○
村山(富)
委員 時間があまりないものですから詳しくは申し上げませんけれ
ども、いま
環境庁の
調査の結果を聞きましてもおおむね現状を維持しておる、あるいは海峡を
中心として自然
環境は良好である、こういうような
判断に立っておるわけですね。県の場合も県の
公害関係の職員は一生懸命努力しておると思います。しかし県が
環境保全のよりどころにしておる
基準というものはやはり
環境庁が示しておる
基準によっておるわけですけれ
ども、たとえば
環境汚染から見ますと、〇・五PPMまではだいじょうぶだから、現状はその半分
程度だからまだ
環境は
汚染されていない、こういう
判断に立っておるわけですね。したがって現状認識がたいへん違うわけです。私
どもが
調査に参りましていろいろ実際に見たり聞かしてもらったりしたことがたくさんあるわけでございますけれ
ども、たとえば
地元の医師会が健康
調査をいたしておりますが、国民健康保険の医師による請求書から毎年の新患者を抜き出して、その中で
大気汚染と
関係のあるような呼吸器系あるいは耳鼻咽喉系とか眼科系等の疾患の
発生を三十七年からずっと調べているわけです。その結果によりますと、
昭和四十年の新産都市の操業が開始された年から患者が急増しておるわけです。四十五年に本格的な操業が始まってから一段とその患者の
発生が高まっておる。医師会としては、これは明らかに企業立地によって起こっている現象であるというふうに結論づけているわけです。さらにまたその臨港地帯の背後地にある、その谷間といわれておるたとえば三佐、家島、小中島、徳島、こういう地域の住民が住民みずから健康
調査をやっているわけです。その
調査の結果によりますと、たとえば三佐の青年団が六歳未満の乳幼児の家庭を対象に昨年六月に
調査をいたしておりますが、その
調査の結果によりますと、六〇%がこの一年間に気管支炎かぜんそくあるいは鼻カタルあるいはへんとう腺炎などの病気にかかっているということが明らかになっているわけです。さらにまたいままで全然
調査の対象にならなかった徳島の地区、これは住友化学の背後にある住宅地区ですけれ
ども、その徳島地域の人たちの
調査結果によりますと、
調査した人数は四百四十五人ですけれ
ども、その中でかぜを引きやすくなったというのが二百五十人あります。せきがよく出る、百五十七名。のどが詰まるような感じがする、九十四名。のどが痛む、九十四名。目が痛む、四十五名。鼻が詰まる、五十二。詳しくは申し上げませんけれ
ども、こういうふうに相当の疾患がそれぞれあらわれているわけです。この地域は特に企業に
関係をする職員の住宅が多いのです。したがって、がまんにがまんをしたあげく、もうがまんがしきれなくなってこういう結果が発表されているわけですね。そういう事情も十分ひとつ
把握した上で御認識を願いたいと思うのです。特にこの地域の人たちが訴えておるのは、悪臭がひどいというのです。たとえばテレビのアンテナなんかは三年もすると腐って折れるというのです。屋根にふいてあるトタンなんかは二年もするともう腐って穴があく。子供が二階で勉強するのに目が痛くなったり悪臭で勉強できない。そこで実際に見ましたけれ
ども、窓ガラスなんか見ると、全部目張りをしてあるのですよ。それで、しかも庭の木なんかもどんどん枯れていく、こういう実情が訴えられているわけです。こうした実情を見ましても、私は、いま報告にありましたような
環境庁の現状認識はたいへん甘いのではないか。こういう現状認識でこのまま推移すれば、これはたいへんなことになるというふうに思うのです。さらにまた佐賀関ですね。これは一期
計画と
関係ありませんけれ
ども、その先にある佐賀関製錬所付近の
調査を京都大学の
先生が
中心になってやっております。それが大体四十六年の七月と四十七年の四月に二回にわたって
調査をしておりますが、その
調査の結果によりますと、こういうことが出ているわけです。第一回の
調査では主として海のどろあるいは山の土、海水中の重金属等を
中心に
調査をいたしております。その
調査の結果によれば、海の中のどろの分析の結果は、砒素の場合、これは
環境基準は〇・〇五PPMですが、たとえば排水口から十メートル付近あるいは排水口から三メートル付近、さらにまた海岸から二十メートル、三十メートル、こういう地点を設定してそれぞれ
調査をしているわけですけれ
ども、そこであらわれている砒素の量は
環境基準の〇・〇五PPMに対して八六一という数値が出ているわけです。あるいは一一六五というばく大な数値が出ているわけです。さらにまたカドミウムを見ますと一二・五、一六・五、二・五といったように、
環境基準をはるかにオーバーした数値が検出をされているわけです。さらにまた水銀なんかを見ましても一・五〇六、一・三八三、〇・三二七、一・九二六といったようなものが検出をされているわけです。いま申し上げたのは海水のどろですけれ
ども、土壌の中の濃度を見ますと、大体表面から五センチぐらいの土をとってそれを分析しているわけですけれ
ども、砒素の場合に一〇七五、あるいはカドミウムの場合には六・〇、鉛が二五二〇、水銀が四・二五八、こういう数値があらわれているわけです。さらに海水中の濃度を見ますと、カドミウムが〇・〇三八あるいは〇・〇四〇、こういったような数値があらわれております。こういう現状を見ましても、もうたいへん
汚濁をしておる。しかも非常に危険な物質がその中に含まれておるということが検出をされておるわけです。
第二回目の
調査は、主としてといの中にたまっているほこり、粉じんを分析しているわけです。それから住民の髪の中に含まれておる砒素の検出をしておるわけですね。それを見ますと、家のといの中における粉じんの中に含まれておる砒素の量は一五〇〇PPMというふうに検出されているわけです。それから住民の髪の毛の分析をしたところが、大体一般の日本人に含まれておる量は〇・二から〇・五、外国人の場合には〇・三から一・〇PPMというふうにいわれているそうでありますけれ
ども、この
調査の結果によりますと、最高が二・八PPM、二十八倍の高濃度が出ているわけです。こういう現状を見た場合に、このまま放置して、しかも一期
計画がどんどん拡張され、二期
計画がどんどん進められていくということになればたいへんなことになるのではないか。したがって、先ほど来申し上げておりますように
環境庁や県が現状認識をしておる認識と、実際の現地の実情というものはたいへんな違いがあるというふうに思うのですが、こういう現地の実情に対してどのような
把握をされておるか、もう一ぺんお尋ねしたいと思うのです。