○田中(覚)委員 たいへんお疲れのところと思いますが、しんがりを承りまして、
大臣はじめ
関係御当局に若干の御質疑を申し上げたいと思います。
その前に、三木副総理、
環境庁長官に御就任以来、
環境問題を当面の最大の政治課題としてとらえ、これまでのあと追い行政を前向きの姿勢に転換するために、いろいろと基本的な政策を法律、
予算、いろいろな面で強力におとりいただいておることに心から敬意を表したいと思います一私もこれまで長い間三重県知事をいたしておりまして、先ほ
ども御発言がございましたけれ
ども、
四日市の
公害問題については、これを惹起した大きな政治
責任を痛感いたしておりますだけに、その対策につきましては法律違反といわれるようなどぎつい亜硫酸ガスの総量規制を実施いたしましたり、そのほか、今日国のほうでいろいろお取り上げをいただいておる対策の萌芽的なことをやってまいりました。しかし、何と申しましても地方行政のワク内では法律的にも、また財政的にも大きな制約がございまして、思うような手が打てずに悩み続けてまいったのであります。そういう際に、歴代厚生
大臣、また
環境庁ができましてからは
環境庁長官御視察の最初の行事として、必ず
四日市へおいでいただいております。そのつど異口同音に申されましたことは、
日本の
大気汚染に関する
公害問題を解決する突破口としても、あるいはこれからの新しい
開発を円滑に進める上においても、この
四日市の
公害問題をモデル的に解決しなければならない、そのために国は特別の
援助をしたい、こういうことを異口同音に言われておったのでありますが、私
ども地元といたしまして大旱に雲霓を望むような気持ちで政府のあたたかい
援助や施策を待ち望んでおりました。しかし結果的には残念ながらあまり大きな
援助を実は得られなかったのでございます。これはぐちを申し上げるわけではなしに、私も
責任がございますので、天につばするようなことではございますけれ
ども、結果はそうなっております。
そうこうしておりますうちに、先ほ
どもお話がございました
四日市公害裁判の
判決がございまして、局面が一変をいたしました。端的に申しますと、一部の
住民の
方々は自分たちの要求は自分たちの手で、自分たちの力で貫徹しなければ実現できないのだ、こういったいわゆる政治不信といいますか、あるいは行政不信といいますか、そういった気持ちを強めてきております。ことに
裁判の結果、金の入った方とそうでない方との間に隣同士等の
関係で不公平感が出ておるというようなことも事実でございまして、そういったいろいろな事情が総合的にからみ合いまして、現在の
四日市の市民
生活の雰囲気の中には、何となしにしっくりしない違和感といいますか、そういうものが芽ばえでおりまして、これが県政、市政の一つの大きなガンになっております。そのために、何と申しましても、このような
状態を一日も早く脱却をいたしまして、昔の平和な市民
生活の姿、みんなが手をつないでやってきたああいう姿をひとつ取り戻したい、あるいはまた、正しいこれまでの恵まれた
生活環境を取り戻したい、そしてあれだけ騒がれた
四日市の
公害問題がこういう形でモデル的に解決された、こういうことを天下に示したい、あるいは示してもらいたい、こういう強い熱願をもって、悲願といいますか、これがいま地元
住民の偽らない気持ちでございます。今度は三木
長官、副総理も兼ねておられますので、あらゆる面からひとつ総合的な施策を今度こそは講じてもらえるだろう、そういう強い期待を持っておりますので、そういうことをまず
前提的に申し上げまして、以下若干の点について
大臣の御所見を伺いたいと思います。
その一つは、すでに二月二十七日でございましたか、中島委員から御質疑のあった問題でございますが、大気系の
疾病の認定
患者が指定地域外へ移転をいたしまして三年経過をいたしますと、
医療費の支給が打ち切られるという問題でございます。
大臣は
検討中というようなお答えをされたようでございますが、一口に大気系の疾患と申しましても、たとえば肺気腫などは一度これにかかれば、もういまの医学では絶対にもとへ戻らない。したがってこれにかかったが最後廃人同様の
状態になるといわれておりまするし、それ以外の大気系の疾患につきましても、気管支炎だとかあるいは
ぜんそくな
ども、一部の方はもちろん指定地域外へ移転すれば
発作の回数も少なくなる、これは事実でございます。しかしまた一部の方は、指定地域外へ移転をしました後においてもあまり
状態がよくならない。ことに老人などはそういう方が非常に多いのが常態でございます。しかるに現在国のほうでは、これが非特異性の疾患であるという理由で移転後三年を経過したら
医療費を打ち切るということをしておられるわけでございますが、これは
実態から申しましていかにも酷であり、非人道的ではないかという感じを私は強く持っております。ことに
四日市などではそういう具体的に該当する人が出てまいりましたので、やむを得ず市が単独
措置として、再審査をいたしました上で
医療費の支給を継続することにいたしております。
四日市のほかに川崎市だとかあるいは大阪市などにも同様の状況におちいる人が出ておるということを承知をいたしておりますが、この点につきましてはひとつ
大臣の御英断をもって、何らかの形で移転後三年を経過いたしましても、
医療費の支給が継続できるような
措置をぜひひとつお
考えをいただきたいと思います。そしてまた現にそういうことで
医療費の支給が打ち切られた方が出た場合には、国の特別
措置が講ぜられるまでの間、暫定
措置といたしましても、過去に遡及をして
医療費の支給ができるようなあたたかい
措置を講じていただきたい、この点につきまして、まず
大臣の御所見を伺いたいと思います。