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中村(重)
委員 私も、日防空法に基づいて犠牲になった方が援護法の
対象にならないで積み残されておったことに対して数年来——大臣が社労
委員会の主というようなことで一番御存じでございますが、これを援護法の
対象として遇すべきであるということを主張してまいりました。その結果、警防団員に対しまして七万円の特別支給金が交付される。それから長崎医大の学生、看護学校の生徒に対しまして、これまた警防団員に先んじて七万円の特別交付金が支給をされているわけです。
しかしながら七万円の一時金だけではなくてこの援護法の
対象として、遺族に対しては遺族扶助料を支給をしていくということが当然ではないかということに対しまして、歴代の大臣は、それぞれ前向きに実は
答弁をしてまいりましたけれ
ども、まだ日の目を見ていないということでございます。しかし先般、私が当社労
委員会において大臣に具体的に
質問いたしました際、そうしたことで実はやろうと思っているという、たいへん遺族の方々もほっとされるような
答弁を実はなさったわけでございます。ただいまもまた大臣は、来年度の予算の中で日防空法に基づいて従事された警防団員であるとか、あるいは
医療従事者に対し援護法の
対象としての
措置をいたしたいという明確なお答えが実はあったわけです。私は斎藤大臣に対しまして敬意を表したい。遺族もたいへん喜ぶであろうというように思います。
ただこの際、事務当局の考え方が明確でない点もあるわけでございますし、再度この際大臣に対しまして、この七万円を警防団員に先んじて支給されました長崎医大の学生あるいは看護学校の生徒に対して、警防団員と同じように援護法の
対象として取り扱うという考え方を明確にしていただきたいということでお尋ねをするわけでありますが、私は園田
厚生大臣に、ただいま大臣に対しましてお尋ねをいたしましたような同一内容でもって質疑を展開をしてまいりました。
ところが当時の援護
局長でありました実本さんは、学生が教室に入っておったのではないか、したがって教室に入っておったということは授業をしておったのではないか、だとするならば、防空従事中でなかったということになるのではないかという、きわめて慎重な考え方を示していた。
ところが、長崎に原爆が投下されました際は警戒警報が発令をされておった。これは本来空襲警報でなければならないわけでありますが、空襲警報が解除されて警戒警報、警戒警報ですから、全員配置についておったのが配置が解かれて教室に入っておった人もありましょうし、あるいはまだ部署に残っておった方もあるのかもしれませんけれ
ども、ともかくそういったような
状況で軍のそうした問違いから一あたらとうとい人の生命が奪われてしまうという結果が出ているわけであります。
そこで私は、事務当局が言いますように、教室に入っておった、授業をしておったのではないかというようなその瞬間的なことをとらえて議論するのは間違いではないのか。どういう環境に学生が置かれておったのかということが重点でなければならないという私の指摘に対しまして園田
厚生大臣は、四十三年五月十六日の社会労働
委員会でこう答えておられます。「なくなった瞬間に従事しておろうが、勉強しておろうが、そういう業務に従事しておったということは事実であると思います。したがいまして、精神は総動員法に基づいてやるべきであるが、規定以外にいまのような
措置」いわゆる弔意の意味で七万円を支給したあとのことでございますから、弔意の意味で七万円を支給したというそうした「
措置をしたものであると考えております」こう答えているわけであります。そして、この問題に対しましては、もう一ぺんそういう方向で検討いたしたいと言っておるのです。
昭和四十四年五月七日、これは斎藤大臣の
答弁でございますが、私が、私の前に
質問いたしました山田
委員の
質問を引用して
質問をいたしておるわけです。大臣は山田
委員の
質問に対して、防空監視員は戦傷病者等援護法の
対象とし、公務で死傷した者を援護法の
対象とする。原爆に限定はしない。公務従事中による死傷者を全部含めるのだとお答えになっておるが、これは防空業務従事中、あるいは
医療従事者のように教育訓練を受けておるといったような場合に、具体的には警防団、看護学校の生徒、医大の学生、あるいはその他防空法に基づくところの業務に従事した者を称して公務ということになるのだろうと思いますが、いかがですかという
質問に対しまして、斎藤昇大臣は、そういう意味で検討いたします、こう言っているわけであります。そこで私は、防空業務に従事をしておったという特別な事情から七万円を支給されているというような判断をもちろんするわけであります。でなければ、七万円という金が支給されるはずはないわけであります。
医大の学生に対しまして七万円の特別支給をいたしました当時の事情は、実は
厚生省が三万円支給するということを提案いたしました。ところが文部省も七万円を支給するということを起案いたしたのであります。それで、同一案件に対しまして二つの省から特別支給金を支給するということは適当ではないであろう、どうしようかということになりまして、額の多い七万円のほうがいいだろうからというわけで、
厚生省の三万円支給を取りやめにいたしまして、文部省の七万円を支給したということが、その当時の経過であるわけでございます。したがいまして、警防団と同じように、当時防空法に基づきまして、それぞれの機関の
指示によって防空業務に従事をいたしておりました長崎医大の学生あるいは看護学校の生徒、これらの者も援護法の
対象として遇すべきである、そのように考えるわけでございますが、大臣は同様な見解であるのかどうか伺いたいと思います。