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福田(一)
議員 お説のとおり、今度認める
無籍織機の
台数のうちの四分の一というものは、全体の
織機の
無籍でないものも含めて五年間に減らすようにする、こういう
条文になっておることは仰せのとおりでございます。しかし、いま実際に非常に少数の——少数といいますか、
零細企業のお方が仕事をされておって、それが相当過酷な状態にあられるというお話を聞くのでございますけれ
ども、そのとおりであります。しかし、この織
布業というもの全体がうまく運営されるような仕組みに持っていかない限りは、そういうような非常に過酷なといいますか、工賃などが安いというようなことも、いままで
一つの
親機がいろいろやったとか商社がいろいろやったとかいうように、
自分の利益のためにそういう
人たちに、場合によっては金を貸したり、あるいはあなたおやりなさい、仕事は出してあげます、こういうことを言ってやっておったわけでありますが、そういう場合、工賃などをある程度引き上げるという場合にも、そういう
無籍のものが
存在いたしておりますと工賃の引き上げということは、いつでも商社とか、あるいは
親機から押えられてしまう。
親機がそれを利用して、それならおまえのところに頼まないでいい、うちの
関係しておる機屋さんで織ってもらうからということでだんだん工賃を下げておる。これが
織機関係全体に及ぼしておる悪影響というものはたいへんなものだということはあなた方もよくおわかりを願っておるところだと思うのでありまして、やはりこの際、
織機を全部表へ出しまして、そうしてみんなが協力をいたしますれば、いかに綿の
関係すなわち紡績
関係とか、あるいは化繊の
関係、そういう原糸メーカーというものが無理をしようとしてもこれを防ぐことができるわけであります。ところが、
無籍が
存在いたしますと、あそこでやれば安いのに何でおまえのところはやらないのだと言われると、機屋さんというのは非常に弱い立場にありますから、これが非常に困るわけです。これはもうお認め願えると思うのでありますが、そういうような小さい機屋さんが
無籍を持っておることも事実でありますから、それならば、ほんとうは
法律を認めないでやってもらっておるのだが、しかし、そういう零細のお方を救うためには四分の三は無条件で
登録の
権利を与えましょう、だけど、その残りの四分の一につきましては——全部が全部それを与えてしまいますと、いままで
法律をちゃんと守っていた人あるいは
省令をちゃんと守っていた人からは非常な不平不満が出るわけでございます。私は、
法律というものは、大多数の人の利益というものも少数の人の利益と同様に十分重んじていかなければならないと思うのでありまして、無条件でそういうものを全部認めるということにした場合に非常な不平不満が出てくると思います。
それから、この織物の需給
関係を考えてみますと、すでにこれはあなたももうおわかりかと思いますけれ
ども、綿などはどんどん方々で
制限をしたりいたしておりまして、これが今度は化繊のほうへ回っていくか毛へ回るか知りませんが、これは非常に問題点が多くなってまいります。それからまた、いまのところは日米綿製品協定が結ばれるということがあって、在庫が非常にタイトになっておったところへ
需要がふえてきましたから、そこでどんどん景気がよくなって、いまのところは非常に仕事が忙しいのでありますけれ
ども、しかしもうすでにそのかげりが出てきておることもあなたは御
承知だと思うのでございます。御勉強になっておられますから十分おわかりを願っておると思うのでありまして、そのかげりが出てきておる段階がもうすでにきておる。しかも、これからは韓国とか台湾というようなところへ商社が注文をしたりして、同じ品物を安く輸入するというようなことが出てきますと、またそれが影響する。こんなような問題等も踏んまえていきますれば、いまの稼働率が非常にいいということが必ずしも長続きするとは考えられません。また、実は
通産省が審議会にいろいろ依頼をいたしまして、今後の
需要の見通し、供給の見通し等を研究さしていますが、これにおきましても、やはり五年後においてはいまより以上に
織機台数を必要とするというか、
生産能力を必要とすることはないだろうというような答申が出ておる
関係もございまして、この際そういう不公平とか需給の
関係とかをにらみ合わせて、いままで
法律に基づいて
登録をやっておった人の
台数も含めて今度全体の
無籍の四分の一、その数字だけは減らすような計画がそれぞれの組合でできるならば、その分は一応先ほど仰せになった
零細企業という立場を十分考慮してひとつ認めていこうではないか、こういうことが
法律の精神であり、またそれの精神を立法化いたしておる、かように私は理解をいたしておるわけでございます。