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新谷国務大臣 政府
委員からいろいろ事情を御説明いたしましたが、いま
お話しのように、
輸送態様が非常に変わってきております。いまの船で申しますと、
カーフェリーなんか著しい例でございまして、
エンジンルームの上に
車両デッキがありまして、ここはガソリンをたくさん積んだ車が乗っかっております。その上に居住デッキがあるわけです。下から
事故が起こりますと、これは一たまりもないというような
構造になっておるわけであります。それだけに、この人命の安全ということを
考えますと、いままでの
船舶構造上の安全というだけでは足りないのでありまして、従来も、
船舶局長から申しましたように、これに対応して
考えられるだけのことを
考えてやったと思います。しかし、今度のように、乗り組み員の
訓練が不足であった、そういったことも
原因いたしまして、近海とか沿海の近回りのところはこのくらいの安全施設でいいだろうと思っておりましたのが、こういった
事故につながってしまったということでございます。私は、根本的に見直しなさいということを各局に申しておるのであります。
設備の面で、たとえば
船舶局長も申しましたようなファイアアラームの
設備でございますとか、そういったものを取りつけてまいりますと、実は相当に経費がかかるわけであります。平水とか沿海の船にはそこまで
要求するのは無理だという
考えだったかもしれませんが、しかし、そういったものの資金面の心配はしてやってもいいから、何とか今後こういうふうな形の
事故というものは起こさないように
構造上の考慮もしなければならない。
それから、
カーフェリーは御承知のように、もう出し入れが激しくて、ほとんど
訓練のいとまもないのが例でございましょうが、これは営業に
関係いたしますけれ
ども、そういうことでは安全を守れないと思いますので、この
訓練を徹底させるというようなことを企業者に対しまして厳命をいたしております。
それから、これはいまの法規にもあるのですけれ
ども、船が出ますときには必ず大事なところは
発航前の
検査をするということになっておりますが、そういったことも行なわれたか行なわれないか。それを励行するのにも、相当時間も要るし人手も要るわけでございます。そういったことについても、人命を守るためにもあらゆることをやってもらいたいというようなことで、すべてをいま見直しております。
これだけじゃございません。なおはかにも
考えるべき点はたくさんあると思いますが、そういった点を総合いたしまして、新しくいま海上
交通のいわば花形になってまいりました
カーフェリーのような——私は
カーフェリーでなくても、
旅客船全体もそうじゃないか、
旅客船についても同じようなことをやってもらいたいということで、いま各
旅客船業者に対しまして強い示達を出しました。全般につきまして、人命を預かっておる船でございますから、万全の措置をとらせるようにいま準備をし、結論が出ましたらそれを必ず実行に移させるように措置をしたいというふうに思っておる次第でございます。