○寺前
委員 私、率直に言うてあげますよ。前の所沢は七人医者がおる。はっきり言って外科は一人だけですよ。この外科のお医者さんが二日に一ぺん宿直するということはできませんよね。七人の医者が、当直が一人だけということになると一週間に一ぺん当直なんです。一週間に一ぺんは常時とは言うわけにはいかぬ、そんなもの。そうすると、あとの六日間は通告しておる。看板だけは救急病院でございます。これは一体どういうことになるんです。私の町には救急病院があるから、事があったときはめんどうを見てもらえる、けっこうなこっちゃ。そういうふうに市民には見せておいて、実際には通告して、やれませんということが毎日連続のごとく起こっておって、たまに仕事をしてくれるということでしょう。これは看板に偽りありでしょう、正直いって。
これは私、重大問題だと思いますよ。
国民が一番不安なとき、日曜、祭日、夜間、万一の場合たよるべきところが、看板があるだけでも非常に大きなささえです。火事、どうですか。消防署があるということが持っているささえ、何もわれわれ火事を起こしてほしゅうないですよ。だけれ
ども、火事があった、ぼやがあった、消防が動く、そのことが持っている
意味は大きいと思いますよ。救急というのは、そういう性格と違いますか。しょっちゅうそんなものが起こってほしゅうないですよ、われわれは。だけれ
ども万一の場合に、あの消防署と同じようにいつでも安心して世話をしてもらうところがあるということが重要な要件なんです。そのことが常時という問題の性格の中にあるわけでしょう。常にベッドをあけてあるということは、そのことを
意味しているんでしょう。ところが、七日のうち一日だ。これは体制ありますということになりますか、あなた、正直いって。
私は、こんなことで、救急病院の看板を掲げているということに対して責任を持ってもらいたいと思うのです。しかもそれが国立の病院の話なんですよ。一番責任を持たんならぬところです。ぼくはおかしいと思うのは、一般病院が救急病院になって責任を持てということは、これはそちらのほうが無理が多いと思うのですよ。国や公立の病院というのは、みずから背負ってでもやらなければならない一番大事な仕事になってきていると思うのですよ。ところが、そこが看板に偽りありでは、私はこんな大きな責任のある話はないと思いますよ、ほんとうのところ。そこを率直に反省せないかぬと私は言うのです。
そこで、次に聞きたい。きょう朝、新聞を見ておったら、救急病院についての救急
医療の現況概要が載っていました。さっそくそれをわしにもくれというて持ってきてもろうた。さっと持ってきたんで、私読むひまがないんであれなんだけれ
ども、新聞にはしかし整理して書いてある。新聞が間違いなかったら、おそらくこれはそのことを書いておるのだろうと思う。あれを見ておったら、これまた正直いって、ぞっとする。私はすぐにそれがほしいと思ったのには
理由がある。
それは「病院」という本がある。その「病院」という本に大内正夫という人が救急
医療センターの実態についての論文を書いておられます。四十七年の十月号です。これは済生会神奈川県病院・神奈川県交通救急センター院長さんです。前にテレビでも、この人が神奈川県のやつをやっておったから、たまたま私それをまた関心を持って見ておったんです。それで、これが出たもんだから、それをよく読んでおったわけです。
これを読むと、ここは救急を一生懸命非常によくやっているところなんです。
全国にアンケートを出したんだね。
厚生省が出している資料によって、救急
医療センターはどこで、救急病院はどこや、国公立がずっと
名前が発表されている。そこのところに全部アンケートを出したというんだ。そしたら、アンケートの回答が返ってきたら、その回答にたいへんなことが書いてある。回答があったのは
全国百十一カ所、その主力は国立及び県立などの自治体立で、その約半数の五十五施設から回答が来た。
「まず驚いたことにはこの回答中「一般の救急告示
医療機関でセンター的のものではない」「構想あるも
実施せず」「一般リハビリ病院で救急はやらない」などの返事をいただいたものが相当数あったことである。」指定病院に出したんですよ。指定しているところに出したら、その回答が、わしのとこ違いますでというやつが返ってきたと書いてある。それの統計が書いてある。「一般の救急告示
医療機関でセンター的のものではない」と書いてあるのが、センターやと
厚生省に聞いたのに、国立の場合、四つのところは違いますという返事が来た。
準備建設中やというもの
一つで、合計国立
関係で五つか、それこそ
厚生省が言っているようにはなっていないというのが、実態として報告の中から返ってくる。
それからずっとあとを読んでいきますと、「センター標榜三十七施設中医師一人当直が五か所、看護婦一人のところが七施設もあった。たとえば某国立(一般病床二百九十、救急ベッド十床)で親病院と兼務で、医一・看一、計五名のところがあり、あるいは自治体立で医一・看一、計六名の兼務当直のところがあった。」というふうにずっと状況が書いてあって、救急
医療センターにおいては当然相当数であるべきはずであるのに、実際には五床以下という救急病床や、はなはだしいのは病床がゼロのところが十二施設もあった。「しかもこれか大
部分国立や自治体立である。」と書いてある。国立や自治体立で先ほどの
お話にあったようにベットをあけておかなければならぬと書いてあるのに、ゼロのところが十二施設もあったと出ている。これは大
部分が国立で自治体立も含むというんだから、そのうち何ぼか知りませんけれ
ども、そういう
数字が出てくる。
ところが、私はなるほどなと思ってこれを見ておったところが、きょうの朝の新聞、すなわち、あなたたちが調べられたところの救急病院の実態表、これを見たら当直医が一人というところがざあっと出てくるでしょう。たとえば、これは話が変わりますけれ
ども、さっきの所沢の病院について、合併して、新しい体制では医者はこうこうこういうふうにやりましたと言ってさっき報告しておられた。だけれ
ども、直接あの病院で聞いてみたら、実際にはどういう配置になっているんだということで聞いてみたら、お医者さんの数は二十七人おられて、診療科目十七科目、そのうち脳外科が二人、整形外科二人、一般外科二人の計六人おるけれ
ども、当直医体制は一人。四百ベッドあるんだってね。内部の患者さんをその当直医がめんどう見ぬといて、救急体制でございますというわけにいかぬと言うてます。ほんとうに救急医体制のかまえになっていると言えますか、あなた。
私、朝聞いたんだよ。あなたのところから資料を持ってきてもろうて、その後どうなっていると心配だから聞いてみたんだ、少なくともあそこは
改善したじゃろうと思うて。そうしたら外科のお医者さんはようけなった。これはよかったなあ。それではそういうふうに当直医体制になっているのか。なんと当直医体制を聞いてみたら、またもとのもくあみだよ。そうじゃないんだ、やっぱし。それでは内部の体制を保障する体制にしかなりません。救急病院として責任を負う体制、やはり救急病院というのはそれなりに、消防署が火事がなかっても消防自動車を置いて、火を消す人が、司令もおればその他の人も火事がなかったっておらなあかぬで、あれは。同じように、救急病院というのは病人が発生しても発生しなくてもおらなあかぬのや。それでこそ責任ある体制というものだ。ベッドもあけておかないかぬ、それでこそ安心だ、そういう性格なんだ。ところが国立病院を調べてみたら、そういう調子でしょう。大
部分が依然として宿直医は半分ほどは一人や言うんや。これでは私は保障にならぬだろうと思う。
それから、あなたたちの資料によると、専用病床を持っていないという回答をしておるところがあの資料から見るとやっぱしあるじゃないですか。あるでしょう。これは一体どうなっているんだろうか。それでいて、国立でベッドも
準備せぬといて。これは基準から言うたら、いけないのはわかっておるし、基準からだけじゃないですよ、かまえの面から見ても看板に偽りありという体制だ。
しかも驚いたことに二、三日前に、ガンの病院の問題で、あの新聞から一斉にスローモーションの
批判を受けた。ところが、この調査はいつや言うたら、相変わらずやっぱしこれも一昨年の暮れにやっている。これもいままで何しておったんだ。救急問題なんというのは、こんなものはほんとうにしょっちゅう知っとらなければならぬ話だと私は思うのですよ、ほんとうのところ。毎年ちゃんときちんと握っておって、問題をきちっと明らかにしておかなければならない性格のものやと思うのですよ。
私はそういうふうに見るときに、現在都道府県で救急体制をとらなければならぬというのは消防法上ありますね、指定部市というのが。そういう指定をする都市があるでしょう。その指定している市町村の中の一体今度は病院を持っていないところ、これは別のものなんですね。あれはおかしなものですね、消防法で都市指定をやって、病院体制はまた別なんですね。あれはおかしなものだと私は思うのですよ。一貫すべきだと思う。ところが、この救急体制をとりなさいという指定をしておるところで、病院体制をそこの中に持っていないところ、一体どれだけあるんですか、ちょっと聞かしてください。