○
佐野(進)
委員 次に、大企業が、この円の
変動相場制移行の中で、特に商社が悪どい
利益を追求しているという反面、いわゆる零細規模企業、
中小企業の一部には大きな犠牲がいままさに波及しつつあるわけでありまして、その存立の基盤に激しい動揺が見られている業界が幾つかあるわけであります。それらの点について、
一つの具体的な事例を申し述べながら、
対策について
大臣の御答弁をいただきたいと思うのであります。
玩具業界全般に関しては、いまいわゆる輸出面におけるところの
対策が非常に大きなウエートを占めておりますから、今回のこの
事態によって受ける被害は非常に大きいわけであります。
〔
田中(六)
委員長代理退席、
委員長着席〕
そこで私、ある業界に参りましてその実情を具体的に
調査してまいったわけでありますが、ある業界において次のような
事態になっているわけです。これについて逐一申し上げますので、
大臣からひとつお答えを願いたいと思うのであります。
この業界は年間一千三百五十億円の生産を行なっている。そのうちの六百億円を輸出しております。そして、平均して大体百二十億円
程度の滞貨があるわけであります。この滞貨があるこの業界が、いま
変動相場制移行によって、輸出成約等におきましても、いろいろな部面においても、非常に大きな損害を受けつつあるわけであります。そしてその損害を受けつつある
状態だけでなくして、現に前回の
ドル・ショック、円
切り上げに基づくところの緊急融資に対して、すでに返済期が到来いたしておるわけであります。ところが、現に追い打ち的に来ておる今回のこの
状況が、到来しておる返済期と重なったために非常に大混乱を引き起こしておる
現状があるわけであります。そこで、通産
局長会議等を開かれ、あるいは通産当局においては、前回の
措置を十分参酌しながら
対策を立てられておるようでありますが、私は以下、この実情のもとに、次のような点について御
質問をしてみたいと思うのであります。
この業界だけではございませんが、前回の緊急融資に対して返済期の来ている業界に対してどのような
措置をおとりになるのか。それから、いまそれらの融資に対する利子は、大体六分五厘の利子を支払わなければならないのでございますが、これに対してどのような
措置をとられているのか、いわゆる前回の融資に対して六分五厘の金利を支払う
状態になっているのでありますが、これに対しての
措置をお伺いしたいと思うのです。
それから、今回の
事態によって大体二十億円の差損が出るということになっています。現在の成約に対して二十億円の差損が発生する。この二十億円の差損に対して何らかの処置をとっていくことができるのではないか。
政府は、特に大企業、造船業界等、いま非常に大きな株価の上昇を見ている業界等に対しては、前回も相当の
対策を立てられたようでございますけれども、こういう弱小企業に対する差損に対してどのような
措置をとられるのか、これをひとつお聞きしたいと思うのであります。
前回は、これらの差損については、メーカーと業者と買い入れする人たちが大体三分の一ずつ負担することによってその差損を埋めてきておるわけでございます。今回はそのことも不可能だといわれておるわけでございますが、それがどういうようなことになるか。今後の
対策としては、これらの業界においては
体制を転換することによって、先ほど来
大臣の言われているような
状況の中で新規開発を行なおうとして鋭意
努力をしているわけでございますが、現にこの業界だけでも五十億円からの金がかかるということでございまするが、それらに対してどのような
措置をお考えになっておられるか、これらについてひとつ御
質問をしてみたいと思うのです。
時間が参りましたので、私はそのほかたくさんあるわけでございまするが、さらに
一つこれに関連して最も
中小企業経営者が困っている実情について
大臣に申し上げて、ひとつ善処をお願いしたいと思うのであります。
それは今回の
措置において一般的
中小企業という形の中でそれぞれ
対策の
対象になっているわけでありまするが、具体的には
中小企業の中でもいわゆる商社、メーカー、下請等々が存在いたしておるわけであります。結果的には最下層の下請零細企業に
最大のしわ寄せが行くわけであります。
ある業界において、二月二十日に、関連産業各位という名のもとに次のような文書が流されているわけであります。いわゆる今回の
変動相場制によって非常に業界が苦しくなった。それでこの苦しくなった業界の
体制を挽回するために一生懸命
努力している。この一番
最後の項を読んでみると、「どうか
体制挽回に苦慮しつつあるメーカの窮状をおくみ取り下さいまして、緊急非常
事態打開のため、当面のコスト引き下げに格段のご協力を賜わりたく、枉げてお願い申し上げます。」、この
意味するところは、自分のところのメーカーは苦しいから、コスト引き下げについてあなた方のお店は格段の協力をしてくれ、いわゆる値引きの申し入れをいたしておるわけであります。現にこのようなことは、この業界だけでなくあらゆる業界、輸出関連業界において、あるいはそれに便乗する業界において発生しているわけであります。これらについてひとつ
大臣の御見解をお伺いし、時間もなくなりましたのであとの
質問は保留して、一応私の
質問は終わりたいと思います。