○
赤羽参考人 私に与えられました課題は、
東京都の
地震対策というふうなことでございます。課題の性質からいたしまして、
意見ということよりも
東京都の
対策の現状を
お話し申し上げまして、皆さま方の御批判をいただき、これを今後の
対策に反映させてまいりたい、このように
考えておるわけでございます。
実際には、
対策はこれから申し上げますが、
計画の
段階で、これを具体化していく際にはいろいろと法制化等の問題が出てまいると思いますので、今後におきましても皆さま方の御協力をお願いしたい、このように
考えておるわけでございます。
東京都の
震災対策でございますが、
東京都は、最近新聞で御案内のとおりに
計画を発表したわけでございますけれども、いままでなかったというわけではございませんでして、もちろん御案内のとおりに、
災害対策基本法に基づくところの地域
防災計画によりまして従来対処してまいったところでございます。しかし、この従来の地域
防災計画につきましては、
東京都でつくってまいったものについては、特に身近な問題といたしまして、
東京は風
水害が非常に多く、ここのところ数年はございませんけれども、多かったわけでございます。そうしたことから風
水害対策に非常に片寄っておる。それからまた、
応急復旧
対策に
重点が置かれ過ぎているのではないか、こういったような批判が監査の指摘あるいは
東京都議会で問題になりまして、これを契機にいたしまして、昭和四十六年以降地域
防災計画は、これを風
水害編とそれから
震災編とに分離することが適当であるというようなことが地域
防災会議で決定をいたしました。これを受けまして昭和四十六年の十月には、すでに御案内と思いますが、
東京都
震災予防条例を制定いたしまして、体系的な
対策と責任
分担を明らかにしたわけでございます。
この条例の第二条に基づきまして、知事は
震災予防
計画を作成することになっておるわけでございますが、この八月十四日に
東京都
震災予防
計画を策定いたしまして発表した次第でございます。
この予防
計画は、地域
防災会議の構成員としての
東京都の権限の及ぶ
範囲が主体になっておるわけでございます。したがいまして地域
防災会議の他の構成員、これは国の機関とかあるいは市町村あるいは電気、
ガス等の企業体、こういったようなところの
関係につきましては、これは実は
東京都の今度の予防
計画の中には抽象的な形でしか入ってございません。こういったようなことから、そういった予防
計画につきましては、これは構成員自体におきまして
計画を作成していたがく、そうして構成員相互の
計画を調整して
東京都地域
防災計画震災編が完成される、こういうふうなことになるわけでございますが、大体
震災編の完成の予定はこの十月末ないし十一月を予定しておるわけでございます。
したがいまして、これから
お話しする
東京都の
震災対策は、
東京都
震災予防
計画の説明というふうなことになろうかと思うわけでございます。この
震災予防
計画は、本文が二部十二編二十三章五十七節、半紙大で三一四ページにわたるようなものでございます。お手元に概要をお配りしてあると思いますけれども、この概要によりまして、
考え方を主にしましてかいつまんで御説明をいたしたい、このように
考える次第でございます。
それで、まずこの概要の最初の「目次」をおあけいただきたいと思うのですが、これは項目で七項目にわたってございますけれども、「I」から「IV」までの間がこれが
計画の大体前提をなすものでございまして、「V」以下「VI」までが
計画の内容というふうになってございます。
最初に順序といたしまして一ページをおあけいただきたいと思いますが、すでにわかり過ぎておることでございますけれども、
震災予防
計画策定の趣旨でございますが、これは
震災は人災である、したがって、
人間の力でこれを取り除くことができないはずはない。われわれは、
震災に対するこの基本的
考え方に立ち、
災害から人命と財産を守るため、英知と勇気と技術を結集し、都民とともに、
東京都がなしうる
震災予防に関する
対策についての決意と行動を示す指標として、この
計画を策定する。それから
震災対策の基本的あり方でございますが、これは先ほど
高山先生もおっしゃいましたけれども、この
計画は、第一に、
震災対策こそ各種
災害対策の基本となるべきものであること、第二に、現在の
災害対策基本法、あるいは従来の
災害対策及び
防災計画が
災害の予防面よりも、むしろ
災害発生後の
応急復旧面に
重点が置かれているので、予防
対策こそ
震災対策の中心であることを基礎として
計画を作成しなければならない。こういうふうになっております。
それから次に二ページでございますが、ここでは理念等についてでございますが、理念は、わかり切ったことでございますけれども、
震災から人命を完全に守り、財産を保護する。この理念に対しましての基本目標といたしましては、
東京を
防災都市にすることによって、
震災を未然に防止したい。この
防災都市を達成するためには次の三にございますように七つの具体的課題、これにこたえることが必要ではないかというふうなことでございます。
三ページをちょっとおあけいただきたいと思うのですが、ここのところで
防災都市でございますけれども、これは先ほど来の
お話にもございましたけれども、この
防災都市というのはどういうことをいうのかといえば、そこのまん中辺でございますけれども、理念を達するための基本目標としての
防災都市、これは単に鉄とコンクリートの
都市ということではなくして、一方において
災害に強い
都市構造を持つ
都市であるとともに、そこに住む市民が、これは
災害に強い市民というような二つの要素の結合において初めて
防災都市はつくられるんだ、こういうことでございます。
この目標を達するために七つの課題、これにこたえていく必要がある。その
一つは
震災に関する調査
研究でございますが、
震災に関する
関係につきましては、先ほど来から
お話がございましたように非常に未知な要素がたくさんにあるわけでございます。こういうふうな点につきましては科学的な調査
研究を基礎にして構成されなければならない。こういう
意味におきまして絶えざる調査
研究が必要である。
それから、そうした調査
研究を基礎にいたしましてまず
防災都市づくりが必要である。ここでは狭義の
防災都市をいっておるわけでございますが、これは後刻御説明申し上げますけれども、そこでの地域
危険度の測定を基礎にいたしまして、その
危険度に合った
防災都市をつくっていく。地域
危険度というのは、結局何がどこでどれだけ危険があるか、こういったようなことを明らかにすることで、その危険をなくすことによって初めてそれが
対策という
意味を持とうかと思いますけれども、このところでは面的な整備を
意味しておるわけでございます。それから次が破壊の防止でございますが、それは面の中の点としての各いろいろの
施設あるいは線としての河川、堤防、橋梁等、こういったような線の
関係の破壊の防止。
それから次には二次
災害として起こるところの
火災関係の防止でございまして、それでもなおかつ
火災が延焼をし、生命の危険があるときに、それに対して
避難するために
避難場所等の安全確保、それから
災害に対する
防災体制の整備、それから都民の協力、こういったような七つの課題に対してこたえていく必要があるのではないかということでございます。
ま
たちょっと二ページに返っていただきたいのですが、それでこの七つの課題にこたえていくように内容を構成していくというのが
計画の内容になっていくわけでございますけれども、実はこれをどういうふうにつくっていくかということでございます。これはつくられてみるとそんなものかということでございますが、どこからどのようにつくっていくかということは非常に未知の要素が多いものですから、実際につくる
段階になってくると非常にむずかしいわけでございます。先ほど申し上げましたように、
地震によってそれぞれの場所においてどういう危険が生ずるか、こういつたことが把握できれば、その危険をなくすようなことを
考えていけばそれでいいわけでございます。そういう
意味におきましては
計画の基本といいますか、そうしたもの、地域の
危険度、こういったようなものが把握されるということがまず第一番目に必要かと思います。またそれによって、うらはらの
関係になりますけれども、危険をそのままにしておけばどういう被害が起こるかというふうな被害想定がそこに生まれるわけでございます。そして、その地域
危険度を主体にしてできた
計画を具体化していく中でもって危険がなくなっていく、それに伴って被害が少なくなっていく、こういうふうなことが
計画の実施における効果として測定されてくるわけでございます。そういう
意味におきましても地域
危険度の測定、それに基づく被害想定、こういったようなことが
計画の一番基本になるわけでございます。
こういう点につきましては、いろいろと学者の方々に御協力をいただいてその完成に努力してまいったわけでございますけれども、現在のところではこの四十八年度で大体その調査結果が出てまいる、調査結果が出てきたものを複合あるいは
総合をすることによって、
一つの具体的な危険としてこれを把握していくという形になっていくには、四十九年度にならなければその
段階に至らないという状況が実はあるわけでございます。
その
危険度ができれば、そこの第二の
段階にございますように、それに基づいて、先ほど
高山先生もおっしゃっておられましたけれども、われわれもこの
危険度というのはどういう形に出るかいまのところはちょっとはっきりわからないわけでございますけれども、これは当然に
幾つかの
段階があるわけでございまして、かりにこれを十
段階に分けたといたしますならば、その一番危険の大きいところについては、たとえば
防災拠点の方式でこれを危険をなくしていく、それから非常に小さな危険等については、適当なオープンスペースの配置とかあるいは区画整理とか、そこでもっていろいろの手法ができてまいるかと思うわけでございますけれども、こういう面的な整備につきましては、この地域の
危険度が明らかになった際にこれを
住民に明らかにし、そして
住民の認識の上に立って
住民の参加といいますか、その中で、りの手法については行政がこれを提供するというふうな中で、面的な整備をはかっていったらいいのではないか、これを契機にして
都市づくりをしていきたいというようなことを実は
考えておるわけでございます。
しかしながら、いま申し上げましたように、大体四十九年度にならなければこの点は明らかにならないというふうなことで、この点についていますぐにやるというわけにいかない。しかしながら
地震はいつくるかわからない。しかしどっかに目標をつけながら、それに対して措置をしていかなければならない。
そこのところで一応時点的なものを明らかにした点では、故河魚博士の六十九年説からいきますと正確には五十四年になるかと思いますが、一応五十三年、五十四年、こういうふうなところを指向いたしまして、とりあえず五十二年までにできるだけのことを整備していきたいというふうなことを
考えたわけでございます。そうしますと、地域
危険度ができてからそれをやるということになったのでは、その年数が三年あるいは二年といったようなきわめて短時日の間しかない。そうしますと、われわれといたしましてはこの五カ年の間にまあ地域
危険度がどう出ようとも、当然にやらなければならないということは
考えられるわけでございまして、そういうふうな面についてはできるだけの整備を当然していかなければならないのではないか。そういうふうな点で、第一の
段階、四十八年度から五十二年度までを一応想定いたしまして、その間におけるところの暫定的な
計画かもしれませんけれども、そういうところに一応
考えを置きまして、そうして今回の予防
計画をつくったわけでございます。
したがいまして、その内容といたしましては、そこにございますように、現在までのところは、先ほどもちょっとございましたけれども、縦割りでいろいろ、たとえば
建設局におきましては橋梁とか護岸とか、そういったような
関係についてその整備をしている。それから港湾局のほうについては、海に面したところの護岸等の
関係をやるというふうな形のことをやっておったり、いろいろそれぞれの局あるいは庁でもってやっておるわけでございますけれども、これを
震災というふうな
観点から
総合化、体系化をはかっていく。それから当面は、特に破壊の防止と
火災等の防止に
重点を置いて、その中では当然やらなければならない点ででき得ることが多々あるわけでございますが、そういう点に
重点を置いて、そして
計画を作成していく、こういうふうなことを
考えておるわけでございます。
次に四ページをおあけ願いたいと思うのですが、この四ページにございますのは
計画を作成するにあたっての指針の概要でございますが、これは
計画の前提をなすものでございます。
一つは、
計画の前提といたしまして、時刻は冬の夕食時、風速八メートル毎秒、規模は
関東大震災級、マグニチュード七・九、震度六。
それから
計画の対象でございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、地域
危険度が出ておりますればそれを計量的に把握することができるわけでございますけれども、現在の
段階ではそれを計量的に把握できないというふうな点から、
災害の態様を想定いたしまして、それを対象として、そして
災害の発生を未然に防止するという
施策の
計画化をはかったわけでございます。
五ページをおあけ願いたいと思いますが、そこに
災害の態様と
災害発生要因とがございますが、まん中のところが
地震災害のメカニズムを表示してございます。これはごらんのとおりで、
地震発生から、いわゆる
構造物変動から
建物等の破壊、それから水あるいは火の
災害が起きてくる。また一方、人的な点ではパニックの
状態等が起きてくるという
地震災害のメカニズムがございますが、こうしたようなメカニズム自体の起きてくる要因あるいは条件がその右のほうに羅列してございます。これに対する
対策が左のほうにあるというようなことでございます。これで一応
地震災害の流れ、それから要因、条件、どういうところに指向すればいいかということがおわかりと思うわけでございます。
またもとに返りまして四ページの
計画の作成方針でございますが、先ほどとダブるような形になるかもしれませんが、一応ここのところでは、作成の方針といたしましては、五十二年度までに必要な最小限度の
施策をすべて盛り込む。
施策の
重点は次のとおり。
一つは行政側のあり方。公共
施設の耐震性の強化。要するに行政が現在管理しておる
関係のものについては、これは他にいろいろと協議をしたりとか、そういったようなこと等がわずらわしい形がないわけのものであり、当然みずからやろうと思えばできることでありますから、こういう点については、できるものは全部これまでを五カ年間にやる。現在では
道路一つつくるにしましても非常に長くかかる
関係のことでございますけれども、現在管理下のもの等につきましては、これはやろうと思えばできる
関係のものでございますので、これを五十二年度までに公共
施設の耐震性の強化をはかる。
それから二番目といたしましては、これは都民の協力を得る
関係のものでございますが、こうしたようなものとしましては
火災等の防止、それからやがて面的整備、これは面的整備の一部でございますが、
防災拠点の促進、それからまた面的整備の基盤をなすところのオープンスペースの確保等について力を尽くしていく、こういったようなことをその作成方針といたしました。
次の
計画の性格は、先ほど申しましたように、現在の
段階では暫定的な形でやらざるを得ないという
意味で暫定
計画。それからローリングシステムの採用といたしましては、これは現在の科学技術の進歩は御案内のとおりでございまして、明らかになってまいったものはそのときどきに実際の
計画の上に反映させていく。あるいはまた、今度の
計画につきまして各界各層のいろいろの御
意見等があろうかと思いますけれども、そうした御
意見等をいれながら、より充実したものにしていきたい、こういうふうな趣旨でございます。
計画の体系と内容でございますが、六ページをおあけいただきたいと思うわけでございます。その六ページのところに
計画の体系と内容がございますが、
震災の防止につきまして左側のほうにまず七項目ございまして、それに対しての内容的な点がまん中、それから右のほうが具体的な措置になってございますけれども、この体系自体は実は条例でもって規定しておる
関係のものでございます。それがすべてこの上でもって網羅されてあるわけでございます。この右のところでワクでくくってあるものがございますが、このワクでくくってあるものが今度の
計画の上でもって具体的に
計画化されておるところのものでございます。ワクに入っておらないところのものは経費を必要としない、たとえば危険区域の指定、こういったこと等のものとか、あるいは現在の
段階では調査中で把握ができないというていのもの等がそのワクでくくってない
関係のものでございまして、これは、今後その対象等が把握できた
段階において
計画に盛り込んでいきたい、こういうふうなていのものでございます。
それからもとの四ページに返りまして、この
計画の期間は、先ほど申し上げましたような四十八年から五十二年度までの五カ年の長期基本
計画とする。それからローリングシステムをとっていくというようなことでございます。
それから次に七ページをおあけ願いたいと思いますが、このところから
震災予防
計画の内容に入ってまいるわけでございます。
1の
計画の対象は、先ほど申し上げたようなことで、
災害の態様を想定して措置をしていったということでございます。
二番目が
計画の総括で、
事業費をそこに書いてあるわけでございますが、そこの表について御説明を申し上げますと、課題は先ほど申し上げましたような七つの課題があり、それに対して要する
事業費がそこに計上されておるわけでございます。
震災に関する調査
研究としては一億五千百万、そのうち四十八年度ですでに措置され、現在実施しているのが五千三百万、それから今後
あとの四年間においては九千八百万円、これはちょっと誤解を生むので申し上げますと、
震災に関する調査
研究が一億五千百万ということではございませんで、
あとの六つの項目がございますけれども、この六つの課題に付随している
関係の調査
研究につきましては、それぞれの課題の中に調査
研究が入っておりますので、調査
研究費が一億五千百万というわけではございません。その点誤解のないようにしていただきたいと思います。
そして総額はどのくらいになるのかというのが
総合計のところにございますが、一番下のカッコでくくってあるところをごらんいただきまして、一兆一千九百九十六億五千万円というのが総
事業費になってございます。このカッコでくくってあるのは、交付公債とかあるいは財政調整とかあるいは
災害救助基金等からの財源がそこの中に入っておるという
意味で、そこに内訳が出されているわけで、総額は約一兆二千億というふうなことになるわけでございます。
それで四十八年度におきましては、そのうち総額で一千七百七十一億余が計上され、現在実施に移されておるわけでございます。今後の分が一兆二百二十四億余円ということになるわけでございます。今後の四カ年では、これを割りますと大体二千五百万円、現在やられておるのは千七百万余でございますので、約七百万円くらいが今後においては年度ごとにふえていくというような状況になろうかと思います。そういうふうな点から見ていった場合、その具体化におきましてはその実行を期し得るのではないか、このように
考えておるわけでございます。
次に八ページにまいりまして、
施策の
重点でございますが、これは先ほど来申し上げておることでございますけれども、今回の
計画は、大
震災発生に伴い発生する直接破壊でありますところの一次
災害、これは建造物倒壊などと、それから二次
災害を最小限に食いとめて、都民の生命と財産を守るというようなことを目標といたしまして、都においてこそ可能な
施策である公共
施設の耐震性の強化など破壊の防止と、特に人災であるといわれ、都民と相互協力して対処すべき
火災の防止に
重点を置くとともに、長期間に要する
防災都市づくりの早期実現化をはかることとしたわけでございます。それから情報連絡
体制について、五十二年度までに
体制の整備をはかっていきたい。
それからまた、先ほど申し上げましたように、絶えざる調査
研究が必要でございますので、その充実化につとめていく、こういうふうなことをこの
施策の
重点としたわけでございます。
次の4、各課題別
計画のあらましでございます。時間の
関係もございますので、簡単に申し上げていきたいと思います。
震災に関する調査
研究につきましては、これを四つに大別整理いたしまして、五十二年度までにこの調査を一応完了するというようなことでございます。それから
防災都市づくりにつきましては、これは地域
危険度が、先ほど申し上げましたように、四十八年度、四十九年度という
段階の中で明らかになってまいりますので、その明らかになった
段階で危険地域あるいは特別危険区域の指定を行ないまして、そしてそれを基本にして体系的な
防災都市化の実現につとめてまいりたいというふうに
考えておるわけでございます。それから先ほどもちょっと触れましたように、それまでの
段階といたしまして、やがて必要になるその準備として、オープンスペースの確保というふうな点にも力を注いでまいりたい。
それから次の破壊の防止でございますけれども、破壊の防止につきましては、これは行政ででき得る
関係のことについては、それまでにできるだけやりたいという
意味におきまして、その中の具体的なものとして1とございますが、
震災時における救護活動の
拠点または被災者の一時収容
施設となる学校、病院、それから
震災時の消火、
避難誘導、情報伝達、こういったような
防災業務の中心となるところの
消防署、警察署等の官公署の建築物については、これを五十二年までに耐震に対して十分な措置をしてまいりたい、このように
考えておるわけでございます。耐火の点につきましては、現在若干まだ未解決の点がございますので、今回においてここからはずしてございますけれども、一昨日浜田
教授からいろいろ話をお聞きいたしまして、こういうふうな点についての
方法もほぼ確立してまいっておるようでございますので、この次の
計画時点では、耐火の点についても入れてまいりたいというふうに
考えておるわけでございます。
それから次の2につきましては、これは線の
関係になる河川、堤防、橋梁その他の公共
施設でございますけれども、こういうふうな点についても心配のないようにしてまいりたい。それから橋梁のかけかえ補修、歩道橋の落橋防止、こういったようなものも一〇〇%五十二年までに完成したい。
それから上下水道その他の地下埋設物でございますけれども、上下水道の整備も五十二年度までに水の心配のないような
方法を
考えていきたい。共同溝は非常に大きな問題でございまして、現在でも
東京都内での共同溝の設置
関係は非常におくれておる
関係でございまして、この
関係は一応首都
高速道路、地下鉄の整備に伴って措置をしてまいりたいというふうに
考えておるわけでございます。
それから4の公共建築物の耐震診断でございますけれども、これは五十二年までに終了させるとともに、それはロスの
地震にかんがみまして、窓ガラス等の落下物の安全性の調査もできるだけ早く終わらして、それに対する
施策を講じていきたい。
それから
地盤沈下の防止につきましては、五十二年度までに、江東、城北
地区については工業用水道の整備をはかって、
地盤沈下の
対策を講じてまいりたい。
それから課題七の(4)の項目になるところの
火災等の防止でございます。これはまず1にございます出火防止でございますが、ここのところではまず各項の具体的な点といたしまして、下のところiにございますように、まず火気使用設備、器具それから危険物の個別
対策、こういったようなものといたしまして家庭用の火気使用設備、器具、こういったようなものを
重点に安全装置の開発、規制、普及をはかっていきたい。それから大規模屋外タンク等の危険物
施設等については、耐震性に関する調査
研究を進めて、
施設、設備の安全化をはかっていきたいということでございます。
次に一一ページに参りまして、iiといたしまして、
事業所
対策あるいは地域
対策、こういったような点で都民の自衛力それから
防災行動力、こういうふうなものを一そう向上させて、そういうふうなこと等からこの点の
関係の
施策を進めてまいりたい。それから既存の民間の古い
木造住宅あるいは都営
木造住宅の建てかえ等によって、
不燃化の促進をはかってまいりたい。
それから、次が初期消火でございますが、これにつきましては、家庭、
事業所それから地域における自主消火
体制を育成強化いたしまして、初期消火
体制を確立することを目標として、次の
事業を推進していきたい。
その
一つは、初期消火に有効な消火器具等、こういったものの開発の促進、普及をはかっていく。消火器の配備につきましては地域、世帯、こういう
関係を五十二年度までに完了をさせてまいりたい。それからiiといたしまして都民の初期消火行動力を高める、こういったような点での具体的な指導基準を作成したり、あるいはそのための
防災移動教室あるいは訓練用器材の整備をはかっていきたい。それから次のiiiとしましては、
事業所の自主
防災体制の強化をはかっていくための
施策が以下述べられておるわけでございます。
それから一二ページに参りましてIVとしまして、地域の
防災活動の中核となる
消防団員の指導力の向上を
考えておるわけでございます。
それから3の
火災の拡大防止でございますが、これは
震災時の同時多発
火災に対処するために、初動
体制あるいは活動
体制の確保に必要な
事業を推進するというふうなことで、地域
住民の安全確保、それから地域の延焼
危険度に対応した
消防力の整備をはかっていくというふうなことで、まずそのところでは各種の未解決の事項を究明をして、延焼要因となるところの危険物の排除とか、地下街等の査察機動
体制の整備をはかっていく、あるいは初動
体制及び
消防活動
体制の確保として
消防待機寮、無線
通信機構等の整備をはかる。また要消火
範囲——これは
避難路等で延焼
火災があった際に
住民が
避難していくときに、その延焼
火災等で安全が保たれなくなる可能性のあるような、そういったようなところを要消火
範囲というふうに指定いたしまして、そこにたとえば
消防力を集結をして、その
部分が延焼
火災を起こさないようにというようなこと等を
考えるわけでございますが、それを要消火
範囲といっているわけでございます。そういったところの防護
体制強化のために、車庫つきの待機寮とか、あるいは可搬式の動力ポンプの整備等につとめていきたい。それからまた、
消防水利
対策として、防火水槽あるいは貯水槽等の増強、公園等の公共
施設内に貯水槽等の設置をはかってまいりたい。現在では
都市公園等にいろいろの設備を施したり何かができないような状況になってございますが、こういう点については、やがてまた皆さま方にその法制化等についていろいろ御協力をお願いすることがあろうかと思います。
次に一三ページに参りまして、
消防団の活動
体制とかあるいは資器材の整備とか、それからまた危険物、有害物の安全確保のために基礎的な調査を進めて安全基準を確立し、それから監視指導
体制を整備していく。
それから救急救助につきましては、
震災時の
建物倒壊あるいは落下物、パニック、それから
火災等によって多数の要救助者が発生するということが予想されますので、特に倒壊率の高い地域、それから地下街のある十三区を整備
地区といたしまして、そこでの特別救助隊の整備をはかって救助
体制の強化につとめてまいりたい。
それから、次が七つの課題の第五番目に当たる
避難場所等の安全確保でございますが、広域
避難場所については、御案内のとおり、都では百二十一カ所を指定しているわけでございますけれども、これに対するところのいろいろな、水とかあるいは食糧とかいった等の
施設等がこれに伴わなければ十分とは言えないわけでございますが、そういったような点については現在調査中でございまして、五十二年度までにこれを整備をしていきたい。また、現在百二十一カ所指定してございますけれども、そのうちの約三分の一が民有地でございまして、その間におきましていろいろ
住宅等がそこにできていったりして、広域
避難場所として適当でないような状況が現出したりする。それがまた安全化の問題において問題になるところでございますけれども、安全確保というふうな見地から、今後こういう点での措置をしてまいりたい。この点については
計画から実はまだはずされておりますけれども、これは今後の課題として、五十二年度までにはその
関係についても解決を持てるように措置をして言いりたい、このように
考えておるわけでございます。
それから、もちろん広域
避難場所の周囲には
災害防止帯を設定して、その
不燃化の促進をはかっていくということが当然そこでは措置されるわけでございます。
避難道路につきましては、大体今年度一ぱいで
避難道路の指定をいたしまして、そして
避難の安全化をはかってまいりたい。
避難道路ができますれば、それを安全化というふうな
観点から、
避難道路の両側に必要な個所には
災害防止帯を設定をして、その安全強化につとめていくというようなことを
考えておるわけでございます。
それからまた、その他の措置といたしまして、その両側のところに消火器の設置あるいは
消防水利の整備というようなことも
考えておるわけでございます。
それから、七つの課題の六番目の
防災体制の整備でございますが、従来の
防災体制は、冒頭にも申し上げましたように、どちらかといいますと風水審等を主体にしておりまして、風
水害の場合はこれは予知できるわけでございますので、その時点でいろいろの準備ができるわけでございますが、
震災は突発的に起こるものでございますので、常時そういうふうな点についての活動
体制を持っておかなければならぬというふうなことから、職員の動員
体制といたしまして二十四時間の勤務
体制をとる措置を、これは
消防庁、警視庁におきましてはそういうふうな措置がされているわけでございますけれども、行政の面につきましてそういうふうな措置をとられておらなかった分野につきましては、そういうようなことを講ずるように措置をしてまいる。
それから情報連絡
体制につきましては、従来は都の無線
通信につきましては都とそれから警視庁、それから
東京消防庁、特別区、三多摩
地区の五つの市の間を結ぶ一波だけしかございませんで、そのために非常に情報連絡の面で円滑を欠いておるわけでございますけれども、この点につきましては、五十二年度を目途にいたしまして、無線
通信の体系を中心とする情報連絡
体制の整備確立をはかっていきたい。
それからなお
防災体制の整備につきましては、現在策定中の
応急対策を中心といたします地域
防災計画におきまして、都の地域におけるあらゆる機関との
総合的な
体制下の中で充実強化をはかっていきたい。
それから
最後に、七つの課題の七番目に当たります都民の協力でございますが、これは申し上げるまでもないことでございますけれども、都としては不断の
防災教育、それから
防災思想の広報普及活動を積極的に推進していくとともに、都民の自発的な
防災組織の育成につとめていきたい。それから
防災教育、
防災組織が
震災時に実際に効果を発揮するために、都民または
事業所が参加する
震災訓練を実施いたしまして、またそれぞれの
防災組織が行なう訓練を指導する、こういったようなことによりまして、
震災時におけるところの行動の習熟をはかってまいりたい。
こういうようなことで、一応七項目を実際の
計画の上では具体化をはかっていくように
考えておるわけでございます。
ただ、この
計画の中で未
計画の部面で非常に重要なことが抜けておるというふうなのが、その七項目の未
計画事業というふうなところに表示してあるのでございますが、一五ページをおあけいただきたいと思いますけれども、いま一応必要なことで抜けているものとしまして、
一つは危険地域の整備でございます。これは先ほど来から申し上げているようなことで、四十九年度で地域の
危険度の測定結果によりまして、危険地域の指定を行なうわけでございますけれども、その危険地域が指定されますと、それについてのいろいろの
防災措置を行なっていくにつきましていろいろの助成措置がとられることになるわけでございます。その
関係の経費等は相当膨大なものになろうかと思いますが、それが抜けてございます。
それから
避難場所、
避難道路の安全確保につきましても、先ほど来御説明申し上げましたようなことで、
避難場所の確保というふうな点で、その
避難場所の中にある
木造家屋の買収といったようなこととか、あるいはその周辺の
災害防止帯の指定に伴うところの助成措置とか、あるいは
避難場所の給水、備蓄
施設の整備とか、こういったようなこと等が現在抜けておりますので、それらの点を入れればなおまた
事業費等はふくらむというようなことになります。
なおまた
防災指令室の設置につきましては、これは
災害対策本部用の常設の場所、それから資器材、こういったような点では欠けておる点がございます。これは現在都庁の第三庁舎を
建設中でございますが、その中でそれを整備していきたいというふうに
考えておりまして、その間の
関係の
事業費が抜けておるというような状況になっております。したがいまして、現在では約一兆二千億というふうなことになってございますけれども、この点につきましては、なおこの
計画にいま抜けたような
関係等を入れていけば、相当の経費がまだふくらむ可能性があるというふうなことでございます。なおまた第二
段階に至りまして、面的な整備をその中に
考えていく
段階におきましては、経費等につきましてはもう一度その点について、試算をしなければならないような状況になろうかと思うわけでございます。
早口で御説明を申し上げましたけれども、一応
東京都の
震災対策については以上でございます。
最初に申し上げましたように
計画でございまして、これから具体化の中では、ただいま申し上げたようなことでいろいろと法制化の問題あるいは助成措置等の問題につきまして、国あるいは皆さま方に直接いろいろと御協力をお願いする部面があろうかと思いますが、今後ともよろしく御協力のほどをお願い申し上げまして、
お話を終わりたいと思います。(拍手)