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1973-05-08 第71回国会 衆議院 社会労働委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年五月八日(火曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 田川 誠一君    理事 伊東 正義君 理事 塩谷 一夫君    理事 竹内 黎一君 理事 橋本龍太郎君    理事 山下 徳夫君 理事 川俣健二郎君    理事 八木 一男君 理事 寺前  巖君       小沢 辰男君    加藤 紘一君       粕谷  茂君    瓦   力君       小林 正巳君    斉藤滋与史君       志賀  節君    住  栄作君       田中  覚君    高橋 千寿君       戸井田三郎君    登坂重次郎君       中村 拓道君    羽生田 進君       増岡 博之君    粟山 ひで君       枝村 要作君    金子 みつ君       島本 虎三君    田口 一男君       田邊  誠君    多賀谷真稔君       村山 富市君    山本 政弘君       石母田 達君    田中美智子君       大橋 敏雄君    坂口  力君       小宮 武喜君    和田 耕作君  出席国務大臣         労 働 大 臣 加藤常太郎君  出席政府委員         運輸省船員局長 丸居 幹一君         運輸省港湾局長 岡部  保君         労働省労働基準         局長      渡邊 健二君         労働省職業安定         局長      道正 邦彦君         労働省職業安定         局審議官    中原  晁君  委員外出席者         運輸省港湾局参         事官      高橋 全吉君         運輸省港湾局港         政課長     岡田 専治君         社会労働委員会         調査室長    濱中雄太郎君     ――――――――――――― 五月一日  社会保険診療報酬引上げ及び健康保険制度改  善に関する請願佐野進紹介)(第三四二〇号)  同(小林政子紹介)(第三五六三号)  同(石母田達紹介)(第三六一四号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第三六一五号)  同(加藤清政紹介)(第三六一六号)  同(高沢寅男紹介)(第三六一七号)  同(伏木和雄紹介)(第三六一八号)  医療保険制度改革に関する請願辻原弘市君  紹介)(第三四二一号)  生活できる年金制度確立等に関する請願(金  瀬俊雄紹介)(第三四二三号)  同(川俣健二郎紹介)(第三四二四号)  同(久保田鶴松紹介)(第三四二五号)  同(下平正一紹介)(第三四二六号)  同(田中武夫紹介)(第三四二七号)  同(辻原弘市君紹介)(第三四二八号)  同(三浦久紹介)(第三四二九号)  同(横路孝弘紹介)(第三四三〇号)  同外一件(吉田法晴紹介)(第三四三一号)  同(井岡大治紹介)(第三四六六号)  同(井上普方紹介)(第三四六七号)  同(川俣健二郎紹介)(第三四六八号)  同(上坂昇紹介)(第三四六九号)  同(佐藤観樹紹介)(第三四七〇号)  同(下平正一紹介)(第三四七一号)  同(楢崎弥之助紹介)(第三四七二号)  同(古川喜一紹介)(第三四七三号)  同外一件(三宅正一紹介)(第三四七四号)  同(新井彬之君紹介)(第三五五三号)  同(北側義一紹介)(第三五五四号)  同(瀬崎博義紹介)(第三五五五号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第三五五六号)  同(高橋繁紹介)(第三五五七号)  同(広瀬秀吉紹介)(第三五五八号)  同外一件(村上弘紹介)(第三五五九号)  同(小川省吾紹介)(第三六三四号)  同(加藤清政紹介)(第三六三五号)  同(佐野憲治紹介)(第三六三六号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第三六三七号)  同(田口一男紹介)(第三六三八号)  同(土井たか子紹介)(第三六三九号)  同外一件(福岡義登紹介)(第三六四〇号)  同(村山富市紹介)(第三六四一号)  同外一件(八木一男紹介)(第三六四二号)  同(山崎始男紹介)(第三六四三号)  同(山本幸一紹介)(第三六四四号)  同(米内山義一郎紹介)(第三六四五号)  同(渡辺三郎紹介)(第三六四六号)  同(荒木宏紹介)(第三六四七号)  同(石母田達紹介)(第三六四八号)  同(諫山博紹介)(第三六四九号)  同(梅田勝紹介)(第三六五〇号)  同(金子満広紹介)(第三六五一号)  同(神崎敏雄紹介)(第三六五二号)  同(木下元二紹介)(第三六五三号)  同(栗田翠紹介)(第三六五四号)  同(小林政子紹介)(第三六五五号)  同(紺野与次郎紹介)(第三六五六号)  同(柴田睦夫紹介)(第三六五七号)  同(庄司幸助紹介)(第三六五八号)  同(瀬崎博義紹介)(第三六五九号)  同(田代文久紹介)(第三六六〇号)  同(田中美智子紹介)(第三六六一号)  同(多田光雄紹介)(第三六六二号)  同(津金佑近君紹介)(第三六六三号)  同(土橋一吉紹介)(第三六六四号)  同(中川利三郎紹介)(第三六六五号)  同(中島武敏紹介)(第三六六六号)  同(中路雅弘紹介)(第三六六七号)  同(林百郎君紹介)(第三六六八号)  同(平田藤吉紹介)(第三六六九号)  同(増本一彦紹介)(第三六七〇号)  同(松本善明紹介)(第三六七一号)  同(三浦久紹介)(第三六七二号)  同(山原健二郎紹介)(第三六七三号)  同(米原昶紹介)(第三六七四号)  同(浦井洋紹介)(第三六七五号)  健康保険法等の一部を改正する法律案反対等に  関する請願井岡大治紹介)(第三四三二号)  同外一件(板川正吾紹介)(第三四八五号)  同(馬場昇紹介)(第三四八六号)  同(米内山義一郎紹介)(第三四八七号)  同(渡辺惣蔵紹介)(第三四八八号)  同(荒木宏紹介)(第三四八九号)  同(浦井洋紹介)(第三四九〇号)  同(神崎敏雄紹介)(第三四九一号)  同(木下元二紹介)(第三四九二号)  同(三谷秀治紹介)(第三四九三号)  同(村上弘紹介)(第三四九四号)  同(有島重武君紹介)(第三五三二号)  同(大野潔紹介)(第三五三三号)  同(渡部一郎紹介)(第三五三四号)  同外一件(小川省吾紹介)(第三六一九号)  同(加藤清政紹介)(第三六二〇号)  同(佐藤観樹紹介)(第三六二一号)  同(竹入義勝紹介)(第三六二二号)  同外一件(土井たか子紹介)(第三六二三号)  同(中村茂紹介)(第三六二四号)  同(馬場昇紹介)(第三六二五号)  同(伏木和雄紹介)(第三六二六号)  同(福岡義登紹介)(第三六二七号)  同(矢野絢也君紹介)(第三六二八号)  同(山本幸一紹介)(第三六二九号)  同(山崎始男紹介)(第三六三〇号)  同(山本弥之助紹介)(第三六三一号)  戦災被爆傷害者等援護に関する請願田中美  智子君紹介)(第三四三三号)  同(赤松勇紹介)(第三四七六号)  同(枝村要作紹介)(第三四七七号)  同(岡田哲児紹介)(第三四七八号)  同(田口一男紹介)(第三四七九号)  同(寺前巖紹介)(第三四八〇号)  同(山本政弘紹介)(第三四八一号)  同(竹入義勝紹介)(第三五六四号)  同(小林進紹介)(第三六〇九号)  同(田邊誠紹介)(第三六一〇号)  同(野坂浩賢紹介)(第三六一一号)  国民健康保険組合に対する国庫補助率引上げに  関する請願村山達雄紹介)(第三四七五号)  同(松本十郎紹介)(第三六〇七号)  老齢年金増額に関する請願石母田達紹介)  (第三四八二号)  同(田中美智子紹介)(第三四八三号)  同(寺前巖紹介)(第三四八四号)  同(寺前巖紹介)(第三五三九号)  同(瀬崎博義紹介)(第三六三二号)  同(中島武敏紹介)(第三六三三号)  スモン病患者援護に関する請願橋本龍太郎  君紹介)(第三四九五号)  厚生年金保険及び国民年金制度改善に関する  請願橋本龍太郎紹介)(第三四九六号)  喜多方労働基準監督署存続に関する請願(八田  貞義君紹介)(第三四九七号)  健康保険法等の一部を改正する法律案撤回に関  する請願広沢直樹紹介)(第三五三五号)  同(松尾信人紹介)(第三五三六号)  社会福祉施設労働者労働条件改善等に関する  請願北側義一紹介)(第三五三七号)  同外一件(広沢直樹紹介)(第三五三八号)  社会福祉の向上に関する請願神崎敏雄紹介)  (第三五四〇号)  建設国民健康保険組合に対する国庫負担増額に  関する請願安里積千代紹介)(第三五四一号)  同(新井彬之君紹介)(第三五四二号)  同(内海清紹介)(第三五四三号)  同外四件(大野潔紹介)(第三五四四号)  同外三件(河村勝紹介)(第三五四五号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第三五四六号)  同(広沢直樹紹介)(第三五四七号)  同(松尾信人紹介)(第三五四八号)  同外六件(松本忠助紹介)(第三五四九号)  同外四件(和田耕作紹介)(第三五五〇号)  中小業者医療保障制度確立等に関する請願  (新井彬之君紹介)(第三五五一号)  同(広沢直樹紹介)(第三五五二号)  父子家庭援護に関する請願木下元二紹介)  (第三五六〇号)  乳幼児医療費及びハシカの予防接種無料化に  関する請願東中光雄紹介)(第三五六一号)  保育所対策の拡充に関する請願村上弘紹介)  (第三五六二号)  保険診療経理士法制定に関する請願和田耕作  君紹介)(第三五六五号)  原爆被爆者援護法制定に関する請願外一件(塩  谷一夫君紹介)(第三六〇八号)  せき髄損傷者に対する労働者災害補償保険の給  付改善に関する請願野間友一紹介)(第三六  一二号)  労働災害以外によるせき髄損傷者援護に関す  る請願野間友一紹介)(第三六一三号)  北海道長万部町における失業保険金支給業務に  関する請願多田光雄紹介)(第三六七六号) 同月七日  医療保険制度改革に関する請願野間友一君  紹介)(第三七〇八号)  同(板川正吾紹介)(第三七九〇号)  同(江田三郎紹介)(第三七九一号)  同(加藤清政紹介)(第三七九二号)  同(加藤清二紹介)(第三七九三号)  同(上坂昇紹介)(第三七九四号)  同(清水徳松紹介)(第三七九五号)  同(高田富之紹介)(第三七九六号)  同(竹内猛紹介)(第三七九七号)  同(成田知巳紹介)(第三七九八号)  同(平林剛紹介)(第三七九九号)  同(古川喜一紹介)(第三八〇〇号)  同(堀昌雄紹介)(第三八〇一号)  同(武藤山治紹介)(第三八〇二号)  同(八百板正紹介)(第三八〇三号)  同(栗田翠紹介)(第三九三一号)  通勤途上交通災害労働者災害補償保険法適  用に関する請願外一件(木原実紹介)(第三七  〇九号)  同外二件(木原実紹介)(第三八〇五号)  全国産業一律最低賃金制法制化に関する請  願外一件(木原実紹介)(第三七一〇号)  同(木原実紹介)(第三八〇四号)  生活できる年金制度確立等に関する請願(阿  部未喜男紹介)(第三七一一号)  同外一件(大出俊紹介)(第三七一二号)  同(太田一夫紹介)(第三七一三号)  同(角屋堅次郎紹介)(第三七一四号)  同(木下元二紹介)(第三七一五号)  同(北側義一紹介)(第三七一六号)  同(柴田睦夫紹介)(第三七一七号)  同(庄司幸助紹介)(第三七一八号)  同(田口一男紹介)(第三七一九号)  同(田中武夫紹介)(第三七二〇号)  同(多賀谷真稔紹介)(第三七二一号)  同外一件(谷口善太郎紹介)(第三七二二号)  同(中川利三郎紹介)(第三七二三号)  同(林百郎君紹介)(第三七二四号)  同(細谷治嘉紹介)(第三七二五号)  同(増本一彦紹介)(第三七二六号)  同外一件(八木一男紹介)(第三七二七号)  同(山崎始男紹介)(第三七二八号)  同(和田貞夫紹介)(第三七二九号)  同(井岡大治紹介)(第三八一〇号)  同外一件(浦井洋紹介)(第三八一一号)  同(小川省吾紹介)(第三八一二号)  同外一件(大出俊紹介)(第三八一三号)  同(岡田夫君紹介)(第三八一四号)  同外一件(木下元二紹介)(第三八一五号)  同(小林政子紹介)(第三八一六号)  同(紺野与次郎紹介)(第三八一七号)  同(竹村幸雄紹介)(第三八一八号)  同(塚田庄平紹介)(第三八一九号)  同(土井たか子紹介)(第三八二〇号)  同(中川利三郎紹介)(第三八二一号)  同(成田知巳紹介)(第三八二二号)  同(長谷川正三紹介)(第三八二三号)  同(平田藤吉紹介)(第三八二四号)  同(松浦利尚君紹介)(第三八二五号)  同(松本善明紹介)(第三八二六号)  同(武藤山治紹介)(第三八二七号)  同(山崎始男紹介)(第三八二八号)  同(和田貞夫紹介)(第三八二九号)  同(金子満広紹介)(第三八五五号)  同(寺前巖紹介)(第三八五六号)  同(長谷川正三紹介)(第三八五七号)  同(山田芳治紹介)(第三八五八号)  戦災被爆傷害者等援護に関する請願太田一  夫君紹介)(第三七三〇号)  社会福祉施設労働者労働条件改善等に関する  請願北側義一紹介)(第三七三一号)  同外一件(坂口力紹介)(第三八六〇号)  乳幼児医療費無料化等に関する請願谷口善  太郎紹介)(第三七三二号)  健康保険法等の一部を改正する法律案反対等に  関する請願江田三郎紹介)(第三七三三号)  同(太田一夫紹介)(第三七三四号)  同(岡田哲児紹介)(第三七三五号)  同(角屋堅次郎紹介)(第三七三六号)  同(伏木和雄紹介)(第三七三七号)  同(古川喜一紹介)(第三七三八号)  同(松尾信人紹介)(第三七三九号)  同(和田貞夫紹介)(第三七四〇号)  同外一件(大出俊紹介)(第三七四一号)  同(勝澤芳雄紹介)(第三七八八号)  同(湯山勇紹介)(第三七八九号)  同(小川新一郎紹介)(第三八六五号)  薬局、薬店の経営安定に関する請願寺前巖君  紹介)(第三七五七号)  老齢年金増額に関する請願瀬野栄次郎紹介)  (第三七八二号)  国民健康保険組合に対する国庫補助率引上げに  関する請願小渕恵三紹介)(第三七八三号)  同(塩谷夫君紹介)(第三七八四号)  喜多方労働基準監督署存続に関する請願上坂  昇君紹介)(第三七八五号)  優生保護法改正反対等に関する請願田口一  男君紹介)(第三七八六号)  健康保険法等の一部を改正する法律案撤回に関  する請願松本忠助紹介)(第三七八七号)  社会保険診療報酬引上げ及び健康保険制度改  善に関する請願外九件(長谷川峻紹介)(第三  八〇六号)  同(平林剛紹介)(第三八〇七号)  同(松本忠助紹介)(第三八〇八号)  同(青柳盛雄紹介)(第三八六二号)  同(柴田睦夫紹介)(第三八六三号)  同(庄司幸助紹介)(第三八六四号)  社会保険診療報酬引上げ等医療制度改善に関  する請願津川武一紹介)(第三八〇九号)  中小業者医療保障制度確立等に関する請願  (坂口力紹介)(第三八五九号)  社会保険診療報酬引上げに関する請願坂口  力君紹介)(第三八六一号)  建設国民健康保険組合に対する国庫負担増額に  関する請願(阿部未喜男紹介)(第三八六六号)  同(井上泉紹介)(第三八六七号)  同(井上普方紹介)(第三八六八号)  同(石橋政嗣君紹介)(第三八六九号)  同(板川正吾紹介)(第三八七〇号)  同(稲葉誠一紹介)(第三八七一号)  同(小川省吾紹介)(第三八七二号)  同(大出俊紹介)(第三八七三号)  同(大柴滋夫君紹介)(第三八七四号)  同(太田一夫紹介)(第三八七五号)  同外四件(勝澤芳雄紹介)(第三八七六号)  同(金瀬俊雄紹介)(第三八七七号)  同(金子みつ紹介)(第三八七八号)  同(川崎寛治紹介)(第三八七九号)  同(木原実紹介)(第三八八〇号)  同(北山愛郎紹介)(第三八八一号)  同(久保田鶴松紹介)(第三八八二号)  同(小林進紹介)(第三八八三号)  同(神門至馬夫君紹介)(第三八八四号)  同(佐藤観樹紹介)(第三八八五号)  同(佐野進紹介)(第三八八六号)  同(斉藤正男紹介)(第三八八七号)  同(清水徳松紹介)(第三八八八号)  同(田邊誠紹介)(第三八八九号)  同(多賀谷真稔紹介)(第三八九〇号)  同(高田富之紹介)(第三八九一号)  同(竹村幸雄紹介)(第三八九二号)  同(土井たか子紹介)(第三八九三号)  同(中村重光紹介)(第三八九四号)  同(楢崎弥之助紹介)(第三八九五号)  同(長谷川正三紹介)(第三八九六号)  同(福岡義登紹介)(第三八九七号)  同(藤田高敏紹介)(第三八九八号)  同(細谷治嘉紹介)(第三八九九号)  同(森井忠良紹介)(第三九〇〇号)  同(村山喜一紹介)(第三九〇一号)  同(八百板正紹介)(第三九〇二号)  同外一件(八木一男紹介)(第三九〇三号)  同(山口鶴男紹介)(第三九〇四号)  同(山田芳治紹介)(第三九〇五号)  同(山中吾郎紹介)(第三九〇六号)  同(山本弥之助紹介)(第三九〇七号)  同(山本政弘紹介)(第三九〇八号)  同(湯山勇紹介)(第三九〇九号)  同(米内山義一郎紹介)(第三九一〇号)  同(和田貞夫紹介)(第三九一一号)  同(栗田翠紹介)(第三九一二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月一日  健康保険法等の一部を改正する法律案成立促  進に関する陳情書  (第二五九号)  国民健康保険事業費増額に関する陳情書外一件  (第二六〇号)  港湾労働法の一部を改正する法律案反対に関す  る陳情書  (第二六一号)  同外二百四十七件  (第三四〇号)  主婦の健康診断制度化に関する陳情書  (第二六二号)  健康保険法の一部改正反対に関する陳情書外六  件  (第二七八号)  同外九件(第  三三七号)  国民年金制度改善に関する陳情書  (第二八〇号)  老齢福祉年金支給月改正に関する陳情書  (第二八一号)  原子爆弾被爆者援護法早期制定に関する陳情  書(第  二八二号)  乳幼児医料費無料化に関する陳情書  (第二八三号)  建築国民健康保険組合の助成に関する陳情書  (第  二八五号)  季節労働者失業保険制度改善に関する陳情書  (第二八六号)  全国産業一律最低賃金制法制化に関する陳  情書(第二八七号)  社会福祉協議会活動強化に関する陳情書  (第二八八号)  白ろう病対策確立に関する陳情書  (第三三八号)  旧国立旭川療養所跡地国立難病センター設置  に関する陳情書  (第三三九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  港湾労働法の一部を改正する法律案内閣提出  第四〇号)      ――――◇―――――
  2. 田川誠一

    田川委員長 これより会議を開きます。  港湾労働法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  申し出がありますので、順次これを許します。田口一男君。
  3. 田口一男

    田口委員 まず局長のほうにお尋ねをしたいのですが、質問の第一は、御存じのように昭和四十一年七月に現港湾労働法ができて本法施行されたことを中心にして、四十一年七月以前、四十一年七月以降、その前後の港湾労働事情というものに一体どういう変化があったのか、その特徴的な問題を局長はどういうふうにつかんでいるか、まずそれをお聞きしたいと思うのです。
  4. 道正邦彦

    道正政府委員 四十一年に法律施行されましてからいろいろ紆余曲折がございましたけれども、全体として見ますならば、法施行前に比べまして港湾労働は非常に近代化され、民主化されたと思います。それから常用が促進されまして、施行当初一万五千人の日雇い登録労働者がおりましたけれども、これが現在までに約六千人常用化されております。そういうことで雇用の安定の面でも大きな貢献をしてまいっているというふうに考えております。
  5. 田口一男

    田口委員 いまお聞きをいたしますと、本法施行されたあとにいわゆる近代化民主化がされて雇用の安定ができた、こういうふうに言っておるのですが、この法律を新しくつくる際に当時の、これは石田国務大臣というのですから石田労働大臣だろうと思うのですが、こういう提案理由の説明をしておるわけです。「御承知のごとく、港湾海陸輸送連結点として、国際貿易その他国民経済にとって重要な地位を占めております。しかるに、わが国の港湾の実情を見ますと、その機能を果たすための必須の条件である港湾労働近代化は、欧米諸国に比し、また他産業に比較いたしましても、著しく立ちおくれており、雇用の不安定、労働災害の多発、福祉施設の未整備等事情にあるため必要な労働力が確保できず、港湾における荷役にしばしば渋滞を来たしているのが現状であり、このまま放置いたしますと、近い将来において、国民経済の発展に重大な障害を及ぼす」云々、こう言っておるのであります。こういった港湾複雑性特殊性のために従来ある職業安定法なり何なりの法律では十分律し切れない、だから港湾労働法というものをつくって、これの実効をあげるためにひとつがんばっていきたいという決意のほどを示しておるのですけれども、その実効の有無ということについて、もう一ぺん局長のほうからお聞きしたい。
  6. 道正邦彦

    道正政府委員 ただいまお読み上げになりましたように、法施行時点におきまする港湾労働現状というのはいろいろ問題があったわけでございます。で、このまま放置できないということで港湾労働法が制定されたわけでございます。問題はなおいろいろございますけれども、法施行前と法施行後を比べますならば、先ほど申し上げましたように、たとえば労使の話し合いあるいは組合組織化というようなこともかなり進展を見ておりますし、それから常用雇用進展もあったわけでございますので、法律施行によりましてそれなりの進歩が見られたものというふうに私どもとしては考えております。  ただ、数年間の法施行の経緯を踏まえまして、しかしなおこのままではいけないという意識が労使はじめ関係者の間に高まりまして、四十五年以降、一段と法律その他も拡充して新しい事態に即応すべきだということで、その骨子として、共同雇用理念に基づいて体制を立て直すべきである、あわせて、いろいろ問題のありまする直接雇用規制であるとかその他の規制も行なうべきであるということで関係者の間に意見の一致を見まして、建議もいただき、それに沿って法案を提出いたしておるわけでございますので、現行法それなり効果をあげたと思っておりまするが、数年の施行の状況を踏まえまして、新しい事態に即応してとるべき策を今回法案として御提案申し上げ、御審議いただいているというふうに考えている次第でございます。     〔委員長退席竹内(黎)委員長代理着席
  7. 田口一男

    田口委員 そうすると、現行法そのものそれなり効果はあげておるけれども、しかし昭和四十一年七月以降今日までのいろいろな港湾労働事情を考えた場合に、もっと実効をあげるような法体系というものをつくり直していかなければだめだ、いまの法律はそういう実情に合わないようになってきておるということなんですか。
  8. 道正邦彦

    道正政府委員 現行法それなり効果をあげてきている。しかし、事態進展に即応できない状況に立ち至っているということで、今回改正案を御提出申し上げておるわけでございます。  一例を申し上げますならば、繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、月間不就労が平均して十日以上になるという現状、せっかく法律をつくりまして、関係者一生懸命努力いたしたにもかかわらず、月の三分の一も不就労が出るというような実態、これは放置できないんじゃないか。そういう点についての問題意識、これは労使はじめ関係者共通の御認識だ。それで、そういう実態を踏まえてこれをどうやって改善するかということで、先般港湾調整審議会あるいは中央職業安定審議会に御審議いただいて、この点で法律改正その他をやれ、こういう御建議をいただいたわけでございます。その線に沿って今回御提案申し上げたという経過でございます。
  9. 田口一男

    田口委員 ちょっとこの論理がどうこうというか、私はあげ足をとろうとは思わぬですが、私が質問の第一にお聞きをしたように、四十一年七月に本法ができ、その前後の港湾労働事情を見た場合にはそれなりの進歩があった。それなりの進歩の具体的な中身としてやはり民主化近代化された。同時に雇用の安定ということで、一万五千人程度おったものがそのうちから六千人常用化されたというんですね。そういった雇用の安定化に現港湾労働法というものが相当役立っておると言いながら、ところがいま言われたように不就労がふえてきた。労働省からもらった資料によっても、昭和四十一年当時登録された日雇い労働者が大体三万人ですか。ところが現在では五千人を切れる。こうなってきた理由というものは——雇用が安定をしてきたということは、常用化されたら雇用が安定という単純な言い方ではなくて、この波動性のある日雇い労働者になお大きく依存をしなきゃならないといっているにもかかわらず、当時三万人おったものが現在その六分の一を切れておるじゃないですか。雇用の安定という面からいったら、日雇いが常用になったことをもって安定と言うならいざ知らず、三万人もおった者が六分の一に減ったということ自体、相当問題が何かあるのじゃないか。そこのところをどういうふうに見ておられるのですか。
  10. 道正邦彦

    道正政府委員 御指摘のように、法施行当初の定数が三万でございまして、登録労働者は一万五千人でございました。日雇い港湾労働者の定数をきめる場合には、港湾労働に必要な全労働力、これをはじきまして、そのうち常用が幾ら、日雇いが幾らというふうに分けるわけでございます。それで、法施行後、先ほど申し上げましたように、一万五千人程度登録日雇い労働者がおられたわけでございますけれども、現在までに約六千人が常用化されたわけでございます。これは法施行の際の衆議院の附帯決議にもございますように、常用化を大いに促進しろ、これを契機にやれという附帯決議をいただいておりますが、その線に沿ったもので、いままで日雇いという不安定な雇用労働者が常用化されたということは、それなりに評価すべきだろうと思います。そういうことで、全体の中の配分と申しますか、割り振りが常用化が比較的多くなり、日雇い労働者に依存する程度がそれなりに減ってきたということでございますので、当初一万五千人もいた者が現在五千人を切ったということの一事をもちまして、おかしいではないかという議論にはならないのじゃないかというふうに思うわけでございます。
  11. 田口一男

    田口委員 現在は五千人しかいない、当時に比べて相当減ったのは、そのことをもっておかしいじゃないかとは言えないと言われるのですが、これは昭和四十一年三月ごろに大阪の大阪港労働公共職業安定所、それから大阪府の労働部が、大阪の港に働く労働者に対してビラを配ったんですね。このビラを読んでみます。これはちょうど本法ができたときのビラですが、「四月から新たに登録制度になります。皆さん公共職業安定所に登録しましょう。新しく港湾労働法という法律により、これからは、公共職業安定所に登録した人でなければ、港湾荷役の日雇仕事に就労することはできなくなります。」というPRをしておるわけですね。そこで、あと四点ほど、登録をしたらこういうことになりますよという利点を、いい面をPRをしておるのですが、「港湾の仕事には公共職業安定所の紹介で働きましょう」そして、それ以外に雇い入れるのは禁止になるんだ、処罰されるんだ。それから、登録をした方は登録手帳の交付を受けましょう。その手帳を持っておったら、その人に適した港湾の仕事を優先して紹介をいたしましょう。それから、賃金、就労時間、仕事の内容など、条件のはっきりした職場に就労することができる。それからその次には、この手帳を持っておったら、安定所に出頭しても紹介されず、いわゆるあぶれたときには、一日最高八百円程度の手当を出しましょう。そのほか健康保険、労災保険、退職金、それから安い食事、入浴、そういった福祉施設も十分あります、だから「一人残らず安定所に登録しましょう。」というビラを相当大量に配っておるわけですね。ところが、六年たった今日、それほど大がかりに、こういう利点がありますよといってビラでPRをしておきながら、その一つ一つを現実と比較をした場合に、そのとおりになっておるのかどうか。これは港湾の労働者が直接言っておるのですが、登録をした人でなければ港湾の日雇い仕事に就労はできませんといっておきながら、手帳がなくたって現実に仕事をしておるじゃないか、手帳を持っていなくても、登録をしていなくても、じゃんじゃん就労をしておるじゃないか、これはうそだったと言っておる。それから職業安定所以外のものが、いま言った法第十六条で禁止されておるにもかかわらず、これは守られておるかどうか。これも港湾労働者のはだで感じた言い方をすれば、これもうそじゃないかと言っているんですね。やみ雇用がどんどんやられているじゃないか。それから、いま言った、その人に適した港湾の仕事に優先して就労させましょう、賃金や就労時間、仕事の内容がはっきりした職場に就労させましょう、こうこのビラではいっているにもかかわらず、六年たった今日も、まだトラブルが絶え間ない。これもうそじゃないかと言っているわけですよ。それから健康保険、労災保険、さらに退職金云々、こういった制度も考えられていますといっているけれども、健康保険なり退職金というものもごまかされておる、これもうそじゃないかと言っているわけです。まだほかにもいろいろと書いてあるのですけれども、結局、法制定当時にはじゃんじゃん、じゃんじゃんとPRしておきながら、このPRをした一つ一つの具体的事実はみんなうそじゃないかということを港湾労働者がはだで感じて、たいへん憤りを見せている。こういう事情からいって、一万五千人が五千人に減った、そのことをもってまずかった、どうこうという言い方はできないかもしれぬけれども、結局職業安定所というものは、まあいまの監督の状態からいったら府県の労働部だろうと思いますが、これは直接に労働省ですね、それが法律どおりにびしびしとやっていない。しかもトラブルの絶え間がない。しかも前近代的な雇用関係、こういったことから、みずから進んで港湾労働の仕事から離れていく。こういう状態が今日までの間に続いて、一万五千人もおったものが——それは中には常用化した者もあるでしょうけれども、大半が職場から離脱をするといいますか、離れていった。転職をする、こういう状態で人が減っていったのじゃないか、私はこういうふうに見るのですけれども、こういった具体的な事実を一体、特に監督の立場にある局長としてどう見られるのか。
  12. 道正邦彦

    道正政府委員 法律施行になりました当初、法律の仕組みその他メリット等について、必ずしもPRが行き届いておりませんでしたので、大阪に限らず、港湾を所管している県あるいは職業安定所におきましては、いろいろな手段でPRにつとめたわけでございます。  ただいま御指摘になりました大阪のビラの中身でございますが、手帳所持者、登録日雇い港湾労働者が優先的に雇用されるという、この点は法律の大原則でございますので、内容的には間違いないと思います。それから賃金、労働条件が明確な職場にあっせんされる、これもいままでに比べますればそういうことだろうと思います。ただし、賃金とか労働条件の中身そのものにつきましては、これは職業紹介機関も関連はないとは申しませんけれども、すぐれて労使関係できまってくる問題でございます。そういう点については、法施行前に比べますならば、労使が、法律施行になったことでもあるので、いままで以上に交渉を積み重ねて話し合いをしていこうという機運が醸成されたことも間違いない事実と思います。それから不就労のときに調整手当を出す、これも現に支給しているわけでございます。それから福祉施設についてでございますが、退職金の問題については労働省が直接所管するわけでございますけれども、中退金制度に加入していただいております。  途中で御指摘がございました十六条ただし書きの問題でございますが、現行法は、まず登録日雇い労働者を最優先にしてあっせんをする、これが第一順位でございます。なお求人を満たすことができないという場合には、安定所に来ております一般の日雇い労働者をあっせんする、これが第二順位でございます。現在の法制におきましては、なおかつ求人を充足できない場合には、一般の日雇いを雇うことができるという仕組みになっております。この辺に問題があることは御指摘のとおりでございますが、法施行の実績を踏まえまして判断いたしましたところ、一般の日雇いのあっせんということはなくても、登録日雇い労働者と職業安定所に出頭してきている一般の日雇いをもって求人は充足できるという、いままでの行政実績から確信が持てましたので、今回の改正案におきましては、原則といたしまして、いままでいろいろな問題がございました十六条ただし書きの規定は改正いたしまして、直接雇い入れば禁止するというふうに規制を強化しているわけでございます。いろいろ、当初の関係者の熱意、法律制定の趣旨等が、熱意にもかかわらず、必ずしも問題なしといたしません。先ほど言いましたように、いろいろ問題がある中であぶれが非常にふえている。これは放置できないということで今回改正案を御提出申し上げているという経緯でございます。
  13. 田口一男

    田口委員 私は、このビラにこだわるわけじゃないのですが、いま言った法十六条のただし書きとかどうとかということは、港湾労働に携わっておる労働者の諸君には失礼な言い方になりますけれども、そこまでは知らぬと思うのです。港湾労働法第十六条ただし書きにこういうことが書いてある、だから登録手帳を持っていなくても、そういう事情の場合には就労することもできるのだ、そういうことは現場で働いている労働者は知りません。このビラを見て知っておる。このビラには、一切がっさい登録した者以外の日雇い労働者は港では使えぬのだ。これに違反したものは処罰されますということをびしっとうたってある。港湾業者のほうも、安定所に登録した日雇い労働者を安定所の紹介によって雇い入れなければならないことになります。この一条だけを日雇い登録労働者は金科玉条のように信じておると思うのです。ところが現実は、局長いま認めたように、やみ雇用が絶えない。就労あっせんされた職場ではトラブルが絶えない。これはうそじゃないかという言い方をしても、労働者が無知だとか法律がこうなっていますということを言ったって、これは言うほうが無理だと思う。だから、こういう状態を解消するには法律を変えなければならぬというのは、ちょっと飛躍しているのではないか。だから、昭和四十一年三月ごろに出たこのビラのとおりに、職業安定所がPRしたこのビラのとおりに職場環境、雇用の安定というものをはかられれば、一〇〇%は無理だと思うのですけれども、大体職安の言ったことはうそじゃなかった、トラブルのない職場に就労させてもらえる、しかもあぶれた場合には手当がもらえる、健康保険もつける、こういう状態に執行していくのが行政の責任じゃないかと思います。  それがうまいこといかぬから、ひとつこの際法を改正しよう。これでは一体現場で働いておる労働者が、いまでさえ十分やってくれないのに、ここらのところをびしっと直すような法律改正ならば、これは納得できるけれども——あとでも私はお聞きしたいと思いますが、前に枝村委員が御質問したように、まあ平たいことばでいえば、そんなめんどうくさい港湾労働の仕事なんかおれたちはやりたくない、だから公権力をつけて一切港湾労働協会というものにまかせますよ。はっきり逃げの姿勢ですね。こんなうるさい複雑な仕事なんかやりたくないから、やみ雇用なんということを公のものにしていくためには、一切がっさい協会というものにまかせてしまって、労働省は手を引きましょう。こういうふうな考えを港湾労働者ははだで感じておるのですから、いま言った、いいことを言うけれども全部うそじゃないか、今度また改正しようといっても、とんでもないことになるのではないかという危惧を持つのは無理がないと思います。そういう点、大臣どのようにお考えですか。
  14. 道正邦彦

    道正政府委員 ただいま御指摘のビラの件でございますけれども、登録日雇い労働者が優先して雇用される、この原則は法律でも明記されておりますし、運用におきましてもそのとおり運用しているわけでございます。  問題は、求人がありまして、登録日雇い労働者で充足できない。その場合に、第二順位として安定所に出頭している一般の日雇い労働者をあっせんする。なおかつ充足できない場合に、第三順位として一般の日雇いを直接雇い入れることを法律として認めているわけでございます。したがって、十六条ただし書きがイコール違法だということには必ずしもならないわけでございます。  そういう制度をとっているから、ビラの趣旨と違うじゃないかということでございますけれども、順位がごちゃまぜでどれでもいいんだということであれば、直接雇い入れを優先して、結果的に第一順位であるべき登録日雇い労働者の就労の機会が狭められるということはございますけれども、順位ははっきりしているわけでございまして、なお求人を最終的に充足できない場合に、第三順位の一般日雇いの直接雇い入れを現行は認めているわけでございます。それはしかし従来の法施行の実績から見まして、そこまで認めなくても、安定所で掌握している一般日雇いをもって十二分に充足できるという確信のもとに、いままで認められております一般日雇いの直接雇い入れを原則として禁止するという法律改正を御提出申し上げているわけでございます。  いろいろ、私どものPRなり労使に対する呼びかけというものは、一生懸命やっているつもりでございますけれども、なお不十分な点があることはそのとおりだと思います。ただ現在は、登録日雇い労働者の皆さんは現行法のシステムはよく御承知になっておられると私は思いますし、問題の所在も御理解いただいているというふうに思っております。
  15. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 現行制度でもうまくいくのが当然でありますけれども、どうもそれがいまのビラのとおりにうまくいっておらないのは、やはり港湾関係で事業主また日雇い登録労働者、これがもう少し、完全な運営がうまくいっておらないことも局長からいろいろ話がありましたが、これもやみ雇用とか旧態依然たる港湾労働雇用関係が存在しておることも、多少これはあるのでございます。そういう意味で、今回特に従来の法を改正して、事業主も共同の責任を持つし、登録日雇い労働者もよく自分の立場を自覚して、そして港湾の——これがまあ普通の工場のように常用化がうまくいけばいいのでありますけれども、港湾労働は波動性の関係もありますので、だっと船が入ってくるとたくさん必要だというようないろいろな特殊な雇用関係でありますので、従来の例からいいますと、不就労の増大だとか、またときには余るとか、またときには港湾がふくそういたしますと、日雇い労働者も雇わなければならぬ、こういう意味で、もう少し現在の登録制を完全にするように、事業主も共同の責任を感じて、港湾荷役また労働者の立場も、福祉の増進とかいろいろな関係も十分責任を持たすという意味で、今回の法律の改正に踏み切ったのでありまして、従来のままでもいくのが当然でありますけれども、特に港湾日雇い労働者の範囲の拡大とか、また直接雇い入れの規制を強化いたしまして、従来の法律をなお一そうよくしたい、こういうのが今回改正の主眼であります。どうも従来からの港湾労働法に対して役所のほうで熱意がなかったというのでありますが、なお一そう港湾の実態を把握して、より以上の効果をあげたい、こういうのが今回の法案の提出の動機であります。
  16. 田口一男

    田口委員 ずばり言えば、大臣のお答え、それから局長のお答え聞いておると、六年、七年たって港湾労働者、いわゆる日雇いに限っていえば、港湾労働者のほうは本法の精神といいますか、そういうものは大体定着してきた。しかし港運業者のほうがどうにもまだわからずやが多いという印象を受けるのですね。港湾労働者は本法の精神は大体知ってくれた。いろいろなPRがきいて十分知ってくれたのだけれども、しかしそれを雇う港運業者のほうがなお理解が不十分だ、こういうふうにとれるのですよ。そこで、そういう理解も不十分だからこういった事実もあるのでしょうが、「港湾労働法第十六条関係立入検査実施状況」というのをおたくのほうで四十六年と四十七年、つくっているのですが、四十六年の七月から十二月までの違反件数、それから四十七年の一月から十二月までの違反件数、これを見ると、四十六年は半年ですから四十四件、四十七年は一年分ですから八十四件、減ってないんですね。いうならば横ばい。しかも、これはどこから出ておるか知りませんが、港湾特報の写しを見ますと、「日雇港湾労働者の職業紹介状況等」、これを毎月毎月発表しておるのですが、四十七年の十一月分を見ると、たとえば名古屋港安定所紹介が登録者三千三百九十で、登録外が百十六、直接雇い入れが一千三十一という数字なんです。四十七年の十一月ですよ。十二月の直接雇い入れが二千二十八、大体倍になっておるんです。それから一番新しい資料の四十八年二月分を見ても、名古屋だけ取り出してみますと、安定所紹介が登録者が三千八百七十二、登録外が九十八で、直接雇い入れが千六百七十三。ところが東京、大阪、神戸、こういった他の港を見ますと、直接雇い入れが東京、大阪、神戸についてはゼロ、横浜三百三、関門が五千二百十。港の状況によってこれは違ってくるんでしょうが、直接雇い入れというのは、法十六条ただし書きを全面的に適用したと言えるのかどうか。結局この中にはやみ雇用というのが入っておるんじゃないかという私は気がするんですが、そこらのところどういうふうに押えておるんですか。
  17. 道正邦彦

    道正政府委員 十六条ただし書きの運用それからいわゆるやみ雇用の問題、これは港湾労働法施行上の非常に大きな問題でございます。従来は都道府県にまかせまして立ち入り検査等を実施させ処理をさせておったわけでございますが、先生ただいま御指摘のように、四十六年七月以降はすべて本省の統一した指示に基づき、報告も本省に上げさせまして、県と一体になって是正につとめるという体制をとってきております。  件数といたしましては、御指摘のように年間約八十件程度の違反率が出ておるわけでございます。私は、これだけで済んでいるというふうに必ずしも思いません。安定所の職員の能力、人員等の制約もございますので、必ずしも全体を示す数字とも思えませんが、しかしながら一ころに比べますならば、十六条ただし書きの運用あるいはやみ雇用の問題につきましても、使用者側の認識は格段の進歩を見せておると思っております。しかしなお問題があることも御指摘のとおりでございますので、これはいろいろ改正法におきまして穴をだいぶふさいでおりますけれども、しかし結局は幾らいい法律をつくりましても運用の問題がきめ手になりますので、いままででも問題であったわけでございますが、せっかく法律が改正され、関係者がこの際気持ちを新たにして港湾労働近代化民主化に取り組もうという機運が盛り上がっておりますので、行政当局といたしましても、労使と協力いたしまして、いわゆるやみ雇用の絶滅には万全の努力をするつもりでございます。
  18. 田口一男

    田口委員 ちょっと技術的な面でお聞きしたいのですけれども、いま言った四十六年半年分で四十四件、四十七年が八十四件、これは横ばいの状況なんですが、一体、こういう立ち入り検査をやって違反件数それぞれあげておるのですが、結末はどうなっておるのかということ、それが一つ。それから海事新聞というのがあるのですが、本年の四月六日に「大東港運と中外倉庫を告発横浜港職安」という見出しで、やみ雇用の一掃をはかった、こういう記事が載っております。これは、たまたま港労法改正を前にして、ひとつ、まあ口の悪い言い方をすれば、威厳を示そうとしてやられたのじゃないかという気もするのですが、従来にも本法施行したこの六年間にこういったことがあったのか、なかったのか、そういう点、まあ数字とその概要ですね、それをお聞かせいただきたいと思います。
  19. 道正邦彦

    道正政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、四十六年の七月以降におきましては、立ち入り検査並びにその結果はすべて本省に報告をさせております。そして本省といたしましても、中央の業界を通じ、あるいは県はそれぞれの港ごとの業界を通じまして、個別企業に警告を発しあるいは指導を加えるということをやっておるわけでございます。たとえば昨年の四月の二十五日には、私の名前をもちまして日本港運協会あるいは日本倉庫協会に対しまして、やみ雇用の立ち入り検査実態に基づいての違反の状況ということを踏まえまして警告を出しております。決して法律改正を目前に控えてどろなわ式にこの問題に取り組んでいるわけではございません。
  20. 田口一男

    田口委員 この海事新聞に載っておる大東港運と中外倉庫の云々ということで、これにしぼってちょっとお聞きをしたいのですけれども、この大東港運というのは今回初めてじゃないという事実。本件がどういういきさつからこういう事故が起こったかということを六点ほど整理をしておるのですが、第一は、この大東港運というものが職業安定所に求人の申し込みが全くなかったという事実。求人申し込みをしてないのですよ。そして、これは名前は差し控えますが、いうところの手配師、この手配師が大東港運の仕事を全部やっておるわけですね。これははっきりやみ雇用。それから第二番目には、人が一人死んでおるのですが、労働安全ということについて全く無視をしている。それから第三も、これは労働安全という観点なんですが、事故品が多かった。コンテナの事故の品物が。そして第四は、やや具体的にいっておるのですが、何か物をつるのに、カンザシというのですか、このカンザシの四すみのうち一カ所のボルトのナットが全くなかった。こういうふうなことで、求人の申し込みをしていないわ、職場というのは労働安全について全くむちゃくちゃやっておる。しかもこの大東港運というのは、初めてでなかったということ。昭和四十六年の一月五日にもこういう事故があるんです。検数人というのですか、どういう仕事をするか知りませんが、検数人というのがその船へ行ったら、突然合い図もなしに動き出して、ガントリークレーンというものから飛びおりて検数人がけがをしている。その際にも労働安全についてもっとしっかりせねばならぬじゃないかといって抗議をしておるのですが、それが是正をされていない。  それから最近の、本年の三月八日に、これは労働基準監督署の係官が調査に行っておる。それでテスト中に足首をつぶした、こういう事実もあるのです。だから、今回初めてのこの事故ではなくて、まあ言うならばいわくづきの、札つきの事業者です。これを放置をしておいて、いまごろになってようやく告発をする。これは港労法改正を前にして云々という悪口を私は言うわけじゃないのですが、またそれを局長は否定をしましたけれども、これは従来あまり黙認をし過ぎたんじゃないか。これは頂門の一針だといってもいいんです。ほかにもあるだろうと思うのです。こういうところは、権限を持った職業安定所、労働基準監督署がびしびし調査をして、こういう違反事項を摘発といえば何ですけれども、指導していく。これは人が足らぬという面もあるでしょうが、そういうところをどうも私は意識的に抜いておるという気がするわけです。人が足らぬからということに名をかりて……。そしてようやく、人が死んだためにみこしを上げた。いままで二回もけがをしているのですから、そういったところで指導をしておれば、人の死ぬようなこともなかったと思う。この辺がどうも行政の怠慢だと私は指摘をしておるが、おたくのほうでは監督の充足のしようがないというが、こういう事実について、特に監督の立場にある局長として、また大臣、どういうふうに思っておられますか。
  21. 道正邦彦

    道正政府委員 御指摘のとおり、やみ雇用の問題は非常に遺憾な事案でございます。違反の件数は、先ほど先生も御指摘になりましたように八十件程度でございますけれども、四十七年の年間通じての立ち入り検査の事業場の数は千六百六十ということで、われわれとしては、前年が年間で約千件程度でございますので、かなり力を入れて検査に当たったつもりでございます。中で大東港運の御指摘がございましたけれども、これは非常に事案が重大でございますので告発の手続をとったわけでございます。これがもし違反であるということが確定されまするならば、免許の取り消し等にも通ずるわけでございますので、われわれといたしましては厳正な態度で今後も処置してまいりたいと思います。いろいろ制約がございますけれども、立ち入り検査は現行法のワク内でも大いにやっていきたいと思っております。  いろいろまあ違反の事案がございますけれども、その軽重によりまして、指導、勧告にとどめる、繰り返し違反をする場合に法律上の措置をとるというふうなことも、現実の行政運用としてはお認めいただけるんじゃないかと思いまするし、また、手広く事業場をあちこちにお持ちの業者もおられます。そういう事業場につきましては、たとえば特定の港においては一件だけれども、ほかの港において同じことをやっているというようなものは、これは最初の違反事案でございましても厳重に処置するというふうな方針で全国的に処置をしてきておるつもりでございますが、これは現行法のワク内、あるいは法律が改正されました段階におきましても残る問題でございますので、われわれとしては港湾労働行政上の最大の重点として今後も全力をあげて、やみ雇用の是正につとめていきたいというふうに考えます。
  22. 田口一男

    田口委員 こういう事故は何回もあってはもちろんこれは困るのです。私くどく言いたいのは、検数人の場合に四十六年、足首、ひざの捻挫で数カ月通院、こういうけがをした。それから労働基準監督署の係官が行ったら、足指をつぶす。さらに四十六年秋、日にちははっきりしていないのですが、やはり同じ船で、同じ大東港運で一人死んでおる。それから四十八年まで二年間、指導は全くしなかったとは私は言いませんけれども、こういうちょいちょいした事故があって人が死ぬ。これまでほうっておくということは、いかにしても行政の怠慢のそしりを免れぬのではないか。この辺のところをびしびしやらぬことには、私がさっき大臣の答弁を聞いて申し上げたように、労働者は比較的港湾労働法というものになじんで定着しつつあるけれども、依然として港運業者のほうは無視する。できればやみ雇用やみ雇用で、ひっかかればしようがないけれども、ひっかからなければ、わからなければそのままずっといこうという魂胆というものが依然として残っておるのではないか。そういう状態の中でこの法改正をしようとする意図がどうも解せぬのですね。これは前回も枝村委員が鋭く言いましたように、はっきりいって公権力というものを放棄する。もうめんどうくさいから、こんなことに一々かかずらわっておってはしようがないから、切りがないから、もう責任も何も港運業者におっぽり出そう、私はこういうねらいが露骨じゃないかと思うのです。その辺どうですか。どうも無責任です。
  23. 道正邦彦

    道正政府委員 港湾労働をめぐる労使関係がほかの業界に比べまして問題がある、これはいまなお事実と思います。しかしながら、港湾労働改善するためには、やはり根っこに労使関係の近代化というのがございませんと、幾ら美辞麗句を連ねて法案をつくりましても、それはうまくいくものではございません。十一月にいただきました港調審の建議におきましても、共同雇用体制と近代的な労使関係を基盤にすべきであるというのが大原則になっておりますが、このゆえんもいま申し上げたようなことにあろうかと思います。  いままで安定所がやっていたことを逃げて事業主のほうに責任を転嫁するんだ、こういう御趣旨の御質問だったと思いますが、私のほうはそういうつもりはもう全くございません。四十五年の港調審の建議以来、共同雇用体制でいまの制度を変えろ、こういうのが労使関係者一致しての意見でございまして、なぜ早くやらぬのだということでわれわれむしろおしかりをいただいたわけでございます。この共同雇用の体制と申しますのは、国によりましていろいろ事情は違いますから、仕組みも違っておりますけれども、理念といたしましては、港湾労働の波動性に対処するために一番好ましい制度として各国すべてとっているわけでございます。そういう各国の例がございますので、なぜ日本はやらないのかということでいままではおしかりを受けていたわけでございます。安定所がいままでの責任を転嫁して、もうめんどうくさいことはやらないんだということでは毛頭ございません。  なぜいままでの法律がうまくいかなかったかといえば、登録制度はとりましても使用者のほうに、自分たちのためにプールされた労働者だという意識がどうしても少なく、自分たちの責任で何とかするんだという意識がどうしても出てこない。それを改善するためには共同雇用の理念に基づく何らかの改善が必要ではないかということであったわけでございまして、その趣旨で、いままで関係者からいろいろおしかりもいただいたそういう線に沿って、今回法律改正を御提案申し上げておるわけでございます。
  24. 田口一男

    田口委員 これはひとつ大臣に答えていただきたいのですが、いままでずっとお尋ねをしておりますように、いまの港湾労働法を制定をした四十年、社会労働委員会で議論をしておるのですけれども、その四十年当時といま法律改正をしなければならぬという今日の情勢とを比較をした場合に、趣旨説明にも書いてあるように、そうたいした情勢の変化というものはないわけですね。そういう情勢の変化があまりない、ただ常に底を流れておるものは、港湾労働というものはなお近代的でない。そこで四十年当時の社会労働委員会でいろいろ議論をした際に労働省が言っておることは、わが国の港湾複雑性特殊性のため現行法の運用による行政措置のみによりましては、遺憾ながら十分な効果をあげることができない現状にある、これは今日でもそのまま言えると思うのです。現行の行政措置では十分な効果をあげることができないから、この際港湾労働法というものを新しくつくって国の責任を前面に出して、わが国産業に重大な影響を及ぼすこの港湾業というものに対して、国がひとつ責任をもって近代化につとめようじゃないか、民主的な港湾労働というものをやっていこうじゃないかという積極的な姿勢があったと思う。ところが今回法律を改正するのは、いま言ったように、現行法の運用では十分でない、これは赤字の問題もあるでしょうけれども、十分でないから、この際法律を改正して協会にゆだねる。いままでは新しく法律をつくって国の責任でやろうという積極面があったのに、今度の場合には、もう私は何回もくどいように言うのですが、めんどうくさいから協会というものをつくってそこに全権を委任しようじゃないか、これははっきり言ったら、四十年と比較して、今度の場合には国の責任というものが後退をしておるのじゃないか。私は責任放棄と言っても言い過ぎじゃないと思う。まずその辺について、大臣どう考えてみえるか。
  25. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 今回の法律改正は、決して政府が業者にまかせて後退するというような意思ではありません。いま御指摘のように、いろいろ違反事項が出てくる、やみ雇用が出てくる、港湾がもう少し近代化しないと、こういうような見地から調整審議会の建議もありまして——要は先ほど言ったように、私見まして労使関係が近代化いたしておりません。確かに港湾業者はもうけたらいい、いろいろ調整費が高額であるとか、また港湾の登録労働者というものをきらう、そしてほかのほうでやるというような点も、どうも現在の港湾関係の事業主の自覚が確かに足らなんだということも私は間違いないと思うのです。そういう意味で、事業主の奮起とそして港湾労働者の福祉の増大、もう少し一般の陸上の労働者と同様な近代的な雇用関係をつくりたい、こういうのが今回の法の改正の主眼であります。いま御指摘のようにいろいろな違反行為が出てきたのに対しましても、広範囲にわたりますので、少々これに対する対処が手ぬるい点もあったと思いますが、やはりこれに対しましては今後とも厳罰主義をもって臨みまして、やはり港運業者のほうは運輸省の管轄でありますけれども、罰金以上の刑を科するとこれが登録を取り消すという点もありますので、運輸省とも連絡をとりまして、今回の法律改正が通過いたした場合にはなお一そう従来の悪い点を改善し、そしてまた労働者の立場も擁護するような、行政的な確固たる方針で進みたいのであります。従来から現在まで、港湾労働法施行されまして、これが完全無欠にいっているかといえば、必ずしも私現在まではいっておらないと思います。これは港湾の特殊の波動性だとかいろいろな関係もありますけれども、なお一そうこれを改善したい、こういうのが今回の法改正の主眼でありまして、決して安定所も、業者のほうに責任を転嫁しようというような気持ちは毛頭ありません。やはり業者の、事業主の自覚も促すし、そして港湾労働者の福祉の増大もやる、こういう意味でいろいろ、私も多少これに関係もありましたし、なお一そうこれを改善するような行政的な考慮をいたしまして、今回の法改正の趣旨を生かして近代的な港湾労使の関係をなお一そう近代化したいというのが趣旨で、決して労働省はこれに対して、事業主にまかせっぱなしで責任を転嫁するというような気持ちは毛頭ありません。
  26. 田口一男

    田口委員 大臣、毛頭ありませんという言い方なんですけれども、しかし、これは法律解釈からいけばどうでしょう。労働基準法であるとか、それから労働組合法であるとか、昨年つくった労働安全衛生法、そういった一連の、これは労働者を保護する法律だと私は思うのです。それと同じような考えに立って——港湾労働法もそのもとはといえば労働基準法ですね。そういう労働基準法、そういった一連の労働者の保護法という観点に立って言うならば、今度のように、たとえそれは法人であろうとも、港湾労働協会といったようなものに職業安定業務というものを、本来職業安定法でやるべき仕事をそういう業者団体にゆだねるということ、これは違法ということはいえぬにしても、私は妥当ではないんじゃないかと思うのです。私立の職業紹介所もあるのですから、労働大臣の認可をもらって。ですから、違法とはいえないにしても、そういう職業安定業務という一つの公権力を、たとえそれが法人であろうとも、港湾労働協会といったようなものにゆだねることは、それは妥当ではないんじゃないか。しかも、登録の取り消しをやる、登録の業務をやる、こういう仕事をやるのですから、港湾日雇い労働者というものの生殺与奪の権まで実は求人団体である港運業者の協会にすべて与えるわけですね。極端じゃありませんよ。登録する仕事もやる、登録取り消しの仕事も協会がやる。しかも日雇い労働者という身分はそのままですから、常用ならいざ知らず、日雇いという身分のままに放置しておいて、登録もしましょう、取り消しもしましょう、言うなら、日雇い労働者の生殺与奪の権を求人団体の港運業者の協会に白紙委任するのですから、登録委員会といった若干の歯どめはこの改正案には出ておりますけれども、これは何回もいうようですけれども、公権力の白紙委任であって、結局労働省が国の責任を全面的に回避しようという、ここに私はねらいがあると思う。いかに改善をしようと強弁をされても、いままでのやみ雇用の違反事実が絶えない。それから、大臣みずからおっしゃっておられるように、労働者は本法になじんできたけれども、港運業者はまだなかなかなじんでおられない。こういう業者に対して、たとえは思いんですが、羊の守りをオオカミにさせるようなものです。さあ、煮て食おうが、焼いて食おうか、業者の皆さん御随意にというのが本法の改正じゃないんですか。もっと私が言うなら、いろいろな言い方をしておっても、雇用調整手当の赤字か四十六年に四億からある。だからこの赤字を業者が一番いやがっておるわけですね、雇用調整手当を出すのが。だからその負担をひとつ軽減をしてやろう。しかもやみ雇用、擬装常用といった違反行為について、いまのままでは国ですけれども、この本法がかりに成立するとすれば野放しになる、こういう状態になるのじゃないですか、いままでのいきさつから見て。そこらのところを、大臣、どういうふうに現実を認識をしてみえるのか、もう一回はっきり答えてもらいたい。
  27. 道正邦彦

    道正政府委員 共同雇用の理念については、私は労使はじめ関係者の間に意見の不一致はないと思います。その仕組み方につきましていろいろ意見が分かれることはあるいはあると思いますけれども、現在の職業安定所が単に登録制度をとって個別の企業にあっせんをするということではだめなんだ。やはり事業主が自分たちの責任で、自主的に自分たちの労働者として使う、そういうことでなければうまくいかない、外国でもそうやっているじゃないかということで、共同雇用体制をとるべきであるというのが、昨年の建議の骨子でございます。  ただ、それにいたしましても、御指摘のように、いままで国の責任でやっておりました登録、紹介をまかせるわけでございますから、白紙委任というおことばがございましたけれども、決して白紙委任いたしておりません。われわれといたしましては、可能な限りの規制と申しますか、指導、監督の仕組みをとっているつもりでございまして、若干申し上げますならば、雇用調整規程というのを各港ごとにつくっていただきますが、それは港ごとに労働者の意見を聞く。それが労働省に上がってまいります。労働大臣が認可をする場合には中央職業安定審議会の意見を聞くという仕組みをとっております。それから規程はうまくできましても運用が問題でございますが、その運用の実態を見まして、勧告をするとかあるいは監督命令をするとか、あるいは不都合な役職員については解任命令を出すとか、それから一番問題の登録そのものにつきましては、さらに登録委員会の意見を聞いてきめるといういろいろな仕組みをとっておりまして、決していままで安定所がやっておった仕事を白紙委任しておるものではございません。最終的にいろいろ勧告もし、監督命令も出したけれども、立法の趣旨に即したような運用ができないということであれば、地区協会そのものの解散を命じまして、安定所が仕事をいままでどおりやるという最終の担保もございますので、私は、共同雇用体制の理念に基づいて今回御提案申し上げている地区協会というのは、労使の御協力のよろしきを得れば、りっぱに機能していくものというふうに考えております。
  28. 田口一男

    田口委員 国の機関ですから、私は、労働省そのものが熱意があるとかないとか、そこまでは言いません。ところが、初めからずっと私が質問をしておりますように、なお違反行為があとを断たない。ビラを見ましたね、四十一年のこのビラ。労働者の期待を裏切っておる。現行法でも、昭和四十一年当時の労働大臣の決意のほどから見れば、新しく法律をつくって、ぴしっとやるのだ、その当時でいえば最善の港湾労働法というものをつくって、今日まで六年間、なお港湾労働近代化が実現できない。その実現できない原因の大きな責任というものは、私は港運業者にあると思うのです。全面的に港運業者にあると、そこまでは私は言いませんけれども、その近代化をはばんでおる港運業者の集まりである港湾労働協会というものに、幾ら労働省のほうで担保があるにしても、登録業務なり取り消し業務なりを与えるということは、これは昭和四十一年七月以前の状態に労働省みずからが引き戻してしまうことになりはしないか。共同雇用という概念をいま言われましたけれども、ほんとうは現行法自体で共同雇用という精神というものをどんどん定着させていく方法があると思うのです、十分な指導をすれば。ところが、職業安定所が中心になって登録なり取り消しなんかをやって、実際に雇い入れておる港運業者が全くノータッチであるから、港湾労働近代化がなかなかなし得ない。だから港運業者にひとつ責任を持たせようという発想はわかるのです。その発想は私はわかりますけれども、今日までの事実経過をたどった場合、違反行為があとを断たないじゃないか、人が死んでおるじゃないか、こういう状態の中で、ひとつ責任持たせますよといって、はたして共同雇用の概念というものがそこで定着するだろうか、大きな疑問が残るわけです。その辺、労働大臣、どうですか。私は、港運業者に疑いがあるというところから言うのではなくて、今日までの事実経過の中で、一向に改善をされていない団体に対して、ひとつ責任を与えるからしっかりしろよというのは、発想はわかるにしても、あまり飛躍をしておるのではないか。そこで雇われる日雇い労働者という立場はどうなるか。港運業者だけで港湾荷役をやるのではないでしょう、労働者が実際にやるのですから。その労働者の状態が、昭和四十一年以前の状態に戻ってしまう。そして、港運業者に責任を持たすからしっかりやりなさいよというだけでは、はたして日本の港湾近代化というものが出現するだろうか。やはり国の責任というものをもっと前面に出して、いままでの現行法で十分でない、しかし、現行法をもっと的確に運用していくならば、日本の港湾業務というものはもっと円滑化するだろう、こういう国の責任をもっと前に出すべきではないのですか。共同雇用の概念というようなことを旗じるしにして、また、現行港湾労働法になじまない業者にそういう責任をおっかぶせるというのは、ちょっと国の責任としては責任転嫁を免れぬ。そこのところを私はくどくお尋ねしたいのです。
  29. 道正邦彦

    道正政府委員 繰り返しの御答弁で恐縮に存じますけれども、港湾労働現状は放置できないという認識、これは労使関係者一致した認識だと思います。われわれもそう思います。しからばこれをどうやって解決していくかということで御議論がございました。しかし、いろいろの経緯はございましたけれども、結論といたしましては、共同雇用体制と近代的な労使関係を基盤として、その上に立って改善をはかるべきであるというのが骨子でございます。共同雇用体制についてはしからばどういうことをすべきであるかということは、またこまかくございますが、御指摘のように幾ら制度を改めましても、それをささえる労使関係の近代化がおくれておりますならば、これは私は空中楼閣になることは明らかだと思います。しかしながら、港湾労働をめぐる現状についての危機意識、これは労使共通の御認識でございまして、昨年来の非常に熱心な審議会その他の場での御討議を経まして、私は従前に比べますならば、労使関係はかなり改善を見ているのではないかというふうに思います。昨年の九月には労使が協定を結んでおられますし、またこの三月には労働条件を中心としてのものではございますけれども、団体協約も署名されております。そういうことで、いままでに比べますならば、私は、いろいろな問題がある港湾労働労使関係ではございますけれども、一ころに比べて非常に改善を見ているというふうに考えております。いろいろ紆余曲折はあろうと思います。あろうと思いますけれども、そういう方向で労使が今後ともお互いに信頼関係を深めて港湾労働改善に御協力をいただきたいし、いただけるものというふうに思っております。
  30. 田口一男

    田口委員 労使の関係で云々されておるのですけれども、従来に比べて若干改善された、そうであるならば、ちょっと飛躍した意見になるかもしれませんが、アメリカなんかの港湾でやっているように、日本流に言えば全港湾労働組合というのがアメリカにありますね。それで、港運業者があって、港運業者が求人をする場合には、労働組合に登録をされた組合員を出すわけでしょう。アメリカなんか労使関係が一応日本とは土壌が違いますから、それをそのまま引き写しにせよとは、それは無理な話なのですけれども、少なくとも現在の港湾に対して労使が危機感を持っておるというなら、その危機感の上に、しかも労使の関係が若干ではあるが改善をされてきておるというなら、なお問題のある港運業者にそういった生殺与奪の権を与えるような港湾労働の仕組みではなくて、一挙にアメリカ式に、全港湾という労働組合に、たとえばそこに登録された組合員を、必要があるならば日雇い労働者として差し向ける、そういったような方法に変えるのならば、これは労使の仲もこれからより安定をしなければならぬし、使用者のほうは労働組合の、俗な言い方ですが、ごきげんを損じては労働者が雇えぬわけでしょうし、また労働者もそうばかり言っておってはあごが干上がりますから、そういう仕事を通じて労使の関係がより改善されていく。ところが、今日のように、問題のある港運業者をそのままにしておいて、摘発をする、立ち入り検査をしたけれども、なお改善のあとが遅々たる状態の港運業者に対して、協会をつくって責任を持ちなさい、これではちょっと共同雇用という概念からいっても、くどい言い方ですが、国が責任を放棄をした状態になるのではないか、ですから、ちょっと飛躍をした言い方になるのですが、たとえ土壌が違うにしても、アメリカ式のそういう港湾労働のあり方でいくことは、むしろ安定した労使の関係をつくるために労働省として考えられないかどうか。
  31. 道正邦彦

    道正政府委員 御指摘のように、国によっていろいろ事情が違います。アメリカは、組合常用を含めまして港湾労働者全体について組織化されておりまして、日本流で申しますならば労働者供給事業を行なっているわけでございます。御指摘のように組合のほうが労働力を握っておりまして、使わしてもらうのならば組合に頼んで使わしてもらうというような、平たくいってそういうシステムになっております。日本の場合におきましても、関係の組合が大いに組織化につとめられましてそういうアメリカ式の事態になること、これは私は大いに歓迎すべきことだと思いますけれども、遺憾ながら、日本の場合におきましてはそこまで行っておりません。そういう社会的な実態が違いますので、アメリカの例がこうだからということをそのまま日本に持ってくるというわけにはいかないと思います。
  32. 田口一男

    田口委員 私が言ったのは、確かに土壌が違いますからそのままの引き写しは問題があるだろうけれども、しかし局長自身、大臣自身が言われておるように、いまの日本の港湾労働事情について双方が危機感を持っておるというのでしょう。何とかしなければならぬ。そこで、各界のいろいろな識者を集めて一つ出てきたのが、こういう港湾労働協会というものに責任を持たせるということ。これも、日本の土壌に合っておるかどうかということは、やってみなければわからぬわけですね。日本の港湾という一つの土壌に合っておるかどうか、かりに合っておるというふうに仮定するならば、本法施行されてからこの六年の間に、港運業者というものは法律を無視をして、全部が全部とは言いませんけれども、やみ雇用が絶えない、擬装常用という状態がある、それをひとつ合法的なものにするんだというならば、港湾労働協会というものは日本の港湾の土壌に合っておると思うのです。悪いことを認めて、それをひとつ公然としたものにしようではないか——これはちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、その港運業者の集まりである協会が、これから危機感にあふれておる日本の港湾労働というものをほんとうにいいほうに持っていくかということについては、保証の限りではない。そうであるならば、これはストレートの引き写しは無理かもしらぬけれども、安定した労使の状態をつくるためにも、アメリカの港湾なんかでやっていることと日本の事情に適したものをミックスして持っていくほうがいいんではないか。その辺は局長自体としても、実際の担当者ですから、そういう点は一つの試案としてないのかどうか。
  33. 道正邦彦

    道正政府委員 アメリカのように日本の港湾関係の労働組合組織化をはかられまして、アメリカと似たような社会的な実態ができました場合に、それを前提にしていろいろ制度を考えるということはあり得ると思いますけれども、いまの日本の現状におきましては、アメリカと社会的実態が著しく違うと思いますので、ちょっと無理ではないかというふうに思います。しかしながら、労使関係の近代化というのが根っこにございませんと、どんな制度をつくり上げましてもうまくいかない、これも私は事実だと思います。そういう意味で、一ころに比べますれば労使関係は改善の方向に進みつつあると私は思いますので、今後関係の労使がさらに信頼関係を厚くしていただきまして、文字どおり近代的な労使関係を確立していただく。そういうものが根っこにでき上がりますならば、この法律の改正はうまく運用される。逆に申し上げますならば、法律の仕組みそのものも、現状におきましては関係の審議会の満場一致の御建議に基づいてつくられたものでございますので、いわば現在の日本における英知を集めた建議の上に乗った制度だと私は思っておりますけれども、これをほんとうに文字どおり生かして運用するというには、われわれも努力いたしますけれども、やはり根っこに労使関係の近代化というのがなければならないわけでございまして、その点はわれわれとしても大いに期待を申し上げておるわけでございます。
  34. 田口一男

    田口委員 日本の港湾労働事情近代化されない——近代化ということが根底になければというお話ですけれども、確かに近代化されていないのですね。だから昭和四十一年の七月に本法をつくったのでしょう。こういうことをここで言うと多少問題になると思うのですけれども、昭和四十一年に新法をつくった理由というのは、はっきり言えば、従来の港湾労働というのは手配師にゆだねられておった。労働力を確保するには、はっきり言えば手配師というものを通じて確保したわけでしょう。そうでしょう。私は手配師というものが全部暴力団だとは言いませんが、しかし手配師によって港湾労働力というものを確保しておった、そこに近代化できないいろいろな要素というものがある、問題がある、だからこの際近代的な港湾労働の状態に持っていこうじゃないかというのが、昭和四十一年の現行法制定の趣旨だと私は思うのです。そうでしょう。ところが、以来今日までの六年間、七年間に手配師というものは、この法律の力、影響によって確かに表面的には影をひそめたと思うのですね。しかし仄聞するところによると、この港湾労働法改正という話によって、その手配師の一部からは、いまに見ていろ、もう一ぺん四十年の時代に、おれたちの天下になるのだ、こう言っておるのですよ。そういう声が一部にある。その手配師が労働力を握っておる状態から、昭和四十一年に変わった。しかしなお、うまくいかない。うまくいかないから、手配師が入っておるとは私は言いませんけれども、大いに影響力を持っておる港運業者の団体に登録なり取り消しの権限を与えるということは、いまに見ていろ、四十年の昔に返るぞという手配師の言い方が何を意味するのか、そこに港湾労働者の大きな不安があると思うのです。  先ほどから局長は、関係審議会で全会一致、全会一致と強調されますけれども、ほんとうに全会一致ならば、当然そこに入っておった港湾労働組合の代表者がいま反対する理由はないのですね。ところが共同雇用という概念に対して、この改正案の中身を見ると、審議会で政府が言っておったことと全く違っておるじゃないか、期待を裏切られたということを正直に言っておるわけです。全会一致を強調されますけれども、ほんとうは直接タッチをする港湾労働者の代表は大きな不満を持っておるし、反対をしておるという現実、これは手配師というものの存在を抜きにして考えられないだろうし、そういう事情を考えた場合に、いかに本改正案というものは近代化の方向に持っていくのだ、それを通じて労使の関係をもう少し改善をしていくのだと言われても、現実の港々で手配師がいまにも復活しようという動きがある。それによって港湾労働者がまた昔のような、ああいう前近代的な状態に逆戻りをするのかというおそれを持っておる。これに対して国が、いやそうじゃない、業者に責任を持たすのですと言ったって、さっき言ったように、羊の守をオオカミに頼むような法改正になってしまう。その危惧というものを港湾労働者が持っておる限りは、いかに局長また大臣が、このことによって日本の港湾労働の危機というものを解消していくのだと言われても、毎日毎日働いておる労働者がそういう別な意味の危機感を今度は持っておるならば、法改正の趣旨というものは生きてこないのじゃないか。ですから、出した以上これはメンツがあると思うのです。メンツがあると思うのですが、現実そういう危機感を、悪い意味の危機感を持っておる以上、これは当の責任者である労働省としても、大臣としてもその辺のところをくみとって、きっぱり、そういう危機感はありません、ないためにもう一ぺんどうするのかといって、まだ時間をかける必要があるのじゃないか。いまここでこの法案成立を急ぐのじゃなしに、そういう危機感をなだめるような、その原因を一つ一つつんでいくような努力を積み重ねて、そこで共同雇用の体制ということをほんとうに確立をしていく、そういう時間というものももっとあってもいいのじゃないか、こう思うのですが、どうでしょう。
  35. 道正邦彦

    道正政府委員 改正案におきましては、いままで安定所がやっておりました仕事を地区協会にゆだねるわけでございますので、先ほど申し上げましたようにいろいろと制限を課しておるわけでございます。お話がございました直接の毎日の就労にあずかる職員、これが非常に問題でございますが、これにつきましては任命にあたりましての欠格条項を規定いたしておりまして、条項に当たるものは任命できない。それから現実に仕事をやっている過程で違法行為や不穏当な行為があった場合にはもちろん解任命令が出せるという仕組みもとっております。そういうことで私は現行法で許される限りの手当てはしたつもりでございます。  それから、全会一致というのはうそではないかというような御質疑だと思いますけれども、これはうそではございませんので、昨年の十一月、ことしの一月それぞれ審議会から出ました建議は文字どおり満場一致でございました。ただ、現在組合のほうでいろいろ問題にされている事情も私は承知いたしております。労使関係というのは非常にむずかしく、一種の生きものでございますので、いろいろ時代の変化というのはあり得ると思いますので、一がいに私はどうと申し上げるつもりはございませんけれども、われわれといたしましては、満場一致で御提出いただきました二つの建議を可能な限り忠実に法制化したつもりでございます。ただ、いろいろ危惧の念をお持ちになるということにつきましては私も若干仄聞いたしておりますので、これは御指摘のように、話し合いをするということについてはやぶさかではございませんし、運用にあたりましてそういう危惧の念が現実化しないようにこれは十分配慮してまいりたいというふうに思っております。
  36. 田口一男

    田口委員 全会一致をいままた強調されるのですけれども、その関係審議会の建議そのものを見ても、たとえばそのたたき台になった「港湾労働の問題点と施策の基本的考え方について」というのが、総理府の審議会から昨年の七月ですか出ていますね。その中をずっと見てみますと「要すれば港湾労働者の定着向上と資質の向上に資するための年金制度の導入についても検討する。」こういうくだりがあるのです。ほかにもいろいろあるのですけれども、さっき大臣が言われたように、確かに前近代的な港湾労働事情を考えた場合、いろいろな福祉面から充実させなければならぬ。そういったことの議論をされた審議会の一つの意見として資質の向上、労働者の定着向上のために年金制度を考えなければならない、そういった点は改正案には一つも入ってないのですよ。ですから、共同雇用体制ということをいいながらも、実は大いに不安がある。港湾労働協会というものをぽつんとつくって、港湾労働者の資質の向上なり定着をはかるためのそういった福祉面の充実ということ、たとえば年金制度、こういったことについてはまだ手をつけていない。ですから私は、さっきも言ったように、そういう不安感がまだ除去されてない今日においては、そう急ぐ必要はないじゃないか。ですから、いま言った「港湾労働の問題点と施策の基本的考え方について」の中での年金制度云々、こういう問題については労働省としてはどう考えておるのか、ちょっとひとつ。
  37. 道正邦彦

    道正政府委員 御指摘の七月三日の文書に、年金について検討すべきであろうということが書いてございます。これはたたき台でございますけれども、これをたたき台といたしまして非常に御熱心な御討議がございまして、最終的にまとまりました建議におきましても、年金制度についていろいろ検討すべきであるという御建議をいただいております。「港湾労働者を対象とする特別の年金制度をできるだけ早期に創設するよう検討すること。」私はこの建議の趣旨を十分尊重いたしまして、今回幸いにして法律改正が行なわれますならば、即刻にでもこの問題に取り組んでいきたいと思います。ただ、年金問題になりますると労働省だけの問題でございませんので、関係省庁等と相談する必要がございますけれども、関係省庁にも働きかけまして特別の年金制度についてできるだけ早く創設する方向で検討したいと思います。年金制度を特に考えろという趣旨は、世の中にたくさんの職業というものがあるわけでございますけれども、地下労働とかあるいは建設労働等と並んで、やはり港湾労働というのは非常に重激な労働だと思います。機械化もかなり進んではおりますけれども、基本的にはやはりほかの産業の労働者に比べまして重激な労働でございますので、それなりに年金についても考慮すべきである、こういう御趣旨だと思いますので、年金の問題につきましては次のステップの問題として、誠意をもって検討していきたいと思います。
  38. 田口一男

    田口委員 そこで、あげ足をとるわけじゃないのですけれども、そういった建議のたたき台において年金の問題も出ておった。それが正式に建議をされた。そうであれば、共同雇用体制というものと不離一体のものとしてとらえる必要があると思うのです、いまのような前近代的な港湾労働事情ですから。年金制度もひとつこのようにつくりますよ、年金制度をより定着させるためには、こういう共同雇用体制の一つの試みである協会というものをつくるのです、これなら話がわかるのです。港湾労働協会というものをつくる。それをつくることによって、共同雇用体制というものが確立をされるでしょう。その一環として年金制度も同時にひとつつくりました。それから健保、労災の制度もこういうふうになってきます。全部をこう持ってきて法改正をするというならば、私は、多少の問題はあるにしても、いまの日本の港湾労働に対する危機感というものを緩和させる実は一つの手だと思うのです。そういったものは、本法の改正ができてから、いまの局長の御答弁ですと、さっそく着手をしましよう。それは私は疑いませんけれども、これだけ問題のある港湾労働法であればあるだけ、やはりそういった定着の材料としての年金制度、健康保険の制度、労災の制度というものをひっくるめてこの中に盛り込めばよいのじゃないか。ところが、つまみ食いという表現は悪いのですが、共同雇用体制に似て非なる協会というものをぽつんとつまみ出して、それだけを改正する。しかもそれに対して、さっきも申し上げたように、手配師云々というふうな悪い因襲がいまだにあとを断っていない。そうなってくると、年金の問題は将来やってくれるかしらぬけれども、まあ君子危うきに近寄らずということでどんどんと港湾労働から日雇い労働者が逃げていく。逃げていって、季節労働者を手配師がまたつかんできて、それを協会のほうに登録をする。ますます港湾労働については近代化が遠のいていってしまう、こうなりはしないですか。これは杞憂であれば幸いですけれども、そうなってくるのじゃないかという予想が私はたいへん強いのですけれども、その辺のところ、どうでしょうか。
  39. 道正邦彦

    道正政府委員 年金の問題については、御指摘のように、今回の改正と同時に御提案申し上げられればこれは理想的だったと思いますけれども、この建議にもございますように、検討はやれということで、将来にある程度譲ることをお認めいただける建議になっておるわけでございます。今後誠意をもって検討をいたしますけれども、年金がないから今度の改正がどうもあまり意味ない、こういうことには必ずしもならないのじゃないかと思いますので、今回の改正が、何と申しますか、根っこになりましてさらに前進するということで、私は年金問題については早い機会に御提案申し上げられるように最大限の努力をしたいと思います。
  40. 田口一男

    田口委員 最後に、これはちょっと委員長のほうで、あと理事会でお取り計らいいただきたいのですけれども、やはり、さっきから局長が全会一致と言っておるのですが、それの構成の一員である全港湾組合の代表が——全港湾という組合が反対をしていることも事実ですね、今日では。審議会の中で審議する際には、共同雇用体制というのはよいなあと思ったと思うのですね、平たく言えば。しかしでき上がったものを見ると、あの審議会の議論とはだいぶ違っておるじゃないか。これはあぶなつかしいぞといって反対をしているのだと思うのですね。そういうことから、これはひとつ委員長の御判断でぜひとも実現をしていただきたいのですが、私は、反対も認めておるのですから、局長が満場一致と言うことを信用しないということじゃないのですけれども、ひとつ委員会のほうで、港湾業者の代表なりそれから全港湾という組合の代表なり公益代表も含めて、参考人というのですか、そういった事情をほんとうに委員会として聞くために呼ぶような措置ということを考えていただけないだろうか。  同時に、私自身もそうなんですが、いま本法がかりに改正になっても、現行法でも適用が六大港しか指定されてないわけですね。ところが六大港に匹敵するような、四日市とかそういった大きな港湾は全く対象になっていません。なっていませんけれども、四日市なんかの事情を聞くとなお問題があるわけです。それに港湾労働の非近代的なものということについても、ある程度は知っておっても、全体がはだで感じないとわからぬものですから、これも委員長のほうでお取り計らいいただきたいのですが、現在指定になっている六大港のうち、時間の関係もあるでしょうが、二、三の港を指定をして、そこに本委員会としても現地を直接見てくる、そして関係者のいろいろな意見も聞く、こういったことをひとつ早急に実現をしてもらえないか、このことをお願いいたしたいと思います。
  41. 竹内黎一

    竹内(黎)委員長代理 ただいま委員長に対して御要望の参考人招致あるいは現地視察の件につきましては、理事会に付議をし、協議をいたします。
  42. 田口一男

    田口委員 じゃその実現をお願いしまして質問を終わります。
  43. 竹内黎一

    竹内(黎)委員長代理 石母田達君。
  44. 石母田達

    石母田委員 私はきょう港湾労働法の問題について質問いたしますが、まず委員長代理に、このような重要な法案を審議するについて、いまの委員会の状態が審議する状態であるかどうか、四十名の定員がいるわけですから、審議についてはもっときちんと、他の党の発言ということだけではなくて、この港湾労働法の重大な問題についてきちんと審議できるようにしていただきたいということを、まず最初に要望したいと思います。
  45. 竹内黎一

    竹内(黎)委員長代理 ただいまの御指摘の点につきましては、委員長においても共鳴するところがございますので、さっそくこれから各委員の出席を促したいと思います。
  46. 石母田達

    石母田委員 それでは質問に入ります。  私は大きく言って二つの点について質問したいと思います。  私の時間は二つに分かれますので、前半の本会議前の一時間には、主として運輸省に対して質問、これは港湾運送事業法の改定の問題と港湾労働法の問題であります。  二つ目が今回出されたいわゆる港湾労働法一部改正案そのものについて質問したいと思います。  なぜ私がこの港湾運送事業法の改定の問題を取り上げるかということは、すでに自民党の田中議員が冒頭の質問におきまして、四月十三日の社会労働委員会でありますが、政府に対して、なぜ港湾運送事業法の抜本的な改正案を出さないのか、これをすぐ出せということを要望いたしました。これに対しまして政府は、いま検討している、答申も出ている、成案を得れば出したいと思うけれどもまだまとまっていない、こういう答えであります。私は、三月三日の予算委員会の第五分科会におきましても同じような趣旨の質問をいたしました。そのときには運輸大臣並びにそこにおられる岡部政府委員を含めて、今度の国会には運送事業法の改正案は出さないということを言われました。そこで私は、この港湾運送事業法というものは港湾労働力の問題から言いますと、主として常用労働者の問題を扱い、この港湾労働法は日雇い労働者の問題を扱うというふうに理解しておりますけれども、そうですが。
  47. 岡部保

    ○岡部政府委員 ただいまの先生の御質問でございますが、今回の港労法は明らかに日雇いの労働者の問題でございますが、港湾運送事業法というものは常用労務者だけの問題であるというふうに限定はできないと存じます。したがって、日雇い労働者の問題も含めて、いわゆる港湾運送事業の問題というふうにして考えておくという考え方でございます。
  48. 石母田達

    石母田委員 そうしますと港湾運送事業法の問題は、日雇い労働者も含めた港湾労働全体のことも含められる、こういうことですか。
  49. 岡部保

    ○岡部政府委員 一般的な言い方を申しますと、そういうことでございます。もちろんこういう港湾労働法で提案されておられますような問題点と、それから港湾運送事業法とのからみという問題、これは非常にいろいろな点でからみがあるわけでございますけれども、一般的な言い方をすればそのとおりだと思います。
  50. 石母田達

    石母田委員 それでは、いま政府が考えている港湾運送事業法の全面的な改定というものの内容について質問したいと思います。  すでに昨年の六・一六、これは港湾局の試案であります。それから八・一八といわれる港湾運送特別委員会専門委員会の「輸送革新に対応した新しい港湾運送事業について」という報告、及び港湾局が十月に海事新聞などに発表されました「港湾運送事業法改正の方向について」、こうした三つの文書が私ども目に触れておりますけれども、この内容が主として港湾運送事業法の改定の方向といいますか、細部のことは別としまして、方向と考えていいのかどうか。
  51. 岡部保

    ○岡部政府委員 ただいま先生の御指摘ございました三点の資料につきまして、まず六・一六あるいは八・一八、このいわゆる運政審での特別部会で今後の港湾運送事業法の方向というものを議論していただいておりました段階で出たもの、あるいは最終的な一つの結論として出たもの、これにつきましては、港湾運送事業法の改正のみならず、もう少し広い意味で、いわゆる港湾運送事業に対する行政のあるべき姿であるとか、行政がとるべき問題点であるとか、あるいは業界自体がとるべきあるいは持つべき体制であるとか、そういうようなものを広く包含しておると存じます。さらに十月の運送事業法の改正の方向という海事新聞に出ました資料につきましては、これは明らかに先生御指摘のとおり、港湾運送事業法をこういう方向で改正したらどうかという、この段階における資料でございます。
  52. 石母田達

    石母田委員 それでは、それらの幾つかの点について、私自身のまだ理解に苦しむ内容がありますから御説明願いたいと思います。  一つは、この十月の港湾局の「方向」という中で、「コンテナ埠頭、サイロ埠頭、その他政令で定める埠頭で私人が保有(借り受けを含む)するものにおける港湾運送事業(検数事業等を含む)を特定港湾運送事業として業種を新設し、次のように規制を行なう」以下、料金については届け出制にするとか、あるいはこういうところでの港湾運送事業経営については保有者の承諾の有無を要件とするとか、幾つかの規制が書いてあります。そうした改正の方向の中で特定港湾運送事業、特に特定港湾というのはどういうものをさすのか、御説明願いたいと思います。
  53. 岡部保

    ○岡部政府委員 この十月の資料にございますように、たとえばコンテナ埠頭でございますとか、あるいはサイロの埠頭でございますとか、あるいはこれに「その他」とございますが、たとえばこれ以外にも鉄鋼関係のいわゆる鋼材を専門的に取り扱う埠頭であるとか、そういうような特殊な、何と申しますか貨物の分類で単一種類の貨物を扱います、しかもその荷役が非常に機械化されておるというような埠頭につきまして、これを私どもはここで一般の雑貨、いわゆる一般のいろいろな荷姿のものが入ってくる埠頭と分類いたしまして、こういうものについて特定な埠頭であるというふうに考えて、一般の港湾運送事業と別のカテゴリーにまとめたらどうかという考え方で分類したわけでございます。
  54. 石母田達

    石母田委員 たとえば横浜へ行きますと、本牧などで優先指定方式で使用している埠頭、そういうところは特定港湾の中に、いまの概念で入りますか。
  55. 岡部保

    ○岡部政府委員 そういうものについては入れておりません。
  56. 石母田達

    石母田委員 そうしますと、これは民間つまり会社が自分の専用の埠頭、たとえば鉄鋼の埠頭であるとか石油を運ぶ埠頭であるとか、それと外貿埠頭公団つまり公団埠頭で専用貸しをされている埠頭、これだけですね。
  57. 岡部保

    ○岡部政府委員 そのとおりでございます。
  58. 石母田達

    石母田委員 そうしますと、ここで私人保有者、借り受け者も含むという、この借り受け者というのは、公団でいうと、いま日本郵船その他の指定されている会社、民間で自分の専用埠頭を持っているもの、それ以外に何かありますか。
  59. 岡部保

    ○岡部政府委員 ここで考えておりますのは、先生がただいまおあげになりましたように、いわゆる外貿埠頭公団の公団バースというものを借り受けておる船会社、コンテナ埠頭の借り受け者である船会社が私人としてひとつ借り受けようという立場での、人間として私人としてあらわれるわけでございますし、それ以外はいわゆるサイロ埠頭でありますとか、その他等の私人として所有する埠頭ということに解釈をしていただいてけっこうでございます。
  60. 石母田達

    石母田委員 それではもう一つ。この中で、在来型の港湾運送事業者を労働力のオルガナイザーとするということは、具体的にどういうことですか。
  61. 岡部保

    ○岡部政府委員 この辺、いわゆる何と申しますか、港湾運送事業の現状がどうであって、それから今後どういう方向にこの業が進むべきであるかという点あたりが運政審でいろいろ御議論になったわけでございますけれども、そこの中で、いわゆるいままでの港湾運送事業というもの、事業自体が非常に労働集約的な事業である、ところが先ほども御指摘がありましたように、たとえば大型、特殊の荷役機械を使われるというように港湾荷役という形態が非常に変わってきております。したがって、このようないわゆる労働集約型に対抗して申しますならば、一つの資本集約型な業態というものに今後移るべきではなかろうかという考え方を持っております。ただ、これをそういうような意味での変わり方、それから、この港湾運送事業自体が、一つの流通産業と申しますか、流通過程における一つの産業としての地位を確保するというような方向にやはり進まなければならないというような要請も当然あるわけであります。したがって、そういうような労働集約型から資本集約型に変わるとは申しましても、これが急激に変わるものではとうていない。したがって、いわゆる労働力をオルガナイズすると申しますか、そういうような意味で、一つのこれから進むべき道というものが、そういう労働力というものを非常に重要視して、それがだんだん資本集約型の方向に業が変わっていくというような段階をたどっていくであろうというような考え方から、こういうことばが使われているわけでございます。
  62. 石母田達

    石母田委員 資本集約型の労働力というのは、もう少し具体的に、たとえばの話でやってください。
  63. 岡部保

    ○岡部政府委員 たとえば、ただいままでの港湾運送事業と申しますと、これは極端にもう少し前の明治時代、大正時代の港湾運送業というものを見てみますれば、全く人力荷役でございました。全く労働力がこの荷役の手段であった。それがだんだん機械化されてはきております。たとえばクレーンを使うとか、そういうような動きにはなってまいりました。ただ、戦前までは、非常に労働力のウエートが大きかった。それが戦後、いわゆるフォークリフトでございますとか、そういうような比較的小型でしかも移動する荷役機械というものが発達してまいりました。だいぶこれが機械化されてきた。したがって業としてはそういうものを備えなければならぬ。いわゆる資本集約型に移りつつあるということがそこの辺で言えるかと思います。  ただ、そうだといっても、いまの段階で、これは労働力というものがほとんど要らないんだということには絶対になりません。まだまだ労働力が相当に大きなウエートを占めているわけでございます。したがって、ほんとうの資本集約型の業になるということになれば、たとえば荷役機械のオペレーターであるとか、そういうような非常に限定された労働の限界領域というものになるかと存じます。現段階では、まだまだ人力荷役という問題が十分含まれております。したがって、資本集約型に移行するであろうというけれども、現段階では、まだまだ労働力というものを相当ウエートを大きく見なければならないという考え方であると私理解をいたしております。
  64. 石母田達

    石母田委員 あなたが一月一日の海事新聞に、これはあいさつで載せたのかどうか知りませんが、港湾について述べられております。日本列島改造計画の構想は、現在のこの過密過疎の同時解消のために非常にいいことだ、そして、今後の港湾というものはこの日本列島改造計画の中で先駆的な役割りを果たさなければならぬ、こういうことを述べております。  そして、御承知のように、日本列島改造計画は、全国の地域にいわゆる工業を分散配置する。そうした中で、港湾の荷扱い量は、あなたの計算でも四倍の取り扱い量の中で半分ぐらいは、輸送は港湾が受け持たなければならぬ、こういうことで港湾の位置づけをしております。その中で、特に港湾の輸送革新、近代化というような問題の中でこうした労働力の問題を取り上げているわけですけれども、いま提起されている日雇い労働者の問題を含めての港湾労働力の中で、運輸省としては、何が一番大きな軸になっているか。私の理解とあなたたちの——港政課長の論文を見ましても、コンテナ化、これを中心としたラッシュ船とかいうような輸送革新、同時に、それに対応して、いまの政府の政策である日本列島改造計画によって、一そうこの港湾近代化、輸送力を増強させたような、そのかなめにしなければならぬ、先駆的役割りを果たさなければならぬ、この二つの点が、この労働力の問題を考える場合に最も中心的な問題としているというふうに考えておりますけれども、どうでしょう。
  65. 岡部保

    ○岡部政府委員 ただいま御指摘ございました二点というのは、私ども確かに非常に大きな問題であると認識していることは事実でございます。それで、いわゆる輸送の流通革新と申しますか、輸送手段の近代化というものが、これは現実に毎日毎日の情勢として進歩しておりますし、またこれは当然、今後の見通しというものから見れば、相当進歩するというふうに考えなければいけないということで、これは非常に大きなウエートを占めていることは確かでございます。  ただ、これだけではございませんで、私ども、たとえば運政審のあの答申にも十分記載がございますように、今後の、それでは港湾労働問題というものをどういうふうに考えるかという点についても、非常に大きなウエートをもって考えているわけであります。と申しますのは、今後の港湾運送界において、労働力というのは、これは一般的な日本の今後の問題だと存じますが、労力があり余るということはまずないであろう、むしろ不足するのではなかろうかということが一つの問題。それからそういう一般的な労働力の不足という事態に対して、港湾を場にして行なわれる港湾労働というものの質をよくし、いわゆる労働条件というものをよくして、それで労働力を確保しなければならない、これは非常に大きな問題だと私ども考えております。したがって、こういうような問題が、言うなればこれからの港湾労働の進むべき道に対して一つの大きな影響を与えるファクターであるというふうに、この一つを特につけ加えさせていただきたいと思います。
  66. 石母田達

    石母田委員 それはあなた方の論理からいうと、輸送革新あるいは日本列島改造計画における港湾の役割りを大きくしょうということに対応する労働力の問題でしょう。そういうために、安定した、質の向上した労働力を確保しなければならぬという問題を提起しているのじゃないですか。
  67. 岡部保

    ○岡部政府委員 先生の御質問、ちょっと私真意をはかりかねたのでございますけれども、言うなれば、いまおっしゃったそのベースにあるいわゆる日本列島改造論がどうであるかというような問題、あるいは流通革新、いわゆる近代化、合理化というものがどうであるかというような問題の本質的な問題とからんだお話だと存じますけれども、私どもの考え方としては、これは列島改造論についてはずいぶんいろいろ御議論があるところだと思います。ただ、私どもの理解している意味で申しますならば、こういう方向が望ましいし、またある意味では、こうでなければいけない方向ではなかろうかという感じを持って、たとえば流通の近代化であるとか、あるいは列島改造論にありますようないわゆる地方都市の育成であるとかいうような、いろいろな問題点があると私は思います。したがって、それの結果としての、労働力という御発言がいまあったわけでございますけれども、必ずしも、それの結果として見るべきなのか、あるいは一つのそういう流れというものでそういう事態が生じてきておるというふうに理解すべきか、そこの辺、ちょっと私、ここで確答はいたしかねるわけでございます。
  68. 石母田達

    石母田委員 じゃ、もっとはっきり改正の方向と、それからこれはまた港政課のほうの論文ですけれども、岡田課長が書かれたのだと思いますけれども、この中で「これら技術革新埠頭のオペレーションについては船社、荷主等の当該物流システムの管理主宰者が経済合理性を貫徹できるよう免許等の規制の弾力化を図る。」——これはあなたの論旨じゃなくて、八・一八の報告の中に書いてありますね。そうした内容というものから私が理解するところでは、船社、荷主、港湾ではこれを港湾利用者と言っております。こういうものが物流、全体のシステムの管理主宰者として、簡単に言えば主人公として、その経済合理性、つまりその人たちがもうかるように多くのものを安く運んで、そういう経済合理性を貫徹できるようにするために免許などの規制の弾力化をはかる。つまり、いま港湾運送事業法の改正の一つの重大な内容になっている元請制度をやめて免許制度を自由にするという、こういう問題だというふうに私は考えているわけです。そしてそのあとにこの論者は「このような認識に立つならば今や港湾運送事業者は労働力のオルガナイザーとして、下請構造のような中間段階を排し、利用者の需要に直接対応する体制を実現することが必要である。」つまり、このような船社やあるいは荷主などのそうした経済合理性が貫くようにしなければならぬ。それに対応するように、この中間業者を排除して労働のほうもそういうふうに対応させなければならぬ。こういうふうに私は理解しているんですけれども、私の理解にどこか違っているかどうか、ひとつ御説明願いたいと思います。
  69. 岡部保

    ○岡部政府委員 いま先生がおっしゃいました例、これは私どもの発想から申しますれば前半の、まず第一段階としては全く先生のお考えと同じような発想であったと存じます。そこで、それに対して私どもの考え方でもう少しつけ加えさせていただきたいという考え方は、いわゆる港湾運送事業法というものが確かに一つの需給調整——いわゆる事業法というのはみなこういう要請を受け持っておるわけでございますが、需給調整という感覚が非常に強かったと思うのです。そこで、需給のアンバランスというものが、先ほど例にあげられましたこういう特定の埠頭においてはあり得るのかどうかというあたりが一つの問題点になるかと存じます。そういたしますと、すでにこういう能力を持ったこういう荷役機械というものにたよって、たとえばコンテナ埠頭の例をとって申しますならば、コンテナのガントリークレーンというものは何分に何個積みおろしできるという非常にはっきりした能力がきまってまいります。もちろん幅はございますけれども、きまってまいります。したがって、こういう能力というものが与えられた場合に、需給調整という感覚はどうもここでは働かないのではなかろうか。したがって、いままでの事業法での一つの大きな柱であった需給調整という問題よりは、むしろそれと別の感覚のほうが強いのではなかろうかという感じがあるわけでございます。そこが一つの——これは十月時点でこういう方向を考えたということでございまして、現在それではこういうふうにやるかと言われますと、むしろ全く白紙と思っていただいたほうがいいわけでございますけれども、一応これを考えました際には、そういう需給調整というものは別問題である。したがって、こういう特定の埠頭においては一体港湾運送事業というものがどういう姿をとるのかと言いますと、いま先生がおっしゃったような現実の姿になるのではなかろうかということでございます。したがって、いわゆる一般埠頭とそれ以外のこういう特殊な埠頭とでは、港湾運送事業のあるべき姿と申しますか、置かれている場が非常に異なるという状態が出現しているのではなかろうか、そういうあたりが一つの問題点であるというふうに考えたわけでございます。
  70. 石母田達

    石母田委員 話の内容があとのほうがだんだんだいぶ複雑になりましたけれども、ここでいっているのは、こういう船社、荷主等のそういう経済合理性を貫徹できるような体制というものをつくる中で、二重構造の排除ということが、改正の中で、この間もちょっと触れていましたけれども、一つの大きな眼目になっているわけですね。その二重構造を排除するということで、「今日労働力の一般的不足傾向下において常用化が大幅に進展したこと、最終的なクッションとして残る日雇労働者についても、共同雇用の理念にのっとって対処すべき大勢であることを考えると、二重構造はおおむね経済合理的な存在理由を失ったとみるべきであろう。」ということで、法改正の基本の方向としてこういう日雇い労働者の問題についても共同雇用を例にとって云々と書いてあります。それで最後に、この労働者の問題については、「日雇港湾労働者の雇用制度の適正化を図るため、港湾労働法の改正が検討されているもようであり、港運体制は大きくその姿を変えようとしており、」こういう論文になっているわけです。したがって、今回の港湾労働法のこの問題というのは、こうしたいわゆる六・一六、八・一八あるいは港湾局が示しているこの改正の方向という方向での一つのものとしてわれわれは考えている。いま出されている内容も全くこれに合致するというふうに私は思っているのですけれども、そのとおりに考えていいですか。——これは書いた人がそこにおるから、その人の話でもいいです。
  71. 岡田専治

    岡田説明員 ただいまの石母田先生のお話にございましたような、基本的にはそういう方向でよろしいかと思います。ただ、私どもは共同雇用の理念で処理される方向であるということをこの報告ではいっておりますけれども、これは当時、四十五年の十一月でございましたか、総理府の港湾調整審議会の建議におきましてそのような理念が大きくうたわれているところに着目して、このような表現になっているわけでございます。
  72. 石母田達

    石母田委員 大体そういうことだろうというふうに私も考えていましたが、この日雇い労働者の問題は、いまここでも明らかになりましたように、政府が考えている輸送の革新、近代化、コンテナ化というものに対応し、またすでに発表されている日本列島改造計画に基づく超高度経済成長政策の中で港湾の占める地位を一そう大きくするというようなことから出されているいろいろな改革港湾運送事業法の改定というようなものと一体のものとして出されていると思います。ところが、港湾運送事業法の改定の問題は、先ほどの答弁にありましたように、今度の国会に出すまでに至っていない。そのおもな理由は、まだ成案が十分まとまっていないということと、運輸大臣の三月三日の私の質問に対する答弁によれば、このことによって大きな犠牲というか、そういう影響を受ける労働者がある、そうした労働者をどのように活用すべきかという問題などが出ている、あるいはこの間の岡部政府委員のここでの答弁によれば、はしけ業者はじめ多くの業者の中でも大きな影響を受けるものがある。そういうものとの関連でこれが出されていないのだというふうに聞いておりますけれども、そのとおりでしょうか。
  73. 岡部保

    ○岡部政府委員 大体先生のおっしゃいましたような理由によりまして、残念ながら今国会で御審議をいただいていないというのが実情でございます。
  74. 石母田達

    石母田委員 私は出すことを促進しているのではなくて、先ほど申しましたように、これはいまの港湾運送事業者、つまり今度の労働協会に結集されるであろう、構成されるであろうそういう業者の死活の問題なんです。すでに、これはあなたたちは知らないとは言っているのだけれども、いわゆる日港運協会が出して、あなたたちの改定に対してどうして業者として対応すべきかということで、法律改正の方向に対する対応策という案が出されて、海事新聞にも発表されております。そういう中で、年間港運収入が十二億円以下の業者は港ごとにブロックをつくって、そして十二億円以上の事業規模のものが、今後元請がなくなるのだけれども、そういう形で残るのだ、こういうことで非常に大問題になっているわけです。横浜でいいますと、十二億円以上というのは三つくらいしかない、名古屋あたりは一つくらいしかない。こういうほんとうの大業者、あなたたちからいえば物流システムの方向に脱皮する業者です。こういうものしか残らないし、こういう面については政府のほうも助成するというような考えがあるので、こうした業者のほうも対応策を出しているのだ。こういうことになれば、幾ら労働省が、局長が、労働大臣が今度の港湾労働法の改正によって、雇用の安定だとか就労の拡大をやるなんと言ったって、その大もと、それをやろうとする労働協会を構成する港湾運送事業者がいま中間業者として排除されるか、どのくらい生き延びるかという問題にぶつかっているのですよ。そういう方向でいま法改正が政府で検討されているのです。そんなことを一体保障できるかどうか、これは労働大臣に、また道正職安局長に聞きたいと思うのです。
  75. 道正邦彦

    道正政府委員 労働の問題は絶えず企業サイドの問題と関連がございます。したがいまして、港湾運送事業法の改正につきまして、これが内容いかんによりましては労働面に非常に大きな影響を持つこともあろうかと思います。ただ、われわれといたしましては、港湾労働の問題を現状のまま放置できないということで、港湾調整審議会、これには運輸省も事務当局といたしましてお入りになっているわけでございます。そういうことで、また利用者もお入りになっております。そういう方々の御討議を経ましていただきました建議でございますので、その線で法案を作成したわけでございまして、影響はあろうと思いますけれども、まだどういうことになるのかさだかではございませんし、労働問題について影響が出てきますならば、またそれはそれなりに対処をしなければならぬというふうに思います。
  76. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 運輸省関係の港湾運送事業法が改正されましてもやはり一般の運航業者、荷役関係の港湾事業主、こういうものは、これは諸外国の例から見ましても、法案の改正において内容は変わるか知らぬけれども、事業主自体が廃止になるということは、これはなかなか困難に近い問題であります。そういう意味で労働省の立場といたしまして、現在の港湾の労働問題が登録制もなかなかうまくいかぬで崩壊に瀕しておる、こういう意味で、一体化して改正をやったらいいのでありますが、当面の大問題をかかえております労働省といたしましては、運輸省と連携をとって、早く現在の雇用関係を完全にしたいという意味で法の改正をいたしましたので、関連があるが、一体化で法案を提出する必要があるかないかという点は疑問があると思います。
  77. 石母田達

    石母田委員 私はさっきから言っておるように、一体化して出せというのではなくて、そういうよって来たるところは、いま大きな問題が起きて、全面的な検討がなされているという中で、こうしたものを切り離して、あたかも、この間からの答弁を聞くと、港湾労働法の今度の改正によって、就労が拡大するとか雇用が安定をするとかいっておるけれども、今度は協会自身がやるんでしょう、あなたたちの考え方では。その協会、形は事業者がいまどういう事態にぶつかっているか、こういう問題で、とてもそんなこと保障できるなんということは何の根拠もないじゃないかということを指摘している。しかし、一時二十分に岡部政府委員が参議院の関係で退席されるというので、それはまたあとで続けるとして、ちょっと運輸省の関係のほうでもう一回聞きたいことがあるのです。  それは、今回私は資料要求して最後までとれなかった、それは何かというと、公共埠頭で事実上特定の船社に使用を許しているバース、これはどのくらいあるのかということで全国を調べてもらった。それで私ども現場にいますと、郵船バースというのがあります。本牧のBの八から九、あのあたり、これは郵船がしょっちゅう出ているから、郵船のエ−ジェントか何か店社を持っているわけです、上屋に。そういうところが当然もう、そういう特定の船社に貸されていると思ったのです。ところがあれはそうじゃないのだというのですね。そのバースというのは航路別に優先指定をしてあるのだ、だからヨーロッパ航路だとかあるいは北米航路だとか、こういうのに、それで優先的に指定してやる。しかも、定期船が優先になりますから、こういう形でいきますと、優先バースが横浜の中でも非常に大きな数を占める。それで専用貸しというものはないのだ、それはそうでしょう、公共埠頭だから、だれでも差別をしてはならぬということが港湾法のたしか十三条でしたか、きまっているわけですからね。ところが実際にはあるわけですよ。この問題の実態を調べようとしたら、なかなか調べられない、教えてくれない、しまいには、あなたたちじゃないけれども、企業の秘密だと言う。一体どのくらい船社がその埠頭を使用しているか、これが出ないのですよ。それで私どもしようがなくて調べた。調べた結果がいま横浜で、これは水深のとり方によって数が違いますけれども、市の港湾局の発表によりますと、専用施設つまり民間埠頭、大企業、大会社の持っている専用の埠頭が百二十二バースになっている。政府のものは水深七・五メートル、これは四・五メートルだと思います。それから公共埠頭が七十四バースになっている。このうち九バースは米軍が直接接収しておりますから六十五、公共の埠頭があるわけです。これがわずか四年前の一九六八年には専用施設は六十一バースですから、倍になっている。公共埠頭は六十バースから七十四バースにふえている。ところが、米軍を除いた六十五バースのうち、四十一バースがあなたたちの言う優先指定方式のバースなんです。この優先指定方式のバースも、結果としていまの中核五社といわれる五つの会社が、日本郵船とか川崎汽船とかありますね、それの使っているバース、これが二十九バース、私の調べだと。そうすると、公共埠頭のうち、三分の二近くの四十一バースが事実上の優先指定方式で、そうした特定の船社に貸されている。その特定の船社のうちで、いま言いましたように、中核五社というものが大体七〇%近くのバースを実際に使用しているということになる。こういうことになりますと、公共埠頭とは名ばかりで、こういう優先指定方式によってどんどん特定の船社あるいは荷主のほうに事実上の専用貸しになってきている。こういう実態があるわけです。この実態をつかもうとすると、なかなか港湾法の関係があるから抵抗して、国、市とも、残念ながら横浜市の中でもなかなかわからなかったのですが、これは一体となって何か法律違反しているのか知らぬが、企業の秘密まで持ち出してきて、とうとうその実態をつかむことはできなかった。この実態についてどう考えるのか。また、こういう資料の要求に対して、はっきり出ないものかどうか、この点をあなたに聞きたいと思います。
  78. 岡部保

    ○岡部政府委員 まず第一点の、いまおっしゃいましたような事態というのをどういうふうに考えるかという点につきましては、私どもほんとうに頭の痛いところでございます。と申しますのは、公共埠頭といいながら、いま先生おっしゃいましたように、専用に近い姿になっておるという点があることは事実でございます。  そこで、いわゆる航路別の優先使用というところまで公共埠頭の使用というものを踏み切ろうとしておりますのが、私どもの行政的な態度でございます。そうすると、その航路別にする以上、たとえば今月のものについて前月の十五日までに、どこどこの航路でどういう船が何日ごろ入るということを、事前に通告を港湾管理者のほうに各社がいたしまして、そうすると、それではその船はどこのバースにつけなさいということを事前にきめておるというのが事実でございます。そういたしますと、たとえば本牧の第何バースであるというようなところに、どうせならば同じ社の船が順順につけるだけの隻数があれば、そうしたらいいじゃないか。ただ非常に数の少ない会社などについては、いろいろな会社がかわるがわる使うというようなバースも事実上あるはずでございます。  そういうようなことで私ども、確かに先生おっしゃるように、非常に専用に近いじゃないかということですが、まずそこのあたりまでは公共埠頭の一つの使用の限界として踏み切ったというのが事実でございます。そういうことをすることによって荷役の能率があがるということを、言うなれば、非常に効率を問題にするといってまたしかられるかもしれませんが、そういうような考え方で踏み切っておる。ところが、それでもまだとてもむずかしい、ほんとうに各社別にまで踏み切らなければいかぬというあたりが、外貿埠頭公団というものが出てきた一つのバックにあるわけでございます。したがって、その問題につきましては、先生御指摘のとおり非常に問題はございますが、いまのところ、どうもあのくらいまではしようがないのではなかろうかという考え方を私ども持っております。  それから第二点の、この資料がどうであったかという点については、実は先ほども申しましたように、たまたま、偶然ではあるのですけれども、このバースはずっとコンスタントにたとえばNYKが使っておるというようなバースは、明らかに少なくも港湾管理者であれば御存じであるはずであります。ただ、このバースについては、各社がかわるがわる使っておるというようなところ、それから月によって非常に変動がございます。そこらでぴしっとした分け方ができないということを管理者は申しておるのではないかという感じをもって、いま先生のお話を伺っておったわけでございます。したがって、何かそういうような一つの限界を設ければ、もう少し実情というものはつかみ得るというふうに私は考えております。
  79. 石母田達

    石母田委員 私は、いまの答弁によって大体明らかになったと思いますけれども、民間のバースが横浜だけでなくて全国の傾向からいってもふえて、そして横浜でいいますと百二十二バース。こういうところが、今度港湾運送事業法の改正がもしなされる、その方向であれば、いまの港湾運送事業者でなくても、つまり免許を持たなくても、あるいはそこの承諾を一つの条件として港湾運送事業をやれる。そうしますと、いままでの港湾運送事業者、そこで働いていた人々というのは、極端にいえば使わなくてもいい。使わなければならぬといういまの港湾運送事業法ははずれるわけです。  それから私がおそれるのは、いまの公共埠頭の中でもだんだん専用貸しの状況が進んでいって、これまでも特定港湾というふうに指定されるようになったら、港の三分の二以上のところでは何もいままでの港湾運送事業者、中間業者を使わなくてもいいんだ、こういう状況が実際に出てくる。そうでなくとも、荷扱い量はふえても職域はだんだん狭くなっている。こういう実態の中で、在来の港湾運送事業者と港湾運送労働者がやれる範囲というものは非常に狭くなる。また狭くするかどうかは、この管理主宰者といわれる荷主とか船社の手に握られるわけです。そういうことになりますと、これは港湾の労働者にとっては重大な問題になります。もちろん港湾運送事業者にとっても重大な問題でしょう。そこに国がこれを推進させるようにしているということが一番重大な問題だと思います。  いま公共性の問題で出されましたが、事実上の専用貸しが起きているということ、これはずいぶん論争したのです。やっときょう認めました。認めざるを得ない実態です。だれでも横浜の人は、あそこの郵船バースであるいは店社の専用のところで、港湾労働者が便所に入ろうと思っても、公共の便所でも夜は入れない。あるいは昼間だって入ったら、おれたちが借りているんだからということで、ホースの水で追い出される。そういうように専用している。自分たちのものだと思っている。うちの船が着いた、うちの店だ、こう言っている。そういう実態になっている。  これが、あなたたちが二言目に言う自由競争、船社やあるいはそういうメーカーが自分で一生懸命やって、自由競争でそうなったというなら、まだ資本主義です。ところが、そうじゃない。第一次から第三次計画に至るまで、一兆九千五百億円というお金がこういう港湾整備に出されている。あと五年間に五カ年計画で二兆一千億円、このお金を出すというのでしょう。このうち、あなたたちの港湾局の発表によると、一兆五千五百億円が港湾の整備の事業だ、こういうふうになっていまして、昭和四十六年度から昭和五十年度まで使う。そのうち国費が約八千億円、港湾管理者つまり自治体が五千億円。それから財政投融資から八百五十億円。受益者つまりそういうものを使う船社とかメーカーが千五百億円、一割しか負担しない。八割以上が国や自治体つまり国民の税金です。そういうもので公共性だ。そして港湾法の十三条には、公共埠頭というものは管理の面でも何人に対しても差別をしてはならない。こういうことで、公共性ということでたくさんの国費、それから住民の血税が投入されておる。しかし、できたものはそうやって三分の二、私の計算ですと四十一バースが指定方式。本牧などほとんど全部じゃないですか。優先指定方式、そして結果としては特定の船社や大資本に貸してしまう、使わしてしまう。その経済合理性が貫けるように、今度は労働力を再編する。  われわれは逆です。人を土台にして、こういう地域にもいまの労働者をもっともっと使えるようにする。締め出されるのではなくて入っていく。そしてすべての労働者が登録をし、すべての労働者に対し、こういう港湾利用者も含めて雇用の責任を持たせる。ところが、いまの港湾利用者は今度の法改正にだって入っていないでしょう。いま聞いたら、港湾運送事業者が全部はなくならないかもしれないけれども——労働大臣はそんなことを言っておる。私も、港湾運送事業者が全部なくなるかどうかわからぬけれども、しかしそういう事態にある集まりの労働協会、事業者に、何でいまの事態の中における労働者の雇用の責任なんか負えるか。負えないような人たちの集まりなんです、労働協会というのは。しかも、国はあげて、いま港湾運送事業法の全面的な改定ということで、そういう近代化——先ほど読みましたからやりませんけれども、これはコンテナ埠頭だとかその他の民間の物資別の専用埠頭だとか、そしてそれに拍車をかけて、日本列島改造の計画だから、大車輪をかけて、これに重点を置いて港湾のあれをやらなければならぬ、こういうふうにして、国はあげてそういう政策を推進しているわけですから、これはいまの運送業者や労働者の犠牲なくしてはできない。犠牲の上に立ってこの近代化を進められている。決して自然にそうなったというんじゃないのです。国はあげて、金をやる、そうやって、法律の問題でも権力を行使してやっているわけです。そのために、いま労働者がどんな劣悪な条件に置かれて、大量の首切りがあるかもしれない。現実にどんどんはしけなんかやられている、関係業者の中でも倒産する人がふえている、こういう事態の中で、こういう港湾労働法を出したら一体どうなるかという問題です。私は、今回出された港湾労働法の問題について、さらにそれをえぐり出していきたいというふうに思います。  そういう点で、港湾の労働協会の構成の問題ですけれども、これは事業主によって構成されるわけですけれども、その事業主の中で、たとえば荷役関係とか、特に日雇い労働者を主として雇うというような業者に限られるのか、あるいはそれ以外の業者も入れるけれども、事実上入らなくてもいいのか、そういう構成についてちょっとお話し願いたいと思います。
  80. 道正邦彦

    道正政府委員 加入強制は現在の法律のたてまえで必ずしもできませんので、すべてを強制加入させるということは考えておりません。ただ、港湾労働者を使うという面におきましては、大なり小なり、多かれ少なかれ共通点があるわけでございますので、われわれといたしましては、免許を受けている港湾運送事業者が全員、各港ごとに会員になることを期待しておるわけであります。
  81. 石母田達

    石母田委員 結果として、関係のある業者がどうしても主になりますね。入ってこなくてもいいというわけでしょう。強制力はないわけですね、業者は。そうすると、何も使わぬ人たちが、関係ない人たちが、日雇いの人に関係ない業者が一々金を払って入ってくるということは普通常識では考えられませんので、特定の人、あるかどうか知りませんけれども、主として入ってくるのは日雇い労働者を雇う業者、関係ある業者というふうに考えられるけれども、どうでしょうか。
  82. 道正邦彦

    道正政府委員 港湾労働に波動性が本質的にある以上は、原則といたしましてはすべての事業主に関連があると思いますけれども、自分のところは常用だけでまかなうので日雇い労働者は一切使わないということでやっておられる企業があるとすれば、これはお入りにならないことになると思います。
  83. 石母田達

    石母田委員 入らなくても、結果としてはそうなるのじゃないですか。あなた、普通常識で考えられるでしょう。それは入らなくたっていいということなんだけれども、入らなくてもいいということになれば、日雇いの人たちに関係のある業者が主になるんじゃないでしょうか。そういう業種をたとえばちょっと言ってください。
  84. 道正邦彦

    道正政府委員 われわれといたしましては、現実の問題として、日雇い労働者を全然使わないという企業から見れば、地区協会の会員になることについてメリットがないわけでございますから、入らないという企業も出てくるかと思いますけれども、しかしながら、私は、かりにそういう企業があったといたしましても、港全体の制度として地区協会をつくるわけでございますから、全員が会員になっていただくように、法制定の暁には業界に申し入れもし、指導もしてまいりたいと思います。
  85. 石母田達

    石母田委員 それは押し問答で、あなたの努力、抱負はわかりますけれども、結果として、常識で考えれば、関係のある業者が入ってくるというふうに思いますし、そうなってもそれを強制することはできないというのが今度の協会の性格だと思うのです。  そこで、中小企業の退職共済法ですか、これを地区協会が引き継ぐというふうに今度の改定であるけれども、これはこの協会が雇用関係がなくてもそういうふうに適用するということの根拠はどうですか。
  86. 道正邦彦

    道正政府委員 地区協会の性格につきましては、いろいろ審議会の場でも議論がございました。せっかく登録制度をしくのであるから、たとえば労働条件についても関連が出てくるし、団体交渉の当事者にしたらどうかとか、いろいろございましたけれども、これは各企業から委任を受けてやってやれないことはございませんけれども、労使のお話し合いで、労使関係については別途既存の業界の団体と労働組合との間で交渉をしていくということで労使双方ともお話し合いになっております。いろいろ登録、紹介等の仕事が中心でございますからやっていただくわけでありますが、同時に、付帯的に福祉事業その他をやっていただく、これは可能であるわけでございますので、定款その他できちっときめていただく。その一つといたしまして、福祉事業の一つである中退金の事業も協会でやっていただきたいというふうに思っておるわけであります。
  87. 石母田達

    石母田委員 中退法の適用される根拠というのは、結局雇用関係があるとみなすというふうにならないと——現行法ではそうしている。そうでしょう。それが今度地区協会が引き継ぐというんだから、地区協会は何でそういうふうにみなされるのか、ちょっと御説明願いたいと思います。
  88. 道正邦彦

    道正政府委員 現行の五十六条に「登録日雇港湾労働者に関する退職金共済制度」という条文がございます。「港湾ごとに事業主が組織する団体が、次の各号のいずれにも該当することについて労働大臣の認定を受けたときは、当該団体及びその構成員である事業主の雇用に係る当該港湾における登録日雇港湾労働者を、それぞれ中小企業退職金共済法第二条第一項に規定する中小企業者及びその雇用する従業員とみなして、同法を適用する。」という規定がございます。で、今回できます地区協会を労働大臣の従来認めておりました団体とみなして、引き続き中退金の仕事をやっていただくようにというふうに考えております。
  89. 石母田達

    石母田委員 いまのとおり、労働協会というのは、いままでの事業主がやっていた雇用関係を引き継ぐものとして、この事業の団体の集まりとして中退法で結ぶ、みなしてやる。そうすると、そういう団体が、協会とこの日雇い労働者との団体交渉権、団結権という問題では、その労働協会の問題では、今度は提起されてはいないけれども、そういうことを結び得る、締結し得る、そういう主体と考えていいですか。
  90. 道正邦彦

    道正政府委員 ぎりぎりの法律論としては、各加盟の事業から委任を受ければ団体交渉権は持ち得ると思います。しかしながら、いままで団体交渉につきましては、別途港運業界が各港ごとにございますが、そういうところといままで交渉を積み上げている経緯がございますので、労使間のお話し合いで、団体交渉そのものは、この団体とは別の従来の団体で引き続き行なわれるというふうに話し合いがついておるわけでございます。
  91. 石母田達

    石母田委員 じゃ、法律的にはぎりぎりのところで、業者のほうがこれに委任をすれば持ち得るけれども、法的には、いまの話し合いの過程ではそうはなってないということですね。そういう根拠があるわけですね。そうしますと、協会というものは今度あなたたちの改定でいうと、登録、紹介、同時に登録の取り消し、拒否というものが義務条項で、何々しなければならない、取り消さなければならない、拒否しなければならない、こういう形でいま提起されているわけですけれども、いまの状況でこれが業者の団体、雇うほうの側の団体の集まりが実権を握った場合に、一体労働者にどういう影響が出てくるか、この点についてあなたたちはどう見ているか聞きたいと思います。
  92. 道正邦彦

    道正政府委員 港湾労働現状にいろいろ問題があることはるる申し上げたとおりでございまして、これを解決するために共同雇用の理念に基づいて組織をつくるべきであるという御建議をいただきました。その線に沿って地区協会の設立ということを考えておるわけでございます。ただし、いままで安定所がやっておった登録、紹介等の仕事をまかせるわけでございますので、白紙委任するわけにはまいりません。したがいまして、これも繰り返しになりまして恐縮でございますが、雇用調整規程というものを定めてもらう。そのためには労働大臣の認可が要る。労働大臣が認可をするためには関係の審議会の意見を聞くというたてまえになっております。そのほか勧告であるとか、あるいは監督命令制度であるとか、あるいは役職員の解任要求制度であるとか、そういう現在の法制上可能な限りの規制措置をあわせて講じておるわけでございまして、私は関係者の御協力がいただけるならばこの制度はりっぱに運営できるというふうに考えております。
  93. 石母田達

    石母田委員 あなたがそういうふうに思っているかどうか、それは腹の中をさいてみなければわからない。しかし、実際あなたは人を雇ったことがあるかどうかわからぬけれども、いまの港湾労働の実態で、こういう取り消し権、拒否権を持った場合にどういうことになるか。すでに四十六年度以後ですけれども、門司、横浜、大阪で大量の日雇い労働者が整理されていますね。これは取り消し権ですね、つまり定数を上回るものとして。それから個別に取り消しをしたものがあなたたちの数字でも、これは第十条に基づく登録の取り消し拒否人員が港別に出ておりまして九千四百五十九名、これは年次別に昭和四十二年度からの累計で出ております。この中で一番多いのが能力のない者。この能力があるかないかというのは今度は労働協会が判断するのですか。能力もそうだし、たとえばその業務に対して、仕事に対してしばしば出頭を拒否したときとかいろいろありますね。第十一条の八項目にわたる取り消しの条項がありますが、あれは今度一体だれが判断するのですか。
  94. 道正邦彦

    道正政府委員 従来職業安定所がやっておりました仕事を地区協会に原則としてまかせるわけでございますから、当然地区協会設立の暁には地区協会が行なうことになるわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、安定所がやっていた仕事をまかせるわけでございますから白紙委任するわけにはまいりません。したがいまして、いろいろの規制措置を講じておるわけでございます。特に登録されるかどうかあるいは登録拒否されるかどうかという問題については、これは個々の労働者にとって非常に大きな影響を及ぼす問題でございます。したがって登録委員会制度というものを別途さらに設けておりまして、これには労働側の代表も入っていただき、登録委員会において検討して、その結果に基づいて措置をするというシステムにいたしておるわけでございます。
  95. 石母田達

    石母田委員 あなたは港の実態をよく知っていないのじゃないかと思うけれども、それでは二、三質問しますが、横浜でいま港湾労働者が何時から何時まで働かされているか、それはオンボートですよ、拘束時間、実働時間。  それからもう一つは、ああいうふうに職安に表示して、看板に出しても求人に対してほとんど人が行かないということがあるのです。金を払うのですよ。全然払わないというのじゃない。労働者が行かないのです。そういう仕事があるんだということを知っていますか。
  96. 道正邦彦

    道正政府委員 私どものほうで各港について勤務時間等を調べておりますが、横浜につきまして、たとえば昼間の勤務でありますが、これは八時から十八時三十分、基準内七時間三十分、残業二時間、夜勤は十八時三十分から明け方の五時まで、基準内七時間三十分、残業二時間ということで勤務時間が定められているようでございます。  また現実の問題といたしまして、安定所で現行法に基づきまして職業のあっせんを求人企業に対しまして行なうわけでございますが、これは原則としては正当な理由がない限り行っていただくというたてまえになっております。しかしこれはあくまで労使の話し合いできめるというたてまえもございますので、これは個々の労働者がどういう企業に行きたがるか、行きたがらないかというような問題は現実問題としてあろうと思います。ただ職業安定所といたしましてはできるだけ公平に、また少しでもいい条件のところにあっせんする、また特に労働条件の悪いところは指導もするということで行政運営をやっているわけであります。
  97. 石母田達

    石母田委員 いまのはあなた書いてあるのを見たのだから、知っていますかということになると、知っていたということにならぬのだ、見なければわからぬわけですから。私はそういう中で、いままで職業安定所がやっていたという責任からいってもどういう看板、つまり表示の仕事を労働者がきらうか。きらう労働者が悪いのか、そういう仕事をさせるほうか。いまの時間でも十時間半でしょう、拘束時間は。これに一時間半の往復を入れてごらんなさい。十二時間、一日の半分だ。しかも港湾労務者というのは炭鉱に次ぐ重労働、こう言われております。災害だって多い。看板の中に入ると、たとえば牛生皮の中にウジがうじゃうじゃしたやつを運ぶ、あるいは青ペレットという牧草だって、午前二回、午後二回ということで一日四回マスクが配給なんですが、ほこりで目が見えなくなる。燐鉱石、鳥のふんの堆積、そういう仕事を十時間半もやらされてごらんなさい。そういうところに労働者が行かないのは最低の抵抗権ですよ。決してなまけて行かないのじゃないのですよ。あなたは二言目にはよく出頭して就労しないというけれども、一ぺん行ってごらんなさい。あそこに行って看板見て行く気になるかどうか。私はそういう港湾の実態を見てきているから……。そういうことで今度使用者の側に、あなたは労働協会、労働協会というけれども、さっきはっきり言ったように事業者の団体、業者団体だ。これはできるだけ安くどんな仕事でも無理やりやらせる。日雇いはやらないから、暴力手配師まで使って暴力でも使わなければそんなところで働く人はいないですよ。そういうところに、今度は業者団体は取り消さなければならない。登録を取り消されたら、港湾労働者にとっては致命的ですよ。その登録を取り消すことができるじゃない、取り消さなければならない。能力とか、しばしば業務を断わった者とか、そういう条項でばっさばっさ切ってごらんなさい。これはいまの大量の日雇いがみんなそういう意味で対象になると思う。いままでは職業安定所だから、公務員だから、まあまあその中にいろいろな人がいても、そういう意味では利害関係というものは直接持っていないから公正中立というようなことで、われわれのいろいろな圧力なんかである一定のあれはやれる。ところが今度はあなたがさつき言ったように業者でしょう。使うほうでしょう。それがそういう権限を持ったら、これは選ぶどころの騒ぎじゃないです。そういう権力があった場合に、いまの労働者がこういう労働から抜け出ることができるかどうか。冗談じゃない、逆です。そういう点で、いま労働者は輪番制だから、ある場合にはいい仕事に当たるということもあるけれども、あなたたち今度の地区協会の問題で、輪番制の原則はきちんと認めるのかどうか、そういう保証するのかどうか、ちょっと聞きたいと思うのです。
  98. 道正邦彦

    道正政府委員 労働条件の問題、御指摘がございました。確かに私は港湾労働というのは、他産業に見られない非常に重要な重激労働だと思います。重要でありますけれども非常に重激だ。ただこの労働条件改善につきましては、基本的に、労働基準法であるとか安全衛生に関連する法律であるとか、いろいろ法令の規制を受けますけれども、基本的には労使関係で団体交渉で積み上げていくという性質のものだろうと思います。まだこれは最終的に詰まっておらないようでございますけれども、仄聞いたしますところ、去る三月には、その拘束時間八時間、月間の残業時間五十時間というふうな協定もすでに関係者の間で取りかわされておるようでございます。これが予定どおり発効するかどうか今後の問題でございますけれども、そういうことで私は労働条件改善につきましても、労使が現在せっかく努力をなさっている、そういうことが根っこにありまして、やはり労働条件改善されていくというふうに思うわけでございます。もちろんわれわれといたしましても、労働者の労働条件の問題でございますから、側面的にごあっせんをするとか援助をするということは当然しなければいかぬと思いますけれども、基本は労使関係の問題であるし、最近におきましては、いままでにないようなそういう労働条件改善についての努力もされているということを御披露申し上げておきます。  また、輪番制の問題について御質問ございましたけれども、雇用調整規程というのを定めるわけでございます。その際に登録労働者の皆さんが公平に就労できるように配慮するというのが、これはもう基本だと思います。そういう点についてどういう書き方にするか、雇用調整規程の内容の問題として、これは直接就労される労働者の問題でもございまするし、十分意見も承り、関係審議会の意見も拝聴してきめていきたい、こういうことによって公平な就労が確保されるようにしたいと思います。
  99. 石母田達

    石母田委員 結局輪番制がまだ保証されていたいということがわかったのですけれども、本会議が始まりますので、私の質問はこれで中断して、本会議後にあらためて質問したいと思います。  終わります。
  100. 竹内黎一

    竹内(黎)委員長代理 この際、暫時休憩いたします。     午後一時五十四分休憩      ————◇—————     午後四時一分開議
  101. 田川誠一

    田川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  休憩前の質疑を続けます。石母田達君。
  102. 石母田達

    石母田委員 では、続いて質問いたします。  先ほどの答弁の中で、日雇い労働者の問題について関連する中で、労使の問題では信頼関係といいますか、それが基礎になるということを言われました。これは日雇いに限らず常用労働者も含めて、港湾労働の問題について言われたのだと思います。  それで、あなたが再三強調されている、また大臣も言われましたけれども、三月二十二日の労使間の協定、深夜作業もしない、あるいは時間短縮の協定、こういう協定が結ばれたということは非常に好ましいことだということを言っておりました。その協定に対して、四月二十五日の団交で日港協会の高嶋副会長が一方的な破棄宣言をした、こういう事実を聞いておりますけれども、その内容についてお知らせを願いたいと思います。
  103. 道正邦彦

    道正政府委員 前回の当委員会の席上で私御答弁申し上げましたそのときには、まさに三月二十二日の団交の結果の文書、これは締結されたばかりでございまして、御答弁間違っていなかったと思いますが、きょうは、先生いま御指摘のように労使間の賃金闘争をめぐる交渉がもつれまして、いまお話しのようないきさつがあったことを、直接じゃございませんけれども仄聞はいたしております。ただ、いやしくも労使の代表者が署名をした文書でございますので、私は、いろいろ経過はあると思いますけれども、円満に両者の話し合い、かつきまして、その文書が有効に今後生かされていくことを心から期待しておるものでございます。     〔委員長退席竹内(黎)委員長代理着席
  104. 石母田達

    石母田委員 その席上で今後中央交渉には応じないということですと、昨年の六・八の協定あるいはさかのぼって、先ほどの三・二二も含めまして、これも破棄されるということになるわけですけれども、いまの現状では退職金の交渉にさえも応じない、こういうことになりますと、四年前からいわゆる労使間に慣行として持たれている退職金の交渉の団交も持たない。賃金の問題で労使が対立するということはあり得ることです。しかし一ぺん調印したものをこうして一方的に破棄する、これまでの慣行も破棄する、今後もやらないということになったら、これは労使関係の信頼などというものじゃないと思うのです。こういうことについて期待されるということですけれども、こういう態度をとる日港協会というものは、普通のいわゆる労働運動の中に出てくる資本家とは違ったものがあるのじゃないか。こういうことについて労働省としてはどういうふうに考えておられるのか。これは大臣を含めて答弁願いたい。また、これを期待するというだけでただ見守っているのかどうかということについて御返事願いたいと思います。
  105. 道正邦彦

    道正政府委員 港湾労働の問題をめぐりまして、港湾調整審議会等の場を通じまして労使の活発な御意見の開陳が相互にあったわけでございます。しかしながらかなり激しいやりとりの結果、労使の話し合いがつきまして、両者を含めまして満場一致で建議が出されたわけでございます。その過程におきましては、労使が初めの九月には特別の覚え書きを取りかわされておりまして、私は基本的には従前に比しまして港湾労働労使関係も改善を見つつあったし、今後も基本的にはそういう方向へ進むものと思っております。ただ現象的に、いま先生御指摘のようなトラブルがあったことも仄聞いたしております。われわれといたしましては、いやしくも労使の最高責任者が調印した文書でございますから、簡単に破棄できる性質のものでもないというふうに思いますので、労使交渉がさらに煮詰まりましてこの文書が文字どおり施行されるものと期待し、そういうことにおそらくなるであろうというふうに期待と言うとおしかりいただくならば、私としてはそういう方向に行くだろうというふうに予測をいたしております。
  106. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 いま局長から話したように、調印もしたことでありますし、労使関係がいろいろの労働条件の問題についていまお話しのような線に沿っていくように、労働省といたしましても、私といたしましても大いにその方向で指導いたします。
  107. 石母田達

    石母田委員 ぜひそのように指導して、このような一たん協定されたものについて一方的な破棄をするということについてきちんと責任を明らかにしていただきたいと思います。同時に、先ほどの答弁の中にも、建議の過程で協定を結ばれたということで日港協が全体としての共同責任をとるとか、第二項でしたか、労組法に基づく団交権の問題がありましたね。そういうものがこういうふうに調印ざれながら一方的に破棄ということが起きると、労働者が信頼して実施されることができなくなるということで、港運協会というものの質の問題、業者の質の問題、こういう点については十分指導していただきたいと思います。  同時に業者というものが、全部が全部というわけではありませんけれども、これまでの港湾の中で見ていると、まだまだ半封建的な性格を持っている団体が多いのでありまして、中には暴力的な手段で労働者を押えつけているというのもあるのです。たとえばこの高嶋副会長のことばの中には、自分が取り仕切った問題なんだからおれが破棄するのだというふうな——大体、取り仕切ったなんというのは普通のことばではないのでありまして……。それからまた、関門のある業者が言っていたというのだけれども、実はあいくちをのんで交渉に行ったんだ、もしあんな協定が結ばれるのだったらあいくちを使おうとしたというのですけれども、白紙になったので非常に喜んでいる、こういうことを発言するというような業者というものに現実に労働者が使われているということ、こういう実態、港湾特殊性というものをよく見きわめていただきたいと思うのです。  私はその一つの例として、私自身が経験したことでありますけれども、昨年の秋横浜の港湾病院で私の義理の兄がしばらく入院しておりましたので行きました。ある日行ったら、前の日に入院してきた人が屋上から飛びおりて自殺をした。その自殺した人が、あとから聞きますと、いわゆる日雇いの港湾労働者であった。その人は会社で作業中に荷物か何かで足が折れた。そういう事故で入院されたわけなんです。ところがその会社では、自分の会社でやったんじゃないんだ、こういうことでそれを認めないのです。もちろん労災にもかかれない。そういうことが本人から組合のほうにも通知があった。それが主たる原因だと思いますけれども、自殺の問題で職安のほうも調べたけれども、前に失恋したことがあるというふうなことで、一応失恋ということになっておるそうであります。しかし、こういうことが港湾の中でよくあるのです。てめぇ、おれの職場でやったというのか、やれるならやってみろ、こう言われると労働者は弱いのです。いまでも小さなけがでも言い出せないのです。そういう目に見えないものが、実際は暴力的な支配というものが非常に港湾の中にあるのです。こういうことがいまこうした自殺の主たる原因だと私は思っておりますけれども、とにかくそういう事故があって、会社での事故じゃないんだという全然事実と——これは目撃者もいるわけなんです。そういう実態ですね。私の言いたいのは、その気の毒な方の問題もありますけれども、そういう港湾の実態、そこにこの今度の法改定によって労働者の生殺与奪の権が与えられるということになれば、一体どういうことになるかということを考えるわけです。そういう点で、いま言った事故などについて現場の職安のほうから報告があったと思いますけれども、どういうふうに処理されておるか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  108. 道正邦彦

    道正政府委員 行政運営上、いろいろ現場でトラブルが起きます、それにつきましては報告が参っておりますが、ただいま御指摘の問題につきましては、神奈川県のほうから別にまだ報告が来ておりません。さっそく県に連絡いたしまして、経過を調べ、原因を突きとめた上で必要な措置をとりたいというふうに思います。
  109. 石母田達

    石母田委員 それはあとできちんと私のほうへ報告してください。
  110. 道正邦彦

    道正政府委員 そのようにいたします。
  111. 石母田達

    石母田委員 それから私はさらに、この閘門司その他で十一条に基づく大量の整理があったわけですけれども、その人たちのその後の状況といいますか状態といいますか、そういうものについて、追跡調査なりあるいは現場からの報告に基づいて状況を握っておられるかどうか。たしか二百五十七名でしたか、関門だけで、特に女性が多いんですけれども、中高年齢層を含めて二百五十七名じゃないですか、その人たちのその後の状態……。
  112. 道正邦彦

    道正政府委員 門司港につきましては二百一名、それから洞海につきましては四十三名が取り消しになっております。求職の申し込みがございましたのが、門司につきましては百十六名、洞海については二十五名でございます。いろいろございますけれども、現在までのところ就職されました方は、四十一名と十八名というふうになっております。取り消しの問題につきましては、関門だけでなく関係の港につきましては、再就職の問題につきまして検討して全力をあげて努力をするということで臨んでおります。残された方々につきましても、さらにケースワーク方式による就職指導を徹底いたしまして、早目に少しでもいい条件の職場に再就職していただくように努力したいと思います。
  113. 石母田達

    石母田委員 しかし実際は、これぐらいの人たちしか就職できないのが現状だと思います。こういう人たちがどんな苦しい状態に置かれておるかということは、もう想像するにかたくないわけですけれども、こういう人たちが今後——今度の大量取り消しというような問題が法改定によって一そうひどくなるんじゃないか、こういう不安があるわけですし、現実に関門だけではなくていろいろなところで——関門でも具体的にそうしたことが業者の代表からことしもあるぞ、それでこの法改定があればそれはあるだろうということをいわれている。この点についての見解はどうでしょうか。
  114. 道正邦彦

    道正政府委員 登録の取り消しを実施いたしましたのは、四十七年度でございます。四十八年度の定数は四十七年度の横ばいということで、関係審議会の御答申も得まして、そういうふうにきめております。今後の見通しでありますけれども、私は今回の法律改正が幸いにして成立いたしますならば、就労の状況は改善されるというふうに思っておりまするし、定数をさらに削減しなければならないという事態にはなるまいというふうに思っております。  また定数は、地区協会がかってに減らすというシステムにはなっておりませんで、あくまで従来どおり労働大臣の認可が必要だという仕組みになっておりますので、従来同様慎重に定数問題は扱ってまいりたいというふうに思います。
  115. 石母田達

    石母田委員 それが私は甘いというんです。いまの労使の団交についても、非常に甘い見方をしているために、そういう一方的な破棄があるというように、あなたたちが予想し得ざる事態が起きるわけですね。それは先ほどから私が再三言っておるように、日雇いの依存率とかあるいは日雇いというものについてどのようになるかということは、港湾全体の中で出てくるのです。そういう中で、だんだん減ってくるかもしれない。そうした場合に、特に一方ではいまブロック制の問題で常用労働者があちこちにたらい回しのような状態で使われるというような状況の中で、日雇い労働者が入り込む余地がだんだん少なくなっているということですから、当然これに合ったような定数というのは、これはきめざるを得なくなっちゃうでしょう。そうしますと、そういう定数というものによって登録労働者との間に差ができれば、その大量取り消しというものは出てくるのじゃないですか。しかも今度は地区協会が主体になるんじゃないですか。そうしたらいままでよりも非常にやりやすいような状態が起きるのではないかと思いますけれども、その点はどうですか。
  116. 道正邦彦

    道正政府委員 一部常用労働者の貸し借りと申しますか、そういうことを通じて常用の労働者の就労機会をふやすというようなことを計画しているという情報も得ております。ただしこれは事業場が完全に合併をして新しい事業場ができ、労働者も合併するということであれば法律の問題は出てこないと思いますけれども、労働者の単なる貸し借りということであれば、これは労基法の違反になる公算がきわめて大でございますので、許されないことでございます。
  117. 石母田達

    石母田委員 まあ許されるか許されないかは別として、そういうものが実態として行なわれて、それから先ほど私がずっと出していろいろ確認いただきましたように、港湾労働者の中で日雇い依存率がだんだん低まるようなことが国の政策としても全体として行なわれている。職域がだんだん狭まっていく、こういうことでありますから、私はあなたが今後そういうことはないだろうと言うようなことは全然根拠がないと思う。そして地区協会それ自体が、業者自体がその点について確信がない、大きく動揺をしているわけです。そういう状態の中で、あなたが幾らそんなことはないだろうと言ったって、現実に私は出てくるだろうというふうに思います。この点についてはお互いに、そういう見通しの問題ですから、事態がはっきりするでしょうから、これは今後に譲りたいと思うのです。  もう一つの問題で、取り消し拒否の問題です。先ほどの質問の中でも申し上げましたように、九千九百何十名がすでになっているわけですが、そのおもな理由の一番多いのが、しばしば出頭を怠った者という現行法の五項目のほうです。それからもう一つがいわゆる能力がない者。これの判断をする主体が地区協会ということでありますけれども、いま出頭義務というものは現行法にはないけれども、規則か何かできまっておりますか。
  118. 道正邦彦

    道正政府委員 制度自体が、登録制度をとりまして優先的に就労のあっせんをするというシステムになっております。したがいまして、そういうたてまえをとっている以上、登録の労働者の皆さんにはやはり出頭をしていただくということが大前提でなければ、登録制度は成り立たないわけでございます。そういう意味で、正当な理由があれば別でございますけれども、正当な理由なくしばしば出頭しないということであれば、これはやはり問題でありまして、制度の根幹をなす大前提でございますので、出頭をしなくていいというふうには私はならないと思います。
  119. 石母田達

    石母田委員 それは何にきめられて、何日が義務になっているかどうか。
  120. 道正邦彦

    道正政府委員 法律の根拠といたしましては現行法二十条にございまして「登録日雇港湾労働者は、公共職業安定所長の指示するところにより、港湾運送の業務に紹介を受けるために公共職業安定所に出頭しなければならない。ただし、疾病又は負傷、公共職業安定所の紹介による港湾運送の業務への就労その他労働省令で定める理由があるときは、この限りでない」ということでございます。  何日という基準でございますけれども、これは港によって若干の違いがあるようでございます。取り消しの基準として、たとえば東京でございますならば出頭日数は六日というふうにきめております。それから横浜でございますならば、出頭日数は五日というふうにきめております。
  121. 石母田達

    石母田委員 それは六日出ればいいということじゃないでしょう。六日、それは取り消しのほうでしょう。出頭義務です。何日出なければならぬかということですから、それはそんなものじゃないでしょう。それは何日ということも港ごとにきめてあるのですか。それは省令できめたものがあるのかどうか。
  122. 道正邦彦

    道正政府委員 日曜日はもちろん休みでございますから出頭義務はございません。ほかの日は出頭していただく。ただし取り消しの基準としての出頭日数は、出頭日数が月五日ないし六日以下であれば取り消しの事由になる、こういうことでございます。
  123. 石母田達

    石母田委員 そうすると、原則としては、この二十条の出頭しなければならないというのは、日曜、祭日を除いて二十五日くらいありますけれども、これは出頭しなければならない、こういうことですか。
  124. 道正邦彦

    道正政府委員 原則としてそうでございます。
  125. 石母田達

    石母田委員 その横浜五日とか東京六日の取り消しの基準というのは、どこでどういうふうにきめているのですか。文章か何かがあるのですか、あるいは内部で各自にきめさせているのか。そういう指導をしているのですか。それの根拠を知らせていただきたいと思います。
  126. 道正邦彦

    道正政府委員 これは本来ならば全国一律に何日というふうにきめるのが望ましいかと思いますけれども、港によって若干実情も違っておりますので、港の実情は関係の都道府県を通じまして把握し、労働省と協議の上きめているわけでございます。
  127. 石母田達

    石母田委員 もちろん労働省が承知しているわけですね。それじゃわかりました。  そして、いま横浜の港の職安の日雇い労働者の出頭状況を、非常に大きな御苦労をかけて労働省のほうに調べてもらったわけです。これはずっと一人一人調べた結果、ゼロないし五日が船内で九二%、沿岸で七・〇%。六日から十日までが、これはパーセントはちょっと出ませんでしたけれども、船内二十一人、沿岸六人。それから十一日から十五日までが五十七人と十七人。十六日以上が船内で六四・六%、それから沿岸では八三・〇%。これは最近の報告では若干上昇しているだろう。こういうことになりますと、いまの基準からいうと五日ないし六日ということになれば、これはほとんど対象にならない。しかもゼロといっても正当な理由があれば、これは対象にならない。こういうことになりますか、この出頭の義務という問題から言うと。
  128. 道正邦彦

    道正政府委員 横浜のケースとしては五日、しかし出頭できない理由について正当な理由があれば、これは御指摘のとおりでございます。
  129. 石母田達

    石母田委員 出頭の問題で、ついでにあぶれの問題ですけれども、あぶれの確認は今度はどこがやるのですか、地区協会がやるのですか。
  130. 道正邦彦

    道正政府委員 従来職業安定所でやっていた仕事を地区協会にまかせるわけでありますから、これは地区協会がやることになります。
  131. 石母田達

    石母田委員 そのときの条件をもう少し具体的に言ってください。
  132. 道正邦彦

    道正政府委員 原則としては従来の条件と同じ条件で処理をしていきたいというふうに考えておりますが、これは雇用調整規程の問題そのほか行政運営の問題でございますので、原則としては従来の方針を踏襲する方向で処置をすべきものと考えております。
  133. 石母田達

    石母田委員 そうしますと、先ほど例に出しましたように看板は出るのです。だれも行かないようなのに出るのです。それから、あなたたち知ってて言わないのかもしれないけれども、実際には求人が集まらない、そこへ行ったら暴力でやられるのでおっかながっていかないところがあるのです。そういうところの看板が出たときに、看板がいつまでも残っているのです。これは幾ら人が残ったってあぶれ手当はつかないのですよ、あぶれの確認はできないのですよ、そうでしょう、看板が残っているときは。だから、看板を裏返しさえすればこれはつくのです。つく、つまりあぶれと確認できるのですよ。そうしなきゃ、残っているときには、仕事に行かないほうが悪いというようなそういう言い分になるわけだから。ところが実際行けないのです、さっきみたいなところは。それを承知で出しているのだから、だから彼らはかってに集めるようなことをするのですから。そういうようなときに、まああなたが審議官か何かのときだというような話を聞いているけれども、そういう問題にぶつかったときに、いろいろ見解を出されたそうだけれども、あなた自身そうした問題についてどういうふうにしたらいいのか。そういう事態があるということをあなたは知っていると思うのです。どうですか。
  134. 道正邦彦

    道正政府委員 一ころに比べまして港湾関係の事業場の近代化民主化も全体としては進んでいるというふうに思いますが、中に先生御指摘のような、労働者が行きたがらない、死んでもいやだというような事業場がないわけでもないと思います。これはしかしながら結局は求人指導の問題でございますので、いままでもやっていたことでございますけれども、今後もそういう求人指導の徹底をはかるということで処置をするというふうに考えております。
  135. 石母田達

    石母田委員 そんなんじゃ全然だめだね。だって今度は地区協会は業者がやるのでしょう。そういう看板を出したときにそういう指導をしてひっくるめてできますか。地区協会の権限というのはただそれをぶら下げるだけじゃないのですか。来なきゃ来ないでぶら下げておく、そのかわりあぶれは確認しない、こういうことになるのじゃないですか。
  136. 道正邦彦

    道正政府委員 従来職業安定所でやりていた仕事を地区協会にまかせるわけでございます。したがって地区協会にまかしたからいままでよりも事態が悪化するということは、私はあってはならないと思いますし、そういうことについてもしあれば、これは地区協会に対する勧告あるいは監督命令等の是正措置がございますから、そういうことを通じまして改善をするということで事態改善する以外にないと思います。
  137. 石母田達

    石母田委員 そういう形式的な答弁で、あってはならない、それはあってはならないのですよ。だけれども、いまでさえあることがますます、今度は業者団体にまかせるわけですから、間接的になるわけですから、監督というのは前よりむずかしくなるわけでしょう。そうした事態が起こらないという保証がいまの答弁じゃ全然出てこないのじゃないですか。指導を強化するとかなんとか言ったって、じゃそういうときに現実にどうするのですか。
  138. 道正邦彦

    道正政府委員 これは改正法の中に勧告制度あるいは改善命令、監督命令を出すという仕組みがございます。そういうのを発動するということで是正するということであります。
  139. 石母田達

    石母田委員 もう少し具体的に、その業者に対して勧告、改善——そんなことで私は改善できるものじゃないと思うけれども、そういう場合にも労働者を救済する策というものをあなたは出したことがあるのじゃないですか。雇用調整手当の支出の問題についても制限をゆるめる、まあ個人的な見解かどうか知らないけれども、そういう方向で処理しなければ、現実にその労働者が困っている事態が解決できない問題が出てきているのです。これはもういまの現行法でもそうですよ。その点についてはただ、業者に改善命令をするのだ……。現実にいまの問題はどうやって解決するか。そういう点についてのあなたがかつて出されたという意見をちょっと聞いているのだけれども、そういう意見は事実でないのか、あるいはそういうことを忘れちゃったのかどうか知りませんけれども、ちょっとお答え願いたいと思います。
  140. 道正邦彦

    道正政府委員 港湾労働の窓口は、一般の窓口に比べましていろいろの問題がございます。職業安定関係の職員は非常に苦慮をいたす場面も多いのでございますが、そういう問題について第一線の職員は、現地の実情を踏まえながらいろいろ知恵も出して処置をいたしておるわけでございます。中にそういう問題があることも御指摘のとおりだと思いますけれども、これは改善命令を出す。最終的にどうしても改善、監督命令に従わないということであれば、これは地区協会として定款の中に会員の除名に関する規程もあるわけでございますので、そういうことで善処をするということにまず最終の担保としてはなろうかと思いますけれども、極力行政当局として指導を加えて改善をしていきたいというふうに思います。
  141. 石母田達

    石母田委員 いままでそういう処置をとってもそういう求人が集まらない。札をぶら下げているために、いつまでも残っているために労働者はそういうあぶれの確認ができない。そういうことで改善命令をした例は幾つありますか。
  142. 道正邦彦

    道正政府委員 全国的にそういう関係の統計を集めておるわけではございませんので、いままで何件あったかということは手元に数字がございませんが、各港ごとに指導を加えて処置をしているというのが実情でございます。
  143. 石母田達

    石母田委員 だから幾らやるやると言ったって統計もないくらいなんですよ、実態は。やっていればこんないまの実情は出てこないのです。指導が非常に不十分だから現実にそういうことが行なわれて問題になっているのですよ。で、出頭義務は二十五日なければならぬ。これはあなた常用と同じでしょう。これは日々日雇い労働者というものと違うじゃないですか。もし出頭義務で出なければならないというこの法規をこのままやるのだったら、有給休暇なんというのは、じゃどうやってやるのですか。これはないんですか。もし出頭義務を日曜祭日を除いてやるというのだったら、普通の労働者のように有給休暇はどうしてないんですか。
  144. 道正邦彦

    道正政府委員 登録制度をとっておりますので、出頭義務は大前提としてある。したがって出頭していただきまして、求人がないという場合に不就労ということで雇用調整手当を支給するという仕組みになっておりますから、これは出頭していただくのが当然かと思います。  休暇の問題につきましては、これは現在の労働基準法の規定によりまして、事業場に継続して雇用されるというのが前提でございますので、日雇い労働者についての規定はないわけでございます。
  145. 石母田達

    石母田委員 それから、出頭した場合に奨励金を出すような話が前にあって、それが大蔵省のほうの関係か何かで予算が削られたか、出すまでに至らなかったかどうか知りませんけれども、ある一定日にち以上出頭した者についてそういう奨励金を出すというような考えがあったのかどうか。それがどうなったのか。そういう点について聞きたいと思います。
  146. 道正邦彦

    道正政府委員 出頭奨励金について大蔵省に予算要求をした事実はございません。
  147. 石母田達

    石母田委員 そうすると、あなたもそういうことを言われたことは一度もありませんか。何かの非公式の席上か組合との関係の会合で出頭の問題についての奨励金みたいなものを出したいというようなことを言われたことはありませんか。
  148. 道正邦彦

    道正政府委員 私は数年前に安定局の審議官という仕事をいたしておりまして、港湾労働関係の組合の皆さんとはたびたびお目にかかりました。いろいろ公式、非公式に意見の交換をやったのも事実でございます。何とか出頭を高めたいという私の気持ち、これはいまでも変わりありませんし、何が原因で出頭が悪いか、この原因を探求して改善をはからなければならぬという問題意識も私持っております。何か資料をお持ちのようでございますけれども、私の記憶におきましては、公式の席で、断定的な意味で、そういうことを実施するというふうに申し上げた記憶は実はございません。
  149. 石母田達

    石母田委員 非常に微妙な発言なんで、これは今後そういった問題についてぜひ検討して、そしてもう少し労働者にメリットのあるものをもっと出さなければ、こういう悪いものばかりじゃいまの労働者の意欲が全然なくなる。ですから、そういう点についてぜひ今後検討していただきたいというふうに思います。
  150. 道正邦彦

    道正政府委員 今回法律の大改正をいたしまして、抜本的な改善をはかるわけでございます。この制度が所期の目的どおりに円滑に運用されるようにすべきは当然でございますが、そのために役立つことであるならば、いろいろな点につきまして検討し、改善を加えることについては全くやぶさかではございません。
  151. 石母田達

    石母田委員 時間がありませんから最後に、こういう民間の団体にこうした公的な権限を与えていくということ、しかも業者の団体、使用者にそういうものを与えていくということ、これまでの法体系の中にこういうものがあったのかどうか。こういう労働協会に類似する団体というものがあるのかどうか。この間の答弁では、技能検定協会というような発言をされていましたけれども、この技能検定協会というものが類似する団体ですか。
  152. 道正邦彦

    道正政府委員 国が行なう仕事を特定の公の法人に委託をするというケースはかなりあるように思います。労働省の所管で申し上げますならば、端的な例が訓練局の検定協会というふうにお答え申し上げたわけでございます。
  153. 石母田達

    石母田委員 しかし、これは単に委嘱するというだけではないと思います。現実に登録の問題とかいろいろなことで不服の場合審査をする、それが都道府県知事でしょう。そこで決定されたことは行政的な処置になるわけでしょう。公的なものになるわけでしょう。そうでしょう。
  154. 道正邦彦

    道正政府委員 公の法人を法律に基づきましてつくりまして、まかせる限度におきましては公的な意味を持ってくるわけでございます。その目的が国家的な性質を帯びていること、あるいは設立が国の意思にかかわること、それから特別の監督に服すること等、公法人としての共通の制約がございますけれども、そういう限界内におきまして国家的な公権的な作用を果たす、これは御指摘のとおりでございます。
  155. 石母田達

    石母田委員 ですから、技能検定協会というのは、結局職業訓練校の修了生の技能検定試験、これを大臣の承認でやる、これは委嘱していると思いますよ。だけれども、そのやったことを、権限を与えるだけじゃなくて、行政的な公的なものとしていくというようなものはほかにあるのですか。
  156. 道正邦彦

    道正政府委員 検定協会が行ないます検定も国家検定の代行をするわけでございますから、性質は若干違うと思いますけれども、国家的な権限の代行という意味では同じだと思います。
  157. 石母田達

    石母田委員 あなた、これは性質はちょっと違うということじゃない、ずいぶん違うと思うのですよ。片方は業者の団体、使用者の団体でしょう。労働協会というのは、先ほどから言っている雇うほうでしょう。片方に公的なそういう権限を与えていく。技能検定協会は何もそういう利害関係はないわけでしょう。全然団体の性格が違うじゃないですか。片方は業者団体で日雇い労働者を雇うほうでしょう、使用者でしょう。それに公的な権限を与えて、しかもやったことが公的なものとして保障される。技能検定協会は違うじゃないですか。これは職業訓練校の修了生で一定の実務か何かやった者がやるわけでしょう。全然団体の性質が違うじゃないですか。
  158. 道正邦彦

    道正政府委員 使用者の団体は団体でございますけれども、これは単なる使用者の団体ではございませんで、法律に基づき国の認可により設立され、公的な法人格を持っている団体でございますから、そういう意味では検定協会と法律的な性質は同じだというふうに思います。
  159. 石母田達

    石母田委員 それは全然詭弁というものですよ。それだから中退法の問題でやったけれども、そのときには雇用関係で、業者の集まりで業者のやっておることを引き継ぐのだと言ったでしょう。そういう業者の集まり、現にそれが職業あっせんを委嘱されて——先ほどからずっと出ているように、どういう業者であるか、普通の労働運動にあらわれるような資本家の団体じゃなくて、相当特殊な者の集まりですよ。それが公的な権限を与えられるためにどうするか。これは技能検定協会と類似する同じ性質のものだ、とんでもない。じゃこういう使用者みたいな団体にきちんと与えたというものはほかにどういうものがありますか、こういうことをやっておるのが。技能検定協会なんというのは全然ないですよ。
  160. 道正邦彦

    道正政府委員 技能検定協会と地区協会、これが法律的の性格としては同じだというふうに思いますけれども、実態的に見ましてかなりの差がある、これも御指摘のとおりでございます。しかるがゆえにその業務の運営につきまして、労務管理、雇用調整規程をつくらせる、これは労働大臣が認可してやる、役職員の任命は労働大臣の認可、それから職員についても欠格条項がある、業務運営について不適当な行為があれば罷免も命令できるというシステムになっているわけでございまして、国家的性格を持つ仕事をやらせるわけでございますから、それなり規制を加えておるということでございますので、実態的にいろいろ問題が出てくる点についてはそれなり規制措置をしておるわけでございます。
  161. 石母田達

    石母田委員 質問を終わりますけれども、いまの答弁であるように、実態ではかなり違う。違うのはあたりまえですよ。営利を目的とする団体に、それを使用する側のほうに一方的にそういう権限を与えて、やったことについても公的な処置を与える、こういうことは私聞いたことがない。日本の法体系の中でも、こういうことをやったら、ほかの建設の業界もあらゆる業界も、営利を目的とする団体に国が委嘱するだけじゃなくて、それに公的な権限を与える、こういうことをやったら、そういうものが営利を目的とするために権力を乱用するということになる。そういう法体系からいっても、今度のような港湾労働法の改悪というものは絶対に認めることができない。こういう反動的な法案というものについては、全体の法体系、民主主義を守る上からいっても、私は絶対にこれを許すことはできないということを表明して私の質問を終わります。
  162. 竹内黎一

    竹内(黎)委員長代理 坂口力君。
  163. 坂口力

    坂口委員 この法律の目的は、大きく分けまして三つの柱からなっておると思います。一つは労働力の確保であり、一つは雇用の安定であり、福祉の増進ではないか。この三つの柱からなっていると思うのですが、特に福祉の増進についてお聞きしたいのですけれども、その福祉の増進に入ります前に、基本的な問題でお伺いをしておきたいと思います。  現行法が今回一部改正されるということでこの改正案が出たわけでございますが、現行法が現実に即応できなくなったという認識の上に当然これは立っているわけでございます。現実に即応できなくなったという、その原因は何であるというふうにお考えになるのでしょうか。その辺の基本的な問題をひとつお聞かせをいただきたい。
  164. 道正邦彦

    道正政府委員 施行当初は月間の不就労、いわゆるあぶれも多くなく、順調にすべり出したわけでございますけれども、その後の推移を見ますると、月に十日以上も不就労、つまりあぶれる。法律をつくり、国が介入してやっている制度であるにかかわらず、月の三分の一もあぶれるということでは、これは放置できないということでございます。  その原因をいろいろ検討してみますならば、基本的には港湾労働をめぐる近代化、機械化等の推進によりまして労働力需要が全体としては減ってきているということが基本にあろうかと思いまするけれども、直接の原因といたしましては、職業安定所に登録をして、個別の事業場に職業安定所が紹介するという現行のシステムにおきましては、使用者側から見ますると、せっかく安定所にプールして登録した労働者が、自分たちのための労働者であるという意識がどうしても持ちにくいということが基本的にあろうかと思います。これは制度発足当初からあった問題でございまするけれども、どうも制度を運用してまいりますと、それがやはり基本的にネックになっているんではないかというふうに思います。  それから当面の問題といたしましては、先ほど申し上げましたように不就労が増大いたしております。下就労が多いということは、それだけ雇用調整手当の金額がかさむということでございます。それをまかなうために事業主に納付金を納めていただくわけでありますが、それがかさんでいく。四十七年度におきましては五百九十円。四十八年度はもっとふえるわけでございまして、約六百円の納付金を払わなきゃいかぬ。賃金のほかに六百円でございますから、使用者としては負担になるわけでございまして、ますます登録日雇い労働者の皆さんの就労を歓迎しないという、これは事実問題としてそういう傾向もあろうかと思います。  いずれにいたしましても、事業主が自分たちのための制度で自分たちが責任をもって雇用を促進していかなければならないという意識がどうも乏しいということに原因がある。しかるがゆえに、かねてより各方面から、事業主の共同雇用という理念に立ってやはり制度の仕組みを考え直す必要要があるという御意見が支配的でございまして、そういう線で昨年港調審の建議もまとめられたわけでございまして、今回はそういう共同雇用の理念に即して法律の改正を御提案申し上げたわけでございますので、この法律が実施に移されましたならば、私は現在かかえているような問題はかなり改善を見るのではないかというふうに考えております。
  165. 坂口力

    坂口委員 いまのお話に出てまいりました不就労日数の問題でございますけれども、数字の上では確かに多くなってきております。この不就労日数がだんだん増加したという、この原因についてはどういうふうに分析をしておられますか。
  166. 道正邦彦

    道正政府委員 基本的には先ほど申し上げましたように、安定所にプールして登録してあるかもわからぬけれども、個々の事業場から見ると自分たちのためにつくられている制度だという意識が乏しいということが根っこにございまして、四十三年度以降ぐらいから急激に不就労がふえてきたというふうに思っております。
  167. 坂口力

    坂口委員 そういたしますと、現実に即応できなくなったおもな原因というのはいわゆる事業主の側にある、こういうふうに受け取っておみえになるわけでございますね。  それから、不就労日数の問題等も出ましたので、その点をはっきりさせておきたいと思うわけでございます。事業主側に問題があってと申しますか、事業主側の態度に問題がある、そのためにこの不就労日数が非常にふえたり、今回の法改正をしなければならない事態に立ち至った、こういうふうに理解させていただいてよろしゅうございますか。
  168. 道正邦彦

    道正政府委員 基本的には制度に問題があるというふうに申し上げていいかと思います。ただこれを動かす主体は、安定所でもございますけれども、事業主でございますので、事業主の方々の御理解の不足ということも大きな原因かと思いますが、同時に、他方におきまして港湾労働者の側にも問題なしといたしません。たとえば雨天日になりますと不就労がふえるというような現象も出ております。全体の労働者を律するわけではございませんけれども、労働者側にそういう問題もあることも事実でございます。いろいろ相まちまして不就労が十日以上になっているという実態でございます。これは、しかしながら、より基本的な観点で考えますと、制度の問題が非常に大きいのではないかというふうに思います。
  169. 坂口力

    坂口委員 制度に問題がたとえあったといたしましても、やはりその制度の運用の問題だと思うわけであります。行政に問題があった、あるいは先ほど御指摘になったようにおもに事業主の側に原因があった、私はそのいずれかであろうと思います。こういうふうな不就労日数がふえたということも、御指摘のように事業主の側に私は原因があったと思います。その点の認識がありませんと話が非常に混乱をすると思うのです。今朝来いろいろの論議がされておりますけれども、その点の認識の違いが非常に大きな意見の違いとして出てきていると思うわけであります。その点の認識があっての法改正であれば、これは議論がある程度進んでいきますけれども、そうでなしに、これはどちらもどちらで悪かったのだというようなあいまいな態度でのこの法改正であるならば、私はどうしましても話が進んでいかないと思うのです。その点をもう一度確認をしておきたい。これは大臣にひとつその点を確認をさせていただきたいと思います。
  170. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 今回の法改正は、ほんとうは四十一年に港湾労働法が出て、日雇い労働者を優先的にうまくやればいけたと思うのでありますけれども、それがどうも労使の関係で、特に労使といってもいろいろ言いにくいのでありますが、使用者のほうも自覚が足らぬというような関係で、だんだんと登録制度が破綻に瀕する、こういうような関係でありますので、審議会のほうも何とかこれを改善したい、審議会も満場一致でこのままではいかぬというので、今回の法改正が出たわけであります。しかし、これを運用してうまくいくのには、やはり労働省がなお一そうの行改的指導をやらなくてはならぬという感じを持っております。また、最初出た港湾労働法の骨子は雇用の安定と福祉の増大でありますから、どうも今回では、それがいろいろの皆さんの御質問の中でも、年金問題であるとか労働条件の問題、福祉の問題も具体化いたしておりませんが、もう少しこの問題になお一そう労働省としては極力これに力を入れまして、これに対する対策も講じ、そしてILOも、本年私できれば六月に行きたいのでありますが、この勧告の趣旨も尊重して、いままでよりは完全な近代化港湾労働界に、ひとつ諸外国に負けないりっぱなものをやりたいという熱意に燃えておりますので、この点を何とか、このままではこの打開がなかなか困難な点で、それを改善したいという意向であります。
  171. 坂口力

    坂口委員 大臣の御熱意のほどはよくわかったのですが、最初の質問をさせていただきました点につきましてははっきりしないわけでございますけれども、今回の改正案が事業主に港湾労働対策上の責任を分担させるんだ、あるいは自主性を持たせるんだという点に力点が置かれてできているところを見ますと、現実に即応できなくなったおもな原因というのは、やはり事業主にあったことを私は認めた結果だというふうに思うわけです。その点を私は大臣に確認をしたかったわけです。
  172. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 これはやはり労使関係が理解と自覚を得なくてはならぬので、事業主ばかりに大臣として、責任はそこにあるんだとこう言いにくいけれども、やはりいままで使用者のほうもこれは自覚が足らぬし、それが今回の法改正になったことも、これはいなめない事実であります。共同の責任を持てと、この四十一年に、従来の港湾労働が陸上に比べましてだいぶん近代化がおくれておりましたときには、かようなことは申し上げるのはいかがかと思いますけれども、手配師が多いとか、手配師に暴力がつくというようなうわさも聞いておりますが、これをもう少し使用者のほうもこの重要な港湾労働を責任を持つ、その反面雇用調整、いろいろな規程を設けましてこれを厳重に監督し、そして運用を強化してもう少し現状を打破したいという熱意であります。そういう意味で事業主が全部責任だと申し上げることもなかなか困難でありますけれども、多少そういう点があったことは間違いありません。
  173. 坂口力

    坂口委員 不就労日数が非常に多くなったということについては、先ほどおっしゃった、事業主のほうが自分たちの労働者という認識の場に立ってなかったからだという御意見だったんですけれども、私はそれよりも、労働者のほうが自分たちの働く場だという希望を持ち得なかった、そこに大きな問題があると思うのです。今回もし改正されるならば、私はそこに力点を置いて初めて改正というのがあり得るのであって、事業主の側の立場としてどうかということではなしに、働く人の立場として、自分たちのそれがほんとうに働く場だ、われわれはここで労働ができて非常にありがたい、こういうように喜んで労働ができるという、やはり労働者に希望を与える改正でなければ、私は意味がないと思うわけであります。今回の改正案で、港湾で働く人たちにはたして希望を与え得るかどうかということであります。たいへん抽象的な言い方でありますけれども、もしもできるとすれば、それは皆さん方具体的にどういうふうにお考えになるか、その点をお伺いしたい。
  174. 道正邦彦

    道正政府委員 確かにおっしゃるように港湾労働者の皆さんが働く職場というのは、ほかの一般の産業の労働者の働かれる職場と比べまして問題があると思います。労働自体が重激労働でございまするし、また環境も決してよくない、危険もあるということもいなめない事実かと思います。しかし基本的にそういう問題を解決するのは、賃金問題、労働条件等はやはり労使の交渉を通じて改善をはかっていくというのが本筋だろうと思いますので、そういうことと相まって、今回の改正も改正だけではうまくいかないので、労使関係の改善ということと相まって初めて所期の目的をあげていくということは、建議にも書いてあるわけでございます。私も基本的には労使関係の近代化ということが根っこにございませんと、幾らいい改正をいたしましても所期の目的は達成できないというように思います。ただ、そういう前提に立ちますならば、今回の改正によりまして、いままで月の三分の一、十日以上もあぶれていたという、そういういままでの状態は改善をされまして、就労機会もふえていくということで、雇用機会の改善には非常に役立つ、あわせて福祉施設であるとかあるいは年金の問題の検討であるとか、そういうことも今回の改正をワンステップといたしまして将来大いに拡充を見得るし、改善をしなければいかぬというふうに考えております。
  175. 坂口力

    坂口委員 月のうちの三分の一に当たる十日前後も不就労日数がある。これはやはり先ほど申しましたとおり、自分たちの働く場だという、そこに希望がなかったがゆえにこういう結果が生まれたろうと思います。そういうふうな意味で、その人たちに希望を与える具体的な方策はあるかということをお聞きしたわけであります。  労使改善、これは当然でございますし、労使関係の近代化ということは大事なことで、これはもっともでございますけれども、口ではそう一口に言いますけれども、しかし実際の問題としましてそれがはたして、現在までできなかったものが、この協会をつくることによってそれができるのかということに多くの人が疑問を持つわけであります。私も持つ者の一人であります。そういう意味では私は、これは福祉の問題とも関係してまいりますが、働く場ということについてもう少し具体的なものがないと、これは納得ができないのじゃないかというふうに思うわけであります。  その点もう一度お願いをして次に移ります。
  176. 道正邦彦

    道正政府委員 快適な職場にする必要がある、これはもう御指摘のとおりでございます。そのためには、基本的には賃金問題であろうかと思います。これは労使の話し合いで、一ころに比べますならばかなり改善を見ております。しかし労働の実態に見合った賃金が出されておるかどうかまだまだ疑問なしといたしませんので、これは今後の労使の交渉によって改善をされることを心から期待するわけでございます。  行政当局としてやるべきこともいっぱいございます。たとえば安全衛生の問題であるとか、あるいは住宅その他の福祉施設の拡充の問題であるとか、退職金共済あるいは年金の問題等々ございます。そういう行政当局としてやらなければならない面も非常にあるわけでございまして、これはいままで以上に努力をしていくつもりでございます。要するに労使の自主的な御努力と相まちまして、私ども行政当局もしなければならないことは大いにしていくということで今後努力をしたいと思います。
  177. 坂口力

    坂口委員 現在でも、いわゆる暴力的労務管理ということが問題になってまいりまして、法改正によって再び暴力手配師が復活するのではないかという心配があることは、今朝来の討議の中で本出てまいりました。大臣及び政府委員の皆さん方の答弁は、絶対それはないという御答弁であったと思うのです。皆さん方がそういう心配はないんだとおっしゃるならば、こういう暴力手配師を復活させない歯どめとしてどういうふうな点をおあげになるか、具体的にお伺いしたいと思います。
  178. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 港湾労働法ができましたのは、港湾労働雇用の安定、労働者の福祉の問題、そして不就労の拡大を防ぐ、そして波動性に対して対処するという港湾労働法であったのでありますが、その背後には、六、七年前には手配師とかいろいろなことがあったことはいなめないと思います。それが多少改善はされましたが、最近はどうもそれが陰に隠れて、さようなうわさも耳にしますし、あるかもわかりません。今回の法の改正もこれを的確に把握をして、事業主に紹介、登録の権限を与えるが、その反面認可法人として労働法の規定を適用して、またその内容もはっきりいたしております。不適当な者であれば欠格条項として解任する、こういうきつい規定もありますが、私は初め聞きましたときから、従来のような手ぬるいやり方ではなく、これを断行しなければいかぬ、こういう意味で、いまのお説のような事態が起こらないようにということが今回の法改正の根本の理由であります。さようなことは表面うたえませんが、かような不祥事の問題に対しましては、労働省並びに大臣としては今後かようなことがないように、法の改正と相まってこれが励行に断固立ち向かう方針であります。
  179. 坂口力

    坂口委員 いま大臣がおっしゃった歯どめは、具体的には二十五条の二十七のことでございますか。
  180. 道正邦彦

    道正政府委員 一部は御指摘のとおりでございますが、解任命令の点につきましては二十五条の四十九という規定がございまして、「労働大臣は、協会の役員又は雇用調整業務に従事する地区協会の職員が」法律に違反したとき、「又は雇用調整業務に関し著しく不適当な行為をしたときは、」「解任すべきことを命ずることができる。」という規定が置かれているわけでございます。この両方をおっしゃったものと思います。
  181. 坂口力

    坂口委員 二十五条の二十七ですけれども、これはすでに役員になった人がこういうふうなもろもろのこと、たとえばここに書いてありますように「労働基準法第五条若しくは第六条又は職業安定法第四十四条の規定に違反して罰金以上の刑に処せられた者で、」云々というのがありますね。これは、一度役員になった人がこういうふうな立場になったときにはだめだという意味ですか。
  182. 道正邦彦

    道正政府委員 二十五条の二十七は役員の欠格条項でございますから、二十五条の二十七各号のいずれかに該当する者は初めから役員になれないということでございます。  それから二十五条の三十に役員以外の職員についての規定がございまして、その第三項に、「第二十五条の二十七各号のいずれかに該当する者は、雇用調整業務を行なってはならない。」ということになっておりますので、職員についても同じような欠格条項が働いてくるわけでございます。  それで解任のほうは、役員任命のときはよかったのだけれども、法律違反とかこういう欠格条項に触れてくれば資格を失うわけでございますが、そういうのは当然のことといたしまして、その上に、雇用調整業務に関し著しく不適当な行為をしたときは役職員の解任を命ずることができるという仕組みになっているわけでございます。
  183. 坂口力

    坂口委員 ちょっと私の言い方が悪かったのですが、私申したのは、たとえば一番最後に「刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しないもの」という書き方がございますね。そうすると、「二年を経過しないもの」というこの書き方は、二年を経過したものならば役員になれる、こういう意味ですね。
  184. 道正邦彦

    道正政府委員 そのとおりでございます。
  185. 坂口力

    坂口委員 その辺が非常に甘くはないかということなんです。大臣の非常にかたい御決意の表明が先がたあったわけでございますけれども、二年を経過していれば過去にそういうふうなことがあってもそれはいいというのは、いささか甘くはないか。やはり断固としてそういう暴力手配師等が入り込まないように、これは細心の注意を払わなきゃならないわけでございますし、そういう姿勢でいってもらわなきゃならないわけでございますが、この辺のところに一考してもらうところがあるのではないかという気がいたします。
  186. 道正邦彦

    道正政府委員 二十五条の二十七の欠格条項、これは現行法制上一番厳格な規定をとってきているわけでございます。で、御指摘のように二年たったらもういいのかという点は確かにあるかと思います。そういうこともございますので、条文ばかり言って恐縮でございますが、二十五条の二十六の第二項に、役員の選任につきましては「労働大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。」という規定を置いてございますので、運用にあたりましてはその辺は十分配慮して、認可については慎重を期したいと思います。
  187. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 この問題は法の解釈だけでなく、これは厳重にやらなくちゃならぬと思います。最終的には与えた権限を剥奪する、こういうこともできるのでありますから、地区協会に与えた権限を取り消す、こういうところまで奥深く、断固たる方針でいかなければ、これは最近でも——違反事項に対しては、やれないことになっておりますが、どうもいろいろそういうようなこともありますので、今回の法改正はそれが特に厳重な方針で対処する、これはもうこの委員会でも私はっきり明言いたしまして、これはやらなくちゃ法の改正は、これはかえって悪化します。そういう意味で、この問題だけは厳重に対処する根本方針でありますから、この委員会でもはっきり申し上げておきます。
  188. 坂口力

    坂口委員 またあとでその問題出てまいりますので、一まずおきます。  港湾労働近代化が進んできているわけでございますが、けさからもお話ございました合理化が港湾労働者に重大な影響を与えることは、もうこれは必至でございます。この昨年ですか出ました建議の中にも、特別の離職者対策を講ずる必要があるという項目がございます。この離職者に対する対策というものは、これはもう当然なければならないと思います。先ほども石母田議員との議論の中にもございましたが、ただ先ほどの議論を聞いておりまして、これに対する具体性というものがやはり非常にないという感じを受けたわけでございます。建議にもこういうふうなことがはっきり書かれてございます。具体的にどういうふうなスケジュールをお持ちなのか、その点をお聞きしたいと思います。
  189. 道正邦彦

    道正政府委員 輸送革新の進展に伴いまして合理化される部門に離職者の発生を見ることは、きわめて遺憾ではございますけれども、事実でございます。当面建議でもございますように、はしけの需要が激減いたしておりますので、国として余剰になったはしけの買い上げを行なうということで、運輸省で予算化をされております。それに伴いまして四十八年度には約三千三百名の離職者の発生が予想されております。この三千三百名の離職者の方々は、国の政策としてはしけの買い上げを行なってやむなく離職をされる方でございますので、また地域的にかなり集中して発生するということもございます。それから中高年齢者が比較的多いという事実もございます。それから技能、作業環境が特殊であるという事情もございますので、再就職は必ずしも容易でないと思います。このために、これらの方々に対しまして、石炭関係であるとかあるいは駐留軍関係あるいは繊維関係等に準じた、一般に比べますならばかなり手厚い離職対策を行なうべく労働省としても予算化いたしております。ただし年齢は四十歳以上、これは繊維産業の離職者と同じでございます。そういう方々につきましては求職手帳を発給いたしまして就職指導を行なう、あるいは職業訓練を実施する、そのほか就職促進手当であるとか訓練手当であるとか移転資金、自営支度金、再就職奨励金等等援助措置を講ずることといたしております。
  190. 坂口力

    坂口委員 これは現在働いておみえになる方も含めての話でございますけれども、近代化された機械の運転等があるわけでございますが、職場で近代化されてまいりますと、そういうふうな職場の近代化に従いましていろいろの職業訓練をやっていかなければならないと思うわけであります。現場で問いてみますと、やはり日雇いの労働者の皆さん方にはそういうふうな仕事というのは回ってこなくて、そしてどうしてもそういうふうものからはのけられるというような傾向があるようでございます。私はやはり今回のように改正がなされるというような、改正をしなければならないというような段階に来たった原因の一つには、やはり職業訓練等のものがなされていなかったということが一つあるのではないかというふうな気がいたします。その点、今後日雇いの労働者に対しても職業訓練等が積極的に取り入れられていくのかどうかということについてひとつお聞きしておきます。
  191. 道正邦彦

    道正政府委員 御指摘のとおり今後は、港湾労働者におきましても職業訓練が非常に重要になってまいると思います。遺憾ながら従来までのところは、職業訓練が必ずしも十分に行なわれていたとは申せないと思います。しかしながら今後におきましては、労働者の技能の向上をはかるとともに、荷役を円滑に進める、同時に、それはひいては災害の防止にも役立つわけでございますので、事業主の団体が訓練を効果的にかつ効率的に行なう。特に不就労時の訓練、これはなかなかむずかしい、いろいろ問題ございますけれども、ぜひ、不就労時に手当だけ支給するということではなくて、手当を支給すると同時に、訓練にも励んでいただくということで処置すべきものじゃないか。これは労働組合の皆さんあるいは労働者の皆さんと十分話し合いを要する問題でありますので、頭ごなしにやるというわけにも必ずしもまいらないと思いますけれども、個々の労働者の皆さんの希望も十分聞きまして、不就労時の訓練というものもせっかく制度としてございますので、うまく運用されるように努力をしたいと思います。
  192. 坂口力

    坂口委員 離職者に対して特別な職業訓練というような計画はないのですか。
  193. 道正邦彦

    道正政府委員 先ほど申し上げましたように、はしけ関係の離職者につきましては求職活動中の方に対しては御指導申し上げると同時に、職業訓練をお受けになる方につきましては訓練手当を支給するということで、われわれといたしましては離職者が再就職されます場合に、やはり訓練をお受けになって自信を持って再就職されたほうが全体としてはいいようでございますので、ぜひ離職者の皆さんに一人でも多く訓練コースを選んでいただくようにごあっせんを申し上げたいと思っております。
  194. 坂口力

    坂口委員 話を進めたいと思いますが、港湾労働者の福祉の増進の問題でございます。いままでどのような増進がはかられてきたのか、これはかなり心細い点があったと思うわけでございます。今回の法改正によってどのようにそれを前進させようとしておみえになるのか、アウトラインからひとつ御説明をいただきたいと思います。
  195. 道正邦彦

    道正政府委員 福祉につきましてはいろいろ問題がございます。例の退職金の問題これも広義の意味で福祉という非常に大きな問題、これは引き続き実施するわけでございます。それから特別年金制度についての検討、これも大きな意味では福祉と思います。  物的な福祉の面につきまして申し上げますならば、従来、港湾労働者のための福祉センターというのをつくっておりますが、これはすでに二十九カ所設置を見ております。それから現在四十七、四十八年度の予算で建設中のもの、あるいは建設の計画中のものが八カ所ございます。それから港湾労働者用の宿舎、これは七百六十八戸、二十三棟すでに設置いたしております。それから簡易宿泊所、これも単身用、世帯用合わせまして三十二棟すでに設置いたしておりまして、なお四十六年から四十八年度の予算で建設中あるいは計画中のものが十二棟ございます。それから、そのほかに、雇用促進事業団を通じまして雇用促進の融資もやっております。これはこまかくなりますから全体の数字だけ申し上げますと、従来、いままでに百八十九件、八十四億円の貸し付けをいたしております。
  196. 坂口力

    坂口委員 たとえばこの年金の問題についてでございますが、これは港湾調整審議会の建議にも取り上げられておりますし、午前中の田口委員の発言の中にもございました。今回の改正案の中に私はその大綱は示すべきではないかというふうに思うわけですが、午前中の討議でも、今後の問題としてこれは取り上げていくなどというお話でございました。いまお聞きいたしますと、はっきりとこの年金もその一つに入れておみえになるわけでございます。これはやはり労働者に、自分たちの働く場として納得のいく場を与えるためには、どうしましても年金というようなものは、やはり最近のことでございますので、どうしてもこれは第一番にやらなければならない問題ではないかと思われるわけでございます。特に福祉の増進ということをうたっております以上、まず一番最初に、この年金をこういうふうにいたしましたということが言われて初めて、私は福祉の増進をさせますと、こう言えるのであって、今後考えますでは、これは私は福祉の増進というふうな大きなことは言えないと思う。これは大臣にお伺いしたいわけでございますが、その点、これははっきりここでさせるべきだと私は思いますが、どうですか。
  197. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 これは局長から言うほうが責任が軽いのでありますが、やはりこの法改正をやる背後には、私もその意見に同感であって、いま大企業の労働者の関係と港湾の関係を比較対照いたしますと、少しおくれていると言えます。そういう意味で、この法改正が通過するを転機として、年金問題その他いま局長から住宅問題だとかいろいろ話がありましたが、これを契機に運輸省ともよく相談いたしまして、年金問題その他の問題に対しましても、相当な熱意を持って——ただ、いままでは研究課題といたしておりますが、これが実現に邁進するかたい大臣としての決意であることをこの席で申し上げておきます。
  198. 坂口力

    坂口委員 局長、どうぞ。
  199. 道正邦彦

    道正政府委員 確かに福祉を考える場合、大きな柱が年金であることは御指摘のとおりでございます。また同時に、年金制度につきましても、今回の改正と同時に実施できればよかったと私も思いますけれども、建議が出されましたのが昨年の十一月でございまして、年金制度を実現するためには運輸省あるいは厚生省等関係各省と調整が要るわけでございます。年金制度は非常に波及するところがございまして、一カ月の短期間には結論が出なかったわけでございます。そういう意味で第二段階にゆだねさせていただいたわけでございますけれども、この法律改正成立の暁におきましては、年金の問題に真剣に取り組んでまいりたいと思います。
  200. 坂口力

    坂口委員 いまちょうど年金の問題も出ているときでございますし、私はちょうど出していただくのにいいところだったと思うのですね。それが次のツーステップという形でその後に取り上げられて、第一番目に出てこなかったことをたいへん残念に思う一人でございます。大臣も今後熱意を持ってやるというふうに御答弁をなすっているわけでございますけれども、これはもう少し具体的に、これぐらいのスケジュールでやるんだというぐらいのことをひとつこの席で私ははっきりさせてほしいと思うのです。たとえばこの法案はどうなるか、これはわかりませんけれども、しかしこの年金のことについては、この法案がどうなるかは別にして、とにかく四十八年度なら四十八年度中に決着をつけるんならつけるんだというようなスケジュールを私ははっきりしてほしいと思うのです。ひとつ……。
  201. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 いま局長から話したように、労働省だけで単独に突貫するというわけにもなかなかむずかしい点もありますが、やはり希望を持てる職場、そういう線からいくと、ほかに比べて遜色があるようなことは、これは私も反対であります。そういう意味で、熱意ということばが足らぬようでありますが、具体的にこれを実現するような方向にこれは本腰で邁進いたします。
  202. 坂口力

    坂口委員 大臣、労働大臣ですから、自信を持って言ってもらえばいいのですよ。労働大臣なんですから、ほかに遠慮は要らぬ。私はこうやります……。非常に遠慮しておる面がある。ぼくは言うべきだと思うのです。どうですか。
  203. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 先ほどから、大臣としてやる所存でありますから……。ただ関係各省のことがありますので、責任ということばは使いませんが、それに近い程度で本腰でやりますから……。
  204. 坂口力

    坂口委員 お返事をいただいたようないただかぬような、どうも煮え切らぬことになってしまいましたけれども、これは先ほども申しましたとおり、福祉ということばを出す限りは、やはり年金をどうしても前面に押し出してもらうべきだと思うわけです。その問題が二番目になって、そうして今後努力いたします、その方向で熱意を示しますというぐらいの程度では、今回改正案だというふうにして出されたこの案が非常に弱いわけですね。だから、ほかのいい悪いのところはたくさんございますが、何はともあれ、福祉の面ではやはり胸を張って言えますという段階のものに、それがあればなるわけです。ところがそれも第二段階目という段階になったのでは、福祉の増進ということも言いがたいという気がするわけです。これは労働大臣をいつまで攻めておりましても出ないようでありますから……。出ますか。
  205. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 先ほどから私、ただ責任のがれでありませんし、本腰でやる所存であります。ただ関係各省もありますので、そのほうとの調整もしなくちゃならぬという点がありますが、これは前向きの本腰でやりますから。本腰でありますから、あなたのおっしゃる御意見と同等で、もうこれは前向きで本腰でやります。責任の回避でありません。
  206. 坂口力

    坂口委員 まあひとつ本腰でお願いをしたいと思うのです。どうもそれにしてもちょっとはっきりしませんので、こちらといたしましてはたいへんたよりないわけでございますが、時間がございませんので進めさせていただきます。  港湾労働者の福祉水準の向上につきましては、ILOの、これはもう一九四九年に出ました決議にもうたわれております。この問題は先ほどの問題に関連いたしますので、もう一応おきますが、その福祉の中の一つに健康管理の問題がございます。健康管理の問題は、他の企業における健康管理の問題等で、何度かこの委員会で取り上げさせていただきました。あわせてこの港湾労働者の健康管理の問題についても今回取り上げさせておいていただきたいと思うわけでございます。  いままでのところは、日雇い労働者に対しての年二回の健康診断というのは実施されていたんでしょうか。
  207. 渡邊健二

    ○渡邊(健)政府委員 日雇い労働者について申し上げますと、日雇い労働者というのは申すまでもなく雇用主体が紹介のつどかわるわけでございます。健康診断を定期的に行なうことが技術的に非常に困難であったわけでございます。そこで今回の改正法案におきましては、登録日雇い港湾労働者は、雇用される事業主はかわりますけれども、今度は地区港湾労働協会に毎日出頭するわけでございます。地区協会との結び着きが非常に強く、協会としては把握が可能でございますので、今回の法案では、地区協会の業務として登録日雇い港湾労働者に対して健康診断を実施させることに規定をいたしましたものでございます。したがいまして、いままでは日雇い労働者については雇用主がかわるということで健康診断もなかなか実施が困難でございましたが、今後におきましては、地区協会におきまして適正な健康診断が実施されるように指導してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  208. 坂口力

    坂口委員 そういたしますと、いままでは実施されていなかったということですね。  それからもう一つ、健康診断にかかわってお教えをいただきたいのは労働災害の問題でありますけれども、これは職業柄かなりな災害が私出ていると思うのですが、データがありましたらお示しをいただきたいと思います。
  209. 渡邊健二

    ○渡邊(健)政府委員 港湾荷役業は先生も御承知のように非常に災害が多い業種でございまして、そういう点はわれわれも非常に遺憾に存じ、災害の減少につとめておるわけでございますが、最近のデータで申しますと、四十四年以降は逐年減少をいたしておりまして、休業八日以上の死傷者の計で申しますと、四十四年が一万一千、四十五年が一万、四十六年が八千七百、四十七年はまだ最終的に確定しておりませんが、一応いままで把握しておりますのが七千八百ということで、このところ逐年減少をいたしております。そのうちの死亡者にいたしましても、四十四年百三十八でありましたものが四十七年は九十五ということで、初めて四十七年は百人を割るという状況に相なっておりまして、まだまだわれわれこれで十分完全であるとは考えておりませんが、逐次災害数、被災者は最近数年は減少に向かっておるわけでございます。
  210. 坂口力

    坂口委員 いま示されました数字は、これはなまの数字でございますか。それとも労働者数千人に対して何人というデータですか。
  211. 渡邊健二

    ○渡邊(健)政府委員 いまのはなまの数字でございます。
  212. 坂口力

    坂口委員 そういたしますと、たとえば昭和四十四年には一万一千何人、そのときの労働者数は何人くらいですか。
  213. 渡邊健二

    ○渡邊(健)政府委員 ちょっとそのときの労働者数は持っておりませんが、先生の御指摘は、おそらく労働者が減ってきたから災害が減ったのではないか、こういう御趣旨の御質問だと思います。そこで、私ども一応いまの数字を度数率、強度率にいたしました数字も持っておりますが、それによりますと、度数率は四十四年は五三・七六でございます。それが四十五年は五二・五四、四十六年は四三・六五というふうに度数率も減っているわけでございます。四十七年は、先ほど申しましたとおり、七千八百というのはまだ確定数字じゃございませんので、まだ度数率は出しておりませんが、おそらく減っているのではないかと思います。なお、強度率のほうも、四十四年四・一四でありましたのが四十六年三・四九というふうに減ってきております。
  214. 坂口力

    坂口委員 福祉の増進の中には健康管理の問題が大きなウエートを占めると思いますが、そういうふうに減ってきていればたいへんけっこうなことだと思うのですが、その減りましたおもな理由は何であるか。数字がだんだん減ってきていますね。その減った一番大きな理由は何です。
  215. 渡邊健二

    ○渡邊(健)政府委員 先ほども申しましたように、港湾は他の業種に比べて従来から非常に災害率が高い業種であるということで、私ども従来から港湾を災害防止の重点業種に指定いたしまして、管理体制の確立、作業方法等の適正化、それから港湾災防協会等を通じまして自主的災害防止活動の推進といったようなことを努力をいたしてまいっておるわけでございまして、まだ十分ではございませんが、それらが逐次効果をもたらしてきておるのではないか、かように考えるわけでございます。
  216. 坂口力

    坂口委員 数字はたいへんおりてはきておりますけれども、いままでがあまりにも高過ぎたということが言えると思うのです。ほかのよく似た職種に比べましては、落ちてはきたけれども、なおかつまだ高いというのが現状ではないかと思いますが、今後福祉増進のために具体的にさらにこの数字を減らしていく、災害が起こらないようにしていくために特にお考えになっていることがございましたら、せっかくの機会でございますのでお聞かせいただきたいと思います。
  217. 渡邊健二

    ○渡邊(健)政府委員 労働省といたしましては、こういった港湾荷役業の災害を防止いたしますために、昨年三月には船内荷役作業につきまして作業主任者制度を設けまして、所定の技能講習を経た者を作業主任者として作業の災害防止の責任に当たらせるという制度を設けましたほか、昨年制定いたしました労働安全衛生法の際にも、港湾で非常に災害あるいは職業病を起こしておりますフォークリフト等の運転につきましても、就業制限範囲を、いままで三トン以上のフォークリフトでありましたものを一トン以上にいたすといったような規制の強化を最近はかっておるところでございます。それからまた安全衛生法に基づきまして、今年策定いたしました災害防止計画におきましても、港湾荷役業を重点業種として指定をいたしまして、監督指導を強化いたしますとともに、港湾貨物運送労働災害防止協会に対しましても、災害を一そう減少するように、その自主的活動の推進をはかっておるところでございまして、これらの総合的な努力によりまして、さらにその減少傾向を推し進めまして港湾の災害を大幅に減らしていきたい、かように考えておるわけでございます。
  218. 坂口力

    坂口委員 最近はいろいろの物資の発達によりまして、取り扱うものも非常に多様になったと思うわけであります。取り扱いによっては非常に有毒なものも中には含まれているというふうに聞いております。現場で聞きましても、それが流れ出て非常に危険な場合も再三あるというようなことを聞いております。  そういうふうな意味で、先ほど職業訓練のことをお聞きいたしましたけれども、取り扱うものによりましては、非常に注意をしなければならないものがあるわけでございますが、そういう教育、広い意味で衛生教育といっていいかどうかわかりませんが、取り扱いについての注意、それから、もしもそれが流れ出たような場合にどうするかというような教育、これは救急法のほうに入ってくると思いますが、そういったことの訓練というのは、いままでにはなされたことがありますか。
  219. 渡邊健二

    ○渡邊(健)政府委員 いままでも、おりに触れまして労働災害の防止のための教育につとめているわけでございますが、特に港湾につきましては、先生御指摘のように最近は機械関係の、揚貨装置、フォークリフト等の機械による災害及び中毒関係等が多いわけでございまして、それらに対する労働者教育、昨年の労働安全衛生法でもこれは非常に重視することになっておりますので、今後これを進めていきたいと考えておりますが、特にいま御指摘の、中毒関係の防止につきましては、従来から「港湾荷役における有害物による中毒の防止について」という通達を出しまして、それら中毒が起きませんように、有害物につきましては、荷主から荷役業者が受けるときには、そういう事情紹介して把握する。それからさらに、有害物が漏洩等していないかというような事前の点検を作業に入る前に十分にさせる。そして、もし漏洩しているような場合には、汚染除去等の措置を十分に事前にしてから作業にかからせる。あるいは、そういう有害危険物がある場合には、取り扱い等について個々の労働者に十分注意、教育をしてから作業にかからせるといったような、いろいろな中毒防止措置について従前から通達等をもちまして防止につとめておるわけでございますが、今後とも一そうそれらの徹底をはかって、そういう事故が起きないようにしてまいりたいと考えております。
  220. 坂口力

    坂口委員 お役人の方は、通達が出してありますと、それですべてが済んだようにおっしゃるわけでございますが、その通達に従って、現場においてそれがなされているかどうかということが一番重要な点だと私は思うわけです。なかなか現場では、これは労働省関係のほかの点でも同じですけれども、やられていない場合が多いわけでございます。はたしてその通達どおりに現場においてなされているかどうかということを私はいささか心配するものの一人でございます。荷物の多様化に従って、労働者の教育というものが今後重点的に行なわれていかなければならない。これもやはり福祉の増進の中の非常に重要な部分の一つではないかと思うわけでございます。その点をひとつ、くれぐれもお願いをしたいと思います。  それで最後に、さっきの年金の問題に少しまた戻るわけでございますが、大臣から、積極的にこの問題には取り組むというふうにお答えをいただいているわけでございますけれども、再三申しましたとおり、労働者の年金等はどうしても第一にやらねばならない問題でございますので、大臣の御就任の間にこの問題は決着をつけていただける、こういうふうに解釈をさせていただいてよろしゅうございますね。
  221. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 先ほどから再三申し上げておるとおり、私の就任期間がいつまでかわかりませんが、大体その期間に目鼻をつけたいというかたい決意であります。
  222. 坂口力

    坂口委員 年金の問題、それから一番最初に申しました暴力手配師を締め出すということ、この二点につきまして特に強い要望を申し上げまして、終わらせていただきたいと思います。
  223. 竹内黎一

    竹内(黎)委員長代理 小宮武喜君。
  224. 小宮武喜

    ○小宮委員 まず確認しておきたいことは、大臣、今回の港湾労働法の改正については、昨年の十一月十七日に出された港調審の建議に基づいて改正されたのかどうか、これをひとつ確認しておきたいと思います。
  225. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 そのとおりであります。それ以外に、最近の港湾関係の重要性にかかわらず、どうも近代化その他不就労の拡大、いろいろの問題がだんだんと堆積したような感じでありまして、労働省としても遺憾にたえない。何とかこれは改善したい。こういうときにあたっていまの審議会のほうから建議がありましたので、踏み切ったわけであります。
  226. 小宮武喜

    ○小宮委員 港調審から建議がなされた場合に、港調審としては満場一致で建議がなされたのか、それともやはり少数意見を併記して建議がなされたのか、それもひとつ確認しておきたいと思います。
  227. 道正邦彦

    道正政府委員 満場一致でございまして、少数意見は併記されておりません。
  228. 小宮武喜

    ○小宮委員 この港湾労働法が適用されておる港湾というのは、六大港に限定されているわけですね。しかし私は、港湾労働法というのは、ただ六大港だけに限ら、ず、全国港湾にも適用すべきだという前提に立っておるわけですが、全国港湾労働者といわれる人たちは何人ぐらいおるのか、そしてこの港湾労働法が適用されておる六大港の港湾労働者というのは何名おるのか、まずそれを質問します。
  229. 道正邦彦

    道正政府委員 全国港湾労働者の数は、四十六年でございますが、いわゆる現場の職員を除きまして九万八千百五十七人、日雇い労働者の数は、これは運輸省の御統計でございますが、延べ数にいたしまして二百八十三万二千人ということになっております。  六大港につきましては、これはちょっと四十六年の数字とかみ合いませんので恐縮でございますが、一番新しい数字で四十八年二月末現在、常用労働者五万五千三百六十三人、登録日雇い港湾労働者四千四百九十九人でございます。
  230. 小宮武喜

    ○小宮委員 全国港湾労働者の中に占める六大港の比率を見ても、港湾労働法の適用を受けない、もっと気の毒なということばは妥当かどうかわかりませんが、そういうような人たちがたくさんいるわけですね。私は、こういうような人たちにもこの港湾労働法を適用させるようにすべきだと思うのです。したがって、当初出発した場合は、六大港で取り扱う貨物量が一番大きいということで、国民生活に非常に重大な関係もあるので、そういった関係で六大港に限定された、こういうように考えるわけです。しかし私は将来やはり全国港湾労働者にもこの港湾労働法の適用を広げるようにすべきだというふうに考えるのですが、大臣、その点その意思がありやなしや、はっきりしていただきたい。
  231. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 大体テストケースといたしまして、これは画期的な法改正で、よくするためでありますが、テストケースで六大港をやりまして、その結果を見て、すぐさま順次拡大する根本の方針であります。
  232. 小宮武喜

    ○小宮委員 港湾労働法ができたのは四十一年ですね。六年たっていますね。範囲を広げるための検討は順次なされておるということですか、そういうふうに理解していいのですか。いまから検討するということですか。
  233. 道正邦彦

    道正政府委員 法制的には、港湾労働法全国港湾に適用が可能になっておりますが、当面六大港に限定して適用していることは、御承知のとおりでございます。  なぜ六大港に限定したかということは、先生も御指摘のように、各港湾の荷役量であるとか、労働者の数であるとか、あるいはなかんずく労働者の数の中に占める日雇い港湾労働者の数、そのほか国民経済上に占める各港湾の重要性というようなことを考えまして、六大港に限定しているわけでございます。  六大港につきましても、数年間法を運用いたしまして、いろいろ問題がございます。まず、われわれといたしましては、六大港の問題を解決して、その実績、経験の上に立って、全国の港に可能な限り適用を拡大していくということが望ましいというふうに考えておりまして、率直に申し上げまして、現在六大港以外の港を具体的に選びまして、適用の拡大を検討するという段階には至っておりません。しかしながら、基本的には、六大港の個々の推移を見まして、慎重に、しかし可能な限りすみやかに適用の拡大について検討したいと思います。
  234. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 いま局長から答弁したとおりでありますが、全国一律にといっても、もう津々浦々の港という港は全部入るというには、これはいろいろローカル的な関係もありますし、かえって角をためて牛を殺すというような結果になって、悪影響があっても困りますから、六大港をやってみて、その状態を見て、それに準じた港にまた推し進めていく。一律に、六大港がうまくいったから全国全部というような方針ではありません。やはりそれに準じて、六大港に次ぐ港にそれを持っていく、こういうふうに次々と、その状況を見ましてからその次へ進んでいくという方針であります。
  235. 小宮武喜

    ○小宮委員 まあその考え方でけっこうだと思うのですが、しかし六大港自身にしても、いま言われておるように四十一年に法律が制定されてから今日で、まだまだ問題はたくさんかかえておると思うのですよ。そういうようなことを言っておったら、いつの日にその六大港以外に適用を広げていけるかどうかということは、非常に疑問だと思う。したがって私も、大臣が言われるように津々浦々までということまでは申しませんけれども、少なくとも六大港以外にやはり全国で主要な港湾についてはこの法律を適用させるように検討を早急に始めてもらいたい。  それはそれとして、それでは六大港におけるこれまでの取り扱い貨物量の推移とそれから今後の見通しについて、これは運輸省でしょうね、運輸省港湾局の高橋事官ですか、説明を願いたいと思います。
  236. 高橋全吉

    高橋説明員 いま先生の御質問の六大港についての取り扱い貨物量の推移でございますが、昭和四十年に、六大港だけで申しますと、二億三千万トン、四十一年が二億五千万トン、四十二年が二億八千三百万トン、四十三年が三億一千七百万トン、四十四年が三億三千三百万トン、四十五年が三億六千四百万トン、四十六年が三億六千九百万トン。したがいまして、いま数字を読み上げましたが、四十年を一〇〇といたしますと、四十六年は大体一六〇、すなわち六〇%の増になっております。  それから今後の推定でございますが、六大港について申し上げますと、五十年の推定といたしましては五億五千万トン、こういう次第でございます。
  237. 小宮武喜

    ○小宮委員 そうしますと、六大港常用港湾労働者並びに登録日雇い港湾労働者の推移と今後の見通しについて、ひとつ説明願いたい。これは労働省ですね。
  238. 道正邦彦

    道正政府委員 四十八年二月、一番新しい数字は先ほど申し上げましたとおりでございますが、過去の数字を申し上げますと、四十二年におきまして五万六千八百人、常用でございます。登録日雇い労働者が一万五千人。四十三年が五万八千九百人に対しまして、一万三千五百人。四十四年が六万三千人に対しまして、一万一千六百人。四十五年が六万三千五百人に対しまして、九千百人。四十六年が六万四千五百人に対しまして、七千二百人。四十七年が五万八千三百人に対しまして、五千七百人。一番新しい数字は先ほど申し上げたとおりでございます。
  239. 小宮武喜

    ○小宮委員 それでは、取り扱いの貨物量と港湾労働者の関係ですね、たとえば取り扱い貨物量一トンについて港湾労働者がたとえば一人になるか二人になるか、〇・五になるか六になるか、そういうのは統計上出ておると思うのですが、その関係をひとつ御説明願いたいと思うのです。これは運輸省のほうですか。
  240. 高橋全吉

    高橋説明員 いま先生の御質問の労働生産性の推移でございますが、これは船内荷役でございますが、これを全国の合計で私たち調査いたしましたところ、昭和四十年一人当たり二十九トンに対しまして、四十六年が三十八トン、このようになっております。
  241. 小宮武喜

    ○小宮委員 それでは、五十年度の目標が五億五千万トンと言われたですね、取り扱い貨物量の見通しが。そうすると結局それを、いま言われた四十六年度では三十八トン、これで五億五千万トンを割っていくと、大体六大港で五十年度で港湾労働者はどれだけおればいいという数字が出てきますね。そうでしょう。そうすれば、現在の港湾労働者の数とこの三十八トンというのもいろいろ変わっていくと思います、しかしながら大体の目安として、昭和五十年度の取り扱い貨物量が五億五千万トンある、そうすると一人当たり取り扱い貨物量三十八トンある、これが四十トン、四十五トンになるかもしれませんが、これで割っていくと大体五十年度で六大港港湾労働者が何名おればいいということが出てくるわけでしょう。どれくらい要るか。
  242. 高橋全吉

    高橋説明員 先生御指摘のいまの質問でございますが、たまたまわが方で調査をいたしましたのは実は船内荷役だけでございまして、そのほかに沿岸荷役あるいははしけ等がございますので、正確な数字は出てまいりませんと思います。
  243. 小宮武喜

    ○小宮委員 私が知りたいのは、だから港湾労働法の改正はあるけれども、大体いま言う取り扱い貨物量はどんどんふえていっておる。その中で、逆に言えば港湾労働者、日雇い労働者というのは大体いままでの推移を見るとだんだん減ってきておるという中で、どれくらい五十年度で必要なんだ、これくらいは絶対要るんだという数字をやはり出さぬと——出すことが一番問題なんだ。だからこの法律改正によって、たとえば港湾労働者が何名くらい減っていくのか、またどれだけ港湾労働者をもっとふやさなければならぬのかという数値というものを私はほしいわけです。その点について、ちょっと船内の関係だけ言われたんですけれども、外のほうもありましょうし、それは私はやはり一番大事だと思う。  特に、労働大臣、港労法の第三条に「労働大臣は、毎年、港湾ごとに、港湾雇用調整計画を定めなければならない。」となっておるわけですね。大臣は定めなければいかぬわけでしょう、毎年。それで調整計画に定める事項として、「当該港湾において必要な港湾労働者の数」それから「前号の港湾労働者の数のうち日雇港湾労働者をもつて充足すべき数」、これは労働大臣が毎年きめなければいかぬわけですね。そういうような見通しがなくて、調整計画か立ちますか。だから私はやはり一番基本になるのは、そういったものの長期的な目通しの上に立ってこの雇用調整計画というものが立てられなければ、その場その場だけでやったんじゃだめですよ。大臣、あなたがこの港湾労働法の第三条で雇用調整計画を定めなければならぬと義務づけられている。どうですか。
  244. 道正邦彦

    道正政府委員 御指摘のとおり、毎年労働大臣は雇用調整計画というのを定めることになっております。所要の労働者の数、これは常用と日雇いとに分けまして、また船内、はしけ等に分けまして定めることになっております。算定にあたりましては、過去の実績というものがございますので、それを基礎にいたしまして、荷物の動き、これは運輸省の見通しをいただきまして、所要の労働者の数というものをはじき出すわけでございます。四十八年度におきましても、そういう作業をすでに終わって計画を策定いたしております。
  245. 小宮武喜

    ○小宮委員 大体毎年何月にその策定はやるのですか。
  246. 道正邦彦

    道正政府委員 年度当初に間に合うように、関係審議会の御審議を経て定めております。
  247. 小宮武喜

    ○小宮委員 それからいまの見通しで、結局港湾労働者の数というものは大体過不足はどうか、その見通しですね。余るのか、いや少しは足らぬのか、もっとふやさなければいかぬのか、その辺の見通しはどうですか。
  248. 道正邦彦

    道正政府委員 過去におきましては、たとえば法律施行当初は、日雇い港湾労働者の定数三万に対しまして、現実に登録した労働者は一万五千人とだいぶ食い違いもございました。しかし四十八年度は、四十七年度の数字を日雇い港湾労働者についてはそのまま横ばいで見込んでおるわけでございます。今後の見通しといたしましては、あまり大きく当初の見通しが狂うということはないのではなかろうかというふうに考えております。
  249. 小宮武喜

    ○小宮委員 それはもっと論議したいのですが、それではいま答弁があったように毎年取り扱いの貨物量は、四十年を一〇〇とした場合に四十六年で一六〇%、いわゆる六〇%の伸びを見せているわけですね。ところが仕事はふえておりながら、登録労働者の不就労日数は、月平均で四十一年で四・三、四十二年で四・八、四十三年で六・八、四十四年で七・六、四十五年で八・六、四十六年で一一・一、こういうふうにだんだん不就労日数はふえていますね、資料を見たら。仕事量は六〇%もふえていながら、不就労日数がふえるというのはどういうふうな関係ですか、原因をひとつ教えてください。
  250. 道正邦彦

    道正政府委員 貨物量の総量は運輸省から御説明がございましたように、六割程度ふえるわけでございます。ところが御承知のように、港湾の機械化、合理化がこれまたかなりのスピードで行なわれておりますので、現実に労働力を必要とする荷役量そのものの増加率というものは、貨物量の伸びほどにはふえないわけでございます。そういうことで生産性の向上と相まちまして、貨物量のふえるわりには雇用労働者はふえない。大ざっぱに申し上げますならば、大体この数年横ばいから漸減程度に推移しているということでございます。それとあぶれと申しますか、不就労の増大との関連でございますけれども、これはいろいろ機械化が行なわれ省力化が進みますと、労働力需要が相対的に減るというのが基本的にあると思いますが、基本的には制度自体に内在している問題、すなわち使用者側におきましては、職安の登録制度というのは自分たちのための登録制度、登録されている労働者は自分たちの労働者だという意識が必ずしも徹底しておりません。これは施行後すでに数年たつにもかかわらず、そういう現状にあることは遺憾に存じますが、これは使用者側の意識を高めるだけではなくて、やはり制度自体に内在する問題でもあろうかと思います。  それから不就労の増大とこれは相関関係になってくるわけでございますけれども、不就労の増大がありますと結果的に納付金がふえる、それが使用者側が登録日雇い労働者を使う意欲をさらに減殺するというような悪循環になっておることも、原因の一つかと思います。  そのほかいろいろ問題があるわけでございますが、そういういろいろな悪条件がからみまして不就労の増大を見ておるものというふうに思っております。
  251. 小宮武喜

    ○小宮委員 不就労日数を見た場合に、これは六大港の平均でしょうけれども、港湾別に見た場合どうですか。
  252. 道正邦彦

    道正政府委員 これは四十七年四月から四十八年一月までの数字でございますが、不就労は、日平均、東京港は四・二日でございます。横浜港は九・三日、名古屋港が九・六日、大阪港が八・九日、神戸港が八・四日、下関港が九・六日、門司港が十二・八日、洞海が十八・六日というふうになっております。
  253. 小宮武喜

    ○小宮委員 それから、全国港湾での取り扱い貨物量の中で、六大港の取り扱い貨物量は何%になっていますか。
  254. 高橋全吉

    高橋説明員 ちょっとパーセントは出ておりませんが、先ほど六大港の数字を申し上げましたが、それに関連しまして、全国港湾における取り扱い量を申し上げますと、四十年が五億三千万トン、そのうち、先ほど申し上げましたように、五大港分が二億三千万トンでございます。四十一年が五億七十二百万トン、そのうち五大港が二億五千万トン。四十二年、六億五千八百万、そのうち五大港が二億八千三百万。四十三年が七億五千百万トン、そのうち五大港が三億一千七百万トン。四十四年が八億三千万トン、そのうち五大港が三億三千三百万トン。四十五年が九億二千七百万トン、そのうち五大港が三億六千四百万トン。それから、四十六年度の数字が出ておりませんのでこれを略しまして、五十年でございますが、推定は一応十五億三千五百万トン、このように推定いたしております。
  255. 道正邦彦

    道正政府委員 先ほど数字を読み間違えましたので、訂正させていただきます。  下関港について九・六と申し上げましたが、十三・七の間違いでございます。訂正させていただきます。
  256. 小宮武喜

    ○小宮委員 登録港湾労働者の平均年齢と定着率はどうですか。平均幾らになりますか。
  257. 道正邦彦

    道正政府委員 昭和四十七年八月実施の調査によりますと、全国港湾労働者の年齢は三十八・八歳。中位数でございます。四十歳以上が四六%になっております。それから六大港について見ますと、常用港湾労働者は、四十歳以上の者が四八・二%、これは四十七年の一月末現在でございます。登録日雇い港湾労働者について見ますと、七一・四%というふうになっておりまして、登録日雇い港湾労働者には中高年齢者の方が著しく多くなっております。
  258. 小宮武喜

    ○小宮委員 それでは、この六大港における港湾労働者の労働条件はどうなっていますか。
  259. 渡邊健二

    ○渡邊(健)政府委員 六大港だけのはちょっと私手元に持っておりませんが、労働省で実施いたしております屋外労働者都市別賃金調査によりますと、常用港湾労働者の労働時間は、四十六年の八月の調査でございますが、出勤日一日当たり九・五時間、賃金は三千九百八十五円となっております。これは全部の数字でございます。六大港だけの数字ではございません。
  260. 小宮武喜

    ○小宮委員 いま六大港以外の港湾労働者の労働条件はどうなっておるか。これは労働省、わかりませんか。
  261. 渡邊健二

    ○渡邊(健)政府委員 賃金につきましては、六大港の数字が一応四十六年の八月現在で手元にございます。一日当たりでございますが、東京が三千九百五十八円、横浜が四千四百八円、名古屋が四千二百十一円、大阪が四千二百十七円、神戸が四千二百四十六円、門司、小倉、戸畑、若松、八幡合わせてそれを一括しました平均が三千六百九十六円、こういうことになっております。現在ここに持っております数字では、六大港以外では室蘭が、同じ四十六年八月の数字で一日当たり三千四百四十七円となっております。そのほかの港湾全部の平均というのはちょっと手元にございません。
  262. 小宮武喜

    ○小宮委員 やはりほかの港湾では、六大港の港湾労働法が適用されておる港湾労働者より低いですよ。だから私はさっき言っておるのは、やはり全国港湾労働者がこの港湾労働法の適用を受けて、少なくとも労働条件改善をはかるべきだというのが私の趣旨なんです。だから、その点は大臣も前向きで検討するということでございますから期待をしますが、やはりいま建築業に次いで港湾労働者の災害は多いのです。  そこで先ほどの質問がありまして、休業八日以上の統計が出ておりました。強度率、度数率について話がありましたけれども、それが労働省として、やはり結果がこうだったからこれだけの災害が出ておるのだ、現在の度数率はこうだ、強度率はこうだということではなくて、労働省として労働災害を減少し、押えていくという考えであれば、一応労働災害の減少目標をどこに置いて、強度率を幾らにして、度数率を幾らにしててやっていこう、そのための指導をどうするかということがおのずからきまってくるわけですが、その目標は幾らにして置いておりますか。
  263. 渡邊健二

    ○渡邊(健)政府委員 将来の労働災害の減少につきましては、災害防止計画で全体の減少目標というのは五カ年で一応立てておりますけれども、現在のところまだ業種別までにこれを細分化した計画を立てておらないわけでございます。
  264. 小宮武喜

    ○小宮委員 それはしかし、少なくとも業種別に指導していかないと、全体の災害の減少目標を立てたにしても、どういうふうな業種は現在こういうような実態だからここまでいけ——それは一律に右へならえしてきめてもなかなかむずかしい。だから一応各業種別に目標をきめて、それに向かって各業種別に努力させるという行政指導をやらなければ、なかなか災害というものは減らないと思うのです。その意味では、全国一律の災害減少目標を立てておるといわれておりますけれども、特に建築業あるいは港湾労働者、ここらに、特に労働災害が多いところはその目標をはっきりさせて、それに対して指導をしていくということをぜひやってもらいたい。こういうように考えます。何か所見、見解があればひとつ聞きたいと思います。
  265. 渡邊健二

    ○渡邊(健)政府委員 全体の災害につきましては、五カ年で三割減少ということを現在災害防止計画で目標にいたしております。それらの中で、先生御指摘のように、建設業であるとか陸上貨物運送業、林業、港湾貨物運送業、この四業種は特に災害発生率が高い業種でございますので、これらの業種は災害防止対策を推進する重点業種ということで指定をいたしまして、特に力を入れて災害防止につとめているわけでございますが、業種別の減少目標までは現在のところ立てておりませんが、御趣旨に沿いまして今後十分検討してみたい、かように考えるわけでございます。
  266. 小宮武喜

    ○小宮委員 災害多発職種についてはやはり重点的に指定をして、そこで何割減ということで強力な行政指導をやってもらいたい、このように考えます。  それから政府は港湾離職者に対して特別の対策を実施するということをうたわれておるわけですが、離職者に対して特別の対策というのは具体的にどういうことをさしておりますか、ちょっとお聞きします。
  267. 道正邦彦

    道正政府委員 はしけ対策の問題ではないかと思いますけれども……。
  268. 小宮武喜

    ○小宮委員 はしけ対策ばかりじゃなくて、港湾労働者の離職対策について。はしけの問題はあとでやりますから……。
  269. 道正邦彦

    道正政府委員 建議の中にございます港湾離職者に対する特別対策の推進ということの中身は、主としてはしけ対策と申しますか、はしけが四十八年度から三カ年計画で国の施策として買い上げが行なわれる、それに伴って離職を余儀なくされる港湾離職者について特別の対策を講ずる必要があるということをうたっているわけでございます。したがって、ここに書いてありますのははしけ対策が中心になっておりますが、最後に「なお、」というなお書きがございまして、そこにははしけに限らず、港湾施設の整備その他港湾における近代化、合理化が進み、それに伴って雇用にも重大な影響が出てくるので、したがって港湾の整備計画の推進にあたっては雇用についての影響を十分配慮してなされるべきであるということがうたわれておるわけでございます。この点につきましては、はしけが一番ドラスティックな形で出てきた問題でございますけれども、その他の合理化の問題につきましても、原理的には同じような配慮が必要であろうかと思います。ただ、特別に離職者対策を講ずるのははしけを重点に考えているということでございます。
  270. 小宮武喜

    ○小宮委員 この資料を見ますと、雇用促進事業団の雇用調整手当会計は四十六年度までにすでに四億の累積赤字を出していますね。四十七年度でどうなるかということと、その赤字のおもな原因は何ですか。
  271. 道正邦彦

    道正政府委員 まだ四十七年度の最終的な数字がまとまっておりませんが、おそらく四十六年度と似たような状況で推移をしたのではないかというふうに考えております。  原因は不就労の増大ということでございます。
  272. 小宮武喜

    ○小宮委員 港湾労働法の第五十二条には、国は政令で定めるところにより、事業団に対し業務に要する費用の一部に相当する金額を補助する、こういうふうになっていますね。四十一年度以降、政府はこの雇用調整会計にどれだけの補助を行なってきたのか。
  273. 道正邦彦

    道正政府委員 四十一年度から逐次申し上げますと、四十一年度が九千百九十万円、四十二年度が一億五千九百五十四万円、四十三年度が二億一千六百九十三万円、四十四年度が二億八千二百八十七万円、四十五年度が二億八千二百三十八万円、四十六年度が二億二千九百十四万円ということになっております。四十七年度は確定数字を待ちまして補助額が決定するわけでございます。
  274. 小宮武喜

    ○小宮委員 この雇用調整手当はいま日額で第一級で二千円になっていますね。これは引き上げますか。引き上げるとすれば、幾らに引き上げますか。
  275. 道正邦彦

    道正政府委員 四十七年度までは御指摘のとおりでございましたが、四十八年度以降二千二百五十円に引き上げます。
  276. 小宮武喜

    ○小宮委員 そして事業主負担の納付金は現行五百九十円になっていますね。これも引き上げますか。引き上げるとすれば、幾らまで引き上げますか。
  277. 道正邦彦

    道正政府委員 四月一日から六百六十円でございます。
  278. 小宮武喜

    ○小宮委員 労働者の納付金も大体十四円から五十円までになっていますね。これはどうするのですか。据え置きですか。
  279. 道正邦彦

    道正政府委員 四十八年の四月以降は一級が五十六円、八級が十九円でございます。
  280. 小宮武喜

    ○小宮委員 また船主とか荷主の利用付加料金も、これは現行トン当たり平均二円になっていますね。これはどうするのですか。これは運輸省でしょう。
  281. 高橋全吉

    高橋説明員 これにつきましては労働省のほうとの御相談によりまして、実は先月の二十三日に料金の値上げを認可いたしました。その中に含めて認可いたしております。
  282. 小宮武喜

    ○小宮委員 四十八年度からこの事業主納付金も六百六十円に引き上げられる。しかし一方では雇用調整手当も二千二百五十円に引き上げられるといった場合に、雇用調整手当会計の赤字はそれで解消されるわけですか、その点いかがですか。
  283. 道正邦彦

    道正政府委員 付加料金が大幅に上がりましたので、それだけ使用者の負担は改善されるわけでございますけれども、赤字の問題は不就労日数の改善がございませんと大幅な改善は見られないわけでございます。
  284. 小宮武喜

    ○小宮委員 先ほど私確認したのは、やはり港調審の建議をもとにして今回の改正を行なったというような話を確認をしたわけですが、先ほどから話がありましたように、具体的に先ほど質問がありましたけれども、港湾労働福祉施設の整備充実というのをもう一度説明してください。この建議に盛られておりますね。
  285. 道正邦彦

    道正政府委員 福祉施設の定義にもよりますが、広く定義すれば労働条件、要するに賃金その他が含まれてくるわけでございますが、それを一応別にいたしまして、当面問題になっております年金の充実の問題、これは非常に大きな福祉の問題だと思います。これは遺憾ながら今回の改正と同時に実施することができませんでございましたけれども、今後の重要な課題として、先ほど来大臣もお答え申し上げておるとおり、われわれといたしましても極力実現の方向で、しかもなるべく早く実現する方向で努力したいと思います。  それから、狭義の福祉施設といたしましては、先ほどもお答えいたしたのでございますが、港湾労働者の福祉センター、これは全国に二十九カ所すでに設置いたしておりますが、そのほかに四十七、四十八年度の予算で建設中のもの、あるいは建設計画中のものが八カ所ございます。それから、港湾労働者の宿舎、これは二十三棟、七百六十八戸分がすでに設置されております。それから簡易宿泊所、これは単身者用、世帯者用含めまして三十二棟すでに設置いたしておりますし、ほかに四十六年から四十八年度の予算で建設中のもの、あるいは建設の計画中のものが十二棟ございます。そのほかに雇用促進事業団を通じまして港湾労働者の皆さんの福祉施設に対する融資制度がございますが、これは三十七年以降百八十九件、八十四億円の融資をいたしております。
  286. 小宮武喜

    ○小宮委員 もう一度大臣に、確認の意味でひとつお聞きしておきます。  その年金制度の問題ですね。これは、大臣はどういうように答弁されたですかな。私よう聞き取れなかったので、もう一ぺん答弁してください。
  287. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 福祉の問題といってもまず年金の問題を解決しなくちゃほかの企業の労働者と相当な格差が生じますから、先ほどお答えいたしたとおり、前向きで、ただ弁解でありません、厚生省、運輸省、大蔵省の関係もありますので、ここで何月からこういうふうにするということはなかなかちょっと——交渉しますが、ただ交渉するために、弁解でありません、本腰でやる所存でありますから、先ほど言ったように、できれば、私の就任期間中は幾月かわかりませんが、それまでにはぜひ解決したいというかたい決意であります。
  288. 小宮武喜

    ○小宮委員 いま大臣が、私が在任中に何とか片をつけたいという、非常にそこだけ力を入れて言われたので非常に期待しておりますから、ぜひひとつ大臣の在任中にこの問題についてのやはり解決をはかってもらいたい。  それからもう一つ、労使関係の近代化という問題がまず一つここで提起されておりますね。これは私、残念なことですが、この問題についてひとつ質問したいと思うのです。  昨年の四月十四日に賃金アップを要求中の日雇い港湾労働者四百人が、横浜港の公共職業安定所に押しかけて、木村所長ら三名の職員をつるし上げ、暴行を働いたという事件が、これが報道されておるわけですね、これは非常に遺憾なことでございます。また七月二十六日にも、全港湾横浜支部の組合員がこのピケをやめさせようとした安定所職員に暴行を働いたという事件が、これは新聞記事も持ってきておりますが、残念ながらこういうような暴行事件というものが起きております。これは御存じですね。こういった暴行事件が横浜だけに限られておるのか、それともこの暴行事件は横浜以外のところでも発生しておるのか、まずその点を。この港湾労働法が適用されておる六大港の中で、こういうような暴力事件がこの港労法が制定されてから今日まで何件くらい発生しておるのか、ひとつ説明を願いたいと思う。
  289. 道正邦彦

    道正政府委員 大小の暴力事件が起きておりますが、公務上の災害として認定された公共職業安定所の職員の負傷件数は十四件でございます。横浜が比較的件数多うございますが、横浜だけではございません。
  290. 小宮武喜

    ○小宮委員 これは私もある安定所の人から聞いたのですが、こういうような暴力事件が起きると、安心して働くわけにもいかぬ。そしてそういうような安定所に勤務しておるのが非常におそろしい、だからもし転勤を受けて、たとえば大阪に行け、あるいは横浜に行け、あるいは名古屋に行けと言われても、おそろしくて行きたくないということを率直に訴えておる方もおられるわけです。やはりその意味では、これは非常に港湾労働者の労働条件をよくしていくと同時に、こういうような暴力関係を、これはもう労働組合運動以前の問題です、この問題についてもさっきから大臣も力を入れておったようですが、こういうような暴力行為というものを何としてもこれはなくしていかなければいけません。そういうような意味でこの暴力事件に対して安定所が、労働省がとった措置はどうしたのか、そして結果はどうなったのか、その点についても参考までにひとつ聞いておきたいと思う。
  291. 道正邦彦

    道正政府委員 暴力事件が起きますことは非常に遺憾なことであります。特に職員を管理している責任者といたしまして、心痛もいたしております。  従来の処理につきましては、まあ暴力事件と申しましてもいろいろございますので、その内容に応じまして、軽微なものにつきましては誓約書を提出させるなど反省の機会を与えるほか、悪質なものにつきましては登録取り消し等の措置をとっておりまするし、刑事事件として告訴をいたしたものもございます。このような事案は安定所の業務を著しく阻害するのみならず、職員の安全の見地からもゆゆしき問題でございますので、こういう暴力事犯の発生を未然に防止するように、また発生した場合には法規に照らして厳正な態度で臨む所存でございます。
  292. 小宮武喜

    ○小宮委員 そういうようないろいろ暴力事件が発生するについてもいろいろ原因もあると思うのですが、やはりこういった暴力事件をなくして、その職員の方々が安心して働けるというような場をつくるように、これは労働省としては特にそういったお互いの話し合いというか、そういうようなものも十分気を使って配慮をしてもらいたいと思う。  それからもう一つは、建議の第五の「港湾離職者に対する特別対策の推進」という中で——いまちょうど説明があったわけですが、その中で「このようなはしけ需要の減退に伴う余剰はしけの買上げ・解撤の措置が昭和四十八年度以降三カ年計画で国の施策として計画されていることにかんがみ、これに伴って離職を余儀なくされる港湾離職者について、特別の離職者対策を講ずる必要がある。」こういうことで、四十八年度からこの輸送革新に伴って、三カ年計画ではしけ及び引き船の整理解撤を行なおうとしておるわけですが、その計画についてまず説明を願いたい。これは運輸省でしょう。
  293. 高橋全吉

    高橋説明員 いま先生から御質問のありましたはしけの買い上げの建議でございますが、実は最近の港湾におけるコンテナ化あるいは岸壁の整備等によりまして、あるいは大型荷役機械等の導入によりまして、非常に港湾は合理化されてきましたけれども、はしけにつきましては港湾の構造上今後徐々に利用率というものが減っていくであろうということで、運輸省といたしましては、四十六年度末二百二十六万五千トンございますはしけを、昭和五十年には大体その三分の一減少するであろうということで、その約八十二万トンのはしけを三年間で一応解撤しようということで実は予算を要求したわけでございますが、四十八年度におきましては、四十一万七千トンを解撤いたすことにしております。それで、これにつきましては、国がこの買い上げ・解撤のために、これは民間の団体に買い上げ・解撤をさせますが、それに対しまして国の予算といたしまして三億五千六百万の予算を計上しておるわけでございまして、先ほど申し上げましたように先月の末に港湾運送料金の値上げの認可をいたしました。それによりまして業界といたしましても、合理化によってその中からはしけ買い上げのための資金を捻出する。それからさらには、利用者である船会社あるいは荷主等からもこれらの資金を拠出させまして、それでその拠出した資金に対しまして国から補助金を与える。そして四十八年度におきましては、四十一万七千トンのはしけを買い上げ・解撤をするという計画を立てております。
  294. 小宮武喜

    ○小宮委員 いま説明がありましたように、これは四十八年度を初年度として三カ年計画で、はしけが八十二万五千トン、引き船が六万三千馬力ですね。それから四十八年度をこの初年度として、はしけを四十一万七千トン、引き船が三万一千馬力、こういうような予定ですね。この数字の根拠はどこから出しているのですか。たとえば三カ年計画でその八十二万五千トンとか六万三千馬力とか買い上げるという、この整理解撤の数字ですね、これは何を根拠にして出してきたのですか。
  295. 高橋全吉

    高橋説明員 港湾運送におけるはしけのシェアでございますが、その率は四十三年をピークにしまして徐々に下がっております。したがいまして、たとえば港湾における取り扱い貨物量のうち、はしけ運送量というもののウエートというものが四十三年をピークにいたしまして、四十四年は一九%、四五年は一七%、四十六年は一四%というように徐々に下がっております。したがいまして、各港におけるはしけの依存度というものの減少率あるいは稼働率を勘案いたしまして、大体三分の一減るであろうということで、二百二十六万五千トンのうち四十六年度末には何万トン過剰になるだろう、それから四十七年度末には何万トン過剰になるだろう、こういう計算を出したわけでございます。それで、五十年末には合計しまして約八十二万五千トン過剰になるだろう。それで四十八年度におきます四十一万七千トンと申しますのは、すでに四十六年度末で過剰のものがございます。それを合わせまして四十七年度末には四十一万七千トンが過剰になるだろう。これはあくまでも推定の数字でございますが、こういうように私たちは計算して出した数字でございます。  それから引き船につきましても、同じ方法で出しております。
  296. 小宮武喜

    ○小宮委員 数字的に現在引き船がこれだけある、はしけがこれだけある。いま言ったように、はしけの取り扱い量が減ってきた。したがって、五十年度で結局残すはしけの量は、数字は幾らで、引き船の数字は、量は幾らだ、数字的にちょっと説明してください。いま幾らあって、幾ら減らして幾ら残す……。
  297. 高橋全吉

    高橋説明員 はしけについて申し上げますと、四十六年度末二百二十六万五千トンございました。それで五十年度末に百四十四万トン残す。  それから引き船でございますが、四十六年度末に約十八万馬力ございました。それで残すのが十二万馬力。それで約六万馬力を解撤する、こういうことでございます。
  298. 小宮武喜

    ○小宮委員 そこでその計画からいった場合に、余剰船員はどれだけ出ますか。
  299. 高橋全吉

    高橋説明員 余剰船員と申しますか、この船に乗り込んでおります労働者でございますが、約三千二百九十名でございます。
  300. 小宮武喜

    ○小宮委員 このはしけや引き船で働く船員が大体六大港で約一万人といわれておるのですが、そのうち三千名ぐらいはいろいろ組織化されて登録されておるんだけれども、残りの七千名以上の人たちはいわゆる、やみはしけといわれる人たちだと私は伺っておるわけですが、やみはしけの数と、それからその船員数についてその実態をひとつ教えてもらいたい。
  301. 高橋全吉

    高橋説明員 先生がおっしゃいましたやみはしけと申しますのは、いわゆる港湾運送事業法に基つきまして事業計画の中に盛り込んで登録されていないはしけのことだと思いますけれども、実は残念ながらそれは、かつて海運局を通じて調査させたこともございますが、実態は把握してございません。したがいまして、それに乗り込んでおる労働者の数も私たちは把握しておりません。
  302. 小宮武喜

    ○小宮委員 このはしけとか引き船を買い上げて、そこで今度は買い上げられた労働者は結局みんな失業してくるわけですよ、登録された人たちは。一方やみはしけといわれるそこに働いておられる人たちは、これはそのまま残るということになりますよ。こういうようなことでいいですか。それはしかし、あまりにも運輸省としては職務怠慢じゃないですか。こういうような問題はやはり、むしろ整理解体する場合に当然、登録されたこういった引き船とはしけは残して、やみはしけのほうを整理の対象にすべきであって、実態がつかめぬからといって、登録されたはしけとか引き船を整理解体の計画の対象としてやるということは労働行政上もちょっとおかしいじゃないですか。むしろ今度の港湾労働法の問題も、その意味では共同雇用の問題もあるけれども、常用港湾労働者、登録日雇い労働者を、これを優先をして、他の一切のそういうような登録されておらない日雇い労働者あたりは使っちゃいかぬ、こちらの労働者を使いなさい、それで運送業者が使っておる直接雇いの人たちもこれを使っていけませんぞ、登録された常用労働者と、登録された日雇い労働者を優先的に使いなさいよという法律改正なんですよ。その意味からすれば、運輸省はあまりにも怠慢じゃないですか。まあ、いま整理計画の対象が、相手の実態もわからぬ、船員の数もわからぬ、その対象にこちらのいま登録されたはしけとか引き船を対象にし、そのためそこで登録された人たちがその整理解体によって失業していくということ。どちらを優先すべきなんですか。この港湾労働改善の筋からいっておかしいじゃないですか。運輸省は、この整理解体の方針というのはどちらを優先するんですか。このやみはしけも入っているわけですか。
  303. 高橋全吉

    高橋説明員 先生の、やみはしけを優先的に整理していくという必要があるんじゃないかという御質問でございますけれども、実は今回の解撤計画の中に、少なくとも港湾運送事業計画の中に入ってないこういうようなやみはしけは、解体の対象にいたしたくない、こういうふうに考えております。しからば、やみはしけをどうするかという話でございますが、実は業者の中でもやみはしけを使うのをやめようじゃないかという業者もございます。したがいまして、既存業者のやみはしけを積極的に使わないというような、そういう自主的な監視体制というものをいま一応つくらして、それを指導すると同時に、これは運輸省の中でも海上保安庁になると思いますけれども、やみはしけの取り締まり等も積極的にお願いしたいと考えております。こういう体制でやみはしけを整理していきたい、こういうふうに考えております。
  304. 小宮武喜

    ○小宮委員 どうもその点おかしいですよ。先ほど私が言うように、たとえばはしけの荷役量が減ってきた、そのために、減ってきたからこれだけ整理解撤するんだという方針を出した。しかしその中にその登録されたはしけとか引き船を整理解撤して、そういうようなやみはしけはそのまま温存しておっても、すなわち自主的にその人たちが廃止しようとか、自主的に規制しようとかいってみても、これは港湾行政上問題じゃないですか。やはりそういうようなものを十分把握しておって、私が言うのは、だから全体としてこれだけ減ってきたから、これだけ整理解体をしてやって、これだけ残すんだという一貫した姿がなければ、私はおかしいと思うのですよ。     〔竹内(黎)委員長代理退席、山下(徳)委員長代理着席〕私はむしろ、その場合は登録されたはしけとか引き船を優先して残すべきであって、その前にやみはしけを整理解撤するのが当然じゃないでしょうか。その点はどうも、いまの答弁では納得できません。
  305. 高橋全吉

    高橋説明員 やみはしけと申しますのは、要するに港湾運送事業計画の中で、いわゆる港湾運送事業者がこれだけ私が使いますということで登録をしてないはしけでございます。したがいまして、言うなれば法律違反と申しますか、法律の適用のないものでございますから、もしやみはしけを優先的に買い上げるということになりますと、登録を受けておるはしけ業者の中でも優先的に買ってほしいという業者もありますので、その辺の問題もあるかと思います。したがいまして、私たちとしては、やみはしけについては今回の対象にしない。その後の問題といたしましては、やみはしけを事業者が自主的な監視体制をつくりたいというような動きもございますので、そのような指導をしていきたい。それから一部やみはしけにつきましては、買い上げ・解撤の計画がはっきりいたしますれば、これに対しましても業者の事業計画の変更というのを認めまして、もし事業者が自分たちで古い船を売って、登録した船を売って、それで新しい船を、さらにやみはしけを計画に入れたいというならばそのようにしてもいいのではないか、そのような措置も考えたいと思っております。
  306. 小宮武喜

    ○小宮委員 いま参事官が言われるように、いわゆる登録されておらぬはしけとか引き船を買い上げたいというと問題がありますよ。しかし問題は、いまここで数字をあげて言われたけれども、整理解撤をする方針は、まずそちらのほうから整理解撤をやっていけば、いま残っておる、整理しようとしておる登録された引き船だとかはしけは、数からいけばいまの半分で済むかもしれぬし、全然整理解撤をやらぬでも済むかもわからない。それをいまのような答弁では、この計画を進めることについて非常に問題があります。それはまたあとへ残して先へ進めて、また戻ってきますから……。  本年の予算で、港湾運送構造改善事業として三億五千万計上していますね、運輸省は。その船は、はしけや引き船は一隻幾らで買い上げるのですか。構造改善事業費の中でどうせ買い上げ費用は入っているのでしょう。
  307. 高橋全吉

    高橋説明員 いま先生の御質問の三億五千六百万の内訳でございますが、はしけは全体として四十一万七千トンを買い上げる予定にいたしまして、補助金といたしまして……。
  308. 小宮武喜

    ○小宮委員 一隻幾らとわかりやすく言ってください。はしけは一隻平均幾らで買い上げるのですか。
  309. 高橋全吉

    高橋説明員 トン当たり二千二百円でございます。したがいまして百トンの船ですと二百二十万円。それから引き船につきましては、一馬力当たり四千九百円……。
  310. 山下徳夫

    ○山下(徳)委員長代理 ちょっと高橋事官、トン当たり二千二百円なら百トンで二十二万円じゃないですか。
  311. 高橋全吉

    高橋説明員 失礼しました。訂正いたします。二千二百円でございますから、百トン当たり二十二万でございます。それから引き船でございますが、馬力当たり四千九百円ということでございます。
  312. 小宮武喜

    ○小宮委員 政府の計画に基づいて日本港運協会で、傘下の運送業者を対象に買い上げ希望者の調査を行なっていますね。日本港運協会のその調査結果はどういう数字が出てきましたか。
  313. 高橋全吉

    高橋説明員 港湾運送業界といたしまして、昨年の八月に調査いたした数字を私たちあとで聞きましたけれども、この当時は、八月に調査をいたしましたときには、希望トン数だけを集めました関係で六大港におきましては買い上げ希望は百五十二万二千トンということを報告を受けておりますけれども、実はこの当時におきましては幾らの値段で買うかというようなことを明記していない、ただ希望を募っただけと聞いております。したがいまして、私たちが推計いたしました数字をはるかにオーバーしておる、こういう状況になっております。
  314. 小宮武喜

    ○小宮委員 その希望は三カ年計画の中で買い上げ希望をとったのでしょうけれども、百二十二万トンといえば、計画そのものは八十二万五千トンですから上回ることは当然だし、それからその中には、私が先ほどから指摘しておるいわゆる未登録のやみはしけというのは入ってないのでしょうね。
  315. 高橋全吉

    高橋説明員 これは入っておりません。
  316. 小宮武喜

    ○小宮委員 その点については、傘下を対象にやった場合に、登録された業者を対象としておればそれはそういう数字が出てくるでしょうが、実際にはたしてそうなのかどうか。たとえば傘下の登録された運送業者の中でも、いわゆるやみはしけといわれるものを使っておる業者もあると私は聞いておるのです。だからその意味では、それが登録されたはしけであり引き船だというような断定は私はむずかしいと思うのですよ。そうでしょう。うなづいておるから間違いない。したがって、これもまたあとへちょっと残しますが、結局上回った数字が出てきた。それは当初三年間の計画をかなり、四十万トン近く上回っていますが、その調整はどうしますか。どういうふうな方法でやりますか。
  317. 高橋全吉

    高橋説明員 実は先ほど申し上げましたように、買い上げの単価を明記しないで、幾ら買い上げてもらいたいかというだけの調査をしたようでございますので、実は買い上げの単価を明示すれば当然にこれは、数量といたしましてはこんな膨大な数字ではなくて、かなり適正な数字になるのじゃないか。単価の点について申し上げますと、先ほど私説明いたしましたのは予算の積算の基礎でございまして、実際には先ほど申し上げましたように、残った事業者いわゆる既存事業者の拠出及び船会社あるいは荷主からの拠出によって資金を集めたいと考えておりますので、それらに対してこれらの買い上げの単価を出すわけでございます。したがいましてその補助金を入れまして、全体のお金によってその買い上げの計画を立てる、こういうことでございまして、そのときに初めて一トン当たり幾らかという単価が出てくるわけでございます。
  318. 小宮武喜

    ○小宮委員 いま運輸省が考えておる買い上げの単価を示すと、これだけの買い上げ希望者が出ておるけれども、単価を見たらびっくりして減るのじゃないかというような見通しのようですけれども、しかしいま引き船、はしけというものがだんだん余ってきておるという中では、遊ばして腐らせるよりはそれは買ってもらったほうがもうけだから、それは案外高橋事官が考えておるような見通しにはならぬかもしれませんけれども、それもちょっとあとへ残します。そういうふうに、運送業者のはしけだとか引き船に対しては買い上げもやろうとしておるけれども、そのはしけや引き船に乗っておる港湾船員については具体的に何をやろうとしておるのか。それらの人たちは失業していこうとしておる。そういうような人たちに対しては、予算上何も組んでおらぬでしょう。そのまま切り捨てごめん。まあはしけと引き船だけは、たとえばトン当たり二千二百円でもけっこうですが、そのかわりそこに働いておる労働者に、そのことによって失業するこの人たちに対してはどういうような措置をやるのですか。いまの具体的な予算措置を見ても、何ら具体的に予算措置もされておらぬようですけれども、その人たちの、この港湾船員の失業者に対する雇用対策並びに離職者対策についてはどうするのですか、運輸省。これは労働省も一緒に。
  319. 道正邦彦

    道正政府委員 先ほど運輸省のほうから御答弁がございましたように、約三千三百名の離職者の発生を私ども見込んでおるわけでございます。これははしけの余剰化に伴って発生する離職者であり、かつ国の政策として買い上げが行なわれるということによって出てくる離職者でございます。また地域的に集中して発生する、あるいは中高年齢者が比較的多い、あるいは技能、作業環境が特殊であるというようなことで再就職は必ずしも容易でないと存じます。このためにこれらの離職者の再就職の促進をはかるために、四十歳以上の方々にではございますけれども、離職者に対しまして求職手帳を発給いたしまして、就職指導あるいは職業訓練を実施いたします。その間、就職促進手当であるとか、あるいは訓練手当であるとか、移転資金であるとか、自営支度金であるとか、再就職奨励金等々の援助措置を講じました。一方事業主に対しましては、労働者の住宅確保奨励金とかあるいは雇用奨励金等の職業転換諸給付を支給することにいたしておりまして、この関係の予算も本年度の予算の中に計上いたしております。この諸対策は石炭であるとか、あるいは駐留軍であるとか、あるいは最近は繊維でございますとか、それに準じた、一般の離職者対策に比べまするとかなり手厚い離職者対策だと考えております。
  320. 小宮武喜

    ○小宮委員 いま港湾船員の離職者対策については、炭鉱離職者あるいは繊維労働者と同じような、それから駐留軍と同じような取り扱いをしたいということですが、現実の問題としてこういうようなはしけに乗っておる船員、引き船に乗っておる船員というのは大体非常に高齢化しているということ等もあって、非常に現実問題として陸上勤務はむずかしいという問題があるわけですね。平均年齢は四十歳以上と言われたでしょう。平均年齢と平均勤続年数はどれだけになりますか。この引き船とかはしけに乗っておるいわゆる港湾船員の平均勤続年数と平均年齢は。
  321. 高橋全吉

    高橋説明員 総体にいたしますと、日本港運協会の調べました数字でございますけれども、四十歳以下が全体の四五・一%でございます。それから四十歳以上——代でございますが、平均いたしまして四十二・六歳になっております。
  322. 小宮武喜

    ○小宮委員 いまの労働省の雇用対策の中で、いま言われたのは四十歳以上を言われたのですね。四十歳以上の人に対しては、いま言われたように駐留軍あるいは炭鉱離職者あるいは繊維関係の離職者と同じような、それに準じた取り扱いをする。そうすると、四十歳以下の人に対しては一般の普通の離職者対策と同じようなことをするということですか。
  323. 道正邦彦

    道正政府委員 特別の対策は四十歳以上、これは繊維の場合と同じでございます。なぜ四十歳で線を引いたかということでございますけれども、若い方につきましては求人もございます。ただ問題になるのは職業の転換がスムーズにいくかということでございますので、訓練につきましては、訓練関係の経費につきましては、年齢に関係なく支給するということで措置をいたしておりますので、ケースによりましてはいろいろ問題が出てくると思います。全体といたしましては、職業転換に訓練コースを選んでいただくことによりまして万全を期し得るというふうに考えております。
  324. 小宮武喜

    ○小宮委員 こういうような船に乗っておる船員というのは、やはり陸上勤務に転換するというのは非常にむずかしい。できるだけ船に乗りたいという希望が非常に強いですね。もう調査の結果もほとんどだという。したがって、離職者対策としていまのような対策はけっこうですけれども、こういった人たちが船にまた乗れるようなことを考えてやるべきだと思う。したがって、そのためにはこの失業者を最小限に食いとめて、陸上に勤務するというようなことでなく、なるたけ船に勤務できるようなことを考えてやるべきであって、そのためにも先ほど言ったやみはしけの問題が問題になってくるのですね。したがって、この際、政府とそれから労働者、使用者三者による雇用対策協議機関を設置して、事前にそういった十分な話し合いをして、この人たちの就職、雇用対策について話し合う必要がある、話し合うべきだ、こう思うのですが、そういうような三者による協議機関を持つということについてのお考えがあるかどうか、その点いかがですか。
  325. 道正邦彦

    道正政府委員 一般的に、たとえば千名をこえるような離職者が発生する場合には、当該都道府県におきましては、たとえば副知事さんが本部長になって対策本部をつくっている例もございます。その際、使用者側にいろいろアドバイスをすることはもちろんのこと、組合の代表者の御参加も得まして、徹底したケースワーク方式による再就職のあっせんをいたしております。せっかく御指摘もございましたので、そういう方向で関係労使の意見も聞き、きめこまかな対策を講じていきたいと思います。
  326. 小宮武喜

    ○小宮委員 そこで先ほど四十八年度の計画としてのはしけが四十一万七千トン、二千四百六十三隻、引き船が三万一千馬力、四百十二隻、これを運輸省は買い上げる予定をしておりますね。したがって、やはりこういった三者機関を設けてその雇用対策、離職者対策、こういうようなものを十分事前に協議してもらって、そして協議の結果、雇用対策とか離職者対策ができた場合は買い上げていくならいくとして、それまでただ機械的にいまあげた数字の引き船とはしけをただもうある時期が来れば整理解撤するという方針を、この雇用対策ともからみ合わせて弾力性を持たせるべきだ。雇用対策ができた上なら差しつかえないとして、ただ、おまえたち失業保険をやるからこれでちょん切るぞ、これは買い上げるぞというようなことはやめてもらいたい。弾力性を持たせるべきじゃないか、こう思うのですが、これは労働省と運輸省の所見を聞いておきたい。
  327. 高橋全吉

    高橋説明員 いま先生がおっしゃったはしけの買い上げ・解撤に伴いまして、乗り組んでおる労働者の生活不安を惹起してはいけないという点につきましては、私どもそのような対策を講じていきたいと思いますが、これはあくまでも買い上げの時期等を考慮しなければいかぬと思います。したがいまして、先ほど私申し上げましたように、具体的にいつ買い上げるかという実際の計画は私たちまだ立てておりません。と申しますのは、予算は一応成立いたしましたけれども、事業者からの捻出する資金、それから利用者からの拠出する資金、こういうものがまだ具体的にきまっておりません。幾ら今年度において拠出するかまだきまっておりませんから、それがきまり次第、私たちは具体的にその計画を、買い上げる時期と合わせまして、先生の御意向のとおりに対処していきたいと思います。
  328. 小宮武喜

    ○小宮委員 それではいまそういうような方途を講じてもらうにしても、たとえばどうしても転職しなければいかぬという場合は、船の仕事をやってきた人はおかへあがったかっぱみたいなもので、急にやられてもなかなかうまくいかぬ。そのためにやはりそういうような職業訓練とか再教育というようなものを、現在の雇用期間中に私はやるべきだと思う。それで期間が来たらすぐ転職される、すぐ新しい職業に行かれるという配慮をする。首を切ってから職業訓練というようなことでなくて、もっと労働行政としても一歩前向きにひとつ取り組んでもらって、雇用期間中に再教育だとか職業訓練をやるということで本人たちの生活保障を考えてやるということは労働行政上も非常に大事なことですが、これは労働大臣、どうでしょうか。これははしけとか引き船の港湾船員の場合だけではなくて、一般の場合にも適用すべきだと思うのですが、労働大臣の前向きの見解をひとつ聞かしてもらいたい。
  329. 道正邦彦

    道正政府委員 離職されていない方々に対しまして手当を支給して訓練するということは、どうも制度的にむずかしいと思いますけれども、おっしゃるようになるべく早く訓練を受けてスムーズに再就職されたほうがいいに間違いございませんので、事業主とよく話をし、港湾労働者のお気持ちをそんたくしなければいけませんけれども、労使の御協力を得まして、なるべく早く訓練を受けられるように労使の皆さんと相談をしたいと思います。
  330. 小宮武喜

    ○小宮委員 労働大臣、力を入れてください。
  331. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 お説のとおりあらゆる観点で、労使の関係、運輸省その他でよく協議いたしまして、御趣旨に沿うような方針で離職者対策を本腰でやります。
  332. 小宮武喜

    ○小宮委員 先ほどからの年金の問題ですね。生活安定基金制度の問題や特別年金制度については大臣も前向きでひとつ取り組む、私の任期中にでも何とかケリをつけたいということも言われておりますので、それはもうここであらためて質問はしません。  それから、陸上労働者の場合は雇用対策法がありますね。しかし港湾船員の場合は雇用対策法に見合うような立法措置はないですが、やはり港湾船員についても、陸上労働者が雇用対策法の適用を受けるような、何か特別なそういう立法措置々検討する必要があると思いますが、いかがですか。
  333. 丸居幹一

    丸居政府委員 私も先生のおっしゃるとおりだと思います。ただ、いままで船員の事情は、船員が足りない、足りないで、ふやす一方でやってきておったものですから、こういう事態になりましてわれわれ考えるのは、一時的な余剰現象ではないか、だからそのうちまた変わってくるのではないだろうかということを考えておったわけであります。しかし、だいぶ外船もふえてまいっております。また余剰船員もふえております。これは一時的な現象だというふうに考えるわけにはいかぬのじゃないか。そこで私たちも、ただいま先生がおっしゃいましたような立法措置を含んだ意味における対策というものをただいま検討いたしております。
  334. 小宮武喜

    ○小宮委員 はしけとか引き船の乗り組み船員の中には、港湾労働法の適用を受ける船員と、それから船員法の適用を受ける船員と両方いるわけです。したがって、今度のこういう整理解撤ということになりますと、いまいわれたように船員法の適用を受けておる船員のほうについては、これは運輸省あたり予算には全然ないのですが、大体いまの計画からいって、その船員法の適用を受ける人たちと、それから港湾労働法の適用を受ける人たちはいまどれだけの数がおりますか。いまの計画の中からいった場合に。
  335. 丸居幹一

    丸居政府委員 四十八年度の解撤に伴うものの中の船員数というのは、五百七十三人というふうに一応はじいております。これはあくまでも推定でございますが……。
  336. 小宮武喜

    ○小宮委員 その三年間には……。
  337. 丸居幹一

    丸居政府委員 三年間では千百三十四人というふうに推定いたしております。
  338. 小宮武喜

    ○小宮委員 前者の場合、港湾労働法の適用を受ける船員に対しては、労働省の予算も一億幾らありましたね。しかし、運輸省のほうの予算にはこれは全然ないのですが、それは労働省予算に一緒なんですか。
  339. 道正邦彦

    道正政府委員 三千二百九十名の中には、ただいま御指摘の船員法の適用を受けておった労働者の方も入っております。要するに、おかにあがって離職されるわけでございますので、そういう方に対しまして区別をするいわれもないということで、一括労働省で計上いたしております。
  340. 小宮武喜

    ○小宮委員 それでは最後に、六大港における多くの港湾運送業は、ほとんどもう弱小規模の私企業によって運営されているわけです。したがって、港湾船員の労働環境とか労働条件が非常に悪いのです。したがってこの際、こういうような機会にやはり——いままでの港湾労働者の、船員あたりの労働条件というものは、非常に弱小の私企業の運送業者によってやられておるものですから、非常に悪い。それが労働条件の向上に非常に阻害を来たしておるわけです。この際こういうような弱小規模の運送業者を統合、再編成して、もっと大きく強いものにして、そこで働く労働者の労働条件をよくしていく、向上していくということで、運輸省は特にこの統合、再編成に取り組んでもらいたい。そして労働者の労働条件をよくしてもらう、よくしてやられるように指導監督、行政指導を強力にやってもらいたい、こう思いますけれども、運輸省の所見と、いま六大港における運送業者はどれくらいの規模で、どれくらいの数がおるか、ちょっと教えてください。
  341. 高橋全吉

    高橋説明員 港湾運送事業者の基盤の強化につきましては、昭和四十一年以降、省令を直しまして免許基準の引き上げ等を行ないまして、事業の集約化、こういうことを推進してまいりましたけれども、四十一年、二年にかけまして、事業者数にしまして一七%であります。それから免許数にいたしまして二九%くらい、こういうことでかなり集約化は進められたわけでございます。しかし、ただ免許基準を強化して、あるいはその他の措置によってさらに集約をするということは、ますます近代化が進んでおります輸送革新のこの港湾における港湾運送事業者の体制というものは、ただ集約せいというだけではなくて、実はことしの三月運輸政策審議会の答申がございまして、それによりまして一この答申におきましてはいろいろのことをうたっております。たとえば近代化に即応した港湾運送業界の体制をつくり直す、あるいは法律を直して免許の弾力化をはかるとか、あるいははしけ対策を行ないなさいとか、あるいは労働者の条件をよくして、それで労働者の安定的な確保をはかりなさいというようなことがいろいろうたわれております。したがいまして私たちこの方針に基づきまして、実ははしけ対策はその一階として行なわれておるわけでございます。そこで先ほど港湾局長から答弁いたしましたけれども、運政審の答申に基づきまして実は法律の改正を検討しております。これは理論と現実とはなかなかマッチいたしませんので、いろいろ細部にわたって検討する必要がございますが、私たちその成案が出れば国会で御審議いただきたい、このように考えております。今国会には間に合いませんけれども、答申の線に沿って法律を改正したい、こういうことであります。  それから、最後に先生おっしゃいました六大港の事業者の数でございますが、九百十五社でございます。
  342. 小宮武喜

    ○小宮委員 ただ数だけでは参考にならぬので、たとえば何名くらい使っておる業者がどれくらいおるのか。二十名とか十名とか弱小が一ぱいおるわけだから……。まあしかし、それはいいです。  最後にもう一度、いま言われたこういうようなはしけだとか引き船の整理解撤の方針は、いま説明を受けましたけれども、一番肝心なものは、それにひっかかってくるのはやはり、未登録のやみはしけをどうするかという問題と密接不可分の関係があるわけです、雇用対策にしても何にしても。その点参事官では、ここでどうするかというのはなかなかむずかしいと思いますが、私が言ったように、また三者で、政府とそれから労働者と使用者の中で三者機関を設けて、そこの中で、やはり登録はしけ、登録引き船はできるだけ残して、まずやみはしけのほうから整理をしなさい。それでどうしてもいかぬ場合はしようがないけれども、しかし現在のやみはしけの数字からいっても、私は登録はしけのほうは整理解撤の必要はないというふうにさえ見ているわけです。したがってその問題を含めてまた運輸省としてもあらためて十分検討して、そういったいま私が主張しておるような趣旨をぜひ生かしてもらいたい。ひとつ参事官から、そうしますと一言言うてください。
  343. 高橋全吉

    高橋説明員 いまの先生のおっしゃった御趣旨を十分私たち検討いたしたいと思います。
  344. 小宮武喜

    ○小宮委員 もう腹も減ってまいりましたので、これで失礼します。
  345. 山下徳夫

    ○山下(徳)委員長代理 次回は、明後十日木曜日午前十時理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会します。     午後七時四十分散会