○沖本
委員 私の伺ったところによると、いま次長がお答えになった、いわゆる中を監査なさった
事故の
原因、そういうものについての得られた結果とは、全然逆になっているわけです。
それで、まず、ここに組合の人たちの意見がいろいろと出ております。そういうものを。これは実際にはいろいろ会って聞いたわけですけれ
ども、内容からいきますと、私たち航空事業に携わる者にとって、空の安全ほど切実なものはない。組合のほうも、これに対して働く立場から会社に安全のための要求を数多くやってきている。しかし、生産性向上と利潤追求を第一にして、そして日航労組や乗員組合の要求、いろいろなものに対しては、無視し続けてきた。その結果の今回の
事故について、私たちは会社の責任をきびしく追及しなければならない。こういうふうな意見を述べております。
そこで、ニューデリーで起きたところの
事故の背景というものについてここに述べておりますけれ
ども、起こるべくして起きたのだ、こういうことを述べているわけです。統計上、
一般に一件の大
事故が
発生したときに、その陰に約三十件の小
事故が起こっている。そして、さらにその背景には約三百件の、一見この
事故とは何かのかかわり合いもないようなトラブルが隠されている。いわば
一つの大
事故は、三百件のトラブルと三十件の小
事故をすそ野とするピラミッドの頂点のようなもので、ニューデリー
事故についても、そのような立場から光を当ててみる必要があるのだ。こういうふうに言っております。言いかえれば、統計的にはとっくに大惨事の
発生する臨界
状態に達していたと見なければならない。このことを日航の社員が口にすることは非常に勇気が要るのだということも述べております。
そこで、政府の航空安全行政の立ちおくれというものに対して、航空安全
会議が去年の二月にまとめたアンケートの中にも出てきております。
アンケートの
質問として、「定時制確保を優先するために安全運航を阻害されたことがありますか。」こういう乗員グループに対するアンケートで、「ある」と答えたのが五四・二%あるわけですね。それから「ない」と答えたのが三六・八%。それから「現在の点検作業時間で充分であると思いますか。」と
整備員のグループの方にアンケートを出したところが、「不充分」と答えたのが四三六%、「不充分だがまずまず」こう言った人が四六・一%、こういう答えが出ております。「現在の点検項目で安全を充分維持できると思いますか。」と、こういうアンケートに対して「安全と思うが自信がない」というのが四六・八%、「ほほ安全である」と言っているが四四・一%です。こういう数字が出てきております。
そこで、私たちに一番ショッキングな内容がここに出ているわけです。これはもうえらいことだと思うことが内容に出ているわけですね。これは航空局も問題になると思います。実際に飛行機を操縦しているのですが、乗員の
状況について
教育訓練不足を訴えている。たとえば、副操縦士になったある人は、訓練を終えて
免許を得るときに、航空局の試験官に、「君たちの操縦は決してじょうずではない、しかし三百時間以前の訓練としてはこんなもんだろう。」そのあとがたいへんなんですよ。「お客さんを乗せてじょうずになってほしい」と、こう言っているわけです。これは問題ですね。そういうためにお客さん乗せられておったら、これはたいへんなことになると思うのですよ。
運輸省の航空局の試験官がそういうことを言っている。
そして、依然として問題になるのは、これは日航の場合ですけれ
ども、機長は四十四年に全員管理職にすることを口実に組合を脱退させられたということなんです。そこで結局、一人一人が孤立してしまって、訓練の簡略化からくる不安感や
整備に対する不安を仲間と話すことさえできなくなった。操縦室は、三、四人が連携をとり合い、仕事を分担し合って、多くの
人命と高価な飛行機や積み荷の安全を維持するという重い責任を持たされているけれ
ども、その操縦室も、ほんとうに安全だとは思えない。そして、
事故が連続した直後、社長からの速達が各職員の家庭に入ってきて、その
事故の
原因は心のすきである、こういう内容で、労務の速報も同様の内容と、信賞必罰というて個人の責任にするという方向に向かっている。だから、精神主義問題はもう限界に来ている、こういうことです。
あなたのいまのお答えですと、乗務員の責任感の欠如だ、こういうお答えもあるわけです。しかし、責任がいわゆる精神主義、もう限界に来ていると、こう言っているわけです。それ以上にその責任感をどうして持たせるかということになるじゃありませんか。
で、今度は、なぜそういうことになるか。ここに「乗員の安全要求」というところがありますけれ
ども、そこでは、暗いところでSCN——ドプラー・ロラン航法のためにペーパーワークをすることは非常に疲れる。目を悪くする。したがって、操縦席を明るくするようにして、SCNをINSに切りかえてほしい。それから、時差の影響は、南北のルートに比べると東西のルートのほうが大きい。回復のために多くの日数が必要である。乗務割りに考慮がほしい。現在のイヤホーンを使っていたらみんな難聴になってしまう。
教育訓練をもっとしっかりと。座学はもっと時間をかけてやってもらいたい。南回りヨーロッパ路線において、空港周辺で位置不明になったケースがある。デリ、テヘランにおけるものが報告されている。全路線の航法援助施設を再点検して、不良度の大きいものがあれば公表してほしい。ボンベイ
事故の以前、七月三日にこれが出されているわけですね。それから、機長の路線見習いの回数をふやすこと。現在のように片道では少な過ぎる。これも七月、三日に出ております。東京では
整備を完全に行なうこと。キャリーオーバーしないこと。それから、気象レーダーの性能を向上させること。それから、定時点検整側方式として、不良になるまで使用することをやめること。こういうことが出ております。これは乗員の安全に対する要求が出されているわけです。これについて何
一つ改善されていないわけです。ですからこういう内容をはらんでおりながら、それで責任がない、こう言うのはこれはもう全然反対である。全く営利主義で、先ほど井上さんが御
質問になったとおりに、全くパイロットの責任にこういうものをしわ寄せされると大問題になってくるということになるわけです。
それから、まだまだ注目しなければならない問題が出ております。機体のオーバーホールを廃止したということです。最近行なわれた
整備方式のうち、最も大きなものとして、ボーイング747導入に伴って実施されているH
整備があげられる。従来DC8が行なってきた機体オーバーホールを廃止し、その作業内容を分割し、タイムチェック時に、実施しようという方式だ。したがってタイムチェック時には、機体の一部をまる裸にして実施する膨大な作業が入り込むことになります。なぜかこれまで約五十回ほど行なわれたボーイング747のタイムチェックには、これらの作業を一度も行なっていません。このH
整備方式をDC8にも適用したい意向であるといわれている。オーバーホールから次のオーバーホールまでの時間、タイムチェックから次のタイムチェックまでの時間をそれぞれTBO、TBTと言いますが、それらは年ごとに延長されていっているというのです。TBTについていえば、昨年夏にボーイング747は千二百時間、DC8は千三百時間にそれぞれ延長された。近いうちにそれぞれ三百時間の再延長を予定している。だから機体のオーバーホールについても同じことが言えるということです。
先ほど宮崎の
事故についてのお答えがありましたけれ
ども、もっとひっかかる問題が出ているのです。
操縦装置や降着装置の動力源として、油圧を多く用います。それらは多くの作動筒や制御弁等によって構成されているけれ
ども、これらの部品は、従来、一定時間が来ると、故障の有無にかかわらず交換されていましたが、オン・コン方式に変わりました。オン・コン方式とは、故障を生じない限り部品の交換を行なわないというものです。
油圧装置は飛行機の筋肉に当たるものであり、油漏れを防ぐためにたくさんのシールを用いています。これらのシールは、すり減ったり、劣化したりするもので、もし油漏れを生じたら、その系統が不作動になり、場合によったら油圧系統のすべてが不作動になる。
DC8のエンジンは、エンジンを幾つかの
部分に分けて、一定時間が来たら必要な
部分だけを
整備するというエンジン・ヘビー・メンテナンス方式が取り入れられました。また、ボーイング川のエンジンは全くのオン・コン方式です。各種の電子装置もオン・コン化されましたということが出ているのです。
こういう点においてお調べになりましたか。こういう点について御理解になっているわけですか。ここに述べていることは全くうそだということになりますか。この油圧系統の問題も、油圧系統に問題が起きたから引き返したということになっているじゃありませんか。これを裏づけるように、その油圧系統で何度か作動がおかしくなって、ランプがついたりつかなかったり、いろいろなことで飛行をとめたりあるいは引き返したり、そういう
事故が一ぱい出ているじゃありませんか。この点どうなんですか。