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1973-04-11 第71回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年四月十一日(水曜日)     午後一時九分開議  出席委員    委員長 久保 三郎君    理事 大竹 太郎君 理事 奧田 敬和君    理事 唐沢俊二郎君 理事 左藤  恵君    理事 中村 弘海君 理事 井上  泉君    理事 太田 一夫君 理事 紺野与次郎君       片岡 清一君    佐藤 守良君       板川 正吾君    野坂 浩賢君       平田 藤吉君    松本 忠助君       渡辺 武三君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      須藤 博忠君         運輸省自動車局         長       小林 正興君         建設省道路局長 菊池 三男君  委員外出席者         警察庁交通局交         通指導課長   加野久武男君         運輸省自動車局         整備部長    景山  久君         労働省労働基準         局監督課長   吉本  実君         参  考  人         (全日本交通運         輸労働組合協議         会貨物合理化対         策共闘会議事務         局長)     田井 二郎君         参  考  人         (全日本トラッ         ク協会専務理         事)      武藤 儀一君         参  考  人         (新日本製鉄株         式会社販売業務         部長)     重國 昭夫君         参  考  人         (相東運輸株式         会社取締役車輛         部長)     鎌野 本保君         参  考  人         (貨物自動車運         転手)     泉沢 謙三君     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件(貨物自動車の過積載  等による事故防止対策に関する問題)      ————◇—————
  2. 久保三郎

    久保委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  本日は、貨物自動車の過積載等による事故防止対策に関する問題について、参考人として、全日本交通運輸労働組合協議会貨物合理化対策共闘会議事務局長田井二郎君、全日本トラック協会専務理事武藤儀一君、新日本製鉄株式会社販売業務部長重國昭夫君、相東運輸株式会社取締役車輌部長鎌野本保君、トラック運転をしております泉沢謙三君に御出席をいただいております。  各参考人には、御多忙中のところ御出席をいただきまして、厚くお礼申し上げます。  最近のわが国の道路交通事故は、件数においては年々減少の傾向にあり、死傷者もまた数において減少してはおりますが、最近の道路交通過密化及び輸送手段大型化、特に大型貨物自動車の過積載によって発生する事故原因が特殊な運行状況に基づいて、事故を大きくし、悲惨なものとなる場合が多く、社会的関心も高まっております現状から、本委員会といたしましても、これら諸問題の解決のために調査を進めておりますが、本日は、それぞれの立場から貨物自動車の過積載等による事故防止対策に関する問題について、忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  御意見の開陳は、田井二郎君、武藤儀一君、重國昭夫君、鎌野本保君、泉沢謙三君の順で、お一人約十分程度お願いいたします。  それでは、まず第一に、田井二郎君。
  3. 田井二郎

    田井参考人 ただいま委員長のほうから御紹介をいただきました私、全交運の貨物共闘会議事務局長をしております田井二郎と申します。よろしくお願いいたします。  私どもは、昨日と本日にかけまして安全輸送闘争をもちまして、トラックの過積み過労運転を追放しようという運動を進めてまいりました。国民の、あるいは世論の多数の御賛意を得まして、非常に大きな成果があげられたというふうに考えておるわけです。  本日、この機会をちょうだいいたしましたので、私たちトラック運転労働者立場から、私たち現状を御報告申し上げまして、各議員のこれからの御討議にぜひとも参考にしていただくことをお願いを申し上げまして、二、三の点につきまして私たちのいままでの経過につきまして御報告を申し上げたいと思います。  お手元に、「高速道路を走るトラック実態」という赤い冊子と、もう一つは第八回の交通安全国民会議資料を差し上げておりますが、この第八回の交通安全国民会議資料と申しますのは、これは昭和四十五年に開催をされました安全会議に、私ども資料として持ってまいりました内容でございます。  まずトラックの過積みということから申し上げたいわけでありますが、昭和四十六年の重大事故について、これは営業車重大事故でありますが、運輸省車両課のほうで調査をいたしました結果がございます。これによりますと、バスは千三百八十九件の事故に対しまして、それによります死亡者は三百八名であります。ハイタクの場合には三千百七十九件の事故に対しまして、四百三十四名の死亡者であります。トラックの場合には二千八百九十件の事故に対しまして、一千二百八十二名が死亡しておるわけであります。トラックの場合の事故件数は、他の事故件数に比較をいたしますと、件数自体は非常に少ないわけでありますけれども、しかし、その件数の割りの死亡事故というものは、これは非常に高率でありまして、単純に見ますと、二件に一件は必ず死亡事故が伴っておるというようなことが統計の中に出されておるわけです。なぜこのような、トラックの場合には重大事故、いわゆる死亡につながるような重大事故に結びつくかということが問題であります。私どもは、この原因を二つの問題に取り上げておるわけであります。  その一つは、過積みでございます。耳なれないことばだと思いますが、過積みと申しますのは、法律で定めております最大積載量をこえて荷物積載して輸送をすることであります。現在十トン車に十五トンあるいは二十トン積むのはざらでありまして、昨日九時半からNHKの特別番組がございましたが、その際にも、それぞれその具体的な内容が出ておりましたが、十トン車に三十トンを積んで走行をしているというものが現実に絵の中にあらわれておりました。十トン車に三十トンを積んで走った場合に、一体どういう結果が起きるんだろうかということで、アナウンサーのいろいろな質問に対しまして運転手が答えておりますのは、ブレーキがきかない、ハンドル操作が非常に危険であるということを言っております。にもかかわらず、なぜそのような荷物を積んで走らなければならないのだという質問に対しましては、いろいろと語っておりますが、私どもは結果的には、この運転手が過積みがしたいから過積みをしておるのではなくて、やはり荷主なりあるいは使用者から、その荷物を積んで走らなければならないような、そういうような職場環境であるとか、あるいは業務仕組みになっておるのではなかろうかと思います。現実、私たちはいままでそれらの運転労働者に対します指導をしてまいりましたが、実態の中はそういう仕組みになっておるわけであります。  ですから、過積みをいたしまして走行した場合には、これが事故を起こしますと、非常に大きな事故に結びつくわけであります。たとえば乗用車がたまたまブレーキを踏むのがおくれて、そうして後続車が前にとまった車に追突する場合には、まあむち打ち症というようなことで一応終わるかもしれませんけれども、これがトラックの場合には、その車をはね飛ばして、そして死亡事故につながるということになるわけであります。ですから、そういう面から考えますと、まずこの過積みを追放するということがトラックの場合の交通事故をなくす最大原因になっておるわけであります。  しかも問題になりますのは、この過積み車という場合には、これがどうしてそういうような過積みになるかということで、私たち内容をいろいろ調べてみたわけでありますが、その点につきましては、二、三の事例を第八回の交通安全国民会議の際の資料にも述べてありますとおりに、まずその原因一つは、いまの賃金支払い方法であります。賃金支払い方法は、通常の場合には、これは労働基準法によってかりに出来高給であったとしても、いわゆる労働時間に対しては最低保障をしなければなりませんが、現実にはそういうことではなくて、たとえば東京から博多まで一運行二万円、東京から大阪まで一運行一万二千円、これは例でありますから適切な金額ではございませんけれども、そのような賃金支払い方法になっておるわけであります。したがって、一運行幾らということでありますので、そういうようなことで運行すると同時に、もう一つは、荷物をよけいに積めば、さらにそれに歩合がつくような方式になっておるわけであります。その国民会議の一番最後のページにも、ある業者の例をあげまして表が出ておるわけでありますが、いわゆる過積みをすれば賃金がよけいもらえるような、そういう仕組みにもなっておるわけであります。  今日の段階ではそういうような問題はもうすでに通り過ぎておりまして、いま何が私たちトラック業界の中にあるかと申しますと、まず名義貸しであります。これは道路運送法の中で名義貸し禁止をされておるわけでありますが、現実には名義貸しがどんどんと日常茶飯事のように行なわれておるわけであります。この方法はどういうことかと申しますと、たとえば自分のところの運転者の中で、非常にまじめに働く運転者がおりますと、その者に、君はもう来月からとにかくかせぎのうちのこれだけ払えばいいんだから、あとは全部あなたの収入にしていいんだから、こういうことで現実にはいわゆる名義貸しになっておるわけです。しかし、そういうやり方は道路運送法でも禁止をされておりますし、また労働基準法でも賃金支払いの中で禁止をされておりますから、一応形式は賃金台帳その他必要な書類を具備をいたしまして、そういうような処理をしておりますが、現実にはそういったいわゆる名義貸しによります方法が行なわれておるわけであります。こういう名義貸し方法が行なわれますと、勤務時間というものはもう明確でなくなってまいります。勤務時間が明確でないと同時に、これから先はもう自分がかせぐだけ自分の利益になるということに結びつきますので、どちらかと申しますと、余分に積んで走ろうということが行なわれます。さらに私たちが一番懸念する問題は、余分に積んで走るということだけでも危険があるのにもかかわらず、同時に車両保守整備については極力これを節約をしようという考え方に立つわけであります。たとえばタイヤが摩滅をいたしましても新しいものに取りかえをしない。あるいは法で定めております六カ月あるいは一年、一年の場合には車検が入りますが、そういうような保守整備をしなければならない、そういういろいろなことを省略をしてしまう、そしてとにかくかせぐだけかせごうということになってしまうわけであります。これがまた名義貸しその他によりまして、いわゆる過積み行為というものが非常にふえておるわけであります。この点につきまして、私たちはそれぞれ、組合でありますので、企業に対しまして、そういった行為をするような会社を下請に使ったり、あるいは企業の中にみずからそういうものをつくらないように、いろいろ交渉しておりますが、現実にはそれがなかなか困難なことでありまして、名義貸し行為というもがどんどん進んでおるわけであります。今日の段階では、さらにこれがリース方式というような、自分会社は車を買ってそれを労働者に貸し与えるんだ、そして水揚げの何%なり、あるいはその会社がいろいろと計算をするような方式においてお金を入れてくれれば、あとは君のかせぎでひとつやったらどうだろうかというような方策すら生まれておるように聞いております。しかし、私たちはこれらの内容について的確に把握をしようと思っておりますが、残念ながら私たち労働者の中にもそういう行為をする者については、やはりうしろめたさもある関係上、私たちに真実を語ってくれません。ですから私たちは、確かにその会社の中で労働者とはそういう契約のもとにリース方式あるいは名義貸しが行なわれているんじゃないかと思いますが、最終的に私たち資料としてそれをまとめる段階に至っていないことにつきましては、御報告を申し上げておかなければならないと思います。いずれにいたしましても、そのようにいたしまして、現実この過積みという問題はどんどんと進んでおるわけであります。  昨年私たちは、十月の二十四日の正午から二十五日早朝三時にかけまして東名神高速道路で、あの高速道路を走る運転者に対しましていろいろと聞き取りの調査をいたしました。これはあくまで本人申告によります調査でありますので、本人たち内容について申告をしないあるいは報告をしない、記載をしない点については、明確にまとめることができませんでしたが、その結果が私どもが持ってまいりましたこの赤い本の高速道路実態調査という内容であります。  この本の中にも、過積み問題は一番大きな問題でありますので、私たちはこれを調査の対象にいたしました。四六ページ以降に、過積み実態原因について述べておるわけでありますが、この中にありますとおりに、過積みを頼まれたことがあるかということに対しまして、あると答えたものが運送会社のほうには六七・九%、ないと答えたものが三二・一%、以下一般会社協同組合個人商店、その他、こういうことで分類をしておりますが、一般会社の場合を除きますと、ほとんどが過積みを頼まれたことがあるというほうが強いわけであります。そうしてその結果、それを断わることができたかどうかということを調査をいたしました結果、断わることができたというのは次の四八ページ、四九ページに記載をしておりますとおりに、運送会社の場合には三八・三%が断わることができたといいますが、あとの六一・七%がこれは断われなかったという、こういう回答をしておるわけであります。以下一般会社個人商店、その他、ここに記載をしていますとおりに、いわゆる断わることができなかったというほうが非常に強いわけでありまして、三人に二人はやはり断われなかったという実情がここに出ておるわけであります。  なぜ断われなかったのだろう。この点についていろいろ調査をしてみましたが、まあ三割か二割程度の過積みだからこれでいいだろうといって出られた方もおりますが、しかし、運送会社の中で非常に私たちは注目をしなければならないのは、四九ページの下段の表の2に書いてありますように、「大切な荷主だから」断われなかったというのが三三・四%、「使用者から強くいわれたから」というのが二〇%であります。  このように大切な荷主だからというのは、いまトラック業界は二万四千社というような会社であります。中身を見ますと、統計数字から見まして、大体十台くらいの台数を持っている企業がその六〇%程度あるいはそれ以上を占めておるという。いわゆるトラック業者が過積みだからと断わったら、その翌日からはもうおれの店には出入り差しとめ、こういうことではなかろうかと推察される一わけであります。したがって、そこに働いております労働者も、やはりその経営者立場に立って、この仕事がなくなればおれの仕事もなくなるというようなことから、荷主さんが言われるのだからひとつ積んでいこうではないかということになったのではなかろうかと私は思う。  三番目に、3にありますように「使用者から強くいわれたから」というのも二〇%あるわけであります。この点につきまして私たちは非常に遺憾でありまして、少なくとも道路運送を業とする者が、この過積みをした場合にどういう事故が起きるかということは一番よくわかる立場にあります。したがって私たちは、少なくともこの組織を持ちます労働組合といたしましては、常に企業に対しましては過積みをしないで私たちが生活のできるような、あるいは業務のできるような雰囲気をつくってくれ、そういう職場環境にしてくれ、運賃が安い、高いという問題があるかもしれないけれども、それはひとつ業界の中で輸送秩序として確立をしてくれないかということを、われわれはここ何年といわずに言ってきたことでありますが、今日の段階でもこの統計が示すように二〇%という内容があるわけであります。  さらに4の場合には「運賃が安いから」とありますが、これはおそらく1、2、そういう問題から重なりまして、やはり余分に積んで走らないと、いわゆる所定の運賃がもらえないというところに問題があったのではなかろうかと思うわけであります。  いずれにいたしましてもこの過積み内容を見てわかりますように、私たち職場の中では、常に過積みをして走るのがあたりまえのような雰囲気ができておるわけであります。しかし、その過積みをして運行をして交通事故を起こして相手をけがをさせ、場合によっては死亡をさせるというようなことになりますと、この運転手のほとんどが刑務所のほうに参るわけであります。  昨年警視庁のほうから統計でとりました過積みについての数字実態が出ておりますので、この点につきましても御報告申し上げますと、昭和四十七年警視庁の過積み違反積載検挙数は一万一千二百五十八件でございました。内九千七百二十九件は反則金処理をしております。しかし、この過積みの問題につきましては、今日道交法が改正されまして、過積みをした業者も両罰規定で同じ罰を受けることになっておりますが、その場合に、この一万一千二百五十八件のうち、雇用者が同時に両罰規定適用を受けましたのは三・九%の四百三十七件にすぎないわけであります。この内容からわかりますように、過積みをして常に罰せられるのは労働者であります。そうして労働者はここでいわゆる刑法の適用を受け、さらには免許証の取り上げをされ、そうして自分会社に帰ると社内罰を受け、あげくの果てが民事によりますところのいわゆる賠償の請求を受けるというような四つの罰を受けておるわけであります。そして、これは道交法で明確に過積みをしてはいけないと書いてあるのですから、しないのがあたりまえですけれども現実にはそういうことがされておる。またそういうような仕組みになっておる中に私たちは働かされておるわけであります。この点につきまして、私たちはここ五年間にわたりまして、関係各省に、過積みをしない方法を何とか考えてくれということで、四十二年でしたか、いわゆるダンプ規制法といいますか、ダンプ交通事故防止にかかる特別措置法の中で決定をしておりますその法律適用に基づいて、大型トラックについては、過積みをしたらランプのつくような、過積みをしたからもう走ってはいけないのだというようなランプのつくようなひとつ装置をつくってくれということを、この五年間、私たちお願いをしてまいりましたが、検討しているということで、今日の段階になっておるわけであります。しかし、こういう問題は、放置をすれば、交通事故はきょうも起きているわけであります。ですから、私たちは、これはもうこれ以上待つことができないのだということで、昨日と本日、安全輸送闘争を展開したわけでありまして、私たちはこのことをぜひとも御理解を願いまして、何とかこの大型車両トラック交通事故をなくするためにどうしたらいいだろうかということにつきまして、議院のこれからの御討議の中でひとつ問題の解決をはかるようにぜひともお願いを申し上げまして、私、これまでの過積みの問題に対します交通労働者組合立場から御意見を申した次第であります。  ありがとうございました。(拍手)
  4. 久保三郎

    久保委員長 次に、武藤儀一君。
  5. 武藤儀一

    武藤参考人 私は、全日本トラック協会専務理事武藤でございます。  先生方御存じかと思いますが、全日本トラック協会と申しますのは、トラック事業者が組織しておる団体でございます。トラックといいますと、自家用もございますし、営業トラックもあるわけでございますが、自家用トラックにつきましては、私ども団体関係でございませんでして、トラック事業経営者の組織しておる団体でございまして、各都道府県トラック事業者都道府県トラック協会というものを組織いたしまして、その各都道府県トラック協会連合会として全日本トラック協会というのを組織しておるわけでございます。  本日の議題になっております過積載による事故防止の問題につきまして、諸先生方にいろいろ貴重な御審議をわずらわしておるわけでございまして、トラック事業経営者団体といたしまして、非常に衷心からこういう御迷惑をかけるのを残念に存じておるわけでございます。  この事故防止の問題につきましては、トラック協会といたしまして、長年にわたりまして、トラックによる事故を何とか減らそうということで運動を展開しておるわけでございます。  きょう問題になっております過積載の問題につきましても、私ども協会では毎年秋冬繁忙期、といいますのは、大体十月、十一月、十二月、貨物輸送要請が非常に多い時期に、「正しい運転・明るい輸送運動」というのを毎年展開しておるわけでございます。その実施要領の中で、事故防止活動一つとしまして、「過積みをなくして安全運転」という一項目を常に取り入れておるわけでございます。  この「正しい運転・明るい輸送運動」の中の骨子は、輸送サービスの向上とかあるいは事故防止活動とか、そういうようなことが骨子になっておるわけでございますが、毎年秋冬繁忙期で、非常にトラックの動きが多い、輸送要請が多いので営業トラック活動が非常に活発であるという時期に、事故を起こしては社会に対して申しわけございませんし、また、事業者としましても、一つ大きな事故を起こしますと会社をつぶすわけでございまして、もちろん、その事故の当事者になられた運転者にはたいへん御迷惑をかけるわけでございます。こういう時期を目がけまして、「正しい運転・明るい輸送運動」というのを展開いたしておるわけでございます。  それから本年の四月四日でごごいますが、本年の四月四日に全国協会長会議を開催いたしまして、過積み防止につきましていろいろ検討協議を行ないまして、大要あとで読みますようなことをきめたわけでございまして、この趣旨によりまして、現在、各地方トラック協会におきまして、その実施方を進めておるわけでございます。  四月四日にきめました、一ページばかりでございますが、少し読ましていただきます。     過積公害防止対策について   過積公害防止については、事業者はそれぞれの創意と工夫により、業界交通安全運動、正しい運転・明るい輸送運動騒音公害防止対策指導等各種運動の中で積極的な努力を傾注しているところであるが、この際、さらに次の事項を実施して、過積公害防止に万全を期し、円滑な貨物輸送を確保するものとする。  (1) 事業者は、固定荷主と緊密な連絡を保持し、相互に、計画出荷適正配車を確認励行するものとする。    一般荷主からの輸送要請についても、適正配車のため、下見または荷主の告知により、貨物重量を確認するものとする。  (2) 都道府県トラック協会は、関係荷主団体に対し、交通をとりまく諸問題、業界指導方針を説明し、理解協力を得るものとする。    なお、県単位または地区単位指導パトロールを実施するものとする。  (3) 全ト協は、車両の改善、共同荷受共同配車推進対策法律制度あり方等基本的事項検討を早急に行なうこととする。 さらに、     中央荷主団体に対する陳情について   通産農林輸送協議会に対して、趣旨ならびに業界指導方針について説明を行ない、過積防止についての協力方を要請する。 まあ、こういうようなことを四月四日の各県トラック協会会議で決定いたしまして、現在この要綱に従って過積み防止運動につきまして努力しておるわけでございます。  この中で、これは荷主さんとの関係がございまして、荷主さんの御協力を得ないと、なかなかこの問題うまくいかないというようなことで、荷主さん、トラック事業者のほうの荷主さんと申しますのは、固定荷主がかなりありまして、事業規模が小さい、たとえば五台、十台の事業者でございますと、数軒の荷主さんを主としてお得意さんとして活動しておるわけでございますが、そういう荷主さんとよく連絡をとって、計画出荷あるいは適正配車ができるように進めていこう。  それから、荷主さんから輸送要請があった場合には、どのくらいの大きさの車を持っていくといいか、一応何トン運ばなければならないかというような問題をよく荷主さんと連絡をとって、それに会うような車を配車していくというような、常に荷主さんとの連絡協調をとってこの問題を進めたい。  もう一つ、これは中央団体でもお願いしておりますが、都道府県トラック協会でも、関係荷主団体に対して、トラック業界としては過積み防止のために懸命な努力をするから、荷主さんのほうでもひとつ御協力をいただきたいというお願いに上がると同時に、各県のトラック協会指導者を出しまして、極端な過積みをしておるトラックはつかまえて、もちろん営業車だけです。自家用車につきましてはこれはもう全然触れられない問題でございますが、営業車につきましては指導をしていく。  もう一つ、さらにいろいろ根本的な問題がございまして、車両の構造改善の問題と、あるいは法律制度の問題と、こういうような問題を中央団体ではさらに検討を進めていくということをいま考えて進めておるわけでございます。  それから私ども協会では、毎年三月トラック事業者年次大会というのを開催しておるわけでございますが、その事業者大会では事故防止部会というのを毎年設置いたしまして、どうしたら事故が減らせられるか、あるいは特定の会社で非常に事故防止に顕著な成績をおあげになっているところの関係の責任者の方に来ていただいて、セミナー式にいろいろ説明をする、ほかの業者もそれを参考にして自分会社事故防止に役立てていくという催しをやっておりますとともに、事故防止最大の努力を払う旨の宣言を行ないまして、事故防止につきまして、事業者の誓いを固めておるわけでございます。おかげさまで、逐年営業トラック死亡事故件数は減少の傾向を示してきておりますが、先ほど田井さんがおっしゃいましたように、トラックは非常にがんじょうなものですから、歩行者の事故は問題外でございます。これはどの車がぶつけましても、歩行者は無装備でございますので大きな事故になるわけでございますが、乗用車とぶつけた場合、あるいは乗用車からもらい事故を受けましても、トラックのほうががんじょうなものですから、トラックのほうじゃなくて、相手方の、ぶつかった車のほうが死傷者を出すというようなことで、トラックの構造装置からいろいろ悲惨な事故を起こしておるわけでございまして、その点、さらに私ども事故防止に努力を払ってまいりたいと存じております。  それから、中央団体の指令でなくて、各都道府県トラック協会でそれぞれ過積み防止運動をやっております。例を申し上げますと、東京都のトラック協会あるいは茨城県のトラック協会、岩手県のトラック協会、福井県のトラック協会、こういうようなところでは、過積み防止を主目的とした特別の運動を行なっておるわけでございまして、その他の県におきましても、事故防止運動の一環としてこの問題を取り上げ、活動しておるわけでございます。  東京都の例を申し上げますと、一昨年の六月から過積み防止運動を始めまして、昨年の四月からは四十七年度の最大行事として推進しておるわけでございまして、トラック事業者の営業所に張ってもらうポスターを五千枚、それから「過積みをなくして安全運転」というようなステッカーをつくりまして、車体の横腹に張らしておるわけでございます。それ以外に指導班をつくりまして、警視庁協力を得まして指導に当たっておるわけでございます。特に、非常に過積みが起きやすい鉄鋼輸送部会では、非常に熱心にこの指導に当たっておられまして、実績を申し上げますと、私ただいま手元に持っておりますのは昨年の五月九日からの数字でございますが、月に一回ないし二回、警視庁の警官の臨席を得まして、これは一緒じゃないと過積みをしておりましてもとめられませんので、警官に出ていただきまして、両方合同で過積み車の取り締まりをやっておるわけでございます。この鉄鋼部会がやりました監査によりまして、取り扱い車両数が六百八十一で、過積みをしておる車両の現認数が百六十九台というような数字が出ておるわけでございます。もちろんこの百六十九台の中には営業車もございます。自家用車もかなりあるわけでございます。こういうようなことで、荷物の大きさの割りに非常に重量がかさむ、したがって過積載が起きやすいというような問題がございまして、鉄鋼輸送部会では非常に活発に過積載の取り締まりに当たっておるわけでございます。が、現実はきのうのテレビにございましたように、鉄鋼につきましてはまだかなり過積載が行なわれておるのは非常に残念でございます。  それからさらに東京都のトラック協会では、業者の意識の革新をはからなくてはならないわけでございまして、過積み防止の文書を各事業者に、東京では四千か五千くらいございますが、配りますとともに、荷主さんあてに、警視庁陸運事務所、それからトラック協会連盟で、過積み防止についての御協力の依頼状を出しておるわけでございます。  さらに、一昨年の春、運賃改正の認可を受けましたのですが、その運賃改正の際には、いままで区域トラック、貸し切りトラックにつきましては重量制運賃になっておりまして、五トンの車に十トン積めば十トン分の運賃がいただけるというような制度であったわけでございますが、それを改正いたしまして車両制の運賃にしていただいたわけでございます。五トン車には何トン積もうが五トン分の運賃しかいただけないという形の車両運賃に変えていただきまして、この運賃制度の改正によりまして、過積み防止をはかっておるわけでございます。ところが、実際の契約におきましては、トン建て契約というのがございまして、荷物が千トンあると一トン幾らというような契約が行なわれておりまして、そうしますと、従来と同じような、車両運賃じゃなくてそれはもう重量制運賃で、そこらから過積みという問題が発生してくる心配があります。ただ、トン建て運賃と申しますのは、長い商慣習で行なわれておりまして、急にはなかなか変わらないわけでございます。私どもこの車両運賃を持ち込もうというので一生懸命努力しておるわけでございますが、これは少し時間がかかるか、こう思っておるわけでございます。なるべく早い機会に車両運賃の確立をはかりたい、こう思っております。  それから過積みの起こる原因につきましては、事業者側と荷主側と問題が二つあるわけでございますが、事業者側としましては、認可運賃は現在二割の幅を持った運賃を認可していただいておるわけでございます。スタンダード運賃の上一割、下一割、二割の幅を持った運賃を認可しておっていただくわけでございますが、トラック業界は非常に競争が激しいものですから、最低運賃、二割幅の一番下の運賃よりもさらに低い運賃荷主さんと運賃の契約をされる事業者がかなりあるわけでございまして、そうしますと、たとえば最低運賃よりも四割引きあるいは五割引きというような運賃で契約が行なわれた場合には、それは採算はそのままでは合わないものですから、何とか採算を合わせるために過積みという形で採算を合わせておられる事業者がかなりあるんじゃないか。だから私どもとしては、荷主さん側に認可運賃の最低線だけは少なくともいただきたいというお願いをしょっちゅうやっておるわけでございますが、トラック事業は力が弱く、荷主さんは神さま、荷主さんは王さまというようなかっこうでございまして、なかなかそういう話が荷主さんに聞いていただけない、これが非常に悩みの種でございます。  それからもう一つ、これは非常にたちが悪いのですが、五トン車に二トンよけい積めば二トンは会社のもうけだというような考え方の事業者も、二万六千の中にはあると思います。非常にたちの悪い考え方でございますが、大多数といたしましては、何とか採算を合わせるために、いろいろな非合法な積載をやっている。その結果が運転手さんのほうへ非常に御迷惑をかけておる、あるいは社会的にもたいへんな御迷惑をかけるというような形になってきておるわけでございます。それから、荷主さん側のほうとしましては、少しくらいよけい積んでもいいじゃないか、五トン車で運べると思って五トン車を頼んだが、積みにかかったら六トンあるいは七トンあった、それだけなら積んでいけやというような形や、あるいは、運賃は安いほうがいいものですから、十トンを運ぶのに、二台のトラックで運ぶよりも一台で十トン積んで運んでもらったほうが運賃としては安上がりになるものですから、なるべく運賃の安いほうで契約したいということで、結局、間接的に事業者としては過積みで採算を合わせなければならぬというような形になるわけでございますので、荷主さん側に対しましては、できるだけその幅の最低の線で契約を結んでいただきたい、最高の運賃でいただきたいというのでございませんでして、認可運賃の少なくとも最低運賃はいただきたい、業界側としてはこう思っておるわけでございます。  なお自営の運転手がございますが、これは自分運転して自分で商売をおやりになっている方で、事業者と同じようなことでございます。そこで、どうしたらこの過積みをなくせるかという問題でございますが、もちろん業界側として、事業者の意識の革新をはかりまして、過積みをしないように運動を展開してまいりたいと思います。  もう一つ、その裏の原因になっております運賃ダンピングの防止、これはうらはらの問題と私どもは思っておりますが、業界活動として強力に展開していかなくてはならないと思います。そしてこの問題は、鉄鋼輸送に関連いたしまして、私どもしばしば考えたわけでございますが、営業車自家用車とが同じように仕事をやっておる分野が非常に多いわけでございまして、最終的には、これはもう交通警察の取り締まりの強化という方法しかいまの法律制度のもとではないというふうな考え方を私はしているわけでございます。  業界の意識の向上と交通警察の取り締まりの強化。そして、道路運送法関係では、この過積みの問題につきまして取り締まれる根拠が全然ないわけでございます。たとえば自家用トラック、もぐりトラックが過積みをやって運転している、これをつかまえましても、運輸省のほうではどうにもしようがないわけでございます。道路運送法の百二条では、一応、有償運送をやったら使用禁止ができるというふうになっておりますが、国会のほうで、最大積載量をこえて運送したときには使用禁止ができるというような改正がお願いでさましたら非常にけっこうだと思います。同時に事業者のほうも、常時過積みをやって仕事をやっているという事業者につきましては、車両の使用停止なり事業停止ができるような形、道路運送法処理しようといたしますれば、そういうような改正が必要かと思います。  さらにもう一つは、さしあたり高速道路の入り口、インターチェンジ、ああいうところに検量計を置いていただいて、入ろうという車につきましては検量計にかけて、おかしいのはそこでもうはねてしまうというような形がとれると非常にいいかと思います。高速道路に入るには一般道路を通らなければならぬわけでございますから、高速道路ではねられるから一般道路も走らない。さらに進んで、幹線国道につきましても検量計が各所に設置されて、そこへ警察が立って、ときどき積み過ぎだなと思うやつはそこにかけて取り締まりをやる、これは予算が伴う問題でございますが、そういうようなシステムがとれるとけっこうかと思います。  この間、西ドイツから百人ぐらいの視察団が来まして、談たまたま過積みの問題になったわけでございますが、西ドイツでは、国道のところに検量計を設置して、ときどき警官が出て取り締まりをしておる。日本よりもひんぱんにやっておるようでございます。過積みの問題は日本だけかと思いましたら、西ドイツにも同じような問題がありまして、そういうような対策をとっておるようでございます。  そういうような形で警察が取り締まりのやりやすいような体制づくりも、国会で御審議をいただければ非常に幸いかと存じます。  時間が超過いたしたようでございますが、以上で終わらしていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
  6. 久保三郎

    久保委員長 次に、重國昭夫君。
  7. 重國昭夫

    ○重國参考人 新日本製鉄株会社の販売業務部長をしております重國でございます。よろしくお願いします。  本日の委員会に過積み問題で私が指名されたのですが、実は、私どもとしましてはいささか唐突な感じで受け取っております。ただ、いまお話を伺っておりますと、だんだんとたらい回しで荷主のほうの話になってまいりましたので、この際、荷主代表ではございませんが、私のほうの事情を率直に説明させていただきます。ただ、時間がございませんので、簡単に申し上げます。  私どものほうでトラック輸送をいたしておりますのは、製鉄所から荷物輸送するいわゆる一次輸送という段階と、それから、船または貨車で需要地に着きまして、そこの倉庫からさらにトラックで配送されるという段階、私どもこれを二次輸送と申しておりますが、そういう二つの段階がございます。私ども会社は、いま言いました一次輸送が月約五十万トン、二次輸送が月約六十万トンということで、両方合わせますと月間百十万トン近いトラック輸送お願いしております。このトラック輸送の全体のパーセンテージでは、一次輸送全体の比率は二十%ぐらいでございまして、やはり七割近くは海送でいたしております。  そういう実情でございますが、この過積みの問題につきましては、まず第一に、私どもは当然、トラック輸送の免許を持っておりませんので、いわゆる元請業者の方と契約いたしております。製鉄所の場合でも、二次輸送はほとんど私ども本社のほうで契約しておりますが、本社のほうでも元請業者の方と年間契約をいたしております。その契約内容におきましても、当然のことですが、トラック一台当たりについて過積みをしなくちゃならないような契約内容にはなっておりません。  それから、日常の荷物運行といいますか、出荷計画でございますが、元請業者と連絡会を持っておりまして、向け先別、品種別のトン数ということで、毎日の出荷量は、もちろん元請業者の方にお願いしておりますが、それをどの車にどれだけ積めということは、われわれ、日常業務として指示する立場にはなっておりません。そういうようなことでございますので、昨日のテレビあたりでも、荷主に強要されているんじゃないかというふうな見方をされているように思いますが、そういう日常の運用面からいいましても、私どもが過積みを強要するという立場にはないことを御理解いただきたいと思います。  そうはいいましても、では、私ども荷物が過積みされてないのかということでございますと、残念ながら若干の過積みがあるということは承知しております。これは定量的には非常にわかりにくいのでございますが、定性的に私どもが承知しているのは、一つには、たとえばホットコイルあるいはコールドコイルの例でいいますと、たまたまいま十トンの車があるけれども、十二トンのコイルをどこそこに持っていかなくちゃならないというときに、結局十トンの車に十二トンの荷物を積んでしまうというようなことはあるんだそうでございます。二つは、人のふところのことを言うようですけれども、やはり業者さんの経済性といいますか、採算問題がからんでいるのじゃなかろうかというふうに一応私どもは推定いたしております。そういうようなことから、確かに過積みが多少あるというふうにはわれわれ承知いたしております。  過積み問題だけではございませんが、私どもとしましては、元請業者の方に、交通安全の面と、それから陸上輸送における効率をあげるという意味で、従来から二つお願いしてきております。  一つは、トラックの車種といいますか、車をできるだけ大型のほうに持っていっていただきたい。数年前までは大体八トン車から十トン車の間が中心でございましたが、最近私どものほうの関係業者がお使いになっていただいているのは、大体十トンから十二トンということになってきているんだそうでございますけれども、そういうことをわれわれはいままでお願いしてまいりました。  二番目に、荷物の形状あるいは特性に合わした特殊な車をひとつ開発して、それでもって無理のない、そして効率のあがる運搬をしていただきたい、こういうようなお願いもしてきております。一部の例は出てきております。  まあしかし、こういうお願いをしてきておりますが、その効果は必ずしもあがっているとは思っておりませんけれども、そういう形でもって、安全とそれから輸送効率をあげていくということでいままで業者の方にお願いしている、こういう実情でございます。  たいへん簡単でございますが、どうも失礼いたしました。(拍手)
  8. 久保三郎

    久保委員長 次に、鎌野本保君。
  9. 鎌野本保

    ○鎌野参考人 私は、相東運輸の車両部を担当しております鎌野と申します。  本日、ここに貨物自動車の過積車について、事故防止という問題について一応述べさせていただきますと、先ほどもいろいろお話がありましたけれども荷主側そして下請側ということの運賃の立て方、そして荷主さんは神さまであるというようなことから、やはりこうした問題が起きてくるかと思いますけれども、私がここで一番申しておきたいことは、現状車両の製造工程におきましては、いまいろいろ規制がございましょうけれども、軽自動車には三百六十CC、それから小型車について二千CC以下、その上の規制は全くないように思います。したがいまして、現状の日本のトラックの生産工程におきましては、現実に二十トン、要するに車両規制法では二十トンという頭打ちがありまして、それによって車両の製作をされておると思いますけれども積載量が十トン車になりますと、たとえばスタンダードで十一トン車といっておりますね。これが積載量十トンというような荷装に車両をつくり上げますと、これが逆な結果で、積む荷は二割ないしは三割の積載オーバーができるという車両現実にはでき上がるわけです。そこで、車両製作工程において、荷が積めないような車両、いろいろ技術的な問題もありましょうけれども、たとえば排気量を減らすとか、排気量を減らすことは、今度の公害問題、いわゆる排気公害問題にもこれはつながる問題だと思いますけれども、そういう問題から解決していただければ、われわれ運送屋としましては、先ほど労働組合のいろいろな問題がありましたが、そういうものも解消されるし、いろいろな意味でたいへんいいのではないかと思います。  それで、てまえどもの業種は、船内作業と沿岸作業と車両と、この三つに分かれておるわけですけれども、船内作業、沿岸作業においてはこういうトラブルは全くありません。グレンは、十トンなら十トンで製作したものは現実に十トン積めません。せいぜい八〇%か八五%かしか積めないわけです。しかし車の場合は、十トン車には三倍ないし四倍、現実にいまの大型車両につきましては、四倍以上の耐久力がある車両はざらにあります。そういうものの車両の製造工程において、いろいろ規制を加えてもらって、むしろこういうものを解決していただいたほうが、いろいろな意味でわれわれ運送業者としてはたいへん助かるということを申し上げておきます。  それから、現在各幹線道路を大型車が夜夜中走っておりますけれども現実には、おそらく倍あるいは倍半の荷物を積んで走っておるかと思います。それで、取り締まり当局はそれに目を光らしているわけですけれども現実にその網といいますかその対象にされて、いま申し上げました取り締まりをされる車両はコンマ以下の車両。現在てまえどもで働いている車は百車両くらいありますけれども、もちろんこれは過積みその他はいたしておりませんけれども、いろいろなことを聞きますけれども、そういう車、その取り締まりにかかっているという人はあまりいないわけですね。ということは、過積みという問題もありましょうけれども、てまえどもでは、もちろん主として鋼材、船内、沿岸、いろいろ輸出その他の関係仕事をやっておりますけれども、先ほどおっしゃられましたような過積みという問題に対してはたいへんに神経を使いましてやっておりますので、この問題に対しては私どもにおいてはそれほど問題にはなっておらないわけですけれども、世間一般から見ますと、そうした意味での荷主側、下請側、そして運転手といろいろな問題がある前に、まず運ぶ車からやっていただくということ、これが第一じゃないか、かように思います。  それからもう一つ運賃体系は、一応昔ですとトン建てというものでやっておりましたけれども、いまは車種運賃になっております。大体いまの場合ですと、鋼材関係は特にトン建て運賃が多いと思うのです。車種運賃になりますれば、そうした意味で、たとえば十トン車に十五トン積んでも十トン積んでも八トン積んでも、運賃は変わらないわけです。ところがトン建てですと、どうしても一トンよけい積めばそれだけお金になりますから、そういうところからもこういう過積みという問題が出てくるのではないかというふうに思います。  取りとめもないお話を申し上げましたのですけれども、一応、私の相東運輸としての意見はこのくらいにさせていただきます。
  10. 久保三郎

    久保委員長 次に、泉沢謙三君。
  11. 泉沢謙三

    泉沢参考人 泉沢です。私は、実は二十六年くらい運転業務の現場で働いている運転手でございます。ここに出席するにあたりまして、私は資料等何も持ち合わせておりません。それと同時にこういう場でもってお話し申し上げるということも場数を踏んでいませんので、非常に失礼な言動があるいは飛び出すかもしれませんので、その点は御了承願いたいと思います。ただ、運転者立場として、いま過積みに対してどれほどの危険があるのかあるいはどうしてそうされておるのかということを率直に自分の体験の中からお話ししたい、このように思っております。  まず、先ほど、トラック業者の方とそれからいわゆる荷主さんのほうの話を聞きますと、その前に全交運の方から説明されました、この間の調査によるいわゆる過積みされておる車両のパーセンテージはこのくらいだというようなことが出ましたが、それが非常に矛盾を感ずるわけです。トラック業者の方に言わせますと、いわゆる過積みをしないような運動をもう数年来一生懸命やっておるんだ、ワッペン張ったり一生懸命運転手指導しているんだ、こう言われております。また、荷主さんのほうの側に言わせますと、そういう過積みをしなければならないような輸送スケジュールは立てていない、このように申されておるわけです。ところが現場で働いている私どもは、先ほど全交運の方も言われたように、あるいはそれ以上のパーセンテージの高さで、トラックというのは過積みするのがあたりまえだというような形で運転しているということが現実です。決して私は誇張して申し上げているわけではありません。  特に取り立てて申し上げますと、その中で、先ほどもちょっと出ましたけれども、どういう車両が一番過積みされているかといいますと、まず鋼材輸送トラックもそうですけれども、骨材と申しまして、砂あるいは砂利を運んでくるダンプトラック、そのほかに残土を運ぶダンプダンプ関係は過積みをしなければ実際に商売にならないというのが実態です。十一トン車が栃木県あるいは茨城県の方面から骨材を輸送してきます。このトラックは十一トン車に最低二十五トンから三十トン積んでいます。これは事実でございます。決して私はうそを申し上げておりません。  それでは十一トンの車に三十トン積むということがどういう状態であるかというと、先ほど何か四倍ぐらいの安全基準があるのだというようなお話をちょっと伺ったのですけれども、私は非常に危険なことではないかと思うのです。  と申しますのは、二十年ほど前、私は駐留軍の労働者だったのです。そのとき駐留軍の運転手をしていたわけです。いま自衛隊なんかでよく使用されているいわゆるシックス・バイ・シックスといって、GMCのトラックがございます。これはタイヤが十本ございます。それからウェポンキャリアーという小型のトラックがございます。これの安全基準が、シックス・バイ・シックスですら二トン半です。それからウェポンキャリアーは、スリークォーターと申しまして四分の三トンです。そのような基準の中でもって彼らは物品を輸送していたわけですね。これはぼくの勘で、技術的にはっきり調べたわけじゃありません、機構的に調べたわけじゃございませんけれども、ぼくの勘で見ますと、このウェポンキャリアーはおそらく五、六トン積めます。でも積ませなかった。これがほんとうの意味の安全じゃないかと思うのですよ。車がぎしぎしいって、これだけ積んで走ってもつぶれないから、これが安全基準だ、そういうところに安全基準を定めていただいたのでは、これは安全基準になりません。  これはもうはっきり申し上げて、ブレーキの問題、いろいろあります。過積みしますとブレーキがきかなくなる。これはきわめて常識的な問題で、どんな物体でも、運行しているものを停止させるということは、運行している力にさからうわけですね。さからうときに、結局その物体の重量が重けれが重いほどさからう力も大きくなければとまらないわけです。さからう力とのバランスがくずれたときには、これはとまらないという結果になりますね。ですから、重量オーバーすればするほどブレーキのききが悪くなるというのは、きわめて常識的な物理的な現象ではないかと思うのですよ。そういう中でわれわれは常に働かしていただいております。  しかし、その問題について、たとえば、ではおれは過積みをするのがいやだから過積みしない車に乗せろと言うと、そういうことを年じゅう言っていると、俗なことばでいうと、おまんまの食い上げになります。はっきりいってもうあしたから仕事ができないという状態にもなりかねない。やむなくわれわれは過積みしたトラック運行しなければならないというのが現実です。  現実に私、二十六年間の中で一昨昨年から二年前までたまたま運転業務をしなかったときがあります。それをしなかったときに、事務関係仕事をやりましたけれども、六キロ太りました。当然重労働ではございませんので、食料その他、変なことを言うようですけれども、私たち庶民にとっては重要な問題なんですけれども、事務関係をやったときには摂取カロリーもずいぶん減ったと思います。減っても十分やれたのです。でも、その期間六キロ太りました。しかし、その前後はぼくは六キロやせています。それだけ過酷な労働であるということが事実です。現実に、たとえば四号国道を東京から郡山まで走ったと仮定します。この場合、大型トラック荷物を積んで普通に走っていくと、八時間ぐらいかかります。しかし、これがスムーズに運行されるなら、あそこは二百四十キロぐらいしかありませんので、五十キロのスピードで行きますと、五時間で行ける計算になりますね、計算上は。ところが八時間かかるというのが現実なわけですね。その間過積みした車を運転していきますと、いろいろその運賃についての立て方等も出ましたけれども、ぼくらはそういうことは関係ありません。あまりよくわかりません。少しはわかっておりますけれどもね。そうすると、その八時間というのは緊張の連続であるということですね。ということは、もし安全基準に従って運行するとするならば、それだけの重量車を運転して、しかも何キロのスピードを出しているから、安全車間距離は前車との間にあるいは百メートルなら百メートルとらなければいけないと思っても、百メートルとっていたのではその時間以上かかってしまうわけですね。百メートルとるということは、うしろの車が追い越してまたその間に入るということになります。間に入られると、また百メートル下げなければいけない。実際問題、これでは運行できないですね。ですから、われわれは、これでは少し安全ではないのではないかと思いながらも、車間距離をもっと詰めて運行する。もし万一前の車が急ブレーキを踏んだら絶対にとまれないようなところまで、ぎりぎりの線まで詰めながら運転せざるを得ないというのが実態です。そういう神経の集中の中から私は六キロの減少を来たしたのではないか、このように自分では考えているわけです。これは何も医学的に証明されたわけでも何でもありません。ただ私の経験の中ではそういう感じを受けるわけです。そのような神経の集中、そういう積み重ねが肉体をも侵していくのではないか、このように考えております。  まだいろいろ申し上げたいことは一ぱいありますが、この辺で私は終わらしていただきたいと思います。(拍手)
  12. 久保三郎

    久保委員長 以上で参考人からの御意見の開陳は終わりました。     —————————————
  13. 久保三郎

    久保委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。片岡清一君。
  14. 片岡清一

    ○片岡委員 きょうはそれぞれの立場から、参考人の方においでいただいて、貴重な御意見を承りまして、まことにありがとうございました。われわれも大体そうではないかと思っておりましたが、しかし、現実にそれぞれの立場から、まことに現実的な、しかも深刻なお話を承って、この問題をどうしていくかということについて、たいへん憂慮にたえないような事態であることを新しく認識いたした次第でございます。  そこで、どういうふうにお聞きしたらいいかわかりませんが、最初に田井参考人にお伺いしたいのでございますが、田井さんのおっしゃったように、確かにこの問題は、荷主とかあるいは運送会社というところから、運転手さんが非常に現実的に苦しい立場に置かれておられる。それが生活問題とも関連している。そういう意味でわかるのでございますが、そういう苦しい立場にありながら、たとえばダンプカーやトラック運転手さんが、日光街道その他でも、われわれが乗用車を運転しておりますと、横からうなりを立ててううっと追い越していく、ああいう無謀操縦が行なわれるのでございます。しかも相当過積みをした車が無謀操縦をしておる。こういう状況をどういうふうにお考えになりましょうか。
  15. 田井二郎

    田井参考人 御指摘の点につきましては、トラック労働者立場からほんとうに申しわけないと思います。  そこで、私どもは、これらの問題について、労働組合を有するところでは、まず過積みをやらない、無謀運転をやめよう、それからもう一つになりますのは、過積みからきます騒音あるいは排気ガス、こういうことから、私たちは極力それを避けようという運動自分たち組合の中で行なっております。  残念ながら、トラック労働者の組織率と申しますのは、自家用トラック労働者関係を入れますと、その二割程度しか組織をされておりません。これはトラック労働者自体が何人おるかということすら、今日の段階でははっきりつかめていないのが現状であります。私どもはこれをどういうふうにしてつかむかといっていろいろ検討しておりますが、いわゆる営業車数と、もう一つは、大体大型トラックというものはガソリン車でなくて、軽油を使っておりますディーゼル車でありますから、ディーゼルトラックがどのくらいあるかということで類推をいたしまして、私どもトラック運転手を把握をしておりますけれども、約八十万から百万おるのではなかろうかといわれております。その中にいろいろな労働組合がありまして、それをすべて加えましても二十万に満たないのではなかろうかというふうに私は見ておるわけです。  そこで、いま委員のほうから御指摘がありましたのは、やはり私たちの組織の中にもそういう者がおろうかとも思いますけれども、いわゆる未組織の労働者の中には、先ほど私ども触れておきましたが、いわゆる運賃が時間によって払われておるのではなくて、一運行幾らということで払われておる、あるいは何時までにおまえ着けろと言われた、こういうことからそういう無謀運転をする場合が多いのではなかろうかと思います。この点につきましては、御指摘のとおりでありますし、私たちは、かりにそれが未組織の労働者であれ、そういうことをしない運動自分たちの責務と考えておりますので、実は昨日、本日にかけまして、その未組織の労働者にも呼びかけて、ひとつみんなでそういうことをやめようではないか、こういう運動をこれからも展開をしたいと思っております。
  16. 片岡清一

    ○片岡委員 運転手さんがたいへん過労で、長い距離を運転されると一そう神経がすり減らされるということは、私も長距離の乗用車の運転をしてみましてつくづく感じております。それで、ことに生活に追われながら過積みをしいられて運転をしておられる運転手の皆さん方に、私はたいへん同情にたえないのでございますが、ただ中に、いまおっしゃったように、やはり未組織の方が多いんではないかと思いますが、組織の中において田井参考人の手の届く限りにおいては、ひとつ何とかそういう無謀操縦をやめていただくように、ダンプが来ると子供がこわいという意識を持たれておるという常識からいいましても、この点はぜひひとつ御指導を願いたいと、私は要望をしておきたい次第でございます。  それから先ほどございましたが、やはり田井参考人にお伺いいたしますが、名義貸しあるいはリース方式のがだんだん出てきておる、こういうことでございますが、これはたとえば、最低の賃貸料を自動車の持ち主に払えば、あと自分でコントロールはできるわけでございますか。
  17. 田井二郎

    田井参考人 先ほどその点も触れましたが、具体的な数値については私たちは把握し得ない状態なんです。しかし、そういう関係をする会社につとめております一般組織労働者もおりますので、そういう者がいろいろとかいま見た内容を聞きますと、大体一カ月に、その車が十トン車ならば、二万円なら二万円あるいは二万五千円なら二万五千円という払い方をする場合もありましょうし、それから先ほど申しましたリース方式というのは、全く車を借りているという賃貸契約のような形式をとっている場合もありましょうし、いろいろな形式がございますが、いずれにいたしましても、名義を借りてその人が営業しておる、こういう事実行為は、これは歴然としておるわけであります。
  18. 片岡清一

    ○片岡委員 そうでございますと、この名義貸しなりリース方式によって運転をしておる人は、やはり自分で過積みの問題もあるいはその暴走の問題についても自分でコントロールできると思いますので、これらの点もひとつ組合のほうで御注意をいただく、御指導をいただくことがいいんではないかと思います。  それから、私は次に、トラック協会武藤参考人にお伺いしたいのでございますが、先ほどお話しのように、パトロールやなんかでそれぞれ運送会社のほうは非常に規制をしておられると思います。ところが問題は、やはりトラック協会の配下にないといいますか、コントロールのもとにない車、それが多いんではないかと思いますが、その一般の自家用営業車は、自家用協会でコントロールしておるのですか、それともトラック協会で何らか管轄しておられますか。その点をお伺いしたいんですが。
  19. 武藤儀一

    武藤参考人 私ども協会、各府県のトラック協会も含めましての意味でございますが、これは運輸省から営業免許をいただいた事業者だけの団体でございまして、もぐりで運送業をおやりになっているという方は、これはトラック事業者として認めておりませんので、私ども関係のない方々でございます。それでその方々の、普通車ですと、大体営業トラックが現在二十七万台ぐらいございます。それから自家用の普通車が六十万台ぐらいあるわけでございます。その自家用の普通車の六十万台の中には砂利運送、砂利販売という名前になっておるかもわかりませんが、砂利運送とかあるいは木材販売業という形で木材の輸送をおやりになっている方や、そういう方々がかなり入っておると思います。その面ではもう営業車も白ナンバーも同じ質の仕事をやっておるわけでございます。その点、非常にトラック協会としまして、そういうもぐり運送業の問題につきましては各府県の協会とも非常に関心を持っておるわけでございますが、現在それを忠実にやりますのには、府県の陸運事務所の職員が無免許営業ということで取り締まりができるんですが、たとえば富山県で申しますと、その関係の職員というのは一人か二人なものですからなかなか手が回らないというような形になっておりまして、非常にこれはトラック業界長年の間の難問題になっておるわけでございます。
  20. 片岡清一

    ○片岡委員 私はやっぱりこの自家用車のもぐりが非常に問題だと思いますが、ここでいろいろ取り締まりをした数を警察庁からいただいておるのですが、これは警察庁ですか、運輸省でしょうか、もぐりのそういう輸送車についてはどういうふうなやり方をしてコントロールしておられるでしょうか。お伺いしたいんです。
  21. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 お答えいたします。  もぐりの運送事業というのは、道路運送法で無免許営業、あるいは自家用で有償行為禁止をいたしておりますので、それの違反になります。したがって道路運送法違反になりますので、私どものほうで事実を発見すれば行政処分をする。それからなお問題は、先ほどもちょっとお話が出ましたように、もぐり営業というものをどうやって取り締まるかということについて技術的に非常に困難でございますので、先ほど参考人の発言がありましたように、なかなか実効があげにくいというのが現状でございます。
  22. 片岡清一

    ○片岡委員 私は、これをやはり一番、何か組織化するといいますか、コントロールのもとに置くということがたいへん大事だと思いますが、警察庁でこの問題について、指導監督について何かお考えになっておりますか。ちょっとお伺いしたいんです。
  23. 加野久武男

    ○加野説明員 過積みの問題につきましては、警察といたしましても、過積みが行なわれやすい路線に重点を指向いたしまして、かなりな取り締まりを実施いたしております。しかし、先ほどからいろいろ御意見が出たように、取り締まりも一つの策ではございますけれども、この問題を解決するには、たとえば運賃の体系であるとか、あるいは輸送の需給の問題であるとか、あるいは労働条件の問題であるとか、いろいろな問題が介在をいたしております。そこで私どもとしては、今後とも取り締まりを強化いたす予定ではございますけれども、何といっても車両構造自体を改善いたしまして過積みができないような車両にすることが最も効果があるんではなかろうか、かようなことを考えまして、運輸省とも相談してその方面の研究も進めさせていただいております。
  24. 片岡清一

    ○片岡委員 ただいまお話がございましたように、過積みのできぬような、差し板ですか、ああいうものができないような構造に改めるということも私は一つ方法かと思うのでございますが、一方においては、台貫所あるいは検量所においてしげく検量をするということによる取り締まりによってそれを取り締まっていくということも大事でございますが、何というても、何かやはりそういうものを組織化して、内部から自覚させていくというような方法を考えるべきものであると存じます。  これらの点について、時間がありませんから、将来警察庁、運輸省におかれましてひとつ十分お考えになって、交通安全上の一番ガンであるこの問題に前向きの姿勢で御研究を願いたいと存ずる次第であります。  私は次に、重國参考人にお伺いいたしたいのでございますが、重國参考人は新日鉄という大会社の運送をつかさどっておられる方でございますが、新日鉄でさえも、先ほどお話しの、過積みになるような契約はしていないとおっしゃりながら、しかもこれは、やはり実際は過積みが行なわれておるというようなことを認めておいでになるのであります。いわんや小さな会社等においては、やはり荷主さんのほうから過積みを強制する、強制と言わないまでも、そういう結果になるようなしむけ方をされるだろうと思いますが、私は、せめて新日鉄のような大会社では、さっきのウエポンキャリアーではございませんが、泉沢さんのお話でございませんが、やはり駐留軍がやっておるように、十トン車には十トンというふうに、まず範をたれていただくことが大事だと思うのですが、その係の方としてどういうふうにそれはお考えになりますか。
  25. 重國昭夫

    ○重國参考人 過積みそのものについて、先ほど申し上げましたように、これをやめさすのは非常に技術的にもむずかしいというふうに私思っておりますが、結局前と同じことしか申し上げられないのですが、私どもとしては、過積みをしないで済むような大型車とか、あるいは専用車というようなものを今後ますます業者の方にお願いして、そういう研究、くふうをしていただくようにお願いするというつもりでおります。
  26. 片岡清一

    ○片岡委員 私はやはり大会社としてそういう点に率先して範をたれていただきたいという、その心がまえをお願いをしておるのですが、もう一回お願いをしたいと思います。
  27. 重國昭夫

    ○重國参考人 心がまえとしては、おっしゃられるように、今後そういうふうなことにつきましてよく留意しまして、業者の方にお願いしたいと思っております。
  28. 片岡清一

    ○片岡委員 次に、運送会社の代表でいらっしゃいます鎌野参考人にお伺いいたしたいのでございますが、何か鎌野さんのお立場というのはたいへんむずかしいのでしょうが、何かそんなものを、十トン車に二十トンも三十トンも積むのはあたりまえだ、またそういうふうにつくってあるじゃないかというような、きわめて失礼な言い分かも存じませんが、初めから投げやりなようなおっしゃり方をしたことに対して、若干私はひっかかるものを感じたのでございます。  これは、何というても交通安全ということはいまや国民の大きな関心の的であり、大きな社会問題でございます。戦争がなくなっても、子供や老人やその他有為な人たちがけがをし、そして死んでいくという悲惨ないわゆる交通戦争が毎日戦われておるというこの現実に、運送会社の責めに任じておられる方は、やはりしっかりしたこの交通安全に対する認識を持っていただき、そしてこの運送管理あるいは安全運転管理の問題について、それぞれの責任者に十分な御指導とその監督をしていただいて、そしてできるだけやはりそれに協力をしていただくという、いわゆる自主的な体制、あるいは交通安全に対する認識を深めていただきたいと私は思いますが、それについてひとつどういうお考えですか、ちょっと失礼な言い分でございましたが、ひとつお願いしたいと思います。
  29. 鎌野本保

    ○鎌野参考人 たいへんことばが足りなくて申しわけございません。私が申し上げたのは、いま現状、その四倍ですか、四倍積めるから云々ということは、私が言うことではなくて、こういう車をつくらしている限りこういう積載はなくならないということを申し上げたわけであります。これはあくまでも、やはりわれわれ運送屋にしましては、一トンでもよけい積めばお金になるわけです。やはり大手あるいは荷主さまから、これだけのものがあるんでこれだけのものを持っていけと言われた場合には、時と場合には、先ほども申し上げましたように断われない場合もございます。   〔発言する者あり〕
  30. 久保三郎

    久保委員長 静粛に願います。
  31. 鎌野本保

    ○鎌野参考人 したがって、やはりこれをなくすのには、まず第一に、車両の製作上において制限をしていただきたいということを申し上げたかったわけなんですけれども、これはことばが足りないので、たいへん誤解を招いたようなんで申しわけございませんけれども、私は毛頭そういう気持ちはございません。
  32. 片岡清一

    ○片岡委員 私はそういう投げやりな気持ちでないとは信じておりますが、ただ問題は、やはり十トン車ということになっておるのですから、それが基準でなければならぬので、それが三倍四倍を平気で積むという考え方をやはり改めていただかなければなりませんが、そのためには、運賃体系をいわゆる重量運賃でなしに車種運賃にしてもらうとか、そういう運賃の制度をやはりもう少し変えていただかなければなりませんし、さっきお話があったのでございますが、運賃のダンピング防止とか、あるいはまた運賃を非常に値切られるという点もあるかと思います。そういう点で、運輸省のほうで、最低運賃というものを、認可運賃のときにはどういうふうにそれらのことを考えてきめられておるのでしょうか、ちょっと運輸省の方にお願いしたいと思います。
  33. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 お答えいたします。  運賃道路運送法で、適正な原価というものに基づいて算出いたすわけでございます。したがいまして、所要の経費というようなものを全部、人件費それから車両運行に伴う経費、利潤、そういったものを全部含めまして運賃額を定める。先ほど来出ておりました、その際のその適用方法でございますが、トン建てにするとかあるいは一車幾らでやるとかというようなことにつきましては、先ほど来お話が出ておりましたが、先般の運賃改定、つまり現在の運賃制度におきましては、トン建て運賃にいたしておるわけでございます。
  34. 片岡清一

    ○片岡委員 もう時間が来たようでございますので、最後に、やはり車のつくり方ですね、そういうことが当然行なわれるようなつくり方では困るので、この車のつくり方について、これは通産省でしょうかあるいは運輸省でしょうか、それらの問題について最後にお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
  35. 景山久

    ○景山説明員 整備部長でございます。  車の最大積載量をきめますときには、車の骨のじょうぶさだけではございませんで、先ほど来参考人の方からお話が出ておりましたハンドルのとりやすさといいますか、安定性と申しますか、あるいは大事なブレーキのきき方の問題と申しますか、こういったようなところを総合的に全部見まして、一番弱いところで積載量を実はきめております。でございますので、骨だけじょうぶだからといいましてたくさんの積載量を出すというわけには実はまいらないわけでございます。  それからもう一つ、車が非常にじょうぶ過ぎるというお話がございました。確かにあるいは骨はじょうぶになっているかと思います。と申しますのは、欠陥車の問題その他いろいろございますので、間違っても故障しないような車、設計、だんだんそうなってきておりますので、そういった意味では、骨はたいへんじょうぶだということになっておるかと存ずる次第でございます。
  36. 片岡清一

    ○片岡委員 それではこれで終わります。ありがとうございました。
  37. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 先ほど片岡先生に対する御答弁で、現在の運賃制度をトン建てと申しましたが、全く私の言い間違いでございまして、従来のトン建てを車両建てに改めた、こういうことでございます。たいへん失礼いたしました。訂正いたします。
  38. 久保三郎

    久保委員長 重大な間違いじゃないか。委員長として注意しておきます。  野坂浩賢君。
  39. 野坂浩賢

    ○野坂委員 きょうは、貨物自動車の過積みによる事故防止対策に対する点で参考人の各位においでをいただいたわけでございますが、皆さんのお話を聞いて、これから交通事故防止する、そういう施策の参考になったと思います。  さらに突っ込んで皆さんに一々質問をしたいと思いますが、いまのお話の中で、過積みが一番事故になりますし、さらに過労運転、こういうことが事故につながる、こういうお話がございました。  そこで私は、過積みをして運転をされる運転手泉沢さんに初めお尋ねをいたしたいと思いますが、この過積みは自発的にされるものか、あるいは経営者から要求をされるのか、そして荷主から要望されて積むのか、これと、賃金については歩合制なのかあるいは月給なのか、さらに日給なのか、泉沢さん自体のこともそうですが、多くの仲間のいらっしゃるそういう点を考えていただいて、これらの点についてどのようになっておるのか、お尋ねをしたいと思います。
  40. 泉沢謙三

    泉沢参考人 前後しますけれども賃金のほうから先に御説明したいと思います。  いま申しました三本の賃金、歩合制なのかあるいは固定給なのか、それとも、要するにトン数でとっているのかという、何トンどこまで走ったら幾らといういわゆる受け取りですね、そういう三つのやり方があると思います。その会社あるいはその組合、いろいろありますけれども、その三つともあると思います。  たとえば、先ほど全交運の方が言いましたように、まあ大阪まで一万五千円なら一万五千円という約束だとか、何トン運んだから幾ら、たとえば、これは例をあげますと、リースにもつながる問題ですけれども、特殊な状態ですけれども、生コンクリートというのがございますね。コンクリートミキサー車、あの会社に長く働いていた人たちが、車両の古くなったのを安い値段で会社から買い受けるか、あるいは損料を払って借りるかして、立米当たり幾らで輸送しているというのが事実あります。そういう賃金の立て方もあります。一立米当たり幾らだといいますと、これは量に対しての賃金ですね。  それから、一般的には固定賃金でございます。私の場合はそれ以外の賃金、いわゆる固定賃金と申しましても、時間給的な日給月給的な賃金でございますけれども、そういう賃金以外では私は働く意思がありませんので働いておりません。  それからもう一つは、過積み、これは当然そういう、先ほど申しました特殊な事情のある人ですね、コンクリートミキサーの場合、そういうふうに何立米幾らでもって請け負っておるという場合は、これは自主的にやる場合もあるでしょう。そういう一部の人はあるでしょうけれども、少なくともよけい積んでよけい危険な思いをしても同じ賃金なのに、みずから進んで積む人間はいないと思います。当然これは、私たち荷主と直接的な関係はありません。ですから、直接的には会社から積めと言われて積んでいるというのが現状です。  以上です。
  41. 野坂浩賢

    ○野坂委員 時間がありませんから、ごく簡単に答えていただきたいと思うのですが、過積みというのは法律違反ということになりますね。つかまった場合は、これは罰金を払わなければならない、こういうことになっております。自分が自主的に積まないのに、いまお話があったように、経営者から言われて積まざるを得ない。その場合にはどうしても積むんだが、つかまれば罰金。この罰金は運転者がお払いになっておるのか、経営者がお払いになるのか、どうでしょう。
  42. 泉沢謙三

    泉沢参考人 まずそれは道交法違反でございますので、当然その車両運転した運転手がその罰金を払います。そのほかに、先ほど出ましたように、経営者に対して、そういうことをさせていることによって、これは運輸省の方、よく御存じだろうと思うのですけれども、いろいろな規制措置があると思います。しかし、われわれは少なくともつかまれば必ず運転手は払わなければいけないということだけは事実です。
  43. 野坂浩賢

    ○野坂委員 会社は見てくれないんですか。
  44. 泉沢謙三

    泉沢参考人 それは、その会社労働組合等がありまして、会社の要請でもって積んだんだから、その運転手に課せられる罰金は会社が払いなさいという協約ができていれば、会社は払うでしょうけれども、そういうのができているところは少ないと私は思います。
  45. 野坂浩賢

    ○野坂委員 田井参考人にお尋ねします。  いまお話が泉沢さんからありましたが、非常に重大な問題ですし、国民の生命、安全にもつながる問題であります。したがって、先ほども若干お話がありましたが、労働者の中でそういう過積み、過労、そういうものをしないように、運転者みずから拒否するように、そういう指導をされておると思いますが、その状況と、それがなぜ今日このように実施ができないのか、その原因をお話を聞きたいと思います。
  46. 田井二郎

    田井参考人 お手元に第八回の交通安全国民会議資料を持ってまいりましたが、そこの中にも、うしろのほうに例を書いてありますが、ある労働者が、おれは過積みをしないのだと言って荷主さんの庭先で断わりました。そうしたら、その運転労働者は、会社に呼びつけられまして、おまえはうちの会社の信用を傷つけたという理由で首になりました。こういうことが起きているわけです。  もう一つは、そこの写真にも出ておりますが、レミコン車が過積みを強要されるために、私は過積みをしておりますという看板を掲げて走ったのです。これは私たちがつくった絵ではございません。過積みをしているから取り締まりをしてくれといって走りました。そうして都内の警察に行きまして、おまわりさんに、私は過積みをしておりますということを申告をしたわけですが、検量計がありませんでしたので、そのまま走ったわけであります。したがって、そういうことになりますと、使用者のほうは、おまえたちはりっぱな口をさくけれども、世の中というのはこれは常識なんだからと言って、結果的には労働者が過積みをしないあるいは交通安全にわれわれは協力していかなければならないんだというその勇気というものは、そこから鈍ってくることは事実であります。これは五年前のことでありまして、それが今日どのように変わったかと申しますと、今日の段階もいささかもそれは変わっておりません。いまだにこの過積み問題は私たちの中にあるわけであります。  その原因は何かと申されますが、先ほど泉沢参考人のほうからも述べられておりますように、まず私たち賃金の問題であります。私たち賃金が低いということもありますし、もう一つ賃金の払い方の問題があります。いわゆる歩合い制度になっておる。余分に積めばお金が少しでももらえるということ、結局、自分たちの低賃金をそこでカバーをしようという考え方、これがあろうと思いますし、それからやはり先ほども申し上げましたが、ほとんどの企業が、非常にわずかな台数でもって、十台ぐらいのもう零細企業でありますので、一つ荷主さんがそのことで逃げるということになりますと、もう企業の生存がそこで危うくなりますので、どうしても荷主さんの言うことを聞いてということに私はなっておるんではないかと思います。いずれにいたしましても、過積みをなくすためには、もっともっとこれらの問題について国民的にこれの監視の目を強めてもらいたいと思います。  そのためには、私たち運輸省にこれまで何年もお願いしましたのは、過積みをすればどこかでランプのつくような構造の車をつくってほしい。そうすれば、荷主さんのところに行って、ランプがつけば、荷主さんに、もうこれは過積み車になりましたから、こういうことをすると違反になりますのでと言って断わることもできるんじゃなかろうかと私は思うのです。現状の中では、過積みをしているかしていないかということは外から見たのでは全くわかりませんので、そういうことをして、これは非常に日本的だと思いますけれども、私たちは、やはり自分たち交通安全あるいは事故をなくそうということを積極的に進めるとするならば、やはり私はそういうような方式をぜひともとっていただくことを、いままでお願いをしてきた次第であります。
  47. 野坂浩賢

    ○野坂委員 いま田井参考人がお話しになったように、この過積み問題は事故につながるということは周知の事実であります。いま具体的にお話がありましたように、スピードを出すときにはランプがつくような仕組みになっておりますし、この間交通安全委員会質問の際私も申し上げまして、佐藤政務次官でしたか、そういう過積みになればランプがつくようになる方法を考えるということでありましたが、その後どのように検討し、いつごろから実施をするように考えておるのか、関係の、小林さんですか、だれですか。
  48. 景山久

    ○景山説明員 お答えいたします。  警報装置でございますが、警報装置をつけますときには、まず荷物の目方と申しますかこれがはかれないといけないわけでございます。現在、先ほどお話がございました骨材のようなもの、つまりいわゆる荷台を持ち上げますダンプでございますと、持ち上げる機構のところで目方をはかる方法はございますので、自重計というのを装置しておるわけでございます。ところが、普通のトラックでございますと、しかもその荷物が水のように一様に広がるものでございましたらよろしいのでございますが、荷物積みようによりまして、荷台の前のほうに積んだ場合とかあるいはうしろのほうに積みました場合と、こういう荷物の位置によりまして車輪に対します目方のかかり方がすっかり変わってしまいます。こういう場合には、実は現在のところ目方のはかりようがないというのが状況でございます。何とかしてそういったことでできないだろうか、あるいは直接的にその荷物の目方をはかる方法はないけれども、何か間接的な方法でもないだろうかということを技術的に検討するようにいま考えておりますけれども、本日現在では、ダンプのように荷台を持ち上げるもの以外ではちょっと方法がないというのが本日現在のところでございます。
  49. 野坂浩賢

    ○野坂委員 研究中ですか。
  50. 景山久

    ○景山説明員 はい、そういうことでございます。
  51. 野坂浩賢

    ○野坂委員 トラック協会専務理事さんですね、あなたのお話を聞きますと、非常にPRをし、チラシやステッカーをつくって教育、啓蒙しておる。トン建てを車両制の運賃に切りかえたということでありますが、一向に過積みというものは減らない。いま田井参考人なり泉沢参考人のお話を聞きますと、もし積まない場合は生活に重大な影響がある、めしの食い上げになるというような話までされております。きのうのテレビを見ておりますと、あなたでしたか常務さんでしたか、トラックの過積みは例外で、あんまりしていないというような話でしたけれども、NHKの放送記者に鋭く詰め寄られて、最後は相当あるというようなお話でしたけれども、いま相東運輸の車輌部長さんですか、自動車の仕組みが悪い、構造が悪いというような話もあって、これであれば現実に過積みはなかなかなくならない、こういう話でした。特に参考人のお話の中で、二倍半ないし三倍は積んでおるのだというお話でしたが、どのように業者に向かって教育をしており、また荷主にどのようにお願いをされておるのか。もしそれが全部なれば、運転手自分が過積みをしたくないのに積んで、罰金は自分が払って行政処分を受ける、こういうところに追い込まれておるということの現実をあなたは知っておられると思いますね。知っておられてそれをあえて経営者の皆さんがやらしておるというところには、あなた方の指導性なり監督というものはきわめて不十分だ、こういうふうに私は聞いて感じたわけでありますが、それについて会議を何回開かれても効果がなければ、どのように処置をし指導をされるのか伺っておきたいと思います。
  52. 武藤儀一

    武藤参考人 武藤でございます。お答えいたします。  この過積みの問題は、実はトラック輸送というものは終戦後非常に活発になりましたのですが、その時分は過積みという問題は、その時分でも法律違反ではあったのですが、あまり社会的に問題にはならなかったわけなんですが、事故防止問題に関連いたしまして、ここ十年ぐらい過積みの問題につきまして世論も非常にきびしい、業界の中でも過積みをやって事故を起こしたらえらいこっちゃというようなことで、ここ十年来そういう問題に取り組んできたわけでございます。ただ、業者団体としましてどこまで業者に強制力があるかといいますと、これは強制力はないわけなんです。要するに業者の自覚を高める、意識の向上をはかっていくと、良識ある人はそれに従ってくれる。ところがもう役所の言うことだろうが協会の言うことだろうが、おれはもうけなければめしが食っていけないのだという方には、どうにも手のつけようがないわけなんです。業界全体としてなるべく良識のある人をふやしていく、過積みはしないのだ、やらないのだという方向にしむけていかなければならない、私はこう思っているわけですが、それでどうにもそういう指導にうまく乗らない人たちの問題が一つあるわけなんです。ゆうべのテレビに出ましたように、二倍とか三倍とか積んで走っている、これはもう最後は交通警察の取り締まりより私は方法はない、こういうふうにこの問題ずっと考えておりまして、私は最終的にはそういうふうに考えておるわけでございます。  それで過積みの問題で、これは荷物の性質によりまして過積みの起きない荷物があるわけです。極端な言い方をしますと、木製の家具でしたら、これは空気を運んでいるようなものですから、一ぱい積んだって過積みは起きない。ところが鉄材だとか材木、それからその次が砂利、それから紙パルプ、これは、大きさのわりに重量が非常にかかるというものについては過積みという問題が頻発して、常態的に起きておるわけなんです。私どものほうではいま鉄鋼輸送につきまして一番この問題を取り上げておるわけなんです。東京、名古屋、大阪、福岡、これは鉄鋼輸送がかなりありますので、そういう面では鉄鋼輸送部会では非常にやっているのですが、それは業者同士の申し合わせなんですが、申し合わせに、表向きは賛成される、裏ではそんなことは関係なしにおやりになっているという方もあるわけでございまして、それは最終的に締める方法としましては、権力といいますか、いやなことなんですが、やはり交通警察のお力を借りなければ結論が出ない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  53. 野坂浩賢

    ○野坂委員 あなたのほうは指導するけれども、言うことは大半聞かぬ、聞かなければ警察庁のほうにやってもらう以外ない、こういうお話ですが、そういう聞かない業者に対しての措置として、警察庁に通報されて、そういう取り締まりを強化してもらうあるいは指導してもらう、こういう措置をとられたことが、この一年間どのくらいあったでしょう。
  54. 武藤儀一

    武藤参考人 それは一番最初にお話ししましたように、東京の鉄鋼輸送部会ですか、こちらのほうでは、警察に出てもらいまして、それで、これも毎日は警察のほうも出ていただけませんものですから、月に一回とか二回とか取り締まりをやってもらっておるわけでございます。(野坂委員「何件ぐらいありましたか、ざっとでけっこうなんですけれども」と呼ぶ)私、表として持っておりますのは、昨年の五月九日からことしの二月七日までなんですが、大体月に一回、二回程度東京の街頭検査をやっておるわけでございまして、それで現認車両が六百八十一台、そのうちで、過積みをやっておった車両が百六十九台、この百六十九台の中には、営業車だけではなしに、自家用車がかなり入っております。  それからもう一つは、名古屋で、どうも過積みをやっておるんじゃないか、非常に運賃を安くやっている、トン建ての運賃で極端に安くおやりになっておる方があるのですが、それでは全然どの業者がやったって採算が合わない。そうすると、方法は過積みしかないのじゃないかということで、陸運局のほうで監査してもらったことがあるのです。ところが、その会社自身には、そういう面では出てこない。下請の事業者を使っておやりになっているんじゃないか、といいますのは、普通の中小事業者あるいはもぐりの白ナンバーのトラック、こういうものをお使いになっているんじゃないか、私どもはそう推測しているのですが、そこの先のほうまでは、私どもまだ手が伸びておりません。
  55. 野坂浩賢

    ○野坂委員 警察庁のほうに聞きますが、いまのお話では非常に不明確なんですが、PRをし、指導する、しかし現状として、運輸会社のほうはあまり言うことを聞いてくれない、そういうものについては警察庁の取り締まりにまたなければならぬ、それは通報する。どの程度通報されて、どの程度出動し、取り締まりをやられたのか、具体的にお話しをいただきたい。数字があれば示していただきたい。
  56. 加野久武男

    ○加野説明員 民間からの通報によりまして過積み車両を取り締まったケースは、ただいま数字は持ち合わしておりませんけれども、警察で検挙いたしました数は、年間約十六万件ぐらいあると記憶いたしております。  なお、この過積みについて申し上げますと、先ほど田井参考人も体験を御発表になったわけですけれども、これを法律違反として検挙して刑罰を科するということになりますと、重量を測定して、そういう厳密な証拠を添えて法廷に出さなければならぬということで、これを取り締まるのにかなり時間がかかるわけでございます。しかし、そういう困難をも克服して、多数重量計等も整備し、今後とも鋭意取り締まるつもりではございます。  なお、警察が、年間あらゆる交通違反を検挙いたしております数は七百三十万件にも達しておりまして、全ドライバー二千九百万でございますので、四人に一人ぐらいは御指導申し上げておるということに相なりますが、ここで過積みをさらに警察の取り締まりによって大いになくせよという御意見があるようでございますけれども、私どもも、今後ともその方向では努力はいたしますけれども、取り締まり件数もかなり伸びておる、つまり交通警察活動もまあ弓のつるをぎりぎり引きしぼった状況で取り締まりを実施いたしておる状況でもございますし、この過積みの取り締まりの技術的な問題点というのもある点を御了承いただきたいと思います。
  57. 野坂浩賢

    ○野坂委員 時間がありませんから先を急ぎますが、相東運輸の鎌野部長さんにお尋ねをしたいと思います。  私も、参考人のお話を聞いておりまして、過積みはやむを得ないのだ、まあ車両の製造について、積めないようなものをつくらない限り、それは過積みがあり得る、こういうお話でしたけれども運転手さんの場合あるいは田井参考人の話、こういうものを総合してみますと、運転者は好まないし、拒否したい。しかしできない。しかし荷主とは直接関係がないから、経営者だ。こういうことに、盤を詰めていくとなってくると思います。  そこで、経営者のほうは、過積みをすれば道交法違反、運転手は罰せられる、こういうことは十分承知で、また先ほど述べられた泉沢さんの心境、これは全国の運転手の皆さんの心境だと思うのです。その心境の上に立って、運転手さんの気持ちに立って、企業の利潤追求だけではなしに、人間の命、それはやはり大事にしていくという、そういうことがいま国民の希望し期待するところだと思うのです。経営者としては、反社会的なそういう進め方が、過積み事故、人命の喪失ということになっておるわけですから、過積みはしない、しない方向で、運転手が拒否をしても、それは当然だ、荷主のところへ行って積まない、こう言って拒否しても、ほめさえすれ、それを首にするというようなことにはしないというような方向を今後とっていかなければ、この過積み問題は解消しないと思うのですが、やはり問題は、経営者のあなた方のところに一番しわが寄ってくるというふうに思うのですが、これに対して経営者として、過積みは今後一切、運転手に強要もしないし、命令もしないし、また、拒否をしたらそれは当然だ、こういうふうに指導していく、こういうふうにお考えになりますか。
  58. 鎌野本保

    ○鎌野参考人 お答えいたします。  てまえどもでは、現実に鋼材、雑貨あるいは千差万別の作業を扱っておりますが、過積みは一切やっておりません。ここにおられます労働組合の方、協会から、運転手六名ほど来ておりますが、これに尋ねていただければわかりますけれども、過積みは一切てまえどもではやっておりません。  賃金体系も、歩合ということは一応給与体系の中には入っておりますが、その歩合の立て方というのは、一日車に乗った場合には幾らであるという立て方で、売り上げに対するものの規制はしておりません。もちろん、先ほど申し上げたようなことで、われわれはやはり下請としまして、ものを運ぶ立場にあり、いまもおっしゃられたような過積みの場合における事故、いろいろなもの、事の重大さを考えますれば、やはりわれわれは、いま取り締まり当局の方が申されましたが、現実の問題としてわれわれが見た場合、幾ら取り締まり当局が目をさらにして取り締まっても、現状の車の数からいけば、絶対に取り締まりは一〇〇%できないと思います。したがいまして、まず第一段階にやることは、先ほど申し上げた車両の製造上の問題、こういうことから解決していただきたい、かように思います。
  59. 野坂浩賢

    ○野坂委員 私は、いま車両の製造工程その他の問題はあったといたしましても、問題は、経営者が、いわゆる過積みをしない、そういうことを明らかにして、運転者労働者の皆さんに徹底をする、そのことが道義的に一番必要だし、いま社会的に最も希求されておる、こういうふうに思うのですが、そういう運動を、せっかくここにおいでになったのですから、鎌野さんが先頭に立ってでもやってもらう。その方向でやっていただけますかということなんです。簡単に……。
  60. 鎌野本保

    ○鎌野参考人 社内的にはもちろんやっておりますし、出入り業者あるいはてまえどもの親会社、こういうものにもすべてそういうふうな方法で、賃金体系、そして過労ですか、こういうものはなくすような方法で現在やっております。
  61. 野坂浩賢

    ○野坂委員 重國部長にお尋ねをしますが、いまの話の中で、過積みになり過労になるというのは、賃金関係から、歩合制となり、歩合制がリースになって、そしてより以上に走っていく、そこに過労と過積みが生まれてくる。それともう一つ、やっぱり運賃という問題が表面に非常に出てくるように思います。運賃が安い。認可料金の最低のものしかもらっていない。だからどうしてもよけい積んでかせがなければならぬ、そういう気配が非常に感じられます。あなたのところでは何千トンというかっこうでこれを元請にするということですけれども、いまお話があったように車両制とトン建てと二つあって、トン建てをやめて車両制にする、車両運賃を採用するということが話として出ております。おたくのほうもやはり車両制で運賃の建て値をするというような姿をとっていく。というのは、いまお話のあったように、砂利とか砂とかそういうものはダンプが非常に多いということなんですが、鉄材も比較的多い。あなたのような大きな会社はそういうことはきちんきちんとなさっておるのですけれども、全般的に右へならえということになってくるわけですし、協会もそれをいい、経営者もそれを要望しておるわけですから、やっぱり過積みをなくする、こういう立場運賃の設定については車両運賃というのが、当局もそれを指導しておるわけですから、今後その方向が望ましいと思いますが、どうでしょう。
  62. 重國昭夫

    ○重國参考人 いまおっしゃいました車扱いの運賃の問題でございますが、私どもは現在はトン建てでやっております。車扱いの運賃問題については、正直に言いまして、いままでそれほど深くは検討しておりません。ただ、結論から言いますと、そういう車扱いの運賃体系というものは、私ども会社だけではなく、これはある程度商慣習がございますので、今後業界として考えるべき問題一ではないかと思っております。  まあそれだけでいいのですけれども、車扱いの場合に、今度は逆に積載トン数が落ちるということを、コストを構成しますので、その面を考慮しながら考えていかなければいけないのじゃないかと思っております。
  63. 野坂浩賢

    ○野坂委員 時間が参りましたのでやめますが、最後に一つ。  今般、交通事故の発生を絶滅をしていくために皆さんにおいでをいただいたのですが、問題は、運賃の問題もございますが、特に歩合制なりあるいはきょう話を聞きました受け取りというのがありますね。東京から大阪に行く、幾ら、こういう受け取り制が事故一つ原因になっておると思いますので、協会としてはできるだけ固定した賃金と、やっぱり食えるだけの賃金ということを指導する。同時に協会それ自体が、経営者の皆さんに対する車両運賃なり荷主についてのPRも非常に足らない、こういうことが明らかになったと思います。  特に荷主の皆さんにお願いをしておきたいと思いますが、お話があった白トラですね。白トラは営業することはできないわけですから、白トラ等は使わないということをそれぞれの部会なり協会で十分御検討をいただいて、それに協力をしてもらう、こういうことが望ましいと思います。特に自動車局長の小林さんにもお願いをしておかなきゃなりませんが、申し上げておきますが、白トラの取り締まりというのは非常に弱さがあろうと思います。そういう点については十分配慮をされて、取り締まりの一そうの強化なり協会指導、これを強く要求をし、要望をして私の質問を終わります。  最後に一つだけ質問しておかなきゃなりませんが、こういうものを私たちの仲間がたくさん持ってきております。これは過積みを排除してもらいたいという全国の運転手さんの声であります。きょうはこのぐらいしか持ってきておりませんが、これはこの部屋の四分の一ぐらい積んであります。あすから衆議院なり参議院に積み込みますが、こういうのが全国の運転者の声でありますから、十分理解をしていただいて、運転者の声をぜひ実現をしていただきたいと思います。  この中にはこういうことが書いてあります。いまお話があったように、運転者の皆さんは過積みをしたくない、拒否したいけれどもできない、検挙をされれば罰金も行政処分も受けなければならない。だからもし過積みをして拒否ができない場合には、そのまま警察に持っていけば、まあ過積みを届けるというかっこうになりますが、届けた場合はいわゆる行政処分なり道交法違反に問わない、こういうことにでもしてもらわなければ運転者は助からない、こういうふうに言っておるのがその声であります。それについては当局はどのような見解をお持ちか。現在の法律は非常にむずかしいのですが、それについて検討すべき一つの今日的状況にあろうと思いますが、これについての見解を承っておきたいと思います。
  64. 加野久武男

    ○加野説明員 刑法総則にも、罪を犯して自首いたした者につきましては刑を減軽するというような規定もございますし、その辺参考にして御趣旨の線に沿って善処すべく検討いたしたいと思っております。
  65. 野坂浩賢

    ○野坂委員 犯意がないものはこれを罰せずということが刑法にも書いてあるわけですが、そういう意味で、これを絶滅をするという意味で努力をするわけですから、そういう言い方はきわめて不自然ですね。そういうことについて罰しないという点については、これから検討されるわけですね。
  66. 加野久武男

    ○加野説明員 はい。
  67. 久保三郎

  68. 紺野与次郎

    ○紺野委員 きょうは、参考人の方々がいろいろ立場の違いで、組合の方々のお話と経営者の側の話との間にかなり大きな矛盾があるように思います。そして実際にわれわれが公平に考えてみて、過積みのほんとうの根本原因、ほんとうの責任が荷主業者の側にあるということをわれれれ判断せざるを得ません。特にこの点について、政府のほうの方々の判断ですね。過積みのほんとうの原因はどちらの側にあり、そして根本的にはどこに原因があるというふうに判断されたか、それをちょっとお聞きしたいと思います。
  69. 須藤博忠

    ○須藤政府委員 過積みにつきましては、ただいま参考人の方からいろいろ御意見の開陳があったわけでございます。この問題につきましては、やはりいろいろなケースがあろうかと思います。ただ、ただいまのお話を承っておりますと、ドライバー、運転者の方が進んでやっておられるということは、これは相当な危険も負担をするわけでございますから、やはりそういう場合は少ないのではなかろうかというふうに私考える次第でございます。
  70. 紺野与次郎

    ○紺野委員 実際に資料その他によりますと、過積みの七〇%は、これは会社荷主側の圧力によってそうさせられている。だからほとんど過半数が、七割もそうであるということは、会社側と荷主の側で過積みということを営業方針としている。営業の方針としてそういうことを採用している。そしてそれに反対する労働者に対しては、これを首切るということまでしている、さっき実例が出ておりましたけれども。そういう点から見て、これを営業方針としてこのような圧力を労働者側にかけないということを、武藤さんにお聞きいたしますけれども、そういうはっきりした指導をとられるかどうか、この点についてちょっとお聞きしたいと思います。
  71. 武藤儀一

    武藤参考人 過積みの問題は、先ほど最初に申し上げましたように、事業者自身も好んで過積みをやっている事業者というのはほとんどないと思うのです。問題はその事業者自身の、自分のところの会社の採算、経営を成り立たせる、会社がつぶれてしまっては従業員の生活の問題もありますし、会社としてなくなってしまうという問題があるものですから、どうしても業者間の競争が非常に激しい。お互いに荷主さんの取り合いをしなければならない。よそさんより安い運賃でということで、荷主さんから安い運賃荷物をもらってくる。さて荷物をもらってきたけれども、その運賃会社を成り立たせなければならぬというところから、そういう過積みという問題が起きている事業者のほうがはるかに、ほとんど大部分だ。その結果が、しわ寄せが運転手さんに非常に御迷惑をかけるという形になっていると思います。  私ども、この過積み防止の問題、先ほど申し上げましたように、四月四日の協会会議で、やる方向というものをきめましたので、これからそれを進めていきますのには、一つはまず業者のほうが過積みはやらない。やらないということは運転手にも命じないということにもなるわけなんですが、それと同時に会社も成り立たないと困るわけなんで、やはり荷主さんのほうにお願いして、過積みをしなくても会社が何とかやっていけるような運賃荷主さんのほうからいただきたい。まあ認可運賃をいただければ、それで一応やれるはずなんですから、そういう運動と両面相まって運動を展開していきたい、こう思っておるわけでございます。
  72. 紺野与次郎

    ○紺野委員 この過積みの問題がしかし非常に大きな社会問題になってきている以上、やはりトラック業界の体質そのものに根本的なメスを入れて、そして抜本的に改革する問題と、それからそういう方向に事態を急速に進めるためにやるべき緊急の対策ということが、両面必要じゃないかと思うのです。特に緊急の問題として、先ほどからいろいろの参考人のお話や何かから見て非常にふしぎに思う点は、過積みをやってそして一応罰金をとられるケースが一万件ほど、四十七年度の報告がありましたけれども、その中で業者が三・九%しか処罰されない。ですから、両罰規定があるにかかわらず、業者のほうに対してはほとんど処罰されないというこの点は、一体どういうわけでそうなのか、これについて、当局のほうとそれから武藤さんと両方の御意見を聞きたいと思います。どうしてそういうように労働者のほうだけが罰金やその他の処罰を受けて、業者のほうはほんのわずか三・九%しかそういう罰を受けておらないのか、この相違、これがどこから生まれてくるのかということです。
  73. 加野久武男

    ○加野説明員 私どもといたしましては、過積みをした運転手の責任を追及するのみならず、それをもし下命、容認した運行管理者がおれば、そういう者の責任追及をするよう指導いたしておるところでございますが、取り締まりを受けた運転手も、自分雇用者について命じられたという旨をなかなか証言いたしにくいというような状況もございまして、下命、容認した者はもっと多数あると思われますけれども、まだまだそのほうへ検挙の手が伸びていないというのが実情でございます。
  74. 武藤儀一

    武藤参考人 道交法によりますと、下命、容認した者、経営者のほうも処罰されるようになっているわけでございまして、その比率が非常に違うというのは、私にはどうしてそういうふうになっているかよくは存じませんですが、おそらくいま課長さんがおっしゃったように、運転手さんが遠慮して、命ぜられたんだということを警察に証言されないケースがかなりあるんじゃないか、そういうふうに感ずるわけでございます。  それから、道交法の改正のとき、この下命、容認した者を処罰するという道交法の改正がございましたが、そのときに私ども業界としましては、荷主さんから要求される場合が出てくる、だからそういう過積みを強要したような荷主さんがあったら、荷主さんも処罰されるように一緒に改正していただきたいというような要望も申し上げたのですが、荷主さんの関係道交法改正のときに取り入れられなかったわけですが、そういうような関係がございます。  以上でございます。御答弁になりませんですが……。
  75. 紺野与次郎

    ○紺野委員 この点について田井さんにもちょっと、いま言われたことがほんとうに実情を反映しているかどうか、御意見をお聞きいたしたいと思います。
  76. 田井二郎

    田井参考人 私ども現実数字で示されたとおり三・九%しかございません。これは警察当局の取り調べの結果でありますので、その内容について私どもは口を差しはさむ意向は持っておりませんが、現実会社から命ぜられたんだ、あるいは容認してやったんだということを言えるような仕組みでないということもあわせて申し上げておきたいと思います。と申しますのは、そういうことを言って帰った場合に、その労働者はその職場におれるかどうかという問題になります。せめて自分だけが罪をしょいかぶって、あるいは罰金を払っておけばということが意識としてまず起きるのではなかろうか、そのようなことを私どもは考えておるわけであります。
  77. 武藤儀一

    武藤参考人 先ほどのお話でございますが、その過積載で処分された運転者の方々のうちには白ナンバーの運転者の方がかなりあるんじゃないか。私、数字は分析しておりませんのでよくわかりませんが、たとえば一台持って砂利トラをやっている、こういうような方が過積載でやられる、そうしますと、経営者といいますか下命、容認した事業者というのは対象にならないわけでございまして、そういう数字も中に入っている、こういうふうに考えられるわけでございますが、過積載、かなり砂利トラなんかでやられておりますから、そういう関係もあるんじゃないか、私はいまそういうふうに想像するわけでございます。
  78. 紺野与次郎

    ○紺野委員 とにかく、いずれにせよ非常にわずかのパーセンテージしかあらわれてこないということは、やはり業界の過積みは当然だ、先ほど話がありましたけれども荷主さまは神さまであるというふうな考えから、やはり一貫して荷主業者立場というものは非常に強くて、労働者の側が非常に立場が弱いということを、非常によくこの過積みの状態はあらわしていると思います。ですから、過積みをほんとうになくそうとすれば、その荷主及び業者のほうの営業方針として、そういう過積みは処罰されるということをほんとうに徹底的に、やはり業界としてもその方針をはっきりさせると同時に、取り締まり当局のほうでもっときびしい態度をとることがなければ、これはほんとうに空語に終わってしまうというふうに感ぜざるを得ないと思うのです。  それから、具体的な話ですけれども、高速自動車道のインターチェンジは三十五カ所この付近にあるうち、わずか十カ所だけにいわゆる計量計があって、その他はほとんどないというふうな状態が現実である。これは西ドイツではそういう状態はもうないんだということ、先ほど話がありましたけれども、これを大至急やはりすべてのインターチェンジ及び国道の幹線道路の主要なところに計量計ですね、これをやはり大至急すべて設備を整えるということをやるべきであると私思いますけれども、これについての当局の考えはどうですか。
  79. 菊池三男

    ○菊池政府委員 ただいまの御質問に対しまして、実は道路のほうの側といたしますと、ただいまいろいろお話がございました交通の重大な事故につながるという問題と同時に、道路の構造の保全という意味からも、やはりオーバーロードの過積載車が通りますと舗装がこわれあるいは橋梁に穴があくということになりますので、その両方あわせて私どもは非常にこの過積みの車に対しては何とかこれをなくしたいという気持ちでおります。したがいまして、ただいまお話しの高速道路におきましては、従来ございます名神高速等につきましてはまだ全部ついておりませんけれども、新しいものにつきましては初めから交通の多いところにはつけております。非常に少ない特殊なところを除いて全部つけております。それから名神高速あるいは東名というように前にもうでき上がったものにつきましても、いま鋭意重量計を設置するということで、四十七年度、四十八年度、あるいは四十九年度というふうに、まだ二、三年かかるかもわかりませんけれども、早急に設置するという方向で進んでおりますし、また主要な幹線国道につきましても、これは実は警察でつくっておる台貫所もございますが、私どものほうの道路管理者といたしましても、それを場所をつくって設置いたしまして、実際の取り締まりはこれは私どもだけではできませんので、警察のほうの方と一緒にお願いしてやっておりますけれども、そういうものの増加の設置工事は早急に進めたいというふうに考えております。
  80. 紺野与次郎

    ○紺野委員 大体一カ所どれぐらいの予算でできるものですか、計量計は。
  81. 菊池三男

    ○菊池政府委員 これは規模によって違うと思いますけれども、私、聞いておりますのは、台貫所のはかりだけで約五百万円くらいと思います。ただ、それよりも一番問題になりますのは、その場所、用地でございます。高速道路ですと、インターチェンジの料金所のブースの横につくるというふうなことができますけれども、一般道路の場合は、そういう車を引き込んでどこかのあき地へ持っていってそこではかるというようなことになりますので、最低千平米ぐらいはほしいということで、いま台貫所をつくるときには千平米ぐらいは確保するようにという私ども通達を流しております。その用地取得のほうが、特に都会近辺になりますとお金としては大きいかと思います。
  82. 紺野与次郎

    ○紺野委員 あと二、三年というのを、ちょうどこういう世論が持ち上がったときでありますから、できるだけ早く年度を繰り上げてこれを全部設定できるように、ひとつ努力してほしいということを要望いたします。  それから運賃の体系についてですけれども、やはり運賃のダンピングはやられるとかいろいろそういうことも一つ原因であるということがいわれておりますけれども、大企業の場合、新日本製鉄の場合にも、先ほどの話では、たしかトン当たりで運賃をきめると、こういうふうに言ったと思いますけれども、これがやはり過積み原因になりませんか。少しでも多く積めば多く収入があがるというふうなことで、実際上やはり過積みを奨励する結果になっていないかどうか。
  83. 重國昭夫

    ○重國参考人 先ほど冒頭に申し上げましたように、私ども荷物についても過積みがあるらしいということで、確たる根拠はございませんが、おっしゃるようにトン建てであるがゆえに過積みをすればそれだけ水揚げがあがると、こういう理屈はあると思います。
  84. 紺野与次郎

    ○紺野委員 ですから、そういう業者荷主のほうでも、荷主の側から、自分たちは過積みを奨励していないというふうに言われているけれども、実際にはいま言ったようなトン建てのものでやればそういうふうになるわけですから、そういう点で、やはり荷主の側でも過積みに対するあれが起きないような方針を何らか考えてもらう必要があるのじゃないかというふうに思います。  それから、時間がありませんから急ぎますけれども、この賃金の問題でも、これは田井さんですね、いまのような過積みのいろいろの原因をなくしていく一つの重要な問題として、労働組合の側から見て望ましい賃金体系はどういうものかということをちょっと知らしていただきたいと思います。
  85. 田井二郎

    田井参考人 まず、賃金は時間に対して賃金を払っていただくということがまず第一であります。それから一カ月の固定給を明確にすることであります。そして病気その他就業できなかった場合の最低保障を明確にする。同時に、そういうことから、いわゆる時間に対します賃金でありますので、いわゆる労働時間というものを圧縮をしていただきまして、いわゆる過労運転というのがこの次に控えております元凶でありますので、こういうことのないようにひとつやっていただきましたら、労働者はそんなにがむしゃらに走って、過積みをして走るということはもうその賃金の体系から私はなくなっていくのじゃなかろうか、こう思っております。
  86. 紺野与次郎

    ○紺野委員 このトラック労働の場合もそうですが、タクシー労働でもそうですけれども交通労働者がいま一番不自然な、労働関係としてはむしろ封建性の強いような労働条件に置かれていると思います。歩合制度といい、長時間労働でありまして、資料によるというと、一週間に百時間の労働をする。そうすれば、四十二時間制ということが言われている、その倍以上ですね。そういうふうな長時間労働でやっている。しかも二時間以上の運転はなかなかすべきでないというふうに言われているのが、実際上は四時間も、それ以上の連続運転もやるというような、非常にきつい労働をされていると思います。でありますから、交通労働における封建的なこの状態ですね、これをぜひ近代化するというか、いまの時代に合わせたものに賃金制度や時間の点等々、制度の上からやはり変えるということで、政府の側で、交通労働関係トラック輸送関係を行政指導している側で、このことについて、不自然だ、またその辺を相当大きく変える必要があるというふうな点について、どうお考えでしょうか。いまのままでやむを得ない、しようがないというふうにお考えかどうか。
  87. 吉本実

    ○吉本説明員 お答えいたします。  私どもは、ただいまいろいろお話があるような労働実態ということも十分承知しております。そういうこともございまして、現在の法基準以上の一つの改善基準というものをつくりまして、それによって監督指導を進めておるということでございます。しかも、お話のあるように、実際の監督の場合には、実際に四〇ないし五〇%ぐらいのやはりそれに違反している事実もございますので、まずはそういうところをなくしていくというところを徹底させて、それが済めば、その基準もさらに引き下げる、こういうふうな形で段階的にやってまいりたいというふうに考えています。
  88. 紺野与次郎

    ○紺野委員 これは運輸省の自動車局長さんのほうからも御意見を賜わりたいのです。いま労働基準局のほうのですけれども……。
  89. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 自動車運送事業、タクシーに限らず、トラック、すべて交通労働問題というものが大きなウェートを占めていることは、先生御指摘のとおりでございます。したがって、安全の問題あるいは利用者に対するサービスの問題、すべてこの労働者の作業というようなものが直接結びつくわけでございますので、御指摘のような、その背景にあります労働条件というようなものが適正に行なわれるべきであるということは、私どもも当然と思っております。先ほど主務官庁である労働省からのお話がありましたとおりでございますが、事業そのものの監督官庁である私どもといたしましては、密接な連絡をとりまして、私どものほうの法令の許す限りの範囲内におきまして、こういった問題に関連して監督を強化していきたい、こう思っております。
  90. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それで、このことと関連して、最近、きょう出なかったようですけれども、個人償却制という問題ですね、これが非常にいまどんどん広がっているというふうに言われているんですけれども、これはつまりトラック労働のそういう封建制の強いのに呼応して、経営の上でもたいへん封建制のある形態を採用し始めているのですね。車を渡して、そうして労働者なのに車の小所有者であるかのような錯覚を与えて、そして自分の努力でもって償却を急ぐようなやり方をやらせる。でありますから、これが過積みのまた大きな原因になっております。ですから、このことに対しての労働基準局と自動車局長のほうの、これをどう見ているのか、これをこのまま放任するつもりなのかどうか、その点について御意見を願います。
  91. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 先ほどリースという問題と、それからただいま先生から個人償却制というようなお話が出ましたが、私どもの所管しております道路運送法というものは、これは免許事業といたしまして監督をいたしているわけでございまして、企業内部において、経営者労働者との間でいろいろな賃金支払い形態を定めるというようなことは、本来労使の分野の問題でございまして、直接私どもは関与できないわけでございますが、道路運送法におきましては、権利を得たその経営権と申しますか、名義と申しますか、こういったようなものを他人に貸し与えるあるいは利用させるというようなことによりまして、公的に認められたこの免許に基づく権利の上にいわば特別な利益を得るというような点を、免許制を前提として取り締まる法規がございます。これがいわゆる名義貸し禁止の規定でございまして、こういった問題につきましては、厳重な処分をいたしておるわけでございます。  ただいまお尋ねの個人償却制とかあるいはリース制というような問題については、その名義貸しと非常にきわどい伏線があるいはあるかと思います。こういった点については、やはり実態を個々に判断をいたしまして、名義貸し禁止の規定に抵触する場合には、運輸省といたしましては当然厳重な処分をいたすということに相なるわけでございます。
  92. 吉本実

    ○吉本説明員 お答えいたします。  賃金の問題につきましては、ただいま運輸省からもお話がありましたように、やはり労使で自主的にきめられるというのがたてまえでございます。ただ、先ほど申しました改善の基準というようなことは、いわゆる歩合給あるいはリース制等、非常に労働者の過労等に結びつくような刺激的な歩合給制度というものはとらせないように、特に固定部門については六割程度の保証をする、こういうような形で現在指導を進めているわけでございます。
  93. 紺野与次郎

    ○紺野委員 一応これであれですけれども、やはり個人償却制だとか過積みの問題とか非常に不名誉な、業界としては非常に古い形態の事業のやり方や労働制をとっていると思いますけれども、そういうことをこの際、トラック労働者あるいはタクシー労働を含めて、自動車の労働に関するいろいろのその不自然な形態を、とにかく徹底的にメスを入れて、そして民主化するということを、われわれも努力いたしますから、関係者の方々も大いにそういう方向に努力してもらいたいということで、私の質問を終わります。
  94. 久保三郎

    久保委員長 松本忠助君。
  95. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 参考人の方々、たいへん長時間にわたりまして御意見を拝聴しまして、非常に有益なお話を伺ったわけでございます。  問題は、いろいろといままでの自民党さん、社会党さん、共産党さんの御質問、それにまた答えられた参考人の方々の御意見を伺っておりまして、何ともどうも救いようのない今日のこの過積みの問題でございます。  いずれにしましても、過積みがこうして行なわれてしまったこの事態を何とかして解決しなければいけない、これはだれもがわかっていることなんです。そうしてまた、過積み交通事故につながる、これももうわかっておる。そうしてまた、運転手さん方も非常に過酷な労働をしいられている現状、これも私も理解できる。何とかしてこの過積みの問題を解決しなければならぬのですけれども、とにかく過積みをしないでトラック屋さんも適切な利潤があげられる。運転手さんにも十分な給与が払える。厚生福利施設も十分やってあげられる。しかもまた一方、荷主さんのほうも適切な運賃を払っても収支が成り立つ。当然株主さんにも適切な配当ができる。こういうふうな形が理想なんですけれども、どこかが狂ってしまったわけですね。その狂ってしまったポイントはどこかということをいろいろとお話を伺っているうちに、どうしても私はこれは資本家のほうの利益の追求が過ぎたのじゃないかと思うのですね。資本家が利益追求、利潤をあげよう、そういうところから運賃をたたく、たたかれた会社トラック屋さんのほうはどうしてもそれをカバーしなければならぬ。運転手さん方のほうの給料を安くするとかいうことはできない。こうなってくると何らかの方法を考えなければならない。そこで、最近道路がよくなったというところから過積みという問題ができてしまった。こう私は思うのです。道路が悪ければなかなかそう過積みもできなかったのですけれども、非常に道路がよくなった。たとえばワム十五トン車をかりに三台で分けてとっておったものが六トン車二台でもとれる、交通が非常に混雑してくれば、三台でとるよりは二台でとったほうがいいにきまっている、結局二台のトラックでとる、運転手さんも二人で間に合う、こういうことになってくる。そういったところで何とか当面の荷主さんのほうからの利益追求、運賃値引きに対して対抗する方法を考えて、そこに、やむを得ずトラック会社はそういったことになったのだと思うのですよ。問題は、そのしわ寄せが運転手さんに来てしまう、結局労働条件を無視してやらせられる、自分はやりたくないのだけれども荷主さんが大事な荷主さんだからと言われれば、やむを得ずやらなければならない場合もあるだろうと思うわけです。しかし、それをいつまでもやっていると、今度は罰金の問題が出てくる、これは会社のほうじゃ持ってくれない、やはり自分持ちだ、免許証がよごれる、これはやりたくない。こういうふうなことになるわけでございますから、結局会社のほうでは、いろいろ運転手さん方のお話し合いもあるでしょうが、歩積みの制度をとって何とかうまく切り抜けようとするような、そういうふうなことがある。そうなると、結局この過積みというのがあたりまえになって、こうしてモラルの低下、ここへ来てしまったのだと私は思うわけです。そういうところを考えまして、これは先ほども申し上げましたように、自民党の高度経済成長政策がやはり大資本を擁護、そして犠牲が、一番かわいそうな労働者のところ、運転手さんのところへしわ寄せが来てしまったんだ、こう私は思うのですね。またそれがさらに、運転手さん方の犠牲にとどまらずして、積載基準以上の貨物を積んで走る、当然道路がいたむ、道路がいためば補修しなければならない、補修するのには、これは建設省のほうの関係でしょうけれども、市町村もそれぞれ負担をしなければならない、国費を使う、国民にしわ寄せが来る。結局こうなってくると、何とかどこかで過積み防止しなければならない。そういうところから、先ほどもいろいろお話を聞いておりますと、運転手さん側のほうの御意見にも過積みができないような構造の車、要するにランプをつけたような車ができないか。ところが運輸省のほうでお話がありましたけれども、景山さんの話によると、それは現在の事態ではなかなかできない、できても非常に金がかかるわけです。液体を積んで走るとかあるいはダンプカーのような構造ならばともかく、固形のもの、小さいものを前へ積んだのとうしろに積んだのでは、それでははかることができないというようなお話も伺いました。そうなってくると、結局どこかで歯どめをしなければならぬわけですけれども、そこでお願いしたい、お話を聞きたいことは、結局白ナンバーにしても青ナンバーにしても、運転手さん、ここで歯どめができないかということ、機械のほうでは歯どめができない、その機械をつくるのに非常に金がかかる、トラックの単価が高くなってしまう、そうなってくると、この研究開発を待つまではどうしても過積み防止できないとすれば、結局機械でできないならば運転手さんの側でその歯どめができないかということなんです。青ナンバーにしても白ナンバーにしても、運転手さんが過積みをしない、過積みの車は運転しないというところまでいかなければ、過積みの車は町へ出ていってしまうと思うのです。ところがそこに、今度は運転手さんの生活という問題がある、これは非常にむずかしい問題だと思うのです。青ナンバーにしろ白ナンバーにしろ、運転手さんはだれもが過積みした車は絶対に運転しませんよ、ここまでいけば、とにかく運転技術、免許証を持った人間でなければ運転できないのですから、そうすれば、過積みの車が街頭に出ていかない、こういうようになるわけです。ところが現実にはどうかというと、いわゆる、ことばは悪いのですけれども、一匹オオカミというような、過積みをして利潤をあげて、そして町を横行しているというダンプカーも現実にはあるわけです。そういうことを考えると、この過積みの問題を解決する方法というのがなかなか見当たらないと思うわけです。  そこで田井さんに伺いたいのですが、一体、運転手さん方がそのことができるかどうか、みんなが一致して、もう過積みの車を運転しないよ、われわれみんなで、自分たちの生活を守るためにも、交通事故をなくすためにも、また道路の損傷を防ぐためにも、過積みの車は一切運転しないのだ、こういうことが運転手さんとしてできるだろうか、これが田井さんにひとつ伺いたい点。それからさらに二十六年間の経験のある泉沢さんにこれができるかどうか、このお二人にひとつ伺ってみたい。
  96. 田井二郎

    田井参考人 まず最初に申し上げたいことは、先ほど運輸省のほうから積載自重計といいますか、そういう装置をつけることについては非常に技術的に困難だという御説明がありました。五年間検討すると私たちに言っていただいた、私たちは五年待ったわけです。検討の結果どうなったかということは一向に知らしていただけない、またどういう機関で検討されたかもわれわれには回答していただけないわけです。さらに検討を続けられるとおっしゃいますが、どこをどういうふうに検討されるか、私どもはさっぱりわからないわけです。車の構造は私たちしろうとでも、軸重十トン以上の車はつくってはいけないことに運輸省がきめられているわけです。輪荷重は五トン以上のものはつくってはいけないということになっているわけです。ですから、輪荷重が五トンをこえる、あるいは軸重が十トンをこえるということは、車のどの部分に積みましても、結局は四つあるいは六つのタイヤのどこかに重力がかかるのですから、そこではかる方法があるのではなかろうかと思う。そういう点で多少の狂いはあるだろうと思います。私たちは肉屋に行って百グラムの肉を買うのではないのですから、私は多少の狂いがあるのは当然だろうと思います。ですから、それが全く狂いのない、そういう機械をつくってくれなんということを私どもは言っておるわけではないのです。十トン車に二十トンも積んで走るような今日の現状の中で、どうすればその問題がなくなるかということを私たちお願いをしてきたつもりであります。ですから、そういう点を、私は先ほどもお話を伺っておりまして、われわれは、五年間と言ったけれども、回答は少しも変わっていない点についてほんとうに失望しておるわけです。その点をまず申し上げておかなければならないと思います。  それから、私たちは、いわゆるこれを政府にお願いをして、自分たちは手をこまねいているのではないのです。私たちは組織の中でこれをやってきているわけです。そして、歩合給の職場がありますから、それは多少でもよけいに積んで金になるというと、どうしてもいまの低賃金の私たち職場の中では、それに走ろうとする者がおるわけです。職場の中では、けんかをしながら何とかそれをやめようじゃないかと言っておるわけです。きのう、きょうの私たちがやっております安全輸送闘争についても、あれはほとんどの者が歩合給の連中です。そして四百五十の組合があの闘争に参画をしておるわけなんです。彼らはほんとうからいえば、きょうはおれたち賃金は半分になったと言ってぼやいているわけです。しかし、それをやらなければならないのだということで私たちは呼びかけておりますけれども、たった二日やるために、私たちは一年間かかってまいりました。その点私は、われわれの努力の足らない点であろうと思いますけれども、残念ながら、いまニンジンをぶら下げられたこの政策をとられると、やはりそこに走るというのが、これがいまの私たち労働者の恥じる点でありますけれども、そういう労働者が今日あるということは、率直に申し上げなければならないと思います。そういうことで、とにかくわれわれは自分たちも努力をする、自分たちもそういうことをやらないように一生懸命になってやるけれども、ひとつ業界のほうもあるいは指導機関のいわゆる政府のほうもやってくれないかということをお願いしておるのであって、何もやらない責任は全部政府にあるのだ、あるいは業者にあるのだなんという、そういうおこがましさは、私どもは毛頭持っておりません。  ことに名義貸しの問題、先ほど自動車局長のほうからありましたけれども現実に先ほど紺野議員のほうから御指摘がありましたこの個人償却制というものは、はっきりいって名義貸し一つの方策なんです。ですから、私どもはそれを何とかしてくれということをお願いしております。  また長時間労働の問題につきましては、先ほど監督課長さんのほうからお答えをいただきましたが、あれもいわゆる実作業時間を規制をしておるわけです。いわゆる労働時間全部を規制しているわけではないのです。私たちが実作業時間というのは、運転をする時間あるいは荷物を積む時間が規制をされているわけです。そのほかに、私たちは手待ち時間という労働時間を持っているわけなんです。ですから、いま労働省がこれを規制をしましたということは、十一時間規制はしていただきました。しかし、これは実作業時間なんで、労働時間ではないのです。労働時間は野放しなんです。ですからわれわれは百時間も労働しておるわけなんです。私がそれを申し上げておるのは、そういう努力については、私たちは一時期よりはずいぶん進んだと思っておりますし、そのことについてそしろうという考え方は持っておりません。ただ、今日の段階で、長時間運転をすると事故が非常に多発をしているということ、この事実から考えて、私ども運転時間を規制してくれということをお願いをしているわけです。運転を何時間したらそれ以上してはいけない、それは道交法の中でも過労運転をしてはいけないことになっているのです。そういたしますと、前の日に何をやっているかわからないじゃないかとおっしゃいます。それはそのとおりでありますから、私たちは前の日に何をやったかということについては、いわゆる長距離運行に出る場合には前の日は早く寝るというような方法もとらなければいけないわけです。ところが、先ほど渡しました赤い本に書いてありますとおりに、その日に出てこなければ自分がどこに行くかわからないような運行管理がほとんどなんです。ほとんどと言いますとオーバーですが、五〇%がそのとおりなんです。ですから、前の日に夜ふかしをして会社に出ていったら、きょう広島に行けと言われて走る場合もあるわけなんです。  ですから、私はそういう点から考えまして、確かにそういうことを命ぜられて働いておる労働者に責任がないとは申しませんし、いま御指摘のあった点で運転手がはっきりとそのことについて自分たちで意識をしてやめようと言えば、これはあしたからでもなくなると思いますが、しかしいまの私たちの就業状態あるいは職場仕組み、それといまの賃金から、私たち現実にそれができないのです。ですから、どうかその点についてひとつ政府のほうからも御指導をいただいて、そういう法律のもとに私たちもそういう運動ができるようにぜひお願いをしたいというのが私たちの考え方でありますので、長くなりましたがお答えにしたいと思います。
  97. 泉沢謙三

    泉沢参考人 ほとんど全部田井さんのほうから言われてしまったので、ないのですけれども、ただ、私どもはむろんそういうことはやめたいという意識は非常に強いし、やめる意思もあるし、できると思うのです。ただ、私たちだけでもって幾らしゃっちょこ立ちしてもやめられないという事実があるわけですね。これは、業者の方も監督官庁の方も一体となってこの問題に取っ組んでいかなければできない。  実際問題として例をあげますならば、過積みの問題で公然の秘密として現在横行していることが一つありますよ。たとえば生コンクリートの問題で、先ほど私ちょっと触れましたけれども、あれは数年前までは八トン車の三立米車というのがほとんど全部だったのです。八トン車で三立米積むということは、いわゆる骨材の配合のしかたによって若干目方が違いますけれども、一立米大体二・四トンぐらいなんです。そうすると三立米なら八トン車で十分積めますね。ところが、利潤追求のためか何か知らぬけれども、最近は全部三・五立米積まされていることは事実ですね。そのあとさらに合理化するために大型車をつくりました。その大型車は十一トン車でもって六立米積んでいるわけです。実際には四・五立米しかリミットはないわけですが、でも六立米積むのが常識になっております。これがいわゆる十輪車のミキサー車ですね。これは全部六立米積んでおります。こういうことがはっきりわかっていながらその規制を何もやってない。たまたま若干強いある労働組合が、若干と申し上げると非常に語弊があるのですが、いわゆる生コン輸送協会関係労働組合というのはそれほど組織力は強くありません。強くありませんけれども、その中でも若干強い組合がその問題をとらまえて、三年ほど前から過積み反対なんだという戦いをやったところが、最初のうちはついてきたけれども、みんな脱落してしまって、結局そこ一社だけ残ったという現実があるのですね。そういうことがわかっていながら、そういうことを公然とやっていることに対して何の規制もしていない。こんなことをしていたんでは、われわれに協力しろと言っても、ほんとうのことをいってできませんよ。われわれの側からいえば、あくまでも意識の点ではあしたからでも過積みはやめられます。しかし、ほんとうにこの世の中から過積みがなくなるということは、三者が一体になって真剣に取っ組んでいかなければだめだなというふうに思います。
  98. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 景山さん、いま田井君がお答えになりましたね。五年前にそういうことについて運輸省に要望しておいた、ところが五年間たってもやったのかやらないのかさっぱりわからない、こういうお話があった。私はこの辺で運輸省も、そういう意見を五年前に聞いておったのかどうか聞いておって何もやらなかったのか、それともやってその結果がどうなのか、そういう点について五年間の経過の報告をこの際ここではっきりやっておいたほうがいいと思うのです。ひとつ聞いてみたいと思います。
  99. 景山久

    ○景山説明員 お答えいたします。  この警報装置といいますか計量器の問題につきまして、四十六年の七月三十日に、これは計量器でございますので通産省、運輸省、警察、工業技術院、自動車メーカーといったものが一緒になりました委員会をつくっております。現在までの委員会討議回数は、いわゆる専門委員会と申しますか、ワーキングパーティーと申しますか、これが十八回、それから委員会を五回やってきておるところでございます。その結果、やはり先ほど申し上げましたように、ダンプのようなものの自重計はあるわけでございますけれども、どうもあの方式のものではうまくいかないというところが現在までの結論でございます。  なお、よその国の例で恐縮でございますが、英国でも過積載の問題がいろいろ問題になっておるようでございます。私が調べましたところでは、英国でも自重計の開発というのがございまして、事実この委員会でも一つそれを購入いたしまして調べておりますけれども、やはり同じ問題で、これはダンプのようなものなら使えるけれども普通のトラックには使えないというようなことが、取り寄せた結果判明しております。なお、英国のそういった資料によりますと、やはりそういうこともいろいろ考えられるけれども、道路で目方をはかるというのが一番いいのだというようなことが最近の号にも出ておったところでございます。
  100. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 田井君も言われましたけれども、百グラム、二百グラムの肉を買うのじゃないのですから、別にそうきちっときめなくてもいいと思うのです。あまり許容の限度を許してしまってもいかぬと思いますけれども、たとえば一割程度まではまあまあ大目に見ようじゃないかというような点まではできないのですか、全くだめなんですか、その点どうなんですか。
  101. 景山久

    ○景山説明員 お答えいたします。  先ほどこれにかわるようなものというのをちょっと申し上げましたけれども、何か間接的にでもはかるような方法はないかということを実は考えておりますが、その場合でも、いま先生おっしゃいましたような一割とか二割とかというのではとても無理だと思います。私も技術屋でございますので、実はここで責任を持ちまして数字を申し上げるのはいささかはばからなければいけないところかと思いますが、あえて申し上げますならば、五割とかそんなようなところではなかろうか、こう思う次第でございます。
  102. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 どうも技術屋さんがそう言われるのですから、田井さんこれはもっと研究しなければならぬ。あなたの書かれている本を見ますと、確かにあれは一番いい方法だと思うのです。しかしそれが景山君の言うように、できない、しかも五割もロスがあるというようなことでは、これは全く困ると思うのですね。そういった点から、これは何とかほんとうに解決しなければ、日本だけの問題じゃないのです。いまイギリスの問題もあるというようなお話がありました。この問題については、何とかこれを解決するという方向、決してそれは労働者の皆さん方だけが犠牲にならなければならないということにはならない、何とかして、ほんとうに皆さん方も立ち、それからトラック業者の方も立ち、当然また荷主さんのほうも無理な値引きをしないでも収支相償うというような状態にしなければいけないと思いますので、これについてはずいぶんむずかしい問題だと思いますが、とにかくこうした機会を得たわけでありますから、もっともっと前向きに取り組んでいってこの解決をはからなければいけないと思います。  いずれにしましても、目の前にニンジンぶら下げて走れというような表現がありましたけれども、確かにそういうような過酷な状態で、私どもはそういうものをしいるわけではございません。ほんとうに皆さん方がいわゆる普通の労働時間で、そしてまた十分の余暇を得て御夫婦に子供を交えての団らんの家庭が持てることが好ましい状態で、広島に行ってまた帰ってくる、すぐ青森に行けというようなことはとても人間わざじゃないのですから、そこに必ず過労からくる事故、ましてや過積みからくる事故は絶対に避けなければならない問題でございますから、私たちも大いに研究して、皆さんとともにこの問題の解決に当たりたいと思います。  最後に、田井君からさっき話のありました名義貸しの問題でございますけれども、この問題について鎌野さんに聞いてみたところで、どうせそんなことは私どもやっていませんと言うにきまっているのですから、鎌野さんに聞く必要はありませんけれども武藤さん、武藤さんのところは取り締まるほうの団体ですな、トラック協会ですな。武藤さんのほうでは、会社名義貸しをやるということ、これのメリットをどう考えますか。
  103. 武藤儀一

    武藤参考人 個人償却制の問題は、私ども直接調べておるわけじゃございませんですが、実は田井さんたちのほうから、トラック会社でこういう経営のしかたをやっているところがある、これは名義貸しじゃないかというようなお話を伺って、いろいろあちこち情報を探ってみたら、なるほど東京や大阪にそういうトラック事業者があるようだということはわかったのですが、さて、その形がほんとうに田井さんのほうのおっしゃるような名義貸しの形になっているのか、それとも道路運送法でいっている事業経営のワクの中へ入るのか、そこらのところは、私どもではその事業者調査権限がございませんし、事業者を呼んで聞いたって、おそらく名義貸しになるような話はしてくれないと思います。これは陸運関係の役所でお調べになって、それが名義貸しになるかどうか御判定をしていただくよりしようがないと思うのです。個人償却制ですが、これはタクシーにもあるようなんですが、車の保守から運賃収入、こういうものを責任を持ってやらせたいという、いい面ではそういう面を言う人があることはあるのです。はたして実際、田井さんのほうのおっしゃる形なのか、私ども実は十分承知しておりませんので、ごかんべん願いたいと思います。
  104. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 立場上、それは私のほうでもわからぬというのは当然のことだろうと思うのですが、最後の一問ですが、泉沢謙三さん、あなたは名義を借りてやりたいですか、やりたくないですか。もしやりたいとするならばそのメリットは、やりたくないとするならそのデメットは何ですか。あなたが運転手さんとして、貸してくれる会社があれば自分も借りてやりたい、こういうプラスがあるからおれはやりたいんだという……。
  105. 泉沢謙三

    泉沢参考人 そういうことはあまり考えたことはないのですけれども。借りてやる、いわゆるリースみたいな形ですね、これはタクシーの個人営業なんかとは若干性格が違うと思うのです。個人営業の場合は、自分の車で自分でもってやるということになりますので、当然説明は必要はないと思いますけれども、ぼくは大体そういうことはやりたくありません。やりたくありませんし、やるためのメリットが何かと言われても、明確にはこれである、デメリットはこれであるというようなことは、やりたくないものですから別に研究していません。
  106. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 以上で終わります。  きょうは参考人の方々どうもたいへん御苦労さまでございました。
  107. 久保三郎

    久保委員長 渡辺武三君。
  108. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 参考人の皆さま方たいへん御苦労さまでございます。いろいろ御意見をお聞きをしたわけですが、私は、実はたいへん残念に思ってお聞きをしておったわけです。と申し上げますのは、いま交通安全運動というのは、いわゆる一億国民の願いになっておるわけです。非常に関心の高い問題でございます。中でも過積み問題というのはたいへんな交通安全上重大な問題でございますが、参考人の方々それぞれの御意見は、やはり何かことばは過ぎるかもしれませんが、責任のがれ的な発言、これが非常に多かったことについて、私はたいへん残念に思っておるわけでございます、私は、少なくとも労働組合側もあるいは使用者側も、荷主側も、おのおのの立場における過積み防止を一体どうしたらいいかという御意見が実はお聞きをしたかったわけですけれども、そのような御意見があまり少なかったことに対してはほんとうに残念に思います。  特に田井さんにお伺いをいたしますが、この過積みの条件となる問題の中では、いわゆる労使の間の交渉事項、こういうものが非常にたくさんあるように思うのです。したがって、書かれておりますこれらの参考パンフレット等を見ましても、各個人がどうしたとかこうしたとかあるいは強要されたとか、いろいろ書いてございますが、私は少なくとも労働組合としては、運転者個人が折衝するということは非常にむずかしい、これは会社にもなかなか言い得ないだろう。それゆえにこそ組合が組織をつくり、そしてそういうような問題は企業側に対して折衝をし交渉をする、こういう権能を与えられておるわけですから、当然そういうことはやっていかなければいけない。そこで、法律を強くしてもらえばという御意見も非常に多いわけでございますが、いまのように過積みをしてはいけないというような法律をつくられておってもそれが守られない、せっかくつくった法律が守られないということであれば、どんな法律をつくっていっても守られないことになってしまうのじゃないか。いまある中でどうしたならばほんとうに守られていかれるだろうか、これをやはり真剣にお互いに考えていかなければならないだろうと思う。したがって、少なくとも労働条件が、あるいは歩合制度そのものがこの過積み原因にもつながるのだということであれば、歩合い制度廃止の交渉、そういうものを強力におやりになるべきであるし、労働基準法そのものも交通労働者適用されないということじゃありませんから、たくさんの労働者が、労働基準法を守らせるべくお互いに自主交渉の中で、いまの基準よりもうんと短い時間短縮あるいは週休二日制というのを獲得しておるのですよ。交通労働者だけが、過酷な労働をしいられるということについては、これはことばをかえて言えば組合の恥になる。もっと団結を強固にされて強硬な交渉をされるように望んでおきたいと思います。  それについて経営側のほうにもちょっとお尋ねしたいのですが、歩合制度とかいろいろの労働条件がそのような交通安全上非常な問題になってくるということになりますと、当然のことながら、経営側においてもそのようないわゆる過重労働にならないような、時間外作業等は当然これは労働組合との三六協定が必要なんでしょう。
  109. 武藤儀一

    武藤参考人 必要です。
  110. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 そうなんですね。そうすると時間外協定をして時間外作業をいま現実にはやらせているわけですか。
  111. 武藤儀一

    武藤参考人 組合のあるところは……。
  112. 久保三郎

    久保委員長 発言を求めて答弁してください。
  113. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 組合があるところはそういうふうにしてやっておられる。組合のないところは、実際には従業員の代表によって承認を得ておられる。そういうことでしょう。ところが現実には一週間に百時間も働かされておるんだ、こう組合側はおっしゃっておるのですよ。ほんとうに正式に三六協定がなされておるのか。ともすると労働組合のないようなところは、従業員代表のかってな名前をつくっちゃって、かってに判を持ってきて、ぽんと判を押して労働基準局に届けてしまうというような例があるんですよ。そういうことがないかどうか、ほんとうに厳重にそういうことを、みずからが過積載防止するという立場で、経営側が神経を使っておられるかどうか、お尋ねをしておきたいと思います。
  114. 武藤儀一

    武藤参考人 労働時間の問題につきましては、基準法による三六協定を労使間で結んで、それによって残業なんかをきめていくということになっておりますが、それ以外に労働省のほうから、私ども二・九通達と言っておりますが、自動車運転者労働時間に関する通達ができておりまして、一応三六協定をやっても、その通達を越えては三六協定はつくれない、二・九通達のほうが優先する、二・九通達の範囲内で三六協定を結ぶという形になっております。トラック事業者というのは大体九十何%が中小企業でございまして、そういう中小企業にはほとんど労働組合がない。たとえば従業員が十人とか十五人とかそういうような会社が非常に多いわけなんです。そういうところじゃ、そういう協定が結ばれておらなくて、いま先生のおっしゃったように、就業規則をつくって監督署へ届け出るという程度の規制しか行なわれておらないようでございます。  それから、労働組合のしっかりしておるところは、かなり過積み運転手がお断わりになっておるようだということは実は聞いておるわけなんですが、これは田井さんのおっしゃることと多少食い違ってきますが、実は私ども協会に、日本通運と西武運輸と、私のところから出向社員が出ておりまして、ここへ出てくる前に、日通さんや西武さん、過積みをやってないんだろうなと聞いたら、ほとんどやってない。いや、それは過積み運転手に言うても運転手のほうで断わっちゃうという、しっかりしたところはそういう形が出ておるようでございますが、ただ、労働組合はたくさんありますし、運転手も非常に多いものですから、組合だけでその問題を解決する、もう一つ組合のない九十何%の中小事業者、これは台数からいったらそっちのほうが多いものですから、そちらのほうから、同じ競争条理で仕事をやっておるわけで、そちらのほうから撹乱されてくる 組合がしっかりしておるところがまず守っていきたいと思っても、そちらのほうから撹乱される。たとえば運賃競争、まずその問題なんですが、そういう問題がちょっとトラック業界にはあるものですから、この問題の解決はなかなかむずかしいわけでございます。私たちは、私たちでできるだけの努力はしてまいりたいと思っております。以上でございます。
  115. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 協会にも入っていない、労働組合もないというような中小企業が劣悪な労働条件でやっておるであろう、こうおっしゃるわけですね。いかに中小企業といえども労働基準法を守らなくてもいいということじゃありませんから、当然それを守っていかなければいけないわけですから、それはそれなりに、トラック協会自身がおやりになる仕事というものは出てくるはずだと思うのですよ、実際には。だから、中小企業がやるからしようがないということではなくて、やはりトラック協会がせっかくこの協会をおつくりになっておるのだから、その立場でどういう運動をすべきかということが当然出てこなければならないのではないだろうか。先ほど実はお話をお聞きしている中で、いわゆる過積み防止運動を積極的にやっておるんだ、特別な運動をやっておるんだ、こうおっしゃっておりましたけれども、私は実際何をやっておられるんだろうかとさえ実は疑問に思っておるわけですよ。ほんとうにそのように業界そのものが熱意を込めておやりになっておるならば、なぜこのようないろいろな資料に七〇%も過積みをやらなければならぬとか、そういう数値があらわれてくるだろうか。単なる形式的に、世間がうるさいから、われわれトラック業界もひとつ過積み防止運動をやろうじゃないか、この程度ならば、いわばやるのだという熱意だけをPRするための運動であるならば、これは私はたいへんなことだと思うのです。  そこで、冒頭に言いましたように、ほんとうにいま国民が願っておる交通安全運動というものの認識を一体どう考えておられるのかという疑問が実は非常に大きくなってしまうんです。私は、いかに法律をきつくしていっても、トラック一台没収されるぐらいの罰金をかければ別かもしれませんが、いまのような反則金程度では過積みをしたほうがもうかる、知りながらも実際には過積みをしてしまうということになっておるのではないだろうか。それにはやはり業界そのものが、もっともっと、国民的なモラルを向上するためにも、みずからを縛りつけられて、多くの罰金を取られなければやらないという態度でなくて、これほど国民運動になっておる問題なんだから、ほんとうはもっと自主的に、真剣に協会そのものがおやりになるべきではなかろうか、こう考えるわけでございます。  そこで、いろいろこれに関連をいたしてまいりますから、先ほど自動車局長から、運賃の立て方ですか、きめ方ですか——おられますね、局長。それについてお話があったようですが、やや若干疑問がございますので、もう一回ちょっと御説明願えませんか。
  116. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 運賃の率と申しますか、額の問題は、先ほど原価計算できめるということを申しましたが、これは運賃率と申しますか、運賃額の問題でございまして、その際の前提になります適用方法、これが運賃制度になるかと思いますが、先ほど来いろいろ車両建てでやるか、あるいは重量トン建てでやるかというような問題で、現行運賃制度の改定前はトン建てでやっておった、トン建てのキロ別の運賃でやっておった。現在はそれを車両建て、つまり四トン車であれば四トン車については何キロまで幾ら、こういう運賃制度になっております。
  117. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 そのきめ方が、原価計算とかなんとか言われますけれども現実にこの資料等を見ていきましても、とにかくダンプは採算がとれないんだとか、いろいろ書いてありますわ。ほんとうに諸条件、内容というもの、原価の中に労務費が幾ら入っておるのか、そういう具体的な資料はございますか。
  118. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 ただいま手元にはございませんけれども運賃の原価計算をいたす場合に、人件費、先ほど申し上げました燃料費、償却費等等、当然トラック運送事業を経営するに必要な経費というものを実績をとりまして、これに査定を加えまして運賃率を出すわけでございます。
  119. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 その運賃率は何年間ぐらいで改定をされますか。
  120. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 トラック事業の経営が非常に苦しくなりますと、当然事業者から運賃改定の申請が出るわけでございます。それで、何年間にということはございませんが、その際に私どもといたしましては、運賃改定の必要性の事業者の申請を待って、それから作業をいわすわけでございますが、いわゆる原価計算のやり方といたしましては、実績年度というようなものを基準にいたしまして、その翌々年度を平年度として原価計算をいたすわけでございます。
  121. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 よくお答えの意味はわかりませんが、たとえばいまの運賃体系はいつ変えられましたか。その前の運賃体系は昭和何年に変えられましたか。
  122. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 ちょっとお答えが簡単でございましたが、運賃の認可は、当然申請を待ってやる、こういう意味で、ただいま先生のあれに対しまして、何年ごとに運賃を変えるかということに私とりましたので、それははっきり何年ということにきまっておりませんで、経営が苦しくなりますと、事業者から運賃改定の申請が出る。現在の運賃は、たしか一昨年に、各区域トラックで申し上げますと、各陸運局長の権限でございますので若干の相違はございますが、一昨年、昭和四十六年に全国的に運賃が改定されたように承知いたしております。
  123. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 その前のは。
  124. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 ちょっとただいま資料を手元に持っておりませんので、調べればすぐわかりますので、後刻お答えいたします。
  125. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 いまきめる場合には、労務費とかいろいろなものの要素があってきめるんだ、こうおっしゃったわけですが、私の知るところでは、少なくとも七、八年も変えられないような時期があるはずですね。七、八年といいますと、労務費だけでも相当上がるんですよ、いま。それでは、もしもそのような運賃改定が七、八年も据え置かれたとするならば、当然これは最初のきめ方が正しければ正しいほど運送業者というのは経営が非常に苦しくなる、そのしわ寄せはやはり労働者にいかざるを得ない、こう思うのですよ、実際には。いまのように毎年五けたの数字で上がっておるような労務費の状態からいくならば、これは私は相当な問題だと思うのですよ。だから、少なくともそれが単価の構成、コストの構成の中に入っておるならば、当然それが移動してくるんだし、社会情勢によって物価も上がってくるんだし、運転者そのものの人件費が相当大幅に上がるわけですから、当然私は問題になるんではないか。そういうことが過積みという問題に非常にダイレクトに影響をしていかないかどうか。これはやはり運輸省運輸省自身の立場で、問題になっているこの過積みをなくするためには一体いまのそういう運賃認可制度がいいのかどうかの検討すら、ほんとうはやってもらわなくちゃいけないと思うのですよ、実際には。そういう意味では、交通安全というようなものは、ほんとうはお互いの立場立場で、自分たちが受け持っておる仕事の範囲内で、どうしたならばよりよい交通安全に寄与することができるかということを真剣にやはり考えていかなければいけない。ややもすると、どうも自分のところの責任をのがれるために、これはこうしなければだめだ、これはこうしなければだめだ。先ほども言っておられましたように、もうこれ以上、これは警察側も言っておられましたね、けしからぬと思うのですけれどもね。車の構造を変えて積めなくしてしまわなければどうにもなりません。そんなばかなことはないはずなんですよ。車の構造そのものは、確かに十トンで十トン以上積めばこわれてしまうというような構造にしておけば積めません。積めませんけれども、そんな不安全なことはできないわけですからね、もしものことがあったならば、これは安全上たいへん人命が損傷されるわけですから。道路だってそのとおりですよ。二十トン以上通ってはいかぬというから、じゃ二十トン以上の車が通ったら橋が落ちるように橋をかけておけばいいかといったら、そんなものじゃありません。橋はもっと強固にしておかなければならぬのです。たとえば形式によって変えようと思っても、鉄のような非常に体積の少ないもので重たいもの、綿のように非常にかさが大きくて軽いもの、いろいろあるわけですから、そんな形状によって変えるというわけにもいかないわけでしょう。だから、おっしゃるようにそう簡単なものじゃないと思うのです。みずからが法を守ろうという熱意があるならば、車の形状が悪いだとか、それ、あれがいかぬだとか取り締まりがゆるいだとか、こういうお話自身が私は実は非常に残念なんです。確かにそういうことも必要でしょう。必要でしょうけれども、まずは自分たちの範囲内で一体どうしたならばこの過積載の問題、交通安全に寄与するかということ、そして、われわれはこうしたいのだけれども、これにはやはりどこそこに協力してもらいたいのだ、こうおっしゃるならば、われわれも一生懸命協力いたしましょう。一生懸命にやりましょう。しかし、お互いの責任をまずは回避をしようという態度、これは私は許せないと思うのです。われわれも一生懸命になってがんばります、問題があれば率直にお聞きをいたします。むしろ、いま田井さんがおっしゃっておったような自重計の問題も、ほんとうに私はいい方法があるならば率直にお聞かせを願いたい。われわれも一生懸命に努力をいたしましょう。しかし、現状ではやむを得ないのだ、こうおっしゃっておるのですから、それにかわる次善の策としては、いまの場合どうしなければならぬかということを実は考えていかなければならないわけです。おれが五年前に言っておいたのにできないのはけしからぬじゃないか、こういう責任を追及しておっても問題は解決しないわけですから、現状を正しく認識をしながら、いまの現状の中で、一体どうしたならばいいだろうか、お互いに過積載をなくするために、がんばろうではないか、こういうことでなくてはならないと思うわけでございます。  むしろ質問よりも自分かってな意見を申し上げまして、御迷惑だったと思いますが、どうぞよろしくお願いしたいと思います。終わります。
  126. 久保三郎

    久保委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。  次回は明十二日木曜日午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時三十三分散会