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島本委員 私は、
日本社会党を代表いたしまして、両
修正案いずれにも
反対、
原案に
反対するものであります。以下その
理由を申し上げます。
すでに
御存じのように、
内容を見てもこれが
政府の
行政と政治の
反省の上に立った
公害立法であるかと、こう思うほどであります。
公害損害補償法というふれ込みで出したその
法律案がいつの間にか
公害健康被害補償法となり、歴代の大臣が
財産被害、
生業補償を常に口にし、その
救済を
本法によって行なうと言っていたのであります。しかるにかかわらず、それらを入れる余地は全然なくなり、健康の
被害のみにとどまったのであり、まさに羊頭をかかげて
狗肉を売るような
法律案であったことをまことに遺憾とするものであります。
まず
発生源対策にいたしましても、これは厳重にするものでなければなりません。しかし本
法律案を見ても手を抜いているというか、金を出す、したがってこれによって手を抜いてもよろしいという印象さえ与えられる
法律案であります。これは逆に利用されるおそれを考える場合に、私はここに重大な
反省をしなければならないはずである、こういうように思うわけであります。
また、その
内容のうちで
給付の
種類とその
水準の不備の点を私ども指摘せざるを得ません。ことに
慰謝料は
公害補償の柱であるはずであります。しかしこれがいわゆるあいまいな
表現によってあるのかないのか、あると思えばあり、ないと思えばないような
表現であります。まさに何ゆえにこの重大な
慰謝料除外的な
態度をとり、
明確化しないのか、ここに
本案の重大なる
欠陥があるのであります。私はこれをなぜ明確にできないのか、
政府並びに
政府を構成する
自民党の重大な
反省もここにあることを声を高らかに皆さんに訴えたいのであります。
まず、
給付の
内容の低さも当然であります。低い
給付水準であるといいながらも
労災法の六〇%を
基準にしたというやり方、まさに
公害行政では
御存じのように
加害者と
被害者しかないのであります。ところが
被害者に対して八〇%でこれを
救済するとは何たることですか。一〇〇%をこえて一二〇%にしてもこれであまりあるという
状態では決してありません。この
反省がないのはまことに遺憾だ。
また、
給付の
制限についてもしかりであります。確かに四十二条、
公害行政ではあってはならない
過失相殺、こういうようなことを再び盛り上げておるということは、
論議の末からしてこれを削除したということは一歩
前進である、こういわざるを得ませんけれども、その他の条項には依然としてこれは入っているのであります。こういうような
要素は
公害行政の中には入れてはなりません。
第四にはこの
認定の
手続であります。はたしてこのような
状態で
被害に苦しんでいる自治体が満足するものであるか。これは私はまことに遺憾とするところであります。
原因者責任の
原則、
被害者に対しては
被害の
原状回復の
原則、これだけは忘れてはならないはずであります。しかし、いずれもあいまいではございませんか。いやしくも
公害被害を与える
原因者の
責任はいささかもあいまいにしたり軽減したりすることがあってはならないのであります。いままでは涙金でこれを
解決しようとし、そういう歴史をたどってまいりました。いまにして考えないと
日本は世界の孤児になるのであります。この点あいまいなのはまことに遺憾であるといわざるを得ません。
同時に、
公害被害を与えた
原因者の
原状回復をさせる
責任を負うべきこの
責任に対してもあいまいであります。また
被害救済の不
徹底さは、本
法案によって
免罪符のおそれさえあるということは、まことに私は遺憾であります。
被害者の
原状回復は全く考えられないような本
法案、この
法案にいたしましても、これに二点にわたって修正しようとしたその意欲だけは私は一歩
前進であると評価しながらも、両
法案にいずれも
反対することをここに表明いたしまして、私の
反対討論を終わる次第であります。(
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