはかなり零細
企業
あるいは
中小
企業
は困っているのじゃないかと思います。と申しますのは、この三カ月間だけで三度公定歩合の変化があっておりますし、その他預金準備率の引き上げ、最近はまた予算面からも締め上げようというような傾向でございますので、私はこの点、何かと申せば
中小
企業
が一番
被害
をこうむるのではないかと思いますが、こういう体制下にありまして、今後の
中小
企業
対策
をどういうふうに持っていこうかという、
中小
企業
庁の腹づもりをお願いしたいと思います。
莊清
228
○荘
政府委員
当面、
中小
企業
業界が最も関心を持っております問題は、現在の急激かつ広範な金融の引き締め
政策
の
影響
の問題でございます。この問題につきましては、ドル
対策
の問題とも非常に関連があるわけでございますが、
中小
企業
に対する金融の
円滑化
を
確保
するという見地から、二つの
措置
を財政当局及び通貨当局に対して強く私
ども
からも要請をいたしまして、その方針で対処するという確約を得ておるわけでございます。 第一は、
中小
企業
向け金融のほとんどの部分を占めております市中の金融機関からの
中小
企業
向けの融資比率というものを引き下げないということでございます。これは昨年を通じましての金融の緩和基調のもとで、市中、都市銀行と比率が非常に上がってきておったということは御案内のとおりでありますが、その比率を下げてはならないということでございます。 第二は、こういう引き締めの際には、どうしても
政府
関係
金融機関の
役割り
が非常に大切になりますので、
政府
関係
三機関を通じます融資のワクの
確保
をはかるという点でございまして、現在、年度間の融資ワクの繰り上げ
使用
ということを行なっておりまして、不足になれば、後日、財投等による補正を行なうということを財政当局とすでに話を進めておるところでございます。当面の過剰流動性を克服するためのやむを得ざる金融引き締め
対策
については以上のとおりでございまするが、長期的な問題がより大きな問題でございまして、これはかねて当
委員会
でも御
審議
いただきましたいわゆるドル
対策
法の際にもしばしばお尋ねがあり、お答えしたとおりでございまして、長期的にわが国の
中小
企業
というものを今後も維持
発展
さしていくために、その体質の改善を各般の総合
施策
によってはかっていくということが最も大切でございます。
事業
の転換も必要になりましょうし、知識の集的化ももちろん必要でございます。その際に、やはり取り残されやすい小
規模
零細
企業
に対しましては、一般の
中小
企業
対策
とはまた別に、金融とか税とか指導の面で格段の特別の配慮のもとに
措置
を講ずるということが必要でございまして、来年度以降もこの方向で
施策
をさらに 一段と
整備
充実いたしたい、かように
考え
ております。
田中六助
229
○
田中
(六)委員 長期的な
対策
、短期的な
対策
で体質改善をして、知識集約型の方向で
事業
転換をはかっていって万全を期したい、そういうようなことをどうか着実に
実施
していって、粗漏のないようにお願いしたいものと思います。 それから、今回の定義改定でどの程度の
中小
企業
数をそのワク内に入れられるかということをお答え願いたいと思います。
莊清
230
○荘
政府委員
今回の
中小
企業
の定義改定でございますが、改定といっておりますが、実質は経済情勢の変化に伴ういわば修正でございまして、明らかに大
企業
であるというふうなものを
中小
企業
扱いしようという
趣旨
では毛頭ございません。資本金を
工業
の場合一億まで引き上げることによりまして約五百七十ばかりが
新規
に
対象
となってまいります。これは四十五年の
工業
統計に基づいての計算でございます。同じ四十五年の商業統計に基づきまして、今回の卸売業の定義の改定に基づいて三千四百強のものが新しく
対象
になってまいります。合わせて四千弱ということでございます。
田中六助
231
○
田中
(六)委員 今回の定義改定で約四千弱が
中小企業者
の範囲に入り、非常にこれは拡大して、
中小
企業
対策
の
対象
になり得て救われるという面から見ればいいことだというような解釈も成り立つわけでございます。私もそれが万全の
措置
で、そういうふうになっていけば非常にいいというふうに
考え
ますが、ただ心配なのは、この改定で範囲が広がっていくだけでは、必ずしも
政府
としては十分ではない。十分だと思っているかもわかりませんけれ
ども
、まだまだ十分ではない。この
中小
企業
対策
そのものが、範囲の拡大によってかえって薄められるという逆効果が出てくるおそれが十分にあるわけでございます。したがって、私
ども
もこの点をおそれるわけでございますが、
中小
企業
庁としては、この点に対する
対策
あるいは
考え
をどういうふうに
考え
ているのか、この二点について具体的にお答え願いたいと思います。
莊清
232
○荘
政府委員
今回の定義改定の基礎になりました昨年八月の
中小企業政策
審議会
の
意見
具申におきましても、先生御
指摘
の点が特に述べられておる点でございます。小
規模
対策
の充実を基本前提として
中小
企業
の定義改定について
検討
するようにというのがまた当
委員会
での御決議でもございました。そういうことで、
中小企業政策
全般の中で、四十八年度におきましては、特に小
規模
対策
に力点を置いて進めたつもりでございます。 まず金融面について申し上げますと、無担保、無保証の経営改善資金融資制度の創設がございます。それから、小
規模
企業
を
対象
といしたました五〇%の無利子融資を行なっております。設備
近代化
資金、それから小
規模
企業
向けの設備貸与制度につきましても四十八年度においては強化をはかっております。その他
中小
企業
振興
事業
団からの零細
製造
業の共同化のための融資のワクの拡充国民金融公庫のいわゆる無担保貸し付けといっておりますが、保証人だけで貸し付ける金融制度がございますが、この限度を今年度からは三百万から五百万まで上げまして、五百万までは各支店限りでスピーディーに処理ができるようにいたしたわけでございます。また、今国会、当
委員会
で御
審議
いただきました信用保険法におきましても、特別小口保険の限度引き上げ等の
措置
を講じて、民間金融機関からの融資の
円滑化
をはかることといたしたわけでございます。 第二に、税制上の
措置
といたしましては、四十八年度は、画期的な
措置
といたしまして、懸案の個人
事業
主報酬制度の創設をはかりましたほか、同族会社の留保金課税につきましても、前年度に引き続き
相当
大幅な改善を行なったのでございます。このほか、従前に引き続きいわゆる経営指導の面、
企業
診断の面につきまして、指導員の増員その他の
措置
を四十八年度においては特に配慮いたしたところでございます。 なお、
中小
企業
の中で従来ともすれば
施策
の盲点になっておりました全国百九十万、従業員数六百四十万をこえます
中小小売業
を
対象
にいたしまして、初めて
中小小売商業
専門の
法律
として振興法を御提出した次第でございます。 以上のように零細
企業
対策
につきましては努力しておるところでございますが、
中小
企業
の約七五%はいわゆる零細
企業
でございます。金融の面でも税の面でも指導の面でもまだまだ至らないところがきめて多いことを私
ども
その衝に当たる
事務当局
としても非常に申しわけないと残念に存じております。今後格段の
整備
充実をはかるということを私
ども
の方針、基本的な課題として努力をいたしたいと思います。
田中六助
233
○
田中
(六)委員 ただいま
企業
転換そのものの指導や、そのためには長期低利の融資とか、あるいは税制面についても十分の
措置
をしていくが、まだまだ足りない、私はまさしく十分の
措置
というまでには至っていないという気がしますので、
中小企業基
本法
ができてちょうど十年、今回これを改定するという潮どきでございますので、十年一昔ということばもございますから、心を新たにして、一そう
中小
企業
あるいは零細
企業
のために十分な
措置
を願って、私の
質問
を終わりたいと思います。
羽田野忠文
234
○羽田野
委員長
代理
加藤
清政君。
加藤清政
235
○
加藤
(清政)委員 昭和三十八年に
中小企業基
本法
が制定されたわけでありますが、この間わが国は、
政府
の推進してまいりました高度経済成長
政策
が、
規模
の面でもまた構造の面でも大きな変貌を遂げまして、
中小
企業
もその波の中であるものは切り捨てられ、あるものは大
企業
の締めつけに抗しながら営々として努力を重ねてきた実態があるわけであります。 そこで、今日におきましても
政府
の
中小企業政策
は決して十分とはいえないのであって、相変わらず大
企業
中心の通産
政策
が行なわれておるのでありますけれ
ども
、
中小企業基
本法
が十年を経過した今日、あらためて
中小
企業
施策
の中を問い直してみる好機であろうと思うわけであります。 私は、ただいまから
中小
企業
の範囲改定について
通産大臣
並びに公取
委員長
と
関係
当局にお尋ねするわけでありますけれ
ども
、
中小
企業
、小
規模
企業
の置かれている現在の立場というものを念頭に置かれまして、血の通った御答弁を願いたいと思うのであります。大体通産当局並びに公取当局からの御答弁でいいと思うのですが、一点中曽根
通産大臣
にお尋ねしたいと思うのです。 最近の公定歩合の引き上げ並びに預金準備率の引き上げ、さらに総需要を押えて過剰流動性を吸収して景気の過熱を冷やすということで、金融引き締めが非常に顕著に行なわれてまいり、九月にはまさに九月決算、九月の危機といわれておるのが世上であります。 そこで、最近の倒産の動向を見ますと、大体倒産のサイクルというものは秋口あるいは年末、年度末が一番高いわけでありますけれ
ども
、本年の五月には、前年度五月に比べてサイクルがたいへん高かったということが見られたわけであります。これは中日スタヂアム等の倒産による六十社あるいは七十社ほどの関連倒産も大きな
影響
を受けておると思うわけでありますけれ
ども
、こういった金融引き締めについての九月危機が世上うわさされて、
中小
企業
、特に小
規模
企業
者が戦々恐々とされている。大
企業
はそういう経済の中に入りましてもびくともしませんが、特にそのしわ寄せを受ける
中小
企業
あるいは零細
企業
に対して、
政府
として何らかの
措置
をとられ、それに対する対応策を持っておられるかどうか、その点について中曽根
通産大臣
のお
考え
をお聞きしたいと思います。
中曽根康弘
236
○
中曽根国務大臣
最近の一千万円以上の負債金額の倒産の動向を見ますと、四十七年一年間では景気上昇と金融緩和基調のもとで総じて四十一年以来の最低水準に推移いたしました前年に比べ、件数、負債金額とも二、三割の減少を示しました。四十八年に入っても、一−六月で見ますと、大勢としては落ちついた動きを見せておりますが、中日スタヂアムのような特殊の例もありまして、件数では最低水準に推移した前年同期をなお下回ったものの、負債金額では若干上回っております。 御
指摘
の五月さらには六月の動向については、前年同月比でやや増勢が見られますが、これには上述の特殊
事情
が作用しているところが大きいと思います。それを除けば上半期を通じて比較的落ちついた動きを示しております。しかし、今後は金融の引き締めが続く中で、人件費、材料価格の上昇等によって経営内容の悪化が進むことが懸念され、倒産が増加していくことが予想されております。 最近の
企業
経営の内容を見ておりますと、金融面によるものよりもむしろ材料
確保
難、そういうようなものが多いように思います。特に塩ビ
関係
あるいは伸銅品
関係
等においては材料入手難というようなものが非常に多く見えてきつつあるように思います。これらについては、需給
調整
協議会等も活用して供給の
円滑化
を最大限にはからなければならないと思っております。 なお、金融につきましては、 この間のドル・ショック以来特別のワクを
中小
企業
に設定いたしまして、もしそれで不十分ならばいずれワクをさらに増してもよろしいから、金融は十分つけてやるようにというふうに配慮しておりますが、
中小
企業
についてはまだ金融面についてそれほど深刻な事態が出てきておるとは思っておりません。しかし、全般的に見ると、やはりまだ過剰流動性が残っておるように思いまして、全体的な金融引き締めは今後も続いていくと思いますけれ
ども
、しかし
中小
企業
については、いやしくもそういう
影響
がないように私たちも配慮してまいりたいと思っております。
加藤清政
237
○
加藤
(清政)委員
通産大臣
から、金融引き締めによる
中小
企業
あるいは小
規模
企業
者に対する
対策
等については万全を期しているというお答えがありましたが、ひとつ九月危機説が世上流されておりますので、たいへん
中小
企業
や小
規模
企業
者が戦々恐々とされておりますから、そういうことにつきましてもいま
大臣
から御答弁ありましたように万全を期していただきたい、そのように思います。 それではまず最初に、この
法案
の
中小企業者
の範囲の改定は、どのような経緯で提案されるに至ったのか、
中小
企業
の実情とあわせてひとつ御答弁願いたいと思います。
莊清
238
○荘
政府委員
今回の定義の改定は、昨年八月の
中小企業政策
審議会
の
意見
具申に基づいて、それの具体化をはかったものでございまするが、経緯について申し上げますと、昭和三十八年に現在の
中小企業基
本法
を定めた際に、それまで
法律
で若干の違いがありました
中小
企業
の定義のしかたを基
本法
におきまして統一的な
基準
を示しまして定めたわけでございます。その当時は、
工業
では三百人または一千万円以下ということになっておったものを三十八年に五千万円に上げたわけでございまするし、それから商業、サービス業は、それまでは三十人または一千万円以下となっておったものを三十八年に五十人に上げたというのが基
本法
制定当時の経緯でございます。 その後十年間、経済の成長等に伴いまして諸般の情勢が年々変わってまいりました。
工業
関係
あるいは卸
関係
の
中小
企業
界からも、近年この三十八年の
基準
では妥当でない、むしろ普通の
中小
企業
でも大
企業
扱いをされて落ちていく危険すら上るということで、妥当な
調整
を望むという御意目が多かったわけでございます。
中小企業政策
審議会
からは四十四年にも一度
意見
具申がございまして、その際は結論を得なかったのでございますが、引き続き
検討
すべき重要事項と決議されておりまするし、当
委員会
でのその後の御決議もございまして、昨年の中政審の
答申
におきまして、今後の
中小
企業
の範囲の改定についての基本的な
考え方
というものが示されたわけでございます。私
ども
はそれに基づきまして、詳細なデータに基づいて種々の計算をした上で中政審の専門の先生方の御
審議
をいただきまして、今回御提案申し上げておるような改定案を見た次第でございます。
加藤清政
239
○
加藤
(清政)委員
審議会
の
意見
具申は、七〇年代の
中小企業政策
全体のあり方を方向づけることを主たるねらいとしているようでありますが、そういう全体のあり方と今回の範囲の改定とはどういう
関係
にありますか、その点お伺いいたします
莊清
240
○荘
政府委員
中小企業政策
審議会
では、今後十年間の
中小
企業
のあり方と
政策
の方向という大所高所の御議論があったわけでございますが、その場合に
政府
の
施策
のあり方が問題の中心でございます。その
施策
の
対象
となる
中小
企業
の範囲をどこに定めて
施策
を講じていくかということは、申すまでもなく基本前提になるわけでございます。 そこで、先ほど申し上げましたように、四十四年の
中小企業政策
審議会
の中間的な
意見
具申におきましても
相当
御議論になったのでございますが結論を得ないまま持ち越されたというのが実情でございます。それで今回の
意見
具申におきましては、この定義の改定問題というのが実は今後の
中小企業政策
の姿勢問題と非常にからんで御議論があったと
答申
にも明確に出ております。その点が四十四年の
答申
に比べての非常に大きな特色ではないかと実は
考え
ております。 その第一点は、定義の改定は行なう、同時に、今後の
中小企業政策
というものはその
中小
企業
というものの多様性を十分に認識して、それぞれの実態に応じた
対策
を講ずべきである、特に零細
企業
に対しては、また別途の観点からの特別の配慮というものが特に必要であるということが力説されております。これが四十四年の
答申
に対しての非常に大きな特色の第一点でございます。 もう
一つ
の特色は、その零細
企業
問題にからみまして
中小小売商業
問題というものを今回の
答申
が非常に大きく取り上げまして、私
ども
それを踏まえて、当
委員会
でも御
審議
いただきました
中小小売商業
振興法というものを立案し、また
百貨店法
の改正問題というところもその一環として通産省としては方針を固めるに至った、こういう経緯がございますが、すべて、定義の改定だけではなくて、それと含めて零細
企業
に対しての特別の配慮というものを
答申
が御
指摘
になっておるという
意味
で、この定義の改定問題というのは実は今回の
答申
の非常に核心的な問題であった、中核をなす問題であったというふうに私
ども
は認識しておるものでございます。
加藤清政
241
○
加藤
(清政)委員 先ほどの
田中
委員と
質問
も重複しますので、御答弁は簡単に願ってけっこうですが、七〇年代の
中小企業政策
に関する提言の前提として
中小企業者
の範囲を見直そうという
意見
のようですが、それでは定義改定の内容はどうしようとするお
考え
か、またどういう根拠で、どのような改定をしようとしておるのか、ひとつこの点をお聞かせ願いたいと思います。
莊清
242
○荘
政府委員
今回は改定は二点ございまして
一つ
は
工業
等につきましては、現行法では、従業員が三百人以下または資本金が五千万以下となっておるその資本金を一億円に、ちょうど倍に改定するということでございます。この改定の
理由
は、基
本法
制定以後、経済の成長に伴いまして
中小
企業
においても増資等が行なわれておりますし、資本装備率も上がってきておるということで、五千万円では低きに失するということが四十五年度の、これは最近の
工業
統計でございますが、これの分析によりましてきわめて明確に
指摘
されておるわけでございます。そこで、この
工業
統計を基礎に算定をいたしまして、三百人対応としてならば現在は一億円が最も妥当な線であるということで改定に踏み切ったわけでございます。 それからもう一点は、商業、サービス業の
関係
でございまするが、商業、サービス業につきましては、現在は従業員五十人以下または資本金が一千万円以下となっておりますが、その中で卸売業につきましては、その業種の実態から申しまして
小売業
とは著しく異なっているわけでございます。そこで、卸売業については別の定義をすることが妥当であるということから、卸売業につきまして四十五年の商業センサスを基礎に、
工業
と同様の手法を用いまして詳細に
検討
いたしまして、今回百人または三千万円以下ということを別途に制定するということにいたしたわけでございます。
加藤清政
243
○
加藤
(清政)委員 いまの御
説明
ですと、現在の
中小企業者
の定義のしかたには何も手をつけずに、単に資本金の
規模
と従業員の
規模
を変えようとしておられるようでございますが、現在の
中小
企業
の定義を従来の手法に準じて従業員数と資本金の相関分析で行なうということが妥当であるかどうか若干の疑問があるわけですが、
中小企業者
の範囲をきめるのに資本金や従業員数といった、いわば外形的なまた量的な
基準
を用いる方法から、もっと質的な
基準
が用いらるべきであるようにも
考え
られるわけです。また、量的な
基準
としても、たとえばむしろ出荷額とか販売額あるいは収益性といった
中小企業者
の営業の動向をより正確に反映する指標を用いるべきではないか、かように
考え
るのですが、いかがでしょうか。
莊清
244
○荘
政府委員
アメリカにおきましては、
中小
企業
の定義を
工業
では従業員数だけで、それから卸売業については売り上げ高だけできめておるということが言われております。わが国におきましては、御
指摘
のように、従業員数と資本金という
企業
規模
に着目した指標を使っておりまするが、御
指摘
のように、出荷額とか販売額とか収益性というふうな指標を使うということも、これは御
意見
でございます。私
ども
も、こういう点についても、今回は中政審におきましていろいろ専門の御
意見
も伺い、実は
検討
もいたしたわけでございますが、何ぶんにも業種、業態がきわめて多様であるということがございまして、いわばそれぞれの
企業
の中味に入ったような、収益性をとるとか、販売額という数字をつかまえることがなかなか容易でないということが
一つ
と、それから景気の変動等によりまして、こういう
基準
数値に対しまして営業の状態というものが非常にまた変動しやすいという難点もございまして、今回はこれは見送りにしたわけでございますが、こういう問題につきましても、諸外国の例等もさらによく研究をいたしまして勉強をいたしたい、かように
考え
ております。
加藤清政
245
○
加藤
(清政)委員 いまの御
説明
をひとまず聞いておくことにいたしましても、いま
一つ
の重要な問題があります。と申しますのは、現在の
中小
企業
の定義では、資本金か従業員数のどちらかが
基準
を下回っていれば
中小
企業
とみなされるわけでありますけれ
ども
、たとえば従業員数が三百人以下であれば資本金が三億円でも
中小
企業
ということになるわけであります。これはどう
考え
ても不合理と
考え
られますが、この際、資本金と従業員数の両方の条件を当てはめた形で
中小
企業
の範囲をむしろ明らかにすべきではないかと思うのですが、この点いかがでしょう。
莊清
246
○荘
政府委員
この点は、現在の基
本法
制定の際にも国会で始終御議論のあった点であるということは、私
ども
十分に
承知
いたしております。今回の改定にあたりましても、
審議会
においても、この点についていろいろ御
審議
がなされたわけでございまするが、この十年間この定義でやってまいっておりまして、かりに現在の定義のまま、「又は」というのを「かつ」というふうに置きかえて、両方満足しなければいけないというふうにかりに置きかえてみますと、今日まで
中小
企業
として扱われてきておった人たちの中から
相当
数の
事業
者が脱落せざるを得ない。その中には、私
ども
業種、業態に即して見まして明らかに
中小
企業
としての助成をしてしかるべきだと思うような
事業
者がほとんどであるというふうな検証もいたしました。そういう点から、基本的にはやはり従来の方式を使いまして、業種によりまして労働集約性の高いのもあれば、資本集約性の高いものもあるわけでございますから、「又は」ということを定義のきめ方の基本としてやっていくことが行政の進め方として最も妥当ではないかというふうに最終的に
判断
をしたわけでございます。 なお、この場合に、私
ども
今後の行政にあたって特に留意いたしたいと思います点は、御
指摘
のように、資本金が非常に大きくても従業員が三百人を切っておれば形は
中小
企業
になる。それに対して、たとえば
中小
企業
の三機関から融資をするのかという問題など実はあるわけでございます。この点につきましては、従来から大資本の実質的子会社と見られるような実態のものに対しましては、たとえばそれが
中小
企業
の定義に合っておってもこれに対しては融資はしないということで、
政府
関係
の
中小
企業
公庫等、設備資金の需要が
相当
来るわけでございますが、厳重な
運用
をやっておりますし、今後もその点には十分留意をいたしまして、間違いのないようにやってまいりたいと思います。
加藤清政
247
○
加藤
(清政)委員 いま御答弁がありましたが、やはり経済にしても社会情勢にしても当然変化はありますし、特に
事情
変更
原理ということからいいましても、従来そういう立場で従業員数と資本金の数で
中小
企業
の
規定
をしておったということでありますけれ
ども
、やはり世界経済の動向とにらみ合せながらそれにマッチした
中小
企業
のあり方というものを把握していかなければならない、そのように思いますので、ひとつそういう点には弾力性を持って
運用
にあたっていただきたいと思います。 ところで、今回の定義改定によって新しく
中小
企業
に参入される
企業
は一体何社くらいになるのか、また、これによって全
企業
の中で
中小
企業
の占める割合はどのくらいになり、小
規模
企業
を除いた
中小
企業
の平均資本金額、平均従業員数はどのくらいになるのか、それは現在のものと比較してどうなるのか、その点お尋ねいたします。
莊清
248
○荘
政府委員
まず
工業
でございますが、正確に申し上げますと五百七十一増加いたします。現在の
中小
企業
製造
業というのが七十三万八千五百二十四でございますが、これが五百七十一ふえまして七十三万九千九十五になります。したがいまして、
中小
製造
業の
製造
業全体に占めます数の比率が九九・六%から〇・一%上がりまして、九九・七%に上がります。 それから卸商業でございますが、三千四百六十八の増加でございます。現在の定義では二十八万四千百二十二でございますが、これが二十八万七千五百九十になります。全体の卸に対しまして
中小
卸の比率といたしまして、現在の定義では九八一二%で、若干低いのでございまするが、これが一・二上がりまして九九・四%に、ほぼ
工業
並の水準なるという
状況
でございます。
加藤清政
249
○
加藤
(清政)委員 ただいま御
説明
いただきましたように、
企業
数及び比率というものはそれほど多くはないわけですが、
新規
参入の
企業
はいままでのものと比べて
規模
の大きいものが多いわけです。とすると、当然資金需要の面でも大型化することが予想されます。こうした
規模
の大きい層が取り込まれることによって
施策
の重点が大
規模
な層に片寄ったもの、つまり上位シフトになるのではないかと心配されるのであります。今回の定義改定にあたっては、小
規模
事業
者への
施策
上の配慮はされているのかどうか、その点お尋ねいたしたいと思います。
莊清
250
○荘
政府委員
御
指摘
の点は、
中小企業政策
上非常に重要な問題であると存じます。中政審の
答申
におきましても、まは当
委員会
での御決議におきましても、いま先生御
指摘
の点が強く
指摘
をされておる点でございます。 そこで、小
規模
事業
対策
につきましては、先ほどの御
質問
に対してもお答えしたのでございますが、金融面におきまして、四十八年度から特別な経営改善資金貸付制度の創設に踏み切りましたほか、従来からの零細
企業
向けの設備
近代化
資金、設備貸与制度の拡充をはかった次第でございます。また、
中小
企業
振興
事業
団の小
規模
工場の共同化の融資ワクの拡大、国民金融公庫から、保証人だけで融資をする無担保貸し付けワクの五百万円の引き上げ、さらに保険法の改正によります特別小口保険の限度額の引き上げ等の一連の
措置
を講じたわけでございます。 税制上におきましても、個人
事業
主報酬制度の創設、同族会社の留保金課税の軽減等の
措置
を講じております。さらに最も重要な、零細層
企業
に対します各般の指導とか診断の業務の拡充をはかりますために、指導員の大幅増員、待遇改善等にも四十八年度におきましては鋭意努力いたしたところでございます。さらに、零細
企業
がほとんどすべてを占めております
中小小売業
振興のために、当
委員会
におきまして
中小小売商業
振興
法案
を御
審議
をいただいた次第でございます。 先ほど申し上げましたとおり、いろいろ各般の
施策
の積み重ねによらなければ小
規模
事業
対策
というものは決して効果をあげないと思います。
一つ
だけやればそれで効果が出るというものではないところに小
規模
事業
対策
の本質があり、またむずかしい点があると思いますが、私
ども
あらゆる面におきまして今後及ばざるところを急速に
整備
充実するように格段の努力をいたしたいと存ずる次第でございます。
加藤清政
251
○
加藤
(清政)委員 この点に関して、小
規模
事業
者への
施策
の浸透は必ずしも十分だといえないのが実情でございます。
中小
企業
庁の
調査
によっても、
政府
系
中小
企業
金融機関による長期、低利融資制度を知らないものは三〇%ないし四〇%、それから
中小
企業
信用補完制度を知らないものが六〇%から七〇%もあるというように聞いております。しかも、
企業
規模
の小さいほど、
地方
の
中小企業者
はなお知らないというもので、その比率が非常に高くなっている点に留意しなければならないと思います。これはたいへん問題だと思うのですが、したがって、小
規模
企業
への
施策
の浸透のための広報活動の強化、こういう問題について一体どう取り組んでいるのか、あわせて御答弁を願いたいと思います。
莊清
252
○荘
政府委員
御
指摘
の点は、私
ども
伺いましてまことにじくじたるものがあるのでございまして、重大な反省をしなければならないと思う点でございます。この
施策
のPRについては従来から努力してまいっておるのでございますが、四百数十万の
中小
企業
が全国津々浦々にございまして、いまだいま御
指摘
のような
状況
にあるということはまことに私
ども
遺憾であると存じております。 四十八年度におきましては、
中小
企業
庁予算の中で、この
施策
広報予算というものを七割程度画期的に実は増額をはかりまして、五億八千四百万円にいたしました。さらにこのほかに、小
規模
事業
者のみを
対象
といたしました
施策
広報費といたしまして一億三千百万というものが別にございます。昭和三十八年当時に比べますとさま変わり的な予算の充実をいたしておるわけでございますが、今後も
中小
企業
業界からの実際の御要望も再度よく私
ども
調査
をしてみまして、従来からやっておりますテレビとか映画とかパンフレット、月刊誌等いろいろな手段を講じてやっておるのでございますが、これがさらに真に効果的な
運用
されまするように、私
ども
運用
面の改善も含めまして、予算の充実と
運用
の改善と両方に特段の努力をいたさなければならないと
考え
ております。
加藤清政
253
○
加藤
(清政)委員 せっかくの融資制度ですから、特に
中小
企業
、小
規模
事業
者に対する融資を最大限に利用させて、やはり
近代化
をはかっていかなければならないいそのようなことで、きわめてそういう制度を知らないがために、せっかくのこの
施策
を浸透できないわけですから、PRには万全を期してこの融資制度を利用していただく、それについてひとつ格段の御努力を願いたいということを希望したいと思います。 そこでこの
法律
を所管されている
公正取引委員会
の
委員長
、
事務当局
にお聞きをしたいと思うのですが、まず今回の改正で、下請代金支払遅延等防止法の親
事業
者と下請
事業
者の定義を変えようとされておりますが、その内容はどういうことなのか、わかりやすくひとつ御
説明
願いたいと思います。
吉田文剛
254
○吉田(文)
政府委員
今度は下請
事業
者になり得る者の範囲は、資本金の上限をいままでは五千万円というふうにしておりましたものを一億円に引き上げるということでございます。したがいまして、親
事業
者に該当するものは、資本金の額または出資の総額が一億円をこえる法人である
事業
者で、個人あるいは資本の額が一億円以下の法人である
事業
者に対して
製造
委託、修理委託をするもの、これが
一つ
、それから、資本金額が一千万をこえ一億円以下の法人である
事業
者で、個人または資本金の額が一千万円以下の法人である
事業
者に対して
製造
委託、修理委託をするもの、こういうふうに五千万円のところが一億円ということになるわけでございます。
加藤清政
255
○
加藤
(清政)委員 この下請代金支払遅延等防止法で、いま五千万円の法人たる
事業
者、これが一億になって、個人または資本の額もしくは出資の総額が一億円以下の法人たる
事業
者に対して
製造
委託をする、または修理委託云々という御
説明
がいまありましたが、この点についてお尋ねしたいのは、特にこの下請代金支払遅延等は、最初にできたのはやはり下請業者に対する積極的な救済策として、たしか下請代金支払促進法というようなことや、あるいは遅延等防止法というように変わってきましたが、したがって、下請代金はすみやかに払うというのが原則であるわけであって、六十日以内に払うとか、あるいは不当な値引きとか、返品等を禁止した、そういう制度で、下請業者の積極的な
保護
策として取引力の
向上
ということでできたと思うのです。 そこで、今回の改正によれば、たとえば資本金額が八千万円の
企業
と下請
関係
にある資本金額が三千万円の
事業
者は、下請
事業
者として法的
保護
を受けられなくなるわけですね。 〔羽田野
委員長
代理退席、
委員長
着席〕 一般的にいえば、資本金額が五千万円をこえて一億円以下の親
企業
と下請
関係
にある資本金額が一千万円をこえ五千万円以下の下請
企業
の取引は、今回の法改正によって下請代金支払遅延等防止法の
規制
からはずされるということになると思うのですが、このような
規模
の小さい一部の下請
企業
が
保護
の
対象
からはずされるというのはきわめて問題だと思うのですが、この点について公取はどうお
考え
ですか、お尋ねしたい。
吉田文剛
256
○吉田(文)
政府委員
先生おっしゃいましたように、確かに今回の改正案が成立しますれば、たとえば資本金八千万円の
事業
者と資本金三千万円の
事業
者との取引は下請取引とは異なるということになるわけでございます。
製造
委託等の取引の実態を見ますと、資本金一千万円超五千万円以下の
事業
者が、資本金一億円をこえる
事業
者から
製造
委託、修理委託を受けている場合が多い。これが大部分でございまして、資本金五千万円をこえ一億円以下の
事業
者との取引はきわめて少ないというふうに
考え
るわけでございます。これを実際に
調査
したことがございますが、資本金五千万円超、一億円以下の
事業
者と、資本金一千万円超五千万円以下の
事業
者との下請取引の実態につきまして、昭和四十七年十二月末現在で、
製造
業に属します資本金一千万円超五千万円以下の
事業
者六百五三社について
調査
した結果は、以下申し上げるとおりでございまして、資本金五千万円超一億円以下の
事業
者との取引の比率はきわめて低い。その
一つ
は、資本金一億円超の
事業
者とのみ下請取引しておるものが六百五十三社のうち三百二十四社、それから資本金五千万円超一億円以下の
事業
者とのみ下請取引しておるものが二十二社、それから以上申し上げました双方の
事業
者と下請取引しているものが三百七社でございますが、この場合の下請依存度、下請に依存しております割合は資本金一億円超に対しては五七%、資本金五千万円超一億円以下に対しては一六%という数字が出ております。それから次に資本金一千万円超五千万円以下の
事業
者も、資本金五千万円超一億円以下の
事業
者も、これはともに
中小
企業
ということになるわけでございまして、取引上の力の差はきわめて小さいのではないかという点、したがいまして、下請法上特に
措置
しなくても支障はほとんどないのではないか。ただ、八千万円の
事業
者が三千万円の
事業
者に対して不公正な取引を行なったような場合、つまり事実上下請法違反の
行為
をやったような場合には、これは独占禁止法の不公正な取引、一般指定の十によって
措置
ができるわけでございます。
加藤清政
257
○
加藤
(清政)委員 支障がないのではないかという御答弁がありましたが、従来五千万円を水準にいたしまして、それからさらに一億という上限になって、まん中の五千万円が取り除かれたということになるわけでありますけれ
ども
、特に下請業者の問題については、先ほ
ども
触れましたが、積極的に取引力の
向上
をはかると同時に、未然に下請業者に対する
対策
というものを立てていかなければならないという角度から、従来の既得権としての下請業者が今度はずされるということになるとたいへん不
利益
をこうむるわけであります。そこで、これはひとつ下請業者に限っては、五千万円を限度としてむしろ留保されるべきではないかと私は
考え
るわけでありますけれ
ども
、このことについて、独占禁止法または一般行政指導によっては、はずされる人たちに対する万全の
措置
を講ずる用意があるかどうか。その点、最後にお聞きしたいと思います。
吉田文剛
258
○吉田(文)
政府委員
確かに、先生おっしゃるとおりでございまして、資本金五千万円超一億円以下の
事業
者に取引上優越した力の乱用行使が認められる場合には、これは独禁法の不公正な取引として
規制
してまいるというつもりでございます。また、下請法に直接これが乗ってこなくても、行政指導によって支払い遅延等をなくすようにしてまいりたい、こういうふうに思います。
加藤清政
259
○
加藤
(清政)委員 時間も参りましたので、
質問
をこれで終わります。
浦野幸男
260
○
浦野委員長
次回は、明後十三日午前十時
理事
会、午前十時三十分
委員会
を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時三十二分散会