○島本委員 なるほど
長官が言うように、この
保安林解除要件というものは
森林法第二十六条の二項にはっきりきまっているのです。一項には「
保安林について、その指定の理由が消滅したときは遅滞なくその部分につき
保安林の指定を解除しなければならない。」これはやはり指定の理由が消滅したのですから、水源涵養のためにやるのですから、これじゃないわけです。二項のほうには「農林大臣は、公益上の理由により必要が生じたときは、その部分につき
保安林の指定を解除することができる。」まあこれじゃないか。もしそうだとするならば、これは公益上の理由により必要が生じたときにはやる、こういうことになるわけですから、水をたくわえる水源涵養の目的でこれは四十六年に指定されて、そして直ちに解除する、これではまさに無計画のそしりを免れません。まして今度は公益上の理由ということで、いわゆる大演習場をつくっていく。こういうようなことはまさにこれはためにする理由であって、その理由は真の公益上の理由にはならない。
環境の
保全こそいま世界の
一つの流れであり目的です。そこを演習場にしたら、富士山の東でも西でもみんなもう実弾演習場になる。その被害を受けているのが国民であり、不発弾によって、もうすでに皆さん御存じのように被害さえ受け、とうとい人命を落としている。こういうような状態をかもし出して、つくり出して、それが公益上の理由ということにはなりません。私
どもは
自然環境の
保全ということは何ものにも優先するのであって、その立場からすると、公益上の理由ということで水源涵養林の指定が四十六年になされたものを、これを無惨にも解除するということは万が一にもあり得べきことじゃない、こういうように考えておるわけであります。これがはずれたならいいだろう、こういうことになりますが、もともといいということではないのですよ。何のためにこのようなことまでやるのか。ほんとうにいいのは、この沼田町が困って、そして売りたいというならば、それを国が買って緑の
保全をし、大都市の札幌が近いのですから旭川、札幌、こういうような方面からどんどんその周辺に来て自然と緑と健康を楽しめるような
場所にしてやるのが真の意味になるわけであります。防衛庁は何でも
破壊すればよろしい、何でも演習場をつくればよろしい、不発弾によって人畜を殺傷すればよろしい、こういうような
考え方に立つのはまさに時代錯誤であります。したがって、こういうような計画はまずおやめになったほうがいい。
それと同時に私は、
環境も考慮してこれは行なわなければならないという、この
環境を考慮するということは、山中総理府総務
長官は初代の人だったんですから、いまや防衛庁
長官として、初代に自分がやったことと相反することをやるという理由は断じてないのでありますから、これはやはり上、上ならば下は下で、その気持ちを体してこういうような計画はみだりに手を触れてはならない、これがあたりまえじゃありませんか。本末転倒してはいけないのであります。私はそういうような点は特に皆さんに注意しておきたい。大体これで全貌がわかりましたが、皆さんのほうには必ず議会の決定であるとか町長の要請であるとかいうものしかいかない。それが全体の
意見だとして皆さん見がちである。われわれのほうには町民や諸団体や民主団体の
意見がどんどんくるのです。したがって、往々にして皆さんの
考え方と違うような結論が出されるわけです。こういうようなことからして、必ずしも皆さんの決定、
考え方だけが民意を代表するものじゃないということは、いまや公害の原点に立って当然考えなければならない点なんです。町長が、市長が、
知事がそれを承認したから何でもいいんだ、これが民意だ、こういうような
考え方には、もう公害
行政は全然
関係ないです。ほんとうの民意というものは住民組織がこれを了解することが民意なんです。何でも県
知事だとか市長とか議会が了解すると、すべてがこれで終わったんだ、この
考え方がいまの
日本をここまで荒廃さしたのです。防衛庁もそこをよく考えておいてください。あなたの場合は、ほんとうに山中前総理府
長官はいまやもう
三木環境庁長官と匹敵されるほど名
長官だった人ですから、防衛庁
長官になってもその品位だけはそこなわないように、十分これは考えてやるのがあなたの義務です。もしこの点において反論があったならば聞いておいて次に進みたいと思います。なければよろしゅうございます。十分その意味を考えてみだりにこういうようなことをしないようにしたほうがよろしいと思います。しかしこれは
環境の
破壊につながることです。それも千九百ヘクタールという水源涵養林の指定は四十六年になされたばかりであるということ、ここを十分考えておいてもらいたい、こういうように思うわけであります。