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1973-08-30 第71回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第44号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年八月三十日(木曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 佐野 憲治君    理事 菅波  茂君 理事 登坂重次郎君    理事 林  義郎君 理事 渡部 恒三君    理事 小林 信一君 理事 島本 虎三君    理事 中島 武敏君       小澤 太郎君    田中  覚君       村田敬次郎君    阿部未喜男君       木下 元二君    岡本 富夫君       坂口  力君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 三木 武夫君  出席政府委員         北海道開発庁総         務監理官    秋吉 良雄君         防衛庁参事官  長坂  強君         防衛施設庁施設         部長      平井 啓一君         環境庁長官官房         長       信澤  清君         環境庁長官官房         審議官     橋本 道夫君         環境庁企画調整         局長      城戸 謙次君         環境庁自然保護         局長      江間 時彦君         環境庁大気保全         局長      春日  斉君         環境庁水質保全         局長      岡安  誠君         厚生省環境衛生         局長      石丸 隆治君         水産庁次長   安福 数夫君         通商産業省立地         公害局長    林 信太郎君         建設省都市局参         事官      國塚 武平君  委員外出席者         外務省アメリカ         局安全保障課長 山下新太郎君         食糧庁業務部長 志村 光雄君         林野庁業務部長 辻 良四郎君         通商産業省立地         公害局鉱山課長 蓼沼 美夫君         通商産業省基礎         産業局基礎化学         品課長     高橋  清君         通商産業省基礎         産業局化学製品         課長      赤羽 信久君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公害対策並びに環境保全に関する件(水質汚濁  対策等)      ————◇—————
  2. 佐野憲治

    佐野委員長 これより会議を開きます。  公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡本富夫君。
  3. 岡本富夫

    岡本委員 おとといに引き続きまして大気汚染防止法につきまして、まず法改正をしようというような趣旨のことが報道されておりますが、総量規制を踏まえて法改正をしなければならぬ時代に入っているわけですが、そこで従来からの大気汚染防止法では電気事業法によるところ火力発電、こういうものが適用除外になっておりましたが、これを今度は適用除外せずに、地方自治体の、すなわち都道府県知事の傘下に入れる、すなわち環境庁権限の範囲内に入れる、こういうように考えておられるのか、これをまずひとつお聞きしておきたいと思います。
  4. 春日斉

    春日政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの御質問の点につきましては、現在十分検討中でございます。
  5. 岡本富夫

    岡本委員 そこで、なぜこの大気汚染防止法からこういった電気事業法によるところ火力発電等工場適用除外したのか、このいきさつについてひとつお聞きしたいと思います。
  6. 春日斉

    春日政府委員 お答え申し上げます。  電気ガス供給事業につきましては、全く公的なものでございまして、したがいまして、大気汚染にかかわる排煙等については十分公共施設という点で規制が行なわれておるものでございますので、大気汚染法から一応除外してあるわけでございます。
  7. 岡本富夫

    岡本委員 公共施設だから、大気汚染に対するところ配慮、こういうものが十分行なわれておる、こういういま御答弁でありますが、大臣、当委員会でもたびたび論議をいたしましたが、一つ事例を申しますと、尼崎大気汚染の大体八〇%、これはあそこにあるところ関西電力大気汚染によるということで資料もはっきり出ておるわけであります。ところが、これをとめると電気がとまるというようなことで、どうするかということで盛んに論議したことがありますが、いま局長答弁では、火力発電、ああいうものは公共施設でありますからと言いますけれども、   〔委員長退席登坂委員長代理着席〕 これは民間の施設です、どっちかといいますと。大気汚染については十分配慮されている、こういうことでありますが、事実はそうではない。したがって、いま地方自治体におきましても特にこの電気事業法あるいはガス事業法におけるところのこの工場知事権限の中に入れてもらいたいという声がふつふつとしてあがっておるわけですが、いま局長答弁ちょっとおかしいと思うのですね。これは当時どういういきさつがあったかと申しますと、やはり低硫黄燃料が入らないというようなところから都道府県知事にその権限を与えると電気あるいはガス事業がとまっちゃうというような配慮が非常にあって、そうして大気汚染防止法から適用除外になっているのだと思うのです。しかしながら、一昨日の局長答弁ではNO2、すなわち窒素酸化物の問題について私が質問したときに、SO2は、これはもう低硫黄燃料を使えばいいのだから、そういうことは実はしなかったというような話がありましたが、そういうことを考えますと、環境庁のほうでは低硫黄燃料はどんどん手に入るのだという考え方である。そうしますと、この大気汚染防止法から火力発電所やあるいはガス事業適用除外されるということは、もうこれは矛盾しておると私は思うのです。したがって、この大気汚染防止法改正をする、適用除外を除外するというような時代が来たのではないかと私は思うのでございますが、大臣、いかがでございますか。
  8. 三木武夫

    三木国務大臣 現在のところ排出の規制あるいは罰則等適用をしておるわけですが、それをいま御指摘のように地方自治体権限を委譲するということについては、まだ政府部内においてなかなか調整がついてないわけです。こういうことで、局長答弁にも今後十分検討いたしますということは、岡本委員の言われる意味もよくわかります。しかし、これは関係省庁の間の調整をつけなければならぬ問題があるわけでございますから、今後の検討の課題にしたいと思います。
  9. 岡本富夫

    岡本委員 関係省庁というのは通産省ですね。私は通産省はどっちかといいますと、私も商工委員会におりましたが、やはり企業を育成するほうです。しかし、こうして光化学スモッグあるいはまた大気汚染によるところの疾病がたくさん出てきておる。これを今度は国民の健康を守るというのは環境庁です。環境庁としてそういった意向を強く打ち出して、そして対策通産省のほうに要求しなければ、各省の調整というようなことを言っておったら、とても私は解決しないと思うのです。私は何も電気が不必要だとは言っておりません。  そこで、長官にもう一つ申し上げておきたいことは、じゃそういったところ排煙をきれいにする、要するに低硫黄がなければ排煙脱硫をして、そうしてほんとうに公害対策をするということに  つきまして、いままで何回か私は当委員会でこの問題を取り上げたわけでありますが、工業技術院においては排煙脱硫研究は十分できておる。ところが今度は実際において、これを研究させておるというのですが、関西電力とかあるいは中部電力とかあるいは東電とか、こういうところにいま委託してやっておるわけですけれども、なかなかこれができてこない。まだ研究中、まだ研究中です。小さいプラントでやったやつはもうできておるわけですね。なぜそれができないのかといいますと、これは排煙脱硫をつけますと相当な金がかかる。これによってなかなか排煙脱硫がつけ得ない。そこでたとえば東京とかあるいはまた私の言った兵庫県の尼崎とか、こういった過密地帯にあるところ発電所あたりは、まずそれに対してそういうところから早くつけさせる、こういった促進をしなければまだ研究中です、まだ研究中です。プラントでやればできておるのです。その点がずるずるといってしまって、そしていつまでたっても所要の目的であるところ大気汚染がきれいにならない、大気汚染が防止できない、こういうふうに私は考えるのです。だから、その点について長官から大気汚染防止法改正と同時にそういった促進をしっかりひとつ、副総理として言明していただきたいと思うのですが、いかがですか。
  10. 三木武夫

    三木国務大臣 今日光化学スモッグその他大気汚染からくるいろいろな国民生活に対する被害を与えておることは事実ですから、お説のとおりやはり排煙脱硫装置、低硫黄の原油であれば一番いいのですけれども、それにはやはり一つの限度もありますから、どうしても排煙脱硫の技術というものが実用化されるということが絶対に必要だと思いますので、今後われわれの立場から通産省にも督促をいたしまして、そしてこの実用化のために努力をいたしたいと思っております。
  11. 岡本富夫

    岡本委員 大気汚染のほうは一応そのくらいでおきまして、次は土壌汚染につきまして、PCBあるいはカドミ、特にきょうはそのうちのカドミの問題を取り上げていきたいと思いますが、先般環境庁が十八地域においてカドミ汚染米の出ているところ調査をなさったと思うのですが、この中で土壌改良、こういうものをすでに行なっているところ、または行なわんとしているところ、こういうところについて詳細にひとつ報告をしていただきたい。
  12. 岡安誠

    岡安政府委員 お答え申し上げます。  まず、土壌汚染防止法体系によりますと、土壌汚染改良対策といいますか、対策事業を行ないますためには地域指定をする必要がございます。現在までに地域指定が行なわれておりますのは、福島県の日曹金属の会津製錬所周辺地域をはじめといたしまして十地域指定をされております。その十地域のうち土壌改良対策計画が策定されましたのは、群馬碓氷川流域地域兵庫県の生野鉱山周辺地域の二つでございます。そのうち事業が一部実施されましたのは、群馬県の碓氷川流域地域でございます。
  13. 岡本富夫

    岡本委員 あなたのほうの資料を見ますと、福島県の磐梯、あるいはまた茨城県の塩子、栃木県の小山、それから東京多摩川流域あるいはまた長野県の中野、富山県の神通川流域、長崎県の厳原町、こういった地域において相当な汚染米が出ているわけですが、この問題はすでに三、四年前から私は取り上げているわけですが、いまだに遅々としてそういった対策が立てられない。それはどういったわけですか、この点について……。
  14. 岡安誠

    岡安政府委員 先生指摘のとおり、私ども四十六年以来細密調査実施いたしております。先ほど公表いたしましたのは四十七年の細密調査の結果でございますけれども、四十六年の細密調査の結果累計をいたしますと、一PPM以上のカドミを含む米が発見されました地域は全国で三十九地域ございます。そのうち先ほど申し上げましたとおり、対策地域指定されましたのは十地域でございます。それ以外の地域につきましては、現在まだ調査が部分的であるとか、それから原因その他は必ずしも明らかでないのでさらに補足的な調査をするとかいうふうな点がございまして、現在まだ対策地域指定をされていないところもございます。またそれ以外の地域におきましては、非常に面積が小さいということから、土壌汚染防止法体系にのせないで一般の土地改良事業その他によって対策を講ずるという地区もございます。そういうようなもろもろのところがございますが、現在までに汚染米が出ているところにつきましては、ほぼ休耕をいたしております。したがって、問題の地域におきましては、今後汚染米といいますか、一PPM以上の米が出るということはないように措置をされているというふうに私どもは考えております。
  15. 岡本富夫

    岡本委員 これは私きょうは一つ一つこまかく申しませんが、大臣、これはいままで休耕しているのです。休耕させて押えてある。いま世界的な食糧危機が相当襲ってきておりますね。たしかきのうのテレビかおとといのテレビだったか、インドネシアにおいては日本にトウモロコシを送らない、日本休耕しているじゃないか、こういうような批判もあって、この食糧問題を解決するためには、やはりこういった休耕はしてはならなくなってくる時代が来るのではないか。そのときにあたってあわてて汚染土壌改良とかこういうものをそれから手を打つというようなことでは、非常に手おくれになるのではないか。いま局長は非常に面積が少ないとか言いますけれども、これを一つ一つをとると非常に大きな面積ですよ、小さいところもありますけれども。したがって、せっかく公害国会を開きまして、土壌汚染防止法土壌改良、こういうようなものも法律をつくって、そうしてその対策を立てなければならぬというわけで私どもがやかましく言ったわけですが、結局そのときだけであって、あとなぜこうしたところ改良ができないのか。聞くところによると、企業話し合いがつかない、そういうことが原因になっておるということがわかったわけでありますけれども、私は、企業話し合いがつかないというより、国策として日本の将来を考えるときに、作物というのはすぐにぽんぽんできるものじゃありませんよ。したがって、もうここらあたり休耕をやめて、いよいよ減反時代がなくなってくるのではないかというときに、早く手を打たなければならない。これは環境庁責任だと私は思うのですが、大臣いかがですか、その点について。
  16. 岡安誠

    岡安政府委員 確かに汚染米が出る地域につきまして対策事業促進されていないということは、やはり私ども責任でございます。私どもも一刻も早く地域指定対策事業計画樹立対策事業実施ということを急ぐように指示をいたしております。  先生指摘企業との話し合いがつかないでおくれているというところも中にはあるかと思います。と申しますのは、対策事業実施する場合には、その原因者である企業にその大部分の費用負担させるというのが原則でございます。したがって、費用負担というものが確定いたしませんと、事業計画樹立並びに実施ができないという面もございます。しかし、私ども調査では、大どころは大体話がついておりますので、企業との話し合いがつかないことによる遅延では必ずしもないというふうに考えております。むしろ、問題は、富山の婦中町の例がございますとおり、まだ調査が全面的に完了していない。全面完了をもって全体的な計画を立てたいということで指定がおくれているというような事例、また黒部の事例につきましては、カドミウム汚染につきましての対策地域はほぼきまっておりますけれども、問題は、その周辺亜鉛によります被害地域の問題が残っております。亜鉛につきましてはまだ土壌汚染防止法による指定ができてないということもございまして、これは二次的なのでございます。けれども地域住民はこれを一緒指定してもらいたいということで、地域住民、むしろ市当局との話し合いがついてないというところ指定がおくれているという事例もございます。何にいたしましても、私どもは、指定促進をいたしまして、一刻も早く対策事業ができるように、そのように今後とも進めてまいりたい、かように考えております。
  17. 岡本富夫

    岡本委員 指定ができてないから、だからおくれておるのだというあなたの答弁でありますが、たとえば福島県の磐梯町、これは私ども調査いたしました。これはすでに指定しております。しかも面積は二百七十四ヘクタール、こういったようなところも、これは原因者日曹金属の会津製錬所ですか、これははっきりしているのですよ。こうして指定したところでもいまだに全然行なわれてない。こういうことはいまのあなたの答弁では私は全然納得できないのですが、いかがですか、もう一度……。
  18. 岡安誠

    岡安政府委員 いまおっしゃるとおり、地域指定済みが十地域計画樹立済みが二地域でございますので、指定はされているけれども、まだ計画樹立されてないところがございます。それぞれ理由が個別にあるわけでございまして、もし先生のおっしゃるとおり、加害者である企業との話し合いが進捗しないことによって対策事業樹立がおくれているというところがございますれば、私どもも県とも相談いたしまして、私のほうからも加害企業との話し合い促進するような手は打ちたいと思っております。問題は、企業との話し合いはもっぱら負担の問題でございますけれども事業実施の内容の点につきましても、いろいろ地元住民の意見を一〇〇%といいますか取り入れるということにいたしております。そういうような地元住民の希望の調整という問題もあるというふうにも聞いております。しかし、私どもは、先生のおっしゃったとおりおくれていることは事実でございますから、促進は全力をあげてやってまいりたいというふうに考えております。
  19. 岡本富夫

    岡本委員 きょうは一つ一つはやりませんが、大臣、このままいきますと、今度食糧が不足になってきた、しかたがないからまたそこへ植える、それを利用して、どこだったか、減反といわれても待っておれぬというわけで、そういった地域にもうすでに稲を植えて農耕しておるという地域もあるわけですよ。そういうことが行なわれるということは、私は、こういった指定したり、あるいはまた指定がおくれたり、こういった汚染地帯でそのまままた米がつくられる。それを今度また食糧庁が買い入れる、それをまた農林省で安く売っちゃう、こういう悪循環がいつまでも続くと私は思うのです。ですから、これは抜本的に、もう相当な企業負担もあろうし、あるいはまた助成措置も必要であろうと思いますけれども、やはり何といっても早いいまの間に手を打って、そして食糧危機に備えるということも大事でないか、私はこう思うのです。大臣ひとつ英断を……。
  20. 三木武夫

    三木国務大臣 いまの土壌汚染カドミからくる汚染でありますが、これは実際に数字から見ると、あまりにも対策事業のおくれは御指摘のとおりです。これもまあいろいろ原因があるといっても、その原因を克服して、食糧もこういう事情のもとにあるわけでありますから、早く耕作可能なように持っていかなければならぬわけでありますから、この問題はさっそく取り上げて促進をいたす方法を考えております。
  21. 岡本富夫

    岡本委員 これは早く促進をしておか、ないとたいへんなことが起こると私は思います。  そこで、一つ事例を申し上げますが、これは、兵庫県の猪名川の支流に野尻川というところがありますが、その奥に日本鉱業多田鉱山がある。この付近の米を私ども調査しました。これはもうすでに県にも申し出てありますけれども、そのお米も実は四十七年産米でありまして、農家保有米なんです。ですから、どの田のものであるかということは、大体そのたんぼはわかりますけれども、あちらこちらまじっておる。その中から一升二升ととりましてそれで私ども調査をしたわけでありますが、その中に、たとえば広根というところの米は最高〇・八五PPM平均〇・三二。この平均というのも、たとえばこのたんぼの中のどこをとったというのではなくて、たくさんの田があります、その中の、まあ農家保有米でありますから、あらゆる田のものが一緒になっておるわけですが、いずれにしてもこの野尻川流域には間違いない。これを私ども県に申し出ますと、県も驚いてさっそく調査をしたわけでありますけれども、この対策について環境庁のほうにどういう報告が来ておるか、あるいはまた環境庁はどういうような指示をなさったか、これをひとつお聞きしたい。
  22. 岡安誠

    岡安政府委員 御指摘多田鉱山周辺地域につきまして、四十七年産米、これの農家保有米につきまして兵庫県が調査をいたしました。二十一点やったわけでございますが、カドミウム濃度最高が〇・八五ということで、最低が〇・一、平均が〇・三二ということでございます。やはり先生指摘のとおり、県の調査農家保有米についてやったのでございますので、その米を生産されました土壌が必ずしも把握しがたいのでございますけれども、推定をいたしまして、二点についてやった結果は、土壌中の濃度は五・四六と四・三二というような結果も出ております。これでは私どもの考えております土壌汚染防止法による細密調査とは言いがたいわけでございます。私どもはやはり土壌とその土壌の上に立っている稲の玄米を分析をするということでなければ地域指定ができないわけでございますので、兵庫県といたしましては、今年度、四十八年産米につきまして私どものきめました方法による細密調査実施をいたすということに予定をいたしております。それ以外につきまして、兵庫県は、環境調査といたしまして周辺河川並びに河川底質調査をいたすと同時に、付近におきます井戸水及び水道源水についても調査をいたしたいというふうに申しております。
  23. 岡本富夫

    岡本委員 いまあなたの発表された二点につきましては、これは私どもが現地に行って、そうしてこのお米を分けてもらって県に提出した資料なんです。ですから、こうして私どもがしなければ、もう知らない間にそのまま捨ててしまわれるところだったのです。こういった姿勢と申しますか、環境庁がどういうように県に指示しあるいはまたしょうとしておるか、当委員会でもこういった休廃止鉱山あるいはまた、私ども、こういった鉱山の下流においては徹底的調査をするようにというような論議もし、またお願いもしたはずなんです。ところがこの多田銀山、これは遠く豊臣秀吉時代からあったらしいのですが、古い鉱山です。どうもおかしいというので私どもが調べて初めてこうして浮かび上がってくるというようなことでは、まだまだたくさんあると思うのです。幸いにして私どもが提出したところの二点の保有米は一PPMに達しなかった、こういうことでありますけれども、これも先ほど申しましたように、一つの田でなくしてあらゆるところの田も入っておる、山の上の田も入っておりますからこういうようなことになっておるかもわからない。そうしますと、一PPM以上のお米があるかもわからない。それはないかもわかりませんが、あるかもわからない。たとえばこの泥質を調べますと、五・五六PPM、これは銀山というところです。また広根というところでは四・三二PPM、銅が銀山では九〇PPM、あるいはまた広根では一一七PPMというように分析が出ておるわけですが、すでに土壌にこうした多量のカドミあるいは銅があるわけです。この土壌たんぼの中の土を持っていったのですよ。県はどこのやつを持ってきたかわからない。私はここだということを教えたわけですけれども、そういうことを考えますと、私は、一PPM以上のお米をその地域の人が相当食べておるかもしれない。しかし、いままでわからなかった、こういうことで、また悲惨なああいった神通川のような姿が出てくるかもわからない、こういうように考えるわけです。  そこで、通産省立地公害局長さん、ここの日本鉱業多田鉱山はすでに廃止をしたわけですが、あとの対策についてどういうようにしておるか、ひとつお聞きしたい。
  24. 林信太郎

    ○林(信太郎政府委員 お答え申し上げます。  多田鉱山鉱害防止措置の状況でございますが、この三月に日本鉱業が閉山いたしております。操業時は大体三十九名ぐらいの人数でやっておりまして、粗鋼ベースで月産一千トン程度でございます。現在は所長外一名で管理する状態になっております。閉山対策といたしましては、坑口を六月中に密閉いたしております。したがいまして坑口からの排水は現在出ておりません。堆積場につきましては、現在客土工事実施しております。これは鉱山保安法に基づきまして、鉱業権者に休止をするときの条件としてこういう義務を課してあるわけでございます。  なお多田鉱山の排水のカドミの状況でございますが、四十四年九月からずっと実施いたしております。   〔登坂委員長代理退席、委員長着席〕 四十六年に四回、四十七年に六回、四十八年に二回、それぞれ大阪鉱山保安監督部のほうで直接検査をいたしておりますが、現在一般環境基準に上のせをいたしました〇・五PPM以下になっております。  なお土壌との関係でございますので、この猪名川水系にございます鉱山、現在、休止鉱山が十、それから廃止鉱山が十一、合わせまして二十一あるわけでございますが、これに対しまして、休廃止鉱山の現在の鉱害状況の調査をずっとやってまいっております。すでに十四鉱山完了いたしておりまして、残っております七鉱山につきまして、この十一、十二月に実施計画いたしております。  以上でございます。
  25. 岡本富夫

    岡本委員 あなた、そういった報告を真に受けて、そのままここで説明してもいけませんよ。この多田鉱山坑口を締めた、こういうことでありますけれども、現在一日約二十トンの水がそこから出ているわけです。しかももう一つはズリの堆積場、あそこの沈でん槽をごらんになったか知りませんが、まことにお粗末なものです。いまは水がかれておりますけれども……。そして地元の皆さん方が調査しますと、その坑口から出てきた水、またズリ堆積場から出てきた水が、鉱山が稼働しているときには、下には魚が住んだそうですが、稼働がとまったとたんに魚がみんな死んでしまったというぐらいです。ということは、あと、このズリ対策やあるいはまた坑口の排水をきちっとしていないということなんです。あなたはいま坑口を締めたと言いますけれども、これは全然締まってない。ぼくも行ってみましたよ。だから、こういった全国の休廃止鉱山の処置というものが報告と実際とはだいぶズレがあるのではないか、こういうように私は思うわけです。私は実際にこの多田鉱山に行ってきましたが、もう少しはっきりした対策を立てなければならぬと私は思うのです。その点についていかがですか。
  26. 林信太郎

    ○林(信太郎政府委員 坑口は密閉工事をやっておりますが、排水はなお若干出ております。日量にいたしまして、先生指摘のように二十トンというふうに承知しております。それから昔からございます、ただいま御指摘の豊臣時代からの鉱山でございまして、鉱区内の坑口に大切坑というのが一つございますが、ここの水をとって調べておるわけであります。堆積場につきましては客土工事をやらしておるという鉱山監督部からの報告でございますが、なお御指摘のような状況につきましては、担当の蓼沼鉱山課長が具体的に承知しておりますので、かわって答弁させていただきたいと思います。
  27. 蓼沼美夫

    ○蓼沼説明員 お答えいたします。  まず坑口の密閉でございますが、鉱山が休みましたことしの三月から、この多田鉱山の鉱区内に約四十カ所の坑口がございまして、これに対して密閉工事を行なったわけでございます。ただ現在、大切坑と申しますのが一カ所ございまして、ここからは、先生おっしゃった、一日二十トンという水量が出てございます。坑口密閉と並行いたしまして、堆積場につきましては現在客土の工事を行なっております。なお、この大切坑から出ております水のカドミの数値でございますが、多田鉱山につきましては、現在、排出基準の〇・一PPMに対しまして上のせをいたしまして、〇・〇五PPMという基準で監督いたしておりますが、それよりも低い〇・〇〇五というカドミの数値をチェックしております。
  28. 岡本富夫

    岡本委員 いまあなたおっしゃったように、排水口から出てきた水が、あるときはこういった低い数値もあらわしております。しかし、客土をしていると言いますけれども、私行ってみて、客土した姿は全然見たことがない。これは早急にもう一度ほんとうの調査をしてくださいよ。  それからズリ対策、これもそのままほったらかしですよ。私が現実にこの目で見てきたのですからね。いま水がかれまして出ておりませんが、こういったところから周囲に出てくる水、こういったものによって下の周辺たんぼが、いかに客十したりいろいろなことをして対策を立てても、またよごれてしまうわけです。非常にむずかしかろうとは思いますけれども、やはり鉱業権を持っておる日本鉱業に、廃止したあとの鉱山というものはちゃんとさせなければならぬと私は思うのです。ですから、この点についてはひとつ強力に申し入れをしておきます。  こればかりやっておるとあれですから、次に、農家保有米につきまして食糧庁はどういう対策をおとりになっておるか、これをひとつお聞きしておきたい。
  29. 志村光雄

    ○志村説明員 お答えいたします。  御指摘野尻川の流域において一PPM以下の米が出たことが明らかになりましたので、食糧庁といたしましては、従来から、カドミウム汚染による米の〇・四から一PPM未満のものにつきましては、その地域農家について、農家の希望がございますれば農家保有米と政府の持っております米と交換をいたしておりますので、野尻川の流域につきましても、当該農家から希望があれば県とも十分相談の上、交換をいたしてまいる考えであります。
  30. 岡本富夫

    岡本委員 これはすでに兵庫県の食糧事務所からあなたのほうに報告が来ているはずだと思う。ということは、町から県に申し出をして、そして県から食糧事務所に交換方を依頼しておる。ところがその返事がはっきりしないというようないまの状態になっています。その点について兵庫県の食糧事務所から連絡が来ておりませんか、いかがですか。
  31. 志村光雄

    ○志村説明員 お答えいたします。  連絡がございまして、現在県が現地の農家の希望を聴取している段階でございます。
  32. 岡本富夫

    岡本委員 その量については、私まだ詳細は調査しておりませんが、そこで、要するに町から話があって、いま町長のところでまとめておりますが、これを県から食糧事務所のほうに出せば交換してくれる、こういうことですね。  そこで、交換されたお米ですね、要するに交換された汚染米はどういうように始末をなさるのか、これをひとつお聞きしたい。
  33. 志村光雄

    ○志村説明員 一PPM未満の米は、一応主食として流通できる害のない米でございますけれども、現在食糧庁といたしましては、国民感情等も考慮いたしまして、〇・四から一PPM未満の米につきましては配給を停止いたしております。これの対策につきましては、現在学識経験者を入れまして、処理方法について検討中でございます。
  34. 岡本富夫

    岡本委員 これは先国会だったか、カドミ汚染米につきまして、食糧庁の次長さんだったと思いますが、こういうものは配給せずに、安くのりの業者とかそういうようなところに回すのだ、こういうような話を伺ったのですが、そうですか。
  35. 志村光雄

    ○志村説明員 一PPM以上の米につきましては、御指摘のようにのりあるいは捺染用等に処分をいたしておりますし、あわせて横流れ防止措置を十分講じまして、特定の用途に使用させております。
  36. 岡本富夫

    岡本委員 一PPM以下は。
  37. 志村光雄

    ○志村説明員 一PPM以下の米は、これは一応配給できるものでございますが、いま御説明申し上げましたように、国民感情を考慮いたして、食糧庁としては配給いたさないという方針をとっておりますので、これの処分につきましては、現在学識経験者を入れてその措置についての検討を進め中であります。
  38. 岡本富夫

    岡本委員 そうしますと、これは配給をしないということなんですね。たしか〇・四以上一PPMまでの米は配給しない、廃棄処分にするのだ、こういうことを伺ったのですが、いかがですか。
  39. 志村光雄

    ○志村説明員 御指摘の〇・四以上一PPM未満のものにつきまして配給しない、廃棄処分をするというようなことにはまだ結論は出ておりませんし、要するに、端的に申し上げれば、国民感情等もありますし、配給をいたさないという方針で取り進めておるということでございます。ですから、置いておきますればやはり保管料その他かかりますし、これの処分につきましていま鋭意取り組んでおる最中でございます。
  40. 岡本富夫

    岡本委員 それはここだけのお米でなくて、富山県の婦中町付近神通川流域、あるいはまたあっちこっち相当出たわけですね、磐梯町やら。そういうのをみな配給せずに残してあるわけですか。その量はどのくらいあるのですか。
  41. 志村光雄

    ○志村説明員 御指摘の、政府が持っております〇・四から一PPM未満の米は、四十七年産米まで入れまして全部で二万五千五百トンになっております。
  42. 岡本富夫

    岡本委員 そういった米はみな残してあるわけですね。
  43. 志村光雄

    ○志村説明員 はい残してあります。
  44. 岡本富夫

    岡本委員 そうすると古米から古古米になってしまうわけですね。そうすると配給はしない、このあなたのほうの報道を見ますと、ほんとうかうそかわかりませんが、数量的には過去数年間でせいぜい数万トン、大したことはない、こういう考え方なんです。こういうふうにあなたのほうで発表してますがね。発表というとおかしいですけれども、新聞に出ているわけです。私は、そういったお米、〇・四から一PPMまでの米、これは一番最初食糧庁、農林省では食べては危険だというわけで全部配給停止した、その後諸般の事情があったか知りませんが、厚生省で一PPMというように基準をきめたわけです。そこで、食糧庁、要するに農林省のほうでは〇・四以上はだめ、それから厚生省のほうでは一PPMまではよろしいという論議が行なわれているわけですが、そういった〇・四から一PPMまでの米も食管法によって——いま幸いお米が余っているといいますけれども、食管会計が赤字だ赤字だといっておるのは、そういったところにまだ配慮が足りていない。要するにそのお米はあなたのほうが買い入れたけれども、そのまま残してある、古古米、古古古米になってどんどん安くなってしまう、それで食管会計は赤字だ、こういっているのです。当然国民感情としてもそういうものを配給しない、こういうことでしょう。ということは食べないということだ。将来配給するかどうかは学識経験者に聞きます聞きますと言いながら、どんどん値打ちが下がっていく、保管料もかかる、この責任は一体どこにあるのですか、これをひとつお聞きしたい。
  45. 志村光雄

    ○志村説明員 御指摘のとおり相当量持っておりますので、やはり時間がかかれば品質も落ちるし、しかもまた保管料もかかるというようなことで、現在、先ほどから申し上げておりますように、できる限り多角的な用途に使えるように、処分方法研究会で検討をしていただいておるさなかでございます。
  46. 岡本富夫

    岡本委員 そうしますと、志村さん、多角的な用途、要するにのりとかそういうことになりますと、食糧に供さないということになるわけですから、したがってそれだけ価格は安くなる。価格が安くなったということは、それだけ国民負担するということです、食管会計から見れば。政府の金でありますが国民の税金です。そういったものをどこで埋め合わせをするのですか、これはいかがですか。
  47. 志村光雄

    ○志村説明員 いまの厚生省の安全基準からすれば、一・〇以上が問題なのでございまして、いまの食糧需給、米につきましての需給が非常に安定いたしておりますから、問題がないかと思いますけれども、損をなく処理をいたすということになりますれば、主食として配給をいたすというのがたてまえでございましょうし……。  ただ、過剰米処理の中でいろいろ議論がありましたけれども、えさ用には一応過剰米を出した経緯もあります。これはカドミウム米を出したということじゃなくて、過剰米の古々米をえさ用に出したという経緯もございますが、カドミウム米につきましては、そういうことで、〇・四以上一・〇以下のものにつきましては、ともかくえさ用にも回せないということでございますし、カドミウムを取ってあとブドウ糖にし、ブドウ糖をどう高度に利用していくかというようなことになろうかと思いますが、ともかくいま研究中であるということでございます。
  48. 岡本富夫

    岡本委員 あなた話をそらしちゃだめですよ。私は、そういった不利益を与えた——要するに食管会計に不利益を与えるということは、国民の税金に不利益を与える。その責任食糧庁としてはどういうふうにとらせるのか。  これはやはり一PPM以上のお米と同じような性質を持っていると私は思うのです。これはやはり企業責任だと思うのですよ。それを、国民感情から、国民感情からとおっしゃいますけれども、事の起こりは、農林省のほうでは〇・四PPM以上はあぶないというわけで、最初配給に回さなかったのです、いまになってちょっとことばが変わっておりますがね。  基準が厚生省できまったからそういうことになったわけですが、いずれその論議は置きまして、多角的にほかに回すとかなんとか言いますけれども、結局それだけ値段が安くなるのです。その値段が安くなった、あるいは保管料の要った、そういった補償というものは、やはりこの汚染米にしたところ企業から取るべきだ、こういうように私は思うのです。それについて食糧庁は一ぺんも考えたことないのですか、いかがですか。
  49. 志村光雄

    ○志村説明員 現在買っております米は生産農家から買っておりますし、特に企業サイドからどういう影響のあったものであるかというようなことは、すでに買ってしまったあとでございますし、いまの段階ではなかなか調査は困難ではないかと思っております。
  50. 岡本富夫

    岡本委員 そうしますと、わかる分はこれからはっきりするということですから、たとえば先ほど私申しました猪名川支流の野尻川、これは日本鉱業鉱山によって汚染された米だということははっきりしているわけです。その分についてはちゃんと請求をするのですか、いかがですか。
  51. 志村光雄

    ○志村説明員 端的に御質問されても非常にむずかしいのでございますが、全体いままでの経過の中での取り扱い方あるいは今後の取り扱い方につきましては、帰りましてまた慎重に検討いたしたいと思います。
  52. 岡本富夫

    岡本委員 あなた業務部長だからそこまでちょっと答えにくいかもわかりませんが、長官、副総理として、非常にこまかい質問でありますけれども、私は、一PPM以上の米はこうして企業がそれを買い上げる、こうすべきだと思うのです。〇・四以上一PPMまでの米は食糧庁が交換する、それはみな今度は赤になってくるということでありますが、そういった責任は、はっきりした分についてはやはり企業責任ではないか、こういうように私は考えるのですが、長官の考え方はいかがですか。副総理としてひとつ高邁な御意見を……。
  53. 三木武夫

    三木国務大臣 高邁な意見ということでございますが、実際問題として、この問題はむずかしい問題ですね、企業責任の問題。だからここで端的にお答えをするためには、この問題はいろいろ研究する必要があると思います。
  54. 岡本富夫

    岡本委員 どういうように研究なさるのかわかりませんが、この四十七年度産米は、私ども調査しましたところによると一PPMを下っておりますから、おそらく〇・四をこえているものが出てきているわけです。そうしますとこの地域のお米というものは、今度は四十八年度の産米で調査しますと、これが相当出てくると思うのですね。  これはいままではわからなかった。わからないからそのまま配給に行った。保有米でわかった。保有米を持っている人たちはかえてくれと言っている。そうすると、これは事実上〇・四PPM以上のお米も配給にどんどん回っているということなんです。これを今度は調査しなければならぬということになって調査をしますと、相当量の配給ができない、しかも引き取り手がないお米が食糧庁に行くわけです。そういったところのお米を今度は食糧庁で検査して、どんどん古古古米というのですか、になって、値段がダウンしていく。そういったものの責任というものをやはりはっきりしておかないと一そういうものをあいまいにするものですから、あとの鉱山廃止に対するところ対策というものをきちっとやらないところ原因になっているのです。  私はこの一地点をとらえて、長官にすっきりした政府の態度を聞かせてもらいたい、こう思ってきょうは質問しているわけですが、いかがですか。
  55. 志村光雄

    ○志村説明員 これからの〇・四から一PPM以下の米の取り扱いにつきましては、御趣旨十分わかっておりますので、慎重に検討してまいりたいと思います。
  56. 岡本富夫

    岡本委員 長官に聞いていますがね。副総理。
  57. 岡安誠

    岡安政府委員 ちょっと私から……。これはもうなかなかむずかしい問題でございまして、私どもは、土壌汚染防止法その他の関係からは、カドミウム汚染米というものは一PPM以上汚染をされている米というふうに考え、そういうふうに措置をいたしておるわけでございます。したがって、食品衛生法上も、それからほかの関係からも、一PPM未満の米というものは正常に流通して、健康上も問題ないし、法律上も問題はないということになっている。それが一つございます。  ただ、現在の措置としまして、先ほど食糧庁のほうからお答えがございましたとおり、〇・四から一PPM未満というものは、健康上もまた法律上も問題はないけれども、非常に気分が悪い、気持ちが悪いというようなこともございまして、また当時、現在もそうでございますけれども、食管会計のほうで過剰米があるということで、暫定的な措置としまして、食糧操作上も差しつかえがないということもあったかと思いますけれども、買い上げはする、けれども配給に回さないという措置が現在とられているということでございます。さてなかなかむずかしい問題だと思っております。これがだんだん保留、凍結米がふえるということになれば、おっしゃるとおり金利、倉敷の問題もございますし、米自身の品質の低下、価格の低下もございます。そういう点は食糧庁としてお考えをいただくことかと思いますけれども、私どもといたしましてはなるべくそういうような米が出回らないように、生産されないように、やはり土地改良事業といいますか対策事業を早急に実施をするということで私どもにも責任があるわけで、これはぜひ促進をいたしまして、そういう事態が今後ともあまり起こらないように措置はいたしたいというように考えております。
  58. 岡本富夫

    岡本委員 約束の時間が参りましたので、それで長官、結局何が何やらわからぬような答弁になってしまったわけです。対策というものがはっきりしないわけですよ。そういったきめこまかい、やはりこれはこういった汚染米を出して、そして国民の税金に大きくいま不利益を与えているわけです。こういうものに対してもはっきりしなきゃならぬ時代が来たんじゃないかと私は思うのです。いまのようなお二人の御答弁がありましたけれども、これでは納得できないですよ。だからひとつ政府としてどうするかということをはっきりひとつ態度をきめていただき、それで当委員会にまた報告をいただく、こういうことにしておきたいと思っております。  そこでもう一つ、一番大事なのは、これは文部省の関係になるのですけれども、各地方自治体でそういった環境問題を調査したりあるいはまたあれするところの学術経験者あるいはまたそういった技術者、これが非常に少なくて困っている。ですから、やはり大学に環境学部というようなものを工学部に置くとか、いまも神戸大学の工学部にそういったものを置いてもらいたいというような話もあるわけですが、文部省としてどういう考えを持っていますか。文部省、来てませんか。
  59. 三木武夫

    三木国務大臣 岡本君の御指摘の問題は閣議等でも問題になったわけです。やはり大学の中に環境といいますか公害というか、そういう科目を置いて、これだけの重大ないろいろな社会的な問題を引き起こしているのですから、そういう専門家というものが必要であるということで、これを積極的に取り上げようということになっておりますが、その後文部省がどのようにこれの実現について努力しておるかは聞いておりませんけれども、確かに御指摘のような必要はある、そういうことでこの問題は積極的に取り上げようという考えでございます。
  60. 岡本富夫

    岡本委員 ではあともう一つあるのですが、道路の公害につきましてはこの次にやることにしますから、きょうはこれで一応終わります。
  61. 佐野憲治

    佐野委員長 島本虎三君。
  62. 島本虎三

    ○島本委員 まず通産省、いまおった人はそのままおってもらいたい。  いまカドミウムの問題でいろいろ質問があったわけですけれども鉱山汚染に対する責任とその対策、これだけはあいまいにしてはならないわけです。あいまいにしないために、休廃止鉱山も含めて、その対策として金属鉱業等鉱害対策特別措置法案、これは衆参両院を通ってもう成立しているんです。この対策等については今後手抜かりなく万遺憾なきを期するとはっきり言っていたんです。言っていながら、なおPCBの問題ではなかなか理解できないような答弁がいまあったわけです。私もそれに対しては残念に思うわけです。しかしながら、やはり法律がもう成立しているのですから、この責任とその対策はあいまいにしてはならない、こう思います。したがって、いま北海道でも鴻之舞鉱山の沈でん池の決壊事故がまた起こっておるのです。これは八月の二十六日の午前七時三十分ころでしょう。そしてこのために一人の人が死亡しております。また北見パルプや雪印乳業、そういうような方面ではその川からの取水が停止されております。元紋別の浄水場でも取水を停止しております。下流では魚がそれぞれ死んで浮いております。こういうような被害を与えておるのです。法律が通っておっても以前からこの問題に対しては十分検討しておったはずなんですが、鴻之舞の事故等は完全にその責任対策をあいまいにした、こういうような結果でありませんか。この事態に対して、前のPCBはもちろんです。しかし、いまのこの鴻之舞鉱山に対する対策責任、一体これはどう考えておるのですか、どういうふうに対処したのですか、解明してください。
  63. 林信太郎

    ○林(信太郎政府委員 お答え申し上げます。  鴻之舞鉱山におきます第九沈でん池のダム決壊問題、ただいま先生から御指摘がございましたような非常に重大な事態になっております。鴻之舞鉱山の第九沈でん池の決壊によりまして、沈でん水や泥物が流出いたしまして、先生ただいま御指摘のような事態を引き起こしておりますことはたいへん遺憾に存じておるところでございます。特にただいま御指摘のように、衆参両院の協賛を得まして金属鉱業等鉱害対策特別措置法を先般あげていただいた直後でもございますし、私ども関係者としましてはまことに申しわけないと存じております。  問題の鴻之舞のダム決壊でございますけれども、実は操業停止をいたしまして廃水処理をやっております段階で起きた事故でございますが、実は六月に札幌の鉱山監督局が検査に行っておりまして、ちょうど第九沈でん池の西側、川側のほうでございますが、この犬走りの下部に地盤のゆるみがある、浸透水の徴候があるという指摘をいたしております。直ちにそれは事業所側に指摘をいたしまして訂正させたわけでございます。その第九沈でん池が御指摘のように決壊したわけでございますけれども、決壊の経緯は御案内かと思いますけれども、犬走りの一部がくずれまして、それを修理するために下請の工事会社にダンプ等を使わせまして修理中でございました。修理中のところ、その修理個所と別の同じ並びのところでございますけれども、四メートル、一メートル五十くらいの幅、高さで堤防が決壊する、こういう経緯でございます。  責任につきましては住友金属鉱山の全面的な責任でございますし、会社側も呼びまして厳重に警告をいたしました。同時に鉱山監督局に対しまして、せっかく六月の検査の際にそういった地点を発見いたしておりますので、決壊した場所と指摘をいたしました場所は違っておりますけれども、同じ並びの堤防の面でございますから、なお入念に注意すべきではなかったかという強い指示をいたしておるところでございます。
  64. 島本虎三

    ○島本委員 いつもそうなんです。確かに法律はできている。行政そのものがあまりにも企業寄りなんです。もっと被害者、国民の立場に立って、企業も法律ができたのだから、それを根拠にして規制すべきです。態度が少し甘いと思いませんか。まして一人犠牲者を出しておる。そして生活に重要な飲料水の取水さえもできなくなった。こういう重大な犯罪に類するようなことをしているわけです。ましてそこを六月に検査している。その並びでそれをやった。それも下請けにやらせた。だめです。住友金属鉱山株式会社ですね。いつもあとから厳重に注意したってだめなんです。人の命があとから注意して戻りますか。もうすでに根拠立法はできているのです。そういうようなことをしてはいけません。これは三木環境庁長官も、せっかくこの委員会で決議して、そして立法化されたんです。立法化されたあとにまたすぐこれがすぐ出ている。こういうのはもう少し行政そのものも企業サイドに立った行政の指導じゃだめだ、もう少しこれはきびしくすべきだ、こういうふうに思うのです。これは事務当局はいいです。閣議の席上なんかでも厳重にこの問題に触れておいていただきたい、こう思うのですが、三木長官の意見を伺っておきます。
  65. 三木武夫

    三木国務大臣 立法的な処置もあり、それを励行するということは政府の責任でありますから、今後とも厳重にそういう立法の趣旨に従って行政を行なうようにいたしたいと思います。
  66. 島本虎三

    ○島本委員 じゃ本来の質問に入ります。まず第一は、きょうはPCB水銀汚染対策、そのほか三つであります。おとといの続きになるわけです。  長官も、六月の十四日に緊急対策十一項目にわたって、これが中心になってきめられた。そして六月十五日に、公害環境特別委員会佐野憲治委員長のもとにこれの報告があった。そして具体的にそれがいま実施に移されている。その第一項目目は魚介類の安全基準の設定である。これに対しては単にPPMの基準ではなくて、食生活の指針になるような基準の設定を行なう。そして水銀の暫定基準は六月中に設定するほか、既存のPCBの暫定基準はアップする、そしてカドミウムの基準設定は特に急ぐ。こういうふうな一つの申し合わせばあなたがつくられた。しかしここに厚生省はそのあとすぐアジの基準を出してまさに世のひんしゅくを買った、こういうようなことがありました。厚生省自体のPCBや水銀の暫定基準の算出方法は少しあいまい、それと同時に強制力を欠いている点、こういうようなことで、自治体では幾ら魚の安全宣言をしても消費者の不安は去らない。こういうようなままに今回は横浜生協が独自のきびしい基準を自分で設定して、そして「PCBは国の遠洋、沖合魚の基準〇・五PPM以下を近海魚にも一律に適用する」こういうような基準を打ち出したようであります。水銀についても総水銀〇・二PPM、メチル水銀〇・一五PPMと、国の基準の半分ぐらいにした、こういうようなことであります。これはまさに長官がはっきり言った第一項目の魚介類の安全基準の設定、これがあいまいなままに、消費者の自衛態勢、防衛態勢としてこういうことが行なわれているのじゃないかと思うのです。せっかくいい発想で、せっかくこれを閣議にもかけて、せっかく実施を確約されているのに、こういうことになるというのは、やはり公害行政はあと追いじゃないか、こういうことになるのじゃないかと思いますが、この件についてはどのようにお考えでしょうか。
  67. 三木武夫

    三木国務大臣 厚生省の安全基準は、一般の食生活に対して総水銀とメチル水銀に対する基準量というものをきめたわけでありますから、あの以下であればだいじょうぶであるという責任を政府として明らかにしておるわけですね。だからそれ以下の一つの基準をおきめになるということは悪いことではないわけでありまして、自主的にそういうものがきめられたということで、私もけさの新聞で見たわけです。これはみんないろいろな団体としてきめられたことであって、しかしわれわれの政府が発表をいたしました基準というもので食生活は国民に健康被害を与えるようなことはないということでございます。
  68. 島本虎三

    ○島本委員 健康被害に対して影響はない、それでも消費者のほうは信用ができない。これはやはりいままでの行政自身が、暫定とはいいながらもその基準の算出方法があいまいであって、これじゃ信用がならないという、こういうような観念が国民の中に植えつけられてしまった。そしてそのあとやはり強制力というようなものも当然欠いているほかに、自治体の長は競って安全宣言をした、安全宣言そのものも何ら効果がないのにそれをしたという、行政に対する不信だ。そして自衛態勢としてこういうようなことを国民の前にとらざるを得ない、こういうようなことに追い詰めたので、あえてこれは安全だ、安全でないということよりも、食生活の指針になるような基準の設定をする、はっきりいってそれが国民に信頼度の高いような、こういうような指導をしておらなかった、こういうようなことになるのではありませんか。このことなんです。だから、これは食べている、安全だといったって、安全でないと思うからこういうような基準を立てて、自分らで国民に納得してもらい、そして自分らもこの態勢で保障するんだ、それは国が考えているものの二分の一のきびしい規制だ、こういうようなことでしょう。これは行政に対する、注意をせい、まだ不信だ、こういうような一つのあらわれじゃないか、こう思うのです。そういうようなことからして、私自身も有害物質関係工場の点検は前回問いましたが、この中でPCBのこういうような問題も含まれておるわけであります。これとあわせて魚介類の安全基準設定に対する指導、これは私としてはやはりまだまだだ、こういうように思うのです。だいじょうぶだといっても国民は信用しない、こういうのはやはり行政のまずさだ、こういうように思うのです。  それと同時に、水産庁も厚生省も来ていると思うのですが、遠洋のキンメダイというのですか、われわれはメヌケダイ、こういうように言うのですが、キンメダイとメヌケダイとどう違うのか私はわかりません。このキンメダイ、これも汚染をしておる。同時に東京の築地の中央卸売市場で水銀の検査をした結果、神奈川、静岡両県から出荷された遠洋もののキンメダイからも暫定基準を大幅に上回るメチル水銀を検出した、こういうようなことを二十九日東京都の衛生局で発表しておるわけです。これもはっきりと十一検体中十検体から基準を上回る汚染が発見されたし、場所は遠洋のミッドウェーと鳥島海域である、こういうようなことです。これに対してもまた意外だ、こういうような感じを国民が当然持っているわけです。当然魚介類の安全基準設定の、環境庁長官が出した、これとあわして厚生省、水産庁、こういうものの報告を受けて措置をしていると思うのですが、扱いはどうなのか。特に厚生省ではこれに対して、マグロや遠洋キンメダイ、これに対する対策はどうするのか、この点をはっきりとしてもらいたいと思うのです。
  69. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 消費者が安心して魚介類を食べられるようわれわれといたしましては魚介類の水銀の暫定基準を作成いたしまして、この暫定的規制値をこえるものを市場に流通させないということを考えておりまして、流通市場におきます魚介類の水銀値の測定を現在各都道府県で行なっておるわけでございます。それと同時に、この遠洋魚の水銀量につきましては水揚げ市場におきます検査も現在行なっておるわけでございまして、先生指摘のメヌケ類につきまして現在までわれわれの手元で集計いたしております検査の結果は、百四十検体を検査しておりまして、このメヌケにも——われわれの検査いたしておりますメヌケには四魚種ございますが、そのうちの一魚種につきまして暫定的規制値をこえる魚種が見つかっておりまして、現段階におきましてはこの魚種につきましては流通をさせないような措置をとっているわけでございますが、なおこのメヌケの水銀につきましてその本態の解明等につきましては、現在水産庁のほうと連絡をとりまして研究を進めている段階でございます。
  70. 安福数夫

    ○安福政府委員 お答えいたします。  ただいま厚生省から御説明のありましたような事情でございます。ただ、メヌケの問題につきましてはかなり前から水銀をかなり含有しておるということを私ども承知いたしておりますし、水産庁といたしましてもサンプルをとりまして実際にそれを当たっております。そういったメヌケの問題本日の新聞で私初めて聞いたわけでございますけれども、昨晩、夜おそくなって神奈川県のほうからいまの御指摘のございましたキンメダイについての水銀汚染の問題が報告があったのでございまして、これ自体まだ内部的に検討いたしておりませんが、こういう遠洋ものあるいは東北沿岸におきますメヌケの問題、このメヌケとキンメダイとは違いますけれども、こういうのは人為の汚染源というものが私どもどうも考えられないという感じがいたします。したがいまして自然の水銀の蓄積である、こういうふうに私ども理解しておるわけでございますけれども、こういう自然の水銀の汚染が人体にどういう影響があるのかという、非常にむずかしい問題であろうと思いますけれども、そういった問題を含めまして厚生省と現在こういった問題についての全般的な検討なり打ち合わせなりを進めておる、こういうところでございます。
  71. 島本虎三

    ○島本委員 では高濃度の水銀が検出されても、これは自然の水銀の蓄積であるから安全だ、こういうようなことになるのですか。これは厚生省とまた同じ水産庁。
  72. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 このメヌケの一魚種につきまして検出されております水銀の本態がまだ解明されておりませんので、ただいま先生御質問の点につきまして、これが直ちに高濃度であって安全であるかいなかあるいはただいま水産庁のほうから御答弁がございましたが、これがはたして自然の水銀であるかいなか、こういった点につきましてさらに検討を加えてまいる所存でございます。
  73. 島本虎三

    ○島本委員 自然の水銀が蓄積されたのであるならば、マグロと同じにこれが安全だということを厚生省ではお考えですか。またそういうふうな指導をなさいますか、まずはっきりこれを聞いておきたいのです。
  74. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 マグロの水銀につきましては、これは切り身になってもマグロであるということが消費者にわかるというような点である程度特別の取り扱いをしておるわけでございまして、メヌケの水銀が安全であるかいなかという点につきましては、やはり学者の先生方の御意見を今後伺ってまいりたいと思っております。
  75. 島本虎三

    ○島本委員 マグロは安全であるけれどもメヌケは安全でないということになるのですか、同じ水銀で。そこがまだはっきりしないのですか、はっきりしているのですか。
  76. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 マグロの中の水銀とメヌケの中の水銀が同一のものであるかいなかにつきましては、まだ解明されておりません。
  77. 島本虎三

    ○島本委員 水産庁、同じですか。
  78. 安福数夫

    ○安福政府委員 厚生省の意見を承るより私ども判断はないわけでございまして、そのように承知いたしております。
  79. 島本虎三

    ○島本委員 どうもあいまいなんですね。マグロのほうは切り身が赤いから自然の水銀が蓄積されておってもこれはだいじょうぶだというふうにして厚生省のほうでは指導なすっておる。メヌケのほうは色が身は白い。したがって、この問題についてはまず高濃度の水銀を検出されておってもこれは安全であるのですか、ないのですか。両方別々に考えられるのですか。この辺がどうも私は納得できない。とれるところは遠洋のこれはミッドウェーのあの付近である。そうするとマグロもその辺やっておる。身が赤くても白くてもとれる場所は同じじゃありませんか。その差があるのですか、水銀に対して。被害に対しても差があるのですか。どうもその辺が私は不肖にしてわからないのであります。解明願います。
  80. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 ちょっと説明が足りなかったので誤解を招いたようでございますが、マグロの場合はやはり最後までマグロであるということが消費者にわかるので、これはある一定量以上は消費者のほうで自覚して食べないということが条件になっていたようでございます。
  81. 島本虎三

    ○島本委員 そうしたらキンメダイのほうだって、これはキンメダイだといって食べたら同じじゃありませんか。違うのですか。
  82. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 キンメダイの場合に最終的に消費者の手元まで、切り身になって販売された場合に消費者がキンメダイとしてこれを認識し得るかどうかという点につきまして検討を加えたいと思っております。
  83. 島本虎三

    ○島本委員 さっぱりわからぬな。キンメダイとしてそのものを売った場合はキンメダイでしょう。マグロはマグロといわなくても切り身が赤いからマグロだとわかる。わかるから安全だ。そうしたらキンメダイも切り身にしておいてキンメダイとしてはっきりしてやったら、結局高濃度の水銀を両方とも持っていたとすれば両方とも同じだ。しろうとでそう考えるのですが、くろうとはそう考えないのですか。どうもその辺私理解できない。こういうような場合にやったら困るのは消費者であって、それを売る立場にある水産庁、これは漁業家を指導しなければなりません立場の人はまた困るじゃありませんか。第三水俣で困っておる漁民のこういうような悲惨な状態を見ると、こういうようなものをあいまいにしておいてあとからまたその上塗りするようなことがあってはいけないからこの機会にはっきりさせておいたほうがいいと思うのです。あなたの高道な意見はわからぬ。わかる人を呼んでください。
  84. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 どうも混乱を招きましたが、切り身に魚種を表示することが可能かどうかという点でございまして、すべてのそういった切り身の魚について魚種を表示できることが可能ならばまさにマグロと同じ問題だと思います。
  85. 島本虎三

    ○島本委員 長官、お聞きのとおりなんでありまして、同じ場所でとれる、同じようにこれは自然の水銀らしい、それが蓄積されたものである。マグロに対してはいい、キンメダイに対してはまあ表示上困難であるがこれはあぶない、それははっきり表示してもどうなんだ、どうも見解が不一致のようであります。私は理解に苦しみます。今後こういうような場合には単にPPM基準で食生活の指針になるような基準、この設定を今後は行なうんだとはっきりあなた第一項目にこれをいっているわけですが、いまのような指針じゃわからぬじゃありませんか。もっと国民にわかるようにこれは指導すべきだと思うのです。赤いから安全だ、白いからこれは心配だ、こんなことには決してなりません。そこをもう少しりっぱに指導すべきだと思います。長官の御高見を伺います。
  86. 三木武夫

    三木国務大臣 問題はやはり自然に蓄積された水銀というものが一体人体にどういう影響があるかということがまだ解明されておるといえないという点であります。工場排水などの汚水によって蓄積されたそういう水銀というものに対しては医学的にも相当解明をされた面があるが、自然に蓄積された水銀というものはなかなかどういうふうに人体に影響があるのか——それはマクロなとも長い間食べ続けておるけれども、そしてまた相当な水銀をマグロが持っておることは事実であるけれども、しかし人体への影響というものに対しては端的に出ていないわけでありますから、そういうところに厚生省としても安全の基準をきめるときのむずかしさがあったので、マグロに対してもあまり一ぺんにマグロを食べないようにというので切り身で幾らというようなことをしたわけでありまして、そういうことでやはりおそらくはキンメダイでも一ぺんにたくさん食べなければというような意味で、いま局長答弁もちょっとキンメダイのほうはすぐに一目で見てわからぬということで言ったのでしょう。われわれも非常にむずかしいけれどもPPMだけではわからぬですから食生活にわかりやすいようにその基準を出してもらいたいということで相当知恵をしぼってアジ何匹というようなことになったわけでしょうけれども、なかなかこれは具体的に食生活の指針というところになってくるとむずかしい点がありますが、これはやはり一番迷惑するのは国民でありますから、今後厚生省とも相談をして解明できてないものはやはり今後解明をしなければならぬと思いますが、現在解明された範囲内においてできるだけ一般の国民の食生活に何か非常な不安を起こさないように今後安全基準の問題というものについては説明を加えていくようにいたしたいと思います。
  87. 島本虎三

    ○島本委員 まあ長官としてはその程度だろうと思います。それ以上の答弁をまた要求もできないと思いますけれども、しかし厚生省は専門家なんだ。専門家がやはり天然水銀に対する見解が物体によってまちまちである、こういうようなのはどうも私はわかりません。したがってこの問題は、どういうようなわけでキンメダイのほうがだめなのか、マグロはいいのか、こういうような点のもう少し具体的な説明資料、これをひとつ私要求いたします。いまのままでは少し私は国民に対して申しわけない、こう思いますから、ひとつこの点強く要請しておきますが、よろしゅうございますか。
  88. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 はい。
  89. 島本虎三

    ○島本委員 じゃ次に移ります。  PCBの同じ代替品として今度は安全性がまだ十分確立されていないと思われるKSKが一部の企業でもうすでに使用されているわけです。分解性についてもこれは実験室の中で活性汚泥によって確認されたというだけで自然界に出された場合の分解はまだ確立されていない、まして発ガン性についても生物実験が行なわれていない。PCBをおそれるのあまり安全性の確認が不十分なこういうような代替品をそのまままた許可して出させるということは第二の危険を国民に負わせることになるのじゃないか、こういうように思うのです。安全性が十分確認されるまでの間は慎重でなければならないのですが、この点に対しては通産省はすぐこれを許可して代替品として使わせておるようであります。これははたして安全であるのですか。見方によっては調査不十分、安全であるとするならば、この代替品の安全性をはっきりここで解明してもらいたい。
  90. 赤羽信久

    ○赤羽説明員 安全性を完全に究明いたしますにはいろいろ長い時間の測定が必要でございまして、御指摘のようにそれが全部済んで使われているというわけではございません。しかしながら短期間の実験によりましてかなりはっきりしている。特に御指摘のKSKにつきましてはアルキルナフタリンでございまして、普通の石油とあまり性質が異なるものではございません。PCBのように塩素を含んで非常に安定かつ毒性の強いというものではございませんので、その点の問題は少ないかと思います。  しかもPCBの場合問題になりましたのは、元来分解性が悪くて自然界に放出された場合に自然に残る。それから蓄積性があって魚に残り、それを食べた人間にも残る。そしてかつ慢性毒性も、まだはっきりはいたしませんが、ありそうである。こういう三つの作用が重なりまして問題になったわけでございます。ところがKSKにつきましては石油と同じようなものでありますから、分解性もある程度確認されておりますし、それから蓄積性もそれほどない、代謝作用があるということが確認されておりまして、環境汚染にはまず至らないということがございますので、すぐに問題になることはないと思っております。
  91. 島本虎三

    ○島本委員 決してそうではないと言っているのじゃないのです。そのいま言った安全性が確実なのかどうかと言っているのです。そしてどういうよう過程であなたたちがそれを認めたのかということが重要だということです。アルキルナフタリン、これが主成分であるKSKオイル、ネオSKオイル、KMCオイル、こういうようなものはほんの六カ月間簡単な試験をやられただけで、そして肝心な二年以上かかるであろうと思われる発ガン性の試験であるとか催奇形性試験、これはまだやられておらないでしょう。そしてこの問題に対しては危険性がまだまだ十分あるということ、特にアルキルナフタリンのような構造物質には発ガン作用や催奇形性の強いものが多いのだ、これも定説でしょう。疑わしきは使用させない、販売させない、こういうような原則を現在ははっきり守ることが必要じゃないのかということなんです。これは前から言っていることなんです。皆さんの場合は安全だといっている、そしてそれを出している。安全だというのは六カ月間の、それも温床の中の検査で安全性がまあ確認されたということだけでしょう。生分解性についてはメーカーの試験、これだけでしょう。実験室で一定の温度、条件のもとでバクテリアを繁殖させる活性汚泥方式による試験でしょう。これがもし自然の海、川、こういうようなところに流れ込んだ場合には、実験室の中と同じような条件でこれは分解するだろうかどうか。これもすると考えているわけでしょう。分解速度、これはおそい。当然皆さんは早いからいいと言うけれども、自然界に出たならば一そうおそくなる、こういうようなことは考えられるでしょう。確かにPCBに比べて分解速度が早いといっても、十分早くはない。そして食物連鎖を経て人体に侵入する、こういうようなことがある場合には、安全だ、安全だということがむしろ第二のPCBの被害、こういうようなこともまた与えるような結果が招来されないか、十分確かめてやりなさいよということなんです。ことに工場の熱媒体としても、発ガン性のおそれのあるところのアルキルナフタリン、ビフェニールの油、こういうようなものを使用許可しているという現状は、これはやはり危険だ、私どもはこう見なければならないわけです。したがって、これはかわるものがないならよろしいが、高圧水であるとか高圧スチームによって十分性能を果たせるでしょう、機能を果たせるでしょう。そうしたならば安全性の問題を主にして指導するのがいわゆる公害行政における通産行政のたてまえじゃありませんか。これをすぐ売りに出して、これは安全だといって、安全性六カ月間、それも肝心の催奇性やガン関係の試験はやっておらない。これでもう出してやって、ほんとうに安全かというと、学者が言うからだという。学者の試験は六カ月間。二年以上有するところのこういう実験もしていない。こういうようなことに対しても安全だといって、これは太鼓判を押せるのですか。この点も国民の前に解明しなければならない問題だと思うのです。代替品に対する安全性の問題に対して、いまの質問に答えてください。
  92. 赤羽信久

    ○赤羽説明員 御指摘の点のうち、実験室でやった分解性の試験がそのまま自然界に適用できるかということは、確かに問題ございます。しかしながら、自然界に生きております生物は自然界のほうが生きやすい。実験室のほうが生きにくいということからもわかりますように、その条件のもとでより活性である。これが専門家の一応の定説でございます。もちろん例外は若干ございましょうけれども、実験室のほうが分解性の悪いデータが出る。したがって、安全サイドのデータがとれるということが一応の定説になっておると聞いております。  それからビフェニール等が熱媒体に使われておりますが、これはかなり昔から使われておりまして、その結果、特に環境汚染を起こしていないということからもかなり実用に耐えるものであることがわかるかと思います。  なお、催奇形性あるいは発ガン性につきましては、ただいまのようなことで環境経由の環境を汚染するということが非常に微量であろうと思われますので、すぐ心配はないかと思いますが、研究は着手する予定でございます。すでに準備が進んでおります。
  93. 島本虎三

    ○島本委員 催奇性や発ガン性に対しては、環境を汚染するおそれがないからいいという。人間のからだがおかされて、環境だけ残るようなことだった場合どうなるのですか。これは環境汚染のおそれがないということはどういう意味でしょう。一番環境が汚染されて困るのは、環境だけじゃない、そこに住んでいる人間の健康と生命がおかされるから困るのだ。環境を度外視して、今度人間の生命と健康のほうに被害があるじゃないかということをいま言っている。したがって、その試験を十分やってからこれはやらせるべきじゃないか、こういうことなんです。環境が破壊されないからだいじょうぶだ、こういうような論理の展開はどういうことです。
  94. 赤羽信久

    ○赤羽説明員 ことばが足りませんで申しわけございませんでした。熱媒体等に使う場合は厳重に管理して使います。それを全量環境に排出することはございません。そういう前提でございますから、直接人間が摂取するということはなくて、PCBの場合と同じように、問題になりますのは環境にたまったものが生物、特に魚等を経て人間に入るということを心配するわけでございます。ところが分解性等があって環境が汚染されませんと、魚とか生物を経由して人間に入るおそれも少ない、あるいはきわめて微量になるということでございます。
  95. 島本虎三

    ○島本委員 だから安全だというところまではまだ考えられない。しかし許可されてもうすでにやられておる。こういうようなことが心配だということです。これはもっと代替品をやる場合は、大臣、いまのような状態で、業者は確かにいいかもしれません、売れますから。しかしやはりかわるべき方法というものはあるわけですから、わざわざこれを代替品でなくともやれるわけですから、そういうようなやり方を使ってでも、これは安全性のほうを先に考えてやるのが環境行政、公害対策である。高圧水であるとか高圧スチームに切りかえればいいでしょう。一番簡単でしょう。それをやらないで次から次と代替品をやる。そういうようなことからして、すでに前にも指摘してあるわけですけれども、感圧紙のようなもの、PCBのものを持ってきてもこれはどうにもできないわけです。処置する方法がまだない。ただ保管してある。したがってそういうようなことをするよりも、代替品でまた心配されるよりも、ノーカーボン紙の生産と使用は中止さしてカーボン紙に切りかえれば何でもないことでしょう。なぜノーカーボン紙にしてまたその売る速度を早めなければならないのですか。高度経済成長はそうまで危険を伴いながらも急がなければならないものですか。日本は狭いのになぜそんなに急ぐのですか。何かの標語にあったようですけれども、しかしやはりこういうような点ももっともっと考えなければならないと思うのです。これも通産省答弁はわかりましたが、大臣も環境行政と公害対策をやるためには、もう一つ発想をその辺まで戻してもしかるべきじゃないか、こう思いますが、大臣の今回の高見を承らしてください。
  96. 三木武夫

    三木国務大臣 新しい物質が次々に出てきておるような今日、代替品の問題についても、いろいろすぐに便利な点もあるでしょうけれども、御指摘のように安全性の確認ということはこれから非常に大事だと思います。そういう点で通産行政の中にも、新しいいろいろな物質というものは、多少の時期はおくれても安全の確認ということに対しては十分に今後気をつけてやることが私は必要だと思います。そういう点で、いろいろ今後にもある問題でありますから、これは通産省との間にもやはり十分な協議をして、新しい物質に対する安全の確認ということに対しては、従来以上に今後は周到な注意を払うようにいたしたいと思います。
  97. 島本虎三

    ○島本委員 同時に、魚介類のほうへ、先ほどから先にいってしまって申しわけありません。ちょっと戻りますが、この安全基準と検査体制、このことですが、消費者が自衛体制を講ずる。こういうようなことは行政に対する不信ということも当然あるわけですから、消費者、国民が安心して魚介類を食膳に乗せることができるようにするためには、まず水揚げ地と集荷地での検査体制を確立することじゃないか。それと同時に、そのための検査機械、これもガスクロマトグラフィーですか、こういうようなものに対しても設置を十分に検討して検査技師の増員ということも考えて、やはり市場に回ったものはみんな安全なんだということに当然してやるべきじゃないかと思うのですが、この点等に対しては水産庁は十分考えてやっておりますか。
  98. 安福数夫

    ○安福政府委員 御指摘のとおりでございます。したがいまして、根本的にはやはり漁場自体の実態を性格に把握するということが問題でございまして、そういったところで、問題の漁場については、そこからとれる魚というものが市場流通にのぼらないのだ、こういう基本的な措置がまず講じられるということが、不安感の払拭の大前提になると思うのです。そういったことは、関係各省が三省、四省に、わたっておりますけれども、それぞれ環境庁を中心にいたしまして、十分な連絡のもとにそういった調査体制は十分整っているという体制を展開している過程でございます。せんだっても、環境庁を中心にいたしまして、そういった問題で緊急にPCBあるいは水銀、そういった問題についての調査をさらに綿密にやるということから、予備費の使用といたしましては、七億五千万の予備費の使用を認めていただきまして、その中で基本的な県の委託調査になりますけれども、その中で一部、先ほど御指摘がございましたあるいは原子吸光分光光度計でございますか、それとか、いまのガスクロマトグラフの器具の設置、これは私どものほうでは県の水産試験場を中心に、そういった器具の設置、さらにそういった分析能力のある人の配置、再訓練、そういったことも十分考えてまいりたい。これは今年度の予備費の中での措置でございますけれども、来年度の予算におきましても、その充実を十分してまいりたい、このように考えております。
  99. 島本虎三

    ○島本委員 じゃ、そういうふうに十分配慮してやってもらいたいと思います。まだありますけれども、これは次回へ譲って、この問題に関してはこれでひとつ打ち切ります。  それ同時に、防衛庁来ておりますか。——防衛庁のほうの基地公害についての質問に移ります。  基地周辺の環境整備法、こういうようなものの補助や援助を拡大する新法をいま検討している、こういうようなことを新聞報道で理解しておるわけです。おそらくは、こういうようなことは十分考えておられるのじゃないかと思いますが、この基地周辺の環境整備、補助や援助拡大のための新法づくり、これは一体どういうような発想なのか。われわれ、このものに逆に危険な発想がうかがわれるわけですから、その問題に対しては富士保全法との関係等もこれあり、ここでこれは触れません。しかしながら、やはりこういうような動きの中で、私は具体的な問題として基地公害、この問題について、ひとつ責任ある答弁を承りたいのです。  あなたでだいじょうぶですか、失礼ですけれども。きょうは長官をお願いしていたのですが、どうしてもだめだ。責任ある答弁のできる者といったら、いらっしゃってくれたのがあなたですが、いいですか。
  100. 長坂強

    ○長坂政府委員 私でだいじょうぶかとのお問い合わせでございますが、私の責任の持てる限度におきまして十分お答えしたいと存じますが、私の責任の負えない問題につきましては、その旨を御答弁さしていただきまして、お許しを得たいと存じます。
  101. 島本虎三

    ○島本委員 どうもそれじゃ困るじゃありませんか。だから長官にお願いして、それでなければ責任をもって答弁できる人をお願いしたい、政府委員に数回にわたってこの点念を押してあるのです。ですから、あなたが答弁することは的確にしてもらいたい、責任を持ってもらいたいと思うのです。(長坂政府委員「極力そういうふうにします」と呼ぶ)極力をつけて五〇%ぐらいの答弁じゃだめだ。これは笑いごとじゃないのだ。それほどあなたたちは簡単に考えちゃいけない。  まず、北海道の千歳市でこの六月に第二航空団のF104ジェット戦闘機が市街地周辺に落下した。このことは皆さん十分知っておられる。農家被害を与えたことも知っているでしょう。防衛庁長官がそのときに、地元の了解を得ないうちは訓練飛行は再開しない。この騒音と恐怖です。このために、長官ははっきりこれを言明したはずです。地元の了解を得ないうちは訓練飛行は再開しないという言明、同じこの言明を新聞でも読みました。地元の了解を得たとして、現在もう演習飛行をやっておりますが、だれが了解したのですか。
  102. 長坂強

    ○長坂政府委員 現地の司令官と市当局と話をいたしまして、その了解を得てやっておるわけでございます。
  103. 島本虎三

    ○島本委員 現地の市長米田忠雄、千歳市議会議長名でそれぞれ皆さんのほうへ要請が来ているはずです。それによれば、市街地周辺の飛行を回避すること。ファントム機の配備は再検討すること。これに対して何ら回答も返答もしていません。そして議会のほうに対しても、何ら了解したということを、これは確認を得ておりません。それで、いま市議会ではこの問題について重大関心を持っている最中でしょう。市長がそれをはっきり確認を与えた、こういうようなことですか。この際ですから、はっきりしておいてもらいます。間違いありませんか。
  104. 長坂強

    ○長坂政府委員 その当時以前から、実は千歳の自衛隊の滑走路につきまして、これを南方へ移動してもらいたい、それは市街地により遠く滑走路を移すことによって騒音の程度の減少、それからその場周経路というものをさらにそれに伴って南へ延ばすことによりまして、そういう万一の場合の危険性というものをさらに少なくするというような意味をもちまして、その滑走路を南へ移してもらいたいという地元からの要望がございました。これがことしの五月、それから六月、地元からそれぞれ強い要望になってあらわれてまいりまして、これをこの夏には南方移動に対する態度をきめますというふうに御回答申し上げておったわけですが、この八月にやはり業務計画の関連事項といたしまして、防衛庁としまして昨日、この滑走路南方移動につきましては、四十九年度において所要の用地買収費その他を含めましてそれを実施するという方針を決定いたしました。そこで、そういうような事情も千歳の市長に伝えまして、市当局に伝えまして、そしてそういう配慮も行なっておる。それから、従来行なっておりますいろいろな、夜間飛行の規制であるとか、あるいはエンジンの試運転の規制であるとか、あるいは住宅地上空での飛行は市街地を避けて飛行するように場周経路をやはり守っていくのだ、こういうことをあわせてお伝えいたしまして、それぞれまだ、何と申しますか、そういうことをお伝えいたしまして逐次地元の了解をとっていくという姿勢で、この来年度のファントム配備というようなものの計画決定もいたしたわけでございます。
  105. 島本虎三

    ○島本委員 これは議会では了解していない。そうして市議会では、四十八年の六月七日に議決している。市街地周辺の飛行を回避せよ、ファントム機の配備は再検討してもらいたい。いまファントム機の配備については——これはF4Eファントムですね。これはどういうようなことになっておりますか。
  106. 長坂強

    ○長坂政府委員 これもやはり昨日の庁議で決定を見たわけでございますが、昭和四十九年度の業務計画といたしましては、第三百二飛行隊というものを四十九年の第二・四半期から新編をいたしたい、それから、それに伴いましてファントムの十八機をやはり第二・四半期から、その中の一部は四月から、配置をいたしたいという計画でございますが、それを業務計画にあげまして、四十九年度の業務計画として昨日庁議の決定を見たわけでございます。しかし、もちろんこの前提と申しますか、かねがね市議会、市当局からの御要望がございますいわゆる安全体制というような意味合い、それから騒音対策というような意味合いで滑走路の南方移動ということを実施をする。そしてそういう意味で危険性の減少とか騒音対策ということに資したい、そういうような姿勢をもちましてあわせて決定をいたしておるわけでございます。  以上でございます。
  107. 島本虎三

    ○島本委員 だから結局ファントム機の再検討をしてくれということは、四十九年度からこれは配置にきまったということになったわけです。これではもうすでに——再検討してくれというのは、配備しないように検討してもらいたいという意味です。それをあなたたちは配置するように検討したわけです。どうも裏、裏でしょう。市街地周辺の飛行を回避してもらいたい——落ちた場所は農家のほんの近くです。これはやはり生命の危険さえあるのです。騒音はもちろんです。しかし、それはもう遺憾ですが、これを了解したのは市長だということですか。米田忠雄市長が了解した、こういうようなことですか。議会は了解していないというのです。
  108. 長坂強

    ○長坂政府委員 四十九年度業務計画として庁議において決定をしておる。それで実際の配備につきましては四十九年の第二・四半期からでございます。そういう計画で進んでおるということでございまして、その内容を市当局にももちろん連絡してございます。それでもちろん……。(島本委員「地元の了解を得たというのは、どなたから了解を得たのですか。」と呼ぶ)配備に至るまでの間に了解をとるという意味に解していただいてけっこうだと思います。もちろんこういった計画の内容につきましては市当局に連絡はしてございますけれども……。(島本委員「了解はだれからとったの。」と呼ぶ)いや、ですから、この計画の内容が市長にも市当局にも連絡してございますが、実際の配備までに市当局からも市議会からも了解をとりたいというふうに私どもは念願をしておるわけでございます。
  109. 島本虎三

    ○島本委員 だからわけがわからなくなるのですよ、あなたでは。地元の了解を得たということになって演習を再開している。了解を得たというのはだれから了解をとったんだということなんです。あなたは市長だ、といったから、市長か、というふうに念を押しておるのですが、どうもその辺、ファントム機で逃げている。
  110. 長坂強

    ○長坂政府委員 F104の飛行再開につきましては市長から了解をとった、そういうふうに御理解いただきます。
  111. 島本虎三

    ○島本委員 その問題はそういうふうにしてまだ市民並びに議会との間で不信を買っているその最中に、今度は八月の十四日から八月の十五日、二回にわたって米海軍機A4スカイホーク、これがまた千歳の上空を——艦載機ですから騒音もでかい。空母から飛び立って、推進力もこれはもう強力なものでありますから、音も鋭く高い。これが八月十四日から十五日、二回目飛び立りたのは十六日の午後零時過ぎ、突然これが飛来しているのです。飛行目的はこれは何ですか。どうしてこういうような点に対して、皆さんのほうでは——基地周辺法などというものも特損法というものもあり、そして今後は公害調整委員会にかけて、そういうような被害は今後は救います、そういうようなさなかにどうしてこういうようなものを、爆発的な音を出すような艦載機などを飛び立たせるのですか。これは飛行目的は何ですか。
  112. 山下新太郎

    ○山下説明員 お答え申し上げます。  私ども防衛庁を通じまして事実関係を確認いたしましたところ先生指摘のように十四日及び十五日の二回にわたりまして三沢基地から米海軍A4各二機ずつ入っております。そしてその次の日のお昼にそれぞれやはり出ておりますが、飛んでまいりました目的は、三沢の基地、それから三沢のあれは米軍に提供されております施設区域でございますが、その緊急の代替飛行場として千歳の飛行場の特性を知りたいということで慣熟訓練のために入ってきたと了解しております。
  113. 島本虎三

    ○島本委員 これは千歳では、市はもちろんです、飛行場を管理する航空自衛隊第二航空団にもその目的が何ら告げられておらない。そしてかってに飛来している。また、かってに飛び立っている。この問題については市長も遺憾の意を表しておる。そうすると、艦載機というようなものは——千歳はもう米軍の基地ではなくなっていますね。あれはもう自衛隊の基地になり、米軍の基地ではなくなっている。返還されている。そうすると艦載機がきたということは、千歳の基地化が前提になるのかどうか。同時に、事前協議の対象にならないかどうか。この問題については外務省はどのように把握しているのですか。
  114. 山下新太郎

    ○山下説明員 御指摘のとおり千歳の飛行場は自衛隊の飛行場になっておりまして、それと同時に公共用指定を行なわれておる飛行場でございます。確かに米軍の施設区域という地位はすでになくなっているわけでございますが、御承知のとおり地位協定の第五条一項によりまして、日本国の飛行場に米国の飛行機が、要するにここでいっておりますようなA4でありますが、そういうたぐいの飛行機は入れるということになっております。さらにまた三沢は先ほど申し上げましたように、施設区域として提供されておるわけでございますが、こういった施設区域と日本国の飛行場との間を移動することも同協定五条二項において認められております。  なお、こういう形で千歳に入ってくるということが事前協議の対象になるかという御質問でございますが、御承知のように安全保障条約第六条の実施に関する交換公文、ここでうたわれております事前協議の対象となります事項、三点ございますが、そのいずれにも当たらないというのが私どもの見解でございます。
  115. 島本虎三

    ○島本委員 在日海軍司令部のほうでは八月の二十三日にいまおっしゃったように、青森の三沢については米海軍のミッドウェー号が横須賀を母港化した、したがって艦載機の訓練飛行場として厚木、三沢の基地を基地として使用する計画を発表した、千歳飛行場は三沢にかわって米軍により指定された代替飛行場なのである、こういうようなことに結局なるわけですか。そしてその場合には何ら市長なり日本側とその相談やこういうようなことはもうしなくてもかってにやってもいいものなんですか。
  116. 長坂強

    ○長坂政府委員 本来外務省からお答えすべきことだと存じますけれども、たまたまその事情を若干、外務省の立場を補足いたしましてお答えいたしますが、この航空機の場合もちろん地位協定上三沢とそれから厚木、それが提供飛行場でありますことは先生御承知のとおりでございますが、そのほか緊急な場合におきまして、航空機の場合は提供の飛行場の上空の事情、天候の事情などが悪いような場合には、やむなく不時着をしなければならないような必要性が生じてまいることが十分予想されるわけでございますがいそのような不時の場合の用に備えるために、公共用の指定のある飛行場に不時着をしなければならないような場合も生ずることを予見いたしまして、緊急の場合の代替飛行場として千歳の飛行場に着陸する、それになれようとする、そういう訓練の目的を持ったものである……。
  117. 島本虎三

    ○島本委員 かってにやっていいのか。
  118. 長坂強

    ○長坂政府委員 それはかってにということではございませんで、そういうような場合にもそういった飛行計画を航空管制機関、つまり運輸省には通報するということになっておるわけでございます。以上、私、外務省を補足する意味で申し上げておきます。  なお、協定上のことにつきましては外務省から……。
  119. 島本虎三

    ○島本委員 この問題に対して、私、言っておるのは、基地は縮少される方向をいまたどっておるのです。ところが、この場合には、逆に、米軍から返還されていながら、またしても今度そこが代替飛行場になって指定されておる。基地を拡大していく方向に今度は向いておるとするならば、これは逆行するようなことになるでありませんか。これはもう市長でも市議会でも全部この点については不信を持っております。なぜこういうようなものを地元の了解も得ないで——艦載機の場合の爆音、騒音はまさに地獄のようなものだ。そういうようなこと、これは公害対策指定地にさえなっておる。そうしてそこで規制されるのは、かじ屋さんの音であるとかとうふ屋さんのラッパの音であるとか、こういうようなものは規制の対象になっておる。しかしながら艦載機のこのようなごう音、まさに全市、ものを言っても聞こえなくなるようなことがかってに行なわれておる。こんな公害対策がありますか。逆行です、これは。ましてこういうようなことをかってにやってもいい、そして知らないうちに米軍によって代替飛行場に指定された、今後米軍はかってに来ていいんだ、こういうようなことになったとすると、やはり公害対策の面から考えても、この艦載機の場合は普通の飛行機よりものすごく高い爆音ですから、どういうような対策をもって飛行させるのですか。公害対策の面から施設答弁してください。
  120. 長坂強

    ○長坂政府委員 まず御質問の第一点でございますが、基地は縮小の方向にあるにもかかわらず、これは拡大の方向をとっている、いわゆる逆行するものではないかという御趣旨でございますが、これにつきましては防衛庁としては米軍のために千歳の飛行場を二条4項目(a)なり(b)なりの飛行場として提供するような意図は持っておりません。  なお外務省から承っておりますが、このことにつきましては、外務省からも米側に、今後こういうようなことについては慎重に考慮してもらいたいということを申し入れまして、米側は考慮するという旨を回答あった由でございます。  なお、これにつきましては外務省から補足していただきます。
  121. 山下新太郎

    ○山下説明員 お答え申し上げます。  ただいまの米側が地位協定五条1項によって施設区域に提供されていない飛行場にやたらに入ってくることは、特に地元の御了解を得ないでやたらに入ってくることは困るということでございますが、確かに騒音その他の問題もございます。それで施設庁より私どものほうにもそういう趣旨で米側と話をしてくれということでございまして、そのつもりでおります。  なお先ほどちょっと伺いましたところによりますと、現地の司令官もその辺には十分配慮したいということを言っておるそうでございます。私どももアメリカ大使館を通じまして十分先生のおっしゃる点は申し述べたいと考えております。
  122. 島本虎三

    ○島本委員 この問題に対しては、F104ジェット戦闘機の騒音で生活不安を住民に与えている、それと米軍から返還されて米軍の基地ではなくなっておるのに、今度また突然かってに艦載機も飛んでくるようになる、またそれも一つの不安として当然住民の上にかぶさってくる。六月七日の意見書、これは議決関係機関が要望しても結局それはほとんど無視されている。こういうようにしてもう住民感情としては許されないというところまでいっておるわけです。これは決して私自身の想像ではなく、はっきりそういうようなことが私どものほうに来ておるのです。これはもういわば主権の侵害じゃありませんか。金大中の問題と似ておるようなものじゃありませんか。そうではないはずのところに、かってに来てもいいような、その爆音も耐えがたい、受忍限度も越しておる。その公害対策も何ら考えていない。こういうようなことは許されません。私どものほうではこの問題に対しては重大な関心を持っていますから、これは十分調べた上で、いま言った趣旨に沿っておるのかどうか、公害対策の面からどういうようなことを考えるのか、そうして今後住民の不安を除去するためにどういうような対策を持っておるのか、この問題に対してははっきりと文書で後ほど回答してもらいたい。  もう時間の関係できょうはこれでやめておきますが、この点は文書で、よろしゅうございますか、防衛庁。
  123. 長坂強

    ○長坂政府委員 先ほど来るる御答弁申し上げておるところでございますが、このA4の問題につきましては、先ほど外務省からも御答弁申し上げ私も御答弁申し上げましたように、これはいわば何と申しますか、ごく臨時的な事象でございまして、そうしてこの件につきましては外務省からも米側に対しまして慎重に考慮してもらいたい、米側も慎重に考慮するという回答を寄せておる由でございますので、本件のA4のごときものにつきましては今後そういう事象はほとんどないといっていいのではないかと思います。  それで先生指摘の自衛隊の飛行機、これにつきましてはどういう騒音対策公害対策があるかというお問い合わせにつきましては、先ほど来申し上げております滑走路の南方移動という対策を講じまして、これで大きく市街地から引き離しをしようという対策を立てております。  そのほか騒音規制の面につきましては、時間の規制、それから場周経路の励行、エンジンの試運転の規制、さらにサイレンサーを現在二基持っておりますが、四十八年度において一基建設をいたすことにしております。そういうようなもろもろのことをそれぞれ確実に励行することによりまして公害対策上の実をあげてまいりたいというふうに考えておりますので、以上お答え申し上げまして御理解を得たいと存じます。
  124. 島本虎三

    ○島本委員 理解を得たいといっても、それは知らないうちにやられてしまう。これは通産省とだいぶ似ている。今後再びそういうことがないように努力するから理解してもらいたいといってもちょっと理解できない。これは私は、重大な一つ日本に対する挑戦じゃないかと思う。これはちょっと理解できない。したがって、これは十分にその前後の事情をもう一回説明してもらいたい。この場所でなくてもよろしいが、これだけは私、理解しませんから、ぜひともこの説明だけはしてもらいたい、こう思います。  次に、これは重要ですから次の問題に移ります。だからといって、納得したのじゃないんですよ。これは自然保護関係なんですが、自然保護の問題でいま天目山といわれて、建設着工か中止か、これでもってだいぶゆれている大雪の縦貫道路、この問題は自然環境保全審議会でいろいろと検討中であるように承っているのですが、この縦貫道路の問題はどういうふうになっておりますか。
  125. 江間時彦

    ○江間政府委員 お答えいたします。  本件につきましては、いろいろ古い経緯もあるようでございますが、現時点におきましては審議会で御検討願っておるわけでございまして、おそらく九月前半ぐらいのところで審議会の数名の先生が現地をごらんになった上で、その調査結果をまた審議会において報告され、その結果を受けてさらに審議が続けられるというようなことになっております。
  126. 島本虎三

    ○島本委員 それで、林野庁来ておりますか。——これは自然破壊のおそれがある。同時に、この問題に対しては自然保護上から、いま自然環境保全審議会でどうするかということに対して現地調査も行なった上で審議を進めたい、こういうようなことでそれぞれ行く日にちも決定しておる、こういうふうなことですね。
  127. 江間時彦

    ○江間政府委員 お答えいたします。  まだどなたが行かれるか、それから何日になるかということは最終的にきまっておりませんが、ともかく物理的に九月の前半でなければ今年じゅうの調査がむずかしかろうということで、できるだけこの数日中に行かれる方と日程をきめまして、現地調査をやっていただくということだけきめております。
  128. 島本虎三

    ○島本委員 林野庁に聞きますが、ちょうどこの通過予定地に林道の建設工事がすでに始まっているということなんですが、これは事実ですか。もしそうだとすると、林道に名をかりた事実上の縦貫道路に着手したことになり、環境庁長官いませんけれども環境庁が無視されたことになる。これは一体どういうことですか。
  129. 辻良四郎

    ○辻説明員 旭川営林局で計画しております林道は、大雪縦貫道の予定地とはかなり場所も離れておりますし、そういう関係はない、こういうふうに考えております。
  130. 島本虎三

    ○島本委員 あなた、その場所をはっきりわかっていまの答弁をなすっているのですか、それとも向こうからそう言ってきたからそれを代行しているのですか。
  131. 辻良四郎

    ○辻説明員 営林局の資料に基づきましてお答えしたわけでございます。
  132. 島本虎三

    ○島本委員 じゃちょっと来てください。   〔島本委員、書類を示す〕  点線の個所が予定コースです。ここへやっているじゃありませんか。
  133. 辻良四郎

    ○辻説明員 いま私ども資料で御説明したいと思います。
  134. 島本虎三

    ○島本委員 この林道の延長コースと縦貫道路の予定線がほとんど重なっている、こういわれているのですけれども、五十一年度にはこれはドッキングの予定にもなっている、こういうようなことじゃありませんか。それで関係住民のほうからその中止の要請が出ておる、こういうようなことなんですが、この点はどうですか。
  135. 辻良四郎

    ○辻説明員 旭川営林局で予定しております林道の工事は、先生御案内かと思いますが、美瑛川の上流と辺別川の上流を結ぶ、こういう計画の路線でございます。それから大雪縦貫道の予定路線につきましては、まだ営林局側といたしましては正式な予定路線の話は聞いておらないわけでございますが、われわれが聞いておるところでは、忠別川と帯広管内の十勝川のほうをつなぐ、こういうような路線のように聞いておるわけでございます。したがいまして、ただいま申し上げました林道の予定路線はそうした点とは関係ない、このように考えております。
  136. 島本虎三

    ○島本委員 その関係がないということをはっきりここに示してください。関係があるから、住民のほうから即時中止の申し入れが行っているわけです。そして、そうなりますと、環境庁のほうではこの林道に対しての建設許可について知っているのですか。
  137. 江間時彦

    ○江間政府委員 お答えいたします。  ただいまおっしゃいました件が具体的にわれわれの協議事項の中に入っているかどうか、ただいま私、承知いたしておりません。後ほど調べましてお答えいたします。
  138. 島本虎三

    ○島本委員 せっかくこの問題に対しては、自然破壊のおそれがある、したがってその道路についてはわざわざ調査に行くような日取りまできまっているのに、その線に沿うて林道をつくり上げていく、そしてそれもコンクリート橋をかける、そして路盤は玉石あたりを利用して、林道中経費をよけいかけるような恒久的な林道の構築を行なっている、こういうようなことが地元から指摘されているのです。これはまさに環境庁としても、似通ったコースであるならば同じような被害を与えるものであるということで十分検討しなければならないじゃありませんか。検討できるまでこれは当然拒否すべきです。あなた答えられなかったら、ここへ長官を呼んできてください。
  139. 辻良四郎

    ○辻説明員 ただいまの先生の御指摘でございますが、われわれの林道計画は、すでにこの路線に着手する前におきまして環境庁とも協議が済んでおる個所でございます。またこの個所の自然保護につきましてはもちろん十分注意をいたしまして、林道の作設にあたりましても、たとえば捨て土の処理であるとか、あるいはのり面を切ったあとの措置として十分緑化するとか、そういう方法も当然やるわけでございます。また、この個所の自然保護につきましては、そういう意味での配慮をいたして実行いたすわけでございますし、環境庁との協議はととのっておる個所でございます。
  140. 島本虎三

    ○島本委員 環境庁、許可を与えてありますか。協議を終わっておるという話ですが……。
  141. 江間時彦

    ○江間政府委員 お答えいたします。  先ほどお答えいたしましたように、いま具体的に案件としてお話しになっていらっしゃるものが、私のほうの協議の範囲内であるかどうか、調べまして後ほどお答えいたします。
  142. 島本虎三

    ○島本委員 少なくともあなたじゃだめなんです。長官でないとだめなんです。ただ、与えられたことをやる任務しか持っていないようなのでは困るのです。ですから長官の出席を要請していたのです。きめられたこと、与えられたこと、それを読んでいるだけ、これでは答弁にならぬ。林野庁は山を破壊すればいいのですか。山の緑を守ればいいのですか。いま環境保全の重大な世論が巻き起こっておる際に、どこもここも林道をつけたりして山荒らしになるということは、十分これが指摘されているでしょう。環境庁と協議した、それさえも内容が明らかでない。私はこれを資料として要求いたします。いつやったのか、出た人はだれか、どういう協議をなすったのか、それを資料として要求いたします。そのあとでこの問題を詰めます。その資料を早く出してもらいたい。
  143. 辻良四郎

    ○辻説明員 さっそくに資料を提出いたします。
  144. 島本虎三

    ○島本委員 やはり環境庁もこういう問題に対しては、どこで何を行なっておるかということを十分監視していないといけない。  開発庁、来ておりますか——いままた開発庁のほうでは、大規模林業圏開発基本計画というようなものをつくって、来年度実行することになり、今度はもう大雪、阿寒、北見山系から日高まで含んで、総工費五千五百億、そうしてこれはもう森林資源の活用と質の向上、レクリエーション基地開発、こういうふうな目的でこれをやっているのですが、環境庁はこういう計画に対してはっきり了解したのですか。
  145. 江間時彦

    ○江間政府委員 お答えいたします。  現在の段階では、まだ承知いたしておりません。
  146. 島本虎三

    ○島本委員 そういうふうな状態の中に開発庁はこの計画を来年から実行するということを発表しておりますが、基本計画、これはどういうような趣旨で環境庁とも打ち合わせしないでこれを発表なさったわけですか。
  147. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 大規模林業圏の問題につきましては、先生御承知のように一市三十六カ町村、非常に広大な国有林を中心とする森林圏でございますが、かねてから御指摘ございましたように、公的機能を高めてもらいたいという地元の期成会等の御要望もありまして、大規模林業圏といたしまして、これは第三期計画の中でも取り上げているわけでございます。  本年におきまして調査等も始めておりますが、来年からいよいよ着工を始めたいということからいたしまして、四十九年度概算要求で着工の経費を要求することにいたしております。この大規模林業圏につきましては、やはり先生指摘のようないろいろな問題があろうかと思います。そういったことにつきましては、今後具体的な計画、路線、実行のやり方につきましては十分に留意、配慮してまいりたいと思いますが、来年は着工の概算要求をいたしておるわけであります。
  148. 島本虎三

    ○島本委員 すでに環境を破壊した開発は認められない。公害に類するような、公害をばらまくような企業の誘致、これは社会的な犯罪にもつながる。そういうような状態から、環境を破壊するような行為だけは厳に今後の計画の中でも慎まなければならない。環境庁がそのためにある。指導官庁が知らないうちに概算予算まで組んで、それも五千五百億、そうして来年度から実行する。環境庁が知らないなんて何たることですか。各局長、全部辞任ものです、四人せっかくそろったけれども。完全に無視されているじゃありませんか。前に言ったのは大雪一つです。今度のものは、大雪、阿寒、北見山系、日高——本州は全部自然は破壊され尽くしているのに、破壊の魔の手は北海道にまで飛んでいっている。なぜ北海道くらい残しておかないのですか。北海道開発庁は破壊庁ですか。なぜこれは十分環境庁と相談しないのですか。肝心のときに長官いないから、これはやむを得ないけれども環境庁、順位からいうとそのうちの長はどなたですか。
  149. 江間時彦

    ○江間政府委員 いまおっしゃったような趣旨を十分体しまして、われわれといたしましても注意いたします。過去においていろいろな経緯もございますけれども、現在は価値の転換の時代でございますから、新しい観点であらゆる問題を自然保護に徹して考えたいと思います。
  150. 島本虎三

    ○島本委員 厚生省にいたときと違うのです。厚生大臣みたいなそつのない答弁をしたからといってここは通るところではないのです。いま言ったようなことをやっていても、いままで自然破壊をされてきているでしょう。農工両全なんといって、農業も工業も両全、まして公害のないコンビナート。あなた、どこだか知っていますか。水島に鹿島でしょう。ところがあそこはいま公害の源泉地帯になっておるじゃないですか。ことばだけよく言ったってだめなんです。もう権限はこうなったのだから、これほどでかい北海道全域の自然環境の最も豊かな一ここまで大規模林業圏開発基本計画を立てて来年度から実施する、それを環境庁が知らない。一大雪の問題ではないです。環境庁全体の問題です。官僚的答弁だけ聞いたって納得できない。こういうような森林資源の活用、これはまさに伐採することです。なぜ木を切ることばかり皆さんの場合考えるのですか。これに対して林野庁あたりでも、この問題に対してはっきり関与しているのですか。環境庁の意見も聞かないでこれをやるのですか。阿寒だとか弟子屈、大雪山系、こういうようなものに対しては大規模林道が二本、中核林道が十五本、もうすでにこれをやっているでしょう。(「北海道予算を削ろう」と呼ぶ者あり)行なうべき手続もやらないで、こういう危険なことをやるなんて——削ろうという与党側のほうからいい意見も出ておりますが、もうその措置に沿うてやるならば、私の質問をこれで終わりますが、林野庁も環境庁も実際やっておるのですから……。
  151. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 いろいろと構想はございますが、まだ金額としては五千億とかいう数字が固まっておるわけではございませんで、具体的な実施の段階に至りましたならば、関係省庁と十分協議をいたしまして万全を期してまいりたいと思っております。
  152. 島本虎三

    ○島本委員 そういうふうにして知らないうちに林道が、この大雪の縦貫道路にかわって行なわれようとしている。また林野庁も環境庁も何も知らないうちに大規模林業圏開発基本計画が実行に移されようとしている。これは重大な環境のための危機です。十分これを考えて、環境破壊に至るような計画、こういうようなものをチェックすることだけは十分これを考えておいて、今後環境破壊に類するような計画に対して、こういったぶざまなことをすることのないように十分気をつけてもらいたい、これだけは心から要請しておきます。  同時に、それと同じようなことが、いま苫小牧東部の大規模開発計画の中にもこれがあるが、だいぶ時間がたっていて、このあとにやる人もあるから、私のやるのは、きょうの一番最後に苫小牧だけを抽出してやる、このことを宣言して、いま私のはこれで終わっておきます。
  153. 佐野憲治

    佐野委員長 いま長官が見えましたが……。
  154. 島本虎三

    ○島本委員 いま長官がいない間に重大な事実がわかったのです。というのは、これはいま大雪の問題で、せっかくこれが調査に入ろうとしているときに、ほとんど同じようなコースで林野庁が林道の開発、それも林道の場合には、特に金のよけいかかる密度の高い林道を計画中であります。また、それを実施しているということがわかった。そうしてそれと同時に、環境庁が知らないうちに、大規模林業圏開発基本計画というようなものが四月にでき上がって、もう予算を取って来年度からこれを実施しょうとしているわけです。その構想は、大雪、阿寒は言うに及ばず、北見、日高山系に及ぶ、五千億円をこえるような予算、そうして森林資源の活用、こういうようなことを目的にし、質の向上やレクリエーション基地の開発、こういうようなことでやっているわけです。ほとんど林野庁も環境庁も知らない。事大雪だけの問題ではなしに、こういったような大きな計画実施に移し、もう実施予算を取ろうとするならば、その前に環境庁は、この問題に対して知っていなければならないのですが、これが完全につんぼさじきです。こういうようなことでは困るのです。これが環境破壊のおそれがないのか、これは重大であります。あるようなことはやっちゃならないのですが、この計画はだれも知っていなかったわけです。おそらく長官も知らないと思うのですが、これは十分注意を要しますから、いま注意しておいたところです。長官、急に聞いてわからぬだろうけれども、こういうような環境破壊に類するようなことをやらしてはならない、このことだけは一応言っておきますが、最後にひとつ御高見を拝聴いたしましょうか。
  155. 三木武夫

    三木国務大臣 御高見と申しましても、いかに林道であろうが何であろうが、環境を著しく破壊するようなことはさせないということでございます。
  156. 島本虎三

    ○島本委員 終わります。
  157. 佐野憲治

    佐野委員長 中島武敏君。
  158. 中島武敏

    ○中島委員 環境庁水銀汚染調査検討委員会健康調査分科会が八月の十七日に、熊本県有明町の水俣病類似患者十名のうち二人について水俣病の疑いがないという判定を下した、このことが非常に大きな問題になっていることは御承知だと思うのです。  それで最初に、この問題について環境庁のほうから簡潔な御説明を伺いたいと思います。
  159. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 八月の十七日に、先生が御指摘のように、分科会が開催されまして、七月二十一日の第一回検討委員会で特に委員会の要望がございましたので、熊本大学医学部の十年後の水俣病研究班によります研究結果の報告がなされましたが、その際、定型的水俣病と全く区別ができない患者と認められました五人のうちの一人、それから水俣病の疑いと同じように見られるものとされておりました二人のうち一人に対します臨床所見について討議が行なわれたわけでございます。この二つの例につきましては、特に患者側の希望によりまして、本年の七月下旬から八月中旬にわたりまして二十日間、熊本大学の第一内科に入院しました上で、徳臣教授等、ほかの大学の先生もございますが、それらの方々によります診察も行なわれておりましたので、双方の診察結果をもとに検討されましたところ、現時点では水俣病の疑いがないという結論を得たわけでございます。環境庁としましては、水俣病に関します専門家の意見でございますから、この二例の診断については、これを尊重してまいる、ただ現在行なっております環境調査あるいは健康調査につきましては、もちろん従来からの方針に基づきまして、計画どおりに進めてまいる、そして最終的な評価をしたい、こう思っているわけでございます。
  160. 中島武敏

    ○中島委員 健康調査分科会の中で、いまの御報告ではまだわからないところがありますので、伺いたいのですが、つまりどういう意見とどういう意見の対立があったわけですか。どういう意見とどういう意見の違いであったのかということについて伺いたいのです。
  161. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生の御質問の点でございますが、私自身臨床の専門家ではございませんので、もし不確かなところがあったらいけませんので、私の了解した範囲内でお答えいたします。  この二人の患者さんにつきましては、熊本大学の研究班は、四十七年の七月から八月と、神経精神科のほうの診断は、四十七年の十月にされているわけでございます。この研究班の討議の中において、前の熊本大学の方がごらんになった時点でいろいろの所見があったということについての特段の否定的な意見ではございませんでした。いま局長がお答えいたしましたように、現時点においてはということでございまして、この熊本大学の第一内科に七月の末から八月の中旬にかけて二十日間入院いたしまして、そして徳臣教授以下全体の教授が何人参加されたか、私いま覚えておりませんが、ほかの大学の専門の教授も全部集まりまして詳しく何度も診断をされまして、そして現在の診断所見をお出しになりました。この現在の診断所見と同時に、その患者につきまして歩行障害があるかどうかというところにつきましては、特に映画をおとりになったものをお持ちになりまして、そして歩行障害の様子を示されたということと、また、この水俣病の場合に非常に問題になります運動障害というような問題につきましては、検査の実況を映画にしたものをそこでお映しになりました。そして、それを全部の先生がごらんになった、そういうことでございまして、この間の委員会におきます御所見は、七月の末から八月の中旬にかけてこの二十日間、臨床の専門家がみなで共同でくまなく検査した結果、現在の時点では水俣病とは認められない、そのような所見になったというふうに私どもは理解しております。
  162. 中島武敏

    ○中島委員 結論のほうはわかりましたが、この問題をめぐってすでに新聞でもいろいろ報道されておりますし、また私どもが聞き知っている点から申しましても、水俣病というのはどういう病気であるかということについて学者間に意見の違いがある、これは事実だと思うのです。この健康調査分科会の中においても、結論はいま言われたとおりでしょうけれども、そういう問題をめぐっていろいろな議論があったというふうに報道されておりますけれども、その点はどうでしょうか。
  163. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いまの御質問の問題でございますが、学者間に意見の相違があるということは、学問上は当然わからないところがある、それを解明していくことによって学問が進歩するということでございますので、純粋の学術論といたしましても、ほとんどの疾病につきましてそういう学術論争があるということは、私は医学を修めた者としては避けられないことだというように感じております。そういう意味におきまして、医学部の中にも基礎医学の教室がある、その基礎医学にはいろいろの生理があり、病理があり、薬理がある。臨床のほうにいたしましても、内科の中でも神経内科の専門の方もおられれば、また内科のほうの内科の専門の方もおられる、あるいは眼科の方もおられるということでございまして、おのおのの科別に、患者を見られるときの診断のビヘービアといいますか、そういうものにつきましてはやはり臨床の面でもまたおのおの特性をお持ちになるわけでございます。  御承知のように、水俣病といいますのは非常に複雑な病状でございます。特に第三水俣病ではないかといって提起されたものの中の一番むずかしい問題は、初めはどうもはっきりしなくて、そして年をとるにつれて遅発性の病変がある、その病変といいますものは、水俣病の患者にもあるが、一般の老人の患者の中にも老齢化現象として見られる病気がある。これは水俣病の患者は水俣病だけの病気を持っておってその症状があり、そのほかの病気の人は水俣病の症状が何もないということではございません。研究班の報告の中にも、対象として熊本の中の老人の検査をいたしますと、やはり部分的あるいはそのうちのかなりの部分が同じような患者が見られるということもございますので、慢性の水俣病と老齢化によってあらわれる現象という間を一体どのように判断をするのか、こういう点におきまして、研究をするということにつきましてどなたもその必要を否定されたわけではございません。純学術研究論争としてはそのことは当然あるわけでございますが、臨床家といたしましては、やはり患者が一年ほど前に水俣病ではないかと言われ、私はそれについての診断を受けたいという要望を受け、そこで二十日間病院の中に入って各専門の臨床家が寄ってそれに対して診断を下すということは、臨床としての次元の割り切りがあるというように考えております。  そのようなことでございますので、論争点と申しますのは、慢性の水俣病と老齢化による変化というものをいかに見るか、この学術問題と臨床診断としてどう判断するかということであると考えております。
  164. 中島武敏

    ○中島委員 この環境庁の水銀汚染調査検討委員会とそれから健康調査分科会の性格並びにこれは何をすることを目的としている委員会であるかということについてお尋ねしたいのです。
  165. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 現在も私ども推進会議の決定に従いまして環境調査と健康調査をやっているわけでございます。この検討委員会環境庁が行ないますこういう調査につきまして、その計画実施調査結果の解析、汚染源の究明、こういう問題につきまして専門的な見地から検討していただく、このために置いているものでございます。
  166. 中島武敏

    ○中島委員 そうしますと、この間健康調査分科会が判定を下した、これは健康調査分科会ないしは水銀汚染調査検討委員会の任務の中に含まれているものでしょうか。
  167. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 この点につきましては、先ほど申し上げましたように、分科会の親委員会であります検討委員会自身で、七月二十一日の第一回の会合のときに、委員の先生方から、ぜひ研究班の研究結果を正式に報告をしてもらいたい、その段階では実は正式の報告書の完成したものはなかったわけでございますので、そういう要望がございまして、その時点ですでに八月十七日に開くということは決定していたものでございます。その間、さっき審議官から申し上げましたように、この二名の方につきましては、特に患者側が熊本大学に参りまして、自分たちは研究班の先生以外の方から診断をいただきたいということで、二十間入院して、その結果診断が行なわれたわけでございます。したがって、そういういきさつからしまして、この検討委員会ではこの問題につきまして双方からいろんな意見が出まして検討されることが当初から予定されていたわけでございます。  ただ、いまお話しになりました検討委員会、特に分科会の本来的な権限の中か外かと申しますと、私どもとしましてはむしろ先ほど申し上げましたような調査計画実施、将来の解析、こういうことを予定しているわけでございますから、こういう個々のケースにつきまして、すべてのケースをここで検討していただく、かようには考えていなかったわけでございます。したがって、もちろんそのケースだけにつきましてあれほど議論が集中するということは、事務当局としては予定していなかったわけでございます。いずれにしましても、そういう分科会の本来の使命といきさつとがあるわけでございますので、ああいう形で結論が出たということにつきましては私どもは当然それを尊重してまいる、かように考えております。もちろんこれは二例だけのことでございますから、ほかの例につきましてはおのずから違った結論が出ることもあり得ると思うわけでございます。
  168. 中島武敏

    ○中島委員 結果について尊重されるという環境庁の態度だと、いまお話がありました。しかしこのことば、この委員会が本来の性格あるいは目的として持っていることではないということについても言われた。そうでございますね。本来の性格、目的ではないものから生み出されたものについての結果を尊重されるということは一体どういうことなのか、これはきわめてわかりにくい。
  169. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 私が申し上げましたのは、この委員会検討していただいて適当でないという意味ではないので、そういうケースを全部のケースにつきましてこの委員会が一々取り上げていくということがこの委員会の使命かと申しますと、当初から必ずしもそういう予定ではなかったということを申し上げたわけでございます。さっきお話ししましたように、この委員会自身の運営につきましては、私どものお願いしておる範囲で自由に御検討いただくわけでございますから、親の委員会のほうでそういう要望があって、いきさつ上この分科会のほうでそういう議題が取り上げられ、結論を出されるということでございますれば、これは決して私ども、当初考えたところと若干違いましても、この分科会の権能を越えたものであると、かようには考えておりません。ただ私が申し上げましたのは、カドミウムの場合はいろいろこの問題に対するむずかしさがございまして、鑑別診断班というのを先生御承知のように設けております。これとこの分科会とは若干性格が違うということをちょっと触れたかったのでそういうことを申し上げたわけでございます。このような審議をされ、このような結論を出されたということが分科会の権能の範囲外だということではございません。
  170. 中島武敏

    ○中島委員 いま環境庁のほうでは健康調査環境調査を進めておられる最中だと思うのです。これはいつその結果が出されるのかお伺いいたします。
  171. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 環境調査のほうは水質保全局長からお答えしますが、健康調査につきましては、現在関係県におきましては、これは有明海の関係と水俣の関係、それから徳山の関係とこれだけでございますが、この各県につきましては現在第一次検診が終わりまして、第二次検診に移っているところでございます。したがって、県によって違いますが、この結果が出てまいりますのは年内ぐらいにある程度出てまいりまして、それを最終的にまとめますと、どうしても今年度一ぱいぐらいはかかるのではないかと思っております。
  172. 岡安誠

    岡安政府委員 環境調査につきましては、全国の環境調査をいたしておりますので、全部の結論が出ますのはやはり今年度一ぱいかかると思っております。ただ問題の九水域につきましては、九月末を目途に結論を出したいというふうに考えておりまして、その中の一部につきましては、今月中にも結論が出るところもあるというふうに考えております。
  173. 中島武敏

    ○中島委員 有明海は……。
  174. 岡安誠

    岡安政府委員 有明海は相当膨大な調査をいたしておりますので、やはり九月末ごろと考えております。
  175. 中島武敏

    ○中島委員 環境調査並びに健康調査は現在進行中、年内あるいはもう少し早くもできるかもしれないというようなお話でありますが、この水俣病の問題について、特に有明町で起きた第三の水俣病といわれているものについての結論を出すのには、やはり環境調査やあるいは健康調査ということを必要としているのではないかと私どもは思うのです。そういう点でこの健康調査分科会が二人について結論を出したということは慎重を欠いているのではないかというふうに考えられる。もっと健康調査環境調査が完了して、それと見合って結論を出すべきではなかったのかというふうに考えるけれども環境庁としてはその点はどういうふうにお考えになっておられますか。
  176. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 その点でございますが、これは実はあまり報道等で指摘されておりませんが、主として議論になりましたのも委員会ではその点でございます。と申しますのは、その二人の方は熊本大学で特に徳臣教授その他に診断されておるわけでございますが、徳臣教授等としましては、今回の委員会報告するまではその診断結果につきましては一切本人には発表しておられないわけでございまして、ぜひこの際にその辺の点についてはっきりきめてもらいたいということを申されたわけでございます。それを時期を延ばすかあるいはあの時点で発表するかということをめぐって相当の議論がございまして、やはり患者が二人おられてぜひその結論を早くきめてもらいたいという要望がある以上、人道的見地から早く出すべきだという意見が大多数であったということでございまして、そういう点からも特にこの二人については、いま御指摘のような環境調査とは切り離しまして早く結論を出すということになったというように、私ども委員会の状況を聞きましてそういうぐあいに感じております。
  177. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 若干技術的な観点から補足申し上げたいと思いますが、御承知のようにこの水俣病といいますのはアルキル水銀の中毒として起こります、今度の新しい法案では特異的疾患とされているものでございます。これは非特異的疾患と特異的疾患の場合の扱いに非常に相違があるということにつきましては、法案審議のときにも若干御説明を申し上げたところでございますが、新潟の場合のケースをお考えになっていただきますと、新潟の椿教授の場合には、水銀の汚染があるかどうかということの全然わからない状態でアルキル水銀中毒があるということをその患者を診断しておやりになったわけでございます。これは非常に重大なポイントでございまして、非特異的疾患の場合に慢性気管支炎の患者がいるということで公害病とすることはできませんが、アルキル水銀の中毒の患者がいるということは、臨床的にこれは推定できるということでございます。そういう問題でございますので、疫学調査がどういうところに必要になるのかという点につきましては、地域全体の判断をするのをあの二名だけで判断することはこれはできません。地域全体についてあそこは一体汚染があるかあるいはその影響があるかということにつきまして、あの二名だけの判断でもっては一切そのような最終結論は下すことはできませんが、二名の患者についてアルキル水銀の中毒であるかいなかということにつきまして、あれだけの多数の、私の感ずるところでは世界最高の専門のエキスパートが集まられております。あれだけの臨床経験のある方、研究歴のある方がおやりになって、しかも二十日間にわたって入院をして専門家が診断をされるということをされて、なおかつ診断ができないということでは、水俣病の診断はほとんど不可能であるということになるおそれがあるというぐあいに、個人の臨床診断としては私どもはそういうような理解をいたしております。  しかしながら、有明地域が水銀汚染問題があるかどうか、全体として水俣病が発生しているかどうかということは、全くこれは別の問題がございまして、この点につきましては、先ほど局長がお答えいたしましたように、環境庁汚染調査あるいは環境庁の健康に影響があるかどうかという全面的な調査をもって初めて明確になるというように考えているわけでございます。
  178. 中島武敏

    ○中島委員 患者の希望によってこの委員会が白黒の判定を下したというのですが、重ねてもう一度確認しておきたいのですが、この委員会は白黒の判定を下すための委員会ではないというふうに、私は先ほどの説明を聞いたのですけれども、間違いはないかどうか、これもう一度確認させていただきたいのです。
  179. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 もちろんこの委員会でございますが、さっきお話ししましたように、評価をするわけでございます。評価をします場合、今度の計画的に健康診断をやっております結果の評価の場合に、問題があるものはやはり上がってきましてそこで検討される、かようになるわけでございます。  ただ、私申し上げましたのは、カドミウムの鑑別診断の場合には、いかなる場合でも鑑別診断班の結論を通らなければこれが白か黒か決定されない、こういうことで通達を出して、そういうぐあいになっております。  そうではなくて、今回のは、この健康診断をずっと一連にやっていきます終局的な評価、こういうことで、当然白か黒かという問題はあちこちから上がってこようかと思いますが、およそ水俣病に関しましては個々の人の診断につきましてこの検討委員会を通らなければすべて白黒きめられない、かようなことではないということでございます。したがってもちろんこの健康診断のワク外でやっておられる県もあるわけでございますから、そういう県からは特に頼まれました場合ここでそういうような健康診断の結果についての白黒を決定をすることはあろうかと思いますが、一般的に全部網をかぶせまして、こちらへ持ってこい、かような指導をしておるというようなことではないわけでございます。
  180. 中島武敏

    ○中島委員 これは非常に影響の大きい問題だと思うのです。先ほども少し答弁の中にもありましたけれども、考えようによりましては有明町には第三の水俣病といわれるようなものは発生していないというふうにも、この間の結論はとりようによってはとることができるような結論じゃないかと私は思うのです。しかしまあそこまではっきり言っておるわけじゃもちろんありません。発生されている患者の人たちすべてについての判定を下しているわけではありませんので、そうではありません。しかし非常に重大な影響を起こす問題であることだけは事実だと思うのです。環境庁のほうの態度として、やはり健康調査あるいは環境調査ということを行なって、これとあわせてやっていきたいという態度を先ほど言われましたけれども、私はこれはどうしても貫かなければならない非常に重大な問題なんじゃないかということを思うわけです。その点で長官のこの問題についての見解、態度というものについて伺いたいのです。
  181. 三木武夫

    三木国務大臣 私はあの委員会で、そういう現在の段階では水俣病とは言いがたいというような意味の結論が出たことを聞いて、たいへん私も喜んだわけであります。また患者の人も、やっぱりいままでは水俣病というような疑いをかけられて非常に不安な気持ちになって——患者自身もたいへん喜ばれたということを聞いた。そういうことでありまして、やはりみな自分が水俣病の患者ではないかという懸念を持つということは、日常の生活の上においても非常に不安になりますから、早く自分は診断を受けたいということで、みずから進んで二十日間も病院に入院をして徳臣教授の診断を受けて、そうしてそういうふうな臨床におけるところの診断の結果が報告されて、それは水俣病の専門家の会議ですからね、そうして熊本大学の、従来水俣病を手がけてきた教授なんかのところにあるわけでございますから、ですからそのことは、その二人の患者本人の早く白黒つけてもらいたいという希望に沿うて、専門家がそういう結論を下されたということは、非常によかったと私は思うのです。  しかしそのことが、有明湾全体が水俣病の患者がいないという推論はできない。これはもう一般的な健康調査をいたして、そしてその結果を待たなければならぬわけでありますが、二人に関してそういう結論が出たことは、非常によかったと私は思っております。
  182. 中島武敏

    ○中島委員 水俣病の患者でなかったということは、それはお互いにそうであるとするなら喜ぶべきであります。同時に、しかしこの問題の扱いというのはほんとうに慎重でなければならないということは、いま長官も、言われたとおりだと思うのです。私は、この態度をしっかり貫いていく。病気でなければいいということではなくて、そうじゃなくて、また水俣病が発生していなければいい、なるほど私たちはそういうふうに希望するでしょう。そうでないほうがいいに違いないのです。しかし、そうであるかないかは、科学的に判断をしなければならない。したがって、この態度をぜひひとつ貫いていく必要があるということを申し上げたいと思うのです。  同時に、もう一つお尋ねしたい。それは、その後報道されました九州大学の医学部の中で、この問題について、検討委員会健康調査分科会の出した決定を尊重するということをきめている。そしてなお同時に自治体などから委託を受けて行なう研究結果の公表に学部長、学長などの許可が必要であるということを学部長は強調した、こういうことが報道されております。  私は、お尋ねしたいのは、これは事実かどうかということについて一つお尋ねしたい。  同時に、私は、こういう問題について、発表に際して学部長や学長の許可が必要であるということは、これは私は重大な研究発表の自由に対する干渉であり侵害だというふうに思うのです。こういうことがあっちゃいけないと思うのです。その点で長官の見解を伺いたいと思います。
  183. 三木武夫

    三木国務大臣 医学部のことでございまして、われわれとして確認はいたしていないわけでありますが、それは発表の自由というものは学者みな持っておるわけでありますから、それが医学部内部としてどういうふうな話し合いになったのかは詳細に承知しておりませんから、いまの御質問に対してお答えはできませんが、しかし学者は当然に発表の自由を持っておることは明らかでございます、そういう一般論であれば。しかし、医学部内部でいろいろな取りきめをすることば自主的にあり得ましょうから、どういうことが話し合われたのかは承知はしていないわけでございます。
  184. 中島武敏

    ○中島委員 次の問題に移りますが、この水銀汚染に関連をして、苛性ソーダ工場の水銀調査の問題についてお尋ねしたいのです。  七月中にこの調査が完了するという目標だったと思うのですが、現在すでに終わっておられるかどうか、進捗状況はどうなっておりましょうか。
  185. 高橋清

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。  先生指摘の苛性ソーダ工場三十六社四十九工場に対します調査は、当時も御説明申し上げましたが、二種類ございまして、一つは各工場の水銀の含有排水の処理状況でございますとかあるいは水銀を含みました廃棄物、これは例の塩水マッドでございますが、こういったようなものの保管状況、こういったものの実態把握の調査、これが一つでございます。それからもう一つのほうは、現地へ参りまして工場側から資料の提出を求めまして、その資料によりまして過去からの水銀の使用状況等につきます事情聴取でございます。  それで前者につきましては一応作業が取りまとまったわけでございます。これにつきましては、各工場がまずどういったような排水処理状況をしておるか、これにつきまして通産局の担当官がそれぞれ各工場に行きまして目で見あるいは会社側から話を聞いたわけでございますが、これによりますと、大体各工場とも四十年代ごろから採用されておりました新しいいわば排水処理方法、たとえば従来は活性炭でございますとか、イオン交換樹脂等を使っておりましたが、それに加えまして、たとえばキレート樹脂とかこういったようないわば新しい樹脂を使いまして排水処理効果をあげる、さらにはこの活性炭でございますとかあるいはイオン交換樹脂あるいはキレート樹脂とか、こういったものをいわば排水処理効果をあげるために、いろいろこういった方式を組み合わせました複数の方式を採用する等々ということが判明いたしました。加えまして、さらに若干の工場におきましては、排水処理施設の効果をさらに高めるために、大部分の工場におきましては薬剤処理あるいはサンドフィルター等を使いましての前処理も行なっております。  たとえば若干数字を御披露申し上げますと、活性炭、キレート樹脂等、こういったような方式を使っております、いわば複合方式を使っております工場は八工場ございました。あるいはイオン交換樹脂、キレート樹脂どの複数組み合わせが五工場ございましたが、こういったように排水処理施設につきましては、現段階におきましては、各工場とも一応満足すべきような施設を備えたことが判明いたしました。加えましてさらにこういった排水処理のほかに、排水を外に出さないようなクローズドシステムをすでに採用している工場も十三工場ほどございました。その結果排水処理状況の実態につきましては、当然のことながら現行法の水質汚濁防止法に全く全工場とも合致をしておるということも判明いたしました。  なおそのほか水銀を含みました廃棄物の処理状況でございますが、各工場のそれぞれ保管状況あるいは処理状況でございますが、これにつきましても、たとえば昭和の四十三、四年ころから、実は移行防止法と申しまして、すでに電解槽の中で塩水マッドの中に極力水銀が移行するのを防止する、こういった方法が開発されておりますが、今回の調査では、全工場ともこの移行防止法を採用しております。こういったことも判明いたしました。加えまして、さらに若干の工場におきましては、この移行防止法に加えまして、たとえば酸溶解法でございますとか抽出法、こういったような処理もあわせ採用している工場もございました。加えまして塩水マッドの処理状況でございますが、二十工場ほどはこれはコンクリート固型化いたしまして、工場の中に保管するとかあるいは関係法規に従いましたような埋め立てあるいは投棄処分をしております。  なお、そのほかに二十八工場等につきましては、塩水マッドを、いわばなまマッドのままではございますが、工場の中の建屋の中に保管するとかあるいはプール等に保管しているということも判明いたしましたが、この保管状況も、各工場ともそれぞれコンクリートでまわりを固めるとかあるいはそのコンクリート槽の底の部分に樹脂を使いましたりあるいはゴム引き等をしまして、それが浸透しないような措置をとったことも判明いたしました。こういったように、今回の調査では各工場とも排水あるいは水銀含有物の保管、処理状況につきましては、現行法規どおりに従ってそれぞれ行なっていることが判明したわけでございます。  なお、水銀の過去の使用状況等に関します事情調査でございますが、これは実は全く各工場からの資料の提出によっての事情聴取でございます。加えまして、たとえばいろいろな統計等が整備しない戦前あるいは昭和の二十四、五年以前に生産を開始いたしました工場が十五工場にも達してもおりました。こういったような関係から、大部分の工場とも非常に提出されましたデータには推定に依存している部分が非常に多うございました。そのほか各工場から提出されましたいわば濃度に関しますいろいろなデータ等につきましても、先生御案内のように、こういったような濃度規制がいわば法律に基づきまして行なわれましたのが、例の水質汚濁防止法が施行されてからでございますが、その辺を境にしまして、実は各工場ともジチゾン吸光法等の方法も採用しまして、いわばきちっとした資料が整ってきた。それ以前はもちろん若干の工場につきましては、こういった方法を採用してのデータもございましたが、他方、公的規制が当時なかったというような事情もございまして、いわば推定に依存しておるようなデータもございました。したがいまして、そのほか実は推定につきましても、それぞれ各社、あるいは平均値をとったりあるいは最大値をとったり等といろいろ推定方法につきましても、それぞれ各社あるいは必ずしも本質的に同じような方法を実はとってはいないということも判明いたしました。そういったようなぐあいで、私どもといたしましては、今回のいわば第二の調査のほうは、あくまでも提出されましたデータに基づきます事情聴取でございましたので、実は今後環境庁が中心となりまして実施いたします環境調査の一環といたしまして、さらに私どものほうも工場内の、たとえばマッド等につきまして実測データをさらに把握すること、こういった作業も計画中でございますし、近く実施するわけでございますが、そういった上にさらにさらに実測データによりますいわばクロスチェックを行ないまして、大部分推定に基づくようなデータに対してさらに資料としての正確度も高めてまいりたい、こう考えております。  したがいまして、さらにそういったようなデータに対します信頼性を高める作業をもう少し実施いたしまして、環境調査の結果も踏まえまして、それぞれデータの信頼性、信憑性を確認いたしまして、環境調査の結果のまとめぐあいを踏まえつつ、逐次必要に応じまして調査結果の最終的な取りまとめをいたしたいと思っておる次第でございます。
  186. 中島武敏

    ○中島委員 いまの報告によりますと、企業からの聞き取り調査はすでに終わっているということでございますね。いまのお話を聞きますと、環境庁のやられる調査、実測データをもとにしてもっと正確なものにして信頼性を高めたいという報告だったわけです。この問題ですが、すでに聞き取りが終わっているのであるならば、これを発表をすべきだと思うのです。この点は通産省のほうではなぜすでに終わっていて発表されておらないのですか。
  187. 高橋清

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。  ただいま御説明申し上げたとおり、まだ私どもといたしましては、データの信頼性につきまして必ずしも確信も得られません。この確信を得ることにつきましては、いま御説明申し上げましたように、すでにそういったような段取りをしておりますし、また必要に応じまして、実は私どもの乏しい行政的な知識、経験では判断しかねる点もございますので、必要に応じては専門の方々の御意見もさらに伺いまして、できるだけ早急に最終的な結果を取りまとめることにしたいと思っております。
  188. 中島武敏

    ○中島委員 私は、この問題ははっきりしておいたほうがいいと思うのです。やはり聞き取り段階でかくかくしかじかのことである、その中には推定もこのように含まれているというようなことについて公表する、発表するということが大事だと思うのです。いろいろやって、ずっと時期をおくらせて、そうして環境庁がやるデータと突き合わしてみてと言うのですけれども、これはそれでもなお完全なものが出てくるとは限らないのです。そうでしょう。やはりこれは早く発表すること、そうして現在どうなっているのかということについて天下に明らかにするということは、私は必要だと思うのです。そういう点で、ぜひひとつこの資料を提出することを要求したいのです。
  189. 岡安誠

    岡安政府委員 実は通産省にお願いいたしております工場の収支調査は、先般開催いたしました水銀等汚染対策推進会議環境調査の一環としてお願いをいたしているわけでございます。  私どもは、環境調査の結末といいますか、それは先ほど申し上げましたとおり、九水域につきましては、魚のぐあい、それから環境の状態、さらに汚染源があれば汚染源はだれであるかというところまであわせまして確定をいたして発表をいたしたい。それも九水域につきましては九月末を目途に作業をいたすということにいたしております。通産省の御調査も、もちろんこれが確実なものであるならば、先生おっしゃるとおり、随時発表すべきであるというふうに私ども考えておりますが、承るところによりますと、ただ企業からの聞き取りでございまして、なお検討等が済んでいない部面もございますし、また過去の資料が不十分な点につきましては、私どもがやっておりますヘドロ調査その他も勘案しませんと、どの程度確実性があるかどうかという問題もございます。  そこで、私どもは、いつまでも引き延ばすということは問題がございますが、それぞれの水域につきまして調査がそろいましたら、環境調査分科会の先生方の御判定を得まして、その時点におきまして公表すべきであるというふうに実は考えておる次第であります。
  190. 中島武敏

    ○中島委員 それば問題があるのです。アセトアルデヒドを製造している工場のデータはすでに発表された。なるほどこの中には推定も含まれております。確定なものとは言い切れないでしょう。また塩ビ関係ところも発表された。なぜ苛性ソーダだけ発表されないのか。私は、いまの水質局長答弁では納得しがたい。なぜ苛性ソーダ工場だけ発表しないのですか。発表したら何かぐあいが悪いのですか。私は重ねて言いますけれども、この種のことはこれだけ問題になってきている。これだけ問題になってきて、なおかつやはりすでに調査は終わっているのですよ。聞き取り調査は終わっている。企業の側から提出された資料はあるわけでしょう。現段階ではこういうものが提出されているということは、明らかにする必要があるんじゃありませんか。
  191. 岡安誠

    岡安政府委員 私の聞いておりますのは、環境調査の一環としてやります水銀の収支調査は、ソーダ工場だけではないというふうに聞いております。やはり水銀関係汚染源である工場の収支調査というものが、各水域ごとにおいて明らかにされなければならないというふうに実は考えております。いま苛性ソーダのお話でございますが、私ども通産省から伺った限りにおきましては、工場からの聞き取りである。工場からの聞き取りのデータが非常に信憑性といいますか、確実なものであるならば、それはやはり明らかになった時点において公表すべきであろうと私ども考えますが、やはり検証その他を要するものとするならば、検証のデータがそろったところにおいて判断をしましてそれで発表するということでなければ、いわゆる責任ある発表にはならないんではないかということを懸念をいたしております。また、その水域におきまして、今後、魚の問題等もあわせて影響があるわけでございますので、政府が発表する以上は、ある程度やはり検討いたしまして、検討の段階におきましても明らかにならない点は残るかもしれませんけれども、しかしほかのデータがいま調査中でございますので、そのデータがそろいまして、それによって検討いたしまして、その段階で明らかになったものを公表するというように実は考えております。これも、先ほど申し上げましたとおり、いつまでも延ばすつもりは毛頭ございません。間もなく環境調査のデータがそろうわけでございますし、それがそろいますれば、分科会の検討を経て公表いたしたいと思っておりますので、やはりしばらく待ったほうが適当ではなかろうかと実は私は考えておるというわけでございます。
  192. 中島武敏

    ○中島委員 第一回水銀等汚染対策推進会議、ここでは六月中に点検を行なって、七月中に取りまとめるということをきめておられる。そして、それに基づいてこれはやられているに違いないことであります。しかも水銀関係工場では、先ほども申し上げたように苛性ソーダ工場以外は発表されているのです。そうでしょう。アセトアルデヒドはすでに発表しているじゃありませんか。繰り返して申します。それから塩ビ関係も発表しているじゃありませんか。なぜ苛性ソーダだけを発表することができないのか。特殊な事情があるのかないのか一あるとは考えられないのですよ。そのほかに差異はないのですよ。なぜ苛性ソーダ工場だけ発表しないのか。
  193. 高橋清

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、前回はアセトアルデヒドと塩化ビニール関係につきまして、発表と申しますか、全体の生産量でございますとか消費量につきまして当時会社から出た数字をとりあえず取りまとめたわけでございますが、今回の調査は、もちろん苛性ソーダのほかにこの二業種につきましてもさらに調査したわけでございます。したがいまして、いま水質保全局長から申し上げましたとおり、水銀使用工場全体につきまして、環境調査のデータを使いまして再チェックいたしまして、その上で、苛性ソーダに限らず、塩ビあるいはアセトアルデヒドも含めまして逐次最終的に取りまとめていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  繰り返しになりますが、もちろん私どもはこれの取りまとめなり発表を何もいつまでもおくらすつもりはございませんで、いま水質保全局長が申し上げたとおり、環境調査が済み次第、その結果を踏まえまして逐次最終的に取りまとめるということにしているわけでございます。
  194. 中島武敏

    ○中島委員 納得しがたい。これは国民がひとしく大問題として非常に心配している問題なんです。これはもう環境庁通産省もよく御存じじゃありませんか。そしてすでに水銀使用工場のおもな工場であるアセトアルデヒドの工場であるとかあるいは塩ビ関係工場は発表された。あとおもな工場として残されているものは苛性ソーダ工場である。これもはっきりしていることじゃありませんか。そして、それだけがおくれる。しかし、地方におきましてはすでに発表されているところもあるわけです。これも御存じだと思います。たとえば千葉県において、あるいは香川県においてかなり詳細なデータが発表されております。私は、政府がこれを発表しな一ということは、いま答弁があった範囲内においてはとても納得しがたい。前回——前回と申しますか、第三水俣が集中的に問題になって、この委員会においても問題にした。そのときに公開の問題について私は長官の見解も尋ねた。長官は、公開することが原則だ、そしてその方針で環境庁は臨んでいるんだということをあれだけはっきり言われた。長官、どうなんですか。
  195. 岡安誠

    岡安政府委員 誤解があるといけませんので補足いたしますけれども、私どもは公開しないと言っているわけではございません。現在通産省で持っておられるデータをチェックしないままにこの際公開することばいかがかということを申し上げているわけです。それも、もう少したてばチェックができる段階が来ますので、しばらく環境調査のデータを待って、それを環境調査分科会で総合的にチェックをしていただいて、そこで公表いたしたいということを申し上げているわけでございます。
  196. 中島武敏

    ○中島委員 それでは、以前に発表したアセトアルデヒドを製造していた工場、それから塩ビ関係工場、これのデータを発表したことは間違いであった、こういう見解ですか。
  197. 高橋清

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。  先生十分経緯を御存じのとおり、当時私どもといたしましては、会社から聞いた数字をとりあえずまとめるとこのとおりでございますといって、ただ生産量と消費量を、数字が会社側からわかりましたので御披露申したわけでございます。もちろん今回の調査は、その消費されたものがどのように環境に排出され、あるいはその排出されたものがどのように環境の汚染につながるか、ここまで調査をしなければ調査としては不十分でございますので、実は今回の、六月から着手いたしました調査と申しますのは、そういった数字をただ単に集めるのじゃなしに、さらにその数字の解析が入っております。その点が前回と全く違う点でございます。したがいまして、アセトアルデヒド、塩ビ、苛性ソーダ、こういった水銀使用工場につきましても、一応会社側に資料提出を求めまして、それで事情を聴取し、さらに、いま申しましたように、できれば客観的な実証データでございますとか専門家の意見も伺いまして、消費されたものがその先どのように使われ、あるいはそれが一体どのように環境に排出されただろうか、そういったことにつきましても私どもといたしましては一生懸命に努力している次第でございます。  そういったような意味合いから、やはりいろいろ考えますと、たとえば底質濃度調査に関しますデータ、こういったものも一つの大きな判断材料になりますので、そういったようなデータでございますとか、あるいは塩水マッドの濃度のデータ、こういったものをさらにいろいろ集めまして、それとのいわば対比において十分調査した内容の信憑性、信頼性を高めまして、最終的な取りまとめ、それに基づきます御披露等々をいろいろしていきたいと思っております。これも繰り返しになりますが、いつまでもそういったことをするつもりは全くございませんで、たとえば九水域等につきましては、水質保全局長の御説明にございましたとおり、九月末に終わりますので、もちろんそのときには環境調査のデータ等の結果を踏まえることもできますから、その時点においては、先生おっしゃるようにいろいろコメントもつけますし、当方でできるだけそういったいろいろな説明もつけまして最終的な結果を取りまとめ、御披露したいと思っておる次第でございます。
  198. 中島武敏

    ○中島委員 私はこの問題に関して政府が公開の原則を否定しているというふうには思っておりません。それからまた、正確なものを発表するということについて、それはいけないことだというふうに申し上げておるわけでもありません。それはまた必要なことであります。しかし、この問題は早く発表するということが非常に大事なことだというふうに思っているのです。なぜならば、公害をほんとうに防止していく、水銀汚染をなくしていく、このことを行なうためには、政府が正確なデータを発表することももちろん必要であります。必要でありますが、早く国民すべてがこのことを知って、その上で国民全体が公害の防止に立ち上がっていく、そしてほんとうに公害を防止できるというようにしていく、このことが行政の基本でなければならないと私は思っているのです。そういう点からいいますと、正確なものをということで時期がどんどんおくれてしまうというよりは、現在の段階で報告があるものはこういう状態だということ、そのこと自身を、これは推定しなければわからないとか、どうなっているかわからないというようなものを全部含めて明らかにする、そして、さらにそれを国民の皆さんに知っていただいて、その上で、もっとこれを正確にするため環境庁はこういう調査をやっている、その調査をやった結果が明らかになったところで、また正確なものを発表していく、こういうやり方をとるのがほんとうに公害を防止していく上で必要なのじゃないかということを言いたいから、いまのことを執拗に私は繰り返し、公開するべきじゃないか、発表するべきじゃないかということを要求しているわけであります。長官いかがですか。
  199. 三木武夫

    三木国務大臣 私も、有害物質の収支というものはやはり明らかにする必要があるというので、いまお手元にお持ちのようでありますが、推進会議でも四半期ごとにやはり有害物質の収支の数字を企業に対して義務を課すようにしよう。そして通産省も正確に数字を把握していなければいけない。調べてみなければわからぬということは私はあまりよくないと思う。これだけのいろいろな社会的な問題を起こしておるのですから。そういうことを今後してもらいたいということで、推進会議でもきめたわけであります。これは今後においては、各企業に個々に問い合わす必要はないわけです。それは収支の報告を義務づけることになっておりますから、そういうことで。しかしいままでの場合は、いま各企業に聞き取りのような形でチェックしなければならぬ場合も起こってくると思うのです。企業自体もなかなか、有害物質に対する取り扱いで、ちゃんとした記録的に残してないような場合もあるでしょうね。そういうことで、この九月の末には環境調査の結果を問題水域では発表する、その場合には大体汚染源の企業というものも明らかにしよう、これを汚染さした汚染源の企業を明らかにしようというわけでありますから、詳細な報告をされるわけであります。そういうときの一つの、いま言ったような通産省調査というものは、そういうときの有力な参考にもなるわけです。そればかりでなしに、こちら自身としても環境全般の調査をしておるわけでありますから。どうも、いままでの場合は、そういうふうに有害物質の収支というものが通産省でも把握が足りなかったと思います。そういう点で、いろいろ発表するについては影響もありましょうし、もう少し検証をしなければならぬということで発表の時期がおくれたのだと思うのです。しかしやはりこういう問題はできるだけ調査をすれば公表するというのが原則だと私は思うのです。しかし今後において、いま言ったような企業自体からも報告するような義務を課して、今後はもっと正確になると思いますが、いままでの調査というものは、じかに発表するためにはもう少しやはり検証しなければならぬという必要も私はあったんだろうと思います。そういうことで、どうせ九月の末には問題水域を発表するということでありますから、そういうときにそういう一つの、いままでの調査の結果も踏まえて正確なものを出したいと考えております。将来はやはりこの問題についてはもっと明確に国民に公表できるようにせなければいかぬと思っております。
  200. 中島武敏

    ○中島委員 私は、いまのお話で、調査が正確なものを発表する、しかしそれまでは待つということについて了承したわけではありません。ありませんが、いまの長官のお話と関連をして、時間がありませんので、まとめて質問をして終わりにいたします。  物質収支の問題について、私も前の委員会でこのことを提起をし、そしてこの水銀等汚染対策推進会議の答申としても取り入れられた。それで、この問題について二、三お尋ねをしたいと思います。  一つは、有害物質は何々を対象物質としてやっておられるのかということが一つです。それからいつの分から始めるのかということが一つ。それから現在これを進めている対象物質は何かということと、それから長官がいま言われたように、収支報告を義務づけるというふうに言っておられますが、私は、これは行政指導だけではなくて法的に義務づける必要があると思っているわけであります。この点についても、いまの答弁はそういう見解であったのかどうかということについて確認をさしていただきたいと思います。
  201. 三木武夫

    三木国務大臣 いまの段階では行政指導ですけれども、私は将来この問題は法制的にも検討してみたいと思っております。いまは行政指導です。しかし将来はこれは何か立法的措置を必要とするのではないかと私自身も考えておるわけでありますから、検討をいたしたいと思っております。
  202. 中島武敏

    ○中島委員 いつからおやりになろうというんですか。
  203. 三木武夫

    三木国務大臣 これは四半期ごとでありますから、四半期ごとにあの推進会議が開かれて、以後四半期ごとにこれを報告するということでございます。
  204. 林信太郎

    ○林(信太郎政府委員 お答え申し上げます。  物質収支につきまして現在どういう物質を考えておるかということでございますが、環境庁と現在打ち合わせ中でございますが、最も重大な問題になっております水銀につきましては、とりあえず緊急を要するものとして、これだけ抽出して先に進めております。水銀につきましては、現在水銀を使っております工場の確認を関係各課と調整を終わっておりまして、ただ体温計等零細な企業がございますので、その辺のところを若干、どの程度にするか、これも私どもの一方的な判断でまいりませんので、環境庁と打ち合わせの上でいわゆるすそ切りをやらざるを得ないかと思っております。いずれにいたしましても主要な工場は網羅した形で実施をしたい。時期は、水銀につきましては、本年度一・四半期の分から始めるということにいたしております。  それから義務づけの問題は、いま長官からお話がございましたとおりでございますけれども、とりあえずは行政指導で四半期ごとに実施をするという段取りでございますが、四十九年度以降の問題といたしまして、ただいまの長官の意向を前提にいたしまして、かつ現在毒物及び劇物取締法あるいは現在衆議院で御検討願っております化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律、その他、大気汚染防止法水質汚濁防止法等、強制徴収権の規定された法律が相当ございますので、汚染物質と、既存の強制徴収権の規定された立法と総合的に考えまして、目的でございます、要するに収支バランスを明らかにして社会的に心配のないような形に有毒物質を管理していく趣旨に沿って処置したいと考えております。
  205. 中島武敏

    ○中島委員 もう終わりますが、最後に一言。  いまの答弁で、対象物質、これは水銀だけということですが、それとも、それ以外を考えている、あるいは実行しているということでしょうか。もし実行しているというのであるならば、その対象物質は何かということを明らかにしていただきたいし、それから、これからやろうと考えてるのであっても、詳しくその対象物質を明らかにしていただきたいという、そういう意味だったのです。
  206. 林信太郎

    ○林(信太郎政府委員 私どものほうで考えておりますのは、水銀以外にいわゆる健康物質という形になっておりますカドミ、クロム、鉛、砒素、こういったものはどうしても必要であろうということで、内部では先ほど申し上げました水銀と同様な手続きを、たいへんおくれておりますけれども検討いたしております。最終的には環境庁ともよく打ち合わせをして進めてまいりたいと思っております。
  207. 中島武敏

    ○中島委員 ちょっとしり切れトンボなんですけれども、時間の関係でたいへん不本意な向きがだいぶあるのですが、きょうはこれで私の質問は終わります。
  208. 佐野憲治

    佐野委員長 次回は、明三十一日金曜日、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後二時四十分散会