○野間
委員 神崎議員の質問に対してもいろいろと
お答えいただいているのですが、私
ども総じてこの
振興法案について
考えますときに、特にあの大
規模小売りの百貨店
法案の改悪、あれとの対比で
考えて、おそらく政府としては、百貨店とかスーパーを許可制から届け出制にする、地方にこれはどんどん出てくる、それに立ち向かうためには、どうしてもこのようないわゆる
高度化事業、
合理化をして、これに対抗し抵抗しなければならない、そういうような発想でつくられたと思うのですね。ところが、神崎議員も申し上げたとおり、いままで幾つか
近代化資金によってなされたものが失敗しておる。例の和歌山の堀止百貨店の場合でもそうですが、一億二、三千万円ですか
近代化資金を借りまして、合計六億円くらいで四十六
店舗で始めたものが、わずか二、三年の間にたしか二十二
店舗くらいになったと思うのですね。これは数は正確じゃありませんが、結局
近代化、高度化ということでやったところがみじめな失敗を展開して、外にほうり出される、こういう
一つの結果になっておるのです。これは
大臣も言われたと思うのですが、組合員同士の不団結というようなことがこの失敗の原因じゃないかという答えがあったというふうに私は聞いておりますが、私はそういうものじゃないと思うのです。あるいはそれがあったかもしれません。つまり中小
零細企業、
小売商の中でも特に
零細企業の生きていく道というものは、単に入れもの、大きな箱をつくってスーパーやあるいは百貨店に対抗しろ、抵抗しろといったところで、これはやはりクジャクの羽をつけたカラスにしかすぎない。そういうようなカラスがクジャクのまねをしても対抗できるものじゃないということが端的に出ていると思うのです。入れものばかり大きくして。だからむしろ
零細企業者の生きる道というのは、これは
一つの特性として、たとえば近隣サービスですね。百貨店あるいはスーパーの場合には時間の制限もあります。これはもう制限しなければならないと思いますが、共働きで帰ってくる、近所で何でも自由に買える、あるいはアフターサービスというものを完備しておるとか、あるいはのれん、職人かたぎ、特に重点的にこういうものの
振興を
考えなければ、またぞろこれをやったところで、かりに乗っかれるものはやはり
中小小売商の上層部の一部じゃなかろうか。乗っかろうとしても結局また落とされてしまう。むしろそうでなくて、いま申し上げたように、もっと
小売商の特徴あるいは特性に目をつけてこれを育てていく。早い話が、病人がいきなりかたい飯を食ったら、また下痢をして病気がぶり返す。これと同じだと思うのです。百貨店、スーパーがかたい飯を食っておるからといって、むちゃくちゃに
中小小売商にかたい飯を食わす。これは自殺に通ずると思うのです。そういう観点から、しかも上からでなくて、もっと自主的に下からのこういう
零細企業者の意見を十分聞いた上で練り上げていく、こういう態度でなければまた失敗すると思うのです。
いま特に
零細企業者が非常に困っておるのは、先ほ
ども税金の話がありましたが、税金が重い。それから仕入れが非常に高いわけです。これは大阪
商工会議所の
調査でも出ておりましたが、たとえば資生堂のあのコールドクリームは中身は十四円ですけれ
ども、これが千二百円で市販されておる。あるいはアリナミンは一粒の原価は二円か三円だと思うのですが、これが十五円で売られておる。大きいものになりますと、たとえば小型乗用車は原価二十四万円が六十万円で売られておるということで、日本の経済の六、七割を握っておる大
企業が暴利をむさぼって、そうして高く売りつけておる。こういうところにやはり問題があると思うのです。あるいは公共料金の値上げもそうです。あるいはインフ政策もそうだと思うのです。したがって、このようなほんとうの病気の病源にメスを入れて、たとえばスーパー並みにすべての
零細企業の商売の皆さんが安く仕入れられる、こういうことになりますと、そういう中小
零細企業者の特性からして、もっともっと伸びていく道は私は十分あると思うのです。そういう点でやはり根本的にメスを入れなければ、入れものをつくって飾り立てても、
高度化事業に乗っかる人は非常に少ないし、また乗っかったところで失敗する、あるいは乗っかれない人が大部分じゃないか、こういうふうに思うのです。そういう点からして、この
法案そのものが上からのカッコづきの
近代化、
合理化であるということです。もっと下からの、ほんとうにどろどろの中で重い税金と高い仕入れ、こういうところで苦しんでおる
実態をもっともっと知った上でさらに練り上げてもらわなければ、私はほんとうの
振興というものはできないというふうに思うのですが、最後に
大臣の所見を伺いたいと思います。