○神崎
委員 私の聞いているのは、一般的にいうこの
百貨店法ができます
段階では、
スーパーあるいは
百貨店が、大都市では三千平米、その他の都市では千五百平米、こういうことを
規定されて、それ以下ならいわゆる
届け出制もなく幾らでもできるような状態になっておる。こういうような
法律をつくられることで、一般商店街あるいはそれと直接の利害のある方は非常にこれを憂慮して、先行きについては非常に心配しておる実例がたくさんあるんですね。実例については後日言いますが、
一つだけ申しておきたいのは、そういう形のことが、なおかつ一般商店街の
振興になったり、あるいは一般
消費者の
利益になる、そういうふうな
考え方からこの
法律ができておるというような主張に対して、そうではないのだ、一般商店街も一般の
消費者も、これがたくさんできてくることによって、大きな被害こそ受け、これでよくなっておらないのだ、ただよくなるのは
進出してくる
スーパーとか、いわゆる大
企業とか、その
シェアを独占しようとする
人たちだけがこの
法律を歓迎するものであるという
立場で聞いているのです。
たとえば、これは大阪の、私の住んでいるところではない場所のほうがいいと思って、これは豊中市の現状なんです。これは
大臣にそちらへ回して見てもらいますが、この茶でかいているのが従来ある市場です。青でかいているのが
スーパーでここ二、三年のうちに
進出したものなんです。そして、たとえばここは有名は千里ニュータウン、
中曽根大臣も行かれたと思うのですが、万博のあったところです。そこヘニュータウンができたときに、ここにはやはり
ショッピングセンターが要るというので、当時の知事がこの商店街、いわゆる
商工会議所あたりに話をして、そしてここは発展する、非常に前途有望ないわゆる市場である、したがって、ここで商店街を二つつくってくれないか、こういう知事からの懇請に従って、そこの商店の
方々は店を払ってここへ集中したわけです。そして万博が来るというような
段階が来たときに、突如としてここへ来たのが阪急
百貨店であり、
日本板硝子、いわゆる日硝、これはあとで系列も言いますけれ
ども、大丸のピーコック、これらが三つ来て、そして現在これが
開店休業のようになってしまっているのに、その補償も何ら認められない。これは先般現地調査をしたのですが、特にこの地域で集中しているのは曽根、岡町、豊中、庄内というところですが、こういう形で従来あって、そして市場が何とかその地域の
人たちの要求に応じているところへこのような形で人口が集中する上にかぶさってきて、そして完全に、この前、
小売店のときに申しましたように、毛布をカーテンがわりにしたり、あるいは敷布をかぶせて、五十軒ある中で四軒も五軒も店を閉めておる。そうすると市場全体がもう荒廃してしまって、そしてお客さんが寄りつかない。だが、何百万円で買ったしにせも、もうそんなさびれたところを買うところはない。ところが、出ていくところがないので、住宅がわりにしている。ちょうど農村の三ちゃん農業のように、むすこや娘はもう家業を継がないでどこかへ働きに出ていく。そしておじいちゃん、おばあちゃんが残ってそこへ住みながら細々と店を出しておる人もある、もう全然住宅にしておる人もある、こういう状態なんですね。これはちょっと
大臣に見てもらってください。
そこで、それは私がマルをつけたものではありません。そこの商店の
方々の訴える中で——商店会の名前は言いませんが、
商工会議所の議員です。そういう形でふくそうしているということの
実情を知っておいてもらいたい。
そこで続けて言いますが、いままでにあげてきた幾つかの点を総合しまして、プライスリーダーにならんとしている
百貨店とか
スーパーは、小さな私的
企業ではなくて、いまや商社、私鉄、さきにおっしゃったように大
資本が中心となっておるのですね。ここにも問題の根源がある。たとえば、上位
企業の
企業グループ別ランキングと実態というものなんですが、
通産省はあまりおつかみになっておらないような話でありましたから、私のほうから申し上げると言ったのはここなんですが、たとえば私鉄
関係を見ましても、
西武流通グループは
企業数七十社、これは年間三千七百七十億の売り上げをやっておるのですね。それから阪急流通グループ、これは十社ですが、これも千三十三億、東急流通グループ、十四社、これは九百六十八億、近鉄グループ、これは十一社、九百二十億、名鉄グループ六百四十五億、これは十三社ですね。これが上位にランクされる私鉄の
関係です。
そこで背景といいますか、一番初めにこういうことになった背景を聞いたのですが、いま私たちが非常に問題にしている大商社の買い占め、投機ですね。大
資本のこれらが
進出をして、そうして一般の
小売商店の自営を圧迫している。ここにも大
資本、大
規模小売店、この
進出がどのような形で出てきているか、
消費者の
利益につながるという点から非常に私は重大だと思うのですが、決してこれは一般の
消費者が便利だ、あるいは安くていいものが買えるとか、そういうようなものではなしに、もうこれは完全なる系列が明らかになっておる。
たとえば三菱商事ですね。これは日経の流通新聞で「豊かな時代の流通戦略」というような題で発表している。これが西友ストアと契約したのが
昭和四十四年で、三菱商事が西友に二百億融資して、西友ストアが仕入れる商品の二〇%をこれが占めておる。広屋という大手食品問屋に
資本参加して、問屋を通じて
スーパーを支配しておる。伊勢丹との折半出資で丹菱開発を設立している。そうして大
規模ショッピングセンターを開発、
運営している。
三井物産はどうか。
昭和三十年代に
スーパー対策委員会をつくりました。それから四十年に一〇〇出資で第一
スーパーを設立した。これの問屋の系列化は物産食品販売、エフワン、繊維ですが、これをつくった。それから先ほどあげた名鉄
百貨店とラファイエットが
提携した。物産はラファイエット社からの繊維製品を輸入することを担当していく。そのうしろにちゃんと三井物産がこれを支配して握っておるのですね。
丸紅ですが、これは
ダイエーです。
ダイエー向け専門の配送会社エンゼルを設立した。これ以後丸紅繊維流通センターをつくった。
スーパーへの商品供給。また緑屋に
資本を出しておる。そうして経営に参加しておる。
次は伊藤忠商事、これは
スーパー・マイマートを直営している。伊藤忠繊維流通センター、これは西友ストアなどへ商品供給もやっておる。繊維問屋のレナウンニシキを系列化。さらに、合弁会社のマグニン・ジャパンをつくっておる。
アメリカのJ・マグニン、
ダイエー、伊藤忠の三つで合弁会社をつくっておる。その主力は伊藤忠の手にある。
もう
一つは住商、サミットストア、これは住商が一〇〇%出資しておる。
それから日商岩井は高島屋グループと
提携をやっておる。
以上のように、商社による
スーパー進出は、第一に
資本参加、第二に問屋の系列化及び配送センター、いわゆる流通センターを握る。そうして供給面から
スーパーの系列化を強化しておる。三番は
百貨店と
提携して直接
進出をしていく。こういうのがいま
スーパー、
百貨店にどんどんと出てきておる現状なんですね。
こういうようなことについて、この
法律ができまして、一般商店がその経営を保護されたり、あるいは一般
消費者の暮らしにプラスする、そういうようなねらいではなくて、この
法律の背景というものは、いわゆる大都市においては三千平米、その他の都市は千五百平米、先ほ
どもあげられておったように、私もあげようと思っておったのですが、二百九十九だったらどうするのか。それは届け出もないのだ。こういうものがどんどんと出てきて、たとえば三千平米ならだめだというから二百九十九平米と——飛躍した論議かもしれませんが、これを三つ並べたらどうなる。三つ並べて
一つ一つ名前を変えたらどうか。これをブリッジでつないだら
一つの
建物とみなされるでしょう。ところが、地下道をつくって通路をつくる。商店街のように、いわゆるいまの地下街のようにつくる。その場合、
一つ一つの名前が別であって、
資本の背景は、ある一人のあるいは
一つの独占大
企業であった、こういう場合で二百九十九だったら、もう何の制肘もなくやられる、こういうことになって、少し飛躍かもしれないが、そういうこともでき得るというふうに思うのですが、こういう
傾向については、
大臣はどのようにお考えになるのですか。