○安福
政府委員 お答えいたします。
海面におきます漁業被害につきましてはいろいろな被害がございますけれ
ども、おもなものは油の被害と赤潮の問題だと思います。これの
原因につきましてはそれぞれすでに御存じのとおりと思いますけれ
ども、あるいは都市下水あるいは産業廃棄物、船舶からの油の流出、そういったものがおもなものになるわけでございますけれ
ども、これにつきましての対策でございますが、恒久的な対策と臨床的な対策と、それから救済措置、その三つぐらいに分かれるのじゃないかと思います。
恒久的対策といたしまして、赤潮の問題は、はっきり申しましてまだ赤潮の発生の
原因というものは実態が必ずしもはっきりしていない。いろいろ現象的な、あるいは基本的な問題はわれわれも十分認識しているつもりでございますけれ
ども、何が起爆になって赤潮が発生するか、こういう問題についてはまだ詳細な検討がされておりません。したがいまして、そういった基本的な、基礎的な研究
調査という問題をやはり引き続いてやる必要がある。こういう面につきましてかなりの予算も組んでおります。
それから臨床的な問題といたしまして、発生したものをどういうふうにその時点においてできるだけ被害を少なくするか、こういう問題がさしあたっての問題になるわけでございますけれ
ども、赤潮については、これまた救済措置について、そういう臨床的な措置についてどういうふうにしたらよいかというのは必ずしもはっきりしておりませんけれ
ども、こういったことをやったらいいだろう、こういうある
意味では常識的な対策にすぎぬかと思いますけれ
ども、基本的には、あるいは海底のヘドロをどういうふうに抜いたらいいだろうか、あるいは赤潮が発生しておる
原因物質を至急に取り除く、こういった企業化試験なり防除技術の研究、そういったものも実際の防除措置としましてやっておる。さらに、赤潮発生につきまして、発生したときに、ハマチを逃がす、その対象海域からできるだけ新鮮なところへ移す、そういう設備、装置、そういったものについての助成措置も
考えております。これは四十八年度でございますけれ
ども、そういったいろいろな臨床的なこともございます。
それからさらに発生予察の問題、これも
原因との
関係がございますけれ
ども、一応現象的に赤潮が発生するんじゃないだろうか。たとえば海水の温度が高まるとか、あるいは海水の塩分濃度が低下するとか、あるいは鉄分なりそういった促進剤的な役割りを果たす物質がある。こういった予察の事業も完備を必要とする。これは四十六年から三カ年計画で自動観測のブイなんかを非常に重要な海域について設置いたしまして、予察の事業の情報体制、そういったものも整えつつあるわけでございます。それから、あるいは
根拠地の船なんかに一応そういった船をきめまして、情報を通報願う、そういうことについての助成措置も四十八度年では講じております。
それからまた、いわゆるどぶさらいということで一般にいわれておりますけれ
ども、昨年、四十七度年は八地域でそういった予算を組みましたけれ
ども、今年度は倍額をあげまして、主として大部分は瀬戸内海海域にそういう助成がいくだろうと思いますけれ
ども、海底のヘドロというものが
一つの大きな問題になるだろう、こういう問題がございまして、そういった予算も二千六百万ばかり組んでおります。
こういった臨床的なものがございますけれ
ども、油につきましてもこれまた実際は油を海に流さないという
一つのモラルの問題が一番根本的な問題でございますが、海上保安庁その他と十分
連絡をとりながら、海面にそういった不法行為を起こさない、こういう体制を整えておるわけでございますけれ
ども、実際相当な油が海面に流れるということでございます。そういった面につきまして、これまた臨床的な、非常につけ焼き刃的な対処しかないわけでございますが、オイルフェンスであるとか、あるいは油に対する処理剤であるとか、そういった助成措置の予算を組んでおります。現
段階では必ずしもわれわれとして十分とは思いませんけれ
ども、そういった臨床的な、あるいは救済的な予算措置を組んでおります。
最後の救済措置でございますけれ
ども、これまた先ほど
環境庁長官からもお答えがございましたけれ
ども、物的な被害についての救済措置ということは、制度としては必ずしも一完備いたしておりません。したがいまして、われわれとしましてはケース・バイ・ケースに起こったものについてこれをどう対処していくか。あとあとということになっておりますけれ
ども、それぞれ現在許されます制度なりあるいは助成なり、そういった面でできるだけの対処をしてまいりたい、このように
考えております。
具体的に申しますと、昨年度七月の下旬から八月にわたりまして、瀬戸内海に非常に大規模な赤潮が発生いたしたわけでございます。総被害額が七十一億、こういう数字にのぼっておりますけれ
ども、これにつきましては異常な海象現象がございまして、そういった面でいわゆる天災融資法の発動、こういう形で緊急融資をいたした事例がございます。そういったことでやっております。