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1973-10-09 第71回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第52号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年十月九日(火曜日)     午前十一時十一分開議 出席委員    委員長 佐野 憲治君    理事 林  義郎君 理事 渡部 恒三君    理事 小林 信一君 理事 島本 虎三君    理事 中島 武敏君       田中  覚君    戸井田三郎君       村田敬次郎君    岩垂寿喜男君       土井たか子君    増本 一彦君       岡本 富夫君    小宮 武喜君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 三木 武夫君  委員外出席者         警察庁交通局交         通規制課長   久本 礼一君         北海道開発庁企         画室長     大西 昭一君         経済企画庁長官         官房参事官   北川 博正君         環境庁長官官房         長       信澤  清君         環境庁自然保護         局長      江間 時彦君         環境庁大気保全         局長      春日  斉君         環境庁水質保全         局長      岡安  誠君         外務省欧亜局外         務参事官    山田 淳治君         文部省管理局教         育施設部助成課         長       西崎 清久君         水産庁研究開発         部漁場保全課長 前田  優君         通商産業大臣官         房審議官    江口 裕通君         運輸大臣官房安         全公害課長   勝目久二郎君         運輸省航空局長 寺井 久美君         運輸省航空局次         長       後藤 茂也君         海上保安庁警備         救難部海上公害         課長      阿部 雅昭君         気象庁長官   高橋浩一郎君         建設省都市局街         路課長     中野 三男君         建設省都市局下         水道部下水道事         業課長     井前 勝人君         建設省河川局治         水課長     栂野 康行君         建設省道路局長 菊池 三男君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 十月九日  辞任         補欠選任   木下 元二君     増本 一彦君 同日  辞任         補欠選任   増本 一彦君     木下 元二君     ————————————— 九月二十七日  一、富士地域環境保全整備特別措置法案(内閣   提出第一一五号)  二、公害対策基本法案中島武敏君外一名提出、   衆法第一八号)  三、大気汚染防止法の一部を改正する法律案   (中島武敏君外一名提出衆法第一九号)  四、水質汚濁防止法の一部を改正する法律案   (中島武敏君外一名提出衆法第二〇号)  五、騒音規制法の一部を改正する法律案中島   武敏君外一名提出衆法第二一号)  六、公害委員会法案中島武敏君外一名提出、衆   法第二二号)  七、環境保全基本法案島本虎三君外四名提出、   衆法第四三号)  八、公害に係る事業者の無過失損害賠償責任等   に関する法律案島本虎三君外四名提出衆法   第四四号)  九、環境保全基本法案岡本富夫君外一名提出、   衆法第四五号)  一〇、公害対策並びに環境保全に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公害対策並びに環境保全に関する件(騒音及び  水質汚濁対策等)      ————◇—————
  2. 佐野憲治

    佐野委員長 これより会議を開きます。  公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。増本一彦君。
  3. 増本一彦

    増本委員 日本共産党革新共同増本一彦です。  私は、きょう三つの点について政府見解対策についてお伺いしたいと思うのです。  一つは、上水道水源水質汚濁をどのようにして防止するかという問題、もう一つは、河川のヘドロのしゅんせつについて、政府の今後の方向、そして最後に、新しく道路を建設する場合の環境保全の問題、この三つの点についてお伺いしたいと思うのです。  現在、国は上水道水源水資汚濁防止に対して、まだまだ手ぬるい状態にある。現実にいま上水道水源確保するという問題は、非常に緊急にして重大な問題になっている。しかし、いまの政府やり方でいきますと、水質測定についても、それから水質汚濁防止する観点でも、水質汚濁防止法の十六条の第二項で、公共用水域として一括して上水道水源も、ほかの用途のものと一諸にやっているために低く平準化されている。こういう状態になっているわけですね。ここにも公害規制に対する手ぬるさがあるというように私は指摘せざるを得ないのですが、この点についてどのように考えておられるか、まず政府の一般的な見解を聞きたいと思います。
  4. 岡安誠

    岡安説明員 政府といたしましては、水質汚濁防止法、その他の関係の法令によりまして水質汚濁防止をやっております。  先生指摘上水道源確保の点でございますが、私どもはその点につきましても、一般の水質汚濁防止施策の体系の措置をいたしておるわけでございます。  それを申し上げますと、まず環境基準設定をいたしまして、これは行政目標でございます。この目標を達成するために各種排水規制その他を実施をするというような仕組みで現在汚濁防止をいたしております。  上水道源につきましては、環境基準設定するにあたりましてその河川湖沼等利水目的というものを勘案をいたしまして、環境基準設定をするということになっております。たとえば河川で申し上げますとAAからEまでの環境基準がございますけれどもAAとAとBという三つのランクまでが水道用利用目的にかなう水質であるということで設定をいたしておりまして、そのうち、AA水道の一級、Aは水道の二級、Bは水道の三級といたしまして、それぞれ処理方法が違いますけれども、そういうような処理方法を講ずるならば、水道用水として利水ができるという考え方から環境基準設定し、その目標に向かって各種規制を行なうという方法実施をいたしておるわけでございます。
  5. 増本一彦

    増本委員 しかし、それにもかかわらず、かつてはAAまたはAであったものが、現実にはBまたはCへと水準を転落していっているという問題がある。これはいなめない事実であると思うのですね。だからこういう一定レベルを引いても、それに対する排水規制等をやっても、実際にレベルダウンしてくる。これをどうやって押えるのかという、ここのところが全然なされていなければ、幾ら水源確保のためにやっているといっても、やっていることにならぬ、効果があがらぬ、こういう問題があるわけです。だから、そういう手だてについて一体どういうように政府は考えているのか、そこまではっきりひとつ答弁してください。
  6. 岡安誠

    岡安説明員 先生の御質問は、政府施策を講じているとしても、その効果が十分あがっていないのではないかというような御質問だと承っておりますが、確かに現在の施策実施いたしましても、水質汚濁進行するということが考えられます。その原因は、大きく分けまして三つあるというふうに考えております。  一つは、政府は、排水規制にあたりまして全国一律の規制値設定をいたしております。それが河川水況、それから周辺の工業その他の立地状況等によりましては、必ずしも適切ではないというような場合もあり得るわけでございまして、そういうような場合には都道府県が上のせの条例によりまして、さらにきびしい基準設定をするということになっております。それがまだおくれているというような場合がありまして、まだ十分規制強化されていないということが考えられるのが第一点でございます。  第二点は、規制基準がありましても、なかなかそれを守らない企業等がある。いわば監視の面でございまして、十分監視が行き届いておらない関係から違反の工場等がある、そのために水質汚濁進行するという場合、これが考えられます。  第三番目は、御承知かと思いますけれども水質汚濁防止法によります排水規制は、主として企業に対する排水規制でございます。家庭用水等につきましては、これは規制はかけておりません。これらはもっぱら下水道整備によりまして目的を達成するということにいたしておりますが、それらの整備がおくれている関係から、なかなか水質の浄化がはかれないというところもございます。  それらは、いろいろ場所によって異なるかとも思いますけれども、私どもはそれらの、おもに原因三つかと思いますけれども、それぞれの点につきまして、今後さらに規制強化監視の徹底、下水道整備の促進という面は力を入れてまいりたい、かように考えております。
  7. 増本一彦

    増本委員 結局、いま局長が述べられたことは、いずれも政府において先手先手でやらなければならない問題がおくれている、そういうことであろうと思うのですね。たとえば全国一律の排水基準汚濁防止法設定した、しかし、上水道水源確保するためには、この排水基準ではだめですね。もっと強めなくちゃならぬ。そこで各自治体が、特に知事権限などで上のせをやっている。これでは、たとえば水道水源が川であっても、あるいは湖沼であっても、ほかの都道府県とつながっているわけですね。上流はつながっている。ですから、せっかく都道府県一定の上のせ基準を設けても、全然ほかの都道府県には及ばない。だから、こういう上水道水源として利用されているような水域については、水域指定地域指定とあわせて、上水道水源確保するというたてまえから、国が全体をかぶせるために排水基準を特別に強める形で設けるということまで、これはすぐに手だてを打てるはずだと思うのですね。その点はいかがですか。
  8. 岡安誠

    岡安説明員 上のせは、現在の法律では都道府県条例で行なうことになっておりますが、先生の御指摘は、国がやったらどうかというような御意見かと思います。それも一つ方法だと思いますけれども、結局上のせというのは、当該河川流況その他の状況を基礎にして、周辺汚染源立地状態等を勘案いたしまして、個別具体的に設定をいたさなければ確実な効果はあがらないというようなものであろうというふうに考えております。これはやはり水質汚濁防止法が制定されました公害国会におきましてもいろいろ論議がありまして、権限は相当大幅に地方におろすべきであるというような意見があったというふうに私ども考えております。  ただ、御指摘のとおり、同じ河川上流下流が県が違うという場合に、意思が疎通をしない、統一的な基準設定できないといううらみがないわけではありません。そういう場合に、府県間の調整につきましては、私ども当然指導もいたしますし、それが聞いてもらえない場合には、最終的な手段としまして、水質汚濁防止法でも勧告ということがございますので、私どもといたしましては、まず話し合いにより、それができなければ勧告という手段をとりましても、利水目的を完全に達成できるように府県間の調整はいたしてまいりたい、かように考えております。
  9. 増本一彦

    増本委員 私たちも、自治体公害規制に対する権限強化せよ、このことは当然だと思うのです。しかし、個別具体的に確保するといっても、上水道水源の場合は、たてまえからいけば、国のきめた基準でいっても、常にAAの一級の水道が一番いいにきまっているわけですね。それがレベルダウンをずっとしてきている。しかも今日のように、水源地域に連なって、だんだん都市開発が進むし、観光開発が進む。その上、その付近でもいろいろ工場も建つし、それから雑排水も非常に多くなる。これはもう目に見えているわけですね。だから、一定のそこの水源地域に沿って、その水域指定とか地域指定とか、そしてそれに対する排水基準については、きちっとやる。  いま現実水道事業というのは各都道府県なり市段階にまかされているわけですね。ですから、県とかあるいはその水道事業をやっている事業主体は、その水道水源について、みずから管理はするけれども上流のほうにまでは全然権限が及ばない、こういうこととあわせて考えると、国としても上水道水源については、きちんとせにゃいかぬというたてまえでしょうから、そこについては行政指導を含めて、きちっとしたメルクマールを置いて徹底するということが、いま何よりも必要じゃないかと思うのです。  その点で局長にもう一度伺うのですが、そういう方向で検討する余地があるのかないのか、そこをはっきりさせてください。
  10. 岡安誠

    岡安説明員 たとえば例を引いて申し上げますけれども、最も問題といわれております阪神地区上水道、これは淀川から水をとっております。淀川の水は御承知のとおり琵琶湖から出るものと、それから京都市内を通ずるものと、いろいろありますけれども、非常に阪神の水がよごれてきておりまして、そのよごれは、琵琶湖汚染進行とともに京都市内を通ずる汚染が非常な勢いで進行している、またその周辺地区の住宅の乱立といいますか、急増によりまして、よごれているというととが考えられ、また指摘をされているわけでございます。  私どもも、しばしば下流のほうからの要請もありまして、上流のほうの排水規制強化をはかっているわけでございますが、さらに具体的な問題としましては、やはり京阪神水道を使う方と、それから上流に住んでいる、滋賀県、京都府等の方と話し合いをしまして、できる限り強化をするという方向でなければなるまいというふうなことを申し上げ、現にそのような協議会等も設けられているわけでございます。私どもは、その協議会意見によりまして、それぞれ各県が必要な措置をとっていただけるものというふうに考えておりますが、さらに不足がある場合には具体的に指示をいたしたい。それも法形式的には勧告という制度もございますので、そういう制度をも活用いたしましてやっていくというようなつもりで従来も対処してまいりましたし、今後もそういう方向対処をいたしたいというふうに考えているわけでございます。
  11. 増本一彦

    増本委員 これは国の施策としても非常に総合的にやらなくちゃならぬ問題ですね。たとえば、いま政府がそういう一律的なきつい基準をきめても、今度は排水処理についての施設も、それに伴ってつくっていくということをしなければ実効があがらない。しかし公共下水道をつくるための施策については、政府やり方というのは大幅におくれている。いつも地方自治体事業主体にして、国の補助率補助単価、対象も非常に低い。だから基準だけきめるというのが先行できない。そういうこともあって、ずっと大幅におくれているという感じがするのですよ。だから私は、地方自治体協議をさせるとかいうことももちろん大事だけれども、しかしまず国が率先して、そういう排水処理についての具体的な方向まで含めてきちっと提示をして、国の責任でそういう問題も処理をしながら進めていくということをやらなければ、いつまでたっても上水道水源は、レベルダウンは続けていくけれども、それに歯どめをかうことができない、こういうことになるのじゃないですか。  だから、そういう方向まで含めて、これは長官が来たら伺いたいのですが、いまの現状から出発して、じゃ一体政府はこの上水道水源水質確保管理をどうやってやろうとするのですか、もうちょっとはっきり言ってください。いまのままの行政指導だけ強めるなんというようなことでは、もう現にレベルダウンがずっと続いているんだから、これはどうするのですか。
  12. 岡安誠

    岡安説明員 先ほどもお答えしたかと思いますけれども水道水源汚染進行につきましては、いろいろ理由といいますか原因があろうかと思います。その原因対処するように具体的な施策を講ずるということ以外にはないわけでございまして、先生の御指摘のとおり、規制強化するだけでは、処理能力が伴わない場合には効果があがらないではないかという御指摘、全くそのとおりでございます。ただ、私どもは一方技術開発によりまして処理能力のアップということも進めておりますけれども環境庁考え方は、やはり利水目的に応ずるような規制を先行させる、この基準を守ってもらう、守るように各企業がくふう努力をしていただくというような態度で対処をいたしておるわけでございます。  下水道につきましては、いずれ建設省のほうからお話があるかと思いますけれども、現在の第三次の計画、これを途中で変更いたしまして、来年度から四次計画を発足いたしまして、急速に整備を進める予定でございますので、私ども水道水源確保のために、できる限りの努力を今後とも続けていくというような姿勢でございます。
  13. 増本一彦

    増本委員 阪神具体例が出ましたけれども、私の住んでいる神奈川県でも、県民のいわば水がめになっている相模湖、津久井湖、城山ダムというのがあるわけです。これは上流が山梨県の桂川とつながっているのですね。一つは、先ほど規制監視が行き届かない、政府環境行政の立ちおくれ、局長もみずから言われたわけですが、いま県がやっている水質管理を見ましても、水質汚濁防止法の十六条二項の水質測定項目が、実は相模川のあの河川と全く同じ項目で、しかも測定頻度河川よりも少ないという現状、これはもちろん神奈川県知事公害に対する政治姿勢に問題があるわけですが、国のほうでも、こういう公害行政について行政指導を徹底してやっていくという点でまだまだ非常におくれている。そういうことがそれぞれの都道府県環境行政公害行政にやはり反映しているのではないか、そういうように考えるのですが、どうですか。
  14. 岡安誠

    岡安説明員 水質監視測定につきましては、お説のとおり現在機械化が非常におくれております。現に私ども監視測定方法は、職員が水を採取いたしまして、それを分析をするというようなことでやっておりますので、いわば四六時中監視というわけにはまいらないわけでございます。私どもはやはり今後の方向といたしましては、これを機械化することによりまして、まさに常時監視の実をあげたいというふうに考えているわけでございます。ただ、これを機械に乗っけるためには現在の測定項目、たとえばBOD、CODが適当であるかどうかということには、たいへん問題がございます。できれば、これを新しい項目に直しまして、機械に乗っけるということも現在検討をいたしておりまして、できるだけ早い機会に機械による測定を広げるという方向に持っていきまして、監視測定の実をあげたいというふうに考えておる次第でございます。
  15. 増本一彦

    増本委員 機械化合理化もいいですけれども現実に法の十六条の二項で水質測定計画というものをきめているわけでしょう。それが、たとえば測定頻度は、河川の採水は原則として一日六時間間隔ごとに四回採水して、おのおのについてやる。ところが、上水道水源になっているダムでは、一日一回採水して測定する、こういうような違いがもう現実に出ているわけですね。だから、上水道水源が大事だというのだったら、やることをきちっとさせるような指導、それに乗っかって機械合理化も進めていくということをしなければだめじゃないのか。だから、そこの辺のところ、やるやると言いながら実際には行政に立ちおくれがある、そういう指導強化するという点で立ちおくれがあるというところをどうやって埋めるかということが、いま緊急に重要な問題じゃないですか。その辺の認識は一体どうなっているのか、そこを伺いたいと思います。
  16. 岡安誠

    岡安説明員 水質測定する場合になるべく頻度を多くすることが望ましいことはお説のとおりでございます。ただ、現状ども都道府県職員の研修その他は進めておりますけれども、人員の制限その他がございまして、そう頻度を多くできないという物理的な制約があるわけでございまして、やむなく、一日の採水にあたりましても、たとえば流況の非常に変わるところは頻度を多く、そう流況の変わらないところは頻度は少なくということにならざるを得なかったわけでございます。また、年におきます回数も、大体月一ぺんという程度でございまして、これも私ども必ずしも十分であるとは考えておりません。  そこで、私どもはこの頻度を多くする方向努力はいたしますけれども、しかし限度があるというふうに考えます。これはやはり機械化によって解消しなければ、四六時中監視、いわゆる常時監視の実はあげ得ないものというふうに考えておりますので、機械化をできるだけ早く実施できるような方向で私ども努力をいたしたいということを申し上げたわけであります。
  17. 増本一彦

    増本委員 やるやるとおっしゃりながら、しかし、それでいて地方自治体に大幅な権限委譲という意見もあるから、結局こういう問題は地方自治体のほうにまかせて、国のほうはあまり金は出さない、力もかさない。それでいてやれやれということだけは言う、いまの行政というものは、そうなっているのじゃないですか。だから、いまこういう上水道水源水質レベルダウンしている、これを押えるためにあるいは実態を正確に把握するために国はどういう方向で力をかすのか、ここのところが私はたいへん大事だと思うんですよ。  だから、もし人が足りなければ、そういうところにこそお金は使うべきじゃないですか。これは機械合理化あるいは機械化についても、そういうところに、むしろお金をきちっと出すとか地方自治体にも力をかすとか、そういう方向は今後どういうようになさるのですか。現実は私がいま評価したようなことでいいのか、その点を含めてもう一度お答えください。
  18. 岡安誠

    岡安説明員 現在までも私どもは県に対しまして監視測定の経費は補助をいたしております。先ほど先生の御指摘がありましたような、頻度回数実施するに必要な事業についての補助金は年々増加いたしております。また、機械化方向でございますけれども、現在必ずしも完全な機械が完成されているわけではございませんけれども、試験的な実施という方向でモニターの設置の補助も漸増をいたしております。  私ども先生おっしゃるとおり、そういう強化する方向努力はいたしますけれども、やはり限度がある。これは幾ら人間をかき集めてもできるという筋合いのものではない。だから、これはやはり機械化を徹底する以外には常時監視の実はあげ得ないということを申し上げたわけでございまして、私どもはだからといって現状努力をしないとか財政援助もあまりしないということではございませんけれども、やはり十分な効果をあげ得る機械化方向を今後とも第一の努力目標にいたして努力をしてまいるということを申し上げております。   〔委員長退席、林(義)委員長代理着席
  19. 増本一彦

    増本委員 水道水源水質管理し、確保する、レベルダウンをさせないようにする、実態をきちっと把握するという上で、いま私が例に引いた一日一回採取して測定するという神奈川県の場合、こんな程度で足りるのですか。国もその程度のものしか補助金を出していないということの反映でもあるわけです。両方パラレルに、お互いに固まり合っている。もっと国も金を出し、頻度を多く測定をし、実態を正確につかむという上での努力というのはどうなんでしょう。いまの局長からの答弁では、そういう努力をするというお話はないのですか。いかがですか。
  20. 岡安誠

    岡安説明員 ことばが足りなければ補足いたしますけれども、現在、人手によります監視測定ノーミス化方向で私ども努力いたしております。今後ともそれは努力いたします。ただ申し上げたのは、それでは十分ではないので、機械化による測定がなければ、ほんとうの意味の監視測定はでき得ないというふうに考えておりますので、その方向への努力をさらにいたすということを申し上げたわけでございます。
  21. 増本一彦

    増本委員 機械化測定はいつできるのですか。年次計画みたいなものはあるのですか。
  22. 岡安誠

    岡安説明員 現在のモニターに対する補助は、決して多いわけではございません。四十八年度で二十五台ぐらいでございますから、累計にいたしましても五十台前後、建設省その他で設置されておりますのを合わせましても、必ずしも十分ではありません。私どもは今後これを飛躍的に増大をいたすつもりでございますけれども先ほどちょっと申し上げたとおり、BOD、CODを測定項目といたしておりましては、なかなか十分な機械化ができ得ないというふうに考えておりまして、BOD、CODにかわる項目といたしまして、TODまたはTOCという新しい項目を現在検討いたしております。できれば、昭和五十一年前後には、ある程度これをはっきりいたしまして、現在の項目を切りかえたいと思っております。項目を切りかえれば、その方法によりますモニターの設置を強力に推進をするというような計画を現在持っておるわけであります。
  23. 増本一彦

    増本委員 どうも心もとないですね。  もう一つここで監視体制の問題で、いまたとえば水道の場合は、事業主体ごとに結局水質管理をやっているという状態がたくさんある。たとえば先ほど例にあげた相模湖や津久井湖、城山ダムというところも県でしょう、神奈川県、横浜市とか川崎市、これがみんなそれぞればらばらにやっておるわけですね。国のほうも、だからそういう形で対処しなくちゃならぬ。いまたとえば東京都の場合は、小河内ダム水質試験設備をきちっとつくって、常時水質管理を独自にやっておるわけですね。だから水道事業主体の個別管理ではなくて、一元的な水質管理の体制がとれるような、そういう指導とか援助、財政的なものを含めて、きちんとしていくという点はどうなんですか。
  24. 岡安誠

    岡安説明員 実は水道水の管理というのは厚生省の所管になっておりまして、水道基準も厚生省が設定をいたしまして、それに合うか合わないかは、これはまさに常時監視いたしまして取水をいたしておるわけでございます。  先生のおっしゃるのは、そういうような取水にあたっての水質管理体制を組織的に一元化することは考えないかということでございますけれども、これはよく厚生省とも相談をいたしまして、そういう必要があれば、まさにおっしゃるとおりしなければならないと思いますけれども、よく相談をいたしてみたいと思っております。
  25. 増本一彦

    増本委員 これはもう必要があればとおっしゃるけれども水道事業主体がそれぞれ自治体で個個ばらばらでしょう。だから現実にそれをやらなければ、きちんと水質管理ができないというのは、これはもう先刻御承知だと思うんですね。——速記録にうなずいたと書いてもらいたいくらいです。だから、そういう管理体制を一元的にとっていくという方向は、ぜひ検討されるように、これは強く要求したいと思うんです。  建設省はお見えになっていますね。——そこで上水道水源汚濁防止する上では、いまの水質汚濁防止法のもとでは企業に対する規制だけだ、雑排水についての規制はむずかしいというお話がありましたけれども一つはこの上水道水源汚濁防止する上で、こうした排水基準強化とあわせて流入河川水質浄化と排水処理施設、特に公共下水道を完備すること、企業に対する基準をもっと強めて徹底し、自治体にやはりきちっと立ち入り調査権などの権限も認める、あるいは水源のヘドロの除去についても手だてをとるというような、いろいろな対策が考えられるわけですね。こういうような上水道水源確保していくという手だての上で、建設省は一体どういう方向でこれをやっていこうとなさるか、まずその点について、はっきりお伺いしたいと思います。
  26. 井前勝人

    ○井前説明員 先生指摘上水道水源確保の問題と関連いたしまして、もちろん工場排水等の規制とあわせまして、一般都市からの排水をきれいにしていくということが必要でございますが、このためには御指摘のように、いわゆる下水道整備が必要になってくるわけでございます。従来は下水道整備と申しますと、主として都市部の都市環境の整備というような面からとらまえました下水道整備をしておったわけでございますけれども、今日のような水資源という問題から見てまいりますと、やはりそれにこだわることなく、都市部であろうと公有地域であろうと、水資源の確保という意味からも、下水道をもう少し飛躍的に伸ばす必要があるんではないかということを実は考えたわけでございます。そのために現在の下水道法そのものが不備でございましたので、昭和四十六年度に改正いたしまして、従来の局地的な都市環境の整備からさらに進みまして、「水質の保全に資する」という目的下水道法に加えていただいたわけでございます。  こういたしまして、初めて水域全体の水資源に対する水質保全ということが可能になるわけでございますので、そのためには具体的な施策といたしましては、同じく下水道法の改正のときに、実は流域別下水道整備総合計画というものを立てる、それに従って個々の下水道事業を進めていくというふうになったわけでございます。  もちろん、この流域別下水道整備総合計画目的は、その河川あるいは湖沼等の流域をきれいにする、一定の水準を保つためには、どのような下水道整備をしたらいいかという基本計画でございますので、これを受けまして個々の事業が進められるわけでございますから、当然その前提としましては、水利用の問題を考えました下水道整備を進めていこうというふうに現在考えておるわけでございます。
  27. 増本一彦

    増本委員 いまの下水道法やその他の関係諸法は、上水道水源をほんとうに守っていくというようにできてない。いまお話しになった公共下水道の問題にしましても、特に上水道水源というのは、そこの周辺自治体は非常に小さい町であったり村であったりする場合が多いわけですね。先ほど例に引いた相模湖、津久井湖、城山ダムという、これは神奈川県の津久井郡の四町です。一年の予算が三億とか四億とかいう、そういう小さな町だってあるわけですね。こういうところで今度公共下水道実施主体になれといったって、これは財政的にもたいへん無理だ。あなたも御承知のように、補助率は国が四割ですか、県がただの六%ですね、六分。補助対象も全体で計算してみると大体五七%くらいで、全体に行き渡らない。こういうところで町に公共下水道をつくれといっても、できるわけはないですね。だから、やはり抜本的にこの公共下水道を、そういう上水道水源確保していくという上から、こういう特別な場合には特に上水道水源周辺地域を中心にして、これはもう都道府県実施主体になって、国も大幅に補助率補助対象を引き上げて、そして公共下水道の建設を促進していく、そのために財政援助やスタッフもどんどん供給するというような特別の手だてを考えるべきだというふうに私は思うのですが、いかがですか。
  28. 井前勝人

    ○井前説明員 確かに御指摘のように、こういう湖周辺の町村等につきましては財政的に非常に貧弱な都市が多いわけでございますが、それかといって、やはり湖等の汚濁を放置するということは、またできないわけでございます。そこで、私どもといたしましても、先ほど環境庁のほうからちょっと御説明ございましたように、現在は第三次下水道整備五カ年計画の中でいろいろ施策をやっておるわけでございますけれども、現在の五カ年計画ではそういう点の手当てが非常に不十分でございます。そういうことで、来年度昭和四十九年度の予算要求から、実は第四次五カ年計画に内容的にも少し充実していきたい、特に財政面での手当てを手厚くしていきたいということで、現在いろいろ関係各省と、たとえば補助率の引き上げなり、あるいは補助対象の引き上げなり等につきまして検討を願い、またわれわれとしては要求し、かつ財政当局でもいろいろ御検討願っておるところでございます。  また、そういう弱小市町村で下水道を将来維持管理する場合に、維持管理も非常に問題になってくるわけでございますから、そういう特異な場合には必要によっては府県が肩がわりできるように、一時代行できるようなことも制度の上で、第四次五カ年が発足すれば、あわせて円滑な運営ができるようなことを考えていきたいというふうに考えております。
  29. 増本一彦

    増本委員 いま私が言ったように、都道府県実施主体にして、そして国の補助率も上げて、都道府県の負担も軽減しながら、まずそういうところは重点の一つとしてつくり上げていく、そのために必要な法整備や法改正はやるのだ、そういう方向まできちんとなっているのですか、どうなんですか。
  30. 井前勝人

    ○井前説明員 これはあくまでも第四次下水道整備五カ年計画が認められた暁での問題でございまして、それに基づきまして第四次五カ年を達成するためには、やはりあわせてそのような体制を整えなければ、実のある五カ年計画が実行できないということの意味でございます。
  31. 増本一彦

    増本委員 いまでも、ほかの都市下水でも、それを実施する各自治体は、補助率補助対象が非常に低いために、かなりあっぷあっぷしながら、しかし、それでも住民の切実な要求なのでやっているわけですね。そのために計画が十分に進まない、これもいなめない事実ですね。だから、ぜひそういう都市下水の完備のために補助率補助対象を大幅に引き上げてその促進をはかると同時に、いま言った上水道水源周辺地域については、これは下水道法を含めて抜本的にひとつ法整備をやって、いま私が申し上げたような方向でやっていただきたいということを強く要求したいと思います。  時間がありませんので、次の問題に移らせてもらいます。  次は、河川のヘドロの除去の問題なのですが、もう具体的に相模川でも非常にヘドロが堆積をして深刻な状態になっている。これは建設省河川局としてどういうように実態をつかまれておられるか、その点をまず明らかにしてください。
  32. 栂野康行

    ○栂野説明員 いま先生がおっしゃいましたように、近年、相模川の汚濁負荷量は年々増大しております。これは相模下流の各都市、その近隣における非常な人口の増加が原因でありますが、実態といたしましては馬入橋、これは一号線の国道橋でございますけれども、それから下流の河口に至る間ヘドロが堆積しております。そしてこの付近の環境が悪化しておるわけでございますが、これに対しましては、私たちとしましても、来年度できれば、ヘドロといいますか、汚泥といいますか、そういうものの除去といいますか、しゅんせつ、そういうことをやってまいりたい、こういうふうに考えております。
  33. 増本一彦

    増本委員 実態は正確につかまれているんですね。
  34. 栂野康行

    ○栂野説明員 はい。
  35. 増本一彦

    増本委員 平塚市が調査をしたところだと、目久尻川の出口のところ、河口のところですね、合流地点、ここに大体十万トン、それから馬入の大橋の下で二十万トン、すぐ海につながる部分で十万トン。実態、合ってますか。
  36. 栂野康行

    ○栂野説明員 合っております。
  37. 増本一彦

    増本委員 東京やその近郊の人たちにとっても、この湘南の海というのは、非常に四季いずれもレクリエーションの場として大いに活用されている。そこで私たちは、この湘南の海を国定公園化して海上公園というような形のものにして、その整備をはかり、環境も保全していくという方向を実は政府に要求しながら運動をしているのですが、長官お見えになったので、よろしいでしょうか、ひとつ湘南の海を国定公園、海上公園として保全していくというような方向で、これはぜひ政府もがんばってほしいと思うのですが、所見はいかがでしょう。
  38. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私、まだいま事務当局から、湘南の海岸を海上公園にするというものについて現在のところ計画を持っておりませんので、私もこの問題については検討いたしたことはないのですが、今後の研究課題といたします。
  39. 増本一彦

    増本委員 湘南一帯の海洋の汚染実態状況についてはどうなっているのですか。
  40. 岡安誠

    岡安説明員 現在その詳細なデータ等は手元にございませんが、御承知と思いますけれども、東京湾の汚染、それから京浜工業地帯その他からの排水汚染、その他住宅の急増等によります汚染等が相当湘南の海に広がっておりまして、海水浴場といたしましても、可能ではありますけれども、必ずしもいい状態に保たれていないわけでございます。私ども、やはりこれは計画的に改善をしなければいけないと考えておりますし、特に京浜工業地帯等を中心といたします企業排水につきましては、瀬戸内海に対しまして総量規制を導入する方向と同じような考え方で、できるだけ早い機会に規制強化をはかり、できるだけ海のよごれを取り除くという方向努力をしたいというふうに考えております。
  41. 増本一彦

    増本委員 東京、埼玉、神奈川、その他近県からたくさんのいわば働く国民が、夏はもちろんのこと、四季通じてここにいこいを求めてくるわけですね。ですから、それに応じた整った施設なり方途をとるということで、ぜひ前向きに、積極的に検討をしていただきたい、このことを強く要求したいと思います。  最後に一点ですが、新しく道路をつくる場合、それが地下式の、トンネル式の道路をつくる場合、排気筒を設置するわけですね。そういう公害の除去について、私は住民との十分な意見疎通をはかり、そして住民の同意や納得のもとで、その計画を具体的に実行していくということが、ますますいま重要になってきているように思いますけれども、その辺での政府の考えはどうなんでしょう。まず確かめておきたいと思います。
  42. 三木武夫

    ○三木国務大臣 まあ各地でこの問題に対して地域的な紛争が起こっておるわけです。どうしてもやはりそういう道路をつくるときには、地元の人たちは排気筒などに対して、あまり近くに建てられるならば空気の汚染なんかの心配があることは当然ですから、十分な合理的な説明を得て納得していくようにこれからしないと、ますますこういう道路の建設などによって不必要な地域的紛争を巻き起こすことになるので、そうすべきだという意見でございます。道路公団に対しても常にそういう注意を喚起しておる次第でございます。
  43. 増本一彦

    増本委員 長官、住民が納得をするまでは、そういう工事はしない、そういうように指導されているというように伺ってよろしいでしょうか。
  44. 三木武夫

    ○三木国務大臣 その納得ということがなかなかやっぱり、どこまでが納得——一人でも反対があればできないというようなことで、それはやっぱりケース・バイ・ケースで考えるよりほかにはないと思うのですが、やはりその地方には地方の利害もありますし、あるいは地域社会としてのいろいろな話し合いをする相手もあるわけですから、私の言うのは、できるだけ地元の納得を得るように、何人反対があったらしてはならぬのだ、それは実際問題として、その場合場合で考えることが適当だと思います。原則としてのことを申し上げたわけでございます。
  45. 増本一彦

    増本委員 いま各地にやはり、たとえば長官も別荘をお持ちの真鶴半島にも、あそこに道路公団が半島を突き抜けるような形で隧道のバイパスを道路拡幅としてやるわけですね。ここにも地元の反対運動が起きている。一つは、住民との合意がなされていないのに、もう隧道の掘さくの工事を始める。ハッパまでかけるというようなことがあったし、それからもう一つは、いま県でも、原生林もあり、神奈川県の中でも非常に環境のよいところに、ああいう排気ガスが集中的に出るようなそういう道路がつくられる、これは自然環境を保全するという上からもまずい、いろいろなことで反対が起こっていますけれども、実際にあの地域でのそういう住民の動向、意向、そういうものを勘案して——具体的な問題になって恐縮ですが、長官としてどういう行政指導をなさいますか。
  46. 三木武夫

    ○三木国務大臣 真鶴の隧道のいま御指摘になった点については、真鶴の地元の方の陳情が見えたのです。それで道路公団に対して十分に地元の納得を得るようにするべきであるということで、何回か話を続けておるようですが、まあ排気ガスを防ぐにしても、どういうふうな場所にどういうふうな高さでということも問題がありましょうし、そういうことで、地元と十分話し合いをすることを期待をいたしておるわけでございます。
  47. 増本一彦

    増本委員 ひとつ長官も住民運動に参加されて、ぜひ自然公園の環境を守るということでやっていただきたいというように思います。  長官お見えになったので、前半で積み残しの部分がありますので、一点だけ長官見解を伺いたいのですが、先ほど水質保全局長といろいろ論議をしたのですが、上水道水源水質汚濁防止して、その水質確保していくという上で、まだまだそれに対して特別政府がメッコを入れて努力をされているというようにはうかがえない。ますます上水道水源水質レベルダウンをしていっている。  先ほど例を引いたのですが、たとえば神奈川県の県民の水がめであります相模湖、津久井湖、城山ダムというところでは、一番奥の相模湖で、BODで環境基準は二PPMですが、すでに四PPMになっている。それが途中の沼本ダムというところですと、最高三五PPMで、平均しても一五PPMだ。津久井湖になると、さらにひどくなる。こういう実態もあるわけで、これは六百万神奈川県民の飲む水がめですけれども、こういう例は阪神淀川上水道の場合も深刻です。だから、上水道水源水質確保していくためには、特別の手だてというものが私は必要ではないかというように考えますが、その点について最後に長官に所見を伺って、終わりたいと思います。
  48. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これはやはり政府基準がきめられておるわけですね。これはやはり地方自治体で必要に応じて上のせしていくということが必要だと思うのです。私は、公害防止に対しての地方自治体の役割りというものは非常に重視するのです、環境庁といっても現地をみんな知っているわけではないですから。ここで基準はきめますし、あるいは問題が起これば、これに対して処理もしなければならぬけれども、日常やはり実態を知っておる自治体が、いま御指摘のような水源地に対しては、政府基準がきめられても、県がこれを上のせして、常にきれいな水を確保するという態度が好ましいと思うのですね。またそれに、よごさないような監視強化していかなければならぬ。また、水源地の周辺にやはり人家がありますから、下水道整備ということも、これは非常に緊急を要する課題だと思うのです。  政府も来年度から、いま途中の下水道整備五カ年計画を、途中ですけれども、これを改めまして、五カ年計画で、そして下水道というものに本格的に取り組んでいこうということです。補助率にも検討を加える。そういうことで総合的な対策というものが必要なので、これを総合的に推進をしていきたいというのが政府のいまの考えでございます。
  49. 増本一彦

    増本委員 自治体全国一律の排水基準に上のせする。しかし、先ほども議論したのですが、川なり湖沼ダム上流は他の都道府県の場合には、自分のところで上のせ基準をつくっても、上流からどんどん流れてくる。これを押えることができないわけです。ですから、私は、上水道水源については、一定地域指定したり水域指定して、それについて国としての基準も明確にしたり、あるいはそれに伴う、その基準確保していくために必要な財政的な手だてや人員的な手だても、はっきりとっていくというようなことまでおやりになる必要があるのではないか、これが一点。  それからもう一つは、これは建設省先ほど議論をしたのですが、上水道水源地域あるいはその周辺地方自治体というのは非常に財政的にも弱小な町村である。一般会計で一年に三億円、四億円ぐらいの予算しか計上できないところもあるわけですが、そういうところが国の四割の補助都道府県の六%の補助で、自分が実施主体になって公共下水道をつくっていくといっても、それはできない。だから、これこそ国がもっと大幅な助成をして、それについては都道府県実施主体になるなどして、もっと補助率補助対象、単価も引き上げ、抜本的な対策をとる必要があるんじゃないか。そのために必要な下水道法やその他の関係法の抜本的な改正や整備ということもあわせて考える必要があるのではないかと思うのですが、その二点について長官意見を伺いたいと思います。
  50. 三木武夫

    ○三木国務大臣 いまは、上水道の場合には、自治体の区域がまたがる場合がありますから、これは調整をさしておるわけです。それがきかなければ、勧告をする場合もある。だからその水域に対して関係自治体の間で調整ができるような協議会のようなもの、そういうものをつくって運営をさそうというのが方針なんです。そのほうが実際的であるという考え方からそういう方法をとっておるわけです。  下水道については、お考えのようにわれわれも考えておるわけで、従来のようなことでは、補助率も低いし、下水道は進捗しませんから、これはもう抜本的に、下水道対策というものを来年度から再出発するつもりでやるという方針で予算の要求もいたしておる次第でございます。
  51. 林義郎

    ○林(義)委員長代理 速記をとめて。   〔速記中止〕
  52. 林義郎

    ○林(義)委員長代理 速記を始めて。
  53. 増本一彦

    増本委員 上水道水源を全面的に水質管理し、確保するというたてまえで、さらに強力な施策を講ずるように要求しまして、私の質問を終わります。
  54. 林義郎

    ○林(義)委員長代理 島本虎三君。
  55. 島本虎三

    島本委員 私は、まずきょうは、エリザベス女王訪日とあわせてコンコルドの成層圏並びに環境に与える影響、それとともに野鳥、渡り鳥の大量斃死問題、この二つにしぼって三木環境庁長官にひとつ意見を賜わりたい、こういうように思う次第であります。  まず長官、十月の二日に、訪英中の田中首相が、二日正午過ぎにバッキンガム宮殿でエリザベス女王に約三十分間お会いになった。その中で、女王とエジンバラ公の訪日問題を女王に申し上げた。これは日本大使館がこれを明らかにしたようであります。しかし時期等については、公式発表が出るまでは言えない、こう述べていることからして、訪日は事実上確定したのではないかと、こういわれておるのであります。これはまことに重要なことでございますので、まず外務省のほうに、この発表について間違いございませんかどうか、お伺いいたします。
  56. 山田淳治

    ○山田説明員 お答えいたします。  田中総理大臣及び大平外務大臣は、十月二日、イギリスにおいて女王陛下に謁見を賜わりまして、その際、女王及びエジンバラ公が一九七五年の春に国賓として訪日されるようにとの招待に対して、この招待を喜んで受諾する用意がある旨を述べられました。このことは十月三日発表されました日英共同声明に書いてございます。
  57. 島本虎三

    島本委員 これはもう日英共同声明にはっきりいわれているとすると、日英両国間の友好親善のためにも、この問題に対しては十分考慮し、配慮しなければならないのじゃないか、こう思っておるわけであります。まあ長官も、こういうような点については、いま留守をあずかる総理代理でありますから、十分お考えのことだと思うのです。これに対しての見解をひとつ承ります。
  58. 三木武夫

    ○三木国務大臣 明後年の春、エリザベス女王が来日されるという、いま外務省でも申し上げたようなことになったわけでございますが、イギリスの元首が日本を訪問されるというのは、これは最初のことでございます。女王の来日が日英両国の親善のために画期的な意義を持っておるものであるとして、われわれはその実現を期待をいたしておる次第でございます。
  59. 島本虎三

    島本委員 まあ再来年の春ということにほぼ決定されたようでございまして、その点についても十分両国間の親善友好のためにも配慮しなければならないことは同感であります。したがって、ロンドンの外交筋が、やはり二日の日に語ったところによりますと、これは報道でございますが、エリザベス女王が来日する際には、英仏共同開発の超音速旅客機SSTコンコルドにお乗りになる、こういうような話が進められておるようであります。そして、それもモスクワ経由のロンドン−東京間のSSTの航空路が開設され、コンコルドの就航が行なわれる一九七五年、時期的にちょうど春になりますが、そういうようなときに訪日されるということは、ちょうど時期的に合うわけであります。したがって、女王がコンコルド特別機で一番乗りされるものである、こういうように関係筋では考えておられるようでありますが、これは外務省、このとおりでよろしゅうございますか。
  60. 山田淳治

    ○山田説明員 女王の御訪日時期は明後年の春でございまして、いまだその際に、いかなる交通手段を使用されるかについては全然きまってないと承知しております。また、総理もしくは外務大臣と先方の会談におきましても、この点については何ら触れてないと承知しております。
  61. 島本虎三

    島本委員 ちょうど触れられておられないようであります。しかしながら、やはり以下、次の点の質問によりますと、これがだんだん一致するようなことに相なるわけであります。したがって、このまま続けさしてもらいますが、これは西欧といわゆる日本の公害に対する感覚の違い、こういうものも国際的に十分考慮しておかなければならないのじゃないかと思います。すなわち、西欧では文化や自然保護には十分関心が深いことは、われわれともに認めるところであります。しかし、環境汚染等については、何らその方面に対しては、逆に日本側の現在の行政や行き方を批判しておる面もないわけじゃないというふうに考えられる点がございます。水爆の実験の際にも、こう騒ぐのは実際、科学的な知識の欠如でばかげておる、こういうようなこともあったようでございますが、日本としては、これはまことに重大な問題なのであります。  したがって、日本に来る際に、フランスのあのモナリザという世界的な名画でありますが、これは軍艦で運ばれるとかいう配慮も払われておるということであります。あるいは一説によると、これはコンコルドで運ぶということも考えられておるということを聞いております。この点等についてははっきりした情報はございませんですか、外務省。
  62. 山田淳治

    ○山田説明員 総理訪仏の際の先方首脳との会談の際に、コンコルドの購入の問題について話し合われたことは事実でございますが、総理より騒音、排気ガス公害あるいは航続距離等に問題がある旨を指摘されたと承知しております。  また、モナリザの輸送についてでございますが、総理からコンコルドを使用することも考えられようというような発言があった模様でございます。しかしながら、この輸送についてコンコルドを使用するかいなかについては、現時点では全く何らきまってないと承知しております。
  63. 島本虎三

    島本委員 この問題等についても、親善友好関係の点からして、両国民の間の感覚のズレやまた特殊性というものを十分考慮されて、少しでもみぞを深めるようなことがあってはならないという配慮であります。したがって、この相互の国民の環境汚染に対する感覚の違いもあるということ。女王の来日、これは大歓迎するわけでありますけれども、この感覚の相違があるということで、少しでもみぞができるようなことがあってはたいへんだという配慮でありますから、十分この点は考えておかなければならないと思うのであります。したがって、昨年ですか、日本にコンコルドが飛来しましたが、その騒音等についての調査を十分いたしましたかどうか。これは運輸省、環境庁両方から御答弁願います。
  64. 寺井久美

    ○寺井説明員 昨年参りましたコンコルドの試作機につきましては、羽田におきましてICAOの測定方法によりまして測定いたしました。その結果、離陸時に一二九EPNdbそれから側方が九三ないし一一七EPNdb、進入時の騒音が一二七ないし一三五EPNdbでありまして、これは現在使われております飛行機に比べまして、かなり高いもめであったことを確認いたしております。
  65. 島本虎三

    島本委員 環境庁はいかがですか。
  66. 春日斉

    ○春日説明員 昨年の六月十三日でございますが、測定場所は川崎の浮島の日本カーフェリーの桟橋でございまして、滑走路の端から一・九キロメートルの位置、進入路から約三百メートル西寄りの場所で測定いたしたのでございます。もちろんこの場合測定値は離着陸について行ないました。同時にボーイング727とか、あるいはDC8とかあるいはジャンボ、こういったものとあわせて測定いたしたのでございますが、この場合は、離陸のときが百十七ホン、着陸のときが百十ホン程度でございまして、B727とか、それからDC8等に比べますと、やはり二十ホンばかり高かったという結果を得ております。
  67. 島本虎三

    島本委員 これは環境庁並びに運輸省、東京都がした調査とほぼ似ているようですが、数値が違うようです。これは一緒におやりになったのですか。別々におやりになったのですか。
  68. 寺井久美

    ○寺井説明員 まず航空局は東京都と別に測定をいたしました。  それから数値が違いますのは、おそらくは測定点が違うということに原因するかと存じます。
  69. 春日斉

    ○春日説明員 東京都とともにやった成績でございます。
  70. 島本虎三

    島本委員 それで女王が来日される。やはり友好親善という基本的な重大な目標に、少しでもこれは差しさわりがあっては困るのではないかという配慮でありますが、日本航空はコンコルドを一応予約しているという話ですが、これはいまも有効なのですかどうか。条件はどうなっておりますか。  同時に、超音速航空機の公害騒音等の問題を、どの程度考慮に入れて対策を練られておりますか。この機会でありますから、十分解明願いたいと思います。
  71. 寺井久美

    ○寺井説明員 まず日本航空がコンコルドの発注についてどのような状態に現在あるかという点につきましては、現在なお仮発注の状態にございまして、契約の無償解約権を留保しております。今後メーカー側から性能の改善、その他提案などを十分検討した上で、最終的な態度を決定したいというのが、日航の考え方のようでございます。  それで昨年参りましたコンコルドの試作機につきまして測定した結果につきましては、先ほどお答え申し上げたとおりでございますが、メーカー側といたしましては、この騒音値を下げる努力をいたしておりまして、大体現在就航中のDC8あるいはボーイングの707程度の音に下げることに成功したというふうに聞いております。ただ、われわれまだこれを確認いたしておりません。
  72. 島本虎三

    島本委員 今後これは環境庁としてもコンコルドの公害ということに対しての対策は、十分考えなければいけないわけでありますが、この点等に対して、環境庁はどういうふうにしてこれに対処しておりますか。
  73. 春日斉

    ○春日説明員 環境庁におきましては、現在中央公害対策審議会におきまして、航空機騒音にかかる環境基準の問題を御審議願っておるわけでございまして、近くこれに対しまして答申をいただき、航空機騒音環境基準設定いたしたい、このように考えておるわけでございます。  この環境基準設定されますると、超音速飛行機が飛んでまいりました場合におきまして、その騒音も含めて基準値を達成していく必要があるわけでございますので、関係各機関と協力しつつ対策を私どもは講じてまいりたい、かように考えております。  なお、超音速の飛行に伴いますソニックブームの問題もございます。これにつきましては、政府から先般の国会に提出いたしておられます航空法の一部を改正する法律案におきまして、一定の空域における超音速飛行の制限を考えておられるようでございまして、今後とも運輸省と連絡いたしまして、こういったものにつきましても対策を進めてまいりたい、かように考えております。
  74. 島本虎三

    島本委員 すなわち、これは大臣、もう騒音防止法ができております。四十五年の十二月のあの公害国会の際にもこの問題が扱われましたが、空気においてはSO2の問題、それから騒音では、航空機と鉄道の新幹線、この騒音だけは別扱いになって、騒音防止法から除外されているのであります。できてから、もうすでに二年有余を経過しておりますから、それが対策として、いまや女王が来日される、訪日されるという際でも、まだ十分な基礎調査もなされておらないということは、少しおそきに過ぎるのではないか、こういうように思います。  ことに騒音環境基準一般の分はAAあるいはAあるいはBというふうにして、これは昼、夜というふうにして分けて基準をきめておりますが、この航空機やまた新幹線、こういうようなものに対しては、まだ十分手がつけられておらないということ、まことにこれはおそきに過ぎます。ことに超音速機がいま来る際に、まだ環境庁対策がそのような状態だということは、これは今後少し馬力をかけてもらわなければならない重大な問題だと私は思っておるのです。しかし、これは他省のほうが管理しておるのであるから、環境庁関係ないという考えに立つわけにはまいりません。したがって、この点は私は重大な問題点だとして指摘しておきたい、こういうように思います。  それでSSTの超音速航空機についての公害ということについて、海外の情報はどの程度収集してございますか。
  75. 春日斉

    ○春日説明員 入手し得る限りのものは、環境庁といたしましても入手はいたしておりますが、現在ただいまはここに持って来ておりませんので御報告できませんが……。
  76. 島本虎三

    島本委員 あるのですか。
  77. 春日斉

    ○春日説明員 ございます。現在入手し得る限りのものはございます。
  78. 島本虎三

    島本委員 先ほど外務省からも答弁がございましたけれども、フランスの首相と話した際に、コンコルドがいまのような騒音や排気ガス等から見て、これはもう困るんだという発言が田中総理からあったように報ぜられておったことを私記憶しておるのです。この総理の訪欧の際に、超音速機に対しての基本的な理解と方針、これはどのようにして持たしてやったのですか。運輸、環境、通産各省ともこれは十分討議してやったんじゃないかと思いますが、基本的な理解と方針をここにはっきりさしてもらいたいと思います。
  79. 三木武夫

    ○三木国務大臣 コンコルドについては、格別資料というものは事務当局から渡してないと思いますが、総理は十分にこの問題に対する、騒音とか排気ガスについては承知をしておりますから、ヨーロッパで、たとえばポンピドー大統領との会談のときにもそういう点を指摘をしておりますから、報告をしてはなくても、総理自身が、この問題はどういうところに問題があるか、日航などにおいてもきめかねておる原因というものは十分に承知しておりますから、あえてヨーロッパに行く前にいろいろとこちらのほうから資料を提出する必要はなかったものだと考えます。
  80. 島本虎三

    島本委員 わかりました。しかし、そういうふうに総理が御発言になっておられる。しかし、女王がそのコンコルドに乗って訪日される、こういうようなことに対しては、何か矛盾するような気がするのですが、この点に対しての懸念は三木長官ございませんか。
  81. 三木武夫

    ○三木国務大臣 女王が来日を予定されるのは明後年の春でありますから、現在のところ島本委員、女王がおいでになるのにはコンコルドでおいでになるという仮定のもとに御質問になっておりますが、現在の段階では私はきまっていないと思うのです。どういう航空機によってお越しになるかということは、いまだ決定されておらない。またコンコルドにつきましても、明後年というわけですから、各国の反響というものは、米英、イギリスもフランスもよく承知しているわけですから、いろいろな技術的な改良も加えられるでありましょうし、いま言ったようにまだ決定もされてないと思いますし、またコンコルド自体の技術的な改良もありますから、いまそれを決定的なものとして、島本委員いろいろ御懸念を持っておられるようでありますけれども、私は少し時期的には早い感じがいたすのであります。
  82. 島本虎三

    島本委員 三木長官ですから、私の真意も十分おわかりの上での御答弁だと思います。  ロンドンの外交筋が二日語ったところによると、エリザベス女王来日の際に、英仏共同開発の超音速旅客機コンコルドにお乗りになるよう話が進められており、それはモスクワ経由ロンドン−東京間のドル箱コースをSST航空路が開設され、コンコルドの就航が行なわれる一九七五年は、時期的にエリザベス女王の訪日と合うので、女王がコンコルド特別機で一番乗りされると同筋は述べておる、こういう報道があるのであります。これをもとにして私どもはいま質問しているわけなんでありますが、まだきまっていないとするならば、外交筋の、これに対して、先ほどの答弁と若干違うようですが、外務省、これはいままだきまっておらないのですか。進めておるというのは、これはうそですか。
  83. 山田淳治

    ○山田説明員 先ほどお答え申したとおり、この点につきましては、今次田中総理の訪問のときには全く話は出ておりません。したがって御訪日時期は明後年の春でございまして、コンコルドをその際に使用されるかどうかということについては、現在の時点では全く何らきまっていないということでございます。
  84. 島本虎三

    島本委員 現在の段階ではきまっておらないということはわかりました。関係筋はそれを進めているという新聞報道も現に事実であります。そうすると、それはまだ発表される段階ではないということに理解しておきたいと思います。それと同時に、十分そのための調査だけは進めておかなければならないことは論を待ちません。  それで長官に、超音速旅客機による成層圏の大気の変化、いまこれが海外で問題になっているということのように私は承っておりますが、地球管理計画の中でのこれは重要事項になっております。気象庁は、WMO、世界気象機構との関係で、こういうような問題に対して十分対処されておるのじゃないか、こういうように私は推測いたしますが、気象庁、この点等については十分対処されてございますか。
  85. 高橋浩一郎

    ○高橋説明員 ただいまの点についてお答えいたしたいと思います。  この問題は気象学者の間でもかなり関心を持っておりますけれども、何ぶんにも現象自身が非常に複雑なものでございまして、まだ十分よくはわかっておりません。WMOにおきましては、まだ現在こういった問題を取り上げるという計画はございません。  ただアメリカにおきまして、この問題が非常に大きく取り上げられておりまして、クリマチック・インパクト・アセスメント・プログラムという計画がございまして、そこでこの問題を取り上げて研究をしております。その問題と関連いたしまして、日本の気象庁のほうにも協力を求められております。われわれといたしても、それに協力してやるつもりでおります。現在におきましては、札幌と館野と鹿児島の三カ所におきまして週一回オゾンだとか水蒸気の観測をいたしまして、それを集めて、その資料に提供するということを現在やっております。そしてまた、これに関する研究も若干やる必要があるのではないか、こう思っております。  また、気象庁の立場といたしましては、汚染というよりは、そういったようなものが気象に及ぼす影響、そういったものを中心にして計画を立てたい、こう考えております。  なお、アメリカのこの計画は来年の末あたりまでにまとめたいということでございまして、そういう計画が日本にまいりますと、その辺の状況がかなり明らかになってくるのではないか、こう思っている次第でございます。
  86. 島本虎三

    島本委員 いままでは、どうしても公害行政ということは、あと追い行政だといわれております。ことに環境保全という問題に対しては、先取り行政にだんだん変わっていかなければならない問題なんでありまして、こういうような問題を先に十分に対処して、問題になる点等をはっきりさせておいて、そして環境汚染にならないように、破壊にならないように、こういうような点は十分考えるべきだと思うわけです。一種の先取りでありますけれども、こういうのは積極的にやってもらいたい、このことを強く要請しておきたいと思います。  ことにこれは、ソ連であるとか中国ではSSTの問題については積極的だ、こういうふうに報ぜられておるわけでありますが、この辺の事情はどういうふうになっておりますか、運輸省。
  87. 後藤茂也

    ○後藤説明員 お答え申し上げます。  私ども承知いたします限り、中国の中国民航はコンコルド三機について注文をしておるということを聞いております。もちろんソ連におきましてはツポレフ144と名前をつけられております、英仏が開発しておりますのとほぼ同様の性能の超音速旅客機を開発中でございまして、この航空機もコンコルドとほぼ同じ程度の時期に実用化に入るのではないかというふうに承知しております。
  88. 島本虎三

    島本委員 その際に、ICAO、国際民間航空組織ですか、これは超音速旅客機問題に対しては大いに関心を払っておられる、こういうふうに承っておるのです。これに対して今後どのように取っ組んでいくのでしょうか。いろいろ官庁機構もございます。民間機構もございます。この辺のはっきりした接点も十分把握しておかなければならないのじゃないかと思いますが、この辺の情勢はいかがです。
  89. 後藤茂也

    ○後藤説明員 ただいまICAOにおきましては、現在開発中のコンコルド及びTU144の二つの機種の超音速旅客機に関連いたしまして、SSTコミッティーという特別な組織と、それからソニックブーム・コミッティーと、その二つの組織を機構の中につくっておりまして、一つ騒音基準についていかなる対策をとるべきか、それから地上に考えられますソニックブームの影響を減殺するためにいかなる方式が妥当であるかといったようなことにつきまして鋭意検討中でございます。私どもがいま承知しております限り、まだそれについての確たる結論は出していないようでございます。
  90. 島本虎三

    島本委員 やはりこれはSSTについて今後の対応する方策等についても十分考えておかなければならないと思うのです。そして現在航空騒音、これについては、四十六年十二月に、これは運輸省へ勧告が出されたようであります。これはWECPNL、これは四百機の平均八十五ホン以上の場合ということになるのだそうでありますが、この八十五の場合、防音工事をせよという単なる助成措置だけだと承っております。やはり騒音対策が助成措置だけであるというようなことに対しては、これでは手おくれの感があります。こういうような態度では困るのであります。  ことに被害住民対策、こういうようなものは立ちのきを強要し、そして立ちのく人に対しての補助をするんだ、助成するんだということのようであります。これでは自衛隊の基地は、これは治外法権ではないと言いながらも、現在のいわゆる基地周辺法によって、そういうような方式が、公害対策としてとられるのであります。それと民間でも軌を同じくするというような行き方、これではやはり住民が納得するに至らないだろうと思います。ことにコンコルドの場合には、今後重大なソニックの問題であるとか、また騒音公害の問題であるとか、成層圏に及ぼす影響であるとか、こういうような多角的に考えられなければならない問題があるわけでありますから、この辺の調査を十分進めて、これは国際的な親善友好関係にも少しでも支障を来たさないように、十分先進国日本としても対処していくのが、私は当然、行政の姿でなければならないのだ、こういうように思っておるのです。  いままでの御答弁によりますと、他国の例は知っておられるけれども、自国の例はまだ十分対処する段階までいっておらない。このことは、私、聞いて、歯がゆい感じがするのであります。この点に対しては、今後重大な関心を払って、これは騒音防止法の適用範囲ではない、こういうことにしても、騒音や典型七公害に対して、これを指導するのは環境庁でありますから、やはりその点を疎外してはならないと思うのです。これは十分今後対処するように要請しておきたいと思います。長官の御意見を伺います。
  91. 三木武夫

    ○三木国務大臣 航空機騒音というものに対しては、地域住民の非常な不安、不満というものがやはりつのってきておるわけですから、われわれとしても、今年じゅうには環境基準をつくりたい、その環境基準によって航空機騒音対処していきたいと考えております。
  92. 島本虎三

    島本委員 コンコルド騒音の問題は、これで一応終わります。ほんとうはまだ終わりたくないのでありますが、長官の時間は一時半までだそうで、私はまことに不満なんです。終わらざるを得ないということで不満なんです。いずれまた問題が起きた場合には取り上げることにして、次に移らしてもらいます。  野鳥、渡り鳥の大量斃死問題についてであります。  長官にこの際お伺いしますが、日ソ渡り鳥条約、これについて本日閣議決定がなされたということを伺っておりますが、この問題については、どういうような推移でございますか。
  93. 三木武夫

    ○三木国務大臣 日ソの渡り鳥条約は、事務折衝は終わっておるわけでございます。したがって私どもは、田中総理がいまモスクワに滞在中でございますから、今回、田中総理の訪ソの機会に調印をされることを期待をいたしておる次第でございます。
  94. 島本虎三

    島本委員 訪ソの機会に調印するというと、大体十月十日ということになるわけでございますか。
  95. 三木武夫

    ○三木国務大臣 日にちはきまっておりませんが、せっかくソ連を訪問されたんですから、そのときに調印をしてもらいたいと、われわれは考えておるわけでございます。
  96. 島本虎三

    島本委員 その内容等については、どうなっておりますか。これは事務当局からひとつお伺いいたします。
  97. 江間時彦

    ○江間説明員 お答えいたします。  いま先生がおっしゃいました条約は大体四点ほどございまして、第一点は、渡り鳥の捕獲などを規制して保護をはかるということが第一点でございます。第二点は、絶滅のおそれのある鳥類を保護するために輸出入を規制するというのが第二点でございます。それから第三点は、渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類の保護をはかるため、鳥獣保護区を設けるなど生息環境の保全につとめることというのが第三点でございます。それから第四点といたしまして、これら鳥類の研究に関する資料の交換及び共同研究を奨励することというのが、おもな内容でございます。
  98. 島本虎三

    島本委員 こういうような点について、すぐ調印される、こういうことになるわけであります。以前批准してございまして、これはほんとうに同慶にたえません。ただ、野鳥についてはどうなっておりますか、この点をあらためて伺います。
  99. 江間時彦

    ○江間説明員 大体いま申し上げました渡り鳥というのは、野鳥の範囲に入るわけでございまして、条約の中に含まれておると思います。
  100. 島本虎三

    島本委員 この際、そういうふうにして国際的に日本は条約を批准し、そして調印が行なわれる、そういうような段階に来たことを私どもとしては、もろ手をあげて喜ぶものでありますが、国内では逆に野鳥の大量斃死問題というのが起こっておるわけです。  最近ことにはなはだしいのであります。全国各地で大量の怪死が続発しているわけです。北は北海道から南はずっと鹿児島まで十一都道県で野鳥が斃死しているわけです。ミズナギドリ、こういうようなものが海岸に打ち上げられたりしているわけです。いずれもこれはなぜ死ぬのか原因が不明だというのでありますが、こういうようなことにしておいて条約だけを批准し、締結するということがあった場合には、逆に日本としてはその真意を疑われるようなことになりはせぬかということを私はおそれるのでありますけれども、この最近の大量野鳥、渡り鳥の怪死と申しますか、この事件について当局はどういうように把握しておりますか、その原因等についてもはっきり調査してございますか。
  101. 江間時彦

    ○江間説明員 お答えいたします。  まず大量死の発生状況でございますが、大体この二カ月間に北海道ではコシジロウミツバメ五十羽くらいだと聞いております。それから茨城、千葉、東京、新潟、愛知の五都県でカモ類が三十ないし百五十羽くらい死んでいるのが見られた。さらに、五月末から六月初めにかけまして静岡、三重、宮崎、鹿児島の四県におきましてミズナギドリが相当数まとまって死んでいるのが発見された。なお、このほか、青森、愛媛などにおきまして、ムクドリ、スズメなどが相当多数まとまって死んだ事例があるようであります。これら合計いたしますと、この一年間に十二都県におきまして大量死が見られたというのが現在把握されている状況でございます。  この原因でございますが、われわれ各都県とよく連絡をとりまして調査いたしております。一部わかりました結果でございますが、たとえば東京都の例で御説明申し上げますと、細菌の検査は目下継続中ではございますが、ニューカッスル病などについても、その疑いがないということがわかっております。また観察によりますと、歩行困難、採餌、それから水を飲むということに困難を感じる鳥が見られた。解剖したところ、胃の中はからっぽだったというのが多いようであります。毒性検査の結果はまだ出ておりませんが、生息地周辺水質を検査しましたところ、水道水質基準以下のマンガンが検出された程度でございまして、いまのところ原因がわかっておりません。その他の県におきましても、いまのところ、これという病気が見当たっていないということでございます。  また、五、六月に発生しました静岡ほか三県のミズナギドリにつきましては、からだがやせており、胃の中に食べものがなかったが、一部の鳥には油、ビニール等が見られた。なお、死亡の前後、沖合いがしけておりまして、採餌活動が困難であったとも思われます。  以上のような状況で、まだこれらの死因解明の手がかりを得ていないというのが実情でございます。  これからどうすればよろしいかということでございますが、先生がいま御指摘になりましたように、鳥獣保護上、あるいは鳥獣が環境の非常に重要な指標になっておるという性格から考えまして、非常に重大な問題であると思うわけでございます。われわれといたしましては、このような大量死が発生しました場合に、各県において、それぞれ十分死因の究明をしてほしいというように指導しております。残念ながらまだ原因はわかっておりませんが、一つの問題点といたしまして、死因究明の方法自身がまだ客観的に確立してないという面もあると思われます。したがいまして、われわれといたしましては、早急に関係分野の専門家の御協力を得まして、この種の問題に対処する方法を検討してみたいと思っておるわけでございます。
  102. 島本虎三

    島本委員 これは、北は釧路の付近の厚岸から南は志布志町に至るまで、ことに四十八年五月二十八日の鹿児島県の志布志町の海岸にはハイイロミズナギドリ二百六十羽、これが死骸となって漂着している。また、四十八年の五月の末から六月の中旬までの間に、静岡県の伊豆から遠州灘海岸にはミズナギドリ約七百五十羽が死骸となって漂着している、こういうようなことになっているわけです。しかし原因は依然としてわからない、こういうような答弁のようであります。しかし、東京都でも中川のカモの大量怪死事件について、葛飾区の奥戸橋、ここはカモの生息地のようでありますが、ここでカルガモ、コガモ百十羽程度死んでいる。これを解剖した結果、クロム、カドミウム、鉛、マンガン、こういうようなものが検出されたけれども、最高は〇・二五PPM、これは〇・三PPMの基準より下がっているから何でもないのだということなんです。  もうすでに基準そのものにも考えなければならない問題点がないか、こういうようなことであります。しかし、依然としてかわらない、こういうようなことを言っておりましても、こういうような斃死の事件が起きている。ことに肝臓は黄色く肥大しておる、これは脂肪変化である。小腸や大腸にも充血が見られる、これは農薬の中毒に似ている、こういうような点さえ指摘されているわけでありますから、環境基準以下であったならば、よろしいというこの考え方こそが重要な問題点となっているのじゃないか、再考を要するのじゃないか、こう思われるのであります。  長官、これはもう一回検討しなければならない時期ではなかろうか、こういうように思います。依然として日本では原因は不明である。この中でこういうような大量死が平気で行なわれるわけであります。原因が全然ないということはあり得ないのでありまして、それは、知らないということ、また現在何でもないと思われている、この基準自身が問題だということ、これ以外にはないと思うのであります。したがって、この点はもう一回検討しなければならないのじゃないか、こう思いますが、長官いかがですか、これは。事務当局だけじゃわからぬのです。
  103. 三木武夫

    ○三木国務大臣 渡り鳥条約のようなものが今後ソ連とも調印するし、オーストラリア、中国ともこういう渡り鳥条約のような条約を締結することが好ましいと考えておるわけですが、こういう国際的な協力はしても、国内において鳥獣の保護、鳥獣の生息環境の保全、こういうものが手抜かりになりますれば、これは意味をなさないことでございますので、こういう国際的な協力関係も条約によって推進されておる機会に、御指摘のような問題については、もう一ぺん徹底的に専門家などの手をわずらわして調査をいたすことにいたしたいと思います。
  104. 島本虎三

    島本委員 わかりました。やはりよごれて、油で汚染されている鳥類もあるようです。また、私どもの調べによりますと、北海道の厚岸のコシジロウミバメ、この場合は、落ちた鳥のうち数羽を住民が自宅へ持ち帰って手当てをしたら元気を取り戻した、こういうような報告さえ釧路支庁のほうになされておるということであります。そうすると、この環境の汚染というのが意外に進んでいるというこの実態、これを十分われわれは留意しなければならないんじゃないかと思うのです。  経済企画庁に伺いますが、昭和四十八年十月三日の新産都市及び工業整備特別地域、これは新産または工特地域、こういっているようでありますが、この現況を経済企画庁でまとめられたようでありますが、その結果を御報告願いたい。
  105. 北川博正

    ○北川説明員 ただいま先生から御質問のあった現況ということでございますが、環境汚染の現況についてという御質問かと思いますが、これにつきましては、大気汚染につきましては現行の〇・〇五PPM、今後〇・一五から……
  106. 島本虎三

    島本委員 計画遂行の現況です。
  107. 林義郎

    ○林(義)委員長代理 ちょっと申し上げておきますが、御答弁は簡単にひとつお願いしたいと思います。
  108. 北川博正

    ○北川説明員 失礼いたしました。  現在の計画は、生活関連と産業施設とそれぞれ分類して考えますと、新産でございますが、産業施設のほうはおおむね九五%、生活関連につきましては七三%程度の進捗でございます。  それから工特でございますが、産業関連のほうが約八十数%、それから生活関連のほうが約五〇%という状況でございます。
  109. 島本虎三

    島本委員 これは五十年を目標にしての計画、この進行の過程がそうなんです。依然として新産都市関係や工特地域関係、これは産業の施設整備計画率は高いのであります。新産都市に至っては四十八年度で一〇〇%遂行されるわけです。しかしながら生活関連施設整備は七三・八%にとどまっているわけであります。どうしてこれを並行させないのか。産業関係だけ遂行して生活環境関係がおくれている、このことがとりもなおさず大きい原因になっているのじゃないか、こうさえ考えられるわけです。したがって、ほとんどすべての地域は生産関連の施設整備されているけれども、生活環境関連の施設は立ちおくれている。このために公害が発生したり環境が悪化するという問題が起き、罪もない渡り鳥や野鳥がこういうようにして大量斃死するような状態を醸成するようなことに拍車をかけているのじゃないか、このことなんであります。  私どもは、ここを一つ見ましても、今後十分長官としても考えておいてもらいたいのであります。私どもとしては、条約を批准し、条約を締結し、調印までする、この段階になっていながら、国内ではこういうようにして大量の渡り鳥や野鳥が斃死している、こういうようなことは、まさにもうわれわれ自身としては悔ゆべきことなんです。恥ずべきことなんです。行政が高度経済成長にばかり重点を置いて、そうして生活環境の整備がおくれている、この結果がこういうような状態になってあらわれている、この点を指摘しなければならないのであります。  私は、もうまことに、この点をいまここに言い出したことは残念でありますが、この点等についても、まだまだ依然としてデータが不足なようです。原因が不明だということはどういうことですか。こういうことはあり得ないことであります。依然として環境庁でも原因不明、通産省でも原因不明。ことに北海道開発庁来ておりますけれども、開発庁でも原因不明。全国、日本列島、公害列島化しているから、これがわからなくなってしまっている。いまにして、これを立て直すのでなければ、これはもうコンコルドの騒音公害はおろか、日本国じゅうが、いかに総理が世界行脚して親善友好を結んできても、一たん来日された場合にはとんでもないことになるおそれがある。このことをまことに私は、もう衷心から恥じるものであります。今後こういうようなことのないように十分考慮してもらわなければなりません。長官、いかがです。
  110. 三木武夫

    ○三木国務大臣 政府自身も、従来の政策が高度経済成長政策、そのもとにおける生産第一主義というものがそれなりのメリットはあったにしても、生活関連との間に調和を逸しておったということは十分に認めまして、現在口を開けば福祉優先、生活優先と政府が申しておるのは、そういう従来の経済政策の反省の上に立って政策の転換を行なうという政府の決意にほかならぬわけでございます。
  111. 島本虎三

    島本委員 いまの答弁に関連して、通産省ではどのようにお考えですか。
  112. 江口裕通

    ○江口説明員 お答え申し上げます。  工業の再配置あるいは地方開発というものが現在着々と進められておるわけでございますが、その際環境の保全それから公害を撲滅する、無公害の工業地域をつくりたいということは、通産省の念願としておるところでございます。そういうことで今後も対処してまいりたいと考えております。
  113. 島本虎三

    島本委員 開発に重点を置いて、やはり自然破壊、こういうようなことを持ち込んではならない。対処する問題を含めて、大型林業圏の問題等、いま北海道開発庁でもこれを進めておるようであります。しかし、開発は自然環境を破壊した上に立って、これを行なってはならないことは鉄則です。北海道開発庁大西企画室長のこれに対する高邁なる意見をひとつ伺います。
  114. 大西昭一

    ○大西説明員 ただいま先生から御指摘がございましたように、開発は、まさに人間のよりよき環境をつくるためにやる開発でございますので、当然人間環境を悪化させるような開発は、われわれはとるべきではないというふうなことで考えております。
  115. 島本虎三

    島本委員 間違いありませんね。  大臣が一時半までしかいないということなので、これで私終わらなければならなくなったんです。(三木国務大臣「いま総理がいませんから、代理しているのです」と呼ぶ)しかし、いずれにいたしましても、あなたは、きょうは内閣総理大臣代理なんでありますから、そういうような点からして、委員会を軽視なさらぬように、この点は心から要請しておきたい、こう思うのです。  まだ質問あるのですが、全部終わったあとでもう一回やらしてもらうことにして、長官がいる間にぜひ岡本委員がしなければなりませんので、私の場合は、これでひとつ暫時中止をすることにさせてもらいます。  たいへんありがとうございました。
  116. 林義郎

    ○林(義)委員長代理 岡本富夫君。
  117. 岡本富夫

    岡本委員 長官があと十五分きりしかいないんですね。それでまず長官に……。  最近地方自治体公害の苦情のくるうちの三〇%が交通騒音ですね。それでこの騒音、振動を含めた苦情がもう毎日毎日のようにくる。同時にまた、私も国道のそばにおるんですけれども、とてもこれでは住めないというような事態になってきておる。これはいま自動車の台数がふえたことを意味しますけれども、また道路の悪いのも一つの理由です。したがって、これについて、ここらで抜本的な対策を何とか立てないと、将来、日本列島改造なんていっておりますけれども、そこを通過する通過道路、高速道路、これは非常に支障を来たすんじゃないか、こういうふうに思うのですが、一ぺん長官から、これについてどういう考えを持っていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。
  118. 三木武夫

    ○三木国務大臣 いま御指摘のように、交通騒音に対しての国民の不満というものが公害の中でも一番強くあらわれておるわけでございますが、いつかも岡本委員がこの委員会で御指摘になったように、道路というものは立地の条件から考え直してみるべきではないかという御発言があったことを私も覚えておるわけです。実際に一ぱい一ぱいの道をつけて、その両側に人家があるということでは、今後いろいろな点で自動車の改良も行なわれるでしょう、そして騒音や振動を少なくするようなくふうも行なわれるにしても、どうしてもやはりその立地の当初から考えないと、私は十分なことはできないと思う。  市街地を通る道路にしても、あるいはまた他の道路にしても、多少余裕を——十分な余裕というのは、日本の場合はとれないにしても、まあ何十メートルかの余裕をとるとか、そういうことでないと、これはいま人家がなくても、やはり人家というものは——伊丹空港などでもそういうことにもなりますし、そういうことで、それはそんなところへ住むのが悪いということは言えるわけではない、居住の自由を持っているわけですから。だから根本的に考えてみる時期に私はきておると思う。政府のほうでも、いま岡本委員の言われたような、これは道路などはやはり立地のときから考えなければというような点に立って検討を加えようという空気が出てきておるということでございます。
  119. 岡本富夫

    岡本委員 この少し前までは、去年、おととしぐらいまでは、いままで人間が通っていた道路を、それを自動車が通りだす。そうすると人間が通るところがなくなったというわけで、いま細いですけれども、少しずつ歩道をつけるようになった。少し変わってきておる。こういった通過道路、ひんぱんにたくさんな車が通るところは、やはりどうしても植樹をして、そしてそういった道路に変えなければならぬと思うのですね。道路の改造ですね、これこそは。  そういった何といいますか、公害面、環境問題からどういうようにすべきであるというような、まあ既成の道路をどうするか、これからつくる道路をどうするかというような、一つの概念をつくって、環境庁のほうから示す必要があろうと私は思うのです。いままで見ておりますと、道路建設省にまかしてやらさせておいて、あとでわあわあ言う。そこにあとで家が来るといいますけれども、そうでなくて、もうすでに住居を立ちのかして道路をつくっておるわけですからね。ですから、そういった道路をつくる場合にはこうしなければならぬとか、既成の道路にはこうしなければならぬとか、交通量のいろいろな問題もありましょうが、そういった一つの指針というようなものを環境庁でつくって示す必要があるのではないか、こう思うのですがいかがでございますか。
  120. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私もその必要がある——このごろやはり高速道路などの騒音の被害というものに対しての陳情に来られる人が一番多いんですよ。先日も七環の沿線の主婦の方がたくさん見えて、とてもやりきれぬという訴えがありました。私はよくわかるわけです。だからこれからの道路建設などに対しての計画を立てるところから——いまある道路というものは、いろいろな交通制限などのような方法で緩和をしていくよりほかに、いま岡本委員の言われるような、いまの道路に、またそこに何か森林地帯のようなものはとても考えられませんから、新しい計画を立てる場合に道路計画というのはどう立てるべきかということは、環境庁として意見を言わなければならぬ時期だと思います。これは十分にわれわれとしても、あらゆる角度から検討をして、そういう計画の当初から考え直してみなければならぬという感じを持っておるわけでございます。
  121. 岡本富夫

    岡本委員 いま海洋汚染の問題、あるいはまた水質汚濁の問題、こういうものを環境庁で類型をつくっていますね。いろいろたくさんの類型をつくって、それを地方自治体で当てはまるようにしているというような問題でありますから、現在の使用されている道路にしましても、やや無理なところもございましょう。ですから環境庁一つの指針を出して、地方自治体にその類型に当てはめさしていく。その中から今度は交通規制とか、いろいろなことが行なわれなければ、このまま野放しにすれば、どうにもならないと私は思うんですよ。  ですから、いまの長官のお考え方は、これから新しいものをつくるときにはといいますけれども、現在の分に対しても、こういう一つの指針と申しますか類型をつくって、これを地方自治体に当てはめさして、そして検討をして、制限をし、あるいはまたいろいろまた手法を変えていくとか、すでに交通問題では一方通行にしたり、着々としてそういったいろいろな問題をやっているわけです。ところが環境問題については全然野放しになっておる。  私、各省をずっと回り、あるいはまた皆さんの意見を聞いておりまして非常にむずかしいと思いますけれども、それは地方自治体の住民の長である地方自治体の長あたりが検討しますと、これはこうしたらいい、こうしたらいい、これは環境庁のこれにあわせてこうしろとか——そうでないと、そういう規制方法が何もないわけですから、指針がないわけです。ですから、ちょっとむずかしいかわかりませんが、特に三木副総理のいらっしゃるときに、環境問題を解決するということで、答申をするとか、あるいは何とか検討していくということが大事だと思うのですが、その点もうちょっと進んで、これから新しいというのではなくて、現在のものがたいへんなんですから、この点についてもう一度伺っておきたい。
  122. 三木武夫

    ○三木国務大臣 何もないわけではないので、騒音規制をやっているわけですから、その規制に従って、地域によっていろいろな差はありますけれども、やはり騒音規制に沿うて自治体でそういう交通の規制ども現に行なわなければならぬ場所もできておるわけですから、だからわれわれとすれば騒音規制をきびしくして、それに沿うて地域地域で防音対策というものを考えるという、実際からすれば計画の当初からでないですから、やれることには一つの限界があると思います。しかし、それでもやはりくふうをすれば騒音の被害というものを緩和することができるわけですから、われわれとしても新しいものばかりでなしに、既成の道路についても、そういう点で十分な検討を加えて、騒音の被害に対する国民の要望に対してこたえていかなければならぬと考えております。
  123. 岡本富夫

    岡本委員 長官、ひとつ実効あるものをやってもらいたいと思うのです。長官もあれでしょうから行ってください。  そこで今度は、これは先般の委員会でも私取り上げたんですが、自動車騒音の許容限度、これは現在環境基準できめられておりますけれども、たとえば「第一種区域及び第二種区域のうち二車線をこえる車線を有する道路に面する区域」昼間が七十五ホン、朝・夕が七十ホン、それから夜間、深夜ですが、これが六十ホン、これに対して自動車の騒音の許容限度が「車両総重量が三・五トンをこえ、原動機の最高出力が二百馬力をこえるもの」は加速走行騒音が九十二ホン、この九十二ホンの車が夜中に走りまして六十ホンになるかということになりますと、これはならないわけです。この環境基準の中に昼間でも絶対入らない。これについて環境庁はいかに考えていらっしゃるのか、もう一度、これは大気保全局長ですが、お聞きしたいと思うのです。
  124. 春日斉

    ○春日説明員 許容限度と申しますものは、最高値の規制でございまして、一方環境基準と申しますのは中央値で測定されることになっております。したがいまして、必ずしも現在の許容限度環境基準を満足しないとは限らないわけで、先生指摘のことはよくわかりますが、必ずしも満足しないとは限らないと思っております。
  125. 岡本富夫

    岡本委員 局長さん、あなた、現在一つの例を申しますと、国道四十三号線の例をまたとるわけですけれども、ここで地方自治体でデータを出しておりますが、高いところは、高いときには夜中でも九十一ホンから百ホンに近いところの音がするわけですよ。それはなぜかといいますと、この大きな九十二ホンを許可した車が走るわけですから、これは何台も走るわけですから、とてもこの環境基準の中には入らないわけですよ。これが中央値であれば、道路の側面であれば、もっと低くなるのがあたりまえですよ。ところが、そこがもう百ホンに近いところの車の音がずっとしているわけでしょう。いまあなたの認識が少し、私が考えますと、ちょっとおかしいと思うのですがね。いかがですか。
  126. 春日斉

    ○春日説明員 私申し上げましたのは、一般論としての許容限度は最高値の規制であり、環境基準は中央値で測定いたすわけでございますので、その辺の差から、必ずしも現在の許容限度環境基準を満足しないとは限らないということを申し上げたわけでございますが、具体的な四十三号道路というきわめて交通量の多いような場所におきましては、確かに先生の御指摘のとおり、実際に合っていないことは、私も存じておるわけでございます。
  127. 岡本富夫

    岡本委員 そうしますと春日局長さん、これは何台通ったときの環境基準なんでしょうね、許容基準なんでしょうね。一台ですか、五台ですか。
  128. 春日斉

    ○春日説明員 許容限度の場合、加速走行騒音を例にとられまして御指摘がありましたので、それについて若干申し上げてみますと、加速走行騒音と申しますのは、自動車が「平たんな舗装路面を原動機の最高出力時の回転数の七十五パーセントの回転数で走行した場合の速度で進行して、二十メートルの区間を加速ペダルを一杯に踏み込み、又は絞り弁を全開にして加速した状態で走行する場合に、その中間地点において、走行方向に直角に車両中心線から左側へ七・五メートル離れた」地域ではかった騒音ということに一応定義いたしておりますので、加速走行騒音におきます許容限度につきましては、必ずしも実際の道路で何台の交通量があったとき、かようにきめているわけではございませんで、個々の自動車そのものの許容限度でございます。
  129. 岡本富夫

    岡本委員 この点については運輸省に聞かぬとわからぬわけですけれども、自動車の音がこんなに高くて環境基準だけをこんなに低くしたら、これは実際とは合わないわけですよ。そこで夜間が六十ホン、それから昼間が七十五ホン、朝・夕が七十ホン、これにするためには自動車の音をどこまで落としたらいいのかというような研究をなさっておりますか。
  130. 春日斉

    ○春日説明員 御指摘のとおりでございまして、私どもは大型車及び二輪車に重点を置いて、この秋許容基準の改定強化を行ないたいと考えており、その他につきましては、来年度さらに許容基準強化してまいりたいと考えておるわけでございますが、現在私ども、自動車騒音を低減させるためのエンジンあるいはミッションその他のエンジン部分、あるいは排気管部分のほかにタイヤ構造等の問題につきましてもいろいろ研究をさせ、あるいは関係各省で研究をしていただいておるわけでございます。  たとえて申しますと、自動車騒音につきましては中央公害対策審議会の答申を得て、私どもは長期的な低減計画を考えておるわけでございますが、このためには御指摘のように、どうしても防止技術の開発を積極的にやらなければならぬと考えております。このような状況環境庁ではまず第一に、自動車メーカーに対しましても防止技術の開発に万全を期していただくように強く指導してまいりたいと考えておりますが、国においても積極的な開発を行なうということで、通商産業省及び運輸省におきまして対策を検討しておられるようでございまして、たとえば無公害車と申しますか、騒音に関する無公害車の大型のプロジェクトをお考えになっておるようでございまして、私ども十分に先生の御趣旨のとおり研究してまいりたいと考えております。
  131. 岡本富夫

    岡本委員 先般の答弁でもあったのですけれども、長期的な騒音のマスキー法の検討をしておるというようなことも聞いておりますが、これは相当力を入れてやらなければ、この環境基準にまでは満たない。この環境基準にするのであれば、一台だけ通して、あと警察が次に通るのを規制するとか、何かこの環境基準の達成には、どういう条件とどういう条件とどういう条件でこの環境基準が達成できるんだというような、あなたのほうで一つの——これは運輸省あるいは通産省の協力が必要だと思いますけれども、こうしなければ私はここの環境基準まで落ちてこないと思うのですよ。  建設関係の分は、これはずいぶん落ちてきておりますけれども、自動車の、移動発生源の問題につきましては、これは相当環境庁としても各省にハッパをかけてやらさないと、とてもこの環境基準には合わない。同時に、先ほど長官にもお話ししましたように、もう付近の住民は住むことができない、町が荒廃してしまう。  まず私、この前も当委員会でこの問題を取り上げたのですが、四十三号線の付近の住民の健康調査、これはただちょっと質問調査をやっただけでありますけれども、五軒に一人ずつの自律神経の障害があったり、あるいはいろいろな人があって、もう家を売ってどこかへ出ていきたいという人がずいぶんいるわけですね。  特にこの問題について私、当委員会で何べんか質問したわけでありますが、そこで先般の委員会で私が警察庁の方に要望いたしましたのですが、これは全国的な問題の一つの事例でありますので、その後どうなっておるのか、これは久本交通規制課長さんからその後の経過、これを御報告いただきたい。
  132. 久本礼一

    ○久本説明員 お答えいたします。  国道四十三号線の騒音防止にかかる交通警察上の対策につきましては、去る七月の二十日に、兵庫県警察が東海道に速度規制実施をいたしております。いままで六十キロで走っておったのでございますが、それを五十キロ規制にいたしまして、その速度規制をまず第一の対策として実施をいたしたところでございます。その後、規制前と規制後の結果を調査いたしましたところ、いろいろこまかな問題はございますが、総体的に見ますと、やはり規制をやっただけのことはあったという報告は得ております。  ただ、これは規制をやっただけでは効果が少ないわけでございまして、取り締まり、警察活動によって担保いたしませんと効果が持続いたしませんので、兵庫県警といたしましては、規制後約十日間の指導期間を置きまして、その後取り締まりに転じまして、現在相当の警察力を投入をして取り締まりを実施いたしておるところでございます。  それからもう一つ、この間議論になりました車線の縮小の問題でございますが、これは兵庫県警におきまして道路管理者と協力をして実験的にそのテストをしたわけでございますが、その結果は実はかなりばらつきがありまして、思うような効果が出ておりません。したがいまして、これを効果的にしますためには、さらに道路施設その他の整備等も必要でございますので、その前段階にもう少しやはり安定をした結果が出るような方法が必要であろうということで、この点についてはさらに検討、分析が必要であるという現状でございます。  以上、先般の委員会指摘されました以後の県警のとりました対策につきまして、県警の報告に基づきまして御報告を申し上げます。
  133. 岡本富夫

    岡本委員 相当警察力を使ってやっていただいたと聞いておりますが、各市のそのときの効果というものを聞いておるのですが、あまり効果がなかったようだ、こういうようなことも言うておるのです。あなた、いま相当効果があったという話でありますが、何ホンのものがどれぐらいに落ちたのか、振動がどうなったのか、こういうこまかいことについておわかりですか。  それから、取り締まりというのは何を対象にして取り締まりをされたのか、これをひとつ聞きたい。
  134. 久本礼一

    ○久本説明員 お答え申し上げます。  騒音の値につきましては、こまかないろいろな数字もございますが、集約して申し上げますと、これは測定時の数値でございますが、速度減少による騒音の減少効果は、中央値で一・一ホン、それから交通量が七%、規制前の値に比べて増加をしておる、その増加による騒音増加が中央値で〇・六ホンということでございまして、大型車の混入率の増加による騒音増加が中央値で〇・八ホンでございます。したがいまして、総体的な数字では、騒音増加が一・四ホン、それから減少が一・一ホンということで、結果的にはふえておるわけでございますが、ただ交通量の増と大型の混入率の増加によるところの影響を、結局速度規制による減少で相殺をさせたという結果が一応出ております。したがいまして、やはりこのような値は、速度規制の実行をどの程度進めるかということによっても、ある程度この数字は動くだろうということを報告はいたしております。  なお、このような結果を踏まえまして、いままでやっておる取り締まりの体制でございますが、現在、パトカー、それから交通の取り締まり用車、それから白バイというようなものを含めまして、一日平均約十五台の車両をこの路線に投入しているというふうに聞いております。それから交通要点監視で、一日平均十二ないし十三カ所の要点監視をさせておる。これは警察官による街頭監視でございます。なお、機動隊による応援出動を大体月平均六度ぐらいはやっておるということでございます。  それから取り締まりでございますが、これはもっぱら速度取り締まりに重点を置いてやっておる。これは規制を実際に効果があがるように担保するという意味での取り締まりでございまして、これを集中取り締まりで、いままで結果が出ておるものにつきましては、八月中四十四回、九月中七十回の取り締まりをしておる。これはこの路線における集中取り締まりでございます。そうしてその結果、規制実施後九月末までに速度違反で約三千件の取り締まりを実施いたしております。これは特定の路線における短期間の取り締まりとしては、かなり力を入れてやったつもりでございますが、これは安全の問題とはまた別に、一つの、騒音を速度の低下によってなくして、住民の生活の平穏を確保するといった政策的な規制でございますので、また別の意味で重点を置いた取り締まりが必要であるというふうに考え、今後もこのような方式を続けていきたいというふうに考えております。
  135. 岡本富夫

    岡本委員 速度を五十キロに落とし、それから十一時から二十二時過ぎまで、警察の方も非常に御苦労だったと思うのですけれども、あまり効果がなかったということで、今後、その次にはどうするかという次の手を打っていただかなければ、同じことでは、先ほどあなたからも答弁がありましたように、中央値で一・一ホン落ちた、あるいはまた、中には上がっているのがあるというようなことでありますから、そこの原因がどこにあるのかというような面についても、いずれひとつ市ともよく連絡をとり、県とも連絡をとって調査をしていただきたい、こう思うのです。  この一つ原因の中に考えられますことは、これは道路局長に——来ていますか。
  136. 林義郎

    ○林(義)委員長代理 岡本君、建設省は中野街路課長が来ておりますが……。
  137. 岡本富夫

    岡本委員 わからないでしょう。
  138. 中野三男

    ○中野説明員 ちょっと国道の問題はわかりかねます。
  139. 岡本富夫

    岡本委員 その問題はあとにしまして、環境庁は、あとだれ来ていますか。各局長、みな来ているかな。
  140. 林義郎

    ○林(義)委員長代理 ちょっと速記をとめて。  〔速記中止〕
  141. 林義郎

    ○林(義)委員長代理 速記を始めてください。
  142. 岡本富夫

    岡本委員 では、大気局長、この騒音振動に伴うところの健康調査、これはあなたは所管が違うので、非常にぼくも言いにくいけれども環境庁として今度公害健康被害補償法案ですか、あれが通ったわけですが、そのときに交通公害によるところの健康被害、これも今度の法案によって救済していこう、補償していこうというような話でありますから、これを早急に各地方自治体に指示をして、そしてこの健康調査をやはりやる必要があるとぼくは思うのですよ。健康調査をやらなければ、どの人を補償していいかわからないわけですから。  おそらく各地方自治体もやっていると思いますけれども地方自治体からの話では、この健康調査の費用というものが非常にかかる。国から何とかひとつこの助成をしてもらいたい、こういうような話も出ているわけですし、これはあなたから答弁をいただくわけにはいかないと思いますけれども、ひとつ環境庁で検討をしておいていただきたい、こういうように思います。
  143. 春日斉

    ○春日説明員 騒音によります健康の障害の問題でございますが、これはかなりむずかしい問題を含んでおりまして、いかなる健康調査全国一律にやらせるかということ、これは学問的に申しましても、非常にむずかしい問題ではないかと思うわけでございます。  御承知のとおり、騒音によります健康障害と申しますれば、まず睡眠妨害あるいは会話妨害、それからはなはだしい騒音となれば、聴力低下ということになるわけでございます。  それで、いわば身体的な影響のほかに精神、心理的な影響というものが、この騒音の健康障害というものに非常に大きな意味が出てくるわけでございまして、この点になりますと、騒音についてはなれという現象あるいは個人差という問題が非常にある。したがいまして、単に一律の騒音調査というものを行ないましても、必ずしもその補償の対象になるようなデータというものを得ることは、むずかしいのではなかろうか、私は医師の立場からもそういうふうに考えるわけでございます。  したがいまして、ではどういうふうにするかという問題でございますが、精神的、心理的な問題と、それから肉体的な問題、この二つの影響につきまして必ずしも学界の意見も一致いたしておりません。今後環境庁としては、さらにこれについては調査研究を重ねてまいりたい、またその必要が当然あるものと考えておるわけでございます。したがって健康被害にかかわる補償につきましては、これら調査研究の結果をまって検討すべきものであろうと思いますし、それから全国一律でやる騒音調査について補助をというお話でございますが、まずそれ以前に私どもは、ではどういうふうにしたら、先ほど申しておりますように、健康の影響というものが全国一律の調査でできるかという基礎を検討する段階ではなかろうかと思っております。
  144. 岡本富夫

    岡本委員 そうしますと、その基礎をつくるために——実際にいま私の言っているのは尼崎、西宮、芦屋、この四十三号線のあそこ、ぼくはあの近所におるのですけれども、相当そういった人たちに被害が出ているわけですが、基礎研究のためにあの辺のところを使って、そして一つの基礎研究をやってみたらどうか、私はそういうように思うのですよ。騒音振動によって起こった病気、これについてははっきりしていないとおっしゃいますけれども、これははっきりさせていかなければならぬのと違いますか。この音頭をとってやっていくのが、やはり環境庁ではないですか。これがはっきりしないからといって、いつまでもほうっておきますと、こういう問題は解決しませんよ。これはひとつ環境庁で一ぺん検討してもらいたいということを私は要求しておきます。  建設省がいま来ましたから、道路局長さんに伺います。  全国の交通公害についていま質問しているわけですが、そのうちの事例をきょうあげているわけですけれども、この間当委員会で私要求いたしまして、警察庁から兵庫県警に指示をしてもらって、いろいろと調査を——減速したり、あるいはまた四車線のやつを二車線しか通さない道路規制ですか、こういうものもいろいろやったけれども、あまり効果があがっていない。その一つ原因を私が実際に調査いたしますと、こういうことがあるのですね。重量車の通行のためにアスファルトがずいぶん波形になっている。これが騒音、振動の大きな影響になっておる。しかもことしの七月ごろ、この修繕のために、あそこに国道事務所がありますが、芦屋市の呉川町付近で実施したが、途中で機械がこわれてそのままほうってある。こういうような事例もあるのですね。  これは私、高橋さんが局長をやっておるときに、一応まずこの道路を補修しましょうということで、五センチほどアスファルトを敷いてもらったことがあるのです。それでぐあいが悪ければ、もう五センチやりましょうという話もあったわけですけれども、こういうふうなことで、これをほうっておかれると付近の人がどうにもならないわけです。いかに警察で規制したって直らない。というのは、こういう道路が悪いからなんですね。これについてどういうお考えを持っておるか、ひとつお聞きしたい。
  145. 菊池三男

    ○菊池説明員 ただいまお話しの四十三号線の路面がいたんでおるのは事実でございます。特に交差点のところに多い。しかも下り線の交差点に入る車がブレーキをかけるというようなところが特にわだち掘れのような形でタイヤの通るところがへこむというような形になっておるのは事実でございます。それで、これは昭和四十六年度におきまして、先ほどお話が出ましたように、オーバレイをしてかぶせてございます。ところがその後また同じようなわだち掘れが出たということで、そのようなやり方では、また続けて同じような問題が起こるのじゃないかということで、少し工法を変えようということで、たぶん呉川町のところで一部、今度はただかぶせるだけじゃなくて、逆にでこぼこしているそのでこのほう、飛び出したほうを削りまして、一様にならしたあとにまたオーバレイをするというような工法をとったわけでございます。それでうまくいけば、そのままやろうというつもりでおったのですが、それも残念なことにまた二、三カ月で同じようなわだち掘れの傾向が出てきたということで、いま工事をやめておるところでございます。  それで、これはそういう形で直るのか、あるいはもう少し大きく掘り起こして大きく直さなければだめなのか、あるいは非常に特殊な——こういうわだち掘れは非常に珍しい特殊なこわれ方でございますので、あるいは配合を特に変えることによって何かできないかということで、いま急遽検討しておるところでございますので、それがきまり次第続けてやるという考え方でおります。
  146. 岡本富夫

    岡本委員 これはこのままほうっておかれますと、毎日毎日の瞬間に車が通っておるわけですから、ひとつこれは特に早急にやってもらいたい、こういうように思います。要求しておきます。  そこでもう一つ、菊池さんからこの前答弁いただいたのですが、四十三号線の問題で、全国的の一つのケースとして、一車線をつぶして緑地帯をつくる、こういうようなこと。それからもう一つはブロックのへいですか、騒音防止のへいをつくるという計画をしているということなんですが、これはいつごろから実施されるわけですか。これはもう非常に付近の住民の皆さんは待っているわけです。期待しているわけですが、一向に実行されないということで非常に不満を抱いているわけですが、いつごろからこの工事が実施されるか、これをひとつお聞きしておきたい。
  147. 菊池三男

    ○菊池説明員 この前の御質問のときに、ただいま尼崎地区で阪神高速道路公団が工事を施行しております、そこは六車の高架の部分ができるということで、その高架が終わり次第に、下の十車線あります車線を上り下り一車線ずつつぶしまして、しかも歩道が広いので、その歩道からも一メートル出して、そこにグリーンのベルトをつくり、その中に遮音壁というようなものを建てていく計画があると申し上げました。それで、それは西宮までのいまの工事中の区間でございます。それから西宮から西のほう、神戸のほうへ向かいましては、それの結果を見て、よければ続けてそれをやりたいというふうに、この前は御答弁申し上げたわけでありますけれども、それを待っていますと、相当時間がかかると思います。そこで、西宮から西のほうのもうすでに高速道路が上に乗っかっております部分、これは四車でございます。高速道路は四車でございますけれども、その部分につきましては、車線を減らしてやるということについては、ただいま申しましたように、尼崎地区の結果を見てからやりたい。しかし、それまで時間がかかりますので、とりあえず、現在六メートルの歩道がついておりますから、その六メートルのうち、車道に近いほうの二メートル、これをずっと緑樹帯にすぐしようということで、四十八年度、本年度から神戸、西宮それから芦屋地区それぞれ——全部は一どきにできませんけれども、五百メートルないし千メートルぐらいずつやろうということで、現在地元のほうとそれの打ち合わせをしておる最中でございます。本年度それはやりたいと思います。  ただし、それは現在の歩道のうちの一番車道側のところ二メートルをずっと緑の——どのくらいの高さになりますか、一メートルぐらいの高さになりますか、そのくらいの木をずっと植えていくとか、そういうようなことは本年度からやりたい。それから一部すでに国道四十三号線が高架になっておるようなところにつきましては、遮音壁というようなものをつくってまいりたいということで、これも地元の方と、いま打ち合わせ中でございます。四十八年度からいたします。
  148. 岡本富夫

    岡本委員 そうしますと、尼崎方面は高架ができてからでないとかからない、こういうことなんですね。私はそれは逆だと思うのですがね。高架でできるのを待っておったら、いつだかわからないですよ、あれを見ていると。ですから、いま現実に、あとでやるのも先にやるのもあまり変わらないわけですから——先にやると何か支障があるのですか。
  149. 菊池三男

    ○菊池説明員 尼崎地区につきましては、まん中に高架の部分の工事をやりますために、まん中の車線が片側二車線ずつぐらいつぶれます。したがって、さらに横の一番端っこの車線をつぶしますと、現在の交通に支障があるので、上へ交通が上がってから車線をつぶしたいというふうに考えております。
  150. 岡本富夫

    岡本委員 そこで次に、先ほど環境庁長官にも私、話をしたのですけれども、今後道路をつくるにつきまして、そういった問題が非常に多く起こってくるわけですが、いまもう一つ問題が起こっておるのが山手新幹線というやつ、これを二十一年に立案しておるのですね。あなたのほうでしたのか、これはおそらく建設省関係だろうと思うのですよ。これがいまところどころ虫食いのようにつくってあるわけですけれども、これはちょうど住居の中を一つずつ立ちのかしてやっておるわけですね。なかなか一向に解決しない。それはそうですよ、こんなところをつくられたのでは、住居を立ちのかなければならない人と、その横の人がちょうど国道二十八号線みたいになるわけですからね。ですから、こういう計画、これは昭和二十一年の計画ですから、現在のようにこんなに交通量が多くなって、そして付近の人が次から次へと病気になるというようなときですから、これは一ぺん抜本的な対策を考えなければならないと私は思うのですね。  これについて根本的な再検討をしてもらいたいという陳情も来ておるわけです。私ども帰りますと、各所でこれを来て見てくれ、こういうわけですね。このままで一向に進まないですよ。そして住民を不安におとしいれておる。ですから、私は、こういうものは思い切って南に、要するに湾岸道路といいますか、あすこに計画変更——あすこに計画があるらしいですから、変えてしまう。二十一年の計画ですからね。こういう時代が来たのではないかと私、思うのですが、これについて御意見がございましたら、ひとつ……。
  151. 中野三男

    ○中野説明員 都市局の街路課長でございます。私からお答えさしていただきます。  先生おっしゃいますように、山手幹線と申しますのは、神戸と尼崎にまたがりまして約三十キロに及んでおります阪神問の山陽本線から山手にございます東西方向の幹線でございます。これは基本的な幅員は二十二メートルになっておりまして、部分的にはそれより広いところもあるわけでございます。この三十キロのうち、おおむね七〇%ぐらいの二十一キロぐらいが着々としていままでに工事が進められまして、供用開始ができておるわけでございます。あと三〇%ぐらいがまだ着手されておりませんという状態でございます。  神戸市の区間につきましては約八五%ぐらい、それから西宮区間につきましてはおおむね五五%、尼崎区間につきましては約七八%が現在整備済みもしくは供用開始をいたしておるわけでございます。ただ、芦屋市の区間の二・三四キロメートルにつきましては、いまだこれは着手するような状態にまで至っていないわけでございまして、都市内の道路整備のしかたには、いろいろ用地買収方式とか、区画整理方式だとか、あるいは都市再開発方式とかいうものがございますけれども、その場所場所に応じまして、どういう手法がいいかということは地元の事業主体、場合によりましては県あるいは市町村というものが住民の方方と御相談しておきめになるわけでございます。  そういうものが仕事として出てまいりました際に、街路事業としてやる場合には私どもの所管、あるいは再開発事業としてやる場合には都市再開発課の所管ということでお世話するわけでございますが、いま申し上げましたように、この阪神間の鉄道の北側に全くこういう東西方向を結ぶような一貫した道路がございませんので、やはりどうしても鉄道の北に一本これぐらいの道は要るんではないかというふうに考えられておるわけでございます。  ただ、いま申し上げますように、仕事のやり方あるいは道路構造、たとえば一部を半地下式にするとか、あるいはグリーンベルトの幅をとるとかというようなことで対処していくのが最近の道路のあり方として必要ではないかというふうに考えておりますが、いずれにしましても、あちらこちらでひっかかっておることは事実でございます。私どもとしましては、事業主体と地元の方々が円満に話をつけていただきまして、やはり山手方向に一本の幹線が要るんではないかというふうに考えておるわけでございます。
  152. 岡本富夫

    岡本委員 いまの交通状況を見ておりますと、もうこんなところ要らないですよ。いま国道二号線があり、それからいまの四十三号線があり、それから湾岸道路というのをまた計画をしているわけでしょう。一部供用しているところもあるけれども、あとは遊んでいるところがたくさんあるわけですよ。人の家まで立ちのかして無理にやらなければならぬというような——これは二十一年の計画だから、こういうことでありますけれども、その後計画が相当変わっていると思うのですね。ましてこの芦屋のような小さな町を、これを見ますと約三十メートルの幅で立ちのきですね。しかも、この辺はみんな住居地帯ですよ。こういう無理をしなくて、もっと何か賢明な方法があるんではないか、それをひとつ私再検討してもらいたいと思うのです。  事業主体事業主体といって地方自治体にこれをまかしたって、これはできませんよ。これはひとつ、いますぐにはお返事できないかもわかりませんが、一ぺん調査して再検討してもらいたいと思います。  最後に文部省に、学校の騒音環境基準、これは閣議決定されたと思うのですけれども、あるいは病院における環境基準、四十六年の五月二十五日に閣議決定されておりますけれども、この学校とか病院、診療所、保育所、老人ホーム、こういうものに対しての騒音の助成というものがいま少しずつ行なわれているようでありますけれども、これは相当しっかりやらなければ、これも毎日、毎日のことでありますから、これについての今後の検討、特に西宮付近を通りますと、浜脇中学とか浜脇幼稚園あるいは香炉園の小学校、こういうものについても相当予算をとって助成をしていかなければ、ぐあいが悪いと思うのです。私はあっちこっち回りまして、ずいぶんおくれておるように思うのですが、これについてどういう考え方を持っておるか、ひとつお聞きしたいと思います。
  153. 西崎清久

    ○西崎説明員 ただいま先生お話しのとおり、学校に対する騒音公害というものは非常に激しいものがあるわけでございますが、基本的にはただいま先生から種々御質問がございましたように、騒音の発生源というものに対する対策が先行すべきが当然でございます。ただ、それでは学校に対する騒音対策が間に合わないという点にかんがみまして、私どもは四十三年度から学校に対する騒音対策補助をやっております。ただ、予算額といたしましては若干少のうございましたが、四十六年度には三億、四十七年度には七億、そして本年度四十八年度は十七億にふやしたわけでございます。  そういう意味では全体の予算の拡充をいたしておりますし、特に四十三号線の沿線における西宮、芦屋、尼崎等につきましては、関係学校がかなりな数にのぼっておりまして、四十八年度におきましても申請がございまして、これに対する公害防止工事、二重窓であるとか、あるいは空気清浄化装置でございますが、そういうふうなものに対する助成をいたすことにいたしております。今後も、予算の拡充につきましては格段の努力をいたしてまいりたいと思っております。  以上、お答えとさせていただきます。
  154. 岡本富夫

    岡本委員 この問題は個々の問題でありますから、時間がありませんので、また直接お話しします。  そこで最後に環境庁に、いまのこういった騒音基準というものはできておりますけれども、震動の基準ができていないのです。これは新幹線の場合もそうであったし、それから自動車の場合も、交通公害の中で振動が非常に多いのですね。これの基準というものをいつごろおつくりになるのか、そのめどをひとつお聞きしておきたいと思います。
  155. 春日斉

    ○春日説明員 ただいま中公審の中の振動専門部会で鋭意検討していただいている段階でございまして、その進行ぐあいによりまして、できるだけ早くきめたい、かように考えておるわけでございます。これは可及的すみやかにという、まことに役人用語でございますが、何しろ専門部会の進行状況に応じてということでございまして、私ども、これを急いでいただくようにお願いを申しておるところでございますので、そう遠い先ではないと思います。
  156. 岡本富夫

    岡本委員 大体これを私、この前、先国会だったですか聞いたときには、四十八年度中というのが、このめどだったと思うのです。四十八年度一ぱいを限度として大体きまりますか、この点いかがですか。
  157. 春日斉

    ○春日説明員 そのつもりで審議を促進していただくようお願いいたしております。
  158. 岡本富夫

    岡本委員 それでは委員長、終わります。
  159. 林義郎

    ○林(義)委員長代理 土井たか子君。
  160. 土井たか子

    ○土井委員 きょうは簡単に二問ほどお尋ねしたいと思います。  一つは、現にたいへん問題になっておりますPCBなんですが、これは水質汚濁防止法にいうところの施行令でまだ有害物質の中には入れられてないわけですけれども、一体いつPCBを水質汚濁防止法にいう有害物質というふうに認識されるかどうか、これをまずお尋ねしておきたいと思いますが、どうですか。
  161. 岡安誠

    岡安説明員 PCBにつきましては、お話しのとおり、まだ水質汚濁防止法上の有害物質に指定をしておりません。と申しますのは、分析方法がまだ確立しておらないということもありまして、現在別のといいますか、ほかのきれいな水とか食品中のPCBを分析する方法を準用いたしまして、いろいろ分析それから措置をいたさしております。したがって、これはまあ分析方法を準用している関係もありまして、指導通達をもって処理をいたさしているわけでございます。近く科学技術庁のほうから汚水等につきましての分析方法の確立があると聞いておりますので、それを待ちまして、私ども水質汚濁防止法上の有害物質に指定してまいると、こういうつもりでおります。
  162. 土井たか子

    ○土井委員 最近、PCBにしろ水銀にしろ、世上たいへんこれが問題になって以後、やっぱり監督行政を先行させなければならないという姿勢政府の中にも出てきたのは、たいへんな特徴であるわけですね。そういう点からいいますと、水質汚濁防止法というのは相も変わらずPPM方式で考えて、その検査方法というものがまだ明らかになっていない。いわゆるJAS規格というものがはっきりしていない。したがって、これに対しては有害性であるかどうかということもはっきりできないという、ただいまは、まあつづめて言えば御答弁の趣旨だと思うのです。けれども、監督行政を先行させるということがこれだけ大事だということが行政段階で認識されているときに、やっぱりいち早くこれは水質汚濁防止法にいうところの有害物質の中に含めるのが私は常識だと思うのです。  PCBについては早くから有害性というものは企業で立証されています。アメリカのモンサント社なんというのは、いまからもう十数年前に、日本の企業に対して、PCBの取り扱いに対しての注意義務ということを種々かみ砕いて非常に丁寧に指示しているわけでありますから、そういうことから推してはかっただけでも、これは有害性というものは、もうとっくの昔に考えておかなきゃならない問題だった。それがまだ、いまだにこの水質汚濁防止法にいうところの有害物質に指定されてないというのは、私は事実に対してどうも間に合う行政と言うわけにはいかないような気がするのです。  これはいつごろ通産省のほうでJAS規格というのを整えられるかという問題もありましょうが、それを待つうちにまた半年、一年というものを経過して、またまたこれはPCBに対して、いろいろその取り扱いに対して行政に対する批判というものが私はわき上がってくるだろうと思うのですね。ひとつ早く水質汚濁防止法にいう有害物質に指定していただきたいということを、ここで、まあ繰り返しになりますが、申し上げたいと思うのですが、これについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  163. 岡安誠

    岡安説明員 私の先ほどの答弁が十分でなかったので多少誤解があると思いますけれども、私どもは、PCBの有害性云々が明らかでないとか、そういう観点から、まだ水質汚濁防止法上の有害物質に指定していないというわけでは、これはございません。PCBにつきましての分析方法がないから、いわゆる直罰規定を働かせるためには、PCBを純粋に取り出せる技術がなければ何PPM以上のPCBを排出しているとかということによる直罰規定を働かし得ないということで、まだ現在指定していないということでございます。  したがって、私どもは、汚水中にいろいろなものが入っておりますけれども、その中からPCBを純粋に取り出せるような分析方法が明らかになりますれば、通産省のJAS規格とは直接関係なくても、私ども水質汚濁防止法上の有害物質に指定するつもりでございます。これは近く科学技術庁のほうから連絡があると思いますので、それこそそう遠くない時期に私ども指定をいたすつもりでございます。
  164. 土井たか子

    ○土井委員 いま、近くとおっしゃいましたが、近くの中身が一体どれくらいかということをひとつはっきりさせておいていただかないと、やはり困るわけです。科学技術庁のほうの、いまのこれに対してのいろいろな調査検討の時期というのもございましょうが、一体どれくらいとお考えで作業をお進めですか。
  165. 岡安誠

    岡安説明員 聞くところによりますと、科学技術庁のほうは、もうほぼ検討を終わりまして、いま取りまとめの段階と聞いておりますので、まあ今年じゅう、おそくとも年度内を越えることはあるまいというふうに考えております。
  166. 土井たか子

    ○土井委員 ずいぶんそれもなかなか……。これは可及的すみやかにということばは、いつも御答弁ではおっしゃいますが、実際問題の行政の実務ということになると、なかなかなわ張りもあったり、それからいろいろ取り扱いについての事務の遅々として進まないという中身もあったりしまして、私たちが思うとおりにはならないのが実情なんですね。これをほんとうに早くても年内、おそくなっても年度内、これは両方ともおそいんでありまして、もっとこれは、それこそ可及的すみやかに進めていただくということがどうしてもこの節、私は必要じゃないかと思います。科学技術庁は言うまでもなく、通産省についても、そういう立場でひとつ環境庁から大いに急いでもらうという作業をこれは行なっていただく必要があるように私は思いますから、ひとつその節お願いをして、ぜひこれは早くやっていただかなければならないということを申し上げて、さて、これはPCBには直接関係が実はないようで私はあるように思う問題が一つあります。  これは、先ごろこの公害対策特別委員会で議員立法で各党一致の法案を法律としてものした、御承知の瀬戸内海環境保全臨時措置法でありますが、この中の十四条を見ますと、「国及び地方公共団体は、瀬戸内海の汚染現状にかんがみ、下水道及び廃棄物の処理施設整備、汚でいのしゆんせつ、水質監視又は測定のための施設及び設備の整備その他瀬戸内海の水質の保全のために必要な事業の促進に努めなければならない。」こう書いてございます。  これは御承知のとおりいま読み上げた十四条なんですが、ことしの二月に、海洋汚染防止法の施行令の五条二項二号の規定に基づきまして、有害水底土砂にかかわる水域指定をなすっているわけなんですね。これはたいへんにわかりにくい告示でありますが環境庁告示第十五号、まあやすく言えば全国のしゅんせつ有害ヘドロの海洋投棄を規制する告示というふうにこれは考えて私は間違いじゃなかろうと思うわけです。  ところが、この中で指定水域にあげられておるところをずっと見てまいりますと、瀬戸内海で歯がこぼれ落ちたように抜けておる場所がかなり目立つわけです。たとえば岡山の水島なんというのは臨海工業地帯としても有名な場所でありますが、すっぽり抜けている。それから、ただいま委員長席におすわりの林議員がいらっしゃる山口県のほうに、特に徳山なんかすっぽり抜けている。そういう点からしますと、これは有害ヘドロというふうなものを取り扱うという点から考えて、どうも片手落ちのような気がするわけであります。今回のPCB、水銀の問題は、全国的視野に立ってこの規制をしなければならないということで、特に瀬戸内の環境保全のこの法律からははずしておりますけれども、しかしやはりいま読み上げました十四条の趣旨からいたしましても、やはり瀬戸内海全般について、有害水底土砂についての指定水域からはずされている場所については再吟味が必要じゃないかというふうに思われるのですが、この点はいかがにお考えでいらっしゃるか、ひとつはっきりお聞かせをいただきたいと思うのです。
  167. 岡安誠

    岡安説明員 いま御指摘環境庁の告示第十五号でございますが、おっしゃるとおり、これは海洋汚染防止法の施行に伴いまして、とりあえず指定を要するところを指定をいたしたわけでございまして、十三水域指定しております。十三水域を選んだ理由でございますけれども、それぞれそれまでに調査のできているところのほか、緊急に土砂のしゅんせつその他の計画がなされているところ、これを主に選びまして指定をいたしたわけでございますが、おっしゃるとおり、これ以外にも、私どもといたしましては指定をしなければ法律の完全な施行はできないということで、実は今年度二十七水域につきまして現在調査をいたしておりますし、また全国総点検、これは水銀、PCB以外の有害物質につきましても総点検をいたしますけれども、その結果も勘案をいたしまして、この告示の追加指定をするという予定でございます。
  168. 土井たか子

    ○土井委員 この節、少し追い打ちみたいになるかもしれませんが、確かめておきたいのは、ただいま計画のある場所などを含めて十三水域指定したとおっしゃっております。むしろ逆にいいますと、そういう計画がないことのために水域指定をやらなければならないという必要があったのじゃなかろうか。と申しますのは、これはしゅんせつをしたところの有害ヘドロをむやみやたらに投棄してはならないということが趣旨になるわけでありましょう。そうしますと、現にその投棄に対しての計画がないために、これから新たにそういう計画をはっきり立てて、早急に何とかしなければならないというふうに考えていた水域がかなりあると思うのですよ。十三水域からはずれていることのために、その海洋投棄をその水域においてやっても、これは違反にならないということで、たいへんずさんな計画を——厳重な計画をつくらなければならない水域でその後やっていくという危険性が、このために生じたというふうに考えても私は過言じゃないと思います。だから、そういう点からしますと、やはり計画があるところだけを見て、それから現にこれは必要だとお考えになる場合にも、地元でどれだけその必要性を感じているかというところだけを見て、国全体の立場でこういう指定水域指定なすったということについて、私は行政サイドからして少し片手落ちのような気がするのです。  それでは逆にここで確かめておきたいわけですが、十三水域から特にはずれていて、しかし臨海工業地帯として注目を集めていて、早急にやはりこういう問題についても、厳重に対策が国民の立場から要求されているところがはずされているのですよ。徳山とか水島なんというのは、きょう私があげている一、二の例であります。一、二の例にすぎないといってもいいでしょう。なぜそういうところがはずされたのかという理由をお伺いしたいのです。
  169. 岡安誠

    岡安説明員 先生指摘のような水域指定されてないということは他意があるわけではございませんで、この告示をするときまでに調査等が完了していなかったということだけでございます。その後の調査結果等もございますので、私どもは至急追加をいたしたい。したがって、この告示は二月現在の告示でございまして、これを限定的に運用するつもりは毛頭ございません。かりに告示からはずれている水域であって、しゅんせつ等の計画が行なわれる場合には、これは運輸省なり建設省を通じまして、事前にこの告示の趣旨に従って検査をし、あぶないときには告示の趣旨に従って措置をするように連絡してございます。しかし法形式的には、おっしゃるとおり不備でございますので、これは至急に整備をいたしたい、かように考えております。
  170. 土井たか子

    ○土井委員 再確認をしておきますが、至急とおっしゃるのは、これまたいつごろというふうに考えておいていいわけですか。
  171. 岡安誠

    岡安説明員 私どもは、この告示につきましては、先ほど申し上げましたようにケース・バイ・ケースという考え方でございますので、必要あれば一水域でも二水域でも追加いたすつもりでございます。  一般的な問題としてお答えを申し上げれば、先ほど申し上げましたとおり、二十七水域調査、それから全国総点検の調査結果は今年度中に出すように指示をいたしておりますので、その結果によって告示の改正をするつもりでございます。もちろん、それ以前に調査結果がわかれば、随時指定するつもりではございます。
  172. 土井たか子

    ○土井委員 それもまたどうも遅々として進まぬような感じがするわけです。しかし告示の趣旨からすれば、そのときそのとき必要とあらば即刻この中身に追加をしていくという御趣旨と承って、そうしてそのことに対して、やはり今後一そうこの告示がものをいうように、意味をなすように、ひとつがんばっていただきたいと思うわけです。  さて、あともう一つ、これははっきり確かめておきたい問題がございます。海上保安庁の方にまずお伺いをして、あとこれに対する措置について運輸省、水産庁のほうにお尋ねを進めたいと思うのですが、海上保安庁の方にまずお尋ねします。  大阪湾の沖合いにドラムかんが多量にぷかぷかと浮いていたという事件が昨年たしかございました。ところが似たようなことが最近またひっきりなしだということを私耳にいたします。それは、私兵庫県の人間ですが、兵庫県民、中でも漁業関係者の方の中に、やはり相変わらずだというふうなことをおっしゃっている向きがあるわけで、こういう現状をどの程度把握なすっていらっしゃるか。また、まだならば、これは早急にひとつ調査をしていただかなければならないわけですが、すでにいままでどういうふうなことが大阪湾沖合いにあったかという実情も、ひとつこの節はっきりお聞かせをいただいて、それに対してどういう対策がその当時なされたかということもあわせてお聞かせいただきたいと思います。
  173. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 お答えいたします。  一昨四十六年の十二月十七日から昨年の二月十二日まで、四回にわたりまして、ドラムかん千九百三十二本、これは産業廃棄物を詰めたドラムかんでございましたが、これが神戸沖約一万メートル付近の海域に投棄された事件がございました。投棄した船主あるいはその船でございますが、これは一ぱい船主がやはり神戸地区の廃棄物業者から請け負ったような形で、一定の埋め立て地まで運べといわれたのを、夜間ひそかに捨てたといったことが判明いたしました。その判明いたしましたもととなりましたのが、千九百三十二本のドラムかんを全部そのまま捨てますと海に浮くということで、つるはしで穴をあけて、どんどん捨てたということがわかりましたが、穴があいていないようなドラムかんが兵庫県淡路島の沿岸あるいはその付近の海域に漂流するといったようなことから、何か違法な投棄が行なわれたのではないかということで、海上保安庁でも捜査をいたしまして、この船を突きとめ、そうしてここの船長、船員を逮捕するとともに、検察庁に送りました。これは昨年の三月九日に事件として送りまして、この事件につきましては昨年の七月二十七日に、それぞれ懲役あるいは執行猶予二年、それから罰金というような形で三名の者が処分されております。  この投棄されたドラムかんにつきましては、その後、泉佐野のほうの漁協の漁民が底びき網漁業でかかって傷害事件が起こるといったような事件がございまして、捨てられたドラムかんの処理についてはどうするかといったようなことを、環境庁に音頭をとっていただきまして、関係省庁集まっていろいろ打ち合わせをやったような経過がございます。  それから、先生最近についてもそのような事情があるのではないかというお話でございますが、この点至急照会いたしましたが、現在のところ、ちょっとそのような事件については、本部のほうではまだ知っておらないようでございます。あるいは、それらの情報の詳細がわかりましたら教えていただきますとともに、われわれも、そういう事件があれば必ず違法な事件であろうということは想定つきますので、そういう事件があるならば、至急これは調査しなければならないというふうに考えております。
  174. 土井たか子

    ○土井委員 そのときの取り扱いの概要についてはわかったわけですが、こういう海上にドラムかんが多量に浮くというふうな問題についての取り扱う法律、それから、したがって取り扱うところの担当官庁はいずれにあるかということを、ひとつここでお聞かせいただきたいのです。
  175. 岡安誠

    岡安説明員 これは初めから申し上げますと、廃棄物の問題でございますので、廃棄物の処理及び清掃に関する法律というもので取り締まりがされるわけでございますし、海に捨てる場合には、それとの関連におきまして海洋汚染防止法が働くということでございます。一般的に廃棄物の処理及び清掃に関する法律の所管官庁は厚生省になっておりますし、海洋汚染防止法の所管官庁は運輸省でございます。ただ、そういう廃棄物の最終処分の基準につきましては、環境庁が環境汚染防止という観点から、これを定めるということになっておりまして、私どもはそれぞれの政令の基準をきめているわけでございます。  具体的にいまお話ありました違法な投棄の問題でございますけれども、これはやはり廃棄物処理法並びに海洋汚染防止法を守っていなかったということによって起こったわけでございます。取り締まりは当然——当然といっては語弊がありますけれども、海上保安庁でおやりになるわけでございますが、指導等につきましては厚生省または運輸省がやられるというふうに聞いております。  なお、つけ加えてちょっと申し上げておきますけれども、大阪湾の具体的なケースの処理といたしましては、これはすでに海洋汚染防止法等の施行前のケースでございます。そこで問題は、事後処理が問題でございますので、私ども関係省庁寄りまして、まず実態を明らかにするということで、昨年度から今年度にかけまして、これは建設省にお願いいたしまして、探知器をもってある程度明らかにいたしました。まだ、相当広範囲でございますので、全部は明らかになっておりませんが、今後引き続きこれの調査は続行する。しかし、処理につきましては、これも建設省が来年度予算要求いたしておりまして、その予算によりまして処分をいたすというようなことを私ども現在考えておるわけでございます。
  176. 土井たか子

    ○土井委員 いまこの取り扱い担当の省庁として運輸省ということをおっしゃっておるわけですが、運輸省としては、これに対してどういうような対処のしかた、また今後どういうふうにおやりになる御予定があるかということを、この節お聞かせいただきたいと思います。
  177. 勝目久二郎

    ○勝目説明員 まず、法制度的にどのような対処をすることになっておるかということから申し上げます。  海上におきまして、そういう違法な排出があるということになりますれば、これは海上におきます法令の違反ということでございますので、そういう刑事法、刑罰法的な意味での所管というものは当然海上保安庁がすることになっております。それから、具体的な物質によって海洋が汚染されるという局面につきましては、これは海洋汚染防止法の規定に基づきまして、海上保安庁の長官は、その原因者に対しまして除去のために必要な措置を命ずることができる。さらに、その場合には、その費用をその原因者に負担をさせるということになっておるわけでございます。  先ほど指摘の事件につきましては、法施行前の問題でもございますが、具体的にそれらのものを除去することをどうやってやるかということで、水質保全局長から申し上げましたとおり、各省庁間でいろいろ協議もしたわけでございます。具体的には、建設省のほうで調査ないしは来年度において予算を要求するということをやっておられるわけでございますが、運輸省といたしましては、港湾区域以外の一般的な海域につきまして清掃船、それから油回収船、いわゆる海上に浮遊するものを主体としての処理の方策をいまやっておるわけでございまして、本年度船舶の建造をし、また来年度も引き続いて要求する予定でございます。それらの船舶の運用を来年からするということによりまして、一般海域の浄化をも心がけたいというように考えております。  それから一つ申し落としましたが、法制度関係では、廃棄物を海洋投棄に常用する場合、その船舶というのは海上保安庁に登録をしなければならぬということになっておるわけでございまして、その海洋投棄に常用する船の技術的な基準につきまして海上保安庁の審査を受け、登録を受けた船でなければ海洋投棄に使ってはならないということになっておるわけでございます。  先ほど申し落としましたので、補足させていただきます。
  178. 土井たか子

    ○土井委員 先般、海上保安庁のほうが、ことし上半期の海の汚染についての中身を調べて発表なすっているデータが一般に公表されたわけですが、その中身を見ましても、この大阪湾水域というものは、たいへんに海の汚染がひどいわけですね。現にこの海の汚染については、やはり原因なくして汚染はないわけでありまして、原因を追及していくと、かなり企業の海洋汚濁に対しての無関心が現実にあるという点が指摘されているわけです。海上にすでにいろいろなドラムかんが投棄される。そして海が汚染されてしまって、あと処理をやることも、もちろん大事かもしれませんが、そういうことをさせないという体制こそ何といっても大事だと思うのです。そういうことをさせないという今後の対策としてどういうことが考えられているかというのが、いままでのこの御答弁の中からは、あまり聞かれてないわけです。その辺が実は私は今後の対策としては忘れてならない点じやなかろうかと思うわけです。  特に水産庁の方においでをいただきましたのは、御承知のとおりに水産資源保護法というのが現にございます。水産庁の大事なお仕事として、やはり水産資源を保護していかなければならない、そういうお立場があるはずですね。そういうお立場からしまして有害物というものをいろいろ指定して、指示なすっている通達と、各県、政令市で問題にしている条例の中身というものが、どうも行なう場合不統一だということが現実の問題としてあるようです。  いままで水産庁とされましては、こういう水産資源を保護するという立場から、有害基準というものをどういうふうにお考えになってきたか。それからさらに、工場排水というものをいままで水産資源保護の立場で取り扱ってこられた例があまりないわけでありますが、こういうふうな工場からの排水、廃棄物をドラムかん詰めにいたしまして海上に投棄されるというふうな事実なんかは、水産資源保護の立場から大いに一言あってしかるべきだと思うわけでありますが、どういうふうな措置をお考えになっていらっしゃるかというのをぜひお伺いしたいわけであります。
  179. 前田優

    ○前田説明員 お答えいたします。  水産庁として、いわゆる水産資源保護法もございますが、魚族に対します有害の基準というものをどう考えておられるかという御質問だったかと思うわけです。それにつきましては、実は水産庁といたしましては、水産用水基準というものを年々関係者が集まりまして検討いたしました上で、いわゆる排水基準等ができます際には、水産の立場として、この基準をもとに各省庁と折衝してきているわけでございます。  それから、その次の有害物の投棄の問題でございますけれども、この問題につきましては、先生指摘のとおり、大阪湾のドラムかんの問題は、私ども前々から話は聞いておりますし、なお環境庁が中心になりまして各省が相談をいたしました際にも、私どもも当然メンバーの中へ入って、一緒に相談申し上げたわけでございます。  漁業者の場合に、このドラムかんが底びき網等に入りまして引き揚げられますと、これは有毒なものが入っております関係から、漁業者が非常な被害を受ける危険性があるということ等もございまして、漁業者を使っての海底掃除というものは非常に不可能に近いものでございます。先ほど環境庁からもまた運輸省からも御答弁がございましたように、建設省のほうが担当いたしまして、この処分をやるということで私どもも了解しておるわけでございます。
  180. 土井たか子

    ○土井委員 ちょっと御答弁のほうが、私の質問が不十分だったためか、ずれているわけでありますが、水産資源保護という立場で、やはりこれに対処なさるなさり方があろうということを私は御質問しているわけであります。したがって、底びき網等々に、そのドラムかんがひっかかってきたために、漁業者がたいへん被害を受けるということも考えられるから、漁業者にそういうドラムかんの除去などをたよるわけにはいかないという御趣旨の御答弁というのは、ちょっとやはり的がずれているわけでありまして、そういうことを私はお尋ねしているわけじゃないのです。  水産資源保護の立場というものが、やはり水産庁にとっては大事なお仕事でありますから、そういう点から考えて、このドラムかんに対して、そういうことをやっているのは、やはりする人がなければ、そうなってないわけでありますから、それに対する対策いかんということをお尋ねしているわけです。いかがです。もう一度それじゃ、時間もありますけれども……。
  181. 前田優

    ○前田説明員 海洋投棄の漁業、水産資源に及ぼす影響の問題でございますが、この産業廃棄物の海洋投棄の問題につきましては、これはあくまでも陸上処理が原則でございまして、申し上げますならば、海はごみ捨て場ではないという観点から、あくまで第一段階としては陸上で処理をしていただくのだ。どうしても、その処理ができない場合にどうするかという問題があるわけであります。そういう場合には、先般海洋汚染防止法の施行の際に定められました、いわゆるA区域、B区域と申しますか、そういうところへ非拡散性のものとか、有害物質につきましてはコンクリート詰めにして、そこへ投棄をする。これはやむを得ない場合という前提でございまして、あくまで陸上で処理することが原則になっておるわけでございます。  なお、水底土砂等、やむを得ず海洋投棄をするような場合でも、漁場環境に悪影響を及ぼさないということが前提になっておりまして、この点につきましても、関係各省に十分その点に留意していただくように私どもは絶えずそういう点を申し上げているわけでございます。  もう一点、具体的にドラムかんの問題が出ましたわけでございますが、このドラムかんが投棄されることによりまして、当然有害物が入っております。底棲の魚には特に影響があるわけでございます。この点、これの除去につきまして早急にやっていただきたいということで、関係各省とも十分その点申し上げて、善処していただくようにお話を申し上げてきたわけでございます。  また足りませんでしたら……。
  182. 土井たか子

    ○土井委員 どうも関係各省にそういう御要望を持って臨まれて、早く除去していただきたいというふうなことであるらしいのですが、同時に、やはりそういうものを海上に投棄した企業者に対しての、水産庁としては立場がおありになるだろうと思うのですが、これは別ワクといたしまして、あと一問だけ環境庁のほうに最後はっきりこの点はお伺いして私、終わりにしたいと思いますが、これはやはり取り締まる法律関係からしますと、海洋汚染防止法、水質汚濁防止法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、港則法、相当あるわけですね。これを全部ひっくるめて、いま建設省のほうがこれに当たって、予算も要求して、具体的にそれの対策を急がれるということでありますが、これは聞くところによると、関係府県に対して、これの除去並びにあと対策というものを急ぐようにというふうな行政指導行政措置が講じられるやに、私はうわさだけですが聞いております。  このことが具体的にありやなしやということが一つと、それから、環境庁とされては、やはり建設省が中心になってこの対策というものを今後講じられていくということでなければ、ほかに方法がないとお考えなのかどうか、その辺ひとつ最後にお伺いして、私は終わりにしたいと思うのです。
  183. 岡安誠

    岡安説明員 前段の、関係府県のほうに除去方の協力要請ですか、したかどうか、今後するかどうか、ちょっと私明らかにいたしておりません。大阪湾のドラムかんの問題で一番私どもが検討いたした問題は、除去する技術をどこが持っているか、どこに頼んだら、これができるかという問題が一つと、あとは、非常に金がかかることでありますので、どこが金を負担してやらせるかという二つの問題を非常に検討いたしたわけでございます。  そこで、第二段の御質問になるわけでございますけれども、こういう種類の問題は、残念ながら非常に関係各省の権限といいますか、あれが入り組んでおりますので、どこでしようかということを相当協議いたしましたけれども、少なくとも大阪湾のドラムかんの処理につきましては、早急にする場合に、建設省が能力並びに予算措置ができたということから、本来どこの省でやるべきかという議論はあと回しにいたしまして、急ぐ必要があるということから、とりあえず昨年度と今年度に引き続きまして建設省調査を依頼し、やってもらったわけでございます。  建設省としましては、その結果明らかになった関係から、来年度その処理のための予算要求をしているということでございまして、私どもは今後そういう問題が起きれば、やはりケース・バイ・ケースで相談をいたしまして、どこがそういう技術能力並びに予算的措置が可能であるかということを考えて、迅速に処理するというような体制をとりたいと思っております。
  184. 土井たか子

    ○土井委員 いまもお伺いして、あと二、三私は質問したい問題が残りましたが、これはやはり具体的に数字などもあげながら一つは御質問しなければ、もう一つかみ合わないと思いますから、次回この質問を続行させていただくことをここに申し上げて、私は、きょうは終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
  185. 林義郎

    ○林(義)委員長代理 本日は、これにて散会いたします。    午後二時五十七分散会