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1973-07-04 第71回国会 衆議院 商工委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年七月四日(水曜日)    午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 浦野 幸男君   理事 稻村左四郎君 理事 田中 六助君    理事 羽田野忠文君 理事 板川 正吾君    理事 中村 重光君 理事 神崎 敏雄君       稲村 利幸君    小川 平二君       越智 伊平君    大久保武雄君       木部 佳昭君    近藤 鉄雄君       笹山茂太郎君    塩崎  潤君       田中 榮一君    八田 貞義君       増岡 博之君    松永  光君       加藤 清二君    上坂  昇君       竹村 幸雄君    渡辺 三郎君       野間 友一君    松尾 信人君       玉置 一徳君    宮田 早苗君  出席国務大臣         通商産業大臣  中曽根康弘君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         通商産業省企業         局長      山下 英明君         通商産業省企業         局次長     橋本 利一君         中小企業庁長官 莊   清君         中小企業庁指導         部長      生田 豊朗君  委員外出席者        議     員 稻村左四郎君         議     員 福田  一君         議     員 加藤 清二君         議     員 中村 重光君         議     員 玉置 一徳君         参  考  人         (日本百貨店協         会会長代行)  井狩治郎君         参  考  人         (日本チェーン         ストア協会会         長)      中内  功君         参  考  人         (全日本商店街         連合会会長)  並木 貞人君         参  考  人         (主婦連合会副         会長)     春野 鶴子君         参  考  人         (協同組合連合         会日本商店連盟         専務理事)   三浦 正義君         参  考  人         (日本商業労働         組合連合会事務         局長)     山本 勝一君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  大規模小売店舗における小売業事業活動の調  整に関する法律案内閣提出第一〇九号)  中小企業団体組織に関する法律に基づく命令  の規定による織機の登録の特例等に関する法律  案(稻村左四郎君外五名提出衆法第四八号)      ————◇—————
  2. 浦野幸男

    浦野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律案を議題といたします。  本日は、参考人として日本百貨店協会会長代行井狩治郎君、日本チェーンストア協会会長中内功君、全日本商店街連合会会長並木貞人君主婦連合会会長春野鶴子君、協同組合連合会日本商店連盟専務理事三浦正義君、日本商業労働組合連合会事務局長山本勝一君、以上六名の方々に御出席を願っております。  この際、参考人各位一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には、御多用中のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。  本委員会におきましては、大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律案について審査を行なっておりますが、本日は、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の審査参考にいたしたいと存じております。  なお、議事の順序でございますが、初めに御意見をそれぞれ十分程度に取りまとめてお述べいただき、次に委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。  まず、井狩参考人お願いいたします。
  3. 井狩彌治郎

    井狩参考人 私、日本百貨店協会会長の職を代行いたしております大丸社長井狩でございます。  古屋会長病気静養中でございますので、その間私が会長代行をつとめさせていただいておるような次第でございます。  日本百貨店協会は、百貨店業界を代表する唯一の団体でございます。  会員は百二十四社、店舗数では二百二十五店ございまして、百貨店法適用店売り上げ高の九四・七%を占めておるのでございます。なお、百貨店売り上げ高欧米諸国とほぼ同様でございまして、小売業全体の約一〇%を占めておるのでございます。  さてこのたび、意見を求められました大規模小売店舗法案につきましては、日本百貨店協会といたしましては、後ほど申し述べますような当協会要望基本線におきましてはほぼ一致していると考えますので、本法案賛成でございます。つきましては、すみやかに今国会における御審議を尽くされ、今国会において、成立の上実施に移していただきますよう切望いたす次第でございます。  私どもは、かねて従来の百貨店法につきまして、時代変化に即応した改正必要性を痛感しておりましたが、特に昭和四十五年五月以来、しばしば法律改正政府要望してまいったのでございます。  まず、その理由を簡単に申し述べさせていただきます。  御承知のように、百貨店法は、昭和三十一年六月十六日に施行されまして、そのまま今日に至り、実に十七年余を経過いたしておるのでございますが、この間に、百貨店法のよって立つ経済社会情勢は一変いたしまして、いまや激動する流通業界におきましては、何人といえども、この変化に対し、適切果敢に対応していかなければならないきびしい環境下に置かれながら、大型小売業の中で、ひとり百貨店業者のみが、しかも、十七年余も前に制定されたままの法律によって拘束されているということでございます。  このようなことは、百貨店とその他の大型小売業との競争条件の不公平という点からはもとよりのことでございますが、流通近代化推進消費者福祉増進、さらには外資自由化推進等新しい流通政策の流れの中にありまして、きわめて不合理なことと考えるからにほかならないのでございます。  私どもは、現行百貨店法あり方の再検討にあたりましては、ひとり百貨店立場だけでなく、広く多くの中小小売商消費者立場流通近代化の路線、資本自由化本格化等、私どもなりに多角的、総合的な観点から、七〇年代におきます流通政策あり方につきまして、真剣な検討を加えてまいったのでございます。  その結果、基本的考え方といたしまして、小売商業全般の秩序ある発展を期する見地に立ちまして、自由競争原理では一がいに律しされないわが国小売業界現状を踏まえつつ、当面まず、現行百貨店法を、現在及び将来にわたっての経済社会情勢に十分適合するものに改正することが何よりも先決であるとの結論に到達いたしたのでございます。  私ども要望しております法改正につきましての考え方の要点は、次の三点でございます。  第一は、中小小売商立場を考慮しながら、流通近代化の円滑な推進消費者福祉増進に重点を置いた考え方へと、法律の性格を前向きに改めること。  第二は、百貨店とその他の大型小売業について、法の公平をはかることを主眼とすること。  第三は、法律規制対象及び規制内容について、合理化近代化すること。  以上、私ども宿年主張につきましてその要旨を申し述べさせていただいたわけでございます。  一方、政府におかれましては、去る昭和四十五年十二月以来二年余に及ぶ通商産業省産業構造審議会流通部会審議及び関係業界を含めての慎重な検討の結果に基づき、今回の法律案提出に至ったものでございまして、この間の御努力に対し、私どもは深く敬意を表するものでございます。  本日、意見を求められております大規模小売店舗法案につきましては、以上申し述べました私どもの年来の主張がおおむね取り入れられた内容になっておりますので、冒頭に申し上げましたように賛成でございます。  いまや、わが国流通部門に対する資本自由化要請はきわめて強く、また国内におきます流通近代化推進は焦眉の急となってまいりました。つきましては、強大な外資本格的進出が始まろうとしております今日におきまして、外資をも含めて、わが国小売業界全体が健全な秩序ある発展を遂げることができる体制を、本法案の今国会における成立によりまして、ぜひ確立していただきますよう、重ねて切にお願い申し上げるものでございます。  以上で本法案につきましての意見は終わらせていただきますが、この機会に二点ほど申し上げさせていただきます。  われわれ百貨店といたしましては、かねてから百貨店経営あり方につきまして、改善の努力を払ってまいったのでございますが、この機会に、決意を新たにいたしまして、なお一そう努力を重ねてまいりたいと存じでおるのでございます。  次に、中小小売業者に対しましては、この法律と相まって、さきに本院を通過しております中小小売商業振興法をはじめとするもろもろの振興策が講ぜられることを期待いたしまして、中小小売商との共存共栄の実をあげるよう、格段の努力をいたしてまいる所存でございます。  御静聴ありがとうございました。
  4. 浦野幸男

    浦野委員長 次に、中内参考人お願いいたします。
  5. 中内功

    中内参考人 本日は、この商工委員会の席に参考人としてお招きをいただきまして、御審議にかかりますこの法案につきまして意見を述べる機会を与えられましたことを非常に光栄に存じておる次第でございます。厚くお礼を申し上げる次第でございます。  通産当局並びに小売団体の間で、長年の議論中心でありましたこの法案本格的審議が始まりますことに関しまして、チェーンストア業界一員としまして非常に感慨無量のものがございます。  結論から先に申し上げますならば、われわれチェーンストア業界意見としましては、いろいろこれまでの自主的な運用についてのお願いがございますが、原案どおり法律成立さしていただきたい、この一言になると思う次第でございます。  昨年の十月、この衆議院商工委員会流通小委員会の席上にお招ねきを受けました際も申し上げたところでございますが、もともとわれわれチェーンストア業界は、流通市場の本来のあり方は、公正にして自由な競争、これを柱として確立されなければならない、この自由競争原理に立ってこそ初めて流通近代化合理化が進められる、そして企業の創意くふう、生産性向上への努力により生み出された成果消費者指向型経済へ、また企業としての社会への還元になる、こういう基本理念に立っておるのでございます。経営姿勢もすべてこのような信念で貫かれているべきだと考えておる次第でございます。したがって、自由競争規制として働きます制限的な制度、また古い既得の権益を守ろうとするいろいろの保護の体制につきましては、常にその緩和や撤廃要望し続けて今日まで来たっておる次第でございます。したがって、百貨店法に関しましても、かねがねその撤廃要請し続けてまいりましたが、ここ三年にわたります産業構造審議会中心として進められましたいろいろの御相談にもあずかりまして、また、答申後の小売問題研究会における議論も踏まえまして、私どもとしましては、その結論に一応従うことが現在の時点におきます社会的責任であると考えるに至っております。われわれとしましても、消費者の本格的な参画のない小売業界利害調整だけによりますこの結論には、納得がいかない点も多々あるわけでございますが、この問題を中心として長年議論を重ねてきましたこれまでの経緯や複雑な環境情勢をとくと勘案いたしまして、新法設立施行に同調いたすことといたしたようなわけでございます。  御承知のごとく、私どもチェーンストア業界は、大衆の日々使用されます生活必需品中心として品ぞろえをいたしまして、いかに良質の品物を安く供給できるかということをその存在の理由としまして、百貨店小売店との間におきます大きな消費の空間を充足させるべく、また一方、流通近代化に励んでまいったわけでございますが、最近この物価上昇の局面に直面いたしまして、その使命と任務の重さにいまさらながら思いを新たにいたしておるような次第でございます。  一例をあげさせていただきますと、先般大豆の極端な不足によります豆腐の小売価格が一斉に値上がりしました際におきましても、私どもチェーンストア業界だけは、何とか計画的な仕入れ、計画的な販売により、従来の価格を維持しようということで力を尽くしてまいりました。少しでも物価の値上がりの歯どめになりたいというふうに考えまして、一部の商品でございますが、価格凍結宣言どもいたしておりまして、協会会員企業の中におきましても、次第にそのような姿勢がふえてまいっておる次第でございます。また、凍結いたしております商品品数も、昨年よりも徐々にその品数をふやしていきつつあります。その他の商品につきましても、大量仕入れによります薄利多売、このような方法を使いまして、また一方、流通合理化というふうな手段にこれを使うことによりまして流通コスト削減をはかっておる次第でございます。すべて消費者利益確保、そして少しでも消費者にお役に立ちたい、このような考えに基づいて企業姿勢をつくり上げておる次第でございます。  一方では、既存の百四十万軒に及びます中小小売商業との間の協調考えねばならない、このように思っておる次第でございます。完全な総合小売業というものはこの世の中には存在しないものであり、ことに消費高度化多様化複雑化、また個性化時代を迎えております。したがって、それぞれの客層に応じた小売業競争的に補完関係をつくり上げることが必要となってきてると考える次第でございます。  豊富な品ぞろえを提供します百貨店専門的知識技術を提供する専門店もより的便宜性を提供する小売店、セルフサービスによる安さを強調するチェーンストア、それぞれの個性が強く消費者に訴えられる、そういう時代が来るべきだと考える次第でございます。  このような観点からも、われらチェーンストア業界としましては、いよいよ社会的使命の重大であることを痛感しまして、さらに低価格販売に挑戦をしていくことになると考える次第でございます。それをささえます一つの大きな要素としまして、大量仕入れにおきます規模の大きさというものがあることは、先刻御承知のとおりでございます。計画的に商品を大量に仕入れ、大量に販売する組織が必要だと考える次第でございます。それを可能とするものが、端的に申し上げますと、店の数をふやすことである、そして出店をするということであるわけでございますので、自由な出店規制するということが一番流通近代化を阻害することになると考える次第でございます。  特に、い、ずれは上陸するであろうと予想されます巨大外資を含めまして流通業界国際化時代を迎えることは論をまたないわけでございまして、国内体制を固め、そして当面の課題を考えますと、出店規制を強化されますことはどうしても賛成いたしかねるところであります。法案の御趣旨が消費者利益確保、これを十分に念頭に置いていただくことにより、その一方では、現状としては中小小売業事業活動機会確保しなければならないということについては協調をいたしたいと考える次第でございまして、このような理由でこの法案成立には賛成いたしたいと考えるものでございます。  以上、申し述べさしていただいておる次第でございますが、法律原案どおりといたしまして、その他、大幅にゆだねられております運用面におきましては、次のことをお願いを申し上げたいと存じます。  一としては、事前審査ということでございますが、これを特に法律の中に字句で表現されましたことによりまして審査許可制と誤って運用されないように、つまり次第に原則的に新増設が禁止されるようなことに変質したり変貌したりすることのないように、行政御当局におきましてはこの運用に誤りのないようにお願いをいたしたいと存ずる次第でございます。  二としましては、営業時間と休日の問題でございますが、この国の現状としましては週休二日制というものがどんどん進んでおります。休日制を中心としました余暇活動時代というものを迎えておるわけでございまして、ますますこの傾向は広がっていくと存ずる次第でございます。ことに共かせぎの家庭の激増または主婦のパートタイマーへの進出、深夜族の増加等、このような生活態度変化ということがございます。それはひっきょう、生活者の行動が拡大し、解放されることでありまして、勢いこれらの消費に対応する時と場所とその機会において、いわばいつでも応じられる常時販売体制というものが要求されることとなってまいります。  また一方、北海道から沖繩県まで、おのおの日没時間の差のあることや、または都道府県におきましてのその地域事情や、同じ都市内におきましても、駅前商店街住宅地域など、地区地区事情もございます。それは千差万別と考えられますので、消費者利便をそこなわないように、特に営業時間、休日につきましては弾力性ある運用が与えられますように御配慮をお願い申し上げたいと存ずる次第でございます。以上、いろいろと意見を申し述べさしていただきまして重ねてお願いを申し上げる次第でございますが、新法は一応原案どおり成立さしていただき、その運用におきましては、十分弾力的に消費者利便流通近代化による流通コスト削減、このような社会的要請を勘案していただきますことをお願い申し上げる次第でございます。ことに出店活動につきまして届け出制の本旨をそこなうような規制の加わりませんように切にお願いを申し上げる次第でございます。  以上、参考人としまして意見を述べさしていただいたわけでございます。ありがとうございました。
  6. 浦野幸男

    浦野委員長 次に、並木参考人お願いいたします。
  7. 並木貞人

    並木参考人 御指名を受けました並木でございます。  私ども団体は、全国の都道府県商店街連合会統合団体でございまして、傘下会員は津々浦々に至る商店業者を包含したものでございます。現在約二百万に達しておるわけでございまして、これらの統合団体といたしまして、私ども環境整備指導事業あるいは消費者対策その他の諸事業を進めております。その傘下約二百万のうち中小企業が九九・七%、四人以下の従業員を持っている店が八六・五%、昭和四十五年の商業統計でございますが、かように零細企業の集約した団体で、主としてこれを対象にやっておるわけでございます。  私ども多年の要望でありました中小商業者への圧迫要因の排除という意味でのスーパー規制、それから中小商業振興強化施策一つとしての振興法をともどもお願い申し上げましたところ、中小小売商業振興法につきましては、先生方の非常なる御尽力、御理解をいただきまして、過般通過さしていただきましたことをこの席をかりて厚く御礼申し上げます。  今回ここに上がっておりますスーパー等大型小売店活動調整に関する法律案につきましては、本原案骨子は私ども意見も十二分に入れられた骨子でございますので賛成をいたします。これは、私ども機関を通じてその骨子を説明してございますので、何とぞ一日も早く成立せられんことを切にお願い申し上げる次第でございます。  なお、この原案ができるまでの過程におきまするスーパーあるいは百貨店法でのがれておりました大型店規制につきましては、過般本商工委員会の小委員会におきまして、るるその要因必要性等について御説明申し上げましたので、時間の関係上、省略さしていただきまして、私どもの今日までの過程現状を若干申し上げたいと思います。  私ども中小商業者は、戦後荒廃の焼け野原から、寒暑のおりにもめげず、日夜にわたり鋭意努力し、今日の日本経済の基礎を築き、繁華街を形成したのみでなく、山間僻地住居地にも開店をして、個々の生活設計のためであるばかりでなくして、その地域住民大衆の物資の需給に貢献してきた効果は大きいものがあったと考えておるわけでございます。時代の変遷、交通機関の発達、経済環境社会環境並びに消費者二−ドの多様化等の推移にあいましたが、現在においても、国民の約九〇%に近い消費需給は私ども中小小売商業がまかなっておるのではないかと考えられておりますし、昭和四十七年度中小企業白書にも指摘されておりますとおりに、大規模店に比べ、末端需要に近い段階を中心商業は存在し、その需給の円滑をはかっておる現状はお認めいただいておると考えておるわけでございます。しかるに今日、かつての町づくり設計者であり功労者であった中小小売商業繁華街においては漸次無秩序なる大型店等に侵食をされまして、資力、経営能力、店の設備、労働力、サービスその他劣るために、繁華街から脱落をし、さらには都市近隣地域からもその生活を脅かされるほどの営業状態にまで追いやられんとしておりまするが、私ども努力を重ねまして、一部ではチェーン化共同化協業化等、お役所当局等の御協力も得まして、かろうじてそれらの中における営業の持続が保たれておるというのが実情でございます。これらはすべて、私ども小売商業者努力と精進の不足によるもののみとは言いがたく、経済とか社会環境の激変あるいはそれ以外の大型店の多店化消費需要多様化等外部要因によるところもまたきわめて大きいものがあるのではないかと考えております。  かかる現状下において、多年要望してまいりました大規模店規制法案が御審議いただけることになりましたのは、私ども多年の念願でありますだけに非常に喜びにたえないとともに、皆さま方の御理解ある御審議をいただきまして、一日も早く本法案が日の目を見るように御成立されんことを切にお願いするわけでございます。  また一方、この法案ができるできないのいかんにかかわらず、私どもも十二分に自覚をいたしまして、近代の動向を把握しまして、私どもなりに消費者要請、お役所要請にこたえまして、近代化、再開発、その他共同化等を促進し、消費者需要におこたえする考えは十二分に持っておるわけでございます。  また一方、私ども中小小売商業者が、この法案ができたために特によくなるのではないかという点だけを申し上げておきたいのは、この法案成立した結果におきましては、かつては、大型店繁華街に出てまいりまして、お互いにいやな思いをしながら、感情むき出しで露骨なる販売戦を展開しておりました大型店小売店が、この法案成立によりまして、互いの調整の場を得た結果の出店であるならば、気持ちよく、互いに町の一員といたしまして手を取り合い、町づくりに協力し合い、要請されておるところの再開発近代化あるいは消費者の諸要請等に、環境整備等を含めましておこたえする機会が得られるのではないか、この成果が本法案成立後には大きな効果をもたらすのではないかと考えておるわけでございます。  かかる意味におきまして、御提案なされましたこの法案を一日も早く成立させていただきたいと思います。先ほど申しましたように、現下の情勢である町ぐるみの再開発近代化町ぐるみ消費需要にこたえる道を考えなければならないという意味と、大型店調整のとれた気持ちよい場において環境整備を進めていくのが最善ではないかという意味から、重ねて一日も早く本案が成立するようにお願い申し上げたいと思います。  なお、成立後におきましても、あるいは法案の中にお組みいただくかもわかりませんけれども、要は、法律運用にあるといいますし、政令、運用その他いろいろな問題があとに残されておるものと考えます。政府あるいは先生方当局等の今後の運用いかんによって、私どもは非常に影響を受けるものが出てくるかと思いますので、今後の運営については厳格なる姿勢をもって当たっていただくとともに、本法案骨子中心としたもので一日も早く御成立のほどを切にお願い申し上げる次第でございます。  よろしくお願い申し上げまして、私の陳述にかえさせていただきます。
  8. 浦野幸男

    浦野委員長 次に、春野参考人お願いいたします。
  9. 春野鶴子

    春野参考人 主婦連合会の副会長をいたしております春野でございます。  本日の参考人として、たいへん恐縮ですが、委員長から比較的突然の御指名を受けましたもので、内部でこの法案について十分煮詰めたり、また他の消費者団体の皆さんといろいろ討議する余裕を持ち得ませんでした。したがいまして、ただいま申し述べますことは相当ずさんな点もあろうかと思いますが、お許しをいただきたいと思います。  消費者立場といたしましては、非常に変動の激しい経済状態の場合、特に経済商業活動などにあるものさしをつくりましても、それが間もなくして実情に合わない、そういうようなことも多うございます。だから規制規制ということは、安全の確保あるいは公害の防止あるいは不当な暴利、不公平、そういうような場合には厳重なものが必要でしょうけれども、原則としては自由な競争が望ましいと思っております。いろいろくふうされた大商店あるいは専門店、自由な場が提供されて、それを消費者は自由に選択する、そういう気持ちを持つものでございます。けれども、従来百貨店法が長く実施された上での実情から見ましても、現在なお過密な大都市あるいは地方中小都市、また同じ東京でも大阪でも、その地区によってそれぞれの格差がございます。そういったことをいろいろ考えますと、住宅密集地もあればこれから住宅ができるというところもあれば、また、商店街が広く広がっていく、新しい都市形成というふうないろいろなこともございますので、こういった法律運用の面でよろしくその実情に即しつつ施行されるのもやむを得ないのではないか、そういうふうに基本的に思っております。  百貨店法が十七年間にわたって実施されてきたのですけれども、三十一年に制定されましたころは、どちらかといいますと中小のお店を強く保護しなければというふうなことが非常に強調されました。それで百貨店側もいろいろ規制されたと思います。百貨店審議会等でも、私どもの代表はいろいろ意見を述べてまいったと思うのですが、しかしいつしか経済の大変動から、外側から見ておりますと百貨店の増加あるいは増築、拡大、これは非常に目立ってふえまして、百貨店法はあるんだろうかというような気もするくらいになかなかにこの百貨店発展ぶり、増改築もまた今度許可されたというふうな例が多かったように思います。また一方、地元の商店街も、百貨店のそういう進出、拡大を大いに歓迎する、これで共存共栄ができてたいへんけっこうだという向きがあったり、かと思うと猛烈に反対される向きもある。いろいろな状態があって今日に及んでいるんですね。  そのうちに、これまた自然の趨勢だろうかと思うのですが、いつしか百貨店のちょっと手前ぐらいの規模スーパーさんが進出された。そうすると、ものによりましては百貨店ともほとんど変わらない、あるいは最初はスーパー的であったけれども、そのうち百貨店同様なふうになっていったというような、これも時代が生んだ一つの産児でございましょうけれども、そんなふうな実情を踏まえて、百貨店のほうは許可制、これは不合理だ、だから百貨店法をやめて、そしてスーパー百貨店のほうも、両方ともいわば中をとったけんか両成敗というふうなぐあいでしょうか、届け出制——届け出制の奥には審査、勧告、命令、ちょっときびしい規制があるようでございますけれども、そういったようなふうにしてこれが生まれたのかしらと思ったりもいたします。  この法案の第一の目的のところに、これも時代の反映でございましょう、消費者利益に配慮しつつということを大きく第一のところにうたわれたというのはちょっと珍しいのでございまして、これは私どもとしては非常にうれしいのですけれども、その消費者利益をどんなふうに配慮されるのか、消費者利益の何に焦点をぐっと合わせられるのか、言わずもがなかもしれませんけれども、そこら辺のことが中をずっと拝見すると少しぼやけて、正体は中小の皆さま方を強く保護するというところの、その上のほうにちょっと消費者利益ということをつけてあるのかしら、これは変な勘ぐりをいたしたくございませんけれども、この点についてはちょっと後ほど触れさしていただきます。  現在の実情やら経過の一、二を申し上げますと、江東区でございますが、そこにあるスーパー進出しょうとされた。そうすると、地元の商店街では感情的と思われるくらい猛烈な御反対があっているわけです。消費者の多くの方に聞いてみますと、むしろこの際進出してもらって、よそ者を入れないというような意識で長く来られた商店街をある程度刺激していただいて、そして地元商店街も大いに奮起していただく、そのほうが好ましいのだ、何も私たちはスーパーだけでものを買ったり、地元のお店を排斥するものではないけれども、いつまでもこんな状態では、地元の商店街が比較的他と比べて高価であり、しかも態度も非常に横柄だ、そういうことを近代化していくためにも好ましいというようなことで、ここはもうものすごい抗争の渦が巻いているわけでございます。  そうかと思いますと、これは私の住んでおります目黒の地区の実例でございますが、かわいらしいスーパーが商店街のどまん中にできました。その当時その周辺の小売店が四、五、つぶれるのではないかしら、こういうふうに見ておりましたら、つぶれるどころか、それができたことによって非常に周辺の商店が奮起されまして、清潔にもなり、販売努力をされる、そのうちにスーパーのほうがどういうわけかあっさりつぶれてしまいまして、商店街のほうのどなたもつぶれることなしに、非常に評判のいい商店街になられた、こういう例もございます。  それから同じく、これはちょっと昔ですけれども、四国のほうに百貨店進出する。その場合に、東京のほうからいろいろ地元の消費者団体と話し合っていろいろ御注意を申し上、げたわけですが、そうしましたら、地元の商店街もそれから消費者の皆さんもぜひ早く出てきてほしい、こういう御賛成があったり、それからまた、これもごく最近のことですけれども、山形のほうのある一つの地区でスーパー進出した。その数ヵ月たっての影響調査を拝見しますと、百貨店のほうは敵になるどころか相変わらず売り上げは伸び、それから地元商店街のほうの商店の皆さまの中で売り上げが減ったというところが約四〇%、あべこべにこれができたことによって伸びたというお店が二〇%、そういったふうないろんな状態が出ているわけでございます。これからもう大なり小なりこういったふうな実情の波紋は至るところで描かれることだと思いますし、したがって、この法律運用されますについて、従来のこの百貨店審議会以上に、大規模小売店舗審議会というこの審議会の任務が非常に大きいことだと思いますし、この審議会の内部が利害抗争、対立、そういうことの渦巻きにならないように、よほど慎重に、あるときは弾力的に、あるときは厳正に、これからのこの運用が非常に大切だと思います。  最後に、この法律を拝見いたしましての感想は、さきに申しました第一の目的、「消費者利益に配慮しつつ、」というのがどうぞつけ足しでございませんように、真に中小の皆さま方の繁栄と大型の皆さん、そして消費者利益、これが三つ、一番最後に実は消費者がというものでなくて、三者公平な同等の立場に立っての配分、そういうことが大事だと思います。法律の上で「消費者利益」ということをトップに載せられたこの法律の意義を十分実際に生かしていただきたい。単に業界だけの代表の利益調整、そういうことだけを目的にするものであれば、利害抗争というものはいよいよ激化したりするのではないか、こう思うのです。  それから第三のところの千五百平方メートル、それから三千平方メートルと数値がはっきり出ておりますが、これは私どもの勘ぐりかもしれませんが、頭のいい人が二千八百なのです、あるいは千三百なのです、こういう設営をされた場合に、これは一向に届け出なくても、つまり法の盲点といいましょうか、そういうことはなかろうと思いますけれども、かと思うと、ちょっとはみ出る、ちょっと足りないというような数値でとんだ意外なトラブルが出てくるということをちょっと心配いたします、いい悪いは別といたしまして。といいますのは、薬事審議会等で薬品販売業の新規店舗を設けます場合に、距離制限というのにはっきりと百五十メートルあるいは二百メートルというふうなことをうたい上げてございます。いまそれは実情に合わせて相当緩和して許可しようというふうに相なりつつございます。その審議会の場でも一メートルあるいは半メートル足りないばかりに、消費者は非常に必要と思う場所にその開業許可がおりないというふうな、数字のものさしというものが実に実情とずれた悲劇を生むこともなきにしもあらず、非常に多かったのでございます。実態は消費者地帯がぐっとふえたりあるいは減ったり分散したりいろいろございますので、ここら辺の数値が非常に気になるところでございます。あんまりしゃくし定木にこの数値一点ばりにこだわりますと、とんだことが起こり出すような気がいたしてなりません。  それから第六のところですね。届け出がありました場合に通産大臣は「大規模小売店舗内の小売業事業活動が、中小小売業事業活動に与える影響を審査するものとし、必要があると認めるときは、大規模小売店舗審議会の意見をきいて、第五の規定により届け出た者に対し、届出日から三月以内に限り、消費者利益を配慮しつつ、」と、ここに「消費者利益」が出てくる。これは最初からやはり中小のお店の皆さまのこと、それから消費者利益というものを同時に踏まえて同時に意見を求めて大臣がお考えになるという、こういうことが望ましいと思います。  それからさらに続いてその二項でございますが、「開店予定日を延期すべきことを命ずることができるものとする」、三項には、「前二項の場合において、地元商工会議所等の意見を聴し、答申を行なうものとする」、この場合も地元商工会議所だけでなくて消費者側の意見を十分同時に聴取されてしかるべきだ。何もかも中小の皆さま方と同じように取り扱いなさいと、そういう意味でなくて、多少余分であっても、すべて消費者側はどのように思うか、どのように見ているか、そういうことを最初から十分おくみ上げになって、初めて「消費者利益を配慮しつつ、」という証拠になるのではないか、そのように思います。  それから次の第七のところでございますが、休日だとか閉店、開店の時間云々ですね。これも週休制の声も高いおりからですし、いろいろ大小のお店によってくふうし、販売態度、休日等におきめになると思うのです。その場合に、いままでの例ですと、業界同士の利害あるいは売り上げといいましょうか、そんなようなこと、それをもとにして、そして互いにセーブし合ったり牽制したり出し抜こうとしたり、そんなふうなことできめられているのではないか。ところが、消費者のほうもいろいろ事情の変動がございまして、いまでもせっかくいろいろのお店があるのに、さて働いて七時ごろわが家の近くに来てももう何も買うことができない、どこもあいていないという不便をかこつ共かせぎの三十代、四十代の主婦たちも多いのでございます。そこら辺のこともございますので、ほんとうにこれはお互いの利害打算ということだけを中心でなく、あるいは労働条件その他もございましょうし、そこら辺の場合に消費者の状態はどうかというようなことを十分胸襟を開いて御討議願いたいと思います。  原則はトップに述べたとおりでございますが、願わくば、とかくに消費者利益というふうなうたい文句で、中は実は利害抗争の一種の調整である、事あらば何とか出し抜いていくというふうなことでなしに、真にこの規制はまことに当然であった、また、いい目的を果たされた、果たしたというように運用されることを希望して終わります。ありがとうございました。
  10. 浦野幸男

    浦野委員長 次に、三浦参考人お願いいたします。
  11. 三浦正義

    三浦参考人 日本商店連盟の三浦でございます。  私ども小売商が多年の念願、むしろ悲願とでもいうべきでしょうか、この百貨店法改正案が大規模小売店法案として国会でお取り上げいただいたこと、そして審議されることになりましたことを心から厚く御礼申し上げます。  最初に結論を申し上げますならば、この原案に対して私ども小売商は、一〇〇%満足すべきものであるということではないのですけれども、しかし事態は大型店が全国的にメジロ押しに進出する機運となっておりますので、とにかく野放しとなっている大型店規制するために、一日も早くこの法律案を通していただきたいと念願するものでございます。  私どもこの法律案につきましては、在京の小売団体が二年前から互いに相提携し協力して運動を進めてまいりました関係上、この内容につきましても数回にわたって検討、論議したのでございますが、特に許可制届け出制に後退せしめるということにつきましては議論もありましたけれども、いろいろ消費者サイドの立場から、また小売商の中にも、小売商が相集まって大型店を形成していきたいという念願もございましょうし、大筋においてこの原案を認め、一日も早く実現させていただきたいというのが結論でございます。  現行百貨店法がありながら、既存の百貨店を売り場面積においても凌駕し、また売り上げ額においても凌駕するといったような大型店がなぜ出現したのかといいますと、私は、大体大きく分けて四つの要因があったのではないかというふうに考えております。  その第一は、申すまでもなく百貨店法の不備でございました。従来の法律企業単位と申しましょうか、そういう規制のしかたであったために、複数の系列企業設立によってうまく法の盲点を突いたというところにございます。  第二の要因といたしましては、わが国のいわゆるここ十年間の高度成長経済の余波を受けて、膨大な消費財生産設備投資が行なわれ、これに伴う大量生産体制の確立、これを消化するためにはどうしても大量販売システムが要るのだ、こういう要請に応じて、店舗の大型化とマンモス化が急激に進んだものと考えられます。  第三の要因といたしましては、新規開店に必要な新しい土地の入手あるいは建物に対する膨大な資金へこういうものに対していわゆるこの先行投資をささえたものは金融機関だけでなく、ほとんどの大型商社がこれに関与した、後援をしたということでございましょう。  そして第四番目には、残念ながら私ども中小小売業者においても、この新しい時代に対応できるような近代化対策がおくれたということでありまして、大型店が易々として出店することを許したということを不本意ながら認めざるを得ないのでございます。  しかし、いずれにいたしましても、このような大型店がどんどん進んでいくということが国民生活にとって好ましいものである、消費生活を豊かにし豊富にする、しかも量的にも質的にも充実せしめていくということでありますならば、私どもはある程度がまんをしなければなりませんが、今日の情勢は必ずしもそのようには考えられません。  そもそも各国の流通構造というものは、その国の歴史的あるいは風土的環境経済社会の諸条件に深くかかわり合いがあるのでございまして、わが国の小売商の構造もその大部分が中小型であり、したがって、その数も百五十万に達するという多数であるということは、一見むだのようでございますけれども消費者側の日常生活にとってみましても実に密接な関係があるのでございます。かりにこの中小小売店流通近代化をはばむものである、あるいは非効率であるという理由で切り捨ててしまったといたしますならば、一方においては、国民の消費生活にとって重大な危機を招くとともに、他方、百五十万に達する中小小売商店の経営者、家族、従業員、これらを含めて九百万人の生活にも関係する重大な社会問題化することは明らかでございます。  非常に卑近な例を申し上げて失礼でございますけれども、これは新聞にも十分に発表されたことでございますから御紹介いたしてみますと、四月の末でございましたか、国鉄私鉄等のストが行なわれましたが、このとき都心の多数の大型店はさっそく休業なされました。常に消費者のために、あるいは国民のためにとおっしゃって、中小小売商を犠牲にしながら大型化を実現してきた大型店が、このようなときこそ利害を超越して、売るほどある寝具を使用し、従業員の一部を足どめして、せめて生活必需品だけでも、たとえ来客が一割に減ろうとも、その要望を満たすという社会的責任があるのではないでしょうか。幸いわが国は自家営業の中小零細店が依然として多数存在しておりますから、自分一人が休んでも何の遠慮も要らないということでございましょうけれども、またこれは別に社会問題にも何もなりませんでございましたけれども……。  またごく最近の例ですけれども、大問題となった魚介類のPCB汚染の問題でございますが、政府が週間摂取許容量の第一次発表をいたしました直後、これまた一部の大型店ではさっそく最高会議を招集いたしまして、魚介類の販売中止を含む対策を検討したと読売新聞は報じております。力のある大型店としては、日ごろの消費者第一主義をこのようなときこそ貫徹していただいて、できるならば、遠くあるいはシナ海からでもアフリカの海からでも、外国から汚染しない魚介類をある程度損得を超越して入手し、国民の食生活の万全を期すというふうな態度がなぜ示されないのだろうか。もちろんそういうふうな議論は十分にあったとは思いますけれども、新聞の発表では、販売はやめた、もう売るのをやめた、こういうことを内容として議論されたというふうに報道されております。  魚以外のものもたくさん売っている大型店はこれで済むかもしれませんけれども、魚しか売っていない、魚を売ることによってのみ生活している中小商店では、もうやめたというわけにはいきません。また、それは国民の食生活にとってきわめて重大なことになります。やめるわけにはいきませんから、きょうも五千人か一万人の魚屋さんが集まって大会を開き、必死になって安心して売れる魚の入手を関係の向きに訴えることでございましょう。  このように、政府にあるいは社会に働きかけることによって、国民の食生活を維持し、みずからの生活を維持するという、中小零細店はそれ以外に生きる道はない、ほかに代替の方法が容易に求められないというところにあるのでございます。  これらの問題はもはや過ぎたことでございますけれども、私ども考えてみますと、いつ大きな地震がくるかもしれない、あるいはいつ大きな人為的なストライキが起こるかもしれない、そういうどんな場合でも、全国に百五十万にも達するという小売商が分散配置されておりまして、いかなる場合でも、数日あるいは十数日は耐え得る、こういうわが国の商業構造というものは、まことにこれは政府の手によって行なわれたものでもなければ、英知ある指導者によって行なわれたものでもございません。自然発生的にできたものでございますが、やはり神の摂理とでも申しましょうか、国民がほんとうに安心して消費生活が行なえる体制が一応はできておるのではなかろうかという気がするのでございます。  こういったふうに、大型店がどんどん出てくるということは、時代要請とも言われましょうけれども、しかし今日の政策課題が、やはり物価の抑制、インフレの抑制ということが最大の課題であるとしますならば、いわゆる消費需要を含むところの総需要の抑制ということがやはりインフレ鎮圧の一つの役割りを果たすのじゃなかろうかと考えられます。消費者の点から見ましても、この消費者要望はますます多様化あるいは個性化いたしておりまして、むしろ従来の量から質へ転換しつつあるというふうに言われております。これを充足するものは必ずしも大型店には限りません。むしろ生死をかけて一業に徹するところの専門店、小回りのきく近隣の便利な中小店がこのような機能を果たしていることは、消費者側からも漸次評価されております。このことは、都市中心大型店進出する場合、従来見なかった住民サイドの進出反対の運動があらわれております。最近の例では、某デパートと大型商社の提携によるウルトラ・ショッピング・センターが東京環状八号線に設置されようといたしましたが、ただ一人の小売商が参加したでなしに、付近の住民だけの反対によってとんざいたしております。住民の反対理由は、これ以上自動車の往来を激しくして交通公害を引き起こすといったふうなことの原因となる大型店進出はやめてもらいたい、大型店が来なくたって買いものには不自由しておりませんというところにあったような気がいたします。  いずれにいたしましても、最近の大型店進出は、もはや大都市だけでなしに、東北、九州、四国あるいは中国と全国に広がっております。それで、私ども小売商の立場といたしましては、この際、この法律が一日も早く実現されることによりまして、そして大型店中心として、デパートもスーパー小売商も、そのおのおのが特性を発揮して、調和のとれた町づくりが行なわれるということを念願とするものでございます。そして、国民、消費者の全部が、常時、非常時にかかわらず、その要望が満たされていくような流通構造ができ上がることを念願するものでございます。この法律がそれらの機能を私どもは果たすように運用されることを強くお願いいたしますとともに、私どもも全力をあげてそれに協力させていただきたい、かように思うものでございます。  簡単でございますが、私の意見を陳述させていただきました。
  12. 浦野幸男

    浦野委員長 次に、山本参考人お願いいたします。
  13. 山本勝一

    山本参考人 まず最初に、私どもにこのような意見開陳の機会を与えていただきましたことを厚く御礼を申し上げたいと思います。  私の所属いたしております組織日本商業労働組合連合会は、百貨店、月販店、スーパー等のチェーン店など、おもに大規模小売業に従事する労働者約七万名をもって組織いたしておりまして、小売業の中におきましては最大の産業別労働組合組織ではないかと存じます。したがいまして、私は、大規模小売業労働者の立場から、今回の法案についての意見を申し述べさせていただきたいと存じます。  私たちは、最近の小売業を取り巻く諸環境の著しい変化というものを考えてまいりますときに、昭和三十一年制定以来十数年を経過いたしております現行の百貨店法というものは現状にそぐわない多くの問題をかかえていることを十分承知しているつもりでございます。特に私たちが百貨店法にからみ問題点としているのは、次のような五つの点でございます。  第一点は、百貨店法がすべての大型店に平等に適用されずに、法のもとに平等な公正競争条件ができ上がっていないという点。  第二は、消費者の欲求の多様化流通機構の不整備等によります物価問題が生起している現実でありながら、消費者の選択範囲を拡大するための設備投資、店舗の新増設等についてきわめてシビアな制限が行なわれているという点。  さらに第三に、営業時間、休日の行為規制についてでありますが、私たち働く者の立場から見ますと、制限ワクを設けられていることはきわめて好ましいことであるというぐあいに判断するわけでありますが、その対象が、すべての大型店に及ぶことなく、なお地方都市と政令都市との間に大きな格差があるということは問題だと考えております。  第四に、百貨店審議会が意見を徴しております商調協の運営の問題でございますが、ややもいたしますと、これは同業競合店間の紛争の場としての性格が非常に強いというぐあいに伺っておりますし、真の意味での中小小売店百貨店利害調整の場ではたしてあるのだろうかという疑問がございます。またさらに、そこには小売店に働く労働者の意見というものが全然反映されてないという点も問題点であるというぐあいに思うのであります。  五番目は、商業立法政策というものは、単に小売店の育成または大規模小売店と中小小売店利害調整ということだけではなく、消費者福祉、それからこの点については、先ほどの参考人の中で春野先生のほうからもお話がありましたけれども、そこに従事する労働者の福祉というものもさらに追加していただきまして、そういうものを三者総合的に考えた中で、いわば流通近代化はどうあるべきかということをトータルな立場考えていただくべきではないか、そのように私は考えるのであります。  以上が、私たちの基本的な考え方でございますが、今回の大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律案を拝見いたしてみますと、そのうちの幾つか、たとえて申しますと、大規模小売店をすべて法律対象とする点など、前向きに検討され改善されようとしている点は、私たちもこれを高く評価するものであります。しかし、次に述べるような点については、率直に今回の改正案の問題点として、私ども逆にここに先生方に御指摘申し上げまして、御一考をいただければ幸いかと思う次第であります。     〔委員長退席、田中(六)委員長代理着席〕  その第一点は、休日、営業時間等の行為規制に関する部分でございます。今回の法律によりますと、第九条によりまして、「閉店時刻及び休業日数」については省令の範囲を越えるものについては届け出が義務づけられているかと思いますが、私たちの心配いたしますのは、その省令の内容がどのようなものであるか、また、許可制届け出制に変更されることによりまして、これが大幅に自由化、緩和されはしないだろうかというような点でございます。御存じのように、現在の百貨店法では、省令におきまして閉店時刻、休業日が規制せられておりまして、政令都市で休業日月四日、閉店時刻原則六時、例外としまして百二十日間七時という時間帯が設定されております。地方都市におきましては、休業日が月わずかに二日でございます。閉店時刻六時、例外といたしまして七時ないしはおそいところは九時までという営業が認められている現状でございます。このような省令がほとんど変更されないまま、あるいは逆に緩和されるという形におきまして届け出の基準というものができるといたしますと、これは私たち働く者に非常に大きな影響を及ぼすことになる点を御認識いただきたいというように思うわけであります。  第一に、現在は労働時間短縮の趨勢にございます。そのようなときに、労働時間に非常に密接不可分の関係にあるという営業時間が緩和されるということは、ある意味では時代に逆行する制度であるというようなことも言えるのではないか。これは私流の言い方かもしれませんが、そのように考える次第であります。  第二に、営業時間並びに休日のワクの拡大というものが各小売店の従業者の労働福祉面に及ぼす影響であります。これによりまして、いまや時代の趨勢ともいうべき週休二日制の実施もきわめて困難になるのではないかというぐあいに思います。ちなみに、ここで私ども調査いたしました内容を若干申し上げますと、八十九店の週休二日制の実態調査を行なったわけでありますが、その中で、完全な意味での週休二日制が働いているのが二十五社あります。隔週休二日制をとられているのが三十二社、週休二日制、その他隔週休二日制にも全然取り組まれていないところが三十二社ございます。この三十二社の大半は地方百貨店であるという事実でございます。こういうような現実を考えてみたときに、政府が唱えていらっしゃいます、また、国民全体の大きなうねりとして行なおうとしております週休二日制が小売業にはたしてこういう状態の中でできるのであろうかという点を非常に懸念する次第でございます。  第三に、大規模店営業時間の自由化というものは、一般小売店、さらには卸問屋または関連企業に絶大な影響が及ぶという点でございます。  そういう点をいろいろ総合して考えてみまして、私どもここで申し上げたい点は、省令におきまして、まず地方都市、政令都市の区別を撤廃していただきたいという点、少なくとも週一回の休業日を保証し、閉店時刻も原則的には六時、例外的には、中元、歳暮時のみ七時、その他は日数を定めて六時半という線をきめていただきたい、そのように思う次第でございます。  また、特にこの労働条件にからむ行為規制の問題につきましては、あくまでも届け出制ではなく許可制として考えていただければ幸いかと思う次第でございます。週に一回の休業が決定されますと、消費者の方にいろいろ御不便をおかけするという問題があるかと思いますが、これは休業日の定め方によって代替的に、たとえば水曜日、たとえば木曜日、たとえば月曜日というような形でお客さまに御迷惑をおかけすることなく休業日を定めるということもできますし、また諸外国では日曜日は休みというのが常識になっておりますが、私どもでは日曜日はもちろん営業いたしておりますし、また、多くの企業が現在休日となりつつある土曜日におきましても、私ども営業が一般化しているのは皆さま御存じのとおりかと思います。また、大規模店以外の小売店では夜間営業という現実もございます。こういう点を御勘案いただきまして、十分な基準をひとつおつくりいただければ幸いかと思う次第であります。  次に問題点として指摘したい点は、大規模小売店舗審議会または商調協の場に、小売店に働く者の意見を申し述べる機会をぜひつくっていただきたいという点でございます。店舗の新増設または営業時間等の行為規制ということは、私たち小売店に働く者にとってきわめて利害関係の深いものだからであります。  最後に申し上げたいことは、大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律案は、大規模小売店と中小小売店との事業活動調整を目的とする法律であることは百も承知いたしておりますが、現実にこの法律で労働者の労働時間が規定されてくるなど、働く者への影響も無 視できない現状でございます。また、最近大きくクローズアップされております物価という問題を考えてみましても、長時間営業の及ぼすコストアップによる弊害ということも見のがすことのできない問題ではないだろうかというぐあいに思う次第であります。  今後におきます流通近代化の施策にありましては、先ほどもお話がございましたように、消費者福祉、それからさらに小売店の健全な発展また小売店間の利害調整、それにさらにつけ加えまして働く従業員の福祉という問題を三位一体といたしまして、バランスのとれた政策をとっていただく必要があるのではないか、そのように考える次第でございます。  私どもの悲願としておりますのは、特にヨーロッパでございますけれども、ヨーロッパ等で見られますすべての小売店対象としました商店法的な内容を含む、いわば流通近代化促進法とでも呼びますか、そういう総合的な立法を今後御検討いただければ幸いである、そのように思う次第でございます。  消費者に対するサービスの強化ということと労働者福祉ということは密接不可分の関係にあるわけでございます。私どもの意のあるところをおくみ取りいただければ幸いかと思います。  御清聴どうもありがとうございました。
  14. 田中六助

    田中(六)委員長代理 以上で参考人意見の開陳は終わりました。     —————————————
  15. 田中六助

    田中(六)委員長代理 なお、これより参考人に対する質疑に入りますが、三浦参考人は所用のため十二時三十分に退席いたしますので、御了承願います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。塩崎潤君。
  16. 塩崎潤

    ○塩崎委員 参考人の方々に質問を許させていただきたいと思います。  たいへんお忙しいところ貴重な時間をさいていだだきまして、私どもに有益な御意見を賜わりましたことをまっ先に御礼を申し上げる次第でございます。  さてそこで、時間もございませんので、まっ先に中内日本チェーンストア協会会長さんに質問を二つばかりさしていただきたいと思います。  私は、中内会長が大型スーパー開発者として、わずか十数年で日本一の小売商を築き上げられたあのバイタリティー、あの意欲にはたいへん敬意を表するものでございますし、中内商法もずいぶん勉強させていただきまして、私もいろいろ参考になったわけでございますが、きょうのお話を聞いておりまして、中内会長も、この大規模店法案に対しては賛成である、ただ運用についていろいろ問題があり、注文があるんだというお話でございました。その中で一つ言われましたことは、自由出店の問題でございます。私どもも自由民主党の政策をほんとうに推進したい、自由主義、民主主義の政策が最もすぐれた経済政策の基礎になるものだと思っておるわけでございます。したがって、春野会長さんが言われましたように、消費者を無視したりしないこと、既存の商店街に対する刺激、この必要性も十分認めるものでございますが、しかし最近の小売商の置かれた地位、ことに中小企業問題これらを考えてみますと、大型スーパーあり方についていろいろ私も考えさせられるのでございます。自由に出店することも確かにいいことでございますが、どうもこれまでの大型スーパーチェーンストア出店状況を見てみると、既存の市街地に最も重点を置いて進出していくところにたいへんな問題がありはしないか、砕氷船が氷を割るようにばりばりとやるやり方が中内商法だというふうによくいわれておるわけでございますが、それはどうなんでしょうか。アメリカやイギリスへ行ってみますと、大型スーパーもある。しかし、既存の市街地よりもむしろニュータウンというような新しい市街地、既存の商店が出られないようなところに出てきておる。既存の市街地はほんとうに何十年何百年かかってあの零細な小売業者が開発したところなんですね。このような考え方が許されるとすれば、どうかひとつ小売業者の立場考え消費者利益考えて、ニュータウンみたいなところを少々採算が悪くても日本一の利益をあげている中内会長事業なんですから開発するような気持ちで、そういったところにひとつ自由出店の魅力を求めていただけることができないかどうか、これが一点でございます。  それから第二点は、これもこの委員会できのうも問題になりましたが、この法律ができることによる経過的な問題でございますが、いまこの法律ができるような予想のもとに大型スーパー等の、あるいは百貨店もあるかもしれませんが、かけ込み新増設ということが盛んにいわれ、小売業者はたいへんな不安と動揺にかられておるわけでございます。私は中内会長のたいていの本も読ましていただきましたことは先ほど申し上げたとおりなんですが、その中にたいへんこわいことばがある。自分は法律違反はしないんだけれども脱法はするんだというたいへんこわいことばが見られるわけでございます。どんな法律を書いても、私も長年法律を書いてまいりましたが、脱法をやろうと思ったらほんとうにできるのです。そしてまたこれを追っかけていって法律を直しても、またやろうと思えば幾らでもできる。百貨店法にかわってこの新しい大規模店法案ができたことは、多分にその脱法に対する手当ての意味があるわけでございます。そこで、せっかくこの大規模店法案ができて、公布の日から六ヵ月以内に政令で定める日から施行するというと、相当先である、せっかく法律が施行されてみたら全部大型店舗ができ上がってこの規制に服さない、何のためにこの法律ができたか、こんなような危惧がいま全国にみなぎっておる。私の選挙区にもあり、またほかの地域にもたくさんあるのですが、このかけ込み新増設に対して中内会長はどのように考えられるか。先般新聞では一〇%の設備投資の制限をやるのだといわれておりますけれども、そういったマクロ的なことでは小売業者は安心しないのです。しかも、先ほど申し上げましたように、既成の市街地に突っ込んでばりばりと氷を割るというようなスーパーの商法であるとすると、それだけに摩擦が多いのであります。  このような二つの問題について御意見を承りたいと思うのです。
  17. 中内功

    中内参考人 ただいまの塩崎先生の御意見に対して、意見を述べさせていただきたいと思います。  第一の自由出店でございますが、私どもとしましては、自由競争原理におきます創意くふう、そして生産性向上、それに伴います流通近代化ということが最も必要だというふうに考える次第でございまして、現下の物価問題一つを取り上げましても、競争制限的な要素というのはあまりにも強過ぎる。下がるべき品物の値段が下がらない。いろいろなむだな経費が使われておるということを考えておるわけでございまして、その意味小売商も百貨店もまたわれわれチェーンストアもそれぞれ生産性を向上していくという努力を行なうべきだというふうに考えるわけでございます。この五年間におきまして百四十万ありました小売商が百四十七万に増加しておる。これは先進国として唯一の例ではないかと思うわけでございまして、この事実を踏まえまして、われわれ自体はやはり生産性の高い、そして消費者にほんとうに奉仕できるようなそういう小売業をこの機会に育成すべきだというふうに考える次第でございまして、単なる保護に終始するということが小売商の問題自体をこのまま放置して、非常に零細な多数の小売商を温存するということになっておるのではないか。幸いにしまして、このたび小売商業振興法案というものが通過をする見込みだそうでございますので、これを通じて流通業の近代化ということを促進をしていただきたいと思うわけでございます。  一方、先ほど御説明申し上げましたように、消費者のニーズと申しますのは非常に多様化しておるわけでございまして、共かせぎ家庭の増加、パートタイマーへの主婦進出、またいろいろなレジャータイムの増加というふうなことで、いついかなる場合でも消費者がほしい品物が買える、そして競争によりまして適正な価格でこれが供給されることが必要だというふうに考えるわけでございまして、私どもとしましても、鋭意ニュータウン並びに郊外への進出ということもはかっておるわけでございますが、日本の現状としましては、諸外国のように郊外のみならず既存市街地におきましてもたくさんの消費者が居住されておるわけでございまして、その意味では、品物によりまして、生鮮食料品を中心とした店は郊外での多店舗化、また衣料、雑貨、このような買い回り的な要素の強い商品に関しましては旧市街地というふうな店の形がふえつつあるわけでございまして、もちろんこれを通じまして既存の小売商または商店街との協調、これも行政当局の御指導によりまして、いろいろ協調議論を進めておるわけでございまして、このたびのこの新しい大規模小売業調整法案によりまして、さらにこの協調路線というものが促進されますことを期待しておるわけでございます。  二のかけ込み新増設のことでございますが、この件に関しましては、現在の行政当局におきます御指導が、いままでの三ヵ月前に届け出をせよということから六カ月前に届け出をするということになったわけでございますので、そういう意味で若干届け出の件数がチェーン業界としてはふえておるということが実情でございます。しかし、設備投資の金額を見ておりましても、これは各年の例を見ましても、そう急にふえておらないというふうにわれわれ考える次第でございまして、数字上におきましては昭和四十六年を一〇〇としました指数に対しまして、四十七年下期にはそれが一二〇ぐらいでございまして、四十八年上期では一四三、そのような数字になっておるわけでございまして、その数字におきましては急増しておるという事実はないと考える次第でございます。また、われわれの業界の一つの計画としまして、要員の育成または採用というふうな問題または物件の取得というふうなこと、または内部の資金の回転の問題、いろいろな問題を勘案しましても、急激にこの法案が通過するからすぐに出店をするということはできないというふうな内部事情もございますので、急激なかけ込み新増設ということは起こっておらないと存ずる次第でございます。  また、設備投資に関しましても、一割ぐらいの業界の削減は行ないたいということで、いま業界内部で話し合いをしておる次第でございます。  この意味で、経済の実体に合い、そして消費多様化に伴いまして小売店舗自体が大型化をしておるわけでございまして、現在のいわゆる十大政令都市におきましての九百坪、そしてそれらを除きました地方都市におきます四百五十坪というふうな制限自体、これが現状に即しておらない。百貨店と申しますのは、普通の場合におきましては一万坪、二万坪というふうな店舗をわれわれは考えるわけでございまして、法律撤廃もしくは法律改正ということをいままでやらなかったこと自体に問題があるのではないかというふうに考えるわけでございまして、経済の実体に応じた新しい法案成立をこの三年間私どもはいろいろ議論の中でつくり上げていただいたわけでございまして、現に百貨店ということばですらいまは通用しないというふうに考える次第でございまして、駅にございます駅ビルまたは小売商が集まりました商店の近代化によります寄り合い百貨店、また私どものようなショッピングセンター、いろいろな形の店があるわけでございまして、それがすべて百貨店という名前ではこれは規制ができないということで、現在の大型小売店舗の内部におきます大型小売商、非常にむずかしいことになったと思うわけでございますが、その意味で、経済の実体に応じました法律の制定並びにその弾力的な運用ということを私どもとしてはお願いを申し上げる次第でございます。ありがとうございました。
  18. 塩崎潤

    ○塩崎委員 大体お話はわかりましたが、中内さんに私は逆にお願いしたいのです。  いま大規模店法案の弾力的な運用お願いするというお話がありましたが、先ほど申し上げましたように、中内さんはたいへんな法律の研究家で、脱法行為というような研究はどんどんやってもいいというお話がありましたが、これはやはり節度あるところでとめていただく。やはりどうしても脱法というようなことはやれば切りがないのですから、企業単位のものを店舗単位に直すという、ばかげた法律をいま直しておることも、多分にいままでの中内さんをはじめとする大型スーパーの方々の態度に起因していると考えれば、今後はひとつよほどこの法律の精神に合ったような運営、たとえば自由出店も、既成市街地がいいのだというのではなくて、どんどんとニュータウン、それから新市街地を開発するくらいの気持ちでひとつやっていただきたい。それから、かけ込みもなければけっこうなんです。ひとつほんとうに、じゃもう全部いままでの行政指導的な届け出、審査というようなことにかけて堂々といかれる、これを今後ひとつやっていただきたいことをお願いいたします。  もう一つ今度は並木さんにお尋ねしたいのですが、どうも皆さん方大型スーパーだけ目のかたきにされておる気持ちはわからぬでもないのですけれども、しかし、私は、いま零細な小規模小売業者の置かれた地位はたいへんな苦境で、やはり資本の力というものがたいへん大きい、あるいはまた他の与えられた特権の乱用によるところの圧迫が大きいと思うのですが、その一つは、銀座など見ておりますと、どうもメーカーなどあるいは商社などがどんどんと進出していって、ショールームとかいうような形で小売店舗を排除している。これも節度ある経済の運営といいますか、経済活動ということならあれですが、どうも節度ある経済活動が——これが節度があるのかないのか私にはわからないのですが、置かれた零細小売業者の苦しみから見ると行き過ぎのような気もしたりするのですが、そんなような問題をどう考えるか。総合商社の進出もございます。こういった大資本、大企業進出を、ここでもきのう問題になりましたが、どう考えるか。  それから第二は、私はよく考えるのですが、ひとつ特権を持った小売商といいますか、たとえば、税の特権を持った地域的な消費生協がこの特権を利用して員外利用を無制限にやりながら小売商店を荒らしていく、一方、税は安いというようなことで悩まれると聞くのですが、これらに対してどう考えておられるか。一言だけ、もう時間もございませんのでお答え願いたいと思います。
  19. 並木貞人

    並木参考人 塩崎先生の御質問にお答えいたします。  先ほどの第一点のメーカーあるいは商社等の進出、移動販売、これはイギリスで非常に移動販売が出ておりますが、これらについては私ども団体の中で検討さしていただきまして、好ましくないという線は出ておりますが、まだいかにしてこれを規制なり行政指導の場でやるかというまで煮詰めておりませんが、本スーパーのほうが重要問題として取り上げた段階でございますので、次回に、漸次この方面も考えていきたい、かように考えております。  第二の生協、農協につきましては、昨年の日大における大会におきましても、生協、農協の員外販売、この法の改正ということもちょっと伺っておりました。これは私のほうからの改正でなくして、そちらのほうからの改正だという案を伺ったことがございますので、これにつきましての反対も考えておりましたし、すでに生協、農協等が、特に生協が員外活動、員外販売を相当程度やっているということで、私どもも大会において大反対をいたしております。これにつきましては、行政官庁のほうにもお願いをいたしてございまするが、今後これらの法制のあり方については別といたしましても、現下の法律のワクにおける厳格なる運用については特にお願い申し上げたいと思っております。
  20. 塩崎潤

    ○塩崎委員 ありがとうございました。私の質問を終わらせていただきます。
  21. 田中六助

    田中(六)委員長代理 加藤清二君。
  22. 加藤清二

    加藤清二委員 皆さん、どうも御苦労さまでございます。時間がございませんので、敬語や修飾語は一切抜きにして、簡潔にお尋ねいたしますから、皆さんも、おそれ入りますが、要点だけお答えいただきたいと存じます。  最初に私は、消費者立場に立ってものを申しますから、そのおつもりでお答え願いたいと存じます。  きょうはお休みでございますが、デパートのほうの会長さんの古屋さんからたいへんいいことを私教えていただきました。正しい商法により、よい品を適正な価格販売する、もう一つは、消費者のために快適な雰囲気の中で楽しい買いものが安心してできるような体制をつくるということで、これは大賛成でございます。このことを実現するには、やはりその場で働かれる従業員の方々がそのおつもりになって楽しく働いていただかなければ、このことは実現できないと思います。その意味におきまして、いま山本さんが訴えられたことは全面的に賛成でございます。  ところで、はたしてほんとうに快適な雰囲気の中で楽しい買いものが安心してできるような体制がとられているだろうか、よい品が適正な価格販売されているだろうか、疑いたくなる。私の郷里はいなかでございます。農家も漁師の方々もいらっしゃいます。出荷時において一個五円や六円のミカンが、都会へ行くと、どうして五十円になるだろうか。アジ一匹、出荷のおりにはせいぜいこれは二、三十円である。それが都会へ行くとどうして百円の余になるだろうか。一反織るのに、木綿一反は、織り工賃は大体百円でございます。染め工賃も百円でございます。それが店に並ぶと、どうして千円から二千円になるだろうか。ネクタイ一本、どう考えても千円前後で納めたものが、どうして三千円から五千円から、ひどいのは一万円になるだろうか。こういう声を聞きます。  そこでお尋ねいたします。一体小売マージンはどの程度をとっていらっしゃるか。適正とは一体どの程度の利潤であるか。デパートの方とスーパーの方と小売の方、御三方にお尋ねいたします。
  23. 井狩彌治郎

    井狩参考人 ただいまの御説明に対しまして、百貨店側を代表いたしましてお答えいたしたいと思います。  先般古屋会長からお話があったようでございますが、百貨店は、よい品を適正な価格で、しかも非常に快適な雰囲気で買いものをしていただくということに努力しておる、現在も努力をいたしておるわけでございます。  そこで、具体的にはどういうことかということになるわけでございますが、まず一つは、やはり従業員のサービスの問題になろうかと思います。これらにつきましては、われわれの重要な仕事の一つといたしまして……(加藤清二委員「マージンは幾らということだけでけっこうです」と呼ぶ)マージンの問題は、これは店によりましては多少違いますし、商品によっては違いますが、大体申し上げますと、平均いたしまして二一%から二二%ということになろうかと思います。これは食料品を含めてで申し上げたような次第でございます。  それで適正な利潤というお話がございましたのですけれども、戦後におきます流通業界あるいはまた商品事情からいたしまして、これが最も適正だということはなかなか言い切ることはむずかしいわけなのでございます。したがいまして、もちろんわれわれの末端の小売段階でございますので、われわれのところへ参ります段階において、いろいろな過程を含めまして私どものほうへ参るわけでございますので、この価格がはたして妥当かどうか、適正かどうかということにつきましては、仕入れ係がそのつど良識をもちまして判断をいたしまして決定をいたしておるような次第でございます。
  24. 加藤清二

    加藤清二委員 時間が限られておりますので、数字だけをお答えいただけばけっこうでございます。
  25. 中内功

    中内参考人 マージンについて御説明を申し上げます。  全体としましては一八%くらいを中心に若干のフレはございます。その中でも食料品は一二%から一三%くらいが業界の通常だと思います。その結果税引き前で二%内外、そして税引き後で一%へこの辺が一般の総合スーパーの実例でございます。以上でございます。
  26. 並木貞人

    並木参考人 マージンについてお答え申し上げますが、地域、業種によっていろいろ違いまするが、大体の点を申し上げますと、一七%から二三%の範囲内でございます。
  27. 加藤清二

    加藤清二委員 そうなりますと、私が先ほど申し上げました素朴な疑問、どうして製造元と小売と比べると三倍にも五倍にもなるだろうかという疑問は解決できないですね。どこに原因があるでしょう。それじゃ問屋さんがそんなにもうけるでしょうか。デパートへ入りますとき、スーパーに入りますときには、そんなにたくさんの問屋をくぐっていないはずでございます。  そこでお尋ねします。お仕入れになりました品物が、物価がだんだん新聞が上がった上がったといいまするから、それで仕入れどきはかりに一万円であったところが、卸売り物価も上がった上がったで、それでこれが一万二千円になった、その時点においてまだ小売の段階に商品として残っていた、こういうときに正札を書きかえなさいますか、それとも書きかえになりませんか。これを御三方にお尋ねします。
  28. 井狩彌治郎

    井狩参考人 戦前と戦後の場合と若干違うのでございますけれども、戦前でございますと、一般の経済情勢がノーマルな情勢のときには、やはり百貨店には格上げと格下げというものとがございまして、格上げをする場合と格下げをする場合とがあるわけでございます。戦後におきまして、特に最近この半年間の場合は、これはもういまだかつて私自身も経験したことのない非常に変動の激しい、しかも刻々と仕入れ値段が上がっていく、こういう情勢下におきまして、値段の取りきめ方というものは担当者が一番苦心をいたすところでございます。したがいまして、いまお話がございましたように、たとえば十持っておりましたものが八つ売れた、あとに二つ残っておる、あと今度仕入れる場合にはそれが三割も四割も上がっている、こういった場合もあり得るわけでございます。したがいまして、こういった場合に一番仕入れ係が苦心いたしますところは、あとあとどういうぐあいにこれを適正なものにわれわれがしていくかということによりまして違ってくる場合がございまして……
  29. 加藤清二

    加藤清二委員 はい、わかりました。時間を気にしてまことにすみませんですけれども、与えられた時間が十五分しかないのです。  それでは具体的に申し上げます。正札を書きかえることがあるかないか。ある、ない、これでけっこうでございます。  具体的にこちらから申し上げます。私どもは、この法案審議し練り上げるために全国の関係地区を回りました。九州から北海道まで回りました。そうして特に消費者の皆さんとひざ突き合わせての話し合いをいたしました。京都での話です。御婦人の方で、これは相当の知識階級の方とお見受けいたしました。春野先生もそのお一方でいらっしゃいますが、相当のレベルの高いお方で、その方がこうおっしゃるのです。一ヵ月前と二ヵ月前とでは三割上がっておったというのです。その時点において買いに行ったら、こちら半分はゆうべ正札をかえました、こちらはまだ正札がついておりません、それだけ夜業でやったけれども作業員が少ないのです、だからこちらのほうをお買いあそばせと、こう言うのです。ところが今度は、正札を上げておいたほうが、そのときに都合があって、やはり女性が着物をお買いになる場合はそうでしょう、さいふとの相談もあるし、柄の選別もあるでしょうから、一カ月たって行ったらまた上がっておった、こう言うのです。こういうことが許されてよろしいでしょうか、あなたは議員さんだから、この審議のときに必ず聞いて答えを取ってきてくださいときつく婦人会の大ぜいの代表の方から言われておるのです。だから正札を書きかえなさること、それがあるかないか。はたしてそれが消費者のためになることであるのかないのか。  次にお尋ねいたします。デパートで展覧会が行なわれます。百メートルの画廊を借ります。期日は三日か四日でございます。これはいかほどかかりますか。デパートとスーパーにお尋ねいたします。いかほど、これだけでいいです。幾ら、それだけでけっこうです。
  30. 井狩彌治郎

    井狩参考人 いまちょっと百メートルのお話を理解いたしかねました。おそれ入りますが、もう一度……。
  31. 加藤清二

    加藤清二委員 スーパーやデパートを借りて展覧会が催されます。面積は百メートル。こういうところへ張るのですから、その長さはずっと合わせて百メートル。期限は五日間。この場合の展覧会を催す側の借り賃は幾らかかりますか。
  32. 井狩彌治郎

    井狩参考人 ちょっと私まだその事実を……。
  33. 加藤清二

    加藤清二委員 それじゃそれでけっこうです。スーパーさんのほうにお尋ねします。
  34. 中内功

    中内参考人 スーパーの場合は展覧会とかそういう画廊というものはやっておりませんので、そういう場合はわかりかねますが、普通一般に売り場を貸します場合は、売り上げ歩合の大体一〇%から一五%でございます。
  35. 加藤清二

    加藤清二委員 わかりました。売り上げの一〇%から一五%を取る、そういうことですね。
  36. 中内功

    中内参考人 そうです。
  37. 加藤清二

    加藤清二委員 売り上げですね、純利益じゃございませんね。
  38. 中内功

    中内参考人 はい、売り上げです。
  39. 加藤清二

    加藤清二委員 わかりました。そうお答えいただくと、先ほどあなたは自分のものを長い時間かかって売っても一八%だとおっしゃられましたね。ちょっと矛盾があるようだが、なぜこういうことをお尋ねするかと申しますと、これはデパートで借りますと大体二百五十万から三百万になります。しかし、これを美術館で借りますと五十万。大体そういう相場がきまっております。美術館で五十万でできる、デパートだと大体二百五十万から三百万かかる。美術館とデパートと何が違うか。税金の関係でしょう。どうしてそんなに五倍も六倍にもなるんだろうか。これが美術家たちの疑問でございます。まあ幾らというお答えがありませんから、これはお尋ねせずにおきます。  次に、この法案昭和三十一年五月二十三日に発効されております。そのときに私は、ぜひこのことだけは御留意願いたいというので修正案を出しましたが、これは通りませんでした。社会党が最初に出しました原案にはこれが入っておりました。何か、それはすなわち出張店員、止め柄、返品の問題でございます。それから足かけ十八年になります。いまだにちっとも直っておりません。  出張店員についてお尋ねいたします。スーパーのほうは従業員に対して何%くらいの出張店員がいるか。デパートのほうはもう調べてわかっております。次にその給与はだれが払うか。次に、先ほど組合の代表の方がおっしゃられましたが、労働問題が起きます。労働基準法違反が行なわれております。この場合の責任は出張させたほうが負うのか、それともその出張してきた人を管理、監督してデパートなりスーパーを運営している人が持つのか、これについてお答え願いたい。  それから止め柄、返品の場合、これが消費者物価にはねかえることは甚大でございます。説明をする時間がございませんが、そこで納入業者と契約をなさる場合に、契約書に止め柄、返品のことが書かれているかいないか。いるかいないか、これだけでけっこうです。もしその書き方いかんによっては商法違反に問われる疑いが出てきます。前の問題は労働基準法違反に問われる問題が出てまいります。最初にお尋ねしましたのは、いわゆる公取委員会、独禁法違反に問われる疑いが出てまいります。十七年、足かけ十八年解決されておりません。なぜこんなことが解決できないでしょうか。それでもなお発言なさるときは消費者のためであるとおっしゃる。なぜそうなるでしょうか。きょうは尋問する場所じゃございませんから、あえておとなしくお尋ねするわけでございます。
  40. 井狩彌治郎

    井狩参考人 ただいま派遣店員のことについてお話しいただきましたが、この問題につきましては百貨店側としては最も頭の痛い御質問を受けたわけでございます。と申しますのは、御承知のように戦前でございますといわゆる派遣店員というものはほとんど絶無に近かったわけでございます。戦後におきまして、いわゆる復興時代におきまして労働過剰人口といいますか、それが商業で吸収されたというような時代がございまして、そういう過渡期がございまして、いわゆる商習慣というものがいつの間にか変形になったわけでございます。したがいまして、いまの派遣店員の問題は、基本的に百貨店経営の上においてこれがノーマルなものとは私どもは実際思っておらないわけでございます。何とかこれは改善しなければならぬということは、これはもう痛切に感じておるわけでございます。したがいまして、四十六年から取引改善委員会というものを設けまして、鋭意これが改善に努力を重ねてまいっておりまして、徐々に緒についておるわけでございまして、もうすでに具体的な問題まで入っておるわけでございますが、残念ながら、いま御指摘のようなところが十分な解決までに至っておらないことはまことに残念でございますが、これからは鋭意ひとつ、こういう情勢でございますので、全員が努力いたしまして、一日も早く各官庁から御指摘をいただいておる問題、あるいはまたわれわれの百貨店の内面から申しましても、合理化の面から申しましても、ぜひともこれは解決しなければならない問題であると考えておる次第でございます。
  41. 中内功

    中内参考人 御説明申し上げます。  手伝い店員に関しましては、スーパーは原則として手伝い店員をとらないということにしております。  それから労働基準法違反の問題に関しましては、私どものほうが責任をもって指導をしております。タイムカードを打たせまして、そして一定の時間に必ず帰すようにチェーン業界では指導いたしております。(加藤清二委員「ありますよ。とらぬようにしておるということですが、スーパーにも出張店員ありますよ」と呼ぶ)それは、メーカー側から商品を監視しております、そういう化粧品の部門だけでございます。これは、私どものほうは拒否をしておりますけれども、メーカーのほうが、売り場でわれわれが値引きをしないようにということで監視の店員を出している場合がございます。  三番目の返品、止め柄というふうなことに関しましては、繊維業界はいまのところそういうような契約はやっておりません。  以上でございます。
  42. 加藤清二

    加藤清二委員 時間ですから、私の質問に対して答えがないようですが、私はこれでおしまいにしますが、出張員の給与はどちらが払っているかお尋ねしておるのですが、お答えがないようです。それから監督並びに責任はどちらが持たれますかということもお答えがないのです。
  43. 井狩彌治郎

    井狩参考人 給与につきましては、お取引先からその支払いを願っておるわけでございます。監督につきましては、これは毎日出勤状態は明確に私どものほうでやっておりまして、勤務につきましては御協力願っておりまして、月末になりまして、それを取引先のほうへ、御希望がありますのは御報告いたしておるのが現状でございます。
  44. 田中六助

    田中(六)委員長代理 中村重光君。
  45. 中村重光

    中村(重)委員 井狩中内参考人にお尋ねをいたします。  先ほど井狩参考人から、本法案について積極的に賛成の意を表せられたわけであります。問題は、今回のこの改正法案が、外からは資本の自由化攻勢である、内からはスーパーの攻勢から百貨店を守る、これが百貨店法案を改正する主たる理由であるということを言われてまいりました。私どもは、そのねらいがどうあろうとも、春野参考人からもお話がございましたように、消費者利益が守られ、さらに井狩参考人が、中小小売商との共存共栄をはかってまいりたいという主張でございましたから、そのことが中身として満たされておるならば、これに賛成をすることにやぶさかではないわけであります。  そこで資本の自由化、御承知のとおり、日米箱根会談において十一店舗のチェーン店舗を持つものは五〇%の資本自由化から、今度は田中・ニクソン会談において一〇〇%の資本自由化というものが実現をされるということになってまいりました。はたして流通産業の資本自由化で日本の流通産業というものは競争力に耐え得るのかどうか、さらにこの自由化は拡大をしていくということが考えられるわけでありますから、その点に対して、井狩中内参考人はどのようにお考えになっていらっしゃるのか、一応伺ってみたいと思います。
  46. 井狩彌治郎

    井狩参考人 資本の自由化の問題でございますが、これが本格的な自由化になってまいりました場合には、まだこれに耐え得る体質が十分に改善されておるとは私は思わないわけでございます。なお、さらにいろいろな各面にわたりまして、あらゆる面において、まださらに合理化を進めてまいる必要がありますし、体質等を強化する必要があると私は存じておる次第でございます。
  47. 中内功

    中内参考人 お答え申し上げます。  私どもとしましては、自由競争の原理というものを打ち立てておりますので、原則的には国際間の資本の自由化ということには賛成をしておるわけでございますが、しかし、たとえばアメリカの流通資本とわれわれとのこの格差というものはあまりにも大き過ぎる。売り上げ高におきましても十倍以上、場合によりましたら二十倍以上の格差があると考えるわけでございますので、それに関しては漸次段階的に自由化をしていただきたい、このように考える次第でございます。
  48. 中村重光

    中村(重)委員 井狩参考人が触れられた中小小売商との共存共栄の問題ですが、単なることばではなくて、共存共栄をはかるためにどのような努力を払っていこうとお考えになっていらっしゃるのか。これはスーパー進出というものが中小小売商に深刻な影響を与えておるというこの事実の上に立って、中内参考人共存共栄ということについて具体的な努力の方途というものが考えられているのではないかと思います。時間の関係がございますから、簡潔にその点について触れていただきたいと思います。
  49. 井狩彌治郎

    井狩参考人 中小企業との共存共栄の問題でございますが、この問題につきましては、百貨店の立地によりまして多少違うところがございますけれども、私どもだけの立場から申しますと、ほとんど商店街と共存いたしておる状態でございますので、あらゆる売り出しを一緒にやりましたり、景品つき売り出しをやりましたり、その他地域開発のためにあらゆる会合を設けましていろいろと進めてまいっておるわけでございますので、その辺は、私は十分目的を達成いたしておると考えておる次第でございます。  なお、全市内、地域全体の問題といたしましては、中小企業商業者からお申し出がございましたら、御協力申し上げる点がございましたら率先して従来も御協力申し上げたつもりでございますので、なお今後具体的な問題がございますれば進んで協力する所存でございます。
  50. 中内功

    中内参考人 この件に関しましては、私どもとしましては、消費者利便をまず最初に考えていただきたい、そうして消費者利便中心とした小売商または百貨店との共存共栄ということを考えていきたいと思うわけでございまして、このいま御審議いただいております法案にも示されておりますように、中小企業に対して対応の機会を与えるということに関しましては、私どもも現在の社会的、経済情勢から見て、これは積極的に行なって共存共栄ということの実をはかりたいというふうに考えておる次第でございます。
  51. 中村重光

    中村(重)委員 並木参考人にお尋ねをいたしますが、先ほど春野参考人から意見として述べていただきました。この第七条に「商工会議所又は商工会の意見」を聞かなければならぬ、私どもはこの点に対して、春野参考人同様の考え方を実は持っておるわけであります。今日発想の転換をはかっていかなければならない時代であります。依然として大企業利益中心として考えていこうとする発想の転換というものがこの法律案に見出すことができません。これは商工会議所または商工会の意見を聞くだけではなくて消費者意見を聞く、利害関係中小企業者の意見を聞くということが今日の情勢の中において当然考えられなければならない。これはこの法律案の不備な点であると私ども考えているところであります。この点に対して、今日まで商調協の運営に対して関係をしてこられた並木参考人であられるわけでありますから、商調協は商工会議所の中に設けられており、法律の表に出ていないわけでありますが、法律の表にこれを出していく必要があるのではないか。同時に、今日まで運営されてきた商調協のあり方はどうであったのか。零細中小企業者の声というもの、あるいは消費者の声というものが、真にこの商調協を通じて通ったのかどうか、これは問題点の中心であろうと思いますから、これらの点に対しての並木参考人考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  52. 並木貞人

    並木参考人 中村先生の御質問にお答えいたします。  商調協につきましては、構成に御承知のように消費者も入っておりまするし、消費者意見も尊重されております。商調協のあり方につきましては、私どものほうの構成につきましては、消費者意見並びに小売商業意見がさらに尊重されるように運営の方法を考慮していただきたい、かように考えておるわけでございます。
  53. 中村重光

    中村(重)委員 春野参考人に御意見を伺ってみたいと思うのでありますが、先ほどお聞きのとおり、山本参考人からのお話で、中央の百貨店等は月四日間の休日である、しかし地方都市のほうは省令によって実は二日になっているわけであります。これは法律の表に出てまいりませんから、中央、地方ともに月四日にするためには省令の改正をしなければならない。今日の情勢の中においては、私は、中央、地方を問わず週休二日制というそうした情勢の中において、月四日の休日というものは当然実施されなければいけないのではないかと考えているところであります。また、営業時間の問題にいたしましても、消費者利便ということから考えてまいりますならば時間が長いにこしたことはありますまい。あるいは休日もないにこしたことはないと思いますけれども、もう今日の情勢は、消費者もそう甘えておってはいけないのではないか。外国はほとんどが六時程度ですべての店舗が店を休んでおる。これらの事実等々から考えてみましても、中央、地方も、営業時間もそう長くやらない、休日も月四日、こういう程度にそろえなければならないのではないかと思いますが、その点に対する春野参考人の御見解を伺ってみたいと思います。
  54. 春野鶴子

    春野参考人 前にこういうことがございました。たとえば築地の魚市場でございますね、そういうところが毎日毎日、生鮮食料品であるからお仕事をする。しかし時代の流れに合わせて自分たちもきちっとしたお休みをとりたい、たとえば日曜を休む、そういう申し入れがありましたときに、私どもも、それはもう当然でしょう、ただし、そういう労働条件を満たされるのとともに、そういうことを消費者のほうによくわからせてもらって、であるからお買いものはこうしよう、であるからお店は何時までというふうなことをよく話し合い、わからせ合って、そして消費者のほうの買いものの時間、習慣、それから商店街の開店、閉店の時間、そういうものも、いきなり片方のほうで、うちの都合でこうしますというのでなくて、わからせ合って、われわれもその習慣をつくっていく、合わせていく、そのようにいたしましょうという話し合いを最も大切にするという御意見を申し上げて、いまそのようになっております。  先ほど申し上げましたように、パートタイムその他の働く奥さん方もふえまして、七時、八時に帰るときでもどこかで買いものをしたいという気持が出ているのも事実なんです。アメリカのように、いっそそのようになってしまいまして、うちに相当大型の冷蔵庫などがあって、もうパリなどのように、金曜日あたりに夫婦出かけていってどっさり一週間分買っておかないと、一週間食べはぐれるというふうになってしまっているところもございますが、ちょうどいま日本は中間のようでございます。私どもも、労働条件ができるだけ大きいところ小さいところにかかわらず同様に恩恵がある、そのようにあるべきだということは願っております。それをよくわからせていただくことと、それからたとえそのようになる場合でも、地域によって多少差があると思いますけれども画一にされるか、あるいはお話し合いによって同じ時間、日数であっても多少半々ぐらいはこういうふうにしていこうかということを働く方々と店主の方、あるいは地区別にお話し合いになって、当分その方法をとろうかと、そんなふうなコンセンサスがあれば、私は労働条件はできるだけ同様であるべきだ。だらだらいつまでも一軒のお店があいているということは、時によってはうれしいですけれども、電気も、あるいはお一人、お二人の働く人が、あるいはおじいさん、おばあさんがいつまでもお店を守ってむだじゃないかしら、お気の毒じゃないかしらという気持ちを持つことはしばしばございます。それをよくわかり合いながら、わからせ合いながらお互いのその習慣をつけていく、こんなふうに願っております。
  55. 中村重光

    中村(重)委員 最後に山本参考人にお尋ねをいたします。  この法案によりまして十分御承知になっていらっしゃると思うのですが、この法律案規制対象になるのは新増設の店舗に限っているということであります。既存の店舗は対象外だ、私はこれはたいへん問題を感じております。Aの店舗は年中無休である、営業時間もかってたるべし。新増設のBの店舗は規制対象となり、営業時間あるいは休日についての規制等を受ける。その他の規制が変わってまいります。これはやはり流通産業というものを円滑に進めていくということには問題があるのではないか。またせっかく法律を私どもがここで制定をいたしましても、その運用にあたって秩序が乱れていくということになっていくのではないか、そのように考えます。したがいまして、山本参考人はこの点に対する御見解はどのようにお考えになっておられるのか。  これは中小企業関係もございますので、きわめて簡潔でけっこうでございますから、並木参考人からも御見解を伺っておきたいと思います。
  56. 山本勝一

    山本参考人 既存のものについて対象とすべきであるという先生の御説については、私ども全くそのとおりに考えております。特に週休二日制というようなものを私どもの業界に普及させていきますためには、少なくとも週一回の休業日の確保というようなことは最低必要限度のことでございまして、そういうような面から考えましても、既存それから新設を問わず対象の中に入れていただくべきではないか、そのように私は考える次第でございます。
  57. 並木貞人

    並木参考人 お答えいたします。  いまの先生のお話、ぜひ既存の店舗にもお願いを申し上げたいと思います。ただし、経過措置としてのある程度の若干の期間あるいは面積等についての問題、これらはやむを得ない場合もあるかと思いまするが、ぜひこの点については先生方の御尽力をお願いしたいと思います。
  58. 田中六助

    田中(六)委員長代理 野間友一君。
  59. 野間友一

    ○野間委員 井狩参考人にまずお聞きしたいと思いますが、昨年の五月に百貨店協会関係小売企業調査報告というものを出されておりますが、これによりますと、会員百十五社のうちで五十四社が関係小売企業を持っており、その関係小売企業は百三社、五十四社が百三社の関係小売企業を持って、五百三十七の店舗を持っておるという結果が報告されております。ところが、この中に、しかも目につくのはセルフサービス、つまりスーパーですね、これを主とするものが五六・三%、これは百貨店スーパーの業界にかなり大幅に進出しておる、こういうことを証明していると思うのですね。具体的に時間の関係で私のほうから申し上げますが、たとえば、西武が西友ストア、それから東急が東光ストア、それから大丸がピーコック、それから松坂屋が松坂屋ストア、東武が東武ストア、その他伊勢丹が丹菱開発、これは三菱商事と提携ですね。それから近鉄がジャスコあるいは三菱商事、高島屋がピエールカルダンのグループというように、百貨店がいま申し上げましたような非常に激しい勢いでスーパーの世界に進出している、こういう事実はお認めになりますね。
  60. 井狩彌治郎

    井狩参考人 よく承知いたしております。
  61. 野間友一

    ○野間委員 この調査の内容によりますと、関係小売企業は、スーパーマーケット市場では店舗の数では九・六%、これは三ぺ−ジのところに書いてあります。売り場面積では一二%、売り上げ高では一二・六%、こういう比重を占めているわけですね。これはたいへんな比重ではないかというふうに思うわけですが、この点についてはいかがですか。
  62. 井狩彌治郎

    井狩参考人 百貨店業者自体がスーパーを持っておるということにつきましては、それぞれの店舗においていろいろな考え方でやっておるのだろうと思いますが、私個人の意見をここで申させていただきますと、御案内のように、戦後におきまして……
  63. 野間友一

    ○野間委員 すみませんが、時間の関係がありますので簡潔にお願いします。
  64. 井狩彌治郎

    井狩参考人 要するに一般の、いまここで百貨店法の問題になっておるのでございますけれども、いわゆる小売業としての立場で、自分の手の届かないところにさらにサービスを加えていくということによってさらにそのサービスの面を広げていく、その一つの方法としてスーパーをやっておる、こういうぐあいに理解をいたしておるのでございます。
  65. 野間友一

    ○野間委員 私がお聞きしたのは、たいへん大きな比重を占めておる、こういうふうにお聞きしたのですが、これはパーセントからそのような結果が出ておりますから、続けて時間の関係で質問したいと思います。  ところで、この関係小売企業売り上げ高ですね。これはあなたのところの会員の売り上げが昭和四十六年度で二兆一千二百六億円、これもその報告書の中にあります。この一七・二%に相当するわけですね。三千六百四十六億円。会員が百十五社あるわけですが、うち五十四社の関係小売企業でこれだけの比重を占めておる。そう考えますと、百貨店にとってスーパー経営は非常に重要な部分を占めておるということが、これまた売り上げ高の数字の結果からも出ておるわけですが、今回のこの百貨店法改正について、百貨店スーパーとの妥協だとか調和だとか調整だとか、そういう意見がありますが、今度のこの大規模店舗の法律が一体どのような効果、影響力あるいは規制力を持つのか、その点に関する御意見をお聞かせ願いたいと思うのです。
  66. 井狩彌治郎

    井狩参考人 いま御指摘ございました百貨店系統のスーパーでございますが、御案内のように、私どものほうも含めましてきわめて規模が小さいのでございます。ほとんど食料品を中心にした小規模の店舗が大部分でございまして、いわゆる大型店舗というものはもう非常に少のうございます。大きい店舗になりますと、多少電鉄系のものがありますけれども、これは問題にならぬほどの数でございますし、大部分がいわゆるほんとうの意味の食料品を中心にしたスーパーでございますので、今回の問題にはそう大きな影響はないのじゃないかと思います。
  67. 野間友一

    ○野間委員 そうしますと、百貨店がどんどんスーパーの世界に進出される、そうしてその売り上げとかあるいは比重をいまいろいろ申し上げたのですが、そういう関係スーパー企業、それらについてはほとんど規制対象にならない、こういうふうに私は理解しておるのです。というのは、この平均の売り場面積、これをこの報告書から見たのですが、六大都市で千三百六十二・七平米、その他で八百九・五平米。そうしますと、十大都市が三千平米、それからその他の地域については千五百、こういうことからいたしますと、ほとんど平均しますと、百貨店の系列のスーパー規制対象になっていない、だからこれをつくることによって打撃は受けないというふうに私たちは理解しておるのですけれども、これはそのとおり間違いないかどうか。  あわせて関連して質問を進めますが、産構審の中には百貨店協会もずっと入っておられて審議が進められたわけですが、これは中内さん、ダイエーのほうにも関係すると思うのですが、一体スーパーの最適規模、これはどういうものであるかということがこの報告書の中に出ておるわけですね。これによると千から千四百九十九平米ですね。これが「売り場面積当たり、従業員当たり販売額が最も大きく、営業経費率も最も低くなっており、一つの最適規模を示している。」これは五一ページに適があるわけですね。そうだとしますと、これはスーパーの場合に、たとえば中小小売商あるいはそこの従業員の皆さんがいろいろ懸念されますが、いわゆるスーパーの場合には、いま申し上げたように、ほとんど規制対象からこぼれ落ちると同時に、店舗の規模としても最適規模が千から千四百九十九、こういうわけですから、ほとんどが規制対象にならない。こういう点で非常に私は問題があると思うのです。いま申し上げたように、百貨店関係企業の店舗の平均面積あるいは実質的に最適規模としてもこういう結果が出ておるわけですから、これをつくることによって百貨店そのものが打撃を受けないというふうに私たちは理解せざるを得ないと思うのですけれども井狩参考人いかがですか。
  68. 井狩彌治郎

    井狩参考人 私ちょっと申しおくれましたが、先ほどの百貨店と申しましても、西友さんとか電鉄の直系のスーパーが多いのでございます。私のところは百貨店でございますから、ピーコックというのは私のほうの直系でございますけれども……。
  69. 野間友一

    ○野間委員 協会会長代行としてお伺いしているのです。
  70. 井狩彌治郎

    井狩参考人 ですから、大部分は電鉄の直接の系統のスーパーでございます。でございますから、今度のこの法案によって、この趣旨に沿いまして、今後店舗展開をいたしていく場合にはきわめて慎重にやるべきだと存じます。
  71. 野間友一

    ○野間委員 直接のお答えがないので質問を進めてみますが、中内参考人に、西友ストアあるいは東光ストア、先ほどから申し上げておりますが、ピーコック産業、これはそれぞれがチェーンストア協会、ここに入っておると思うのですが、その点についてのお答えをいただきたいのと、ダイエーさんの場合、平均売り場面積は一体どのぐらいあるのか。ダイエーの系列としては丸信とか丸久あるいはスーパー一徳あるいはサンコー、たくさんの系列会社を持っておられるわけですが、これら系列会社の大体平均売り場面積、これはどうなっておるのか。これについて十大都市とその他の地域に分けて、もしいまおわかりでしたら教えていただきたい。もしお答えができないようでしたら、あとでまた本委員会に資料をお出しいただいたら幸いかと思いますので、その点について伺いたい。
  72. 中内功

    中内参考人 お答え申し上げます。  チェーンストア協会のほうには、横断的に、百貨店、生協を含めまして、セルフサービスで物品を販売しております小売業の中で、やや大型の方にお入りをいただきまして、通産御当局の御指導を受けておる次第でございます。  それから、私どものほうの平均の坪数でございますが、いまのところ六千六百平米ぐらいが中心になっておると思います。これは食料品と日用雑貨、衣料雑貨という三つの大きな部門を併設しておりますので、やや大き目になっております。その原因としましては、食品に関しましては利幅が御承知のごとく非常に低いわけでございまして、一二%ないし一三%の利幅でやっております。総合しまして一八%の利幅で、一%の税引き後の利益が残るという経営の体質から、そういうような複合的な総合的な売り場をつくっております。  現在、系列会社として、私ども商品の共同仕入れ機構を持っておるわけでございますが、これは商社並びにメーカーに対抗しまして価格を引き下げるということで、仕入れを共同でやっておるわけでございますが、それに入っております会社自体は、食品を中心としてやや私どもより面積が小さい地方スーパーということになっております。  詳細につきましては、御指摘のとおり、あとで書類で御提出させていただきたいと思います。
  73. 野間友一

    ○野間委員 では、質問を進めます。  次に御指摘申し上げたいのは百貨店、それからスーパー、それから世に名高い商社ですね、これとの関係についてですが、最近商社のスーパー業界に対する直接あるいは間接の進出あるいは系列化、これが非常に顕著に私たちの目につくわけですね。この実態について若干お伺いしたいと思うのですが、これはきのうの委員会でも、私どもの神崎委員のほうからも指摘がありましたけれども、この日経流通新聞が編集しました「豊かな時代流通戦略」という本がありますが、これによると、三菱商事、これは西友ストアと昭和四十四年に契約しておりますね。西友に二百億円の融資——時間の関係で早口でその関係だけを申し上げますが、三菱の関係では西友、それから広屋、これは大手食品問屋ですね。それから伊勢丹、これは先ほど申し上げた丹菱開発。それから三井物産は昭和三十年代にすでにスーパー対策委員会をつくって、四十年には一〇〇%出資で第一スーパーをつくっております。また問屋の系列化でエフワンですね。それから名鉄百貨店とラファイエット、この提携をあっせん、物産はラファイエット社からの繊維製品の輸入を担当する、こういうような関係。それから、丸紅がダイエー向け専門の配送会社エンゼルをつくりまして、以後丸紅繊維流通センターをつくっておる。それから緑屋に資本参加。それから伊藤忠の場合にはマイマートですね。それから伊藤忠繊維流通センター、それから繊維問屋レナウンニシキを系列化しておる。それから合弁会社マグニンジャパン、これはJ・マグニンとダイエー、伊藤忠の三社の合弁、こういうことですね。それから住友商事ですね。これはサミットストア、一〇〇%の出資。それから日商岩井、これは高島屋グループと提携をしておるということで、資本参加あるいは問屋の系列化、配送センターによる供給面からのスーパーの系列化、それから百貨店と提携して直接進出しておる。こういうような事例が非常に顕著になっておると思うのです。  こういう点から考えますと、これは一つは、たとえば消費者保護、それから中小小売商の保護というのがこの法案の立法目的、立法趣旨になっておりますが、いま申し上げたように、スーパー、特に百貨店系列のスーパーのこの売り場面積からしまして、ほとんどが規制対象にならない、こういうことですね。しかも、悪名高い商社がこういうところにどんどん進出して、そして百貨店スーパーと提携して、こういう形でどんどんどんどん出てきておる。しかも、私どもいろいろものの本によりますと、大体シェアを一地域に二〇%握りますと、これはプライスリーダーになり得るということですから、こういう点から考えまして、私は、消費者の保護という観点からもこれはもとる、また、中小小売商が非常に激しい勢いで圧迫されるということは必至だと思うのですね。このようないわゆる商社の進出あるいはいま申し上げたような一つの系列、こういうようなことについて春野参考人はどういうようにお考えになるのか。それから小売のどなたでしたか、一人お帰りになりましたけれども、いらっしゃるのは並木さんですか、それぞれお答え願いたいと思うのです。
  74. 春野鶴子

    春野参考人 法律はこのとおり、百貨店法から本法案にかわり、先ほどるる申し上げましたように、消費者利益とか、あるいは中小商店の云々と、まあ百貨店スーパーの大きなものと消費者利益、そして中小店との利害のからまりを調整するというふうにすんなり見るんですけれども、きょういろいろお聞かせいただいて、奥の利害のからまりの怪しさ、深さに実は驚いているわけです。表面はすんなりとした数行の法律の奥に、どんなにか、言うならば、事情をよく調べ、実態をつかめば、その奥の奥にからまっているものが、実はこれが表面であって、その人たちが進出する部門についてはこれからのがれるというふうなこと、いまつらつらお教え願って実はりつ然としているのですが、こういう方々が法を片方ですんなりつくらせておいて、実は奥のほうから、ちょっと手前の規模で、飽くなく収奪する、侵略していくというふうなことがでっかい力を持つ方々の商業モラルであり、あるいは侵略モラルであり、もうけるためにはうまいこと策動してということ、私はあまり信じたくないんですけれども、事実とすれば非常に憤慨にたえません。
  75. 並木貞人

    並木参考人 商社と百貨店の提携の問題でございますが、これは非常に好ましくないものと考えております。これは理由といたしましては、商品の独占あるいは過大資本による中小小売商への圧迫あるいは物価に響く問題、いろいろな問題がありますので、これは反対をいたしておるわけでございます。  特にこの際申し上げたいのは、外国の商社、シアーズローバックあるいはJ・マグニン、カルダン、あるいはバラエティーストア、百貨店のギャラリーラファイエット、アライドストア、ヌーボギャラリー、いろいろな提携が全部出ております。これらがいまのお話のように、国内ばかりでなくして外国商社との提携に結びつきますときにはおそるべきものがあるものと考え、大いに反対を表明するものでございます。
  76. 野間友一

    ○野間委員 それでは時間が来ましたのでこれで終わりますが、いろいろ私が御指摘申し上げたように、結局スーパー百貨店が、何かこの法律を見ますとバラ色に描いて規制対象になるというような感じを受けるわけですが、実は売り場面積の問題で大部分がこぼれ落ちていく、しかも大商社がスーパー百貨店と提携あるいはいろいろな形で進出をして、市場の独占になるというようなことがこれによって容易にできるのではないかというふうに私たちは非常に疑惑を持っているわけですね。そういうことを特に強調いたしまして、時間が参りましたので、私の質問は終わります。
  77. 田中六助

    田中(六)委員長代理 松尾信人君。
  78. 松尾信人

    ○松尾委員 本法の改正でありますけれども大型小売店、また中小の小売商、それから消費者、また他面働く従業員、この四者の利害というものは非常にかみ合わない、私はこう思うのです。そこに本法の運営といいますか、本法の改正というもののむずかしさがあるであろう。今後ともに大型小売店舗の進出というものは防げないと思います。そのときに、地域の円満なる発展、中小の小売の方々、また消費者の方々、従業員の方々、そういうものをひっくるめての共存共栄というものはなかなかできがたいのじゃないか、これを私は心配するのですよ。この点について、ほんとうにお互い四者が共存共栄できるのだというものがあれば、先ほどもありましたけれども賛成にやぶさかではありません。中小企業小売商の方々は何としても団結をして対抗しなくちゃできぬのじゃないかと思う。ですから協同化とか協業化、いろいろおっしゃいましたけれども、何としても力の強い大型小売商に対抗していく措置をとらない限りは、じり貧でやがて蚕食されていくことも明らかであろう、こう思う。また消費者の方々は、これは流通機構の問題でございまして、買う店舗のふえること、時間的な問題等も相なるべくんばフリーのほうがよろしいというのはうなづけますけれども、先ほど春野さんがおっしゃったとおりに、そこにはやはり時代に合った規制というものがなされるであろうということがあります。今後この店舗の進出の場合に、やはり審議会、商調協、地元の商工会議所というものがいろいろ考えていくわけでありますけれども、その中における意見調整ですね、これは消費者としてもよくよくいろいろなことを——いまお話がありまして、裏の裏までわかってりつ然としたということでありますが、単なる時間的な問題とか、距離的な問題じゃなくて、やはり寡占化され、そして消費者利益というものがやがて疎外されていくおそれも十分あります。むしろ消費者中小企業というものが、そういう店舗の進出のときに利害相反した立場になって、お互いに紛争の場をそういうところでつくっては相ならぬ。やはり何としても地域の調和ある発展というものが基本でありましょう。そういう点におきまして、今後審議会または商調協、商工会議所、そういう意見の聴取のあり方につきまして、中小企業を代表し、また消費者を代表して、このようにやってもらいたいということが多々あるのじゃないかと思うのでありますから、ひとつお二方に意見を遠慮なく開陳していただきたい。これを最初にお願いする次第であります。
  79. 並木貞人

    並木参考人 お答えいたします。  消費者の御要望、ニードにつきましては、私どもかねてから全国にわたりまして消費者懇談会、消費者の声を聞く会などいろいろ開きまして、私ども小売商側に対する要請等も伺いながら、それの対応策を今日まで講じてきております。  いま御指摘の大型店、これらに関連するところの商調協その他において消費者意見の合一がなるかどうか、こういう点につきましては、私は話し合いによってなるという考えを持っております。消費者の方々も非常に私ども小売商を理解していただき、特に繁華街においては別でございますけれども中小企業白書に示しておりますとおりに、末端地域における消費者需要はすべて中小小売店が扱っております。こういうこと等も考えまして、私ども消費者意見を尊重しますが、消費者の方々も十二分に私ども中小小売商立場を理解していただいて、商調協の場においても理解ある合意が得られるようになっております。  以上でございますので、今後自信を持って、ただ消費者あるいは中小企業者の商調協、審議会等における発言の場を強化していただく点だけをお願い申し上げておきます。
  80. 春野鶴子

    春野参考人 いまから覚悟しておりますのは、従来の百貨店審議会よりも、今度できます審議会、これは相当な渦が巻くのではないだろうかと思います。ただ、やはり消費者のほうも相当訓練されて賢く強くなっている向きもございましょうと思いますし、表面上大体筋が通ったようにできたとしても、その裏面に何かあるのじゃないか、いままであまりだまされたり言いくるめられたりした例も多うございますので、疑り深くなっている点もあります。  なお、必要と思う調査、それは自分たちにできませんけれども、立ち会っております通産省なり何なり当局側に頼んでも、正確な情報網と、それからまたその一つのできごとに対して各人がいろいろ論じてくださる、そういうことも多方面から情報をとりまして、ただ消費者の目先の利益だけで、それのみを小さい視野で主張するだけではもう通らない時代だ、非常に多角的に、そして大きく展望しつつ、自分たちがどう考え、どう提言し、どう強調することが時代的なものか、そういうことを、どうせたくさんの消費者代表は出られませんけれども、その代表がどこからか出ますと、今度は幸いにしてたくさんの消費者団体がいまふえておりますので、そこに連絡、相談し合い、討論し合い、それで遠慮なく、相反する意見をお持ちになっている業界といえども遠慮なく話し合って、一つの線を求めていく、そのようにやっていきたいと思っておる、現にやってきているつもりです。
  81. 松尾信人

    ○松尾委員 むしろ私が心配しておりますのは、大型店進出というものは、体制上また法律のたてまえ上阻止できない。それがいろいろ中小小売商の方々、また最終的には消費者利益になるかどうかということは疑問でありまするので、そういう進出に対してやはり十分なる御意見消費者の方から、また中小の小売商の方々からがっちり出してもらいたい。こういうことをその基本に置いて私はいま質問しておるわけです。何も中小の方々と消費者とが対立していくんだ、そういうことを主眼に私は言っておるのじゃないのですよ。どうしても避けがたいのですから、小売商としては団結する以外にないじゃないか。これは先ほどの振興法ができましてある程度めどができましたけれども、これはまだ予算的にも、規模的にもわずかなものであります。そういう点はお互いしっかりがんばっていきたい、こういうことで言っておるわけであります。今後ともその意味におきまして、地域の調和ある発展、大型と中小との調和がはたしてできるのかということです。また、消費者という方々との調和ですね。そして従業員の方がそこにいらっしゃる。そういうものの調和がほんとうにできるのかということを私は非常に心の中で迷いながら、苦しみながらこの法案にいま接しておるわけであります。よくおわかりください。  それからその点に関連いたしますけれども、三千平米以下だとか千五百平米以下というものは、これは届けも何も要らなくてすべてフリーになっております。これが中小企業の方々にどのような影響を及ぼすだろうかということを私は心配しております。それにある程度のスーパーというものが乗ってきますと、やはり流通機構というものを握って強いスーパーなんかと弱い中小小売商の方々とは、そこに競争力というものが格差がありますから、どうしてそういうものに対抗していくのか、野放しでなくやはりある程度そういうものを規制していく何かもお考えになることが当然起こってきてもいいのじゃないかというような考えを持って聞くわけでありますけれども、これは並木さんいかがですか。
  82. 並木貞人

    並木参考人 お答えいたします。  先ほどの御質問でお答えを申し上げなかったのですが、大型店の対応策は御説のとおりで、今後町づくりのために大企業も含めまして一生懸命やりたい考えでございます。  いまの点につきまして、いわゆる千五百、三千平米未満の問題でございますが、これにつきましては、小売商業調整特別措置法というものがありますほかに、地元の商工会議所等においても取り上げていただく方法等が受け入れられておりますので、一応現時点における千五百、三千平米というものは、それ未満のものについてはその方法でとらえていって、本法に準じた扱いでなるべく調和のとれた大中小企業の調和をはかっていきたい、かように考えております。
  83. 松尾信人

    ○松尾委員 調和のとれたのが一番いいわけでありますから、やはりこのようなことで、今度は坪数制限だけでありますから、制限以下のそのような店舗の進出によりまして思わざるまたは大きな影響を受けて困ったということがないように、いまのお答えのとおりにがっちりひとつ固めていかなくてはいかぬのじゃないか。これはほんとうにお考えになるべき問題だろうと思って問題を提起しておきます。  これで最後になりますけれども百貨店のほうに私は一言苦言を呈して、そしてあなたのほうの御意見というものをひとつここではっきりしてもらいたいと思っておることがあるのですが、これは先ほども触れられましたけれども、派遣店員の問題であります。これは納入者がおります。そして納入者がデパートのほうへ派遣店員を出しておるわけでありますけれども、その数を減らしていくのだということは先ほどの御答弁でわかりました。ところが、私がここで申し上げますのは、この派遣店員にデパートがいろいろな品物を強制的に売っております。それから納入業者に対しましてもいろいろのデパートの品物を押しつけて売りさばいております。これはどこどこというようなことは申し上げませんけれども、共通的に、各デパートにはそのようなことが慣例的に、恒常的にいまなされております。これは非常に大きな問題でありまして、そして弱い者がやはり泣き寝入りしておる。それを言うことを聞かなければ、いろいろ営業上の制約を受けてみましたり、また派遣店員自体がいろいろまたそこで差別的なことをされてみたりというような問題が起こっておりますので、そういうことが事実であるということに相なりますれば、これは間違いありませんけれども、ひとつ井狩さんのほうからよく実情を調査して、そしてそういうことがないようにきちっとやっていくという御決意があるかどうか、その点を聞いて、私の質問を終わりたいと思うのです。
  84. 井狩彌治郎

    井狩参考人 ただいまの御発言にお答えさせていただきます。  ただいまの取引業者に対するいろいろな強要と申しますか押しつけ販売と申しますか、そういうような問題でございますが、これらにつきましてはいろいろ問題が出ておりましたので、先ほども申し上げました協会におきます取引改善委員会の問題に取り上げまして、これは自粛申し合わせをすでにいたしておりまして、徐々に改善を見て、今後はこういうことはないように絶無を期したい、かように考えております。
  85. 松尾信人

    ○松尾委員 徐々にとか、今後こういうことがないようにとおっしゃいますけれども、これはきちっとしてください。そしてすべての百貨店にそのような趣旨が徹底いたしますように、あなたのほうからしっかりこれを伝えて、みんなが自粛していくようにこれはきちっとしていただきたい。これをそのようにされますか。それで私はもう質問を終わりますから。
  86. 井狩彌治郎

    井狩参考人 御趣旨に従いまして善処いたしたいと思います。
  87. 田中六助

    田中(六)委員長代理 議事進行について発言を求められております。加藤清二君。
  88. 加藤清二

    加藤清二委員 お許しを得まして、議事進行で一言だけ発言させていただきます。  こういう場合でございますから、お答えできにくい点もあったかと存じますが、物価高から消費者を守るということは目下の急務でございます。したがって、私が質問をいたしましたことについてお答えのなかった点につきましては、後日、書面でけっこうでございますから本委員会へ御提出願うよう、委員長のほうにおいてお取り計らいのほどをお願いいたします。
  89. 田中六助

    田中(六)委員長代理 はい、わかりました。  以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  午後二時三十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時二十八分休憩      ————◇—————     午後二時四十三分開議
  90. 浦野幸男

    浦野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  稻村左四郎君外五名提出の自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党四党共同提案にかかる中小企業団体組織に関する法律に基づく命令の規定による織機の登録の特例等に関する法律案を議題といたします。
  91. 浦野幸男

    浦野委員長 提出者より提案理由の説明を聴取いたします。稻村左四郎君。
  92. 稻村佐近四郎

    ○稻村(左)議員 中小企業団体に関する法律に基づく命令の規定による織機の登録の特例等に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  織布業につきましては、中小企業団体組織に関する法律に基づき織機の登録と新設について、いわゆるアウトサイダー規制が行なわれております。しかし、登録をしないで稼働している織機も多数存在し、その保有者の大部分が生業的な小規模織物製造業者であるというのがその実態であります。  現在、織布業につきましては、特定繊維工業構造改善臨時措置法に基づき昭和四十二年から構造改善事業が進められておりますが、無登録織機をこのまま放置するならば、長期的には織機の台数が過剰状態になることが予測され、織布業の過当競争の基盤を残すこととなり、これまで行なわれてきた構造改善事業効果を減殺することになると考えます。  本案は、このような実情にかんがみまして、一定の条件のもとに無登録織機の有籍化を行なうことにより、織物製造業者の経営の安定をはかり、国民経済の健全な発展に資することを目的とするものでありまして、その要旨は、次のとおりであります。  第一は、特定織機とは、中小企業団体組織に関する法律の規定に基づく調整規則により届け出をした織機をいうこととしております。  第二は、特定織機にかかわる織物製造業者は、通商産業省令で定める種類及び区分ごとに、その設置している特定織機の台数の四分の三に相当する台数について、通商産業大臣の登録を受けることができることとし、中小企業団体組織に関する法律による登録を受けたものとみなすこととしております。  なお、四分の三を算定する場合において端数が生じたときは、端数を切り上げて得た台数について登録を行なうこととしております。  第三は、商工組合等は、織物製造業者からのこの法律による納付金の受け入れ及びこれを財源として行なう織機の買い取り及び廃棄に関する事業を行なうことができることとし、これを行なおうとするときは、昭和五十三年三月三十一日までの間における織機の計画的減少に関する事業計画及び資金計画を作成し、通商産業大臣の認可を受けなければならないこととしております。  なお、納付金にかかわる経理については、通商産業省令によりその他の経理と区分し、特別の勘定を設け整理しなければならないこととしております。  第四は、商工組合等の事業計画の認可があった場合においては、登録を受けることができる四分の三の特定織機以外の残り四分の一の特定織機につきましても登録を受けられることとしております。  第五は、四分の三に相当する台数をこえて登録を受けるときは、商工組合等が認可を受けた事業計画に基づいて行なう織機の買い取り及び廃棄に関する事業に要する費用に充てるため、そのこえる台数に応じて〇・二五台につき五万円、小幅織機については二万五千円の割合により算定した額の納付金を商工組合等に納付しなければならないこととしております。  なお、納付金を納付する者のうち、その設置している織機の台数が一定台数未満の場合には、その金額を軽減することとしております。  この法律は、昭和五十三年六月三十日限り、その効力を失うこととしております。  以上が、法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  93. 浦野幸男

    浦野委員長 以上で提案理由の説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  94. 浦野幸男

    浦野委員長 内閣提出、大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律案を議題といたします。  政府から発言を求められておりますので、この際、これを許します。中曽根通商産業大臣
  95. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 先般中村委員から御質問のありました件につきまして、政府の統一的見解を申し上げます。  本法案が建物主義をとり、寄り合い百貨店等をも対象としたのは、再度大型スーパーが擬似百貨店方式で事実上脱法することを排除するためのものであります。  したがって、大企業のダミーについては、寄り合い百貨店等の形態をとる場合も、立法の趣旨から当然勧告、命令の対象となります。  しかし、純粋の中小小売商業者に対しては、本法案の立法の趣旨にかんがみ、原則として調整対象としないよう運用すべきものと考えます。法第十一条後段の規定は、この趣旨を明らかにするため設けたものであります。  以上であります。
  96. 浦野幸男

  97. 莊清

    ○荘政府委員 高度化資金につきましての昨日の中村先生の御質問にお答え申し上げます。  中小企業振興事業団の高度化資金は、中小企業の協業化を助成する目的で設けられたものでございますから、大企業の子会社は、たとえ形式的に中小企業であっても貸し付けの対象にしないことにいたしております。共同店舗の場合も、大企業または大企業の子会社の参加する部分は、顧客の吸収のためそれが必要不可欠と診断された場合を除き、原則として貸し付けの対象としないことにいたしております。  なお、寄り合い百貨店等の経営が不振におちいり、参加していた中小小売商が脱退をした場合、大企業または大企業の子会社がこの部分を肩がわりする例がございますが、この場合は、原則として、大企業または大企業の子会社の肩がわりした部分につきましては、高度化資金貸し付けの繰り上げ償還を命ずることにいたしております。
  98. 浦野幸男

    浦野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村重光君。
  99. 中村重光

    中村(重)委員 いま通産大臣並びに荘中小企業庁長官から統一見解が示されました。これによりまして寄り合い百貨店の場合におきましても勧告、命令の対象となる。いわゆるダミーになった場合であります。そのことは明らかになってまいりました。問題は、純粋の小売商業者に対しては、本法案の立法の趣旨にかんがみ、原則として調整対象にしないよう運用すべきものと考える、第十一条後段の規定はこの趣旨を明らかにするため設けたものだ、こうお述べになったわけであります。この第十一条の後段は、「大規模小売店舗における中小小売業近代化その他の小売業事業活動の円滑な遂行に支障を及ぼすことのないよう配意しなければならない。」とあります。これは本法律案によりまして、従来の企業主義から大規模店は建物主義に変わってきた。したがって、大規模小売店舗とあるのは、これは建物と読みかえることができると思います。いわゆる建物の総称であると考えます。そうなってまいりますと、大資本家が、たとえば百貨店あるいはスーパーあるいはその他の、これは百貨店あるいはスーパーに限らないで建物、大規模小売店舗を建設することができる。その中に中小小売業者が入ってくる。したがって、中小小売業者が入居いたします場合に、その入居いたしました小売業近代化その他の小売業事業活動の円滑な遂行に支障を及ぼすことのないよう配意しろ、こうあるわけであります。  ところが、寄り合い百貨店であるとか、あるいは寄り合いスーパーというものは、建物を建てることそのものが中小企業近代化につながるのであります。第十一条の意味は、寄り合い百貨店あるいは寄り合いスーパーというものを意味しているものとは考えません。大資本が建物そのものを建てる場合、これは第十一条後段に私は当てはまると思いますけれども、ただいま申し上げましたように中小企業近代化とは何ぞや。中小企業近代化とは、中小企業がばらばらになって小さい店舗を持っておるのをこの中小企業が一ヵ所に集まって寄り合い百貨店をつくったり寄り合いスーパーをつくるということであります。そのために二分七厘の高度化資金が融資されるのであります。その融資された高度化資金によって建物を建てるのであります。したがいまして、第十一条の後段には私は当てはまらないという理解を持っているのでありますが、この点は大臣間違いでございましょうか。
  100. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 いまの御理解のとおりでけっこうであると思います。
  101. 中村重光

    中村(重)委員 であるならば、立法の趣旨にかんがみ、原則として調整対象としないよう運用すべきものと考える、第十一条の規定はこの趣旨を明らかにするため設けたものであるということは、私は適当ではないと思います。いわゆる寄り合い百貨店、寄り合いスーパーというものが大企業のダミーになっている、そのこと自体を私は問題にしてきたわけでありますから、ここでダミーになる場合は当然勧告、命令の対象になるのだ、しかし十一条後段の場合は、これは勧告、命令の対象としない、こういうことでありますが、もちろん中小企業者が純粋に寄り合い百貨店をつくりあるいは寄り合いスーパーをつくったという場合、これは勧告あるいは命令の対象としないということは、私は納得いたします。それであればよろしいと思います。しかし、十一条の後段の規定はそれを意味するのだというのには納得できないのであります。これは寄り合い百貨店や寄り合いスーパー意味するものではありません。大資本家が金を出して建物をつくった、そこに入るところの中小企業近代化について配意しろと書いてあるではありませんか。大臣の見解は、この点は適当ではないと私は判断をいたします。いかがでしょう。もう一度統一見解を出してもらいましょうか。そして質問を続けましょうか。
  102. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 多少確認する意味も含めてお答えすることになると思いますが、中村先生がいまおっしゃった意味は、十一条後段の「あわせて、」以下を正確に読む場合に、寄り合い百貨店が集まって大規模店舗をつくろうというので届け出を出す場合、その場合は後段に入らないのじゃないか、こういう御見解かと思います。私どもが統一見解で、第三項の後段で、第十一条後段の規定はこの趣旨を明らかにするため設けたものであると言いましたのは、正確に字義どおり先生の御見解で詰め寄られますとそういうすき間のあることば私も承知いたしましたが、申し上げました趣旨は、十一条で、前段で、消費者利益を配慮すべし、後段で、中小小売業近代化を配意すべし、こういうぐあいにわざわざ書き分けましたこの法文の趣旨からいいまして、この法律が通りましたときは、行政官庁として、届け出を受理した際に、中小小売業近代化というものを妨げないように判断すべしという法律の趣旨がこもっておる、こう広く解釈いたしまして、統一見解で引用さしていただいた次第でございます。
  103. 中村重光

    中村(重)委員 局長、それは非常に無理な見解ですよ。こじつけですよ。法律はすなおに読まなければいけません。「あわせて、大規模小売店舗における中小小売業近代化その他の小売業事業活動の円滑な遂行に支障を及ぼすことのないよう配意しなければならない。」ですよ。ところが、寄り合い百貨店であるとか、あるいは寄り合いスーパーというのは、集まって建物を建てるために二分七厘の金を融資するのですよ。そのこと自体が近代化なんです。この十一条後段は、特定の大資本が大規模小売店舗をつくるのですよ。その中に入ってくる小売業に対して「近代化その他の小売業事業活動の円滑な遂行に支障を及ぼすことのないよう配意」しろと、こういっている。この十一条の後段は、建物をつくるところの特定大資本に向かっていっているのです。ですから、こういう無理な統一見解を大臣に出させるのではなくて、寄り合い百貨店であるとか、寄り合いスーパーというものがダミー化することは適当じゃありません、絶対にそういうことはさせません、もしそういうことがされるならば、繰り上げ償還をさせます、そういうすなおな答弁をなぜなさらぬのですか。そのすなおな答弁があったならば、私どもはまた附帯決議あるいは大臣答弁等をもってこれを担保していきたい。そういうことができるわけです。無理な統一見解を出させるから混乱をするじゃありませんか。もう一度統一見解を出していただかなければ質問を進められないということになりますよ。
  104. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 私ども原案をつくりまして、いま大臣が申し上げた統一見解の骨子は、ただいま先生の言われたとおりでございまして、ダミーという形をとって大企業が寄り合い百貨店等をつくる場合、先ほど中小企業庁長官が申し上げましたように、これは償還させる。そういうものは本法で促進する趣旨でもございませんし、中小企業近代化のわがほうの政策にも沿わないものでございますから、償還させる、その方針を明瞭にお伝えしたつもりでございます。
  105. 中村重光

    中村(重)委員 でしたら、大臣の統一見解の第三項を撤回なさいますか。「第十一条(後段)の規定は、この趣旨を明らかにするため設けたものである。」そのくだりは撤回をしなければいけないと思います。これを撤回なさいますか。私は別にこだわっているんじゃないです。法律案というものはすなおに解釈をしてください。無理にこじつけてはだめなんです。あなた方がこだわっているのです。こだわってはだめなんですよ。
  106. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 十一条後段につきましては、「あわせて、大規模小売店舗における中小小売業近代化」ということばの解釈が問題だと思います。私どもは、この場合に、寄り合い百貨店の場合、あるいはある中核企業が大規模店舗をつくるが、調整の結果、その四割は、その辺で土地を持っておったり営業をしておった小売業を入れる場合、いろいろな形がございますが、そういった寄り合い百貨店もしくはそれに近いような形のものを含めまして、そういった中小小売業近代化を進める場合にはそれを配慮する、こう読んでおったのでございます。それに対して先ほど先生の御意見もありましたので、この部分につきましては、恐縮でございますが、もう一度この解釈をはっきり部内で統一いたしまして、もちろん、私どものほうが少し無理な解釈であれば、統一見解からこれを削除させていただきますが、一度検討させていただきます。
  107. 中村重光

    中村(重)委員 お役人というのはメンツにこだわるというのか、どうも私どもの常識では理解できないですよ。そんなむずかしいことを言わないで、すなおにこの法律案を読んで、大臣に統一見解を——これは大臣が考えて統一見解を出したのではなくて、事務当局であるあなた方が補佐して大臣に統一見解を読ましたわけだ。それを私はとがめだてをするのではないのです。だから、この部分は撤回をいたしますと、こうおっしゃって、そしてダミーになっておって高度化資金の貸し付けをした、そういうことを今後は絶対にしないようにする、そういう事態が起こったらこうするんだというように態度をはっきりさせておくということであればよろしいのではありませんか。大臣、いかがでございましょう。
  108. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 私、不敏にして、中村先生のおっしゃることがまだ完全によくのみ込めないのでありますが、この十一条のいまのところ、「あわせて、」以下がダミーばかりを規定しているものではないのではないか、そういう気が実はしておるのであります。もっと広い分野におけるいろいろなケースを考えて、そうしてダミ−のような場合についてもこれは排除する、そういう意味も含まれている。しかしそのほかのケースもまだあるのではないか。中小小売商近代化のためにいろいろやるというものがほかにもいろいろあって、そういう場合にはもちろん調整行為から排除される、そういうような意味が含まれたもっと包括的な規定のような気がしているのですが、間違いですか。
  109. 中村重光

    中村(重)委員 大臣、そうすなおにおっしゃるから私も追及しにくいのだけれども、今度は大臣のほうが局長よりもこだわってきましたよ。  私は、ダミーをこの十一条後段で規制するとかなんとか、そういう意味で申し上げているのではないのです。寄り合い百貨であるとかあるいは寄り合いスーパーというのは、二分七厘の金をつくらせて中小企業近代化をやらせるわけです。そういうことで、その建物を建てさせるということ、そのものが近代化なんですよ。それをそうは解釈をしないで、無理にダミ−と結びつけておるのはそちらです。政府のほうがこれを結びつけて、そうして一項、二項、三項ということで、十一条後段の規定はそういう意味だというような見解を出させているところにかえって混乱が生じているわけですよ。この十一条後段は、寄り合い百貨店とか、あるいは寄り合いスーパーということをここで意味しているのじゃないのですよ。特定の大資本がいわゆる大規模小売店舗とする、いわゆる建物主義になったのですから、建物をつくるわけです。そこの中に小売商は入ってくるわけですよ。その小売商の近代化その他事業活動の円滑な遂行に支障を及ぼすことのないように配意しなさい、こういっているわけです。それを寄り合い百貨も寄り合いスーパーも、特定の大資本が建物を建てるということも、ごっちゃにしておるところに問題があるわけですよ。その解釈が無理なんです。
  110. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 あるいはこの点、中村先生の読み方にも多少ちょっとと思いましてあえて申し上げるのですが、この大規模小売店舗は、もちろん建物主義でございますから三千平米以上のものはすべて含むわけですが、それはもちろん大企業なりあるいはスーパーが一社で建てる場合もあれば、デベロッパーが建てる場合もあれば、それから都市開発で、その辺の中小企業が二十社集まって建てる場合も、三千平米をこえればそれは大規模小売店舗でございます。これは二条のほうでそれははっきりかかってくるわけでございます。  そこで、いろいろな形があるが、とにかく三千平米以上のもの、そこに入ってくる中小小売業、それは近代化であるから、その中小小売業近代化というものは配慮していくのだ。そこで私どもは、ここにはいろいろな形があるが、三千平米以上の小売業をやる場合に、その中に入る中小小売業はいろいろな形の場合が全部入っておる、そしてそれは近代化という趣旨で配意しろ、こう解釈しているわけでございます。そしてこの条項がありますので、一応寄り合い百貨店でも何でも届け出は出してもらうけれども、その内容が、同じ三千平米以上の建物でも、この後段の配慮から見てむしろ政府として促進すべきものであれば、これは促進する。それから、しかし、それが促進すべきものでないというのであれば、この法律ではもちろん配意事項にならないと同時に、それが今度はそういった仮面をかぶった、ちょっと十一条後段のような仮面をかぶった大企業のダミー店舗であれば、これは先ほど長官が言われたように、融資資金も返してもらう、こういう解釈をしておるわけでございます。
  111. 中村重光

    中村(重)委員 ますますおかしくなってきましたよ。仮面をかぶったそういうものがあれば十一条後段によってと、こう言っている。十一条後段は、これは小売業がやるわけなんだから、それに対しては、この統一見解にあるように、後段の規定はこの趣旨を明らかにするために設けたんだと、こう言っている。これは十一条後段に基づいてこの点は規制はしないわけですね。そうでしょう。だから、あなたが言う仮面をかぶっておれば云々というようなことが出てくることがおかしいじゃありませんか。大体、この法律の名称は大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律案なんです。寄り合い百貨店であるとかあるいは寄り合いスーパーということは、元来この中に一緒に規制対象にすることがおかしいわけですよ。小売業全体が集まって近代化をやるわけだからね。しかし、ダミーになるおそれがあるから、したがって、ここで規制をしようというようにあなた方がなさったわけなんだ。それは理解できるわけですね。私は理解できるのですよ。しかし、条文のあなた方の解釈は、これは理解できない、こう言っているわけです。また統一見解は、これは無理がある、十一条の解釈の上に乗ったこの統一見解は、これは適当ではない、こう言っているわけです。  ですから、先ほどあなたがお答えになりましたように、この統一見解についてまた検討し直してこれを改めるというようなあの答弁であると、若干すなおだったわけですよ。しかし、またいろいろとそうおっしゃると、これはますますもって進みませんよ。確信を持って答弁をしているわけじゃないでしょう、あなた。右や左に首をひねりながらやっている。やはり疑問をあなた自身が持ちながら答弁しているじゃありませんか。
  112. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 中村先生の御解釈は、大規模小売店舗における中小企業近代化その他、この文章は寄り合い百貨店はカバーしない、そういうお考えなんですね。これはもう当然みんなで近代化資金を出してみんなで建物をつくってやるんだから、大規模小売店舗における中小小売業という概念とは違う、大規模小売店舗における中小小売業近代化という意味は、大きな資本が先に建物をつくるとか、デベロッパーがつくって、そこへ中小企業が部屋を借りて入ってくる、そういう場合においていろいろ注意してやれと、そういうふうな解釈なんですね。その差別はよく私も理解いたしました。どちらの解釈が正しいか、もう少し時間をかしていただきまして検討さしていただきます。
  113. 中村重光

    中村(重)委員 いまの大臣の答弁で、私は先に進んでいきたいと思います。  これはむしろ荘長官、あなたが当面の責任者であると思うのですが、寄い合い百貨、寄り合いスーパー、これはダミー化しているということは事実なんです。だとすると、二分七厘の特別融資をしているのですよ。これは高度化資金、あなたのこの解釈にありますように、許されてはならないのです。当然これは、二項の最後に書いてありますように、そういった場合は「高度化資金貸し付けの繰り上げ償還を命ずることとしている。」、こう言っていますから、現実にいま融資をしておりますのは、これは不正融資になります。これは当然返還をさせなければならないと考えますが、これをどう処理なさいますか。
  114. 莊清

    ○荘政府委員 先ほどお答え申し上げましたとおりの運用で今後も参るわけでございます。御指摘のような実態がございましたら、今後も繰り上げ償還という措置を講ずる方針でございます。現在もこの方針で現に繰り上げをさせておるものがございます。
  115. 中村重光

    中村(重)委員 繰り上げ償還をさせた件数、単なる件数ではだめであります。具体的にこういう場合に繰り上げ償還をさせましたという、ひとつ金額から件数から、それから対象となっておるところの事業はどこなのか、お答えをいただきたいと思います。
  116. 莊清

    ○荘政府委員 昭和三十八年に山形県のスーパーライフというのに高度化資金を出しておりますが、これについてはすでに大企業に施設譲渡が行なわれましたので、繰り上げ償還をさせて、すでに償還が進んでおります。同じく四十一年に助成いたしました静岡の花菱というのがございますが、これも同様償還措置済みでございます。それから四十二年に助成いたしました岡山の旭栄というのがございます。これも同様でございます。それから、これは年度がさかのぼりますが、四十四年に助成いたしました静岡のショッピングデパート「するが」というのがございますが、これも同様償還措置済みでございます。このような例がございます。  金額につきましては現在手持ちの資料がございませんので、さっそく調べまして資料として提出をいたします。
  117. 中村重光

    中村(重)委員 企業局長にお尋ねをいたしますが、大臣の統一見解の第一項を受けて第二項が出てきているわけですが、「大企業のダミーについては寄り合い百貨店等の形態をとる場合も立法の趣旨からして当然勧告、命令の対象となる。」、こういっているわけであります。勧告、命令というのは四ヵ月なら四ヵ月という期間がありますね。限られています。その限られた期間以降においては、勧告あるいは命令というものは私は出せないのだというように理解をいたしているのでありますが、これはダミー化する、ダミーだという判断はどこで明らかになるのでございましょうか。
  118. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 いまの御質問は、たとえば届け出を出しましたときに寄り合い百貨店である、かりに純粋に寄り合い百貨店だったといたします。二十社の寄り合い百貨店だった。そうすると、これは先ほどのまた議論に戻って恐縮でございますが、その場合は十一条の規定もありますので、届け出は受け取りますが、七条の勧告、八条の命令は出さないで、それはどうぞおつくりくださいということでスタートをいたします。そして一年たって経営が不振になり赤字が続いたところに、大企業がそれを買収して自分の店舗にしようという場合を一応想定いたしますと、私どもは、十三条の承継の規定に当たらないので、その場合は大企業は当然新しく届け出をしなければならない、こう思います。
  119. 中村重光

    中村(重)委員 寄り合い百貨、寄り合いスーパーが純粋な中小企業として、いわゆるダミー化しないでやっていた、しかし赤字が出た、それで大企業進出してくる、その場合は当然寄り合い百貨、寄り合いスーパーとして出しておった高度化資金というのは、これを繰り上げ償還をさせて大企業の出資金にかえる、これはいまあなたの答弁のとおりであります。またそうなければいけません。しかし、私がいまお尋ねをしましたのは、第一を受けて一いわゆる第一は「本法案が建物主義をとり、寄り合い百貨店等をも対象としたのは、再度大型スーパーが疑似百貨店方式で事実上脱法することを排除するためのものである。」これを受けて、そういった場合は「当然勧告、命令の対象となる。」こう書いてあるわけですから、これは将来ではないのです。届け出をして事前審査をやっている段階、その段階あるいはその直後にそういう事実が発見されなければ勧告、命令の対象にはならない、そのように私は理解をいたしますが、間違いでございましょうか。
  120. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 おっしゃるとおりでございまして、第八条の規定で、通産大臣は届け出を受け取りましたならば、その四ヵ月以内に、それがダミーであるか、ほんとうの寄り合い百貨店であるかを判断せねばならないわけでございます。それで、もしそれがダミーであり、本法にいう変更命令を出すべきものとわかれば、そこで命令を出すということであります。
  121. 中村重光

    中村(重)委員 勧告とか命令を出し得る期間で発見されれば、そのとおりでよろしいのです。しかし勧告、命令というものが出せなくなった、いわゆる何と申しましょうか、期間経過後であった、そこで発見をされたという場合はどのように処置なさるわけですか。
  122. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 もちろん虚偽の報告とか詐欺、詐称であれば罰則にかかると思います。一応真正の届け出が全部出てきたとすれば、そこで判断をせざるを得ないと思います。
  123. 中村重光

    中村(重)委員 真正を出してきたのですよ。ところが、先ほどあなたが、たまたま十一条の後段のところで、仮面をかぶってとこうおっしゃった。仮面をかぶっているのだけれども、それが発見できなかったわけだ。そこで勧告、命令の期間というものは経過してしまった。その後にそういう事実が明らかになった、その場合はどうするのか、こう尋ねているわけなんです。
  124. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 だまされたことになると思いますので、それはそのときの実態によりますが、もちろん届け出で仮面をかぶっていることが直ちにわかればいいわけですが、もしも届け出は真実を書いたが、仮面をかぶっていることが見破れなかったとすれば、行政当局の失態になると思います。  しかし、それはできるだけそういう点を配慮していたしますから、届け出書を正確に判断し実情も調べたが、その範囲ではよかったんだけれども、実はその裏には裏があってという場合は、やはり申請者側に虚偽の事実があったということで、これは罰則のほうで処分できる、しかしそこに虚偽がなければ、行政官庁側にも相当の責任があるという事態だと思います。
  125. 中村重光

    中村(重)委員 仮面をかぶったということが虚偽なんですよ。罰則だけで問題は解決をいたしません。そのことが明らかにされたならば、条文の何条においてこう措置いたしますということが当然明記されなければなりません。あり得ないのかといえばあり得る、それは先ほど荘長官から具体的な事実について報告をされたことにおいて明らかであります。寄り合い百貨であるとか寄り合いスーパーというものをこの法律対象とした以上は、あらゆる場合を想定をして法律案の中に明記をしていくというあなたのほうの作業が落ちているわけです。ですから、その点に対しましても、あとで統一見解をひとつ出していただきたい。  私どもは、問題がなければ、参考人にも申し上げましたように、消費者利益に通じ、中小企業百貨店あるいはスーパー、大規模小売店との間に共存共栄の実があげられるならば、足らざるところは修正もし、賛成をして成立をさせたい、そういう態度を明らかにしてきたところであります。しかし、いまのようなあいまいな態度では、この法律案成立をさせることはできないではありませんか。だから、申し上げましたように、この点は後刻でけっこうでありますから、明確にしていただきたいと思います。  次に、昨日の私の質問で、かけ込みの扱いについてお尋ねをいたしましたが、お答えはございましたけれども、明確でございませんでしたので、もうあまりくどくどした答弁は要りませんから、かけ込みの扱いについてはこうするということを明確にひとつもう一度お答えをいただきたいと思います。
  126. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 まず第一に、百貨店関係は、百貨店法規制をし、かつ経過規定もございますから、もうこれでいいと思います。主としてスーパーでございますけれども、現在百貨店法並みに取り扱うように通達を出しておりますが、私どもは、単にこの法律が公布されるまででなく、実施され、かつ経過期間を通じまして、この通達を厳格に実施していきたいと思います。したがいまして、かりにこの法律国会を通過いたしまして、仮定でございますが、六ヵ月後、来年の一月に実施されたといたします。そうすると、建物業者は六ヵ月間経過期間を持ちますし、その中に入る小売業者は四ヵ月間経過期間がございますが、その経過期間にどんどん建て上がるようにかけ込みの計画をしておるとした場合、その人は自由かというと、通達のほうは経過期間も生きておりますから、六カ月前に届け出を出してもらい、大型店舗懇談会で地元と話をしてもらい、話がつかなければつくまで開店を延ばすという現在の運用をきびしくやってまいるつもりでございます。  現在、各都市でいろいろな建設計画がありますのを私どももまとめて調査しておりますが、今年の八月、九月、あるいは十月に開店予定のスーパー等は、すべて通達によって届け出が出ておりまして、私どものきつい指導にもよると思っておりますが、現地でそれぞれ話し合いに入っております。  それから来年の一——六月というちょうど経過期間に当たるところのものは、問題になっておるのはございませんで、むしろ来年の九月、十月ごろ開店のもので問題になっているのもございます。これらは先ほどの仮定でいえば、もちろんこの法律の規定を受けますので、かりにいまどういう計画を立てましても、新法によって手続をとってもらわねばならないと思います。したがって、全般としてこういうかけ込みによって、この経過期間を利用し、本法をくぐろうとするたくらみは成功しないと思っております。
  127. 中村重光

    中村(重)委員 私はそうは考えないのですよ。原案のままですと、既存店舗は対象にならない。そうしますと、この法律が公布、施行されましてその後であればよろしいんだけれども、その前に出ているわけだから、もうすでに申請をしたということについて、申請者にとっては一つの既得権的なものが生まれてきたという解釈が成り立つのではないか。これをいたずらに押えて、百貨店の場合は許可をしない、今度はスーパーの場合は、いまのところ届け出制も何にもないわけだから、これはそのまま開店していくということにならざるを得ないのではないか。いたずらにこれを押えることは憲法上の問題も出てくるだろう。国が法律違反という形で行政訴訟の対象になることは当然だというように私は思います。いま局長がお答えになりましたように、かけ込みというものは有効には働かないであろうということは、私は甘過ぎる解釈ではないかというように思います。  一方今度は、昨日大臣のお答えによって明らかなように、この法律案委員会において各党で相談をして修正というようなことも考えるということになってまいりますと、既存店舗というようなものもこの法律対象になってまいりましょうから、そうなってまいりますと、一年なら一年間の経過期間というものを置くといたしますと、その一年間の経過期間だけは今度はその対象となりませんから、それだけの、自由に経営する、いわゆる規制対象からはずれる利益というものを得ることになる。それは私はやはり問題であると思うわけであります。だからして、このかけ込みというものを現実に押える根拠というものがあるのかどうかいその点もひとつ明らかにしていただきたいし、私の理解と申しますか、解釈が間違いなのかどうか、その点も批判でけっこうでございますから、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  128. 橋本利一

    ○橋本政府委員 現在特定店舗について届け出制をとっているということを先ほど来お答えいたしておりますが、特定店舗と申しますのは、現行百貨店法対象には形式的、法的にはなりませんが、事実上千五百ないし三千平米をこえる店舗を特定店舗と称しておるわけでございます。これは事実上いわゆる大型スーパーに相当する、こういうことでございますので、大型スーパーにつきましては現行法の適用は直にはございませんが、ただいま申し上げました局長通達でもって行政指導しておることをまず一点申し上げます。  それから、二つ目の問題といたしましては、本法は調整の手始めといたしまして、公示のあったいわゆる大規模小売店舗に入居する小売商は大小問いませんが、それは開店の四カ月前に通産大臣に対して届け出を出すことになります。したがいまして、法律施行後四カ月以内にその大規模小売店舗内で小売業を営もうとする者は届け出が間に合わない。法律が施行されてない段階でないと届け出を出せないわけでございますから、百貨店以外のその他の大規模小売店につきましては、原則的にはフリーになるわけでございます。ただし、ただいま申し上げております一番目の大型小売店舗、いわゆる特定店舗に対する届け出制は、その四カ月間といえども従前どおりに適用いたしまして、具体的には特定店舗は法施行後四カ月間は自由にしていいということにはいたさないで、従来どおりこの通牒によって行政指導する。具体的には商工会議所もしくは商工会に置かれる調整機関にかけまして、現地で十分話し合いがついてからでないと小売業を開店し得ないというような形で、かけ込み防止の措置を講じていく、こういうふうに考えておるわけでございます。
  129. 中村重光

    中村(重)委員 それではもう端的に伺います。  この法律案が正常な状態で成立する、私どもが納得するような答弁が行なわれ、問題点の修正に与党も応ずるというような形でありますと、私はこれが成立をするのはそう遠くはないと考えています。したがって、あなた方の判断というものと期間的にはそう狂いはないのじゃないか、いわゆるいつごろ成立するかというあなた方の判断ですね。その判断の上に立って、いまお話がございましたように、かけ込みといったようなものはもう事実上有効に働かない、これは押えられるというように私どもは理解をしてよろしゅうございますね。
  130. 橋本利一

    ○橋本政府委員 少なくとも現在局長通達に基づいてやっておる行政指導程度には十分担保できると考えております。
  131. 中村重光

    中村(重)委員 大都市三千平米、地方都市千五百平米、これの解釈でございますが、従来は企業主義でありましたが、今度は建物主義に変わってまいりました。これは公取もお見えでございますから、公取の解釈も聞いてみたいのでありますけれども、従来、建物の九五%以上というのが、これは百貨店とみなすというのが公取の解釈であったのだと思います。今後は建物主義になりまして、これがどう変わるのか、公取の解釈並びにただいま申し上げましたように、企業局長から、三千平米、千五百平米、建物主義に変わって、従来の企業主義とこの点はどう変わってくるのか、この点をひとつお答えをいただきたいと思います。
  132. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 百貨店業として特殊指定をしておりますが、それはいまおっしゃいますとおりで、東京都及び政令都市におきましては、三千平米以上、それ以外においては千五百平米以上ということでございます。これは昭和十二年の戦前の旧法律においても四百五十坪、九百五十坪ということでございましたし、戦後の百貨店法においてもこれでございましたし、今回基準としてこれをとるかどうかという点につきましては、各面から検討をいたしましたけれども、しかも、建物主義でございますから、その中の物品小売業の面積の基準としてはどこに置くべきかということをやりましたが、一つには、やはり届け出の基準でございますので、従来の三千平米でいいじゃないかという結論になったわけでございます。  それから政令都市と地方都市とを区別すべきかどうかということも検討いたしましたが、面積については区別をしたほうがいいという結論になったわけでございます。
  133. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 公取で昭和二十九年に出しました告示、「百貨店業における特定の不公正な取引方法」それの備考のところにその解釈が出ております。「この告示において「百貨店業」とは、左の各号の一に該当する売場面積」それは東京都それから指定都市におきましては三千平米以上、それ以外の市または町村の区域内においては千五百平米以上とございまして、その「売場面積」と申しますのは「店舗の床面積に百分の九十五を乗じて算出した面積をいう。」というふうに明記してございます。したがいまして、これは先ほど通産省の方から申されましたように、戦前の百貨店法に従ってこういう規定を置いたわけでございます。
  134. 中村重光

    中村(重)委員 企業局長のお答えは私の質問に的確に答えていないわけですが、従来の企業主義の場合と、今回の建物主義になりまして内容的にどう変わってくるのかということをお答えをいただきたい、こう申し上げたのですが、その点について明確ではございません。  具体的な例としてお尋ねをいたします。食堂等は、百貨店事業の大きな要素と申し上げてよろしいのかどうか。これは相当重要な要素、いわゆる事業の一部分であると私は考えます。この食堂等は三千平米、千五百平米の面積の中に入るのか入らないのか。従来はどうであって、今度建物主義になってどう変わってきたのか、その点いかがですか。
  135. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 食堂は従来も入っておりませんし、今度のでも入れないつもりでございます。戦前も入ってなかったようでございます。ただ、今度違ってまいりますのは、階段とか御不浄とか、そういうものは従来は入れておりました。しかし今回は、一つには消防等保安上の問題を考慮しましてあまり窮屈にしてはいけないという反省と、それから消費者に対する気持ちのいい買いもの場所というようなことから、それは今後ははずしまして企業者側の自由にしよう、そこが今回の法案で違ってくる点でございます。
  136. 中村重光

    中村(重)委員 それは盲点というのか、いろいろ脱法行為的なものが出てくる可能性があると私は思う。三千平米を動かしていないのだ、千五百平米を動かしてないのだけれども内容的にいろいろとテクニックをやっている。その点は私は問題があると思います。  もう一つ、公取は建物の売り場面積が九五%、こういうことでございましたが、食堂等の例はいままでも入っていなかったし、今回も入ってない、こういうわけであります。あなたの言う建物の九五%、今度建物主義に変わってまいりまして、従来の解釈というのを変更しなければならないという点になってくるのではありませんか。今度は建物がどんなに大きくとも、その中にいま言ったように階段等は入らない、あるいは食堂は入らない、これは従来も同じでありますけれども、その他いろいろなものが入ってくる、それはもう百貨店としては認めない、いろいろとそういうものを切り離していくということが考えられる。従来、公取の解釈は、私はそうではなかった、きびしく解釈しておったと思うのでありますけれども、それらの点が今度変わってくるのではありませんか。いかがでございますか。
  137. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 お答え申し上げます。  おっしゃるとおり、従来も非常にきびしく解釈しておりましたが、今度新しいいわゆる百貨店業法が提案されておりますので、現在その点をどういうふうにするか検討しております。
  138. 中村重光

    中村(重)委員 それでは、この法律案を提案するまでに通産省と公取との間には十分話し合いがなされて意見が一致して提案したのではないのでありますか。それでは、あなたのほうは、通産省のそうした解釈なんというものをあとを追っかけて、ただそれに迎合していけばよろしい、追随すればよろしいということになるのですか。私は、公正取引委員会というものはそういう権威のない存在ではないと思うのでありますけれども、いかがですか。
  139. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 必ずしも、私どものほうでは、今度の法案の解釈なり規定にそのまま追随するということは考えておりません。百貨店業における特殊指定というのは、これはいわゆる優越した地位の乱用行為を規制する特殊指定でございまして、目的も違うというふうに考えておりますので、こちらはこちらで、公取は公取として独自に検討しておる段階でございます。
  140. 中村重光

    中村(重)委員 私は非常にあいまいだと思う。結局私どもはこの法律案審議しているのですよ。したがって、この法律案審議する中において、あなたのほうの従来の解釈、今度企業主義から建物主義に変わる、そのことについて、あなたのほうは今度はどうそれが変わるのか、この変わることについて通産省とどのような合い議がなされてきたのか等々は、私ども審議する上においてて重要な要素であります。これは特殊指定として、派遣店員とかあるいはその他のものを取り締まりをしておるだけだから、それでいいんだという簡単なものではありますまい。でないから建物の九五%というものが百貨店であるということで、あなたのほうでは一つの従来の解釈を下して、それによって取り締まりをやってきたではありませんか。不可分のものではありません。だからして、いまのような答弁は私どもは納得できないのであります。そう思いませんか。いかがですか。     〔発言する者あり〕
  141. 浦野幸男

    浦野委員長 静粛に願います。
  142. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 確かに中村先生おっしゃるとおりでございます。われわれ特殊指定、いわゆる百貨店業における特殊指定の目的、これは先ほど申し上げましたように、いわゆる取引上優越した地位にあるものが優越した地位を乱用して弱い者と不当に不利益な条件で取引する、いじめるという行為を規制するというのが目的でございます。ただ、百貨店業というものについての解釈が、先ほど申し上げましたように、戦前の百貨店業法の規定によっているわけでございますけれども、従来それを非常にきびしく解釈しておりまして、これは法律の目的が違いますので、私どもは、先生おっしゃいましたように、どうも通産との連絡、検討が足りなかったという点は十分認めざるを得ません。この点は申しわけないと思います。     〔委員長退席、稻村(左)委員長代理着席〕
  143. 中村重光

    中村(重)委員 率直にお答えになったわけですが、私ども審議の上においては、率直にお答えになったからこれでいいだろうというわけにはまいらないのです。従来と全然変わっておらなければ別なんです。従来面積の中に入っておった階段とかなんとかいうようなものは今度は対象にならないのだということ、そして一つだけがいま明らかになったのです。あなたのほうの百貨店というものの解釈は、従来の百貨店法にのっとって一つの解釈が打ち出されてきておった。ところが、建物主義によって変わってきた。あなたのほうとしては、これでやむを得ないというような形でやるならば、これは追随であります。したがって、十分合い議をし、一つの見解というものが統一されて提案というものがなされなければならない。したがって、答弁もばらばらであってはならない、そう考えるのであります。問題はそこにあります。この点に対しましても、私はきょうは公取委員長出席を求めましたが、委員長出席がありません。したがって、公取委員長から通産省とよく話し合いをされて、これもまた統一見解という形で出していただきたいということを要請しておきます。  時間の関係がありますから、いろいろ問題はありますが、先に進ませていただきます。具体的な・ことについてお尋ねをいたします。  中小企業庁長官、商調協ですね。午前中参考人意見もありましたが、この商調協は消費者中小企業意見、意向というものがよく反映しておるというふうにあなたは理解をしていらっしゃいましょうか。同時に、時間の節約上私はお尋ねをいたしますが、その構成はどうなっておるのか、その点をひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  144. 莊清

    ○荘政府委員 商調協には中小小売商業の代表者、それから消費者の代表、いずれもメンバーとして入っておりますので、その意見が反映できる仕組みになっておる、かように考えております。
  145. 中村重光

    中村(重)委員 企業局長、いま長官は中小企業意見というものが十分反映するような仕組みになっておる、長官はそのたてまえと申しますか仕組みだけをお答えになりました。現実に私どもの耳に入ってまいりますものは、午前中の参考人意見にもございましたが、弱い中小企業あるいは消費者意見というものは商調協の中にはなかなか反映しない、そうした構成なり運営になっておるという事実であります。百貨店一つの売り場面積の拡張計画を立てる。これが修正をされるという事実は少ないのであります。全く皆無であるとは私は申しません。きわめて少ない。ほとんど百貨店の意思によって、あるいはこれに同調するところの審議委員であるとか、あるいは商調協のメンバーによってこれが押えられてきておるということが現実であります。だからして、今後この商調協の構成であるとか、あるいは運営はどのように改善していこうとするお考え方を持っておられるのか。真に消費者であるとか、中小企業の声を反映させようとするならば、私は、中小企業あるいは消費者あるいは利害関係のある労働組合等等の比率というものがその構成メンバーの中に相当重い比率を占めさせなければいけないのだ、そのように考えますが、局長はどのようにお考えになっていらっしゃいましょうか。
  146. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 先に従来の商調協の大体の比率を申し上げますと、現在全国で百六十四ございまして、その一つ会議当たりの平均は十八人の委員で構成しておりますが、その内訳を大きく分けますと、学識経験者が三七%、商業者が四四%、消費者が一七%でございます。それで、この商業者の中には小売百貨店スーパー等が入りますが、二四%が小売でございます。百貨店はむしろ数は少のうございます。  それで今後の運用でございますが、私どもは、商調協の場所によっては十分消費者の声が反映していない、そこには消費者代表というものを入れるように指導していきたい、それから、小売業者代表が十分に反映していない、そこもさらに増加するように指導していきたいと思っております。  それから第二には、その委員が場所によって五年以上十年にも及んでずっと再任を続けておる者がございますが、私どもは原則二年で交代するように指導はしておりますけれども、現地の事情等によって再任の続いているのがあります。その再任の続くこと自体はとやかく申しませんけれども、それによって商調協の結論が偏向を来たしておるような場合にはメンバーの入れかえ等も活発にやっていくべきだと思います。当該市町村の役人もしくは県庁、さらに通産局の役人は参与という形でこの商調協に参加しております。問題が起きている商調協では、ほとんどといっていいほど通産局なり県庁、市町村の役人が参加しております。  それで、先ほど先生から、商調協は時間はかけて審議するけれども、結局申請をそのまま認めている場合が多いじゃないかというお話がございましたが、従来の実績ではむしろそうではございませんで、申請件数の過半は、半数以上は面積削減したり開店日を延ばしたりして運用をしてまいっております。不許可そのものにした件数はごく少数でございますけれども、商調協の機能というものは、従来も相当程度小売業調整には役立っておると思います。しかし先ほど申し上、げたような方向に運用を改善していくべきである。  そして最後に、労働代表を加えたらどうかという御意見もございましたが、この点は私どもは、現在は参加すべきだという考えには至っておりません。おっしゃる趣旨は、やはり午前中の委員会でもありましたように、営業時間なり休日というものは、お客さま、消費者に対する関係だけでなくて、そこの労働条件にも大いに関係するという点を御指摘だと思いますが、この小売業自体における労働条件、労働協約等の、主として労働省の関係ではございますが、そういうものが本法の運用にとって関連することはわかりますが、直接的ではないという判断で商調協の構成は先ほど言ったような原則で割り振っていいのではないかと考えております。
  147. 中村重光

    中村(重)委員 形式的には、局長お答えになりましたように、申請の拡張面積といったようなものが相当削減をされた、そういう形にはなっている。しかし、それを予想して水増し申請というものがほとんどであるということを私は指摘をしたい。先ほど私の、従来の実績からこうだということにはことばが足りなかったわけでありますが、いずれにいたしましても、いまあなたがお答えになりましたような数字から見ましても、学識経験者というのは三七%、消費者が一七%、学識経験者はほとんど消費者立場に立つ人たちが多い。もちろん消費者利益というものは十分保障されていかなければなりません。そのことは私も理解をいたしますけれども商業者の関係にいたしましても四四%の中に小売は二四%、しかもこの小売というのは、どちらかといいますと比較的大きい中小小売商業者が入っているという事例が多いわけであります。大規模小売店ができるということは、その周辺の商店街だけの影響ではありません。もっと広い範囲にその影響が及ぶのであります。しかし、そういう広い範囲の比較的零細な小売商というものは、この商調協の中には皆無ではございませんが、非常に数少ないのであります。私は長崎でありますけれども、長崎の具体的な商調協の構成を承知いたしておりますが、その声はほとんど小さいのであります。大きくなり得ないのであります。これが現実だ。したがって、あなたがお答えになりましたように、数だけの問題ではない。その中身がどうか。その中身に対しましても十分配慮をしていく必要があるということを申し上げておきたいと思います。あとで大臣から審議会の問題とあわせてこの点についてもお答えをいただきたいと思います。  なお、審議会の構成でありますが、これはどうなっているのかということであります。なお、第七条によりまして、審議会は地域の商工会議所または商工会の意見を聞かなければならないということになっております。これでは発想の転換というものは行なわれておりません。今日消費者の声というものが非常に大きくなってきた。いろんな行政の中において、住民参加ということで、相当今日政府の政策の転換をしていかなければならないという時代の中にあると私は思います。ならば、従来のとおり単に商工会議所や商工会の意見を聞くということだけではなくて、利害関係中小企業者やあるいは消費者やあるいはまた利害関係の労働組合等々の意見審議会が聞くというようになぜにこれを改められなかったのか、発想の転換をされなかったのかということを申し上げたいと思います。この点は既存店舗の問題と同じように十分検討に値するというお考え方であるのかどうか。具体的な構成については企業局長から、さらに大臣から、私が指摘をいたしました構成、運営の問題について、商調協の問題とあわせてお答えをいただきたいと思います。
  148. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 審議会の構成は全員で七名でございまして、私どもは七名全員が学識経験者と思っております。もちろん一人一人とりますと、たとえば会長の方は銀行家でございますが、これは先年小汀前会長がなくなられましたあと継続されたわけですが、私どもは、経済界の学識経験ある人として、もちろん金融でございますが、経済全般から見た小売業として考えております。そのほか学者の方、論説委員の方、また消費関係の連合会、全国地域婦人団体連絡協議会等からも出ていらっしゃいますが、この方々も消費者代表というよりも学識経験者としてお願いしておるわけでございます。さらに大学の教授二名、あと日本商工会議所の専務理事、これが審議会の構成でございます。  それで審議会は、中央で基本事項について意見をまとめて出すわけでございますが、その際に、ただいま御指摘の現行百貨店法に比べて発想の転換をしなかったかということでございますが、私どもは従来の百貨店法運用の経験から、小売業調整はやはり商工会議所もしくは商工会を中心に、どちらかというと地方庁とか自治団体よりも民間自身に、こういった機関中心にして調整事業をしてもらったほうがよろしいのじゃないかという、従来の経験から出ました結論で、発想の転換というよりも、御指摘のとおり踏襲をしたわけでございます。  ただ、七条二項でごらんいただきますとわかりますように、それでは商工会議所、商工会以外に関心を持っている人からいろいろ意見を聞く機会はどうであるかという点で、従来はそこのところが「利害関係のある事業者又はその団体」という現行法の表現でございましたが、そこは「申出をした者の意見をきかなければならない。」ということでもっと広く、中小小売業者でも消費者でも学識経験者でも御意見があれば、その御意見を聞いて、それを商工会議所、商工会を通じて吸収して審議会で最終判断をする、こういうたてまえにしたわけでございます。
  149. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 審議会の構成は中立委員を主にいたしまして、いま申し上げたとおりでございますが、審議会におきまして単に商工会議所の意見あるいは商工会の意見のみならず、その必要に応じて消費者あるいはそのほかの人たちの意見も十分把握できるように、そういう心がけで審議会を運用していきたいと考えております。
  150. 中村重光

    中村(重)委員 商調協の構成とか運営といったようなものに零細、中小企業者の意向が反映しないような運営になっておるというような批判、あるいは消費者の声というものが十分反映をしていないという批判、この批判にこたえるためにはどうするのか、これは発想の転換をしなければならぬことは言うまでもありません。したがって、従来のように、地区内における商工会議所または商工会の意見を聞く、なるほどいま広く申し出をした者の意見を聞くというように、ここに従来と違った形の成案をもって臨んだのだというようなことでありますけれども、はっきりここで消費者あるいは利害関係中小企業者等の意見を聞かなければならないということを明記する、いわゆる法律の表に出していく、そこで商調協の運営というものがきわめて円滑に行なわれる、そういう形になるであろう、そのように思うのであります。従来の行き方を踏襲したということについては、私は発想の転換というものをまだ行なっていない、行なおうとする意思がないということを指摘しなければならないと思います。  次にお尋ねをしたいことは、大規模小売商業者と中小小売商業者の共存共栄、これに対して特段の配意がなされなければならない、いわゆる行政指導なり行政措置が講じられなければならないと私は思いますが、本法案を提案するにあたりましてどのような具体的な考え方をもってこのことに対処しようとしておられるのか、伺ってみたいと思います。
  151. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 小売業におきます分野は、従来の百貨店、それから近年広がっておりますスーパー、それと在来の小売業、大ざっぱに申し上げましてこの三者のそれぞれの特徴、今後の小売業全体における特徴を生かして交通整理をすることが今後の行政の要点だと思います。そしてそれがまた、消費者の多様な需要にこたえる方法だと思います。中小、零細も含めまして、これは物品販売におきましては百五十万というような多数でございますから各種各様でございますが、その近代化について先般法律を御審議いただきましたが、これについては中小企業庁はじめ全力をあげて各種の方策をするわけですが、今回の法律は格別、それぞれの分野で今後発展していく過程で、大型店舗、百貨店もしくはスーパー小売業者とが個別の地域において摩擦を起こすことを円満に解決していこうということが趣旨でございます。これには私どもは従来の経験から幾つかの事項に関する基準もございます。一平米当たりどれだけの購買人口にすべきであるか、商圏をどういうぐあいに取り上げるべきであるか、買い回り品と日常品とをどう区別すべきであるか、専門店、技術的コンサルタントを含んだ小売とそうでないものとをどう区別すべきであるか等々、幾つかの基準も経験値からできておりますが、そういう基準をものさしにいたしまして、個別の問題につき、その地方の事情を十二分に聞いた上で本法を運用していくべきだと思います。
  152. 中村重光

    中村(重)委員 通産省に対しては具体的な基準の問題、公正取引委員会に対しましては手伝い店員あるいは不当表示の問題等々お尋ねをいたしたいと思っておりましたが、時間の関係もあり、同僚委員の質問にこれを譲りたいと考えます。  一点だけ事務局長にお尋ねいたしておきます。この法律案成立をいたしますと、百貨店と同様に大規模スーパー等に対しましても特殊指定をなさる御意思があるのかどうか、その点を伺っておきたいと思います。
  153. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 お答え申し上げます。  その点は現在ある特殊指定を手直しして、スーパーにも適用があるようにするかどうか、ただいま検討中でございます。
  154. 中村重光

    中村(重)委員 通産省並びに公正取引委員会に対しまして、私の質問に対して明確なお答えがございませんでした。統一見解を求めましたし、また後日十分検討して見解を明らかにするというお答えもございました。他日見解を伺いまして、またお尋ねすることにいたします。  本日は、これをもって、私の質問を保留して、終わります。
  155. 稻村佐近四郎

    ○稻村(左)委員長代理 松尾信人君。
  156. 松尾信人

    ○松尾委員 最初に流通行政の考え方についてお伺いしたいのであります。  これは当然のことでありまして、歴史的なことでありますけれども昭和三十年代前半までの小売業の政策は、当時唯一の大型小売商でありました百貨店中小小売商調整、このようなことが大体主眼になっておる。それで小売市場とか購買会から中小小売商の商圏を守っていこう、いわばうしろ向きの政策が中心であったわけであります。しかし、消費者物価の上昇だとか、 コンシューマリズムの台頭というようなことでスーパー進出してまいりました。そこに流通革命の動き、こういうものを妨げてはならない、むしろ流通行政というものは流通革命を支持していくんだ、その動きに適応するための中小小売商政策であるべきだ、こういう考え方になってきたわけでありますけれども、現在もこのとおりであるかどうか。これは簡単に一言でお答え願いたい。大臣でけっこうです。
  157. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 現代の流通革命の時の必要にこたえる、そういう意味も十分考えまして本法案提出した次第であります。
  158. 松尾信人

    ○松尾委員 でありますから、経済運営の基本がやはり自由主義経済にわが国におきましても置かれている。そうしますと、政府の役割りでありますけれども、公正な秩序ある競争というものが行なわれるようにその体制整備し監督していくことが必要ですよ。でありますから、小売業というものにおける競争条件整備ということは一体どういうことかということであります。
  159. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 公正競争を促進するという点と同時に、大規模あるいは大資本のものが不当に小売業を圧迫しない、そういう配慮ももちまして、今回の法改正となったわけでございます。しかし、やはり流通革命という大きな時代の流れに沿うように零細小売業自体も改革していかなければならないので、いつまでも現状に甘んじて保護を待っているという状態では、小売業自体も発展いたしません。そういう面から、一方におきましては中小小売商業振興法というような法律によりまして、片方では助成をいたしますと同時に、それによっていろいろな大型店との競争力も付与していこう、そういう発想に基づいて行なっているわけでございます。
  160. 松尾信人

    ○松尾委員 いまの本法の改正による競争条件整備、それは振興法等もあるんだという、流通近代化という問題ですね。それと、消費者利益確保ということにどのように競争条件整備というものがつながってくるか、どのように生かされておるかということであります。
  161. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 今回の法改正によりまして、一面において事前審査制を伴う届け出主義をとりましたのは、これはある意味においては競争条件を促進させる、そういう要素もございます。それと同時に、事前審査制というような形をとりましたのは、主として零細小売商業の保護という面も十分考え、それと同時に、競争において、閉店時間であるとか、あるいは従業員の問題であるとか、そういう問題について不当な競争が行なわれないように競争条件整備して、共同のルールを自主的につくらせる、つくれない場合に国が介入していく、そういう考えに立って公正競争を担保しよう、そういう条文その他もできているわけでございます。
  162. 松尾信人

    ○松尾委員 消費者利益にどうつながっているかという点についてはいまお答えがありませんでしたが、どうも従来の百貨店法、これは大型小売商と中小小売商との調整法といわれておりますが、それと同じように今回もやはり中小の小売商と大規模小売商との単なる調整法ではないか、従来の施策とあまり変わっていないんじゃないか、このように思われる点もあるわけですけれども、そうじゃないとおっしゃる点はどういう点でしょうか。
  163. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 消費者保護という面も、法文にも書いてありますけれども、特にまた考慮に入れ、それからまた公正競争という点も今度の法改正の中にかなり考慮を入れた点でございます。第一の内容は、大型スーパーやショッピングセンターを調整対象に取り組んで、中小小売商業等の事業活動機会確保のために必要な調整を行なう、それとともに百貨店との法規制上の不公平をなくすという点がございます。それからもう一つは、消費者利益確保という要請から適正な調整を行なうために従来の第一条の目的を改めるとともに、それに対応して、勧告、命令にあたっては消費者利益確保に配慮して運用すべきことも規定しておるのであります。
  164. 松尾信人

    ○松尾委員 そのとおりでありますけれども、御説明のとおりに消費者利益という点につきましては、第十一条のところで、いま大臣のおっしゃったとおりあるわけでありますけれども、結局これは配慮事項にすぎない。ただ考えますよということにすぎないのであります。ですから、この配慮事項というものがどのような形をとってあらわれてくるのか、どういうふうにこの消費者利益確保というものが具体的にあらわれてくるか、法文上のこの表現というものが具体的にどうあらわれてくるかという点でありますけれども、いかがですか。
  165. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 七条によりまして、届け出が出て、それを行政当局審査をいたしますときに、七条に書いてあるような中小小売店舗等への影響等々を基準に、それに相当な影響があるかどうかを判断するわけでございますが、そのときに十一条の消費者利益も配慮するということは、たとえば新しい住宅地域大型店舗の一種としてスーパーマーケットを建設しようというような場合には、当然その住宅地域に住んでおる消費者が買いものに不便しておるじゃないかという要素を大きく考えるわけでございます。また、かりに一平米当たり買いもの人口がまだ二十人、二十二人、二十五人というようにいる。そこに確かに何十年来の小売商店街はあるけれども、その後の人口移動、また、交通事情によってそこに可能な買いもの人口というものが急増しておって、そこではあと二つも三つも大型店ができてもしかるべきだというような地域もございます。そういう場合には当然消費者利益を優先的に配慮する、こういうことだと思います。
  166. 松尾信人

    ○松尾委員 この消費者利益確保という問題と、同じく流通近代化ということを法律の中で明らかにする、このようになっておるわけでありますけれども、この法案の中に流通近代化の視点、観点というものがどこにあるわけですか。教えてください。
  167. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 小売業の実態は、従来の百貨店法規制対象である百貨店という企業と、スーパーと、それから小売業でございますが、大ざっぱにいって三態様でございますが、その小売業の三者三様のメリット、消費者へのそれぞれ個性のあるサービスを生かしていくことが流通近代化だと思います。この法律そのものは、もちろんその三者の調整を主とした法律にはなっておりますが、しかしスーパースーパー流通近代化に向かって日々進みますし、中小零細小売業も、せんだっての振興法等の御審議いただいた近代化の促進の方向にこれまた日進月歩いたしますし、百貨店百貨店で伸びていく、その三者の調整をはかりつつ小売業全体、流通業全体を近代化していくことに貢献すると思います。
  168. 松尾信人

    ○松尾委員 法文に明文はないけれども、それぞれ三者がその方向に進むものである、こういうお答えですね。それはそれで了承しましょう。  これも先ほど論議されたわけでありますけれども、今回は建物単位でとらえていくという変更になるわけでありますけれども、この中間答申では、大規模小売店舗には各種の形態がある、異なった形態、機能、目的、そういうものを持った大規模店対象に一律に建物単位でやるということは適当ではない、やはりそれぞれの目的、機能に即した調整というものの適切なルールというものを立てておかなければいけぬのじゃないか、このようにいわれておるわけでありますが、政府としましては、この百貨店法改正、その前提条件の整備としまして、いま言ったことについてどのようなことをやってきたか、またやるつもりか、こういう点であります。
  169. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 建物主義にせざるを得なかったのは、スーパー等規制対象にするときに、従来の百貨店法のように企業対象だけではいけないということからでございますが、今度建物主義にしてみますと、いま御指摘のように寄り合い百貨店もショッピングセンターも大型スーパーもいろいろな形が入ってまいります。のみならず最近の欧米における小売業の実態等を見ますと、まだまだ新しい形の店舗も日本に入ってくる可能性もあります。  そこで、一応建物主義で三千平米もしくは千五百平米という基準以上のものを一応全部届け出してもらいまして、その実態に合わせて内容に即して審査する。したがって、先ほども議論いただきましたように、寄り合い百貨店というような場合には十一条後段の規定もございますので、これは別扱いにいたしますし、今度それがそういう仮面をかぶっておるような場合には七条でむしろきつく規制をしてまいるということで、運用においてその各種の特徴をとらまえていくべきだと思います。
  170. 松尾信人

    ○松尾委員 運用面でこれはとらまえてやっていく、こういうことですね。  これもやはり中小小売店舗の近代化で、特殊な大型小売店舗、先ほどお話がありました寄り合い百貨店にはいろいろな形態がありますね。駅の地下街また駅ビル商店街、こういうものはやはり振興事業団の融資を全部受けておるのですか。日本全国の駅の地下街、駅ビルの商店街です。これを最初に一言聞いておきます。
  171. 莊清

    ○荘政府委員 現在はまだございません。現在まであるものはみんな零細中小企業がみずから地下街をつくったというふうなものはございませんので、事業団の対象にはなっておりません。
  172. 松尾信人

    ○松尾委員 そうしますと、振興事業団の融資を受けて寄り合い百貨店ができておる分というようなことが論議されましたけれども、この事業団のそのような資金的なめんどう等を受けていない寄り合い百貨店が現在あるわけです。駅の地下街とか駅ビル商店街とか、いま言ったとおりでありますけれども、これは全国いま相当整備されておりますね。そうしますと、これはやはり全部新しい法律対象となっていくわけですか。
  173. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 基準以上の大きいものはなります。
  174. 松尾信人

    ○松尾委員 ですから、坪数、建物の大きさによってこの法律が基本的にできておりますから、この振興事業団の事業資金、そういうものでできたものは論議されまして、これは対象外となすべきでなかろうかというような御議論だったと思うのですけれども、現在そのような資金も使わないで三千平米以上または千五百平米以上の店がある。これは設立自体が、乗降客とか、いろいろそういうものを対象としまして駅の一つの方針に従ってできておる寄り合い百貨店であります。時間的にもお客さんがおる間は当然この店を開いておかなければならない。かってに時間の制限をして、休日だとか、または夕方六時までだとかいうことでは困るのでありまして、駅のそのような方針に従いまして終夜でもやる、このようなのが実情の駅ビルであり、駅の地下街等で、おのおのが寄り合いまして力を合わせてつくっておるわけでございますけれども、これはどういうわけで坪数にひっかかって規制しなければできないのですか。時間なんかも、もしもそうなりますと、通産省でそういうことをいえば、これは国鉄なんかでも大きな問題となりまして困る。なぜそういう特殊なものを規制対象にするのだ、こういわれるのにきまっている。どういうわけでしょう。
  175. 橋本利一

    ○橋本政府委員 先生の御質問は、駅ビル等における営業時間の問題かと思いますが、本法案では、省令で基準を定めることにいたしております。この基準は届け出の基準、言いかえれば、その基準よりおそくまで営業するといったような場合には届け出をしてください、こういった基準になるわけでございます。したがいまして、その基準に従いまして、届け出がありました場合には、店舗面積と同じような調整方式、言うなれば審議会、商工会議所、商調協等を経由いたしまして、地元との意見調整をはかりまして、その結果の時点をもって営業時間にいたさせたい、かように考えております。
  176. 松尾信人

    ○松尾委員 単に営業時間だけでないわけですよ。やはりスーパーができてきた、または百貨店が新たに進出したということは、先ほど消費者利益につながっておるんだ、買いもの時間が短縮できる、交通機関もまた遠方まで行かぬでも、地元で買える、このようなことで、いま駅ビル、駅の地下街、高架街、そういうところがどんどんできておるわけでありましで、それを何のために、この法の規制対象としなくちゃいけないのか。それは地域住民にいろいろ影響があるから、届け出をさせて一応見るんだという網をかけておく意味においては意味がありましょう。しかし、内容的にいえば、振興事業団の資金にも乗っていない、そしておのおのが地域ではそれぞれ話し合いをつけまして、地域の商店街を中心にそういう人々が寄り合ってつくっておるもの、そうしておまけに営業時間と休日との面では絶対規制ができない、そういうものも坪数の制限があるものだから全部ひっかかってくるということは、どういうことか。十一条の後段に、こういうものが該当して、むしろこういうものはオールフリーだというような考え方でやっていくつもりの届け出をとるわけですか。
  177. 橋本利一

    ○橋本政府委員 駅ビルにどのような小売商業者が入るかということによって異なってまいると思いますが、寄り合い百貨店といったようなものが、しかも消費者利便のために駅ビルに入居するといったような場合は、事実上原則として希望どおり、届け出どおりの線で営業行為を行ない得るものと考えております。
  178. 松尾信人

    ○松尾委員 だから、届け出をさせてもあとは、そういう特殊な実態がわかった以上は、これはもう自由というようなものにする立場でやっていくのだ、こういうことですか。
  179. 橋本利一

    ○橋本政府委員 関係者から特段の申し出がない限り、先生御指摘のとおりになると思います。
  180. 松尾信人

    ○松尾委員 先ほど問題になりましたかけ込みの問題でありますけれども、どのくらいこれは計画があるか御存じですか。いろいろなことが伝えられております。伝えられた内容は、相当膨大なものがあります。ダイエー自体も、本年三月から来年二月の一年間に四百億円の投資、そのうちに関連企業などへの投資を除いた三百六十億円余が先行投資になるんだ、店舗拡大、この投資によって二十五店の直営店を新設する、売り場面積は十八万平方メートルふやすということであります。また、その他のこともいろいろわかっております。いろいろのグループが十六万平方メートルの売り場面積の拡張、それは店舗の拡張であります。そういういろいろなものがわかっていますか。そのわかった上で抑制措置をとる、こうおっしゃいますけれども、このような傾向があるのだ。これがかけ込みになりそうである。ならば、それを具体的にどうするか、はっきりしておきませんと、通牒を出したとか行政指導だけでは、これは非常にあとに問題が残ります。
  181. 橋本利一

    ○橋本政府委員 具体的な特定店舗の届け出についてもこちらとしては承知いたしておるわけでございますが、一応届け出のあった企業数について申し上げますと、昨年の十月以降現在に至るまで、企業の数にして百六十、届け出を出してきております。一方設備資金面から見ますと、四十八年度における小売業の投資計画は千八百六十二億になっております。四十七年度に比較して四五・九%のアップということでございます。かような数字を前提といたしまして産構審の産業資金部会では百億、約五・四%の削減を適当とするという答申をいたしております。一応現象的にはかようなことになっておるわけでございますが、われわれのこういった届け出件数の増大に対処する方策といたしましては、昨年の十一月以降局長通達による行政指導を強化いたしております。小売店の開業前少なくとも三カ月前に届け出を必要としておった前通牒に対しまして、新通牒では、少なくとも六カ月前に届け出をすることであります。  それからいま一つは、そういった行政指導ではございますが、調整にあたっては通産大臣の勧告制を導入する。調整が最終までつかない段階においては、諸般の事情を勘案した上、適正な店舗面積の削減あるいは開店日の繰り延べ等を含んだ勧告が行なわれるように行政指導を強化いたしております。  それから、つい先日、六月十二日付で局長通達をもって、無用の混乱を引き起こさないよう、増設、新設については自粛するように指示してございます。  なお、いままで出てきておる中で地元の小売商と問題ないしは紛争を引き起こしておるものにつきましては、通産局の担当官を現地に派遣いたすとともに、商工会議所に調整を依頼する。商工会議所では両当事者を、あるいは関係者を交えまして調整の労をとっておる。かような現状でございますので、先ほど来、数字的に申し上げたような特定店舗の届け出件数は確かにふえておりますが、万々中小小売商に不当の圧迫にならないよう、十全の努力をいたしておるわけでございます。
  182. 松尾信人

    ○松尾委員 では、新増設の抑制、そういうことも配慮する、特にかけ込みについてもそうだということでありますけれども、まず建物を建てるということは自由でしょう。東京で三千平米以上の建物をまず建てる、これは自由だ、こう思うのですが、そうでしょう。違いますか。
  183. 橋本利一

    ○橋本政府委員 建築基準法によって許可をとればよろしいかと思います。
  184. 松尾信人

    ○松尾委員 建築基準法によって許可を受けたものは、百貨店法等の関係がなくて建物を建てる。そしてそれが地域にいろいろの問題を起こす場合には、それを審議会に諮問する。審議会は商工会議所等を通じて聞くというようなことでまた下から上がってくるわけでありますけれども、実際問題としまして、開店日の繰り下げですとか売り場面積の縮小、そのことだけでありまして、結局所定の期間というものを経過いたしますれば、あなたのほうとしては認めざるを得ないのじゃないですか。その変更勧告の内容というものは、開店日の繰り下げだとか売り場面積の調整とかですから、調整すれば認めざるを得ない。開店日をおくらせれば認めざるを得ない。結局一たん届け出されたものは、事前審査でありますけれども、所定の期間というものが過ぎた場合には、これはどうしようもないのじゃないか。やれるのは開店日をおくらしていく。では、永久に開店日をおくらせるということはやるわけですか。それから売り場面積をどのくらいチェックするかという問題でありますけれども、これは問題が起こったところの売り場面積を調整するわけでありましょう。それが若干方向転換して、ある程度問題がないとなれば、そのまま認めざるを得ないということで、結局出てきたものは一定期間経過すればどんどんできていくのじゃないか、こう私は思うのですけれども、違っておりましょうか。
  185. 橋本利一

    ○橋本政府委員 新しい法律に基づきまして届け出が出てまいりますと、本法に規定する調整の手続を進めるわけでございますが、いずれにいたしましても、地元との調整ということがつくかどうかということでございまして、その場合に、先ほど来お話が出ておりますように、中小小売商業者の立場あるいは物価対策との観点あるいは消費者との関連といったようなことを勘案しながら考えるわけでございます。ただ、先生いまおっしゃいました開店日はどの程度まで延ばせられるかということでございますが、これは観念的にはいつまででも延ばし得るというふうに読めるかと思いますが、ただ問題は、周辺の中小小売商に対しまして相当程度の影響を及ぼすか及ぼさないか、それを配慮する限度においてどの程度開店日を繰り延べればいいかというような考え方になるかと思います。あるいは店舗面積につきましては、同じような観点に立ちまして申し上げますと、店舗総面積としては三千平米ないしは千五百平米まで削減するということもあり得るわけでございますし、中には個別の店舗についてはゼロということもあり得るかと思いますが、これもやはり周辺の中小小売商に対する法律要件になっております相当程度の影響を及ぼすかどうかといったその範囲内、その限度内において現実の面積削減率というものは出てくるかと思うわけでございます。ただ、そういった既成の事実があるから、直ちに一定の期間たてばという御質問でございますが、問題が難航するようなケースにつきましては大体届け出が出てくる前から、あるいは建物につきまして六カ月前に表示する義務が本法で課せられるわけでございます。そういった大規模になればなるほど、早い時点からその問題というものは表面化してくるかと思いますし、あるいは地元の中小小売商につきましても、平素常に関心を持ってそのケースをながめておるだろうといったようなところから、われわれとしても、そういうケースについては現実の届け出が正式になされる前に、ニュースとして、情報として察知し得るわけでございます。そういったものにつきましては、正式の手続は四カ月前でもよろしいわけでございますが、現実に地元の小売商業者あるいは消費者の皆さん方とはもっと前から十分懇談なり話し合いをするといったような指導もしてまいりたい、かように考えております。
  186. 松尾信人

    ○松尾委員 結局はこの諮問機関といいますか、審議会または商調協、商工会議所、こういうものの意見の取り方が問題になるわけでしょう。商工会議所というものは、どのようにして、どのような人の意見を取り入れるわけですか。商工会議所の意見が戻ってくる、戻ってこない、いろいろ問題がそこの地域にある、そういうときには非常にむずかしい問題があるだろうと思うのです。いままでも商工会議所は、百貨店法でそのようなことを義務づけられておりますので、通産省の下請みたいになって非常に困っておる。現実にはどんなことをしたかといえば、いろいろ話し合いをつけるために反対、賛成で非常に困りまして、結局建物はできた、もう長らく地域意見も聞いた、このくらいでもうお答えを出しましょうというようなかっこうなんですよ。でありますから、今後地域において、商調協のほうもこれはどうかという意見、商工会議所のほうもどうしようもないというような意見、いろいろの問題が出てきた場合には、結論としてはどのようになるわけですか。
  187. 橋本利一

    ○橋本政府委員 若干手続的になって恐縮でございますが、本法によりまして通産大臣が届け出を受理いたしますと、直ちに商工会議所にその内容を通知することにいたしております。これはもともと届け出というものが周辺中小小売商業者の対応努力期間をとるという立場でございますので、直ちに商工会議所に通知をする。商工会議所は自分の所管地域にある商業者にこの内容を伝える。これは一面そういったものの情報をできるだけ早くとりまして、関係中小小売商業者がそういった大型店舗の進出に対していかなる態度をとるか、自分の置かれている現状等から商工会議所に意見を申し出る一つのよすがになるかと思います。さような形で通知あるいは関係小売商業者に対する周知の方法という手続が一つ出てくるわけでございます。  それから、商工会議所はいかにして地元の意見を吸い上げるかという御質問でございますが、これは二つのルートがございまして、一つは商調協で議論をしていただく。商調協には、先ほども出ましたように、関係者が入って意見交換をする、いま一つのルートは、やはり地元の中小小売商業者を含めまして関係者が直接商工会議所に意見を申し出る、こういうルートを現実の問題としては考えておるわけでございます。  それから、なかなか意見がまとまらないときにどうするかというお尋ねでございます。まさにおっしゃるように、過去の実績からいたしましてもいろいろむずかしい問題がございます。そういった場合には一つの手といたしまして、商調協としてなかなか意見の一致を見ない場合には中立委員だけで小委員会をつくりまして、そこで俗に言うたたき台をつくりまして、これをかけてみる。これが従来とちょっと異なった方法になるかと思います。それでもなお全員の意見一致を見ない場合には、少数意見も付記して審議会のほうに答申をしていただく、さような方法を併用してまいりたいと考えております。
  188. 松尾信人

    ○松尾委員 実際問題になりますと非常にむずかしいデリケートな問題が起こると思いますね。その点はほんとうに慎重に、また単におくらす、また面積を削るというようなことだけではなくて、いろいろな配慮をそこになされなくてはいけない、こう思うのです。  少し大臣に聞きますが、このスーパー等に関する大企業、メーカーの資本参加、流通機構、そういう力をもっての資本参加というものが非常に問題になっておりますし、今度は百貨店の内部で系列化の問題がございます。いまの百貨店が七つ、またそのような少ない系列化になされようとしているのでありまして、地方の百貨店というものは、大体中央なりまたはその地域中心の大きな百貨店というものから系列化されてしまっておるわけでありますけれども、だんだん、このようにして小売部門というものにおけるそういう流通機構が少数のものに系列化されていく、そしてそれが大資本につながっていく。百貨店自体の中でもそのような傾向がいま顕著にあるわけでありますけれども、これはやはりいまから考えておかないと独禁法上の問題にも触れてくるんじゃないか。そして寡占体系に流通機構がなりますと、やはり消費者利益というものは逆に、初めは消費者利益になりそうでありますけれども、やはり寡占の問題と同じくなりまして、大事な小売部門というものがそのような傾向にあるということを指摘しておきたい。そしてそのような傾向というものを十分いま洞察して、何か考えていきませんと、これは消費者の保護ということとは逆になっていく、こう思うのでありますけれども、大臣いかがですか。
  189. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 御指摘のように、大手スーパーと地方スーパーとの業務提携についてはそういう傾向が出てきております。ダイエー—サカエ、イトーヨーカ堂—ベニマル等、それから都市百貨店と地方百貨店が共同仕入れを軸に緊密な連携を有するに至っている例はまたきわめて多うございます。また、百貨店の別会社方式によるスーパー専門店への進出も少なくございません。しかし、銀行による小売業の系列化は、まだその実例はないと思います。  商社の小売業者との特別の関係を有するに至ったものとしては、大手チェーンストアにそのような例があると聞いております。丸紅−緑屋、丸紅−十字屋、住商−サミットストア、三菱−オーケー、それから私鉄の百貨店スーパー経営はかなり昔から広く行なわれておりますが、電鉄系百貨店二十八社、電鉄系スーパー九社、百貨店スーパー専門店等九十六社、全国的スーパー系列地方スーパー九社、商社系列スーパー百貨店四社、こういう実情がわれわれの調査にのぼっております。  それで、これらの系列化が進み、資本あるいは重役の派遣とかそういうことになりますと、確かにこれは独禁法上の一つの問題点になりはしないか、そういう疑問も出てまいります。私もこれらの点については中小企業の保護という面から注目しておるところでございますが、御指摘もあり、われわれは検討を進めてまいりたいと思います。
  190. 松尾信人

    ○松尾委員 これは大いに関心を払って対処していただきたい。  派遣店員の問題でいろいろ論議されましたけれども、派遣店員と独禁法との関係でありますが、特定の不公正な取引方法と見られる点というのは、派遣店員につきましてはどういう点にあるわけですか。
  191. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 いわゆる百貨店業につきましては、昭和二十九年の特定の不公正な取引方法、特殊指定で告示が出ておりまして、この第六項に原則として手伝い店員を不公正な取引方法として禁止しております。ただし、これには例外がございまして、特殊な技術または能力を有する場合は除いております。この不公正な取引方法というのは、いわゆる優越した地位の乱用行為でございます。
  192. 松尾信人

    ○松尾委員 現在の派遣店員の実態をながめますと、派遣店員にも二通りあると思うのです。仕入れの店員と手伝い的にやっておる店員、そういうものの給与の面でありますけれども、この手伝い店員といわれるようなものはだれがその給与を払っておるのか。ここには、独禁法上も問題があるとあなたのほうでは指摘しておるわけであります。けさの参考人意見を聞きましても、これは指摘されまして大いに改めます、こう言っておるわけでありますから、やはりこれは独禁法上の問題としまして並行的にきちっとやりませんと、いまの弊害というものを除去することができない、こう思うのでありますけれども、もう一回。
  193. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 確かに手伝い店員につきましてはいろいろ問題がございます。昭和二十九年に告示ができまして、それ以来手伝い店員の実情を再三調査をいたしまして、業界の自主的な改善努力を促したわけでございますが、なお問題があると思われましたので、昭和四十五年の十一月に百貨店業者に改善するよう警告を出しております。それから以後三回にわたりまして各百貨店業者から改善計画書の提出を求めて、改善方を強力に指導しております。それは四十六年の一月、それから四十七年一月、四十八年の一月の三回にわたっております。  それから四十八年の一月十七日現在の手伝い店員の状況でございますが、これは対象企業全国二百七十二店舗についてのものでございますけれども従業員数総計二十一万六千二百七十九名のうち手伝い店員が四万二千二百三十人、パーセントにしますと一九・五%ということになっております。これは四十七年の一月のパーセント二〇・三%に比べますとやや下がっておりますけれども、これでは非常に不十分であるということで、公取としましては今後さらに百貨店に対しまして強力に改善指導していく方針でございます。
  194. 松尾信人

    ○松尾委員 それは当然のことですね。  もう一つありますけれども、派遣しておる親元の納入業者といいますか、それがまた大臣、派遣店員が何万とおるわけです。けしからぬのは、この派遣店員に百貨店がいろいろなものを買わせるわけです。ゴルフ道具、くつ、ライターとか万年筆というものはしょっちゅう買わせられるわけです。各種の、北海道だとか九州だとかいろいろ物産展がありますね。この各地の特産品のそこで陳列したものを買わせる。ラーメンだとか、みそとか、そんなものまで割り当てる。そうして、それに応じないと店の中でいじめられるというわけであります。これは派遣店員に対する押し込み販売、今度は納入業者に対しましても、絵画だとか、貴金属、金の延べ棒、はなはだしきは別荘地の土地、商品券、これは利害関係がつながっておりますから、盆、正月はうちの商品券を利用してくれというのはありましょうけれども、そういうものを買わせておる。また、店内改装による売り場の移動、その費用の負担、これは五十万から百万ぐらいかかります。ウインドー、じゅうたん、照明器具等はこちらの手持ち、こういうことでありまして、そして、どうしても弱い立場でありますので、取引を減らされては困るというので買わざるを得ない。そしてそういうものは全部売り掛け金から差っ引かれる。派遣店員もそういうことでいろいろ物を買わせられておりまするし、納入業者も買わせられる。けさほど参考人百貨店代表に対しまして、こういう事実がある、これはどこでもあるわけで、どの百貨店でもやっておるわけでありますけれども、そういう事実についてはすみやかに各百貨店によく連絡し、注意を喚起し、そして事実があるものは即座に是正していきなさい、こういうことを私申して、必ずそれをやりますと言うて帰ったわけでありますけれども、このような力というものを利用した、それが納入業者、おまけに派遣店員にまで物を押し込んで販売するというあり方自体を大臣としても力を入れて是正してもらわなくてはいかぬと思うのですが、いかがです。
  195. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 それらの点は是正すべきものだと思います。いわゆる押しつけ販売というようなものは、納入業者に対して取引上の優位を利用してやるものでありますが、独禁法上の不公正取引にはまだ指定されておらない由であります。しかし、そういうような行為が妥当を欠くということは常識でも考えられるところでありまして、百貨店協会等を通じて強力に指導してまいります。それから絵画や土地や別荘や金の延べ棒等、店内改装に関して納入業者に押しつけ販売あるいは費用負担させる、納入代金から差し引くというような問題も、これもやはり百貨店協会を通じまして、こういうような行為をやめるように指導してきたところでありまして、最近はこういうことは行なわれないと聞いておりますが、もし一部にもそのような行為が残っておりましたならば、再度業界に対して厳重な指導を行ないまして、その排除につとめたいと思います。
  196. 松尾信人

    ○松尾委員 おまけに絵画がにせものだったといって問題を起こしております。けしからぬです。非常に安い物が何倍にも売られておる。百貨店というものはみな信用するわけですからね。そういうあり方というものはきちっとこの法律改正の際にしていただきたいと思うのであります。     〔稻村(左)委員長代理退席、委員長着席〕 どうしても大型小売商に比べますと、中小の小売商というものは太刀打ちできない。この前の振興法はそういうことで設けられたわけでありますけれども、どうしてもこれは実力に格段の差があるわけでありますから、そういう中小の小売商というものをどうしていくのか、対策は何か、こう見てまいりますると、やはり共同化、団結以外にないわけですね。団結以外に方法はなかろう。彼らが進出してきますから、それが一つの刺激になる。刺激になりまして、大いに力を入れてがんばる。がんばっても一軒ではだめでありますから団結していく、協同化、協業化の方向に向かうわけでありますけれども、これはこの前も振興法のときに私指摘したわけでありますけれども、予算的にいっても、百五十万のこのような小売商に対しましても、予算の規模は少ないし、考え方が非常に甘いのではないか。ですから、これは作文としましては、中小小売商のそのような競争力というものを考えていくのだとありますけれども、現実にはどうなるのですか。何か現実にはそれがよかったという手があるのかどうかということであります。これは大臣でも局長でもけっこうです。
  197. 莊清

    ○荘政府委員 中小の小売商業に対します助成策でございますけれども、今回の中小小売商業振興法成立を契機といたしまして、従来とかく不十分でございました小売商業に対する国の金融面等におきます助成措置というものは格段に助成する必要があると思います。小売商業についての外資自由化問題等もまだ今後の問題として残っておるわけでございますので、いまお話のございました協同化等を通ずる小売商業の体質の改善ということと並びまして、住宅地等に散在しております個々の独立の商店の近代化とかあるいは省力化というふうな合理化につきましても、これは金融、税制面の措置を来年度の新政策におきましても、格段に強化、整備いたしたい、こう考えて目下検討しておるところでございます。
  198. 松尾信人

    ○松尾委員 それで四十八年度の予算ではこれは非常に少ない。特に協業化、協同化の問題につきましては、大きく目標としては非常にりっぱでありますけれども、現実にはそれが予算等の面において非常に制約を受けておるということであります。大臣、この点はこの法の改正を通じて、われわれの論議をよく理解していただきまして、そして百五十万、百九十万というこの小売商は、年間二十兆円の産業であります。その産業に向かって、いま一〇%ぐらいのシェアを持っておるこの百貨店またはスーパーというものが切り込んでくることは当然であります。これまた流通近代化合理化という面からいってそれを阻むことはできませんけれども、できないならできないで、そのような大きな産業の分野というものを彼らが必ずねらってくる。この法自体が届け出、事前審査と申しますけれども、結局は開店日をおくらせるとか、売り場面積を調整するということに落ちついておりまして、現実には売り場面積を減らし、その調整をすれば営業はできるわけであります。開店日も永久におくらせるわけにはいかぬのでありますから、あるときが来ればどうしても開店を認めていかなければいけない。そうしてこの二十兆円という、これに向かって彼らが資本力を持ち、彼らがかたまって系列化してどんどん入ってくるわけでありますから、これはとても中小小売商の太刀打ちできるものではありません。おまけに三千平米以下はフリーだ、千五百平米以下はフリーだ。そしてこのスーパー部門というものがフリーでどんどん出てまいりますから、よくよくこの小売商対策というものを確立しておいて、そしてそれを制度的にも金融的にもがっちりと守っていきませんと不測の大きな問題が起こってくる。百貨店と大型スーパーと、そして中小小売商との三者の調和のとれたものが望ましいわけでありますが、調和がとれるのかどうか、調和をとろうとすればよくよく政府が腹をきめて、そして調和のとれない、調和の破れていくおそれのある弱い部門をがっちりと守っていきませんと、これは大きな社会問題になるであろう、こう私は考え、心配するわけですが、大臣のお考えはいかがですか。
  199. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 全く同感でございます。調和をとるということは現在においてはなかなかむずかしいことであるように思いますけれども、弱い面、弱い面をよく注意いたしまして、その面を補強しながら全体としての調和をとっていくように努力したいと思います。
  200. 松尾信人

    ○松尾委員 これは資本の自由化の問題でありますけれども、この自由化のめどですね。けさほど参考人のほうに聞いたわけでありますけれども百貨店としてはいまからその自由化に対処するための体制を整えてまいりますというようなことでありました。スーパーのほうの意見は、われわれはもともと営業自由だ、流通機構というものは変えていくんだという考え方でありますから外資進出をはばむわけにはいかないが、けたの違う外国のこのような大型小売店舗というものが出てくることは困る、段階的にこれを実施してもらいたい、このような意見でありました。こういうものを前提にしましてこの自由化のめどというものをどういうように考えていらっしゃるか、それから自由化に備えての政府の対策というものはどうか、この点、いかがですか。
  201. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 自由化につきましては昨年のエバリーさんとの箱根会談におきまして五〇%、十一店舗、それもアメリカからの輸出品に直接関係するものに限る、そういう条件で認めましたが、将来の問題につきましては日本の体制整備小売零細企業の体力の強化、そういうものをよく見まして段階的に、急激なショックを与えないようにやっていきたいと思っております。  ただ、国際情勢全般を考えてみますと、やはり自由化の方向へ前進しなければならぬことは明らかでございまして、その時期をどういうふうに調節するかということは国内情勢を見まして勘案していきたいと思っております。
  202. 松尾信人

    ○松尾委員 まあだんだんと自由化されていきますと——段階的とおっしゃいましたが、よくよくこれは段階的にやりませんと……。そしてそこで考えてもらいたいのは、この外資による乗っ取りの問題であります。そういう点もよく——いまおっしゃった自由化の分、それから今後、これは二年とかなんとかということをぼくはちょっと聞いたことがあるような感じがするのですけれども、この百貨店法改正が通ってからある時期、二年くらいを目標にして自由化するのだというようなことでもしもあるとすれば、これはいかぬと思うのですね。やはり段階的に自由化すべきものはもう十分検討して、これはよろしいというふうに、いま大臣のお答えのとおりやってもらいたい。  もう一つは、外資進出に伴いまして、彼らの通信販売の問題であります。これは日本の小売業というものも非常に重大なる関心を払っているわけでありますけれども、わが国自体の通信販売に対しましても、現物は手にしてみないわけでありますから、非常に苦情があり紛争が多うございます。これはやはり一つの何らかの適正なる規制の措置というものを整備する必要があるであろう。まずわが国における通信販売というものをどのように整備していくのか、そこをがっちりしていきませんと、外国のお得意である通信販売という方法によりまして、日本の不備をつかれて思わぬ悔いを残すのじゃないか、このように思うわけでありますけれども、いかがでしょう。
  203. 橋本利一

    ○橋本政府委員 ただいま御指摘の通信販につきましては、内外資を問わずに品質問題、安全問題といったような点が重要なポイントになってくるかと思います。さような観点から、本年度予算を取りまして、通信販売を含む各種のいわゆる特殊取引につきまして実態調査を進めております。この調査の結果を待ちまして、必要とあらば規制のための立法も必要だということを考えております。
  204. 松尾信人

    ○松尾委員 以上で終わります。
  205. 浦野幸男

  206. 玉置一徳

    玉置委員 まず冒頭に公取の事務局長にお伺いしたいのですが、ただいま同僚議員から御質問ございました百貨店の派遣店員があなたのほうにそのくらいきっちりと報告があっておるとは私は思わなかったのですが、三年にわたって報告を求めたところこうである、その数字をもう一度御説明願いたい。
  207. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 先ほど申し上げました数字は四十八年一月の分でございます。それによりますと、対象企業、これは百貨店店舗数で二百七十二店舗、従業員数の総計が二十一万六千二百七十九名、そのうち手伝い店員が四万二千二百三十名、パーセントにしまして一九・五%、四十七年の一月ではそのパーセントは二〇・三%、こういうことでございます。
  208. 玉置一徳

    玉置委員 法令によってそのことがよくないのだというように指摘をされておる。しかも、堂々とそういう報告がなされておる。一体どうしようと思うのか、はっきりしてもらいたい。
  209. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 これは四十五年の十一月におきましても、百貨店業者に対しまして、改善するよう強く警告をいたしておりますが、その後も問題が解消していない、先ほど申し上げましたような数字でございまして、今後さらに百貨店に対して強力に改善指導していく方針でございます。
  210. 玉置一徳

    玉置委員 法律は何年から施行されて、何年からどのくらいその警告を発しておるのか。
  211. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 法律の施行は二十九年の十二月二十一日でございます。それから警告は四十五年の十一月でございまして、改善計画書を出せと言ったのが四十六年一月と四十七年一月、四十八年一月、この三回でございます。
  212. 玉置一徳

    玉置委員 あなたのほうで問題になった銀行の歩積み両建て、この問題も、私は銀行局とあなたのほうから調査の報告をいただきましたけれども、非常にわずかな件数しか載ってない。しかしながら、われわれが実際歩きましたときに、役所に報告しておるようなものとははるかに違うのじゃないか、こういうことを思っております。これはわざわざ報告を求めて報告に載っておるわけであります。さらに警告を発して行政指導いたしますというふうなことであなたのほうはお済ましになるのか、もう少し、よくないことならばよくないこと、それが常態であれば、法律のどこかにうまくいかないところがあるのだったら直していくというように再検討をするとか、どちらかをとらないと、法的な効果というもののあれがわからないと思うのですが、一体どのようにお考えになっておるのか。
  213. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 確かにおっしゃるとおりでございまして、御趣旨の線に沿って検討いたしたいと思っております。
  214. 玉置一徳

    玉置委員 いよいよわからなくなるのですが、前からおかしいなとは思っておりましたけれども、あまりよそのことを言うのはよくないと思ったのですが、ちょうど同僚議員のあれがありましたから、ほんとうに実態にそぐわなくて、かえっていまのが実態ならば、実態に合うように考えてあげてもいいのじゃないか。そうではなくて、よくないならよくないところだけでも、派遣店員そのものは認めながら、いかぬところはこういうところだということで、そこをしぼっていくという手もあるのじゃないか。どちらかにしないと、あなたのほうの権威というものは全くない、こういわざるを得ないと思います。そういう意味で、このことは思いつきでまことに恐縮だったのですが、前の同僚議員から出ましたからついでに申し上げておきます。  もう一つ、そこで今度は、百貨店法の廃止と法改正の問題につきまして通産当局にお伺いしたいのですが、小売業の実態というものは、大体一つのカテゴリーに分けまして、百貨店それからスーパーそれから一般の小売店、そのうちでも市街地寄り合い百貨店的なもの、あるいは市場のような形成をしておるもの、それから都市にあります専門店的な形で業を営んでおいでになる型、もう一つは、そちらこちらに点在しながら、付近の住民に生活物資を渡しておいでになる型、そういう幾つかのカテゴリーがあると思いますが、将来それに対してどういう手でどういう方向に持っていこうとお思いになっておるのか、その点を局長からお答えいただきたい。あるいは課長から補足していただいてけっこうです。
  215. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 将来の展望につきまして、どのくらいの将来を見るかによって違ってまいると思います。最近のように、都市開発、中核都市の建設等々、日進月歩、目まぐるしいものがありますので、われわれの生活形態の変化にも対応して小売業は違ってくると思いますが、現在の時点に立ちまして見通し得る将来、つまり一九七〇年代から八〇年初頭にかけましての十年間というものは、一つは従来の百貨店というものが、大ざっぱに言えば、もっといわゆる大衆化して経営をやっていくだろう、そして取り扱いの品物がいわゆる高級品とか日常以外の衣料、家具、趣味等々に重点を置いていくだろう、そして次のグループが、いま先生があげられましたのと表現が少し違うかもしれませんが、スーパーとかショッピングセンターとか、要するに一つのポイントはセルフサービスにして、経営から見ますと、人件費を省きまして、より多くのスペースを活用し、一定の範囲ではありますけれども品ぞろえを豊富にして、セルフサービスで買っていってもらう、そのためには流通コストをうんと切り下げまして、その仕入れ流通コストを切り下げる意味で安いものを売りていく、こういうものが副都心的なところから郊外にかけて、それから地方都市、ニュータウンに広がっていくだろうと思います。そして、そういう大型店舗がそれぞれの特色で広がっていくときに、従来の百五十万店に及ぶ物品販売小売業をどうしたらいいか、こういう問題だと思います。  そこで私どもは、まず第一に、この零細も含めまして、中小小売業自身の近代化を基本に置こう、そしてこれは、大都市における場合と、また地方農村の場合と、また今度それがめがね屋さんの場合、八百屋さんの場合、業種によって著しく違うわけでございますが、それの一般的な諸施策というものは、荘長官おられますが、また中小企業庁からあとからふえんして御説明もあるかと思いますけれども近代化計画、金融、補助金、協業化等々でやってきましたし、さらにそれを百尺竿頭一歩を進めようというのがこの間の法律で、いよいよ本格的にそれを進めていくという段階だと思います。  それでは、これは抽象的だけかといいますと、北海道における駐車場を中心にした商店街の開発ですとか、東京におきましても、ある地区における寄り合い百貨店における成功ですとか、地方都市におけるスーパー型への協業形態ですとか、最近は幾つもの事例が出ておりますので、私どもとしては相当に自信を持ってきたと思います。そこで今回の法律は、そういった大きな流れの中で、中小小売業大型店舗とが摩擦を起こす場合の調整をどうしたらいいかということに主眼を置いて原案を提案をいたしたわけでございます。
  216. 玉置一徳

    玉置委員 私がなぜそういうことを言うかと申しますと、スーパー百貨店、それから小売業とのきょうまでのトラブルもしくはお互いの利益、その実態をあとで質問しようと思いますから言うておるわけですが、百貨店、これは一つの大きな店舗を持って、その中に文化的ないろいろな施設までこしらえて、もっぱらかなり程度の高い良質のものを備えながら、そこへ行けば何でもある、楽しんでショッピングさせながら営業する、その中には貸し店舗もしくは貸し販売のような形のものも取り入れられておる。スーパーはそうじゃなくて、いまお話のような、思い切って人件費を節約することによって大量に安いものを販売しようと思っておる。小売業のほうの専門店を除きますと、大体その他は寄り合い百貨店方式の、そこへ行けば何でも間に合う、しかもそれは、一般の小売よりはかなり大量にはけるから、かなり安いものであるというのが特徴だと思うのです。いままでそれについての通産省の施策としては、寄り合い百貨店方式のものにはかなりのお力添えをいただいておるということは私もわかります。しかしながら、この点在する寄り合い百貨店方式のものは、百貨店スーパー等進出とはあまり大きなトラブルが起こってないように思いますし、あるいはまたかえって都合がいいような感じを持っておるような印象を受けておるわけですが、一番問題になりますのは、そこいらに点在する商店との競合というものでトラブルが起こりやすいのじゃないだろうか。しかも、これには一店舗一営業一個人幾ら、そういうものの金融もしくは税制等の手の打ち方はございますけれども役所のサイドとして手の打ちにくいのもあるいは実態じゃないだろうか、こういうような感じがしておるわけです。  そこで、時間をあれする意味ですぐに飛びますけれども、きょうまで百貨店スーパー等進出しましたときに、どのようなトラブルの問題があったか、時間の問題か、あるいは競合する問題か、そういう問題につきまして、その評価として、むしろうまくいっているのはどういう場合であって、うまくいかない問題はこういう場合で、この点ですということを、ひとつきょうまでの実態に即してお答えをいただきたいと思います。
  217. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 一つはやはり面積の問題、それと営業時間の問題、論点の大部分はその二つでございます。  それと、結果的にそれでは開店日をいつにするか。一番問題が起きますのは、むしろ地方都市などの場合に、その中心部におきましてすでに幾つかの百貨店なり大型スーパーがある過密地域あるいは駅前ビル、ターミナルでございます。それと駅周辺のところにさらに新しく進出したり、その時期に地元百貨店が拡張をする、外部から新しく申請が来る、二つないし三つが競合するような場合に一番トラブルが多いと思います。それは、一つの形としては大型スーパー店同士の争いではないかという面もございますけれども、結局そのときに事を最終的に決しますのは、やはりそこの地域における小売業者に対する影響がどうかということでございます。  それから今度逆に、従来そういう大型店舗がなくて、ほぼ小売あるいは商店街で満足しておったけれども、そこに最初に出てくるというような場合の商調協の審議等にもトラブルがございます。
  218. 玉置一徳

    玉置委員 中小企業庁のほうから、だれか実態のわかった人に御説明いただきたいのです。
  219. 生田豊朗

    ○生田政府委員 中小企業庁でいたしました調査の結果でございますが、大型小売店進出いたしました場合の中小小売商業への影響といたしまして、まず全体で有利か不利かという調査をいたしましたが、これは従業員規模別でさまざまでございますが、合計いたしますと、不利であるという意見が四二・三%、有利であるという意見が二一・一%、変わらないが三一・四%、わからないが五・二%ということでございます。  それからその内容でございますが、大型小売店出店いたしました場合にその周辺の中小小売商業にどういうプラスの面があったかという調査でございます。これは項目がいろいろ分かれておりますので、大きいところだけ拾って申し上げますと、たとえば、周辺地域から新しい客が増加したというプラス面を答えましたものが二六・五%ございます。それから接客、アフターサービス等の販売サービスを充実させる契機となったというのが二五・五%、それから店舗の改築、レイアウト、ディスプレイ等を充実させる契機となったというのが二三・二%、それから商店街の買いもの客の流れが変わって客が増加したというのが二二・三%ございます。その反面、マイナスでございますけれども、一番大きいマイナスの要素といたしまして、競争が激しくなってマージン率が低下した、これが四〇%ございます。それから大型店に従来の客を取られたと申しますのが三〇%ございます。それから、価格面で比較され不利となった、それが二六%、商店街の客の流れが変わって客が減少した、それが二三・六%、このような状況でございます。
  220. 玉置一徳

    玉置委員 それはどの程度の数をお調べになった平均なのか、もしくは、それは役所側がどこへ依頼して調査したものか、各小売店舗に直接郵送でもさしたのか、それからスーパー等ができてから何年目のものかというようなことがわかりましたら……。
  221. 生田豊朗

    ○生田政府委員 ただいま申し上げました調査でございますが、大型店出店しております地域の中で約百五十地区の地域を選びまして、約一万店の中小小売商業対象にいたしまして、商工会その他の調査員を使いましてアンケート調査した結果でございます。
  222. 玉置一徳

    玉置委員 そこで企業局のほうへお伺いしたいのですが、ただいまのお話のように利点とマイナス面と二つ出ると思います。いずれにいたしましても、小売商業というものは、安いいいものを安定的に消費者に供給することによって社会に貢献をいたしておるものであります。常にそういう意味一つ近代化をはかりながら、より消費者利益を向上させながら、しかも在来の店舗をこれまた向上さしていく、こういう調和を見出すのが、むずかしい仕事でありますが皆さんのお仕事だと思うのです。そういう意味では、一つ消費者利益考えながら——ここにも文章が載っております。  そこでひとつ局長にお伺いしておきましょう。「この法律は、消費者利益の保護に配慮しつつ、大規模小売店舗における小売業事業活動調整することにより、その周辺の中小小売業事業活動機会を適正に確保し、小売業の正常な発達を図り、もって国民経済」とありますが、「消費者利益の保護に配慮しつつ、」というのはアクセントが非常に、アクセサリーみたいに書いておって、それからまん中が主文章のような感じがするのですが、一体どういうことなんでしょうか。
  223. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 この法律調整また各利害の公平を期するという趣旨でございますから、目的のほうだけを見ますと三つ四つのことが同時に書いてございまして、あるいはわかりにくい点もあるかと思いますが、十一条をごらんいただきますと、十一条の前段で明瞭にこれこれの運用にあたっては、三行目でございますけれども、「消費者利益の保護について配慮し、」というので配慮事項を明文化したわけでございます。
  224. 玉置一徳

    玉置委員 これは「消費者利益を図り、」ちょんと打って次へ続けぬと、配慮するというのは非常に消極的なトーンというのか調子のものであって、やはり小売商業全般消費者利益を常に希求しているものである——もちろん自分の営業が成り立たなければいけませんけれども、そういうにおいのものにしないと、一番初めの審議会の答申に基づいた調子とはずいぶん調子が変わっておるんじゃないでしょうか。
  225. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 調整法でございますので、実定法としてこれが拘束していくような条項は、たとえば第七条で届け出を受けた際に、どういう判断をして勧告をするかどうかというような点が法律上一番効果の多いところでございます。ただし、この一条の目的ないし十一条で、消費者利益の配慮ということを書いてありますと、文章だけではそれはあまり措置に直接効果のないように見受けられるかもしれませんが、また従来の百貨店法になかったものをなぜそうやって入れたのか、ただ文章の飾りかという御質問の趣旨だと思いますけれども、私どもはむしろそうとっておりませんで、七条で届け出を受けた政府が、通産大臣が判断をされますときに、消費者利益というものを一つの大きな要素として考える、特にその届け出のありました地域における事情が、そこの商店街なり小売に対する影響がそうあまりないにもかかわら、、住民なりそこを通過する消費者にとって非常に希望される、益する小売業進出であるというような場合には、当然前向きにその届け出を受け付けて進めていくという方針になろうと思います。
  226. 玉置一徳

    玉置委員 そこでもとへ戻りまして、先ほどの中小企業庁からの御説明の、百貨店スーパー等々の進出によってマイナス面とプラス面が出る、そのマイナス面を除去し、プラス面を伸ばすことによって、お互いの調整をとらしていくということが法律の目的だと私は思うのです。そういう意味で、出たマイナス面を調整する具体的な方策というものはどういうことをお考えになっているか、お伺いしたいのですが。
  227. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 マイナス面でございますから、それは近隣中小小売業に影響があるという要素が幾つか出た場合でございますが、その場合は、かりにそれが大型のスーパーといたしましたときに、その大型スーパーの開店日をいつにするか、それまでに近隣の商店街をどう整備できるか、あるいは個々の中小商店であれば、それが近代化したりあるいは金融を受けて店内改装をしたりするために何カ月要るかということで、開店日を延ばすということが一つでございます。  それから、そこである一つの計算がございまして、商圏における売り場面積と人口との関係を計算いたしますけれども、その場合に、そのスーパーが、一万平米の大型店舗をその地域につくることは影響が急激過ぎる、したがってその七階、七千平米までを売り場にして、三千平米は事務室にするなり食堂にするなりすべしということで話し合いがつく場合もございます。場合によっては、半分はそのスーパーの方が入るけれども、同時に近隣におられた小売のこまごまとした店舗の人が六階から十階までに入りましょう、テナントとして寄り合い式に入りますということで地元との調整のとれる場合もございます。この解決の方法というのは、もちろん地元の商調協の御討議を中心にしますけれども、各様があるように思います。
  228. 玉置一徳

    玉置委員 一般的に申し上げて、客の流れがふえるという意味で、潤うという点はあり得ると思うのです。そのかわりに、全く競合して、中には商売がえをしなければやりにくいという店舗も少数は出得ると思うのですが、そういう方々に対して一体どういう手を打つか。国民金融公庫もしくは中小企業金融公庫から、別ワクとは申しませんけれども、何か一つの融資を優先してするような方法がありはしないか。もう一つは、いまのお話のような商店街の整備というようなものについて、特別に、これも優先して手を打つということが望ましいと思うのだが、そういうことをするお気持ちがあるかどうか。
  229. 莊清

    ○荘政府委員 大型店との競合等によりまして転廃業をしなければならないという中小小売商業に対する所要資金についての特別の金融制度というものは、正直に申しまして、現在政府系の金融機関を通ずるものとしてはございません。ただし、いま企業局長から答弁がありましたが、そういう人たちがショッピングセンターに入居する、集まって入居して、そこで近代的な形でやっていこう、あるいは寄り合いスーパーをつくって、そこへ移ろうというふうな形で対処されようとする場合には、現在ショッピングセンターへの入居資金につきましては、中小企業金融公庫それから国民金融公庫から、期間十年で金利が七分五厘という特別の融資制度がすでにございます。また、寄り合い百貨をつくろうというときには、中小企業振興事業団から御案内のような助成措置がございまして、これは二百件ぐらいすでに実例がございます。  そこで、何か検討する考えがあるかどうかとお尋ねでございましたが、一般に商業の場合には製造業と違いまして、設備、技術というものに金が固定しておる度合いが弱うございます。建物とかショーケース等は残りますので、転業の、あるいは扱い品目を漸次切りかえていくその場合の資金の負担というものは、製造業よりも軽いのが一般かと思いますけれども、御指摘になっておるような、地域的に非常に競合が起こりまして、集中的にそういう打撃を受ける場合、こういう場合のことについては、やはり今後の中小小売商業対策として、中小企業庁としてよほど真剣に検討しなければならぬだろうと思います。  工業のほうにつきましては、たとえばドル・ショック融資とか、あるいはドル・ショックを受けた事業者の転換、設備の廃棄のための特別融資等、最近ここ一、二年で若干整備されてまいりましたが、商業につきましては、正直に申しましてまだ施策が非常におくれております。来年度施策におきまして、これはぜひ御趣旨を体しまして私ども努力をいたしたいと考えております。
  230. 玉置一徳

    玉置委員 ただいまのお答えは、私もほんとうは大体そのぐらいの程度は承知しておるわけですが、問題はそうじゃなしに、いまこの調整法を出す限りにおいては、ある業種においてはとても太刀打ちできぬというものがあり得るわけです。そういうものだけは一つ営業品目を変える資金というものを若干長期に見てやるような——小売扱い、商業のものでありますけれども、工業のまん中ぐらいの程度の若干長い長期資金を見てあげないと無理が起こる。そうすればこういうことも比較的スムーズにいくのじゃないだろうか、こう思うがために特に希望しておるのですが、それにつきましてもう一度お答え願いたい。
  231. 莊清

    ○荘政府委員 零細な小売商業に特に縁の深い金融機関というのは国民金融公庫でございます。設備資金も運転資金も両方供給しております。これの融資の限度でございますが、今年度から、保証人さえ立てれば、国民金融公庫の各県の支店長限りで融資ができますという限度を従来の三百万円から五百万円に引き上げました。本店に伺いを立てれば保証人だけで物的担保なしでさらに八百万円貸せるというふうに、これも五百万から八百万に引き上げをいたしました。こういうのは中小企業全般に対しての制度でございますけれども、過去の扱い商品の在庫をかかえながら新しい仕入れをまとめてしなければいけないという、一種の開業資金的な運転資金が仰せのとおりございます。こういうものに対処できるような意味で、国民公庫なら国民公庫に重点を置きまして私どもは来年度の施策としてぜひ検討いたしたい、こういうつもりでございます。
  232. 玉置一徳

    玉置委員 大臣に最後に二点ほどお伺いしておきたいのですが、これは調整的な法律ではございますけれども、先ほど一番初めに説明を求めましたとおり、それぞれの分野があると思います。その分野において社会に貢献をしておいでになる小売商業一つの部分であります。それは、それぞれが競争しながらそうして消費者利益確保していくという、しかもそれのためにはおくれているものに手厚い助成をしながら近代化を進めていく、こういう方向でなければ、ただ規制をするということに重きが置かれるような調整であってはならない。すべての小売業がみんな伸びていくという方向にこのものを持っていっていただかなければいけませんので、運営についても格段の御配慮をいただきたいと同時に、ただいま例示を申し上げましたような意味の助成もしくは融資政策というようなものを新しい年度にはひとつ十分織り込んでいただきたいし、現在におきましても、その運営をそのような方向に持っていくような行政指導をしていただきたい、こう思うのですが、いかがでございますか。
  233. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 運営につきましては、現在におきましても、また本法案成立の暁におきましても、御指示の点をよく注意してやってまいりたいと思います。なお、中小零細小売業の金融その他諸般の助成策につきましても、御指示の点を体して大いに努力してまいりたいと思います。
  234. 玉置一徳

    玉置委員 最後に、大臣にもう一点若干これとはずれるかと思いますけれどもお伺いしておきたい。  本日、質問主意書を出したのですが、水銀、PCB等で汚染鮮魚の問題が非常にやかましくいわれております。したがって、市中に出回っておる鮮魚が少なくなりました。それで、これは飼料の値上がりと競合するのでありますけれども、豚肉は史上最高というような値段にまで上がりつつありますし、それから牛肉は通関の関係でコンテナのままで放置されたり港の中で船に積んだままになっておるというようなことがたくさんございます。  そこで一点、通産大臣の所管でありますのでお伺いしておきたいのですが、汚染鮮魚の販売を禁止するだけでなしに、この際、汚染してない鮮魚の輸入促進をはからなければ、国民の蛋白源の補給が長く滞ると思います。その他の関連の食肉等の物価の高騰というものを抑制することができません。したがって、この際、緊急に輸入ができるような措置を講じていただきたい。特にその際、いままでの総合商社等々の利益だけでなしに、新しく農協、生協、スーパー百貨店等に、直接に規制された農林水産物資の購入の外貨割り当てをすることによりまして、輸入の拡大ができるような措置を講ずるようなことを検討されることが望ましいと思いますが、大臣の所見をお伺いいたしまして、私は宮田議員に質問を渡したいと思います。
  235. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 牛肉につきましては四—六に約七万トン以上も割り当てまして昨年一年間の割り当て量に匹敵するものを割り当てて、一部、お話のようにもうコンテナで来ておるわけでございます。豚肉もたしか五万トンぐらいあるはずなんです。しかし、豚肉はキロ五百八十円とか六百円近くぐらいにいま上がってきておりますのはいかにも知恵のない話で、水ぎわにおける作戦が十分でない。これらはいま農林省とも打ち合わせしまして、至急に市中に出回るように努力しておるところでございます。  それから魚につきましては、先般来いろいろ汚染地域に近いところで鮮魚あるいはそのほか扱って困っている人には融資制度を発足させまして、二百万円までやるようにしまして、そのうち五十万円までの三%は関係経済団体に負担させる、そういう措置をやったところでございます。そのほか、上の分は地方団体が負担してその六割五分は国が負担する。そういうような制度もやりました。  魚を輸入するという問題は、きょう実は初めてお聞きいたしまして、いま需給関係がどうなっておりますか、農林省とも打ち合わせしまして至急調査をしてみたいと思います。私の感じでは、いままで相当輸入してきていると思うのです。それですから、もし足りないようだったら輸入するということも検討をしてみたいと思っております。
  236. 浦野幸男

    浦野委員長 宮田早苗君。
  237. 宮田早苗

    ○宮田委員 時間の関係もございますので、重複する点がございましたら簡単にお願いをするといたしまして、まず最初に、本法律案の立法趣旨について通産大臣に御意見を承りたいと思います。  この法の目的は、第一条で、消費者利益の保護あるいは物価の抑制と流通業界近代化だとしております。大規模小売店舗とその周辺に立地する中小小売業者との調整も大きなねらいのようです。しかし、この法が施行された場合の効果について若干の疑問を抱かざるを得ません。小売商業界が近代化され、はたして消費者のためになるかどうか。と申しますのは、大規模小売店舗の新増設を許可制ではなく事前届け出制とはしたものの、通産大臣の変更勧告、変更命令権などが加味されておりまして、運用次第では、許可制と何ら変わらない内容になりかねないではないかと思います。現行百貨店法では野放しになっております大型スーパー届け出制対象としたことを評価する向きもございますが、大型スーパー消費者利益に果たしている現在の役割りからいっても、勧告、命令措置などによって新規立地が阻害されることも十分考えられるわけであります。消費者保護の見通しと、勧告、命令措置に至るまでの審査基準などについてお答えをお願い申し上げたいと思います。
  238. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 本法案は、新しい最近の流通情勢にかんがみまして、百貨店及びスーパー、そのほかの大型小売店、あるいはさらに中小零細商工業者の利益を調和させようということ、それから公正競争をある程度確保しつつ消費者利益を重んじよう、そういうような発想に基づいて提出されたものでございます。実際は運用の妙ということで、この三者のむずかしい利害の調節及び消費者利益を守ろうということで、そこで勧告というようないままでの許可制度をはずした届け出、勧告、改善命令、そういうような体系をとったわけであります。やはりいまの情勢になりますと、スーパーもワクの中へ入れないと、中小零細小売業の皆さんがおさまらないという情勢にもなっておりまして、スーパーも入れるということになりますと、これはやはりある程度自由性を持たしておかないと消費者利益にも反する。やはり消費者スーパーを非常に便利に思っているということは事実ですし、スーパーが出てきたために小売商店街の皆さんが非常な刺激を受けていろいろな勉強にもなったということも否定できないところであります。だがしかし、めちゃくちゃにスーパーが方々じゆうにできるということが方々じゆうにいま摩擦を起こしていることも事実であります。そういうような現状を踏まえてみんなが刺激を受けながら競争的共存を行なっていく、現状に停滞することはおのおの許されない、全部前へ進んでいかなければならない、それが消費者のためである、そういう発想に基づいて現実にいろいろ行政指導その他によって調和を保っていこうというので、かたくなな許可制度という制度をとらなかったわけでございます。そういう面からして、運用の妙ということが一番これに要請される問題でありまして、その点については、審議会あるいは審議会を通じて商工会議所とか、あるいは商調協、あるいは消費者、そのほか申し出る人たちの意見も十分聞きながら運用の妙を発揮したいと考えております。  そこで、スーパーとあるいは消費者等との利益の調和点をどこに求めるか、百貨店の問題との調和点をどこに求めるかという非常にむずかしい問題がございますけれども、まあわれわれとしては、法の精神を厳然として今度は法律の上に書きまして、それに基づいて、現実に調和を行政その他によってとっていく、また、話し合いによって業者間内部においても調整をとっていく、そういう体系によってこれをチェックしていこうと思うわけでございます。
  239. 宮田早苗

    ○宮田委員 売り場面積と営業時間及び休日に関する規制についてでございますが、売り場面積については現行百貨店法と同じ規模規制をしようということになっておりますが、流通近代化が本法のねらった大きな柱であることから考えますと、実情に合わなくなっているのじゃないかと思います。デパートあるいはまたチェーンストアだけでなく、中小小売業者が地方都市で共同店舗を建設する場合でも千五百平方メートルでチェックされたのでは、近代化どころか、みずから首を締めることになりかねぬと思いますが、この点について御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  240. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 その点はまさに御指摘のとおりの要素があると思います。たしか売り場面積については昭和十二年ごろから変わってない、同じ面積を今日も採用しておる、しかし、ビルは大きくなっている、そういう御指摘は正当であると思いますが、ここにまた一つ零細小売商業を守るという点が出てきておりまして、そういう規模のものからある程度届け出規制という形によって零細小売商業も守ってあげよう、そういう発想がまた他面にあったわけでございます。それをあまりかたくなに、がんこにやるということもまた問題点がありますから、いま申し上げた届け出という形で調整していこう、そういう苦心の存するところがあったわけであります。
  241. 宮田早苗

    ○宮田委員 閉店時刻及び休業日数の規制でございますが、省令で定める閉店時刻、休業日数はどの程度お考えになっておいでになりますか。同時に、最初大臣がお答えになりました運用の妙あるいは調和ということを極力やらなければならないということでございますが、全く私も同感でございますが、これは一律に律するというわけにはいかない、その立場立場の条件というのが全部違うわけでございますから、そういう点について問題が当然出てくるのじゃないかというふうな気がします。たとえば九州と東北という地域性、また同一地域でも繁華街と住宅地という差が当然あるわけです。また、業種差など、さまざまな要因考えられるわけでございますが、この点どういうお考えを持っておいでになるか。  ついでに、私は休日については、商工会議所や各企業経営者、従業員の代表あるいはまたそこらにありますところの労働組合のある場合は労組代表など、話し合ってきめるというようなことが一番その地域に適した一つの方法をきめる大きな要因になるのじゃないかというふうに思っておりますが、そういう点についてお考えを聞かしていただきたいと思います。
  242. 橋本利一

    ○橋本政府委員 営業時間なり休日数につきましては、ただいま御指摘のとおり、まさに地域差によって異なってくるかと思います。御承知のとおり、現行法に基づく施行令では、原則といたしまして営業時間は午後六時まで、それから休日につきましては、政令都市においては四日、その他の都市については二日と、かように規定されておるわけでございますが、今回の新しい法律に基づきましてはこれは省令で規定することにいたしまして、それはまた許可基準ではなくて届け出基準という形をとっております。したがって、その基準にはずれるものは届け出をするという形をとっておりまして、初めに申し上げました、むしろ地方色と申しますか、地域差と申しますか、地元との協調のもとに、一律的にきめるのではなくて、よく話し合いをしてきめていく、そういう立場をとっておるわけでございます。
  243. 宮田早苗

    ○宮田委員 ところで、既存のチェーン関係、これに対する営業時間あるいは休日というものに対する規制も、この法律ができますとそれを適用されるということになるのかどうか、お聞きします。
  244. 橋本利一

    ○橋本政府委員 既存店舗に関するこういう規制をどうするかということにつきましては、審議会の場における検討流通部会でございますが、その答申に基づくわれわれ部内における検討過程におきまして、率直に申し上げまして、二つの立場があったわけでございます。一つ立場は、現状何はともあれ地元と協調してやっておるのだから、現状のままでいいのではないかという考え方と、いま一つは、全く対蹠的な考え方でございますが、地域との調和あるいは同じ地域における類似大型店舗とのバランス、そういった点から配慮するならば、店舗面積は別といたしましても、やはり営業時間あるいは休日数等については調整をする必要があるのじゃなかろうか、こういう考え方が二つ出ておったわけでございます。私たちといたしましては、現状におきましては少なくとも後者の立場、ただしある一定の猶予期間、経過期間を置きまして、その時点で、必要とあらば営業時間あるいは休日数等については調整の必要もあろうか、かように考えております。
  245. 宮田早苗

    ○宮田委員 そうすると、既存のチェーンストア等は地元の中小企業者と共存共栄ということが成り立っておる、また消費者にも非常に便宜を与えておるというようなところに対しましては規制をしないというふうな意味にとってよろしいですか。  もう一つ申し上げます。もう一つの問題は、働いておる立場からいって、本法施行以前にオープンしている店舗に働いておる従業員のことをさしておるわけでございますが、これに対しまして、これからできようとする、この法律が適用されようとするところの従業員との格差というものが当然にできてくるのじゃないかという懸念があるわけでございますが、その面についてお考えを聞かしていただきたいと思います。
  246. 橋本利一

    ○橋本政府委員 一番目の問題でございますが、これは必ず調整をするということではございませんで、調整対象にするという意味でございます。したがいまして先生御指摘のように、地元で問題がない、小売商の立場からもあるいは消費者立場からも問題がない、あるいは新設する大型店舗とのバランスもとれるというようなことであれば、これはまず調整必要性が出てこないのじゃなかろうかと考えます。  それから二番目のほうの、働く人の格差ということで御質問でございましたが……
  247. 宮田早苗

    ○宮田委員 既存のスーパーで働いております人人と、この法の適用を受けてこれからできようとしておりますスーパーで働いておる人との格差というものが当然に起こるのじゃないかという懸念をしておるわけでございますので、その点をどういう考えで措置をされるものかということをお聞きしておるところです。
  248. 橋本利一

    ○橋本政府委員 御質問の趣旨は、休業日数あるいは営業時刻が異なることによって差ができるのではなかろうかという御趣旨かと思いますが、やはりそれは労働条件の問題と、それから営業日数なり休日数を幾らとるかということは、関連性はないとは申し上げませんが、これはやはり考え方としては別個の立場考えざるを得ないのじゃなかろうか。と申しますのは、やはり中小小売商業者ないしは消費者との関係においての調整行為でございますので、その結果として従業員の方に影響を及ぼすこともあり得るわけでございますが、それを直に結びつけて本件を解決するということはなかなか問題かと思います。ただ、先ほど申し上げましたように、ある店においては既存店舗なるがゆえに七時ないしは八時ごろまで働いておる、新設店舗のほうは六時まで働いておるといったようなことで、労働の量なり質なり、それに対する給与等に影響を及ぼすことはあり得るかと思いますが、それにつきましてはむしろ経営内部の問題として処理していただくべき事項かと思います。
  249. 宮田早苗

    ○宮田委員 この店舗面積の規制に関連してもう少し質問をさしていただきますが、面積規制は言うまでもなく建物が大きいか小さいかで判断するわけでございますが、最近はデパートやスーパーのような売り場がなくても大きな事業を営んでいるケースがたいへんに多くなってきておるわけでございます。御承知のように、カタログ販売あるいはまた販売員をネズミ算式にふやしていく、今日問題になっておりますいわゆるマルチ商法ということでございますが、通産省ではいわばこの新手の商法の実態をどのようにとらえておいでになるか、まずお聞きをしたいと思います。
  250. 橋本利一

    ○橋本政府委員 ただいま御指摘になりましたカタログ販売あるいはネズミ講式のホーム販売、こういった特殊な販売方式によりますと、状況によっては製品の品質の問題、あるいは販売活動の行き過ぎ、販売員募集上のトラブル、こういった消費者ないしは募集に関連する紛争が散見されてきておるわけでございますが、当方といたしましては本年度予算をもちましてかかる特殊取引形態をとっておるものにつきましてその実態を調査する、調査の結果を踏まえて必要とあらば法規制をする、かような考え方で調査の準備をやっておる段階でございます。
  251. 宮田早苗

    ○宮田委員 私がこの問題を取り上げましたのは、中小小売業者の育成ということが今日一番問題になっておるときでございまして、このマルチ商法を採用いたします外資系の企業の日本上陸が非常に多くなってきておるわけでありまして、たいへん波紋を投げておるようでございます。けさの日経の新聞を見られて御存じと思いますが、いま御答弁のありましたようにトラブルや苦情というものがひんぱんにあがってきておるわけでございまして、これが単なる商関係だけでなしに個人の生活を脅かすというようなところまで波及するおそれもこれから出てくるのじゃないかというふうに思っております。いま調査研究ということでございましたが、できるだけ早くこれに対する対策をお立て願わないと手おくれになるのじゃないかというふうに思いますが、もう一度その点について何かありましたらお答え願いたいと思います。
  252. 橋本利一

    ○橋本政府委員 御指摘の点につきましては、本年四月一日から実施しております私書箱制度につきましてもさような投書が来ております。したがいまして、調査が十分行き渡らなくとも、あるいは立法措置が講ぜられなくとも、必要な限り行政指導でさような弊害が発生しないように対処していくつもりでございます。
  253. 宮田早苗

    ○宮田委員 たとえばいま審査をしておりますこの法によって取り締まるというようなことはできないものかどうか、この点ひとつお聞きいたします。
  254. 橋本利一

    ○橋本政府委員 端的に申し上げまして、本法での規制は無理でございます。
  255. 宮田早苗

    ○宮田委員 無理というふうにおっしゃっておりますが、この外資系の企業が大型の店舗をかまえるという場合には、この面積あるいは営業時間、こういう点についてはこれによって取り締まる、規制をするということはできると思いますが……。
  256. 橋本利一

    ○橋本政府委員 本法案は、内外資を問わず、基準面積以上の販売面積を有する場合には適用の対象になります。
  257. 宮田早苗

    ○宮田委員 最後になりますが、私はここで二つの提案を申し述べて政府関係者のお考えを伺いたいと思います。  まず第一条の条文の中に、「中小小売業事業活動機会を適正に確保し、小売業の正常な発達を図り、」とあります。消費者利益考えるとき、生業的小売商の存在が一つの問題になっていることは考えなければなりませんが、わが国の中小企業政策に最も欠けている点でございます。特に、さっきも問題になりました転廃業するにいたしましても資金が、あるいは廃業した場合にそういう問題から生活ができないという問題がこれから非常に出よう、またいまも出ておると思いますが、このような層に対しまする政策がないのが実態じゃないかと思います。  そこで、一定面積以上の大型店舗につきましては、フランスで実施されております付加価値税のような性質のものを徴収したらどうか。これは非常に極端な提案になるかもわかりませんが、御存じのように、フランスでは、四百平方メートル以上の店舗に対し、超過分一平方メートル当たり売り上げの千分の三を付加価値税として徴収しておる、こう聞いておるところでありますが、わが国でもこれに似た制度を採用して、零細業者の転廃業資金に回すというような考え方をとったらどうかということが一つであります。  もう一つは、大規模小売店舗審議会の構成メンバーについてであります。政府側の考えを聞きたいわけでございますが、消費者保護が立法の大きな柱になっておるわけでございますから、消費者代表を、また労使関係を抜きにした小売業近代化はこれからは特に考えられないのじゃないかというふうに思いますので、労働団体の代表もメンバーに入れるべきだ、こういうふうに私は思っております。特にその当事者でありますところの従業員の代表ということでなしに、まわりにありますところの労働組合、その代表もこの中に入れる。これも消費者団体というふうに見られるわけでございますから、そういう構成をやられたらどうか。この二つの点を考えておるわけでありますが、その点についての御意見がありましたらお聞かせ願いたいと思います。
  258. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 まず第一点のフランスにおける店舗面積に応ずる付加価値税の徴収というアイデアでございますが、これは一つのおもしろいアイデアであるように思います。特に大型小売店舗と中小零細企業との格差がどんどん出てきて、そして大型小売店舗、特に百貨店というようなものの売り上げが現代のようにこれだけどんどんふえていって、消費景気がこの上となく上がっていくという状態においては一つのアイデアであると思いますが、これがために値段が転嫁されて商品物資が上がっていくというような物価騰貴につながるということも一面考えなければなりませんし、税体系全般との調整、調和という問題もまた他面考えなければならぬと思います。しかし、このアイデアは非常におもしろいアイデアであると思いますから、検討さしていただきたいと思います。  第二に審議会のメンバーの件でございますが、この法案にもありますように、申し入れを受けて意見をいつも聞くようになっております。これらの点を改善しながら運用したらどうか、大体中立の人たちの意見を、審議会の中に入れて聞いて、その審議会がまた意見をまとめるときにいろいろな人の意見を聞いて審議会の意見をつくっていく、そういう過程考えられるわけであります。そういうような運用上のことを考えてみて、いまの労働者の意見考えてみたいと思うのです。元来この審議会を設けた趣旨は、実は大型店と中小零細業との調和という営業上の問題、企業上のバランスの問題が中心になってこういう審議会が設けられておると思うのでありまして、労働問題とかあるいはその他の問題も、そっちのほうから見ますと、むしろ閉店時間とか、休みとか、そういうようなものとの関連において考えられるところで、むしろ経営競争、公正、そういうような要素が基準になってくるものであるだろうと思うわけです。しかし、いまのように、こういうふうに勤労者の多い時代でもありますから、運用によりましていま申し上げたような諸点を考えつつ実行していきたいと思います。
  259. 浦野幸男

    浦野委員長 次回は、明後六日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十七分散会