○
岡本委員 長官、きょうは時間がありませんからまたあらためて論議をしますけれ
ども、フランスの都市計画家コルビジェという人はこう言っていますね。太陽と緑と静けさが町づくりの三要素である。これが西欧の都市計画の基本づくりといいますか、一番の要素になっている。ドイツの科学者のベルナッキー博士は、自然に成長した十メートル以上の五十年生のブナの木は一本で四家族の人々の呼吸に必要な酸素を供給している。また山口医大の中山博士は、人は一日に一万リットルの空気を呼吸することによって生きている。私たちにとって大気がいささかでも有害あるいは有毒なものが含まれていて差しつかえないという根拠は全くない。アメリカの生態学者ダモン・C・コール教授は、人間の未来のおそろしい可能性として、緑の不足が酸素の不足となって人間の死を招くかもしれないというような重大な
指摘をしております。
だから国土総合開発で道路をつけたりするについて一番大切なのは、
自然環境、緑をどうやって
保全していくかということです。緑を
保全するためには、一本一本の木をそのまま残しておいたのではみんな倒れてしまうわけです。それにはまず潜在しておるところの植生というものを徹底的に
調査をして、そしてその植生図に基づいた開発でなければならないと私は思います。日本にはそういった
全国の植生図が全然ないわけです。諸外国では一九六二年ですか、その前からですが、西ドイツなんかでは食糧農林省それから国立植生図
研究所、こういうものを合併しまして
自然保護景観
管理研究所というものをつくって、そして開発をするためには
全国の植生図にきちっと合わせて、それを基本としてからでないと
許可しないというきびしいものをやっております。悲しいことには日本にはこれが全然ない。ですから、相当予算を取って
環境庁が音頭をとってやらなければ、いかに国土開発法ですかああいうものが出てきましても、ただ単にここならいいだろう、そこならいいだろうということでは何を基準にして
許可をしておるのか。こういったきちっと科学的なものに基づいた
——明日、おそらく横浜国大の宮脇教授が見えると思いますが、この人たちもこういう
意見を出すと思います。やはりやらなければならぬと思いますよ。科学的な
調査に基づいた開発、それでなければ自然というものは再び戻ってこないのではないかと思う。その点について
長官の御
意見を承りたい。