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1973-11-12 第71回国会 衆議院 建設委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年十一月十二日(月曜日)     午前十一時七分開議  出席委員    委員長 服部 安司君    理事 天野 光晴君 理事 大野  明君    理事 田村 良平君 理事 村田敬次郎君    理事 渡辺 栄一君      稻村左四郎君    大村 襄治君       梶山 静六君    國場 幸昌君       高橋 千寿君    野中 英二君       浜田 幸一君    林  義郎君       廣瀬 正雄君    藤波 孝生君       森下 元晴君    渡部 恒三君       渡辺 武三君  出席国務大臣         建 設 大 臣 金丸  信君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      坪川 信三君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      小坂善太郎君  委員外出席者         内閣審議官   粟屋 敏信君         経済企画庁総合         開発局長    下河辺 淳君         建設大臣官房長 高橋 弘篤君         建設省計画局長 大塩洋一郎君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省河川局長 松村 賢吉君         建設省道路局長 菊池 三男君         建設省住宅局長 沢田 光英君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 委員の異動 十一月九日  辞任         補欠選任   小渕 恵三君     白浜 仁吉君 同日  辞任         補欠選任   白浜 仁吉君     小渕 恵三君 同月十二日  辞任         補欠選任   小沢 一郎君     高橋 千寿君   小渕 恵三君     大村 襄治君   澁谷 直藏君     森下 元晴君   浜田 幸一君    稻村左四郎君 同日  辞任         補欠選任  稻村左四郎君     浜田 幸一君   大村 襄治君     小渕 恵三君   高橋 千寿君     小沢 一郎君   森下 元晴君     澁谷 直藏君     ————————————— 本日の会議に付した案件  工業再配置・産炭地域振興公団法の一部を改正  する法律案内閣提出第五六号)  都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法  律案内閣提出第七六号)  国土総合開発法案内閣提出第一一四号)  土地対策緊急措置法案井上普方君外六名提出、  衆法第五三号)  建設行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 服部安司

    服部委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。野中英二君。
  3. 野中英二

    野中委員 きょうは私は、過密と河川と題しまして質問をいたしていきたいと思います。  今日、過密過疎の問題が非常に多くの人に不安を与えていると思います。過密地域にあっては、その悩みも非常に底が深く、多岐をきわめておるわけであります。  なかんずく埼玉県におきましては、全国一の人口増加に悩んでおりますし、この過密の問題が非常な深刻化をいたしておるわけであります。大都市東京に近接する埼玉南部市町村、加えて各河川下流に位するという立地条件、こうした実情にあって、さらに加えて多くの公共事業をやらなければならない。たとえば国鉄武蔵野線操車場、あるいは東京外郭環状、さらに常磐高速自動車道路中川流域下水道終末処理場東京水道浄水場住宅公団三郷団地、加えて三郷放水路、数えてみてもざっと七つほどやらなければならない公共事業があるわけであります。これはすべて大東京を控えての裏方をやらなければならない東京近接地帯のわれわれの悩みであります。  美濃部知事がかっこうのいいことを言って東京都政というようなものをやっておられますけれども、ごみの処理場はこの埼玉三郷市へ持ってくる。あるいはまた上水道は持ってくる。あるいはまた利根川の水は安い金で東京都の都民に給水をしている。地元は井戸を掘って、そして三倍も高い水を飲まなければならない。こういう現況にあって大都市に奉仕する裏方に対しては、当局として何の配慮もなされない。こういうような不公平があっていいんだろうか。  これにつきまして建設大臣に、おそれ入りますが、この裏方をつとめるこうした住民に対しての配慮というもの、あるいはまた、この住民の希望というようなものをお聞き取り願いまして、このマイナス面当局はどうやって充足をしていくか、そういうお考えがあるかどうか、これをお聞きしたいと思います。
  4. 金丸信

    金丸国務大臣 ただいまの御質問でございますが、過疎過密を解消することが政治の一つ考え方でなければならないことは当然であります。また、ただいま幾つかの公共事業を列挙されたわけでございますが、この問題等は、埼玉県ということでなくて、東京を中心にした隣接県はほとんどそういうような考え方で、いわば拒否反応を来たしておるというのがきょうの姿であろうと私は思います。公共事業を推進する上においては大きな壁になっておるわけでありまして、公共事業にも協力しようというような考え方を持っておられる住民方々も、このような状態で進めていくということになれば、熱意というものも相当低下し、また公共事業を推進することも不可能なことになるんじゃないかということを私はおそれるものであります。  そういう意味で、政府といたしましては、こういう問題については、拒否反応に対して、できるだけ拒否反応を起こさないようなことを考えなくちゃならぬ。そういう面につきましては、財政負担その他の問題を政府みずから考えていかなければならぬ。またそのような方向で検討をいたしておるわけでございます。
  5. 野中英二

    野中委員 大臣からたいへん懇切なる御答弁を賜わりまして、われわれ感謝申し上げる次第であります。  さて、河川局長質問を申し上げる次第でございますが、御存じのとおり、この埼玉県の南部江戸川中川が流れておるわけであります。しかもこの中川が、上流地帯農業地帯排水、こういう目的を持っておるわけであります。しかも、私の気憶にあやまちがなければ、この高低差というものは三十八メートルしかありません。したがって、天竜川のような急流であるとか——私は、この河川については、それ以上のたいへんむずかしさがあると思うのであります。  この中川改修については、われわれもうすでに二十五年を経過して、期成同盟をつくり中川改修を促進してまいったわけであります。しかしながら、この端末は東京都に入りまして、しかも中川高低差というものがございませんから、どうしても湛水地域を設けなけりゃならない。したがって、河川の拡幅というものがたいへん必要でございますけれども、この末端は東京都でなかなか広がらない、こういう宿命を持った川であります。  しかも、江戸川利根川から取水いたしまして、東京湾に流れておるわけでありますが、その両河川の中に狭まれている第一大場川、第二大場川という川が流れ込んでおるわけであります。したがって、こうした地形の間に中川の水を江戸川に落とすというようなことであれば話がわかるのでありますが、逆に江戸川から中川に水を落としていく、こういう考え方。今度、三郷放水路というようなものを建設することにいたしまして、昭和五十年まででしょうかかかって、この三郷放水路を完成しよう、こういうことでございますが、この多目的放水路三郷放水路というものはどういう性格を持っておるのか、もう一度確認をしておきたい、こう思うのです。
  6. 松村賢吉

    松村説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生から御質問のありました中川、この中川は確かに非常に緩流河川でございます。しかも、この河川周辺は非常に過密化しておると申しますか、この河川敷を広くすることも非常にむずかしいということで、この中川洪水の水を江戸川に流すということは非常に重要かと思います。  三郷放水路、この事業計画は、中川の水を江戸川に流す治水事業と、もう一つ水質浄化という、この二つ目的を持っております多目的放水路でございます。それで中川洪水江戸川排水するわけでございますけれども、御承知のように中川も非常に低地を流れておる。そういう関係から、自然排水というわけにはいきません。したがいまして、ポンプ場設置いたしまして江戸川排水しまして、中川の水位を低下するということによりまして、中川上流域湛水被害を除こうとするものでございます。また、上流部洪水三郷放水路によりまして中川排水することによりまして、中川下流河道洪水流量を減らす、下流洪水防御ということにも資しようということでございます。それからもう一つ目的といたしまして水質浄化。これは、中川に入ります工場排水家庭下水によりまして、中川の汚濁が著しい状況でございます。この水質の改善をはかるために、三郷放水路を利用しまして、これは逆に江戸川から中川へ、毎秒二十トンを最大といたしまして浄化用水を導入しようということでございます。したがいまして、治水につきましては中川から江戸川洪水を吐く、逆に浄化用水として江戸川から中川へ持っていこうということでございます。  以上でございます。
  7. 野中英二

    野中委員 いま三郷放水路についての河川局長からの御答弁がありました。  そこで、もう少し具体的に私、中身に入りますけれども、三郷放水路からの上流部分、第一大場川、第二大場川の水、これは伏せ越しによって常時どれくらい排水できるとお考えでございますか。
  8. 松村賢吉

    松村説明員 お答え申し上げます。  ただいまの上流大場川及び第二大場川、この水を下流伏せ越しによってどれだけ排水できるかということでございますが、これは洪水の水と申しますか、雨の降ったときの水は、この大場川及び第二大場川の水は伏せ越しで流すのではなくて、三郷放水路に取ります。それで三郷放水路から江戸川のほうへ排水するという計画になっておりまして、伏せ越しで通しますのは、洪水のときではなくて、常時の必要流量と申しますか、この流量でございますので、水量的には、ちょっといまここで確認しておりませんが、常時必要な流量でございますから、ごくわずかな水量で済むのかと思っております。
  9. 野中英二

    野中委員 私は、この大場川の伏せ越しの量をあえてお聞きいたしましたことは、実はこの上流には住宅公団敷地、あるいは国鉄武蔵野線敷地、あるいは外郭環状敷地、あるいは常磐高速道路のインターチェンジ、あるいは中川流域下水道処理場あるいは東京都の浄水場、こうして公共用地ができてまいりますと、どうしてもその湛水する水を留保している面積というものが非常に減ってくるわけであります。したがってこれは、流れなければ大場川を通して中川へ自然流水しているが、この三郷放水路ができたことによって、これは緊急時でありませんけれども、常時ここでシャットアウトされていくのじゃないか、こういう危険性があるわけでございますが、これをまず御質問申し上げたい。
  10. 松村賢吉

    松村説明員 お答え申し上げます。  この三郷放水路によって洪水と申しますか、雨が降りますとシャットアウトされる、それで大場川、第二大場川、この周辺が非常に湛水するのではないかというお話かと存じますけれども、これは、大場川の水、第二大場川の水を三郷放水路の中に直接入れることになっておりますので、これの排水につきましては、現在よりもはるかに改善されるということでございます。
  11. 野中英二

    野中委員 この上流部門については、これで了解をし、あるいは局長のおっしゃるとおりでありましょう。しからばこの下流地帯でありますが、この下流地帯現実においていま湛水をしているということを御存じでありましょうか。しかも八潮三郷、葛飾、こういう常時湛水をしている住宅があるわけでございまして、大体、三郷市において三百戸、それから八潮市において五百戸が湛水をしている。それにもかかわらず、常時は江戸川から中川へ水を流して、そして水質浄化の役を果たすというこの三郷放水路、これは、常時湛水をしている三郷の三百戸、あるいは八潮の五百戸、この人たちをこれによって救う、そういう配慮というものは何らなかったわけであります。常時は、むしろ江戸川から水が流れてきて、中川へ流してくるわけでありますから、中川水量がふえるわけであります。少なくとも二十トン取水するというのでありますから、二十トンはふえるわけであります。そうしますと、この湛水地帯はますます湛水していく。二、三日前に珍しい雷雨がございましたけれども、あのときですらもまたひどい湛水を起こしておるわけです。いわゆる大場下流というものは、いつでも湿地帯で悩んでおるわけであります。これに対して、東京都の浄化のために、中川下流浄化のために水を流すこと、その陰にはこういう住民の悲劇があるということを認識していただかなければならない。それについてひとつ御答弁願いたい。
  12. 松村賢吉

    松村説明員 大場川、第二大場川、これの三郷放水路を横切った下流湛水問題かと存じますが、これは実を申しますと、上流から洪水の水が流れてくる、あるいは上流から水がよけい流れてくるから湛水するということではなくて、むしろいわゆる満潮と申しますか、特に高潮、こういうような海水の逆流による湛水被害でございます。したがいまして、この湛水被害を抜本的に直すということになりますと、三郷放水路では実は無理なんでございます。これは浄化用水を流すと申しましても、常時いつも流しているわけでございませんで、中川の水が浄化用水がないとき流すわけでございますけれども、そういう湛水時に流すということでは大体ございませんが、しかしいずれにいたしましても、これによってその被害を除くということはできないわけでございます。  これに対しましては、やはり高潮満潮逆流防止施設をつくらなければならぬ。それで、現在も中川下流には水門がございまして、高潮のときにはこれを締めるということになるわけでございますので、この点はそういう大きな高潮はいいわけでございますけれども、むしろ普通の満潮時、特に大潮というようなときの問題でございます。これに対しましては、中川大場川との合流点大場川の水門を実は計画しておるわけでございますけれども、現在、予算関係等もございまして、三郷放水路を、特に洪水時の被害を除くということで重要視しまして、先にやっておりますので、これに引き続きましてこの大場水門計画し、常時の高潮と申しますか、満潮のときの被害を除こうというふうに計画しておる次第でございます。
  13. 野中英二

    野中委員 河川局長は気が早くて結論のほうへ行ってしまったわけでありますが、もう一度私どもが確認しておきたいことがあるのです。  湿地帯であるということ、これは高潮の影響であるということ、みんな御存じのようでございます。してみれば、ここに湛水家屋があるということも局長御存じのようでございます。しかし私は、ここでもう一つそれを確認をしておいていただきたい、こういうことで申し上げておきたいのでありますが、住宅局長いらっしゃっておりますか。建築をするためには、建築確認書というものは絶対的に必要なものなんでしょうか。
  14. 沢田光英

    沢田説明員 建築確認は、都市計画区域内のすべての建築と、それから都市計画区域外におきましては一定規模以上の建築物、これにつきまして必要だと法定されております。
  15. 野中英二

    野中委員 必要なんですね。そこで、実はいま四つの小学校と一つ中学校を四月一日に開校しなければ義務教育ができないというのでございます。したがってどうしても四月一日に間に合うように建築しなければならない。ところが、建築確認をいたしておるのでありますが、申請は出しても却下されてきている。その証拠に県の河川課は、この校庭遊水地にしてくれというのです。ところが地元住民及び市長さんは、校庭プールにして、学童に水泳をやって登校しろというのか、こういうふうな無理なことを強要して建築確認をしない、こういうことが現実にあっていいのだろうか、こういう素朴な地元民は不平不満を持っておるわけであります。  そのよって来たるところのものはなぜかといえば、市街化が進み、そして大場川の排水能力がない、湛水をする、そのために自然湛水をする場所を校庭として埋め土される、そういうことがあってはなお下流湿地帯として残る、湛水地帯として残る、だからこの校庭遊水地にしてください、池を掘らなければ建築確認書を出さぬと言ってがんばっておる。われわれは四月一日に開校しなければ間に合わないのです。東京から流れてきた人口によって、人口急増によってつくらなければならない、その義務教育の使命も果たさなければならぬ、建築確認はおりない、こういうイタチごっこをしていていいのだろうか。行政というものはどこにあるのだろうか、住民サイド行政というものがあるのだろうか、こういう不平があるわけであります。これについてひとつ御答弁願いたい。
  16. 松村賢吉

    松村説明員 お答え申します。  一般の問題といたしまして、大都市周辺、特に非常に開発が急速に進んでおるところ、こういうところでもって、丘陵地土地造成するとか、あるいは低湿地に盛り土して土地造成を行なうというところにつきまして、こういう土地造成をやりますと、ただいまお話もありましたように、非常に雨の流出が早くなります。そういうことによりまして河川洪水量がふえるということで、これの治水工事必要性が急激に出てくるわけでございます。もちろん、これに対処いたしまして、河川とかあるいは排水路改修、こういうものは早急にやらなければならないわけで、鋭意急いでいるわけでございます。しかし、なかなかその開発速度に対しまして、この河川改修の実質的な速度がどうしても追いつかないというのが実際の現状でございます。したがいまして、この新たに開発して土地造成する場合、これに対しまして行政的な指導の面といたしまして、必要な洪水を幾ぶんでも軽減するための措置として、調整池等をつくってほしいということで一般には措置を行なっているわけでございます。その一環といたしまして、いまの中学校等造成につきましても、一部調整池をつくってほしいということを行政指導としていろいろやっているわけでございます。  しかしこれは、ただいまのお話がちょっと誤解を招いておるのじゃないかという点がございますのでちょっと申し上げますと、それは、造成した校庭を全部遊水地にしろ、調整池にしろというような話ではございませんで、そのうちの一部、これに調整池等をつくりまして洪水被害も軽減するようにしたいということでございまして、さらに地元とこの点については十分折衝してやっていくように行政指導していきたいと思っております。
  17. 野中英二

    野中委員 その校庭の一部をじゃ池にしろという行政指導をしているとするならば、それはどれぐらいの割合にしたらいいのでしょうか、お尋ねします。
  18. 松村賢吉

    松村説明員 私、実は手元に資料がございませんので、何%を池にしろということにつきましてちょっとここで申し上げかねますけれども、しかし、この校庭について、校庭機能が失われるような大きな面積、これの大部分遊水地にしろというようなことは、これは行政指導をしないでも、必要最小限度ということで校庭機能と両立するように指導していきたいと思っております。
  19. 野中英二

    野中委員 そこで私は、その何%かわかりませんけれども校庭遊水地にしろ、坪何十万かする地帯プールにしろ、こういうことが市町村財政上できるかどうか。たいへん容易なことでないと思うのです。しかるに、中川下流の常時浄化作用のために昭和四十五年から五十年度までに総工費百五十億かけて三郷放水路をつくる、そして片や苦しい市町村財政というものは坪何十万という土地遊水地にしなければならぬ、プールにしなければいかぬ。こういうふうな要するに日陰ができていいものだろうか、日の当たらない住民ができていいんだろうか、そういう行政上の地域が生まれていいんだろうか、こういう配慮が足りないんじゃないか、こういうことを非常に憂えるものであります。  それで、局長満潮時の問題に入って先に言ってしまったわけでありますが、この満潮時における浸水地帯大場川の排水、これをどうしてもポンプアップをし、そして築堤をしてやるということのほうが地元のためには必要なんじゃないか、これと同時に三郷放水路というものを同時着工していくべきじゃなかったのだろうか、こういう気がするわけでありまして、さらに、この大場川の水を江戸川に流すという一つ方法、そして閘門橋のところから中川ポンプアップするという二つ方法をとらなければならない。そうでなければ埼玉県の南部というものはいつでも湛水をしているのだ、こういうことになるわけでありまして、この三郷放水路、この緊急時における必要性というものは四つ書いてあるわけでありますが、常時はとにかく東京都の中川浄水、これだけの目的のためにあるわけです。そしてここの湿地帯はいつになっても解消しない。この湿地帯を解消することのほうが緊急事じゃないか、こういう気がするわけでありまして、この大場川と中川合流地点築堤水門をつくってもらいたい。それから大場川の下新田、長戸呂付近にまたポンプアップをして江戸川に流す、こういう構想を至急にやってもらいたいと思うのでありますが、これに対するお考えはどうですか。
  20. 松村賢吉

    松村説明員 お答え申し上げます。  ただいま御質問ございました三郷放水路下流大場川あるいは第二大場流域、こういうところの湛水防除、そのための水門設置あるいはポンプ場設置、これはぜひ必要かと私ども思っております。それで、この三郷放水路と並行してやっていくということでございますが、現在三郷放水路工事というものは、御承知のように昭和五十年まで、これは実は第一期計画でございます。ポンプ場も全部のポンプ設置するわけじゃございませんが、これは五十年度までに終わるということになっております。引き続きまして三郷放水路の第二期計画というものも進めるわけでございますけれども、いまの水門につきましても、この三郷放水路工事と並行してできるだけやっていきたいというふうに考えておるわけでございますが、この五十年度の第一期工事までに本格的に大場川の水門を着工するのは、これは江戸川中川の全体の予算関係もございますけれども、なかなか困難な点もございます。できるだけ早期にするようにいたしますが、少なくとも三郷放水路工事と並行してやっていきたいというふうに考えております。
  21. 野中英二

    野中委員 約束の三十分になりました。最後の締めくくりをしたいと思います。  いま一例をとりまして河川局長とやりとりしておったわけでありますが、大臣に再度お願いをしておきたいと思うのでありますが、こうして地元方々は、大乗的に日本国土の全体というものを考え、あるいは土地というようなものを考えながらこれに奉仕しているわけであります。そしてこの奉仕している人々がそのために受けるこうしたマイナス面、それを一部だからいいといって泣かしておいていいのだろうか、こういう気がするわけでありまして、こういうかゆいところに手が届くようなきめこまかい建設行政というものをひとつ考えていただきたい。  都市と近接する地帯にはこういう個所がたいへん多いのであります。御存じのとおり、外郭環状にしても、お隣の県においては、松戸においては反対だ、こういうことで、この間大臣は、調子のいいことを共産党の質問に対してお答えしておりましたけれども、われわれとしては、外郭環状をやるために、もう何年となく苦労して地元住民了解を得てきたわけであります。この地帯も例外ではなく協力をして、外郭環状というものも予定地了解をしてきているわけであります。そういうふうにわれわれとしては、地元を説得し、多くの国民のためにとにかく奉仕をしよう、こういう考え方でおりますので、特にこういうその日陰になる部分についての御配慮をとくと大臣にお願い申し上げると同時に、大臣から最後の締めくくりで一言御答弁を願いたい、こう思うわけであります。
  22. 金丸信

    金丸国務大臣 ただいま河川局長からもいろいろ御説明を申し上げたわけでございますが、日の当たらない部分、そういう国民のために行政のあたたかい手を伸ばすことは、当然政治のあり方でなくちゃならぬし、姿勢でなくちゃならぬと私も思います。十分研究もし、そして住民の心を心として実施するように努力をいたしたいと思います。
  23. 野中英二

    野中委員 質問を終わります。      ————◇—————
  24. 服部安司

    服部委員長 次に、内閣提出、工業再配置・産炭地域振興公団法の一部を改正する法律案都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案国土総合開発法案井上普方君外六名提出土地対策緊急措置法案、以上四案を一括して議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。林義郎君。
  25. 林義郎

    ○林(義)委員 ただいま議題になりました四法案につきまして質疑を行ないたいと思います。委員長から法律案の名前が四つほど読み上げられましたので、四つの順番によりまして少し質疑をしたいと思います。  まず第一に、工業再配置・産炭地域振興公団法の一部を改正する法律案でありますが、この法律案は工業再配置・産炭地域振興公団を国土総合開発公団に改組するというのが大きなねらいであります。考えまするに、現行の工業再配置・産炭地域振興公団ができましたのもそんなに遠くないことであります。実はこの法律は、かつてありました産炭地域振興事業団にそのもとを発するのでありまして、たしか昭和三十八年か何かにこの法律ができたのじゃないかと思っておりますが、こういうふうな形で、産炭地域振興から工業再配置というものが入る、さらには国土総合開発というふうに非常に範囲が広がってきますと、とかく初め一つねらっておったものの意義はだんだん薄れてくるのではないかと思われるのであります。そういった意味におきまして私は、産炭地域の振興というのがおろそかにならないような施策をぜひ政府のほうにおいても講じてもらいたい。  特に産炭地域というものは、たいへんな疲弊した地域であります。なかなかに新しい施策をやったところで工業も入ってこないというようなところでございますから、国土全体の均衡ある発展というものを考えるならば、そのおくれた地域、非常にエネルギー革命によりまして影響を受けた地域に対するあたたかい思いやりということこそ私は必要だろうと思うのでありますけれども、そういった点につきまして政府当局のほうではどういうふうに考えておられるのか、まずお尋ねいたします。
  26. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 お答えいたします。  林委員御指摘のごとき、ただいまの日本の国土開発の現況を考えますときに、都市人口、産業が集中いたし、それに反比例いたしまして地方の過疎現象まことに顕著なるものがありまして、全く均衡のとれないアンバランスの現況であるわけでございます。  ことに産炭地域における最近の鉱工業生産の不況状況から勘案いたしますと、この鉱工業の振興をはかる意味において、もっと計画的に、よりよき資金、また、よりよき技術の導入等をはかりまして、この疲弊顕著なる産炭地域の振興をはかるということは、目下の緊急の課題であろうかと考える次第でございますので、この点を踏まえながら、産炭地域の振興計画並びに付近の都市現況に対するところの産業、あるいは工業、あるいは流通業務、あるいは学園、そうした機能の整備された姿と並行いたしながら、よりよき鉱工業地帯の産炭業務の発展に寄与いたしたいという考えをもって改組をお願いいたしましたので、従来の業務内容等においては何ら変更は来たさないということで、支障のなきものと大きく期待をいたしておるような次第でございます。
  27. 林義郎

    ○林(義)委員 もう一問お尋ねいたしますが、あとで国土総合開発法案の質疑のときにもお尋ねしたいと思いますけれども、この公団法の改正の中では、ずっと見ますと、環境の保全というようなことばがあまり使ってない。むしろないと言ったほうが私はいいと思うのでありますけれども、国土総合開発という開発の問題というものは、やはり環境の保全というものを重点に置いて考えなければならない、こう思うのです。その辺につきまして、いわゆる環境と開発の問題につきまして立案者のほうはどういうふうに考えておられるのか。新しくできます開発庁と環境庁との関係等もありますから、その辺につきまして具体的に御説明をいただきたいと思います。
  28. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 林委員御憂慮のとおり、こうした事業を推進する場合において、環境の整備、また公害の除去等を最優先に考えなければならぬという考え方から、工業地帯におきましては、環境の整備という立場から、インダストリーパークというような一つの整備された環境を造成していくというような方法をぜひとってまいりたい。それにはどうしてもやはり高度な技術、また多額な資本等も必要といたしますので、これらを導入いたしながら、公団において御指摘になりましたような整備に万全を期したい、こう考えておるわけでございます。
  29. 林義郎

    ○林(義)委員 次に、都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案につきまして、質問をいたします。  この法律を見ますと、今度新しい区域をつくる、ゴルフ場等の大きなものにつきましての許可基準を規定するというようなことが書いてございますが、どうも私は、線引きをされていない都市計画区域内において開発許可制度を適用することにしておるというふうに了解するのでありますけれども、やはりいままでの立て方からすると、線引きを行なってから、そのもとにおいて開発許可の制度をやるというのがたてまえではないだろうか。きわめてプリミティブな話でありますけれども、そういうふうな感じがするのです。この辺につきましては、どういうふうな考え方でこういうふうにされましたのか、お尋ねいたしたいと思うのです。
  30. 吉田泰夫

    ○吉田説明員 確かに御指摘のとおり、筋道としては、線引きを行なって、将来の土地利用を区分した上で開発許可制度に行くということが、本来考えられる第一案でございます。しかしながら、今回の改正法案におきまして、線引きをしないままで開発許可の対象地域に含めようという趣旨は、一にかかって全国的な乱開発の傾向というものが、必ずしも線引き都市に限らず、現在線引きしないこととされている都市地域についても及んでおるという実情に対処したいということでございます。  この場合に、全国の都市計画区域の中には、いま申し上げましたように、市街化の動向が一般的にいえばそれほど顕著でない、したがって将来の発展の可能性とか土地利用の動向というものも流動的でありまして、未確定な要素も多い。したがって、ここは市街化を優先的にすべき地域、ここは当面開発を抑制すべき地域という意味のいわゆる線引きということをこの段階で決定するということが問題な地域が多うございます。そういうところは現在線引きの対象都市としておらないわけでございまして、しかしながら、そうかといって個々の乱開発はそういうところにも及んでおります。もちろん、都市計画区域外にも及んでいるわけでありまして、都市計画区域外につきましては、都市計画法をもって対処できませんので、他の法律で対処するということにいたしておりますが、少なくとも都市計画区域内については、やるとすれば都市計画区域で対処するしかあるまい、こう考えました。  なお、市街化調整区域ということになりますと、結果としては非常に住民の具体的な権利をきびしく規制し過ぎるわけでありまして、そういう意味でも、線引きの必要性の判断と、当面乱開発を最小限抑制するというその必要性の判断とは、おのずから違ってもいいのではないか、こう考えておるわけでございます。  今回御提出申し上げました開発許可制度はそういうことでありますので、同じく開発許可ではありますが、いわゆる市街化区域並みの許可基準によりまして、どうしても必要な事項だけを判断基準として許可しようということでありまして、市街化調整区域並みのようなきびしいものにしないということは、線引き以前の開発許可制度のあり方としてそれが最も合理的であろうと考えたからにほかなりません。
  31. 林義郎

    ○林(義)委員 以上二つの法案につきましては、私はそう大きな問題はない法案だろうと思うのであります。野党の先生方は、民社党の先生が一人おいでになっただけでありまして、ほかは欠席でありますけれども、まあそう大きな問題のあるところではない、こう思うのでありますけれども、問題はやはり、この三番目の国土総合開発法だろうと思うのであります。  従来、本委員会におきましてもいろいろな質疑がありましたのも、この国土総合開発法を中心にいたしましていろいろと議論があったところであります。いままでのお話をずっと聞いておりますと、問題点を整理をすると、私は次のような問題になるのではないかと思うのであります。それで、この際、大臣おそろいでございますから、その辺の問題につきましてあらためてお考えをはっきりさせておいていただきたい、こう思うのであります。  まず第一点は、成長と開発、それと環境問題というかをどう考えるか。要するにローマクラブのように、成長というものは行き詰まるのである、こういうふうな考え方がありますけれども、まあそうではない。最近のローマクラブの会合が東京でございましたけれども、いろいろな技術開発をやっていけばまだまだやれるのだ、こういうふうなお話でもありますし、この辺、一体成長の問題というものをどう考えていくかというのが大きな問題だろうと思うのであります。  それとともに、成長するためにはやはり開発をやっていかなければならないことは当然のことでありますし、これは日本の国内におきまして、先ほど来お話がありましたように、過疎過密という問題がありますから、この問題を解消していくためには、全国にわたって工場その他を分散して開発をしていくことが当然必要になってくるわけでございます。そのためにこういった法律が出ておるわけでありますから。どうも野党のほうは、開発をするのについても、およそ開発というものは反対であると、こういうふうな御意見もあるのではないかというふうに受け取られる節がある。それからまた、今回特別規制地域制度というものをつくってありますけれども、これはこの法律から見ますと、特別規制地域制度というのは土地利用の規制の問題でありまして、必ずしも開発を、上物をどうしようこうしようということを全部いっているわけではないように私は思うのであります。どうもその辺に議論の混乱があるのではないか、こんなふうに考えるのです。  その点につきまして、特別規制地域制度と、さっき申しました成長なり開発というものにつきまして、提案者のほうでどういうふうにお考えになっておるのか、あらためて御答弁をいただきたいと思います。
  32. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 林委員仰せのように、まあわれわれ成長なり進歩なりを考えぬ者はないと思うのでございます。ただ問題なのは、その成長のテンポ、成長をなし遂げるための条件の整備、それを無視して成長なり進歩なりというものを考えられぬというところであろうかと思うのでございますが、われわれ六〇年代において非常な高度の成長に成功いたしまして、国民の生活もよくなり、また物資も豊富になったわけでございますが、その反面、あまりにこの成長に片寄り過ぎて条件の整備がないがしろにされ、そしてその面から公害とかあるいは資源の有限性の問題というものが急に出てきたように思うのでございます。ただいまお話のございましたローマクラブにおきましても、やはりただ成長に浮かれておるのではいけないという意味の忠告ないしは反省意見があったのでございまして、成長そのものを否定する意見はないわけでございます。  われわれも、従来の国の発展がいかにもてんでんばらばらに行なわれておって、そこに、過密過疎なり、あるいは公害なりの問題が非常に解決を要すべき状態になっているのにかんがみまして、それを総合的に開発していこう、それには場所をきめて特別規制の地域も要るし、あるいは総合開発地域も指定するし、それから高度成長に伴って土地の投機が行なわれておる、これが物価値上げの根本でございまするから、この投機を抑制しなければならない、そういうような点にかんがみまして、全国的にあるいは都道府県別に土地利用の計画をつくってやっていこうということを考えて、これに国土総合開発法という名前をつけて提案いたしたわけでございます。  ところが、はなはだ残念なことに、いま林委員仰せのように、そこに与野党間に認識の混乱と申しますか、何か開発ばかりを政府ないし与党は考えておるというようなきめつけがございまして、法案そのものを実は十分この場で論議していただけば私どものほうも十分申し上げたいことがあるわけでございますが、ただいまお話しのように、審議にこの場にもおいでにならぬというようなことでございまして、非常に私ども困惑をいたしておるので、この機会に、この法案の意図するところ、いま林委員仰せのようなその混乱の問題をぜひ解明してまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  33. 林義郎

    ○林(義)委員 いままでの委員会の審議の中での第二の問題は、この特別規制地域に対する内閣総理大臣の指示権というものがあります。この指示権は非常に中央集権的である、こういうふうな話でありますが、この地域の指定その他の問題も関連すると思いますけれども、やはりいまのお話のように、地域指定、総理大臣の指示権というものは、府県知事がやらないような場合に非常に混乱が起こるということを避けるための伝家の宝刀的な規定だろうと私は思うのであります。その辺と、憲法で保障されておりますところの地方自治の主体性というものにつきまして、議論のあったところでありますが、この辺につきましてもう一ぺん大臣から明確な御回答をいただきたいと思います。
  34. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 特別規制地域の問題は、まさに総理の指示権についていろいろいわれておるのでありますが、最終的には総理が国の責任者として責任をもつべきものであると思います。地価を規制するということによりまして起こるもろもろの問題について、一義的には都道府県知事が責任を持ってやっていただくわけでございますが、政治の最終的な責任は総理が持つものでございますので、総理大臣が持つことによって何も中央集権になるとは考えませんわけでございます。それから、御承知のように問題が府県にまたがっております場合にも、これは府県知事がそれぞれ話し合ってまとまらぬときには総理が責任をもつわけでございますが、これも単独に出てきて何かをいろいろと指示をするわけでございませんで、国土総合開発審議会の意見を聞いて、その上で正当の理由があると判断したときに総理が出ていくのでございまして、何ら中央集権という問題とは別のことであると思います。  それから、特別規制地域の地価を凍結するわけでございますが、これは私権との問題がございまして、憲法上の疑義もございますという説もございまして、そこで三年というふうにきめましたが、さらに問題がある場合には二年延ばして五年を期限とすることができるというのが、現在の憲法の私権制限の上から見てぎりぎりの線というふうに私どもは理解しておるわけでございます。
  35. 林義郎

    ○林(義)委員 次の問題としては、総合開発計画をこの法律ではつくるということになっておりますが、その計画と国会との関係をどうするかというのが問題になったと思うのであります。白書を国会に報告したらどうかとか、あるいは計画自体を国会の承認事項にしたらどうかとかいうような考え方もあるようであります。また、その計画をつくるにあたりましての審議会の委員をどうするかというような問題もあったようでありますけれども、この辺につきましては、政府当局のほうはいまどういうふうにお考えでございますか。
  36. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 まず白書の問題でございますが、これはこの法律が通りました際には新しく国土総合開発庁という役所ができるわけでございまして、その役所ができた暁においてこれを考えてはどうかというふうに思っておるわけでございます。なお、総合開発に関します基本理念を明らかにするとともに、総合開発計画において定める事項もこの法案において明らかにしているわけでございまして、この国土総合開発審議会や都道府県知事の意見を聞いてやっていくわけでございますので、この国土総合開発審議会でやったものをさらに国会の審議を経てやるという必要はないのではないか。やはりこれは閣議で決定して内閣が責任を持つということでよろしかろうと思います。それは繰り返すようで失礼でございますが、都道府県で十分審議をされて民主的な手続を経てあがってくるものでございますから、あらためてまた国会の議を経る必要はなかろう、こういうことでございます。  それから審議会の構成でございますが、これは昭和四十四年七月の閣議決定で、国会議員や上級官吏はそこから省こうという決定があるわけでございます。というのは、こういう諮問委員会に国会議員が加わられるということ、そのことが一つの問題でございまして、国会は国会として国権の最高機関としての機能がございますし、その中における国会議員でございますから、またその立場において御審議をいただくことが妥当であるということで、従来沖繩の問題その他においては除いてあるわけでございます。ただ、この法案の中に関係の学識経験者以外に官吏が入っております。この問題については、私といたしましては、さらに皆さま方の御意見を伺って善処したい、こう思っておるわけでございます。
  37. 林義郎

    ○林(義)委員 質疑の第四番目の問題は、第三セクターに関する問題であります。むつ小川原とかいろんな開発がありますが、その関発の場合にとかく大企業が入ってくる。開発をやる前に大企業が土地の買い占めをしてその第三セクターに高く売るとかなんとかというようないろんなうわさも出ておりますけれども、こういった第三セクターの問題につきまして、開発にあたりまして、政府当局のほうでは一体どういうふうにお考えになっていられるのか。いろんな新しい開発事業というものをやっていくためには、一つの大きな組織でありますから、単に従来あるところの地方公共団体その他の組織だけでは足りない、やはり企業家的な経営精神でもってやらなければなかなか仕事が進まない。そういったときに、いま申し上げましたようなとかくの問題をどういうふうな形で排除していくかというのが大きな問題だろうと思うのであります。この辺につきましても質疑があったところでございますから、あらためて政府当局のほうのお考えを伺わせていただきたいと思います。
  38. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 第三セクターの問題は、仰せのように、関発を進めるに際して新しい構想を盛り込んだものでございまして、そのこと自体は非常に卓抜な構想と申しますか、そういうものであろうかと思いますが、しかし、たまたまこれが非常にたくさんできまして、いま何か二千から三千の間くらいその後にできておるような様子でございまして、中にはやはり監督を要するものもあるのではないかというふうに思います。地方公共団体が法人に出資している場合、地方自治法においてこれを監理する規定があるわけでございます。これをさらに強化していくか、あるいはその強化の過程において地方自治法の足らざる点というようなものがもし発見されましたら、それに基づいて第三セクターに対する新しい監督の方法考えてよろしかろうかというように思っております。
  39. 林義郎

    ○林(義)委員 従来の議論を見ておりますと、とかくその議論というものが、開発か成長かというようなところの議論ばかりされておりまして、国土総合開発法の一つの大きなねらいであるところの土地利用規制の問題についてあまり議論がされてなかったのではないだろうかと思うのです。この辺は非常にこの法律の趣旨を曲解をしておられるというか、故意に曲解しておられるのかどうか知りませんけれども、非常におかしなことだろう、こう思うのです。  土地の問題につきましては、この中で一般地域という形で規制をしてございまして、土地の売買をするときには届け出をする。それに対しまして、あとで都道府県知事その他から勧告をしたり、または非常に不当なときには公表をするというようなことが書いてあります。はたしてこれがこれでもって可能であるかどうか、一律的な問題で可能であるかどうかという判断が私は一つあるだろうと思うんであります。  特に大都市における土地規制につきましては、いま申し上げましたような、この法律に書いてあるところだけではなかなか足りない点もあるんではないか。と申しますのは、先般、「行政監理委員会 四十八年十一月一日」というのがありますけれども、三大都市圏につきましては、地価の安定のための施策として、「1三大都市圏全域を対象とする長期間にわたる基準価格による地価の直接統制 2基準価格を上回る土地譲渡益に対する一〇〇%ないしこれに近い高率課税の二案が検討され、当面税制によるべきであるとする意見が多かった」というふうなことが書いてありまして、「いずれにせよ、地価の高騰に伴う社会的不公平を是正するとともに宅地供給施策の実施を確保するため、強力な地価安定施策を実効する必要があると認められる」、こういうふうな答申が行政管理庁長官に出ているのであります。  この辺につきまして、この国総法というのは全国的なものでありますから、決して三大都市圏をねらった法律ではない、全国で行使するんだ、こういうことであります。もしも全国的な土地規制を行なう、全国的な許可を受けなければ土地の売買をしてはならないなどというような形になりますと、これは私は、その基準をつくるにいたしましても、なかなかたいへんなことだろう。現在の公示価格制度もまだまだ進んでいないという現状でありますし、一体幾らの値段が適切なりやいなやということになりますと、たいへんな問題だろうと思うのであります。具体的な話として、全国的にこういうふうな形でもってやられるということで、私はこの土地利用に関する規制自体だって、たいへんな人手もかかるし、たいへんな作業になるだろうと思うのでありますけれども、こういった土地利用の問題について、三大都市圏と地方中核都市と農村その他につきまして、大体どういうふうな考え方考えておられるのか、この辺につきまして大臣のお考えを聞かしていただきたいと思います。
  40. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 非常に行監案についての御理解が正確でございまして、私も林委員のおっしゃるとおりに問題点をとらえております。この行監の一つの提案と国総法の特別規制地域の許可制のおもな相違点は二つございまして、まず第一が規制期間が非常に長期であるということ、それから第二点は三大都市圏全域が対象であるということの二点であるわけでございます。しかし、行監の委員会の審議経過を見ますると、地価の直接統制案というのは、これは実施が政治的に、技術的になかなかむずかしいんじゃないかという意見がかなり強かったように報告されております。また一方、積極的にこれを支持する意見もあったわけでございましょうけれども。  そこで問題点は、現在自由な取引を基本とする社会経済の秩序があるわけでございますが、地価の直接統制について国民一般のコンセンサスが得られるかどうかという点。それから、これは林委員の御指摘にもありましたが、規制基準価格を合理的に定めることが技術的に一体可能であるかどうかという点。それから第三点は、民間の土地供給が沈滞しはしないかという点であると思います。やはりこの審議経過のコメントにもありましたように、税によってこれを持っていくのが妥当ではないかということであるのでありますが、税制の本旨から見て、税の専門屋さんから言うと、税制をそういうほうに使うことにはリラクタントであるという意見があるわけでございますね。そこで、御承知のように土地譲渡税、これは一般の利益のほかに二〇%、それから特別土地保有税というようなこの新しい税制がかなりいま効を奏しつつあるわけでございます。私はこの様子を見ながら今後のやり方を考えることが一つであると思います。  それから、何としてもお願いいたしたいのは、この国総法を早く通していただきたい。それによってわれわれが特別に、発展しつつあり、しかも投機の対象になると思われるような土地の投機を規制する法律による手がかりを与えていただきたいと思うのでございます。これを何か最初から、開発開発といってうかれ歩く者を助長する法律のようなことを、この内容もよく読まないできめつけられて、そうして審議をいたずらに——ことばは適当でないかもしれませんが、まあ決定に至らしめないでじんぜん日を送られるということは、それだけ物価値上げを促進することになるのじゃないか、私はもうしんからそう思いまして、ぜひひとつこの法律を速急に通過をお願いしたいと思う次第でございます。
  41. 林義郎

    ○林(義)委員 全くそのとおりだろうと私も思うのです。土地対策緊急措置法案というのが出ておりますけれども、この法案は井上さんが提案者で出ておる。やはり土地問題というのは、私は現在の一番国民的な関心事だろうと思うのであります。早くやらなければならない。ところで、この土地対策緊急措置法案を見ますと、許可制をやる。許可をやるんだったら、私はたいへんな人が要るだろうと思うのですね。しかも四十八年の価格に凍結するという話でありますけれども、一体、全国にいろいろな問題があるときに、はたして一律にそんなことができるわけでもないんだろうと思うのであります。  とにかく、出発するのであるならば、現在のこの法律の七条、八条というようなところから出発いたしまして、それからあといろいろな問題があるならば、その問題のところを押えていく。大都市につきまして非常に問題があるならば、問題のあるところは別の法律でやっていく。国土総合開発法というのは全国にわたるところの法律でありますから、それはそれとしてやはりやっていくのが一番の筋だろう、こう思うのであります。  それで、あらためてお尋ねしておきます。許可制というものが出ておりますけれども、許可制をとらなくて届け出ないしは勧告、公表という形でやる、こういうことであります。これでもって地価対策というものは相当程度やっていけるというふうに大臣のほうはお考えだと思いますけれども届け出ではちょっと何か弱いような感じもするわけでございます。この辺につきまして、この実効性の確保という点からどういうふうにお考えでありますか、大臣の忌憚ない御意見を承りたいと思います。  と同時に、もう一つは法律論でありますけれども、憲法の二十九条に「財産権は、これを侵してはならない」と書いてある。それから「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」おそらくこの届け出制云々というのは、この「公共の福祉に適合するやうに」というところの解釈に基づくものだろうと思うのでありますが、さらに、「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる」と、こう書いてあります。おそらくこの憲法第二十九条第一項及び第二項の規定をすらりと読むならば、届け出をし勧告または公表するというところでやるのが、現在においては適切であろう。そのほかの非常に問題のあるところは、その問題に応じて公共の福祉の考え方を変えていかなければならない、こういうふうな解釈だろうと私は思うのですけれども、そういった解釈で間違っているのか、間違っていないのか。これからの問題も出てくるでしょうから、その点につきまして御答弁をいただきたいと思います。
  42. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 国総法というのはむしろ規制面に非常に問題点を置いておるわけでございまして、ことに開発されつつある投機のおそれのあるような地域を規制していく。これはまさに許可制にしているわけでございます。ただ、一般的な土地の譲渡の問題になりますと、これは昭和四十五年の話でございますが、一年間に大体二百九十万件あるといわれておるわけでございます。これを全部許可制にするということになりますと、開発の利益を非常に受けている場所もございますし、その基準はどういうところで見たらいいかという問題もございまして、なかなかできないと思いますので、この法律にあるように、届け出をして、そして勧告をして、その勧告に従わない者は公表して社会的な制裁をということにしているわけで、これはある意味においてはなまぬるいという御批評もあろうかと思いますので、一応これですべり出して、そして問題点があればそれに対して適切な対策をとることを、決して私ども拒否するものではないのでございます。  このことの中に、社会党案のお話が出ましたので、これをちょっとおもな点だけ申し上げさせていただきますと、いまの許可制の問題ですね。これは大体許可するので、一定のもの以外は許可しないというので、基準をどうするかというと、固定資産税の評価額を基準にするようにいっておるわけですが、これはあくまで税の公正の見地から固定資産税というものはできておるので、その土地のいわゆる価格を適当に評価しているものじゃないわけです。それでよければ地価公示制度なんというものは初めからつくらなければいいわけでございまして、これがなかなか問題点だと思います。  それからもう一つは、許可権者を市町村長にする、こういうのでございます。これはなるほど市町村長は、その土地地域に密着した行政執行者でありましょうけれども、現在の市町村長にそういう実務が一体まかせられるだろうかということになりますと、どうも私は否定的なんであります。ことに都市計画とかそういうようなものは、やはり許可権者が都道府県知事でございますから、そういう計画をやるのは都道府県知事で、そして土地の売買の許可は都道府県知事でないというのは、これはやはり行政上の混淆を来たすことになると思います。それから不許可をする場合には、憲法上の規定で買い取り請求権を当然認めなければなりませんが、その場合、市町村長に買い取り請求権を認めるということになれば、市町村長はその財政負担に耐えなければいかぬわけでございます。これは全国でたいへんな膨大な財政上の負担をしょうことになりまして、新しい問題を起こすということになると思うのでございます。  そういう点で、私どもはいろいろ議論をいたしまして、自由民主党の先生方の御意見もいろいろ伺いまして、現状ではここが精一ぱいではないかという案を持っておるわけでございます。しかし、これはまた野党の方々の御意見も伺いまして、理屈があるというように私ども思えば、それは決してがんこに突っぱねるつもりはございませんが、いま申し上げましたように、ちょっと無理な内容ではこれは実際混乱するだけですから、応ずるわけにはいかぬと思うのでございます。  それから最後の法律問題でございますが、土地というものは公共の財であるというふうに言い切ることには、まだそこまで私は考えておりません。土地はあくまで私有財産である。しかし、これは強く公共の目的、公共の福祉に沿うように利用されなければならない、こう思うわけでございまして、その点からやはり私権の制限を無条件で無期限にするということについては問題だというように思います。  ただ、土地問題というのは非常にむずかしい問題で、これは私どもが生活もしなければならぬし、産業もそれによらなければならないし、これは今後ふえることもないんでございますから、十分お互いで考えていかなければなりませんけれども、やはり憲法の解釈は、いま林委員の仰せられたような解釈に従って現状は土地の問題を見ていくというのが妥当であろうと考えております。
  43. 林義郎

    ○林(義)委員 土地は私有財産なりや公共財なりやというような御議論が出ましたけれども、私は土地というのはやはり国民がひとしく使うものだろうと思うのであります。この法律でもっていろいろな土地の利用についての規制を行なっていく、地価が上がらないようにしていくという形で非常にねらっておりますけれども、やはり国民ひとしく住宅を持たなければなりませんし、住宅を持つためには土地が要るということは当然のことであります。やはりこういった形で規制をしていくと同時に、私は宅地供給について新しいものを何かつくっていかなければならない。規制をしただけでは宅地というものはなかなか生まれてこないわけでありますから、私はやはり、宅地供給については新しい考え方でやっていただかなければならない、この法律だけでは済まない問題だろう、こう思うのであります。  その点につきましての御見解を伺うと同時に、大体時間も来たようでありますから、もう一つで最後にしておきますが、大都市におけるところの土地規制の問題であります。  先ほど申しました行政監理委員会のほうでも出ておりますが、私は、大都市におきましては土地利用の問題、土地規制の問題だけではないと思うのであります。南関東及び京阪神におきましては、昭和六十年を見ますとたいへんな水不足というものが予想されるわけであります。いろいろな形でやりましたところで、人口がだんだんとふえてまいります。また工業生産もとかくそちらのほうへ集中するということでありますから、そうすれば人間が住む、工場ができる、その他いろいろな生活をするならば、どうしても水というものが要るわけであります。生活用水が要るし、工業用水が要るし、また下水道というような形での水も要るわけであります。そういった意味で、水対策というものは土地対策と同じような形において進めていかなければならない大問題だろう、こう私は思うのであります。いまのままでやっていくならば、人口はほとんど流入を禁止するか、あるいは工業生産というものはほとんど伸びないような南関東なり近畿圏であります。その点については伸ばせない、こういった制約が私はあるだろうと思うのであります。土地についての制約もありますし、また水についての制約もある、こういった点につきましてどういうふうにこれから進めていかれるのか、この辺をお尋ねして私の質問を終わりたいと思います。
  44. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 大都市におきまするのみならず、一般都市における住宅の供給について特別のくふうをせねばなるまいという御提案は、全くそのとおりでございまして、私どもは、その規制をするのは、もっと一般方々に、ことにまじめに働く方々住宅を供給する、そのことのために規制はあるべきであるし、また、それにはレンタル方式であるとかいろいろなのが出ておりますが、そういうくふうを新たにしていかなければならないと考えます。これはまたいずれかの機会に申し上げるときがあると思います。  それから巨大都市の問題でございまするが、これは御承知のように、目下新全総の見直し作業をやっておりまして、先般来土地の問題と巨大都市の問題について報告書をまとめまして、一般の御意見を伺っておるわけでございます。ことに南関東、いわゆる東京圏における昭和六十年の水の需給を試算いたしますと、可能な限りの水資源を開発いたしましても、人口は二千九百万人に抑制する必要があるんじゃないかというのが一応の結論であるわけでございますが、さらに集中の限界については、水資源ばかりではございません、住宅の問題、電力立地の問題、通勤、通学のための鉄道をもっと引かなければならぬ問題もございます。廃棄物の処理の問題、また生鮮食料品確保の問題等いろいろな角度から検討を加えていく必要がございまして、やはりこれにも、この角度から見た結果においても集中に限界があるということは明らかであるわけでございます。  なお、この機会に実は私どもの開発局長が非常に専門的な見地で勉強しておりますので、お許しをいただけば補足さしたいと思います。
  45. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 いま大臣からお答えしたとおりでありますが、私ども新全総の総点検作業で「巨大都市問題とその対策」という素案を一応つくりまして、現在各方面の方々にごらんをいただいて、御意見をいただいておるところでありますが、この総点検の中で昭和六十年についての予測を立てまして、その予測に基づいて、いまお話しいただきました水の問題その他についての検討をいたしました。  昭和六十年におきまして、このまま集中が続くという前提でございますと、東京都、千葉、埼玉、神奈川県の一都三県におきましては約三千八百万程度の人口集中を見る可能性があると考えております。これが過密が進行していきます点、あるいは開発がおくれていく点ということを加味しますと、集中が鈍化いたします結果、三千三百万くらいまで鈍化するという見通しも可能であります。しかし、関係各省と、住宅の供給、水の供給、あるいは通勤、通学の鉄道建設の面、あるいはごみ処理の面、あるいは学校、義務教育施設の建設の面、あるいは生鮮食料の面等を検討いたしました結果、各省におきましても、約二千八百万から二千九百万くらいの人口に対応することでかなり精一ぱいであるという結論を得ておりますので、私ども新法に基づきます計画をつくる際に、はたして東京圏というものの人口をどの辺に押えてどういう対策を講ずるかということが緊急の課題になってきましたので、一方ではかなり強い地方分散政策というものが必要であるということがいえると存じます。
  46. 林義郎

    ○林(義)委員 いまのような水の問題その他たくさんありますけれども、やはり国民が一番問題にしておるところの土地問題、これは全国的に非常な地価の値上がりをしておりますから、国土総合開発法は一日も早く審議をしていかなければならない。三月三十一日に本院に提案されてから時間もたいへんたっておりますけれども、まだこういうふうな状態である。やはり国民的な期待というものがこの国土総合開発法にかかっているだろう、こう思うのであります。そういった意味で、早く問題点を明らかにして審議することを心から望みまして、私の質問を終わりたいと思います。  なお、浜田幸一議員から関連質問の申し出がありますので、これをお許しいただきたいと思います。
  47. 浜田幸一

    浜田委員 私は十五日の委員会で質問さしていただくことになっておりますので、その参考として三点だけ大臣並びに下河辺さんにお伺いをしたいと思います。  その第一点は、いままでの議論の中ではされていなかったと思うのでありますが、今回新しく制定しようとするこの法律の優先度の問題であります。たとえば農地法から始まりまして都市計画法に至るまでいろいろな法律があります。これは電発法も含めてでありますが、いろいろな法律がありますが、この法律ができた場合の効力といいますか、他の法律を押えるだけの力があるものなのかどうか、まず第一点にお伺いしておきたいと思うのであります。お答えをいただきます。
  48. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 現在行なわれております国土総合開発法案の御審議の中で、私どもの提案いたしております法案の中身に土地の取引に関しての規定がございますが、土地の取引の規定に関しましては、他の法令によることができませんので、国土総合開発法によって実施されるということになります。  それからもう一つの点は、開発行為の規制の問題でございます。開発行為の規制につきましては、実は国土総合開発法では直接いたしませんで、都市計画法、森林法あるいは自然公園法、自然環境保全法、農振法等によって、それぞれの専門の立場から実施していただくということで国土総合開発法案をつくってございますが、しかし、それぞれの法案の相互調整ということが重要でございますので、その調整をはかるための規範として、国土総合開発法によりまして土地利用基本計画を策定するということにしてございます。各法令の開発行為の権限はこの国土総合開発法の土地利用基本計画に即して行なわれるということで相互の調整をはかりたいということでございます。
  49. 浜田幸一

    浜田委員 御説明を承りますとなるほどそうかなと思いまするが、これだけきびしい諸情勢の中で、たとえば過密過疎の対策を一挙に行なう場合に、旧法によって制限されるようなことがあれば、新法を生かし切ることができなくなる場合もあると思います。  たとえば、この法律を解釈する場合に、六省会議なら六省会議を中心として基本的な姿勢を打ち出して、それを協議して、その上でどうするかということをきめていくということになるわけですね。やはり新しい時代にふさわしい総合開発法をつくるとすれば、多少の無理があっても、前に定められた法律は古いわけですから、そういうものを束ねて一つの新しい法律で規制をしていく、法律を法律が規制していくような姿勢が打ち出されてこなければ、きびしい情勢に対する対処策にはならないと考えるのですが、その点はいかがですか。前にあなたと議論したことがあると思いますが、その点についてもう一回だけ伺わしておいていただけないでしょうか。
  50. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 ただいま御指摘いただいた点でございますが、実は国土総合開発法案政府としてきめます際に、都市計画法あるいは森林法等の一部改正が国土総合開発法の新法と対応して必要であるということから、関係各省におかれてそれぞれの法律の一部改正案を国会へ提出さしていただいておりまして、一部は通過しておりますが、一部は今後の審議ということにお願いをしているわけでございます。やはり姉妹関係のある法令ということになってまいりますので、相互の法令の新法による新しい改正というものが当然必要であろうかと思います。なお、今後実際の情勢を見た上で、相互に法案の修正というものが必要になる事態が出れば、その時点でまた再び姉妹関係の法令の検討というものが必要であることは、御指摘のとおりであります。
  51. 浜田幸一

    浜田委員 それは、都市計画法並びに森林法、あるいは農地法——これはもう当然、総合開発法をつくり上げた場合に、一番抵触してくるのは農地法と都市計画法だと私は思う。農地法の場合あまりにも古過ぎやしませんか。やはり総合開発を打ち出すために必要な問題は、農地法が適宜かどうかという問題を正しく議論してから行なわなければならない問題だと私は思うのです。  この議論は、議論でありますから、次にゆっくりさしていただきますが、他の法律はそれでもいい。話し合いで済むとしますが、強制収用を行なう場合の法律解釈ですね。先ほどから大臣答弁を聞いておりますと、私権を縮小して公有権を拡大しなければならない、これが御持論のようですが、その場合に、私権を制限するにしても、現在道路一本つくる場合でも、訴訟に持ち込まれますと十年もかかります。そういう土地収用法、強制収用という問題、その法律についてはどうお考えですか。少なくとも私は、総合開発法の中では、そういう問題がもっと法律の条文として明確化されてきていなければならないと思うのです。その点は下河辺さん、どうお考えでしょうか。
  52. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 御指摘いただいた点でございますが、先ほど私どもの長官からもお答えいたしましたが、従来の開発行政の中で、一方で、乱開発であるとか、土地の買い占めであるとか、地価が暴騰するという現実がございましたので、それに対応するために、土地の取引あるいは価格に関する規制、あるいは計画をつくる際に十分住民の意向をくもうということについて、特に今回は国土総合開発法を充実したわけでございます。したがって、先ほど林先生からお尋ねもございました点と関連いたしますが、直接大都市において住宅の供給をしなければならないという現実に対しては、実は積極的な供給政策というものを別途強力につくる必要があるという考え方をとっておりまして、そういう際に、いまお尋ねの収用その他についての強い権限についての御議論を当然いただかなければならないのではないかと感じます。
  53. 浜田幸一

    浜田委員 この議論はまた後ほどさしていただくことにいたします。  今度は大臣にお伺いしたいのですが、たとえば私権を云々する前に、公共の用に立てるために道路なら道路、団地なら団地をつくる、その場合に協力しない者が出る。そういう者については国総法では何も規制していないわけですね。それは憲法第二十九条の私権を守る条文がありますから、ここで買わなければならないわけです。それは言い値で買わなければできないわけです。そういうものを野放しにしておいて、国総法ができたらすべて開発がうまくいくという考え方は、私には理解ができないわけであります。その点について後ほどの問題と一緒にあわせてお答えをいただきたい。  きょう私は関連で立っておりますから、これ以上法律との抵触の問題についてはお伺いしませんが、この間、総理大臣が、これは経済企画庁長官も御案内だと思いますが、新幹線計画を発表いたしました。私は、この新幹線計画を発表したということは、やはり国総法そのものに重点を置いていない考え方だと思うのです。というのは、法律ができる前に乱開発が進んだり、あるいは開発行為がどんどん進むということであって、秩序ある開発にはならないじゃないですか。経済企画庁長官並びに下河辺さんは、そういう新しい新幹線計画——新しいから新幹線というのでしょうが、新しい鉄道計画に対して反対をされたんですか、賛成をされたんですか。少なくともこれだけの法律案というものをいま国会で重要な議論をしようとするときに、その以前に、国土総合開発のあなた方の言われる基盤整備事業の中の交通基盤整備の一番大事な問題はすでに決定されて発表された。そうだとすれば、法律があとへついて歩くことになるのじゃないですか。それについて経済企画庁長官は賛成されたんですか、反対したんですか。このことによって、この中で行なわれている議論がいかにナンセンスな行為であるかということが明確になってくると思うのです。この点をお伺いいたしたいのであります。
  54. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 最初の点でございますが、土地投機が行なわれるということが現にあり、あるいは可能性がある、そういう地点は特別規制地域に指定いたしまして、そういうことができないように価格を凍結するわけでございます。土地収用の問題はそれとはまた別の問題で、必要に応じて収用するということは現にあるわけだし、今後もあるわけでございます。  それから新幹線の問題でございますが、これは私といたしましては、やはり新幹線ができますとその地区の地価は上がるであろうというふうに思いますので、国総法ができてそういう投機が行なわれないような根締めができてからそういうものをやってもらいたいというふうに申しました。そこで、運輸大臣との話では、これはあくまでも計画であって、路線の決定その他については慎重にやっていくから、全体の交通通信のネットワークとしてこれは認めてもらいたいということでございまするから、だからこれはそういう点でひとつ御了承願っておきたいと思います。
  55. 浜田幸一

    浜田委員 私はこれは下河辺さんとやったほうがいいと思うのです。これはゴルフをやっている大臣とあまり討論してもしようがないから。  下河辺さんにお伺いしますが、あなた方が法律に書いてある特別規制地域というのは、たとえば新幹線の駅がきめられるとか、新幹線の道のりがきめられるとか、そういうところに私は特別規制地域としてのワクづけを行なうべきだと思うのですよ。ところが、新幹線計画が発表されてしまえば、すでに特別規制地域として定めようとしたときに、その地域に対する先行投資、すなわち民間の買収とかそういうものについては国の投資がついていけなくて、民間の投資だけが進んでいってしまって、実際法律の精神というのが生きないということになるのじゃないですか。それは当然でしょう。たとえば新幹線をこれだけのものを網羅して発表してしまって、そのあとから買収の終わったところに、特別規制地域としてここは設ける、だから何をやってはいけないということもわかりますよ。しかし、すでにそういう問題については、法律があとからついていく形になるのじゃないですか。専門官として御意見はどうでしょうか。これはこの次の質問の参考資料でありますから、ひとつぜひお聞かせをいただきたい。  特に私の意見を申し上げておけば、それだけの新幹線計画を発表するとすれば、その裏側に私はこの法律の中でもう一つ矛盾点があると思うのです。というのは、法律の条文はわかるけれども、たとえば三百万世帯の住宅難を解決するために三十万ヘクタールなり五十万ヘクタールの用地が必要だという前提に立っていない。立っているとすれば、当然私権を守りながら用地を取得するとすれば、それに対して国家予算の投下というものが法律と一緒に予算的な措置として全面的に出ていかなければならない問題だと思う。ところがそういう問題については一切ついて歩いていないんですね。この議論は後ほどさせてもらいますけれども、この中で知事に権限を与えるとか特別規制地域を設けるとかという前に新幹線計画が発表されたとすれば、この法律が通ったところで、生きる面が非常に少ない幅になってくると私は思うのですが、その点いかがでしょうか。
  56. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 御意見は一つの御意見だと思いまするが、私どもはこの必要な法律を実は三月から出しておるのでありますから、これを早く通していただきたいということを考えておるわけです。そうして規制ができるようになって必要なものを必要な時期にやっていくということが政治ではないでしょうか。
  57. 浜田幸一

    浜田委員 大臣の意見もわかるんですね。三月から出して——われわれ反対してきたわけじゃないです。ですからそれは確かにそうなんです。それは野党が通さないということでしょう。そう言いたいわけでしょうけれども、だからといって、新幹線計画を先に発表することが時の内閣のあなた方のされるべきことではないのじゃないですか。それだけの見識があるとするならば、せめて法律が通るまで、乱開発土地に対する投機が行なわれることがあるといけないから、そういうものについては、一年なら一年、六カ月なら六カ月据え置くぐらいの閣議決定をすべきではないですか。この議論はもうからみ合わないかもしれませんが、私はそう考えるわけであります。ですから後ほどまた、私は関連質問に立ったわけですからこれ以上御質問申し上げませんが、次の機会に、そういう基本的な問題、法律の条文の以前の問題として、現在の時点で政治が決断を下さなければならない、そういう時期にあたってどうすればいいかという議論を私は基本的にさせていただきたいと思います。  以上です。ありがとうございました。
  58. 服部安司

    服部委員長 次回は、来たる十五日木曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十七分散会