運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1973-05-30 第71回国会 衆議院 商工委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年五月三十日(水曜日)     午前十時五十七分開議  出席委員    委員長 浦野 幸男君   理事 稻村左四郎君 理事 田中 六助君    理事 羽田野忠文君 理事 山田 久就君    理事 板川 正吾君       天野 公義君    稲村 利幸君       内田 常雄君    小川 平二君       越智 伊平君    大久保武雄君       木部 佳昭君    近藤 鉄雄君       笹山茂太郎君    田中 榮一君       西村 直己君    増岡 博之君       加藤 清政君    佐野  進君       竹村 幸雄君    藤田 高敏君       渡辺 三郎君    野間 友一君       近江巳記夫君    松尾 信人君       宮田 早苗君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      小坂善太郎君  出席政府委員         経済企画政務次         官       橋口  隆君         経済企画庁総合         計画局長    宮崎  仁君         科学技術庁計画         局長      長澤 榮一君  委員外出席者         経済企画庁長官         官房参事官   喜多村治雄君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ――――――――――――― 五月二十一日  中小企業団体組織に関する法律に基づく命令  の規定による織機の登録の特例等に関する法律  案(稻村左四郎君外四名提出衆法第三七号) 同月十六日  奄美大島枝手久島石油企業誘致反対に関する  請願竹村幸雄紹介)(第四三三二号)  小企業経営改善資金融資制度創設に関する請  願(沖本泰幸紹介)(第四四四五号)  同(北側義一紹介)(第四四四六号)  中小小売商店営業保護に関する請願北側義  一君紹介)(第四四四七号)  中小小売商業振興に関する請願北側義一君紹  介)(第四四四八号)  中小業者営業生活擁護に関する請願竹入  義勝紹介)(第四四四九号)  中小企業の経営安定に関する請願竹入義勝君  紹介)(第四四五〇号) 同月十七日  中小小売商店営業保護に関する請願田中美  智子君紹介)(第四五六四号)  同(板川正吾紹介)(第四六九一号)  中小業者営業生活擁護に関する請願梅田  勝君紹介)(第四五六五号) 同月二十一日  中小小売商業振興に関する請願中村重光君紹  介)(第四八二三号)  同(梅田勝紹介)(第四九五七号)  中小小売商店営業保護に関する請願外一件  (中村重光紹介)(第四八二四号)  同(三浦久紹介)(第四九五六号)  中小企業の経営安定に関する請願谷口善太郎  君紹介)(第四九五三号)  中小業者営業生活擁護に関する請願(多田  光雄君紹介)(第四九五四号)  小企業経営改善資金融資制度創設に関する請  願(三浦久紹介)(第四九五五号) 同月二十四日  医薬品メーカー返品処理基準撤廃に関する請  願(神崎敏雄紹介)(第五〇〇二号)  中小業者営業生活擁護に関する請願石母  田達紹介)(第五二五一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月二十八日  円の変動相場制等に伴う中小企業対策に関する  陳情書外一件  (第四三二号)  大規模小売店舗における小売業事業活動の調  整に関する法律案等成立促進に関する陳情書  (第四三三号)  中小企業者の範囲の改定等のための中小企業基  本法等の一部を改正する法律案成立促進に関  する陳情書  (第四三四号)  四国電力株式会社電気料金改定に関する陳情  書外一件(第  四三五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  総合研究開発機構法案内閣提出第五七号)      ――――◇―――――
  2. 浦野幸男

    浦野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出総合研究開発機構法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますのでい順次これを許します。板川正吾君。
  3. 板川正吾

    板川委員 総合研究開発機構法案について若干質疑をいたしたいと思います。  企画庁長官にお伺いしますが、政府はあらゆる機会に従来の資源浪費型産業から知識集約型産業に構造を変えていこう、こういう方針を立てられておるのであります。この知識集約型産業への水先案内という意味で、このシンクタンクという、この総合開発機構を含めた一般シンクタンクの果たす役割りは非常に重要だと思いますが、そういう考え方を肯定されておるかどうか、伺いたいと思います。
  4. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 板川委員指摘のように、わが国の置かれておる自然環境というものは天然資源がきわめて乏しいわけでございます。そういたしまして、海外から資源を求めてこれに付加価値をつけて輸出するという形は、日本経済規模が大きくなるに従ってだんだんむずかしい問題を胚胎していくわけでございまして、その意味において知識集約型を考えまするが、それにはやはりできるだけばらばらな形でなくて国の英知を集めての研究機構が要るというふうな考え方を持っておるわけでございます。その意味では、板川委員の御指摘のような考えを私どもは持っておるわけでございます。
  5. 板川正吾

    板川委員 そういう意味で、日本経済機構というものを従来の資源消費型ですか、浪費型というのですか、まあ多少そういう実態はありますが、しかし資源消費型というのを知識集約型の方向に変えていこうという意味でこのシンクタンクの果たす機能というのは非常に大きいと思います。  そこで伺いたいのですが、この総合開発機構というのは、民間シンクタンクとの関係は一体どういうふうにお考えなのでしょうか。これは民間知識をここで集約する機構と思いますが、民営シンクタンクとの関係を伺いたいと思います。
  6. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 御承知のように、今日幾つかのシンクタンクがあるわけでございます。ここで十ばかり拾ってみますと、たとえば野村総合研究所三菱総合研究所政策科学研究所、未来工学研究所、国際開発センター日本経済研究センター、三井情報開発日本リサーチセンター日本工業立地センター運輸経済研究センターなどあげられるわけでございますが、これらの機構はこれらの機構として大いに努力をしていただいて、政府としては、できるだけこういう機構助成するように考えていきたいと思っております。  しかし、この法律によって御審議をいただいておりますように、やはりそうしたものの中で中心的な機構として政府研究開発機構を総合的に持つ、総合的なものを持つということが必要であると考えておりますので、先ほどのおことばにありましたような水先案内的な、推進力的なものにしてこれを考えていきたい、こう思っておる次第でございます。
  7. 板川正吾

    板川委員 もしそういう機構をこれが果たそうとするならば、この法案には、実は幾多の欠陥といいましょうか、不足のものがあるだろうと私は思います。  たとえば、この法案全体の中に、民営シンクタンクとの関係あるいは民営シンクタンクをどういうふうに援助するか、あるいは指導するかという、この結びつきにほとんど触れてない。本来なら、この法律機構というのは、たとえばシンクタンク一般のことを第一章なら第一章でうたい、そして第二章で総合開発機構というものをうたう。この総合開発機構というのは、卑近な例で言うならば、いわば連合会的な組織であると思います。ところが、単位組合というものはこの条文の中に全然触れられていないで、連合会だけここでつくろう、こういう感じがして、この総合研究開発機構というものがどうやって総合するのかということがどうも抽象的で、われわれこの法案上からはわかりにくい感じがします。民間シンクタンクあるいはシンクタンク一般についての規定があり、そしてその規定有機的関係を持った総合的な研究開発をするという、第二章で連合会的な機能を果たすという意味規定があったほうがいいのじゃないだろうか、こう考えますが、なぜいわば連合会的な総合シンクタンク総合研究開発機構だけこの法律でうたったのか、そういう点がどうも不十分な感じがいたしますけれども、いかがでしょう。
  8. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 事務的に多少補足してもらいたいと思っておりますが、根本的なわれわれの考えを申し上げますと、まず政府としてこの総合的な研究開発に関する知能を一堂に集めるということが必要であると思っております。  それに加えまして、民間の活発な創意くふうを集めて一体として研究開発をやってまいりたい、こう思っておりますので、これが政府出資民間出資と合わせるという形になってあらわれておる次第でございますが、一方、既存のものにつきましては、これをそこへ無理やりに吸収するというような、たとえば今度の総合開発機構が連合体の中心本部のようなことになりまして、他のものを全部その傘下に入れるという形でなくて、既存のものはそれぞれの性格がございますので、それぞれの性格に従って、それぞれの責任において研究開発を進めてもらう、しかし、一方、国としては、これが最も権威のあるものであると考えるというものをつくってまいろう、こういうふうな構想であるわけでございます。
  9. 板川正吾

    板川委員 私の質問は、民間のものをこの機構傘下におさめるという意味じゃないのです。お互いに知識を分かち合い、知識を集約する面において有機的な機能を果たすという意味で、民間との関連性というのを法文の上で明白にしておいたほうがいいだろう、そういう気持ちで言ったのであって、すべてこの機能傘下に単一的な結合をはかれという意味ではないのです。私は、そういうこの法律欠陥があるのじゃないだろうかと思います。  そこで、次に伺いますが、総合研究開発機構というのを一応シンクタンクと言いましょう。このシンクタンクというのは、いわばアメリカにおいて発達した組織機能です。アメリカにおいては、シンクタンクが何十も何百もあります。そういうのを見ましても、大体が政府、特に空軍、海軍あるいは陸軍といいましょうか、軍関係のいろいろの注文を受けて開発をしてきた、その中でアメリカシンクタンクというのは発展してきた、アメリカシンクタンクの歴史を見ますと、こういう実績があります。この総合シンクタンクは、日本平和憲法というたてまえからいって、そういう軍事的な機能は果たさないと思いますが、この点についての大臣の見解を伺っておきたい。
  10. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 そのとおりに考えておりまして、われわれは、もう全く軍事的な研究等についてこの機構が触れるということは考えておらないわけでございます。
  11. 板川正吾

    板川委員 それであるならば、原子力基本法の第一条の目的にありますように、平和的、民主的、公開の原則というのを第一条にうたうべきじゃないだろうか、誤解のないようにそういうことを明白にうたうべきじゃないかと思いますが、いかがでしょう。
  12. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 この点につきましては、過般もお答え申し上げたのでございますけれども、この第一条の目的という項目に掲げておりますように、あくまでも国民の福祉に寄与するという点が強調されておるのでございまして、ただいまのようなお気持ちは十分われわれの考えておるところでございますが、この御審議の経過にかんがみまして、そういうほうがより明確であるという御主張がこの委員会の大勢であるならば、これはもとよりわれわれの考えと違うことを言われるわけではございませんので、十分考慮することにしたいと思っております。
  13. 板川正吾

    板川委員 わかりました。  次に、これを運用する場合のその地域の大学研究室、いわばアカデミックな研究開発をしておる大学のもろもろの研究室と、この総合シンクタンクとの有機的な結合というのをどういうふうに考えておられますか。
  14. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 御承知のとおり、このいわゆるシンクタンクで取り上げます項目につきまして具体的なプロジェクトを進めるということになりますと、必要な研究者というのは大学研究室におることが多いわけでございます。したがいまして、こういった機構をつくり、あるいは民間機関でもそうでございますが、大学研究者の方々、先生方にどのような形で御協力をいただくかということが一番大事になるわけでございます。  このシンクタンクとしては、前回も御説明申し上げましたように、それぞれのプロジェクトごとプロジェクトリーダーのもとに自由な形で御参加を願うという形で考えておりますので、それぞれの地元の大学先生方ども当然これに入っていただくつもりでございますが、こういういわば自由の形での参加というのが従来はなかなかやりにくかったという経緯もございまして、法文の中でも若干の手当てをいたしておりますが、さらに運営上そういう点については努力をしてまいらなければならぬ、こう思っておる次第でございます。
  15. 板川正吾

    板川委員 結局アメリカなりシンクタンク実例等考えるわけでありますが、第三条では「機構は、一を限り、設立される」こう規定いたしております。「一を限り、」というのは東京に一つということではないだろう。機構一つでも、いわば分所といいますか支店的なものを、たとえば大阪地方あるいは名古屋地方、将来できれば東北なりあるいは九州なり、こういういわば総合的な大学か集中しておるようなところに将来分所的なものでもつくらないと、東北や関西のこういう大学の人がどうしてもここの研究室に距離的に時間的に参加できなくて、日本人の知能が集中しないという憂いがあります。そこで、この機構一つに限るといいますが、こういう地方に将来分所的なものを置く構想があるかどうか、伺っておきます。
  16. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 結論から申し上げますと、先生のおっしゃるとおりに考えていきたいと思っておる次第でございます。法律上この総合開発機構が一に限って設立されるということが書いてございますのは、やはり相当多額の政府出資のあるものでありますし、言ってみれば、シンクタンクのうちのシンクタンクという機能を先ほどからおっしゃっておられるようなことを考えておりますので、こういう表現になったのでございますが、具体的に取り上げていく問題に応じまして、必要が生じてまいりますれば各地に所要の施設を設けていくということは当然考えていきたい、こう考えております。
  17. 板川正吾

    板川委員 それでは第四条関係で伺いますが、この機構資本金は「政府及び政府以外の者が出資する額の合計額とする。」とあります。「政府以外の者」とは、地方自治体かあるいは他の企業であろうと思いますが、いわばこの機構は半官半民的な機構になっております。なぜ半官半民的な機構を最善としたのか。たとえば、全部を官営的な考え方もあるでしょうし、あるいはアメリカは主として独立採算制民営ということになっておりますが、この民営のほうがシンクタンク機能というのを十分に発揮し得る、こういう考え方もあると思いますが、なぜ半官半民的な組織としたのか、その優劣、得失、なぜこれが一番いいと判断したのか、その点を伺っておきたいと思います。
  18. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 御指摘のとおり、その点が最も議論のあるところでございまして、四十六、四十七年度と二カ年度にわたって調査をしながら、いろいろの外国の例その他を見ながら検討してまいったわけであります。そしてわが国に最もふさわしい形はどういうものかということをいろいろ議論しました結果、やはり民間主体になって設置をする、いわゆる認可法人の形がいいのではないか、それに政府出資していく、もちろんこれは民間主体になって、まず発起人になってやってまいるわけでございますから、その出資につきましても少なくとも半分ぐらいは民間に期待する、こういう形でやっていこう、こういうことが一応考え方としてきめられたわけでございます。  しかし、何ぶんにも初めてのことでございますから、その民間出資という問題につきましても、場合によっては一部寄付金になるかもしれないというようなことも考えておりますし、政府出資につきましても、民間を含めて一応三百億という基金構想を持っておりますけれども、これも今後の推移いかんによってはまたさらに拡大するとか、そういうことも考えてまいりたいと思っておるわけでございます。その辺は、これから新しいものをつくるわけでございますので、多分に試験的という面もあるかもしれませんけれども、いろいろ検討いたしました結果、この形が最も望ましいのではないかという結論になったわけでございます。
  19. 板川正吾

    板川委員 このアメリカのランドのレビンが、シンクタンク原則にこんなことをいっているそうですね。「独立性を保つために重要なもう一つの要因は、財政面での独立ということです。ある特定のところから財政上の援助を受けると、どうしても研究中立性が失なわれてくるというのは避けがたいわけです。これは非常に重要な要素です。特定企業特定大学、あるいは政府などからの援助を受けるとどうなるか」というようなことをいっておるのですね。これはアメリカ民営の、しかも営利を目的としないシンクタンク指導者責任者の話でありますが、この半官半民というのをいま聞いても、この方式がいいというだけで、なぜこれがオール民営的なものよりも、あるいはオール官営的なものよりもいいかというのがどうもはっきりしない。おそらくこれはやってみなければわからないことであるということであろうと思うのです。  実際、これはまた外国の例になるのだけれども、常にシンクタンクの発展というのは試行錯誤を重ねて、初め意図したところと変わった結論運営上もなってきておるんだというようなこともいわれておるのですね。おそらくこの総合シンクタンクも、幾つかの試行錯誤を重ねなければ将来固まっていかないものだと思います。この半官半民的なものが必ずいいという結論はいまの説明にも明白ではないし、これまたやってみた上で、試行錯誤を重ねた上で次の結論が出るだろう、こう思います。  そこで、いまのこの資金構想についての説明がありました。本年は三十億政府出資で、政府以外から三十億で六十億、五年後に三百億という資金構想を持っておる。その三百億の資金から利子をもって約二十億近い運用資金を予定している。私がここで伺いたいのは、その二十億程度運用資金ですね。基金は別として、運用資金で一体はたして日本の国における総合的なシンクタンク機能が果たせるかどうか、こう思うのです。どうもアメリカの例で申しわけないのですが、アメリカの例を見ましても、たとえばバッテルのごときは、年間売り上げ高というとおかしいのですけれども一億二千五百万ドルとか、あるいはSRIなどは六千五百万ドルとかの事業規模で、運用資金金額がずいぶん高いですね。これは年間二十億程度ですが、政府なりあるいは地方自治体なり、そういうところから研究委託があった場合には、委託料を取って、その資金のほかに事業というか、研究開発をされるということになるのですか。もしそうだとすれば、それはどの程度規模になると構想しておられるか、伺いたい。
  20. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 結論はそのとおりでございます。  それで、基金によるいわゆるこの成果によりまして、民間機関に対して委託または助成をしていく。主として助成になりましょうが、そういう機能のほかに、この機構政府の各機関あるいは民間地方公共団体等から委託を受けるということを考えております。これはどの程度規模考えるかということは、いまのところ、まだはっきりした金額的想定まではつくっておりませんけれども、御承知のとおり、国の調査費におきましても、地方公共団体におきましても、現在相当大きな研究調査費をもう使っております。  そういう点から見まして、この機構活動というものが始まりまして、相当成果をあげ得るということになってまいりますると、やはり委託相当大きくなるのではないか、こう思っている次第でございます。そういうことになりました場合には、また全体の人員その他も、場合によっては考え直さなければならぬ点もあるかもしれませんけれども、現在のところは、ともかく比較的自由な支出ができます基金というものをまず根幹に置いて、そしてこれに委託を加えてやっていく、こういうことで考えていきたいと思っている次第でございます。
  21. 板川正吾

    板川委員 結局この二十億程度では、もうほとんどお話にならない金額である、ただし、そういう団体から委託を受ければ、委託料をもってさらに事業規模が拡大される、しかし、その規模はどのくらいか、いまのところ皆目見当がつかぬ、こういうことですね。この結論はあとの結論とつながっていきますが、そこで、この民間出資のことです。この法案によると、民間企業者出資をしてどういうことになるかというと、会計報告はされるが配当はしない。そして将来万が一この機構を解散するということであれば、解散するときに赤字であったらもちろん出資金は返さない。もし負債を返してなお余剰があれば、元の出資した金額だけは返します。そして出資した金額が返したあと余れば、それは法律をもってそのとき処分しようということになって、たとえば一千万ここで出資をしたある企業があった、何十年かたってまた余ったから一千万といったって、それは結局は寄付みたいなものですね。出資の場合には、企業の場合、これは出資ですから損金じゃ落とせません。だからこういう場合にはいわゆる指定寄付ですね。大蔵大臣の指定した指定寄付という寄付行為、これで行なったほうが、金を出すほうとしてはどうせ返ってきっこないのだから、帳簿上そういう債権が残っておるよりも、損金で落とせる寄付のほうがすっきりしていいじゃないか、こういうことにもなろうかと思いますが、これに対する処置といいますか対策といいますか、それはどうお考えになっておりますか。
  22. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 確かに御指摘のような議論もございましたが、この数年間における経済社会情勢の急激な変化に伴いまして、企業においても、社会的な責任というような問題が非常に大きくなり、こういったシンクタンクのような構想に対して民間独自でやろうかというようなこともいろいろいわれておるわけでございまして、したがいまして、私ども出資という形で民間に御参加を願える点が相当ある、こう判断をして出資を一応中心にして考えることにしたわけでございます。  ただ、税法上の問題等からいきますと、寄付ということのほうが有利であるということは御指摘のとおりでございまして、一部そういった寄付の形に変わることもあり得ると思っております。この点につきましては、税務当局のほうとも相談をいたしておりまして、この法律ができましたならば、そういった指定寄付等の手続もしていただこう、こう思っております。
  23. 板川正吾

    板川委員 わかりました。  第十条関係ですが、発起人を十五人以上必要とする、こうあります。この発起人は十五人以上どのぐらいを考えておられるのか。また、発起人が当然これは役員に将来なってくると思いますが、研究評議員ということにもなり得るのかどうか、この点ちょっと念のために伺っておきます。
  24. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 第十条にいう発起人を十五人以上と考えておりますが、何人ぐらいまでするかということはまだ具体的にきめておりません。まあおのずから、こういったものでございますから、あまり多くても困るのではないかと思っております。  それから、第二の御質問でございます発起人研究評議会評議員になる可能性というものは、これはあるわけでございます。それから役員はどうなるかといいますと、役員発起人の一部として出てくるということももちろんあり得るわけでございますけれども、おそらく……。
  25. 板川正吾

    板川委員 発起人の中から役員となるのでしょう。
  26. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 それは必ずしもそうは考えておりませんで、どういう形になってまいりますか、発起人会ができて、そして大体会長はこういう方でいくかということがほぼきまって、それで出てくるというようなことがあり得るケースではないかと思っておるわけでございます。その際に、その会長になるような方が発起人になってくるのか、あるいは別になるか、それはそのときの事情できまってくると思っております。
  27. 板川正吾

    板川委員 評議員になりますか。
  28. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 研究評議会評議員になり得ることはもちろんでございます。
  29. 板川正吾

    板川委員 十五人以上というんですからそうたいして離れた数字じゃないと思いますが、そのときに、たとえばどういうような人を発起人に委嘱するのですか。大体の構想といいますか、学界の人とかあるいは企業者とか、発起人十五人以上というのは大体どういうような人がなる構想ですか。
  30. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 これは民間の方々で組織していただくわけでございますので、経済界あるいは学界もあるかもしれませんが、各方面からできるだけ広く参加をしていただくということがいいんではないか、こう思っておる次第でございます。
  31. 板川正吾

    板川委員 それは広く参加してもらうのはあたりまえの話だけれども、しかしこうやって法律ができて具体的に十五人以上というならば、名前は別として、どうせ委嘱するんでしょうから、発起人にどういう層を考えておられるかぐらいのことはわかっていいんじゃないですか。わかりませんか。これは発起人が一番最初ですよ。
  32. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 この発起人会は政府が委嘱するというたてまえではございませんで、この法律ができますと、それに基づきまして、この法律の趣旨にのっとって発起人になる方々が自発的に集まって発起人会を組織していただくことになるわけでございます。考え方としては、出資をしていただくというようなこともございますし、その後のこともありますから、やはり経済界の方々、それから一部は学界の方々も入っていただくということになるんではないか。地方公共団体がどうなるかということもございますが、この点についてはまだはっきりした方向はきめておりません。法律の成立の過程を見まして、自治省あるいは地方公共団体と申しますか、知事会とか、そういった方々とも御相談してまいりたいと思っておりますが、そういうことを通じましてだんだん具体的にしてまいりたいと思っております。
  33. 板川正吾

    板川委員 そうしますと、これは政府が委嘱するものではない。しかし、事務局担当は経済企画庁ですから、経済企画庁として法律が通った上で呼びかけていこうということだと思います。経済界が主で一部が学界、そして地方公共団体は入るか入らないかわからぬ、こういうことですか。結局これは発起人が大事な定款及び事業計画を作成するんですね。この事業の主たるところは定款と事業計画にあるのです。それが、経済界が主で一部が学界、政府は入らないとしても地方公共団体が入るか入らないかわからぬという構想は、どうもあまり歓迎すべき構想じゃないじゃないですか。広く各界からといったって、一体具体的にどういうふうに考えているのか、経済企画庁に構想がないというわけにいかないでしょう。
  34. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 現在民間シンクタンクというものは二十ほどございまして、御承知のようにいろいろの形で設立され運営されておりますが、こういったものの実情等も考え、そしてこれからつくっていくものはどういうものが一番理想的かということを考えましてこういう規定にしたわけでございますが、御指摘のように、経済界だけが中心になってしまうということはあまり望ましくないと思います。したがって、その他の団体あるいは言論界等の方々でもまた入っていただくということも必要かもしれませんが、なるべく広く考えたいと思っております。ただ、この発起人というものが出資等の問題についてもやはり中心になるということを考えますと、当然ある程度限界があるのかもしれぬ、こういうことを申し上げた次第でございます。
  35. 板川正吾

    板川委員 とにかくこの発起人が実はこの機構の骨組みをきめる。発起人の中から役員が選任をされる。この役員理事長はともかくとして、とにかく自主的な運営を行なうところでありますから、発起人をお願いする場合には財界中心ということではなくて、学界なりあるいは地方公共団体なり、さらに広くそれこそ各界のほうから選んでいただきたいと思います。希望しておきます。  それから、設立の認可が総理大臣認可法人になっておるのですね。総理大臣にすべて届け出をする、あるいは認可を受けることになっております。これは経済企画庁長官でもいいじゃないだろうかと私は思うのですが、どうして経済企画庁長官でなくて内閣総理大臣ということにこの法案ではなっておるのですか。これは経済企画庁長官に伺いたいと思います。
  36. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 その前に、先ほどのことに触れるのですが、この発起人というのは非常に大事でございまして、特定の財界代表とかあるいは学界代表とかというのでなくて、この人なら非常に信望も厚いし、こうした新しい機構を託するに足るというような人を考えたいと思っておりますが、いずれにいたしましても、この法律が通った段階で考えませんと、先走ってはいけないので慎重に考えている次第でございます。  それから、いまの監督を総理大臣にしているという点でございますが、これはやはり関係するところ非常に広うございまして、たとえば通産大臣関係もございますし、農林大臣関係もございますし、厚生その他の関係もいろいろあると思いますので、やはりその代表として経済企画庁長官がなるよりも、内閣総理大臣が代表して監督を願って、その庶務を経済企画庁が担当する、経済企画庁長官が行なうというほうが適切であるということに結論がなった次第でございまして、さような情勢であるということを申し上げておきたいと思います。
  37. 板川正吾

    板川委員 では次に移ります。  第十五条、定款の記載事項の項目の中で「役員の選任方法その他の役員に関する事項」ということが記載事項になっておりますが、役員の選任方法というのは、どこでこの場合にきめるつもりなんですか。たとえば、役員の互選で理事長や理事やあるいは会長推薦というようなことはあり得ると思うのですが、この役員を選任するのはこの定款の記載事項ですが、研究評議会にかけるのですか、かけないのですか。研究評議会というのは、この役員を選ぶときに何がしかの相談を受けるのですか、受けないのですか。
  38. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 役員の選任方法はこの定款に書きまして、そして具体的に役員の選任が行なわれ、そしてこれが内閣総理大臣の認可になるわけでございますが、研究評議会審議事項ということとは一応関係はございません。したがいまして、ただいま申し上げましたような手続で役員がきまり、おそらくその後に研究評議会がつくられるというかっこうになるのではないかと思っております。
  39. 板川正吾

    板川委員 そうすると、役員はどこで選ぶのか、最初の役員ですよ、役員をどこで選ぶのかというと、発起人会か何かで選ぶことになりますね。そういうことになるのでしょう。しかし、研究評議会とは関係ない、研究評議会にかける事項ではない、そういうことがいまはっきりしましたが、六に、「研究評議会に関する事項」というのがあります。定款に書けといっておるのです。もちろん定款の内容は大体できていると思うのですが、この「研究評議会に関する事項」で、研究評議会というのは、研究テーマをきめるのですか、それとも、研究テーマをきめたり、あるいは定款を変更するような場合には、やはり何がしかの発言権、それに関与できるのですか。研究評議会という性格はあいまいなんですね。名前は研究評議会だけれども、何をやるのかということが定款で明白になると思うのですが、何と何を研究評議会はやるのですか。
  40. 喜多村治雄

    ○喜多村説明員 定款の中で「研究評議会に関する事項」という第六号がございますが、この中にどういうものが含まれるかということでございますが、これは先ほど局長がお答えいたしましたが、具体的に役員をどうするかという話はございませんけれども役員の選任方法をどうするかということは議題の一つになろうかと思います。それから、定款の変更をどうするかという問題もあろうかと思います。それからまた、この法律の中にあります重要な財産の処分の関係をどうするかという問題もございます。それから、先生指摘事業計画の内容を年々どうするかという問題は、これは当然テーマとのかかわり合いにおきましてございます。それから、予算をどうするかということがございます。そういう間口と申しますか、そういったものでございますが、どこまでそれをやるかということは、この発起人がつくります定款の内容によって定まるわけでございます。
  41. 板川正吾

    板川委員 ここにいう定款の内容は、いわば省令的なもので具体的にこの機構の運営を明白にすると思います。もうすでに案ができておると思いますから、この定款の案をひとつ資料としてあとで出していただきたい。委員長にお願いいたします。よろしいですね。
  42. 浦野幸男

    浦野委員長 理事会にはかって検討いたします。
  43. 板川正吾

    板川委員 定款の内容は、ぜひひとつ資料として出してもらいたいと思います。  それからこの十六条で、会長、理事長各一人ということを規定いたしております。理事が三人以内です。初めての機構ですが、シンクタンクが成功するかしないかは、こうしたキャップのさいはいいかんによるということが一番影響を持つと思うんですね。アメリカシンクタンクの例を見ましても、そのキャップがよければどんどんその機構が拡大していくし、キャップが悪ければつぶれていく、こういう例さえありますが、一体この会長、理事長は、どういうような人を希望しておられるのですか。役員の推薦は発起人会でしょうが、企画庁としてはどういう人を希望されておるのですか。こういう人がなったらいいなと推薦したい人はどのような人ですか。いかがですか。
  44. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 具体的には、先ほど申し上げましたように考えておりませんわけでございますが、ただいまの御質問にお答えさせていただきますると、やはり非常に広範なバランスのとれた知識を持っておる人がいいと思いますし、ある意味で哲学的な思索のできる人がいいと思いますし、非常にイノベーションというものに対して理解のある、技術的にも理解のできる人がいいというように思うわけでございまして、何といっても全体を統括する力があり、しかも、創意くふうを持ち、積極性のある人というのが一番よろしいんじゃないかというように思っております。
  45. 板川正吾

    板川委員 なかなかむずかしい規定ですが、一つ抜けていますね。それは何かというと若い人ですね、若さです。やはり幾ら人格が円満だ、識見が高い、広範に顔がきくといっても、あまり年とった人じゃ、こういう機構役割りを果たし得ないんじゃないだろうかと思いますね。年齢等もひとつ考慮して、若い、未来指向型の役員を選んでもらいたいと思います。  次に伺いますが、二十条で研究評議会についてうたっておりますが、「評議員二十五人以内」といいますが、「以内」というのは、幾人くらいを構想として持っておられるのですか、それをまず伺っておきましょう。
  46. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 大体このような書き方をいたします場合には、二十五人、定員一ぱいで組織するというのが大体原則でございます。しかし、何らかの形で一、二欠員が生ずることがあり得るという程度考えております。
  47. 板川正吾

    板川委員 わかりました。  時間の関係もありますから、次に移りますが、二十一条で「職員の任命」とあります。「機構の職員は、会長が任命する。」、二十二条では、役員及び職員の性質について規定があります。この機構で働く「職員」とは何ですか、どういうものを「職員」というのですか、伺っておきます。  それと五年後に三百億に達した場合の職員の人数は、どの辺を構想として持っておられるのですか。
  48. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 当面の構想といたしましては、この機構の職員といたしまして採りますものは、基金の運営並びにこの機構の庶務的な問題等を処理いたします、そういった事務職員を中心にしたものになると思います。いわゆる研究者は別途この研究費のほうで支弁される形になりまして、民間あるいは各所の大学その他のところからプロジェクトに応じて集まってもらう、出向してもらう、こういうつもりにしておりますので、職員として採用することは原則としていたさない、こういうふうに考えております。この三百億の構想の際に、職員の数は、いまの事務職員になりますが大体二十二、三名くらいを考えておるわけでございます。場合によりまして、これに研究者等の形でもう少しふやさなければならないということもあるいは考えられるかもしれませんが、ただいま最低限そのくらいのことを考えているということでございます。
  49. 板川正吾

    板川委員 大臣にちょっとお伺いしますが、この総合シンクタンクの職員は五年後二十二、三名、これは研究者を含まない、こういま答弁がありました。この研究者という項目がない。二十三条には「研究者に対する研修」云々、「研究者に対する研究施設その他」というように書いてありますが、この法律の中で、実は一番その機能を果たすだろう研究者というものに対して規定がないのですね。研究者というのはどういう——まあ研究する人ですから研究者なんでしょうけれども、しかしそれに対する資格の規定がない。そういう点は、私はたいへん不備ではないだろうかと思うのです。これはまあ二十三条に研究者という規定がありますが、たとえば外国の例でSRI、アメリカの代表的なシンクタンクですが、その所員が、所員というのは研究者も含むのでしょうが三千二百名、これは六八年の実績で最近はさらに若干ふえているのではないかと思いますが、兼職でない専門研究員が千八百人。売り上げというのは委託料のことを含むのですが、委託料の収入が年間六千万ドル、受注するプロジェクト年間八百件、こういうように、シンクタンクの最大の機能というのは研究者が果たすのですね。ところが、その一番大事な研究者の資格について、研究するという意味のことはあっても、それについて一言も規定がない。あるいは「職員」の中に入っているのかなと思ったら「職員」でない、こういうのですが、一体研究者というのは、この法律ではどういう待遇を受ける、待遇をされる人なんですか。
  50. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 先ほど二十一条の規定について申し上げましたが、これはもちろんその職員という形で機構研究者を採ることもあり得るわけでありますから、その場合には、研究者もこの職員としての規定に該当してまいるわけでございます。当面は、この基金の運用ということを中心にいたしますので、研究者はむしろ外部から集まっていただくということを考えておるということを申し上げたわけでございます。  どうしてそういうふうにしたほうがいいかといいますと、やはり職員という形でここでこの機構に採用してしまうということになりますと、やはり非常にいろいろの面で束縛が出てまいりまして、いい人が採れないという面がございますので、そういう自由性を持たせよう、こういうことでございます。もちろん、職員となった研究者についても、法律上は給与の基準等の制限を、許認可をするというような規定をはずしておりますので、普通の機構に比べますと自由性を持っておりますが、さらに、そういった研究者に対する待遇の問題その他いろいろの問題については、これを実際に発足してやっていく過程において新しいものをつくってまいりたいと思っておる次第でございます。
  51. 板川正吾

    板川委員 法律上では、会長、理事長、理事、監事、研究評議員、職員、ごうあるのですよ。しかし、この総合シンクタンクとして一番大事な研究者に対しては、私も職員の中へ研究者を入れろと言っているのじゃないのですが、研究者というのはどういう役割りを果たすということがこの法律の中にうたわれてないじゃないか、一番大事なことがうたわれてないじゃないか、こういう点を私は指摘しておるのです。  そういう点で、この一番大事な点について、研究者というのはこれこれだ、こういう待遇を受ける、こういう資格だということを明白にしておいたほうがいいじゃないだろうか、こう思うわけです。どうもそういう意味で、私はこの法案にはたいへん不備な点があるんじゃないだろうかと思います。
  52. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 御指摘の点は承りましたが、私は、実はその点は逆に考えておるのでございまして、とのシンクタンクというのが半官半民といいますか、政府民間対等出資という形で考えておりますのは、政府によってオーソライズされ、しかもできるだけ民間の創意くふうを生かそう、こういう考え方でございまして、そういう点からいたしますと、研究者にあまり資格等にとらわれないで自由濶達に研究してもらう、そういう場をできるだけ政府考えていかなければならぬじゃないか、こういうふうに思っておるわけでございます。ですから、研究者の中で一定の時間拘束されてこのシンクタンクの中で研究に従事する者もおりましょうし、あるいは特定のことに限って従事する研究者もございましょうし、あるいはきわめて短期間臨時的に働く者もあってもいいんじゃないか、かように考えておるわけでございまして、その点で著しく不便な点があれば、それはまたその実態に応じて調整していくということではいかがであろうかと考えておる次第でございます。
  53. 板川正吾

    板川委員 じゃ私もその点触れますが、別にこの規定で縛れという意味じゃないのですよ。自由にある程度、まあ研究者が自由にやっていくというならその意味のことをこの機構の中でうたってもいいじゃないかという意味なんです。それは大学から引っぱってきた研究者もあるだろうし、あるいはここで研修を受け、技能を身につけて居ついていく研究者というものも研究実施の過程で出てくるのじゃないですか。それがさっき言ったように、外国の例では、何千人もいる中で何百人もいるという状況です。職員三千二百人のうちに千八百人も専属の研究者がいるというのですから、そういうものに対する待遇あるいは処遇の基準というものがあったっていいじゃないか。職員と一緒にして、何もがんじがらめに縛れという意味じゃない。そういう点が欠けているのじゃないですかということを言っているのです。  次に移りますが、この「業務」の二十三条です。この一号で、「総合的な研究開発の実施及び助成」と書いてありますが、「研究開発の実施」というのは、みずから研究することだろうと思います。どんな規模で、どんなふうな研究開発の実施をされようと構想されているのか、具体的にひとつ説明してもらいたいと思います。たとえば研究所というのを持つのか、そういう点についてひとつ明らかにしてもらいたいと思います。  それから、前に聞いたかどうかわかりませんが、その研究所を持つとすれば、その研究所を持つ場所というのはどこを構想されておるのか。たとえば筑波山の下を考えておられるかどうか、その点もひとつ説明してください。
  54. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 御指摘のとおり、この研究開発の実施にあたりまして、どういう項目を選び、どの程度規模でやるかということになりますと、これはこの機構ができ、そしてそれは自主的に運営していくわけでございますから、その段階できまるということでございますけれども、いままでの調査の結果等から見まして、こんなものはどうかというふうな項目として申し上げておりますのは、たとえば人間社会と石油文明に関する調査というようなことで、非常に広範な課題を選んでみてはどうかとか、あるいは地域社会形成のための新しいシステムの開発問題でありますとか、その他いろいろの問題を具体的に例示しておりますけれども、能力その他の点も考えまして、逐次広げてまいるということになろうかと思います。  それから第二の、実際に研究所をこの機構機関として持つという場合には、これはホームステッド型の研究所というようなことがいわれておりますが、いずれにいたしましても、この研究所の性格から見まして、情報が非常に得やすいということが一つ問題であります。利用しやすいということが問題であります。それと、やはり環境並びに施設が非常に良好であるというようなことが必要であろうと思います。そういう点から見まして、大都市近郊の良好な環境のところがいいんじゃないか、こういうふうに考えておりますが、具体的に筑波とか、そういうことをまだ構想しておるわけではございません。
  55. 板川正吾

    板川委員 わかりました。筑波山ではない。  それから、その第二号で「情報の収集、整理及び提供」と規定しておりますが、この二号は、いわばデータバンク的な機能というふうに考えてよろしいのですか。この「業務」の二号です。
  56. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 一応御指摘のとおりでございますが、データバンクと申しますと、考え方によりまして、非常に広いデータを集積するということになってまいりますと、たいへんな人手を食うというようなものだそうでございまして、そういう点から見まして、能力的におのずからこれは限られてくると思っております。将来どの程度までこれを大きくするか、それは問題があるかもしれませんけれども、当面はそれほど大きなものを考えているわけではないということを申し上げておきたいと思います。
  57. 板川正吾

    板川委員 この「整理及び提供」とありますが、提供ということはいわば成果の公開というように考えてよろしいのですか。
  58. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 この機構性格から見ましてこれは公表する、こういう形にしたいと思います。
  59. 板川正吾

    板川委員 この第五号に「総合的な研究開発に関する研究機関との提携及び交流」とあります。これは民間研究開発に関する研究機関との提携ということであろうと思いますが、これは具体的にどういう方式でおやりになる構想ですか。
  60. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 最も考えられますのは、共同研究という形にするということがあり得ると思います。それから第一号に考えられておりますような助成とか、そういう形でやってまいります場合に、その助成という問題を通じて交流をし、あるいはいろいろ情報の交換をやるというようなことも考えられると思います。交流といっておりますものもそういうことでございまして、人的な面あるいは情報の面その他の面で密接に交換をしていくということが必要ではないか、こういうことで書いた次第でございます。
  61. 板川正吾

    板川委員 六号の「前各号の業務に附帯する業務」とありますが、この内容がどうかという点もあります。それはそれとして、この業務を行なって五年後に三百億の出資が集まり、希望どおりのいわば総合シンクタンク開発機構というのができてきた。その場合に、文章の上では抽象的なんでどうもわかりにくいのですが、五年後には、たとえば絵にかいてみるとどういう形になっておると思いますか。五年後の構想といいますか、抽象的な文章じゃなくて、五年後には、たとえば、どういう地域に、どういうような施設ができ、どういう機能を果たしつつ、どういうような仕事ができ、その役割りを果たしているかというような、何か立案者としての構想といいますか、絵にかいて見せてもらいたい。絵にかいてというのは、絵にかいたならこうだというように話をしてもらいたい。私は、こういう総合的な研究開発とかいろいろ書いてあるが、どうも抽象的で頭の中にぴんとこない。だから、立案者ならそれはぴんときているだろうと思いますから、わかるようにひとつ説明してください。
  62. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 どうもたいへんむずかしい御質問で、十分お答えできないかもしれませんが、役員が会長、理事長、それから理事は三人、非常勤二人でございますが、その下に大体経理関係調査関係、それから庶務関係、それから具体的な研究をやるいわゆる研究室的な組織がありまして、プロジェクトリーダーのもとに、幾つかの項目がそこで研究が行なわれるというかっこうになると思います。それに、さらに小さい規模ではありましょうがデータバンクがつくというようなことになるのではないか。それで大体二十億近い金が使えるわけでございますので、運営費等を除きましても相当金額研究費に回し得るということになります。したがって、項目としては、これは一つ項目を何億円くらいに考えるかによりますけれども相当数の、少なくとも十くらいの項目くらいはやれるのではないか、こう思っておる次第でございます。  これにさらに、先ほどもお話がございました委託研究がついてくる。これもプロジェクトリーダー中心とするチームで行なわれるわけでございますが、そういう形で運営されていくのではないか、こういうことを一応現在想定しておるわけでございます。
  63. 板川正吾

    板川委員 どうも私にはあまりぴんとこないのです。私の質問も一応もう少しで終わりますが、大臣、先ほどからの質問の中でおわかりのように、この法案自体、日本で初めての新しい試みですから、法律もいわば万全を期したつもりでいても、これまた私は相当手落ちがあるものだと思います。アメリカシンクタンクのいろいろの本を参考に読んでみますと、やはり常に試行錯誤というものを重ねながらまともに育ってきたようなんですね。ですから、当初は、この計画で、これでいいということで発足しても、やがていろいろやっているうちに、これではそでが短いとか帯が短いとか、いろいろの不足のものが実際運用しているうちに必ず起こる、そういう感じを持つと私は思うのです。しかし、われわれも初めての試みであるこの法案について、こう直したらいいということも言えないものですから、まあ五年後、三百億集まって二十億円で機能を果たしてみて、その時分になれば、おそらくこの法案の方々に不備な点が指摘されてくる、こう思います。この場合に、私は、五年と待たなくてもけっこうなんですが、見直しをする必要がある、必ずそれがくるだろう、こう思いますね。ですから、この法案は、われわれ多少の注文をつけて通したとしても、実施の段階で不備な点がおそらくあると思うから、近い将来に必ず見直しをすべきだ、私はこう考えておるのですが、大臣のお考えはいかがですか。
  64. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 御指摘のように、この法律は全く新しい分野についての取りきめでございまして、いわば未来指向型の前向きな総合研究開発機構をつくろうということでございますので、やはりわれわれは非常にこれがいいと思っても、御指摘のように、その当時の社会情勢その他で変えたほうがいいという場合もあろうかと思うのでございますし、また、われわれの態度自身も常に反省して、その反省の中から将来の改善を考えるという、いわゆるトライアル・アンド・エラーというような、そういう形を続けていくのは当然だろうと思うのでございます。ただ、この法律組織法でございますので、組織法の中に、これは変えますよという条文が入ることは法文上は適当でないというふうに申し上げざるを得ないのでございますが、いま御指摘のお気持ちについては、私は非常に同感するところがあるというわけでございます。
  65. 板川正吾

    板川委員 最後に例として、石油業法の中には、附則で、政府の案から五年後には廃止の方向で見直しをするというくらい、石油業法を審議したときは附則の中にはあったのです。これはわれわれが、廃止の方向で見直しをするよりも逆に強化の方向で見直しをすることもあり得るからということで、五年後に廃止の方向で見直しをするという原案のほうがきいて、修正されて、現在石油業法の附則第四条になっておるのです。今日になってみれば、廃止の方向で見直しをするどころか、強化の方向に事態が動いてきておる、こう思うのです。そういう例等を見ますれば、この法案も、いずれその強化の方向で見直しをせざるを得なくなるだろう、こう思います。  一応私の法案に対する質問は終わります。
  66. 浦野幸男

    浦野委員長 午後一時三十分より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時十七分休憩      ————◇—————    午後一時五十一分開議
  67. 浦野幸男

    浦野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。野間友一君。
  68. 野間友一

    ○野間委員 それでは総合研究開発機構について若干の質問をしたいと思いますが、この開発機構、いわゆるシンクタンクというふうにいわれておりますけれども、これがわが国で必要とされるようになった経過ですね、これは一体具体的に国民生活にどのような効果、影響を及ぼすのか、こういう点についてひとつ御説明をいただきたいと思います。
  69. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 いままでの質疑でも申し上げましたとおり、特に戦後アメリカにおきましてこういうシステムズアナリシスと申しますか、そういった新しい手法によるコンピューターを非常に多用した研究方式というものが非常に開発され進歩してまいりました。こういう形で自然科学的な問題さらには社会科学的な問題もいろいろ解明されていくというような形に進んでまいったわけであります。わが国においても、政府研究機関はもちろん、各種のほかの研究機関等において、こういったことについての検討並びに研究が行なわれてきておったわけでありますが、最近三、四年になりまして、民間の主として株式会社の形式をもっていわゆるシンクタンクというような形のものがわが国でもつくられるようになってまいったわけでございます。取り上げておる問題は、地域開発の問題あり、あるいは各種の企業経営分析のような問題あり、いろいろございますけれども、だんだんに広範な、いわゆる現代経済社会の諸問題といわれるような問題に取り組む必要が強まってきておるということが識者の間にもいわれておるわけでありまして、政府の中でも、そういった問題についての研究をいろいろの行政機関等において行なっておるわけでありますが、この際、新しい機構をつくりまして、民間のいろいろのすでにできておる機関についての力も動員すると同時に、政府の力もそれに加えまして、そうしてこういった問題について飛躍的に進歩さしていきたい、こういうことで、今回この機構をつくるべく法案提出しておる次第でございます。
  70. 野間友一

    ○野間委員 質問者の中で、大学研究所とかあるいは民間のこういういわゆるシンクタンク、これらについて質問があったわけですけれども、確かに考えてみますと、国立の研究機関、とりわけ大学研究所ないしは研究機関、それから民間ですね、こういうような幾つかあるというよりも非常に数多くあると思うのですが、このような既設の機関があるにもかかわらず今回このような法案が提案されたということは、特段どういう意義があるのかということ、逆に言いますと、既存研究機関に対してどのような欠陥あるいは弱点があるのか、こういうあたりについてどうですか。
  71. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 提案理由の説明でもこれは申し上げておりますが、要するに、現在、研究機関わが国相当の数がございますし、また、学者、研究者の数も相当ございます。能力も高いと思いますけれども、いま問題になっておりますような、いわゆる新しい先進国の問題というようなこととか、あるいは国民生活に関する問題にいたしましても、従来の研究機関のように一つの専門分野だけが担当するというわけにはいかない、それでは解決できない問題がたくさん出てきたわけでございます。したがいまして、いわゆるインターディシプリナリーということをいっておりますが、多数の学問分野の方々を集結し、そうしてまた関係各省というようなものもございますが、これもまた各省にわたる問題を取り上げていく、そういうような形で問題の解明に当たらなければならないということでありまして、そのためには、従来ありますような研究機関では対処できないということで、そういう多数の分野の方々を動員でき、そしてそれによって研究成果を得たならば、また解散もしていく、したがって、身分関係とか、そういったものにあまりとらわれないで研究者の動員もしていく、こういうことも考えまして、いわゆるシンクタンクという形式がいい、しかも今回のような形でやっていくことがわが国の場合に最もふさわしいのではないかということで、こういう考え方が出されておるわけでございます。
  72. 野間友一

    ○野間委員 総合研究開発機構法案の提案理由説明の中には、環境あるいは都市問題をはじめ複雑かつ広範な諸問題に直面しておるというような記載事項がございますけれども、こういうようなテーマないしは問題について、既存研究機関に対して委託なり何なりして研究させ、そして何か具体的に特に支障があったのかどうか。あったとしたら、具体的な事例があればひとつ御報告願いたいと思います。
  73. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 環境問題部市問題等につきまして、すでにあります研究機関でいろいろ研究をやっていただいております。それについて特に支障があるということはないと私は思いますけれども、しかしいま、たとえば環境問題をとってみましても、現在ある機関だけで問題の解明ができるかということになりますと、非常に不十分だという面があろうと思います。  先ほどちょっと申しましたが、石油と人間との関係をどういうふうに考えていくかというようなことになりました場合に、いわゆるエコロジーというような面での問題もございましょうし、資源問題もございましょうし、国際経済の問題もございましょうから、いろいろな面からアプローチして、そうして全体としての評価をし、こういう政策をとるべきであるというようなことをきめていただかなければならないわけでありますが、そういうことを解決してやっていただけるという機関は現在のところないわけであります。そういうとこをこの総合研究開発機構という新しい形の組織によって解決していく、こういうことを期待しておる次第でございます。
  74. 野間友一

    ○野間委員 そうしますと、既存のいろいろな研究所あるいは研究機関、こういうものではまかなえないと申しますか、学際的ということばがよく使われますが、こういう点から特にいままでのものとは違った新しい特徴がこの法案の中にはある、こういうふうにお聞きしていいわけですか。  もう一つお聞きしたいのは、そうであれば、具体的にどの点が特に既存のそういう団体と違った特徴があるのかということ、それからもう一つは、具体的にこういうものをつくるべしというような要請があったのかなかったのか、あったとすれば、具体的にどのようなところからどういう方向であったのかということについてもちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  75. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 こういう新しい組織を必要とするということは、この法案の中におきましても、たとえば自主的な立場からやるとか、あるいはいろいろのこういう法人に対する監督規定等について、若干他の事例に比べまして自由性を持たせるとかなんとかというようなことが配慮されておりますけれども、要は、先ほどから申し上げておるような組織をつくり、そして円滑に運営していきたい、こういうことでございます。  それで、こういう考え方がどういう契機で出てきたのかということでございますが、これはやはり先ほども申しましたように、最近数年間環境問題とか、都市問題とか、あるいはインフレの問題なんかもそうでありましょうが、非常に困難な問題がたくさん出てきておる。これに対して政策的にも対処してまいらなければならないわけでございますけれども、そういう際に、どうも従来のやり方だけではなかなかうまくいかないということから、どういうふうにしたならばよろしいかということで、アメリカのそういったシンクタンクの例などもいろいろ勉強してまいりまして、こういった問題についてやはりわが国も取り組む必要があるのではないか、こういう声が政府部内にも出てまいりました。  四十五年の科学技術庁のほうのソフトサイエンスに関する研究機関構想の問題とか、あるいは産業構造審議会、これは通産省でございますが、この産構審におけるシンクタンク構想についての提言とか、そういったものがございまして、こういうものを受けてひとつ政府としても考えていかなければなるまいということで、四十六年度に一億五千万円の調査費が経済企画庁につきまして、科学技術庁、通産省と御協力を申し上げてこの問題についての検討をやってまいったわけでございます。四十七年度も一億五千万円の予算がつきまして、引き続き検討いたしまして、その結果こういった形のものが望ましいのではないかという大体の結論が出ましたので、それを四十八年度予算において要求をいたしまして、いろいろな経過があったうちにこの法案にまとめられたような形のものをつくろうということに政府としてはなったわけでございます。
  76. 野間友一

    ○野間委員 午前中に板川委員のほうからも、五年先にはどうなっているのか、一ぺん絵をかいてみろという話もあったわけですが、実際にいままでの既存研究所でまかなえなかったものについて、この法案がかりに通って、そしてこれが動きかけた、動いた場合に、そんなに飛躍的に質的に大きく国民生活に寄与するというふうにお考えなのかどうか。確かに環境問題あるいは都市問題住宅難、交通災害、いろいろといま国民生活の中に深刻な問題を投影しておるということは事実で、これについて積極的に解明しなければならぬということも、これまた事実だと思うのです。しかし要は、あとでまた触れますけれども、このような法案をつくってこれにまかすだけでこういうものは解決できるかというと、決してそうじゃない。政府も若干最近では認めておられますが、いわゆる生産第一主義あるいは輸出第一主義、そのような大会社本位の政治そのものを根本的に改めない限り、このような一片の法案でもって機構をつくるということだけで、何か未来がバラ色に、いままでのすべての欠陥が除去されるというような方向で期待することはできないと思うのですけれども、このあたりについてどういうふうにお考えなのか、長官の御意見をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  77. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 一九七〇年代になりましてから新しい問題がいろいろ出ておりますが、特に環境の問題資源の問題、そして人間生活の多様化にどう対処していくかという問題については、従来の手法とはまた別の解明を要するということをいわれておるわけでございまして、こうした問題はシステム的にとらえて研究開発していくことが必要であると存じまするのでこの機構考えたわけでございまして、従来の機構は、先ほどから申し上げておりますように、特にだめであるとか、そういう気持ちはないのでございますけれども、それをより今日的な課題解決にふさわしい機構にするためにはこれがよかろう、こういうことでございます。  何といっても、今後の問題に対する新しい解決策を試みるわけでございまするので、こうなればこうなるというような具体的なことをこの場で申し上げることは、率直に申しまして非常にむずかしいと思うのでありますが、しかし、こういうことを考えなければならないという必然性をひとつ御理解願いまして、これを推進さしていただきたい、こう思っておる次第でございます。
  78. 野間友一

    ○野間委員 この法案をつくる際に、どういう方面と申しますか、どういうところから意見をお聞きになったのか、その点お聞かせ願いたいと思うのです。何か少し話を聞きますと、経済審議会技術進歩研究委員会ですか、あるいは産業構造審議会情報産業部会、多少書物も出しておるようですが、それから科学技術会議の答申、こういうものがあるやに聞いておりますけれども、具体的にこの法案をつくるに際して、どのようなところから知恵を授けられたのか、どういうところから示唆を受けたのか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  79. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 いまおあげになりました産業構造審議会あるいは経済審議会の技術進歩研究委員会、科学技術会議というようなところについては、それぞれこの構想に関連しての御提案なり、あるいは報告がなされたことは御指摘のとおりでございます。それ以外に、この問題は非常に広範に関係いたしますので、関係各省とこういう構想をつくっていくについての御相談をいたしまして、これは非常に広い分野でございますので、防衛庁あるいは警察庁等を除いたほとんど全省にわたるわけでございますが、そういった各省との御相談もいろいろいたしまして、そしてこういう形にまとめていったというのが実態でございます。
  80. 野間友一

    ○野間委員 科学技術会議、これについて科学技術庁の方に若干お聞きしたいと思うのですが、これは総理府の付属機関というふうに理解しております。科学技術会議設置法、こういう法律に基づいてできたものであるわけですが、この会議性格、それから業績、こういうものについてお聞かせ願いたいと思うのです。  この設置法によりますと、「科学技術一般に関する基本的かつ総合的な政策の樹立に関すること。」あるいは「科学技術に関する長期的かつ総合的な研究目標の設定に関すること。」その他二条によっていろいろ仕事の内容は書かれておりますけれども、この性格と業績ですね、これをひとつ具体的に明らかにしていただきたいと思うのです。
  81. 長澤榮一

    ○長澤政府委員 科学技術会議は、ただいま先生の御指摘のとおり、内閣総理大臣の諮問機関でございまして、政府の科学技術政策の総合的な推進に資するためにつくられたものでございます。そしてその所掌事務は、ただいまもお話がございましたとおり、科学技術一般に関する基本的かつ総合的な政策の樹立、科学技術に関する長期的かつ総合的な研究目標の設定に関し、関係行政機関の施策の総合調整を行なう必要があるものについて、内閣総理大臣の諮問に答申し、あるいはこれについて意見を申し出ることができるということで、いままで各種の諮問を受けまして、それについて回答をいたしております。  なお、本法案に関することについて申し上げますと、昭和四十六年の四月に「一九七〇年代における総合的科学技術政策の基本について」という、いわば一九七〇年代の科学政策についての答申をいたしております。この中でソフトサイエンスの振興という、その科学技術政策についてのいろんな答申をしておりますけれども、関連事項について言いますと、ソフトサイエンスの振興ということで、ソフトサイエンスと申し上げますのはいわばシンクタンクが使う手法でございますが、都市問題とか環境問題とか、いわゆる現代の経済、社会の複雑な問題を解明するためには、特定の専門的分野を垂直的に狭い分野で接近しては、はなはだ解決ができないわけでございまして、経済、社会、科学技術、広い面からのアプローチが必要である、そういう面でソフトサイエンスの振興という提案をいたしております。  以上でございます。
  82. 野間友一

    ○野間委員 もう少し具体的に述べていただけませんか。これは三十四年にできたわけですね。三十四年にできましてから今日までどのような業績があるのかということについて述べていただけませんか。
  83. 長澤榮一

    ○長澤政府委員 三十四年からのおもな答申、意見具申について申し上げますと、昭和三十五年に諮問第一号という諮問を受けまして「十年後を目標とする科学技術振興の総合的基本方策について」答申をいたしております。それから三十八年に国立試験研究機関の刷新、充実のための方策について答申をいたしております。四十年に諮問第一号についての追加答申をいたしております。それから四十一年に「科学技術振興の総合的基本方策に関する意見」を述べております。それから四十三年に「国として推進すべき研究に関する国立試験研究機関大学・産業界等の連携方策に関する意見」を述べております。それから四十四年に「科学技術情報の流通に関する基本的方策について」答申をいたしております。それから四十六年の四月、先ほど申し上げました「一九七〇年代における総合的科学技術政策の基本について」答申をいたしております。
  84. 野間友一

    ○野間委員 この二条の一項四号に「日本学術会議への諮問及び日本学術会議の答申又は勧告に関することのうち重要なもの」というのも一つの仕事のうちになっているようですが、これに関してされた仕事があればお教え願いたいと思います。
  85. 長澤榮一

    ○長澤政府委員 科学技術会議は、ただいまのお話のとおり、いわば学術会議政府との一つの窓口のような役割りをしておりまして、学術会議が答申をいたしましたものにつきまして、これを政府機関に連絡をするということで、年に二回ほど学術会議との連絡部会を設けまして、学術会議への諮問、答申、意見についての意見を聞き、それを関係各省庁に流している、そうしてかつその成果について報告をしている、こういうことをやっております。
  86. 野間友一

    ○野間委員 具体的に諮問あるいは答申、勧告、これがあれば、三十四年にできてから今日まで年次を追ってどういう文書になるのか、ひとつお教え願いたいと思います。
  87. 長澤榮一

    ○長澤政府委員 学術会議への諮問は科学技術庁がするのではありませんで政府がいたしておりますが、私どもがその窓口になっているということでございます。多い年は年十回ぐらい、少ない年で一、二回ございます。ただいまこまかい何年にどういうふうな諮問をしたかという資料を持ち合わせておりませんが、御必要とあらばあとでお届けいたします。
  88. 野間友一

    ○野間委員 それでは、それはまたあとで届けてください。  それでは質問を進めます。  この科学技術会議そのものについて、これはシンクタンクのこの法案をつくる際にいまの話のあった諮問がなされた、それに対して答申が出ておるわけですけれども、この科学技術会議の扱う分野において、たとえば二条に科学技術についてというところでカッコがありますね。その中で、「(人文科学のみに係るものを除く。以下同じ。)」ということで、この科学技術会議そのものは、人文科学でなくてむしろ自然科学が主たるプロパーな分野であるというふうに、これから私は理解できるわけです。  そこで経済企画庁にお伺いしたいと思いますのは、日本学術会議というものがあるわけですが、私たちが聞いたところによりますと、ここに対して諮問がなされていない。いま科学技術庁のほうから話がありましたが、科学技術会議に対しては諮問されて答申が出ている。これではやはり弱いのではないか。つまりいま申し上げたように、ここで扱うものは「人文科学のみに係るものを除く。」ということで、人文科学的な範囲の検討が少ない。これは諮問をする場合についても、手続的にもあるいは内容的にも日本学術会議を抜いて、また内容的にいま申し上げたように、人文科学の観点からの検討がやはり弱い、こういうように私は思うのですが、その点についてどうですか。
  89. 長澤榮一

    ○長澤政府委員 ただいまの「人文科学のみに係るものを除く。」というカッコ書きにある点は確かにそのとおりでありますが、「のみに係るものを除く。」ということでございまして、科学技術が経済、社会に関連する分野につきましては入っているわけでございます。したがいまして、ソフトサイエンスについて、もちろんとらえ方はソフトサイエンスというとらえ方でございますが、科学技術会議がこれは所掌外であるということではないと思います。  そうして具体的にソフトサイエンス振興のための施策として科学技術会議が提案しておりますのは三つございまして、総合的な研究開発体制の確立というのが一つでございます。それから人材の養成というのが第二でございます。第三が民間のソフトサイエンス研究機関の育成、この三つの答申をいたしております。したがいまして、こういうふうな答申に沿う一つの本法案ではないかと考えております。
  90. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 いま科学技術庁から御答弁もございましたが、科学技術会議にこの新しい機構の設置について諮問をしたというわけではございませんで、いまお話がございましたように、一九七〇年代の科学技術政策、その一環として御答申があった、こういうことでございます。日本学術会議は非常に広範な学者の方々から構成されるいわゆるアカデミーでございまして、現在民間学術研究機関に対する補助金というようなものの交付についてのお仕事等をやっていただいておるようでございますが、いわゆる研究機関の設置について諮問をしたという例は、昭和二十四年に「鉄道技術研究所のあり方について」というのがあるようでありますけれども、大体そういうことはあまりやってないようでございます。そういうこともございまして、私どもも特にこの学術会議に諮問をするというほどの非常に大きな姿勢はとらなかったわけでございますけれども、これは何といっても日本の学界の最高機関でございますから、これから後必要に応じましていろいろとひとつ御意見をいただき、お知恵を拝借してまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  91. 野間友一

    ○野間委員 私もこの科学技術会議にこの法案をつくるにあたっての諮問、答申という意味で言ったのではなくて、確かにここにも文書がありますけれども、これによりますと、「一九七〇年代における総合的科学技術政策の基本について」という表題で答申されておりますね。それは事実そのとおりだと思うのです。  そこで、この問題を提起したいのは、設置法に基づく会議の構成なんですが、これは議員でもって構成されていますね。これは六条にありますが、大蔵、文部それぞれの大臣、それから経企庁長官、科学技術庁長官、日本学術会議会長、このほかに「科学技術に関してすぐれた識見を有する者のうちから内閣総理大臣が任命する者五人」というふうに議員が構成されておるわけです。法律にそうなっておりますね。それで、「一九七〇年代における科学技術政策の基本について」、これは諮問に対する答申ですが、これにはそれぞれの部会の議員ないしは専門委員、特に第一部会の小委員会、これの名簿が全部うしろに記載してあるわけです。これを見ますと、どうも行政ペース——行政官庁のほかには企業ペースと申しますか、大企業役員あるいはその組織体の長、そういう者が非常に多いわけですね。特に、先ほど私が指摘したわけですが、人文科学系統の人が非常に少ない。確かに法案そのものをつくるに際して諮問がされたわけではありませんが、しかしながら、その前提となっておるのは事実だと思うし、これは間違いないと思うのです。ですから、これは先ほど申し上げたように「人文科学のみに係るものを除く。」ということから考えて、この点からの突っ込みと申しますか、検討が不十分ではなかろうか。特に、いま申し上げたように議員の構成がこういうかっこうになっております。具体的にその氏名も出ておりますけれども、これを見ますと私は非常に疑問を感ずるわけです。こういうところに、いま申し上げたような七〇年代の科学技術政策のテーマについての諮問あるいは答申をとるということをしても、これはやはり企業ペースあるいは行政ペースというそしりは免れないというふうに私は考えるわけです。しかも、いまお話がありましたけれども日本学術会議は、もう内外を代表する最高の頭脳集団、これこそまさにシンクタンクだと思いますね。しかも、非常にアカデミックなところですから、こういうところへどうして諮問し、あるいは答申を求められなかったのか、私非常に疑問に思いますので、この点さらにお答え願いたいと思うのです。
  92. 長澤榮一

    ○長澤政府委員 この諮問の考え方は、先生ごらんいただきましておわかりのとおり、人間尊重の精神に立ちまして国民福祉のための科学技術ということを基調にいたしております。いままで、一九六〇年代の科学技術政策がともすれば生産技術に指向したといわれているわけでございますが、これを社会福祉、人間尊重という考え方に大きく方向転換をした一つの答申でございます。そういうふうな基調の中でソフトサイエンスについて述べているということでございまして、たまたまそういうふうな方が選ばれているにいたしましても、これを貫いている精神はOEOD等においても高く評価されているものでございます。
  93. 野間友一

    ○野間委員 長官も午前中の答弁の中で、会長には哲学的な素養のある人ということでいろいろ羅列されました。確かにこれはいま科学技術庁のほうからも言われたのですが、やはり人文科学的な哲学あるいは経済学あるいは文学ですね、こういうところの意見を十分取り入れてやらなければ、単に自然科学に重点を置くとなりますと、非常に片寄ったものしか出てこないんじゃないかという懸念を非常に強く持つわけなんですね。  そう点で科学技術会議そのものの構成からして、とりわけいま申し上げたようないわゆる財界ぺースですか、そういうような構成から見まして、そういう自然科学だけに依拠するということは大きな誤りをおかすというふうに私は思えてしかたがないわけです。特にこの設置法の議員の選任については、これはすべて総理大臣が選ぶ。特定大蔵大臣等々のほかは、科学技術に関してすぐれた識見を有する者のうちから五名総理大臣が選ぶということで、これは任命制度になっているわけですね。  ところが、御承知のとおり、日本学術会議はすべて選挙によって各分野ごとに選ばれるということで、非常に民主的な手続、制度で選ばれたものであり、しかも、学術会議法にもありますが、「日本学術会議は、わが国の科学者の内外に対する代表機関として、科学の向上発達を図り、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させることを目的とする。」確かに最高の頭脳がここに結集しておるというふうに私は考えるわけです。しかも、これは総理大臣の所轄でもあるわけです。しかも、ものの本を多少調べてみますと、これは科学技術に関する重要事項の審議あるいは勧告、こういう点について大きな成果を今日まであげてきておる。あとでまた若干触れますが、科学者十数万人を代表するこういうものの意見を聞かないということに手続的には致命的な欠陥があるんじゃないか、こういうふうに私は考えますが、経済企画庁はどういうふうにお考えになるのか。
  94. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 確かに御指摘のような点もあるかと思いますが、科学技術会議は、いまも御指摘がございましたようにいわゆるアカデミーでございまして、十数万という会員の中から選挙せられました方々によって七部構成でこれが運営されておる、こういう形のものでございまして、したがいまして、それぞれの分野の最高の権威の方々が日本の科学技術政策あるいは学問全般にわたっての方針なりそういうことについて御議論になり、献策をされる、こういうところであろうと思っております。また、その一環として研究補助金等についての配分等も行なう、こういうことでやっておられるんだと思いますが、今回つくりますような機構について学術会議に諮問をしていくかどうかということは、もちろん考えて悪いことはないと思いますが、どちらかといいますと、いままで学術会議でこういうものを設置したらどうかという御提案をいただいたようなものは大体は大学研究機関でございまして、非常に学問的な専門の分野にわたるものが多いように拝見をいたしております。  それで、私どもといたしましては、先ほども申しましたように四十六、四十七年度と政府関係省で相談をいたして研究をしてまいりました。また、民間シンクタンク等の方々とも相談をしてまいった結果、これはやはり政府の各省の間の考え方で一応の案をまとめて法律の形にしたほうがいいであろう、その際に、この機関政府機関ではなく民間機関としてつくって、そして認可法人にする、こういうことにいたしたものでございますから、従来の例等も見まして特に学術会議に諮問をするということはいたさなかったわけでございますが、先ほど申しましたように非常に権威のある機関でございますから、今後ともいろいろとお知恵を拝借し、御指導を仰ぐということでやってまいりたいというふうに思っている次第でございます。
  95. 野間友一

    ○野間委員 北川敏男先生という方、この方は将来計画についての専門家であられて、ここにも「科学計画への道」という論文集がありますが、これは長期研究計画委員会幹事、それから情報科学小委員長ですね、学術会議の第四部会の会員ですが、この方の書物の中にこういうことも書かれておるわけですね。日本学術会議として科学研究基本法の制定と科学研究第一次五カ年計画の実施、この二つの勧告をなした。この二つの勧告の中に、科学計画の基本課題に対する学界側の解答が体系的にまとめられてすでに提起されて、しかも、これらは政府提出されてから今日まで実に四年以上経過している。これは七〇年に書かれた序文なんですが、「これら二大勧告の今日までうけてきた処遇はまことに不運というほかはない。科学研究基本法案については、日本学術会議政府当局との多年にわたる話合いにもかかわらず、容易に一致点が見い出されず、国会上程どころか、実現への方向へふみ出す気運すら、まだ覚束ないありさまである。」ということが書かれておるわけですね。そして語を継いで、「学界に大きな不満、失望の念のあるのは否めない事実である。」とあります。私もこの科学研究基本法、それから科学研究第一次五カ年計画について若干走り読みをしたのですけれども、非常に建設的なすぐれた意見が述べられておるわけですね。ところが、学術会議としてはこういう勧告をした。私は、これはおそらくシンクタンクの下敷きに十分なり得る非常にすぐれた意見だと思います。ところが、このような勧告を出しておるけれども、今日まで受けてきた処遇はまことに不運なんだ、こういうことで、学界ないしはこの学術会議の皆さん、先生方が非常に嘆いておられる。それで、いろいろと書面なんかも調べてみますと、かなり以前から積極的にこの将来計画について政府に対して申し入れとか、あるいは勧告などなされておりますが、なかなかこれが実現しない、こういう現状にあるということも書いてあります。ですから、こういうような一連の事実を考えまして、やはり最高の頭脳を政府が無視し、あるいは軽視しておる、こういうふうに言っても差しつかえないと思うのです。こういう態度自体私はやはり誤りだと思うのです。さらに明確なお答えを願いたいと思うのです。
  96. 長澤榮一

    ○長澤政府委員 科学技術会議の議員につきましては、内閣総理大臣が議長でございまして、先ほどの大蔵大臣、文部大臣経済企画庁長官、科学技術庁長官が入っておられます。そのほか学識経験者が五人と、それから日本学術会議の会長さんがお入りになっておられまして、私ども学術会議の会長さんと実はきょうの十一時からも連絡会議があってお会いしているというようなこともございまして、常に連絡をとって仕事を進めておるということでございます。また、そういうふうなことで、私ども学術会議の会長さんを代表にいたしまして、御意見を常に承って科学技術政策の立案には資している、こういうつもりでございます。
  97. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 ただいまも科学技術庁からお話がございましたように、私どもといたしましても、決してこの学術会議という最高の機関を無視するというようなことは全くございません。ただ、この機構の成立をいたします経過におきまして、先ほどからお話をいたしておりますような形で進んでまいりましたので、科学技術庁あるいはこの関係各省というところを通じて、そういったいろいろの部面についての御意見等も反映をしていただいて、そして機構についての御意見をいただく、こういうことでやってまいったつもりでございます。  正式に日本学術会議に諮問すべきであったかどうかということになりますと、御指摘のような点も考えられますけれども、従来そういった例があまりなかったということもございまして、私どもとしては、こういう形で今回の構想をまとめ提案をした、こういう経緯でございまして、その辺をひとつ御理解を願いたいと思います。
  98. 野間友一

    ○野間委員 この法案について所管庁は経済企画庁になりますので、いま申し上げたように科学技術会議に対しては何度も言っております。「一九七〇年代における総合的科学技術政策の基本について、」これはまさに下敷きなんですが、こういう諮問をして、答申までとっておるわけですね。ところが、このごろだけではなしに、今日に至るも、学術会議に対しては何らのこういうような手だてをとっていない。しかも、先ほど指摘をしたように、科学研究基本法の制定とか、あるいは科学研究第一次五カ年計画の実施、これは学術会議では二大勧告というふうに言っておりますけれども、この二つの勧告までされている。このようにして将来の科学計画、これについては学術会議としても非常に関心を持って、しかも、自分らが積極的に意欲を持ってこういうところに参画したい、こういう要請ないしは希望があるにもかかわらず、いま申し上げたように、科学技術会議に対しては諮問をしても、学術会議には何ら手だてがしていない。これはやはり無視ないしは軽視しておるという以外にないと思うのですけれども、いかがですか。
  99. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 若干繰り返しになりますけれども、経緯的に先ほどのようなことでございまして、私ども気持ちとして、決してこの学術会議を軽視するというようなことはございませんし、また、科学技術会議に対する関係を言ってみれば、こういう機関をつくるために諮問をしたというわけではないわけでございまして、一九七〇年代の科学技術政策という非常に広範な問題に対する答申の一つとして、こういうソフトサイエンス、これも科学技術面でございますが、そういうことについての研究機関の問題が言われた。今度できます機構は、それにさらに人文科学、社会科学的な面も加えまして、第一条にございますような非常に広範な目的を持った機構をつくってまいるわけでございまして、そういう意味では、学術会議との関係ども当然非常に深くなってくると思いますけれども民間機関としてつくるということもございまして、直接の諮問はしなかった、こういう経過でございますが、確かに御指摘のような面もございますので、これからの運営にあたっていろいろとひとつ連絡を密にし、そして御指導を仰いでいくというようなことを考えてまいりたいと思っております。
  100. 野間友一

    ○野間委員 この同じ北川先生の書かれた本の中に、これは学術会議のいろいろな研究成果そのものがずっとここに取り入れられておるわけですが、この中にはシンクタンクに関連して、総合研究会議の設置、それの基本方針ないしは機構、そういうものも詳細にずっと述べられているわけですね。こういうふうなものを御存じかどうか、あるいは御存じであるとすれば、どのように評価されておるのか、これをひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  101. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 ただいまの文献について私、直接には承知をいたしておりませんが、四十六、四十七年と二年にわたりまして、主として科学技術庁、通産省、経済企画庁、それから民間関係の方々等を動員いたしましていろいろ調査研究をやっておりますので、当然そういった問題についても検討いたしておると思います。私どもとしては、そういった各方面の御意見なり、お考えというものを十分に検討いたしました結果、こういう形でつくるのが最適であろうという結論に達したわけでございまして、諸外国機関等についても相当調査をいたしました。そういった結果で出たというふうに御理解を願いたいと思います。
  102. 野間友一

    ○野間委員 いま申し上げたように、基本方針あるいは機構について構想がすでに発表されておるわけですね。そういうものについてどのように評価されておるのか、特に自主性あるいは民主的な機構ないしはその運営について、私はこの法案との関係で非常に問題になると思いますので、学術会議でつくったそういうものについてどういうふうに評価されるのかということ、いまいろいろなものを参酌した上でこういう法案考えた、こういうお話がありましたので、さらに答弁を求めたいと思います。
  103. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 いまおあげになりました北川先生のこの報告書の該当文について私直接勉強しておりませんので、それについての評価はどうかということはちょっと私から申し上げられませんが、先ほど申しましたように、多数の方々を動員していろいろの調査を実施したということでございますので、そういった文献等も当然私どもとしては勉強した結果でこの結論が出されておる、こういうふうに了解をいたしておる次第でございます。
  104. 野間友一

    ○野間委員 そういう答弁じゃ困るわけですよ。実際に読んでもいないのに、多数のいろいろなものを研究してそれを配慮してということは私は出てこないと思うのですね。私が指摘したのは単に北川先生の個人のものじゃないのですよ。これは学術会議の将来計画についての委員会の中で練り上げられた構想であり、論文であるわけですね。こういうものをあなた自身——おそらくこの法案をつくる際の責任者だと思いますが、あなた自身がそういう文献すらごらんになっていないというところに、やはり同じように学術会議そのものを無視しておるということが端的に出てくると思うのです。ですから、私はここで申し上げたいのは、いまからでもおそくないと思うのです。学術会議にひとつ諮問をして、もう一ぺん出直すという方向で検討する余地はないかどうかということです。
  105. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 御指摘の点はわかりますけれども、言ってみれば、政府としては結論を出し、そして法案にして御審議を願っておる次第でございますので、これからあらためて諮問をするというのではたいへんまた失礼でもございましょうから、私どもとしては、こういった形で設立をお認めいただきまて、そして運営等について今後いろいろと御指導を仰いでいく、こういうことにいたしたいと思っております。
  106. 野間友一

    ○野間委員 決していまからでもおそくないわけで、いいものをつくるためには悪いものは全部捨て去る、これは当然考えてしかるべきだと思うのです。  若干の経過について学術会議関係で調べてみたのですが、先ほど申し上げたように、ここに文献がありますが、科学技術会議に対しては四十五年の八月二十五日、「一九七〇年代における総合的科学技術政策の基本について」というものを諮問された。学術会議では、この科学技術会議の諮問のあと、十月三十日付で同じようなテーマについて総理に申し入れをしておる。これは「一九七〇年代以降の科学・技術について」という、学術会議が編集をして大蔵省の印刷局で発行しておる書物であります。この書物の二三七ページにあるわけですが、この中にも「政府は本会議のこの意図を尊重し、「一九七〇年代における総合的科学技術政策」を策定するに当っても、十分に本会議と連絡をとられたい。」こういうことまで、これは五十七回総会の決議を経て政府に申し入れをしておるわけですね。  こういうような申し入れがむしろ学術会議のほうから積極的になされている。ところが、政府としては、こういうところには諮問をせずに、ほかのところへ諮問をして、こういう法案が出されておる。先ほどから何度も言っておりますように、これらはこの法案の基礎と申しますか、下敷きにして当然尊重して使わなければならない問題であるにもかかわらず、全くこれに対しても答えておられないというようなことについて、私は非常に問題だと思うのですが、この点についてはどうですか。申し入れについて、あったということは認められると思うのですが、どうですか。
  107. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 この点は、先ほど長澤局長の御答弁にもございましたが、経済企画庁の立場といたしますと、科学技術会議あるいは科学技術の問題もございますし、産業構造その他の問題もありますし、経済一般の問題社会の問題そういった広範な問題を取り上げていく機構としてこの機構考えたわけでございます。したがいまして、科学技術の問題については主として科学技術庁のほうの御方針に従ってやっていくということで、四十六、四十七年度もともに協力してやってまいったわけでございまして、いまのお話のような点も、科学技術庁において、いろいろと学術会議との関係等もお打ち合わせをいただきまして、そして、私どもに対して、これはこういう方向で考えるべきであるというようなことの御意見が出たものと承知しておるわけでございます。私のほうでの直接の勉強が不十分だった点はおわびをいたしますが、そういうことで私どもは進めてきた、こういうふうに理解を願いたいと思います。
  108. 野間友一

    ○野間委員 それでは、科学技術庁に対してその点についてお伺いするのですが、四十五年十月三十日付で、総理大臣あて申し入れの「一九七〇年代の科学のあり方について」という文書が五十七回総会の決議で出されておりますが、これの末尾に、いま申し上げたように、「一九七〇年代における総合的科学技術政策」を策定するに当っても、十分に本会議と連絡をとられたい。」とあります。しかも、これはいま申し上げた科学技術会議に対する諮問がなされたあとなんですね。この申し入れ書の中にもそれが含まれているというのですね。「政府は、科学技術会議に対し「一九七〇年代における総合的科学技術政策の基本について」の諮問を発しており、その答申がかなり早い時期に行なわれるはこびになっている趣である。」とあります。「趣である。」と書いてあるのですね。つまり、直接学術会議は知らない、知らないけれども、そのように聞いておるという趣旨だと思うのです。  しかも、次いで、「元来、科学技術会議は人文・社会科学のみに関するものを取り扱わない等の制約があるので、この諮問に対する答申が独走する場合は、人文・社会科学を含む科学の全分野の調和ある発展を阻害するおそれがある。」というように、ちゃんと申し入れの中に指摘があるわけですね。先ほど経企庁では、科学技術庁と十分連絡をとって相談してというふうに言われたわけですが、このように、科学技術会議そのもののこの問題も含めて、しかも「十分に本会議と連絡をとられたい。」という学術会議の申し入れがあるわけですけれども、これを科学技術庁は無視されたわけですか。どうですか。
  109. 長澤榮一

    ○長澤政府委員 先ほども御答弁申し上げましたとおり、科学技術会議の議員には、日本学術会議の会長越智先生がお入りになっておりまして、私どもこういうふうな諮問における答申につきましては、学術会議の会長としての越智先生の御意見も……(野間委員「四十五年ですよ」と呼ぶ)いまは越智先生で、ございます。当時——いずれにせよ、これは科学技術会議の議員に日本学術会議の会長が常にお入りになる形になっておりますので、大臣と同じような資格でお入りになっておりますので、常に私どもは、この答申におきましても、あるいはどういうふうな意見においても、御意見を聞きながらやってまいった次第でございます。
  110. 野間友一

    ○野間委員 それでは、この申し入れに対して、あなたのほうで、具体的に学術会議にとられた態度、どのようなことを具体的にされたのか、それを明らかにしてほしいと思うのです。
  111. 長澤榮一

    ○長澤政府委員 この諮問の当時、私担当しておりませんので、こまかい具体的な、いつ、しからばどういうふうな措置で連絡をとったかということはこまかく存じませんが、いまわれわれが仕事でいつもやっておりますことで推定いたしますと、当然、私たちの考えておりますことは、学術会議会長を通じましてお話ししておりましたので、われわれの意見は、答申については学術会議承知しておることと思いますし、会長は、会議で常に学術会議の御意見を述べておりましたので、十分御意見はお互いに交流していたものと考えております。
  112. 野間友一

    ○野間委員 そういう推測で答えてもらっては困るわけです。ここでは責任ある答弁をしなければ困るわけです。  経企庁、どうですか。いまの申し入れの中にも、科学技術会議だけでは「人文・社会科学のみに関するものを取り扱わない等の制約があるので、この諮問に対する答申が独走する場合は、」「全分野の調和ある発展を阻害するおそれがある。」これまで指摘しておるわけです。こういうようなことから考えても、何度も言うように、最高頭脳に対してどうして連絡ないしはその諮問をしなかったのか。これは依然として疑問が残るわけです。しかも、科学技術会議にこの諮問をした、これについてすら正式には学術会議は知らないわけです。この中にも答申した云々とあって、「なっている趣である。」というようなことで、これは正式には学術会議は知らないということが前提でこの申し入れは書かれているわけですね。こういうようなことではやはり片手落ちだ、こういうように思うのですが、どうですか。
  113. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 科学技術会議の運用について私どもそれほど詳しく存じておりませんが、いまも長澤局長からお答えを申し上げておりますように、学術会議の会長がメンバーになっておられるということから見ましても、密接な連絡のもとにいろいろの施策がとられておる、こう考えております。  しかし、確かに御指摘のように、人文科学的な問題等についての施策をどうするかということもあるわけでございますから、今度の機構というものが、これはまだ固まらない分野と申しますか、どういうことに取り組んでいくかということは、先ほどからいろいろの御質問にもお答え申し上げておりますように、これから固まっていく面が多いわけでございますので、そういう具体的な問題をこれから選定していくという形におきまして、学術会議のお考え等が反映してまいりますように、私どもとしても心がけてまいりたいと思います。
  114. 野間友一

    ○野間委員 科学技術庁にさらにお尋ねするわけですけれども、確かに科学技術会議そのものには学術会議の会長が議員として入っているのは間違いないわけです。しかしこれは、単に科学技術会議の議員として入っておるだけで、議員なんです。科学技術会議そのものじゃないわけです。たとえば一人が二つの会社の代表者を兼ねておる場合に、一つに出したから一つに出さなくていいんだ、同じ社長じゃないかという理屈が通らないのと同じなんです。これはまさに会長が一人の議員として会議に入っているわけです。しかも、科学技術会議の重要な仕事の一つとして、「日本学術会議への諮問」というのが二条の一項四号にちゃんとあるわけです。こういうものすら無視しておるというふうに考えざるを得ないと思うのです。いま申し上げたように、内閣総理大臣から諮問があって、諮問があったそのあとで、学術会議から伝え聞いて申し入れがなされておる。非常に重視しておるから、学術会議も申し入れておるわけです。ところが、それにもかかわらず、しかもいま申し上げたような設置法の二条一項四号で、「日本学術会議への諮問」、これも仕事の一つの大事な部分なんです。これすらやられていないということはどういうことなんでしょうか。
  115. 長澤榮一

    ○長澤政府委員 先ほどの議員の件でございますけれども、われわれは、いろいろな答申あるいは作業を、ただいまも実は国民生活に関連する研究開発目標というので作業をやっておりますが、たとえば、そういうようなときにはワーキンググループを実際につくってやります。そのワーキンググループの構成メンバーにつきましては、若干の学者につきまして学術会議からの推薦を得て、たとえば同じような学術会議の該当部会の先生を必ず入れるというような方向でいままでもやっておりますので、単なる議員としての会長さんがお入りになっているだけということでなくて、ワーキンググループのメンバーにもお入りいただき、常にいろいろな専門的な御意見をいただいておるのが実情でございます。  それから、日本学術会議への諮問及び答申に関すること、これはいわば政府と学術会議との窓口の役目をしておるわけでございまして、政府が諮問する際に、科学技術庁あるいは科学技術会議を通じまして、あるいは学術会議政府に対してのいろいろな勧告をする際に、私どものところで受けとめるというと変ですけれども、まず科学技術会議にお話がございまして、そして関係各省を集めまして、その説明会を開き、関係各省がそれを行政に取り入れていくための努力をする、こういうふうなことをやっておるわけでございます。
  116. 野間友一

    ○野間委員 さっぱりわからぬのですが、それだけではなしに、その後も、五十八回総会あるいは五十九回総会、いずれもいろいろな重要な問題について申し合わせ、ないしは四十六年十二月九日には、科学研究五カ年計画についての勧告までなされておるわけです。この勧告については、時間があまりありませんので引用するわけにいきませんけれども、学術会議が発行しておる「勧告・声明集第六集」、一九六九年一月から七二年一月まで集めたものですけれども、この中にちゃんとあるわけです。こういうように非常に重視しておるということを経企庁に特に私は指摘したいと思うのです。一度や二度じゃないのです。ずっと以前から何回も何回も学術会議は、政府に対して勧告あるいは申し入れをやっておるわけです。ところが、全くこれに対してはナシのつぶてである。だからこそ学術会議は非常に不遇である、不遇をかこっておるということまで最高の頭脳をして嘆かせたというところに大きな問題があると思うのです。  こういうような軽視の態度、これは一つや二つじゃないということは、いままで指摘したとおりだと思うのです。その点については、どうなんですか。
  117. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 科学技術政策あるいは研究問題一般につきまして、国としてどのようなウエートをとっていくべきかということは非常に重要な施策でございまして、経済企画庁としても、先ほどちょっとおあげになりました経済審議会の研究委員会等でもこういった問題を取り上げて、そしてこれからの方向を出したわけでございますし、それから今回の経済社会基本計画においても、こういった問題について、従来のたとえば国民所得に対する割合が二%程度研究費を三%の水準に上げていこうというようなことをいっておりますし、そういった大筋の問題については、学術会議のこういった御提言あるいは勧告というようなことについて、私どもとしてはそれぞれ勉強いたしまして、そして政策として受けとめていく、こういう態度でやっておるわけでございます。今回の機構はやや特別のものでございましたので、確かに諮問をするというようなことをいたしませんでしたけれども、全体としてはもちろん大いに尊重をして政策として受けとめていく、こういうことでやってきたつもりでございますし、今後ともそのつもりでおります。
  118. 野間友一

    ○野間委員 結局せんじ詰めて考えますと、冒頭にも申し上げたのですが、いわゆる行政サイドないしは企業サイドですね、そういうところから意見を聞いたにすぎないということになろうかと思うのです。あげましたように、経済審議会技術進歩研究委員会とか、あるいは通産省大臣官房情報化対策室ですか、あるいは科学技術会議、こういうところに依拠した一つの意見だというふうに私は考えざるを得ないと思うのです。この中に、先ほどから言っておりますように、非常にアカデミックな、しかも最高の頭脳が全く入っていない、こういうようなことじゃ私どもはとうていこれは納得することができないわけですね。また、中身についても、いまから入りますけれども、学術会議その他が機構上全くここから欠落している、非常に私は遺憾だと思うのです。  そこで中身に入るわけですが、これは多少重複するかもわかりませんが、あしからず御了承いただきたいと思うのです。  まず、四条の関係ですが、これも何回も質問されておるわけですが、政府以外の者の出資者です。これは具体的には先ほどから出ておりますのは、民間あるいは地方公共団体というふうなものが出ておるようですけれども、さらに再度明確にしていただきたい。それからその額、それから募集の方法、これをひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
  119. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 第四条にいう「政府以外の者」としては、先ほどから申し上げておりますように、できるだけ広範にこれは考えたいと思っておるわけでございますが、具体的には、民間の経済界あるいは各種団体地方公共団体等考えられてくると思います。そして、その具体的なやり方をどうするかというようなことについては、まだ法案審議の途中の段階でございますので、明確なことをきめておるわけではございませんが、機構性格から見まして、民間の方々で自主的にそういった構想を固めていただく、発起人会においてその具体的な構想をきめていただく、こういうつもりでございますが、先ほどから申し上げておりますように、一応われわれといたしましては三ないし五年間に三百億くらいの基金構想を持っており、そのうち半分を政府出資ということで考えておる、こういう構想でございます。
  120. 野間友一

    ○野間委員 かなり大金になると思うんですね。この大金を具体的にどのような方向で、どういうところから集めるのかということ、これはやはりこの法案を立案された以上、しっかりしたものがなければおかしいと思いますし、ぼくは構想があると思うんですね。懸念するのは、これだけの大金を出せる人というと、やはりこれは大企業、大会社しかないと思うんですね。こういうところで一部大会社からちょこちょこっと集めてきて事成れり、こういうようなことからつくるということになると、まさに従前の法案をつくる経過からしても明らかだと思うんですが、これはやはり大会社ペースになりまして、とんでもない方向になりはしないかという懸念を持つのです。ですから、これはやはりこの法律をつくられた責任者として、具体的にはどのような構想を持っておられるのか。金を集める方法です。どうですか。
  121. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 御承知のように、すでに数年前でございましたか、二、三年前に、民間の財界のほうでこういった問題にやや類する構想で一千億財団をつくろうとかいうような構想もございましたし、その後いろいろの分野でこういった問題について研究等が進められておるということも承知をいたしております。それから現に二十ほどの民間シンクタンクもできておるわけであります。  そういうことから見まして、まず、いわゆる経済界のほうからの問題といたしましては、現在の社会情勢から見て、やはりこういう非常に広範な分野について、企業の社会的な責任を果たすというような趣旨からも、相当資金を出してくれる、出してもらうということは、もちろんそう簡単だとは私どもは申しませんけれども、必ずしもそう困難ではない、こういう判断をそれぞれいままで二年間の検討の結果持ったわけでございます。  それから、もちろん公共団体一つの問題でございますが、これは財政的にいろいろまた制約のあるところでございますから、国の法律でどうだということを想定して縛ってしまうことはいかがなものであろうか、こういうこともございまして、法律の制定をまちまして自治省、さらに公共団体側とお打ち合わせをしてきめてまいりたい、こう思っておる次第でございます。  そういうことでございまして、どこからどのぐらいの金をどういう計画で集めるというところまでのものをつくっておるわけではございませんが、私どもとしては、今年度の三十億に見合って、とりあえず民間も三十億程度出していただくということをまずやらなければなりませんが、さらに、先ほど申しました三百億構想というものを三ないし五年でやっていくということについては、現在の事情から見まして、これは何とかやっていけるのではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  122. 野間友一

    ○野間委員 民間の中には個人と法人があり、法人の中には営利法人それから非営利法人があるわけですけれども、その民間の内訳というか分類、これはどういう構想を持っておられるのか。
  123. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 先ほどから申し上げておりますように、特にどこから幾らというような計画は持っておりません。できるだけ広範にやりたいということでございますが、出資については、午前中も御指摘がございましたようにあまりメリットがございませんから、これはなかなかそう簡単に出せないのではないかという御意見もございますが、そういうことであれば、場合によっては指定寄付というようなこと含めまして——指定寄付、つまり税制の面で優遇をせられる寄付でございますが、そういうものも一部入ってくるのではないかということも考えております。こういう際には、法人も個人もあり得るのではないか、こう思っております。いろいろの形を考えて、ひとつ資金の調達を考えてまいりたいと思っております。
  124. 野間友一

    ○野間委員 それから同じ四条の四号ですが「金銭以外の財産」、これはいわゆる現物出資ですが、特に法律的に「金銭以外の財産」というような現物出資規定された趣旨、これは、おそらくこういう規定をする以上、こまかなわずかなものではなく、やはりコンピュターとか非常に財産的には価値の高いものを想定されておると思うのですけれども、具体的にどのような構想を持っておられるか、ちょっと知らせていただきたいと思います。
  125. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 この条文の趣旨は、主として政府が所有いたします建物あるいは土地等の不動産について場合によっては出資をしていただく、こういうつもりでございます。具体的に研究所の構想をどこにどういうものをつくるかということはまだ固まっておりませんから、そういった内容等は全然まだ白紙でございますけれども、それができるようにしておこう、国有財産の適当なものがあればこれを使わしてもらう、つまり出資をしてもらうということにしたいと思っております。
  126. 野間友一

    ○野間委員 そうすると、土地とか建物、いわば不動産というものについて国のものを使わす、こういうことが想定されておるわけですか。
  127. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 目的はやや違いますが、たとえば国民生活センターというのは経済企画庁が持っておりますが、この国民生活センターは、土地の現物出資を受けております。ああいった例からもわかりますように、適当なものがあれば出資の形で受けたい、こう思っております。
  128. 野間友一

    ○野間委員 それから九条の関係について聞きますが、九条に民法の五十条が準用されております。この五十条というのは主たる事務所に住所があるという規定になるわけですが、そうしますと、これは午前中の質問にもあったのですが、主たる事務所の所在地が住所になるということですから、これは全国的にあちこちに従たる事務所を持つことが前提になっておるのかどうか、あるとすればそれはどういう組織になるのか、どうですか。
  129. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 当面は基金構想中心でございますから、おそらく東京あるいはその近辺に一カ所つくるということになると思いますが、この機構の業務の拡大に応じまして必要がありますれば全国の主要なところに支所と申しますか、そういったものをつくってもいいのではないかと考えております。
  130. 野間友一

    ○野間委員 それから次に十条、発起人関係ですが、この発起人の人選というのは非常に大事だと私は思うのですね。というのは、この発起人が最初の役員まできめるわけでしょう。第十五条の定款記載事項の中に、一項、十一号「設立当初の役員」とありますから、定款ですでに役員がきまるわけですね。そうだとすると、これは定款をつくるのは発起人ですから、発起人が最初の会長、理事長あるいは理事、これは非常勤も入れてそういうものを全部きめるということになっているわけですね。ですから、最初の役員発起人の段階ですべてきまっていく、こういう仕組みになっておるわけですが、そういう理解のしかたはそのとおりなのかどうかということです。そうだとすれば、これは実際経企庁、所管庁が、発起人について手をこまねいて、こういう法律をつくったからかってにだれかつくれということではなくて、具体的にはやはり構想があると思うのですね。構想なしにつくったからということでほうっておくわけにはいかぬと思うのです。特に第三条では「一を限り、設立されるものとする。」とありまして、このシンクタンク日本一つだ、こういうことになっておるわけですね。そうするとどうなんでしょうか。発起人があちこちからわいて出る、そこまで考えようがないわけですが、しかしながら、これによってあとのものがすべてきまってくると思うのです。いま申し上げたような最初の役員だけじゃなしに、これで会長がきまりますと、そのあと会長は、今度研究評議員もやはりきめるわけですね。ですから、そういうまさにヒトラーみたいな大きな権限を持ったものになるわけなんですね。したがって、このように重視しなければならぬ発起人については、どのような構想を持っておるのか。まさか構想がないとは言わせませんが、どうですか。
  131. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 発起人については午前中もお答えを申し上げましたが、この機構の趣旨を十分御理解をいただけるような方々、そうして実際の範囲としては、経済界、学界その他各方面からのできるだけ広い範囲から御参加を願ってやっていったほうがいいのではないか、こう思っておる次第でございます。  確かに発起人というものが非常に重要な役目をなしますので、この形については、もちろん法律責任を持ちます経済企画庁として十分注意をしてまいりたいと思いますけれども、ただいま申し上げましたようなことでいろいろとこれからお打ち合わせをしてまいりまして、そうしていい形の発起人会ができるようにこれから考えてまいりたいと思っております。
  132. 野間友一

    ○野間委員 どうやればいい形になるかということが問題なんで、私は悪い形にしろということは毛頭申してないし、あなたのほうとしてもそういうことは言えるはずがないと思う。だから、具体的にどういう構想を持っておるかということですね。これは十五人以上でしょう。そうすると、あちこちで出てきたってこれはまとめなければならぬわけでしょう。しかも、一つしかできないわけですから、何らかの構想があると思うのです。いま階層について、財界とかあるいは学者という話がありましたけれども、しかし、これはやはり監督官庁の経企庁がしっかりしなければだめですよ。とんでもないことになりますね。だから、具体的にどのような構想を持っておるのか、もう少しはっきり答えていただきたいと思う。
  133. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 この点を具体的に申し上げるということはちょっとできないと思いますが、先ほどから申し上げておりますように、たとえば経済界ということになれば経済界には幾つかの団体が現にございますし、そういった団体の代表的な方というようなことは当然問題になってくると思いますし、あるいはそれ以外の団体ということになりますと、それぞれ労働界その他いろいろございましょう。さらに、現にシンクタンクというものがあるわけでございますから、そういうものについて実際やっておられる方々というものも入ってくるのではないだろうか。また、公共団体につきましては、先ほどから申し上げておるとおりで、若干まだ未確定でございますけれども出資をお願いするということになってくればというように考えております。
  134. 野間友一

    ○野間委員 これをつくられるのは、いまの非常に深刻ないろいろな情勢、環境とか、あるいは都市問題とか、それは提案理由の説明の中にありますが、こういうものを何とかしてなくして国民生活に寄与しなければならないという観点からつくられたわけでしょう、あなたのほうのそれによりますと。だから非常に重要な機構になるわけですね。こういう非常に重要な機構であるがゆえに、特にこの発起人の選び方というものも、やはり具体的な想定なしにこういう法律をかってにつくったということでは済まされないと思うのです。ですから聞きたいのは、この法案がかりに成立したとして、成立してからこの機構ができるまでに、経企庁としては、どのような段取りでどういう手だてをとるのか、これをひとつ聞かしてください。
  135. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 段取りといたしましては、やはりこれを推進をしてまいりました関係各省、これは関係次官による推進協議会をつくることにいたしておりますが、ここにおいて各省の御意見を集約したいと思っております。  それからもう一つは、先ほどから申し上げております現にシンクタンクの一種の連絡会議みたいなものがございますから、こういう方々とのお打ち合わせもいたしたい。それからさらに、財界のそれぞれの団体等の方々、あるいは地方公共団体というような方々とお打ち合わせをいたしながら具体的な発起人会の構想をつくっていく、こういうことにしたいと思っております。
  136. 野間友一

    ○野間委員 それではやはりどう考えても弱いと思うのです。たとえば、具体的に聞きますが、先ほどから問題にしておる学術会議ですね。こういうものは一体どう考えておりますか。この発起人の中に入れるか入れないのか。あるいは労働組合、たとえば総評とか同盟、こういう組織ですね。あるいは住民のいろいろな組織、婦人団体とか青年団体の民主的な組織がありますが、こういうものについてはどうなんでしょうか。
  137. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 この発起人は、いわゆる民間の方々をもって組織いたしますので、学術会議のような政府機関となるべきものは入ってこないと思いますが、学界ということで、実際には学者の資格でお入りいただくことがあるかもしれません。それから労働関係団体等についても、そういった御要望がございますれば、これは当然考えていってもいいのではないかと思っております。
  138. 野間友一

    ○野間委員 要望があれば考えるという程度では、これはどうにもならぬわけですね。(「これから、これから」と呼ぶ者あり)これからと言うけれども、しかし、いま現に審議して、まかり間違ったら通るんですよ、これは。しかし、通ったその段階で、では一体どうするんだ、どこでどう手綱を締めて歯どめができるのかということになりますと、いまの答弁では全くわからぬわけですね。希望があれば配慮するという程度で、いま具体的にたとえば環境とか都市問題こういうことが提案理由の説明の中に出ておるので、それなりに関係のある、利害関係のある人を、もしつくるとしたら、こういうものを入れるべきではないかということで提起したわけですけれども、しかし、それについても全然考えがまとまっていないとすれば、これはたいへんなことだと私は思うのです。  それから、具体的に、これが成立するまでの経企庁のうしろだてと申しますか、手だて、これはつくれば法律ができたということで官報で告示しますね。あとは関係各省と協議をして、そしてその中で具体的には発起人の人選を進めて、発起人ができた段階で、その中で定款の作成あるいは募集方法等をきめ、役員もきめて、その中で、では経企庁としてはどのように関与されるのか。その点どうですか。
  139. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 関係各省との推進協議会においては、私ども経済企画庁のほうが庶務をするということになると思います。それから民間側の方々とのいろいろのお打ち合わせ等についての事務的ないろいろの手続その他の問題について、経済企画庁の中に室がつくられておりますから、こういうところでもって庶務をやってまいりたいと思っております。もちろん発起人会をつくるといいましても、やはり中心になるような人が何人かおるわけでございましょうから、そういう方々と御相談をしながら具体的に構想をきめ、そうして事務的な手続その他もきめていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  140. 野間友一

    ○野間委員 学術会議に対して、その発起人の依頼と申しますか、発起人にだれか加わってくれぬか、こういう申し入ればなさる用意があるのかないのか。その点はどうですか。
  141. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 学術会議は、いわば日本の全学界ということでございますから、そういった形で御推薦をいただくということは考えておりません。
  142. 野間友一

    ○野間委員 そうすると、関係各省と協議をされて、その結果、たとえば科学技術庁の関係でどなたか学者がよかろうということになれば、たまたまその中に学術会議の会員が入る可能性はある、その程度ですね。そういうことですね。発起人の構成ですが、午前中の質問にもありましたが、大部分が財界で、一部が学者という答弁があったと思うのですが、そういうふうに理解していいですか。
  143. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 その構成ウエートをどの程度考えるかということはまだきまっておりませんので、大部分が経済界ということですでに方針をきめておるというわけではございません。しかし、出資の募集その他の問題も考えてまいりますと、やはり相当財界の方々にお入りいただくということも必要であろうかと思っておる次第でございます。構成等はまだきまっておりません。
  144. 野間友一

    ○野間委員 そうすると、結局行政府と財界ペースでこういうものがやはりでき上がる。そうなりますと、私が疑問に思うのは、組織の自主性あるいは民主性、これはやはり官庁が音頭をとって協議をされて、そして発起人が選ばれてやるわけですが、しかも発起人がすべての役員人事、それから研究評議員は会長が任命するわけですね。しかも、そういう仕組みの基本になる発起人に、財界が主力で、たまたまと申しますか、一部いまの構想では学者が入るというようなことになりますね。結局官庁と財界がこの機構をぐるぐる動かすということになりますと、あらゆるものから独立して民主的研究をするというような点から考えて非常に大きな問題があると思うのです。ですから、役員の選考とか、あるいは研究評議員等について選挙とかいうようなことで、民主的に選ぶというようなことを考えたことはないのか、これには実際ありませんけれども、どうですか。
  145. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 先ほど申し上げましたように、四十六年から検討してまいりましたが、各国の例等も調べておりますけれども、選挙というようなことは考えたことはございません。
  146. 野間友一

    ○野間委員 時間の関係ではしょりますが、兼職の禁止というのがありますね。十八条です。このただし書きがありますが、どういう場合を想定されているわけですか。たとえば、財界から選ばれた役員、これはただし書きによって会社役員あるいは会社の従業員としての地位があるままで差しつかえない、こういうことを想定してただし書きができたのかどうか。
  147. 喜多村治雄

    ○喜多村説明員 そのただし書きでございますが、一律に前のところのように禁止いたしますと、人材登用に不都合がございましたり、たとえ兼職いたしましても、機構役員としての職務の遂行といったものに支障がないという場合があります。事実問題としてございますので、そういう場合には承認にかかわらしめてそれを許す、こういうことでございます。
  148. 野間友一

    ○野間委員 具体的にはどういう場合ですか、ちょっと教えてください。
  149. 喜多村治雄

    ○喜多村説明員 たとえば非常勤の理事の場合の例をとったほうがいいかと思いますけれども……。
  150. 野間友一

    ○野間委員 非常勤の理事は、十八条で除いてありますよ。
  151. 喜多村治雄

    ○喜多村説明員 それでは、たとえば国民生活センターの場合を例としてあげてもよろしゅうございますが、こういう場合にも、たとえば本務として会社の役員あるいは私立学校の先生というような場合があります。
  152. 野間友一

    ○野間委員 私立学校は営利じゃないですよ。
  153. 喜多村治雄

    ○喜多村説明員 営利を目的とするような法人の役員をしている場合があるかと思います。その人を理事にするということになろうかと思ますが……。
  154. 野間友一

    ○野間委員 だから、どういう場合があるかと聞いているわけですよ。支障があるのかないのかという点ですね。
  155. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 具体的な問題として考えてみますと、たとえば企業の会長というようなものをやっておられる方がこういった機構の会長になられるというようなことがあり得ないわけではないと思います。あるいは相談役というような形の方がなられるということもあり得ると思います。これはやはり広く人材を求めるという点から見まして、そういう方は、公職についておられるということであればまた話は別でございますが、民間におられる方の場合には、何らかの仕事をやっておられる方々が多いわけでございます。したがって、こういう規定も必要であるということで、例文として入っておるわけでございます。
  156. 野間友一

    ○野間委員 ですから、具体的にしぼりをかけておかぬと、ただし書きがあってもなくても結局ただし書きが本則になってしまって、要するに兼職ができるんだということになれば、これはとんでもないことだと思うのですよ。十八条に書いてあります本文では「営利を目的とする団体役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。」つまり、営利目的、営利事業でしょう。こういう場合には原則として役員にはなれない、こういうことですね。ところが、承認を受けたときには兼職してもよろしい、こういうふうになっておるわけですね。ですから、抽象的に営利事業役員をしておるというようなことでなくて、具体的にどの場合にこの兼職ができるのか、つまり具体的なしぼりの基準をつくらなければ、結局ただし書きが本則になってしまうんじゃないかということを申し上げておるわけで、どのようにしぼりというか基準を考えておられるのか、その点を聞いておるのです。会長ならいいとか相談役とかいま出ましたが、そういうふうに発言されなかったかもわかりませんけれども、その点、どうですか。
  157. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 原則といたしましては、これはいかぬのであります。まことに例外として、内閣総理大臣が認めた場合にはこの限りではないということでありまして、できないというのが本則でございます。  たとえばということでお聞きになりたいようでございますから申し上げますと、かりに私の場合ですね、国務大臣をやっておるということでございまして、内閣総理大臣が認めれば、どこかの営利会社の役員をやってもいいわけでございますけれども、そういうことを国務大臣として総理大臣に特に認めてもらうということが大体好ましくないことでございますから、そういう場合には営利会社の役員はやめるということに自然になっていくわけでございまして、その間に、御心配のような何か営利会社とシンクタンクとの関係に不当なものがついていくというようなことはない。また、そんなことがわからないような者は役員にしないということになると思います。
  158. 野間友一

    ○野間委員 小坂長官、会長に一応予定されておるわけですか。そうじゃないでしょう。いまお聞きしているのは——国務大臣は営利じゃないですね。何か営利会社の社長をされておるのですか。私はよく知りませんのですが……。
  159. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 そうじゃなくて、たとえて申し上げておるのでございまして、国務大臣になるような場合には、代議士としては営利会社の役員をやっておる人もこれをやめるのが通則でございます。しかし、やっていてもいいという場合には、総理大臣の許可を求めればやってもいいわけでございますけれども、大体においてそういう例外はみな求めないのが一般の常識になっておるわけで、研究開発機構役員の場合にもそういうような意味で兼職しないというのが原則で、例外は認めておく、そういう道をつけておくということが硬直させない原因になるので、これには書いておくという程度のものであるということを言っておるわけです。
  160. 野間友一

    ○野間委員 ですから、具体的にどのような基準を置いておられるのかということですね。つまり、営利を目的とする団体役員であればすべてこれを兼職してもいいというわけではありませんし、また、逆の場合もそうなのですね。それがただし書きでしょう。ですから、ただし書きの承認を受けるときの一つの基準、しぼりですね、こういうものはやはりきめておかなければ、これは実際あってもないようになるのじゃないかということを懸念しているわけですね。どうですか。つまり私が申し上げたいのは、もうこういうただし書きを一切削除して、非常勤の理事も同じように兼職をしてはならぬということにしたらどうなのかということを言っておるのです。
  161. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 たとえば会長ならいいとか、相談役ならいいとか、そういうことは特に書かぬほうがいいのではないか、この程度に書くほうがよろしいというふうにわれわれは考えておるわけです。
  162. 野間友一

    ○野間委員 禅問答はこれでやめておきます。  次に二十一条の職員、これも板川先生のほうから質問があったのですが、この職員には研究員は含まれるのかどうか。これはたしか含まれないというような答弁であったと思いますけれども、もう一ぺんそれを確認しておきたいと思います。もし含まれないとすれば、それでは研究員そのものはどのような基準でだれが採用するのか。これは明らかになっておらないと思いますが、どうですか。
  163. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 先ほどちょっと説明不十分だったと思いますが、この機構として、研究をみずからやるということで研究員を採る場合には、当然職員になるわけでございます。ただ、当面は基金構想でございますから、庶民的な方々が大体職員になって、研究員はむしろ外部から来ていただくことになるだろうということを申し上げた次第でございますが、たてまえはみずからも研究をするということになっておりますから、その場合には職員となるわけでございます。  研究員に対する規定がないではないかという御指摘板川先生からもいただいたわけでございますが、これを書くといたしますと、やはりいろいろと制約的なことを書くことになってまいりますので、そういう形ではなく、むしろ研究をやっていただく方々については、給与その他の面あるいは研究成果の面等について非常な自由性を持ってやっていただくということがいいのではないだろうか、こういう趣旨で特に規定を置かなかったというわけでございます。
  164. 野間友一

    ○野間委員 そうしますと、研究員の身分はどうなるわけですか。二十二条では、職員については「公務に従事する職員とみなす。」ということで、準公務員の扱いですね。こういう規定がありますが、そうすると、一般の職員でない研究員、これは常勤なのか非常勤なのか。これはいろいろあると思いますが、それぞれの身分は一体どうなるのか。特に民間企業研究者あるいは大学なら大学研究者、そういう者との関係はどうなるのか、特に待遇の面についてはどうなるのか、それをお聞かせ願いたいと思います。
  165. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 ここで具体的なプロジェクトを取り上げまして、そして、民間のあるいは政府研究機関もあるかもしれませんが、そういうところから出向していただく場合には、その出向の期間に限ってはやはり職員としての規定が働く、こういうふうになっておるわけでございます。待遇等については、先ほど申し上げたようなやり方でやってまいりたいと思います。
  166. 野間友一

    ○野間委員 そうしますと、午前中の答弁では、職員でない研究員がおるというような答弁があったと思いますが、それはどうなんですか。そうでなくて、研究員はすべて職員になるのですか。つまり二十二条で、職員は公務員たる性質を持つわけでしょう。ですから、職員でない研究員の場合は一体どうなるのかということです。
  167. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 若干混乱した答弁を申し上げたようでございますが、この機構としては、いろいろの研究について委託をしたり、あるいは民間シンクタンクと提携をしたりということも考えておりますので、そういった形で任意につくられるプロジェクトチームについては、研究員の方々が職員でない場合が当然あり得る、こういうことでございます。この機構として実施するプロジェクトに御参加を願う場合には、その期間については職員ということでございます。
  168. 野間友一

    ○野間委員 そうしますと、何かのテーマをきめて研究する際に、研究員としてこの機構の中に入った場合にはすべて職員ということになるわけですか。その場合、職員としての身分はどうなるわけですか。たとえば常勤とか非常勤、これは特に労働法上の問題がありますので、この身分をどう保全するかということについてお聞かせ願いたいと思うのです。
  169. 喜多村治雄

    ○喜多村説明員 こまかい身分関係は、この機構ができましたときに職員に関する規定等々で明記いたします。したがいまして、それに譲るわけでありますけれども一つは、この機構の本来の研究員、これはもちろん職員でございます。先生の御指摘がありましたように、あるプロジェクト参加してくる職員がございます。それを非常勤として扱います場合にも、非常勤の職員でございますから、これは非常勤職員としての扱いをいたします。その場合に給与がどうなるかということにつきましては、出向先とこの機構との間の契約でもって、あるいは話し合いでもって行なわれるものと思います。したがいまして、非常勤であれ常勤であれ、ここの職員であります場合には二十二条の適用がありますし、また、一般労働法の適用があるわけでございます。
  170. 野間友一

    ○野間委員 そうしますと、すべての研究員が二十一条で言う職員に当たる職員なんだ、こう理解していいわけですね。そうだとすれば、この二十一条の職員、この内訳ですね。たとえば研究員とかあるいは一般事務職とかあるいは技術者とか、いろいろあると思うのですが、これはどのような構想、大体何名くらい、どういうふうに考えておられるのか。
  171. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 基金構想の場合の庶務的な人員については二十名ないし二十二、三名程度と申し上げましたが、研究のほうは、テーマの選び方によりまして、また、その規模によりまして動いてまいりますので、そのことに参加する人員については、具体的には毎年度の計画できめていく、こういうことになると思います。
  172. 野間友一

    ○野間委員 わからなくちゃ困ると思うのですがね。つまり非常勤の職員と常勤の職員とおるわけでしょう。その研究員も職員だとすれば、その二十一条の職員の中には研究員とそうでない職員がおるわけですよ。そうですね。ですから、それらの割合がどうなるのかということです。わかりますか。大体何名くらい予定しておるのか。これは予算の関係でもちろん問題になりますし、身分の関係で、研究員も職員だとすれば、そういうものが出てくるのですが、どうですか。
  173. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 確かに研究員についても、これは何名というのは、具体的なプロジェクトがきまれば、それに参加する人としてきまってくるわけでございますが、現在の段階では、どういうプロジェクトをどういう形で取り上げていくということは、内容はまだきまっておりません。これは事業計画と同時にきめていく、こういうことでございまして、当然これはこの数年間にだんだん大きくなっていくと思います。また、委託研究という問題もありますから、それによっても違ってくる、こういうことでございまして、いま研究員について何名にするかということを想定はいたしておりません。
  174. 野間友一

    ○野間委員 たしかに午前中のときには二十三名か何か答えられたと思いますけれども、そうするとまた変わるわけですか。どうなんですか。しかも、その内訳ですね。これはわからぬようなことを言っては困ると思うのです。  それからもう一つ聞きますが、これは一体どういう選考基準でだれが任命するのかということです。これは特に研究員の場合は書いていないので、職員の中に全部入るとすれば会長の任命になりますね。選考基準は一体どうなるのですか。このあたりは一体どうですか。
  175. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 二十二、三名程度と申し上げましたのは、基金構想三百億円になったときの事務職員の数を一応考えたものでございます。  選考の基準等につきましては、これは機構の定款その他がきまりますときに、そういった内部規定等もきめてまいりたいと思っております。
  176. 野間友一

    ○野間委員 しかし、定款の中にないですよ。十ノ五条の中に、研究評議会については一項六号にありますが、研究員については全くないんですよ。実際一番大事な機構としては研究員でしょう。シャッポがおっても実際研究員がまじめに研究しなければ何もならぬわけですね。からがあって中身がないということになる。ところが、その研究員については、いまあなたが答弁したけれども、十五条の定款の必要とすべき記載事項じゃないわけですね。どういう構想を持っておるのか、それをいま明らかにできませんか。
  177. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 このシンクタンクの特徴といたしまして、こういった研究に従事していただく方々というものは、言ってみれば、従来の公務員その他の給与体系と違って、それぞれの学識なり能力に応じて給与が払われるような形で、しかも身分等につきましても、もとのところの、たとえば研究所等における身分とあまりかかわりなく自由に動ける、こういうものを想定して考えておるわけでございますが、それをどういうふうにしてきめていくかというのは、やはりこの機構の具体的な内容を決定するときに同時にきめていく、こういうことになろうかと思います。
  178. 野間友一

    ○野間委員 そういう行き当たりばったりのやけくそみたいなことを言ってもらっては困るので、つくられた以上、中身についてわれわれはやはりここで審議する義務があるので聞いておるのですよ。つくった本人が知らなければここで審議してわかるわけないですよ。違いますか。先ほどからずっと聞いておりますと、何らこれにないようなことをあれこれ言われて、何かごまかされるような気がするのです。だから職員とか研究員とか、そういう身分についてないというのは、これはほんとうに大きな致命傷だと思いますね。これでは安心してこの中で研究できないんじゃないでしょうか。いつ首切られるかわからぬ、どんな身分にされるかわからぬ、それはまだまとまってない、それで法案を出されたわけですか。  それから次に聞きますが、この研究評議会役員との関係ですね。これは意思決定機関と執行機関、こういうふうに考えていいわけですか。
  179. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 役員は執行機関でございますが、この研究評議会は、言ってみれば、重要事項についての御審議をお願いする機関でございます。
  180. 野間友一

    ○野間委員 ですから聞いておるので、その執行機関と意思決定機関、つまりその評議会は意思決定機関である、普通は法人の場合はそうなると思いますが、そういうふうに理解していいのですか。つまり機構の、法人の意思の決定は評議会でやって、それを執行するのは役員である、こういうふうに理解していいわけですか。
  181. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 第二十条をごらんいただきますとわかりますように、「事業計画その他機構の運営に関する重要事項」を審査していただくわけでございまして、言ってみれば、意思といいますか、そういった重要事項の原案はこの機構でつくるわけでございまして、その御審議を願う。したがって、この研究評議会は意思決定機関というわけではございません。意思はやはりその機構においてきめる、その御審議をいただく、その結果、御意見によって直すこともそれはあり得るかもしれませんけれども、これはあくまでそういった意味では諮問機関的なものである、こう御理解願いたいと思います。
  182. 野間友一

    ○野間委員 そうしますと、結局その権限そのものは役員が持つわけですね。ですから、審議をしてもその審議には拘束されない、これは一般の法人との違いですよ。そうですね。そうするとますますその役員というか、会長の権限というものは大きくなるわけじゃないですか。評議会がどんなにきめたって、これは先ほどから申し上げているように、発起人がきまればずっとところてん式に人事機構は会長によってきめられてしまう。会長が大きな権限を持つわけですね。しかも、その会の運営についても、この評議会で審議することはできても、結局審議権はあったって意思決定をする権限はない。とすれば、会長なり役員が自由に何でもできる、拘束されずにできるというふうに法律的にはなるわけですね。そういうものなんですか。
  183. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 形式上は御指摘のとおりでございますが、研究評議会というのは、毎度申し上げておりますように、非常に高い権威を持った機関として運営をしてまいりたいと思いますので、ここでの御審議の結果に反してこの機構が運営していくというようなことはあり得ないと思います。また、内閣総理大臣の認可もあるわけでございますから、この評議会の御審議の状況というものは内閣総理大臣の認可においても十分しんしゃくしてまいることができる、こう考えております。
  184. 野間友一

    ○野間委員 実際にしかし、認可認可と言うけれども、一国の総理大臣が全部こういうこまかいところにまで目を通すわけにはいかぬでしょう。これは、いままでこまかいところもありますけれども、そんなに全部わかる仕組みじゃないでしょう。そうじゃなくて、制度的な保証の問題だと私は思うのですよ。ですから、役員を拘束できないような審議機関であれば、これはもうあってもないのと同じようなものだと思うのです。なぜそれだけ大きな権限を会長に持たすのか。何か自主的、民主的とかあれこれ言われますけれども、結局機構そのものを見た場合には、そういうものは全く配慮されていない。私は、基本的には選挙制度で選べというふうに申し上げたわけですけれども、それはそれとしても、全く民主的なそういう会の意思の決定とか運営について機構上それは保証されていないというどころに大きな問題があると私は思うのです。とすれば、たとえば研究テーマ、プロジェクトをつくって何をやるかといえば、これについては一応審議機関審議するとしても、これはまさに審議だけであって、意思を決定する権限がないとすれば、これは役員がどのようにでも自由にできる、こういうようになるわけですね。そういうことになるわけですか。
  185. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 先ほどから申し上げておるとおりでございまして、やはり機関でございますから、役員というものが執行機関としての責任をとることから見まして、最終的にはやはり会長、理事長等の役員がその具体的な内容の決定の責任をとる、こういうことになるわけでございますが、しかし研究評議会については、申し上げておりますとおり、この機構は権威のある形で運営してまいりたいと思いますので、その御審議の結果を尊重していくのは当然のことである、こう考えております。
  186. 野間友一

    ○野間委員 それは口では言えても、だれでも悪いことは言わぬわけで、少なくともそれを制度的に保証するのが法律で、法律にそういうような、拘束するような、つまり権利義務関係がはっきりしていなければいかようにでもこれは機能できる、こういうことを非常に懸念するわけです。これは事実だと思うのです。  それから次に聞きたいのは、研究者が第二次大戦中に、これはこの機構の平和性との関係ですが、国民総動員とかということで全部軍事体制の中に組み入れられて戦争に協力させられた、そういうことについて非常に私は懸念するわけです。つまり軍事的なものに巻き込まれる、そして協力体制がとられる、こういう機構に利用されやせぬか。これは、小坂長官は午前中に防衛庁と警察ですか、これ以外のところは協力をするとか、何かそういうことを言われたと思うのですが、自衛隊とかそういう警察関係、これらは一切この機構とは関係ない、これは機構的にもプロジェクトテーマあるいはそれに関しても、これは一切関係ない、こういうことなのかどうか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  187. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 防衛庁、警察庁とは関係ございません。
  188. 野間友一

    ○野間委員 いや、関係ないということではなくて、機構関係ないということはわかりますよ。私が聞いているのは、その研究テーマですね、プロジェクト、たとえば自衛隊のジェット機とかあるいは戦車とか、いろいろ問題になる場合に、長官、そういうことで、自衛隊とか防衛庁、警察庁とか、そういうところと協力してこの機構としての機能を果たすのかどうかということです。
  189. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 第一条の目的に書いてございますが、これは今日の経済社会及び国民生活の諸問題、これを検討し、整備して、そうして「国民の福祉の増進に資する」ということでございますので、ただいまの御心配のような問題はこの目的からして起こらない、かように考えております。
  190. 野間友一

    ○野間委員 それからもう一つ事業計画書とかいろいろありますが、こういうものを総理大臣の認可ということだけでなしに、国会の審議あるいは承認事項にする、こういうふうにしたらどうかと思うのですが、この点はどうですか。
  191. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 この点は、この予算をたとえば国がどのくらい出資するかというような点で御審議をいただいて、全体計画は自主的にこの機構にまかせたらどうかと考えているわけでございます。
  192. 野間友一

    ○野間委員 いや、この機構そのものが、先ほどから申し上げておるように、民主的な保証がほとんどないので、だからほんとうに国民生活に役に立つようなテーマを選んで、何についてどういう成果をあげてきたかというようなことについて国会で十分明らかにして、そうして国民にわかるようにする、こういう手だてをとることが、この機構の民主性からいってあるいは機構の公開性からいって非常に大事じゃないかと思うのですけれども、そういうことはどうですか。
  193. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 それはいかがでございましょう、この国からの出資金が年ごとにふえていくわけです。いま三十億が百五十億、それに重ねて民間百五十億、合計三百億ということを予定しておる。毎年そういう予算が出てくるわけです。したがって、その予算に出すことに関連していまのような問題を十分御審議願うということにしていただくほうが、この目的も達成せられるし、この機構の機動的な運営ということもできると思います。これはあまりはしの上げおろしまでやかましく国会で申しますと、かえって萎縮してしまっていい研究はできないのじゃないか、こういう逆の面もあるわけで、そういう点あれこれ勘案して、かようにお願いしているわけでございます。
  194. 野間友一

    ○野間委員 それから、委託費というのか、研究開発費あるいは研究費ですね、こういうものについては、どういう基準でどうなるのかということそれからこの研究したテーマ、その内容、これはノーハウも含めまして、そういうものは公開をするのかどうか、この点はどうですか。これは法文  にはありません。
  195. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 研究費等につきましては、事業計画及び予算の段階でそれぞれきめていくということにならざるを得ないと思います。こういった新しい型の研究でございますから、それに必要な十分の予算を組んでいく、こういうことに考え  てまいりたいと思います。  それからもう一点は成果の公開の問題でございますが、この第一条の目的から見まして、当然これは公表していくということが原則でございますから、民間機関から委託を受けたような場合に、例外的にそのノーハウを公開しないということがあり得るかもしれない、こう思っております。
  196. 野間友一

    ○野間委員 その点、たとえば原子力基本法の自主、民主、公開というあの点に関連して科技特でも、これは新聞がありますが、問題になっていますね。結果についてはなるほどある程度公表はしておりますが、研究過程のデータとかあるいは資料、そういうものが企業の秘密というようなことで公開されていない。これについて、先日の科技特では、学者がいろいろと論争をしておる。これは御存じだと思うのですが、これは新聞に出ていますね。たとえば、こういうことまで書いてあります。「安全審査の内容が科学技術庁のさん下にある原研にも入ってこず、研究者がほしがっても入手できないのが実情だ。米国で公開している審査内容はマイクロフィルムの形で日本に入ってきている。しかし、その程度の内容さえも、日本の安全審査では、公表していない」いろいろと、藤本教授とか、意見を言われましたですね。  こういう点から考えて、単に結果だけじゃなしに、結果の公表はおそらく否定はできないと思いますが、研究の経過の資料、データ、そういうものをやはり公開しなければ、私は公開の原則に反すると思うのですよ。この点について、公開をうたっておる原子力基本法のもとにおいてもこういういろいろな問題があって、学者が非常に困っている、批判しておる。なおさら、このいまの法律には公開の原則というものはうたわれておらないという点から、企業の秘密ということで、これは全部一つのベールにおおわれてしまって、国民の前に実態が明らかにされない、こういうことになりますと、この機構そのものをいかにつくったって、やはり企業そのものに利用されるだけだ、こういうことに結果としてなると思うのですが、その点どうですか。
  197. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 原則は先ほどお答えいたしたとおりでございますが、具体的には業務方法書においてそういった点はきめることになるのではないかと思います。ただいまの御指摘の点等も十分頭に置きまして、こういったものについての内容をこれからきめていただくようにしたいと思います。
  198. 野間友一

    ○野間委員 これで終わりますけれども、いろいろお聞きしましたけれども、結局何かわけのわからないようなことで、この法案の内容、中身そのものもまだ全然煮詰まっていない。しかも、自主、民主あるいは公開、そういう点からしても、非常にずさんな、不十分なものだ。しかも、企業あるいは財界サイドでこういうものが進められる危険性というものは十分考えられる。特に、最高頭脳である学術会議が全く考慮されていないということについて、私は、この法案については非常に疑問だと思うのです。ですから、特に私が強調したいのは、自主、民主、公開、特にそれに関して学術会議に諮問して十分意見を聞いて、そしてこの法案を整備すべきである。現状のままであれば、私はどうも納得できない、こういうふうに思うのです。  以上で私の質問を終わります。
  199. 板川正吾

    板川委員 いまの野間委員の質問に関連して、先ほど私が質問したときと若干ニュアンスの違う答弁をしておられて、ちょっとふに落ちないので、  その一点だけ。この職員ですが、先ほど事務職員ということで、五年後に三百億になった場合に二十人ないし二十二、三人、こういうような答弁があったのです。いま質疑の過程で、常勤の者は当然職員の中に入るんだ、非常勤も入るんだ、こう言うのですね。  ただ、われわれがここで問題にするのは、職員となった場合には、刑法の罰則とその他の罰則の適用を公務員として受けるということになるのですね。公務員と同じような罰則を受けるということによって、自由な研究者参加活動が当初よりかえって窮屈になってくるのじゃないか。大臣が言っていることと逆になるのじゃないだろうか。そうすると、ここでいう職員というのは、やはりそういう補助者、事務者、研究者を助ける者に限って規定をして、研究者というのはこの職員ではないということにして、研究者項目についてはこの中に適当なあれがないのですが、たとえば、十五条に定款記載事項がありますが、七号に「業務及びその執行に関する事項」、こういうようにありますが、この業務執行に関する事項というような項目や、あるいはたとえば就業規則的な基準を設ける中に、研究者の処遇というものを明らかにしたらいいんじゃないだろうかという感じがするのですね。研究者というのは、実は非常勤であろうが、この中で最大の人数を占めるべきなんです。非常勤のものが大部分でしょうけれどもね。それまで職員と見ていくのは多少問題があるのじゃないですか。この点どういうふうに解釈をされておるのですか。  もう一つは、刑法の罰則その他の罰則というものの内容をもう一ぺんひとつ説明しておいてください。どういう罰則を受けるのか。
  200. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 後段の点は参事官から補足をしてもらいますが、やはり先ほど野間先生の御指摘もございましたが、機構において仕事をしておる研究者の方々が身分の点でどうなるかということを明確にするためにも、機構の仕事に出向をしてそうして仕事をしていただいている間は、やはり職員としていろいろの身分保証その他の点も考えていくということは必要であろう、こういうことで二十一条の規定考えられておるということに理解をいたしております。
  201. 板川正吾

    板川委員 非常勤はどうですか。
  202. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 非常勤の方々は、したがってまた、その非常勤職員としての形でやはり職員に考えられておる、こういうことでございます。  それから二十二条の、刑法その他の罰則の適用についてということは、これは例文でございますが、この内容はちょっと参事官からお答えいたします。
  203. 喜多村治雄

    ○喜多村説明員 刑法その他の罰則の適用でございますが、その中身といたしましては、これはいま局長から申し上げました例文でございますので、どの機構組織についても共通でございますが、刑法上の公務執行妨害、それから職務強要、それから虚偽公文書作成、収賄罪等々でございます。
  204. 板川正吾

    板川委員 秘密漏洩はどうですか。
  205. 喜多村治雄

    ○喜多村説明員 秘密のものはございません。秘密に関するものは入っておりません。
  206. 板川正吾

    板川委員 公務員は職務上得た知識を他に漏らしてはならない。こういうものの適用はないのですか。
  207. 喜多村治雄

    ○喜多村説明員 ございません。秘密漏洩はございません。
  208. 板川正吾

    板川委員 いずれにしても、どうも研究者規定というのが不十分な感じがいたしますが、これはひとつ次の審議の機会までに検討しておいてください。  以上で終わります。
  209. 浦野幸男

    浦野委員長 次回は、明後六月一日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時十分散会