○中曽根国務大臣
金属鉱業等鉱害対策特別措置法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
さきに提出いたしました
金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する
法律案につきまして御説明いたしました際に申し述べましたように、
金属鉱業等による
鉱害は、その発生源が、おもに、鉱物の掘採の用に供される坑道及び不要となった鉱滓等の堆積場という
鉱山に特有の施設であり、しかもこれらの施設は、鉱業の終了後も半永久的に存在し、カドミウム、砒素等の人の健康に直接被害を及ぼすおそれのある有害
重金属を含んだ地下水または浸透水を排出する等他の一般
産業における公害と異なる特殊性を有しております。
このような状況にかんがみ、
金属鉱業等における
鉱害問題を抜本的に解決するためには、従来に引き続き
規制、
監督を拡充強化することに加えて、現在までに蓄積されている
鉱害源につきましては、採掘権者等においてこれを
計画的かつ確実に処理し、その
一掃をはかるとともに、今後使用する施設につきましては、採掘権者等に対し、その使用終了後における
鉱害防止事業の実施に必要な
資金の確保を
義務づける必要があると
考えます。
政府といたしましては、このような
施策を実現するためには、特別の立法上の
措置が必要であると
考え、昨年来鋭意検討を進めてまいりました結果、このたび成案を得るに至りましたので、ここに
金属鉱業等鉱害対策特別措置法案を国会に提出いたしました次第であります。
以下同
法案の
内容の要旨を御説明申し上げます。
第一は、すでに使用が終了している坑道及び捨て石または鉱滓の集積場について、
鉱害の防止
事業を
計画的に実施させるため、
通商産業大臣が
鉱害の防止
事業に関する基本
方針を定めることとするとともに、採掘権者等の
鉱害防止義務者に具体的な
鉱害防止の
事業計画を届け出させ、これに従って
鉱害の防止
事業を実施させることとすることであります。
第二は、
鉱害防止積立金制度の創設であります。採掘権者等は、今後これらの施設の使用終了後に実施する
鉱害防止事業に必要な金銭を、あらかじめ
金属鉱業事業団に積み立て、
鉱害の防止
事業を実施する等の場合にのみ、これを取り戻すことができることとし、今後の
鉱害防止事業の確実な実施をはかることとしております。
第三は、採掘権者等に課された以上の
措置の履行を担保するための強制
措置を講ずることであります。すなわち、採掘権者等が
事業計画を届け出ないとき、
鉱害防止積立金の積み立てをしていないとき等の場合には、その鉱業の停止を命ずることとし、さらに、その停止
命令に違反したときは、採掘権等を取り消すことができることとしております。
本
法案の主要点は以上でございますが、ほかに法の
施行に必要な報告徴収、立入検査、罰則等に関する規定を定めるとともに、附則におきまして
金属鉱業事業団法を改正し、
金属鉱業事業団の業務に
鉱害防止積立金の管理業務を追加することとしております。
なお、法の
施行期日は、公布の日から起算して、三カ月をこえない
範囲内で政令で定める日としております。
以上が本
法案の提案理由及び要旨であります。
金属鉱業等の
鉱害対策につきましては、さきに国会に提出いたしました
金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する
法律案とあわせて、その万全を期することとしております。
何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。