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1973-06-22 第71回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月二十二日(金曜日)     午前十一時開議  出席委員    委員長 大原  亨君    理事 宇田 國榮君 理事 高鳥  修君   理事 三ツ林弥太郎君 理事 渡部 恒三君    理事 金丸 徳重君 理事 村山 喜一君       越智 伊平君    志賀  節君       細田 吉藏君    村岡 兼造君       森  美秀君    安田 貴六君       神門至馬夫君    島田 琢郎君       辻原 弘市君    中村 重光君       山本弥之助君    津川 武一君       高橋  繁君    折小野良一君  出席政府委員         総理府総務副長         官      小宮山重四郎君         気象庁長官   高橋浩一郎君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    杉岡  浩君         文部省管理局教         育施設部長   菅野  誠君         厚生省環境衛生         局水道課長   国川 建二君         水産庁漁政部水         産流通課長   平井 清士君         水産庁漁港部防         災海岸課長   根本 清英君         運輸省港湾局防         災課長     堀口 孝男君         運輸省鉄道監督         局施設課長   柳田 真司君         気象庁観測部地         震課長     末広 重二君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十八年六月十七日根室半島沖地震による  災害対策      ————◇—————
  2. 大原亨

    大原委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件、昭和四十八年六月十七日根室半島沖地震による災害対策について調査を進めます。  まず、被害の概要につきまして、政府当局から説明を聴取いたします。総理府総務長官小宮山重四郎君。
  3. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 一九七三年六月十七日の根室半島沖地震について御報告申し上げます。  昭和四十八年六月十七日午後零時五十五分ごろ、根室半島南東沖を震源とするマグニチュード七・二の地震が発生し、釧路及び根室における震度五の強震をはじめ、北海道及び東北地方中心とする地域震度四から三の地震があり、施設等被害が発生いたしました。  また、この地震による津波の発生が心配され、厳重な警戒を行なっておりましたが、根室の百五十二センチメートルを最高に各地で水位が上昇し、漁船破損及び家屋の浸水等被害が発生いたしました。  これらの地震及び津波による被害のうち、一般被害といたしまして警察庁で取りまとめましたところによりますと、負傷者二十六人、建物の全壊二棟、床上浸水八十九棟、床下浸水百八十九棟となっております。  なお、これらの地域においては、去る六月五日に津波予報伝達訓練を行なっており、住民の避難はたいへんスムーズに行なわれ、人的被害を少なからしめたものと思われます。  次に、施設等被害といたしましては、現在までの道庁等からの報告によりますと、道路港湾漁港等公共土木施設約九億二千万円、農業用施設約二億一千万円、サケ・マス等の水産物約一億六千万円、中小企業関係約二億六千万円、その他を合わせて合計約十九億六千万円でございます。  この災害に対し、政府といたしまして去る六月十八日関係省庁連絡会議を開き、被害状況把握につとめるとともに、関係省庁合同調査団を派遣することを決定し、私が団長となり、同日直ちに現地に向かい、つぶさに調査を行なってまいりました。  また、道庁では、根室支庁をはじめ三支庁地震災害対策連絡本部を設置し、また根室市をはじめ北海道及び岩手県内十七市町村におきましても地震災害対策本部を設置し、津波に対する警戒及び応急対策につとめたところであります。  なお、今後の対策といたしましては、災害復旧等の必要な措置に万全を期してまいる所存であります。  以上でございます。     —————————————
  4. 大原亨

    大原委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安田貴六君。
  5. 安田貴六

    安田委員 六月の十七日に発生いたしました根室沖地震状況につきましては、いま副長官より報告されましたとおりでありまして、私も、自民党調査団の一員として一昨日出発いたしまして、昨日九時半ごろ帰ってまいったのでありますが、その調査状況を背景として若干の質問をいたしたいと存ずる次第であります。  私の考えまするのに、この種の災害に対応する政府の姿勢といたしましては、まず何といっても、罹災民に対するあたたかい思いやりを前提とした急速な措置がきわめて肝要であると存ずるのであります。さらに、実態把握を正確にいたしまして、その原因と実態を十分に究明いたしまして、そして実情に適応した応急対策を迅速にとる、これに加えまして、こうした災害を教訓として抜本的な諸般の対策を急速に樹立いたしまして、そしてこれを推進、促進する、これが私は一番肝要な諸点ではないかと思っているのでありますが、今回の政府のとった措置は、こういう観点に立ちまするときわめて迅速な処置がとられておるわけでありまして、総理府の副長官団長として、いま報告のあったように、私どもが現地に参りまする前にすでに現地に臨みまして、つぶさに調査をされた、きわめて適切な処置であった。住民も非常にこのことを喜んでおるわけでありまして、私はこの点に対しまして、総理府長官をはじめ副長官その他関係政府関係者方々に対しまして深く敬意を表したいと存ずる次第でございます。  そこで、今回の地震にあたりましての地震または津波警報処置でありますが、これについても、たいへん現地訓練が行き届いておったということももちろんございますけれども、気象台をはじめそういう関係方面の速報については、たいへんこれも迅速であり的確であったということで、関係道民からは喜ばれておるわけであります。この点も私は、どうしてもこの機会に御報告を申し上げておきたいと存ずる次第であります。  そこで御質問申し上げたいのでありますが、まず最初の一点は、この地震津波警報等につきましては、いま言ったように、住民としてはたいへん今回の場合喜ばれており、適切であったといわれて評判がいいのでありますけれども、しかし、私は、いかに早くこの処置がとられてもとり過ぎたということはないと思うのでありまして、早ければ早いほどよろしい、こういうことになると思うのでありまして、したがいまして、まず私は、現在における政府関係庁における警報体制現況と、それから予報伝達のルートが一体どうなっておるのか、これはわれわれ常識的には承知をいたしておりますが、この機会にこれをお尋ねしておきたいと存ずる次第であります。その点から御答弁を願います。
  6. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 予報体制については、あと気象庁のほうから専門的にお答え申し上げますけれども、今回の調査の中で私もたいへん感銘を受け、的確な処置がとられていると思ったことは、退避訓練をやられておる。私たち調査団もこの点をたいへん高く評価をいたしまして、警察庁と消防庁から一名ずつ現地に残しまして、今回の根室沖地震においてとられた処置、また今後そういう処置をどういうふうにするかということの研究を、道庁との協力体制でやらしております。
  7. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 ただいまの点についてお答えいたします。  気象庁といたしましては、地震が起きました場合にすぐさま関係方面、たとえば都道府県、警察、それからテレビとかラジオとかあるいは新聞社、そういったところには同時放送によりましてすぐに知らせるようにしております。そのうち一番大事と思いますのは、何と申しましても津波の場合は、地震が起きまして津波が起こるまでの時間が非常に短いわけでございますから、そのためにはラジオテレビ、これが一番有力でありまして、そういった点を重点に置いて現在やっている状況でございます。
  8. 安田貴六

    安田委員 この問題については、さらにひとつ万全を期するように、さらに一段と御精進を賜わりたいということをお願いを申し上げておきたいと存じます。  それから余震が、私自身も体験してまいったのですが、きのうまでなお続いておる。きょうの状況はわかりませんが、きょうもあるのではないかということが考えられるわけでありまして、住民はこの点についてなお不安感が払拭できない状態にあるわけであります。これは天然の自然現象でありますから、なかなかにむずかしい問題だと思うのでありますけれども、また近く大きな地震がやってくるのではないかというような心配すらもしておる向きが多いのでありまして、こういう点に対して、気象庁なりあるいは関係方面のほうにおいては、この不安をなくするために適切な処置を講ずることが必要だと思うのですが、この辺に対して適切な方途があれば、それをひとつ明らかにしていただきたいと思うのであります。
  9. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 ただいまの点、確かに先生おっしゃるように非常に大きな問題でございます。この問題につきましては、何と申しましても、やはり科学的に基礎のある情報を一般にお知らせするということが一番大事なことではなかろうかと思うのであります。したがいまして、地震が起きましたときには、直ちにそれをラジオテレビあるいは新聞によって発表いたしますけれども、そのあとにおきましても、必要に応じましてその状況——余震状況とか、あるいはそれによってさらに大地震が起こるおそれがあるかないか、そういったようなことについて情報を一般にお知らせする、こういったような体制をとっておるわけでございます。  今回のことにつきまして、もし必要でございましたら、担当の課長のほうから説明させたいと思います。
  10. 安田貴六

    安田委員 時間もたいへん短いので、重ねて質問を申し上げることは省略をいたしますが、こういう現況にあることを十分に御理解をいただいて、関係住民の不安を除去する道を早急に講じていただきたいということを、私は要請いたしておきたいと存ずるのであります。  それから被害額の問題でありますが、これもいまの副長官の御報告によると十九億六千万、二十億を切れる数字になっておりますが、私はこういう数字ではないと考えております。道庁で二十日の日に報告を受けた被害額を総計しても、これは三十億近いものになっておるわけでありまして、現在まだ、コンブの被害の問題であるとかあるいは漁具の被害の問題であるとか、こういう問題は、海底の問題ですから、なお不明の問題がたくさんある。したがって、私は少なくとも五十億程度被害になるのではないかという推定をしておる。したがって、この問題については、なおひとつ十分に、道庁をはじめ政府関係機関が非常に多岐にわたっておりますから、協力、連携を緊密にして、正確な被害額調査を早急にやっていただきたい、これを私は特に指摘をいたしておきたいと存ずるのであります。  それから、先ほどの報告の中にもありましたように、三名の重傷者と二十三人の軽傷者人的被害としてあがっておるのでありますが、こういう面に対する、政府としてどの程度のことができるかは別にして、見舞いという問題に対しても、道庁等とも連絡をとって、そして政府のあたたかい、冒頭に申し上げたようなお気持ちを、こうした人的に被害をこうむった方々に対してお示しのできるような配慮があることが私は望ましいと思うのでありますが、こういう点についてひとつ副長官から御答弁をいただきたいと思います。
  11. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 被害額については、先ほど私が申し上げましたのは、現在までのわかっている数字でございまして、災害あとから被害額が相当出てまいりますことも承知しております。先生のおっしゃった数字に達するかどうかは別としまして、道庁あるいは関係市町村に早く集計をしていただくようにお願いしておきたいと思います。これは、ほかの法律関係もございますし、そういうようなこととからみ合わせて考えていくことなので、私たちも早く救済したいということで、集計が早く出れば出るほど、それだけ私たちとしても早く対策がとれるということでございます。  それから、負傷者方々に対しては、心からお見舞い申し上げます。私たち、その負傷者あるいは被害者に対して、お申し出に対してできるだけの処置を今後ともさしていきたいと考えております。
  12. 安田貴六

    安田委員 次に御質問をいたしたいと思いますことは、北海道というところは、先般十勝沖地震という、今回の地震よりも若干大きいといわれている地震が発生した経過がございますが、一般的には北海道地震がない、あっても非常に軽い、しかも被害もほとんどないのだというようなことが、実は北海道における道民通念となっておったのでありますが、最近においては、今回の地震のように、あるいは津波のように、そういう従来の通念が変わってまいっておるわけであります。  そこで、私が心配するのは、これは日本全体の場合もそうでありますが、特に北海道のような、過去においてそういうふうに考えられた地帯、こういう面に対する地震津波予知体制、あるいはこれに対応する研究体制、これは役所側施設機関学校等機関等、いずれも関連をいたしますが、こういうような関係機関におけるそういう体制がはたして十分に整っておるのかどうか、これが私は心配なんでありますが、それと同時に、私は専門家でありませんけれども、私の想像でありますが、おそらくいろいろなこういう問題に対する機械類の設備あるいは施設、そういうものが、いままで政府のやっておる、置かれておる状態では不十分な点がたくさんあるだろうと推測をいたしております。こういう面に対して、政府といたしましてもいろいろな改善施策をとってまいっておるはずでありますが、そういう面からいって、人的にも、そういう施設的にも、研究体制的にも十分なものであるのか、これを私は心配をいたしておるのであります。  特に、そう言ったら悪いのでありますが、気象庁というところは運輸省所管に属しておりまして、長官もおいでになっておるところでそういうことを申し上げにくいのでありますが、ややもすると、独立官庁としてのいわゆる予算規模であるとかそういう面についてはたいへんやりにくいところであるというように、私は同情的に見ておるのでありまして、そういう環境の中においてはたして十分なる体制がとられておるのか。あるいはまた、いま申しましたようないろいろな人的な面あるいは機械の面、施設の面、そういう面で不十分な点がないのかどうか、こういう点を私は特に心配いたしておるわけでありまして、この点に対しまして、これは気象庁のほう並びに総理府の副長官のほうの両方から、簡潔でよろしゅうございますから、私、あまり時間がないので、あまり長い答弁をされるとかえって質問の内容が少なくなりますので、ひとつ簡潔に結論だけ御説明いただきたいと思います。
  13. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 簡潔に申し上げます。  根室半島の沖の地震につきましては、全国で特定観測地域九カ所をきめております、その一つでございます。ですから、北海道に出ることはないというようなことはございませんので、今回の地震も予想どおり出た。今後やはり文部省測地学審議会で、この地震予知の一本化を科学技術庁で取りまとめてもらおうといま審議会にかかっておりますので、しばらくお待ちいただきたいと思っております。  なお、もう一つは、私、今回の調査で非常に痛感いたしましたのは、地震予知防災の問題で、防潮堤というものが浜中町などたいへん効果をもたらしておる。それから、先ほどの退避訓練の問題、そういうような二つの点については、防潮堤建設省がやっておりますけれども、これはもっと推し進めていきたい、それから退避訓練については、あるパターン、モデルをつくっておきたいという考え方でございます。
  14. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 気象庁における地震観測体制のことでございますけれども、現在におきまして、大地震につきましては一応、欲はございますけれども、大体のことはいっておると思います。ただし、地震予知の問題になりますとまだわからない点もございまして、こういった面につきましてはさらに研究体制をしっかりする必要がありますし、これにつきましては、気象庁以外にも大学関係も非常に大きくやっておりますので、その方面とも十分連絡をとってやる必要がありますし、それに伴いまして気象庁なんかにつきましても、たとえば海底地震計をつくるというような問題もございまして、そういった方面でさらに強化をしていく必要があると思っております。また、そういうほうに鋭意進めていきたいと思っております。
  15. 安田貴六

    安田委員 政府当局ですから、不十分だという答えはなかなか出せないはずのものでありますから、答弁としてはけっこうでございますが、少なくともそういう面に対する、われわれ議員個人としても、また国民としても非常に強い関心が高まってきておるので、そういうことが非常に緊切な課題ではないかというふうに私自身も考えますので、この点については今後ひとつ、科学技術庁であるとか大学であるとか、気象庁であるとかあるいは総理府であるとか、多岐にわたる官庁関係いたしますが、やはり総理府自身が、中央防災会議を主宰する場所でございますから、総括的に、これは責任をもって体制強化に当たっていただきたいということを特に要請申し上げておきたいと存じます。  それから、私は、今回の災害を契機として考えたわけではありませんが、かねがね、現在の自民党政府の中においてとられておる、いわゆる災害に対する各種の激甚災害法天災融資法やその他の応急対策基本法でありますが、この法律が、最近のような時点になってまいりますると、これをもっと重厚なものに改善をしていくことが緊切ではないかということを痛感をしてまいっておるのでありまして、かたがた、当委員会におきましても、個人災害の問題についてはたいへん御勉強を重ねておられるようでありますが、そういう面をも含めて、こういう災害関係に対応する施策の向上のために、総理府中心となってさらに御研究をいただきますように、私は特に要請をいたしておきたいと思いますが、後ほど、この点に対しても副長官の御所見をお聞きいたしたい。  それからさらに、最も肝要な応急対策に対する問題としては、これは災害査定をすみやかに完了するということだと思うのでありまして、幸いに今回は、査定官の派遣もたいへん迅速に進められておるようでありまして、私は、皆さま方のお取り計らいに対して敬意を表します。しかし、結論を出すのが役所というのはなかなか——私も役所におった人間ですからよくわかるのでありますが、そういう点ではたいへん時間のかかる性質のものであります。したがって、これを迅速にするのにはどうしても一段の努力が必要になるわけでありまして、したがって、私は、この査定官査定完了の時期、それから先ほど申し上げました被害額の最終の取りまとめの時期、それから災害復旧のいわゆる査定の結果における内定通知の時期、それから、補助金あるいは融資その他の施策の決定を待たず、大体内定した場合には内定を内報できる時期、こういうことが現地住民にとって最も重大な関心事になっておるわけでありまして、こういう面についていま御説明ができれば、そういう時期の見通しに対する御説明をいただきたいし、もしできなければ、この問題に対しては後刻ひとつ総理府のほうで取りまとめて、各省項目別にこうしたスケジュールに対する報告を当委員会お願いしたい、こういうことを強く要請をいたし、また、これに対する所見をお聞きいたしたいと存じます。
  16. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 災害復旧査定等については、私たちも、建設省からすぐ査定官を送りまして調査させております。ただ、いますぐ言えませんことは、まだ被害が全部出ておりませんので、御報告は、各省からまた集めまして御報告申し上げさせていただきたいと思います。  ただ、今回の災害で、昨年の七月豪雨以来、やはり原形復旧ではなくて改良復旧だということで、花咲港については運輸省港湾技術研究所等調査させて、もっとよりよいものにしていきたい。それから漁船その他についての破損については、融資ワクを早く設定いたすように指示しております。そういうようなことで、できるだけの処置を迅速にやっていく所存でございます。
  17. 安田貴六

    安田委員 その点をお願いを申し上げておきます。  次に、副長官の御答弁の中にもございましたが、私、今回現地を視察をいたしまして感じましたことは、防潮堤によって津波等被害最小限度に食いとめることができたという点では、まさに副長官の御説明のとおりでございますが、この防潮堤北海道海岸保全事業というのは、私は全国的に見てもまだおくれているところだと思っております。したがって、きょう、いまこういう質問をしても、政府側からなかなか御答弁がいただけるとは思いませんが、この点についても後ほど委員会に御回答をいただきたい。これは一つは、北海道海岸線に対して、防潮堤をはじめとする海岸保全事業というのは一体何%まで進んでおるのか。全国的な平均から見ると、海岸線に対して何%進んでおるのか。これはもう周囲海に囲まれた日本でございますので、これはきわめて素朴な質問でございますが、こういう面に対するひとつ政府側の御回答を、後ほどでけっこうですから委員会お願いいたしたい。  それから、今回の災害特徴を見ると、これは港湾あるいは漁港等における荷揚げ場船揚げ場市場施設等については陥没、亀裂、沈下、こういうものが特に目立っております。道路、橋梁につきましても同様のことがいえる。それから防潮堤などについては、倒壊をしたその防潮堤の残骸は、いわゆる中が空洞になっておる。砂が全部波に洗われたり何かして空洞化されておる。一体こういう工法が、はたして防潮堤としての十分な効果があるものとして評価ができるかどうか。あるいはまた埋め立て地等については、砂場ばかりではもちろんないのでありますけれども、砂が多くて、こういう場合には陥没する、沈下する、これがみな亀裂につながる、こういう現象現地で、根室におきましても、浜中におきましても、その他におきましても、私は見てまいったのでありますが、これはたくさんの事業の中の一部の今回の被害現況ですから、私はこれをもって全面的に、現在やっておるやり方がはなはだまずいということを申し上げておるのではないのでありますが、しかし、こういう地震災害実態からして、今後この種の公共事業あるいはそれらに対する工法といいますか、建築の手法といいますか、全国的にいろいろなやり方があると思いますが、こういうものについてはさらに、こういう事態になったのですから、今回起きた震度五や六の地震にはびくともしないようなそういう改良復旧、それからまた津波に対しましても、二メートル程度やあるいは三メートル程度津波にはおそれをなさないようなこの種の工法、こういうものを研究開発することが非常に急務ではないかというふうに私は痛感をいたしてまいりました。  したがって、このことについて皆さま方関係者の方の、これは副長官所管ではないと思うのでありますけれども、運輸か建設か、主体はこのあたりだと思うのですが、こういう面に対する見解をお聞きしておくと同時に、この面に対する一そうの御精進、御研さんを私は要請をいたしておきたいと存ずるのであります。  それから、時間もありませんので問題をはしょって御質問を申し上げたいと存ずるのでありますが、今回の災害特徴は、これは地震津波という特殊なものでございますから、したがって商業関係被害が非常に多い。それから住宅被害というのも、二戸当たりの被害額にすれば多額であるとは言い切れないかもしれませんけれども、被害を受けた戸数については非常に多い、こういう現象が特に注意を引くわけでありまして、したがいまして、私はこの商業被害あるいは住宅被害等に対する現在の政府側災害応急対策施策というものは、不十分な点がたくさんあると思うのです。したがって、十分な措置を講ずることはなかなか困難だと思いますが、それをひとつ一くふうも二くふうもしていただいて、十二分にと言いたいところですが、私も地震はある程度わかっておりますからこういうことを言うのでありますが、十二分に近い対策も講ぜられるように、この点に対する特別の検討、研究を私は特に要請すると同時に、これに対する所見もお伺いしておきたいと存ずるのであります。  それから、特に根室町の場合におきましては、せっかく漁船が漁獲したサケ、マス、三百十数トンでありますが、これが津波によって流失されております。そして、これは保健所によって全部廃棄処分を受けております。したがって、これは一銭の経済価値もないものになっておる。金額にしては一億六千万程度だと思いますが、こういう一億六千万の被害に対しても適切な救済措置が講ぜられるように、これも水産庁にお願いしておきたいと思いますけれども、御研究をいただきたいということを特に強調いたしておきたいと存ずるのであります。  以上の点に対して、政府側の御意見を拝聴いたしたいと思います。
  18. 堀口孝男

    ○堀口説明員 今回の根室半島沖地震に対しまして、その被害の重大性にかんがみまして、地震に対する対策それから津波に対する対策等に非常に重要な問題を含んでおりますので、われわれといたしましては、さっそく技術研究所をまじえて調査団を編成し、来週早々にでも現地に参りまして、今回の被災原因と復旧の工法津波をいかに防ぐべきかということにつきまして技術的な調査をいたしまして、実際の復旧工法並びに津波対策事業——海岸保全事業でございますが、それに反映するようにいたしたいと思っております。  以上でございます。
  19. 平井清士

    ○平井説明員 先ほどお話ございましたように、当日の花咲港におきまして約千トンの水揚げ量のうち、津波の来襲する前に大体七百トンぐらい片づいておりましたので、実際に問題になりましたのは、おっしゃるとおり大体三百トン程度、そのうち半分が津波に流されて、半分が路上に散乱したというかっこうでございます。  この点につきましては、これまでも北海道庁また関係庁とも連絡をとって検討してまいったところでございますけれども、とりあえず、せり売りの前のものにつきましては農林漁業金融公庫、あるいはせり売り後のものにつきましては中小企業金融公庫、国民金融公庫のほうの融資でとりあえずの措置を早急に検討してまいりたい、さように考えておるところでございます。
  20. 安田貴六

    安田委員 海岸保全事業の進捗状況は……。
  21. 堀口孝男

    ○堀口説明員 海岸保全事業は、去る昭和三十四年の伊勢湾台風以来本格化してまいりました事業でございます。したがいまして、歴史は非常に浅いわけでございますけれども、先生御要望の資料等は完備してございます。先生は昨日まで北海道におられまして、急遽委員会の前に先ほどのお話を聞きましたので、さっそく資料をつくりまして、後刻また先生のほうにお届けしたいと思っておりますが、それでよろしゅうございましょうか。
  22. 安田貴六

    安田委員 以上、非常に短い時間で、私も夕ベおそく帰ってまいりましたので、大体疑問点の幾つかをお伺いいたしたわけですが、最後に、これは政府側お願いをいたしておきたいと思うのであります。  今回の災害は非常に多岐にわたる。したがって、国、道、市町村の公共施設あるいは公益的な施設はもちろんでありますが、各団体の施設道民の住宅、財産等につきまして、非常に広範囲にわたっておることが特徴であると思います。したがって、用途別に見ると、港湾、漁港、上水道、簡易水道、文教施設、公園、病院、ごみ焼却炉あるいは火葬場、保育所、公営住宅及び一般民家、漁船、農業施設、商工施設それから鉄道、通信、電気電力関係などについて、これもきわめて多岐にわたっておるのであります。したがいまして、こういうように多岐にわたった災害に対しましては、政府側としてはたいへん御苦労があると思いますけれども、ひとつ御苦労をまげて御精進をいただいて、そしてほんとうに住民に喜ばれる応急対策あるいは恒久的な対策を講じていただきたい、それも早急に講じていただきたい、こういうことをまずお願いを申し上げたい。  それからもう一つは、国の補助金融資、それから自治省関係になりますが公共団体の起債や特別交付税等の財源措置——これは道並びに市町村の問題でありますが、そういう財源措置、それから税対策、こういうような問題に対しても万全を期していただきまして、そして災害の復旧と民生安定に完ぺきを期していただいて、冒頭申し上げましたように、今回の災害にあたっては総理府長官あるいはわざわざ団長としておいでをいただいた副長官のおとりいただいた御処置のように、適切にして迅速な処置を現在まではおとりいただいたわけでございますから、これにひとつ有終の美を飾っていただきたいということを心からお願いを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  23. 大原亨

    大原委員長 次は、島田琢郎君。
  24. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 今回の根室沖地震に関しまして、政府側としては、直ちにかなり大型の調査団を派遣をしてその実態把握に努力をされた、こういう報告でありますが、この際、限られた時間でありますからすべてを質問申し上げることはできませんけれども、主として総理府並びに気象庁運輸省関係ある事項につきましての質問中心的に行ないたい、こう思います。  まず第一点に、副長官は、今回団長として現地調査されて、その調査の感想といいますか、地震に対する将来の教訓なども含めて、どのようにお感じになったかを簡単に御報告いただきたいと思います。
  25. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 今回の地震で死者が一人も出なかった、また負傷者、特に重傷者が三名であった、これが私の一番気のかかったことでございまして、根室周辺で退避訓練などを行なわれた効果が十分出たということだろうと私は思います。そういうことで、今回の調査で、やはり退避訓練というものをルール化しておきたいというような考え方が一つございます。   〔委員長退席、金丸(徳)委員長代理着席〕  それからもう一つは、地震が起きて被害が出たときのコミュニケーションをどうするのだという通信方法、それから救援体制というものを、やはりもう一度見直す必要があると思っております。その二点に力を入れていきたい。  そういうことが一番重要な感想だろうと思っております。
  26. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 ただいま、訓練の充実ということをお話の中に出されておるわけでございますが、先ほどの質問の中で六月五日に津波訓練を行なったということでありますけれども、これは今回の地震をあらかじめ予測をしていたのかどうか、そのための訓練であったのかどうか。いま副長官は、訓練を恒常的に行なっていきたいということを言っておるわけでありますけれども、たまたま、六月五日の訓練あと半月たたないうちにこのような災害が起こったわけでありますが、これは不幸中の幸いでありまして、事前にとられた訓練措置というのは一つ評価に値するんだろうと思うのであります。  これはむしろ気象庁にお聞きをしたほうがいいのかもしれませんが、地震の予知というのは、今回の根室沖地震に対して事前に予知はできたのかどうか、その辺をお聞きいたします。
  27. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 いまの点、二点あると思います。  まず、地震の予知の問題でございますが、地震の予知と申しますと、いつ、どこで、どの程度地震が起こるかということを予報しなければ完全な予知と言えないわけでございます。こういう点で申しますと、今回の地震が必ずしも予知できていたとは言い切れないと思います。ただ、あそこの地震の発生状況を調べてみますと、ちょうどあの個所が一カ所空白になっておりまして、そういう意味で、あの辺にわりあい近い将来起こるのではないかというような考えがあったことは事実でございまして、そういう意味で申しますと、まあある意味では予報が当たったとも言えないことはないと思いますけれども、正確な意味では、これはまだ予報とは言えないと思います。  次に、津波訓練の問題でございますが、これはいま申しましたように、現在は地震の予知ができないわけでございますので、そういう意味で、その地震を予想して訓練をしたわけではございません。ただ、地震というのはいつどこで起こるかはっきりわかりませんものですから、常に訓練をする必要がございますので、毎年定期的に何回か、普通年に一回か二回でございますけれども、やっているのが現状でございます。
  28. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 先ほど政府側からいただきました北海道地震表によりますと、一九〇〇年代に入ってからだけでも、太平洋沿岸に起こりました北海道地震というのは八つも実はあったわけであります、大きいやつだけ勘定しても。それぞれ死者が相当出ているという地震ばかりであります。そういたしますと、この根室沖あるいは十勝沖地震災害が非常に大きく起こりましたああいう実態をかかえ込んでいるこの沿岸というのは、相当力を入れておかなければならない地帯だ、いわゆる地震の常襲地帯だというふうに見ても差しつかえないと思うのであります。特に、この資料の第三図によりますと、一九〇〇年代に入ってから起こりましたおもな地震は、大半がマグニチュード七・五以上の非常に大きい地震ばかりが起こっているわけでございます。  こういうふうに見てまいりますと、この地域は、日本列島においても地震の常襲地帯だというふうに見て差しつかえない、こういうふうに思うのでありますが、この地域におきます地震の観測所といいますか、そういう施設はどういう状態になっておるのですか。
  29. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 地震の観測をいたしますのには震源に近いところにあったほうがよろしいわけでありますけれども、中心の位置や何かをきめるためには、必ずしもそこだけでは不十分でございます。したがって、全国に約百カ所ほど地震計の観測所を置きまして情報を集めまして、それを整理している状態でございます。  なお、このほかに、大地震になりますと日本の国内だけの観測では不十分でございまして、やはり国際的な観測も必要でございます。こういったときに、ことに津波に関しましてはアメリカ、ソビエト、そういったところとも協力をいたしまして、向こうの観測データもすぐにこちらに入ってくる、そういったような状態になっております。
  30. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 いまの長官の御説明では、私も実は納得できないのでありまして、このように地震の常襲地帯といっても差しつかえない地帯における地震予知の観測というものは、もっと重点的でなければならないと思うのであります。ただ、これは、私は専門家でありませんし、長官の立場からいえば、ここだけ重点にということじゃなくて、いまおっしゃったように百カ所すべての資料を集めて予知予測をする、こういうふうな観測体制になっているという説明でありますけれども、しかし、十勝沖地震のあのたいへんな災害、そして向こう岸でありますけれどもチリに起こったあの地震による津波災害、数え上げると切りがないくらいたくさんの地震が、実は北海道のこの太平洋沿岸で起こっているのであります。したがって、この地域に住んでいらっしゃる住民の人たちは、地震というものに対して非常に神経が過敏になっております。関東大震災というようなものもありますけれども、こうした災害が未然に防止されるということに非常に多くの期待を持っているわけでありますから、もっとこの観測技術といいますか地震の予知技術というものを抜本的にしていただかないと、第二、第三のこうした地震災害が起こらないという保証はどこにもない。  先般も私は、農水で緊急に質問をしたわけでありますけれども、地震課長説明でも、私はこれは十分ではないのではないかというふうに、印象として受けとめたわけであります。いつ、どこに起こるかわからぬという地震の特性、こういうものを考えますときに、無理な注文なのかもしれませんけれども、しかし起こりますとたいへんな災害を伴う、こうなりますだけに、どうしてもたよるのは気象庁地震の予知予測でございます。あらかじめ——きょう起こるぞということでは困るのでありますけれども、しかし、大体そこの地殻の変動などから近い将来地震が起こるかもしれない——ただ、これをやみくもに発表されますと、いつもおびえていて、そこに住めなくなりますけれども、しかし、そこにそういうかなり確かな観測というものは、今日のすべての技術を集中すれば私はできるのではないかと考えるのですが、これはなかなかいまの段階では無理だというふうにおっしゃっておられましたが、やはりそういうことなんですか。
  31. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 先ほどお答えいたしましたのは、地震の観測をどうやっているということでございまして、予知の問題は別の問題でございました。予知の問題になりますと、先生おっしゃいますように、これは非常に重要な問題でございまして、われわれとしてもぜひやりたいところでございます。しかし、残念ながら、現在その学問的な根拠などもまだ十分はっきりしておりませんもので、なかなか進みかねているというのが現状でございます。  ただ、この問題は非常に重要でございまして、特に地震日本としてはぜひ完成したいということがございますが、実はこの問題に関しましては、ある意味で研究の問題もございますしいろいろなことがございますので、気象庁だけではなくて大学関係あるいは国土地理院とか、場合によりますと海上保安庁の水路部、そういった方面のいろいろな総力を結集いたしまして研究を進めていく必要があろう、こういう話が出ております。その関連といたしまして、文部省測地学審議会というのがありますが、そこで、そういう研究をやっていくのにはどうしたらいいか、どんなふうな仕事をやっていったらいいかということを現在検討しております。それに基づきまして、さらにこの研究体制と申しましょうか、いろいろな施設や何かの整備もはかっていく必要があるかと思います。気象庁といたしましても、その答申を待ちまして、その答申を尊重して進めていきたい、こう考えておる次第でございます。
  32. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 副長官、前者の質問の中にもありまして、私も同じように考えていたのでありますけれども、私もいままで非常に疑問に思っておりましたのは、気象庁の所在が運輸省所管になっているというのはどうも実情に合わないのではないかという気がするのです。それで、これは今回のような地震に限らずすべての災害に対して、非常に災害の多い日本災害日本といわれておる中にあって、いま長官のお話の中にも予算の問題にちょっと触れられましたけれども、これはやはり独立、きちっとして、そしてすべての気象予測あるいは事後策、こういったものが気象庁として万全を期してやっていけるような体制づくりというものがこの際必要じゃないでしょうか。防災会議を担当しておる総理府としての考え方をこの際お聞きしておきたいと思うのであります。
  33. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 地震予知のほうに関しますとたいへんむずかしい問題で、学説もいろいろあるようでございます。ただ、地震予知の場合に隆起、沈下というような問題、これは建設省の国土地理院のほうがやっております。やはり関係各省協力がないと、データが全部集まりません。一番重要なことは、やはり横の関係が十分ないといけない。たとえば海底のほうは保安庁だと思いましたけれども、これは運輸省でございますが、海底図をつくっております。これなども、隆起がどう出てくるかというようなことで、私は現在運輸省でよろしいのではないかと思いますけれども、ただ、昨年の七月豪雨のようなものになりますと、どうしても無人観測所のようなものの設置が必要であろう、これには膨大な予算が要る、そういう方向で気象庁のほうも進んでおるようでございますので、それが一日も早く実現することに努力いたしたいと考えております。
  34. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 この議論は後ほどに譲ることにいたします。  そこで運輸省にお尋ねいたします。今回鉄道の被害を受けた個所が七カ所という報告を受けております。これはどこで、総額にしてどれくらいの被害があったのか。
  35. 柳田真司

    ○柳田説明員 お答えいたします。国鉄の場合、地震発生と同時に直ちに列車を関係の場所でとめまして、線路を点検しまして再開したわけでございます。それで、ただいま御指摘の七カ所ということでございますが、詳細に検討した結果、全部で三十五区間六十二カ所の被害がございました。しかしながら、運転に支障のある個所というのは、標津線、根室線を二日間とめましたが、残りは大体二時間程度で運転は再開することができました。ただいま、被害の額につきましては詳細に調査中でございます。
  36. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 大事な国鉄を預かる運輸省がまだ現在調査中というのは、ちょっといただけないと思うのであります。ほかは大体、中間でありましょうけれども、その被害状態というものは報告されているのです。いま三十五区間六十二カ所、これはたいへんな個所でありますけれども、それだけになかなか調査の煮詰めがむずかしいのでしょうが、国鉄が運行を差しとめるというような状態になるということは、たいへんなことであります。現在調査中というのは、一体これはどこに原因があるのですか。
  37. 柳田真司

    ○柳田説明員 現在の段階では金額にしまして約八・四億円というふうに、調査の結果は出ております。なお残りを詳細にまだ一部調査中でございます。そういうことでございます。
  38. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 そうすると、十九億にさらに鉄道関係被害八億四千万が加わる、こういう理解でいいわけですね、現段階では。
  39. 柳田真司

    ○柳田説明員 国鉄関係がただいま申し上げたとおりであります。
  40. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 さらにこれが加わるということですねと聞いているのですが、総理府、答えてください。
  41. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 さようでございます。
  42. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 気象庁まで持っている運輸省がまだ現在調査中なんというようなことでは、私は実にとろくさいと思うのであります。国鉄はどういう見方をして報告されているのですか。
  43. 柳田真司

    ○柳田説明員 被害には、線路の路盤の沈下とかあるいは橋梁の変状とか、いろいろございまして、それを完全に復旧するまでに幾らかかるかということは、やはり詳細な調査をいたしませんと確定いたしません。大体概算調査をした結果が先ほど申し上げた数字でございまして、まあ大きくは変わらないであろう、かように考えております。
  44. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 国鉄の災害復旧状態というのは、先ほど根室線と標津線については二日間、あとは二時間程度運行をとめただけで、ほぼ完全に復旧した、こういう報告でありますけれども、少なくともレールの上を走るあの重い汽車でありますから、いささかでもそこに問題があればたいへんな人災を伴うということになります。その点はだいじょうぶなんですね。もう五日たったがひっくり返ってないところを見ると、だいじょうぶなんでしょうけれども。
  45. 柳田真司

    ○柳田説明員 国鉄におきまして安全の問題はもう何よりも大事であることは、先生御指摘のとおりでございまして、ただ、運転を再開する場合には、それが徐行という方法もございます。したがいまして、完全に所定のきめられた速度で走るまでにはなお若干の時日を要しますが、沈下その他に応じた徐行、そういったものはまだ現在残っておるわけでございまして、安全の点については万全を期しておるということでございます。
  46. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 国鉄の報告がいまあったが、質問には答えていないわけでありますけれども、まあ、それはあとで聞きましょう。  そこで、郵政省でありますけれども、この報告書によると、戸数は報告されておりますが、被害金額が報告されておりません。単に「停電」というだけではなくて、カッコ書きで「断線による」と、こうあるわけでありますが、郵政省はどういうふうに被害把握しておるのですか。——郵政省呼んでませんでしたか。それでは別な質問に移ります。  先般、私は農林水産委員会で、農水産業関係被害実態についての報告を求めたのでありますけれども、たいへん大きな被害が実は出ているわけであります。この報告書によっても七億余りの被害があった、こういうふうに報告されております。最も生産に直結するこうした水産業の被害というのは早急に復旧をしなければならない問題でありますが、この進行状態について御報告をいただきたいと思います。
  47. 根本清英

    ○根本説明員 被害状況は、現在までで約八億幾らでございます。対策につきましては、被害報告を受けますと同時に、漁港に関しましては、担当者を現地に派遣しておりましたので、急遽日程を変えまして根室方面に直行させました。そして現在査定をいたしております。それで応急、本工事をいたすべきものについても特に指示をいたしまして、その方向で検討するようにいたしております。その他漁船被害それから水産物等の被害がございますが、これについても早急に対策を講ずるように現在努力をいたしております。
  48. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 厚生省、水道がだいぶ痛んだようでありますけれども、現在の復旧状態はどうなっていますか。
  49. 国川建二

    ○国川説明員 お答えいたします。  水道関係被害は、上水道が四カ所、簡易水道三カ所、合計七カ所でございます。被害総額は約三千二百万程度と見込んでおります。その大部分は根室市でございまして、根室市の被害額が約三千万。  被害の内容は、配水管の切損事故というものが主体でございますので、復旧につきましては直ちに応急復旧に入りまして、根室市につきましては六月十九日の四時に給水を開始いたしました。そのほか十八日中に工事を終わったものもございますし、現在におきましては、一応給水に支障のない程度に仮復旧は終わっております。
  50. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 文部省にお尋ねしますが、学校が相当被害を受けました。これはどういう性質のものなのですか。
  51. 菅野誠

    ○菅野説明員 お答えいたします。公立学校施設被害でございますが、今回の被害におきましては、学校数におきまして七十八校でございます。被害金額が千五百十五万三千円、現在のところの調査数字でございます。御案内のように、一校平均約二十万程度でございまして、不幸中の幸いと申しましょうか、全壊、半壊の部分はございませんでした。したがいまして、授業に支障のあるものは生じなかったのでございます。  この被害額のおもなものは、現地からの報告によりますと、北海道では煙突がございますが、それを集合煙突でやっておるのでございます。この集合煙突の折損が大部分のようでございまして、季節的にまあいまの時期は、これも不幸中の幸いの時期であったかと思いますが、そのようなものが中心になっておるわけでございます。
  52. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 総理府にお尋ねいたしますが、負傷者が二十六人出ております。それから建物の全壊が二戸あります。これら被災者に対する応急の措置をとられたのだと思うのでありますが、どういう御措置と、それから、これからどのように、たとえば全壊いたしました家屋の被災者、この二戸についてはどのような手当てをされ、今後どのように救済していくお考えなのか、総理府にお尋ねをいたします。
  53. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 負傷者については、市当局に、できるだけのことをいたしますから、いろいろ申し出ていただきたいということを伝えていただくことをお願いしてまいりました。  床上浸水も、商品の破損等があるようでございますけれども、これについては融資等々考えさせていただこう。そして建物の全壊については、これは私どもにまだ詳しく入っておりませんけれども、できるだけの措置を今後ともさせていただきたいと考えております。
  54. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 俗に地震、雷、火事、おやじ、こういうことをいわれるわけでありますが、非常に近代科学の発達した時代においても、おやじの位置は変わっても、地震の位置は依然変わらぬ。これくらい地震というのはおそろしいものだ。私は直接この被災者になった経験を持っておりませんけれども、関東大震災において、私も身内をずいぶんたくさん失いました。十勝沖地震のあのこわさというものは、いまも忘れないでいるわけであります。たまたま私は東京に来ていて留守でありましたが、現地の人々の今回の根室沖地震の感想を聞きますと、やはり精神的にもあるいは実際の上でもたいへんな被害を受けた、こういうふうに報告がされているわけであります。  地震の予知あるいはこれら将来に向かっての対策の問題につきましては、本日のわずかな限られた時間での質問の中では、十分私も納得できないところがあるわけであります。しかし、今回のこうした教訓を踏まえて、副長官も今後の考え方を披瀝されておりましたから、そこに私は多くの期待を実は寄せているわけでありますけれども、いずれにしても地震が起こり得る地帯というものは、日本列島の中ではほぼ明らかになっていると思うのであります。単なる地震が、あるいは災害が起こった、津波が起こって被害を受けた、だから直ちに調査にだけは出るということだけでは、私は万全の措置とはいえないと思うのであります。いままでの質問の中でも明らかにされたように、まだ大事な国鉄の被害状態が明らかにされない。あるいはまた全般を通じてもまだ、これが最終的な被害の額には詰めが必要だというふうな報告を受けているわけであります。  とにかく、被害の金額は別といたしまして、こうした災害に対して機敏に対応できる体制というものは非常に必要だと思うのであります。そのために中央防災会議も設置されて、首相みずからこの議長をつとめておるわけでありますし、担当いたします総理府としては、今回の措置あるいは教訓を踏まえて、今後日本列島の中においてどのような災害が起こるかわからぬという状態の中で、これらの万全の措置というものがいつも期待されながら、現実にはいま一歩はだに触れないものがあるというのが、現地の被災者の声でもあるわけであります。  どうかひとつこの機会に、もう私の質問時間は終わったわけでありますけれども、政府を代表して小宮山副長官から、決意と抱負のほどを伺っておきたいと思うのであります。きわめて簡単でけっこうでありますから、一言お考えをお聞かせおきいただきたいと思います。
  55. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 先ほども申し上げましたように、退避訓練というのが非常に重要でございます。全国で九カ所の特定観測地域がありますが、さっそく今回のこの経験を生かして、どのような退避訓練が一番的確であるかという新しいルールなどもつくっておきたいと考えております。  しかし、私、中央防災会議の事務局長として、災害が出たときに速急に支援、調査ができるような体制も今回は防衛庁の御協力で迅速にできた。ただ、今回根室で見ておりますと、ヘリがおりられない地域が相当ございますので、そういう連絡のヘリポートを根室地方その他につくらせるということは要望しておきました。これは道警のほうがつくるようでございます。  こういう災害のときにやはり一番重要なのは、そういう救援体制調査体制と各省庁間の連絡事項でございます。そういうことで、行政無線というものの普及ということも、この四十八年度で急速に伸びましたけれども、まだ不徹底でございますので、今後とも行政無線の徹底化をはかりたいと考えております。
  56. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 これで質問を終わりますけれども、最後に政府お願いを申し上げておきますが、最終的な決定を見ました段階で、各種資料の提出をお願いいたしたい。  なお、委員長お願いいたしますけれども、今回の議論だけで日本災害の基本を探求することはむずかしいと思います。今回の根室沖地震の問題についても、また後日の災害対策特別委員会で引き続いてひとつ検討してまいりたいと思います。  以上をもって私の質問を終わります。
  57. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員長代理 次に、津川武一君。
  58. 津川武一

    ○津川委員 いま副長官気象庁長官、いろいろ答えているのを伺っていたわけですが、同じことは繰り返したくないと思いますが、かなり心配なことがあるわけであります。  今度、根室半島沖でああいう地震が起きた。これは指定されている九つの地域一つで、起こるべくして起こったともいえる情勢であります。とすれば、いろいろな話がいま出ていますね、ERTS衛星がどうだとか南関東に活断層が出たとか、ショルツ博士のいろいろな話が出るとか、小松左京の「日本沈没」が出るとか、いろいろなことが出ているわけですが、私は、これは、いろいろな世論がいたずらに書いたんじゃいけないと思う。私たち、慎重に扱わなければならぬ。必要であるならば、これに備えをしなければならぬ。備えあれば憂いなしでいけるわけですが、今度の根室半島沖地震にかんがみて、特に特別な観測地域として指定されておる関東、東京、この状況はいかがでございますか。観測の状況、これに対する見通しの状況、いまどう政府なり気象庁なりが考えているか、ここのところを明らかにしていただきたいと思うのです。
  59. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 地震の予知の問題に関しましては、先ほどもお答えいたしましたけれども、大学あるいは国土地理院、そういったところと共同いたしまして、そういった予知の計画を立ててやっておるのでございます。  そのうち、実は現在一番心配しておりますのは、何と申しましても関東付近でございまして、南関東につきましては、特別な観測をするという計画で現在も若干進めているかと思いますけれども、そういう方向でやっております。そのほか、大地震の起こります地域というのは大体きまっておりまして、大体三陸沖あたり、それから四国の沖あたり、あの辺が大地震が起きるわけでございます。この問題になりますというと、結局、ある意味で申しますと全国的な規模になってくるわけでございますので、特にそのうち重要な、これは被害の面でも一番大きいのは、関東大地震がございましたけれども、東京がある意味で一番そういう意味では危険地帯でございます。そういう意味で、南関東は特別地帯に大体指定しておりまして、現在やっております。そういう状態でございます。
  60. 津川武一

    ○津川委員 長官が容易でない返事をしている。南関東、非常に大事だ、房総半島に隆起が起きておる、観測しているかと思います、こういう返事なんですね。  そこで、副長官でもいい、気象庁長官でもいい、どのぐらいの観測の予算があるかという問題です。おたくのほうで配った「昭和四十八年度において実施すべき防災に関する計画」第七十一回国会提出、この資料を見ますと——その資料の前に、学者がこう言っている。日本科学者会議の人たちは、予算の少ないことが地震予知体制を弱め、その技術の進歩を妨げ、国民の不安にこたえることができなくなっている、いまの十倍の予算があれば何とかなる、これが科学者会議の、名前を名ざすと、藤井陽一郎さんという常任幹事の発言です。そこで、おたくの出したのを拾ってみました。八億八千八百万円。これは百億近いものが必要だと言っている。これでいいかということです。  さらに予算を見てみます。そうすると、首都圏南部における地震活動に関する研究科学技術庁、四千五百万、昨年より一億五千万減。地震観測所の設置等、文部省、一億八千四百万。地学的研究、通産省。海底地形——さっき副長官が、おそらく海上保安庁だろうと言いましたけれども、海上保安庁、これが一千三百万。高性能業務用地震観測処理装置の開発、気象庁。測地的方法による地殻変動調査建設省。橋りょうの耐震安定性の確保に関する研究北海道開発庁。球型タンクの耐震性に関する総合研究科学技術庁。地下埋設管の耐震性状に関する研究科学技術庁。大型耐震実験施設の運用、科学技術庁。観測施設の整備等、文部省。鉄骨校舎の耐震耐火構造に関する調査研究文部省。国際地球内部ダイナミックス計画に基づく総合研究気象庁。土の動的試験法に関する研究等、建設省。こういう状態です。  しかもこの予算が、一つは七百万円、一つは千三百万円、千五百万円、千五百万円、ひどいのに至っては一百万円、これがばらばら。これで私、できるかというのです。学者は十倍要求している。おたくの政府のほうは八億八千万円。これが百万、七百万、千五百万にばらばらにばらまかれている。科学技術庁文部省、通産省、海上保安庁、気象庁建設省、消防庁、北海道開発庁……。  これで長官はだいじょうぶだろうと言っている。だけれども、とてもこれは安心できない。この体制を早急に強化する必要があると思うのです。この強化の方針と、こういう百万、七百万、一千五百万、ばらばらにやっている、何ができるかということ、これは当然どこかに統合しなければならぬ、こういう態勢にもあると思うのです。この点でひとつ副長官気象庁長官——気象庁長官は、南関東で研究しているらしいがと言う。こういう形でいけるかという問題です。
  61. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 お答えいたします。  たいへん先生に気にさわる話になるかもしれませんけれども、四、五年前に私、科学技術特別委員会で科学技術基本法という法律をかけまして、成立寸前まで行きましたけれども、特に日本科学者会議方々に反対されまして流れました。これは、GNPの二%まで出したい。特にそれは基本科学、ファンダメンタルスタディーというような問題についてやろうということで——今回の地震などを見ておりますと、どうしてもファンダメンタルなものが確実になっておりませんと、なかなかできない。それから、きょうの新聞などを見ておりますと、カリフォルニアで、サンフランシスコから百五十キロぐらいのところにマグニチュード五ぐらいのものが二週間以内に出るだろう、こういう予報は、新聞の報道によれば初めてであろうといわれております。たいへん地震予報はむずかしい問題でございますけれども、今後ともやはり基礎科学に対しては、私も大きな予算をつけるような方向に持っていきたい、これは私の念願でもございます。そういうことで御理解いただきたいと思っております。
  62. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 先ほどの南関東の件は、現在やっております。ただ、あれはやっておりますのは、気象庁だけじゃなくて、文部省とかあるいは国土地理院とかそういう関係でやっておりますので、私は実は詳細なことを知りませんものですから、そういうようなお答えをしたわけでございます。  それから、もう一点でございますけれども、やはり地震予知の問題に関しましては、基本的なことがまだ十分はっきりしていない点に問題がございまして、いわば業務化というよりは、研究という点が非常に重要であるかと思うのです。研究の問題になりますと、そのやり方をどうやるかということにつきましては、やはりいろいろ議論のあるところでございまして、やはり研究者の自主的な意思と申しましょうか、やり方、そういうものを尊重する必要がある、そういった点もございまして、それをどういうふうにやっていったらいいかということについては、なかなか議論のあるところでございます。いまの段階では、やはり担当の部門がございますので、そこでやっていくことが一番いいんじゃないか。ただ、その場合に、そういったものを十分連絡をとりまして総合的にやっていく必要がある。そういった意味で、現在、地震予知連絡会というものがございまして、事務局は国土地理院にございますが、そこで担当してやっております。  そういった点で現在進んでおりますけれども、そういった点さらにいろいろな考え方もございますので、今後そういった問題につきましてもさらに検討をする必要があるんじゃないかというような気はいたしております。その問題につきましては、先ほどもお答えいたしましたが、文部省測地学審議会におきまして、現在第三次地震予知の計画につきまして審議しております。そういったところによりまして、また気象庁といたしましてもさらにこういった問題に前向きに取り組んでいきたい、こう考えておる次第でございます。
  63. 津川武一

    ○津川委員 副長官、聞いたかい、いまの高橋長官の話。ほかのことでやっているからおれは知らないと言うんだ。それで予報できるかと言うんだ、予知できるかと言うんだ。これはすみやかに防災会議の中で統一すべきだ。この点を明確にしなければならないと思うのです。  もう一つ北海道開発庁の予算は百万円だよ。それで、やるのは何かというと、橋梁の耐震安定性の確保に関する研究だよ。人一人、女の子一人雇えば百万円だよ。こういう研究が、研究費としてわれわれに提示できるかという問題なんです。覚えているだろうけれども、ここで明示されている。研究、これは続けている。これの業績報告を、副長官において責任をもってこの委員会に出してもらいたい。私たちはこれをほっておくわけにはいかない。研究しなければならぬ。百万円の研究費、どうなのか。女の子一人雇ったらそれで終わりだよ。こういう研究がわれわれの前に平気でやられている。この問題についてまず答えていただきたい。
  64. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 私、担当でございませんので、百万円が大きいか小さいかがわかりませんけれども、全体的に見まして、科学技術の中でやはり基礎科学というような、ファンダメンタルスタディーの問題が一番重要であろう、そういうことで私は長いこと提唱してまいりまして、今後と本提唱してまいりますので、よろしく御協力のほどをお願いしたいと思います。
  65. 津川武一

    ○津川委員 そこで気象庁、「近年の世界の天候について 昭和四十八年四月 気象庁」、これだ。九ページ、「海洋観測は、観測網が疎であり、観測回数、観測年数が少ないため、近年観測された海況が、その常態にくらべて、著しく異常であるかどうか判断するのが困難である。」これで海上安全できるかというのですね。   〔金丸(徳)委員長代理退席、大原委員長着席〕 しかもこの中で指摘しているんだよ。観測網がまばらだ、足りないといっている。観測回数が足りないといっている。こういうことで、長官が、これを満たすための施設、人、予算、どのくらい要求しているのか、このことを防災会議としてどうしているのか、この点も答えていただきたい。
  66. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 その点については、防災会議で、先ほどの御質問と兼ね合わして横の連絡、今後のあり方というものを再検討したいと思っております。特に海上保安庁がやっておるいわゆる海底調査などを見ておりましても、とにかくソ連のほうが知っているんじゃないかというくらい日本のほうが知らないのです。これは実をいいますと技術者が少ないという面もございます。これは前々から海上保安庁のほうに、早く仕事をしていただくように要求しておりますけれども、この点もあわせて中央防災会議でも取り上げていきたいと考えております。
  67. 津川武一

    ○津川委員 この点でも副長官、いままでに海洋観測に使ったお金だとか人員だとか観測網、観測回数、その業績報告をぼくらに出していただきたい。ほっておけなくなっている。このように海上交通が非常にひんぱんになっているから、ここのところでひとつ強く……。  その次に、防災関係の予算、これで拾ってみました。四十七年百九十九億八千四百万、四十八年二百四十一億七千六百万、私はこう拾ったが、これでいいかどうか。  そこで、東京都の予算、直接防災のための東京都の予算、四十八年二百五十二億円。皆さんのこれから拾うと二百四十一億円。しかも東京都は、都市計画の中で防災関係のものを入れると四百億をこしているんだ。おたくのこの中には都市計画のものが入っている。それで二百四十一億円。この体制で、先ほども委員が二人話しているけれども、防災ができるかという点、確信あるのかどうか。足りないのか、ほしかったのか、くれなかったのか、ここいらあたり明らかにしていただきたい。東京都は都市計画費を入れると四百億こしております。
  68. 杉岡浩

    ○杉岡説明員 お答え申し上げます。  地震関係の予算でございますが、先ほどの先生の御指摘ございましたように、地震予知関係約八億ほどございますが、その他研究を合わせて、研究費約十億ということになっております。  それから、地震対策といたしまして非常に予算の計上がむずかしいのは、たとえば避難緑地、これは建設省の都市公園の事業、それから避難路でございますか、これは街路事業、あるいは拠点開発の問題、防災拠点づくりの問題、あるいは市街地再開発事業、あるいは自治省の土地開発基金の工場あと地の買い上げでありますが、こういったように、各種の既存の諸事業に分かれておるわけでございます。そういったもののうちどの部分が地震関係あるか、街路事業あるいは公園事業、しいていえば全部関係あるわけでございますが、そういった諸事業を合わせますと相当の額になるわけでございますが、白書関係はおもに研究あるいは応急措置等を中心にまとめたわけでございます。
  69. 津川武一

    ○津川委員 そこで、予算の編成会議——分類の要項に従ってやると、国のほうは二百四十一億円。東京都のほうは二百五十二億円、この事実、これを副長官防災会議の責任者として、当局者としてどう考えているか。まずこれは、どうしても言ってもらわなければならない。  その次に、今度は災害予防の予算なんだ。地震時の出火防止対策の推進として四十七年度に百万円組んでいる。四十八年度も百万円組んでいる。だが、警察において、警備対策の推進をはかるために同じく百万円組んでいるんだ。火を消すための対策に百万円組んで、警察庁で百万円組んでいる。警察のものは、ぼくは要らないとは言わないよ。これで一体いいのかどうか。先ほどの東京都の予算に比べた考え方に対して、こういう消火体制に、防災予算に対して、あなたたちが責任をもってぼくらに提出した資料です。ひとつ副長官、どうです。
  70. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 東京都と対比して云々というお話でございますけれども、予算の組み方その他もございましょうけれども、先生のお話、謙虚にお承りしておきます。
  71. 津川武一

    ○津川委員 これはいま私が指摘したようなことで十分かどうか、おそらく十分として計上したのではあるまいと思う。ほんとうの防災のために必要なものかどうであるかという検討をして、その結果を、この委員会でもう一回私これを繰り返しますので、それをいつごろまでにできるか。ぼくもいつごろまでにまた対策研究すればいいか。あなたと私の、ほんとうに日本災害を防ぐという意味のほんとうのやりとりの日を大体いつごろにしたらいいか、答えてください。
  72. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 八月から来年度予算を組み始めますその作業の中で、またその前に中央防災会議の幹事会をやりましていろいろ検討して、いつと申し上げられませんので、先生の御趣旨を体して今後とも作業に入りたいと思っております。
  73. 津川武一

    ○津川委員 その日まで、ぜひひとつ副長官でがんばっていてくださいね。  最後に気象庁長官に対して……。  さっき島田委員が出した北海道地震の表の中で、秋田と津軽の県境に大地震がある、百七十年ほど前。私はこれをあるとき記録にしたりして論議したことがあるのですが、百年以上たってまだ地震が起きてないところを観察地域とする。大きな地震があって百年以上、もう百七十年もたっているのですが、これは地震課長かだれか専門家もおいでになると思うのですが、ここはもうだいじょうぶだといっていいのですか。まだ危険なんですか。これは自分の住んでいるところなものだから……。
  74. 末広重二

    ○末広説明員 お答え申し上げます。  いま先生の御指摘になりましたところには、確かに過去そういった時期に地震が起きております。ただ、日本地震の活動状況を見ますと、太平洋岸に起こります地震に比べますと、そういった内陸に起こる地震は、過去の資料によりますと起こる頻度が非常に低い。統計ということは非常にむずかしいことでございますが、もし太平洋岸の沖合いの地震がかりに百年なり二百年に一ぺんというような頻度で起こっているといたしますと、内陸の地震はそれよりもずっと低い頻度で起こっているわけでありまして、そういった点から考えますと、急に危険とは考えられないわけでありますが、繰り返して起こるということはやはり覚悟しておかなければならないと思います。その辺も、これは国土地理院の御所管でありますが、測量を繰り返しまして、変動がないかどうか常に監視を怠らないようにしているわけでございます。
  75. 津川武一

    ○津川委員 これで終わりますが、委員長、私が先ほど質問の中で要求した資料、委員長もひとつ委員部を督促して、この委員会に出していただいて、また再検討の機会を与えてくださることをお願いして終わります。
  76. 大原亨

    大原委員長 承知しました。  次は、高橋繁君。
  77. 高橋繁

    高橋(繁)委員 だいぶ重複いたして質問しておりますので、私は簡単に二、三問だけ質問して終わりたいと思います。  根室沖の地震について、先ほど地元選出の先生方からも、今回の地震についての通報あるいはとられた処置、これは副長官もお話ししておったが、きわめて適切であったというようなお話でありますが、一つは昼間であったということもあるだろうと思うのですね。小学校、中学校あるいは高校について、今回の根室沖の地震についてはそんなに混乱が起きなかったかどうか、そういう地震についての避難対策、その点、おわかりになりましたらちょっとお聞かせ願いたい。
  78. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 今回の退避訓練を六月五日に行なっておりますので、たいへんスムーズに冷静に行なわれたようでございます。私が一番おそれますのは、そういうときにパニック状態になることがやはり被害を大きくする。また、退避訓練をやることによって火災が予防できたということで、たいへん大きく評価いたしております。
  79. 高橋繁

    高橋(繁)委員 混乱は起きなかったということなんですね、小学校、中学校の避難については。それで、全体を通じまして今回の避難対策等について、今後地震が起きたときにたいへん参考になる点があったのかどうか、その点。
  80. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 その点でございますけれども、現在、警察庁と消防庁の職員一名ずつ現地に残しまして、退避の訓練がいかに行なわれたかということ、また今後退避訓練はどういうふうにあるべきかということを、北海道庁と打ち合わせに残しております。それを待ちまして中央防災会議をどのような形で、また専門家をお集めして、ある程度のパターンもできていればと思っております。そういうような形をつくっておきたいということでおります。
  81. 高橋繁

    高橋(繁)委員 もしそういういい点があれば、また後日資料としてひとつお願いをいたしたい。  それから、先ほどどなたか聞かれたかと思いますけれども、私ちょうどいなかったものですから……。港湾施設が麻痺して使用できないというようなことも聞いておりますが、その辺についての状況はどうなのか。また、その機能を回復するための手段はどんなふうに講じられているのか、その点について。
  82. 堀口孝男

    ○堀口説明員 申し上げます。港湾の全体の被害でございますが、これは北海道では四億三千三百万程度でございまして、それから本日、内地のほうの青森県のほうで約二千万程度出ております。それで北海道のほうでは、言うまでもなく花咲港にほとんど集中しておりまして、岸壁の被害でございますが、いわゆる西浜岩壁と申しますメインの岩壁でございますが、これが約四百六十メートルにわたりまして——地震時の災害におきますものは、たとえば新潟地震とか十勝沖地震でも同じようでございました。うしろの圧力が強いものですから、前は少し傾いてくるというかっこうになるわけでございます。したがいまして、そのうしろのほうのコンクリートの張ってある舗装面が、うしろがゆるんでまいりますので陥没をする、そういう現象を起こしております。それからもう一つは水産関係の物揚げ場でございますが、これが三百八十一メートル、やはり同じように前へ少しせり出して陥没しております。  この花咲港の災害復旧に関しましては、単にこういう地震災害に対する復旧だけではございませんで、もう一つ津波がここだけ侵入しております。で、この津波対策も含めまして急遽われわれのほうは、こういう重大な被害をこうむりましたので、調査団を編成いたしまして、これは港湾技術研究所並びに港湾局それから北海道開発局を含めた十名で編成いたしておりますが、まず地震災害の復旧と津波対策と両方にわたりまして、来週早々から調査を開始いたします。その調査結果に基づきまして緊急査定を実施して、早急にこれを復旧いたしたいというふうに考えております。早急と申しますのは、一番早いときで二年でございますので、通常三年かかるわけでございますが、これを二年間で復旧いたしたいというふうに考えております。  なおまた津波対策に関しましては、津波はエネルギーが非常に大きいものでございますから、これをどうやって防ぐかはかなり慎重に調査いたさないといかぬわけでございますので、調査を十分しまして、早急に海岸保全事業としてこれをやりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  83. 高橋繁

    高橋(繁)委員 そうすると、その港は二年間は使えないということですか。多少ほかを利用して使えるかどうかということ。
  84. 堀口孝男

    ○堀口説明員 私も小宮山副長官と同行いたしまして、現地調査いたした人間の一人でございますが、すでにサケ・マスの漁船が大部分着船いたしておりまして、その水産上屋のほうは使っております。一番ひどくやられましたのがマイナス四・五メートルの岸壁のところでございましたか、ここのところはやられておりまして、ここだけはちょっと接岸が無理かと思われます。あとは大部分接岸できておりますので、十分使用には耐えることになっております。
  85. 高橋繁

    高橋(繁)委員 地震課長にちょっとお聞きしたいのです。これは朝日新聞の六月十八日の記事ですけれども、あなたの説によりますと、いま北海道地震が起きている、あるいは桜島が噴火をしておる、こういう現象が起きるのはむしろ正常な姿であって、「両火山の過去からの活動の歴史からみれば正常な動きといえる。」「日本列島は静かになった方が、何か起りそうで不気味なのだ。」というようなことをお書きになっておりますが、片方では、あるいはショルツ理論ですか、そうしたことやら、あるいは五月に警告の手紙が来ているとか、たいへん一般の国民、特に太平洋岸にある、あるいは桜島等をはじめ、国民は非常にそういうマスコミ等の影響等によって、地震が来るんではないかという不安が、かなりそっちのほうが浸透されているということもあるわけですね。ところがあなたの説だと、そういうものが起きたほうがかえって正常な姿であって、まあ結論づければ、そんなに心配ないんだというように読み取れるわけですね。一方では、こうしたショルツ理論だかをマスコミ等が取り上げて、国民が不安を感じておる。地震課長は、いや、多少地震があったほうが正常な姿でかえっていいんだというような意味から聞くと、一体あなたの説からいうとそんなに心配ないんだというようにとってもいいのかどうかという点ですね。その辺のお考えについて……。
  86. 末広重二

    ○末広説明員 お答え申し上げます。  まあ、活動がある程度あったほうが正常であるということにつきましてどういうふうな感想をお持ちになるかということは、その個人のお考えもおありかと思いますが、私の意味いたしましたところは、日本列島は常に太平洋のほうからエネルギーの補給を受けているわけであります。でございますから、そのエネルギーは何らかの形で発散されなければならないわけでありまして、それが日本列島付近にございます地震活動であり、また火山活動でございます。でございますから、私どもは過去からの活動歴をずっと見ておりますと、たとえばこの間の根室沖のような地震は大体一年に一回ないし二回起きておる。あるいは火山活動は、たとえば五百年とか千年のうちには何回ぐらい活動が高まったり低まったりするかという過去からのずっと歴史がございますから、それの延長であって、特に大異変の前ぶれではないんであるという意味で申し上げたわけでございまして、むしろ、つまり日本列島が地球物理学的に置かれている宿命であるということでございます。ということは結局、関東震災あるいは南海道の大地震といったようなことは、また将来必ず、そういった長い目で見た地震活動の一環として起こるということは、これはまた間違いないことであるとわれわれ覚悟しなければならないと思います。ただ、そういった背景、ことにいろいろな活断層らしきものが発見されたとか、あるいは地震、火山活動に関した小説が非常によく読まれたという社会的な背景がございまして、最近非常に関心が高まったということはございますが、私の意味いたしましたのは、現在の活動状況から見て特に大異変の前ぶれであるということではない、そういうことを意味したわけでございます。  それからショルツ先生は、確かにあの理論はりっぱな作業仮説でありまして、われわれもこれを真剣に取り上げておりますが、あの先生のおっしゃいましたのは、その地震の前にある種の現象が前駆する、いま関東地方でわれわれの観測した一部分がその前駆現象に当てはまるのではないかということをおっしゃったわけでございまして、どうも全部の十分なデータをお持ちでなかったので、これを総合的に検討なされば、おそらく必ずしもあの理論の示す前駆現象であるかないかという点においては、それほどはっきりしたことはまだおっしゃれる段階ではないと思います。これは私どもいま真剣に、あの方の理論が適用されるかどうか検討しております。
  87. 高橋繁

    高橋(繁)委員 まあ、ショルツ理論も一面では否定をされているというようなことで、はっきりした——そうした地震に対する国民の不安あるいはそうした世論といいますか、そういうものの関心が非常に高いので、一体どれを信じていいかわからないというようなことも実際問題あるわけだ。また、地震の予知に対する研究は、前々から質問しているように、なかなかむずかしいということで、私は地震課長が確信を持って国民に、現在の地震の予測なりあるいは状況なりについては知らせるべきであるというように考えるわけですよ。なかなか不安を感じている。むずかしい問題であろうと思うけれども、これも研究体制と相まって、ある程度見通しのついたものについて、国民に不安を与えないというような形をとっていただきたい。よろしいですね。
  88. 末広重二

    ○末広説明員 承りました。
  89. 高橋繁

    高橋(繁)委員 以上で終わります。
  90. 大原亨

    大原委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時四十六分散会