○小坂国務
大臣 国総法というのはむしろ規制面に非常に問題点を置いておるわけでございまして、ことに
開発されつつある投機のおそれのあるような
地域を規制していく。これはまさに許可制にしているわけでございます。ただ、
一般的な
土地の譲渡の問題になりますと、これは
昭和四十五年の話でございますが、一年間に大体二百九十万件あるといわれておるわけでございます。これを全部許可制にするということになりますと、
開発の利益を非常に受けている場所もございますし、その基準はどういうところで見たらいいかという問題もございまして、なかなかできないと思いますので、この法律にあるように、届け出をして、そして勧告をして、その勧告に従わない者は公表して社会的な制裁をということにしているわけで、これはある意味においてはなまぬるいという御批評もあろうかと思いますので、一応これですべり出して、そして問題点があればそれに対して適切な対策をとることを、決して私ども拒否するものではないのでございます。
このことの中に、社会党案の
お話が出ましたので、これをちょっとおもな点だけ申し上げさせていただきますと、いまの許可制の問題ですね。これは大体許可するので、一定のもの以外は許可しないというので、基準をどうするかというと、固定資産税の評価額を基準にするようにいっておるわけですが、これはあくまで税の公正の見地から固定資産税というものはできておるので、その
土地のいわゆる価格を適当に評価しているものじゃないわけです。それでよければ地価公示制度なんというものは初めからつくらなければいいわけでございまして、これがなかなか問題点だと思います。
それからもう
一つは、許可権者を
市町村長にする、こういうのでございます。これはなるほど
市町村長は、その
土地、
地域に密着した
行政執行者でありましょうけれども、現在の
市町村長にそういう実務が一体まかせられるだろうかということになりますと、どうも私は否定的なんであります。ことに
都市計画とかそういうようなものは、やはり許可権者が都道府県知事でございますから、そういう
計画をやるのは都道府県知事で、そして
土地の売買の許可は都道府県知事でないというのは、これはやはり
行政上の混淆を来たすことになると思います。それから不許可をする場合には、憲法上の規定で買い取り請求権を当然認めなければなりませんが、その場合、
市町村長に買い取り請求権を認めるということになれば、
市町村長はその
財政負担に耐えなければいかぬわけでございます。これは全国でたいへんな膨大な財政上の負担をしょうことになりまして、新しい問題を起こすということになると思うのでございます。
そういう点で、私どもはいろいろ議論をいたしまして、自由民主党の先生方の御意見もいろいろ伺いまして、現状ではここが精一ぱいではないかという案を持っておるわけでございます。しかし、これはまた野党の
方々の御意見も伺いまして、理屈があるというように私ども思えば、それは決してがんこに突っぱねるつもりはございませんが、いま申し上げましたように、ちょっと無理な内容ではこれは実際混乱するだけですから、応ずるわけにはいかぬと思うのでございます。
それから最後の法律問題でございますが、
土地というものは公共の財であるというふうに言い切ることには、まだそこまで私は
考えておりません。
土地はあくまで私有財産である。しかし、これは強く公共の
目的、公共の福祉に沿うように利用されなければならない、こう思うわけでございまして、その点からやはり私権の制限を無条件で無期限にするということについては問題だというように思います。
ただ、
土地問題というのは非常にむずかしい問題で、これは私どもが生活もしなければならぬし、産業もそれによらなければならないし、これは今後ふえることもないんでございますから、十分お互いで
考えていかなければなりませんけれども、やはり憲法の解釈は、いま林
委員の仰せられたような解釈に従って現状は
土地の問題を見ていくというのが妥当であろうと
考えております。