○石母田委員 これじゃ全然論議にならないですね。だから国としての
意見は何もしない。つまり、じゃ公制審に出しているのは使用者としての国の代表をしているのだ、じゃその発言についてどうなんだというと、これは使用者としても、国としても、あまり
責任は持てないんだ、自由な発言だ。それじゃ
政府として、使用者として、こういう発言はどうなんだ。公制審についてどうなんだということは、それも述べられないということになれば、
政府の主体性というものは何もないわけですよ。これはどういう
指導的な立場なのか、行政的な
指導基準はどういう基準なのか、公制審に一体何を諮問して、諮問した立場からどうなのかという点の
意見は、形式的に
意見は何も出てこないということですね、あなた方の
意見では。
そんな雲つかむような話は国会の中だって外だって通用しない。どこをつかまえてぼくら議論していいかわかりません。そういう点で全く公制審というものを総理
大臣が任命して諮問する、あるいは使用者団体を通じて国がどんどん自分たちの使用者としての
意見を出さなければならぬということについても当然なことなのに、そこではないのだということを皆さん方がんばるから、どこで一体
政府の
方針、国の
考えをつかまえていいかわからぬということで、これは全く私は無
責任な
状態だというふうに思います。
これ以上論議しても、しょうがないから、この点については、また機会をあらためてやりたいと思います。
それからだいぶ時間がたちましたので、第二の質問に入りたいと思います。
一つは、ハイヤー、タクシーの問題の
労働者の
実態と、これに対する
行政指導のあり方について御質問したいと思います。実は私、ハイタク
労働者の非常に過酷な、劣悪な労働条件について前々から重大な関心を持っておったのですが、四月下旬にその
実態を
調査するために添乗してみたのです。朝九時から午前三時までですから、十数時間にわたって一緒に助手席にすわってみたのです。これは自分でやってみて、二、三度おりようかと思ったのです。そのくらい相当きつい労働で、近代的な労働とはとても言えないような過酷な労働です。しかも走ってみて、とにかくいまの交通
事情はひどいものだということを、あらためて痛感したわけであります。そういう自分の経験からもちまして、このタクシー、ハイヤー
労働者の特に大都市なんかにおける問題での劣悪な労働条件、労働環境というようなものについて、ぜひ国会でも問題にし、善処していただきたい、こういうことを
考えて、きょうは質問するわけであります。
初めにその
実態でありますけれ
ども、産業衛生学会というのが、ことしの四月六日大阪相愛学園で開かれて、その中で安部三史という北海道衛生研究所長、運転労働安全委員会の
委員長、こういう方が報告されているのが報道されておりまして、その一部を御紹介します。
この
調査は、交通
労働者の
実態と健康、安全に
関連して七月から九月の間国鉄
労働者からトラック運転手までの百三十九
事業所、八千八百三十九名にアンケート
調査した。そうしたら五つのワーストファイブ、一番悪いというのです。これは大都市のタクシー運転士が第一、その次が大都市の電車運転士、三番目が国鉄電気機関士、四番目が大都市のバス運転士、五番が国鉄ディーゼル機関士、地方都市のタクシー運転士、これが一番悪い部類のいつまり悪いというのは労働条件、労働環境が悪いものの五つにあげられております。そうして特に東京、大阪のタクシーの運転者の健康
実態として、健康だと思っている人は三七%、どことなく不安な人が五五%、実際に病気だった人が八%、こういう状況が出ております。そうして、このワーストファイブの運転者の半分以上が、からだがだるい、疲れる、目が疲れる、肩がこるなどの自覚症状を訴えていることを報告しているわけであります。
このような劣悪な条件というのは、私は自分の、
先ほど言ったわずかな経験でありますけれ
ども、
実態だと思うのであります。特に、神自交の私が乗ったときの条件を見ましても、昼間はほとんど走れない、四時ごろまでかかってやっと百キロぐらい走った。それですから、売り上げをあげるために非常にいらいらして、どうしてもスピードを出したくなる。しかし交通
事情がこうですから、それが軽わざみたいなものですね。事故を起こしやしないかと思うような状況ですから、非常に神経も疲れるということで、腰痛症や胃病、肝蔵障害な
ども含めて、そういうものが職業病といわれるくらい出ているわけです。
この神自交タクシー
労働者の十二人を調べた結果では、鉛障害といいますか、鉛中毒患者とまでいわなくとも、そういう患者に進む危険があるというような
データが出始めているのです。
これは鉛中毒については一つの権威であります氷川下セツルメントが調べた結果なんですが、この十二人のうち特にひどい二人などは、尿中の鉛が、四十五年十二月のときには四〇マイクログラム・パー・リットル、それが、四十六年二月ですから、ほんとうに数カ月たたないうちに一〇六マイクログラム・パー・リットルになっている。これは普通の
人々が通常は尿中鉛は二〇マイクログラム・パー・リットルといわれておりますので、かなり高くなっている。もう一人の人は、同じく四十五年の十二月に一六マイクログラムが、五三マイクログラムに同じ期間に上がっている。
程度は違いますけれ
ども、この数カ月間に徐々に多くなっているということが
データに出ているのですよ。
こういうことを見ましても、やはり交通
労働者、特にハイヤー、タクシー
労働者の鉛の問題については、かなり気をつけなくちゃならないという労働条件にあるんじゃないかということがうかがわれるわけです。
長くなりましたけれ
ども、こういった
実態について
労働省としては、どういうふうに認識されているのか。さっきの学会で発表なんかあったことも知っておられて検討されておるのか、あるいは独自にこういう疲労度を検討するというようなことをやっておられるのか、その点についてお伺いしたいと思います。