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中村(茂)
委員 この
条例違反をめぐってすでに裁判にかかっている問題が幾つかあります。それで裁判の結果判決が出た事件も幾つかありますが、無罪になったのがありますね。これは
昭和四十一年二月二十日午前二時四十分ごろ、
電柱にビラを張り出した事件で、
昭和四十三年十月八日に牧方簡易裁判所の取り扱った事件ですけれども、この無罪判決は、いろいろ長くありますけれども、一番の無罪になった大きな理由というのは、先ほどもちょっと意見が出ていましたけれども、
電柱というのは非常に
宣伝力もあるし、そこへ
ポスター等、ビラを張るということは、
宣伝的にも、経費の面からしても安上がりで、非常に
宣伝的な
効果がある。これは
憲法二十一条の、言論と
表現の自由を基本的に認めている、この表言の自由という面からして、非常に
効果的な基本的な問題だ。それを
条例等によって一方的に
禁止しているということになれば、その反面、十分
表現の自由を確保できるような
措置を公の場でするという代償がない限り、こういう一方的な、
表現の自由を拘束するような、
電柱へのビラ張りというものを一方的に
制限するということについては間違いだ。
憲法違反だ。だから無罪だ。一口に言えばそういう趣旨の無罪判決になっているわけであります。また一方、有罪の判決が出ているのもあります。
そこで、私は特にこの判例を引用したのは、やはり
憲法二十一条でいっている言論、
表現の自由というものは、こういうものを
規制していく場合に十分考えなければいけない。それが特に
電柱という問題に集中的にあらわれてきているとすれば、先ほどから言っておりますように、
条文にもない、それぞれの県が自主的にきめる、それを
皆さんのほうで、一律にするという
意味ではない、
参考だというふうに言いますけれども、一応
条例の案にそういう重要な問題を載せて、これが
標準条例案だぞ、
参考にしてくれと出す行政の
あり方、これは非常に問題があるのではないか、そういう
意味でこれを引用しているわけであります。
それから、このビラ張りに
関連してもう
一つ問題になるというふうに思いますのは、軽犯罪法一条三十三号に、やはりこの
条例について
関連してくるビラ張りの問題が一応
規制となっている
条項があります。しかしこれは一応条件がこの
条項にはあるのではないか、こういうふうに私は思うわけであります。それは別に長々と読みませんけれども、みだりにやってはいけない、これは一応の
規制というか、そういう部類に入る。しかもこの三十三号は一番先に、みだりに無断で張るということはいけないよ。それからこの軽犯罪法の四条にはやはり基本的な問題として、こういう種の問題については先ほどから言っておりますように
表現の自由とかそのほか基本的な問題が多く
制限されていく事項だから、取り扱い等については慎重にしなければいけない、こういう一応の
精神的な
規制があります。
ところがこの
広告物のほうは、
禁止するというふうになったら
条例でぴしゃっと
禁止ですよね。しかも先ほどから言っておりますように、これが
制限の違反だということで裁判になった。その裁判の中でも
表現の自由という面から、先ほど言ったように十分考えなければいけない問題だ。こういう扱い方になっているとすれば、この
電柱の問題については、ただ
電柱だから、こういうことではなしに、先ほどから言っておるように、十分検討する、検討するということではなしに、こういうものについては
参考であろうと何であろうと、
皆さんは一方的に
標準条例の中で流すということではなしに、あくまでも法できまっているとおり府県に一任する、おまかせします、こういう態度を明確にひとつしていただきたいと思うわけであります。