○大橋(敏)
委員 実は昨日内閣と文教で強行採決が行なわれたことは御承知と思いますが、わが
委員会も行なわれるのではないかというもっぱらのうわさでございましたけれ
ども、
委員長さんの崇高な政治的責任感そして判断によりまして、ついにそういう議会制民主主義を踏みにじるような暴挙には出ずに終わって、きょうこのように整斉と審議できましたことを非常にうれしく思う一人でございます。
いまから、与えられた時間、問題の健康保険に関連いたしましていろいろとお尋ねをしてみたいと思います。
まず初めに、申し上げるまでもないのですけれ
ども、この世の中で最もとうといものは何かといえば、人命に過ぎるものはない、人の命ほどとうといものはないと私は思います。
さて、人間がこの世に生をうけますと、好むと好まざるとにかかわらず、年をとっていかなければならぬわけです。どのようにすばらしい人であろうとも、若くてきれいな人であろうとも、だんだんと年をとっていけば、しわも出、いわゆるおじいちゃま、おばあちゃまになるわけであります。そしてその一生の間にほとんどの者が病をします。病気にかかります。そして最終的には死というものを迎えるわけであります。いわゆる生老病死というものは、生まれた者は必ずその法則に従わざるを得ない。そこで、その一生の間にいわゆる
医学、医術、
医療、そういうものにお世話にならざるを得ない。そういうことから、この
医療に対しましては当然
医療制度というものができ上がってきたわけでございます。そしてまたその一方におきましては、お医者さんも慈善事業ではないわけでありまして、当然そこには
経済的な問題がかかってきます。また、
医療を受ける側にいたしましても、当然そこには
経済的な負担がかかってくるわけでありまして、要するに、そういう面をとらえまして
医療保険制度ができ上がったと思うのであります。つまり、
医療制度という土台の上に
医療保険制度というビルが建てられた。御承知のように、昭和三十六年、国民皆保険体制が確立したわけでございますが、その土台の
医療制度が完全に整備されないまま
医療保険制度の皆保険体制がしかれたということは、ゆるやかな土台の上に高いビルが建てられたようなものでありまして、当然問題が起こってくるわけでございますが、いずれにいたしましても、この
医療というものは、人の命、健康をあずかる大仕事でございます。したがいまして、そこには
社会保障という精神に立脚した行政がなされなければならない、政策がとられなければならない。つまり、
医療保険制度といえ
ども、
医療保障制度というそういう基本的な考えに立った上での保険行政でなければならない、私はこう思うのであります。
ところが、現在の
医療制度、
医療界をながめてまいりますと、保険あって
医療なしといわれております。まことに残念なことでございますけれ
ども、保険が強制的に加入させられて保険料を取られる。しかしながら、いまだに無医村があり、無医地区がある。そのほかいろいろあるわけでございますが、いずれにいたしましても、保険あって
医療なしといわれる実態、要するに、
医療保険制度にさまざまな欠陥、問題点がある。これを立て直さない限りはこの
保障制度もうまくいかない。特に保険の中では保険財政が問題になってきているわけでございますが、うまくいかないということでございます。
そこで、抜本的改正の問題がここ十数年前から叫ばれてきているわけでございますが、一体この抜本改正というのはいつごろまでに実現されるのであろうか。実は先般大阪の公聴会に参りまして、そのときに、公述人に、なぜこのような抜本対策がなされないのだろうか、御
意見をお伺いしたいということで二、三の方から
意見を述べていただいたわけですけれ
ども、こう言っていました。それぞれ医者の
立場、いわゆる
医療を施す側、あるいは
医療を受ける側、つまり支払う側、三者、いまおっしゃった三者ですね、その三者がそれぞれ、現在の
医療界の実態を深く理解して相協力し合っていかない限りはこれはまとまらぬのは当然だけれ
ども、それをリードしていくのは
厚生省なんだ。つまり、はっきり言えば
厚生大臣の政治力なんだ。もうここにかかっている。確かに抜本改正の中身というものはすでに審議会から表示されている。はっきりと示されている。それを
現実の上に、行政の面にあらわしていくかいかないかは、ひとえに
厚生大臣の政治力ないしはその内閣の力にかかっているんだという
意見が述べられておりました。私もなるほどと同感をしてきたものでございますけれ
ども、先ほど大臣は、きのうもそうおっしゃっていましたけれ
ども、今回はとりあえずこの
健康保険法の改正案で政管健保の保険財政の安定をはかって後に、次に抜本対策をやるのだ、こうおっしゃっておりましたけれ
ども、いっ抜本対策なるもの、いわゆる国民が期待いたしておりますような抜本改正はいつ行なわれるかということを最初にお尋ねしたいと存じます。