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1973-09-19 第71回国会 衆議院 建設委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年九月十九日(水曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 服部 安司君    理事 天野 光晴君 理事 大野  明君    理事 村田敬次郎君 理事 渡辺 栄一君    理事 井上 普方君 理事 福岡 義登君    理事 浦井  洋君       小沢 一郎君    小渕 恵三君       梶山 静六君    國場 幸昌君       澁谷 直藏君    野中 英二君       廣瀬 正雄君    藤波 孝生君       渡部 恒三君    石野 久男君       清水 徳松君    中村  茂君       松浦 利尚君    森井 忠良君       瀬崎 博義君    新井 彬之君       北側 義一君    渡辺 武三君  出席国務大臣         建 設 大 臣         首都圏整備委員         会委員長    金丸  信君  出席政府委員         内閣審議官   粟屋 敏信君         内閣総理大臣官         房広報室長   齋藤 一郎君         首都圏整備委員         会事務局長   小林 忠雄君         経済企画庁総合         開発局長    下河辺 淳君         建設大臣官房長 高橋 弘篤君         建設省計画局長 大塩洋一郎君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省河川局長 松村 賢吉君         建設省道路局長 菊池 三男君         建設省住宅局長 沢田 光英君  委員外出席者         行政管理庁行政         管理局審議官  平井  進君         大蔵省主計局主         計官      藤仲 貞一君         大蔵省主税局税         制第一課長   伊豫田敏雄君         通商産業省生活         産業局窯業建材         課長      木原 滋之君         自治省税務局固         定資産税課長  川俣 芳郎君         住宅金融公庫副         総裁      小熊 孝次君         参  考  人         (東京首都整         備局改造計画部         長)      松浦 義二君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 委員の異動 九月十八日  辞任         補欠選任   新井 彬之君     坂口  力君 同日  辞任         補欠選任   坂口  力君     新井 彬之君 同月十九日  辞任         補欠選任   渡辺 惣蔵君     石野 久男君 同日  辞任         補欠選任   石野 久男君     渡辺 惣蔵君     ————————————— 九月十八日  建築家職能法制定に関する請願(渡部恒三君紹  介)(第一〇五八四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 服部安司

    服部委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  建設行政基本施策に関する件調査のため、本日、東京首都整備局改造計画部長松浦義二君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 服部安司

    服部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの御意見質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。      ————◇—————
  4. 服部安司

    服部委員長 次に、建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村田敬次郎君。
  5. 村田敬次郎

    村田委員 私は、再び首都移転問題について御質問申し上げたいと思います。  先般、経済企画庁におきまして新全国総合開発計画の「総点検作業中間報告」の素案が発表になりました。これは「巨大都市問題とその対策」ということであったわけでありますけれども、この巨大都市問題についての経済企画庁発表全国的に非常に世論を喚起したわけでございまして、テレビ、新聞、ともにこの報道を大きくいたしたわけであります。  一、二例を申し上げますと、九月一日の朝日新聞社説におきまして、「巨大都市問題をどう解決するか」ということで、「「政治、行政機能移転、すなわち首都移転についても調査検討すべき段階にきている」とのべているが、首都移転までゆく前にもなすべきことがあると思う。巨大都市への過度集中を是正しなければならないということについては、国民的な合意がすでに出来ている。だが、田中首相が「日本列島改造論」を打ち出してから、政治的な思惑による論議が過熱し、地道な論議ができなくなってしまった。いつまでも、このような状態をつづけるべきではないと思う。論議はもっと冷静におこなわれなければならない。われわれはこの報告問題提起をきっかけとして、改めて巨大都市問題を解決するために何をなすべきかについて、堀り下げた論議がおこなわれるようになることを期待したい。」と報道しております。  また、翌日の九月二日の中日新聞は、わが国の巨大都市は「すでに重い病の床にあるといってもよい。対策が一日遅れればそれだけ病状は進む。偽りのないカルテと、処方せんを早急につくらねばならない。」として、そして「新全総を巨大都市の側面から点検した中間報告は、問題を三つあげている。」その中で、「人口集中について過去のデータから昭和六十年を目途とする推計ケースすう勢型」「すう勢鈍化型」「分散型」を設定、それと国土資源とのかかわりあいから集中限界を明らかにしたことである。残された道はただ一つ、「分散型」それも集中抑制しての分散政策を強力に進める必要があるというのである。たとえば首都移転検討するにしても、分散政策地方側受け入れ態勢がなくてはかなうまい。巨大都市問題解決のカギもそこにあるといってよい。」という指摘をいたしております。  また、九月二日の毎日新聞社説は、「研究段階に入った首都移転」といたしまして、そして現在のような情報化社会では「もっとも大きい情報源——中央官庁、大企業本社東京大学などの分散前提にならざるを得ない。こんどの経企庁報告がはじめて公式に首都移転検討を打ち出したことは、これまで政府が避けていたタブーにあえて挑戦した点、評価したい。ただし首都移転は、住民福祉をもとにして、その参加による首都移転でなければ、それはむしろ危険性を持つ。こうした意味で、こんどの報告を契機として、首都移転の可否、可能性、望ましい方向など、あらゆる面から各界が意見を出し合い、研究することを期待したい。」これが毎日新聞社説であります。  さらに九月十一日の読売新聞社説は、これはもっと率直に「首都移転を真剣に検討せよ」「問題は政府の決断にかかっている」として、「この際、政府に望みたいのは、首都移転を単なる問題提起とすることなく、これを機会に、真剣にこの問題と取り組んでほしいことである。もちろん、首都移転というのは至難ともいえる大事業である。どこに移るか。費用はどうする。民間などの移転についての配慮。その後の東京をどうするかなどについて周到な調査と準備がなければならない。」として、さらに「まず分散への総合政策実施を」と提唱し、「政府は、病める首都東京をそのままにして、いまや過密過疎の解消は不可能なところまで来ていることを直視して、思い切った打開策に踏み切るべきである。」と提案をしておるのであります。  ただいま申し上げたのは二、三の例でありますけれども、あの中間報告の中に数行しるされた首都移転についての示唆がこれほど大きく全国的な世論を喚起した点を、私はこの問題についての国民世論の高さと考えてよいかと思います。  したがいまして、この問題についてまず建設大臣の御意見を承りたいのでございますけれども、金丸建設大臣は、私が本年の二月二十八日にこの建設委員会におきまして首都移転について質問をいたしました際、きわめて前向きの御答弁をされたわけであります。そしてその御答弁の中で、「将来構想としては約二兆円前後、百万都市をつくることを目標として検討したい」ということを言われました。またその夜の記者会見におきまして、「国民各層動向をつかむことが必要なので、まず政府行政機関東京から移すことについて早急にアンケート調査実施したい。やるべきであるという国民的合意が得られれば省内に調査会なり審議会を設置し具体化検討していく。また建設委員会にもこれに関する小委員会をつくり超党派検討すればいい」などと言明をしておられるわけであります。  この質問以後半年あまりが経過したわけでありますが、今回の中間報告で示唆された首都移転についての世論、また建設省として、あるいは政府として二月二十八日以後この問題に対処されました、しかたにつきまして、まず金丸建設大臣から承りたいと存じます。
  6. 金丸信

    金丸国務大臣 首都移転の問題はまことに重大な問題であろうと思いますし、また先生の御質問も前の委員会でもあったわけでございますが、この問題につきましては、国民合意なくしてやるわけにはいかないということがまず前提であります。そういう意味で、国民合意という点から一つ動向を見るということで、総理府にお願いをいたしましてそのアンケートをとっていただくということにしたわけでございますが、ただいまそのアンケート集計中のようであります。早晩その結果が出てくると思うわけでございますが、国会あるいは行政機関あるいは司法、そういうようなものが移転するということになりますと、首都東京はそのあとどういうことになるかというような問題も考えなくちゃならない問題でもあろうと思いますし、いろいろきめこまかな調査をしなくちゃならないと私は思います。  しかし、最近私のところに、社会党の人も、あるいは公明党の中の人でも民社党の中の人でも、ひとつ超党派でこの問題を真剣に考えてみたらどうだ、こういう提案もあります。また、先般、九月一日の防災デーに演習やその他、江東のあの密集した地帯を私も視察いたしまして、このような状況下に地震が来たらどうなるだろう、そのあとに火事が起きたらどうなるだろう。江東地区のいわゆる避難場所宮城広場だという。こういうことを考えてみると、江東から宮城広場避難場に来るまでに火事が起きたら、これはとても来るどころじゃない。そういうようなことから考えてみますと、東京のいわゆる首都移転論というものは、工場やあるいは人間の間引きをするということが一つの大きな目的であります。そういう意味で、まずそのお手本を政府なり国会が示すということが一つのあり方だ。そうして考えてみますと、この問題につきましては私も、最近視察した状況も考え、緊急を要する問題であるというようなことをひしひしと感ずるわけでありまして、もし東京災害が起きた場合は、数百万の人間がまたたく間にいなくなってしまうじゃないかというような心配も私はするわけであります。  そういうことを考えてみますと、あれやこれやあわせて考え、首都移転というものはやるべきであるというような考え方を持っておるわけでありますが、先ほど来申し上げましたように、このアンケートももう集約してその結果が出るというような状況でございます。そういうような結果が出ましたら、また企画庁もこの問題につきましては調査検討を始める段階であると申しておるわけでございますから、それに沿いましてひとつ積極的に進めてまいりたい、こう考えておる次第であります。
  7. 村田敬次郎

    村田委員 ただいま大臣の御答弁の中で、アンケート調査実施するというお話がございました。この首都移転調査につきましては、「時事問題に関する世論調査」の一部として行なわれておるということを承っておりまして、予備調査は、第一次の調査が七月二十六日から二十八日まで、東京及び東京近郊百人、第二次予備調査が八月八日から十三日まで、新潟及び東京九十八人。調査結果の概要は、首都移転問題についての関心の有無はほぼ半々である。首都移転についての評価は積極、消極の両論があり、過密対策として評価する反面、移転による混乱を心配する意見もある。移転の時期は、早期にとする向きが多い。移転先はいろいろの地域があげられておるといったようなことがいわれておりまして、さらに本調査が八月二十九日から九月五日までに全国三千人を対象として実施済みであるということを承っております。この際、その調査の任に当たっておられます総理府齋藤広報室長からその概要を御報告いただきたいと存じます。
  8. 齋藤一郎

    齋藤(一)政府委員 お答え申し上げます。  ただいまお尋ねのように、首都移転の問題がいろいろ論議されるに至りましたので、世論調査を所管しておる総理府広報室といたしましては、この問題について国民の意識がどんなぐあいであるかということを調査して、そしてこの問題の施策立案参考の一資料に供したいという考えで世論調査をいたしました。全国から二十歳以上の者、男女三千人について無作為抽出で行なっておる。ただいま御指摘のございましたように、八月の三十日から九月の五日にかけて個々に面接調査実施をいたしたのであります。調査項目としては、首都移転問題についてどの程度知っておるか、それからどの程度関心があるか、首都移転に対する賛否がどういう状況であるか、その理由は何であるか、それから、かりに首都移転を行なうとした場合に、移転先はどこがいいというふうに考えておるか、あるいは首都移転に伴っていろいろ国民生活にたいへんな影響が出てくるだろうと思われるのでございますが、そういう影響についてどういうぐあいに理解しておるかといった問題を調査項目に取り上げたわけでございます。  調査の結果はただいま集計中でございまして、集計ができ上がればそれを解析し、分析し、十月の下旬ごろに報告書ができ上がり、公表できる予定でおります。  以上でございます。
  9. 村田敬次郎

    村田委員 先ほど大臣の御答弁の中で、この問題については超党派検討をするという意見があちらこちらからお寄せになられているということを御指摘になりました。   〔委員長退席天野(光)委員長代理着席〕 これにつきまして私調べてみたのでございますが、「日本社会党は、一九六一年と六三年の二度にわたって、首都建設問題調査会内閣に設置する法案を提出し、「国会、行政府東京から一〇〇粁内外、一時間以内で交通可能な場所へ移すべきだ」と主張した。また、一九六二年に公表した「首都圏対策大綱」では、首都圏対策実施機関責任体制について、官治的な制度にすることに反対し、住民福祉の立場に立って、東京過大都市化対策を進めるべきであるとし、分散移転の措置を提案している。」  また「公明党は「日本列島改造論」に対する対案として「日本列島福祉列島に改造する」ことを提言し、その中で、東京過密を解消するためには、国会及び中央官庁東京から移転すべきであると提案している。その理由は、東京のように中枢管理機能集中しているところでは工場移転程度では解決できないし、二五万都市構想は、百か所建設するとして七〇兆円の費用が必要となるが、国会官庁とその付帯施設移転は約一兆七千億円ですむという。」そして移転先その他についても、「1人口事業集中が進んでいない、2交通利便性が確保できる、3大規模住宅地造成が可能である、4国際港湾・空港の建設が可能である、5自然災害が少ないこと、などを条件として選ぶべきである」と主張しております。  また共産党につきましては、私は正式な意見を承知しておりませんけれども、先ほどの経済企画庁中間報告に対する「赤旗」の報道を見てみますと、「宅地、水、電気など限界 経企庁中間報告 遷都、休都も必要」であるとして、その解説の中に、「「都市問題についての中間報告」(案)は、「巨大都市生活環境は深刻な事態を迎えつつある」などと、1歴代自民党政府がますます深刻になっている都市問題を解決することができないこと、2歴代自民党政府が進めてきた「都市政策大綱」「新全国総合開発計画」など高度経済成長政策にもとづく都市政策が破産したことを自ら認めざるをえなくなっていることを示しています。」こういう報道をしておりまして、遷都の問題については、これはやはり一つ共産党必要性の是認ではないかというふうにもとれるわけであります。  東京都が非常に過大化をし、すでに一千二百万に近い人口を擁しておりまして、これ以上大きくなっていけば住民福祉のために重大な不幸が出てくるということは、これはいわば自明の理でありまして、言うなれば、原子爆弾のための核実験が中国で行なわれようとあるいはフランスで行なわれようと、空から降ってくる死の灰はすべて人体にとって有害であるというのと同じような自明の理であろうと存じます。  したがいまして、私は、先ほど金丸大臣指摘をされましたように、この首都移転問題を調査あるいは検討いたしますために、首都問題調査会あるいは巨大都市問題調査会といったような形で、超党派の議員が参加し、あるいは学識経験者参加等を求めた委員会を設置することが必要であると思うのでありますが、これについての建設大臣の御意見を承りたいと存じます。
  10. 金丸信

    金丸国務大臣 先生の御指摘の点につきましては私も同感でありますが、その問題につきましては調査動向を見つつ進めてまいりたい、こう考えております。
  11. 村田敬次郎

    村田委員 さらに、この中間報告では休都論についての注目すべき見解を発表しております。  その前にもう一つ確認をいたしておきますが、調査の結果こうした調査会なり研究会なりを設置する必要というものが十分に認められれば、金丸大臣としてはこれに十分前向きに対処していく、そういう決意を表明されたものと受け取ってよろしゅうございますか。
  12. 金丸信

    金丸国務大臣 そのとおりであります。
  13. 村田敬次郎

    村田委員 休都論について承りたいと存じます。  九月四日のサンケイ新聞休都論についての世論調査をいたしておりまして、「前向きに取り組め」という数字が七八%にも達しておるという注目すべき数字発表しております。このサンケイ新聞世論調査では、「東京を中心とした首都圏で、このまま人口がふえつづけることをどう思うか。」ということに対して、「感心しない」三七%、「よくない」五二%、合計八九%であり、近畿圏の場合はこれと同様の質問に対して、「感心しない」四六%、「よくない」三一%で、七七%でございます。したがって、首都圏の場合、近畿圏よりもはるかに強く、このままの人口増加に対してこれを否定的に考えるという数値が出ておるわけでありますし、さらに「このまま人口がふえつづけた場合、あなたはどんな問題をとくに心配するか。」という質問に対しまして、これは三つまで答えをあげたので合計はもちろん一〇〇%をこすわけでありますが、「車公害かひどくなる」四三%、「住宅が不足する」三七%、「物価、地価が上がる」三五%、「電力や水不足が深刻になる」二八%、「緑が少なくなる」二四%、「学校、病院などがたりなくなる」二三%、「災害のときに被害が大きくなる」二二%、「交通機関がマヒする」二一%、「ゴミ処理に困る」一八%、「犯罪がふえてくる」八%といったような、公害住宅物価、水、電力あるいは災害問題交通治安問題等、先ほど大臣もお触れになりましたような諸般の問題について、やはり住民心配がはっきりと出ておるわけであります。  つきましては、この休都論について、経済企画庁のほうではあの提案をされたわけでありますけれども、これについての展開のしかた、またその効果、そういった点をどういうふうに考えておられますか、伺いたいと思います。
  14. 下河辺淳

    下河辺政府委員 中間報告におきまして休都論ということばは使っておりませんが、夏期におきまして一定期間大都市機能を休止することもやむを得ないのではないかということを書いてございます。  これを書きました趣旨でありますけれども、巨大都市の問題は過密問題ということで、電力あるいは水の不足であるとかあるいはモータリゼーションの限界であるとか、それに伴う光化学スモッグの問題であるという、複雑でかつ多岐にわたる問題が併発してきていることは御承知のとおりでありまして、それを解決するためにどうしたらよいかということを検討いたしたわけでありますが、基本的には、先ほどから御議論がありますように、中枢管理機能と申しますか、首都機能という機能にまで及んでかなり思い切った分散政策をとりませんと基本的には解決しないということでありますけれども、しかし、首都移転にいたしましても、基本的な施策を講ずるためにはやはりある程度の時間と費用とを要さなければならないということは事実でありまして、それでは来年の夏からどうするかということにはなかなかこたえられないということが内部的には非常に大きな議論になりまして、さしあたって何か対策を打つ手はないかということで検討いたしましたが、そのときに一番大きく出てまいりましたのは、従来巨大都市につきまして、必要が生じますと供給をするという形を行なってきたように思うのです。つまり、水が必要であれば必要なだけダムをつくる、あるいは電力が必要であれば発電所をつくるというやり方をしてきたわけでありますけれども、今日の時点になってみますと、水資源開発にいたしましてもあるいは電力開発にいたしましても、供給側のほうにきわめて限界を感ずるわけでありまして、供給のほうの限界から需要のほうをむしろ再検討しなければならぬということはいえるわけでありまして、そのために需要の調整といいますか、巨大都市におきます水であるとか電気であるというようなものの需要を抑制することについて何か知恵がなければならないということになってまいります。  そのときに、年間を通じて水や電気その他につきます需要の変化をトレースしてみますと、たまたま、水でありましても電気でありましても光化学スモッグでありましても、夏期におきましてそのピークが非常に強くあらわれておりまして、そのピークに対応するために施設供給が追われるということが現実であるということでございますので、その夏期におきます需要を何とかカットすることができないかということは当然考えられるところでありまして、そのためには節電であるとか節水であるとか、あるいは自動車交通の規制であるということで、個別に需要を抑制するということが考えられるわけでありますけれども、今日の過密問題が非常に総合化し、複雑化しているという現状から見れば、やはりこの段階で、八月の夏期大都市機能の休止をするということを考えることがむしろ総合的な効果をあげやすいのではないかということで考えたわけであります。  その際に、ちなみに一都三県におきます水の需要月別に見ておりますと、八月の時点では約二億九千万トンくらいの水を上水として使用することになりますが、一番少ない二月では二億二千万トンぐらいでありまして、月別に見ても七千万トンぐらいの需給ギャップがございますし、電力なんかになりますと、やはり夏期におきますピークが異常に最近では特色として高くなりまして、昔のように冬期において高いということではなくて、冬期よりも夏期のほうが高いということになりまして、そのギャップも一〇%以上あるんじゃないかということにも注目されます。特に東京よりも大阪地区におきます電力の夏のピークは非常に高い形をとっておりますので、巨大都市についてそういうピークであります点の需要の抑制ということのために、ある意味で、俗にいえば休都論というものがひとつ意味があるのではないか。週休二日制ということが今日社会的に進んでおりますけれども、週休二日もけっこうでありますけれども、環境問題がこれだけ深刻化している今日でありますから、環境問題から休日ということについてくふうするということも一案ではないだろうかということを内容として提案したものでございます。
  15. 村田敬次郎

    村田委員 去る九月十二日に全国知事会議が行なわれまして、その席上で田中内閣総理大臣が説示をいたしております。その説示の中で田中首相はこの中間報告を引用をいたしましてそれを説明し、そして「いまや、巨大都市において、人口や産業を抑制し、生産機能のみならず中枢管理機能を選択的に強力に地方分散するとともに、地方において、中核都市や農山漁村の整備を行って、人口や産業の定着性と収容力を拡充してゆくことが急務なのです。国家百年の大計の観点から、強力に各般の施策を展開してまいります。」ということを言明をしております。この表現の中で、「巨大都市において、人口や産業を抑制し、生産機能のみならず中枢管理機能を選択的に強力に地方分散する」、この表現の中には、首都機能そのものを移転すべきであるという示唆が含まれておるように理解をしておるのであります。  また、それのみならず、最近はいわゆる大都会は住みづらいということで、若者のUターン現象がたいへん目立っておるということが報告をされております。これは、「労働省は、このほど最近のUターン現象について、全国職安を通じて特別調査を行った。それによると宮崎県では四十五、六の二年間に一万六千五百人が県外就職先を離れて帰ってきている。とくに四十六年は前年より三八%増という高いふえ方を示している。また、島根県では四十五年中四千人がUターン。」長野県の「松本職安ではことしの四−七月の男子求職者中二〇%がUターン求職者だったという。山形県地域経済研究会が県下十三の市町村でUターン労働者の実態調査を行ったところでも“Uターン者”は年を追ってはっきり増加傾向をみせている。」ということが示されております。  したがいまして、いまや巨大都市に対する、何と申しますか、厭離の傾向と申しますか、大都会は住みづらいという意識が一般の間に非常に周知されてきておると思うのでございますが、そのためには巨大都市分散先である地方都市の受けざらというものをつくっていかなければ当然できないわけであります。したがいまして、この中間報告以後の経済企画庁のこの問題に対処する方針として、新全総をどういうふうに総点検をし、そして新々全総の中でこの問題を解決していくというふうに考えておられるのか。その地方都市の受けざら問題をも含めて、今後の見通しを承りたいと存じます。
  16. 天野光晴

    天野(光)委員長代理 きょう、まことに恐縮ですが、質問時間を極端に制限しておりますので、答弁はでき得るだけ簡単明瞭にお答え願います。
  17. 下河辺淳

    下河辺政府委員 中間報告巨大都市問題だけ先に公表しておりますが、続いて、いまお話ありました受けざらである地方都市に関する中間報告もできるだけ早く公表して、皆さま方の御批判をいただきたいというふうに考えております。その御批判をいただきながらさらに検討を続けまして、昭和五十年を初年度とする新しい計画に結びつけていきたいというふうに考えています。
  18. 村田敬次郎

    村田委員 建設省で伺ったところによりますと、先ほど大臣がおっしゃられたほかにもいろいろと意欲的に計画をされておるようでありまして、たいへんけっこうだと思います。たとえば、「建設省は、東京、大阪など大都市過密を解消するには、人口、産業の地方分散しかないという“日本列島改造”の考え方から、地方開発の推進に力を入れているが、来年度は、いわゆる“遷都論”を踏まえて、1大都市の諸機能を地方に分散させた場合の利害得失、2大都市の収容力の限界——などについて、同省独自で調査をする方針だ。」として、いろいろ具体的な、新国土建設長期構想との関連による関東地方のいろいろな今後の見通しであるとか、あるいは「開発の遅れている北関東で大規模な都市開発をして、過密のひどい東京都区部の人口を吸収し、バランスのとれた配置をする必要がある」とか、いろいろな意見を持っておられるようであります。たいへんけっこうでありますが、そういった具体的な検討事項、また来年度の予算の中で実施をしようとしておる事項について大臣からお答えをいただきたいと思います。——それではその問題は時間がありませんから留保して、最後にもう一点だけ聞きます。  巨大都市の問題と関連して、私はぜひ大臣から聞いておきたいのは例の東京湾の横断橋の問題であります。これにつきましては、御案内のように、建設省が来年度から官民共同出資による第三セクターを発足させ、川崎市と千葉県木更津市の間、海上十五キロを結ぶ東京湾横断道路の建設にとりかかる方針を決定した。この横断道路の構想についての発表があったわけでございますが、この横断道路のメリットとして、「京浜地方と房総地方を直結して、房総半島の計画的な開発を図る。」また「過密化した京浜地方の都市機能分散、再配置させる」ことなどをあげております。  しかし、この架橋をするために東京湾の中の水の汚濁がさらに進むような、公害、環境面の不利な面が出てきはしないか。また、東京と川崎と千葉との間に架橋するというのでありますけれどもも、本来南関東全体が非常に過密のおそれがあり、水問題、エネルギー問題にとって隘路にきているときに、その一環である千葉県と東京との間を結ぶことによって開発を促進するというのは、言うならば時代おくれな、現在のこうした巨大都市の理論からいえば矛盾する理論ではないかといったような議論も聞かれるわけであります。この公害問題との関連、それからまた南関東の過密をさらに増大することになりはしないかといったような点につきまして、ひとつ建設大臣からお答え願いたいと思います。
  19. 金丸信

    金丸国務大臣 東京湾横断道路の問題につきましてはいろいろ御意見があるようでございますが、建設省といたしましては、湾岸道路にあわせましていわゆるバイパス的な考え方と、なお京浜地区のあの密集した地域を分散させる、機能分散人口分散、こういうようなことを考え、あの房総に計画的な一つ分散計画を持っていくというようなことによって、この横断道路というものは相当な都市集中人口その他の機能分散させる役になるだろうというような問題点等あるわけでありまして、私は、先ほど来から遷都論のお話もあったわけでありますが、いわゆる都会の再開発、そういう考え方を基本にしてこの問題を考えておるわけでございます。  水質の汚濁やその他いろいろな問題点につきましては政府委員から答弁をさせます。
  20. 菊池三男

    ○菊池政府委員 東京湾の横断道路をつくりました場合にやはり一番心配されますのは、東京湾の中の船の航行の問題と水質の汚濁の問題であろうかと思います。  航行の問題につきましては、今度の場合に横断道路といいましてもほとんどが橋でございます。十五キロありますうちほとんどが橋で、そのうちの一部、主航路になりますところにつきましては橋ができませんので沈埋トンネルにするということで、約二キロの主航路を置いて沈埋トンネルをする計画でございます。そういたしますと、橋から沈埋トンネルへおりますのに、水のあるところでありますので、そこへ人工の島をつくりまして、人工の島で橋から地面の中へ入る。そしてあとはその沈埋トンネルで湾の底を行くということになるわけでございます。  そうした場合に、そういう障害物ができることによりまして潮流がどうなるか、また東京湾の汚濁がどうなるかということを土木研究所で十分検討してございます。その結果は、橋ができますことによって、流速は、一番速いときでいま毎秒〇・二メートルか〇・三メートルというのが、〇・三メートルから〇・五メートルくらいということへ、若干潮流の速くなるところが出ますけれども、これは航行の問題に対しては全く問題にならないということでございます。  それから、そういう流速が変わることによりまして一体汚濁がどうなるであろうかということも、これもシミュレーション手法によりまして、橋ができたときのことを予測いたしまして計算してございます。これは東京湾の中を一つのメートルのメッシュに切りまして、その網ごとにどのくらい変わるかということを計算してございます。その結果によりますと、橋の周辺が若干変わります。それ以外の湾口部あるいは奥のほうにつきましてはほとんど変わりません。それでその変わりますところも、一番ひどくなるところをつかまえてみますと、たとえば二・五PPMであったものが三・五PPMになるというところが局部的にございます。これが一番ひどい影響を受けるところでございます。また場所によりましては、特に川崎側につきましては逆に、従来五PPMであったものが四PPMに下がるというところもございまして、いま一番大きい変化を申し上げたのがその数字でございます。それ以外につきましてはほとんど影響がないというふうになっております。
  21. 村田敬次郎

    村田委員 これで終わります。時間が参りました。実はまだ伺いたいのは、第三セクターで東京湾横断道路株式会社といったようなものを設立してこの横断橋をつくるということでありますが、そのことの可否の問題、また先ほどの大臣あるいは菊池道路局長の御答弁の中で尽くすことのできなかった南関東の人口過密をさらに増大するのではないかといったような問題、これが残っております。それから、先ほど御答弁がございませんでした、建設省のほうで本年度それから来年度、首都移転問題に対処して非常に意欲的な計画をいろいろとしておられるわけでありますが、きょうはその御答弁の準備がなかったためにお答えがなかったわけでありますけれども、こうした問題につきましてもまた機会を得て御質問をしたいと思いますし、きょうはなお経済企画庁長官を要求いたしましたけれども、参議院の物価特別委員会出席のために出ることができませんでした。したがいまして、この経済企画庁長官に対する御質問もまたの機会に保留をいたしまして、本日はこれで終わります。
  22. 天野光晴

    天野(光)委員長代理 福岡義登君。
  23. 福岡義登

    ○福岡委員 先ほど同僚議員であるる村田敬次郎君から、巨大都市問題、特に遷都論の話が出たのですが、観点は若干違うにいたしましても、遷都論につきましては具体的に取り組むべき段階に来ておると思いますので、時間がありませんので答弁は要りませんが、具体的に調査委員会なりあるいは対策委員会を設置して取り組むべきだと思うのであります。答弁は要らぬと言ったのですが、首都閥整備の責任者である建設大臣あるいは国土総合開発を進められております経済企画庁の見解を簡単に承りたいと思います。
  24. 金丸信

    金丸国務大臣 力強い声援をいただきまして非常に心強く考えておるわけでございます。御指摘のように、積極的に前向きでこれに取り組んでまいりたいと考えております。
  25. 下河辺淳

    下河辺政府委員 建設大臣からお答えしたとおりでありますが、私どもといたしましても、全国土の開発の角度から、やはり首都移転について積極的な姿勢で取り組みたいと存じております。
  26. 福岡義登

    ○福岡委員 ぜひ積極的な推進をお願いしまして、次の質問に移りたいと思います。  下水道整備について御質問をしたいのですが、建設省の資料を見ましても非常にわが国の下水道の普及率が低いわけであります。全国平均はわずかに一九%で、内容を見ますと、高いほうの都道府県でも、東京が四五%、大阪が四二%、愛知が三三%、京都が三〇%という程度であります。またゼロ地帯があるのでありまして、たとえば茨城、島根、佐賀、そういう県は全然下水道もないという状態で、一〇%以下の普及率の県も十指に余る状態であります。こういう低い下水道整備がどういう影響を与えておるかというのは、もういまさら申し上げるまでもなく、河川あるいはまた海面をたいへん汚染をしておるわけであります。諸外国の例を見ましても、高い水準にあるアメリカ、イギリスあるいはオランダ、スウェーデンは別といたしましても、その他の先進諸国はすべて五〇%以上という整備状況であります。日本の下水道整備が非常におくれておるのでありますが、この際、そういう事態に対して政府当局はいかなる所見と対策を持っておられるのか、お伺いをしたいと思います。
  27. 金丸信

    金丸国務大臣 下水道の整備は現在、昭和四十六年度を初年度とする第三次下水道整備五カ年計画に基づいて実施されておりますが、本年二月十三日における経済社会基本計画の閣議決定をはじめとして、公害防止計画策定地域の拡大、水質、環境基準設定水域の増加、琵琶湖総合開発特別措置法等の各種地域立法の制定の動向等を通じて、下水道整備に対する世論の要請がますます高まってきておるので、現行の五カ年計画を拡大改定して、新たに昭和四十九年度を初年度とする第四次下水道整備五カ年計画の策定を検討しており、その具体的な計画の策定については、昭和四十九年度の予算要求において関係各省と折衝していく予定であります。  新五カ年計画に基づいて、水質保全と生活環境の改善の両面から下水道の整備を強力に推進してまいりたい考えでありますが、なお、ただいま先生の御指摘のありましたように、下水道の整備されてない県も、まだ全然ない県もあるというようなこともありますし、いままで下水道という問題は都市計画の中で行なわれるというようなことがあったけれども、都市計画以外に漁村、農村、こういうものも含めて、これを一括、下水道計画の中で推進していきたい、このように考えておる次第であります。   〔天野(光)委員長代理退席、委員長着席〕
  28. 福岡義登

    ○福岡委員 建設省は長期ビジョンといたしまして、一応下水道関係の総工事量といいますか、昭和四十五年価格で三十一兆一千億円と計算されておるのですが、この三十一兆一千億円のうちで、昭和四十八年度までに一応投資が完了するもの、四十九年度以降に残るものはどのくらいになるのか、参考までに説明していただきたいと思います。
  29. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 先ほどの三十一兆円というのは四十五年価格でございまして、現在価格に焼き直しますとさらに相当、諸資材、労務費の高騰がありますので、的確には申せませんが、現在の五カ年計画が四十六年から五十年までで二兆六千億でございます。まあその半分以上を四十八年までに達成する。五カ年計画の二兆六千億に対する達成率が約五五、六%でありますので、一兆三千億くらいが完了したということでありますが、最初に申し上げましたように単価の差等もありまして単純に引き算はできないのではないか、こう考えます。
  30. 福岡義登

    ○福岡委員 長期構想で、あるいは経済社会基本計画におきましても、昭和六十年をめどに九〇%の普及率にするという目標が立てられて、それからいま建設大臣の御説明がありました第四次整備計画ではおおむね五〇%の普及率にする、昭和五十三年度目標、というように聞いておるのでありますが、これを遂行するにあたりましてやはり幾つかの問題があると思うわけであります。  一つは、なぜ今日まで下水道整備事業がおくれたかというと、財政問題が一番大きい原因だと思います。補助対象事業が非常に制限されておる。それから補助率が非常に低い。こういう状態が大きな原因だったと思うのです。したがって、第四次整備計画、来年度以降におきまして、この補助対象の拡大、それから補助率の引き上げということが非常に大切になってくると思うのですが、その辺はどう考えられておりますか。
  31. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 確かに、おっしゃいますように下水道の事業ははなはだ立ちおくれておりまして、そういったこともありまして、御指摘のように補助率あるいは補助対象の割合、こういうものが低いと思います。今後、大臣が申し上げましたような水質、環境基準等を急速に達成するために、相当思い切った巨額の投資が短期間に必要だと思いますが、このためには地方負担の軽減ということが何よりも大切でありまして、そういうことなくしては事業主体である公共団体がやりたくてもやれないという事態になると思います。また下水道そのものの公共的性格というものも、私ども、道路、河川等に劣るものではないと考えますので、そういった意味からも、この際五カ年計画を改定するとなれば相当思い切った改善を行なって、地方公共団体としてもその目標が文字どおり達成できるように鋭意努力いたしたいと思います。
  32. 福岡義登

    ○福岡委員 抽象的であまりよくわからぬのですが、公共下水道はいま補助率が十分の四ですね。それから流域下水道は十分の五、それから都市下水路は三分の一ですね。これをどのくらいまで持っていかれようとするのか。われわれは少なくとも公共下水道の場合は十分の七ぐらいに引き上げるべきではないかという意見を持っておるのです。方向としては補助率を拡大するというようにおっしゃったのですが、おおむねめどはどのくらいに置いておられるのか、この際はっきりしていただきたい。
  33. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 過日、建設省といたしまして明年度の予算要求を大蔵省に提出しております。予算のきまり方は今後の予算編成の過程できまっていくわけでございますが、建設省が要求した数字を申し上げますと、公共下水道につきましては十分の四から三分の二に引き上げる、流域下水道は二分の一から四分の三に引き上げる、都市下水路は三分の一から二分の一に引き上げるということで、それぞれかなりの引き上げを要求しているところでございます。
  34. 福岡義登

    ○福岡委員 時間がありませんのでこれ以上申し上げませんが、もう少し強い姿勢で、まあ流域下水道の四分の三は相当前進しておると思うのですが、公共下水道はこれは金がたくさんかかる事業だから、もう少し——まあ来年度は一応おっしゃったようなことでいかれるのはもうやむを得ぬかと思いますが、将来にわたって根本的にひとつ考えていただきたい。  そこで、第三次下水道財政研究会の設置ということが検討されておるように聞いておるのだが、これは根本的に下水道財政の建て直しをやっていこう、改善をしていこうという趣旨だと思うのですが、これらについてはどういう計画でおられますか。
  35. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 下水道財政研究委員会というのは過去にも何回か設置されまして、学識経験者、地方公共団体等の代表者も集めて、下水道の建設費用の負担割合のあり方とか使用料の問題とか、いろいろ下水道財政にかかわる問題を内部的に検討しているわけでございますが、今回の研究委員会の結果は一応出ておりまして、それの結果に基づいて予算要求をいたした次第でございます。その一つが先ほど申し上げましたような補助率の引き上げ要求ということになっているわけでございます。
  36. 福岡義登

    ○福岡委員 さらに今後財政問題については検討していただきたいということを強く要望しておきまして、最後に、この事業の執行体制を強化していくということが非常に大切である。いま建設省は下水道部でやっておるわけでありますが、少なくとも第四次整備計画を遂行する、あるいは将来のことを考えますと、部では対応できないのではないか。下水道局を設置いたしまして、陣容を整えて、早急に体制を整えてやっていくという、たとえばまた流域下水道など二県にまたがるようなものあるいは大型なものについては、県にまかせるのではなく、直轄事業としてやるぐらいの体制が必要だと思うのですが、そういうことについてどういうお考えであるのか。あるいはまた地方公共団体の下水道事業に対する体制も非常に今日まで弱いと思うのですが、そういう面をどういうように指導していこうとされておられるのか、お伺いしたいと思います。
  37. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 まず、現在は本省の機構といたしましては御指摘のとおり下水道部があるだけでございまして、今後予想される大幅な事業量及び複雑な内容を考えますと、いつまでも部という体制では無理ではないか、こう考えておりまして、とりあえず建設省の予算要求といたしましては、明年度下水道局を要求さしていただいた次第であります。なお、二県にまたがるものや大型事業は国で直轄で工事するような体制が必要ではないかということでございまして、その点も私ども十分検討いたしましたが、まずもって、流域別の下水道総合計調査というものが下水道の基本になっておりますが、この調査のうち二県にまたがるようなもの、これを当面、国直接で行なっていって、その成果を得た上で必要とあらば国の直轄の道も開くことを考えたらどうかということで、事業としては、第四次の五カ年計画の中には直轄のものを要求しておりません。  また、地方公共団体の体制も弱いということでございました。県あるいは市町村それぞれに組織をつくり、人員を整備し、あるいは現地の工事事務所等を整備しておりまして、従来何とかやってきておりますが、今後はいよいよ下水道の経験のない、したがって組織もないような市町村でも大いに必要になってくるという問題もございまして、先年設置が認められました下水道事業センターによる技術指導とかあるいは事業の受託による代行というようなこととあわせまして、さらに地方公共団体の組織を格段に拡充する必要があると考えて、鋭意地方公共団体にも呼びかけ、その体制の整備を指導しているところでございます。
  38. 福岡義登

    ○福岡委員 大蔵省にも御苦労いただいておるのですが、補助率の引き上げの問題と、いま私が質問しました下水道局設置の問題について大蔵省としてどういう対策を考えておられるか、お伺いしたいと思います。  また、行政管理庁にも御苦労していただいておるのですが、行政管理庁として下水道局設置について積極的に取り組まれようとしておるかどうか、御見解を伺いたいと思います。
  39. 藤仲貞一

    藤仲説明員 下水道の整備が非常に急務でありますことは私どももよく承知しておりまして、毎年度の予算で予算の確保につとめてきたところでございます。  さて、ただいま御質問の第一点の補助率の引き上げについてどう考えるか、こういうことでございますが、御案内のとおり、現在私ども各省庁からの四十九年度概算要求の内容を伺っておる最中でございますので、ただいまの段階では非常にお答え申し上げにくいところでございますけれども、私どもとしましてこの下水道の補助率をどうするかということにつきましては、いろいろな観点からの検討が必要だろうと思います。一つは、これはもう申すまでもなく、下水道の整備を促進するためにどうしたらいいか、それからまた公共事業費の中の資源配分と申しますか、そういうものの一環としてこれをどうとらえるか、それから公共事業の補助体系全般の中の問題としてこれをどう考えるか、またさらには、御指摘のように国及び地方を通じまする財政の問題としてこれをいかがするか、かようにいろいろな観点からの検討が必要であろうかと思います。ただ、一番私どもとして端的に申しまして問題であると思いますところは、一方におきまして投資規模を拡大しつつ、同時に補助率の引き上げ等を大幅に行ないますならば、これは国費の急激な負担の増加になる、ここに非常にむずかしいところがございまして私どもも苦慮しておるところでございますが、いずれにいたしましても四十九年度予算編成の問題の一環といたしまして、公共事業費全体のあり方とも関連して十分検討してまいりたい、かように考えております。  それから機構、定員の問題について先生から御指摘があったわけでございますが、この点につきましても現在の段階では非常にお答え申し上げにくいわけでございますが、これもまた四十九年度予算編成の問題といたしまして、行政管理庁とも十分協議して検討してまいりたい、かように考えております。
  40. 平井進

    ○平井説明員 お答えいたします。  下水道部門の拡充強化につきましては、御承知のとおり四十六年度に下水道部が設けられたわけでございますし、また定員につきましても必要な増員措置を年々講じてきたところでございます。ただいまお尋ねの局の設置の問題につきましては、現在建設省からその内容につきまして説明を聞いておる段階でございまして、今後十分に検討をいたしてまいりたいと考えております。
  41. 福岡義登

    ○福岡委員 各省庁の積極的な下水道事業に対する取り組みを強く要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  42. 服部安司

  43. 石野久男

    石野委員 私は、建物の安全性の問題についてまず最初にお聞きしたいのですが、去る六月二十三日に福島県の原子力第一号炉で中レベルの廃液漏れということがございました。二・四トンの廃液がパイプから漏れまして、そのうち〇・四トンが屋外に漏れました。このことは原子力の放射性をどのようにして安全に確保するかということできわめて重大な問題でございましたので、実は七月十九日の科学技術振興対策特別委員会でこの問題を取り上げました。建物から放射能が外へ漏れるということは、原子力政策の上ではきわめて重大なことでございますので、建築物の確認の問題について建設省がどのように処置なさっておるかということについて、実は建設省の救仁郷指導課長さんに来ていただきました。その際、この問題についての建物の安全性に関しては、実は建設省としては建築基準法で確認作業するのだ、安全性の問題は通産省の所管である、こういうようなことで、科学技術庁とそれから通産省と建設省との間で、またそれから確認事項をやるのは自治体でございますから、この間でその責任の所在がきわめて不明でございました。そこで前田長官に対して、この件についてやはり十分対処する対策をとるべきであるということを私は申しました。関係大臣に対して連絡をとるということの答弁をいただいておるのですが、金丸大臣はその問題についてどのようにその後関係各省との間の折衝にあずかっておられるか、まずお聞かせ願いたいと思います。
  44. 金丸信

    金丸国務大臣 この問題につきましては先生の御説明のとおりでありまして、ただその責任の所在がどこにあるかという問題についてはいろいろ各省と十分な連絡をとらなければならぬけれども、わが省といたしましては、建築確認は建築基準法によって、それのみで、放射能等の問題についてはこれは通産省、科学技術庁なり、あるいは電気の関係は通産省なり、そういうことでありますが、いま御指摘のように責任の所在が明確でないということにつきましては、今後なお一そう各省と連絡をとってはっきりしなければならぬ。しかし現実の建設省の責任としては、建築基準法にのっとって、それの中の放射能をいかにして遮断するかというような問題についてはこれは建設省関係の基準法には当てはまらない、こういうことでありますが、しかし一般国民に迷惑をかけてはいけないことでありますから、十分連絡をとって万全を期してまいりたい、こう考えております。
  45. 石野久男

    石野委員 大臣の御答弁を返すようですが、実は放射能が外へ漏れて、もし周辺の住民に迷惑をかけるということになれば、これはおそらく有機水銀の危害を受けておる水俣の危害、それ以上のものになるということはだれでもわかっていることです。規制法によるところのいわゆる放射能規制の問題については、炉については非常にこまかく書いてあります。けれども福島の事故、炉から出たものが建物の外へ出たということになりますと、これは炉の規制ではだめなんですね。建築規制をやらなければだめなんです。だから、これはもう所在が明らかでないもどうもないので、いやでもおうでも建築基準法によって処置しなければならぬということは明らかだと私は思うのですが、その点について建設省はどういうふうにお感じですか。
  46. 沢田光英

    ○沢田政府委員 大筋の問題は大臣のお答えのとおりでございますけれども、この放射能の問題を含みました建物、これは非常に特殊なものでございます。建築基準法は、基準法に基づきまして一般的に建築関係の法令によりまして構造なり設備なりの安全を確認をする、かようなことになっております。しかしいまも申しましたように、放射能の安全性というのは非常に特殊でございまして、したがってこれは別の法律でその安全性を確認する、かような体系になっておりまして、そういう意味で基準法の中には入っておらないのでございますが、結果的には一つの建物の中で起こるわけでございますから、これは万全の策を講じなければいけない、かようなかっこうになります。  そこで放射能に関します問題は、たとえば原子力発電につきましては設置の許可という問題と設計工事認可、こういう二つの段階がほかのほうの法律で手続をとられております。設置の許可のほうはこれは科学技術庁の主管でございまして、核原料物資、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律ということで、まず原子炉を設置しようとする方が内閣総理大臣——これは総理府所管でございますから総理大臣にそういうものを出していく。それが原子力委員会にはかられます。原子力委員会もその中に安全の専門審査会を設けて、専門家がここに入っておりますから、さらにその中の小委員会として調査委員会を設けておりまして、この調査委員会の中に、地震の場合、あるいは建物の構造に関して、放射能に関する問題をどう処理するか、こういうふうな専門家も建築のほうからも入っておりまして、そういう小委員会段階でいろいろと検討が各方面からされます。それがまた逆のルートを通って総理大臣に上がります。そういうふうなルートでいわゆるオーケーということになりますれば設置許可がおりる、これが設置許可の一段階でございます。  設置許可がおりて、今度いよいよ設計認可の段階でございますが、これは発電でございますれば通産大臣の所管になって電気事業法になる。そこで申請が通産大臣に出まして、さらにこういう原子力の関係のものにつきましては技術顧問会という機関がございます。その中に建築物構造の専門委員会というものがございます。私どものほうの行政に携わっておられる方々もこの中に別途参加をいたしておりまして、この中で、建物と放射能の関係等のチェックもそちらの方面で十分行なっている。  すなわち、設置許可の段階と設計工事認可の段階で、建物と放射能の安全性というものは二つの段階で十分チェックをされてきておる。そういうものが科学技術庁及び通商産業省から建設省のほうに連絡が来ることになっております。来ております。これを地方行政の担当でございます建築主事のほうに私どもが流しまして、そういうものが流れて、安全だということの上に立ちまして総体の建築確認を基準法に基づいてやっておる。放射能に関しません部分のもの全体につきまして確認をしておる。かようなことでございまして、十分なる安全を確認するという手続をやっておるつもりでございますが、事故も起こりましたので、今後ともそういう問題につきましては、新たな実態をよく検討いたしまして十分な措置を講じていきたいと考えます。
  47. 石野久男

    石野委員 こまかいことは、建設省の方が科学技術庁関係あるいは通産省関係のいろいろな部会とかそういう専門委員会のほうに入っておるからということだけで済まされない事態が出てくるわけです。福島の場合は結局とびらから外へ出ておるわけですよ。そのとびらから外へ出るということについて、たとえば通産省が主宰される電気事業者云々の問題、それと、このとびらから出ることとの関係はどうなっておるのかということになりますと、おそらくこれはそうじゃないだろうと思うのですよ。この問題は、完全に建設省の所管する建築基準法のとびらの問題になるのだろう、こう思うのですね。ですから、ここでは論議をすることは私はやめますけれども、この問題は、ただ設置許可のほうでは科学技術庁に、設計工事認可の問題は通産省に、こういうようなことで済まされない問題である。これは早急にひとつ各省との連絡の上で——他の事業体もそうでありましょうけれども、特に原子力発電事業については一切外に放射能が漏れてはいけない。漏れればたいへんなことになるわけです。福島の場合は〇・四トンの放射能が漏れたことによって、ドラムかん四十八本の土を封入しまして、それが永久保管という形になってしまっておる。これはちょっと想像もできないようなことで、やはり管理体制をつくらなくちゃならない。そういう事故が、とびらから出たというだけなんです。だからこの点については、これは——金丸大臣どちらへ行かれましたか。——これは大臣にひとつあとで答弁をいただきたい。事務関係の問題だけでなく、閣僚会議の中においても早急にこの問題に対する所在の確認をしてもらわなければいけない。  そこで一つだけ確認しておきたいのですが、建築確認の仕事をいわゆる特定行政庁である知事がやるわけですね。建築主事にやらして、特定行政庁である知事が最後に判を押すわけでしょう。
  48. 沢田光英

    ○沢田政府委員 確認の権限は主事限りでございます。
  49. 石野久男

    石野委員 主事限り。しかし特定行政庁は、これは建築基準法の……。
  50. 沢田光英

    ○沢田政府委員 特定行政庁は、たとえば主事の確認したものが違反を起こしたようなときの是正とか、あるいはたとえば一般ルールに例外をつくる、そういうときに審査会にかけて特認をするような場合、そういうときの権限だけでございまして、法規に照らしてそれが適合しているかいないかという確認をする権限は主事だけでございます。
  51. 石野久男

    石野委員 そうしますと、知事や建築主事の仕事というのは大体建設省がその責任をとる、こういうことだろうと思います。そうなりますると、やはり建築主事の行なう確認事項というのは、先ほど御答弁では建築基準法だけだ、こういうことでございましたが、建築基準法に基づくけれども、特殊建築物というたてまえの確認がなければならないと思うのです。   〔委員長退席天野(光)委員長代理着席〕 その特殊建築物というものに対する確認事項の処理について準拠されるべき法律というのはどういうところに準拠するわけですか、原子炉の場合。
  52. 沢田光英

    ○沢田政府委員 基準法上特殊建築物と申しますのは、不特定多数の者が集まるような、そういうことで何か起こりますれば被害が非常に大きくなる、そういうふうなものを一般的に特殊建築物といっております。したがいまして、映画館であるとかデパートであるとか、そういうふうなものを特殊建築物と称して、これの規制をほかのものよりも強くしておる、こういう法体系でございます。  そこで、その原子力発電のほうの問題は放射能というふうなものでございますのでそれと性格が違いますので、その特殊建築物の中には入ってございません。ただ別に、建物がきめられた高さより非常に高くなるとか大きくなるとか、そういうふうなものは基準法できめられた以上のチェックを構造的に、強度的にしなければいけない、そういうものは大臣の特認でやる、こういう制度がございますが、放射能に関しましてそれを特殊建築物として扱うという法体系にはなってないわけでございます。
  53. 石野久男

    石野委員 そうしますと、いまの御答弁から推測しますと、建築主事が行なう建築確認の行為というのは、いわゆる放射能問題についてはほとんど触れ得ない、こういうことでありますか。
  54. 沢田光英

    ○沢田政府委員 現在の体系の中ではさようなことになってございます。ただし、実質的に建物の中にそういう放射能がありまして、同時に機能するわけでございますから、そのほかのほうの法律で放射能のそれぞれの規制がされておるわけでございます。これは建築に多少かかわってまいりますから、そういうものが安全であるというふうな確認をした連絡の後に確認を出す、かような連絡指導をしておる、かようなことでございます。
  55. 石野久男

    石野委員 これは時間があまりありませんので、長いこと論議していると非常にむずかしいと思います。率直にいって、通産省ないし科学技術庁で一応放射能問題についての安全性を確認してきて、建設省としてはその建築のただ設計上の問題だけの確認だ、こういうことで建築確認をおろしますと、その建築確認をおろした時点で建物が建つわけです。これはかりに安全性の問題がどうあろうとこうあろうとかかわりなく建築工事が行なわれていくわけですね。率直にいいましてこれがたいへんな問題になるわけです。安全性を確保する上からいうと、最終的にこの建築確認なるものがきめ手になるわけです。そのとき安全性の問題がどうであるかこうであるかはだれもわからないのです、率直にいって。特に福島の場合のように、二・四トンの水が出て、それはアラームも何も鳴らない、報知機も何も鳴らない。だれかが行ってみて初めてわかったのですから。しかも別に探知機の中にも反応するような状態の処置も何もなかった、こういうわけですね。そうなりますと建物の持つ重要性というのはきわめて大きいといわざるを得ない。ですから私はこの原子炉についての建物の確認については、いまのような形の確認ではよくないと思うのです。これは事故はないことを望みますけれども、事故があります。いまのように廃液が屋内で漏れるのだけれども、漏れた水が二・四トンも中へ流れてきて、中へ吸い込むことができなくてあふれてしまう。それがみんなとびらから外へ出たという事実があるわけです。だからこれは私は大臣にお願いしますけれども、ぜひとも原子炉に対する確認事項については、いま一度従来のあり方にかわったものとして再検討していただきたい。このことをひとつお願いしたい。
  56. 金丸信

    金丸国務大臣 確認の問題につきましては、先生の御心配することはもっともだと私は思います。私は科学的なことは非常に頭が弱いですが、しかし放射能と聞けば身ぶるいもするわけでありますから、そういう意味で間違いのないことを考えなければならぬ、こういうことですから、十分間違いの起きないように再検討してまいりたいと思っております。
  57. 石野久男

    石野委員 この件は非常に重要でございますから、あとで科学技術庁とか通産省との連携問題についても前田長官にもいろいろ要請したいと思いますが、特にこれは金丸建設大臣にそのことをお願いしておきたい。  次に、区画整理組合の問題についてお聞きしますが、土地区画整理組合というのは都市計画法の第五条の計画事業の施行者と見て間違いないですね。
  58. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 ちょっと、都市計画法の第五条は「都市計画区域」の規定でございまして、御質問が理解しかねた次第でございますが……。
  59. 石野久男

    石野委員 土地区画整理組合は、そうしますとこれは単独の組合事業という形になって、法的にはどういう関係を持っているのですか。
  60. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 土地区画整理法によりまして、施行主体が個人施行とか組合施行とか公共団体施行等いろいろございますが、その中の一つとして、土地区画整理法に基づきまして、これを根拠として土地区画整理組合が土地区画整理事業を行なえる、こういう関係になっております。
  61. 石野久男

    石野委員 この土地区画整理組合というのは、都市計画法とはどういうふうに関係しますか。
  62. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 都市計画事業として行なうものもあれば、都市計画事業でなくて単に土地区画整理法だけに基づいて行なわれる事業もあり得る。両方あり得るということでございます。
  63. 石野久男

    石野委員 そうしますと、都市計画法に基づかないで行なうときのなには、もう土地区画整理組合法単独でこれはすべてを処理する、こういうことでございますか。
  64. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 土地区画整理法の手続によるばかりでなくて、都市計画法による都市計画事業としての事業認可を受けて行なう場合は都市計画法も適用になります。土地区画整理法だけで行なうこともできるわけでございます。その場合は土地区画整理法だけが適用になるというわけでございます。
  65. 石野久男

    石野委員 そうすると、区画整理組合というのは——私は法律はその方面のことは非常に弱いのですが、都市計画法の第五条の計画事業の施行者というのはどういうものなんですか。
  66. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 都市計画法第五条にはその関係の規定はございませんで、都市計画法の第十二条に「市街地開発事業」という都市計画の一つの種類として規定がございますが、その市街地開先事業の中に、いろいろなほかの事業とともに土地区画整理事業というものも含まれておりまして、しこうしてその土地区画整理事業を施行すべきことを、その施行の区域を都市計画で定められた場合には都市計画事業として行なう。それからその施行区域を別段都市計画で決定しないで、ただ土地区画整理法だけで施行区域をきめて行ないます場合には土地区画整理法だけが適用になる、こういうわけでございます。
  67. 石野久男

    石野委員 私は、区画整理組合というのは、率直に申しまして、都市計画で本来やるべきものを、いろいろやはり国やあるいは自治体におけるところの予算措置とか何かができないので、その地域の人々に区画整理をゆだねる、そういうたてまえになっているものだ、こう思います。そういうたてまえから、実はその区画整理組合の中ではいろいろな矛盾がいま出ていると思うのです、率直に申して。この区画整理組合ができました場合には、その地域の中に国の所有のもの、あるいは都の所有にかかわる公共施設等がたくさんあります。ところが、その公共施設などがありましても、区画整理組合ができてしまいますると、国や都はそれに対してやはり負担金などはほとんど持たないで、組合のいわゆる減歩だとか、あるいは保留地というような形での処理のしかたをずっとしてきているわけですね。こういうようなたてまえはいいのかどうだろうかという疑問を実は私は持っているわけですよ。  これはもう理屈でなく、実際の問題を一つ申しますると、実はこれはある一つの組合でございますが、事業体の中で、実際に事業をやっております土地区画整理組合でいろいろ作業が進んでいきますと、最終的には仮換地の仕事が行なわれるようになってきます。この仮換地の仕事をやってきましたときに、この組合の作業地域の全体の中にいわゆる国有公共用地だとか地方公共団体公共団地とか、あるいは公園だとか、こういうようなものがあります。実はその区画整理をする前の、従前の土地の中で大体七・七%ぐらいがこういう国有公共用地あるいは地方公共団体公有公共用地というようなものになっておりましたものが、整理をしましたあと、これらのものが全体として二五・八%ぐらいになるわけなんですよ。この際、それじゃこの整理組合に国とかあるいは都とか区とかというものが事業費の一部分でも出しているかというと、一つも出さないわけでしょう。従前には七・七%公共用地としてあった土地が二五・八%になって、しかもそれは都のものになったり国のものになったりしていきますね。この際この負担を全然持たないというのはどうもおかしいんじゃないかという疑問を実は私は持っているのですが、これはどういうわけでこういうふうになっているのですか。
  68. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 ただいま例にあげられましたものは国も都も一文も金を出していないということでございまして、そういう場合もありますが、一般的にいえば都が補助対象にしておるもの、さらにその中で国も補助対象にしておるものがございます。これはたとえば幹線道路、一定幅員以上の幹線道路がその区画整理事業によってつくられるというような場合には、国の幹線道路の事業費相当分が補助の対象額の算定基礎となりまして、道路であればそれに対する国の三分の二の補助というようなものが行なわれておるわけでございます。またそういう国の補助対象にならない場合におきましても、都道府県等におきまして特に諸般の事情を考慮いたしまして、やはり国の補助対象基準よりはゆるい基準でもって都道府県単独の補助を行なっておる例もあります。  そもそも区画整理事業は、従前の非宅地、農地等を交換分合するとともに、道路とか河川とか、その中に含まれます公共施設を整備いたしまして整然とした市街地を仕上げる。そのために主要市街地として整った道路などが縦横に張りめぐらされて、直ちに宅地化できるという状況になることがその地価を高め、そういった受益があるはずである。そういう受益の範囲内においてそういう地先の道路等を土地所有者の負担において事業をしてもらう。こういうたてまえの法律でありますので、御指摘のような、幹線道路等は別といたしまして、その他の一般の道路につきましては、区域内を良好な市街地とするための、まともな宅地とするための必要な経費だ、こう見て、受益の範囲内において減歩という形でこれを行なっておるというわけでございます。
  69. 石野久男

    石野委員 減歩したり、保留地をまず確保して、あるいはそれから処理するにあたって減歩などが行なわれていくということは、やはり地先利益が得られるからということで一応の理屈はわかるのですが、しかしその整理区域内に国が土地を持っており、あるいは都が土地を持っておったり、道路があったりしたら、当然やはりその整理をするには事業費を国が負担すべきだろうと思うし、それから従前七%ぐらいしかなかったものが整理をしたら二五%にもなっていく、そういうような場合に国が一文も金を出さないでやるということはあまりよくないことだと私は思うのですが、そういうようなたてまえではないのですか。
  70. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 たとえば国や都がその区域内に宅地として、普通の公共施設ではなくして宅地として持っておるというような場合には、一般の個人の方と同様減歩の対象になるわけでございますが、いま申し上げたような里道といいますか、あるいは道路として、あるいは河川として、つまり公共施設として持っておるものというのは、区画整理の目的が先ほど申したようにそういった公共施設率をふやしまして整然とした町にするというわけでございますので、この公共施設用地はふえこそすれ減るということは考えられない、こういうわけでございまして、それは用途によるわけであります。一般の宅地等で持っておる場合は、当然一般個人の場合と同様の扱いになります。
  71. 石野久男

    石野委員 そういう場合には、国が全部負担はしなくても、補助するとかなんとかは当然考えるのでしょうね。
  72. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 幹線道路、つまり区画整理事業として行なわないでも、単独で道路事業を行なったとすれば補助対象になるであろうというような道路がたまたま区画整理事業に入る、あるいは計画的に区画整理事業に取り込むことがよくあります。そういう場合には、これは区画整理事業としてでなくて道路単独としても国庫補助がつく道路でありますから、これが区画整理事業に取り込まれたからといって国庫補助を免れるということはおかしいという意味で、そういう場合には国庫補助の対象にしているわけでございます。先ほど申しましたように、地先の細街路等が面積がふえましても、これは受益の範囲内で減歩していただくという形でございます。
  73. 石野久男

    石野委員 私は、減歩やなんかはいいんだけれども、国が一文も持たないとか、都が一文も持たないでやるということはよくないのじゃないかと聞いているのです。実を申しますと、これは資料が古いのですけれども、四十三年度の東京都の行なった土地区画整理事業というのがあります。この事業体をずっと見ますと、相当たくさんのものがございますが、この当時全部で四十四の区画整理組合がありまして、その区画整理組合の中で、国も補助しているけれども、東京都の補助金などもずっと出ておるわけですね。こういう東京都の補助金が出ている中で、全然補助金の出ていないところがあるわけですよ。いまそういう地域が三つか四つあります。その三つ、四つの地域というのは、東小松川南地区に東小松川北地区と砧の三組合があるわけです。補助金の実際の率は、東京都はその当時の四十四地区におけるところの総事業費の五九・八%、これが補助金として出しておるわけなんです。ところがこの三つの組合に対しては補助金は全然出ないという措置は、ちょっと何だかへんぱなやり方、非常にひどいやり方じゃないかと思うのだけれども、これはどういうことなんでしょう。東京都の方に来てもらっているのですが……。
  74. 松浦義二

    松浦参考人 組合の区画整理事業でございますが、私どもとしては、これら組合施行は主として宅地開発的な区画整理事業、そういう区画整理事業の場合には組合を結成して施行するように指導しております。この組合施行にいたしましても、面積の大きさ、いろいろありますが、やはり原則として、区画整理法には施行者が負担するということになっておりますが、こういった組合の中に、それによってできる都市計画道路その他の都市計画施設が含まれておるわけでございます。こういった都市計画施設は、本来、都なりその他の公共団体が施行すべきものと思われますので、こういった都市計画施設を造成するに必要な経費について組合に助成する、補助金も出す。簡単に言いますと、道路の管理者負担金その他、そういった形での助成を出しておるわけでございます。そこで、そういった都市計画施設のない組合もたまたまあるわけでございまして、そういったところには出ないということでございます。
  75. 石野久男

    石野委員 この三つの組合は、率直にいって、東京都に対して、あるいは国に対しても税金はみんな納めているんですよ。確かに受益は自分たちのところではありますけれども、ほかの四十四組合は、補助金の比率からいきますると五九・八%という補助金を全部もらっているのですよ。ところがこの三つの組合は補助金はゼロなんですよ。全部自己負担です。しかも、都市計画に入っているかどうか私はわかりませんけれども、つくった道路はみんな都民が通るわけなんです。これはちょっとへんぱなやり方でないかと私は思います。これで理屈はあまり申しませんが、こういうやり方についてはやはり救済策が必要じゃないだろうか。いろいろ、都市計画にひっかかっていないとかなんとかいうことだそうですけれども、これはとにかく、東京都のやり方でもありましょうが、国が区画整理法というものをつくってそして組合員にこういうことをやらしているときに、何も補助しない、都も国も自治体も何もやらないということでは、これは私はひどいと思うのです。大臣はこの問題はどういうふうにお考えになりますか。
  76. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 区画整理によって整然たる町ができるということでございますので、単に道路一本敷くというよりは市街地形成の上で非常に効果のある手法だと思います。そういう意味で区画整理事業がいよいよ進展するような、いろいろな手厚い助成策というものも必要ではないかと考えておりますが、やはり国の補助対象になりますものはどうしても幹線道路に限らざるを得ません。現在はそういうことになっておりますので、今後の問題として、その幹線道路の幅員要件等を漸次低めて、補助対象の道路がふえるようにするというようなことも検討いたしているわけでございます。それにいたしましても、すべての区画整理事業が国なり都なりの何らかの補助が必ずあるべきであるというお説には、ちょっと首肯いたしかねる次第でございます。
  77. 石野久男

    石野委員 これは補助金は全然ゼロでしょう。ところが、先ほども申しましたように、もともとこの地域内には公共用地が七・七%あったわけですよ。事業を終わったあと、公共用地として出てきているものは二五・八%あるわけですよ。それで、とにかく公共用地がもともと七・七%が二五・八%、四分の一をこえるだけのものは公共用地になるわけです。ところがこれは国も都も、自治体は何も補助しない。これはちょっと片手落ちではないかということを言っているので、理屈は抜きで、これは大臣に、こういうものについてこのままほっておくのか。こんな問題については何か特殊なやり方をしなければ法の盲点だと思うのですね。ほかは全部、東京都の場合には四十四組合に五九・八%の補助率を出しているのです。これだけがゼロなんです。これはちょっとおかしいから、こういう問題の救済策について何か配慮すべきではないかということを私は申しているのですが、大臣の所見を伺いたい。
  78. 金丸信

    金丸国務大臣 ただいま都あるいは都市局長からも御説明がありまして、その話を聞いておればもっともだと思いますし、また先生のお話を聞いておれば、それも酷だなという感じが私はいたします。そういう点で十分かみ合わない点につきまして検討してみたいと思います。
  79. 石野久男

    石野委員 そればひとつぜひ検討を加えていただきたいと思います。  それからいま一つお聞きしたいのですが、都市計画をやります場合に、都市計画区域とそれ以外の地域との境目があります。この境目のところの道路をどういうふうにするかということで、どこでもみなこれは苦しむわけなんです。その場合に、たとえばいままでの四メートル道路を六メートル道路にする場合に、さあ、このあと二メートルをどちらのほうが持つか。区画整理組合が全部持つのか、それとも向こう側の、全然区画整理組合でないところも半分持つべきが至当でないのか、この問題があるのですが、これは常識上からいうと、道路の中心線を境にして半々ずつ持つのが普通だと思うけれども、それはどういうふうに指導なさっておられましょうか。簡単に言ってください。
  80. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 実地に即して言わなければ一がいには申せませんが、まあ普通の場合であれば両側で負担するということになると思います。
  81. 石野久男

    石野委員 やはりここの砧組合なり、ほかでもそうですが、この場合、たいてい組合側だけで持つような指導が行なわれておるのです。この指導は間違いだと思うのですよ。やはりこれはひとつ改めるように指導していただきたい、こういうように思います。私の要望は間違いないだろうと思うのですが、もう一ぺんちょっと……。
  82. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 都から聞きましたところでは、東京都の場合、必ずしも全部施行区域側へ負担さしているのではなくて、その道路の向こう側まで一部含めまして事業を行なっておって、しかして道路の向こう側は、その分だけ換地を交付しない、つまりそのまま出してもらって、出し切りで道路幅員を拡大するのに使っておるということですから、いわば両側で負担していることになっていると聞いております。
  83. 石野久男

    石野委員 以上、時間がありませんからおきますが、決してそうじゃないのでして、これはひとつ実情を調査の上で両側で負担するように指導していただきたいということを重ねてひとつ申し上げておきます。大臣、それはひとつそういうふうに指導してくださるようにお願いしたいのですが……。
  84. 金丸信

    金丸国務大臣 十分調査いたしたいと思います。
  85. 天野光晴

    天野(光)委員長代理 参考人の方には御多用中御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。  この際、午後一時十分まで休憩いたします。   午後零時二十二分休憩      ————◇—————   午後一時十三分開議
  86. 服部安司

    服部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。清水徳松君。
  87. 清水徳松

    ○清水委員 私は、高度成長下、公共事業をはじめとして非常に建設が進んでおる今日の段階において、土採取の必要性が大きくなりまして、非常に広範囲にわたって土採取が行なわれておるわけでございます。ところがこの土採取について、山砂利あるいは採石の場合と異なりまして、平地にごく近い丘陵地帯が非常に多い。それからだんだん規模が大きくなりつつある。それだけに非常に危険性というものも大きくなりつつあるわけでございます。それからまた、仕事をやったあとの投げやりにされておるあと地が非常に荒廃をしておるというような状態があって、雨の多い季節になるとそれが道路あるいは河川に流出いたしまして、これまた危険が多くなる。それからまた、規模が大きくなると、ちょっとした山なら全部削り取られるといったようなことになりまして、環境の破壊あるいは環境の変化というものが非常に大きくなっておる。そういう意味で、土採取というものの与える影響というものは大きくなっているというふうに思います。いままで砂利採取法あるいは採石法というものをつくりまして、それぞれ石あるいは砂利の採取についての規制を行なってきておるわけですが、どうして土を取るための規制法をつくってこなかったのか、つくらないのか、その辺からひとつ、通産省の所管だと思いますので御見解をお伺いいたしたいと思います。
  88. 木原滋之

    ○木原説明員 お答えいたします。  土砂の採取につきましては、宅地造成法あるいは国土保全の関係法と密接な関連を持っておりますので、これの法律規制につきましても建設省その他の官庁と連絡をとりながらこれから検討していきたいと思います。
  89. 清水徳松

    ○清水委員 これは先般私が公有水面埋立法の審議の際に御質問申し上げた際にもそのような御答弁をいただいたと思っております。それではどういうような方向でこの土採取についての規制法をつくろうとしておるのか、もしそのアウトラインなりがわかりましたならば、その基本的な方針というものがきまっておるようでしたら御説明をお願いいたしたいと思います。
  90. 金丸信

    金丸国務大臣 まだその段階に至ってはおりませんが、先生のおっしゃる採土というような問題につきましては目をおおうものがあるということを私も見せつけられておるわけでございまして、その法律がない、そういうために地元市町村等でも泣いておる、またその地域住民が困っておるというような実例がたくさんあることも事実であります。そういう意味で、今後各省と連絡をとりまして立法措置を考えてみたい、こう考えております。
  91. 清水徳松

    ○清水委員 この土採取がこのごろ規模がだんだん大きくなってきたものですから、特に私は首都圏の例だけを調べてみたわけですが、埼玉、千葉、神奈川等においてはそれぞれ条例をつくりまして、この土採取についての若干の規制を加えつつあるというのが現状でございます。埼玉では四十六年三月十五日に条例を定めております。千葉は同じく四十六年四月一日に条例を定めております。そうしてまた神奈川県のほうは、多少おくれまして四十七年三月三十一日に条例をきめておるわけでございます。その同じ条例の中でもだんだん変化がはっきりあらわれておるわけでありまして、埼玉の場合は、ここでは一番早いわけですが、一応土砂を取るについての危険を防止するというようなことが中心になっての規制になっておるわけでございます。ところが四十七年三月につくられた神奈川県の条例を見ますと、やはりそこにはっきり環境の保全ということと、それからあと地の保護あるいはその処理についての規制というものが、これはもちろん条例ですからいわゆる行政指導という形ですが、あらわれてきておる。これにも率直にあらわれておりますように、だんだん規模が大きくなるにつれてやはり環境破壊ということ、それからそのあと地の荒廃というものに対しての見過ごすことのできないような状況というものが起こりつつあるということが非常に明確に出てきておるんじゃないかというふうに思うわけでございます。そのためにも、ぜひとも土採取法をつくりまして、これは単なる届け出制じゃなくて許可制にして、規制を強めるべきであるというふうに考えるわけですが、いま大臣からそういう方向に向かって努力をいたしますという御答弁がありますので、ぜひ早急にそれを実現をしていただきたいということを強く要望をしておきたいと思います。  そこで採土法——仮称です、採土法をつくる場合、この手続の問題あるいはまた採掘の実際の仕事の内容、方法ですね、それからあと地の処理について、三つに分けて、より強い規制というものをしていかなければならないんじゃないか。たとえば環境保全ということを考える場合に、大きな、相当の丘陵が削り取られて、その地域においては仕事をやる経過、その途中においてもあるいはやったあとにおいても大きな環境の変化が起こるわけですから、許可をする場合に住民意見というものが十分に反映するような、そういうような取りきめといいますか、そういう条項というものは絶対入れておかなければならないというふうに思うし、さらにまたその場合、運搬や、あるいはまた災害防止の見地から、住民事業者との間にも相当きちっとした取りきめができるような、そういう法的な措置というものも整備されておらなければならないというふうに思うわけですが、その点どのようにお考えになるか、お伺いをいたしたいと思います。
  92. 木原滋之

    ○木原説明員 お答えいたします。  具体的な内容についてはまだ各省との話し合いを行なっておりませんが、先生の御趣旨というのはまことにそのとおりだと思います。
  93. 清水徳松

    ○清水委員 次に、この仕事のやり方ですが、いまの場合だと全然無責任な形で仕事が行なわれておる。届け出制ですから、埼玉の場合だと十五日前に届け出をすればいつでも仕事ができる。しかも、この砂利採取法については砂利採取業務主任、それからまた採石の場合は採石業務管理者、こういったような資格のある者がきちっとした仕事の指導をしている、そういう形で行なわれておるわけですが、いまの採土の場合は全然かってに、適当にくずされておるというのが現実の状態でございます。ですから、採土法がつくられた場合は、やはり砂利採取法あるいは採石法と同じような形で、仕事に十分責任の持てるような一つの規制というものをつくっていただきたい。そういう資格のある者がやるようにすべきであるというふうに考えるわけです。  同時にまた、計画書は当然いまでも出しておるわけですが、計画書の中でもそういう環境保全のためにどういうような形の——ただ高さがこれだけ、横がこれだけ、深さがこれだけといったような計画ではなくて、もう少し具体的な、最終的にはこういう形になるんだという、そういう設計図みたいなものもきちっと出させるような形で許可をすべきであると思うわけです。そういったようなことを許可条件の中に当然入れてしかるべきであるというふうに考えるわけです。その点についてこれからいろいろ御相談されると思いますが、あらかじめ当事者の御見解をお伺いをいたしたいと思います。——当事者ですから、これは建設省がやるのか通産省がやるのか、どうもはっきりしないということも聞いております。ですから通産省と建設省と並んだところで御質問を申し上げておるところでございます。
  94. 木原滋之

    ○木原説明員 お答えいたします。  この問題は、所管が通産省であるかあるいは建設省であるか、これは非常に不明確な点もございますが、先般の御質問の際に、建設省を中心として検討をしてまいるということが答弁されております。法案等につきまして、その内容は先生の御趣旨を十分体しまして今後検討を進めてまいりたいと思います。
  95. 清水徳松

    ○清水委員 早急に所管をきちっときめて——これだけ社会的にも重要な問題を起こしつつあり、社会的にも経済的にも重要な影響を及ぼしつつある採土の問題ですから、早急にその辺のところはきちっときめてひとつ真剣に取り組んでいただきたいというふうに思います。いまの状態だと、この首都圏における丘陵地帯が全然無計画に、虫食いのようにあっちこっち食い散らかされまして、きわめて重大な段階に入るような気がするわけであります。どうかひとつ早急にこの採土法というものをつくって、私は絶対土を取るなとは言わないのですから、計画的なきれいな土の取り方をしていただきたい、そういうふうに思うわけでございます。  次に第三点としてあと地の処理のしかたです。これは神奈川県ではきわめて条例として完備されたあと地の行政指導要領が出ておるわけでございます。環境保全の立場からあるいは災害防止の立場から、その保護方法についても非常に具体的な行政指導が行なわれるようでありますので、建設省、通産省において、このあと地の処理の問題については、採土法の法文をつくる場合にこのことを参考にしていただきたいというふうに思うわけでございます。  それで私としては、こういったような環境の破壊にもつながり、そしてまた仕事の最中でも相当住民に不利益を与えるような採土については、少なくともそのあと地の利用については、その事業者にかってに使わせないというような規制というものも一緒にやるべきではないかというふうに考えておるわけです。土を取ってそれで十分採算がとれているでしょうから、そのあと地くらいはほんとうは国有にしてもいいのじゃないかとも思うわけですが、まさかそこまで一挙にいくわけにもいくまいから、少なくともそのあと地の使用については、小さいところならば市民のため、住民のためのバレーボール、テニスコートくらいはできる場合もあるだろうし、あるいはまたちょっと広範囲であるならば住宅用地、あるいはまた多少の盛り土をして公園みたいにつくりかえることもできるだろうし、トラック、運動場、こういったようなものもできるのじゃないかというふうに思うわけです。規模が大きくなるにつれて、地域の環境ががらっと変わるほど相当広範囲なあと地というものもあるわけですから、そういったようなあと地については、そういう公共の福祉に沿った利用のしかたあるいは住民の利益になるような使用ができるような形に、最初からそれを条件にして許可をするというような形に持っていったらいいのじゃないかというふうに思うわけでございます。その点についてもひとつ御見解を承りたいと思います。
  96. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 お答えいたします。  お説のように、土砂を取ったあと、それが災害につながったりあるいは水が流出したりというような災害の面あるいはそのあとの環境保全の面等につきましては、現在も各種の法律がございますけれども、先生のおっしゃるようなその関係の法律というものがいま欠けております。したがって、そういう面の配意、いまおっしゃいましたような線に沿って、これから環境庁とも協議いたしましてそういう方向で検討いたしたいと思います。
  97. 清水徳松

    ○清水委員 以上、採土をやるについてのいろいろな手続上の問題それからまた実際仕事をやる場合のいろいろな問題、それからまたそのあと地の処理の問題について、若干の意見を申し上げながら御質問を申し上げたわけですが、このように開発がどんどん進んでおる状況下、採土というものがますます拡大されている現在、早急に規制の法律をつくられることを重ねて要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  98. 服部安司

    服部委員長 井上普方君。
  99. 井上普方

    ○井上(普)委員 大臣にお伺いしたいと思います。  近ごろ建設省は大手不動産業者から土地を放出させるというようなことを言っておるようで、実際は大手不動産業者の利益をともかく擁護するようなことをやられておるということを承るのでございますが、正式にどういうようなことをやられておるのか、お伺いいたしたいと思います。それが第一点。  第二、その金は一体どこが支払うのでございますか。この点お伺いしたいと思います。
  100. 金丸信

    金丸国務大臣 大手不動産あるいは私鉄大手の関係から土地を提供という問題につきましては、先般の委員会でも申し上げたとおりであるわけですが、いま先生の御指摘のように、高い土地を買って業者を助けるというような考え方は毛頭持っておりません。そこで、前にも申し上げましたように、土地につきましては、買ったときの値段、それにプラスアルファというものは利子とか、その程度のものでわれわれは手に入れたい、こういう考え方で話を進めておるわけでございます。最近、この問題につきまして新聞等でいろいろ報道されておる状況は、いわゆる市街化調整区域の土地ばかりで、市街化区域というものはないのじゃないかというような御批判もあろうと思います。その問題につきましては、市街化調整区域のほうが多いということだけは言えると思うわけでございますが、その市街化調整区域の問題についても、地方公共団体が、これをいろいろ折衝の中で、いまの現状では、そういうものを持ってこられて、そこへ住宅が建つというようなことを考えられても困るというような考え方もあるようであります。それは、いわゆる拒否反応は、内容は私が申し上げるまでもなく、幾つか県にしても自治体にしても持っておるというような状況下でありますが、私はその説明を受けて、この問題については、現在行って交渉して、だめだと言われたらああそうですかと言って帰ってきたのではこの話は進まない。あくまでも熱意を持って、局長が行ってだめならば事務次官あるいは大臣まで行って説得する、そうして問題点があったらその問題点も出して、その問題点を納得いくように解消していくような方法も考えてこの問題を解決しなければならぬ。そういう意味で、適地であるならば当然これは獲得すべきである。代替地にもなる。  なお、御質問の、これはどこが買うのだということですが、これは地方公共団体あるいは公団等で買うということでございます。
  101. 井上普方

    ○井上(普)委員 私はこの方針に対しまして大きい疑問を持たざるを得ないのでありますが、具体的な問題につきましては後刻に移したいと思います。  しかしながら、金を出すのは地方自治体である、あるいは公団であるというお話、それからほとんどが調整区域であることは御存じのとおりです。とするならば、調整区域の開発許可は、法文におきましてはこれは一応認めております。しかしながら調整区域の開発問題につきましては、建設省はいままで一貫して大手業者あるいは民間の開発を拒否し続けてきたのは御承知のとおりであります。そしてまた都市計画法を審議する際のいきさつもございます。開発許可は、二十ヘクタール以上は一応うたっておくけれども、これはほとんど考えませんということもある。ただここで、いまの段階において調整区域の開発を自治体あるいは公団がやるということになりますと、いままでの方針というものは変わらざるを得ない。大きく変わってくる。変わるだけの理由がなければならない。これは住宅不足ということは先刻もう御承知のとおりです。とするならば、都市計画法それ自体について大きい矛盾があるのではないかということが一つ。しかしこのことにつきましては、建設大臣は予算委員会におきましてもはっきりと、線引きについてはここ当分は変更いたしませんということをお約束になっている。とするならば、いやがる地方自治体に局長、次官あるいは大臣まで出ていって説得しなければならない必要性が一体どこにあるのか、私は大いに疑問を持つ。それよりもむしろ市街化区域内における大手の取得しておる土地を放出させるような方策をこそ考えるべきではございませんか。まずこれが第一番じゃございませんか。調整区域は大手の不動産屋が持っておっても開発のめどが立たない。そのために手持ちの金がなくなって凍結したような状況になっておる。であるがために、これを国に肩がわりあるいは地方自治体に肩がわりさせようという考え方が以前からあった、これを手助けするものと私は断言せざるを得ないのであります。大臣の御所見を承りたい。
  102. 金丸信

    金丸国務大臣 住宅の不足しておることは申すまでもないわけでありまして、これを満たすためにはあらゆる努力を払わなければならない。また、今回放出させようという内容が、多くは市街化調整地域であるということも事実であります。これは先生のおっしゃられるように、市街化区域をできるだけ放出してもらうということもあわせて、建設省としては業者に申し入れをいたしておるところでありまして、両々相まちながらこの問題を解決いたしていく。もちろん調整地域と市街化区域と、こう厳然として分かれておる、この事実というものは私も当然認めるべきでありまして、市街化区域を当然まず対象に考えるわけであります。しかしそればかりを考えておったのではなかなかむずかしい問題、困難な問題を解決するわけにはいかない。そういう意味で調整地域も、万やむを得ない場合はこれを考えなくてはならぬだろう。またいろいろな場合で代替地もしなくてはならぬ場合もある。そういう意味で、これがほんとうに適地として、代替地にもなる、あるいは住宅地にもなれるというもの以外については、何でもかんでも放出したものについてはいただきますということではないということを御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  103. 井上普方

    ○井上(普)委員 時間がございませんので私は簡単にしたいと思います。  いまのお話で私どもは納得できかねるのであります。と申しますのは、先ほども大臣が言われた、土地の自治体が拒否反応を示した場合には、局長あるいは次官、ことによれば大臣まで行って説得しなければならぬというほどの拒否反応を自治体が示しておる土地、言いかえますならば、一面裏返してとるならば、これは、自治体がそのようなところはいやだと言っておるところを無理やり押しつける建設省の方針と考えても私はとり過ぎじゃないと思う。しかも、この調整区域と市街化区域ということを厳然と分けたのは都市計画法なんです。ここのところをひとつお考え願いたい。それは、いまの住宅不足からするならば市街化調整区域もひとつ考えてもいいだろうという関係ならば、都市計画法それ自体について、線引きそれ自体について考え直さなければならないでしょう。私は大きい問題を含んでおると思います。しかも、聞くところによると、大手不動産業者がかってに、建設省があのような方針を出したので、いまダミーを使って買収しつつあるところすら候補地にのぼっておるそうじゃございませんか。三年前、二年前の土地じゃございません。いま買収しかかっておる土地もあるやに承る。私はまことにもってすっきりしない方法であると申しても過言でないと思います。この点につきまして私の考え方を一言申し述べ、この程度でおきたいと思います。  それからもう一つ。私は大臣の人格につきましては信用しておるのであります。お約束したことは守っていただかなければならぬと思います。この点ははっきりさせていただきたい。特に、先般の公有水面埋立法の審議の際にも、かけ込み申請というのは絶対許しません、こう申された。同じく運輸大臣大臣の前でおっしゃって、それは直ちに自治体に通知するとおっしゃったけれども、新聞紙上を見ますると、和歌山県におきまして港湾審議会が強行採決を二、三日前にして、公有水面埋め立てのかけ込みをしたという記事を見ました。まことにもって不届きしごくだと思います。これは建設省管下ではないかもしれません。しかし、信義を重んじられる金丸さんといたしましては、内閣の責任においてこういうようなことはやめさせべきであると私は思います。強く御注意を喚起いたしまして、私の質問を終わります。
  104. 金丸信

    金丸国務大臣 ただいまの井上先生の御質問につきましては、かけ込みというものについては十分な検討をして、簡単な許可はいたしませんというお約束はいたしてあります。ただいまのお話は運輸省の港湾の関係だと思うわけでございますが、運輸大臣にもあなたの御意見を十分伝えて、全きを期していくようにいたします。
  105. 服部安司

    服部委員長 浦井洋君。
  106. 浦井洋

    ○浦井委員 大臣にお尋ねをしたいわけなんですが、非帯によいお返事をいただくと早く済むと思うのです。  ことしの六月八日に、私は高知県の大渡ダムのダム対策協議会の方々と一緒に大臣にお会いをして、そのときに大臣から、地域の住民が非常に勇気づけられるようなお返事をいただいたわけです。それを地元の新聞で見てみますと、代表の方々は「一時間四十分にわたり、当初より今日までの経過を具申した。席上建設大臣は、一、強制収用をしてはならない。二、協定書は立派に有効である。三、協定書に基いてダムを進めるので協力してほしい。ということであったというが、これもまた当然過ぎるほど当然のことである。」具体的な説明は大臣もよく御承知だと思いますし、時間もございませんので省略いたしますが、こういうお約束をいただいて、地元の方は非常に勇気づけられて高知に帰られたわけであります。ところが問題はそのあとなんです。建設省はその後も態度を変えておらない、こういう報告が私のところに来ておるわけであります。  具体的に事例を申し上げてみますと、八月にそのダム対策協議会に入っておられる谷口セツミさんという方の土地を収用法に基づいて収用するというような通知があった。それからさらに九月五日には、同じくダム対策協議会に入っておられる谷脇正さんの六千平米の土地を、国道三十三号線のトンネル工事に必要であるので、収用法に基づいて立ち入り調査をするというような通知が来ておるわけなんです。  大臣も御承知のように、このダム対策協議会に結集しておられる方々は、ダムの建設に反対だということではないわけなんです。このダムは建設省の直轄ダムですから、やはり建設省が、その出先が十分に現地の方々と交渉をして、お互いに納得のいくような形でやってほしいということを要望しておるにもかかわらず——これはいままでの経過は大臣十分御承知だと思いますから省略いたしますが、なおかつ大臣がこういうふうにお約束されたことを事実上破って、土地収用法を適用しようというようなことを現地では、四国地建ですか、やっておられる。これについて大臣、どう思われますか。——河川局長はけっこうです。事務的なお話はあとでけっこうです。
  107. 金丸信

    金丸国務大臣 六月ですか、浦井先生を先頭に陣情を大臣室で承ったわけでございますが、理想として円満に話が解決することが望ましいことでありまして、私もまだ現地も見ておりませんし、内容もそのとき詳細に承知しておらなかったので、お話はもっともだと聞いておったわけでございますが、その後いろいろと調査してみますと、十一名の方々、また一方には二百何十名かの方々の協議会がある、こういう中で、十一人の人たちがいわゆる補償の問題については一つ前提条件を突きつけて、その前提条件をのまなければ補償問題には入らない、こういうようなところに問題点があることを私も承っておるわけでございますが、強制収用というような問題については好ましいことでなく、これは政治としてやるべきことでない、政治の運用としては大いに慎むべきことであると私も考えております。しかしまた補償の問題で話を進めようということで賛意を表しているんだから、ひとつどの程度の補償——もちろん補償される者、する者という立場ですから、そこに考えの相違はあってしかるべきだ。相違があっても、そこら辺の話し合いで歩み寄りということもあるし、妥協ということもあることですから、そういう意味でこの補償という話にまず入っていただいて、そういう問題の中で、この問題はここまでいっているのだけれどもこの問題は解決つかなかった、こういうことであるならば、大臣も中に入って、それはこうしてやるべきだ、こういうわけでございます。一方には二百何十名かの人たちがもう補償の話し合いがついている。その補償の状況を無視してこちらのことばかり聞くわけにはいかないという問題点もあろうと思います。そういうような問題がいまネックになって乗り上げておるようでございますが、しかし一日も早くこの問題は解決しなければならないし、また十一人の人も日本人であります、日本国民であります。法は平等であり、権利も平等であります。そういうことを考えてみますと、その人たちにできるだけのあたたかい手を伸べてやることは当然でありますから、今後とも鋭意努力して解決してまいりたい、こう考えております。
  108. 浦井洋

    ○浦井委員 大臣、六月の八日時点よりも相当後退した発言をされておるようなんですが、経過はもう御承知だと思うのです。当初ダム対策協議会ができて、それが、このダムの所在する村長さんの専横といいますか、横暴といいますか、そういうようなことで第二組合的なものができた。その前に、前の村長さんがダム対策協議会の会長をやって、やめて、その次の会長さんに正式にちゃんと書類を引き渡して、その上で第二組合的なものをつくられたという経過がある。協定書の中にもちゃんと書いてあるわけなんです。   〔委員長退席渡辺(栄)委員長代理着席〕 だからそういう意味で、私先ほども申し上げましたように、そのダム対策協議会の方々もダム絶対反対というようなことは言っておられない。話し合いに応じてやろうというふうに言っておられる。にもかかわらず、建設省の出先のほうで一向に話し合いに来られない。来られないだけでなしに、いろいろな事例を私、見せていただいておるわけなんです。  時間がないから簡単にいたしますけれども、たとえば三年ほど前の話、一つはダム建設のために国道をつけかえる。つけかえたところが、台風が来て、その排水によって大野という方の千平米の畑が洗われてしまった。そのために百五十本余りの、やっと収穫ができるようになったミカンの木が全滅した。これについて、この被害に対する補償で地建の工事事務所に行ったところが、あとでダム補償のときに一緒にするからということで、一向に出先は相手にしてくれなかった。その後建設省は復旧工事をするということで、その人の土地の一部二十四平米のセメント工事を行なった。この土地の賃貸の条件についても、話し合いがまとまらないのに、一片のはがきで「一坪当たり一カ月一円で借りる、もし不服ならば裁判の方法もありますから、どうぞよろしく」というようなことで、はがきで済ましておられる。こういうような情の通わないやり方で一体行政はできるものかということを私は大臣にもう一ぺん言っておきたい。大臣もこの話はそのとき直接聞かれたと思う。  それからもう一つあります。ことしの春、谷口セツミさんの土地に、三十年近い杉の林に通っておるところの二メートル八十センチの道路を、谷口さんに全く無断で六メートル幅に広げて、ダムに必要なダンプカーがどんどん通る。谷口さんが大渡ダム工事事務所に抗議をすると、建設省の出先は出てこずに、工事を請け負っている大成建設の者が出てきて、一応、命令の不徹底で無断で道を広げて済まない、そういうふうに言っておいて、その口の裏から、しかしどうしても必要なので、もうちょっと道を広げたいというようなずうずうしい質問をしている。こういう事例もある。  それから、これは大臣はまだ御存じないかもわかりませんけれども、こういう例が最近起こっている。ことしの二月に、四国電工という会社、これは四国電力の下請会社だそうですけれども、この四国電工に勤務しておるところの、ダム対策協議会に入っておる市川さんという方が四国電工の高知支店の佐川営業所長に呼ばれて、こういうふうに言われている。「第二組合の補償基準で判をつきなさい。」それから「いまダム対策協議会が起こしておる訴訟を引き下げなさい。こういう二つの条件をのまなければあなたを解雇する」首を切る、四国電工につとめておるのに。そういうふうにその四国電工の上司が通告してきている。そこでダム対策協議会の会長さんが確かめたところ、こういうことを言っておるんですよ。「訴訟を起こしたために建設省からいろいろ話があって、ダム対策協議会に関係している者は使ってくれるなという依頼があった。だからあなたにはやめてもらうのです」というふうに、その市川さんの上司の四国電工の営業所長ははっきり言っている。これはテープに吹き込んであるそうです。こういうことがある。これは建設省がそういうことを四国電工に指示をしたのかどうか、その事実は私は知りません。しかし本人さんははっきりとそういうふうに聞いて、テープにとってある。こういうふうな、財産権だけでなしに、その人の首を切る。人権を侵してまでもなぜこういうような無謀な工事の強行をやらなければならぬのか、私は疑うわけなんです。  大臣は、六月八日に私が地元の代表の方々と一緒にお会いしたときには、協定書をしげしげとごらんになって、「これはりっぱな協定書です。こういう協定書が無効であったならば日本の国は法治国家ではありません。」こういうふうにはっきり言われているわけです。しかもなおかつそのあとで、こういう私が読み上げたような事例が起こっているわけです。大臣、どうでしょうか。私は要望したいのは、六月八日時点で地元の方と約束されたその約束をきちっと守っていただきたい。たとい十一人の方、数は少ないかもわからない、その方々に対して、出先がしっかりと話し合いをして、お互いに納得いくような、そういう指導を大臣はしていただきたいと思うのですが、どうですか。
  109. 金丸信

    金丸国務大臣 ミカン畑の問題や道路の問題あるいは人権の問題等について、いろいろ詳しく御質問をいただいたわけでございますが、こういう問題はほんとうの話でありましょう。これがほんとうであるならば許すわけにはいかないと私も思います。この問題につきましては速急に私もなお一段と調査して、この問題のこういう点については直すべきは直し、補償すべきは補償し、そして解決の方途をとってまいりたいと思うわけでございますが、どちらにいたしましてもこの十一人なりの人を無視していくことはできないことですから、あくまでもあたたかい手を差し伸べてひとつ解決するように前線部隊を指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
  110. 浦井洋

    ○浦井委員 大臣、だいぶわかってこられたようですが、なお調べる。だから私、お調べになる材料をもう一つ申し上げたいのですが、その吾川村ダム対策協議会の会長の大野という方から私のところに、つい先日速達で手紙が参りました。これの最後の結論のところを読み上げてみます。  「正しい事、当り前の事についてなら話もするし、考えもしますが、約束をちがえ、うそを言い、最高上司である建設大臣の命令にも従わず、むちゃくちゃやってくる権力のあばれん坊みたいな四国地建の役人達には困ります。多目的公共ダムといふ美名にかくれ建設省はうそを言い、法を悪用して私たちの財産権をはく奪しようと、警察力をも動員して強引に追ってきています。  四十八年六月八日の大臣のお話とは全くちがいます。  水没者は困っております。  この事実をどうか国会の場で大臣質問、追及して下さいますようよろしくお願いします。」  こういう手紙が来ております。だから、私先ほど言いましたように、やはりそのダム対策協議会に結集しておられる方々と十分に話し合いをする。ちゃんと正式な、法律で認められたところの協定書、覚え書きをかわしているわけですから、その協定書、覚え書きを尊重しながらお互いに話し合いをする、その努力を大臣ひとつここでお約束をしていただきたいと思う。
  111. 金丸信

    金丸国務大臣 この問題につきましては先生からも、またその人たちからも、私も直接話を聞いておることでありますし、建設省といたしましても出先機関と十分に話し合って、いままで間違っている指導があればこれを是正していかなければならぬ。私はいま先生質問を受けながらとっさに考えたことでありますが、これは今度新たに人をかえて話し合いをするということも必要ではないか。いままでの人で交渉するということになれば、感情問題もうっせきしておるだろう。そういうものを取り除く意味においても、新しい人によって交渉するというようなことも一つの方法か、私はこう考えてみたわけでございますが、どちらにいたしましても先生の意のあるところは十分体しまして、一日も早く解決するように努力だけはいたしたいと思っております。
  112. 浦井洋

    ○浦井委員 終わりますけれども、大臣に見ていただいたこの協定書、これは建設省なりあるいは高知県の知事は一方的に破棄するといわれておる。しかし公法的にはちゃんと生きておるわけです。この中には第十条で、「ダム本体工事は、吾川村ダム対策協議会との補償交渉妥結調印までは着手しないものとする。」とはっきり書いてある。そこで困られたのは建設省の出先のほうなんです。だから話し合いをして、この協定書の十条を取ってください、こういうような卑劣なことまで言ってきておると私は聞いておるのです。こういうことの絶対にないように、人をかえる、かえないということは、これは私の言うべきことではない、あなた方におまかせしますけれども、この協定書を十分に尊重しながら、地元のダム対策協議会——ダム対策連絡協議会ではないのです。連絡協議会というのはいわゆる第二組合。いまがんばっておられるのはダム対策協議会、この方々と十分に話し合いをしてそのことを進めていっていただきたい。そうでなければこれは片づかない問題ではないかということを最後に強調をしまして私の質問を終わります。一言大臣の発言を……。
  113. 金丸信

    金丸国務大臣 この問題につきましては先生からも幾つかの問題点を指摘され、そういう問題点も十分踏まえながら、あたたかい思いやりを持ってこの問題を解決するように努力いたします。
  114. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員長代理 瀬崎博義君。
  115. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 水源地域対策特別措置法案がわれわれの反対にもかかわらず成立したわけなんですが、ダム建設に関して、どうも地元の住民を犠牲にするような事態が相次いでいるようであります。  まず最初に、先般も質問申し上げました福島県会津若松の大川ダムの件について大臣に一言だけお伺いします。大臣答弁によれば「かんがい用水は基本計画の中に入れてやることが私は当然のあり方だと考えます。」と言われたわけなんです。私は常々大臣の御発言を信頼しておりますので、疑問の余地のない回答だと受け取ったわけですが、その後の事務当局の話によると、いますぐ基本計画の中にかんがい用水を組み入れることはできないから、大臣と福島県知事との覚え書きでとりあえず当座をしのぎたいのだ、こういうふうなことを言ってきたのであります。どう考えても、先般の当委員会における大臣答弁はそういうあいまいなものとは私は受け取れないので、いま一度大臣の明確なこの点での答弁をお願いして、現地の人々に不安を与えないようにしていただきたいと思うのです。
  116. 金丸信

    金丸国務大臣 大川ダムの農業用水問題につきましては、先生に先般御答弁を申し上げ、それはまたいま先生が述べられたとおりであります。私の考え方はそうあるべきだという考え方でおるわけでございますが、たまたま、あの答弁は行き過ぎだという事務当局からの指摘があったわけでございます。しかしその精神はあくまでも生かさなくちゃ困る、こういうことで河川局長に話をしたわけでございますが、水は十分残っております、また水は必要量だけとってあります、そういうことでありますから、基本計画を立ててみてもかんがい用水に迷惑をかけない、こういうようなことで強く私に話がありましたので、それならば何か覚え書き程度のものはあるべきだ、そうして農民も納得できるというようなことを考えるべきじゃないか、こういうことを申し上げたわけでございまして、下流の農家が心配しないでいられるような方途は講じたい、こう考えております。
  117. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 結局その答弁大臣の先般の答弁をみずから否定されたようなことになって、こうなってくると私自身としても引くに引けないということになる。私のほうの質問を申し上げますと、「正式の基本計画にはちゃんと当初の予定どおりかんがい用水は入れますか、入れませんか、これを大臣はっきり答えていただきたい。」こういうように申し上げておるわけです。それに対する答弁なんですから、いまさら覚え書きのようなもので置きかえるというようなことを大臣として言われるべき性質のものではない。事務当局が突き上げたからといって譲歩さるべき性質のものではないと思うのです。その点はいま一度大臣の識見にかけてもはっきりしていただきたいと思うのです。
  118. 金丸信

    金丸国務大臣 瀬崎先生のおっしゃることもよくわかります。また大臣の発言というものは権威あるものでなくちゃならぬ、これも当然だと思います。しかし問題は、下流の農家が水を確保できるかできないかという問題について、これは絶対間違いなくできるというものがあるならば、先般の委員会で私の申し上げた答弁とそんなに変わっておるものじゃないというように私は解釈いたすわけでございますが、私はあくまでもかんがい用水というものは確保しなければならぬという気持ちに変わりないわけでございます。
  119. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それなら当然のこととして「大川ダムの建設に関する基本計画(案)」、正式の案です。その案の「取水量及び放流量並びに貯留量の用途別配分」の中に「かんがい」が入っていなければならないと思うのです。これをしなかったら、結局、大臣の主観的な願望はそうであっても、実際の法制的な手続はそうなってないということになって、事実上大臣はみずからの発言を否定したことにならざるを得ません。ですからそういう意味で、県議会に正式に審議の対象として出される基本計画では、やはり大臣のその意図がはっきりとどこかにあらわれるような処置をとられるべきだと思うのです。いますぐ「建設の目的」の項目に入れるか入れないかは別問題として、しかしこの水が農業用水として確保されるという事実の表記だけは必ず行なわれなければならないと思うのです。答弁をお願いします。
  120. 金丸信

    金丸国務大臣 基本的計画の中に入れるという問題については、事務的手続上困難な問題があるようでありますが、しかし必ずその添付書類の中に、確保できるというようなことについては何らか方法を考えなければならぬ、こう私は考えております。
  121. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 重ねて明確に答弁をしていただきたいのですが、それでは、県議会が審議の対象とする基本計画案の付属文書としていま大臣答弁された内容のものは必ず含む、公表される計画案として含む、こういうことなんですね。
  122. 金丸信

    金丸国務大臣 どうでしょう瀬崎先生、知事に公文書を出して、その公文書によってはっきりさせるというような方法で御理解いただけないでしょうか。
  123. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私と大臣との間で取引するような問題ではないと思うのです。問題は、福島県の現地の住民の方々一般が大臣とどういう関係を持つかということになると思うのです。そういう意味では、この間の本委員会における大臣答弁一つの絶対的な重みを持つわけです。ですからそれを具体化することを事務的に検討していくべきであって、事務的な手続を中心に大臣答弁とのつじつまを合わせることを考えるべきではないと思うのです。これはやはり国会が国権の最高機関であるというたてまえに徹して、しっかりした答弁をお願いしたい。
  124. 松村賢吉

    ○松村政府委員 事務的に考えられては困るというお話でございましたけれども、私から実情としてお話し申し上げたいと思います。  事務当局といたしまして、農業用水の必要ということは十分承知しておりまして、この計画の最終のものの中には当然入れるべきだということを考えておるわけです。ただし、問題といたしましては、農業用水の計画そのもの、それから負担金の問題こういうような問題がきまらないわけでございます。したがいまして、いますぐこの基本計画の内容としてあげるということは、計画の内容上不可能ということになっております。したがいまして、この農業用水に必要な量につきましてはダムの計画の容量の中にとっておこうということで、これは目的外としてとってあるわけでございます。それで基本計画の内容といたしましては、農業用水の分を除いた、もちろんこれは余裕としてとってあるわけでございますけれども、この計画でもって基本計画をはっきりさしてダムをやっていきたいということでございます。もしこの計画をやってこれを全部やるということになりますとまだ相当の日月を要するということになりまして、現在、現地におきまして地元の方々との補償基準その他についても話がついておりますが、これの支払いその他もできないことになります。そうしますと、ダムのこの計画上、これは農業用水を入れるということで地元の方々も納得されているわけでございますので、そういうことを含めまして、ダムの建設がおくれるということは非常に大きな障害になると思います。それでこの計画は農業用水を表には出さない計画として進め、至急この計画を、農林省等の問題もありますけれども、まとめまして、その暁におきましてこの基本計画を改定する、そして農業計画も入れて完成させるというふうに処置したいということでございまして、これの実情につきましての対知事との話、あるいは地元に対する了解のPR、こういうものは十分にやっていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  125. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 工業用水だって最終配分、末端配分はきまっていないのです。それをどういうふうにして計画の中に織り込むことを考えたかといえば、この間も相談した関係者の名前を申し上げましたけれども、九月四日に、結局名目は県営会津若松地区工業用水道ということで織り込んでしまったのです。工業用水はそういう便法をとりながら、農業用水について、あたかも分担金の決定を見ない農民の側に責任があって、それを待っておったんでは水没者の補償に迷惑をかける、こういうような言い分です。だから、われわれが言っておるのは、多目的の項目にはっきりあげられないかもしれないけれども、すでに述べられている貯水量の余裕分が農業かんがい用水であるということを少なくとも、県議会で基本計画は審議しなければならないのだから、この審議する文書のどこかに織り込んでおきなさい。これくらい守らなかったら大臣答弁全部死んでしまいますよ。そういうことを言っているんです。そこをはっきり答えてほしい。私も決して無理な注文をつけているわけではない。——大臣答弁……。
  126. 金丸信

    金丸国務大臣 文書をもって、その文書によって県議会にかけていただくということで御理解いただければ幸いだと思います。
  127. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それでは基本計画の何らかの関連文書としていま述べられている事情が付される、こういうふうに理解していいわけですね——。  これからが本論なんです。  高度成長政策によって、常時、水不足に日本列島がおちいっている状態の中で、ことしの夏、一定の自然的な条件にもよりまして異常渇水が起こりました。これはまさに水問題の深刻さをきわ立たせたことしの夏のできごとだったと思うのです。  近畿地方一千万住民もまた例外ではなくて、水不足のきわめて深刻な不安に襲われたわけであります。琵琶湖を持ちながら近畿がおちいった水不足こそは、今日、日本の水問題の象徴的な事態だったと思います。琵琶湖、淀川水系にたよる近畿四府県の水問題が解決できないようでは、他の地域は推して知るべしということになるじゃないかと私は思います。  本来はもっとこの問題は緊急に質問したかったのでありますが、委員会の運営上等の問題もあって、やや時期は失しましたが、しかし今日時点でも、ことしの夏の渇水について、特にこれが琵琶湖をめぐる水問題としても深刻であったという事実から、やはり教訓はくみ取っておく必要があると思うのです。いま申し上げましたような大きな視野に立って、政府はどういう教訓を琵琶湖をめぐる渇水問題からくみ取っておられるのか、簡単に聞きたいのです。
  128. 松村賢吉

    ○松村政府委員 今度の渇水問題は全国的な問題でございましたが、特に琵琶湖を含めます淀川筋の渇水、これは非常なものでございました。京阪神地区を主体にいたします水不足の問題、これを早急に解決しなければならぬということは強く感じておりまして、それにいたしましても一番問題になるのは琵琶湖の開発でございます。渇水に対しまして、琵琶湖の開発計画というものがはっきりとできておりましたら今日のような問題は起こっておりません。したがいまして、琵琶湖の計画を一日も早く進めるということ、それにはやはり琵琶湖を含めます滋賀県内の問題点、こういうものも早急に解決いたしまして、琵琶湖開発事業、これは周辺計画も当然中に入ってありますが、そういうものを含めてこれの早急解決を一日も早くしたいということを強く感じておる次第でございます。
  129. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 われわれの認識と全く逆の認識が出ているわけです。結局、琵琶湖総合開発がやられておればことしの夏の渇水による被害は防げた、こういうふうないまの発言と私は受け取るわけです。ところが実際問題として、琵琶湖総合開発では、ことしの夏の渇水、つまり琵琶湖の水位低下マイナス五十センチどころか、一メートル五十センチまで下げる計画になっているわけでしょう。こういうことを一体滋賀県民が承知できる問題だとお考えなのかどうか、そこに問題があると思うのです。五十センチでもあれだけ深刻な事態を生み出した。おたくのほうに言わせれば、いろいろな補償工事をやるからいいんだ。しかしその補償工事なるものが決してほんとうに近畿一千万住民の水を守っていくという方向で行なわれるのではない。ただ結局琵琶湖の水を量的に上流と下流へどう配分するかということが重点の開発計画だから、私は、もしこういうものに今後たよるとするならばこの水政問題は大失敗すると思うのです。現に出発当初からいろいろ住民の抵抗にぶつかっているわけです。その点はやはりことしの夏のあの異常な事態から学んでほしかった。  今日上流と下流であたかも水の量的な面では取り合いが起こっておるように見えるけれども、決してそうではないということをはっきり申し上げておきたいです。今日量的に水不足が深刻になった原因、また現在水が要る、要ると言われるけれども、それが何に使われるかという目的を不問に付して、機械的に上下流で量の配分を問題にするから利害衝突ということになるだろうと思うのです。しかしいま琵琶湖に求められている水というものは量と質の面から求められているわけです。ですから水質保全というものを最重点課題に掲げるならば、文句なしに上下流一千万住民意見は一致する。ですから、本来琵琶湖の水政問題を考えるならば水質保全を最優先に手がけるのが基本ではないか。そのことをことしの夏の異常な渇水の事態が示したと思うのです。この点についていかがですか。
  130. 松村賢吉

    ○松村政府委員 私が申し上げましたことは、琵琶湖の開発という中には当然この水質の保全と申しますか、下水道を含みます琵琶湖の総合開発計画、これの一日も早い完成ということを申し上げたものでございまして、水質問題を含めて、質、量ともの渇水の対策ということを早急にやらなければならぬということを感じたということでございます。
  131. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 質、量とも、こう並行させられるけれども、私は量よりも質の面を優先させることがほんとうの水問題の解決になるのだ、こういうことを申し上げているのです。きょうは時間が非常に限られておりますから全面的に淀川の水量問題については論議しませんけれども、たとえば淀川の河川維持用水は毎秒七十トンとわれわれは聞いております。ですから、もしもほんとうに琵琶湖から流れてくる水質が改善された場合には、こういう維持用水だって毎秒七十トンも要らなくなるのではないかというふうに考えるのですが、この点なんかいかがですか。
  132. 松村賢吉

    ○松村政府委員 淀川の維持用水七十トンの問題でございますが、これは大阪市内の河川の維持用水ということで、これが一番必要なわけでございます。この問題につきましては単に琵琶湖の水質ということだけではございません。その他市内河川に流入します下流川の汚水、こういうものの浄化対策、これも含めて全体として考える必要がある。単に琵琶湖の水質を改善したからこの浄化用水が要らなくなるというのは早計でございますが、下流の水質の改善、これも全部第三次処理ができるというような状態になった場合には現在の七十トンにつきましても多少の余裕——これがゼロというわけにはもちろんいきません。しかしこの維持用水について七十トンを幾ぶん減らすということはあるいは可能かと思います。しかしこれは単に琵琶湖だけではなくて、あくまでも全体の排水の改善ということが大前提に立つわけでございます。
  133. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 ですから、やはりそういう点では琵琶湖の水の質の改善ということは、言うならばある意味で直接的に使える水の量をふやすことになるのじゃないかと思うのです。確かに総合的な対策が必要なんです。だけれども、淀川へ流出しております水の量で見れば、琵琶湖からが毎秒百六十八トン、桂川、木津川から毎秒百四十九トンですから、何といったって琵琶湖の水が一番多い。この水の質がうんとよくなれば、積極的に大阪、兵庫あたりで使える水の量がふえることは事実だと思うのです。  そういう点で、やはり緊急を要する水質保全の対策について特にお尋ねをしておきたい。四十八年の七月三十日、近畿地建局長名で「異常な渇水による水質汚濁の防止について」の通達が関係府県に出されているのです。御存じだと思います。ここにいみじくも当面最も効果的で必要な対策が二点指摘されております。その一つはこうです。「流量減少による河川の水質汚濁は著しく進行し、このままの状態では、流水の正常な機能が維持されることは困難となり重大な支障が生じることが予想されます。つきましては、貴職管内の工場及び事業場等の排水量の減少並びに排水水質の改善等の指導監督の強化を図られ、公共用水域における水質保全のための万全の措置をとられるよう要請します。」つまり、琵琶湖のような閉鎖水域はどこでもそうだと思いますけれども、とりわけ琵琶湖には一千万の住民が依存しているわけです。ですからこの琵琶湖周辺の工場事業場の排水規制を特別きびしくしなければならないということは、もう私も何回も指摘したし、常識的になっている。けれども実際になかなかこれが制度化されていないわけなんです。この点では環境庁との関係もあるでしょうけれども、とにかく琵琶湖、淀川を管理しているのは建設省なんだから、やはりその建設省大臣がその気にならなかったら進まないと思うのです。個々の企業に対して水銀やカドミウム、鉛などの重金属、PCBなどの放流を絶対に厳禁するというふうなことも含め、総量規制もあわせて、一体いつどのような形で実際に規制が行なわれるようになるのか、ひとつ大臣のそれこそ決意を伺いたいと思うのです。
  134. 金丸信

    金丸国務大臣 下水道の問題等を完備することによって水の汚濁を防ぐということは考えられるわけでありまして、こういうことを考えてみますと、今日までのそのほうの予算というものはまことに微々たるものであったわけでございますが、来年度を起点として新しく下水道五カ年計画というようなものを考えておるわけでありまして、そういう五カ年計画の中でひとつそういう問題と取り組んで、公害問題をなくし環境を保全していくようなことを考えてまいりたい。そういう意味で下水道五カ年計画というものはどうしても完遂しなくてはならない。なお、この下水道五カ年計画というものはそれで全きを得ておるかということになりますと、私に言わせればまだ微々たるものだと思うわけであります。今後ともこういう問題につきましては、二次処理、三次処理、こういうような問題にまで発展するためには相当の予算が必要だということがいわれると思います。そういう意味では最善の努力をして、新しい下水道五カ年計画というものの予算獲得には努力いたしたい、こう考えておるわけでございます。
  135. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私の質問していることに答えてほしいのです。確かに下水道の整備も重要なんで、あとからこれは申し上げようと思っていたのです。いま私がお尋ねしている水質保全の第一点は、近畿地建の局長も指摘しているように、琵琶湖周辺の工場事業所に対してきびしい排水規制を行なうことなんです。特に下水道で処理し切れない有害物質などについては、当然ぼくは琵琶湖の周辺は厳禁地域になると思う。こういうことが一向に制度化されていないことがまず問題なんです。これが一番優先すべき琵琶湖水政の施策ではないか、こうお尋ねしておるので、その点をひとつ大臣に御答弁をいただきたい、こういうわけです。
  136. 金丸信

    金丸国務大臣 取り違えましてまことに失礼いたしました。  この問題は環境庁が所管いたしておるわけでありますが、しかし環境庁のそのあとを受けて建設省がやらなければならぬと思うわけであります。そういう面につきましては今後とも全く、先生のおっしゃられるように飲む水、こういうことを考えてみると重大な問題でありますので、御指摘のように今後十分配慮して、飲む水が危険でない、そうして汚濁をしないように、これは環境庁と連絡をとりながらやってまいりたい所存でございます。
  137. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 琵琶湖の水を守る場合に、いま申し上げております規制の問題は最優先の施策であるという点はお認めになりますね。
  138. 金丸信

    金丸国務大臣 あの周辺においてはまさに最優先だと私は思います。
  139. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 水質保全対策の第二の点でひとつお尋ねしておきたいのは、一言で言えば琵琶湖周辺の乱開発規制であります。いま琵琶湖周辺は宅地造成、それからゴルフ場、それからさらに工場立地を中心とした湖東丘陵地帯の大規模な開発、東海道線からはいつも見えて気になる、伊吹山を削り取っておりますセメント工場などの放置、それから、湖四線が間もなく開通いたしますが、それを見込んでの湖西地域の開発、それから琵琶湖の水ぎわに立っております大規模な観光施設、それから琵琶湖パークウエーとか鈴鹿スカイラインとか、こういうふうな有料道路の開発等々、まさにもう理屈を言う必要はないと思うのです。目に余る事態なんです。この点については一般的に、この前の委員会の私の質問に対する答えの中でも、特別な水源地域につきましては特別な立法をもってそういうものの規制も必要であるかのような大臣の御答弁があったから、とりわけ急ぐ琵琶湖周辺については一般的規制ではなしに、やはり特別な地域としてこういう問題の規制について至急に考えていただきたい。そういう点で、もう少し具体的に大臣のお考えをひとつ聞いておきたいと思います。
  140. 金丸信

    金丸国務大臣 琵琶湖周辺の乱開発、こういうものは目に余るものがあるということは十分承知いたしております。そういうようなことを考えてみますと、あの一千万人の水源地である琵琶湖周辺のことでありますから、これらに対しては相当きびしい姿勢で臨むべきであるという意味で、私も規制する何らかの措置を講じなければならぬ、そういう意味で今後各省とも連絡をとりながら検討してみたい、こう思っております。
  141. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 かたがた、それは時期を急ぎます。それと、いわゆるざる法にならないようによく御検討いただきたいと思うのです。  それから三つ目の問題としては、先ほど大臣が御答弁になった下水道の整備の問題なんです。すでに琵琶湖周辺はいま流域下水道の建設が始まっておりますが、これがまたいろいろと問題をはらんでいるということについて指摘申し上げたいのです。  その前に、いただいております四十九年度の建設省重点施策では、ようやく重い腰を上げて下水道整備の飛躍的な発展をうたっていらしゃる。文章だけ見ればようやくわれわれの要望にこたえるようなポーズになっておる。かつて金丸大臣委員長をしておられたときに、附帯決議が下水道法改正に関して出ておるんでしょう。ここらが多少織り込まれるんじゃないかなというふうな施策と見受けるわけですが、具体的には、流域、公共について国庫補助率の大幅な引き上げは一体どの程度になるのか。事務当局から聞いておりますが、この席ではっきりさしておきたいし、下水の三次処理施設はどの程度の範囲でこれの建設を第四次五カ年計画で考えられようとしておるのか、そういう点をひとつお聞きしておきたいのです。
  142. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 建設省といたしましては、明年度から現在の五カ年計画を大幅に拡大、改定いたしまして、第四次の五カ年計画に切りかえたいと考えておりますが、その中で特に重点を置いている項目が補助率の引き上げでございます。具体的には今後予算編成の段階できまっていく問題でございますが、建設省としましては今後の下水道事業量の大幅な拡大の必要性等にかんがみまして、十分地方公共団体が施行にたえるような補助率アップでなければならないということで、流域下水道につきましては国庫補助率を四分の三、公共下水道については三分の二に引き上げるよう要求いたしております。  なお、三次処理につきましても、現在の五カ年計画では実験的に三カ所ばかりについて実施しているわけでございますが、今度の五カ年計画におきましては、特に急ぐような地域から一部三次処理にも実用のものとして取り組みたい、こう考えております。
  143. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 補助率の引き上げが具体的に出ましたが、確かにいままでに比べれば思い切った引き上げの目標だと思うのです。しかし、限られた短期間の間で下水道の普及をしようと思う場合には、それでもなお地方自治体の負担は非常に大きいということをいまの琵琶湖総合開発の中で示しておりますから、その点はひとつ大いに留意をしていただきたいと思います。時間があまりありませんから詳しい計算は申し上げませんけれども、琵琶湖総合開発特別措置法によって一定の下水道建設に対するかさ上げが行なわれておりましても、私の住んでおります石部町、人口わずか六千です。年間の町の一般予算の規模が三億余りであります。こういうところでも流域下水道だけで一億三千万前後の負担になってまいります。これに公共下水道を加えますと、これのさらに数倍の負担になります。しかも公共下水道のほうは受益者負担が伴います。また水洗化の負担も伴います。こういうふうな点を考えれば、これは容易ならぬ事態であるということは御想像いただけると思うのです。  特に滋賀県の場合は、県内住民生活環境の保全上、下水道が必要だということに加えまして、とにかく近畿圏一千万住民の水源を守るという使命のために、どうしても下水道建設は急がなければならないという義務を負っているわけです。ですからこういう点は、下流への新たな利水というふうなことは別問題として、琵琶湖の水をきれいに守るために、滋賀県がこの重大な使命を果たすために、さらに思い切った措置をお願いしたいという点で、特にいま都市局長が言われました補助率の引き上げだけではなしに、国庫補助の対象額を事業費に対して一〇〇%にするということ、公共下水道のほうも流域並みに七五%、つまり四分の三の国庫補助率にすること、また下水道の維持管理費、いま自治体負担ですね、これも国庫補助の対象にすべきだ、こういう点をひとつお願いしたいのでありますが、こういう点をひとつ考えられる意図はありませんか。まだいまからだったら間に合うと思います。
  144. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 下水道の建設費についての補助率の引き上げの建設省の予算要求率は先ほど申したとおりでありまして、そのとおりに実現すれば率に関する限りはかなり改善されると思います。先生指摘の、個々の市町村ごとにこれを算定いたしますと、短期間に巨額の事業を行なうということから算定いたしまして、それでもなおかつ相当の地元負担になるという問題はいろいろとあろうかと思います。起債等によりまして地方負担分の相当額をまた資金手当てするということも、自治省とともに努力いたしておるところであります。  御指摘の補助対象の範囲につきましても、現在すべてが補助対象になっているわけではございませんで、パイプの直径あるいは排水面積等によりまして、いわゆる末端部分については地方単独の費用負担ということにいたしておるわけであります。これの引き上げも確かに今後問題になってくるかと思いますが、当面の改定五カ年計画としては、補助対象率の引き上げということにつきましては遺憾ながら若干の引き上げにとどまらざるを得ないと私ども考えております。若干の改善をしたい、こういう意味であります。  なお、維持管理費につきましては、これは原則といたしましてやはり下水道使用料をもって還付するということであるべきだと考えておりまして、もちろん今後出てくる三次処理のための、いわば二次処理を越える処理に要する費用について維持管理費の問題等、個別にはいろいろ問題はありますが、しかし二次処理までの段階での維持管理費というものにつきましてはやはり使用料をもってまかなうということがたてまえであろうかと思いまして、そのような考えでおります。
  145. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員長代理 瀬崎君、時間ですから……。
  146. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 もっとお聞きしたいのですが、時間がないそうですから……。  さらに水質保全の第四の問題点としては、自然の浄化作用を保持する、これが非常に大事だと思います。すべて人工でできるわけがない。その点では新しい埋め立てだとかあるいは湖津地域をコンクリートで固めてしまうというふうなことは私は厳に避けなければならぬと思います。これは埋立法のときにもるる述べたとおりだと思うのです。こういうふうな形で水質保全の事業というものを最優先で行なうならば、これは滋賀県民だって大いに協力するだろうと思うし、上流下流の意見はぴたり一致するはずだと思いますし、またこういう水質の回復をはかることが量の確保にもつながってくることは、先ほど若干の例で申し上げたとおりなんです。   〔渡辺(栄)委員長代理退席、天野(光)委員長   代現着席〕  ですからそういう点で総合的に御検討いただきたいことは、まず第一に、いまつくられている琵琶湖総合開発計画の年度計画にあたって、まず水質保全の事業を先に持ってきてもらうこと。第二は、そうしながら水位低下を伴う琵琶湖総合開発計画の再検討をとくと考慮していただきたいこと。さらにその間、三つ目の点として、いろいろな科学的な調査をしながら、琵琶湖総合開発特別措置法そのものの洗い直しもお願いしたいというようなことを要望をしておきたいわけであります。  ただ、最後に、本国会では質問の機会がないようでありますから、先般問題になりました過去の琵琶湖の公有水面の埋め立て地の問題でいまひとつ大臣の所信を伺っておきたいのです。  この前、ここ十年来の琵琶湖周辺の公有水面の埋め立て状況がどういうことになっているのかという点について政府側から調査資料が出ました。これはけっこうなことだと思います。それを要約すれば、三つの埋め立て地を合わせて、埋め立て当初、自民党の河本嘉久蔵参議院議員と、河本氏が社長をしている綾羽工業で締めて百十四万平方メートル、伊藤忠不動産六万平方メートル、西武、安宅、名鉄、湯浅の大企業が三十二万平方メートル、そして全体の埋め立て面積百九十七万平方メートルのうち約七割、百五十二万平方メートルが自民党の政治家なりあるいは大企業の所有するところとなった。これがいろいろな経緯を経て、現在、河本氏と綾羽工業の所有地が四十六万平方メートルに減ったかわりに、綾羽工業の親会社ともいうべき伊藤忠不動産が六十四万平方メートルに所有地をふやし、西武、安宅、名鉄、湯浅は三十七万平方メートルとほぼ変わらず、結局今日大企業が保有している土地が百四十七万平方メートルであって、全埋め立て面積に対する占有率はたいして変わっていない、こういう現状なんです。これらの土地が現在あき地として投機の対象になっている、あるいはゴルフ場になっているということも調査されているわけです。  そこで、大臣は初めて聞いたのだということだった、あのときは。そしてそれを調査させよう。結果は、残念ながら事実が裏書きされた。あのとき大臣は、まず第一に、公有水面の埋め立ての意義、法の精神にもとるということの発言があり、第二に、ゴルフ場、遊休未利用地があるようだが、これは問題点だ、こうおっしゃった上、時間をいましばらくかしてほしい、こう言われたものだから、われわれも時間をおかししてきた。ところが、これの今後の行政指導なりあと始末について文書で事務当局に回答を求めたけれども、ついに間に合わなかったので、あえて私は本席をかりて——まさにこの法の精神にもとるような事態が起こっている、これがわかったわけですから、どのようにこれを処置することが政府として正しい態度なのか、その点を伺っておきたいのであります。
  147. 金丸信

    金丸国務大臣 琵琶湖周辺の問題につきましてはいろいろな問題が山積をいたしております。きょうも実は京都の学者が四、五人で参りまして、水質汚濁の問題について何とか考えてもらいたいというような意見、その他幾つかの陳情を私に持ってまいったわけでございますが、いろいろの問題があることも承知いたしております。しかし、私も瀬崎さんからいろいろ質問を受けまして、これは一回琵琶湖を見るにしくはないな、こういう考え方を持って、時間が許せばできるだけ早い機会に一回見せていただいて、その上で対処いたしたい。いろいろ報告も聞いておりますが、ぜひひとつ琵琶湖を見せていただいて、その上でなおかつ自分の考え方を申し上げたいと思います。
  148. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 琵琶湖を直接見ていただくということはたいへんけっこうだと思います。見る場合に、私たちがいろいろと訴えてきたことを十分ひとつ胸の中に置いて見ていただきたいのでありますが、ただ見ておくだけに終わらないようにあらかじめお願いしておきたい。特にもう公有水面を埋められ、それがゴルフ場や遊休未利用地になっているということは問題だと大臣もおっしゃっている。しかもそれが事実であることは少なくとも政府調査で明らかになったことだ。あとはこれをどう処置するかという問題が残ってきておるわけなんです。私はこういう点を聞きたかったわけなんです。  まず第一は、認可をした国は免許権者の県に対してどういう行政指導を行なおうとするのか。しかもこの埋め立ての場合、埋め立ての免許権者と免許を受けた側とは滋賀県の場合同一なんです。県と県の開発公社という関係、あるいは市の開発公社という関係になっているのです。そういう国の行政指導に対して県がどういう受け答えをしようとするのか。あるいはまた県が国の指導方針に従って何らかの処置をしようとしたときに、先ほど申し上げた自民党の政治家の方なりあるいは大企業なりがどういう対応を示そうとするのか、こういう点を私たちとしては特に知りたいわけなんです。これは滋賀県民が知りたいわけなんです。あるいは近畿一千万住民関心を持っていると思います。ですから、せっかく琵琶湖を見ていただくなら、私はそれまで待ちますから、そのときは必ず具体的にいまの回答を出してくださるようにここでお願い申し上げておきたいと思います。終わります。
  149. 天野光晴

    天野(光)委員長代理 北側義一君。
  150. 北側義一

    ○北側委員 時間がないようですから端的にお尋ねしてまいりたい、かように考えております。  都市計画法の第八条に基づく地域、地区の指定で風致地区を指定をしているわけです。同じく都市計画法の第五十八条では、この風致地区が「政令で定める基準に従い、都道府県の条例で、都市の風致を維持するため必要な規制をすることができる。」このようになっております。そこで、東京都のいわゆる風致地区の建築等の規制の基準はどうなっておりますか。これをお伺いしたいのです。
  151. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 ちょっと手持ちをいたしておりませんので、東京都の具体的な規制の内容はこの場ではお答えいたしかねますが、都市計画法の規定に基づきまして政令がございます。それで、許可される建築物の高さとか建蔽率とか壁面の後退といったことが政令に規定があります。それの範囲内で各県の条例で定めておるという実情でございます。
  152. 北側義一

    ○北側委員 言うてなかったので詳しい資料を持っておられない。私一応調べたのですが、間違っていないと思いますが、東京の場合の条例によりますと、住宅専用地域の第一種、ここでは建蔽率二〇%、二割ですね。高さ制限が十メートル、敷地から下げられる距離、これは道路から約三メートル、隣地から一・五メートル。第二種におきましては、建蔽率四〇%、高さ制限十五メートル、敷地から下げられる距離が道路において二メートル、隣地から一・五メートル、このように制限されておるわけなんです。このような規制によって、いわゆる建築、または宅地の造成、土地の形質の変更、このような制限がなされておるわけです。  御存じのとおり、先般地方税制の改正が行なわれたわけです。あわせて三年ごとのいわゆる評価がえの年がこの四十八年になりまして、この評価がえが、全国の地価の高騰によりまして、宅地に対する都市計画税及び固定資産税が非常に急激に増加されておるわけです。きょうは自治省の方もお見えになっておると思うのですが、この固定資産税及び都市計画税について、風致地区の場合は何らかの減税措置が講じられてあるのかないのか、どうでしょうか。
  153. 川俣芳郎

    ○川俣説明員 現行の固定資産税におきましては、都市計画上の風致地区につきまして固定資産税を軽減するということにはなっておりません。また個々の地方団体で風致地区にかかります固定資産税につきまして減免措置をとっているかどうかにつきましても、二、三調査をいたしてみましたけれども、減免はいたしておりません。  なお一般的に申し上げまして、土地利用上の規制があることによって、実際の取引価格が影響を受けるという場合におきましては、固定資産税につきましても、売買、実例価格を基礎とする評価額にその影響というものが反映されるということになろうかと考えるわけでございます。したがいまして、単に土地の利用が規制されるということのみを理由といたしまして、一律に減免するということは適当ではないと考えているところでございます。
  154. 北側義一

    ○北側委員 先般建設省から都市緑化の法案も出たわけです。私、ここで非常に重要な問題ではないかと思うのですが、たとえばいま東京都を見ましても、また大阪を見ましても、非常に緑が少ない。そして都市緑化のために都市緑化法案が出てきておる、こういう段階になっておるわけです。東京都の条例を見ましても、たとえば風致地区においては建蔽率が一種で二割、二種で四割、こうなっております。これは緑を残せというのです。ところがいまの答弁ですと、そういう緑は、規制地域については地価が下がっておるから、評価がえの土地の価格も安いから、いいであろう、こういう答弁だと思うのです。しかし、都市においてやはり緑を守らなければならない、そういういまの国政上の考え方からするならば、いまの答弁では私は納得できないと思うのです。そういう考え方じゃ、とてもじゃないが緑は残らないと思うのです。結局、そういう風致地区に住んだ住民が、たとえば評価がえまたは地価の高騰等によって、地方税法の改正によって非常に大きな固定資産税、都市計画税を払っておる。そのような膨大な値上がりをすると生活が成り立っていかないので、どうしても自分の、建っていない風致地区の土地を宅地にしてアパートを建てるなり、そういう何らかの工作をしなければ固定資産税、都市計画税を払えない。そういう段階も来ているんじゃないかと思うのです。  東京都の一例ですが、こうなっております。私、これを見て驚いたのですが、宅地全般についてそうなっておるのでしょうが、これは昭和四十六年度の固定資産税、都市計画税納税通知書ですが、両方合わせて七万九千五百六十円。それが昭和四十七年になりますと十万三千七百七十円。今度四十八年になりますと二十一万四千七百四十円、こうなっております。三年で約三倍になっておる。そうして規制はされるでしょう。アパートも建てられない。これでは風致地区を守れといっても、そういう風致地区におる住民はその規制によって税金だけはぼんぼん上がっていく。やはり固定資産税、都市計画税を何か減免するような一つの措置をしなければいけないのではないかと思うのです。都市緑化の立場から見ても当然そういう道が開けていなければいけないのではないか、このような考えを持っておるのですが、どうでょうか。
  155. 川俣芳郎

    ○川俣説明員 現在、現行制度上、土地の利用規制があるために固定資産税につきましてこれを非課税なり減免なりしておりますのは、一つには保安林がございます。それから自然公園法にいいますところの特別保護地区、さらには古都保存法にいいます歴史的風土特別保存地区、この二地区につきましては、地方団体において減免措置を講じた場合には減収補てんの措置を講ずる、そのようなことになっております。その他土地の規制につきましては、あるいは近郊緑地保全法でございますとかあるいは都市緑地保全法その他いろいろございますけれども、現在のところ固定資産税につきまして特に減免措置を講ずるということにはいたしておりません。今国会におきましても都市緑地保全法のほかに、国土総合開発法の改正でございますとか、各種の土地規制にかかる法律が提案されております。私どもといたしましては、これらの土地規制に関する制度が整備されました段階におきまして、固定資産税につきましてこれにどう対応するか、現在の軽減措置の幅を広げるかどうかについてはそういう段階検討いたしたい、かように考えておるところでございます。
  156. 北側義一

    ○北側委員 私、これはすべて減免せいと言うているんじゃないですよ。私が言うのは、やはり規制がある以上はそれにあわせて固定資産税、都市計画税を低くするような方向というものがなければ風致地区を保っていくのは非常にたいへんだということを言っているのですよ。そうしなければ、結局、片一方では規制しておる、都市計画税、固定資産税は普通一般と同じように上がっていく、これじゃ風致地区に入ったところの住民はたまったものじゃない、私、それを言っているのです。国総法で地域を五つに分けるとか、そういうことがいろいろきまってからやるとあなたはおっしゃっておられるわけですが、たとえば宅地の場合でもそうですね。今度固定資産税の評価がえと地価の高騰でずいぶん上がりましたね。これについて来年度は何ら手を打たないのですか。いま言ったこと、あわせて二つ答えてください。
  157. 川俣芳郎

    ○川俣説明員 最初の点でございますけれども、単に風致地区内にある土地につきまして、これについて減免すべきかどうかということについてはやはりいろいろ問題があろうかというふうに思うわけでございます。と申しますのは、風致地区内におきます建築物の規制等を見ますと、先ほどもお話しありましたように、建蔽率でございますとかあるいは建物の高さ等について制限があるということでございますけれども、他の土地規制にかかる法制に比較しまして風致地区の場合に特に規制がきびしいというものでもないんじゃなかろうかというような気もいたすわけでございまして、先ほども申し上げましたように、やはり総合的に他の土地規制の法制とも関連して考える必要があるんじゃなかろうかというふうに思うわけでございます。  それから次の、宅地にかかりますところの固定資産税についてお話がございましたけれども、四十八年度の改正におきましては、御案内のとおり五十年度でもって評価額課税を実現するということにいたしたわけでございますけれども、その際、住宅用地につきましてはやはり住宅政策等の見地からこれを軽減する必要があるというふうに考えまして、課税標準を価額の二分の一にするという改正をいたしたところでございます。今般の地方税制の改正に際しまして実は衆参両院の地方行政委員会で附帯決議がついておりまして、小規模の住宅用地につきましてはさらにその負担軽減について検討すべきであるということにされております。そういったことも踏まえまして、私どもといたしましては小規模住宅用地の負担の軽減について種々検討を現在いたしておるということでございます。
  158. 北側義一

    ○北側委員 建設大臣にもお願いしたいのですが、都市計画法で風致地区が指定されておりますね。いま言われたように非常に規制されておりますし、一種の場合と比較して二割しか建蔽率がないわけですね。高さ制限もありますし、たとえば非常に広い庭を持っておってもそれは全部固定資産税を払わなければならない、こういう実態なんですよ。そういう面もありますし、大都会におきましては、評価がえと地方税制の改正等によりまして非常に家賃が上がっておるのです。実際たな子と家主の間に家賃の問題で非常にトラブルが起きておる、こういう実態なんです。これは先ほど言われたとおり、小規模宅地については固定資産税及び都市計画税について考えなければならぬのじゃないかと思うのです。こういう点を何とかひとつ、来年度の法案が出てくるまでによく自治大臣とも相談していただいて、適切な処置をとっていただきたいと私は考えておるのです。ひとつよろしくお願いいたします。  では続いて、先ほど瀬崎委員からいろいろ質問になっておられたわけですが、琵琶湖の汚染が非常に進んでおります。それと同時に、京阪神の一千万の人々は琵琶湖にたよっておるわけです。淀川に取水口があるわけですが、上流の桂川、宇治川、京都府内の下水道が整備されておりませんので、そういう下水が流れ込んで急速に淀川が汚染されておる。先ほど大臣、琵琶湖のほうを一ぺん見るとおっしゃっておるわけですが、そのときぜひとももうちょっと足を伸ばして淀川の取水口、ここらもどれくらい汚染されておるか、一ぺん見ていただきたいと思うのです。いまのは要望です。  そういうことで、淀川については下水とか工場排水、こういうものが淀川に流入しないためのいわゆる保全水路、これを建設する、このような調査費が本年ついたわけですが、その見通し及び具体策、こういうものについてどうなっておりますか、それをお伺いしたいのです。
  159. 松村賢吉

    ○松村政府委員 淀川の保全水路についてお答え申し上げます。  淀川の水質保全ということにつきまして、流域下水道等の整備もやっております。しかしこれと並行して、淀川の河川敷に水路を設けまして、上流の桂川、宇治川、こういうところからの下水を受けて、これを河川敷の水路によって下流に持っていって処理するというものが保全水路でございますけれども、この保全水路につきましては四十八年度、ことし実施計画調査費がついております。しかし一方下水道等の新しい五カ年計画、これも検討されておるわけでございまして、この処理をどういう形でするか、こういう問題を下水道のほうの計画と相まってやらなくちゃならぬわけで、これらの調整もやっておるわけでございますけれども、私どものほうの今後の計画といたしましては、四十九年度、来年度もう一年実調をやりまして、それでできれば五十年度からは本工事に着工したいという考えでおります。できるだけ早くやりたいと思っています。
  160. 北側義一

    ○北側委員 時間が来たようでやめますが、この点早急にやっていただかないと汚染が非常に進んでおりますので、何とか早くやっていただきたい、かように考えております。  そのほか下水道の問題簿も質問がまだあるのですが、これは先ほど瀬崎さんがやられたことですから、あと国庫補助対象額がどうなるのか、私非常に気にしておったわけです。補助額が上がっても国庫補助対象額が上がらないと何にもならないわけですから、そこらのところも十分検討されておられると思いますが、後ほどこれについては個人的にいろいろ教えていただきたい、かように考えております。
  161. 天野光晴

    天野(光)委員長代理 新井彬之君。
  162. 新井彬之

    新井委員 初めに下水道のことをお伺いしようと思ったのですが、いままでの中であれ以上の答弁はちょっと出にくいと思いますので、それははしょります。  ただ今回、次の第四次下水道五カ年計画というものをやるにあたりまして、現在においても市町村においては非常な負担になっておるということをよくお聞きになっておると思いますけれども、考えていただきたいと思うわけです。先ほども補助率のアップということをだいぶ言われましたけれども、これはまあ前からもよく問題にされたことでございますが、いまも話がありましたようにやはり補助対象をもっと広げなければならない。現在五七・八%ぐらいの対象だと思いますけれども、それが百億なら百億という予算であれば補助対象になる分が五十七億しかない。あとはやはり単独の負担になるわけでございまして、そういうところは今後考えていかないと、事業費が大きくなったときに非常にまた市町村が苦労される。特に、いろいろの市によって違うところはありますけれども、姫路市なら姫路市という一つの市を対象として考えた場合、七百ミリなら七百ミリ以下のパイプというものは対象の中に入らない、こういうことになるわけです。そしてその費用が非常にばく大になっておりますために非常に苦労をしている。したがって、起債のワクを幾ら広げたところでこれはあくまでやはり借金ということで残るわけでございまして、そういうことをよく踏まえてひとつお願いをしたい、このように要望する次第でございます。  それから次にお伺いしておきたいことは、道路なら道路を建設する場合に、その近所の民家にひびが入ったとか、あるいはまたかわらがずり落ちたとか、道路工事に伴うところのそういうような事故があろうかと思います。そういう場合にどのような処置をとっておるかということでございます。
  163. 菊池三男

    ○菊池政府委員 ただいまの御質問は、道路の工事をやるときに沿道の人家にいろんな被害があるだろう、そういう場合にどういう補償をやるかということだと思います。道路工事をやりますときになるべくまわりの人家に影響のないような工法をとっておりますし、できるだけ被害を少なくするという形で工事の施行をやっておりますけれども、それでもなおかつ振動等によりまして屋根のかわらが落ちるとかあるいは壁に亀裂が入るというようなことがございます。そういう場合には、確かにその工事のためにそういう被害が起きたということがわかりました場合には当然補償をいたしております。ただこの場合に、やはりその工事をやる前とあとで、その工事に起因した、工事が原因となったといういわゆる証拠がはっきりしないものも中にはございますので非常にむずかしい問題ではございますけれども、考え方としては、工事に起因したものについては補償するということでございます。
  164. 新井彬之

    新井委員 そうしますと、いまお話ありましたが、それが起因したという証明というのは一体だれがするのですか。たとえて言いますと、工事をする前に全部写真をとり、あるいはまた確認をされている場合は、もう一度見に行けばわかりますね。しかしそういうことをやっていなかった、そしてそこにひびが入りましたということで、自治会長が中心になって、そしてこれはこれだけの被害がありましたということを正式に届け出た。ところがこれはそういう工事で起ったかどうかわかりませんので話し合いに応ずるわけにはいきませんということはありませんか。
  165. 菊池三男

    ○菊池政府委員 ただいまお話ししましたように、その工事に起因しているかどうかということが非常にむずかしい問題でございます。またその工事に起因しているかどうかということがその損失の補償ということにつながるわけでございます。最近の例で見ますと、やはり振動があるからというようなことで、あらかじめまわりのその振動があるというところを写真をとりまして、その後工事によってさらにひどくなったというのをまた写真をとったということで、証拠がはっきりしておって支払いした例がございます。それ以外に、ただあとからそのために起こったんだと言われましても、これは確かにそういうことがあり得ると思いますけれども、それのためになったんだということがなかなか確証が符にくいものでございますので、そういう場合にはわりあい早目に言っていただいて、そして早目にそういう写真等によるものをちゃんとそろえるということをやっております。ただあとから出ました場合には、そういう意味ではこれはもう直接影響はないんだというようなことで、あるいは地元の方からの要望に対してお断わりすることもあるかと思います。これは個々の例によりますので、一般的には先ほど申しましたように支払いするということでありますけれども、非常にむずかしい問題であります。
  166. 新井彬之

    新井委員 そうしますと、そういう工事をして、大体そういうことが起こりそうだということになった場合は、その写真を先にとっておかなければだめだということでしょう。そのとるのは自分でとった分ならいいのですか。それとも建設省がちゃんと事前に一ぺん証拠写真をとっておきましょうということでやらなければだめなんですか。その辺はどうなんですか。
  167. 菊池三男

    ○菊池政府委員 客観性があるためには、やはりこちらも立ち会いでとるというのがいいと思います。また現にそういうことをやっているところもございます。
  168. 新井彬之

    新井委員 そうすると、全体的にそういうことがはっきりしている場合はいいわけですね。しかしほとんどやはりその工事というものをみな信頼しておりますから、そんなことにならないだろうと思っていたのが工事中にそういうひびが入った。入ったから言いに行くわけでしょう。言いに行ったら、そのときの写真がないからだめだ、こうくるわけでしょう。そうするとそれは要するにきちっと判定できる人というのは最終的にはいないんじゃないですか。そのときの見ていた人がいるわけじゃないし、その家の人だって、くいを打ち込んでいるときにひびが入ってきたということが、まあ、ないところへ入っているのですから、それはそうだということがあとからわかるわけですけれども、それで言いに行くわけですけれども、そうするとだれにも支払うことはできないということになりますね。そうして、話し合いができるというのはどういうときにできるのですか。
  169. 菊池三男

    ○菊池政府委員 振動のために建物に亀裂が起こるというようなときには、工事を始めて突然翌日ぽっと起こるというものではなくて、やはりある期間を工事をやっていることによってそういうものが起きてくるものだろうと思います。そういたしますとやはり相当ゆれますし、そういう振動が伝わる、これは家がいたむからというようなことで事前に工事の現場のほうへ話がございまして、それじゃひとつ特にゆれる区間——これはまた地質によりまして、必ずその振動がどこにも四方に同じように伝わるのではなくて、やはり弱いところへ、直角より斜めの方向へ先にその振動がいくということもございますので、そういう地盤の問題やら、あるいは使っております施工機械の振動の状態ということを勘案いたしまして、なるほどこれはあぶないというときには、事前にそういうゆれるというような話を聞きましたら、立ち会いであらかじめ写真をとっておくというようなことをやっておるわけでございまして、どうもあとからなってきたということは、私どももそうでないということもその証拠がないわけですけれども、そうであるという証拠もございません。なるべく事前に、そういうような傾向が出たら早く立ち会いで写真をとるというようなことをやって、証拠づけて支払いしていくということをいまやっておるわけでございます。
  170. 新井彬之

    新井委員 それはほんとうにおかしいですよ。ということは、一般の道路工事というのはたくさんやっておりますからね。くいを打ったとか何とかで、初めからきちっと写真をとっておかなかったらこれは対象にならないのだということを知っている人はほとんどいないんじゃないですか。くいを打たれて初めてひびが入って、びっくりして、ひびが入りましたよと言ったら、それは証拠がないからだめなんだ。そうでしょう。そういうことであれば、幾ら善意の人がそういうことを言いに行った場合にも話し合いに応じられないんじゃないですか。  それともう一つは、そういう事故があった場合にその補償を支払うのはどこになるのですか。その工事をやった人のミスならば当然それはもう工事をした人のミスだということで支払うでしょう。しかし、正当な工法でもってやったけれども、さっき話があったように地盤がゆるんでおるとか、そういうようなことのためにひびが入ってきた、そういう場合には、そういう補償の予算というものは建設会社はとっておりませんね。したがってそういうようなときには一体どこがお金を支払うようになるのですか。
  171. 菊池三男

    ○菊池政府委員 ただいまのような場合には施行者であります発注者、たとえば国の仕事であれば建設省、県の仕事であれば県ということで、契約しております業者とは直接は関係ございません。ただ、業者の機械のミス、あるいは予定外のものを持ってきてもしやったということになれば、これは当然業者の責任になりますけれども、そうじゃない、設計どおりのものをやって、たまたま地盤が悪かった、あるいは工法的にその機械を使うことで被害が及ぶということがわからなかった、しかし現実に起こったという場合には施行者のほうの責任で支払いをするわけでございます。
  172. 新井彬之

    新井委員 ちょっと最後に大臣にそのことを聞いておきたいのですけれども——いや、あとでけっこうです。  もう一度局長にも念を押しておきますけれども、そういう問題が起こった場合は、とにかくきちっとした自治会なりあるいはきちっとした人がこうなりましたという書類を提出すれば、ケース・バイ・ケースで納得のいくような話はできるようになっていますね。これはできますね。
  173. 菊池三男

    ○菊池政府委員 先ほどから申し上げておりますように、それがはっきりその原因であるということがわかれば、これはどういう方法であろうともけっこうだと思います。
  174. 新井彬之

    新井委員 そこでさっきから言っているんだけれども、その原因のわかる方法というのは、結局は建設省なら建設省がそういう写真をとっていないとそうじゃないと言うのでしょう。これはそうらしいけれども、その証拠では最終的にいった場合にそうでないともいえるんだということで逃げちゃうわけでしょう。その辺はどうなんですか。
  175. 菊池三男

    ○菊池政府委員 その原因がそうであればもちろんこちらのほうの支払いでございます。ただ、いま言いましたように、その判断が非常にむずかしい場合がございます。そういう場合に、その所有者の方はそれが原因だったと言い、また客観的にはとてもそこまでいくはずがないという場合には、これはまた一つの判断をめぐっての争いになるかと思いますけれども、これはもう非常に個々の問題でございますので、納得がいけばお支払いすることにはやぶさかでございません。
  176. 新井彬之

    新井委員 大臣、いまの問題、もう一度申し上げますけれども、道路工事をした場合に、非常にたくさんのくいを打ちこんだ。そこで、一軒だけじゃなくてたくさんの方々の家にひびが入った、それでびっくりして、こういうわけでひびが入ったので直していただきたい、こういうぐあいに言いに行くわけですね。ところが、それはその工事でひびが入ったのか、前から入っていたのを便乗して言ったのかわからないから、それはできない、こういうようなことになるわけなんですけれども、一軒だけじゃなくて何軒も同じような状態で、うちもそうなんだという善意の方々がいた場合に、もともと建設省が初めからそういう写真をとってやるようなシステムになっていればけっこうですよ。そんなことを何もやらないで却下するということは、全部却下されるということにもなるわけですね。こういう問題について、確かにケース・バイ・ケースでありますけれども、建設省としてはそういうことの解明についても善意をもって全力をあげてやられるのかどうか、その辺をちょっと大臣にお伺いしておきたいと思います。
  177. 金丸信

    金丸国務大臣 先ほどから道路局長といろいろお話し合いをしておったようでありますが、原因がわかれば払うことはあたりまえなことで、先ほど先生からお話がありましたようにいわゆる原因がなかなかむずかしい。しかし、一軒の家だけではむずかしいが、六軒、十軒、二十軒ということになれば、なるほどという判断もつくだろう。あくまでも善意で解釈するという方向でこういう問題の処理はいたすべきだ、こう考えております。
  178. 新井彬之

    新井委員 もう一つそれに関連して、陸橋があるわけですね。そこの陸橋を大型トラックが通るために夜間にはもうとにかく中くらいの地震のように動くわけです。それについては市の公害対策課も、これはもうえらいことだと言っている。家の屋根も、だんだんかわらが落ちてくるような状態になってきているわけです。それもたくさんあるわけですね。一軒だけじゃないわけです。そういうような振動に対しては道路そのものを変えなければいけない、あるいはまたその近所に対する補償ですね、そういうような問題についてはどのようにお考えになっておりますか。
  179. 菊池三男

    ○菊池政府委員 先ほどのは工事中の、わりに原因がはっきりした地区に対する補償の問題でございます。ただいまのお話は、今度は工事とは関係なしに、たとえば重量が大きくなった、荷重が大きくなった、あるいは交通量がふえたために、いままでは何ともなかったけれどもそういうものが起きてくるという問題のように思います。先ほどの原因がはっきりしているときと違いまして、今度の場合、全般的な荷重の増加あるいは交通の増ということになりますと、確かにその沿道の方に御迷惑をかけておることは事実と思いますけれども、これは道路そのものが直接の原因であるからということで補償なりまた何かの手当てをするということは、実はまだ特にそういう事例もございません。あることはありましても、これは受忍の範囲ということで、やはり皆さんにがまんしていただいておるというのが実情かと思います。
  180. 新井彬之

    新井委員 たくさんの道路の中には少々のゆれがあるとかいろいろありますけれども、それは中ぐらいの地震のようにゆれるというのですよ。かわらまで落ちてくるのです。これはほっておいたら家がつぶれちゃうじゃないですか。それを受忍しろということは早く死ねということなんですか。おかしいじゃないですか、そんなことを言っているのは。そうでしょう。それも原因がはっきりしているわけでしょう。大きい車が通るからですね。だからそれをすぐ見に行って、そこを直すなら直す、あるいはまたかわらの落ちるようなところは修繕するというのが当然だと思うのですよ。日本全国でそんなところなんかそんなに数がないわけでしょう。そんなにあるわけですか。
  181. 菊池三男

    ○菊池政府委員 先ほど私は一般論で申し上げましたので……。ただいまのようなお話は全国至るところにということではないと思います。実は私どもも家の横は相当に車が通っておりましてゆれますけれども、そういう、家がいたむほどのゆれというのは相当なところであろうと思います。そういう場所であるとすれば、これは道路の構造との関連もございますので、たとえば構造物なんか、横が橋であったような場合には根が深く入っておりますので案外震動がなくて、かえって盛り土をしている場合にその震動が横へ移るということが多いのですけれども、そういう非常に強い場合にはさっそく調査をいたします。
  182. 新井彬之

    新井委員 では時間ですからこれでやめますけれども、大臣、市の公害対策課のほうもこれはたいへんだ、こういうふうに言っておるわけです。騒音と震動ですね。それから地域の方々も、寝るのに、家がつぶれちゃいけないから、悪い家じゃないのですけれども、ちゃんと服を着て寝ているのです。戦争中と全く同じなんですよ。その方は非常に気が小さいといいますか、そういうことに神経質な方だとは思いますけれども、そういうような道路が国道であるということは、私はやはり建設大臣にほんとうにお願いをして直していただきたい、このように思うわけでございます。この点要望しておきますので、ひとつよろしくお願いいたします。
  183. 天野光晴

    天野(光)委員長代理 渡辺武三君。
  184. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 極端に時間が制約をされております。したがいまして、私の質問に対してはイエスかノーかでお答えを願いたい。お願いをしておきます。  まず住宅問題についてお伺いをしたいわけですか、御承知のように、政府がつくっております第二期住宅五カ年計画を見ましても、その総トータルは相当な戸数になるわけですが、実際に政府資金、公的資金によって建設をされる住宅戸数といりのはその半分にも満たない、それが実態であるわけでございます。したがって、いわば国民の側から見れば多分にインチキ性を含んだ住宅建設計画といわざるを得ない。何百万戸つくります、こう言いましても、それは実際にはその計画を発表された当局がつくるのではなくて、その半分以上は、六割近いものが国民の自力建設にまっておるという計画ですから、ほんとうにそれが計画と言えるかどうかすら実は疑問であるわけです。そこでまあ第三期住宅五カ年計画も策定をされるでしょうが、私はそういう場合に、はっきり民間自力建設などというものはその計画の中から除外すべきではないか。民間自力建設で頼みとする戸数、これはまた別に推定をおあげになるのはけっこうでございますが、建設計画そのものの中にそういう数値を入れるべきではない。こう考えるのですが、いかがですか。
  185. 沢田光英

    ○沢田政府委員 第一期、第二期の住宅五カ年の組み立て方は、五カ年で総数で、たとえば第一期では六百七十万戸、第二期では九百五十万戸を計画をする。その中で公的資金によりますものは四割、第二期でございますと三百八十万戸、かような数字でございまして、その三百八十万戸を公的な資金で達成をしようということで努力しておるわけでございますが、三年目を迎えましていろいろ困難はございますけれども、計画の手法としてはさようなことでございますので、次の五カ年計画はどういうふうに計画を組むかということはまだ決定はしておりませんけれども、やはり公的資金による住宅というものは一応あがってくるのではないかと思います。
  186. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 公的資金による建設計画は、これははっきりお出しになっていただいてけっこうだと思うのです。その総トータルの中にいわば民間自力建設、他人のふんどしで相撲をとるような状態のものまでも全部一緒に入れて第二期住宅五カ年計画を九百五十万戸だ、こういう発表は私はどうかと思う、こういうことでございます。
  187. 沢田光英

    ○沢田政府委員 五カ年計画は、五カ年の総需要は幾らか、フローは幾らかというものを計算してございまして、これは人口の動態、世帯の動態、そういうものから五カ年に九百五十万戸の住宅供給されなければならない、こういう数でございます。したがいまして、その中、所得階層から公的資金を要するものが四割だ、そのような計画になっておるわけでございまして、特に民間住宅を強調したということではございません。
  188. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 議論をしておると時間がたってしまうわけですが、九百五十万戸の住宅需要がある、こういう推定のもとにお立てになる計画としてはきわめて貧弱ではないか、こういわざるを得ない。そのつじつまを合わせるために民間自力建設をも含めて、さも建てるがごとき、それを充当するがごとき計画というものが成り立っているのではないかという疑問がある、こう言っているわけです。だから、これからお立てになる計画はそういうインチキ性というものを除外をして——インチキ性というとこれはことばが過ぎるかもしれませんが、そういうのを除外をして、はっきりと、その総需要を予測しながら国としては一体何ぼ建てるのだ、こういうことを明示される必要があるのではないか。そうでないと、どうも最近の傾向を見ておりますと、本来どんどんと増加をしていかなければならない公共住宅と民間自力建設との比率が非常にかんばしくない方向に行っているのではないか。住宅不足、需要の面から見れば相当数不足している。にもかかわらず、実際に国民が欲している公営住宅等が率的に見ればたいへん縮小されてしまうような、そういう傾向が出ているのではないか。本来ならば私は公営住宅そのものがもっともっと比率が高まっていかなければならぬ、こういうふうに考えるわけです。計画そのものから見ても、そういう基本的な姿勢にちょっと疑問に思わなければならぬというような点が非常に多い。こういうわけですから、再度局長の御答弁を願います。
  189. 沢田光英

    ○沢田政府委員 計画は、やはり需要戸数とともに所得階層別に、住宅の価格とそれから負担力、こういうものを比較しながら、公的資金に入れるべきところと、しからざるところに分けて計画しておる次第でございます。その中、五分位階層に分けましておおむね一分位から二分位のまん中あたり、これを対象にいたしまして新たなフローとして公営住宅供給するということで、計画時点におきまして当初あげました九百五十万戸、三百八十万戸のうちの六十七万戸というものが計算上出てきております。これで私どもの計画がそのままいけばよろしいわけでございますけれども、その後の物価の変動、こういうものがございます。したがいましてそういうものが多少狂ってきておるという点も一つはございますが、ことに狂っておる面の大きな問題は、計画はいいのでございますけれども実施が進んでいない。ことに四十八年度、四十七年度につきましては計画戸数がなかなか遅延しておる、そういう面で狂いが非常に出てきております。したがいまして、こういうものに対しましては土地の緊急手当て、それから関連公共施設の手当て、そういうことでとりあえず五カ年計画というものを完遂するという目標に向かって私どもは邁進をすべきである、かように思っておる次第でございます。
  190. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 五カ年計画、とりあえずいま出ておるものを遂行するごとく邁進する、それはあたりまえの話であって、私は、その中にインチキ性が含まれておるので、今後お立てになる場合はそういうものを除外しておやりくださいよと、こう言っているわけです。いま問題をとやかく言うたってしようがないわけですから、すでに進行してしまっているこれはもう、できるだけ計画されているものが完遂できるような努力を当然していただかなければいけないわけであって、これからの計画についてはなるべくそういうことのないように、はっきりとほんとうに公的資金で建設する戸数のみ計画する。そうしますと、本来ならば住宅需要というものは相当大きいのだけれども、まだまだこの建設省が扱う住宅政策が不足をしておる、こういうことがはっきりわかってくるわけですから。いま九百五十万、戸数が要り用なんです、第二期住宅五カ年計画で九百五十五戸、それを満ぱいにするのです、これを達成できれば国民住宅不足はなくなります、こういう説明を委員会ではしていらっしゃるのですから、私はそれはおかしいではないか。その九百五十万戸を満ぱいにすればとおっしゃいましたけれども、そのうち六〇%は実は民間自力建設に依存しておる、こういうことですから、本来おつくりになるところが計画の中にそういうものをお入れになること自身がおかしいのだ、こういうことを言っているのですからお間違いのないようにしていただきたい。討議をしておると時間がないので次に移ります。  先ごろ建設省が民間木賃アパートについていろいろ実態調査をなされたと思います。これは特に三大都市を中心にしておやりになったようですが、その結果について簡単にお知らせいただけませんか。
  191. 沢田光英

    ○沢田政府委員 仰せの調査は本年二月に行ないました。いままでも木賃住宅調査はございますけれども、目的といたしますものは、特別賃貸住宅制度というものを四十八年度に新たに設けましたので、そのための資料を収集するということで調査をしたわけでございます。  大都市地域のみでございますが、その内容を申し上げます。たとえば、全国平均でいいますと、部屋数は平均をいたしまして一・五である。畳数にいたしまして六・七である。便所を共用しておるもの、これは六〇%をこえておる。あるいは平均の入居人員は二・二人である。あるいは家賃は平均でいいまして一万二千百円程度である。お入りになっておる人の年収は百十三万四千円程度である。それぞれ東京地区、大阪地区、名古屋地区では性格の違う数字もあらわれておりますが、概要はそのようなものでございます。
  192. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 そういう実態調査の中から今後の住宅政策にどのようなことを反映をしていこう、こうお考えでしょうか。
  193. 沢田光英

    ○沢田政府委員 まず、私がいま申し上げましたことで、収入階層から言いますると大体一分位、二分位の人たちがこういうものにお入りになっておるという現象が一つございます。もう一つは極端に住宅の質が悪い、こういう問題が浮かんでおります。したがいまして、この質を改善する方法を考えなければいけない。こういうものが世の中に新たに生まれることを押える、あるいは古くできておるものを建てかえていかなければいけない。それの手法といたしまして私どもは、階層から見ますれば公営住宅を中心にいたしまして供給を大いに進める、これが基本だと考えております。さらには新たに発生する木賃住宅をなくする、あるいはいま建っておるものを建てかえていく、こういうために新たに設けました利子補給制度、こういうものに力を入れていかなければいけない。こういうことの数字的な把握を実はしたわけでございまして、いずれも私どもの判断はたいして間違った方向ではなかった、ますますこれは助長しなければいけない、かような資料を得たわけでございます。
  194. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 実態調査の結果お考えになったことは、本来実態調査をやらなくてももうすでにわかっておったことなので、こういう低質な、悪質なといいますか、本来人間として住むにたえないような設備の悪い住宅、これはたくさんある。それらを押えていくためには公共住宅をふやしていかなければならないのだと局長自身がおっしゃっておるのです。こういう質問になるとそうおっしゃるのですよ。公共住宅を非常にたくさんつくって、そしてこういう悪い質の民間木賃アパートの建設を押えていかなくちゃならぬ。ところが五カ年計画等になってくると、それが実は四〇%に満ちていない。その四〇%の中には、いわゆる住宅金融公庫制度を使った、半分以上も、六割も七割も自己資金で建てるというものまでも実は公共住宅の中には含まれてしまっているわけですから、ほんとうに全額を公共団体が出資して、そして住民の利用に供するという住宅はきわめてわずかになってきてしまっているのです。私は、実態調査を待つまでもなく、そういう方向は当然政治が考えてやっていただかなければならない問題だ、こう考えるわけです。  そこで、木賃アパートの改良促進策として、これはたしか前大臣の、木村大臣でしたかの提唱による利子補給制度がつくられておると思いますが、その利用状況をちょっと調べてみますと、たいへん悪いというふうに私は思うわけです。建設省が把握をしておられます、せっかくつくった特定賃貸住宅建設融資の利子補給制度というものがどのように利用されておるのか、お聞かせを願いたい。
  195. 沢田光英

    ○沢田政府委員 この制度は、実は本年度初めてできた制度でございます。それまではいわゆる農地所有者等賃貸住宅の制度がございましたけれども、都会におきます土地持ちの人が良質低廉な賃貸住宅供給するための利子補給制度は四十八年度に新たにできました。したがいまして、これをやる制度も違っておりますので、四十八年度におきましてはこれの要綱を実はつくって、ただいまその仕組みをつくっておる最中でございます。と申しますのは、これは地方公共団体が利子補給をする。所有地に良質な賃貸住宅を建て、ある程度家賃制限をつけましたものを建てるときに、銀行からお金を借りる。その八分五厘というものから五分まで利子補給をする。そのときに地方公共団体に対して国がその半分の利子補給に当たる補助をするという制度でございまして、したがって地方公共団体でそういう制度を発足させる必要がある。そのために私どものほうが要綱を書きまして、それによって地方公共団体、現在おもに東京、大阪がこの準備をどんどん進めておりますが、そういうものが予算措置なり議会の決定なりということでどんどん進めております。したがいまして、こういうものが実施に移されたものは一件もまだございません。しかし、これに対する公共団体あるいは木賃の経営者あるいは木賃の入居者、こういう者からの問い合せ等、非常に多うございまして、こういうものが大いに発展すると私どもは考えておる次第でございます。
  196. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 実際に制度が発足をしてからすでに半年経過をしようとしておるんですが、いまだにまだ手続の段階だということでございますので、私はもっと早くに実態調査もおやりになり、こういうものを押えていかなければならない、あるいは質を向上しなければいかぬ、一面ではそういうことがいわれておるんですから、せっかくできた制度をもっと有効に活用できるように促進をしていただきたいということをお願いしておきます。  それから住宅金融公庫の融資制度についてお尋ねをしたいんですが、これはこの前、昨年度も実は大きく新聞に出ておりましたのは、建設省が四百万円という数字発表され、実際に決定したのが二百五十万円、ことしもすでに新聞発表になっておりまして、来年度は七百万円を貸与したい、こういうアドバルーンが上がっておるわけですが、これはほんとうにそれを実現をする決意があるのかどうか、大臣にお伺いをしておきたい。
  197. 金丸信

    金丸国務大臣 二百五十万という融資では焼け石に水だという感じがいたしております。そこで私もこの予算を要求するにつきましては、大蔵大臣にも会いまして、二百五十万でいま家が建ちますかということからいろいろ折衝した結論のもとに、少なくも七百万程度の融資ということにならなければ——これとても十分ではないと私は思うが、建設省としては七百万という要求を出す。ぜひこれだけは考えてもらわなくちゃ困る。福祉国家建設も、青年の夢もなくなるじゃありませんかというお話を申し上げまして、出してくださいということですから、これから予算の獲得の時期、決定の時期になるわけでありますが、私が建設大臣をやっている限りあくまでもこの額は確保する決意であります。
  198. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 この件は住宅金融公庫法の改正の場合にもいろいろ論議をされました。特に現在は、せっかく法律に載っているにかかわらず住宅用地費に対する融資がなされていない。法律をよく見ていくと用地費にもほんとうは融資ができることになっておると思うのだけれども、現実にはされていない。するべきではないか、こういうふうに論議がされたわけですが、来年度は一体その土地の購入分については融資を拡大するのかどうか。拡大するとすれば一体どの程度やられようとしておるのか。ほんとうに、大臣もおっしゃっておるように、七百万円でも相当いなかへ行かなければ実は住宅は建たない。小さな住宅しか建たないんです。それが現状なんですから、本来七百万円でもほんとうではないといえるくらいのインフレの状態が続いておる。特に最近のこの数カ月、半年くらいというのは建築資材が膨大に値上がりをいたしておりまして、これは公共住宅そのものを直接お建てになっておるわけですが、もう追加予算を組まなければ公共住宅そのものが建設できないというような状況に追い込まれておるんですから、来年度七百万円ならば、もういまの時点では七百万円ですらこういう現状にあるんですから、私はこれから一銭一厘たりとも削られないようなほんとうにしっかりした決意で大蔵省との折衝に当たっていただきたい。こう考えるわけでございますが、とりあえずその土地の購入分をどうされるのか、お答えを願いたい。
  199. 沢田光英

    ○沢田政府委員 建設委員会で公庫法の改正の際にもいろいろ御議論ございました。現在ほとんど公庫は土地に個人融資はしておらない。もちろん項目といたしましては十数%のものはございますけれども、これは区画整理あと地とかあるいは公共宅造とか、こういうもののときに例外的に貸し出すということでございます。  今回七百万円の考え方は、これは全面的に土地にも融資をするという考え方でございます。内訳から申しますと、おおむね四百万程度が建物ということになっております。残りが土地費ということでございますが、土地費がそれじゃ十分かというと十分ではないと思いますが、しかしこの七百万というのは別の考え方から一ついっております。といいますのは、ただいま五十キロ、四十キロのあたりのところで八十平米の二戸建ての木造を手に入れるといたしますれば一千万をこえる。一千百万とかそういう数字になろうかと思います。こういうものを二百五十万程度の中堅サラリーマン、これはほんとうの中層、一番多い階層でございますが、この人たちがその所得の中から月々の割賦が払えるという状態は、公庫の低利資金が七百万なければだめだ、あとは自己資金と銀行融資をわずか借りる、この程度のミックスをしなければ最小限処置がつかない、そのようなことで七百万というものを算出したわけでございます。内訳は先ほど申したようなことでございますが、必ずしも内訳から積み上げたというよりも、その割賦返済の能力のほうから七百万というものを出してきたということでございます。
  200. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 大臣は次の会議があるようでございますので、どうぞお帰りになってけっこうです。大臣に対する質問はまたいずれやらしていただきたいと思います。  次に移ります。土地問題に若干入りたいと思うのです。最近の傾向を見ておりますと、いわば宅地の細分化がどんどん進んでしまっておる、こういうことが目につくわけでございまして、東京都内の二十三区を調べてまいりましても、四十三年度から四十八年度、この五年間のうちに二十数万筆の分筆がされておるわけでございます   〔天野(光)委員長代理退席、渡辺(栄)委員長代理着席〕 これは年々宅地の細分化が実は行なわれておるわけでございますが、はたしてこれでいいであろうか。もちろんこれは地価の問題との相関関係によって、需要者のほうが理想とする宅地を購入できない経済的な問題がこれに介在をいたしてまいるわけでございますけれども、このような宅地の細分化そのものは、ほんとうに将来の質の高い住宅を欲する状態になったときにかえって障害になるのではないか、こういうことが考えられるわけですが、その辺に対する御見解を承りたいと思います。
  201. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 お説のとおりに、特に大都市におきましては宅地細分化が著しく進行している状態でございます。これはひいては居住水準の低下、それから庭等が喪失いたしまして、分割されることによります防災上の問題等を生じます。さらに木造建物の敷地の上に耐火性の建築物が建つというような傾向もこれに加わりまして、そのための交通発生量がふえるのに対する都市計画上の機能の障害というような問題が出てきておる、そのような感じを持っております。このような細分化傾向は地価の高騰ということが基本的にはその原因でございます。したがいまして、われわれはこの住宅地域、特に住居地域等につきましては必要な公共施設等のオープンスペースを広くとるとか、そういう方法によって対処する、こういうことを現在のところ考えておるのでございまして、宅地の最低敷地をいかようにするかという問題につきましても、今後の問題として検討すべき問題と考えております。
  202. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 御承知だと思いますが、アメリカでは土地の細分化規制というものが、実際規制措置がとられております。この米国の土地細分化規制というものに対して建設省はどのようにお考えになっておるか。あるいはそのほかに宅地の細分化を防止するような効果的な措置というものを何かお考えになっておるのか、お聞かせ願いたい。
  203. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 いまおっしゃいました細分化規制という手法は、おそらくアメリカにおきまして一九二〇年代から行なわれ出しました宅地分割規制、サブディビジョンコードという、州の授権に基づいて各市が条例で行なっております規制の問題だと思います。これによりますと、宅地を新しくつくりますような場合に、敷地の位置あるいは街路の位置あるいは公園の位置等々をすべてきめまして、これを登録いたしまして、そのとおりに建設しなければこれに対して使用禁止その他の制限をかける、こういう立法が大体四十三州くらいにおいて行なわれておるというふうに承知しております。わが国におきましても、都市計画法に基づく宅地の造成につきましては、新しくつくる場合の造成につきましてはこれを開発許可にかけまして、都市計画法上の必要な街路あるいは排水路、それから敷地の位置等はきめますが、その一たんきめられました敷地につきまして、これを再分割することについての規制の法律を現在持っておりません。
  204. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 ここからもいわば土地政策の欠陥というものが見られるわけですね。宅地の細分化の根本的な問題は地価の異常な高騰、住宅を欲する場合に、経済的に理想とする土地が買えないからぎりぎりのところまで狭めていくということになってまいるわけですから、それを規制をするといたしましてもやはり根本的な問題は解決しなければいかぬ。ために土地政策の確立というものは一日も早い確立が望まれるわけですが、たまたま出してくる法律の中に抱き合わせ的に、国総法のようなものの中に土地規制を入れるということではなくて、各面にわたる土地問題の波及というのがあるわけですから、そういう面から見ても土地政策の確立という基本的な問題に一日も早く取り組まなければいけないのではないか。国総法の中に若干の土地規制が盛られているからそれで事足れりとすべき問題ではなくて、実際にいろいろな問題に実は波及がしてきておる、こういうことを十分に御認識を賜わりたいと思うわけでございます。  それから、最近建設省発表の中で宅地開発公団というものを設けるとかいうようなことが新聞報道をされております。これは一体どのような構想に基づいておるかよくわかりませんが、いままでの機構の中で日本住宅公団というふうなものもある。これもやはり宅地造成等を行なっておる。この辺との関係は一体どうなっておるのか。あるいは民間デベロッパーとの関係は一体はどうなのか。いろいろな問題があろうと思いますが、具体的にはどうしていこうとなさっておるのか、簡単に御説明願いたい。
  205. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 現在われわれが予算要求といたしまして宅地開発公団の要求をいたしておりますが、その趣旨とするところは、三大都市圏を中心といたします大都市につきまして、特に大規模な宅地開発をすることがきわめて困難な状態にだんだん立ち至ってきております。これを打開いたしますために、従来の住宅公団の宅地部門がございますけれども、この宅地部門と別個に宅地開発公団という新しい、みずから関連公共公益施設等を整備する権能を有し、かつ交通施設あるいは水の問題等をみずから管理経営するところの機能を持った町づくり公団としての宅地開発公団が必要である。それに伴いまして、住宅公団は現在の、住宅、特に集合住宅を中心とする宅地開発の権限は残しながらも、新しくそういった宅地分譲を主体としまして、さらにそういった新住宅市街地をつくるところの強い権限を持った公団が必要である、こういう趣旨から、その中には持ち家住宅供給をもそのおもな目的の一つに加えまして要求しておる、こういう次第でございます。
  206. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 大体三大都市圏の中で百万戸分ですか、その宅地を造成したい、こうおっしゃっておろうかと思います。価格は十万円前後だ、こういう発表新聞報道されておるわけでございますが、現実の問題としていまの三大都市圏の中でそのようなものが実現できるのかどうか、きわめて疑問に思わざるを得ないわけでございまして、実際の対象地区としては一体どうなっておるのであろうか。あるいは公有水面でも埋め立ててそれをやろうとなさるのか、あるいは全然いま開発が事実上禁止をされております調整区域等々のいわば山林地帯の開発をもくろんでおられるのか。そうだとすればこの三大都市圏という圏は一体どの程度の規模を考えておられるのか、この辺をちょっとお知らせください。
  207. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 まず最初に、三大都市圏は東京圏、近畿圏、中部圏、この住宅難の都市地域についてその公団の対象地域を考えております。  それから次に、現在の住宅公団が行なっておりますような宅地開発の規模よりも相当大規模なものを考えていくべきであろうと考えております。したがいまして、例をあげますれば、いまの多摩クラスとかあるいは北千葉というような、ああいった大規模な一千ヘクタールクラスのものが標準的に考えられると思うのでございます。  それで、これにつきましては長期計画としてどれくらいの対象面積を持つべきかということにつきましては、まだはっきりとそこまでワクをきめておりませんけれども、百万戸というようなことがいわれておりますが、われわれとしては百万戸を目標とするという長期計画はまだ持っておりません。これから検討する段階でございますが、いずれにしましてもそういう大規模な団地をつくりまして大量の宅地供給をしていこう。したがってそれには、現在のたとえば東京でいえば相当距離的にも遠くなりますから、通勤可能圏とはいいながら、それらの団地につきましては、先ほど言いましたような交通施設とかあるいは水の供給手段というものを同時に持たせなければなりません。  その価格につきましては、新聞等に三万円くらいあるいは十万円というようなことが出ておりましたけれども、その価格はわれわれはまだ試算しておりませんが、いずれにしましても比較的安い価格で提供することがこの公団の任務でございますので、政策的な価格を織り込んだ低廉な住宅宅地の供給を考えたいと思っております。
  208. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 まだほんとうは討論が不十分で、たくさんあるわけですが、大蔵省と住宅金融公庫からせっかくおいでをいただいておるそうでございますので、そちらのほうにちょっとお尋ねをしておきたいのです。  先ほど大臣にもお尋ねしましたように、本来住宅金融公庫の融資額そのものの決定については住宅金融公庫の所管であるべきであって、住宅金融公庫が算定をされ、そして建設大臣の認可を求める、こういう法制上の仕組みになっておると思います。そこで建設単価は幾らなんだというやりとりが前々の委員会でもあったわけでありますが、大蔵省の査定によってある程度削られてしまうとそれを逆算して建設単価を割り出してくる、こういう実は逆な現象が起こっておる、こういう指摘をしておいたわけですが、今回の建設省案といいますか、すでに新聞報道されております七百万、これについては金融公庫はどのようなお考え方でございましょうか。
  209. 小熊孝次

    ○小熊説明員 お答えいたします。  先ほど住宅局長からお話がございましたように、来年度は個人貸し付けで七百万融資ができるように要求しておりまして、われわれとしても大いに努力したいと考えておる次第でございます。今回の法案、審議におきましてもいろいろ御議論いただきまして、また御批判をいただいたわけでございますが、従来標準建設費が低いという問題がございまして、今度の七百万円につきましては、できるだけ現在の実勢価格というものを基礎にいたしまして、そうしてそれにある程度、来年度の問題でございますからそれについての伸びというものも考えまして、そうしてそれに面積、それから融資割合というものをかけまして七百万円の要求をしているような次第でございます。もちろん、今後建設費についての物価上昇がどうなるかというような問題については、現在要求時点におきましては来年のことは必ずしも確定できませんけれども、できるだけ現在までの実勢を織り込みまして、さらに来年度の趨勢も織り込みまして要求しておる、こういうような次第でございますので、必ずしも七百万円でも、先ほど大臣からお話がございましたように十分ではないかと思いますが、その線はぜひ実現いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  210. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 私ははっきりしておいていただきたいと思うのは、法のたてまえ上、建設単価というものが実勢価格から割り出されてまいりますね。それがきまって、そういう積算のもとに幾らという金額が出てくると思うのです。ところが政治的な解決によって融資限度というものがきめられてしまうと、その根拠は何かという質問に対してはまた苦しまぎれの答弁しかできなくなってくる、こういう実態になろうかと思います。だから私は、本来実態調査をされて——実勢価格がむしろ暴騰することはあっても下がるということはあり得ないわけですから、これはもう厳然と住宅金融公庫が調査をなさって、正確なものを表示をなさるべきではないか。それはたとえ財政上の理由から政治的に解決がはかられたとしても、その単価というものは切り下げるべきではない、こう考えておるわけですが、いかがでしょうか。
  211. 小熊孝次

    ○小熊説明員 お答えいたします。  従来の標準建設費につきましては確かに御指摘の点があったと思いますが、われわれといたしましてはできるだけ実態に近い単価で要求しまして、そしてそれに融資限度がどの程度であるかという問題は確かにいろいろな見方があると思いますけれども、その水準そのものが実勢と離れるということは好ましくないと思いますので、そういうふうにわれわれとしても努力したいと考えております。
  212. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 その辺、実ははっきりしておいてもらいたいと思います。強く要望をいたしておきたいと思うのです。  次に大蔵省にお尋ねをしたいのですが、御承知のように公団住宅の家賃も非常に上がってまいりまして、実際に入る方々は収入からの制約も受ける、こういう現象が出てまいっておるわけでございます。一方、生活水準のアップによって家屋の質的な向上というものを考えていかなければいかぬ。これは先ほど住宅局長が御答弁なさったとおりでございまして、低質な住宅からなるべく質的にも向上させていかなければいかぬ。そうなりますと、勢い賃貸住宅の家賃は相当な暴騰をせざるを得ない。加えて最近の地方税法の改正による固定資産税等の膨大なアップによって、実は家賃そのものが非常な勢いで上がっておるというのが実態であるわけでございます。  そうなりますと、これは当然相当生活の圧迫要因というものが拡大をしてまいるわけでございますが、これもいつか建設大臣が政治的な発言として、家賃のストレートな補助、こういうものを考えなければならないときが来るだろう、こうおっしゃっておったことがあるわけですけれども、それは政策的におやりになるとして、大蔵省自身はこの家賃そのものの税制面からくる控除、こういうものが考えられないかどうか。もちろんこれは所得との関係もあるでございましょうが、この辺について大蔵省のお考え方をひとつお聞かせ願いたい。
  213. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 お答えいたします。  最近における住宅のレベルアップ、あるいは住居費の高騰等を原因といたしまして、ただいまのように税制面において家賃の点をしんしゃくした税制を考えられないかという御要望があることはよく承知しております。しかしながら、家賃控除というふうな形で税制上これをしんしゃくいたしますにつきましてはいろいろ問題がございまして、われわれは必ずしも適当でないと考えております次第でございます。  その第一の理由といたしましては、自分の家に住みながら修繕費を負担し、あるいは固定資産税を負担している者についてどう考えたらいいかとか、あるいは自分の家に住みながらその自分の家を建てるについて借金をして利子を払っている者、これとその家賃との権衡についてどのように考えたらいいだろうかというような技術的な問題がまずいろいろございます。  それからもう一点は、やはり住居費というものは本来被服費とか食料費と同様に生計費の本質的な部分でございまして、こういうものについて一つ一つ区分をして控除を認めていくということになりますと波及するところが非常に大きく、従来までそういう例も非常に少ないのでございまして、やはり課税最低限の引き上げ、基礎控除あるいは扶養控除の引き上げという方向で全体としてこれを吸収し、生活の改善をはかっていくということが本来ではないかと考えております。
  214. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 発想の大転換をしてもらわなければならぬ。いまの答弁では、現状をそのまま固定をして、改善をしようということに対して技術的な面、いろいろな面があるのでできないのだ、こういうことですから、私は住宅そのものはもう国家が提供するのだというような発想の大転換に立てばいいのではないか。当面は経過措置としては、もちろん持ち家制度もとっておられるわけでありますから、それらの固定資産税を一体どうするか、ほんとうに自己の住居のみに使用する固定資産税をどうするか、こういう問題は当然考えられてまいるわけですから、その辺は私は家賃控除制度とのバランスも考えられないことはない。将来はやはり住宅は国が提供するという基本的な立場に立てば、また別な角度から考え方が出てくるのではないか。現状だけをごらんになってむずかしいからやれない、こういうことだけはいけない時代に私は入っておるということを御認識を願いたいと思うわけですが、いかがですか。
  215. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 御意見として承り、十分に検討させていただきたいと考えております。
  216. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 では、終わります。
  217. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員長代理 次回は、来る二十五日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時十四分散