運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1973-07-11 第71回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年七月十一日(水曜日)     午後一時十一分開議  出席委員    委員長 久保 三郎君    理事 大竹 太郎君 理事 唐沢俊二郎君    理事 左藤  恵君 理事 中村 弘海君    理事 野中 英二君 理事 井上  泉君    理事 太田 一夫君       阿部 喜元君    越智 通雄君       佐藤 守良君    斉藤滋与史君       平田 藤吉君    沖本 泰幸君       松本 忠助君    渡辺 武三君  出席政府委員         運輸政務次官  佐藤 文生君         運輸省海運局長 佐原  亨君         運輸省船員局長 丸君 幹一君         海上保安庁次長 紅村  武君  委員外出席者         運輸大臣官房参         事官      佐藤 久衛君         運輸省海運局参         事官      見角 修二君         運輸省船舶局首         席船舶検査官  内田  守君         運輸省港湾局技         術参事官    大久保喜市君         日本国有鉄道船         舶局長     秋田  豊君     ————————————— 七月九日  交通事故被災者救済制度の確立に関する請願(久保  三郎君紹介)(第八一六九号) は本委員会に付記された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  交通安全対策に関する件(最近におけるカーフェ  リー等による海難事故に関する問題)      ————◇—————
  2. 久保三郎

    久保委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  交通安全対策に関する件の調査のため、参考人出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 久保三郎

    久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選、出席日時及びその手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 久保三郎

    久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  5. 久保三郎

    久保委員長 交通安全対策に関する件について調査を進めます。  まず、最近におけるカーフェリー等による海難事故の概要について説明を求めます。紅村海上保安庁次長
  6. 紅村武

    ○紅村政府委員 御説明申し上げます。  まず過去三年間のカーフェリー海難発生状況の推移から御説明を申し上げたいと存じます。  四十五年は三隻、四十六年が十一隻、四十七年が十二隻となっておりまして、四十八年は、まだ七月十日現在でございますけれども、八隻でございまして、年々増加の傾向にございます。  なお、これらの海難うち衝突海難について見ます、と、四十五年は三隻のうち二隻、四十六年が十一隻のうち五隻、四十七年が十二隻のうち六隻、本年は、ただいま申し上げました八隻のうち七隻が衝突海難ということになっております。  本年の状況につきまして少々詳しく御説明申し上げますが、この半年間に発生いたしましたカーフェリー海難隻数は、ただいま申し上げましたように八隻でございます。そのうち衝突が七隻、その他の一隻は火災でございます。しかし、このほかに救助までは必要としなかったというような海難もございまして、こういった海難が二十三隻でございます。したがいまして、ただいま申し上げた八隻と合計いたしますと三十一隻というのがカーフェリー関係海難発生状況でございます。  それで、本年発生いたしましたおもな海難事例といたしましては、去る三月三十日に豊後水道で別府向け航行中のフェリー「うわじま」がリベリア国籍貨物船と霧の中で衝突をいたしまして、「うわじま」に乗船中の旅客二十四名が負傷したという事故がございます。  それから次に、五月十九日、瀬戸内海神戸向け航行いたしておりました「せとうち」の機関室から出火をいたしまして、沈没をいたしましたが、幸い、旅客全員付近航行中の船舶救助されたわけでございます。  そのほかに、六月の末から七月初めにかけて、霧の中での旅客フェリー衝突事故が五件発生いたしておりますが、幸い、いずれも救助を必要とするというような大事故には至っておりません。  以上が現状でございます。     —————————————
  7. 久保三郎

    久保委員長 次に、質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村弘海君。
  8. 中村弘海

    中村(弘)委員 海のハイウェーといわれるカーフェリーが、昭和三十七年代にはわずか五航路だったのでありますが、自動車交通の発達や道路の混雑につれて爆発的にふえまして、現在百六十三社、二百二十三航路、四百三十八隻にふくれ上がっておるというような状況であります。  そこで一方、海難事故もふえてまいりまして、ただいま次長説明されたような状況にあるかと思いますが、これらに対して、航行の基本的な安全マインドといいますか、そういったものの欠如が見られるのではないかと思われるのであります。また、過密承知でさらに増船や新航路を認可しているような海運局にも問題があるのではないかというふうに考えておるわけであります。  そこで、具体的にお伺いしたいと思うのでありますが、ただいま、霧の中での事故、濃霧の中での事故が五件あったというふうに次長おっしゃいましたが、その中に、はたして霧中信号といいますか、そういったものを出しておったものか、見張り員がいたのかどうか、そういった実情をもうちょっと詳しく説明していただきたいと思うのです。
  9. 紅村武

    ○紅村政府委員 お答えいたします。  実は、個々の案件につきましては、まだ捜査中の段階でございまして、詳細を申し上げますのはお許しをいただきたいのでございますが、やはり法律に規制されております霧中信号等はやっておったものと考えます。  それからまた、大部分のものはレーダーも監視しておったわけでございます。  にもかかわらず、残念ながらこういう事故が起きておるというのが現状でございます。
  10. 中村弘海

    中村(弘)委員 ただいま次長そうおっしゃいますが、私の得た情報によりますと、霧中信号を出していなかったものもある。それから見張り員が一人だけだった船もあるということだそうであります。  それから、大体、この事故発生時のスピードですね、それはどのような状況で発生したものでございますか。
  11. 紅村武

    ○紅村政府委員 お答えいたします。  霧の中で衝突事故を起こした船舶は、実は残念ながら相当スピードを出しておるものが多いというふうに聞いております。  霧の中では、運航管理規程によりましてスピードを落とすというふうになっておるのでございますが、その点が残念ながら守られていないというのが現状であろうかというふうに考えております。
  12. 中村弘海

    中村(弘)委員 まあそういったことから、過去の状況と比べましてかなり多くなっておるということで、事故を起こした会社に対してどのような処置をとっておるか。これは海運局長ですね。
  13. 見角修二

    見角説明員 お答えいたします。  今回連続して発生いたしました五件の霧中における衝突事故を起こした会社に対しましては、過般、海運局長名をもちまして、それぞれの地方海運局特別監査をきびしく実施いたしますとともに、一定期間本番営業をとめまして、航海訓練と称しまして、船長の先輩の、その道のベテランを指導員として船に配備をいたしまして、少なくとも一隻についてはその就航している航海航海以上の訓練航海をやらせるというきびしい措置を過般、通達をもってやらせたわけでございます。
  14. 中村弘海

    中村(弘)委員 そのきびしい処置をやはりするべきだと思うのですが、先ほどの事故の中にも、レーダーで三キロ以上も離れたところから他船の接近を知っていながら衝突した例もあるようでございます。そういったことも、やはりこれは会社指導をして、厳重に行政指導をして、いただきたいというようにいま考えるものです。  カーフェリーが多数就航しているわけでありますが、一体その状況はどういうことになっているのか、過密ダイヤになっているのじゃないかというような気もするわけであります。  ですから、そういったことにあわせて、免許あたりどのような検討がされておるのか、これをひとつお伺いしたいと思います。
  15. 見角修二

    見角説明員 お答え申し上げます。  カーフェリー就航隻数就航航路につきましては、先ほど最近のデータにつきまして先生から御指摘のあったとおりでございまして、年々増加の一途をたどっているわけでございます。  このカーフェリーというものは、新しい海上輸送手段でございまして、車を主体とした非常に合理的な輸送手段でございます。トラック業者その他荷主あるいは一般旅客からのカーフェリー化に対する強い要請もございますということで、自然に発生してまいったわけでございます。  われわれといたしましては、免許するに際しましては、十分輸送需要をにらみながらも、カーフェリーの発着いたします港湾事情、あるいは途中の航路事情等を十分勘案いたしまして、慎重に今日まで免許をしてまいったつもりでございます。
  16. 中村弘海

    中村(弘)委員 それでは、カーフェリー安全運航のためにどのような指導をしておられるのかそれをひとつ……。
  17. 見角修二

    見角説明員 お答えいたします。  ちょうど昭和四十四、五年であったかと思いますが、若干カーフェリー事故が続いた時期がございました。こういった事態に関しまして、当時運輸省といたしましては国会海上運送法改正案を提案いたしまして、国会の通過を見たわけでございます。  そのときに改正いたしました点は、免許基準の中に新しく「当該事業の計画が輸送の安全を確保するため適切なものであること。」という安全上のチェック規定を入れていただいたわけでございます。と同時に、十条の二によりまして、新しく運航管理に対するカーフェリー業者を中心とした一般旅客船業者運航管理重点の体制をこの中に組み入れたわけでございます。すなわち、運航管理者を必ず選任して、船長の味方として営業を度外視して運航の安全に専念できる責任者を置くということと、それから運航管理規程を各事業者につくらせて運航の安全を期する、こういう画期的な制度をこの場合導入して、いま先生指摘のような行政面における安全上の強化をはかった次第でございます。
  18. 中村弘海

    中村(弘)委員 私は、もうあまり時間がありませんが、最後運輸当局指導に対しまして、海員組合が非常に示唆を含んだ問題点を提起しておるわけであります。その問題点を提起しているのは、なるほどと思われるところもございますので、これを私ひとつ読みまして、参考資料にいたしまして、今後の運輸当局行政指導を待ってみたいと思います。  「過密が大きな原因だ。船長に先を急ぐな、霧のときはダイヤを守らなくてもよいといっても港が過密で、例えば神戸港、高松港などはバース(岸壁)使用開始時間が約十五分刻みで決めてあり、入港が少しでも遅れると予定のバースに他の船が接岸してしまっている事態も起こる。こうなると乗客の下船が大幅に遅れる。これくらいの霧ならという気持になりやすいうえ、入港遅れが重なると会社に悪く評価されることもある。」そういったたことから、「過密承知でさらに新航路増船を認可した海運局にも、スピードと快適さばかりを宣伝する会社にも責任がある」ということを言っておるわけであります。  変な話ですが、私は自民党という立場からこう言うことはおかしいのでありますが、やはり正しいものは正しいというふうに考えておりますので、いまの海員組合の発言に対しましては、私も同感するところがあるわけであります。どうかひとつこの面を十分御検討していただいて、今後ともりっぱなカーフェリー運航に処していただきたいと思うわけであります。  最後に、政務次官がお見えになりましたので、政務次官のこの問題に対する御所見をお聞きしまして、質問を終わりたいと思います。どうぞよろしく。
  19. 佐藤文生

    佐藤(文)政府委員 この一カ月くらいの間に起こったカーフェリー事故件数は、昨年一年間に起こった件数と匹敵するくらい集中的に起こりました。  「せとうち」に引き続いてこの問題が起こりましたので、私は、おとといですか、関係経営者社長クラス次官室に来ていただきまして、そしてどんな原因で起こったと思いますかということを、経験豊かな経営者、五十年のキャリアを持っておるような社長ばかりですから、具体的に聞いたわけです、私もこういう問題については勉強の最中ですから。  その中で知り得たことは、ある経営者は、五十年間ほとんど無事故でやってきて、残念ながらこの事故を起こしてしまった原因は、私は船長の選定を間違ったということを率直に言っておりました。ですから、船長責任というのが非常にあるのだなという強い印象を受けました。  それから第二点は、営業成績を上げるために霧中航行スピードを減速しないでおる。今度の場合は十四・七ノットでそのまま走った船もあります。十ノット以上のがほとんどでありまして、一社だけが二ノットに減速しておる。こういう具体的なこともはっきりしましたので、それは営業成績をあげるためにノルマを課してやっているんじゃないか、こういうぐあいに突っ込みましたら、絶対にそういうことはありません、こういう表現でしたが、その数日前、全日海の組合長はじめ数名の幹部も私の部屋に参りまして、そういうノルマ的なことでやっているのじゃなかろうかということがやはり重要な議題にもなりましたが、一応経営者としては全部それを否定をいたしました。霧中航行の場合はストップさせるということを言っておる経営者もございます。  しかし、具体的にいろいろ経営者に聞いてみると、完全ストップすると、他の船はフルスピードで走っているので、またそこで二重衝突する場合も起こり得るし、かえって衝突事故が頻発するということもあり得るので、その点について非常に高度な技術がいるやに私は受けとめました。  それからその話の中で、ある会社では視界二百メートルになった場合は出航を停止する、こう言う。ある会社規定では視界三百メートルの場合は出航を停止するというぐあいに、会社によって全部視界の長短が異なっている、こういうこともはっきりしましたので、はたしてそういうことで  いいのかどうか、これはケース・バイ・ケースとはいいながら、その向きも厳重に考えなければいかぬ。  それからバースの問題で、非常に短時間で行ったり来たり、出たり入ったりするものですから、やはり船長としてはストップすべきところを出航してしまうということも起こる可能性があるので、免許基準の一番重要な運航回数、それからバースの出発時間、係留時間、こういうようなことも十分考慮に入れて免許をしておるはずでありますけれども、やはりそういう点もいま少し厳密にやる必要がある。  こういうぐあいにして、今度は幸いに人命事故はなかったのですけれども、大きな事故につながらないという保証はない不安感を私は持っておりますので、さらに昨日海上保安庁長官を呼びまして、交通安全を実施してから十数日しかたっていない現況でございますので、特に東京湾伊勢湾瀬戸内海、こういうようなところにつきましては、いまのままの安全法だけでいいかどうかということをさらに私突っ込んだわけです。  非常に予算のかかることですけれども東京湾だけが実施しておるレーダーによるところの航法の指示、それをむしろ、瀬戸内海あるいは伊勢湾あたりの非常に複雑な航路を持っておるそういう地域については、レーダーでなくても無線放送で、霧中航行の場合は、どの船はどこを通っている、どのくらい減速して走っているのだ、あるいはストップする場合には十一の航路から出てどこでいま停泊しているのだということが、何か霧の間は通達できるような装置も将来は早急に考えなければならぬじゃないかといったような問題について検討を命じました。  それから、海難の場合の避難の場合における訓練が「せとうち」の事故のときに明確になりまして、救命浮き袋救命いかだは出しましたが、それを切断するナイフがどこにあるかわからぬということで大あわてになってみたり、かいがないということで大あわてになってみたりということもありますので、その訓練も十分にやらないと、非常の場合における安全確保がまだまだ不徹底である、こういうことも現時点では言われますので、そういう点も十分に、視察だけじゃなくして海運局を総動員して指導をしていきたい、こういうぐあいに考えている次第でございます。
  20. 中村弘海

    中村(弘)委員 ただいま政務次官のお話を聞きまして非常に心強く思うわけであります。  いずれにいたしましても、この運航管理規程が、安全確保の見地から当局としては各会社にきめさせたつもりであろうが、事実は経済優先のシステムで、ダイヤに余裕がないという声も起こっておるわけであります。そういったことからいろいろ考えてみまして、ただいまの佐藤運輸政務次官のおことばに心強いものを感じますので、最も尊敬する政務次官でございますから、御在任中必ずこの問題を実行していただきたいということをお願い申し上げまして質問を終わります。
  21. 久保三郎

    久保委員長 次に、井上泉君。
  22. 井上泉

    井上(泉)委員 これは運輸省からいただいたカーフェリー霧中海難事故で、それぞれの事故違反有無点で、船舶職員法違反なし、こういうことが各事故の船に記入されてあるのですが、これは船舶職員法には違反がない、こういっておるわけですが、それだとこの衝突は合法的になされたものか、海上衝突防止法海上交通法、これらにも違反をしてない、こういうことになるのかどうか、保安庁から御説明を受けたいと思います。
  23. 紅村武

    ○紅村政府委員 まだ最終的な結論に達していないものが多いのでございますけれども船舶職員法違反ということがありませんでも、たとえば往来危険罪でございますとか、ほかに刑法その他の条文が適用されることがあろうかと思います。ただ、海上衝突予防法は罰則はございませんので、そのための処分はいたしておりません。
  24. 井上泉

    井上(泉)委員 この船舶職員法違反なし、こういうふうにしゃくし定木に法律違反をしてない、こういいましても、やはりこれは安全運航というものに遺漏があったために起こったことであるし、そのための原因追及というものはいまなされておるということでありますけれども、しかし、やはりなされておるというその過程の中でも、絶えずこういう事故というか危険は、瀬戸内海にしろ東京湾にしても危険一ぱい状態であるわけですが、いま運輸政務次官言われたレーダーとか無線とかそういうふうなことによる措置というものが早急にとられるようなことにはならないのか、相当準備期間が要るものかどうか、この点をひとつ保安庁のほうから説明を受けたいと思います。
  25. 紅村武

    ○紅村政府委員 お答えいたします。  先ほど政務次官から御答弁ございましたように、昨日私ども長官が非常に示唆に富んだ御指示を受けたわけでございます。  ただ、航空機の場合と異なりまして、船舶の場合は非常に航行の態様もいろいろなものがございます。そういったことで、また、船舶のほうに必ずその受信する施設というものを新しく別個に設ける必要があるのかないのか、その辺も今後検討いたす個所はありますけれども、技術的にもいろいろ問題はありますし、また、経費的にも相当ばく大なものがかかると予想されておりますので、私どもといたしまして、政務次官の御指示に対しまして早急に検討を進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  26. 井上泉

    井上(泉)委員 役所の答弁は、早急とか検討とかということですべてが逃げられるわけですけれども、その早急に検討ということが、見通しとしては、そういう無線とかレーダーとかというようなことを使用するような状態にまで持っていくのには、時間的にだいぶかかるのか、来年か再来年あたりなんですか。
  27. 紅村武

    ○紅村政府委員 お答えいたします。  まだ私ども実は詳細な検討をいたしておりませんので、具体的に来年、再来年というようなことをまだ申し上げられない段階でございますけれども、やはり相当の年月がかかるのではないかというふうに考えております。  ただ、それとは別個に、たとえば霧情報の伝達というようなこと、これは現在すでに私ども保安部がやっておりますし、それから地方気象台でもやっておりますが、そういったものの精度をさらに上げる、あるいは情報の提供をきめこまかくするというようなことにつきましては、早く検討をいたしまして、できるものから実施に移してまいりたいというふうに考えております。
  28. 井上泉

    井上(泉)委員 それでは、最近起こったカーフェリー海難事故は避けられないものであったのか、あるいは十分注意をしていろいろな措置を講じておったならば、霧中警報なり何なりそういうものから船長が十分な配慮をしてやれば避け得たものかどうか、このことはどうですか。これは別にひまの要る調査じゃないと思うが……。
  29. 紅村武

    ○紅村政府委員 まだいずれも捜査中で、最終結論に達しておりませんので、はっきりしたことは申し上げ得る段階ではございませんけれども、おそらく大多数のケースは避けることができたのではないかというふうに考えております。
  30. 井上泉

    井上(泉)委員 なかなか普通の刑事事件とは違うのですから、捜査捜査中ということばはそうたいして遠慮なさらぬでもいいと思うわけですが、たとえば「せとうち」のフェリー火災事故、これなんかも当然避けられることではなかったかと思うわけですが、このフェリーの炎上の経過はどうなっておるのですか、現在のところ。
  31. 紅村武

    ○紅村政府委員 お答えいたします。  「せとうち」の事件につきましては、実は船体構造の問題が若干あるのではないかというふうに考えるのでございまして、実はあの事故の直後に、船舶局のほうから調査団を派遣いたしまして、現地調査をいたしております。この調査をいたしておりました首席船舶検査官のほうからお答えを申し上げたいと存じます。
  32. 内田守

    内田説明員 お答えいたします。  まず、どうして火が発したかということでございますが、もちろん私ども調査は、海難審判法に基づく調査ではございませんので、最終的な結論ということではございません。最初に火が出たということにつきましては、左の舷の六番かまたは七番のシリンダカバ——シリンダがあるわけですけれども、それに排気管がついております。それで排気管に、これはルールでもきまっておりますが、防熱の石綿を巻きつけてあるわけでございますけれども、それがシリンダとの接点のところが防熱が十分されていなかったのではないか。つまり裸のパイプがそのまま露出していたのではないか。この温度はおそらく五、六百度には達していたものと考えられます。  一方それに対しまして、燃えるものといたしまして、どこかから漏油があったに違いない。その漏油としては、私どもはそのシリンダに行っております高圧の燃料油管かまたは燃料油冷却油管、安するに油の入っているパイプがあるわけでございますが、その締めつけておりますナットがゆるんだかあるいはどこかすれて穴ができていたか、いずれにいたしましても、そういう個所から漏油か噴霧状に出て、それがいま申しましたパイプの株の露出の部分に触れたために火災が生じたのではないかというふうに考えております。したがいまして、防熱の問題あるいは点検等によるそういうバルブの締めつけ等十分やってあれば、そのような火災発生は起こらなかったのではないかというふうに考えております。
  33. 井上泉

    井上(泉)委員 運航管理自体、大体スケジュールで、たとえば何時までに西宮の港へ着かなければいかぬ、あるいは何時までに高松へ着かなければいかぬ、その接続の関係、そういうようなことに追われて運航しているということ、そのことについては、いま中村先生のほうからも、そういうふうなスケジュールに追われて安全というものは無視されておるのじゃないか、こういうことを言われたわけでありますが、この運航管理規程というのは各社でそれぞれきめておるというのですが、この運航管理規程というものは運輸省のほうでそれをチェックして、この運航管理規程でやればよろしい、これはだめだと、こういうふうなことをするようになっておるのかどうか。なっておるとするならば、その運航管理規程というものは実行されていないと、こういうことになると思うわけですが、これはどうでしょう。
  34. 佐原亨

    ○佐原政府委員 昭和四十五年に海上運送法の改正を行ないまして、ただいま先生指摘運航管理規程の新設をしたわけでございます。法改正の直後、運航管理規程のモデルを作成いたしまして、各海運局を通じて各船会社指導を行なっております。さらに四十七年になりまして、モデルだけではなお足らざる面がございます、それを補足する意味において運航管理規程の細則基準というものをつくりまして、各会社指導いたしております。  ただ、具体的な数値になりますと、各船会社の船の性能その他で個々まちまちでございますので、役所のほうから一律にこれを定めるわけにまいりませんので、具体的な数値は、各社の運航管理者あるいは船長の意見を反映させて具体的にきめさせておる、こういう次第でございます。
  35. 井上泉

    井上(泉)委員 運航管理規程は各社がやっておることであって、別にそういう管理規程ではだめだとか、あるいは西宮の港には五時にはこの船が着く、五時半にはこれが着く、六時にはこれが着くというようなことになっておるというようなことも、総合的には港の管理者にはわかっておると思うわけですが、そういうふうな港のいわゆる船の出入りに応じたところの運航管理規程というものがつくられておるかどうか、そういうこともわからない、こういうことに理解をしていいですか。
  36. 佐原亨

    ○佐原政府委員 西宮の港に何時に着く。いわゆるダイヤの問題だと思いますが、ダイヤにつきましては、もちろん船会社を中心にいたしまして、地方の海運局海上保安部署、あるいは港湾管理者、関係者協議いたしまして、無理のない形で運航ができるようなダイヤを組ましておるつもりでございます。  ただ、霧が発生いたしまして霧中航法に移った場合に、そのとおりダイヤが守れない。これは安全のたてまえからいえばしごく当然のことでございまして、霧中の場合にはその定時制を犠牲にするというのが常識であろうかと思います。  今回の一連の事故につきましては、その点が、海上衝突予防法等にきめられておりますルールが守られなかったということが非常に残念な点でございますが、今後一そうその点厳重に指導を尽くしてまいりたい、このように思っております。
  37. 井上泉

    井上(泉)委員 これは昨年の九月に行政管理庁から、非常に欠陥カーフェリーが多い、これに対する実態の調査をして、そういう欠陥カーフェリーを排除せよ、こういうことで海運局にそういう指示があったというようなことを聞くわけですが、その欠陥カーフェリー調査はなされたかどうか。そしてなされた結果はどうであったのか。なされていなければ、それはその報告はできないわけですが、そのことについて……。
  38. 佐原亨

    ○佐原政府委員 行政管理庁の勧告は、主として港湾面におけるいわゆるトラックなり自動車の積みおろし施設、いわゆる可動橋その他、そういったことに対する欠陥が指摘されたものと思います。  これらにつきましては、地方を通じまして港湾管理者あたりとも十分協議をさせて、不備な点は直すように指導をいたしたつもりでございます。  船舶そのものについての欠陥というものは、そのときはなかったのではなかろうか、これは船舶局が来ておりますので、船舶局からお答えさせます。
  39. 内田守

    内田説明員 お答えいたします。  昨年十一月に、私ども地方海運局に対しまして通達を出しまして、船舶検査官のカーフェリーに対する立ち入り臨検、あるいは整備状況等、いたすようにしたわけでございます。昨年暮れを含めまして延べ約四百隻についてそういう臨検をやったわけでございますけれども、たとえば救命設備の整備であるとかそういう点検、整備について不十分な点も若干見られましたけれども、それらはそのつど改善をさせたわけでございます。  なお、構造、設備等基本的な問題につきましては、定期的な検査を実施しておりますし、基本的に不都合であるというような点はございませんでした。
  40. 井上泉

    井上(泉)委員 行政管理庁の欠陥カーフェリーの総点検を実施せよという指示の内容等については、私自身調査不十分でありますので、いずれまた、この経過が当時どういうようなものであったか、調査をしてから質問をいたしたいと思うわけですが、これはカーフェリー瀬戸内海その他非常に多いわけです。いまたとえば瀬戸内海を例にとってみますと、瀬戸内海には小型タンカーというものも相当多い状態にあるが、この小型タンカーと衝突をしたりする場合というものもこれは予想されなくてはならないわけです。  その際において、小型タンカーが油が流出をして付近の漁業者に非常に被害を与えた、そういうときに、小型タンカーのものは、俗にいう一隻を持って船会社をいわば小運搬を請け負うているような会社ですが、その場合に流出をした油によって一億、二億という漁業補償が必要になった場合に、全然その能力がないものが多いということを承知をしておるわけですが、それらに対してはどういうふうな対策がとられておるのか。つまり小型タンカーが衝突をして油がまけて漁業被害を与えたが、その補償能力がタンカーにはない。ないからには漁業者は泣き寝入りをしなければならぬのか、あるいはそれに対しては救済の措置があるかどうか、そのことをひとつ……。
  41. 佐原亨

    ○佐原政府委員 タンカー事故の結果、油が流出して周辺に被害を起こすということは当然予想されることでございます。小型タンカーの業者自体は確かに零細な業者がございますが、俗にPI保険、船主責任相互保険組合というものがございまして、ほとんどのタンカー業者はそれに加入するように指導いたしております。PI保険に入りますと、そういった油流出による被害も保険でカバーできるようなたてまえになっておりますので、まず現実には、金額には制限はございますけれども、救済措置はそれによってはかれる、このような措置を講じておるような次第でございます。
  42. 井上泉

    井上(泉)委員 実際的には救済措置は、保険金額が少ないのですから、とてもできるわけがないです。  そういう点を質問しておりますと、時間がたちますので、その点については後日に譲るといたしまして、この七月一日から海上交通法が実施されて、その実施をされた関係で、連絡によって、たとえば例をあげますと、大阪を二十一時四十分に出て八時二十分に松山へ着く関西汽船が一時間あまりおくれた。そのおくれた理由を聞くと、きょうから海上交通法が実施をされたから、だから非常に運航が手間どった、こういうような話を聞かされたわけでありますが、この海上交通法の実施に伴って定期的にいままで八時二十分に松山へ着いておったのが、海上交通法どおりやっておると、これは結局九時、十時になることはあたりまえのことになるのかどうか。その点どうですか。
  43. 佐原亨

    ○佐原政府委員 七月一日から海上交通法が施行になりました。したがいまして、特定水域におきましては速力の制限などが規制されるわけでございます。したがいまして、いままでのダイヤどおりには動けないわけでございまして、五月でございましたか、全国に通達を出しまして、海上交通安全法を前提にしたダイヤの見直しを命じております。したがいまして、五月末までには、地方関係者集まった上でダイヤの見直しが行なわれたものと承知しております。  先生指摘の松山の下りの件は、まだ具体的に私、つぶさに聞いておりませんけれども情報によりますと、ダイヤの改正の結果ではなくて、やはり霧が発生したためにおくれたんだというふうな情報がわれわれのほうには参っておりますので、もう少し詳細調べてみたいと思いますが、もしダイヤどおり動けないようなことがございましたならば、見直しが不十分であったということになりますので、一そう注意して再チェックしていきたいと思います。
  44. 井上泉

    井上(泉)委員 海上交通安全法が実施されて海上運航についての秩序が保たれるということ、これはけっこうなことですが、このことによって漁船等の被害とかいうようなことについての苦情はまだ聞かないわけですけれども、私、この機会に、国鉄の船舶局長にお尋ねをしますが、ホーバークラフトが宇野−高松間を走っておるわけで、一回、あれが非常に問題になっておったものですから、私、ホーバークラフトに乗せていただいたわけです。高松−宇野間を、普通の連絡船で行けば一時間のを約二十分で行く。スピードも早いし、快適といえば快適な状態でありますが、漁船とのトラブルが就航し出した以後においては起こっていないのか。あるいはこれそのものの安全というもの、付近航行船舶の安全、高松を起点としてタンカーやフェリーが行きかうわけですが、これについての危険状態というものは一回もなかったのかどうか。そういう点のご説明を承りたいと思います。
  45. 秋田豊

    ○秋田説明員 お答えいたします。  ホーバークラフトは昨年の十一月八日から就航いたしておるのでございますが、開業以来今日に至るまで、事故は一件もございません。  このホーバークラフトの就航に際しまして、種種な面で安全面を考慮したわけでございますが、まず航路の設定にあたりましては、基本的に海上保安庁の御指導を受け、また関係漁業組合十一組合とは数十回にわたりまして交渉を行なって今日のものをきめた経緯もございます。  安全対策といたしましては、この就航前に、実はホーバークラフト・オペレーションマニュアルというものを作成いたしまして、日本海難防止協会に研究を委託しまして、その道の権威者に集まっていただきまして、オペレーションマニュアルを作成して、乗員の任務あるいは操船あるいは異常時の措置というものについての対策をきめたわけでございます。  また第二に、欠航の基準をきめまして、これも風速十二メートル、波高一・二メートルあるいは視界千メートルというようなシビアな線で欠航基準をきめておるのでございます。  第三に、あらゆる船舶に対しまして、ホーバークラフトのほうが全部これをよけていく。早期にかつ全面的によけていくということをきめております。  それから、危険防止を考えまして、夜間の営業をやめております。  運用上の対策といたしましてはそういう点でございますが、乗務員の訓練といたしましては、営業運航に先立ちまして、三カ月間の実船訓練をやっておりまして、これは実ハンドル時間で少なくとも四十五時間という定めに対しまして、九十時間ないし百時間という訓練を実施いたしております。  また、五月十七日には海上保安部と共同で実際の救難総合訓練を実施いたしておりまして、異常時に対応いたしておるわけでございます。  消火設備につきましては、客室と機関室との間は防火壁になっております。また、携帯用の消火器のほかに、機関室自身につきましては、遠隔操作でガスを一斉に噴射して消しとめるというような設備ができておるのでございます。  そのほか、救命胴衣あるいは救命いかだというようなものにつきましても、これは法定を上回る、要するに定員以上の数を設備いたしてございますし、また、国際VHFあるいは国際鉄VHFあるいは携帯用のVHFというような通信設備につきましても、十分な用意をいたしておるつもりでございます。
  46. 井上泉

    井上(泉)委員 カーフェリーは非常に利益を上げておる。その利益を追求するために少々の霧も吹っ飛ばせ、こういうことでやっておるのがそういう結果を招いておると思うわけですが、これからまだカーフェリーの要求というものはかなりありはしないか、こういうように思うのですが、カーフェリーの現況及び将来について、これがふえるような状態にあるのかどうか、その点この機会に御説明をお願いしたいと思います。
  47. 佐原亨

    ○佐原政府委員 まず現況でございますが、カーフェリーの中にも渡し船程度のものもございます。そういった短距離のものまで入れますと、事業者数で百六十八、航路数で二百二十一、フェリーの隻数で四百三十三。このうち、最近非常に話題になっております中長距離フェリー、百キロ以上の航送距離を持つフェリーだけについて申しますと、事業者数で三十、航路数で三十三、隻数で七十三、こういう状況でございます。  短距離フェリーはほとんど昔の旅客船がフェリーに切りかわったということで、あまり数の増加は考えられません。問題は中長距離フェリーでございますが、今日の、ただいま申しました航路数あるいは事業者数というところで、われわれといたしましては、まず一応のネットワークはこれで整ったのではなかろうか、あとは内容の質的充実をはかってまいりたい、こういうふうに考えておるわけであります。  もちろん、先生指摘のように、なお免許を求めて申請が出ておることは事実でございますが、その必要性等につきましては厳選主義で臨みたい、このように考えております。  ただ問題は、離島関係で今後新たに出てくることが予想されます。それから陸上の道路の混雑状況、運転手不足、こういった労務面からカーフェーリーに対する要望もかなり出てくるのではなかろうか。それから、農業県から大都市に対しての生鮮食料品あるいは青果物の直送体制、こういった需要も今後考えられます。  そういった需要面を十分見きわめまして、陸上のフレートライナーとの関連も十分見きわめた上で、厳選主義で臨んでまいりたい。今後に対する方針としては、目下のところそういうように考えております。
  48. 井上泉

    井上(泉)委員 カーフェリー運航管理というものが——質問があと先になるわけですけれどもいわゆる運航管理規程というものが各業者にまかされておるという御説明であったわけですけれども、それぞれの港については、ダイヤ等についても調整をとっておる、こういっても、船のことでありますから、現実にはダイヤどおりには汽車のようには動かないので、かなりダイヤに対しても余裕を持ち、そして安全運航基準というものもきちっと定める。  そうしておかないと、少々の霧は、このくらいな霧ならまあ行けるだろう、ある者は行けると言い、ある者は行けないと言うような感じの中で、そこで会社のほうはそら行け、こういうことで、いわばかなり無理な航行というものが行なわれておるということには間違いないわけですから、この運航管理規程というものを、これは四百五十社ぐらいであるし、それを点検するというてもそう幾月もかかる問題じゃないと思うわけですが、この主要な、たとえば瀬戸内海だとかあるいは東京湾だとか、こういうふうな主要なところの運航状態というものをひとつ点検し直したらどうか、こういうふうに思うわけですが、その点検をし直す必要が現在ないのかどうか、このことをひとつ海運局長にお尋ねしたいと思います。
  49. 佐原亨

    ○佐原政府委員 先ほど申しましたような要領によりまして、これまでのところ指導はいたしてまいりました。  ただほんとうにすみずみまで目が届いていたかと言われますと、地方海運局にも人数の限度もございますので、一〇〇%完ぺきではなかったかもしれません。今回の事故を契機にいたしまして、先生おっしゃるような運航管理規程細則の見直しをすでに地方海運局に命じまして始めさしております。今週の末には地方海運局運航部長を集めまして、その辺のところを、本省との間の意思の疎通を十分はかりたい、注意すべきところは徹底的に注意をさしてやっていきたい、このように考えております。
  50. 井上泉

    井上(泉)委員 海運局長は非常に熱心にそういうふうにお話をされて説明されておるわけですが、そのことをひとつ具体的に進めていただきたいと思うわけです。しかし、大体において海上保安庁にいたしましても、事故が発生をした、そこで大あわてにやって、その事故の発生の原因については、あとで原因はどうでも追及ができるわけですが、そういう事故を起こさないための措置というものがいろいろ検討され、準備もされるというような中で、延々年月を経過すると思います。  これは私が落選する前の国会におったときに、小型タンカーの事故があって、それに対する油の流出による事故で、その被害の補償というものが非常に不十分、いわゆる陸における一匹オオカミと同じようなもので支払い能力がない。保険はかけてあるが、その保険もごくわずかしかかけていないわけですから、とても一億、二億の補償を二百トン、三百トンのタンカーを持って運航しておる船会社に支払いの能力があるはずがないわけで、このことでたいへん委員会でも論議をされ、その中でそういう荷主、つまり小型タンカーの場合にはその荷主である石油会社に、やはり補償の義務を負わすというようなことを検討する、こういう答弁を、その当時の会議録を見てもらったらわかるが、されておるわけです。  ところが、それから五年たっておりますけれども、全然そのまま、前向きになっていないわけですが、こういう問題を含めて佐藤政務次官、いまのお話、中村先生への御答弁に対しても熱意を込めた御見解が披瀝をされたわけでありますが、そういう一匹オオカミの小型タンカーによる被害というもの、これの補償を十分でき得るような体制というか条件というものを整備してもらいたいということ、さらにはまたカーフェリーそのものの運航管理というものも、それぞれ事故の多発するところあるいはフェリーの多い地域においての運航管理規程というようなものを、再検討し直して航行の安全を期するような、そしてまた、他の船舶に対して被害を及ぼさないような、そういう措置というものを打ち出していただきたいと思うわけですが、これは政策的なものにもなろうと思いますので、ひとつ政務次官の御見解を承って私の質問を終わりたいと思います。
  51. 佐藤文生

    佐藤(文)政府委員 私は国際的に見て、日本ぐらい四つの島でたくさんのカーフェリーが走っている国はないんじゃないかと思います。私も船舶局長なり海運局長なりあるいは海上保安庁長官によく聞きまして、大体同意見でございますから、非常に海上交通の面でカーフェリーが東西南北に走り回っておるという、こういう現実であります。  そこで、この安全対策については、ただいま先生の言われました運航管理の面、それから損害が起こった場合におけるところの補償の問題、さらに船体の構造面についてのさらに徹底した対策、それから船員に対する教育、こういったようないろいろな面についていま少し突っ込んだ検討をして、そして結論を出し、新しい立場で行政指導していくということについて私の考え方を申し上げたい、こう思っております。
  52. 久保三郎

    久保委員長 平田藤吉君。
  53. 平田藤吉

    ○平田委員 カーフェリー問題、さっきからたいへん問題になっておりますけれども、何しろ年間四千七百万人からの旅客が利用し、車も千九百万台にのぼっているというのですから、たいへんなことだというように思います。最近のカーフェリー「まりも」「室蘭丸」「おりおん」「おくどうご2」などが相次いで衝突事故を起こしておりますけれども事故原因については先ほどからいろいろ聞いておりますが、私はさらにこの事故を起こしたカーフェリー会社における運航管理がどうなっていたのかという点についてお尋ねしたいと思います。  まず最初にお聞きしたいのは、これらのカーフェリー事故が起きたときには濃霧警報発令中とか視界が五十メートル、百メートル、五百メートルとか、こういう状況の中で起こっているわけです。運輸省では各船会社運航管理規程というものをつくらせて、海上運送の安全をはかっているはずですけれども、これらの事故を起こしたカーフェリー会社にはこれがつくられているのかどうだったのかということについて、まずお聞きしたいと思います。
  54. 佐原亨

    ○佐原政府委員 運航管理規程につきましては、海上運送法の改正をまちまして、一律にこれを行なっておるわけでございますので、当該事故を起こしました会社につきましても、運航管理規程はつくらせております。  お尋ねの運航中止の条件等につきましても、具体的に三百メートルあるいは二百メートルというふうに、会社の規程では定められております。
  55. 平田藤吉

    ○平田委員 運航管理規程では、視界距離との関係運航中止条件を設けているはずだけれども、「まりも」「室蘭丸」「おりおん」「おくどうご2」については視界が〇〇メートル以下になると運航を中止するという規程になっているのかどうなのか、視界どれくらいを運航中止の条件にしているのかということをお聞かせいただきます。
  56. 佐原亨

    ○佐原政府委員 ただいま申しました三百メートルあるいは二百メートルという具体的な数値のもとに、まず出航のときに出航を中止するかどうかの判断基準というものは採用されております。出航するときにはその条件でなくて、出航後そのような同じような条件になった場合には、船長運航中にその条件に達した場合には、その船舶を避泊するなり反航するなりというような適宜な処置をとる。これまた船の運航でございますので、一律にきめますとかえって別の問題も起きますので、あくまでもその辺は、最後船長の判断にまかせておるわけでございますけれども運航管理規程といたしましては、出航後そういった条件になった場合にもいろいろ安全をおもんぱかれというような形になっております。
  57. 平田藤吉

    ○平田委員 そうすると、今度のこの四つの場合いずれも運航を中止する条件にはなかった。また、運航船長の判断にまかせてあると言われたが、船長の判断でどういう状況のもとで——運航速度を落としたりいろいろな方法をとらなければならないと思うんだけれども、その船長の判断する基準というのは何になっていますか。
  58. 佐原亨

    ○佐原政府委員 運航中止の条件が二百メートルとか三百メートルときめられておるわけでございます。現実の気象、海象の条件は、新聞にも報道されておりましたように、さらに短い、五十メートルとか、非常な濃霧に突っ込んでしまった、こういうことでございます。  したがいまして、そうなりますと、海上衝突予防法一般原則に帰るわけであります。霧中航法というものが海上衝突予防法ではっきり法律できめられております。ですから船長は、当然その霧中航法のルールに従って運航すべきもの、その点が残念ながら守られなかった、こういうことでございます。
  59. 平田藤吉

    ○平田委員 また、運航管理規程では、運航管理者船長との間で連絡をとりあって運航中止等の指示だとかあるいは打診などを行なうことになっているはずですけれども、これらの事故を起こしたカーフェリーについてはどうなっていたのか。  それから、通信の記録を残すようになっているのかいないのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
  60. 佐原亨

    ○佐原政府委員 あとのほうからお答えいたしますが、記録等は当然航海日誌その他に記載することになっております。  今回の事故の場合に運航管理者船長との間の連絡がとられたかどうかということでございますが、目下のところ調査中ではございますけれども、どうもとられていなかったような形跡でございます。
  61. 平田藤吉

    ○平田委員 通信の記録を残すと言われましたけれども、通常通信の記録というのは、何かノートでもしておいて残すようになっているのですか。どういうふうになっているのですか。
  62. 佐原亨

    ○佐原政府委員 ちょっと通信業務自体、私いまつぶさに承知しておりませんので、後ほど調べてお答えさせていただきますが、当然通信する場合には、発信簿に記案いたしまして船長決裁をとってからするわけでございますから、当然その原議は残っているはずでございます。
  63. 紅村武

    ○紅村政府委員 お答えいたします。  実は私も専門家でございませんので、あるいは間違っておるかもしれませんが、船に、通信記録簿といったと思いますけれども、そういう記録簿がございまして、そこに通信の内容を記載するようになっておるというふうに承知いたしております。
  64. 久保三郎

    久保委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  65. 久保三郎

    久保委員長 速記を始めて。
  66. 平田藤吉

    ○平田委員 運航中止等の指示、打診などを行なうことになっているはずなんですね。そうなっているのにそれがなされていないということについては、なぜなされなかったか、そこのところをはっきりさしてください。
  67. 佐原亨

    ○佐原政府委員 今回のケースは、おそらく出航したあとでそういった霧の状況になったと思われます。したがいまして、船長が現象を発見いたしましたあと、船長のほうから運航管理者にどうすべきか協議をいたしまして、運航管理者がこうこうせよ、こういうのが一応の運航管理のたてまえではなかろうかと思います。  今回の場合は残念ながらその連絡がとられないままに事故が発生しておる、こういうふうに了解しておるような次第でございます。運航管理者のほうから指示をする、その前提条件が運航管理者として把握できなかった、こういうことだろうと思います。
  68. 平田藤吉

    ○平田委員 出航してしまう、そうするとあと、船というのは連絡がとれないようにできているのですか。連絡をとれるようになっているとすれば、打診や指示を受けるようになっているはずなんでしょう。それをなぜやらなかったのか。そういうふうになってないのか、出航してしまうとどうにもならないのか、そこのところをはっきりさしてください。
  69. 佐原亨

    ○佐原政府委員 本船と運航管理者の間には当然通信手段によりまして連絡はとれるはずでございます。それがなぜなされなかったかということは、ちょっと私の口からもお答えしかねるような、なぜしなかったのか、あるいはなぜスピードを落とさなかったのか、この辺は私としても判断に苦しんでおる、まことに残念なことであると思っております。
  70. 平田藤吉

    ○平田委員 六月二十日の東京新聞には、「まりも」の近海郵船会社海務課長の話ということで、「濃霧が発生したからといって、その都度減速したら定時運航も不可能だ。」ということが載っているわけです。企業においてこのような安全犠牲の経営方針が公然と行なわれているとすれば、監督官庁の責任は重大であると言わざるを得ないと思うのです。どのような指導を行なっているのかお聞かせいただきたい。
  71. 佐原亨

    ○佐原政府委員 その新聞記事、私も拝見いたしましたが、安全を犠牲にして定時性を守れというような指導をしたことは一度もございません。むしろ定時性は犠牲にしても安全を守れという指導をしているわけでございます。したがいまして、その会社の担当者がどういう意図でそういうことを言ったのか、監督官庁といたしましてはさっそく会社質問をいたしましたが、そういったことを言った覚えはないという答えがわれわれのほうには返っておるような次第でございます。
  72. 平田藤吉

    ○平田委員 現実に起こっている事態はこのとおりのことが起こっているわけでしょう。さっきの質問の中にもありましたけれども、とにかく減速したら港へ着いた際にいろいろ支障が起こる。減速によってあるいは衝突事故が起こるかもしれぬというような状況が言われているわけですね。したがって、減速したらとにかくあとがたいへんなんだということが中心にあるということは、さっきの論議の中でも明らかです。そういう指導をしておりません、そういう指導をしていないけれども、こうやって事故が相次いで起こってくるというのは一体何なんだ、どうするつもりなんだということをお聞かせいただきたい。
  73. 佐原亨

    ○佐原政府委員 霧中航法は海上衝突予防法ではっきりきめられておるわけでございますから、霧の中を走るときには減速するのが当然でございます。それによってダイヤが乱れましても、これまた当然のことでございます。そういうような指導をいたしております。減速したためにかえって安全が阻害されるということはございません。港の近くへ行って、それこそ運航管理者船長が連絡をとれば十分安全は守れると思います。霧の中でスピードを落とすなというような指導をしたことは一度もございません。
  74. 平田藤吉

    ○平田委員 霧の中でスピードを落とすなという指導をするはずはないでしょう。あなた方は安全を守れ、安全を守れと言っているけれども、口をすっぱくして言えば言うほど事故が起こっているというのが現実なんじゃないですか。その責任を監督官庁としてどうとるのか、はっきりさせなさいよ。
  75. 佐原亨

    ○佐原政府委員 一連の事故が起こりましたこと、まことに遺憾に思いまして、会社に対しても、それからその他の業界に対しましても、厳重に通達を発して指導をいたしました。先ほど申しましたように地方海運局の部長を集めまして緊急に会議も行なうようにいたしました。  起こりました事故につきましては何ともおわびのいたしようもございませんけれども、今回の事故を契機にさらに十分指導を徹底さしてまいりたい、このように考えております。
  76. 平田藤吉

    ○平田委員 とにかく私のほうの調査でも、さっきの数字と若干違いがあるんだけれども昭和四十二年に十件、四十六年二十六件、四十七年二十六件、そしてことしになって七月現在で二十一件になっている。去年の一年分のものがこれまでに起こっているという状況なんですから、これは指導しております、指導しておりますと言ったって、とてもじゃないけれども安心して——あなた方はほんとうに指導しているのかというふうに疑わざるを得ないですよ。ある程度やむを得ないと思って目をつぶっていて、そして事故が次々と続発していっているという状態ではないかというふうに考える以外ないでしょう。  海上交通安全法が七月から実施となっておりますけれども、これに伴う運航管理規程の改正は済んでいるのかどうかお聞かせ願います。
  77. 佐原亨

    ○佐原政府委員 先ほどもお答えいたしましたが、五月に通達を出しまして、七月一日から施行される海上交通安全法の、いろいろ特定水域における航法の修正がございますので、それにあわせて見直しを六月末までには行なえということになっておりますので、もうすでに七月に入っておりますので、当然ダイヤの見直しは行なわれたものと思っております。
  78. 平田藤吉

    ○平田委員 いや、私が聞いているのは、改正は済んだのかどうなんだということを聞いているのです。済んだものと思われますということを聞いているんじゃないですよ。あなた方はこういう事故が起こった際に、一日もゆるがせにせずに、一刻も早くこういうものをきちっとさせておくということが大事だから聞いているのですよ。済んでいると思いますではあなたの想像にしかすぎないじゃないですか。はっきりさせてください。
  79. 佐原亨

    ○佐原政府委員 六月末までにやれという通達を出しております。したがいまして、七月に入ってまだ地方海運局から報告が来ておりませんので、私がここで確認しておったと言うのはうその答えになりますから、確認はしておりませんけれども、六月一ぱいで改正が行なわれたものと考えておる次第でございます。
  80. 平田藤吉

    ○平田委員 それならあなた、できておるかどうかわかりませんと言うのがほんとうですよ。ものと思いますなんて思っているから、いつだってそういうきれいな返事をしていて次から次へと事故が起こっているじゃありませんか。そういうものの考え方がやはり問題を起こすもとになるのですよ。七月と言ったって、もう何日たっているのですか。七月も三分の一を過ぎているのですよ。しかもこういう事故がいつ起こるかわからないのですからね。それは一刻も早く把握して、不十分なものは直さしていく、指導していくというのがあたりまえじゃないですか。  こうして聞いてきますと、以上の点でも明らかなように、頻発するカーフェリーなどの海難事故のほんとうの原因というのは、安全を犠牲にせざるを得ないスケジュール優先の運航管理体制をしく企業の責任、またそれに対し安易な許認可を行なってきた監督官庁の責任にあることは明らかだというふうに考えております。私の質問に対しての答弁も私は十分納得できません。これはあらためて質問を行ない、事故のほんとうの原因を明らかにしていかなければならないというふうに思うわけです。いずれにしても現地調査等もやって、その上でさらに問題をはっきりさせていきたいというように考えております。  最後に、これらの海難事故を防止するために次のような措置を緊急に講ずべきだというふうに思いますけれども、見解をお伺いしたい。  その一つは、海運局の新規航路の認可基準を抜本的に改め、きびしい基準を制定する。  二つには、海上交通の繁雑する特定の水域においては、夜間におけるカーフェリー運航を全面的に禁止する。  三つ目には、カーフェリー運航ダイヤを総点検する。  さしあたって大ざっぱに言って以上の三点があるだろうというように思うのですが、どうお考えか、お聞かせをいただきたい。
  81. 佐原亨

    ○佐原政府委員 まず一番最後ダイヤの見直しの点からお答えいたします。  これは当然やらすべきであろうし、すでに検討を始めさせております。  それから夜間禁止の問題でございますが、これは海上保安庁その他とも相談をさせていただきませんと、にわかにはお答えできませんけれども、必ずしも夜間は船は走れないというものではないと思いますので、そこまでの措置が必要であろうかどうか、やや私個人としては疑問を感じております。  さらに最初の免許基準の問題でございますが、一応検討させていただきますけれども免許基準につきましては一応六項目のうち安全のチェックが三項目にわたっておりますので、その線に沿って今後も十分チェックをいたしてまいりますれば、基準そのものは変える必要はなかろう。ただその基準というものはあくまでもルールどおり守られるという前提でつくられておりますから、むしろ免許を与えたあとのいろいろなルールが守られるかどうか、そちらの監督を厳にいたしますれば、基準そのものは変えなくてもよろしいのではないか、これが私の考え方でございます。
  82. 平田藤吉

    ○平田委員 新規航路の認可基準を抜本的に改める必要がある。この認可基準をめぐる問題についても、私はやはり検討すべきだろうというように思うのですよ。とにかくカーフェリーがどんどんふえてくるという状況のもとにあっては、このままでいったらたいへんなことになると思いますね。  それから夜間におけるカーフェリー運航を全面的に禁止する必要があるのではないかと言っているのは、海上交通の繁雑する特定の水域と私は言っているのですよ。一般的に全部夜間は禁止しろと言っているのではないのですよ。とにかく事故の起こりやすいと考えられる特定の水域について考えておきませんと、これから先、取り返しのつかない大事故につながっていくのではないかという心配があるので、その点を聞いているのです。そこのところをもう一度答えてください。
  83. 佐原亨

    ○佐原政府委員 私個人の気持ちから申しますと、その必要はないと私は思いますけれども先生の御指摘もございますので、海上交通安全法を担当する海上保安庁とも十分打ち合わせまして、検討させていただきたいと思います。
  84. 平田藤吉

    ○平田委員 私の持ち時間が来ましたので、終わりますけれども、いずれにしましても、この間紺野議員の質問に対してきれいな口をきいたあとすぐにこの事故ですよ。ですから、あなた方も監督をする当局として、やはり国民の安全ということをしっかり踏まえて抜本的にものごとを考え直しませんと、いままでのような、だいじょうぶなんですという認識ではもう安心はできないのだ。そのことを、この間の連続する事故は示しているわけですよ。一晩に三件も起こっているわけでしょう。ですから、いままでの認識を改めて、そして国民の安全の立場から、根本的に全面的に検討することを要求して、私の質問は終わりますが、いずれ調査をした後にあらためてまた検討させていただきたいというふうに考えます。  以上で終わります。
  85. 久保三郎

    久保委員長 沖本泰幸君。
  86. 沖本泰幸

    ○沖本委員 いろいろ御質問が出たわけですけれどもカーフェリー、こういうふうなケースの出のはなかなか小さくはなっていかないで、これからますます複雑多岐になっていくことは想像できるわけですね。種々の御質問がありましたけれども、御質問が飛び飛びになるとは思いますけれども、お答えしていただきたいと思うのです。  この間から考えておるのですが、海上交通安心法ができたわけですけれども、これができたのは、大型タンカーなり何なりが狭水道へ入っていく場合に、非常に事故が起こりやすいという点から、いろいろ考えがこういうところへ集中されていって、私たちがこれに関連して法律をつくった、こういうことになるわけで、そのほかの小さな問題があと回しになっていっているんじゃないか。法律が先にできて、それに伴ういろいろな問題が、付随されていく問題が十分半まだできないままに、急いでこういうものに実際みな応じなければならないというふうな事柄も起きているんじゃないかということなんですけれども、これとは別に、先ほどお話があった陸上のフレートライナーとの関係、あるいはこれからますますコンテナの問題がふえてくるし、新しい船型のものもどんどん国際海上で使用されていくというような内容、そうすると、特定のバースなり専用バースなり、いろいろな形のものが要求されていく。それが同じところ、狭い狭水道なり港なり、港湾施設の中でいろいろ複雑化していくわけです。ですから、そういうものを全体に含めました、日本の総合交通体系の中で占めるこういうふうな役割りというものの考え方ですね、そういう点に十分な研究、調査あるいは分析、こういうものが、その上に立っていろいろな問題が小さく分担されながら進められているかということになってくると、ちょっと首をかしげたくなってくる、こういうことになってくるんじゃないかと思います。  御説明の中にありましたけれども、同じフェリーにおいても目的がほとんど違ったような形で、いわゆる渡船的なカーフェリーもあれば、あるいは中距離的な内容のレジャーを含んだ内容のカーフェリー的なものになってきている。ですからレジャー的なものを含んだフェリーなのか、あるいは貨物輸送を助けるためのカーフェリーなのかというようなものの考え方も、これからいろいろ業者の方も考えてやってくるだろうし、いろいろとまた新しい進展も出てくるんじゃないか、こういう中で事故が続発した、こういうことになるんじゃないか。  そういう点から、やはり一度すべてのものを、この問は火災から問題が提起されたわけですけれども、もう一度フェリーについて、あるいはこういうふうなコンテナあるいはフェリーというような内容、先ほどいろいろお話しました点について、徹底的な点検なり研究なりが早急にされなければならないんじゃないか、こう考えられます。  たとえば本四架橋というものが将来実現した場合に、フェリーの必要性というものがどの程度になっていくのか。そうすると、その中のフェリーか減るのか、現状のままであるのか、あるいは瀬戸内海という、外国における大きな川にもひとしいような水域の中でのそういう船の持つ役目ですね、そういうものがどういう形でこれから将来役割りを果たしていくかという点について、まだ私は明らかになっていないと思うのです。そういう点は、海運局長なり御関係のほうでそれぞれ御協議しながら研究ができ上がっておるんでしょうか、どうなんでしょうか。
  87. 佐藤久衛

    佐藤説明員 まず、先生の御指摘の総合交通体系の中でフェリーというものをどういうふうに考えておるか、こういう御質問が第一点であろうかと思いますので、まずそれについてお答え申し上げますが、一昨年の十二月に、政府部内に臨時総合交通問題閣僚協議会というものがございまして、そこでフェリーを含めまして各種交通機関の位置づけをいたしておるわけでございます。  まず旅客輸送の分野においてどういうふうに考えるかということでございますけれどもフェリーは、長距離の旅客輸送の分野におきまして、航空機あるいは新幹線とともに一つの役割りをになわされる、こういうふうに考えております。  それから貨物輸送の体系ではどういうふうに考えておるかと申しますと、陸上、海上の交通機関を結合いたしましたいわゆる協同一貫輸送、こういうシステムがあるわけでございますけれども運輸省におきましては、その中でカーフェリーというものと陸上の輸送というふうなものを一体として考える、いわゆる協同一貫輸送の体系の中で、やはりカーフェリーというものは大きな役割りを果たすのではないか、こういうふうに感じておる次第でございます。そういう方向で臨んでおるわけでございます。  それから第二点は、瀬戸内海架橋というふうなものが実現いたしました場合に、フェリーの役割りというふうなものはどういうふうに変わるか、こういうふうな御質問であるかと思いますが、確かに先生指摘のように、四国と阪神地区、あるいは中国地方とを結びますこの南北の交通経路というふうなものは相当大きな変動があろうかと存じます。しかし、同時にまた九州地区と阪神地区とを結ぶ大きな動脈の役割りをこのカーフェリーがになっておるわけでございますので、その部分につきましては相当大きな機能を果たすのではないか、こういうふうに存じておる次第でございます。
  88. 沖本泰幸

    ○沖本委員 御説明はあったんですけれども、ですから、めったやたらにでき上がってくる、認可を申請してそれに認可を与えていくという一つの行き方と、やはり縦貫道路であるとか、日本の国を縦に、横に割っていくような道路体系と車の流れと、それから国民の生活の必要とする消費物資の流れ方と、そういうものと車と、それからフェリーと、こうつながっていくと思うのですね。ですから、そういう中で一体必要最小限度ではどの程度のどういう型式の船型のフェリーが一番最適であり、必要であるかというようなものが運輸省のほうでちゃんとできていなければ、めったやたらにできてくると思うのです。  瀬戸内海あたりですと、先ほどお話があったバースの問題もありますけれども、一つのバースをお互いに狭まり合って使い合っている。そのバースそのものは、近距離の大きい道路に一番近いところをねらっておる。それがすなわち港の中の奥のほうであり、あるいははずれたところであり、いろいろな角度からものを考えなければならないわけです。  いままで砂利業者がフェリーのほうへ変わっていったり、あるいは貨物運送をやっておった業者の方が将来の事業の進展を考えてフェリー業者に変わっていったり、在来のカーフェリー的なことのできる以外の人たちも相当カーフェリーに力を注いで、いっときは流行的にでき上がっていったわけです。そういうものがいま問題点を起こすところにきているということはないかと思うのですね。  ですから、濃霧の関係とかあるいは船の運航関係とか、そういうもののあり方というものがそういうふうな中で全く五里霧中的な船の扱い方に変わっていって、起こるべくしてこういうことが起き出してきた、私はこう考えておるわけです。  ですから、その辺、運輸省のほうでどうつかんでいらっしゃるか。あるいは保安庁のほうではそういうものに対してどういうお考えを持っているか、その辺ちょっとお答え願いたいと思います。
  89. 佐原亨

    ○佐原政府委員 先生指摘のような意味での、非常に科学的な緻密な検討はなされていないと思います。したがいまして、ある意味ではいままでは受け身の形で具体的な申請を受けて、その必要性の判断から免許しておったことも事実だろうと思います。  今後どうするかという問題でございますが、今後につきましては、先ほど申しましたように一応のネットワークはでき上がったように感ぜられますので、あとは厳選主義でまいる。その場合に、先ほどの道路との関係、それから生産地と消費地の直結の問題といった物流的な需要といったものを十分考慮いたしまして、厳選主義で臨みたい。いまの時点ではその程度のお答えしかできないと思いますが、先生おっしゃるように、さらに総合交通体系の中をもっと緻密に考えて計画することができれば、それがベターであることは間違いないと思いますので、関係各局とも十分相談いたしまして、処理してまいりたいと思います。
  90. 紅村武

    ○紅村政府委員 お答えいたします。  海上保安庁といたしましては、実は総合交通体系といった観点からではございませんけれどもフェリー安全運航の確保あるいは利用者の方々の安全の確保という見地から、いろいろできる限りの研究はいたしているわけでございます。しかし、それが当然船舶の経済性、ひいては総合交通体系のうちにおけるフェリーの位置づけという問題に関連する場合もあろうかと存じますが、そういう場合は、当然所管の海運局その他関係のどころと相談してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  91. 沖本泰幸

    ○沖本委員 これは最近、船の航行安全のためにレーダーをつけなければならないという義務づけ、あるいはあらゆる船に電話機なり無線をつけなければならないという義務づけとか、船の運航に関しても非常に科学的になっているわけです。ですから、そういうものがほんとうに生かされていかなければならないのだけれども、ほんとうに生きているのか、生きてないのかという点もまだわれわれ、わからないわけです。  ですから先ほど申し上げましたとおり、基本的なものを十分積み上げていっていただいた上から、こうだ、ああだというものをつかみ取ってやっていただかないと、どっちかというと、前から申し上げていますけれども、ばらばらの中から問題が起こってきているというふうに考えられますので、この総合交通体系というのは前からうちの党からは相当申し上げているのです。そしていまだかつて歴代の大臣の中で、これはやる、やるといってまだできたことはないのです、完全なものは。ですから、そういうものを受けて、では、海上輸送に関してはどうこうというものがちゃんとできなければならないと思います。  国鉄再建計画の中からも、国鉄の背負う内容のものと、あるいは海上輸送が背負うべきものの内容というものが、相当議論もされた中でもあるわけですから、当然そういうものが十分議論されて、また、それが科学的な分析ができ上がってこなければならないと思いますし、あるいは瀬戸内海のような狭水道の中の分析が十分できていなければ、これはできないと思うのですね。その上、かつ加えて、最近は船に乗る乗り組み員の希望者が非常に少ないし、あるいは長い経験を持った人が非常に少ない、あるいは船の運航に関しても、いまの点から昔より非常にむずかしくなってきている。それで陸上交通機関とあまり変わらないような役目を持つ仕事をする人たちも船の中に出てきているわけです。そういうふうな内容はやはり船舶運航に関しても多角的になってきているということになるわけですから、その辺もやはり十分計算して、それで将来に向かってのいろいろな指導なり、あるいはこれからこういうことになるのだからこういう資格を十分積まなければならないとかいうものでなければならないと思います。  ですから、これこれだけのものを備えたら認可ができます、こういうことで、ふろ屋さんならふろ屋さんが安全衛生設備なり、あるいは営業できる距離内なり、あるいは規模というものができたら、そのおふろ屋さんを認可してもいいかというと、やはり経営していく人たちの長年の経験なり何なりというものが相当力を及ぼしていくということになるわけです。そういう点から考えても、船舶を扱う人たちの扱い方というものの内容、会社の規模なり何なりというようなものが十分検討されていかなければ、もち屋はもち屋という点もあるわけですし、そういう点が、とんでもない人がとんでもないものをやり出しているというところのものがあったとしたら、認可した場合でも相当厳重な注意をして、安全な経営なり運航なりが十分安心できるところまで監督し指導もしていかなければならない、こういうところに問題点も出てくると思うわけです。  大ざっぱなことばかり申し上げておるわけですけれども事故が起きたあとであり、事故を防ぐためには、そういう内容のものを十分積み重ねていただかなければならない、私はこう考えておるわけです。  ですから、霧が発生した場合スピードをどういうふうにするかというふうな内容にしても、十分なものをやっていただかないといけないと思いますね。ですから、テレビなんかの気象のお天気予報の中でも、やはり濃霧が発生する、だからその付近を航行船舶十分注意をするようにということがありますけれども、同じようにラジオでもっとこまかい注意なりあるいはそれによって船の安全が十分はかられていくくらいの内容を持った予防なり連絡なりというものがなければならないと思います。  いっときは敷設機雷であるとか浮遊機雷とか、こういうものがあって航路の安全をはかるため相当な厳重なる連絡なり何なりがラジオなり何なり一般の連絡機関を通じて出されておったわけですね。やはりそういう内容のものが十分消化できるようなことで監督官庁のほうでも用意をしてあげるというような配慮が必要ではないか、こう思います。  当然、道路の上ですと——この間も冒頭の点でお話がありましたけれども、陸上の車だと運転して自分の思ったようにハンドルを切ってとめることはできるけれども、船は同じような扱い方ではいけないわけです。潮の流れもありますし、その流れに応じていくわけですから、視界が幾らでとめるのはどうである、お互いを認識し合う点の内容から、あるいは濃霧の密度から、あるいはその乗り組み員のそれに対する体制なり何なりというものが、一つの基準のもとで十分行なわれるようでなければならないと思います。  ですから、霧が発生したときには、まあたいてい朝早くであるとかそういう時期に当たるわけですから、そうすると当直の人しかブリッジにいなかった。非常にその手配するのがおくれた、ほかの者はみなある程度寝てしまっていたとか、そういう非常事態に対する内容なり何なりというものが十分でないような気もするわけです。  これはこれから御調査になったあとでいろいろ問題が出てくるだろうと思いますけれども、いつの場合でも、相当あとになって海難審判の結果、こういう問題があった、ああいう問題があった、そういう時分には相当向こうになってわかるわけですね。そういう点はやはり先取りをしながら、海運局なり保安庁なりで問題点指摘しながら、十分対応できるようにしていただかなければならないと私は考えるわけです。  そういう点について、今後に向ってどうあるべきかという点について、海運局長少しお答えしていただきたいと思います。
  92. 佐原亨

    ○佐原政府委員 まず気象、海象の観測データの早期通報の問題、これは運輸省の中にも気象庁がございますし、海上保安庁もそういった面の連絡を分担しているはずでございますので、いま一そう、その辺の迅速通報制度をできるかどうか、検討させたいと思います。  それから、今後どうあるべきかという点につきましては、われわれももちろん検討いたしますけれども旅客船業界自体も、今回の事故を契機に非常に反省しておりまして、自主的にこれも検討を始めております。役所の意見と業界の意見とかみ合わせまして、適確なものができればこれを取り上げて、前向きでやってまいりたいというふうに思います。
  93. 沖本泰幸

    ○沖本委員 保安庁はどうですか。
  94. 紅村武

    ○紅村政府委員 ただいま海運局長からお答え申し上げましたとおりでございますけれども、私ども海上保安庁といたしましても、私どもの立場からの調査あるいは捜査の結果発見されました問題点、あるいは改善すべき点がございました場合には、これは海運局その他関係のところに通報いたしまして、積極的に取り入れていただくようにいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  95. 沖本泰幸

    ○沖本委員 この前、あれは尾道の付近だったですか、フェリーと水中翼船ですかが当たったのが去年ですか、事故がありました。これは私たちが見ておっても、起きるだろうなと、こう私も予想しましたけれども、何か起きなければおかしいぐらいに、速い船とおそい船とがめったやたらに走り回っているんですね。こういう点もやっぱりある程度の内容を研究していただいて、私たちしろうと考えで、こうだああだということはなかなかいえないと思いますけれども、何らかの形で十分その安全をはかるような航路なり航法なりの研究をしていただきたいし、そういう点についての指示もしていただきたい。  それから先ほどお話が出ましたけれども、専用バースの点について中村さんの御質問にも出ておったわけですけれどもバースの使用が時間的に迫られるために急いでやらなければならない、こういうふうな無理が出てきておるわけですけれども現状バースでいいのか悪いのか。こういう点は皆さんの監督の守備範囲内というところで非常に違ってくるんじゃないかと思うのですね。ですから、そういう点も研究していただいて、バースをふやす点についてはバースをもっとふやしていただいて、時間的なダイヤを組む点において安全性がはかれるような方向に持っていかないと、ただ海の上だけの問題で片づく問題ではないと私は考えるわけです。そういう点は今後の改善のしかたとして考慮していただかなければならないんじゃないか、こういうふうに考えます。  ただ、厳重にこれは取り締まるべきでもあるし、規制もしていくべきであると考えますが、内容を十分考えていただいて、もう一度船会社自体を総点検していただきたいと思いますね。そういうものに応じられるだけの性格を持った会社であるかどうかという点ですね。  同じトラックでも、ダンプならダンプを持っている会社でも、一人がダンプ持っていて、あとあちこちいたんで廃車しなければならないのに、経済的な理由でどうしてもそのダンプを動かさなければならないという人たちも陸上にはあるわけです。同じように、船の世界にも同じことがいえるのじゃないかと思うのですがね。そういう点ももう一度検討していただいて、もっと深い面を掘り下げてフェリー会社も見ていただく、また、フェリーだけではなくて同じケースのものもいろいろあるわけですから、そういう点をやはりもう一度十分検討していただくことが必要ではないか、こう考えられますし、また乗り組み員についても、もう少し順応性を持った乗り組み員の訓練のあり方というものを考えていただかなければ、ただ火災の災害時について訓練する、監督官庁が見に行ったから、そのときだけ特別訓練して、あとは忘れてしまっておる、こういうことでは何にもならないと思います。  だから、船の乗り組み員としてこれだけのものはどうしても絶えず身につけていかなければならないような内容のものを持った乗り組み員が、ちゃんと乗り込んでいるような内容に深く検討も加えていただきたい、こういうふうに考えるわけですし、また、先ほどの話に戻しますが、規制もしなければなりませんけれども、その意味では、国鉄がストをやった場合に、それにかわる消費者の暮らしを十分守る役割りを果たしたのに、そういう機関が十分あったからという点も考えられるわけですから、そういう公共的に果たす役割りがもっと力を得て、国民のために公共性が発揮できるように、また、安全がはかられるような方向に、今後もう一度検討を新たに加えていただく、見直していただく、そういう上から方向づけをしていただいて、そういうものの結論を得られた場合にわれわれにも御報告をいただきたい、こう考えるわけです。  最後に申し上げた点について、次官からお答えいただきたいと思います。
  96. 佐藤文生

    佐藤(文)政府委員 この事故がずっと起こりましたので、先般の省議で私は、局長以下全員にひとつ発想の転換というか、これは流行ことばですけれども、思い切ってひとつ海運における事故防止対策というものの考え方を改めなくちゃいかぬじゃないかという話をしました。  先生も考えておられると思いますけれども、陸海空にわたりまして、まず安全度の戦いであり、混雑度の戦いであり、それから公害との戦いであり、それからスピード、いわゆる時間短縮度の戦いであり、そして科学は非常に進歩してきますから、いろいろな乗りものが科学的に非常に進歩してきます。その科学と現実との調和をどうするか。そして最後に、六点に、利用者へのサービスの戦い、こういう共通した六つの条件があるわけです。  ところが海運が違うのは、星があり風があり波がある。私はヨットをやっておるものですから——これが原則であって、その変化に応じたときにはじめてこの六つの問題をあとから出すべきであって、星があり風があり、あるいは波があり霧があるということ、この自然の戦いが前提なんだ。そのときにはそれを基準にしてやっていくという海運行政の事故防止対策を考えないと——カーフェリーの定義だというので、もう一定の時間で走らなければいけないというのが心理的にあると私は思うのです。この前、全日海の幹部も次官室に来て話したのですが、心理的にやはり一定の時間で一定のスピードで一定のお客さんを安全に運ばなければならぬ。だから、霧があったって風があったって一定のところに行くのが名船長だと言われる。ところが、それは違うのだ、霧があれば減速するのだ、風を一番おそろしがる船長が一等の航海士なんだ、そこに考え方を変えないといけないということを省議でも私は言いまして、陸上における定期バスとかあるいは定期のトラックなんというのは、これは定時にやり得なかったのは政治のまずさです。それは定時に走らせるように政治、行政レベルでもって徹底的に追及する必要があるが、海運に関してはそういう自然との戦いをまず第一に重視しなければならないということで、発想の転換をやるべきだということを話しました。  したがって、カーフェリーを中心に起こったこの事故対策については、そういう考え方で海運局長が言いましたとおりに、各海運局ごとに運航管理規程あるいは乗員の訓練あるいは経営者自身の考え方、それから全日海の働いている組合員の皆さん方の考え方、そういうものを総合的にひとつ再点検をして、海上交通における事故防止対策に乗り出していこう、こういうことで指導しているわけでございます。
  97. 沖本泰幸

    ○沖本委員 以上で終わります。
  98. 久保三郎

    久保委員長 渡辺武三君。
  99. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 五月の十九日に「せとうち」の火災沈没事故がありまして、それから六月二十日以降数件にわたるカーフェリー衝突事故が発生をいたしております。六月二十日には「まりも」、三十日には「おりおん」と「おくどうご」、それから七月二日「室蘭丸」、七月四日にはまた二件起きておりまして、「長州」と「第十一しょうどしま」、これらはいずれも夜半から早朝にかけてあるいは濃霧による視界不良、こういう状態の中で実はこの衝突事故が起こっておるわけでございます。  したがって、いまもいろいろ御説明がありまして、それぞれ安全に気を使っておるとおっしゃるのだけれども、このような気象条件のもとでは、現在の体制にはやはり問題があるといわざるを得ないわけでございまして、その結果がやはりこのような衝突事故のひんぱんとなってあらわれておる、こういうふうに思うわけでございますが、その真の原因は一体何であろうか。先ほど来から討議をされておるようでございますが、確かに乗り組み員の訓練不足もあるのでございましょう。さらには過密ダイヤそれ自身にも問題があろうかと思います。  いずれにいたしましても、総合的に考えて現在の体制というものが、通常のときならいざ知らず、このような気象条件のときにおいては、やはり不適確ではないであろうか、こういうふうに考えるわけですが、その辺はどのようにお思いになっていらっしゃるでしょうか、次官からお答えを願いたい。     〔委員長退席、太田委員長代理着席〕
  100. 佐藤文生

    佐藤(文)政府委員 陸上の各地域で、道路ばたに「狭い日本そんなに急いでどこへ行く」なんていう看板が全国各地に立っているのですけれども海上交通も同じようなことで、「狭い日本そんなに急いでどこへ行く」というようなことをやはり経営者船長も乗り組み員も考えていくということが大切だと思います。  先般事故を起こした五社の社長並びに代表者が来たときに、一つ一つ原因はあなた方どこにあるのですかと率直に聞いたんですが、はね返ってきたのは、船長の選定がまずかったとかあるいは霧中航海について全然減速しないというやり方はとんでもないことだとか言うけれども、そのバックグラウンドにあるのは、急いで周期的に物を運ばなければならないという何かそういうものが潜在しているという印象を私受けました。  したがって、行政面における一応の考え方は、こうしなくちゃならぬああしなくちゃならぬということはそろっておりますけれども、現実にそれが経営者に徹底し、それが乗り組み員に徹底して利用者に対して満足のいける安全運航になってないという不徹底さ、それからキャプテンとしてほんとうに霧中航行におけるところの的確なる決断と実行ができる適性を持っている船長があればいいんじゃなかろうか、私はこういうぐあいに思っているけれども、それもまた実行されていない現実、そういったような現実にぶつかっておりますので、先ほどお答えいたしましたようなあらゆる面について再検討を加える時期が来ておる、私はこういうぐあいに感じておる次第であります。
  101. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 船主の方々か何か知りませんが、私はきわめて責任回避的な言辞だと思うのです。安全訓練責任というものは一体だれが持っているのか。船長の選定を誤ったとか、霧中に減速しないのはけしからぬとか、あたかも責任はおれにないのだ、すべて乗り組み員にあるのだというようなことを言っておられると思うのですが、それ自身がもってのほかである、そういう態度だからこそ事故がいつまでたっても減らない。  実際に安全体制を整備したり、その安全訓練を行なう責任それ自体は船主にあるはずなんです。運航管理者にあるはずなんです。だから結局は、訓練をしておいても、かりに乗り組み員がそのようにやらなかったとしても、それはやはり自分自身の安全教育が悪かったかどうかという反省がなければならぬ。おれはよかったんだけれども、相手がやらなかったんだということだけでは、これは非常に大きな問題だと思うのです。  したがって、私は、もしもそういうことを運輸省がおやりになるならば、必ず使用者側と乗り組み員の代表者を一緒に呼んで聞いていただきたい、あるいは別々でもいいですけれども。そうしてその真の原因を把握していただかないと、ただ運航管理者だけを呼んでお聞きになれば、これは一方的な意見しか聞き入れられないと思うのです。そういう意味で、今後の行政に反映させるためにも、より公正な情報を得る必要があるのではないだろうか、こう思います。  そこで、先ほど来やりとりがありましたが、御承知のようにいま海上の交通は、海上衝突予防法というものがございまして、この中に霧中における航法等が定められておるわけですね。そうして視界が不良の場合は、あるいは機関を一時停止をしたり、減速をしなければいかぬ、こういうふうに海上衝突予防法で定められておるわけですが、実際にはこのカーフェリーは、いわゆる運航管理規程というものが存在をいたしておりまして、そしてその船自身の航行については、船長が絶えず地上の運航管理者と連絡をし、協議をし、そして指示を受ける、こういう管理規程になっておると思うのです。  そうなりますと、やはり相当本来的に危険の場合、危険が発生のおそれがあると船長が予感をいたしましても、陸上の運航管理者との連絡、協議等をやっておる——実際に陸上のほうはその実情がよくわからないわけですから、現場におるわけじゃありませんから、指示がおくれるというようなことが出てくると思うのです。そこで、ごたごたしているうち衝突をしてしまった、接触をしてしまったということもなきにしもあらずではないか。  さらに、そのような運航管理規程が別個に設けられておるとするならば、これはやはりそういう緊急時における船長の自主的な判断そのものがたいへん規制をされることになってしまいやせぬか、こういうおそれを私は感ずるわけですが、実際にはこの運航管理規程なるものがそのような障害を起こしておりませんか。
  102. 佐原亨

    ○佐原政府委員 運航管理規程を設けた趣旨そのものは全く反対でございまして、船長に対するアドバイス機関、船長の判断を補足するようなアドバイス機関という意味で設けたわけでございます。  実際の運用でそれが逆に働いていないかという御指摘でございますけれども、その辺はいま一度よく反省いたしまして、業界あるいは運航管理者の意見を十分聞く、船長の意見も十分聞きまして、もし改める点があれば改めさせたいと思います。  われわれが運航管理規程を設けました趣旨は全く別の、反対の考え方でつくったわけでございます。その運用が逆効果ということになっておるとすれば、これはさっそく改めるにやぶさかでございませんけれども、十分実情を把握してから判断さしていただきたいと思います。
  103. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 いわゆる助言的な指示を受けるためにつくったんだ、こうおっしゃいますが、常識的に判断をして、実際にいろいろな気象条件の変化が急に起こってきた、さっと濃霧の状態になってきた、そういう状態は船に乗っておる人しかわからないわけですね。それを一々陸上に連絡をして、どうしようか、時間がおくれそうだがというようなことを相談しておったら、これはむしろ障害以外の何ものでもない。  そういう緊急事態には船長の自主的な判断によって、法の定めるところによって減速をし、機関を停止する、これが最優先するのだということがこの運航管理規程の中に本来定められていなくちゃいかぬわけですよ。そういう運航管理規程があって、しかも、この運航管理規程は緊急の場合はやはり法律の定めが優先するんですよと、こういう教育がされ、実際に徹底しておればいいわけですけれども、おそらくそれらがあやふやになっておるんじゃないだろうか、あいまいになっておるんじゃないだろうか。そうなりますと、やはり船長といえども、そういうような運航管理規程ができておって、一々陸上との連絡、そして運航管理者指示を受ける、こういう制度になっておりますと、いざ一たん緊急の場合になって、それを繰り返しておったのでは、これは私はたいへんなことだと思うのです。  どうもいろいろ調べていきますと、そういう疑いが非常に強い。すべての者が協議決定をするんだという、そういうような仕組みにすらなっておる。これでは危急の場合における船長の自主的な判断というものを非常に制約してしまっておる、そして責任だけ押しつける、こういう状態になっておるんではないだろうか、こう疑わざるを得ないわけですよ。     〔太田委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、この辺のところはひとつ十分に再検討なり調査なりしていただきたいというふうに思います。  さらに、先ほど来これも問題になっておりましたが、いわゆる過密ダイヤ、陸上交通との連絡をはかるために、何時何分着というダイヤが組まれておる。そうしますと、それが余裕があれば別なんですけれども、これも調べてみれば実際にはすぐわかることなんです。船の航行時間、それからそれに接続する汽車の発車時間等々調べてみればすぐわかります。わかりますが、明らかに私は過密ダイヤではなかろうかと思う。  こう見ていきますと、明らかに安全よりもダイヤそのものが優先をしておる。安全よりもダイヤが優先をしておるためにこういうような事故が相次いで起こっておる。  これは普通の気象条件ならいいのですけれども、あまり事故が起こっておりません。確かに異常気象の場合にはこういう事故が頻発するということは、異常時におけるいまの航海の方法では、いまの体制では非常に問題があるんだ、こういうことにほかならないと私は思います。  さらにレーダーによる情報等が得られるはずなんでありますけれども、それらがどうなっておるのかよくわからぬ。  先日も、いま船舶職員法の改正をしておるわけですが、船員局長は、機関士を一人おろして一人にしたほうがいい、こうおっしゃっておるわけですけれども、私はたいへんそういうものにも関係があると思うのですよ。  たとえば海上衝突予防法を見ましても、いわゆる視界が不良になってきたとか、そうした場合には機関をとめよとか、減速をしろとか書いてありりますが、視界が不良になってきたとかあるいは危険が迫ったということは、一体だれが確認するのだということは書いてない。というのは、船尾が確認せよということかもしれませんが、たとえば船長一人だけが三百六十度を確認するわけにいきませんから、やはりそこには盲点が出てくるわけですよ。  そうなりますと、霧中における航行のときには一体どういう監視体制をとらなければいかぬかということは、見ていきますと、実際にはきめられていない。ただ視界が不良になって危険が迫った場合には、一時的に機関を停止してあるいは減速をして適当な速度——大体適当な速度というのはどれだけかわかりませんけれども、適当な速度で走らなければいかぬ、こう書いてあるだけで、ほんとうにそういう危険が迫ったぞとか衝突のおそれがあるとか、それを予知するのは一体何だろうあるいはレーダーを回しておりながら、それを監視しながら、操舵をしながら、しかもうしろを見ながら、とこういうことかもしれませんが、この瀬戸内なんかでもあるいは沿岸の航行の場合でも、こういう気象条件のときには非常に危険があるわけだから、いまの体制というのは一ぺんほんとうに総点検をしてみなければいけないのではないか。陸上と比べてあまりにも海上の安全というのがおろそかにされておるのではないか。つくづくまた痛感をさせられておるわけでございます。  そこで、近来におけるカーフェリー増加状況等々見ていきますと、この過密ダイヤといい、あるいは航路がふくそうするといいましても、すべてこれは運輸省が許可をしておるわけですね、現実には。したがって、先ほども問題になりましたけれども運輸省のこの許可基準というものがたいへん問題ではないだろうか。つまり新航路の許可基準というようなものが、そういうあらゆる諸条件というものを十分に把握をされて、そして認可基準にしておられるかどうか、実はたいへん疑問に思わざるを得ないわけでございます。  そこで、具体的な問題として一つお尋ねをしたいわけでございますが、苫小牧の港、御存じですね。ここでいまカーフェリーが数社入っておる。この苫小牧の港でカーフェリーが数社入って運航しておるわけですけれども、苫小牧の港には一体カーフェリーバースというものは幾つあるのでございましょうか。
  104. 佐原亨

    ○佐原政府委員 苫小牧港におきますフェリーバースは、港湾計画によりますと、昭和五十年までに二バースをつくることになっております。それまでの暫定期間はもとの石炭バースを使用いたしまして、現在は一バースで行なっております。一バースを先ほど申しました四社が交互に使用するというふうになっております。
  105. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 その一バースを四社が共同使用しておるということは、当然ダイヤがふくそうしてくると思うのですが、その場合はどこで待機をさしているのですか。
  106. 佐原亨

    ○佐原政府委員 ダイヤによりますと、日本沿海フェリー、これは東京 苫小牧間、それから太平洋沿海フェリー、これは名古屋から仙台を経て苫小牧、この二つの会社が早朝苫小牧着になっております。初めの会社が荷物、旅客をおろしましてから沖へ出てシフトをいたしまして、第二船目、別の会社の船が入ってまいりまして、貨物と旅客をおろしましてまた沖に出ます。そうすると、初めに沖に出た船がバースに着きまして、今度は荷物、旅客の積み込みをして出航をしていく、そのあとへ別の会社の船がまた入ってくる、こういうたてまえをとっております。  残りの二社は発着時間がすべて夕方でございますので、競合いたしますのは、いま申しました早朝に着く三社の間に競合がある、こういうことでございます。
  107. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 港湾局の方、おいでになっていますね。お伺いをしたいのですが、港湾局では、苫小牧の港そのものは、港外に出て待機をさせる、つまり運輸省が言っておりますシフト制といいますか、シフト方式をとっているために、先の船がバースに入っておる場合は着けられませんから、港外で待機をさせてカーフェリーを待たしておる、こういう方式をとっておられるようでございますが、実際あの苫小牧の港、港湾の外はそういう待機をさせておくのに適当な条件のあるところでございましょうか。
  108. 大久保喜市

    ○大久保説明員 お答え申し上げます。  苫小牧の港、防波堤の外側のほうにシフトしているフェリーが待機するということにつきましては、あそこの気象条件から申しますと、季節的に、また台風時、そういうときには非常に困難が伴おうと思いますが、それ以外のときでございますれば、若干の波はございますけれども、沖がかりしておられないというような状況にはございません。  好ましい姿としては、港内に停泊するのが好ましいわけでございますが、何ぶんにも苫小牧港は堀り込み港湾でございますので、港内に碇係しているための空間が十分ございませんので、現状においては、重複するときには、やむを得ずそういう港外に停泊ということをやっているような現状にございます。
  109. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 この衝突事故もそうなんですが、正常な気象条件のときにはあまり起こっていない。濃霧だとかあるいは風波が高いとか、そういうときにはあぶないわけですから、気象条件によってはあぶないけれども、平常の場合は影響ありませんというような、そういうつまらぬことではいかぬわけですよ。  安全をはかるためにどうするかという問題ですから、一番悪条件のときにどうあるべきかということを考えなければいかぬ。先ほど次官もそう言っておられたのですよ。一番悪条件の状態で本来考えるべきだ、こうおっしゃっている。その一番悪条件のときには大体問題がある、こうおっしゃる。にもかかわらず、同じ運輸省海運局はこれを許しておる、こういうことなんですよ。逆にいえば、港湾局は若干危険があると認めておる。にもかかわらず海運局は許可しておる。こういうことなんですが、運輸省自身にも問題がある。次官がここでおっしゃっておることと実際にやられておることとはたいへんに違うということなんです。  しかも、まだよそのバースを臨時に借用しているという状態の中で、数社のカーフェリー会社にそれを許可をし、しかも、過密ダイヤといいますか、同時刻のときにはそれを港外に待たしておく。特に海の場合は、霧が発生したり風波が強くなったりしますと、たとえば時刻をたがえておきましても、一緒になってしまうことも当然あり得るわけですから、一つのバースしかないのに、数社にそれを使わせるということ自身が安全を二の次にしておりゃせぬか。ダイヤ優先をして安全が二の次にされておる。実際には、幾らでもそういう証拠が出てくるわけです。  だから実際に、お答えの中で、安全を優先に考えております、あらゆる悪条件を考えて、それを優先して、それでもいいようにということをおっしゃるわけですけれども、実際にやられておることは、それとはうらはらなことがやられてしまっておる。一体この矛盾はいつ直されるのですか。たとえば苫小牧の場合。
  110. 佐原亨

    ○佐原政府委員 この問題につきましては、すでに全日本海員組合のほうからも抗議が提出されております。  免許に際しましては、港湾管理者あるいは海上保安部署、こういった関係者の意見も十分聞きまして、シフトを、望ましくはございませんけれどもバースができるまではそういう形でやるということで、意見照会した結果、免許をいたしたような次第でございます。決して好ましいとは思っておりません。  それで実は、現地関係者の間で協議会を設けまして、いろんなルールをつくって、そのルールを守っていただくようにお願いしておるわけでございます。  ルールどおりに行なわれれば、まず安全上支障はないという関係方面の意見でございまして、この件につきまして、全日海から苦情が参りまして、たとえば近くの室蘭港を活用したらどうかというような意見も承っております。この問題を提案いたしまして、相談もさせました。  ただ室蘭港につきましても、いろいろな別の問題がございまして、必ずしも室蘭港を使えば問題は解決するわけでもないようでございます。  暫定バースの時期を少しでも早めまして、港湾計画のほうを突貫工事で、二バースでなくても一バースでもいいから早くつくってくれというふうにお願いしておるわけでありまして、バースのでき上がるまでは現体制が維持、持続されるもの、このように考えております。
  111. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 バースが新設されるまで暫定措置としてやるんだ、こうおっしゃっているわけですが、その間における緊急措置は考えられませんか。  たとえば、いま同タイムのものが二つあるわけですね。日本沿海フェリーと太平洋沿海フェリー、これが同タイムに入ってくる。したがって、バースが使えないから待機させなければいかぬ、こういう状態なんですが、そのスケジュールの調整といいますか、時間帯の調整はできないのですか。
  112. 佐原亨

    ○佐原政府委員 現地で十分慎重に協議させておりますが、われわれのほうに入ってきております情報によりますと、早朝苫小牧に着きまして、それから札幌までの国道を走りまして、ちょうど札幌の朝市、生鮮食料市場の最後のせりに間に合う、こういうような状況のようでございます。  この物流の点を無視すれば、あるいはダイヤ調整が可能かもしれませんが、別途そういう流通面の要請もございますので、はなはだ苦慮しているところでございますが、バースができ上がるまでは現状を維持せざるを得ない、このように考えております。
  113. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 一緒に着いても一緒に揚がれないわけですから、揚がってしまうまでは待っていなければいかぬわけですから、私は時間の調整ができないはずはないと思います。同時刻にしてわざわざ二隻一緒に着けておいて、バースがないから一隻しか揚がれない。待たしておくのならば当然時間の調整はできるはずでしょう。どうして同じダイヤを組まなければいかぬわけですか。そんなにむずかしいことじゃないと思うのですよ。到着時刻を同じにしておいても、二隻一緒に積載の荷物を揚げるわけにいきませんから、一隻は港外に待機していなければならぬ。実際はこういうことになっているわけでしょう。  だから、どうせそうするならば、ダイヤのほうで調整して、大体それが終わるころに着く。これは気象条件の変化で狂うことはありますよ。狂うことはありますが、実際は一つしかないのに、最初からそういうふうにして同時刻に入港するようなスケジュールを認めること自身が、私はおかしいと思うのです。だから、認可をするときにそういう調整をさせるべきではなかろうか、こう思うのですが、いかがですか。
  114. 佐原亨

    ○佐原政府委員 再度検討はさせていただきますが、いろいろな事情がございまして、おっしゃるように簡単には調整がつかないように思われます。  物流の点を無視すれば別でございますけれども、着時間は消費物資の流通という面の制約もございまして、非常にむずかしいと思います。
  115. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 御答弁ですが、それは理解できないのです。着時間がと言われるが、港に着くのは同じ時間であっても、バースが一つしかないんだから揚がれないのです。そうすると、いまは早いもの勝ちなんですか。
  116. 佐原亨

    ○佐原政府委員 一社の船が六時に着くようになっております。第二船目はそれから三時間たった九時に着く予定になっております。その間に第一船が荷物をおろして沖に出ている、二船目が入って荷物をおろす、こういうダイヤになっております。
  117. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 三時間の幅があるけれども、やはりうまくいかないんだ、こういうことですか。三時間の時間的なズレはあるけれども、気象条件の変化等によって、たまたま一緒になってしまうこともあるとか、あるいは荷揚げの時間が何時間かかるか知りませんが、往々にして待機させなければいかぬときが出てくる、こういうことなんですか。
  118. 佐原亨

    ○佐原政府委員 今度は帰りの便がございまして、これが物流の都合から申しますと、夕方苫小牧を出るようになっております。ですから、最初の船がおろしてすぐ積んで、すぐ東京に向かって出るならば、先生おっしゃるようなことが可能かと思いますけれども、おろす時間と積む時間との間に物資の流れがあってタイミングがございますので、朝着いて今度出るのは夕方である。そうすると、どうしても一隻は沖に出て待たざるを得ない、こういうことでございます。
  119. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 いずれにしても、そのような一つのバースしかないところに四社ものカーフェリーが出入港をしてふくそうをしてくるわけです。しかもその港外は、港湾局も言っておるように、好ましい状態ではない。普通の場合ならばそういう問題はないと思いますが、こういう危険性のある港外、これは船に乗っておる人に聞けば、苫小牧という港の外は一体どんな状態だろうか、非常によく御存じなわけですよ。海上保安庁も、そう好ましい状態ではないというふうに思っておられると思います。にもかかわらず、どうしてそういうことがやられていってしまうのだろう。もしこれで事故が起こったら、一体だれが責任をとるのですか。どこの責任になるわけですか。また、船員が操船が悪かったとか、視界が不良にもかかわらず船を動かしたから、こういうことになってしまうのですか。
  120. 佐原亨

    ○佐原政府委員 現地における協議会のルール、私はこまかいところまで存じ上げませんので、保安庁のほうからお答えさせたいと思いますが、状況の悪いときには悪いときなりに保安部署の意見等もございますし、会社の判断もあろうかと思います。適宜な措置をとるようになっておるものと考えておりますので、決して好ましいとは思っておりませんが、しばらくはいまの形で続行させたい、このように思っております。
  121. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 時間がありませんから最後に、いま申し上げましたように、いろいろ問題が実はあるわけです。事故が偶然に起こったのではなくして、確かにその気象条件の変化という問題はありましても、それに対応する体制がきわめて欠陥が多いといわざるを得ないわけですから、私は早急にその辺のところを再検討していただきたい。特に先ほど来から要望がございますいわゆる新規の航路の認可基準、これらも十分考えていただきたい。  さらにはほんとうは人間を乗せている船ですから、航路自身を、外国ではもう採用していると思いますけれども、セパレートにすべきではないか。行きと帰りは相当離してしまって航路を設定をする、いろいろなことが考えられると思うのです。  私はそういう安全面の強化のためにさらに一そうの努力を強く要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  122. 久保三郎

    久保委員長 次回は来たる十八日、水曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十三分散会