○齋藤国務
大臣 先般真性痘瘡患者が発生いたしましたので、真性痘瘡と決定するまでの経過並びに
措置将来の見通し等につきまして申し上げたいと思います。
真性痘瘡と決定いたしました患者は、郵政省電波監理局に勤務しておりまする塚原君という方でございまして、この患者は三月十八日、バングラデシュから東京国際空港に到着いたしまして、三月二十三日発病いたし、当時の熱は三十八度であったわけでございますが、郵政省に出務をいたし、その間夕方、参議院の予算
委員会において青島議員の質疑がございましたので、その際、参議院予算
委員会の入り口周辺において立っておりまして、その後国会を出まして郵政省に戻り、自宅に帰ったわけでございますが、三月二十三日発病いたし、二十四日、二十五日、三十九・七度の発熱でございまして、二十四日、二十五日は自宅において静養し、二十六日入院をいたしました。東京逓信病院に入院いたしたのでありますが、当時の熱は高熱四十度になっております。
東京逓信病院に入りまして、三十一日に至りまして天然痘の疑いを病院において感じましたので、直ちに厚生省並びに予防衛生研究所に連絡がございましたので、その日の夕方、午後五時、本人を直ちに隔離することとし、東京荏原病院に隔離収容いたしました。家族も同時に収容をいたしたわけでございます。直ちに三十一日、専門の先生方に検診をお願いいたしましたところ、臨床上間違いなく真性痘瘡であろうと判断されたのでございますが、病原菌について、さらに電子顕微鏡において検査する必要を認め、一日その顕微鏡において診断いたしましたところが、その病原菌が明らかになりましたので、四月一日真性痘瘡と決定いたした次第でございます。
こうしたことになりましたので、三十一日、四月一日、土、日の二日間に徹底的な防疫体制を全国にしくことといたしました。
まず第一に、この飛行機に同乗いたしてまいりました乗客百三十四人、乗務員十三人、この乗客は東京都外十四道府県に及んでおりますので、この
方々に対し、一斉に検病の調査を行なうように全国に指令を発しました。幸いに、乗客百三十四人、乗務員十三人には健康上異常がないということが、きょうの時点においての状況でございます。
こうした乗客並びに乗務員に対する検病の調査を行ないますと同時に、先ほど申し上げましたように、患者の家族は都立荏原病院に隔離し、同時に患者が
生活をいたしておりました郵政省公舎周辺並びに郵政省の役所並びに国会において、それぞれ消毒を徹底的にいたしました。
それと同時に、将来の感染を防止する意味において、
臨時予防接種を
実施いたしたのでございまして、
臨時予防接種用のワクチンといたしましては、東京都に痘苗九千人分を配布いたしました。郵政省には痘苗二千人分、参議院には痘苗五百人分を配布いたした次第でございまして、一斉に
臨時予防接種を
実施いたし、ほぼ完了に近い状況に相なっております。
なお、念のために、厚生省所管において保有いたしておりまするワクチンの備蓄の状況を申し上げますと、乾燥痘苗二百九十万人分、大体三百万人分を備蓄いたしておる状況にあるわけでございます。
そうした防疫体制を全国的にしいてまいったわけでございますが、この患者の危険な接触の日にちは、二十三日発病いたしておりますので、隔離いたしまする三十一日までが間違いなく接触伝染のおそれのある時期であるわけでございます。すなわち、空気伝染ではございませんで、接触感染でございますから、二十二日までは発病いたしておりません。発病いたすと同時に、口の中その他に発しんを起こすわけでございます。その本人のつばその他が飛んだりしますと、空気を流れていくということになるわけでございます。そういうことで、二十三日から三十一日までの間に接触いたしますと、これが感染のおそれがあるわけでございますので、患者につきまして二十三日から三十一日までの期間に接触した
方々の追跡調査をいたしておるわけでございます。
その結果、私
どもとして今後注意しなければならない
対象として考えられますのは、家族でございます。それから二十三日国会に参りますときは、郵政省の電波監理局の
局長と一緒に自動車で来ておりますから、そうした
方々は要警戒と考えるべきであると考えます。さらに東京逓信病院に二十六日入院いたしまして、三十一日までおりましたので、その期間中における看護婦、医師その他の
方々が接触の可能性があったわけでございます。さらに兵庫のテレビの放送記者が二十三日本人と対談をいたしております。これも昨日になりまして追跡の結果わかりましたので、この者については家庭において静養することにいたしておるわけでございます。
以上申し述べました
方々がまかり間違えば二次感染を発生せしめる可能性があるわけでございますので、厚生省におきましては二次感染の発生の可能性が全然ないと断言をするわけにはまいらないわけでございます。なるべく感染をしてほしくないと思いますけれ
ども、第二次感染の可能性はあるという前提に立って、個々人につきましての行動の監視をいたしておるのが現状でございます。
したがいまして、二十三日から三十一日ということになりますと、二週間の潜伏期間ということになりますから、早く感染したものがあらわれるとすれば四月三日、三十一日に感染したとすればおくれて四月十四日ということになりますので、要警戒の期間は四月三日から十四日、この間が発生するとすればあらわれるであろう期間でございますので、この期間は、先ほど申し上げましたような
方々について、十分監視をいたしてまいりたいと考えております。
それとともに、第二次感染者が出ないことを望みますが、どんな場合でも私
どもは第三次感染だけは防ぎとめなければならない、こういう考え方で目下努力をいたしておりますることを申し上げる次第でございます。
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