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1973-04-20 第71回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年四月二十日(金曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 佐野 憲治君   理事 稻村左近四郎君 理事 菅波  茂君    理事 登坂重次郎君 理事 林  義郎君    理事 森  喜朗君 理事 小林 信一君    理事 島本 虎三君 理事 中島 武敏君       小澤 太郎君    吉川 久衛君       戸井田三郎君    羽田野忠文君       安宅 常彦君    岩垂寿喜男君       岡田 春夫君    川俣健二郎君       土井たか子君    渡辺 三郎君       岡本 富夫君    坂口  力君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 三木 武夫君  出席政府委員         環境政務次官  坂本三十次君         環境庁長官官房         長       城戸 謙次君         環境庁企画調整         局長      船後 正道君         環境庁大気保全         局長      山形 操六君         環境庁水質保全         局長      岡安  誠君         厚生省公衆衛生         局長      加倉井駿一君         厚生省環境衛生         局長      浦田 純一君         農林大臣官房技         術審議官    遠藤 寛二君         農林省構造改善         局長      小沼  勇君         農林省農蚕園芸         局長      伊藤 俊三君         農林省食品流通         局長      池田 正範君         食糧庁長官   中野 和仁君         水産庁長官   荒勝  巖君         水産庁次長   安福 数夫君         通商産業政務次         官       塩川正十郎君         通商産業省公害         保安局長    青木 慎三君         通商産業省公害         保安局参事官  田中 芳秋君         通商産業省化学         工業局長    齋藤 太一君         通商産業省公益         事業局長    井上  保君         運輸政務次官  佐藤 文生君         運輸省航空局長 内村 信行君  委員外出席者         環境庁水質保全         局土壌農薬課長 松山 良三君         水産庁調査研究         部長      松下 友成君         通商産業省重工         業局次長    北村 昌敏君         通商産業省鉱山         石炭局石油業務         課長      根岸 正男君         運輸省航空局飛         行場部長    隅  健三君         自治省財政局交         付税課長    森  審一君         消防庁予防課長 永瀬  章君         参  考  人         (新東京国際空         港公団理事)  岩田 勝雄君         参  考  人         (新東京国際空         港公団理事)  杉野 信吾君         参  考  人         (新東京国際空         港公団土木部         長)      皆川 葉一君         参  考  人         (新東京国際空         港公団施設部         長)      福岡 博次君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 四月二十日  辞任         補欠選任   村田敬次郎君     吉川 久衛君   阿部喜男君     川俣健二郎君   岩垂寿喜男君     渡辺 三郎君   土井たか子君     安宅 常彦君 同日  辞任         補欠選任   安宅 常彦君     土井たか子君   川俣健二郎君     岡田 春夫君 同日  辞任         補欠選任   吉川 久衛君     村田敬次郎君   岡田 春夫君     阿部喜男君   渡辺 三郎君     岩垂寿喜男君     ————————————— 四月十九日  日光国立公園尾瀬地区自然保護に関する請願  (島本虎三紹介)(第三〇八九号)  同(八木一男紹介)(第三〇九〇号)  同(山田芳治紹介)(第三〇九一号)  同外一件(山口鶴男紹介)(第三〇九二号)  同(吉田法晴紹介)(第三〇九三号)  公害防止抜本的対策に関する請願田中美智  子君紹介)(第三一七四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  公害対策並びに環境保全に関する件(化学物質  による汚染及び土壌汚染対策等)      ————◇—————
  2. 佐野憲治

    佐野委員長 これより会議を開きます。  公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。林義郎君。
  3. 林義郎

    ○林(義)委員 当委員会におきましては、先般わざわざ千葉ニッコー異物混入事件につきまして現地調査をしたところでありますが、この問題は、四月十一日ぐらいから発生した問題でありまして、現在警察当局その他でお調べになっておるところの問題であります。そういった問題は、私は当委員会であまり詳しい議論をするのはどうかと思いますし、むしろ一般的な問題につきまして、農林省なり厚生省に、どういうふうにやっているかということについてお尋ねをしたいと思います。  油をつくるときにその中にビフェニールという異物が混入したという事件でありますから、いわば事故であります。食品衛生法という法律を持っておられるし、また、農林省がいろいろと食品についての監督をしておられるわけでありますが、一体、いままで基本的に農林省なり厚生省は、こういった問題についてどういうふうにやっておられたのか、また、厚生省のほうでは、一体どういうふうな形で監督をして、現実には都道府県知事を通じての監督だと思いますが、その辺の監督をどういうふうにやっておられるか、また、今回の事件契機にいたしまして、その辺の体制をどういうふうにしていかれるのか、お尋ねをしたいと思います。  それから、ついででありますから、通産省お尋ねいたします。  ビフェニールというものが食用油の中に入ってきたということであります。それはやはり食料機械の範疇に属するものでありますから、その食料機械について、性能がよかったかどうかということであります。私の聞くところによりますと、昭和四十年くらいに買ったような機械です。そういった機械ですから、いまから八年も前に買った機械で、そこまでメーカーの責任云々と言ったところで、なかなかこれは現実問題としてむずかしい問題があるだろうと私は思うのです。したがって、あとは買ったところのユーザーである千葉ニッコーのほうが、機械の運転、事故等について責任をとるべき問題だろう、こう思うのです。その辺につきまして、通産当局は一体どういうふうにこの問題を基本的に考えておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
  4. 池田正範

    池田政府委員 今般、千葉ニッコー工場におきます熱媒体が混入いたしました事件は、国民生活に不可欠な食品製造業者として、社会的な責任を問われるものでございまして、まことに遺憾に存じておる次第でございます。  農林省といたしましては、御案内のように、農畜水産物あるいは飲食料品油脂といったようなものの全般にわたって、生産、流通消費各般の増進、改善調整といったようなものを任務といたしております。したがいまして、直接的に衛生的管理ということについてはタッチはいたしておりませんが、当然食料品でございますから、からだに害があるようなものが食料品になるということは考えられない。むしろ土俵にあがる前の話ということになろうかと思います。そういう意味で、私どもとしては、一般消費者利益保護というところまで含めまして、今回の事件に対しては、行政上の問題としてもかなり深刻に受けとめておる次第でございます。  そこで、食品衛生法との関係とかといったような権限問題は別といたしまして、当面今回の問題に対応いたしまして、私どもといたしましては、すべての製油工場につきまして、熱媒体にかかる装置の再点検を直ちに実施させるということ。それから、油脂製造設備定期点検につきまして、もう少し回数をふやすというようなこと。これは年一回といったようなことを、もう少し、シーズン中に二回とか三回とかやる。あるいは装置につきましても、いま御指摘のように、設置をいたしましてから八年間そのまま使う。したがって、これは定期点検によって装置に欠陥が発見されますと、それでわかるわけでありますけれども、私どもとしては、こういう国民の健康に重大な影響のあることでございますので、悪かろうと悪くなかろうと、ある程度の安全度をとった更新期間をつくって、そしてその期間内に必ずかえさせるというようなところまで管理強化すべきではないかということで、すでにその旨は私ども局長名で通達して、早急に実施に移す方向で検討させております。  それから、JASの問題でございますが、これはたまたまJAS工場であったことで、JASマークのついた製品が出ている。JASマークを見ますから、国民は当然、安全を期待して買うということになりましょうが、御承知のように、食品衛生法にかかる分野については、JAS法はむしろその衛生法の上に乗って、食品としての品質規格をギャランティーするというかっこうでございます。  しかしながら、今回のようなこともございますものですから、これは御承知のように、ガスクロマトグラフィーを使えばある程度の析出ができますので、その機械もまた格付機関のほうで用意をいたしておりますので、厚生省十分連絡をとりまして、何回かに一ぺんはJASのほうも、権限外ではございますけれども厚生省の御了解も得て抜き取りで検査を入れていくというところまで手を伸ばしたい。  それから、可及的すみやかな期間を置きまして、もしどうしても有害な熱媒体を使わなければだめだということが明確になりました際の最終手段としては、場合によっては水蒸気処理といったような非常手段まで含めて、これはコストに関係してまいりますので、今後の問題に非常に大きい波及効果を及ぼしますから、簡単には結論を下せませんけれども、そこまで覚悟をして、管理強化するというようなことを含めまして、全国約九千八百の認定工場に対しまして、実はきょうから格付機関を含めた総点検会議を催すことにいたしております。
  5. 塩川正十郎

    塩川政府委員 通産のほうにお問い合わせのありました問題についてお答えいたしたいと思いますが、御承知のように、今回の事故熱交換器からの事故で起こってきております。そこで、通産省といたしましては、こういう熱交換器等業者に対しましては、御承知機電法——特定電子工業及び特定機械工業振興法によりまして、こういう熱交換器は取り上げられておりまして、そこで耐圧性なり、あるいは耐熱性というものを一定の規格でやらすようにいたしておるのであります。しかし、操作等いろいろな問題があったと思うのでありますが、ついては今後、この熱交換器食品工業に使われる場合には、材質の問題も全部ひっくるめまして、特定なもっときびしいものにしなければならぬ。したがって、食料関係に使われる熱交換器については、規格基準というようなものを非常にきびしいものにして考え直さなければいかぬ、このように実は思うております。  それと同時に、こういうところに使われますところの化学物質につきましては、現在今国会に提案いたしております特定化学物質規制法律がございますが、それを早急に御審議いただいて、一刻も早く国会で成立させていただくということがわれわれの願うところなのであります。それによりまして、分解性なりあるいは慢性毒性というものを持っておる化学物質を取り締まっていくことを強力にやっていきたい、このように思うております。
  6. 浦田純一

    浦田政府委員 今回の事件に関しましては、私どもはまず消費者皆さま方国民皆さま方に与える不安の除去ということを第一の重点といたしまして、およそ疑いの持てる製品につきましては、できるだけ早くそれを消費者皆さま方に知らせまして、まず回収につとめるということに第一の努力を傾注したわけでございます。それに関連いたしまして、できるだけ早く、健康上に及ぼす影響、すなわち毒性についての究明を急いだわけであります。また、あやしいと思われる収去物件についての検査ということを急いだわけであります。さらに、原因の追及あるいは責任の所在、そういったようなことについて、私どもは現在まで県当局にいろいろと指示をし、また、私どもみずからも担当官を派遣いたしまして、この事柄の処理に当たらせたわけでございます。  御承知のように、食品衛生行政は、都道府県知事への機関委任事務でございまして、日常監督ということは、都道府県当局にまかせられているところでございます。さて、厚生省といたしまして、前回のカネミ油症といったような非常に不幸な事故契機といたしまして、この種の食品製造工業に対する指導監督を、体制上からもいろいろと整備する必要があると感じまして、四十三年にカネミ油症事件が起こったわけでありますが、その翌年七月に食品衛生法施行令改正を行ないまして、食用油脂製造業許可を要する業種として指定いたしたのでございます。それ以前はこれは許可を要する業種としては指定されていなかったわけでございますが、新たに許可を要する業種として指定いたしまして、これに必要な施設基準都道府県知事が設けることができるようにいたしたわけでございます。  それからさらに、これは担当農林省を通じまして、事故発生後、実際には日本油脂協会がその指導に当たったようでございますが、塩素化合物——PCBはそうでございますが、そのような非常に問題のある化合物熱媒体として使うということ自体禁止すべきであるということでもって、事件以後は事実上これを使用禁止という手を打っていただいているところでございます。  それから、もちろん絶対に装置からそういう熱媒体が漏れないように完全な装置とすることを目標として指導しておるというふうに承っております。また私どもは、食用油製造過程が非常に複雑であるということから、監視も厳重にいたさなくてはなりませんが、食品衛生管理者設置を義務づけることによりまして、自主的な管理体制強化をはかってきたところでございます。これらの措置によりまして、私どもとしては事故再発を防ぐということに努力してきたところでございます。  さらに、昨年の食品衛生法の一部改正に伴いまして、有害毒物混入防止基準を設定できるように一条設けまして、これは第十九条の十八でございますが、「厚生大臣は、食品又は添加物製造又は加工の過程において有毒な又は有害な物質当該食品又は添加物に混入することを防止するための措置に関し必要な基準を定めることができる。」というようになったのでございます。しかしながら、まことに残念なことには、この条項は制定後日が浅うございまして、私どもは現在全国的にそういう化学物質使用実態調査調査中でございまして、現在その結果が上がってきておりますが、まだ基準を定めるというところに至っておりません。現在、事務当局で鋭意成案を得るべく作業中でございます。  このようなことでございますが、今回の事件は、確かにこのような法のいろいろな改善あるいは体制の整備というような点で万全を期するとまではいかなかったことは、私どもとしても率直に反省しなくてはなりませんけれども、私はその前に、やはり企業側がこれを一カ月近くも隠蔽したということ、さらには、事件の内容について虚偽の報告をしたといったような点が、非常にこの事件の解決と申しますか、あるいは世上に与えた影響と申しますか、大きなものがあったということもあわせてこれは厳重に私どもとしては追及すべきものであるというふうに考えております。  なお、今後の事後対策といたしましては、先ほど申し上げましたように、かかる種の製造業につきましては、さっそく十八日から全国点検実施いたしまして、未然に事故防止をいたしたい。それから、いまある程度毒性の収去検査の結果が出ておりますが、さらにこれを急ぎまして、再性の究明に当たりたい。できるだけ早く事件の全貌を知りまして、適切な措置をとり、国民皆さま方の不安を解消し、さらには、事故再発について絶対にないように努力をいたしたいと考えておるわけでございます。
  7. 林義郎

    ○林(義)委員 私は、いまお三方の話がありましたように、問題は食品衛生行政一般の問題と、当面の千葉ニッコーの問題と二つに分けて考えていかなくてはならないと思うのです。千葉ニッコーが、いま浦田環境衛生局長から御答弁がありましたように、一カ月近くも事実を隠蔽しておったという事実につきましては、徹底的に追及していかなければならない、こう思いますが、このほうは捜査当局のほうでやっておりますから、私はここではあえて触れません。その捜査の進展を待って、私は処断は厳正にされるべきものだろう、こう思います。  そこで、一般的な問題として、言うならば、先ほども農林省局長がおっしゃいましたけれども、この食品業界というのは全国的に非常に数が多い。しかも、ごく少数のところを除くならば、大体小さな中小企業中小企業の中でも零細企業が非常に多いのであります。しかも、零細企業でありますから、大きな会社と違って、なかなかりっぱな機械を買えない。安くつくろう、安い機械を使ってもうけようというのが実態じゃないか、こう思うのです。  そこで、おそらく装置につきましても、なかなか十分な監督がされないということじゃないかと思いますけれども、それが実態じゃないか。私は、経済中心でなくて福祉中心というふうに政策の転換をはかっていくならば、やはり国民の健康、国民の保健というものを最重点に置いて考えていかなくてはならない。小さなところであっても、それがゆえに国民の健康というものを無視するわけに私はいかないと思うのであります。小さなところであるからという理由でもって、国民の健康をないがしろにしていいということにはならない、こう思うのです。  そういった意味で、私は実際の行政にあたりましては、たいへんむずかしい問題があると思います。しかしながら、そういったものは農林省当局なりまた厚生省当局なりが各県を指導し、またそういった業界に対して積極的な指導をされることを私は心から期待するものであります。  先ほど政務次官からお話がありました機械につきましても、こういった塩素化合物のようなものを使わないような形でやっていくということもあります。食品機械業界におきましても、ほかの機械業界と違って、どちらかというと零細であります。零細なものばかりであります。そういったような零細なものが機械をつくり、零細なものが食品をつくり、また零細な人が販売しているという段階ですから、大企業をずっとつかまえてというのと行政はだいぶ違うと思うのであります。その辺をしっかりと頭に置いてやっていただかなければなりませんけれども、零細なるがゆえに健康を害してよろしいなどということは私は言えないと思います。その辺について徹底的にやっていただくということを心から期待するのです。いかがでしょう。政務次官から、代表してその辺の決意を御答弁いただけたらと思います。
  8. 塩川正十郎

    塩川政府委員 林先生の御質問の中に、私はやはりそこが一番大きい、現在経済界のあらゆる経済活動転換期が来ておると思うのです。いままでは御承知のようにつくることが先決であって、それつくれ、それ売れという式でやってまいりました。それがために、いろいろな面で無理が起こっておると思うのです。その無理はどこから来たかといいましたら、すべてのもののアローアンスのとり方が、日本のアローアンスは、これだったら最低限持つだろうというアローアンスでものごとがつくられておるし、また製造段階において考えられておる。そうではなくて、最大限の安全をとるならばどういうものが必要なのかという、そのアローアンスを上限に置かなければならぬと私は思うのです。そういうことの転換をして、その上であらゆるものを、機械だけではないと思うのであります、単に機械だけではなくして、製造方法についても、あるいは原料の選択というようなものについても、まずそういうところから始めていくべきだ。したがって私たちも、そういう趣旨でこれからの機械作製基準、こういうようなものについてはきびしく規制をいたしていきたい、このように思っております。  それと同時に、やはりこれは製造していく業者の教育なり技術水準というもの、それから点検に対する注意、こういうようなものも大いに関係していくべきだ。これは、やはり一つは取り締まりの強化というものにつながってくる、こう思っております。
  9. 林義郎

    ○林(義)委員 私の質問はこれで終わりますが、登坂委員から関連して質問があるというので、お許しいただきたいと思うのです。
  10. 佐野憲治

    佐野委員長 関連質問がありますので、これを許します。登坂重次郎君。
  11. 登坂重次郎

    登坂委員 実は、この間千葉ニッコー実地検分に参りましてたまたま感じたことは、食品衛生法実施にあたって、各工場とも管理者を置いておるようでありますが、その管理者の身分が確保されていない、あるいは日常活動において、企業製造過程において、管理者の職責が全うされていない。ただ名目的に食品衛生管理者を置くという程度にしかくみ取れないことが遺憾であったと思うのであります。というのは、この間聞いてまいりますと、食品衛生管理者がいる。いるけれども、私は研究室に入っていて何もそういう問題にあずからなかったのだ。だから、ただ研究部員の一員ぐらいに思って、管理者というのは、食品を、その工場の品位あるいは品質にほんとうに責任をもって社外に送り出すという重大な、実は会社全体の最も大事な使命があるように思われるのでありますが、それが果たされていなかった、こういう事実を見るとき、行政当局としては、今後数千、数万、そういう数多くの食品工場零細食品工場をかかえておるときに、監督官庁といって、いかに保健所でも、一々これを監督するわけにはなかなかいきますまい。だから、せっかく社内にある管理者の活用を今後十分考えて、その機能が果たせるように、ひとつ行政指導を強くお願いしたいと思います。
  12. 浦田純一

    浦田政府委員 食品衛生管理者の規定は食品衛生法の中にございますことは御案内のとおりでございますが、資格としてはかなり高度のものを私どもとしては要求しておるわけでございますが、確かに登坂議員指摘のように、この制度が十分に活用されてなかったということについては、今度の事件契機といたしましていたく感じておるところでございますし、食品衛生管理者が真に企業内におきましてその責任を全うできるように、私どもは十分これから指導をしてまいりたい、また、それの助成につきましても努力してまいりたいと考えております。
  13. 佐野憲治

  14. 島本虎三

    島本委員 千葉ニッコーの問題につきまして、先般当委員会としては調査に入りまして、その調査の結果、いろいろな問題点が摘発されましたので、以下それに従いまして皆さんにお伺いしたいと思います。  まず第一に環境庁長官に伺っておきたいのであります。最近、公害の問題と環境保全の問題がうらはらになって発生する度数が、以前よりも急ピッチになってきたように感ぜられます。環境庁ができましてから、この方面の行政にそれだけ一生懸命にやっておられたということも想像されるのでありますが、しかし、実際出てくるいろいろな事故を見ます場合には、あるいは手抜きであるとか、あるいは怠慢であるとか、あるいはまた、いろいろな状態で発生するのであります。私は、それを見る場合に、環境庁長官としては環境保全はそれでよろしい、また今後もやらなければならない。しかし、公害の発生について、今後長官が、いま副総理という立場と、もう一つは調整権という立場で、どんどん他の省に向かって、こういうようなことのないように——総点検するといっても、する各省の立場は違うと思います。工場並びにいろいろな立場に立ってやるのと、環境庁の場合は、特に国民の立場に立って総点検する場合の、この意気込みと指導をきちっとさせなければならないものである、こう思っております。長官のこれに対する決意を伺ってから、それぞれに入りたいと思います。
  15. 三木武夫

    ○三木国務大臣 千葉事件などを見ましても、装備に故障が起きて熱媒体食用油に混入されることを知っておって何らの処置をとらない。一つには、企業自身が、ことに食品などを製造しておるものは、その安全性に対して責任を持つという体制ができないと、なかなか食品に対する国民の不安というものは解消できない。企業の社会的責任というものを今日ぐらい要求されるときはない、これが一点。  もう一つは、役所の、こんなに次々に公害問題、それが人間の生命、健康を害するようなことが頻発しておるのですから、ただおざなりでなしに、総点検といっても、事件が起こってから総点検というのでなしに、やはり食品などに対しては、安全性に対する常時の検査といいますか、こういうものに対して、よほど機構の上においても人員の上においても強化する必要がある。厚生大臣ともしばしば話しておるのですが、厚生省がこういう問題には一番関係が多いのですが、そういう事前の検査体制というものをもっと強化したらどうだ、そして国民に、ものに対して安全でないのではないかというような不安を与えるようなことを一掃しないと、こんなに次々に問題が起こってくると、非常な不安な気持ちを国民に与えるということを、しばしば閣議等においても言っておるわけでございます。これはよほど、事件が起こっていろんなことをするというのじゃなくして、起こる前に、企業はもちろん、また政府自体としても、それだけの体制を整備することが必要だということを痛感をいたすものでございます。
  16. 島本虎三

    島本委員 今後のその方面に対する調整権の強力な行使を心から望みます。  今回の千葉ニッコー監督指導、これはどの省が当たっておられたことになりましょうか。
  17. 浦田純一

    浦田政府委員 各省それぞれの立場からの監督権はあると思いますが、まず厚生省の立場から申し上げますと、食品衛生法によりまして、この種の食用油脂製造業は法第二十条及び第二十一条に根拠を置きまして、政令の第五条第十九号で許可を要する業種として指定することになっております。この趣旨は、食品衛生にかかる事故を未然に防止するために、あらかじめ、許可するにあたりましては必要な書類を提出させ、さらに必要に応じましては現場に調査におもむく等いたしまして、それを確認の上許可するということでございまして、この千葉ニッコー株式会社の点につきましては、昭和四十六年の十二月三十一日の日付でもって、食品衛生法に基づく許可が出ておるのでございます。  それからさらに、食用油製造工程が複雑であるというようなことから、先ほども委員にも御説明いたしましたが、食品衛生管理者設置を義務づけるというようなことで、それを通じまして指導監督が行なわれるような仕組みにいたしております。  さらに、一般的な監督といたしましては、この種の施設に対しましては、いわゆる立ち入り検査の回数を、基準を設けまして、これは実は年六回ということが一応の基準に相なっているわけでございますが、それによって実効をあげるということを期待しておるわけでございます。  以上が、概略厚生省の立場からの指導監督の現状でございます。
  18. 島本虎三

    島本委員 四十六年十二月に許可して、その後工場調査におもむいたことが厚生省としてはあるのですか。また、それ以外の省は、これに対して別に監督権も指導権もないのですか、通産省農林省
  19. 池田正範

    池田政府委員 農林省のほうから申し上げます。  農林省は、農林省設置法に基づきまして、これは法の三条でございますが、油脂につきましては、その生産の増進、改善、あるいは流通及び消費の規制、それから品質の向上といった一般的な任務をいたしておりまして、いわゆる品物の管轄ということは、当然私どものほうの管轄権でございます。それから、これをつくります業種につきましても、業種所管官庁としての一般的任務を持っております。  さらに、具体的な権限でございますが、一般的な行政指導の権限のほかに、御承知の日本農林規格、いわゆるJASでございますが、JAS規格に基づきまして、それぞれ法律に定められた内容のチェックをするという権限を持っておりますが、一般的に申しますと、行政指導権限というものの一般論のほかには、直接的なチェックの方法といたしましては、このJAS法があるという体制でございます。
  20. 塩川正十郎

    塩川政府委員 今回の千葉ニッコー事件は、一にかかって、製造メーカーの重大なミス、しかもそれが一カ月間も、事実を知っておったのかどうかわかりませんが、とにかく、横着をかまえて製造しておった。これは全くそういうところから来ておる事件でございまして、反社会的な問題としてきびしくしなければいかぬ。  そこで、これを一つの反省といたしまして、先ほども私は、林先生にもお答えいたしましたように、熱交換器の規定というものは非常にきびしくしておりますけれども食品関係に使われるものについては、格段の考慮を、もう一回関係各省と協議して考えなければいかぬ、このように思うのです。  そこで、いかにきびしくいたしましても、結局、製造しておるメーカーそのものが、そういう監視注意、そして、これは人命に関係するんだという強い認識、こういうようなものを本来的に持たなければいかぬと私は思うのでございます。それにいたしましても、最大限事故の起こらないような機械をつくらす方向で通産省としては努力していきたい、このように思っております。
  21. 島本虎三

    島本委員 通産省なり農林省なりまた厚生省なりは、それぞれの立場で監督権限や指導権限があるわけです。ところが実際は、行って調査すると、ほとんど行っておらないわけです。県のほうでも、それに対して、まあ行っても、具体的に報告を承る程度のようであります。今後は、食品に関しては相当厳密にやるのでなければならない。これを基調にして、せっかく総点検をするというのでありますから、その際に——驚いたことには、われわれが調査して、その機械の耐用年数は何年なのかそれも知らないのであります。そのままで運転しているのであります。危険についても、起こってから初めてそれがわかったという状態であります。事故が起きる前の手当てを十分にしておらなかった。これがわかったのです。普通、こういうような場合には、指導はどの省で具体的にやっているのですか。農林省ですか、通産省ですか、厚生省ですか、または県に委任してやらしているのですか、これはどちらのほうなんですか。それぞれの立場はあるのですが、それぞれの立場があるならば、三省で入るのが当然ですが、それをやっておらない。県のほうも不十分だといたしますと、こういうような食品メーカーに対しては、現時点でどこの省が直接これを指導監督に当たっているのですか。千葉ニッコーに対してこれがどうもあいまいなんです。わからないのです。ちょっとこれを答えてもらえませんか。
  22. 塩川正十郎

    塩川政府委員 通産省は、先ほども申しておりますように、そういう機械をつくることについての基準を定めて、これを行政指導しておるのでございます。  そこで、この問題がどこで起こったのかということは、目下警察で捜査いたしております。したがって、その捜査が結末がつきましたら明確になっていくと思うのでございますが、通産省としては、その機械をつくる耐圧性耐熱性、こういうものについて指導しておる、また、その製造段階においては、それぞれの関係省、他省においてこれを指導しておる、こういうことでございます。
  23. 島本虎三

    島本委員 指導は直接していても、何回調査に入りましたか。これは各省入っておらないのではありませんか。これは直接やっているのは農林省なんですか、厚生省なんですか、通産省なんですか、その点がわからないのです。食用油をやるのは農林省だ、その機械については通産省だという。食品衛生法関係では、いまはっきり言ったように、法に基づいてこれは厚生省だというのです。それぞれあっても、どなたが代表して入っているのですか。どなたが定期的に行ってそれを点検しているのですか。
  24. 浦田純一

    浦田政府委員 監視体制につきましては、先ほど御説明いたしましたし、また先生御案内のように、政令の監視基準は年六回ということでございますが、当該工場を管轄しております市原保健所の食品衛生監視員が、工場に対しまして昭和四十七年中に二回の監視を行なっております。基準が六ということで二回というのは、回数から見た場合にはこれははなはだ不足であるというふうに感じておりますが、監視をいたしております。  それから、関係の省、あるいは農林省あるいはそのほかどういうところになりますか、いわゆる全般関連のある省庁が連合して、そしてチームをつくって監視する、立ち入り検査するといったようなことは、いままでのところは、特殊の例を除いてはとられていないのでございます。
  25. 島本虎三

    島本委員 農林省ではちゃんとJASマークまでつけて、チェックしながら出しておる。こういうようにしながらも、それに対する直接の検査も立ち入りもしておらないで、ただつけて出している。こういう安全性のないものを、安心して使用しなさい、まことに皮肉なやり方です。厚生省はそんなことを言っても、そのとおり間違いないのですか。これはちゃんと御存じだと思うのですが、知事に厚生省から機関委任されているでしょう。機関委任していながら、知事のほうでその委任された権限をどのようにして発動しているか、そういうようなことを調査しないのですか。県の衛生部も、この食用製品中のKSKオイルの分析をする装置も技術もないのですよ。機関委任をしながら、このような装置も技術もないのです。これはどうしたわけなんですか。事故の事前発見がこういうあんばいでできると思うのですか。当然これは事故が発生してから、皆さんの場合にはあと事後処置として答弁するだけの機関になってしまっている。その前に、機関委任したならば、その点を通じて十分に調べるのは当然じゃありませんか。この点はどうも厚生省のほうも手抜かりがあるのではないかと思う。  それから農林省は、JASマークをつけて売らしておいて、その点の調査や追跡並びに出しているものの安全性というものを確認しておらない。おそらくこれは業者のためにそれをやるということであるなら、国民大衆の健康も生命も犠牲にしても業者をもうけさせればいいというような考え方はもう通用しない。どうもこの点は私はおかしいと思うのです。厚生省は機関委任してないのですか。
  26. 浦田純一

    浦田政府委員 機関委任しているわけでございまして、また監視回数あるいは違反の件数等につきましては、例年報告を受けているところでございます。
  27. 池田正範

    池田政府委員 ただいま御指摘を受けました点について、決して責任のがれをするつもりではございませんけれども、役所の現在の権限の範囲からいたしますと、いま御指摘食品の安全というものは、JASマークがつこうとつくまいと、およそ食品として売り出されるものであるならば、当然人間が食べて毒でないということを前提にしなければなりません。したがいまして、JAS法というものを前提にして考えますと、その食べられるものの中で完全に品質が一定の中身としてギャランティーされる、保証されるということを対象にして実は組み立てられているのがいまのJAS法の仕組みでございます。  そういう意味で、JASマークの中に、そういうふうなJASマークを受ける資格がない、いわば食品としての資格が疑われるような形のものを前提として考えておりませんでしたために、一般的にJASのチェックというものが不十分であったことは、いま先生のおっしゃるとおりでございます。  いまのJAS体制のもとでは、監視体制というのを一応制度的にはつくっておるわけでございますが、それぞれの部門別に第三者の登録格付機関というのがございまして、その登録格付機関がそのJASマークを付したものにつきまして、ときどき抜き取りでチェックをするという仕組みをし、さらに年に何回かは農林省の直轄機関でございます農林規格検査所というのが全国に六カ所ございまして、その出先がさらに抜き取りをやる。これは人手の関係もございますけれども、いま約二百人の定数をもちまして現場の検査官が年に約五千点くらいのチェック調査をしているところでございます。  たまたま調べてみますと、直轄のチェックは行なわれておらないわけでございます。それから登録格付機関によるところのチェックは、四十七年の十一月十日に植物油脂の対象品目で千葉ニッコーの本社工場調査をいたしておるわけでございますが、この調査がいま先生に申し上げましたような、根っこにわたって毒か毒でないかというところまで調べていない。したがって、せっかく入ったけれども、御指摘の点については調査の役をなさなかったということでございまして、先ほどちょっと林先生の御質問にも申し上げましたように、問題は、ある意味でどこがどう管轄するという問題ではなく、食品としてとにかく世に送り出すという原点でございますから、厚生省とよく相談しまして、私ども厚生省のお手伝いという意味で、いわゆるJASのチェックの際に、同時に最低限の衛生基準についてもよく方法論等を統一してチェックをすることを研究してみたらどうかということで、現在検討中なわけでございます。
  28. 島本虎三

    島本委員 自治省来ておりますか。  自治省のほうでは、そうすると、せっかく厚生省のほうから知事に機関委任されているわけですね。その場合に、食品衛生法によって監視員が当然いるわけですね。そうなると、交付税上はどういうような措置をなすっているのか。それから、検査手数料というようなものも当然組まれているはずであります。この手数料は、千葉県の場合には幾ら見込んでおるのか、これが二つ目。三つ目には、千葉県の場合の積算はどうなっておりますか。とりあえずこの三つについてはっきり御答弁願いたいと思うのです。おわかりでしょうか。
  29. 森審一

    ○森説明員 まず食品衛生関係で交付税の措置はどうなっておるかという点につきましては、食品衛生関係の経費につきましては、年々交付税の増額措置を講じておるところでございます。四十八年度の措置といたしましては、前年度に引き続きまして食品衛生監視員を標準県で五人増員するということにいたしております。検査関係経費の充実ということにつきましては、府県分といたしまして前年度が五十八億円でございますが、この経費を七十億円に増額するということにいたしております。  次に、手数料につきましては、ただいま申し上げました普通交付税の基準財政需要額の経費は、所要額から手数料等の特定財源を差し引いた一般財源の必要経費として計算をいたしております。  それから三番目に、積算という御質問でございますが、千葉県自体の食品関係経費の内容につきましては、ただいまのところ資料を持っておりません。
  30. 島本虎三

    島本委員 重ねてですが、千葉県の食品工場の数は現在どれほどございますか。それから、五人増員ということはわかりましたが、監視員はいま何人おりますか。専任していますか、兼任していますか、その点、今後のために明確にしておいてもらいたいと思います。
  31. 森審一

    ○森説明員 人数につきましては、普通交付税の算定のやり方といたしまして、府県分につきまして、標準団体を想定いたしまして、そこで必要な計算をいたしまして、個々の府県に交付税を配分する段階になりますと、それにさらに人口でありますとか、都市化の度合いでありますとかいうふうな、それぞれの県の特殊事情に応じて計算することになっております。  標準団体の計算といたしましては、先ほど五人増員と申し上げましたけれども、これによりまして食品衛生監視員が六十二人から六十七人に四十八年度は増員するという措置をとってございます。具体的に千葉食品衛生監視員の数につきましては、聞くところによりますと百二十八人現在おりまして、今後若干増加する意向であるというふうに聞いております。  それから、関係工場の数、あるいは再任であるか兼任であるか等につきましては、私どものほうといたしましては、ただいま資料を持ち合わせておりません。
  32. 島本虎三

    島本委員 こういうような状態なのであります。環境庁長官並びに通産省、せっかく機関委任をしておっても、直接行ってわれわれが調査したところによると、県自体もその中へ行って十分指導しておらないのです。もちろん農林省も、JASマークはつけておってもほとんど行っておらない。通産省は、機械をつけてあるが、これまた食品衛生関係だからわれわれは知らない、こういうようなことで、せっかく機関委任を受けながら、県自体も体制が弱いのです。こういうようなことで、大事な食品を出しておるのでありますから、こういうような状態では、こういう事故は起こるべくして起きたのです。これは行政の一つの怠慢です。私は、今後こういうことがあってはならないと思うのです。食品衛生検査は年六回行なわれることになっているとしても、県ではそれを十分にやる能力すらない。年に二回くらいしか行なっておらない。しかもその二回の検査でも、分析できないような状態で何が検査ですか。この指導体制というようなものに対しては、人の命にかかわる、健康にかかわることですから、今後十分、総点検とともに強化すべきである、こういうふうに思うのです。これは環境庁長官から閣議の席上でも、この点だけは今後のために、体制強化の点は私から要請しておきたいと思います。決意を伺います。
  33. 三木武夫

    ○三木国務大臣 島本委員の言われるとおりだと思います。生命、健康の保持ということに対しては、もう最善の努力をしなければならぬわけでありますから、従来も行政の権限がばらばらになって、そういう点でもいろいろ問題があると思います。今後そういう食品などの安全性の確認ということに対しては、一段と力を入れるために、機構上のことについても検討を加えたいと思います。
  34. 佐野憲治

    佐野委員長 ちょっと待ってください。  ただいまの島本虎三委員の質疑の中で、千葉県の交付税上の積算の基礎の要求がありまして、資料がいま手元にない、こういうことでありましたので、後刻ぜひ提出していただきたいと思います。どうですか、自治省のほうは。ただいまの質疑の中にありました交付税の積算の基礎、そして年何回検査するか、一回の手数料は幾らか、そういう手数料と、一般財源としての交付税の積算の基礎を、四十七年度でけっこうですから出していただきたい。
  35. 森審一

    ○森説明員 それはお出しできると思います。
  36. 佐野憲治

    佐野委員長 それと関連しまして、高圧ガスを取り締まる法律がありますね。あれを機関委任として通産省から出ておりますね、高圧ガスの使用。それも千葉県の場合、高圧ガス取締法による検査はどうなっておるか、そういう点をひとつ明確にしていただきたい。  それと、四十七年度の決算は出てないけれども、四十六年度において、そうした積算の基礎となっているのと決算とどういうことになっているか。この資料、これは非常に重大な問題でありますので、今後の監視体制なり機関委任に対しまして、どのようにして県がやっているか、こういうことを委員会としても今後十分検討していきたいので、特に食品衛生の問題で出ましたことを中心として二つの資料を要求いたしておきます。
  37. 島本虎三

    島本委員 あらためて私からその資料を要求し、委員長の仰せのとおり早く出してもらいたいと思います。  次に、今度は食品製造工程でのPCBの使用、この禁止が昨年なされたわけですが、そのあとアルキルナフタリン、ビフェニールの使用、こういうようなものは許されてきた。こういうようなところにまた問題が起きたということになるのです。したがって、ここに問題があるということになるわけです。これは昨年の六月だと思いますが、本委員会でPCBの代替品としてのアルキルナフタリン、アルキルジフェニールの毒性が問題になりました。そうしてその使用の禁止、こういうようなことに対して、私どもはこの委員会を通して政府にこれを要請したわけであります。それによって、たとえば林野庁や郵政省でアルキルナフタリンやビフェニールのノーカーボン紙の使用が中止ということにきまったわけであります。にもかかわらず、ノーカーボン紙よりもさらに重大な食品製造工程の中で、それもカネミオイルでその危険性が実証済みの物質が、その脱臭工程でPCBの代用品としてのアルキルナフタリンやビフェニールの使用、これを禁止せずに許可してきた、これが今回の事故につながったわけであります。したがって、これはもう一千葉ニッコー工場だけの問題ではなく、今後あらゆるこういうような工場に予想されるところの一つの事故であり被害であります。これに対して、政府にはやはり十分なるこの点の指導とそれから行政上の責任があるわけです。この点は厚生省ですか、通産省ですか。
  38. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 化学物質の安全性の確保につきましては、私どもとしましては、なるべく事前に安全性を検討いたしまして、危険なものは使わせない、こういうふうな仕組みをつくるべきだと考えまして、先ほど政務次官から御答弁申し上げましたように、今国会化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律案を御提案申し上げまして、現在御審議をお待ちいたしておるところでございます。  ただ、今回の事件の場合について考えてみますと、一般の産業用に使われます熱媒体食品工業に使われます場合の熱媒体とでは、区別して考える必要があるのではないかというふうに考えるわけでございまして、食品の場合には、もしそれが食品中に製造工程におきまして何らかの事故によって混入するおそれがあるといたしますと、そういう過程で使われます熱媒体は無害であることが望ましいというふうに考えます。  ところが、熱媒体として全く無害のものは水蒸気でございまして、残念ながら、いま一般に使われております化学物質は、もしそれが直接口に入りまして継続的に摂取されるならば無害というわけにまいらない状況でございます。したがいまして、水蒸気等を熱媒体として加熱方式として採用するか、あるいは全く混入しないような加熱方式そのものを採用するか、いずれかが望ましいのじゃなかろうかというふうに考えるわけでございます。そういう意味食品工業の場合の熱媒体というのは、一般の産業用に使われる熱媒体と違いまして、きびしい考え方をとるべきである、こういうふうに考えるわけでございますが、そういう場合の熱媒体の使用等につきましての取り締まりにつきましては、実は食品衛生法で取り締まられるたてまえになっておりますので、そちらのほうでこういった有毒なものは使わないといった規制をされるか、あるいは加工工程そのもので混入しない方式を採用されるか、そういった対策が必要ではなかろうか、こういうふうに考えております。  それから、一般の産業に使われまする熱媒体の場合には、これは一応閉鎖系でございますが、それが漏れまして工場の排水等から環境に出るといったようなことも予想されますので、そういった場合につきましては、直接口に入るわけではありませんが、環境に出ましてからそれが分解しないで魚等の体内に蓄積したりして、めぐりめぐって人の口に入るといった間接的な汚染の場合の毒性いかん、そういった場合も、今度の化学物質の審査法におきまして事前審査方式をとって、危険なものは使わせない、こういうふうなやり方をとってまいりたいというふうに考えております。
  39. 島本虎三

    島本委員 大体その方向はわかりました。県当局から出された報告書もわれわれの手に入りました。しかし、まずこの千葉ニッコーの使用しているKSKオイルあるいはダウサムA、それぞれの化学組成、こういうようなものに対して明らかにする必要があるのじゃないかと思いますが、この点は詳細に明らかにできますか。
  40. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 ダウサムAはビフェニールが二七%、ビフェニールエーテルが七三%という構成ででき上がっている品物でございます。その根性でございますけれども、急性毒性はマウスの経口でLD50が二千二百ミリグラム、これは体重キログラム当たりのLD50で二千二百ミリグラムというような毒性ということになっておりまして、御承知の毒物では三十ミリ、激物では三百ミリグラムとなっておりますので、激物の七倍ぐらいの安全性を持っている、こういうふうに言えようかと存じます。  それから、その慢性毒性でございますけれども、ダウサムAは、すでに申しましたようにビフェニールビフェニールエーテルの混合物でございますが、ビフェニール慢性毒性はわりあいに低いということで、現在かんきつ類のカビを防止する薬品として食品添加物としても指定をされておりまして、そういう意味毒性は非常に低いのではないかというふうに判断されます。  それから、ビフェニールエーテルのほうの慢性毒性はまだ検討が行なわれておりませんが、環境に出ましたときの生分解性は良好でございまして、活性汚泥を使いましたときに二時間後に四〇%分解するといったような成績が出ております。  それから、KSKでございますけれども、これはアルキルナフタリンという構造のものでございます。これの急性毒性は五・九cc、LD50でございますけれども、マウスの経口でやりまして五.九ccパー・キログラムでございまして、ただいまのダウサムAよりももう倍くらい安全性が高いと申しますか、急性毒性が低い、つまり五千九百ミリグラムぐらいになっております。  それから、慢性毒性でございますが、これにつきましては、東京歯科大学で昨年の五月から慢性毒性試験を行なっておりますが、その中間報告が最近出ておりますけれども、それによりますと、無作用レベルでラットを使いました数字で〇・二五cc。八一・キログラム・パー.デーというような数字が出ておりまして、PCBが〇・〇一ccパー・キログラム・パー・デーでございますので、PCBの二十五分の一の慢性善性といいますか、無作用量が、PCBの二十五倍まで与えても慢性毒性が出なかった、こういうのが東京歯科大学の六カ月やりました結果での中間報告が出ております。いずれにいたしましても、PCBよりはだいぶ毒性が弱いというような結果が出ておるように思われます。
  41. 島本虎三

    島本委員 念のためでありますが、急性の場合はわかりましたので、亜急性並びに慢性の場合の毒性検査、こういうようなものは発ガン検査や催奇形性試験や繁殖試験や代謝試験、こういうようなものを十分通した上でないとこれはわからないということを、以前から答弁によって承っておるわけであります。いまの慢性毒性については、これらの試験を全部通してこれは確認されたものですかどうか。
  42. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 いまのKMCでございますけれども、催奇形性試験は予備実験を一昨年の八月から行ないまして、本実験は昨年八月から実施いたしておりますが、まだ結論が出ておりません。そのほかのそういった特殊毒性の試験につきましては、現在準備中という段階でございます。
  43. 島本虎三

    島本委員 したがって、まだこれらの試験に結論が出ておらない、結論が出ておらないものを使用さしておる、こういうようなことであります。そうすると、ダウサムAの中にどんな不純物が含まれているのか、これは十分分析してございますか。
  44. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 不純物の試験はやっておりません。
  45. 島本虎三

    島本委員 不純物の試験はしておらないという。それからアルキルナフタリンのアルキル基ですね、それは一体どういうようなものですか。その構造式を少しここではっきりしてもらいたいのです。これは幾つかの物質の混合物のはずであります。そういうような点も十分検討して使用許可しておるのでありますか。
  46. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 アルキル基、これは三種類ございまして、モノイソプロピルの場合とジイソプロピルの場合とトリイソプロピルの場合と三種類ございます。
  47. 島本虎三

    島本委員 それらの安全性についての確認は、やはり一応はだいじょうぶだという確証の上に立ってこれを許可し、使用さしておるものですか、私はしろうととしてその点だけが心配なんです。
  48. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 一般の化学工業その他の工業で産業用に使われます化学物質につきましては、許可制等はございません。ただ食品関係に使われる場合には、食品衛生法で取り締まられることになっております。
  49. 島本虎三

    島本委員 そうすると、この組成や不純物がわかっていないままに政府は食品工業のこういうような工程に使用を許可してきたということは、厚生省のほうでやったとするならば少し重大ではありませんか。厚生省は、これは知らないままに許可していいんですか。これは厚生省ではないんですか、それとも通産省ですか。
  50. 浦田純一

    浦田政府委員 厚生省は、従来は直接食品に出るという物質以外については取り締まりはいたしておりません。製造工程につきましては取り締まりいたしておりませんが、今回の事故契機といたしまして、関係の各省庁ともその点十分相談いたしまして、何かその穴を埋めなくちゃならないというふうに考えております。
  51. 島本虎三

    島本委員 こういうようなのは、漫然としてやっていて事故が発生し、それが健康や生命に危害を与えるのがおそろしいわけです。したがって、そのための指導であり、そのための監督官庁であるはずです。そういうようなものを、安全性も確かめないで、これは科学技術庁の関係だからわからないということは許されないはずです。やはり厚生省あたりでは、この点はもっと厳重に指導すべきである、こう思うわけであります。  それで、なお次にちょっとお伺いするわけでありますけれども、これは厚生省全国製油工場熱媒体に何を使っているか、これはもうわかっておりますか。これが困るんですよ。そういうようなものを漫然として許可し、漫然としてこれを食品衛生法関係であるからという、この区分に従って厚生省厚生省だけでやっている。通産省農林省は、それぞれの立場でやっているけれども、こういうように、どっちがどっちだかわからないうちに、これが食品関係にまじった場合には重大な事故を起こすんです、身体上に、健康上に。それではだめですよ、もう少しきちっとしたあれでないと。そのために去年の六月に、PCBが問題になった際に、これらの毒性を排除して、それにかわる無害なものを使えということになっていたじゃありませんか。ところが、無害なものといいながら、こういうようにしてまた事故が発生するようなおそれのあるものを使わしている。この行政の怠慢がいけないというんですよ。ですから、そこを聞いているんです。このKSKですが、このオイルは呉羽化学の製造しているものでしょう。そうですね。ノーカーボン紙にPCBのかわりに使われていたKMCオイルとこれは若干は違うんでしょう。違うけれども、大差がないといわれているんでしょう。これはLD50ですから、このLD50の点から見ればやや同じ。これは去年の六月に、やはり環境保全特別委員会で追及されて明らかになったように、これは人体内に蓄積して大きな慢性毒性を持つおそれがある、したがって、郵政省や林野庁というようなところでも、新しいノーカーボン紙というようなものを使うのをやめてカーボン紙に切りかえた、こういうようないきさつがあるのです。ところが、まだこれを漫然と使っていてこういうような事故を起こした、こういうようなことです。ノーカーボン紙でも危険だとすれば、食品工場で使用する場合にはさらに危険であるということは当然じゃありませんか。なかんずくカネミオイルで、脱臭塔の熱媒体に使用する場合には、食用油に漏れ込むことはすでに経験済みなんです。そして、このような熱媒体にKSKオイルの使用を許可していたということ自体、これはやはり官庁の一つの責任問題にもなるのじゃないか、こう思うのです。  現にわれわれが行って調べたところ、コイルに穴があいている。そしてそれを調べに入ったところが、いますぐでも破れるかもしれないおそれのあるものが十カ所あった。もう少し漫然としておって、十カ所から漏れた場合には、これまたカネミ油症のああいうような問題以上のものを起こしたかもしれないわけです。ましてそれを、一カ月前からのやつを隠しておった。こういうようなことになる場合には、まさにこれは悪質の犯罪につながることになりかねないのであります。私は、これは行政怠慢のそしりを免れないと思うのです。こういうような点から少しくどく聞いてみるわけなんでありますけれども、やはり何としても安全性の問題だけは確認した上で業界指導すべきです。
  52. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 一般の産業用に使います場合と食品工業熱媒体を使います場合には、先生の御指摘のように、やはり区別をして、特に食品工業の場合には、いやしくも有害と思われるようなものが食品中に混入することのないように仕組みを考えるべきだというふうに私どもも考える次第でございまして、そういう意味食品工業熱媒体につきましては、水蒸気のような無害なものを使うか、あるいはこれが混入することの可能性がまずないような加熱方式を採用するか、いずれかの方法を考えるべきではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  53. 浦田純一

    浦田政府委員 先生の先ほどの質問に関連してでございますが、使われている熱媒体の種類等でございます。これは、全般的にはもちろん通産省のほうが詳しく資料その他は持っておられると思いますが、私どもの立場から調べました結果でございますが、約五十八、九のこの種の会社につきまして、実際にそこで使われている熱媒体の種類を、名前をすべて一覧表として持っております。それから、その食品製造に使われております熱媒体の液相・気相両用型あるいは液相とこういうふうに分けまして、商品名並びに組成についての表を持っておりますが、時間の関係もございますので、あとで先生のほうに差し上げるということでもって御了承いただきたいと思います。
  54. 島本虎三

    島本委員 答弁の時間がよけい要するものですから、私の与えられた時間がもう迫っているから早くやめることにしているのですが、まだ終わらない。  これは通産省、どうですか、脱臭工程でこのPCBやKSKオイル、ダウサムA、こういうようなものを使わなくとも、たとえば電気加熱であるとか、あるいはまた高圧スチームであるとか、こういうような脱臭工程は技術的に可能だというようなことが立証されているんじゃありませんか。また、容易だということも立証されているんじゃありませんか。問題はコストだけの問題じゃありませんか。この点、コストが高くなるから、安くあがるようないまのやり方を採用するんじゃありませんか。やはり安全性を主にするならば、いますぐでも、食品工場等で熱媒体に使用するこういうような脱臭工程のいろいろな薬品、こういうようなものはもう当然指導規制してもしかるべきなんだ。しかし、金がかかってやれない、そういうのでなければ、この脱酸工程で苛性ソーダなどを使う、そのために確かに、色を抜いたり、脱臭工程などのこういうようなものをやらないでできた油が、少しぐらい色があっても、また健康な臭気であるならば、むしろからだのためにいいのであるから、やはりこういうような点を十分考えて指導すべきじゃないですか。あえて無色であり透明であり無臭、こういうようなものの見せかけのためにあぶない状態をつくって指導するということは、いまやナンセンスに近くなってきているわけです。こういうような点では十分今後指導体制を改むべき時期にきたのじゃないか、私はこういうように思うわけです。高圧スチームのこれは九十気圧あれば十分、いまの石油化学百気圧から百二十気圧で使った実績さえあるというじゃありませんか。これはやれば十分に使いこなせる。高くつくだけでやらない。こういうようなことは、今後指導面から改むべきじゃなかろうか、こう思うわけなのでありますが、この点はいかがですか。これはどっちのほうになりますかね。
  55. 池田正範

    池田政府委員 個別業種製造工程のことでございますので、一応農林省から所管について御説明申し上げます。  先生御指摘のように、確かに大きな問題はコストでございます。御案内のように、普通の蒸気でございますと百度で沸騰いたしますが、ダウサムとKSKの混合液でございますと二百度以上、非常に沸騰点が高いわけであります。それだけ効率が高い。それからもう一つは、本来触媒としてちゃんとした管理をしておれば、いわゆる添加剤などと違って、本来オイルの中に入ってこないわけです。ところが、それがたまたまこういう形で入ってきたというところに大きな問題がございますので、私どもとしては、PCBの問題が発生いたしまして以来、なるべくこれは毒性の低いものに切りかえていくということで、そのことが実は今回の、PCBに比較いたしましては、先ほど通産から御説明ありましたように低かったわけでございますが、毒性があるというものを、なお不完全な操作のもとで用いられたという実態もございますので、先ほどちょっと林先生のお話の中に御答弁申し上げましたように、なるべくすみやかに有害な熱媒体を使わないで脱臭できる他の代替剤があるかどうかを、早急に期間をきめて検討する。それから、ある一定の期間にその問題が出てこないということになりますれば、これは、場合によっては、いま先生御指摘のように、水蒸気による脱臭——これはいまでも一部小型の工場の中でやっている工場もあるようでございます。したがって、能率が非常に悪いわけでございますけれども、人の命にはかえられませんので、場合によってはそこまで一足飛びに切りかえるということも含めまして、関係省との間で早急に検討して結論を出したいと考えています。
  56. 島本虎三

    島本委員 結論を急ぎます。  それで、このアルキルナフタリンのことなんですが、この方面に対してもまだまだ手抜きがあるようです。これは去年の六月に十分検討され、その対策については、皆さんのほうから進んで答弁もあったはずです。それが十分行なわれておらない。郵政省、林野庁の方面ではカーボン紙に切りかえた。このアルキルナフタリンというようなものについても、環境庁でも公害対策の一環として当然こういう危険なものに対してはやめさせなければならないわけです。というのは、一般の人々はノーカーボン紙を安全だと思って指をなめながら使っているのです。これはあぶない、危険であるということは、一年前から十分認識されておったはずです。ところが、安全だと思うその気持ちをカバーするようにして、おおいをかけるようにして、広告にもこれを無視してまたやり始めているわけです。アルキルビフェニールなどやめさせなければどうにもできないと思うわけです。  私の手元に、ここにあるのは週刊新潮の四月十二日号です。この中に同じようなことがあるのです。「ノーカーボン紙でゆとりが生まれる、ビジネスがはずむ。ビジネスにゆとりをつくりましょう。たとえば複写事務。ノーカーボン紙を使ったら、汚れず、スピーディに、仕事のリズムもはずみます。ノーカーボン紙のご愛用は年々ふえ続け、あらゆる職場で活用されています。ノーカーボン紙を、あなたのビジネスにも活かしましょう。複写事務が楽しくなりますよ。」こういうようなことなのです。これはPCBのかわりに呉羽化学のアルキルナフタリン、日本石油化学のビフェニール、こういうようなものが使われているのです。そしてこれは、千葉ニッコー食品工場で使用されている熱媒体と同様の薬剤なんです。  そうなりますと、盛んにまたこれも宣伝している。禁止する方向へ行くのを、逆にまた宣伝する方向に行っている。こういうようなものはおかしいじゃありませんか。これは見ていないのですか。これはどっちですか。通産省ですか、厚生省ですか、環境庁ですか。こういうようなものは禁止する方向へ行っているはずです。ところが、うんと使え使えでやっているのです。政府は業者本位の指導をしているのではありませんか。これをちょっと見てください。六二ページです。PRの中にありますよ。こういう一貫性を欠いたやり方ではだめです。国民の健康のほうを主に考えなければいけません。
  57. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 感圧紙に使われておりますKMCでございますけれども、御指摘のようにKSKと非常に似た構造になっております。これの毒性等につきましては、先ほど申し上げましたように、大学等で現在慢性毒性の実験中でございまして、まだ最終的な結論は出ていない段階でございます。  ただ、PCBと違いまして、塩素がくっついておらない。環境に出ました場合にも非常に分解性がよろしい。それから、急性毒性はもちろん非常に低いといったような点からいまこれの使用を禁止するほどに疑わしい物質ではないのではないか。もちろん、食品等に混入しまして、直接口から継続的にとられるといったことになりますと、これは非常に薄い毒性でも問題になりますが、感圧紙として使われる場合におきましては、現在までの知見から見ます限りでは、製造を禁止するほどに危険なものとは認められないということでございまして、さらにこの毒性試験を続けまして、最終的な結論を出したいというふうに考えておるところでございます。
  58. 島本虎三

    島本委員 この毒性がまだはっきりしない、禁止するまでに至らない、こういうようなことですが、これは、まさにこれに書いてあるように、安心して使ってくださいというから安心してやって、なめながらやったら、食品と同じようなことに口を通して中へ入るじゃありませんか。安心しないで、なめないで使ってくださいとでも書いてあるならまだしもです。安心してやってくださいといったら、どのように使っても安心だということになる。これは違うじゃありませんか。だれも警戒しないでしょう。はっきりした結論が出るまでの間には、こういうようなものを自由に使わせて、そして被害が出てからこれを禁止する、こういうようなやり方ではもうおそいのです。このような、化学薬品問題が起こってから処理する、いつもこういう態度です。これがいままでの政府の指導体制なのです。これではだめだと言うのです。公害の場合には、すでに疑わしい段階から注意しないとだめなんです。環境庁も十分その点は今後指導してもらいたい。  それと、新規化学物質はもとよりですけれども、今日食品工場などでいま許可されて使っている化学物質食品添加物、こういうようなものに対しては、KSKオイル、それからダウサム、こういうもののように急性毒性のチェックだけで許可されて、慢性やその他のものに対しては十分に調査をしておらない、まだ結論も出ておらない、こういうような点が多いじゃありませんか。各種の慢性毒性の試験で安全性が実証されていないものに対しては、やはり一応は国民の健康や生命を守るためにも、遠慮をし禁止すべきである、疑わしいものはすべての食品工場などからすぐに追放すべきである、これが基本的な指導じゃありませんか。関係法律でも、ごまかしの手直しだとか、いま国会に出されておる新規法案では、これだけではやはり行政指導からいっても十分解決するとは思われません。全面的に、根本的にこれはつくり変えるべきだ、こういうように思うのであります。環境庁長官をはじめ各省から、いま私が最後に言った考えに対しての御意見を伺っておきたいわけです。
  59. 三木武夫

    ○三木国務大臣 安全性が確認をされない問題については、よほど用心深く行政指導することが必要だと思います。
  60. 浦田純一

    浦田政府委員 食品全体の問題としては、もちろん危険な、あるいはその疑いのあるものについて、私どもは、不安を解消するためにも積極的にこれを防止していくという体制で臨んでいきたいと思っております。  いま、食品添加物につきましては、そのような趣旨から、これを許可するにあたりましては、十分にそのときの科学水準、分析技術でもって安全性を確認し、国際的にも認められたもののみを許可したはずでございますが、これを万全を期するために、いま再点検実施しておることは、先生の御案内のとおりでございます。これによりまして、そのつど新たに削除したりあるいは使用の制限を行なってきておるところでございます。したがいまして、食品添加物については、私はこれを強力に押し進めていきたいと考えております。  また、PCBに例を発しまして、今回の千葉ニッコー工場事件といったようなことが、いわゆる食品そのものに加えるものではございませんが、食品に触れるおそれがあるというものにつきましては、農林省あるいは通産省その他関係の省庁とも十分協議いたしまして、これを事前にチェックできる、いわゆるテクノロジーアセスメントと申しますか、これは科学技術庁でも新しくそういった方針を打ち出しているのでございますが、それらの省庁の意見も十分取り入れまして、未然防止の対策というものについて、早急に行政実施に移すように努力いたしたいと考えております。ことに食品衛生法の第十九条の十八につきましては、これはやはり関係の省庁とも十分相協議しながら、未然に防止するという見地から、事前のチェックということについて、さらに前進して解決に当たるようにいたしたいと思います。
  61. 池田正範

    池田政府委員 ただいま厚生省からお話ございましたこととタイアップいたしまして、ただいま問題になりましたような触媒についてすらこれだけの大きな問題があるわけでありますから、まして添加物ということになりますと、直接口に入るということで、これは従来から神経を使ってきておりますけれども食品衛生法の適用を厳格化していただくという方向とわがほうも符節を合わせまして、いやしくもそういったおそれのないように、特に農林規格検査所等の機能を動員いたしまして、指導体制強化する、あるいはJASの体系の中で、先ほどちょっと申し上げましたような安全調査を、厚生省と連絡のもとに取り入れていくという方向で、未然の防止体制をとっていきたいと考えております。
  62. 島本虎三

    島本委員 十分注意を喚起して、私の質問をこれで終わります。ありがとうございました。
  63. 佐野憲治

    佐野委員長 中島武敏君。
  64. 中島武敏

    ○中島委員 千葉ニッコー問題について、私も視察しましたが、非常に企業責任は重大でありますが、同時に、あわせて政府の責任も非常に重大だと思うのです。  それで、第一に聞きたいのですが、厚生省のほうでは十八日の夜に熱媒体が検出されなかった、こういう中間発表をされておりますが、しかし、最も危険性のある事故時における油につきましては、何かたいへん調査がおくれているようにいわれているけれども、これはどういうわけでしょうか。私は一番危険性のあるものから調べるのが当然だと思うのですが、その点どういうことでしょうか。
  65. 浦田純一

    浦田政府委員 経過を御説明いたします。  千葉県当局千葉ニッコー事件を探知いたしましたのは九日のおそくでございまして、実際にその情報に基づきまして現場に立ち入りして調査したのは十日以降でございます。その段階で、現場に行っていろいろと調査した者の報告を聞いてみますと、出荷伝票その他の取り扱いが非常に粗雑でございまして、いわゆる証拠品の収去の手がかりというものがなかなかつかめなかったのでございます。しかしながら、とにかくその場でできるだけ手広く収去いたしたのでございます。  ところで、その後十三日の夜に至りまして、当初工場側から聞いておりました事情と全然違う事情が社長の口から明らかにされたわけでございます。すなわち、汚染された油は再精製して出荷したのだということばでございましたが、そうじゃない、再精製しないままに出荷したといったような事実が発覚いたしました。  その点で、いままでのそういったいわゆる証拠品の収去というものにつきまして、さらに千葉県当局といたしましては、新しい条件を踏まえてかからなくてはならないということで、その段階で県警のほうとも相談いたしまして、至急にそこら辺の関係物件の再収去、あるいは場合によりましては押収ということに手を打ったのでございます。  したがいまして、四月十四日に至りまして、最も汚染の疑いの濃いものが一つ行き先がわかっております。これは業務用として出しまして、タンクローリーによって運ばれたものでございますが、これが中島製菓に運ばれておるという事実が判明いたしました。これは十四日の夜でございます。それで、その日に千葉県警の警部補の高橋氏が、証拠物件としてこれを押収するとともに、さらに県の衛生部の要望を入れまして、かわって収去をいたしております。  こういったようなことで、現物が入りましたのは十四日のことでございます。それから直ちに、千葉県警のほうから十五日に、このような証拠品あるいは検体が入ったという連絡がございまして、これが十七日に国立衛生試験所に持ち込まれたということでございます。話は前後いたしましたが、初めに収去いたしました検体につきましては、時を移さず国立衛生試験所その他関係の試験所、研究所に運び込まれまして、そのほうから検査が開始されたわけでございます。  一方、市原警察署は、岡山県に連絡いたしまして、例の三月十五日に汚染されたと称しております検体を、水島工場のほうにその検査を委託して送っているわけでございますが、それは総量五百ccでございます。そのことが判明いたしましたので、すぐに市原警察署のほうは、岡山県に連絡いたしまして、水島工場検査した残品がないかどうかということの照会をいたしております。ところで、これが実際に検体が残っておるということが判明いたしまして、当方に送られ、さらに国立衛生試験所に倒着いたしましたのは、実は昨日のことでございます。  このようなことで、会社側の出荷伝票の整理が非常に悪かったということから、私どもといたしましては、できる限り広く網をかぶせる、いやしくも疑いの持てるものについては、できるだけ数多く検体を収去するということ、そしてそのときに、たまたま工場の現場に三月十五日の該当品が含まれてなかった、どうもなかったというのが事実のようでございますが、ということから、むしろ三月十五日のその中心点をはずれた、二月二十日とかあるいは四月十日とか、そういった日の検体も含めた検査のほうが先に行なわれた。したがって、その結果も先に出たということでございます。私どもは、もちろん最も肝心の三月十五日を中心とする検体の検査が最優先だと思っておりますので、さっそく四月十七日以降国立衛生試験所にそれを最優先して検査結果を出すように強く指示し、要請しているところでございます。  以上のような経過でございます。
  66. 中島武敏

    ○中島委員 私の聞き間違いでなければ、いま、水島のほうにあった残品を国立衛生試験所に検査を依頼したのはきのうというふうに言われたと思いますが、間違いありませんですか。
  67. 浦田純一

    浦田政府委員 きのうでございます。これは県警のほうから私どものほうにこの検体を運んできていただいたのでございまして、間違いございません。
  68. 中島武敏

    ○中島委員 タンクローリーで運んだたいへん汚染の疑いの濃いもの、これが判明したのが十四日、それで検査に出したのが十七日といいますと、その間にもうすでに三日あるわけですね。それから水島のほうのものが判明してからも検査に出すのにまた日にちがあるようなんですね。私は、これは確かに会社の伝票不備というような問題もあるかと思うのですけれども、こういうことはもっと遅滞なくやるのでなければ話にならないのじゃないか。国民が非常に不安を持っているときに、検査結果を早く明らかにするということは厚生省の義務だと思うのですが、その点、いまの経過報告を聞いておりますと、何かどうも怠慢なように聞こえてしょうがないのです。これはどうですか。
  69. 浦田純一

    浦田政府委員 中島委員もおそらく現場に御視察に行かれたと思います。私ども担当官を派遣いたしまして、私、残念ですが、自分では現場視察の時間がございませんでしたので参っておりませんが、詳細に報告を受け、私どものほうで対策会議を持っておりますが、その機会にみなを集めまして検討いたしました。その結果からいいますと、これは弁解のように聞こえるかもしれませんけれども、この油の製造工程、それからそれを貯留し出荷するまでの工程が非常に複雑でございまして、至るところで——至るところというのは言い過ぎでございますが、ことに貯留槽の中で混合する、その貯留槽から出荷するのに、どの貯留槽からどれだけ持っていったというようなことについて、まあある程度の推測はつきますけれども、その中に入りました油の混入のぐあい、つまりタンクの上のほうから新しいのを入れまして下のほうから抜くということでございますが、新しいものを入れたとき、ことに当該汚染度の高い油を入れたときに、当該タンクの中にどれほど既存の油が入っておったというようなこととか、その辺のところの押え方が非常にむずかしいということで、さらに、先ほど申しましたように、この間伝票なり、いろいろな証拠書類が非常に乱雑をきわめておるということで、当初の調査のときには広く網をかぶせたということに相なったわけでございます。しかもそのときに、これは十四日ごろになってから社長のいわゆる自供ということで判明したわけでございますが、事実と違ったこともあったということと、それから実際上、工場内には当該汚染度の高かったと疑われておる油は、時日の経過もありまして、なかったというふうにあとから推測されるわけでございます。したがいまして、広く網をかぶせたときに逃げておったということでございます。  一方、私ども報告を聞いたところでは、やはり県当局あるいは県警といたしましても、一番容疑の高い物件の収去あるいは押収が最も緊要度の高い問題であるという問題意識があったわけでございます。したがいまして、それに対して、いまの整理の悪い帳簿を整理しながら、さらにいろいろと聞き込みを続けながら、やっと十四日の日になって中島製菓のほうにタンクローリー一台に五トン分の油が運ばれたという事実が判明したわけでございます。十五日の日にそれを県警が押え、さらに、あるいは私どものほうがその一部をいただきまして即時検査すべき立場にあったかと思いますが、十五日から十七日まで時間を経過してしまったということについては、私どもいまから考えまして、少しおそきに失したというふうには反省をいたしております。  それから、水島のほうにいたしましても同様なことでございまして、万一ということで一生懸命追っかけておったわけでございますが、距離などの事情もございましてさらにおくれたということでございます。  いま一般業務用に出回った品が回収されてきております。これらのほうにつきましても、汚染度の高いと疑われるものを中心として最優先的に検査をする、その結果をできるだけ早く出したいというふうに考えておるわけでございます。
  70. 中島武敏

    ○中島委員 私は、この種の問題というのは、いま厚生省のほうでも若干の反省はされておるようですけれども、やはりもっとてきぱきとやるようにしないと、もうおくれておくれてどうしようもなくなってしまうわけですね。ですから、今後の問題もありますので、もっとてきぱきとやるようにしなければいかぬということを強く要求しておきたいと思うのです。  それから次の問題は、先ほどからいろいろ言われておりますが、例の食品衛生管理者ですね。これはなるほど、私、視察してわかりましたことは、確かに置かれているのです。ところが、一年間ほとんど何もやってないのですね。それからまた、食品衛生監視員、これも県にはなるほどおりますけれども、六回は検査に行かなければならない。ところが、二回しか去年は行ってない。そのとき私は非常に重大だと思いましたことは、回数もさることながら、検査に行っても何を点検したらよいのかということがさっぱりわからないんですね。厚生省のほうからそのポイントについても指導を受けていないということなんです。だから、工場の中にぶらぶらと入って出てくるという以外になくなってしまうわけなんですね。形だけはなるほど食品衛生監視員というのはおりましょうし、また食品衛生管理者もいるんですけれども、実際にはそのポイントがわからないというんですね。全く間の抜けた話なんです。この間の視察で、私は、これは重大な政府の責任に類する問題じゃないかということを痛感したわけであります。  先ほどからのお話を聞いておりますと、例の十九条の十八、この問題についても検討中だというお話でありますけれども、私はこれはもっと急がなければいけないと思う、実際のところをいって。そうでなければ、幾ら監視員がいようと何がいようと、何をどういうふうにやっているのかということの見当もつかないというような実態なんですよ。  そこで、私は具体的に聞くんですけれども、いろいろ検討中のようですが、一体いっこの基準をはっきりきめられるのかということをまず最初に聞きたいと思うのです。
  71. 浦田純一

    浦田政府委員 第十九条の十八の規定に基づきます厚生大臣のかかる施設に対する措置基準、これは現在各都道府県にお願いいたしまして、この種の化学物質の使用の実態についての調査を求めたところであります。先ほど島本委員の御質問にお答えした一部はその調査に基づいたものでございます。  こういったことで、いま報告が出てきておりますので、私どもは大体その調査がある程度めどがつきました段階で、こまかくいろいろな物質について、さらにそれぞれできるだけ具体的に規定いたしたいと考えておりますので、その段階でもって作業に取りかかりたい。現在はその骨格について当該局課で作業をいたしておる段階でございます。
  72. 中島武敏

    ○中島委員 具体的にいつまでにつくろうというめどをもってやっておられるのかということについて聞いておるのです。
  73. 浦田純一

    浦田政府委員 手続その他もあると思います。私どもとしては、事務当局の成案としては五月一ぱいをめどとして努力いたしたいと考えております。
  74. 中島武敏

    ○中島委員 ほんとうにこれはできるだけ急がなければならない問題だということであります。  これに関連してお尋ねしたいのですが、食品衛生監視員というのは、一体国に何名おりまして、都道府県に何名おりますか。また、保健所を設置する市に置くことになっておりますが、一体何名いるのですか。
  75. 浦田純一

    浦田政府委員 四十七年三月の数字でございますけれども、大体五千九百名余りでございます。これは交付税の算定基準に標準団体当たり、昨年は六十二名でございましたが、ことしは六十七名というふうになっておりますので、四十八年度ではさらにふえる見通しでございます。
  76. 中島武敏

    ○中島委員 私が聞いたのは、国に何名いて、都道府県に何名いて、市に何名いるかというふうにお尋ねしたわけです。
  77. 浦田純一

    浦田政府委員 各都道府県のそれぞれの数は、表として私どもは持っております。いま申しましたのは全国の数字を申し上げたのでございます。五千九百名でございます。  それから、国の段階では必要のつど任命いたしておりますが、ただいま具体的には任命いたしておりません。国の公務員では食品衛生監視員はいまはおりません。
  78. 中島武敏

    ○中島委員 この五千九百名で食品衛生監視員がその任務を遂行するのにふさわしいかどうか、これで十分対応できるという人数かどうか、その点はどう考えておられるか。
  79. 浦田純一

    浦田政府委員 先ほどの答弁、ちょっと訂正させていただきたいと思います。国の段階では、輸入食品検査につきまして三十九名の監視員が国の公務員としております。  それから、五千九百名余で十分かどうかということでございますが、これは非常にお恥ずかしい話でございますが、監視すべき施設の数というのは全国で約三百万ございます。これに対しまして、年に一回ちょっとぐらい監視するというのがやっとでございます。もちろん、重点的に監視を実施しているということもございます。たとえば、問題になっております食用油脂製造業につきましては、施設の数で申しますと、昭和四十七年三月で全国に三百八十五施設ございますが、これに対する監視回数は二千三百余回ということでございまして、こちらのほうで基準として示しております年六回という数字は、ほぼ満たされておるといったようなこともございまして、そのように重点的に実施をいたしておりますが、正直に申しまして、私どもは、もう少し監視回数をふやすべきである、もっと徹底して食品監視の体制を拡充すべきであるというふうに考えておるところでございます。
  80. 中島武敏

    ○中島委員 基準もまだできていない、そして食品衛生監視員の数も、十分対応できるだけの数はいない、これでは事故が起きるのはあたりまえとは言いませんけれども体制としても非常に不備だと思うのです。こういうのは、当然もっとふやさなければいけない。国民が食べものを安心して食べれるということのためにも、もっともっと強化する必要があると思うのです。  さらにもう一つ、この問題に関係してお尋ねしますが、食品衛生監視員というのは、定期的な研修などは行なっておりますか。また、今回の千葉ニッコー事件に照らして考えるならば特に重要でありますが、製造装置の安全性であるとか、あるいはまた原料以外の工業製品が混入するおそれがないかどうかというようなことは、きちんと点検項目の中に入れられて研修されているものかどうかという問題についてお尋ねしたいと思います。
  81. 浦田純一

    浦田政府委員 食品衛生監視員の研修、資質の向上に関する施策でございますが、県あるいは国の段階でそれぞれ研修を実施をいたしております。国も年最低二回はこのような講習会を実施いたしております。  それから、特殊技術講習会と申しまして、いま先生御指摘のようなものも含めまして、最新のいろいろな新しい学術、新しい検査方法等を実施してきておるところでございますが、この食用油脂製造業といったような装置関係につきましては、いままでのところ研修項目としては十分に取り上げていないのでございます。  今回の事件契機といたしまして、早急に私どもとしては、その辺の研究、知識の向上につとめたいと考えております。これに伴いまして、来週は全国の主管の課長会議を招集いたしまして、強く私どものこのような方向に対する指示、指導を行なってまいりたいと考えております。
  82. 中島武敏

    ○中島委員 今度の千葉ニッコー事件というのは何も初めてじゃないのです。安全性あるいは製造過程において起きた事件としては、カネミの事件がもうすでに何年も前にあるわけです。そういう点からいえば、カネミの教訓をほんとうに生かす、そして食品衛生監視員がその任務を果たすということのためには、当然いま言ったような問題も含まれていなければならないわけです。これからやられるというのはけっこうだと思いますが、しかし、そのことの指導が十分ではなかった、先ほどは十分でなかったとおっしゃいましたね。十分でなかったということは、これはやはり厚生省としてはもっともっと反省して強化しなければならない問題だと考えます。  次に、私は製造工程の問題についてお尋ねしたいわけですが、私どもが視察をして、現場、現物を見ますとすぐわかることなんですけれども、問題の脱臭塔内における熱媒体のパイプのコイルになぜ穴があいたかという問題なんです。これは、衝突と振動によってパイプが摩耗しているということはほぼ明らかなことなんです。したがって、これは何か珍しい事故というようなものではなかろうと私は思うのです。同じような装置を使っている限り、ほかの工場でも発生する可能性は十分にあると私は思うのです。また、この千葉ニッコー点検をしてみたところが、一カ所ピンポールがあった。まだ穴があくには至ってないけれども、そういう危険な個所が十カ所もあったということを報告しているわけです。  それで、お尋ねしておきたいのですが、こういう類似の装置を使っている食品工場というのは一体どれくらいあるものですか。
  83. 浦田純一

    浦田政府委員 いま正確な数字は四十七年三月の数字しか持ち合わせておりませんが、三百八十五でございます。おそらく現在ではもう少し数がふえておるというふうに考えております。
  84. 池田正範

    池田政府委員 御指摘の触媒を使って油をつくっております工場は、全国で約三百八十五工場でございまして、その大部分は熱媒体のダウサムAの混合液を中心に触媒に使っております。ごく一部は水蒸気の触媒を使って熱処理をしておるということでございます。
  85. 中島武敏

    ○中島委員 先ほどからもこの問題をめぐって問題になっておりますが、この製造工程あるいはこのような装置を使うということは、許可を受けなくてもやれるようになっておるのですか。それともこれは許可を必要とするものですか。
  86. 浦田純一

    浦田政府委員 食品衛生法の見地から申しますと、食品衛生法の第二十条あるいは第二十一条を根拠条文といたしまして、政令の第五条第十九号に食用油脂製造業許可を要する業種というふうに指定されております。したがいまして、許可をする前には事前のチェックがなされておる、食品衛生法上のたてまえから申しますと、そのようになっております。
  87. 中島武敏

    ○中島委員 そうすると、これは政府が許可をしているというふうに解釈していいようないまの答弁なんですけれども、間違いないですね。許可しているわけですね。この装置あるいは製造工程について許可をしているわけですか。
  88. 浦田純一

    浦田政府委員 少し私の説明が足りませんで、間違っておりました。取り消させていただきます。  食品衛生法上から許可をいたしますのは、装置等についてのチェックではございません。食品衛生法上の見地から安全かどうかということでございます。
  89. 中島武敏

    ○中島委員 これは農林省あるいは通産省、一体これはどこの許可も受けなくてもいいのですか。この問題は、食品衛生法では許可対象ではないということははっきりしておると思うのですが、どこでもこれはやらなくてもいいのかどうか。
  90. 池田正範

    池田政府委員 農林省は、御承知のように業種を所管するということで、一般的な行政指導の対象として油脂工場をいろいろ行政指導するたてまえになっておりますが、いま御指摘の具体的に操業を起こすことについての許可権限というようなものは、特段のものは農林省行政の中では持っておりません。むしろ権限としては、先ほどちょっと申し上げましたけれどもJAS関係で、JASの指定工場になる際の問題がございます。しかし、衛生関係はもっと根っこの問題でございますので、特段の許可権限は持っておりません。
  91. 中島武敏

    ○中島委員 通産省、いませんか。
  92. 北村昌敏

    ○北村説明員 機械工業を担当するものの立場からお答え申し上げます。  まず初めに、千葉ニッコーに対する関係、次に熱交換器製造業に関する関係。  千葉ニッコーに対する関係につきましては、千葉ニッコーが保有し、運転をいたしております設備を含めまして、千葉ニッコーに対しては、通産省は何らの監督関係はございません。  次に、熱交換器製造業、これは現在事業所の数で二百件ぐらいございますが、大多数が中小企業でございまして、これを振興する意味合いから、機電法という法律がございますが、機電法の上で熱交換器を指定業種に指定いたしまして、これの振興をはかっている次第でございます。  現在やっておりますのは、熱交換器の耐熱度及び耐圧度、この二点について、五十二年度時点をにらみまして目標数値を設定いたしまして、性能の向上等につとめている次第でございます。
  93. 中島武敏

    ○中島委員 いま伺えば、厚生省もこれについての許可問題にかかわっていない、農林省もかかわってない、通産省もかかわってない。これは一体野放しでやれるということなのか。これはどういうことになっているのですかね。この問題について答えられる人だれかいないのかね。これはどういうことなのかね。許可制であるとか許可制ではないとかいうことについて、明瞭な答弁のできる人はおりませんか。
  94. 池田正範

    池田政府委員 業種所管の立場から申し上げますと、営業を開始する、あるいは操業を開始すること自体についての許可権能は、農林省としては持っておりません。  なお、先ほど厚生省のほうからお話がございましたけれども、要するに、食品衛生法上これが許可されるということであれば、私どものほうとしては、それを前提にして指導するという形になるわけでございます。
  95. 中島武敏

    ○中島委員 答弁はそれぞれみんなわかりますけれども、自分の所管じゃないというお話です。これは一体、だれに聞けばわかるものでしょうかね。わかる人に来てもらわないと話が進まない。これは一体だれがわかるのですか、政府の中では。
  96. 浦田純一

    浦田政府委員 確かに、現在の食品衛生法上の許可というのは営業の許可ということでございまして、装置自体の規制ということについてこれがかぶさっておるかどうかということになりますと、むしろかぶさってないというふうに解釈するのが至当であろうかと思います。  また、いま各省の答弁を聞いていますと、各省それぞれその辺について不明確であるということでございます。私、考えまするに、先ほど委員の方からの御指摘もございました第十九条の十八の中で、有毒、有害の物質食品添加物に混入するおそれがある場合の防止の措置基準というものを、厚生大臣がつくるという規定が設けられたわけでございます。これはさらに十分に関係省庁あるいは法制局とも詰めなくてはならぬ問題が残っていると思いますが、私どもはこの規定を最大限に活用して、そこまでいけるかどうかということについてひとつ前向きで検討してみたいと思っております。  さらに、これができないということになれば、関係各省庁とも十分に協議いたしまして、現在の谷間というものにつきましては措置できるように努力いたしたいと考えております。
  97. 中島武敏

    ○中島委員 ここで明らかになったことは、どこもこの問題について責任をもって答弁ができるという方はいらっしゃらないということなんです。同時に、いま厚生省のほうで言われましたように、十九条の十八ですか、これの活用でここまでいけるかどうかを検討してみたい、こういうお話です。  私は、この事件の一番大きな核心の問題というのは、こういう装置やこういう製造工程が許されているというところにあると思うのですよ。カネミ・ライスオイルの事件だってそうでしょう。製造工程上において発生した事件なんです。それから何年たっておりますか。いまだにこういうことがほっておかれて、だれも責任を持つ者はいない。これは私は重大な問題だと思うのですね。どこも責任を持てる省庁がない。私はこれは何の不備かわかりませんけれども、あるいは食品衛生法上の不備かもしれませんね。  かりにそうだとするならば、私は食品衛生法をもっと根本的に改正する必要がある問題だと思うのです。野放しにされておって、どこも責任を持つものがないという状態のもとで、被害だけは出てくる。国民はたいへんな被害を受ける。これは許されないことですよ。そういう点で、この問題についてはやはり明快な検討と、それからはっきりした結論を出すということが私は必要だと思うのです。  私の意見として言うならば、こういう装置製造工程は許さるべきではないと思うのです。そしてこのことが、少なくともその許可事項の対象になっていなければならないというふうに考えるのです。この点、先ほどからの答弁を聞いておりますと、最も重要な、最も核心の問題がほっておかれているということなんですね。私はそういう点で、この問題は早く確立をする、食品事故を未然に防止をするということのためには、製造工程そのもの、装置そのものの安全性が確保できるように、これは許可制にするべきだと考えますし、そしてこのことは、きちんと処理されるということをはっきり要求しておきたいと思います。  続いて、先ほどからこれももう一つ問題になっていた点でありますけれどもビフェニールはきわめて毒性の強いものですね。PCBの三分の一あるいは慢性毒性で十分の一とかいうふうにいいましても、やはり非常な毒性のあるものですが、これが食品に混入されるおそれがある状態で使用されるということは、少なくとも直ちにやめるべきことなんじゃないかというように考えるわけです。これはだれが考えたってあたりまえのことだと思うのですね。それが今日までほうっておかれたというのは、やはり経済性を優先して、国民の命や健康を二の次に考える、そういう行政の姿勢だというふうにぼくは思わざるを得ないわけなんです。そういう点で、厚生省のほうに、これは厚生省でしょう。通産省ですかな、明快な答弁を求めたいと思います。
  98. 浦田純一

    浦田政府委員 今回混入した物質、その代表としてビフェニールという名前をおあげになったかと思いますが、KSK二六〇あるいはダウサムAでございますか、このような物質、これは非常に複雑な混合の物質のようでございますが、これらの毒性に関しましては、実はまだ詳細にわかってない点もあるわけでございます。私どもの立場といたしましては、疑わしきは禁ずるという方向でこのことに対処しているわけでございます。  経過を申しまして弁解がましく聞こえるかもしれませんけれどもカネミ油症のときには、PCBということで、さらに一般的には毒性の強い、また分解が非常にしにくいといったような物質であったわけでございますが、これはその後熱媒体として、このような塩素化合物は使わないということでもって禁止されてきたということで、ダウサムAあるいはKSK二六〇にいたしましても、PCBに比べた場合には、分解性その他について条件はかなりいいということはいえるかと思います。しかし、総体的に申しまして、私どもは、食品に直接添加されたり混入されたりするといったものは、もちろん現在きびしく基準を設け、使用については原則的には禁止という方向で規制してきているところでございますが、今回のこのような、たとえ食品に直接触れなくても、触れるおそれのあるといったようなものについて、危険を防止するという立場から、通産なりあるいは農林省のほうにも、私どもの立場からいろいろと意見も申し上げて、より安全なものに、いや絶対に安全なものへの切りかえということについても、行政指導でできるところは行政指導で、場合によっては、いろいろなこれに必要な法的な措置ということも含めまして、早急にそのような事故が再び起こらないように予防措置を講じたいと考えております。
  99. 池田正範

    池田政府委員 農林省といたしましても、ただいま厚生省からお話がございましたような食品衛生上の管理強化ということを前提にしながら、なおこれができてJASマークがつけられようとつけられまいと、食品として世の中に流通した場合の被害を考えますと、業種所管省としての立場からゆるがせにできませんので、私どもの権限の及ぶ範囲内において、なるべく厚生省に協力して、衛生管理の面でも徹底を期したい。また、触媒の使用問題は、いま御指摘のように、装置自身についての所管が必ずしも明確でないということはございますけれども、そんなことは言っていられませんので、この際ひとつこれを契機にして、この装置に使われる触媒の内容についても早急に絶対安全の方途を講ずる。でなければ、先ほども他の委員の方に申し上げましたが、水蒸気によることまで含めて、安全性を優先してひとつぜひ早急に措置したいと考えます。
  100. 中島武敏

    ○中島委員 時間だというお話がありますが、あと一つだけ伺っておきます。  これは厚生省に伺いますが、今度の事件が起きましてから、二次製品であるマヨネーズのたぐいですね、たとえばキューピーマヨネーズといったようなものが一体いつつくられたのかということで調べてみるといいますか、非常に不安を感ずるものですから当然のことでありますが、いつつくられたかわからないというようになっておるのですね。これはなぜかといいますと、マヨネーズのポリ容器というのですかがある。ところが、それに包装紙がかぶっておりまして、その包装紙に製造月日が印刷なり張りつけなりされているわけなんです。ところが、これを使用するときには、当然のことですけれども、その包装紙は普通常識的にいっても捨てるのですよ。包装紙を大事にとっている人はありませんからね。これは捨ててしまう。そうすると、実際にはわからない、こうなっておるわけです。このために、私のところなんかに、一体これはどういうことだということでずいぶん電話がかかってくるのですが、これは包装紙に製造月日を印刷するのじゃなくて、その本体のほうにきちんとわかるように貼付するなり印刷する、何らかの形で本体にわかるように表示するべきじゃないかというように私は思うのです。しかし、現実にはそうなってないのです。一体これはどういうことでこうなっておるのか、このことについて最後にひとつお尋ねしたいと思います。
  101. 浦田純一

    浦田政府委員 確かに御指摘のように、容器の形質によりましては、あとではげてしまって製造月日がわからないといったようなおそれがある場合がございます。マヨネーズの容器はそういったことに該当すると思います。私どもは、早急に表示制度を改正いたしまして、先生御指摘の点を改善するようにいたしたい。また、対象品目を拡大するといったようなことでもって、消費者の皆さん方に安心して買っていただけるような、使用していただけるような制度にいたしたいと思っております。
  102. 中島武敏

    ○中島委員 もう時間ですから、私も終わりますが、一つ最後に要望しておきたいことは、いまの質疑を通じて明らかになってきましたことは、監視体制も非常に不備だし、そしてまた、食品衛生法には、事故が起きたときに報告の義務も明記されていないわけです。しかも、先ほども問題にしました、事前に安全を確保するためには製造工程、装置の問題をも問題にしなければならないのですが、そのこともこれまたどこが所管しているのかはっきりしない。食品衛生法にもこれがまた明記されていないというようなことで、私はこれは、政府の指導上の問題、同時にあわせて、食品衛生法にも大きな欠陥があると思うのです。そういう点では、食品衛生法改正ということを行なって、十分安全性が確保できるというふうに変える必要があると思うのです。これは答弁は必要ありませんが、このことを強く要求して、私の質問を終わります。
  103. 佐野憲治

    佐野委員長 坂口力君。
  104. 坂口力

    ○坂口委員 私も昨日千葉ニッコーのほうにおじゃまに上がりまして、いろいろ見せていただきました。カネミ油、PCBの問題から今回の千葉ニッコーの問題、同様な問題が続いているわけでございますが、今後このような事件を繰り返さないように、いろいろの点で注意をしていかなければならないと思うわけでございます。  先ほど中島議員の御質問のときに出ておりました食品衛生監視員の問題で、少し私の調べました数字と違うところがございますので、この問題から入らしていただきたいと思います。  第一に、食品衛生監視員の問題でありますけれども、いわゆる食品衛生法施行令の第三条で監視、指導が定められているわけでございますが、今回の油脂製造というのは、第五条第十九号に当たると思います。年六回ということでございます。先ほど油脂関係の問題につきましては、三百八十五施設というお話がございました。それに食品衛生監視員が巡回されたのが二千三百四回というふうにお聞きをいたしておりますが、違いますか。その辺お伺いいたします。
  105. 浦田純一

    浦田政府委員 二千三百回余りということで、そういう意味で二千三百余回と申し上げたのでございます。詳しい数子で申しますと、二千三百十というのが四十六年度中の監視回数でございます。四十六年度、四十七年三月における施設数が三百八十五、それに対する監視回数が二千三百十回、これが全国的な数字を集計したものでございます。
  106. 坂口力

    ○坂口委員 こまかいことを言うようでございますが、確かに三百八十五施設で年六回ということになりますと、二千三百十回ということになります。私が四カ所ばかりきのうからこういうふうな施設を持っている保健所へ電話をかけて調べましたところでも、そのうちの三カ所は大体二回くらいしか回る能力がない。一カ所は一回くらいしか行けないということを言っているわけなんです。この私が調べましたところだけでも、もうこれで回数からいえば十七回少ないわけです。  それから、昨日おじやまいたしました市原保健所ですか、そこのお話でも二回しか千葉ニッコーには行っていないというお話。これだけ合わせただけでも、もうマイナス十九回になるわけでございます。はたしてほんとうに二千三百余回やっておみえになるのかどうかということですね。先ほどこの数字を聞きまして非常に疑問に思ったわけでございます。まずその問題からお聞きしましょう。
  107. 浦田純一

    浦田政府委員 前の中島委員のときにも御指摘願ったと思いますが、たいへんどうも申しわけないことをいたしまして、私、どうもこの表の読み違いをいたしておりまして、規定の回数、標準の回数が二千三百十回ということでございまして、ちょっと表の欄を読み違えまして、実際、四十六年の実績は五百四十八回ということでございますので、たいへんどうも申しわけありません。
  108. 坂口力

    ○坂口委員 それならば私の考えていたのと大体合うわけです。おそらくそれくらいしかこれは監視されていないであろうと思うわけです。いま全国で私の調べました数字では、五千五百名の食品衛生監視員がお見えになるという数字であります。先ほど五千九百名ということでございましたが、私が厚生省で調べさせていただいた調査を見ますと五千五百名。そうして、この監視をしなければならない施設の数といいますのは、約三百七十万ということでございました。そういたしますと、一名当たりが六百七十三施設ということになります。これは十二回回らなければならないものもありますし、四回、二回でいいものもありますけれども、平均六回といたしまして、六百七十三施設ということになります。これは合計しますと、一人当たりが、年三百日毎日回っていたといたしましても、そういたしますと一人四千二十八回と申しますか、四千二十八施設回らなければならないことになるわけでございます。一日当たりにいたしますと、十三ないし十四件回らなければならない勘定になります。特に千葉県では百四十名お見えになって、そうして施設は約九万という数字を受けております。また、この市原保健所管内は五名お見えになって、施設の数は四千二百七十五施設ある、こう受けております。この市原保健所で見ますと、一名当たり受け持ちは八百五十五施設ということになります。そうすると、年間五千百三十施設回らなければならない。一日当たり十七件回らなければならないという勘定になります。  この辺につきまして、先ほどからもいろいろ御討議ございましたけれども、どうしても一人では回り切れない数字でありますし、二千三百十回行かなければならないところを五百四十八回しか行っていないという先ほどの数字は、これは当然そうならざるを得ない数字だと思うわけでございます。その辺のところをどうお考えになっているのかということを、ひとつお聞きしたいと思います。
  109. 浦田純一

    浦田政府委員 市原保健所管内の数字につきましては、先生のおっしゃるとおりの実情でございます。  全国的に申しますと、監視の対象の施設が約三百七万施設ございます。これに対するに約三百七十三万回の監視を行なっておるわけで、一施設当たり、平均すると一・二回ということでございます。それから監視員の数でございますが、四十七年の三月の数字で申し上げますと先生の数字に合うわけでございますが、四十八年度には標準団体に対する数が毎年少し、ずつふえておりますが、六十二名が六十七名というふうに五名の増員になっております。その辺のところも含めまして、私ども、現在少しふえておるということで、約五千九百名といったことで見込みを申し上げたのでございます。  いずれにいたしましても、なかなか実は政令で規定してあります標準の監視回数をこなすことはたいへんな重労働になっておるわけでございまして、私どもはその点を、業種重点的に選ぶとか、あるいは食中毒のシーズンあるいは年末のシーズン等、こういった季節的にいわゆる総点検、総動員という形でもって監視を実施するとかいうようなことでもって、せいぜいいまの陣容でもって最大限の監視効果をあげるように指導努力いたしておるところでございます。
  110. 坂口力

    ○坂口委員 そういたしますと、法律上この食品衛生法においては年十二回ないし六回あるいは四回、二回というような数字が示されているにもかかわらず、食品衛生監視員の数は非常に限られた数しかない。まあ現実問題としてもうどうにもならない数字である。これがもう何年も続いてきているわけでございますね。これはできないということがわかりながらそのままずるずる来たのか。毎年大蔵省のほうに、これを回るためにはこれだけの食品衛生監視員が必要であるということで予算要求をされているのだけれども、それが全部削られてしまってこれだけになっているのか、その点はどうでございますか。もしそうだとしたら、われわれとしても強力に大蔵省に言わなければならないと思うのです。いかがでございますか。
  111. 浦田純一

    浦田政府委員 現在、食品衛生監視員は交付税でもって見ておるということになっておりまして、この数につきましては、私ども一は年々自治省に交渉いたしまして、その増員をはかってきたところでございます。  過去のいきさつで申しますと、昭和四十年では、標準団体当たり三十九名でございましたが、年々少し、ずつふえてまいりまして、それが四十八年では六十七名ということになってきておりまして、毎年かなり努力はしておるのですが、以上のようなことで現在六十七名ということで、施設の数は多く、依然として標準の監視回数をこなすのには困難であるということでございますが、なお私どもは、今後ともその増員には努力してまいりたいと考えております。
  112. 坂口力

    ○坂口委員 先ほど点検項目の問題については触れられておりましたけれども、たとえば食用油なんかの場合につきましては、どういうふうなところを点検するということは、一応そのチェックする項目というのはさまっていると思うのですが、その辺は各食品衛生監視員にまかされている問題でございますか。それとも、これこれはチェックをしろということがきまっているのでございますか。
  113. 浦田純一

    浦田政府委員 一般的な施設に対しましては、法律、政省令に基づきまして、さらにまた県が施設基準を設けまして、それに従って点検実施しているわけでございます。しかしながら、先ほどからも明らかになってまいりましたように、当該工場の脱臭塔等の装置につきましては、私どものそういった点検の対象からはずれておるということで、そこまで及んでいないわけでございます。
  114. 坂口力

    ○坂口委員 そういたしますと、もしも食品衛生監視員が各事業所等に行きまして、この工場の工程を一度休ませて、そしてすべて点検をすべきであるというふうに判断をしましたときには、それはさせることができるのですか。
  115. 浦田純一

    浦田政府委員 最終的に法制局のほうとの詰めはしておりませんけれども、私どもとしてはできるというふうに考えております。
  116. 坂口力

    ○坂口委員 一昨日の視察のときにも、向こうの県の方からお聞きしましたけれども、こういうふうな工場に行きましたときに、中までは見ることもできないしするから、外からながめて帰るというような話を聞きました。これだけ多くの施設があって、そして監視員が非常に少ないということになりますと、そうならざるを得ないという気もするわけです。数ばかり、門からのぞいて、はいさようならというようなことも起こりかねないわけでございます。それでは監視員としての役目を果たすわけにもいかないと思いますし、先ほど来のいろいろの議論の中にもありましたように、どうしましてもどういう点とどういう点だけはチェックしなければならないという項目だけは明確にしていただいて、そうしてほかのことは省略をしても絶対それだけは省略をしない、必ず見てこなければならぬという点だけは早急に明確にしていただかないと、これは何のための衛生監視員やらわからない。いまの段階では、ただ法律上それが必要最低限度あるかどうかだけを見て回る。そして、実際にそれがどうなっているかというところまでは行くひまがないというのが、現場の人の実情ではないかと思うわけでございます。この点ひとつ早急にチェック項目というものを明確にしていただきたいと思うわけでございます。  時間がございませんから、先を急がせていただきますが、この食品衛生監視員と、それからもう一つの問題は、食品衛生管理者の問題がございます。これも今朝来いろいろと問題が出ておりました。食品衛生法に、「その食品又は添加物製造又は加工に従事する者を監督しなければならない。」ということになっております。この食品衛生管理者というものは一定の資格を与えられているわけでございますが、その人たちが、いわゆるその職務を発揮できるポジションに置かれていないというようなことにつきましては、他の議員からの質問等にございました。確かに、一昨日の視察でも、そういうところがはっきりしたわけでございますが、この食品衛生管理者というのは一定の資格が与えられたあと、たとえば事業所内での指導とかあるいは管理方法というものについての活動状況については、厚生省のほうでは把握されているのかどうか、その点をひとつお伺いしたいと思います。
  117. 浦田純一

    浦田政府委員 食品衛生管理者は、法第十九条によりまして、乳製品あるいは添加物製造業油脂製造業等一定の施設特定の資格を有する者を配置するということは、先生の御案内のとおりでございますが、現在これらの活動状況について一定の報告をするというふうなことにはなっておりませんので、将来やはりそれらのことについても十分に把握できるように、私どもとしては現在の行政のあり方について改善することを考えていきたいと思っております。
  118. 坂口力

    ○坂口委員 そういたしますと、一定の資格を与えましたあと、いわゆる講習会でございますとかそういう指導会のようなものはあるのでございますか。
  119. 浦田純一

    浦田政府委員 それは、協会等を通じ、または自主的にいろいろと研修会などをやっておることを承知いたしております。
  120. 坂口力

    ○坂口委員 千葉県の場合にはどうです。そういうふうな点はなされておりましたでしょうか。
  121. 浦田純一

    浦田政府委員 油脂協会のほうで講習しているわけでございますから、この工場はメンバーとしてそれに入っておるようでございますので、当然参加していると思いますが、確認はいたしておりません。
  122. 坂口力

    ○坂口委員 そうしますと、これはそういうふうな協会のほうで自主的にやるということになっておりますから、たとえばそれに参加しなくても——そのままに捨てられるというような感じもするわけでございますが、そういうふうな自主的にやっていただくのはけっこうだと思いますけれども、あまり協会等にまかされ過ぎて、それがただ申しわけ的に、年に一回なり二回なりそういうふうな会を開くというだけで、そこに出席しようとしまいとかまわないというような形であっては、現実問題といたしまして、特に人の生命にかかわる食品を扱っている人々の教育というものがなされていかない。だから、どうしてもその辺のところはやはりチェックをしていただく必要があるのではないかと思うわけでございます。その点、今後私はどうしても、衛生管理者等の卒後教育というわけではありませんが、資格後教育と申しますか、そういうものについてのプランというものも立てていただかなければならぬと思うわけです。これは食品衛生管理者だけじゃございませんで、安全衛生管理者、それから衛生管理者、こういったものもみな同じだと思うのですが、何人以上のところには何人置かなければならないという規定があります。そういたしますと、だれかがそれになっておる、そういうふうにきめられていますからなったというだけで、その人たちがほんとうにその事業所の中で与えられた職務を全うするような地位に置かれているかどうかということは、これは全く疑問だと思うのです。この千葉ニッコーの場合でも、ほかの検査室等の仕事をしていて私は一向に知りませんでしたなんという話がございました。あるいはまた、この事件が起こりました三月十六日の段階のときに、それを出荷していいかどうかということについての協議のメンバーの中に入っていたかどうかというようなことについても、何かあいまいな点がございました。一昨日のお話では、初めはそこに入っていなかったようなお話でございましたが、しまいごろになりましたら、入ったというようなお話になったりいたしまして、その点でもいささかあいまいでございましたけれども、実際問題といたしまして、一般的に申しまして、そういうふうな地位に置かれていない人というのが非常に多いように思うわけでございます。ですからひとつ、こういう資格を与えていただくことはたいへんいいわけでございますが、その与えていただいたあと、ほんとうにその人たちが本来の職務を発揮できる地位にいるかどうかというようなことについて、あるいはどういうふうな仕事をしているかというような点について、あるいはまた新しいいろいろの知識が出てくるわけでございますから、そういう知識の講習等について、やはりこれは年次おやりをいただかなければならないと思いますが、その辺の御決意をひとつ承りたいと思います。
  123. 浦田純一

    浦田政府委員 食品衛生管理者は、法律に基づく違反が行なわれないように製造または加工に従事する者を監督しなければならない義務が課せられておりまして、実はまた罰則もそれに応じてかけられるということになっておるわけでございます。こういうふうになっておるからいいじゃないかといえばそれまででございますけれども、実際問題といたしまして、私どもはやはり食品衛生管理者の地位の確保あるいは資質の向上、あるいはその仕事の実態について、もっともっとこれから先的確に把握して、そして先生の御指摘のような点に特に留意いたしまして、食品衛生管理者の業務の推進をはかってまいりたい、また研修のあり方その他につきましても、さらに充実するように努力してまいりたいと考えております。
  124. 坂口力

    ○坂口委員 その点ひとつよろしくお願いしたいと思います。  それから、環境庁の方お見えでございますが、これは環境庁への問題というわけでもございませんけれども、今回の事件、いろいろ各省にわたっての問題でございますが、各省からのいろいろの討議の中で、政府委員の皆さん方からのお話を総合いたしますと、これはメーカーのミスで起こった問題である、こういう認識のしかたであると思うわけでございます。確かに、メーカーのミスということは、これは当然あると思いますが、私は単にメーカーだけの責任にまかせて済む問題でもないと思うわけでございます。うっかりしているとこれは氷山の一角であるかもしれないという感じさえ持ったわけでございます。メーカーが、生産第一で、生命にかかわる問題であるという認識がメーカーになかったというふうに、けさからも再三答弁があったわけでございますが、この認識のないのは、これは大臣がお見えになりましたら大臣に申し上げなきゃならないところでございますが、政治そのものの姿勢があらわれているとも私は思うわけでございます。そこで環境庁とされて、今後こういうふうな問題がまた起こる可能性も十分あるわけでございますので、私は、各省に対して強い姿勢をひとつおとりをいただいて、こういう問題が二度と起こってこないように、特別の姿勢を示していただきたいと思うわけでございます。まず、その辺の御所見を伺いたいと思います。   〔委員長退席、島本委員長代理着席〕
  125. 船後正道

    ○船後政府委員 御指摘のように、今回の問題は、直接には業者の過失ということに基づく問題ではございますが、しかし、新しい化学物質が出てくるにつれまして、それが広く環境あるいは環境中における食物連鎖等を通じましての人体影響の問題がやはり注目せねばならぬところでございまして、この点はすでに昨年来のPCBの問題におきましても御指摘のあったところでございます。したがいまして、PCBの御決議にもございましたように、新たな化学物質製造し使用する前段階において、その安全性というものを十分にチェックするシステムを確立することが肝要でございます。このような観点から、今回国会通産省から化学物質の事前審査に関する法律案、いわゆるテクノロジーアセスメントの手法を導入いたしました制度でございますが、このような法律も提出されておる次第でございまして、今後広く化学物質のそういう二次、三次までの影響も踏まえた安全審査という点につきましては、一そうの努力をいたしてまいる考えでございます。
  126. 坂口力

    ○坂口委員 そういたしますと、今後新しいこういうふうな化学物質が食料に、あるいはその製造工程で使われるというようなときには、これは厚生省から環境庁のほうにもそういう連絡はあるわけでございますか。
  127. 船後正道

    ○船後政府委員 今国会に提案されております化学物質の審査に関する法律でございますが、この立て方によりますと、そのような物質製造しようとする場合にはこれを届け出することになっておりまして、その届け出の写しは環境庁のほうにも送付されることになっております。そういたしまして、そういった物質の安全性という問題を厚生省及び通産省両省のもとで十分チェックをして、その上でその許可を得るという仕組みになっておりますから、この安全審査の仕組みということを厳重にいたしますれば、こういった問題の発生は未然に防げるわけでございます。  ただ、厳重な規制のもとに置くといたしましても、なおかつ、使用する過程において生ずる過失という問題は、避け得られない問題でありますが、そういう点につきましては、いろんな行政面における監視、取り締まりを通じてこれを防いでいこうというふうに考えております。
  128. 坂口力

    ○坂口委員 こういうふうな問題は各省庁にまたがる問題でございまするし、一つの省で済まない多くの問題を含んでいると思います。けさからの討議にもありましたように、各省の持ち場というものの間に漏れる点もあるわけであります。そういう漏れる点がありますところに今回のような事件の発生する大きな原因もあるわけでありますが、その漏れる点のないように、ひとつ各省庁の連絡を密にしていただきたいと思うわけでございます。その点をくれぐれもお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  129. 島本虎三

    島本委員長代理 この際、午後二時二十分まで休憩いたします。    午後一時四十二分休憩      ————◇—————    午後二時二十八分開議
  130. 佐野憲治

    佐野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  公害対策並びに環境保全に関する件について、本日、参考人として新東京国際空港公団理事岩田勝雄君同じく理事杉野信吾君及び土木部長皆川葉一君及び同施設部長福岡博次君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 佐野憲治

    佐野委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決定いたしました。      ————◇—————
  132. 佐野憲治

    佐野委員長 公害対策並びに環境保全に関する件について質疑を続行いたします。島本虎三君。
  133. 島本虎三

    島本委員 まず私は、四月八日、九日二日間にわたりまして山形県の吉野川のカドミウム汚染の状態を調査に参りました。その名も美しい吉野川流域の鉱山がカドミウム排出の原因であるということはまさに明白であります。おそらく過去何十年にわたる鉱毒が下流の水田を汚染させたものだ、このように推定されるのでありますが、県当局汚染実態を隠蔽しておったということが意外にも明らかになりました。私どもはまことに遺憾に思ってまいった次第でありますけれども、この吉野川の上流の吉野鉱その他、昭和二十六年から操業され、三十五年に施設を全部完備した、こういうふうになっておるのでありますけれども、四十五年にパイプも切れておる。こういうような状態で、その以前、以後並びに中間、この方面のいわば管理指導ということに多大なる疑問を持ってまいった次第であります。  初めに、古野川のカドミウム汚染について通産省はどのように対処されたのであるか、これをまずお伺いいたします。
  134. 田中芳秋

    田中(芳)政府委員 ただいま御指摘の吉野川流域の鉱山の排水問題でございますが、吉野川流域につきましては日本鉱業の吉野鉱山、これは現在稼行中でございます。それから日鉄鉱業の熊野鉱山、現在休止中でございます。そのほか朱山及び南沢の休廃止鉱山があるわけでございます。以上の四鉱山があるわけでございますが、これに対します監督検査につきましては、御指摘のような問題も生じておりますところから、鉱山保安法に基づきます排水基準の順守状況につきまして監督強化し、年数回に及びます監督調査を行ない、これが基準の順守をはからしておるところでございます。それと同時に休廃止鉱山の調査等に関しまして地元におきます南陽市あるいは山形県、これと共同いたしまして調査実施しております。すなわち昭和四十四年は県と共同調査、同じく四十六年に県と共同調査、四十七年に県、市と共同調査実施いたしますほか、地元の南陽市との協議会、こういったものへの監督部からの出席、そして協議、こういうような面で地元とも十分な連絡をとりつつ、排出に伴います汚染の生じないように綿密な基準の順守指導を行なってまいってきたところでございます。
  135. 島本虎三

    島本委員 そういうようにして十分な指導をし、汚染をしないように県、市と連絡して対策に当たってきたということのようでありますが、県も市も鉱山監督局から鉱山の指導に入ったことを全然知らないのです。いつ、何回だれが来ていたのか知らないというのです。まして過去五、六年間にわたってこれを実施したと言うならば、どういうような措置を講じましたか、どういうような対策を講じましたか、それを聞いているのです。さっきから聞いているのはその対策を聞いているのです。
  136. 田中芳秋

    田中(芳)政府委員 先ほど申し上げましたように地元と連絡をとりつつ公害防止対策の万全を期しておるわけでございますが、吉野鉱山、稼働中のものにつきましては、公害防止対策といたしまして排水につきまして石灰中和ということでいわゆるPHの排水基準を守らせるような措置をいたしております。また坑廃水につきまして排出水をできるだけ集約しその処理の円滑化をはからしめ、それから堆積場につきましてこれを整備強化させる、すなわち打止堤あるいは排水施設の整備、こういう点を指示いたしましてこれを実施させておるところでございます。この結果、四十七年十一月時点の監督検査におきます水質状況では、カドミウムにつきましては〇・〇〇六というような数字になり、排出基準としての〇・一PPMを下回っておる状況になっておるわけでございます。  休止中の熊野鉱山につきまして、これは坑口が数カ所ございますが坑水がございません。四十七年度調査をいたしておりますが排水上の問題はないのではないかというふうに考えております。  ところで廃止鉱山でございます朱山鉱山につきまして、四十七年におきましては、過去の幾つかの調査の結果排水中のPHがかなり高いということもございますので、ズリ堆積場の整備に兼ねまして上部沈でん池の改善強化を命じてまいったわけでございますが、しかしこの山は四十七年二月九日に鉱業権を放棄いたしまして廃止をいたしたわけでございます。私どもといたしましては直ちに鉱山保安法二十六条によります命令をいたしまして、この沈でん池の改善強化策を講じさせることといたしたわけでございますが、これの命令に対します順守がなされておりませんので、本年二月三十三日この鉱業権者を送致をいたしておるところでございます。ちなみに、この山につきましては四十七年十二月十四日における点検におきましてカドミウムの流出は〇・〇二PPMという形になっております。  最後に南沢鉱山でございますが、この山は四十七年十一月二十一日に鉱業権を放棄して廃止鉱山となったわけでございます。この山につきましては従来やはり坑水のPHが高いので中和処理をさせますとともに堆積場の整備をさせまして、これは昨年の秋完了はいたしております。しかしなおズリ捨て場から若干の浸透水が出ておりますので、これに対しましてズリ捨て場の整備を現在命ずることとし、これも廃止鉱山でございますので、鉱山保安法二十六条命令を発動することとしてただいまそのための聴聞を準備中でございます。  なお、昨年五月十二日における検査の状況でございますが、カドミウムは〇・〇七九PPMというような状況になっております。
  137. 島本虎三

    島本委員 そうすると、この吉野川流域のカドミウム汚染は、通産省関係は鉱山の排水によるものではない、このように言うわけですか。
  138. 田中芳秋

    田中(芳)政府委員 ただいま申し上げましたように鉱山保安法によります監督強化ということから四十五年以降の状況を見ますと、米山鉱山……(島木委員「それはいいですから」と呼ぶ)監督状況からいいまして、現時点におきましては基準値を下回る状況になっておるということを申し上げた次第でございます。
  139. 島本虎三

    島本委員 じゃ以前はどうですか。四十五年に一ぺんパイプが破裂しています。二十六年以前はたれ流しです。現在も雨が降ると道路へ伝わって全部流れるような装置になっています。鉱山は全然カドミウムに関係ないとおっしゃるのですか。
  140. 田中芳秋

    田中(芳)政府委員 鉱山保安法に基づきます排水基準、これは水質汚濁防止法等との関連におきまして設定をされておるわけでございますが、それ以前の問題につきましては御承知のとおり何らの規制も行なわれていなかった状況にございます。したがいまして、下の汚染が即すべてこの四鉱山ということかという御質問に対しましては、一つの原因と考えられる、こういうふうにお答えをせざるを得ない、こういうことでございます。
  141. 島本虎三

    島本委員 吉野川流域のカドミウム汚染米、四十五年、四十六年度どのような状態になっておりますか。
  142. 岡安誠

    ○岡安政府委員 吉野川流域におきますカドミウム汚染米の状況でございますが、四十五年度は農林省の委託によりまして衆がいたした調査、これは四点しかいたしておりません。その結果によりますと、玄米中に一PPM以上のカドミウムを含む米が出たというのが一点ございます。それから四十五年に農林省の委託調査と別に県が単独に保有米の調査をいたしたわけでございますが、これは四十六点調査をいたしまして、結果的には四点一PPM以上のカドミウムを含む米があったということになっております。四十六年度は環境庁所管によります土壌の細密調査をいたしまして、土壌中のカドミとさらにその上の立毛の稲のカドミを調べております。その際の県の報告といたしましては、六十点調査をいたしたうち一PPM以上のカドミウムを含む玄米は一点というのが正式の報告になっております。
  143. 島本虎三

    島本委員 それはどこから来た報告ですか。
  144. 岡安誠

    ○岡安政府委員 県の報告でございます。
  145. 島本虎三

    島本委員 県の報告だとすると、四十五年度、調査地点が四点ですね。それから一PPM以上のものは一点しかないということですね。その最高値は一・四二PPMだというのですね。それから四十六年度は調査点数は六十点じゃありませんか。そして一PPM以上のやつは一点だ、最高値は一・〇三PPMだ、大体こうでしょう。これによって対策は十分なさいましたか。なおこの数字は間違いないかあるか、これを点検なさいましたか。
  146. 岡安誠

    ○岡安政府委員 私どもはそういう報告をいただいたわけでございますが、その後いろいろ問題が発生をしたというふうに附いております。たとえば先ほど申し上げました四十五年に県独自に農家保有米の調査をやったというものにつきまして、四点カドミウム汚染の米が出たという御報告を申し上げましたけれども、当初県は汚染は検出されないというような報告であったというふうに聞いておりますが、その後訂正があったというふうに聞いております。さらに四十六年度の六十点の調査のうち一PPMをこえるカドミウムを含む玄米の点数は一点、その最高は一・〇三という報告をもらっておりますが、これについてはなおほかにもあったのではなかろうかというようなことが県会その他で議論をされたというふうに聞いております。
  147. 島本虎三

    島本委員 それでもまだおかしい。われわれ自身が調査に行って直接その件に触れて、四十六年度産米のカドミウム調査の県発表数値と、われわれが実際手に入れたそのものの比較が全然違うのであります。調査地点ナンバー四、中里では、県の発表では〇・五四PPMとなっておるけれども、これによると一・三〇PPMである。ナンバー五、同じ調査地点でございますけれども、これは県発表では〇・六一PPMになっておりますが、実際は一・一七PPMである。それからナンバー二十四地点の宮内、これは〇・〇八PPMという県側の発表がありますが、これは一・一五PPMである。それから三間通、ナンバー五十三地点ですが、一・〇三PPMであるといっておりますが、実際は二・〇二PPMである。それとナンバー五十六、同じ三間通ですが、県側の発表は〇・八九PPMというのに対して一・一四PPMであった。同じく三間通のナンバー五十九地点、〇・九八PPMであるという発表でありますが、一・〇一PPMあったというようなことであります。これは県の発表と実際の調査とは違うのであります。実際こういうような違いがあるのに、かってに数値を行政数値にかえるということをもし平気でやったとすると、これは重大なことだと思うのです。これは十分調べてありますか。農林省、環境庁、この双方、いまの私の調べた数字ははっきりしたところから調べた数字です。皆さんのほうは操作された行政数値をいま読んでいるようであります。これを十分調査されたというならば、その結果を報告してください。
  148. 岡安誠

    ○岡安政府委員 四十七年六月十日の県の報告によりますと、先ほど申し上げました一点だけが一PPMをこえているというようなことでございますが、その後いまお話しのとおり、いろいろこの数字と別の数字があるというような話がございましたので、県に照会をいたしました。県の話によりますと、それらにつきましては調査地点以外の米の分析値との平均をした数字として公表したものだというような報告を受けております。したがってどれがどうかというのは必ずしも明らかではありませんけれども、いま先生の御指摘のところがそうかもしれませんが、平均数値として公表したものであるというようなことは県から報告を受けております。
  149. 島本虎三

    島本委員 平均数値として出したのならば、最高二・〇三あたり出ているそんなものに対してはどういう措置をしたのですか。現に出ている。平均として一・〇〇以上のものが出ている。それを操作すると〇・〇八くらいまでは下がる。これは行政数値でしょう。こういうのを出してそのままにしてほおかぶりをしている。一体こういうような問題に対しては、環境庁あたりはただ単にそうですがと見ているだけなんですか。同時に農林省はこれに対してはっきりした対策を講じたのですか。
  150. 岡安誠

    ○岡安政府委員 先ほど申し上げましたように、県に照会した結果によりますと、数点の平均値を公表したというふうに聞いております。それは私どもといたしまして、やはり土壌汚染対策を実施する場合に対策地域を確定するための細密調査でございますので、機械的にメッシュを引きまして交点に当たった圃場の中央地につきまして分析をし、それによって代表される二・五ヘクタールの農地についての対策を講ずるたてまえになっておりますので、平均をした数値によって措置をするということは適当でないというふうに考えております。そこで私どもは四十六年度の結果によるのではなくて、あらためて今後、たとえば四十八年度にもう一度調査をし直しまして、その結果によりまして対策を講ずるわけであるということを県にも指示をいたしておる次第でございます。
  151. 島本虎三

    島本委員 四十五年度、前のものを何回調査したってもうすでに処理済みじゃありませんか。そういうようなものを調査して、また今度環境庁の数値を出すのですか。四十五年度に行なった保有米の調査では平均値だけを発表して、これではおかしいというので疑惑を持たれたんですよ。一・〇PPM以上のものが四カ所もあることがそれによって明らかになったのです。四十六年度産米の調査では六十地点のうち一地点だけが一PPM以上だ、こういうふうな発表があったのですよ。実は六地点で一PPM以上の数値になっていたというのがわかったのですよ。こういうようなことなんですよ。これは県自体もそれを認めているのです。農民に混乱を与えるから発表できない、こういうふうにしているのです。そしてその調査資料を破り捨てているのです。こういうようなことで公害対策をさぼったり、めんつだけで国民の健康を考えないようなやり方は、これは私どもはとるべきところじゃないと思うのです。それでいまこれを、環境庁としても数値的にはっきりしたものに対してはもっと厳格な態度で指導しなければだめだというのです。こういうような態度でいいのですか長官、これはとんでもないことなんです。
  152. 三木武夫

    ○三木国務大臣 土壌汚染防止法で精密調査をするときにはこっちのほうのやり方、手法があるわけです。これはその対策の対象地を網の目のように線を引いて、その中で調べるので、一番まん中の地点を全体の地域の汚染度をはかるための代表的地域としてこうやっておるわけですから、平均値を出すということはわれわれの手法とは違うのです。そういう点で、これはそういう調べ方というものはわれわれのやり方と違いますから、やはりこういうやり方は遺憾に思っています。もう一ぺん調べてみたいというのも、そういうことでいままでの手法と違うものですから、四十六年度にもう一ぺん調べようということでいろいろと、どういう事情があったか知りませんけれども、やはり事実出てくるデータは、それは正直に出すことが好ましいと思います。
  153. 佐野憲治

    佐野委員長 関連質問の申し出がありますので、これを許します。安宅常彦君。
  154. 安宅常彦

    安宅委員 それじゃ聞きますが、四十五年の保有米についてやった分ですか、四十六年について調査した結果四点という報告がありましたが、県議会では一点だと県が最後まで言い張って、社会党の県会の暴露でこれは四点にいやいやなった。大体認めたが、あなたははっきり四点と言っておる。それから調査のしかたですよ、これは聞きますが、いま島本委員行政数値ということばを使いましたけれども、百五十ヘクタールだったら百五十ヘクタールについてやれというので環境庁が指示して、六十点にしぼって区域を分けて一点、一点やったんでしょう。平均の出しようがないじゃないか。その出たものをそのまま数値として出すのが正しいんじゃないですか。平均のしようがないでしょう。それから平均をとったということならばどういう平均のとり方があるのか、何回もやったというふうなことで、単なる算術平均でやるのか、もしやるとすればそういうことがあり得るのか。いま長官はないと言った。そういう平均をとるなんということは遺憾に思っておりますとおっしゃった。それは正しいと思うのですが、どうなんですか。
  155. 岡安誠

    ○岡安政府委員 先ほどちょっと長官も申し上げたかと思いますけれども、私どもの細密調査というのは、土壌汚染防止法によります対策地域を確定をするための前提調査でございます。どこが汚染土壌であるかということを確定をするために、非常にこまかくやれば別でございますけれども、大体二・五ヘクタールに一点ということでメッシュを引きまして、それによって二・五ヘクタールの土地を代表推定をする、そのための調査でございます。そこで私どもは原則としまして……
  156. 安宅常彦

    安宅委員 原則じゃなくて……。
  157. 岡安誠

    ○岡安政府委員 例外もあるわけですけれども、原則としまして、そういう汚染土壌を推定するためには、推定の方法といたしましてなるべく機械的にやる、だから、機械的に線を引きまして交点を選んで、その交点を含む圃場につきまして、圃場の中央部について土壌並びに立ち木である稲を分析をするということにいたしておるわけでございますから、お話のとおり平均という考え方はそこからは出てこないというふうに考えております。
  158. 安宅常彦

    安宅委員 そうすると、あなたは平気で先ほど調査地区以外の土地の数値を、県のほうの報告によれば、やってみた結果そこまでならないというので平均したみたいな、そういう答弁をいたしましたな、県の報告はそうだと。それを肯定しておられるのですか。
  159. 岡安誠

    ○岡安政府委員 いや、先ほどの島本先生の御質問で、どういう措置をとったかということを御質問でございますので、県に照会いたしました結果、県ではそういう報告がありましたということを申し上げました。
  160. 安宅常彦

    安宅委員 そうしますと、そういう調査は初めからピックアップ調査ですからね、いいですか、どういう人間かなんというときに、岡田春夫島本虎三安宅常彦で、島本虎三がピックアップされている、この人はどういう思想を持っているかと。びっくらこいて安宅常彦の線でひとつまとめようなんということはないでしょう。島本虎三という土地にぴしゃっと当てはまったら、それ以外の数値というものは出てこないはずですね。そういう意味でしょう、そうだと思いますが。
  161. 岡安誠

    ○岡安政府委員 おっしゃるとおり、推計の方法でございますから、一度きまったらそれによってそれを分析をいたしまして推計をするということでございます。
  162. 安宅常彦

    安宅委員 そうしますと、まず一つ、ちょっと飛び離れた質問になりますが、吉野川の流域で、吉野川の水でかんがいを受けている耕地の面積は何ヘクタールですか。
  163. 岡安誠

    ○岡安政府委員 ちょっといま、吉野川の水でかんがいをしている農地の面積は私ども承知しておりませんけれども、やはり上流に休廃止鉱山がございますので、それによって汚染のおそれのある農地というのも百五十ヘクタールと一応県は推定をいたしまして、この百五十ヘクタールにつきまして二・五ヘクタールに一点ということで六十点の調査をいたしたということでございます。
  164. 安宅常彦

    安宅委員 調査をするときには百五十ヘクタール、かんがいを受けている耕地面積は幾らかと聞いているんです。
  165. 岡安誠

    ○岡安政府委員 ちょっと、現在わかっておりません。
  166. 安宅常彦

    安宅委員 それでは、県の報告を環境庁は受けたわけであります。環境庁は農林省にも出したそうです。それから農林省は、両方答えてもらいたいのですけれども、その報告の内容というのは、たとえば一点から六十点までの一覧表、それからどういうところを調べたかという地図、これくらいしか報告がないのですか。何回か調べたんだと県でいっていますよ。そういうものについて、大体こういう操作をしたとか、あるいはまたよってきたるべき調査、こういう調査をした結果こういう数字になったという報告が来ているのか、できただけの数字しか来ていないのか、どっちです。
  167. 岡安誠

    ○岡安政府委員 県の報告書はこういうものでございまして、そう簡単なものではございませんが、いま先生の御質問の、どういうような計算でこうなったかというんじゃございませんで、結論が書いてございます。
  168. 安宅常彦

    安宅委員 結論だけ……。ちょっと見せてください。  それで、私は最後にちょっとだけ、いま関連で質問したのですから、長い時間やっているわけにいきません。それで、たとえば県の農林部長劔持という人がおります。あなたのほうから行った人ですね。若い人で、なかなか、自分は責任ないということを必死になって弁解するたびにぼろばかり出している男ですけれども、一地点の分に四回くらい調査したというのですね。あるいは、あなたがいま言ったように、こんなにあるはずがないと思って別なところをやってみたというような答弁もしております。それから何回も同じものについて調査したということも言っております。それは一回一回出たものの数値というものがあなたのほうにあるでしょう、それを見せてくださいと言ったら、焼いてしまった、捨ててしまったという。副知事も捨ててしまったという。このごろ調査したやつですよ。農林省、特に林野庁だって、この間本を焼いたそうだけれども、本を焼くことがよくこのごろ特徴みたいになってきた、証拠隠滅の。そういうことがあり得るような県のやり方というのは、あなたのほうでは正常なことと思いますかどうですか。それだけ聞いておきましょう。文書を焼くなんというようなことありますか。
  169. 岡安誠

    ○岡安政府委員 どういう種類の書類をどういうふうに処分したかわかりませんが、私どもは結果を報告してもらうということにいたしておりますので、その過程につきましてはいままで質問したようなことはないわけでございます。
  170. 佐野憲治

    佐野委員長 関連質問の申し出がありますので、これを許します。川俣健二郎君。
  171. 川俣健二郎

    ○川俣委員 さっき長官が分析のしかた、これなんだ、問題は。さっき安宅委員が例を出して言うように、どこをとるかが問題なんだ。そこで、さっき保有米ということばが出たので関連させてもらいます。  厚生省は去年大々的に食品衛生法を検討して大改正をやった。その場合、まずあなたにあの検討して大改正をした経過を思い出してみてもらいたいのだが、こういう米はいかぬという適用になる条項は、いままでの論議の経過を局長も聞いておられるのだから、食品衛生法のどれに適用するかというように考えておるか、まず聞きたいと思う。
  172. 浦田純一

    浦田政府委員 食品御生法の適用ということを考えますと、保有米についてはまだいわゆる販売、流通過程に入っていないということで、実はそのままでは対象としてははずれていると思いますが、しいてその該当ということで考えますと、これが販売の用に供せられるということを想定いたしまして、食品衛生法の第七条の第一項で基準規格を設定いたしまして、「販売の用に供する食品若しくは添加物の成分につき規格を定めることができる。」となっておりまして、これを根拠といたしまして、米に含有されておりまするカドミウム、これの規格を、玄米におきましては一PPM未満、それから白米につきましては〇・九PPM未満ということで、それ以上のものはいずれも規格からはずれておるというふうに定めております。  それから、それに基づきまして同条第二項の規定といたしまして、規格に合わない食品は販売をしてはならないという禁止の条項が入っております。
  173. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そうだ。そのとおりで、いわゆる第七条の違反は成分規格、それから第四条の場合は、即有害、有毒、こういう二つに分けて論議してきたわけだ。  そこで、それじゃ仮定としてもう一つ申し上げるが、定量分析、その場合、食品衛生法でいう分析は、さっきから言うように、ある一定の点をとるのか、面をとるのかという論争をあのときにやった。それで、仮定で言うよ。こっちは一・〇PPMの米がある。二枚目のたんぼは〇・五くらいある。片方は二・何ぼくらいのPPMがある。それをまぜて分析値を出すという方法がありますか、どうですか。説明員でもいいですよ。
  174. 浦田純一

    浦田政府委員 たんぼにあります米のカドミウム含有量を測定するということは、食品衛生法上の立場からいきますと、実はそこまでやっていないのでございまして、おそらく先生が御指摘になっておられるのは土壌汚染防止法あるいは環境汚染防止法というたてまえからどのようにして調査するかということでございますので、そちらのほうからひとつお答えを願いたいと思います。
  175. 川俣健二郎

    ○川俣委員 じゃ、よろしい、やってください。そちらのほうから答弁してください、いまの問題。
  176. 岡安誠

    ○岡安政府委員 ちょっと私見当違いかもしれません。そうしたら、もう一回説明いたしますが、私どものやっております調査は、先ほど申し上げたと思いますけれども、土壌汚染している農用地を確定するための調査でございまして、食品衛生法流通が許されるかどうかの米を確定するための調査とは違うわけでございます。したがって、私ども調査方法は、食品衛生法上の汚染米、いわゆる一PPM以上を含むカドミウム米として規定をするための調査とは違うというふうに私どもは考えております。
  177. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それじゃ浦田局長、あなたのほうも両方聞いていてください。いいですか。山形のこの古野川の場合は、確かにあなたが言うように、その土地のあれは土壌汚染防止法で分析する分野だから、それから食品衛生法の場合は、流通形態を経て政府に売り渡して、倉庫に入ったときの分析値と、こうなる。ところが、私がずっと追跡してみると、隠蔽したという疑いがかなりある。したがって、土壌汚染を分析したときの数値がかなり高かったものだから、米の段階でまぜているという疑いがある。したがって問題は、環境庁長官、聞いておいてくださいよ。環境保全というのは、あるいは公害という問題は、結局人体に悪いというところの集結なんでしょう。ここに問題があるわけでしょう。したがって食品衛生法のときに点を調べるか、面を調べるか——じゃ、さらに具体的に言いましょうか。向こうの米俵は一コンマ以上ある。こちらの米俵は一コンマ以下だ。そこで倉庫で農協か何かがいろいろまぜて、これは一コンマ以下だから販売してよろしいというように仮定した場合、局長、どういう食品衛生法の適用をなさるか。どうですか。
  178. 浦田純一

    浦田政府委員 食品衛生法上の立場から申しますと、食品衛生法上の検査のしかたといたしましては、たとえば倉庫などに米がためてあります場合に、一定の方法で標木を抜きまして、たとえば百俵あったら百俵のうちから一つ検体を抜くといったような形、あるいは一俵としますと一俵のまん中から抜くといった形でサンプリングいたしまして、それでカドミウムの含有量を測定いたします。そこでその結果に基づきまして、それの該当の、たとえば一俵のまん中から抜いた場合に一PPM以上あったという場合には、その一俵は汚染米、規格に合わないものとして、私どもとしては販売の用その他に供じないということを守っていただかなくてはならない。もしもそれを守らないというと違反になる、こういうことでございます。
  179. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そこで違反の問題に入ってきた。それで事実だけ言うと、そういう違反の米を得十八俵売ってしまったのだ。局長いいですか。百十八俵世に売ってしまった。それが東京、大阪に流れてしまった。消費者が食っておるか、食ってないかまだわからない。売り渡したことは事実なのだ。ここまではどうですか、皆さん認めますか。百十八俵売り渡して、汚染米であったということがわかった。それは確認された。そこまでは確認できるかどうか。食糧庁でもどなたでもいい。
  180. 中野和仁

    ○中野政府委員 御指摘の百十八俵は四十六年産米でございまして、これはすでに出庫をしております。売ってしまったわけでございます。
  181. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それで厚生省局長、いまの百十八俵は売ってしまった。世に出てしまった。食ったか食わないかわからない。あのとき、この場合の追跡調査の論議をやったね。あなたはどういう態度をとりますか。百十八俵は汚染米であったということがいま確認されておる。この追跡調査をどうしますか。食品衛生法の立場から言ってごらんなさい。
  182. 浦田純一

    浦田政府委員 もしもすべて消費されたとすれば、その検体を収去して検査するということは、あるいはできないかもしれませんけれども、しかし、その当時の事情というものをずっとさかのぼって調査いたしまして、もしも収去できる検体があれば、それを食品御生法に従いまして検査する。またいろいろと状況等も調べまして、万一、違反した事実——一PPMをこえておるといったような事実を知っておって、なおかつこういうことをやったということになりますと、これは私どもとしては、食品衛生法上の違反行為として処置しなければならないということで、十分に調査をする必要があると思います。
  183. 川俣健二郎

    ○川俣委員 百十八俵の追跡調査ということが一つある。ところが百十八俵は汚染米だということを食糧庁はそれを確認した。食糧庁のほうは確認したが、県のほうは確認したのかわからぬけれども、それを確認していながら売ったということがあれば、食品衛生法違反であるということを確認していいね。どうですか。
  184. 浦田純一

    浦田政府委員 なかなか事実関係がむずかしゅうございますが、食品御生法第七条第一項に基づきます米の規格に適合しないものであるということの認識を持ちながら米を販売したということになりますと、これは食品衛生法第七条第二項の違反という疑いが生じてまいります。
  185. 川俣健二郎

    ○川俣委員 ずいぶん遠慮しておるけれども、いいですか、これは四十五年、四十六年の段階なんです。おたくのほうはこの事実を知らなかったというのか、どうです。県のほうには衛生部長がおられるね。定量分析いろいろ聞いてきた。ところが山形の衛生部長の前任者はあなたのところの食品衛生課長だろう。
  186. 浦田純一

    浦田政府委員 現在の食品衛生課長は山形の前衛生部長でございます。
  187. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そうだとすれば仮定だとか、よく調べなければならぬとかいうことではなくて、百十八俵は食品衛生法をなぜ適用しなかったという問題に入る。長官はきょうは来ていないか。ここまでは確認できますか、皆さんどうです。
  188. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私に答えろということですが、川俣委員、百十八俵が汚染米であるということを……。(川俣委員「いま確認した、県のほうで確認されたわけです。」と呼ぶ)そのことの事情はわれわれとして知らないのですよ。私のほうとして知らぬものを答えるということはどうでしょう、穏当ではないと思いますので……。
  189. 川俣健二郎

    ○川俣委員 百十八俵が世に出るときにはわからなかっただろうということであれば食品衛生法は適用にならない。食品衛生法というのはそれがわかっていて売り渡したというところにかかるわけだ。ところが別に個人的な名前を名ざすわけではないが、いろいろとやったら百十八俵というのは確かに悪い米だったということは結果的にはわかったが、事前にわかっておったかというところが詰めなんだ。詰めなんだが、これは疑いがあるということが県当局から食品衛生課に来ている。もしそうだとすれば、これがもしいままでのことが確認されれば、長官どうです、これは罰則の対象になりますな。
  190. 三木武夫

    ○三木国務大臣 県がそれを確認をしておってそれを売り渡したということならば、当然に法律に抵触することは明らかです。
  191. 島本虎三

    島本委員 関連して。とにかくいろいろと奇々怪々なことばかり行なわれております。三十一地点、これは農事試験場の分場のたんぼ、それが〇・〇八PPMと発表されておりますけれども、実のところ一・一PPM以上あったわけです。これもそのまま伏せられておったのですけれども、あまりにも行政レベル数値を出し過ぎて、科学者の出した数値がどこにいったのかわからないような状態になったので、ある特定の人がこれを発表して、ようやく百十八俵というものがそういうものだったということがわかったのです。長官、それまでひた隠しに隠している、こういうような状態です。これをやったのは県知事なんです。県知事が認めたのです。したがって、もう流通機構に入ってしまっているのです。当然わかってやっているのですから食品衛生法違反である、そのことを言っているのです。こういうようなことをやらしておいてはいけない。まして今度汚染米をまぜればわからなくなる。食品衛生法上どういうふうな措置をするのか。まさに違反を知事が指導してやるようなものだ。こういうようなことがあってしかるべきではありません。県に対する指導というものは全然なっておらぬではありませんか。逆に県に牛耳られておるじゃありませんか。こういうような姿勢でいいのでしょうか。基本的なものはこれだけじゃないのです。もっとあるのです。長官ついでにこの点についてもお伺いしておきたい。県の農林部長の劔持という人ですけれども、原本を破棄した。発表する前の経過の数値、それを破棄してしまった。経過の数値の段階で破棄してしまった。そこにいた人は二人、そこを通過して入ってきたり出たりした人は二人、合計四人ははっきりそれは確認しておるわけです。名前まで私ども調べてきている。こういうようなやり方で数値を出して発表しておる。ここでいま言ったように百十八俵はっきりわかっているのに、それも流通機構に乗せてしまった。これは食糧行政の中で、あってはならないことだ。こういうようなことはほかにないのですか。こういうようなことは食糧庁ではどういうふうに指導していたんですか。全然知らないのですか。
  192. 中野和仁

    ○中野政府委員 先ほどのお話の百十八俵に関連します県庁の発表は、たしか四十七年の三月に〇・〇八であるということが行なわれておりますから、汚染田でありませんから当然通常の出庫で食糧庁は買い入れたということで、その発表後四十七年の四月二十八日から八月七日までの間にその百十八俵、これは七トンくらいになりますが、それも含む二百八十九トンを山形県内を主としておりますが、その他の地域にも運送して売却をしたということになっております。食糧庁といたしましては従来から、これはもう御承知のとおりでありますが、一PPM以上出た地域の米は買い入れをしない。ただしその地域の中でも一PPM未満であるという証明があればこれは買うということにいたしております。それからなお〇・四から一までの間の米は買い入れる。しかしいずれも一PPM以上のものは、先ほどもお話ございましたように、食品衛生法上有害ということになっておりますから当然配給はいたしません。〇・四から一までの間のものは食品衛生法上からは安全であるということでありますけれども、この問題が非常に大きくなりました昭和四十五年に、消費者感情等も考慮いたしまして、配給をしないということで現在措置をしておるわけでございます。ただ、いまお尋ねのように、あとから結果がわかって、その前に汚染はしてないということで出してもらったものはこれは私はやむを得ないのではないかと思います。
  193. 島本虎三

    島本委員 それは山形だけじゃないのですよ。富山にもあるのですよ。やはり富山県で婦中町、カドミの汚染米として二十一トンがこれが愛知県内で食用に供され、配給されておる。これも参議院の予算委員会で追及されておるはずです。こういうようなやり方が全部蔓延してまいりますと食糧庁というのはただ単に配給すればいい、環境庁はただ県庁からきた数値をそのまま照らし合わせておればいい。科学的な数値が出ても県庁ではそれを操作してわからないうちに回してしまえば、これはあとは野となれ山となれとなってしまう。こういうような行政ではいけないと思うのです。長官、国民の健康、生命、こういうもののために世の期待にこたえてできたのが環境庁なんですから、カドミウム汚染、こういうようなものに対してはこれを未然に防いで出さないようにする。その辺まで施策を徹底しなければならないはずなんです。ところがこういうものに対して平気で出回ってしまうということ。出回ってしまえばもう手が出せないということ。これでは困るじゃありませんか。これに対しての行政はもっときびしく指導すべきである、このように思いますが、長官これに対しての御所見をひとつ発表してください。
  194. 三木武夫

    ○三木国務大臣 自治体においても国民の生命健康を守るというのは県政の基本になるわけですから、自治体を全然信用ならぬということではこれは政治にならぬわけでありますから、どうしてもわれわれとしては自治体の報告というものを尊重するたてまえをとらないと、中央庁が各県に出向いていくというわけにもいかぬわけでありますから、今後土壌汚染なんかの精密な調査をするときに、こういう平均値というようなわれわれの手法と違うようなものが出たわけでありますから、こういうものについては、さらに県に対してこの点を厳重にわれわれのほうから通達をして、こういう平均値による報告のような誤りのないようにしたい。  それからまた、いまの汚染米のことでありますが、これは県としても国民の健康、生命ということは政治の基本ですから、そういうものを知ってこれを売却するというようなことは許せないことでありますから、おそらくそういうふうなことを——いろいろな事情は私はわからない。だから島本委員の言うような事実があるとすると、これは全く遺憾なことでありますから、今後そういう汚染米というようなものに対しては、これを売却するというようなことは絶対にないように、それがあればこれは食品衛生法に対して真正面から違反するわけでありますから、この点も政府として各県に対して厳重に注意を喚起することにいたします。
  195. 佐野憲治

    佐野委員長 関連質問の申し出がありますので、これを許します。渡辺三郎君。
  196. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 私からも関連をして御質問申し上げたいと思います。  最初に確認をしたいと思ったわけですが、いま三木長官のほうからきわめて明確に話がありましたから、私はそのことで念押しはいたしませんけれども、土壌汚染防止法による調査の方法、これは先ほどから繰り返し議論になりまして、また環境庁のほうからきわめて明快なる答弁がありました。したがって、都合のいいところを調査をし直して、数値の低いところをとるあるいは平均値をとる、こういうふうなことはあり得ないということがきわめて明確になったと思うのです。したがって、その点は明らかになりましたから、もし私がいま申し上げたような点が違うというのであればあとで御答弁をいただくことにしまして、いまもお話がありましたので繰り返す必要ないと思います。  それを前提にして、まずお聞きをしたいのでありますけれども、先ほど水質保全局長のほうから四十六年度のいわゆる調査の県の報告、これについて冒頭話がありました。どうもその内容を聞いておりますと、当初県が県民に公表したもの、世間に明らかにしたもの、それが正式には環境庁のほうに報告なされておる。しかしその後ことしの二月、三月の山形県の議会で問題になって、そして一部これまで公表したものと手直しされたようなものについて議論があったということを聞いておる、こういうふうな趣旨の答弁だったわけです。これはきわめてあいまいなんです。ですから明らかにこれまで県が公表してきたもの、四十七年の三月に公表してきたものは事実でなかった、実態はこうだった、こういうふうなあらためての報告が県からはっきりあったのかどうか。その点もう一回確認する意味お尋ねしたいと思います。
  197. 岡安誠

    ○岡安政府委員 私どもは正式な報告は先ほど申し上げました報告以外には受けておりませんが、いろいろ問題があるということを聞きましたので県に照会をいたしたわけでございます。県からは、先ほど申し上げましたように、数カ所につきましては平均値を出しましたという報告を受けたわけでございますが、私どもはそれでは、先ほど申し上げましたように、土壌汚染防止法が目的としております調査方法とは多少趣旨が違うように考えますので、それでは適当ではないと、そこでもう一度あらためてこれは調査をする必要があるというような指示を県にいたしたわけでございます。
  198. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 いまの答弁も、私、申し上げたと同じことなんですよ。私はそういう意味で最初前提として確認をしたわけでありますけれども、平均値を出すというのは適当ではない、だから四十八年度もう一回調査をし直そうなんていうのは、これはきわめてあいまいじゃないですか。そうじゃないですか。というのは、四十六年にそういう調査をやった、その結果県としては平均値を出した、これは誤りだ。だとするならば、この六十地点についてどういうほんとうの数値が出たのか、これをあらためて明確にさして県に報告を求める、このことは環境庁としてやる当然のやり方だと私は思うのですよ。そのために土壌汚染防止法に基づく金も出しているのでしょう、国が。出しているのですよ、山形県に。ですから、その基礎になる数値を明確に出さなければならぬと思う。そういう点では私は、問題になったから四十八年度やり直しましょうなんというのは非常に手ぬるいと思うのですよ。先ほど島本委員が言われましたように、県の資料であります分析測定結果の一覧表というのがあるのです。それによりますと、地点のナンバーを申し上げますと、ナンバー四地点、それから五地点、三十一地点、五十三地点、五十六地点、五十九地点、この六地点がいずれも一・〇PPM以上を検出されているのです。これは明確になっているのですよ。県自体がその資料を持っているわけですから、なぜ県はそれを出そうとしないのか。こういう点が私は県民の大きな不信を買った今度の問題の一番大きな問題だと思うのです。ですから、この汚染されたほんとうの原因、これは吉野鉱山をはじめ四つの鉱山があります。しかしこれがいつごろからどういうふうに汚染の源になったのか、あるいはそのほかいろいろ原因はそれぞれあるでしょう。それはいいのですよ、これからほんとうに究明していかなければならぬのですから。しかし、あらわれた科学的な結果についてはそれを明らかにして、その中から原因を究明し、当面の対策を立てていかなければ、この種の問題については除去できないと思うのです。そういう意味で私は、四十八年度当然厳密な調査をやってもらわなくちゃならないと思いますけれども、しかし四十六年度の県が意図的に公表した内容の誤りというものについては、これは環境庁、明確に指摘をして、そして実態を明らかにさせる、これがまず大前提にならなければ非常に不安なんですよ。その点どうですか。もう一回お聞かせいただきたい。
  199. 岡安誠

    ○岡安政府委員 できるだけ明らかにするように努力をいたしたいと思います。
  200. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 これは明らかにさせようと思えばできるわけですから、これはもう現地においては県側との話し合いの中で、現地の農民を含めたカドミ対策本部の話し合いの中で、そういう点については県も認めざるを得ない、こういうふうな立場になっておるのですから、実態をひとつ環境庁のほうでは正確につかむ、こういうふうな意味でそれを明らかにさしてもらいたいというふうに私は強く申し上げておきたいと思うのです。  それから食品衛生法の問題に関連をして先ほどからいろいろ議論がありました。しかし具体的には百十八俵が流通に乗った、この事実はここでも明確になったわけであります。これは食糧庁長官のほうからも明らかになりました。ただこのことが直ちに食品衛生法違反になるかどうかというふうな問題については、いまの段階また別です。しかしそのこと自体は、流通に乗ったということは明らかなんであります。そうすると、この汚染された米が、どういういきさつがあったにせよ、流通に乗ってしまった、そういうことについての法律上の問題はございませんか。これは食糧庁長官のほうかあるいは厚生省のほうか、別としまして、その場合の法律上の問題はございませんか。それはどうなんですか。
  201. 浦田純一

    浦田政府委員 倉庫に米が保有されている段階では食品衛生法に基づくいわゆる収去検査ということはできませんが、先ほど申しましたように、明らかに一PPMをこえておるという認識を持ちつつ販売のルートに乗せた、しかもそれが、あとからこちら側としては収去検査ということで確証を得るように努力しなければなりませんけれども、一PPMをこえておるということになりますと、これは食品衛生法上の違反でございますから、これによって措置しなくてはならないと考えます。
  202. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 いまの御答弁ですとさつきと同じなんですよ。それならば角度を変えて聞きたいと思うのです。  食品衛生法によって一PPM以上のカドミを含有する米についてはこれを販売に供してはならないわけです。販売に供してはならないということは人体に影響を与えるからなんです。しかし現実にカドミをそれだけ含んでいる。その米が百十八俵ルートに流されて、もうだれか食ってしまった。そうするとその責任はだれが負うのですか。これは明らかにしてもらいたいと思うのですよ。その当時不明であったから、結果的にそうなってしまってやむを得ないんだということをおっしゃるかもしれませんけれども、いままでここで明らかにされた経過に立って問題を考えれば、この問題はそれだけでは済まない。明確にしてもらいたいと思うのです。
  203. 浦田純一

    浦田政府委員 食品衛生法上適法な検査をいたしまして、そして明らかに一PPMをこえておる汚染米であったということを立証するということはございますけれども、しかし少なくともその流通段階に入ってからこういった事実を見のがしたという食品衛生行政上の監督責任は免れないと思います。しかしながら一義的には、やはりそういったようなことを故意でやっておればなおさらのこと、かりに知らずにやったといたしましても、注意義務ということについては、私はやはり問題は生ずるかと考えております。
  204. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 ちょっとしつこいようで申しわけありませんが、私はこういうふうに考えるわけですよ。故意でやったのかあるいは悪意でやったのか、あるいはもっとほかの事情があってそういうことをやったのか、この点についてはその人の主観ですから、私はここで議論したって始まらぬと思う。そうしますと、根拠を法律に置いてやらなければならぬわけですよ。その根拠というのは何か。いわゆる土壌汚染防止法、これに基づくきめられた手法によって調査をし、それが汚染されておる米であるかないか、こういうふうに確定をして、そしてその上に立ってどのような形でルートに乗ったのか、売られたのかということを追及をしていかなければ話にならぬわけですよ。その人の善意であるとか悪意であるとかの問題を議論しようとは私は思わない。そういうふうな観点でいままで議論されたような事情を見れば、これは明らに間違った手法、好意的に解釈してみても間違った手法、悪意に解釈すれば、まさに意図的に隠蔽をした、そういうふうなやり方でもって、あたかも一PPM以上は含有されていないように、そういうふうにして売られてしまったわけです。ですからそういう点について私は、大きな責任の問題がここに出てこざるを得ないのじゃないか、こういうふうに考えておるのです。ですから、決して私はその人の個人的な主観の問題を議論しているのじゃなくて、そういうふうな法律の手続に従った検査の方法を厳格にやらなければならぬし、またその上に立って、売るべきものでないものは押えなければならぬ、こういうふうに思うのです。そういう点、これは食糧庁長官からひとつ意見をお聞きしておきたい。
  205. 中野和仁

    ○中野政府委員 カドミウム米については非常に問題があるわけでございますから、いまお仰せのとおり、厳密な調査をした上で仕分けをして、一PPM以上のものについては食品としないということに当然すべきだと思います。  ただ、ちょっとつけ加えさせていただきますと、先ほどの百十八俵でございますが、これは試験場の分場でとれました米全体で、この一部にあるいは入っているのではないかという御質問であったわけでございますが、われわれが県から報告を受けましたのは〇・〇八で、県は正常だ、こういっているものですから、いまのようなことになって結果としてそういうことになってしまったわけでございますが、そういうことがないためには、事前に厳重な調査が必要だと思います。
  206. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 関連ですから、私はやめたいと思いますが、もう一つ、二つだけお聞きしておきたいと思うのですが、これは通産省にお願いをします。  先ほども御答弁ありましたし、別な法案で三月二十七日、商工委員会とこの委員会、いわゆる公害・環境委員会の連合審査会がありました。その際にも若干これに関する質問もありましたし、翌二十八日、私は商工委員会でこの問題についていろいろ通産省にお聞きをしたわけでありますけれども、先ほども話しました吉野鉱山をはじめとして四鉱山に対しては、これまで何回か調査してきた、そして基準以上の汚染の排出は認められなかった、こういうふうに答弁があったわけです。ところが最近になって、聞くところによりますと、通産省は、これは通産省独自のものかあるいは他の省庁と連絡をとって連合でやられるかわかりませんけれども、吉野川流域のカドミ問題について調査団を派遣する、こういうふうなことが報道されているようであります。これは事実かどうか。それから、行かれるとすれば、いつごろ、どういう構成で考えられておるのか、この点も明らかにしていただきたい。
  207. 田中芳秋

    田中(芳)政府委員 ただいま御指摘調査団の件でございますが、私どもいまここで初めてお伺いしたような状況でございまして、監督検査には、今後とも十分厳重を期してまいりたいと思っておるわけでございますが、まだ調査団を派遣するというようなことは決定はいたしておりません。
  208. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 そうですか。そうすると、通産省ではまだそういうことは計画も何もなさっていない。ところが現地の新聞には、調査団を派遣するということがきまったかのようにでかでかと出ております。だから私、お聞きしたわけですが、行くのがいい悪いの問題ではないのです。実として、そういう編成をされたのかどうかということをお聞きしたわけですが、通産省のほうで、まだそれについては全然知っておらないといいますか、協議していないとすれば、それはそれでけっこうです。  最後に、簡単にお聞きします。  この問題で一番困るのは、まず汚染米を食わされる危険性におびえている一般の消費者ですよ。それから、いままで、そういうデータが明らかになっておったにもかかわらず表面化されなかったものですから、一生懸命米をつくっておった農民が、米づくりは一体どうなるんだろうかという不安が現地には非常に多いわけです。これは当然の不安なんです。これに対しては緊急に、しかも適切に手を打たなければならぬと思いますが、これらの今後の当面の、あるいはやや長期的な対策の問題について、たとえば農林省に対して、客土の問題であるとかあるいは作付の問題であるとか、こういう点について山形県の当局から具体的な協議が本省のほうに来ているでしょうか。その点についてお伺いしたいと思います。
  209. 佐野憲治

    佐野委員長 ちょっと答弁を待ってください。  先ほどの質問に関連して、三木環境庁長官から発言の申し出がありますので、これを許します。三木環境庁長官
  210. 三木武夫

    ○三木国務大臣 いまの調査団のことですが、環境庁の調査の場合においても、公共用水路の一カ所ですけれども、カドミウムが〇・〇一八、環境基準は〇・〇一ですから、ちょっと上回っておる数字が出たのです。だから休廃止鉱山なんかの環境の実情とか水域について調査団を派遣したいという考えを持っています。それは通産、農林、環境庁、全部網羅してやりたいと思います。また土壌汚染の問題は、これは秋の時期にもう一ぺんやります。平均値でやったものですから、今度は……。(「平均値以上の……」と呼ぶ者あり)そういうことでやります。土壌汚染のほうは秋になりますが、休廃止鉱山などを中心とする水域の汚染という問題にからんで調査団を派遣する考えでありますので、御了承願います。
  211. 遠藤寛二

    ○遠藤(寛)政府委員 今後の対策の問題でございますが、まず第一に、やはり最後には、先ほど先生御指摘になりましたように、土地改良事業をやるということになるわけでございますが、その前に環境庁関係で地域の指定をいたしまして、それから対策計画というのが県からあがってまいります。それは環境庁と農林省両方出すことになります。その結果に基づきまして、土地改良法に基づきまして事業を実施するということになります。  そのほかに、さしあたっての問題といたしましては、一・〇というものが出るという地域がはっきりしました場合、地域指定が行なわれて、その中でそうだということになりました場合には、そこの作付はやめるようにという勧告をいたす権限、これは環境庁にございます。(「補償はどうか」と呼ぶ者あり)補償の問題につきましては、これは別になります。
  212. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 そういう点を含めて、県から具体的な相談があったか。
  213. 遠藤寛二

    ○遠藤(寛)政府委員 私のほうには、地域指定、そのあとの問題になりませんと、公式のあれはあがってまいりません。ただ私どもといたしましては、そういうところにおきまして、一般的な問題としての被害軽減の、たとえばアルカリ性に土壌を直していくとか、あるいはわせに変えていくとか、そういったことはそれぞれの立場において御指導申し上げておりますけれども、そういった事業計画につきましての具体的なものは、まだあがってきておりません。
  214. 島本虎三

    島本委員 環境庁の長官のほうから、これは各省庁網羅して調査に行く、こういうことでありますから、私はその問題に対してはまず了解しておきます。  ただ、この際一つだけどうしても急いでやらなければならない問題があるのです。それは、ことしの作付については、まだ指導をしておらないように承っておりますが、どうするのか。土壌をちゃんときれいにするのか、それともまだ試験するのか、そのままにしてことしの推移を見るのか。四年このかた同じようなことを繰り返しております。はっきりした対策をやるのでなければ、これは困るのは農民そのものなんです。この対策がおくれております。したがって、作付を前にしていま一番悩んでいるのは農民でありますから、この点等も十分考えて指導しないといけない、こう思います。これは農林省でしょう。農林省のほうからその指導について承ります。
  215. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 お答え申し上げます。  まだ農用地の土壌汚染防止に関する法律によります地域指定ができません過程で、やはり規格基準に適合しない米の生産を防止するような観点から、特に一PPM以上出ているようなところにつきましては、土地利用だとか転作等の指導をはかるとともに、どうしても米をつくるというようなところでは、水稲の品種の変更でございます。先ほどもお答えいたしましたように、わせにするということ、あるいは水をたっぷり張ります、水管理改善、あるいは土壌に改良資材を入れるという土壌改良の対策の効果について十分検討しながら、適切の措置をとるようにしたいと思います。また、私ども県から聞いております範囲では、県は営農指導班というものを特につくりまして、普及所の普及員というようなものを活動させまして、この地域の営農指導に当たっておるというように報告を聞いております。
  216. 島本虎三

    島本委員 そこなんですよ。はっきり、ここ三年前からいままで、指導じゃなくて試験なんでしょう。試験ばかりしておってその数値をいわばごまかしていたでしょう。したがって、指導というものはないんですよ、試験ばかりやっていたんです。ですから、もういわゆる農用地土壌改良法ですか、いや農用地汚染防止法によると、まず地域指定しないとだめでしょう。指定したならば、それをはっきりと、そのまま水をかえていいのか、それとも土壌をかえていいのか、それとも全然地目変更をしなければならないのか、いずれかをきめなければならない、こういう対策が必要なんです。それがどうするのか全然ないから、そのままにしておいたらじんぜん日を過ごしていくだけで、苦労するのは農民だけだ。作付を前にしてこのまま放置することはできないから、早く指導しなさいというのですよ。いまの答弁ではありきたりのことを言って、そのくらいの答弁なら私ども知っているのですよ。現にないのです。またやろうとしているのです、全部買い付けてやるような指導を講じてやらなければならないのです。そういうふうに、あとの措置を別にして早くやるようにしなければなりません。山を見ると、山のほうはおれのほうでは出してないという。休廃止鉱山はもう持ち主もいない。そして排水は下のほうへ流れていって、水に溶けたカドミウムが全部たんぼに入っていって、困るのは農民だけではありませんか。通産省責任をとろうとしない、こういうようにして農民だけがしわ寄せを食らってはならない。早く対策を立ててください。こういうようにしてもらわなければ困るのです。だから、これをひとつあとで答弁してくださいよ。  それともう一つ、指曲がり病というのが向こうでは出ているのです。というのは、県のほうで健康調査実施をしておるのです。その結果、四十歳未満の妊婦、その人たちの健康調査千十五人中八百二十三名を検診したのです。四百三十三名が第二次検診に回ったのです。もう一回やってついに三次検診にして、これはどうにかやらなければならないというのが六名おったのです。カドミウム中毒なのかイタイイタイ病なのかわからないうちに、指曲がり病というような名前でまた出てきているのです。婦中町のイタイイタイ病、山形県のこの指曲がり病、こういうものは、同じカドミウムによって出ているのですか、これに対する徹底的な調査をしているのですか。これは発生したのはいまじゃないのですよ、以前から出ているのですよ。調査をしていますか。
  217. 加倉井駿一

    ○加倉井政府委員 ただいま御指摘のように、山形県の南陽保健所が主体になりまして、御指摘の当該地区の住民千十五名を対象にいたしまして検診計画を実施いたしました。そのうち八百二十三名が受診をいたしております。第一次検診といたしましては、尿の検査その他を実施いたしまして、第二次検診、御指摘の四百三十三名がさらに受診をいたしました。その結果、一応尿の中のカドミウムは定量をいたしております。しかし、尿の中のカドミウムの量につきましては平均が三・五リットル当たりマイクログラムでございまして、一応カドミウムを否定するような結果が出ておりますので、さらに指曲がりの症状を呈する者につきまして百九十四名のレントゲン検査実施いたしております。そして、その診断に当たりましては東北大学の整形外科医、それから市立南陽病院の整形外科医、地元の医師会代表等の判読によりまして、一応慢性間接リューマチまたは退行性変形性関節症、及び外傷によるものが大部分である、こういう結果になっております。そしてさらに第一次検診によりまして、尿のたん白が発見され、さらに二次検診によりまして尿中のカドミウムが九マイクログラム・パー・リットルのものにつきまして、六名の方の精密検診を三月に実施いたしております。一応検査項目といたしましては、血清アルカリフォスファターゼの定量、血清無機燐の定量、それから電気泳動法による尿たん白の分画、こういうものを検査項目といたしまして実施をいたしておりますが、その結果につきましてはまだ報告がございません。以上のような経過からいたしまして、一応カドミウムによる中毒症状は否定はできるものの、さらに精密検診を継続いたさなければならない、かように考えております。
  218. 島本虎三

    島本委員 いまの場合には、県そのものは認定をしたくない立場に立って、県知事は指導しているんです。それからその医療陣、検査陣は充実していないんです。ほんの一人か二人、それもあたりをはばかりながらやっているデータがそれなんです。ですから、もっと堂々と専門医とそれから皆さんの英知をすぐって、ひとつそれに当たらなければならないのです。いまやっているのは、ただ一人の女医でしょう。そういうような状態なんです。県知事自身がそれを認定したくないのです。陰に陽に圧力がかかるから、そういうようなことになるのです。何よりも、地球よりも重いのが人の命ですよ。まして妊婦の場合が多いんですから、十分その点は考えてやらないと、次の世代に及ぶ問題ですから、この問題は重要です。それは十分考えてやってほしい。  それと同時に長官、せっかく長官のほうで現地調査をする、それを派遣することを聞いて、私もさすが副総理だと思ったほどなんです。ですからこれはやはりやるべきなんですけれども、その場合各省庁網羅するのはもちろんですけれども、医学陣営も必ず連れていって、それらに対して的確な調査指導をしてもらいたい、この点も要請しておきたいと思うのですが、長官、よろしゅうございますね。
  219. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これはいまその調査官が行きますときに、安宅委員ですか島本委員でしたか、農林省も行ったんですが、そのときにやはり方針を明らかにして、農家の不安を除去することが必要だということを言ったのですが、お医者さんという点は、現地でどういうふうに六名の患者の第三次検診、こういうことをやっておるかという、いま情報をいただきまして、御趣旨はよくわかりました。これは実際に病気があれば、これは十分な調査の結果、治療の方法を考えなければならぬわけですから、それはお医者さんを調査団に連れていくということにはならぬかもしれませんが、県がそういう症状があるのにこれを隠すようなことはさせないで、やはり十分な検診をするように県に対して申し入れをいたすことにいたします。
  220. 島本虎三

    島本委員 私はもう最後ですけれども、これは特に要請しておきたいのです。というのは、いま農家の人たちは困っているのです。迷っているのです。どうしていいかわからぬのです。したがって、これに対しては鉱害源の究明を早急にやること、もうわかっているのです、だけれども、原因者としての名のりがないだけなんです。それとこの鉱毒防止事業として防止のために万全を期すること、こういうようなことをあわせて——いま困っている、試験台に供されている人たちがあるのです。いままでこれ四年間、四年の間戦々恐々としているのです。これは早くいかような方法をとるのかということを明確にしてやるような指導をすべきです。それまでの間はやはり不安のないように、生活権がかかっていますから、この買い上げ等についても十分配慮してやることが必要だと思うのです。それと同時に、この被害の補償についても、いま責任者がいない状態なんです。だけれども、農民だけにこれがかかっているのですから、この点も十分考えて営農計画の確立指導の促進、これだけは、南陽市からもいろいろ出ているはずです、われわれもこの血の訴えを受けてまいりましたが、この点だけはやはり確立してやるべきです。このことを私は強く要請し、最後に安宅委員から一言皆さんに心からなる要請があるそうでありますから聞いてもらいたいと思います。
  221. 佐野憲治

    佐野委員長 関連質問の申し出がありますのでこれを許します。安宅常彦君。
  222. 安宅常彦

    安宅委員 当初にそういう調査をやったとすれば怒りをもって私は云々という三木さんの話がありましたけれども、「心から」じゃない、私はあなたと同じに怒りを持っているのです。それで通産省、あなた方四十何年ですかからずっとやっておったと言うのですが、市と協議会なんか持っているそうですね。これはカドミウムの汚染の状態があるから協議会持ったりいろいろやっているのじゃないですか。現在ではこういう鉱山のほうはおそれがないという答弁をあなたはしたけれども、そういうことがあったからこういう協議会をつくったり何回も調査をしたんじゃないでしょうかね。前の資料、そういうものは通産省だけでしまっておかないで出さなければならないと思うのですが、そういうことはどうですか。これをちょっと聞いておきます。  それから環境庁長官農林省も知ってもらいたいと思うのですが、私どもが入手している資料は、先ほど言ったように試験場の場長が、たった一カ所だけの、自分の試験場の場長の責任のある田だけは〇・〇八じゃない、これは一・〇PPM以上になっているんだということを、県知事と私どもがやり合っているまつ最中に正義の心を起こして言ったからしぶしぶそれだけは認めたのですよ。いいですか、こういういきさつがあるのですよ。これを知ってもらいたい。だからわれわれは六カ所あるというのは、全部六カ所は一PPM以上になっておるという確信を持っています。その資料を出した者は、毎日新聞の西山太吉さんみたいなことになるとたいへんだから名前は言わない。三木さんが何ぼ一生これはめんどうを見ますなんて言ったって死んじゃったらしょうがないから、将来左遷されたり出世できなかったらかわいそうだから、こっちは名前を出さないだけです。正式の資料を持っているのですよ。私どもはこれははっきりしてもらわなければならない。それにおそれをなしておろおろしているのが県。正義の科学者というので試験場の場長がこれは実際あったのだということを言ったからあの一カ所だけ認めたといういきさつなんですよ。そこが問題だ。だから私がここで言いたいのは、食糧庁にもぜひ言いたいのは、〇・四PPM以上、一・〇PPM以下の準汚染米のことについて、これも全部ごまかしています。〇・四PPM以下の資料は、県の資料と私どもの資料とぴしゃっと一致しているのです。一・〇以下の〇・四をちょっとこした分だとかそれらは全部下に下げている。だからそういうインチキなものを県はあなた方に報告したということになっているのです。  それで、来年の話ばかりしたって困るんで、鬼が笑うんであって、これは食品衛生法の違反、それからあなた方はそういうものをうその報告を受けて知らなかったといえば監督不十分ですよ、率直に言うならば。だから食糧庁長官法律もあると思いますが、なかったらあなたの職権でいままでの調査を明らかにすべきだと思うのです。来年はこうしますじゃ話にならない。来年は、実際に米が実って立毛調査をしてそして分析の結果が出るのは来年の二月ごろでしょう。そのときあなたのほうは、食糧庁の検査官は、カドミウムが入ったかどうかわからないから全部買ってしまうでしょう。県知事は最後の交渉で実際に百十八俵分だけは認めて、もう消費者の腹の中に入っているでしょう、手の打ちようはありません、こういう答弁をしているのです。百十八俵だけじゃないんですよ。私はおそらく何千トンというものがいっておると思うんです。だから吉野川の流域で耕作面積は幾らか、それを聞いているわけです。ですからそういうことから推して捜査をした状況、なぜ試験場の場長が途中で県が追及を受けておる間にそういうことをやらなければならなかったか。いま島本委員が言ったように実際に捜査したのは二名、名前まで知っていると言っている。そういうことをわれわれはあなた方に情報を入れますから、こういうものを徹底的に調査をやって正しいものをやはりつくるべきじゃないかと思うんです。これはやってもらわなければなりません。やらないと言ううちは私はきょうは引き下がらない。これはただ要請しますだけではだめだから言うんです。これはあなた方の責任でやってもらわなければならぬ。それから今度は広範なところの調査を来年の分はしなければならない。そういう必要があると私は思っている。あなた方もそういう立場で来年の調査はしてもらいたい。  そうしますとここで自主流通米という問題が出てくる。買い上げて、実際に今度はそこに保管しておった、保管中の分は食品衛生法基準に当てはまらないとかあなたは言ったけれども、第七条を見たらちゃんと「保存」というものは書いてあるじゃないですか。だからそういうことを含めて、そしてあなたのほうでは自主流通米として買って、今度はこれを売る農協が出てくるわけですからね。買わない。みんな東京から返品を受けているのです。来年の分も返品を受けることは当然でしょう。その補償に至るまであなた方はどうするのか、これははっきりしてもらわないと農民ばかりじゃない農協もみんな困ると思うんですが、そういうことはついてどういうふうな措置をするつもりか、これもそれぞれ答えていただきたいと思います。特に長官の場合には来年の措置は一体——ことしの分はインチキだったということははっきりしているのですから、あなたの責任において再調査をして理非曲直を明らかにしてもらう、その中から処分者が出ようとやむを得ない、そういう立場でやってもらいたい、これはどうですか。これだけ言っておきます。   〔委員長退席、登坂委員長代理着席〕
  223. 三木武夫

    ○三木国務大臣 いままでわれわれの土壌汚染防止法による細密調査の方式と違ったあれですから、その実情は、過去の実情に対しては、十分究明をいたします。また将来のことについては、現地の実情等もよく調べまして広範なところにやるか、それは百五十ヘクタールですかいまでもやっておる、これを広げるかどうかということは、実情をよく調べた結果になると思います。
  224. 中野和仁

    ○中野政府委員 最初の過去の調査の事実の究明でございますが、これは先ほど環境庁の局長がお答え申し上げましたように、もう一度調べるように努力をするということを言っておられますから、食糧庁といたしましてこれを独自にそういう技術も持っておりませんのでなかなかできかねると思いますので、環境庁の調査の結果を至急伺って措置をすべきだというふうに思います。  それから二番目の自主流通米につきましては、県から伺いますと、四十七年産米、去年とれた米でございますが、これの農家の保有米を調査するそうでございます。そこで問題といいましょうか、一・〇PPM以上が出るということになりますと、食糧庁の在庫はもうすでに保留をしておりますけれども、先に自主流通米が五、六百トンあるそうでございます。これの取り扱いにつきましては、この調査が明らかになった段階でUターン、自主流通米が政府米に戻ってくるということをUターンといっておりますが、Uターンしてくれという県等の要請もございますので、前向きに検討してまいりたいと思います。
  225. 田中芳秋

    田中(芳)政府委員 通産省といたしましては、PHあるいはカドミウム、こういったものを含めます鉱山廃水の環境に及ぼす影響のないように規制を十分行なう、そういう趣旨から地元の市等と十分協議をしてまいったところでございます。
  226. 島本虎三

    島本委員 では、いままでの質問は一応これで打ち切りまして、次のほうに入らしてもらうわけであります。今後、こういうような行政の手落ち、怠慢、このそしりを再び受けるようなことがないように、十分この点は吉野川流域を中心にして思いを日本全国に及ぼしてやってもらいたい、このことを要請しておきます。  次に、伊達火力の問題で前回からの引き続きで一つだけお伺いします。長官、私のほうはすぐこれで終わらしてもらうつもりです。と申しますのは、私ども自身、どうもこれは不可解なことがあるのです。先週の金曜日ですから十三日です。十三日に、岡田委員質問に答えて、水産庁では伊達漁協以外には漁業被害はないという前提に立っていろいろ答弁しておったようなんです。水産庁長官来ておられますか。——そして同じその日、内閣委員会で同僚の横路委員質問しているんですが、水産庁長官は伊達の火力発電は、付近の海域に一定の被害を与えると考えられる、補償の必要がある、これまた明確に答えているのです。公害対策並びに環境保全特別委員会の答弁と、それから内閣委員会の答弁、二つ違うということにも疑義があるんです。それと同時に、きのうの農林水産委員会で、これまた同僚の美濃委員質問に答えて、日本水産資源保護協会、これは権威のある機関であって、これ以上の調査機関は考えられない、こういうふうにさえ答弁しているわけです。そうなりますと、この公害対策並びに環境保全特別委員会で水産資源保護協会の基礎データにあれほど疑問が出ている、こういうようなことを追及しておるのに対して、いままでの答弁は何かちぐはぐなものがあり、その場その場でかってなことを言っているようであります。あえて言うと、国会を愚弄するもはなはだしいじゃないか、こう言わざるを得ないのですが、この点どういうようなことになってこの答弁が発生したものでしょうか。
  227. 荒勝巖

    荒勝政府委員 伊達火力の建設に伴います水産被害につきましては、私の答弁といたしましては、水産資源保護協会にお願いいたしまして調査した結果に基づきますならば、これは被害がないという前提に立ちまして、地元のそういう調査をしている次第でございます。しかしこういった伊達火力の発電に伴いまして、建設後におきましてもわれわれとしては当然にあまり被害はないという前提で、伊達火力は建設されていくと思いますが、やはり天然の災害、強い風とかそういったものの関係で、あるいは万が一被害が及ぶこともあり得るという前提に立ちまして、そういった災害の問題については、場合によっては当然補償の問題が生ずるものというふうに理解いたしまして、そういう答弁をした次第でございます。  第二点の御指摘の内閣委員会の答弁でございますが、これにつきましては、その後水産資源保護協会のほうで、人員につきましては日本におきます温排水問題についての権威者を集められて、いろいろと長い間かかって十分検討された次第でございまして、われわれといたしましては、そういった権威者の御意見に従わざるを得なかった、こういうことでございます。  それから農林水産委員会での御質問でございますが、地元のほうから資金の一千万円が出まして、水産資源保護協会に寄付がありまして、それに基づいて調査が行なわれたというふうに私は理解しておりまして、またそういう方向でその資源保護協会の先生方は十分な客観的な立場に立ちまして審査されたのではなかろうか、こういうふうに思っておる次第でございます。
  228. 島本虎三

    島本委員 この水産資源保護協会の基礎データに対しても、あれほど具体的な疑問があるということを、図面を広げて手まね足ぶりで十分説明したはずなんです、たぶんおったと思うのですが。それに対しても各委員会で全部違うまちまちな答弁が出て、これは私どもまことに理解に困るんです。これはあとからもう一回言い直して、やり合ってください。  それと長官、長官は伊達火力発電の足元にある長和地区の農民から、北電に対して再三話し合いを要求しているのに対して、北電側はこれに応じていないから、政府側はいかに指導しているのかというこれまた岡田委員質問があったんですけれども、どういういきさつか、こまかい点はわからぬけれども、さっそく調査して地元と話し合うように北海道庁を通じて指導したい、こういう答えがはっきり出ているのです。環境庁としてこの点についてどういうような指導をしたのか、今後も長和農民と北電側が話し合うようにこれを指導すべきですが、私は、一たん議事録に載った以上、それは確約したものである、こういうふうに思ってこの質問をとめたいのですが、そういうふうにはっきりといままでの疑問を解消してよろしゅうございますか。
  229. 三木武夫

    ○三木国務大臣 北海道庁に対して話し合いをするように、組合と電力会社との間にあっせんをするようにということを言ってあるんですが、まだ話し合いをしてないようでありますから、さらにこの話し合いをして、問題を円満に解決するようにということをさらにこちらから強く要請をいたします。
  230. 登坂重次郎

    登坂委員長代理 岡田春夫君。
  231. 岡田春夫

    岡田(春)委員 私、伊達火力の問題をこの前の委員会に続いて質問を続けます。時間が五十分というのですから、ひとつ答弁は簡潔にお願いいたします。  きょうは、主として水産庁の関係に伺ってまいりますが、長官どうぞ前のほうへ、そのほうが話が早くていいですから。  第一に伺いますが、いま島本委員から御質問がありましたお答えですけれども、日本水産資源保護協会の調査報告は、あなたは信用されておられるんですか、どうなんですか、簡単に……。
  232. 荒勝巖

    荒勝政府委員 水産庁といたしましては、報告に参加されました方々が一応温排水につきましては、日本の……(岡田(春)委員「温排水ばかりじゃない」と呼ぶ)報告につきましては、日本の権威者の方々が集まられまして作成された資料でありますので、水産庁といたしましては適正なものと考えている次第でございます。
  233. 岡田春夫

    岡田(春)委員 この報告書がいかにでたらめなものであるかということをこの前私は追及しましたけれども、そのときに水産庁の御答弁はあまりありませんので、きょうは御答弁を具体的に伺ってまいりたいと思う。  具体的な例の第一点、これはホタテの浮游幼生の問題。この調査報告によると、三十五日間取水する水の量は六千六百五十三万立方メートル。この水の中に入っている浮游幼生、いわゆるホタテの子供です。この幼生に対する被害は四・六%しか被害がない、こういう結論を出している。これは文章に書いてあるからそのとおり。ところが、ここで伺っておきたいのは、この積算の根拠は——これは長官が御存じなければ関係の方と御相談してお答えいただきたいと思うのですが、積算の根拠は、その六千六百五十三万立方メートルの水は、沿岸汀線に近いところで、しかも表層の海水を取水するということが前提である。そういう前提に立って、四・六%しか被害は及ばないということが結論であります。そうですね。いかがですか。
  234. 荒勝巖

    荒勝政府委員 非常に専門的なことでございますので、調査研究部長からお答えいたさせます。
  235. 松下友成

    ○松下説明員 お答え申し上げます。  被害程度は、この調査報告書によりますと、ホタテの稚貝、稚仔の死亡数として四・六%以下という数字が出ております。
  236. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それからその前提であるいわゆる表層水をとったということですね。それはいかがですか。
  237. 松下友成

    ○松下説明員 この調査を行ないました時点におきましては、北電の計画がまだはっきりしておりませんで、表層取水ということで推定しておったわけでございますが、その後の、現在時点におきます計画に基づきましても、この結論を変える必要はないというふうな先生方の御意見であるというふうに私どもは伺っております。
  238. 岡田春夫

    岡田(春)委員 この報告書を見ますと、この報告書の二四ページ、これを見ると——その前にこれを伺いましょう。北電の実際計画では、放出される温排水の温度差をできるだけ少なくさせるために、取水口は沿岸汀線から海の中に入って、しかもカーテンウォールを使って、海面下六メートルの水を取水することになっている。いいですか。海面下六メートルの海水を取水することになっているのだが、この場合でもホタテの浮游幼生に対する被害は報告書どおり四・六%と考えてよろしいかどうか。
  239. 松下友成

    ○松下説明員 報告書にははっきり明示してございませんけれども担当委員の方からお伺いしますと、汀線からほぼ距岸二百メートルくらいまでのところは非常に極端にその浮游幼生が少ないということでございます。  先ほど申し上げましたように、この取水は表層ということで計画いたしておりましたが、先生ただいま御指摘のとおり、水深六メートルでございます。ただし、これも非常に岸に近いところでございますので、ただいま申しましたように浮游幼生の数は非常に少ないというのが、この調査に参加されました先生方の御意見でございます。
  240. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それじゃ二四ページをごらんください。これで変わりがないとおっしゃるのなら、この統計資料で四・六%の基礎になる数字が二四ページの上のほうの図表に出ている。零メートルの水深の場合のいわゆるホタテの子供ですね、平均九個という計算単位が出ている。九個の十分の一として計算を出したために四・六%になっている。しかしここは零メートル、一メートル、二メートル、一メートルの場合には平均二十三個、二メートルの場合には平均三十個、四・六%が出てくる計算の単位は九個であったのだが、水深六メートルの場合には何個のホタテの稚貝がいるという数字によって計算をされるのですか。その根拠なしには四・六%は出てこないじゃありませんか。
  241. 松下友成

    ○松下説明員 先生御指摘のとおり、この表には表層二メートルまでの調査結果しか出ておりません。しかし北海道開発局の行ないました調査によりますと、十メートル以深の調査もございます。その十メートル以深の調査結果と、それからただいまの二メートルまでの調査結果と、それとの値の何といいますか補間法と申しますか、間で、六メートルではこのくらいだろうと推定は可能だろうと思いますけれども、実測値はございません。
  242. 岡田春夫

    岡田(春)委員 問題はそれがなければ四・六%という数字が出ないわけでしょう。
  243. 松下友成

    ○松下説明員 先ほど申し上げましたように、なぎさの線から二百メートルくらいまでの間には浮游幼生が非常に小さいということは諸先生方の御意見でございます。その表にございますのは「長和地先沖合」となっていますけれども、大体沖合い五百メートルから千メートルくらいのところで調査した結果でございます。ですからその調査結果を直ちに汀線近くまで持ってくるということは、ホタテガイの浮游幼生の分布状態から見ましてできないわけでございます。
  244. 岡田春夫

    岡田(春)委員 おかしいじゃないですか。そのことはあなた矛盾ですよ。この九個という単位は、あなたは資料として使えない資料の中から出ている九個ですよ。それを十分の一——十分の一が正しいかどうかは私はいま問いません。しかし十分の一として計算を出しているのですよ。そうしたらあなた、これを資料として使えないのだとおっしゃるならば、どういう資料に基づいているのですか。
  245. 松下友成

    ○松下説明員 先ほど申しましたように、なぎさの線から百ないし二百メートルくらいまでの海におきましては、水深にかかわりなく非常に少ないということを申し上げたと思います。ですから表層だけではございませんで、なぎさの近くであれば、三メートルであっても六メートルであっても非常に少ないというのが、この調査に参画されました先生方の御意見でございます。先ほどちょっとお断わり申し上げましたように、その点につきましては報告書にはっきり明示してございません。
  246. 岡田春夫

    岡田(春)委員 あなたそういう御答弁なさっているけれども、二五ページをごらんください。二五ページの下から六行目、この統計数字を使ったと書いてあるじゃないですか。この統計数字は使わないのだといいながら、使って計算しているじゃないですか。そういういいかげんなことを言ったらだめですよ、あなたは。ここにちゃんと計算したと書いてあるじゃないですか。それならば、それを使っているならば、一メートル、二メートル、それ以下の計算が出てこなければならない。あなたは、わりあいに沿岸に近いところなら変わりがないというなら、変わりがないという具体的な根拠を出してください。科学的な根拠を出さない限り、科学的な立証にならないですよ。科学的な根拠を出しなさい。
  247. 松下友成

    ○松下説明員 先ほど申しました北海道開発局の調査資料がございます。この調査資料に基づきますと、大体距岸二百メートルぐらいまでのところにはほとんど浮游幼生は水深に関係なく分布しておらないわけでございます。
  248. 岡田春夫

    岡田(春)委員 そんな抽象的な答弁ではだめです。その統計によれば何個いるという計算なんですか。そうでなければ計算ができないでしょう。ほとんどいないということでは答弁にならない。
  249. 松下友成

    ○松下説明員 調査担当されました先生の御意見を伺いますと、おそらくその十分の一以下と推定して間違いないだろうということでございます。
  250. 岡田春夫

    岡田(春)委員 その十分の一というのは何個という意味ですか。具体的に数字を話してください。
  251. 松下友成

    ○松下説明員 表層におきます平均値九個の十分の一、つまり一立方メートル中に〇・九個と推定してほぼ間違いないだろうというのが先生方の御意見でございます。
  252. 岡田春夫

    岡田(春)委員 念のため伺っておきます。それではもう一度念を押してあなたの答弁を総括しますと、こうですね。沖合い近くの水深六メートルのところも表層部と変わりがない。したがって、数字で示すと、九個の十分の一、〇・九個である。海面下六メートルの取水も〇・九個であるという判断ですね。それはだれがそのように言われましたか。名前を明らかにしてください。そういう科学的でない根拠をおっしゃるなら、はっきりしてください。
  253. 松下友成

    ○松下説明員 この調査のこの部分を担当されました東京大学の海洋研究所の山本護太郎先生にもいろいろ御相談申し上げて、その結果をお話し申し上げたわけでございます。
  254. 岡田春夫

    岡田(春)委員 この前の委員会では数字のけた間違いをあなたのほうでお認めになりましたね。あのけた間違いは山本教授ですね。今度もまさか間違いがあるわけではないでしょうね。どうですか。
  255. 松下友成

    ○松下説明員 調査の中間報告に若干書き落としの点がございまして、それが直ちに訂正されましたことを伺っております。それで中間報告として私どもが伺っている点については、その点は現在の最終報告と同じ内容のものになっております。
  256. 岡田春夫

    岡田(春)委員 そんなこと聞いてない。今度の場合には間違いないと確信をもって言えますかと聞いているのです。あなた方は科学的な根拠というものなしにそういうことをやっておるのだが、長官、よく見ておいてください。ここにいろいろな数字が出ている。表層水の一立方メートル当たり九個という計算が出ている。そして一メートルの場合には二十二個、二メートルの場合には三十個、そういう数が出ているにもかかわらず、わざわざ表層水の平均九個の十分の一であるという数字をことさら山本教授は出している。これは科学的な根拠はない。もしあるのだとするなら、一メートル、二メートルを出した意味がないじゃないですか。こういういいかげんなことをしちゃいけません。ここで答弁だけでごまかそうったってごまかされません。これは科学的なものではありません。しかも、この山本教授は、この前はあなたはいらっしゃらなかったが、次長ははっきり認めたのです。けた間違いで、計算間違いした、こういう人だから、これは信用できないですよ。私はこの問題ばかりやっているわけにいかないが、あなたのほうの数値というのはあくまでもいま研究部長が言ったように、九個の十分の一であるということは間違いないというなら、これはあとで裁判の問題がありますから、ここで速記録に残るのですから、はっきりしておきましょう。海面下六メートルのところも九個の十分の一、これは間違いないかどうか、この点だけ御答弁いただきます。
  257. 安福数夫

    ○安福政府委員 この前の委員会で私が答弁いたしましたこととも関連がございますので、若干ふえんしたいと思います。  この前の答弁の中では、先ほどもちょっとお話が出ておりましたけれども、取水口は汀線で表面から取る、こういう前提になっていると思います。したがいまして、報告書自体の問題といたしましては、いまの表との関係におきまして、九個というものを前提として計算がされている、こういうふうに御理解願いたい。報告書自体の点ではその点は間違いない、これは御理解願えると思います。  それから、御指摘がございましたけた間違いの点でございます。これはごまかしたわけではございませんで、そのときも申し上げたと思いますけれども、これは確かに誤植でございます。計算間違いというふうに私は聞いておりません。これは非常に技術的、専門的な問題になりますから、私どものほうの研究部のほうで十分検討しろということでありますから、後ほどまた……(岡田(春)委員「それはいい、九個の十分の一かどうか、それだけ答えなさい」と呼ぶ)現在取水口のとり方がその後変わった、こういうふうに私聞いております。それと、この問題でさらに検討を加えまして、その際の山本教授の発言が事実であったかどうかという究明でございます。したがいまして、この報告書の関係ではございませんで、その後の検討の結果、ただいま私どもの研究部長がお答えを申し上げた、その内容についてのどうだということだと理解いたしますので、その点は、検討過程を踏まえまして、研究部長のほうからお答えしておる、このように思います。
  258. 岡田春夫

    岡田(春)委員 いいですか、もう前置きは要らぬです。一立方メートル当たりのホタテのラーバ——簡単にいうとラーバです。浮游幼生のことです。これが一立方メートル当たり九個、それの十分の一、これは表層面の数であるが、同時に海面下六メートルにおいても同じである、こういうことですねと聞いている。その点はっきりしておいてください。それだけでいいのです。
  259. 松下友成

    ○松下説明員 山本先生といろいろ御相談した結果でございますが、先ほどからたびたび申し上げますように、汀線近くでございますと、表層でも、あるいは三メートルでも、六メートルでも、やはり沖合い五百メートルないし千メートルの地点で調査されております九個の十分の一程度の値でよろしいというようなことを伺っております。
  260. 岡田春夫

    岡田(春)委員 あなた汀線近くだと思いますか、まず第一に。大体海面下六メートルのところが汀線近くにありますか。そんなことは常識でわかることじゃないですか。汀線近くに、波打ちぎわの近くに水の深さ六メートルのところなんかありますか。そんなこと、考えられないじゃないですか。地図をここに持っていますよ。大臣もこれを見ておいてください。カーテンウォールでずっと海の中に入ってきているのだから。ここなんだから。だからこれは汀線の近くなんかにないですよ。だめですよ、そんないいかげんなことを言つちや。
  261. 安福数夫

    ○安福政府委員 必ずしも取水口の位置がここにきまって——取水口がどこに出るかということは必ずしも最終的にきまっているわけではございませんけれども、私ども聞いているのは、この前も御指摘がございましたが、それをどの地点だということをいまの時点でこのあたりになるだろうということは、汀線より大体七十メートルぐらいの沖合いである。その際さらに海底を掘りまして、それにウォールを置いて掘る、こういうふうに私ども理解して聞いておる次第でございます。
  262. 岡田春夫

    岡田(春)委員 あなたのほうはもっとお調べください。確定的なものはもう出ているのです。これは環境裁判の準備書面の中へ出しておる文章ですから、いいかげんなものじゃありません。それだけの数字が出ている。私はこの問題ばかりやっていると新しい問題に入れないから、次に入りますけれども、しかし、先ほどあなたは海面下六メートルのところも一立方メートル当たりホタテガイのラーバは九個かける十分の一である、これは間違いない。そう言った。研究調査部長がそう言っているんだもの、間違いないですね。これはあと必ず裁判問題になりますよ。これはいまから予告しておきます。  ところが、水産庁長官、この資料がいかに信用できないかというと、北電もこの資料の中で温排水の拡散についての平野理論はやめたのです。この資料を使わないことになった。そして和田式による計算でシミュレーション方式をとることになった。この一つの例を見ても、北電自身がもうこれを使わなくなった、いかに科学的でないかというのは明らかなんです。またそれだけじゃありませんよ。水産庁で知っていますか。海流の調査については特に不明確であるというので、北海道庁は今度、五月、六月、七月の三カ月に新たに調査するのです。この調査報告がいかに信用できないかという立証の一つでもあるのです。あなたはこれを信用しますと長官はおっしゃるけれども、そんなに信用できるものじゃありません。そういうものであるという御認識をひとついただきたい。さっきからあなたの部下である研究部長が言うように、海水の一番上の一立方メートルあたり九個掛ける十分の一は海面下六メートルのところも同じであるということになれば、この文章は全体として書き直さなければなりません。なぜならば、ここには——私、この問題であまり長くやりたくなかったのだけれども、「なぜならば浮游幼生は水の動きなどによる接触刺激などに鋭敏であり、このような現象が起こりやすい沿岸汀線付近では、沖合の中・底層部における浮游幼生数にくらべてはるかに少ないものである。」云々、このあとに佐呂間湖の例、その他の例をあげて、海水下の場合と上とは違うのだ、上の水をとったからこうなるのだと、書いている。海水下の場合にも同じだとおっしゃるならば、この部分は訂正しなければなりません。こういう点からいっても、科学的な根拠を明確にしなければならないようなこの報告書はきわめて不備な点が多いし、間違いが多い、この点を申し上げておきます。  そこで、先ほど水産庁長官に伺ったように、平野方式というものを北電は採用しなくなった。北海道庁は五、六、七月の三カ月にわたって再度海流の調査をやる。この事実を御存じですか。どうですか、長官。
  263. 荒勝巖

    荒勝政府委員 平野方式の点につきましては、この報告の基礎になっているというふうに私聞いておりますし、また報告に際しまして、研究会の先生方の間でもいろいろ議論があったようでありますが、それは平野方式がおおむね妥当であるという前提でこの作業が始められたように聞いておりますので、私としてはこの見解を支持したいと思っております。また、海流についてどうも不明確だということで北海道で新しく調査されるということにつきましては私は存じておりません。
  264. 岡田春夫

    岡田(春)委員 そういう事実なんですよ。あなた御存じなければ十分御認識ください。北海道庁にお問い合わせください。  そこで、問題を次に進めてまいります。これから重要な問題がありますので進めてまいりますが、今度の伊達火力発電所の場合に、補償するべき対象は——伊達の漁協の海域に漁業被害が及ぶ、そしてこれに対して漁業補償が行なわれる。これがたしか四億円幾らだと私は思いますが、いつ、どれだけの金額が補償することになって払われるか、こういう点を具体的にお伺いしたいと思います。これは通産省の公益事業局長でもけっこうです。
  265. 井上保

    ○井上政府委員 漁業補償費とそれから研究調査費を合わせまして四億七千万円ということになっておりまして、そのうちで、大体漁業権の変更手続完了時に一億五千万円、それから着工時が一億七千万円、それから四十七年の十一月の三十日が五千万円、ここまでが支払いをいたしておるわけでありますから、合計三億七千万円になると思いますが、あと残りは五千万円ずつ分けて四十八年、四十九年に支払います。こういうことになっております。
  266. 岡田春夫

    岡田(春)委員 続いて井上さんに伺いますが、漁業権の放棄はいつ行なわれたのですか。日付を聞きたいのです。
  267. 井上保

    ○井上政府委員 私の知っております範囲では、まだ知事の許可が出ていないというふうに聞いております。
  268. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それではどうなるのですか。漁業権の放棄はないですね。
  269. 井上保

    ○井上政府委員 これは今後、その他の、たとえば公有水面の埋め立て等の関連もございまして、将来漁業権の放棄が正式に行なわれる、こういうふうに認識されます。
  270. 岡田春夫

    岡田(春)委員 これは重大です。漁業権の放棄はまだ行なわれてないそうですね。いまの答弁では漁業権の放棄は行なわれていない。それにもかかわらず補償は行なわれた。環境庁長官、どう思いますか。漁業権の放棄は行なわれていないのだけれども、しかしながら補償金は払った。それならば、そこにいる漁民のほうは漁業権は放棄しておらないから補償金はもらうと同時に、その漁場の中へ入って漁業権を行使することができますね。そういうことですね。
  271. 安福数夫

    ○安福政府委員 ただいま公益事業局長から御説明申し上げましたように、漁業権の変更手続、これは変更でございます、変更手続はまだ完了いたしておりません。申請書は四十七年の七月六日に北海道庁に受理されておりますそれが今日に至るまでなぜ変更の免許がおりてないか、こういう問題でございます。今日に至るまで変更免許がおりてないことは事実でございます。ただ、地先の公有水面の埋め立ての免許の申請、それとの関係においてまだ道庁のほうでは変更の免許はしてない、こういうことでございます。  それから第二点の問題でございます漁業権漁業の問題でございますけれども、これは漁業権はまだございますから、漁業権に基づいて行使することはできます。漁業権が万一変更免許になりまして漁業権がなくなりましても、共同漁業権はその漁業はできる、漁業法上こういう実態の漁業でございます。これは非常に法律的な問題になりますけれども、そういう問題がございます。
  272. 岡田春夫

    岡田(春)委員 これは重要な問題ですが、漁業権の放棄は行なわれておらないのです。なぜならば、北海道知事が認可をしてない。免許を与えてない。しかし、補償はすでに行なわれた。そこで漁業権の放棄は行なわれてないのなら、この後においても漁業はできるわけです。漁業は行なわれる。そして、それにまた、漁業は行なわれるし、北電が工事をしようとしても、工事の結果海面に対していろいろな損害を与える場合でも、漁業権の放棄は行なわれておりませんから、それは漁業権の侵害ということになりますね。環境庁長官、どうですか。こういう事実なんですよ。これはどう思われますか。
  273. 安福数夫

    ○安福政府委員 補償が全部終わってないように私は承知いたしておりますが、大部分の金額が、それに見合う金額が支払われておる、こういう事実は私、承知いたしております。ただ、それを支払ったからといって必ずしも漁業権の侵害になる、そういう法律的な問題は生じないのではないだろうか、こういうふうに思います。
  274. 岡田春夫

    岡田(春)委員 では、もう少し法律的に伺いましょう。  免許に関しては漁業法の何条に基づいてやるのですか。
  275. 安福数夫

    ○安福政府委員 漁業法の——私、ちょっとど忘れいたしましたが、おそらく二十二条あたりの規定だと思います。
  276. 岡田春夫

    岡田(春)委員 そのとおりです。それでは二十二条を読んでみますよ。漁業法の第二十二条には、「漁業権を分割し、又は変更しようとするときは、都道府県知事に申請してその免許を受けなければならない。」義務規定です。漁業権の変更そして一部放棄の場合には、免許がなければ漁業権は生きている、これは間違いないですね。そうすると、再度確認しておきましょう。現在は伊達漁協の海域における漁業権は生きている。したがって、そこの漁業協同組合に所属する組合員は、これは反対派も賛成派も含めて、漁業を行なう、いわゆる漁業権の行使ですね、漁業法の第一条に基づく漁業権の行使をする権利がある。したがって、それに対して何らかの北電側の行動は、この権利を侵害することはできない。そうでしょう。たとえば侵害することがあった場合には、これに反対するいわゆる行使権を持つ組合員はこれを排除する権利を持っている、ここまでみんな間違いありませんね、どうです次長、間違いないでしょう。
  277. 安福数夫

    ○安福政府委員 法律論としましてはそのとおりでございます。
  278. 岡田春夫

    岡田(春)委員 そのとおりでしょう。ここなんですよ。伊達で強行着工をやろうとしておるのに、漁業権がまだあるのです。これは重大な事実ですよ。そして補償金は北電が払っているんだけれども、これは補償金というのか何か知らぬが、漁業権の一部変更に基づくものとして有効に作用しておらない、これも事実ですね。
  279. 安福数夫

    ○安福政府委員 法律論としてはそのとおりでございます。  なお、ふえんいたしたいことは、所有権の場合もそうでございますけれども、所有権者がそれについて容認するということはあり得ると思います。事実問題としまして——法律的には漁業権の侵害、そこに進入をする、そういう問題はあろうと思いますけれども、事実上の問題といたしまして、それを容認する、こういうことはあり得ると思います。
  280. 岡田春夫

    岡田(春)委員 あなたは法律論、法律論とお話しになるが、法律論以外ではそれに反するようなことをやってもいいという意味ですか、そのことは。法律に違反したことを実際問題でやってもいいという意味ですか。
  281. 安福数夫

    ○安福政府委員 法律論じゃなくて、事実問題として、主権者たる漁業権の所有者自体がそれについて容認するということはあり得ます。そういうことを申し上げているわけです。
  282. 岡田春夫

    岡田(春)委員 しかし、容認していない人もあるのですね、反対論者がいるんだから。あなたはちょっと——水産庁長官も聞いておいてもらいたい。水産庁というのは漁業を指導する責任のある官庁ではないのですか。さっきから聞いていると、北電を擁護するためのいろいろなことを言っているようですが、水産庁は一体何をやる役所なんですか、ちょっと伺いたいのだが……。
  283. 荒勝巖

    荒勝政府委員 水産庁の設置法に基づきましても、あくまで漁業を振興し、漁民の向上をはかるということが水産庁の仕事でございます。
  284. 岡田春夫

    岡田(春)委員 去年の七月に漁業権の一部変更という申請を伊達漁業協同組合が出している。いまだにそれに基づいて北海道知事はそれの免許を与えておらない。その免許を与えておらないということば、水産庁の指導として、適切だと思いますか、どうですか。
  285. 荒勝巖

    荒勝政府委員 これにつきましては可及的すみやかに免許を与えられることが適当であると私は思っております。
  286. 岡田春夫

    岡田(春)委員 去年の七月からもう十カ月ですね。これは可及的すみやかですか。十カ月もそのまま置いてあるというのはどういう事情ですか。適当であると思われるのか、思われないのか。北海道知事の免許が今日十カ月もたって与えられておらないという事実について具体的に御答弁を願いたい。
  287. 荒勝巖

    荒勝政府委員 道といたしましても、すみやかに免許を与えるよう努力されたと私は思っておりますが、何らかの事情で、あるいはすみやかに行なわれていないということにつきましては、私ははなはだ遺憾に思っております。
  288. 岡田春夫

    岡田(春)委員 遺憾ですね。ところが、これは虚偽の報告がある。三木さん、これをお聞きください。電調審に申請するにあたって、北海道知事は同意書を提出した。その同意書の文章の中にこのように書いてある。「しかし、最近、伊達漁業協同組合の漁業権の変更、漁業補償についての承諾をはじめ、地元関係市町村と北海道電力株式会社との間で公害防止協定の締結をみるに至った」云々、これはもう承認しておるんだ、変更が行なわれたんだ、さっきから水産庁で答えているのは、漁業権は生きていると言う。漁業権が生きているのに漁業権の変更は済んだと北海道の知事は言っている。そしてこの知事の同意書の中で、このように言った。その上に立って電調審は承認を与えている。これは、虚偽の報告に基づいて承認を与えたことになる。このような電調審の承認は適当だと思わないが、三木環境庁長官、どう思いますか。
  289. 三木武夫

    ○三木国務大臣 ちょっとそれを見せてください。   〔岡田(春)委員、書類を示す〕
  290. 井上保

    ○井上政府委員 いまの先生のお話でございますけれども、その文章は、伊達の漁業協同組合が漁業権の放棄をすることにつきまして、北海道電力との漁業補償協定ができたという意味でありまして、そのあとで、正式の文書に従いまして、北海道知事がそれを認めるかどうかという問題は別の問題ではないかと思います。ただそういう文章だと思います。
  291. 岡田春夫

    岡田(春)委員 局長、いかに違うかというのを例証しましょう。補償協定を結んだのは五月三十日です。いいですか。そして漁業権一部放棄について伊達漁協から道庁に対して申請したのは七月です。この同意書が出ているのは八月です。五月だけの承認ならば問題ないのだ。これは同意書が、七月の申請をしたから、そうして漁業権の放棄というのは北海道知事がおそらく認めるであろう、すみやかに認めなければならないのだ、免許を与えなければならないのだから。その手続が済んでいないのにやったんだ。
  292. 井上保

    ○井上政府委員 電調審の審議、それからそれに従いまして、電気事業法に基づきまして、八条の許可あるいは四十一条の認可をします場合の方法でございますけれども、これはそれに必要なあらゆる許可であるとかあるいは認可であるとかそういう手続が全部終わりましてからそういうものをやるわけではありませんで、一応そういうものが大勢判断として行なわれるであろうという確実性を考えまして、そういう判断の上で進んでいくわけでございます。この場合におきましては、先生さっきお話がございました二十二条の問題はあるのでございますけれども、その前提といたしまして、伊達の漁協との漁業権の一部消滅の補償協定ができた。それから、北海道知事が所要の手続を審議会におはかりになって、審議会では原案どおりに許可をすべきであるという結論が出ておる、そういう点を考慮いたしまして、現実にまだ漁業権の消滅はいたしておりませんけれども、早晩消滅するであろうという判断をいたしておるわけでございます。
  293. 岡田春夫

    岡田(春)委員 法律をこういうふうに曲解してはいかぬですよ。電調審の承認ばかりでない、工事を着工することを認めた電気聖業法の許可を、漁業権の放棄が行なわれていないのに、漁業権が生きているのになぜ許可を与える。これは明らかに違法ですよ。
  294. 井上保

    ○井上政府委員 これはそうではございませんで、大数観察といたしまして、そういう許可が、将来発電所をつくる期間は相当長くかかりますので、その間にそれぞれ所要の手続をいたしていくわけでございますが、そういうものがとれるであろうという心証を得ました場合には、工事が確実に行なわれるという心証を得ました場合には、これは許可をしていくということに相なっております。   〔登坂委員長代理退席、委員長着席〕 その手続に従ってやったわけでございます。
  295. 岡田春夫

    岡田(春)委員 そんな役人の主観だけできめられたら、法律を曲げられたらとんでもないことです。あなたはさっき、漁業法の二十二条の手続が行なわれていない、しかも水産庁長官の答弁ではこれは遺憾なことである、こういう答弁でありました。漁業権は今日生きている。そして、電調審の承認が行なわれ、建設の許可が行なわれた。三木さん、これは適当なことでしょうか、どうなんでしょうか。私はきわめて不適当なことであると思うし、北海道知事の免許というものが行なわれておらないというのは、漁業法の違反であると思う。三木さん、これはどう思いますか。
  296. 三木武夫

    ○三木国務大臣 岡田委員に見せていただいたこの書類、これはおそらく何でないですか。伊達漁業協同組合が、漁業協同組合の意思として、漁業権の変更、漁業補償についての承諾をした、だから、組合が総会を開いて、伊達漁業協同組合の意思が決定をした、それは、そこに承諾という事実があったからこういう現象になったと思います。このこと自体は何も虚偽ともいえないですね。「漁業補償についての承諾をはじめ、」こういうことで伊達の漁業協同組合が組合総会を開いて、そしてそれに対する承諾を与えたのでしょう。ただ、しかし、一つは、十カ月もどうしてそういうふうに変更の認可を北海道知事が与えられないのかはよくわからないですね。もっと早くやってもいいと思います。
  297. 岡田春夫

    岡田(春)委員 たとえばその同意書が三木さんの解釈どおりであったとしても、今度は漁業法二十二条では免許を与えなければならない、なぜならば、その区域の漁業権を行使できるかどうかという生活に関することです。それに対して免許をいまだに与えておらない。与えておらないときに電調審が承認を与えたというのは不適当でしょう。この点はどう思いますか、三木さん。漁業法上の手続は済んでない、いいですか、済んでないのに、電調審のほうは先走って承認を与えた。これは適切ですか、どうですか。これはほかの人の、役所のあれば要りません。三木さんの政治的な御判断を伺います。
  298. 三木武夫

    ○三木国務大臣 おそらく何じゃないですか。こういう場合に漁業協同組合なんかの同意をちゃんと得ておる、承諾を得ておる、こういう事実を基礎にして電調審が認可を与えたということで、それまでの間に漁業組合の総意はきまったのですから、そういうことならば手続としては北海道庁の漁業権に対する変更手続が実際問題として済んでなくても、組合員全員が寄って、そしてこれに対する漁業権の変更、補償問題に対して承諾を与えたというような場合には、電調審としてもそういう前提の上に立って認可を与えるようなことの手続になっておるものだと私は思います。
  299. 岡田春夫

    岡田(春)委員 いいですか、大臣。漁業法に基づくと、先ほど言った伊達漁業協同組合が一定の海域の漁業権を一応総括的に管理する責任がある。ところがそこに加盟している組合員が漁業権を行使する権利を持つ。この漁業権の行使というのは財産権である。ところが、これから言いますが、漁業権放棄については、漁業法第八条三項に基づいて、組合員三分の二の書面に基づく同意が必要である、これも行なわれておらないのです。三木さん、これはどうですか。たとえば組合が許可をしても、組合員がそれを許可しなければこれは成立しないのです、第八条の三項を適用されていますから。
  300. 安福数夫

    ○安福政府委員 漁業法の八条第三項は、漁業権を持っている組合が、組合員に対して漁業権を行使させる、その行使規則を定めることに関する規定でございます。漁業権の得喪についての規定では必ずしもないわけです。
  301. 岡田春夫

    岡田(春)委員 そういうことを言うからいけないのです。いいですか。これはほんとうに指導官庁なんだろうか、北電の官庁なんだろうか、一体どっちなんだろう。昭和四十六年七月二十日、大分地裁において臼杵市風成地区における埋め立て問題についての判決が出ている。この判決によると、三木さん聞いてくださいよ。「漁業権放棄は、漁業権行使規則の変更と同様財産権である行使権の喪失をもたらすものであるから、漁業法第八条第三項に定める組合員の三分の二以上の同意が必要である。」これは書面どおりです。これが行なわれておらないのです。これでいいんですか、あなたのほうは。こういう判例さえ無視していいのですか、長官どうですか、こういう判例を無視してもいいのですか。
  302. 安福数夫

    ○安福政府委員 法律の判決につきましてはいろいろございます。ただいま御指摘の点は、大分県の地裁の判決でございますが、高松の地裁ではその反対の判決があるわけでございます。こういう判決は、間々違った判決が出ているのは、いろいろの法律の分野であろうと思います。その際に、水産庁としてはこれに対してどう措置するかという現実の問題がございます。ただ、法律論といたしましては、それは類推適用すべきであるという趣旨の判決でございます。漁業権の得喪につきましては規定しております組合関係法律がございまして、水産業協同組合法五十条で得喪についての意思決定の規定がございます。そういう違う法律関係がございます。その間をどう指導するかという問題はまた別問題でございます。
  303. 岡田春夫

    岡田(春)委員 もう時間が来ましたので、まとめてまいります。  再三伺いますが、水産庁は一体漁業者のためにやっているのですか。こういう手続で、組合員の中に反対の意見があるのに、三分の二の文書による同窓の取りかわしも行なわないで、そして、北電がそこに来たのだから、漁業権はもう放棄してもいいのだ、これは水産庁としてあなた方お答えになるのに適切な答弁ですか。長官、どう思いますか。皆さん、ここで聞いている人はわかるとおり、結果において北電の言うなりであるということですよ。漁業権の擁護なんというのは、水産庁は実際に考えているんですか。さっきからの答弁を聞いていてある程度——私はそれ以上突っ込まないけれども、水産庁というのは漁民を守るところではないんですか。漁業権の問題についても、さっきから言ったように、漁業法の第八条三項というはっきりした明文上の規定があり、しかも判例もあるのに、そうでない判例がありますなどと言いながら、こういうごまかしをやって、一体いいんですか。しかも、この漁業法の改正の八条三項というのは、昭和三十七年にわざわざ漁民を守るために入れた条項なんですよ。それをことさら使わないようにして、水産庁はそれでいい、適法だというようにお考えになりますか、一体どうなんですか。私はこれはいささか義憤を感じますよ。——いささかどころではない、こんな適切でない指導をやってはいかぬですよ。長官どうです、お答えください。
  304. 荒勝巖

    荒勝政府委員 同条文の適用につきましては、先ほど次長が申し上げましたように、多少大分地裁と高松地裁の判例に食い違いがございまして、この取り扱いについて、水産庁といたしましても、今後の姿勢の問題といたしまして、十分に指導をいたしてまいりたいと思っておりますが、きょうの御質問に対する答えといたしましては、判例が二つあるので、どういう形でこの問題の解釈を統一していくかということについて、今後私たちとしましては指導してまいりたいと思っております。
  305. 岡田春夫

    岡田(春)委員 最後に三木さんに質問して、終わります。  いいですか、唯一の補償すると言った伊達漁協の場合でも、まだ漁業権は生きているんです。手続が行なわれていない、北海道知事の免許が出されていない。  一方において、この前も話したように、北電の工事をやるといっているその用地の中に私有地があって、係争中なんです。この白楊というところは、近いうちに本訴になることを決意していますよ。しかも、これが用地のすみっこにでもあるなら問題ないかもしれぬが、これが先ほどから問題になっている発電所の取水口、水をとるその部分なんです。用地についてもこれは不確定でしょう。しかも、有珠の漁業協同組合に対しては、被害は及ばないとあの調査報告でいっているんだが、この前私が指摘したとおり、まさに被害は及ぶんです。これは長官にはお話ししていないけれども、温排水の拡散の問題については、平野式理論で計算をした場合でも、温排水の厚さ〇・五と計算するならば、有珠の漁協全体に及ぶんです。——この数字はこの間見せたんです。きょうは時間をとりますからやりません。こういう問題があるんです。  しかも、どうですか、お隣の町の虻田では、この問題について町長のリコールが起こって、いま選挙をやっている。伊達市においても、リコールがいよいよ始められることになった。そしてお隣の壮瞥という町では、この問題で、被害があるというので、農業協同組合の幹部のリコールが行なわれた。足元の長和においては、先ほど言ったように、長和の農民が、被害が及ぶから北電と話し合いたいと言っても、北電は話し合わない。  このいままでの状態を三木さんお考えください。これでたとえば電調審が承認をしたことを名目にして北電がしゃにむに着工するなどということは、絶対に許すべきではない。地元のコンセンサスなんか全然できていない。しかも、北海道知事の先ほどの文書を見ても、本来ならば漁業権の放棄があったときに初めて同意書が出されるべきものである。水産庁長官の言ったように、いままで免許が行なわれていないのはきわめて不適切である。こういう幾つかの瑕疵、不備、いろいろな問題があるのに、伊達火力のこれをしゃにむに着工するというようなことは適当ではない。もう少し状況を見て、これは再検討されるべきです。二十七日から道議会が始まるそうです。その道議会は、先ほど言った北海道知事の免許が行なわれていないということを中心に、同意書を取り消すという意味の道議会になるかもしれないといわれています。同意書が取り消されたような場合においては、当然電調審では再検討しなければならないと思うが、どうですか。またこのような実態に立って、十分地元の住民の理解を得るように対処すべきだと私は思いますが、かりそめにも強行着工などはこれらの問題が解決するまでは行なわれるべきでないと思うが、三木さん、これはどう思いますか。  第一点は、北海道から知事の同意書の取り消しがあった場合に、電調審においてはこれについて承認を再検討するお考えがあるかどうか。第二点は、このような事態にあたって、政治的な観点に立って、三木さんとしては、あくまでもこのようなことについては解決をした上で着工させるように指導すべきだと思うがどうか。これで終わります。
  306. 三木武夫

    ○三木国務大臣 いま私、重視したのは、用地まで取得がまだ済んでないようなんです。その問題をいま通産省にこの場所で問い合わせたら、用地の問題は解決をした……(岡田(春)委員「いつ」と呼ぶ)十八日に解決をしたということです。これは重大な問題ですから。  そこでこの問題は、今日火力発電などは昔のように工場が行くことが地域に対して恩恵を与えるということではないのですから、どこも喜ばないような風潮がやはりあるわけですから、会社とすれば、もうできる限り地元のいろいろな、漁業組合はもちろん農業協同組合とも十分な話し合いをする必要があると思います。(岡田(春)委員「着工以前に」と呼ぶ)着工といいますと、これは一つの認可が出ておるわけですから、ここで私が環境庁長官として着工を待てということを言うことは適当でないと思いますが、いずれにしても、いろいろな話を聞いてみますと、やはり地元の理解を得るためにもつと努力すべきだと思うのです。しかし着工を取りやめろという発言は、私はできない。いままでいろいろ各地に起こっておる摩擦を考えると、もう少し北海道電力は努力をしなければならぬと私は思います。
  307. 岡田春夫

    岡田(春)委員 私の伺ったのにちょっと答弁が漏れている。北海道知事の努力も足りない。さっきの漁業権の免許問題もそうでしょう。これについても長官の見解をひとつ伺っておきます。北電の努力も足りないし、北海道知事の努力というのはきわめて不適当である。
  308. 三木武夫

    ○三木国務大臣 火力発電のほうは通産省がいろいろ現実にやっておるものですから、われわれ環境庁とすれば、排出基準とか環境の汚染という……(岡田(春)委員調整権はある」と呼ぶ)それは調整権は発動しますけれども、まだその段階にはなっていないわけでありますから、そういう実情はわれわれも知っておかなければならぬでしょうが、やはりいろいろな手続は、迅速にやるべきものはやったらいいと思います。こういう点で北海道も、北海道電力ばかりでなしに、北海道庁としても、こういう一つの火力発電所を設置しようとするんですから、やはり地元の理解、協力を得るために地方の自治体もいろいろな努力をする必要がある。北海道庁は火力発電所を設置することが適当と考えておるわけですから、そうするならば、北海道庁もこういう火力発電所の設置が円滑に行なわれるようにあらゆる努力をする責任があるということは、これはもうお説のとおりでございます。
  309. 岡田春夫

    岡田(春)委員 残余は、時間の関係がありますから留保しておきます。
  310. 佐野憲治

  311. 土井たか子

    ○土井委員 私は、四月十七日の前回のこの特別委員会での質問に引き続きまして、環境保全公害予防対策、安全対策という観点から、新東京国際空港整備関連事業、特に石油パイプライン事業について質問をさらに続行したいと思います。きょうは、前回御出席を要望いたしておりました佐藤運輸政務次官もこの席に御出席のようでありますから、運輸省の立場からもしかとしたお答えが聞けると思います。  そういう意味で、最初に基本的なことからお尋ねしたいと思いますが、予定どおり進められますと、石油パイプラインの本格ラインは四十四キロ、この本格ラインについてはパイプライン事業法の適用があるはずであります。ところで、いまいわゆる暫定ラインといわれている七・二キロについて、このパイプライン事業法の適用があるのかないのか。これは運輸省の御見解と同時に、このパイプライン事業法に従って考えますと、その関係省としては自治省からも意見を聞かなければいけませんから、ひとつ運輸省と自治省からまずこれについてのお答えを聞かせていただきたいと思います。
  312. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 適用ございません。
  313. 永瀬章

    ○永瀬説明員 七・二キロの長さでございますので、事業法の対象外になっております。したがいまして消防法の適用ということに相なります。
  314. 土井たか子

    ○土井委員 ところが、いわゆる暫定ラインの中身を見ますと、おっしゃるとおり七・二キロではありますが、四・四キロは本格ラインの一部なんですよ。正真正銘の暫定ラインといわなければならない個所はわずか二・八キロであります。この問題については、四…四キロは本格ラインの一部と見なければならない。これをいま暫定ラインという中に組み入れて問題にしているわけでありますから、この辺は両またかけているというかっこうになるわけでありますが、この辺の理解はどのようになすっているのか、ひとつはっきりさせていただきたいと思います。
  315. 隅健三

    ○隅説明員 先生の、四・四キロは本格パイプラインに組み込まれている、二・七キロの分が暫定だという御質問でございます。前回もお答えいたしましたとおり、四・四キロは本格パイプラインといたしまして、公団が当時建設をいたしますときに関係官庁と御協議をいたしまして、その基準を、公団自体の基準に基づきまして敷設いたしました本格パイプラインでございます。
  316. 土井たか子

    ○土井委員 ならば、本格ラインについては、この四・四キロを組み入れて四十四キロになるわけでしょう。したがって、これは事業法の対象外ではないはずなんですね。この部分については事業法の適用の対象になるはずですよ。  そうしてさらに——時間の節約で追い打ちをかけるように先に申し上げましょう。事業法の適用になるのなら、いまの石油パイプライン事業法十五条です。十五条からすると、その十五条の三項二号で「その事業用施設が主務省令で定める技術上の基準に適合するものであること。」という要件がある。現にこの技術上の基準というものがあるのかないのか、いかがです。
  317. 隅健三

    ○隅説明員 この「主務省令で定める技術上の基準に適合する」との基準は、ただいま関係省庁でいろいろ協議をいたしておりまして、現在においてはその告示はなされておりません。
  318. 土井たか子

    ○土井委員 ということであるならば、法を犯していまも本格ラインの一部に対しては着工してやっちゃったということなんですか。どうなんです。
  319. 隅健三

    ○隅説明員 現在敷設を終わっております。パイプラインにつきましては、パイプライン事業法が審議をされておりましたときに敷設をいたしまして、この点基準がないではないかというお話でございます。われわれといたしましては、将来できる基準に照らしまして、十分その基準に合うように、もし万一これがはずれておりましたら補完をさせることに公団に指示をいたすつもりでございます。
  320. 土井たか子

    ○土井委員 一体その基準というのはいつごろおつくりになる予定なんですか。そうして基準に合わなかった場合には、この前、四月十七日の日にも同じ質問をしたときの御答弁では、基準に合わない部分はもう一度ひっくり返してやり直すというふうな趣旨の御答弁でありました。そうしますと、基準に合わない場合は、その間空港の機能は停止すると考えなければならない、それも覚悟の上で臨まれたわけでありますね。その辺はっきりさせてください。
  321. 隅健三

    ○隅説明員 この基準に対しましては、われわれといたしましては十分これを守るつもりでございますし、できるだけいろいろの技術を使いまして、パイプラインを安全に運営しつつその工事を補完する方法が技術的に開発されるというふうに考えておりますので、空港の機能につきましてはそれをそこなうことなく補完ができるのではないかというふうに考えております。
  322. 土井たか子

    ○土井委員 計画をつくり、設計をし、着工をし、事業がなってしまってから、こういう技術に対しての基準なりあるいは安全基準が考えられるという順序なんですか。こんなことば逆だと思うのですよ。さか立ちをして事が進んでいっているというありさまであります。先にやらなければならないことは全然やらないでおいて、とにかく先に手をつけてやっちゃえばいいというかっこうがありありと見えているといわれたってしかたがない。  こういうことについて、消防庁にきょうは御出席願っていますからお伺いしますけれども、安全性の確認をしながらいまおっしゃった——消防庁は安全性の確認、安全性の確保ということについてはたいへん責任が重かろうと思います。一体現実に消防庁は工事現場について逐一具体的に点検をなすっているかどうか、ひとつお伺いいたします。
  323. 永瀬章

    ○永瀬説明員 暫定パイプラインにつきましては、お話を承っている段階でございまして、これの中身について現在検討を続けております。したがいまして、いままで現に埋設されましたものについて一々こまかい安全検査ということを行なうまでには至っておりません。
  324. 土井たか子

    ○土井委員 これはずさんもこの上ないと思うのですね。技術に対しての基準はこれから考える、現にもう着工されている工事の中身についても消防庁は十分な点検をまだしていない、一体これはどうなるんですか。この前のこの委員会でも基準については一体いつごろ出るかと言うと、もう一度実際的な実験を今月末から来月初めにやって、その結果、専門家の意見も問いただして、そうして告示については考えていくということを述べられたわけでありますが、それからしますと、いま考えられております、いろいろルートについてもあろうかと思いますけれども、その三ルート、いずれにきまるといたしましても、告示がなければ事実上申請された認可というものを認めることができないわけでありますから、一体その告示についていつごろ出されるのであるかということをもう一度この節はっきり伺っておきたいのであります。いかがでありますか。
  325. 根岸正男

    ○根岸説明員 お答え申し上げます。  先日、先生の御質問でお答え申し上げましたとおり、この四月の下旬から五月の初旬にかけましてもう一度いろいろな防護施設をつけました実験をいたすわけでございますが、その結果の御評価を先生方がしていただくわけでございますから、私どものほうとしてはいつ御評価が済むかということはまだ明快に申し上げられませんので、できるだけ早く告示案をつくりたいというふうに考えておる次第でございます。
  326. 土井たか子

    ○土井委員 まず基本的には、告示案が出るまでは、一切のこういう計画に従って現に進行中の問題は停止すべきだと私は思いますね。まず実験をやって安全性を確かめて、技術的な基準を設けて、告示として出すという作業がなければ、こういういろいろな計画について手続を進めるというのは私は間違っていると思います。まず告示を先にするということについてはどのように考えていらっしゃいますか。それは順序としては当然なことだと思うのです。いかがです。
  327. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 御議論としてはまさにそのとおり、告示があり、その基準がはっきりしてから手をつけるというのが当然であろうかと存じます。ただ、たいへん恐縮でございますけれども、ここで成田空港をどうしても早く開かなければならないというふうな事情がございますことは先生も御賢察いただけるかと存ずるわけでございます。ただその場合に、告示ができてからやるのは当然でございますが、その場合に、かりに手をつけるといたしましても、その告示というものも、いままでもいろいろ話し合っておりますから、そういうものを考え、前広と申しますか、アローアンスをとりまして、かりに取りつけるなら取りつける、もしかりに告示ができた上で、それとそごする部分があればそれを直していくというような方法によりまして、一刻も一早く開港したいというのが私どもの希望でございます。先生のおっしゃいます御趣旨もよくわかりますが、一刻も早く開港したいということでそのような方針にいたしております。
  328. 土井たか子

    ○土井委員 これは環境庁長官もこの席にいらっしゃいますから、基本的な問題として聞かせていただきたいのですけれども、住民の生活から考えまして、安全性が確かめられないままに事業について早期完了するということと安全性と一体いずれが大事と考えるでしょうか。いまの問題については、できる限り早く空港というものは機能を開始させなければならないんだ、一日でも早く、一日でも早くの一点ばりであります。万事、計画なり工事なりがそれに向かって邁進している感があるわけであります。一体何のためにこの石油パイプライン事業法でこういう技術に対しての基準を設けることが必要だときめられているのか、そうして告示についても、慎重にいろいろ実験をやった結果、これでだいじょうぶだということで告示を出す必要がどこにあるのか。これはやはり安全性の確認だと私は思うのです。いまの御発言承っておりますと、事業の早期完了ということに対してたいへん熱心でありますけれども、しかし安全性の確認ということに対しては何だか御認識が薄いように思われてならない。一体環境庁長官、この問題については基本的に長官としてどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  329. 三木武夫

    ○三木国務大臣 パイプラインの完成がおくれてもいいということは言えぬと思いますが、しかし土井委員の言われるように安全性というものが前提になるわけですから、もしこれが将来基準ができてそういう基準に沿わないというような場合には、直ちにその設計を変更して、やはり確保しなければならぬのは安全性である。しかし工事を促進をするというそのこともわかります。空港の開設を急ぎたいということでありますから、そういうことでいま基準の前にこういうのを進めておく必要がある、こういう事情もあるでしょうが、しかしそれは安全性を犠牲にするものであってはいけない。だから基準ができた場合に、それに対して安全性が確認できないときには、直ちに設計を変更して安全性に重点を置いて考えるということが妥当だと思います。
  330. 土井たか子

    ○土井委員 安全性は設計図や計画書によって担保され得ないんです。現場においてどういう工事をやっているかということこそ非常に大事な問題なんです。それについては長官もお認めなさるだろうと思います。そういう点からいいまして、いまのままで計画、工事がどういうふうになるかということについて一、二例を申し上げましょう。  先ほど消防庁は工事現場を逐一具体的に点検なさっているかどうかというと、はなはだ心もとない御返答でありました。当然ながらこのことについては御承知なかろうと思いますが、前回私は石油パイプライン技術基準検討専門委員会の名簿を要求して、手元にいただいているのです。これから見ますと、施設に対して、部会長の名前は渡辺隆東京工業大学教授になっております。この渡辺教授が報告書の中で、稲毛海岸の埋め立てについてはバイブロフローテーション振動踏み固め方式でなければならないとちゃんと指示なさっている。にもかかわらず公団側はやってないんですよ。現にやっていない。稲毛海岸の埋め立てにこれを実行してないんですね。こういう指示に従ってこうやらないと安全じゃありませんよ、これは必要最小限度大事な問題なんですよということを指示を受けて、その中身に従って工事が展開されるということが基本であってこの専門委員会というのは設けられているはずでありますが、そうなっていないのです。これが一つ。  同じくこの検討専門委員会の名簿を見ますと、材料構造部会長奥村敏恵東京大学教授、この奥村教授が、いろいろと意見を出すけれども、大事なのは現場におけるところの安全性の管理だ、安全性に対しての管理監督だというようなことを指示なさっているのです。新聞にも出ましたからこれは御承知だと思いますが、二月七日午後四時三十分、工事現場において工事に従事していた一人が生き埋めになってとうとう死んじゃうという事故が起こりました。現場における安全性の管理監督というのはどういうことになっているかということがこれによって問われると思う。ですからいろいろと安全性について計画書があり青写真がある、それで安全性が確認されていると考えたら、これは間違いだと私は思います。消防庁が現場に立ち会ってこういうことを一々監督なさっているか、管理なさっているか、それは先ほど問い合わせてみるとそうでもない。ただしかしこれは申し上げておきますけれども、パイプライン事業法の四十一条四項の個所をちゃんとごらんください。そこに書いてあるのは、「新東京国際空港公団が行なう石油パイプライン事業にあっては、その事業用施設についての工事の計画及び検査並びに保安に関する事項については運輸大臣及び自治大臣、その他の事項については運輸大臣とする。」とちゃんときめられているのですよ。これまたこの中身が十分守られていないことでしょう。一体これどうなるのですか。そういう点からいたしましても、告示が出る以前に工事を、いろいろルートについても選定をして、住民に対する説明もやって、土地の取得もやって設計をして、着工して、そしてあと続々とその問題についても詰めていくというふうなことは私は好ましくないと思いますよ。どうなんです。やはりこの節告示について、出てからあとこの事業法で定められているとおり、事業法というのは現に施行されているのですね、事業法に従ってやるというのが順序じゃありませんか。禍根を後々に残すというふうなことは私好ましくないと思います。この成田空港の石油パイプライン事業については、成田空港だけじゃありません、これから全国でおそらくは石油パイプラインについて事業計画がなされる場合の前例としてみんな見ていますよ。これいかがなんです。
  331. 佐藤文生

    ○佐藤(文)政府委員 先生が先般より石油パイプラインについて、特にその安全性の問題について御研究なさっていろいろと御質問されました。私きょう出席さしていただきまして、簡単に私の考えを申し上げたいと思います。  それは、四十一年に新空港の建設にかかりまして四十六年に完成目標ということでやりました。そして、本格パイプラインを御承知のとおりに千葉の海岸から成田の空港までやろう、こういうことで計画は立てられましたが、御承知のとおり、言うまでもなくその当時は燃料の輸送というのは大阪の空港でも福岡の空港でも、現在でもタンクローリーでやっておるわけです。しかし、そういう時代はもう過ぎて、もうアメリカでは百年ほど前から、あるいは欧州あたりでも三十年ほど前からいわゆる流通産業といわれるように、石油輸送はパイプラインによって、交通の緩和あるいは安全性の面で高く評価されたので、日本としてはそういう諸外国から非常におくれているということでこれに取り組んだのは、先生も御認識いただけると思います。そこで、この石油パイプラインによって石油を輸送して航空事業をやろうというこの問題については日本は後発的な国である、非常におくれているのだ、こういう現実を踏まえて昨年のパイプライン事業法が成立いたしました。そして、十二月の下旬にその基準ができて、近い将来告示をしてやっていく。したがって、この告示後にパイプライン事業をやるというのは、これは正論であります。しかし、成田空港の現在までの過程をずっと見まして、この関東地区におけるところの交通の緩和、その安全性、あるいは陸上機関におけるところの輸送に比較してパイプラインのほうが経済性であるといったような面もひとつ克服するために、パイプライン事業というのをどんどん振興しようということで現在やっているわけです。  そこで、暫定パイプラインでも本格パイプラインでも、諸外国のいろいろなデータを集めまして、その諸外国のいろいろなデータよりもきびしい水準でやるべきだ、こういうことで、先般国会で事業法が論議されたときに先生方からいろいろな要求事項が出されまして、付帯事業として、地震のある場合はどうするのだ、あるいは技術基準、保安基準を早くつくりなさい、あるいは人家など密集地域においては十分に対策をやりなさい、あるいは鉄道の敷地内でやる場合においては、さらに安全対策を考えなさい、それから地域住民の意思を十分に尊重しなさい、こういうような国会の論議が集中されました。したがって、私が政務次官になりましてから、大臣から成田空港問題に取り組めと私は御指示をいただきまして、一番先に取り組んだのがこのパイプラインであります。したがって私は、現地四十四キロにわたって全部見て回りました。そしてこれは一体どこの基準なんだ、アメリカよりもイギリスよりも欧州よりもきびしい水準でやっているんだ、こういうような点を一つ一つチェックしまして、そうして現在本格パイプラインが七〇%できていますけれども千葉市内のルートが決定しない、住民の賛成が得られないということで、中断になりました。そこで一応暫定的に輸送する機関をつくらなければ開港までに間に合わないということで、鹿島の臨海工業地帯、それから千葉の港から運ぶことによって、貨車輸送で運んで成田市内は暫定のパイプラインでやろうという、その点で地域住民の意思をもう十分に尊重しなければ、このパイプライン事業というものはやるべきでないという基本的な観念に立ちまして、たとえ完成してもパイプラインというものは、地域住民の協力なくしてこの安全は保たれないのであります。これはアメリカの例を見ましても、あるいは欧州の例を見ましても、特にロサンゼルスあたりの地震後におけるパイプラインの影響、それを見たときに、地域住民のいち早い通報、そういったことによって最小限に被害を食いとめているという諸外国の例を見ても、地域住民の協力なくしてはこの事業はできないということで、空港内は三月末全部できたんです。ですけれども、パイプラインだけは私は空港公団にも言いました、一人一人の住民のほんとうに納得する協力体制ができなければ強行すべきでないということで、昨日も成田の寺台地区の方々と三時間にわたって話し合いをしましたが平行線であります。私はそれでいいと思うのです。そういう皆さんの意思が、よし、うちの部落に通しても安全である、その基準通産省、運輸省、消防庁、自治省、しかも諸外国のいろいろな例よりもきびしい基準でありますと、万一のことがあったときにはこのくらいの損害で諸外国は食いとめている、そういうことのないように、さらに告示前には各省で詰めます、しかも野党の方々からの御要求によりまして、先般はあのパイプラインの中に燃料を通しまして、そうしてタンクローリー一台分の油を小さな穴から外に出してマッチで火をつけて、そしてどのような影響があるかということもやはり念には念を入れて、そういうこともやって告示すべきである。したがって、いろいろな現在やっているパイプライン事業、いままでやってきたものは国際的に見ても先般の国会の論議で十分先生方が言われたことを加味し、各省において十分に検討し基準に沿うような方法でやっておるのですよ。したがって、告示後にもしもそれに反することが出たならば、空港がとまっても私はそれを補修するのは当然であります。そういうような考え方でいまから暫定パイプラインに取り組もう、そして一日も早く成田空港の開港をやることが、国際的にも国内的にも私は国益に合致したやり方であろう、こう考えて指導している次第であります。先生のいろいろな御意見に対しましては、十分に私はここで勉強させていただき、私自身も勉強しました。したがって貴重な御意見をいただきながら、私は今後指導していきたいと思いますが、告示後にやりなさい、こういうのはまさにそのとおりでございますが、一日も早く開港したいということで基準に合致したやり方で、われわれはそれ以上にきびしい態度でパイプライン工事を進めよう、こう考えている次第であります。
  332. 土井たか子

    ○土井委員 問題は大きく二点、それじゃお伺いしたいと思います。それだけ諸外国に比べて、安全性からいって高い基準を現に実行なさっている、だのになぜ告示が出せないのです。他省との話し合いが難航しているとおっしゃるかもしれぬが、ならばどういうようなところがどのように難航しているのですか、それを一つはお知らせいただきたいと思います。住民の同意なくして事を運べない、おっしゃるとおりであります。ただ住民側からすると、そこに生活している人ですから、よそで生活している人とこの問題に対する認識、意識が違いますよね。そういう点から考えていって、住民と約束したことはきっぱり守っていただかなければならぬのです。何といったって、これはABCだと思うんですね。公団側はいままで住民とお約束なすったことを、逐一誠実に正直に守ってこられましたでしょうか。先ほど私は稲毛海津の例の工法のバイブロ踏み固め方式の問題をあげましたけれども、これなどについては実行なすってないのですよ。住民からすると、これは不信のもとであります。幾ら口をきわめてうまく説明なすったって、信用できないといってあたりまえだと思います、現に約束したことを実行なすっていなければ。  それから、この二点をまずはっきりさせておきたいと思いますが、あともう一点それに付随して、告示までには実験をさらになさるようでありますが、先般、いま政務次官がおっしゃったとおり、三月の二十三日、千葉の川鉄の千葉製鉄所構内で実験が行なわれました。四省立ち会いのもとであります。四省立ち会いでありますが、私は実験というのは非常に大事だと思っているのですよ。実験のやり方というのは、実験のために特設されたような条件じゃなく、日ごろそういう条件で、ここにパイプラインが敷設されて油が通るのであるという条件のもとにいろいろと実験をやってもらわなければ困ります。それからしますと、かなり私は実験については、いろいろな点でふだんと変わらないという配慮を重ねながら各省が責任を持って実験結果が生かせるような基礎がなければ困る。これについては予算を計上なすっていますか。特に実験について。聞くところによると、これは予算、ないようですよ。それでもって、はっきり責任の持てる告示というふうなものがつくれることになっているのかどうか。これも私は考えてみると、あやふやなものだと思うのですね。いかがです、この点。
  333. 根岸正男

    ○根岸説明員 お答え申し上げます。  先生から告示案について難航しておくれておるという御指摘がございましたけれども、先ほどから、先日もお答え申し上げましたとおり、実験を実施するということにおいておくれているということでございまして、内容的に難航しておるというふうには私は思っておりません。  それから、先ほど、そういうものを実験する上において予算はどうなっておるかという御指摘でございますが、これは約二億一千万の予算がパイプラインの安全性について計上されておりまして、これは当省にございます。それで委託して実験したということになっております。
  334. 土井たか子

    ○土井委員 肝心の住民からする問題はいかがですか。
  335. 福岡博次

    ○福岡参考人 福岡でございます。  先ほど御質問がございました稲毛海岸の問題でございますが、ちょっと専門的な話になりますが、あそこの砂質、砂の粒度でございます、それと砂の深さの問題、そういうことから、バイブロフローテーションでやるのは適当じゃないという判定のもとに、それよりより高度なサンドコンパクションという工法で私ども実施をしておるわけでございます。その辺の十分な説明をしない点が非常に申しわけなかったと思います。  それからもう一つお話がございました現場の管理の問題でございますが、私どもなりに十分経験のある業者を選びまして、それで十分な打ち合わせのもとに、現在でも毎週打ち合わせをやっておりますが、現場にもパイプラインの建設実施本部というのを設けまして実施しております。努力はしているつもりでございますが、先ほどお話しのような事故がございましたことは、たいへん遺憾に存じておる次第でございます。今後も一そう私ども姿勢を正して、施行管理につきましては、厳正な態度で臨みたいと考えておる次第でございます。
  336. 土井たか子

    ○土井委員 住民に対して十分な説明をしなかったことが間違いのもとであるような御説明をいまなすったわけですが、十分な説明じゃなくて、説明と違った工法になったのじゃないですか。そうでしょう。それは的確に言っていただかぬと困るのですよ。説明と違った工法をなすったというところがこれはたいへんな問題だと思うのです。十分な説明をなさらなかったということじゃないですよ。説明で住民側がそうなるのかと納得しているのと違う工法になってしまった。これは事実と反したことをおやりになったんじゃないですか。約束と違って事をやってしまったということじゃないですか。こういうことは公団事業としてやはり困りますよ。責任ある仕事をやっていただくということからすればこれは困ると思うのです。ひとつ約束は約束として守っていただかなければ困りますから、この問題はきっぱりと申し上げておきますが、こういうことがあればあるほど——次官いかがですか、やはりこれははっきり各省の間できちんとした告示をまず問題にしていただいて、それに従って事業を進めるということのほうがこの節考えられてしかるべき問題だと思いますよ、それは。単に理屈の上からいうとそのとおりだとか、それは表向き、筋からいえばそのとおりだけれども、だけれども、それからがいかぬのですよ。やはりそれははっきりきめられたらきめられたとおりやってもらわないと、何のための法律かということになります。国会軽視もはなはだしいといわれたって、これはおそらく答えようがおありにならないだろう。一体何のために先ほど来次官がるる説明をされたような、パイプライン事業法についてあれだけ努力してこの法律をつくったかということにもなるわけですからね。この節どうです、告示をまずつくってそれからやるというふうに答えてください。
  337. 佐藤文生

    ○佐藤(文)政府委員 現在の私が各省に当たりました過程を簡単に申し上げますと、大体技術的にはほとんど詰まっております。そして最後、先生が言われたような実験を先般やりまして、あるいはまた御要求があれば御納得のいくような実験をやるべきだ、私はこう考えております。しかし大体技術的に詰まりまして、たとえばいまの案では二十三カ所のブロック弁をつけておること、その計画どおりは進めておりますが、これは諸外国に比べまして非常に厳密なやり方でやっておると判断しております。しかし、ブロック弁の数が多ければ多いほど安全であるかどうかということになると、これは地震との関係もありまして、地震というものを相当日本としては考えなくちゃならぬ。そうすると柔軟なパイプラインというのが地震には非常に強力な抵抗力を持っておるということを私は技術者からも聞いておりますので、そういうことも各省とも大体これでよかろう。あるいはそれから起こるところの、急にブロックを締めるということにおいて圧力が非常に変動します。そういった場合にサージ現象というのが起きて、その水撃、パイプラインの中でもって一つの水撃作用というのが起こって、それがパイプを破裂させるというようなところもやはり技術的にようやく詰まって、そういうことも耐え得る材質である。国際的に見て、日本のつくっている。パイプラインというのは耐え得る材質である。したがって西ドイツ、アメリカ、日本、こういったような国でつくったパイプラインの材質というものはすでに高く評価されておるという、そういう面も確認ができ、さらにこのパイプラインの安全問題について住民対策を十分にやれという国会の意思もありましたので、一軒一軒と申しますか、一部落ごとの了解を求めて、そしてその安全保安対策についての住民の意思を生かしながらやっていくというような政治的な面と技術的な面がほとんど詰まってきておるという現実、こういう面で、暫定パイプラインも千葉市の占有許可の御許可がおりればやはり一日も早く着工していきたい、こういうようなことで現在進んでいるわけであります。したがって、技術面においてもほとんど各省とも詰まってきた、こういう段階で、それにいままでの本格パイプラインは合わないだろうか。一々点検してみればほとんどそれに合っておる。今後の暫定パイプラインも大体そのような基準でやっていこう、こういうぐあいに考えておりましたら、あれは吉倉だったですか、そこの部落の方が、それでも鉄板を内側に張ってさらに安全確保してくれ、こういう地元の要求があればそれものむ。そうして完全に地元民の御了解と技術的の確信を持って暫定パイプラインにかかっていきたいということの考え方は、実は先生と御意見が違いまして、残念ながら先生のとおりでございますとは言えないわけでございます。したがって、一日も早く告示ができるように、各省とも私は責任をもって連絡をとります。しかしその告示も、まだまだ、一〇〇%といったってまだ詰める面があれば、私は十分に詰めて、国際的にもあるいは今後のパイプライン事業にも影響がありますので、その告示の段階までじっくりと攻めていくほうがむしろ私はいいんじゃないか、こういうぐあいに考えておるわけであります。
  338. 土井たか子

    ○土井委員 じっくりと詰めていくことが必要だとおっしゃる。だけど事情はだんだん煮え詰まってきている段階だとおっしゃる。ひとつこういう具体的な問題については、現に石油パイプライン技術基準検討専門委員会というのがあるわけでありますから、この意見も実は実験の結果いろいろと出していただいて参考にしながらおそらくは事柄を進められると思うのであります。先ほど私は奥村敏恵教授の名前を出しました。また渡辺隆教授の名前も出しました。特に奥村敏恵教授については、この三月に公団側は何の断わりもなしにこの奥村教授の資料を市議会に配付をしたということなんかが問題になりまして、奥村教授自身は、私は安全性確認について責任を負えないというような発言もなすっているわけであります。現にここに四月二日付、奥村教授御自身が表明なさっている意見を私は持ってきている。こういうふうな問題もございますから、ひとつこういう専門的な奥村教授あるいは渡辺隆教授から、じきじきにここの席で参考人意見としてお聞かせいただく。あるいは住民の方々からの代表の声もひとっここの席でお聞かせいただく、そういう参考人をこの委員会にひとつおいでをいただいて、参考人意見として聞かしていただくという機会をぜひ委員長にお願いしたいと思うわけでありますが、ひとつこれの御配慮をお願いします。
  339. 佐野憲治

    佐野委員長 ただいま土井たか子君からの申し入れの件につきまして、後刻理事会において取り計らいたいと思います。
  340. 土井たか子

    ○土井委員 さてその問題については、告示に先立ってぜひこの参考人の意見をただしてみたいと思うわけでありますが、最近御承知のとおりに公団と成田市と山ノ作区長との間に覚書が取りかわされております。三月の七日であります。この覚書の中身を見ますと、暫定期間を五十年の三月といたしております。五十年の三月とするのは、一体どのようにして算定をなすったのかを聞きたいのであります。というのは、覚書の中身からしますと、いま問題になっております三ルート、水道道路ですね、束関東検見川線ですね、もう一つはいま問題の花見川線、この三ルート。いずれにきまろうといたしましても、それぞれの工事完了期間の算定はどのように考えられているかという問題がひとつございましょう。  それから、こまかく言いますと、大体先ほどから大事だ大事だとおっしゃる住民に対して説明をなさること、さらに土地取得をなさること、地方自治体の同意を得ること、これ一段階であります。二番目には、工事についてまず設計が必要であること、関係機関の打ち合わせがなければならないこと。工事期間というものがそれに従ってあらまし予定されなければならないということ。二段がまえであります。三番目にやっとこれは検査をして試運転を開始するということでありますから、全部を総合して、やっぱりこの暫定の期間五十年の三月と読まれたことに対して、中身がはっきりしておらなければ無責任覚書だといわれてもしようがないと思うのですよ。覚書というのは公文書ですから、一応この五十年三月という期間を設定なさるについては、こういうことに対しての腹案があろうと思うのです。ひとつここで私は、それぞれのルートについてこういうふうに考えておりますという腹案を、資料として御提出賜わることを要求したいと思います。いかがですか。
  341. 岩田勝雄

    ○岩田参考人 ただいま先生の御質問にございました山ノ作区長と公団総裁との覚書の件について御説明申し上げますと、この覚書につきましては、ただいま先生のお話しのとおり運用予定期限として昭和五十年三月三十一日と記載されておりますが、ただし書きとしまして、やむを得ない事情により期限が延びる場合には、本格パイプラインの運用が開始されない場合は、その運用が開始されるまで期限を延長することを定めております。それで、この五十年の三月三十一日ときめましたのは、御承知のように土屋におきます中継基地の借り入れ契約が同じように昭和五十年三月となっておりまして、これは借地料の更改その他のために、一応五十年三月としたもので、引き続き使用期限を延長するような場合には、借地料をさらに協議するというようなことがございますので、山ノ作につきましても、土屋の場合と同じような考え方できめたわけでございます。  それで先ほど先生からも御質問がありました本格パイプラインの完成につきましては、現在私ども、種々のルートにつきまして関係各省庁とも協議しておりますが、現時点で明確に、いつできますということばお答えできませんけれども、政府及び空港公団としましては三年間で完成すべく全力をあげたい所存でございます。
  342. 土井たか子

    ○土井委員 借地期間ももちろん一つのめどになるかもしれませんが、問題は、一番大事なのはそうじゃないでしょう、この節お考えになる場合。いかがなんです。私はどうも今度のパイプライン事業について考えれば考えるほど、順序が狂っているとしか思えぬですよ。一体いま何を一番大事に考えてこの事業に取りかかっていらっしゃるか。何としても一日も早く、どんな危険性も覚悟の上で空港から飛行機を飛ばすことが先だとお考えになっているのか、それともできる限り安全性の確保というところに力を入れて、そして住民の方々も納得して、それならば私たちも協力しましょうというふうに持っていくことが先だとお考えになっているのか。いずれなんです。いまの問題だって、私が、この住民についてこれくらいは必要だろう、工事についてこういうことが必要だろう、検査をして試運転するまでにこれくらいの経過というものは最小限度考えられなければならない、だから期間についてはそういう意味を込めての算定があってしかるべきだと言っているのは、これは基本的にどうも公団がお考えになっているのとは立場が違うようであります、いまのお答えからすれば。少なくとも私は、五十年の三月というのをお出しになった背後には、こういうことについてのきちんとした読みがあった、だから出たんだろうというふうに考えていた。ところが一向こういうことについての片りんだにも見えた御返答じゃないわけですから、がっくりするわけであります。いかがです。やっぱりこういうことについては、一応公団もこれは覚書の当事者でありますから、この節この三ルートについてこういうふうに考えておりますということぐらいは、五十年の三月に対して出していただく必要はありますよ。いかがです。
  343. 佐藤文生

    ○佐藤(文)政府委員 本格パイプラインが行き詰まっちゃって、そうして暫定パイプラインに移ったというところに錯誤が実はあったわけであります。これは私、新東京国際空港の建設の過程を見まして、本格パイプラインが順調にいくであろうという考え方からかかったのが、千葉市内におけるところの御承知の四・四キロの部分だけが、現在政治的に話し合いがつかない。そうして住民の御意思の同意が得られないというところに、昨年の三月以降本格パイプラインの工事が中止しているわけであります。そこで、水道道路は、千葉市長と公団との話し合い、千葉県知事の立ち会いのもとに、水道道路に一応本格パイプラインを通して、将来東関東自動車道路ができた際はそれに移設をする、こういうのが現在残っておるわけであります。ところが、現在千葉市内の住民の方々の御同意を得られませんので、先般私は、新聞でも先生御承知のとおりに他のルートはないだろうか、第三ルートはないだろうかということでいろいろと検討しまして、そうしていわゆる住民の密集地帯を通らないように、しかもなるべく近い距離ということで花見川、それから京葉ルートというのがどうであろうかということで、現在技術的にそれを詰めている段階であります。したがって本格パイプラインはどうしてもこの二、三年以内に完成していきたい、その間暫定パイプラインを完成さして開港時に間に合わしていきたいというのが大まかの現在の状態であります。そこで、再度いろいろそういう問題について先生に御説明に来いといわれればいつでも参ります。現在はそういう段階で、本格パイプラインは大体二、三年以内に完成をして、そうしてその間は暫定パイプラインで開港というものに間に合わしていきたい、こういうことで現在作業を進めておるというのが現実の姿であります。
  344. 土井たか子

    ○土井委員 私に対する説明もけっこうですが、何より肝心なのは住民の方々に対する説明ですよ。  そこで申し上げたい。先ほど借地期間ということをおっしゃいましたが、何でもいいでしょう。五十年の三月三十一日というのが一応の暫定期間というふうにきめられているのなら、その中でやはり努力をして住民の方々に対しても説明をしなければならないということは当然出てくるわけですね。暫定期間の中に完成をすべく努力をして住民の方々にも説明をなさる。  そこで私は公団いじめをやるわけじゃありませんけれども、一つその住民の方々に対する説明の資料について申し上げたいと思うのですよ。住民の方々には口頭で説明なさる場合もあると思いますが、より広く、より的確に住民の方々は文書によって知ろうとなさるということはまずあらかじめ念頭に置いておいていただきたいと思いますね。  それからお伺いいたします。燃料についてです。航空燃料にはジェットAとジェットBとございましょう。ジェットAというのは灯油ですわね。ジェットBというのは揮発油と灯油ですわね。ジェットAとジェットBというのは引火点が違うというのは常識ですね。したがって、それから考えてジェットAとジェットBを比較するとジェットBのほうが燃えやすいというのは常識ですわね。いまここに持ってまいりましたのは新東京国際空港公団から出ております資料であります。この中を見てみましょう。このジェット燃料について、「現在ジェットA1、ジェットBの二種が使用されていますが、ジェットA1はケロシン系一〇〇%の燃料で、ジェットBはガソリンとケロシンの混合で広沸点範囲型の燃料で、いずれもガソリンに比して燃えにくい」と書いておりますね。こういうのはやはり的確に書いてもらわなければ困りますが、それと同時に、住民の方はこういう文書によって知る場合が非常に限られるでしょう。これも空港公団からまかれているところのビラです。これに従って知られる場合がむしろ大ですね。これにはどう書いてあるかといいますと、ずっと以前がありまして、「これらの燃料とジェット機の燃料を比べても、ジェット燃料は家庭で暖房用に使う灯油と同じように揮発性が低く、ガソリンやガスと違って簡単に引火しません。」と書いあって、それで終わりなんですよ。これで説明は足りているとお考えですか。予定どおりに進みますといまのパイプラインの中にはジェットAもジェットBも流れるのです。そうでしょう。ですからそれからすると、付近のそこへお住まいの住民の方には、こういう資料についてはそれらについてもうちょっと事実を事実として的確に認識させるという心がけがなければ困ります。そういう意味からすると、私はこの資料というのは不適正だと思います。まず第一に不適正だと思います。  さらに申しましょう。ここに私が持ってきたのは、この三月に市議会に配られた資料であります。これによりますと、まず一ページ目には暫定パイプラインについて「送油油種ジェットA1」とだけ書かれています。ジェットBはここには出てこないのです。だからジェットAだけかと思っていた。ところが別添資料というのが別にありまして、これとこれとでワンセットであります。この中身を見てみますと、土屋地区に四つの屋外タンク貯蔵所ができるようでございます。中にはジェットAが三つ、ジェットBが一つなんですけれども、ここにジェットBがあるのです。そこでお伺いしたいのですが、パイプラインについてはジェットAだけを通すところのパイプラインしかないのですね。このジェットBについてはどのようにして輸送なさるのですか。
  345. 岩田勝雄

    ○岩田参考人 ただいま先生から御指摘ございました公団で配布しました燃料の説明等につきましては、十分でなかったというようなことは私ども指摘いたされますと感じております。今後につきましてはもう少し適正な表現をしたいと思います。  それからただいまジェットA、ジェットBの暫定輸送についての御質問がございましたけれども、暫定輸送につきましては、私ども暫定輸送の特別な費用をできる限り少なくするという意味から、ジェットA1だけを使用する計画でございまして、土屋におけるタンクにつきまして、もしジェットBの計画のタンクがございましたら、それは最初の計画のタンクでございまして、暫定の輸送につきましてはジェットBは使いません。ジェットA1だけを土屋に運びましてパイプライン一本で空港まで輸送する、こういうことになるわけであります。
  346. 土井たか子

    ○土井委員 この同じ別添資料の中で、空港内にあるところの地下タンク貯蔵所にはジェットBというのが三基あるわけですね。このジェットBはいずれから輸送されてくるのですか。
  347. 岩田勝雄

    ○岩田参考人 現在空港内のタンクは七基ございまして、それは当然私ども当初から、千葉港からパイプライン二本によりましてジェットA1並びにジェットBを輸送する計画で、タンクもそれぞれ四つ、三つつくってございます。現在その三つのジェットB用のタンクは当然ジェットAが使うことができますので、暫定期間中は全部ジェットAでジェットB用のタンクも使うわけでございます。  ただ蛇足かもしれませんけれども申し上げますが、ジェットA用のタンクにはジェットBは使えませんが、ジェットB用のタンクにはジェットAが使えるということなので、ジェットAによりまして七つのタンクを全部ジェットA用として使います。
  348. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、同一のパイプに、あるときにはジェットAを通し、あるときにはジェットBを通すということも考えられるわけですか。
  349. 岩田勝雄

    ○岩田参考人 そういうのではございませんで、暫定輸送の期間中にはパイプラインは一本でございますので、ジェットAだけを使います。それから本格パイプラインができましたときはこれは二本のパイプを埋設いたしますので、そのときにはジェットA、ジェットBを二本両立てで使います。
  350. 土井たか子

    ○土井委員 それでは先ほどここの別添資料の中で出てまいりました土屋地区の屋外タンクのジェットBタンクというのはないと見ていいのですか、どうなんです。
  351. 福岡博次

    ○福岡参考人 土屋地区のタンクには四基ございますが、全部ジェットAでございます。
  352. 土井たか子

    ○土井委員 それではこういう間違った資料を市会に配ってもらっては困りますね。市議会を通じて市民は知るのです。市議会ではこの資料に従って討議するのですよ。公団のこういう間違った資料を市議会に配られるというのは、これはもう大問題だと思う。この三月段階で配られました市議会への資料の処置はどういうふうになさいますか。それからいま私が申し上げた燃料についての説明が不確かであるという、この資料についてもどういう取り扱いを今後なさいますか。これはもう公団の姿勢としては基本的な問題をはしなくもここに出していると私は思うわけでありますが、ひとっこれについてのこれからの対策を聞かしてください。
  353. 岩田勝雄

    ○岩田参考人 ジェットA、ジェットBの説明につきましては、さらに検討しまして的確な表現をしたいと思いますが、先生も御承知かと思いますけれども、ジェットA、ジェットBにつきまして、ジッェトBはガソリンと灯油半々の混合物でございますので、燃焼しやすいというような傾向は確かにあると思いますけれども、爆発するとかなんとかいう問題になりますと、燃料の蒸気圧その他の関係でいろいろ微妙な関係があるものがございますので、航空機に積んだ場合にもジェットAとジェットBとどちらが安全であるかというようなことは、一がいには言えないのじゃないかと考えております。
  354. 土井たか子

    ○土井委員 そんなことを言っているんじゃないんですよ。ただ、こういう資料に従って住民の方方は御存じになるわけですから、専門家でない人にはこの程度いっておいたらよかろうというような気分でこういうものをつくられたら間違いですよということを私は言っているのです。やはりこういうことについては、これでよいか、これでよいかとできる限り的確な表現をしてください。事実を事実として知らせてくださいよ。ものごとはそこのけじめをはっきりさせておかないと間違いのもとになります。ひとつそういう点からこれはぜひ再検討していただきたい。  それから先ほどの市議会に配られた資料については、以後どういう取り扱いをなさいますか。
  355. 岩田勝雄

    ○岩田参考人 市議会に提出しました資料につきましては、さっそく調査いたしまして、間違っておりますれば訂正したいと思います。
  356. 土井たか子

    ○土井委員 こうなってきますと、先ほど私が委員長に、二人の大学教授、学者とそれから地元の住民の方々を参考人としてということを申しましたが、もう一つ、私は、ぜひ公団にもその席には出ていただいて、そして参考人としての意見というものを聞かせてもらわなければならないという気がします。そういう機会をぜひこの委員会で特設していただくように再度要求いたしまして、まだまだ問題が残りますが、あとまた予定の質問委員もいらっしゃるようですから、きょうはこれで打ち切りたいと思います。次回にまたこれを続行いたしますから、ひとつよろしくお願いいたします。
  357. 佐野憲治

    佐野委員長 この際、厚生省浦田環境衛生局長から発言を求められておりますので、これを許します。浦田環境衛生局長
  358. 浦田純一

    浦田政府委員 先ほどの川俣委員の御質問に対します私の答えの中で、倉庫内の米には食品衛生法は適用されませんとの発言がございましたが、これは倉庫内の米を倉庫に入る前の米と訂正いたします。  なお、川俣委員の御了承を得たことをつけ加えさせていただきます。
  359. 佐野憲治

    佐野委員長 次に、中島武敏君。
  360. 中島武敏

    ○中島委員 私はきょうは三つの問題についてお尋ねしたいと思っております。  一つの問題は、水俣のチッソの水銀に汚染されたヘドロの処理の費用の負担の問題です。それからいま一つは、黒部市における日本鉱業三日市製錬所によるカドミウム汚染の問題についてであります。それから三つ目は、茨城県七会村のカドミウム汚染米の問題についてであります。  最初に水俣のヘドロ処理の費用の問題についてお尋ねしたいと思いますが、過日この委員会ヘチッソの島田社長も参考人として出席をされました。そのときに私の質問に対して、このヘドロ処理にあたっては四分の三の費用負担でかんべんしてほしいという発言がありました。熊本県の沢田知事は、これはチッソが負担するべきであるという発言を行ないました。それから環境庁長官は三月二十七日の私の質問に対して、議事録を持っておりますが、「今度の場合はやはり一〇〇%チッソが負担するということが適当だと私も思っております。」ちょっと省略しますが、「それも一〇〇%の負担の場合があり得るわけですから、そういう点で今度の場合はチッソが負担するのはたてまえとしてはこれが正しいと私も思います。」こういうふうに答弁をなさっております。ところが三月三十一日の参議院の予算委員会でありますが、ここで運輸大臣は、この問題に関して次のような答弁を行なっております。「さっき申し上げましたような審議会に諮問をされまして、事業者、つまり原因をなした事業者ですね、その事業者がどのくらいの負担をするかということを先におきめになるわけです。それに基づいて、たとえば七〇%、あるいは八〇%というふうにおきめになりますと、その残余の分を県と国でもって補助をするということになるわけであります。いまその作業が進行中でございまして、私どものほうは四十八年度から予算を用意いたしておりますから、その打ち合わせが出ました場合には予算的措置は十分にやれると思っております。」また、引き続きこうも答弁されております。「県が公害対策審議会の議を経まして、どのくらい事業者が負担するかということをまずおきめになる。それに応じまして国や県が補助をしていくというルールが法律上確立しておるんでありますから、そのルールに従ってわれわれは予算措置を講じておるのでございます。おそらく、ああいう判決も出たことでありますから、事業者自身相当に多額の負担をしなければならないのじゃないかと考えます。」こういうふうに答弁されております。実はきょう運輸大臣の御出席をと思ったのですが、運輸委員会のほうがあって御出席を得られないというので、政務次官においでをいただいたわけであります。  そこで、最初に政務次官お尋ねいたしますが、この参議院の予算委員会における大臣の答弁は、必ずしも一〇〇%負担をチッソが行なうべきであるという見解ではないようにこれは見えるのですけれども、この真意はどういう意味でありましょうか。まず最初にそれをお尋ね申したいと思います。
  361. 佐藤文生

    ○佐藤(文)政府委員 きょう先生の質問があるということで、運輸大臣の意見を私聞いてまいりました。  かねてからの予算編成の最中でございます。運輸大臣が港湾局長の予算説明を受けて意見交換する際に、水俣の問題については非常に関心があるので、どういうことになるか、もしも地元から相談を受けたら、港湾局としてはできるだけ配慮して——それは国でやるとか地方でやるとかあるいは事業者でやるとかいうことは別にして、大臣が非常に関心を持って港湾局長といろいろな意見を交換しておりまして、私はそばにおりました。   〔委員長退席、島本委員長代理着席〕 そして、この前参議院予算委員会で答弁された大臣の法的根拠は、次のような根拠によったものと思います。  水俣湾の汚泥処理事業を港湾公害防止対策事業として実施する場合には、公害防止事業費事業者負担法によって事業者に負担させる費用の総額を定めることとなっている。この事業者の負担総額は施行者である県が、県の公害対策審議会の意見を聞いて定めることになっている総事業費から事業者負担額を差し引いた残額については、公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律によって国が二分の一の割合で補助する、先生御承知のとおりにこういう法的根拠で純粋に大臣は御返答されたんだ、こういうぐあいに大臣から聞いてまいりました。したがって、非常に関心が大臣はございますので、この点はいろいろと施行者である県の主体的な考え方が、結論が出れば、私は非常に幅が広いものである、こういうぐあいに大臣の考え方を拝察いたしました。
  362. 中島武敏

    ○中島委員 運輸大臣が関心があり、かつこのことを早くやらなければならないということは、これはもう大かたの認めるところであります。しかしその費用をどう持つかということは、これはまたそれはそれで別問題であります。そこで単に、これはいわば費用負担法に基づいての考え方を一般的に述べられたものというふうに受け取っていいのかどうか、費用負担法はたいへん幅が広くて、一〇〇%企業が負担するということもやはりこれまたいっておるわけであります。御存じのとおりなんです。そこで、水俣のような場合には、一般論としていうのではなくて、どういうふうな態度をとるのかということが問題なわけであります。  そういう点で私の質問の趣旨は、環境庁長官と運輸大臣との間に、率直に申し上げますと、多少の食い違いのようなニュアンスを感ずるわけです。ニュアンスだけならば幸いなんですけれども、そういうものを感じるわけであります。この議事録を読みますと、単にこれはニュアンスだろうかというような感じも受けるわけであります。そういう点でやはり私は、これはお互い大臣同士が食い違うということになりますと、閣内におけるこの問題についての見解の不一致ということにもなるわけでありまして、やはり早期にこの問題についてただしておく必要があるというふうに考えて、きょうこの質問を行なっているわけであります。そういう点から申しまして、これは環境庁長官のほうにお尋ねいたしますが、長官の見解はこの間の私に御答弁された内容とは変わらないと思うのですけれども、この点はいかがでございますか。
  363. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これは御承知のように公害防止事業費事業者負担法というのが適用されるわけであります。法律的にいえば熊本県が熊本県の公害対策審議会の意見を聞いてその割合をきめるということですから、事業者の負担の分をどういうふうにするかということは、事業の主体者である熊本県できめるというのが法律的な手続であります。それにはいま御指摘のように四分の三から十分の十ということになっておりますから、幅があるわけでございます。私はこのヘドロについては、原因者が明白だからチッソの負担というものを、こいつを多くすることが妥当だという意見を私は持っておるわけですが、これはやはり熊本県自身として、この負担の法律の規定に従って、政治的にどうということじゃないのですから、法律の規定に従って熊本県でこの負担の部分というものはきめられるということで、私の個人的見解は、原因者が明らかなときにはその原因者が負担したらいいというのが私の考えでございますが、この決定をするものは熊本県であるということは御承知を願いたい。
  364. 中島武敏

    ○中島委員 それはそのとおりです。またこの費用負担法を適用しないでやってもまたよろしいわけであります。いずれにしましても、これは県がきめていくというのはそれはそうなんですが、政府の態度として、やはりきめるのは県でありますけれども、こういう原因者がきわめて明確な場合にどうするのかということは、政府としても考え方としてこの点についてきっちり統一されておってよろしい問題だと私は思うのです。そういう点で長官の見解は別に変わっておられないようでありますが、多くということばでありましたが、前回は一〇〇%ということで、これはだいぶ違うのです。ただいまのは多くという、運輸大臣もこういうふうに言っておられますよ。「相当に多額の負担」ということばを使っておられます。しかしこれは、どこからどこまでが相当に多額であり、どこからどこまでが多くであるかというのはたいへん幅のあることでありまして、私はやはり、これは非常に原因者のはっきりしている問題でありますから、やはりこういう問題でこそ、きっちり、こうでなきやならないんだということが実行されるようにならなければいけないと思うんですね。そういう点でぜひひとつ、長官も、前回は一〇〇%、今回は多くというんじゃなくて、やっぱりこれは一〇〇%だと、運輸大臣としても、考えとしては一〇〇%企業が負担すべきだということを、おっしゃっていただきたいと思うのです。いかがですか。
  365. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これは、多くというのは、四分の三から十分の十ということが法律の規定になっていますから、そういうことで幅を認めてあるのです。また、その事業者の中にも減額のいろいろ理由をあげてそういうことを審議会でいう場合もあり得るでしょうから、いろいろな意見もあると思います。私の気持ちとしては、そういう法律の根拠は、法律ですからね、それは幅を持たしてあるわけですから、できるだけチッソが、この原因者が明らかなんだから負担をしたらいいという考え方は変わらぬのです。しかし根拠は法律ですから、法律は幅を認めてあるということで、それはどういうふうに県できめますか、私としたら、チッソがやっぱりこの問題については全責任を負うのがほんとうではないかというふうに考えてはおるんですけれども、私の考え一存ではいかない。これは県がきめる問題である。
  366. 佐藤文生

    ○佐藤(文)政府委員 運輸大臣のお考えも、私は、三木長官と変わらないと思います。したがって先生のきょうの御意見もあらためて運輸大臣に報告させていただきます。
  367. 中島武敏

    ○中島委員 そういうことでぜひひとつきっちり統一してもらっておいて、汚染者、原因者がはっきりしている場合にはやはり一〇〇%持つというその見解を貫くべきでありますし、そしてまた今度のような問題は大問題でありますし、これはもう日本じゅうが注目している問題でありますから、それだけに模範的な解決をはかっていくようにしていただきたいと思います。  次の問題に移ります。  黒部市の日鉱の三日市製錬所のカドミウムの土壌汚染問題です。これは一PPM以上のいわゆる一号地、それから一PPM以上となるおそれのある地域、いわゆる二号地ですね、合わせて三十ヘクタールくらいあります。ところが一PPM未満で〇・四PPM以上で農民が土地改良を要求している地域が約七十ヘクタールぐらいあるということであります。問題は、この〇・四PPM以上一PPM未満の地域についてですが、当然この一PPM未満でありますから土染法の適用を受けない。どうするかということで県当局公害防除特別土地改良事業を適用するというふうに従来説明をしてきておったわけであります。ところが二月に、そのことばをひるがえして、公害防除特別土地改良事業の適用ができないと言い始めた。そのために農民と対立をして、土染法の地域指定もストップしているという現状であります。農民にしてみれば、これではどうにもならないわけであります。土地改良を希望しているにもかかわらず土染法も適用されない、あるいはいま申し上げた土地改良事業の適用も受けないということで、農民は非常に困っておるわけです。それでなおいろいろ調べてみますと、この地域はカドミによって汚染されているというだけではなくて、亜鉛によってもきわめて汚染されているという地域であります。その汚染の度合いもたいへん大きくて、亜鉛によって稲の著しい黄化現象が生じてたいへんな減収になっているということも事実であります。それでお尋ねしたいのですが、農林省はその事実について知っておられますか、どうですか。
  368. 小沼勇

    ○小沼政府委員 県からの報告でわかっております。
  369. 中島武敏

    ○中島委員 私が聞いておりますところによりますと、亜鉛による汚染の度合いというのは一二〇〇PPMというふうにも聞いているわけでありますが、環境庁や農林省のほうではこの事実、この資料についてつかんでおられますでしょうか。
  370. 岡安誠

    ○岡安政府委員 黒部地区の土壌汚染防止につきましての大体の経緯は先生のおっしゃるとおりでございます。調査ができまして、県といたしましては審議会にかけて対策地域の指定をしようというところでとまっておりますのは、先生のおっしゃったとおり、主として三十ヘクタール以外の地域におきます対策をどうするかということでとまっているのでございますが、いま先生の御指摘のとおり、私どもは三十ヘクタール以外の地域につきましては、主として亜鉛によります土壌汚染が原因で作物の生育障害が起きているというふうに考えているわけでございます。これにつきましては、はなはだ申しわけないわけでございますけれども、現在まだ亜鉛が土壌汚染防止法の特定有害物質に指定されておりませんので、土壌汚染防止法によりまして対策事業を実施するというわけにはまいらないわけでございます。  そこでどうするかということでございますけれども、三十ヘクタール以外のところにつきましても対策事業が実施できるかどうか、そういう希望があるようでございますが、これは後ほど農林省のほうからお答えがあるかもしれませんけれども、私どもといたしましては、三十ヘクタール以外、これはまだ対策地域に指定されておりませんけれども、指定された地域以外につきまして、対策事業を実施するというわけにはまいらないというふうに考えております。解決策といたしましては、やはり私どもができるだけ早く亜鉛を土壌汚染防止法の特定有害物質に指定をいたしまして、現在予定しております三十ヘクタール以外の地域につきましても、土壌汚染防止法の対象になるようにするということではないかと思いまして、現在これを促進をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  371. 小沼勇

    ○小沼政府委員 いま環境庁のほうから説明がありましたとおりでございますが、私どものほう、やはり三十ヘクタールのカドミウム汚染の地域につきましては早く対策地域の指定をしてもらいたいと思っております。それに従って対策の計画を立てて土地改良事業を進めていくということを積極的に進めなければならないというふうに考えております。  もう一つ、その外側にございます亜鉛によります被害があるようでございますが、これについてはいま手だてがないといいますか、現実に環境庁が亜鉛を政令で有害物質として指定をしていないという段階でございますので、これも早く有害物質として指定をしていただいて、それで地域として指定をし、計画を立てて土地改良事業をやっていくということを進めなければならないというふうに思うのでございますが、指定がされましたら私どものほうも積極的にこの対策を進めてまいりたい、かように考えております。
  372. 中島武敏

    ○中島委員 私の聞かないことまでお二人ともお答えをいただいたわけですが、亜鉛によってどの程度汚染されているかという資料については、これは農林省のほうではどうなんですか。つかんでいるのですか。あるいは環境庁としてもどうなんですか。どの程度の資料をつかんでおられますか。
  373. 小沼勇

    ○小沼政府委員 私の所管でございます構造改善局にはこまかい資料は来ておりません。こういう事実があるということだけが県から報告が来ているわけであります。
  374. 岡安誠

    ○岡安政府委員 私どもといたしましては、亜鉛によります汚染の濃度は、精細な調査ではございませんが、最高一〇〇〇PPM最低五〇PPMぐらいの亜鉛が土壌中にあるというふうに聞いております。
  375. 中島武敏

    ○中島委員 なるほど亜鉛は特定有害物質に現在のところ指定されていないわけですね。特定有害物質に指定されれば、これは土染法の十二条に基づいて知事が公表することを義務づけられているわけであります。私は非常にこういう問題は重要だと思うのですけれども特定有害物質に指定されているから公表する、資料も正確に発表する。ところが特定有害物質に指定はされていないから、資料は、県のほうも幾らかの報告は農林省なり環境庁なりにしておるのかもしれませんが、だからこそ先ほどの答弁があったのでしょうけれども、しかし県は公にはしていないわけですね。しているのですか。なかなか公にしないのですよ。私はこれがいかぬと思うのですね。これがいかぬ。先ほども吉野川のカドミウム問題でやはり資料の公開問題ということでだいぶ論議がありましたけれども、これはあとで言う茨城県の場合でもそうなんですが、どうもなかなか資料を公開しようとしない。なるほど亜鉛の場合には特定有害物質ではありません。ありませんからいいんだという態度は私はよくないと思うのです。大体富山県というのは前科がありますよ。日鉱の例のカドミ汚染問題で一年以上にわたって資料を隠しておったという経歴の持ち主であります。私はこういうことについて、これは特に環境庁長官のほうにむしろお尋ねしたいのですけれども、現実に亜鉛によって被害が起きている、これは隠しようもない事実なわけです。これは環境庁も農林省も認めていらっしゃる。法律にはまだ規定されていないというときにもどんどん調査をやって、こんなひどい状態になっているのだ、だから早く手を打たなければいかぬのだ、そのためには、調査並びにその結果をはっきり公表していく、そしてこれが対策が講じれるというように努力するのが私は行政の任にある者の任務だと思うのです。ところが現実にはそうなっていないのです。長官、これではほんとうに公害対策を進めていくという上において、やはり大きな障害になると思うのです。こういうところを正していく必要がある。長官どうでしょう。
  376. 岡安誠

    ○岡安政府委員 まず法律的な問題でございますけれども、先生十分御承知だと思いますけれども、土染法の十二条は、特定有害物質による汚染の状況については調査、測定を実施し、その結果を公表するということでございますが、特定有害物質の中に指定されておらない亜鉛による汚染につきましては知事が十二条によって公表する義務がないということが法律上一つあります。  もう一つ知事が慎重になっているのは私は理由があると思います。と申しますのは、土壌中にあります有害物質につきましては、特定有害物質に指定されたものにつきましては、環境庁がその測定方法等を明らかにいたしております。たとえば、どういう薬品でどういうふうに溶解をしてどういうふうにはかったら何PPM、それを公表して対策の基礎にするということはきめておりますけれども、亜鉛その他特定有害物質になっておらないものにつきましては、いろいろな測定方法があるわけでございます。それらにつきまして、数値等につきましてまちまちであったりということになれば、やはり県としましては、それらについて統一的な基準ができるまでは公表したくない気持ちというものは、おっしゃるようにやはりあると思うのです。もう一つは、対策等が伴わなければ、ただ単に公表したということだけでは県の責任が済まないわけでございますので、県といたしましても、やはり対策等も兼ね合わせましていろいろ考えているということもあろうと思います。ただ、私どもはデータ等につきましてはなるべく公表するようにということは一般的に指導しておりますが、やはり難点はそれぞれの場合にはあるのではなかろうかというふうに考えております。
  377. 三木武夫

    ○三木国務大臣 問題は、亜鉛というものを土壌汚染の有害物質の一つに指定するかどうかという問題であります。これは十分に検討してみます。いま私がこの場合にどうするということを申し上げるのにはまだ研究も十分でありませんから、そういうことは研究をいたしてみます。
  378. 中島武敏

    ○中島委員 話をちょっと前に戻して——私は別に戻すわけではないのですが、聞かないところまで答弁が先にありましたので、その問題についてお尋ねしたいのですが、亜鉛を特定有害物質として指定をするという作業は一体どこまで進んでいるものでしょうか。
  379. 岡安誠

    ○岡安政府委員 実は現在特定有害物質にはカドミウムと銅が指定されておりまして、それから次に急ぐものは砒素があります。これも実は現在急いで作業をいたしておりますので、亜鉛はいわば物理的にそのあとにならざるを得ない。と申しますのは、その調査等が必ずしも普遍的になされておりませんので、もう少しそのデータを集めなきゃならないということもございまして、私どもはできるだけ早く指定をいたしたいと思っておりますが、砒素の次というくらいのスケジュールにならざるを得ない。検討をしております。
  380. 中島武敏

    ○中島委員 つまり結局これからデータを集められるということでございましょう。つまりやっておられない。今年度の予算を見ましても、亜鉛については別に予算が組まれているわけではないのですね。それで、先ほど農林省のほうからもお話があったように、亜鉛を早く特定有害物質として指定をしてもらいたい。してもらってこの対策ができるようにしてほしいという意見がある。ところが、環境庁のほうは今年度は予算も組んでいない。いま取り急いでいるのは砒素である。それから鉛でしょう。そうでございますね。そういうふうにして順次やっていきますと、結局おくれおくれになりまして、一体いつになったら亜鉛に手がつくのかわからない、こういうことになるのです。ところが実際には被害は——たいしたことないものならよろしいですよ。それならよろしいですけれども、現実にはこの被害は、黒部市におきましては、どんなに少なく見積もっても七十ヘクタール、もっとでしょう。おそらくもっと広い地域でしょう。それだけの被害がどんどん起きているという実態があるわけですね。これでは現実の被害に対してやはり行政のほうでついていかないということになるのですよ。私は、こういう調子で事が進みますと、やはり本格的な公害対策ということはどうしてもおくれていってしまうと思うのです。そこで、実際にもう被害が起きていることは皆さん確認されていることなんですから、ぜひこの亜鉛を特定有害物質として指定をするという作業を、調査並びに設定ということを、今年度直ちに始めてもらいたいと思うのです。やらなければ、相変わらず農民は困ったままいるという事態がほうっておかれるわけです。私はこの辺でやはり長官が大いにひとつ決意をしていただきたいと、率直に申しますけれども、思うのです。もう先回りして言うようですけれども、土呂久の問題が起きた。別に予算は組んでいなかった。だけれども、必要な問題はすぐに調査にかかりましたでしょう。そういう事実からいいましても、現実に被害が起きていて、いや、今度は砒素でございます、その次は鉛でございます、その次からでございますといってやっているうちに、被害はますます拡大していく、この事態を解決することはできないと私は思います。その点でぜひひとつ、長官、いかがです。これはやはりことしから調査をする、そしてもう来年度、四十九年度はこれを設定する。農林省のほうからの希望意見も出ているわけですね。この辺をひとつ踏み切っていただきたいところだと思うのです。
  381. 三木武夫

    ○三木国務大臣 亜鉛というものも、われわれとしても放置しておるわけではないですけれども、次々にいろいろと先に指定をしなければならぬ物質もあるものですから、一つの順序としてはおくれたような形になりますが、今年度に調査を始めまして来年度はこれを指定に具体化さすように努力をしたいと思います。
  382. 中島武敏

    ○中島委員 ぜひいまの長官の答弁の方向で来年度はひとつ設定できる、指定できるというふうに努力をお願い申し上げたいと思います。  大気保全局長に関連してお尋ねしたいと思いますが、いらっしゃいませんか。
  383. 島本虎三

    島本委員長代理 大気保全局長は来ておりません。官房長はいるから代行できます。
  384. 中島武敏

    ○中島委員 大気汚染防止法の第一条、これはもちろん目的が書いてあるのですが、ここには「大気の汚染に関し、国民の健康を保護するとともに生活環境を保全し、」とあるわけです。また、その第二条で「人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある物質で政令で定めるもの」という文句もちゃんとあります。水質の場合には、生活環境にかかわる基準というものを設けているわけですね。亜鉛の場合ですと五PPM以下でなければならないというような指定があります。ところが、大気はどういうわけですか、健康にかかわるものについての基準はあるのですけれども、生活にかかわるものの基準というものは設けられていないのですね。ところが、いまさっきから問題になっておりますように、いろいろな被害は現実に起きてくるという、こういう事態なんです。私はやはり健康にかかわる問題ばかりではなくて、生活にかかわる基準、これをはっきり設けなければいかぬと思うのです。このことを聞こうと思ったのですが、どなたか答弁なさいますか。長官がいらっしゃいますから別に局長はおられなくても不自由はないと思いますが……。
  385. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 私、専門でございませんのであるいは間違ったことになるかもしれませんが……。  一般的に申し上げまして、たとえば環境基準にしましても、アメリカではプライマリーとセカンダリーをきめておりまして、健康だけでなしに植物被害やその他を考慮した環境基準ができているわけであります。したがいまして規制の面におきましてもそういう環境基準をきびしく植物被害まで押えるようなかっこうでつくりますれば、それに応じた規制をやっていくということができるわけでございますが、わが国の場合、そういう健康被害と植物その他の財産被害、これを分けた環境基準がまだできておりません。いずれそういう基準を十分つくりました上で、法律上の排出規制のほうもやはりそれに応じてやっていく、こういうことが必要になるのではないかと思っております。ただ、アメリカの場合でございますが、その植物被害等考慮しました基準にいたしましても決してそうきびしいものではございませんで、私ども現在考えております環境基準の硫黄酸化物につきましての見直しの数置と比較いたしますと、こちらのほうもそういうきびしい環境基準を、硫黄酸化物について見直しをすれば、当然アメリカ並みあるいはそれ以上のレベルに持っていけるのじゃないか。アメリカのほうは逆に弱くしようというような動きもあるようでございますので、負けないようにきびしく基準もきめますし、また規制もやれるように持っていく、これが今後の方向づけではなかろうかと思います。
  386. 中島武敏

    ○中島委員 私はアメリカのことをお尋ねしたわけじゃないのです。特に日本の場合には、アメリカなどに比べましても地理的、自然的条件の違いからいいましても、もっときびしい基準がきめられるべきだと私は思っておりますが、しかし、少なくも大気汚染防止法によりますと、健康にかかわる環境基準はありますけれども、しかし生活環境にかかわる環境基準は一向にないわけですね。ここはやはりこの問題を設定するという方向に進まなければいけないと思うのです。これはやられてないわけです。たとえば、いま論議の対象にしております黒部の日鉱の土壌汚染の問題にしましても、これは水からの汚染もありましょうが、しかし大気からの汚染もずいぶんありますよ。これは農林省のほうでも、環境庁のほうでも確認されているところだと思うのです。そうしますと、やはりこれはまた行政がおくれていってしまっているという問題になってくるわけですね。だから、私はこの辺についてもひとつ長官の見解をお尋ねしたいものだと思うわけです。
  387. 三木武夫

    ○三木国務大臣 健康に対しての基準と生活環境に対する基準というものは密接に結びついている点もあると思いますが、しかしいろんな面でそれをもう少し健康その他の生活基準というものは明確な規定をすることが、大気汚染による公害防止にはそのほうがやはり好ましいのでしょう。そういう点は今後の研究課題だと思います。
  388. 中島武敏

    ○中島委員 十分満足な答弁をいただくことはできなかったのですが、出たついでですからお尋ねいたします。  これは長官にお尋ねしますが、窒素酸化物の環境基準は今国会の予算委員会において、長官の答弁では、数カ月のうちにきめる、こういう答弁でありました。それから三月、四月ともう二月以上になっております。そしてまた東京など大都市でいえば、光化学スモッグのシーズンを迎え、注意報も何回か発令されておるという事態になっております。そういう中で、この窒素酸化物の環境基準は一体いつおきめになるわけでしょうか。
  389. 三木武夫

    ○三木国務大臣 予算委員会でも数カ月以内と言ったわけですから、まあ数カ月というと、二カ月という意味でもないわけですが、しかし、いまこれをきめる最終段階の作業をしておるという段階です。
  390. 中島武敏

    ○中島委員 農林省お尋ねいたします。  四十六年六月三十日付農林事務次官通達がありますね。これは「過去数年間に一度以上一・〇PPM以上のカドミウムを含有すると認められる米が生産されたと認められる地域」は土壌汚染対策地域に指定することという通達を出しておられます。  そこで、話はまたもとへ戻るのですが、黒部の場合には四十四年、四十五年産出米の分析結果は、県が分析したものはあるのです。あるのですが、これを除外して県の公害対策審議会に県が諮問しているのです。つまり四十六年産米だけを諮問しておるわけであります。この四十四年の一PPM以上の汚染米が出た地点というのは七十ヘクタールに及んでいるというふうにいわれております。なぜ県がもっと広く——この土壌の改良を行なっていく、公害対策を行なっていくという立場に立つならば、四十六年だけではなくて、四十四年あるいは四十五年というようなものまで次官通達の精神に従って諮問するべきであると私は思うのです。その点、なぜこうなっているか。これは測定の方法が違っているということが、ごく一般的にいいますとその根拠になっているように思いますけれども、しかし、富山県といいますのは、例のカドミウム汚染によるイタイイタイ病のたいへんな被害を受けた地域であります。そういう点でいえば、カドミウム汚染の原点ともいうべき地域でありますから、こういう次官通達が出ていることでもありますし、過去にさかのぼって一回でも一PPM以上の米が取れたというところはもっと審議会にはかって私はしかるべきじゃないか。そうして農民が希望するならば、その対策を講じるというふうにするべきだと私は思うのですけれども、そういうふうにやってないんです。こういう県の態度についてどういうふうに農林省としてお考えになっておられるか、この点を伺いたいと思うのです。
  391. 岡安誠

    ○岡安政府委員 実はこの通達は、先生おっしゃるとおり、四十六年の六月三十日に農林省から出ておりますが、土壌汚染防止法が当時は農林省の所管でありましたが、現在私のほうに移っておりますので、これは私どもの通達というふうに考えて、私から御答弁申し上げます。  この通達の中に、先生おっしゃるとおり、過去におきます数年間やはり二度以上一PPM以上のカドミウムを含むと認められる米が生産されたと認められる地域ということは書いてございますが、またその通達の中には、現在私どもがきめております「検定省令と実質的に同一であると認められる測定方法」でやった場合ということが書いてあります。富山県がやった調査、四十四年度分並びに四十五年度分につきましては、おそらく検定方法が現在きめております方法と違うというような考え方もあるかと思います。それからこれは県から聞いたことでございますけれども、もう一つの理由は、当時は、大気によりまして直接稲に汚染が出まして、その汚染も合わせてはかられているのかもしれないというような疑いもあるということもありまして、県としましては、今回指定の場合には四十六年度調査を基礎として指定をしているというふうに私どもは聞いております。
  392. 中島武敏

    ○中島委員 それじゃ、環境庁にお尋ねします。  実質的に同じ、そういうふうには認められないものというふうにはっきり考えられますか。富山県の調査の数値はまるっきり信用のならないものであるというふうにお考えになりましょうか、この辺ひとつはっきりさせてもらいたいと思うのです。まだなお続けて言いますと、やはりなるべくふるい落としてしまって農民が困るようにするのは、これは正しいあり方じゃないですね。なるべくやはり救済していくという方向で法律なりあるいは次官通達なりを活用していくというのが私は行政の精神でなければいけないと思うのです。そういう点で、この辺どういうふうに考えておられるか。また、この問題の解決のためにもこのことを活用してやろうというふうにお考えになるかどうか、伺いたいと思うのです。
  393. 松山良三

    ○松山説明員 お答えいたします。  検定省令につきましては、これは当時農林省令によりまして、「カドミウムの量の検定のための試料は、検定に係る農用地について、おおむね農用地の面積の二・五ヘクタールにつき一点の割合で、採取しなければならない。」「検定のための試料の採取は、当該採取に係る農用地の区画の中央部において行なわなければならない。」「検定のための試料は、米にあっては生育している稲を採取し、これにつき、附着している土壌等を除去し、風乾した後、脱穀及びもみすりをして得た米を精選して、」充てるというふうに採取の方法は書いてございまして、さらにこの米にかかる検定の方法、いわゆる分析方法につきましては、これは食品規格が定められた際に、厚生省食品規格としての米の中のカドミウムの分析方法を規定をいたしておりますので、その方法を採用したのでございます。その方法につきましては概略だけを申し上げますと、米を硫酸、硝酸で分解をいたしまして、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムで錯塩にいたしまして、MIBKと申しておりますが、メチル・イソ・ブチル・ケトン、これで抽出をいたしまして、原子吸光法を適用して分析をするということになっておるのでございます。したがいまして、当時富山県がどのような方法でやったか詳細は存じませんけれども、そういったこの場合に、たとえばサンプルの量を、規定が、たとえば十グラムというのを十五グラムということは、これは実質的に同じじゃないとはいえないと思いますけれども、この試薬の種類でございますとか、そういった原子吸光以外であるとか、そういう方法が違いますれば、やはりこれは実質的に同一ではあると認められないと思いますので、その辺の事情詳細わかりませんけれども、県はそういう判断のもとに、先ほど局長が答弁したようなことで取り上げなかったのではなかろうかと判断をいたします。
  394. 中島武敏

    ○中島委員 私は、なぜ県がそういうふうに取り上げなかったかということについて、大体そういうことだろうということは答弁の中でもありますが、確たる根拠というものではない。私はやはりこの場合にぜひ農林省なり、これは農林省でしょう、環境庁より農林省だと思いますけれども農林省のほうでも、やはり農民の要求が、現実にたいへんな被害を受けているわけですから、これは確証もないわけですから、やはりこれがちゃんと救済されるという方向で指導するという、そういうことが必要じゃないかと思うのです。これは実質上同じとは認められないから県は諮問しなかったのだろう、それもあたりまえだろうというふうな立場をとるか、県はそういう立場をとっているけれども実際には農民は困っている、そうだとするならば、この辺はやはり県を指導してやるべきだ、こういうふうにするべきだ、こういう見解があっていいと私は思うのですよ。私は政府の立場というのはそういう後者の立場でなければいけないのじゃないかというふうに考えるわけであります。  そういう点からいって、ぜひひとつ県のほうに対しても、農民が救われることを指導していただきたいと思うのですよ。ひとつやっていただきたいと思うのです。そして農民が希望しておられるんだったら、ぜひひとつそれを満たされるようにやるということを私は要求したいと思いますし、もう一度それについての見解を伺いたいと思います。
  395. 岡安誠

    ○岡安政府委員 先生のおっしゃることもよくわかりますけれども、私どものきめております土壌汚染防止法にございます対策地域の決定は、一定のルールといいますか、ルールによって推定をいたしているわけでございます。細密な調査をやればよろしいんでございましょうけれども、そうやっても逆にまた問題が出ますし、そこで二・五ヘクタールに一点というような相当大胆な推定をいたしておりますので、推定にあたりましてはやはり一定のルールに従ったもの以外は推定の根拠に入れるということはいかがかと考えるわけでございます。もちろん県の判断の中で実質的に同一であると認められるというならばこれはアドバイスをいたしたいと思いますけれども、それがやはり違うという場合には、私どもそれを無理をして、農民を救うということは大事ではございますけれども、推定の根拠にするのはやはり無理だ、むしろやるならば四十八年度以降さらにあわせて細密調査をいたしまして、その結果出れば追加してその他の措置があり得るのではなかろうかというふうに考えます。現にそういう方法をとっている県もございます。
  396. 中島武敏

    ○中島委員 そのおことばですけれども、これはお互いわからない話ではないのです。わかる話なのです。わかる話なのですが、やはり姿勢並びに方向としてはぜひ救済、農民が要求していることが実現できるようにやってもらいたいということを申し上げたいわけなのです。そうすると土染法もだめ、それから土地改良事業もだめ、四十九年度からは幸い長官はぜひ設定したいと言いますので、四十九年度からはこれは救われるかもしれません。しかしそのつなぎを何とかしてやりたいものだ、何とかしなければならぬのじゃないかと私は思うのです。  それでこれに関連してもう一つ農林省お尋ねしたいのです。  それは公害防除特別土地改良事業、これの第(3)にかかわることなのですが、これは亜鉛は対象になりませんか。もうちょっと申しましょうか、意味がはっきりしないでしょうから。(3)のところに「(1)及び(2)に掲げるもののほか、カドミウム環境汚染要観察地域等であって、農用地の土壌汚染に起因して農業経営が著しく阻害される等、(1)又は(2)に類する場合につき、その回復を図るために必要な事業」こういうふうにありまして、「カドミウム環境汚染要観察地域等であって」というふうにあるわけですね。そこで私お尋ねするのは、この中には亜鉛は含まれないのかどうなのか、もし亜鉛が含まれるということであるならばこれを適用することができるじゃないかということが言いたいわけなのです。
  397. 小沼勇

    ○小沼政府委員 御指摘の点でございますが、黒部市の黄化現象の原因が亜鉛によるものであるということでございますれば、この土壌汚染防止法によります指定によりまして原因者が負担し、あと国と県で見るという形になるわけでございます。原因者に負担をさせることがまだはっきりしないという段階では、(3)の事業でもPP原則を無視することになりますので、その点では扱うことができないのではないかというふうに考えております。また亜鉛のその指定要件自体がきまっておりませんので、その処方せんをきめることもむずかしいという状況で、はなはだ残念でありますけれども、これにつきましてはこの項に現在は該当しないというふうに考えております。一般的な読み方として等ということでございますから、その意味では何でも入るのじゃないかというふうにお考えかと思いますが、いま申しましたような理由で入りにくいというふうに判断しております。
  398. 中島武敏

    ○中島委員 そうだとすればもうことしはだめなわけですね、その解釈でいきますと。  そうすると、長官、もうさっそくこれは亜鉛の特定有害物質指定を急ぐ以外にはない。八方あれこれ考えてみても、みんなこれもだめあれもだめということになりますと、そこにしかもう活路は見出せないということになるわけです。そういう点で先ほどの長官の言明をぜひひとつ一日も早く実行に移していただきたいと思います。  ぼちぼち私の時間が切れ始めております。たいへんおそれいるのですが、もうちょっと時間をいただいて、七会村の問題について簡単に御質問申し上げたいと思います。  これはわが党の高橋県会議員によって暴露された問題なのですが、最高値三・三七PPMの米が実際には供出されてしまって市販されてしまった、実は茨城県はそのデータを隠しておったということでたいへん大きな問題になったわけであります。このとき、県の言明によりますと、十王町とか日立市でもカドミ汚染米が発見されているということが同時に明らかになったわけであります。これについて岩上知事は再調査をするというようなことなどを答えておりますが、やはり汚染米が出たということは間違いのないことだと思いますが、環境庁のほうに報告は来ておりますか。
  399. 岡安誠

    ○岡安政府委員 四十七年度の調査結果が手元に参っております。それによりますと、七会村につきましては十二点の調査地点のうち、一PPM以上のカドミを含む玄米が二検体発見された。それから日立市につきましては、日立市の入四間地区につきましては五点調査しまして、そのうち一点が一PPM以上ということでございます。それから十王町の高原地区におきましては、十点検査いたしまして四点一PPMというような結果だと報告を受けております。
  400. 中島武敏

    ○中島委員 間違いないわけですね。ところが、これは市販されてしまったという問題が出てきているわけです。こういう問題になったときに、この責任は一体どこがとるものなのか、これはどこなのか。市販されてしまってもう国民の口の中に入ってしまっているかもしれない。そのことによって健康を害するという危険性があるわけですけれども、これは一体どこが責任をとるものでしょうか、ちょっとお尋ねしておきたいと思います。
  401. 岡安誠

    ○岡安政府委員 おっしゃるとおり、タイムラグがございますとそういう問題が出るわけでございます。あらかじめ非常に汚染米が出る危険性があるところということが明らかでございますれば、出来秋にそういう米を凍結しておくということも可能でございますが、県が必ずしもそういう注意のもとにした検査でない場合には、検査結果が出てきたときにはこれがすでに売られている。幸い政府米として倉庫にある場合には凍結をいたすとか、保有米の場合にはまた処置するということも可能でございますけれども流通過程に乗ってしまった場合にはなかなか手の打ちようがないというのが実情でございます。そこで、私どもはなるべく早く広範囲に調査をいたしまして、あぶないと思われるところはあらかじめ凍結をしておくというような措置を各県に今後は要請をいたしたいというふうに考えております。
  402. 中島武敏

    ○中島委員 これの発生源は千歳鉱山株式会社の高取鉱山、それからまた日鉱の日立鉱山であるというふうにいわれておりますけれども、これは通産省の方はおられますか。——これは間違いありませんか。
  403. 田中芳秋

    田中(芳)政府委員 本年の三月二十八日付で茨城県のほうから、ただいま御指摘のありました鉱山と汚染米との因果関係につきまして調査をしたい、ついては通産省も協力してほしいとの要請がございました。私どもも県が今後どのような形でスケジュールを立てていかれるかという連絡をまだ受け取っておりませんが、この調査に御協力をして、いま御指摘のような点を探ってまいりたい、このように思っております。
  404. 中島武敏

    ○中島委員 これから調査をするということでございますか。調査をするから協力してくれ、そういうお話でございましょう。
  405. 田中芳秋

    田中(芳)政府委員 そうでございます。
  406. 中島武敏

    ○中島委員 調査は進行しているわけですか。
  407. 田中芳秋

    田中(芳)政府委員 先ほど申し上げましたように、三月二十八日に茨城県よりございまして、今後調査をいたしたい、ついては通産省協力してほしい、こういうことでございました。私どものほうは協力いたします。しかし、調査を開始しておるという連絡はまだ受けておりません。
  408. 中島武敏

    ○中島委員 環境庁にお尋ねします。  環境庁、この川は藤井川、宮田川なんですね。これがもし先ほど申し上げた高取鉱山あるいは日立鉱山だとしますならば、これの底質調査をやっておられますか。
  409. 岡安誠

    ○岡安政府委員 まだやっていないと思われます。
  410. 中島武敏

    ○中島委員 これ結局因果関係の問題ということは非常に問題になってきますし、そういう点でも底質の調査ということを急がなければならないと思うのです。そういう点ではぜひこれは、実際は県のほうがやるのでしょうけれども、環境庁のほうからも積極的な調査をやるようにひとつ指導していただきたいと思うのです。通産省のほうにも協力要請があったそうですけれども通産省だけではなくて、環境庁のほうからも積極的にこれを推進をするというようにしていただきたいと思います。  それで最後に通産省お尋ねしたいのですが、この因果関係の問題というようなことがまだ手がついていないということになりますと、この補償問題をどうするかという問題は当然問題になるわけですね。その際に因果関係がはっきりしないということになりますと、補償問題は解決つかないということになるわけですね。その点で通産省としてばどういう指導をされておられるか、伺っておきたいと思うのです。
  411. 田中芳秋

    田中(芳)政府委員 因果関係の解明といいますことはなかなかむずかしい問題であろうかと存じますが、県の調査等とも十分協力いたしまして、できる限りこれを突き詰めてまいりたいと思うわけでございます。  なお、私どもといたしまして、全く因果関係がないというふうには思っておりません。かなり因果関係が濃いのではないかという疑いを、正直なところ持っておるわけでございます。御承知かと思いますが、日立鉱山におきましても、この地域におきますたばこ被害等につきまして、たしか四十三年以降であったと記憶しておりますが、この耕作組合に対しまして補償を実施しておる状況でございまして、今後その調査の結果によりまして事情がはっきりいたしますれば、やはり両鉱山等に対しまして積極的な指導をしてまいりたい、このように考えております。
  412. 中島武敏

    ○中島委員 ぜひ積極的に推進していただきたいと思います。  たいへんおそくなりました。これで終わります。
  413. 島本虎三

    島本委員長代理 最後に坂本環境政務次官からただいまの総括的な御答弁をひとつ……。
  414. 坂本三十次

    ○坂本政府委員 ただいまの三木長官はじめ政府側からの問答を通じてお約束いたしましたようなことは、誠意を持って善処いたしたいと思います。
  415. 島本虎三

    島本委員長代理 次回は、来たる二十四日火曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとして、本日は、これにて散会いたします。    午後七時三十一分散会