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1973-09-18 第71回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第50号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年九月十八日(火曜日)     午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 佐野 憲治君    理事 登坂重次郎君 理事 小林 信一君    理事 島本 虎三君 理事 中島 武敏君       田中  覚君    羽田野忠文君       村田敬次郎君    阿部未喜男君       土井たか子君    栗田  翠君       岡本 富夫君    坂口  力君       小宮 武喜君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 三木 武夫君  出席政府委員         警察庁刑事局保         安部長     綾田 文義君         警察庁警備局長 山本 鎮彦君         北海道開発庁総         務監理官    秋吉 良雄君         環境庁長官官房         長       信澤  清君         環境庁長官官房         審議官     橋本 道夫君         環境庁企画調整         局長      城戸 謙次君         環境庁自然保護         局長      江間 時彦君         環境庁大気保全         局長      春日  斉君         環境庁水質保全         局長      岡安  誠君         水産庁次長   安福 数夫君         通商産業省立地         公害局長    林 信太郎君         通商産業省基礎         産業局長    飯塚 史郎君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岸田 文武君         建設省道路局長 菊池 三男君  委員外出席者         文部省大学学術         局技術教育課長 齋藤寛治郎君         林野庁業務部長 辻 良四郎君         通商産業省立地         公害局公害防止         指導課長    松村 克之君         通商産業省基礎         産業局基礎化学         品課長     高橋  清君         建設省道路局次         長       中村  清君         日本国有鉄道常         務理事     内田 隆滋君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ――――――――――――― 委員の異動 九月十八日  辞任         補欠選任   木下 元二君     栗田  翠君 同日  辞任         補欠選任   栗田  翠君     木下 元二君     ――――――――――――― 九月十四日  瀬戸内海環境保全特別措置法案土井たか子君  外三十名提出、衆法第一二号) は撤回された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公害対策並びに環境保全に関する件(水質汚濁  対策等)      ――――◇―――――
  2. 佐野憲治

    佐野委員長 これより会議を開きます。  公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島本虎三君。
  3. 島本虎三

    島本委員 まず私は、長官に基本的な意見はただしてまいりましたが、いま二度、いま日本列島改造計画なりいろいろな各種開発が行なわれようとしておりますが、その場合は、前例によるとすべてが環境破壊につながります。すべてが、開発公害をまき散らしております。そして、そのあと始末に忙殺されたのがいままでのやり方でありましたが、今後それに対してはやはりはっきり是正をしなければならないし、その考え方を改めなければならない、こういうような立場長官もあろうかと思います。まして、今後の重大な開発に対して、環境破壊を伴わない開発ということ、またそういうようなことがあるのかないのか。それから、日本列島改造計画なりこれを進めるのに、どういうような考え方でこれを環境庁は受け入れようとしているのか、基本的な長官の御高見をまず拝聴しておきたい、こう思うわけです。
  4. 三木武夫

    三木国務大臣 しばしば鳥本委員にもお答えいたしましたごとく、このままの現状で何にも開発をしてはいけぬという立場はとらないわけでございます。過密過疎、非常に日本開発は片寄ってきておるわけでありますから、これを全国をもう少しバランスのとれた開発をすべきだという立場で、もう現状を固定して何にも手をつけたらいかぬというような立場はとらない。そこで開発をする場合においては、事前環境への影響というものを十分に調査検討、評価、こういうものをいたしまして、できるだけ環境への悪い影響、これを事前防止し、防止ができないときにはその開発は認めないということで、開発環境保全との両立をはかりたい、そういうことで今後やってまいりたいというのが基本的な立場でございます。
  5. 島本虎三

    島本委員 その際に、住民意思ということをどういうふうに受けとめますか。
  6. 三木武夫

    三木国務大臣 地域開発は、結局においては、住民全体のレベルを高めたいというのが地域開発の目的でありますから、地域住民意思を十分に尊重して、そして地域住民も大いにその開発には協力するという形で開発が進められることが好ましい。まあ中にはいろいろな立場から、どうしても反対するという少数の人があるということも現実の問題としてはあり得るでしょうが、できるだけ開発意図というもの、あるいはまた開発の進め方というものに対して地域住民理解を求めて、全体がよくなろうという地域開発地域住民反対があるということ自体、おかしなことでありますから、そういう点で地域住民理解を得て開発をするというのが開発の基本的な態度でなくてはならぬと思っております。
  7. 島本虎三

    島本委員 ここに北海道苫小牧東部開発構想が出され、着々とこの実現に向かっていま歩を進めております。その構想によりますと、わが国の工業発展方向を踏まえて、国際的な規模鉄鋼石油精製石油化学非鉄金属等基幹工業自動車工業の導入をはかるものとして、生産額は三兆三千億を見込む、こういうような巨大、大規模開発構想であります。そうして、これには鉄鋼は二千万トン、石油精製は百万バーレル、石油化学は百六十万トン、アルミニウムは百万トン、銅、鉛、亜鉛は四十五万トン、自動車は五十万台、電力は六百万キロワット、そしてこれができ上がる段階では三兆三千億と、工業出荷額の二倍程度を占めるような現在の開発構想になっているのです。これだけのものをやって公害が出ないというような発想がもしあるとするならば、それを現在行なっているコンビナートに先にこれを実施させてからやらせるというのがほんとうです。ところが、これだけのかつてないような巨大な工業開発をやるのに、それからもうこれから出ないように、両立させるというような考えがもしあるとするならば、これははっきりさしたほうがいいし、住民ほんとう公害がないということに反対はする理由は全然ないし、反対するのは、いかに政府がやっても、水島、瀬戸内海並びに鹿島その他において見られるように、これは言うことと結果は逆だということに対する危惧と不安を持っているわけです。環境庁はこの開発に対してどのような指導をしているのか、まずその点を具体的にし、鉄鋼留保、こういうような決定をしてこれを指示したようでありますが、その理由等もここに明確にしてもらいたい。
  8. 城戸謙次

    城戸政府委員 先生いま御指摘のように、東苫小牧開発構想は非常に長期の大規模地域開発計画でございます。したがって環境庁といたしましても現在の苫小牧地域を含めまして今後の環境アセスメントを十分やって、その上で今後公害発生しないという前提で、見通しを立てた上で開発計画を進めていく、こういうことを北海道開発庁それから北海道庁それから地元、すべてに要請しているところでございます。  いま御指摘ございました鉄鋼の問題もその一環となるわけでございまして、当然このような大規模開発をします場合にどういうような企業立地が許されるかという点につきまして、鉄鋼というような従来まで各地で公害をまき散らしてきた業種につきましては慎重な検討を要するわけでございます。私ども、現在港湾工事に関しましての港湾計画改定を実は六月の末に予定をされているわけでございまして、その段階での私ども意見としまして、少なくとも鉄鋼立地につきましてはこれを留保するということにいたしたわけでございます。と申しますのは、いまお話の中にありましたように、その規模としまして粗鋼の生産額が年間二千万トンという全国最大規模でありまして、また立地予定地の周辺の状況等から見ましても、環境条件適応性につきまして非常に不安定な要素が残っておりますこと、それからNOXとか粉じん等公害除却技術につきまして、鉄鋼に関しては非常に未開発の分野が残っていること、それからなおまた、具体的現実状況としましても、石油等進出企業がたくさんございますのに対しまして、鉄鋼につきましては必ずしも具体的な計画が出ていなかったということから見まして、まず石油精製等を優先して考えて、どの範囲内で立地が許されるかということを検討していこうということにいたしたわけでございまして、鉄鋼立地は現在の段階では少なくともこれを留保するということ以外に方法がないということになったわけでございます。
  9. 島本虎三

    島本委員 その場合の、現在操業している苫小牧、現苫と言います、それから、これから開発されようとする地域東部と、こういうふうに言っておるわけでありますけれども、現苫と東部を入れて許容量環境容量はどれほどと見て、どれほどまでが認められるようなノルマル立米パーナワーになるという計算を立てて、どのように指導なさっているのか。それが徹底しておりますか、おりませんか。どうもこれは下部に行くとまちまちのようでありますが、環境庁としてもこの点は十分指導の責任があるはずであります。その点はよろしゅうございますか。
  10. 城戸謙次

    城戸政府委員 細部のことは所管局長からお答えいたしますが、私どもアセスメント段階といたしましては、このままいきました場合に、現苫と東部と合わせまして予想総排出量が、たとえば硫黄酸化物では一万六千八百十ノルマル立米パーアワーになる。これを結果的には五千五百ノルマル立米に押えたい。それからNOXにつきましては一万九百二十ノルマル立米パーアワーになりますのを三千五百に押えたいということを考えておるわけでございます。なお、いま御指摘ございませんでしたが、CODにつきましては一日当たり十三・一トンに押えたい。これを計画排出量として考えていきたいと思っております。これは従来の理論計算式からまいりますと、もっと多くてもいいわけでございますが、いろいろ不確定な要素がありますし、特に北海道におきましては気象条件その他の点につきましても今後の補足調査にまつべき点も多いわけでございますので、安全率を見まして、ただいま申し上げたような線で考えておるわけでございます。
  11. 島本虎三

    島本委員 その場合には、環境アセスメントは、硫黄酸化物の場合は、これは五千五百ノルマル立米まで――それは東部の場合は言いませんでしたけれども、私のほうに資料がありますから、これはやはり三千九百ノルマル立米。そうすると、五千五百ノルマル立米にすると、現苫地区は現在三千二百ノルマル立米ですから、これを千六百ノルマル立米にしなければならないわけです。そして現苫プラス東部、この両方で五千五百ノルマル立米にならなければならないわけであります。さて、そういうようになりますと、現苫のほうが問題なんですが、いまこういうような点で環境アセスメントに沿うように十分指導され、開発庁のほうではそれの点に留意して開発計画を立てておられるのですか。いまのような点を無視して独走されているのですか、この点をひとつはっきり説明してもらいたいと思います。
  12. 秋吉良雄

    秋吉政府委員 ただいま環境庁のほうからお答えを申し上げましたように、苫小牧東部開発につきましては、先進工業地域に見られましたような公害発生が起こることのないように、絶対に起こらないように、こういう前提のもとに開発を進めたいと考えております。したがいまして、環境庁指導のもとに環境アセスメント等を十分いたしまして開発を進める所存であります。
  13. 島本虎三

    島本委員 環境庁はいまそのような答弁をなすっておられます。しかしその点では間違いございませんですか。あえて言うのは、いまのような御答弁がございましたが、現苫の点でさえも千六百ノルマル立米にまで下げることは困難だ、こういわれておるのでありますが、鉄鋼関係が、日本鋼管あたりが逆に東部進出よりも現苫のほうにこれを移したいという新聞発表をなすっておられることを聞いておられると思います。同時に、いろいろあるようでありまするけれども、現苫のほうに対していろいろ石油関係企業もまた進出したい、こういうような意向が表明されているようであります。そうなりますと、環境基準をそのままにしておくのでさえもこれは重要である。重大な問題をいま現苫のほうで出しているのです。御存じでしょう。ところが、現苫の問題が解決しないうちに東部のほうに手をつける。東部のほうの環境基準はきちっといまのようにして環境庁から押えられておる。今度は、企業は逆に現苫のほうに企業立地を目ざして進めておるわけであります。こういうような点をそのままにしておくということは、計画そのものに対して自分で破壊するような行為になるのじゃなかろうか、こう思うわけです。そして、これに対する考え方一貫性を欠いているようであります。鉄鋼留保という点、鉄鋼をそのままやる場合には、現苫を含めて東部では全部環境汚染されるのです。アセスメントに沿わないのです。したがってこれを留保しているのに、開発庁では、計画は変更しない。鉄鋼保留は現在のところであるけれども鉄鋼誘致するという計画変更はしない。通産省札幌通産局では、留保は一時的な措置で、これは取りやめではない。それから北海道開発審議会では、鉄鋼はやめるべきじゃない、こういうようなことを盛んに話し合っているようであります。答申に出たかどうかわかりませんが、その中の討論を聞いてみますと、鉄鋼はやめるべきじゃない、こういうようにいっているわけであります。現苫と東部を含めて、鉄鋼に対して進出した場合には環境アセスメントが乱れる、したがってだめだといっているのに、盛んに通産省並び開発庁ではそういう企業誘致しようとする動きがあるじゃありませんか。これは全然環境庁環境アセスメントに沿っていく行き方じゃないと思いますが、この点をひとつ解明をしていただきたいと思います。
  14. 秋吉良雄

    秋吉政府委員 苫小牧東部開発につきましては、現在の現苫と一体といたしまして、二つを合わせました一体的な環境アセスメント開発を進めるというたてまえに相なっております。したがいまして、現苫についての先ほど日本鋼管の御指摘がございましたが、これは現苫の従来の計画の一部ではないかというふうに私どもそんたくをしております。具体的にまだ日本鋼管からの話は聞いておりませんが、従来の現苫の計画の中に日本鋼管がすでに七万坪でございましたか、用地を確保してございまして、従来の計画どおり圧延加工機械工業であれば、これは御案内のように非公害産業でございますから問題はないのではないかと思いますが、いずれにいたしましても、問題は日本鋼管等から具体的な問題が起こりましたならば、その際十分公害発生のないように配意しつつ検討をいたしてまいりたいと思います。御案内のように現苫地区につきましては環境庁指導のもとに道がただいま公害防止計画策定中でございまして、その面からも十分チェックができるのではないかと考えております。  なお苫小牧東部鉄鋼の問題につきましては、先ほど環境庁から御答弁がございましたように、今後の公害防止技術の未開発の面がございますから、そういった今後の推移等も勘案してこれはきめるべき問題でございまして、現在保留にいたしておるわけでございます。必ずこの鉄鋼立地しなくちゃならないという前提のもとに私ども考えておるわけでございませんで、あくまでも公害防止技術が今後どうなるかという、鉄鋼に関する公害防止技術の将来性の問題、今後における鉄鋼需給動向、そういったものを勘案しつつ今後慎重に検討を進める、こういう態度でございます。
  15. 島本虎三

    島本委員 わりあいにはっきりただいまの答弁を承りました。私自身もその程度なら了解できるのです。ところが一歩ここを離れると、現地のほうへ参りますと、盛んに放言的に反対発言がなされているのを御存じありませんか。北海道開発審議会というのがありますね。この審議会の中でも鉄鋼はあきらめるべきじゃない、鉄鋼誘致という線でこれは進めるべきだ、環境アセスメントのことを考えておらないようですね。企業誘致だけを考えているようですね。それと同時に札幌通産局のほうではどうしてこの局の段階で、いま言ったような基本的な考え方があるのに、留保とは一時的な措置で、これは取りやめではないんだ、今後やるのである、こういうような発言をなさるのですか。それと同時に北海道並び開発庁自身計画は変更しない、はっきり言っているじゃありませんか。ただいまの答弁では環境アセスメントに沿わない以上これはもう留保ということは、その時点においてはこれを取り入れるつもりはないということを聞いて、私はもうそれならわかるのです。ところが現地のほうでは盛んにこれはもうやるという、環境庁でも現在のアセスメントを乱すような、鉄鋼が来たら、必ずこれは変更しなければなりませんから、それだったらだめだと言っている。まちまちじゃありませんか。このまちまちな点では混乱を来たしますから困ります。まして現苫の問題に対してなぜ環境庁はじめ通産省それから開発庁では手を入れないのですか。ことしの四月の六日でさえも環境基準は〇・〇五PPM、これだけの硫黄酸化物、この六百倍に当たる三〇PPM、こういうような高濃度のものが王子から排出された、いまだに国鉄の従業員はマスクをしながら操業しているというような現苫の状況じゃありませんか。私もこれを聞いてあ然としたのです。そういうような個所に測定値がないのですか。もっとこの点は将来のことばかり言わないで、現実の問題に目を見張って指導すべきじゃありませんか。王子製紙、これまた五月の二十九日には水質汚濁に値する砒素のたれ流しがあったじゃありませんか。これも排出基準を上回っている。そうしてまた五月の十二、十三日には苫小牧ケミカル、これでもまた高濃度汚染物質を排出している、こういうような状態。現苫のほうはめちゃくちゃじゃありませんか。こっちのほうを先に指導して、それから東部のほうへかかるというならいいのです。まして石油化学東部へ来るのは十一社中十社、これはもう来ることを意思表示していないのは昭和電工だけじゃありませんか。そのほか山陽石油化学をはじめ十一社中十社が全部来る。その理由は五十三年以降は本州方面では立地不可能であるから、最後の立地地帯として北海道東部を選ぶ、こういうようなことのようです。これじゃ汚染をわざわざわりあいによごれていない北海道へ持っていって、まだよごす余地があるからよごしてやれというにふさわしいような考え方じゃありませんか。まず現苫の公害を取り除くことが先決で、東部のほうはそれに上積みされるのですから、その上に東部計画を立てるのが至当だと思うのです。これに対して通産省並び開発庁はどういうふうに指導なさっているのですか。私の考えは正しいと思うのですが、環境庁、間違いですか。
  16. 城戸謙次

    城戸政府委員 現苫の問題につきましては、ことしの七月三日に公害防止計画策定を指示をいたしておりまして、その基本方針の中におきましても、五十三年を目途に苫小牧市全域を対象とした防止計画策定する、こうなっておるわけでございます。  なお、目標値につきましては、当然新しい環境基準としまして硫黄酸化物窒素酸化物も新しい数値が入っておるわけでございまして、その目標を達成できるような計画を当然道のほうから私どものほうに具体的に持ってくる、こうなっておるわけでございます。その考え方を見ました上で十分いま御指摘のような問題が起こりませんように今後指導し、防止計画を設定していきたい、こう思っておるわけでございます。
  17. 林信太郎

    ○林(信太郎政府委員 お答えいたします。  苫小牧東部におきます鉄鋼立地考え方につきましては、先ほど北海道開発庁から御説明がありましたとおり私ども考えておるのでございます。  通産局段階でただいま島本先生指摘のような発言があったといたしますと、私どものほうの意図を十分徹底していないところに原因がございますから、さっそくその趣旨の徹底をはかりたいと思っております。  それから現苫の問題でございますが、これは四十三年に産業公害事前調査を実施いたしました。四十八年を目標にしてやったわけでございます。いろいろな現地調査なり、あるいは風洞実験、あるいはコンピューターによる調査等々やりまして、その結果各企業から排出されますSO2の集積が環境基準を上回るというので、強力な企業指導をいたしまして、もとの〇・二の環境基準には十分適合するような形でスタートしたわけでございます。その後の本年五月に御案内のような基準改定がございました。そういう観点から見ますと、現状はただいま島本先生指摘のとおりでございますので、ただいま環境庁のほうからお話がございましたような線に沿いまして指導してまいりたいというふうに考えております。
  18. 秋吉良雄

    秋吉政府委員 現苫につきましては環境庁から御答弁ございましたように環境庁指導のもとに道において公害防止計画策定中でございますし、苫小牧東部につきましては現苫も含めた一体的な環境アセスメントを各開発段階ごとに常時見直し、検討をいたしまして、開発につきましては公害発生のないように万全を期してまいりたいと考えております。
  19. 島本虎三

    島本委員 その公害のマスタープランの問題がまた一番問題になるわけであります。しかし、現在の状態の中で指導官庁があやふやな面で住民をはなはだ惑わしている面があるのです。鉄鋼誘致すると、これは相当環境アセスメント影響を来たす。現在のところでは留保というのは、来ない段階での条件を許すという意味だ、これは環境庁指導になっているわけです。大体その辺に一致したようですから私としては話を進めたいと思うのですけれども、そうすると東部と現苫の間にはさまれる勇払並び沼ノ端地区住民はどういうふうなことになるのですか。これは移転させる計画であるかのように見えても、公害がないのだから移転させなくてもよろしいという考え方であるかのようでもあったり、そして計画によると移転先を三カ所か四カ所明示し、三十万都市の構想もその中に組み入れているようであります。公害のないコンビナートと言いながら、二、三カ所移転先をきめておるというようなこの計画、そして公害がないと言いながらも、勇払並び沼ノ端住民、これに対してあるいは移転させると言ってみたり今度北海道では移転させないと言ってみたり、これが不同のようであります。一体勇払沼ノ端はどうする考えなんですか。このあいまいさのために住民は惑っておりますが、明確にすべきであります。
  20. 秋吉良雄

    秋吉政府委員 御指摘がございました勇払地区は、現苫と東部の中間に位置するわけでございます。したがいまして、一般論といたしましては、住工分離観点からすれば移転が好ましいという考え方もありますが、しかしながらこれはやはり苫小牧市、特に地区住民意向によってきめられるべき問題であろうかと思います。したがいまして、当開発庁といたしましては具体的な移転計画は持っておりません。
  21. 島本虎三

    島本委員 移転させるかさせないか、これはどちらがきめることになるのでございますか。
  22. 秋吉良雄

    秋吉政府委員 先ほどお話しいたしましたように、最終的には苫小牧市さらに地区住民意向によってきめられる問題だと思います。
  23. 島本虎三

    島本委員 大体わかりました。  しかし、なおまた重大な問題もあるのです。先般の札幌冬季オリンピックによって恵庭岳、あの滑降コースがいわば木を切り払い、そして大会を成功さしたようであります。しかしその後の復旧そのものはあと百年かかってもできないんだという調査の結果が出たようであります。これはオリンピック組織委員会の手を離れ、北海道庁のほうにこの処理がもう移っているのであります。そしてこの問題に対しての指導は当然林野庁が行なわなければならないのでありますが、恵庭岳の百年もかかっても復旧ができないというこの状態、いまようやくこれを聞いて、われわれもあ然としたわけです、さすがにデンバーでは冬季オリンピックを返上したということを聞きましたが、さもあらんという感じもいまさらするわけであります。こういうようなことに対して林野庁はどういうふうにするつもりですか。
  24. 辻良四郎

    ○辻説明員 お答えいたします。  恵庭岳の札幌オリンピックのスキーのコースの復元につきましては、札幌オリンピックの組織委員会で復元計画を立てまして、目下その工事を行なっておる、このように聞いております。  工事の概要について簡単に申し上げますると、大きく分けて二つございまして、一つは堰堤等をつくる治山工事でございます。もう一つは、木を植えたりあるいは緑化工を施す緑化工事でございますが、これらの工事のうち、現地の標高によりまして仕事が違っておるわけでございますが、たとえば標高七百メートル以上でございますと、植えましても必ずしも成績もよろしくない。したがいまして、天然力を用いました天然更新を期待しております。そのために必要な地ごしらえであるとかあるいは種をまくとかそういうことを行なっております。また七百メートル以下ですと、たとえばアカエゾマツ、これは北海道の主要な樹種でございますが、こういう樹種を植栽する、こういうふうに計画されておるわけでございます。  また傾斜によりましても工事の内容が違うわけでございますが、三十五度以上のような傾斜のきつい地域につきましては、そうした緑化あるいは土どめ、そういうことを主とし、また三十五度以下の傾斜のゆるいところあるいは山ろくにつきましては排水が緑化に重点を置いてやる、このような計画になっていると聞いております。そうした計画に基づきまして四十八年度におおむね復元計画は終わる、このように承知しております。
  25. 島本虎三

    島本委員 復元計画は終わる、それは計画はわかります。あの岩石の中、ほんとうにああいうような急傾斜の中から復旧はできるのですか。できるとしたならば、技術的にもけっこうですが、実際何年後に原状になる可能性を皆さんでお考えですか。
  26. 辻良四郎

    ○辻説明員 アカエゾマツにつきましては、これも土地の条件その他によるわけでございますが、やはりある程度長期間、先ほど先生は百年ぐらいというお話もございました。百年までは私かからぬと思いますが、ある程度長期かかる、このように考えております。  それからカンバの類でございますが、これはわりあいに生長も早い樹種でございますので、一つの林相を形成するまでにはおおむね一、一十年ぐらいあれば一つの林の形にもなる、このように考えております。
  27. 島本虎三

    島本委員 そのような形式的な復元じゃないんです。おそらくは研究している人たちが、地元を含めて学者の人たちが実地踏査をして、その結果百年かかっても前のとおりには復元はできないということははっきりしているのです。それらの資料をもらって十分検討してみてください。またそれによって早く復元してもらいたいし、この環境損傷の代価というものはまことに高価なものである。このことを如実に教えたのが恵庭岳なんです。ですからこういうようなことをしてはならないということです。林野庁のほうでもまだ研究が不足のようです。それらの実際に踏査した学者の資料が出ておりますから、現地の営林署のほうに言って、恵庭にはございますから、よくそれを確かめてください。少し研究不足のようです。百年ならないで三十年ぐらいで復元できるのですか。甘いですよ。木を売ってばかりいるからそういう考えになってはいけません。  問題はそこではないのです。私として聞きたいのは、同じ苫小牧の中であの火山灰地の中に、今度は北大の演習林があるのです。この演習林は火山灰地の中で何年もかかってこれをつくり上げてでき上がったりっぱな林です。そしていまやこれは有効に利用されております。そして市民的にも現状を変更しないようにというあたたかい陳情が殺到しておる状態でありますが、この計画によりますと、北海道縦貫自動車道路がこの中を三本通るような計画、国道二百七十六号線が一本通るような計画、めちゃめちゃにするような計画でありますが、これは自然破壊じゃないのですか。これに対して環境庁は何か意思表示をしなすったのですか。それからこれは文部省の所管だと思うのですが、一体こういうような計画をそのまま見ておったのですか。意見を聞かしてください。
  28. 江間時彦

    ○江間政府委員 ただいまお尋ねの演習林は、私らが調べたところでは、ダケカンバであるとかウダイカンバ、イタヤカエデ、シナノキなど非常に貴重な広葉樹林があるところでございまして、われわれのほうはまだ現在協議を受けておりませんけれども、こういうものが破壊されるということは好ましくないというふうに考えております。
  29. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 お答えいたします。  演習林の趣旨につきましてはもう先刻御存じだと思いますけれども、教育研究の用に供するという趣旨で設けられているわけでございます。これは学生の教育実習ということ、もちろんそうでございますが、自然環境を守るという一つの意味もございまして、演習林を設けておるというのが実態でございます。  また、いまいろいろなお話がございましたが、私どもはそういうお話があるということで、大学自身は今後は検討したいというふうにいっておられるということを聞いておるわけでございます。(島本委員「大学が、今後どういうふうにしたいって」と呼ぶ)大学のほうもいろいろ具体的なお話し合いについて、今後話し合いを進めたいということを言っておるということを伺っておるわけでございます。
  30. 島本虎三

    島本委員 こういうふうにして北海道縦貫自動車道路が三本大規模にこのまん中を突っ走るほか、国道二百七十六号線もこの中へ入る予定になっている、そのそばに三十万の新都市をつくろうとする計画がある。その付近に苫小牧の現苫並びに東部開発がその周辺にあるわけであります。したがって、高速道路で縦断し、苫小牧東部と現苫の大気汚染影響をもろに受けるし、三十万の都市の計画もそのそばにある。これじゃせっかくの自然環境を保存するために残された唯一のこの演習林、そばの恵庭岳は破壊されて、今度はその中の演習林までめちゃめちゃにされるような開発がどこにありますか。これは開発でなくて破壊ではありませんか。これはもう広葉樹林で破壊は望ましくない。これは文部省も、当然環境庁も言う。やはり計画を十分考え直さなければなりません、見直さなければならない、こう思うのですが、開発庁いかがですか。
  31. 秋吉良雄

    秋吉政府委員 北大の演習林の機能の重要性につきましては、先生指摘がございましたとおりでございまして、私どもこの工業基地とそれからニュータウン等を連結する道路計画といたしましては、まだ具体的な路線の最終決定を見ておりませんが、これはやはり演習林を避けて通るべきであるという考え方のもとに、現在路線の選定作業を調査中でございます。ただいまのところ演習林の北方約三キロメーターの線を通過してはどうかというのが一案としてございますが、ニュータウンと東部基地を結ぶ道路計画といたしましては、演習林を通過しない、こういう前提のもとに調査をいたしてまいりたいと思います。今後この地区周辺の道路計画につきましては、やはり演習林としての機能を阻害しないように十分私どもといたしましては配意してまいりたい、このように考えております。  なお高速自動車国道の御指摘がございましたが、これは建設省のほうからお答えしたほうが適当かと思います。
  32. 菊池三男

    ○菊池政府委員 いまの北海道の縦貫自動車道の問題でございます。これは千歳から苫小牧を経まして室蘭、そして函館に至る道路でございます。これが苫小牧のちょうど西側、北のほうから入りまして、西へ抜けていく計画になっております。これは昭和四十五年の六月に整備計画ができまして、日本道路公団に施工命令を出したものでございます。千歳と苫小牧の東インターにつきましては、もうすでにルートの発表を終わっております。苫小牧の東とそれから西のインターの間が、たまたま北大の演習林を通るということになりまして、まだ大学のほうとの話がついておりませんので、現在いまだ路線発表はいたしておりません。これはルートをきめます際に演習林の中はできるだけ避けたいということで、ずっと苫小牧の市街地のほうへ寄せておりますけれども、また一方苫小牧の市街地、これは住居地域もございまして、住居地域の中に高速道路が通ること、これはまた別の環境の問題がございます。したがいまして、その両方を考えながらということで、ただいまのところは演習林の一番南の端のほうを通ったらどうか、そしててきるだけ道路に寄って――演習林がまっすぐじゃありません、でこぼこしておりますので、残地ができることになります。そういう南側に残された残地をできるだけ少なくする形でルートをきめたい。  一方、さらにそれよりまだ南のほうへ寄せますと、住居地域にかかり、あるいは学校、それから霊園あるいは遺跡というようなものがございますので、そちらのほうの問題が出てまいりますので、そういう一番南の端を通るという形で通ってはどうかということで、現在大学のほうと折衝中でございます。  また、道路をつくりますにつきましては、当然演習林の一部木を切りますと、急に木がなくなって、残ったところが大きな木が直接さらされるということになりますので、そういう意味の下木を植えるとか、そういうような緩衝的な植生というようなことは当然工事の施行方法としては考えて、環境の阻害にならないように施工をいたす予定でございます。
  33. 島本虎三

    島本委員 「苫小牧東部規模工業基地開発基本計画の概要」「土地利用・交通体系パターン図」この中にはやはり中を縦横に走っている。こういうような図をもうすでにかいて出して発表しているんです。発表していながら、これはいろいろやっても混乱を起こすだけです。ことにこういうような場合には、あらかじめ環境破壊にならないようにしてこそいいんです。なぜ自衛隊の演習地を通らないのですか、遠慮しないで通ったらいいじゃありませんか、ああいう憲法違反の演習地。そっちのほうを避けて無理して演習林を通す必要はない。そういうような点ももう一回考えて、練り直す必要があるんじゃないかと思います。このままの計画じゃ、環境破壊に具体的になりますから、この点は注意しておきます。このままの計画の変更は必ずすべきです。それでよろしゅうございますか。
  34. 菊池三男

    ○菊池政府委員 ただいま先生お持ちのその図面を見ておりませんので、これでいいですかと言われるとあれですけれども、たぶん市で計画いたしました図面じゃないかと思います。(島本委員北海道開発庁です」と呼ぶ)はい。その中のたぶん図面じゃないかと思いますけれども、私ども考えておりますのは先ほど申し上げましたように、ずっと南のほうに演習地の一番端部のほらを通っておりますので……。   〔島本委員、菊池政府委員に図面を示す〕  わかりました。これは整備計画を出しましたあと、いろいろといま大学のほうと折衝しておりますけれども、そのルートはこれよりずっと南のほうに振って、先生の言われましたように演習林に直接関係のないように、一番南の端を通るというような形で現在進めております。
  35. 島本虎三

    島本委員 すべてやる場合には慎重にやってください。そのほかにこれは開発庁、なお動植物の影響調査は十分してございますか。平木湖沼群というのがあって、これは学術的にも貴重な存在なんです。この土地の買収は北海道がしてしまっている、国のほうでは水面を持っている、厚真町では委託管理をしている。そうして委託管理を受けた人から今度逆に業者が中に入って、自由に中で営業行為をしている。採取行為もしている。これじゃせっかくの平木湖沼群も、これはめちゃくちゃじゃございませんか。こういう管理の方法はございません。  また同時にウトナイ湖、このウトナイ湖にも白鳥やアオサギなんかも来て、貴重な一つの存在になっているわけでありますが、これらに対する、全部この周辺にございますが、配慮は十分してあるのですか。してあるとするならば、どういうような配慮をしてございましょうか。この際ですから、はっきりさせてください。
  36. 秋吉良雄

    秋吉政府委員 現在、調査中でございまして、ただいま先生からの御指摘もございましたし、十分調査いたしまして、慎重に対処してまいりたいと考えております。
  37. 島本虎三

    島本委員 この考え方も、十分皆さんのほうで配慮しないといけないと思います。と申しますのは、植物の影響調査、これは環境庁のほうでしてやらぬとだめなんじゃありませんか。北海道では環境アセスメント環境基準値は国のものを採用しているのです。国の環境アセスメントは人の健康上の一つの決定をしているわけです。動植物は人間よりもこれは感じが敏感でありますから、もっと科学的な根拠が必要だと思うのです。国そのもののアセスメントを入れても、これは湖沼群やこの学術的な価値のあるところのこれらの自然環境の保全にはならないんじゃないか。これに対して現在調査中だというが、環境庁のほうでは十分これはそのための局があるのですから、やってやらないとだめじゃありませんか。
  38. 江間時彦

    ○江間政府委員 お答えいたします。  本件に関しましては、目下のところ十月の初旬に北海道庁、苫小牧市それから学識経験者などで構成されました合同調査をやる予定にいたしております。  目下のところわれわれといたしましては、いま先生がおっしゃいました平木沼の湖沼群それから蔦森樹林地帯それから弁天丘陵地、それから柏原地区樹林地、こういうものを大体四千四百七十四ヘクタールほどを緑地として原生状態を維持することで北海道と話し合っております。  またウトナイ湖、トロト湖、こういうところは鳥獣保護区となっておりますが、こういうものは将来にわたって自然環境の保全ができるように特別保護区の設定をするなど、開発規制措置を講じるように北海道庁と話し合っております。これは大体一千ヘクタールくらいになると思います。  それからウトナイ湖は周辺を含めまして五百十ヘクタール、これを公園緑地として確保して、沼南部に予定されております道路計画は白紙検討するように申し込んでございます。それから明野のアオサギコロニーは公園緑地として保全するということ、それから鵡川河口付近の渡り鳥の調査地点を保護するために河川敷を含めて鳥獣保護区を設定するというようなことを検討中でございます。
  39. 島本虎三

    島本委員 周囲が全部開発地帯になる場合には、保存するにしても、その基礎になる資料、こういうようなものは慎重でなければなりません。いまの場合は、いかに環境アセスメントを当てはめる、こうしても、それらの周囲は全部、環境破壊に類するような工場群が建つわけでありますから、その場合には、人間の環境保全、これだけではだめなんです。動植物の、この貴重な資源ですから、ことにこれは学術的にも貴重な資源ですから、その保存に対しては十分意を用いてもらいたい。このことだけは強く要請しておきます。  ことに今度は、環境庁長官、いろいろやってみましたが、うとうとしながらもお聞きのとおりなんです。しかしながら、いまのようにして、苫小牧の現苫並びに東部開発、これはいま聞いているとおりなんです。まだ調査が十分に不十分です。したがって、この問題に対してはもっともっと慎重でなければならないし、われわれも、十一日の日でしたけれども、市役所へ参りまして、市長に会って真意を伺ってみました。苫小牧の市長も、これに対してははっきりした態度を打ち出したわけです、と申しますのは、現在の重化学工業中心の誘致では公害は避けられない。したがって国の示したマスタープランは受け入れられない。市独自の案をつくって国に主張する。九月中には独自案を出したい。十月中に市民の合意を得たい。しかし、合意を得るまで十月にはこだわらないつもりである。開発地域住民の自主性が必要である。一致したところで今後は実施したいのだ。当然総量規制は取り上げ、段階的に立地をしていくつもりである。国が示したマスタープランに対してはそのままでは受け入れられない。したがって、量、質ともに転換を要するのだ。具体的には精密工業と第一次工業の間、すなわち自動車工業、造船工業その他に類するもの等を考えていま盛んに進めている、こういうような一つの発表があったわけです。したがってわれわれとしては、いま長官がはっきり言ってくれましたけれども環境への影響防止できなければ認めない、両立できなければ認めないのだという基本方針、そうして地域住民のレベルを高めるためには地域住民意思を尊重し、協力する形で進める、長官がこのようにおっしゃったこととこれは一致します。したがってこれは苫小牧の件については現在苫小牧市が案を練って進めているようですから、開発の独自プランに対して国が圧力をかけてはいけないし、地元の意思を尊重してこれを進めるのが真の開発じゃないかと思います。この点について長官意見を伺っておきたいわけです。
  40. 三木武夫

    三木国務大臣 先ほども申し上げましたごとく、開発のための開発というものはないわけです。地域住民の大きな意味における福祉を向上するための地域開発はある。したがって地域住民がどういう産業を誘致するかということについては地域住民発言権というものを十分に持って、ただ、いろいろ日本全体の一つの需給関係等も考えて、産業の選択には大きな制約は受けるでありましょう。しかし、とにかく地域住民がどういう産業を誘致するかということに対しては、これは大きな発言権を持っている。こちらのほうがいやそういうことはだめだ、これでなければだめだ、そういうことは開発の一つの基本的な進め方ではないと思いますので、まだ私は聞いておりませんが、どういう計画をお立てになろうとしておるのか知りませんが、十分にそういう地元住民意思を体して今後の開発計画は進めていくべきだと思います。
  41. 島本虎三

    島本委員 そういうようなことからして、最後に、計画の見直しと再検討が必要である、このことだけは申し上げておきたいと思います。  これで意外に時間をとってしまったわけでありますけれども、次に入りますが、次は問題の伊達火力の問題であります。  これは水産庁来ていると思いますが、あの問題に対しては水質汚濁並びにいろいろ漁民に被害を与えない、こういうようなことでいま着工しているようでありますけれども、この八月の十日、九月の九日、二回にわたって赤潮が伊達町の有珠で発生した、こういうふうな報告がありますが、この点についての関係はどのようにお調べになっておられますか。
  42. 安福数夫

    ○安福政府委員 お答えいたします。  御指摘の有珠地区の地先についての赤潮の発生の問題は八月の上旬から中旬にかけまして、八月の八日から十二日、九月に入りまして九月四日から九月十三日、その二回にわたって赤潮が発生したという情報を私ども連絡を受けております。これにつきましては、道庁のほうに私どものほうから照会いたしまして、どういう実態であるかということでございますけれども、直接的な被害はいまのところない、こういう報告を受けております。ただ詳細につきましては、道の水産試験場にさらに詳細に実態をはかりたい、こういう連絡を受けております。
  43. 島本虎三

    島本委員 それならば、水産庁のほうではこれはどうなんですか。通産省おりますね。――あの四月の段階で、伊達商工会議所で漁民を集めて北海道電力では説明会を開いています。その際には、着工するのに必要な小型漁港へ投石する石、この石は洗って投入する。汚濁フェンスをちゃんと張るから一切汚濁に関する迷惑は漁民にはかけない、こう説明しておるんです。この点については了解していますか。知らなければ知らないでいいですよ。そういうふうに説明しているのを御存じですか。
  44. 松村克之

    ○松村説明員 お答えいたします。  たいへん恐縮でございますが、私直接の担当でございませんので伺っていないわけでございます。
  45. 島本虎三

    島本委員 これは現地の漁民の行った人の話ですから、もう知らないのは困るのです。そういうふうにして説明して納得さしているんです。これを水産庁、七月の二十日から九月十日までの間、これはコンブが解禁になるわけです。本年は日高のコンブがなかなかできがいいのであります。漁民の生活依存度の高いのはコンブなんですよ。平常ならばこの七月の二十日から九月十日までの間に二十回以上コンブを採取しておったんですが、今回はただ三回よりも採取しておりませんが、これは何が原因ですか。
  46. 安福数夫

    ○安福政府委員 有珠の地先でのコンブの採取は、大体私も聞いておりますところによりますと、口明けが七月二十日である、こういうふうに私は例年聞いております。ただ今年度の場合は、先生も御承知だと思いますけれども、コンブにつきましては、年によりまして豊漁、不漁、こういう一つの繰り返しがあるということでございまして、たまたま有珠の地先におきますコンブは本年度は不漁の年に当たっておる、こういうふうに私どもは聞いておるわけなのです。それに加えまして、本年度はこの地域について大雨なりあるいはしけがあった、こういうことでコンブの実入りが非常に少ないというふうに私は聞いております。したがいまして、口明けが例年であれば七月二十日でございますけれども、今年度は約数日おくらしまして、七月二十五日でございますか、そこまで口明けを待ったという実情があったようでございます。確かに漁獲量はいまの推計では例年のおそらく三分の一くらいにとどまるのではないだろうか、こういうふうな報告を聞いておるようなところでございます。
  47. 島本虎三

    島本委員 水産庁もこの問題に対しては、一つの争点になっている問題の結果ですから、もっと調べておいてほしいと思います。これはどうなんですか。汚濁フェンスも用をなさない、これは漁民をだますだけの道具じゃないのか。上から下までかやのように張っても、下のほうには大きい穴があいていて、水ですから自由に通行しているのだ。それをわざわざ漁民が潜水して見てきている。そうしてホタテ、ノリ、ナマコ、アワビ、コンブこういうようなものはのぞきめがねで見ながらとるのです。したがって透明度が十メートル以上でなければとれないのです。あの一帯は日高から苫小牧を経てそして胆振の管内に入って伊達の有珠です。同じ太平洋岸の同じ海岸面なんです。日高が豊漁で、日高に雨が降って、そして有珠のほうが不漁で有珠だけ雨が降って、こういうような理由はないじゃありませんか。あの辺一帯は気象状況は同じでしょう。胆振日高方面というのです。気象はいつでも同じように出しているのです。日高に雨が降って大漁で、なぜ有珠のほうに雨があって不漁なんですか。こういうような点も十分考えないといけないのです。のぞきめがねで、そして下のほうを見て、透明度が十メートル以上なければとれないのです。濁っているからとれないのです。こういうふうになっているわけです。私としてはこういうような点からして、水産庁のこれに対する指導もまだまだとろいのではないか、こういうふうに思っているのです。そしてこれはわれわれも現地調査をしてみましたが、洗って石を投入するどころか石の上はどろだらけです。波がくればそれがみな外へ流れます。かつてないような汚染度です。こういうような状態です。それから通産省、まだその前に、こういうような状態にしておいて、赤潮の発生はいままでないのがことし二回あった。これはどういう原因か調査しましたか。日高方面のコンブが豊漁で、同じような沿岸でありながら有珠は不漁である、こういうような変化、これに対しての原因を十分追及しましたか。そしてそういうようなことからして、ことしは透明度が濁っていてとれないのです。とれないから、平年ならば二十数回とれるのに三回しかとれないということになるのです。日高は雨が降ってもとれるのです。なぜ有珠だけとれないのですか。大工事をやっているからじゃありませんか。そういうような状態です。そしてそれに対して住民はパイプラインがどこを通るのか。川からの取水口がどこなのか、これは一切現地では不明であります。不明なままにしてこれは通産省許可する理由はないのですが、パイプラインと川からの取水口、これに対しては不明のままの許可をしたのですか。それともはっきりして許可したのですか。
  48. 松村克之

    ○松村説明員 お答えいたします。  本件につきましても公益事業部のほうの所管でございますので、恐縮でございますが、私、ここに記録の持ち合わせがないわけでございます。
  49. 島本虎三

    島本委員 このパイプラインについては、成田等についても危険性が世界的に指摘されているのです。今度は、北海道の伊達と苫小牧の間、また室蘭の間、かつてないような長さです。そして必要によっては住宅地帯から相当距離を離さなければならないわけです。そして集団住宅からも百メートルくらいも離さなければならないわけです。個人住宅からも五十メートル以上離さなければならないわけです。樹木、こういうようなものから三メートル程度は離さなければならないわけです。避難困難なもの、病院や老人の施設、幼稚園、小学校、こういうようなものがたくさんあるところは三百メートルほど離さなければならないはずです。そういうような場所があるのです。新しい一つのプラン、なぜこのパイプライン、これの敷設を住民に隠すのですか。これをやらしたのはだれですか、許可したのは通産省でしょう。川からの取水、どの川から北電は水をとるのですか。排水口だけはっきりして取水口がない、こんなばかなことはない。パイプラインはちゃんと計画にのっているはずだ。なぜこれを隠させるのですか。こんなことをさしたならば、またトラブルを買って出ているようなものじゃありませんか。
  50. 松村克之

    ○松村説明員 お答えいたします。  先ほど先生から御指摘のありました赤潮の発生、これに伴う汚濁の問題もあるわけでございますが、先生から御指摘がありましたように、これは非常に争点となった工事でございますので、十分の上にも十分な注意をいたすと同時に、地元の住民に対してできる限りの説明をし、御了承をいただくということが非常に重要であろうかと思います。したがいまして、たいへん恐縮でございますが、私、きょうそういった事情も存じておりませんので、さっそく、帰りまして公益事業部のほうに、担当局のほうに連絡をとりまして、御説明に上がりたい、また地元のほうに対してはそういった指示をするということをさっそくいたしたい、こういうふうに考えております。
  51. 島本虎三

    島本委員 じゃ、このパイプラインと川からの取水口、こういうのは、不明のままで許可したのですか、しないのですか。これはわかる人はいないのですか。これは環境庁だってチェックしたのじゃありませんか。北海道開発庁だって、これは全然知らぬわけはないでしょう。  じゃ、これはわかる人が出てこないと話にならぬ。――あなたはわかるのだろう。
  52. 松村克之

    ○松村説明員 わかりません。
  53. 島本虎三

    島本委員 わかる人を呼んでこい。それまではこれは中止だ。  パイプラインと取水口、こういうようなものは現在不明のままだ。これは漁場の影響を水産庁はもう一回洗い直さないとだめです。それと同時に、わかる人をちょっと呼んでおいてください、これは大事ですから。  警察庁、来ておりますか。――そういうような水質汚濁防止法に触れるような点、それから鉄パイプを数十本打っておりますが、その騒音。騒音規制法、水質汚濁防止法並びにそれを搬入する際に、全然上のほうに布もかけないで、そして積載オーバーのままでこれを搬入し、住民指摘されてそれを直した。こういうような経過がありますが、なぜそういうようなものに対して検挙しないのですか。なぜ反対する住民だけ検挙して、なぜ水質汚濁防止法に触れるような行為――いま言ったのを聞いていたでしょう。赤潮発生がいままでかつてないのが二回もあった。そしてコンブが、日高方面は豊漁だというのに、同じ海岸線でありながら、平常は二十回以上もやっているのを、ただの三回、それも十メートルほども見えなければとれないのが、濁ってとれない。まさに原因はどこなのか。これも調査して、おそらくその原因がその工事であるならば、当然その工事に対して水質汚濁防止法に触れないかどうか。騒音防止法に触れないかどうか。トラックの積載が違反でないかどうか。これは違反であるから、住民指摘されて直したのですが、こういうような点は、なぜ北海道電力に対して強くこれを要請し、違反者に対してこれを逮捕しないのですか。これに対してどういう措置をとりましたか。
  54. 綾田文義

    ○綾田政府委員 お答え申し上げます。  第一点のくい打ちの騒音防止関係でございますが、これは騒音規制法におきまして取り締まるわけでございますが、くい打ちの当該地域は、まず第一に、規制地域からはずれておりますので、取り締まりの対象にはならないわけでございます。  そのほかに、軽犯罪法とかいろいろ法律がありますけれども、その法律も適用することができないという騒音でございます。  それから、第二点の水質汚濁防止法と赤潮の関係でございますが、赤潮の場合には、私ども十分わかりませんけれども、とにかく発生の原因となる物質、その有害な物質が排出されて、それが水質汚濁防止法あるいは産業廃棄物法なんかに触れる場合には、もちろん検挙の対象になるわけでございますけれども、この場合には、水質汚濁防止法は、先生も十分御案内のように、政令で定める一定の施設で、しかも健康ないしは生活環境の破壊の基準以上のオーバーしたものを排出したという場合に、違反になるわけでございまして、該当しない。したがって、警察といたしましては、法令違反の事実がないので、取り締まりの対象にならないということでございます。
  55. 島本虎三

    島本委員 汚水は流していないということは、はっきり証明できますか。
  56. 綾田文義

    ○綾田政府委員 私も現場は必ずしも詳細に承知しておりませんけれども、おそらくそういう埋め立て工事があれば、汚水は流れるということになるだろうと思います。しかし、その場合は、先ほども御説明申し上げましたように、水質汚濁防止法に規定する違反ということにはならないわけでございます。
  57. 島本虎三

    島本委員 不敏にして私は知りませんが、水がよごれて生業にまで差しつかえるような状態にしておいて、水質汚濁防止法に触れないというその理由、騒音を出しておっても、指定地域でないから、それは幾ら高音を出しておっても差しつかえないというこの理由、これを解明してください。
  58. 綾田文義

    ○綾田政府委員 水質汚濁防止法並びに騒音規制法につきましては、先ほども相当御説明申し上げたとおりでございまして、法律の規定がそういう仕組みになっておりますので、警察といたしましては、法律に違反する事実があればこれは取り締まりの対象になるわけでございますけれども、そういう該当しない場合には、警察としては取り締まりの対象にならないということでございます。
  59. 島本虎三

    島本委員 汚水を出しておって、生業に差しつかえるような状態にしておいても、水質汚濁防止法にひっかからないその理由、騒音を出しておっても、その騒音が騒音防止法にひっかからないその理由、その根拠はどこだと言っているのです。前に言ったといっても、わからぬ。
  60. 綾田文義

    ○綾田政府委員 水質汚濁防止法には、政令で定める一定の施設から排出される場合に、その排出のものの中に一定基準以上のオーバーしたものがあったときに、これは水質汚濁防止法の違反になるということでございまして、あの場合の工事の場合には、その水質汚濁防止法の適用からはずれておるわけでございますから、取り締まりの対象にならないということであります。  それから騒音規制法の場合には、一定の規制地域の中で建設騒音あるいは工事騒音がある場合には違反になるわけでございます。しかもこの場合にも、違反になった場合にも改善命令が出てそれに従わない場合に、初めて犯罪になるわけでございまして、警察といたしましては、そういう行政機関の改善命令が出て、初めてその場合に告発あるいは告訴、あるいはそういう事実を探知した場合に罰則を適用するわけでございまして、最初申し上げましたように、この場合にはまず規制地域からはずれておる。しかし、はずれておりましても、たとえば軽犯罪法ではみだりに騒音を著しく出す場合にはもちろんこれは軽犯罪法に触れるわけでございますけれども、この工事の場合には手続きと正式の免許を受けてそうして工事をしておるわけでございますので、軽犯罪法も適用ができないというふうに考えます。なお、ほかに騒音につきましては、これは主題からはずれますけれども、交通騒音とかあるいは風俗営業の騒音とかいろいろございますけれども、そういう諸法令につきましても該当がないということでございます。
  61. 島本虎三

    島本委員 私が言っているのは、そのようにかつてないような赤潮まで――赤潮はいままで発生したことはないのです。初めてなんです。二回も。そして十メートル透視しなければとれないようなコンブ漁――これはとれないのです、透明度がないから、よごれているから。そして漁民はそれによって生活上の被害を受けているのです。何でもないところで同じように、雨が降ったといいながらも二十回以上とって豊漁なんです。豊漁であるようなコンブがあるにもかかわらず、とれないのです。濁っているからです。生活上の危機を与えながら、それを取り締まり得ないのですか。そしてそれを防衛する人はなぜ検挙しなければならないのですか。そこを聞いているのです。――いや、いま警察に聞いておる。
  62. 綾田文義

    ○綾田政府委員 その場合に漁民の方はもちろん民事上の問題はあろうかと思いますが、これは警察行政とは別個でございまして、警察は、これは私から申し上げるまでもなく、法律の規定があってそこに罰則があるという場合に初めて取り締まりの対象になるわけでございまして、罪刑法定主義と申しますか、法律の規定がなければ警察としては取り締まることはできないというのは、これはもう申し上げることもない事実でございまして、現在そういう仕組みになっておるということでございます。
  63. 島本虎三

    島本委員 では、答弁したかったらもう一回、そっちで答弁してみてください。いまの件、終わったわけじゃありません。
  64. 春日斉

    ○春日政府委員 騒音の問題につきましてお答え申し上げます。  御承知のとおり、建設作業騒音は工場騒音や道路交通騒音とは異なりまして、発生源の性質として同一の場所で発生する期間が一応限定されているということとか、あるいはその期間の後、再び同じ場所において反復的に発生するということはまずないわけでございますので、いわゆる騒音にかかる環境基準の対象としては直ちに取り上げられていないわけでございます。  ただし、法規制によってその規制というものは強化徹底するということになっておりまして、いわゆる特定建設作業というものを法では定義しておるわけでございますが、要するにこれは「建設工事として行なわれる作業のうち、著しい騒音を発生する作業であって政令に定めるものをいう。」、こういうことになっておるわけでございますが、これを施行令の第二条のほうで、具体的に先生の先ほどの御質問はくい打ちの騒音と承ったのですが、くい打ちというものにつきましてはその施行令で音の音源対策を規制いたしておるわけでございます。  そこで、そういった問題はいわゆる特定の指定地域に規制されておるものでございますが、しかし、精神といたしましてはいかなる地域でも騒音というものはなるべく下げるように、これは原則でございますので、私どもは指定地域であろうがなかろうが、ともかく指導としては、特定建設作業に伴うくい打ちの音というものは最大八十五ホンときめておりますけれども、これを下げるべく指導をいたしておるわけでございます。  伊達火力につきまして具体的な問題としてあがっております騒音問題は、本館のいわゆるくい打ち騒音というものが私どものほうにもあがってきております。これは指定地域ではございませんけれども、盛土をすることによりましてさらに十ホン下げるように指導いたしております。  なお、いまのところ指定地域だといたしまして八十五ホンという規制がかかってくるわけでございますが、一応現在のところこの伊達火力の本館のくい打ちはそれ以下である、こういう報告がございます。
  65. 島本虎三

    島本委員 それにしても、どうも警察の態度というのがおかしいですね。漁民がやはりそういうふうにして生活上の危機を自分で感じているから、それを要求して、いまいろいろ立ち立がっているのです。海が、漁場が、それが生命線なんです。よごされたら生活できなくなるのです。よごれるからやめてくれ、こういうふうにいったのに対して、北海道北海道電力もはっきりした答えがないままにやっちまっているのです。だから、自分の生活を守るためにすわり込んだら、それを全部逮捕していたのは警察じゃないですか。そして、現在もう出ている。具体的な問題として、赤潮が発生しておる。そして二十数回とれるはずのものが三回しかとれない。こういうような生活上の危機を与えても、警察は黙って見過ごしている。公害は加害者と被害者しかないのですよ。警察の行為は加害者に対する応援じゃないですか。こんな警察はどこの国の警察です。国民の何を守るのです。もう少し警察行政ははっきりしないとだめです。いまのような状態を調べて、検挙すべきはすべきです。  あなたのほうでは、千石正志という人、やはり漁民です。機動隊のたてにはさまれて、七月十七日に脳震盪を起こして、しばらく人事不省だった。その人が検挙されていますね。逆じゃありませんか。一体、気が狂っているのですか。どういうふうな理由でこういうふうなことが繰り返されるのです。それも北電側の起訴も、本人は申告しないのに警察が申告しなさいといって、そして医者のところにいってきた。そうしたら、ふろに入ってみたら傷がついてあった程度の傷、それを一週間の傷として検挙している。それを使嗾したのは北海道警察だという。何ですか、公害に対する見方は。もう少しこの事情を調査して、そのよごした事実に対して検挙する必要がないのかどうか。騒音に対して、いま環境庁がいったとおりこれに該当して調査したかどうか。それから積載するトラックの荷物、これに対して過失がなかったかどうか。これを調べて少し報告してもらいたい。資料として出してもらいたい。これを要請しておきます。  それから環境庁長官、こういうふうにして一つ一つ公害そのものに警察権が関与するということは、加害者擁護に最近またなりつつある。いままではいわゆる公害に対しては警察権は発動しない、こういうような一つの態度を堅持しておった、このごろは水俣の第三水俣病が発生し、海上封鎖をし、それまではよかった。最近、中央からの圧力か何か、公害に対して、加害企業に対して応援するように、まさかそんなばかな指示はしてないと思うのですが、最近の情勢が少し以前と変わってきている。公害に対する警察権のあり方、これは私は遺憾に思います。こういうようなことに対して、長官、今後はやはり十分指導しなければならないと思います。私はいまのような状態であるならば、もう一度この委員会において重大な決意をもって参考人として招致した上で、これと対決しなければならないと思いますが、長官公害行政に対しての警察権の関与をどのように考えますか。
  66. 三木武夫

    三木国務大臣 警察権は、当然に、加害者に加担するとか何に加担するというようなことはあり得べからざることで、そして警察は法の規定に従って秩序の維持をはかるわけでございますから、今後とも本来の立場に立って警察行政は行なわれるべきだと考えます。
  67. 島本虎三

    島本委員 パイプラインと川の取水口、これは依然として来ませんか。来なければ、はっきりした理由を付してのこれは許可したのか。してないとするならば、現地住民をごまかすためにこれは発表してないことになる。これは重大な過失だ。警察はこういうようなやり方こそ検挙すべきなのです。現地では川から取る取水、それからパイプライン、これに対して一切もう知らないといって発表してない。これは重大なことなんです。危険きわまりないのです、パイプラインの問題は。住民に具体的な被害を与えるおそれがあるからです。それを発表してない。そのまま工事だけを進めている。こういうようなことに対して警察は黙っていていいんですか。やはり加害者側を擁護するかのような態度をとらなければならないのですか。はっきりこれは何のためにやったか説明する人はまだ来ていませんか。来ていないとするならばまことに遺憾であります。こういうような状態にしてやったということ。なおこの問題に対してはもう一度再質問する。きょうは晩になってもこれはやりますから、ここへ準備しておいてもらいたいと思います。まことに遺憾である、最後にこれを表明いたしまして、私の質問をこれで一区切りつけます。全部終わったのじゃありません。
  68. 佐野憲治

    佐野委員長 坂口力君。
  69. 坂口力

    ○坂口委員 きょうは道路騒音につきましてひとつ御質問をさしていただきたいと思います。  以前にこの委員会におきまして道路騒音のことを一、二回取り上げさしていただいたことがありますが、最近いろいろな公害の中で特にこの騒音に対する一般の皆さん方からの苦情というものが多くなっております。統計的に見てみましても全体の公害に対する苦情の約四〇%ないし四五%は騒音によっている、こういう結果が出ております。環境基準を上回る特に道路騒音、交通騒音と申しますか、これに対しまして基本的に今後どういうふうな方向に持っていこう、どういうふうに対処していこうというふうにお考えになっておるか、基本的な態度からひとつお聞きをしたいと思います。
  70. 三木武夫

    三木国務大臣 坂口君の御指摘のように、最近は自動車の騒音というものが環境基準を越える場合が非常にあるわけでございますので、これは長期計画に立って規制を強化していかなければ国民生活に非常な影響を与えるということで、四月の十日に中公審に対して諮問をいたしておるわけでございます。できるだけ早く結論を得て規制の強化をはかりたいという考えでございます。
  71. 坂口力

    ○坂口委員 特に騒音、振動のために生活上あるいはまた健康上もはや限界に来ているところがかなりございます。公的な施設等に対しましては、防止に財政上の措置がある程度ございます。しかし一般的な住民に対しましては現在そういう法的な措置も何らございません。特に現在すでに生活上あるいは健康上も限界に来ているというふうに思われるようなところ、こういうふうな場所がもしあれば、これに対しては早急にどういうふうな手を打とうとしておられるのか、ひとつお伺いをいたします。
  72. 春日斉

    ○春日政府委員 お答え申し上げます。  幹線道路に面しております地域におきます自動車騒音の実態は先生の御指摘どおりでございまして、かなりひどい地域が散在しておるわけでございます。環境庁といたしましてはまず発生源対策を強力に推進するということが第一でございますが、道路構造の改善とか、道路の両側に緩衝地帯、緑地帯、そういったものを設けるというような、いわゆる土地利用等の対策、これを総合的に行なうことが重要でございまして、私どもはその立場から関係機関といろいろ連絡をとって、環境保全上重大な支障をもたらすことのないように今後ともっとめてまいりたいわけでございます。  具体的な問題といたしましては、確かに先生常々御指摘だと伺っておりますが、名古屋と四日市のいわゆる中間にございます名四国道におきます交通騒音の実態というものを、私どもも三重県にいろいろ調査をさせまして実測値を見ておりますが、これは確かに生活に及ぼす影響はきわめて重大であるというふうに私ども考えておるわけでございます。
  73. 坂口力

    ○坂口委員 健康被害という問題が起こってまいりますけれども、騒音の場合には他の公害のときの健康被害とはだいぶ様相を異にいたします。水銀ですとかあるいはカドミウムとかいうようなものに対する人間のからだの症状の出方とは違った形で、たとえば工場なんかで非常にやかましい場所で仕事をする方たちは難聴というようなはっきりした形が出てまいりますけれども、一般の場合にはそういう難聴というような形ではなしに――これも出ないとは限りません。出るおそれもありますけれども、そうでなしに何と申しますか、もう少し非特異的な形で私どもの健康をむしばんでくるということは事実です。特に自律神経系あるいはホルモン系の失調のような形で、いろいろの非特異的な症状が出てくるわけであります。このことにつきましてかつて私質問をしたことがございましたが、そのときにはまだ公害健康被害補償法案も緒についていないときでございましたので、そういうふうなものも検討しているのでというような御答弁があったというふうに記憶をいたしておりますが、今回の公害健康被害補償法案ですね、あの中でもやはりこういうふうな騒音の、特に非特異的な形であらわれるような場合には、これを救済する道はあの中にもないというふうに私感じておるわけです。いまおっしゃったように緑地帯をつくりますとか、あるいは土地利用あるいは防音壁をつくるというようなことで、何とかしてそういうふうな場所には措置を講じなければならないと思いますが、特に都市部の中心に入り込んでまいっているような道路につきましては、周辺に土地をつくるといいましてもなかなかそれもできにくいことでございますし、緑地帯をつくるということもなかなかできにくい。また防音壁といいましても、これも実際にできることはできるでしょうが、現実問題といたしましては通風が悪くなるとかなんとかいろいろな問題も出てまいりますでしょうし、どれをとりましても非常にむずかしい問題を含んでいると思うわけです。今後の新しい道路の建設につきましてはいま述べられたようなことをお考えになって、そしてこれはどうしてもやっていただかなければならないと思いますが、いますでにできておりますものにつきましては非常にむずかしい問題があるわけでございます。いますでにそちらのほうから御指摘いただきましたように、名古屋と四日市を結びます名四国道沿いの騒音というものも非常に最近はひどくなっております。大体一日四万台ぐらいの車が走っております。昨年の十二月末にこの木曽川ですとか長良川というようなところで通行料金を取るようになっておりましたが、それが無料になりました。それからどんどんと車の数はふえる一方であり、しかもまた非常に大型の大きいのがたくさん通る。そしてそれが昼だけではなしに夜もかなりな騒音になっているわけです。お昼で大体八十・五ホンになる。これが夜間になりましてもわりに落ちないのですね。大体七十五ホンぐらい、約七十五ホンございます。これは四日市市の公害課が今年の二月と六月に沿線一帯で調べたものでございます。このときよりもすでにまた交通量がふえておりますので、あるいは大型化いたしておりますので、もう少しこれをまた上回っているのではないかというふうに思うわけです。この昼、夜の差が非常に少ないというのが特徴であろう。この沿線はやはりこの騒音とそれから振動のために非常に生活ができない状態になってまいりました。こういうふうな状態になってまいりましたこの道路沿線に対して、新幹線騒音が、たとえば二重窓にするとかというようなことをいたしておりますように、何らかの手は打てないものであろうかというのが地元の人たちの痛切な叫びなわけでございます。こういうふうな具体的な問題に対しましてどういうふうにお考えになっているのか、もう一度ひとつ御答弁をお願いいたします。
  74. 春日斉

    ○春日政府委員 御承知のとおり騒音規制法の第二十一条の二の規定によりまして、知事は指定地域につきましては騒音の大きさを測定いたしまして、その結果同地域内の自動車の騒音が定めてございます限度をこえかつ自動車の騒音による道路周辺の生活環境が非常にそこなわれていると認めた場合には、県の公安委員会に対しまして道路交通法の規定による措置をとるべきことを要請する、これがいわゆる十七条第一項でございます。それから第二項では、「道路管理者又は関係行政機関の長に」道路の構造の改善等について「意見を述べることができる。」としてございます。これはいずれも市町村長に委任してございます。  そこで問題は、測定に基づく要請の限界があるわけでございますが、これはいろいろ区域により、昼夜の別によって異なるわけでございますが、最高八十ホンになった場合にいま申しました十七条の一項及び二項が市町村長もできるということになっておるわけでございまして、私ども四十七年の九月の調査によりますると、環境基準は確かにおっしゃるとおりオーバーしておりながら、一方ではこの要請基準に達していないというような現実があったことは事実でございます。ただいま先生お話によりますと、すでに要請基準もこえておる、こういうふうに思わざるを得ないわけでございますが、そういたしますると、これは県の公安委員会に対して意見を述べる。そういたしますると、これはいわゆる交通規制という方向に行くことが可能になってまいります。たとえて申しますと、道路交通法の第四条で、「公安委員会の交通規制」というところがあるわけでございます。あるいはまた警察官の交通規制という問題がございます。あるいは最高速度の制限あるいは徐行すべき場所の指定あるいは整備不良車の運転禁止、こういったことが公安委員会によってできるわけでございます。もちろんこういった要請基準をこえていなくても、あるいは公安委員会のほうでは要請されなくても、警察当局は独自の立場から交通規制をなすっている例も幾らもあるわけでございます。そういうようなことをいたしまして、交通関係のまず規制ということで考えていただく、これが一つ。  それからもう一つは、道路管理者に対する意見の陳述ということによりまして、防音壁の問題でございますとかいろいろ道路の構造についてもさらに改善検討をしていただく、こういうのが法的な一つの道であるわけでございます。
  75. 坂口力

    ○坂口委員 もう少し詳しく申しますと、四日市の公害課がまとめておみえになります数字は、朝夕で、午前六時から午前八時までと午後七時から十時まで、この平均値が七十八・四八ホンでございます。それから昼間、午前八時から午後七時までの平均値が八十・五ホンでございます。それから夜間、午後十時から午前六時までの平均値が七十四・六六ホンでございます。これが四日市の公害課がまとめられた数値でございます。いまおっしゃった中で、交通の取り締まりの問題がございますが、現在のところはこれは警察のほうが自動的にかどうかは知りませんが、四日市の警察ではこの付近を一応五十キロの速度制限をいたしております、しかしながらそれぐらいではなかなか騒音が落ちない。かえって交通がよけい繁雑になりまして、さらに音がぶうぶうといって多くなるというような弊害も出ておりまして、それほど効果はあがっていないわけでございます。この地域によりましては防音壁をつくっているところもあるやに聞いておりますが、これにつきまして建設省のほうから、実例その他ございましたら、ひとつお教えいただきます。
  76. 中村清

    ○中村説明員 防音壁の具体的実例といいますが、これは随所にございます。たとえば阪神高速道路公団もその例でございますけれども、やはり防音のために一つの壁をつくっているということもございますし、国道でもずいぶんそれをやっております。ただ、一般的にいえますことは、防音壁をつくりましても、場合によるとその出入りを制限することがある。あるいはつくり方いかんによっては日照の問題が出てくるというふうなこともございまして、防音壁が必ずしもこれがきめ手だということではないと思いますが、地域地域の実情に応じまして総合的な対策を考えなければいかぬ、かように考えております。
  77. 坂口力

    ○坂口委員 二重窓はどうですか。
  78. 中村清

    ○中村説明員 二重窓は現在は補償としてはまだ前例はございません。
  79. 坂口力

    ○坂口委員 この防音壁などをつくられる場合には、これは道路公団等が独自でおやりになるのでしょうか。それとも建設省がやはり許可をされておやりになるのでしょうか。
  80. 中村清

    ○中村説明員 大体各事業者がどうしてもこれをやらなければいけないというふうに判断をいたしますと、事業者の自主性でやることが一般的には多いと思います。ただ問題が非常に複雑でありあるいは微妙になってまいりますとわれわれのほうに相談がございまして、その上でそれではこうすればいいではないかという相談の上で実施する、あるいは場合によってはお断わりをするということになるかと思います。
  81. 坂口力

    ○坂口委員 二重窓等についていままで許可をおやりになったところございますか。
  82. 中村清

    ○中村説明員 二重窓の問題は補償としては非常にむずかしい問題でございまして、いままでやりましたケースでは、たとえば学校なんかですね。学校なんかにつきましては二重窓をしておりますけれども、一般の民家と申しますか、こういうところについてはまだ二重窓をやったという例がございません。
  83. 坂口力

    ○坂口委員 むずかしいとおっしゃるのはどういう理由でむずかしいわけでございますか。それは法律上むずかしいのですか。
  84. 中村清

    ○中村説明員 現在私どもが各種の補償問題を考えます際に、一応補償の際にどういう基準で補償するかという基準が必要であろうということで、これは数年前でございますか閣議決定をされました補償基準がございますが、現在その基準にはまだ二重窓という問題は必ずしも明確にうたわれていないということが事実上の一つの二重窓を考える際の問題ではないか、かように考えております。
  85. 坂口力

    ○坂口委員 この同じ名四国道で、いわゆる地盤沈下に対しまして昨年末の十二月に補償が出されておりますが、これにつきましては御承知でございましょうか。
  86. 中村清

    ○中村説明員 いまお話がございましたのは、おそらく道路公団が昨年の十二月に地盤沈下に伴って補償したというケースではないかと思いますが、そのケースでございますれば承知しております。
  87. 坂口力

    ○坂口委員 先ほど騒音のことについてもお聞きをいたしましたが、たとえば国道ができる。そうしてその地域で地盤沈下が起こる、こういうことかありましたときに、たとえば公団がそれに対して補償する必要があると認めた場合には、これはできるわけでございますか。いわゆる建設省が中心になってそれに対して調査をなさるとかなんとかということじゃなしに、公団独自でこれはできるわけでございますか。
  88. 中村清

    ○中村説明員 公団の御判断でできるという仕組みになっております。
  89. 坂口力

    ○坂口委員 そういたしますと、この地盤沈下もまあ公害の六種類の中の一つでございます、騒音もその中の一つでございます。その場合に地盤沈下についてはできるけれども騒音についてはできないという何か根拠があるわけでございますか、その点お答えいただきたいと思います。
  90. 中村清

    ○中村説明員 私が先ほど申し上げましたのは、騒音については一切できないという意味でお答え申し上げたわけではございません。騒音につきましても、たとえばただいま御指摘がございました遮音板をつけるとか、あるいは新しくつくる際にはたとえば道路を掘り割り構造でいくとか、そういった事前措置を講ずることはもちろんできるわけでございますが、騒音全般について、これは一切全部補償の対象にはならないという意味で申し上げたわけではございません。
  91. 坂口力

    ○坂口委員 そういたしますと、騒音あるいは振動の場合でも、道路構造そのものを変えるとか防音壁をつくるとかいうこともございますが、各個々の家庭にとりましては、その振動によって家が少し柱がかたいだりとか、あるいはそれでどうにもこうにもやかましくて生活ができないという現実があるわけです。そうしましたら、その事実を公団が認めさえすればそれに対する補償というものについても公団の自由にまかせるという意味でございましょうか。
  92. 中村清

    ○中村説明員 先ほどお答え申し上げましたように、非常に典型的なケースにつきましては公団が独自の判断で補償するということは一般的でございますが、非常に微妙なケースであり、あるいは将来大いに問題になる、あるいはこれが新しい前例を開くというふうな問題でありますと、公団が事前に私どもと相談をしてやっていただくということになろうかと思います。
  93. 坂口力

    ○坂口委員 三重県の長島町を中心といたしました約四十戸に対しまして、昨年末に総額にしまして二千五百万円の補償金が出ております。これは私出ていることを責めているわけじゃ決してございませんで、出していただいたことにたいへん感謝をしているわけでございます。よくぞ出していただいたと私思っているわけであります。ただ、私どももこのことは存じませんで、一部の方からもらってないところがあるとかなんとかというような陳情がございましてこのことを私も知ったわけでございますけれども、この出していただいていることにつきましては、私はたいへん英断であるというふうに考えております。  ただ、地盤沈下にそういうふうな形で補償が出るのならば、非常に現在苦しんでお見えになりますこの騒音公害あるいは振動公害の方々に対しても、やはり同じく補償がされてしかるべきではないか、こう私考えるわけでございますが、その点に対します御意見、もう一度お願いいたします。
  94. 中村清

    ○中村説明員 先ほどの地盤沈下に対して補償した、これは道路公団がまだ管理をしておりました時代の名四国道の話でございます。昨年の十二月にこれは償還が終わりまして、現在一般の国道になっております。かつまた指定区間にもなっておりますので、管理者は建設大臣ということになっております。したがいまして、私どものほうでどういう措置をとるかということを考えておりますが、ただいま申し上げましたように、基本的には、まず自動車そのものの改善ということが一番大きい前提の問題でございますが、私ども道路サイドといたしましてもできる限りのことはしなければいかぬという態度で、先ほど申し上げましたように、あるいは構造の改善をはかるとか、あるいは新しくバイパスをつくりまして交通量を配分する、ほかに回すといった問題とか、あるいはいま御指摘がございました遮音板をつくるといったいろいろな方法を総合的に考えまして、場合によっては交通の現制なりあるいは速度制限といった警察御当局の措置もございましょうし、こういったものを全般的にかみ合わせまして、できるだけ早く的確な措置を講じたい、かように考えております
  95. 坂口力

    ○坂口委員 少し明確にだけはしておきたいと思いますが、そうしますと、その昨年地盤沈下について出ました補償につきましては、これは道路公団がおやりになった、そういうことでございますね。――それでこのときにおきましては建設省には御相談があったわけでございますか。
  96. 中村清

    ○中村説明員 公団が補償をいたします事前には相談はございませんでした。事後に報告がございました。
  97. 坂口力

    ○坂口委員 そういたしますと、現在問題にしております名四国道――いまは名四国道てございますが、一般的にもう少し範囲を広めまして、現存公団管轄のところもまだほかにございます。その公団管轄のところについては、もし騒音あるいは振動というようなものを、これは非常に生活を脅かしているというふうに公団側が判断をしたならば、公団独自でその補償というものは出していいわけでございますね。
  98. 中村清

    ○中村説明員 先ほども申し上げましたように、非常に典型的なケースとしては、ことばが悪うございますけれども、非常に簡単といいますか、いわゆるティピカルなケースについては公団はその独自の判断をいたしております。ただボーダーラインケースであるとか、あるいは将来新しい前例を開くことになるといったケースも考えられると思います。そういう場合には公団のほうから大体  事前の相談があるということが通例になっております。
  99. 坂口力

    ○坂口委員 そのように公団側からもし申し入れがあった場合、あなたがおっしゃるとおり、確かに非常にティピカルに騒音ないし振動についてこれは周囲の住民の生活権を脅かしている、そう公団が判断をして申し入れられたときには、建設省としては許可なさるお考えでございますね。
  100. 中村清

    ○中村説明員 具体のケースがどういうケースかはっきりしておりませんので、私も四日市の問題につきましてはまだしっかりした勉強もしておりませんので、ここですぐどういたしますという御返事はいたしかねますが、先ほどちょっと申し上げましたように、騒音が一つ問題になっておりますのは、御承知だと思いますが、鳥山の北の住宅団地、これは都の住宅供給公社の団地でございますが、そこを中央道が通るという計画がございまして、地元の方々といろいろお話を申し上げておりますか、これはやはり原因としては騒音というのがまず一番大きい問題になっているのじゃないかというふうに考えております。したがいまして、いまの御質問に対しましては、ケース・バイ・ケースで最も妥当な判断をしたいというふうに考えております。
  101. 坂口力

    ○坂口委員 先ほどの御答弁で非常にティピカルなものについては補償を認めるんだというお話であったものですから、だからそれは地盤沈下だけじゃなしに騒音とて振動とてぼくは同じことだと思う。公団側がそういうふうに騒音なりあるいは振動なりに対してこれは非常にティピカルだというふうに判断すれば、これは地盤沈下だってぼくは同じだと思うのです。一般的なことを言われたものですから、私も一般的なことでお聞きしたわけです。だから今後も一般的に、地盤沈下だけではなしに騒音、振動についても非常にティピカルなものであるならばこれは認めるという方針をとっても、これはそれですっきりするわけです。しかしケース・バイ・ケースということばは、ややもいたしますと非常にティピカルなものであっても認めないこともあるしそうでなくても認めるときもある、何かそういうニュアンスが残るわけです。たいへん判然としないわけです。だから一般住民の方からすれば、やはりこれは物理的なものなんですから、騒音だとか振動だとかというのは。だから基準を上回るようなものがはっきりと出てきた場合にはこれはしてほしいという要求が起こるのは当然でございます。やはりそれにこたえるのが政治ではないかと思うわけであります。そういう意味で、ここで騒音あるいは振動というようなものに対して、その限度を上回る場合には、もし公団が補償をすべきであるというふうに認めたものならやはり建設省も認めるべきであろうし、また公団ではなしに直轄の場合にも、私はそういう場所については二重窓等について、あるいはまた個々のおうちが柱のゆがみを直されるというようなことについてはやはり補償をすべきだというふうに思います。その点いかがでございますか。
  102. 中村清

    ○中村説明員 騒音が問題になっておりますので、騒音の問題についてお答えいたします。  いままで私どもいわゆる直轄でやっております際は、先ほどもお答えいたしましたように、二重窓という問題はまだやっておりません。ただ道路サイドとしていわゆる道路の中だけで処理できる、端的に申し上げますと、遮音板といったことは、騒音対策としていままでも補償問題の一環としてやっております。
  103. 坂口力

    ○坂口委員 いや、今後どうなさるかということをお聞きしているのです。現在すでにもう騒音で弱っている人があるわけなんです。八十ホンないし九十ホンでとにかく話もできぬ、子供が泣いてもその声もわからぬ、あるいは病人が出てもどうにもこうにも置いておけない。事実そういうところがたくさんあるわけです。これに対してどうなさろうとするか、これに対して補償を今後されるのかどうか、それをお聞きしているわけです。
  104. 中村清

    ○中村説明員 騒音の問題につきましては、今後の補償理論一般の問題にからんでくるかと思います。そういう問題の一環として騒音問題をどういうふうに位置づけるべきかという観点から、補償の問題は考えてまいりたいと思っております。
  105. 坂口力

    ○坂口委員 たいへん抽象的なお答えだものですからよくわからないわけですが、抽象的なことではなしに、現実問題、そういうふうな人に対して前向きに取り組んでいくのかどうか、そしてその人たちを救う方向に検討していくのかどうか。いつもこういう問題になりますと委員会をつくって審議をするとかどうのこうのという話が出るわけであります。それだけでも私は一つの前進は前進だと思うのです、何もせずにいつまでも検討します検討しますでほっておくよりは。これは騒音のことを言われてから非常にもう久しいわけです。そしてまた最初にも申しましたとおり、騒音がわれわれの生体に及ぼす影響というのは、これは非特異的な形でいろいろの症状が出てまいりますのではっきりいたしませんが、しかし非常に私たちのからだに影響を与えることはもう事実でございます。それが特異的な形でないからというので捨ておかれているわけです。これを今後もいつまでほっておくのか。直接その地域に住んでお見えになる方にしてみると、当然そういうふうな声が出ると思うのです。もうほんとうに騒音のことが言われてから久しいわけです。しかもそれがだんだんと直っていくのではなしに、逆にその騒音がひどくなってくる。そういう状況下に多くの人がいるわけです。これは建設省だけの問題ではどうにもこうにもならない問題もあろうかと思いますけれども、やはり地盤沈下に対してでもこういうふうに補償が出ている例があるわけでございます。しかし騒音に対しては今まで何ら出なかったわけであります。二千五百万という額はかなりな額だと思いますが、そのくらいの額ならば、これはたとえば四日市だけの話ではございませんで、一般的に申しまして道路公団がおやりになっているところ、そのぐらいの補償額ならば、これは自由自在にやってもあとで了解を受ければそれでよしというふうにされるのか。これはたまたま特殊なケースで、三重県の長島町でありましたケースは、これは当然建設省が先に知るべきところを知らなかったというケースなのか、よくわかりませんけれども、しかしそれぐらいな額ならば道路公団等が応じられるというのであれば、私は道路公団がおやりになっているところで、管轄してお見えになるところで、そうして非常に多くの騒音で悩んでお見えになるところがあると思う。そういうところについては、これは交渉をすべきだと私は思います。それに対して建設省は公団にまかすというふうに、はっきりした態度を示されるかどうか、その点もう一ぺん伺っておきたい。
  106. 中村清

    ○中村説明員 一般に国がやります場合、あるいは公団がやります場合、あるいは県がやります場合にも、ごく最近に至りますと公害の問題が非常にやかましくなってまいりまして、道路の建設はあちらこちらで行き詰まっているというのが最近の顕著な事実でございます。その主たる原因は、いま申し上げましたような公害問題がネックになっている。したがいまして、私どもとしましては、道路を建設していく、整備していくという大きい使命を負っているわけでございますから、当面のそういう問題をどういうふうに解決するかということに日夜実は頭を痛めておるわけであります。地元の御協力といいますか、地元の方々の御納得をいただいて、あるいは御協力をいただきませんと、なかなか道路をつくるといっても最近は非常にむずかしゅうございます。したがいまして、私どもはできるだけ地元の皆さんとも十分お話を遂げまして、できるだけ問題をなくするようにしていきまして、道路の建設に進みたい、かように考えておりますが、いま申し上げました騒音の問題なんかもその一環として将来の検討課題として考えたいと考えております。
  107. 坂口力

    ○坂口委員 その、頭を痛めていただくのはよくわかるわけですが、頭を痛めていただいたあと、それがどういうように結果としてなったかということを私は知りたいわけです。困った問題だ困った問題だでは、これはもう済まされないわけであります。それだったらいつまでたってもこれは解決しないわけです。今後の問題としましては、地元の人とよく相談をしてとおっしゃいますが、それは今後新しい道路をつくることにつきましては、よく相談をして建設等についてはやっていただくわけですが、すでにできている、そしてしかも騒音がおびただしい。いかに路面を直してもそうとれるわけじゃありません。その現実に対してどう対処なさるのかということを私はお聞きしている。それに対しては何ら方策がございませんでは話にならぬ。何のための建設省であり、何のための環境庁であるかわからないわけです。
  108. 中村清

    ○中村説明員 ただいまの四日市のお話に限定してお答え申し上げますと、遮音壁の設置、これなんかも一つのあるいは対策であろうと思いますけれども、先ほどからも申し上げておりますように、遮音壁をつくりますと出入りを制限される、あるいは場合によっては日照にも支障があるということも考えられるわけです。したがいまして、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたようにバイパスをつくって交通量をそっちに回すということも、これはいま調査中でございます。あるいはいまお話のございました遮音壁の問題あるいは先ほどもちょっと触れましたけれども、交通規制といいますかあるいは速度制限といいますか、こういった措置ともからみ合わせまして関係の公共団体とも御相談をしながら的確な措置考えたい、かように考えております。
  109. 坂口力

    ○坂口委員 そうしましたら、これは建設省としましてもあの地域一帯の騒音状態あるいは振動の状態あるいは家屋にどういう影響を与えているか、そういう調査をなさいますか、もう一度。
  110. 中村清

    ○中村説明員 私のほうでやりたいと思っております。   〔委員長退席、島本委員長代理着席〕
  111. 坂口力

    ○坂口委員 それじゃひとつ早急に建設省のほうで御調査をいただいて、そしてその結果をおまとめいただいて、その段階においてもう一度私質問をさせていただきたいと思います。  最後に長官、初めお聞きいただいておりましたように、いま道路騒音の問題が非常に大きな問題になりました。総合的な立場から御見解をお伺いしたわけでございますが、これは道路騒音のことがいわれましてから久しいわけですが、遅々としてその解決は進みませんし、しかもその沿線の人々はだんだん大きくなります騒音で日夜悩んでいるわけです。私がきょう例として取り上げましたこの四日中地域の道路騒音も昼夜の別なく八十ホーンに近い音に悩まされているわけであります。これに対して建設省のほうがどう対処していかれるかということをいまお留守の間にお聞きをしていたわけでありますが、それに対する明確な答弁はなかったわけであります。この近くに長島町というのがございますが、そこに昨年末に地盤沈下に対しては約四十戸に対して三千五百万の補償が出ているわけです。同じ公害の中でも地盤沈下に対しては出ているわけです。これはいまは建設省のほうは、私たちのかかわり知ったことではなくて公団側がやったことだというふうに言っておりますけれども、これは私は言いのがれでおそらく建設省が許可なさったのだろうと思います。これだけの額を知らずにおやりになっているとは私には思えないわけです。地盤沈下にはできるけれども、騒音についてはできないというわけはないと私は思います。どちらも因ります。別に地盤沈下のほうを責めているわけじゃありませんで、先ほども申し上げたのですが、地盤沈下に対してそれだけ出していただいたということに対してたいへん私は敬意を表しているわけです。むしろ英断に感謝しているわけです。ただしそれならば、日夜なお苦しみ続けている騒音の人たちになぜもっと手が差し伸べられないかということを現在申し上げていたところであります。最後に、長官の今後のより前進的なそしてこの問題を解決するための何らかのその人たちを救う道、方向性というものについてお話をいただければ伺って、最後にしたいと思います。
  112. 三木武夫

    三木国務大臣 高速道路の騒音の問題というものは、四日市に限らず全国的な問題になっておるわけです。これはやはり将来の立地計画ということも大きな問題を投げかけておると思いますが、とにかく人口の稠密でない地域のほうは、これはまた土地の入手も容易でしょうし、立地上のいろいろなくふうはできるのでしょうが、実際は高速道路のようなものは市街地を走らぬようにするべきかもしれませんね。だからそうなってくると、対策としてはやはり沿道の住民に対する防音の施設というものも必要になってくる。タイヤなども最近は改良になってできるだけ騒音を少なくするようなタイヤのくふうもできておるようでありますが、まあしかし、それが非常な騒音対策にもきめ手になるというところまではいってないわけですから、市街地における自動車騒音というものに対しては、どうして住民に対する騒音の被害を少なくするかということについては、根本的に考えてみる時期に来ておると思いますので、騒音対策としては従来の行きがかりにとらわれないで検討いたしてみたいと思います。
  113. 坂口力

    ○坂口委員 これ以上きょうはお聞きいたしましてもこれ以上のお答えも出ないようでございます。きょうはこの辺で一応終わらせていただきますが、じゃ建設省のほうひとつ調査を早急におやりいただきまして、その結果に基づきまして再びこの問題を取り上げさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  114. 島本虎三

    島本委員長代理 栗田翠君。
  115. 栗田翠

    栗田委員 私は静岡県の駿河湾におきます水銀汚染の問題できょうは質問させていただきます。  六月八日に駿河湾でとれた魚の水銀汚染状況環境庁が発表されしました。新聞発表でございましたが、その内容というのはたいへんショッキングなものだったわけです。これが四十七年の十月に清水、沼津、御前崎沖それから伊豆半島などの魚市場に出荷されたイナダ、カサゴ、カンパチ、ムツ、カレイ、この五種二十検体を神奈川県の公害センターで調べたところが、総水銀の検出量もメチル水銀の量も同時期の有明海より高かったという結果が発表されました。第三水俣病の出ました有明海よりも駿河湾のほうが水銀汚染がひどいというような結果が出て、県民にとってはたいへん大きなショックになったわけでございます。  その結果どんなことが起こったかと申しますと、まず漁船の非常な水揚げの減少です。全部で八億六千百十八万円以上が減少しております。特に近海、沿岸漁業では六億三千七百十八万円の減収、遠洋漁業でも二億二千四百万円くらい減っております。また水産加工業者は三億六千九百三十六万円くらい売り上げを減らしておる、こういう状態になっておるわけです、そういたしまして、またまた魚屋さんたちにとってもこれはたいへんな問題でございまして、清水民主商工会が自主的に調査した結果によりますと、五月のある魚屋さんの一日当たり平均の売り上げ額というのが六万九千四百四十一円だったのです。ところが、六月二十五日から六月三十日、この報道がされて影響が広がっていったころには、一日の売り上げが三万一千七百六十一円。五月との対比で四五・七%というふうに激減しております。また、六月の一日平均が四万七千四百七円となりまして、五月との比で六八・三%という減り方なんです。そのために、自殺をする魚屋さんが出たり、二軒経営していました魚の店を一軒に減らして家族にまかせて、主人はトラックの運転手になったとか、魚屋さんだけでなくて、水産加工の従業者、おすし屋さん、釣り具屋さん、三〇%ぐらい売り上げが減っております。こういう実態が起こったわけですけれども、この状況につきまして、環境庁長官に、この実態をどういうふうにお考えになるかということ、また環境庁としてどういうふうに対処なさったかということを初めに伺いたいと思います。
  116. 岡安誠

    ○岡安政府委員 魚の水銀汚染の問題でございますけれども、第三水俣の問題が起きましてから、ショックが全国的にいろいろ波及をするという問題が出ました。そこで、私どもといたしましては、まず関係省庁に寄っていただきまして、全国的な総点検をするということ、魚につきましての安全基準を早期に設定をするということ、汚染源と思われます水銀取り扱い工場につきましての総点検並びに収支を明らかにするということ、さらに水域が汚染されているような地域につきましては、総点検の結果汚染源を明らかにするというような諸種の対策を決定いたしたわけでございます。  それに従いまして、現在総点検を実施中でございますし、その結果は九月末を目途に極力明らかにいたしたいというふうに思っております。  また、魚の安全基準につきましても、先般、六月の三十日だと思いますけれども、総水銀におきまして平均値で〇・四PPMをこえない、メチルで〇・三PPMをこえないというような基準も決定いたしたわけでございます。  それから、汚染源につきましては、苛性ソーダ等の工場につきましては極力これをクローズドシステム化する。これも来年の九月までにはすべてそのようにする。さらに水銀を扱わないような工程に変える。隔膜法に転換をする。これは五十年の九月でございますけれども、極力転換を進めるというような作業も着々と進めておるわけでございます。  私どもは、ああいうようなショックが起きまして、漁業者のみならず関連業者につきまして非常な打撃を与えたことを遺憾に思っております。それにつきましては、暫定的な措置ではございますけれども、経営の損失につきましては、つなぎ的な低利長期の融資をするということも決定をし、措置をいたしておりますが、今後はそういうことのないようにあらかじめ総点検の結果に基づきまして、汚染源を断つという方向に持ってまいりたい、かように考えております。
  117. 栗田翠

    栗田委員 この駿河湾の汚染源の一つと考えられております蒲原町の日軽化工という工場がございます。ここに対しての立ち入り調査というのはなさいましたでしょうか。
  118. 高橋清

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。  水銀問題がやかましい問題になってきまして、特に第三水俣病問題が発生して以来、通産省といたしましても、いま御指摘の蒲原の日軽化工を含めまして、苛性ソーダ工場は全国で三十六社、四十九工場ございますが、この各工場に対しまして通産局の担当官を派遣いたしまして調査をいたしました。  調査の内容は二通りございまして、一つは、各工場におきましてそれぞれどういったような排水処理設備を備えておるか、こういったようなことの現状把握、並びに、苛性ソーダを生産する場合には塩水マッドと称します廃棄物が生じますが、この廃棄物の中にも若干水銀が混入されることがございますけれども、こういったような廃棄物の保管、処理状況につきまして、いわば実地に担当官が工場に出向きましてその実情を把握する、こういったような調査と、それからもう一点は、各工場におきまして、たとえば創業以来どの程度水銀を使用したか、こういったような点につきまして、これは主として書面審査でございますが、必要なデータ等を工場から徴収いたしまして、そういった点につきましての書面調査もあわせ実施いたしました。
  119. 栗田翠

    栗田委員 実は私ども共産党のほうでも、私を団長としまして共産党の調査団を二回にわたって派遣いたしました。そこで、この日軽化工へ入って、幾つかのたいへんな問題を発見したわけでございます。  一つは、塩水マッドが昭和二十六年以来――日軽化工が創業されたのはもう少しあとですけれども、日軽化工の前身であります蒲原軽金の曹達部というのがあったのが昭和二十六年からなんです。それ以来のものであると工場側が言っています塩水マッドが、素掘りの池の中に野積みにされて雨ざらしになっていたという事実を発見いたしました。  それからもう一つは、私どもが工場側から水銀の収支を聞こうと思いましたけれども、一切答えませんでした。しかし、工場として毎年使っています水銀の収支がわからないはずはないのであって、これは答えたくないから答えないということにほかならないと思うわけです。  そこで、この調査に入りましたあと――入ったのは六月十九日でございますが、六月二十日に県へ申し入れをしました。それから続いて六月二十一日には通産省へ申し入れをいたしまして、幾つかの点で質問、要望などをしたわけでございます。たとえばいま言いました水銀の年次別の収支はどうかということ、塩水マッドの処理についてどのように対処するかということ、特に県に対する要望では、健康管理の問題や、たれ流しをやめさせようという要望もつけ加わっておりました。ところが、この申し入れに対しまして、いまだに通産省から回答がございません。一体なぜ回答できないのかということを伺います。
  120. 高橋清

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。  最初の塩水マッドの処理状況につきましての点でございますが、これはまさしく先生の御指摘のように、過去におきまして素掘りのいわばピットの中に塩水マッドを保管しておったということが、当方の調査でも判明いたしました。その結果、全く先生の御指摘のように、これは早急に改善をする必要がございますので、とりあえず県の指導というかっこうにおきまして、工場内に別途コンクリートでプールをつくりました。現在そのプールは完成しております。したがいまして、現在素掘りのピットの中に入っております塩水マッドをこのコンクリートプールのほうに移管する作業を進めておりまして、間もなくこの移管作業は終了するものというふうに聞いております。こういったようなコンクリートで固められましたプールの中に保管する場合には、マッドの中に含まれております水銀は工場外に出ることがございませんので、当方といたしましては、こういった管理状況をしっかり守るように今後とも行政指導を一段と強化してまいりたいと思います。  なお、さらに、御指摘の水銀の収支の点でございますが、これにつきましては、この蒲原工場も含めまして、各工場からいろいろ事情を聴取したわけでございますが、何ぶんにも、たとえば戦前から操業を開始しておる工場等も非常に多うございますし、また、率直な話、いろいろ排水の測定技術等が確立いたしましたのも大体四十年代に入ってからでございます等々、こういったようないろいろ事情が重なりまして、会社側から提出されましたデータには必ずしも信憑性と申しますか、データの信憑性、信頼性が十分でございません。こういったことが判明いたしましたので、私どもといたしましてはさらにこういったような水銀問題に関します専門の学者の方の御意見も伺いまして、さらにデータの信頼性を高めてまいりたいと思っております。すでにこういった専門家の先生検討の御依頼も済んでおりまして、加えまして工場が使いました水銀がさらに環境外に排出された場合は、結局は御指摘のように工場外のヘドロ等に堆積するわけでございます。こういった点でさらに工場外のデータもあわせ調査いたしまして、そうしてそういったようなデータからのクロスチェックもいたす、そうしますと一段とデータの信頼性も高まる次第でございます。こういったような意味合いで、私どもといたしましては、さらに環境庁を中心として進められております環境調査の作業の結果等を踏まえまして、そういったデータ等とのいろいろクロスチェックをいたしまして、当方の調査いたしましたデータの信頼性をさらに確認した上で逐次発表していきたいと思っておる次第でございます。
  121. 栗田翠

    栗田委員 私がいま最初に伺いましたのは、申し入れに対してなぜ回答してくださらなかったかという問題でございます。しかも三回こちらから電話で回答を依頼しております。  第一回目は、七月中に電話をしましたら、データが未整理だから整理され次第するというお話でございました。七月中にはするというお話でした。七月中待ちましたが来なかったのです。それで八月の初旬に電話しましたら、あと二週間待ってくれというお話でございました。二週間待ちましたがまた来ませんでした。とうとうしびれをきらしてまた八月末に連絡いたしましたら、年次別数字に推定部分が多い、通産省としてはそういうものは発表できない。いまちょっとおっしゃったようなことですけれども、初めてそういうお答えがありましたが、塩水マッドの処理などについての御返事はいただけるはずでございます。それから、発表できるものだけでもしてほしいというふうに言いましたけれども、ついに最後まで参りませんでした。  本来こういうものは当局、政府側が責任を持って調査すべきものですけれども、私どもは待ち切れないし、住民の安全のために独自に調査団を組んで入ったわけでございます。その中で幾つかの問題を指摘して申し入れをしたのに対して三回も、二月以上待ちましても回答が来なかったということについて、まず初めに伺っているのです。それはどういうわけでしょうか。
  122. 高橋清

    ○高橋説明員 御連絡がまことに不十分だったことはこの際深くおわび申し上げる次第でございます。  私のほうといたしましては、先生指摘のように、こういったデータは実は一日も早く整理をいたし、逐次公表していきたいということに全く同感でございまして、そういったような点から、いま御披露申し上げましたとおり各方面の専門の方々の御意見も徴したり等々、こういったことに実は次から次へと時間がかかってしまいまして延び延びになった次第でございます。御連絡が不十分だった点は重ねておわび申し上げる次第でございます。
  123. 栗田翠

    栗田委員 県当局は県会議員に対して、日軽化工の蒲原工場で使っていた水銀の過去の使用量のデータを発表しております。累計使用量が五万八千五百七十七キログラム、製品に移行したものが千六百四十六キログラム、排水中への排出量が三百七十七キログラム、あと残り不明分五万六千五百五十四キログラム、つまり五十六トンの水銀は不明というふうに発表されております。このことは御存じでしょうか。それとこの数字は認めていらっしゃるのでしょうか。
  124. 高橋清

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。  先ほど御返答申し上げましたとおり会社側の数字につきましてはいろいろと推計に依存しておるところが多うございますので、繰り返しでございますが、いろいろ専門家等の意見も徴したり等々いたしまして、不明というような部分がないような信頼性の高いデータに整理していきたいと思って、現在作業を進行している次第でございます。
  125. 栗田翠

    栗田委員 そうしますと、県当局が発表しましたこの数字はあまり信頼性がないというふうにお考えになっていらっしゃるわけですね。
  126. 高橋清

    ○高橋説明員 私どもといたしましては、県の公表した数字はたぶん会社側から聴取した数字を発表したのではなかろうかと思いますが、先ほどからの繰り返しになりますが、専門家の意見等ももう少しいろいろ聴取いたしまして確度の高いデータにいたした上、逐次発表し、それから御質問等にいろいろお答え申し上げたいと思う次第でございます。
  127. 栗田翠

    栗田委員 その他塩水マッドの処理の問題とか、その後の会社側の対処のしかたなどについても申し上げたいのですが、時間がなくなってまいりましたので、一番肝心な点にしぼって質問させていただきます。  私どもは今度八月七日、第三次の調査に入りました。これは第一次調査で塩水マッドの処理その他非常に不備であったことを申し入れまして、それがどういうふうに処理されていたかということを見るために行ったわけでございます。それで驚きましたのは、三角池の塩水マッドの野積みにされていたその上に、一時的に雨除けのシートがかぶせてありますけれども、これが雨や風で破れてしまって、まるで雨除けになっていない状況とか、それから仮置き場の造成の工事が予定より一カ月もおくれていることとか、土壌の問題とか、いろいろな点について気がつきまして、これをまた県に申し入れております。  さて、それとあわせまして第二次調査のときには工場の敷地内とその周辺の土壌の汚染状況を調べますために、私たちは独自に土をとってきて、これを東京のアグネ技術センターに検査に出しておりました。先ほど早くそういうふうにやらなければいけないというようなことをおっしゃっておりましたけれども、さっきも申し上げたように県内に大きなショックが起きているときに、いつまでも検査をしないでいるということは県民の健康にとって重大な問題になりますので、そちらでなさるのを待っていられないわけです。私どもは独自に検査をいたしまして重大な結果に気がついたわけでございます。検査の結果とそれについての御感想をいまから伺うことにいたします。  ここに地図を書いてまいりました。これは日軽化工の工場敷地とその周辺の地図でございまして、どこからヘドロなどをとったかという場所を示してあります。だれかちょっと持っていただけませんか。  検体は十一ございます。そのうち一から八までがヘドロと土壌です。それから九、十、十一が井戸水を調べました。まずそのうちで第五番目の検体から御説明いたします。この第五の検体といいますのは、日軽化工の正門近いところに置いてありますドラムかんの中に塩水マッドを固形化してコンクリートで固めて入れたものです。これはいままではやってなかったのですが、第一調査の結果、固形化しました。これをこなして検出しましたところが七三PPM、これは出るのがあたりまえです。塩水マッドをこなしたのですから、これは七三PPMの水銀が出て当然、このくらい出ております。それから六、ここにあります。この六の場所といいますのは、さっき言いました素掘りで塩水マッドを投棄してあった近くに、改善されてからコンクリートで固めて塩水マッドがじかに地面に置いてあったところです。この塩水マッドそのものを調べました。八一PPMの水銀が出ております。これも出て当然です。どちらも塩水マッドそのものでございますから。  ところで、問題になりますのは、この産業廃棄物、塩水マッドと同じぐらいの数値、それからそれ以上の数値の水銀汚染されています土壌が方々から出てきたということです。  まず1、ここを御説明いたします。1というのは、地図でいいますとこの位置ですけれども、これは昔、はらい堀といっていた堀です。旧排水溝でいまは埋め立てられておりますが、以前、日軽化工それから蒲原軽金のソーダ部がここを使っておりました。排水溝にしておりました。ここの埋め立ててある土を掘って検出してみたところが、五二PPMの水銀が出たわけなんです。  その次、1と3でございますが、この位置です。はらい堀からちょっとはずれたところにありますが、これはいま高圧線の鉄塔工事をやっていまして、地下五メートルから六メートルぐらい土を掘り起こしてあります。ですから、地下五、六メートルのところの土が表面に出ていました。それを取って調べましたところが、2は五九PPM、それから3の位置は八八PPMという、実に高い数値の水銀が出ております。  その次に4です。この4というのは、この地図にも見られますように、日軽化工の敷地の外側から富士川のほうへ流れている嘉衛門堀という排水路がありますが、この排水路へ雨水を現在流している排水溝なんです。そのところにあります土を取りました。これは以前、キレートの樹脂方式に転換する前に中和沈でん方式というやり方で苛性ソーダをつくっていたときには工場が工場排水溝として使っていたそうですが、現在はしばらくの間使われていないところです。ここから出てきました水銀が八六PPMでした。  それから次に7というところ。これは現在も水を流しています。嘉衛門堀ですが、その嘉衛門堀の土を掘り返してあります。これを取って調べたわけです。7それから8、二つとも同じです。工場敷地から約五百メートル以上離れたところです。ここで7のヘドロから出てきた水銀は七四PPM。8の位置から出てきましたのは六八PPMという実に高い数値でございます。  あと9、10、11というのは敷地から比較的近くにあります。といっても一キロぐらいありますけれども、その住宅地にある井戸水を調べたわけですが、この井戸水は全部〇・〇〇一以下ですから、その点はあまり問題なかったのです。しかも近所のうわさによりますと、この住宅地あたりでネコが狂い死にをしているといううわさがあります。  それからもう一つは、この住宅地からちょっと北のほうにいきますバイパスと住宅地の間にある――ここはほんとうはたんぼなんてすか、ここのところでは長いこと嘉衛門堀から水を引いてお米をつくっておりました。このお米をつくって食べていた人の手がしびれているという、そういううわさが流れております。これは今後調査しなければなりませんが、こういう状況が出てきたわけでございます。  そこで環境庁長官に伺いますけれども、このたいへんな数値だと思われます。水銀汚染の実態についてどうお考えになられるでしょうか。
  128. 三木武夫

    三木国務大臣 われわれのほうでも全国的に海域の環境調査をしておるわけでございますが、その数字はまだできておらないのでありますが、いま御指摘のような数字というものは、これはたいへん高いものでございます。われわれの調査に対しても、重要なそういうことがあったということを頭に入れて精密な調査を必要とすると思います。
  129. 栗田翠

    栗田委員 通産省に伺いますが、この間立ち入り調査をなさったときにはこういう土壌の調査はまだしていらっしゃらないのでしょうか。
  130. 高橋清

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。  前回の調査では、いま御指摘のような濃度の測定は行なっておりません。したがいまして、この点につきましては今後環境庁が中心となって行ないます総合的な環境調査の一環として、こういったようなデータの収集にはつとめたいと思っている次第でございます。
  131. 栗田翠

    栗田委員 ところで私ども調査によりますと、この工場敷地周辺はたいへん濃厚に汚染されているという結果が出ております。  ところでこの廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令によりますと、廃棄物を埋め立てた場合、埋め立て地は公共の水域及び地下水と遮断されていることなど、それから水銀はコンクリートで固めて地下に浸透しないようにせよとか、かなりいろいろと規定がされております。ところが土壌についてはそういう規定がないと思います。しかし、いま私どもの調べたこの調査の結果を見ますと、塩水マッドと同程度、場合によってはそれ以上に水銀に汚染されている土壌がその周辺にたくさんあるということになりますが、一体こういう場合にこの汚染された土壌はどういうふうに処理なさるおつもりでしょうか。この結果がおわかりになった以上、どうなさるおつもりかということを伺いたいと思います。
  132. 岡安誠

    ○岡安政府委員 お話のとおり廃棄物につきましては廃棄物の処理及び清掃に関する法律がございます。また、農用地につきましては土壌汚染防止法がございますが、まだ水銀につきましては特定物質の指定がなされておりませんので、その対象にはなりがたいわけでございます。  ただ、御指摘の農用地以外の土壌の問題でございますが、これにつきましては確かに現在対処するような法律制度はございません。ただ、いまお話のように濃厚な汚染が現にある。それから周辺の環境にさらに二次汚染等のおそれがあるというような場合には当然処理をなされなければならない。私どもはまず原因を明らかにいたしまして、それが過去の排水路に蓄積した汚染である場合、それはただ単に埋め立てだけでもって周囲に対する二次汚染が遮断されておるかどうか、これは問題でございますし、また原因の一つが、過去のスラッジを放置した結果、そういう土壌が汚染されたのかどうかということも検討しなければならぬと思います。  いずれにいたしましても、そういう濃厚な汚染のあるところにつきましては、雨水その他によりまして二次汚染がないようにこれは処理をすべきではないかというふうに考えまして、現在静岡県庁に対しまして、さらに細密な調査を指示いたしておる段階でございます。
  133. 栗田翠

    栗田委員 いま処理をするというふうにおっしゃいましたが、つまり除去してよごれていない土壌を埋めるとかいうことをなさるのでしょうか。具体的にどういうふうに処理をするおつもりでいらっしゃいますか。
  134. 岡安誠

    ○岡安政府委員 それはやはり実態によりましていろいろあると思います。そういう土壌を除去しなければならないような場所もあるかとも思いますし、またさらに表面を被覆をするというようなことも可能かもしれません。要は雨水その他によりまして周辺がさらに汚染をされないように措置をするということでございますので、状態によりましていろいろな方法によりまして二次汚染防止をはかりたい、かように考えております。
  135. 栗田翠

    栗田委員 この事実はとにかく重大な事実でございますが、あまりゆっくり調査をしていたのではますます汚染がひどくなるということがあります。一体いつごろまでに調査を済ませられて、いつごろまでに処理をする御予定でしょうか。
  136. 岡安誠

    ○岡安政府委員 この日軽化工の蒲原工場周辺につきましては、先ほど申し上げました全国総点検の対象になっております。静岡県が工場を中心といたしまして諸般の環境調査することになっておりますが、連絡したところによりますと、まだ着手いたしておらないようでございますので、早急に着手をいたしたい。その結果を待って対処いたしたいと思います。
  137. 栗田翠

    栗田委員 日軽化工が、さっきも言いましたように、長いこと塩水マッドを野ざらしにしてあって、その周辺の土がたいへんひどくよごれていて、しかもそこを通っている排水溝は富士川に流れ込んでいるわけです。しかも、その駿河湾の魚の検査によれば、駿河湾が水銀で汚染されているということは事実です。そうしますと、日軽化工が汚染源の一つであるということはお考えになっていらっしゃいますか。
  138. 岡安誠

    ○岡安政府委員 駿河湾の魚につきましても、先ほど申し上げました環境調査の一環としては、現在さらに調査をしておりますので、その辺のデータ等が明らかでありませんければ、私どもが責任ある立場としまして日軽化工が汚染源であるというふうに断定するのはちょっとまだ早いのではなかろうかというふうに考えております。
  139. 栗田翠

    栗田委員 データを早急に出していただく必要があると思います。明らかでないからわからない、また、通産省ども明らかでないから回答できないといままでおっしゃって、結局県民の側が独自に時間をかけ、お金をかけ、調査をしなければならない状況に追い詰められているわけでございます。そうしなければ命もあぶない、そういうところに追い詰められているわけでございます。ですから、一日も早い調査、処理ということを約束していただきたいと思いますが、いかがでございますか。できれば、いつごろまでにということもおっしゃっていただきたいと思います。   〔島本委員長代理退席、登坂委員長代理着席〕
  140. 岡安誠

    ○岡安政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたように、県の調査がこれから着手をする状態だと聞いておりますので、やはりその調査の完了を待たなければ、私どももいつごろというふうに確かには申し上げられません。しかし全国的には、おそくとも今年度一ぱいには全国環境総点検の結果を明らかにするというふうにいたしておりますので、私どもはできるだけ早い時期に明らかにするようにいま指導いたしているわけでございます。
  141. 栗田翠

    栗田委員 国の行政責任としましても、県に対する指導を早急に強めていただきたいというふうに思います。  それから次に、環境庁が暫定予算の要求をされていますが、その中で土壌汚染環境基準設定調査費というのを要求していらっしゃるようでございます。土壌汚染環境基準を設定なさるおつもりはございますか。
  142. 岡安誠

    ○岡安政府委員 暫定予算とおっしゃったのは来年度予算要求だと思いますけれども、私ども土壌につきましては、先ほど申し上げましたとおり、土壌汚染防止法によりまして対策を講じております。対策はやはり土壌におきます環境基準ができまして、その環境基準目標といたしましていろいろ対策が講じられるということが望ましい形であるというふうに考えまして、従来からカドミウム、砒素等につきましても環境基準をつくりたいということで作業いたしております。ただなかなかむずかしい問題もございますので、現在まではできておりません。しかしできるだけ早い機会に環境基準というものをつくってまいりたい、かように考えて予算も要求いたしておるわけでございます。
  143. 栗田翠

    栗田委員 特にこの日軽化工周辺の調査を徹底的にやっていただきたいと思います。そのように指導していただきたいと思うわけです。特に徹底的な調査の内容としましては、たとえばここに旧船だまりというのがございまして、これは日軽化工の敷地の中にあって、現在の産業廃棄物処理場のすぐ横に並んでいるところです。船だまりというその名前からもわかりますように、以前船着き場になっていて、地面が深く掘られていたところでした。それを以前産業廃棄物をここに埋めまして、いまは平らに埋まってしまっているのです。ここらあたりは今度の調査に入うておりませんけれども、かなり底のほうまで捨てられたのではないか。だから、下のほうまで汚染されているのではないかと思います。ここらあたりを調査していただくことがどうしても必要だと思います。  それからもう一つは、現在の排水路がこの旧船だまりから続いたところにございます。ここのヘドロもまだ調べてありません。ここはどうしても調べる必要があると思います。特に調査の内容としては、一体表面の面積としてどこまで土壌汚染が広がっているかということ、それから一体どれだけの深さ広がっているかということ、それから富士川がどのぐらいよごされているかということ、もちろん海もそうですが、そういうことの調査もぜひしなければならないと思うのですが、その点についていかがでございましょうか。
  144. 岡安誠

    ○岡安政府委員 おっしゃるとおり、どうも私ども先生お話を伺いますと、過去において相当汚染はひどいと感じておりますので、できるだけ詳細な調査をいたしたいと思っております。
  145. 栗田翠

    栗田委員 それから地域住民の健康診断がどうしても必要だと思います。住民と、それから日軽化工に働いております労働者の健康診断が必要だと思いますが、この辺についても、これは厚生省の管轄、労働省の管轄かもしれませんが、環境庁として御努力いただきたいと思います。  それからもう一つは、住民、漁民、業者に対しましてやはり損害補償をしていく。いまは融資をしてその利子だけを補償している形でございますけれども、因果関係がはっきりしない間、そのつなぎの措置としまして、大きな損害を受けているところの損害補償ということはぜひ必要だと考えております。これを強く要望しておきます。  それではたいへん残念ですが、まだたくさんの資料を持っておりましたけれども、時間がなくて本会議が近いということですので、私の質問はきょうこれで終わりにいたします。
  146. 登坂重次郎

    ○登坂委員長代理 この際、午後三時まで休憩いたします。    午後一時四十七分休憩      ――――◇―――――    午後三時十五分開議
  147. 佐野憲治

    佐野委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  質疑を続行いたします。岡本富夫君。
  148. 岡本富夫

    ○岡本委員 私は、新幹線の騒音問題について、騒音それから振動、これは当委員会で何べんも論議をしたところでありますが、一向に改善されてないということで、中には自律神経あるいはまたいろいろな病気が少し出てきておるということでありますので、一日も早くこういった被害が解決しなければならぬ、こういうふうに思いますので、新幹線騒音について御質問をしたいと思います。  そこで、環境庁長官が、たしか九月八日だったと思いますが、石川県庁で記者会見をされたときに、環境基準についてお話があったわけでありますが、ちょっとこれだけをまず確かめておきたいと思うのですが、環境庁長官から御答弁お願いします。
  149. 三木武夫

    三木国務大臣 記者団から質問があったわけでございます。それに対して私は、新幹線に対しての騒音ということが方々で問題になっているので、現在中公審で新幹線の騒音基準について討議をしてもらっておる、そしてその結論を待って環境基準というものをきめたい、現在の暫定的な指針になっております八十ホンというのはどうも高過ぎる、もう少しやはり環境基準はきびしくしたいと思うという趣旨のことを述べたものでございます。
  150. 岡本富夫

    ○岡本委員 中公審の答申もございましょうが、これは昨年の十月の十九日ですね、名古屋において利川製鋼の騒音裁判があったときに、この裁判の判決として、現在騒音は昼間六十五ホンですか、それから夜間が五十五ホン、これ以上は受忍限度を越えるというような判決要旨もあるわけであります。  そこで、よく新幹線なんというのは間欠騒音、要するにずっと続いてないんだというような説明があったわけでありますけれども、現在では大体一日に二百回くらい、連続騒音みたいになっているわけであります。  そこで、環境庁長官も八十ホンでは高過ぎるということでありますけれども、騒音規制法によるところの昼間六十五ホン、夜五十五ホンということから考えますと、それぐらいになるのがやはり理想的ではないかというように考えておるわけでありますが、長官考えはいかがでございましょうか。
  151. 三木武夫

    三木国務大臣 できるだけ騒音というものは少なくすることが理想的でありますけれども、いろいろな音源対策あるいはまたいろいろな立地的な土地利用計画、そういうものとにらみ合わせて、できるだけ下げていかなければならぬですけれども、一ぺんに理想的というところまではいかない、なかなかいきにくいと思いますので、いま私が幾らが適当だということをここで申し上げることもどうかと思いますので、中公審であらゆる角度から検討してもらいたいと思っております。
  152. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで大気保全局長さんに。かりにこれが七十ホンとか七十五ホンとか、こういうものが出た場合、道路あるいはまた建築の基準、要するに昼間六十五ホン、夜間五十五ホンということが大体きまったというのは、やはりいままでのいろいろな受忍限度というようなものを考えてきまっていると思うのですね。そうすると、そういう対策ができないからしかたがないということになりますれば、この付近に住んでおる住民は、これは病気にならざるを得ない。あるいはまた被害をずっと受けながら一生いかなければならないということでありますから、こういう場合、あなたのほうではどういうように考えておるのか、意見があったらひとつ述べてもらいたい。
  153. 春日斉

    ○春日政府委員 新幹線にかかります騒音あるいは振動につきましては、先ほど先生もちょっと御指摘になりましたように、普通のいわゆる騒音とは多少違うであろう。その理由としては、間欠的な騒音だから、こういう返事を環境庁から聞いておるのだが、こういう御指摘があったわけでございますが、現在確かに上下線とも相当過密に新幹線、往復いたしておりますので、最初のころに比べますとその間欠の度合いというものは確かに縮まってきていることはわかるわけでございますが、やはり何と申しましても自動車のように不特定多数の騒音源が走るのと違いまして、定期的に間欠的に走っておることは事実でございまして、そういった騒音の測定方法並びにその測定した結果を評価する評価のしかたと申しますのは、平常の自動車騒音なり工場騒音とはおのずから異なるべきだという一つの考え方が、これは世界的にあるわけでございます。新幹線騒音に非常にある意味では似たと思いますのが航空機騒音だろうと思うのでございますが、したがいまして航空機騒音では私ども中公審の中間報告といたしまして、新たに測定の評価につきましてWECPNLというような評価の方法を採用いたしまして、それによって航空機騒音というものの規制をやろう、航空機の環境基準を近く策定することにきまっておるわけでございます。ただし鉄道につきましてはいまだそういった技術的な問題が若干残っておるわけでございます。やや飛行機の騒音にかかります環境基準より、したがって新幹線の環境基準策定はおくれようかと思うわけでございますが、そういうふうに、確かに鉄道騒音の瞬間的と申しますか平均的な音のレベルと申しますのは、普通の音のレベル、すなわち環境基準で申しますところのレベルとはややそのまま比較するだけでは問題があろうと私ども考えております。しかしながらかなり高い音が間欠的、衝撃的といいながら、その間隔がだんだん狭まってきておるという現状におきましてはやはり平常音に対する環境基準というものも考えながら、それに近づける方向で新幹線の騒音にかかる環境基準というものはつくっていかなければならぬ、かように私ども考えておる次第でございます。  なお、平常音の環境騒音をつくりますときに、それにいかにして近づけるかということになりますと、一つは音を測定いたしまして、そうして特定の値以上に高くなった場合は道路規制をお願いするとか、これは県の公安委員会に意見を述べるとかあるいは道路管理者に道路の改善について意見を述べる、こういう方法があるわけでございますが、新幹線の場合にはそういったことがむだと申しますか、新幹線というのはれっきとした国鉄という公の施設がおやりになって、逃げも隠れもしないところでございますので、あえてそういうことをしなくても、運輸省なり国鉄の監督と申しますか指導と申しますか、そういうことによりまして十分に目的が達せられるのではないかと考えておる次第でございます。
  154. 岡本富夫

    ○岡本委員 いま、道路は不特定多数、だから新幹線騒音と若干違う。しかし騒音は工場ですと今度は同じことですね。ですから被害を受ける側の住民側から見れば、新幹線であろうが、交通騒音であろうがあるいは工場の騒音であろうがこれは同じことなんです。したがって私は環境庁としてはやはり被害者の立場に立った基準住民が受忍できる限度の基準でなければならないと思うのですよ。いつだったか大石長官のときに、中公審の答申を尊重する場合も尊重しない場合もある、いままでの政府のとっているのはどうも審議会意見を全部尊重してないじゃないか、たとえば政治資金規正法なんというものはほとんどやっていないのだから。そうすると、中公審のそういった審議会意見より強くすることはできるのだ、で、やるか、やりますというようなことで航空騒音の場合もあったわけです。  そこで、事務的にきめるのは大体あなたのほうだと思いますから、中公審のほうでかりにこれが七十五とかあるいは八十とか、こういうのが出てきた場合に、あなたのほうでは被害者の立場に立った基準というものをつくる、指示することができるのかどらか、この決意のほどをひとつ承っておきたいのですが、いかがですか。
  155. 春日斉

    ○春日政府委員 中公審の御審議の内容と申しますのは、私、少なくとも新幹線の騒音に関する各界のエキスパートが集まり、それに基づいた一つの結論であろうと思いますので、これを十分尊重するということが前提でありまして、私は実態を無視し、それからためにするような中公審の御答申が出るとは考えていないのでございまして、おそらく中公審の御答申がそのまま私ども環境基準をきめるに際して採用できるものと信じております。
  156. 岡本富夫

    ○岡本委員 まあこれはまだ出ておらないわけですから、それに対してどうのこうのと言うことはちょっとおかしい話でありますけれども、私は中公審の答申、要するに審議会の答申よりも強くして決して悪くない。要するに環境庁だけが日本の役所の中で、厚生省から離れましたからね、こういった住民立場――住民の健康の立場住民の生活の立場に立っていろいろとものを申し、あるいは行政指導をする、あるいはいろいろなものをきめるのが環境庁でありますから、環境庁でこれをがんばってもらわなかったら、これはほかはどうにもならないのですね。  そこで、最後にひとつ伺っておきたいのですが、長官、そういった意味からあなたはこの九月八日に記者会見されたと思いますから、やはり住民の生活環境というものを考え環境基準というものをつくろう、こういうお考えは間違いないでしょうか。これをひとつお聞きしておきたい。
  157. 三木武夫

    三木国務大臣 騒音の被害というものは非常にやかましい問題になってきておる。住民の生活、いろいろな心理的な、あるいは肉体的なバランスを失うことにもなりますから、これはこれからだんだんと大きい問題になっていくと私は思うのです、騒音の問題は。したがって、住民の生活、これを踏まえて環境基準をつくらなければいかぬ、こう考えております。
  158. 岡本富夫

    ○岡本委員 なぜ私、この環境基準をやかましく言うかと申しますと、おそらく山陽新幹線が今度は西へ延びていくわけですね。そうしますとおそらく夜中も、夜の十一時、十二時、人が寝静まってここで安眠しなければならぬ、そういうころにこれはどんどんどんどん通ると思うのですね、在来線にかわりまして。そうしますと、非常にその付近はどうにもならなくなるということですから、私はそういうものを考え基準をやはりきめておかないと、国鉄のほうはどうしてもその環境基準、いまでさえもうあんなに被害やかましく言っていても対策を立てない。いろいろ研究しております、研究しておりますと、こう言っておりますけれども、これ何年もかかられたんじゃ、そんな長い間待っておれぬわけですからね、毎日毎日のことですからね。ですから私は強く要請しているわけであります。  そこで国鉄当局にお聞きしますが、現在は環境基準がないから基準がきまるまでというようなお考えのように受け取れるわけでありますけれども、東海道あるいは山陽新幹線、この両側の皆さんが非常にもう困っておるということは私はよくわかるわけです。いま、いろいろ防音工事やってみたところであんまりたいした効果がないというようなことでありますが、抜本的に何とか対策を立てるという方法は何かあるのですか。そういう、あなたのほうで原案が何かあるのかどうか。これがなければ、私は、全国に新幹線網をあっちこっちつくるために、相当あちらこちらで被害が起きてくると思うのですね。ですから、この点についてひとつお聞きしたい。
  159. 内田隆滋

    ○内田説明員 先生も御承知のように、国鉄といたしましては、騒音の問題につきましては、国鉄の技術の総力をあげてただいま勉強をしておるわけでございまして、できたものから現地に施行していくということでございます。で、音源対策に対する技術開発の問題につきましては大体めどがつきまして、いわゆる八十ホン以下に押え得るという自信はできたわけでございますけれども、何しろ長い線路でございますので、山陽につきましては本年度中に全部の工事の施行を終わりたいというふうに考えております。中身につきましては、御承知のように防音壁を高くするとか、あるいはそれで音がとまらない場合には吸音盤をつけるとか、それから線路と下にバラスマットを敷くというような各種の対策をしてまいりたいと思っております。これは環境庁の御指導によりまして、まず音源対策をやりなさい、その後にどうしても音が下がらない場合にはいわゆる騒音障害防止対策として民家の防音工事、あるいはどうしてもやむを得ない場合には移転補償というようなことをやってまいりたいと考えております。現在は、これらの防音工事あるいは移転補償工事に対する取り扱い方の基準をようやっと今月一ぱいぐらいには完成をいたしまして、そういうような音源対策をやってもなおかつ基準値に達しないというようなものには逐次適用をしてまいりたいというふうに考えております。
  160. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで、内田さん、いまあなたは、八十ホンを大体国鉄では目標にしておるようでありますが、今年末に大体この基準がきまるというのが環境庁長官の御発表です。これよりきびしいのがきまった場合、これはお手あげですわね。そのときにどういうような対策を立てるのか、そこまで考えておきませんと、これは八十ホンではとってもその付近の人たちはもう受忍限度をこえてしまってどうにもならないですよね、これからずっとですね。あなたのほうでは、これをたとえば六十五ホン、七十ホン、こういうふうにきまった場合にはどういう対策を立てますか。いかがですか。
  161. 内田隆滋

    ○内田説明員 ただいまの技術開発では、いわゆる音源対策に対して大体八十ホンというめどが立ったといま申し上げました。これを、吸音盤、防音壁の形を改善することによってさらに音源を低くするという開発をいまやっておりますので、それが今後どの程度の効果を発揮するかということになろうかと思います。  なお、環境基準が出た場合にどうするかという問題は、先生も御承知のように、いわゆる大気の汚染ではなくて物理的な公害なわけでございまして、ある程度離隔距離をとればこの問題は解決するのではないか。したがってこれは国鉄だけの力でどうこうするというようにはまいりませんけれども、基本的には、もしそういうような基準がきまれば、出た時点において、それに合うような基準なり対策を考えていきたいというふうに考えます。
  162. 岡本富夫

    ○岡本委員 長官、実は山陽新幹線のこの公害問題のときに、佐々木運輸大臣でしたか、それから小山環境庁長官に来てもらいまして実際に調査してもらったわけですが、そのとき佐々木運輸大臣の話では、とてもこのままじゃだめだ、どうしても横二十メーターないし三十メーターのところに森林を設ける、要するにそういった植樹をしてこの騒音を防がなければだめだというようなことを発表されているわけです。その後、やめてしまったら何も言わぬわけですけれども、国で何とかそういった防音対策を考えなければならない。付近におる人たちだけが困ったらいいのだということでは話にならないと思うのですがね。これから山陽新幹線、東海道新幹線はおそらく夜中も走るんじゃないかと思います。距離が延びればそうなりますからね。そうなりますと、どうしても抜本的な騒音対策を立てるか、あるいはそれを移転させなければならぬと私は思うのですが、そういうほんとう住民立場に立った対策を検討していらっしゃるのかどうか。そのとき言いっぱなしでおしまいだというのでは話にならないと私は思うのですが、それについて、ひとつ長官のお考えがあればお聞かせ願いたい、こう思うのです。
  163. 三木武夫

    三木国務大臣 この問題は、岡本委員の御指摘のように、大問題ですからね。われわれとしても、国鉄、運輸省とも十分に相談をしまして、そしてできるだけこの騒音の被害を少なくするようにしなければ、新幹線が一方においては非常な利便を提供しながら、また一方においては騒音のために健康まで害するということになれば、利便といっても非常に大きなマイナスになるわけでありますから、今後とも十分に国鉄、運輸省とも連絡して、騒音対策を講じていく考えでございます。
  164. 岡本富夫

    ○岡本委員 だいぶ抽象的なんですが、一応これは検討をお約束していただいておきます。  そこで、国鉄のほうでは、東海道、山陽新幹線両側について、いまの被害対象地域、被害対象の困っている住居、あるいは人数、こういうものを調査しておりますか。
  165. 内田隆滋

    ○内田説明員 調査は行なっております。ただ、これはいろいろと地元との関係もございまして、私のほうの手の打ち方がおそかったということもございまして、調査そのものに対して、地域によってはトラブルが起こって、調査もさしていただけないというふうな場所もございますけれども、それ以外のところに対しては極力調査を進めるようにしております。ただ、全線の調査ということになりますと、これは相当の人数と時間が要るわけでございまして、ただいまのところ、基本的に、それらの問題について組織を拡充いたしまして――組織はもうできたのでございますか、人間がまだ手当てが半分ぐらいしかついてない。手当てがつきますと、大体全線に六十人ぐらいの人間を張りつける、それから工事を推進するために約八十人ぐらい、両方で百五十名程度の人間を張りつけて本格的に進めてまいりたいというふうに考えております。
  166. 岡本富夫

    ○岡本委員 国鉄は、一軒一軒というわけにはいかないと私は思うのです。それは確かに、私も現実を見ましたが、とても一軒一軒というわけにはいかないかもしれません。山陽新幹線の場合は、伊丹、西宮、尼崎、この三市の――これはぼくがかわってやってあげたわけです。それで、苦情を全部とって、あなた方のほうの総裁室に全部渡したはずですけれども、一番いい方法は――これは地方自治体が全部知っておるわけですよ。だから、地方自治体の首長とか、あるいはまたその公害対策室あたりで全部握っておるのです。そういうところに手を伸ばせば全貌がわかってくる。なぜしないのか。やると、あっちこっちの補償がたいへんだというわけで、あなたのほうは調査もはっきりしないわけですよ。人数とか……。人数なんかあんまり要らないわけですよ。各市ですぐに出てくるのです。地方自治体はもうわあわあいわれて、みなわかっておるわけです。ですから、そこの被害のあるところだけをきちって把握して、そして対策を立てる、これをひとつ早くやらなければならないと私は思うのですがね。中には、あなたのほうで一つもやってないんじゃなくして、私たちがやかましく言ってやってもらったところもありますけれども、その処置にしましても非常に官僚的といいますかね、その処置をする人たちを、いまあなたは八十人ほど用意しようとしておるんだと思いますが、もう少し丁寧に、そういう人たちに権限を与えて処置をしていくというようなことにはならないのかどうか。どうしてもここにはおれないから、もう立ちのきさしてもらいたいという家屋、こういうものについては移転補償をして、そこからのいてもらう。これはほんとうに申しわけない話ですけれどもね、向こうにすれば。一生の安住の地を求めてそこに家を建てた人もたくさんいるわけですよね。これは移転補償してあげるのだというのじゃなくて、もっとあたたかい考えで、そして、これは申しわけないけれども移転をしていただくというような、そういう態度でやっていかなければならないと私は思うのですが、これについての考え方はいかがですか。
  167. 内田隆滋

    ○内田説明員 地方自治団体とはもちろん緊密な連絡をとりましてやっておるわけでございます。ただ実害補償とかそういうような問題になりますと、やはりいろいろと実態を把握してお金を払うということになりますので、なかなか先生がおっしゃったように、あるいは官僚的というようなそしりを免れない面もあろうかと思いますが、この点につきましてはよく指導をしてまいりたいと思います。  それから移転補償の問題でございますが、これは先ほども申し上げましたようにまず音源対策をやる、そして音源対策がどうしてもできない場合にいわゆる移転補償なり防音工事をやるということでございますので、山陽新幹線の場合にそれに該当するようなところというのは非常に少ないかと思います。しかし、これらの問題についても、もしいまの環境庁の指針に合わない、防音対策をやっても合わないというところが出てまいりましたならば、これについてはできるだけ先生のおっしゃられた趣旨に沿って措置をしてまいりたいというふうに考えております。
  168. 岡本富夫

    ○岡本委員 かりに環境庁から八十ホンという基準が出たとすると、八十ホン以下のところは絶対しない、こういう考え方なのか。実際に先ほど話しましたように、裁判の判決では六十五ホンというのが受忍限度だということも出ているわけだし、それからまた、とても八十ホン以下でも住んでおれないわけですよ。御承知のように名古屋ではアパートなんか住めないから全部出てしまっております。ということは、どこの家も住めないと同じことなんです。アパートだから住めないで自分の持ち家は住める、そんなばかなことはないわけですから。そうなりますとあなたのほうの考えは、八十ホンとまず基準がきまったとすると、それ以下であればこれはもう移転補償もしない、何もしない、音源対策一本だ、こういう考え方なんですか、いかがですか。
  169. 内田隆滋

    ○内田説明員 現在のところではそういう指針になっておりまして、暫定的にそういうことで私のほうはやっておるわけでございます。しかしわれわれのほうとしては八十ホンを示されたから八十ホンでいいのだというふうに思っておるわけではなくて、音源対策に対しましては、先ほども御説明いたしましたように八十ホン以下できるだけ下げ得るように技術開発をしてまいっておるわけでございますので、そういうことで御了承願いたいと思います。
  170. 岡本富夫

    ○岡本委員 もう一つ聞きますが、音源対策、これも切りがあると思うのです。なお振動もあるわけです。そして約二百キロのようなスピードで走れば、これはもうとても私は――いままであなたのほうで国鉄の技術というのは一番最先端を行っていると言われるわけですが、それでもって現在八十五ホン以上あるところ、あるいは九十ホン以上あるところがある。百ホンのところもある。したがって八十ホンという基準がまずきまったと仮定しまして、それまで落ちた。それ以下のところは音源対策だけであって被害者の人たちは何の手当てもしない、こういう考え方なのか。これをひとつ聞かしてもらいたい、こういうわけです。いかがですか。
  171. 内田隆滋

    ○内田説明員 先ほども申し上げたとおりでございまして、いまのところはそういう指針が出ておりますし、これはあるところで切らなければめどがないわけなので、一応騒音の障害防止上対策に対しては基準どおりのものに対しては行なっていくということでいっております。なお振動につきましてはこれは一応まだ基準が示されておりません。われわれのほうとしては、いわゆる実害があったもの等についてはできるだけ実態を把握して補償してまいりたいというふうに考えておりますし、事実お申し出のあったものはできるだけ措置するようにしておるわけでございます。
  172. 岡本富夫

    ○岡本委員 たとえば八十ホンという基準がきまった、その下はもうすそ切りだ。それじゃ音源対策ができるまでしかたがないのだというような態度では、これはもうどうしようもないわけですよ。あなたのおっしゃるのは切りがないとおっしゃいますけれども、その切りはどこにあるかというと、そこで住めるか住めないかが、これが切りなんですよ。あなたのおっしゃるのと住民側の言うのとは全然かけ離れていますよ。切りがないからこの辺でストップしてすそを切ってしまえでは、切り捨てごめんをされるほうはどうなりますか。だから私の要求したいことは、そういった受忍限度を越える、すなわちそこで住めないというようなところはどんどん移転補償をさしてあげる、移転をして補助をつける。こういうような考え方でなければこの問題は解決しないと思うのです。いま環境庁長官も、これは将来大きな問題になるのだ、いま昼間だけですけれども、今度は夜間どんどん通るようになりましたら、とてもこれはたいへんな問題が起こってくると思うのです。ですから、そういった問題について、いまあなたのほうでは予算措置そういうものについてはどういうふうに考えておるのですか。
  173. 内田隆滋

    ○内田説明員 環境庁並びに運輸省のほうから勧告がございまして、いまの音源対策並びにいわゆる障害防止対策というようなものは、両三年のうちに東海道新幹線についてはやりなさい、それからまた私どものほうでもやります。それから山陽新幹線についてはおおむね一年で処置をするようにということになっております。それに対しまして東海道に対して五百五十五億、山陽についてはさしあたり五億ということでございますが、開発の結果やはり二十億ぐらいは要るのではないかということで目下工事を施行中でございます。
  174. 岡本富夫

    ○岡本委員 どういう工事をなさっておるのですか。要するに音源対策も一つの工事でしょうが、そこで住めない人たちの移転対策、こういうものもこの予算の中に入っておるのですか。もう一度お聞きしておきます。
  175. 内田隆滋

    ○内田説明員 主として音源対策が主体であります。ただしいわゆる防音工その他のものにつきましては、いわゆる基準を越えたものについては本年度から音源対策ではどうにもならないというところについてはやっていく予算は入っております。ただ、いまのところ山陽新幹線につきましてはごく特殊な例を除いてはそういう該当のところはないというふうにわれわれは考えておるわけであります。
  176. 岡本富夫

    ○岡本委員 あなたの考え方は、要するに国鉄の考え方は、基準の八十ホンを頭に置いて、そうして考えておるんじゃないですか。だから、それに該当しないところ、たとえば七十九とか七十五とか、それでも住めなくてわあわあ言っているわけですよね。そういうものを全然頭に置いていないわけだ。いままで静かないいところだというわけで、一生かかってそこに土地を求め、そうして家を建てたそういう人たちが、あなたの頭で、国鉄の頭で八十ホンだ。基準がきまって、それ以下は切り捨てだ、これではたまったものではないと私は思うのですよ。だから、両三年の間にあなたのほうは解決するという話でありますけれども、これは政府にももっと、運輸省にも話をし、建設省にも話をして、そうして一部公共の施設でありますから、もっと抜本的な考え方をやらなければ私は解決しないと思うのです。あなたのようなそんないまのような国鉄の頭で、八十ホンを頭に置いて、それ以下のところはもう切り捨てだというようなのでは、これは解決しませんよ。その点いかがですか、もう一度……。
  177. 内田隆滋

    ○内田説明員 この点につきましては、環境庁並びに運輸省のほうで、環境基準ということで目下勉強中でございますので、それらの結論を待って対処してまいりたいというふうに考えております。
  178. 岡本富夫

    ○岡本委員 もっと国鉄のほうも現実立場に立ってものごとを解決してもらいたいと私は思うのです。  環境庁長官、お聞きになったと思うのですが、――長官お聞きになっていますか。六月の三日、万博のあと地のお祭り広場で、公害行政のあり方について、公害防止ができなければ飛行場の建設、地域開発はやめなければならない、こういうようにあなたは述べられておるわけですが、この基本姿勢ですと、公害対策公害防止というところが――いま国鉄は新幹線の場合は八十ホンだけを頭に置いているわけです。これは、八十ホンでは住民が、この騒音では住めないわけです。これは公害対策にならないわけです。そういう場合はそういった飛行場の建設やあるいは地域開発はやめなければならないとあなたはおっしゃっているわけですが、いま国鉄がそういうように八十ホンを頭に置いて、それまでの対策だけだというようなことになりますと、ほんとう公害防止対策じゃないと私は思うのですね。そういった問題について、長官として、基準をきめる上にもなりますけれども基準も必要ですが、もっと現実公害対策、これをひとつほんとう考えた対策をあなたのほうで検討してもらいたいし、考えてもらいたいと思うのですが、これについて御意見がありましたら、ひとつお聞かせ願いたい。
  179. 三木武夫

    三木国務大臣 新幹線が与えておる国民の利便というものは、これはやはり評価しなければならぬですね。一方においていま言ったような騒音の被害があるというわけですから、これは絶対に防げないというものでもないですね。音源対策といいますか、防音壁をつくるとか、車両も改善するという余地もあるでしょうし、だからこの問題は、国鉄のほうとしても、環境庁環境基準がきびしくなるということを百も承知なんですね。だから何かこの技術の開発をやらなければならぬということで、この開発のために相当の金額を使っているわけですよ。だから今後における技術開発等も通じて何とか、新幹線はだめだというところに持っていくならばこれは政治にならぬですから、新幹線は国民も非常に利便を受けておるわけですから、そして騒音というものをできるだけ低い基準に押えるように、それが政府の責任だと思いますね。そういう点で今後とも力を入れていきたい。
  180. 岡本富夫

    ○岡本委員 それじゃやはり側道、新幹線の横、これは相当思い切った移転補償をして、そこに緩衝地帯を設けなければならぬと思うのです。国鉄の技術開発によって、音源対策によって下がるというのは、やはりある程度の一つの線があろうと思うのです。それについて、国鉄が全部その横を買っちゃってこの対策を立てたところで、国鉄としてもそこまで私はやれないと思うのです。よく聞くと、都市開発の費用とにらみ合わしてと、こういうようなことをよく言っておりますけれども、その点についてはひとつ、重ねてでありますけれども長官のほうで、相当な大きな問題でありますから、どうするかということを――横へ移転補償をして、全部それを側道にしてしまって、あるいはまた側道の道路だけではだめなんですね。やはり植木を植えるとかいろいろしなければならぬ。そういう抜本的な考え方をして検討していただきたいと思うのです。  と同時に国鉄も、東海道新幹線の収入は一日に五億ですか、総収入の二四%、ドル箱ですね、これは。ですから、現在犠牲になっておるところの沿線の住民の人たちの、これは極力予算をつけて、犠牲になっている人たちを救済というのではなくして、移転をしていただくとか、あるいは何とかしていくというこれから強力な姿勢で私は臨んでもらいたいと思うのです。その点について、先ほども、山陽新幹線のほうではそういうのが見当たりませんというような答弁をしておりましたよ。私どもずいぶん実地に調査いたしまして、あなたのほうに相当な資料を出してあるんです。これについて一つ一つ私は一ぺん日をきめてその結果を報告してもらいたいと思うのです。いままで国鉄運賃もやもやしておったから、私もあまりじゃましちゃならぬと思って黙っておったんですけれども、毎日のように私どものほうには選挙区からやかましゅう言っておるわけです。これを強く要請しておきます。  そこで、環境庁のほうにこの考え方をひとつお聞きしておきたいんですが、すでに先ほど申しましたように、新幹線周辺の住民の中には、そういった自律神経失調あるいは頭痛あるいは目まい、いらいら、睡眠妨害、こういうようなことで肉体的な、あるいは精神的な被害が出ておるわけですが、これの医療費あるいは補償、これはどういうふうに考えておるのか、ひとつこれについて環境庁からお聞きしておきたいと思います。
  181. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生から御質問のございました件につきましては、公害健康被害補償法案のときにいろいろ先生方から騒音の問題がこれに扱われておらないという御指摘を受けまして、また附帯決議の面においても今後その問題の検討ということについて強い御要請を受けておるわけでございますが、いまお話しの国鉄という問題になりますと、発生源は国鉄という原因者が非常にはっきりしておるということでございまして、飛行場の場合に航空機騒音防止法というのがあって、航空機騒音に対する補償措置をやっている。同様に国鉄のような非常にはっきりした発生源があって、そしてその横で迷惑をこうむっておるというものにつきましては、これは当然に原因者の側で処理をすべきものだというぐあいに考えておるわけでございます。そういうわけで、いままでの公害健康被害補償法におきましては大気汚染防止法と水質汚濁防止法の特定施設に限ったものということにしているわけでございます。
  182. 岡本富夫

    ○岡本委員 確かにPPPの原則からいくと、国鉄が補償すべきことになるのです。こういった新幹線の騒音によってできてきたところの肉体的、精神的な被害、これに対して国鉄はどういうように対処をしていこうとしておるか、これをひとつお聞きしておきたい。
  183. 内田隆滋

    ○内田説明員 新幹線の騒音等につきまして、病気になられたというお申し出は、名古屋地区等をはじめとして相当数のお申し出があるわけでございます。これらの問題につきましては、なかなか騒音と病気との因果関係の証明がむずかしいということで、いまその取り扱い方をどうするかということを、われわれのほうとしては委員会をつくって勉強をしておる最中でございまして、公害の認定患者の取り扱いの特別立法措置がございますが、それらに準じて何らかのものをつくりまして、こういうものの措置をしてまいりたいというふうに考えております。
  184. 岡本富夫

    ○岡本委員 いまの公害補償法の中には、これは騒音は入っていないのです、御承知だと思いますが、まだいま国鉄に言ってきているところはそう何件もないようでありますけれども、すでに私どものほうにはそういった自覚症状でいろいろなことを言ってきている人があるわけですが、今後まず山陽新幹線の場合をとりますれば、これが延長されますね、そうするとますますふえてくるだろうと思うのですね。だからそういった場合のことを考えて――ほんとうはそういうものかないほうがいいのです、これは。そういう人が出てこないほうがいい。しかし、いまのままであれば私は絶対出てくると思うのです。いま現在もう出ておるわけです。私どものほうにどんどん訴えが来ておるわけですから、国鉄でもこれに対する対処方の組織と申しますか――この騒音によってそういった自律神経失調症になったとか、あるいはまた頭痛が起こったとか、目まいが起こるとか、こういうものの因果関係は非常にむずかしいと思うのです。しかし、いままでそこには新幹線がなかったわけですから、それでみな健康でいたわけですからね。それが、これができてからそういうのが出てくるということは、これはもう因果関係ははっきりしているわけですからね。しかし医学的には、これは春日局長、なかなかむずかしかろうと思うのですけれども、そうしたときにあなたのほうで医学的な解明をちゃんとしてこいとか、こういうことにならなければどうにもならない、救済できない。したがって客観的な因果関係、これがはっきりすればあなたのほうでは救済していくという考え方を持っていらっしゃいますか、これについて。
  185. 内田隆滋

    ○内田説明員 客観的なそういうものがはっきりすれば、私のほうではそれに対して医療費の補償も、あるいは転地療養というものについて補償をいたすことはやぶさかでございません。
  186. 岡本富夫

    ○岡本委員 ではそれはとくとひとつやっていただきたいことを要求しておきます。  次に、私ども調査これは参議院の三木忠雄さんが調査に行ったわけですが、新幹線から車両用部品が落下してくる。これは東海道ですが、三十九年が六件、四十年が十七件、四十一年が二十五件、四十三年が十三件、四十三年が十一件、四十四年が二十七件、四十五年が十三件、四十六年が十件。これはあなたのほうの保線労務者の方々から特に話があったわけです。また地域住民からも話があったわけですけれども、いろいろなものが、これは国鉄の車両部品ですね、ブレーキだとか、あるいはまたカバー類、報金属類、鉄板、こういうものがどんどん――どんどんといってはおかしいですけれども落ちてくる。これは非常にあぶない、危険だということでありますが、こういうことを聞いておりますか。またはこれに対する対策はどういうように立てておるのか、ひとつお聞きしたい。
  187. 内田隆滋

    ○内田説明員 車両の部品が線路上に落下し、一部は線路外にも出るという事実はございます。ただこれらの問題についてはいわゆるネジが一部ゆるんだとか、そういうようなもの、あるいはいわゆるブレーキの一部に事前に発見できないようなクラックが入っていて、そこから脱落したというようなものでございまして、これはやはり車両の検修をさらに綿密にやっていくという以外にはないと思いますので、これらの点についてはいろいろと方策を打っておりますが、今後このようなことが絶対にないというわけにはまいらないと思いますけれども、できるだけ少なくするように努力をしてまいりたいと思います。
  188. 岡本富夫

    ○岡本委員 これは一緒に調査に行った者が言っているわけですがね。部品の落下の影響で一車両だけがブレーキのかかったまま走ったため、ブレーキが焼けて部品が飛んでしまった。その破片ですといって持ってきているわけですね。こういうような部品が、いろいろなものが落ちてくると、作業員のほか通行人までけがをする。あるいはその付近にある家の中にも飛んでくるというようなことですから、あなたはいまおっしゃったように絶対なくするわけにはいかないと言うが、これは絶対なくさないといけないのと違いますか。これは公害ではないけれども、しかし被害を受けるのは公害もこれも同じことですよ。安心して新幹線の横は通れないですよ。これはもう絶対ないということでないと、落ちてくるかもわからないからしんぼうしてくれ、それでは二百キロで走っているのですから、こういう考え方では私は非常に危険だと思いますが、この点はいかがですか。
  189. 内田隆滋

    ○内田説明員 列車の運転の安全ということにつきましては、これはわれわれも絶対の自信を持ってやっておるわけでございまして、実際に新幹線でいろいろの事故がございます。事実ございますけれども、いわゆるフェールセーフということで、お客さんには絶対に御迷惑はかからないということでいままでやってきておるわけでございまして、その点については十分自信を持っておるわけでございます。  ただ、いわゆる機械でございまして、これは定期修繕でまずそういうことがないように、事前に修繕なりをやっておるわけでございまして、これらの問題についてはわれわれの気持ちとしては、絶対になくすようにということで、保守に万全を期しておるわけでございます。しかし数は最近ずいぶん減ってまいりました。それは開業時あるいは車両の新製時に比べますとうんと減ってきておりますけれども、残念ながらそういうようなことが一年に数件はございます。これはわれわれとしては絶対なくすように努力してまいりたいと思っております。しかし全部なくすというわけにはまいらないわけでございまして、そういう気持ちでやってまいるということだけを、そういう決心だということだけを申し上げておきます。
  190. 岡本富夫

    ○岡本委員 常務さん、あなたも国鉄を代表してここへ来ていらっしゃると思うのですね。先ほど私お話ししましたように三十九年に六件、四十年は十七件、四十一年は二十五件、四十四年には二十七件、四十六年は十件、こうなっていますけれども、これは外へ飛ぶのですから中に乗っておるお客にはけがはありませんよ。しかし外を通行している人たちは少々そういう被害を受けてもかまわないのだ、こういう精神が、要するに私が先ほど指摘しました騒音問題にも出ているわけです。だからこれは全然なくすわけにはまいりませんなんて、こんなことをここであなたが答弁するとは私は夢にも思わなかったですよ。これは正直でよいというわけにはいきませんよ。だからほんとうにこういうことのないようにいろいろな点検をして、できるわけです。不注意なんですから。騒音じゃないのです、これは。こんなことぐらいがちゃんとできなくて騒音対策ができますか。また今後新幹線がどんどん全国にできるわけですね。あっちこっちでけがが起こるわ、あるいは騒音も起こるわ、ちょうど昔の満州の「あかつき号」という特急と一緒だ。住民が巻き込まれたりいろいろして事故があった。高いからこういうことがないだけのことでしょうが、そのかわりのものが出ているわけですよ。真実にあなたは国民の健康あるいはまた被害というものを考えたら、いまのような答弁はできませんよ。おかしいじゃないですか、それは。年に数件ぐらいと言って、その一件に当たった人のことを考えてみなさい。それと騒音対策についてもいまのような考え方でやられたのでは話にならぬと私は思うのです。もう一ぺんはっきりとひとつ答弁をしてもらいたい。
  191. 内田隆滋

    ○内田説明員 騒音対策につきましては、誠意をもって今後技術開発をやり、基準値をまず第一段階として下げるということに努力をしてまいりたいと思います。  それから車両問題につきましては、これはいわゆるホイールのカバーとかそういうようなものが脱落するわけでございまして、そういう意味ではいわゆる車両の安全には絶対に自信を、走行には絶対自信を持っておりますけれども先生のおっしゃるとおり、これらのものが脱落して線路上のいわゆる線路工手、作業員等に当たる可能性もございますので、今後こういうことのないように努力をしてまいりたいと思っております。
  192. 岡本富夫

    ○岡本委員 この問題でも、重量別に言うと、四・五キロのごみ箱のふたですよ。四キロのモーターカバー、三・五キロのライニングなどのかなり重いものが含まれて落ちてくるというのですから、当たると死んでしまいますよ。こういうことには努力していくのではなくて、必ずないようにします、こうあなたは答弁していいのじゃないですか。これが一つ。  それから騒音の問題は基準基準値、こう言う。基準値以下にしなければだめだ、被害者の立場に立になければだめだと言っているわけです。  そこでこれはついでですからちょっと聞いておきますが、尼崎市の新幹線をつくるときにいろいろ条件を出しているわけです。尼崎市なんか通過だけでしょう、被害を受けるだけだというわけで、その交換条件として福知山線の電化に際して駅をつくってもらいたいというようなことでお話があったと思うのです。出先のほうでは、まあそれは大体承知したというところで、立ち入り調査なんかもさせているわけですが、あとでこれを請願駅だとかいうことをいって、その当時とあなたのほうの態度は非常に変わっている、こういうことなんです。この点についてちょっと確かめておきたいと思うのですが、いかがですか。
  193. 内田隆滋

    ○内田説明員 福知山線に新駅を複線電化に伴ってつくるというお話かと思いますけれども、これはお約束どおり新駅を設置したいということで、目下地元とお話を進めておるわけでございます。  ただ、それに要する、いわゆる新駅をつくるために必要な経費、これは国鉄としては、日本全国どこでも新しい駅をつくるときは地元にお金を出していただくということでお願いをしておるわけでございまして、この点についてはひとつよろしくお願いしたいと思うわけでございます。
  194. 岡本富夫

    ○岡本委員 これはちょうど新幹線の下なんですよ。新幹線の下で、騒音も一ぱい付近の人に与えて、そしてそういうようなことが起こるからとても新幹線は通せないというような話を住民の皆さんもしていた。それに対してあなたのほうでは、では交換としてこういうこともしましょう、新猪名寺駅ですか、こういうのもつくろう、こういうことで、大体了承をしているらしい。いまになってからその負担はあなたのほうで地元でやるんだ、それじゃちょっと、私が最初に聞いておったのと――国鉄がペテンにかけたんじゃないかとも考えられるわけです。全然持たないとは言いませんけれども、これだったら請願駅と同じことではないですか。新幹線の被害でもう必ずこういうのが起こるからというわけで、地元はみんな反対して、測量も立ち入りもさせなかった。そのときになったらこうしますからということで、それならばというわけで交換条件でやらしているわけです。この点については、いまのようなそれなら国鉄の言うことは信用できないということになりますよ。もう一度ひとつ、いまのあなたの考え方はそれとこれとは別だという考え方ですよ。それが最初はそうじゃないのだ、この点についてひとつお聞きします。
  195. 内田隆滋

    ○内田説明員 新駅を設置するということはお約束しておりますけれども、これを国鉄でつくるというお約束はしてないわけでございまして、その点につきましては、いわゆる新しい駅をつくるときには地元の開発利益ということも非常にあるわけでございますので、そういう意味で地元の負担ということで、日本全国どこでもそうやっておりますので、この点についてはひとつよろしくお願いしたいと思うわけでございます。
  196. 岡本富夫

    ○岡本委員 この新幹線騒音で被害があるというわけで、ちょうどこれは新幹線の騒音のすぐ横なんですよ。それで、あなたのほうが新駅もつくりましょう、こういうことであれば、じゃ、これはちゃんと国鉄のほうで新駅もつくってくれるのかというようなところで了承しておるわけでしょう。新駅をつくるについての負担は地元のほうでやれなんて、それでは普通の請願駅と同じことではありませんか。そのときに念を押さなかったといえば念を押さなかった。一般の人から言うと、では新駅をつくってくれるのだったならば、みんなで賛成しようと言えばこれはやってくれるという考え方を持っていたのです。全然地元も持たないとは言いませんけれども、そこらはひとつ普通と同じような考え方でやらなければならないと思いますね。それならばこの尼崎付近の人は全くペテンにかかったとこう言っています。これについて考慮する余地はありますか。いかがですか。
  197. 内田隆滋

    ○内田説明員 いまここで即答はできませんけれども、当時の状況その他をよく調査いたしまして、善処するようにいたしたいと思います。
  198. 岡本富夫

    ○岡本委員 以上をもちまして終わりますが、特に長官に、先ほどからも申しましたように、騒音対策、これについてはもうあなたの政治生命をかけて、ひとつやってもらいたいということを要求しておきます。これは大石長官も、小山長官も――山中さんはちょっとおっただけですからね。この二人は一生懸命にここで答弁したりいろいろやっておったわけですが、結局やめてしまったら、あとは知らぬ顔してもう全然何も言わない。ところで実力ある副総理の三木長官のときにこの問題をどういうふうに解決するかを見せていただきたいということを特に要求をいたしておきますから、ひとつ確たる最後の答弁をいただきたいと思います。
  199. 三木武夫

    三木国務大臣 御指摘のようにこの問題は大問題でございますので、私が真剣にこの問題と取り組んで、可能最大限度の努力をいたします。
  200. 岡本富夫

    ○岡本委員 では、終わります。
  201. 佐野憲治

  202. 島本虎三

    島本委員 今度の場合は、特に長官はゆっくりした気持ちで聞いていてけっこうであります。
  203. 三木武夫

    三木国務大臣 おったほうがよろしゅうございますか。
  204. 島本虎三

    島本委員 聞いておったほうがなおりっぱな参考になろうかと思います。  先ほど伊達火力の問題でいろいろ聞いておったのでありますが、この中で住民に対して完全に、パイプラインの設置の問題、それから川からの取水の問題等に対してこれを全然明らかにしておらない、そうしてこのような状態をいかに住民が説明を求めても、これを明らかにしないという北海道電力側であります。しかし、こういうようなパイプラインをいかに敷設するか、川からの取水をどうするかということを不明のままにして、これを許可している理由はないのであります、むしろトラブルはその辺から発するわけでありますが、通産省はこれに対してどのような指導をして、どのようにこれの許可をしたのですか。この点を明らかにしてもらいたい。
  205. 岸田文武

    ○岸田政府委員 御質問の石油パイプラインの問題につきまして、御承知のとおり海上の油濁防止の見地から、住民の要望に基づきまして、伊達市等との公害防止協定で決定を見たものでございます。この石油パイプラインの設計につきまして、現在基礎調査も含めまして、専門業者に依頼をし、その中で基本ルート等の検討もあわせて行なうということになっております。いま着々進行いたしておる最中でございます。私どもは、それまでの間に、このパイプラインの実施に伴う安全対策あるいはパイプライン設計概要の説明の準備、これらのことについて準備中でございます。  なお、許可に際してこれはどういうふうに考えたのかというお尋ねでございますが、私ども電気事業法八条の許可に際しまして、パイプライン自体は許可事項に含まれておりませんので、これは私どもの今後の指導の問題というふうに考えております。
  206. 島本虎三

    島本委員 パイプラインは許可要件に入っておらない、それでそのまま許可したとすると、今後どのようにそれを敷設しても電力に関する限りは、パイプライン敷設法ですか、この設置法ですか、この法律の適用を受けない、受けないがゆえに何をしてもいい、こういうような考え方なんですか。これは重大な問題です。なぜ川からの取水口なんかも明らかにしないのですか。そういうようなことをして、電力会社ばかりに設置を急がせておる、こういうようなやり方はありますか。住民の聞きたいことをなぜ教えないのですか。パイプラインはどこを通すのか、川の水をどの川から取水するのか、なぜそれをはっきりさせないで、そして着工ばかり急がせるのですか。何でももう寄らば大樹の陰というか、ついてこい、これでいいのだ、こういうような大それた考え方指導しているのですか。
  207. 岸田文武

    ○岸田政府委員 パイプラインの安全の問題につきましては、御承知のとおり道路法、消防法等で監督が行なわれます。また私どもとしましては、現に検討が進められておりますパイプライン法の安全基準検討、これが進行するのを注目いたしまして、この線に沿って少なくとも安全が確保されるという方向で、責任をもって指導いたしたいと考えておるところでございます。
  208. 島本虎三

    島本委員 ばかにするのじゃないよ。その安全性ということじゃなしに、漁民が生活にかかわるということでやっても、説明をしていない。ただ石洗って投げる、完全に汚染防止壁をもうやる、そして全然安全だと言っていながら、ことしはコンブは、七月二十日から九月十日までただ三回しかとれない。十メートルの透明度がないのです。全然安全だ、全然もう漁民に迷惑をかけることがない、赤潮の発生が二回もいままでないことがあるのです。迷惑をかけてないですか。今度も同じことを言っている。パイプラインは安全にして迷惑をかけない。かけないならば、なぜこれ説明できないのですか。私はこれは納得できない。  それならば、あえて問う。安全性とは何ですか、何を確認してやらせるのですか、言ってござんなさい。
  209. 岸田文武

    ○岸田政府委員 私ども安全性の問題で一番大きな問題は、パイプラインからの漏洩の問題だと考えております。
  210. 島本虎三

    島本委員 安全性というのは、事故発生の可能性のないことでしょう。かりに事故が発生しても住民に対する損害が発生しない、これが一番安全じゃないですか。もうパイプラインが腐ったり何かしてやることを予想してそういうことまで考えているのですか。いま言ったこの二つの要件は、安全性の要件です。具備すべき要件です。これさえもわからないでやっているのですか。じゃ、この二つの安全性はどういうふうにして具備するつもりですか。事故発生の可能性がないですか。もしあるとするならば、事故が発生しても住民に対する損害が発生しないという、こういうような二つの確認の上に立ってやっているのですか、この点はっきりさしてください。
  211. 岸田文武

    ○岸田政府委員 パイプラインの問題につきましては、先ほど御説明申し上げましたとおり、現在、設計等も含めて調査を進めておる最中でございます。  なお、安全性の問題について、事故が起こらないようにする、こういった見地から、まさにいま安全基準検討が進められているわけでありまして、この安全基準検討を十分さんしゃくして指導をしてまいりたいと考えております。
  212. 島本虎三

    島本委員 一体何を言っているのですか。それが官僚答弁というのですよ。いかにやっても、やることと実施と違うじゃありませんかということなんです。まだ通産省は、公害に対する取り組み方、安全性に対する取り組み方はなっておらない。こんなことでいいんですか。全然それを秘密にしてやっている。川の取水でさえもこれは秘密にしている。秘密のままに、今度住民反対すると全部検挙して持っていく。これほど殿様的な業務をあなたたちはやってもいいのですか。だめだ、そんなことじゃ。いままで日本でこれに類するような事故はなかったのですか。
  213. 岸田文武

    ○岸田政府委員 これに類する事故は、私ども承知をいたしておりません。
  214. 島本虎三

    島本委員 昭和三十五年一月二十七日の深川の東京瓦斯幹線事故、これは四十センチの鋳鉄管、中圧が長さ六十センチにわたってひびが入って、二人死亡、三十二人ガス中毒、以降東京瓦斯においては鋼管への取りかえが始まった。同じく昭和三十八年一月二十四日、直径六十センチメートル、厚さ十一ミリメートルの鋼管が折れてガスが広がり、三好町から平野町に至るマンホール等三十カ所余から一斉に火を吹き、六人死亡、負傷、中毒二十三人、十七棟半焼、それから三十九年六月十六日、これは新潟地震による事故、そして板橋のガス爆発昭和四十四年三月二十日、水戸のナフサ液体ガスの爆発昭和四十六年六月七日、これはみんなパイプラインからのやつじゃありませんか。いままでなかったといういま言ったのは、これはうそですか。
  215. 岸田文武

    ○岸田政府委員 お尋ねのケースは、私ども個々にもう一度勉強いたしたいと思いますが、私どもの承知いたしています限りでは、ガス関係で保安に関する事故が数回ございました。当時は主としてガス導管には鋳鉄管を使っておりまして、これが耐久力の面で問題があるということから、その後逐次鋼管にかえるというような指導をし、また、現在進行しておる最中でございます。参考までに私どもは、パイプラインは鋼管をもって進めていくというように聞いているわけでございます。
  216. 島本虎三

    島本委員 長官、全然答弁を信用できません。事故がないと言っていながら、今度言われたら別なやつを考えています、今後勉強します。そうしてこういうような事態を明らかにしないて強行して被害を与えている。これが公害行政をまともに受けて、環境庁がありながら、通産行政がこのような専横なやり方、これを認めていいのですか、長官。なぜ隠すのですか。人の命にかかわるようなパイプラインの布設、これをなぜ明らかにしないのですか。もっともその中には、いよいよとなった場合には、今後は土地収用法が与えられているのですね。結局は強力にやってしまうことじゃありませんか。いまの答弁、全然私はもう認めるわけにまいりません。これだけは少し私は、もう一回通産大臣はじめ責任者をここへ呼んで、この点に対してはっきりさせてもらいたいと思います。だめです。まだまだ、安全性の問題だけじゃありません。パイプラインの布設禁止されている個所があるはずです。こういうような個所をどういうふうに考えてやっているのか。パイプラインのこの埋設方法もあるわけです。あの場所として、これは適当にどういうふうな方法でやるのか。保安設備も必要なはずです。保安の距離も必要なはずです。こういうような点をひた隠しに隠している。あなたはいま初めて出てきていますけれども、樹木からも個人の住宅からも、一定の距離を保たないといけないでしょう。他の国にも例があるでしょう。集合住宅からでもやはり相当距離を離さないとだめでしょう。住民から、百メートル離してくれと言われているでしょう。そのほか避難困難な者、つまり病院、老人用の諸施設、幼稚園、小学校、こういうようなものに対しては三百メートル以上も離さないとだめでしょう。こういう計画が全然なされないままに安全だ、安全だとただやっている。通商省というのはやればいいところなんですか。もうあなたには答弁を求めたくない。これはとんでもないです。長官、いまの答弁と合わして、私はもう長官のこれに対する決意を聞きたいんだ。副総理がなめられていませんか、一官僚に。全く私は慨嘆にたえない。これはもう日をあらためてもう一回やりますが、長官の決意だけ伺っておきます。
  217. 三木武夫

    三木国務大臣 いま島本委員も、現地のパイプラインからくる住民へのいろいろな被害というものを心配して質問をされておるのでしょうから、通産省としても十分に納得のいくような説明ができるようにすべきだと考えます。
  218. 島本虎三

    島本委員 それができないのですよ、いま聞いているとおり。あえて言うと、未来のことばっかり言っている。未来のことばっかり言って、それは安全だ、安全だと言っている。安全だと言っているのがもう安全じゃない。そういうような事態が起きているのにまだ依然としてそれを言っている。まさにこの被害が漁業に及んでいるということを長官、先ほどから十分聞いているじゃありませんか。これだって全然そんなことないといって始めた事業です。有珠の漁業協同組合の総会、この運営方法に対しても、きのうですかきょうですか、終わったと思いますが、新たに選任された役員が、電力問題やすでにきまった問題に対しては手を触れない。やる場合には、これは総員の意思の結集が必要なんだ、こういうふうに言っておって、今度やられる総会では場所を三カ所指定してある。三カ所指定しておって、そしてどこかでやるという。ここで急いでまた電力会社のこういうような点を決定し直させようとしている。いままで絶対反対だった、今度条件に切りかえさせようとしているのです。水産庁、こういうような指導をあなたのほうでもなすっている。漁業協同組合長が法律に違反して、決定した事項に対して全然反対のことをやった、反対の契約を結んだ。それに対しても、組合員のことを思ってやったならばそれは差しつかえない、法律あってないようなことを指導している。一体これはどういうことなんですかね。  いま場所も三カ所指定している。これは運営も総会もうまくいきましたか。
  219. 安福数夫

    ○安福政府委員 御承知のとおり、これまで有珠の総会が、過去伊達火力の設置の問題をからみましていろいろなトラブルがあったことは御承知のとおりでございます。それに関連いたしまして、役員が総辞職をいたし、六月の下旬だったかと思いますけれども、賛成者――当然反対者もいるわけでございますが、総員が集まって一つの確認がされて、それに基づきまして、七月の二十三日に臨時総会で新しい役員が選任された、こういうふうに私たちは聞いているわけでございますが、その確認の事項の中に、あるいは御指摘の点と若干違っているのじゃないだろうかという問題といたしまして、いまの伊達火力の設置の問題についての討議は、全員と申しますか、組合員の意思をはっきり総会なら総会で確認する、そういう前提のもとに、いつ開くかについては役員にまかせた、そういう確認があったように聞いております。  ただ道庁といたしまして、いろいろ、また事態が必ずしも正常な姿になっていないということもあったんだろうと思いますけれども、十分賛成者、反対者双方のコンセンサスを求めることは必要だろう、こういった指導を道庁はしていたようでございます。  その後二カ月――臨時総会から勘定いたしますと一月半でございますか、九月七日に、いま御指摘のように場所を三カ所の中のどこかでやるという前提のもとに、伊達火力の問題についての総会を招集をした、こういう経緯がございます。  またその際に、三カ所を指定したと申しますのは、ちょうどコンブなりいろいろ漁業の関係で、総会をすべき場所がそういう作業場に使われていた、こういう経緯もあったようでございます。  これは私ども考えますのに、総会を開く場合に、いつ、どこで、何を、と、いつもこう常識的にいわれる線でございますけれども、少なくともこの三つがやはり招集の条件になるべきだ、こういうふうに私も考えております。  ただこれは形式論になりますけれども、組合法の四十一条、さらにそれを受けました有珠組合の定款にも、場所については必ずしも必要の通知要件にはなっていない。これは非常に形式論でございますけれども、そういうことでございますから、形式的には違法でないかもしれませんけれども、常識的にはやはりおかしいと私ども考えております。  これは道庁も、その点については事前にそういう招集のしかたはおかしいので、やはりできるだけ早く場所を特定して組合員に徹底すべきである、こういう指導を道庁も十分していたようでございます。この道庁の措置は私ども妥当だと思いますし、将来そういうふうに場所を特定せずに招集するということはできるだけ避けるべきであるというふうに私ども考えておりますので、御指摘の点もわれわれ十分反省しながら今後指導してまいりたい、このように考えております。
  220. 島本虎三

    島本委員 これがその文書であります。写しをもらってきた。明らかに場所――「開催日時 昭和四十八年九月十七日(月)午後一時」「有珠漁業協同組合乾のり集荷所」これが一つ、それからその「(前)又は保管作業施設(昆布集荷の状況により決定する)」こういうふうになって、三カ所指定してあるわけです。こういうようなことはあり得ないわけです。総会をやるために会場の設定を行なおうとするならば、その会場はどこでやっても協力するはずです。そういうような状態でない。この中にまたこういうようなことがあるのです。「確認書の第二項、第三項の北電問題については、新任された役員に一任されて居りますが新任役員は、この問題で方向付けをする事が出来ない事になって居ります。つまり総会で皆さんの意見を聞きその議決によって、今後に対処しなさいと云う事になって居りますので、此の総会に於ては不本意ながら理事会に於ける原案が御座居ませんので御参集の皆さんで御決定下さる様御願い申し上げます。」といいながら場所を三カ所指定してある、こういうようなことです。やはりこの指導もおかしいのです。水産庁ももう少しこういうような問題に対してはしっかりしてやらないと、問題は漁民の生活にかかわる問題ですから、これは十分考えるべきです、こういうようなことがあるということを。  それからパイプラインそのものも、取水そのものも、また汚濁フェンスそのものも、石を洗って入れますから一切汚濁はございません、こういうような約束をしながらも、安心させながらも、全然それをやっていないというこの事実も、水産庁自身も、もし漁民を守る立場にあり、漁業を守る立場にあるならば、もっと本腰を入れてもいいじゃありませんか、もっと通産省に突っかかっていってもいいじゃありませんか。これが不本意だったら、環境庁にもう少し環境を保全するようにあなたのほうから強力に申し入れてもいいじゃありませんか。私はこういうような点で、どうも皆さんのほうに言うのもなんですけれども、もう少し水産庁は漁業と漁民を守ってほしい、それを要請するのです。いま言ったような内容ですから、この内容は、ことばではあなたいかにそう言っても、なかなか含みのある内容ですから、もっと指導を要します。この結果はどうなったか、聞いておりませんか。
  221. 安福数夫

    ○安福政府委員 その結果は、昨日の夜の八時ころまで総会を開くか開かないかということのトラブルがあったようでございます。結果としまして、総会が成立をせずに流れた、こういうふうに承知しております。
  222. 島本虎三

    島本委員 それと同時に、水産庁では――現在の伊達そのものもずっと日高まで続いている海岸線なんです。そして先ほどあなたも来て議論を聞いておられたとおり、現在の苫小牧工業港、これは室蘭港への出入りの船舶、こういうものはいま急増しております。そして漁場を奪われる、こういうようなことで、漁民は心配しますが、そのほかに、漁船の海難事故やまたは漁具の被害、こういうようなことに対しても十分心配しているのです。こういうようなことのために、苫小牧東部開発は漁業問題と関連してどういう手を打っておりますかということを盛んに言われますが、この点についてどういうふうにお考えなんですか。
  223. 安福数夫

    ○安福政府委員 ただいま御指摘がございましたように、苫小牧東部開発計画につきましては、水産のサイド、漁業のサイドからいたしますと、漁場がなくなるという問題がやはり基本的な問題だろうと思います。海が埋め立てられる面積は、私の承知しておりますのでは千六百ヘクタールぐらいであったかと思いますけれども、その中には港湾区域に編入される分野もございます。ことに苫小牧の地元にはホッキガイの非常に優良な漁場もあるわけでございます。その一部が港湾区域に組み込められる、こういう問題もございます。さらに先ほども指摘がございましたように、船の往復が錯綜してまいるということもあろうかと思います。それに経過いたしまして漁船の操業なりあるいは布設した網がそれにひっかかる、こういう問題も当然出てくるかと思います。さらに漁民の不安といたしましては、新しい企業が参るわけでございますから、あるいは油濁なりあるいは重金属の汚染なり、そういったものに対する不安というものが漁民にあると思います。したがいまして、われわれとしましては午前中も長官からもその趣旨の基本的なものの考え方答弁があったわけでございまして、私どももそのとおりだと考えておりますけれども、結局は、小異はあろうかと思いますけれども、やはりその開発についての地元の一般の方々、われわれのサイドとしましては関係漁民のコンセンサスが必要であろう。そういったコンセンサスを大事にして、その上に立った開発であってほしいと私ども考えておりますし、以上いろいろ派生する問題がございます。これは開発会議を通じまして、連絡会議を通じまして、われわれは漁業の立場から、こういう問題がある、いろいろ基本的な問題がある、そういう関連の問題についてできるだけの措置を希望するということで私ども立場を表明している次第でございます。
  224. 島本虎三

    島本委員 できるならばそれに肉づけをしていってもらいたい。このことをお願いします。  このパルプ工場の汚染源、これは本州方面ではもうすでに歴然たる事実としてその被害があがっているのですが、北海道ではまだこの歴然たる事実が本州に比べて薄いわけです。今度もこのパルプ工場等の汚染源によって漁場の環境が悪化することは事実です。もう現に悪化しております。大昭和製紙、山陽国策パルプ、王子製紙、これらの廃液によっていま悪化しております。それから漁業公害発生またはそのおそれも顕在化しているわけであります。こういうようなことからして、当然公害発生のおそれのある電源立地であるとか新規企業の進出、こういうようなものが続々進められているということは、漁業の後退を意味することになるのです。したがって、その計画が進められれば漁業の被害の影響、これは広範囲に発生するということになって、十分にこれは予測されますから、その辺の調査はあらかじめ立てて、漁業の将来と計画のかみ合わせということに対しては十分水産庁自身も関心を持たなければならないんじゃないか、こう思っているんです。いままでのところ、水産庁は全部これは関与していないじゃありませんか。もっとこれは関与すべきです。私はそれを強く要請したくて、きょう午後もう一回ここへあなたを呼んだわけです。この点についてひとつ決意を伺っておきます。
  225. 安福数夫

    ○安福政府委員 お答えいたします。  開発に伴いまして漁場が汚染されると申しますか、漁場の環境が変わるということは否定できない問題であろうと思いますけれども、できるだけそれが調和のとれた開発であってほしいとわれわれは思いますし、したがって、漁業に対する影響ができるだけ少なくなる、あるいは全くなくなる、あるいはその新しい条件をさらに漁業の生産の増大のために使う、いろいろな角度のわれわれの責務はあろうと思います。ただ沿岸の漁業の実態を申しますと、過去わが国の漁業全体としましては、かなり順調な伸びをこれまで示してきたかと思いますけれども、沿岸全体をながめますと、やはりこれは停滞的に推移しているということはいなめない事実でございまして、こういった面でわれわれ自身今後のわが国の生活の中での動物性たん白質の重要性も十分私どもも承知いたしておりますし、そういった面で沿岸漁業のさらに伸展と申しますか、そういった面の努力を、今後ともできるだけのそういった面のエネルギーを傾倒したい、このように考えておるわけでございます。
  226. 島本虎三

    島本委員 では、その点は強力に今後進めてもらいたい。これは漁民のために私も心から要請します。  それと同時に、今度は通産省。先ほど言ったパイプラインの安全性、これに対する認識、これは全然なっておりません。  それと、今後保安装置、これは十分なのかどうか。それと同時に、パイプラインに関する事故、世界的にも日本国内的にももう少しこの点は調べておいていただきたい。無知にひとしいじゃありませんか、それじゃ。(「知っているんだよ」と呼ぶ者あり)知っていて隠すならばとんでもないことだ。  それと同時に、今度は当然土地収用、こういうようなことも考えて進めているんじゃないか。ただいまの石油パイプライン事業法、これも参酌していきたい、この中にはりっぱに土地収用権が与えられておるから、これを行使することができることになっておる。こういうようなこともやろうとしている。  それと同時に、パイプラインの布設禁止解除、こういうようなことに対して具体的に知っているのか知っていないのか。  それから埋設の方法、保安設備、こういうようなことに対してほとんど答弁らしい答弁をいただけなかった。  伊達市では安全性は立証されていると言っているんです。もうすでに伊達市で安全性が立証されていると言うから、そういうようなことに対する計画が示されているはずだ。それに対してでもあなたたちは知らないと言う。そして基本的な要件、こういうようなものに対しては目をつぶって言おうとしない。きょうの答弁は全面的に私は不満です。  今後これに対して再び質問を必ず展開しますから、いま言ったような、この要件を具備しているかしていないか、世界的に事故がないとあなた言ったけれどもほんとうにないのかどうか、私の言ったのがうそなのかどうか、これもあわせてこの次まで十分検討しておいてほしい。  なお、委員長に申し上げます。  こういうような重大な問題が隠されたままで行なわれていたり、前回この質問に際して、やはり参考人として、北電の岩本社長並びに道警本部長、それから被害者代表千石正志君、それから野呂儀一、有珠を守る会、漁業協同組合の責任者、こういうような人も招致してもらいたいということに要請してあったわけであります。しかしいまだにこれが行なわれておりません。しかしわれわれはいまの答弁からして隠された問題が意外に多いことがわかりました。これは実地調査も必要である、このことを強く要請しておきたいと思います。委員長においてしかるべく処置されんことを要請する次第であります。  この際、こういうようななまなましい事実に対して、環境庁長官並びに委員長のこれに対処する方法等御高見を拝聴して終わりたいと思うのであります。まず環境庁長官から基本的な考え方と方針をお示し願いたい。
  227. 三木武夫

    三木国務大臣 こういう問題はやはり地元民に不安な感じを持たさないように、納得のいくような解明をされる必要が私はあると思います。そういう点でいろいろ御質問の点は、通産省においても次回に一そう納得のいくような説明ができるだけの材料を整える必要があると思います。
  228. 佐野憲治

    佐野委員長 ただいまの島本委員の所見に対しまして、特に委員会として理事会において協議を続けておりますし、さらにその意をくんで協議してまいりたいと思っております。
  229. 島本虎三

    島本委員 いままで長い間答弁してくださいました長官はじめ皆さんには、深甚の謝意を表します。と同時に、長官からも、副総理なんですから、それぞれの閣僚に対してもこういうようなことがないように、公害に対しての措置には一そう注意を払うように、このことは特に要請しておいてほしい、このことを要請いたしまして私の質問を終わります。ありがとうございました。
  230. 佐野憲治

    佐野委員長 次回は、来たる九月二十一日金曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。午後五時九分散会