○島本委員
ランクは、これはやはりあまりこまかくつけたならば、そのつける方法においてまた議論が出てしまって、
ほんとうの
救済になる前に議論のほうが先行するような傾向がある。したがってそれは好ましくない。
患者がそれをたくさん細分化せよなんて言うわけはない、そうですね。
そういうようなことからして、私は今度出されたこの
公害健康被害補償法案の運営そのものが——四日市でこれに先行して八〇%に押えられたために、なおさら紛争を起こしておるというような
状態、それを追認するかのように、
公害健康
被害補償法がいま出されてきた。それもきのう言ったとおり、内容そのものもなかなか煮詰まっておらぬし、どうなるものかわからない、海のものとも山のものともわからない。これと同じ、両輪をなすような
意味を持つところの
法律さえも、まだどういうふうな内容なのかもつかんでおらない。こういうようなことであるならば、いよいよもって、もうすでに行なわれているこれと同じような四日市の組織、これの運営のほうを見る場合には、まことに望ましくない、こういわざるを得ないわけであります。こういうようなことからして、今後この運営そのものも、再び出したために問題が起こるであろうことを私はおそれます。
なお、
資料は適確に出してもらいたいと思います。私これ、意外に重要視しているのであります。
長官、この点だけは残念です。あなたいなかったけれ
ども、言っておきますが、今回の出された
公害健康
被害補償法の内容で、要綱その他で盛られているこれらのことは、二月十四日に、経団連の環境改善
委員会がまとめて
中公審や
環境庁に申し入れたその見解とすべてほとんど同じなんです。
長官は、これは
企業の共同防衛ではない、こういうようにはっきり言っております。しかしこれはもう、「
患者の認定や
ランク付けば厳正に行い、ずさんな認定を排除する必要がある」厳重に行なえ、こういうようなことは、もうすでに
長官があえて行ないました
水俣病の最後のあの
ランクの問題で、ついに
長官は事実上
一つ落としたようなかっこうで収拾してやった。これを今後は「
ランク付けば厳正に行い、ずさんな認定を排除する必要がある」このことを申し入れてきているのが第一項にあるのです。
第二には、「
地域指定は資金規模と関連する重要な問題であるから、
患者が多発し社会問題化している
地域を重点的に指定することとし、機械的な指定によっていたずらに
地域拡大を招くことは避けるべきだ」線を引いて、線から漏れた人を全部排除するようなこの行き方は、これまた紛争の種になるから、白であるならばこれはまずまず、灰色を含めても全部黒の面とあわせて全部
救済すべきだ、これがもう公聴会や参考人の意見だったのです。線引きによってこういうような
被害者を落とすことがないように、こういうのが、参考人の意見やその他の
質問にあらわれている大多数の意見なんです。しかしこの申し入れの見解には、「
地域指定は資金規模とする関連する重要な問題であるから、
患者が多発し社会問題化している
地域を重点的に指定することとし、機械的な指定によっていたずらに
地域拡大を招くことは避けるべきだ」拡大せいということと反対のことの申し入れが来ている。それがまたこの立法の中にきちっとされている。
第三番目には、「この
制度の
給付内容や
給付水準にある
程度慰謝料的な
要素も加味する。
補償費の
給付水準は
労災(所得の六〇%)と四日市判決(一〇〇%)の中間で
検討する」ちょうどそういうふうにして出されておるわけです。
四、「
公害の発生には
企業以外の原因も寄与しており、大気汚染系
疾病には一定の
割合で自然発生
患者も含まれるので、相当
程度の公費負担は当然である」PPPの原則はあくまで守るべきである、こういうような原則を立てていまやっているわけですが、
長官も答弁されているはずですが、これにはもうすでに、いま言ったようにして公費負担は当然である、こういうようなことをいってきているわけです。それが法案の中にまたいろいろなかっこうであらわれているのです。
第五番目には、「賦課金の徴収方法は汚染負荷量方式が望ましく、責任保険的な機能をもつこの
制度の
趣旨からいって
公害発生への寄与度を考慮し、
地域別に三〜四
ランクの賦課料率の差を設ける。」こういうようなことになっているのです。全く同じであるわけです。これならばさっき
長官がはっきりおっしゃったように、あくまでも
加害者の共同防衛的な
考え方はとらないのだ。ましてや
加害者の自衛組織的なこのような運営にはならないのだ、こう言っていながらこういうような
一つの行き方を採用したということ。今後の行き方においてはなぜ一〇〇%を
給付においてとらないのだ。それもいろいろなことをいって、これはもう定型的だとか
制度的だとかいってとれないかのように言っているわけです。しかしこれはとれないかのように言うのは
一つの便法です。なぜ先に——必要だったならば一〇〇%はおろか一二〇%の線に置いて、そしてこの
被害者を一〇〇%
救済して、
特殊事情でこれはどうしても特殊なもので認められないもので、本人が納得できなければ司法
裁判に移行するのはやむを得ない、こうするのならいいんです。八〇%の線に押えて、あとは司法
裁判に行くのはやむを得ないとするならば、それでがまんしなさい、それでなければ長引きますよという、あめを与えながらむちでひっぱたくようなやり方、これがこの法案の中にあるとするならば、今後の運営に多大の危惧を感ずるわけです。したがってしつこくこれを聞いたのでありますけれ
ども、
長官はそうでないという。しかしいままでの答弁では私は納得できない、こういうような
状態であります。これに対する
長官の見解をひとつ聞かしていただきたい。