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浦田政府委員 まず第一点の
家庭用品の安全のための
規制法案にいたしましても、これはあと追い行政ではないかという御指摘でございますが、確かに先生御指摘のとおり、
食品衛生法の添加物の取り締まりのごとく原則禁止、いわゆるポジティブリストによって
規制していくということが理想であろうかと思います。私どもが今回御審議をお願いしております法案、これを見ますと、そういうふうな欠陥の御指摘があろうかと思いますが、やはり全般的な本国会に
提出しております法案の中身というものとの関連あるいは過去の公害国会等でもっていろいろ御審議願い、成立したほかの
法律との関連、そういったものもお考えいただきたいと思います。
私どもは今回ネガティブリスト方式をとりました。これは
家庭用品に使われております
化学物質によって起こされるであろう健康
障害というものを、ほかのすでに
法律で
規制されております
化学物質による健康
障害というものと比べた場合、これは実態で申すわけでございますが、いままで取り締まりが行なわれていなかったということは、比較的軽微なものであったということもあると思います。
それから、それこそあと追い行政そのものではないかという御指摘になるわけでございますけれども、現にすでに数多くの
物質が数多くの
家庭用品に使われておるという段階でございます。私どもはそのすべてをとらまえて、一つの
基準をつくっていくということをなすべきであったかもしれませんけれども、それまでにはやはりかなりの時日を要します。しかしながら事態は、急速にこういった問題に対する
国民の関心も高まっておりますし、また
環境汚染という問題を考えますと、それこそ急速に手を打つ必要があるというふうに私どもとしては考えたわけでございます。とりあえずはネガティブリストで出発いたします。しかしながら、これを急速に広げまして、ポジティブリストで事実上
食品衛生法における
食品添加物の取り締まりのごとく、できるだけ早い機会になしていきたい。
さらには、他方に私どもは期待いたしまして、たとえば
通産省のいま提案されておる
化学物質の審査、
製造規制法案でございますか、そういったものによって新
製品に対する事前チェックをしていくということに期待し、さらには今後の問題として、すべての新しい
化学物質を
製造する、あるいは工業化するという場合に、いわゆるテクノロジーアセスメントの手法を取り入れまして、事前に十分
人体への影響はもちろん、子孫への影響というものもチェックいたしまして、こういったものは一切
製造はまかりならぬといったような
体制まで進めていくということでもって、早急に万全の
体制を整えるように、なお努力したいと思っております。
それから、検査
体制あるいは監視
体制への御指摘でございます。
これは確かに
寺前委員御指摘のとおりで、われわれも過去におきまして、それなりの努力はしてきたつもりでおりますけれども、率直に申しまして、いまだ不十分でございます。これは
齋藤現
大臣が御就任以来、強くこの問題について心配されまして、先ほども
大臣の御答弁の中にもありましたように、すでに省内で検査
体制全般について、これは
厚生省のみでなく、厚生行政として関連しております全国的な
分野におきまして、いかにしていまの検査
体制、監視
体制というものを強化
拡充していくかということをテーマといたしまして、プロジェクトチームを結成したわけでございます。
御指摘のように監視と申しましても、まさに科学的なデータに基づく監視でなくてはならないわけでございまして、それをバックアップするものは申すまでもなく試験検査機関でございます。これは地方におきましては地方の衛生
研究所、さらには保健所の検査室ということに相なろうと思います。また中央におきましては、国立衛生試験所が中心となってその他の
研究機関があるわけでございます。
まず、プロジェクトチームで一応中間的に取りまとめた意見でございますが、これらの既存の
研究機関を、国立衛生試験所を中心といたしまして
一つのナショナルネットワークといったような形でもって相互に有機的に関連づける。それに必要な国立衛生試験所の技術者の確保あるいは機構の改革あるいは予算の
拡充といったようなことについては、来年度の予算でもって
厚生省の施策のうちの一つの大きな柱として立ち向かう。それから地方の衛生
研究所におきまして、これはいままでの財政援助というものは不十分でございましたが、こういった新しい発想
方法からどのようにこれを予算的に援助していくかということについても、一つの大きな宿題として立ち向かっていこう。さらには、保健所の試験検査室をいわば地方衛生
研究所の一つの事実上の出先の機関として活用できないかといったことも含めまして、さらに必要な人員の確保あるいは職員の研修というものも含めまして、先ほど中間報告をまとめたところ
でございます。
また、
家庭用品の取り締まりにつきましては来年度から実施が予定されるわけでございますが、さしあたりは自治省とも御相談いたしまして、新たに
家庭用品の衛生監視員制度を設けまして、これによって実施していきたいと考えております。
しかしながら、実際上の問題として、ただいま現に任命されております
食品衛生監視員あるいは
環境衛生監視員等々との重複等もあって、なかなか思うように人が得られないのじゃないかという御指摘であろうかと思いますが、先ほども申しましたように、検査
体制の抜本的な整備
拡充ということの一環といたしまして、私どもはその方面の技術者の確保ということについては努力をしてまいりたいと考えております。
衛生試験所、それから地方衛生
研究所、これらは御質問では別々に聞いておられますが、このようなことでありますので、ナショナルネットワークとして考えるということでもって一本化してお答えした次第でございます。