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橋本説明員 中央公害対策審議会の答申と
本法案との相違点はどこにあるかということでございますが、まず最初に、名称のポイントでございます。
中央公害対策審議会におきましては、
損害賠償を保障する
制度ということで、
公害健康被害損害賠償法という形を観念しておりましたが、
本法におきましては
補償という名前になりました。これは
民事の
責任の確定に先立って本
制度で
損害をてん補するということで、この
補償という形をとったわけでございます。
第二のポイントといたしましては、費用の
負担のところでございまして、
中央公害対策審議会におきましては、第
一種の
指定地域の場合の費用
負担に関しまして、
汚染負荷量賦課金におきましては
審議会の答申どおりでございましたが、そのほかの移動発生源及びその他の民生等の発生源の賦課ということにつきましては、
中央公害対策審議会の答申で二案を出しまして、
一つは、自動車に対して、
現行の重量税等の
制度を利用して賦課金を設けるという方式、もう
一つは、原燃料に賦課する方式、そのいずれかを政府が
判断をしてきめるようにという答申をいただいたわけでございますが、この点につきましては、先ほ
ども局長のほうから答弁いたしましたように、本件につきましては、四十九年度の予算
関係法案として成立しなければ決着はつかないということになりましたので、本
制度では「別に
法律で
定めるところにより徴収される金員をもつて」充てるということになっておるわけでございます。
それからもう
一つは、
公害健康被害補償協会という点につきまして、
中央公害対策審議会の答申におきましては、業界の自主性を重んじて、認可法人としての
公害健康被害補償協会を設けるというような
考え方をとっておりましたが、いろいろ
法律の審議をしております
過程におきまして、これほど広範の、非常に公益性の高い、しかも強制徴収を伴うというような仕事をするにあたって、認可法人というのは適切ではないのではないか、やはり国になりかわってやるということで、特殊法人としてやるべきであるという形になったわけです。
それから、これは相違点ではございませんが、特定賦課金かあるいは求償かいずれの方式をとれということで、
特異的疾患にかかわること、特に
水質汚濁関係のことを
中央公害対策審議会の答申は述べておりましたが、
本法案におきましてはこれを特定賦課金ということできめたわけでございます。
また
審議会として新たに
審議会を設けるという立場に立っておりましたが、
審議会の増設というのは好ましくないということで、本
制度におきましては
公害対策基
本法の一部改正をいたしまして、
中央公害対策審議会の中に本
制度の事項を扱えるように
法律を直しまして、
中央公害対策審議会の
一つの部会として
本法に関する
審議会の活動を行なうということにいたしたわけでございます。
それからもう一点は、
中央公害対策審議会の答申におきまして、
民事上の
責任にからみまして本
制度で支払う、本
制度の
給付を受けた場合に
原因者の
責任がどうなるのかということでございます。これは具体的に申しますと、
認定患者さんがおられて、その人が本
制度から
補償給付をもらっておって、そしてその人がまた別に
裁判をしてある企業に
裁判で勝った。その場合に、
補償金が出る場合に、本
制度からその
患者さんがすでにもらっている
補償金は免責になるということを
中央公害対策審議会の答申に書いておりましたが、その件につきましては
法律条文としてこの
法律の中に一項起こしておりません。これは
民事上の原則として当然のことであるということで、
本法の中にそのような
法律条項を起こさなかったということでございます。
なお、本
制度が同一事由につきましてほかの
制度から
損害てん補があった場合には、本
制度がその支払う
責任を免れるという条項につきましては、
本法の中に入っておりますが、この場合にもう
一つ、本
制度の
認定患者さんが、本
制度から
補償給付を受けることができるのであるが、それを御本人が申請をされないで本
制度から
補償給付をもらわないというような
ケースが中にはあるわけでございまして、そしてその場合に、
裁判を起こして原因企業から当然に
補償費用をとるというような
ケースも
考えられるという問題がございまして、その場合にその企業は当然に本
制度で、
汚染負荷量賦課金によりまして強制的に、これは
大気汚染の場合でございますが、費用を徴集されておるわけでございますが、
患者さんはその
補償給付を本
制度からはとっておらない。しかし、
裁判で勝てば当然その企業は
裁判の判決額をまるまる支払わなければならないということになります。そこは木
制度として強制徴集されておって、しかも
補償給付がその御本人の請求がないために出ていなかった。しかし、その
補償額を全額いままで強制的に支払わされておった
給付は払うということについても、あまりにこれは条理として問題があるのではないか。やはりその点をどうするかということの
検討をさらに深めまして、その場合には全部または一部を、その場合発生施設設置者の要求によって都道府県知事または
政令市の市長が支払うことができるというような、さらに深く
検討した結果の免責条項というものがこの中に入っておるわけであります。
以上でございます。