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渡辺(武)
委員 国土の適正な利用という観点から許認可をしておるのだから、その認可のときに十分に
考えていきたいのだ、こういうふうにおっしゃっておろうかと思います。本来ならば法の目的
——この
公有水面を
埋め立てるという
法律はこれしかないわけですから、すべてこれによって実際は
埋め立てされていってしまうのですよ。したがって、いまおっしゃっておるように、
埋め立てについて
埋め立て許可を申請をされる。その申請をされた書類をチェックするときにのみ、この国土が適正に利用されるかどうかがチェックできるのだ、こういう状態ですからね。本来、私はそれはいけないことであって、むしろ法そのものあるいは
埋め立ての目的というものが厳然とあって、それに向かって申請を出されるというのが普通であるわけですね。それが逆の
立場になっておる。したがって、
埋め立てを
計画するほうは一体どういう
考え方でその申請をするのかわけがわからぬのですよ。書類が出てきて初めて審査をするときに、国のほうはそれから、国土が適正に利用されるのはどのほうが好ましいかという基準に従って
——基準もきまっておるわけじゃありませんが、頭の中で
考えられて、そしてチェックをしていく、こうおっしゃるわけですから、これはきわめて不適当な方向ではないであろうか。ために、せっかくそういう問題が起こってきて
法改正をしようとするんだったら、そういう目的を厳然とうたわれることが必要ではなかったか、こう思うわけでございます。しかし
現実に提案されておるものはこれらが明確にされておりませんので、余すところは、許可申請の出たときに、従来の
考え方と大きく方向を転換した方向でその取り扱いをしていただかなければならぬ、かように思うわけでございます。
それでは具体的に若干法案の
内容について御
質問をしたいと思います。
その前に、本来、
埋め立てを
計画し、許可をする、その末端はやはり
都道府県知事であるわけですね。
現実の姿を見ていきますと、事業主体というものはほとんど地方自治団体、県もしくは市町村になってしまっておる。まあ大きなものになればほとんど県自身が、県の企業局あたりが
埋め立てを担当しておる。いわば知事が
計画し、自分で認可をする、実際にはこういう形になっておるわけです。そこで国のほうのチェック機関としては主管
大臣がこれの認可を与えるということになっておりますが、ほんとうに詳細にわたってそれらがチェックされておるかどうかについては、私はたいへん疑問があるのです。と同時に、実はそのように地方自治団体、あるいは民間が
埋め立てする場合もあるか知りませんが、現今では
公有水面の
埋め立ての坪当たり単価は数万円に及んでおると思います。したがって相当ばく大な資金になりますから、地方自治団体が
埋め立てを行ないましても、持っておるだけでも金利がかさんでいく、早く処分をしなければならぬ、実はこういう
立場に立たされておるわけなんです。そこで、規制面、利用面、いろいろ
考えられておりましても、その資金を早く回収するために国の
考え方とうらはらな処分がなされていかないかどうか、実はこの辺にたいへん心配な問題があるわけでございますが、その面にまでも実際には国のチェックが及んでいないと私は思うのです。ただ、
埋め立てをするときそれが適法かどうか、あるいは利用目的はどうかという簡単なチェックであって、
実態を見るとほとんどが、県の
計画が国では素通りをしていっておるのではないであろうか。その結果が従来の繰り返しのようになっていってしまっておる。
だから、本来こういうばく大な資金を要するような広域的な
埋め立てについては国そのものがやらないと、地方自治団体にまかしておいたならば、これは資金に限度がございますから、銀行から借り入れをしてきて
埋め立てを行なった、一日も早く処分をしなければその金利負担がどんどんかさんでいくという
現実の姿を見るときに、はたしてそれでいいであろうか、こう疑問を持たざるを得ないわけです。ほんとうに国土を適正に利用するという
立場から見るならば、もっと国が大乗的見地から国費を投入して、そしてあわせて無理な処分をしなくていいような方向、それこそほんとうに国土の有効適正な利用に通じていくと思うのですが、実際いまの姿というものはそういう方向ではないのではないか、こう
考えるのですが、この辺はいかがでしょう、
大臣。