運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1973-06-20 第71回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月二十日(水曜日)     午後一時三十二分開議  出席委員    委員長 久保 三郎君    理事 大竹 太郎君 理事 唐沢俊二郎君    理事 左藤  恵君 理事 中村 弘海君    理事 野中 英二君 理事 井上  泉君    理事 太田 一夫君 理事 紺野与次郎君       阿部 喜元君    越智 通雄君       加藤 六月君    片岡 清一君       佐藤 守良君    斉藤滋与史君       野田  毅君    野坂 浩賢君       沖本 泰幸君    松本 忠助君       渡辺 武三君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 新谷寅三郎君  出席政府委員         運輸大臣官房長 薗村 泰彦君         運輸省船舶局長 田坂 鋭一君         運輸省船員局長 丸居 幹一君         海上保安庁次長 紅村  武君  委員外出席者         水産庁海洋漁業         部長      大場 敏彦君     ————————————— 本日の会議に付した案件  委員派遣承認申請に関する件  船舶安全法の一部を改正する法律案内閣提出  第六九号)  船舶職員法の一部を改正する法律案内閣提出  第七四号)      ————◇—————
  2. 久保三郎

    久保委員長 これより会議を開きます。  船舶安全法の一部を改正する法律案船舶職員法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  まず、委員派遣承認申請に関する件についておはかりいたします。  両法案の審査のため、委員を派遣したいと存じます。つきましては、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 久保三郎

    久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、派遣委員の氏名、員数、派遣期間派遣地その他所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 久保三郎

    久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  5. 久保三郎

    久保委員長 次に、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。越智通雄君。     —————————————
  6. 越智通雄

    越智(通)委員 本日議題となっております船舶安全法船舶職員法、主として安全法のほうを中心にお伺いさせていただきたいと思いますが、どうも海のない選挙区だものですから、船舶なんというとあまりえてではございませんので、もし勘違いをしてお伺いをしていることがございましたらお教えいただきたいと思いますし、また逆に、しろうとの言うことにはえてして真実もございますので、その点はよくお気にとめてお答えいただければありがたい、このように思うわけでございます。  最初に、この両法案審議会答申を受けて提出せられた、このように感じているわけなんです。その審議会法律に基づくものであろうと思いますが、いかなる審議会であるかということと、それから、審議会答申を拝見いたしますと、安全法のほうはずいぶん長いこと審議したようなのに、職員法のほうはえらい短い審議のように思うのですが、一体どうしてそういうような状況になっているか、まず、審議会模様についてお教えいただきたいと思います。
  7. 田坂鋭一

    田坂政府委員 船舶安全法審議会模様を御答弁申し上げます。  船舶安全法におきまして、従来、五トン以上の一般のエンジンを持ちました船と、それから二十トン以上の漁船対象にいたしまして、安全基準を設け、検査を行なってきたわけでございますが、最近のレジャーブームによりますモーターボート等の増勢あるいは漁船遠隔海洋におきます操業、こういう状態がふえてまいりまして、小型船舶の安全の確保につきましていろいろ問題が起こってきたわけでございます。私ども国会におきましても、従来から、委員会等におきまして、これらの小型船舶安全確保について対処をするように、附帯決議等でいろいろ慫慂も受けてきたわけでございます。  そういたしまして、審議会関係でございますが、これらの情勢に対処いたしますために、運輸技術審議会船舶部会に、小型船舶の堪航性確保についていかなる施策をとるべきかということにつきまして、四十五年七月に諮問いたしました。これは運輸技術審議会が制定されます前に、運輸技術懇談会というのがございまして、その間にも相当御審議をいただきましたが、約一年間の御審議をいただきまして、四十六年六月に答申をいただいたわけでございます。  この骨子といたしましては、小型船舶については、船舶安全法におきまして安全基準を定め、検査を行なうにつきましては、認可法人と申しますか、国の機関に準じた団体において、民間の検査能力も十分活用して検査を行なうようにというようなことがその骨子でございます。  以上でございます。
  8. 丸居幹一

    丸居政府委員 私のほうの船舶職員法の一部改正につきましては、海上安全船員教育審議会という長い名前の審議会がございまして、これの船舶職員部会にはかることに規定されております。ここで審議をお願いいたしたのでございますけれども、大体一日くらいできまるというような感じでおったのでございますが、二回開きまして、二回目に決定をいたしました。ただ、その中で少し問題のある点につきましては、小委員会的なものを持ちまして、そこでもう少し詳しい審議をして、最終決定をしたというようなことで、審議としてはかなり尽くされたというような感じを持っておるのでございます。
  9. 越智通雄

    越智(通)委員 いまのお話で、まあわかったような、わからぬような気がするのでございますけれどもあとでその辺ちょっとお伺いしたいわけであります。  結局は、そうした法律を直さなければならないとお感じになったのは、事故が多いからだ、救難が必要だからということだと思うのです。両方法律案ともそうした意味人命尊重と安全ということが骨子になっている法律案だ、こういうふうに思うわけなんですが、そこで、海上保安庁おいでいただいていると思いますが、最近そういう海難事故というのが一体どのくらい発生しているのかということを、ここ三年くらいにつきまして、でっかい船が一隻沈んだらたくさん死んでしまったという年もあるかもしれないから、平均を知る意味で、ぜひお教えいただきたいし、それから、その海難事故というか救難を要した事案の中で、どういう原因なんだ、それは船が悪いから沈んだのか、運転が悪いから沈んだのか。これは非常に大きな差があると思います。それから、私どもが知っているのは、でっかい船同士がぶつかったというような話はときどき聞く、あるいは小さな漁船が帰ってこないということもときどき聞く。そういう大きい船、小さい船、あるいは漁船モーターボートの差など、できるだけ詳しく類別でお示しをいただきたいと思います。
  10. 紅村武

    ○紅村政府委員 救助を必要といたしました海難事故の実績を、日取近三カ年につきまして御説明申し上げます。  まず、全海難発生隻数は、四十五年が二千六百四十六隻、四十六年が二千六百隻、四十七年が二千六百五十七隻、おおむね横ばいという状況になっております。  なお、この四十七年の海難でございますけれども、二千六百五十七隻のうち千二百十二隻、大体全体の四五%くらいでございますが、これが漁船海難となっております。  それからモーターボート等レジャーボート海難でございますが、これは四十五年が百八十一隻、四十六年が二百四十五隻、四十七年が二百六十九隻、こういったモーターボートレジャーボート関係は年々増加の傾向にございます。  それから四十七年のレジャーボート海難でございますが、これを海難の種別で見てまいりますと、機関故障等の機器の故障あるいは障害、こういったものに起因いたします事故が百三隻、次いで転覆したものが七十八隻ございます。それから浸水が二十五隻、衝突二十一隻、こういうような順になっております。  それから、四十七年の数字はただいま申し上げましたように二百六十九隻でございますけれども、この二百六十九隻の海難のうち、運航の過誤、つまり人為的原因によるものと見られますものは百五十三隻ございます。
  11. 越智通雄

    越智(通)委員 そこで、船舶安全法並びに職員法を通じて感じられることは、漁船の問題とモーターボートの問題を一律に考えて規制していくことがはたして妥当かという一つ考え方が出てくるように思うのであります。全体のそうした海難を見ていくと、モーターボートの場合には実際に故障が起こって、いまの話にも出ていましたけれども機関故障といったって、操作が悪いから故障する場合だってあるわけで、何も整備が悪いから故障したとは限らない。自動車でさんざんわれわれが経験していることと同じだと思うのです。そうした運転のほうこそ一番問題なんじゃないか。モーターボート運転を考えなければいかぬし、いまのお話には出てきませんでしたけれどもモーターボートの場合には、乗っている人じゃない人に対して障害が起こる場合だってあるでしょう。水上スキーのロープを切っちゃったとか、泳いでいる人のそばに波が立って泳いでいる人が困っちゃったとか、そういうような問題があると思うし、漁船のほうは、これまた全然別に整備が悪い、まあことばは悪いけれども、おんぼろな船で遠くへ行って、とうていそういう遠くへ出るのは不可能な船で出ていったということに非常に問題が起こっている。そこら辺について、同一の法律でそれを規制していくこと、そのこと自身に非常に問題があるように思うのです。かりに私が、モーターボートを持っていませんけれども、持っていたとすると、これは船舶法でいうと一体どういう法律になるか、職員局長に伺いたいのだけれども職員法では船舶法を引いていますけれども船舶法では、私がモーターボートを持っていると、船舶法一条二号の「日本臣民所有ニ属スル船舶」に入るわけですかな。私がそれの運転免許を今度の法律で受けなければならぬとすると、私は「船舶職員として船舶に乗り組ますべき者」というのに該当することになるかどうか、そこをちょっとお答えいただきたい。
  12. 丸居幹一

    丸居政府委員 二つ御質問があったように思いますが、最初漁船等一緒にやる理由は一体どういうことかということでございますが、船舶職員法資格規定する法律でございますので、資格ということからいいますと、レジャーボートを扱うのも漁船を扱うのも同じことであるという考え方に立ってやったわけでございます。  それからもう一つ、実務的な面でございますけれども漁船レジャーボートも、ある場合においては同じところを走る場合があるわけでございます。そういうことで、やはり海のルールというものはみんなに知っておってもらわなければならないのじゃないか。いままでそういう点が非常に等閑に付されておりましたのは、いままで海のほうが陸と違いまして混雑しておりませんでしたね。そこで、比較的そういうルールに精通しなくても事故が少なかった。だんだんモーターボートもふえてまいりますと、漁船のほうの数もふえておりますから、そういったモーターボート全体がふえてまいりますと、お互いルールに精通しておってもらわないと、どっちが知らなくても事故につながるということでございます。  それで、特に私たちが心配をいたしますのは、海のルールは陸のルールと非常に大きく違っているのが一つでございます。それは陸は左側通行であるけれども海は右側通行である。だから、まつ正面から出会うときには右ハンドルを切らなければならない。それを全然教育しないと、つい左ハンドルを切るというおそれがあります。九十度に出会う場合、陸ですと左優先ですね。海ですと右舷に見たほうの船が優先するというところに非常に大きな違いがございます。それから、こういうかどを回ります場合には、陸上は左小回り右大回りということを教えるわけでございますが、海は全然それが逆で、右小回り左大回りというふうに回らなければならぬ。そういうことは漁業に従事される方も、それからモーターボートに乗る人もみんなが知っておって、初めて安全が確保できるということでございますので、そういう点で両方一緒にしてやるべきじゃないかというふうに考えた次第でございます。  それから、確かに船舶職員法の従来の考え方というのは、船舶職員というものはみんなプロであるという考え方からスタートしたことは確かでございます。したがいまして、船舶職員法規定の中には、資格を持った者を乗り組ませなければならない、乗り組まなければならないという規定になっております。モーターボートは、一人乗る場合は、それは両方にかかるのだと思います。自分船主船長になって乗り組むわけですから、自分はそういう資格の者を乗り組ませなければならぬ、自分はまたそういうふうにして乗り組まなければならぬ、両方にかかるのだと思います。現在の船でも、船主船長はやはり同じような考え方で乗り組み、また乗り組ましておるという考え方でやっております。
  13. 田坂鋭一

    田坂政府委員 モーターボート漁船との運航様態が違うので、これを安全法のような一貫した基準で安全を規制するのはどうかというような御質問かと存じますけれども船舶の安全につきましては、船舶安全法で骨格をきめまして、そういたしまして、安全法に基づきました省令によりまして、それぞれの特徴のある船あるいは船の種類、用途、そういうものにつきましてこまかな安全基準を定めておるわけでございます。先生の御趣旨のように、受けておるわけでございますが、この法案をお認め願いますれば、私どもは、モーターボートにつきましてはモーターボート用安全基準、それから漁船につきましては漁船用安全基準、そういうものを、省令になりますか、あるいは省令に基づきました通達、そういうもので定めていきたいというふうに考えておるわけでございます。  次に、船舶施設による事故と、それから乗り組み員瑕疵による事故の点でございますが、在来船、いままで安全法適用になっております船が約四万隻ございます。これらの事故を分析いたしてみますと、乗り組み員瑕疵によりまして起こりました事故は大体六〇%、それから施設によりますものが四〇%くらいと私ども思っております。それから、これらのモーターボート漁船等安全法のかかっておらない船の事故につきましては、逆転いたしまして、施設によります事故が六〇%、それから乗り組み員瑕疵による事故が四〇%、こういうふうな大体の傾向であると考えておりますが、それによりまして、いずれの問題につきましても十分対処すべきではないかというふうに考えておるわけでございます。
  14. 越智通雄

    越智(通)委員 大臣、実は何を申し上げたかったかと申しますと、いまお聞き及びのように、安全法職員法というのは表裏一体の問題だと思うのですが、その根っこに船舶法という明治時代法律がまだ残っているわけなんです。さっき申し上げましたように、日本臣民の持っている船とかなんとか書いてありますけれども、それに従って職員法のほうが先にできて、これは明らかに法律のでき上がった体系では、雇われている乗り組み員をどうするかということが書いてある体系になっているわけです。安全法のほうはそれからだいぶたって、これは戦後かと思いますけれども、だいぶあとからできたのじゃないかと思いますが、同じでありますか。そこは局長さんにあとでお答えいただければけっこうです。  こうした三つの法律体系が、実はそういう意味では新旧織りまぜてむずかしくできているところに、今度別々の審議会に別々に諮問して出てきたものを別々の法律でやろうとしている。ところが実際は、人間か物かというような感じではなくて、むしろ明らかに、対象の船のところでレジャー船漁船かということで分かれているのではないか。ことにレジャー船のほうは、もしかしたらこれから爆発的にもっとふえていくかもしれません。おそらく機関操縦しろうとだってできるようになってくるかもしれません。自動車ノークラッチが普及するように、もっと簡単なものができてくるだろう。漁船のほうは、操縦が簡単ということよりは性能がいいように、早いスピードが出なければいかぬとか、あらしにも転覆しないようにしなければいかぬとか、いろいろな別な要請に基づいてできていく。そういう全体の体系ほんとうにもう一ぺん再検討されないままに、現行の法律体系の上でそれを手直しすればいいんだということで、さっき保安庁からお話があったように、二千隻からの船がひっくり返っているのが防げるのですか。この法律を直すということは、ねらいとしては二千六百隻からの海難をゼロにするという目標がなければこの法改正意味がない。ほんとうにそういうことを、国会に対して、この法律さえやればたてまえとして二千六百隻をゼロにできます、それだけのかまえになっているかどうか、大臣からお話しいただきたいと思うのです。
  15. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 おことばでございますけれども法体系が悪いために海難が減らないということじゃないと思います。海難を少なくするためには、船舶安全法船舶職員法船員法、そのほかいろいろの関係法令を、十分に法の精神を守って励行する以外にはないのでございます。のみならず、法律を書いておきましても、船舶操縦しているのは人でございますから、海運会社海運会社漁業会社漁業会社というような、企業家はもとより、船を操縦している人たち、それが最大限の注意をもって、法律に書いてあるような精神をさらにもっと拡大するといいますか、それを十分に責任感をもってやってもらいますと、海難はなくなってくると考えざるを得ないのでございます。  法体系についていろいろお話ございました。実は私も古くから知っております。船舶安全法は前々からございましたが、いまの安全法のもとになったのは、実は私が立案したのですが、昭和七年から八年でございました。これは国際条約に基づいて安全基準ができたものですから、それに基づいてそのころ立案したものでございまして、それが基本になっております。最近は、一九六〇年でございましたか、安全条約改正されまして、それに基づいていまのような法律ができている。もちろんこれの裏表になるのは船舶職員法でございまして、構造の問題それから運用の問題、両方相まちまして船舶の安全が確保されるというのはお説のとおりでございます。  それから、船舶法関係お話しになりましたが、ちょっとこれは違った問題ではないかと私は観察しております。船舶法適用がないから日本船舶じゃないのだということではない。日本人の所有していますものは日本船に違いない。ただ、その船舶法という特別の、たとえば登録をいたしましたり、それから国旗を掲揚したり、外国へ行っても最恵国待遇を受けたり、通商航海条約によって特別の待遇を受けたりということのためには、やはり船舶法による日本国旗を掲げて、日本船籍を持ち、船籍証書を持っていくということが必要になってくるから、ある程度の船は船舶法規定によって処理されなければならぬということになっているわけでございます。それ以外のものは、場合によりまして、いままで都道府県知事船舶法に書いてあるような登録のようなことをやりまして、必要に応じた保護制度といいますか、そういう制度を維持しておったものと思います。  しかし全体の体系として、いまお話の最後にございましたが、たとえばモーターボートとか漁船とかいうのは、これは何もかもまとめて別の法体系にしたらいいじゃないかというのも一つの御意見だと思います。しかし、漁船に関しましては、古くから農林省との間に何回となく折衝がございまして、それぞれの分野において必要な規定お互いに協議連絡しながら整備してきたというような経過がございまして、今日の法体系が、条章からいいますと一番妥当なものである、各省ともそういう認識の上に立ってやっておりますので、それで来まして、今日まで別段安全を阻害するようなことはなかったと私は考えております。  しかし、将来の問題としては御意見一つの御意見だと思いますので、また機会がございましたら、そのときにはそういう御意見についてももう一ぺん考えてみるようにしたいと思います。
  16. 越智通雄

    越智(通)委員 大臣お話、わからないではないのですが、さっき冒頭に申し上げましたように、私どもしろうとからいうと、まだ何となく胸にすとんと落ちない法体系のような気がいたします。  話を進めさせていただきますけれども、というのは、いま言ったことに関係してくるのですが、今度この検査をやるのに、漁船モーターボートも同じ小型船舶検査機構でおやりになるわけですね。一体どのくらいの隻数対象に、どういう計画をお立てになっていらっしゃるか、一応局長からお話しいただきたいと思います。   〔委員長退席太田委員長代理着席
  17. 田坂鋭一

    田坂政府委員 お答え申し上げます。  今回御提案申し上げております船舶安全法対象拡大でございますが、拡大いたします船舶は、先ほど申し上げましたように、従来やっておりませんでした、エンジンをつけました五トン未満船舶と、それから二十トン未満漁船を主たる対象に考えておるわけでございます。  そういたしまして、これらの船が総計で大体十八万数千隻、正確には十八万七千隻というふうに考えておりますが、私ども考え方では、この、拡大されます検査対象船舶を分けまして、小型船舶検査機構とそれから国が検査を行なうものとに分類いたしておるわけでございます。そういたしまして、安全の問題の特に重要な、かつまた構造等の複雑なものにつきましては従来どおり——従来どおりと申しますか、国が直接やる。それから構造等の比較的簡易なものにつきましては機構にまかせるというふうに考えておるわけでございまして、漁船につきましては、当面対象になります船は大体国がやるようになります。それからモーターボート遊漁船等におきましては十二メートル未満船舶機構にまかせるというふうに考えておるわけでございます。  そういたしまして、機構は本部を東京に置きまして、都道府県に大体一カ所ぐらいずつ支部を置き、全体の整備されました状態におきましては総計大体二百九十名程度の人間によって運営されるというふうに考えておるわけでございます。
  18. 越智通雄

    越智(通)委員 局長のいまのお話で私は具体的な数字を伺いたかったのですが、私が伺っているのは、局長のおっしゃった約十九万ぐらいの隻数に対して、今度実際に法律改正によって適用される場合に、要するに一言でいえば、モーターボートばかり適用拡大になりまして、漁船はあまり入っていないんだ、こういうふうに聞くわけであります。一体今度の法律改正によって、小型漁船がしょっちゅう外に行ってマグロをとるんだか何か知りませんが、よく帰らないという新聞記事を見ます。ああいうのは何隻対象になるのですか。モーターボートなんかはどのくらいを見込んでいらっしゃるのですか。
  19. 田坂鋭一

    田坂政府委員 まず漁船の問題でございますが、漁船は二十トン未満漁船が約二十七万隻から三十万隻くらいあるかと存じます。非常に隻数が多うございますが、先ほど大臣からもお話がございましたように、漁船におきましてはその使用の様態あるいは企業者実態等がいろいろ複雑でございまして、従来から私ども通産省を通じ、また漁連を通じたりいたしまして調整をとってきたわけでございますが、当面この法の施行を円滑に行なっていくという趣旨から、特に安全の問題が重要になります遠距離に操業いたします漁船対象にいたすことに考えておるわけでございます。もちろん法律の面では全部の漁船対象になるように掲げられております。そういたしまして、三十二条におきまして政令に定めるものを除くようになっておるわけでございます。当面、対象になります隻数は大体八百隻くらいじゃなかろうかと考えております。  次に、レジャーボートモーターボートでございますが、モーターボートは大体約十万隻でございます。それから遊漁船は、これもレジャーの範囲で考えますと、遊漁船が大体六万隻。十八万七千隻のうちの、先生のおっしゃいますように、当面の隻数。これはレジャー関係モーターボート、遊漁船が主体をなす実態にはございます。
  20. 越智通雄

    越智(通)委員 そこで、いまのお話で、私はどっちかというとレジャーボートのほうが最近としては非常に問題だと思っているのです、これからどんどんふえていきますし。その前に、いまのお話で心配になるのですが、二十何万隻という漁船がありながら、八百だか九百だか知らないが、ずいぶんけた違いのものしか検査をしない、こういうことで一体いいのかどうか。農林省も水産庁のほうも、本来漁民の安全に関しては責任を持つべき官庁だと思いますが、どういうふうにお考えか、農林省からお伺いをしたいと思います。
  21. 大場敏彦

    ○大場説明員 ただいま運輸省の局長から御答弁がありましたように、漁船の数は非常に多うございまして、大ざっぱに申しますと大体二十七万七千隻になります。これは全海水の登録漁船の総数でございますが、それに対しまして約一万隻くらいがすでに適用になっております。適用になっておりませんのは二十トン未満漁船ということになるわけでございますが、今回予定しております漁船はそのうちの約八百隻、こういったことで、数としては非常に少ない、こういったことになるわけでございます。  御承知のとおり、小型漁船は、いま申し上げましたように、非常に多数にわたりまして、それからまた操業の実態もいろいろ複雑多岐にわたっております。これはもう申し上げるまでもないことだと思いますが、そういう意味で、また改正法案を効果的に混乱なしに実際的に適用していき、施行していくというたてまえからすれば、画一的な適用というものは、一ぺんに適用することは避けて、やはり操業実態に即した適用のしかたをしていったほうが現実的ではないだろうか、こういう考え方があるわけでございます。現に零細な沿岸漁民からも法改正の際画一的な適用は避けてほしいという切実な要望も私どもに届いております。そういった中で、今回の法の適用にあたりましては、特に遠距離に出漁したもの、それから安全対策上特に緊急なもの、こういったものをとりあえず取り上げまして、それを中心にして法を適用していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  具体的にどうするかということになりますと、ただいま御答弁がありましたように、政令で適用除外を指定するわけでございますけれども、業種別に洗いまして、また、業種別にその船の大きさを考えまして、それからまた、その船が具体的にどういうような程度の範囲で操業しているか、そういった操業実態を洗いまして、具体的にこの船は適用する、こういった船は適用しない、こういったスクーリングをしていきたい、こういうふうに考えております。  もとより私どもといたしましても、漁船の安全対策上いち早く本法が全面的に適用されることが望ましいと思っておりますが、先ほど申し上げましたこともありますし、技術基準の設定をいますぐ直ちに小型漁船について画一的にできるか、こういった技術的な問題もございます。それから零細な沿岸漁民の受け入れ体制という問題もございます。それからまた、これも技術問題ですけれども船用物品の開発、そういった技術的な進歩の度合いもありますので、もう少し様子を見ながら、逐次いろいろな準備体制に即応して拡大してまいりたい、かように思っておるわけでございます。
  22. 越智通雄

    越智(通)委員 まあ、いろいろ漁労しているほうからは、一ぺんに安全基準を高められて船を直せといったって、お金がないよという話かもしれませんけれども、さっき保安庁からもお話がありましたように、千二百十三隻四十七年に海難事故を起こしているわけですね。それで八百隻について今度新たに検査するといったって、千二百はそれじゃほとんど減らないんですね、いまみたいなお話ですと。法律では書いてない、法律の先の委任されたる政令か省令の段階の問題なので、まだ検討の余地はあるだろうと思いますけれども、よほどそれをしっかり詰めてもらわないと、船舶安全法を直しました、まだまだ船は沈んでいきますというたいへん妙なかっこうになるんじゃないか。それが漁労をしている人たちの経済的な原因であるならば、その経済的原因のほうを、補助金をつけるのだか何だか知りませんけれども、直してあげるということのほうに向かうのが方向だと思うんですけれども、その点について、水産庁でも運輸省でもけっこうなんですか、ぜひこれからの行き先についてお話をいただきたいと思います。
  23. 大場敏彦

    ○大場説明員 ただいま御指摘がありましたように、もとより水産庁として小型船舶の安全の問題をないがしろにするつもりは毛頭ございません。ただ、法の適用の問題について緩急があるということを申し上げただけであります。具体的に、総トン数が二十トン未満小型漁船につきまして、水産庁といたしましては、昭和四十一年から何年かかけまして、全国にわたりましてシラミつぶしな実態調査をいたしております。そういった調査結果に基づきまして、昨年の春、小型漁船安全基準というものを設定いたしたのでございまして、これはいうなれば小型漁船運航基準だとか、あるいは点検整備基準だとか、構造設備だとか、安全性のことだとか救難体制だとか、そういったもろもろの全般にわたっての安全の基準規定したものでございますけれども、昨年一ぱいかけまして、この基準の普及を末端にまで徹底させるようにはかっております。いろいろ県だとか、あるいは市町村だとか、県の漁連だとか、あるいは単位漁業協同組合、そういったところにも協力を求めまして、指導体制の確立につとめてまいっております。そういった形で、一方安全体制というものの充実ははかっておるつもりであります。  片一方、船舶安全法小型漁船への適用拡大の問題につきまして、逐次体制の整う——もちろん体制が整うのを待つという意味じゃございませんが、それを加速させるということも含めまして、その体制の整うのと照応させながら、緊急性の高いものをとりあえず適用させる、こういった考え方でおるわけでございます。
  24. 越智通雄

    越智(通)委員 まあ水産庁に、漁民に対する指導的立場から、目前の利害といいますか、そういうことだけで考えないように、やはり大きな海難があればいろいろ大きな負担も出ることでございますし、ぜひ今後とも十分考えていただきたいというふうに思うわけです。  次に、それとの関係が出てくるのですけれども、今後できる検査機構でございますね、ないしはそれに伴ういろいろな型式検査とか認定事業場だとかいうことが法律に書いてございますけれども、どうも見ていると、何かレジャー船を頭に描いて検査機構をつくっているような気がしてしようがない。漁船はまま子みたいな感じがしてしようがない。一体この検査機構というのは、今度つくったときに、さっき全部でき上がったら、五十年ですか五十一年ですか、二百人くらいの検査員を置く、こういうお話ですが、こういう検査機構自動車の場合も同じかもしれませんが、二百人も人がいたら、検査の手数料だけで膨大な機構を維持していくことはなかなかたいへんだと思うのです。また、漁船相手かモーターボート相手かということで、実際のやり方もずいぶん違うだろうと思うのです。その点についてどういうような——機構人間がふえていきます、金がどれくらいふえていきます、それと見合って、このくらいの検査件数があるからこのくらいの収入があります、うまくやっていけるのですという、そこの見通しを局長からお話をいただきたい。
  25. 田坂鋭一

    田坂政府委員 この機構検査手数料をもって運営されるというふうに根本的に考えております。そういたしまして、ただいま先生の御質問でございますけれども、まず人員の問題でございますが、当面四十八年、法が制定されましてから三カ月後に機構が設立され得るわけでございますが、四十八年度におきましては、本部と支部、本部は東京に置きまして、支部は三十カ所を設ける予定にいたしておりまして、逐次ふやしまして、最終的には支部は四十七カ所程度を予定しておるわけでございます。本部の人員は三十一名、支部は一支部大体四名を考えておりまして当面は百二十名、最終的には百八十八名くらいになるわけでございます。  そのほかに、小型船の分布が非常に津々浦々に行き渡っておるわけでございますので、支部だけで検査をまかなっていくということは非常に非能率になるかと思いますので、非常勤の検査員を設けるように考えておるわけでございます。この非常勤の検査員が、その仕事量だけを考えますと、検査が始まりました当初は大体三十名くらい、それから最終的には七十名くらいの仕事量になると考えております。もちろんこれは人数ではございませんで、津々浦々に配置いたしまして、これが二百名になりますのか、三百名になりますのか、あるいは百名くらいになるのか、その仕事量が七十名ということでございます。  次に、事業収入でございますが、先ほど申し上げましたように、手数料を考えておるわけでございまして、当面は、三年間くらいは大体十万隻くらいの検査件数になろうかと思います。最終的に昭和五十四年度ころになりますと、手数料と支出がペイすると考えられますけれども、大体二十万隻くらいの検査隻数を考えております。そういたしまして、検査手数料の収入は四億から毎年逐次増加いたしまして、五十四年二十万隻になりましたら大体十一億くらいの収入であろうというふうに考えております。  次に、支出のほうでございますが、支出は、昭和四十八年度に団体が設立されますので、四十八年度は検査はございませんが、四十八年度から支出が始まるわけでございます。そういたしまして、初年度三億、これも逐次ふえまして、五十四年度に大体見合います十一億程度に支出もふえてくる、こういうことに考えております。  手数料でございますが、手数料は国の検査の手数料に見合って大体バランスをとって、それと大差のない形できめていきたいというふうに考えております。
  26. 越智通雄

    越智(通)委員 いまの局長お話で、こまかなことを幾つか伺いたいのですけれども、収入と隻数関係なんですが、モーターボートを私が持っているとして、検査というのは何年に一ぺん受けて、その検査のたびに一体幾ら払うことになっておるのですか。
  27. 田坂鋭一

    田坂政府委員 検査の手数料につきまして詳細にはまだ決定いたしておりませんが、大体モーターボートにおきましては、六年ごとに定期検査、その中間に、三年ごとに中間検査を行なうように考えております。そういたしまして、検査の手数料は、平均いたしまして定期的な検査につきましては三千五百円くらいと考えておりますので、モーターボートの所有者の費用は大体三年間に三千五百円くらい、年平均千数百円のオーダーになると考えております。
  28. 越智通雄

    越智(通)委員 それはわかりましたが、要するに経常収入、経常支出の話をされているのですけれども、支部をつくったり本部を置いたり、それから検査するにはいろいろ施設が要るわけですけれども、何と申しましょうか、設備投資といったらあれかもしれませんけれども一体どれくらいのものをお考えになって、その手当てはどうするつもりか、お聞かせいただきたいと思います。
  29. 田坂鋭一

    田坂政府委員 先ほどちょっと御答弁が簡単過ぎましたけれども、当面、団体を設立いたします開設費用といたしまして三億一千二百万円ほどを考えております。このうち国から支出されます三千万円がございます。これは、検査の合理化のために、数カ所に小型船が集まってきまして検査をかためて行なう検査場を建設する予定になっておりますが、その検査場の建設のために使用する考えでございますので、検査場を建設いたしますのに大体三年間で九千万円を考えておるということでございます。
  30. 越智通雄

    越智(通)委員 そこで、またこまかなことを伺いたいのですが、数カ所の検査場というのはどこらを考えていらっしゃるか。これはやはりモーターボートを頭に描いているように聞こえるのです、私ずっと聞いていると。さっきから五十何年度に二十万隻ですか、大体五十四年度くらいのモーターボート隻数の伸びに合わせたような計算をされているのだけれども、依然として水産庁のほうはまま子扱いの計算が出ているように思うのです。検査場の数カ所はどこにつくるつもりなんですか。
  31. 田坂鋭一

    田坂政府委員 モーターボート隻数がたいへん多うございますので、どういたしましても当面はモーターボートに重点が置かれたような考え方になっておることはいなめません。そういたしまして、現在考えております検査場は、そういうことでございますので、モーターボートが相当に多いところを中心的に考えておりますが、もちろん漁船対象に考えておりまして、これは当面は漁船検査の中に入っておりませんので、漁船は二次的なものでございますが、全体的には六カ所考えております。たとえば千葉だとか三浦だとか、そういうところは漁船にも相当活用されるというふうに考えておるわけでございます。
  32. 越智通雄

    越智(通)委員 どうもそこら辺が私は非常に気になるところでございますが、それと関連して伺いたいのですが、いろいろ認定検査場をおつくりになって整備をさせる。私がモーターボートを持っていて、三年に一ぺん検査を受ける前に——まあ自動車でございますと、トヨタかどこかへ持っていって、直してくれ、それで検査を済ましてくれる。何だか知りませんが、うまいことやってくれるわけです。お金は五万円くらい整備費でかかりました。そういうことと同じようなことをこのモーターボートに考えているんじゃないか。認定検査場というのはどれくらいおつくりになって、それに対しては、いまの三千五百円は検査料ですから、整備費がかかるようなことにもなりましょうし、また、認定検査場で一体だれがそれを、何といいますか、これで船舶安全法に合致しているということをクォリファイするのですか、そこら辺の仕組みを教えていただきたい。
  33. 田坂鋭一

    田坂政府委員 認定事業場制度は従来の検査の体制の中にもあるわけでございますが、今回、ただいま先生のおっしゃったような趣旨で、整備あるいは修理、改造、そういうものに対しても認定工場制度拡大して定めていくというのが私ども考え方でございます。  そういたしまして、まず簡単なほうから申し上げますと、最後のクォリファイでございますが、クォリファイにつきましては、船舶検査官が、検査官といいますか、機構検査員あるいは検査官が仕上げ検査はやるように考えているわけでございます。  次に、大体どのくらいの数を考えておるかということでございますが、自動車に比しまして、船舶のほうはどういたしましても構造の複雑な面もございます。ですから、ある程度の技術的なレベル、それから品質管理体制の十分なところ、こういうものが必要になってくるわけでございます。それから一方、円滑に整備検査を行なっていくという点から考えますと、やはり私どものいまの試算では、全国的には二百工場くらいは改造、修理、整備、この一貫の中で必要かと考えております。そういうことでございますので、現在はこういう工場の調査を進めておるわけでございますが、今後ともこういう工場の技術向上、品質管理体制の向上、こういうものを指導いたしまして、必要数が充足できるように努力いたしたいと考えておる次第でございます。
  34. 越智通雄

    越智(通)委員 そこで、あまり持ち時間もないようなので、非常に心配なことを大臣にはっきり申し上げますと、いままでの話の中から出てくることは、明瞭に何か今度の改正がそうしたレジャー船を頭に置いている。もし、これがレジャー船——さっきの保安庁のほうのお話ですとと、二百隻くらいがいろいろ事故を起こしているる。二百何十隻というものが年間にいろいろ事故を起こしている。ふえてはきたがその程度、と言ったらおかしいかもしれないけれども、そういうことですね。その中でまた何と申しますか、操作さえちゃんとすれば、言うならば職員法のほうでばっちりやったら防げるかもしれぬものが半分くらいあるようにさっきお話しになっているのです。人的な要素によるものが二百六十九のうちで百五十三とおっしゃったように記憶しているのですが、大ざっぱに言って半分ちょっと、六割くらいですね。そうすると、あとの百から百二、三十の事故をゼロにする法律改正のために、このように膨大な検査機構をつくって、なるほどこれからそれがどんどん二割も三割もふえていくかもしれぬけれども、認定工場を二百カ所もつくる、六カ所も機構をつくる。言うなれば官費の検査所をつくる。そこまでして追いかけていかなければいけないかどうか。  それから、国家資金も最初に三千万円だけれども法律面から見ると、あとから入れて資本金がふくれるように書いてある。いま局長お話だと九千万とおっしゃった。あとまだ二年、三年と、四十九年、五十年と予算を取る。実際にこうやってみて、機構はできてきた。しかしほんとうモーターボートによるそういうトラブルと申しますかが起こるかどうかということです。機構だけできて、それがおっしゃるように二十万隻にもなってちゃんとペイするようになるかどうか。そのでき上がったものがにっちもさっちもいかないような機構ができると、一体何をつくったのだという議論が残るのです。その点につきまして、大臣ほんとうに十分なる御自信があるかどうか、伺わしていただきたいと思います。
  35. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 モーターボートを主にしているということでございますけれども、現実の問題としてはいまの状態ではそうならざるを得ないと思うんですね。何もモーターボートだけを目のかたきにしてつかまえようというようなことじゃないのです。やはり海上における人命の安全ということは、どの船でも必要でございますから、最近の実情からいいますと、まあモーターボートが非常にふえてまいりまして、それが自分の船にも影響がある、また他の人にも影響を与えているというのが実情でございますから、それに対応したような方法をとろうというのが今度の改正案でございます。これはしかし、モーターボートだけを対象にしているわけじゃなくして、一般の船も対象にしていることはもう事実でございます。  それで、自信があるかというお話でございますけれども、これはまだこれから同じように——モーターボートモーターボートといいますけれどもモーターボート自身がいろいろにこれからまだ変わってくる可能性がたくさんあると思うのです。もっとスピードの点におきましても、構造の点におきましても、いろいろ変わってくるのじゃないでしょうか、世界の状況を見ておりましても。ですから、それに、もちろんメーカー自身が構造の点において非常にあぶないものをつくるはずはないというのは、これは常識でございましょう。しかし、主管官庁として、やはり人命をあずかっているという点からいいますと、他のタンカーとか一般のコンテナ船とかいうような、非常に外洋に出て危険な航海をするような場合も考えられませんので、それに応じたような構造上の要求を法律の上でする、法律規則で。主管官庁としては、やはり最小限度の要求をやらざるを得ないというようなことで、一般の貨物船、旅客船と同じような構造上の要求をするつもりはもちろんないわけでありまして、その航行の区域とかスピードとか、そういったものに応じたような構造上の検査をするということにとどまるわけでございます。モーターボートを持ってそれをレジャーに使うというような方々も、最小限度の要求を満たせばいいことだと考えておる次第でございます。  それから、機構をつくっても、機構がもつだろうか、これはもう少しやってみないと、私も的確に十年先どうなるかということについては判定ができませんが、ただいまの資料だけをもとにして考えますと、必要最小限度の手数料を取りまして、それで、計算からまいりますと、まあどうにかこれでやれるだろうという見込みを立てて、事務当局がそういう計算を立てておりますから、とにかく最小限度の手数料で成り立つようにしなければならない。一面、お話しになったように非常にたくさんの数がございますから、検査場といい検査員といい充実しないと何もならなくなるということも事実でございますので、この点はもう少し実行いたしてみまして、実情を見ながらやっていく以外にないと思います。  それから、将来の問題については、この手数料で、これだけの船を対象にして、こうやっていけばもうかるのだとか、あるいは損失があるのだというようなことは、ちょっといまのところは、遠い先を考えますと判定がつかない。やはりこれは乗り出して、いまの一応の計画でやらしていただく以外にはないのじゃないか、私はそういうふうに考える次第でございます。
  36. 越智通雄

    越智(通)委員 確かに先はわかりませんけれども、つくっちゃってうまくいかなかったときは、やはりつくった人間が責任を負われますですね、これは。それはわからないことなんだからしょうがないとは言い切れない点が残ると思うのです。それで私、何かこれ見てまして、ほんとうにうまくいくかということで伺ったわけなんです。いま大臣お話の中にも出ましたけれどもモーターボートなんていうのは非常に日進月歩でございます。私は、冒頭に申し上げたように、海のない選挙区なんですけれども、ヤマハのモーターボートのショップだけはたくさんあるのですよ。通りに面して、うちの近所でも一キロ以内に二、三カ所ある。数十万から百何十万くらいのものを売っていまして、それはもう明らかに船舶の、これでいえば一番小さい五トン未満どころじゃない、もううんと短い。十二メートルなんといったら、こんなものは売ってないです。どこかよほどのところに行かないと陳列していないのだと思います。そういう連中が買ってどうしているのかというと、自動車の天井につけるか、うしろにトレーラーをつけるか何かして、山中湖かどこかに行ってふっ飛ばしているわけです。その連中がいまの検査のときに一体どこへ持っていくんだろうということも一つありますね。全国六カ所の検査場なんというのは、私どものほうからいえばおそらくうんと遠いところだと思うのです。おそらくは二百から考えていらっしゃる認定事業場に持っていって直す。ついでにいろいろ整備してもらうということになるのだろうと思うのですけれども、そこら辺で、整備のところでたくさんかかるというのでは、これまたたいへんにそういうことを楽しみにしている庶民にとっても——庶民ではない、相当のお金持ちですけれども、時間がないので最後に伺いますが、その連中が一番困っているのは、日進月歩であるがゆえにモーターボートを買いかえるときに古いほうのボートをちゃんと自動車みたいに下取りしてくれるのか。下取りをしないで捨ててこいといったって、これは捨ててくる場所がない。モーターボート自身はたいへんに耐久性の高いものだろうと思うのです。耐用年数の長いものだろうと思うのです。だけれども、そういう人たちの効用といいますか使う立場からいうと、わりと早く交代してくるわけですが、一体、そういうモーターボートなんというのは中古品になったら売れるのか、売れなければつぶすときにはどうするのか、どういう手続を考えていらっしゃるのかお聞かせいただいて、そういう人たちの悩みを解消してあげたい、こういうふうに思いますけれども局長からお願いします。   〔太田委員長代理退席、委員長着席〕
  37. 田坂鋭一

    田坂政府委員 まず中古艇の下取り等の問題でございますが、現在のおもな傾向は、モーターボート専門誌に自分の売買の希望を広告いたしまして、それによって取引がなされておるというのが現在は一番多いケースでございます。そのほかに、知人に売り渡すとか、それから先ほど申されましたように、販売業者が下取りをするということも最近あらわれてきておる状態でございます。  次に、使用しなくなったモーターボートの処理の問題でございますが、金属艇につきましては金属業者等において処理ができるということでございますが、プラスチックボートにおいては確かにこれからの問題かと考えられます。そこで、私どもは来年度、これらの廃棄されましたプラスチックボートの処理につきまして、処理機構と申しますか処理機械と申しますか、そういうものの開発をいたしまして、これを全面的に処理いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  38. 越智通雄

    越智(通)委員 それでは、もう質問じゃございませんが、いまございました廃船処理その他まだまだ残された問題は多いと思いますし、それから、冒頭申し上げました法体系全体をどう考えるかというのは、やはり運輸省の大きな一つの宿題じゃないかと思っております。まして今度つくられる検査機構は、かりそめにも運輸省の方の再就職先になってしまった、それだけのことだというような世の批判を浴びないように、ぜひとも大臣はじめ皆さまのせっかくの御努力を要望しまして、質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  39. 久保三郎

    久保委員長 野坂浩賢君。
  40. 野坂浩賢

    ○野坂委員 この船舶安全法の一部改正、それから船舶職員法の一部改正、これの提案の際に、大臣は、いわゆる海難事故を防止する、船舶の安全性を確保する、そういう意味安全基準の強化等をやってきたが、今回お話がありましたように、モーターボートなりあるいは遊漁船小型漁船が非常に増加をして、海難事故が増加する傾向を示しておる。いまの海上保安庁からの御説明でも、年々海難事故が増加をする傾向を示しておる。これはそういう意味法律改正するわけでありますが、船舶局長は、これは国の責任においてこの海難事故を防止をする、こういう立法の精神を踏まえていくという決意があるかどうか、国の責任において事故を防止をする、こういう考え方かどうか、まず聞きたいと思います。
  41. 田坂鋭一

    田坂政府委員 ただいま先生のおっしゃるとおりに、国の責任において船舶の安全は確保すべきものと考えております。船舶安全法の制定の趣旨もそういうふうになっております。
  42. 野坂浩賢

    ○野坂委員 そういたしますと、この法律の目的の中で、検査機構というものが登場しております。いままでは国が直接に検査をしていた。約二百十名前後だと思いますが、約四万二千隻だというふうに私どもは理解しておりますが、そのとおりなのかどうか。
  43. 田坂鋭一

    田坂政府委員 大体そのとおりでございます。正確に申し上げますと、船舶検査官は二百十四名でございます。
  44. 野坂浩賢

    ○野坂委員 小型船舶検査機構といいますのは、新しく新設をして国の職員その他でない人がそれぞれの役職員になる、こういうことになっております。船舶局長の立場からいえば、国の責任ですべてを網羅をし、指導し監督し検査をする、こういうことが一番望ましいと思うのです。これはいわゆる間接的なものになってくる。したがって、国の責任という意味は、直接にやったほうがいいのかあるいは間接にやったほうがいいのか、国の責任において実施をする場合にはどちらを是とするのか、聞きたいと思うのです。
  45. 田坂鋭一

    田坂政府委員 今回御提案申し上げております船舶安全法適用拡大でございますが、これの対象になります小型船は、非常に隻数も多うございますし、また、その分布が非常に津々浦々まで行き渡っておるわけでございます。これらの検査を円滑に行なっていきますために、もちろんこの業務は国そのものの業務であるわけでございますけれども、これを小型船の特性、たとえばその構造が比較的簡単であるとか、運航の距離も大部分のものは沿岸に限られておるとか、そういうような実態でございますので、国の行政の簡素化やそれから民間能力の有効な活用等を考えますと、国に準ずるこういうふうな認可法人に代行させるということが最も適当であると私どもは考えておるわけでございます。
  46. 野坂浩賢

    ○野坂委員 代行させることが最も適当であるということでありますが、この検査機構は、御存じのとおりに認可の法人であって、独立採算制が強要されておりますね。したがって、運輸省船舶局がやられるのは、監査をし検査をし、不正なりその他があった場合にはそれを取り消すという権利はありますが、いわゆる直接に指導するということはほとんど不可能になってくる。言うなれば海運局に持っておりますそれらの検査難かやる場合は、二百十四名でようやく四万二千隻を消化をしておるにすぎない。それなれば、ほんとう意味で国が責任を持つというならば、直接指導をし、直接指揮命令するほうが、国の責任においては最も明確になる、私はそう思うのですが、あなたの場合には、合理性といいますか、いわゆる職員をふやさないという立場だけでものを言って、海難事故の防止はその次になっておるような気がしてなりません。最も適当ではないけれども次善の策だということならわかりますが、このほうがいまよりもいいのだというなれば、いまのは全部やめて、大型船舶検査機構というものをつくったほうがいいということになるのではなかろうか、こう思うのです。
  47. 田坂鋭一

    田坂政府委員 もちろん先生がおっしゃいますように、国が直接これをすべてにわたってやれれば、これは一〇〇%であると私も思います。いまの実態から考えまして、あらゆることを考えますと、民間能力の活用あるいは津々浦々まで行き渡らせていくというようなことをあわせ考えますと、これらの機構を十分に活用することが非常に現実的だというふうに考えておるわけでございまして、先ほどのそういう点を加味いたしまして、現在とり得る最もいい方法であるというふうに御答弁申したつもりでございます。ことばが足りないで失礼いたしました。  次に、検査員等の監督の問題を先生おっしゃったと思いますか、検査員の任命の資格要件等ももちろん運輸大臣の認可条項となっておりますし、十分にこの機構を私どもが監督いたしますれば、検査官と同等の罰則もありますし、十分な運用ができるものと私は考えておる次第でございます。
  48. 野坂浩賢

    ○野坂委員 二百十四名で四万二千隻ですね。四十八年からは、この法律が通ったと仮定をして、検査対象隻数というのは、私が聞いておりますのは十八万九千隻とあなた方からもらった資料には書いてあるのですが、先ほど何回も十八万七千隻というふうに、約四回船舶局長お話しになっておるわけで、どっちがほんとうなのか。それと、大体一人が何隻程度検査ができるものか、伺いたいわけであります。
  49. 田坂鋭一

    田坂政府委員 検査対象船舶拡大の数でございますが、十八万九千隻が正確でございます。申しわけございませんでした。  次に、検査員の数と、それから検査対象船舶の問題でございますが、大体検査員の数は、先ほどもちょっと御答弁申し上げましたように、最終の段階で二百十名と考えております。そのうち百四十名が常勤の検査員でございます。それから七十名は非常勤の検査員でございまして、これは先ほども御説明いたしましたように、七十名という数ではございませんで、七十名の人が検査をするに必要な仕事量がございますということでございます。そういたしまして、このときの検査対象船舶数が大体二十万隻でございますので、一人の検査の可能隻数は大体千隻というふうに考えております。
  50. 野坂浩賢

    ○野坂委員 百四十と七十ということですが、百五十にしましても、十八万九千ということは、一人が千二百隻になりますね。現在国の検査官が一人二百隻を持っておりまして、造船所等に入ってくる船を検査するわけですが、もちろん大型船舶ですから、小型船舶との比較にはならないと一応言われますけれども、それだけではできなくて、その造船所の自動車を借りて次に走っていかなければならぬ、こういうのが実情なんです。検査官のお話を聞かれて掌握をしておられると思いますが、そうなのです。それがそういうふうなかっこうであるとき、能力の限界というものは考えられるじゃないか、十八万九千隻を百五十で割っても大体千二百になるのじゃないですか。それで、はたして十分に海難事故その他の防止ができるか、そして、その関係と運輸省のお役人、検査官との連携と共同作業といいますか、そういうものは具体的に考えられておるのかどうか、それをまず聞きたい。
  51. 田坂鋭一

    田坂政府委員 まず、現在の検査状況でございますが、四十六年度におきまして、検査件数、臨検件数でございますが、これが約二十一万七千回ございます。このうち船舶検査に携わりましたのが十二万回くらいでございまして、それから予備検査と申しますが、機関その他、装備すべき船舶が特定されない前に検査をする制度がございますが、これにまた十万回ぐらいの検査があったわけでございます。  次に、そういたしまして、ただいま先生のおっしゃいましたように、約二百人の検査官で検査をいたしておりますので、大体検査件数を二百で割りますと、千回ぐらいの検査を一年間に検査官はしておるわけでございます。それと同じように、小型船のほうも、先ほど大体二十万隻ぐらいの検査対象船舶が予定されると申し上げましたが、その年に検査対象になります検査隻数は、大体その半分の十万隻ぐらいかと考えられますが、それを約二百名の検査員で行なっていくというふうなことに考えておるわけでございます。
  52. 野坂浩賢

    ○野坂委員 将来二十万隻というお話がありますが、あなた方が考えておられます資金計画、事業計画、これは最低二〇%ふえる計画なんですね。そうすれば、二十万隻は一年間で二十二万隻になり、二十二万隻から二十五万隻になっていくというかっこうになっていきますよ。あなたのおっしゃるのと違ってくるのじゃないですか、この資金計画と事業計画は。
  53. 田坂鋭一

    田坂政府委員 ただいま申し上げましたのは、昭和四十九年度の船舶検査対象隻数と、それから臨検を必要といたします船舶の数を申し上げましたわけでございまして、大体先ほど申し上げました毎年の検査船舶数に合っていると思いますけれども、いかがでございましょう。
  54. 野坂浩賢

    ○野坂委員 それはまた議論を深めるとしまして、こまかい数字ですからあとで討論します。  言うなれば、非常になれたいまの検査官でも、一年に千回では非常に不十分であるということを、検査官の皆さんは実情報告の中で書いてますね。率直に言ってそれ以上の人は私はないと思います。それ以下の人の能力で一人当たり千二百隻、それだけの検査をするということになれば、船舶局長として、海難防止と事故絶滅をはかる、そういう方途は困難であろう、しかも間接的な、いわゆる検査機構は独立の法人でありますから、なかなか思うようにならない、こういうのが実態になってくるだろうと私は思います。言うなれば、これは屋上屋を重ねるといいますか、そういう傾向なきにしもあらず。率直に言ってそういう傾向なんですから、そういう点については不十分である、あなたの答弁からして、こういうふうに言えると思いますが、どうでしょう。
  55. 田坂鋭一

    田坂政府委員 先ほども申し上げましたように、今回対象になります船舶小型船舶でございまして、従来の検査官が検査いたしております船に比較いたしますと、構造等におきましては相当に簡単なものが多うございます。また、これらの中の大宗を占めますレジャーボートモーターボート等は、大量生産形式で行なわれておるものが多うございまして、これらのものにつきましては、型式承認制度もこの中に取り入れておりますので、そういう制度を十分に活用いたしますれば、先生御指摘の点は十分対処していけるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  56. 野坂浩賢

    ○野坂委員 次に進みますが、現在船舶安全法の第二十九条によって各都道府県が規則をつくって検査を実施をしておるのが十四県ありますが、それと検査機構との関係ですね。検査機構ができれば、その現在規則をつくって実施をしておるそれぞれの自治体はどのようなことになっていくのか、そのまま続行するのかあるいは吸収をするのか、その辺の考え方はどうですか。
  57. 田坂鋭一

    田坂政府委員 仰せのとおり、二十九条によりまして都道府県知事基準を制定し検査を行なっておられる数は十四でございます。このうち二道県は、基準だけを制定いたしまして検査は行なっておりませんので、検査を行なっておる都道府県ということになりますと十二になるわけでございますが、今回、この法案を御提案する前に、全都道府県に対しまして、どういうふうに考えるか、都道府県の御意見を聞いたわけでございますが、引き続き検査をやりたいという県は、東京都と滋賀県二県のみでございまして、その他の県並びに現在やっていない県も、これは当然に国でやってもらいたいというふうな御意見でございました。そういうことでございますので、この二県を除きましてあとの十県は、検査をおやめになるということになるだろうと私どもは思っております。
  58. 野坂浩賢

    ○野坂委員 その職員はどうなるのですか。
  59. 田坂鋭一

    田坂政府委員 それらに携わっている職員につきましても、都道府県から、現在のところ、どういうふうにしてくれという御希望をまだ受け付けておりませんけれども、もちろん都道府県の中で対処のできるものと思っておりますが、対処できないというようなことでございますれば、私どもは、この小型船舶検査機構におきましても、そういう職員の方々の処遇をすることは可能であるというふうに考えておるわけでございます。
  60. 野坂浩賢

    ○野坂委員 これは独立した認可法人ですが、その職員は船舶局長の思うようになりますか。
  61. 田坂鋭一

    田坂政府委員 私ども、基本的に監督という面で十分な監督ができるということでございまして、思うようにその職員までを細部の点まで動かすということはどういうことかと思っております。
  62. 野坂浩賢

    ○野坂委員 いや、私はすなおに聞いておるのですが、十二の都道府県から、これができることによってその中に包含をするという連絡があった。その職員はどうしますか。その職員は検査機構のほうに吸収することが可能であります。だから、それは認可法人、別法人なんですが、あなたは職員を思うように入れることができるかと言ったら、わからぬ。前とうしろとがわからぬじゃないですか。
  63. 田坂鋭一

    田坂政府委員 そういう職員の採用の件につきましては、一次的にはこの機構がやることでございますが、私どもは、この機構が採用するだけの能力並びに余地が十分にあるであろうと考えますということを御答弁申し上げた次第でございます。
  64. 野坂浩賢

    ○野坂委員 できるということですが、時間がありませんから、そういうところに時間をかけるわけにもまいりません。  いま、たとえば東京都は検査料、十二メートル以下の遊漁船については七百円だ。あなたのいまのお話では、平均三千五百円だ。そういう点になりますと、地方自治体の検査のほうが非常にいいということになりますね。小型船舶検査機構は高いということになりますが、それらの調整はどうしますか。
  65. 田坂鋭一

    田坂政府委員 検査の手数料につきましては、私どもまだ詳細な検討は行なっておらないわけでございますけれども、大体総括的に平均いたしまして、定期的な検査は三千五百円くらいが平均的なものになるであろうというふうに考えておるわけでございます。船の大きさあるいは船の種類等によりまして、今後細部にわたりまして検査手数料を定めていくつもりでございますが、定めるにあたりましては、国の行なっております検査手数料と大体バランスをとってきめていきたいというふうに考えておりまして、その中で、従来都道府県知事において行なっておられます検査手数料等も十分参考にいたしたいというふうに考えております。
  66. 野坂浩賢

    ○野坂委員 この予算書を見ますと、昭和五十四年は九千四百万円の黒字ですね。政府の出資金というものは三年間で九千万ということになっているわけです。しかし、原則は、この法案にも示してありますように、手数料の単価が一番もとなんです。これで独立採算制ということなんです。しかも、昭和五十年には、五千二百円に値上げをする、こういう基本的な考え方がこの予算書に流れております。そうすると、あなたがおっしゃったように、この基礎がすべてになってくるという姿なのに、まだきめていない。地方自治体の下がっておるもの、そういうふうな施策とバランスをとるということですから、そうすれば平均はこれよりも下がりますよ。そうすれば、この独立採算から見て、五十四年度に黒字が出るということは考えられないというふうにわれわれとしては理解せざるを得ませんが、それについてはどのようにお考えですか。
  67. 田坂鋭一

    田坂政府委員 先ほども申し上げましたように、ここに出ております三千五百円並びに五千二百円、これは平均単価でございまして、この検査手数料の中には型式承認の承認料というようなものもございますし、それからいろいろほかにも検定手数料というものもございますし、それらを平均いたしました手数料によって、この事業計画と申しますか、その収支計画を概算いたしておるわけでございます。
  68. 野坂浩賢

    ○野坂委員 はっきりしませんね。はっきりしませんが、結論だけ聞きましょう。地方自治体が現在収入として納付をいただいておる検査手数料よりも上げることはない、こういうふうに確認してよろしいか。
  69. 田坂鋭一

    田坂政府委員 地方自治体の行なっております検査の濃度と、それから私どもの行ないます検査の濃度の差もございましょうし、十分に地方自治体の検査手数料を勘案いたしまして一そのことをいまお約束申し上げるのはちょっとかんべんさせていただきたいと思います。
  70. 野坂浩賢

    ○野坂委員 この間運賃の法案の際に、運輸大臣は、そういう運輸大臣が所管をするすべてのものについては料金を上げない、そういうお話でありました。上げる場合は、極力閣議等にはかって努力する、上げないように努力する、こういうお話がございました。いまこれが新たに発足するにあたって、運輸大臣理事長も監事もすべて任命されるわけでありますから、そういう点については、これができることによって地方自治体の間で取りきめられている検査手数料が上がらないように措置することが、現社会情勢から見て妥当だと思いますが、運輸大臣のお考えを聞きたい。
  71. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 詳細のことはこれからきめるのだと思いますが、地方自治体がやっておりますいままでの検査と、運輸省が責任を持って行なおうとする検査の内容が違うと思います。(野坂委員「違いませんね」と呼ぶ)いや違います。違わなければやる必要はないのですから。運輸省といたしましては、人命の安全という点からいいまして、最小限度必要な構造まで見まして、大型船については国際安全条約に基づいた非常に精密な基準が示されておりますから、この問題は国際的な問題はありませんけれども、それに準じまして、海洋ですから、いろいろな、波もあるし潮流もあるし風もあるということでございましょうが、一応構造上はそういったものに対応し得るというものを基準としてきめるわけでございます。各地方自治体がそれに対していま現にどの程度のことを考えているか、これは私よく知りませんが、おそらく内容は、いまわれわれが船舶全体について考えているような構造上の安全という点とはだいぶ開きがあるのではないかと思います。したがいまして、これはコストが違うと思います。  しかし、おっしゃるように、検査手数料をただ上げて、そして新しい検査機構がそれによって維持できるような程度まで上げるんだとかいうような平易な考えは持っておりません。全体を見ましてその収支が成り立つことも大事でございますけれども、内容を見て、その内容については、国が大型船については行なっておりますから、それはうんと簡略になりましょうけれども、あまりバランスのかけ違ったものではいかぬと思います。両方から歩み寄って、これはさらに検討してみようということにならざるを得ないと思います。
  72. 野坂浩賢

    ○野坂委員 十四ありまして、いま船舶局長からお話をいただきましたように、滋賀県と東京都には検査機構を置かない方針なんです。   〔委員長退席、井上(泉)委員長代理着席〕 大体いまの姿でいくということなんです。だから、そう中身は多く違わないというふうに私は電話をかけて聞いたのです。どうなんでしょう。専門の方でもけっこうです。
  73. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 こまかいことは政府委員が答えますが、さっき申し上げたように、検査の内容は違うらしいです、いまちょっと聞きましたが。結局、われわれが要求するような安全条件、いろいろな要求を東京都もやっていない。また、今度もそういう検査ではございません、こう言っているようですから内容は違います。構造上の安全基準というものは運輸省令で書きますから、それに従って東京都も検査内容を変えなければならぬということになります。だから、いまの手数料でいくのかどうかということについては非常に疑問があります。この点はさらに地方自治体と十分打ち合わせをいたしたいと思います。
  74. 野坂浩賢

    ○野坂委員 この検査をしますと、検査済票をもらう、あるいは張る、こういうことになりますね。そのときにこれからの船をどのように把握するか、そしてどのように船舶の安全をはかっていくかという意味で、船籍登録による船籍調査といいますか、船籍というものをつくる必要があろうと思うのですが、今回ないですね。それはどういうわけですか。
  75. 田坂鋭一

    田坂政府委員 先ほども申し上げましたように、小型船舶は数が非常に多うございます。これらに登録制度を施行して船籍をきめていくということになりますと、非常に煩瑣な業務になるわけでございます。主要な目的がそれであれば、それに従うべきだと思いますが、登録制度の目的といいますのは公証と船舶の識別という二つの目的だろうと思いますが、小型船舶の場合には識別に目的の重点があると思います。そこで、検査を円滑に行なっていくという意味からも、あわせまして検査済票というものを船舶に交付いたしまして、その船舶に張りつけさせるということにいたしたわけでございます。そういたしまして、検査済票は検査のつどチェックされるということになっておるわけでございます。また一方、検査原簿というものがございまして、その番号と所有者はその検査原簿に載っておるわけでございますので、船舶の識別はこの制度によって十分に行なえるということでございますので、きわめて煩瑣な業務になって目的はそう十分ではないということでございますので、この検査済票をもって登録制度にかえておるわけでございます。
  76. 野坂浩賢

    ○野坂委員 十分に日本全体の船舶把握はそれでできるわけですね。  それから、いまの予算の中で、ことしはこれが通ると三カ月後にやる借り入れ金三億二千万というのがありますね。この三億二千万というのは、この間ここの委員会で上げました自動車事故対策センター、あれでは出資金はこれと同じように政府から出資する。向こうは保険会社等から五千万出させるというお話で、それから、金が足りないから貸し付け金については当然無利息で国の予算の一定の範囲内で出す、こういう法律になっておりますね。これは完全独立採算制だ。その辺が私たちは理解できない。しかもこの三億二千万というものは七年間の均等償還で年利九%、そういう意味で非常に高いと思います。だから手数料が高くなってくるということになっていきますから、年々給料も上がれば検査手数料を上げていくという。そういう独立採算方式になれば、レジャーで楽しむモーターボートは上げてもよかろう。しかし、一般の生活に大きな関連のある漁船等は非常に問題があろうと思います。そういう点についてどこからお借りになるおつもりですか。
  77. 田坂鋭一

    田坂政府委員 当面の不足いたします資金につきましては、市中銀行から借り入れる予定にいたしております。
  78. 野坂浩賢

    ○野坂委員 九分というふうに予算であげられたのは、もっと安く借りられるんじゃないですか。これだと二銭五厘ぐらいになるんじゃないですか。
  79. 田坂鋭一

    田坂政府委員 もちろんその当時の市中の適正な金利で借りるということでございますが、九分であってもこういうことになるということで、やや余裕を見た金利を考えたわけでございます。
  80. 野坂浩賢

    ○野坂委員 市中銀行からお借りになるということがわかりました。  それで、この検査の時期なんですが、モーターボートの皆さんは、それぞれ時期的なものがありまして、夏ですから、冬はあんまり走りませんから……。しかし漁船は、曇ったような日には比較的漁が多いというようなことで、皆さんのところに集まって、試験場というか検査場に集まってこいということになりますと、点々としかありませんから、そこに行くのには相当かかります。だから、その検査が来れば、時期の繰り上げその他はありますが、処置をするとしても、若干の弾力性を持って漁獲に影響のないような措置は配慮されますか。
  81. 田坂鋭一

    田坂政府委員 一カ月程度の猶予はつけられるように考えております。
  82. 野坂浩賢

    ○野坂委員 二つ聞きます。  先ほどもありましたが、このモーターボートの増加率というのは、この予算書にも示してありますように、相当すごい馬力で上がってくる、こういうふうに考えられるわけです。  そこでまず、水産庁にお尋ねをしたいのですが、おいでになっておりますか。——このモーターボートその他が、試験を通ればどこでも走るわけですが、漁業に非常に大きな影響があるのではないか。きのうの農林水産委員会でも問題になりましたが、水産庁はこのモーターボートの駆使についてどのようにお考えになっておるか、沿岸漁業への対策というものをお伺いしたいと思います。
  83. 大場敏彦

    ○大場説明員 いま御指摘になりましたように、モーターボートの問題は、沿岸漁民にとっても、率直に申し上げて、近年非常に頭が痛い大きな問題になってきております。特に、いろいろモーターボートが数多くなりまして、漁船の避難所なりに侵入したり、あるいは漁民に被害を与えたり、それから、生活の場であります漁業権、漁場へ影響を与える、こういった事態も地方によっては起きているということは私ども承知しておりますので、ことにマリーナ建設、そういったモーターボート等の基地の建設については、地元の漁民のよく納得の上、よく話し合いの上で、了解した上でそういうものがつくられるということが私どもとしてはきわめて望ましい、こういうふうに思っておるわけでございまして、いまのまま何もしないで放置していいというぐあいには考えておりません。何かやはり地元の漁民との調和といいますか、調整というものは厳にとらなければいけない問題だろう、かように考えております。
  84. 野坂浩賢

    ○野坂委員 モーターボートは今度試験でやる、ある程度それで事故を防げる。しかし、起こっておるのは海浜事故ですね。それから、漁業に大きな影響があるということはいま述べられたとおりです。モーターボートの航行海域といいますか、あるいは湖でいえば水域といいますか、そういうものを規制する必要があるだろうと思うのです。これについてはどのようにお考えになっていますか。
  85. 紅村武

    ○紅村政府委員 お答えいたします。  現在御審議をいただいております船舶職員法あるいは船舶安全法が成立をいたしまして、免許制度あるいは検査制度が確立されまして実施に移りますと、私どもといたしましては、当然この法律に基づきまして取り締まりを実施するわけでございます。そういうことになりますと、無謀運転あるいは操縦技術の未熟によりますような事故あるいは構造上の欠陥に起因するような事故、こういったものは相当大幅に減少するというふうに私たち期待いたしておるわけでございます。  ただしかし、そのほかに、ただいま先生から御指摘がございましたように、たとえばノリひびの中へ突っ込む、あるいは海水浴場で海水浴客がたくさんおられる中に突っ込んでけがをさせる、あるいはスピードの出し過ぎによりまして衝突その他で事故を起こすというようなことが絶滅できるかどうかという点は、若干の懸念はあるわけでございます。  それで、この点につきましては、各都道府県のうち相当数のところが、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例、一般にこれは迷惑防止条例といっておりますが、こういう迷惑防止条例でございますとか、あるいは水上安全条例海水浴場条例といったような条例も制定されておるわけでございます。  具体的に申し上げますと、ただいま申し上げました迷惑防止条例を現在制定しておりますところは二十九都道府県ございます。それから、海水浴場条例を制定しておりますところが二県ございます。ただし、この二県はいずれも迷惑防止条例を持っておりますので、都道府県の数としては二十九県でございます。それからそのほかに水上安全条例、これはたしかもう実施に移されたと思いますけれども、一県ございます。合計いたしまして三十県の都道府県がこういった条例を持っておるわけでございます。  その内容は多少の違いはございますが、私どもといたしましては、こういった条例に基づきまして、警察等とも十分な連携をとりまして指導あるいは取り締まりを実施してまいりたい、こういうふうに考えております。
  86. 野坂浩賢

    ○野坂委員 ついでですからお尋ねをしておきますが、モーターボートあるいは漁船の免許証を持っておるかどうかという検査をするのは海上保安庁だと思いますが、最近海浜等では、警察庁のほうの警察官も免許証をお調べになっておる様子をよく見るのですが、あれはどこまで警察庁がやり、どこまでが海上保安庁の分担なんですか、承っておきたいと思います。
  87. 紅村武

    ○紅村政府委員 私どもと警察との関係につきましては、実はいろいろその業務の範囲について打ち合わせができておるわけでございますが、海水浴場につきましては、警察と私どもと協力をいたしまして取り締まりを実施する、こういうたてまえにいたしております。
  88. 野坂浩賢

    ○野坂委員 法的には別に何もないのですけれども、協力をしてやるということなんですか。
  89. 紅村武

    ○紅村政府委員 そのとおりでございます。
  90. 野坂浩賢

    ○野坂委員 お話がありましたように、自治体との関係で、迷惑条例なり水上安全条例なり地方自治体がやる、それに基づいて善処をするということも確かに一面必要だと思います。しかし、運輸省としては、この法律を出すにあたって命題は、海難事故の防止なりあるいはそういうはた迷惑をすることをやめて事故の絶滅を期そうというのか発想なんですから、今後モーターボートというようなものはレジャー産業の波に乗っていよいよ増加をしてくる可能性が考えられます、したがって、その実態を見て水域なりあるいは海域なりそういう規制を全国的に調査をしてやる必要があろう、こういうふうに思うのですが、どのようにお考えでしょうか。
  91. 紅村武

    ○紅村政府委員 海水浴場は、実は各海水浴場によりまして地域的な特殊事情がございます。そういった事情もございまして、いわゆるきめのこまかい規制をやるというために、はたして法律によるのがいいのか、あるいは現在のように条例によるのがいいのか、この辺は実は私どもまだ研究中の段階でございます。ただ、先生御指摘のように、今後モーターボートがふえてまいり、いろいろな事故が非常にふえてまいりました場合には、あるいは立法ということも考えなければならないのではないかという気もいたしますけれども、この点は、さらに私ども関係方面ともお打ち合わせの上、研究を進めたいというふうに考えております。
  92. 野坂浩賢

    ○野坂委員 これから研究をしていただくわけですが、陸のほうは非常に交通事故も多発をしておりますし、——いま横ばいですが、運輸大臣としては、海洋観光レジャーセンターといいますか、そういうものがこれからどんどん設置をされてくる。その水域をきめる。ここはモーターボート、ここはヨットハーバー、ここはマリーナ、ここは海水浴というふうにやらなければ、非常に混乱をしてくると思うのです。これから、きわめて最近のうちに週休二日制も出てまいりますから、そういう意味で、早急にそういう配置と規制、これは運転だけでは非常に問題があるわけです。しかも、いま水産庁が言いましたように、免許証さえ持っておれば、鹿児島から北海道まで神風のようにモーターボートが飛んでくるという時代もないとはいえないと思うのです。そうすれば、どこで網を破るか、流し網等を破っていくという可能性もあると思うのです。水産庁としては、そういう点については迷惑だ、規制の必要がある、こういうふうに先ほど答弁があったところなんですが、それについて運輸大臣としては善処される用意があるか、承りたいと思います。
  93. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 ちょっと御質問あとのほうが正確に捕捉できなかったものですから、あるいは御質問と違ったことになるかもしれませんが、前半におっしゃったことは、これはこの間御審議いただいた港湾法等におきましても、区域をきめまして、それに応じた安全施設というものを考えておりますから、御質問に沿ったような方向で運輸省としては対処してまいりたい。  それから、あとのほうの問題は、あるいは御質問と少し違うかもしれませんが、私どものほうは、やはり海上の交通安全ということを目標にいたしまして、自分の安全はもとよりですけれども、他人にも迷惑をかけちゃいかぬということで、それに応じたような船舶そのものの検査も厳重にいたしますし、それから操縦者についても、ただ船を動かせばいいということでなしに、やはり一つ船舶操縦についての基準を頭に入れて動かすような、いわば従来のことばでいいますと、船舶職員というようなものを乗り組ましたいというふうなことを考えておりますので、おっしゃったようなことにつきましては、相当これは前進して取り締まっていけるものと思っております。  ただ、海域全般にわたりまして、いまも保安庁次長がいろいろ言っておりましたが、保安庁が海上交通を持っているのだから、日本の全海域をそういう交通整理もしないような状態でほっとくのはいかぬじゃないか、こういうことでございます。御趣旨はそうなんですけれども、これはおのずから限度がございまして、公海についてまでそういう取り締まりを強化いたしましてやるということについては、巡視艇等の船もよほど要りますし、あるいは設備も必要でございます。これについては極力努力はいたしますけれども、一切そういうことをなくするのには、よほどこれは今後の予算的な努力、それから海上保安庁そのものの取り締まりの努力というものがもっと進みませんと、おっしゃるようなところにはまだなかなか行きにくいというように考えられます。努力はいたします。
  94. 野坂浩賢

    ○野坂委員 努力をしていただくで終わればいいのですが、私が言っておりますのは、たとえばモーターボートに乗っておる人も、非常に沖合いのほうに出ていけば、小さな船ですから、荒波を食って沈没をするという場合だってありますね。海浜のほうにどんどん入っていけば、泳いでおる人たちのほうに事故が起きるということがありますね。あるいは沿岸漁業が最近公害その他で非常に苦しんでおるが、漁師にとっては網なんかは非常に重要な問題ですから、それが流してあるところを通っていくということになってきますと、どれをとってみても、いいところはない。だから、それについては、運転の免許証があればどこを通ってもいいということではなしに、レジャーをするところの海域、水域というものは規制をしていかなければ、三者三様に迷惑をするのじゃないですか。だからそれについては考えてもらわなければならぬ、こういうことを提言しておるわけです。どうでしょう。
  95. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 よくわかりました。お説のとおりだと思います。そういう方向で、私のほうとしては、操縦する人たちに対する指導、訓練というものは大いにやらなければならぬと思います。取り締まりもしなければならぬと思います。同時に、いまおっしゃった、たとえばここに網を張ってあるのだというようなことにつきましては、やっぱりこれは関係省庁と十分話し合いをしないと、どこにどんな網があるのかというようなことにつきましては、これはやっぱり標識をつけるとか、いろいろそれを避けるための関係各省の協力と努力が必要になってくると思います。われわれのほうとしては、できるだけのことはいたしたいと思います。
  96. 野坂浩賢

    ○野坂委員 まだ不十分ですけれども、時間がありませんので……。  話はもとに返りますが、十八万九千隻がとりあえず検査機構の中に入ってくる。あと五十万隻ばかりありますね。これらについては何も考えていないのか、将来考えるのか、聞いておきたい。
  97. 田坂鋭一

    田坂政府委員 従来船舶安全法対象になっておりません船が七十二万隻ぐらいあろうかと考えられますので、約十九万隻やりますと、残りは、先生がおっしゃいますように、五十数万隻あるわけでございます。その中で私どもがおもなものと考えておりますのは、やはり漁船でございます。漁船につきまして、先ほど水産庁からも御説明がございましたように、今後調査研究を進めまして、また、業界の理解も高めまして、逐次安全規制の対象船舶をふやしていきたいと考えておる次第でございます。
  98. 野坂浩賢

    ○野坂委員 今度は船舶職員法のほうに入りますが、今度は一、二、三、四の小型船舶操縦士というのができて、試験がございますね。それで、四級操縦士というものは十六歳からですね。これは遊漁船とかそういうものに使われる。十六歳というと、中学校を卒業した程度ですね。それではやはり危険じゃないか。いままでの十八歳を十六歳にした理由ですね。これは非常に問題があろうと思うのです。それについてはどのようにお考えになっておるか。
  99. 丸居幹一

    丸居政府委員 実は、ただいまの小型操縦関係の年齢は十八歳になっておりますが、今度は十六歳に引き下げた。なぜ引き下げたのかという御質問だったかと思いますが、実はいま先生おっしゃったように、十六歳といいますと、中学校を卒業してなる年齢でございます。今度五トン未満まで拡大をいたしますと、いままで養殖漁業等、そういうところへ小さい船に乗って養殖漁業場へ通っておられる方たちがあるわけであります。その場合に、一家の亭主が運転していかれる場合もありますし、それから奥さんが運転していく場合もありますし、あるいは子供が、中学を出たり、高等学校へ行っているような者が運転していく場合もあります。そういう場合に、十八歳で区切ってしまいますと、十六歳になって、中学も出て義務教育も終えて家で家事の手伝いをするとか、あるいは自分もそういう仕事につくとか、そういう方が運転ができなくなるわけです。また、それから高等学校へ行く場合も、帰ってきてそういう手伝いをする場合もあるだろうということもありますので、主としてそういった漁業関係のこと等を考慮いたしまして十六歳にしたわけであります。  それから、十六歳では、しかしモーターボート、レジャーのモーターボートがあるわけでございます。レジャーのモーターボートを禁止してもいいじゃないかという議論が当然あるわけであります。しかし、中学校を出まして高等学校に入ったころに最もこういうものに興味を持ち、運転をしたがる年齢でございます。陸上のほうでも、そういうことで自動二輪は十六歳にしておりますし、これらの人たちに、おまえたちはやれぬぞというふうにするほうがいいのか、あるいはやる場合にはこういうことでなければならぬのだということで十分教育をしまして、そうして安全性が確保できるようにしたほうがいいかという、そういう判断の問題があるわけです。いろいろ審議会の席でも十六歳か十八歳かというのは議論のあったところでございますけれども、やはり陸上の自動二輪の年齢等に合わして、早くそういう教育をしたほうがより安全ではないかというふうなことで、十六歳に一応きめたわけでございますが、十六歳がいいのか十八歳がいいのかということは非常にむずかしい問題だろうと思いますが、ただ陸上のオート二輪の免許に一応合わそう、それが一つの筋ではないか。一つ基準がそこにあるものでございますから、そこで、それに合わしたというのが実情でございます。
  100. 野坂浩賢

    ○野坂委員 論議は並行すると思うのですが、たとえば陸上の自動二輪車についても、高等学校にはバイクに乗ってきてはいかぬ、こういう学校から生徒に対して教育をしておりますね。それは、非常に安全性の上から見て問題がある、こういうことからだろうと思うのです。お話があったように、櫓かい船なんかは適用除外なんですからね。そういうことを踏まえて、これはあるということになれば、客船でも乗れますし、遊漁船運転もできる。わずか中学校卒業したての子供がそういう人命を預かるというところの、しかもその中心になってくるということになれば、非常に問題があろう、こういうふうに思います。十分検討をいただきたいと思います。  それから、外洋小型船というのがありますね。これはどの辺まで出る船をいうのですか、沿岸から。
  101. 丸居幹一

    丸居政府委員 法律的にはどこまで行ってもいいということになっております。
  102. 野坂浩賢

    ○野坂委員 今度の職員法なり安全法そのものは、海難事故の絶滅、こういうことが一番中心になっておるわけです。   〔井上(泉)委員長代理退席、委員長着席〕 だから、船舶の安全を確保するということを運輸大臣が述べておられますね。いままでは外洋小型船というものについては二人乗っているのですね。航海士と機関士と二人乗っておる。しかもどこまで行ってもいい、こういうことになりますと、エンジンなりその他が前よりも整備をされたからというような理由だけでは、非常に危険だと思います。法の趣旨から見て、外洋小型船というのは一級操縦士であってもやはり二人乗っていく必要があろう、非常に危険だ、こういうふうに思うのです。一人よりも二人がいいじゃないか、この法の精神からそうじゃないか、こういうふうに思うのですが、どのようにお考えでしょうか。
  103. 丸居幹一

    丸居政府委員 実はその問題も審議会の席で議論になったところでございまして、いままでは丙種機関士と小型操縦士が相乗りをして行っておるわけでございますね。その丙種機関士と小型操縦士が相乗りをしていく、法律上そういうふうになっていた時代のエンジンなのでございますけれども、それは大体焼き玉エンジンが主でございました。ですから、丙種機関士が乗りまして焼き玉エンジンを動かす、それを調整し回転しながら、片方ではその操縦士がハンドルを持って運転していった、こういうふうにして二人が物理的に必要だったわけです。そういうことが一つございました。それからもう一つは、エンジンがあまり発達していなかったために非常に故障が多かった。それで、機関士が乗って、焼き玉エンジンですからわりあい簡単でございますから、それを修繕する部分もあったりしてやっておったわけであります。いまのエンジンは、御承知のとおりにディーゼルエンジンかあるいはガソリンエンジンに大体切りかわってきております。ほとんど焼き玉エンジンゼロといっていいくらいに減ってまいっております。また、船の操縦もリモートコントロールができるようになってまいっております。したがいまして、丙種機関士を乗せておりましても、丙種機関士のする仕事というのがほとんどなくなってきておる、そういうことで、むだな人が乗っておるということではまずいのじゃないか、いろいろと業界のほうからもそういう陳情もございますしいたしますし、もう一つは、そういうエンジンの進歩もございましたので、むだな人を乗せておくというのもおかしい話だ、しかしエンジンについての知識のある者が乗っていないということは、これはよくないことである。そこで私たちいろいろ考えましたのは、今度一級小型船舶操縦士というものをつくる以上、一級小型船舶操縦士が従来のような一級小型船舶操縦士であれば、その機関士をおろすことは非常によくないことだと思う。そこで、今度一級小型船舶操縦士というものに新しいエンジンに即した教育をしまして、そうして航海術も知っておる、エンジンの知識も持っておるといった、そういう人に一級小型船舶操縦士というものを仕立てていって、ふだんは一人乗れば十分だ。そういう機関士はおろしていったほうがいいのじゃないだろうか。そうすることによって安全性が非常にそこなわれるということはないのじゃないだろうか。それは経済性が先立っておる話じゃないかというふうな御意見もあるかもしれませんが、経済性がそこらで起こってまいりますことは、多少余裕もできましょうから、たとえば部品の一つもよけいに積んでいくとか、あるいはできれば予備エンジン一つも積んでいくということになれば、安全性というものは一段と高まるものじゃないだろうかというふうに考えたのが、こういう改正をした動機でございます。
  104. 野坂浩賢

    ○野坂委員 お話は、近代化につれたお話なんですが、しかしすべて、スピードや経済よりも、安全だというのが運輸大臣の変わらざる方針であります。しかし、できるだけ合理化をしたい、機関士と、二人は乗せないで一人乗せたいというように反面思っておられるようでありますけれども、しかし、海のかなたに出ていく場合、四海水ばかり、こういうことなり、あるいはその他の、皆さんがお乗りになったにしても、こういう資格を持っておられる人がおられればさらに安全だというふうに私たちは考えるわけです。したがって、五十海里なら五十海里、その程度のところに線を引きまして、それ以上の外洋に出る場合については二人だ、こういうふうなことをすれば、一応安全だというふうな面にも十分配慮をしたということがいえるのではなかろうかと思いますが、御検討いただけますか。
  105. 丸居幹一

    丸居政府委員 航海する範囲を考えて、そして、それ以上外へ出ていくときには機関士を乗せていくという案を検討せよということでございますが、その点については、いろいろ問題があったところでございますから、十分検討いたしたいと思いますが、ただ、私たちがさっき申し上げましたように、いろいろその点については審議会でも議論がございまして、そしていまの段階ではやはりこれは要らぬじゃないかということで出してきた問題でございまして、検討は十分いたしますけれども、かなり自信を持って出しておる案でござ  いますので、よろしくお願いします。
  106. 野坂浩賢

    ○野坂委員 もう一つだけ聞いておきます。  小型船舶操縦士試験機関というのがありますね。これは現在何カ所あって、どのくらいやっておるのですか。
  107. 丸居幹一

    丸居政府委員 試験機関というのは現在ないのでございます。現在ございますのは教習所でございます。講習所といいますか、教習所といいますか、そういうものが全国にかなりございまして、その数でございますが、二百カ所でございます。
  108. 野坂浩賢

    ○野坂委員 時間が参りましたから終わりますが、今度、試験機関ができてやるわけですけれども、教習所というものはだれでもできるわけですね。
  109. 丸居幹一

    丸居政府委員 おっしゃるとおりにだれでもできるのでございますけれども、これはやはり認可が要りますので、認可基準に合格できる人はだれでもできる、こういうことでございます。
  110. 野坂浩賢

    ○野坂委員 だから、たとえばヤマハならヤマハ、ホンダモータースならホンダモータース、そういうのがたくさんつくられて、試験は通す、教習をやる、そして必然的にモーターボートを増加する、これからこういう傾向になってくると思うのです。金がありますからどのような施設でもできますからね。そういう点について、試験機関というのは厳正にやってもらわなければ、これこそレジャーと経済と完全に結びついてまいりますから、それらの点についての配慮のしかたといいますか、たとえば自動車学校のようにもうかるということになれば、一県に何百——何百というと語弊がありますが、ゴルフ場より多いほどたくさんあるわけでありますから、採算ペースに乗るということになれば、これらの学校でもそういう姿が出てくる、こういう可能性が非常に強いと思うのです。それについては、試験機関というのはこれから国の認可した法人でどの程度までつくるか、その限度を示していただきたい。
  111. 丸居幹一

    丸居政府委員 指定試験機関というのは一つつくるつもりでございます。これが東京に本部ができまして、そして大体海運局の所在地が、沖繩まで入れまして十一ございますので、十一の支所のようなものをつくりまして、そしてこれは実技の試験を国が委託する予定でございますが、実技の試験というと、どうしても海運局の所在地というわけにはまいりませんので、マリーナに出かけて実技試験をする、そういう制度をつくりたいと思っております。  それから教習所のほうは、先生御指摘のとおり、もうけ主義の教習所があまりできると困りますので、十分監督いたしましてやってまいりたいと思いますが、幸いにしましてわがほうには養成協会というものがありまして、それが全国かなりの組織を持っております。そういったところを中心にして、あまりほかにそう多くはできないのではないか、いまも十分その組織がございますので。しかし、新しくできるのを拒絶するわけではありませんで、できるものにつきましては十分指導監督してりっぱな教習所にしていきたい、こう思います。
  112. 野坂浩賢

    ○野坂委員 終わります。
  113. 久保三郎

  114. 紺野与次郎

    ○紺野委員 今度の船舶安全法船舶職員法改正の前提について、ちょっと最初にお聞きしたいわけです。  どんな情勢がこれを必要としたかということでありますけれども、その前提が、いま、前の質問者の方々、また政府のほうの答弁の中である程度出ておりますけれども、それをお聞きしますと、ますますその前提なるものが、いわゆるモーターボート小型船舶としてのモーターボートの異常な発展ぶりというか、そういうことにゆすぶられて、そしてそれに対応するような法の改正というものが実際にはほんとうの前提になったのではないかというふうに思うのですね。  それで最初に、そのモーターボートというものは一体いつごろから特につくられ、普及し始め、そして現在はどのような状態になっておるか。かり、これから数年間の見通しですね。どれぐらいのスピードでこれがふえていくのか、こういうことについてひとつ最初にお聞きしたいと思うのです。  新聞によると、海のレジャーの花形がモーターボートとヨットである、そしてこれは一つのブームをつくって、ゴルフ場の次は海のマリーナ、ヨットとボートであるというふうなことをいっているのですね。ですから、陸上でもゴルフ熱が非常に旺盛でありますけれども、それに対応するようなことで、新聞ではマリーナの熱が非常に高まっているということをいっているので、このモーターボートについて、そういういま申し上げました過去と現在と未来について、その発展ぶりをひとつお伺いいたしたいと思います。
  115. 田坂鋭一

    田坂政府委員 モーターボートの生産が本格的になってまいりましたのは昭和三十八年ごろからであると考えます。そういたしまして、その後モーターボートの技術並びにレジャーブーム、海洋にレジャーが進んでいったというようなことで、昭和四十二年ごろから画期的に、飛躍的に増加を見たわけでございます。  そういたしまして、先ほども申し上げましたように、モーターボートの現在の保有量は約十万隻でございます。そういたしまして、その中で大部分は五メートル未満の小型のボートでございます。一番大きなのは、先ほどもちょっとお話がございましたけれども、十二メートル程度ぐらいまでというふうな形態でございます。  生産の実績でございますけれども、大体過去年間毎年二〇%から三〇%ぐらいずつ生産は伸びてまいっております。そういたしまして、一昨年、昭和四十六年度には二万四千隻のモーターボートが生産されました。昨年、四十七年にはこれが従来の傾向と反しましてやや減少いたしまして、一万六千隻でございました。これはまず一つは、モーターボートの大型化という傾向がこの間にだんだんふえてきたということと、それから従来相当にたくさんつくられておりました軽合金艇、これがプラスチックボートに転換の傾向がさらに強くなったわけでございまして、軽合金艇の生産がここで相当に減少したということであろうかと考えます。  さらに、今後の見通しでございますけれども、欧米諸国の普及率、そういうものから、さらに、先ほどもお話がございましたけれども、今後の週休二日制等の動向から考えますと、昨年の生産減少は一時的なものでございまして、従来の伸びに戻ってくるということではないかと考えられまして、大体昭和六十年ごろは百万隻前後になろうかと考えます。これは欧米諸国等比較いたしますと、特異な現象ではございませんで、大体欧米諸国のちょっと下ぐらいの普及率というふうな感じでございます。
  116. 紺野与次郎

    ○紺野委員 このメーカーはどういうところですか。
  117. 田坂鋭一

    田坂政府委員 モーターボートのメーカーは約五十数社ございますけれども、その中でおもだったものは石川島播磨重工、それからヤマハ発動機、日本飛行機、それから日新ペースメーカー、永大産業、この五社が大手でございまして、これらの大手五社によりまして六〇%から七〇%くらいは生産されておるということでございます。
  118. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうすると、やはり石川島とか日本飛行機、それからヤマハ等々の大手がだいぶやっていると思います。  次に、この新聞によりますと、漁業組合がこの問題についてたいへんこれに対するきびしい態度をとっておるところがあちこち出てきたのですね。でありますから、昭和六十年までに百万隻までいくというふうなこういうことに対して、実際の——たとえばこれは静岡県でありますが、静岡県の漁業協同組合連合会は「全県的なマリーナ締め出し」ということを宣言して反対運動をやっている。今度の土曜日の日には何か榛原港で実際の実験をやるそうでありますけれども、私もそこへ行って見ようかと思うのですが、このモーターボート一体どういう影響を漁業に対して与えるのですか。
  119. 大場敏彦

    ○大場説明員 マリーナ、モーターボート等の影響で沿岸漁業がこうむっている被害といいますか、影響でございますが、私どもの手元に届いておりますのは、たとえばモーターボート等漁船の避難所へ侵入したり、あるいは漁具、具体的に申し上げれば網等の漁具を切ってしまった、そういったような被害を与えたり、あるいは漁業権漁場へ入ってきて非常に困る、こういうような声が聞こえてきております。漁民の声としては、たとえば漁業権内の漁場にはできるだけ入らないでもらいたい、それから、いけすの周囲には入らないでほしい、あるいは所属氏名がわかるような標識をつけてほしい、そういったもろもろの希望が出てきております。  もちろん水産庁としては、こういった末端の漁民の希望をそのままにほっておくわけにいきませんで、当然のことですが、末端の漁民との摩擦がないような形でマリーナ建設なり運営が行なわれていくことが必要でございますので、地元漁民の意向というものを十分に尊重して、それとの了解をとりながら問題が解決されるということを強く望んでおります。また、関係の担当部局にもそのように強く要請申し上げておる経緯でございます。
  120. 紺野与次郎

    ○紺野委員 もうちょっと突っ込んで聞きたいのですけれども、つまり網を切るとか、漁業権のあるところに入らないとか、いけすに入らないとかいう、いわば物理的なそういう形での被害というのか、それともどんな魚にどんな影響を与えるのかということを水産庁ではもっと専門的に研究されていますか。  たとえば公害が、いやだいじょうぶだ、相当化学工場が活動しても魚には影響がないだろうというふうなことをいっているうちに、どんどん魚が奇形化したり、あるいは化学的な水銀とかPCBとかがいろいろ蓄積されて、魚そのものに深く影響を与えたというようなことで、いまたいへん漁民が至るところで、公害がこんなにひどくなるまで政府のほうはほうっておいたのかというようなことを騒いでおります。  モーターボートやその他が魚にどんな影響を与えるものかということを水産庁の立場で、将来これが一種の公害のようにならないかどうか、魚に対してどんな影響を与えて、漁業障害を与えるのか、その辺もうちょっと聞かせてほしいと思います。
  121. 大場敏彦

    ○大場説明員 魚族の資源に対して具体的にどういう影響を与えているのか、こういった御質問でございますが、これは現在のモーターボートの走っている状況あるいはまた現在の科学的知見では、現在においてはどの程度魚族資源に影響を与えるかということは、これは海の表面を走っているわけですから、資源そのものに与える影響はそんなにないだろうと思っておりますが、しかし、現在の科学的知見ではわかりません。それ以上のことは申し上げられません。ただ、いままでのところいろいろ漁業者の苦情が来ておりますのは、先ほど申し上げましたように、むしろ物理的な苦情が多うございまして、湾内では非常に狭いからできるだけスピードを落としてくれとか、あるいはいけすのまわりは入らないでもらいたい、そういう物理的な苦情が来ているという現状であります。資源に与える影響というところまではいまの科学的知見ではわかりません。
  122. 紺野与次郎

    ○紺野委員 静岡の漁業協同組合から出ているものは、「シラス漁場がボートで荒らされる」こういっているのですが、これはどうでしょうか。シラスの漁場がボートに荒らされるということですが……。
  123. 大場敏彦

    ○大場説明員 私どものところはそこまでこまかく聞いておりませんが、しかし、それは資源がそのために衰退しているとか、そういったことではおそらくないと思います。やはり非常にモーターボートが横行して操業がしにくくなる、非常にあぶなくて操業が不安定な状態になる、こういう形での苦情だろうと私どもは理解しております。モーターボートのためにシラスの資源そのものが衰退をして、魚がとれなくなってしまうという意味の苦情ではない、こういうふうに思っております。
  124. 紺野与次郎

    ○紺野委員 やはり水産庁は非常に抜かっているのではないかという気がするのです。静岡県の漁業協同組合といえば、この前は公害問題でいわば相当の障害を受け、そしていろいろ反対運動をやったところですね。そこでおそらく榛原港を中心として一万隻くらいいろいろなあれが動いてくるのではないかというようなことで、これに対して反対運動を本格的に始めたといわれております。これは「シラス漁場がボートで荒らされる」、それから、ああいう震動をやって小さな魚が、あるいはエビ類とか——たしかエビ類に対しても何か影響を与えるとかいうように聞いたように思いますけれども、私たちももっと実際に調べなければならないと思いますが、水産庁はもっとそういう漁民の側の不安に対して先取りして、そしてその影響がどういうものか、百万隻あったらたいへんなことであって、そういうことをやはりもっと厳格にひとつ調べていただきたいというように思います。  それから、そういう前提のもとに今度の法案を見ますと、ちょっとわれわれしろうとなんですが、この船舶安全法を見ても、職員法を見ても、膨大な改正点が入ってきたのですね。しかも麗々しく出ているのは、小型船舶に対する検査機構ということで船舶安全法の中に大きな比重を持って登場してくるから、法体系の中に一つの奇観を呈しているような印象を受けます。ヘビがカエルをのんだような何かたいへんなものをのみ込んだというふうにも見えるのですけれども、この小型船舶検査対象ですね。これはずっといままでにも質問その他が行なわれましたけれども、実際にこの法案検査対象になるものは、こういうふうにまとめるわけじゃないんだけれども、こういって間違いないでしょうか。国のほうでやる検査対象は約四万二千隻、それから今度の新しい機構対象にするのは十八万九千隻、そうですね。それからもう一つ、それはその他の小型船舶で約五十二万五千隻の小型船が、おもに都道府県で第二十九条によって検査をしてもいいというふうに区分けをされているように思いますけれども、そういうことですか。
  125. 田坂鋭一

    田坂政府委員 そのとおりでございます。
  126. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それで、この機構による十八万九千隻のうち、政府がいままでやっていた一万二千隻が対象に入ってきていますね。その残りの十七万七千隻、これが一体何ものなのかということです。この十七万七千隻のうち、先ほどモーターボートは十万隻と言われたけれども、もっと多いんじゃないですか。十三万隻ぐらいあるんじゃないですか。
  127. 田坂鋭一

    田坂政府委員 モーターボートは、正確に申しますと、私ども十万三千四百隻と考えております。
  128. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうすると、十七万七千隻のうち十万隻が大体モーターボートですね。そうすると、あとのほうはどういう船が対象になるのでしょうか。
  129. 田坂鋭一

    田坂政府委員 おもなものといたしましては、遊漁船——釣り舟でございまして、それから……
  130. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それは何隻ですか。
  131. 田坂鋭一

    田坂政府委員 五万九千三百隻でございますので、大体六万隻でございます。  それから作業船等、五トン未満エンジンを持った船、これが一万三千二百隻ほどございます。  それから次に、近海区域以上を航行いたします帆船、これはいわゆる遠洋ヨットでございます。これが八百隻ほどございます。  それから、先ほどもだいぶ議論になりましたけれども、二十トン未満漁船でございます。法体系上は全体の漁船対象になっておりますけれども、当面政令段階で八百隻ぐらいを対象に考えております。  次に、櫓かいをもって運航される船でございますが、そのうちの旅客を六人以上乗せるもの、これが大体九千五百隻ございますので大体一万隻、その他引っ張られる船でございますけれども、その中のおもなものは遊漁船とか危険物のばら積み運搬船等がございます。これが二千百隻ほどございます。  以上でございます。
  132. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうすると、船舶法というものをわれわれあらためて読んでみますと、そもそも船舶というのは、人とか荷物とかを運搬するあるいは漁業に役立つ、こういう実際の経済に役立っている船舶ですね。そういうものが、つまり船舶職員法という形で、これを保障する人的な法体系にもなり、また安全という保障もしておるというふうになっているのだと思いますが、いまの十八万隻の対象のうち十万隻というのは、ヨットあるいはモーターボートということで、いままでの概念の船舶とは違った異色のレジャー的なものであって、それ以外は五トン以下あるいは五トンから二十トンまでの間でも漁業用とかその他の運搬用とかあるいは作業用とか、こういうふうな船であって、その性質が非常に違うのですね。特にそういう点で区別して、そういうものは別の法体系をもって扱うというふうにして、なおその他のいままで検査しなかったものを検査するというふうにだけかりに限定すれば、何も新しいこういう特別機構をつくらないでも、国及び県で二十九条によってすでに五十二万隻もやろうというふうに今度の説明の中でも言われているわけですから、県でも取り組むあるいは国でも取り組むというふうにしてやれば、何も小型船舶検査機構というようなものをこの船舶安全法の中に持ってこなくてもいいのじゃないか。そのほうがむしろ法の本来の目的である船舶の安全その他を確保していくということにかえってなる。レジャー的なものについては、逆にまた別の対策、別の立法をもって取り扱うようにするほうが、今後の百万隻にも及ぶ膨大な発展というか、増加というか、そしてまた、いろいろの障害物を伴っているという点から見て、その規制をしなくちゃならない面もあるというふうな点からすれば、そういうふうにしたほうがいいのではないかというふうに思いますが、これは新谷運輸大臣、御答弁を願います。
  133. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 先ほどもちょっとそれに関連したような御質問がありましたのでお答えしたのですが、法体系の問題としては、むしろ今度の提案のほうが私はよりすっきりしていると思っておるのです。船舶法とかあるいは船舶職員法あるいは船舶安全法というものを並べての御質問でございますが、それぞれに目的を持っておると思います。船舶法というのは、申すまでもないのですが、日本船舶というのはどういうものだ、これは国際的にも非常に影響のあるもので、通商航海条約とか海運協定とか、そういったものに影響がございまして、日本船籍を持って登録をしている国籍証書を持っておって、どこへ行っても最恵国待遇を受けられるとかいろいろの特典を与えられている場合に、どうしても日本船舶であるということを立証するようなものがなければならぬというようなことで船舶法ができている。船舶法適用を受けないものは日本船舶ではないのかというと、そうじゃないのですね。それも日本人の所有しているのは日本船舶に違いありませんが、船舶法に掲げてある登録したり国籍証書を持ってないというので、それについては都道府県あたりで、あるいは税金の対象になったりいろいろいたしますから、それぞれの目的に応じて、条例をつくって取り締まっておるということだと思います。  それから、安全法職員法関係は、大体これと軌を一にしておると思いますが、船舶の海上における人命の安全、財産の安全というものをはかるための法制でございまして、いまお話しのように、何かヘビがカエルをのんだようだとおっしゃって、いかにも異質のようなものにお考えのようでございますけれども、そうじゃないと思うのです。両方ともやはり船舶の海上における人命財産の安全というものをはかるために必要な法制の一つでございまして、現に、御承知だと思いますけれども、二十トン以上のやはりモーターボートに類するような船もございますし、帆船もございますし、練習船なんかそうでございましょう。ですから、いままで現行法では今度対象にしようというようなものを全然含んでないかというと、含んでいるのです。含んでいるのですが、トン数に制限がありまして、そこまでは及んでない。しかし、最近の実情から見ますと、おっしゃるようにモーターボート、ヨットというようなものがふえまして、そのために、放任しておきますと海上における人命の安全が確保できないおそれがあるということで、取り締まり対象を拡張したということにすぎません。しかし、これは大型船と違いまして、構造上につきましても大型船のようにいろいろの点から問題にする必要はないのでありますから、最小限度の安全の基準というものをつくることにしておりますし、乗り組み員についても、やはり同様の見地から、小型船でございますからそれに応じたような船舶職員を乗り組ませればそれでこと足りるということでございまして、法体系の問題としてお考えになりますと、むしろ私は現行法の適用範囲を小型船に拡張したので、何か分けることのほうがかえって法体系の上からいうと疑問があるのではないかというふうに考えます。しかしこれは、法体系の問題は絶対的じゃございませんから、考えようだと思います。私どもは、いま申し上げたような見地から、このほうが適当であると思いまして、提案をしたような次第でございます。
  134. 紺野与次郎

    ○紺野委員 モーターボートやその他については、やはり船舶としての新しくやるべきことがたくさん出てきていると私は思います。それはあとで申し上げますけれども、カーフェリーとか、タンカーとか、あるいは鉱石船とか、こういった新しい船舶の本格的な問題について、ほんとうに安全かどうか、それを確保するにはどうするかというような問題について、もっと考えておかなければならないようなことがある。本格的にそういう面に注意を払うべきなのに、そちらのほうはあまりされておらないで、そうして逆にこういうモーターボート等のことに注意が集中してしまうというふうなことが、本来船舶安全法職員法というものとはまた違った別のものとしてやるべきことに、もっと本格的に気勢がそがれるというふうなことになるのじゃないかという点からもあわせて申し上げるのですけれども、実際にモーターボートだけならば、たとえば講習所あるいは職員法のほうでいえば自動車の免許をとるような形のもっとしっかりした講習制度、それから試験制度というふうなことで、モーターボートに対応するようなことはまたこれとして独自にやれるのじゃないですか。そうやったほうがいいのではないかというふうに考えられるのです。そういう点どうでしょうか。
  135. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 紺野先生、それは意見が全然違うのです。率直にいえば、先生誤解ではないかと思うのですが、大型船特に専用船の鉱石船とかあるいは石油を運んでいるタンカー、そういったのをほっておいたというふうなお話がございましたが、これはたいへんなことだと思います。これは国際的にも安全基準というものは条約できまっているわけです。その上に日本としましては、そういうふうな専用船がふえるものでありますから、それに対応したような安全基準というものを、安全法関係の詳細な規定がございますからごらんください。詳細な規定を設けております。今度のはそういうような国際航海に従事するわけでもないし、非常に危険な航海をするわけでもない。つまり海域が違いますから、それに応じたような安全上の基準を要求するということにすぎません。でございますから、小型船のほうに重点を置いて、むずかしいことを言って大型船をほっておく、もしそういう誤解があるとするならば、これはよく安全法関係のこまかい規定を、非常に大部になりますけれども、ございますから、十分ごらんをいただいた上で御批判をいただきたいと思います。  それから、いまのモーターボートについては、何か陸上の自動車みたいに別の基準をこしらえてやったらどうかというお話でございますが、これは船のほうは、自動車のほうもある程度そういうふうになってまいりましたが、昔から構造の問題についてはあるいは設備の問題については船舶安全法、それから乗り組む職員の問題については船舶職員法、それから船員の問題については船員法というふうに、それぞれに分かれておりまして、それから航行の安全につきましてはいろいろの法律規則がございます。海上衝突予防法でございますとかあるいは海上交通安全法でございますとかあるいはそれに付随いたしまして、各港では港則というようなものもございますし、いろいろなこまかい規定があるわけです。法律あるいは規則があるわけでございまして、それによって今日まで、これは大型船と小型船を問わず、海上交通の安全というものは確保してきたのでございますけれども、それだけでは足りなくなってきておりますので、今度はそういう小型船につきましても、その規制の対象にして、そうして構造上の安全をはかると同時に、その船自身の操縦等につきましても安全を確保できるような人を乗せる、それについては他に迷惑をかけることのないような、いろいろの海上における安全というものを本位にしての講習をし、訓練をいたしまして、その上で標示をしてもらうというような制度を新しく樹立しようとするものでございますから、ちょっといま先生のいろいろお話がございましたけれども、その点はひとつ誤解のないように御了解をいただきたいと思う次第でございます。
  136. 紺野与次郎

    ○紺野委員 カーフェリーその他のことについてはあとでもう少しお聞きしたいと思いますけれども、ただそういう船の、本格的な新しい小型船のほうの安全が、一そう厳格に検査を励行していくというようなことが非常に必要になってきている。そういう点はあとでもうちょっとお聞きしたいと思います。  いまの大臣お話でありますけれども、確かにモーターボート等々に対する特別の対策がいま必要になってきているということは、これは当然でありますけれども、ただ、いわゆる船舶法の安全という本来の趣旨からいって、これが何かかえってそれを弱めることになりはしないかという不安について申し上げたんで、そしてまた、特別の立法によって、全体としてこのモーターボートの今後のいろいろのトラブル規制等々をも一つ体系でもってやっていくほうが、目的に合致しているのではないかというふうに考えるわけです。  それから、職員法のほうの点でちょっとお聞きしたい点は、五トン以上二十トン未満ですか、四十馬力以上の船ですね。それがいままでは丙種の航海士と機関士、二人乗りということになっておったんじゃないですか。それが今度は一人でいいというふうになっていますね。どうですか、それは。
  137. 丸居幹一

    丸居政府委員 そういうふうに改めることに原案はなっています。
  138. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そのことで、実際に雇用の問題でいろいろ問題が起きてこないかどうかということですね。五トン以上二十トン未満の汽船が大体どれくらいあるでしょうか。
  139. 丸居幹一

    丸居政府委員 隻数としては約一万七千隻ございます。ただし、全部の船舶に丙種機関士が乗り組んでおるわけではございませんので、乗り組んでおるのはこれより少なくなります。
  140. 紺野与次郎

    ○紺野委員 これは漁船を含むのですか。
  141. 丸居幹一

    丸居政府委員 ほとんど漁船でございます。
  142. 紺野与次郎

    ○紺野委員 その場合に、私たちのほうで調べた数字でも十トン以上二十トン未満の四十馬力以上を持っている船が七千六百隻ある。これに丙種の機関士が大体七千六百人は乗っているはずだ。こういう人たちがこの法改正によって実は不安を抱いているというのです。自分たちが、結局一人だけでいいということから、失業の不安がないかということで、やはり雇用の不安あるいは賃金上の不安、そういうことも言われているのですけれども、この点はどうでしょうか。
  143. 丸居幹一

    丸居政府委員 主として漁船でございますが、いままで丙種機関士が乗っておりましたのは、先ほどもちょっとお答えいたしましたが、焼き玉エンジン時代には、どうしてもやはり焼き玉エンジンを調整しながら走るという必要がありましたので、丙種機関士が焼き玉エンジンの調整をしながらエンジン運転する、それから片方では小型船舶操縦士が運転をしていくという状態で、どうしても物理的に二人要ったわけでございます。最近のエンジンは、焼き玉エンジンはほとんどもうゼロになっておりまして、そしてディーゼルとガソリンエンジンがほとんどになっております。こういったものはまたほとんどがリモートコントロールになっておりますので、操縦席からリモートコントロールでコントロールしながら操縦者が走れるという姿に変わってまいっております。したがいまして、丙種機関士が乗っておりましても、丙種機関士は手持ちぶさたであるという状況で走っておるわけでございます。そういう状況なものですから、こういった人たちをおろし、しかしおろすといっても、遠いところに行くのには非常に危険性があるじゃないかということもありますので、新しくつくろうとしております一級小型船舶操縦士は、そういった機関についての知識も吸収いたしまして、そうして新しいディーゼル、ガソリンエンジンについての知識を吸収した人が一級小型船舶操縦士の免許をとれるようにいたしまして、この際その勉強をしてもらう。そういうことをやったほうがエンジン事故等についても少なくすることができるというつもりでそういうことをやったわけでございます。  ただ失業者が出るかどうかということでございますけれども、これは先生のおっしゃるとおりに、そのままの姿であれば私は失業者が出てくるものというふうに思います。しかし、すでに港内を走っておるものは船舶職員法二十条の規定によりまして軽減処置がとられておりまして、実際は乗っておりません。四十馬力以上の船を扱いましても乗っていないものがあるわけでございます。  漁船につきましては、いま先生御指摘のとおり、それくらいな数の丙種機関士が乗っておるわけでございます。その人たちが失業するんじゃないか、いま乗っておる丙種機関士あたりはそれでは全然免状だけ持たしておるのと同じか、こういうことになるのでございますけれども、事実上はそうではありませんで、これらの人たちは漁場に参りまして漁業に従事しております。ですから、仕事の大きな部分というものはそういう漁業に従事しておるという仕事をしておりますので、直ちに失業につながらないんじゃないかというふうに思っております。しかし、彼らはあくまでも船舶運航するためにある人たちでございますので、こういった人たちも将来は一級小型船舶操縦士の免許をとっていただいて、そしてすでに機関についてはかなりの知識を持っておられるわけですから、新しい機関の知識をもう少し吸収していただくことと、小型船舶操縦士としての勉強をしていただくことによって、一級小型船舶操縦士の免許をとっていただいて、そして引き続き船に乗っていただくということにすれば、そう急に失業者が出ないで一徐々にそういうことにかわっていっていただくことができるんじゃないかというふうに考えております。
  144. 紺野与次郎

    ○紺野委員 海上安全船員教育審議会から、諮問に答えて運輸大臣にことしの二月に答申がされているはずでありますけれども、その内容の中に、現行の小型船舶操縦士の資格廃止の問題については意見がまとまらなかった、つまり一人乗りでよいという意見と、やはり一定の距離以上に遠くに出る船については機関士を乗り込ませるべきである、やはり二人乗りにしてエンジニアを乗せるべきであるという意見と二つあったということでありますか、大臣知っておりますか。
  145. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 その事情は知っております。
  146. 紺野与次郎

    ○紺野委員 これについて、やはり一人でよいというふうに判断されて今度の法案に一人乗りというふうにしたのでしょうか。
  147. 丸居幹一

    丸居政府委員 ちょっと私から先に事情を御説明申し上げたいと思いますが、先生御指摘のとおりに、審議会からはそういう答申が出ております。ただ、審議の段階におきましては、併記答申のようになっておりますけれども、内容を詳しく読んでいただきますと、ちょっとニュアンスが出ておると思いますけれども、大多数の意見は一人でいいという意見でございます。少数意見として、やはり丙種機関士を引き続き乗り込ませたほうがいいという意見が出ております。内容もいろいろわれわれで検討いたしました結果、やはり一人でいいのだということに確信を持ちましたが、その欠陥というのはどういうことかというと、さっき申し上げましたように、遠いところへ出たときにエンジン故障等が起こるのではないかということでございますけれども、ただいまのエンジンというのは、海洋に行きましてシャフトがどうなったとかなんとかいう事故が起こりましても、ああいったコンパクトになってしまったエンジンを海洋で修繕するわけにまいりませんので、ですから、それがエンジン故障の起きないように、たとえば潤滑油の関係はどうであろうかというのを、もっと事前に、出発前の準備と点検を十分する訓練をしなければいけない。そういうふうに一級船舶操縦士というものに、エンジンについての知識、そういう知識をむしろたくさん吸収させて、そして一部についてはスペアを持っていって取りかえるという簡単な部分もございますから、そういう知識、経験をつけて、そして出ていけば、それのほうがかえって安全だということに大体結論が出て、そういうあれにしたわけでございます。
  148. 紺野与次郎

    ○紺野委員 大臣、それでいいですか。
  149. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 いま政府委員から申し上げたとおりでございまして、船舶構造、それからエンジンの内容、それから材質というようなものをすべて勘案されました結果、一人で十分安全を確保し得るという結論を出した方が大部分だったということでございますので、そのとおりに採用したわけでございます。
  150. 紺野与次郎

    ○紺野委員 最近、漁船海難事件がかなり多い。その場合に、機関故障による海難事故、これがかなり多いのじゃないですか。ちょっとそれを知らしてください。特に五トン以上二十トンあたりのものを……。
  151. 丸居幹一

    丸居政府委員 海難件数、これは私のほうで調査いたしましたのと多少違うかもしれませんですが、いわゆる海上保安庁の要救助海難統計の昭和四十六年から調べた数字でございますけれども、件数が合計で八百四十八件。二十トン未満海難でございますけれども、八百四十八件ある中で、原因別に調べてみますと最も多いのが機関故障で三百二十七件でございます。(紺野委員「一番多いですね」と呼ぶ)はい。一番多いのでございます。機関故障が一番多くて三百二十七件でございます。(紺野委員「それは焼き玉ですか」と呼ぶ)これは四十六年ですから、多少まだ焼き玉が残っておると思いますが、四十八年ではゼロになっております。四十六年度では多少まだ焼き玉エンジンが残っておると思います。
  152. 紺野与次郎

    ○紺野委員 事実はやはり機関故障によって漁船が遭難することが多いということだと思うのです。だからなおさら、最近の機関は焼き玉エンジンなんかよりは高度なものだけれども、それが絶対に故障を起こさないということにならないのですね。リモートコントロールでばんばん回って好調に進むというのじゃなくて、やはり漁場におけるいろいろの悪い諸条件のもとでは、そういう故障も起こるし、またそれが漁船の遭難につながるということは事実が示しておると思うのです。そういう点から見て、やはり機関専門のエンジニアが乗船するということは、安全を第一にするならば惜しんではならないことであって、船はだいじょうぶだというふうにただ陸のほうから呼号するだけではだめじゃないかと私は思うのですけれども、どうでしょうか。
  153. 丸居幹一

    丸居政府委員 お答えする前に、ちょっとさっきの数字を、最近統計が違っておって直してございますのを私知りませんで恐縮でございますが、訂正さしていただきます。機関故障三百二十七件と申し上げましたが、二百六十三隻というふうに直っておるようでございます。(紺野委員「それでも相当なものですね」と呼ぶ)はい、多いのでございます。  そこで、その問題でございますけれども海難原因機関故障が多いということでございますけれども、さっきもちょっと申し上げたのでございますが、最近のディーゼルとか、それからガソリンエンジン等は、やはり事前に出発する前に、たとえば潤滑油の状況はどうだろうかとか、排気管の模様はどうだろうかというふうなことを十分点検していくようにすれば、ずいぶん機関故障等も防げると考えられるエンジンになっておるのだそうでございます。したがいまして、私はこのエンジン機関故障を少なくする意味から、新しい一級小型船舶操縦士等の機械についての教育をそれにマッチしたような教育にしなければならぬ、それのためには、こういった切りかえ時期というものが絶好のチャンスだから、これによって一級小型船舶操縦士をそういうふうに切りかえていこうというのが考えた理屈でございます。しかし先生がおっしゃるように、それは機関士を乗せたって機関士にそういうふうに教育し直せばいいじゃないか、一人よりも二人のほうが安全じゃないかと言われれば、理屈はそうかもしれませんのですけれども、さっきも申し上げましたように、まあ仕事もないのに乗っておるということは、なかなかこれ月給もらって乗っておるのは苦痛でございますので、そういう方に一級小型船舶操縦士に切りかわっていただくということがやはり必要じゃないかというふうに考えた次第でございます。
  154. 紺野与次郎

    ○紺野委員 やはりいまのお話では納得いかないと思いますね。そういう資格を持って一人でいいということにはならないと思うのです。やはりそういうところには二人乗って、そして航海士とかそういう独特の海のほうの職員のそれぞれの責任ある任務と、それからエンジニアとして、陸上とは違いますから、非常に困難な諸条件のもとでも一定の故障をちゃんと直すことができるようなエンジニアというものを、そういうものをやはり船の中で持つ、通信士も。そういうふうに、これは私だけの考えじゃなくして、実際船員の人たちがそのことを望んでいますね。いま、あなた方が答申の問題について二つあった、一方は多くて他方は少数派だった、しかし多数に従って一刀両断に断ち切って結論を出したというけれども、やはり出血はするんですね。ですから、あまり簡単におかの上でながめるようにしないで、現場のほうの意見というか実情に即した保安やその他に万全の手を打つというふうにしてもらうのがほんとうじゃないかと思いますけれども、そういう努力についてはどうでしょうか。
  155. 丸居幹一

    丸居政府委員 先生のそういう御心配につきまして十分なお検討さしていただきますけれども、私たちエンジンのことはよくわかりませんので、審議会はわざわざそういった関係の、ことに造詣の深い方にお集まりいただきまして、そしていろいろ議論していただき、その点はさっき先生のほうから御指摘がありましたように、少数意見ではありますけれども意見が出てまいりましたので、したがって、そこでかなりの議論が行なわれたわけでございます。私はそういった人たちをおろしても、それの余裕が出たもので、たとえば部品でも一つよけいに持っていくとか、あるいはできれば船外機の一つでも積んでいくということにしたほうがかえって安全性が向上するというふうに思ってそういう案を出したわけでございますが、しかし、なお十分検討させていただきたいと思います。
  156. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それから、検査機構においても、また試験機関についても、これ単独の、何か単一の組織であるというふうに書いてあるわけでありますけれども、これはどういう団体あるいはどういうところを基礎にしてこういうものをつくり上げられるのですか。
  157. 丸居幹一

    丸居政府委員 指定試験機関でございますけれども、これが必要であるというふうに考えました動機は、実は私のほうには首席試験官以下試験官を実は持っておるわけであります。そこで試験ができる制度には一応なっておるわけでございますけれども、そういった人はたいてい甲種船長上がりの人ばかりでございます。しかし、その小型のモーターボートというのは、操船の技術等が大きな船と全然違っておるということなのでございます。したがいまして、やはりモーターボートモーターボートに造詣の深い、そして経験の深い人に試験をしてもらい、またその試験官の養成をしてもらう、あるいはまた教習所の講師の養成をしてもらうということでありませんと、間違った試験をしたり養成をしたりいたしますので、そういった専門の方の非常に多くおられ、かついままで教習について経験を持っておられるようなところに実技の試験だけを委託したいということで、指定試験機関というものを新たにつくりたいというふうに考えておるのでございます。  それが一つである。なぜ一つにしたかということでございますけれども、これは受験者がそう多くないだろう。大部分は、一級小型船舶操縦士から四級までが受けるわけでございますけれども、その大部分は初めての人が多いわけですから、初めての人たちはたぶん教習所のほうに行かれるだろう。そこで残りということになりますと、実際に試験を受けられる方はもう少ないのじゃないだろうかというふうに考えますので、それもあちこちつくったのではとても試験官の人数が足りない。  それからもう一つは、そういう少ない人数にたくさんの試験機関をつくりますと、どうしても試験機関相互のアンバランス等が出てまいります。試験はやはり全部公平に、なるべく同一の水準に基づいてやる必要がありますので、そういう意味から試験機関一つにいたしまして、ただし、試験を受けられる方は全国におられますから、支所等を設けて、そして実技試験ですから支所ではできない、マリーナに出ていって試験をする、そういう方法をとりたいというふうに考えております。
  158. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それはどういうところを候補に考えているんでしょうか。
  159. 丸居幹一

    丸居政府委員 ただいま考えておりますところは、日本モーターボート協会、日本船舶職員養成協会といったようなものがありますので、その中から、法律の通りました段階におきまして、最も適当だというところを一カ所選んで試験機関にしたいというふうに考えております。
  160. 紺野与次郎

    ○紺野委員 いまお話しの日本船舶職員養成協会、それから日本モーターボート協会、同じようなものは尾道海技学院、それから中国船舶職員養成協会、それから関門海技協会、この五つがあると思うのですけれども、一応これと似たような団体ですね。大体こういうところから選ばれるのですか。
  161. 丸居幹一

    丸居政府委員 そのとおりでございますが、ただいま申し上げましたように全国で一つつくるわけですから、なるべく全国的な組織の持ちやすいところを選びたいというふうに考えております。しかし、先生おっしゃるとおりに、それらが候補者にならぬのではございませんで、十分候補者になり得るところだと思います。
  162. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それから、モーターボートだけをやるわけじゃないわけですね。先ほどから小型船舶漁船とかその他もやるわけですね。そうですね。
  163. 丸居幹一

    丸居政府委員 そのとおりでございます。
  164. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうしたら、どうしてモーターボート協会だけにやらせようという考えになるのですか。
  165. 丸居幹一

    丸居政府委員 実は漁船のほうはないのでございます。といいますのは、漁船のほうは経験者にたいていなるわけでございますので、いままでの例からいいましても、漁船は全部学科試験だけで合格するわけでございます。これは実技の試験だけを代行してもらうという予定でございますので、学科のほうは従来どおり海運局の試験官が試験をするということでございますので、これは私たちのほうでいたします。したがって、これの対象モーターボートだけでございます。
  166. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうすると、最初からモーターボート協会万歳という法律になっておるんじゃないのかな、これは。そういうことだったら、これはやはり特別の法案、独立の立法にして、船舶職員法船舶安全法の中に持ってくるとかなんかしないで、そして別にそういうものは、試験は自動車運転免許をとるようなそういう簡略なものにするとか、学科試験というものもちゃんとしかるべく国及び県で行なうとか、それから実技についても、非常に簡単なものだそうですから、どこの県でもそれは実技を指導するというようなことは、モーターボートだけならばできるわけです。そうではなくて、遠洋に行く漁船とかその他等々ならばいろいろのもっと複雑なあれがあるでしょうけれども、そういうふうに特別に麗々しく小型船舶検査機構はただ一つでなければならない云々で、こういうふうな法体系の中にヘビが何かのみ込んだみたいなものをつくらないで、やはり国及び県がこういうことをやるというふうに処理したら、そのほうが最も合目的的であるというふうに考えますが、どうでしょうか。
  167. 丸居幹一

    丸居政府委員 モーターボート協会にきめておるわけではございませんで、モーターボート協会という名前がついておるから、やるならモーターボート協会にきまっておるじゃないかというふうにお考えになるかもしれませんが、実は日本船舶職員養成協会はただいままでモーターボートに乗る人の養成もやっておりまして、必ずしもモーターボート協会だけがそういう養成をやっているわけではございません。全く白紙の立場でわれわれはいまのところは考えております。どこになるかというのは、法案でも通りまして、省令等も十分にできました段階で、十分そういうところに運輸大臣の権限を行使する、負託にたえるようなりっぱなところにひとつ指定機関の指定をいたしたいというふうに考えております。
  168. 紺野与次郎

    ○紺野委員 私はそういうものは地方及び国がやったほうがいいというふうに思うし、また私のところには、国とここでやってくれ、国と県でやってほしいという手紙が実は来ているわけなんで、そういう声をわれわれ代表してやってもらったほうがいいというふうに私は考えるわけです。  なお、一つでなければならないとか、一つの団体でなければならぬというその考えは、われわれから見るとおかしいと思うのだ。やはりかりにそういうことがあったとしても、いろいろのこの事業に関係のあるような団体から連合させて、連合システムというのはわれわれたいへん好きなんでありますけれども、やはりいろいろの英知をいろいろのところから集めて、そうしてやるというふうになぜならないのか。ただ選ばれるものは一つだけだというふうな、そういうことはやはり金科玉条なんですか。幾つかの団体が連合して、一つの何かそういうものをつくるというふうな、かりにそういうふうな考え方はどうなんですか。
  169. 丸居幹一

    丸居政府委員 私たちは、受ける方のいろいろ御便宜もあるかもしれぬと思うのでありますけれども、試験の公正を期したいということが第一の頭の中にあることであります。したがいまして、いろいろなところで試験をいたしまして、まあ甲のほうは非常に甘いので通した、乙のほうは非常に試験がきついというふうな不満を述べられるのが監督官庁としては一番つらいことなんです。そこで、一つの試験機関にしておきますと、非常に監督も容易でありますし、それから何よりも一つの試験機関のほうがいいのは、何といいましても試験の水準というものが同一のレベルに保たれるということだと思います。公正な同一水準の試験ができるということが一番大きな利点だと思います。  それから、先ほども申し上げましたように、大部分の人が、養成所といいますか教習所といいますか、そっちのほうへ参りますので、試験機関に試験を受けに来る人というのは、われわれの想定ではあまり多くないんじゃないだろうか、大体一割程度じゃないのかというふうに思いますので、あまりたくさん設けますと、どうせ補助金をよけい出すわけではありませんので、経営も苦しくなってくる。そうすると料金を高く上げられるというふうなことになっても困りますので、私は、この程度の需要であれば一つにしておいたほうがいいというふうに考えて、一つにしぼったわけでございます。
  170. 紺野与次郎

    ○紺野委員 つまり一つにしぼるという意味は、一つ機構をつくるという場合でも、三つとか四つとかの団体から一緒に入ってもらってつくるということはできないのかということです。
  171. 丸居幹一

    丸居政府委員 私は、責任体制を最も明確にしていただくために、現在では財団法人にその業務を委託するという形にしておるわけでございます。それはなぜかといいますと、寄り合い世帯ということになりますと、どうしても責任が明確でない。少しかたく考え過ぎるのかもしれませんけれども、とにかく試験ですから公正な試験がやってもらいたい。それがためには、起こる結果についてはすべて責任を十分とり得るような、そういうものにしていただきたい。したがって、社団でもなければ何でもない、とにかく最も基礎のがっちりした財団法人の中からそれを選びたいということにしたわけでございます。
  172. 紺野与次郎

    ○紺野委員 では、この問題はこれぐらいにいたしまして、本格的な船舶安全法及び船舶職員法の本来の任務というのか、この法がやらなければいけない重要な問題と思いますのは、最近起きたカーフェリーの問題ですね。ああいう問題について、やはり大きな欠陥があるのじゃないか、これについての十分な検査体制というものが行なわれておらない結果ああいうことが起きたのじゃないかということについて、ちょっとお聞きしたいのですが、この間の「せとうち丸」、これについてその点から見てどうでしょう。
  173. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 瀬戸内のカーフェリーの問題については、おそらくこの委員会でも御説明を申し上げたのではないかと思いますが、御承知のようにカーフェリーが非常に最近数が多くなるのみならず、内容も変わってき、大型化してきたことは事実でございますが、先般の瀬戸内におけるカーフェリーの事故につきましては、さっそく具体的に担当の検査官といいますか、担当の技術者を中心にして現地に派遣いたしまして、詳細に調査をされまして、その原因と推定せられるものはよく捕捉ができたと思っております。  これについてはあと政府委員から御答弁させますけれども、とにかく構造上、つまり船舶安全法の上で欠陥があってあの事件が起こったかというお尋ねだったと思いますが、そうではなかった。ただ、その検査を受けました当時の状態がそのまま続いておれば、ああいったことにならなかったろうと思います。検査を受けた当時におきましては、原因と推定せられますエンジンルームのいろいろな故障、つまり油が噴霧状になって吹いた、それがエンジンの非常に温度の高い部分に当たって発火したということのようでございますから、検査を受けた当時の状態で保守されておれば、これはああいう事故にならなかったろう。のみならず、あの事故におきましては乗り組み員の訓練が十分でなかった。それで、エンジンルームのドアをあけっぱなしにして出ていってしまったり、いろいろの乗り組み員の過失と思われるような事故があったわけでございまして、そういったものも、カーフェリーがおそらく出たり入ったりが非常に激しいものですから、訓練が十分行き届かなかったというようなことも原因であったと思います。  それに対しまして、さっそく通達を出しまして、これは海運会社ですが、海運会社に対しましては、そういう船員の訓練の励行をしなさいということ、それから船が出ますときには、これは現行法にもあるのですが、ああいう旅客船においては、発航前に、つまり船が出る前に必ず事前の大事な部分の点検をしなさいと言っているのですが、それが励行されていないというようなことにつきまして厳重な注意をいたしまして、ことにカーフェリーについては、古いカーフェリーと新しいカーフェリーとがありまして、昭和四十六年が境のようですが、四十六年前に建造したカーフェリーとそれ以後のカーフェリーは安全基準が多少違います。それで、できるだけ四十六年以前の建造にかかるカーフェリーにつきましても四十六年以後のカーフェリー並みにしようというので、これはなかなかすぐにはできない面がございますが、そういった点について技術的にも検討させまして、できるだけ安全基準を高めるようにという通達を出しまして、いまそれを実行に取りかかっておるということでございます。  これはああいう事故が起こったのは、どこか安全法上の設備基準あるいは構造基準において欠けるところがあったのではないかというような御心配のようでございますが、あれをつぶさに点検いたしましたが、そういうことではなかったということでございます。しかし、現在の安全法で要求しております基準以上に安全性を高めるということは必要でございますから、現行法以上の安全基準を要求することに決定いたしまして、カーフェリーのみならず、一般の旅客船につきましても、小さな旅客船がたくさんございますから、その旅客船につきましても、いま、カーフェリーにおけるような問題を起こさないように、船会社に対しましても十分設備を整えると同時に、船員の訓練を怠らないようにということを通達いたしまして、ああいった事故が二度と起こらないような措置をしておるのでございます。
  174. 紺野与次郎

    ○紺野委員 「せとうち」の事件について、油が噴霧状になって出てきた。それが炎になって燃えたところですね。これはちょうど排気ガスのパイプが出てくるところで、石綿ですか、アスベストでもっておおうところがおおわれておらなかった。境のところですね。過熱して四、五百度のところで油が噴霧状で燃えたんじゃないか、こう言われているというふうにあのとき政府のほうの方からお聞きしたと思いますけれども、石綿でそこをおおうということがされておらない。それで、四、五百度の非常に高い排気ガスのパイプが露出しているというふうな面がやっぱりあったのですね。ですから、そういうふうに構造上、そこのところがこの間のあれでも十分出されておらない。そういう欠陥がやはりあった。十分そこはおおわれておらないで、もちろん油が出てこなければそうはならなかったかもしれないけれども、そういう過熱の露出部分があるとすれば、ああいう特殊な船ですから、ガソリンを満タンにした自動車が三十台ですか、あのときでも何台かあったというふうな爆発的な燃料をたくさん積んでいる、そういう構造の船でありますから、それにふさわしいように、万一のそういうことが起こりかねないような構造上の弱点ですね、それを絶えず点検しておくということがやはり必要なんじゃないでしょうかね。この点が一点。  それからもう一つ、そういう基準から見て、古い四十六年度前の船はいろんな弱点があるということを言われているのですね。この点、前の船の欠陥というものの程度、こういうものは一体どうなのかということと、それからカーフェリーそのものの船の本来的なものでありますけれども自動車一緒に旅客を満載するという、こういう船をそのまま許していいのでしょうか。つまりあの「せとうち」でも、定員を見ると四百二十二名なんですね。四百二十名ほどの定員になっています。それで乗り組み員は二十六名の定員なんですね。それがこの間は偶然に三十五名のお客さんで二十三名の船員であった。そして、発火してから五分後に救命具をつけさせて三隻のボートに乗せた。そして二時間五分後には数度の爆発を起こして沈没したのですね。ですから、かりに客が四百二十二名乗っておった、そして自動車も三十台だか積めるようになっておりますから、そういうことでああいうことが起きた場合、はたして安全に誘導するだけの乗り組み員の比例、あの二十六名でできるのかどうか。こういうふうな非常に根本的な点で何か不安があるのではないか。
  175. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 私、さっき申し上げましたように、安全法あるいは船舶職員法船員法等の規定が不備のために起こったのではないと思っております。船舶検査を受けました当時の状態ですね、結局安全法で要求しておりますのは、こういう石綿でおおってなければならない。それからまた噴霧状に噴出したというのはどこかに穴があいたからでしょうね。それから、それは毎日検査するわけじゃありませんから、そういう検査を受けた安全な状態に船をいつでも保持するということは、これは船舶所有者の責任であり、また船長の責任でもあるわけです、船長が船を預かっているわけですから。そういう問題はございます。ですから、安全法上の問題としましては、船舶安全法によって要求されておる要求をそのままいつでも持続しているという義務があるわけでしょうね。その義務が励行されてなかった、これにも責任が一つあると思います。  それから、おっしゃるように、いざ何か事故にあって遭難をしたという場合に、救命艇もあります。ブイもあると思いますが、そういったものをどう使うか、また、どういうふうにしてお客さんを誘導するかというようなことについては、これは当然訓練をされておるわけでありますから、訓練が徹底しているとそれは何でもないことなんですね。当然のことです。それを聞きますと、これは会社の責任ばかり言うようでございますけれども、訓練も十二分に行なわれてなかったという事実があります。そういった点は法律上の欠陥ではございませんで、そういった安全を保つために要求されておる各法律の要求を、十分船舶所有者あるいは船長がそれを満たすだけの措置をしてなかったというところに欠陥があるわけでございまして、私どものほうは、さっき申し上げましたように、さらに安全性を増す意味で、そういう欠陥、そういう過失がありましてもすぐにそういう事件が起こるようでは困りますから、なお安全性を高める意味において、構造上の問題、たとえば設備の問題とかそういった問題についてさらに強化すると同時に、船会社に対しまして、そういう訓練をもっと徹底して、それから、いまお話しになりましたような旅客の誘導とか、あるいは救命艇の使い方とか、そういったことについても十分船員が訓練されて、万一の場合でも対処し得るような体制をふだんからとっておきなさいということをやかましく注意しておるのでございます。だからその点は、法律に非常な欠陥があって、そのためにああいう事件が起こったというのとは違うということを申し上げたいと思います。
  176. 紺野与次郎

    ○紺野委員 大臣は非常にきれいに言ったと思うけれども、あれは構造上に欠陥はなかったかというと、私、あったと思うのです。いま言った石綿でおおっておくということは、そこの接点ですけれども機関とそこから出てくる境のあたり、その辺が最初からこれはおおわれておらないような構造的なものになっているということが一つ。  それからもう一つ検査官ですね。政府の検査官がやはり少ないのだと私は思うのです。政府の船舶検査の方々が合理化でどんどん定員を縮小して、そういうふうなところをほんとうにちゃんと、穴の気づかない点も、やはりそこは専門官でありますから、普通の船員でも必ずしも発見できないような弱点、構造的に不完全なところをちゃんと指摘するような人と時間というものが足りないのじゃないか。政府が法律はちゃんとつくったけれどもあと、人をちゃんとそれだけ十分にしなければああいうことが起こるわけでありますから、やはりそういう点での教訓をくまれておらないのじゃないか。おまえたち怠けていたのじゃないかというふうに論がいくと思うのです。  それから、労働者のほうも、あれによると、向こうに着いてすぐもう三十分か一時間で引き返さなければならぬ過密ダイヤでダイヤが動いている。そして時間は、ほとんど訓練の時間というものが作業時間の中に組み入れられておらないというふうな点からして、やるべきであるということを言っていてもそういうふうになっておらないですね。そういう点をやはりきびしく見て、そして安全法というものの実行面も、またカーフェリーのような危険な船に対しては特別の一そうの新しい注意と発展というようなものを考え出すというふうなことがなければ、ほんとうは怠慢じゃないかというように私は思うのです。
  177. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 簡単にお答えしますが、先ほど申し上げたとおりでございまして、いまのあなたのおっしゃったアスベストで巻いてあるようなところ、これは安全法上、巻かなければならぬようになっている。おそらくそれは検査を受けたときには巻いてあったに違いありませんが……(発言する者あり)それはあなたがよく御存じないからです。定期検査と中間検査、いろいろな検査があります。いつでも検査のときにあらゆるところを全部見るかというと、そうではない。これは技術的に説明させてもけっこうです。安全法上はそういうものを要求しているわけです。その要求しているとおりに保持するということは船舶所有者の当然の責任で、船長は毎日それを見ているというのは当然の責任です。何万隻とある船を毎日検査官が行って見ているわけにはまいりません。検査を受けた当時に合格したその状態をいつまでも持続させるということは、船舶所有者の責任、船長の責任なんです。そのとおりにしてなかったということなんです。これは船舶安全法上に欠陥があるわけではないのです。  ただ、おっしゃるように、船員の訓練の問題なんかはおっしゃるとおりなんです。これはあまり航海の回数が多くて、営業中心でありますからそうなったのでしょうか、訓練時間を十分とって、そして、さっき申し上げたように、船は出航前に大事な部分を必ず点検をするということを義務づけてあるわけです。それを実行しなかったとすれば、これは船舶所有者なり船長の責任になるということはさっき申し上げたとおりでございます。
  178. 紺野与次郎

    ○紺野委員 監督官庁としての責任はないのですか。
  179. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 これは何人あったって、船の出るごとにその船を全部見て回るわけにはいきませんから、それに対しては監督上の責任から厳重な注意をしております。それで、一時「せとうち」と同型船の船の出航をとめまして、それについて検査をして、これでだいじょうぶというのを見きわめて、さらにこれは一週間ぐらいとめましたか、そういうことで出航させたのです。今度の問題では監督責任は十分に尽くした、今後ああいう事態を起こさないように将来に対する注意も十分したというふうに考えておるのであります。
  180. 紺野与次郎

    ○紺野委員 では最後に、カーフェリーそのものについては、そういうように千人もお客さんを乗せてまた百台以上の自動車も乗せる、そういう特徴を持った船ですね。こういうものについては、特別にいわば検査やあるいは指導援助というものを厳重にしてもらわないと、不完全な構造上あるいはいろいろの欠陥からして、今度のようなことが爆発的に起こった場合に非常な損害を与えるわけですから、そういう新しい型の船の安全ということについて一そう抜け目なくやっていただくということが必要ではないかと思います。私たちの見解としては、人と自動車というふうなあれは分けたほうがいいというように考えておるわけですけれども、そういうように希望しておきます。  最後に、北太平洋で遭難した「ぼりばあ丸」と「かりふおるにあ丸」事件、これは四、五年前だと思いますが、日本の船会社がつくった大きな船だと思います。これは日本の造船界の問題の一つでもあると思いますけれども、現在これについて大臣は、何が原因であったか、教訓は何かというふうな点がもしありましたら、聞かしていただきたいと思います。
  181. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 船の安全を守りますためには、運輸省としましては、船舶検査というものをいたします前に、そういう型の船をつくってそれがどういう抵抗を受けるか、どういう危険性があるかということを船舶試験所でもって十分に試験検査をした上で、初めて許可をするわけでございます。でございますから、学問上からいいますと、そういった事故を起こすはずはないという前提でああいう型の船をつくっておるわけでございます。ああいう特殊の専用船でございまして、その日は非常に荒天だったというのですが、なぜそうなったかということについては、これは日本の造船界としても運輸省としてもたいへんな問題だったものですから、もうあらゆる方法で検討もし、みんなの総意を集めて研究をさせたわけですけれども、今日になりましてもまだ的確にその原因というものがわからないという報告を受けておるのであります。しかし、海難があったということは事実でございますから、それをやはり踏まえまして、原因はわかりませんけれども、ああいう型の船、ああいう特殊の専用船についてああいう問題があったことについては十分反省をして、安全構造上の問題はどうしたらいいかというようなことについて引き続き検討を加えまして、今後ああいったことが再び起こらないような措置をとるように指示しておるわけでございます。今後も引き続いて努力をしたいと思っております。
  182. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そういう点でいろいろ聞いたところによると、やはり構造上の溶接の問題もあるとか、あるいはその他の構造上の問題もあるとかいろいろ言われておりますが、やはりこういう点については早く——船会社のメンツがあるのかどうか私は知りませんけれども、そういうことはないとすれば、もう何年越しなんですから、ひとつできるだけ早くそういう点についての報告を発表してもらって……(発言する者あり)中間報告でも出すべきであるという意見がありますから、それも発表いたしまして、できるだけ早くそういうことを公表してもらって、そうしてこういうように船舶安全法は生きているということをやはりしてもらわないと、眠っているのかどうか、マリーナのほうに向いているというようなことでは、やはり本来の船舶安全法ほんとうの使命を果たしておらない、あるいはそうなる危険があるという苦言を呈して、私の質問を終わります。
  183. 久保三郎

    久保委員長 次回は明二十一日木曜日午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時十八分散会