○浦井
委員 大体そういうことで、他の
委員の方と論旨が少々ダブっておりますので、時間を省略する意味で飛ばしていきたいと思うのですが、要するに今回の
公有水面埋立法の一部
改正についてはっきりしたことは、過去ずっと
埋め立て事業によって企業が非常にもうかっておるということがわかったと思うのです。
ここに二つほど例を出してみたいと思うわけなんですけれ
ども、関西に、具体的には尼崎を
中心として、東洋建設という会社がある。これは会社年鑑の一九七三年版によりますと、はっきりとしゅんせつの大手だというふうに書いてある。資本金五十億円で、総事業のうち三七%がしゅんせつ事業である、こういうことが書いてあって、そこで私調べてみたんですけれ
ども、尼崎、西宮の沖にこの会社が
埋め立て免許を取ったわけなんです。それが
昭和四年の五月三十一日。この当時に百五十九・八ヘクタール、これだけの免許を取った。おそらくその当時百分の三の免許料を支払ったんだろうと思うのですけれ
ども、それがいまだに
埋め立てられずに、一部
埋め立てられてはおるわけですけれ
ども、ずっと続いておるわけなんです。設計変更されたり、あるいは一部兵庫県へ譲渡してみたり、また設計変更してみたりということでいまに至り、昨年の四十七年十一月八日にやっぱり、少し面積を違えて百七十八・七ヘクタール、こういうものを
昭和五十一年六月三十一日までに竣功するんだということでやっておるわけです。だから私
指摘したいのは、こういう形で大きな企業が、しゅんせつも
埋め立てですから、国民の本来共有すべき財産である
公有水面を独占するというようなことは今後許されぬのではないか。ましてこの例のように戦前の免許がいまに至るまで連綿として続いておるというような形は、これはもう大いに問題があるというように私は思うわけなんです。これが
一つの例。
それからもう
一つの例は岡山県の水島のクラレです。倉敷レーヨン。これはちょっと読んでみますと、県が
埋め立てをやって、そして県から
昭和三十五年七月三十日にクラレへ譲渡されておる。その価格が三億二千万円。それが今度は
昭和四十四年にクラレからその土地が三菱へ譲渡されておる。それが十六億九千万円という形、九年間のうちにそれだけの価格に上がっておるわけなんです。こういうことで、クラレはこの
埋め立て地の転売によって非常に巨額の利益を得ておるという証拠は、これは岡山県の公式の
資料ですけれ
ども、あるわけです。
それからもう
一つ、クラレの場合、
昭和二十七年の六月二十五日に免許を受けた合計二十一ヘクタール、これが
昭和三十二年に竣功しているのにずっとそれを延長して、四十一年に至るまで法的には海のまま残っておるわけなんです。だから当然その間、
埋め立てておるところからは何らの税金も取られずに、しかも適当な機会をねらって一挙に
埋め立てをやって転売をねらっておるのだというようなうわささえ地元ではいわれておるわけなんです。
こういうような
状態が、私は二例ほどあげただけなんですけれ
ども、もっとごろごろそこらにころがっておるのだというふうに推測されるわけです。こういうようなことをいままでの現法というものは許してきたわけなんです。だから、むしろ私は今回の
改正案というのはおそ過ぎた、そういうような大きな会社の
埋め立てを利用したぼろもうけというようなものを許容してきたと思う。こういうものを
規制すべきだと思う。それと同時に、
公有水面をほんとうの意味で国民の共有の財産にという本来の姿に戻す必要があると思う。
ところが、今回の
改正案を見ると、
建設大臣さえも認めておられるようにきわめて不十分である。一見
規制をするというふうに見せかけて、現在国民の中には
公害反対あるいは
環境を守れという声が強いわけですけれ
ども、こういうような声をそらせるような役目をさせるような今回の一部
改正ではないか。一方では、これは田中
内閣のいう列島改造を進めていく
一つの有力な
手続法になるのではないかという点を私は
指摘しておきたいと思うわけなんです。この点について最後に
建設大臣並びに
運輸大臣の御
意見を承って私の
質問を終わります。