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1973-08-30 第71回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年八月三十日(木曜日)     午前十一時二分開議  出席委員    委員長 大原  亨君    理事 宇田 國榮君 理事 小沢 一郎君   理事 高鳥  修君 理事 三ツ林弥太郎君    理事 渡部 恒三君 理事 金丸 徳重君    理事 諫山  博君       天野 光晴君    越智 伊平君       瓦   力君    志賀  節君       竹中 修一君    細田 吉藏君       村岡 兼造君    森  美秀君       安田 貴六君    吉永 治市君       川崎 寛治君    多賀谷真稔君       中村 重光君    楢崎弥之助君       福岡 義登君    山本弥之助君       米田 東吾君    柴田 睦夫君       庄司 幸助君    田中 昭二君       高橋  繁君    折小野良一君  出席政府委員         総理府総務副長         官      小宮山重四郎君         農林大臣官房技         術審議官    遠藤 寛二君         農林大臣官房審         議官      澤邊  守君         気象庁長官   高橋浩一郎君         建設省河川局長 松村 賢吉君         建設省河川局次         長       川田 陽吉君  委員外出席者         参議院災害対策         特別委員長   秋山 長造君         内閣総理大臣官         房参事官    杉岡  浩君         環境庁水質保全         局企画課長   松田豊三郎君         国税庁直税部所         得税課長    水口  昭君         文部省管理局振         興課長     宮地 貫一君         文化庁文化財保         護部長     吉久 勝美君         厚生省社会局施         設課長     舘山不二夫君         農林省農林経済         局金融課長   植木 建雄君         農林省農林経済         局保険管理課長 板野 権二君         農林省構造改善         局次長     杉田 栄司君         農林省農蚕園芸         局果樹花き課長 北野 茂夫君         農林省食品流通         局野菜振興課長 倉地 貞三君         食糧庁業務部買         入課長     戸塚 金郎君         林野庁指導部長 松形 祐尭君         水産庁漁政部長 増満 二郎君         通商産業省立地         公害局工業用水         課長      柴田 益男君         通商産業省基礎         産業局化学製品         課長      赤羽 信久君         中小企業庁計画         部金融課長   若杉 和夫君         気象庁予報部長 毛利圭太郎君         気象庁観測部長 木村 耕三君         建設大臣官房地         方厚生課長   重見 博一君         建設大臣官房建         設機械課長   上東 公民君         建設省計画局宅         地部宅地開発課         長       吉田 公二君         建設省河川局開         発課長     宮内  章君         建設省河川局防         災課長     黒坂 正則君         建設省河川局砂         防部砂防課長  松林 正義君         建設省道路局企         画課長     浅井新一郎君         自治大臣官房参         事官      栗田 幸雄君         消防庁防災課長 藤江 弘一君         日本国有鉄道施         設局長     篠原 良男君     ————————————— 委員の異動 八月三十日  辞任         補欠選任   島田 琢郎君     多賀谷真稔君   辻原 弘市君     川崎 寛治君   中村 重光君     楢崎弥之助君   津川 武一君     庄司 幸助君   広沢 直樹君     田中 昭二君 同日 辞任          補欠選任   川崎 寛治君     辻原 弘市君   多賀谷真稔君     島田 琢郎君   楢崎弥之助君     中村 重光君   庄司 幸助君     津川 武一君   田中 昭二君     広沢 直樹君     ————————————— 八月二十四日  災害弔慰金支給及び災害援護資金の貸付けに  関する法律案参議院提出参法第二三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  災害弔慰金支給及び災害援護資金の貸付けに  関する法律案参議院提出参法第二三号)  昭和四十八年七月三十一日未明の九州北部を中  心とした大雨による災害対策  昭和四十八年干ばつによる災害対策      ————◇—————
  2. 大原亨

    大原委員長 これより会議を開きます。  去る二十四日、本委員会に付託になりました参議院提出災害弔慰金支給及び災害援護資金の貸付けに関する法律案議題とし、提案理由説明を聴取いたします。参議院災害対策特別委員長秋山長造君。
  3. 秋山長造

    秋山参議院議員 ただいま議題となりました災害弔慰金支給及び災害援護資金の貸付けに関する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  わが国は、地理的、気象的悪条件にわざわいされ、年々歳々おびただしい風水害等自然災害をこうむり、多くのとうとい人命や財産が失われ、かつきわめて甚大な被害を受けておりますことはいまさら申すまでもありません。特に局地的な集中豪雨等多発性という異常気象と相まって、山くずれ、がけくずれといった群発的な災害が急激に増加してきている傾向も見られるのであります。  いわゆる一般災害対策および予防につきましては、災害対策基本法をはじめ各種の法律並びに行政運用により対策が講ぜられているところでありますが、いわゆる個人災害に対する救済措置につきましては、昭和四十七年に市町村災害弔慰金補助制度が設けられ、市町村自然災害によって死亡した者の遺族に対して弔慰金支給する場合には、その災害弔慰金の一部を国が補助するというものでありますが、これではまだ十分とはいえないのであります。  したがいまして、災害により死亡した者の遺族に対して、弔慰のため、市町村が、市町村都道府県と国との負担のもとに災害弔慰金支給し、また、災害により世帯主が重傷を負い、または住居家財相当程度損害を受けた世帯に対して、生活立て直しに資するため、市町村都道府県原資手当てを得て、災害援護資金貸し付けることができる制度を講じようとするものであります。  以下、この法律案について、その要旨を申し上げます。  まず、この法律における「災害」の定義でありますが、暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波その他の異常な自然現象により被害が生ずることをいうことといたしております。  次に、この法律の二本の柱の一つである災害弔慰金支給についてでありますが、市町村は、政令で定める災害により死亡した住民の遺族に対し、五十万円の災害弔慰金支給条例によって実施することができることとし、この市町村災害弔慰金に要する費用につきまして、その最終負担は、市町村都道府県が四分の一ずつ、国が二分の一ということにいたしております。  もう一本の柱である災害援護資金貸し付けにつきましては、市町村はその区域に災害救助法が発動されるべき被害の発生している災害、その他の災害により、世帯主が療養一カ月程度以上の負傷をし、あるいは、住居家財政令で定める相当程度損害を受けた世帯のうち、その所得が政令で定める一定額未満世帯世帯主に対し、生活立て直しに資するため、五十万円をこえない範囲内で、政令で定める額の災害援護資金貸し付け条例によって実施することができることといたしました。  この災害援護資金償還期間につきましては、据え置き期間を含み十年をこえない範囲内で政令で定めることとし、金利につきましては、据え置き期間中は無利子とし、据え置き期間の経過後は年利三%としております。  また災害援護資金原資につきましては、市町村に対しては、国による三分の二の無利子資金手当てのもとに、都道府県が全額を無利子貸し付けるものとしております。  最後に、この法律施行期日は、政令で定める昭和四十九年四月一日以前の日としておりますが、その政令で定める施行の日前に生じた災害から適用することができることを明らかに規定いたしました。  なお、参議院会議におきまして修正が行なわれ、この法律は、昭和四十八年七月十六日以後に生じた災害から遡及して適用することとなりました。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  4. 大原亨

    大原委員長 これにて提案理由説明は終わりました。     —————————————
  5. 大原亨

    大原委員長 本案について質疑、討論の申し出はありませんので、直ちに採決いたします。  災害弔慰金支給及び災害援護資金の貸付けに関する法律案賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  6. 大原亨

    大原委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、本案に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 大原亨

    大原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  8. 大原亨

    大原委員長 次に、災害対策に関する件について調査を進めます。  まず、昭和四十八年七月三十一日未明の九州北部中心とした大雨による災害について、政府においてとった措置概要等について説明を聴取いたします。総理府総務長官小宮山重四郎君。
  9. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 昭和四十八年七月三十一日未明の九州北部中心とした大雨による災害について御報告いたします。  七月三十日黄海に発生した低気圧は、東北東に進み、同日夜日本海西部に入り、三十一日には日本海中部に達しましたが、この低気圧中心から南西に伸びる寒冷前線は、三十日夜から八月上旬にかけて九州北部中心局地的集中豪雨をもたらし、福岡県をはじめとする各地に大きな被害が発生いたしました。  その一般被害は、警察庁の取りまとめましたところによりますと、死者、行くえ不明者二十九人、負傷者十人、家屋の全半壊流失百九棟、床上浸水九千二百六十三棟、床下浸水二万八千五百一棟となっております。  また、施設関係等被害につきましては、県等からの報告によりますと、台風第六号の被害を含めまして、公共土木施設約百五十一億円、農地等約九十六億円、中小企業関係約四十六億円、その他合わせまして合計約三百五十九億円となっております。  この災害に対して、福岡県及び太宰府町ほか十八市町村災害対策本部設置し、また、この災害による被害の特に大きかった太宰府町ほか十市町村に七月三十一日に災害救助法適用し、必要な応急救助実施いたしました。  政府といたしましては、直ちに関係係官現地に派遣し、調査並びに応急対策指導につとめるとともに、早期災害査定実施できるようつとめております。  今後、被災現地の実情の把握を急ぎ、被災者救済を第一として災害復興を進め、災害早期復旧及び必要な財政金融措置を鋭意推進してまいる所存でございます。  以上でございます。
  10. 大原亨

    大原委員長 質疑申し出がありますので、順次これを許します。宇田國榮君。
  11. 宇田國榮

    宇田委員 さきに桜島火山対策特別措置の問題に対して、総理府をはじめ各省非常な御協力を願って特別立法ができ上がったことに対しまして、心よりお礼を申し上げます。  ところが、その桜島がまた爆発を何回もやりまして、非常に降灰がひどい。すなわち灰が、全くもう目もあけられないようなぐあいに降ってまいるのであります。それで専用の道路清掃車というのを用いてやっておるわけですね。ところが、その清掃車なるものが非常に高価であって、一千万くらいするということでありますが、鹿児島県の土木課では常時これを出動させて、そして清掃をやっている次第でありますけれども、この際何台も、二台目よりか三台目、四台目がどうしても必要であるというようなことで、この清掃車を購入するに対して建設省においてはもっと積極的に、これをひとつ国費でもって補助することはできないのか。この点を、きょうは局長おいでになっていないで、建設機械課長おいでになっておるようなので、これに対してちょっと御見解を、特殊なあれでありますから……。
  12. 上東公民

    上東説明員 お答え申し上げます。  桜島降灰の問題につきましては、昨年度道路整備費におきまして、鹿児島県に対しまして清掃車一台を補助したわけでございます。今年度につきましては当初御要望がないというようなこともございまして、補助決定後にそういった問題が出てまいったわけでございますが、次年度におきましてはそういった実態を踏まえまして、大蔵省に対する予算要求に対しまして十分努力したいと思っておる次第でございます。
  13. 宇田國榮

    宇田委員 あと同僚議員川崎君からこの問題の質問がありますが、農作物被害はもちろんたが、鹿児島市の被害地域はもうほとんど灰のために通行もできないような情勢になっておるのでありますから、当局においてはこういうかゆいところに手の届くような施策を大いにやってもらいたい。そうでないと地方——これは市の仕事でもなければ県の仕事でもない。実際は非常事態降灰でありますから、どうかそういう点に対して今後とも御尽力を賜わるようお願い申し上げたいと思います。要するに人体に対する被害も、だんだん咽喉を悪くするとか目を悪くするとか、いろいろな身体障害にまで及んできておるのでありますけれども、とりあえずこの降灰対策、これを清掃車によって逐次一掃してもらうような方向にひとつお願いを申し上げて、私の質問を終わります。     —————————————
  14. 大原亨

    大原委員長 次に、昭和四十八年の干ばつによる被害状況について政府当局から説明を聴取いたします。農林大臣官房審議官澤邊君。
  15. 澤邊守

    澤邊政府委員 たいへん時間におくれまして、申しわけありませんでした。  本年の干ばつ被害状況について、農林関係について概況を御報告いたします。  本年の六月ごろから全国的に雨不足傾向があらわれまして、七月に入りましてその傾向が一そう顕著になりました。特に雨の少ない地域といたしましては、北海道西部東北、北陸、近畿、山陰、瀬戸内といったところが被害が大きくなり始めたわけでございますが、御承知のように、七月末から八月初めにかけまして、台風六号の関係での前線によります低気圧によって北海道西部東北北部、東海、四国、九州各地でかなりの降雨がございまして、これまでの渇水状況は部分的にはかなり改善をされました。しかしながら、これらの地域におきましても回復困難なものもございますし、また、その他の地域におきましては、局地的な降雨はありましたものの、依然として干ばつが続き、水不足は深刻となっております。  八月十日現在で農林省統計情報部が取りまとめました農作物被害状況は、面積で七十三万七千ヘクタール、被害見込み金額で六百七十五億と、四十二年以来の大きな被害となっております。作物別に見ますと、野菜水陸稲果樹、この三種目で約七五%程度被害になっておりまして、その他工芸農作物飼料作物、雑穀・豆類等被害が出ております。以上が農作物関係被害でございます。  林業関係につきましては、幼齢造林地あるいは苗木等中心といたしまして、北海道東北、中国の西のほう等におきまして一部被害が発生しております。たとえて申し上げますれば、幼齢造林地被害は、一応県の報告では四千ヘクタールということになっております。永年植物でございますので、急激に被害はあらわれておりませんが、引き続き調査を続行中でございます。  次に、水産関係につきましては、これまで県の報告の参っておりますのが内水面漁業関係でございまして、霞ケ浦、北浦におきます養殖のコイの斃死秋田県内におきます養殖ゴイあるいはマスの斃死、それから宮城県におきます養殖カキ斃死等、現在報告を受けておりますのでは五億二千万円の被害が出ております。  以上が現在の概況でございますが、なお引き続き被害が進行中でございますので、さらに調査をいたしたいと思います。  以上でございます。
  16. 大原亨

  17. 細田吉藏

    細田委員 ただいま政府から御報告がございました六月下旬以降の干ばつについて、若干の質疑を申し上げたいと思います。時間が制約されておりますので要点だけ私申し上げますので、簡潔に結論だけお答えをいただきたいと思います。  干ばつ対策で一番困りますことは、日照りに不作なしというので、これを米にとってみますと、全体としては豊作が予想されるわけです。しかし、その中で干ばつがございますから、ひとしからざるを憂えるというか、個々被災者にとりましては非常に大きな損害になる、短期的にそういうことになるわけでございます。そういう点を十分に考慮に入れられて、政府で万全の対策をいろいろおとりいただきたいと思うのでございます。  そこで、いろいろ申し上げたいのですが、先ほど言いましたように結論だけずばりと申し上げますと、まず総理府農作物はもとよりでございますが、農地農業用施設等につきまして、激甚災害法律適用するということが私は必要であろうと考えております。これは数字や何かのことでいろいろ言われる、基準に合わないとか合うとかいうお話がありますが、もうこれはそういう時代ではなくなっておるのじゃないか、こう思っておりますので、これは適用をしてもらうということでありますが、どうしてもだめなら同じようなことをやるということを言ってもらいたいわけであります。
  18. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 総理府といたしましては、いま被害額の総計をまとめております。そのまとめたところで農作物被害に対する天災融資法適用をきめまして、かつ、そこで激甚法適用をいたしたい、こう考えて、いま鋭意集計中でございます。
  19. 細田吉藏

    細田委員 これは農林省になりますか、総理府災害対策本部になりますか、よくわかりませんが、昭和四十二年の干ばつの際に、政府として干害応急対策事業助成要綱といったようなものをつくって、いろいろ対処いたしていただいたわけであります。私も当時から本委員会に所属をして、いろいろやった記憶がございます。現地にも出かけました。それで、このことは、少なくともそれよりは、ほんとうは今回はさらにいろいろ特別な事情が全国的に出てきておると思いますので、それ以上のことを実はお願いいたさなければならぬと思っております。  きょうは個々のことは申しませんが、少なくとも四十二年度においてとられた方策というものは、当然最低限度として実施をしていただけるというふうに思っております。すべきだと思っております。また、そういうつもりで地方の県なり市町村なりは金も出したりいろいろ対処いたしておるわけでございますので、これは当然そうしていただかなければならぬ、こう思っておるわけでございますが、この点について総理府並び農林省——主として農林省が多いものですから農林省、両方から、あるいは一方でよければ一方でいいです、代表してお答えをいただきたい。
  20. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 現在の干ばつに対しての対策は、現在講じている対策と、これから必要により検討すべき事項という二つに分けて考えております。一番初めは農業用水確保のための干ばつ応急対策費、これは井戸の掘さくとか揚水機設置実施についての指導、これは農林省がやっております。揚水機の貸し出し、これも農林省でございます。関係係官現地に派遣いたしましていろいろ指導いたしておりますし、農業共済金保険金早期仮払いの措置をとるよう指導いたしております。  厚生省では、飲料水給水制限及び隣接水道からの応援等による給水量確保とか、防衛庁によりまして渇水地域における給水車派遣等応援をやっております。  それから通産省では、工業用水給水制限及び海水利用、水の循環利用等指導をやっておりますし、建設省では河川ダム用水等利用渇水調整会議の開催をいたしております。  今後必要により検討すべき事項としては、農業用水確保のための干ばつ応急対策事業に要した費用に対する国庫補助実施と、先ほど申しました天災融資法及び激甚法適用早期見積もりをいたして、その適用を早くするということ、それから飲料水渇水対策に要した地方公共団体の経費について特別交付税交付及び起債措置等を講ずる。  それから恒久対策としては、ダム等々の仕事を今後も検討しなければいけないということで、総理府は全体の干はつ対策審議室のほうでいままとめているところでございます。
  21. 澤邊守

    澤邊政府委員 農業用水確保して農作物被害をできるだけ防止するということで、揚水機設置、水路なりあるいは井戸の掘さくという応急工事に対しまして、四十二年の干ばつ時に臨機に補助をいたして助成措置を講じておりますが、今年の干ばつも、現在なお引き続いておりますけれども、八月十五日現在で約二十九億円くらいの事業をやっておるという報告を県から受けております。さらにその実態を詳細に把握する一方、過去の例を参考にしながら、助成措置につきまして現在財政当局と折衝いたしております。
  22. 細田吉藏

    細田委員 あとは、時間の関係上一括して申し上げます。  天災融資法の発動は当然だと思いますし、いま副長官からの御答弁の中にありましたから、これはもうよろしいですが、自作農資金ですね。これは、たとえば私どもの島根県などはここ三年連続災でございまして、去年も限度額引き上げをやってもらったわけですけれども、さらに限度額百万までの引き上げをぜひお願いしたい。並びに資金ワクの拡大というようなことを言っておりますが、この点についてお答えをいただきたい。  それから、これから申し上げることは、全部すぐ結論がなければ、あとからまた詳細にいろいろ御相談したりいたしますから、一応聞いておいてもらいたい。それから、返事ができるものはすぐ返事してもらいたい。  農林漁業金融公庫資金貸し付け条件償還期限の延長など、この緩和をやってもらいたい。  三番目。先ほど申し上げたように、米が非常にできるところとできないところとのアンバランスが非常にきついわけであります。もちろん農業共済もありますが、これはもうどうにもなるような金ではございません。そこで、農民としては規格外の米の政府買い入れについて非常に強い要望があるわけでございます。何でもかんでもというわけにもまいらぬと思います。限界はあると思いますが、やはり政府としてはあたたかい手をひとつ差し伸べていただくということが必要であろう。こういう問題でございます。  それから、いろいろこまかい問題はありますが、特に私どものほうの県などで、私も現地を回ってみまして非常に気をつけておかなければならぬことはため池の問題でございますが、ため池が今度の干ばつで枯れまして、相当亀裂が入るといったようなことでこわれております。このため池干ばつに際して枯れて非常に困っておりますが、これをちゃんと修理をいたし、改良復旧をいたさないと、将来の干ばつに備えるわけにもまいらない。と同時に、これはよくあることですが、むしろこのほうが多いかもしらぬが、集中豪雨があったときなどに、逆に今度は水があふれ、ため池が崩壊いたしまして、低いところへ大きな損害を及ぼす、こういうことになるわけでございます。こんなことは言うまでもないことでございますが、何しろ非常にたくさんため池がある。昔の人が苦心してつくったものでございましょう。これが長いことほったらかされておる。今度水がかわいて相当こわれておる、この機会に直そう。ところが実は高いところにありますような関係もありまして、人手がたいへんだと思うのです。  それからこのごろは、全般に資材が不足です。もう鉄が不足だ、セメントが不足だ、パイプ類がないといって、戦争中みたいじゃないかというような話もこの間現地でいたしておりましたが、かなり困難な問題があると思う。もちろん資材の手当てや人の手当てをしなければなりませんが、金の問題については少なくとも十二分に見て、そうしてこれをやっておきませんと——これだけの干害というのは昭和十四年以来といっているからそうちょいちょい来ませんが、雨のほうはしょっちゅう来ますので、そっちと両方に対して備えておかなければなりませんので、特にひとつこれは農林省のほうで配意をお願いしたい、しておかなければならないというふうに実は考えておるわけでございます。  ほかの点はいろいろございますけれども、大体四十二年にもうかなり対策がいろいろ出ておりますし、いま御答弁もいろいろございましたから、質問の時間の制約もございますのでこの辺でやめますが、いま申し上げたような点をざっとひとつ結論だけ答えていただきたい。私の質問はこれで終わります。  なお、いま総務副長官要望だけ申し上げておきますが、先ほど来お話がございました、答弁の中にもございましたと思いますが、地方財政——特に地方の都市が、われわれのような過疎県でも人口が大都市に集中いたすということでございますが、これは私の県だけじゃないと思う。どこでも干害にあいますと、都市部の人口が膨張いたしておりますので水道の水が足りない、工業用水がだめになる、冷房ができない。もういろいろなところで、干害が起こりますと今後問題が起こるだろうと思う。したがって、都市集中の傾向に対する上水道の確保というものは、いままでとは違った意味で非常に重大な問題になっておると思います。今度あたりの状況を見ますと、もう冷房はだめ、それから人口がふえたやつは飲料水確保しなければならぬから、工業用水で昔はやらなかったような異常な制限をする、こういうことがありますので、根本的に都市集中に対する対策として考えておかなければならぬという点、これは、いま具体的にどうするといってもそう簡単でないので、一般論として申し上げておきます。  なお、使った金に対する財政措置、これはあなたのほうというより自治省だろうが、これは特に考えてもらうということをこの際要望しておきます。もう返事はいいです。
  23. 澤邊守

    澤邊政府委員 それでは、お尋ねの四点につきまして簡潔にお答えをしたいと思います。  自作農資金につきましては、天災融資法の発動適用の際にそれとの関連で検討してまいりたいと思います。  それから第二点の、農林漁業金融公庫の既貸し付けの償還条件の緩和の問題でございますが、これは償還期限の延長あるいは償還据え置き期間の設定ということを、どうしても償還がむずかしいという場合にはできる道が開けておりますので、今後の実態をよく調べた上で公庫を十分に指導してまいりたいというふうに思います。  それから規格外の米の買い入れの問題につきましては、等外あるいは規格外米は原則として食管では買わないことになっておりますけれども被害が非常に大きい、低質米がたくさんできたという場合には、配給可能なものについては、地域を限定いたしまして、買い入れの措置災害対策として講じたことがございますので、被害が十分に詳細に明らかになった時点で検討してまいりたいというふうに考えます。  ため池の復旧につきましては、農地も同様でございますが、亀裂等が入りまして、通常の維持管理では手直しができないというものにつきましては、災害復旧事業といたしまして暫定法に基づいて実施する考えでございます。
  24. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 災害復旧に要する機材の不足がございます。これについては重大な問題でございますので、通産省等を通しまして必ず手当てができるように今後ともしておきたい。  先ほど答弁が要らないというようなお話でございましたけれども地方公共団体が要しました経費については、特別交付税あるいは起債の考慮を積極的にいたしたいと考えております。
  25. 細田吉藏

    細田委員 ありがとうございました。
  26. 大原亨

    大原委員長 次に、楢崎弥之助君。
  27. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 一番最初に、総理府の副長官のほうからまとめてお答えいただきたいのですが、関係各省は福岡県の災害の現場に出張されて実情を把握されておるかどうか、ちょっと最初にお尋ねいたします。
  28. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 建設、農林の担当官を派遣して現状を把握しております。
  29. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 建設省はどうですか。
  30. 黒坂正則

    ○黒坂説明員 お答えいたします。  建設省といたしましては、七月三十一日に災害査定官を現地に派遣いたしまして、さらに八月の三日に砂防課の課長補佐を派遣いたしまして、現地の実情調査、それから災害復旧の工法指導、こういうことをいたしております。
  31. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 林野庁関係はどうでしょうか。
  32. 松形祐尭

    松形説明員 お答え申し上げます。  林野庁も、現在現地に直ちに治山あるいは林道の担当官を派遣いたしまして、ただいま建設省から御説明申し上げましたような趣旨で、同じような指導もあわせてやったわけでございます。
  33. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 今回の福岡県の災害を、私も全部現地に行ってくまなく見ました。私の見たところでは、自然災害プラス人為的な災害の競合があったと思われますけれども、どのような判断を持っておられますか。
  34. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 自然災害プラス人為的な災害というお話でございますが、いろいろな問題がございましょうが、自然災害にある程度地元での怠りがというようなことがあったのではないかと考えております。
  35. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私はその感を深くしているのです。  具体的に事実をあげて見解をお伺いしたいのですけれども、まず、最近の災害は非常に人為的な災害といいますか、たとえば乱開発と申しますか、そういうものとの競合があってより被害を増大しておるという傾向が、これから全国的に出てくるのではないかという危慎があるわけです。  そこで、まず列島改造構想における防災対策の位置づけというものは、これはないがしろにできない問題だという感じがするのです。列島改造における公害なり環境汚染の拡散、そういう危険性の指摘は、いままでもずいぶん私どももやっておるところですけれども、それとともに、この改造によって土砂害や水害激発の原因をつくる可能性、あるいはおそれというものは十分考えられる、このように思うわけです。たとえば列島改造論による高速交通網、あるいは二十五万都市の建設等々が柱になっておるわけですけれども、たとえば森林地帯を切り開く、あるいは田畑を改造する、そうして宅地追放なりあるいは工場あるいは公共用地を開発する。そうすると、当然そこに出てくるのは、遊水機能が減少するという問題、それから土砂のエロージョンと申しますか、山腹崩壊の促進、あるいは流出率の増大、これは当然常識としてもその可能性は出てくるわけです。そうしてこの問題は、いずれも河川にとっては重荷になる要素であります。  こういう点を考えますと、列島改造構想における防災対策の位置づけというものは非常に重大になると私どもは思うわけですけれども、どのような御見解をお持ちでしょうか。
  36. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 確かに先生のおっしゃいますように、列島改造をやる場合にたいへんいろいろな問題が出ております。たとえば防災体制の中で開発する場合に、災害から守るために今後は水系ごとの水量で列島改造をやっていこう、これが開発本部のほうの考え方、国総法の考え方でございまして、なおそのほかに、昨年の災害建設省等で危険地域を点検いたしましたところ、相当数、約六万地点ということで、この点も考えあわせて、今後とも列島改造をやっていく場合に、防災体制の確立ということは最も重要なことであると考えております。
  37. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ことばでなしに、やはりその位置づけというものをきちんと具体的になさる必要がある、このように私どもは思うわけです。その点は全国防災協会が季刊誌として「防災」という、こういうやつを発行しておる。このことしの四十四号に山本三郎という方が冒頭に見解を表明しておられます。この方は御案内のとおり、かつて河川局長から建設省の次官をなさった方であろうと思うのです。この方が列島改造における防災対策の位置づけの重要性を非常に強調されているわけですね。これはぜひひとつ明確にしてもらいたい。いまの御答弁ではちょっと抽象的でありまして、これは要望をきつくしておきたいと思うのです。  そこで次に、私がこういう指摘をするのは、冒頭にも指摘しましたとおり、これからの災害というものは自然災害プラス人災の競合がある。というのは、たとえば高橋裕という東大工学部の教授、これは河川工学の日本の最大の権威でありますけれども、その先生の一番新しい「国土の変貌と水害」という本の中にも鋭い指摘があっておりますので、一応私はそのくだりだけ紹介しておきたいと思うのです。  「いままでは自然災害ということばが示すように、自然の暴力が人間を攻撃するのが自然災害であった。ところが、開発がいままでとはけた違いに巨大になってきた今日、その開発のしかたによって特に水害で大きな影響を受けるとすれば、これからは人間の暴力が自然に攻撃を加えた結果が水害となってあらわれる。入間が水害の舞台を用意し、そこに豪雨という自然の力が加わって水害が発生するようになったと考えられる。ここに自然とはわれわれにとって何であるかを問いたださなければならなくなった背景がある。」私は、非常に適切な指摘であると思うのです。  御案内のとおり、国土総合開発関係の法案も現在かかっておる段階ですから、もう一度列島改造論における防災対策面の位置づけというものをきちんとやっていただきたいと思います。  そこで、福岡県の具体的な災害の問題に入っていきたいと思うのですけれども、まず最初に、今度の福岡災害と宅地造成との因果関係について、問題を指摘しながら見解を承りたいと思います。  四十七年度の災害報告を私読ましていただきました。それと今年度の福岡県の災害中心として考えてみた場合に、非常に特徴が変わっておる。というのは、四十七年度災害を一般的に見てみると、非常に過疎のところに起こっておる。ことしの福岡県を中心とする災害は、いわゆる過密から起こるところの宅地造成地帯等々が非常に多い。したがって、特徴としては死亡者も多くなっている。そこで、今回の福岡県の災害地区に宅地造成規制法による規制地域が含まれておったかどうか、まずそれをお伺いします。
  38. 吉田公二

    ○吉田説明員 太宰府町等におきます被災地におきましては、宅造規制区域はかかっておりません。
  39. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 指定されておるあの十一市町村ですね、この災害救助法適用になっておる十一市町村全部について、含まれておるところがあるかないか。
  40. 吉田公二

    ○吉田説明員 福岡県では北九州市等に若干の指定がございますが、この十一市町村の中では宅造規制区域がかかっているところはございません。
  41. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 十一市町村の中に福岡市はあるのじゃないですか。
  42. 吉田公二

    ○吉田説明員 北九州市と福岡市の市域でございます。
  43. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 つまり今度の災害で、災害救助法適用地区十一市町村の中では福岡市だけが規制地域が含まれておって、それ以外の十市町村は含まれていない、それは明確になったと思うのです。  ところが、実際には規制区域でないところに起こっておるのですね。しかも、われわれ現場を見まして、それが宅地造成と非常に関係がある。そういう点の現状把握は行なわれておりましょうか。
  44. 吉田公二

    ○吉田説明員 今度の災害あと、特に福岡当局のほうからは詳細に報告は聞いておりまして、一応実態の把握はいたしておるつもりでございます。
  45. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私が見たところでは、土砂流と宅地造成の因果関係の相当判然とわかるところがあるわけです。これはもう一度調査に念を入れてもらいたいと思うのです。  そこで、規制区域でないところの宅地造成の行政的な監督というのはどこがやるのですか。
  46. 吉田公二

    ○吉田説明員 宅地造成のサイドからの行政上の規制でございますが、大きく分けまして二つの形がございます。  一つは、都市計画法によります開発許可という制度がございます。これは開発行為をいたそうとする場合、〇・一ヘクタール以上の開発行為、これは土地を建築的な目的に使おうとする場合に知事の許可にかかる制度でございまして、現在は、いわゆる市街地といたしまして計画的にコントロールしております線引き区域内において開発許可制度というものがとられておりまして、これらは市街地とするに必要な範囲におきましての公共施設の整備、それから市街地とするに適当でないような、たとえば災害危険区域等についてはその区域に含めないようにするということで、開発行為そのものを規制しておる制度でございます。  もう一つ、いまの宅造規制区域という制度がございますが、宅造規制区域のほうは、どちらかと申しますと市街地または市街地になろうとするような区域におきまして、その土地自体をいじることが災害の要因となるというような傾斜地等におきます宅造行為につきまして一定の設計上の制約を課しまして、たとえば排水でございますとかあるいは擁壁でございますとか、そういうものに設計上の制約をかけまして、その土地の開発行為自体が災害の原因にならないようにする、こういう制度でございまして、その二本立ての運用でやっております。
  47. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 御説明のとおりだと思うのです。  ところで、今回は規制区域を知事が指定していないところで起こっている。特に具体的に言うならば、今度の災害の一つのひどいところは四王寺山の山腹、すそ野等の地域なんですよ。そういう実際に規制区域にしなかったところで起こった。その場合の県知事の責任という問題がやはり出てくると思うのです。つまりその災害が、もし普通の雨だと起こらなくても、相当な雨が降ればひょっとしたらというこの危険性の予見が全然なかったかどうか、それが一つ問題だと思うのです。つまり不可抗力であったのかどうか。したがって、こういう点はやはり現地で明確に調査をしていただいて、責任の所在というものを明確にせぬと今後問題が起こると思うのです。だから私は、これも注文をしておきたいのです。この辺、規制区域にしなかったことがはたして妥当であったのかどうか、これは県知事の責任ともからめて、具体的にひとつ結論を出すべきだと思うのです。
  48. 吉田公二

    ○吉田説明員 ただいまの御指摘でございますが、今回の災害の結果いろいろ調査いたしておるわけでございますが、宅造規制法という制度は、宅造行為そのものが災害の原因になるという意味において、いわば宅造が不十分な工事で行なわれた場合に、その工事そのものが崩壊したりあるいはがけくずれを起こしたりしましてその周辺部に影響を及ぼす、これを主眼として押えていくたてまえでございます。今回の災害におきましては、そうした宅造行為それ自体が災害の原因というよりは、むしろ開発が行なわれましたところが被災地になっているというケースが多うございまして、私どもの見方の上では、どちらかと申しますと、開発行為そのものをチェックする開発許可制度にむしろ近い範疇ではないかと思っております。  ところが、その開発許可制度と申しますのは、宅地開発というのはある程度の広がりがあって市街地をつくる場合の制度でございますので、都市計画法の三十三条の中には、出水等のおそれのあるところについてはそれ相当の処置をしろということとともに、災害危険区域でございますとかあるいは急傾斜地でございます等の宅地造成をすることが危険なところについては、開発行為の中に含んではいけないという規定があります。そういうふうな危険区域というものが明らかになっているところについては開発許可は行なえないという形になってございますが、この地域につきましては、開発の単位が、実は都市計画法でいっておりますような許可対象になるような規模におきます宅地造成というものではございませんで、今度の災害の中身は、いわば個別ばら建ての一つ一つの建物の問題でございますので、直接的に開発許可の対象になるような開発行為も実は含まれていないという形でございまして、むしろ宅地造成の前段階にあります、たとえば災害危険区域の制度でございますとか、そういうもののほうがもう少し考えられるべきだったと思いますが、なお、こういった福岡県に対しましては、先生御指摘のような宅造規制法の指定によりましての向後の災害の予防という見地から、見直し等について十分検討してもらうことにいたしております。
  49. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 わかりました。ただ、やはり山のすそ野の開発が、われわれが見たところでも非常に乱開発という印象が強いので、それは因果関係からいけば遊水機能というか、流出率の増大につながる問題ですから、その因果関係について具体的に調査の上、結論をお知らせいただきたい、このように要望しておきます。  それから次に、これも具体的な問題ですけれども、あの四王寺山、つまり太宰府町の近辺にある山です。これの国分寺住宅のところが非常に被害が大きいという一つの例があります。この四王寺山の一部がこの国分の部落の人たち五十人ほどの共有名義になっているのですが、それを県が借りて造林を行なった。つまり県行造林ですね。それを今度は民間業者に払い下げをした。その民間業者は、佐賀県の小柳商店という業者ですが、この小柳商店が伐採、貯木、積み出し、販売、全部県からまかされているわけですね。  それで、あの災害の日の当日の状態では、この小柳商店が伐採した木材をそのまま現地に積み立てておった。それが流水を防いで、ためて、耐え切れずに土砂流となって木材が一緒に流れていった。もちろんなまではえていた木も、根こそぎやられた木もその中にまじっておりますけれども、この貯木された木材が一緒になっておる点が非常に被害を増大している。これはわれわれの調査によってもそうです。こういう事実を把握しておられるかどうか、まずお伺いしたいのです。
  50. 松形祐尭

    松形説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘のございました山でございますが、御承知のとおりに昭和十一年に水城村と県が契約いたしまして、十三・六ヘクタールについて植林いたしまして、現実には県有林的な県行造林というかっこうになっております。昭和四十七年になりまして、十月でございますが、村のほうで財政上のいろいろな理由があったと思いますが、これを伐採したいという申請が出てまいりました。しかし、風致上等の関係も、国道から見えるところでございますので、その全面積を一ぺんに切るということじゃなしに、そのうちの約四ヘクタール弱の三分の一でございますが、これを六月七日に契約いたしまして、七月一日から伐採を開始いたしております。  その内容を申し上げますと、立っております木が約三千本でございます。そのうち災害のあった当日までに切りまして搬出いたした木が千七百本、残っておりましたのが五百本、大体八百本程度が、御指摘のとおりにたま切りあるいはそのまま倒しまして、搬出の途中であった、こういうことでございまして、それが百ミリ以上の、あるいは百ミリ検討の時雨量でございまして、その上流のほうの山腹が崩壊するとか、あるいはその場所そのものが非常な災害を受けるというようなこと等がございまして、その上流に四つの堰堤が入っておったわけでございますが、それをオーバーいたしまして一緒に流れていった。そして人家に非常な被害を与えた、こういう実態でございます。
  51. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 お聞きのとおりなんですよ。それで、つまり自然災害プラス人為的な災害の競合と私が指摘した一つの例がこれなんです。  そこで、被害者としては損害賠償の要求の意図もあるわけですね。こういう場合の責任の所在というのは、つまりそういうふうな形で貯木しておった際、もし自然災害が起こるとこれは当然その災害を増大するという予見は、私は可能であったと思うのですね。不可抗力ではなかった、その点は。そうすると、その業者の責任というものはわれわれとしてはすぐ目の前に出てくるのですけれども、監督の県のほうの責任も背景としてあるのではないか。その辺の責任の所在についてどのようなお考えを持っておられるか、お伺いしてみたいと思います。
  52. 松形祐尭

    松形説明員 この契約の完了いたしております関係から、県ということよりは本人の問題、契約者の問題であろうかと思いますが、私ども全国的にこういう伐採を相当数多く国有林等でやっておりまして、通常的にはこういう災害というものは私ども想定せずに——この場合にいたしましても、通常の降雨でございますと、普通はい積みいたしました場合は、非常に空間があるものでございますから、流出するというようなことはございません。しかし、この場合、一時間に百ミリ近くも雨が降るというような、しかも上流でそのような堰堤があったにもかかわらずオーバーしたというようなことで、私どもはこれは天災、不可抗力のものではないかと考えておるわけでございます。なお、現地においてもそういう動きがあるというようなことが私どもにも連絡がまいっておりますので、県とも十分御相談申し上げながらいろいろ対処してまいりたい、このように考えております。
  53. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 御案内のとおり、四十三年の飛騨川の観光バス転落事件の訴訟の結論はおわかりのとおりです。やはり不可抗力の点と行政上の責任の問題の競合。こういう事件の際には、不可抗力の部分がどのくらいあるのかですね、それが問題になると思う。飛騨川の訴訟でも四割は不可抗力だ、あとの六割は、という判決になっているわけでしょう。だから、あなたのように、不可抗力のように考えられるだけでは済まされないのじゃないですか、いま出されたそういうあなたの見解では。私は事態をもう少し明確に把握される必要があろうと思いますよ。  では、百ミリくらいの雨が降ったら当然そうなる。雨が降らないという保証はどこにあるのか。百ミリくらいの雨が降ったからそうなった。降らないという保証はどこにあるのか。そうすると、もし百ミリくらいの雨が降ったらこれはたいへんだという予見は当然できるのじゃないですか。つまり予見性の問題です。それと、その責任との因果関係ですね。もう一度見解を承りたい。
  54. 松形祐尭

    松形説明員 十分県とも連絡をとって、いろいろ御相談申し上げたいと思いますけれども、私ども調査いたしましたところでは、この山系を中心といたしまして、御承知のとおり花こう岩でございます。表土がきわめて薄いということがございまして、崩壊いたした個所が約千六百カ所もございます。したがって、どうしても、森林があることによってその崩壊を防ぐという限度の雨量をはるかにオーバーいたしておるという関係もございまして、私ども、その辺の因果関係というものは、現地において十分また調査してみたいと思っております。
  55. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 具体的に起こる問題ですから、損害賠償の件も、いまのおことばのとおり十分調査を進めていただきたい、このように要望しておきます。  時間の制約がありますから、福岡県から出されております被害対策に対する要望書、これはいま検討されておりますか。
  56. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 要望事項についてはいろいろ検討いたしております。   〔委員長退席、金丸(徳)委員長代理着席〕
  57. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 すべてにわたって聞くわけにいきませんので、時間の許す範囲内でこの要望の点をからめてお伺いしておきますが、まず、要望事項の一の激甚災害の指定並びに指定基準の緩和というところに関係してお伺いしたいのです。まず、基準となる四十八年度の全国標準税収入が出てくるのはいつごろになるんでしょうか。
  58. 杉岡浩

    ○杉岡説明員 お答えいたします。  これは自治省のほうで、八月末を基準といたしまして全国の標準税収入を推定いたしております。
  59. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 大体、予想としてはどのくらい見込まれますか。
  60. 杉岡浩

    ○杉岡説明員 四十七年との比較等考えまして約四兆一千七百億ぐらいと考えております。
  61. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうすると、激甚地指定の要望が出ているわけでありますけれども、まず、公共土木施設のほうの関係からいうと、いま県のほうから出されておる被害額と見比べていただいて、指定の見込みについて大体のところをお伺いできたらと思うのですが。
  62. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 福岡県については、市町村の中に基準に達しているところがございますので、局地激甚の指定の準備をいま進めておりますし、全国的に農地被害額に達しておりますので、いま激甚の指定の手続を進めているところであります。
  63. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ちょっと声が小さかったのですけれども公共土木施設のほうの本激の関係からいうとどうなりましょうか。
  64. 杉岡浩

    ○杉岡説明員 ただいまの標準税収入四兆でございますか、この率から申しまして、公共土木施設は、本激はむずかしかろうと思います。これにつきまして、あと局地激甚という制度があるわけでございますが、これにつきましては基準にもございますように査定額、これは九月、関係省庁参るのですが、その査定を待ちまして局地激甚の指定等の手続を進めるということに相なると思います。
  65. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 本激のほうは無理だろうけれども、局激のほうには入るかもしらぬ。どのくらい入る可能性がありますか。たとえばちょっと一例をあげてくれませんか。一番確実なところを一例。
  66. 杉岡浩

    ○杉岡説明員 これは建設省中心といたしまして、関係省庁が積み上げた数字になっておるかと思いますが、はっきりとした町村名がはたしてそのとおりになるかどうか、非常にあれでございますが、県報告等から勘案いたしまして、たとえば被害が相当大きく、標準税収入を、その市町村の標準税収入ですが、これと比べまして相当大きい市町村は、関係省庁からの報告を見ますと、たとえば若宮町のようなところは標準税収入よりも非常に大きな被害が出ておるようです。
  67. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いまの段階では明確な御答弁いただけないのはわかります。一応局激のほうで指定される可能性は幾つかあるというふうにわれわれとしては承っておきたいと思います。  農林関係のほうは、先ほど副長官おっしゃったのに大体入るわけですね。
  68. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 今回の台風六号、これは七月二十日から七月三十日の福岡県、それから八月四日の雷雨、八月六日の大雨という新潟、北海道でございますけれども、これは全国規模の激甚指定の規模に達しておりますので、その手続をいま進めておるところでございます。   〔金丸(徳)委員長代理退席、委員長着席〕
  69. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 天災融資法適用関係はどうなるのですか、第八条関係
  70. 澤邊守

    澤邊政府委員 天災融資法適用につきましては、先ほどもお答えいたしましたように、干ばつ被害がなお進行中でございますので、その終息した段階で、統計情報部調査結果と被害程度を見た上で適用をきめたいというふうに考えておりますけれども、その際激甚の適用になるかどうかについては、現在では何とも申し上げられないわけでございます。
  71. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そのとおりだろうと思うのですがね。見込み等もちょっとお考えを聞かしていただけるといいと思うのですが、どうでしょうか。全然やはりいまの答弁のとおりなんでしょうかね。
  72. 澤邊守

    澤邊政府委員 被害総額は非常に多いわけでございますけれども、実際に貸し付け対象農家になりますのは一定の被害、農家の場合は三割以上ということでございますので、三割以上の被害はどれくらいかということが、適用の可能性があるかないかということになります。一般の水害等の場合ならば、先ほど申し上げましたような被害額ならば全く問題はないわけでございますけれども、そういう状態でございますので、なお検討したいと思います。
  73. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 中小企業関係はどうなっておりましょう。
  74. 若杉和夫

    ○若杉説明員 福岡県のほうと常時連絡をとって被害状況調査しておりますが、現在のところ、局地激甚指定という関係になる市町村があるのではないかということで詰めておりまして、調査が若干おくれておりまして、両、三日中に県のほうから上京してくるという段取りになっております。それを審査の上、指定の基準に該当いたしますならば、関係省とも協議の上指定したいと思います。
  75. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 この要望書の中に、指定基準適用の緩和ということを入れておるわけですけれども、この辺についてはどのような御見解をお持ちでしょうか。
  76. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 指定基準の緩和については、昭和四十六年に改正いたしましたので、現在のところは考えておりません。
  77. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 改良復旧分の多くを見ていくというようなことで、内容的には満たしていくというような方法はあるわけでしょう。
  78. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 昨年、原形復旧ではなくて改良復旧ということで、災害対策はそういうふうな形でやっておりますので、ことしもそういうふうな形ではやりたいと思っております。
  79. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 だから、指定に至らぬようなあれでも、そちらのほうで見ていくというようなワクといいますか、幅と申しますか、その辺は十分ひとつ勘案をいただきたい、こういうことなんです。
  80. 黒坂正則

    ○黒坂説明員 お答えいたします。  公共土木の災害復旧につきましては、たてまえは原形復旧でございますが、改良復旧を十分考慮しております。災害復旧だけで十分でないときには、災害関連事業というようなことも考えまして、再度災害防止というような見地から災害復旧を考えております。
  81. 澤邊守

    澤邊政府委員 先ほど天災融資法適用についてお答えいたしましたが、私、うっかりしまして干ばつのほうと間違いましたので、訂正してお答えをさしていただきます。  六号台風、七月から八月ごろにかけましての豪雨によります被害規模は、農作物被害は、県からの報告によりますと農林水産物全体を含めまして二億九千五百万という報告が参っております。したがいまして農林関係といたしましては、今回の災害農地、農業施設等の施設災害が大部分でございまして、作物被害は非常に軽微であるというふうに考えております。したがいまして、従来の例によりますと天災融資法適用は残念ながら非常に困難だと思います。
  82. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうすると五条、六条関係ということですね。農地災害あるいは農地関係施設……。
  83. 澤邊守

    澤邊政府委員 そのとおりでございます。
  84. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ただいまのところのお考えとして聞いておきましょう。  それから、時間がありませんから、本日採決が行なわれました弔慰金それから援護資金の貸し付けの法案についてお伺いをしてみたいと思うのですが、七月十六日から適用ということになりましたから当然だと思いますが、今回の福岡県の災害はこの適用がありますね。
  85. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 先生おっしゃるとおりでございます。
  86. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そこで、本法の適用災害救助法適用市町村だけになるのか、どうなんでしょうか。
  87. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 お答えいたします。  立法の過程から見まして、これは具体的に政令できまるわけでございますけれども、それより広がるというように解しております。
  88. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 たとえばここにありますように、関係知事が厚生大臣と協議して定めるというような点も適用されていくわけですか。
  89. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 そのとおりでございます。
  90. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 次に、弔慰金支給あるいは貸し付けの手続はどんなふうになるのですか。
  91. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 具体的には市町村条例で定めるということになるわけでございます。
  92. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 どういう指導をなさるのですか。
  93. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 法律が成立した段階におきまして直ちに政令を定めなければならないわけでございます。その政令と相前後いたしまして、市町村に対して条例のひな形と申しますか、モデルというようなものをお示しいたしまして指導したい、かように考えております。
  94. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 どういうモデルを考えておられるのですか。
  95. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 現在のところ検討中でございます。
  96. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 大体輪郭はあるでしょう。
  97. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 現在の準備の進捗状況でございますが、政令を制定しなければならないということでその段階に至っているところでございまして、まだ条例のひな形というところまではいっておりません。
  98. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 法案を見てみますと、政令にまかせられることが非常に多いのですね。だから、政令ができるのはどのくらいかかるのですか。
  99. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 法案の審議の過程もにらみ合わせまして現在事務当局で検討中でございまして、現在の予定といたしましては、大体今週一ぱいくらい厚生省の事務当局の案をまとめまして、来週あたり関係各省庁との折衝を開始したい、このような状況でございます。
  100. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 だから、できるまでどのくらいの期間、たとえば一カ月くらいはかかりそうだとか、ひとつそういうふうに御答弁いただかぬと、そんなあなたのような答弁を聞いたって、何にもならないですよ。
  101. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 法案が成立いたしましてから一月以内には政令も出しまして、それから指導通牒も出しまして、実際の実施の段階にいたしたい、かように考えております。
  102. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 初めからそんなにおっしゃればいいのですよ。  それから八条の一項の二に「家財」ということばがあるのですけれども、これは私ども社会党としても、十数年来、個人災害は具体的な法案も出し、努力してきたところですけれども個人災害がやっと制度的に日の目を見たのは、私どもとしてたいへん評価をするわけです。今後中身を充足していくという問題は別として、そういう立場からお伺いするわけですけれども、実際に被災地へ行ってみると、個人災害の場合、たとえば畳ですね、畳は一体どうなるのかという具体的なあれがあるのですよ。畳なんか家財の中に入るのですか。
  103. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 入れることを予定しております。
  104. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうすると、床上浸水が問題になっておるから、私は当然入ると思いますが、つまり貸し付けの対象になるというわけですね。
  105. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 そのとおりでございます。
  106. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そういうものは政令できちっと定められるわけですか。
  107. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 そういうように予定しております。
  108. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 次に、弔慰金の場合の遺族範囲なんですが、先ほど申し上げたとおり、過疎地帯のあれと違って、鉄砲水で一家が全部流されるというようなケースは今後ふえる。それで、そういう場合に、遺族範囲が直系だけになっておるようですね。傍系だけの場合はどんなふうになるのですか。
  109. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 法律によりますと、支給されない、こういうことになっております。
  110. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それは将来ともそういうことなんでしょうか。
  111. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 この法律の現在までの審議の過程から見ますと支給されないということになっております。また、その問題につきましては、今後具体的にそういうケースが発生した場合において検討されることはあるだろうと思います。
  112. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 遺族援護法の場合は同居のきょうだいが入っておるのじゃないですか。
  113. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 正確には記憶しておりませんが、入っていたというふうに思います。
  114. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 だから、どうしてそんなに違うのかというあれがすぐ出てくるのですよ。(「議員がつくったのだからしかたがない」と呼ぶ者あり)だから今後のそういう点に対する御見解を——どういう審議があったか、私、さだかに知らないものですから、その辺の検討はなされたのかどうかというのをお伺いしておきたいのですよ。
  115. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 その点について私ども必ずしもつまひらかにしておりませんが、遺族援護注の場合には、遺族援護法の観点からどの範囲に定めることが適当かということになるだろうと思いますし、それからまた、この災害弔慰金法律では、災害弔慰金法律の趣旨からいってこのように定められたものだろうと推察するわけでございます。
  116. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いまささやきがあったのですけれども、議員立法ですから問題がありますけれども、しかし私は、議員立法で通っても、問題点としていまお伺いしているわけですよ。どういうふうな見解を政府としてお持ちか。  それから、貸し付け者が償還できなくなったときのことが書いてありますね。市町村負担という問題がすぐ出てくると思うのですが、金利の三%というのはどこが取るのですか。どこの収入になるのですか。
  117. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 市町村でございます。
  118. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうすると、償還できないケースがふえた場合の市町村負担とからめて、やはりこの金利がそれの充当になる、そういうふうに考えておっていいのでしょうか。
  119. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 そのとおりだと思います。
  120. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それからこの法律が通るまでに県でそれぞれ現行のいわゆる弔慰金構想と申しますか、弔慰金補助制度があるわけですね。それによって、たとえば十万円なら十万円をすでに払っておるとしますね、そうすると、あと五十万円との差額の四十万円というのは追加支払いになる、そういうふうに考えておってよろしいですか。
  121. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 そのとおりでございます。
  122. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私の質問時間は四十分までですが、あと十分、ちょっと多賀谷委員に関連をお許しいただきたいのですが……。大原委員長 関連質問申し出があります、多賀谷真稔君。
  123. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 では、いまの弔慰金支給並びに援護資金の貸付けに関する法律案について、政令に関する部分について質問したいと思います。  いま若干質問がなされたわけですが、まず第一に、弔慰金の場合と災害援護資金貸し付けの場合における災害範囲、これをもう少し具体的に意見を加えて言いますと、災害弔慰金の場合は災害救助法等と無関係に、要するに災害があれば一人であってももらえる、こういう意味ではないかと思う。その点はどうなんですか。
  124. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 そのとおりでございます。
  125. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そういたしますと、災害救助法が全然全国的に見て適用されなかったような災害でも弔慰金のほうはもらえる、こう見てよろしいですね。
  126. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 その点につきましては、災害はある程度の規模ということを想定しております。ただ、その災害がある程度の規模に達した場合であっても、しかも死者は一人しかいなかったという場合は当然これは支給される、かように考えております。
  127. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 この条文から見ると、災害がある程度の規模というのは、少なくとも災害弔慰金に関してはいえないのじゃないか。というのは、災害の定義について「その他の異常な自然現象」これをむしろ政令でふえんすべきものであって、災害弔慰金の場合の災害の規模は、政令の少なくとも要件にはないのじゃないか、この法律をすなおに読むとそういうように読めるのです。ただし、貸し付け金の場合は災害の規模が問題になる、こう考えていいのじゃないですか。
  128. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 法律案の第三条で「市町村は、条例の定めるところにより、政令で定める災害により死亡した」云々と書いてございまして、そこで政令で具体的に規定する、かようなかっこうになっております。
  129. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 それはわかるのですが、あなたのほうの指導ですよ。指導というのは、政令で定めるという、その政令ですよ。あなたがいまその法で、厚生省が予定する政令というのは、少なくとも弔慰金の場合は規模をいわないのじゃないか、むしろ災害の形態といいますか、規模よりも自然現象における災害の形態というのがむしろ問題になるのじゃないか、こういうように思うのですが……。
  130. 杉岡浩

    ○杉岡説明員 お答えいたします。  総理府でございますけれども参議院の小委員会等でこの法案が御審議されました経緯につきまして、その辺の御見解を御説明申し上げますと、参議院のほうで、弔慰金のほう、いわゆる五十万円の弔慰金でございますが、これは「政令で定める災害」ということで、あらゆる災害、たとえば落雷だとかそういったものも——自然災害範囲はここには書いてございますけれども、あらゆる災害というのもいかがかということで「政令で定める」ということにいたしまして、たとえば全国のどこかで災害救助法が発動される、そういうような災害があればもちろん全国すべて、厚生省の施設課長が申しましたように、たとえそれが一人であっても弔慰金支給される。さらにそういったものでなくても、厚生大臣が大体これは常識的に災害と認めたようなものにつきましては、弔慰金については支給しようということになっておるわけでございます。  これはなぜそうなっておるかと申しますと、この法律が通る前、現在行なっております十万円の弔慰金補助制度がございます。厚生省でいまいわゆる予算補助としてやっておるわけでございますが、これはその災害救助法適用をされる市町村ということに相なっておるわけでございます。したがって、たとえば福岡の場合、十一カ町村が災害救助法適用されております。かりにどこかの町村が災害救助法適用されなくて、その町村で死者が出た、災害救助法適用されない市町村で死者が出たという場合には、現在の十万円の制度適用されないわけでございますが、今度の法律につきましては、その一つの災害について、一カ町村どこでも、その災害救助法適用されるような大きな——これは災害の規模も一つの判定基準でございますけれども、そういったものは当然適用される、さらに、災害救助法適用されなくても、厚生大臣がそれに準ずる災害、いわゆる常識的に災害、こう判定するようなものにつきましては適用していくという、弾力的に適用しようというような御見解でございます。
  131. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 立法者の趣旨がそういうことであればやむを得ぬと思いますが、ちょっとあなたがおっしゃった点で違うのは、現在の市町村並びに都道府県災害弔慰金は、災害救助法を前提としておりませんよ。たとえば福岡県の場合、災害救助法適用しなかったけれども、いまむしろ参議院の立法者が考えているように、当該町村が指定を受けなかったけれども、他の地域において死亡者が出た場合には県の弔慰金を出しておるのです。そういう条例になっておるのです。ですから、あなたがそういうことを前提にお考えであれば、これはむしろ間違っておる。また、そういうことを参議院に入れ知恵をしたとすれば、この立法者がそもそも間違って法律をつくったことになる、これは注意をしておきたいと思います。  それで、これはやはり、救助法というものが、あるいは災害の規模というものが前提にならないと考えるのが至当ではないか、弔慰金の場合は。すなおにこの法律を読むと、むしろ政令で定めるというのは、規模は入らないで、自然現象被害というものは、どういう原因というのがむしろ問題になっていく、そういうように考えざるを得ないのです。貸し付けの場合は別ですよ。これはひとつ十分協議をして検討してもらいたい。厚生省もそれから総務副長官も、これは関係者ですからひとつお願いをしたいと思います。
  132. 杉岡浩

    ○杉岡説明員 さっき申しましたのは、国の補助、たとえば十万円に対しまして五万円の補助が対象になりますのは、災害救助法適用している地域、これは昨年の七月にこう申したわけでございます。いまの先生の御趣旨につきまして、一応政令でそういうふうになっておりますのですが、いわゆる災害についてはできるだけ弾力的に運用できるように、政令等の段階において検討してまいる、これは厚生省関係各省等とも、そういうことでおるわけでございます。
  133. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 それから、貸し付けについては、やはりこれも明らかに災害救助法が前提になりますか。災害救助法というものがどこかで起こるというのが前提になりますか、貸し付け金の場合。
  134. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 前提になります。
  135. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 今度の福岡県の場合は、災害救助法適用を受けない市町村において、あるいは死亡あるいはまた流失等を見ておりますが、これは当然適用になると考えてよろしいでしょうか。
  136. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 お答えいたします。  当然適用になるように政令を定めていきたい、かように考えております。
  137. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 では次に、政令で定める金額ですけれども、これは省略します。  次に、具体的な例を聞きます。  農林省にお聞きしたいのですが、福岡県の筑穂町を流れております大野川、これは下流が篠栗に通ずるわけです。この大野川の上流でここ数年国有林を伐採しておる。伐採をしたことによって、伐採した根っこがどんどん流れてきておる。それから苗木はまだそれほど成長してない。こういうことで大きな根っこがどんどん川に流れてきてはんらんを起こして、下流の災害を一そう増大させておる。そして大野川付近のたんぼも家屋も流失をした、こういう状態になっておるわけです。防災関係から見て国有林野の伐採というもの、この事案についてどういうようにお考えであるか、お聞かせ願いたいと思います。
  138. 松形祐尭

    松形説明員 お答え申し上げます。  この大野川上流ということにつきまして、私は現地について具体的に承知しているわけじゃございません。ただ一般的に申し上げますと、国有林につきましては、森林法に基づく国有林の地域施業計画という計画制度を立てまして、伐採あるいは植林というようなこと、あるいはそれに必要な防災施設というようなものを完備するように施業いたしておるわけでございます。  特に、近ごろの森林の持っております国土保全あるいは水涵養機能等の公益的な機能等に対しての要請ということが強く出てまいっております関係から、昨年来私ども新しい施業方針というものを立てまして、今年度からこれを全国的に定着いたしまして、皆伐するにいたしましても小面積にするとかあるいは分散するとか、あるいは必要な堰堤等を設けながらやるとか、あるいは抜き切りにするとかというようなこと等を配慮しながらやっておるわけでございます。この大野川上流における伐採の根っこの流失というものにつきましては、私ども現地について十分調査して対処いたしたいと思っております。
  139. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ぜひ調査をしてもらいたい。地元では相当の非難が出ておるわけです。  次に建設省河川関係についてちょっとお答え願いたいと思います。  筑豊炭田の場合、御存じのように炭鉱が閉山をしました。従来ですと、炭鉱がありましたときには坑内にどんどん水が浸水をして、災害のときには坑内から何ばいもの水を揚げておった。ところが筑豊は全部炭鉱がなくなりましたから、その坑内が満水になっておるわけです。ですから、水が浸透する余地がなくなっておる。そしてまた付近が開発をされまして、いわば開発によって浸水する水量が非常に少ない、河川がはんらんをする、こういう現象が起きておるわけです。ことに昨年の夏にありました災害の場合は、今度の災害よりも雨の進路が若干ずれておりまして、飯塚地区を中心として非常な災害があったわけです。この場合には水はけができなくて大きな災害になった。というのは、従来炭鉱があったと同じような河川の水量のはけ量、そういうものを予定しておった。ところが坑内は全然水を受け付けない、こういうことで、いわば鉱害と自然災害とが競合して出てきたということが言えるわけです。  それで、もう一回、ことに遠賀川の水系については十分排水について注意をしていただきたい。できればポンプ等を引いて水はけをよくする、こういうことが必要ではないか。従来の、ここ七、八十年の感覚ではもういかなくなってきておるのじゃないか、こう思うのですが、その点……。
  140. 黒坂正則

    ○黒坂説明員 お答え申し上げます。  私、直接の担当ではございませんが、炭鉱による鉱害復旧というのを実はやっております。これは炭鉱を掘りまして地盤沈下を起こしまして、それで河川の機能が失われるやつをもとへ戻す、堤防のかさ上げとか、そういうことをやっておるわけでございますが、いま先生のおっしゃいました地下の坑道に水がたまって地下への浸透がなくなるための流出の変化、こういうものについては私も初めて聞きました。なお、河川局の担当課に申しまして、十分調査させたいと思います。
  141. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ぜひひとつ新しい観点から調査をしてもらいたい。それは単に鉱害とは言えないわけですね。ここ七、八十年は坑内で水をどんどんポンプアップしてくれておった。ところがそれがいま満水になっているから、浸透しないわけです。ですからこれは、競合しておる面もあるけれども河川の改修をしなくて済んでおったという面も、両方あるわけです。ですから、いままでとは非常に様子が違って、ことに集中豪雨の場合は違ってくるということを十分考慮して、至急に河川に対する改修なり、あるいはポンプアップの施設をつくるなり、十分対処してもらいたい、このことを要望しておきます。
  142. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 最後に一点だけお伺いしておきます。  貸し付け金の据え置き期間ですが、三年と五年と出ておるのですけれども、その区別は具体的にはどういうふうになるのでしょうか。
  143. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 お答えいたします。  一応立法過程では、特別の事情がある場合は五年ということでございまして、政令で規定する場合に、特別な事情というものを少しきびしくやっていかなければならないのではないかということで、いま検討中でございます。
  144. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それは書いてあるとおりなんですよ。それを聞いているのじゃないのです。特別の事情とは、たとえばどういう場合が具体的に考えられるかということを聞いているのです。
  145. 杉岡浩

    ○杉岡説明員 お答えいたします。  参議院の御審議の段階におきまして、金利三%の貸し付けでございますが、これを無利子とか三年ないし五年——特別の事情がある場合五年ということで、たとえば非常に災害が大きいというような場合、それから、そういったことを検討しろということで特別な事情というふうに入っておりまして、具体的にどういう場合というのは、われわれのほうもあまり把握しておりません。これはやはり、五十万を貸す場合に、五年の場合約半分が無利子になる、これを災害の態様に応じて、大きな災害の場合にはそういった約半分の期間無利子というような有利な方向に持っていけるように、政令で検討してまいりたい、こう思っております。
  146. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 その種の政令等の内容については、立法者も入れてずっといまから詰めていかれるわけですね。そのように承ります。  時間が参りましたのでこれでやめますけれども、県のほうからいろいろ要望事項が出ておるのは御案内のとおりですので、ひとつ要望が満たされるように御努力をいただきたい、このように思います。
  147. 大原亨

    大原委員長 午後は一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。    午後零時五十分休憩      ————◇—————    午後一時三十七分開議
  148. 大原亨

    大原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  災害対策に関する件、特に地震対策について参考人の出頭を求め意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 大原亨

    大原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、その日時、人選等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  150. 大原亨

    大原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  151. 大原亨

    大原委員長 災害対策に関する件について質疑を続けます。諫山博君。
  152. 諫山博

    ○諫山委員 まず、福岡県の水害についてお聞きします。  私は、七月三十日、三十一日の水害について、四日間ばかり被害現地調査いたしました。そして、水害の原因がどこにあったのかというような点についても特別の関心を払いながら調べたっもりです。  そこで、私が一番感じたことは、確かに降雨の量も非常に多かったようでありますが、それにしても、私たちがかねてから警告していたような乱開発がなかったとすれば、もっと被害は予防できたのではなかろうかということを痛感いたします。この点は私がそう感じるだけではなくて、たとえば八月一日の西日本新聞は「惨劇−防ぐ手はあった」という見出しで報道しております。この中で九州大学理学部の高橋教授の次のような談話が発表されています。「乱開発防止の厳しい法的規制で“危険地域”を避け防災施設で鉄砲水をかわす−これをしていさえすれば、もっと被害は予防できたのではないか」というようなことが新聞などでも報道されているようです。  この問題について、政府としても同じような立場に立っているのかどうか、それともこれは人間の力では防ぐことのできなかった被害だというふうに見ているのか、御説明願いたいと思います。
  153. 吉田公二

    ○吉田説明員 お答え申し上げます。  ただいまの先生の御指摘、非常に広範な問題でございまして、私の全部カバーできることかという点はございますが、開発に関連して、その地域の安全の問題と開発との調整ということは非常に大事な問題であり、私ども、宅地開発を行なう場合には、そういうものは当然考慮の中に置いて行政を運営しているつもりでございます。  宅地開発という立場から申しますと、現在宅地開発の規制のしかたは二通りの態様に分かれておりまして、一つは開発行為全般に対します開発許可制度というものがございます。これは、建築物の設置を伴います一定規模以上の開発行為に対しまして知事の許可にかけている制度でございまして、現在、都市計画区域の中の特に線引き区域に対しまして開発許可制度が一般にかけられております。これは一定規模以上、大体一般的に〇・一ヘクタール、一千坪以上……。
  154. 諫山博

    ○諫山委員 私、そういう説明は必要ないと思いますが……。
  155. 吉田公二

    ○吉田説明員 その開発行為と安全対策というものの調和と申しますか、その点については十分必要だという見地で私どものほうの行政も進めているつもりでございます。
  156. 諫山博

    ○諫山委員 当時の新聞を見ると一致して指摘しているのは、やはり乱開発が被害を大きくしたということです。たとえば七月三十一日の西日本新聞では「自然がシッペ返し、乱開発の宅地へ人災」というような見出しで報道しているのですが、これはすべての報道が一致しております。こういう問題点があったことを政府としては認めているのかと聞いているのです。
  157. 吉田公二

    ○吉田説明員 広範な意味において開発との関連はあろうかと思います。私どもの宅地開発行政との関連におきましては、先ほど申し上げかけたわけでございますが、宅地開発行政そのものと直接にはちょっと焦点が結びつかないと思いますが、根本的な点においては十分考えなければならない点だと存じます。
  158. 諫山博

    ○諫山委員 どういう点で問題があったのか、どういう点で考えなければならない点があったのか、御説明ください。
  159. 吉田公二

    ○吉田説明員 宅地開発という立場から申しますと、今回のケースにつきましては、先ほど申し上げかけたわけでございますが、私ども、開発許可行政という問題と宅地造成等規制法という法律の二つの行政を所管しているわけでございますが、この災害に関します限り、直接的には私どもの行政の問題とは若干はずれるわけでございますが、そういったところに鉄砲水のような水害が起こる可能性があったところの建築が可能であったこと、そういうことについては一つの問題があったということは言えると思います。
  160. 諫山博

    ○諫山委員 林野庁の方に質問します。たとえば太宰府町の四王寺の林道などは、林道の工事が不完全なために災害がふえたのではないかということが現地では大問題になっております。この点、林野庁はどう理解されているか。
  161. 大原亨

    大原委員長 林野庁はまだ来ていないそうですから……。
  162. 諫山博

    ○諫山委員 それでは、建設省は来ておりますね。南畑ダムの緊急放流が被害を大きくしたのではないかというようなことも現地で問題になっているのですが、いかがでしょうか。
  163. 宮内章

    ○宮内説明員 南畑ダムにつきましては、御承知のように操作規則というものがございまして、その操作規則によって操作いたしておりますので、いわゆる緊急放流ということで被害を増大させたという事実はないというふうに報告を受けております。
  164. 諫山博

    ○諫山委員 河川関係質問します。  私も被害の起こった現地河川をつぶさに調べてみたのですが、昨年太宰府町で水害があって、御笠川の堤防がだいぶ決壊をいたしました。ところが、これが補修されないまま今年に至った。そしてことしになって、そこも決壊するし、それ以外のところも次々に決壊して被害が増大するという結果になっていると思いますが、この点の認識に相違はないかどうか、河川関係の人にお聞きします。
  165. 黒坂正則

    ○黒坂説明員 お答えいたします。  昨年の災害で御笠川の堤防が決壊したということは、ちょっと私のほうは聞いておりません。昨年の災害福岡地方もけっこうあったわけでございますが、昨年の災害のためにことしの災害が増大されたかどうか、少し調査の時間をいただきたいと思います。
  166. 諫山博

    ○諫山委員 ことしの水害で、御笠川に限らずたくさんの川の堤防が決壊して、これが被害を大きくしたことは御承知でしょうか。
  167. 黒坂正則

    ○黒坂説明員 お答えいたします。  河川改修は全国的におくれておりまして、溢水あるいは貧弱な堤防の破堤、そういうようなことによって堤防の決壊が起きていることは、昨年の災害、ことしの災害、まさに事実でございます。
  168. 諫山博

    ○諫山委員 堤防の護岸工事が必要だ、これを怠れば水害の被害を大きくするということは子供でもわかる常識でございますが、こういうわかり切ったことがなぜ放置されているのかということが私にはふしぎでなりません。どうしてでしょうか。
  169. 黒坂正則

    ○黒坂説明員 建設省といたしまして、鋭意河川改修に努力いたしております。護岸の築造あるいは堤防の築堤、こういうことをやっておるわけでございますが、何と申しますか、順番がなかなか回らないというようなことでおくれておる、そこへ豪雨があって被害が起こるというようなことだと思っております。
  170. 諫山博

    ○諫山委員 建設省が当然やるべきことをやらない。しかも、順番と言っていますが、結局は防災予算が少な過ぎるということに問題があると思います。そういうことのためにたくさんの人が命を失う、家屋を流失する、こういう事態になったわけですが、これに対する政府としての責任というのはどう考えておられましょうか。
  171. 黒坂正則

    ○黒坂説明員 建設省といたしましては、治水事業を推進いたしまして大いに河川改修を行ない、今後の水害をなくすということで努力するという考えであります。
  172. 諫山博

    ○諫山委員 たくさんの人が命をなくしたわけですが、お気の毒でした、あなたのところはまだ護岸工事の順番が回ってきていませんでした、こういう説明をしたところで遺族は納得できないと思います。この問題を抜本的に改める方向は出ているのか、出ていないのか。いま概算要求ということも行なわれておるわけですが、これからどうするつもりなのか御説明ください。
  173. 黒坂正則

    ○黒坂説明員 建設省といたしましては、まずことし災害を受けた河川について相当の改良復旧を行なうという考え方で、これを策定を終わりましたあと改良復旧を行なう考えでおります。  なお、全国的な意味では治水五カ年計画を策定してございますが、これを繰り上げ施行して、できるだけ安全な環境づくりということに努力するように考えております。
  174. 諫山博

    ○諫山委員 昨年太宰府町ではたいへんな水害があって、その被害が補修されないまま今日に至ったということを言ったのですが、いま川がずたずたに破壊されています。この補修がおくれますと、今度は少しの雨でもっと大きな被害が起こり得るという事態になるわけですが、今度の水害で起こった河川被害はいつごろまでに完全に復旧できるのか、御説明ください。
  175. 黒坂正則

    ○黒坂説明員 今回の災害によりまして破堤したりあるいは決壊した個所のうち、危険なものについては応急に仮工事、これは土俵とかそういうものを使いましてやっているはずでございます。根本的な改修につきましては、災害査定をいたしましたあと、その災害査定改良復旧を行なうものもございます。あるいは災害に関連事業を加えまして改良復旧を行なう、そういうようなことを行ないまして、おおむね四年間で改良復旧をいたしたいと考えております。
  176. 諫山博

    ○諫山委員 私は、今度の福岡県の水害に限らずいろいろな水害状況を視察してきたのですが、水害によって河川が破壊される、この復旧工事が何年もかかるために、復旧工事の完成しないうちに次の被害がまた発生するという事態になっているわけです。ですから、こういう工事は少なくとも一年以内に完成するということが必要だと思います。どうしてそれができないのでしょうか。これは技術的な観点から不可能なのか、それとも技術的にはできるけれども、予算が足りないからやれずにいるのか、どちらでしょうか。
  177. 黒坂正則

    ○黒坂説明員 お答えいたします。  災害復旧、災害関連事業を含めまして改良復旧をやる場合に、現在の河川のとおりに護岸をやるのではなくて、相当の用地買収を行ない、ショートカット、捷水路をつくるとかそういうことを行なうわけでございます。そういうことで、改良復旧を行なう場合にまず用地の問題、用地交渉、いろいろございます。一年間でできない理由といたしまして、大きく分けると、施工能力からいって一年ではなかなかできにくいという点が一つございます。それからもう一つは、いま申しましたような用地関係の話し合いをつけるのにやはり相当の日時がかかりまして、なかなかできにくいということでございますが、いま先生のおっしゃったように、できるだけ早くやることは必要でございますので努力しているところでございます。
  178. 諫山博

    ○諫山委員 この問題は、早くしないと金のむだづかいになるのです。半分ぐらい完成しているところで次の洪水が起こって全部流される、またイロハから工事を始めるというようなむだづかいが全国的に行なわれているわけで、こういうことはぜひ改めて、すみやかに改修を終わることを要望します。  しかし、それにしましても県や政府の力だけにたよっていたのでは心配だというので、現在福岡県下でも、地域の住民の人たちが自発的に緊急な護岸工事に参加しているというようなことがやられています。こういう場合は国から頼まれてやっているというわけではないわけですが、その人たちに対する労賃の支払いというようなことはどうなりましょうか。
  179. 黒坂正則

    ○黒坂説明員 いまのお話初めて聞くわけでございますが、いままでの制度でございますと、これは労賃を払うことはできないと思います。
  180. 諫山博

    ○諫山委員 水害直後、まだ濁流が流れているときに、県も国も応急対策を立て切らないところを、こういう場合に地域の住民の人たちが土のうを築いて自分たちの住宅を守ろうとするのは当然でしょう。本来国や県がやるべき仕事を、それが間に合わないから地域の住民がやる。これはもうあたりまえのことでありますが、それに対する補償というのはしないのですか。
  181. 黒坂正則

    ○黒坂説明員 水防法に基づきまして出動した場合は別でございますが、地域の人たちが自衛のためにやられることについてまで、県、国は労賃を払うことはいたしておりません。
  182. 諫山博

    ○諫山委員 これはよけいなことをしておるのだったらそういう冷淡な言い方ができるかもしれません。しかし、本来国や県がやるべきことが間に合わない。ほっておいたら家が流れるかもしれないというような状況の中で起こっておる問題ですよ。これはもっとその人たちの善意を生かすというような立場で、前向きに処理するように検討すべきじゃないでしょうか。それとも県や国の手が行き届かぬから流れてもしかたがないという立場ですか。私はもっと思いやりのある行政といいますか、常識的な処理を考えてもらいたいと思うのです。
  183. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 先生のおっしゃる意味、よくわかります。ただ、日本では非常に残念なことには、ボランティアシステムというか、社会に奉仕するという観念が非常に少ないような感じがいたします。そういう奇特な人がたくさん出ていただき、今後とも河川のはんらんあるいは災害復旧に寄与していただくことを心から願っております。
  184. 諫山博

    ○諫山委員 林野庁の人が来られたようですから、林道の問題について質問します。  今度の福岡の水害で、特に太宰府町あたりで顕著に出ていることですが、林道のつくり方が不完全だったというか、問題があったといいますか、それによって土砂くずれが起こって被害が増大するというようなことが、地元ではたいへん問題になっております。林野庁のほうでは、この事実は掌握しておられましょうか。
  185. 松形祐尭

    松形説明員 お答え申し上げます。  福岡県におきます今回の災害でございますが、崩壊と被害を受けた個所が百三十七カ所、約一億四千万程度になっておるわけでございます。特に四王寺林道等につきましていろいろな被害が出ておるということは承知いたしておるわけでございます。
  186. 諫山博

    ○諫山委員 その被害と林道との関係というのはつかんでいないのですか。
  187. 松形祐尭

    松形説明員 個々の個所につきましては、すでに私ども現地等の調査もいたしておりまして、この復旧等につきましての現地査定も終わっておる段階でございますので、個々の場所につきましては、現地査定に参った者としては十分承知いたしておるわけでございます。
  188. 諫山博

    ○諫山委員 いまの答弁は、現地の実情とあまりにもかけ離れておると思います。たとえば新聞の見出しで見ますと、「許せぬ無防備林道工事」というような見出しで、林道工事と水害の関係を論じております。これはいつも開発と災害という関係で問題になるわけですが、林野庁としても、もっと林道工事と災害関係を突き詰めて調査すべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  189. 松形祐尭

    松形説明員 ただいま、特に新聞紙上等に出ておりましたのは、先生御承知と思いますが、四王寺林道かと思います。この四王寺林道につきましては三十九年に約四千六百メートル、三十七年から三十九年までは労働省の緊急就労事業といたしまして、労働省のほうの予算をもって四千二百メートルほどを三カ年においてつくっております。四十四年から四十八年にかけまして、同じような緊急就労事業といたしまして、労働省からの予算におきまして改良と舗装をやっておりまして、現在それが四十八年度工事が進行しておる、こういうことでございますが、このことにつきまして新聞紙上等に出まして、直ちに県のほうでも現地調査をいたしたわけでございます。そのような個所が非常にたくさん出ておるということで、非常に大きな雨量だということもございますが、私ども今後そういうことのないような施設等を設けながら十分整備していくということでまいりたいと思っております。  ただ、林野庁の所管いたしております林道等につきましても、近ごろの自然保護とか国土保全とか、そういう面につきましてたいへんいろいろな要望等が強いわけでございますが、それらを十二分に配慮いたしまして、それらに対応できるような工種、工法等を採用いたしまして、十分私ども、そういう非難のないように努力してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  190. 諫山博

    ○諫山委員 被害者に対する補償ないし見舞い金の問題について質問します。  きょう当委員会で新たな法律が全会一致で可決されたわけで、私たちもこのことを喜んでおります。この法律施行される前、現在の状態ですが、死亡者に対する災害弔慰金がいろいろ各自治体から支払われていたようですが、一番多いところでどのくらいの金額が支払われていたのか、実情をお聞きしたいと思うのです。
  191. 杉岡浩

    ○杉岡説明員 こまかい各県の状況につきましてはつまびらかにいたしておりませんけれども、十万円の弔慰金は昨年の七月豪雨から適用いたしまして、これは災害救助法適用区域でございまして、それに対して、死亡または行くえ不明ということで国が半額の五万円の補助をするという制度が昨年施行されたわけでございますが、これに関しまして、昭和四十七年約三百八十名ぐらいの補助をいたしております。
  192. 諫山博

    ○諫山委員 政府のほうの補助はそうでしょうが、それと別に、自治体では十万円をこえて災害弔慰金を払っているところがいろいろあったと思うのですが、この実情はわかりませんか。
  193. 杉岡浩

    ○杉岡説明員 これは、災害弔慰金をやりますときに自治省等でかつての資料を調べたことがあると思いますが、いまここで、どこの町村が十万円以上ということはつまびらかにいたしておりません。ただ、十万円の弔慰金をつくりましたときに、大体市町村の段階で約一万から二万程度弔慰金が出される。そういたしますと、十万円の弔慰金でございますので、国が五万円それから県が二万五千円、それから市町村が二万五千円ということになっておりまして、大体二万五千円で市町村の実情に合うだろうというような範囲で、十万円というのがこの衆議院の災害特別委員会の小委員会で方針を決定していただきまして、七月から国のほうで実施したということになっております。
  194. 諫山博

    ○諫山委員 私が十万円の問題をなぜ質問したかというと、このたびの新しい法律によって五十万円以上の請求をしてはいけないんだ、あるいは自治体が支給することのできる限度額は五十万円だというふうに理解されたとすれば正しくないというふうに考えたから、そういう質問をしたわけですが、その見解はいかがでしょうか。
  195. 杉岡浩

    ○杉岡説明員 この法律にもございますように、参議院で御審議されましたときに、弔慰金支給する、それに対しまして国だとか県が負担金を払う限度額というのが五十万円とするというふうになっておりまして、いわゆるこの法律に基づく弔慰金が五十万円、すなわちそれに対しましては国が二分の一、県が四分の一、市町村が四分の一ということでございまして、かりに市町村段階等でそれをこえるのがあった場合にはそれはだめだということではございませんで、ただ、この場合、国が限度とするのは、この法律にいう弔慰金は五十万円である。それを二十五万円、十二万五千円、十二万五千円というふうに、国、県、市町村の段階で負担し合うというのは、この法律に基づくものは五十万円が限度だというふうに理解しております。
  196. 諫山博

    ○諫山委員 これは当然のことかもしれませんが、死亡に対する五十万円というのは、たとえば交通事故による死亡の金額に対しても比較にならないぐらい安いわけです。だから、当然、死亡者に対して五十万円以上の見舞い金を要求するということがありましょうし、自治体によっては五十万円以上の金額を払うということも起こり得るわけですが、それはもちろんかまわないというふうに理解していいですか。
  197. 杉岡浩

    ○杉岡説明員 この法律は人の生命が五十万ということをいっておるわけじゃ決してございませんで、これは災害があった場合に、国、県、市町村におきましてその弔慰、お見舞いをするというものでございまして、従来十万であったのが若干低いということで、いろいろと勘案されまして五十万ということでございまして、これが決して人の生命の補償とかそういったものじゃございません。これは法律にございますように、弔慰をあらわす意味におけるお見舞い金ということでございます。
  198. 諫山博

    ○諫山委員 この見舞い金というのがいろんな場合に問題になってきます。たとえば家屋が流失した場合の見舞い金だとか、床上浸水の場合の見舞い金、床下浸水の場合の見舞い金、いろいろ実際に運用されているようですが、こういう場合の一応の基準みたいなのはあるのですか。それともこれは全く自治体にまかされているのでしょうか。
  199. 杉岡浩

    ○杉岡説明員 この貸し付けをする場合、五十万を限度といたしております。それに対しまして、その対象は家屋の全壊あるいは半壊、床上浸水に相当するような損害ということにこの法律はなっております。したがいましてその額でございますが、これは朝にも厚生省のほうから答弁いたしましたのですが、政令をつくり、さらにその市町村条例をつくりまして、支給あるいは貸し付け等をするわけでございますが、やはりそこにおいて全壊とそれから床上浸水、いわゆる物損関係ではそれがアッパーリミットとローアーリミットだと思いますが、その辺の段階をどういうふうにつけるかというところについては、その必要な指導等を行なうことになろうかと思います。
  200. 諫山博

    ○諫山委員 今度は、農産物の被害が非常に大きいようです。この農産物の被害に対しては、たとえば共済制度適用される米とか、そうでない野菜類とか、いろいろ取り扱いは違ってくると思うのですが、野菜類に対する被害の補償というのは何か農林省のほうとしては考えてあるのでしょうか。
  201. 澤邊守

    澤邊政府委員 災害によります野菜被害に対する措置でございますが、ただいまお尋ねの件は先般の七月末、八月初めの豪雨の関連かと思いますが、それでよろしゅうございますか。——農作物被害は、県からの報告によりますと二億八千三百万という数字になっております。福岡県を中心といたしまして、その他数県に及んでおります。被害全体としては、他の災害の場合に比べまして比較的小規模であるというふうに考えております。  一般的に申し上げれば、天災融資法の発動ということも考えられるわけでございますけれども、それによりまして野菜作農家に対する低利融資という救済措置が行なわれるわけでございますが、この場合は、けさほども御答弁申し上げましたように、災害規模が非常に少ないということもございまして、過去の例に徴しまして天災融資法適用は困難かと思います。非常に困難だと思います。  なお、その他の方法として考えられます救済措置といたしましては、農業共済制度による共済金の支払いということも考えられるわけでございますが、これは御承知のように、現在臨時措置法を国会において御審議をわずらわしておるところでございまして、これが成立いたしますれば、施設園芸につきましては、加入されれば共済金の交付が受けられるという制度を、現在法案を提出中でございますが、先般の災害については適用がございませんので、この対象にもならないということでございます。
  202. 諫山博

    ○諫山委員 そうすると、結局農業共済適用を受けない農作物被害については、もう泣き寝入りということになってしまうのですか。
  203. 澤邊守

    澤邊政府委員 災害に対する対策につきましては、先ほど来申し上げましたような制度がございましたり、あるいは立案中であるといま言いましたけれども、これは国の段階での措置としてそういうことがございますし、また検討中であるということでございます。  農林省の考え方といたしましては、農作物被害等につきまして、全国的な大きな災害なり国民経済に影響が大きいというような場合に、国がみずから対策を講ずるということは考えておりますが、それ以下の、それに及ばないような規模のものに  つきましては、それぞれ都道府県なりあるいは市町村の段階において対処していただく、こういうようなことをかねがね指導をいたしておるわけでございます。
  204. 諫山博

    ○諫山委員 最初の質問で、たとえば河川の堤防が決壊して被害が大きくなるというようなことが明らかになったわけですが、こういう事態をつくり出す国の責任というのは、やはり非常に重大だと思います。ところが、実際は被害を受けてもほとんど補償が受けられないということになりますと、何といってもこういう災害が起こらないような予防措置をもっと完ぺきにする、あるいは被害が生じた場合の完全な補償制度を確立するということなしには、みんな安心して生活ができないわけです。この点、政府としては慎重に検討してもらいたいと思います。  なお、いつも水害のあとで問題になるのは、どうにかこうにかお米がとれたけれども、あまり質のよくない米になったために政府から買い入れてもらえないというような問題が起こってきます。等外米扱いにして買い入れてくれないというようなことがいつの場合にも出てくるのですが、そういう等外米が出た場合には政府としてはどう処理するつもりなのか、お聞きしたいと思います。
  205. 澤邊守

    澤邊政府委員 等外米あるいは規格外米については、政府といたしましては、原則として食糧管理特別会計において買い入れはしないということになっておりますけれども災害対策の一環として、非常に激甚な災害を受けたというような場合には、特別に地域を定めまして、配給に乗るような品質のもの、等外米あるいは規格外米であっても、それに限っては買い入れを特別にするという措置はこれまでも講じております。
  206. 諫山博

    ○諫山委員 それは本件についても当てはまる見通しだと聞いていいのですか。
  207. 戸塚金郎

    ○戸塚説明員 福岡県のいまの先生の御質問地域につきましては、被害実態なりあるいは被害米の発生状況等についてまだつまびらかに把握しておりませんので、状況がわかりました時点で検討させていただきたいと思います。
  208. 諫山博

    ○諫山委員 そうすると、どういう条件の場合に、いま説明されたような等外米とか規格外の米も買い入れが考慮されるようになるのですか。
  209. 戸塚金郎

    ○戸塚説明員 従前の例でございますると、天災融資法で指定を受けました県でございまして、かつ被害米の出回る量が相当大きいという県を特定いたしまして買い入れを実施するというのが、従前の例でございます。
  210. 諫山博

    ○諫山委員 農家にしてみますと、米が流失する、これはたいへんな損害です。しかし、それにしても、たとえば共済制度で幾らか補償されるというような救いもあります。ようやく流失は免れた、米にもなった、ところが政府が買い入れてくれないということになりますと、これは踏んだりけったりです。ですから、こういう等外米とか規格外の米というようなものについては、大いに政治的な融通性を発揮して、農民の被害を最小限に食いとめていくというような措置をぜひ考慮してもらいたいと思います。等外米も、一切役に立たないというようなわけでないはずです。それなりの用途もありますから。この点、なるべく農民の被害救済するという立場で運用していただきたいわけですが、いかがでしょうか。
  211. 戸塚金郎

    ○戸塚説明員 具体的な実情が判明いたしましたときには、先生のおっしゃられましたようなお気持ちを体しまして検討させていただきたいと思います。
  212. 諫山博

    ○諫山委員 今度は問題が変わりまして、島根県の干ばつの問題について聞きます。  全国的に干ばつ被害が日に日に拡大しています。島根県の干ばつについては、さっき陳情のときに御説明があったとおりです。私も、島根県に二日間ばかり行きまして、現地の悲惨な状態をつぶさに見てまいりました。洪水もおそろしいけれども干ばつもたいへんだということを痛感してきたわけです。  そこで、島根県の共産党の組織は、たとえば上水道を確保するためには工業用水優先のやり方を続けてはだめだ、こういう立場から、ことしの六月二十三日に飯梨川の都市用水事業の水について工業用水を規制すべきだ、そして優先的に上水道に回すべきだという主張をしました。ところが島根県当局は、なかなかその要求を受け入れてくれずに、八月ごろになってようやく工業用水をストップするという結果になったようです。この経過を見てみますと、共産党の指摘こそが正しかった。これに対する県当局の対応がきわめておそかったから上水道の不足が早まったというふうに理解されるわけですが、いかがでしょうか。
  213. 柴田益男

    柴田説明員 飯梨川の工業用水道につきましては、先生御指摘のとおり八月の十三日から断水に入っておりますが、現在の工業水道による給水計画三万四千トンでございまして、一部上水に一万六千トンほど分けておるのが現状でございます。
  214. 諫山博

    ○諫山委員 共産党が六月二十三日ごろから工業用水を規制しろということを主張していたのは、御承知でしょうか。また、そのとおりにしていたとすれば上水道がいまほど枯渇することはなかったと思うのですが、いかがでしょうか。
  215. 柴田益男

    柴田説明員 先生御発言のような内容につきましては、県からは聞いておりません。
  216. 諫山博

    ○諫山委員 これは県としてはあまりかっこうのいいことではありませんから、報告してないのかもしれません。しかし、こういう問題は共産党の率直な提案も率直に耳を傾けるということを、政府にも要望したいわけです。  そこで、さまざまな被害が島根県にあらわれてきていますが、その中の一つに、上水道の給水が一日に二時間程度だ。そのために、たとえば理髪店の経営が成り立たなくなる、旅館のお客さんが激減する、あるいは工業用水のストップによって関連の中小企業が操業停止に追い込まれる。実に広範な被害が生じております。これを県のほうでは間接被害ということばで説明していたのですが現在島根県の間接被害が幾らぐらいになっているのか、おわかりでしょうか。
  217. 若杉和夫

    ○若杉説明員 一般的に、飲食店あるいは一部の工場等、よく水を使うところで甚大な被害が出ているということは聞いておりますが、きょう現在、その額がどれくらいかという報告は、まだ受けておりません。
  218. 諫山博

    ○諫山委員 私は島根県一つを例にとっていま質問しましたが、これは干ばつが起こっているすべての地域で生じている問題です。そして床屋さんが休業に追い込まれる、あるいは旅館業者の客が激減する、この種の問題が至るところで起こっておりますが、こういう中小企業者に対する救済はどうなるのか、政府としては何か考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
  219. 若杉和夫

    ○若杉説明員 われわれのほうの聞いております段階では、特定の県におきまして特別の融資制度を設けておるということでございます。国としては激甚災その他の指定に入れるのはなかなか困難だろうと私のほうは思っておりますが、情勢いかんでは、中小企業三機関がございますので、そこで特に配慮した運転資金需要についてのめんどうを見るようにということを考えざるを得ない、こういう問題が出てくるのじゃないかと思って、現在検討しております。
  220. 諫山博

    ○諫山委員 中小企業の工場で操業を全面的にストップしているところも島根県に出ていますが、こういう工場に対する補償も、融資程度しか考えていないのですか。
  221. 若杉和夫

    ○若杉説明員 現在のいろいろな制度的な対応というのは、やはり中小企業の被害については金融ベースというのを主体として考えております。
  222. 諫山博

    ○諫山委員 私は、二日間にわたって島根県を視察して非常に意外だったのは、ため池に亀裂が生じている。この亀裂が非常に深刻で、簡単に補修できない亀裂だそうです。ところが、こういう損害というのは、いわゆる農業の損害の中には計上されていないと聞いたのですが、そういうため池被害の実情というのはわかりましょうか。
  223. 杉田栄司

    ○杉田説明員 島根県の干ばつ被害につきましては、その農産物の被害というようなもの、あるいはまた農地あるいは農業用施設の被害状況というものを、日を限ってどんどん調査を進めておる段階でございますが、特に農地あるいは農業用施設、ため池等の被害につきましては、まだどんどん進んでおります。そこでまた一ぺん雨が降りますと、農地等はもとへ戻るという関係もございますので、その一番被害が進んだ状態のところで調査をいたしまして、その実情を写真その他にとって状況を保存するというような作業を指示してやっております。  全体の被害総額については、まだ集計はしておりませんけれども、近く、もう大体水稲作付期間も終わってまいりますので、できると思っております。  なお、ため池の亀裂等が起きまして復旧不能というような話がございましたけれども、おそらくため池等であれば復旧不能というようなことはまずないと思います。そこで、そういうため池等の亀裂に対しましては、明年の貯水に、あるいはまたこれから起きるかもしれない水害等に対応いたしまして、早急に応急的な措置並びに恒久的な措置をとれるように災害復旧事業措置していきたいというふうに考えております。
  224. 諫山博

    ○諫山委員 その場合の復旧の工事費というのはどこの負担になるのか。政府や県としてはどういう援助を考えているのか、お答えください。
  225. 杉田栄司

    ○杉田説明員 一般の災害復旧事業の処理でございます。国、県、地元という関係になります。
  226. 諫山博

    ○諫山委員 もう一つ私、島根県で痛感したのは、国や県が奨励して干拓地をつくった。そこに入植した。ところが、干ばつで非常に大きな被害を受けた。収入はほとんどないという状態です。しかし、それでも毎年の金の支払いだけはきちんきちんとしなければならない。これはたいへんだと思いました。こういう問題については、干ばつによる被害ということで特別な考慮がされているのかどうか、お聞きします。
  227. 杉田栄司

    ○杉田説明員 先生の御指摘の干拓は特に長江干拓地という補助干拓だと思います。これは昨年水害で全くとれなかった、今年は干ばつ、塩害でとれなかったというような実態になって、非常に気の毒なところでございます。そこで、これは県営の補助事業でございますので、当然公庫資金等を補助残につきまして借り入れているという実情があると思います。そこで、その償還の延期の措置というものを、公庫を指導していきたい。公庫法の第六十条を活用するように指導しておるということでございます。
  228. 諫山博

    ○諫山委員 私はごく短期間の間に、福岡県の水害の視察をしてくる、その直後に島根県の干害の視察をしてくる。全く水害と干害というのは相反するものでありますが、それでも共通して言えるのは、政府がもっと国民を大事にするような政治をしていたら、こういう被害というのは大半避けられたのではなかろうかということです。その典型的なあらわれが、たとえば河川の堤防が決壊してもなかなかそれが復旧されない。復旧しなければならないということはわかっているのに、これが復旧されずに長期間放置されている。そのために被害がさらに増加するというようなイタチごっこが続いております。そういう点から見ると、よくいわれることでありますが、天災はほとんどの場合実際は人災であったというようなことが、福岡の水害の場合にも、島根県の干ばつの場合にも、私には痛感されます。こういう点について、これは不可抗力だ、天然自然現象だからどうにもならないというような考え方ではなくて、もっと生活優先の政治を続けていくという立場から抜本的に解決していただくということを政府要望して、質問を終わります。
  229. 大原亨

    大原委員長 次は、田中昭二君。
  230. 田中昭二

    田中(昭)委員 私は、きょうは本年の七月末の福岡県の集中豪雨についてまずお尋ねするわけでございますが、本論に入ります前に、先ほど楢崎委員から御質問がありまして、それに対します総理府の御答弁を、確認の意味でもう一ぺんお聞きしたい。その御返事いかんによっては、私のあと質問がだいぶ省けますから、ひとつ午前中の御答弁をそのとおりしていただきたいと思います。  それは、総理府長官のお話では、今度の福岡県の集中豪雨被害の状況をよく現状把握をして集計し、査定が終われば、ことしの水害、これは七月以前の被害、また昨年等の被害等から見てみても、激甚地の指定がなされる可能性もある。特に各市町村おいでは、それに達しない場合は局地激甚の適用がなされるのではなかろうか。これは私のことばが少し違うかもしれませんが、趣旨はそれに大体合っていると思いますが、そういう御答弁があったと思います。そのあとに参事官のお話では、楢崎議員がそれは具体的にどういう町にそういうものが近いかという質問に対して、そのときに、私の聞き間違いならばここではっきりしておきたいのですが、何か若宮町とおっしゃったと思います。そうしますと、今度の、福岡県の七月末の集中豪雨には、若宮町は災害救助法適用された十一市町村に入ってない。そこで、局地激甚の基準に適合するようであれば、私は聞いておりまして、これは当然十一市町村は局地激甚よりも激甚の財政援助の法律適用になるのではなかろうか、こう思って先ほどの答弁をたいへん期待して評価しておるわけでございますが、私の評価が間違いないと思いますが、いかがでございますか。
  231. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 台風六号、これは七月の二十日から二十九日まで、それから三十日から八月五日の低気圧、これは福岡方面、長崎、それから八月四日の降雨、これは名古屋市でございます。それから八月の六日の大雨、これは新潟、北海道、この災害のうち農地と農業用の施設及び林道の被害については、全国的規模において激甚災害指定基準に達しておりますので、現在関係各省庁においてその指定の手続を進めております。  その他の災害について参事官からのお話がありました局地激甚でございますけれども、これはまだあのときに、楢崎委員のお話では、何とか言えぬかということなので、何ともまだ推定事項のところでございますので、公共土木施設等の被害及び中小企業関係被害について、局地激甚の指定の基準に該当する市町村がある可能性があるということで私のほうはいま調査中でございますので、いまの災害救助法適用以外の杉岡参事官の言ったところを私も確認しておりませんけれども、私のほうでは調査中であるということで、局地激甚のほうの指定ができればという希望を持っておるところでございます。
  232. 杉岡浩

    ○杉岡説明員 補足して御説明申し上げます。  激甚地の指定につきましては、ただいま副長官が御説明したとおりでございます。局地激甚でございますけれども、これは先ほども御答弁申し上げましたように、災害の査定額と、それから当該市町村の標準税収入を見比べるわけでございます。しかもその査定額というのは、その市町村の所管しておる施設の被害と、それから当該市町村の標準財政収入の比較でございます。これはまだその査定をいたしておりませんのではっきりわかりませんが、災害救助法といいますのは、これは、たとえばある程度水がつきまして、床上浸水が何戸以上あった場合は災害救助法を出すという基準がございます。それと、具体的な公共土木施設被害とは必ずしも合っているかどうかははっきりわからないわけでございます。一つの町をあげましたのは、大きな被害の出ておる町名を、具体的な公共土木施設被害の出ておる町村をあげたわけでございます。当該市町村の所管しておる土木施設をあげたわけでございます。
  233. 田中昭二

    田中(昭)委員 もう一ぺん確認しておきます。  いま総理府長官お答えは、私は先ほどからの前提を申し上げたつもりなんです。損害額の査定が終わってない、いまからやるんだから、それができれば、ここでもう少し前向きな答弁ができる、私はそれを前提に置いている。そこでいま、激甚地の指定が福岡県のこの集中豪雨についてはかいもくわからない。だけれども、激甚地よりもその範囲の狭い、基準のやわらかな局地激甚については、副長官は可能性があるとおっしゃった。ということは、私は現時点において、損害額の査定が終われば可能性があるということは、それに近いということですから、可能性があって逆戻りするはずはない、こういう認識です。そういう認識でよろしいだろう、こう思います。御答弁は要りませんけれども、うなずいておられるようでありますから、それを認識いただいたと思う。  そこで、いま参事官にお尋ねしたのは、あなたが若宮町という特定の地名をあげられた。若宮町の公共土木の被害と、今度の災害適用になりました十一市町村公共土木施設被害は少ないからというようなことは、私はいま言えないと思うのです。現場の十一市町村に私は住んでおりますから、状況を見まして、若宮町のほうが常識的に損害が少ないとするならば、当然、若宮町には災害救助法適用されてないんですから、それよりもひどいと思われる十一市町村の公共土木事業については適用になるのじゃないかという解釈を私がするのはあたりまえじゃありませんか。もう一ぺんその点……。
  234. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 局地激甚の場合には、公共施設災害復旧事業の査定した事業費とその市町村の税収入との関係がございますので、その税収入とのバランスがございますから、なかなか一がいに言い切れないということも御了承いただきたいと思います。
  235. 田中昭二

    田中(昭)委員 じゃ、次に進めていきます。  本論に入ります。私は前もって申し上げておくことがいいかどうかわかりませんが、この福岡県の七月末の集中豪雨のときには、雨が降り出してからずっと夜中まで、夜中に集中したわけでございますが、明け方まで私も一睡もせずにその雨の降る状況を見て、その翌朝さっそく、報道機関よりも先に人命損傷の行なわれた現場にかけつけて、そうして私は、いままで質問のあった事情について、現場のことについて調査をしてきたつもりでございます。   〔委員長退席、金丸(徳)委員長代理着席〕  そこで、災害が起こっていろいろな損害が出ることが人災であるとかなんとかいうことはいまお聞きしましたけれども、私は、この災害が起こる前に予防処置がなされておるならば、こういう災害が起こらなかったのではなかろうか、そういう点について少し論議を進めていきますが、昨年の被害についても、総理府では防災会議を各閣僚出席のもとに開かれております。そこでできましたいろんな対策というものを私も見せていただきました。その中で、やはり災害の予防という点については重点的にやるようになっておりますが、そういう点を踏まえまして、まず一般的なことからお尋ねしたいと思います。  福岡県の集中豪雨に限っていきますが、風水害の発生が予想されたり、集中豪雨が大体予想できるというようなとき並びに発生した場合に、現場におきます国の出先機関や地方公共団体等の予防といいますか、予測といいますか、処置といいますか、そういうものと防災体制の発動、その発動による各機関の機能、こういうものはどのようになっておりましょうか。まず総理府と消防庁関係、警察関係だけでもお答え願いたいと思います。
  236. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 昨年の七月豪雨の経験にかんがみまして、ことしは出水期以前に各省関係を集めまして連絡会議を開きました。これは五月でございますけれども、各省庁が協力して横の連携を十分にとること、観測の強化、それから避難体制の確立を中心とした防災会議を開催いたしました。また、御承知のとおり七月六日の中央防災会議においてもこのことを明確にいたし、今後の防災体制を一そう拡充するということで考えております。  いま先生お話しの問題についても、私、防災会議の事務局長として、そういう予防ともう一つは被害額の問題などを考えますと、予防体制というものをもっと明確に、的確に十分やっていきたいということで、関係各省の協力を得て今後とも進めていきたいと考えております。
  237. 藤江弘一

    ○藤江説明員 災害の危険等がありました場合には、まず気象台のほうから消防局の指令室のほうに、専用電話によりまして通報が入ります。これに基つきまして局の指令室から各消防署、出張所等にその旨を連絡するというふうな体制が通常でございます。で、この警報を受理しました消防局の宿直責任者、まあ夜間でございましたら当然宿直責任者ということになりますが、火災及び救急活動の必要性等考慮しながら、市内の必要と思われる個所等に消防自動車であるとかあるいは消防広報車等で巡ら警戒等を実施いたしまして、巡ら警戒中に災害等の事例を発見いたしました場合には、無線で活動部隊を要請いたします。また一方、巡ら警戒中に地域住民等に対しまして警報内容の概要等をPRするというような活動をいたしておるわけでございまして、ただいま問題になっております福岡の場合にも同様の措置をとっておるわけでございます。  なお、災害の一般的な体制といたしましては、災害程度によりまして注意体制、警戒体制、非常体制といった三段階の体制をそれぞれとることになっておりまして、その体制のそれぞれの違いは、動員いたします消防職員の数の多寡でございます。  また、消防自動車等の出動につきましては、第一種から第四種までの出場、それから特命出場という段階になっておりますけれども、風水害の災害につきましては、これはすべて特命出場ということで、住民の通報状況とか、先ほど申しました巡ら警戒中の消防部隊からの報告の状況によりまして、直ちに可能な限りの部隊あるいは消防職員を出動させることになっております。なおこれでも不足な場合には、他の市町村の消防機関に応援を要請するというふうなことが考えられておるわけでございます。  これと関連いたしまして消防団に対しましては、もちろん最終的には消防団長の判断に依存しているわけでございますけれども災害等の危険の発生するおそれのある場合におきましては、消防局の指令室から団長、分団長等に電話連絡いたします。もし出場の必要があるというふうにそれぞれが判断いたしました場合には、分団の車庫等にありますところのサイレンの吹鳴によりまして団員を招集するというふうな体制になっております。
  238. 田中昭二

    田中(昭)委員 気象庁と警察庁、簡単に。
  239. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 この問題につきましては、やはり集中豪雨の警報をいち早く出すということが非常に重要でございまして、ただ、集中豪雨の予報が非常にむずかしいものでございますので、かなり早くから的確にいたすことは非常にむずかしいのでございます。したがって、各方面のいろいろなデータを集めるとともに、そのデータに基つきまして警報を出しております。今回の場合につきましては災害の一時間半ほど前に警報を出しまして、その前に注意報はもちろん出しておりますが、そういう状況で、なるべく早い時期に警報を出して災害対策がとれるようにつとめておるわけでございます。その警報につきましては、消防庁とか自治体とか、そういう方面に電話でお知らせしておる、こういう状態でございます。
  240. 田中昭二

    田中(昭)委員 私、もう少し一般的なことでお尋ねしますが、そういう場合そういう体制になっておるわけでございますけれども、実際に災害が発生する現場での各機関をかりに想定いたしまして、——その前に、災害の場合に一番強く思いますのは、何といいましても消防関係、警察関係は、人が寝ているようなときに出ていくわけでございまして、そういう活動に対しては、ほんとに心からいつも敬意を表しておるわけであります。だけれども、そういう中に、大雨が降って災害が起こるんではなかろうかというときのその行動を誤りますと、手おくれになりますと、今度の福岡の水害みたいに多数の死人を出していくというようなことになり、こういうことを言わなきゃならないわけでございますから、ここで、災害のときに一番働く消防庁の方のいろいろな状況を取り上げて話すことは、心苦しいのですけれども、そのほかの国の出先機関なんかはそれに比べればたいへん手ぬるい、防災対策のとおり動いてない、こういう気持ちがしてならないわけでございます。  まず消防署でございますが、消防署には当直の方がおられるわけでございます。その当直の方が、降りしきる大雨を見ながらたいへん不安を感じているとします。そのときに、たいへん雨が降っておりますから、その人が先ほどの電話連絡等によりまして気象機関からの大雨注意報、そういうものを聞いておったとします。その場合、注意報を受けた当直勤務者は、さらに降り続く大雨降雨量を見てどのように処置すべきでしょうか、簡単にお願いします。
  241. 藤江弘一

    ○藤江説明員 御指摘の問題につきましては、当日夜八時四十分ごろ大雨注意報が出たわけでございます。それとともに、宿直責任者といたしましては降雨の状況等警戒いたしておったわけでございますけれども、そのときの状況をいろいろ聞いてみますと、まあ当初はたいした雨ではなかったということで、むしろ十時ごろからかなり強い雨が降り出した。最も激甚になったのは晩になってからだということだったわけです。したがいまして、それらの降雨の状況等を判断しながら、先ほど申しましたような、どのような警戒体制をとるかということを実は判断いたしたわけでございまして、この段階では、先ほど申しました第二段目の警戒体制をとる、それに応じまして消防署員等を招集したということになっておるわけでございます。なお、巡ら等は十時ころから開始いたしておるわけでございます。
  242. 田中昭二

    田中(昭)委員 実は私のうちのすぐうしろが福岡の消防署なんです。いまお答えになった方は、福岡県、市の状況をお聞きになってお答えになったのであって、あなたはきちっと第二の警報を出して、集まって巡らしたとかなんとかおっしゃいますけれども、そういう状況じゃないのですよ、現実は。ですから、それは現場の方でないから無理もないと思いますけれども総理府長官、ここが大事なんです。  福岡の場合を申し上げますと、確かに八時四十分には気象台のほうから大雨注意報は出ておる、そういうわけですね。そうしまして、たいした雨ではなかったといいますけれども、その前にもう一つ条件があるのです。その当日、三十日の前々日、前二日間には、この福岡地方に百ミリ以上の雨が降っておるのです。そういうことも当然、これは過去の事実ですから頭に入れておかなければならない。気象台のほうも手を抜いているのですね。前の前の日までに百ミリも雨が降っておって、大雨注意報を出すのですから、その晩。ですから、そういうことを怠って、ここに新聞の書き抜きをしてきたのですが、前日、前々日の二十七、二十八日の百ミリをこえる雨が今度の災害の引き金の役目をした、それで予想もしなかったところにがけくずれが起こった、こういう新聞報道になっている。結局、かりにいまの消防署の当直者とすれば、その大雨注意報が出た段階で当然集中豪雨ということを予想し、そしてこれが、ただ関係者が集まってくることも大事でございます。   〔金丸(徳)委員長代理退席、委員長着席〕 また、先ほど聞いた防災体制の中でいろいろな横の連絡も、おっしゃるようにやるでしょう。しかし、やりましても、何といいましても、もう夜の寝る時間であります。ですから、そういう役所同士の横の連絡をやると同時に、私はこれを住民に知らせなければいかぬ。住民が不安でおるわけでございまして、住民が被害を受けるわけですから、その住民に一刻も早くこの状態を知らせなければならない。ところが、いまの消防庁のお話のように、十時ごろといいますけれども、十時ごろ、私は消防署の前におるのですから、何のそういう警報も——警報といいますか、消防署の規定によりますと、そういう場合には警報の内容の概要を住民にPRしなければならない、このようにきまっておるそうでございますけれども、こういうものはなされていない、こういう状況です。  そこで、事実関係でございますからもう少し入りますが、その消防署でもう少しこまかい配慮が要るんではなかろうかと私は思う。ということは、気象機関から、福岡の場合は福岡気象台ですが、そこから大雨注意報の発令が知らされた、その時点での降雨量、それからその前の、先ほど言いました前々日からの降った雨、こういうことと今後の雨量、こういうことの予想を消防署が問い合わせをしたり、また、その問い合わせの結果いかんによってはその善後策を検討してみたり、そしてその結果を住民にいち早く知らせるというようなこまかい配慮をすべきではないか。福岡の場合にはなかった。私は現実におりましたから——そういうことでございますが、これに対してどのようにお考えになりますか。
  243. 藤江弘一

    ○藤江説明員 ただいま御指摘になりました住民へのPRといったものについては消防の規定上は定められておりますけれども、その点についての配慮が足りなかったのじゃないかという御指摘はごもっともだと思います。あるいはその点で災害が避けられたかもしれないということは期待できると思います。その点で今後私どもとしても十分指導を進めてまいりたいと思います。  また、気象条件等の分析につきましては、何ぶんにも気象条件等の専門家ではないというふうな点もあったかと思いますが、御指摘のように、これも十分検討されなかったのではないかという可能性もありますので、その点につきましても今後十分に指導してまいりたいと存じます。
  244. 田中昭二

    田中(昭)委員 いま消防庁のほうから、大体現場の事情を私申し上げましたが、そういうこまかい配慮は実際はできなかったというようなお話がございました。私はもうそのとおりだろうと思います。そこで、ほんとうはそういうことが今後の防災体制に生かされなければならない、そういう意味におきまして、総理府長官にもまとめてひとつお尋ねしますから、ほんとうに災害を防止するという決意と同時に、はっきりした監督権限なり処置をとってもらいたいと思います。  そこで、一応ここに質問の順序を用意しておりますから、それを申し上げますが、いまのような御答弁でございますと、福岡の場合、消防署をはじめその他の機関が、いわゆるお互い同士が、国の機関も地方公共団体も含めてこまかい配慮をしなかったというようなことでございますが、そういうこまかい配慮の機能をしなかった状況について、総理府長官、どういうふうな判断と認識をお持ちですか。問題は、それがどうであろうともいいのですが、防災会議がこの七月に行なわれました中を見ましても、出水期におけるどうのこうのというようなことで、第一番にあげているのはやはり人命尊重であります。でございますから、ひとつその辺のことにつきましては、副長官のほうからまとめて、決意と実行される処置をお聞きしたいと思います。
  245. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 防災の中で、危険個所等々の問題はございますけれども、一番重要なことは、いま田中委員がおっしゃいますように、情報の徹底化という問題が非常に大きな要素を占めるであろうと思います。昨年の七月豪雨の経験に照らしまして、行政無線あるいは簡易雨量計等の設置を促進いたしておりますけれども、まだまだ不十分でございます。また、防災体制の中でいろいろな連絡あるいはこまかい配慮をし過ぎるということはないのだ、どんなに徹底してもよろしいんだというようなことの考え方に立って、やはり今後とも情報の徹底化、それから判断の的確化、それから各関係省庁、出先機関との連絡の緊密化ということによって住民の生命、財産の安全をはかるということを基本として今後邁進していきたいと考えております。
  246. 田中昭二

    田中(昭)委員 いまの御答弁では私は期待が持てないのです。といいますのは、いまずっと災害が起こりました場合に、現在相当な金をかけても、それが時期がおくれたり、また金をかけても、原形に復旧するには相当な金が要ります。そういうことを考えますと、私はいまの予防体制の中で、もちろん情報の収集等もございましょうけれども、その情報の収集を勤務に当たる人たちがちょっと注意をし、心を配るならば損害の防止ができるという、そこの点によく注意をしてもらいたい。その面の確固たる体制といいますか、指導といいますか、そういうものをつくってもらわなければならない。  繰り返すようでございますけれども、先ほど御答弁がありましたように、そういうこまかい配慮がなされないと同時に、機能しなかった、そういうことが、いま申し上げましたようにさらに損害額を大きくした。金で見積もられない人命が、福岡県でも集中豪雨で二十四名という死亡者を出しております。お年寄りなんかに聞きますと、こういう雨が降って水が出たということは生まれてから聞いたことがないというような、いままでにない異常な集中豪雨であります。こういうときこそそういう問題が働かなければならない、こういうふうに思いますし、それを考えれば、損害額が大きくなったということについてはひとつ十分認めていただいて対処していかれなければならないと思いますが、いかがでしょうか。
  247. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 先生のおっしゃるとおりでございます。われわれの中央防災会議あるいは関係各省でやっておる予防体制が末端まで徹底し、今後とも防災体制が強固になり、先ほど申しましたように住民の生命、財産の安全をはかることが十分になるような配慮を幾らしても切りがないのだ、そのためには今後とも末端までの徹底をやりたいと思いますし、災害被害額災害防止額との比較を考えれば、防災にかける金というものは微々たるものであろうと私考えておりますので、今後ともそういう方向で、情報の把握が末端に徹底し、また指示が末端に徹底するような形で防災体制に努力いたしたいと存じます。
  248. 田中昭二

    田中(昭)委員 その予報の関係でもう少し気象庁のほうに確認しておきます。気象台で雨量を観測するわけですが、これはひとつ具体的に聞いてもらいたいのですけれども福岡市では、どこであったか知りませんが、三十日夜半から未明までの三時間か四時間の間に九十八ミリという雨量を記録している。ところが、それから十キロも離れていない、大体福岡市郊外というところなんですが、春日市というのがございます。そこの市では、同じ時間帯に二百三十二ミリという、二倍以上、三倍に近いような雨量を観測しております。私、実際十時ごろから四時ごろまで起きておったわけですけれども、あの雨の降る状況をいま思い出しましても、福岡で百ミリぐらい降ったのが、すぐ近くの十キロぐらい離れたところでは二百三十ミリというような降雨量、これは、降雨量をはかることにおいて何か納得がいかぬところがあるのですが、これは技術的にどうでございましょうか。
  249. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 いま先生おっしゃいましたように、雨量の分布というものは、特に集中豪雨のひどい区域というのはわりあい狭いものでございます。したがって、これを観測するためには非常にこまかい観測が必要でございます。それを補うための手段といたしましては現在レーダーがございまして、レーダーでその模様を観測するわけでございます。今度の場合におきましてもレーダーが非常に活躍いたしまして、それによりまして、従来の例から申し上げますとわりあい早い時期に警報に踏み切れるというような状態であったわけでございます。  現在のところは、普通、雨量の観測につきましては気象台関係の観測所、そのほかにいろいろ委託したり何かしておるものがございまして、それが約千カ所程度かと思います。そういったデータを集めているわけでございますが、ただ、現在のものでございますと、たいてい観測いたしましたほうから電話なりあるいは電報で来るものでございますから、降った状況を押えるのは非常におくれるわけでございます。これを早くするという目的で地域観測網という計画を立てております。それによりますと、観測したデータはすぐ電話線で直接気象台あるいは気象庁に集まるという計画でございます。それでありますと、来てから以後約二十分以内で現状が把握できる、そういう状況になるかと思います。そういたしますと、従来よりは集中豪雨の把握が非常によくなりまして、したがって警報の精度や何かもかなり改善するのではないか、こう思っておるわけでございます。今年度はその機械の製作にかかっておりまして、できれば来年のつゆの時期に間に合わせるようにそれをスタートしたい、こう考えております。
  250. 田中昭二

    田中(昭)委員 どうも現場のことがよくわかりにくいのだろうと思いますけれども、そういうことでは、新聞にも報道されたように、警報が出おくれる、出おくれた警報のために大惨害が起こった、こういうふうに書かれるのですよね。これは事実だろうと思うのです。二十時四十分の大雨注意報を出したときにきちっとしなければならないのですね。  時間がございませんから、これだけは確認しておきたいと思いますが、あなたのほうが春日市から受けられた降雨量の内容を、時間帯ごとに言ってみてください。
  251. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 その問題につきましては、予報部長のほうからお答えいたします。
  252. 毛利圭太郎

    ○毛利説明員 申し上げます。  春日市につきましては、三十一日零時三十分ごろ、降り始めてから三十ミリという通知がございます。これは春日消防署でございますが、一時十五分ごろ、降り始めてから六十一ミリという報告がございます。福岡の気象台におきましては、当日日勤であります予報課長が夜泊まっておりまして、レーダーの観測とこの資料を勘案して、警報の発令を一時半に出したわけでございます。
  253. 田中昭二

    田中(昭)委員 私が言ったことに正確に答えなさいよ。春日消防署から気象台が降雨量を時間帯別に受けておるでしょう。書いてあるじゃないですか。そういうことがよく言えないようではどうしますか。だから総務副長官、防災会議なんかやっても、こんなことでは何にもならぬのです。
  254. 毛利圭太郎

    ○毛利説明員 春日消防署からの報告は、各一時間の雨量が、二十四時には三ミリ、午前一時には二十三ミリ、午前二時には百六ミリ、午前三時には九十七ミリ、午前四時には四ミリという報告でございます。
  255. 田中昭二

    田中(昭)委員 それが、私が春日消防署で調べたのは違うのです。全体の降雨量は大体同じですけれども、図面で説明しておきます。  こういう図面を私はつくってきたのですけれども、下が時間でありますが、この三十一日の夜中の一時には五ミリだったのが、二時半、三時には二百三十ミリという数字になっているわけでしょう。いま気象台が受けたという時間帯別の降雨量はこの赤の線であります。ところが、私が春日消防署で調べたのは赤の点線のほうなんです。こういうふうにこんなに急激な、これでいきますと最高は一時間百三十ミリくらいに達しますよ、百十五ミリということになっておりますが。福岡県で開聞以来、時間降雨量の最高が百五ミリです。どこの地方でもあまりないと思うのです。そういうものが何で気象台のほうで、もう少しちゃんと予測できないのか。これは技術的な問題もありましょうけれども、技術的な問題と同時に、私が先ほどから言っておりますように、それに当たる人がちょっと注意をすれば当然予測できるようなことが——この降雨量を見ても予想しなければならない、注意しなければならないということだろうと思うわけであります。  そこで問題は、この集中豪雨による被害の状況の把握について、いままでの被害とは特殊な状況があると認識してもらわなければ困るのです。激甚とか局地激甚を適用するしないという問題だけじゃないのです。人命は金には換算できません。あの悲痛な、建設省地方建設局の係長さんの一家がなくなって、二人の子供が残された被害、そういうように、同じ死者が出ましても、その内容については普通の災害と違う状況であることを市町村も県も国も当然見て、この問題については当たってもらわなければならないと思いますから、先ほどから被害状況は聞きましたけれども、今度の福岡集中豪雨の特殊性ということについての認識をお聞かせを願いたいと思います。実態の把握の中での特殊な状態をお聞かせ願いたいと思います。
  256. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 福岡の集中豪雨災害についてはいろいろな問題があるようでございます。いま御指摘の降雨量の通報の時間も、一時間ぐらいのズレがある。確かに私もその辺は、情報の通達、伝達というかコミュニケーションがもっとしっかりしなければいけないということも痛感いたしますし、それに対しての住民への通報もしっかりしなければいかぬ。もう一つは、防災体制の中でとるべき措置あるいは林野庁がとるべき措置等々のことも考えて、今後ともそのようなお気の毒な方が出ないように対策を全力をあげてやっていきたい。また、昨年来の防災危険地域について、相当数ございます。これについても早く応急措置をして万全の措置をとらしていただきたいと考えております。
  257. 田中昭二

    田中(昭)委員 私はその被害実態の特殊性をお聞きしたのですけれども、どうも用意してきてないようでございますから、私のほうから申し上げてみたいと思います。  たとえば死者二十四名。先ほど言いますように死者、行くえ不明、重軽傷者まで含めて——今度の集中豪雨はたった二、三時間、あまり降らないときも入れれば前後五、六時間でしょうね。翌日はからっと晴れた、青空が見える天気なんです。私も朝方になりましてすぐ事故現場にかけつけましたけれども、普通一時間ぐらいで行くところに四時間かかって届いた。そういうことはどうでもいいのですが、いずれにしても四時間かかって届いてみますと、死者というのが、一カ所で二十四人やられたのではなくて、幾つもの町村で、いわゆる急傾斜地とか、先ほどから言いますようないろいろな宅造の関係と思われるようなところ、森林の乱伐が行なわれていたようなところ、そういうところに点々と二十四名の死者を出している。これが普通のいままでの災害と違うところであります。行くえ不明にしましても、いまだもって四名の行くえがわからないのです。こういう災害——災害に対する対策を一生懸命やっておると言いましても、こんなことではどうするのかと思うのですね。その行くえ不明の遺族の気持ちになったら、一カ月近くになるのに遺体があがらないという気持ち、また現実に遺体が埋まっておるためにいろいろなことが進まない、こういう状態はいままでにない状態であります。おわかりいただけるでしょうか。——どうも実感がこないようでございますけれども……。  そのほか家屋の全壊にしましても、先ほど何べんも出ました四王寺山脈系の国分というところの全壊家屋でございます。この全壊家屋に建設省のお役人さん、経歴から見ますと、おそらく小学校を卒業して給仕で入っておられる方でしょうが、三十年近くつとめて地方建設局の係長になった。そしてようやく家を新築して間もなくこの水害にあった。その家の残骸というのは、爆風でやられたみたいにかわら一枚残っていないのです。紙を破ったようにばらばらになってしまっている。ここに写真もございますけれども、お見せしなくてもわかると思います。全壊家屋といいましても、普通は家がばたっと倒れるか柱ぐらい残っているものです。ところがこの全壊家屋は、紙きれをちぎったようにこっぱみじんになってしまっている、こういう状態です。残された幼い二人の子供。私は、こういう状態がいつ起こってくるかわからないということを考えますと、ただここで議論するだけで終わらしていいものだろうかという気持ちもするわけでございますが、一応実情を申し上げればそういう状態でございます。  それから橋の流失についても、特殊な状態は先ほどもちょっと出ましたが、森林の伐採によりまして、伐採しましたあとの木の根といいますか、切り株といいますか、それが多量に流出しておる。大体これが、切りまして二、三年するとこういうふうに流れるのです。それが橋げたにかかりまして、普通流れないと思われておる橋が、その流出物の木の根っこがひっかかって流れる。その橋が流れることによってそこに布設されておりました水道管も流れて、水はあるのに、そして水害のあとの日照りがしておるときに全町村が断水するというようなみじめな状態。水がないときには私も実際水を運びましたけれども、あの水害後のかんかん照りのところに水が出なかったらどういう状態になるか、幸いにその後病人等も出ませんようでございましたけれども、そういう特殊な状態があるということでございます。  そのほか道路にいたしましても、道路のことはぜひ言っておかなければなりませんが、いま福岡の近郊でも九州縦貫高速道路、そういう道路網の整備がどんどんなされております。その道路がなされますと、先ほどからお話がありましたように、川の流れも変わりますし、それから地形が変わるために、いままで流れてこないようなところに水が流れてくる。そこで私はぜひ図面で——これはあまりいい図面じゃございませんけれども、つくってきましたから説明申し上げておくのですけれども、これは大野城市の乙金というところで起こりましたがけくずれの状況でございますが、御存じのとおり、まん中に高速道路の工事がいまなされております。そうしまして、こちらがいわゆる山側になりまして、その山側ががけくずれを起こしたわけであります。いままで、高速道路ができるまではこちらのほうが低くなっておりましたために、水は全部こういうふうに流れておった。ところが、この道路がつくられたために水がこっちへ流れなくなった。その状態の中で土砂くずれが起こったために、ここに掘っておりますトンネルに全部集中したわけです。そこで、ここにありました家屋が全壊と同じような状態になった。全壊家屋の方から見れば、まずこういうところに——家のそばにこういうトンネルを掘らなければならなかったということについては、いろいろ事情もございますけれども、私は、この事故の現場に行っていろいろ事情を聞いてみますと——道路公団に私、直接電話しました。この状況を見てどういうふうな理解をしておるかと言ったところが、公団としては、この道路ができたためにかえって上砂を防いで被害を少なくしたのだという返事なんです。ほんとうですよ。私だけ確認したのじゃありません。秘書も確認しております。だれが考えてみても、この現場を見ればはっきりしますけれども、道路ができたために、もちろんそれは、山くずれの場合に土砂を防いだということも事実でしょうけれども、そういうところにトンネルを掘って、住家の近くにトンネルを掘って、通路でございますけれども、そこに水が流れてきたことは道路公団の責任じゃないなんということは——そういうことなんですよ、現場では。市町村の責任だ、工事をやっておる国の責任なんだというような状態で、いまだもって避難場所にそこの人たちは住んでおりますけれども、ほんとうにかわいそうな状態なんです。  そのほか森林の伐採によります被害、いろいろな公共土木施設、農林水産業その他の施設も相当やられておりますが、特にこの森林伐採で言っておかなければならないことは、この地方には千数百年前の国の特定史跡がございます。いわゆる太宰府でございますが、それに関連しました太宰府以前の史跡がございます。千数百年間築造されてあった史跡が、今度の水害でずたずたにやられておるのです。そこを見てみますと、やはり森林伐採の林道が影響しておるようです。  それからまた国鉄の被害でも、一番ひどかった宇美町に勝田線といいまして赤字線でございますが、その終点がございます。そこが現在復旧の見通しがつかない。全然列車が動いていない。その線路敷は現在川みたいになっております。その写真も持ってきて、お見せしたいと思いますけれども、こういう状態ではいつ災害復旧がやられるかわからない、どういう状況がございます。これは現場でなければその状況がなかなかよく理解できませんから、あとで見ていただきたいと思います。  以上、私のほうから、今度の福岡の集中豪雨に対する災害の特殊性というものを申し上げました。その特殊性を一日も早く除去していただいて、原状復旧並びにあたたかい手を差し伸ベてもらいたい、こう思うわけでございますが、私が申し上げました被害実態に対するそれぞれの各省の今後の対策といいますか、そういうものをお聞きしたいと思います。
  258. 浅井新一郎

    ○浅井説明員 先生御指摘の乙金山の災害についてお答え申し上げます。  ただいまの災害は、土砂流が高速道路から一キロばかり山手から流れてまいりまして、それが高速道路にせかれて、ボックスカルバートを通って下手の人家に流入したというような事態でございます。現地の事情をよくいろいろ調べてみないと、どういう原因でこういう被害を生じたかは確たる御返事はできないわけでございますが、いずれにいたしましても、堤防があそこにできましたために大量の土砂をせいたという効果もあったかと思いますが、一方また、ああいうボックスができたために水みちがきまって下手の人家に流れ込んだという事態がございます。この辺いろいろ、なかりせばという議論はなかなかしにくいわけでございますが、私ども、これから道路をつくる場合には、十分そういう経験を生かしてつくってまいりたいと考えております。
  259. 篠原良男

    ○篠原説明員 先生お説のとおり、勝田線は現在宇美−勝田間が不通でございます。先ほど御指摘のように、勝田の構内は現在水みちになっております。今月の二十三日に現地の宇美町から申し入れがございまして、従来の井野川の河川を遺体捜索をやるために一時鉄道構内のほうにつけかえてくれという協議がございまして、現在勝田の駅の構内は水みちになっております。遺体捜索を終わりますと、旧井野川のほうに振りかえられると思います。  続きまして、また勝田と宇美間は約二・八キロございますが、これが、そのうち二・三キロは井野川と並行して走っております。この間の災害で河床が上がりまして、場所によっては線路よりも河床が高いところがございます。この辺の河川改修の計画がきまりましたら、私のほうは協議いたしまして、復旧に鋭意努力したい、かように考えております。
  260. 松形祐尭

    松形説明員 お答え申し上げます。  国有林の、あるいは民有林等を含めましてのことでございますが、森林法に基づきます施業計画によりまして、具体的な伐採個所あるいは保安林あるいはそういう堰堤の施設、林道等につきましても計画いたしておるわけでございますが、特に国土保全という面につきましては、国有林等につきましても、小面積の伐採あるいは分散伐採するとか、谷筋、尾根筋等には天然林を残しておくとかいうようなこまかい施業等を展開いたしたい、こういうことで、本年度からその施業が全国的に展開されておるわけでございます。  なお、当地域は山林はほとんど花こう岩でございまして、このたびの異常な降雨によりまして千六百カ所くらい崩壊いたしておりますので、その点につきまして、緊急な分につきましては現在すでに大蔵省と協議いたしておりまして、緊急治山として処置いたしますと同時に、林道等につきましても今後の施工についてそのようなことのないような配慮をいたしながら、なお、現在被害を受けました林道につきましては、すでに査定も終わっておりますので、直ちに着工してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  261. 吉久勝美

    ○吉久説明員 太宰府関係遺跡の、特に大野城あとにつきましては、先生御指摘のように大石垣が崩壊をいたしております。これは幸い石垣は下流のほうに残っておるようでございますので、全面的な復旧をいたしたいと思うわけでございますし、さらに北側の百間石垣につきましても、これは西側のほうの部分におきまして崩壊いたしておるわけでございます。これは私どもといたしましては、放置しておればさらに他の部分に波及することもおそれておりまして、百間石垣全体が全面的に将来災害が起こらないような意味も含めて復旧いたしたいというふうに考えておるのでございます。さらに土塁等も三カ所やられておるわけでございまして、これら三件につきまして、それぞれ一般災害と一体となって処理すべきものにつきましては、いわゆる土木工学の専門家その他御意見を聞きまして、そういうあらゆる面からの要請も含めて全面的な復旧に努力いたしたいと思うわけでございます。現在、県教委に指示をいたしまして、都道府県の部局及び関係方面とも協議をさせておるわけでございます。今後こういうような災害のないように、十分この際復旧できるものは復旧いたしたいというふうに、早急なる復旧をいま検討いたしておるところでございます。
  262. 田中昭二

    田中(昭)委員 一応各省からお聞きしましたけれども、はなはだ私は不十分であります。問題は、時間があれば一つ一つやりたいわけでございますけれども、たとえば林野庁にしましても、千六百カ所も山がやられておって、いろいろいま総括的な抽象的なお話を聞きましたけれども、私は昨年も、もう二年も三年も、この森林伐採については農林大臣のお約束もいただいておるのです。こうこうこういうことはしませんといって、去年もちゃんと住民にお約束までいただいておりながら、それを実行しないからさらに水害が多くなったといって、地元ではたいへんな腹立ちを持っておる。そういうことで、これはまた別な機会を得ましてひとつやってみたいと思います。特に建設省のほうも、私、時間があればいろいろ国道一つ一つ取り上げてやるわけですけれども、いま私が質問しました大野城の乙金にしましても、調査してから検討しますというようなことではほんとうにいけないと思うのです。当然こういうことにつきましては、常識的にもわかることについてはもう少し納得のいく答弁をいただかなければならない、こう思うのです。  きょうはもう時間がございませんからやめますが、最後に、この災害が起こりまして、いろいろな被災者救済措置としまして税の減免ということで、今度は早急に災害減免の指定もしていただきまして、地元の国税局もいままでにない、たいへんスピーディーな処置をとってもらいました。こういうことにつきましてひとつ簡単に、そのとった処置並びに今後の方針等をお聞きしておきたいと思います。
  263. 水口昭

    ○水口説明員 お答えいたします。  福岡国税局といたしましては、今回の水害による災害あと、納税者の皆さんに水害による税の減免措置、こういったことをお知りいただくことが大切であるということでいろいろな措置をとっております。  まず、局といたしましては、チラシを大量につくりましてこれを配布しております。また新聞、テレビ、ラジオ等を通じまして、いまどういった減免措置があるか、その手続、そういったことをPRいたしております。また税務署といたしましても、さっそく係官を被害を受けられた方々のところへ派遣いたしまして、それでお見舞い申し上げておると同時に、いろいろ、こういうふうにおやりになってはいかがですかということを申し上げているところでございます。また、説明会等もしばしばいたしまして、そのほか税務署に税の相談コーナー、こういったものを設けまして御説明を申し上げておるところでございます。  なお至らない点もいろいろあろうかとは思いますけれども、われわれ国税庁、国税局といたしましては、日ごろから納税者に親しまれる税務署になることをモットーといたしまして努力いたしておりますので、今後とも、特に災害等の場合には納税者の皆さんに対するサービスに一そうつとめてまいりたい、かように存じておるところでございます。
  264. 田中昭二

    田中(昭)委員 いま国税庁から話を聞きましたが、確かにそのことが、そういうことばのとおりに現場がいっておるかどうかということについては、たいへんまだ行政措置として問題がございますが、一応そういうふうに措置をとられたことについては私も知っております。  ところで、先ほどから私が申し上げましたが、こういう水害、災害損害を受けたいわゆる死者の遺族の方々、先ほど私が取り上げました九州地方建設局の方は、一瞬にして夫婦ともなくなって、残った子供がまだ小さい小学生と中学生の子供です。この人が二十七年間勤務だということを聞いておりますが、それで、残りました遺族に対して弔慰金等も行くでございましょう。しかし、この残された二人の男の子のことを考えますと、たとえば税の減免にしましても、ことし本人が七月までサラリーから納められた税金を返すということになると思うのですね。ところが、具体的に申し上げますと、この人が大体去年で百七、八十万円の給料をもらって、税金を六万円近く納めております。ことしは七月までに、概算ですが、百万円近くもらって四万近くの税金を納めている。この税の減免が、たとえばことしのこの四万円近くのものが遺族に、十二歳と十歳の子供に返るわけでございますけれども、私は、過去二十七年間、営々と働いてその給料から納めた税金が、たった半年分のこのわずかな金額が返るというようなことは、遺族に対するあたたかい行政の配慮とはどうしても思えない。かりに過去に年間五万円ずつ納めても、三十年間でも百五十万円です。二十年間にしても百万円です。私は、その建設省の役人さんが二十年間納めた税金を一ぺんでも——一ぺんといいますとなんですが、その子供の養育を、成長を考えますと、二十年間納めてきたんですから、その税金でも返してやりたいというようなこと、そういう姿になるのが政治ではなかろうかと思うのです。しかし、いまの税法では、ただことしの四万円近くの税金しか返せない。残された二人の子供が今後社会人となっていくときに、こういう税の減免でも、たいへん私は冷たい仕打ちではなかろうかというような感じがしてならないのですが、副長官から、そういう政治的な立場に立って、何とかこの残った遺児二人を助けるという意味において、税金でも多く返してやるというような方法はできないでしょうか。
  265. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 たいへんむずかしい御質問でございますけれども、税のほうは、大蔵省がいらっしゃるので、大蔵省のほうからお答えいただきたいと思いますが、総理府といたしましては、やはり恩給法の問題から考えていくベきであろうと思います。で、災害でなくなりあるいは公務中になくなった場合に、その子弟が未成年である場合には今後どうあるべきかというような問題についても、いまの先生の御趣旨に沿うような形で直しておきたい。昨年、恩給法は、人事院勧告をそのままいれましてスライド制にいたしました。来年もたいへんなベースアップをするような形になるんでございますけれども、そういうこまかい配慮を政治的にしておく必要があろうかと思いますので、この点も考えさしていただきたいと思います。
  266. 田中昭二

    田中(昭)委員 お約束の時間も来たようでございますからやめますが、最後に、いま私がいろいろ申し上げましたことをひとつ十分考慮に入れられまして、今後の災害査定等につきましてもひとつ手抜かりのないように、災害地の人たちに対する救済の手を差し伸べてもらいたいということをお願いいたしまして、質問を終わります。
  267. 大原亨

    大原委員長 次は、福岡義登君。
  268. 福岡義登

    福岡委員 午前中にも各委員から問題を指摘されたんですが、ことし異常な渇水によりまして干害が発生しておるわけであります。特に中国地方、西日本一帯の干害が、現地を見たりしまして、非常に深刻な状態になっておるのであります。  そこで、要点だけを質問して議事進行に協力をしたいと思うのですが、午前の質疑の中で、現在、財政当局農林省応急対策について折衝中である、こういう御答弁があったように聞いたんですけれども、この財政当局農林省応急対策についての結論はいつごろまでに出される予定といいますか、見込みといいますか、結論の出る時期をお伺いしたいと思います。
  269. 杉田栄司

    ○杉田説明員 干害の応急対策を主題にして打ち合わせいたしておるわけでございます。応急対策、それは各県が各県でとりあえず応急に実施しておるものに対しまして、さかのぼって、決算補助のような形になりますけれども、助成したいということでやっておるわけでございます。  それは過去にも実施した例がございまして、いつでもやるという措置ではございませんので、今回はそれに該当するのではないか。現在まで、これは数日前までの集計でございますけれども約三十億、査定見込み額にいたしまして二十億にはなるのではないかというふうに思っております。これを対象にして、とりあえず調査、先ほど総理府のほうからも申しましたように、各省とも話をしておるわけであります。  ただ、まだ一部干ばつは進行しております。それからまた応急対策につきましては、この計画なりあるいは実施の状況等につきまして、集計がこれからできるわけでございます。そういう数値の確定を待ちまして最終的に決定したい。いまの状況でいきますと、過去の例からいきましても十月くらいには確定できると思います。きまりましたら、これは遡及してやることにしたいと思います。
  270. 福岡義登

    福岡委員 当面各県が応急対策実施しておることは承知しておるのですが、県によりましては、中央政府措置がある程度具体化しないと渋るといいますか、そういう面もなきにしもあらずというふうに聞いております。ですから、集計その他進行中の問題もあるでしょうから、そう早急にというわけにいかぬにしましても、考え方程度は各県に何ぶんの指示をしていただきまして、応急対策の遺憾のないようにしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  それから内容なんですけれども、これも午前中取り上げられましたが、四十二年の実施要綱、最悪の場合でもそれを下回らないようにしてもらいたいという強い要望が出ましたが、いま農林省としてお考えになっておる内容、もちろんそれが財政当局と折衝される内容にもなっておると思うのですが、一つの基準を四十二年の実施要綱に置くとして考えた場合に、それ以上のことを相当考えられておると思うのですが、またそうあってほしいという要望もあるのですが、内容的に一体どの程度のものを考えられておるのか。こまかい点は別にしましても、大綱だけでも御説明をいただければ幸いだと思います。
  271. 杉田栄司

    ○杉田説明員 いまの応急対策につきましては、実は今年度の場合についての取りきめと申しますか、具体的な措置はこれからきまるわけでございますけれども、四十二年の干ばつが今回の干ばつよりももっと規模の大きい、被害金額の大きなものであったわけでございます。特に激甚というような感じの措置になったわけでございますけれども、それ以外に三十九年以降にもまた何回かございまして、そういう過去の例を勘案いたしますと、少なくともこの程度のものは今回も措置がとれるのじゃないかということで、各県には内容を示しております。これは実例として示しておりますので、大体こういう実例があるからこの辺を考えてひとつ措置をしろというふうにいっております。  その内容は、いずれにしましても応急対策でございますから、用水確保のためにいろいろな工事をやっております。あるいはまたポンプその他の機械を借りてくるとかあるいは購入するとか据えつけるとかいうようなための費用を要しております。そういうものを対象にいたしたい。それから、これはたいていの事業はそうなんでございますけれども、あまり小さな金額、たとえば一万円とか二万円とかいうようなものはなかなか査定の内容に上がってまいりませんので、一件十万円以上くらいを対象にしておる。これは過去の例でございますが、補助率等につきましては水田、畑が四割、それから果樹園については三割というふうに、これは過去の例として例示しておるわけでございます。
  272. 福岡義登

    福岡委員 応急対策についても非常に精力的な取り組みをしていただいておる点については、敬意を払いたいのですが、なお内容その他につきまして最善を尽くしていただきたいということを、強くお願いをいたしておきたいと思います。  応急対策のほうはその程度にしたいのですが、問題は、ビニールパイプなどの資材が非常に不足をしておる。私も二、三カ所現地を見ましたが、機械は農政局がどこかで買ってきておるのに、わずかなところにパイプがないために水を揚げることができない。このパイプは塩化ビニール、ビニールパイプです。全部の個所を調べたわけじゃありませんが、資材不足のために相当不都合を来たしておるというように考えられるわけであります。  そこで、今年度のかんがい対策としては、時期的にもう用水を必要としない時期に差しかかるので——場所によってはまだなお資材が不足で手が打てないところもあるかもしれませんが、大体全体的に見れば今年度はどうこうということはあまりないのじゃないかと思うのですが、こういう場合に農林省なり、あるいは公共事業的に考えればある意味では建設省関係があるかもしれませんが、こういう緊急非常用といいますか、そういうものの資材の確保をどのように考えておられるか。通産省にもきょう来ていただいているのですが、まず農林省から、現在のところビニールパイプ等資材関係はどういう状態にあるのかということをお聞かせいただきたいと思います。それから通産省のほうからも、現在の状態というものを要点だけ説明していただきたい。あわせて、当然のことながら将来の対策というものも御説明いただきたい、こう思います。
  273. 杉田栄司

    ○杉田説明員 塩ビ製品、特に干害復旧等に要しますパイプ、塩ビ管等でございますけれども、これが非常に需給が逼迫しておりましてなかなか手に入らないために、今回の干ばつはもちろんのこと、一般の恒久対策としてやっております畑地かんがい事業等にも非常に困っておるわけでございます。そこで、地方農政局が地方通産局、あるいは農林省が通産省に、いろいろ出荷につきましてお願いをいたしております。大体通常年で年間一万トンくらい必要なわけでございますけれども、それがどうも本年度は半分くらいしか手に入らないというような状況で、しかも非常に値上がりしておるというような状況でございます。  そこで、とりました措置といたしましては、至急というわけじゃございませんけれども、当面延ばしてもまあまあそう特に困らないという仕事は、資材、塩ビ管がもう少し円滑になるまで、これは通産省にいろいろお聞きしたところ、半年くらいしたらある程度需給も戻ってくるのではないかという話もございまして、繰り延べるという措置をとりまして、そして緊急なところに重点的に配分をするというふうにとりあえず処置をとったわけでございます。とりましたけれども、なお本年度工事等につきましては、塩ビ管がないために用水対策が十分にできないという状況でございます。
  274. 赤羽信久

    ○赤羽説明員 塩化ビニール樹脂が、最近の建設需要が非常に旺盛なことその他によりまして、ことしは去年に比べますと非常に需要が伸びております。一方、塩化ビニール樹脂の原料は、重要な原料であります塩素が、公害問題、水銀問題等の関係で増産が十分にいかない。昨年よりは相当増産をしているのでございますが、需要に応じるだけの生産ができないで、ことしの六月ころは、すでに需要期を迎えながらパイプの供給も逼迫しております。ところが、七月半ばに至りまして出光石油化学の事故がございまして、この地区が全国の塩ビ生産の一七%を占めるわけでございますが、そこが一気にとまって、それに加えまして水銀問題で十分稼働できない、あるいは光化学スモッグ対策地域のコンビナートの稼働を落とさなければいけないというようなことがありまして、六月には全体で十二万トン近くつくっておりましたのが七月には十万トン足らずに、約二〇%の減産になってしまったわけであります。ところがちょうどそういう需要期でございましたので、非常な物不足になり、塩化ビニール樹脂の三分の一を使いますパイプの供給は、特に需要が激しいだけに不足になって、御迷惑をかけた次第でございます。  八月になりまして、出光はまだ十分復旧しておりませんが、ほかのほうが条件が整いまして、大体六月に近い生産があげられるようになりました。一昨日から出光のプラントも一部稼働いたしまして、九月には六月を一万トン上回る十三万トンくらいの生産ができるのではないか。今後さらにそれを続けていける。ただし、繰り延べて待っておられる需要があるものですから、これを充足するのは、不需要期に入ります秋以降にならなければならないんじゃないかという見通しでおります。  なお、明年のことはまだ十分わかりませんが、三分の二を占めます出光の第二プラントが来年からはいつか稼働できると思います。その他の条件をいまから十分整えまして、来年の需要には御迷惑をかけないようにしたいと考えております。
  275. 福岡義登

    福岡委員 最近の商社や大企業に対しては相当不信感があるわけでありまして、残念ながら、いまの御説明を額面どおり聞くわけにいきませんが、その内容はさておくといたしまして、副長官にお伺いしたいのですが、当面の緊急対策として、必要なビニールパイプなどを政府としてある程度責任をもって確保してもらいたいと私は思うのであります。将来の問題としましては、われわれもまた別の機会に取り上げたいと思うのですが、たとえば去年の七月災害以降、セメントが非常に不足をいたしました。あるいは鉄材が非常に不足いたしました。災害復旧に非常に事を欠いた。その当時国会でも取り上げたのですが、きめ手はなかったわけであります。  そこで、将来の問題としましては、災害その他、緊急非常の場合には資材の出荷命令権を都道府県知事に与えるのが適当か、あるいは政府に与えるのが適当か、そういう抜本的な法的措置も考えなければいけないんじゃないかというように私は思うのであります。  そこで、農業関係でも、一万トンに対して五〇%くらいしかいま塩ビ関係はない、こうおっしゃったのですね。値段も上がっておる。当面どういう対策政府としてとられるのか。これは、鉄材についても、塩ビほどそう深刻でないにいたしましても、相当不足しておるところもあるわけであります。したがって、この種の資材対策について当面どうされるのか、私の一つの提案として、特別の出荷命令というか供出命令というものを考えた立法措置などが将来必要だと私は申し上げたのですが、今後の対策とあわせて、副長官政府の責任者として御見解を承りたいと思います。
  276. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 セメントの不足のおりには、公共事業、特に災害については、通産省を通して業界を指導いたしまして、特別に配慮するような手配をいたしてまいりました。塩ビに関しましても、最近の需要の伸びで、また出光化学のほうの事故等によりまして不足がございます。しかし、災害関係では、どうしても必要な面は通産省を通して個別的にあっせんをいただくように配慮をいたしております。  また、今後この状況が続くようであれば、やはり政府指導、命令でそういうものが供給できるようなことも考えざるを得ないかもしれません。いまのところは業界を指導して、できるようにやっていきたいと考えております。
  277. 福岡義登

    福岡委員 この指導というのは、副長官、うまくいけば問題ないのですがね。セメントのときに、私直接この問題に取り組んだんですよ。現地の実情調査もやりました。あるいは通産省の担当官の人とも話をいたしました。あるいは国会の正規の場で取り上げもしました。しかし、実際はどうかといいますと、これはうまくいかなかった。時間が相当かかりました。当時私は、具体的な数字まであげまして問題を指摘したんですが、通産省は一生懸命やっておられると思うんだけれども、最近のメーカーや企業はそうすんなり言うことを聞かない。その議論は別にしまして、ただ単なる行政指導というようなことでは、当面の問題はおそらく解決しないと私は思うのです。といって、いま直ちに法的根拠があるわけじゃないのですからね。命令権その他ございませんが、しかし、それに準ずるような対策を当面とっていただきたい。行政指導でやればそれが一番いいのですが、やはり将来は、発動するかどうかは別といたしましても、緊急非常の際にはそういう資材関係の供出出荷命令ができるような法的措置をぜひとっていただきたい。私どもも別の機会にそれは強く取り上げていきたいと思いますが、当面の対策と将来の方針についてもう一ぺん明らかにしていただきたいと思います。
  278. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 大きな災害があったときには強権を発動せざるを得ないような形になるかもしれませんけれども、当面は、セメントの場合には、特に大企業、大建設会社等々にはたいへんスムーズに流れておる。しかし、中小企業については非常に困った問題がある。一カ所のところからまとめて買っていなかったということで、なかなかそのルートがつかなかったということでございます。これは私考えるに、やはり物資ごとにあっせん所をつくるようなことをしなければいけないだろう。そういうようなあっせん所をつくって、それを活用して、災害等の緊急必要なものについては優先して物資を送るというようなことを今後とも考えていきたいと思っております。
  279. 福岡義登

    福岡委員 どうもその答弁が弱いのですがね。セメントのあっせん所は設置されました。しかし、問題が発生してから相当経過している。しかも、最近セメントはうまくいきだしたようですから、それはあまり活用されていないようです。あっせん所の効力というものが全然なかったとは私は申し上げませんが、長官はどう考えておられるか知りませんけれども、適切な効果があったというようには思いません。  そこで、ここでそれ以上やりとりしてもしかたがないのですが、直接的には農林省なんですけれども、当面全力をあげてこの資材確保に向かって努力をしていただきたいということを強く要請しておきたいと思います。  時間もございませんので、干害関係は以上で終わりまして、次に水害対策に移りたいと思います。  これは、農林省建設省あわせてとられた措置のように聞くのですが、四十七年度災害の繰り越し部分につきまして、異常に資材、労賃などの上昇があったので、八%以上上昇しておる場合にはその二分の一だけ補助を追加していく、こういう措置がとられておるわけであります。  そこで、一つの問題は、四十七年災害に限らず、四十八年度分につきましても、御承知のように物価がどんどん上昇しておるときでありますから、原則的にいえば物価上昇に見合う、実価格に見合うような措置を講ずるべきだと私は思うわけであります。その問題が一つ。  それから、八%以上上がったならというその八%の根拠ですね。それと、上昇部分の二分の一という、その二分の一の根拠ですね、それがどうなっているのかということをまず説明していただきたい。  そこで問題になりますのは、まとめて申し上げますと、四十八年度、四十九年度で超過負担は解消するという方針を政府は示されておるのですが、はたしてそれができるかどうかということを、最近特に物価上昇の中で非常に懸念するわけであります。もともと基準単価が低い。その上に物価上昇八%以下は全然見ない、こういうわけですね。物価上昇七・九%までは対象にならないわけです。基準価格が低い、しかも八%未満は対象として取り上げられないということになりますと、ものによっては実勢価格の三分の一くらい——二分の一補助だといっても三分の一補助ぐらいにしかならぬところを、私は具体的に二、三聞いております。ですから、そういうことも考え合わせてみますと、もう少し別の角度からの対策が必要なんじゃないかと思うのですが。そういうこともあわせて御説明をいただきたい。これは農林省になるのか、建設省になるのか、両方あるんですけれども……。
  280. 黒坂正則

    ○黒坂説明員 担当が地方厚生課でございまして、いまここへ到着いたしますので、ちょっとお待ち願いたいと思います。
  281. 杉田栄司

    ○杉田説明員 特に四十七災に限ったわけではございませんけれども、物価の値上がりは当然工事費を押し上げるわけです。それは実勢の単価で工事費を組み、助成をするというたてまえてございますので、そういう問題はないと思いますけれども、ただその際に、前年度から引き続き契約してある場合に、いま先生おっしゃいましたような契約更改がスムーズにいくかどうかという問題になると思います。その契約更改をする際に、いわゆる四十七年度からの繰り越し工事あるいは債務負担行為等につきましては、それが八%をこえる上昇という——これは建設、農林、公共事業担当各官庁、大体同じような標準約款になっておりますので、それに従っておるわけでありますけれども、それに基づいて値上がり分の二分の一を契約更改していく。その根拠というのは、双務契約でございますから、国も民間も、いわゆる発注者も受注者もそれぞれ半分ずつその責任をしょおうではないかというようなたてまえで、二分の一は見ますということになっております。あと仕事の性質上多少危険負担はやむを得ないというような考え方で、値上がり分の二分の一。もちろん、発注する市町村がそのために特に財政負担をすることになるというようなことにはならない仕組みになっております。
  282. 福岡義登

    福岡委員 そうおっしゃいますが、そうなっていないですね。  八%の根拠をあと説明してください。いま漏れましたね。  こういう状態なんですよ。私の選挙区、去年の七月に建設大臣も来られましたが、広島県三次市なんです。そこで、この間、市長が六十七社か八社の土建業者を集めまして、百二十件ぐらい、もう設計までできて、補助金までつきまして、査定まで済んで、入札に付そうとするんだけれども、その百数十件の取り手がいない、落札者がいないものですから、工事が全然始まらないのです。その一番大きな理由を調べてみましたら、単価が合わない。特に大きい幹線のところは、道路にしても河川にしても大手などの手を借りてぐっとやったわけですけれども、残っているところはため池とか、水路とか、いわゆる場所の悪い、機械力がフルに使えないようなところが多い。そこで市長が、最後は要請という形で、ある程度強制的に、いままでもうけたんだから、損をしてもちっとはやってくれ、簡単にいうとそこまで追い詰めても、取り手がない。そこであなたがおっしゃるように、半分は発注者が泣く、半分は受注者が泣く、市町村負担はないはずでございます、そういう仕組みでないとおっしゃるけれども、実際取り手がないのです。百二十何カ所——個所名がほしければ、すぐリコピーをとってあなたのところに出しますが、ことし非常に干害であるのに、ため池なり水路の災害復旧ができなかったために植えつけができなかった、無理をして何とか植えつけをしたけれどもやられてしまったというところも相当あるわけです。ですから、おっしゃったような仕組みになっていないのです。もうちょっと考え直していただかなければいけないのじゃないかということと、さっき説明が漏れておりました八%というラインは何を基準にして引かれたか。私は、一%でも上がれば原則的には見るべきだ、こう思うのですが……。
  283. 杉田栄司

    ○杉田説明員 八%のほうは、また後ほど建設省から御説明があると思います。  いま先生のお話の中で、実は発注者と受注者の契約にかかわるスライドアップ、いわゆるインフレ条項といっておりますけれども、これをどう活用するかという問題と、それから国が市町村にいわゆる事業費をスライドアップするという仕組みはどうなっておるのかということと二つあると思います。  その後者のほうは、これは先ほど申し上げましたように、四十七年に災害を受けた時点で査定をいたします。そうすると四十八年にインフレで相当に事業費が増高を来たす。このスライドアップにつきましては、スライドアップしたそういう事業費を補助対象にいたしまして四十八年度の予算を個所づけするわけでございますから、その年度の中で上がった分はこれはいたし方ございませんから、事業量が減るわけです、予算がきまっておる場合には。そういうことで市町村が直接負担することのないようにする。  ただ、契約の段階と事業費が配分になった段階のことを考えますと、ことしは特に鉄筋あたりは月に一万上がったといわれておりますけれども、非常に激しかったために設計を組んだ段階と入札をした段階ともうすでに差があるわけです。業界はおそらくその値上がりの趨勢を見まして応札いたしますので、その間なかなか落札しない、こういう問題がある。そこで、それは当然災害復旧でございますから、どうしてもやらなければならぬところはこれは話し合いになる。発注者と受注者と話し合いをして、やれる単価でやるということになるわけであります。その際は、予算がきまっておりますから、施工進度はやや落ちるということになると思います。これは予算上いたし方ございませんので、翌年度はその分を補正いたしまして、標準進度なりあるいは復旧進度が保てるように予算の配分をするということで手直しをするよりしかたがないと考えております。  八%のほうは、建設省のほうから後ほどお聞き願いたいと思います。
  284. 福岡義登

    福岡委員 それではその問題はまたあとにしまして、二つ目の問題なんですが、建設省河川局次長お見えになりましたが、河川改修が非常におくれているわけですよ。道路と比較をしてみますと予算も少ないし、進行状態がしたがって非常におくれている。去年の七月災害を見ましても、そういうことが強く指摘できると思うのですが、いままでのことはさておくといたしまして、おくれておる河川改修を進行させるためにはもう少し予算配分その他で配慮しなければならぬ。  そこでいろいろ問題点があるのですが、二つのことをお伺いしたいと思うのです。一つは、具体的に申し上げますと、江川、島根県、去年の七月災害の一番大きかった水系ですね。それから太田川、これは瀬戸内海に流れているのですが、これの上流もひどかったわけです。この間、ここにすわっておられる災害対策特別委員長大原先生と一諸に現地を見てまいりました。まだ相当おくれておる。それから県管理のために将来の見通しも立っていないところが相当あるわけです。  そこで、特にいま取り上げました具体的な河川は二つでありますが、江川なんかは三次地区が直轄区域になっている。日本海寄りが一部直轄区域になっている。まん中がきせるのように県管理になっておるわけですね。しかもそれが広島県、島根県の両県にまたがっておる。太田川のほうは全部広島県ですから、そういう県のあれはないのですが、瀬戸内海寄りの一定区間は直轄に入っているけれども、上流のほうは県管理になっておる。そういうために河川改修が非常におくれておった。  そこで、災害復旧のことは二つ目の問題でお尋ねするのですが、将来の構想といたしまして、この江川にしろ太田川にしろ、私ども現地を見てまいりまして、これは直轄区域に編人すべきである、そうして抜本的な河川改修をやらなければいけない。関係市町村長も、強くそれを私ども要望されました。そこで、しぼっていえば、この江川の県管理部分それから太田川の県管理部分を建設省の直轄に編入をしていただきたい、こういうことなんですが、この点についてひとつ建設省としての考え方を示していただきたい。  それからもう一つは、時間がありませんからついでに申し上げるのですが、これも工事事務所あるいは県の土木事務所などが災害復旧には相当努力をいたしまして、相当進んでまいりました。しかしセメント不足、また一連の事情がございまして、あるいは手不足というようなこともございまして、なお進んでないところがあるのはあるのですが、しかしそれなりにやっていただいているのでありますが、問題の一つは、ああいう緊急の場合に査定をしまして、ところがあとから見直してみますと、これはもうちょっとこういう設計にしておけばよかったというようなところが何カ所かあるわけです。そこで、一応査定して、入札もして工事にかかっているところがあるのですが、具体的な個所につきましてはまた別の機会に申し上げたいと思うのですが、考え方としまして、当時、拙速をとうとんだわけじゃないのでしょうが、十分な災害復旧設計なりができなかった、その後もうちょっとつけ加えれば、あるいはちょっと変更すれば、というようなところが何カ所かある。そういうところにつきましては、これを思い切って設計変更をしていただきたいと思うが、それがどうかということが一つ。  それから第二番目には、相当金はかかるけれども、将来の災害を考えれば、思い切って河川のつけかえ、ところによっては一部トンネルにせなければならぬところもあるかもしれませんが、河川改良復旧ということの範囲に入るのでしょうが、つけかえをしたほうが将来の防災対策から考えれば非常に有効である、しかし、ある程度工事費を多額に必要とするというようなところがある。これも具体的に個所を私持っておるのですが、またあとで個所は申し上げることにしまして、考え方として、そういうものについては抜本的にやっていただきたいと思うがどうかというこの二点ですね。  ですから、最初に申し上げました点は直轄編入、それから災害復旧にあたっての考え方、設計変更と思い切った改修、つけかえですね、その三つについて建設省のほうから御答弁をいただきたい。
  285. 川田陽吉

    ○川田政府委員 お答え申し上げます。  江川、太田川につきましては、福岡先生御指摘のように、いまだ相当部分の知事管理区間があります。江川について申し上げますと、三次−川本間には現在六十八・六キロメートルの知事管理区間があるわけでありますが、四十七年七月災害の後、災害復旧工事それから災害助成工事等を県がいま一生懸命工事中でございますが、直轄編入の御要望も非常に強いものとして私どもいただいております。一部川本地区で直轄編入をいたしましたが、広島県の部分につきましても、昭和四十九年度において同じような考えで積極的に検討いたしたいと考えております。それから太田川の区域延長の問題でございますが、上流部につきましてやはり区域延長の強い御要望がございます。これにつきましては四十九年度にさっそく調査をいたしまして、その結果に基づきまして、これも区域編入を考えたい、こういうふうに存じております。  それから、災害復旧工事の実施にあたりまして、先生も御指摘のように、災害の設計につきましては、査定官が直後に現地におきまして非常に多くの数をこなすわけでございますから、その後の現地の実情に応じましていろいろ手直しを必要とする場所も出てくるかと思います。そういうものにつきましては、極力現地の実情を勘案いたしまして、再査定とか設計変更等も十分、県の河川課とかそういった第一線の技術の方々の御意見ももとにいたしまして、前向きに考えていきたいと思います。  それから河川のつけかえの問題でございますが、先生最初に仰せになられましたとおり、河川改修の予算は、私どもから見まして十分行き渡っていないという認識を持っておるわけでございますが、災害が起きたあとでという形はまことに申しわけないのでありますが、災害の経験にかんがみまして、河道のつけかえとか河道改修の必要性があるものにつきましては、十分そういった経験を生かしまして、積極的にこれも新たに取り込むというような考え方で治水事業を進めていきたいと考えております。
  286. 福岡義登

    福岡委員 持ち時間をちょっと経過しましたからこの辺で終わりますが、さっきの八%の問題、あるいは二分の一の問題、物価上昇との関係ですね、これは十分検討していただきたいということで打ち切りたいと思います。——それじゃ簡単に、八%というラインを引いた根拠ですね、それはあとに最後に聞きっぱなしで……。  それで次長さん、もう一回、さっきの直轄編入の問題ですが、ちょっと、聞き違いかもしれませんが、こういうように整理しても間違いございませんか。江川の県管理の部分は四十九年度直轄編入、それから太田川上流につきましては四十九年度調査、五十年度編入という方向で検討されておるというように整理して理解してよろしゅうございますか。
  287. 川田陽吉

    ○川田政府委員 さようでございます。
  288. 重見博一

    ○重見説明員 お答えいたします。  第一の問題の八%以上に定めた根拠いかんというお話でございますが、これは当時におきます建設資材等の値上がり等を勘案いたしまして、四十八年四月の単価で試算いたしますと、契約時に比較いたしましてほぼ一〇%をこえる上昇が見られたわけでございます。その状況と、さらに昭和四十二年度から四十六年度の建設省所管土木事業費のデフレーターが、土木総合で、この五カ年間のいずれの年度をとりましても四%から七%程度の年間上昇率となっているわけでございます。それから、その当時の総理府統計局調べによります同期間の消費者物価も、総合指数で八%をこえるものが見られないということでございます。契約書では、著しく請負代金額が不適当となった場合——著しくと、常態でないということになっておりますので、そういうようなことを勘案いたしまして、八%が契約書の正しい解釈であるというふうに考えたわけでございます。  次に、第二問の二分の一にした理由いかんということでございますが、当時の建設資材等の著しい上昇は、契約時点におきまして、発注者の側も受注者の側もいずれも予想し得なかったものでございますので、両当事者のいずれの責任というわけにもまいりませんのでございます。しかしながら、このような値上がり分をすべて受注者に負担させるとすれば、受注者の負担が著しく増大するということになりますので、契約のたてまえからもおのおの二分の一ずつを負担することが適当であるというふうに考えまして、そのように措置いたした次第でございますので、よろしくお願いいたします。
  289. 福岡義登

    福岡委員 これはちょっと議論したい問題なんですが、しかし、私ばかり時間をあれしましてもなにですから、またいずれ機会を改めましてやりたいと思いまして、要望しておきたいのは、もう少し、超過負担にならないような、あるいは適切な単価となるように検討していただきたいというように思います。  八%の根拠につきましても一応の御判断された基準はわかりましたが、これについても議論すれば問題はあるように思いました。特にこれは田中内閣の物価対策もやってもらわなければなりませんが、適切な処置を講じていただくように強く要請いたしまして、終わりたいと思います。
  290. 大原亨

    大原委員長 次は、川崎寛治君。
  291. 川崎寛治

    川崎委員 今国会において、活動火山周辺地域における避難施設等の整備等に関する法律というのを、大原委員長はじめ委員各位のたいへんな御努力によって制定をしていただいたことに、地元の者として感謝をしたいと思います。ただ、たくさんの問題というか不満が残っておるわけでありますけれども、これらの問題は、今後法律を具体的に施行していく中で改善をしていただきたい、こういうふうにまず冒頭申し上げておきたい、こう思います。  この桜島の問題でありますが、八月の十八日また大爆発をやりまして、三十ミリ、四十ミリというたいへんな灰のあらしを吹き散らしておるわけでありまして、故老の話によりますと大正三年の大噴火以来の大量降灰だ、こういうふうに言われておりますし、将来の営農問題等については、あるいはまた生活環境の問題等については、たいへん不安を持っておるわけでありまして、収穫直前のわせの温州とかあるいは島ミカン、さらには今後植えつけなければならない大根の問題等、そういう点で非常な大きな不安を持っております。ミカンについてはほとんど全滅に近い、こういう状況でございます。そういう状況、さらに四千メートルの高さのやつは、桜島周辺だけでなく川内であるとか樋脇であるとか入来であるとか、相当遠いところまで広範に広がっていくというわけで、被害が及んでいるわけであります。噴出力がますます強くなる傾向にある、こういうふうに見られておるわけで、簡単におさまりそうもないという現状にあるわけですね。  それでまず、気象庁どなたかお見えでしょうか。長官ですか。これは気象庁の長官の管轄それ自体ではないと思いますけれども、限られた時間ですから、私、気象庁を中心にひとつお尋ねしてみたいと思うのでありますけれども、いまこういう状況になっている中で、長期観測として、こういういまの状況は相当長期にわたって活動が続くというふうにごらんになっておるのかどうかというのが一つ。  それから二番目には、最近地震学のほうでも、エネルギーを人工制御しようという学問的な研究も進められておると聞いておるわけです。そうすると、地震よりも火山のほうが場所がはっきりしているのですから、岩石浮上とかそういうふうな状況が見られるようになれば、今度の法律に基づいて何かりっぱな機械も設置されるというふうに伺っておりますけれども、そうなると火山の場合も、私は人工制御ということは全く不可能じゃない、こう実はしろうと考えに考えるわけです。そしてまたさらには、非常に膨大なエネルギーがあるわけですから、そういうものをどう活用していくか。地震国であり火山国でありながら、そうした学問というものは非常に進んでいないのではないか。だから、これは長官の直接のあれじゃないけれども、関連の問題だと私は思うのです。地元の大学にもそういう意味で、四十万の市民が活火山と同居しておるわけでありますから、世界に例のないこういう状況の中では、そういう火山学、地震学というものについてはもっと積極的に取り組む方法はないのかということは、私絶えず提起はいたしておりますけれども、それらの点についてどうお考えになっておるか。  この二点まずお尋ねしたいと思うのです。
  292. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 第一点につきましては、かなり長い間続くというふうな予測になっております。あとで観測部長のほうから、もう少し詳しく御説明申し上げたいと思います。  第二点の問題につきましては、私も実はそのほうの専門家でございませんので詳しくは存じておりませんけれども、火山のエネルギーを直接いろいろわれわれが使うようなエネルギーに転換するというような研究につきましては、あまりないように思います。ただ、地熱でございますね、これは電力か何かに変えてやるという研究はございます。一部そういうようなのを実施しているところもございます。特に、たしかニュージーランドでございましたか、そういった方面の研究をやっておるように聞いております。そういう意味では、ある意味では火山のエネルギーを利用しているということになるのではないかと思います。  それから火山の研究につきましても、日本といたしましても重要なことでございまして、やはりこれを研究を進めていく必要があるかと思うわけでございます。特に火山の噴火の予知の問題が問題になっております。この問題につきましては、やはり研究的なことでございますので、これはいろいろ各方面の、特に大学関係にこういう研究者が多くおられますけれども、その辺の協力を非常に密接にする必要があるということで、火山予知連絡会というものをつくりまして、そういうところでいろいろ討議をしたり、いろいろな観測や何かについても情報交換したり何かをする、そういうような計画が進んでおります。そういう事務局を気象庁のほうで受け持つというようなことで、現在そういった方向で進んでおります。大体そういったような状況でございます。
  293. 木村耕三

    ○木村説明員 桜島火山の見通しについてお答え申し上げます。  八月に入りまして桜島は十五回爆発しております。ことしに入りまして二十四回でございますから、その大半が八月にまとまったということになりますし、爆発のほかに灰が吹き上げたことが二十一回でありますから、見かけ上は非常に活動しているようでありますけれども、われわれの観測データを整理してみますと、一ぺんにまとまって出ないで、じわじわと持続的に出てきたということで、灰は、ちょうど台風十号が接近していましたために、八月の十二日、十三日にかけましては鹿児島市内で、十八日には西風が強くなって二俣地区にたいへんな降灰があったわけでありますけれども、それも口があいていたために灰が出ていったということで、口がふさがっていて、ぽかっとあれだけのエネルギーが一ぺんに出たら大爆発になったかと思いますけれども、幸いに小出しに出てくれたということで、幸いでありました。  ただ、われわれとしては、小出しでいきますとエネルギーが少しずつ出てくるものですから徴候がつかみにくいということで、予知が非常にむずかしい。情報も出しておりません。あまりひんぱんに出しますとオオカミと少年みたいなことになりまして、一般の方々にほんとうに大事なときに信用していただけないと困るものですから、迷っているうちに現象が過ぎてしまったということになっております。  桜島というのは、大体こういう活動を繰り返しながら数年間続くというのが普通でありますので、それから数年間休むということを繰り返して、平均しますと五十年間に二十五回以上爆発をしているという鳥でありますから、まだ今後とも数年間くらいはがまんしなければいけないという見通しです。
  294. 川崎寛治

    川崎委員 たいへんきびしい御託宣なんで、それだけに法律の具体的な施行ということが切実な問題になってくるわけです。  そこで、続いてちょっと長官、人工制御の問題に触れられなかったので、この点は地震のほうは、何か新聞を見ますと、しきりに積極的なあれが展開をされているというんで、火山のほうはどうなのか。まあ予知も大事ですけれども、できれば制御できたほうがいいわけですから、何か方法はないのか。どうですか。
  295. 木村耕三

    ○木村説明員 私からお答えいたします。  地震の制御ができるというようなことがきょうの新聞に出ておりましたけれども、これは小出しに出してしまおうということでありますが、桜島みたいな火山を制御するためには、しょっちゅう灰をふかせるとかなんとかいうことをさせないと、つまり、エネルギーが出ていってくれませんものですから、ちょっといまの知恵では不可能ではないかと考えます。
  296. 川崎寛治

    川崎委員 いまの知恵では不可能だそうですけれども、科学が進んだ世の中ですから、これはひとつそういうところにこそ政府もうんと金を突っ込んで、大いに研究してもらうようにお願いをしたいと思います。  そういう、数年間活動ということになりますと、灰はとめどもなく降り続ける、こういうことになるわけであります。たいへん深刻な問題になるわけで、集じん車、ちりを集めるやつ、これを購入することについてぜひ補助対象にしてほしい、こういう要望が上がっておるわけです。この法律から見ますと、どうもその肝心のそれが実は抜けておったのじゃないかという感じもするわけです。道路維持に入るのか、あるいは八条のほうの「当該農作物被害を防除するために必要な施設」というほうに入れられるのか。しかし、道路の維持ということでいきますならば、国道、県道、市町村道、農道というふうに灰を直ちに除去するということが、農業の基盤を確保していく上にも、また生活環境を確保する上にもきわめて重要なんですから、集じん車の購入について補助を認めることは当然のことじゃないか、こう思います。いかがでしょう。
  297. 上東公民

    上東説明員 集じん車、道路清掃車でございますが、これにつきましては、現在道路事業整備費におきまして、道路交通の安全確保をはかる意味におきまして、各都道府県に対しまして必要な場合は補助いたしております。鹿児島県に対しましても昨年一台補助いたしておりまして、また新しい年度におきましても、これは桜島降灰のためだけではございませんが、交通安全確保のためということで予算の要求はいたす計画でございます。
  298. 川崎寛治

    川崎委員 来年度でなくて、ひとつ、あとの計直があるようですけれども、そういうわけで、今年度ちゅうできるというふうにお願いしたいと思います。
  299. 上東公民

    上東説明員 四十八年度の事業につきましてはすでに、補助の決定をいたしておりまして、これからの変更という、実際変更するとしますと、よその府県に行っているものを引き上げて持っていくというような形になるわけでありまして、現実には非常にむずかしいのじゃないかというように思量いたすわけであります。
  300. 川崎寛治

    川崎委員 これはひとつまたあらためて御相談します。けっこうです。が、来年ということじゃ困るので、先ほども、活動はしばらく続くというのですから、総務副長官もひとつ政府のほうとしてもよく考えてもらうようにお願いしたい。  次には、そういう農家の被害はたいへんひどくて、昨年来続いております。そこでもう絶望して、出かせぎに出ようというのがどんどん出始めているわけです。しかし、灰さえ降らなければ、近郊農業の地域としては宝庫なんですね。そうしますと、これをそのまま絶望的な状況において出かせぎの状況を続けさせていいのかどうか、あるいは何とか防ぎながら営農も続けさせるべきなのか。これはやはり何とか続けさせなければいかぬ、こう思います。そこで営農資金の問題についても、昨年来借金もふえておるわけです。償還の延長それから利子の補給という問題についてぜひ特別の配慮を願いたい、こう思います。この点いかがでしょう。
  301. 澤邊守

    澤邊政府委員 降灰による農作物被害に対しまして、昨年は県の単独事業といたしまして低利融資を行なっております。これは国と直接関係のない低利融資をやっておるわけでございまして、これにつきましては、被害の状況あるいは償還能力等を勘案して県において適当に指導されるよう、われわれとしても協力したいというように思います。  なお、従来この地域におきまして国の制度資金、天災融資あるいは自作農資金あるいは農林漁業金融公庫資金等を借りておる同じ農家が今回また災害を受けたというような場合におきましては、貸し付け条件の変更、たとえば据え置き期間を置きますとか償還期限を延ばすとか等のことにつきましては、これも被害の実情に応じまして、あるいは償還能力等も勘案いたしまして、関係機関を十分に指導してまいりたいと思います。
  302. 川崎寛治

    川崎委員 次には、市や町としては、税の減免あるいは高校生の授業料の減免等を行なっておるわけであります。だから、これはひとつ特別交付金の問題として今度はぜひ特別に配慮がしてもらいたい、こういうわけでありますが、その点がいかがかというのが一つ。  それから私立高校ですね、これはそういう場合に対象にならぬということになりますと、私立高校に出しておるというだけで親の負担は大きいわけですから、この問題については文部省として何とか方法はないのか。これらをめんどう見る方法はないのかどうか。あわせてひとつ伺いたいと思います。
  303. 栗田幸雄

    ○栗田説明員 自治省から、特別交付税のことにつきましてお答えいたします。  桜島の噴火に伴います関係地方公共団体の税収その他の収入の減少の状況、それからまた財政需要の増加等の状況を十分把握をいたしまして、これらの地方公共団体の財政状況等を勘案いたしまして、特別交付税の把握にあたりまして適切な措置を講じてまいりたい、このように考えております。
  304. 宮地貫一

    ○宮地説明員 私立高等学校の生徒に対する授業料減免の措置についてどうかというお尋ねでありますが、先生御指摘のとおり、公立高等学校の生徒については減免措置が具体的にとられておるわけであります。なお、私ども、県当局とも連絡をとったのでございますが、桜島町においては、町として授業料の一部について——私立高校生でございますが、授業料の一部について補助措置は実際とっておるようでございます。なお、私立学校の学校法人そのものから、県当局への具体的なそういう要望というようなものがまだ上がってきていないように聞いておりますので、学校ないし父兄からの要望その他が現実の問題になるとすれば、県当局ともその点は相談をいたしたい、かように考えております。
  305. 川崎寛治

    川崎委員 町がしておるのだったら、町はますます貧乏でいま苦しんでいるわけですから、自治省としては何とか見るということを、先ほど適当な措置と言った中には当然含むというように理解していいですね。
  306. 栗田幸雄

    ○栗田説明員 私立の高等学校に対します授業料の減免の問題でございますが、これは当該市町村なり県なりがそういう措置を講じた場合に特別交付税でどの程度見るかという問題でございまして、具体的な実情を調査いたしまして交付税上措置をいたしたいと思います。
  307. 川崎寛治

    川崎委員 文部省も、その点ひとつよろしくお願いしたいと思います。  次には、出かせぎに出始めておるということを言ったわけでありますが、そこで、どうしても出かせぎに出ないようにするというか、何とか現金収入の道を考えるということが政治の課題だろう、こう思うのです。そこで、たとえば八月の十一日から十三日の間においては延べ千名、それから五十台の車両を出して灰を除去したりしておるわけですね。これは法律の中のどこに入るのかあれですが、そういう降灰除去のための事業を救農事業ということで考えられないのか。たとえば災害を受けた。災害復旧の土地改良事業がある。この法律の八条でいけば、災害を受けたやつをもとに戻そう、こういうわけですから、明らかに受けておるわけですから、それをひとつ土地改良事業と同じ思想で、降灰除去のための事業というものを、住民が現金を取り得る一つの事業として考えられないか、その点いかがでしょうか。
  308. 杉田栄司

    ○杉田説明員 異常な天然現象によりましていわゆる農地に土砂が、まあ水の場合は流入する、それから灰の場合は上から降ってくるということでございますけれども、これは粒径一ミリメートル以下の土砂にあっては二センチメートル、それから粒径〇・二五ミリメートル以下の土砂にあっては五センチメートルというふうなこまかい規定がございますけれども現地の事情を伺いますと、平均大体二センチ、最高四センチぐらいの降灰があるという話も伺っております。したがいまして、そういう場合には農林水産業施設災害復旧事業国庫補助の暫定措置に関する法律災害復旧事業としてやることはできることになっております。  ただ、その実態がまだよく——県にも問い合わせておりますけれども、どういう範囲にどういう量があるのか、その辺、詳細な報告を実は受けておりません。もちろんこれは申請事業でございますから、地元市町村、県が相談していただいて、ある基準に合えば災害復旧事業として事業を興し、いわゆる現地の現金収入の道としての救農土木事業に仕組むということは可能でございます。
  309. 川崎寛治

    川崎委員 これは現地の市、町、県それぞれ具体的に御相談あると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  もう時間が参りましたので終わりますが、この第三条に基づきます避難施設緊急整備計画並びに第八条の防災営農施設整備計画というものは、市や町、県を通してそれぞれ具体的に計画が立てられておると思います。  そこで、お尋ねをしたいのは、施行規則をいつ出すのかというのが一つ。それからこの整備計画がいつ確定をするか、そして具体的な実施にいつ入るか。特に各省は九月の予算編成に具体的に入ってまいりますので、各省はほったらかさないように、この両計画の実施に直ちに入れるようにひとつ特段の努力をお願いしたい。これは総務副長官のほうから、政府全体まとめて御答弁いただきたい。
  310. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 現在、農林省といろいろ話をやりまして、施行規則を九月の上旬までには仕上げたいと考えて、いま鋭意努力中でございます。
  311. 川崎寛治

    川崎委員 そのあとの御決意のほどを……。
  312. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 桜島の噴煙降灰の問題はたいへん長期間にわたり、ここに住んでいらっしゃる方、またその周辺の方々にもたいへんな被害を与えている。そういう意味でも、政府がとり得る措置としては財政的にも援助する、また今後の住民の農業あるいは営業等々が安全にやっていかれるような措置も今後とも全力をあげてやっていきたいと考えております。
  313. 川崎寛治

    川崎委員 計画についても具体的にいろいろお尋ねしたいわけですけれども、時間がありませんから終わります。
  314. 大原亨

    大原委員長 次は柴田睦夫君。
  315. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 本日、「六月下旬以降の干ばつによる農作物被害概況」という資料が提示されておりますが、これを見ますと、「被害見込金額」の中で野菜被害が一番多いということになっております。  まず伺いますが、この野菜被害というのは全国的にどのような分布になっているか、どこが多いかというようなことについてお伺いします。
  316. 澤邊守

    澤邊政府委員 農林省の発表いたしました統計情報部被害概況によりますと、まだ各県ごとに詳細に出しておりませんけれども、別途県のほうからいろいろ報告をとっておりまして、それによって申し上げますと、被害の比較的大きな県といたしましては岩手県、それから福島県、兵庫県、島根県、鳥取県等におきまして、いずれも億単位の被害額報告されております。  なお、作物別に見ますと、これは統計情報部報告でございますが、作物別被害の大きいものといたしましてはキュウリ、サトイモ、ナス、トマト、スイカ等が主要なものになっています。
  317. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 いま言われました中に千葉県のことは入っておりませんでしたが、千葉県における干害の状況を見てみますと、サトイモ、落花生などの畑作物中心野菜関係で総額三十億円という干害の状況で、千葉県が中間報告をつくっているわけです。この野菜類の干害による被害に対しては、国なり地方自治体が被害を直接補償してやるという対策はあるのかどうか、お伺いします。
  318. 澤邊守

    澤邊政府委員 野菜に対します被害に刻する救済対策といたしましては、天災融資法に基づきます営農資金の融資、これは野菜作はもちろん対象になりますので、これによる救済が可能になるわけでございますけれども、けさほど来副長官お答えしておりますように、現在なお進行中でございますので、最終的な調査結果をまって天災融資法適用について十分検討したいという考えでございます。  なお、現在国会に提案をしております畑作物共済及び園芸施設共済に関する臨時措置法案というものを御審議をわずらわしておりますが、これが成立いたしますれば、将来の問題といたしましては、施設園芸につきましては救済措置が可能になろうかと思います。ただ、一般の露地野菜につきましては、非常に種類が多い。価格変動が大きい、損害評価が非常に困難である、作柄が不安定といういろいろな問題がございますので、いま直ちにこれを共済制度に乗せるということは非常に困難であろうというふうに思っております。  なお、お尋ねにございました県、市町村等につきましては、国の措置とは別途に、それぞれ低利融資の道あるいは種子等に対する援助等の道も、従来講じた例はございます。
  319. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 野菜被害が非常に大きいわけなんですけれども、直接これに対する補償の制度が現実にないということは、非常に遺憾なことだと思うのです。この農業災害補償法の共済制度、これも野菜については適用されないという関係になっておるようですけれども、その農業災害補償法の共済制度の中に野菜の問題も入れていく、こういう点についでは検討されておりますか。
  320. 板野権二

    ○板野説明員 野菜につきましては、現在、私どものほうで、今国会に畑作物共済と園芸施設共済の法案を提案申し上げているわけでございます。この法案が通りますと、園芸ものにつきましては、試験実施ではございますが、一応対象になるわけであります。ただ、露地野菜につきましては、先ほど審議官から申し上げましたように、損害評価その他非常にむずかしい問題がございまして、現在のところ、現状ではなかなかむずかしいのではないかというふうに考えられております。
  321. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そうすると、野菜類に対する補てんということは、いまの制度上は無理だという答弁になるわけですけれども、そういうことであれば、ともかく野菜に依存している農家も非常に多いわけですから、この野菜被害が生じないような、そういう面から考えていかなければならないということにもなるわけですが、ことしの四月に気象庁のほうからは異常気象白書というのが出されておりまして、干ばつ、冷害、集中豪雨などが警告されていたんですが、干ばつがこれほど大きくなるということは、白書が出されたあと予測できなかったかどうか、その点についてお伺いします。
  322. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 ただいまの件についてお返事いたします。  長期予報につきましては、非常に技術的にむずかしい面がございますので、なかなか困難な問題でございます。こういったような異常な干ばつが全国的に起こるということは、正直申し上げましてその作業が確かにおそうございまして、そういうことについてはっきり確定しましたのが七月二十日でございます。三月に発表いたしましたときには、全国の一部についてはそういうような干ばつが起こるケースがあるということは申し上げておりましたが、全国的にそうなるということは予想していない、そういう状態でございます。
  323. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 この七月二十日に干ばつの問題について警告を出されたということになりますが、いまから振り返ってみた場合に、もう少し科学的に検討を進める、あるいは県等の施設、設備などがあればこの干ばつの予想もできたんだ、そういうことをお考えになることはありませんか。
  324. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 こういったような長期の予報につきましては、非常に重要なことでございます。実は各国とも、こういった問題に非常に関心を持っております。ただ、残念ながら、どこの国におきましても、その面につきましてはまだ確立しておりません。したがって、現在各国で出しております長期予報と申しましても、普通一カ月予報が限度でございます。こういった状況を改善しなければいけないというようなわけで、われわれとしてもこれから努力する必要がございますが、この問題につきましては、実は大きなことで申しますというとGARP計画、地球大気開発計画というのがございまして、これが全世界で行なわれる予定でございます。その一つの手段といたしまして気象衛星を上げるという問題もございますが、そのGARPの期間がたしか一九七七年、昭和五十二年でございますが、それを予定しております。そういったものを実は積極的に、技術開発を目途といたしまして、世界的な協力でやるという状態でございまして、日本もその一部を応援する、こういうことでございます。  なお、それはわりあいに研究的なことでございまして、やはりこういった問題につきまして、そればかりではなくて、毎年のことにつきましてもやはり力を入れていく必要があるんじゃないかと思っております。したがって、来年度の予算につきましても、そういった面につきましても若干増強したいと考えております。現在におきましては北半球の状況だけを解析しているわけでございますが、特に長期の問題になってまいりますと、日本だけではだめでございますが、やはり地球的に見る必要がある。そのためには南半球の状況ももうちょっとよく調べる必要があるだろう、こんなようなことで今後大いに努力して改善していきたいと思っております。ただ、技術的には非常にむずかしい問題でございますので、できるだけの力を注いでいきたい、こう考えている次第でございます。
  325. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 正確な見通しができないということですが、いま気象庁では人員の削減がなされているのですけれども、この人員削減というのは、これからさらに科学的な正確な予測ができるようにしなければならない時期において、否定的な影響を及ぼしているのじゃないかということを憂えるのですけれども、この点についてはいかがですか。
  326. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 いわゆる定員削減の問題につきましては、やはりこれは政府全体の方針でございますので、われわれとしてもそういったことで進めていかなければならないと思っております。ただ、その場合に、やはり技術水準を下げてまでやるべきであるかどうかということについては問題があると思いますが、われわれといたしましては、そういった技術水準はそのままにしておいて、仕事の合理化と申しましょうか、やはりいろいろな面で、長い間やってまいりますと仕事がだんだん変わってまいります。その体制に応ずるようなふうにしてやっていく必要があるのじゃないかと思っております。さらに、新しいことにつきましては必要な人員を要求いたしまして、それでそういった方面を充実していく必要があるのじゃないか、こう考えております。今年度におきましても、なるほど一部、たしか八十八名ぐらいでございますが、定員の削減がございましたけれども、そのほかに約百五十名ぐらいの増員がございまして、実質的には人数としてはふえている状況でございますので、そういう点ひとつ御了解願いたいと思うわけでございます。
  327. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そうしますと、人員の削減はあっても、やはりこの気象の予測などのことについて前進的な方向で全体的には進んでいる、こういう御見解なんですか。
  328. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 そういった方向で進めていきたいと思っております。それで、いまの段階では大体そういうことになっていっているのではないかと思っているわけであります。
  329. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 やはり水準を高めるということが必要であると思いますし、そのためにはやはりそれだけの人員をそろえるということが当然必要だと、こう考えるわけです。  次に伺いますが、災害対策基本法に基づいて農林省の防災計画というのがきめられているわけですが、この長期予報が出された時点で農林省としては何か独自の対策を立てるか、あるいは自治体に対する対策の指示などがなされたかどうか、お伺いしたいと思います。
  330. 遠藤寛二

    ○遠藤(寛)政府委員 お答えいたします。  先生のお尋ねの一部分になるわけでございますけれども、長期予報が三月の十日に毎年出るわけでございまして、これが四月から九月までの夏作の予報をされるわけでございます。それに対しまして私どもは、それと前後しまして、ことしの場合は三月二十六日に出しておりますが、地方農政局、それから北海道知事、それから沖繩の総合事務所、そういうところを通じまして都道府県に達する次官通達を出すわけでございます。それには気象状況の予想に応じました技術的注意事項を詳しく書きまして通達いたします。ことしの場合、先ほど気象庁長官からお話がございましたように、やや冷害ぎみな予報が出ておりまして、干ばつの予測は一部分、注のところに書いてありますが、盛夏には夏らしい天候と、こう書いてございましたので、私どものほうとしましてはそれも考慮いたしまして、豆類でございますとか果樹野菜、そういうものの項目につきましては干ばつ対策をかなり詳しく注意いたしまして、ずっと下のほうまで通達を出しまして指導いたしております。私どもの担当いたしましたのはそういうことでございます。
  331. 杉田栄司

    ○杉田説明員 施設その他農地等についてのそういう指示が別にありましたのでございますが、これにつきましては、今年度も三月に、地方農政局を通じまして各都道府県市町村に指示をいたしております。特に干ばつに対しましては、ため池その他の施設の管理状況あるいはまたその貯水状況、そういうものを点検するとともに用水の確保につとめる、あるいはまた非常事態が起きた際の用水をいかにうまく配るか、有効に使うかということについても指示をいたしております。  なお、七月になりまして干ばつの徴候が非常にあらわれてまいりましたので、応急のための措置、それにつきまして指示をいたしております。ただ、その際にこのような大干ばつになるという予測ができませんでしたので、十分でなかった。それから、ある程度指示をしてはおったわけでございますけれども、肝心の流水がないために施設が使えないというような事態が生じているということで、十分な成果をあげるような結果にはならなかったという点を非常に残念に思っております。
  332. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 干ばつに対する指示は、これは千葉県などについてもなされたわけですか。
  333. 遠藤寛二

    ○遠藤(寛)政府委員 千葉県に対しましては、行政の分担上関東の農政局、農政局長を通じまして千葉県知事に通達が行っていると思います。
  334. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 干ばつの指示が……。
  335. 遠藤寛二

    ○遠藤(寛)政府委員 干ばつといいますか、暖候期予報に対します春夏作指導という形で……。
  336. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 千葉県の場合を見てみますと、大きな被害を受けた地域は下総台地と呼ばれる台地になっているところで、昔から水利施設のことがいろいろ意見が出ていたところなんですが、地元の人々は、井戸がほしいんだけれども、結局は金がない。井戸さえ国が掘ってくれれば、末端の施設は自分たちのほうで負担する、こういう意見がずっと出ていたわけです。土地改良法によりますと、二十町歩以上まとまらなければ国の補助が受けられない。そういうことで、現実には利水施設をどうしようかということでこの台地の人々は頭をひねっていた。そこに今度のこの大規模な干ばつになるわけですが、そういうことを考えると、農民の間からそういう意見が出ている中でその対策が立てられなかった、長い間にわたって立てられていないということから見ますと、まさに被害が起こるべくして起こった、こう見なければならないと思うわけです。異常気象が警告される、これはことしに限ったわけではないわけですから、そういうものの対策として国のほうで責任を持った利水対策が遂行されるべきではなかったか、この点についてどうお考えですか。農林省の見解をお伺いします。
  337. 杉田栄司

    ○杉田説明員 御説明申し上げます。  お説の、いわゆる土地改良事業の末端規制が二十ヘクタールと書いてあるということは、確かにそうなっておるわけでございますけれども、実はこれに例外がございまして、過疎振興山村、野菜指定産地等の場合は十ヘクタールということにております。この趣旨は、いわゆる公共事業でございます関係で、少なくとも団体での規模ということになりますと、十ヘクタール程度が最低限ではなかろうかということになっております。ところが千葉県の台地等では、必ずしも十ヘクタールにまとまらないところがあることが多いわけでございますけれども、そういう場合はいわゆる数団地を結んで——それを水で結ぶとわれわれは申しておりますけれども、水もしくは道路で結んで、それを一団として取り扱うという措置で、二ヘクタール、三ヘクタールという小団地を事業対象に加えていくという実態でございます。  なお、恒久的な対策といたしましては、国営、県営、団体営あるいは被補助事業等土地改良事業のすべてで、これは畑地かんがい事業とかあるいは一般のかんがい排水事業とかいうことで地域的に工事を実施して、そういう無水地帯をなくするというようなことで事業を進めていっておるわけでございます。
  338. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 結局、土地改良法の制限によって、農民の利水施設について十分の対策が現実には立てられないという現状なんですけれども農林省として、こういう干ばつ被害などが起こらないようにするために、なお新規の利水施設について土地改良法のワクを越えて補助を出す、こういう次の対策が考えられなければならないと思うのですけれども、その点についてのお考えはいかがですか。
  339. 杉田栄司

    ○杉田説明員 土地改良法のワクを越えてというお話でございますけれども、実はこういう利水施設等は非常に公共的な色彩が濃いということで、その補助体系なり何なりに対して抜本的にやるべきであるという意見が相当あるわけでございます。しかし、従来、戦後ずっと昭和二十四年以来土地改良法を運営してきておりまして、一般にこの農業水利事業等につきましては、相当に補助率あるいは採択基準等の改定が行なわれてまいっておるわけでございます。水田のほうは相当完備されてまいりましたので、今後は重点が畑地帯に移るということになりまして、ことに畑については水田と違って高率の助成措置なりあるいは採択基準の引き下げということで対処していくということにしておるわけでございます。
  340. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 時間が参りましたので、最後にひとつ、その利水施設などについての抜本的な対策は当然考えなければならないと思いますし、そして被害を補償する制度野菜類には何らないということについて、やはり根本的に考え直さなければならない問題だと思うわけです。この点についての見解を伺って終わりたいと思います。
  341. 澤邊守

    澤邊政府委員 先ほどもお答えしましたように、野菜類につきましては、現在御審議中の法案が通れば対象になるわけでございますが、一般の野菜については現段階では困難であるというふうに考えておるわけでございます。なお、共済制度以外につきまして、先ほども触れました天災融資法適用を、調査の結果を待ちまして十分に検討してまいりたいと思いますし、なお、先ほどはちょっと漏らしましたけれども天災融資法によります再生産資金の融資によってもなお救われないというような農家につきましては、野菜作農家を含めまして、自作農資金の長期低利の融資等の道もございますので、実情に応じまして、応急対策についても十分配慮してまいりたいと思います。
  342. 大原亨

    大原委員長 次は、庄司幸助君。
  343. 庄司幸助

    庄司委員 まず、委員長に、本席で発言を許していただいたことを感謝申し上げます。  最初に農林省に伺いたいのですが、大体どこの県の知事からも要請がまいっていると思いますが、市町村や農業団体が利水施設あるいはポンプといったものに使った金についての補助金、これをひとつ国庫雄域でやってもらいたい、この点が一つの共通点です。それから、来年の種もみやその他に対する国庫の助成。それから三番目としては、いわゆるため池であるとかその他の恒久的干ばつ対策。それから四番目としては、いわゆる融資関係ですね、天災融資あるいは自創資金のワクの拡大、あるいは、天災融資は受けたが、それが結局差し引かれて何にもならないというようなことでワクの拡大や期限の延長の問題、それから利子の問題、それから共済の問題、こういう点は、どこの県でも共通している要求だろうと思います。  その点について具体的に、第一点の国庫補助はいつごろ措置なされるのか。これは私、たしか八月四日に農林大臣にお会いして、大体いま言ったような項目は要請いたしました。その際農林大臣は積極的に取り組むという御答弁をいただいているわけですが、時期の点やあるいは国庫補助の率の点がまだ煮詰まっていないようなんで、その点ひとつ具体的にお答え願いたいと思うのです。
  344. 杉田栄司

    ○杉田説明員 いまの第一点について御説明申し上げたいと思います。  かんがい応急対策につきましては、先ほどもちょっとお答えしたのでございますけれども、とりあえず過去の例がございますので、各県を通じまして市町村には、ほぼ見通しとしては応急対策助成措置をとれるような規模になってきておるので、過去の実施例はこうであるということを説明しております。  実際にそのとおりになるかどうかはこれからの問題でございますけれども、大蔵省にもすでに折衝を始めておりまして、かんがい応急対策に要した費用を積み上げて集計されました時点で最終的にやりたいと思っておりますが、過去の例からいきましても十月ごろには確定できるんではないかと思っております。内容といたしましては、水田、畑については四割の補助、それから果樹園につきましては三〇%というような内容になろうと思っております。
  345. 庄司幸助

    庄司委員 それで、少し具体的な問題で、重複を避けてお伺いをしますが、八月二十三日の農林省の各県の集計を見ますと、総額が五百七十三億円——現時点では六百幾らとなっておりますが、そのうち東北六県が二百九十三億円くらいになるのですね。これは五〇%以上です。特にひどいのは岩手県の百十六億円、あるいは福島県の四十八億円、宮城の四十億、山形の四十二億、秋田、青森がそれぞれ二十億円くらいでありますが、このうちでも稲作が百五十一億円くらい、相当の部分を占めておるわけです。この稲作について収穫皆無という場所も相当あるのです。収穫皆無の場所について私も足で調べてみましたが、ほとんどがやはり過疎地帯であるとかあるいは山間部の開田した地帯であるとか、非常に困難な状況にあるのですね。こういうところについては、天災融資くらいの措置では間に合わないのです。その点で具体的に、これは災害の補償といいますか救済といいますか——共済だけではとても間に合わない。あるいは天災融資のいままでの事例からいっても間に合わない。こういうところについてはやはり特段の措置をしていただく必要があるのではないかと思うのですよ。その点どういうふうにお考えになっているか。  それから第二点は、いわゆる収穫皆無でなくとも米の質が非常に落ちて、等外米が非常に多く出る可能性もあるのですね。この等外米について、今度の干ばつによる被害と認められるものに限定されてもいいですから、この等外米の政府の買い入れをぜひやってもらいたいと思うのですよ。その点どのようにお考えになっておるか、まずこの二点を伺っておきます。
  346. 澤邊守

    澤邊政府委員 第一点の共済、天災融資のみでは十分な救済ができないではないか、こういう点のお尋ねでございますが、共済制度によりまして、加入者につきましては、収穫皆無の場合には当然最高限度の共済金が支払われるわけでございます。この点につきましてすでに八月六日の通達によりまして、各共済組合あるいは共済組合連合会等におきまして被害者の実情に応じて仮渡しを行ない、それに関連して国の再保険金を請求するようにという通達もすでに流しておるところでございます。天災融資法につきましては、最終的な被害の取りまとめを待ちまして、資金需要等も勘案して十分に検討してまいりたいと思っておりますが、以上の救済措置のほかに自作農資金、自作農維持資金という制度がございますので、天災融資、共済金の支払い等でなお救済できなくて経営が破綻するというような農家に対しましては、五分、二十年という長期の低利融資を実情に応じて行なうという考えでおります。  第二点のお尋ねの、干ばつ被害による米の品質低下によります等外米あるいは規格外米の政府買い入れの問題でございますが、現在の食管制度の運用におきましては、当然に等外米あるいは規格外米を食管が買い入れるという制度になっておりませんけれども災害等によりまして相当被害が大きいという場合には、地域を限りまして、災害対策の一環といたしまして、配給可能な品質のものについては等外米あるいは規格外米であっても買い入れるという措置をこれまでも講じております。したがいまして、現在まだ等外米がどの程度発生しているかということを最終的に判断する段階でありませんが、これの実情が明らかになりました際に、必要により従来のような対策を講ずることについても検討をいたしたいと思っております。
  347. 庄司幸助

    庄司委員 たいへん前向きな御答弁でありますが、自創資金の問題その他、実は相当農家が借りているわけですよ。借りていて、今度の干ばつによってまた借りなくちゃならないといった場合に、前の借り入れ金から差し引かれる事例がいままであったわけですね。これは困ったものだと農民は言っているわけです。ですから、これは別ワクで借りられるようにぜひ御配慮をお願いしたい、こう思うのですが、その点だけ、簡単でけっこうですから。
  348. 植木建雄

    ○植木説明員 お答え申し上げます。  資金関係の問題につきまして、重複被害を受けましたりあるいはすでに借り入れ金がある等の事情があるもの等、個々にいろいろあると思うのです。そのような場合におきましてはいろいろな仕組みをとっておりますが、たとえば天災融資法につきましては、重複加算といって実質的な借りかえ措置がとられるようになっておりますし、いまお尋ねの自創資金の場合には、通常五十万円という限度で、残高通算といっておりますが、特に集団的に過去の借り入れがあってこれに障害があるような場合には特ワクを設定するというようなことで、個々の実情に応じて弾力的にそのつど処理をいたしております。今回の処理にあたりましても、被害の実際の実情を把握いたしまして、そういう方向で検討するということを考えております。
  349. 庄司幸助

    庄司委員 次にお伺いしたいのはくだものの問題ですが、これは特に福島県が非常にひどくやられているのですね。八月二十日現在の数字ですが、大体十一億二千五百万円。福島県は果樹地帯が相当ありますから深刻な問題なんです。果樹に対する共済、保険といいますか、これは昭和四十三年から五年間試験実施をやられている。これは福島県一県だけのようであります。ところが、果樹共済あるいは保険といいますか、これに対する加入者がきわめて少ないという問題があるのですね。大体作付面積の一〇%ぐらいしか加入していない。そうしますと、ほとんどの果樹農家は、今度の干ばつによる被害を保険によってまかなうことができないという状況にあるのですよ。そういう点で、今度の干ばつに対して、果樹についてもどのような救済措置をとられるのか、これをまず第一点として伺っておきたいと思うのです。
  350. 澤邊守

    澤邊政府委員 果樹共済につきましては、担当の課長が来ておりますので後ほどお答えさせますが、果樹被害農家に対します対策といたしましては、先ほど来御説明しております天災融資法による措置あるいは自作農維持資金による救済措置等がもちろんございますので、実情に応じて十分検討してまいりたいと思います。
  351. 板野権二

    ○板野説明員 果樹共済に関連してお答え申し上げますが、先生御指摘のように、果樹共済につきましては四十三年から試験実施をしてまいっております。五年間ということで試験実施をやってまいりまして、試験実施につきましては、掛け金率算定の基礎になります被害率等を調査するというのが主目的でございまして、実施の規模といたしましては大体一割ぐらいをめどに実施してまいったわけでございます。全国的には大体六%ぐらいの実績になっておりますが、その試験実施の結果を受けて、四十八年度、ことしから本格実施に移行したわけでございます。本格実施はことしから引き受けが始まるわけでございまして、当然試験実施の段階よりも実施規模はふえてまいるわけでございます。現在までのところ、まだ最終的な引き受け見込みは確定いたしておりませんが、大体三割ないし四割ぐらいの加入はあるのじゃなかろうかというふうに見込んでいる次第でございます。
  352. 庄司幸助

    庄司委員 果樹保険の問題、三つほど問題があるようです。一つは、たとえばことしのような干ばつ被害が生じた、その被害に対する補償じゃなくて来年度の再生産のための必要な援助だ、こういった性格があるやに聞いているのですよ。これがやはり果樹保険に対する加入が消極的な一つの原因だといわれているのです。もう一つは、これは福島の実例ですが、五年間実施してみたら赤字が約一千三百万出ている。この赤字を今後入る人もかぶるんだ、これがやはり加入促進を消極的にしているもう一つの原因だ、こういわれているやに私は聞いているのですが、その辺はいかがでしょうか。
  353. 板野権二

    ○板野説明員 まず果樹共済の補償のしかたでございますが、いま先生の御指摘でございますと、当該年度の被害でなしに来年度の営農資金というお話がございましたが、これはこういうことかと思います。  果樹の場合につきましては、共済の期間を花芽形成期から翌年の収穫期までというふうにいたしております。と申しますのは、ある年を基準に考えました場合に、前年度の花芽の形成いかんあるいはそれ以降の状況がその年の収穫に影響するという形で、花芽の形成期から収穫期までを責任期間にしているわけでございます。したがいまして、本年度引き受けますのは、来年産のものを引き受けるということでございます。したがいまして、その当該年度の収穫を見ないということではございませんで、保険の期間が二年間にわたるということでございます。したがいまして、今年産のものについて申し上げますと、本格実施の引き受けはことしから始めておりますので、ことし引き受けますのは、来年の収穫期からのものを引き受けるということになるわけでございます。  それから試験実施の赤字の問題でございますが、試験実施期間中の赤字につきましては、それを本格実施の段階の加入者がかぶるということはございません。それは赤字は赤字で別立てで処理したいと思っておりますので、そういうことはな  いと思います。
  354. 庄司幸助

    庄司委員 そうすると赤字の千三百万円は、国のほうで何らかのかっこうで別立てで補助すると  いう意味ですか。
  355. 板野権二

    ○板野説明員 試験実施期間中の赤字につきましては、経理処理としては別立てで処理しておきまして、ただ、それは今後の本格実施の中で——本来、保険というものは長期バランスということを前提にしているわけでありますから、将来の本格実施の中で剰余が出た場合等におきましてそれをだんだん消していく、こういう形で処理していくべきものではないかと思います。ただ、その期間、赤字のために資金繰り等に困るというようなことがありますので、農業共済基金というものがございまして、そこからの融資という道もあるわけでございます。
  356. 庄司幸助

    庄司委員 これは試験期間の間の赤字分ぐらいはやはり保険の会計でやるんじゃなくて、試験をやれといったのは農林省なわけですから、農林省がかぶってしかるべきだと私は考えます。そういうふうに要請だけ申し上げておきます。  その次の問題ですが、実は今度の農林省被害の状況の中には水産物関係被害が載っていないわけです。水産庁いらしていると思いますが、たとえば宮城県の万石浦のカキが全滅いたしまして、一億三千五百万ほどの被害をこうむっている。しかも、種ガキがそのうちの半分以上を占めているようなわけです。そのほかホタテについてもやはり被害が予想されているわけです。あるいは内水面のため池が干上がって、飼っておいた魚が全滅したとか、そういうものもあるわけですから、なぜこういう調査をなさらなかったのか。私は当然報告があってしかるべきだと思っていたのですが、いわゆる農作物被害状況だけが発表されているわけですね。これはそれで責め立てても、あとの問題ですからしかたがないですが、こういった水産物関係被害についてどういうふうな救済措置をとられるのか、これをお伺いしたいと思います。
  357. 増満二郎

    増満説明員 ただいま先生御指摘の、宮城県の万石浦を中心といたします養殖のカキの被害でございますが、これにつきましては、八月二十日現在で宮城県の報告で、一億三千五百万円という報告をいただいております。その対策につきましては、被害の原因を早急に究明いたしまして、県と十分連絡をとりながら適切な対策を立ててまいりたいというふうに考えております。  そのほかホタテでございますとかあるいは秋田県の魚の被害報告を受けてございますが、あらためて全国に、今回の八月中の異常気象によります高温、水質変化あるいは渇水といったようなことによります漁業被害実態を早急に報告するように、手配もしてございます。
  358. 庄司幸助

    庄司委員 対策をとられるのはけっこうなんですが、対策は大体わかっているのです。というのは、万石浦というのは、海に通ずる道路が非常に狭くて、水の入れかえが困難なところです。それが異常高温と渇水によって水質が極度に悪化した、そのためああいった被害が出たわけですから、この原因はわかっているのです。その対策となると、これは非常に膨大なものになるのです。たとえば隣接する女川との通水をやるとか、そういう対策が必要になってくると思いますけれども、これはこの席でやっていますとなかなかたいへんだろうと思いますから、あと別の機会にやります。  それで、被害に対する補償の問題で、実は万石浦では、いわゆる共済に全然入っていないのですね。ですから、共済による措置も受けられない。その点で現地の漁協は非常に苦慮しているわけですが、これについての救済措置をお願いしたいということなんですよ。具体的に言いますといわゆる救済措置対策、これをお伺いしたかったのですが、その点お答え願いたいと思います。
  359. 増満二郎

    増満説明員 宮城県全体を見ましても、カキの養殖の共済への加入が二一%とあまりよくない。お話しの万石浦の場合は、残念ながら共済に入っておりません。したがいまして、共済金の支払いというわけにはまいらないと思います。その他の救済措置につきまして、先ほどお話ししましたように、県ともよく連絡をとって対処したいと思います。天災融資等の問題につきまして、水産庁といたしましては関係部局と目下検討しておるということでございます。
  360. 庄司幸助

    庄司委員 次にお伺いしたいのは、環境庁いらっしゃると思いますが、今度の異常渇水で、福島県と宮城県にまたがる阿武隈川、これは国の直轄河川でありますが、この水質が非常に悪化したわけですね。これは資料によりますと、水域はA水域になっておるわけですが、ことしの七月一日ではかってみたら、PHが九・二四ですね。A水域は六・五から八・五ときめられておりますが、こういうふうに高くなっておる。これの四十八年の総平均を見ましても七・二〇なんですね。大体中性に近い。それがこういうふうにPHが上がってしまった。それからBODは二PPM以下と定められておりますが、これが倍以上の四・五〇、こういうデータが出たわけです。  これに対して宮城県当局は非常に苦慮いたしまして、県内の沿岸の三十五工場に対しては、五十トン以上排水しておるところは全部規制をかけたわけです。排水するな。ですから、工場にしても操業短縮やあるいは操業停止をやったところもあるわけですが、同時に上流の福島県当局に対しても、同じような規制をやってもらいたい、こういう申し入れを再々やったわけです。ところが、福島県当局は自主規制、これは指示したようでございますが、なかなか強力な措置はとっていただけなかったというので、下流の宮城県下では非常に問題になっておるわけです。  この点で私、水質規制課長さんともお話しして、いろいろ申し入れはしたのですが、ところが、環境庁が福島県当局質問したら、うちのほうではそれほどでもありませんよと言われて引き下がったような形跡があるのですね。上のほうでたれ流して下流のほうには迷惑をかける。二つの県にまたがる問題についてはどうしても国が調整する以外にないと思うのですよ。ところが、国の調整機能がほんとうに手ぬるいような感じがするのですが、その点について今後どのような御処置をおとりになるのか。いまからでもおそくありませんから——雨が降れば解決する問題ではありませんが、その点でひとつきびしい手段をとっていただきたい、これが宮城県知事の要請なんですが、その辺どのようにお考えになりますか、ひとつお願いします。
  361. 松田豊三郎

    ○松田説明員 先生御指摘のとおり、異常渇水等によりまして水質の非常に汚濁する場合には、水質汚濁防止法の千八条によりまして、排水の規制というふうな緊急時の措置がとられることになっておるわけでありますが、政令で定める場合と書いてありますが、政令で環境基準に定められた水質の倍以上に汚濁した場合は排水を五〇%カットする、こういうふうになってございます。  そこで、お尋ねの点でございますけれども、宮城県、福島県おのおのの水域の区域内においてそういうふうな事態になった場合に、当該県知事は関係地域について、おっしゃるような規制をすることができる、しなければならない、こういうふうに定められておるわけでございますが、ただいま御指摘ありましたように、福島県側の水質の汚濁状況はそれほどひどくなかった。さらに、聞くところによりますと白河付近にかなり降水がございまして、そういうふうな点で上流部では緊迫感がなかったというふうな事情もあったようでございます。そこで、宮城県側から要望がございましたけれども、その辺の事情もございまして、おっしゃいましたように自主規制といいますか、準ずる措置というふうな措置を福島県側ではとったということでございます。宮城県側のほうでは、法令に定める基準に達しておりましたので、緊急措置命令という形になったわけでございます。  確かにそういうふうな県際水域の調整という問題があろうかと思います。現在の水質汚濁防止法のたてまえは、そういうふうに規定してございます。その辺の調整をはかるために、環境庁としては従来から留意しておったのでございますけれども、必ずしも十分ではなかったというふうに思っておりますので、さらにそういうふうな事態が生じました場合には、法令の定める基準以内でありましても、下流県の水質の汚濁の防止に役立つように、上流県に対してさらに強力な指導をいたしてまいりたい、われわれとしては今後はそういう点大いに注意してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  362. 庄司幸助

    庄司委員 時間が参ったようですから、最後にお伺いしておきますが、いまの水質の問題は、上流は確かに水質はある程度いい。しかし、だんだん下流にたまってくるわけですから、下流が迷惑をこうむる。これはひとつ厳重にやってもらいたい。これは要請しておきます。  最後に、飲料水の問題も、今度の異常渇水とあわせて非常に大問題になっているわけです。これは通産にひとつ伺っておきますが、飲料水が節水だ何だと非常にやかましい規制をやっている最中にもかかわらず、工業用水は依然としてのほほんとして限度一ぱいに取っている事例があるのですよ。たとえば石巻にある十條製紙などは、石巻市が一日四万トン、それでも足りなくて節水している、ところが十條製紙は四十万トン目一ぱいどんどん使っている。こういう事例があるのですね。  その点で、これは何も宮城県だけの問題ではなくて、東京の問題でもあれば大阪の問題でもあれば、全国的な問題だろうと思うのですが、この工業用水を今後、これは気象庁長官もいらっしゃいますが、異常気象が続く、これは四月十七日のあなたの御答弁で明らかですから、この工業用水をいつまでも、湯水のようにということばがありますが、安いものですから湯水のように使う、こういう工業用水の使い方の姿勢、これは考え直す必要があるのじゃないかと思うのです。その点で若干このごろ論をなす方々では、工業用水の値段が安過ぎる、一トン五円か六円ですから、これを五十円くらいに上げれば当然水を循環して使うようになるのじゃないかという説をなす方もあるわけです。私はこれは当然だろうと思うのですが、そういう点で通産当局は、工業用水について、この異常気象が今後も続く、しかも水需要はふえる一方だという中で、どういう基本的な考えを持っていらっしゃるのか、いま私が申し上げたような方向で検討なさっているのか、これをひとつ伺っておきます。
  363. 柴田益男

    柴田説明員 渇水期における上水への協力につきましては、現在全国の工業用水道百七十四ございますが、そのうち六十二制限しておりますけれども、その制限の実態を見ますと、通常の場合、上水を一〇%程度制限した場合は工業用水はその倍の二割、あるいは一五%上水を制限した場合は三割ということで、工業用水のほうの制限率を高くいたしまして、一般市民の水道用水のほうに回るように指導しております。仙台の場合も、上水は二〇%程度かと聞いておりますが、工業用水は四四%カットしておりますが、ただ工業用水の場合でも、都市ガスとかあるいは電力会社に対する供給あるいは中小企業に対する供給がございますので、むげに削減するということはまいりませんで、やはりその工業の実態に合わせまして個別に指導さしているのが実情でございます。  それから御指摘の第二点の問題ですが、現在私どもといたしましても、工業用水は単に新しい水源ないし川に用水を求めるということでなくて、工場排水とか下水の再生利用ということを行なうべきだということで国庫補助をいたしまして、たとえば東京都の場合、五万トンの下水の高度処理のプラントを助成してつくらせるというようなことで鋭意力を注いでいるところでございますし、あるいは海水の淡水化ということについても努力をいたしております。  最後に料金の問題でございますが、工業用水は発生的には地下水の転換ということで進んでまいりまして、地下水については非常に単価が安い。二円ないし三円程度で、工場が井戸を掘ってしまえばそれで工業用水をつくれるわけでございまして、それとのバランスもございまして、わりあいに低く押えているわけでございます。御指摘のような点もございますので、諸般の情勢を勘案しまして、料金については適切な方向に持っていきたい、そういうふうに考えておる次第でございます。
  364. 庄司幸助

    庄司委員 終わります。
  365. 大原亨

    大原委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時四十七分散会