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1973-06-14 第71回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月十四日(木曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 大原  亨君    理事 宇田 國榮君 理事 小沢 一郎君   理事 高鳥  修君 理事 三ツ林弥太郎君    理事 渡部 恒三君 理事 金丸 徳重君    理事 村山 喜一君       志賀  節君    島田 安夫君       中尾  宏君    藤井 勝志君       細田 吉藏君    村岡 兼造君       安田 貴六君    辻原 弘市君       福岡 義登君    柴田 睦夫君       高橋  繁君    広沢 直樹君       宮田 早苗君  出席政府委員         建設省河川局長 松村 賢吉君  委員外出席者         参  考  人         (東京大学教         授)      高橋  裕君         参  考  人         (広島大学教         授)      金丸 昭治君         参  考  人         (広島山県郡         加計町議会災害         対策特別委員         長)      中本 五一君         参  考  人         (ダム災害全国         被災者団体連絡         協議会事務局         長)      国実  明君         参  考  人         (鶴田ダム被災         者同盟連絡協議         会々長)    松崎  仁君         参  考  人         (関西電力株式         会社常務取締         役)      吉田  登君     ————————————— 委員の異動 六月十四日  辞任         補欠選任   竹中 修一君     藤井 勝志君 同日  辞任         補欠選任   藤井 勝志君     竹中 修一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件(ダム災害防止対策)      ————◇—————
  2. 大原亨

    大原委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件、特にダム災害防止対策について調査を進めます。  本日は、参考人として、東京大学教授高橋裕君、広島大学教授金丸昭治君、広島山県加計町議会災害対策特別委員長中本五一君、ダム災害全国被災者団体連絡協議会事務局長国実明君、鶴田ダム被災者同盟連絡協議会会長松崎仁君及び関西電力株式会社常務取締役吉田登君、以上六名の方々がお見えになっております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には、御多用中にもかかわらず当災害対策特別委員会に御出席いただき、ありがとうございました。  本日、参考人各位から御意見を聴取いたしますいわゆるダム災害は、地域住民の生命、財産は言うに及ばず、当該地域産業の発展にも影響を及ぼす重要な問題として、当委員会におきましても従来より調査を行なってまいりました。特に、今国会は、災害対策基本問題に関する小委員会設置いたし、火山噴火対策地震対策とともに、本ダム災害防止対策を重点的に取り上げております。  また、去る四月十日には、国会開会中ではありましたが、鹿児島県に委員を派遣し、川内川水系鶴田ダム実情調査してまいりました。ただいま申し上げました鶴田ダム並びに岡山県の新成羽川ダムにつきましては目下訴訟中であると仄聞いたしております。  また、広島太田川水系立岩ダム等につきましても、住民側から、洪水時のダム操作について問題の提起がなされております。  今後の対策として、ダム設置に伴う河川従前機能維持の問題、緊急時の措置として規定されてはおりますが、現在まで発動されたことのない河川法第五十二条の運用の問題あるいは利水ダムにおけるダム操作規程の検討の問題、さらにはダム設置当該河川改修の問題等々、ダム設置及びその運用につきましては、住民に不安を与えてはならないという立場から、治水目的を加味して種々検討していかなければならないと存じます。  参考人各位にはそれぞれの立場から忌憚のない御意見を御開陳いただき、委員会調査参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  最初に、参考人各位からそれぞれお一人十分程度御意見をお述べいただき、そのあと委員からの質問に答えていただきたいと存じます。  それでは、まず高橋参考人から御意見を承りたいと存じます。
  3. 高橋裕

    高橋参考人 高橋でございます。  いわゆるダム災害というものに関連して、私が考えております基本的な考えを若干述べさせていただきまして、あと、その対策についての私案を簡単に述べさせていただきたいと存じます。  おそらくこの委員会でも問題になっておりますのは、いまも委員長から若干御説明がございましたように、昨年の七月の豪雨災害に関連して、鹿児島県の川内川あるいは中国地方の幾つかのダムにおいて、ダム放流下流災害を大きくしたのではないかということに関連して問題が提起されておるのだと存じます。このダム放流の問題は必ずしも昨年の七月に限らず、従前もたびたびそういう問題が起こっております。昨年のケースにつきまして、私は一々の川について詳細に調べておるわけではございませんので、個々の川についてのきわめて具体的な発言は十分にはここではできないと思いますが、従来から種々この問題は聞いておりますので、それについての私の考え一般的に述べさせていただきたいと思います。  まず第一に、常々思うことでありますけれども、洪水調節主体とする多目的ダムはもちろんのこと、利水専用ダムに関連して、その下流部水害が起こった場合にしばしば、そのダム放流のために災害を大きくしたという問題が起こっております。そのたびに感じますのは、どうも一般には、これは住民の方も含め、あるいはジャーナリズムも含めてでございますが、私が感じておりますことは、ダム洪水調節機能というものに対して期待が非常に大き過ぎるように思います。洪水調節ダム利水専用ダム、それぞれ役割りが違いますので、同一には論じられませんが、たとえば洪水調節主体とする多目的ダムに限りましても、ダムによる洪水調節機能というものには一定の限界がある。しかも、その限界は、どうも一般考えられておるよりもずっと小さいものである。逆に言いますと、私たち考えるよりも一般期待が大き過ぎるということを感じます。何かダムができ上がりますと、その下流部ではたちまち水害がなくなる、なくなるとは言わないまでも、非常に軽減するのが当然であるというふうな観念がどうもあり過ぎるように思うわけです。  洪水調節ダムは、言うまでもなく、その上流に降った雨をそこで調節するわけでありますから、その下流部に降った雨については、あるいはそのダムのない支流に降った雨を直接調節できるわけではありません。もちろん下流に降った雨あるいは支川に降った雨でも、間接には若干の効果はあり得ますけれども、一般にはその上流に降った雨しか調節できない。ところが、しばしば皮肉なことに、洪水調節ダムのないほうの支流に降ってみたり、そこのダム調節しようと思っていても、その下流のほうの支流に降っているために、下流側住民にとっては、ダムがあってもそれほど効果がないということが現実として起こり得るわけです。  これは必ずしもダムに限らず、あらゆる防災施設はそうであろうと思いますけれども、何か非常に巨大な構造物をつくれば非常に災害が激減するというようなものではどだいない。もちろん、効果がないなどと極端なことは申しません。それには流域に降る雨の降り方、もちろんそのダム計画の場合にはそういうものをいろいろ想定して、どのくらいの雨に対してどのくらいのダムでカットをするという計画があるわけですが、その計画を立てる場合には、往々に過去の統計的資料にのっとる場合が多いと思います。ところが統計的資料というのは、川にもよりますけれども必ずしも十分ではないし、十数年あるいは二十数年くらいのデータで百年の洪水というものを類推しなければならない場合もしばしばあります。そうしますと、統計的に得た値というものも、精度にはおのずと限界がある。そのためにしばしば、計画していた、たとえば昨年の七月豪雨の場合はそうであると思いますが、計画していたものをはるかに上回る雨が降って、思うように調節ができなかったという疑いが持たれるケースが出てくるわけだと思います。  それで全般的に、洪水時のダム水位操作が誤ったとか、あるいは利水専用ダムにいたしましても、洪水時に、利水に重きを置いたためにその下流洪水が起こるということは、私は一般的にはほとんどないと考えます。  問題は、洪水時の問題ではなくて、むしろダム建設するときの計画に問題がもしありとすればそこにあると思います。したがって、今後の対策というのもその点にしぼられるべきであると考えます。現在、いろいろ洪水調節ダムでとられておる実際の水位操作規程あるいはそれにのっとる運営を見ておりますと、おそらくその操作規程そのものを間違えるとかミスをするということは実際にはなくて、むしろその水位操作にのっとる運営というのがどうも窮屈過ぎるように思います。つまり、ここでは洪水が何トンで、このダムは何トンカツトできるから、それを引いて、その減った分だけが下流に流れるはずであるという計算の根拠も、やや窮屈過ぎる。それは雨の降り方その他が予測が十分にできるものであれば、きっちりした計画でもよろしいかと思いますが、もちろん若干の余裕がありますけれども、雨の降り方でありますとか、あるいは特に下流改修が進んでいないというような場合もありますので、そういうことを勘案しますと、洪水調節機能期待されるダムについての運営には、余裕がもう少しほしいように思います。  それから、たとえば川内川の例でもそうでありますように、ダムはできたけれどもその下流改修は十分に進んでいない。その斉合性がしばしばあまりよくない。もっとも、改修というのはそう短期間にはできませんから、まあ無理な面もないではありませんけれども、ダムができれば、それにのっとる下流改修が伴いませんと、ダム効果もいよいよ十分には発揮できないという事態が起こっておりますので、とりわけ、ダムをつくって洪水調節をしようというような川は、おそらくは治水に力を入れようとしている川であろうと思いますので、下流改修との斉合性がとれるような方向が望ましいと思います。  以上が、私が常々考えております、ダム放流に関連した一般的な考えでございます。  それではどうしたらいいか。いまもちょっと触れましたように、対策といたしましては、もう少し余裕のある計画がほしい。ということは、これは多目的ダムの場合ですが、ダムによりましては、もし可能ならば、しかも、それがあまりにも窮屈過ぎる計画になっており、治水への要望が非常に高い川では、場合によっては基本計画を練り直して、もう少し治水容量が多くなるような計画を立てることが望ましいと思います。  また、利水専用ダムにつきましては、たとえば、現在問題になっておりますのは特に発電専用ダムかと存じますが、発電専用ダムの場合も、従来——いまの多くのダムというのは昭和三十年代にできたダムが多いと思いますが、もっと前にできたダムもございます。大体そういうダムのできるときには、日本の国策といたしましても、エネルギー政策の中に占める水力というものの比重が非常に大きかった時期であります。もちろん、今後の電力状況も楽観できない状況にあるとはいえ、四十年代に入りまして、いろいろ流域土地利用が変わってきている。あるいは住民に対する治水への考え方というものも変わってきているし、変えなければならないと私は思います。そういう状況におきましては、発電専用ダムにおいてももう少し、若干の洪水調節——これはダムにもよりけりであります。ダム構造上の問題もありますから、すべてのダムというわけにはまいりませんが、そういうことが若干可能なダムもあると考えますので、そういうダムにおいてはもう少し、たとえば制限水位を下げるというようなことも考えられていいのではないかと思います。  話がちょっと戻りますが、洪水調節合む多目的ダムにおいても、ダムによっては——ダムというのは寿命がたいへん長いわけです。ところが、ダム建設当時の社会情勢に大体のっとった運営が、最初基本計画が立てられるのが普通でありますけれども、ダム寿命は二十年、三十年、四十年、五十年以上でありますので、その間に社会情勢は変わります。そうしますと、一たんダムをつくってしまえば目的は固定する、運営は固定するというのではなくて、社会情勢の変化にもある程度応じた若干の目的変更がなされてもよいのではないか。その段階でもう少し、昨年の事態その他にもかんがみまして、治水というもののウエートがかかるような考え方がされていいんではないかと思います。もちろん、その場合は目的変更でありますから、それによって不利益を生ずる側に対しての補償その他は当然伴わなければならないと思います。  対策としてさしあたり考えられるのは、こういう点であろうかと思います。  以上、私の考え方を申し述べました。(拍手
  4. 大原亨

  5. 金丸昭治

    金丸参考人 金丸でございます。  ただいま高橋先生から、主として一般的な御意見を述べられましたので、できるだけ重複しないように私の意見を述べてみたいと思います。  河川災害防止対策としましては、治水目的を持つダムの新設や河川改修基本になることはもちろんでございます。私は、ここで主として既存のダム治水効果に関して意見を述べてみたいと思います。  ダムによる洪水調節効果は、当然出水規模大小による影響はありますが、一般洪水調節容量洪水調節方式とによって左右されることになります。  そのうち、洪水調節容量は、当初から治水目的を持つダムとして計画されたものと、利水専用ダムとして計画されたものとでは、性格が異なるように思います。すなわち、治水目的を持つダムにおきましては、たとえば下流改修計画などから定められる最大放流量計画流入波形、この二つから積極的に治水容量を設定される傾向があります。一方、利水専用ダムでは、主として予備放流によって確保できる容量治水容量に充当するという傾向があります。  前者の場合、すなわち治水目的を持つダムの場合に問題があるとすれば、たとえば計画流入波形が適切であるかどうか、また下流改修がどの程度実施されているかということが問題になるはずでございますが、計画流入波形につきましては、過去のデータに基づいて、たとえば所定の超過確率相当のものを採用されてきたというふうなことでございまして、計画時点について私は異論は持っておりません。ところで、昨年の出水考えますと、継続する二波、三波の出水をあらためて対象とすべきではなかろうかと考えるわけであります。また、上流下流改修計画どおり万全を期すべきことはもちろんでございます。  一方、利水専用ダムに関しましては、内容的に将来検討すべき問題を含んでおりますが、現行法では、河川従前機能を維持することが条件となっております。そのために必要な洪水調節容量は、一般予備放流によって確保するように計画されたものが多いようであります。したがって、積極的に最大流量を小さくすることを目的としたものではありませんが、少なくともダムのない場合の洪水波の変形に相当する調節計画されているものと思います。ただし、従来の計画では、さきに述べたように、たとえば台風時を想定した一山の洪水に対処するようになっているものが多いようでありまして、今後あらためて二波、三波と連続する出水考えるならば、従来のような予備放流による洪水調節容量では、特に流量の小さい部分で十分に河川従前機能を維持することが困難になるものと思います。そこで、洪水を迎えるにあたって、確保している容量は大きいほどよろしいわけでありますが、特に貯水容量の小さいダムでは、洪水開始時点で、貯水位HSを目標に低下させておくような配慮は必要であろうと考えます。  このHSといいますのは、御存じの方もいらっしゃると思いますが、ゲートを開放した状態で、下流無害流量に相当する放流量になるような貯水位であります。無害流量以下の流量放流されるときに別に問題はないということであれば、貯水位をこのHS以下に低下させても、調節効果としては有効ではありません。  洪水調節容量について意見を述べましたが、次に、調節方式について考えることを述べてみたいと思います。  今度新しく二波、三波と連続する出水を考慮する場合に、放流能力が十分であるダムでは、従来のようなゲート操作方式によって大小洪水調節することは可能でありますが、放流能力が十分でなく貯水容量の小さいダムでは、いろいろ検討しました結果、適当なゲート操作方法が見当たらないというダムが非常に多くございます。このような場合は洪水開始時点、つまり流入無害流量相当になったときに貯水位は恥になっているはずでございますから、この時点ゲートを全開し、いわゆる自然調節方式をとるのが適当と考えます。これは確実に安全に調節効果期待できるということ、及び二波、三波と連続する出水に備えるという点で効果的であると考えるからであります。  しかし、常に大洪水になることを前提としましたこの自然調節方式にも問題はございます。すなわち、結果的に中小洪水で終わったはずの出水の場合でも自然調節による放流がありますので、場合によっては、貯水池に余裕を残しながら、小洪水の発生する頻度が高まることがあるという点であります。これについても、またダム管理全般にわたって、気象予報がより的確になることが問題解決への一つの道であろうと思う次第でございます。  私の意見をこれで終わります。(拍手
  6. 大原亨

  7. 中本五一

    中本参考人 中本でございます。  つい二、三日前に突然、当委員会委員長さんのほうから、われわれのような末端の市町村特別委員会参考人で出頭せよという命をいただきまして、実は驚いたと同時に、私たち町村においては当委員会に大きな期待を寄せておるものでございます。  御承知いただきますように、昨年の七月豪雨によりますわれわれの地域を襲ったあの大洪水は、実はこれまでにない大洪水でありました。そこで加計町議会並びに戸河内町、筒賀村議会は、この大きな災害に実は驚きまして、各町村とも、一体どうしてこういったことになったのであろうかという原因究明に当たらなくてはならないという考え方で、各町村とも特別委員会を設けまして、実はこれの徹底的な追及に当たったわけでございます。  そういった中で、特に戸河内あたりは、この災害特別委員会が百条調査の発動もしなくてはいけないというような立場に実はなったわけでございます。  災害地実態調査の結果は、特に太田川本流支流合流点の罹災が大きく、これは天災に加え、上流ダム人工操作に起因するものという沿線住民の実感としての声を取り上げまして、その実態を把握すべく委員会を重ね、各方面への実情聴取をはかり、資料の収集、原因究明を急いだわけであります。その詳細は各町村報告書を当委員会のほうへ御配付いただくようお願いいたしておりますので、ごらんいただきますれば大体おわかりできるだろうと思います。調査の結果から言えることは、現行河川法ダム操作規程では、災害予防はおそらくでき得ないことが強く感じられたわけであります。  その中で特に申し上げたいことは、この河川法が制定されております中で、地域住民は、先ほど高橋教授から申されましたように、ダムが設定されたならば洪水時にはある程度調整できるだろうという地域住民期待感が非常に大きいわけでございます。今回の災害あたりましてもそういった感を実は抱いておったわけでございますけれども、気象庁の予報が、警戒警報が発令されまして、異常洪水になるという警報が出されましても、河川法に基づくところの予備放流をすることのできないような状態が、今日の河川法ダム操作規程等に織り込んでおられるのであります。でありますから、原因究明いたしまして、この洪水に各ダムのいわゆる放流をなされたその上積みが、地域住民に対しては鉄砲水として出水した。そうして大きな被害を及ぼし、その鉄砲水がまた引水、いわゆる引き水でございますね、その引き水で倒れておるという現状を見たときに、いかにこのダム操作が、われわれ関係町村期待しておるようなことのできない状態が今日続いておるということが、はっきりとわれわれのほうではわかったわけでございます。  そういった関係で、いずれにいたしましても現行河川法ダム操作規程の改正をしていただかなくては沿線住民の安心しての生活はでき得ないというのが、われわれの大きな期待住民の声であります。そういった形をわれわれはわれわれなりに、県なり河川課なりあるいは中電あたりに申し上げましても、もう企業は、われわれは企業であり、ダム操作規程を厳守しているんだから何ら違反していないといったようなことでありますし、またわれわれのほうの一級河川が、われわれの地域においては建設省直轄河川になっていないために、県が委託されておるようなかっこうでございますので、県知事には予備放流の権限すらできないような状態が、われわれの町村立場でございます。そういった関係で、行政的にこの問題を処置していくことができないのが、われわれ末端町村の非常に悩んでおる現実でございます。そういった立場からわれわれが考えますことは、いずれにいたしましても、今日のダム操作規程あるいは河川法というものを改正していただきまして、沿線住民が安心して生活できる体制をまず整えていただかなくてはいけないというのが、われわれ各町村の声でございます。  そういった立場から申し上げますならば、まず何と申しましても河川法の制定された当時の考え方と今日の考え方、これは日本経済状態から見ましても、私たちのほうにできたダムは、戦前のいわゆる日本産業が伸展しなくてはならない過程につくられたダムでございまして、地域住民の非常な不便も、官憲から強い要望と申しますか強い要請がありまして、文句は言えないのだという形のものが今日残存しておるわけでございます。われわれの地域におきましては、今日考えますと、そういった非常に半封建的なような企業体制が持続されておるのが、加計町あるいは戸河内筒賀現実の姿でございます。そういった現状から、住民は納得できないという線を出しておるわけであります。長い間かかって積み上げた自分の財産もわずか二十分か三十分の間になくなってしまう、こういった状態をどこへも訴えることができないというのがわれわれの町村のいまの状態でございますので、どうかこういった点を十分御理解願いまして、当委員会におかれまして、われわれ地域住民が安心して生活できる体制を早急に整えていただくことをお願いする次第でございます。  なお、私たちの奥に立岩ダムというのがございますが、これは地方建設局におきましても非常に危険なダムと言っておられます。それが、いまなおその欠陥を何ら直そうとしない今日でございますので、どうか国の責任において、このダム欠陥改修していただきますような体制をとっていただきたいと思います。  なお、私どもの町におきましては上流に数個のダムがございまして、今回、昨年のような災害時には、ダム操作規程については個々ダム操作規程は守られておりますけれども、ダム相互間の連携がないために、下流には一度にその放流された水が出てくるというような、大きな被害をこうむらなくてはならないような事態が起きておるのでございますので、ダム相互間の連携時差放流というようなものも十分お考えいただきまして、河川法ダム操作規程等を御検討いただきまして、何回も申し上げるようですが、私たちが安心して生活できる体制を整えていただきますことをお願いいたしまして、私のこれまでの調査の大まかな点を申し上げまして、終わらせていただきます。(拍手
  8. 大原亨

  9. 国実明

    国実参考人 私、ただいま御紹介いただきました、全国ダム災害被災者団体連絡協議会の事務局長をいたしております国実と申します。  本日、当委員会のほうに参考人としての出席を要請されましたので、ただいまより、ダム災害の全国組織協からの観点から、いささか所見を述べさせていただきたいと思います。  現在の日本災害防止の河川行政というものは、道路、港湾、その他の部門に比べてみますれば、全般的に非常に立ちおくれが目立っておりますのが実情でございまして、河川ダムに関しましては、特に日本の地形や地質あるいは気象条件からも、もっと多角的な取り組みが必要ではないかと思うのでありますけれども、あとを断ちませんダム災害実態は台風や集中豪雨のたびに問題になりまして、近年は特に山林の乱伐や無秩序な土地開発等がどんどん進められまして、雨水の出水率が非常に早められ、河川のはんらんがスピードアップし、大型化し、実に膨大な損害を生じてきておるような実情でございます。  こうした治水治山の行政は、河川上流部で支流を合わせまして小さく分割され、町村自治体や国の出先で扱われておりますけれども、こうした実情が統一された治水対策が行なわれない原因であり、また、防災予算の少ない町村自治体に比べて、河川下流の人口密度の非常に高い都市部に対しましては多額な予算がつぎ込まれるという、河川の一体的治水対策がとられないことも非常に大きな原因ではないかと思われます。  これは、やはり全国的に見のがせない問題でございますけれども、この治水治山の問題と同時に一番大切なことは、このダム河川のはんらんのつながりということでございます。  もちろんこうした河川の総合管理という問題もございますが、一例をあげて申し上げますならば、昨年四十七年七月に発生いたしました西日本の集中豪雨災害は、湿舌と呼ばれる異常気象条件でございまして、これは九州から山口、広島、島根、岡山と、河川のはんらんを伴いまして北上したものでございますけれども、その大半の損害はダムの異常放流によるものだと指摘されまして、現在訴訟中のものも三件ございます。  台風や集中豪雨のたびに、日本のどこかで必ずダム災害が発生しております。これらの原因は、すべてダム管理の怠慢と操作ミスによるものだといわれておりますけれども、現在の発達しました科学や土木工学がこの災害を防止できないのではなくて、災害を防止するためのダム対策治水管理が十分なされていないというのが原因でございまして、その証拠といたしましては、ダム災害やこうした紛争問題がいつまでたってもあとを断たないことを見ても明らかでございます。  こうした問題の根本は何であるかと申し上げますならば、これは現在の日本河川法ダム操作規程あるいはダム操作規則にあるのであります。  その具体的な例といたしましては、同じく四十七年七月十一日夜半発生いたしました広島県の一級河川太田川のはんらんでございますけれども、同河川上流にございます、先ほど中本参考人も申されました中国電力株式会社の所有しております発電用立岩ダム操作ミスは、わずか二、三時間くらいの間に数回の洪水波を起こしまして、下流千世帯以上が床下浸水以上の被害を出し、個人被害総額は概算十億以上も算定されまして、その災害の責任者を中国電力株式会社と建設省中国地方建設局と見て、両者を岡山とともに追及してまいりました中で、実に驚きますことは、両者ともに気象庁の出しました警報を全く無視しており、災害の発生が十分考えられたにもかかわりませず、事前に何の防災措置もとらず、また河川法ダム操作規程に定めております通報、指令、記録その他連絡措置も全くなされておりません。  災害の発生は全然予測しなかった、こう断言しております中国地方建設局は、事前に災害発生の危険性は十分考えられていたけれども、立岩ダムはどうしようもない危険なダムであり、これを知りながら放置していたのは国の行政責任であると認めております。河川法第五十二条は発動しても適応しないダムである。こうした発電用立岩ダム構造欠陥も指摘し、何もしないで放置していたことは実に驚くべきことであります。こうした河川理管者の責任感のない事実はゆゆしき問題でございます。災害防止のための河川法の適用さえできないダムが実際に存在しており、これを管理監督する建設省が、中国電力の提出した資料だけを分析してダムは悪くないというのはどういうことなのであろうか。国はまた、この重大な責任をどのようにとる気でいるのであろうか。  河川管理者がこの実態でありますから、利水ダムを所有しております中国電力はもっとひどいものでございまして、立岩ダム操作規程全条二十一条中、十五条以上は不明確でございます。明らかに操作規程違反が認められておりますのに、中国電力の法解釈のほうが正しく、被災住民のほうが間違っている、そんなに予備放流がしてほしければ金を出せば予備放流はしてあげましょうと、言語道断なる発言をするに至っては、明らかに河川下流住民を無視しており、社会的権力で押し切ろうとする姿勢でございますけれども、中国電力の提出しておりますすべての資料はでっち上げでございます。われわれはこれに反証することはできますけれども、こうした災害防止をたてまえといたしております河川法五十二条の発動されないゆえんは、こういう電力企業の思い上がった姿勢にありまして、ダム実情を何ら把握することができないままに、電力企業の言うままになっている監督官庁の責任でもあると思います。電力企業の補償には気を使っても住民の安全には何ら配慮されていない河川行政そのものをわれわれは問題としております。  こうした五十二条の問題は、ダムをかかえた河川流域に居住するすべての国民の重要な問題でもございます。中国電力も中国地建もともに一切の資料と記録を公開することができず、操作規程の通報の義務も完全に怠っておりますし、災害を助長させ、治水の責任はないと開き直るに至っては、全く許すことができない実情でございます。  ダム災害は、防止権限も何もない管理者の責任と、いいかげんなダム操作規程や地方自治体のダムに対します認識の甘さによって引き起こされているのではないかと思いますけれども、これは同時に災害対策基本法あるいは水防法等を無意味にしているのが実情でございます。問題は、災害防止に対します行政と企業の責任感の有無であると考えますけれども、そのためには、現行河川法ダム操作規程を根本的に洗い直し、ほんとうに大害をなくするものに改正しなければ、こうしたダム災害は絶対に解決できないであろうと考えます。  全国で多発しておりますダム災害は、こうした電力企業の法の曲解から紛争を発生させておりまして、電力企業の責任がとらされなかったことにも基因しておるのではなかろうかと思います。洪水時の異常放流だけは絶対やめさせなければならないのが第一番でございますけれども、即刻全国のダムの一斉点検を実施していただきまして、危険なダムは緊急規制を講ずる、あるいは使用中止や禁止、改善命令を出していただき、場合によっては撤去をしていただけるような措置を講じていただけるのが最上ではないかと考えております。  こうした河川災害原因は、大半がこうしたダムに基因しております。電力企業のわずかな人員の操作下流住民の生活が左右されるいわれは全くないのであります。そうした点ももちろん電力側にはあるわけではございませんけれども、電力企業の社会的責任は、それだけ重大であるということは一方では言えるのではないかと思います。こうした非常に危険なダム下流におきましては常に不安でございまして、一日も安心して生活ができないのでございます。  利水ダムであろうと治水ダムであろうと、ダムはあくまでもダムでございまして、水をためることそのものがすでにダム災害発生の要因を持っているわけでございますから、利水ダムであるから洪水調節はできないとか、それだけの機能、幅が持たされていないとか、こうした理由で下流住民災害にあってもやむを得ないといったことは、これだけは絶対に許されるべきものではないと思います。災害復旧が何百億円とかかりますのに、こうした大きな損失がありますのに、なぜ金の要らない法五十二条等の指令が出されないのか、私どもはまことにこの点がふしぎでなりません。  一方ではこうした多くの問題を投げておきながらも、水資源の開発だけはどんどん進められておりますけれども、ダムによる環境破壊の問題もあらためて検討されなければならないのではなかろうか。あるいは償却の済んだ古いダム等は、すみやかに撤去さしていただきまして、限られた資源は有効に使われなければならないのではなかろうかと思っております。現在のまま進められました開発からはまた新たなダム問題が生まれ、同じように、責任をとれ、いや私は悪くない、こうした電力企業住民との押し問答の繰り返しが続くばかりでございまして、何の罪もない善良な国民が、ただ川ばたに住んでいるという理由だけで被害を受けては苦しまなければならないようなことだけは、何としても避けていただきたいと思います。  公共のダムは、何らかの形で責任をとっているところもございますけれども、電力企業ダムだけがいつまでたっても公共性をたてにとり無責任な態度をとっておりますけれども、これは明らかに利水権の乱用でございます。住民感情といたしましては、銭金の問題よりも、自分の生活が現在どうなるかわからない実情にさらされているわけでございますが、こうした電力企業ダムに対する無責任な言いわけやへ理屈は聞きあきましたので、現状のままでございましたら、いつまた災害を受けるかわかりません。国民の生命、生活財産の安全よりも現在の電力エネルギーの生産のほうが大切にされるのでございましたならば、住民はみずから身を守るしか方法がございません。そのためには、必要があれば実力行使をもってでもダム管理をせざるを得ない。こうしたせっぱ詰まった気持ちに現状では追い込まれておりますけれども、何とぞ現行河川法の改正をよく御審議いただきまして、ダム災害の防止と河川の安全が一日も早く確立されるようお願いいたしまして、まことに内容不備ではございますけれども、私の公述にかえさせていただきます。
  10. 大原亨

  11. 松崎仁

    松崎参考人 私、鹿児島から参りました松崎でございます。  本日、衆議院の災害対策特別委員会におきまして、私ども参考人をお呼びになりましてこのような機会をつくっていただきましたことを、厚く感謝申し上げる次第でございます。  私、本日は被害者の立場より二、三点問題点を追及いたしてみたいと思いますが、鶴田ダムは、鹿児島川内川水系昭和四十一年三月、西日本一を誇る計画放流量二千三百トンの多目的ダムであり、昨年の七月六日午後二時、最大二千二百六十トンの放流をなして、下流の湯田温泉街百二十一戸その下流にございます宮之城町市街地約四百戸に被害総額二十億円の損害を与えたのでありますが、竣工前の建設省の前宣伝では、このようなパンフレットを作成いたしまして、各地域住民に、この鶴田ダム建設すれば二億七千万円の一年間の事業効果として被害が減少するということを概要説明で明記したのでありますが、全く流域住民財産を収奪するやっかいなダムであり、流域住民ダムに対する不信感は非常に高まっているのが現状でございます。  私は、この鶴田ダム建設するにあたって、中流地域は一千トンの放流で、ダムから下流の雨量が多ければ被害が出るにもかかわらず、なぜこのような上流最大放流量二千三百トンのダム計画、そして建設したかを指摘し、このような、小学生でもわかるような簡単な誤りが、今回の鶴田ダム災害の最大の原因であると断ぜざるを得ないのであります。  かりに私どもが、日常生活におきまして、二トン積みのトラックに二トン以上の荷物を積載して事故を起こした場合は、積載オーバーということで処罰を受けますけれども、このようにダム建設する工事の基本計画策定にあたって十二分な配慮が足りなかった場合、このまま放置していいものかどうか、はなはだ疑問に思うのであります。  災害後今日まで、人災論あるいは天災論で国側と交渉を進めてまいりましたが、私は次の四点を陳述いたしまして、その人災説の根拠を訴え、今後の御参考にしていただきたいのであります。  すなわち、その一点は、操作規則第十五条一項に、流入量より六百トンカットして、それに六八%をかけまして、さらにまた六百トン加えた量を放流することということがありますが、このような放水が全然なされていないのであります。かりにこの規則どおりの放流をなされていたならば——七月六日十四時の二千二百六十トンの流入量に対して、二千二百六十トン出したわけですが、操作規則どおりの放流をやっておったならば、千七百二十八トンを放流すれば、十二分に災害は防ぎ得たものと思考するものであります。  その二点は、流入量に七百七十万トンの予測を誤ったということでございます。流入量測定につきましては二通りの方法がありまして、HQ曲線——Hは高さでございますが、計測地点におきまして水位が何メートル上がった場合は現在何トン流入しつつあるという計測法でございます。これを俗にHQ曲線による流入量測定と申しますけれども、この流入量測定と、ダムの貯水池変化による測定法の二通りがあります。  前日の七月五日九時より災害当日の七月六日十四時までの二十九時間における総流入量は、一億六千三百四十四万トンでございます。鶴田ダムの場合は、上流三キロ地点に鈴の瀬という計測地点があるわけでございまして、この鈴の瀬のHQ曲線による総流入量がだだいま申し上げました一億六千三百四十四万トン、それに対しまして総放流量は一億一千五百四十一万トンで、その差が四千八百三万トンでございます。すなわち、四千八百三万トンが流入可でございまして、それに引きかえまして、この二十九時間のダムの貯水能力は四千三十三万トンでございまして、差き引き七百七十万トンの水はどこに消えてなくなったか、これを私は追及いたしたいのでございます。  建設省側といろいろ交渉いたしましたけれども、これは、先ほど申しましたダムの貯水池変化による流入量、これを修正したんだ、このようなことを申し述べておるのでございますが、この鶴田ダム操作細則の第二条によりますと、流入量は鈴の瀬地点の流量をもとにして算定するものとする、ただし、貯水の上昇または低下の時間的割合から算定した数値によって流入量を修正することができる。これがすなわち貯水池変化による修正でございますが、その二項に、鈴の瀬地点の流量の測定ができない場合は、貯水池変化による流入量に修正してもよろしい、こういうふうに流入量が規定してあるわけでございます。このようなことで建設省側は、ダム貯水池変化による流入量によって修正した、こういう反論をいたしますけれども、先ほど申しましたとおり、これはあくまでも鈴の瀬地点の流量が算定できない場合で、ダム操作基本となるべき流入量に七、八百万トンの誤差が出るようでは、流入量自体を疑わざるを得ず、流入量の計測管理体制に問題があったのではないかと思うのでございます。  その第三点は、通報義務を怠ったことであります。操作細則十一条二項の(ロ)に、警報時は必ずサイレンを鳴らせ、こういうことが規定いたしてあるわけでございます。これは増水する二時間前及び水位が極端に上昇すると認められる場合は、三十分前にサイレンを吹き鳴らすようになっておるわけでございますが、前に申し述べましたとおり、流入量の予測を誤ってダム現場は大混乱状態におちいり、通報及びサイレンを鳴らすのを忘れていたのではないかと思います。しかもダム所長は、洪水警戒体制に入ってより、七月五日午後六時より十時まで、洪水雷雨波浪注意報が出ているにもかかわらず、四時間、最も重大な時期に上司と会食のため職場を離れている事実が判明したのであります。  第四点は、この災害が発生する一年前——ここにございますが、各ダムの管理所長が九州地建から本省に「緊急操作について」という反省事項を報告するわけでございます。これは主といたしまして、昭和四十六年七月二十三日の集中豪雨並びに四十六年八月五日の台風十九号の反省事項ともいうべきレポートでございますが、その結びに、万一判断を誤れば大きな災害を引き起こすおそれがあるということを報告されている事実と、昭和四十六年の本院の災害対策特別委員会におきまして、水位を引き下げて貯水能力を高めていただくように発言がなされている事実もあるわけでございます。ただいま各先生方のお手元に配付いたしたと思いますが、数日前から地元の新聞等の非難の的になっており、まさにこれは予告された災害であったといっても過言ではないと思うのでございます。  ダム災害は、下流の雨量、上流の雨量、気象の状況等がそのつど異なりまして、その責任の所在を被害者が立証することはなかなか困難でありますが、今回の鶴田ダム災害の場合は、私が冒頭申し上げましたように、小学生でもわかるような行政上の簡単な誤り、操作規則の違反及び管理上のミスに対する補償責任を明確にしていただくとともに、全国各地で発生いたしておりますダム災害に対しては、発電優先でなくして、国民の生命、財産を守り抜くあたたかい政治の手を差し伸べていただく行政をお願いいたしまして、私の陳述を終わります。(拍手
  12. 大原亨

    大原委員長 最後に、吉田参考人
  13. 吉田登

    吉田参考人 関西電力の吉田でございます。  私は、主として発電用ダムに関連いたしまして述べさせていただきたいと思います。先ほども話に出ておりましたけれども、最初に水力発電の必要性というものを述べさせていただきたいと思います。  現在、電灯、電力、全電力量の約四分の一ぐらいが水力発電でまかなわれておる現状でございます。最近火主水従といわれておりまして、水力のウエートが小さくなってはきておりますけれども、絶対量としてはますますふえておりまして、この水力発電だけで皆さんの電灯需要は全部まかなえるだけの容量を持っているというような量になっております。最近は御承知のように原子力、火力発電所が、公害問題等の関連もありまして、非常に立地難にいま悩んでおるわけでございます。そういうことで、電力の供給力も非常に逼迫している傾向になっておりますので、国内の資源であり、しかも循環エネルギーでありますこの水力発電所は、燃料費の大部分を国外から仰いでおります現状を顧みますと、非常に重要なウエートを持っているんではないかとわれわれは思っておる次第でございます。  利水ダムの特性といいますか、いまもいろいろ御意見出ましたけれども、発電用のダムの大部分というものは非常に貯水容量が小さいのであります。いま特に問題になっておりますのは、比較的貯水容量の大きいものについての御意見だとは思いますが、貯水容量の大きいものにつきましても、利水ダムでありますので、治水ダムとは性格がおのずから異なっておりまして、この運用方法も、豊水期に水をためまして渇水期にこれを使用するというような方法で運転しておりますので、治水ダムとは運転方法は本質的に異なっているわけであります。しかし、そういう利水ダムでありましても年間の調整、年間の調整運転といいますか、いま言いましたように渇水期に使いますので、使ったときにはからの状態になっておる。いわゆる水位が低い時代から高いときまで年間を通じてあるわけでございますので、水位の低いとき、そういうようなときには非常に大きな治水効果を発揮しているわけでございます。また比較的水位が高くても、中ぐらいな洪水のときには非常に大きな効果を発揮した例は、たくさんこれもあるわけでございます。  ただいま問題になっておりますのは、比較的水位の高い時期に、しかも数百ミリという豪雨を伴う、非常に計画洪水量を突破するような大きな洪水量の問題になっているわけでございまして、そういうときには、この利水ダムの性格上、先ほどいろいろありましたけれども、操作規程に基づいて実施している以上、大きな治水効果というものは出てこないのであります。  われわれは、こういうダムをつくりますときに、やはり河川法に基づきまして、基本といたしましては、河川従前機能を維持するというたてまえで、操作規程に予備低下水位とかあるいは警報の方法とか、ゲート操作方法とか、そういうことを詳細に定めていきまして、河川管理者の承認を得た操作規程によって操作をしているというような現状でございます。  そういう状態でありますので、先ほどからダム災害ということばが出ておりますけれども、われわれは洪水災害というふうに言っているわけでありまして、非常に大きな豪雨が出ていま大洪水が出ている、それがダムのある河川ではダム災害というようにいわれているんではないか。ダム上流でもあるいはダムのない河川でも、同じような洪水は発生しているわけであります。われわれといたしまして、やはりこういう災害対策につきましては総合的な対策というものが必要なのではないかというふうに思います。特に、先ほどもお話に出ましたけれども、やはり砂防とか植林とかあるいは河川改修治水ダムを含みます総合的な計画というものが、治水対策としては非常に大切なことだというふうに思っておるわけでございます。われわれ発電ダムといたしましても、利水ダムとしての電力需給の義務というものを持っておりますので、その範囲内においての治水の協力というものはもちろんしておるわけでございます。ダム操作規程に基づいてそれは実施しているわけでございます。  現在、われわれが利水ダムとして治水に協力のできることはどういうようなことであるだろうか。もちろん操作規程の中にもいろいろ命じてありますけれども、今後ともわれわれはこういう点についてはさらに協力をしていこうというふうに思っているわけでありますが、その点につきましては、現在も監督官庁とも種々打ち合わせまして、予備低下水位を若干余裕のあるものにしよう。  それから、最もわれわれが強化をしようと思っておりますのは、通警報の強化であります。これはその基本に、いわゆる天気予報予報という非常に重要な問題を含んでおりまして、それを受けていろいろわれわれも通警報をするわけでありますけれども、通警報の強化につきましては、われわれとしましては通知、通報さまざまとありますけれども、さらにサイレン、あるいはサイレンだけでなくスピーカーあるいはパトロールカーを通しまして、それによって地域住民に周知徹底をはかる。あるいはある場所におきましては、モニター制のようなことを地域住民の方にお願いしまして、地域住民と一体になって、洪水の出方とかあるいは天気予報の予測とか、そういうようなことを周知していただくというようなことに拡充強化をしようと考えております。  さらに、出水期の前には下流住民の方と合同で協議会を持ちまして、その上流にあるダムの性格、これはこういうダムであってこういう運転方法をするものである、こういう時期に皆さんにこういうことを御連絡を申し上げますというようなことを徹底して周知させていただきまして、そしてやはり災害対策の一助になるであろうというふうにわれわれは思っておるわけであります。  ここで一言つけ加えさせていただきたいと思いますのは、この予備低下ということでございますけれども、われわれのほうでも、大きな洪水によるダム災害のほかに、初期放流による下流への影響ということも非常に重要な問題を含んでおりまして、最初のいわゆる初期放流時代には、河川の水がないところに最初の水が流れますので、比較的大きな水位の変化を来たし、そういうことによって河川を利用しておられる方に非常に大きな影響を与えるというようなこともありますので、予備放流に伴う最初放流ということも非常に重要な問題であるというふうにわれわれは考えております。  以上のようなことで、われわれ利水ダムとしましても、治水にできるだけの協力をするような態度はとっているわけであります。  なお、今後ともわれわれは、やはり水力発電は必要なものだと思っておりますので、やはり開発をしていきたいというふうに考えておりますけれども、今後の開発につきましては、小さな発電所とか小さなダム等は別といたしまして、大きな貯水池式で発電する場合におきましては、もちろん治水あるいはその他の利水等と共同いたしまして総合開発の方向に進んでいく、われわれ水力発電の大きな貯水池計画の場合にはそういう方向が適正ではないか、やはり治水と電力需給というものが両立するような開発でわれわれも進めていかなければならないというふうに思っておりますので、そういう方向に今後は進ませていただきたいというふうに思います。  なお、最後に、先ほども話が出ておりましたが、予報といいますか、あるいは集中豪雨といいますか、いま現在の段階で予報精度が困難な問題でありますので、これも今後やはり何か精度を高め、あるいは観測網を充実し、あらゆる研究を今後ともすべき問題ではないかというふうに考えております。  非常に簡単で、説明不十分で理解していただけない問題があったと思いますけれども、これで私の説明を終わらせていただきます。
  14. 大原亨

    大原委員長 これにて参考人からの意見聴取は終わりました。     —————————————
  15. 大原亨

    大原委員長 参考人各位に対して質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤井勝志君。
  16. 藤井勝志

    藤井委員 ただいま参考人から貴重な御意見を承りまして、特に土木工学の御専門の高橋参考人金丸参考人には、専門の立場からきわめて示唆に富んだ御発言をいただきまして、ありがとうございます。  時間がたいへん制限されておりますので、また、きょうは参考人に対する質問ということが主体でございますから、ダム操作規程を洗い直そうではないかということは、先年の七月二十七日だったと思いますが、当災害対策特別委員会として、私も発言いたしましたし、いま委員長になっておられます大原先生からもお話がございましたが、これはおそらく相当前に建設省は結論を出しておられると思いますから、こういう建設省に対する質問がほんとうは結論めいてくるわけでございますけれども、そのことはきょうは割愛をいたしまして、ひとつ高橋参考人金丸参考人に……。  ただいま鶴田ダム被災者同盟連絡協議会の会長の松崎参考人から、具体的な事例をあげて、ダム災害は人災の部面が多分にある、こういう立論をされました。私も実は岡山県の新成羽川ダム、この災害の直後現場を見まして、やはり人災の面が相当ある。一応当時、県並びに建設省のほうも、流入量と放流量とがイコールであるから、ダムがあるなしにかかわらず、やはり雨がたくさん降ったんじゃ、こういう説明なのです。簡単にいえば。これではどうしても、私自身土木工学の専門家ではございませんけれども、現場を見たあの災害状態から、納得いかない。  と申しますのは、長く私が言うことは時間がなにですが、ともかく、あれだけの大きな水をためておる。それで、雨が長降りをしますし、集中豪雨もする。特に最近は全国的に集中豪雨という、こういう状態でございます。したがって、特に新成羽川ダムの場合は、治山、治水考えておらない、利水だけを考えダムであったわけでございますから、これが、自然に谷川の水がたまってふえて流れていくのと、あれだけの大きな構築物をしてゲートをあけたり閉めたりする、これまた人間がつくった操作規程をよりどころにしてやっていくという、こういった場合は、やはり人間がやるのですから、やはり人災が起こるということは当然だと思うのです。  これは現場の災害状態を見て、われわれは人間的に直観をいたすわけでございまして、そういう点について先ほど鶴田ダム松崎参考人が具体的な提案をされておりますから、時間の倹約上私は繰り返しませんが、それに対して高橋参考人金丸参考人から簡単に御意見を承りたいと思います。
  17. 高橋裕

    高橋参考人 川内川鶴田ダム下流災害に関連して、鶴田ダムが人災の原因になっていたかどうかという御質問かと思いますが、一般災害が天災か人災か、イエスかノーかということを一言で言うことは困難でございますが、特にたとえば鶴田ダムの場合ですと、これは結果論でものを言うのはやさしゅうございますが、結果的には最後の一番大きな流入量をそのまま出してしまうということになった、その結果を見れば、もっと適切な操作があり得たのではないかということは、あとから言うことはできます。ただ、雨量の予測その他が十分に確実でない時点においては、それだけではいささか結果論になるかと思います。  なお、鶴田ダムの場合は、私は全国そう丁寧に調べているわけではございませんが、川内川というのは、日本の多くの川の中でも、現段階において非常に治水のむずかしい川であると思います。  それは第一には、自然地形が五カ所ほど狭窄部があって、そして従来改修とか、ダムができない時代におきましては、つまり昭和三十二年以前の段階においては、そういう自然の地形というものにできるだけ即応するような土地の利用、あるいは洪水に対する姿勢が非常にとられていたところであります。改修が幾分おくれたといいますか、ほかの川に比べまして河川改修あるいはダム開発というのが幾分おくれたといいますか、非常にむずかしい川で、しかも、かってはいろいろはんらんがあっても、それがすぐには水害にならないような形で土地の利用なりあるいは住まい方ができていた。  そこで、川内市では、昭和三十二年ごろに堤防ができ上がる、そうしますと、それによって土地の利用度は高まりますけれども、また一方、自然地形からくる治水のむずかしさが減ったわけではない。また、鶴田ダムというダムをつくることは、下流への洪水の低減をねらったものではありますけれども、ある意味で狭窄部をさらに一つつくったということにもなりかねない。  それで、ダムをつくりますと下流洪水流の出方が変わることは、これは自然の狭窄部の場合とは異なり、ある意味では当然であります。ただ、その出方が、一応の放流計画においては考慮されているはずでございますけれども、あそこの川の従来の雨の降り方を見ますと、上流の、ある支川に降ることがあるかと思うと、本川筋に降る、あるいは下流、つまり鶴田ダムより下流の支川に降るというように、非常にいろいろなケースがある。しかも、もともと狭窄部がたいへんたくさんある川で、元来はああいう多目的ダムというのは、私は先ほど、非常に限界があるということを言いましたけれども、川内川の場合は一そうその限界がきびしい川であると私は考えております。  したがって、こういうものの洪水調節考えるにあたっては、画一的ではなくて、むしろ——一般にやや画一的あるいは形式的な計画が往々に行なわれているように思います。ああいう川では、もっと治水容量というものは初めから多くとるべきである。ただ、私は、治水容量を少々多くとったぐらいで、あの川の下流洪水は絶滅するものではないと思います。とりわけ非常にむずかしい川である。なるがゆえに、もっとほかの川以上に治水に対して厳密に考えていかなければならぬというふうに考えております。
  18. 藤井勝志

    藤井委員 金丸参考人には、この問題でまたやっていただいていると、もう時間がなくなってしまいますので、新成羽川ダム——広島大学の先生ですから、おそらく現場へも御調査願っておるのではないかと思いますが、私はあの渓谷の状態を見ましても、もともとあれを利水ダムということで計画をしたこと自体に重大な問題があるんではないかというふうにずっと考えております。この問題は、すでに委員会でも当局と話をしておって、結論は出ておりませんが、金丸参考人は、利水ダム計画を立てたということに対する是非論ですね。私は専門家でないですから、結果を見て初めてわかったんだけれども、専門家がああいう計画を立てるんなら——ああいう立地条件のところ、渓谷の状態を見て、利水だけで考えるということは、まさに産業優先、人間不在、こういった考え方がもうありありと出ておる。だから、基本を洗い直すというのは、ただダム操作規程を洗い直すだけでなくて、あのダム計画そのものを一ぺん洗い直すということが必要ではないかというふうに私は思うのです。金丸参考人、どうお考えでしょうか。
  19. 金丸昭治

    金丸参考人 ただいまの御質問、非常にむずかしい御質問でございまして、あの場所で利水専用ダムを築造するのが学問的に妥当であるかどうかということは、実は私は的確な御返答ができかねるわけでありまして、ただ、上流部という位置ではなくて、中流部にかかるところでああいうかなりの貯水容量を持つダムを築造されたということに対しては、御質問のときに御意見をお述べになりましたような危険性を、多少私も感じます。ただし、詳しい検討をしたことがございませんので、はなはだ御期待に沿いかねますけれども、利水ダム築造の是非は、実は的確なお答えができません。申しわけありません。
  20. 藤井勝志

    藤井委員 実はこの「新成羽川地点計画概要書」というのが、昭和三十七年、中国電力があそこにダムをつくるとき出されておるのですね。その中で、このダムの型式ですね、中央越流型アーチ式コンクリートダムというのが、新成羽川ダムの地点のやつですね。下流にもう二つある。これは越流型可動扉付重力式コンクリートと、こうなっておるのですね。専門でないからわからぬのですけれども、これちょっと見ると、この新成羽川ダム、あの一番上流ですね、大きいやつですが、これはもともととびらをつけないという、こういう計画ではなかったのか、こういうふうにしろうとでは思うのですが、これはどうこの書き方を理解したらいいか。昭和三十七年の計画書の中に入っておるのですが、金丸参考人にひとつお尋ねしたいのです。しろうとの質問ですから、見当がつかなければ見当がつかないでいいですよ、前に進めますから……。
  21. 金丸昭治

    金丸参考人 当初の計画がいかがなものであったかということは、実は詳しいことは存じておりませんけれども、中央越流型アーチ式コンクリートダム、これは、このことばだけから感じますと、中央部に越流部分がある。そこにゲートがあるかないかということでございますが、この文面だけでは、いま御指摘のように、通称坊主ダムといわれるようなものであるか、ゲートがあるかということは、厳密にはわかりませんけれども、私の感じで申し上げますと、中央越流型といいますと、越流部を中央に持ってきた形というふうに感じますので、たぶんゲート計画されていたような気がいたします。ゲート設置でございますね。ゲートなしで、通称われわれはまる坊主といいますけれども、そういうダムではないような気がいたします。
  22. 藤井勝志

    藤井委員 その三通りですね。三カ所の地点に書いてある型式が、この新成羽川ダムの一番上流地点ですね、この書き方が違うのですね、これはどう理解したらいいのですか。
  23. 金丸昭治

    金丸参考人 川戸地点では越流型可動扉付重力式コンクリートダム。アーチ式あるいは重力式というのはダム自体の構造に関することばでございますが、いま御指摘の点は、中央越流型ということばと越流型可動扉付ということでございますね。だから、いま御指摘のように、中央越流型ということばだけでは、とびらがあるかないかというのは決しかねます。初めに申し上げましたように、そう解釈いたしますが、あらためて御指摘の越流型可動扉付ということばを他の地点で使っておられるということで、まあ初めに申し上げましたように、はっきり書いてあれば扉付、ただ中央越流型というだけでは、とびらがあったかないかということは決しかねますということにいたしたいと思います。
  24. 藤井勝志

    藤井委員 そこで、私は、一つの事実を発見したというか、確認したいと思うのですけれども、三つ並べて、とびらが必要ならば、計画書ですから、そこへとびらは書くべきだったと思う。書いてないというのは、これはちょっと私は問題点があるんではないか。  と申しますのは、去年の災害にこりまして、今度岡山県で県ダム放流コントロールシステム研究協議会というのをつくって、そうして雨が予想されたら事前に予備放流して、水位を満水状態から四メートル下げるということになっている。去年は一・九メートルしか下げなかった。私は四メートルでは足らないと思う。むしろゲートの七メートル、これはひとつ天気予報を見て予想される時分には下げてしまうことが適当ではないか。何とならば、治水関係考えておらない、利水だけしか考えておらないダムであるがゆえに、水位を四メートルぐらい下げたのでは、これは県のほうの協議会で一応案を出しておられるようでありますけれども、これが問題ではないかと思いますが、この点が一つ。まあそれをひとつ、ちょっと私の疑問にお答え願いたいと思うのです。
  25. 金丸昭治

    金丸参考人 実は本日、個々ダムについての具体的なお話はなかろうという想像で参りましたので、詳しい資料を持ち合わせておりませんけれども、実は私もダムコントロールシステム協議会専門委員会のメンバーでございますので、資料がなくとも多少その辺の御答弁はできますが、個々ダムについての検討を具体的にしてもよろしいですか。
  26. 大原亨

    大原委員長 よろしいです。
  27. 金丸昭治

    金丸参考人 新成羽川ダムにおきましては、常時満水位より四メートルばかり水位を低下させて洪水を迎えるという案は、実は専門委員会としても一応きめております。それは、下げました水位が、先ほど私の意見として述べましたように、いわゆるHSになっておるわけであります。したがって、洪水が開始される、つまり流入量がほぼ下流無害流量に達した時点から一応洪水というふうに定義するならば、その時点HS水位になっておりますれば、ゲートを開放してしまうことが可能であります。急に流量がふえるわけではありません。それからはいわゆる自然調節に移ることができるという水位でございますので恥を採用した、それがいま御指摘の四メートル下がりということになっておるわけであります。  以上でございます。
  28. 藤井勝志

    藤井委員 先ほど鶴田ダム関係参考人からもお話がありましたが、洪水時にはゲート操作をやらないで、ダム流入量をダムから放流さす、自然放流ですね。この洪水時という、これはだれがどういう方法で判定して、そして自然放流に移動さすのか。これが電力会社にだけまかしておると——操作規程からいえば電力会社がやることになりますね。そうすると電力会社のほうでは、一附何百万、一雨何千万、こういう発想でものを考えるのが、営利会社の一つのたてまえです。もちろん、公共性は一応言われますよ。しかし、どうしてもそうなりがちです。いい、悪いじゃない。人情の常です。したがって、洪水時というものの判定は、どういう時点洪水時であり、だれがそれをどういう方法で判定するのか、判定したりいいのか、これをひとつどちらかお一人と、それから先ほどおっしゃった鶴田ダム関係の方、それから被災者事務局の国実参考人、この辺から、現場のいろいろなにを聞いておられましょうから、どうやったら一番その目的を達しられる方法かということに、何か参考になる御意見があったらお聞かせ願いたい、こう思います。
  29. 松崎仁

    松崎参考人 鶴田ダムの場合は、流入量が六百トンに達したならばいわゆる洪水警戒体制に入るわけです。したがって、洪水というのは六百トン流入からになるわけでございます。
  30. 国実明

    国実参考人 中国電力の太田川におきます立岩ダム操作規程によりましたら、「(洪水および洪水時)」という項目の第四条に、「この規程において「洪水」とは、貯水池への流入量(以下「流入量」という。)が三四〇立法メートル/S以上であることをいい、「洪水時」とは、洪水が発生しているときをいう。」こういうふうにきめられております。先ほど藤井先生の御指摘になりました洪水時を決定する一つの基準が、この操作規程の中には全く盛り込まれていない。したがいまして、私どもしろうとが、かりに毎秒三百四十トンの水が大きなダムの中に流れ込むというのはどういう形になるのであろうか、あるいはそれをどういうふうにしたらわれわれがそれを見ることができるのであろうかという、一つのきめ手になるものが何もございません。そうしたものが非常に不明確である。これは一応確立された算式に基づいて定められているものであることは間違いないのでございましょうけれども、要するに、これを一般の人間がはっきり指摘して、その洪水量の計算がされるゆえんがわからないということは、私どもはっきり申し上げておきます。
  31. 金丸昭治

    金丸参考人 洪水時ということの定義でございますが、実は各河川で書いてありますのは、国実参考人から御説明がありましたように、各操作規程に一応数字で明記してあります。その根拠については、実は私から申し上げる筋のものではないかもしれませんけれども、専門委員会等で議論しておりまし先内容から私が推察いたしますと、ダム下流地点において災害が発生しない流量というふうに私は感じております。厳密には、おそらく建設省あたりでお考えになった量だと考えております。  以上です。
  32. 藤井勝志

    藤井委員 時間がちょっとはみ出しまして申しわけございませんが、もう一つだけ最後に、関西電力の参考人の方にひとつお考えをお聞きしておきたいと思います。これは電力事業連合会ですか、こういう団体がありますから、きょうはその関係のお一人がおいでになっておりますから、それを窓口として電力事業関係の団体でひとつ御検討願いたい、こういう意味を含めて私が意見を述べまして、その取り扱い方の御返答を願いたいと思います。  第一は、現在もうすでにつゆに入っておるわけですね。去年災害を受けた地域は自主防衛ということで、メガホンを持って、そして監視体制を強化する、そうしなければとても安心して眠れぬという、こういう段取りで現在やっておることは、私の地元の地方新聞からも情報を、写真入りのものを私は入手しているのです。昨今の社会情勢は無過失責任、公害に対する無過失責任制度という思想が現に定着をしておるわけですから、こういうことに対して電力会社としては、電力会社だけでは手が届かない、やはり下流地域住民——あれだけの構築物をつくって大きな事業をやっておるわけなんです、事業経営をやっておるのですから、その電力会社は、社会的責任において下流地域の人たちと一体となって、自主防衛に対する積極的な参加、もちろん、電力会社の参加ということは結局お金を出すということになってくると思うのですけれども、そういうことに対してひとつ内部で御相談を願いたい、これが第一点。  第二は、いろいろくふうし、操作規程を洗い直してやっても、あれだけの大きなものを上流地帯に置いておるのですから、しかも、それによって事業を五十年、六十年やるのですから、そのうちに災害が起こる。こういった場合に、やはり電気事業関係が連帯責任において、その災害に対して、特に個人災害に対して会社が内部に災害補償の積み立て金をする。これは税制上損金算入、いろいろ方法があると思うのです。そういうことをやる社会的必要があるのではないかというふうに私は思う。これに対してひとつ部内で御検討願いたい、こう思います。  この二つについて関西電力の参考人の方からお答えを願いまして、私の質問を終わります。
  33. 吉田登

    吉田参考人 私は、土木が専門でありまして技術屋でありますので、先ほどの御質問、非常にむずかしい問題でありますので答えにくいかと思いますが、内部で相談をしろということでございますが、いままで電気事業連合会を中心にしまして、昨年の七月に災害がありましてから、いろいろと各電力会社寄って検討もいたしておりますし、監督官庁とのいろいろまた御指示を受けたり御相談もしたりしておりまして、下流地域住民との連携というようなことにつきましては、先ほども述べさせていただきましたけれども、各電力会社とも十分にやろうというふうにいたしておりまして、通知、通報等を増強するとかパトロールをするとか、あるいは協議会をつくるとか、あらゆる方法で、地域住民と一体となるような方法を考えております。さらに何か相談をしてくれということでございますので、これは電気事業連合会を中心にしまして今後とも検討は続けていきたいというふうに思っております。  なお、二番目の積み立て金の問題につきましては、私もよくわかりませんので、これも電気事業連合会のほうに連絡しまして、また一応御意見を承ったということを伝えたいというふうに思っております。
  34. 大原亨

    大原委員長 次は、村山喜一君。
  35. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 きょうは、参考人の方々には御苦労さまでございました。  そこで、私いま御意見を承っております中で、どうしたら二度と同じような災害を繰り返さないようにすることができるだろうかということを考えながら、以下質問をしてまいりたいと思います。  私は、この前も建設省を相手にいたしまして、いままでのダム災害の類型をいろいろ調べてみたわけでございますが、それを中心にして質問をしてまいります。  それは、いま学者の参考人の方からもお話がありますように、構造上の問題がある、第二には操作規程上に問題がある、三番目には管理者が規程違反を侵したものがあるということで争いが出ている、そして四番目には河川管理全体の不十分さによる、こういうような類型に分けることができるのではなかろうかと思っておるわけでございます。  そこで法律事項を、どうしたらダム災害をなくすることができるかというので調べてみましたら、河川法の十六条に定める工事実施基本計画というものがございますが、直轄だけで百八河川がございます。いままで河川のそういうような洪水等の見直しをやりまして、ことしの三月、二回目のやつをやりましたが、それまで入れて二十三しか見直しがなされていないわけです。残りはそのまま、これからやるという形の中に放置をされている、これが一つございます。  それから第二には、河川法の五十二条によりまして、洪水調節のための指示権が建設大臣にあるんですが、いままでこれは発動したことがないという事実がございます。  それが河川法関係でございますが、特定多目的ダム法の三十条によりますと、操作基本原則というのが書いてございますが、これはもうどちらにも解釈ができるような形で法律ができております。だから、そこにも問題があるのではないかという指摘をいたしました。  そして、河川法の第三款を見てみますとダムに関する特則というのがございますが、これは、ダムというのは災害はないものだという前提に立って法律ができている。したがいまして、ダム設置する者の責任と義務というものが明確でない。それからダム管理に対する監督権というものは、これは一応ございますが、住民との接点の上において地方自治団体等の権限というのは及ばないのが主でございます。したがいまして、住民の立ち入り権とか調査権というのはもちろんない。そして管理ミスなり操作ミスによります補償責任というものについても、これは規定がないわけであります。そして立証責任は、これは被害を受けた者が立証しなければならないという形になっている。そして驚くべきことには、政令事項の中ではダム構造基準に関する政令というのは未制定でありまして、そして局長通達で処理をして指導をしているという状態にあります。そのほかいろいろな操作規程等の基準が定められておりますが、いずれもこれは、問題が残されているものが多いわけでございます。  そこで、こういうような災害が起こって住民運動が始まって、そしてもう一回河川状態を見直しをしようじゃないかというような状態がいまの日本河川行政の姿でありますが、その中で、法律の上でこのダム災害をなくすためにはどうしたらいいのかということを、立法府の私たちも真剣にいま考えておるわけでございますし、また、政府を督励いたしまして、全国の問題を起こしているようなダム等についても再点検をしてこの洪水時期に備えるように、要求をしているところでございます。  そこで、学者の高橋先生金丸先生からお伺いをいたしたいのでございますが、こういうような一連のダム災害に対する法的あるいは政令事項の中で不十分な点があると私たちは思っておりますが、両先生の御意見をお聞かせいただきたいのでございます。
  36. 高橋裕

    高橋参考人 いまいろいろ御指摘がございまして、御指摘の中には百八河川のうち二十三河川しか検討していない云々というような種類のものは、私が答えるべきことではなくて、幾つかのことは建設当局のお答えになることであろうかと思いますが、最後に総括して、こういうものの法とか、そういうものなどについての改正の必要性があるかどうか、ということにしぼってよろしゅうございましょうか。——一つは、法には運用の問題がございまして、たとえば河川法の五十二条がしばしば問題になるところであります。ただ、あの中でいろいろ定義その他に、五十二条に限りませんけれども、不明確な点が、法律の場合は常にある程度は伴う問題かと思いますが、たとえば緊急といっても何をもって緊急と考えるかというのは、それぞれの立場で都合よく考えることもできるわけであります。したがって、実際上はその運用によってまかなわれているというのが現状かと思いますが、ですから、まず、ある面ではその運用によっては、解釈によって、法を改正しなくても、いま御指摘のようによりよく災害を少なくするということができる面が相当あるであろうという点が一点。  それから第二点は、やはりダム操作規程あるいはそれらの中には、日本で特定多目的ダムができてまだ二十年にもなっておりませんので、いろいろの川でしばしば問題が起きておりますけれども、一つ一つの川については必ずしも十分の事例がない。鶴田ダムなどはむしろ例外で、しばしば問題を起こすというのは非常に例外なほうで、個々の川にとってはまだそうしばしば経験がない。こういう経験を通して、やはり一番いいのがどういうのかというので実際の運営ができていくんだろうと思います。実際に災害にあってから考えろ、そういう意味では毛頭ございません。  たとえば鶴田ダムあたりだいぶ問題になりますが、あれは四十七年以前にもしばしば、非常にむずかしい、つまり操作規程においてはたとえ違反しないにしても、神風運転的な非常にむずかしい運転をしていたということは、やはりああいう川の特性からして治水容量が不十分であったということだろうと思います。  たとえば五十二条でも、具体的にどういうふうにやれるか、あるいはさらに法よりもむしろ操作規程そのものの中に問題があって、それは幾つかの経験を経て——経験というのは、それはほかの川の経験ももちろん生きることでありますので、いまの洪水予報あるいは雨量の予報という面から見ては、やはり限界があった。そこで、いま、特に昨年の災害にかんがみては洗い直すべき点は多々あろうかと思います。  抽象論的なことでございましたが、そういうふうに考えております。
  37. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 金丸先生にまだお答えいただいておりませんが、先生、先ほど松崎参考人から、流入量の流量計算が七百七十万トン予測を違えておった、こういうような説明がございました。各府県の土木専門の職員の中でも、流量計算ができる職員は県庁に二、三人ぐらいしかいないといわれるぐらい、非常にむずかしいものだということを承っておりますが、特定の観測地点だけとらえて流量計算をする。それによりがたいときには、貯水池の変化によって修正をすることができるというような細則の定め、これが操作規則の現在の基本的な考え方なんですが、はたしてそれだけの流入量の計算が的確にできるものかどうかですね。天候その他、降雨量やら流速やらいろいろ計算の基礎には出てくると思うのでございますが、その的確性がどの程度科学的に信頼性がおけるものであるか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  38. 金丸昭治

    金丸参考人 お答えいたします。  一般に貯水池に入ってくる流量の計算は、いま御指摘のように二通りあろうかと思います。それは貯水池に流入する各河川流量を、流入地点より上流で測定ができるならば、そこで測定する。それはいわゆる河川流量測定といいまして、できれば河川構造物による、つまりせきのようなものがあれば、かなりいい精度で測定できるかと思います。普通の河道でございますと、河床変化の激しいところでは出水ごとに断面が変化するという点もありますので、その点ではかなり精度が低下いたします。  もう一つ、先ほど御指摘のように、貯水変化から流入量の測定をするという方法は、私の感じますところでは、流入河川で測定するよりは精度は高いであろう。それは原理の説明になりますと、ちょっと口ではむずかしくなるわけでございますが、簡単な算数で説明しますと、流入量から貯水量、刻々と貯水池にたまる量を差し引いた値が放流量、つまり放流量と貯留量を加えますと流入量になるという算数でございます。したがって、貯水変化を刻々とはかり、それから、貯水とゲート開度によりまして放流量がわかるということから流入量を予測するのが、どちらかといえば精度は高いかと思います。  そういうことで、二通りの方法がありますが、時間的余裕はどちらがあるかといいますと、流入河川のかなり上流地点で流量を測定するほうが、操作上の余裕時間は多くとれるということになります。それだけの違い、それから精度上の違いは、先ほど言いましたように、あります。余裕時間は多くとれるけれども、精度に多少難点があるというのが、流入河川上流部で測定する方法。一長一短ございますが、そういう特徴はございます。
  39. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 松崎参考人にお伺いしますが、井ぜきみたいなところがあれば、河床の変化というものが伴わないからわりあいに正確に出せる、全くそのとおりだろうと思いますが、この鈴之瀬の流量観測所はどういう状態を呈しておるのか。現在の細則のきめ方では、鈴之瀬の流量観測所のものが基礎であって、貯水池における水位変化をとらえるものはあくまでも補助的な役割りになっているという施行細則でありますが、その状況は、的確にそこら辺が把握できないようなものをもとにして流入量を計算しておるとするならば、これはダム管理についてのきわめて不正確な数字を出すことによって非常な損害を与えたということになるわけでございますが、その鈴之瀬の河床の状態等はどういうふうになっているというふうに見ておられるわけでございますか。
  40. 松崎仁

    松崎参考人 私、鈴之瀬の状況は全然わからないのでございますが、先ほど申しましたとおり、この流入量一億六千三百四十四万トンは、私の計算いたしましたものと、建設省の管理事務所の平という方がいらっしゃいますが、この方の計算したものと、幾分違いまして、これでは問題があるじゃないかということで、ダムの管理事務所側から資料を提出いただいた流入量が一億六千三百四十四万トンでございます。
  41. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 松崎さんは流量計算ができる方でございますのできょう来ていただいたわけでございますが、この七百七十万トンの問題は、その原因がどこに責任があるのかということを明確にすることになりますので、そこら辺についてはさらに御検討を願っておきたいと思います。  そこで、参考人吉田さんにお尋ねをいたしますが、いま、私のほうで調べてみましたら、直轄河川ダムが三十三、それに水資源開発公団の分が五、府県の管理ダムが八十九、それに九電力が持っているダムが二百三十八、電源開発が三十五、公営電気事業として五十五、その他が二十二、いわゆる利水ダムが合計いたしまして三百五十ございます。直轄やその他を入れますと四百七十七のダムがある。そして、いま建設省が継続して工事をやり、計画をしているものは別個にまたございまして、それは、補助ダムまで入れてまいりますと、直轄分が七十三、補助多目的ダムが七十五、補助治水ダムが九十四、こういうことでございますが、この利水ダムですね、これはいま建設省のほうで調べてもらいましたら、十九カ所工事にかかっているということでございます。  そういたしますと、河川法の四十四条が制定をされる前につくられたダムというのは、利水ダムの場合には、大体そのダム自体の目的が発電用のダムということでつくってありますので、治水の面はほとんど考えないで、現在の河川状態を変化させないという限度においてつくられたものが大部分でございます。そうなってくると、治水能力はほとんどないというきわめて危険なダムだということで、この前も立岩ダムを聞いてみましたら、六十七センチしか治水容量はない。ということはほとんどないということです。  そういうような状態になっているのが私は多かろうと思うのでございますが、電力関係としては、自分のところのダムをどういうようなダムなんだということで点検をされて、そして建設省は、これは当然やりましょうが、いま現に権利者として使っていらっしゃるダムが、そういう集中豪雨等に対しては住民の安全をそこなうような形で運営をされているとするならば——先ほどお話がありましたように、循環性のエネルギーとして自然の、また国内の、そういうような資源の貴重な存  在としてのダムというものは私たち考えており  ますが、もうこれからは、そんなに災害を年々歳々繰り返されるような発電ダムであるならばお断わりをするということになってくると思うのですよ。それは国民にとっても、あなた方電力会社  にとってもたいへんなことだろうと思うのですが、特にそういうような意味において、この梅雨季に入りました今日、どのような点検活動を業界としてはなされ、そしてそれに対して点検をした結果、予備放流やその他の処置としてこういうふうにやるんだということで、関係住民にどの程度協議をなさっていらっしゃるのか、その点につ  いて明らかにしていただきたいと思います。
  42. 吉田登

    吉田参考人 非常に利水ダムの数が多いというお話がありました。先ほども申しましたように、貯水容量の小さいダムが非常に数が多くあります。これらにつきましても、古いダムにつきましても、一時やはり操作規程の見直しがありまして、河川従前機能を害しないようにあらためて見直して予備低下水位を変更したというような、そうした規程の改正をしておるところが相当たくさんあります。なお、昨年からの問題といたしましても、さらにその点を余裕のあるようにした点も相当あります。それに加えて、先ほど言いましたような通警報の強化を操作規程にまたさらにふやした点も相当あります。  しかし、それらだけにとどまらないで、われわれとしましても、やはり地域住民の方と密接な連絡をとつて、ダム操作というものはどういうものであり、どういうふうな水の流し方をしているものであるというようなことをよく連絡をして周知をして、その上に立って地域の方と一緒に災害対策をわれわれも協力しましょうというような態勢をとっておりまして、個々の発電所でどういうふうにしているかということは、ここにも資料はありませんし、時間の都合もあると思いますが、全般的には、やはりわれわれが力を入れていますのは、現在の通警報の強化ということに非常に力を入れてやっております。それで、先ほども言いましたようなパトロールを相当実施する。それからさらに、地域住民の方で協力していただけるところは、モニター制度のようなものを住民の方にお願いしまして、お互いの洪水予報の連絡をするとか、水位の変化を連絡していただくとか、やはりお互いの心と心が通うような方法でダム操作の万全を期したいというふうに思っております。  抽象的な発言ではございますけれども、そういうふうにわれわれも努力をいたしておりますので、御承知願いたいというふうに思います。
  43. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 先ほど高橋先生のほうからも御指摘がありましたように、やはり余裕のある計画というものをつくっておく必要があると思うのですよ。  いま、通報的な措置は十分に講ずるように、住民との対話を進めるようにということでございますが、もう一回九電力でも、自分たちダムは一体どういうような状態になっているかということを見直しをしていただきたいと思います。そうして、このダムについてはあぶないぞ、これはもっとこういうふうにしたほうがいいのではないかというようなことを、あなた方自身が住民に話をされ、納得をされるような意味において、やはり治水容量というものを、発電専用のダムの場合でもこの際お考えを願いたい。  そうしなければ、いま委員長のほうからの要請で、通産省と建設省調べてみたのですが、立岩ダムにかかる水利使用権の問題は、初め昭和四年から三十四年の七月まで三十年間とって、そのあと二十年間、三十四年の七月から五十四年の七月まで権利が認められているようでありますが、こういうようなのが、大臣の権限として、地方自治団体の意見も聞かないで自動的に認められるというような制度についても、私たちも立法の府としてメスを入れなければならぬ。それはやはり、設置をし、そういうような水利権を得ておるあなた方が、住民に対する安全というものの義務を十分にお考えをいただかなければ、これからまた去年のような、中国電力にかかわる大きな問題が出るような状態が出てきたら、新しいダムをつくろうと思っても、ダムはできませんよ。そして電力会社はまさに電気を売ることばかり、電力をつくることばかり考えているのじゃないか、そういう、社会公共性の上において反社会的な存在であるというレッテルを張られることになる。  だから、そういうような意味において、私は、現在使っていらっしゃるダム、これについてはぜひ、特に九電力の分が二百三十八あるのですから、これは電気事業界のほうとしては十分点検をしていただいて、万全の措置を特に講じていただくように要請をいたしまして、時間が参りましたので、私の質問を終わります。
  44. 大原亨

    大原委員長 次は、福岡義登君。
  45. 福岡義登

    ○福岡委員 参考人の皆さん、御苦労さんでございました。  まず、高橋先生金丸先生に御見解を聞かしていただきたい思います。  最近、洪水ごとに、ダム設置者あるいは監督官庁と地域住民の間にいろいろとトラブル、紛争があるのでありますが、その根本的な原因というものを立法府の私どももそれぞれ検討しておるのでございますが、幾つかあると思いますけれども、学者の立場として、どういうところに中心的な問題があるのであろうかということの御見解を聞かしていただきたいと思うのであります。たとえば、法制上の不備であるということも一つあると思いますし、あるいはダムそのものの構造上に問題があるのじゃないかということもあると思います。あるいは、先ほど来お話が出てまいりました操作規程その他の不備などもあるのではないか。さらにダム設置者、管理者のダム管理のあり方等々あると思うのでありますが、できるだけこうした紛争を解消していきたいという気持ちを持っておるのでありますが、その根本的なといいますか、中心的な問題点というものはどのように考えればいいのだろうか、お伺いをしたいと思います。
  46. 高橋裕

    高橋参考人 いろいろの問題点はすでに相当出ておりますが、最近のいわゆるダム災害をめぐる紛争がいろいろ起きている本質的な原因は何だろうかということの御質問かと思います。  私見を申しますと、それは法制上あるいはダム構造その他にも、個々にはそれぞれ若干の問題があろうかと思いますが、私は、冒頭に申し上げましたように、ダム効果について、どうも多くの人の期待が大き過ぎるということを申しましたが、それに象徴されますように、それは一つの例でありますけれども、計画をする者と、あるいは管理をする者と、それから実際に災害にあう流域住民との間に、どうもお互いの情報の交換といいますか、あるいは官庁側からいえばPRかもしれませんが、そういうものが非常に不足しておるように思います。それで、そういう管理者と住民とが相対峙するときは、不幸にしてそういう災害のあったあとでありまして、そういう状況ではどうしてもお互いに不信感になり、ほんとうのことがお互いに理解してもらえないという事態がしばしば起きているのではないか。もちろん、災害にあったとき以外でもお互いの交流は若干あることは私も知っておりますけれども、私は非常にそれが不足しておるように思います。つまり、計画を立てる段階あるいは何も具体的にダムをつくるとかいうことではなくて、常日ごろから、河川を管理しあるいは計画を立てる者は、そこに住む地域住民と語り合う姿勢が大事である。  明治、大正、昭和三十年くらいまでの状況というのは、そういう特に公共事業というものに対する信頼は相当に大きくて、どちらかといえば計画者のほうもよらしむべし、知らしむべからずという姿勢があったことはいなめないと思いますし、また、ある面でそれでもよかった。もちろん例外はございますけれども、大きな情勢としてはそれでよかったし、というのはまた、それが昭和三十年以降において、流域治水に限りませんけれども、治水に関しましても、流域治水環境というものが非常に大きく変化してきて、その段階では住民個々が川に対してどういう要望を持ち、災害のときにどういう状況になって災害にあうかということを、かなり綿密に知らずして、治水は立てられない状況になってきていると思います。しかし、その段階でも、まだ十分にその間の疎通は行なわれていない。  こういうところで外国の例を持ち出すのは適当かどうかは知りませんが、欧米では、計画者と流域住民の常日ごろの心の通いというのは、一般的にもっとずっといいように思います。つまり個々の中、これは事件が起きるときあるいは具体的な工事をする、あるいは住民のほうがこの堤防をどうしてくれというようなときでは、どうしてもある程度利害関係も入って、話がスムーズにいかない。ですから、治水担当者は、常日ごろから住民に語りかけて、どういうところで困っているかということを聞く姿勢が大事でありますし、また住民のほうも、災害のとき、これは大災害にあったときでなくて、自分らは川に対してこういう要望をしている、こういうことをされるとこういうことが起こってくるということを、常日ごろからよく両方が知らせ合う、そして話し合う場が必要であろうと思うのです。  ところが、治水当局のほうにとってみれば、おそらくは流域住民は、上流、中流、下流、それぞれいろいろな要求を持っていて、その間には、治水当局の立場から見ると対立した要望が出てくると思います。これは現在に限らず、江戸時代以来、上流下流流域住民がしばしば対立するということは、ある意味では避けられない状況にあります。したがって、治水当局というのはそういうのをよく聞いて——個々のを全部聞くということは、聞き切れないはずです。それは、個々に問題か起こって、それぞれに対処すると、話がたいへん通わない、複雑なものになりますから、治水当局は一貫した信念を持って、しかもその情報は住民から常に得て、語り合うという姿勢が足りないところが、したがって、そのダムの場合でももっと効果があるはずだったじゃないか、いや、いや、そんなに効果はないというのが、災害が起こったあとに常に繰り返されるのが不幸なことであるというふうに思っております。
  47. 金丸昭治

    金丸参考人 御指摘の紛争の原因、これは法制上の欠陥あるいはダム管理という構造上の欠点、操作規程の不備というふうなことがあるのじゃないかという御指摘で、いま高橋先生から法制上の問題、あるいは広い意味でのダム管理という点について、全般的な御意見を述べられました。私も同感でございます。  もう一つ、構造上の問題があるのじゃないかという御指摘でございますが、貯水容量の決定にあたりましては、やはり過去のデータに基づいて、この程度が適当であろうという判断に基づいてきめられるものでございまして、たまたま昨年の大洪水によってその計画が変わったからといって、私どもは、もとの計画が不備であったとは簡単には判断いたしません。したがって、昨年の出水にかんがみて、あらためて貯水容量等の計画をこういうふうに変えたらいかがですかという点につきましては、先ほど私、意見のところで述べておきました。操作規程につきましても、貯水容量の小さいダムにおきましては、自然調節方式がいいのじゃないかという意見を述べておきました。そういうふうな改良によって、紛争の原因の一つ一つが解決されていくことを、私どもも望んでおるわけであります。以上です。
  48. 福岡義登

    ○福岡委員 ありがとうございました。  次は、関西電力の吉田常務さんにお尋ねをしたいのですが、昨年の七月の豪雨のときに、これは関西電力ではなくて中国電力なんですが、太田川にダム操作規程に違反しまして放流をしておきながら、被災者に対しましては操作規程に違反してない——これは今後順次明らかになっていくと思うのでありますが、そういう高姿勢で臨み、みずからの非を反省していない。そればかりか、防災に対する責任とかあるいは道義的な責任も感じていないような態度が見受けられたわけであります。電力の企業者の一人といたしまして、あなたはどういうような御見解でおられるのであろうか。先ほども村山先生から御指摘がありましたが、いわゆる利水、防災というようなものが軽視されて、営利といいますか、企業目的があまりにも先行しておるのではないかということから、関係住民の人の電力企業に対する不信感も相当大きいものがあることを否定できないと思うのですが、基本的な姿勢としてどう考えておられるかということが一つ。  それからもう一つは、これも中国電力の話なんですが、立岩ダムの問題のときに、予備放流に対しまして一つの見解を述べておる。それによりますと、予備放流をしまして、もしそれがから降りに終わったときに、その補償は一体どうしてくれるのか、予備放流に対してから降りであったときの補償がある程度約束をされなければ、軽々に予備放流をすることができない、こういうことを具体的に示しておるのでありますけれども、中国電力の例で関西電力のあなたにお伺いするのは恐縮かもしれませんが、一般論としてどういうようにお考えになりますか、聞かしていただきたいと思います。
  49. 吉田登

    吉田参考人 中国電力の様子を詳しく知りませんので、一般論としてお答えしたいと思うのですが、先ほどからいろいろありますように、ダム災害というようなことでダム設置者に対する不信感があるという、これにつきましては、実はわれわれも非常に残念に思っているところでありまして、洪水時、特にこの治水というものに対しましては、われわれも、われわれのできる範囲での全努力をしているつもりでおりますし、中国電力でも同じような努力をしておられると思います。  なお、ダムという工作物そのものが洪水に対しまして安全であるということは絶対必要なことでありますので、洪水時にはできるだけ余裕のある操作をするというのが、やはりダム管理をする上での非常に大切なことでありますので、そのことは反面では、治水の協力という面も出てくることであります。  ただ、非常に大きな洪水が出ますと、その出方、さっきもいろいろ二山、三山というふうな話がありましたが、洪水の出方とかそのときの予報の精度とかいろいろな問題がありまして、非常に確率は少ないかとも思いますけれども、悪いことが重なって、ダム災害というようなことで不信感を抱かれるというようなことにつきましては、われわれは今後もさらにそういう点は努力をして、先ほども先生方からもありましたように、やはり常日ごろのお互いの交流というものを心がけて、ダム洪水時にはこういうことをしているんだということをほんとうに知っていただくことが非常に大切だと思います。  抽象的なことで、どうもはっきりしたお答えはできないというふうに思います。  第二の予備放流の問題でございますが、一口に予備放流といいましても、これはいろいろわれわれのほうではあるのですが、いわゆる最初の時期に、予備放流をしなければならないということが、これは操作規程できまっております。われわれはやはりそういうときに、操作規程にきめられているものよりも多少予裕を持って臨みたいというようなことは積極的にやっておりますので、そういうことについて、多少下げ過ぎだったとか、どうだとかこうだとかいうふうなことはもちろんないというふうに思いす。  ただ、ある程度洪水が進んできた段階において予備放流をやるかどうかという問題がありましたが、これにつきましては、われわれは、補償問題と同時に、やはり先の見通しというものが非常にむずかしいということがありますので、予備放流をするということは、ある時点では、現在ある洪水量にさらにプラスアルファをして流すということでございますので、その時点では人工洪水をつくるということになり、そういうことがひいては下流に悪い影響を及ぼすかもしれないというような問題を含んでおりますので、ある程度洪水が進んだ段階でかってに予備放流をするということは、非常に困難でもあるし、また危険を伴う問題だというふうに思っておりますので、やはりわれわれは、そういう段階では、操作規程にきめられたような方法で臨むのが最善ではないかというふうに考えております。  このから降りという意味の予備放流というのが、われわれとしてはちょっとよくわかりかねるのですが、非常に早い時期に、たとえば非常に確実に大きな洪水が出ることがわかっていて、やれといわれて下げてみた、ところが、非常に確実だと思っておったものがなかったいうようなことだと思いますが、そのときのやれといわれるのが何で出てくるのか、あるいは五十二条で出てくるのか、何で出てくるのか、その辺がはっきりしませんが、早い段階でこの予備低下するということは、また、非常に不確定な要素をたくさん持っておりまして、実際には非常に困難だというふうに思いますので、この問題は一がいにどうだということはなかなか言い切れないのじゃないかと思います。ただ、あまり予備放流をするとかいうことではなくして、ほんとうにそういうようなものが必要な地点、これは個別の地点でいろいろ状況が違うと思います。やはりそういうところでは、制限水位をするとかいうような方法での治水ダムというものが必要ではないかというふうに考えております。  何か答えにならないような点で、恐縮ですけれども……。
  50. 福岡義登

    ○福岡委員 ありがとうございました。時間もないので次へ進みたいと思います。  国実事務局長にちょっとお伺いしたいのですが、時間がございませんので簡単に申し上げます。  立岩ダムなど、昨年の洪水時における一連のダム放流問題が問題になっておるのでありますが、河川法百五条第三号の罰則規定に該当するものが相当あったように私は伺っておるのですが、どういう見解でおられるかということが一つであります。  第二番目には、いま申し上げました予備放流のことなんです。から降りの場合の補償もなければ予備放流しないという中国電力の言明の問題ですが、河川法第二条第二項との関係において国実事務局長はどういうふうにお考えになっておるかということをお伺いしたい。  それから二つ目なんですが、河川法五十二条その他たくさんの各条項にわたる改正、あるいはまたダム操作規程の改正を求められておるのでありますが、その中で特に強調されておる点はどういう点にあるのか、お伺いしたいと思います。
  51. 国実明

    国実参考人 ただいまご指摘いただきました河川法の中にございます百五条、罰則規定の第三号でございますけれども、第四十七条第三項、ダム操作規程に違反してダム操作した者という一つのあれがございます。これは私、詳細よく記憶していないのでございますが、たぶん三万円以下の罰金か何か、そんな数字が入っていたと思います。これに従いまして、中国地方建設局等にも災害後話し合ったわけでございますけれども、ダム操作規程という一つのワクで考えるのであって、たとえば中電立岩ダム操作規程が全条二十一条ございますが、この一条一条ごとに設けられたものではないということでございまして、総合的な判断の上で、たとえば通報の欠如があったというように、全体の上でその数が少なければ、総体的には操作違反は認めないというふうな姿勢を中国地建がとってきたということに対しまして、この罰則規定があるにもかかわらず、またよく調べてみますと、いままでこれが適用されたことがないという一つの前例もございまして、これがはっきりと五十二条と同じように形骸化している、設けられてありますものが使われたことがないというふうに、この罰則規定の内容が非常にあいまいであるということを非常に痛感しております。これは当然、各条項ごとについてはっきりしたものを設けられるのが適正ではないか、かように思っております。  それから第二点の、予備放流河川法第二条との関連でございますけれども、予備放流につきまして先ほど参考人の方にお尋ねになりましたが、私ども、災害にあいまして中国電力と話し合いました予備放流の観点につきましては、今回問題になりました四七災害の経過は、すでに七月六日、鹿児島川内川のはんらんを期して、山口県、島根、広島と順次異常気象条件が進んでまいりまして、前日の十日の日には山口県はだいぶはんらんを起こし、相当の降雨がございまして災害を起こしております。したがいまして、当然こうしたものが広島のほうにもやってきているということもありますし、また、災害の起きました十一日の午前七時には広島気象台より警報が発令されまして、それに基づいて広島県も即時水防対策本部を設置しております。こうした気象条件をよく把握し、情報を入手して、この気象条件に対して、予測される降雨に基づいたダムに対する流入量を早く予測して事前の防災対策をとるのが、操作規程のルールの第一観点となっておるわけでございます。  私どもが指摘いたしますのは、それだけ大量の水が押し寄せて、立岩ダムでは制御できないようなことが十分予測された。なぜその前にもっと水位を下げて、洪水調節ができるような状態で待ち受けてくれなかったのかと、こういうことをわれわれは主張したわけでございますけれども、この中電立岩ダムは当時、制御し切れない大量の水が押し寄せる条件の中でも、平常の操作と何ら変わりのない形で操作をやっていた。わずか六十四センチであれだけの大量の水を受けることを平常と変わらないようにやっていた。これはあくまでも満水維持を災害の発生する寸前まで続けたという一つの事例でございますけれども、これはあくまでも営利的な利水ダムでございますので、最後まで、予備放流をして水位の低下を、損失をできるだけ防ぐという電力企業考え方でございますけれども、そうしたことがよくわかっておるのをなぜ下げなかったか、そうすることによってなぜもっと災害を防止することに努力してくれなかったのか、こういうことを問いましたら、中国電力は、たとえあの時点にそれだけの水が入ってくることが予測されても、ただでは水は下げないのだ、国が補償するなり、県が補償するなり、あなた方が補償するなり、それだけの、水を下げるだけの金を出してくれたらこれは下げましょう、でなかったら、いかに災害が発生する危険性があろうとも電力企業の判断一つでこれは下げません、こういうふうな一つの態度を示してまいりました。  これは河川法の第二条の二項目だったと思いますけれども、「河川は、公共用物であって、その保全、利用その他の管理は、前条の目的が達成されるように適正に行なわれなければならない。」これが第二条でございますけれども、二項目に「河川の流水は、私権の目的となることができない。」ということを定めております。われわれが、その関連をどういうふうに考えておりますかと申し上げましたら、電力企業災害防止するために水を放流することを渋るということは、電力企業の言い分といたしましては、その水量によって換算されます電力料金の損失、これを主張しております。  しかしながら、これがほんとうに予備放流することによって水が少なくなる、から降りに終わって水が入らなかった、そのために電力が結局足らないということで主張されるのでありましたら、たとえば一千万トン抜いたことによって電力が何キロワット不足したということになりましたら、この電力量を他の形で補うために必要な経費であるならば、私は当然これはもう補償がいわれるかもわからぬ。というよりも、そのかわりの電力を補うために必要な金であるならばしかたがないかもわからないということは、われわれは思います。これだけ水を抜いたことによってこれだけの電力が不足したんだから、これだけの電力を一般社会へ供給するためには、たとえば火力で石油を何方トンかたかなければいけないんだ、その石油代が要るから、じゃあそれを回してくれ、それならわかるのでございますけれども、電力の主張はそうではない。  ただいまも吉田参考人のほうからお話ございますけれども、そうしたことを指示されと言われる根拠がよくわからないので、はっきりは言えないけれどもというようなお話がございましたけれども、指示するんであれば責任をとれという言い方が、すでに、防災、災害防止するためにはそういうことを考えてはいけないのだという観点が少ないのじゃないか、私どもはこう思っておりますけれども、そうした観点から、この二条は非常に公共用物である水——これは中国電力、われわれが対象にしております中国電力のものではない。水はあくまでも国民のものであり、これは公共福祉のために電力として還元されることにおいてのみ利水権は正当化される。しかし、これがただ電力企業の電力の損金に対して主張される場合は、これはあくまで電力企業の営利の範囲内である、こういうふうに思っております。でありますから、ダムに入る水の低下の云々、不足の云々で電力料金の補償をはっきりと要求するという態度があるならば、このダムの中に入ってきて制御できなかってあふれ出た水に対する、損害に対する責任は、私は当然追及されてしかるべきだと思う。その点の責任感は一向にまだ示してこないということで、道義的にも責任を何ら感じない。  長くなりましたけれども、二条との関係はそういうふうに思っておりますが、第三点の法改正は、こうしたことを問題にいたしまして、一番われわれが問題に考えておりますのは、やはり河川法第四十七条と五十二条でございます。  四十七条は、これは当然ダム操作規程を作成し、そのダム操作規程によってダム運営をしなければならないというこの規則でございますけれども、これは電力側が作成したものを国が承認して、そのままそれを運営さすようにしておりますけれども、これは原則としてそうあってはならないというのがわれわれの観点でございまして、これはあくまでも国の政令で定めて、この地域のこのダムに対してはこういう条件もあるし、こういうふうな一つの問題もあるのだから、こういうふうな操作方法でやれというふうな一つの形にしていただきたい。これは河川法四十七条でございます。  もう一つ、河川法五十二条に対しましては、全くこれがいままで発動されていない。これはあくまでも国の指示権限を示した範囲内の法であると私は解釈しておりますけれども、災害を防止するために監督官庁がこれを発動し得ないことの一つの理由が、先ほど申しました第二条との関連による予備放流の電力企業の補償の要求の問題でございます。これは広島県でも一例、なぜ予備放流の指示をしなかったか、こういうことを議論したわけでございますけれども、もしから降りに終わったときに中国電力が補償を要求されたときには責任がとれない、だからうかつにそういうことを部課長クラスの者が指示権限ができないのだ。じゃ局長はどうしたのかと言いましたけれども、局長も不在かどうかわかりませんけれども、そうしたことに対する協議はなされなかったという観点から、もうすでにこの五十二条というものは災害に対して常に考えられている法ではない。この法が一番けしからない。法自体よりも、これを発動し得ないことのほうが問題であろうと思います。  そうした観点において、この四十七条並びに五十二条の問題が一番大切だ、かように心得ております。
  52. 福岡義登

    ○福岡委員 終わります。
  53. 大原亨

    大原委員長 次に柴田睦夫君。
  54. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 参考人の皆さん、御帯労さまです。  いろいろ伺わしていただきましたが、このダムの取り扱いをめぐっても非常に重要な問題があるということが、よくわかったわけです。私たちは、この治水利水のかなめとなるダムにつきましては、関係地域住民を含めて民主的に計画し、建設し、管理し、住民のための治水利水を優先させることが必要だと思っているわけですが、時間が非常に制限されておりますので、二、三点質問させていただきます。  一つは、いまの河川法の五十二条というのがいろいろお話の中に出てまいりますが、要するに、洪水による災害が発生し、そのおそれがある場合に指示をすることができるというこの規定が、まだ一度も適用されない。  ところで、これまでの災害から見てみましても、洪水災害を予測するということは現状では非常に困難であるように思われるわけですが、現在の高度に発展してきました技術水準をフルに生かしたならば相当確度の高い予知も可能ではなかろうか、こう考えるのですが、むしろこれからどのような対策を講じていったら供水災害の確度の高い予知ができるか、そういう点についての御見解を、高橋先生金丸先生からお伺いしたいと思います。
  55. 高橋裕

    高橋参考人 洪水予報の精度向上でしょうか、主として。
  56. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 ええ。
  57. 高橋裕

    高橋参考人 一般的には雨量観測所をふやすとかあるいはいろいろ観測網を整備するということがよくいわれます。私もそれに少しも反対ではございません。当然、観測網を完備することによって、ある程度予報をいまよりはよくすることのできる川は幾つかあると思います。ただ、少し逆説的になりますが、あまりそれに期待をかけ過ぎるのはどうかという気もいたします。川によっていろいろございますから、もう少しこういうキーポイントを押えればかなりよくなるであろうという川もございますけれども、雨量予測というものには、これまた相当の限界があって、これは皆さん毎回御経験のように、気象予報というのは豪雨時でもそう的確に当たるものではない、見当としては当たりますけれども、どこの川のどの流域にどれだけ降るかということは、少々雨量観測網をふやしたぐらいで急に精度が上がるものであるとは私は考えておりません。私は気象が特別専門ではないので、気象の関係の方には若干失礼な発言になったかと思いますが、私は、観測網の充実はもちろん大事と思うけれども、それだけによって予報が急によくなるものとは、あまりこれ、期待をし過ぎてはいかぬ。  それで、五十二条を発動しないではないかという一つの問題点は、これは、たとえば予測ができれは非常に発動をしやすい。ほんとうに五十二条によって発動しても、それが十分効果をあげるためには、現在の雨量予測その他の段階からすれば、相当前の段階から、極端なことをいえば九州の南に台風があるころから水位を下げていかないと間に合わないくらいのが現状だと思います。したがって、実情に即するならば、やはり洪水調節ダムあるいは利水専用ダム治水への期待という面でも、いわゆる洪水期、六月から九月まで全部とは申しませんけれども、かなり前の段階から、台風が来たりあるいは梅雨前線があばれることがわかっていたら、その直前ではなくて、予報の精度からいって相当前の段階から、ダムの水位を現在普通考えられているよりも下げなければ、実質的な効果はあがらない。ただ五十二条をひねくり回すとかあるいは雨量観測網を若干ふやすというようなことですぐに効果があがるものではないと私は考えます。すぐに効果をあげるためには、かなり前の段階から水位を下げることを実現させる手を考えるべきことだ、そういうふうに考えます。
  58. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 特定多目的ダム法の三十条に多目的ダム操作について規定があって、その中で「ダム使用権を侵害しないように行わなければならない。」ということが書いてあって、これが私、問題だと思うのですけれども、結局は、住民の生命、財産を守っていくためには、洪水期などにおいては治水機能が十分果たされなければなりませんし、そのためには、生命、財産を守るという立場からダム使用権の制限というのが必要になってくると思うのですが、この点は高橋先生ダム使用権の制限も必要になってくるとお考えですか。
  59. 高橋裕

    高橋参考人 いままでも幾つか、特定多目的ダム法あるいは河川法に関連して問題が出ておりますように、私、法律の直接の専門家でないので、むしろ川の技術をやっておるものからという観点からは若干しろうと的な意見になりますが、少し勉強したところ、あるいはきょういろいろ伺っているところから判断いたしますと、これは解釈の問題になるのかもしれませんが、私がしろうとなりに解釈して厳密にいうと、この河川法、特定多目的ダム法、その他幾つかの法の間に、実際個々ダムケースを当てはめて考えると、若干の矛盾があるように思います。ただ、これは厳密にいえば、ほかの法体系でも、考えようによっては常にいろいろな矛盾はあるわけですけれども、それを解釈の幅でいろいろ運用しているのだと考えます。  そういうことで、いま特定多目的ダム法の三十条との関連の御質問ですが、たとえば「侵害」というのをどこをもって侵害というか、あるいは河川法の二条の解釈にしてもどの辺までふくらまして考えられるかというのは、たいへんしろうと意見で恐縮ですが、やはりそのときの社会情勢によって解釈の幅は変わるものだと思います。そういう観点に立ちますと、三十年代あるいは三十九年の河川法の改正の段階と現状では、いろいろ出てきた問題あるいは河川環境という面で、その解釈を幾ぶん修正しなければならない面が出ているのではないか。法をすぐに改正するのがいいのかどうかはちょっとわかりませんけれども、私は一等冒頭にも言いましたように、多目的ダムはもとよりのこと、この利水専用ダムにおいても、もう少し治水機能ができるような方向に運用すべきである、そういうふうに考えております。
  60. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 災害から住民の生命、財産を守るという立場から考えた場合に、いままでの話の中にも、ダム操作の問題が具体的に裁判にもなっている問題として、国実さんからお話がありましたけれども、被災者の団体の責任ある立場に立つ方として、非常に時間がなくなりましたので、ひとつ五分くらいで、ダム操作の問題についてお話し願いたいと思います。
  61. 国実明

    国実参考人 ただいま御指摘になりましたダム操作の問題等、いろいろ広範にございますけれども、一応私どもダム災害を受けました被災者の立場では、そのダム操作というものの考え方でございますけれども、電力企業考えているダム操作に対するものと、われわれが河川法並びにダム操作規程に目を通して考えたものとの大きな食い違いがまず第一にある。  これは、絶えずこうした問題が論議されておりますけれども、いつの場合でも、住民は電力企業が悪いと言っているわけでありますけれども、その場合、必らず電力企業といたしましては、確立されたダム操作規程があり、その操作規程のとおりの操作をやったので、当社には一切責任はない、こういうのをたてまえとして通してきております。  しかしながら、私どもがこのダム操作というものに対して、これをはっきりと規定づけておりますのが、ダム操作規程の作成とこれを運用していくという、河川法四十七条から始まっておりますけれども、このダム操作規程違反は即四十七条違反になるのであるかどうかという、また一つのはっきりした基準もない。逆にまた、このダム操作規程に対しましても、先ほどの百五条等の罰則規定がございますけれども、これも一つ一つ捨ってみますると該当するものが薄くなっていく。そうすると相対的に、このダム操作規程というものに対するものの考え方が非常に電力企業に有利につくられているのではないかというのが、われわれの観点でございます。  これは原則的に、電力企業が作成したものを国が承認するという形をとっております。先ほど話されましたような洪水上の問題にいたしましても、洪水が発生したところを洪水値といいますけれども、なぜ三百四十トンというのが無害流量であるのか、その根拠が何であるのかというのが実はよくわかりません。そうした一般住民にわからない、あるいはそのことをたてにとって、対立しましたときには断えず、おまえたちはしろうとなんだからというような立場できめつけを食っておるわけでございますけれども、そうしたように、ダム操作規程そのものが非常にあいまいである。四十三年度にもこうした委員会が設けられたように私、記憶しております。その当時、建設省の坂野河川局長でございましたか、その答弁の中にもやはり、確立されたダム操作規程のとおりにやったのだ、しかし結果としてはそういうふうな不祥事が起きたということに対しては、今後何らか改善していかなければいかないだろう、こういうふうな御答弁をされたということは、これは議事録にも残っていると思いますけれども、そうしたことが五年たちました現在においても一向に改善されていない。いつの場合でもこのダム操作規程というものが問題になる。しかし根本的な改善がされていない。これがために住民と電力企業がいつも対立している。その問題の中心は、やはりダム操作規程の中に定められております一つ一つの条項が、基準が一つもないということでございます。  その基準は何かと申しますと、やはり流入量の予測が、先ほど、たいへんむずかしいということを言われておりますけれども、操作規程には、この流入量を予測した上で操作しろというふうに定められております。その流入量の予測を間違った責任は、じゃどこにあるのか、間違って操作したことによった責任はどこがとるのかということも明確でございません。そうしたものをはっきりさせていただくようなダム操作規定でなかったら、今後とも、現状ではおそらく住民と電力企業の対立というものが続いていくのではないか、このように考えております。  そうした観点から、ダム操作というものは操作規程によって一応やっているのだということになっておりますので、この操作規程の根本的な改正がございませんようでしたら、現状のこうしたダム紛争はなかなか解決できないのではないか、こういうふうに考えております。
  62. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 終わります。
  63. 大原亨

    大原委員長 高橋繁君。——質問、答弁、簡潔に願います。
  64. 高橋繁

    高橋(繁)委員 きょうは参考人、大ぜいの方がいらっしゃってくださいまして、ありがとうございました。  私、全部拝聴できなくてたいへん恐縮に存じますが、いろいろいま質問された中でやはり最大の問題は、被災者が早く安心して生活できるということが大事であろうと思うのです。しかしながら、鶴田ダム、昨年四十七年の災害で一番大きかったのがたしか川内川流域であろうかと思うのです。太田川等も聞けばよろしいのですけれども、時間がありませんので……。最大の川内川流域についていろいろと陳情を出されております。いま一年たった今日において、この解決がされないで陳情が出されているということですね。その復旧もおくれておる、補償もないといった最大の原因は何でございますか、松崎さんにお伺いいたしたいのですけれども。
  65. 松崎仁

    松崎参考人 この問題につきまして私の見解を申し述べますと、現在、湯田の温泉地区百二十一戸流失につきましては、これが流失いたしましたので河川敷地に今度買収されるようになりまして、背後地に移転するような計画が立てられているわけでございますが、この流失家屋に対する補償が全然なされていないということが第一点と、背後地の買収関係がうまくいっていないということが、今日までの工事がおくれている原因かと思います。
  66. 高橋繁

    高橋(繁)委員 いまお話のありましたように、またこの陳情書を見ますと、先ほど参考人の方がお話しされたと思うのです、いろいろと出されておりますが、操作規程を誤ったとかあるいは規程どおり放流を行なわなかった、鶴田ダムの管理所長は、第二条の流入量に、先ほどお話があった七百七十万立方メートルの予測を誤ったとか、サイレン通報を怠ったとか、あるいは下流に対するめくら操作をしたとか、いろいろ理由が書かれておりますが、私は、確かにこういう事実は、やはり地元に住んでいる人が最大に知っていると思うのです、住民の方が。よく昔の人が言われるように、そうした理屈よりも、実際長い間住んでいる人の経験というものがものを言うということもよくいわれますけれども、もしこうした原因がはっきりすれば、これは明らかにダム操作規程の誤りであるということが確認をされますかどうか。そのことについて高橋先生もしくは金丸先生等でどういう御判断をいただきますか、お答えをできればお願いをいたしたいと思います。
  67. 高橋裕

    高橋参考人 それは、私自身がそれを確認するかしないかということであればお答えできますけれども、私、いまそれを確認できる種を持っていませんので仮定の問題になりますが、先ほどおっしゃったことがもしすべて真実であるということがわかれば、それは天災か人災かという定義はむずかしゅうございますけれども、確認されればという仮定のもとに立てばそういう論理は成り立つと思いますが、私自身がそれを確認するとかしないとかということは言えません。
  68. 高橋繁

    高橋(繁)委員 実際は私も、新聞報道あるいは住民の方々の御意見によるしかないと思うのです、実際その場におりませんでしたので。たとえば下流の雨量を、気象状況等を全然、当時の山田鶴田ダム管理所長は知っておらないという状況があるわけですね。そうしたいろいろな下流上流等の気象状況を知って操作をしなければならないとダム規則にあるわけです。一つの例ですよ、実際は全然知ってなかったということになれば、私は、明らかにダムによる災害であると言うことは、それ一つとってもできるのじゃないか。あるいは地元の災害を受けた人たちの貴重なる体験、経験というものがそうなってくるのじゃないかと思うのです。この点についてどうですか。
  69. 高橋裕

    高橋参考人 私は、直接そういう点を調べたわけじゃありません。ですから管理所長が下流のほうの雨量を知っていたかいなかったかということも、私には答えるすべはないのですが、これは想像になりますけれども、ダム管理所長がその流域の雨量、それはテレメーターか何かが故障になったとかなんとかいうことがあれば別ですけれども、そういうものを知らなかったということは、簡単には考えられないことだと思います。ただ、私自身は管理所長が知っていたかいなかったとか、先ほど管理所長が留守になっていたという御指摘がございましたけれども、そういうことを私が判断する種を持っていませんので、答えられません。
  70. 高橋繁

    高橋(繁)委員 それでは、先ほどお話の中に、流量計算というものは経験を経なければなかなかむずかしいという先生のお話がありましたが、してみると、現在定められております操作規程というものは、そうした科学的な根拠、あるいはまだ経験の浅いそうしたことからいきますと非常に問題があるというように、先ほど私聞いておって感じ取ったわけでありますが、その辺どのようにお考えでございましょうか。どちらの先生でもよろしゅうございますが……。
  71. 金丸昭治

    金丸参考人 お答えします。  現在、ダムの周辺、流入河川、あるいはダムへの直接の流入量の計算法といいますのは、格別何年かの経験がなければできないというものではありません。  ただ、問題があるとしますと、ダムの貯水の変化によってダムへの流入量を計算する場合に、放流量を一応計算の中に入れます。その場合のダムの溢流計数のとり方という点に、まだ学問的にこれときまったものがないように思います。それは構造が非常に複雑になっておる場合、そういうことがありますので、ちょっとその点の判断は、たくさんの人で議論して定められたものと思いますが、むずかしい点があるとすればその程度で、長年の経験がなければダムへの流入量の計算ができないというものではありません。
  72. 高橋繁

    高橋(繁)委員 もちろんその操作規程の誤り等もあるわけですが、ダムがつくられていっております。そうしますと、やはり土砂の流入というのがとまりますね。そうしますとダム内へ土砂の流入がされて、だんだんと河床が上昇してくる。そうすると、河床の上昇によってダム上流の部落にもたいへんな影響を来たしてくるということは当然のことだと思うのです。そうした御研究あるいは計算等がもしなされて——はっきりしたお答えでなくてもけっこうですが、そういうことがなされておりますかどうか、お答えいただきたいと思います。
  73. 高橋裕

    高橋参考人 別にこれは特定のダムでなくて、一般的なお答えでよろしゅうございますか。
  74. 高橋繁

    高橋(繁)委員 はい、けっこうです。
  75. 高橋裕

    高橋参考人 御質問のとおり、ダムをつくれば、相当土砂量が貯水池の中にたまってまいります。そして往々にして最初予定したよりも以上の土砂がたまるという例が多いのは事実でございます。そして、それについてもちろんダム管理者は、貯水池の水深を定期的にはかっていてそれをとらえておりますし、それから研究面では、土砂量がダムをつくるとどのくらい堆積するであろうかという学問的な研究は、幾つかのそういう研究はされておりますし、若干のダムではそういう予測値を出した例もございます。  ただし、お断わりしたいのは、そういう貯水池へたまる土砂量を計算する場合には、たとえば何らかの仮定条件を入れて、つまり将来洪水がどのくらい来るであろうかとか、あるいは上流山地の状況はどうであるかということをいろいろ仮定をした上で計算をして、貯水池の土砂の堆積量を予測するということはある程度できます。ただ、仮定条件が変わればその答えも変わりますので、その点の精度が決して十分とは言えない場合があります。
  76. 高橋繁

    高橋(繁)委員 いろいろ先ほどから御意見が出ておりましたが、河川法の改正ですね。これをしなくては問題が解決しないというお話もありましたが、先生方がお聞きになりまして、現在の河川法については非常に問題があるので、改正をされたほうがよろしいというお考えがありますかどうか、その点についてお聞きいたします。
  77. 金丸昭治

    金丸参考人 河川法全般にわたっては詳しく存じ上げませんのでお答えにならないかと思いますが、一例をあげて、ひとつその辺の御判断資料になさっていただきたいと思います。  たとえば河川従前機能を維持するということ、四十四条だと思いますが、「従前機能」の判断いかんにもよりますが、従前機能を維持するための貯水位の低下が、たとえばダムクレストまで下げなければならないという計算値になった場合、今度は何条とおっしゃいましたか忘れましたが、ダム使用権を侵害しないようにという条項があります。その水位低下がダムの使用、発電不可能になる場合もあるかと、これは仮定でございますが、もしあった場合は両規定が矛盾するということに相なるかと思います。そういう事例があるかないか、私はここで知った上での発言ではございませんが、高橋先生も御指摘になりましたように、条項間である程度の矛盾が起こり得るような一面もあるというふうに考えております。
  78. 高橋繁

    高橋(繁)委員 以上で終わりますが、いろいろダム災害については問題があるようであります。被災者の方もこうして遠いところを来てくださって、事情を訴えてくださいまして、ほんとうにありがとうございました。私たちも、さらにダム災害の問題については勉強して、被災者の方々のためにも、今後の日本の国土を守るためにも勉強してまいりたいと思います。  以上です。ありがとうございました。
  79. 大原亨

    大原委員長 これにて参考人各位に対する質疑は終わりました。  参考人の方々には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時三十八分散会