○国松
説明員 いま先生から御
質問がありましたことについてお答えを申し上げます。
まず幼児段階の教育の問題でございますが、私どものほうで考えますことは、養護学校の幼稚部で教育をするという問題と、それからもう
一つは幼稚園等におきまして教育をするという問題と二つございます。それぞれ
障害の程度等に応じまして、より適当なところで教育をするというふうな就学する場所の判断等が必要なわけでございますが、一応養護学校の幼稚部というものにつきましても、設置を奨励するということで
補助金等も組んでおります。
しかしながら、先ほどおっしゃいましたように、現在まだ義務教育段階でも未就学のものが多くて、養護学校の増設を呼びかけておるところでございますので、幼稚部のものも設置するようにということで言っておりますが、全国的な数といたしましてはまだわずかということになっております。それから幼稚園のほうも、幼稚園全体がまだ数が不足いたしておりますので、なかなかこういうふうに
障害のあるお子さんを受け入れるというふうなところまで行っていない。中には特に
障害児だけを受け入れて幼稚園を経営するというふうなことでやっていただいておる幼稚園もございます。そういうところに私どものほうはいわば文部省の実験学校というふうなことでいろいろ幼児段階の教育方法等も研究をいたしてもらっておるわけでございますけれども、そういうふうなところを指定いたしまして、その波及的
効果をねらうというふうなことをやっております。しかしながら幼稚園のほうも、最初に申し上げましたように、絶対数が不足なものですから、まだまだ普及しておらないというふうなことで、私どものほうも残念に思っておりますが、一生懸命に旗を振っておるというような段階でございます。
それから未就学児でございますが、学校教育法の
制度の中に、就学猶予免除という
制度がございますが、その
制度で就学猶予免除を受けております児童生徒の数は二万一千六百六十三人という数字を指定統計で押えております。そのうち先生のお話のありました精神薄弱の子供は一万二千四十六人というような数字になっております。これも全く療養専一とかいうふうなことでやむを得ない者はさることながら、やはり教育の場がないというようなことで、もしそういうことになっているならば、たいへん遺憾である、先生御
承知かと思いますけれども、養護学校がまだ義務教育制になっておりませんので、早くそれだけの学校をつくりまして義務制にしたいということで、
補助金等も上げまして地方公共団体に呼びかけておるところでございます。養護学校ができますことによってこの数がだんだん減っていくというふうに私ども期待をいたしておるわけでございます。
それから義務教育段階を終わりましたあとの教育でございますが、養護学校に高等部を設けるということもございますし、それから職業訓練所のようなところにも行くというようなこともございます。あるいは中学部段階を終わっただけで、就職するというような方もあるわけでございますけれども、私どものほうの当面の所管としては、養護学校の高等部を増設するというようなことで、これも幼稚部と同じようなことで
補助金その他の助成措置を講じております。しかしながら、これもやはり義務教育段階がまだ十分でないというようなことがまず当面の問題になっておりまして、高等部までも及んでおらないというようなことでございます。数でいいますと、精神薄弱の高等部段階、養護学校の高等部に就学しておる者は全国で千九百四十八人というような数字がございますけれども、まだまだ数が不足しておるというふうに私どもは
承知をいたしております。
次に、先生申されました職業指導というような問題も、あわせて高等部の職業教育課程をどうするか、それから職業訓練所等の充実と相まって、義務教育段階を終わりました段階の子供についての職業指導をやっていかないといけないのではないかというふうに考えております。高等部に置かれます職業教育の学科というようなものは、なかなかこれが一番いいのだというふうなことになりませんで、やはりそれぞれの子供の状態に応じてやっていくことになろうかと思います。
現在の状態では工芸関係でありますとか、それから女子のほうでございますと、和洋裁のほうの関係というふうなものが多いわけでございますけれども、私どものほうとしては、なおこれがいい学科であるということであれば、そういう学科を設けることもいいのではないかということで、養護学校でのそういう学科の開発といいますか、そういうことも研究課題としてお願いをしておるわけでございます。
それから最後に特殊学級という名称でございますが、これは学校教育法の中で、こういうふうに
障害のありますお子さんのためには、たとえば学級編成というようなものも、
障害のないお子さんの学級編成よりも少ない人数で編成しなければなかなか行き届かないというようなこともございますし、それから教育内容につきましても、また特別の配慮をしなければいけないというふうなことがございまして、
制度上ある種の配慮をしなければいけないというふうなことで、こういう特殊学級というふうな名前で、いわば濃密な配慮をするということで
制度上こういうふうにいたしておるわけでございます。
これは
制度上は結局取り出してものをいわなければいけませんのでこういう名前になっておりますが、先生もお話ありましたように、現場ではいろいろ担任の先生の名前をつけるとか、あるいは花の名前をつけるとかいうことで、そういうふうな名前の学級になっておるわけでございます。ただ特殊学級というふうな名前が、それにしても、やはりいろいろ人々の受け取る問題として問題であるというふうなことがいわれておりますので、これはいい名前があれば、いずれまた法律
改正その他のときもあろうかと思いますが、そういうときにはあわせて
検討しなければならない問題というふうに私ども
承知をいたしております。
ただ名前の問題につきましては、どういう名前をつけましても、一応やはりこれは特別の配慮をしなければいけないんだということで取り出さないといけないというふうな問題がありますために、結局どういう名前をとることがいいかというよりも、そういう名前をとったとしても、社会の人々がそれを何か特別な目で見るというふうなことであってはならないということで、一般社会におきます啓発ということを十分考えていかなければならないんじゃないかということで、それぞれいろいろな
機会にそういうことを申し上げておるわけでございます。
以上先生のほうのことにとりあえずお答えいたしました。