○島本
委員 この中には生物学上でも貴重な高層湿原地帯があり、限られた水源と天然記念物の保護上からも、
開発による枯渇や
汚染がひいては湿原の絶滅にもつながるおそれがある、こう学者によって
指摘されている点がありますが、これはもう本来ならば自然
環境保全法、これができた場合にはこのままに置かれない個所です。当然
調査に入って、そういうような点を残さなければならないはずの
地域、これがことしの四月ですか、そのころまでにやる——それまでの間に売却が全部済んでしまっているのだ。売却が済んでもう着工しようとしている。いまこの
指定がおくれればおくれるほど、こういうようなのは
全国に広まってくるのですよ。何のためにあの法律を急いで三日間ぐらいの審議で上げてしまったのですか。早く
指定させてこういうようなことがないようにするためなのです。じんぜん日を過ごしているじゃないですか。寝る間も惜しんで三日間で徹夜審議でしょう。こうまでしてやったのは、こういうような乱
開発を防止するためなのですよ。それは知っているでしょう。それなのにこういう貴重な湿原地帯、こういうようなものさえもいま荒らされようとしているでしょう。もう売買は全部終わってしまったでしょう。まだ法律の実施ができないでしょう。
規制の対象にならないでしょう。こういうような
一つの抜け道をつくってやっているのです。これは住民自身に言わせると、霧ケ峰は共有の財産で、
開発そのものは大局的見地から
考えてもらいたい。こういう住民の声も来てますよ。私の手元にも届いています。きわめて危険な乱
開発が民間デベロッパーまたは土地所有者、限られた機関に解決をまかされているという点、これはきわめて危険です。それだけじゃないです。国定公園内の蛙原(げえろっばら)一帯の、これは一等地を持つ下桑原農協では売却に支障になっている公園
指定のワクをはずして一括売却したい、こういうようなことさえいっているではありませんか。おそらくこれも大事な問題だと思うのです。この
問題等についても八ケ岳、蓼科高原それから白樺湖、霧ケ峰につながる八ケ岳中信高原国定公園、せっかくこれが県立自然公園から昇格して国定公園になったのは三十九年の五月でしょう。それがもうすでに
開発のために今度は国定公園返上論、こういうようなものさえも出て、逆に住民の憤激を買っているでしょう。こういうようなことからして、民間デベロッパーや一部のこういう土地所有者がただもうけの対象にだけして、こういうようなものをやりたい、売り払いたい、
環境庁あたりからこういうようなことに対してもっと啓蒙すべきです。知事の
考え方を是正すべきです。どうも皆さんの場合にはこの点なんかだと、官庁があってもさっぱり権限——権限なくても調整権はあるでしょう。これは発動すべきですよ。どうもこの点手薄のような気がしてならない。政務次官、法律をつくっても実施される前にこういうような動きがあるということはとんでもないことなんです。この点はよく
考えておいてほしいのです。住民のほうからは、こういうような動きがあるから、これは
環境庁自身この点については十分指導してほしいのだというふうにわれわれのほうに来ているのです。その
環境庁が動かないのではどうにもならぬ。それだけではございません。信州大学の助教授櫻井善雄さん、これは長野県の
公害水質委員もやっていらしゃいますけれ
ども、この方のいろいろ
調査された結果、それを私は入手することができたのですが、それによると、いまこれから
調査をいたしますというこの白樺湖と蓼科湖、すでに諏訪湖の二倍以上のアンモニア性窒素が含まれた状態になっていて
汚濁されておる。大量の細菌及び大腸菌群が検出されておるというのです。これは霧ケ峰水系に比べてはるかに著しい
汚染を示していることになるのです。ところがこの霧ケ峰も、新田次郎さんの「霧の子孫たち」ここに書かれていろいろ世に有名になっておるようでありますけれ
ども、この山の上にビーナスライン
自動車道路がつくられる。これがつくられてから、はなはだしい自然破壊、環境破壊、こういうようなことがもたらされた。それによって旧来の植物の死滅をもたらしておる。その上に最近このビーナスライン、これに沿って千四百ヘクタールの土地、これはもう諏訪湖の面積にひとしいくらいです。霧ケ峰の六〇%をこえる面積なんですけれ
ども、この千四百ヘクタールの土地が不動産会社に全部買い占められ、または借り上げられていて、この標高千三百から千五百メートルの高原に不動産会社は約六千戸の別荘またはゴルフ場、こういうようないわゆる観光施設をつくる
計画を進めているというのです。ところが信州大学の櫻井助教授の
調査によると、芳野市と諏訪市の上水道の水源、これにこの霧ケ峰の水が主要な水源になっている。したがってこの
水質は霧ケ峰の
開発によって
汚染をもろに受ける立場に立つ。のみならず櫻井助教授はこの霧ケ峰で地下水を観光業者が取ってしまった場合、茅野市や上諏訪の水源地帯の水量に及ぼす
影響はきわめて重大な問題であると
指摘しているのです。そうすると
環境庁、こういうようなものに対してやはり放任していいことにもならないだろうし、厚生省、やはりこの立場に対しては飲料水の問題でありますから、これはほっておかれない問題じゃないかと思うのです。これに対してどういうような
態度をとりましたか、
環境庁、厚生省。