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藤田委員 時間もあと十分少々でありますから、これらの問題については、本省として実態把握に薄い面もあるでしょうし、そうして、現地のそれぞれの監督能力の問題もあろうかと思うから、これはさらにひとつ大急ぎで
調査すべきものは
調査する、そして現地にまで入って実態
調査をして、適切な措置を講ずるものは講ずる、こういうことをぜひやってもらいたい。これはひとつ
大臣、強く要請しておきます。
そこで、この伊藤に対する村八分ですね。これも組合員になったという直後に、その伊藤という労働者に、職場から出ていけとか、大ぜい寄ってたかってつるし上げを行なって、全国金属、全金というのはばい菌だとか、全国金属に入っておる者は出ていけとか、きわめて常識では
考えられないですね。全国金属というものは、それは資本家なり、あるいは
政府とは言わぬけれども、そういう
立場から見て、いいとか悪いとかという批判もあるかもわからないけれども、全国で二十三万からの労働者を組織するりっぱな単一の労働組合です。そういう労働組合の名誉を棄損するようなことを職場の中で平気で言う、そして大ぜい寄ってたかって特定な組合員をつるし上げるというようなことになると、これは私は、もちろんそのこと自体が基準法の三条違反の問題、あるいは人権問題にもなると思うのですね。人権擁護局から来ておりますか
——これはあとで聞きたいと思うのですが、人権擁護
委員会に申し立てをしておりますので、この種の問題に対する人権擁護
委員会の
考え方と、当面とっておる措置について、あとで聞かしてもらいたい。
そこで時間の
関係もあるので、特に、
大臣も目をさましたようでありますから、ひとつ
大臣にお尋ねをします。
この住友重機械にまつわるさまざまな問題がありますが、
大臣、ここで、すでに労働
委員会なり裁判所なり基準監督署あたりから、仮
処分あるいは地位保全の仮
処分あるいは不当労働行為に対する命令等々がたくさん出ておるわけです。時間がないので、私、項目だけ申し上げますが、横浜、地方裁判所の第二民事部の仮
処分の
決定として、浦賀分会のビラまきに対する会社の妨害についての仮
処分が
決定しておるのです。これが
一つ。
二つ目は、会社の基準法違反の事実についての、先ほどから言っております新居浜労働基準監督署の勧告と処理の結果について、これはいわば勧告が出ておる。これは基準法違反の問題だ。
三つ目は、全造船浦賀分会への会社の不当労働行為について、東京都の都労委が命令を出しております。これは確定です。ですから、これはいま中労委とかなんとか、そういうところで審査をしていない命令。
結論が出ておる。
四つ目が、日特金属支部の石井喜久枝、関口智恵子両名の不当解雇について、東京地裁八王子支部での地位保全の仮
処分が
決定しています。
五つ目の問題は、同じく全金日特金属支部の不当労働行為申し立てについての東京都労委の命令が出ています。これはちょっと私も確実でないのですが、中労委でいま再審査をやっておるのじゃないかと思いますが、いずれにしても都労委の命令が出ておるのです。
六つ目が、同じく全造船玉島分会の溝口という
委員長の復職拒否についての岡山地裁の仮
処分決定が出ておる。
こういう形で、あと二、三ありますけれども、そういうふうにたくさん、住友重機械に関する問題は、不当労働行為、あるいは地裁の判決等々で、命令が出たり、判決が確定しておるのですね。
ここで私は、きわめて真剣な
意味においてお尋ねをしたいわけでありますが、私、ちょっと調べてみますと、昭和四十年の十二月に、当時の労働省の村上基準
局長が、
総評側の蛯谷常任幹事、全国金属の平沢栄一という当時の業対部長をやっていた方との会見の場において
——当時、賃金や退職金の未払いが非常に多かったのです。そうしてその当時の全国金属の分だけでも約十億円にのぼる不払い賃金がありました。そうして四十年九月だけで未払いの違反件数が三万件、そうして十億円以上あった当時に、村上基準
局長といろいろ相談をした結果、賃金の未払い等によって基準法違反の事業主に対しては、
政府機関の仕事を発注しないということを確約なさっておるのですね。私は、決して、俗な言い方をすれば会社をいじめるとかなんとかという、そういうさもしい気持ちで言うわけではありませんが、労働者の権益を、憲法で保障されたいわゆる市民法を社会立法によっていわば拘束するというか、規制をしてでも労働者の
基本権である労働権なりあるいはそういった雇用権なり、この基本的な人権を守るという、そういう
立場から
考えるならば、労働者の権益を侵害しておるものは何もいとわない、金を持っていますから何年間裁判をやられようとどうしようとびくともしない。しかし労働者のほうは、残業もやらしてくれない、残業をやらなければ生活にもこたえてくる。そうしてそれが賃上げや賞与の人事考課にも
影響して、人が一万円上がるところは七千円しか上がらない、こういうことで権益が侵害されておる。不利益な取り扱いをされておる。そういう不利益なり法律違反をやっておる会社に対して、私は、労働者の権益を守るということは、資本の利潤を追求するよりも、今日の福祉国家、福祉優先の
立場ではありませんが、労働者の権利を守るということはやはり国の
責任でなければいかぬと思うのですね。そういう点からいって、ぜひ
大臣にこの
見解をただしたいし、そういうことをやってでも労働者の権益を守ってもらいたいと思うことは、いま言ったほど、こんなにたくさんの事犯が起こっておる会社に対しては
——これはこの会社だけではありません。こういう
労働関係法令に違反するような会社に対しては、
大臣、どうでしょうかね、たとえば金融上の措置として、日本開発銀行を通じて大会社はいろいろな金を借りておる。あるいは税法上については、時間がありませんから申し上げませんが、いろいろな租税特別措置が講じられておる。あるいは貿易上の便宜が与えられておる。あるいは国が契約の当事者になる公共事業を中心とした官公庁の発注の問題ですね、指名業者に入れたりする問題がある、こういうことを
考えていきますと、さっきの村上基準
局長の、昭和四十年当時の
答弁ではありませんけれども、こういう
労働関係法令に違反するような会社に対しては、私がいま言ったような、国は金融、税制上あるいは貿易上、公共事業に対する指名入札、そういうものについての措置を一時停止をしたらどうか。最近、大阪の府知事が細川鉄工という労働組合、これは
大臣もたいへん御努力をいただきました仙台本山の問題とよく似たところですが、ここは御承知のとおり、円満解決しました。細川鉄工がガードマンを入れてがちゃがちゃやっておったでしょう。しかしそのときに、ああいう労働法令違反をやる会社に対しては、大阪府は指名入札のワクに入れない、競争入札のワクに入れない。大阪府として、その会社が工場を拡張したりする土地を提供することもやらない。表彰なんかする場合もそれは除外するという形で、一定の期間入札を
ストップさしたり、あるいはいま言ったような会社に対する便益を講じないという措置をして、正しい労働法令の精神を守るように、会社に対しても政治的な措置を講じたわけであります。これはぜひ閣議において
協議してでもやってもらいたいと私は思うわけですが、いま私が指摘をしたようなことを、特に労働省としては労働者の権益を守る
立場から、労働法令違反の会社に対しては、こういう政治的措置を講じてでも、労働者の権利を守るための政治的努力をすべきじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。