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後藤公述人 私はただいま御紹介いただきました大阪の
後藤でございます。大体大阪の事情を中心に皆さんにお話しいたしたいと思います。
現在の
日本の
国民ほど気の毒なものはないと私は思っておるのです。
企業優先と生産第一主義の
政策の弊害がここに続出して、
環境の
汚染は極度に達しております。
現実に大阪では、七月に入って八日の日曜を除く以外毎日、連続の光化学スモッグ警報を出しっぱなしという状態なんであります。その上に建築騒音に交通騒音、工場の騒音、空から飛行騒音。大阪は飛行場がほとんど市内にあるような状態で、非常な
公害でみな悩んでおるのでございます。騒音というのも結局空気を通してわれわれを苦しめておるのでございますから、結局これも空気
汚染の一種だと私は思っております。
カドミウムにクロム、そのようなメッキ工場は大阪には非常に多いのでございます。そこに六価クロム、カドミ、いまのシアンソーダ、メッキに使う原料としてはシアンソーダにシアンカリ、それから六価クロム、無水クロム酸ですね、これらをどんどんたれ流しておるために、水がまっ黒になっておる。そして一匹の魚ももちろんおりませんし、中性洗剤で川は
汚染されておるから、どこの川もあぶくを一ぱい吹いておるわけです。
その上にまたわれわれが常食にしておる米が、作付の田地の付近に工場が続出して進出してきておりますので、これらの工場からはやはり
汚染が出る。川沿いの鉱業所からもマイニングポリューション、これでもって排水汚濁。このためにカドミに鉛、
水銀、銅、
PCBその他で
汚染されて、われわれはいつ何どき腰が曲がってしまうかわからぬ。全く風土ポリューションだと私は思っております。
それから水俣湾はもちろん御
承知のとおり、有明の海、徳山、水島、明石沖、われわれが大阪での食料資源に多く使っておる魚が、
水銀、
PCBで
汚染され、先ほ
ども申されたとおり非常に
漁民がお困りのみならず、われわれ市民のほうでも新聞やラジオでこういうような報道をどんどんしますもんですから、子供ら一切魚を食べません。そうすると生活費が三倍近くにも上がってくるわけです。物価高に生活費がますます上がるというのが
現状であります。
結局、空気と水と食物、これはみな
公害にやられているのですから、当然
公害病というものも大阪には多いはずでございます。
そこで
公害病の認定を受けまして、お医者さんや病院に行きますと、
日本ではこのように薬をどんどんと配給しておるので、お医者さんもこの席においでになりますが、そのお方はそんなことはなさらないとは思うんですけれ
ども、現実に
日本の大阪での状態では、医療
公害汚染というもの、これがまたたいへんなんでございます。いわゆるメディカルポリューション、これで非常に苦しんでおるわけでございます。結局、外国にない
公害までが大阪におる、こういうわけです。その
原因は、もちろん
公害病の認定患者になって医者にかかりますと、とてつもないぎょうさんな薬を渡しておるのです。結局これは医療
制度に大きな欠陥があるのじゃないかと私は思っております。
現実に大阪の西淀川区で、わずか五歳の女の子が、ばい煙と空気
汚染で気管支をやられ、小児ぜんそくにかかって
公害病認定を受ける。ここでもって付近の私立病院に行ったそうです。そうしたら、そこでは何とおとなの五倍以上という薬をどんどん投与しておる。まるきり飲み切れないのです。みな残っておる。そういうことが大阪朝日新聞の天声人語欄という
ところに出ておりましたので、
国民層はそれを見てびっくりしたわけです。こんな大きな社会問題になってきた医療
公害、つまり
公害を治療してくれるお医者さんと病院が今度は医療
公害をまき散らす、こういうことでたいへんなショックなんでございます。結局それは必要とした薬代だとかまた医療代をば
保険基金のほうが平気で払っているわけです。だから何ぼ薬代ぎょうさん持っていっても払うというのだったら、医療
公害汚染は結局
政府、厚生省がつくっていらっしゃるのじゃないか、私はこういうふうに考えておるのでございます。結局だからこれはどないにしたら解決がつくか、私もいろいろ考えて、結局
医療給付をば医薬分業制にしてしまって、薬は処方せんを出してもらって、薬局から処方せんをチェックをしてもらって調剤した薬をもらう、こういうふうに改革せねば解決しないのじゃないか、私はそう思っておる。現在では実際にようきく薬はお薬屋行ったかてちょっともないのです。だんだんそんなようきく薬は姿がなくなってしまって、結局あまり必要でない薬はどんどんとふえてきておる。結局安うてようきく薬がなくなって、きつうて副作用の多いような薬、こんなのがどんどんふえてくるのです。私らも若い時分からじんましんになったら、じきにアルシリンという薬を飲んでおるのです。これはすぐきくのです。
ところが、このごろ行ったって、そんなもんは
一つもないのです。何やらいろいろなアレルギーの薬をぎょうさんくれますが、ちっともきかへんのです。よけいかゆくなるわけです。こんなことをしておったんじゃ全然問題にならぬ、医療
公害が起こってくると私は思っています。結局それやからドラッグ ポリューショニングで、
国民がみなアレルギーになっていく。結局従来全く何にも異常のなかった薬でも、飲んだらすぐアレルギーが起こる、こういうことは、結局私は薬の飲み過ぎやと思います。結局こんなふうに
国民をみんなかいかい病にして、いわゆるアレルギーになったら、今度はそのアレルギーをなおす薬をまたどんどんつくっているのです。それで薬は何やらコーチゾン軟こうやらで一ぱいあります。一ぱい薬局でもお医者さんでもくれるわけです。
ところがそんなんはみんな高い薬なんですわ。ちょっと薬局で買いましてもじきに八百円、千円ととるわけです。そんなんせぬでも、アルシリン飲んだらぱっとなおるので、こんなのはわずか、安い薬なんです。そんなのは薬局さんでもお医者さんでも全然あらしませんねん。そんなんで、これは結局薬屋の製造メーカーがもうけている、そうとしか思われぬのです。いい薬はみんななくなってしまう。それからかいかいになる薬ばっかりくれる。こんなむちゃくちゃなことをさしておったんでは、
国民は医療
公害——今日の問題は水質やとか空気やとか、そういうような問題の
公害に視点、目標が置かれているわけですけれ
ども、現実にはそういうような薬で、また医療でもって
公害をわれわれは受けている、こういうふうな
現状でありますので、結局
日本は外国よりは
公害が
一つ多いということです。そういうことになります。外国では医薬分業制がきちっと行なわれているから、必要以上の薬は全然医者が出さない。薬屋も売りつけない、こういうような
制度になっていますから、そんな余分な
公害を受けるということはないはずなんです。だから
日本では
一つ公害が多いと私は思っています。結局は、一番欠点は私はいわゆる
保険基金というもんがお医者さんから請求されたらそのままぱっと払っておるのじゃないか、薬代をお医者さんにあげてどんどん払っている間は、これはとてもやないけれ
ども医薬分業というのは空論であってできないと思います。
保険基金はお医者さんが薬をあげはっても薬代だけはカットしてしまって、診療費だけしかあげない、こういうふうにされたら、私は医薬分業も自然にできるのじゃないかと思っているわけです。結局は
公害病を治療してくださるお医者さんのほうから
公害が出る、こんなことでは、とてもじゃないけどこれはどうもぐあい悪いと私はこういつも思っているわけでございます。それでわれわれ
国民は何とかこの
環境汚染から救っていただきたい、
公害から守ってもらいたいといつも切実な念願をもっておるわけであります。そのためには今度のいまの本
法案にも
成立には非常に賛成しております。また
期待もしておるわけであります。だから
公害を
汚染源でとめてもらいたい、これが私らの念願であります。結局
公害物質回収ということが一番じゃないかと私は思うのです。早い話が関電が大阪でも非常にもめているわけです、関電が発電所をつくると言うたらもう
公害物質が出るから。これは電気がどんどん足らないわ、片っ方は電気は供給せんならぬ、だからもう重油をたかなんだらできない、じゃ
公害物質が出るからやめてくれ、これで争われているのはもう皆さんも御存じやと思うのです。結局こんな場合には回収装置というものを研究して、それをつけてもらって
公害物質を回収したら一番効率的やと思います。結局、私らもちょっと化学をやっておりますので、煙道排気というて煙どんどん出してるけど、あれをようしさいに考えてみたら、成分というものは炭酸ガスである、いや亜硫酸ガスである、あるいは一酸化炭素である、それから結局は硫黄の二酸化硫黄、いわゆる亜硫酸ガスである、それから窒素、これはたくさん含んでいます、もう酸素供給して取ってしもうた
あとやから。だから窒素からうまく回収したらアンモニアやらいろんな窒素化合物もできるということも思われます。だからそういうようなものを根本で回収していただいたらこれがまた国益に大きになるんやと私は常にそういうふうに考えておるわけなんです。で、
政府はこんな
公害源の無
責任な放出をとめるためには、抜本的にこれを回収さすということをひとつ考えて、これは何かの法文で入れていただきたい、こう私は念願しておるわけであります。その回収方法をうまいこと発明したら奨励金をやるとか何かして
公害をすべて
公害源で回収する、これを私は
提案したいといつも思っております。先ほどの医薬分業というものも医療
公害の
公害源でとめる方法でございます。そういうようなことを
政府のほうもまたよく考えていただき、また
委員会のほうでもそういうこともひとつ念頭に入れて
法案の
成立に努力していただきたいと私は念願しております。
結局、この
法案の
内容をちょっと私も短時間でございましたが検討をさしていただいた結果、
政府原案にはまだまだ不十分な点が多いように思われます。たとえば
公害病の認定
規定の場合でも、これはえらいお医者さんを前に置いて言うのはいきませんけれ
ども、私立のお医者さんだったら実際ちょっとお金ようけ持ってきた人には有利な診断書を書いてくれるんじゃないか、そういうような実例も私は握っておるわけであります。そうするとそんなお医者さん一人だけ頼んでその診断書さえ持っていったらすぐ認定されて
補償金ぱっぱっとくれる、こんな簡単なことであったら必ずにせものがあらわれると私は思います。少なくとも私は公立病院三カ所くらい指定してもらって、三カ所その診断書を集めてそれを
公害病認定
委員会が持ち寄って、ああこれは確かに違いない、こうしていよいよ
公害認定
委員会のほうで認定する、こういうような
規定を盛り込んでいただきたいと思っております。それから、えらいお医者さんにまことに失礼なんでございますけれ
ども、いわゆるちょっと心やすい患者さんとかあるいは年末やとかそんなときにちょっとよけい持ってきて要領よくする患者さんには有利な診断書を書いてくださる、そういうような場合にこれを見てみた
ところが何の罰則もないようなんです。だからやはりそういうような病人が偽って
補償金をもらった場合、いまもよく見てきたんですけれ
ども、
補償金さえ返したら
あとは何も罪ないように思われるのです、もっと詳しく調べぬとそれはわかりませんけれ
ども。そういうような甘い
規定がどうも多いようで、やはりそんな間違った診断書を書いた場合にはお医者さんも
責任を持ってもらう。それから、
公害のにせ患者には金だけ返したら済んでしまうというようなことじゃなくて、やはりそれは罰金とかあるいは体刑処分にされるというぐらいな強い規制方式が要るんじゃないかと私は思っております。だから結局
公害病に便乗してにせの診断書で国や
企業から
補償金をとるあるいは療養給付を受けるというようなことを防止するためには、そういうような
条文の挿入が必要ではないかと思っております。現実にサリドマイドあるいは森永砒素ミルク事件、キノホルム事件等ではどうもこれはくさいな——腰か曲がったから、いやこれはおれはキノホルムでこないなったというて、にせの患者がどうも
裁判の中へ入り込んでいるんじゃないかというような事実もちょっちょっと聞き及びますし、どうもそれはあるように思われるのです。そんなことのないようにひとつ認定をきびしくしていただきたい。よくキノホルムを飲んでスモン病になったというて、えらい
因果関係があるがごとくに言っておる人も間々あるようですが、実際私も腸結核になりまして、それで阪大病院で処方せんもらって、これを薬局で調合してもらって約二十五年にわたってキノホルムというものは飲んでおるわけです。でも何も、腰もしゃあしゃあして、私もうことし七十一歳になりますけれ
ども、若者同然に腰はぴんとしておるわけです。だからキノホルムはスモンになるというのはどうも疑問を持っておるわけです。もしそれが
因果関係ありとすれば、これはおそらく分量をむちゃくちゃに飲まれたんじゃないか、またむちゃくちゃにお薬をお医者さんからもらって飲まはったんじゃないか、こういうように私は思っておるわけです。それやったらいよいよ処方せんを出してもらって、やはり私がやってきたように阪大でもって処方せんを書いてもらう、これを二十五年間にわたって飲めば何ともない、分量をちゃんと指定してありますわ、〇・五グラムと。そうしたら結局〇・五グラムのキノホルムは無害であるということは私自身生き証人となります。そやから厚生省とかそういう
ところで有利な証言がしてほしいというようなことがあったら、私はいつでも証人になろうと思っています。現実にしゃんしゃんして何にもキノホルムのスモンのスもおまへんわ。そんなことから見たらこれは確かに薬をむちゃくちゃに飲まはった、もし
因果関係ありとすればですよ、と私は思っているわけなんです。そやから結局キノホルムを輸入してこんなに売ったからおまえ損害
賠償出せ、あるいは何や厚生省が許可したから厚生省損害
賠償を出せ、これはどうも理に落ちぬ。だから結局処方せんも書かぬと医者がどんどん薬くれて、飲む分量もちょっとも指定しないで何ぼ飲んだらええやらわからんへん、むちゃくちゃに飲んで病気になったんじゃないか。そうかほかの薬——あれは一色や二色じゃないんですからね、何十種と、もう七種ぐらいくれるお医者さんはざらや言っていますわ。私も現実に薬をいまここに持ってきておりますが、これだけの薬をどんどんみなこれ拾てているわけです。それでこれ名称が書いてあったらまだ薬局さんへ持っていって尋ねられますのやけど、何にもあらへんのです。ほんだらこれ何の薬に使うてええか知れない、ほうらなしようない。こんなもったいないことしていて、これ健康
保険赤字や赤字や。そら赤字やなかったらおかしいと思うんです。これちょっと行ったらこんなぎょうさん薬くれます。それに表示がないんですよ。そうしたら薬局さんへ持っていったって、これ、わし何や知らぬ、こんな薬見たことないわ、何の薬やろな、書いてあるけどちょっとわからぬわ。こんなやったら結局はほうらななりません、こんなぎょうさん。これはばく大なる国家の損害と思います。だからこれは医療
公害という問題であるだけでなくて結局根本からなおす。つまり抜本改革というものが絶対必要だと私は思っております。
まあ今日の結論といたしましては
法案の
成立には賛成であります。だが付帯条件としてはこの
公害認定の場合の認定
規定は強化する。少なくとも国公立病院の三カ所ぐらいは診断書をもらって、それを
公害病認定
委員会というものが認定して、その結果に基づいて
公害病補償の
委員会がそれと査定をしまして、その両方を府県知事がかみ合わせて補償額を
決定する、こういうような
制度が必要じゃないかと私は思っております。それで、もしその府県知事がその査定した場合に不服である場合は
環境庁長官に上申——これは上申できないように書いてあったと思いますが、やはりそのくらいな、民主主義でございますよってに、
国民の利益をはかっていただいて、
環境庁長官に上申して、それはある程度民意を尊重していただきたい、こう私は思っております。
それで結局、もう
一つその問題としては、
公害による
健康被害補償協会という、これはいわゆる法人格を持って、それが
政府の代行をするような方法があるじゃないかと思うのです。
ところが、これは強制力が乏しいから、中にはそんな
賦課金払えへぬというのができて、これは問題がごちゃごちゃしちゃって、しょせん民法の問題だったらとても片づかない。だから補償協会というような
制度ではどうも甘っちょろい。おそらくこれは
公害による
健康被害補償
基金、これは
政府が、総理府が直接か、大蔵省がやるのか、それはこれから
委員の
方々に検討していただくとして、結局その
公害補償
基金というのは、国家が直営でやらねばいかぬ。そしてそれが、まあいわゆる税金みたいに強制的に配賦を持っていって、強制的に国税
徴収のようなぐあいに取り上げるというようにやってもらいたいと思います。そんなぐあいで、改正点が結局二本立てにしたい、こういうふうに私は思っているわけであります。
時間も参りましたのでこの辺で終わらしていただいて、大体これで意を尽くしたと思いますので、また質問がありましたら後ほどお答えいたしたいと思います。どうもいろいろありがとうございました。(拍手)