○
渡邊(健)
政府委員 業務上
災害あるいは
業務上め
疾病と申しますのは、
業務に起因して生じました
災害なり
疾病であるわけでございまして、
業務中に起きたものがすべてそれは
業務上ということになるわけではございませんので、したがって、
業務中に起きたものは一応
業務上だとして、
業務上でないという反証をあげない限りということにすることは困難であろうと存じます。しかしながら、先ほども申し上げましたとおり、問題はその立証が
労働者に非常に
負担にならないようになれば、それで
保護については欠けることがないわけでございます。現在も非常にむずかしい
疾病等につきましては、専門医の診断を受ける等々のために時間を要することがございますけれども、全体として申しますと全部がそう長くかかっておるわけではありません。休業
補償の場合等でございますと平均して二十日以内くらいに認定がされ、請求ができるようにされておるわけでございまして、全部が長くかかっておるわけではございません。やはり医学的に非常に判断がむずかしいものがそうなっておるわけでございます。そういう職業病のような場合でございますと、たとえば当該職務を離れてからいろいろ出る場合もございますし、では職務を離れた場合などは、その推定をどうするかといったような、
使用者の反証云々と申しましても、どうするのかという問題もあるわけでございますので、反証をあげない限り
業務中に起きたものはという
考えですべてのものが解決するというのではなくて、むしろそういう場合でございますと、
業務から離れて
あとから出た場合にどうなるかという問題があるわけでございます。したがいまして、全体を通じてスムーズにやる道は、一応は
業務との関連性は本人が一番御承知なわけでございますから、それについて
労働者が主張されるような主張を疎明として出していただいて、そして
労働者自身ではそれ以上の立証が困難な場合には監督署が専門的な立場から
事情を十分積極的に調査する、あるいは審査官が職権に基づいて関連した、ここが問題だと思う点を積極的に調査する。そういうことによってその間の
事情を解明し、すみやかに認定するというふうにいたしてまいりますならば、決して
労働者の
保護に欠けることはないのではないかと思います。
なお、そういう点についてできるだけそういう判定がスムーズにいきますように、問題のある職業病その他につきましては、私ども逐次専門家の御
意見を聞いて認定
基準等をつくりまして、こういう点で認定されるのだということを明確にあらかじめしておきますれば、たとえば医者が診断書をお書きになる場合に、それらの認定
基準上のそれぞれのポイントについてはどうであるというようなことを診断書に、お書きになるわけでございます。
労災の指定医等はそれらの認定
基準を十分承知してございますので、指定医が診断書を書かれた場合には、そういう認定
基準上の問題点についての医証をお書きになるわけでございますので、そういうことによって認定を一そうスムーズにすることができると思っております。そういうことで逐次認定
基準の整備をいろいろな
疾病についてつくりますとともに、一たんつくりましたものにつきましても、その後の医学の進歩あるいは社会的な諸
事情の
変化によって逐次再検討して、常に合理的な認定
基準をつくっていく、こういうようにつとめております。