運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1973-05-30 第71回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年五月三十日(水曜日)     午後一時三十三分開議  出席委員    委員長 久保 三郎君    理事 大竹 太郎君 理事 唐沢俊二郎君    理事 中村 弘海君 理事 野中 英二君    理事 井上  泉君 理事 太田 一夫君    理事 紺野与次郎君       足立 篤郎君    片岡 清一君       佐藤 守良君    野田  毅君       野坂 浩賢君    平田 藤吉君       沖本 泰幸君    松本 忠助君       渡辺 武三君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 新谷寅三郎君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      須藤 博忠君         警察庁交通局長 片岡  誠君         運輸大臣官房長 薗村 泰彦君         運輸省海運局長 佐原  亨君         運輸省船舶局長 田坂 鋭一君         運輸省船員局長 丸居 幹一君         運輸省自動車局         長       小林 正興君         海上保安庁長官 野村 一彦君  委員外出席者         大蔵省銀行局保         険部長     安井  誠君     ————————————— 委員の異動 五月三十日  辞任         補欠選任   奧田 敬和君     足立 篤郎君     ————————————— 五月十日  貨物自動車安全輸送確保に関する請願(井岡  大治君紹介)(第四〇九九号)  同外三件(野坂浩賢紹介)(第四一〇〇号)  同(村山喜一紹介)(第四一〇一号)  同(森井忠良紹介)(第四一〇二号) 同月十六日  貨物自動車安全輸送確保に関する請願外三件  (岡田哲児紹介)(第四四七〇号)  同(野坂浩賢紹介)(第四四七一号) 同月十七日  貨物自動車安全輸送確保に関する請願外二件  (野坂浩賢紹介)(第四五八五号)  同(岡田哲児紹介)(第四七二七号)  同(野坂浩賢紹介)(第四七二八号) 同月二十一日  貨物自動車安全輸送確保に関する請願外二件  (岡田哲児紹介)(第四八三六号)  同外二件(野坂浩賢紹介)(第四八三七号)  同外三件(野坂浩賢紹介)(第四九七三号)  交通戦争早期解決に関する請願原健三郎君外  四百十九名紹介)(第四八三八号) 同月二十四日  貨物自動車安全輸送確保に関する請願外一件  (野坂浩賢紹介)(第五〇一五号)  同(野坂浩賢紹介)(第五一四九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  委員派遣承認申請に関する件  参考人出頭要求に関する件  自動車事故対策センター法案内閣提出第七〇  号)  交通安全対策に関する件(カーフェリー「せと  うち」の火災による沈没事故に関する問題)      ————◇—————
  2. 久保三郎

    久保委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  この際、カーフェリー「せとうち」の火災沈没事故について説明を聴取いたします。新谷運輸大臣
  3. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 先般瀬戸内海で発生いたしましたカーフェリー火災沈没事故について御報告いたします。  五月十九日午後八時三十分ごろ、瀬戸内海播磨灘におきまして、四国中央フェリーボート会社所属カーフェリー「せとうち」九百五十総トンの機関室から出火いたしまして、消火活動のかいもなく、火災船舶全体に及んで沈没いたしました。乗客三十五名及び乗り組み員二十三名は、全員救命いかだで退避し、無事救助されております。  運輸省では、二十日、政務次官が現地におもむいて実情調査いたしますとともに、二十一日、事故原因を早急に究明いたしますために技術調査団を派遣いたしまして、同型船を含めた調査を実施いたしましたが、その調査報告によりますと、火災発生原因は、機関室内の燃料油が漏れてエンジン高熱部分に触れたことによると推定されること、火災発見前からすでに漏油が始まっていたために、短期間に火災機関室内に拡大した可能性が強いこと、また、機関室の出入り口のとびらなどが開放されたままであったことや、固定式あわ消火装置操作がおくれたために、機関室外火災が比較的容易に拡大したものと推定されること、などの諸点が指摘されております。  事故後の措置といたしましては、四国中央フェリーボート会社に対しまして立ち入り検査を実施いたしますとともに、全国のフェリー会社機関部整備点検に重点を置いた発航前の点検を厳格に励行させることとし、特に機関室につきましては、中長距離フェリーについて可能な限り船舶検査官及び船員労務官立ち会いのもとに実施させるよう通達しております。また、全旅客船につきましても、この機会に設備作動状況等の総点検を行なうとともに、防火操練、退船訓練を行なうよう指示いたしまして、かかる事故の再発の絶滅を期する所存であります。     —————————————
  4. 久保三郎

    久保委員長 次に、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。唐沢俊二郎君。
  5. 唐沢俊二郎

    唐沢委員 ただいま大臣からカーフェリー事故につきましての御報告を承ったわけでございます。  わが国経済大国となって、そして特に若い人たちの夢が非常に大きくなってみずから自動車をかってこの長い日本列島を走り回る。たまには船にも乗り込んで美しい日本列島を駆走しようというような、レジャーブームと申しますか、モータリゼーション時代になってきたわけであります。  私は先日も御質問したわけですが、最近、そういうような時代に対応して自動車事故態様と申しますか、交通事故態様も非常に変わってきておりまして、大都会よりも地方の事故がふえておるとか、あるいは自家用車による事故営業車よりも最近目立っておるとか、いろいろ交通事故態様が変わってきております。  ところで、こういうようなモータリゼーション時代要求にマッチしてと申しますか、それに伴ってカーフェリー、これがレジャー産業の強力な一翼をになう事業になったわけでございます。  ところで、そのような傾向に着目いたしまして、いよいよこれからわが国が発展していく際には、このカーフェリーについての交通安全も十分考えていかなければならない、国の責務も重くなるわけでございます。  そこで、国民の代表として二、三伺いたいと思うわけであります。  最初に伺いたいのは事故の内容でありまして、原因あとで伺いますが、八時三十分ごろ火災が発生して、九時三十分までの一時間に消火活動乗客避難が行なわれたわけであります。幸い人身事故がなくて何よりのことだと思うのでありますが、どのような消火活動乗客避難が行なわれたか、具体的に伺いたいと思います。
  6. 野村一彦

    野村政府委員 御報告申し上げます。  「せとうち」の火災事件の問題でございますが、二十時二十八分ごろ、フェリーの「せとうち」の機関室から発火をいたしております。二十時三十一分から三十三分ぐらいの間に「せとうち」から緊急通信発信がありまして、神戸の第五管区海上保安本部では、播磨灘六番ブイ付近を通過したところで機関室から火災が発生し、乗客三十五名、乗り組み員二十三名だという報告を受けております。二十時四十分ごろ、乗客船首部に船内において集めております。それから、巡視船の「ろつこう」、神戸保安本部巡視船でございますが、これが二十時四十五分ごろ明石を出港いたしまして、現場に向け急行いたしました。そのころ五管本部では、播磨灘六番ブイ付近フェリー「せとうち」が火災を起こしておる、付近航行船舶は注意しろという注意を極力喚起いたしております。この「せとうち」のほうは火災を起こしましたので、その付近航行船舶が何隻かございまして、それが近づいていきましたが、一番近い距離にありましたのは「せとうち」の南三百メートルくらいのところに「第八えるびい丸」というLPGのタンカーがございまして、これはLPG船でございますから、あなたの船は危険であるから近寄るなということを言いました。そして午後九時ごろ、乗客ボート移乗を完了いたしております。それから二十一時二十分ごろに、火が激しくなりまして火災が船の外から見えるというような状況になっております。これは巡視船「ろつこう」が確認をいたしております。先ほど申し上げましたように、ボートに乗り移りました乗客は、現場付近の船に呼びかけましたところ、関西汽船の、名前は前の私のほうの巡視船と同じでございますが、「六甲丸」という船が一番有効であるということで、「六甲丸」にこれを救助するという手はずが整いまして、そして二十一時三十八分、巡視船「ろつこう」が現場に着きまして、三隻の膨張式救命いかだ最後ボートから二、三名が「六甲丸」に移るというのをはじめといたしまして、大体二十一時三十九分までに、いま言いました「六甲丸」に全員移乗をしたわけでございます。そこで五管本部と交信いたしまして、乗客三十五名、乗務員二十三名無事救助した、神戸に向かう、フェリー「せとうち」は燃えているという電報が「六甲丸」から発信をされております。もう一隻付近におりましたジャンボフェリー「りつりん」が現場に接近いたしましたが、これは、全員が「六甲丸」に救助されたから救助の必要はないということから、予定港に向かうように指示いたしました。その後二十四時四十分ごろ船首部が大爆発して、二十五時五十二分ごろ船体が沈没した、こういうことでございます。火災並びに救助の模様は以上のとおりでございます。  火災につきましては、先ほど大臣報告にございましたように、機関部から燃えまして、そして船に備えつけてあります消火設備等をもって消火につとめましたけれども、非常に火勢が早かったのと、それから消火設備操作が必ずしも適切でなかった、あるいは機関室のドアを締めて遮断をするというような具体的な処置がとれなかったというようなこともありまして、機関室全体が火に包まれて、そして火勢が広がった、こういうような状況でございます。
  7. 唐沢俊二郎

    唐沢委員 交通事故が起きた場合には、まず第一に事故原因を徹底的に究明して、二度と同じような事故を起こさないということが重要なわけであります。大臣からいま事故原因について大要のお話があったようでございます。さっそく調査団を派遣されて、二十三日に帰ってきて、はっきりしたことはわからないと思うのです。いま大臣から一応のお話があったわけですが、もう一度確認する意味で、いま推定される事故原因について確認をしておきたいと思いますので、局長からひとつ伺いたいと思います。
  8. 田坂鋭一

    田坂政府委員 お答え申し上げます。  事故原因につきましては、本来海難審判庁による詳細な調査が行なわれるというたてまえになっておりますが、ただいま先生お話しのような、早急に対策を立てる、今後事故を防止するために適切な処置をとるというようなたてまえから、私ども首席検査官を団長にいたしまして早急な調査を行なったわけでございますが、ただいまのところ事故原因といたしましては、エンジンルームの中のメインエンジンに供給されます燃料パイプがございます。それから、燃料弁冷却パイプがございます。たぶんこれらのパイプは加圧されておりまして、何らかの欠陥がありますとそこから燃料が噴射するというような構造になっておりますが、これらのいずれかのところから油が噴射されまして、これが反対側メインエンジン排気管、これは相当な高温になりますが、排気管に当たって発火したのではないかということが一番私どもが現在考えられる原因だというふうに考えておるわけでございます。
  9. 唐沢俊二郎

    唐沢委員 そのほかにはないですか、原因は。
  10. 田坂鋭一

    田坂政府委員 非常に短期の調査でございました関係もございますが、そのほかには私ども現在考えられる原因はちょっと見当たらなかった。また、さらに慎重に調査をしなければならないというふうに考えております。
  11. 唐沢俊二郎

    唐沢委員 それではちょっと伺いますが、「せとうち」は受検後間もないというのですが、検査をされたのはいつでしょうか。
  12. 田坂鋭一

    田坂政府委員 直前の検査は四月二十八日に完了いたしております。
  13. 唐沢俊二郎

    唐沢委員 いまの局長お話ですと、噴射された油がほかのエンジン排気管に行った、これが原因であるというお話のようでございます。そうすると、これは船の欠陥といいますか構造原因があるわけでございまして、しかも検査は四月二十八日ですから一月もたっておらない。こういうことですと、検査自体にもだいぶ問題があるのじゃないか。普通平たく言うと、手落ちがあるのではないか、甘かったのではないかという気がするわけですが、その点についてはどうですか。
  14. 田坂鋭一

    田坂政府委員 「せとうち」が四月末に受けました検査は、中間検査に準ずる臨時検査で、中間検査が二月にございまして、その中間検査の当日に当時修繕ドックがあきませんでしたので、一部の中間検査を延ばして四月に受けた。二月、四月に中間検査が完了したということでございます。  船舶検査につきましては、製造検査、それから第一回の定期検査、それから四年ごとの定期検査の間に中間検査が毎年一回ずつ行なわれるわけでございますが、中間検査におきましては、ごく簡単な検査を行なうということでございまして、日常整備点検あるいは復旧、そういうものにかかわる、たとえば、今回の問題も燃料パイプ欠陥があったといたしますと、燃料パイプ復旧、そういうものは中間検査対象にはなっておらないわけでございます。そういたしまして、私どもといたしましては、これらの日常行なわれる整備点検、そういうものにかかわることまで検査時に確認するということは、定期検査にゆだねているわけでございまして、中間検査ではこれは対象になっておらないということでございますが、今回の実情にかんがみまして、検査体制上いろいろカバーできない面があります。そこで今後は、これらの日常整備点検あるいは操作、そういうものにつきましてマニュアルをつくる。また、立ち入り臨検ができるようになっております。立ち入り臨検を従来からも行なっておりますが、立ち入り臨検強化をやる。定期的な検査強化でなくて、日常検査体制あるいは日常整備体制、そういうものを強化していくというようなことでこれをカバーしていきたい、そういうふうに考えております。
  15. 唐沢俊二郎

    唐沢委員 中間検査で今回の事故原因検査対象になっておらないというのは、これは弁解にはならないと思うのです。それでは四年もたないような定期検査考えなければいけないし、あるいは中間検査もこういう事故のないような中間検査にしていただかなければならないわけで、中間検査だから一カ月後に事故が起きてもしようがないというお考えはないでしょうけれども、そういうことがあってはたいへんな問題である。中間検査だからやむを得ないという考えは、私はやはりおかしいと思う。そのあとで、さすがに如才なく局長は、このような事故があったあとでありますので、いろいろな具体策を述べられて、そういうことがないようにと言われたのですが、ちょっと心配なのでもう一度、じゃ今度は、こういう事故が絶対起きないように、中間検査があった一カ月後にこんな事故が起きないように、どういう中間検査にされるか。いまマニュアルをつくっておられる段階なのか、あるいはもうきまっておったら、もう一度はっきりおっしゃっていただきたいと思います。
  16. 田坂鋭一

    田坂政府委員 先生のおことばでございますけれども中間検査の趣旨は、先ほど申し上げましたように、簡易なチェックをするというようなことでございますので、日常整備されたり、ばらされたりあるいは復旧されたりするようなものまで中間検査でカバーするということは非常にむずかしかろうと思いますので、申し上げましたような立ち入り臨検強化と、それからマニュアル整備ということで考えておるわけでございますが、立ち入り臨検につきましては早急に強化をいたしますとともに、また、来年度はさらに検査官増員等要求をいたしまして、完全な体制がとれるように考えたいと思いますし、また、マニュアルにつきましても早急に着手いたしまして、日常整備点検が完全にできるようにいたしたいと考えております。
  17. 唐沢俊二郎

    唐沢委員 じゃ、もう一度念を押しておきますが、今度立ち入り臨検をするとかマニュアルをつくる、そして指導強化すれば今回のような事故はもう絶対に起きないというふうに確信されておるかどうか、これを伺いたい。  それから、それと関連して、ほかの船舶カーフェリーはちょっと違うところがあるわけでして、特別の規制も必要なんじゃないか。船舶安全法に基づく危険物船舶輸送及び貯蔵の規則、これによってカーフェリーには特別な規制が必要なんじゃないか。特に危険物カーフェリーによる運送はどういうふうに規制されるのか、その点について伺いたい。二点についてお伺いしたいと思います。
  18. 田坂鋭一

    田坂政府委員 検査体制並びに日常整備点検、そういうことが完全に行なわれますれば、今後絶対にこのような事故は起こらないと私どもは確信いたしております。  次に、カーフェリー安全基準安全規制の問題でございますが、先生抑せのとおりに、カーフェリー旅客船でありますとともに、また車両自動車という燃料を大量に積みました危険の非常に多い船舶でございますので、その二つの点から規制を従来いたしておるわけでございます。  そういたしまして、カーフェリーがあらわれ出しました三十六年に、基本的に自動車渡船構造基準という通達によりまして相当の規制をいたしておるわけでございますが、その後フェリー大型化高速化長距離化、そういうものが顕著になってまいりましたので、その実態に合わせまして、四十六年に、四月と十二月でございますが、二回にわたりましてさらに規制強化いたしたわけでございます。これらの規制につきましては、まず三十六年でございますが、三十六年には、船舶区画車両甲板の強度及び自動車の固縛装置等について規制強化したわけでございます。引き続きまして四十六年には、防火構造消防設備救命設備等について安全基準強化をいたしました。  そういたしまして、これらの規制を総体的にカバーしておるカーフェリーにおきましては、大体安全基準整備されているというふうに、今回の事故を契機として見直した段階におきましても、私どもはそういうふうな理解をしておりますが、細部におきまして今後さらに規制をするべき点は、二、三、今回の事故を反省いたしまして感じておる点はございます。
  19. 唐沢俊二郎

    唐沢委員 ぜひ安全基準強化するように、慎重にしかも早急にお願いをいたします。  ところで、「せとうち」は何年に建造された船でしょう。
  20. 田坂鋭一

    田坂政府委員 昭和四十五年に進水でございます。
  21. 唐沢俊二郎

    唐沢委員 そうすると、安全基準と申しますか、三十六年と四十六年、二回にわたってこれを強化されたわけでございます。だから、四十六年以降に建造された船についてはいいかもしれないが、三十六年から四十六年の強化されるまでにできたカーフェリーについてはやはり問題がある。だから、こういう事故が起きるわけなんですね。ですから、そういう安全基準強化された以降に建造された船についてはまだいいでしょうが、その前にできたものは、もうできてしまっているからしようがないということでは、同じような事故が起きてくると思うわけです。  それで伺いたいのは、四十六年の安全基準強化される前に建造されたカーフェリーがどのくらいあるか。それから、それについて、すでに建造されたカーフェリーについてはどのような規制をされておるのか、二点について伺いたいと思います。
  22. 田坂鋭一

    田坂政府委員 現在カーフェリーの総数は、四十八年、本年五月現在で四百三十隻程度考えられますが、その中で最終の四十六年十二月通達、これは四十七年四月にキールを据えた船舶適用されるわけでございますが、それの適用外にございます船舶は三百八十五隻でございます。しかし、この中の特に問題になると思われます船は、中長距離カーフェリーでございますが、この船舶数はそのうちの五十五隻でございます。
  23. 唐沢俊二郎

    唐沢委員 もう一つ、特にこの五十五隻ですね、以前に建造された船、新しく安全基準強化された以前にできたカーフェリーについては、追加していろいろ工事をしたりあるいは構造を変えたりする必要もあると思うのですが、そういう既建造の船についてどういうような指導をしておられるか。
  24. 田坂鋭一

    田坂政府委員 既建造在来船とそれから最後規制適用になっております船、それぞれに私どもは反省すべき点があると存じますが、特に在来船につきましては、消防施設並びに火災探知施設、そういうものにつきまして急遽整備をしなければならぬというふうに考えております。  具体的に申しますと、閉囲されました車両甲板自動車の乗るデッキでございますが、この区画火災探知機固定式消防施設をつけたいというふうに考えておりますし、また、沿海区域以上の、千馬力以上のカーフェリー機関室に対しましては、固定式消火施設と同じく火災探知機をつけたいというふうに考えております。
  25. 唐沢俊二郎

    唐沢委員 それでは、その事故が起きて、それから火災が非常に広まった原因うち送風機火災発見後も作動し続けていたとか、消火装置作動がおくれていたというようなこともあるわけでございます。そうすると、ちょっと事故に対する乗り組み員の訓練が十分ではなかったんではないかと思うわけであります。ですから、カーフェリーという特殊な船舶について、乗り組み員に対してどういう訓練をしておられたのか、それを伺いたいと思います。
  26. 丸居幹一

    丸居政府委員 船員法におきまして、内航旅客船には毎月一回以上の防火救命艇等操練の実施をしなければならぬということで義務づけられております。この点につきましては、従来から船員労務官労務監査等によりまして監督指導をしてまいったわけでありますが、さらにその徹底を期するために、旅客船における非常配置操練の手引きというものを作成いたしまして、各海運局を通じまして関係者指導を行なってまいりました。今回の事故船も、船員法及び指導に従いまして、毎月一、二回程度防火救命艇操練を実施しております。  それで、今回の事故等の結果、調べてみますと、やはり旅客の避難誘導等の面では日ごろの訓練が一応効を奏しておるようなところもありますので、その点は非常によかったのではないかと思いますけれども、しかし、消火活動とか膨張式救命いかだ取り扱い等について、ちょっと訓練不足の点が認められるところもありますので、そういう点でもう少し末端までわたった徹底した訓練というものに変えなければならぬ、そういうふうに考え指導してまいりたいと思っております。
  27. 唐沢俊二郎

    唐沢委員 それでは、避難活動は大体よろしいが消火活動はちょっと遺憾であった、五十点くらいであったということですね。ぜひ、消火活動についても万全を期していただきたいと思います。  時間が限られておりますので、最後大臣にお伺いいたしたいわけでありますが、私は、いままでの運輸行政と違ってこれからの運輸行政は前向きでなければいけない。だんだん時代が変わってきております。だから、自動車事故態様も変わってきております。これは大臣よく御存じのとおりだから申し上げません。あるいは飛行機では自家用軽飛行機ですか、そういうものが盛んにいま増加して事故が非常に多発いたしておりますね。それから、新たにこういう時代の要請によってカーフェリーというものが利用されるようになりました。そういう新しい時代に対処して、事故が起きてから万全を期すのはこれは当然でございますけれども先手先手にこういうふうな、これは総合交通体系もからむでありましょうが、交通態様もだんだん変わってきておるんだから、これから前向きに、事故の起こる前にぜひ万全を期していただきたいと思うわけであります。  そういうような交通機関と申しますか、そのような変化とか、新しいモータリゼーション等に対する運輸省のお考え大臣から伺って、どういう施策を講ぜられるか、あわせて所信を伺いたい。
  28. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 政府委員からいろいろ事情を御説明いたしましたが、いまお話しのように、輸送態様が非常に変わってきております。いまの船で申しますと、カーフェリーなんか著しい例でございまして、エンジンルームの上に車両デッキがありまして、ここはガソリンをたくさん積んだ車が乗っかっております。その上に居住デッキがあるわけです。下から事故が起こりますと、これは一たまりもないというような構造になっておるわけであります。それだけに、この人命の安全ということを考えますと、いままでの船舶構造上の安全というだけでは足りないのでありまして、従来も、船舶局長から申しましたように、これに対応して考えられるだけのことを考えてやったと思います。しかし、今度のように、乗り組み員の訓練が不足であった、そういったことも原因いたしまして、近海とか沿海の近回りのところはこのくらいの安全施設でいいだろうと思っておりましたのが、こういった事故につながってしまったということでございます。私は、根本的に見直しなさいということを各局に申しておるのであります。設備の面で、たとえば船舶局長も申しましたようなファイアアラームの設備でございますとか、そういったものを取りつけてまいりますと、実は相当に経費がかかるわけであります。平水とか沿海の船にはそこまで要求するのは無理だという考えだったかもしれませんが、しかし、そういったものの資金面の心配はしてやってもいいから、何とか今後こういうふうな形の事故というものは起こさないように構造上の考慮もしなければならない。  それから、カーフェリーは御承知のように、もう出し入れが激しくて、ほとんど訓練のいとまもないのが例でございましょうが、これは営業に関係いたしますけれども、そういうことでは安全を守れないと思いますので、この訓練を徹底させるというようなことを企業者に対しまして厳命をいたしております。  それから、これはいまの法規にもあるのですけれども、船が出ますときには必ず大事なところは発航前の検査をするということになっておりますが、そういったことも行なわれたか行なわれないか。それを励行するのにも、相当時間も要るし人手も要るわけでございます。そういったことについても、人命を守るためにもあらゆることをやってもらいたいというようなことで、すべてをいま見直しております。  これだけじゃございません。なおはかにも考えるべき点はたくさんあると思いますが、そういった点を総合いたしまして、新しくいま海上交通のいわば花形になってまいりましたカーフェリーのような——私はカーフェリーでなくても、旅客船全体もそうじゃないか、旅客船についても同じようなことをやってもらいたいということで、いま各旅客船業者に対しまして強い示達を出しました。全般につきまして、人命を預かっておる船でございますから、万全の措置をとらせるようにいま準備をし、結論が出ましたらそれを必ず実行に移させるように措置をしたいというふうに思っておる次第でございます。
  29. 唐沢俊二郎

    唐沢委員 大臣が陸上、海上、航空全般に見直せということでいろいろ示達を出しておられるのはよく知っております。私が申し上げましたのは、輸送の形態が変わって、交通事故態様も変わってくるわけですね。だから、事故が起きるまではわからぬとおっしゃられればそれっきりだけれども輸送の形態が変わってきたら、交通事故もこういうように変わってくるだろうとか、こういうことも起こり得るであろう、むずかしいことかもしれないけれども、そこまでよく御検討されて、前向きの交通安全対策と申しますか、運輸行政を推進されることをここで希望いたしまして、質問を終わります。
  30. 久保三郎

    久保委員長 太田一夫君。
  31. 太田一夫

    ○太田委員 最初に、海上保安庁、ここに地図が出ておりますね。この地図から見ますと、発火場所から沈没場所まではかなり流されておるのか、自力で動いたのか存じませんが、これは自然に潮流によって流されてこれだけの距離を移動したのでありますか。この距離はどれくらいの距離がございますか。
  32. 野村一彦

    野村政府委員 お答えいたします。  略図に図示いたしましたように、火災発生の地点と推定される地点は、播磨灘の六番ブイに比較的近い位置でございますが、沈没いたしました位置、これは確認されておりますが、五番ブイの南のほうでございます。これは、要するに船が火災を起こしまして、総員が退避して操船能力が失われまして、結局潮流に流されて約七千メートルくらいずれて、南西と申しますか、そちらのほうに下がってきた、このように考えております。
  33. 太田一夫

    ○太田委員 それから、これは大臣、あなたのほうはどういう御見解ですか。当時は乗り組み員が二十三名に対して乗客が三十五名、車が十九台というのですから、非常に閑散だったわけですね。この船の定員というのもあるでしょうが、常時はもっとたくさん乗っていたと思うのです。「せとうち」はなかなか利用がいいというのですが、もしそれが満員に近いようなお客さんだったときにはこんな事故では済まなかったと思うのですが、その推定はなされておりますか。
  34. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 三十五名の乗客という中には、二十何名かが運転をしている人でございまして、純粋の旅客としてはきわめて少なかったおけです。定員は四百二十人でございますから、おっしゃるように、これが満員でございますと、避難の問題とか、それからそれを退避させる方法とか、これは非常にむずかしい問題がたくさん起こったろうと思います。その点は、結果的に見ますと、少なかったので全員無事であったということも言えるのじゃないかと思います。
  35. 太田一夫

    ○太田委員 これはどなたから答えていただいてもいいのでありますが、いまの四百二十名に近い人が乗っておったら、これは大惨事になったのではないかという気がするのです。たまたまからのようなカーフェリーであったからよかったようなものですが……。  そこで、この報告を見ますと、全員無事に退避ができた。先ほどの御答弁でも退避訓練がうまくいっておったということですが、実際上満員の場合に、膨張ボートですか、自然に空気がふくれるようになっておるのでしょうか、そういう避難用具は四百二十名にぴたっと合うようになっておったのでしょうか。「せとうち」そのもののそういう防災施設というものはどうだったのですか。
  36. 田坂鋭一

    田坂政府委員 二十五名定員の膨張型救命いかだが二十二個ついておりましたので、五百名以上の旅客並びに乗り組み員が乗り移れるという施設ではあったわけであります。
  37. 太田一夫

    ○太田委員 もし満員であっても、二十二個の膨張救命いかだによりまして無事に避難ができる、救助できるという見通しが、その「せとうち」というものを調査されても確認されたのですか、機能もよかったのですね。
  38. 田坂鋭一

    田坂政府委員 旅客船救命設備、膨張型救命いかだあるいは救命艇、そういうものの搭載基準は、両舷で一〇〇%以上ということになっております。そういたしまして、本船は膨張型救命いかだを積んでおったわけでございますが、二十二個、両舷に十一個ずつ積んでおったわけでございます。今回の火災の場合には、たぶん、定員一ぱい四百数十名のお客がおりましても、誘導その他が適切に行なわれれば、バウンダリーコンディション、たとえば海洋の状況等が非常によろしゅうございましたので、救助はできたのではないかというふうに考えられますが、反省といたしまして、私ここで、いわゆる火災状況が片舷に片寄って、片舷の救命設備が使えなかった、あるいは相当の荒天で、片舷に船が相当きびしい傾斜をしたとか、そういうことも考える必要があろうかと思います。そういたしまして、現在、救命施設をどういうふうに今後規制強化するかにつきましては検討いたしておるわけでございますが、国際航海の旅客船、これは国際的に人命の安全のための国際条約におきまして定められております。この上限くらいまでは格上げすべきではなかろうかということを私どもは現在は検討いたしておるわけでございます。  その内容は、両舷で一〇〇%でなくて、片舷に片寄りましたときに、救命いかだは重量制限等もいたしまして、たとえば片舷が使えないときでもその使えるほうの側にはシフトできるようになっておりますが、それが全部シフトできるかどうか、そういう点を考えまして、あるいは二五%程度ある程度の予備を持たせるべきではなかろうかというようなことを現在は検討いたしておる段階でございます。
  39. 太田一夫

    ○太田委員 それから、これは海上保安庁長官にお尋ねをいたしますが、流された距離が七千メートルと先ほどおっしゃいましたが、七千メートルを接岸のほうに、淡路島に向けて走ったならば、浅瀬に乗り上げることができたのではないでしょうか。カーフェリーのようなたくさんのお客さんが乗っておるような場合、客船もそうでありますが、深いところへ逃げるのではなくて、浅瀬に乗り上げるというそういう応急手段というのがあるのじゃないでしょうか、私たちしろうとでそういうことを思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  40. 野村一彦

    野村政府委員 先ほど七千メートルと申し上げましたが、そのとき申し上げましたように、火災発生位置は、これは大体の推定でございますが、大体当時の電報等から見てあの付近であると考えられる、その位置から沈没した位置までが大体七千メートル程度であろうということで、必ずしも正確な七千メートルかどうかということについてはまだはっきりいたしておりません。  それから、御設問の、事故が起こりかけた場合に浅瀬等にのし上げて、そこでかえって救われるような場合があるのではないか。もちろん、状況によってはそういうことはあり得ないことではないと思います。ただ、本船の場合には、まず旅客を退避させまして、船員も退避しておりまして、船が全く無人船となって、燃えるままに船を放棄したということでございます。状況が違いまして、船がまだある程度の操船能力というものがありますれば、その発生時の気象、海象の状況によって、操船をして浅瀬とかあるいは浅いところに座礁をさせるということは、他の海難の場合にも例がございます。ただ、これはあくまでも船長以下乗り組み員がある程度おって、ある程度操船能力があるという前提でございます。本船の場合は、全く船が放棄されまして、流れるままにまかされたものでございますから、ただいまの先生の御設問の趣旨は、本船の場合はちょっと不可能だと思います。
  41. 太田一夫

    ○太田委員 大臣、いまの話ですね。本船の場合は、まだ操船能力があったのだろうと私は思うのです。あわてふためいて逃げ出してしまったという感じがするのです。運輸省の基準ではそういう場合にどうなんですか。それはどこでも避難ができれば最上だ、これだと避難のほうをほめてあるように思うのですけれども、私は、避難したのをほめるのではなくて、避難のさせ方とか、操船のしかたというものは間違っておったと思うのです。もうちょっと海岸のほうへもってきて、淡路島の西海岸に近づけるべきだった。ほったらかしにしておったなんて、さっそく逃げ出したなんて、けしからぬと思うのですが、そういう点は、運輸大臣の先ほどの御説明の中に御指摘がありませんね。
  42. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 船をどういうふうに動かすかということは、事情によって非常に違いますから、これに対してあらかじめ包括的に規則でどうするかということは不可能だと思います。すべて責任を持っております船長の判断によりましてどうするかということをきめるのが当然だろうと思います。  それから、本船の場合は、エンジンルームから火を出しておるわけです。エンジンルームの火を消すのが一番の問題でございまして、エンジンルームの火を消すということは、結局、何とかしてエンジンをとめよう、エンジンに送られてくる油をとめようというのが、火災をとめるための一番の緊急事だったと私は思います。したがいまして、船をあやつって——もうエンジンルームには人がいられなくなってしまって、エンジンルームの担当当直の人たちもデッキに上がってしまった、そんな状況ですから、それをいまおっしゃるように、あとから考えますと、そんなこともできたのじゃないかというお考えはごもっともだと思いますけれども、その当時の状態からいいますと、船を無事に浅瀬に乗り上げて、そこで船体だけでも助かろうということよりも、何とかして乗っている人たちの人命の安全をはかろうということに、最大限力を尽くしたのだろうと思いますので、これは当時の船長の判断によって、それ以外に方法はないと思ったものと私は想像するわけでございます。  これは、船長に対して具体的に海難審判のときなどに、いろいろな事情からそういったことを調べれば、当時の事情がもっとはっきりするのではないかと思いますが、私は、いまお尋ねがありましたが、そういうふうに判断せざるを得ないのです。
  43. 太田一夫

    ○太田委員 私は別に、船体を助けるために浅瀬に乗り上げよと言うわけではない。人命の安全という立場から、そのほうが本来の手段じゃなかろうかと思うのですが、いささかしろうとめいておりますので、いまのお答えによって、一応それはその程度にいたしておきます。  それから、いまもお話のありました「せとうち」の機関室の当直員の話、これも新聞等で拝見をしたり、あるいは皆さんのお話を聞きましても、納得ができませんが、これはことによるといなかったのではないか、当直員があるいは居眠りしておったのではなかろうかというような気がするのですが、その「せとうち」の要員配置というのは、機関室についてどういうぐあいになっておったのですか。
  44. 丸居幹一

    丸居政府委員 要員配置でございますけれども、操機長とそれから操機手、二人が機関室ではなく、監視室におりました。機関長と機関士は自分の部屋で仮眼をしておったという状況でございます。  それから、先生おっしゃっておった居眠りでもしておったのではないかというお話でございますが、これはあとで調べた話でございますけれども、操機手がまだ入って間がない人だったものですから、操機長のほうから、配管の勉強をしておった、教えてもらっていたという状況だったようでございます。決して居眠りをしておったようではございません。  それから、調べた報告によりますと、出火の約十分前ぐらいには現場を通っておる形跡がございますので、居眠りをしておったという状況ではありませんでした。ただ、先生御指摘のように、しょっちゅうそこをのぞいておったという状況ではなしに、そういう質問を受けて指導をしておったという状況にはあったようでございます。
  45. 太田一夫

    ○太田委員 これは今後、焼き玉エンジンカーフェリーには、私はよほど要員配置について厳重な指示をしてもらわなくては困る。これは船舶局長、こういう小さな船は、燃料は軽油を使っておるのでしょう。
  46. 田坂鋭一

    田坂政府委員 本船は千七百馬力のディーゼルエンジンを一基積んでおりまして、船の燃料はA重油ではないかと存じます。
  47. 太田一夫

    ○太田委員 そうすると、発火点の問題について、疑問は起きないのですか。
  48. 田坂鋭一

    田坂政府委員 噴射いたしました燃料が当たったと思われます。排気管は大体四百度以上に加熱されますものでございますから、十分に、噴霧状の燃料が当たりますと発火するという状況であると思います。
  49. 太田一夫

    ○太田委員 いまあります問題の五十五隻でございましたか、五十五隻が問題だという中距離のフェリー、これはいまの話だとほとんどA重油でございますか、それとも焼き玉エンジンを使っているのもあるのでございますか。
  50. 田坂鋭一

    田坂政府委員 中長距離フェリーはほとんど全部ディーゼルエンジンでございます。
  51. 太田一夫

    ○太田委員 というのは、軽油を使っているフェリーはないということですか。
  52. 田坂鋭一

    田坂政府委員 たぶん軽油を使っているエンジンはないと思います。ディーゼルエンジンの中長距離フェリーボートは、相当大型のディーゼルエンジンを積んでおりますので、これらは重油を燃料といたしておるというのが普通でございます。
  53. 太田一夫

    ○太田委員 私は、短距離フェリーの中には、どうも軽油を使っているのがあるのじゃなかろうかと思っていたのですが、それがほとんどないということならいいのですが、軽油なんか使っていることになって、しかも、四十六年の安全基準の前に造船したものでありますと、あぶなくてあぶなくてしょうがないですね。
  54. 田坂鋭一

    田坂政府委員 軽油を使いますディーゼルエンジンもございます。これは主として高速のディーゼルエンジンでございまして、大体エンジンの馬力が小型のものでございます。中長距離フェリーボートは、先ほど申し上げましたように、相当高速化されておりますので、相当大馬力、本船でも千七百馬力というふうな大馬力のエンジンでございますので、軽油を使うケースは、私どもいま常識的には考えられないというふうに考えております。
  55. 太田一夫

    ○太田委員 局長の御答弁はいささか推定が入っているので、私も不安でなりませんが、ほんとうになければいいですよ。けれども、軽油なんか使って簡単に走っているような近距離フェリーがあったときには、安全基準なんてよほど厳重にしてもらわなかったらあぶなくてしょうがなくて、第二、第三の「せとうち」が発生するじゃありませんか。
  56. 田坂鋭一

    田坂政府委員 ただいま資料によりまして調べましたところ、軽油のディーゼルエンジンはないということでございます。
  57. 太田一夫

    ○太田委員 それでは、四十六年十二月の安全基準についてお尋ねをいたしますが、これによってスプリンクラーなどの設置が義務づけられておるのがその後の船でございますね。それから、発泡消火剤などは相当その基準を高くしてあるように聞いております。先ほどのお尋ねにもありましたが、基準通達前につくられたカーフェリーについての措置は、いまのところ、会社の善意に期待するのか、それとも何か規制をされるのか。この法改正を要するというものがあるんじゃないですか。たとえば船舶安全法なら安全法を改正してそういう基準を設けるということになると、時間がかかりますね。これはとりあえずはどういう方法でおやりになりますか。
  58. 田坂鋭一

    田坂政府委員 三十六年の措置以来、通達で行なっております。これは安全法をもとにいたしまして、いろいろ省令によりまして、たとえば設備規程その他がございますが、それらにそれぞれ管海官庁の定めるところによって特に指示ができるような措置になっておりますので、法令の改正等をいたしませんで、通達によって十分な規制措置ができると考えております。そういたしまして、ただいま、企業側の厳重な措置を期待するということではなしに、私ども、強制的に通達によって指示をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  59. 太田一夫

    ○太田委員 そうすると、局長通達によって全部義務づけされるわけですね。その期限は、相当工事が必要でございますが、いつまでにそれが完備されるのですか。
  60. 田坂鋭一

    田坂政府委員 いかなる措置をいたすかということにつきましては、早急にやりたい。私どもの心づもりでは、今週とか来週中とかいうふうなごく短い期間を考えておるわけでございますが、先生御指摘のように、工事をやりますには相当の期間がかかります。それから、相当の数でございますので、これらの工事をやります機材を製作する期間も必要であるということでございますので、これらの工事をいつまでにやれということは、もうしばらく検討をいたさせていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
  61. 太田一夫

    ○太田委員 そうするとこれは、もう一回わかりやすく言うと、四十六年十二月の安全基準を全フェリー適用するという方針である、したがって、早急にそれができるようにしたいと考えておるが、期限がいつまでということは現在はまだ検討中である、資金については、先ほど大臣お話で、場合によってはめんどうを見よう。カーフェリーの会社に言わせるならば、その間船は動かないわけですから相当な犠牲もありますが、当然それは安全基準を確保させなければ就航を認めないというところまでいかなければ、たいへん不安があると思うのですよ。そういうことでよろしいですね。
  62. 田坂鋭一

    田坂政府委員 それらの工事をいたしますに必要な資金の面は、私どもの所管でございませんので、所管の局長から御答弁があると存じますけれども、四十六年十二月の通達の全部を遡及してやるということではございませんで、今回の事故並びに先ほど大臣から御答弁のございましたすべてについてもう一ぺん見直せということで見直しておりますが、それらの見直しの結果、ぜひ遡及しなければならないというものにつきまして、先ほど御答弁申し上げましたような消火あるいは火災探知、それから救命設備の増設、そういうような点につきまして、重点的に遡及して通達規制いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  63. 太田一夫

    ○太田委員 そうすると、たとえば機関室の防熱化というようなことは完全になされると考えてよろしいか。スプリンクラーは必ず全船につけられると考えてよろしいか。それから船長の部屋にどこで火災が発生したかがわかるような装置がつけられると考えてよろしいか。
  64. 田坂鋭一

    田坂政府委員 エンジンルームの固定の消火装置、これはつけられると考えていただいてけっこうでございますし、それから船長のところで、火災の場所がどこであるということは、すでにいま警報装置として拡声装置がつけられることになっておりますので、これは本来ついておると存じます。  そういたしまして、エンジンルーム防火施設、防火壁でエンジンルームを囲うということは、探知装置並びに消火装置等が完備されれば、大体その事故は拡大しないものと考えられますし、それからこの工事をやりますということは、初期からそういうものを計画して船をつくっておきませんと、船の基本的な他の性能、たとえば復原性能等を阻害するおそれがございますので、現在は考えておらない次第でございます。
  65. 太田一夫

    ○太田委員 そうすると、中央にエンジンルームがあるとすると、その上にはトラックは載せては相ならぬという禁止区域を設定しなければならぬことになりますね。エンジンルームの防熱装置というのは、金がかかるし、船体の基本に影響するから、ちょっとやれないということになりますと、その上にトラック等を積載することは禁止しなければなりませんね。そういうことになりますか。
  66. 田坂鋭一

    田坂政府委員 消火設備も相当強化されますし、また、さらにエンジンルームから車両甲板に出ます出入り口、これは自動閉鎖ということもあわせ考えまして、今回のようにとびらが開かれておりましたために上部に容易に火災が拡大したというようなことに対しましては、十分な処置をとることによりましてカバーするということで、車両甲板車両の積載場所の制限をするということは、現在考えておりません。
  67. 太田一夫

    ○太田委員 これで私終わりますが、大臣、いまのお話から、局長さんのほうの措置というのはいささか暫定的であって、少しなまぬるいような気がするんですよ。もしも消火装置が完全であり、探知装置が完全であるならば、エンジンルームの防熱装置などは簡単にいまのままでよろしいということになるならば、四十六年十二月通達のあの厳重な条件というのは、新造船にも不必要でしょう。だから、全部ほとんど各条件を満たすようにするのが理想的でありましょうが、できなければできないで、何とか最善の注意ですか、最大の施設ということだけは講じなければならぬと思うので、消火装置が完備されればまあ火事はないに違いないから、断熱改良工事などは不要だなんということは、これはまずいと思うのですね。この指導についてはよほど厳重にやりませんと、カーフェリー時代が来ておるのですから、一度これは真剣に考えていただきたいと思うのです。大臣、いかがなものですか。
  68. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 方針としてはおっしゃるとおりだと思います。現在でも、たとえば車両甲板との間にそういう防熱の装置がないかというと、あるわけです。それで足りるか足りぬかという問題だと思います。さらに補強しなければならぬという場合は、これは補強させます。  さっき申し上げましたように、いま原因はだんだんわかってきておりますから、今度は、いままでは古い船については設備が不十分であったということでございますので、それを省令に基づいた通達によりまして、これは法規的には有効だそうでございますから、それに基づいて設備の義務づけをしようということで、どの部分をどうするかということについていま細目にわたって検討さしておるわけでございます。  いままでは、たとえば平水、沿海等の船には非常にゆるい基準でいっておりましたが、今度はそれを高い程度に上げまして、そしてやはり人命を尊重するという立場から遺憾のないような設備もし、訓練もして、そうして人命を守っていくということに万全を尽くさせたいと思っておりますので、これは構造の上の問題だけではございませんで、船員の問題もございます。それから企業者のそういった問題に対する取り組み方の問題もございます。この三者そろいまして万全を期するようにしたいと思いまして、いま具体的な案を練らしております。できるだけ早く、これは一日でも早くやらせます。  構造の問題については、さっき船舶局長が申し上げましたが、これは多少構造の変更をさせようと思いますと、やはりドックに入れなければならない。そんなことで、経費は別といたしまして、一ぺんにそれだけのドックがなかなかあかないという点もありますから、やはりドックがどこでどういうふうにあくか、あるいはいつ検査の時期が来るか、そういったことを具体的に見計らいまして、最短距離で実施をさせたい、そう思っておりますので、もうしばらくの間御猶予をいただきたいと思います。
  69. 太田一夫

    ○太田委員 船員局長、いまのお話をお聞きになりましてどうですか、感想ですが、船員の疲労度というのがありますね。このカーフェリー時代に、トンボ返り等をやりますと疲労いたしてまいりましてやめていく。やめていけば新しいのが入ってくる。新しい者に内部の構造か何か教えてやらなければならない。横を向いておったらこちらのほうでは火事になっておった。そういうことがありますね。ですから、全体に船員の疲労を防止するとか、あるいは義務が完全に尽くされるような条件で配置させるとか、船員管理の問題をよほど考えておかないとあぶないですね。いま少々疲れているようでございますよ、なかなかたいへんらしいから。そういう点もよくお考えいただいて、もうからないからという点で、船員の定員が少なかったり、あるいは過労におちいらせるということのないように御指導いただきたいと思いますが、その点はよろしいですね。
  70. 丸居幹一

    丸居政府委員 カーフェリーは、先生のおっしゃるとおり、航路によりましては非常にピストンをやるものですから、そういう事態が起こる可能性がありますので、その点は特に通達をいたしまして、そういう航路との見合いに応じて船員を乗せるように指導いたしております。十分そういう点は注意しまして、今後そういうことのないようにいたしてまいりたいと思います。
  71. 太田一夫

    ○太田委員 終わります。
  72. 久保三郎

    久保委員長 沖本泰幸君。
  73. 沖本泰幸

    ○沖本委員 御質問、ばらばらになるかもわかりませんが、十分お答えいただきたいと思います。  まず、先ほど大臣が、太田先生の御質問に対して、十分検討しよう、それで人命尊重のための対策を講ずるという御発言があったわけです。ただし、こういうカーフェリーであるとか、旅客船とかあるいは遠距離航行船舶、こういう一定基準以上の船には十分の対策が必要ですけれども、平水航路とか、東京湾とか大阪湾とか比較的近い距離を行っているものにワクをはめ過ぎて、そのために——カーフェリーの事件とは無関係になりますけれども大臣の御発言があったので申し上げるわけですけれども、ワクをはめ過ぎて、そのために船主船長であるような業者が行き詰まってしまうというような場面も出てくるわけです。そういう点は十分配慮していただいて御検討いただきたい、こういう御注文をつけておきたい、こう考えます。  さて、十九日の火災事故ですけれども、御報告によりますと、八時三十一分、国際のVHFで緊急発信をやった。これを受けて海上保安庁の巡視船艇十三隻が出動したということになりますが、地図から見て、淡路島の周辺には瀬戸内海をいろいろ守っていただく保安庁の舟艇が相当たくさん配備されているわけですが、緊急発動の場合、距離と時間とを考えて、九時四十分、約一時間ちょっとで現場に到着したということになるわけですが、現在瀬戸内海に配備されている保安庁の船のスピード、そういうものを考えてこういう時間で適当であったかどうか。第一船はどのくらいで到着したか。十三隻目はどのくらいで到着したか。夜間でありますからそうスピードは出せないと思いますけれども、その点についてお答え願いたいと思います。
  74. 野村一彦

    野村政府委員 先ほどお答えいたしましたように、現実には姫路の小型巡視船「ろつこう」というものが二十時四十五分に情報をキャッチいたしまして、そして二十一時三十八分ごろ現場に行っておるわけでございます。これはたまたま巡視船担任海域であります。その海域付近を航行中でありました。なお、このほかに神戸の海上保安部の巡視艇「きくかぜ」というのが二十時五十分に知らせを受けまして、そして二十二時五十五分現場、これはもう沈没した時期でございます。そのほかに「くすかぜ」というのが二十三時十五分現場、それから「すまかぜ」が同じく二十三時十五分現場に着いております。したがいまして、結果といたしましては、姫路の「ろつこう」が沈没以前に現場に着いて監視及び誘導をしたということでございまして、あとの三隻は事後でございます。そのほかに、いま申し上げました四隻のほかに九隻の船が現場にかけつけたわけでございますけれども、これはいずれも事後であったということでございます。  私どもとしましては、現場付近で申し上げますと、姫路、神戸、大阪、岸和田、下津、こういうところの巡視船、あるいは小松島、和歌山というようなこの付近の海上保安部署におります巡視船に、専用のVHFあるいはその他の方法で指令をしてかけつけさせるということでやっておりまして、本件もたまたま行動中でありました「ろつこう」が現場にかけつけた、こういう状況であります。
  75. 沖本泰幸

    ○沖本委員 いま姫路とかそのほかの地点をお示しになりましたけれども、姫路以外に——この辺は鹿ノ瀬ですね。これを中心にしたところですと、小豆島とか飾磨とかあるいは出光の石油のプラントがある付近とか、この辺には配備されてないわけですか。
  76. 野村一彦

    野村政府委員 この付近に一番近いところでは、いま申し上げました姫路でございますが、管轄といたしましては、神戸海上保安部というのが神戸にございますし、それから姫路の保安署、東播磨の保安署、それから大阪の海上保安監部、岸和田の海上保安署、堺の海上保安署、下津の海上保安署、それから四国側で申し上げますと、やや遠うございますけれども、高松、坂出、小松島、それから近畿地方で、少し遠うございますけれども和歌山、そういうところに海上保安部または署がございまして、巡視船または巡視艇がおる、こういう状況でございます。
  77. 沖本泰幸

    ○沖本委員 このことで御議論しようとは思わないのですけれども、配備状況なり油の投下なり瀬戸内海の汚染なり、そういう点について、保安庁としては常時ビーチクラフトなり巡視艇を出して警備に当たっていらっしゃるというのを、私たちは昨年の視察でじっくりと見せていただいたわけなんです。そういう感覚の中から御質問しておるわけであって、であれば、瀬戸内海では絶えず夜間は赤外線なり何なりを通して見ておるとか、廃棄物のないようにお考えであるという点もあるので、この付近の航行に関しては常時航行中の巡視艇があるのじゃないか。そういう点、隻数としては十三隻出動なさったということになりますので、数の点では足りなかったということはないけれども、緊急連絡を受けて現場まで行くのにどうだっただろうかという点を伺ってみたまでのことでございます。  そこで、これはテレビでじっと伺っておったのですが、御報告によりますと、関西汽船のカーフェリーの「六甲丸」が救助したということの御報告ですけれども、当時この付近を通り合わした船舶が数隻あった。大体海上交通に関しては、他の船舶が災害を起こしている場合には直ちに救助しなければならないという義務づけがあるわけですね。その義務づけを怠っておった船があるらしいということをテレビで伺ったわけですけれども、実際に何隻ぐらいあったのか、あるいはそういうものがあったらしいということで終わっておるのか。あるいは怠った船を確認され、何らかの処置をおとりになったのかという点があるわけです。この問題がこのまま放置されますと、紋次郎型といっていいか、かかわり合いたくないということがだんだん広がってきて、海難救助の重大な問題になってくる、こういうことになるので、ほうっておいてはいかぬと私は考えるわけです。徹底的にこれを洗って、義務なり責任というものを追及しなければならないはずなんですけれども、その点について保安庁のほうではどういうふうに処置をされておるか、お伺いしたいと思います。
  78. 野村一彦

    野村政府委員 お答えいたします。  まず、先生の先ほどの御指摘、私ちょっとお答えが適当でございませんでしたのでその点申し上げますと、いま申し上げたようなこの付近では、海上保安部あるいは海上保安署に巡視艇または巡視船がおりまして、それが交互に夜間の哨戒をいたしております。したがいまして、当日もその「ろつこう」が付近の比較的近い位置でパトロールの当番に当たっておったということで行動中でございますので、管区本部におきましては、いまどこの保安部のどこの船がどの辺を航行中であるということは常時把握しておりますので、その点につきましては、今後さらにそのパトロールのやり方が適当であるかどうかということは十分検討いたしたいと思います。  第二点の御指摘でございますが、仰せのように、「せとうち」の事件のときにその付近を航行した船はございました。これは、私ども調査いたしましたところでは、LPGのタンカーの「第八えるぴい丸」という船も付近を通っております。これは先ほど申し上げました。そのほか西日本フェリーという会社のフェリー「つくし」というのも通っております。それから救助いたしました「六甲丸」これは当然でございます。  そこで、先ほど申し上げましたように、二十時二十八分ごろ、遭難のVHFの電話が第五管区本部にございましたので、第五管区本部ではそれを受けまして、付近航行の船舶にその情報を流しまして、その援助を要請するとともに、私ども巡視船がかけつけたわけでございます。したがいまして、もし海難を見て、一般船としてもこれを黙って通り過ぎるということであれば、これは船員法違反ということにもなりますので、私どもで捜査をしております。ただ、この船の電波を直接キャッチいたしましたもの、あるいは私どものほうの海上保安庁の電波をキャッチいたしました船は別といたしまして、この船の火災というものが外部からわかるようになりましたのは、エンジンルームが燃えて一時間近くたってからであったわけでございます。そういう意味で、見て見ぬふりをしたというようなことはいまのところないようでございますが、当然私ども、そういう船がなかったかどうかについては現在も捜査をいたしております。したがいまして、遭難の事実を知って救助におもむかなかったということであれば、これはたいへん問題でございますので、この点の調査は、さらに本船の火災の捜査と同時に並行してやりたいと思います。
  79. 沖本泰幸

    ○沖本委員 ただいまのお答えの語尾のほうがもう一つ確認できなかったのですが、そうしますと、VHFという国際通信ですね。これはいまは全船舶が電話をつけることが義務づけられて、何なりの通信装置を持っておるわけですね。そうするとこの通信方法というものは、航行している船のすべてに国際通信の緊急発信がキャッチできるのでしょうか、あるいはそれは海上保安庁のほうが一たん受けて緊急連絡を出さないと受けられないものでしょうかという点が一点です。  それからもう一つは、夜間に航行するのですから、必ず海図を見ながら、自分の位置を見ながら、自分の地点を確認しながら船は航行しているはずなんですね。そうすると、自分の船の位置と事故を起こしている船の位置との確認なり、近接点なり何なりというものは、すべての付近を通っている船は確認できるはずなんですが、そう確認できた場合に、その船はそこへ行かなければならないのか、いまおっしゃったとおり、肉眼で火災を発見して現場へ急行すべきものであるかどうか、あるいは緊急発信を受信した船は直ちに現場へ行かなければならない義務づけがあるのかどうか、その点についてお答え願いたいと思います。
  80. 野村一彦

    野村政府委員 まず第一点でございますが、国際VHFの無線電話でもってこの船から管区本部に情報が入ってきたわけでございます。これはいわゆるVHFの十六チャンネルと申しているものでございます。したがいまして、全部の船舶がVHF十六チャンネルを持たなければならないということではございません。平水、沿岸等の小型船等は国際VHF十六チャンネルは持っておりませんので、直接全部の船が聞いたわけではないと思います。それが第一点でございます。  第二点の、他船の遭難を知ったときにはということでございますが、これは、目で見た場合あるいは通信手段によって聞いた場合を問わず、要するに他船の遭難が自分の船の近くであったということをある船の船長が知りましたならば、目で見たと通信機関によって聞いたとを問わず、海難を救助しなければならぬというのが船員法の規定であると私ども解しております。
  81. 沖本泰幸

    ○沖本委員 いまのお答え、すべての船が聞いたとは限らないということなんですが、すべての船が聞かない、ではどの程度の船が聞くことになるのか、国際VHFというのはどの程度の船に義務づけられておるのかという点ですね。それから保安庁のほうから緊急発信をして、そしてすべての船に通信連絡する場合は、どの程度の船が保安庁からの緊急通信をキャッチできるのかという点なんですけれども、キャッチできる装置を持っておってキャッチした船は必ず現場に行かなければならないものか、そこに義務づけがあるのかないのかという点です。
  82. 野村一彦

    野村政府委員 まず第一の、国際VHFの設置を義務づけられておる船舶の範囲でございますが、これは調べまして後ほどお答えいたしますので、御猶予いただきたいと思います。  第二は、これはあるいは船員局長からお答えしたほうが適当かと思いますが、現実には、先ほど申し上げましたように、海難に瀕している船を見るなりあるいはそういう通信によって遭難通信を知って、それが先ほど先生のおっしゃったような海図等で見て自分の船から非常に近いというようなことを確認したならば、これは当然船員法上の義務として、自分の船があぶない場合を除きまして、すべての船が遭難船の救助におもむかなければならないという義務があるというのが、私ども船員法の規定であると思います。
  83. 沖本泰幸

    ○沖本委員 なぜしつこく伺うかというと、これに反した場合罰せられるのでしょう。処罰の規定に含まれるわけですね。そうすると、いま長官が御答弁になった少し調べてみますというのも私うなずけないわけです。これとこれとこれの範囲内がこうだというものがびしゃっと出ていなければ、付近を航行した船についても、どの程度の船が航行しておって、あるいは常時航行できる範囲内の船はこういう船であるという点が出てくると思いますし、各港を出る場合に積み荷なり航行許可なりいろいろな点から、何らかの形で監督官庁の監督を受けながら船というものは出ているはずなんですね。そういうワク内からいうと、保安庁なり運輸省のほうでは、その辺をどの程度の船が通航しており、どの程度の船がキャッチしなければならない義務があったかということになると思うのです。これこれの船は必ず保安庁からの通信をキャッチしているはずだという点でお調べにならないと、それに反したということは出てこないと思います。ましてそれに違反した人たちは罰せられるという厳重な規定がある内容のものなんですから。罰せよということではありませんけれども、この問題がなおざりになっていくと、重大な過失があってもこのときは何でもなかったじゃないかということになるのではないかという点を私はおそれるわけです。たとえて言いますと、台風なんかの場合に、船がもやいのロープを出してほかの船がそれを一緒に手伝ってやらなかった場合罰せられるわけでしょう、そういう場合でも。そういうはっきりした海難審判の義務づけがきちっとあるわけです。ですから、そういう観点に立って見れば、この点については厳重なあれがなければならないし、それを怠ったりなおざりにした場合は、監督官庁では真剣にこの問題をとらえて考えていただかなければなりませんし、また、それぞれの船舶に対する警告を発していただいて、そうでなければ今後の安全確保ということにはならない、こういうように私は考えるわけです。
  84. 野村一彦

    野村政府委員 お答えいたします。  船舶における無線施設の設置の義務につきましては、実は、これは船舶安全法に基づきましてきめられておりますので、その点につきましてはあるいは船舶局長からお答えしたほうが適当かと思います。もちろんそれらの励行ということについては、私ども責任があるわけでございます。  それからいま申し上げました法律として、船員法の十四条には「船長は、他の船舶又は航空機の遭難を知ったときは、人命の救助に必要な手段を尽さなければならない。但し、自己の指揮する船舶に急迫した危険がある場合及び命令の定める場合は、この限りでない。」ということで、その「命令」としては「遭難者の所在に到着した他の船舶から救助の必要のない旨の通報があったとき。」ということでございます。したがいまして、本件の場合は、第五管区海上保安本部が通信を発しまして、「六甲丸」が一番付近におる、まして「六甲丸」が救助に当たるのが一番適切であるという判断を下しまして、「六甲丸」に救助してもらうように依頼をして、したがってほかの船については、もう「六甲丸」が行ってやるから救助の必要はないというふうに連絡をやっておるということを私ども確認しております。もちろん、その事故が発生してニュースをキャッチしたときにはすべての船が救助に向かわなければならないわけですけれども、「六甲丸」ということをきめまして、そしてそういう情報を各船に流しておるのでございますから、ここにいいます「命令」によって他の船はこの義務を解除されたというふうに解釈されるわけであります。そういう意味で、本件の場合に関しましては、先生の御懸念のような見て見ぬふりをしたというようなことはいままでのところないというふうに思います。さらに引き続き調査をいたしますけれども、このときにははっきり「六甲丸」に救助をやってもらうのだという通知をいたしておりますので、違反という問題には直ちにならないと思います。
  85. 沖本泰幸

    ○沖本委員 そのお答えももう一つ納得がいかないのです、こまかい点に触れますと。おそらく船内に耐えられないから脱出するという連絡もあったはずなんです。そういうものがあった上で、ただ一船だけに救助を依頼して、そしてそれで事が済むからほかの船は必要ない、こういうことは、海に飛び込んでおる人がいるかもしれないあるいはいかだに全部収容されておるかどうかもわからない、そういうような不測の事態が考えられるわけですから、一船だけに依頼したから他は必要ないというのは、これは昼間であればそういう点心配ないかもしれませんが、夜間ですからね。私たちしろうと考えでもそれは少しいただけないお答えではないかと私は考えるわけでございます。  この問題はこの程度にして、自後は十分な万全の措置を考えていただきたい、こういうことをお願いしておきたいと思うのです。  時間もありませんから、もう二つほど疑問の点をお伺いいたします。  このカーフェリーはトン数が九百五十トンということになっておるわけですが、大体船のトン数のきめ方に未満、未満ということが非常に多いわけですね。そうすると、九百五十トンと千トンとの違いというのは、装備の上あるいは船舶法の上、いろいろなことから経済的に違いがあるのかどうか、これが千トンの船だとどの程度の装備をしなければいけないのかというような点、九百五十トンにしぼっておる点。百トン未満の船であるとか三百トン未満の船であるとかいろいろな点がある。ですから、そういうものの考え方から考えていくと、人命なり重要な公共の交通機関に当たるようなこういう船舶が、ほかの船で、貨物船なり何なりで考えられるような船舶のトン数の振り分け方ですね。こういうことは同じ考えに立ってもらったのでは困ると私は考えるわけです。ですから、九百五十トンのものがカーフェリーとしてその航行距離なり何なりにたえ得るだけの内容を持つものに当たるものであるかどうかという点と、それからもう一点は、機関室の、ここの御報告によりますと、出入り口のとびら及び通風のダンパーが開放されておったということになるのと、それからエンジンルームのシリンダーのカバーと排気管の間に高圧燃料油管または油の漏れがあって、それが前にも事故が起きた。同じ事故が起きたのではないか。御調査にお越しになったわけですけれども、以前にも同じ事故があった。それがやはり同じ事故から起こったのではないかということなんですけれども、そういうふうな高熱を発するようないわゆる排気管なりシリンダーなりとの関係、そういうところに問題点はなかったのかどうかという点。それから現在沈没しているものを実際に揚げてお調べになるというようなことをテレビで伺いましたけれども、具体的に事故調査を完全に揚げておやりになるのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
  86. 田坂鋭一

    田坂政府委員 まず、安全規制をトン数によってやっておるかどうかということでございますが、先生の御指摘のような趣旨も加味いたしまして、フェリーボートにおきましてはトン数による安全規制の差はございません。たとえば航行区域が沿海であるか、平水であるか、それから使用上の状況によっては規制の差はございますが、トン数による規制の差はございません。  それから第二点の、今回の事故原因について、何か欠陥があったのではないかということでございますが、先ほどの御答弁でも申し上げましたように、事故原因調査につきましては今後さらに詳細になされなければならないわけでございますが、ごく簡易な当面の調査の、私どもがいま考えられる段階におきましての事故原因は、先ほど申し上げましたように燃料管あるいは冷却管、この中には燃料のA重油が通っておるわけでございますが、これとメーンエンジン排気管との関係にあったのではないかと考えられますが、燃料管であれあるいは冷却管であれ、こういうようなのに欠陥があったとすれば、それらについては日常点検なりそれから整備あるいは保護、そういうことについてさらに配慮が必要であろうと考えておりますし、また、排気管につきましても、防火という観点から防熱装置を規制されております。これがほんとうに十分であったかというふうな問題は今後の私どもの検討事項としてあがってくると考えます。  以上でございます。
  87. 沖本泰幸

    ○沖本委員 これで終わろうと思っていますけれども、ここに出ています機関室の出入り口、これはハッチだと思うのですが、それから通風のダンパーが開放されたままであったということが書かれておるわけですけれども機関室とほかとは区別されて隔壁されなければならない問題ですから、通風のダンパーがあいておったにしてもそれは安全なところへ流される内容のものであり、それからいろんな事故が起きるというような装置自体が私はうなづけないわけです。そういう点もう少しあと研究して究明していただきたいし、先ほどお答えがありましたけれども、トン数未満の点についても、未満だから満たされるということではなくて、十分それだけの内容を持ったもの、当然その設計図なり何なり十分のものができて運輸省の許可をとって船はおつくりになるはずなんですから、その間に、結局千トン未満だからこれとこれとこれは除いてもいいということではなくて、むしろ運輸省のほうが指導していただいて、これは千トン以上にしてこれだけのものは完全に備えなければ許可しない、こういうふうな方向で問題を持っていっていただかなければ、今後ますます同じような欠陥がありとすれば出てくるんじゃないか、こういう点も考えられます。そういう点十分今後御検討いただきたいと思います。  以上でこれに関する一応の質問は終わります。      ————◇—————
  88. 久保三郎

    久保委員長 この際、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  自動車事故対策センター法案の審査に資するため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 久保三郎

    久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選、出席日時及びその手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 久保三郎

    久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  91. 久保三郎

    久保委員長 次に、委員派遣承認申請に関する件についておはかりいたします。  自動車事故対策センター法案審査のため委員を派遣いたしたいと存じます。つきましては、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 久保三郎

    久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、派遣委員の氏名、人数、派遣期間、派遣地その他所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 久保三郎

    久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  94. 久保三郎

    久保委員長 内閣提出自動車事故対策センター法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本忠助君。
  95. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 法案に入るに先立ちまして、少し私お伺いしたいことが免許行政の面でございます。  これは私のところへ参りました投書なんでございます。第二種の免許証の更新のことですが、正当な診断書があれば更新を延期することができる、一応こう私ども考えておったわけです。ところが、この投書によりますと、東京自動車連合健康保険組合柳橋病院に吉本さんという患者さんが入っておる。この患者さんが三月二十三日に肝炎で入院しまして四十度近い高熱が毎日続いていた。五日目の三月二十七日に外出の希望があった。理由を聞いたところが、第二種免許証の更新の受験のためということで、診断書を出してよくなってからにしてはどうかと看護婦さんが言ったところが、その人の奥さんも鮫洲の試験場に電話で問い合わせた。ところが、診断書で試験は延期できても、いままでの経験年数は無効になるということだ、こういうことだから、手紙には初経験と書いてありますけれども、要するに未経験と同様になる、給料も減額される、こういうことを言っておられるというのです。免許の有効期間が切れて一カ月猶予期間があると思います。この人も入院前から家庭で休養していたわけですから、そのちょうど二十七日で期間が切れる、どうしても試験場へ行ってこなければならないということで試験場に出かけたということなんです。鮫洲へ問い合わせたところ、診断書で試験は延期できてもいままでの経験年数が無効になるということを言われたというのですけれども、こういうことは私はないだろうと思いましていろいろ調べておるのですが、免許を担当されるほうの警察庁として、こういう場合は当然免許証の書きかえは延期されると私理解するのですが、どうでしょうか。
  96. 片岡誠

    片岡政府委員 ちょっといま法令研究さしていただきたいと思います。——あとで……。
  97. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 じゃ、後ほどでけっこうでございます。質問を提起しておきましてからだいぶ日がたったものでありますから向こうも忘れちゃったのかもしれません、最初にお願いするといって来たわけでありますけれども。  それではきょうのこの自動車事故対策センターの問題とは若干離れると思いますけれども、実はこういうことがございました。  これはちょっと古くなりますが、四十六年七月二十二日に、参議院の予算委員会でわが党の三木議員が、運輸省認可の公益法人、特に自動車関係の二十一の公益法人について質問をしたことがあるのです。たいへん古い話ですけれども、これが契機となりまして、翌日の四十六年七月二十三日の閣議で公益法人の監視を強力に進めることに決定しているわけです。当時佐藤総理も、公益法人の整理については行管庁が中心となって検討しているが、各省も自分の問題として積極的に取り組んでほしい、こういう指示があったわけです。運輸省としてはこのとき問題になりました二十一の公益法人があるのですが、この点についてもどのように取り組んだか、その結果を聞かせてほしいと思います。
  98. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 運輸省の中の公益法人は官房で仕事をしておりますので、私からお答えをいたします。  実はその後運輸省といたしましても、政府の方針それから行管の通達によりまして、極力休眠法人等は整理をする、それから新設は厳選をするという方針でわがほうも十分対処しておるつもりでございます。
  99. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣、いま官房長からお話があったとおりなんです。こういったいわゆる公益法人というものが非常に数がたくさんあるわけですね。実際上仕事をしているのかしてないのかさっぱりわからないようなものもあるわけなんです。こういうものに対して、いま官房長からもお話がありましたけれども大臣としてもやはりこういう問題に対しては積極的に整理統合というか、きちんとしなければいかぬと私は思いますので、この辺どうでしょうか。
  100. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 運輸省関係の公益法人は非常に多いのです。私もこの間名簿といいますか、各局の関係の公益法人の書いてあるものをもらいまして、あまり数が多いので実は驚いたのですが、中には、おっしゃったように非常に古くて、いま十分に設立当時の仕事をやっているかどうか、また、必要があるかどうか疑問のものも出てきていると思います。また、いろいろの部門で方向が新しく開拓される部門がありますから、必要な部門もあると思います。これは行管からもかねがね通達がございまして、そういったものの整理統合を極力やれ、こういうことでございますから、私どもいま勉強している最中なんです。各局の公益法人につきまして、必要の度合いあるいは現在どういうふうに働いているかというふうなことにつきまして勉強している最中でございまして、結論は出ませんけれども、方向としてはおっしゃるように処理したいと思っております。
  101. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 わかりました。せっかくこの面についても、閣議でも佐藤総理から言われたことでもありますから、なるべく早い時期に整理していただきたい、こう思います。  それで、このセンターの問題でございますけれども、このセンターの設立にあたりまして、いま自賠責特会から四億五千万という出資金が出てくるわけでございます。これはどうしてこういうものを今度やることになったかというと、やはりいままでたくさん事故があった。その事故がだんだん減ってきた。減ったということについては、運転者諸君の運転のマナー、それからまた取り締まりの面あるいは自動車自体が動かなくなった面もあるかとも思います。いずれにいたしましても事故が減ったことだけは事実だと思うのです。そうした結果、ことしの計算でも黒字が出ることが見込みが立ったわけですね。そこでその四億五千万の金を、利子の一部を出してセンターをつくろう、こういうことでございます。これは四十四年の自賠責審議会の答申にもあったと思います。そういう点から、料率の引き下げあるいは救急医療の施設の問題、事故防止に充てる等々ございますけれども、その前に料率の引き下げということが一番また必要じゃないか。これが加入者に対する直接還元、こういうふうに思うのです。この料率の引き下げ、こういう点について運輸省としてはどうお考えになっているか。それがやはり一番の加入者に対するいわゆる利益の還元に当たるのじゃないか。いままでこれだけ余裕のものができた、余裕の出たものをほかへ使ってしまうのではなくて、直接それを生み出した人間に還元されてしかるべきじゃないか、こういうふうに思うのですが……。
  102. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 事故が減ってきたということやその他のいろいろな原因から、自賠責の経営収支が黒字になってまいりまして、今回このセンターの設立をお願いいたしております。自賠責の滞留資金の利息収入でございますが、これにつきまして、御指摘のとおり、まず第一義的には保険料の低減に充てるべきじゃないかという御指摘でございますが、まことにそのとおりでございまして、今回、滞留資金の活用ということでこの法案を考えたわけでございます。その答申の中にも、保険料の低減に充てるほか事故対策に活用すべきである、こういうことになっておるわけでございます。したがいまして、先生のお説のとおりに、第一義的には保険料の低減ということも当然考えなければならぬと思います。その同じ答申のときに、この保険料に関連いたしまして、保険料率といいますか、むしろ制度の問題としましてメリット・デメリット制というような問題の保険料の制度の改善、こういうものも同時に指摘されておるわけでございます。また、黒字に対しましては、今後限度額をさらに引き上げるべきだというようなこともございますので、こういった限度額の引き上げあるいは保険料率の問題あるいは保険料の制度の問題、こういったものを総合的に検討して対処してまいりたいと思っております。
  103. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いま局長からお話のあったように、やはり私は第一義的にその料率を引き下げる。メリット・デメリット制度の問題等あるいは保険料低減という問題を先にやるべきじゃないかと思うのです。そっちのほうはいつになったらやるのかということですね。そっちのほうは置いといてまずこっちのセンターをやるのだ、こういうことですね。   〔委員長退席、太田委員長代理着席〕 決してセンターをやってはいかぬと私は言っているわけじゃございません。しかし、それよりもまず保険料率を引き下げるあるいはメリット・デメリット制を導入していくというようなことが当然先にやられるべきじゃないか。それをあと回しにしてこっちのセンターだけをつくられる。こういう点について私はどうも納得がいかないわけなんですけれども、一体その保険料率の引き下げのような問題はいつごろ実施するお考えがあるわけなんですか。
  104. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 保険の収支が非常に黒字になってまいりました場合に、現在問題になっておりますのは、限度額の引き上げの問題、それから保険料率につきましても、単純に料率を引き下げるのがいいのか、あるいは先ほども申し上げましたが、保険料の制度といいますか、割り引き、割り増し、そういったことでメリット・デメリット制を導入するというようなことを考慮していくということで、この問題につきましては、限度額あるいは保険料の問題、この両方の問題につきましては、現在事務的にすでに検討に入っておりまして、今年度中に関係の審議会等にもおはかりをいたしまして、この問題について積極的に取り組んでいくという予定になっておるわけでございます。
  105. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 この事故対策センターのほうは十二月の一日から発足するわけですよね。少なくともその前に、料率のほうはこうしますよ、あるいはいまの限度額の引き上げですね。これは同じ料率ならば、たとえばいままでは五百万だったけれども今度は一千万になるのですよ、同じ金をかけて一千万になるのですよとか、こういったことが出ないで、片っ方は十二月の一日からつくるのだ、片っ方はまだいまのところ検討中だでは、これはちょっと片手落ちな気がするわけです。答申にもやはり書いてあるわけです。一方だけやりますと、肝心かなめの——たくさんの人たちがかけているわけです、強制的に入っているわけです、これをまず先に解決する。それから後にセンターをつくるというのが私は順序じゃないかと思うのです。ですから、少なくとも十二月一日の時点においてセンターが発足するその前には、これらの問題について確たる見通しを発表できるというような体制でなければ、私はちょっと片手落ちじゃないかと思うのでございます。この点でどうでしょう。
  106. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 四十四年の答申には非常に広範にいろいろな問題が指摘されておりまして、確かに滞留資金の活用ということだけが先行すべきでないことはお説のとおりだと思います。したがいまして、いろいろなメリット・デメリット制の問題とかあるいは最近問題になっております限度額の引き上げの問題というような問題を、並行してなるべく早くそういったものの結論を得るように現在もうすでに事務的には努力しておる、検討に入っておるわけでございまして、その点御了承願いたいと思います。  それからもう一つは、確かにそういった問題は非常に基本的な問題でございますので、それを先にというような点につきましては、これは収支全体の、おそらく数百億のオーダーの問題かと思うわけでございます。そういった点からも、この問題について先にと申しますか、いずれにいたしましても、どちらもなるべく早く検討を進めてやっていきたいと思っておるわけでございまして、その点、これだけを特に先にやって、そしてあとのものはその後だというような考えは全然ございません。
  107. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣、これは局長としては当然そう答えると思うのですけれども、一般世間の人はそう受け取らぬのですよ。そうじゃございませんか。みんなかけているのです。高い高いと言いながらも、事故が出たときのことを思ってかける。それでも足らないから、いわゆる任意もかけているわけですよ。そうした人が——一方では、黒字ができました、対策センターをつくる。そこには、ことばは過ぎるかもしれませんが、お役人さんがいずれは行くわけですよ。自分の行き先のほうだけをつくっちゃって、われわれかけているほうにはちっとも恩恵がない、これはおかしいじゃないかとみんな言っているわけですよ。だから少なくとも一方が十二月一日に発足するならば、その前の時点において、検討しておるならば、いつから限度額は幾らにいたしましょう、あるいは料率はこうしますということが出なければ私はおかしいと思う。この点、大臣の責任ある御答弁を願いたいと思う。
  108. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 おっしゃること、ごもっともだと思いますが、収支が四十五年から黒字になってきて、だんだんに累積赤字が解消してきた。四十八年度は累積赤字が大体なくなるのではないかというところまで来たようでございます。したがって、いま松本先生おっしゃるような御議論も出てくるのだろうと思いますけれども、この問題は、いまおっしゃったような料率の問題、それから局長が御答弁しましたようないろいろのこれから先の問題を含めまして、私の聞いているところでは、近いうちに審議会で基本的な態度をきめるというような段階になってきておるようでございますから、ごく近いうちに、来年度には間に合うと思いますが、それまでには大体そういった問題をすべて、この際一応この方針をきめて、赤字からだんだん黒字になってきておる、今後どうすべきかというようなことを基本的に論議をしていただけるのではないかと思っておるのでございます。
  109. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは、一応大臣の言われる近いうちにということを私御信用申し上げまして、それ以上追及いたしませんが、なるべく早い時期に実現をしていただきたいと思うわけです。  大蔵省の方、見えていますか。——大蔵省でもいわゆる民間保険の運用益というものがあると思うのです。こういったものはやはりいろいろな意味において活用されていると思うのです。今回、この自賠責のほうの特会の面での運用益についても、こういうものをつくろう、あるいはいま言ったような料率の引き下げをしよう、こういうことになっておるわけですが、民間保険の運用益についてどのように使われる考えがあるのか、これをひとつ承っておきたいと思います。
  110. 安井誠

    ○安井説明員 民間の損害保険会社のほうも、純保険料、つまり損害に充てられるべき保険料の中で、六割が運輸省のほうの特別会計に行っておりますけれども、四割は民間の保険会社のほうでプールしているわけでございます。それらにつきましても、先ほど先生御指摘の答申の、運用益の活用をしろということが当然適用になるわけでございまして、保険料の引き下げのほか、いま救急医療施設の拡充その他のものに充てるようにということが言われているわけでございます。それに応じまして、たとえば日本赤十字病院に寄付をいたしましたり、あるいは済生会に寄付をいたしましたり、あるいは交通事故のために警察庁のほうにパトロールカーその他の設備を寄付するというようなことをいたしております。
  111. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 局長、いまお聞きのとおり、民間の保険のほうでも運用益をかなり有効に使っているわけです。そういう点を考えて、強制的にやる自賠債もみんな高い高いと言っておるわけです。しかし事故が起きた場合のことを考えてやっているわけでございますので、まず一刻も早く料率を下げてやる、あるいはまた限度額を引き上げる、こういう方向の大臣の御答弁がございましたけれども、ひとつ急いでやっていただきたい、こう思うわけであります。  それから今回の自動車事故対策センターのほうで、被害者救済という問題がありますね。また、交通遺児育英会というのがございます。ここでも交通遺児のための貸し付け等もやっておるわけですね。わざと新しいセンターなるものを新規につくらないで、こういった既設の団体でも十分これを活用できるのじゃなかろうか。新しい団体をつくればつくっただけに、結局は人件費に食われてしまうということなんです。この辺あとで私いろいろとお伺いしてみたいと思うのですけれども、何か新しい団体をつくれば、当然そこでたいへんたくさんな人が使われる。実際上の仕事の量とそれからそのサラリーといいますか給料、そういうものを考えてみたら非常に高いのですよ。これはもう新しいものをつくるということはむだだと思うのです。むしろ、既設の団体にそういうものをやらせたほうがいいんじゃなかろうかという気がするのです、決してないわけじゃないのですから。なぜ、交通遺児育英会等にはこれをやらせないで、そして新設をしなければならないのかということですが、この点どうです。
  112. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 事故防止にいたしましても、ただいまのような被害者救済にいたしましても、民間の公益法人というような形でいろいろな団体がございまして仕事をやっておるようでございます。その際に、私どもといたしましては当然オーバーラップしないように、そういたしますと非常にむだが起きる、こういうようなことにもなりますので、たとえば今回適性診断をいたします問題につきましては、現在ある運行管理指導センターというものを発展的に吸収するというようなことで、重複してむだが起きるというようなことがないようにいたそう。また、民間を主体としてやっていけるような業務というような問題につきまして、国が資金を出して御指摘のようなむだな資金運用をやるというようなことは、これは厳に慎まなければならぬ問題でございまして、やはり民間だけではどうにもできないというような仕事、また、その仕事を直接政府の監督の届く実施主体というようなものを設けましてやったほうがふさわしい仕事というようなものに限ってやっておるわけでありまして、重複によるむだというようなものを避けるように配慮しておるわけであります。   〔太田委員長代理退席、委員長着席〕
  113. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは、重複のむだを避けるという御答弁でございますので、後ほどその問題について具体的に私やりたいと思うのです。  それはおきまして、片岡局長さんに先ほどのお話の御答弁をいただいておきましょうか。それからあと引き続いて片岡さんにお願いしたい。
  114. 片岡誠

    片岡政府委員 先ほどの問題でございますけれども、病気になった場合には更新に行けません。しかし、病気がなおってから一カ月以内に試験場に参りますれば、適性検査だけをやって、あとはその経験年数もそのまま通算するという仕組みになっております。したがって、その問題の方が、病気がなおられて一カ月以内に試験場に行かれれば、御心配のようなことは全然ないということであります。
  115. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そうしますと、さっきのような、鮫洲に電話をかけたらだめですと言われたというようなことは、片岡局長お話のとおりならばないわけですね。ところが、鮫洲に電話をかけてそうだというわけですよ。そういうところの徹底がされてないと、私はかわいそうだと思うのですね。こういう人はたくさんあるわけです。投書を私のところにくれました人は、これはさっき申し上げましたいわゆる東京自動車連合健康保険組合柳橋病院の看護婦さんです。病人の吉本さんの奥さんが鮫洲に電話をかけたら、こうこうこうだというわけですね。PR不足といいますか、徹底不足といいますか、法令を見ていただけばすぐわかる問題です。常識的に考えてもわかる問題なんです。こういう点については十分の御注意をひとつしていただきたいと私は思うわけです。  次の問題です。続いて片岡さんに何問かお伺いしますが、センター業務の一つにあげられておりますところの、事業用自動車の運転者に対して運転に関する適性診断を行なう、あるいは指導及び講習を行なう、こうなっておるわけです。運転免許行政にこのことがプラスになるかマイナスになるか、また交通安全行政の一翼をになっておられる警察庁として——青ナンバーだけに対してやるわけですね。そうすると、これが全般に及ばないのではないか。こういう面に対して警察庁としてはどうお考えになるか。一応、免許証の所持者が日本でおよそ二千九百万ぐらいいるのじゃないかと思います。そのうちいわゆる事業用に参加している運転者というと、その一割ぐらいと見当つけられるわけです。二百九十万。この一割に対してこれだけの、四億五千万の金を使う。一方の九〇%に対しては、いままで若干のものをやっておりますけれども、やられてない。これは何か私は片手落ちのような気がするのです。こういう点について警察庁としては、やはり御自分の意見としては、全般的にやってくれというふうなことが当然警察から出なかったのかなというふうにも思うのですけれども、この点どうでしょうか。
  116. 片岡誠

    片岡政府委員 私どもは、この法案の作成過程で運輸省の協議を受けました。私どもいろいろ議論いたしましたのですけれども、現に適性診断という事実上の行為は別に警察庁専管事項でもないし、それ自身はいいだろう。ただ私ども、御承知のように各県に交通安全学校というものを持っております。そこで今度のセンターが持つ機械類と同程度のものはみんな各県にあるわけでございます。主としていま中心にやっておりますのは、処分者、つまり違反なり事故を起こして行政処分を受ける人、その人たちに対する講習、それから自家用自動車の安全運転管理者あるいはそこの運転手に対する指導なりあるいは適性診断、そういうものはやっております。しかしながら、いまお話がございましたように、運転者そのものはもう三千万人近くなっております。そういう面で、別に違反も起こさない、事故も起こしてない人にまですべてカバーするという段階にはいっていない。しかし、希望者があれば当然みな現にやっているわけでございます。私ども考えましたのは、プロの運転者はアマの運転者よりもやはり厳重に適性診断をすべきじゃないだろうか。そういう意味で、私どもがやっておりますのはもちろん続けてやりますけれども、プロ専用のそういう機関ができるということは全体的な強化になるんではないだろうかという判断をしたわけでございます。  適性診断というのも、本人がこれを希望して喜んで受けるというサービスというよりも、むしろ義務を課されるという感じに運転者は受けとめるのじゃないだろうかと思います。そういう意味で、プロの運転者についてはアマの運転者よりもそれだけ安全上より強く手を打っていく必要があるんじゃないかという意味で、この法案に賛成したところでございます。
  117. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 局長、いま御答弁の中に、各県に警察自体としてもいわゆる学校のような形式のものがある。こういうところを使っても私は十分プロの者もできると思うのです。現に明日視察に行くというようなお話のそういった施設も、運輸省のもので、ございます。東京自動車運行管理指導センター、こういうところもあるわけですけれども、警察には全国的な組織としてすでにできている。こちらはいまのところ九カ所しかないわけですね。これを頭にして各県に一つずつつくるということですよ。実際問題として、いまできているものをもっともっと活用すべきであって、わざわざこれから土地を買い、建物をつくり、そこに施設をつくって、いらっしゃいといって待つよりも、私は現在のものを使ったほうがいいと思う。そういう点で、警察がもっともっと強引——強引ということばはいけないかもしれませんけれども、こういう施設があるのだからどうだといった話し合いが運輸省との間になかったのか、あるいはまた、運輸省としてはどうしてもおれのなわ張りはこうなんだ、青ナンバーに対しては絶対おれのほうでやるのだといってがんばっちゃって、お互いになわ張り争いというか、そういう結果どうも警察庁のほうが押し切られたのではないかという考えも私はあるのですが、その辺のところどうですか。
  118. 片岡誠

    片岡政府委員 別に押し切られたわけではございませんが、先ほど申し上げましたように、プロはやはりアマよりもより安全上責任があるのではないか、したがって、まずプロの専門のそういう組織ができるということは、大きな目で見て決してマイナスにならないという判断をしたわけでございます。
  119. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 その御趣旨はそのまま私は承っておきます。どうも成立の過程において警察庁と運輸省との間になわ張り争いといいますか、たいへんあったという話が巷間伝わっております。そういう点もありますので、私は決してなわ張り争いをすすめるものではございませんし、施設のあるものを活用するほうがよほどいいのだ、新規につくること、それよりももっともっといまあるものを活用することが国家的にも大きなプラスじゃなかろうか、そう思います。そういったところから私はあえて申し上げたわけです。  小林局長にお伺いいたしますが、適性診断を実施する先生といいますか、やる人ですね、これは心理学の先生じゃなかろうかと私は思うのですがね。心理学の先生が担当されるということが一番妥当じゃないかと思うのですけれども、その心理学の先生がそういうところを担当するとして、その補充といいますか、人員を充足するといいますか、これは簡単にできるものですか。それとも、たとえば全国的にいまあるところの、陸運局の管内の全国の九つのこういうところだけそういう先生を置いて、あと下のほうはそれを見習ったものを置けばいいのだとか、いろいろ考え方もあるだろうと思うのですけれども、その辺どういうふうにお考えになっていらっしゃるか。先生がなかなかいま安いお給料では来ないだろうと思います。そういう点について、後ほどまた触れたいと思いますが、いわゆる検査をする人、実際上やる人、そのお給料等の問題もございますので伺っておくわけです。
  120. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 この適性診断の技術的な方法あるいは検査機器等につきましても、ここ数年非常に開発、改良が加えられまして、現在運行管理指導センターで行なっています段階でも、一応この成果がはっきり確認されたという段階でございます。もちろん、機器の面あるいは検査方法等の面につきましても、今後技術的に相当日進月歩さるべきものだと思いますが、こういった研究の分野は、御指摘のとおりたしか心理学の一つの分野に入っているかと思いまして、そういった面が、各地方の大学等におきましても専門の先生方がかなり研究を進められ、出てきておるわけでございます。現に東京のセンターにおきましても、心理学の先生がこの指導の立場に立ちまして、若干の助手に当たるような方がこの検査業務に現在従事しておるわけでございます。今後全国各地にこの支所を設けました場合に、確かに相当強化をいたすといいますか、そういった分野の先生方の人材の確保というようなことについては相当な努力をすることは必要かと思いますが、最近新しい分野として非常に拡大されてきておる分野でございまして、そういった面について今後拡充することは可能かと思っておるわけでございます。
  121. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そういう先生方の獲得が可能であるというお見通しならそれでけっこうでありますけれども、現在行なわれております自動車運行管理指導センター、これは全国で九カ所あるわけですね。それがまず第一番目に、いわゆる事故対策センターができると、それのいわゆる最初の段階の支所的存在になるわけですが、この東京以下大阪、名古屋それから広島、高松、北海道、仙台、新潟もありましたね、それから福岡、全国九カ所あるわけですが、ここで一応いま検査をやっているわけですね。それは有料でやっていることと思うのですけれども、一体一日何人くらい、そしてどれくらいの収入があるものか、現在の九カ所についておわかりでしたらお知らせを願いたいと思います。
  122. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 昭和四十三年度から、東京、大阪以下各地に九カ所現在でき上がったわけでありますが、ちょうど五年たちまして、四十七年度の実績で申し上げますと、そのトータルは一年間に受検者数四万六百六十二、その手数料が三千五百九十七万円強ということになっております。月平均三千三百人ということでございますので、なお、傾向といたしましては四十三年から個所数がふえるとともに、たとえば東京なら東京といたしましても漸次ふえてきておるわけでございます。
  123. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 これは後ほどでけっこうでありますから、その九つの区域別に、私ちょっと承知をしておきたいと思いますので、あとでいただきたいと思います。それで、これは一体幾らでやっているのですか、いま一回で。
  124. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 最低千円のように承知いたしております。と申しますのは、診断をする項目が非常に精密診断と申しますか、たとえば脳波テストをやるというような場合に三千円というようなことも聞いておりますが、最低千円からの診断手数料でございます。
  125. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 事故センターが十二月に開設されたとして、適性診断をやはり有料でおやりになるわけですね。その場合には、いま言われたような金額で踏襲されるのですか、それともまた新しい金額を設定されるわけですか。
  126. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 適正な手数料というような問題については、まだなかなかむずかしいと思います。非常に事故防止に効果があるというような診断でございますが、事柄の性質上なかなか普及ということもまたむずかしいというようなことで、物価にスライドしてもっと高い手数料をとるべきだという考え方も一部ございますが、そういった点につきまして、センター発足後、普及というようなことと、さらに適正な料金をとってセンターの運営に財政上も資するというような両面をよく調和して、新しい手数料を考えていきたい、その際の土台といたしましては、現在の手数料が基本になろうかと思います。
  127. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いただきました資料の中に資金計画がございますが、これの中の四十八年度の事業収入四千万、これはいわゆる事故対策センターで行なう適性診断、有料でやる適性診断の料金だけでありますか、あるいはそのほかのものも入っておりますか。
  128. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 このセンターの業務といたしまして、診断の手数料だけでございます。四十八年度は当然そうなります。
  129. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いまお考えを伺いますと、全国九カ所でやっているほうの収入が三千五百九十七万ですね。そうですね。九カ所でやっているのが、こちら一年間通じて三千五百九十七万ですよ。こっちの四千万というのは十二月に始まって十二、一、二、三と四カ月ですよ。これだけでできますか。それだけ収入が見込めるのならいいけれども、見込めないとしたら、架空の数字をあげているとしたらおかしなことになりますがね。
  130. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 その御疑問につきましては、四十八年度は現在の九カ所をそのまま、これにつきましてはたとえば十二月一日発足でございますれば、そのまま直ちに引き継げるわけでございますし、それ以外に四十八年度は十四カ所を新設する予定にいたしておりますので、その全部の分として四千万を見込んだわけでございます。
  131. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 少し過大な見積もりと違いますか。要するに十四カ所新しくできるほうというのは、これから法案が通って——予算は一応国会のいわゆる予算として全体のものとしては通ってはいますよ。けれども、法案自体はまだ通っていないわけでしょう。これから法案が通って、参議院へ回って、参議院を通ってはじめて具体的に始まるわけです。それまでに手をつけているわけじゃありませんね。そうすると、十二月一日にそれを開設するための準備はこの秋ごろから始まると思います。いずれにしても十二月一日以降にならなければ事業開始できないわけですよ。十二月一日に事業開始して、十四カ所の分と九カ所の分とで四千万になるということですか。
  132. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 そのとおりでございます。
  133. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 ちょっとその見積もりは過大だと私は思いますよ。実際問題として、十四カ所のほうがPRがそう完全にできて、すっとどんどんさあいらっしゃいというわけにはなかなかいかないと思うんですよ。この辺どうもちょっと計画が甘いような気がするのです。これはやってみなければわかりません。できますとおっしゃられる、そのとおりかもわかりませんし、これは現在私ができないという即断もできない問題かもしれません。しかしやはり私は、四十八年度四千万はちょっと過大じゃなかろうか。ということは、四十九年度が事業収入が三億四百万とあげてある。四十九年度になりますと、いわゆる十四カ所以外にも各都道府県にできるわけでしょう。そうするとこれはもっとふえていいわけですよ、ほんとうをいえば、この四千万からいくならば。それが三億台ですよ。一年分でしょう。四十九年は通年です。十二カ月分です。こっちは四カ月分ですよ。そういう点から考えまして私ちょっと過大な見積もりではなかろうかと思うのです。これはやってみなければわかりませんし、それだけプロの人たちが好んで適性検査を受けるような状態ならいいと思います。しかし、実際問題として、プロの人たちに聞いてみますと、これはなかなか受けられないですよ。受けて変なものが出たときに困るわけですよ。変な診断といいますか、適性検査の結果が出ましたときに、こうこうだというような指導票が出まして、それが自分のつとめているところに行くわけでしょう、おまえはこうだと言われましてね。そうすればプロとしましてハンドルを握っている以上はどうしても自分の仕事に誇りを持っています。同時に自分の生活がかかっているわけです。そうしたときに、なまじっかなことをやったために変なことを運行管理者から言われるならばやらないほうがいいということですよ。具体的に言いますと、私たちも国会でいま身体検査が来ていますけれども、ちょっとどうも不安です、何ともないと思いながらもですよ。もし胃がただれているとかなんとか言われるといやですからね、受けないわけです。そういう心理は運転者にあるんですよ。  そういう点から考えますと、いわゆるこの適性検査だけで事業収入がここに見積もられたとすると、これはとてもじゃないけれども、こんなふうに出てくるのにはたいへんなPRをしなければできないと私は思う。  そういう面がございますので、これはまたあとからもう少し予算の面でお話し申し上げたいと思う点がございますけれども、とにかくいまのような状態で、なかなかこれはなじめないだろうと思うのです。よほどPRを完全にいたしませんと、十分な効果を発揮することはできないんじゃなかろうか。そういった面で、事業費の中にPRの費用が幾ら見込んであるかという点ですね、これも、見ますと七十何%が人件費なんですよ。あとで申し上げたいと思いますけれども、そういう点を考えますと、PRをもっともっとやらないことには、この効果があがってこないのじゃなかろうか。そうすると、単に看板をもらって仕事を始めるようにかっこうだけはつけたけれども、お給料はもらえるからというので、のんびりとやられたんじゃ何にもならないということなんです。それがいままでいろいろな運輸省のお声がかりの法人の中にもあるわけです。それを、そうならないようにしてもらいたいと私は思うわけですね。  そこで、このいわゆる適性診断を受けて渡される紙、これは正式には名前を何というのですか。
  134. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 正式な名称はちょっと承知いたしておりませんが、おそらく診断票とか、そういった名前は確かにあろうかと思います。後刻調べてお答えいたします。
  135. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 やはり言うなら診断書みたいなものですよ。これは医師法の診断書と同じような効果を発揮するものですか。そう受け取ってよろしいですか。
  136. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 先ほど先生も例に引かれましたような健康診断的なものでございますが、これによって何といいますか休業しなければならぬとかいうものでございませんで、いわば適性上のくせとか、あるいは短所とか、そういったようなものの指摘でございますので、はたして医師法上の問題というようなことについては、ちょっと私わかりかねますけれども、そういった特別な法的な性格というようなものはなかろうかと思います。
  137. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 現在の機構でいきますと、検査結果ということになっていますよね。この検査結果が本人の心理上に苦痛を与えるようなことはないか、それからまた、生活上支障を生じるようなことはないか、こういう心配が私はあるのですが、それはどうでしょうか。
  138. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 確かに事柄の性質上、受診者にとりましてはなかなか進んではというような状態であったようでございますけれども、過去ほぼ五年の経験によりますと、そういったこともなく、漸次受診者がふえてきておる。受診者個々にとりましては経済的な負担もございませんし、あるいは受検上の特別な苦痛といいますか、そういったこともございません。問題は第二の、これが事業場等におきまして悪用されないかというような不安といいますか、疑念も当初はあったようでございますけれども、非常にスムーズに使われておりまして、本人に対して直接いろいろな短所、くせ等についての指示というようなことで、漸次受診者はふえつつあるわけでございます。
  139. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 どうもその辺が私何かとすっきりしないのですよ。実際こんなことあってはならないわけですけれども、その適性診断検査に誤りがあった場合は、その人の一生にかなり負担を与えることになりはせぬかと私は思うのですね。そういうことは絶対ありませんか。自分は一人前だと思っているのですよ。一人前のいわゆるプロの運転手だ、こういう高い誇りを持っている。ところがこうこうこうだという検査結果が出てきますね。そうしますと、ここにこういう無理があなたはあるんですよ。こういうことになってきますと、そのときに大きな不安に取りつかれてしまう。いままでは何ともなく十分運転できたものが、運転中にぱっと思い出す。おまえは右がどうのこうの、左がどうだ、そういうちょっとしたことですけれども、やはり心の平衡を失いますと事故に結びつくわけですね。それだけに、私は信じたくないわけでありますけれども、そういう間違った検査結果というものが万が一あった場合にはどういうことになるか、たいへんな影響を及ぼすのではなかろうか。その人の一生にとってもたいへん不幸なことを起こしてしまうことになりかねないと思うのです。そういう心配があります。  そこで、心理学者もりっぱな方々が、自分自身で責任を持って検査結果を一つ一つチェックしていく、あるいは自分自身で手を下して検査する、こういうことでないと、そこの人に習ってやった、その結果こうなんだという程度では、どうも私非常に危険に思うのですけれども、こういう点について確信がおありですか。
  140. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 病気等について非常に本人に不安を与えるようなものと比べますと、運転者本人に対します運転上の何といいますか、注意、本人のくせ、短所等についての一つの指摘でございまして、一口に申し上げますれば、慎重に運転をするというようなことになるわけでございまして、それが非常に自分の技量に対して自信を喪失するとか、そういったことについてはそれほど大きな問題はない。一口に申し上げまして、慎重に運転をするというような効果があるように聞いております。
  141. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは、局長の御説明、承っておきましょう。  それでは、この対策センターが行なうところの適性診断の問題ですが、これは道路運送法の上ではどのように規定されるわけでしょうか。
  142. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 適性診断そのものを現在道路運送法上義務づけているということはございませんが、しいて道路運送法との関係考えてみますと、現在、道路運送法では、各事業場における安全の観点から運行管理制度というものをとっておるわけでございます。事業場で運行管理者を定めまして、そして点呼その他の機会をつかまえまして、いろいろ運転上、運行上の指導をするというたてまえをとっております。これは道路運送法に規定されている制度でございます。そういった運行管理をする際の、一つの何といいますか手段に、この適性診断というものの結果を応用できる、それによってたとえば管理者としても個々に注意を与えるというようなことになりますし、安全の観点からいろいろな注意、アドバイスを与えるというものの一つとしまして、これが活用されることになるのではないかと思います。
  143. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 適性診断をしましたあとの、いわゆる追跡調査といいますか、そういうものは行なったことはございますか。また、そういった記録が出ておりますか。効果がはたしてほんとうにあったものかどうか、五年間の実績を通じて数字的にそれを証明できるものかどうか。
  144. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、昭和四十三年から東京においてこの新しい適性診断の仕事を始めたわけでありますが、その後四十五年度に適性診断を実施した三千三百四十八名につきまして追跡調査をいたしたわけでございます。適性診断の受診前後におきます一年間の事故件数、これで見まして二七%、死傷者数で五九%という減少の効果が調査の結果出ておるわけでございます。この点について、もちろん事業用、自家用それぞれこまかく資料がございますが、そういった点については別途資料としてまた提出したいと思います。
  145. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 時間がだいぶ迫っているようでございますから、資金計画についてお尋ねいたしたいと思うわけであります。  四十八年度初年度の、要するに第一行目の収入の部五億四千万円、支出の部五億四千万円というのは予算に組まれた金額と承知してよろしいわけですね。そうしますと、収入の五億四千万のうち、ここにもありますように、特会からの支出総額が四億五千万。結局、残りの五千万が民間出資金でございますね。この民間出資金五千万というのはどこから払い込まれる金額なんでしょうか。
  146. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 現在この強制保険につきましては、民間の損保各社とそれから農協共済と両方でいたしておるわけでございます。したがいまして、国の再保険の特別会計から出します二億四千万に加えまして、民間の損保関係の協会とそれから農協の共済から合わせまして五千万の出資を仰ぐ予定にいたしております。
  147. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 確認しますが、そうすると、損保協会から四千万ですか、農協から一千万ですか。この五千万の内訳です。
  148. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 合わせて五千万でございますが、大体そのくらいの割合と見ております。
  149. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それで、これは四十九年度、五十年度も五千万ずつ出すように、合計一億五千万円に民間出資がなる予定でございますが、これらは将来に向かって、四十九年、五十年にわたっても出るわけですね。そうすると、合計一億五千万になるわけですね。
  150. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 そのとおりでございます。
  151. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこで、ここで伺いたいことは、一億五千万の金を出しておきまして、それに対して利益配当といいますか、一億五千万出資したけれども、一銭もそれに対する見返りがない、あるいはあるのでしょうか。これはこういう組織から考えますと、ちょっとあるとは考えられないのですね。自動車事故対策センターというようなものから考えると、ここで利潤を生むというふうな組織じゃございませんね。そうすると、農協なり損保協会なりというものが、一方が一億二千万、一方が三千万、合計一億五千万の金を出しても、それに対して一銭も見返りがないとか、利益の配当がないとか、こういうわけですね。そこに出しておる金に対して何も生まれてこないということも、ちょっと私受け取りがたいのですけれども、こういうものに対しては、それで差しつかえないものでしょうか。出すほうの立場になってみたら、お金は出しました、一銭も利益配当ありません。銀行に積んでおいたって利息つくはずですよ。
  152. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 政府が二億四千万出しまして民間が五千万という、このもとの資金につきましては、御承知のとおり強制的な自動車保険の保険料収入、保険を民間が元受けいたしまして、さらに六割について国が再保険をしているということでございまして、したがって、その保険の保険料収入から出ます滞留資金の利息というようなものを国が出資をするという際に、これと同じような性格の資金が民間にもあるわけでございまして、そういった意味で、この程度のものを協力するというようなことは民間においても十分理解されておるわけでございまして、この出資についてはかたいわけでございます。
  153. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣、いま局長の御答弁伺いましたけれども、実際問題としてどうでしょうか。一億五千万金を出して、一銭もそれに対して利益配当はないわけです。そういったことで、これは大体利息の金なんだから、そっちで利を生んでいるんだから、こっちに出した一億五千万については利息はつかなくてもいいんだ、利益配当はなくてもいいんだ、こういうことで済むものでしょうか。この点、大臣どうでしょうか。
  154. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 センターそのものが、目的にも書いてありますように、非常に公益的な色彩を持っているものであります。いま出資をする金額も、農協とかあるいは保険会社が自賠責の保険制度のもとにやっておるその保険から生み出されたものです。ですから私は、公益的な見地からそういったものにお互いに保険制度をよりよくしようという意味で出すものですから、それに対して普通の会社のように配当がなくても、これは当然出してもらってもしかるべきものではないかと思っておるわけです。
  155. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 これは見解の相違ですわ。私たちはこういうことだったらびた一文出しませんね。利息がつかないものに何で出すものですか、こういうことですよ。見解の相違だと思います。ほんとうにこれは私ふしぎだと思うのです。一億五千万出して何の見返りも得ない。何の見返りも得ないで済むということは、陰に何か変なものがあるのではないかという憶測まで生むわけですよ。そういうことがあったんじゃいけないと思うから、はっきり利息をつけるものならつけるほうがいいんじゃないか、こういう考えがあるわけです。一億五千万の金を出して、それに対して何もありません、それでもいいんです、こう言えばそれまでですけれども、そうしますと、何かその陰にあるのではないかという憶測が生まれてくるのです。そういうことがあってはいけないと思いますので、これはやはりはっきりしたほうがいいと思いますので、御研究を願いたいと私は思います。  それから、事業費の一億五千万、この一億五千万の区分ですね。これをひとつお示しを願いたいと思うのです。まず役職員の給料は幾らぐらい見てあるものですか。
  156. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 事業費一億五千万のこの金額は、現在の段階では予算の積算のときに使いましたものでございまして、事故対策センターができますれば、この法律に基づいて当該センターが予算を編成して、そして主務大臣の認可を受けるということになるわけでございます。そういったことが前提でございますが、積算の基礎あるいは内訳といたしまして、一億五千万のうち人件費が一億一千万、そのうちただいま御指摘の役員給与につきましては八百万が内訳になっております。
  157. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 ちょっとわかりませんな。まことにばく然としておりますな。私調査したのを申し上げてよろしいですか。よろしければ申し上げますが、役職員の給与は一億五千万のうち、一応計算上出ておるのが一億一千二百九十三万四千円だというのです。大体全体の七五・三%、残りの二四・七%というのが残りの物件費と申しますかそういうものに当たってくるわけです。七五・三%というものの中には、このセンターの役職員の六人、理事長一人、理事四人、監事一人、非常勤の理事のほうはお金が出ないとしても、こういう高給役職の方が六人いらっしゃるわけです。こういう方に対してお払いになる金額というものも設定されている。払ったわけではありませんが、設定されている金額もかなり高いものが設定されているように思うのです。具体的に申し上げますと、これは私の調査でございますから違うと言われるかもわかりませんけれども理事長四十三万、理事三十四万、監事二十九万、こういう単価表が出ているのです。相当の高額ですよ。これだけもらえるなら私もやりたいぐらいなものです。これはちょっと、もうたいへんな金額じゃなかろうかと思うのです。そのほか、東京における本部ですね、こういったところのものを見ましても、部長三人、課長八人、係長十四人、係員六人、えらい人が多過ぎるのです、これは。こんなにえらい人がたくさんいて、実際上の仕事をするのが少ないわけです。それでもいいのかもわかりませんけれども、本部が三十一人、こういうのは結局、お役人さんの天下りじゃなかろうかというふうに私ども推察するわけです。部長三人、課長八人、係長十四人、そういうのが常識的には受け取れないわけですね。こういう人たちが幾ら取るかについてまで私は調べることの時間的余裕がなかったわけですけれども、こういう人たちが相当の給料をはむということですよね。このうち賞与はどのくらい算定されているものですか。その辺はおわかりになりませんか。
  158. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 この種特殊法人につきましては、公庫、公団その他との均衡の問題がございまして、政府全体としては一定の基準があるわけでございます。そのうち、たとえばただいま御指摘の賞与につきましては、公務員並みの四・八カ月分を予定しております。
  159. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 具体的に金額は幾らになりますかね。
  160. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 先ほどの人件費、役職員全体で一億一千三百万のうち、役員の賞与五百万、職員の賞与二千七百万が四十八年度予算になっております。
  161. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大体私の調べたのに近いです。とにかく十二月一日から実施されるわけでございまして、非常に勤務時間も短いわけでございますから、当然その勤務時間に比例したところの賞与しか支給されないものと私は信じておりますけれども、いずれにしましても、こういうものが発足しますと、予算がこれだけ組んであるんだからその予算を使ってしまわなければいけないんだという、そういうならわしが日本には非常に多いのですよ。組んであるんだから使っちゃうんだということですよ。そういうことがあってはならないと思いますので、これはまた私、発足後決算委員会で十分調べさせていただかなければならぬと思っているのですけれども、事実そういうふうなものが多いのです。予算に組まれていればそれだけは使えるんだ、当然の権利なんだというふうに思っているわけですね。そういうふうになりますと、ここに組まれたところの事業費の一億五千万についても非常な疑問が私は残っているわけです。とにかく人件費が七五・三%、残りの二四・七%、これは科目別に示すとどういうものになりますか。
  162. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 事業費一億五千万のうち、人件費が一億一千三百万、それ以外はいわゆる物件費でございます。当然このセンター運営上の建物の借料であるとか、あるいは適性診断に使いますところの諸資材の代金あるいは通信費等でございますが、人件費が非常に多い点につきましては、このセンターの仕事の性格上、貸し付け業務を行なうというようなこととか、あるいは現場におきます診断の人たちの問題でございまして、それ以外の物件費は、ただいま科目別とおっしゃいますが、この事務所運営に要するものあるいは適性診断というようなものは、機械の運営でございますので、さしたる物件費はかからないわけでございます。そういったことから、四十八年度の予算では三千七百万、こういうことになっております。
  163. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いま局長の御答弁の中にございました、新しく全国に十四カ所つくりますね。あるいは九カ所ありますね。そういったものを受け入れるわけですが、九カ所のほうは運輸省の手持ちの資産ですよね。新しくつくるもの、あるいはそこへ設置するところの機械、そういったものはその支出の部の3のほうにございます創業施設費のほうに入るのじゃないですか。いまの御答弁によりますと、その辺を混同されてお答えになっているように思うのですけれども、いまの創業施設費として別にある二億九千万というものは、建物の借り賃だとか設備費だとか機械だとかそういったもので二億九千万だ、一億五千万の中にはそういうものは含まれてないと私ども思うのですけれども、いまの御答弁は……。
  164. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 機械、設備、それから建物の借料等非常にいろいろございますが、御指摘のように、創業施設費というようなもので相当多額のものが先に調達されます。したがいまして、その後施設を運営するに伴う経費といたしましては、大きなものとしては建物の借料程度でございまして、いわゆる物件費に当たる部分は非常にわずかである、こういうことになるわけでございます。
  165. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いまの御答弁によりましても、いろいろちょっとつじつまの合わない点がございます。それで私、少なくとも、単年度でけっこうです、初年度、四十八年度の五億四千万の支出のほうですね。これに対しましてもう少し明細なものを出していただく、資料を御提出願う、それによって私ども十分に検討させていただきたいと思います。そうでないと、ちょっといまの御答弁でも私、納得いかない点もございますので、この点はひとつ資料を要求しておきますので、しかるべく御手配を願いたいと思います。  それでは、あといろいろございますけれども、時間も参りましたので、これでとどめますが、最後にこういう問題を一つ、大臣に聞いていただきたいのです。  アメリカにおきましては交通安全基金財団というのがあるんですね。各種法人に対して援助を行なっているんですよ。こういうものはわが国にはないわけでありますが、構想はお考えになりますか。
  166. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 私、まだ聞いていませんけれども、事務当局に聞きましても、まだ十分の調べができてないようでございます。これは至急に調べます。検討いたします。
  167. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 では、最後の一問でございますが、京都に京都府交通災害遺族会というものがある。そこへ交通遺児の母親、遺族が集まりまして法人の組織ができているわけです。現在、遺族にとりますと、何としても生きていかなければならない、生きるためにどうすればよろしいかということをいろいろ考えて、そこで交通遺族会館というものを建設しよう。そこで二百坪の土地の無償譲渡を受けまして、そしてこの設計図もできた。問題は、建物を建てて、そこで授産、いろいろ仕事を覚えて、そしておかあさん方も何とか自活の道を立てられるようにどういうふうな計画がありましてやっておるのです。こういうものに対しては、私はしかるべく財政援助を行なうべきじゃなかろうか、こう思います。一生懸命自分たちの手で、自分たちで立ち上がろう、こういっているわけですね。こちらの事故対策センターのほうでも、これはお金を貸してあげるということでして、決して悪いことじゃないとは思いますけれども、自分みずからの手で立ち上がろうとする者に対して何にもしないというのはどうもちょっとかわいそうな気がするのですね。篤志家がありまして、二百坪の土地を提供して、そこへどうぞお建てください、設計図もできた、しかし、まだ建物を建てるだけの資金がないということでいるのですけれども、こういうものに対して積極的に手を差し伸べられるだけの御意思があるかどうか、こういう点ひとつ大臣にお伺いして質問を終わりたいと思います。
  168. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 交通遺児に対する処遇といいますか、対策ですが、これは御承知のように、運輸省だけではなくて関係各省がたくさんあると思います。そういった問題については、方向としてはいまお話しのような方向で関係の各庁に御相談をして、どこかが中心になって、そういったものに対しましてあたたかい手を伸べていくのは当然だと思います。保険の中で、いまの自賠責の保険の滞留金なら滞留金を使ってどうしようかということになってまいりますと、これはいずれ、先ほども申し上げましたが、やっといま自立できるという段階になってきたようですから、審議会のほうでこれから先の問題についていろいろ、たとえばさっきおっしゃったような料率を引き下げるのがいいとか、あるいはそういった関係の仕事にもっと積極的に経費を出して援助をするのがいいとか、いろいろこれからの将来の問題として方向をおきめになるような会議を近いうちにお開きになるということを聞いておりますから、その場合にも私どものほうからは、そういった問題があると同時に、こういった問題に対して今後どう対処すべきかというようなことについて十分審議をしてもらいたいと思います。  なお、初めに申し上げましたように、交通遺児に対するあらゆる問題につきましては、運輸省だけの所管ではございませんので、これは厚生省その他関係各庁とも十分相談をいたしまして、そういった人たちが十分励みを持って生きていけるような道を開いていけるような対策をやはり打ち立てなければならぬと思いますので、この点は関係各庁と協力をして努力をいたします。
  169. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 以上で終わりますが、先ほどの資料の問題、ぜひひとつなるべく早いうちに出していただきたい、こういうように思います。よろしくお願いします。
  170. 久保三郎

    久保委員長 次に、野中英二君。
  171. 野中英二

    ○野中委員 質問に先立ちまして、理事会の決定に従いまして五時で質問を終わります。したがって、三十分間はあと次回に回すことにいたします。  まず大臣にお尋ねをしておきたいのでございますが、本センターを設立する、こういうことに相なりましたことは、私どもとしてほんとうに喜んでおる一人でございます。御存じのとおり国民サイドから考えてみますと、公害それから交通事故の問題あるいは物価の問題、これは私は三本の柱じゃないか、こういうときにこうしたセンターをつくっていただくことは慶祝にたえないわけでございますが、いまこれに踏ん切った大きな理由、あるいはまた時期的な問題というものを考えますと、たいへんおそかったんじゃないか。こんなことは各都道府県で、地方公共団体でもうすでにやっている。それをあとから追い打ちをかけてくるような、こんな手ぬるい政策をあとから打ち出してくる、その大きな要因になってきたものは一体なんだろうか。結局、われわれのしろうと判断によりますと、これは自賠責の黒字からこういうものをやろうじゃないか、金に促されてやったような感じがするわけでありますが、この踏ん切った一番の動力になったものは何か、この辺を基本的に大臣にまず確かめておきたい、こう思うわけです。
  172. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 初めにこの法律案の提案理由で申し上げましたが、結局、この関係の省庁あるいは都道府県におきまして、こういった交通安全の対策、それからそれに伴ういろいろの救済の施設というようなものについては、それぞれの立場で行なってこられたと思います。いまもそういったものがあると思います。しかし、全体を通覧してみますと、なおここに足りないところがあるのじゃないか。そういったのを二重に、まあいわば、少し自賠責の滞留金が余ってきたから、それを移用して、ほかもやっているけれども運輸省もやるのだ、こういうことではなしに、ほかの機関ではやっていないものをこの自賠責ではここまでやれるというのを考えて、このセンターの目的、業務というものをきめて、それで発足しようとしているものだと思っております。  ですから、これで、いままでにもういろいろの機関がやっておりますから、事故対策センター、これでもうすべてカバーできるというものではもちろんございません。おっしゃったように、もっと早ければもっと広く組織的にやれたと思いますが、やっと保険の会計のほうも先のめどがついてきたという状態になりましたので、まあおそまきながら、各機関がいままでやろうとしてやれなかったような問題、また、運輸省がやって一番ふさわしいような問題、それを取り上げてこのセンターでやろうとしております。私はさように了解をしておりまして、提案理由でもそのように述べておるつもりでございます。
  173. 野中英二

    ○野中委員 いま御答弁が大臣からございましたけれども、埼玉県だけに例をとりましても、これは各都道府県でやっておりますけれども、これは市町村までが非常にきめこまかくやっておられる。まあ言うなれば、運輸省が今度提案したものは何か荒削りのような気がしてなりません。しかも、これから、あとから触れようと思うのでありますが、道交法等の法体系を乱してまでも、これは私の見解ですけれども、乱してまでもこれをやらなければならなかった大きな理由というものは、やはりこれは自賠責の黒字が私はしりをたたいたものではないか、こういう気がしてならないわけでございます。先ほど松本君の質問に対して答えられておりましたその一つの中に、火災保険であるとかあるいは農協であるとかの五千万の出資、これに対して自動車局長が答弁に困っておりましたけれども、保険というもの、保険をかける、これは反対給付を求めるからであります。その反対給付というものの中にはいろいろある。事故を起こした場合には、それを補償してもらうという反対給付、同時にこれによって御存じのとおり百分の六十というのは再保険をしている。あとの四十というものは保険会社があるいは農協が自分で運営をしている。してみれば、反対給付として当然これは出資されるべきものであるということになる。そういうことであるとするならば、私はこのセンターの運営というものは、純粋に、何といいますか、被保険者に対してサービスをしていいのだ。それはしたがって、私は無料ですべてなされるべきものである。それくらいはこれは手数料を取るとか、あるいは三%の利率で貸すとか、そういうことなしに、純粋に、交通事故遺児に対してあるいはまた災害を受けた人に対して、加害者の立場に立って代弁者として奉任をしてやる、こういうセンターでなければならないと私は基本的に思うのですが、大臣どう思いますか。
  174. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 確かに御意見だと思います。そういう御意見もわからないことはないわけですが、先ほど申し上げましたように、これはそういう関係の機関がそれぞれ出資をいたしまして、保険制度の将来のことを考えて、それが保険制度そのものの改善、発展というところにも非常に寄与するものだと思いますから、公的な立場で、みんなでもって若干の出資をし合って、そして交通事故をなくそうじゃないか、少なくしようじゃないか、安心して自動車が運転できるようなそういう素質の方がふえるようにしようじゃないか、あるいは遺児に対してはこうしようじゃないかということで、少し公的な立場に立った法人、そういったものを中心にいたしまして全体のために尽くそうということでございますから、先ほど申し上げたような、単に出資して配当でももらって、それを被保険者に還元するのが当然じゃないかという経済理論だけでなしに、今度のは、少し公の立場を持った法人をお互いがつくって、それによって保険制度の改善、発展にも寄与しよう、こういう趣旨で提案しているものと私は思っております。おっしゃることわからぬことはありません。わからぬことはありませんが、今度出しております法律案の趣旨は、そういう意味で、公の立場に立っての目的、業務というものを持った行き方をしている、そういう意味においては、普通の株式会社とかそういう利益の還元を求めるようなものじゃないというふうに御理解をいただいたらけっこうだと思います。
  175. 野中英二

    ○野中委員 大臣、もう一つしつこく聞きますけれども、株式会社のように利潤還元をするものじゃない。そういう考えは私も持っていないのですよ。たとえば手数料を取るとかあるいは三%の利息を取るからといって、利潤追求だというふうに私はきめつけているのじゃないですよ。ただ、先ほども松本さんが冒頭に質問なさっているとおり、公益法人が幾つございますかという質問は何をえぐっているかということを私たちも反省しなければならぬと思っておるのですよ。ですから、言うなればこれは、官僚の古手のうば捨て山のような考え方でこういうものをつくられては困るんだ、こういう感じが、においがしはせぬかということを松本委員も心配して言っておられるわけです。われわれ与党としても、一般国民大衆も当然その疑問は考えることでしょうし、私もあえてそういう質問をしておいたわけでございます。  さて次に、私は自賠責の問題で質問をしておきたいと思います。  いま自賠責へ入っておられる自家用と事業用の台数の割合というものは、自家用が七七・八%に対して事業用が一一・六%になりはしませんか。この数字を確かめておきたいのです。
  176. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 強制保険でございますので、営業用の車あるいは自家用の車という区別なく当然全部保険に加入するたてまえになっておるわけでございます。したがって、特に無保険というようなことの問題がなければ、その分を除きますれば、当然自家用の車の数と営業用の車の数が、それぞれ両数によって加入しておると思いますが、加入の率といったことになろうかと思います。この保険料は、自家用、営業用、それぞれ車種別にきまっておりますので、保険料収入から見れば車両の割合とはまた別個になろうかと思いますが、全般的に見まして、当然自動車の中で占める自家用の割合が多いわけでございますから、保険勘定の中でも自家用が払う保険料のほうが圧倒的に多くなっております。
  177. 野中英二

    ○野中委員 数字を確かめられなかったのですが、これはもちろん全部入っておる。自賠責は一〇〇%なんです。その中で占める割合が自家用車が七七・八%だと私は言っておいたのです、その割合を聞こうと思って。  そこで、五月二日のサンケイ新聞に「保険料率は据置き、大蔵省十月実施をメド」というようなことで、これを七百万円に引き上げると書いてあるのです。これについてひとつお聞かせいただきたい。
  178. 安井誠

    ○安井説明員 私、実は新聞を見てびっくりしたほうでございまして、たとえば七百万円という金額が出ますためには、事故率が確定をし、しかも事故率の将来の見通しが立たなければとうてい計算はできないわけでございますから、どういう根拠で七百万が出てきたのかなというのを私どものほうでむしろいぶかったくらいでございます。
  179. 野中英二

    ○野中委員 いま自賠責だけを見まして、昭和四十八年度の見込みが百六十六億黒字になる予定でございます。そこで、自動車損害賠償保障法の二十二条を見ますと、「危険の増加又は減少による契約の変更」ということがありますね。いわゆる料率を変えてもいいというのです。ですから、こういう百六十六億黒字が出てくるというようなとき、あるいは事故の減少というものを考えたときに、料率を変えるかあるいはまた保険金を上げるか、そういうお考えはございませんか。
  180. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 自賠責の保険収支が、四十五年から単年度黒字になってまいりまして、現在の見通しでは、四十八年度中に累積の赤字を消すことができるというような収支状況になってきておるわけでございます。このような状況になってきておりますので、現在のような事故率で推移する場合には、当然御指摘のような、今後限度額を引き上げるという問題あるいは保険料を引き下げられるかどうか、あるいは保険料の制度をどうするかというような問題を検討すべき段階に来ておるわけでございます。
  181. 野中英二

    ○野中委員 いま保険料率の問題あるいは保険金の引き上げ等について御質問申し上げましたが、もう一つここで聞いておきたいことは、営業用の車ですね、いわゆるタクシーであるとかハイヤーであるとか、この自賠責保険料率というようなものがA、B、C、D、こういうふうに区別してありますね。いわゆるA地区は十二万三千七百円、B地区は九万二千七百五十円、C地区は六万五千百五十円、D地区は四万一千六百五十円、こういう区分がございます。局長、この算定というものは、いわゆる事故率、言いかえれば危険の増加または減少によって、この基準としてこの料率をきめられたわけですね。
  182. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 そのとおりでございます。それぞれの車種ごとの一つの保険集団を前提といたしまして、その事故率に見合う保険料を定めておるわけでございます。
  183. 野中英二

    ○野中委員 いま配っていただきました、この昭和四十七年度の「交通事故状況および交通安全施策の現況」という本をもらったのです。いまこれをぺらぺらって見ておりましたら、茨城県など死亡率がぐんと上がっておりますね。ですから、言うなれば非常に危険度が高まっている地区ですね。ところが、この茨城県はD地区になっているのですよ。これは昭和四十七年の十月に改定された、あなたのところの自賠責の保険料率なんですよ。そうしますと、おかしいじゃないですか。こっちの二十二条の法律と食い違ったことをやっているのじゃないですか。いわゆる厳密な調査の上に立って、やはりこの保険料率というのはきめていかなければならぬのじゃないですか。
  184. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 ハイヤー、タクシーにつきましては、地区別に保険料を定めておりまして、当然茨城県あるいはその他の県との間で保険料率に格差があるわけでございますが、この点の見直しにつきましては、現在二年ごとに事故率で見直しをするということになっております。
  185. 野中英二

    ○野中委員 これは一体どこで出したのです。総理府でしょう。で、いつ印刷したのですか。
  186. 須藤博忠

    ○須藤政府委員 お手元にお配りしましたいわゆる交通安全白書と申しますのは、これは交通安全対策基本法に基づきまして、毎年政府は国会に対して交通事故状況、それから交通安全のために講じた施策及び講じようとする施策の大綱を報告しなければならないという規定がございます。それに基づきまして、私ども関係省庁から資料をいただきまして、それをまとめまして私のほうで編集いたしました。そして、これを大蔵省の印刷局で印刷して、国会へ報告をするという手順を踏んでおります。今回の白書につきましては、五月の十九日に国会へ提出をいたしております。したがいまして、正確な日時は記憶いたしておりませんが、非常に印刷を急ぎまして、印刷ができ上がったのは大体五月の十二、三日ごろだと記憶いたしております。非常に各省庁督励いたしまして、できるだけ新しい数字を入れるようにしてまとめた次第でございます。
  187. 野中英二

    ○野中委員 そうすると、この資料は新しいわけです。そうするとこれは、考え方があるいは小林さん、こういう考え方に立っておったんですか。要するに営業用の車の事故率を見て、それだけを見てそれでそのランクはこう低いから決定をした、こういうふうに解釈をしているんですか。一般の事故率とは別に、営業用なら営業用というふうに限定しておたくのほうはお考えになって、この料率をきめられたのですか。
  188. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 保険料はまず車種ごとに、たとえば乗り合い自動車であるとか、あるいは乗用自動車であればこれをさらに営業用と自家用の乗用車というふうに、これを車種ごとに分けまして、そして保険集団を考えるわけでございますが、その際に、営業用の乗用車つまりハイヤー、タクシー、これだけにつきまして現在地区別に保険料に段階を設けておるわけでございます。
  189. 野中英二

    ○野中委員 次に、任意保険のほう、ちょっと聞いておきます。ばらばらになっておりますが、あとから全部しぼってまいりますが、私の手元にいただきました任意保険のバランスシートというものを見させていただいたわけですが、昭和四十六年度は百八十六億八千二百万円の黒字が出たんですけれども、これは間違いございませんか。
  190. 安井誠

    ○安井説明員 四十六年度百八十七億の黒字と申しますのは、保険会社の決算上、事業損益勘定におきます任意の自動車保険の収支の結果でございます。
  191. 野中英二

    ○野中委員 もう一度念を押しておきますけれども、これは自動車保険だけではなくて、火災保険等を含んだものなんですか。
  192. 安井誠

    ○安井説明員 ただいまの四十六年度百八十七億という収支見込みは、任意の自動車保険だけでございます。あと火災保険、海上保険その他はまた別でございます。
  193. 野中英二

    ○野中委員 いま大臣もお聞きのとおり、任意保険のほうも黒字、自賠責のほうも黒字、こういうふうな現況になってまいりました。これもひとえに総理府あるいは警察庁あるいは運輸省、各官庁の御努力のたまものでありまして、厚く感謝申し上げるわけでございますが、この自賠責あるいは任意保険、この黒字の運営をどうやっていくかということがこれから大きな問題でございましょう。まずその一つが、私は今度提案されましたこの自動車事故対策センターである、こういうふうに私なりに解釈をしておるわけです。したがいまして、こうした諸条件から生まれてきた事故対策センター、その解明につきましては、次回、まだ三十分ございますので、この次に譲らせていただきますが、一応その背景となってきたもの、背景となったであろうと推測されるものをピックアップいたしまして、私なりにいま質問したわけでございます。今度は、その内容へ入らせていただきます。  以上をもって、きょうは終わります。
  194. 久保三郎

    久保委員長 次回は公報をもってお知らせするとことし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時散会