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1973-03-27 第71回国会 衆議院 社会労働委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年三月二十七日(火曜日)     午前十時十八分開議  出席委員    委員長 田川 誠一君    理事 伊東 正義君 理事 塩谷 一夫君    理事 竹内 黎一君 理事 山下 徳夫君    理事 川俣健二郎君 理事 八木 一男君    理事 寺前  巖君       小沢 辰男君    加藤 紘一君       粕谷  茂君    瓦   力君       小林 正巳君    斉藤滋与史君       住  栄作君    田中  覚君       高橋 千寿君    戸井田三郎君       登坂重次郎君    中村 拓道君       羽生田 進君    増岡 博之君       枝村 要作君    金子 みつ君       島本 虎三君    田口 一男君       田邊  誠君    多賀谷真稔君       村山 富市君    山本 政弘君       石母田 達君    大橋 敏雄君       和田 耕作君  出席国務大臣         労 働 大 臣 加藤常太郎君  出席政府委員         防衛施設庁長官 高松 敬治君         防衛施設庁労務         部長      松崎鎮一郎君         労働政務次官  葉梨 信行君         労働省労働基準         局長      渡邊 健二君         労働省職業安定         局長      道正 邦彦君         労働省職業安定         局審議官    中原  晁君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      宮下 創平君         労働省労政局労         働法規課長   岸  良明君     ————————————— 三月二十六日  金融労働者労働時間短縮、週休二日制実施等  に関する請願諫山博紹介)(第一六五六号)  同(浦井洋紹介)(第一六五七号)  同(神崎敏雄紹介)(第一六五八号)  同(庄司幸助紹介)(第一六五九号)  同(瀬崎博義紹介)(第一六六〇号)  同(田中美智子紹介)(第一六六一号)  同(谷口善太郎紹介)(第一六六二号)  同(津金佑近君紹介)(第一六六三号)  同(野間友一紹介)(第一六六四号)  同(林百郎君紹介)(第一六六五号)  同(正森成二君紹介)(第一六六六号)  同(村上弘紹介)(第一六六七号)  健康保険法等の一部を改正する法律案反対等に  関する請願荒木宏紹介)(第一六六八号)  同(石母田達紹介)(第一六六九号)  同(梅田勝紹介)(第一六七〇号)  同(浦井洋紹介)(第一六七一号)  同(神崎敏雄紹介)(第一六七二号)  同(木下元二紹介)(第一六七三号)  同(瀬崎博義紹介)(第一六七四号)  同(田代文久紹介)(第一六七五号)  同(田中美智子紹介)(第一六七六号)  同(谷口善太郎紹介)(第一六七七号)  同(津金佑近君紹介)(第一六七八号)  同(寺前巖紹介)(第一六七九号)  同(野間友一紹介)(第一六八〇号)  同(東中光雄紹介)(第一六八一号)  同(不破哲三紹介)(第一六八二号)  同(正森成二君紹介)(第一六八三号)  同(松本善明紹介)(第一六八四号)  同(三谷秀治紹介)(第一六八五号)  同(村上弘紹介)(第一六八六号)  同(田中美智子紹介)(第一七九四号)  同(多田光雄紹介)(第一七九五号)  同(平田藤吉紹介)(第一七九六号)  同(正森成二君紹介)(第一七九七号)  同(三浦久紹介)(第一七九八号)  同(村上弘紹介)(第一七九九号)  社会福祉施設労働者労働条件改善等に関する  請願外一件(大久保直彦紹介)(第一六八七号)  同(湯山勇紹介)(第一六八八号)  同外三件(岡本富夫紹介)(第一七七六号)  同(坂井弘一紹介)(第一七七七号)  同外一件(林孝矩紹介)(第一七七八号)  同外一件(八木一男紹介)(第一七七九号)  同外一件(和田貞夫紹介)(第一七八〇号)  生活できる年金制度確立等に関する請願(青  柳盛雄紹介)(第一六八九号)  同(荒木宏紹介)(第一六九〇号)  同(野間友一紹介)(第一六九一号)  同(米原昶紹介)(第一六九二号)  全国全産業一律最低賃金制法制化に関する請  願(板川正吾紹介)(第一六九三号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第一六九四号)  同(斉藤正男紹介)(第一六九五号)  同(田中武夫紹介)(第一六九六号)  同外二件(岩垂寿喜男紹介)(第一七七四号)  同(古川喜一紹介)(第一七七五号)  社会保険診療報酬引上げに関する請願浦井  洋君紹介)(第一六九七号)  同(木下元二紹介)(第一六九八号)  同(谷口善太郎君外二名紹介)(第一六九九号)  同(寺前巖紹介)(第一七〇〇号)  同(寺前巖君外二名紹介)(第一七〇一号)  同(正森成二君外五名紹介)(第一七〇二号)  同(浦井洋紹介)(第一七七三号)  国民健康保険組合に対する国庫負担増額に関す  る請願江田三郎紹介)(第一七〇三号)  同外五件(小沢貞孝紹介)(第一七〇四号)  同(大柴滋夫紹介)(第一七〇五号)  同(金子みつ紹介)(第一七〇六号)  同(矢野絢也君紹介)(第一七〇七号)  同(山本政弘紹介)(第一七〇八号)  同(横山利秋紹介)(第一七〇九号)  同外八件(石母田達紹介)(第一七六〇号)  同(金子満広紹介)(第一七六一号)  同外一件(柴田睦夫紹介)(第一七六二号)  同(下平正一紹介)(第一七六三号)  社会福祉協議会活動強化に関する請願外七件  (井出一太郎紹介)(第一七一〇号)  診療放射線技師養成制度改善に関する請願  (野田卯一紹介)(第一七一一号)  晴眼者対象とするはり師、きゆう師養成学校  規制に関する請願奥田敬和紹介)(第一七六  四号)  同外一件(斉藤滋与史君紹介)(第一七六五号)  同(中村拓道紹介)(第一七六六号)  せき髄損傷者に対する労働者災害補償保険の給  付改善に関する請願渡部恒三紹介)(第一七  六七号)  保険診療経理士法制定に関する請願海部俊樹  君紹介)(第一七六八号)  歯科技工士資格付与特例措置に関する請願  (加藤紘一紹介)(第一七六九号)  同(斉藤滋与史君紹介)(第一七七〇号)  同(戸井田三郎紹介)(第一七七一号)  社会保険診療報酬引上げ等医療制度改善に関  する請願東中光雄紹介)(第一七七二号)  進行性筋ジストロフィー等神経筋疾患対象と  する国立研究所設立に関する請願枝村要作君  紹介)(第一七八一号)  同(大橋武夫紹介)(第一七八二号)  同(金子みつ紹介)(第一七八三号)  同(小林正巳紹介)(第一七八四号)  同(斉藤滋与史君紹介)(第一七八五号)  同(田口一男紹介)(第一七八六号)  同(多賀谷真稔紹介)(第一七八七号)  同(戸井田三郎紹介)(第一七八八号)  同(羽生田進紹介)(第一七八九号)  同(村山富市紹介)(第一七九〇号)  同(粟山ひで紹介)(第一七九一号)  同(八木一男紹介)(第一七九二号)  同(山本政弘紹介)(第一七九三号)  石油たんぱくの食品化等禁止に関する請願外五  件(加藤六月紹介)(第一八〇〇号)  全勤労国民生活保障に関する請願石母田達  君紹介)(第一八〇一号)  同(小林政子紹介)(第一八〇二号)  同(柴田睦夫紹介)(第一八〇三号)  同(田中美智子紹介)(第一八〇四号)  同(寺前巖紹介)(第一八〇五号)  同(野間友一紹介)(第一八〇六号)  同(林百郎君紹介)(第一八〇七号)  同(平田藤吉紹介)(第一八〇八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出第二九号)      ————◇—————
  2. 田川誠一

    田川委員長 これより会議を開きます。  駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出があります。順次これを許します。山本政弘君。
  3. 山本政弘

    山本(政)委員 具体的な質問に入る前に、最近の基地労働の現状についてひとつお聞きをしたいと思います。  一つは、基地労働者のここ数年の雇用数がどうなっておるか、これが第一点。第二点は、最近の人員整理状況はどうか、その点二つお願いいたします。
  4. 高松敬治

    高松政府委員 駐留軍従業員は、昭和四十八年一月末現在でMLCが三万六千八百五十三名、IHAが七千八百七十名、合計四万四千七百二十三名というのが現在の数でございます。  離職者その他の問題については、労務部長から御答弁申し上げます。
  5. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 最近の退職状況を申し上げます。  本土沖繩を一応分けて御説明いたしますと、四十七年の五月十五日復帰後沖繩で離職した数は、総員で二千百三十二、これは一月末現在でございます。そのうち、人員整理九百三十人でございます。それから本土関係が、同じく一月末現在で総数五千九百六十一名でございます。合計いたしまして全国で八千九十三名、うち人員整理四千九百六十七名でございます。
  6. 山本政弘

    山本(政)委員 一月の二十三日の日米安保協議委員会で、関東地区空軍基地横田集中化をはじめとして基地整理統合が発表されておりますが、その状況というものをひとつお知らせを願いたい。といいますのは、この集中化に伴って二千六百名の解雇がいわれておるといいますが、この点について実際にそういうふうになるのかどうか、この点をひとつお伺いします。
  7. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 先生のおっしゃいました関東計画に伴います整理統合によりまして、一番おもなものはジョンソン基地関係、それから立川のそばの大和空軍基地関係その他について人員整理要求が来ております。それから朝霞南地区が来ております。いまそのあたりが人員整理要求が出ておるわけでございますが、御参考までにその他の関係基地立川基地関係約二千四百人、関東住宅地区約百六十人、府中空軍施設約九百人等がございます。それもいま細部実施計画進行につれましてある程度要求が出てくると思います。
  8. 山本政弘

    山本(政)委員 そうすると、その関東計画というものに従って四十八年度の具体的な計画が協議なされる、そして四十九年度の横田建設に見合って整理が出る、そういうわけではないわけですか。
  9. 高松敬治

    高松政府委員 御承知のように、関東地区空軍施設整理は今後三年間にわたって行なわれるということになります。四十八年度がその初年度ということに相なっております。そこで現在、たとえばジョンソン大和それから朝霞南につきましては、人員整理の通告がすでにあったものがございます。これが大体七月以降ということになっておりまして、ちょうどアメリカ会計年度の七月以降の整理、こういうことに相なってまいります。ほかの地区についてはまだ具体的な計画が出てまいりませんが、やはり関東計画に基づいて代替施設が逐次出てきて、それに従ってそれらの返還が現実化していく、そういうことに伴ってまた人員整理という問題が発生するのではなかろうか、かように考えております。
  10. 山本政弘

    山本(政)委員 そうすると、現実に代替施設の竣工を待たないで、いまのお話ではジョンソン基地整理をされる、それから大和基地についても整理をされる。おそらくジョンソン基地大和基地も、そのほとんどの人たち整理をされるというわけですけれども、そうするとそれ以外に、つまりジョンソン基地大和基地整理者以外に、予想される朝霞あるいは府中、そういうものについての予想人員というものは大体わかりますか。
  11. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 ただいまアメリカ軍のほうから出ております整理者数は、ジョンソン飛行場関係で三百九十五名でございます。それから朝霞関係が五十七名でございます。
  12. 山本政弘

    山本(政)委員 そうしますと、ジョンソン基地、それから大和基地、この三百九十五名と五十七名ですか、これはほとんどの人たち解雇されるということになりますね。
  13. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 ただいま申し上げましたのは解雇予告と申しますか、整理要求数でございまして、在籍しております数を申し上げますと、ジョンソンが十二月末現在で三百九十七名でございますので、いま先生おっしゃいましたようにほとんど全部であります。ただ、朝霞の場合には南地区北地区とございますが、それの合計は約七百名でございまして、どの程度の影響がどういうふうになるか、まだ詳細わかっておりません。
  14. 山本政弘

    山本(政)委員 そうしますと、ちょっと確認したいわけですけれども代替施設を利用する、そこに集約するということになるのだと思いますけれども、いまお話のあったジョンソン基地、それから朝霞南地区ですか、それ以外の他の地区では建設ができるまでは整理はないということを確認していいだろうかどうだろうか、この点についていかがでしょうか。
  15. 高松敬治

    高松政府委員 御承知のように関東計画自身が、たとえば住宅が、現存する住宅と申しますか、整理される六施設にある住宅が二千百戸ばかりでございますが、それに対して横田につくる住宅は二百十数戸ということになっております。それで片方、米軍人軍属のほうも二千七百名ばかりは減少する、こういう形になって、向こうのほうの人員減少という問題が出てまいります。そこで、ジョンソン基地住宅地区あるいは大和住宅地区、そういうふうなところをまず先に返還する、こういう方針になってきているように思います。ただ、残りの施設なり住宅地区が非常に多いわけでございますけれども、それについてそれではいつごろ人員整理があり、あるいは返還が行なわれるかということにつきましては、まだ具体的に話し合いが煮詰まっていない、こういう状態でございます。
  16. 山本政弘

    山本(政)委員 そうすると、そこに働く基地労働者という人たちはたいへん不安定な状況にあると言えますね。その点は……。
  17. 高松敬治

    高松政府委員 基地労働者の方々も、そういう意味では、すでに整理計画が発表されまして非常に不安定な気持ちでおいでになる、私はそう思っております。
  18. 山本政弘

    山本(政)委員 ちょっと話が変わりますけれども、そういう基地整理状況代替施設に応じて逐次整理をしていくという話ですが、基地整理縮小というものと関連がなくて大量の整理が出ておるのではないかという気も私はするわけです。と申しますのは、例を申し上げますと、四十五年の四月から四十六年の三月までに約九千二百、四十六年から四十七年の三月までに約五千三百、その後ことしの三月までに本土だけですでに四千九百、沖繩を含めますと六千五百名の整理が出されておるとお伺いしているわけです。そうすると、いまお話のあるような基地縮小に伴うということ以外に、そういうものと関連がなくて、基地労働者整理をされておるのではないかというふうな感じもするわけですけれども、この点はどうでしょう。
  19. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 先生おっしゃいますように、いろいろな解雇理由がございまして、米軍の予算の縮小、それから業務の縮小部隊移動等のいろいろな理由がございます。  それで米軍撤退が最近非常に進んでおります関係上、たとえば歳出外の資金で運用しております諸機関というものがございますが、そういったところの食堂その他の経営状況が、お客さんが減りまして、その関係で若干の整理が出ておるものはございます。
  20. 山本政弘

    山本(政)委員 いまちょうどお話があったように、私が心配するのは特に、これからの整理の中でいまお話のあった諸機関関係です。これはさきに円の切り上げがありました。そういう関係影響も受けておるだろうと思うのです。つまり米軍のほうで、もちろん部隊移動とかあるいは撤退とかということもあるでしょうけれども、もう一つ企業採算理由にして、そして首切りとかあるいはパートタイムに振りかえるとかということがありはしないか、あるいは業者への委託などということがあるのではないかと思うわけですけれども、一体それに対してそれでは政府としてどう対処しようとなすっているのか。つまり本人の意思ではありませんからね。米軍の都合ということだけで、それを容認していいのだろうかどうだろうかという気持ちを私は持つわけです。その点一体どういうふうに政府としては対処していくのかお伺いしたいと思います。
  21. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 ただいまお話がございましたように、最近のドル切り下げその他によっていわゆる解雇等がふえるのではないかという心配は私ども非常にしております。しかし、ただドルの問題でこうなったというふうな明らかな徴候はまだ見えてないと思いますが、先ほど申し上げましたように米軍撤退と申しますか、数の減少が非常に著しいものですから、それの関係食堂等経営が悪くなるという関係のものはございます。これは私どもとしましては、俗にIHAと申しておりますが、IHA関係協約というものが施設庁長官在日米軍司令官との間で結ばれております。その協約には、たとえばパートへの切りかえの際の取りきめというのがございます。その際は選択権を行使できるようにできております。それでかりにパートに切りかえがいやだという従業員は、選択権を行使してやめる。そのやめる場合の退職金その他は人員整理並みの高率の退職手当をお払いするというふうに一応考えております。ただしかし、そういうことがむやみに行なわれるということはたいへん困りますので、この辺は慎重に、労働者生活を脅かすようなパート切りかえというようなことは避けるように、慎重に配慮するようにたびたび申し入れておりまして、これは現地の各県等から現地米軍にはもちろん、私どもから在日米軍司令部のほうにもたびたび申し入れております。
  22. 山本政弘

    山本(政)委員 要するに、部隊移動であれ撤退であれ、そのことによって、選択ができるといっても、その選択というものが要するに基地労働者にとってマイナスであるということは、これは疑い得ない事実ですね。そうすると、その選択権というものがきわめて限られた選択権であるとしか言いようがない。その中で一体地位保全というか身分保全といいますか、そういうことをやはり政府としてはなされるような努力をなさる必要がある、私はこう思うわけでありますけれども、そういう点、長官どういうふうにお考えになっているかですね。
  23. 高松敬治

    高松政府委員 今回のドルの問題がどのような影響が出てくるかということにつきましては、先ほど労務部長からちょっと申し上げましたが、現在まで特にIHAについての問題が非常に多いということは事実でございます。これは、はっきりその根源は何であるかということはよくわからない点もございますけれども、確かにこの前のドル切り下げというものが若干影響を持っている。したがって、独立採算を主体とするいわゆるPX食堂、その他の諸機関従業員にその影響があらわれてきているのではなかろうかというふうに私どもは考えております。  それで御指摘のように、パートに切りかえる、こう申しましても、四十時間を基本にしていままで労働をやっていたものが、パートになることによって三十数時間、ひどいときは二十何時間というふうなパートを提示してくるわけですけれども、そういうことになると実質的に収入も非常に減ってまいる、そういう点では私どもはそういうやり方は非常に好ましくないというふうに考えております。  ただ一般に、労務者の中にも、この際は退職金その他をもらってパートに切りかわることを希望する人もないわけではございません。そういうことで円満に事態が解決している事例を私どもも聞いております。しかし全面的にそういう独立採算制のものについてパートに非常に大きな人数を一挙に切りかえるというやり方につきましては、私どものほうも相当強くこれを申し入れしまして、たとえば横須賀のランドリーにそういう問題がございました。それはむしろ、一般民間業者の請負に出すよりも、従来そこに従事していた者が企業組合のようなものをつくってそれが請け負うというふうな制度のほうがいいのではないかということで一時話がまとまりかかりましたが、結局そういう企業組合のような形態がとれませんで、非常に残念に私ども思いましたけれども、そういうふうな方法ででも何とか解決をしていく、あるいは解雇という形態になった場合にも何とか実質的にそれを最小限にとどめるように持っていきたいということで、いろいろ努力をいたしております。  ただほんとうに残念なことは、その点が十分に日米間で話し合いがうまくつかない場合が幾つかございまして、いまだにはっきりした形がとれないということを私どもも非常に残念に存じておる次第でございます。
  24. 山本政弘

    山本(政)委員 つまり、たいへんくどいようですけれども、私は施設庁努力というものはそれなりに認めるにやぶさかでないわけですけれども、たとえばパートに切りかえることによって基地労働者生活ができなくなる、あるいは少なくとも生活がむずかしくなってくる、そういうことによって職場をやめざるを得ない。もちろんこのチャンスにやめようという人もおるでしょうけれども、結果的にやめざるを得ないというところに追い込まれる人がおるんじゃないか。だから実際にはパートタイムを出すということによって、ある意味では解雇予告といいますか、そこで解雇予告というものをせずに人員整理というか、そこに追い込んでいくという形にならざるを得ないのではないか。その点を実は危惧するわけです。ですから、そういう点についてぜひ施設庁として格段の努力を払ってもらいたいと思うのです。この点いかがでしょうか。
  25. 高松敬治

    高松政府委員 先ほど来申し上げましたように、私どももその点につきましては今後ともできるだけの努力を払ってまいりたいと思います。ただ、具体的には、個々の職場においてかなりいろいろ事情の相違しているところがあるということで、なかなか一律にまいらないところがございますけれども、できるだけそういう点が合理的に解決されるように努力をしてまいりたいと思います。
  26. 山本政弘

    山本(政)委員 諸機関というのは、かなり税金の面でも優遇を受けているわけでしょう。
  27. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 それはちょっと所管外ではっきりお答えできかねますが、若干の優遇を受けているはずでございます。
  28. 山本政弘

    山本(政)委員 税金の面で優遇を受けているのですよ。受けていることは間違いないと思うのです。ですから、税金の面で優遇を受けている、しかもここに、これは大蔵省がお見えになったら私はお伺いしようと思っているのですけれども、日本銀行は米軍ドル優遇しているわけですよね。たとえば在日米軍とその家族たちが日本で使う円を、東京外国為替市場閉鎖中も日銀ドル買いによって調達をしている。しかも日銀大蔵省もはっきりと言っていることは、買い上げるドルの大半は日本人の基地労働者の月給で、市場閉鎖中交換できなければ遅配のおそれがあるし、基地関係業者賃金支払いもおくれるという理由をあげている。しかもこれは、一ドルいま二百五十円前後だと思いますけれども日銀米軍について取り扱っているものは一ドル二百六十八円、きわめて有利なんですね。税制の面で優遇をして、そしてドルを円に交換する場合に一ドル二百六十八円。しかもそれについては、基地の維持のためにはということで釈明をしているわけですね。そうすると、かなり米軍に対して優遇措置が私は行なわれていると思うのですよ。そういう優遇を受けながら、しかも今度は、基地労働者に対してはパートでやる。多くの人たちパートを望まないのに違いないのだから、そして多くの人たちパートということによってやはり退職に追い込まれる、こういうことがあるのだろうと思うのです。そうするとやはり諸機関についてもっとはっきり、経営する場合には経営をきちんとしなさい、要するに米軍に、かくかくしかじかのできるだけの援助をしなさいというはっきりした方針を施設庁としては出して、そして大胆にそういうことを交渉すべきであると私は思うのです。そうしないと、基地労働者というものはそういう意味ではいわば——米側は二重、三重の優遇措置を受けながら、片一方では労働者が二重、三重の圧迫をある意味では受けざるを得ないという現象が出てきているのではないか、こう思えてならぬわけであります。したがって、そういう意味でもう一度長官のお考えをお伺いしておきます。
  29. 高松敬治

    高松政府委員 IHAの問題につきましての御意見は、私も同じように考えております。ただ先方には実質的に人員が減る、したがって売り上げが非常に減る、したがってどうしても独立採算ができないからやむを得ないところがあるんだという説明を聞きますが、それにしてもいろいろ経営上の努力を重ね、そういう赤字を極力減らす。それからIHAパート切りかえとか解雇とかいう問題についても、赤字だから直ちにパート切りかえということじゃなしに、そこに合理的なものがなければわれわれとしては納得いたしかねるということで、個々の問題について、ケース、ケースにおいて私どもとしてはかなりやっておりますし、また一般的な、基本的な態度としては、いま山本先生おっしゃったような考え方をわれわれも持っておりまして、そういうことでいろいろ折衝を重ねてまいっております。必ずしも全部が全部われわれの主張が十分に実現しているわけではございませんけれども、今後ともそういうふうなことで進みたい。こういうふうに今後の事態を考えますと、私はそういうことになって出てくる問題というのは非常に深刻かつ大きいものがあると存じます。そういう点で、そういう方針のもとに米軍にも十分理解を得るようにわれわれとして努力をしてやってまいりたい、かように考えております。
  30. 山本政弘

    山本(政)委員 二月十三日にアメリカドルの一〇%切り下げをしました。政府もいまそれに従って変動相場制に移行しておる。ドルの実勢は、先ほど申し上げましたけれども、二百五十円くらいになっているだろうと思うのです。そういう中で、先ほども申し上げましたように、そして長官お話がありましたように、今後駐留軍労働者に直接的な影響が加わってくるだろう、こう思うのです。同時に、いま春闘で労働者要求しているわけで、これは私は当然なことだと思いますけれども、賃上げがかりに行なわれる。そうすると、アメリカ側のドル切り下げによって、駐留軍労働者の賃上げについて、私の予想ですけれども、当然アメリカ側としてはこれを渋るだろうと思うのです。一昨年それから昨年の賃上げでも、全駐労というのはストライキをやって、そしてようやく賃上げをかちとったという現実があるわけでありますけれども、ことしもまた私はそういうことがありはしないか。そういう事態が起こらないことを実は望むわけでありますけれども長官としてそういう事態に対して事前に何か方針を出して、そして日米間で話し合いをすることができないものだろうかどうかと私は思うのですが、その点についての長官のお考えをちょっとお聞かせいただきたい。
  31. 高松敬治

    高松政府委員 従来から、駐留軍労務者の賃上げにつきましては、大体国家公務員の賃上げに準じてこれをやるという方針をずっとやってまいっております。ただそこにいろいろ特殊な問題がございまして、たとえば駐留軍労務者は週四十時間を基本にしている。その点では一般国家公務員と異なるではないかというふうなことで、賃上げ交渉といいますか、賃上げにつきましてわれわれと米軍との折衝の間では昨年もいろいろな議論が出てまいりました。ことしもまたいろいろ議論は出てまいろうと思います。しかしいずれにいたしましても、私どもの基本的な方針は、あくまでも国家公務員に準じてこれを行なうということが基本方針でございます。この方針はあくまで堅持をいたしまして折衝を続けてまいりたい。ただ、御指摘のように、ことしはいろいろなそういう円を取り巻く環境その他の問題もありまして、昨年よりもやや困難は多いかもしれない、こういうふうに考え、それについてのいろいろな準備を私どもとしてはいたしておる次第であります。
  32. 山本政弘

    山本(政)委員 それじゃ具体的な問題に入らしていただきたいと思いますが、率直に申し上げまして駐留軍労働者というのはいま申し上げたようなきびしい条件のもとにあると思うのです。それだけに政府の責任による雇用安定対策あるいは離職対策について抜本的改善というものを駐留軍労働者というのは要求してきたと思うわけであります。今度政府が改正案として提案しました臨時措置法の期間延長、これはたいへんけっこうなことだと思うわけですけれども、同時に離職者の就労対策として転職の促進手当、雇用奨励金の増額などそういう既設の諸給付の大幅な改善、あるいは中高年のための再就職が困難であるから、再就職活動を行なう期間の生活保障対策として特別休職制度、それから特別給付金の増額というものを常常要求してきたと思うのです。一体この点についてどういうふうにいままで措置をなすってきたのか、この点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  33. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 特別休職手当制度の新設を実は私どもずっと努力をしてきたわけでございますが、従来、先生がいまおっしゃいましたように臨措法のもとでいろいろな制度がございます。その諸制度との関連において、たとえば臨措法による保護、失業保険法による保護と、いろいろな制度がございますが、それに屋上屋を重ねるおそれがないか。それから駐留軍からは労働需要がなくなった従業員について身分を一定期間保留さしておくことは公務員法の一部改正法、昭和二十七年の法律がございますが、その関係からして、諸制度との関連においていろいろ問題がございまして、一方いまの離対法等に定められた諸施策を強化することによりましてある程度その目的は達し得ると考えられますので、今回四十八年度の予算には予算化しないことになりました。  特別給付金の関係は、四十六年二月米軍基地整理縮小に伴いまして多数の従業員が離職を余儀なくされる状況がございました。その際に、これにはその基準になります適用者基準の表が二表ございますが、その第一表の関係人員整理関係に対応するものですが、そういうものにつきましてはそれまで二万円から二十七万円となっておりましたものを三万円から三十五万円に引き上げまして、それから第二表の定年等の従業員に対応する基準等につきましては、一万円から二十一万円となっておりましたものを二万円から二十三万円、それぞれ約四〇%といわれておりますが、大幅の増額を認められました。今後は諸般の情勢を見まして増額について、その必要性について十分考慮を続けてまいりたいと思います。
  34. 山本政弘

    山本(政)委員 施設庁のほうから答弁があったわけですけれども労働省のほうはその点についてどうお考えになりますか。
  35. 道正邦彦

    ○道正政府委員 私ども施設庁の予算要求に対しまして側面から御協力を申し上げてまいったわけでございますが、結果はただいま施設庁のほうから御答弁があったとおりでございます。ただその中にもございましたように、しいて問題点を私のほうの分野で申し上げますならば、失業保険の関係で休職手当が制度化された場合に、それが従来の賃金と同額であればこれは問題ないわけでありますけれども、これがいままでの賃金より下回るというようになりますと、失業保険の算定で結局不利になるというような若干の問題点がありますが、大筋におきましては防衛施設庁と同じ考えで今後とも努力をしてまいりたいというふうに考えます。
  36. 山本政弘

    山本(政)委員 大蔵省の方見えていますか——あなたのお見えになる前に、駐留軍の労働者というのはきびしい基地の情勢に制約される、したがって雇用の安定対策とかあるいは離職者対策について抜本的な改善が必要ではないか。政府がいま改正案として出しておる臨時措置法の期間延長と一緒に、離職者の就労対策としていろいろなものについての改善というものがあるだろう。特に中高年の人たちの再就職というのが非常に困難だろうから、再就職の活動を行なう期間の生活の保障対策として特別休職制度それから特別給付金の増額を要求をしているのではないだろうか。その点についてどのように措置したのかという質問を施設庁のほうに対してしたわけであります。公務員との権衡の問題、そして屋上屋を重ねるではないかというお話が御答弁としてありました。その点について大蔵省の御見解をお伺いしたいと思うのです。
  37. 宮下創平

    ○宮下説明員 おくれて参りまして申しわけありませんでしたが、ただいま先生御指摘の特別休職者手当の新設の問題でございますが、これにつきましてはただいま労務部長から御説明がございましたように、私どもとしては、四十八年度の概算要求に特別休職者手当の新設要求がございましたが、駐留軍労務者が米軍から解雇された後一定期間、政府解雇者に対して特別休職者手当を支給するということは、現在の雇用のたてまえが間接雇用制度ということになっておりますので、それとの関係からしてどうか。それからまた、本制度を創設しなくても、従来から米軍に対して要求しておりましたところの九十日前の解雇予告制度の実施を確保すれば、同様の効果が期待できるのではないかというようなことがありまして、そのほかに駐留軍労務者につきましては、御承知のように、一般退職手当のほかに特別給付金制度がありますし、さらにこうした制度を追加するということはいろいろな角度から見ていかがなものであろうかというようなことで、今回の措置をとったわけであります。しかし、離職者対策の重要性につきましては施設庁のほうからいろいろ御説明を承っておりますが、今後ともこうした面で配慮してまいりたい、かように考えております。
  38. 山本政弘

    山本(政)委員 施設庁のほうはいろいろな御答弁があったけれども、これを前向きに考えて概算要求をやっていると思うのです。四十八年の場合は二億五千二百六十二万円ですか要求しているわけですね。しかもこの要求は四十六年、四十七年、四十八年と要求しているわけであります。したがって施設庁のほうとしては、先ほどそういう御答弁がございましたけれども、必要を認めて私は要求をなさっていると思うのです。いま大蔵省の答弁の中で、一つは間接雇用、第二は九十日前の解雇予告制度が完全になされればいいではないか、そして特別給付金の制度というものもあるではないか、この三点をおあげになったと思うのです。  それじゃ伺いますけれども、間接雇用にしろ直接雇用にしろ、政府が雇用者であるということは間違いございませんね、大蔵省
  39. 宮下創平

    ○宮下説明員 間違いございません。
  40. 山本政弘

    山本(政)委員 ですから、そうなると、間接雇用だということは理由にならないわけじゃありませんか、政府が雇用しておられる以上は。
  41. 宮下創平

    ○宮下説明員 米軍解雇いたしまして、政府は直接雇用しておるわけでございますけれども米軍解雇いたしましてから米軍との関係における雇用の実体はなくなるわけですね。その間においては政府が雇用しておるわけでございますから、三カ月なら三カ月間は政府が雇用せざるを得ないわけでございます。しかしそういう雇用の実体がないということで、この三カ月間なら三カ月間をどう取り扱うかという問題につきましては、身分上の問題がございます。これを公務員として処遇するというのはどうかという問題がございますので、その点で間接雇用下におけるこういう制度を新設することはいかがか、こう申し上げたわけでございます。
  42. 山本政弘

    山本(政)委員 それじゃ大蔵省の方にお伺いいたしますけれども、公務員という身分法上の問題があるということであなたのほうで問題にされているというが、日本人として、人間として、要するにこの人たちは雇用されているわけですね。雇用されているという基本的な原則というものは変わりがないと思うのです。もう一つ、国家公務員の場合と違ってこの人たちが身分的に非常に不利だということは、ある意味では間接雇用であるということかもわからぬわけです。そして米軍の恣意——私はあえて恣意と申し上げますけれども、恣意によって首を切られた場合に、その人たちがそれじゃ一体どこで補償されるのかという問題になってくる。間接雇用であれ、政府が雇用しているというのだったら、政府としてはそれに対する責任があるだろう。米軍から首を切られたから、間接雇用であるから私は知らぬということは、政府のとるべき態度ではないでしょう。この点いかがです。
  43. 宮下創平

    ○宮下説明員 私が申し上げたのは、それが唯一の理由によって要求を認めなかったというものではございませんで、一つの判断要素としてそう考えるということを申し上げたわけです。
  44. 山本政弘

    山本(政)委員 そうすれば、私の申し上げたことは御理解いただけますか。
  45. 宮下創平

    ○宮下説明員 間接雇用下におきます労務契約、また職場が駐留軍の労務者であるというような特殊な事情から、おっしゃるような趣旨は理解できます。
  46. 山本政弘

    山本(政)委員 私が申し上げていることは、駐留軍であるという特殊な職場であるがゆえになお一そう考慮しなければならぬのではないだろうか、こういうわけです。この点御理解いただけるでしょう。
  47. 宮下創平

    ○宮下説明員 その点は先ほども申しましたように、あるいは労務部長から御説明がございましたように、一般公務員と違いまして——一般公務員の場合でございますと、退職金の支給をもって、それだけでもって処遇するということに相なるわけでございますけれども、駐留軍労務者の場合には特別給付金制度というものがございまして、通常の公務員の退職金のほかにプラスアルファ分としてそのような措置が講ぜられているわけでございます。
  48. 山本政弘

    山本(政)委員 ちょっと待ってください。問題をすりかえないでください。公務員と違うというお話だから、公務員よりか身分の保障というものは要するにもっと不安定であるのではないだろうか、だから不安定であるならば政府としてはそのことに対して十分な措置をすべきではないだろうか、こういうことを申し上げたのです。その点についてのお答えをしてください。
  49. 宮下創平

    ○宮下説明員 おことばをお返しするようで申しわけないのでございますけれども、そういう事情がございますので、特別給付金というものもつくられておる、特別の離職者対策というものも講ぜられておる、かように理解しております。
  50. 山本政弘

    山本(政)委員 四十六年に改正をした特別給付というのは十万円ですよ。いま中高年齢の人たちの平均の給与は十万円以上というのは間違いない事実であると思う。四十六年、四十七年、四十八年と三年たっているわけですね。要するに普通の退職のあれから言えば、もっと額としては高いはずなんです。特別給付金というのは二十五万円からたしか三十五万円に上げたと思うのです。十万円上げただけなんですよ。それがいまもってずっと続くということになるでしょう。特別給付金のことは私はあとからお話ししたいと思うのです。ですから話は戻りますけれども、特別給付制度についてそういうことがお考え願えないのか、前向きに考慮する必要があるのではないか、こういうことを申し上げているのです。  もう一つは、九十日間の解雇予告が確立されればと、こうおっしゃっているのですけれども、九十日の解雇予告が確立されてないという前提があるわけでしょう。あなたが申された要素というものが幾つかある。その幾つかの中ではっきり言えることは、九十日間の解雇予告が確立されてないという、一つの要件が満たされてないということですよ。  第二番目には、いま私が申し上げた間接雇用についての考え方について、あなたと私のほうに意見の違いはあるけれども、しかし私のほうがあえて申し上げますけれども、不安定な身分の者に対するそういう措置としては私の申し上げていることが正しいのじゃないであろうか、こう申し上げている。その点いかがでしょう。
  51. 宮下創平

    ○宮下説明員 私から答弁するのはどうかと思いますが、正確なところをちょっと申し上げかねるのでいま労務部長お話を聞いたのですが、七割くらいは九十日前の予告ということが実施されておるそうでございます。あと三割くらいはそうでないというような実態だそうでございます。
  52. 山本政弘

    山本(政)委員 七割くらいと言うけれども、諸機関のほうはほとんどやられてないというように私は思うのです。それが一つ。七割なら残りの三割をなぜ救済しようとなさらないのです。七割がそれで救われているというなら、残りの三割をなぜ救済をなさらないのです。
  53. 宮下創平

    ○宮下説明員 本件につきましては、ちょっと私直接この担当をやっておるわけではございませんので、施設庁労務部長から説明していただいたほうがいいのではないかと思います。
  54. 山本政弘

    山本(政)委員 施設庁のほうは要求をしているのですよ。概算要求をしているけれども、四十六年、四十七年、四十八年、すべてゼロという大蔵省の態度が私はわからぬ。なぜそんなことを申し上げるかというと、あなたのおっしゃる前に私は質問したわけです。それは日銀並びに大蔵省というのは米軍ドル優遇しているでしょう。一ドル二百六十八円でやっておるじゃありませんか。しかもこれはちゃんと大蔵省事務当局の話として載っている。「その点、大蔵省事務当局も「おかしいといわれれば確かにおかしい」と認めてはいるが「政府米軍の特殊な関係で……」」とあなた方おっしゃっているのです。そうでしょう。米軍との関係ではそれほどの優遇措置を認めながら、基地に働いている労働者に対して、あなた方が残りの三割の人たちに対して配慮しないという手はないでしょう。しかもその理由の中には明らかに書いている。「大蔵省事務当局は日銀を通じ特別措置をとらざるをえない理由として、買上げるドルの大半は日本人の基地労務者の月給で、市場閉鎖中交換できなければ遅配のおそれがあるし、基地関係業者の賃払いもおくれる」こういっている。宮下さん、つまり米軍に対して優遇措置をする場合に、基地労働者に籍口して優遇措置をやっているわけですよ。今度なま首をぶった切るときには、七割の人が救済されるとして、残りの三割の人は放置されているという現実があるのです。それが大蔵省の態度ですかということを私はお伺いしたいのです。
  55. 宮下創平

    ○宮下説明員 先生御指摘の点のドルの換算率の話は、ちょっと私、詳細、正確に理解できませんので、その点はまあともかくとして、駐留軍労務者につきまして基本的に、やはりその特殊性に応じて何らかの対策を講じなければならないのではないかという点については、私どもも理解しておるつもりでございます。
  56. 山本政弘

    山本(政)委員 ありがとうございました。  給付金についてお伺いしたいわけですけれども昭和四十六年に改正された、こうお話がありました。その後、私が申し上げたように四十六年、四十七年、四十八年と期間がたっているわけですね。その間に、実は軍人恩給等も引き上げられている。また臨時措置法の延長に伴って、私は、いまの支給区分というのも、天井を上げるというのですか、そういうことも当然改正しなければならぬのではないだろうか、そう思いますが、この点はいかがでしょう。
  57. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 先ほど申し上げましたように、四十六年に相当大幅なアップをいたしたわけでございますが、その後の経済情勢その他の変化もございますし、これは十分その増額について真剣に考慮を続けていきたい。ちなみに申し上げますと、離職対策関係の予算の増加につきましては、先ほどちょっと申し落としましたが、そういう特殊性を持っております駐留軍労働者の離職でございますので、いわゆる在職中の職業訓練と申しますか、そういったものにつきまして対前年度比で五割増しの予算、それから離職対策センターというものがございますが、それに対します予算も同じく約五割程度のアップというものを四十八年度予算に計上いたしまして、いま御審議を願っておるところでございます。
  58. 山本政弘

    山本(政)委員 同じように行政措置として私がお願いしたいのは、病気死亡の者に給付金が出ないものだろうかどうだろうか、この点いかがでしょう。
  59. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 公務上死亡だけが対象になっておるようであります。
  60. 山本政弘

    山本(政)委員 ひとつぜひ前向きに考えてもらえぬだろうか、こう思うのです。  整理の際に九十日の予告期間を置くことになっているというお話がありました。この問題について、大部分は安保協議委員会で確認されていると思うのですね。そうですね。安保協議委員会でも確認されていると思うわけで、いま大蔵省のほう、宮下さんのほうからお話がありましたけれども、MLCのほうは守られていると思うのですけれども、諸機関のほうは九十日を満たしていないものもあると思うのです。したがって、この問題についてぜひ善処してもらいたいと思うわけですけれども米軍との間で労務基本契約といいますか、あるいは諸機関労務協約といいますか、そういう改定にひとつぜひ努力をしてもらいたい、こう思うわけですけれども、この点についてどうでしょう。
  61. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 先生いまおっしゃいましたように、一月の第十四回の安保協議委員会におきましても、九十日前の解雇の事前通告ということは日米間で再確認されております。ただ、これにつきまして、基本労務契約なりIHA協約なりにこの制度を織り込むことにつきましては、何ぶん、IHAの問題もあるとおっしゃいましたが、基本的に、軍隊でございますので、緊急に移動するというようなことがあり得るわけでございまして、なかなかそうまいっていないのが実情でございます。
  62. 山本政弘

    山本(政)委員 なるほどおっしゃるとおりに緊急に移動しますが、しかし、同時に、この問題は私はやはり日米間の問題だろうと思うのですよ。しかし、いずれにしても、アメリカ側のほうでそういうことを守らない場合の犠牲というものをだれがこうむるかといえば、これは基地労働者ですからね。ですから、そういう犠牲を従業員が受けるということはやはり私はおかしいと思うのです。だから、もしそれが日米間の基本契約あるいは諸機関の労務協約というようなことでできないとするならば、やはり政府として何らかの保障措置をとる必要があるのではないか、こう思いますけれども、そうじゃないでしょうか。
  63. 高松敬治

    高松政府委員 九十日の予告期間の問題は、四十五年に、当時の防衛事務次官と当時の米軍参謀長の間で取りきめが行なわれた、その際に、一つ制限がありますのは、できる限り九十日の予告期間を守るという文書になっております。それから、この前の安保協議委員会でもそうでございますし、それから本年一月二十三日の安保協議委員会の際にも、これは日本側で要求して入った文章でございますけれども、同じように、できる限り九十日の予告期間を守るということを米側は約束しておるわけでございます。「できる限り」というのをなぜはずせないかということになりますと、いろいろ軍隊としての特殊性がございまして、それを全部確実に守るということは自分たちとしては言えないのだ。しかし、米軍としてはできる限りそれを守りますということでございます。その後私ども通告を見ておりますと、中に守らなかったのがときどきございます。そのたびに、これはおかしいではないか、直せということで、いろいろ、悪くいえば文句をつけて話をしております。最近はだいぶよくなってまいりまして、少なくともMLCについては、特別の例外の場合を除きまして守るようになってきた。ただ御指摘のようにIHAについても確かに問題がございますし、ただ、これを双方の申し合わせというのですか、そういうことでなしに、ひとつ基本契約なり諸機関協約にびしっと書き直すという問題につきましては、なお今後検討いたしますが、あの契約自身が一つのいろいろな問題も持っておることを私どもも感じております。それらとあわせて検討してまいりたい、かように考えております。
  64. 山本政弘

    山本(政)委員 日米間の協約の中に「できる限り」をはずしたいというのは、長官のお考えでは、そういうことによって犠牲をこうむる基地労働者がおらないことを願っておるわけでしょう。そうすると、それにはずれた場合に一体どうするかという、当然救済措置というものを考えてやらなければ不都合ではないか。少なくとも公平の原則にはずれることになりますね。そうすれば政府側としても、やはりこの点、もしそういうことであってそれが守られない場合がきわめて僅少であるにせよあるとするならば、それに対して何らかの措置をするということを私はぜひ検討してもらいたいと思う。その点いかがでしょう。
  65. 高松敬治

    高松政府委員 一つの、たとえば給付金制度あるいは特別休職手当制度という制度で考えてまいりますとそういう守られない場合の措置というのはなかなかむずかしいだろうと思いますけれども、しかしおっしゃることは私もよくわかります。われわれも努力していてもなおそれができないというところも、私どもとしても一つの責任といいますかそういう感じを持っておりますので、この点はいましばらく検討させていただきたい、かように思います。
  66. 山本政弘

    山本(政)委員 労働省にお伺いしたいと思います。今度新しく法改正で広域求職活動費というのが出ているのですね。実際にこれは一体どういうふうに活用されるのか、その点ひとつ……。
  67. 道正邦彦

    ○道正政府委員 従来の駐留軍の離職者は大都会周辺に多かったわけでございますが、最近の傾向といたしまして、遠方の基地等の離職者もふえてくるということが見通されます。したがいまして、広域の職業紹介をしなければいけないわけでありまするが、安定所でこういういいところがあるというふうに申し上げましても、自分の目で見てみない限りどうも安心できないというお気持ちを持つ方もおありになるわけでございますので、そういう方々にひとつ自分の目で事業場を見てきて自分の目で判断してもらいたいという趣旨で、広域求職活動費をこの際新設しようという趣旨でございます。     〔委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕 そういう趣旨でございまして、一応三百キロ以上をこえる広範囲の地域に就職をされる方々に対しまして、就職先まで行くための旅費あるいは宿泊費というものを予算化したものでございます。
  68. 山本政弘

    山本(政)委員 離職者センターというのがありますね。いま駐留軍の組合というのは自分たちで、自分たちの財産を拠出をして、そして再就職の活動を行なう。そのために中央地方に離職者センターをつくっておるわけですけれども、これは私もよく存じませんけれども労働省はこれを認可しているわけですね。
  69. 道正邦彦

    ○道正政府委員 そのとおりでございます。
  70. 山本政弘

    山本(政)委員 そうすると、これは無料職業紹介所になるわけですか。
  71. 道正邦彦

    ○道正政府委員 そのとおりでございます。
  72. 山本政弘

    山本(政)委員 そうすると、ちょっとお伺いしますが、広域求職活動費というのは職安が認定するわけですね。そうすると、労働省が認めておる無料職業紹介所、しかもそれは駐留軍の組合がこれをつくっておる。これらのセンターがかりに求人開拓をやりますね。その場合に就職希望者がある、そうして現地を見たいという場合にこれは適用しますか。
  73. 道正邦彦

    ○道正政府委員 一応広域求職活動費は職業安定所の紹介ということをたてまえにいたしております。これは駐留軍だけでございませんで、石炭であるとかそのほか、ほかの離職者に対しましても支給することになる性質のものでございますので、安定所紹介という原則はくずすわけにいかないわけでございますが、ただいま御指摘のように労働省が認定いたしまして、しかも組合が紹介をされているということでございますので、実際の運用にあたりましては十二分に配慮いたしたいと思います。
  74. 山本政弘

    山本(政)委員 具体的に、要するに適用してくださるという意味は、広域求職活動費についてたとえば離職センターで求人開拓を行なった場合に、就職希望者がもし現地を見たいという場合にそれを適用してもらえるのかどうかということで、適用するという前向きのお考えなんですかというのを聞いているのです。
  75. 道正邦彦

    ○道正政府委員 そのとおりでございます。
  76. 山本政弘

    山本(政)委員 たいへんありがとうございました。  いま、失業保険の手当は幾らになっていますかね。
  77. 道正邦彦

    ○道正政府委員 失業保険の保険金は、失業前の賃金の六割というのがたてまえであることは御承知のとおりでございますが、最高限がございまして、二千二百八十円で頭打ちになっております。
  78. 山本政弘

    山本(政)委員 就職促進手当というのは千三百十円でしたか、そうですね。そうすると、失業保険の日額と促進手当の額と比べてみますとかなり違いがあるわけですけれども、これはどういう理由からでしょう。
  79. 道正邦彦

    ○道正政府委員 駐留軍関係離職者の方々は当初は失業保険の適用がございますから、前職賃金の六割の失業保険を受けながら就職活動あるいは訓練をお受けいただくということになるわけでございます。それが切れましたあと三年、通算三年の間就職促進手当が支給されるということになっておりまして、失業保険金と比べますと、駐留軍関係はかなり賃金が高うございますから促進手当のほうが下回ってまいりますけれども、これは無拠出の手当でございますので、失業保険に比べて差があるのはある程度やむを得ない点がある。われわれといたしましては極力失業保険受給期間中に職業紹介につとめ、また訓練等も並行いたしまして、短期に再就職していただくように極力努力したいと思っております。
  80. 山本政弘

    山本(政)委員 駐留軍関係離職者対策審議会がここにあるわけですけれども、これによりますと、駐留軍の労働者というのは特に中高年の高齢者が多い。したがって再就職が困難である。その際センター活動、そういうことをいっているわけですけれども、その際センター活動で事業主に雇用奨励金制度を説明するとか、あるいは給与条件その他を調整をして実績をあげていることは、労働省御存じだと思いますけれども局長のほうでできるだけ努力をしたい、こうおっしゃっておるのですけれども、この次に増額ということで、ひとつ前向きにやっていただけますか。
  81. 道正邦彦

    ○道正政府委員 四十八年度の予算編成にあたりましては、千百十円から千三百十円に上げるということで、非力ではございますけれども、及ばずながら努力したつもりでございます。四十九年度以降におきましても可能な限り努力をしたいと思います。
  82. 山本政弘

    山本(政)委員 最後に、沖繩の離職対策は一体どうなっておるのだろうかということをお伺いしたいわけであります。  全軍労も本土と同様に組合のほうで、まあ寄付、カンパを出しながら、あるいは県、市町村の援助によって離職センターというものが近く発足すると聞いております。で、本土のセンター育成、強化と同じように、沖繩のほうについても国の助成措置というものを私はすべきだと思うのですけれども、この点についての労働省のお考えをひとつ聞かしていただきたいと思います。
  83. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 沖繩におきます離職対策センターが現在設立準備中であるということは聞いておりますので、これが設立されまして、事業活動が開始されますれば、四十九年度の予算要求の中に運営費の一部補助を入れてまいりたい、助成をいたしたいというふうに考えております。
  84. 山本政弘

    山本(政)委員 質問を終わりますけれども、私が申し上げたいのは、ベトナムの和平とあるいは基地整理統合、円の切り上げ等ということで、基地労働者に対する整理といいますか、あるいは労働条件の切り下げというものが今後米側から出されることは、私は必至だと思うのです。つまり基地労働者労働条件というものはたいへんきびしくなってくるだろう、こう思うのです。  そういうことで、私お願いしたいのは、まあ米側の言うことでしかたがないということじゃなくて、政府として、先ほど申し上げたように、そういう時期であるだけに、ぜひひとつ万全の措置をとっていただきたいと思うのです。身分が常に不安定なそういう場所に働いているだけに、私は政府としてはそういう配慮というものをぜひ願いたい、そういうことで、ひとつ最後に大臣からお話をお伺いしたい。
  85. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 山本議員と政府委員との質疑応答を十分拝聴いたしまして、今後駐留軍の労働者は、やはり基地縮小するに伴って離職はやむを得ない点でありますが、いろいろな見地からこれはほかの労働者と違って不安定なことがありますので、政府としては十分これが中央駐留軍関係離職者等対策協議会を中心として、またこれは労働省だけでもいけませんので、関係の各省庁と連絡をとって、十分な離職者対策を講じたいと思います。  労働省のほうにはいろいろな手当、促進手当、訓練手当とか資金の問題、債務保証の問題もありますが、これはもう少し既設の措置のことを、やはりこれは多少よくするように、また些少でありますが、そのあらわれが今回の臨時措置法の延長でありますが、この中に広域求職活動費、こういうものを組んでおりますが、今後とも十分あらゆる制度の効果的な活用をはかって、大いにこれら離職者対策を労働省といたしましてはやってまいりたいと思います。
  86. 山本政弘

    山本(政)委員 ありがとうございました。終わります。
  87. 竹内黎一

    ○竹内(黎)委員長代理 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕     〔竹内(黎)委員長代理退席、委員長着席〕
  88. 田川誠一

    田川委員長 速記を始めて。  島本虎三君。
  89. 島本虎三

    ○島本委員 まず大臣にお伺いしますが、駐留軍労務者とアメリカの軍人とどちらを大事に考えておりますか。
  90. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 それはもう日本人といたしたら、当然異民族と本土のわれわれのあれでございますから、これはもう言わずもがなで、御答弁するのが必要ないように思います。
  91. 島本虎三

    ○島本委員 そうですか。答弁ないということは、日本人の労務者を大事に扱うのは当然の義務だ、こういう考えなんですね。議事録に残すためにもう一回それを……。
  92. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 それはもう、やはりアメリカ駐留軍も安保条約によって日本の安全を確保する、こういうような公的な立場もありますが、いまの駐留軍の労働者、これも同じ民族でありますから、これはいろいろな苦しい立場もありますので、どちらを先にするというようなことを——それはまあ国際関係にも関係いたしますので、常識で御判断願って、残すとなればそう言わざるを得ないというような感じがいたします。当然、日本人は日本人と、こう思う点が大事であることは間違いありません。
  93. 島本虎三

    ○島本委員 大臣はわりあいにしろうとにわかる答弁をしてくれるのですが、今回の場合は少し国際的な情勢を勘案してか、よくわからない。しかし、やはり駐留軍労務者であろうと、労働者が日本人である場合には、大臣としてやはり日本人を先に考えるのだ、こういうような態度をとってしかるべきであります。そこなんです。間違いありませんね。
  94. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 それはもう先ほどから申し上げたように、一方をよくして、一方を批判するというようなことのそしりがあっては、これはやはり駐留軍も日本の安全のために犠牲的にというような立場もありますので、労働大臣としては、これは当然日本の労働者というものが大事である、これはそう考えます。
  95. 島本虎三

    ○島本委員 円の切り上げ情勢で、たぶん山本委員からの御質問もあったことだと思いまするけれども、諸機関労働者にこれは大きな影響が出たということは局長もよく知っておられると思います。ことに、私も先般二日間にわたって三沢に行ってまいりましたが、この三沢においても、パートタイムへの切りかえが問題になっているのです。そして四月の十五日付で二十四時間のパート、それから五月一日付でこれは三十時間のパート、こういうような切りかえを行なうという宣言があるわけです。これは一体どういうことですか。もしそうなると労働者はよくなるのですか、悪くなるのですか。
  96. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 いや、ちょっと私のほうへ向いてお尋ねがありますので、私の意見を申し上げて、あとは施設庁のほうからお話があると思いますが、三沢基地パートタイムの切りかえは、まだ労働省のほうには詳細は来ておりません。しかし、沖繩のほうでは、ドル切り下げその他の問題で請負制度パートタイムに切りかえられた、こういうようなことを聞いておりますので、この問題は、やはり、どうなろうが労働条件の低下ということは労働省としてはぜひ防ぎたい、こういうような所存でおります。  あとは施設庁のほうから……。
  97. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 いま先生おっしゃいましたように、昨年の十月とことしの二月、それから三月二十二日の三回、最近の問題として三沢の関係パートに切りかえがあります。これにつきましては、青森県のほうから現地部隊、それから私どものほうから在日米軍司令部のほうに、この問題については従業員生活にかかわりますので慎重に考慮するように申し入れております。
  98. 島本虎三

    ○島本委員 これは、慎重に考えてやめさしたということですか、やらせるということですか。
  99. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 これはケースごとでいろいろ事情が異なるようでございますが、関係労働組合のほうとそれから青森県の渉外労務担当の者と現地米軍関係、そういったもので話し合いが行なわれておりまして、昨年の十月に申し入れがありまして、ことし一月十五日の分にそのように三十二時間から三十五時間程度に切りかえるというものが、人間にいたしまして、対象者二十数人でございますが、そういうことが行なわれております。
  100. 島本虎三

    ○島本委員 行なわれているとすると、労働大臣のほうでは、やはり日本の労働者は大事だ、いまおっしゃったばかりですけれども、そうすると、二十四時間のパートをやると、これは四十時間の予定が二十四時間、四十分の二十四、六万円の人は三万六千円になるということだったら、切り下げになって、だめじゃありませんか、こんなことを黙ってやらしたら。こういうようなことからして、やはりやり方は黙ってアメリカ軍の言うとおりに従属していくということは、労働者の条件を切り下げることになるじゃありませんか。ことに現在の労働者は四十時間で雇用上の契約を結んで勤務しているのです。それを今後二十四時間のパートにするとか三十時間のパートに切りかえる、こういうようなことになると、低賃金がさらにパート切りかえによって労働条件が切り下げられ、生活ができないような条件を押しつけられるということになるじゃありませんか。政府、これはどうするんです。大臣の言明とちょっと違ってきたじゃありませんか。大臣。
  101. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 お答えします。  先ほど言ったように、原則に戻って私は言いますが、駐留軍のほうが大事なのか、労働者が大事なのかということは、これは次元が違いますので、先ほど御答弁したように、駐留軍も大事だ、日本の労働者も大事だ、こう両方とも大事だという立場を申し上げたので、これは当然労働大臣としてはそのほうへ肩を持ちたい気持ちがあるということを申し上げたので、いまの労働条件の低下という問題に対しましては、これは関係のほうへ、いますぐこっちからこうせいという指揮権がありませんので、それは駐留軍の関係についてはやはり関係省と相談いたしまして、低下を来たさないようにこれはきつく要望いたします。
  102. 島本虎三

    ○島本委員 きつく要望すべきであります。施設庁でもちゃんとそれを聞いておいてもらいたい。施設庁はわりあいに米軍に対して腰が弱い。したがって、大臣から活を入れてやらぬとだめなんです。そっちのほうを見てにこにこしてはいけません。実際このようなパート切りかえによって、労働者生活ができなくなって退職せざるを得ない状態になってくるわけです。したがって、これは今度は米軍を立てて日本の労働者を殺すことになるわけです。こういうようなことを施設庁ではやっているわけであります。殺すことになりませんか。一方ではもう首切りまで行なっている状態でしょう。それと、パート切りかえで実質的に今度はやめていく人をだんだんふやしていきますから、これは首切り強行ということになってしまうじゃありませんか。せっかく大臣が日本人の労働者が大事だと言いながらも、事実やっていることは、施設庁は反対のことをやっている。これでもってとんでもないことにいまなりつつありますが、こうまでして一生懸命やっているのですが、こういうような人をそまつにしていいですか。そまつにしてはいけません。十分手当てしていますか、施設庁
  103. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 諸機関関係が、いろいろ米軍の数が減りましたり、経営が悪化しましたことで若干の整理が出ましたり、それからパートへ切りかえを行ないましたりということがございます。これにつきましては、先ほど申し上げましたように、慎重にやってもらうということを申し入れているわけであります。  なお、御承知のとおり、切りかえについては選択権の行使ができるようになっておりまして、選択権を行使してやめる場合には整理退職金が支給されます。
  104. 島本虎三

    ○島本委員 選択できないのに人命損失の問題がある。二十七日の午前二時ごろ、長崎県の佐世保港で米軍タンカーが火災を起こした。そして火災の鎮火後の事故点検中にエンジンが爆発した。そしてそのため日本人の労働者の消防隊員が一名死亡しているのです。六名が重軽傷を負っているのです。こういうふうにもうすでに危険にさらされている事故が起こっているのです。この先頭に立ってやっている人が賃金を切り下げられているのです。これは笑いごとじゃないのです。一体この事故の状況、安全対策はどういうふうにやっていたのか、これを発表してください。
  105. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 三月二十七日の午前二時ごろ、佐世保で停泊しておりました米軍のタンカー「ピスカタクワ号」というので火災が発生し、十分後に鎮火した。その後、いまおっしゃいますように、日本人労働者に死傷者が出ています。この詳細についてはいま調査中でございますが、さっそく、午前十時ごろ実は私ども報告を受けましたので、府中米軍の司令部のほうに原因の究明と事故の再発防止に対する対策を至急申し入れたところでございます。
  106. 島本虎三

    ○島本委員 こういうように労務者が命を的にしてやらされているのです。その事故状況もはっきりつかんでおらない。安全対策は一様に官僚答弁である。四日市判決が出て今後は企業の側でも再びああいうようなことをやらないようにするといいながらも、公害関係の数ある法律は全部しり抜けのままにしてある。そうして、総量規制をやるといっていながら、あれは総理府令で行政の到達目標だけである。こういうふうにして、口だけではこういうふうなことをやらないと言っているけれども、法律や行政の姿勢はまだまだうしろ向き。もうすでに今日パートに切りかえられて、切り下げられてどうにもできないように追い込められているのが駐留軍労務者。そしてその人たちが、あげくの果てに今度は事故点検中エンジンが爆発して命さえも失っている。六名の重軽傷者さえも出している。これらに対してもはっきり把握しておらない。全くこれは人命軽視じゃありませんか、大臣。労働安全法もあるはずなんだけれども、一体労働省はいつでも事後処理ばかりやっているのだが、これも馬の耳に念仏で、起きればもう出さない、出さないといって、次から次と起きている。一体こういうふうなことに対しては、どういうふうな指導と安全対策を持っていたのか。これは両方から言っていただきたい。これは大事なんです。切り下げ生活できなくしておいて、今度はその人を殺してしまっている。これ以上残酷なことはありませんよ。これにはっきり答弁できなければ、大臣、坊主にならなければだめです。
  107. 渡邊健二

    ○渡邊(健)政府委員 労働者の安全確保のためには、昨年制定、施行されました労働安全衛生法に基づきまして、危害防止基準の確立、その順守の監督管理体制の強化、安全衛生教育の徹底その他の安全衛生諸対策の推進によりまして、こういう災害の起きないように、できるだけ努力をいたしておるところでございます。  ただいまお話しの事故につきましては、私役所を出てまいりますまで、まだ報告が来ておりませんので、詳細は承知いたしておりませんが、至急に現地の基準局を通じまして実情を調査させ、もし安全対策に手落ちがあるような場合には、厳重に、そういう事故の再発がないように、監督、指導をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  108. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 施設庁といたしましては、いま、事故原因の究明なり再発防止の申し入れを行ないますと一緒に、調査をいたしておりますが、現在判明しておるところでは、死亡一名、重傷一名、その他傷害を受けた者五名、大体佐世保海軍の消防隊に属しております従業員でございます。この安全管理につきましては、陸上勤務者その他、船員関係のものについては船員契約というものがございますが、その中に安全管理について特に一章を設けてございまして、国内法に従った措置がとられるようになっております。先ほど労働省のほうからお答えがありましたように、これの基準局等からの調査等については、私どももお手伝いをいたしておるわけであります。
  109. 島本虎三

    ○島本委員 これ一つの事故ならまだしも、以前には呉の爆薬庫の手りゅう弾の爆発事件がありましたね。それから相模原の補給廠での弾薬の爆発事件がありましたね。沖繩での爆薬、毒ガスの事故がありましたね。次から次と死んでいくのは、米軍じゃないのですよ。日本の労働者なんですよ。この安全対策もはっきりさせないでおいて、そうして命を犠牲にしてまでも一生懸命働いているその人たちが、賃金は実際切り下げられておる。これほど残酷なことはございませんわ、大臣。首切りの場合でも九十日の事前通告があるでしょう。駐留軍の場合そうなんです。パート切りかえによって事前予告はしなくてもいいことになっている。そうだった場合、一方的に労働者は不利だということになる。この不利なことを、命を的にしてやっている人に対して、どうして施設庁で押しつけているのですか。どうもおかしいじゃありませんか。労働省のほうもこの点では少し怠慢だ。もっときちっとさせないとだめだ。そのためにわざわざ法律の改正もあったはずなんです。どうも改正をやってそれを扱う担当者が一級位が上がっただけであって、さっぱりそれが実行に移されないのは遺憾であります。  こういうようにきわめて不利になるわけですけれども、この場合に対してははっきりした措置をしていますか、施設庁
  110. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 ただいまのお話の中で、パートへの切りかえの問題についてお答えいたしますと、その問題については、いわゆる俗にIHAといっておりますが、諸機関関係従業員だけでございます。それで、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、切りかえの際に、いやな方はこれを断わって整理退職扱いになるということでございますが、その事前予告といいますか、通告のしかたにつきましては、実態を申し上げますと、ただいままでのところは、非常に短い期間がございまして、それで、これにつきまして、そういう先生おっしゃいますような問題がございますので、いろいろ申し入れを行なっておりまして、現在のところ、実情としましては、三十日から四十日前の通告、それで選択権の行使、そういうような実情になっております。
  111. 島本虎三

    ○島本委員 以前から協約で、首切りの場合は九十日の事前予告を行なうということになっていたでしょう。これはもう廃止されたのですか。
  112. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 いまおっしゃいました、人員整理の場合の解雇の事前通告、九十日前にできる限り行なうということにつきましては、先ほどの第十四回安保協議委員会におきましても日米間で再確認されておりまして、ただいまのところ、実績といたしましては約七六%程度実施されております。
  113. 島本虎三

    ○島本委員 そうなると、たとえば六万円もらっている人が、四十時間の契約で三十二時間のパートになると、結局は、六万円の場合には四万八千円にしかならないでしょう。もうすでに不利になってしまっている。進んでこの不利なのをとる人、ありますか。それでなければやめろということでしょう。その場合に、これは失業保険はどうなるのですか。協約の点の失業保険になるのか、安く下がったこの基準の失業保険になるのですか、どっちですか。
  114. 道正邦彦

    ○道正政府委員 失業保険法のたてまえにおきましては、保険金の算定は、過去の賃金を基準にして算定をするということになっております。
  115. 島本虎三

    ○島本委員 過去の賃金を基準にされる、その基準は、高いほうのやつですか、安くなったところですか。
  116. 道正邦彦

    ○道正政府委員 高い低いを問わず、過去の賃金実額を基準にするということになっております。
  117. 島本虎三

    ○島本委員 あなたとやりたくないんだけれども、あまり官僚答弁はやめてくださいよ。  過去の実額とは、いつの実額ですか。
  118. 道正邦彦

    ○道正政府委員 先ほど来御質問にございますように、賃金が下がれば保険金も下がるということに論理上なるわけでございます。
  119. 島本虎三

    ○島本委員 大臣、そういうようなことで、次から次と労働者は不利になっている。あなたが言ったことと逆なことを施設庁はやっている。ここで、大臣はにこやかに——おこらないとだめですよ。  これはどういうようになっているのでしょうか。過去においては、やはり九十日の事前予告というようなのは行なっていましたね。そういうような場合には、一応は、やめる場合にも、人員整理される人には過去にさかのぼって実施しておるというような特典もあったわけだ、賃金の場合には。パート切りかえを不満としてやめる場合には、退職する人には、やはりこれは遡及させるべきです。けれども、実際はどういう扱いをしていますか。
  120. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 ちょっと御質問の理解が違うかもしれませんが、過去にさかのぼるというので思い当たりますのは、たとえば五月に人員整理退職された従業員について、六月のボーナスが目前にあるわけでありますが、ボーナスの期待分といいますか、そういったものはお払いしております。
  121. 島本虎三

    ○島本委員 その慣行を言っているのですがね。これは長い間、従来、駐留軍の労務者の賃上げの場合には、人員整理が伴われた場合には当然さかのぼってこれを実施させておった、こういうような例がいままでずっとあったわけです。パートに切りかえを不満として退職する人にも、当然この過去のような恩典は適用さしてやるべきじゃないかということなんです。それを、安くなったときの賃金でそのままやめるということになれば、失業保険まで下がってしまう。ですから、下がらないような方法を考えてやめさせるのが当然の義務でしょう。パートとして下げておいて、下げたときにやめさせたら、失業保険まで下がってしまう。これは大臣もわかるわね。ですから、こういうようなことをやるべきじゃないというのです。まして、命がけでこうやって生命の犠牲を払った人さえあるでしょう。あまりにも施設庁というのは米軍中心だよ。日本人の命のほうを先行させないとだめです。どうもこの点では私は不満です。まあ、せっかく政府のほうでも駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案、こういうようなものを出しているのですが、出す前に、常日ごろからこういうようなのは手厚くもてなさなければならないはずです。それが、諸機関労働者でしょう、それに対しても、労働者の雇用やそれから労働条件、こういうようなもののためにおそらくは抜本的な一つの方策を講じてもいいはずなんですが、ほったらかしてある。離職前の措置というようなものも、政府では十分考えてやってしかるべきなんです。この点十分考えてやっていますか、施設庁
  122. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 十分と申しますとおこがましいと思いますが、離職前の措置といたしましては、昨年約五千人、四十八年度五千数百人の予定で、希望する職業訓練と申しますか、そういったものについて措置を施設庁としては行なっております。これで再就職の円滑化をはかりたいというふうなことを考えております。
  123. 島本虎三

    ○島本委員 どうもあなたは血が通っていないようですね。  そんなによく考えているなら次に聞いてみますけれども人員整理者に対する年次休暇はどうなっていますか。駐留軍の労働者の場合は、年次休暇として何日認められていますか。
  124. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 年間二十日でございます。
  125. 島本虎三

    ○島本委員 年度途中の人員整理者に対して年次休暇が完全に与えられていないということを聞いておりますが、与えてありますか。
  126. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 年間二十日間ございますが、平常時には特に問題があるとは承知しておりません。しかし、いわゆる、おっしゃいました解雇予告中の従業員について問題を生じた例がございます。
  127. 島本虎三

    ○島本委員 どういうことですか。もう一回ちょっと聞かしてください。
  128. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 解雇予告をされました従業員の場合に、年次休暇について問題が生じている例がございます。
  129. 島本虎三

    ○島本委員 それはどういうふうにして処理していますか。
  130. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 これはそのつど協議でやっております。
  131. 島本虎三

    ○島本委員 現実には、米軍は作業上の都合によって労働者要求を拒否しているでしょう。一体これは実態をつかんでいますか。拒否してませせんか。
  132. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 年次休暇の場合に、作業上の都合と申しますか、仕事の正常な進め方を考えまして承認をこれに与えるようにしております。
  133. 島本虎三

    ○島本委員 それはやってないです。これは三月二日に、国労や全林野問題についていろいろ裁判の判決が出ておりますね。これは最高裁では、年次休暇は労働者要求によって与えなければならない、そして使用者はこの時季の変更のみを労働者に求めることができるだけだ。与えなければならない。駐留軍労務者は与えられなけばならないものを与えられないでやらせられているのです。これなんかも最高裁の判決違反じゃありませんか。
  134. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 いま先生おっしゃいました三月二日の最高裁の判決につきまして、ただいまのところの基本労務契約なり何なりの関係規定、休暇の関係につきまして、判決に照らしますと問題がある部分があるというふうに考えております。したがいまして、これについて在日米軍と協議を開始いたしております。
  135. 島本虎三

    ○島本委員 やっぱりそうなんですね。これはもう人員整理を通告しておきながら、年次休暇を認めないということは、これは最高裁の判決から見ても違反です。したがって現在の労務基本契約を改定して完全に休暇をまず与えるようにするのが、人権擁護の一つの皆さん方の指導方針でなければならないと思うのです。どうもアメリカ側の意向ばかりを先行さして、これさえも完全にやっていないということはまこに遺憾です。
  136. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 これにつきましては、先ほどお答えいたしましたように問題がある部分があると思いますので、正すべきは正す姿勢をかねてとっております関係上、十分協議いたしまして、改正に努力いたしたいと思います。
  137. 島本虎三

    ○島本委員 三月の末までに退職金の精算をしないかというふうにして、米軍側からこれを個々の労務者に言ってきているようでありますが、施設庁ではこれをどういうふうに対処しておりますか。
  138. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 いわゆる退職金の精算問題につきまして、IHA関係で、先ほど来申し上げておりますように、経営悪化等の理由からいろいろなことが出ておりまして、これを、経営上の問題としましては一ぺん退職金を払いたいというようなことが出ております。
  139. 島本虎三

    ○島本委員 どうもよそごとのようですが、これを直接やっているのは施設庁じゃないのですか。どうもあなた、第三者的な答弁ですね。この場合には労働省は第三者かもしれませんが、あなたは直接この問題を扱っていなさるのでしょう。もし不当なことがあったならば、それはいけませんよと直接言ってやらなければならない責任者でございましょう。そうじゃないのですか。
  140. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 おっしゃるとおり、私は直接の担当者でございます。ただ、いまIHA関係日米間の協約では、諸機関関係につきましてはパート切りかえの手続がございまして、これについて、先ほど来申し上げておりますように、従業員側では選択権の行使ができるということだけが規定にあります。したがいまして、運用の方針と申しますか、そういったものについて不十分ではないかという面がございますので、ただいま在日米軍司令部のほうと協議を開始しておるとこでございます。
  141. 島本虎三

    ○島本委員 どうも、精算そのものは形式的な首切りですね。施設庁はこういうようなことに対して不当だとして抗議すべきですよ。言われると、これから協議を開始する、何のための責任者ですか。岩国の場合には、労務費を削減させるために、三月の末で退職金を精算しないかと現に言ってきておりますね。どうも、こういうふうにして見ると、皆さんの場合は、こういうふうにして具体的な事例として出されて、出されたものに対して協議をしている。出す前にそういうようにしないように十分手を打てないのですか。これはまことに遺憾です。清算するということは結局、それで打ち切りにするということなんでしょう。ほしければほしいと言って、もらったならばやめるということでしょう。ネコにかつおぶしというような、これはそのやり方なんでしょう。まだやめていなくとも精算をする、その金がほしければそこをやめる。やめなくとも、精算してあるのだからそれ以上ふえない。こういうようなことじゃないですか。形式的な首切りじゃないですか。そういうようなことを知っていながら黙っているということは、私はおかしいと思う。これは首切りじゃないですか。
  142. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 私どもとしまして、いろいろなケースがございまして、従業員側でたとえばいま退職金をもらって、あとすぐ現給で再雇用をするというような例の場合に、必ずしも反対でないという場合がございます。  しかし一般的に申しますと、先生が言われますように解雇に通ずる問題になる、それで非常に不安定な関係になるということは反対でございますので、雇用者といたしましてこれにつきまして米側と協議をいたしております。
  143. 島本虎三

    ○島本委員 こういうふうにして見ますと、駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案、こういうようなものを出してきて、これによっていろいろと便宜をはかられ、救済をしようとする意向はわかりますけれども、法制定以前にやらなければならないことを何らやっておらないで、そしてやめればこれによってやってあげますよという行き方は、私はもう妥当じゃないと思う。アメリカの言うとおりにこれをほうっておいていいものですか。どうにもならないといってほうっておけば結局死んでしまう。死んでしまってからこの問題を取り上げる。ちょうど水俣病の施設庁版じゃないですか。死んでからようやくこれを考える、こんなやり方ではだめだと思います。したがって四月十五日、五月一日、この政府の対軍交渉には、政府としての保障措置も十分考えてそうしてこれを行なうべきだ、こういうように思いますが、これをやっておるのですか。
  144. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 米軍と協議中でございます。
  145. 島本虎三

    ○島本委員 まあいろいろと協議中、協議中ばかりでありますけれども、ここで、軍側の意向はどうなんですか。
  146. 高松敬治

    高松政府委員 いろいろIHAの問題について御指摘がございました。で、私どもも、先ほど山本委員の御質問にもその問題がございましていろいろ御答弁申し上げたのでございますが、特に本年になってIHAについての問題が多くなっておることは事実でございます。これにつきまして、先ほど二十四時間というお話もございましたが、中には二十四時間のものもございますし、三十二時間、三十三時間、三十四時間、三十九時間というようなものも三沢についてはございます。それでややわれわれと米軍と感じが違っておりますのは、米軍のほうではどうも、人員整理をするかわりにパートタイマー制度に切りかえるというふうな感じを比較的強く持っております。私どもとしては、そういうふうにいたしますと、パートタイムに移行する人員のほうがかえって多くなってしまいますし、これは一つの非常に問題が多いやり方である。これについては先ほど労務部長も申しましたように、ある職場によっては、むしろそういうことで一応退職金をもらってケリをつけて、新しく行く形になったほうがいいという職場もございます。またある職場については、それは非常に強い反対がある。これは実質的な人員整理にほかならないということで、非常に強い反対のあるところもございます。  それから、パートタイマーにする理由につきましても、PXとか食堂であるとかランドリーであるとか、そういうことでいろいろ事情が違っているようでございます。私どもといたしましては、やめる者についてはそのつど米軍に対して事前に交渉いたしまして、ある程度いい結果を見たものもございますし、また率直に申しまして、なかなか思うようにならない状態のものもございます。しかし、いずれにいたしましても私どもといたしましては、これについてその受ける被害を最小限度にとどめるように、十分に交渉を今後とも続けてまいるつもりでございます。全面的にこういう制度自身を否定するということも、実際問題としてはなかなか困難な面があるわけでございまして、その辺のかみ合わせを考え、最も現実に即した措置をとってまいるこういうことで今後とも努力してまいりたい、かように思う次第でございます。
  147. 島本虎三

    ○島本委員 これは人員整理の発出については、九十日以上の予告期間の確保、その保障措置を十分とっておいてもらいたいということは、かねがね要請してまいりました。しかし、今回四月十四日までに時間制を切り下げるということになれば、十四日前に今度それによってやめるという行為、これはもう予告そのものが二週間しかないということになって、基準法との関係もこれはおかしくなる。基準法に、三十日の予告期間はちゃんと置かれているはずです。ところが、もう四月十四日までにその時間制を切り下げる、いやだったらやめなさいということは、三十日の予告期間を無視することになるじゃありませんか。これは基準法のたてまえからどうなるのですか、労働省。
  148. 渡邊健二

    ○渡邊(健)政府委員 三沢の問題につきましては、先ほど大臣からもお答え申しましたとおり、労働省のほうはまだ詳細具体的な事案については承知いたしておりませんけれども、駐留軍労務者についても当然基準法の原則が守られなければならないわけでございまして、もし三十日の予告がなされておらないとすれば、当然それに、その分だけは予告手当を支払わなければ、予告を短くして解雇するということになりますと、予告手当を支払わなければ基準法違反になるわけでございます。
  149. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 関連でお答えいたします。ただいまのパート切りかえは解雇措置ではございません。パート制切りかえでございますので、いまの問題とは少し違うと思います。  それから、ただいまの四月十五日の発効予定の方々についての通知というものは、私ども承知しておりますところでは、二月の二十六日に出ております。
  150. 島本虎三

    ○島本委員 当然駐留軍労務者に対しては、以前からの一つの慣行によって、人員整理の大綱というのが、九十日の予告がないならばこれはやらない、九十日の予告は完全に必要であった。それが二週間でできるというふうにこれをやるということは、これは違法であり、違法性のもっともっと強い、したがって妥当でも適法でもないということ。具体的には賃下げがパート切りかえということでできるということになりますから、米軍の事務費の節約に施設庁は協力するということになるじゃありませんか。賃下げがパート切りかえということでできることは、事務費の切り下げに協力することになる。
  151. 高松敬治

    高松政府委員 いまほど労務部長が申しましたように、今回の通告は一月十五日分につきましては四十七年の十月十三日、それから四月十五日発効の分につきましては四十八年の二月二十六日、それから四十八年の五月一日の分につきましては四十八年三月二十二日ということで、おおむね四十日の期間を置いて通告をしてまいってきております。それで、これはいわゆる解雇の問題ではございませんので、できる限り九十日という日米間の合意はこの場合には直ちには適用にはならない、こういうふうに考えております。しかしこういう予告期間を私どもとしてはできるだけ長く、IHAについてもとってもらいたいということは、かねがね要望しておるところでございます。
  152. 島本虎三

    ○島本委員 先ほど言った退職金の精算というものは、これは累積しなくてもよろしいということになるんですか、それとも精算してからあとからまたその後つとめている分に対しては加算があるのですか。
  153. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 選択をいたしましておやめになりますと、一応それまでの分について整理扱いの退職金が出ます。その後すぐ現給で再就職するという例がございますが、それはあらためてそこから始めるわけです。
  154. 島本虎三

    ○島本委員 いま円の切り上げが行なわれたあとで、これはパートの希望者の実態はどうでしょうか。この実態の御報告を願いたい。
  155. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 従業員側からのパートへかわりたいという要望は、特段伺っておりません。
  156. 島本虎三

    ○島本委員 外人の、パートの切りかえに対しての要望はどうですか。外人というか、米軍です。
  157. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 米軍のほうからそういう申し出が一部ございます。
  158. 島本虎三

    ○島本委員 円の切り上げによって外人のほうは有利になる、したがってパートの希望が出てきている、それによって日本人は不利に扱われる、これまた、日本人を犠牲にしてやるという結果になるじゃありませんか。どうもこの点では、先ほどから労働大臣は数回にわたって、いろいろの関係があっても日本の労働者を大事にするんだということを言っておるんですが、これじゃどの辺から見ていっても労働者は大事にされておらない。私はこの点はまことに遺憾なんであります。就職困難な中高年齢者が多いというこの事情からして、再就職促進のためのいままでの援護措置、こういうようなものに対して、もっともっとこれは適確に活用していかなければならないんじゃないかと思っているんです。そういうふうなことに対する配慮は十分考えておられるのですか、この法律に関連して。
  159. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 労働省のほうでなさる施策が相当ございますが、私どものほうで従来やっておりますものについて申し上げますと、先ほど申し上げました離職前の在職中の職業訓練、これにつきまして四十七年度予算に比べまして五割アップの予算を一応計上して、国会で御審議願っております。それから駐留軍の従業員の組合等、関係の市町村等が入りまして、離職対策センターというものができております。現在七カ所ございますが、それにつきまして雇用主の立場から、やはり再就職の促進をきめこまかにはかっていくという趣旨で、運営費の一部補助を行なっておりますが、四十八年度はその離職対策センターで、県内ばかりでなく県外の求職開拓がもっとできるようにということで、これもやはり、約四八%程度の対前年の増額を計上いたしております。
  160. 島本虎三

    ○島本委員 MLCとIHA、このMLCの場合には一週四十時間から四十八時間、これはもう労務基本契約に基づく労働者、こういうようなことになりますが、この身分はどういうふうになっているのですか。
  161. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 これは昭和二十七年の国家公務員法の一部改正の法律で明記してございますが、駐留軍等で働く者で国が雇用する者、しかし国家公務員ではない、そういうふうになっております。
  162. 島本虎三

    ○島本委員 国家公務員じゃないのですか。地方公務員ですか。
  163. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 国家公務員ではない国の雇用者でございます。
  164. 島本虎三

    ○島本委員 身分はどういうふうになるのですか。非常勤の特別職の国家公務員ですか。
  165. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 国家公務員ではない国の雇用者という、まあ特殊な性格でございます。
  166. 島本虎三

    ○島本委員 国家公務員ではない国の雇用者というのは、国の雇用者であるならば国家公務員でしょう。それだけ特殊な扱いをするということは、待遇を不利にするためにそういうふうにしてあるのですか。この身分はどういうふうになっているのですか。賃金のほうもおかしいけれども、身分のほうもおかしい。依然としてこういうような状態にしてやっておくというのは、これはゆゆしき人道上の問題だということになってしまう。身分というのをはっきりさしてください。公務員なんですか、公務員でないのですか。それとも、公務員であるならば地方公務員か国家公務員か。国家公務員であるならば非常勤か特別職か、これはさっぱりわからぬ。私不明にしてわからぬので、わかるようにして説明してみてください。踏んだりけったりじゃありませんか、それなら。
  167. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 日本国との平和条約の効力の発生及び日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する等の法律というものが、昭和二十七年六月十日法律第百七十四号で施行されております。これの第八条に「駐留軍等労務者の身分」という条文がございます。詳しくということでございますので、一応読み上げさせていただきますと、第八条「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約に基き駐留するアメリカ合衆国軍隊、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第十五条第一項(a)に規定する諸機関、日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定に基き本邦内にある国際連合の軍隊又は日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定第七条の規定に基くアメリカ合衆国政府の責務を本邦において遂行する同国政府の職員のために労務に服する者で国が雇用するもの(以下「駐留軍等労務者」という。)は、国家公務員でない。」そういうことでございます。
  168. 島本虎三

    ○島本委員 国家公務員じゃない国家の雇用者ですか。
  169. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 さようでございます。
  170. 島本虎三

    ○島本委員 そうすると、IHAのほうはどうなるのですか。
  171. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 同じでございます。
  172. 島本虎三

    ○島本委員 そうすると、これはもう国家公務員に準ずるというような扱いになるんですか。それとも全然関係ないのですか。
  173. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 なお、先ほどの第八条の第二項に「駐留軍等労務者は、国家公務員法第二条第六項に規定する勤務者と解してはならない。」となっております。
  174. 島本虎三

    ○島本委員 じゃ、米軍に隷属するということなんですか。
  175. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 同じく同法の第九条に「駐留軍等労務者の勤務条件」というものがございますが、「駐留軍等労務者の給与は、その職務の内容と責任に応ずるものでなければならない。」第二項「駐留軍等労務者の給与その他の勤務条件は、生計費並びに国家公務員及び民間事業の従事員における給与その他の勤務条件を考慮して、防衛施設庁長官が定める」ことになっております。
  176. 島本虎三

    ○島本委員 法律ばかり読んだって内容をさっぱりわからぬし、劣悪なこの状態をただ押しつけているということは全く遺憾です。私は、労働省があるのですから、労働省ももう少しこの点についてはきちっと整理して、相談の上で、人間尊重の実態をここではっきりさせないとだめだと思います。国が雇う国家公務員でない労働者だ、こんなものも、そもそもおかしい。おかしくてもせめて賃金のほうだけきちっとされているならば、それでいいということになりますけれども、賃金のほうもまたおかしい。そしてそれはやめる場合の失業手当、これだって、もう最低にしてこれは律される。そしてそれがいまや命を風前のともしびのようにして、今度は基地の中でいろいろな危険にさらされながら働いておる。被害者も出ておる。こういうような状態では、人間に対する扱いじゃありません。法治国家であり、基準法もあって、その適用も受ける労働者であるならば、もっと労働省ではき然としてこれを扱ってやっていただきたい、そう指導すべきである、こういうふうに思います。  いままでいろいろなことを聞きましたけれども、まことに聞けば聞くほど、現在の駐留軍労務者は気の毒になってしようがないのです。労働大臣も、せっかくあなたもおわかりのとおりですから、今後ものを申して悪いことは一つもありませんから、遠慮なしに、この待遇の悪いのを改善するためにどんどん申してやってもらいたい、こういうように思うのです。私はそれを強く要望いたします。  同時に、大臣も、今後この駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案、これはもうそのままでいいですから賛成で、たとえ通るにしても、残っている人の待遇や立場は十分考えてやらなければならない。いまのような劣悪な状態におりますから、この点、今後十分考えて指導すべきである、私はそういうふうに思っております。大臣の御高見を伺います。
  177. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 お聞きいたしまして、お説ごもっともな点もありますし、今後関係省庁と連絡をとって、できるだけ離職者の問題残留者のいろいろな諸条件の問題の改善に努力いたしますことは、大臣として熱意をもって対処いたしたいと考えております。
  178. 島本虎三

    ○島本委員 以上によって私の質問は終わらせてもらうわけです。ただ最後に、施設庁の態度はまことに法規の棒読みであって、命ぜられるがままに動いているろう人形のような気がいたしました。もう少し中に血の通うような行政、これをやっていってほしい。身分さえ十分じゃない。これだって、手当や労働条件、給与を含めてこれがいいのかと、せめてその点を期待したならば、劣悪である。全くもって私はざんきにたえません。今後労働省、強くこれを指導することを心から要請いたしまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  179. 田川誠一

    田川委員長 ちょっと速記をやめてください。     〔速記中止〕
  180. 田川誠一

    田川委員長 それでは速記を起こしてください。石母田達君。
  181. 石母田達

    石母田委員 それでは私、大きくいって三つの点を御質問したいと思います。  それは、一つは今度の改正の一つであります広域求職活動費について。もう一つは今度の法改正の理由になっております、多数の離職者が発生する状況というものの理由と根拠、これに対する日本政府の責任の問題これが第二番目です。第三番目は、趣旨説明にもありますいわゆる離職者生活安定、この三つの問題について質問したいと思います。  初めに、広域求職活動費についてでありますが、広域とは一体どの範囲かということで、先ほど三百キロ以上というお答えがあったようですが、私ども当初聞いていたのは、何か二百キロ以上というような話も聞いていたのですけれども、それはそういう過程でそういう事実があったのか、あるいはどこかでそういうことが変更になったのか、お聞きしたいと思います。
  182. 道正邦彦

    ○道正政府委員 広域求職活動費の趣旨につきましては、先ほど山本先生にお答えいたしましたので、省略させていただきますが、距離の問題につきましては、当初から三百キロということで私どもは考えていたつもりでございます。
  183. 石母田達

    石母田委員 そうしますと、これはどうなんですか。三百キロ以上となりますと、沖繩それから北海道あたりからも含みますか。
  184. 道正邦彦

    ○道正政府委員 説明が足りなかったかと存じますが、往復三百キロでございますから、片道百五十キロでございます。
  185. 石母田達

    石母田委員 そうしますと、この予算の規模、一人当たりの基準はどの程度になっているか、そういう点についてお伺いしたいと思います。
  186. 道正邦彦

    ○道正政府委員 具体的にはそれぞれケース・バイ・ケースによって実費を差し上げるわけでございますが、予算の単価としては一万円でございます。それから予算の総額は手当類を含めまして二億八千万計上いたしてございます。そのワク内で諸手当の流用が可能でございますので、該当者が多ければ幾らでも支給できるというふうに考えております。
  187. 石母田達

    石母田委員 二億八千万、これを一万円で割って、全部使うということですか。
  188. 道正邦彦

    ○道正政府委員 駐留軍関係離職者に対しまする手当といたしましては、広域求職活動費のほかに諸手当があるわけでございます。その諸手当全部を含めまして二億八千万ということでございまして、個々の手当の支出につきましては彼此流用といいますか、二億八千万のワク内で支給できることになっておりますので、そういう趣旨で申し上げたのでございます。
  189. 石母田達

    石母田委員 私の質問したのは、広域求職活動費について一人当たり一万円ぐらいの見当で何人分、どのくらいの額を組んでいるか、こういうことです。
  190. 道正邦彦

    ○道正政府委員 積算といたしましては、百二十六人ということで推計いたしております。したがいまして、この分としての予算額は百二十六万円程度で済むものというふうに考えております。
  191. 石母田達

    石母田委員 先ほどの話でも五千数百人、あるいはこの調べによりますと六千人ぐらい今回退職者があるということで、特に沖繩関係が、資料によりましても四十七年度千四百名、四十八年度三千名という大量の離職者が予想される状況のもとで、あまりにも予算規模が小さいというふうに思いますけれども、その根拠と理由はどういうものですか。
  192. 道正邦彦

    ○道正政府委員 御本人の希望によりまして、先ほど申しましたように、二億八千万のワク内におきましては、幾らでも出せるわけでございます。積算にあたりましては、高齢者の方でございますし、家庭もお持ちでございますので、全部が全部広域活動というわけにもいきません。したがって、百二十六人程度を予算の積み上げ作業の際に積算したのでございまして、運用にあたりまして、希望者がもっと上回りますれば彼此流用をしてまいりたいと思います。
  193. 石母田達

    石母田委員 どの程度上回るという予想はないのですか。
  194. 道正邦彦

    ○道正政府委員 これは運用してみないとわからないのでございますが、僻遠の地の基地からの離職者がかなり出るということも予想されますので、安定機関として広域求職活動に大いに馬力をかけなければいかぬという気もいたします。したがいまして、百二十六人でおさまりますかどうか、あるいはこれをどの程度上回るかどうか、この辺はいまのところさだかではございませんけれども、かなりの数が出ようかと考えます。
  195. 石母田達

    石母田委員 さだかではありませんけれども、しかし沖繩関係は、先ほど言いましたように、千数百名、ことしは三千名。沖繩関係だけでもかなりの該当者が出るのじゃないかということは、当然わかるわけです。これの交通費、たとえば沖繩からの場合なんか、飛行機の利用についてはどうなんですか。
  196. 道正邦彦

    ○道正政府委員 現実の問題といたしまして、たとえば沖繩から東京あるいは大阪ということになりました場合には、飛行機が望ましいことは言うまでもないのでございますけれども、予算の積算にあたりましては、船賃で計上いたしております。
  197. 石母田達

    石母田委員 いま沖繩から東京、大阪の話がありましたけれども、どちらでもいいですけれども、往復飛行機でどのくらいになるか御存じですか。
  198. 道正邦彦

    ○道正政府委員 いま聞きましたところ、東京—沖繩間は五万五、六千円だそうでございます。
  199. 石母田達

    石母田委員 そうすると、先ほどの答弁で、広域の求職活動における旅費と宿泊費を含むというふうに言われましたけれども、これはたとえば沖繩の場合、船賃でいってそうなんですか。
  200. 道正邦彦

    ○道正政府委員 たとえば沖繩から大阪へ広域求職活動されます場合には、船で鹿児島まで来られまして、鹿児島から大阪まで汽車ということになるわけでございます。大阪での宿泊費というのが支給されるわけでございます。
  201. 石母田達

    石母田委員 それで、いまの答弁で有効な——職安が紹介した就職に対する、本人の実際に見てくるという先ほどの趣旨が実際に果たされると思いますか。鹿児島まで船で来て、それから大阪まで行って、そしてそこで泊って見てくる……。これは大臣、ちょっと答弁してください。
  202. 道正邦彦

    ○道正政府委員 いままででございますと、大阪と沖繩政府間で連絡をとりまして、大阪にこういう求人がある、それを受けまして琉球の職安の窓口の職員が、こういう職場だけれども行きませんか、こういうことで相談するわけでございますが、その際に、いや自分は沖繩から一歩も出たことがない、大阪はとても不安である。しかし、じゃ行って自分の目で見てきてごらんなさいというわけにはいままでいかなかったわけでございますが、今回はこの活動費が出ることによりましてそれが可能になったわけでございますから、いままでに比べますならば御本人が安心して広域にまたがる求職活動ができ、就職も進むものというふうに私どもは期待しておるわけでございます。
  203. 石母田達

    石母田委員 労働大臣、いまのやりとり聞きまして、前よりよくなった、これは事実ですよ、ないものができたんだから。しかしこれで安心して行かれるようになる内容のもの、中身のものであるかどうか。ちょっと大臣、どう感じましたか。
  204. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 なかなか御質問が——多少旅費が出るようなこと、ところが鹿児島から汽車で行くのもなかなか至難なので、芝浦まで船に乗るとか、また羽田へ飛行機で来るという場合には、差額だけが御本人が損するというような場合もあり得るかもわかりませんが、五年の延長について、多少でも広域な求職活動ができ得るように、こういう意味で、芽をふいたところで、今後ともこれがいろいろな現下情勢に即応したような問題に対しましては、今後検討いたしたいと思います。
  205. 石母田達

    石母田委員 いまの答弁でもわかりますけれども、決して安心して行けるような状態ではない。非常に僅少ではあるけれども、いままでよりはいい。     〔委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕 こういうことで、当然この人たちは金があって物見遊山に行くわけではないのですから、自分の一生の問題である就職をさがしに行くわけでありますから、金が非常にない。しかし、実際の問題としては飛行機を使わなければならない。鹿児島まで船で行くなんという——あなた方沖繩に行かれた方はわかると思いますけれども、なかなかそういう条件にはない。便からいってもたいへんです。ですからそういう意味で、実際には飛行機なんか使いますから、差額は非常に大きな負担になると思いますけれども、こういう点については十分、いま大臣答弁のあったように即応、対応できるような内容に引き上げていくということをぜひ御検討願いたいと思います。
  206. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 この広域求職活動の問題は沖繩対象というばかりではありませんので、本土のほうの関係のほうから沖繩にも及んだというので、沖繩の面から見ると少し足りないような点がありますが、本土のほうはこれで多少よくなったということは、これは間違いないと思います。
  207. 石母田達

    石母田委員 それから、この手続と方法なんですけれども、先ほど、職安の紹介ということを原則にするけれども運用の面については弾力的に検討してもいいというような答弁がありましたが、その内容について、こういう手続が非常にめんどうだなんというようなことはないのかどうか。それから実費払いで出すのか、ちょっとそういうところも……。
  208. 道正邦彦

    ○道正政府委員 この手当は原則として職業安定所の紹介に限ることにいたしておりますが、労働大臣が許可をいたしまして、無料の職業紹介を認めているわけでございますので、安定所との連携を密にすることによりまして、わずらわしい手続等はもちろんなく手当が支給できるように運用上考慮をいたしたいと思っております。
  209. 石母田達

    石母田委員 それでは、二番目の質問に移りたいと思います。  この資料によりまして、五千名ないし六千名、沖繩が三千名という離職者解雇者数が出されておりますけれども、その根拠とおもな理由、これについて御説明願いたいと思います。
  210. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 駐留軍従業員解雇のおもな理由は、施設整理統合閉鎖、業務量の減少米軍の予算の削減、部隊移動等いろいろございますが、長期の見通しについては困難でございますけれども、一応傾向を御説明しますために、最近の状況を申し上げます。  四十五年度は約七千五百名、四十六年度約四千五百名、四十七年度、沖繩を含めまして約五千七百名を考えております。四十八年度予算案におきましては、三カ年の傾向値から考えまして約六千名を予想しております。この米軍施設整理統合計画の進展などから、上回ることもあり得るかと考えております。
  211. 石母田達

    石母田委員 これは、そうすると、過去の三カ年間の実績ということであって、最近のいわゆる基地整理統合というような、たとえば関東計画だとか、先ほど論議されたような問題の要素というのは入っておるのですか。
  212. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 先ほど防衛施設庁長官から前段で御説明ございましたが、関東計画のことにつきましては三カ年ということになっております。したがいまして、四十八年度は初年度でございまして、一部はそれに伴う人員整理が出ると思いますが、代替施設の完成が、まあはっきりいたしませんが大体二年目あたりになると考えられるものが多数ございますので、四十八年度の分は大体この約六千名の中で考えております。
  213. 石母田達

    石母田委員 先ほど、私の聞き違いかどうか知らぬけれども関東計画ジョンソンとか朝霞南地区とかいうところでは出ているというふうに聞いたんですが、間違いありませんか。
  214. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 間違いございません。ジョンソン朝霞南大和空軍施設などというところに出ております。
  215. 石母田達

    石母田委員 それから、相模補給廠で近く千名以上の人員整理が出るという話を聞いているのですけれども、これも事実かどうかということ、そういうことがあるのかどうか。それはまた、二階堂長官でしたか、昨年の八月十二日でしたかね、一両年にあの戦闘車両の部門を閉鎖したいというような発言と関係があるのかどうか、ちょっとお答え願いたいと思います。
  216. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 そういう新聞は承知いたしておりますが、ただいまのところは、まだはっきりしたものは伺っておりません。
  217. 石母田達

    石母田委員 横須賀基地でも近くその整理があるというような話も聞いておりますけれども、それはどうですか。
  218. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 横須賀関係で、俗にSRFといっておりますが、艦船修理施設の日本側への返還をかねて要望しているわけでございますが、ただいまのところは共同使用の状況でございます。したがいまして、共同使用の期間中に特段、人員整理が大幅に行なわれるというようなことはないというふうに思います。
  219. 石母田達

    石母田委員 いま、共同使用ということで自衛隊もあそこに一号から三号まで入っていますね。この共同使用の期間中はない、こういうことなんですけれども、自衛隊の共同使用の場合は、基地労務者は引き続いて使うとかなんとか、そういうことでいっているんですか。
  220. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 自衛隊のみならず民間でもございますが、共同使用でございますのでその間米軍としての使用もございますし、米軍の需要に充てております従業員、そういったものについて整理は大幅にないということでございます。
  221. 石母田達

    石母田委員 いま自衛隊の話が出ましたからお伺いするんですが、返還されたといわれる基地を自衛隊が肩がわり使用あるいは共同使用した場合に、基地労務者はどうなっていますか。また、どうなる見込みですか。
  222. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 態様によってたいへん異なるわけでございますが、たとえば沖繩の復帰に伴いまして航空警戒管制施設——レーダーでございますが、そういったものを沖永良部、その他久米島等で返還後自衛隊が使用いたしております。その場合の米軍関係従業員の大半は、自衛隊が雇用いたしております。ただ、そうでない場合もございます。
  223. 石母田達

    石母田委員 そうでない場合というのは、自衛隊が使用しているために自衛隊のほうでまかなって、いままでの基地労務者は整理することもあるということですか。
  224. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 さようでございます。
  225. 石母田達

    石母田委員 関東計画は、御承知のように六つの基地横田へ集約する、こういう内容のものですが、今度の参議院の予算委員会で明らかにされたところによりますと、立川返還予定地の二〇%を自衛隊が使用して、これは返還後も使用を希望、ジョンソン基地も一六%、これも返還後も使用を希望、朝霞が九%、これもまた返還後使用を希望、府中、水戸の射爆場、これらは四分の一を自衛隊が使用して、これまた返還後も使用希望、こういうふうに出されていますけれども、これは事実ですか。
  226. 高松敬治

    高松政府委員 私、その具体的な数字についてはいま正確に記憶しておりませんが、大体いまあげられたような答弁が防衛庁のほうからございました。ただ立川は五分の一を使用したい。それからあとのところにつきましては、水戸射爆場につきましては具体的な開発計画ができるまでの期間、現在も大体百万坪を使っておりますので、それを引き続き使わしていただきたいということでございます。それからジョンソン飛行場あるいはキャンプ朝霞府中空軍施設というのは、現在もうすでに共同使用で使っている部分があり、その部分についての問題でございます。その他の、ジョンソン飛行場で申しますとその他の米軍住宅地域、それから府中につきましてもいま共同使用している部分以外のところ、朝霞につきましては、まあゴルフ場が大部分になりますが、ゴルフ場地区というものは自衛隊が使用するという計画はございません。
  227. 石母田達

    石母田委員 いま関東計画が三カ年計画で実施されていくという中で、こうして自衛隊の共同使用が引き続きそのままなされるという計画ですけれども、この関東計画によって基地労務者の整理がすでに出、あるいは見込まれるという場合に、自衛隊のこういう基地の共同使用あるいはそれの存続というようなことが基地労務者に影響している、全部か全部ということじゃないけれども、そういうことは言えるんですか。
  228. 高松敬治

    高松政府委員 一月二十三日の安保協議委員会の際に米軍側が発表いたしました資料では、軍人軍属二千六百名を減らす、それから基地労務者は二千六百名の人員削減をする、こういうのがその資料の中にございます。それでこの二千六百名というのは、大体返還を発表いたしました基地内における労務者のかなりの部分を占めていることは事実でございます。そしてそのうちでたとえば大和空軍施設あるいはジョンソン飛行場というふうなところについては、六月末日までの人員整理の通告が先般ございました。で、これらは比較的早く返還する予定の基地ではないかというふうに私どもは考えておるところでございます。
  229. 石母田達

    石母田委員 私の聞いているのは、米軍基地返還される、同時に自衛隊が肩がわりしてそこに入るとか、まあ横須賀やその他の例、立川の問題もそうでしたけれども、いまそうした問題がだんだん多くなってきているという中で、それが基地労務者の雇用にどういう影響を与えるのかという問題についてお尋ねしているわけなんです。ですからそういう点について、先ほど影響する場合もあるし影響しない場合もあるんだ、こういうことのお答えですけれども、実際にいってそうして自衛隊が返還基地をどんどん使用するということになれば、まあわれわれの常識としては基地労務者というようなものがだんだん整理されていくというふうに考えているわけなんですけれども、その点はどうでしょうか。もし少し具体的な例をもって出していただいたほうがいいんじゃないかと思います。
  230. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 先生おっしゃるように、一応米軍施設として返還されますと、米軍従業員解雇がふえるということは事実でございます。
  231. 石母田達

    石母田委員 一昨日ですか、横浜の地区で四十八名の整理が発表になっておりますけれども、それが大部分はノースピア中心だということなんですね。これは、今度の国会の中でも出されたノースドックの自衛隊の共同使用という問題と関連ある内容のものかどうか。この点どうですか。
  232. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 いまの施設返還の問題については、ちょっと私担当でございませんのではっきりいたしませんが、関連はないはずでございます。
  233. 石母田達

    石母田委員 関連がないということですけれども、今度は逆に、先ほど話の出た米海軍の横須賀基地及び横浜基地で、特にこのSRFが最近基地労務者を募集しているという事実はありますか。
  234. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 詳細はいま記憶いたしておりませんが、少数募集しているようでございます。
  235. 石母田達

    石母田委員 少数というのはどの程度の規模だと思いますか。
  236. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 百人内外だったと思います。
  237. 石母田達

    石母田委員 SRFでいま消防員二十名、警備員二十名、船舶設備取りつけ工十一名、重車両運転手、車両運転手計六十八名で、百名以上の募集が行なわれているわけです。先ほどあなたはSRFでも人員整理の問題はいますぐはないけれどもという話でしたけれども、こうした募集が現実に片方で行なわれているということは、一体どういう理由だと思いますか。
  238. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 私も的確にはお答えいたしかねますが、当分米軍のほうの仕事を続ける、そういうふうに理解しております。
  239. 石母田達

    石母田委員 あなたは私よりも知っていると思いますけれども、このSRF関係は一回返還の問題が出されて再びこれが使用されるというところです。こういうところで新しく募集されるということは、ミッドウェーなどのいわゆる横須賀の母港化、基地の強化と関連があることは間違いないと思いますが、あなた自身どうですか。
  240. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 私が承知していますところでは、ミッドウェーの関係施設として提供するわけではございませんで、家族を居住させるようなことになったというだけだというふうに承知いたしております。従来も空母は横須賀に何べんも寄港いたしております。したがいまして、横須賀基地が労務者の百人程度の需要が最近きたことによって特段に強化されるかどうかということについてはわかりません。
  241. 石母田達

    石母田委員 それではお尋ねしますけれども、SRF、艦船修理部が返還された場合と、このように返還が取り消されて引き続き、自衛隊とも共同使用ですけれども米軍によって使われるということは、横須賀の基地の機能の問題について、返還された場合とそうでない場合、どういうふうに違うか。もっと端的にいえば、返還された場合よりも引き続き使われるというほうが常識的にいって基地が強化される、機能が強化されるというふうに考えていいと思うのですが、その点はどうですか。
  242. 高松敬治

    高松政府委員 SRFの問題につきましては、私の承知しております範囲では、かつて横須賀の第七艦隊の根拠地を横須賀から佐世保に移すということが発表になりました。その際SRFも閉鎖をされるのではないか、あるいは大幅な人員整理が出るのではないかということで、地元横須賀を中心に、その対策に非常に準備をいたした時代がございました。その後その点についての問題が、米海軍としては横須賀を根拠地にするというふうな形になってまいりました。したがいまして、SRFの問題というものも、閉鎖とかいうことではなしに、問題が変わってきた。そこで、今度はいまお話しいたしましたように、一部は海上自衛隊と共同使用をし、一部は民間の会社と共同使用する、こういうふうな形に現在なっていくわけでございます。なっていこうとしているように思われるのですけれども、これらはむしろ米海軍としてのSRFに依存をする度合いが少なくなるわけであります。つまり海上自衛隊なりほかの会社がそれを使用する度合というものが出てくるわけでございますから、そういう点からいって、今度のSRFの共同使用という問題が米海軍の機能の強化になるというふうには私どもはちょっと考えられないのでございます。
  243. 石母田達

    石母田委員 いままで引き続き米海軍が使ってそうしたというのではなく、一度返還という問題が出て、基地整理統合ということが出ましたね。そうした場合、つまり返還した場合、米軍が手放した場合と、それがこういうふうになって米軍も引き続き一部使う、ほかのほうも使う、こういうような状態になったときに、全体として横須賀の基地の機能からいうと、返還された場合と比べてどうかという非常に単純明快な私は質問をしておるのですけれども、どうしてあなたたちそういうように回りくどく言わなければならぬのでしょうか。
  244. 高松敬治

    高松政府委員 私は今日の、返還された場合ということがやや変わったということを前提に踏まえて御説明申し上げたわけでございます。かりにあの返還があった、こういうことになりますと、それはおっしゃるとおり、SRFがなくなった、そこで大量の離職者が出た、そういうことになれば、これはおっしゃるとおりだと思いますけれども、現在の事態はそういう状態から模様が少し変わってきております。こういうことに関して申し上げたわけでございます。
  245. 石母田達

    石母田委員 この問題については、今度の横須賀だけではなくて、基地整理統合によっても基地の機能は低下しないというような意味のことを、一月の二十三日の日米協議委員会の発表文にも書かれたように思うのですけれども、そうですね。
  246. 高松敬治

    高松政府委員 米側のことばとして、そういうことばがございました。
  247. 石母田達

    石母田委員 田中首相も三月二十三日の参議院予算委員会の総括質問に答えて、現在の基地整理統合は国民が望ましいと見ている、結果として米軍の戦力が弱まらないとしても、それは安保条約上必要ということだというふうに言っております。ここで大きな問題として二つ言っておるわけですが、結果としては米軍の戦力が弱まらないということを認めておるわけです。現在の基地整理統合は、米軍の側からいっても、また自衛隊との共同使用、肩がわり使用ということを見ても、全体としての基地の機能の強化あるいは基地の機能を低下させないという方向でなされていることは明白だと思います。同時に、このような現在の基地整理統合が、はたして田中首相の言うように、国民が望ましいというふうに見ているのかどうか、それが事実なのかどうか、これはあなたたち、住民に一番密接なところにいまいるはずですから、施設庁どうですか。
  248. 高松敬治

    高松政府委員 今般の基地整理統合につきまして、関東地区空軍施設の集約統合というのが一番大きな問題でございますが、そのほかに、神奈川のキャンプ淵野辺の所要の施設をキャンプ座間に移設するということ、それから水戸の射爆場を返還する、これはもうすでに三月十五日に返還が実現しました。それから沖繩におきましては、特に那覇地区にございます三施設を嘉手納飛行場と牧港住宅地区の一部に返還統合する。関東計画によるものだけでも、面積にいたしまして約二千二百二十万平米くらいあると思います。これは非常に大きな面積でございます。ことに今度の一つの特徴は、大体あちらこちらに分散しております住宅地区を中心に、その若干を横田地区に移すというふうなこと、それからそれに伴う付帯施設として倉庫だとか事務所だとか病院だとか学校だとか、そういうものを横田に集約する、こういうことでございます。したがいまして、返還される施設自身を考えてみますと、非常に大きな面積でございます。これを非常に有効に利用するならば、いろいろな形のことができるであろうと思います。そういう意味で、返還を受けた地域の住民の方々は非常に喜んでおられる。私どもも一、二そういう声を聞きますし、それからまたそういういろいろな施設をつくるについて、あるいは公園でありますとか、あるいは学校でありますとか、あるいは住宅でありますとか、そういうものをいろいろつくるについて、私どもに協力を求められることも一、二にとどまりません。そういう点からいいますと、特に人口稠密な関東地方あるいは那覇、神奈川、こういうところにおいてのそういう施設返還ができたということは、地域の住民の方々にとってもあるいは日本全般にとってもこれは大きな利益を持ち、大きな意味を持っておる、私はこういうふうに考えております。自分でいろいろ交渉しましたから特にそう思うのかもしれませんけれども、その点に特に重点を置いて努力をしてまいったつもりでございます。
  249. 石母田達

    石母田委員 いまあなたが言うようなことが今度の基地整理統合の目的である、実際にそうなっておればこれはそうでしょう。ところが現在の基地整理統合は、米軍がはっきり発表しているように、基地の機能を低下させない。つまり基地の機能とは何か、これは明らかに軍事的な目的でしょう、朝鮮戦争の場合でも今度のベトナム侵略戦争の場合でも、日本の軍事基地アメリカにとってどういう役割りを果たしたか。そういう基地の機能を低下させないということが国民にとって望ましいのかどうか、そういう整理統合が望ましいのかどうか。さらに、先ほどの関東計画で、こまかい数字は別として、いままで自衛隊の共同使用している部分が引き続き認められる、あるいはまた新たに返還されるところに自衛隊が入り込むとかいうようなことが、あなたのいま言われるような住宅だとか、住民のために役立つ、そんなことはないでしょう。そういう基地の機能が低下しない、あるいは自衛隊が入り込む、肩がわり、共同使用するような状態を国民は望ましいと見ているのかどうか、それをあなたはさしているのかどうか、もう一回聞きたいと思います。
  250. 高松敬治

    高松政府委員 前段の、機能の変化しないといいうのは、アメリカとしては安保条約上の義務を負っておるわけでございます。したがって、今般の整理統合によって機能が低下するということは前提としてはとうてい考えられないことでございます。アメリカが条約上の義務を履行するためにも機能の低下はない、こういうことをアメリカ側で言っておるわけでございます。  それから後段の問題につきましては、確かに自衛隊が暫定的に使用する、あるいはその一部を使用するという問題もございますが、これはいずれまた国有財産審議会その他でも十分に検討されてきまっていくと思いますけれども、ただその場合でも、たとえば自衛隊が使用するという部分はごく一部分である。そのほかのところの施設、たとえばジョンソン基地についていいますと、現在共同使用している、つまり米軍とこちらが一緒に使っている地域というものがありますけれども、そのほかに米軍のかなり大きな住宅地域がございます。これは完全に返還になるはずでございます。ほかの地域についてもみなそのようなことがございまして、そういう比率といいますか面積というものは、自衛隊が肩がわりをするとおっしゃいますけれども、全般から見れば比較的少ない、自衛隊の希望している数字も比較的少ないものであると思います。それを差し引いて考えても、今度の基地返還というものはかなり大きな効果を持つものであるというふうに私は考えております。
  251. 石母田達

    石母田委員 そういう点では、あなたもいま率直に言われたように、自衛隊に貸すことあるいは共同使用、肩がわりさせることは、国民は、望ましいとか、あるいはあなたが先ほど言われたように住民に役立つというふうには考えていない。ただそれが非常に狭い範囲で限られて、あとの部分は住民にとってよくなるのじゃないか、こういうことですね。そういう中で今度の基地整理統合というのは、そうすると非常にいいことだとして日本側の要請でやられたものか。たとえば関東計画などはどうですか。
  252. 高松敬治

    高松政府委員 これは前の福田外務大臣も現在の外務大臣もお答えになっておりますが、日本側が基地整理統合についてかねてから要請をしていた、それに対してアメリカ側が案を出したということでございます。それから関東計画についても、当初入ってなかったものが入ったというものもございます。その間にはいろいろな経緯はございましたけれども、私どもとしてはそういうことで、特に首都周辺の稠密なところについての米軍基地整理を要望し、それが実現してまいった、こういうふうに承知いたしております。
  253. 石母田達

    石母田委員 先ほど申し上げました三月二十三日の参議院予算委員会で、わが党の岩間議員の、いまあなたが言われたように、大平外相が日本側の要請でやったというふうに言っているけれども関東計画が出された昨年一月のサンクレメンテ会談後、当時の福田外相は米側が関東計画の構想を示したと言っているがどうか、こういう質問に対して、福田行管長官は、そのとおりだというふうに認めた上で、日本側のかねての要求に沿ってということだというふうに言っておりますけれども、この福田外相がサンクレメンテ会談後米側がその構想を示したと言った点については、いまの答弁とはどういう関係になりますか。
  254. 高松敬治

    高松政府委員 私もあの御答弁は聞いておりましたが、福田前外務大臣がおっしゃいましたのは、後段のところを先におっしゃいまして、ただそれだけではないんだ、その前に前提があるんだ、それは日本側がかねてから要望していたからという前提が岩間議員の御質問の中には落ちている、その前提をくっつけて考えていただきたい、こういう御趣旨のような答弁に私は受け取りました。
  255. 石母田達

    石母田委員 そうしますと、日本側がかねて要求していた基地整理統合というのは、基地の機能を低下させない、あるいはまた自衛隊も、その何割か知らぬけれども共同使用、肩がわり使用できるような基地整理統合要求していたのかどうか。
  256. 高松敬治

    高松政府委員 どうも私への質問というよりももっと高いランクの御質問になっているような感じがいたしますけれども、私なりに理解したところだけをひとつ申し上げます。  安保体制というものを堅持する限り、米軍の機能というものを低下させない、これはやはり基地整理統合についての一つの前提であろうかと思います。ただ現実にあちこちに、たとえば住宅地が広がっている。これをもっと集約化し、高層化し、あるいは地域的に集約化することによってほかの土地をあけることができる、そういうところが現実に幾つあるか、どこがそうであろうかということで日米双方の検討が始まっていくわけでございます。そういう点で、前段の点につきましては、安保体制というものを前提にする限り米側は日本側に義務を負っているわけでございますから、その義務を遂行するに足りる程度の機能はどうしても保持するということが前提であろうと思います。それから後段の自衛隊の共同使用という問題につきましては、基地が現在共同使用をしているというふうな形態からむしろ生まれてきているものが多いわけですけれども、これについては自衛隊としてそういう希望を持っているということでございまして、これをあらかじめ計画して返還というふうなことは、実は交渉の過程ではあまり考えませんでした。むしろなるべく多くの基地をなるべく有効に集約する、あるいはそれを返還を受ける、こういうことを中心にして考えてまいりました。もとより自衛隊といたしましても、新規にいろいろな施設を取得することは現在非常に困難でございます。そういう事実上の困難な事情がございまして、現在共同使用しているところについては今後とも使用をしたいという希望のあるところが幾つかあることは事実でございますが、これはまた国有財産審議会その他が、返還を受けた暁において、自衛隊の希望、民間の希望その他いろいろ御検討になって、そして決定されてまいる事項であろう、こういうふうに考えております。
  257. 石母田達

    石母田委員 これまでの答弁でも大体明らかなように、現在の駐留軍関係労働者解雇あるいは整理、こういう問題は、このような基地整理統合というようなことが一つの大きな原因になっている。しかもその基地整理統合が、先ほど言われたような、いわゆる住民の側に基地が返ってきて、そして住民の側に役立つ、基地がなくなる、平和になるのだ、こういうような状態で、それが理由で首切られたり解雇になっているのじゃないのです。基地の機能を強化しない、つまり戦争目的、軍事的な目的の機能を強化しない、しかもその返還された基地がそのまま住民の側になるという保証もない。これからの協議によってきまる、その中には自衛隊も入り込む、あるいは大企業本位のものに使われて住民の側に役に立たない、そういうことの基地整理統合、こういうところから出されているのです。しかもそのような基地整理統合を、日本政府が主導権をもって要請してやらしているのです。ここから、いまこの離職者に対する日本政府の責任というものは、単に雇用主としての責任だけじゃない、日米安保条約というものがあって、これの義務を果たすのだということがどんなにこの基地労働者に大きな被害、打撃をその家族に与えているか、このことをしっかりと考えてもらわなくちゃならぬ。だから、いままでよりはよくなった、あるいは、このくらいの改善で、ほかの労働者よりは特別の金が少し出ているのだからというような性質のものではないということを私ははっきりと申し上げたいのです。この点での政府の責任の問題からいいますと、きょういろいろ討議された問題、離職者はもちろんのことまだ離職していない基地労務者に対するこの態度というものの中にも、先ほどパートの切りかえの問題、いろいろな不当な労働条件、そうしたものに対する政府の態度というものが非常に煮え切らない、あいまいだ。私は、この基地労働者離職者の問題をやる場合に、やはりその前提として、どういう立場に立つか。日米安保条約、日米軍事同盟をますます強化して、基地を強めて、基地をこのまま存続させて、そして自衛隊を四次防でふやして世界第七番目の軍隊をつくって、軍国主義を復活をしていく、こういうような立場で、そこから余儀なくされたものとしてこれを甘受する立場なのか。そうではなくて、日米軍事同盟をなくしてほんとうに日本を平和と中立、しかもアメリカに対してはき然と日本としての独立した態度をとる。しかも、われわれは、このような基地を一日も早く開放して、ほんとうに住民の立場、住民のために役立つ、公園だとか学校だとか住宅だとか、いまどんなにそれが足りなくて困っているか、これは先ほどあなたも言われた、そういうために役立たせる、こういう方向で、この離職者あるいはこの臨時措置法を運用あるいはやる上においでそういう立場でやる。これは全然違うのです。  この点で、共産党は一昨年の六月に米軍基地返還特別措置法というものを出しまして、このような長い間軍事基地とされていた各地の米軍基地を撤去する、そのために基地労働者の失業問題、商工業者の転廃業問題、あるいは基地が存在する自治体の財政問題、こうした複雑な問題を国の責任で全面的に解決するためにこの法案の制定を提案いたしまして、その要綱を発表いたしました。この中には、いまの駐留軍離職者等臨時措置法をどのように改善したらいいかという問題も提案しております。この政策自体については、私も神奈川県で、基地の最も多いところに住んでおりましたので、いろいろ基地労働者の実態その他を研究しまして、そうして先ほど言ったような立場からの基地労務者に対する解決の方向、改善の方向を出したわけですが、このようなわが党が出した政策要綱について知っておりますかというと失礼かもしれませんけれども、読んだことがありますか。これはまず労働大臣から……。
  258. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 そういうそちらの話はちらっと聞きましたが、内容その他についてはまだ十分存じておりません。     〔竹内(黎)委員長代理退席、委員長着席〕
  259. 高松敬治

    高松政府委員 私も残念ながらよく存じておりません。
  260. 石母田達

    石母田委員 ここに政府としての、国としての責任という問題の欠如があらわれている。あなたたちは、今回の趣旨説明によりますと、駐留軍離職者につきましてはその生活の安定につとめてきたところであります、このつとめてきた内容の中で、どの党のものであれ、よりいいというものについてはすべてこれは見なければならぬ。そうしてそれを参考、検討して、そうして自分の果たさなければならない責任というものを果たす、これがほんとうの責任であり、努力という方向ですよ。いやしくもわが党が、共産党がこうした政策を発表して、いまの駐留軍離職者等の臨時措置法、この法案の改善案を出している中で、あなたたちがこうした改正案を出すときに、そのくらいのことはきちんと読んで、採用するしないはあなたたちの問題ですが、しかし読むくらいの——ちらっと聞いたことがあるという程度じゃ、私は非常に残念だと思う。  私はさらに聞きますけれども、あなたたち、離職者がどんな生活を送っているか、その実態あるいは追跡調査というものをしたことがあるか。もしあれば、その内容というもの、結果というものを発表してもらいたいと思いますが、これはどうですか。
  261. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 私どものほうで、十分な調査とは思いませんが、雇用者であったものとしまして若干の追跡調査をやっております。四十七年はまだでき上がっておりません。四十五年、四十六年の状況を申し上げますと、退職半年後どういうところに就職しているかというのが出ておりますが、これはサンプル調査でございます。必ずしも実数をあらわしておりません。四十五年の場合、卸小売業三〇、製造業一三、サービス業三五、建設業四六、不動産業一、農林漁業五、運輸通信二というような状況でございます。これは一応比率でお考えいただきたいと思います。
  262. 石母田達

    石母田委員 労働省どうですか。
  263. 道正邦彦

    ○道正政府委員 私ども駐留軍関係離職者対策は、雇用対策の最重点施策の一つとして取り組んでいるつもりでございます。  対策の骨子は、何と申しましても再就職のごあっせんをする、それからそれまでの間の生活の安定をはかるために諸手当等の改善をはかるということであろうかと思います。そういうことで、防衛施設庁その他関係方面と連絡をとりまして、駐留軍関係離職者の雇用対策には万全を期していきたいと思います。
  264. 石母田達

    石母田委員 質問の意味は、そういう実態調査をしたことがあるかどうか、追跡調査をしたことがあるか、あればその内容ということなんですけれども、どうですか。
  265. 道正邦彦

    ○道正政府委員 全体の調査といたしましては、ただいま防衛施設庁が実施されておりますデータ、これを私どもいただいて、執務上の参考にさせていただいております。  そのほか、私どもの仕事の性質上、ケースワークが中心になりますので、種々就職促進指導官を通じまして御相談に応ずる、それから指導官の責任においてめんどうを見る、あるいは御相談に応ずるというようなことをやっておるわけでございます。
  266. 石母田達

    石母田委員 労働大臣、私は施設庁施設庁の立場から、これは同じ政府ですけれどもやはり立場はちょっと違いますからね、その施設庁が調査するのも私はいいと思うのですけれども労働省は労働省できちんと独自に調査をして、そして離職者が、一体どのくらいの年齢の人たちが、先ほど言ったようにどういうところに行っているか、また、そういう追跡調査について今後強めていただくようぜひここで約束していただきたい、こう思います。
  267. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 労働省といたしましても、いろいろ施設庁関係もあり、いたしますので、連絡をとって御趣旨のようにいたしたい所存でございます。
  268. 石母田達

    石母田委員 それじゃ時間が、私、約一時間で、寺前さんと時間を分けていたしますから、私の食い込んだ分は寺前さんのほうでやってください。  私は最後に、若干この改正の内容について、生活安定ということで御質問したいのですけれども、というのは、一つは特別給付金の増額ですね、あるいはそのワクの拡大。というのは、二十七年が最高になっていましたね、いまのあれで。それを、二十七年というともう切れる人がいるわけですから、その上のワクの拡大についてどの程度まで考えられているかという問題と、それから組合の一部の意見ですけれども、支給のスライド制といいますかね、毎回毎回これで、いまの物価高の中でスライド制というものを考えたらどうかという、これは一つの意見でございますけれども、出ておりますので、こういう点について検討されているかどうか……(「いつまでやるのですか、二時から本会議じゃないですか、大臣も出なければいけないじゃないですか」と呼ぶ者あり)私たち共産党では百分もらっているのです。
  269. 田川誠一

    田川委員長 私語はやめてください。
  270. 石母田達

    石母田委員 そういうことで質問します。
  271. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 お答えします。  支給区分の拡大と申しますか、その上限の二十七年以上となっておりますものについて、四十八年予算案には、実は実態としまして二十九年になるもの——これは二年刻みになっているものですから、二十九年になるものがまだ四十八年には発生しないだろうということが一つで一応見送ったわけでございますが、これについては十分検討いたします。前向きで四十九年予算のときに考えたいと思います。  それから、いまスライド制のお話がございました。非常に貴重な御意見でございます。これについても十分勘案いたしまして、先ほど経済情勢の変化もあるというお話でございますので、前向きで検討いたしてまいります。
  272. 石母田達

    石母田委員 いま、ちょっと発言のことがありましたが、私、きょうこの時間で発言するということについてはお断わりしたのです。自民党のほうの理事の、私は協力の要請に従ってやったわけです。ですから、割り振りについては寺前さんと話してきめてほしいということなので約一時間ということ、あるいはそれをオーバーするかもしらぬということを申し上げておきました。  もう本会議もありますのでこれで終わりますけれども、私はやはりこの離職者の問題のそうした改善と同時に、根本的には基地を一日も早くなくして、それを住民の立場に解放する、そうしてそういうような立場に立った基地労務者の雇用計画というものをぜひ持たなければならぬ。そうしませんと、基地を置く、そして先ほど言ったような形の基地整理統合が行なわれる、そこから犠牲者が出る、国で何とかめんどうを見なければならぬ、こういうような状態がいつまでも続いたら、私はほんとうに根本的な解決はできない、そういうふうに考えているわけです。そういう意味で、私どもはこの日米安保条約をなくして、日米軍事同盟をなくして、ほんとうに基地を、すべての国民、日本の経済の発展に平和的に住民に役立つ方向での解放、こういうような大きな方向に進む立場で、ぜひともこの基地労働者に対する雇用計画というものを政府は持ってほしいということを最後に要求いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  273. 田川誠一

    田川委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後一時四十六分休憩      ————◇—————     午後五時三分開議
  274. 田川誠一

    田川委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  休憩前の質疑を続けます。寺前巖君。
  275. 寺前巖

    寺前委員 駐留軍の関係法案を審議するものですから、駐留軍の中でも沖繩の駐留軍の問題というのは大きいですから、ひとつ沖繩の駐留軍の関係労働者がどういうことになっているのかをお聞きしたいと思うのです。  一昨年の暮れ、十一月三十日に私は社会労働委員会において、米軍基地で働く労働者の思想、信条を調査しているという事実について、具体的に当時の労働大臣並びに施設庁のほうは労務部長さんでしたか、お聞きしたのですね。それは、その当時米軍基地に働く労働者に対して、あなた並びにあなたの家族は共産党員なのかどうかとか、そういうようなことがずっと書かされているわけですね。それは単に沖繩だけではなくして、本土でも同じように使われていたわけですね。そういう思想調査をやるのは、わが国の憲法から見てもおかしいのじゃないかということで、時の労働大臣は、事情を調査したい、それは好ましくないという態度をそのときに表明して、それに基づいて私は質問主意書も出し、御回答もいただくということをやってきたわけですね。はっきりと、米軍基地に、先ほどの島本さんの話じゃないけれども、日本の労働者が間接雇用で送り込まれたり、あるいはまたほかの形で基地内で働いている、この人たちが治外法権で憲法が踏みにじられたり、あるいはまた労働基本権が奪われているというようなことがあってはならないと思うのですね。そういう意味では、私は労働大臣の使命も重要だし、施設庁のほうも重要な使命があると思うのです、日本の政府として。  そこで、この問題についてその後どのように処理されて、どういうふうになっているのか、これについてひとつ施設庁のほうからまず最初に聞きたいと思います。
  276. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 四十六年の寺前先生からの御質問に対するお答えで申し上げてありましたとおり、特定の、たとえば共産党というものについての質問があることは好ましくないということで、さっそく訂正をしております。     〔委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕
  277. 寺前巖

    寺前委員 どういうふうに訂正してどういうふうな形式に変わったのか、要するにそういう思想調査はもう削除してしまいましたのですか、明確に。
  278. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 訂正のしかたは、どういう政治団体に加入しているかというような問いに変えたわけです。
  279. 寺前巖

    寺前委員 さて労働大臣、前は共産党員と書いてあった、今度はどういう政治団体というふうに書かれた、そういうふうに変わった、削除じゃないとこう言っておる。どうでしょう。基地で働いている労働者——何も基地で働く労働者に限りません、一般職場でもそう、どういう政治団体に所属しているかということを履歴書に書けということについて、あなたはどう思いますか。
  280. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 いいか悪いか言われると——というようなこともありますが、これは米軍が独自でそういうことをやっておると思いますが、思想なり信条なりそういうことで差別待遇をするようなことがあったら、これはもうたいへんであります。憲法なり法律にも違反することでありますが、その聞いたということがすぐに憲法違反になるかならぬかは、これはなかなか断じかねるような点がありまして、御質問の答えでぴんとしないかしれませんが、聞いたから憲法違反になるかというと、これはいろいろな微妙な点がありますが、しかしこれは、その書き方によって差別待遇をするというようなことがあったら、これははっきりいたしております。
  281. 寺前巖

    寺前委員 しかし調査をするというのは、それを書けということは意図があるさかい、書けと言うんでしょう。明らかにそれによってあと差別しますよなんてあほなことを言わなくても、書きなさい、そうすると書きなさいということ自身に、それは明らかにあとがあればこそ書くという事象が起こるのでしょう。しかも、担当は施設庁労務部長さんですか、これは虚偽の事実を書いたりしたら云々というやつが、その文章の最後についていますね。そういう拘束力を持つのですよ。基地に入るときはパスポートが要るのでしょう。そうすると差別扱いになるとかならぬというよりも、現にそのような裏づけを背景に持った調査というものは常にあるもの、大臣、そうでしょう。憲法で保障されている思想、信条の自由だったら、そんなことを履歴書に書けと要求する、こういうあり方をもしも日本の一般の企業でやってごらんなさい。あなたはやはりおかしいと思うでしょう。思いませんか。履歴書に書きなさい。書けということは、思想、信条は自由であれということで、思想、信条の自由で、何もやましいことがなかったら書いたらいいじゃないか、それではいかないのですよ。社会的にそういうことがないように、これははっきりしなければいけない問題だと私は思う。     〔竹内(黎)委員長代理退席、委員長着席〕 だから私は、基地内の話を言っているのじゃない。一般的に見て、そういう履歴書を書けということに対して、労働大臣、はっきりしてもらいたい。一般的にいって、そういう思想を書きなさい、どんな政治団体に入っていたか書きなさいということは憲法上から見ても私はゆゆしき問題だと思いますよ。前の労働大臣が好ましくないと言われたのはそこでしょう。あなた、好ましいと思いますか。これははっきりしてもらいたい。
  282. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 これは駐留軍であろうが一般の民間であろうが、何を書け、おまえ何やということはいろいろな書き方があるので、それですぐに憲法違反だということは、それはいろいろ、人間、自由があるから、おまえ何しとったんじゃ、おまえどこで何しておったのじゃ、どの政党が好きなんだとか、どの政党に所属している、これはあるかもわからぬし、ないかもわからぬ。しからばそれがすぐに憲法違反であるということも、これは好ましいとかなんとかいうようなことでなしに、私はそんなことにはあまり興味がないので賛成しませんけれども、そうしたらそれがすぐに憲法違反であるかというと、これはなかなか、私よりは法制局の長官かだれか引っぱってきて聞いていただかぬと、ちょっと私返答しかねます。
  283. 寺前巖

    寺前委員 あなた、興味の問題じゃないですよ。職場で働く労働者が、そこの会社に入るにあたって、あなたはどういう政党に所属していたのですかとか、あなたはどういう政治団体に入っているのですかと書かされるということは、思想、信条の自由を侵すというようなことになる可能性があるから、それによってはっきりしてしまったら、それは明らかに侵してしまっているのですよ。そういうものに導くものである、だから好ましくない。労働大臣、私は、そういうふうに前はおっしゃったというふうに思うのです。この点を確認したい。大臣、ちょっと待って。おれ興味がないからもう答弁できないというのですか。じゃないでしょうね。私は、これは憲法の問題だから特に強調して問題にしている。この問題、そんな軽くできませんよ。
  284. 道正邦彦

    ○道正政府委員 私からお答えいたしまして、後ほど必要があれば大臣からお答えいたします。  憲法違反かどうかということでございますので、私どもといたしましても慎重に御答弁申し上げなければいかぬということでございます、好ましいか好ましくないかの問題の前に。この点につきましては、法制局も入れまして慎重に検討いたしまして、にわかに憲法違反であると断ずることはできない、というふうに法律的には考えます。
  285. 寺前巖

    寺前委員 法律的に好ましいのか好ましくないのか、どうだ。
  286. 道正邦彦

    ○道正政府委員 本件につきましては、米軍と直接折衝されておりまする防衛施設庁のほうからお答えをいただきたいと思います。
  287. 寺前巖

    寺前委員 違うよ。私はこういうような施設庁の問題と離れて言っておるのですよ。一般的にいって、履歴書にそれを書きなさいという扱い方が労働者になされるということに対して、好ましいのか好ましくないか。前の労働大臣は、好ましくないと言われた。新しい労働大臣は、好ましいとおっしゃるのか。これははっきりしてもらいたい。好ましくないということを前に言われたものが、いつの間にやら変わってきたのだ。一昨年のときに労働大臣はそう言っているのよ。
  288. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 同じことや。
  289. 寺前巖

    寺前委員 そう。だからはっきりしなさい。好ましいと思っておるのか、好ましくないと思っておるのかということを言っておるのですよ。
  290. 田川誠一

    田川委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  291. 田川誠一

    田川委員長 速記を始めて。道正職安局長
  292. 道正邦彦

    ○道正政府委員 事実関係をお答えいたしまして後ほどまた大臣からお答えいただきますが、確かに先生御指摘のように、速記録もできて拝見いたしておりますが、全体を拝見いたしますと、前の段階におきましては、共産党員であるかどうかという項目がございまして、それをチェックすることになっておったわけでございますが、そのことがいいか悪いかということで、それは好ましくないというお答えを当時の労働大臣がされたのではないかと思います。一般的に申し上げまして、確かに先生おっしゃるお気持ち、私わからぬわけでもないのでございますけれども、採用にあたりまして、支持政党はどこだというようなことを一般の人事担当者が聞くという場合はあるわけでございます。それが一切憲法に違反するということまで言い切るのがいいかどうか、にわかに断じがたいということでお答えしておるわけでございます。
  293. 寺前巖

    寺前委員 何回同じことを言わすのか。好ましいのか、好ましくないのか。前の労働大臣は、好ましくないと言った。いまの労働大臣は好ましいというのか、はっきりしましょうよ。はっきりしたらいいじゃないですか。好ましくないか好ましいか、はっきり言うたらいいんだよ。
  294. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 好ましいとも言わぬし、好ましくないとも言えぬし、憲法違反であるかないかも、これは実際民間でもいろいろ支持政党はどこだとか書いておるところも私仄聞いたしておりますから、好ましいとは思いませんし、好ましくないというと、そうしたらそれが憲法違反につながるということにもなるし、前大臣が好ましからぬと言ったそうでありますが、これは局長から話があったように、ちゃんとそこへ書かしたので、好ましくない、こう言ったという答弁でありますから、ここはなかなか、そうおっしゃられても、ちょっとなかなか……。
  295. 寺前巖

    寺前委員 前の、労働大臣じゃないよ、総理大臣に、私はちゃんと質問主意書を出したのだよ。それに対する回答にも書いてある。「好ましいとは考えないが、」と書いてある。はっきりしているじゃないか、好ましくないということは。それが、好ましくあるともないとも言えないというのだから、全く、このときの内閣より、いまの内閣のほうが、たいへんなことを言うなと……。私は、この問題、このままで済ませませんよ。こんなことで駐留軍の労務者の問題を取り扱っているとすると、私は事は重大だと思いますよ。  大臣、さきに、わしは興味がないということを言った。今度は何だな。——さっき、興味がないと言うたやないか。記録を見ようか。(加藤国務大臣「そのことは訂正しましたよ」と呼ぶ)訂正するの。議事録にちゃんとあるよ。
  296. 田川誠一

    田川委員長 ちょっと待って、私語は。許可を求めて発言してください。
  297. 寺前巖

    寺前委員 興味がないとあなたさっき言ったよ。記録にとどめているし、議事録にもあるよ。  好ましいとも思わぬし、好ましくないとも言えるけれどもどうのこうのと、わけのわからぬことを言っているじゃないの。前のときは、好ましくないと明確に言っているのだから。好ましくない、前の佐藤内閣のときにそういう態度をとった。これを変更しますというのだったら、はっきり言いなさい。はっきりしておきましょうや。好ましいのか好ましくないのか。好ましくないという前提で施設庁米軍との間にも交渉があったと私は思うのだ。その態度を確認したから、だから一般的にいって——基地の中の話をいま言っているのじゃない。一般的にいって労働大臣は、労働行政をやっていく上において、こういう思想調査が職場でやられる、履歴書の中に書かされるということになったら、あなたは一体どういう態度をとるのか。——ちょっと待ってください。施設庁はあとにしてくれ。
  298. 田川誠一

    田川委員長 発言を求めているから……。
  299. 寺前巖

    寺前委員 いま私が発言中だ。
  300. 田川誠一

    田川委員長 あなたが質問をしたでしょう。そうして、こっちが発言を求めているから……。
  301. 寺前巖

    寺前委員 違う。私がまだ発言中や。施設庁の話を別にして、一般的にいってと先ほどから言っているのです。
  302. 田川誠一

    田川委員長 それでは続けて質問してください。
  303. 寺前巖

    寺前委員 それだから、労働大臣は一体どうなんだ、前のときと態度を変えるのか。前のとおりだったら、好ましくないということが答弁でなければならないはずじゃないか。はっきりせい。——局長じゃだめだよ。(加藤国務大臣「あとから」と呼ぶ)あとからって、何回も同じことを言っているじゃないか。ちょっと待ってくれ。事はそんな問題じゃないですよ。
  304. 道正邦彦

    ○道正政府委員 御質問にございましたように、寺前議員から質問書が内閣に出まして、御答弁申し上げてございます。四十六年の十二月二十五日に閣議にもはかりまして正式に御回答申し上げているわけでございますが、その段階におきます事実関係は、先ほど防衛施設庁のほうから御答弁がありました、履歴書の中の記載項目の訂正前の段階での御質問でございまして、その段階での御回答でございます。
  305. 高松敬治

    高松政府委員 米軍のほうとも交渉したか、こういうお話でございますが、先ほど来労働省のほうから御答弁のありますように、質問主意書の中にありますように、それまではその履歴書の様式の中に、あなたまたはあなたの家族のだれかが共産党か共産党系の団体にいま加入していますか、また以前に加入していたことがありますか、こういうものを履歴書の様式の中に当時書かれていたわけでございます。それに対して、質問主意書に対する答弁として、これは米軍が独自に徴しているものであり、その限りにおいて、好ましくないもの、好ましいとは考えていないが云々という答弁が出ているわけでございます。そこで私のほうでは、こういう文言は確かにおかしいということで、米軍のほうにもその点を申し入れをいたしまして——沖繩復帰の前のことでごさいますけれども米軍のほうにもこの点は申し入れまして、米軍所定の履歴書の中を改めまして、普通の履歴のほかに、ただ、政治団体への加入の有無というふうな欄が一つ設けられています。したがって、どこの政党に属しているか、特定の政党だけのことを書くのじゃなしに、どこの政党に属しているかというふうなことを書くような欄が現在つけられて、そういう点で修正されている、こういうことでございます。
  306. 寺前巖

    寺前委員 それじゃあなた、どこの政党に所属しているかという欄は設けれらたのでしょう。そうするとやはり、書けということじゃないですか。その書けということは、最後には、偽りがあったときはどうのこうのと書いているでしょう。その点は前と同じで変わらないでしょう。変わってないでしょう。そうするとやはり、思想調査をきちっとやって、偽りがある場合は入れないということになってしまうのだから、好ましくないという問題については何ら変わっていないじゃないですか。労働大臣は、言っている話がわかっているのかな。前は日本共産党だけを書いてあった。今度はどこの政党に所属しているかというふうに書き直しただけの話です。そうしたら日本共産党と書かなかったら、今度は一番最後に書いてあるところでは、これが偽りがあってはならないということで、明確になったら、これがどういう作用を及ぼすかということはきわめて明確でしょう。だから前のときに閣議でちゃんと相談して出されたやつは、好ましくない、言い方はそうだったが、今度は特定政党を書きなさいということになったら、やはり好ましくないということにおいては変わりないじゃないか、考え方として。それを聞いているのです。はっきりしなさいよ。
  307. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 先ほどから、興味がないと言ったのは取り消しいたします。言ったと思わなかったのでありますが……。好ましいとも、これは思いません。好ましからずというのは、ケース・バイ・ケースの場合もありますので、この点はもう少し考慮してあとからまたお答えいたします。
  308. 寺前巖

    寺前委員 どの点がおかしいのだというのです、あなた、はっきり言えないのは。ちゃんと結論が出ているじゃないか。日本共産党云々ということで、それで書かすというのは好ましくないと出たのだ。そうすると今度は、向こうが日本共産党と書かなかっただけで、本人に書かすというふうに変わっただけなんだ。向こうが初めから日本共産党という場合だけをチェックするようになっておったやり方を、本人に書けというのでしょう。中身は同じことだ。ことばの表現の違いがあっただけで、本人に書かすか、向こうが書いてマルをつけるかどうかの違いだけじゃないですか。それじゃちっとも事実上変化がないじゃないか。こんなわかり切った話は、あなた時間だけを過ごしていくという態度は許されない。私は、これだったら、この話は一切の審議に影響すると思いますよ。そんないいかげんなことでやられたら、たまったものじゃない。一昨年の暮れの審議で明確に出て、質問主意書でも明確に内閣総理大臣から出た。その問題をそんなことで済まそうと思っているのかな。そんなばかな話はないですよ。さっきから何をやっているのか、ほんまのところ。私はもう質問を留保さしてもらいますよ。次回にもう一回駐留軍関係の問題を質問させてもらうことで留保さしてもらいます。まだ一ぱいある。同じことの繰り返しだから……。委員長きょうは私これで留保して、あと質問を打ち切りたいと思います。こんなことで、かないません。
  309. 田川誠一

    田川委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  310. 田川誠一

    田川委員長 速記を始めてください。  労働大臣から発言を求められていますので、許します。労働大臣。
  311. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 次回の委員会までに政府部内の見解をまとめまして、お答え申し上げます。
  312. 寺前巖

    寺前委員 それじゃ、また、それは次回にしましょう。  次に私は基地内の、今度は労働者の取り扱いの問題についてお聞きしたいと思うのです。  いまここで私が言うまでもないことですが、在沖繩の米陸軍のメープルズ司令官が先月、二月ですか、屋良知事に全軍労問題について通告をしてきているようですね。基地内における集会やデモ、はち巻き闘争が米軍規則によって禁止されておって、したがって、指導者は基本労務契約に照らして解雇を含む最高の罰則が科せられるというような、そういうような内容の通告を出してきているようですね。ちょっと、どういう通告なのか、通告の内容について施設庁、聞かしてください。
  313. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 私ども沖繩県庁から聞いておりますことは、米軍施設の中で過激なデモ行動等は避けてほしい、そういう指導をしてほしいという申し入れがあったというふうに承知しております。
  314. 寺前巖

    寺前委員 そういう簡単なもんですか。もっとこまかくきちっと出てきてないのですか。
  315. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 その程度でございます。
  316. 寺前巖

    寺前委員 新聞ではかなり項目別にいろいろなことを書いているようですが、それでは施設庁は知らないのですね。労働省は知っているのですか。この問題について知っているんだったら、労働省から聞かせてもらいましょう。
  317. 岸良明

    ○岸説明員 そういう事実のあったことにつきましては、承知をいたしておりません。
  318. 寺前巖

    寺前委員 知らない、これは事実。先月の二十四日ですか、県知事に在沖米陸軍のメープルズ司令官がやってきて、そうして屋良知事に要請した。その内容はいろいろ書いてある。「法的雇用者として、基地労務者が定められた方針、行動基準を理解し、それに従う事を確認する責任をわかち合うべきである。禁止された行動に参加し、賃金カットされたり、解雇になるよりは、基本労務契約による苦情処理方式を利用することを(県が)勧めるべきである。」あるいは「基地内での組合集会、デモ指導者は基本労務契約の規定で解雇を含む最高の刑罰が果される。」いろいろこういうことが新聞に報道されているんだけれども労働省は知らない。そっちは簡単なことしか知らない。この問題はその程度ですか。
  319. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 いまお読み上げになりました新聞は、確かに読んでおります。それで、その当時、ちょうど沖繩施設の中で何かデモを含むような労働者のストライキと申しますか、そういうものがあるような状況がございました。それでそういうことを県知事に依頼に来たということを、県のほうから聞いております。いまの集会その他、米軍施設の中では、組合の活動としての集会等は業務命令として禁止しておるのでよろしく、そういうことを伝えたそうでございます。
  320. 寺前巖

    寺前委員 そうすると、これは新聞報道は誤りですか。防衛施設庁も当日県に対しほとんど同じ趣旨の申し入れを行なった、新聞報道間違いですな。
  321. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 私どものほうから沖繩県庁のほうに依頼いたしましたのは、米軍施設の中でそういう過激なデモ行動とか集会とかを勤務時間中にすることはなるべく避けてもらったほうがいい。ストライキ等は許されておるといいますか、労働契約上何ら違反はしませんで基地外で、勤務時間外になさるように指導していただきたい、そういうことは申し上げました。
  322. 寺前巖

    寺前委員 だんだん話を聞いてみると、だんだん出てくるな。これはどうなっておるか。初めは簡単なことを言っておって、だんだんちょぼちょぼふえていくじゃないか。労働者も関知してないと言ったけれども、これは、駐留軍の問題をいま法案を審議するんだけれども、内部の労働者がいまどうなっているのか知らないで、あとあとどうするかということはわかるのですか。心配になってきた。局長どうです。ほんとにそんなことは知りませんというようなさっき話だったが、あなた方はそういうこと全然知らないのか。局長に聞いておるんです、局長こういうこと知らなかったのか。
  323. 道正邦彦

    ○道正政府委員 私は職業安定局長でございますので、職業安定の問題につきましてはかなり調べたつもりでございます。法案に関連していろいろ先生からも御質問があろうかということで、わが守備範囲に関する限りは詳細に調べてございますが、公の席でございますので、労使関係につきましては各担当の責任者から御答弁申し上げるのが筋ではないかというふうに思います。
  324. 岸良明

    ○岸説明員 ただいまのお尋ねの件、米軍のほうから屋良知事のほうに何か指示があったのではないか、その内容について承知をしておるかということでございましたので、それは私は存じない、そういうふうに申したわけでございます。ただ昨年の七月からあるいは九月、それからことしの初めにかけまして、沖繩基地におきましていわゆるはち巻き闘争ということで問題が起きておるということは、当然私ども承知をいたしております。
  325. 寺前巖

    寺前委員 私が言っているのは違う。闘争があったかと言っているのではない。申し入れがあった、その申し入れの内容について労働省は知っているかと聞いたのです。それは知らぬというのだろう。あなたは知らぬと言うし、こっちの局長は所管じゃないけれども私はいろいろ調べていますが、公の席ではどうも言えない、これは担当者の方からということを言うている、おかしな話だね、労働大臣。  それで私はちょっと聞きたいのだけれども、前段の話じゃないことで聞きたいのですが、はち巻きをしたり、リボンをしたりするのは日本の国内——沖繩はいま日本の国内だが、それは常識になっているのだ。はち巻きをしたりするのが何でいかぬのだろうかということをちょっと聞きたい。労働大臣、どう思いますか。
  326. 岸良明

    ○岸説明員 少し問題がこまかい問題にわたりますので、私からお答えさせていただきます。  これは御承知のとおり、基地内に働く労務者につきましても、いわゆる地位協定におきまして日本の労働法が大体適用になるわけでございます。そこで問題は、そういうようなはち巻き闘争についていろいろと米軍との間でトラブルが起きたということを私どもは聞いておりますけれども、御承知のとおり、一般的に通常の企業におきましては、こういうようなワッペンをつけるとか、はち巻きをつけるとかいうことは、もう全部許されているという先生の御指摘でございますけれども、やはり職業でありますとか、またそのときの職場の環境あるいはワッぺンの内容とかあるいははち巻きの着用の状態、いろいろな面を考えまして、場合によりましてはそれを禁止するということがあり得るわけでございます。問題は、はたして沖繩の問題についてどういうふうに判断すべきかということでございますけれども、具体的な問題については、当然これはしかるべき権限のあるところで判断をしなければならないと思いますけれども一般的に申しまして、基地の場合でございますけれども一般の企業よりはやはり基地管理権という観点からいいまして、いろいろ制約があり得るだろうということは考えるわけでございます。しかし、ただ沖繩に起きましたこの問題につきまして、はち巻きを着用したということだけで賃金カットが起きたというようなことを私どもは聞いておりますけれども、そういう点については若干問題が残されている、こういうふうに考えております。
  327. 寺前巖

    寺前委員 はち巻きをしただけで解雇されたり処分される、それを県知事に通告までしてくるということになると、これはだいぶ性格が変わってきていると私は思うのですよ。日本の企業の中において、はち巻きをして処分をするという問題はありましたよ。裁判にかかった問題もありました。裁判では勝ったという事例も、この前名古屋に出てくるというふうなことが起こっている。現にそういうことはもう常識化しつつあるのです。ところが基地の中ではち巻きをしたからといって、これはけしからぬ、県知事にそのことを通告してくる。これと同じ時期に、過激にならぬようにということで、またわざわざ施設庁が県知事のところに問題を投げ出していく、中身は違うというのか知らないが。けれども問題は、いまそういう問題が起こっていて、いまおっしゃったように、あれで処分をするというのはどうかと思うという発言もあったように、そういうような基地における労働者の取り扱い方に明らかに問題が生まれてきているというふうに思ったら、これは労働大臣、あなたどう思いますか。基本的には基地内の労働者については、日本の労働法が生きるのでしょう。日本の労働法が生きるという立場に立ったら、労働大臣は関係官庁と打ち合わせをして、こういうメープルズが申し入れてきた一連の事実、これに対して労働大臣として日本の労働者を日本の労働法に基づいて守る意味からも、あり方について一言申し入れてしかるべしだと私は思うんだけれども労働大臣の見解を聞きたい。
  328. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 これは基地内にも日本の労働者として労働省の方針が浸透するのは当然でありますから、施設庁なりその他関係省庁と協議いたしまして、御趣旨の方向でこれは考えます。
  329. 寺前巖

    寺前委員 この問題はどういうふうに生かすのか見るということにして、次の質問に移りたいと思います。  今度は直接職安局長関係するのかしらぬけれども、向こうに旧四種がありましたな。四種の労働者といわれていますね。この四種の労働者というのは、昔は一種か二種になっておったと思うんだが、それがいつの間にやら四種という形になってきた。ところが、あの四種の中身を見ると単純な口入れというのですか、職業紹介だけをして、ぽっとほうり込んでいる。たとえば食堂の場合なんか明らかに、全く向こうに施設があるんだから、労務提供事業や、職安法で禁止されている内容のことがこれは行なわれているんだろうと思う。これは調査されたことがありますか。どういうことになっていますか。
  330. 道正邦彦

    ○道正政府委員 御指摘のように、いわゆる第四種の形態で請負業者基地内で雇用されているという労働者があることは御指摘のとおりでございまして、また第四種労働者につきまして職安法四十四条と申しますか、労基法の問題があることも御指摘のとおりでございます。私どもといたしましては、いやしくも本土復帰になりました以上は法律違反の事実があってはならないということで、県を通じましていろいろ調査等を進めておったのでございますけれども、隔靴掻痒と申しますか、実態が必ずしもはっきりいたしませんので、先般本省の専門家が約十日間にわたりまして詳細に調査をいたしました。メスホールであるとかあるいは清掃関係、航空機の整備であるとか、あるいは港湾荷役等、関係の事業場の調査あるいは軍関係の契約の事務所の関係者等々に当たりまして調査をいたしました。現在その調査をまとめておるところでございますが、御指摘のようにいメスホール等におきましては法律違反の疑いもございますので、調査結果をまとめまして、もし明らかに法律違反の事実が認められますならば、関係省庁と連絡もとりながら是正に全力をあげる考えでございます。
  331. 寺前巖

    寺前委員 大体、これらの諸君たちを復帰時点にどうするつもりだったのです。何人おって、これをこういうふうにするべしであったんだ、それがこうなっておるんだということについて聞かしてください。
  332. 道正邦彦

    ○道正政府委員 いわゆる第四種労働者は約八千名おります。本土におきましても請負形式で就労している者がおりまして、請負形式のものがすべて違法であるというわけでは必ずしもないわけでございます。問題は違法な形であっては困るということでございまして、法律違反の請負契約は是正しなければいかぬということで、調査をして必要な措置を講じたいということで臨んでおるわけでございます。
  333. 寺前巖

    寺前委員 いや、その四種の人を復帰時点のときに、いまの形態で、ああいう形で残すというのが方針だったのですか。それやったら私はあまりにもずさんだなと思う。そうでしょう。現にあの後も引き続いていまの形態の職安法違反の疑いのあるやり方が当時行なわれているんだから、それがわかっていて復帰時点でそのまま残しているんだから、そうだったら復帰のときの処置上の責任があると私は思うのですよ。しかしあのときには、それは間接雇用に切りかえるべしだったけれどもそれができていないというのだったら、それはまたそれとして話は別。一体どういう方針だったんだ。
  334. 道正邦彦

    ○道正政府委員 復帰直後、いわゆる沖繩県が発足いたしまして労働主管部もできたわけでございます。第四種についていろいろ問題があることは私ども承知し、県当局におきましても承知いたしておったわけでございますが、調査等が必ずしも迅速あるいは的確にいままで進んでいなかった点につきましてはおわびしなければならないと思いまするけれども、第四種を全部間接雇用に切りかえなければいかぬということが一がいにいえるかどうか。これは必ずしも断定できないんじゃないかと思います。私どもとして最低限措置しなければならないことは、復帰に伴いまして違法状態が残るということではまことに申しわけないということでございます。非常におくれましたけれども、詳細な調査をいたしてまいっておりますので、この調査の結果によりまして措置をしたいというふうに考えております。
  335. 寺前巖

    寺前委員 私はこれは政府の責任が大きいと思いますよ。違法状態が残るというのはだれが見たってわかっておったんだから、この八千人の諸君たちに対してこういうふうにして、雇用形態はこういうふうにするんだ、これをはっきりあのときに出さなかったということが問題だ。だからそれについて、すぐに責任をもって明らかにしてもらいたいと私は思います。同時にこの諸君たちは、一体復帰時点から以後どれだけ離職しておるのか。この諸君たちの離職に対してどのような措置をとっておるのか。これはやはり、駐留軍労務者の問題を論議する場合に明らかにしておかなければならぬ一つの問題だ。聞きたいと思います。
  336. 道正邦彦

    ○道正政府委員 第四種の離職状況につきましては後刻数字を申し上げますが、離職者対策につきましては、第一種、第二種、いわゆる間接雇用に移行したものにつきましては、先生御承知のように、本土の従来の駐留軍関係離職者等臨時措置法が適用になりますが、残余のものにつきましては沖繩特別措置法の中に特例法がございまして、ほほ駐留軍関係離職者と同じような援護措置が講ぜられることになっておることは、御承知のとおりでございます。したがって駐留軍離職者臨時措置法ではございませんけれども、別途の法律によりましてほぼ同じような援護措置が受けられるということになっております。  数字につきましては、復帰後現在まで三百五十余名が離職いたしております。離職に伴いまして沖繩手帳というのを発給いたしております。
  337. 寺前巖

    寺前委員 ほほ同じだということは、違うところがあるということでしょう。どこが違いますか。
  338. 道正邦彦

    ○道正政府委員 これは私がお答え申し上げるよりは、施設庁のほうからお答えいただいたほうがいいかと思いますが、特別給付金等が違うわけでございます。
  339. 寺前巖

    寺前委員 そこで、その特別給付金も同じようにしてやらなければ、この諸君たちは基地労務者としての機能の一翼におったんだからおかしいではないか。だから駐留軍の離職者対策と全く同じような扱いを検討すべきではないかと思うんだけれども、これについてどういうふうに考えているのですか。
  340. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 私どものほうとしましては、施設庁の責任は、米軍のほうの労働需要があるもの、諸機関労働需要があるもの、そういうものを日本国政府の援助のもとに満たす、その範囲で私どもの仕事がございます。したがいまして、沖繩米軍なり諸機関で直接雇用していたものを間接雇用に切りかえたわけでございます。それで、いまの駐留軍等臨時措置法の対象として私どもが預かっておりますのは間接雇用のものでございまして、それに対して臨時措置法第十五条によりまして特別給付金を支給しております。
  341. 寺前巖

    寺前委員 だからそれはほぼ同じだ。違うところは特別給付金だといまお答えになった。さきの局長さんのお話にも、全部が全部間接雇用かどうかは別として、検討は要りますという話があったように、旧四種の人たちに対して駐留軍労務者と全く同じように措置するというのが妥当ではないのか、そのことを検討しなくてもいいのかということを私は聞いているのです。施設庁のほうは事務的答弁だから、駐留軍労務者の法律を出しているのは労働省なのだから、労働省としてどうですと聞いているのです。
  342. 道正邦彦

    ○道正政府委員 法律の中に特別給付金の規定がございますけれども、この所管は防衛施設庁になっておるわけでございます。
  343. 寺前巖

    寺前委員 そうだったら、施設庁、どうですか。
  344. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 先ほど申し上げましたように、特別給付金の支給に関しては施設庁でやっております。やっておりますが、その特別給付金の根拠規定からいたしまして、間接雇用の従業員だけが対象になっておるわけでございます。
  345. 寺前巖

    寺前委員 答弁にならないんですよ。だから、何でやらないのか。四種についても、たとえば食堂だったら食堂というのは基地機能の一つのあり方なんだ。基地がいいか悪いかという論議をしているんじゃないんですよ。そこの労務者にも同じようなことを考えたらどうや。間接雇用の諸君たちに対してはいまそういう措置をしているけれども、ここの問題についてはどうや——これまた質問にならぬ。いまから相談したってどうにもならぬ。もう次回や。留保。答弁にならないじゃないか。
  346. 道正邦彦

    ○道正政府委員 いま相談いたしましたのは、先生の質問を受けて、確認的に事実関係を確かめたわけでございます。  おっしゃるように、同じ基地内で働いておる労働者に対して取り扱いが違うのは好ましくないことは、先生御指摘のとおりでございます。私ども、第四種の取り扱いにつきましては実は苦慮をいたしておりますが、離職の発生状況等の推移を今後も見まして、可能な限り取り扱いにそごがないように、今後の努力目標として努力をしたいと思います。
  347. 寺前巖

    寺前委員 ちょうどいまこの法案を審議しているときだから問題を提起して聞いておるので、緊急にひとつ相談してください。これは要望しておきます。  最後に、これは間接雇用なんだから、政府が責任ある問題として……。軍雇用の労働者に連続十カ月の賃金のおくれが出ているんだね。十日に支払いを約束していながら、復帰後十カ月にわたって、まともに十日の日に支給していない。労働基準法から見て、これを十カ月もやっているということは、私は事は重大な問題だと思うのですよ。これは十カ月も続いている。そしてついに、軍警労というのですか、ガードマンの組織が告訴をするというところまでいった。私は当然だろうと思う。これは一体どういうことになっていたのか、それから一体どういうふうに緊急に処置をしようと思うのか、責任ある態度を聞かしていただきたい。これは担当は施設庁ですか、基準局長のところですか、どっちなんですか。まず、事実問題を施設庁から聞きたいと思います。
  348. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 お答えします。  沖繩の復帰前米国の直接雇用であったものを間接雇用に切りかえたことは先ほど申し上げましたがあったことは事実でございます。それで、それに伴って復帰直後に若干の混乱があったことは、遺憾でございますが事実でございます。それに関しまして、いま先生おっしゃいましたような給与の支払いの問題につきまして、最初の時期にはいろいろ準備措置——日米関係用語でございますが、準備措置が十分でなかった面等がございましておくれました。それで、これを改善するために、沖繩県庁を中心にいたしまして総力をあげて努力しているところでございます。  最初、たとえば扶養手当等の認定書類等いろいろ問題がございまして、暫定払いが最初の間八月ごろまでございましたのですが、それに対する精算を十二月までに終わりまして、一月からだんだんと軌道に乗ってまいりました。ただ、本土の駐留軍労働者の給与支払い日に比べますと——大体本土は標準十日でございます。手当等を支給します特別な月、それから地域の実情によって支給日を変える場合がございますが、大体十日が標準になっております。それに対して沖繩の場合、現状は残念ながら十二日、十三日、十四日というようなことがございます。それで、それを何とか本土並みにしないといけないということで、関係米軍のほうから間違いのないデータをすみやかに県の渉外労務管理事務所のほうに出させること、それから県庁の中で必要な事務の改善があれば改善して、それをコンピューターに送り込むこと、それからコンピューター関係の会社並びに銀行も十分留意することということで、ただいまも検討委員会と申しますか、そういったものを現地で設けておりまして、早急にこれを解消するべく努力をいたしております。私ども施設庁といたしましても、この問題は非常に大事だと思いまして、昨年並びに今年にかけまして本庁から延べ五百人くらい、それからほかの府県の練達の事務担当者も同じく相当な人数が行って応援をしておるわけでございます。
  349. 渡邊健二

    ○渡邊(健)政府委員 ただいま調達庁からもお話がございましたように、本土の駐留軍労務者は毎月十日に賃金が支払われておるわけでございますが、沖繩の駐留軍労務者につきましては、復帰後現在まで毎月、これは月によって何日おくれるかは区々でございますけれども、若干おくれが続いておるわけでございます。このことにつきましては、現地沖繩労働基準局といたしまして、県の渉外労務担当部局に対しまして、その改善方を繰り返し要請し、指導してきたところでございますが、残念ながらいままで改善がなされておらないのが事実でございます。  なお、ただいま御指摘がございましたように、三月十九日には軍警労という組合から、これが基準法二十四条違反ではないかという告発が出されておりますので、現地の基準局はただいまその告発につきまして捜査をいたしておるところでございます。
  350. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 これこそ好ましからざるものである。これは私聞きまして、やはり事務の関係が遅滞している、金がないということでないとは思いますから、これはもう二十四条の違反濃厚でもありますし、私のほうからも厳重に関係各方面へ通達し、ことによったら現地に人を派遣いたしまして、好ましからざる問題は至急解決するように努力します。
  351. 寺前巖

    寺前委員 ちょっと念を押して悪いようですけれども、新聞によると、労務部長さんですか、大みえを切って、三月十日は責任をもって払うような御発言を記事で読みました。だから、私だめを押すようで悪いけれども、次回には明確に約束どおり支払うということを何としてもつくり上げますな。あなたも人を派遣してでもやるという決意だけれども、それは明確にしておいてもらいたい。何が何であろうと、そこまで責任を持つのだ、それが一つ。  それから、原因は目下関係委員会を開いてやっているという施設庁お話でした。その中でどういう点をいまお調べにならなければならないと考えておられるのか、問題点は何だったのだ。長期にわたって、十カ月も起こっているのだから、いまだにわからぬということでは責任は済まぬ。だから、その問題点はここにあるので、いまのところこういうふうに見当をつけている、さらに検討するというのだったら検討してもらってもいいけれども、十カ月もたっているのだから、はっきり言ってもらいたい。
  352. 高松敬治

    高松政府委員 いまほどの問題につきましては、沖繩本土復帰直後からおくれが出てまいりました。去年の七、八月ぐらいに、この問題は非常に重要な問題だ、とにかくこれがおくれたのでは話にならぬということで、何とかこれを是正しようということで相当力を入れてやってまいりました。初めは、復帰直前の長い期間にわたるストライキがございました。それでいろいろな資料が手に入るというか、移るのがおくれてこういうふうになったのだというふうなことを申しておったのですけれども、日がたつにつれて、問題はそういうことだけではない。先ほどもいろいろ御説明をいたしておりましたが、私自身の感じからいいますと、これだけ長い期間に、私のほうからもかなり長期にわたって専門の係官を派遣して、何が一番の原因であるか、それさえわかれば、そこを直せば問題は解決するわけでありますから、その点の究明をずいぶんやらせました。それから沖繩県の労管その他で人手が足りないという問題につきましては、本土の各府県からそれぞれ給与担当者を、神奈川県はじめ延べ五百人ばかりのものをそれぞれ派遣して応援させるということもやりました。コンピューターの問題にしましても、神奈川県その他内地府県ではそろばんをもってやっておる。沖繩は特にコンピューターを入れてやっていて、しかもなおおくれるというふうなことであります。沖繩県にしましても、沖繩米軍にしましても、確かに初めての間接雇用という経験で、問題がいろいろ出て、ふなれであるというふうな点もあったかと思いましたけれども、それにしても、確かに長過ぎると思います。何とかこれをやりたいということで、この間も、とにかくこれが制度に乗るまでは帰ってくるなということで、係を沖繩に派遣したものもございます。労務部長は辞職をすると申しまして、私のところへ進退伺いを先般出してまいりました。それくらいで、私自身としても、これは労務部長の責任と申しますより、むしろ私の責任であろうと思いますけれども、何とかしてこれを早く解決したい。少なくとも三月までには何とか解決したいというのが、私どもここ半年ばかりそればかりを言っておったのですけれども、残念ながらまだ十三日か十四日かというのが現在の状態でございます。これを何とか早く進めてやるために、今度は労管と米軍、それからコンピューターの会社、それから銀行、これも銀行の札を数えるのがおそいのでどうしても日にちがかかるというような妙な説もありまして、そういうことではおかしいということで、そういうものまで含めまして、今度は実際の一つ一つの手続の検討から始まっていって、どこに一体欠陥があるのかということを、現在鋭意やらしているところでございます。もう十カ月もたったのだから欠陥がどこにあるかわかるだろうという御指摘は、たいへんごもっともだと思います。私自身も、なぜわからぬのかと思います。ただ、そこに何かちょっと理屈の上で割り切れないような問題が残っておりまして、それがおくれの一つの原因になっているような感じもいたしておるわけであります。あるいはいろいろなことの複合的なものがその原因になっておるかもしれません。しかし、いずれにいたしましてもようやく十四日あるいは十三日というところまでこぎつけてまいりました。これからそういうことでもっと努力をしたいと思います。私どもとして決してこの問題をなおざりにしているのではない。むしろ私自身としてはこの問題が沖繩におけるいろいろな労働問題の一番——こんな初歩的なことが片づかなければ、あとは推して知るべしである、これだけは少なくともぜひ片づけたい、こういう気持ちで一生懸命に督励をし、やらしているというのが実情でございます。何が原因かというお尋ねに答えられないのが、私自身としてもほんとうに残念でございますけれども、偽らざるところでございます。
  353. 寺前巖

    寺前委員 そうすると、四月になったってあかんということか。そういうことになってしまうじゃないか。
  354. 高松敬治

    高松政府委員 一日かそこらの日数は詰まるかもしれませんが、本土並みに、大体の府県でやっているように十日という日にちは、四月はまだできないかもしれません。
  355. 寺前巖

    寺前委員 そうしたら、沖繩はそうでなくても事実上ドル建て地域の生活をみんなやっているわけですね。条件は本土とだいぶ違うようですね。だから、あたたかく迎えましょうといって、だれか知らぬけれどもスローガンを出して宣伝してきたけれども、実際には基地を離れていく労働者というのは、就職だって本土とは違う条件下にある。中に働いている人もそういう条件下にある。しかも、基地の中で、さっきからの憲法上の問題、労働三権上の扱い方の問題がこうなっている。私はこれでは沖繩人たちはほんとうにおこると思いますよ、大臣。私は、さっき大臣の御答弁があったけれども、ほんとうに次回のときに、あの思想調査の問題に対する御答弁をいただくことになったから、どういうふうに出られるか、待っていますよ。それから今度は基地の中の労働者労働基本権の問題のあり方については、積極的に解決する方向を言われた。これについても積極的に、次回には責任を持つ体制を何が何でもつくり上げる、これを大臣としてひとつ責任をもってやってもらいたい。また片一方、告発されているのは、確かに疑いがあるということを基準局長も言っておられるのだから、疑いがあるけれどもどうにもなりませんと居直られておった日には、国民はたまったものではない。これは私は大臣に責任あると思いますよ。大臣、だから何としても解決しますな。最後にお聞きして終わりたいと思います。
  356. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 賃金の遅延の問題は、先ほどもお答えしたとおり至急厳重に対処いたしたい、これはもう間違いありません。
  357. 渡邊健二

    ○渡邊(健)政府委員 先ほど調達庁と申しましたのは誤りでございまして、防衛施設庁に訂正をいたします。
  358. 田川誠一

    田川委員長 次回は明後二十九日木曜日、午前十時理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後六時二十分散会