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石母田委員 私は、いまの答弁によって大体明らかになったと思いますけれども、民間のバースが横浜だけでなくて
全国の傾向からいってもふえて、そして横浜でいいますと百二十二バース。こういうところが、今度
港湾運送事業法の改正がもしなされる、その方向であれば、いまの
港湾運送事業者でなくても、つまり免許を持たなくても、あるいはそこの承諾を一つの
条件として
港湾運送事業をやれる。そうしますと、いままでの
港湾運送事業者、そこで働いていた人々というのは、極端にいえば使わなくてもいい。使わなければならぬといういまの
港湾運送事業法ははずれるわけです。
それから私がおそれるのは、いまの公共埠頭の中でもだんだん専用貸しの状況が進んでいって、これまでも特定
港湾というふうに指定されるようになったら、港の三分の二以上のところでは何もいままでの
港湾運送事業者、中間業者を使わなくてもいいんだ、こういう状況が実際に出てくる。そうでなくとも、荷扱い量はふえても職域はだんだん狭くなっている。こういう実態の中で、在来の
港湾運送事業者と
港湾運送労働者がやれる範囲というものは非常に狭くなる。また狭くするかどうかは、この管理主宰者といわれる荷主とか船社の手に握られるわけです。そういうことになりますと、これは
港湾の労働者にとっては重大な問題になります。もちろん
港湾運送事業者にとっても重大な問題でしょう。そこに国がこれを推進させるようにしているということが一番重大な問題だと思います。
いま公共性の問題で出されましたが、事実上の専用貸しが起きているということ、これはずいぶん論争したのです。やっときょう認めました。認めざるを得ない実態です。だれでも横浜の人は、あそこの郵船バースであるいは店社の専用のところで、
港湾労働者が便所に入ろうと思っても、公共の便所でも夜は入れない。あるいは昼間だって入ったら、おれたちが借りているんだからということで、ホースの水で追い出される。そういうように専用している。自分たちのものだと思っている。うちの船が着いた、うちの店だ、こう言っている。そういう実態になっている。
これが、あなたたちが二言目に言う自由競争、船社やあるいはそういうメーカーが自分で一生懸命やって、自由競争でそうなったというなら、まだ資本主義です。ところが、そうじゃない。第一次から第三次計画に至るまで、一兆九千五百億円というお金がこういう
港湾整備に出されている。あと五年間に五カ年計画で二兆一千億円、このお金を出すというのでしょう。このうち、あなたたちの
港湾局の発表によると、一兆五千五百億円が
港湾の整備の事業だ、こういうふうになっていまして、
昭和四十六年度から
昭和五十年度まで使う。そのうち国費が約八千億円、
港湾管理者つまり自治体が五千億円。それから財政投融資から八百五十億円。受益者つまりそういうものを使う船社とかメーカーが千五百億円、一割しか負担しない。八割以上が国や自治体つまり国民の税金です。そういうもので公共性だ。そして
港湾法の十三条には、公共埠頭というものは管理の面でも何人に対しても差別をしてはならない。こういうことで、公共性ということでたくさんの国費、それから住民の血税が投入されておる。しかし、できたものはそうやって三分の二、私の計算ですと四十一バースが指定方式。本牧などほとんど全部じゃないですか。優先指定方式、そして結果としては特定の船社や大資本に貸してしまう、使わしてしまう。その経済合理性が貫けるように、今度は
労働力を再編する。
われわれは逆です。人を土台にして、こういう地域にもいまの労働者をもっともっと使えるようにする。締め出されるのではなくて入っていく。そしてすべての労働者が登録をし、すべての労働者に対し、こういう
港湾利用者も含めて
雇用の責任を持たせる。ところが、いまの
港湾利用者は今度の法改正にだって入っていないでしょう。いま聞いたら、
港湾運送事業者が全部はなくならないかもしれないけれども——労働大臣はそんなことを言っておる。私も、
港湾運送事業者が全部なくなるかどうかわからぬけれども、しかしそういう
事態にある集まりの労働協会、事業者に、何でいまの
事態の中における労働者の
雇用の責任なんか負えるか。負えないような人たちの集まりなんです、労働協会というのは。しかも、国はあげて、いま
港湾運送事業法の全面的な改定ということで、そういう
近代化——先ほど読みましたからやりませんけれども、これはコンテナ埠頭だとかその他の民間の物資別の専用埠頭だとか、そしてそれに拍車をかけて、日本列島改造の計画だから、大車輪をかけて、これに重点を置いて
港湾のあれをやらなければならぬ、こういうふうにして、国はあげてそういう政策を推進しているわけですから、これはいまの運送業者や労働者の犠牲なくしてはできない。犠牲の上に立ってこの
近代化を進められている。決して自然にそうなったというんじゃないのです。国はあげて、金をやる、そうやって、
法律の問題でも権力を行使してやっているわけです。そのために、いま労働者がどんな劣悪な
条件に置かれて、大量の首切りがあるかもしれない。現実にどんどんはしけなんかやられている、関係業者の中でも倒産する人がふえている、こういう
事態の中で、こういう
港湾労働法を出したら一体どうなるかという問題です。私は、今回出された
港湾労働法の問題について、さらにそれをえぐり出していきたいというふうに思います。
そういう点で、
港湾の労働協会の構成の問題ですけれども、これは事業主によって構成されるわけですけれども、その事業主の中で、たとえば荷役関係とか、特に日雇い労働者を主として雇うというような業者に限られるのか、あるいはそれ以外の業者も入れるけれども、事実上入らなくてもいいのか、そういう構成についてちょっとお話し願いたいと思います。