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1973-11-15 第71回国会 衆議院 建設委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年十一月十五日(木曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 服部 安司君    理事 天野 光晴君 理事 大野  明君    理事 田村 良平君 理事 村田敬次郎君    理事 渡辺 栄一君       江藤 隆美君   小此木彦三郎君       小沢 一郎君    小渕 恵三君       國場 幸昌君    澁谷 直藏君       野中 英二君    浜田 幸一君       廣瀬 正雄君    森下 元晴君       渡部 恒三君    渡辺 武三君  出席国務大臣         建 設 大 臣 金丸  信君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      坪川 信三君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      小坂善太郎君  委員外出席者         内閣審議官   粟屋 敏信君         総理府総務副長         官      小宮山重四郎君         経済企画庁政務         次官      橋口  隆君         経済企画庁総合         開発局長    下河辺 淳君         大蔵省主税局税         制第二課長   福田 幸弘君         通商産業省立地         公害局工業再配         置課長     志賀  学君         建設省計画局長 大塩洋一郎君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省道路局長 菊池 三男君         建設省住宅局長 沢田 光英君         自治省税務局固         定資産税課長  川俣 芳郎君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 委員の異動 十一月十五日  辞任         補欠選任   梶山 静六君    小此木彦三郎君   林  義郎君     森下 元晴君   藤波 孝生君     江藤 隆美君 同日  辞任         補欠選任   江藤 隆美君     藤波 孝生君  小此木彦三郎君     梶山 静六君   森下 元晴君     林  義郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  工業再配置・産炭地域振興公団法の一部を改正  する法律案内閣提出第五六号)  都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法  律案内閣提出第七六号)  国土総合開発法案内閣提出第一一四号)  土地対策緊急措置法案井上普方君外六名提出、  衆法第五三号)  建設行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 服部安司

    服部委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。質疑の申し出がありますので、これを許します。渡辺武三君。
  3. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 大臣並びに道路局長に対して御質問を申し上げたいと存じますが、申し上げるまでもなく、いまわが国が直面をいたしております政治課題というものは、何をおいてもやはりインフレ克服でなければならないと存じます。加えまして、いま日本経済は、かつてわれわれが経験をしたことのない物不足経済突入をいたしておるようでございます。  そこで、先般、デスクプランとして立案をされておりました第七次道路五カ年計画、この財源は実は四十九年度予算編成を行なう時点までに見つける、こういうことになっておったと思いますが、冒頭に申し上げましたように、インフレ克服ということが最大の課題になっておる現在、さらに、かつて経験をしたことのない物不足経済突入をしている現状において、第七次道路五カ年計画というものは、実は第六次に比べまして約二倍の規模を持ったきわめて膨大なものであるわけでございますが、そう考えてまいりますと、この第七次道路整備五カ年計画に要する資材等々、現状公共事業そのものにもたいへんな資材不足等々がございまして、大きな問題になっておるわけでございます。そこで、このような社会情勢背景として、デスクプランとして立てられた第七次道路整備五カ年計画そのものが、ほんとうにいまの社会情勢の中でそのまま遂行していいのかどうか。つまり計画そのものの見直しが必要ではなかろうか、こういう問題が出てまいっておると思いますが、まずその点から大臣並びに道路局長に対し御所見を承りたいと思います。
  4. 金丸信

    金丸国務大臣 お答えいたします。  御指摘のように、物不足という時代でありますので、また石油の削減というような問題も相からみまして、資材というものが関連事業不足していくということも考えられるわけであります。しかし、道路建設に使うセメントあるいは鋼材、これは総需要の上から見ると、セメントが六%程度鋼材は三%程度ということであるわけでございますが、公共事業でございますから、できるだけ推進して国民のためになるという考え方も持たなくもやならないが、しかし、ただいま御指摘のように、物不足という、また、なおかつ深刻になるというような状況から考えてみますと、この面について格段の配慮をしなくちゃならないという考え方も持っておるわけでありまして、その問題につきましては、この時点におきましても十分考えていかなくちゃならないというようなことでいろいろ勘案はいたしておるところでございます。
  5. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 大臣、いまの情勢御存じだと思いますが、第七次道路五カ年計画財源は四十九年度予算編成時点においてそれを考えるということになっておるわけですから、いま大臣がおっしゃっておるように、第七次道路整備五カ年計画の手直しをも勘案をしておるということであるならば、すでに具体的な問題として浮かび上がってこなければならない。もう財源確保の時期が来ておるわけですから、一体どのような具体的作業をお進めになっておるのか、道路局長ちょっとお聞かせ願いたい。
  6. 菊池三男

    菊池説明員 財源の問題につきましては、ただいま先生の言われましたように、四十九年度予算編成時までにきめるということになっております。私どもも、特に道路財源の大宗を占めておりますガソリン税等伸びが頭打ちになりまして、大体今後一〇%ぐらいの伸びがあろうと、そういうことから計算いたしますと、特定財源に依存する率が非常に低くなってまいります。そこで、またこまかい数字は御質問があれば申し上げますけれども、少なくとも第六次五カ年計画にありました特定財源の全体に占める割合、これを維持したい。そういうことによりまして道路整備が安定的にできるということになりますので、そういう観点からまいりますと、どうしても特定財源値上げをしなければならないというような考え方になっております。ただいま考えておりますのは、ガソリン税あるいは地方道路税は三〇%アップ、それから軽油引取税が三五%アップ、それから自動車重量税を三倍にする。それから、これは地方財源でありますけれども自動車取得税を三%から五%に上げたいというふうに考えてございます。  それからもう一つ、五カ年計画の全体の問題といたしまして、確かに材料の不足というようなことも、またインフレの問題もあろうかと思います。ただ、五カ年計画をきめました閣議決定の中にも、実際の施行にあたっては、経済情勢の変化、あるいは財源等の問題、そういうものをいろいろ勘案しながら弾力的に施行するということになっております。したがいまして、これは昨年、一昨年のときのように、景気を促進するということで補正予算でどんどん事業を進めたこともございますし、本年度はまた逆に繰り延べというようなことも出ておりますけれども、五カ年計画全体の問題といたしましては、これは経済社会基本計画に基づいてつくられておるものでございますし、いまのところ、全体の大きな問題としては、特にいま、これを縮小するとか、あるいは改定するというようなことは考えておらず、さしあたっての財源の問題は、いま言ったように値上げという形で一般財源で補いたいというふうに考えておるわけでございます。
  7. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 大臣の御答弁局長答弁とは食い違いを生じてきておるんではないか。つまり、大臣は私の言いましたことに対し、そのような情勢があるので第七次道路整備五カ年計画をも修正をするような考えを持っておるんだ、こういうふうにお話しになったわけです。そこで私は、しからばその時期がもうすでに来ておるので、具体的には事務当局として、道路局としてどのような方向でそれをお考えになっておるのかというお尋ねをしたわけです。ところが局長は、そんなこと全然考えていない、こういう御答弁ですが、それはどういうことなんですか。大臣は、そういうことを勘案をしておるんだと、こうおっしゃったんですよ。局長答弁を間違っておりませんか。
  8. 菊池三男

    菊池説明員 五カ年計画の問題といたしましては、ただいま申し上げましたように、全体の計画を変更するというよりは弾力的にこれをやるんだということによって、大臣の御答弁は、その年度の、たとえば来年度というような、そういう年度ごとの問題についてはいろいろ考えているというふうに答弁をされたものと思います。
  9. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 弾力的にやるということは、具体的にはどういうことなんですか。たとえば五カ年計画を六カ年ないし七カ年で場合によってはやることもあり得る、こういう意味は含まれておるんでしょうか。
  10. 菊池三男

    菊池説明員 五カ年計画は、あくまで昭和五十二年度までの五カ年計画でございますので、全体の規模としてはそのまま押えてありますので、七年になるとかいうことではございません。ただ、その弾力的にと申しますのは、その五カ年の範囲内で、年度ごとにいろいろ伸びの進むときもあれば、あるいは伸びの悪いときもありということで、総体的に五カ年としてこの目標を達成するということでございます。
  11. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 局長、そう四角四面な答弁ではなくて、五カ年間で達成するとおっしゃいますが、従来の道路整備五カ年計画なるものはそのまま実行されたためしがないのですよ、立案以来。五カ年間の計画でありながら三カ年間で必ず改定がされてきたんですよ。だから、この三カ年間のうちに一体どういうふうに進んでいくんであろうか、こういうことが実際は聞きたいわけだ。そうでなければ、この第七次道路五カ年計画だけは必ず五カ年間をやるんだ、こういうことじゃないわけでしょう、従来の実績から見ても。だから、結果的に見ればそういうこともあり得るんではないか、こう私は考えておるんですが、局長は、五カ年計画範囲内は変えないんだ、ただし当初のうちは弾力的に——まあ予算消費あと伸びていくんであろうということをおっしゃりたいと思うのですが、そうだとすると、大体、従来の実績を見れば三カ年間で改定がされておるんだから、その辺がきわめて疑問を持たざるを得ない。どうなんでしょうか。
  12. 菊池三男

    菊池説明員 たいへん私のことば足らずで申し分けないと思いますが、いままでも五カ年計画が第一次から第六次までございましたが、五カ年間完全になったことはございません。全部途中で五カ年計画改定されております。先生のおっしゃるとおりでございます。  これは実は、その背景になりますいろいろな新経済社会発展計画というような、そういうもとの変換と一緒に変わっており、また変わった五カ年計画の内容といたしましては、非常に進んでおったけれども、まわりの需要が、非常に交通伸びたということから追いつかなくなったための発展的解消というような形で解消されておるわけでございます。したがいまして、今度の五カ年計画がいままで一回も行なわれていないのに必ず五カ年でやるのかという御質問でございますけれども、いまの五カ年計画がきまった段階では、やはりあくまで計画どおりにやるんだということ以外、あるいはこれがまた三年で変わる、あるいは七年になるということが将来の問題としてあるかどうかわかりませんけれども、ちょっとそういう予測ということは、五カ年計画閣議決定されたことでございますので、いまの段階では、五カ年でやるんだということしか実は申し上げられなかったわけでございます。
  13. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 いままでのように高度な経済成長時代では、五カ年で計画したことを三カ年で大体七〇%ぐらい消費をして、そうしてさらに新しい計画へと移行をしてきた。今度の場合は、そのような社会情勢は逆現象を生じておる、こういうことが言えると思うんですね。したがって、当然逆の場合もまたその過程において改定がされるであろうということを想像するにはかたくないわけです。したがって、局長あるいは大臣も言っておられるように、現在のデスクプランとして立てられた第七次計画は、やはり弾力性を持って運営をせざるを得ないということばをいわざるを得ない。そういうことは、この五カ年計画そのものがいまの社会情勢からは完全に全うできないんだということを言外に含んでおると実際には思うのですよ。立場上言えないんだ、いまの段階では、こうおっしゃる意味はわからぬのでもないのですがね。そうだとすると、いま財源の問題に関連をしておりますから、たいへんな問題になってくるのです。そういうことを言いながらも、しかも五カ年間のデスクプラン財源をそのまま確保しようとなさる。ここに私は大きな問題が存在しておると思うのです。しかも、まあ簡単に先ほどおっしゃいましたけれども、相当膨大な引き上げをお考えになっておる。  そこで私は逆の意味で御質問をしたいと思いますが、あなたはわが国道路最高責任者といいますか、そういう職にあって、一体道路というものはだれがそこから利益を得ておるとお考えになっておるでしょうか。
  14. 菊池三男

    菊池説明員 道路整備する一番基本的な目標ということのお話と思います。これはもう私どもが申し上げるまでもなく、道路自身国民のものであり、しかも経済発展あるいは生活道路というような形で、これはもうすべての者が直接、間接的に利益を受けておるものでございます。
  15. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 道路というものは国民全般が直接、間接に大きな利益を得ておるんだ、こうおっしゃるわけですね。そうなりますと、わが国税金の取り方といいますか、特にこのようなものは受益者負担原則というものがあります。あなたがいまおっしゃいましたことも、ガソリン税地方道路税引き上げ、あるいは引取税引き上げ、あるいは重量税引き上げ取得税引き上げ、こういうふうにおっしゃいましたけれども、それらはすべて自動車を保有しておる国民のみに課せられる税金、こういうことがいえるわけですね。そうなりますと、原則である受益者負担原則というものは相当な開きが出てくると思いますが、いかがですか。
  16. 菊池三男

    菊池説明員 非常に見方を大きく広く見ますと先ほど私が言った答弁になるわけでございます。ただ、もっと今度整備ということに目を向けまして、それでは直接的にあるいは間接的にというその度合いを考えますと、やはりそこの道路を利用している車、これはもう直接的な便益を受けておるわけでございます。また同時に、最近いろいろと問題になっております公害の問題、あるいは環境整備問題等になりますと、一般的に全部の国民利益を受けておるのではありますけれども、その度合がやはり直接そこを利用している車ということになりますと、そういう車がある程度そういうものの負担をすることはやむを得ないのではないか。また、負担はいたしますけれども、その道路整備されることによりまして、直接負担するような形にはなりますけれども、それがまた流通機構整備ということで、いろいろと運賃の軽減というような便益というようなことになりまして、それはまた別の形で返ってくるわけでございますので、やはり安定的にそういう道路整備するということを考えますためには、もう前に、昭和二十九年にガソリン税ができましたけれども、そのときの思想はいまでもそのまま受け継がれておると思っております。
  17. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 まあ税金のことはあと大蔵省にお聞きをいたしますが、局長、あなたは、公共事業の中から道路だけを取り出してみた場合に、一般公共事業はいわゆる一般財源というものがどのぐらい投入をされ、公共事業の中でも道路は一体一般財源というものがどのぐらい投入されているとお考えですか。それ御存じですか。
  18. 菊池三男

    菊池説明員 公共事業全般につきましては、これは一般財源でやるのが筋でございます。また考えようによりましては、道路一般財源をつぎ込むこと、これも確かにそのとおりでありますけれども、先ほど申し上げましたような事情特定財源というような形でやっておりますのは、あるいはほかにはあまりないかと思います。ただ道路整備の場合も、特定財源の占めております比率が、現在までのところ、国費、地方費違いますけれども、合わせて考えてみますと、七〇%ぐらいが特定財源の費用でございます。残りの三〇%が一般財源でございました。ただ、今度第七次の整備計画になりますと、先ほど申しましたように、特定財源比率がぐっと下がりまして、今度の先ほど申しました税率のアップをして、ちょうど前よりちょっと落ちますけれども、それに近いぐらいの、七〇%近い特定財源比率になるになるわけで、三〇%はやはり一般財源が入っているわけでございます。
  19. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 公共事業は主として一般的な国民利益を受けるのだから、大部分を一般財源を使って建設をするというのが原則だ、こういうことになっておるわけですね。そこで私は、道路効用を先にお聞きしたいわけですが、道路効用も、直接、間接一般国民利益を得ておるんだ、こういう御答弁をなさったのです。にもかかわらず、財源確保段階になるとそれが完全に逆転をする。途中で何か言っておられましたが、どうもよくわからぬことをおっしゃっておった。私は、原則として一体どうなんだろうか、実はこういう御質問をしたわけでございます。しかも実際にはその比率というのは非常に大きな差異がある。これでほんとうにいいだろうか、税負担公平化という原則から考えて一体どうだろうかと、いろいろの疑問がわいてくるわけでございます。  そこで大蔵省お尋ねをしたいと思うのですが、先ほど局長が、ガソリン税だとか、地方道路税だとか、引取税だとか、あるいは重量税だとか取得税、それぞれのアップ額をおっしゃいましたが、そのような計画をいま大蔵当局としてはお持ちでございましょうか。
  20. 福田幸弘

    福田説明員 お答えいたします。  大蔵省の案というのはいま中で検討中でございますが、建設省の先ほど御説明になりました案については、十分われわれとしては連絡を受け、今後ともその方向でやっていくという考えでございます。  御質問の趣旨は、特定財源と申しますか、道路整備について受益者負担をどういうふうに考えるかという御質問であるかと思いますが、その点についてお答えいたしますと、道路計画をどのように進めるか、これは建設省及び主計局の問題だと思うのですが、道路計画は五カ年計画ということであるという前提をわれわれ財源当局としては考えるわけでございます。したがって財源としては五カ年間の財源として考える。短期的に来年がどうであるというようなものではなくて、五カ年間これだけの規模の投資をする、しかもそれが国民経済的に必要であるという前提のもとに財源をどう考えるかということになるわけでございます。  この際どういうふうにそれを特定財源に求めるか、それがいいか悪いかという議論になるわけでございますけれども、税の理論からすれば、担税力をどういうふうに求めるか、それからそれが社会の公平に沿うかどうかということが基本になると思うのですが、先ほど道路局長も御説明になりましたが、道路というのはやはり端的に、それを利用しておる者の負担、さらに道路を利用することにより受益をするということの受益者負担ということが基本にあるかと思います。これがやはり担税力から見て適当であり、道路財源として安定的に確保できるということであれば、その関係の税を増徴するということは当然の方向かと思います。さらに、車のいろいろな環境に及ぼす公害的な問題、これも最近の問題でありますから、原因者負担ということが加わりますと、さらにやはり直接の車及びそれが使う燃料、これに対して税負担を求めるのは社会的な公平に合っておるというふうに考えるわけです。それで、外国でも同じことでありまして、道路整備財源、これは沿革的にも車及び特に燃料というものに期待されてきたわけで、現在でも、道路舗装率日本に比べると非常に高くなっておりますけれども、依然としてその道路を利用するものに財源を求めておる。しかも、そのオーバーした分は一般会計に繰り入れるというふうな、担税力を車及び車の利用者に求めておるということは、国際的な一つ通則みたいな感じを受けます。あと資源の節約とか浪費の抑制というようなことでさらに税負担を求めるということが、最近の事情にかかわらず、もしくはさらに最近の事情から見て必要性がふえておるかという感じがします。  燃料についていえば十年間全然上げていない。しかも油の値段は従来ヨーロッパに比較すると非常に安かったわけです。したがって、その原因というものを見ると、むしろ税負担が低過ぎたということが端的な理由になっておるわけですが、国際的な油不足ということになってくると、油の値段自体も、ヨーロッパ日本は、外国依存とか中東依存から見て同じような状態でありますが、ヨーロッパの場合は税負担率が七、八〇%。わが国の場合は夏ごろで五〇%、現在はもっと下回っておるかと思うのですが、物不足の場合に税負担を非常に低くしておく、しかも値段物不足のために上がってしまうということは、課税の面から見るといかにもおかしいという感じがします。それから、自動車自体もやはり相当の鉄鋼を食い、資源を食うわけでありますし、そういう資源の面から見ての自動車の問題ということが今後の端的な問題として出てくるかと思います。そういうことがあります一方、燃料伸びがどの程度期待できるかということもありますので、その辺は、燃料に対する課税ということと自動車課税と両方から建設省の案の方向で今後ともさらに検討する必要があるかと思います。  また、一般的にいって、間接税というものが、現在のようなインフレ傾向の場合においては、非常に消費抑制、総需要、景気抑制的な役割りを持つ場合があるわけでありますから、その辺も考える。それから、総合交通観点から見て、その輸送効率から見て、輸送トン、それから輸送人員当たりのエネルギーという関係からのエネルギー問題という意味検討も今後必要になるわけであります。  本格的な検討は、政府税調でもまだ始まっておりませんが、今後さらに事態の推移を見ながら、しかし全体の五カ年計画を念頭に置き、課税の公平ということを特に利用者原因者負担に求めるという原則課税当局としては考えたい、こう思っております。
  21. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 大蔵省福田さんですか、あんまりごまかし的な答弁はやめてもらいたいと思うのです。つまり、国際通則になっておるとかなんとかおっしゃいますが、私はあなたは非常に勉強が足らぬと思う。いまの時点でそのままのある期間だけを取り出して見れば、あるいはそういうことが言えるかもしれませんが、諸外国と比較をするときには、諸外国モータリゼーション進行過程日本モータリゼーション進行過程とを比較しなければならぬ。そういうふうに比較すれば格段の差異があることは、大蔵省としては十分承知の上でああいう答弁をなさっているのじゃないか。  外国通則になっておる、こういうことをおっしゃいますが、諸外国では、モータリゼーション進行過程においては、実に一般財源の七〇%から八〇%を投入していった歴史的な事実があるわけです。日本はそういうことはないわけでしょう、現実には。いまのモータリゼーション進行過程における一般財源投入というものと、もうすでに二十年も三十年も前に終わって安定をしておる時代における投入額とほぼ匹敵をしているということにすぎない。それが国際通則であるなどという答弁は実にけしからぬわけだ。いまの時点だけを取り上げてものを比較すべき状態ではないわけでしょう。情勢が非常に違うわけですよ。道路が非常におくれておるということも、諸外国と比較される数字だけではなくて、その比較される時期は、一体どの時期を取り上げて比較をするのか、こういうことになってこなければいけないと私は思うのです。端的に口先だけでごまかしてしまおうというような答弁では、私はとうてい納得できるものではない。もう一回答弁してください。
  22. 福田幸弘

    福田説明員 お答えします。  先生おっしゃるような、その国その国の発展の度合いとその時期的なズレという問題は確かにございます。その辺も十分研究する必要があると思いますが、わが国が、最近のように急激に経済が拡大しておる、しかも財源需要は、一方において福祉財源を中心にして非常に需要が強いという際における財源の求め方、道路は非常に必要であるという際において、しかも財源は福祉のほうにも回さなければいかぬというときに、その道路が必要であるという——ヨーロッパよりは非常におくれて、非常に急速に必要になっておるわけですが、しかも一方においてそういう福祉が並行しておるというときに、財源を求めるためには、やはり直接の受益者もしくは原因者であるというところに財源を求めるということが、日本の特殊性としても必要であるということを特に申し上げたいわけで、長期的に見て、道路に対してはそれを利用するものが負担しておるというのが一般的な傾向ではないかと申したわけでございまして、財源的にその国その国の発展の度合いによる差があるということは確かでございます。
  23. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 それからもう一つの問題点は、道路というものは、御承知のように非常に長期間にわたって国民利益を及ぼすものである、これはおわかりですね。ただ、五カ年計画であるからここ五カ年間たってしまえばおしまいだというものではないわけです。いわゆる孫子の代までも道路というものは国民に対して利益を及ぼしていくものだ、非常に長期にわたって国民利益を与えていくものだ、こう考えていくならば、そのような基礎的な国民的資産を建設するために、現在に生きる、現在車を持っておる者だけがどうしてすべてを負担しなければならぬということになってくるのか、その辺をひとつ御説明願いたい。
  24. 福田幸弘

    福田説明員 お答えします。  道路発展する段階においては、やはりそれに見合う利用者というものが端的に当初は相当負担が重い。あとになれば、それが終わってしまえば、その負担はだれが負うかということになるかと思うのですが、わが国道路事情が舗装率等から見ても非常に低いということから見れば、いつまで道路建設が続くかということについては、これは建設省あたりでも、いつまでに終わるということはなかなか言いづらいかと思うのです。そういう意味で、いつまでに終わるということのないわが国のいまの道路事情からいけば、将来の世代というのも相当の長い世代が直接に負担するという関係になるかと思います。  それと、われわれの課税理論からいけば、担税力を求めておるわけですから、ヨーロッパでもどこでも、一応考えると、付加価値税があり、それ以外に特別の負担を求めておるのは、酒であり、たばこであり、燃料であり、自動車なんです。この四つの担税力というものが特殊に見られておるわけです。したがって道路の完成、将来いつになるかわかりませんが、その事態においても、担税力をどこに求めるかということについては別の議論があるわけで、まあ外国の例を引くのはまた悪いかと思いますけれども、結局、道路整備が相当進んだところ、ほとんど一〇〇%終わった英国において——英国は特定財源を一九六四年ですかやめたわけです。道路が一〇〇%舗装されたわけです。しかし、道路を利用する自動車及び燃料に対する課税は依然やっておりまして、道路投資額のほとんど二倍近くを税収であげておる。というのは、道路ができても、依然としてやはり道路を利用するものに対して、車及び燃料に対して担税力を求めておる。それを一般財源に入れて公共福祉に使うということでありますので、特定財源時代があり、しかもそれが非常に長期的な先に道路整備された後においても、福祉財源として担税力をそこに求めるということは、決しておかしくないと思います。
  25. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 質問に対して端的に答えずに、非常に逃げの答弁ばかりでございますが、いずれにしても、イギリスと比較をする場合は、イギリスは有料道路一つもないのですよ。日本は多くの道路をつくれば、大体このごろ新しい道路はもう全部有料道路。有料道路というのは、そこを通る車から一々通るたびに金を取り上げて、やがてはその投資額を全部償還してしまうという、いわば税金から借金をしておるという形態をとっておるにすぎない。だから全然形態が違うわけですよ。   〔委員長退席、大野(明)委員長代理着席〕 イギリスは有料道路というのは全然一本もありませんよ。すべてを税金でまかなっておる。日本の場合は新しい道路はほとんど有料道路だ。通行のたびに税金とは別に通行料を払っておる。それによって投資をした額の税金はすべて償還をしていこうという方針がとられておる。こういう関係にあるわけですから、いわば税金から先借りをして、あとから自動車に乗ってそこを通る国民がすべて払っておる、こういう状態になっておるわけです。私は、その道路をつくるための投資額は、この道路というものがこれから三十年、五十年、百年の長きにわたって国民利益を及ぼしていくのだから、いまの時代で、いまの世代で、そうして五カ年間で相当な道路ができるわけですけれども、それをすべて車を持っておる人のみが負担をしなければならぬということは、ほんとうに税公平の原則からいってどうだろうか、当然そういう疑問が出てくるわけであります。  しかも局長も言っておられたように、道路というものは、確かに自動車はタイヤを路面につけて走ってはおりますが、われわれ人間が生活をするために、朝起きて牛乳を飲む、新聞を読む、すべて実は車の背中に乗っかってそのようなものが配達されておる。あらゆる物資が背中に乗っかって配達されておる。地面に接地はしておらなくても、間接的にはあらゆる物資というものが全部道路の恩恵を受けておるわけです。そう考えていきますと、そう簡単にそのような結論が出るのか、こう言わざるを得ないわけです。  しかも九種類も十種類もかけられておる税金というものが、一つ一つその趣旨なり目的なりというものを私はきょうは聞きただそうとは思いませんが、聞きただしていきますと、これも税の根本原則に触れる問題が出てくる。一つ税金、二つの税金、同じような目的が入っておる。あちらからも取り、こちらもまた名前を変えた税金を取っておるというのが、いまの現実の姿なんです。したがってこの前の道路財源のときにもいろいろ問題になりました。おかしいではないかという質問に対しては、なるべく早く整理統合していきますという答弁が返ってきておる。にもかかわらず、そのようなことが一向に行なわれずに、またしてもイージーな、なるべく種類を多くして、たいして高くはないのだぞというような見せかけをしておいて、少しずつ上げていこうとなさっておる。悪くいえばこれがいまの現実の姿ではないか。  したがって私は、そういう原則から照らし合わせて、ほんとうにそれで公平なんだろうか、こういう疑問が当然わいてくるのです。いまの大蔵省のそれだけの答弁では、とても私の疑問は納得できないのです。したがって原則的には、道路をつくっていらっしゃる局長自身も言っておられるように、確かに長い期間にわたって国民全般に影響を及ぼしていくものだ、こういうふうに考えていくならば、私はその比率というものもおのずからもっと考えられてこなければいけない問題があるのではないだろうか。  さらに担税力の問題を云々をされましたけれども、しからば自動車を持っておるという国民ほんとう担税力を持っておるだろうか。自動車を持っておる者はもう担税力はあるのだ、こういうふうに端的に割り切れるであろうか、こう考えていきますと、これも非常に疑問点が多いわけです。いまマイカーが問題になっております。確かに勤労者がたくさん乗用車を持っておることも事実でございましょう。しかもこれも反面いまの社会情勢考えるときに、日本の基幹産業といわれるような、日本経済をささえておる産業というものは、大体もう昼夜兼行で操業が続けられておる。従業員は夜の夜中に出勤をしておる。それには公共輸送部門というものが対応しておらないのです。やむを得ずそこに働く人々は通勤の手段としてマイカーを持たざるを得ない。そうして調べてまいりますと、年収二百万円以下の人々が非常に多くそういうものを無理をしてお持ちになっておる。そういう状況を考えますと、ポンコツ車でも持っておれば担税力はあるのだというような単純な割り切り方がほんとうにいいだろうかという疑問を持たざるを得ないのです。そのような車の保有者そのものがほんとうにどの階層にあるということを十分御承知なのでございましょうか。ちょっと御答弁を願います。
  26. 福田幸弘

    福田説明員 お答えします。  最初の財源のお話、これはまた繰り返しになりますけれども、結局、与えられた一般国民が負う税金特定財源のそのバランスの問題、それから一般税金を使う場合に、福祉計画等との財源の配分の際に、どういうふうに各プロジェクトに税金を多く投入するか。受益者がはっきりしない、大衆が受益をしておる、そういうものには一般財源投入し、受益者が比較的わかりやすい、そういうところには受益者負担を求めるという財源の配分の問題だと思いますが、これは繰り返しになるのでやめます。  それから、税目が非常に多いということが従来いわれておるわけですが、これはやはり、いろいろな形で税負担を各方面から求めるほうが具体的な場合が多いわけでございまして、むしろ国、地方の財源の配分の問題もまたからむということで、各税目ございますけれども、また別の機会に御説明しますが、車を取得し保有するという一つの税グループがあり、さらにその車を走らせるという意味の走行という燃料がからむ税金があり、さらに車の重さ、重量による道路の損壊、社会的費用を負うという、このサードストラグチュアという三つの仕組みの上に立っておるという点では決しておかしくない税制である。その中がいろいろな税目に分かれておるというにすぎないわけです。  それから必需度の問題だと思うのです。最後のお話は大衆が持っておるということでありますが、われわれは所得階層別のものをわれわれの調査としては持っておりません。ただ自工会が独自に業界として調べられたものはあるようです。相当低いところで半分近くの者が持っておるという数字はあるようでありますが、これは、所得がどの階層にあるかは聞き取りでわからないので、税務署の調査でも、税務署自体に申告しているものが確実かどうか、その辺の所得が幾らかというところが的確に押えられない限りは、その所得階層別の車台数というものは、業界の、自工会自体の数字をわれわれはそのまま用いるわけにいかないのです。しかし、必需度、大衆度という問題は、その国の総合交通体系の中の問題で、アメリカであればバスとか地下鉄その他が発達してないので、しかも広いから車がどうしても必需品になる。したがって車の税金は安いし、燃料も安いわけです。しかしヨーロッパになれば、地下鉄もあり、バスもあり、国の大きさもわが国と比較できる。そういうふうな総合交通の中での車の持ち方の問題でしょうが、きょうは数字を持ってきてはおりませんが、わが国の車の普及率というものは非常に低いというのは間違いないわけです。しかもその場所によって必需度が出るのじゃないかという問題でしょうが、その企業に通うために自家用車を持たざるを得ないというなら、それはその企業がその負担を負うべき問題で、それが大衆車であるというふうには一般論としてはいえないと思うのです。一般論としては、やはり公共的な大量輸送機関を充実するということによってこの問題は解決すべきで、狭い国の中で各人が一人しか乗らない車を持つことによって、大衆車の形で輸送を確保するということよりも、こういう狭い国で輸送を大衆が利用するためには、バスその他の大量輸送機関を充実するということが大衆化の方向だと思います。
  27. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 端的にお答えにならないで、非常に回りくどい説明ばかりでございまして、私はほんとうにそういう状態でいいだろうか。いま、通勤手段を持たないところ、やむを得ず通っておるところは企業が持つのがあたりまえだ、こうおっしゃいますが、ほんとうにそれでよろしいのですか。いま総理が言っておられるのも、過密過疎の問題で工場をなるべく外に追い出そう、こういうふうに計画をなさっておるようだ。そうすると、なるべくへんぴなところに行くわけですよ。いままでの経過から見ると、まずそういうものができてしまって、それから後にバスが通るとか通らぬとかいうことが相当問題になって、非常におくれて不十分ながら公共輸送機関というのが対応していくというのが現実の姿。ところが、実際にはそんなことはしておりませんから、そこに働く人々は、みずからの生活を確立するために、好むと好まざるとにかかわらず何とかしなければいかぬ、その付近に家を求めようと思ってもなかなか家は建てられぬ、こういうのが現実の姿なんでしょう。そんな簡単な大蔵省答弁のようなことを言っておって、ほんとう国民は生活ができていけると思いますか。私は、そういうきびしい現実にあるのだから、あまり単純に車保持者イコール担税力ありというふうな見方が危険ではないか、こう言っているのですよ。  まあ的確な返事は返ってまいりませんし、ここでその議論をしておってもしようがありませんが、私は、要は第七次道路整備五カ年計画というものが、いまのような社会情勢の中でほんとうにどうなんだろうか、ほんとうに無理をしてでも遂行しなければならないのかどうか、一そうこの物不足に拍車をかけないかどうか。大臣自身は確かに、いろいろ問題があるので勘案をしていこう、弾力的に運営をしていくのだという。これは直ちに財源に影響してくる。さらには税金を取り立てられる側からいけば非常に大きな問題なんですから、それならば一体どうなんだろうかという問題が出てくる。ところが税金を取り立てるほうは、そういうことに一向におかまいなく、計画だからそのワク内で取ってしまうのだ、こういう御方針のようでございますが、私はそれは、総合的にその計画自身が非常に弾力性を持って運用をせなければならぬような社会情勢が到来をしておるとするならば、当然それに付随をして考えられていかなければいけないことではないか。   〔大野(明)委員長代理退席、委員長着席〕 情勢は認めながらも、実際にはそれをオミットしながら取り立てるほうだけは取り立てていくという方針は非常に問題があるのではないか、こう思うわけですが、いずれにいたしましても、もう差し迫った問題でございまして、この予算編成時期までにこの財源をどう確保するかという問題は、私は早く建設省も結論を出していただきたい。そして、ほんとうにどうするのかとか、やはりもっとわれわれが納得できるような方向での財源の捻出ということを十分に考えていただきたい、そういうことを強く要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。      ————◇—————
  28. 服部安司

    服部委員長 次に、内閣提出工業再配置・産炭地域振興公団法の一部を改正する法律案都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案国土総合開発法案井上普方君外六名提出土地対策緊急措置法案、以上四案を一括して議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡部恒三君。
  29. 渡部恒三

    ○渡部(恒)委員 国会法の成規の手続によって、国民の期待する国土総合開発法外三法が閉会中の審議としてきょうで三日間行なわれておるのですけれども、当然この審議に参加すべき野党の議員、まあ民社党の良識ある議員は出ておりますが、そのほかの議員がこの国民的に期待する重要法案の審議に参加していないことはきわめて遺憾であります。委員長から厳重に注意をしていただきたいと思うわけです。  そこで私は、前回に引き続いて質問するのでありますが、前回、経済企画庁長官が退席をせられたので質問を残したわけでありますが、きょうもまたいらっしゃってない。建設大臣は三日間終始真剣に出ておるのですけれども、そのほかの大臣は一体この法案に対してどういう気がまえというのか、何か野党の質問であればうるさいから出なければならぬけれども、与党の質問はまあまあでいいのだというような態度でこの重要な法案の審議に出ておるようでは、私は国民に対して相すまないと思うので、委員長から厳重に注意をしていただきたいと思います。  そこで、この前に引き続くのでありますが、宅地と住宅の問題。これは今日の常識では、新全総によって行なわれた線引きがかえって宅地の供給を困難にしておるというのは常識になっておるのです。ところがこれに対して役所側の国民の実情に反応する回答が出てきておらない。これはもう一つは、土地問題に関する限り、規制も重要であるが、規制とともにこれに税制の面が並行していかなければ、私有財産の尊重を一応基準としておる今日の憲法の中での土地問題の解決はできないというのも常識になっておる。ところがこの線引きによって、ほんとうは宅地供給を進めるために行なわれたところの線引ぎがかえって困難にしておるのは、税制の面が伴わなかったのであります。これが常識になっているのです。この税制の問題が退歩してきておる、だからこれを並行して改革しなければ解決しないというような一般常識がある。これに対して政府の見解をお伺いしたいと思います。
  30. 吉田泰夫

    ○吉田説明員 ただいま全総計画に基づく線引きのお話がございましたが、都市計画法による市街化区域と市街化調整区域の区分の制度の問題がその中心かと思いますので、それについて私から御答弁さしていただきます。  この市街化区域と調整区域の区分の制度は、スプロールを防止して公共施設の計画的な整備に即応しつつ市街化をはかっていこう、段階的に整備していこうという意味で設定せられました制度でありまして、現在のところ都市計画を行なっていく上での地上計画基本になっております。  その決定の手続は、市町村の意向に即しまして都道府県知事が建設大臣の認可を受けて行なうということでありますが、特にその間において、農林漁業を主として行なうべき場というような意味の、農林漁業のための土地利用との調整ということに非常な主眼が注がれておりまして、その調整を終えたものについてその線をもって区分けしているというわけでありまして、現在各都市において実施されておりますが、早く実施したところ、少しおくれて実施したところ、いろいろあります。おおむね実施後二、三年は経過してきているわけでありまして、都市計画法によれば、おおむね五年ごとに、その後の都市発展の動向に即して総合的な調査を行ない、これは線引きに限らずすべての都市計画を実情にマッチするように修正していくという原則があります。そういうことで、ただいまのところまだ二、三年しかたっていないという意味合いから、まあ特殊な事情がない限りはいまの段階で軽々に変更するということは必ずしも適当ではないのではないか、こう考えます。  また、おっしゃるように宅地需給が特に逼迫している地域がございます。大都市地域等がそうでございますが、こういうところにおきましては、御指摘のとおり宅地供給を是が非でも促進しなければならないという観点がありまして、そういう観点を強く考えれば、適当な立地条件を有する場所である限り、現在の市街化調整区域につきましても何らかの配慮をし、宅地開発ができる、宅地供給ができるようにしなければならないという要請もあるわけであります。こういった観点を総合的に勘案して合理的な調和のとれた対策というものを見出す必要があるわけでありまして、かなり基本的な問題になりますので、その実態とか影響、線引き後の二、三年たった現状というものを把握いたしたいと考えまして、昭和四十五年末までに線引きを行ないました都市計画区域、これは線引きを行なっております都市計画区域の約三分の二ぐらいでありますが、その地域を対象にいたしまして、現在各県に委任して線引き後の実態の調査を行なっております。  その結果が出てまいりますれば、各県と話し合いつつ、その実態を踏まえた対策というものを個別に検討してまいりたいと思いますが、それまでの間、当面の対策といたしましては、まずもって市街化区域の中の宅地化の促進。市街化区域の中にも相当の開発可能地、供給可能地があるわけでありまして、これをあらゆる施策を講じて供給に引っぱり出すという施策がぜひとも必要であろう。それが最重点であろうと思いますが、さらに特に公的機関によるような大規模計画的な開発でありまして、市街化調整区域内でありましても、その立地条件その他から差しつかえないというものも多々あるわけでありますから、こういうものにつきましてはむしろ積極的に認めまして、この切迫した宅地需給の不安というものを解消する必要があると考えております。
  31. 渡部恒三

    ○渡部(恒)委員 いまいろいろの説明があったのですけれども、役所のいろんな行政の仕組みとかそういうことは国民はわかりませんから、国民が素朴に考えるのは、土地不足だ、土地不足だと大騒ぎして、一方で二十五万ヘクタールの水田が現実に余っているのです。この休耕処置のためにこの三年間政府は苦しみ、たいへんな金額を税金から支出しているのですね。しかもこれは、道路を歩いても、汽車で走っても、いますぐ宅地になれる地域的な環境が非常に整っている水田が一ぱいあるのですね。ただその水田を宅地にするということは、国策に沿ってほんとうは喜ぶべきことなのが、法律上は農地法によって許可されないのが非常に多い。これはどういうわけなんだろう。素朴な国民からいわせれば、役所のやっていることはわからないということになるのですよ。この農地法、当然ですからね。この国土総合開発法のことを問題にし、土地の問題、住宅の問題を問題にする場合には、森林法とともに一番宅地供給を妨げておる、制限立法になっておる農地法と農振法、これの改正を伴わなければ実を伴わないはずなんです。これは下河辺局長答弁いただくのが適当かと思いますが……。
  32. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 国土総合開発法におきます開発行為の規制にあたりまして、関連法令を必要に応じて改正する必要があることは先回もお答えしたとおりでありまして、一部改正を順次行なっているところであります。ただいま御指摘いただきました農地法あるいは農振法につきましては、現在農林省で検討しているという段階でございまして、おくれているということは事実でございますが、何せ農業という国の基本的な産業につきまして、基本的な政策の体系化の中で、やはりその政策と土地政策との関連性を十分詰めるということでございますので、近くこの検討の結果が出ることを私どもとしては期待している現状でございます。
  33. 渡部恒三

    ○渡部(恒)委員 これは検討ばかりしておって進まないんですね。これは日本列島改造計画そのものがそうなんですが、総理が時宜に適した非常にいいアイデアを出す、これが新聞に載る、国民は非常に期待する。ところが行政がこれを妨げている、実現しない、失望するというのがこの内閣成立後の一年有余の政治の情勢だと思うのです。  私ども、この国総法に国民が期待した最大の眼目は、過疎と過密の解決であるということは周知のとおりなんです。この過疎と過密を解決するために一番先に国民が期待したのは、工場追い出し税の創設なんですね。東京にこんなに人が集まっている。東北や北陸には人がいなくて、毎年毎年入口が減って泣いている。だからひとつ工場追い出し税を設けて、東京にある工場や大学を地方主要都市に追い出す。逆に今度地方では、この前建設大臣答弁なさったように、地方中核都市の建設とか道路、新幹線網の建設によって受けざらをつくっていく、これが国総法の根本のねらいのはずなんです。その工場追い出し税についてはどこへ行ってしまったのですか。
  34. 志賀学

    ○志賀説明員 お答え申し上げます。  ただいま工場追い出し税についてどうなったかという御質問でございます。昨年、私どもの省で工場追い出し税という構想を出したわけでございますけれども、いろいろ検討いたしました結果、昨年その構想は実現をいたしませんでした。来年度の構想といたしまして、現在私どもの省を含めまして幾つかの省でなおいろいろ検討を進めているところでございます。
  35. 渡部恒三

    ○渡部(恒)委員 たいした答弁にならなかったですが、国民がぱっと期待したものがはなやかに出てきて、それがネオンサインはそう消えないんだけれども、今度は電力不足で消えるそうだけれども、にじみたいにみんな消えていっちゃったのでは困るので、ひとつこの工場追い出し税については、ぜひ思い切った検討をするように当局に強く要望します。  税金の話が出たついでですから、もう一つお聞きしたいのですけれども、いま土地の税金について国民の二つの声があります。一つは、土地の評価額が大きくなったために、小さな住宅、土地を持っておる零細な市民が固定資産税が高くなって困るという点と、また逆に、最近の傾向は商社や不動産業者に土地が圧倒的に買い占められてしまって、庶民の手に渡らない。この二つの相矛盾した問題が出ているんですよ。これを解決するには、何らかの形で固定資産税に累進高率課税方式を取り上げるほかないのではないか。たとえば、百坪までは無課税にして、百坪以上、あるいは五百坪、千坪というような単位によって土地課税の累進制をとっていくと、結局土地を買い占めていることは税制上不可能になってしまいますから、庶民の手に土地は渡るのではないかという意見が強いのです。これに対して政府の見解をお伺いしたいと思います。
  36. 川俣芳郎

    ○川俣説明員 固定資産税に累進課税の制度を導入することについてどう考えるかという御質問でございますけれども、累進課税の制度は、所得の再配分機能を持っております所得税のような応能的な人税につきまして採用されるべきものでございまして、個々の資産の価値に着目いたしまして課税することといたしております固定資産税にはなじまないものではないかと考えておるところでございます。また技術的に考えてみましても、固定資産税は御案内のとおり市町村税でございまして、市町村はそれぞれの市町村内に所在をいたしております固定資産についてのみ課税をいたすわけでございます。したがいまして、同一市町村内にのみ資産を持っている者と、それから市町村をまたがりまして多くの資産を持っておる者について資産を合算してやるということは、技術的にもきわめて困難ではなかろうか。したがいまして、固定資産税に累進課税の制度を導入するということにつきましては種々の困難な問題がある、かように考えておるところでございます。
  37. 渡部恒三

    ○渡部(恒)委員 これはいままでできなかったということは、行政上いろんな困難があるからできないできたんですよ。ところが今度の内閣に国民が期待したのは、決断と実行の政治ということで、役所の行政上いろいろ困難な問題も、国民のためになることなら、新しい時代を前進させることなら思い切ってやってくれるだろうという期待が、この内閣に対する期待であったのです。役所の人たちが、従来の官僚システムの中で、一々これはむずかしい、あれはむずかしいということになったら、政治は前進できない。しかし、この答弁課長さんにお願いしても無理ですから、税制の問題については、私はもっと責任ある立場の人の出席を求めて、次の委員会に質問を持ち越したいと思うので、委員長、そのように取り計らい願います。  いま総理府総務長官の御出席をいただいたので、この国総法の中の重要な一つの法律として国土開発公団の制度が出ています。これも一般国民の立場からいうと、政府がやるのは一つ計画事業の指導であって、事業そのものは民間にできるだけやらせて、それを指導監督していくのが今日の政治でないかというような考え方もあるのです。それからもう一つは、建設省がたびたび土地供給公社あるいは宅地供給公社をつくるというような発表がなされて、これにも期待しているのです。これは二重になるのか、一体これができることになると宅地供給公社のほうは消えてしまうのか、あるいはこれとは全然別個のものなのか、その辺のところを明らかにしていただきたいと思います。
  38. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 御承知のとおりに、新たに開発公団の御審議をいまわずらわしておるわけでございますが、この公団設置のねらいは、御案内のごとく、物と産業が都市に集中いたしまして、全く土地利用計画が混乱し、また都市の環境が全く乱れてきてしまっておる。この現況を変えるのには、物と流れを変えなければならぬというねらいのもとにおいて、新たなる交通のネットワークの整備をいたし、また工業の太平洋ベルト地帯に集積されつつあるこうした不幸な現象を食いとめまして、新たなる環境の、公害のなき姿での工業地帯を整備いたすという、こうした重要なこととともに、都市におけるところの住宅環境整備あるいは流通事務等の整備どもいたさなければならぬ、また学園その他の環境整備もいたさなければならぬ、こういうような重大なことに相なりますと、御承知のとおりに多額の資金を必要とする、しかも高度な技術を必要とする、また執行行政体制も整えなければならぬというようなことにおいての受けざらとして公団を設置いたし、しかも民意のあるところを十分尊重いたしまして、そうしてそのプランをば、民意の了解と地方公共団体の了解とその趣旨をそんたくしてこれを遂行していくということでもございますので、住宅団地等、また住宅供給関係等の問題におきましては、過般、建設省におかれまして行管とのお話し合いも進めておられるというような、一体となった姿でひとつそれなどを取り扱ってまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  39. 渡部恒三

    ○渡部(恒)委員 私はあと、この前、経済企画庁長官に質問があって残したんですが、まだ御出席ないし、次に浜田議員の質問も待っておられますから、これも次に残して、質問をこれで終わります。
  40. 服部安司

    服部委員長 浜田幸一君。
  41. 浜田幸一

    ○浜田委員 お許しをいただきまして、各関係省庁に質問をさせていただきたいと存じます。  その前に委員長にお伺いしますが、私の質問時間のお許しをいただけるのは何時まででございましょうか。
  42. 服部安司

    服部委員長 どうぞひとつ、しっかりやってください。
  43. 浜田幸一

    ○浜田委員 ありがとうございました。  それでは、まず最初に、総合開発法案資料の中にある法律案について、下河辺さんからお答えをいただきます。  といいますのは、あと質問事項が十数点ありますので、簡潔にお答えをいただきたいと思うのでありますが、まず四ページの5でございますが、「内閣総理大臣は、全国総合開発計画の案を作成する場合には、国土総合開発審議会及び都道府県知事の意見をきかなければならない」と書いてあります。しかし、これだけの国総法、これは日本列島改造を行なうわけであります。  そうなりました場合に、近来の国際情勢、国内情勢等を見渡してみますと、政治力の偉大な発揮といいますか、偉大なる政治力の発揮というものがやはり法律案の精神としてびしっと出てこなければいけないと思うんです。ところがここでは、計画を練る場合には「都道府県知事の意見をきかなければならない」ということになっている。しかし私は、これだけのことを行なう場合には、たとえば関係省庁の大臣あるいは総理大臣に非常大権のようなものが与えられなければいけないと思うんですね。その点について、その必要がないのかどうか。  といいますのは、このうしろのほうに、実施計画の中で10というところがありますからごらんをいただきたいのですが、そこでは今度は、総理大臣の権限というのが、都道府県知事は何々をする場合には「内閣総理大臣の承認を受けなければならない」という形で出てきているんです。だから、前には意見を聞かなければならないけれどもあとになると、都道府県知事が政策決定する場合には機関の長はじめ総理大臣の承認を得なければならないということが出てきておりますね。これは法律案として逆じゃないんですか。法律の条文を作成する場合に、当然それが先に偉大な権限を与えなければならないという形で、次のものが出てこなければいけないんじゃないですか。そうお考えにならないでしょうか。その点をお聞かせいただきたい。
  44. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 ただいまの御質問でございますが、全国総合開発計画をつくります際に、決定にあたりましては、内閣総理大臣が閣議の決定によって定めるということが基本になっておりまして、関係各省はもちろん、全閣僚によって国の方針をきめることでございますから、閣議決定をさしていただきたいということを考えておりますが、その閣議決定に至りますまでの作業の行程といたしましては、審議会あるいは都道府県知事の意見を十分聞いて作業を進めまして、閣議決定によって総理大臣の決定といたすということが、現在提出しております法案の骨子でございます。  で、都道府県の計画等につきまして内閣総理大臣が承認をするという手続を設けました趣旨は、各地方公共団体を主体として開発を進めるにあたりまして、最終的に内閣続理大臣に内閣全体を代表して責任をとらせていただくという趣旨で、重要な計画について内閣総理大臣の承認を求めることにいたしましたし、さらには、関係省庁直轄の事業もあり、あるいは他の法令によりまして国の指定その他の権限を持っているものが多々ございますので、そういったものとの調整の上でも、やはり内閣総理大臣の承認の形式をとることが適当ではないかと考えたわけでございます。
  45. 浜田幸一

    ○浜田委員 そうすると下河辺局長のほうは、このままでよろしいとお考えになっているわけですね。そういう確認をさしていただいていいわけだと思いますが、十四条をちょっとごらんいただきます。「内閣続理大臣は、国土の総合開発に関し国の立場から特に必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、期限を定めて、特別規制地域の指定若しくは指定の解除、その区域の減少又はその期間の延長を指示することができる。この場合においては、都道府県知事は、正当な理由がない限り、その指示に従わなければならない」という形で、後段のほうは、十四条を含めて相当きびしい権限を与えられていると思うのですね。しかし総合計画立案段階で、これは「意見をきかなければならない」じゃなくて、お互いに協議して案を練らなければならないという形で処理されることがいいんだと思いますが、その点、御一考をいただいておく必要があると思うのでありますが、その点について後ほど御指導いただきたいと思います。  それからもう一つ、これは公害関係でお伺いしますが、これは通産省になりますか。環境庁出てきていませんか。——じゃ下河辺さんに聞いておきましょう。  同じく四ページですが、「全国総合開発計画は、公害の防止について、適切な考慮が払われたものでなければならない」と書いてありますが、この場合、公害基本法第一条、国の責任、第三条、企業の責任、第六条、国民の義務、その点については考え方を変えるお考えは全然ありませんか。あくまでも現在政府がとっている原因者負担原則というものだけを前面に押し出してやっていかれるおつもりですか。
  46. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 国土総合開発法によります開発行為に関します、国の、あるいは地方公共団体、あるいは企業の責任についてのお尋ねだと思いますが、開発行為をなす場合でも、やはり当然公害基本法の精神はそのまま受け継がなければならないというふうに考えております。
  47. 浜田幸一

    ○浜田委員 これは答弁にならないと思いますが、私が聞いているのは、公害基本法の第一条、第三条、第六条が基本だと私は思っているのですが、その場合に、企業負担原則原因者負担原則だけを前面に押し出して国総法の中では考えておられるのですかと。  例を申し上げますと、たとえば現在チッソの問題があります。チッソの問題は、これは閉鎖を食っておりますね。そのことによって受けている——まあチッソは企業としての責任を果たそうとして努力し、たとえば現在の段階で百六十億の赤字が出ているでしょう。銀行はどういう形をとっているかというと、もう実際に、これは中山素平さんのところですから、何という銀行になるのですか。(「興業銀行」と呼ぶ者あり)興業銀行が全面的に金利はたな上げ。金利も何もかもたな上げで、あれは株主から告訴されたら背任横領罪になりますよ。大蔵省もおいでになっているでしょうが、これはそこまでやっている。ところが、あそこがああいう形になったために、物価にはね返る影響等、いろいろな問題があるわけですね。  実はそういう問題を含めてお伺いしたいのですが、これはたまたまチッソという問題が社会的な問題になっているから、そういう原因者負担原則だけで公害問題をとらえていった場合に、現在問題になっている物価にはね返ることは当然でしょう。そうすると、物資不足、物価高、そういうものにもはね返る危険性があるので、新しい法律をつくる場合は、公害基本法の第一条の適用、そういう国が果たさなければならない責任というものをいま少し前面に出しておく必要があるのではないか。新しい経済社会計画をつくる場合に、私はそういうことが必要なのではないだろうかと思うのですが、その点、どうお考えですか。
  48. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 公害問題につきましての解決策として、まず公害基本法で御指摘いただきましたように明らかでございますが、企業責任というものはあくまでもしょっていただかなければならないという原則があると思います。しかし、公害が発生した地域におきます住民の方々の生活環境の問題、あるいはそれによります、いま御指摘いただきました物価問題への影響に関しまして、開発行政だけで解決するということはあり得ませんけれども、開発行政の側でお手伝いする面は非常に大きいという判断をしておりまして、国土総合開発法によります開発計画が進むということが、公害防止あるいは地域住民の生活環境あるいは物価にどういうふうに寄与できるかということは、計画立案について重大な関心事であるわけでございます。
  49. 浜田幸一

    ○浜田委員 この点については、きょうは各省庁の代表の方々もおいででございますから、十二分に……。  総理大臣はいまでも、インフレの要因があるということで、悪性インフレではないと言っておられる。しかし私どもは、現在はもう新しい形の、解決することができない悪性インフレであると実は考えておるわけであります。日本国内だけで解決しようとしてもできない悪性インフレの要因の中の公害の問題で、公害防止の原因者負担原則というものに何かしら手を加えてやらなければならないような気がしているわけでありますから、その点の御検討をいただきたいということをお願い申し上げておきます。  ようやく待望の大臣が参りましたので、本論に入らしていただきたいと思います。  最近における資源問題が将来のわが国に及ぼす影響はきわめて大であります。国土総合開発法の土台となっている経済社会基本計画を見直す必要を経済企画庁長官はお持ちになっていないかどうか。これは総理大臣から各閣僚全員を代表してお答えをいただきたいと思うのであります。
  50. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 お答えを申し上げます。  経済社会基本計画は将来の望ましい産業発展の主たる方向として知識集約化を想定するとともに、省資源、省エネルギー化の推進をはかることといたしておりまして、現在、計画推進の主要課題一つとして経済審議会では、今回のような新しい問題である資源、エネルギー問題はもとより、環境保全、立地、労働力問題などの制約条件を踏まえまして、将来の産業構造政策等の基本的な方向を明らかにすべく鋭意フォローアップ作業を行なっておる次第でございます。  しかし、最近の石油問題はわが国経済に重大な影響を及ぼす様相も見せておりますが、現段階でその長期的な帰趨を予測することはきわめて困難な要素が多いわけでございます。経済社会基本計画を見直すかどうかという点については、今後の動向を見定めながら慎重に考えてまいりたいと思っております。
  51. 浜田幸一

    ○浜田委員 非常に御慎重な答弁で、かたじけないと存じておりますが、参考には全くならないわけであります。私がいま申し上げました、経済社会基本計画の見直しをする必要がないかということは、やはりこれは国民生活に直接関係があるから、私はお伺いをしているわけであります。  ちなみに一〇五ページに何と書いてあるか、ちょっと読んでみます。これは「経済水準と成長率」というところでありますが、「昭和五十二年度国民所得は約百四十兆円(時価)で、一人当たりの国民所得は約百二十四万円(約四千ドル)となる。一九七一年の米国の一人当たり国民所得が約四千百ドルであるから、五年後のわが国の所得水準は現在の米国にほぼ近いものになる」と実は書いてあるわけであります。私はそうなるかもしれないと考えておりましたが、新しい資源問題の起こってきた今日では、私はこのことは検討せざるを得ないのではないか。これは当然、国民に説得する場合でも改定を必要とするものだと私は考えるわけであります。その点、これは具体的な問題として、そういうものに変化があるであろうと大臣はお考えになりますか。
  52. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 この基本計画の一番の特徴というべきものといたしまして、フォローアップを毎年やるということをきめておるわけでございます。そして今年度の問題についても、実はフォローアップがだんだん行なわれておりまして、近く結論が私の手元に来ることになっております。ところが最近の石油問題でございます。従来安い中東の石油の上に成り立っておったと言っても過言でない日本経済が大きな影響を受けるということは、これは必至でございます。しかしながら、一体この状況がどの程度の削減にとどまるのか、それによって一体価格がどの程度に落ちつくのであるか、そういう実は不確定な要素がございます。また、わが国といたしましては、中東の諸国にも、ことにOAPECの諸国に極力話をいたしまして、そして石油が大幅な削減にならぬように、またできるだけ早い機会に現状が回復されるように、外交交渉を行なってもらわなければならぬ段階でございますので、そういう点を十分慎重に見きわめながら結論を持っていこう、こういうことを申し上げた次第でございます。
  53. 浜田幸一

    ○浜田委員 抽象的な議論をいたしてもしかたがないのでありますが、私の見通しとすれば、この計画は当然手直しが一日も早くされなければならないし、現在の政府が手直しをしなくても、現実には変化すると実は考えております。これは新聞紙上では、五%の成長率のダウンになるとか、いろいろそういうことが書かれております。それを一々ここで取り上げてみてもしかたのないことでありますが、すでに経済成長率そのものが、たとえば九・八%のものが五%ダウンしなければならないというところまで経済企画庁は発表しているわけですね。きょうあたりの日経でもどこでもそれはみんな出ていますね。ところが私は、そういう抽象的な議論ではなくて、ここに実は通産局の出しました資料で一番新しいものが何点かありますから、それを基準にしてお伺いしたいのです。これは計画そのものを改正する必要があるという前提に立ってであります。  たとえば鉄の粗鋼生産についてお伺いしますが、いま政府が検討しておられる一〇%の石油の供給削減、あるいは電力の供給削減、そのことによって起こり得る数字は、粗鋼生産の段階では、これは端数は省略しますが、五千百万トンの下半期の計画だったのですね。ところがそれが一〇%の削減をすると三千七百万トンに落ちるわけですね。これはもう粗鉄だけなんです。鉄あ基幹産業ですが。今度はたとえばアルミニウムあるいはエチレン、セメントをそういう形で計算して、まず一番民間に関係のある、国民の頭の中に入りやすいセメントを言うと、一〇・二%のたとえば削減なら削減がされる。エチレンも一三%、アルミニウムは一〇%。これは品目は数多くありますが、そういう形で、基幹産業の中で生産される、日本の国総法に一番関係のあるそういうすべてのものが一〇%以上のダウンをしてくるということは、私は時計の針で言うならば、一〇%を削減することによって一年分あと戻りする、そういうふうに私は実は選挙民に対して説明をしているのです。一〇%の供給削減を行なった場合には、景気というものが一年分後退するのだ、だから二〇%になった場合は二年分後退するのだ。そういう考え方ですが、大臣、これは検討するんじゃなくて、当然こういう問題に対処する実施作業に入っていなければいけないのじゃないですか。特に経済見通しを決定される経済企画庁において。  経団連あたりは、イスラエル、アラブ諸国と公平な友好状態を保つというバランスをくずして、石油資源を守りたいからアラブ寄りの政治外交をしたいなんていう提言をした。政府の中にも特使を派遣してということがありますが、中東の情勢というのは、アラブ側に接近して資源を獲得しようとしても、リトルアメリカ、スモールアメリカといわれる、小さなアメリカであるイスラエルを敵に回したら、日本資源外交なんか展開できるものじゃないんじゃないですか。戦争はアラブだけでやっているんじゃなくて、イスラエルにも戦争の理由があるのですから、そういうことだけで国民の目を惑わしたり、あるいはものの考え方を決定したりすることが非常に危険なんで、むしろここでは、よりきびしい、たとえば一〇%削減しなければならないとすれば、二〇%を削減することを決意して、その中で一〇%で押えるという、そういう姿勢がもう経済企画庁の中になければならないと思うのですが、その辺いかがでしょうか。私はこの数字によってものを判断したり追及したりするつもりはありませんが、やはりそういう現実の問題があるわけでありまするから、ひとつそういう点については明快に御答弁をいただきたいのです。
  54. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 非常に貴重な御提言だと思います。まさにおっしゃるように、一〇%削減で見直しますと、鉄鋼で一一・七%、セメントで一〇・二%エチレンで一三%、アルミニウムで一〇%、それぞれ削減せざるを得ないというのが明らかに出ているわけでございます。そこで私ども考えは、これは非常な事態ではございますけれども、しかし、この事態に処して一番大切なことは、国民に不必要な不安感を与えてはいけないということだと思うのでございます。これは浜田委員におかれても同じにお考えだと思います。  そこで、実は日本経済と成長というのは、非常に伸びてきたわけでございまして、かりに一〇%落ちても、ダウンしても、それはたいへんだということがあまり叫ばれないで、いや何だ、これは昨年と変わらぬのではないかという程度の受け取め方をしていただくことによって、次の足腰がしゃんと立つというかまえもできるのではないか。できればそういうふうに持っていきたいというのが、私ども基本的な気持ちでございます。しかし、もとよりおっしゃるように、非常に科学的に精微にこの影響を分析して、政府としては、それに対する十分なかまえをしていかなければならぬことは当然であり、御説のとおりだと思います。しかし、そういう気持ちでおりますことを申し上げさせていただきます。  それから、基本計画そのものでございますが、これはアラブ外交も大事であり、メジャーを中心とするアメリカの考え方というものも非常に大事でございますので、私はその内容を一々外務大臣でない者が申し上げるつもりはございませんけれども、そういったことを十分勘案しながらやっていくということが必要であると考えている政府のことを言っているので、浜田委員の御注意は、私はそのとおりと受けとめたいと思います。
  55. 浜田幸一

    ○浜田委員 いま経済企画庁長官から、これはもういま日本方向づけをするために一番困難な時代に直面している、国民の不信感は除きながら政治の大綱を定めなければならないという本質が明らかにされましたので、この基本計画改定問題については、これ以上は申し上げません。  ただ実際問題として、国民に不安感を与える与えないの問題ではなしに、国民の不安を除去するためにここで政策的に決定しなければならないとすれば、来年度予算編成にあたっては当然変化が起こり得ると思うのです。たとえば総理をはじめ政府は、二六%の予算要求の増の中でいま査定をされようとしている。総理がこれを二〇%で押えようとする。これはたいへんなことだと思う。そうだとすれば、そういう議論があるかないか私は知りませんが、どうも政府の取り組み方そのものは、このインフレ対策といいますか、悪性インフレといいますか、われわれは悪性インフレ時代を迎えてしまった。これは日本国民の全体の不幸で、だれの責任だということでなく、全体の責任だと思う。その中で一番責任の重いのは政府だと思うのでありますが、その議論をしていたって前進がないわけで、お互いに力をあわせて乗り切らなければいけない。  そうだとすれば、ここでわれわれがはっきりしておかなければいけないのは、いま議論されている国総法、経済社会基本計画そのものを見直さなければならないとすれば、当然予算的にも変化が出てくる。心の中では日本列島改造論をやりたいと思っても、財政支出の上でそれがついて回らない、そういうものがまたインフレの要因になる、そういうことになる危険性があるから、この辺で国総法の内容の変更を必要としないかという議論が実に出てくるわけであります。  この点について、これは抽象的な質問でたいへん恐縮ですが、経済情勢が変化すれば、それに即応して、去年の三月に提案したものは、これは通っていればここで変更しなければならない。計画変更という形で出てきていると思う。これから法律案国民に納得してもらうように、これを法律案として通すためには、その時代経済に対処するような形で法律案の審議を進めなければならないし、立案も進めなければならないと思うのですが、その点いかがでしょうか。
  56. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 国総法をつくりまする段階において、浜田委員からも幾つか貴重な御提言をいただきましたことを感謝しておりますし、よく国総法の内容を御存じの浜田委員のことは敬意を表しております。ただしかし、これが国会に提案をされましてから私は、これは個人としてではございますが、非常に遺憾に思っておりますことは、国総法の内容をことさらに、田中総理の日本列島改造の推進版である、これを金科玉条にして、やみくもに何の意見も聞かないで、これができれば田中総理の日本列島改造を推進するんだ、だから反対だという議論が一部に非常にあることなのでございます。これをよく読んでいただきますと、この間も申し上げたのでございますけれども、一部の強い反対をされる諸君は、どうも何かこの法律は開発優先の法律であるという、だから反対だという、非常にそういう気分が強いように思いますが、私どもの理解は、これは規制のための法律である、いままで乱開発が行なわれていけないから、これを適当に規制して正規な開発をやっていきたいという気持ちであるということを言っておるわけでございます。  そこで、この点について幾つか審議がございまして、たとえば国土総合開発審議会の中に国会議員をどけたのはけしからぬとか、どけておいて役人だけ入っているのはけしからぬとか、そういう御意見は私は当たっておると思っておる点があるのです。ですから、そういう点は幾らでも直していいと思います。しかし全体の筋は、これは基本法でございまして、列島改造をいつまでにやるための手かがりというのじゃございませんのでございますから、この段階において確かに、経済見通しも練り直し、それから総需要抑制のために、財政上、あるいは財政の規模、あるいは公債の依存度、あるいはまた規模関連して税制の問題その他についても、いろいろ考え直すべき点が出ておると私は思いますし、また、これはやらなければならぬと思うのです。またそのときには、いろいろと党の皆さま方の御指示をいただいて、また御叱正もいただかなければならぬと思っていますが、国総法というのは、これができ上がると新幹線ができるとか、そういうようなことを言う人もございます。それとは関係ないのでございまして、この内容については、石油問題が起きたから国総法はアップ・ツー・デートでないというふうには私は思っておらないわけでございます。
  57. 浜田幸一

    ○浜田委員 全く御答弁のとおりであります。いま野党の方々の問題が出ましたが、野党は、委員会に出てこなくて、審議に応じないで、そしていかぬいかぬと言う姿勢では、日本列島とか国土総合開発なんというのはできるものではない。ですから私は、野党と違って自由民主党の党員でありますから、おのずから野党の方々と言い分は違ってもいいし、政策対決はあってもいいと思う。しかし本委員会は、いままでなごやかな委員会だということで、私が強行採決をやれと言うときにもやらなかったのです。やらないでもいい時期になっていまやっているということ自体おかしいことだと実は考えているわけであります。でありますから私は、野党の問題は、いま大臣の答えられたとおりでいいと思う。  ただ、そうだとすれば、今度は法律案にちょっと入らしていただきますが、四ページに書いてある、第三条でありますが、「全国総合開発計画を定めるものとする」という形の中の四番目の一番末尾ですが、そこに「住宅、生活環境施設、厚生に関する施設、観光及びレクリエーションに関する施設並びに教育及び文化に関する施設の整備に関する基本的事項」ということが書いてありますが、ここのところの条文は、大臣の意見をかりるならば直さなければいけない。これは末尾のことばですが、「文化に関する施設の整備または規制に関する基本的な事項」という形で、今後の国総法のあり方の中では、整備整備を完全にするための規制という文字の挿入。私は、そういう二つのことばを入れるだけではなくて、きちっと強く規制面の打ち出し方というものをしていかなければいけないと思うのですが、大臣、いかがでしょうか、その点は。
  58. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 委員長の選挙区である古都奈良にも俗悪な建物が建っておる、こういう乱開発はぜひ防止しなければならぬというふうに私ども考えているわけですが、そのような意味でこの整備という字が使ってあるように思います。しかしこれは、法律の担当者である局長から申し上げたいと思います。
  59. 浜田幸一

    ○浜田委員 というのは、この問題で時間を食うわけにいかないのですが、やはりそういう点では、何々総合開発、東京湾総合開発、瀬戸内海総合開発と、みんな総合開発ということばが前面に出ている。私はいまの政府のとるべき態度というのは、総合開発ということは規制開発というものが必要なんですね。だから、整備、規制、開発計画というものが一つになって総合開発法だということになっていかなければならないと思いますので参考に申し上げておきますが、こういう二つの文字を入れることによって、相当法律の内容が変わってくると私は思うのです。ですからその点については、何もいま御答弁いただかなくてもいいのです。  ただ全体的に、これだけの法律案をつくるのに、非常大権というもの、総理大臣の大権とか経済企画庁の大臣の権限とか、そういうものをなぜか表に出すことを非常にいやがっているような気がしてならないのです。いま強力な指導性というものが要る。これだけいい法律案は、内容にはいろいろな議論するところがあっても、正しいと思うのです。こういうものを国会に出そう、議論をしようということになると、二百八十日やったってこの法律案が通らなかったのですから、それならば、いま国民が問題にしている、三百万世帯の住宅難の解決とか、あるいは過密都市の解決とか、スモッグの解決とか、そういうことは全然できないわけなんです。だから、どうせこれだけ時間をかけてやるのなら、この国総法を、規制とか、事業計画の実施に当たる非常大権とか、そういうものを含めた法律案にしておかなければならないような気が私はするのです。だから、そういう意味で申し上げているわけでありますから、ひとつ今後法律案検討にあたっては、これは野党がいやがろうとも、いまの国民利益だけじゃなしに、百年後の国民利益考えてこういう法律案の提案はしていただきたいということを私はお願いいたしておきたいと存ずるわけであります。  それからもう一つ。いま説明を聞いたような状態ですと、たとえば工業用地をこれ以上開発する必要があるだろうかという意見が出てくるわけです。工場の再配置、転換という問題が議論になり、いま渡部委員から時間がないから途中でやめられたと思いますが、たとえば追い出し税の問題は去年検討したけれどだめになった。じゃ一体工場は追い出せるのか。私は追い出せない。追い出せないとすると、相当国総法というものは価値が減退してくると思うのです。だから、法律案を通すにあたっては、そういう追い出し税よりか、予算的な措置というものがもっとバックボーンになって前面に出ていかないと、この法律案は、ほんとう日本列島を改造したり日本全体をよくするための法律案としては、進み方がおそくなってしまうような気がするのです。特に私は、さっきの経済社会基本計画の見直しの問題を出したのは、工業用地を開発する必要があるのかということをこの際聞いておきたかったわけであります。
  60. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 いろいろ仰せられる中に、なるほどと思うことがたくさんございます。十分検討させていただきたいと思います。  そこで、工業の再配置の問題でございますが、私はかように思うのでございます。いまたとえば東京圏というものをとりますと、浜田委員の選挙区の千葉県は入るわけですが、ここに四千三百九十万人おるのですね。この東京圏は国土全体のどのくらいあるかというと一〇・六%である。しかもこの人数がどんどんふえていく。そうすると、水の問題でも住宅の問題でも、あるいは野菜の問題でも、もう困ることは目に見えている。十年後はたいへんなことになる。わかり切っておるのですね。そこで、まずそういうことをできるだけPRして、国民の中に、なるほどそうだ、それじゃやっぱり工場もどこかへ出てもらおうじゃないか、それには、ただ追い出すんじゃなくて、国民生活に必要な日本経済をささえる工場であれば、それについては適当な土地をみんなで考えるような、そういう雰囲気のもとに工場の再配置というものを考えていったらどうか。国土総合開発法が通ればそれができるのでありますが、それに先立って経済企画庁としては、巨大都市問題なり土地問題なりというものを、いろいろおりに触れて発表しておるわけで、これによりまして皆さま方の御理解をいただいて、浜田委員考えのようなことを実現してまいりたい、こう考えておるわけでございます。いわゆる根回しでございますね。根回しをもっとやりながら工場再配置の問題を推進してまいりたい、こういうふうに思っております。
  61. 浜田幸一

    ○浜田委員 基本的な考え方はよくわかりましたが、ただ、私はやはり、政府みずからの過密都市を解決するための政策調整、そういうものは国総法ができてもそう変わらないと思うんです。基本的な理念はわかりますが、たとえばここで経済企画庁長官が提言されて、この前、金丸大臣が発言されたことがございますが、まず工場を追い出す前に政府が東京を出ていくとか、そういう思い切った姿勢で、これは遷都論になりますが、私は政府が動くことはやはり過密都市を解決するために非常に大事なことだと思うんです。たとえば、大蔵省が富士山ろくへ引越すとか、あるいはいま総理大臣が新潟から出ているのですから、新潟へ引越すとか、北海道へ引越すとか、そういうことからやって、国民を説得する前に政府職員を説得する、そういう姿勢が真剣に検討されないと、この過密の問題というのは解決できないのじゃないか。  ちょっとここで私の考え方を申し上げておきますが、資本主義社会において繁栄する都に人が集まってくるのは当然であります。かせぎの強いところに集まってくるのは、これは自然の原理なのであります。当然なのです。当然のことを逆流させるんですから、当然でないようにするのだとすれば、それにかわるものをどこかにつくらなければいけない。それには社会基盤の整備のほか、たとえば環境保全の問題を含めた交通基盤整備とか、環境保全整備とか、そういう幾つかの柱がありますが、たとえばその中に住宅三百万戸を解決するために必要な二十五万都市の建設とか、そういう問題がこの法律案の内容としてあると思うのですね。ところが、法律案を出している人間が動かないで、このままの状態で東京にとどまってやろうとしても、なかなか無理なことなのではないかという気がしてならないわけであります。  きょうは住宅局長もここに来ておられますが、いま宅地開発公団というのをつくっているんですね。これは一つの参考です。あんなばかな計画はないんです。あれは経済企画庁がよっぽど腹立てたほうがいいですよ。宅地開発公団は、いま通そうとするこの法律案とは全く逆行することをやろうとしているんですよ。なぜかと言いますと、参考に申し上げておきますが、宅地開発公団は五十キロ圏内に土地が買えると思っている。私は買えないと思うのですよ。じゃどこに一番住宅をつくるかというと東京湾です。湾岸地帯です。埋め立てによって住宅をつくろうとする。いま東京の過密をなくすためによそに追い出そうとしているのに、宅地開発公団が宅地を求めて住宅をつくろうとすると、過密の中に住宅をつくることが一番安くてやりやすいんですね。これはあとで住宅局長とこの辺を少しやり合わないといけないんですが、実際にはそういうことを政府は平気でやっておるじゃないですか。片方ではこれだけの法律を通そうとして過密過疎のバランスを考えると言いながら、片方では宅地開発公団をつくって金のかからない埋め立てによってそこに五十万戸の住宅をつくるということを、幹事長が先頭に立ってやっているという現実をどうおとらえになるか。  私はやはり、立案した法律を通そうとする姿勢と、現実の問題を処理しようとする場合に、非常に大きな矛盾があり過ぎると申し上げておきたい。こういう点一体どのようにお考えでありましょうか、お答えをいただきたい。
  62. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 住宅問題一つとりましても、一時ニュータウン構想というのがありましたが、やはり大都市の管理機能が動かない限りみなベッドタウンになってしまうわけで、そこに寝てみな東京に集まってくるということでございますので、どうしても大都市の過密問題を考える場合には、管理機能をどこかに持っていくということが必要であると思います。その管理機能の中心はもちろん政府であるわけですが、これが動くということになると、これは一種の革命的な問題になりまして、なかなかそう簡単ではないというふうに思います。建設大臣の遷都論は何度か伺っておるわけですが、これもなかなか一気にまいりません。そこで私ども考えているのは、ひとつ休都論をやってみたらどうか。これはちょっと異様に響くかもしれませんが、下河辺開発局長のアイデアになるものでありますが、それはことしのお盆のときに非常に空気が澄んだわけです。みなお盆で郷里に帰ったので工場もある程度休む、空気が澄んで非常に住みいい東京になる、こういうことを年に定期的にやって、どういうところを移せば、あるいはどういうところが仕事を休めばこういう東京になるかということを考えて、そして一つ一つそれに沿ってやってみたらどうかというふうにも考えるわけでございます。  住宅問題についての御意見はよく承りますが、専門家がここにおりますから、どうぞそのほうにお願いします。
  63. 浜田幸一

    ○浜田委員 時間がたいへんだって、経済企画庁長官にだけ質問が集中してたいへん恐縮なんですが、やはり経済問題は国民の関心事でありますから、いましばらくお許しをいただいて質問を続行させていただきます。  住宅問題は後ほど住宅局長にひとつ私の提言を聞いていただきたいと思いますので、ひとつお願いしたいのですが、産業構造の転換をはかりつつ工場の地方分散、都市の分散をはかろうと、総理その他政府ではしばしば発言をしています。特に産業構造の転換は具体的に政策面ではかろうとしているのか、特に高度知識産業であるたとえば大型電子計算機、これらは実はアメリカに比較しても相当のおくれがあるといわれているわけです。これははっきりしている。ところが現在政府が進めている諸施策だけで十分といえるでしょうか。この点、大臣にお伺いしたいのですが、質問の内容はおわかりになりましたか。高度知識産業の集約化ということを盛んにいっているのですが、私、知識産業の集約化というのは国総法にも関係があると思うのですが、そういうものをどういうふうにお考えになっているのか、ひとつこの際お聞かせをいただきたい。
  64. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 それの典型的なものは電算機であると思いますが、電算機の問題でいえることは二つあると思うのでございます。一つは素材をよくしなければならぬという問題です。一時東大の電算機がどうにもうまくいかないということで、いろいろ研究いたしましたが、結局、鋼材の質が悪かったということになったそうです。そういう意味で、やはり頭脳集約型の産業といいましても、基礎産業である鉄鋼と非常に密接な関係があるということが一つでございます。それからもう一つは、非常にたくさん会社があり過ぎるのでございます。これはもっと集約しまして、そこに政府も相当な財政援助等もあえてして、それを急速に発展させないと、いま自由化、自由化といわれる世の中で電算機だけが抵抗しているわけですが、これはわがほうがおくれているから抵抗しているわけで、やはりこれは日本人の優秀な頭脳と技術によって十分発展し得る素地があるのでございますから、それについてもっと傾斜的な政策が必要だというふうに私個人として考えておるわけでございます。政府としてどうかということは、大体その方向考えておると申し上げてよろしいと思います。
  65. 浜田幸一

    ○浜田委員 それではこれからひとつ個条書きで質問をさせていただきますので、お答えいただきたい。  工場の地方分散をはかった場合に、税制等の優遇策だけで解決しようとすると、国際競争力が弱まって、それで国際収支等、経済に及ぼす影響が非常に大きいと思うのですが、その点についてはどうお考えですか。
  66. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 やはり企業というのは完全な競争をさして、その中に育てないと、仰せのとおり競争力が弱いものができると思います。でございますから、これは程度の問題でございますけれども、私は浜田委員のお説に賛成で、できるだけそういう方向考えるべきだと思います。  ただ一つ、このごろの問題は、工場とか電源地帯、発電をしようとすると必ずその地元住民の反対というのがありまして、実は発電所などは非常なおくれを見ておるわけです。ことに原子力発電所はほとんど手がつかないという状態でございます。そこで、やはり地元住民の意向をできるだけ尊重していかなければならぬことは当然でございますけれども、一体、地元住民の意向というのは何であるかというものを何によって判定するかという機関、それをやはり確定する必要があるのじゃないかというように思うのでございます。私はその方向で政府として考えたいと思っております。
  67. 浜田幸一

    ○浜田委員 次の質問についてでありますが、ただ優遇策だけで解決しようとすると国際競争力は弱まるかもしれない、その辺の判定は非常にむずかしい問題だと思うのですが、税制の優遇策だけで利潤追求の企業そのものが実際に分散をすることに同意するかどうかという問題が一つありますね。たとえば地方分散をおたくはすべきだということを政府が勧告した場合にそれに従わない。従った場合には価格にはね返る、そういう危険性を理由に法律の精神に従わないものが出てきた場合に、政府はどのような強力な施策をおとりになろうとしているのか、ちょっとお伺いしたい。
  68. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 税制によってのみ工場が分散するとは実は考えておりませんが、しかし、実際問題といたしまして、従来の既成工業地帯が非常に過密な状態であるということは、各企業が最近深く認識しているところではないかと思います。そして、水を供給する、あるいは電力を供給する、あるいは公害防止計画を立てるというときに、企業にかなり大きな負担がかかるわけでありまして、既成工業地帯の中でさらに生産を維持し、あるいは拡大しようとすることは、現在では困難な場合がほとんどではないかというふうに考えております。そのために、企業の側におきましても、今日既成の工業地帯に集積することが利益であるということよりは、むしろ分散することが利益であるという側面が実態上出てきているということも事実ではないかと思いますので、税制の優遇だけではなくて、今度お願いしております公団の設置等によりまして再配置を促進するとか、あるいは公共事業等によりまして生産基盤を造成するということによって分散の実をあげなければならないと考えております。
  69. 浜田幸一

    ○浜田委員 考えておられるということはわかりましたが、私は、国総法の中でもはっきりしなければならないのは、たとえば川崎なら川崎の工場は二分の一に減らさなければ、これは、東京の光化学スモッグのみならず、あの環境保全は守れないわけです。そういう場合に、二分の一には出ていってもらわなければならない。あるいは、公害担当者もここに来ておられると思いますが、公害規制のあり方は、一本一本の煙突で規制している形では、川崎とか京葉工業地帯の公害なんというものは除去できないですね。総排出量、全体の排出量そのものを五カ年間なら五カ年間で二分の一に落とすために必要な政策というものが新しい立法で考えられていかなければならない。  そのためには、一つには、いま地方分散計画が出ている工場の再配分、これも考えられる。しかし、もとになるものが、たとえば百あるうちのものを七十にすることが再配分として成功なのか、二分の一にすることが成功なのかという手法を考えなければならない。これがもっと強く政府の中から全面的に出てこなければならないものだと思うのであります。そのあとは、総排出量の規制という形、あるいは工場のフル回転に制限を加える方法。これは電力供給で当然制限が加えられていきますから、そういう点では公害の面ではプラスになってくると思いますが、そういうものをやはり一つずつ明快にしていかなければいけないのではないですか。ですから、川崎なんというところは、はっきり言って工場の三〇%を実は出したい、そういう政府の基本的な考え方が表に出てくれば、当然、出ない場合にはどうするのだという強権発動というか、強い指導力、そういうものが必要になってきますね。  住民パワー中心の政治を行なっていかなければならないとすれば、いまは反対するものが一番強いので、資源不足を招いたのは田中角榮が悪い、経済企画庁長官が悪い、みんな悪いのは政府で、国民は全然悪くないということになっておる。国民と一緒に反対する政党が正しいのだというのがいま定着しつつあるのですね。私はこれではいけないと思うのです。自民党がつぶれても、日本の国家の繁栄というものは、やはり今日皆さま方閣僚の努力によって基礎をつくっておいてもらわなければならないと思っている。ですから、法律の施行にあたっても、そういう追い出しに対する強力な姿勢として、受けざらをつくる前に、追い出すための基本的な数字、三〇%のものを追い出すためには受ける側で六〇%のものを用意しなければならない、予算も何十倍の予算を用意しなければならないと実は考えているわけですが、そういう点で申し上げているわけですから、誤解のないように御理解をいただきたいのであります。  いまの説明ではどうも強さはないのですね。たとえば住宅をつくるために特別規制地域、土地の投機を抑制するために特別規制地域を設ける、そういうことはいっているけれども、一番大事な、動かさなければならないものを動かす場合の特別規制というもの、工場に対する特別規制的な精神がどうも弱過ぎるような気がするわけであります。これはもちろん下河辺さんも議論のあるところでありましょうが、また後ほど時間のあるときに余裕のある御答弁をいただきたいと思います。私はいずれにしましても、中学校しか出ておりませんので、東大出と議論するだけの能力はとても持ち合わせばありませんが、いまの答弁はあまりにも力がなさ過ぎるように考えるわけであります。  そこで、今度は土地問題について建設省にお伺いをいたしたいわけであります。  運輸省は来ているかどうかわかりませんが、最近のインフレ助長の最大の要因の一つに土地の投機が大きなウエートを占めているといっても過言ではないと思うわけであります。それに油を注いだような形で国総法案、新幹線網の発表が行なわれた、そのことによって、地価の値上がりは規制できないような現状になってきている。ただ一つ朗報があります。それは銀行の貸し出しを徹底的に締めていられる。そのことによって一つの傾向があらわれてまいりました。これも私は一つの施策だと思う。これは成功した政策の例だと思う。どんどん金融を引き締めて、現在銀行は、貸すのが目的でなくて、集める仕事を大蔵省の指導よろしきを得てやっております。これは、インフレ解決の、土地問題解決の一つの手法だったと私は思う。これは当然続けられるべきでありましょう。  しかし、やっていることは、暖房と冷房を一緒にかけているようなことになっている。片方では金融を引き締めて土地は安定させようとしているけれども、片方では新幹線計画を発表して土地の投機をあおるようなことを平気でやっておるわけであります。すなわち、片側で土地の買い占め、投機というものを押えるということには、買っても魅力のない土地を日本列島の中につくっておかなければならないわけであります。これは精神論になりますが、買ってももうからないぞという形を片方でつくっておく必要がある。片方では買えないように金を引き締めると同時に、買っても魅力のない土地というものをつくっておかなければならないのに、実は総合開発法案が出る前に、田中総理大臣が鉛筆をなめながら新幹線を全部きめてしまったということであります。何と皆さま方は情けない大臣の方々でありましょうか。私はこのことについては、大臣の職を放てきしても、この問題は田中内閣の生命であるから、国総法を通したあとで、地価騰貴等が行なわれないような形で発表をすべきであるということで、大臣をおやめになる決意で御措置いただければ、殿の御乱心はある程度直すことができたのではないかと考えるわけであります。これは全く私が八百屋の八さんや与太さんと話をした場合でも出てくる話であります。これは私の議論でありますから、私の議論が正しいと申し上げているのではなく、どうも現在のそういう土地政策に対してやっておられることが、暖房と冷房を一緒にかけるようなことで、はなはだ不愉快なのであります。  そこで、私は具体的に質問を申し上げたいわけでありますが、住宅局長、たとえばいま住宅難、住宅不足は、住宅を幾らつくったら国民は納得するとお考えになりますか、お答えをいただきたい。
  70. 沢田光英

    ○沢田説明員 御存じのように、ただいま五カ年計画の最中でございまして、五カ年計画の内におきましては九百五十万戸、その中の四割を公共の援助によるもので埋める、かようなことになって進行しております。ただし、もう少し長期的に見ますれば、昭和六十年まで、いわゆる経済計画に合わせたものでございますが、これにおきましては、四十九年から六十年までの間に全国で二千四百四十五戸、かようなことでございまして、ちなみに三大都市圏でございますれば千二百万、東京圏、すなわち一都三県、この圏では五百七十万、かようなことでマクロの計画を立てておる次第でございます。
  71. 浜田幸一

    ○浜田委員 重ねて局長にお伺いしますが、二千四百万戸の住宅を六十年までの間につくりたいということでございますが、必要とする面積はどの程度ですか、お答えをいただきたい。
  72. 沢田光英

    ○沢田説明員 おそらく土地のお話だと思います。(浜田委員「坪数」と呼ぶ)土地の坪数ですね。新たに開発を必要といたしますものは九百万戸、二千四百万戸のうちの九百万戸でございまして、あとは、現在開発されておりますものが建てかえられるとか、あるいはAB農地のようにあき地に建てる、かようなものでございます。したがいまして、新たに投資をして建てられますものが九百万戸分でございます。これがたしか十八万ヘクタールというふうなことでございます。
  73. 浜田幸一

    ○浜田委員 重ねてお伺いしますが、そうしますと、まず持ち家住宅を希望する人たちもあるでしょうから、そういう点からいくと、大体三十万ヘクタールあれば日本の土地問題は解決すると考えてよろしいですか。
  74. 沢田光英

    ○沢田説明員 土地問題と申しますと少し範囲が広うございまして、住宅問題に関しましては、住宅用の土地問題はさようなことだと思います。
  75. 浜田幸一

    ○浜田委員 そうだとすれば、あなたは、政府あるいは建設大臣あるいは総理大臣、六省会議で、三十万ヘクタールの土地を国が買い終わるまで土地の凍結令を出すように進言したことがありますか、お伺いしておきます。
  76. 沢田光英

    ○沢田説明員 建設省といたしましては、住宅の問題に関しまして、住宅の各種の制度、あるいは住宅というものは、もちろん御存じのように土地の問題を含めてございます。あるいは土地の問題だけではございませんで、都市環境の問題、こういうふうな問題も含めまして、住宅局、都市局あるいは土地を所管いたします計画局、こういう三者で随時連絡を十分とって、統一した政策をやらなければ住宅問題は解決しない、かようなことでございます。  そこで、土地問題に関しましてはいろいろな議論が省内で行なわれております。その中では、そういう議論も過程もございます。しかし、私から進言したというふうなことでは、いまのところはございません。
  77. 浜田幸一

    ○浜田委員 私は、いま、住宅が必要なものを国が買うべきである、土地は国が取得すべきであるという原則論に立ってものを申し上げているのです。たとえば、不足している住宅を求めるために、土地が高いことが世論の中で問題になっているわけです。だから、必要な者に住宅を与えきることができるだけの土地を取得をすれば、私は土地は高くなってもいいと思うのです。また、土地を安くできるなんということを、安易に考えている連中がたくさんいますが、これは誤りだと思う。  なぜかといえば、大蔵省を解体しなければできません、これは。大蔵省が指導している日本銀行、金を貸す場合に担保にとっているのはみな土地ですよ。この金融論の基本的な原則を変えない限り、土地政策で国民が納得するわけないでしよう。銀行に金を借りに行く。五百万円貸してください。あなた抵当権がありますか、抵当権とは何ですか。浜田幸一信用がありますから、昔は不良だったけれども、いまはまじめですから、金を貸してくださいと言う。おまえは金づかいが荒いからだめだと言う。じゃ何を持ってきたら貸していただけますかと言うと、土地のない人に土地を持ってこいというのがいまの大蔵省の指導でしょう。土地を持っているのはだれかといえば、民間企業なんということを言っているけれども、これは国が持っている。日本銀行が全部土地を持っているのじゃないですか。私は日本銀行が土地を持っているのだと思う。ただ名前は企業のものになっているけれども、金は日銀から出ていると私は思う。だから、この金融の基本的な原則論、賃貸をする場合の抵当権の設定とか、抵当権が土地であるという理念をなくさない限り、私は土地問題を政府が解決していく姿勢を示したということにはならないというふうに考えている。これは私の考え方は誤りかもしれませんが。  高級官僚の皆さん方、いま寝ぼけた財産形成法なんというのを政府がやっていますが、あんな寝ぼけた理論はない。十年たって六百四十万円、土地はがんがんがんがん上がって。それをまじめに国会に出てきて審議している。だから、おれは財産形成法を考えているんだなんというけれども、あれは大ばかがやることだ。だんだん本論に入ってきた。ああいうものはドイツの形をまねて財形法でやったって、ドイツの場合とは基本的な原理が違う。日本は衣食住から始まった。ドイツは住から考えて、また平たん地も日本の何十倍か多いでしょう。パーセンテージで言うと、日本の平たん地は三十%くらいなら、ドイツはあべこべに八〇%平たん地ですから、全然条件が違うのですね。そういうところの財形法を持ってきて日本の中で財形法を議論するところに、私は矛盾があると思う。  この問題をやるとよけい長くなりますから私は言いませんが、土地は高くなってもいい。私は、土地は、三千万の一般勤労者が家族とともに生活をするために必要な住宅を政府が与えきれば、ぜいたくで広い土地を求める者の土地は高くなってもいいという理論なんです。いま一番問題であるのは年収百二十一万円の人たち。どんな政治家が議論をしても、百二十万円の給料の人たちは木賃アパートに住みなさいというのがいまの法律なんです。これは法律ではないけれども、そういう現実なんです。百二十万円の人たちは木賃アパートしか住めないわけでしょう。建設省りこうですから、このごろはそういう人たちが入る場合には、幾らか国から補てん金をつけて補助政策でやろう。これは私の所属委員会の職員はすばらしい能力の持ち主だ。  ところが、いまの政府で一番困りますのは、三十万ヘクタールの土地を国で買えというと、国有地は持つべきじゃないといって買わないのですね。民間、公共団体で持つべきだ。どの金を使うというと、農協の十兆円の金を持ってきて、利子補給だけは政府がやるけれどもという形なんですね。どうやって土地を買うのですか。民間が買おうとしている土地をなぜ国が買えないのかという議論が出てくるじゃないですか。民間が買う。地価公示制の問題にも入っていくけれども、民間が買う土地をなぜ国が買えないのですか。これはおかしい。あそこに大蔵省の将来の事務次官がいるけれども、あなたらはもう少し頭の回転をよくしないとだめなんだ、これは。大蔵省に一番責任がある。何言うことないんだ、この住宅問題、土地問題。大蔵省の愛知揆一を先頭とする頑迷固陋なあの連中の考え方を直さない限り絶対だめだ。第一、愛知大臣なんというのは、米の生産者米価をきめるときは、われわれがこの辺でいいでしょうと言ったら、もっと上げろと言う。それ以上言うと、やはり私の大先輩ですから……。日本の大蔵大臣にあれにかわる人がいまないので困っているくらいですから、これ以上は言いませんけれども、どうも感覚が悪いのですね。  そこで、これは住宅局長、三十万ヘクタールの住宅供給をきちんとできれば、それをするためにあなた方が幾ら努力しても、建言してもそれはいれられないのですね。いまいれられていますか。いれられているかいれられていないか。  私は、土地の問題の基本論というのは、あそこにも青嵐会の悪口を言うマスコミが一ぱいいるから、はっきりしておかなければいけないんだけれども、私は、たとえば現在の計画の九百五十万戸そのものが建てられれば、あとの土地は値段は上がってもいいと思う側なんです。私ははっきり自民党の一員として、住宅のない者に住宅を与え切ることができれば土地は上がってもいい。それは経済原則に従ってやるべきだと思うのですが、その点どうですか。住宅局長はどうお考えになりますか。
  78. 大塩洋一郎

    ○大塩説明員 先ほど住宅局長答えましたように、新たに住宅を今後建設していきますための必要な面積は十八万六千ヘクタールでございます。これはもちろん民間の自主建設も含んでの数字でございますが、その中でいま御指摘のような公的に開発を必要とするという面積は、合わせまして大体七万五千ヘクタールぐらい、四割近くというような数字になっております。したがいまして、これらの数字は昭和六十年までの数字でございますので、これは大部分は、面開発とかあるいは区画整理というような手法を使うことになると思いますけれども、これを計画的に地域ごとにその住宅プロジェクトに合わせてそれらの手法によって開発していく、こういう計算のもとに進めているわけでございます。
  79. 浜田幸一

    ○浜田委員 これは数字的に先ほど渡部恒三先生から言われました。実はこの前、林さんの関連質問のときに、総合開発法が農地法よりも優先しなければいけないんじゃないかということを言いましたけれども、たまたまきょう渡部先生からその問題が言われました。実は減反政策でやっておる農地だけでも二十四万ヘクタールある。いま必要なものは十八万九千ヘクタールだとすると、いま減反政策をやっておる土地が住宅に不適か適地かはわからないけれども、そういうものの数字からいくと、土地が足りない足りないとっていながら余った土地も二十四万ヘクタールある。  ただ、たとえば東京圏内、大阪圏内、そういうところで五十キロ圏内、百キロ圏内にそういうものがなければならないという理論があるわけですね。そこなんですよ、私が新幹線の問題を先にきめてはけしからぬではないかと言ったのは。たとえば福島にそういう土地が五万ヘクタールあったとすれば、福島までの新幹線は第一次につくる。住宅圏から所得圏に入ってくる。そういうところに入ってくる者に協力した形で新幹線というものはつくっていく。そういう形でないとだめなんじゃないですかね。これは私の議論ですが。  それからもう一つ、私はそういう意味で申し上げているのですが、住宅局長、たとえばいまのローンがありますね。三十万ヘクタールは国が金を出して買いなさい。住宅公債でも何でも発行して、国民もこれだけ土地が高くなったという不満を言っているんだから、国が土地を買いなさい。そして経済企画庁長官、土地を高く買って安く売れるところはどこだとお考えになりますか。これだけちょっとお答えください。
  80. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 財政の作用、すなわち政府であると思います。
  81. 浜田幸一

    ○浜田委員 まことに名答弁であります。いまの社会、一億三百万人全部損をすることがきらいな時代であります。ところが、政府もその一翼をになっておりまして、法律の文章を変えるだけですべてを規制しようとしているから、政治がからみ合わないわけであります。法律の改正によって解決でき得ない場合は、憲法第二十九条の適用に関するわけでありますが、やはり国民の私権を奪うわけでありますから、その場合には代価を支払わなければならない。代価を支払って開発をした場合に、高く買って安く売ることのできるものは政府だけなんです。だから、今回の土地政策については、住宅供給に必要な財源というものは、政府がいかなる困難を払っても投下しなければいけないと私は思う。これはひとつ参考にしていただければ幸いだと思います。あとで住宅局長、感謝をしなければいけない。  今度は方法論なんです。買って安く売る。三十万円の土地を十五万円で売る。このことは何かというと、これは実は一昨年度の物価対策費の中で土地対策費は二千億円しか載っていない。四十六年度一兆二千億円のあらゆる対策費の中で、土地対策費というのは二千億円しか入っていない。このワクをぐっと広げて解決をすれば、これは解決のできることだと私は思う。国民にも、あなた方の住宅は高い土地を政府が買って安く売ります、そのかわり一般財源を使うわけですから、その場合に公共投資とかあらゆる面での影響はあるでしょう、しかしそれは長期的な政府の解決策ですから御協力をいただきたいというPRをしながらこの問題の解決に当たるべきだ。  もう一つ、これは計画局長に聞いておきますが、いまの建築物規制法、たとえば借地権にビルを建てた場合に、何年間建てたほうに優先権がありますか。これはもう……(発言する者あり)何ですか。何かクレームがついたようですから、あなたはお帰りになって、私一人でやらしてもらいますから。たとえばいま借地権に鉄筋コンクリートの家を建てるとします。そうすると、これは六十年借りて建てたほうが強いですね。木造建築の場合は三十五年じゃないですか。これは私は町会議員、県会議員をやってきておるから、あなた方より私のほうが明るい。そうすると、三十五年間で借地権に家を建てた者は、三十五年間借りて建てたほうが強いのにローンが二十年から二十五年というのは一体どういうことなんですか。当然、住宅を建てる場合に、鉄筋コンクリートの家を建てる者がいたらローンは六十年でなければいけない。木造建築を建てた場合には三十五年のローンが現行法の中で正しい解釈だと私は思う。ところがローンは二十年、二十五年。いま何年ですか、そのくらいの幅である。だから高いものを買って安く売れるものは国だから、安く売るとして、売り出しのローンの計画というのは親子三代方式。契約をした父親が三十五年間サラリーマン、二十歳から五十五歳、定年まで三十五年間働いてローンが払い切れない場合は、むすこの時代にローンを三十五年払う。孫の時代にローンを三十五年払って百五年ローンというものをやる。(笑声)あそこで笑っていますけれども、これはもう庶民大衆すべてが望むところなんです。笑っておる人は絶対に土地の持てない人だから。これは大事なことなんです。  そういう形で、百年ローンなら百年ローンが無理であれば、六十年ローンでやっておいて、たとえば二兆円減税をやり、一人当たりの減税の幅だけが流動資金になって消費経済を助長させないように、これを大蔵大臣に非常大権を与えて高金利政策を取り上げる。そこで彼らが預金をするような、流動資金の吸い上げをするような非常大権を与えていかなければいけないじゃないですか。そういう形でいけば、減税並びに減税政策とか、そういうものが財形につながっていく。  私は、時間を急ぐ人たちがいますから、無責任な政治家がたくさんいますから、この辺でやめさせていただきますが、そういう財形法を一つ考える場合でも、土地問題一つ考える場合でも、関連したものがなければならないと思うのですね。百年ローンという問題でやはりそういう供給体制をつくる。必要なものは国が買う。供給する場合には百年ローンで供給するような形が必要だと思うのです。これはもうお答えをいただかなくともけっこうですが、そういうわれわれの考え方、私の考え方に対して誤りだと思う人がいたらお答えをいただきたい。——いないようでありますから正しいと考えておきます。  時間が参りました。また次の機会に御指導をいただきますが、一つだけ建設大臣お願いがあるのです。  もういままで、私どもは野党の委員長でない関係で、われわれが多数党でありましたために、建設委員会におきましても、質問はできるだけ控えておりました。しかし質問をしてみると、野党議員に負けないだけ与党議員もなかなか優秀であるということは明らかになったと思いますが、一つだけ大臣にお伺いしますが、いま電力節減の問題があります。電力あるいは石油節減、これはみんな関連のあることですが、やれるかやれないかだけお答えをいただきたい。  まず、企業に配給制にするとかあるいは一般消費者に呼びかける前に、有料道路の中についている電気をあしたから一斉に消していただくわけにはいかないでしょうか。私はむだだと思う。これは、民間に協力を求める、たとえば冷房とか暖房、そういうものを何%削減してくれということじゃなくて、自動車にライトがついているのですね。有料道路にもライトがついているのです。ところが、いま政府の言っていること、指導方法、きのう閣僚懇談会等で出たやつ、自動車のライトも制限しよう。ずいぶん頭のいいようなことを言っているが、あれは薄らばかの言うことだ。その前に、道路についている電気をなぜ消さないのですか。車にライトがついているのだから、有料道路に電気は要らないのですよ。これをまずあしたからぴたっととめたら、相当電力の節減になりますよ。それで交通事故が多発するということになったら、じゃ夜十二時以降は月が出てからは自動車は走らないようにしよう、こういう理論になるわけですから、この点ひとつ大臣にお答えをいただきたい。
  82. 金丸信

    金丸国務大臣 有料道路の電灯の問題でございますが、有料道路の電灯は、電灯をつけたために交通事故が減ったという例はあるわけでございます。そういうことを考えてみますと、全部消すということがはたして適切であるか。しかし現在も、電灯の問題につきましては、一部削減をいたしまして節約をいたしておるわけでございますが、政府から範を示すということで最大限の節約をすることを考えてまいりたい。それには、たとえて申しますと、インターチェンジ等についてはどうしても必要だというところもあるようでありますが、不要のところは消すという指導方針をとってまいりたい、こう考えております。
  83. 浜田幸一

    ○浜田委員 ありがとうございました。ほんとうに適切な御答弁をいただいて私は感謝をいたしております。  最後に、経済企画庁長官にお願いをいたしておきます。  おととい私どもは総理大臣にお会いをして、実は悪性インフレ対策に対する政府の決断を要望いたしました。このことについては総理も、閣僚懇をはじめといたしまして、各関係省庁において、インフレの要因を除去するために最大の努力を払われると非常に苦悩の色を濃くされておりました。私は、自民党の総裁であり一国の総理である田中総理が、非常に深刻な様相でこの問題に対処する姿勢を見たときに、孤立させてはならないと存じました。しかし決断をしない場合には打倒する以外にないと考えているわけであります。  そこで私は、閣僚の中枢におられる経済企画庁長官にお願いを申し上げたいのでありますが、一般国民は、物価問題に対して、いま政府が示しているような数字とかあるいは考え方だけで、これを説得することはできない大問題であると私は考えます。やはり政治姿勢の決断という問題にかかってきていると実は考えるわけであります。来年度の税の増収が四兆円あるということが実は新聞に出たことがありますが、逆に資源問題がこのように緊迫してまいりますと、公共投資をはじめとする政府支出のものだけで三兆三千億円から三兆二千億円、あるいは二兆八千億円にとどまるかもしれませんが、その辺を縮減しなければならない状態、削減しなければならない状態になると考えておるわけであります。  そこでお願いでございますが、どうか閣内にとどまって、そしてかっこうよく経済企画庁長官を終わるということではなく、名門小坂家のあと取りむすことして、国家のために死ぬつもりで、きびしい御提言と御判断を賜わるようお願いをいたしまして、質問は残っておりますが、後ほどまた委員長の許可をいただいて次回に移しまして、終わりたいと存じます。御協力を心から感謝を申し上げます。
  84. 服部安司

    服部委員長 次回は、来たる二十二日木曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十五分散会