○高橋説明員 お答え申し上げます。
先生御
指摘の苛性ソーダ
工場三十六社四十九
工場に対します
調査は、当時も御説明申し上げましたが、二種類ございまして、
一つは各
工場の水銀の含有排水の処理状況でございますとかあるいは水銀を含みました廃棄物、これは例の塩水マッドでございますが、こういったようなものの保管状況、こういったものの実態把握の
調査、これが
一つでございます。それからもう
一つのほうは、現地へ参りまして
工場側から
資料の提出を求めまして、その
資料によりまして過去からの水銀の使用状況等につきます事情聴取でございます。
それで前者につきましては一応作業が取りまとまったわけでございます。これにつきましては、各
工場がまずどういったような排水処理状況をしておるか、これにつきまして通産局の担当官がそれぞれ各
工場に行きまして目で見あるいは会社側から話を聞いたわけでございますが、これによりますと、大体各
工場とも四十年代ごろから採用されておりました新しいいわば排水処理
方法、たとえば従来は活性炭でございますとか、イオン交換樹脂等を使っておりましたが、それに加えまして、たとえばキレート樹脂とかこういったようないわば新しい樹脂を使いまして排水処理効果をあげる、さらにはこの活性炭でございますとかあるいはイオン交換樹脂あるいはキレート樹脂とか、こういったものをいわば排水処理効果をあげるために、いろいろこういった方式を組み合わせました複数の方式を採用する等々ということが判明いたしました。加えまして、さらに若干の
工場におきましては、排水処理
施設の効果をさらに高めるために、大部分の
工場におきましては薬剤処理あるいはサンドフィルター等を使いましての前処理も行なっております。
たとえば若干数字を御披露申し上げますと、活性炭、キレート樹脂等、こういったような方式を使っております、いわば複合方式を使っております
工場は八
工場ございました。あるいはイオン交換樹脂、キレート樹脂どの複数組み合わせが五
工場ございましたが、こういったように排水処理
施設につきましては、現段階におきましては、各
工場とも一応満足すべきような
施設を備えたことが判明いたしました。加えましてさらにこういった排水処理のほかに、排水を外に出さないようなクローズドシステムをすでに採用している
工場も十三
工場ほどございました。その結果排水処理状況の実態につきましては、当然のことながら現行法の
水質汚濁防止法に全く全
工場とも合致をしておるということも判明いたしました。
なおそのほか水銀を含みました廃棄物の処理状況でございますが、各
工場のそれぞれ保管状況あるいは処理状況でございますが、これにつきましても、たとえば昭和の四十三、四年ころから、実は移行防止法と申しまして、すでに電解槽の中で塩水マッドの中に極力水銀が移行するのを防止する、こういった
方法が開発されておりますが、今回の
調査では、全
工場ともこの移行防止法を採用しております。こういったことも判明いたしました。加えまして、さらに若干の
工場におきましては、この移行防止法に加えまして、たとえば酸溶解法でございますとか抽出法、こういったような処理もあわせ採用している
工場もございました。加えまして塩水マッドの処理状況でございますが、二十
工場ほどはこれはコンクリート固型化いたしまして、
工場の中に保管するとかあるいは
関係法規に従いましたような埋め立てあるいは投棄処分をしております。
なお、そのほかに二十八
工場等につきましては、塩水マッドを、いわばなまマッドのままではございますが、
工場の中の建屋の中に保管するとかあるいはプール等に保管しているということも判明いたしましたが、この保管状況も、各
工場ともそれぞれコンクリートでまわりを固めるとかあるいはそのコンクリート槽の底の部分に樹脂を使いましたりあるいはゴム引き等をしまして、それが浸透しないような
措置をとったことも判明いたしました。こういったように、今回の
調査では各
工場とも排水あるいは水銀含有物の保管、処理状況につきましては、現行法規どおりに従ってそれぞれ行なっていることが判明したわけでございます。
なお、水銀の過去の使用状況等に関します事情
調査でございますが、これは実は全く各
工場からの
資料の提出によっての事情聴取でございます。加えまして、たとえばいろいろな統計等が整備しない戦前あるいは昭和の二十四、五年以前に生産を開始いたしました
工場が十五
工場にも達してもおりました。こういったような
関係から、大部分の
工場とも非常に提出されましたデータには推定に依存している部分が非常に多うございました。そのほか各
工場から提出されましたいわば
濃度に関しますいろいろなデータ等につきましても、
先生御案内のように、こういったような
濃度規制がいわば法律に基づきまして行なわれましたのが、例の
水質汚濁防止法が施行されてからでございますが、その辺を境にしまして、実は各
工場ともジチゾン吸光法等の
方法も採用しまして、いわばきちっとした
資料が整ってきた。それ以前はもちろん若干の
工場につきましては、こういった
方法を採用してのデータもございましたが、他方、公的
規制が当時なかったというような事情もございまして、いわば推定に依存しておるようなデータもございました。したがいまして、そのほか実は推定につきましても、それぞれ各社、あるいは
平均値をとったりあるいは最大値をとったり等といろいろ推定
方法につきましても、それぞれ各社あるいは必ずしも本質的に同じような
方法を実はとってはいないということも判明いたしました。そういったようなぐあいで、私
どもといたしましては、今回のいわば第二の
調査のほうは、あくまでも提出されましたデータに基づきます事情聴取でございましたので、実は今後
環境庁が中心となりまして
実施いたします
環境調査の一環といたしまして、さらに私
どものほうも
工場内の、たとえばマッド等につきまして実測データをさらに把握すること、こういった作業も
計画中でございますし、近く
実施するわけでございますが、そういった上にさらにさらに実測データによりますいわばクロスチェックを行ないまして、大部分推定に基づくようなデータに対してさらに
資料としての正確度も高めてまいりたい、こう考えております。
したがいまして、さらにそういったようなデータに対します信頼性を高める作業をもう少し
実施いたしまして、
環境調査の結果も踏まえまして、それぞれデータの信頼性、信憑性を確認いたしまして、
環境調査の結果のまとめぐあいを踏まえつつ、逐次必要に応じまして
調査結果の最終的な取りまとめをいたしたいと思っておる次第でございます。