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1973-06-20 第71回国会 衆議院 建設委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月二十日(水曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 服部 安司君    理事 大野  明君 理事 田村 良平君    理事 村田敬次郎君 理事 渡辺 栄一君    理事 井上 普方君 理事 福岡 義登君    理事 浦井  洋君       今井  勇君    小沢 一郎君       小渕 恵三君    梶山 静六君       澁谷 直藏君    野中 英二君       林  義郎君    廣瀬 正雄君       宮崎 茂一君    渡部 恒三君       清水 徳松君    中村  茂君       森井 忠良君    渡辺 惣蔵君       瀬崎 博義君    中島 武敏君       新井 彬之君    北側 義一君       渡辺 武三君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 新谷寅三郎君         建 設 大 臣 金丸  信君  出席政府委員         運輸省港湾局長 岡部  保君         建設大臣官房長 大津留 温君         建設省河川局長 松村 賢吉君         建設省河川局次         長       川田 陽吉君  委員外出席者         環境庁企画調整         局企画調整課長 三喜田龍次君         水産庁漁政部長 増満 二郎君         通商産業省化学         工業局窯業建材         課長      原野 律郎君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 委員の異動 六月十九日  辞任         補欠選任   石井  一君     丹羽喬四郎君   梶山 静六君     倉石 忠雄君   浜田 幸一君     小山 長規君 同日  辞任         補欠選任   倉石 忠雄君     梶山 静六君   小山 長規君     浜田 幸一君   丹羽喬四郎君     石井  一君 同月二十日  辞任         補欠選任   石井  一君     今井  勇君   浜田 幸一君     宮崎 茂一君   船田  中君     小渕 恵三君   佐々木更三君     中村  茂君 同日  辞任         補欠選任   今井  勇君     石井  一君   小渕 恵三君     船田  中君   宮崎 茂一君     浜田 幸一君   中村  茂君     佐々木更三君     ————————————— 六月十八日  青森市都市計画区画整理清算金解決に関する請  願(竹中修一君紹介)(第七三七七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公有水面埋立法の一部を改正する法律案(内閣  提出第一二〇号)      ————◇—————
  2. 服部安司

    服部委員長 これより会議を開きます。  公有水面埋立法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中島武敏君。
  3. 中島武敏

    中島委員 今日、非常に大規模公有水面埋め立てが行なわれて、臨海工業地帯がたくさんつくられる。そのことによって各種の公害が激発をして、海は死の海と化している、こういうのが実態であります。こういうおそるべき実態を救うために、公有水面埋立法の全面的な改正に大きな期待を持った国民が多数いたと思うわけであります。ところが今回の改正案は全面的な改正ではありません。部分的な改正です。なぜ部分的な改正にとどめられたのか。国民期待は、いま申し上げたように全面的な改正、そしてそれによって住みよい環境を守るということにある。この点ひとつ最初に大臣から御説明願いたいと思います。
  4. 金丸信

    金丸国務大臣 お答えいたします。  公有水面埋立法法律は、御案内のように大正十年に制定されたもので、かたかなで書いてある法文でございまして、いまの時代からいえばまことに陳腐な法律であると私も思います。私も全面的に改正すべきだという考え方を持つ一人でございますが、これが全面的に改正でき得なかったところには、共管であるということと、いろいろ埋め立て許可権問題等について合意に至らないという面もありまして、全面改正ができ得ない。そこで私は、この法案については今回の国会に提案することを差し控えようかと考えたわけでございます。しかし、一歩前進だという意味で出したほうがよろしいという考え方を持たれる方もありましたので、それでは一応この一部改正は一部改正として出して、なお全面改正という問題については今後鋭意努力して、近い将来に改正に踏み切っていきたい、こういう考えのもとに今回一部改正ということに相なったということを御理解いただきたいと思うわけでございます。
  5. 中島武敏

    中島委員 運輸省の方、来ておられると思いますが、公有水面埋め立てのほとんどは港湾区域内において行なわれているわけであります。そして今日まで産業公害の主要なものはこの臨海工業地帯臨海コンビナートに集中をいたしております。このことについて運輸省はどういうふうにお考えになっておられるかということについてまず伺いたいと思います。
  6. 岡部保

    岡部政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘ございました事実、私ども確かにそのとおりだと存じます。非常に問題点が起きておることは事実でございます。従来から私ども埋め立ての、われわれの立場で申しますれば認可という立場になりますが、そういう立場におきまして、いわゆる国土の適正な利用と申しますか、あるいは公害防止であるとか環境保全というものを念頭に置いてしてきたつもりでございます。また、環境庁あるいは環境関係都道府県の部局というものの意見も聞きつつ進んできたつもりでございます。ただ、非常に大規模になってきておるということが一つの大きなわれわれの反省しなきゃならぬ点じゃないか。したがって、従来のような考え方ではなかなか環境制御ということができにくい。いままででしたらこの段階でできたというものも、非常に集中し、規模が大きくなったために問題が起きたということは確かにいえると思います。したがって今後、従来はいわゆる行政指導というかっこうでやってきたわけでございますけれども、これを今回の法改正によりまして、いわゆる法定された一つ手続というものを、先ほど建設大臣の御答弁にもございましたが、まだまだ不十分だとは存じますけれども、少しでもよくしようという考え方法律改正して、手続を少しでも進めていきたいという考え方でございます。
  7. 中島武敏

    中島委員 重ねて運輸省に伺います。いままでやられてきた埋め立てが、公害防止あるいは環境保全という上で、そのために努力してきたつもりである、しかし非常に大規模埋め立てが行なわれるためになかなかむずかしくなったので、今度の改正案で幾らかでも前進をはかった、こういうお話でございましたね。それで重ねて伺いたいのですが、今度の改正で、いま運輸省が申されたようなことがほんとうに保障されるかどうかということであります。これをひとつ伺いたい。  それからもう一つは、この問題は単に今度の改正案だけではなくて、従来からとってこられた臨海工業地帯を大規模に形成していく、埋め立てによって造成をしていくという問題と不可分だと思います。そういう点で、この政策については一体どういうふうに考えられるか。つまり、大規模埋め立て、大規模臨海工業地帯建設、この問題についてはどういうふうに考えておられるかという、その二点を伺いたい。
  8. 岡部保

    岡部政府委員 ただいま二点の御質問があったわけでございますが、第二点のほうからお答えを申し上げたいと存じます。  私ども、従来のいわゆる臨海工業地帯土地造成というものが私どもの直接の担当でございますから、いわゆる臨海工場臨海工業を大いに進めてきたことが戦後の日本経済の復興に非常に役に立ったということについては、まだ相変わらずそうであるということは信じております。先ほども申しましたように、いわゆる臨海性の装置型の工業基礎資源型の工業、こういうもの——日本経済国際経済から見ましていわゆる加工貿易型で進まなければ国際収支は保てないというような感覚から申しますと、この臨海工業というものが非常に経済的なメリットがあるということでございます。ただ、よくいわれますが、経済性を追求したあまり環境問題に対する配慮がいささか欠けるところなしとしなかったという点の反省があるわけでございます。したがって、今後の問題といたしましては、やはり経済性の追求だけではいけない、環境問題というものもあわせて考えていくという場合に、これはある意味ではいままでのような臨海性工業地帯造成というものをむしろ否定するような姿になるかもしれません。  それから、たとえば臨海性と申しましても、陸上の原材料の短距離の輸送であったりあるいは製品の輸送であったり、そういうものは非常に輸送手段が進んできております。たとえば液体であればパイプライン、あるいは粉体であればベルトコンベアとかニューマティックのシュートとか、そういうような手段が非常に進んできております。したがって、そういうものを活用すれば、臨海工場といままでいわれておったようなものでももう少し分散配置ができるのではなかろうかという感じもいたします。したがって、従来のような姿と今後全く同じような姿で、たとえば一つの湾の中にべったりと工場が並び立つような埋め立て地造成していくというような姿であっていいのかどうかという点については、今後相当検討の必要がございます。したがって現在これも検討している最中でございます。ただ、今後ともそういうような問題について、全くそんなものは考える必要はないのだ、いま申しましたような検討の必要もないのだというような考え方はとるべきではないという考え方を私は持っておるわけでございます。  そこで第一点の御指摘でございますけれども、今回の法改正によって十分そういう保障ができるかどうかという点につきましては、私ここで何とも申し上げるあれがございません。ただ、私どもとしては少しでもよくしようということで、これが非常に満足すべき姿の保障がとれることであるかどうかという点については私ども申せませんけれども、いままでやっておりましたものの現状を明らかに変更していくわけでございます。そういうような考え方に立つと、現在の法改正という点——これは先ほど建設大臣の御答弁にございましたように、全面改正になればこれは別でございます。ただ一部改正といたしますと、やはり現段階のこのお出ししている案がベストではないかという考え方を私どもは持っております。
  9. 中島武敏

    中島委員 重ねてお尋ねします。現在どういう年次計画をもって埋め立て計画を進めておられますか。
  10. 岡部保

    岡部政府委員 いわゆる用地造成と申しますか、港湾区域内の臨海部土地造成計画のいわゆる一つのオーソライズされた長期計画をどういうふうに考えておるかという御質問かと存じます。  そこで私ども考え方では、いわゆる港湾整備緊急措置法という法律に基づきまして港湾施設整備計画、これは五ケ年計画と、はっきり閣議決定されましたものを持っておるところでございます。そこで現在は第四次の港湾整備五カ年計画、総投資規模二兆一千億円ということで、昭和四十六年度から五十年度間という五カ年計画というのを持っております。これのうちにも土地造成部分が含まれております。と申しますのは、いわゆる港湾施設をつくると、たとえば埠頭をつくる、そういたしますとその埠頭土地は一緒につくらなければならない。ただこれは公共事業補助事業の対象になっておりませんものですから、港湾機能施設と呼んでおりますが、そういう埠頭用地のような計画はこの五カ年計画に含まれて考えております。  ただ、臨海部のいわゆる工業用地あるいは最近のような都市開発用地、こういうふうなものの五カ年計画あるいは長期計画というものについてオーソライズされた計画は私ども持っておりません。と申しますのは、むしろ各港湾管理者港湾計画というのをお立てになるのがたてまえでございまして、その港湾計画をお立てになる管理者の意思というものがそれぞれの港湾であります。その中には当然そういうような計画も含まれております。したがって、たとえば私どもが現在の五カ年計画というものをベースにして考えますと、それに伴ってこういう土地をこの五カ年間には管理者が要望されておるというようなものを取りまとめたものはあるわけであります。ただ、これはあくまでも政府でオーソライズした計画であるという立場はとっていないわけでございます。
  11. 中島武敏

    中島委員 いまのことに関連しますけれども港湾関係起債事業計画書、こういうのがありますね。それから長期的観点に立った臨海工業地帯整備計画の策定とその方法に関する報告書というようなものも作成されておりますね。これを資料として提出していただけますか。
  12. 岡部保

    岡部政府委員 ただいまの資料要求、二点ございましたが、第一点の起債事業計画書、これは先ほど申しましたように四十六年度から五十年度の五カ年計画に伴うものでございます。これにつきましては先ほど申しましたように、現在各港について年々是正をいたしておりますが、たまたま四十六年度から五カ年計画をやるということで、四十五年の八月に取りまとめましたものがございます。これはございますので資料として提出させていただきます。  それから第二点でおっしゃいました資料、これは実は十年ほど前の調査資料でございまして、現実の問題といたしましてただいま余部が全然ないのでございます。したがってこれは資料として御提出するということはちょっと不可能でございます。たとえばこの資料のどういう点でこれを増し刷りをせいとおっしゃるのならばこれは可能でございますけれども資料そのものをここに提出するということはちょっと不可能でございます。
  13. 中島武敏

    中島委員 ないわけではないのでしょう。初めのほうは出していただけるということですからけっこうですが、あとのも存在はするわけでしょう。八年前のものでございましょう。十年前とおっしゃいましたが、八年ぐらい前ですね。
  14. 岡部保

    岡部政府委員 三十九年度の調査の結果を取りまとめたものでございます。したがって、これは実は一部は当然私ども保存いたしておりますので、一部あることはもう否定いたしません。ただ、資料としてこれを御提出するというのは、当方にもとの一部しかございませんものですから、現実にそのリプリントをするなり何なりしなければいかぬという点でただいま申し上げた次第でございます。
  15. 中島武敏

    中島委員 ぜひリプリントして出していただきたいというように思います。いかがですか。
  16. 岡部保

    岡部政府委員 ちょっと時間がかかりますけれども、御要望であれば提出させていただきます。ただ、特にお急ぎであれば、どこの部分という点、御指摘があれば、その部分リプリントを先にさせていただきたいと思います。
  17. 中島武敏

    中島委員 現在行なわれております、先ほどお話のあった新しい五カ年計画ですね、これがどういう方針によって作成されているか、つまり内容的にいってですね、というところであります。これは、ある論文によりますと——これを全部拝見したら非常にはっきりわかると思うのですが、まだ資料として私手元にいただいておりません、先ほど資料要求したばかりですから。これによりますと、公害問題というのは最後の一行ぐらいに、公害防除のために必要な配慮を加えるというふうにあるだけでございまして、実際には新産都市を進める、工特を進めるということが具体的な内容となっているのではありませんか。
  18. 岡部保

    岡部政府委員 ただいまの点でございますが、これはちょっとおことばを返すようになりますけれども、私ども考え方、いわゆる新産都市計画あるいは工業整備特別地域計画等計画が確かにベースであったということは否定いたしません。したがって、そういうような考え方あるいはそれ以外の新たな新全総的な考え方、そういうものを織り込んできております。そういう計画自体で、確かに新産都市整備計画あるいは工特整備計画という点で環境問題に視点が薄かったというようなことは御批判があると思いますけれども、そういう計画一つ考え方というものはまとまっておりまして、そういうものに従ってのものであるというふうに私ども考えております。たとえば新全総になりますと今度はだいぶ環境問題というのは——また御批判があるかもしれませんか、新全総自体、相当環境問題というのは力説しているところでございます。したがってそういうような考え方ベース計画というものと、当然それぞれの港湾管理者立て港湾整備計画というものと、両方が合わさった一つ計画が出てきておるというようなかっこうでございますので、ああいう計画の中にその点を力説しているしかたが足りないといわれれば、いまであったら確かにもっと力説いたしたとは思いますけれども、決してそれほど無視しておったという考え方では私はないと信じております。
  19. 中島武敏

    中島委員 新産、工特をどんどん進めるということで、現実にはもう冒頭申し上げたような、今日のきわめて大きな公害問題が発生してきているわけですね。現在、やはり問題は、この方針をはっきり転換する。そしてそのためには同時にまた、全面改正じゃなくて一部的な改正法律の問題でいえば、ということでは私はこれは救われないのじゃないかというように考えているのです。しかし、きょうはこれ以上この問題についてここで議論をどうしようということではありません。  具体的な問題に入ります。第三条の関係なんですけれども、今度の改正案によりますと、「都道府県知事ハ埋立免許出願アリタルトキハ遅滞ナク其ノ事件ノ要領ヲ告示スルトトモニ」云々と、こうなっております。そこでお伺いしたいのですけれども告示方法法律で規定されておりませんけれども、実際にはどんな方法でやられてきたものでしょうか。
  20. 松村賢吉

    松村政府委員 お答え申し上げます。  従前どういう方法公示されてきたかという御質問でございますけれども従前この埋め立て関係につきましての公示といたしましては、免許の際に公示をしておりますが、これは県の広報、こういうもので公示をしております。
  21. 中島武敏

    中島委員 しつこいようですけれども、県の広報公示をしてきた。しかし県の広報は一体何%くらい県民が読まれるものか、そういうことについて調べられたことがありますでしょうか。つまり、広報公示をしても実際にははたして県民に知らされるのかどうか、実際的な効果を持つのかどうかということが私の知りたいところなんです。皆さんのほうでお調べになったことがありますか。
  22. 松村賢吉

    松村政府委員 統計的にこれがどのくらい見られているかということを調べたことはございません。ただし、県の広報というものにつきましては、やはり県がやりました施策その他について周知徹底するために出すものでございますので、これはやはり公的な公示手段として適当なものではないかというふうに考えております。
  23. 中島武敏

    中島委員 新しく改正案を出されまして、そうしてここに告示をするというふうに書かれておりますが、これからの告示やり方は一体どうされるつもりなのかということについて伺いたいと思います。
  24. 松村賢吉

    松村政府委員 従前方法でやりたいと思っております。ただし、これがその他の方法等、県において適当なことがある場合においてはそれをやるのに支障はないと思います。
  25. 中島武敏

    中島委員 これはそのあとのところを読みますと、「三週間公衆ノ縦覧ニ供シ」ということもあるわけですね。したがってもっと周知徹底できるというような方法を考案する必要があるのではないかと私は思うのです。そういう点では、五百メートルおきぐらいに立て札立ててもいいと思うのですが、もっと皆さんにわかるように、そういう方法というようなことを積極的にやるべきじゃなかろうかと思います。その点で、従来と同じような方法というふうないまお答えでありましたが、何かもっと改善しなければならぬというようなことをお考えでしたら言っていただきたいと思います。
  26. 松村賢吉

    松村政府委員 実際問題といたしましては、大規模な、問題になるような埋め立てについては、すでに、これが行なわれるということについて大部分の者はおそらく承知しているのではないかと思います。しかし、といいましてもこれを公示しないということではございませんで、これを周知徹底させるという手段、これは広報を使うということが一番適当だろうと思います。ただし、都道府県知事がこれで十分でないと思われた場合に、他の適当な方法立て札方法がいいかどうか、これは問題だと思いますけれども、これをすることについては支障はありませんし、私のほうといたしましても、これを明示する考えはございませんけれども指導手段といたしましては極力これが徹底するように指導したいと思っております。
  27. 中島武敏

    中島委員 普通ですと、この告示をするという場合にはその方法法定しているわけですね。法律で定めているわけであります。今度の法律にはこの告示方法を定めておりませんけれども、これは法律的に許されることですか。違法じゃないのですか。
  28. 川田陽吉

    川田政府委員 お答え申し上げます。  法律によりまして、直接法律条文、たとえば商法等条文告示の方式を義務づけている例もございますが、同時にまた墓地、埋葬等に関する法律によりますように、施行規則省令等でそういった告示方法を規定する場合もございます。特に古い法律におきましてはそういった事項法律事項でないというふうに、形式的に私どもとしては解釈しております。
  29. 中島武敏

    中島委員 いま省令等でやられるというお話がありました。しかしその場合でも、省令でそれを定めるということを法律で規定するのじゃありませんか。
  30. 川田陽吉

    川田政府委員 やはり、個々の法律によって、そういった委任をはっきり書いている場合と、古い法律等においては単なる告示義務だけということでやっている例もございます。県の一般的な条令等告示様式としては県の広報を使うというのがたてまえになっている次第でございます。
  31. 中島武敏

    中島委員 せっかくいまここで新しく改正案をつくられたわけですね。改正案をつくられたのですから、古い法律だからそういうふうな規定のしかたはなかったとおっしゃるのですけれども、せっかく改正案をつくったときに、なぜそれを最近行なわれているようにきちんとやはり告示方法について法定をするというふうに改められないのか。私は改めたほうがいいと思うのです。たとえば、これは一つの例ですけれども土地収用法ではこの問題についてこういうふうになっております。「建設大臣にあっては官報で、都道府県知事にあっては都道府県知事が定める方法告示しなければならない。」これは何も土地収用法だけではありません。ほかの大多数の法律がそうです。そしてそのこともまた認められると思うのです。せっかくいまここで改正案をつくられた。だとするならば、告示をどういう方法で行なうのかということも当然法定をするというようにするべきじゃないでしょうか。
  32. 川田陽吉

    川田政府委員 土地収用法ではそういうふうにこまかい表現を書いております。戦後の法律で丁寧に書いてあるわけでございますが、公有水面埋立法では非常に簡潔な表現で大体条文等が書かれております。そこで、県が告示するという場合には当然県広報というものを使うということを前提にして書いてありますので、そういった表現をとったわけでございます。
  33. 中島武敏

    中島委員 古い法律が下敷きであるから、だからどうしても古いやり方になってしまうといういまのお話なんですね。私は、わかっているんだったら新しくそういう点を整えるということにするのがよいと思うのです。これはもっと検討したっていい問題じゃありませんか。古い法律だから古い方法に従っていくんだ、告示内容方法も具体的には示されていない、そういうことになっているわけですね。重ねて伺いますけれども、何もそこについて改善しようというような考え方はないわけですか。やはり古い法律だから古いようなやり方改正案を提出していくのだ、こういう考えですか。
  34. 川田陽吉

    川田政府委員 私お答え申し上げている趣旨は形式上の問題につきまして、そういった「都道府県知事が定める方法」と書くことも同じ意味合いでございますということで御答弁申し上げた次第でございまして、運用上の問題につきまして、先生からいろいろ御指摘いただいた点について改善する必要がないというようなことは毛頭考えていない次第でございます。
  35. 中島武敏

    中島委員 もう一つこの条項に関連してお尋ねしておきたいと思うのですが、第三条の三項には「縦覧期間満了ノ日迄都道府県知事ニ意見書ヲ提出スルコトヲ得」こうなっているわけです。この提出された意見書はどんなふうに取り扱われるわけですか。
  36. 松村賢吉

    松村政府委員 提出された意見書につきましては、審査にあたりましてその意見を十分反映するように措置いたしたいと思っております。
  37. 中島武敏

    中島委員 反映するようにいたしたいというのはあなたの見解ですか。
  38. 松村賢吉

    松村政府委員 私の見解ということではなく、この法律を施行するにあたり、そういう指導方針で進みたいということでございます。そういう指導方針で進みますし、またこれを認可するにあたりましては直接やるわけでございますから、これが反映するようにいたします。
  39. 中島武敏

    中島委員 そういう指導をやろうというお話のようですけれども、しかしこれは文字どおり読めば、意見書を提出することができる。出た意見書に対して、見なくてもよろしい、返事もしなくてよろしい、審査もする必要はない、あるいはこれを取り上げようが取り上げまいがかって、こういうことになるわけでしょう。法律条文からいうならば、この取り扱いについて法律の上で何らの規定はないわけですから、せっかく一生懸命意見書を書いた、埋め立ては反対だ、これはたいへんなことになるというわけで意見書を書いたけれども、読んでくれるかどうかもわからない。法律条文からいえばそういう内容じゃありませんか。
  40. 松村賢吉

    松村政府委員 法律において意見書を提出するということは、これは出したものはどうしてもいいということではないと思います。出された意見については、それを審査するに際して十分にその内容検討し、その審査をする際にこれが一つの重要事項として取り扱うことが法律の精神だと思います。
  41. 中島武敏

    中島委員 その意見書について返事をされるというようなことはやられるのですか。そういうことも含むわけですか。
  42. 松村賢吉

    松村政府委員 法律でこれに対して返事をするということは定めておりません。ただし、この問題につきましては重要な意見、あるいはこの問題につきまして特に必要な場合等においては、これがどうなったということを返事をすることはできると思います。
  43. 中島武敏

    中島委員 少なくとも口頭審理くらい開く、意見書を出した人にはちゃんと来てもらって、よく直接話を聞いてそれを審理するというようなことくらいやるのはあたりまえじゃないでしょうかね。そしてそのくらいのことはこの法律の中に書き込んでおくべきじゃないのでしょうか。
  44. 松村賢吉

    松村政府委員 その意見の中におきまして特に内容の不明な点、あるいは特にそのお話を聞くほうがベターだというふうに考えられる場合に口頭的なお話を伺うことは当然あり得ると思いますけれども、これを一般的に、一律的に全部口頭審理するということに義務づける必要はないのではないかと考えられます。
  45. 中島武敏

    中島委員 それじゃせっかく意見書を出したって、「意見書ヲ提出スルコトヲ得」といったって、全く心もとないじゃありませんか。意見書は出した、それは出した相手先の人が判断して、そしてこれはたいしたことじゃないという判断をしたらもうそれっきり、これは少し重要なようだという場合には呼んで聞いてみるというお話なんですね。まことに不確定なお話でありまして、これは意見書を出した人自身がたいへん意欲を喪失するのですね。重大な問題だと思うからこそ意見書を出す。それについての扱いが恣意的な判断にゆだねられるということですか。
  46. 松村賢吉

    松村政府委員 意見を提出された方が口頭で御意見を申し述べ、あるいはそれに対しての回答等を聞きたいという場合において、それを行政の手段におきまして措置することについて妨げないと思います。(中島委員「ちょっと聞き取りにくかったから……」と呼ぶ)これは実際の行政をやる際におきまして、そういう意見を申し述べるということを事実上の行為としてされる場合に、これをお伺いし、それに対しての意見等を申し述べることは、これは実際の問題としてはできると思います。
  47. 中島武敏

    中島委員 そうであるならばなぜここにそういうふうに書かないのか。趣旨がそうであるならばここにはっきり書いたほうがよろしいじゃありませんか。これだけだったらそういうふうには読み取れないのです。
  48. 川田陽吉

    川田政府委員 公告、縦覧の結果提出された意見書についての取り扱いの問題でございますが、これはやはり意見書ということでございまして、行政官庁が行政処分をする際の重要な判断資料という意味で私どもはこれを重視するという考えでおります。ただし、それが拘束力を持つものであるかどうかということにつきましては、法律上の拘束力を与えるということにはやはりなかなかいかないのじゃないかというふうに考えている次第でございますが、行政運用上は、相当な、妥当な御意見とか、非常に少数の意見であっても十分尊重しなければならないものもございますでしょうし、また同じ項目について大ぜいの人が同じ考えを述べるということによって、判断をする都道府県知事としても当然重視しなければならないケースを私ども考えているわけでございます。
  49. 中島武敏

    中島委員 私は、単なる判断にゆだねるべきじゃなくて、やはりはっきり明文化して、審理を行なうというようにするべきだと思うのです。しかし、なかなかそういうふうに改めるというお話が返ってきませんので、次の問題にいきます。  第四条の免許の基準の問題ですね、その中の特に第二号「其ノ埋立ガ環境保全及災害防止ニ付十分配慮セラレタルモノナルコト」というのが今度新しく免許の基準として加わっているわけであります。この埋め立てについて十分に配慮されているということを判断をするのはだれが判断をするわけですか。またどのようなやり方で具体的な調査を行なって判断をするのかということについて伺いたいのです。
  50. 川田陽吉

    川田政府委員 まず、判断をする主体でございますが、これは免許官庁であるところの都道府県知事がこの判断を行なうわけでございます。配慮をされたものかどうかということを判定する資料といたしましては、第二条の改正によりまして「前項ノ願書ニハ命令ノ定ムル所ニ依リ左ノ図書ヲ添付スベシ」ということになっておりますが、この五号の「命令ヲ以テ定ムル図書」の中に、環境保全につき十分配慮されたものであることを示す文書というようなものを添付させることにいたしております。まずそこで一つの判断資料を得るわけでございますが、最近の各都道府県における公害行政の取り上げ方から見まして、知事部局は当然環境とか公害に対する部局を持っているわけでございますから、そういう部局の意見とか、そういうところに命じて調査をするということを私どもは前提としている次第でございます。また、もしそうした埋め立ての認可申請が上がってまいります場合には、当然認可官庁である運輸大臣建設大臣もそういった関係の記載資料、県の公害部局等の意見あるいは県の環境対策委員会等の意見というようなものも審査の対象にした上で判断をいたしたいと考えております。
  51. 中島武敏

    中島委員 基本になるのは結局第二条の五号の「其ノ他命令ヲ以テ定ムル図書」、この中に環境保全についてのどのような対策をとっているかということを出させるというのが中心でございますね。これは申請するほうの人たちの文書でございましょう。そうですね。それによってはたしてほんとうに公害防止環境保全が行なわれるという判断ができるでしょうか。
  52. 川田陽吉

    川田政府委員 もちろんそれのみをもって判断資料とするという意味で私は申し上げたわけではないのでございまして、そういうものも添付されてくることでもございますし、何かたたき台と申し上げますといささか言い過ぎかもしれませんが、そうした一つの材料をもとにいろいろな角度から監督官庁、免許官庁というものは十分な調査をやった上で免許をすべきであるということをお答え申し上げます。
  53. 中島武敏

    中島委員 過去の埋め立て問題で事前にどのような調査が実際にやられていたかということについて伺いたいと思うのです。
  54. 川田陽吉

    川田政府委員 過去の埋め立て、いろいろなケースがございますが、私、記憶しているのは、最近の例としまして東京都が葛西沖の埋め立てを行ないました。これは背後地の区画整理事業等の一環として、また湾岸道路とか下水道の処理場とか、そういったものとの関連で、三枚州の埋め立といわれておりまして、世論等、またつりのすきな方々から相当深い関心を持って見られた埋め立てでございますが、そうした埋め立ての認可前の折衝、本省と東京都との折衝、また東京都の中でも建設局と都市整備局との折衝等におきまして、魚族の保護のために、当初岸壁が直立していたものをなだらかな傾斜で、土で、しかも土を赤はだでなくて芝生でおおう、魚がなるべく産卵しやすいような傾斜地をつくるとか、それからなるべく沖合いに出さないように後退させるとか、そういった総合的な調査、打ち合わせを慎重にやって埋め立て免許に至ったという例を記憶しております。
  55. 中島武敏

    中島委員 いま一つの例のお話がありましたが、しかし、いまのことばの中にもありましたように、環境保全とか公害防止するとか、あるいは魚族を保護するというような調査が実際にやられておって、そうしてその調査に適合しているからこそ免許を与えたということであるならば、今日のようなこういう事態、つまり公害がきわめて激発をし、そしてまた環境が破壊されるという事態は起きなかったんじゃないかと思うのです。だとするならば、この調査の実際の中身は一体どんな調査だったのかということであります。また、埋め立てがやられてからあとの追跡調査、当初の調査と、実際に埋め立てがやられたその結果が一体どうなっているかということの調査をやっておられますか。これは私は建設省だけではなくて、水産庁にしてみても、あるいはまた運輸省にしても環境庁にしても、一体どんな調査をやっておられるのか、そういうことが問題だと思うのです。その辺、はっきり答えていただきたいと思うのです。今度の法改正の中でうたい込んであると言われる。言われるけれども、実際にそれでは過去においてどうだったのか。また、これについての改善方がやられようとしておるのかどうか。私が重大な関心を持つのはそこのところなんです。そういう意味で、はっきりした各省の見解を伺いたいと思います。
  56. 川田陽吉

    川田政府委員 本省の立場から申し上げますと、みずから調査費をもって直接調査をするというケースも、特に重要な問題についてはあり得るかと思いますけれども現実には申請者、免許申請の場合は埋め立て人でございますが、埋め立て人にいろいろな手法を示して調査をせしめて、満足な資料が得られた場合に免許を与える。また、認可官庁である建設大臣の場合は、認可の申請者である都道府県知事にいろいろな調査を命じまして、もしも納得がいかない場合には、調査の対象のみならず、調査の手法も示しまして、ときには大型模型実験、風洞実験というようなことも命じまして、納得いく資料を得た上で認可を与えるという行政をやっております。個々の埋め立てについていろいろなケースがございまして、統一的にちょっとただいまお答えできない次第でございますが、概略そのようなことでございます。  また追跡調査につきましては、私どもあと追い的に、特に問題等が起こった場合に、認可後であってもいろいろ補足の事情等を聴取するというやり方でございまして、積極的に、つまりだれも問題にしない以前において追跡調査をやったということは私どもとしてはいたしておりません。
  57. 中島武敏

    中島委員 そうすると結局、認可を与える各省は調査は実際にはやっておられない、追跡調査についてはなおさらのことやっておられない、こういうお話ですね。実際に調査をするのは、たとえば工業地帯の造成ということであればこれはだれがおやりになるのですか。知事がおやりになるということでしょうか。そして、まとめて言いますけれども、そのことの報告が納得がいったから認可をされていらっしゃるわけでしょうか。だとすればたいへんな納得だと思うのですけれども、その辺の事情をもう少し明らかにしていただきたい。
  58. 川田陽吉

    川田政府委員 古い時代の埋め立て免許のあり方というものと、最近の埋め立て行政の私どもの運営とにおきましては明らかに質的な差があると思っております。したがいまして、埋め立て免許申請をした知事の意見を土台にして建設大臣が認可の判断をするということについて疑義ありとの御下問かと思いますけれども、それはやはり知事の部局というものを使って私どもとしては調査をし判断をするという方法しかないのではなかろうかと考えております。
  59. 中島武敏

    中島委員 運輸省はいかがでございますか、いまの問題について。
  60. 岡部保

    岡部政府委員 港湾関係での調査の主体というのは港湾管理者である地方公共団体でございます。それに調査をいたさせます。
  61. 中島武敏

    中島委員 重ねて伺います。いままでの調査によってこれはもうだいじょうぶだ——だいじょうぶというのは、つまりいま私が問題にしている環境保全公害はだいじょうぶであるというふうに判断されたので認可されていらっしゃるのですか。
  62. 岡部保

    岡部政府委員 港湾管理者がどういうふうに考えておるかということについての話を聞きまして——もちろんわれわれとして、先ほど先生がおっしゃいましたように、そういう話を聞いて判断するのかという点については、現実にそういう話を聞いて判断しておるということでございます。したがいまして、たとえばもう少し模型実験をしたほうがいい——そういうような例がほんとうの出願の段階ではございませんが、もう少し前の計画段階現実にある場合がございます。たとえばもう少し模型実験をして潮流の変化などを見たほうがいいというような指示をすることはございますが、いずれにいたしましてもそういうような調査の結果によってわれわれが判断するということが事実でございます。
  63. 中島武敏

    中島委員 きょうは水産庁は来ておられますか。——私はどうにもいまの答弁は納得しがたい答弁なんです、建設省の方のお答え運輸省の方のお答えも。みんな港湾管理者調査をよしとされて今日までずっと進んできておるわけでしょう、いまのお話を聞いておりますと。そうすると、建設省も運輸省も、これで環境保全もできれば公害防止もできると考えたからこそ認可をされてこられた。ところが現実に生まれておるものはどうかということになれば、これはおおよそ認可をしたときにだいじょうぶだと考えられたものとは違う現実が生まれてきておるじゃありませんか。私は何もくどくどその現実を言おうという気はありませんよ。ありませんけれども、実際には非常に大きな違いが生まれてきておる、これが現実の姿であります。特に大気の汚染とかあるいは水質の汚濁とかあるいは水産庁にかかわる問題とか、水産庁にかかわるといいますか、魚にかかわる問題とかいうことで非常に大きな被害を受けておるわけでしょう。それが現実じゃありませんか。  私は水産庁にちょっと伺いたいのです。いままでずいぶんたくさん埋め立てが行なわれておる。工業地帯もずいぶんでき上がってきた。このことについて、環境保全公害防止、これがはっきりやられている、りっぱな埋め立てであるというふうにお考えになっていらっしゃるのかどうか、お尋ねしたいものだと思います。
  64. 増満二郎

    増満説明員 お答え申し上げます。  埋め立てによります漁業の影響と申しますか被害と申しますか、大きく分けて二つの面に分けて考えられると思います。一つは漁場の喪失でございますが、この場合特に埋め立てられますところが水深の浅いところ、そういう水深の浅いところは魚の産卵場でありますとかあるいは稚魚の育成場とか、そういうところが多うございますので、そういうところが失われたりするという面の影響がございます。それから第二の問題といたしましては、埋め立てに伴います土砂の流出、それによります濁り、あるいは埋め立て後の企業活動に伴います、先ほど来先生のおっしゃっております排水等の漁場条件の悪化、こういう問題がございます。  一般的にそういうことは考えられるわけでございますけれども、海面の状況によって影響の度合いが違ってまいります。その実態は、私ども従来十分調査をして把握しておりません。従来の埋め立てにつきましては、そういう漁業上の問題が非常にあるのですが、どちらかといいますと問題が発生しましてから当庁、私どものほうに連絡とか相談とか、そういう形で来ておるというきらいがございます。しかしそういうことでは問題ございますので、相当前広に、公有水面埋め立て等の計画の前広の段階で漁業関係者の意見を積極的に述べることができるように、そういった意味から、私どもとしましてもただいま審議になっております埋立法の成立を期待しておる、こういうことでございます。
  65. 中島武敏

    中島委員 日本の魚を守ろうと思ったら、水産庁ががんばらなかったら役所としてはだれもがんばってくれるところはありませんよ。ところがいまお話を聞いていると、十分な調査をやったことがないというのですね。これはえらいことじゃありませんか。どうするのですか。いままでの大きな埋め立てによってあっちにもこっちにも問題が発生してくる。瀬戸内海なんかめちゃめちゃでしょう。別府湾だってひどいでしょう。そのほかだってそうでしょう。ところが実際には政府機関は、水産庁でさえもこれは調査されていらっしゃらないということですか。埋め立ての影響について追跡調査なんかもやっておられないのですか。くどいようですけれども、もう一度そこを聞かしていただきたいと思います。水産庁に聞きたい。
  66. 増満二郎

    増満説明員 お答えいたします。  的確な統一的な調査を持ち合わしておりません。(中島委員調査もやっておらないんですか」と呼ぶ)はい、やっておりません。漁業センサス等で、埋め立てに伴いまして漁業権の放棄がどのくらいなされておるとか、そのような調査はやっております。それはございますし、そういうのはわかっておりますが、個々の海面ごとに、先ほど申し上げましたような、埋め立てが起こりまして漁業の影響がそれぞれどういうふうに生じたかというような、そういう埋め立てに伴います追跡調査というふうなものは持っておりません。水質汚濁はどう生じておるかとか、そういう一般的な調査はやっております。ただ、埋め立て行為に伴いましてどういうふうな影響が出たかというのは残念ながら持っていませんので、そういう点につきまして今後努力してまいりたいと考えております。
  67. 中島武敏

    中島委員 水産庁は調査をしておらない。  環境庁はきょう来ておりますか。——環境庁調査されているでしょうか。
  68. 三喜田龍次

    ○三喜田説明員 お答えいたします。  埋め立てに関する調査につきましては、その実施主体なりが当然環境影響の事前の調査を行なうべきものと考えております。しかし、御指摘のように、いままでそれが十分に行なわれなかったためにいろいろな環境破壊が生じているということは事実であります。今後この埋立法の改正等によりまして、あるいは現在いろいろな連絡調整の場を通じまして、そういう環境影響の事前調査を事業主体にさせるようにしているところでございます。
  69. 中島武敏

    中島委員 具体的にはどういうふうにされているのですか。
  70. 三喜田龍次

    ○三喜田説明員 現在、国のレベルで、問題になりますような埋め立てにつきましては、すべてではございませんけれども、連絡調整の場もございまして、そこで……(「どんな場か」と呼ぶ者あり)東京湾関係でございますと六省庁連絡会議というような連絡会議を持っておりますが、そういう場でそのような事前調査がなされているかどうか、私どもチェックをいたしまして、環境保全に万全の措置を講じているわけでございます。
  71. 中島武敏

    中島委員 どうもこれは、建設省は調査をしない、運輸省調査をしない、環境庁もはっきりしませんね。これで一番大事な水産庁はちっとも調査をされない。それでいて環境保全が今度うたい込まれている。一体これはどういうことですかね。ここでうたわれていることは、環境保全、災害の防止に十分配慮せられたものでなければ許可にならない、許可してはいかぬ、こう書いてあるのですけれども、ところが実態は、いま伺ってみればさっぱり調査は実際にはやられてない。追跡調査もやられてない。埋め立てはどんどん進行する。これではたしてここでうたわれていることの裏づけがきちんとできるのでしょうかね。私はこれは大臣にちょっと一言聞きたい。これは一体どういうことですか。
  72. 金丸信

    金丸国務大臣 環境の問題は、いまこの時点においてはやらなければならない問題でありますので、この法案をつくりましたのはそういうところに大きいウエートがあるわけであります。そういう意味ですから、これを許可する場合には環境庁の了承を求め、相談をし、そうしてなおかつ、それでよろしいということでなければこれは許可にはなり得ないと私は承知いたしておるわけでございます。
  73. 中島武敏

    中島委員 しかし、これは決意みたいなお話かもしれませんが、この問題はどうもはっきりしませんね。法文の上においてもこのことは明記されていて、かくかくしかじかによってこのような調査を行ない、そうしてこのことによって環境保全をされるという保障がある、だからしたがってこれを許可する、これなら話はわかるのです。ところが単にうたわれているというだけであって、その保障がまるっきりない。現実に各省庁ともこれはやってないというお話なんです。だとするならば、だれが一体この調査を行ない、そうしてまたその調査に基づいての判断を下すのか。判断を下す場合のその基礎的な調査がないということであれば、判断の下しようもないわけであります。そういう点からいうと、もっと各省庁からはっきりした答弁を私はいただきたいと思うのです。どうにもこの中身がよくわからないのです。法律改正案を出した、出したけれどもその具体的な保障、具体的な中身というものが明確でない。どういうことでしょうか。
  74. 川田陽吉

    川田政府委員 今度この改正法を出すに際しまして、私どもとしては、環境保全につきましては十分な資料を、申請者である埋め立て人、あるいは認可にあたっては認可を申請する都道府県知事から、調査せしめて、調査資料を入手して、もしもそれで納得がいかなかった場合には補足調査を命じまして、それから調査の手法等も指示いたしまして、納得のいく資料を得た上で判断をして免許をし、あるいは認可をするということをお答え申し上げます。
  75. 中島武敏

    中島委員 いま調査の手法も指示をしてというお話があった。どんな手法ですか、調査の手法というのは。
  76. 川田陽吉

    川田政府委員 現実的に埋め立てが行なわれる海域というもの、水域というものは、それぞれ非常に個性があり特殊性がございますので、統一的な、抽象的、形式的なそういった手法というものを私どもいまのところ考えておりませんけれども、個々の具体例に処しまして、十分環境庁、水産庁等とも接触いたしまして御相談をして、綿密な調査をやっていくという考えでおります。
  77. 中島武敏

    中島委員 つまり、現在のところはどういう方法でということはないということですね。これからきめていく、現在はまだ持ってない、そういうお話ですか。
  78. 川田陽吉

    川田政府委員 具体の埋め立て例の、ケース・バイ・ケースの事例に処しましてやっていきますということでございます。いろいろケースを積み上げていくうちに、統一的な何らかのそういった手法というようなものも指示できるような段階になりましたら指示をいたしたいと思います。
  79. 中島武敏

    中島委員 どうにも要領を得ない話です。調査やり方のこまかいことを私は聞いているわけじゃありません。しかし、少なくとも環境アセスメントの手法は取り入れるべきじゃないか。やはり環境には容量があります。その容量をこの埋め立てはこえる、あるいは上物をそこにつくる、そうするとそれによってさらにこの容量をこえてしまうだろう、そういうことが調査の基準にならなければならないのじゃないですか。具体的なケース、ケースを積み上げていけばその中から手法が生まれてくるというのは私はよくわからない話です。調査というのはそういうものじゃないはずです。私はいまの答弁ではどうもはっきりしない。もう少し具体的に、やはり基本的な考え方はこうだ、だからこういうような調査をやるのだというようなことまできちんと答弁してくださるならばいいですけれども、そうでないのだったら私はこの問題は保留ですね。
  80. 松村賢吉

    松村政府委員 ただいままで現在やっている免許行政、これに対しまして確かに問題があったことは事実でございます。したがいましていろいろ環境上の問題等も生じてきたことと思います。そのために今回の改正等も考えておりまして、環境に十分留意する条項も多々入れてあることと思います。それでその趣旨を徹底させる意味におきまして、ただいま川田次長から申し上げましたとおり、調査その他もこれから進める所存でございます。  それで、その手段方法といたしまして、ただいま先生から御指摘ありましたように、いろいろ基準的なものを守れるのかどうか、これを十分調査する必要があろう。水質についても環境基準のような数字はございます。こういうものに適合するような数字でおさまるかどうか。あるいはまた災害予防上の観点からいきましても、これの埋め立てによりましてさらにいろいろと欠陥事項があるかどうか、こういうようなことも調査をする必要があろうと思います。また海流の変化等によりましていろいろ具体的な影響、これは個々でございますので一律には言えませんが、問題があろうと思います。こういうものにつきましての調査等を含めまして、今後の行政といたしましては、この法律改正をもとにいたしまして私ども重大な決意をもって努力していく所存でございます。
  81. 中島武敏

    中島委員 どうもはっきりしない。あと建設大臣の見解も伺いたいと思うのですが、たとえば別府湾の埋め立て問題がありますね。これは第一期計画がやられて、しかも第一期計画が現在完成していないにもかかわらず、もう環境の汚染は相当なものであります。魚の関係につきましても、これは水産庁は調査してないと言いますけれども、知らぬわけじゃないと思うのですよ。相当大きな被害を受けておる。だから少なくとも第一期計画については環境保全上の考慮をいまからでも払えという要求が住民の中から、県民の中から出ております。第二期計画は中止すべきだ、こういう要求がいまだに相変わらず熾烈に出ているわけです。これが実態なんですね。ところがいま答弁を聞いておりますと、これからちゃんとした調査をやっていくといういま河川局のほうのお話なんです。これから調査をやっていく。私は、これから調査をやるもやらないも、もう調査方法についてはっきりさせてもらいたいと思います。たとえばの話でありますけれども、大分のあの新産都の第一期計画なんというものは直ちに再検討され、中止さるべきじゃないか、そういうふうに思うのですね。そこまでいくのでなければ、調査調査と言っておりますけれども、これはお話にならない。その点でどうですか。これはどなたからでもけっこうでございますけれども伺って、その上で建設大臣に伺いたいと思うのですけれどもね。
  82. 岡部保

    岡部政府委員 ただいま具体的な大分の埋め立て計画についてのお話がございましたのでお答え申し上げますが、確かに第一期計画土地造成はほぼ終わっております。土地造成としてはほぼ終わって第二期計画に着工したという段階でございます。それでその上物と申しますか、土地の上にできます工場汚染の排出、この問題で確かに以前よりあの環境が悪くなったということでいま問題になっておるわけでございます。そこで、これは私がお答えするよりは環境庁お答えをいただかないといかぬわけでございますが、確かに現在第一期の操業率というのはフルの操業をまだいたしておりません。したがって、いまのような調子で操業率が上がっていけばこれは汚染源がふえるということは確かでございます。したがってその辺の問題で非常に問題になったということは私も存じております。それから地元の方々で反対の方々が非常におられるということもよく知っております。現段階といたしまして、いわゆる二期計画のうちでも八号地の造成というのは当分留保するという知事の決断が出たわけでございます。そこであと六号地、七号地のうちでも、現在いわゆる公害の発生源に比較的ならない公共埠頭部分にすでに着工いたしております。それであと工業用地である六号地、七号地の問題、これは当然いわゆる環境アセスメントと申しますか、環境公害防止計画に沿ってこれを実施するという県の考え方であるというふうに私どもは了解いたしておる次第でございます。
  83. 金丸信

    金丸国務大臣 埋め立ての問題につきましては、私は、まあいままではいままでとして、今後の埋め立てのあり方としてはまことに慎重にやらなければならない。許可するということは、どんどん許可するということでなくて、むしろ、今度は許可されたのは珍しいというようなケースでなくちゃならないほど厳重にやるべきだと私は思います。そういう意味で、環境という問題につきましては、環境保全の許容量という問題については環境庁とも十分打ち合わせまして、万遺憾のないように期してこれを許可の基準に持っていきたい、こう考えております。
  84. 中島武敏

    中島委員 いま建設大臣考えを伺いました。ほとんど許可が珍しいというくらいに埋め立てが規制されなければいけない、こういうお考えでございますね。いままでの大きな埋め立てはどこでやられたか、だれの所管のもとでやられたか。これは運輸大臣ではないでしょうか。運輸大臣お話を聞かないとこの辺は……。実際にはこの法律が適用されて大きな影響を持つところはこれは運輸大臣であります。——運輸大臣はきょうなぜ出ておられないのですか。この法律は共管でしょう。共管の法律建設大臣だけお出になっていらっしゃる。これは建設委員会だから建設大臣がお出になるのは当然のことでございますけれども、しかし運輸大臣はどうされたのか。やはりこの問題について、いま建設大臣がはっきり見解を述べられたが、運輸大臣の見解も私は伺いたいと思う。委員長、運輸大臣を呼んでください。
  85. 服部安司

    服部委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕
  86. 服部安司

    服部委員長 速記を始めて。  この際、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十三分休憩      ————◇—————    午後一時四分開議
  87. 服部安司

    服部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中島武敏君。
  88. 中島武敏

    中島委員 休憩前にこの公有水面埋立法の一部を改正する法律の第四条第一項の二号に関していろいろお尋ねをいたしました。そしてそのときに建設大臣のほうから、これからの埋め立てはごくまれにしか許可にならないようにこの法律でやっていくのだという答弁がございました。運輸大臣においでいただきましたのでお尋ねしますが、建設大臣と同じような考え方でおられるかどうかということについてお尋ねしたいと思うのです。
  89. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 午前の御審議のことはよく存じませんので、いまお尋ねになりましたことについて運輸省立場から意見を申し上げたいと思います。  少し長くなりますが、いま私のほうは港湾を所管しておりますのでその点から申し上げますが、この港湾を使う事業、これは申すまでもございませんが、海運が主でございます。それが、最近御承知のように非常に世界経済が多様化し、拡大してまいっておりますので、どこの国でも港湾の施設につきましては現状に合わせまして港湾の整備につとめておることは申すまでもございません。日本港湾について申しましても、これは世界の経済が拡大するに伴いまして日本経済も拡大しておりますし、国民生活も向上しておる。したがって港湾をどう使うか、どういう機能を持たせるかということにつきましては、いままでの港湾と違いまして非常に専門的なものになったり、あるいは機能が多様化してきているということは事実でございます。これはもちろん日本経済全般の問題にも関係いたしますし、国民経済にも関係してくることでございます。われわれのほうでは港湾の五カ年計画を先年来立てまして、それに基づきまして逐次日本港湾の整備をいたしております。と同時に、世界経済の中における日本港湾ということだけではございませんで、地域開発というような意味におきまして、地域住民からの非常な要望によって港湾開発ということもやらなければならぬという事情にあるわけでございます。そういう点から考えまして、われわれは日本港湾の設備を、これは海だけでなくて、陸上設備、両方含めまして、何とかして時勢の要望に沿うようにしなければならぬという考え方が基本でございます。  しかし、お尋ねになりましたことは、埋立法に関連いたしまして港湾につきましても環境保全をいままで十分やっておったかどうかというような点に着眼されまして御質問になっているのじゃないかと思います。先般衆議院を通していただきました港湾法の改正でございますが、これも第一義的には日本の従来の港湾の中に何か欠けておるものがある。一番著しいものは港湾における環境保全であるということを申しまして、その点につきましては御審議の結果大体御承諾を得たものと考えておるのでございます。そういうわけで、われわれのほうといたしましても港湾の整備にあたりまして環境保全ということを考えなければいかぬ。これはいままでの港湾からいいましても一番欠けておったところじゃないかと思っておる次第でございます。公有水面埋め立てに関しましても、港湾に関する限りはいま申し上げました基本的な考え方を持って港湾整備をすることは当然でございまして、ここに書いてございます、その埋め立て環境保全及び災害防止に十分配慮せられているものであるという趣旨は、運輸省方針からいいましても少しもこれは変わったところはないのでありまして、このとおりに行なわなければならぬと思っておる次第でございます。
  90. 中島武敏

    中島委員 いま大臣お話がありましたが、先ほどから私は、環境保全公害防止ということが埋め立てに際してきちんとやられているかどうか、これからやられていく保障があるかどうかという問題をめぐって質問をしてきたわけであります。運輸大臣は御出席になっておられませんでしたので、ちょっと申します。  各省庁にお尋ねしましたところが、運輸省のほうでも、埋め立てによっていかなる影響が及ぼされるか、環境保全されるように具体的な調査を行なっているかどうか、あるいは埋め立てが行なわれた後においても追跡調査を行なっているかどうかということについて、調査をやっておられるという御答弁はあまりありませんでした。それから環境庁もそうではございませんでした。水産庁もそうではない。建設省のほうでもそういう御答弁なんです。そうしますと、そこから問題になってきますことは何かというと、運輸大臣はいま御答弁にはなりましたけれども環境保全が従来欠けていたので、これを強めていくのだと言われますけれども、このことがほんとうにこの法律の中にきちんと保障されているのかどうかということが問題になるのですね。具体的な調査方法についてもどうしていくのだ。つまり判断の基準、これには調査がなければなりませんから、そのことについてはいままで大ざっぱにいってやっていない。それから、これからやっていくのだということになると、それじゃどんな方法かというと、それもあまり具体的じゃない。そこで建設大臣は、先ほど申し上げたように、埋め立てが許可になるということは、これはほんとうに例外的な場合というふうにこの法律でむしろしていくのだ。つまり、そういうふうにして環境保全をはかっていくのだということだと思いますが、そういうお話だったのです。そこで、運輸大臣はいまのように守っていかれると言うが、そういういままでの質問、それに対するいろいろなお答えがあった上に立ってのわけなものですから、いわば、言ってみますと、環境保全をやっていくのだという御答弁だけでは私のほうは、討論の経過を踏まえますと非常に不十分と申しましょうか、どうもそのまま、はいそうですかというふうには言い切れない御答弁なんです。そこでもっと具体的に申しますと、それじゃ建設大臣が言われたことと運輸大臣が言われたこととの間には、違いはあるのかないのかということについてもさらに突っ込んでお尋ねしませんとわかりませんので、その辺のところをもう一度見解を伺いたいと思うのです。
  91. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 午前中に建設大臣がどういう表現お話しになったか存じませんので、いま御質問でわかったのですけれども表現は違いましても気持ちは同じだと思います。ただ、例外的にと先ほどおっしゃいましたそうでありますが、その点につきましては、先ほど申し上げましたように、日本国民生活、日本経済というものが、世界経済が拡大し多様化してくる、その中において変化してきていることは事実でございまして、それに応じて、日本港湾というのは、古い港湾もございますけれども、非常に新しい港湾で整備の悪い港湾も非常に多いことは御承知のとおりです。でございますから、それには陸上施設も大事でございますけれども、海上の、海の中の施設も整備しなければならぬということも事実でございます。この港湾における海岸について整備をしなければならぬというのは、たとえばいままでは沖がかりで遠くからはしけで運んでおったようなものについて、やはり岸壁をこしらえてということになりますと港湾をいじることになるわけであります。そういったものが全部例外であって、原則としてやらないのだ、いまの自然環境のままで、何もそれに対して建設工事をしないのがいいのだというふうには私は考えていないのでございます。もちろん、これをやるにつきましては、建設大臣も全然同様の御趣旨であると思いますが、最近あらゆる角度から、海洋の汚染問題とか海洋における公害の問題が方々から提起されておりますから、これはもういまのわれわれの港湾整備にあたりましても第一義的に考えなければならぬ問題だと思っておる次第でございます。  率直に申し上げて、あるいは差しさわりのあるところがあるかもわかりませんけれども、従来の工業港と称せられるもの、これは非常に専門的な港湾設備はしておりますけれども、これにつきましては私は反省すべき点があると思うのです。そういった工業港を整備するに急のあまり、いまお話しのような公害の面を若干第二義的に考えたのじゃないかと思われるようなものもあるようです。ですから、われわれといたしましてはそういった問題に対してはいまも正面から取り組んでおります。そういったものにつきましては、公害がこれ以上拡大しないようにということで、都道府県に対して適切な指導をしながら建設を進めさしておるというのが現状でございます。  でございますから、埋め立てはもうしないほうがいいのだ、例外的な場合以外はしないのだという表現をお使いになりましたけれども、その点についてはいま申し上げたように、やはり私は、必要な港湾の整備はしないと、これは日本国民経済あるいは日本経済を維持する上にどうしても困るような問題が出てくるんじゃないかと思います。その場合におきましても、都道府県知事ももちろんその地域の住民の方のことを考えまして、漁業問題その他考えて、公害の発生を最小限度にとどめるように努力をせられております。私どものほうは都道府県知事のつくった計画に対して認可をするわけです。その場合にいま申し上げたようなことを十分考えてやらなければならぬと思っておりますし、法律にも書いてありますように、一定規模以上の港湾につきましては、これはそのほうの一番の中心であります環境庁長官とも十分協議をして行なうということになっておりますから、この点は皆さんの御期待に沿えるような行政運営ができるし、しなければならぬという気持ちでおることをお答えいたしたいと思います。
  92. 中島武敏

    中島委員 どうも時間が次々経過してしまって、はなはだ私は困っているのですよ。いま運輸大臣、そうおっしゃったのです。しかし午前中にいろいろお尋ねしましたところでは、なかなか納得しがたい問題がずいぶんある。  それで運輸大臣、いまそうおっしゃいましたけれども、新五カ年計画をつくっていらっしゃる。それで臨海工業地帯を四万ヘクタールもつくる、こうなっているわけですね。では、これは今度は見直しを全部やって根本的に再検討される、あるいはこういうのはやめるのだということなんですか。その辺まで話がいきませんと、どうも建設大臣の言っておられることと運輸大臣の言っておられることが、同じことを言っておられるというふうには受け取りがたいのですね。どうなんですか、ここは。
  93. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 私のほうとしましては、いま行なっております現行の港湾整備五カ年計画、これではさっき申し上げましたような意味におきまして非常に足りないところがあると思っておるわけでございます。足りないといいますのは、数をふやすとか拡大するということだけじゃございません。内容の点におきましても、あらゆる角度から見てこれでは足りないと思っておりますものですから、来年度の予算以後、四十九年度以降におきまして新しく新五カ年計画立てたいという考え運輸省は持っておるのでございます。ただ、この点はまだきまりません。政府として新しい五カ年計画立てるがいい、またこういう方針立てたほうがいいということはまだきまっておりません。したがいまして、新しい五カ年計画についての考え方というものをいまここで政府の案として申し上げる段階には立ち至ってないのでございます。しかし、新しい計画立てますにつきましても、運輸省としての考え方先ほど来申し上げたとおりの考え方でもって立てなければならぬと思っておることは事実でございます。そういう方針で進みたいと思います。
  94. 中島武敏

    中島委員 ちょっと納得しがたい御答弁なんで、ほんとうでしたらもう少しあれなんですが、時間の関係もあるので私もぼちぼちきょうは質問をやめなければならないと思うのですが、まだいまの御答弁では、午前中の話とからんでみますとちょっと納得しがたい。それで、きょうは質問を打ち切りますけれども、実はもう少し質問を続けさせていただきたいのです。委員長、別の機会に……
  95. 服部安司

    服部委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕
  96. 服部安司

    服部委員長 速記を始めて。  北側義一君。
  97. 北側義一

    ○北側委員 運輸大臣のお時間があまりないようですから、私、簡単にお尋ねしてまいりたいと思うのです。  ただいまのやりとりを聞いておりまして、具体的なことばの上の環境保全その他につきましては、今度の改正案についてはっきりうたってあるわけです。はたしてこれを具体的にどのようにやるか、これが問題じゃないかと思うのです。私、思うのですが、たとえばいままでのいわゆる埋め立てによりまして非常な水質汚濁とかいろいろな公害が生じておるわけです。そこで、これからの埋め立て計画を見ますとずいぶんあるわけです。もう方々で、瀬戸内海あたりですと七割も埋め立てされるのじゃないか。各種の統計でもそうなっておりますね。そういう点で、やはり日本全国の環境保全のためにも、この埋め立てをやるについて環境を完全に保全されるというような立場に立った科学的な調査をやらなければいかぬのじゃないかと思うのです。片方では、運輸省運輸省免許をおろす、知事は知事でやる。たとえば漁港あたりですとこれは水産庁になりますね。そのようにばらばらなんですね。ばらばらにやっていくとどうしても環境保全というのは非常にむずかしいのじゃないかと思うのです。そういう点についてどのようにお考えになっておられるか。これは運輸大臣だけの質問じゃないと思うのですが、その点どうでしょうか。
  98. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 私からあなたの御質問に対して全般的なお答えをすることは困難だと思いますが、私のほうが受け持っておりますのは港湾でございますから、その観点からだけ申し上げますと、港湾といいましても、いまおっしゃるように一般的な環境保全の問題もございます。それから港内にはやはり漁業権の問題もございます。したがいまして、関係官庁はやはり幾つかに分かれておるわけでございますが、それは決して運輸大臣が今日までもそれをただ独断でやっているわけじゃございません。それは都道府県段階におきましてまず関係の方面と十分な折衝をし、地元の方々にも納得を得られるような方法をもちまして計画を策定して運輸省に持ってくるわけでございます。そこで運輸省としましては関係各省と相談をいたしまして、環境保全それから公害の防除ということについては力を入れてやりますということを先ほども申し上げておるのでございます。今度の埋立法につきましても、この点に関しては先般衆議院を通していただきました港湾法の一部改正案の趣旨と全く同じだと私は思っております。いままでは埋め立て免許基準としましてそういったのがなかった。これはなくてもそういうことを行政裁量の上で考えればいいわけですけれども、今度それを明定したということはそこに政府の意思があらわれておるわけでございまして、おっしゃるようにこれは運用の問題が大部分だと思いますが、運用の問題につきましては一々の——私のほうから言いますと港湾につきまして具体的な環境保全とか公害防除とかいうことにつきまして、一々の港湾についての基準を法律上出すということはできませんから、やはりその趣旨を非常にはっきりと書いて、それの運用について各省が協力をし、最大限の努力をするという以外には方法はないと思います。われわれのほうは非常に関係が多いものでありますから、先ほども申し上げましたような趣旨におきまして、国会における御論議の趣旨を十分参酌いたしまして、環境保全、それから公害の防除ということについては最大限の努力をするようにしながら港湾の整備というものをしていきたい、こういうふうに考えておることをお答え申し上げたいと思います。
  99. 北側義一

    ○北側委員 いままで免許権者である知事といろいろ御相談なさってこられたと言うけれども、実際は非常に環境が汚染されたことは事実なのです。これはもう認めざるを得ないわけですね。そういう点で今度は改正法が出たわけですけれども、この改正法が出た以上は、この改正法が出たことによっていままでの埋め立てとは違うのだというような面が明らかにならなければならないと思うのです。これは私の考え方なのです。そのためにこの改正案が提案されたんですね。今度はそこらの免許基準というものがはっきりしなければならないと思うのです。そういう立場から見るならば、各局がばらばらでなく、やはり総合的な日本全国の環境保全立場から埋め立てというものを見直していかなければならない、そういう時点が来ているのじゃないか、こう私は考えるわけなのです。  大臣のおっしゃっていることは、結局ここに書いてあることをいままでずっと述べられたわけですが、いままでの法律ですでにこれだけ環境が悪化しておるのに、もしこれ以上免許されて埋め立てをじゃんじゃんやられた場合にはいろいろな問題が出てくると思うのです。たとえば響灘の埋め立てに対して山口県でも県議会で反対の決議をしておるわけです。こういう事態も起こっているわけです。これも運輸省のほうにいっているはずです、あとから聞こうと思うのですが、そういう点に対してやはり所管大臣が全国的視野に立った環境保全立場からの埋め立て計画というものをやらなければならないのじゃないかと思うのです。大臣、時間がないようですが、あとずっとまた運輸省のほうに聞いてまいりますから、どういう質問があったかよく確かめていただきたいんです。所管大臣がそれを御存じないようでは話になりませんので、よろしくお願いします。  建設大臣もいま聞いておられたとおり、たとえば、この法律が成立した当時の、湾や海岸の一部を埋め立てる、そういうものじゃなくなってきたと思うのですね、この法律自身が。そういう面で、もうすでにこの法律が成立して五十三年たって、たとえば経済状態におきましても社会情勢におきましても、また周囲の環境、もうすべて大きく変動しておるわけです。そうしてこの法律の一部改正が出まして、特に第四条関係でうたわれておりますとおり「環境保全又は災害の防止に十分配慮」する、このようになっておるわけです。しかしここで一番大事なことは、「埋立て免許の基準を法定し、」こうなっておるのですが、「法定し、」という以上はそこに何らかの基準がなければならないと思うのですね。その基準をどのように置いていくか、こういう問題ですね。それが一つと、またその基準を立てるためには全国的な埋め立て計画というものを見てみて、こういう埋め立てをやった場合に環境はどうなるのか、そういう科学的な調査も必要じゃないかと思うのですね。それをやってはどうかという意見をいま私は申し述べたわけですが、建設大臣のお考え、どうでしょうか。
  100. 金丸信

    金丸国務大臣 先ほど河川局次長から御質問に答えた問題でもあるわけですが、これをやりながらの間にというようなことを言っておりましたが、私は一つのワクというものはあってしかるべきだと思います。そういう意味で、今後この法律が通った暁は関係官庁と十分な連絡をとって、その尺度というものはきめるべきだ、こう考えております。
  101. 北側義一

    ○北側委員 もう大臣でなくてもけっこうですが、いわゆるこの第四条関係の「埋立て免許の基準を法定し、」とありますが、この基準は具体的にどうなっているのですか。
  102. 川田陽吉

    川田政府委員 お答え申し上げます。  公有水面埋立法の関連の政令改正の中で、改正法の二条三項五号の「命令ヲ以テ定ムル図書」という中に、環境保全につき十分配慮されたものであることを示す文書をつけさせるという形で、それを土台にしましてそれを審査することによりまして、環境保全についての配慮を行なうという考え方でございます。
  103. 北側義一

    ○北側委員 先ほど運輸大臣も、環境保全についてはいろいろいままでにもチェックしてきた、こうおっしゃっているわけですよ。だからこの「基準を法定し、」という、そのことばだけの問題じゃいけないのじゃないかと私は思うのですね。そこに何らかの形の基準というものがなければ……。それはもう場所場所によっていろいろ違うでしょう。しかしそこに環境悪化をしないというはっきりした一つの基準というものがなければいけないのじゃないかと思うんですよ。そこらについてどのような法律でどのようにやっていかれるか。また免許権者たる知事に対してどのような与え方をするのか。そこらはどうなんですか。
  104. 川田陽吉

    川田政府委員 具体的な運用に入りますと、免許官庁自身としての判断というものはもちろん持たなければなりませんが、その際には、重大な埋め立て、特に認可を要するような埋め立てにつきましては、運輸大臣建設大臣はそれぞれ環境庁長官から意見を徴しまして、それによって判断します。その際の環境的な判断基準になるものさしと申しますのは、やはり公害対策基本法の環境基準であり、水質汚濁防止法とか大気汚染防止法とか、そういったそれぞれの環境に対する基準というものをものさしにしまして、具体的に上がってきた申請書に付せられたそのような措置等がはたしてだいじょうぶか、それらの基準を満足させるものであるかどうかというところの判断を知事や大臣がしなければならないわけでございます。そういう立場で、具体的に、統一的に何かはっきりとした判断基準を示されることができれば一番よろしいわけでございますから、ただいまも建設大臣からお答えがございましたが、その線に沿いましてわれわれも一生懸命努力をいたしまして、一刻も早くそうしたものができるようにつとめなければならないと考えております。
  105. 北側義一

    ○北側委員 たとえば田中総理が発表しました日本列島改造論、この中でも工業港と普通港の整備について話しておるわけですね。それも結局埋め立てをやって工業用地造成をやっていく、こういう考え方なんです。そうしますと、いままでのやり方を見ておりますと、このようにいわれておっても実際また同じようなケースになっていくのじゃないか、こういう心配が非常に見えてくるわけです。御存じのとおり、けさの新聞あたりでは、水産庁の発表によりますと、四十四都道府県でもうすでにその中の三百三十四カ所で五百七件も奇形魚が出ておる。もうほとんど全国的なんです。そういう面から考えますと、この埋め立て事業というものはこれからの食物の問題にも非常に大きく影響してくるのじゃないかと思うのです。そういう面から考えますと、この埋め立ての事業というものは、抽象的な考え方環境保全といっておっても、実際にこれをやられた場合にはたいへんな問題になる、このように見ておるわけです。  この前の委員会でも、環境庁長官の意見を聞く、この問題についてずいぶん論議されておったわけです。ほんとうは環境庁長官の同意を求めるとか、そこまでびしっとくくったらいいのじゃないかと私も思うんですよ。この問題については協議をやったらどうかとか、いろいろ意見が出ておりましたが、そこまでいかないと安心できないというのが私の正直な気持ちなんです。この基準につきましても、たとえばあなたは先ほど公害基本法とか防止法とかいろいろおっしゃっておられましたが、複合汚染等された場合、これがいままでもあったわけですね。それで現に環境が悪化されていろいろな問題が出てきたわけですから、そういう面から見ますと、環境庁長官の同意ということにした場合は、やはり意見を聞くのとはだいぶ変わってくるのじゃないか、こういう考え方を私も持っておるわけです。これについてはどうですか。やはりこの間と同じ答弁ですか。   〔委員長退席、大野(明)委員長代理着席〕
  106. 川田陽吉

    川田政府委員 前回もお答え申し上げた次第でございますが、運用にあたっての精神的な私どもの心がまえのほうがやはり一番大事ではないかと考えております。環境庁長官の御意見を求めるという立場は、専門的な環境保全という立場からの一番責任を持った方の御意見を伺うわけでありますから、それを極力尊重し、順守をするということは当然の義務と考えて、そういう条文を置いたわけでございます。
  107. 北側義一

    ○北側委員 何やらこの間と同じような答弁ですね。  環境庁はお見えになっておられますか。——この埋立法によってずいぶんいままでコンビナート、大きな工場、これが利用されておるわけです。そして深刻な公害問題が発生しておりますが、おも立った場所はどういうところですか。
  108. 三喜田龍次

    ○三喜田説明員 お答えいたします。  戦後のコンビナート、大規模工業立地によりまして環境が悪化したという事例は、古くからの工業地帯では川崎、それから戦後新しく開発されました四日市、それから水島というような事例がございます。
  109. 北側義一

    ○北側委員 いま言われたほかにまだ方々にあるわけですね。このようにいままでの公害は非常に深刻なだけに、この法律案について私たちも環境問題を非常にやかましく言っておるわけなんです。そういうやりとりをやっておりましてもいまのような答弁だと思いますので、法律論にずっと入ってまいりますが、この法律案によりますと、埋め立てに関する利害関係を有する者、これは第五条の一つに該当する者、このようにありますが、この第五条のいわゆる利害関係者を一つずつ説明してもらいたいのですが……。
  110. 川田陽吉

    川田政府委員 公有水面埋立法第五条の一号から四号まで、「公有水面ニ関シ権利ヲ有スル者」という権利者の列挙をいたしておりますが、まず一号の「法令ニ依リ公有水面占用ノ許可ヲ受ケタル者」と申しますと、河川権利者と海面と重複しているような場合があるわけでございますが、たとえば公有水面に対しまして河川法上の排水工作物の許可を受けた者というのがございます。この一号の「法令ニ依リ」と申しますのは必ずしも公有水面埋立法をさすものではございませんでして、河川法等の規定によりまして、公有水面、今度は海のほうの上に、河川法との接点のような場所において河川法上の工作物設置の許可とか、あるいは流水占用の許可を受けた者というようなことが考えられますので、そういった権利者がまず一号で考えられております。  それから二号の関係でございますが、二号は、先生御承知のとおり、漁業法によりますところの漁業権または入漁権でございまして、漁業権のほうは大体漁業協同組合が持っている場合が大部分でございます。  それから三号のほうは、——ただいま私の説明、一号と三号、ちょっと入れ違いまして御説明申し上げましたので、まず三号がただいまの河川法等の流水の占用とか引き水等の権利者でございまして、それから海水の権利者でございまして、一号は占用権のほうでございます。河川法による水面の占用あるいは河川法による占用の許可を得た者が一号でございます。  それから四号は塩田の場合が考えられております。四号は、「慣習ニ依リ公有水面ヨリ引水ヲ為シ又ハ公有水面ニ排水ヲ為ス者」で、四国地方の塩田業者等につきましては、慣例的に、慣習的に海水の引用等が古くから認められておりまして、そういった方々に対する配慮の規定でございます。なお、四号についてはあまり例はそう多くはないかと思われます。  失礼いたしました。
  111. 北側義一

    ○北側委員 この第二番目の漁業権者、入漁権者、この範囲はどのように見ておられるのですか。
  112. 川田陽吉

    川田政府委員 漁業権者及び入漁権者の範囲は、それぞれ漁業法によりまして権利として認められた方々を考えております。
  113. 北側義一

    ○北側委員 先ほども少し述べましたが、山口県議会では四十七年の七月十七日に響灘埋め立て事業による海水汚濁防止に関する決議をやっておるわけですね。これは山口県知事名で運輸省にも環境庁に対しても、環境保全立場で申し入れがあったわけです。これはやはり瀬戸内海の赤潮にも非常に大きく影響しているようですね。こういう漁業者というのはこの中のいわゆる権利者に入っておらないわけですね。海というのは御存じのとおり、埋め立て等によりましてそれが対岸にも影響してくるわけです。対岸になるともうすでに県が違う。周防灘開発でも相当大きな開発です、あれが実行されますと。そうするとその地域の漁民への影響だけじゃないのです。それは権利のほうに入らないのですか。
  114. 川田陽吉

    川田政府委員 第五条に掲げております漁業権者は、公有水面埋め立てに際しまして埋め立て免許を与える地方長官が、事前に埋め立て業者がその方々の完全な同意を得てやるかどうかということを確認すべき対象の漁業権者でございます。いわば埋め立て区域そのものの中に含まれている漁業権者、したがって、その方々の同意がなければ当然埋め立ては認めるわけにはいかない、こういう考え方でございます。ただしそれ以外の、たとえば隣接海域の漁業権者の方で当該埋め立てによって実害を受ける方がないわけでもございませんし、考えられることでございます。そうした方々に対しましては、民法の一般原則によりまして、不法行為に基づく損害賠償という法規の規定もあることでございますから、それに至らざる前に、事前に補償等の打ち合わせをやることは必要かと思いますけれども、そうした隣接海域の方々の完全なる同意を得なければ埋め立て免許をなし得ないとするかどうかということについては、やはり相当問題があるのではないかという考えでおります。したがいまして、事前に、埋め立て免許をもらうにあたりまして同意をとらなければならない相手としましては、やはり五条二号の、漁業法で定める当該海域における「漁業権者又ハ入漁権者」ということでよろしいのではないかと考える次第でございます。
  115. 北側義一

    ○北側委員 ここの第三条関係では、当該「埋立ニ関シ利害関係ヲ有スル者ハ」こうなっておるのですね。ところが、私は非常に範囲が狭いように思うのです。もう少しやはり範囲は、それはどこまで広げるか問題点があるように思うのですが、しかし、少なくとも響灘の開発によって山口県側の漁民が、これは一つの例として出てきておるわけですから、そういう面についてはやはり相当考慮してやらなければいけないのじゃないか。そうしないと、「埋立ニ関シ利害関係ヲ有スル者ハ同項ノ縦覧期間満了ノ日迄」意見書も出せないのですよ。そういう人は、対岸の人はこの法律からいうとそうなりますね。
  116. 川田陽吉

    川田政府委員 ただいまの御説明、ちょっと途中で足りませんでしたので、さらに補足したいと思いますが、そういった隣接県だけでなくて、いわば関係都道府県知事という考え方でおります。対津の県ももちろん含むという考え方でこの第三条の三項を考えております。そこで、まず埋め立て免許の申請を受理した都道府県知事告示をするわけでございますが、その告示をしたときには直ちにその旨を関係都道府県知事、たとえば福岡県知事から、潮流や何かの関係で影響があるという場合には対岸の山口県知事に通知をするということを義務づけております。そうして、その通知をもらった都道府県知事はさらにそれを自分の県の中で告示をすることに義務づけておりまして、これは政令でやりたいと思っております。そうして、その告示を見た「埋立ニ関シ利害関係ヲ有スル者ハ同項ノ縦覧期間満了ノ日迄都道府県知事ニ意見書ヲ提出スルコトヲ得」ということでございますから、これは利害関係を有する者は、告示に関連してどなたでも意見を出し得るというふうに考えております。
  117. 北側義一

    ○北側委員 もう一度、いまのどなたでもというのは、第五条以外のいわゆる利害関係者、これに含まれない利害関係者もということでございますね。
  118. 川田陽吉

    川田政府委員 さようでございます。
  119. 北側義一

    ○北側委員 では次にいきますが、たとえばここで具体的に、この法律の第三条二項に、関係知事にも通知する、このようにあるわけですね。この通知する範囲ですが、要するにどういう場合に通知するのか、その点は具体的にはどうなんですか。
  120. 川田陽吉

    川田政府委員 関係都道府県知事は、潮流、風向き、海流等の関係で影響を受けると考えられる知事はすべて含めている考え方でございます。
  121. 北側義一

    ○北側委員 私、いままでずっとこの法律案について調べてきた。たとえばここにも、市町村長の意見を徴しなければならない、議会の議決を経る、こうなっていますね。しかし市町村においては、財政確保等の面から埋め立て促進をはかってきたというのが大体いままでの現状じゃないかと思うのですよ。そういう面から見た場合に、やはりいわゆる総合的な見方というのは非常に大事じゃないか、このように私は考えておるわけです。  たとえば、これは私の調べた分なんですが、瀬戸内海ですね。今日まで瀬戸内海の方々でずいぶん埋め立てが行なわれてきたわけです。これについて少し私調べてみたのですが、瀬戸内海の汚染総合調査団、これが汚染総合調査団の報告書として出しておるのです。この中で、瀬戸内海を包む本州と四国の各市町村で現在埋め立て干拓計画、これを有する市町村は調査区域内の七割以上を占めておる、こういっておるのです。四国と本州の瀬戸内海に面した市町村、このうち七割が干拓及び埋め立て計画を持っておるというのですよ。周防灘の開発、これもいま構想にのぼっておりますね。こういう実態ですから、ここにたとえば市町村会の議決を経るとなっても、市町村の七割近くはもう埋め立てをやろうとしておるわけですから、すでにそれはもう計画にのぼっておると思うのです、私の考えた上では。そうした場合、やはりこれだけでは非常に弱いのじゃないか、こういう考えも出てくるわけなんです。その点についてどうでしょうか。
  122. 川田陽吉

    川田政府委員 市町村が埋め立て事業をやろうとする際には、当然予算等の計画で予算を計上しなければできないわけでございますから、その段階でまず市町村会の議決が当然必要でございます。そこで大多数の同意を得られたものを知事に提出してくるという手続考えられるわけですが、その際さらに、受理した知事は市町村長に、ほんとうに市町村長としてこの埋め立てをやりたいと考えているのかどうか、やりたいなら別途地元の埋め立てを行なう市町村会としての議決意見を出してくれ、出しなさいという規定がこの第三条の趣旨でございますから、そこで地元市町村の意見というのは二度確認されて出てくるわけでございます。それでもなおかつその埋め立て免許していただいてけっこうですという意見が出てくるということなら、そこで知事は免許するかどうかの判断を下すわけでございますが、その際、どのような混乱があったかどうかというようなことも全部状況判断を加えた上で知事は免許をするということになるかと思います。
  123. 北側義一

    ○北側委員 いままでの状況を見ておりますと、なかなかそうここで論議しているようなわけにいってないですね。そういう点で申し上げておるわけです。いままでの状況ですと、そのように市町村及び県自身が埋め立てを促進しておる、これが実態です。そういう面をチェックしていくためにも、やはりここに法律案にうたわれたいわゆる環境保全と災害の防止、そういう面から、主務大臣として、主務官庁としてそこらの配慮も非常に大事になってくるのじゃないかと思うので、それを申し上げておるわけなんです。  この第二条では「埋立ヲ為サムトスル者ハ都道府県知事免許ヲ受クヘシ」、このようになっておるわけですね。たとえば埋め立てについて知事が申請して、知事が許可して、こういう形も生まれてくるわけです。そこでいろいろな住民の反対が起こってくる。そういうことになりますと、知事としては強制執行権を持っておるわけです。その点はどうなんでしょうか。
  124. 川田陽吉

    川田政府委員 都道府県知事としての公的な性格は、御承知のとおり非常に多くの性格を兼ね備えていると申しますか、港湾管理者としての知事もおりますし、河川管理者としての知事の立場もございますし、また公有水面埋立法免許を与える免許官庁としての知事の立場もございます。これは建設関係の法令だけでなくて、やはりいろんな法体系で、都道府県知事というものを、ある場合においては地方自治法の定める地方行政の長としての立場、それから国の行政機関としての知事の立場というふうに、それぞれ一応各法律で使い分けている次第でございます。埋め立て行政について、これを具体的にさらにこまかく下に機構的におろしてみますと、知事部局である企業局とか開発局が埋め立てをやるという企画をし、それを土木系統の港湾課とかあるいは河川課が免許するという立場、別な立場でこの公有水面埋立法という法規にのっとって判断を加え、免許をしたりあるいは拒否したりするという行政になっております。   〔大野(明)委員長代理退席、委員長着席〕 これは公有水面埋立法ひとりの問題ではないと思いますが、そういった点でこの法体系も御了解いただきたいと思う次第でございます。
  125. 北側義一

    ○北側委員 あなたが言われるとおり、知事の仕事が非常に広範囲にわたっておると思うのですが、私ら見ますと、申請人も許可権者も知事で、強制執行するにしたって、知事がやるわけではありませんが、しかし県の中にそういう審議会があるわけですから、そういう面から見ると非常にこれはおかしいんじゃないかという考えを、これは平凡的な考え方かもしれませんが、持つわけなんです。これはやはりこの法律改正案にうたわれてあるとおり完全なる環境保全その他ができたら問題ないと思うのです。しかしできないときには、これは非常に問題になってくるんじゃないかと私は思うのです。また第四条において、分譲を目的とした埋め立てについて、その「出願人ガ公共団体其ノ他政令ヲ以テ定ムル者」、このようにあるわけです。この「政令ヲ以テ定ムル者」とは何をさすのか。また、「埋立地ノ処分方法及予定対価ノ額ガ適正」である場合以外は免許をできないものとする、このようにあるわけです。この「予定対価ノ額ガ適正」である、これは何を基準にしてやるのですか。
  126. 川田陽吉

    川田政府委員 五号の、分譲用の埋め立ての資格者として考えております「公共団体其ノ他政令ヲ以テ定ムル者」という範囲でございますが、まず、政令で定める者という範囲につきましてはきわめて例外的なケースと思いますが、豊業協同組合あるいは漁業協同組合というようなものがあるという考え方でおります。いわゆる県の企業局、開発局というようなものは公共団体そのもので私どもとしては読みたい。したがいまして、大規模埋め立てと、それを分譲しまして他の人に使わせるというような埋め立ては、地方公共団体という常識的な考え方にわれわれが一応受けとめているもの以外はほとんど考えていないということでございます。それから予定対価の問題でございますが、この対価につきましては、分譲用の土地の価格が地価のつり上げというようなものの引き金になるというようなことを極力警戒しなければなりませんので、そういった意味で原価とか近傍地の価格とか、そういったものを慎重に配慮しながら行政指導で判断していきたいというふうに考えております。
  127. 北側義一

    ○北側委員 これはなぜ聞いたかと言いますと、たとえば後背地に大きな都市がありますね。そういう都市があったり、いわゆる地価の比較的高いところです。そういうところで、特に遠浅の場合の埋め立てなんてこれは非常に安く造成されるわけですね。その場合、いわゆる免許を受けた者がそういう分譲をするにあたって百分の三の免許料を払ってこれを造成するわけです。近傍類地の価格、こうなりますと非常にそこに差額が大きく出てくると思うのです。そういう点でこの政令で定める者というのはどういうものか、お聞きしたわけですが、そういう点について、かりに農協なりまた漁協ですね、やはり入っておるということですが、その差額の利潤についてどのように考えられるのですか。
  128. 川田陽吉

    川田政府委員 背後地が都市化して非常に高価な価格で売買されているというような地先の海面に分譲用の埋め立てを行なうという場合を想定いたしますと、やはりその価格はそうした背後地の売買価格をむしろ冷却せしめる方向で、安い価格で分譲しなければならないという考え方でおります。適正な融資を受けた資金でございましょうから、その利息を償還するとか、適正な管理経費とか運営経費とかいうものを中心にした価格というものでなければならないのではないかと考えております。
  129. 北側義一

    ○北側委員 そういう原価計算というのは一体だれがやるのですか。
  130. 川田陽吉

    川田政府委員 原価計算は埋め立てを行なう人がやりまして、申請書を出す際に私どもはその積算方法とか価格ももちろん報告させるわけですから、そうしたものをチェックするわけでございます。
  131. 北側義一

    ○北側委員 そこらはこの内容だけではわからないのでいまいろいろお尋ねしたわけですが、それは事実上全部できるのですかね。そういう問題を一つ一つ免許権者である知事のほうできめて、都道府県でそういうことをやるのですか、建設省でやるのですか。
  132. 川田陽吉

    川田政府委員 今度の改正の第四条の第二項に、「前項第四号及第五号ニ掲グル事項ニ付必要ナル技術的細目ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム」ということで、第五号が分譲用の埋め立てでございますから、そういった技術的細目はきちんと申請書の中に上がってくるように命令でこれを定めるわけでございます。それを監督官庁あるいは知事が直接審査をするということでございます。
  133. 北側義一

    ○北側委員 それから、「埋立地に関する権利の移転又は設定の規則」ですね。「竣功認可の告示の日以後十年間は、埋立人又はその一般承継人が埋立地について所有権を移転し、又は使用収益権を設定しようとするときは、国等が権利を取得する場合等を除き、当該移転又は設定の当事者は、都道府県知事の許可を受けなければならない」このようになっておるのですね。この中の、使用収益権の設定とあるのですが、これはどういう意味なんですか。
  134. 川田陽吉

    川田政府委員 これは例でございまして、「所有権ヲ移転シ又ハ」以下の「使用貸借ニ依ル権利若ハ賃貸借」というところが「使用及収益ヲ目的トスル権利」の一つの具体例として掲げた次第でございます。
  135. 北側義一

    ○北側委員 そうするとこの使用収益権、これは賃貸借する場合においても含まれておるわけですね。そうですね。これはそう入っておらないと、結局あの文だけで、実際内容はどうでも変えられますからね。賃貸借でそこらの問題をやはり明確にしておかなければならないと思うのです。  それと、これは先ほど中島委員が聞いておられたわけですが、環境庁長官の意見を聞いて、そうしてあとどうするか、こういう質問に対しまして、結局その意見のとおりやってまいりたいというようなおことばがあったわけですが、それでいいですね。——これは先ほどから、意見を聞き、協議、同意、この間から非常にもめておる問題です。意見を聞いてそのとおりやらなければやはり環境問題というのは解決できませんから、これはほんとうは法律ではっきり、先ほども何べんも言うとおり、協議なり同意なりに私はやってもらいたい。私たちもこれはもう強い希望なんです。しかし、あと土井さんが先般質問をやって保留なされておられるので、この問題は詰めません。  最近、工業用地を含む大規模埋め立て資料、これをいただいたわけです。それを見ますと、ちょうど昭和三十八年当時から、三十五年当時の分もありますね。大体全部大規模な分です。そうしてこの二十九件のうちほとんど、その二十六件が工業用地に利用されるようになっていますね、資料によりますと。こういう面から見ても、これは先ほどからしつこく言うようですが、環境保全立場、こういう面を先ほど大臣答弁されたとおりやっていただかなければ、やはりこれはまたもっとひどい実態が出てくるんじゃないか、そういう心配をするわけです、この資料を見ましても。そういう点を、まあ大臣も最初にそう簡単には許可しないような、こういうふうに言われたわけですから、もうこれについては聞きませんが、大臣その点もよく含んでやっていただきたいと思うのです。  それと、これは一つの例ですが、山口県の下松市における恋が浜の臨海工業地帯実態、これについて、どうなっておるか、現況をお答えいただきたいのですが。
  136. 岡部保

    岡部政府委員 下松の恋が浜の埋め立ての問題につきまして概略、アウトラインを御説明さしていただきます。  徳山・下松港の下松港地区におきまして現在百三十五ヘクタールの埋め立てが行なわれております。この埋め立ては、昭和四十六年の五月に運輸大臣が認可をいたしまして免許を下されたものでございます。工業用地造成を目的といたしておりまして、ここには石油精製あるいは機械工業等が立地するという考え方で出ておるところでございます。  そこで特にこの問題でございますが、この埋め立てを始めまして、現実にそこの埋め立てのどろは、この港の航路をしゅんせついたしましたどろをもって埋め立てをいたしておるところでございます。ところがこの背後地のごく一部に、造成されます工場用地のすぐ背後のところで浸水事故が生じております。それでこれにつきましては現在県当局も、この現実の問題のございます地域の住民といろいろ折衝をいたしておりまして、近くこの地域住民と県との話し合いがつくのではなかろうかという話を現在私どものほうで聞いております。
  137. 北側義一

    ○北側委員 この下松の場合も、私の聞いたところによりますと埋め立て地を大体一坪、三・三平米二万円くらいで企業に払い下げる、このように聞いておるのです。その後番地の分は大体坪五、六万、現在の地価はそのように昨年の末あたりなっておったと聞いておるのですが、こういう問題を御存じですか。
  138. 岡部保

    岡部政府委員 この埋め立て地の売買価格につきましては、先ほど先生のおっしゃったとおりということを私ども伺っております。
  139. 北側義一

    ○北側委員 そこらは私非常におかしいと思うのですよ。実際現実の問題としていまこういう問題が出てきておるわけですね。私も下松の問題についてはきょうお聞きするから調査しておいてほしい、このようにお願いしておったわけです。だから答えが出たと思うのですがね。後背地のほうと価格がだいぶ変わってくるわけです。こうなりますと完全に企業誘致で、この法律から見てもずいぶんおかしいのじゃないか、こう私は思うわけです。こんなのもちゃんとただすべきことはたださぬといけないのじゃないですか、こういう法律改正が出た以上は。どうでしょうか。
  140. 岡部保

    岡部政府委員 確かに先生の御指摘のような問題があるわけでございます。ただ、私どもこれは非常に問題があると思いますのは、近傍地価が、先ほどお話ございましたが、非常に高い。それと、新しく埋め立てたのが比較的、原価主義でまいりますとその差額が出る。そこでその差を近傍地価に全部上げるというようにするのが一つ考え方。ただそれをやるということ自体が、逆にいえば地価を全体上げていくという一つの問題に、卑近な言い方でございますけれども、協力しているようなかっこうになるかもしれません。かといって、いま申しましたように地価の高騰を防止するような意味で安く処分するということ自体は、確かに何かそこを買う人に対して特別の特典を与えているというような問題になるわけであります。したがって私どもも、これは非常にむずかしい問題で、先日の議論のときにも一つ問題点として、たとえば免許料というものをどういうふうに考えるべきかというような問題のときは若干そういう問題に触れたわけでございますけれども、そこの辺、まだ私ども結論を得ておりませんが、今後とも検討していきたいと考えております。
  141. 北側義一

    ○北側委員 相手は企業なんですね、この場合は。住宅の分譲なんかと違うのですよ。だいぶその点、趣が違うと思うのですよ。そこら辺、やはり考えなければいかぬじゃないかと思うのですよ、相手は企業なんですから。あるいは住宅分譲で安く分譲して後背地の地価を押えていくという考え方は成り立つと思うのですよ。これは公害が出るかわからぬですよ、気をつけないと。だいぶ考え方が違うのですよ。そこらは明確でないようですが、やはり明確にせぬといけないと思います。これからずっと、幾らでもこういう問題が出てくる。そのたびにこういう論議をしなければならないと思うのですね。しかも今度の法律案ではその問題が、第四条関係ですか、ここではっきり出てきておるわけですからね。そこらの考え方先ほど建設省が答弁なされましたが、住宅分譲と企業との間の考え方をちょっと変えなければいけないね。同じような答弁ではぐあいが悪いですよ、その点どうですか。
  142. 岡部保

    岡部政府委員 先ほども申しましたように、確かに先生のおっしゃるとおりの問題点がございます。実例といたしましてはたとえば公害防止施設——この例で申しますれば地方公共団体が造成して、それを企業に売却していくというかっこうになるわけでございますけれども、その場合に、地方公共団体は別にこれで商売しているわけではございませんから、よけいにもうける必要はないという考え方ではございますけれども、最近のように公害防止のための県としての施設を必要とする、こういうような金をこういう売却費から生み出すべきであるという実例もございます。そういうような意味で今後とも検討していきたいという考え方でございます。
  143. 北側義一

    ○北側委員 ぜひともそういう問題についてはいまあなたが言われたような方向に使っていくとか、たとえば後背地との間にグリーンベルトをしくとか、いろいろな使い方があるのですから、そういうように使うべきだと思うのですよ。グリーンベルトなんか、ほんとは企業がやらなければいけないような問題だと思うのですね。しかし、漁民に対する補償の問題とかいろいろな問題が出てくると思うのですね。また後背地に対する公害問題、そういう費用にそういう分を使っていくということは、当然やらなければならない処置じゃないかと思うのです。  瀬戸内海の問題ですが、瀬戸内海は非常に汚染されておるわけです。これはどちらから答弁していただいてもけっこうですが、埋立法によって現在瀬戸内海はどのくらい埋め立てられていますか、わかったらお答え願いたいのです。
  144. 川田陽吉

    川田政府委員 まず建設省所管にかかる分からだけお答え申し上げます。  昭和二十年から四十七年までの間の、瀬戸内海沿岸各県が行なった免許等のヘクタールの数でございますが、四千五百五十三ヘクタールでございます。そのうち国にかかるものが二千六百三十一ヘクタール、公共団体にかかるものが千四百二十ヘクタール、その他の埋め立てにかかるものが五百二ヘクタールでございます。
  145. 岡部保

    岡部政府委員 運輸省の所管の分について、瀬戸内海の戦後の造成済みと造成中のもの、合わせて申し上げますと、二万一千ヘクタールが現在造成済みあるいは造成中の面積でございます。
  146. 北側義一

    ○北側委員 瀬戸内海の埋め立ては非常に多いわけなんです。これはやはり後背地が非常に都市化して埋め立てにもつてこいというような条件が他の海岸線より多いんじゃないかと思うんですね。そういう点で、御存じのとおり瀬戸内海は赤潮が出まして水産に大きな被害を出しているわけです。昭和四十五年当時、五十四億四千万の被害が出た、こういうふうにいわれていますね。こういう面から見まして、これからの瀬戸内海の埋め立ての将来計画、これをどのように見ておられますか。御存じですか。
  147. 川田陽吉

    川田政府委員 瀬戸内海の埋め立ての問題につきましては、一部、瀬戸内海の環境保全するため埋め立て等の規制も含めました環境保全法律案検討されている次第でございます。私どもとしては十分慎重に抑制するという態度で臨みたいと思っております。
  148. 北側義一

    ○北側委員 これは瀬戸内海漁業調整事務局が四十六年に出した資料で、だいぶ古い資料ですが、これは相当な計画になっております。六万九千ヘクタール近くになっていますね。そうなりますと、いまでも赤潮が出てたいへんな瀬戸内海の埋め立ての将来計画というものはよほど注意してやらなければ、これはたいへんな問題になると思うのですね。  また、瀬戸内海をはずれて北九州の響灘の開発が、先ほど申し上げましたとおりやられておるわけですね。この現況もずっと聞こうと思ったのですが、時間もありまりないようですから私がずっと申し上げますが、これはあなたのほうからいただいた資料じゃないですよ、私が取り寄せた資料です。   〔委員長退席、村田委員長代理着席〕 それによりますとやはりほとんどが私企業ですね。私企業が非常に多いです、この開発にしましても。これもやはり瀬戸内海汚染源の一つの大きな原因になってくるのですね。この響灘の埋め立て事業の海水汚濁防止に関し山口県議会で決議文までつくっておるわけですね。これは環境庁運輸省に出されましたが、これに対してどういう返事をなさいましたか。
  149. 岡部保

    岡部政府委員 響灘の問題につきましての山口県サイドの御要望、これはいろいろな筋からいろいろな御要望があったわけでございますが、取りまとめて申しますと、まず、港湾審議会で現段階の次の計画を固めようとしておる、これはやめてもらいたいという点が一つ。それから現在実施しておる工事を中止してもらいたいということ。私どものほうに対する御要望としては、もうこの二点に尽きると思うのです。  第一点の、今後計画をどういうふうに考えるかという点につきましては、これはもうこれだけの御要望あるいは御意見が出ておりますので、現段階ですぐ審議会にかけてこの計画をしてもらうというようなことはいたしません。したがって、今後もう少し検討させていただきたいということで、山口県サイドも入っていただいて、北九州市あるいは福岡県、それから山口県等入りまして、国の出先機関も一緒に入りまして、現在もまだいろいろこれは検討している最中でございます。それがまず第一。  第二点の直ちに工事を中止せいという御要望でございますが、これにつきましては、どうも工事を中止するという私ども権限を持っていないし、中止をさせるということは現実に非常に困難でございます。ただ現実の問題といたしましては、現段階でこれは非常に被害を出したという工事の方法、これはたしか四十六年だったと思いますが、その時点でやりました工事の方法が非常に悪かったということはございます。これについては厳重に注意を発しておりますけれども現実の問題としては、現在非常にスローテンポに工事が落ちております。現実の問題として、いろいろな御要望の問題、環境破壊に通じる点については十分配慮をしてやっていくということでいま措置いたしております。したがいまして、そういうような内容の御回答を申し上げておる次第でございます。
  150. 北側義一

    ○北側委員 いまの響灘の問題でも、大体これは決議が出されてから一年以上になるのです。いまもそういう段階ですね。やっぱりこれは一たん手をつけてしまうとなかなかたいへんな問題になるのじゃないかと思う、実際の問題になった場合には。だからこの文で書いているようなわけにいかぬと思うのです。初めの埋め立ての許可をするときの考え方、これが非常に重要になってくるわけです。そういう点で建設大臣先ほどから論議しておりますとおり、下松の場合も、六キロの海岸線があって四キロまでももう工場が建っておるわけです。あと二キロ残っておる、これも埋め立てるわけです。響灘の問題も山口県に大きな影響をもたらして、漁業者にとって非常に大きな痛手になっておる。埋め立ての場合、環境保全、こういう立場からほんとうに考えてやらなければたいへんなことになってくると思うのです。特に瀬戸内海の場合は非常に埋め立てが進んでいます。これからも将来計画が非常に多いわけです。そこで、よほど考えてやらなければ、あとになってしまったらどうにもならない段階にくるのじゃないかと思うのです。先ほども申しましたとおり、水産庁の発表でも奇形魚がほとんど全国に出ておる、こういう状況ですから、これは埋め立てについてもそういう点はよほど考慮してやっていただかなければ、瀬戸内海の場合……(発言する者あり)ここで不規則発言で瀬戸内海やめろという発言ありましたが、私もそう思います。瀬戸内海の場合、これ以上よごれたらどうしようもない。あなたもさっき答弁なさったとおり、環境問題を十分考慮して、そう簡単に許可をおろさないようにやっていただきたいと思うのです。
  151. 金丸信

    金丸国務大臣 最近魚も食べられないというようになっているのが現在の事態だと思います。しかし人間は生きるというのがまず第一だと思います。そういうことを考えてみますと、人間本位に考えなくてはならないという意味環境保全ということをまずやらなければならない。そういう意味で、今回埋め立てに対しての強い規制を行ないますのはそこに精神がなければならない。そういう意味で強い態度で臨みたいと思います。
  152. 北側義一

    ○北側委員 終わります。
  153. 村田敬次郎

    ○村田委員長代理 渡辺武三君。
  154. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 この法律は大正十年に施行された法律であって、たいへん古いということが先ほど指摘をされておるわけですが、現在の法律というのは通常の場合、第一条にその目的が述べられておるわけです。ところがこの法律を見てまいりますと、第一条には目的は何も載っていないわけでございまして、一体この法律の目的とするものは何であろうか。これがまずいまの社会情勢なり経済情勢から疑問を持たざるを得ないわけでございます。したがいまして、まず法の目的をひとつ明確にしていただきたい。お願いいたします。
  155. 金丸信

    金丸国務大臣 この公有水面埋め立て法律につきまして、目的がないのは大正十年以来のことでありますが、今回また改正するについて目的がないということにつきましては、一部改正ということでございまして、いわゆる埋め立ての姿勢のあり方を一刻も早く何とかしたいというようなことで、全面改正ということも考えたわけでございますが、いろいろ事情がありまして全面改正についてはでき得なかった。そのために目的も、一部改正のためできなかったというのがいきさつでございます。
  156. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 その全面改正できなかったもろもろの事情というのは私どもよくわかりませんが、いずれにいたしましても現行法ではたいへんいろいろな問題があまりにも多過ぎるということで法改正を決意されたのであろう、こう考えるわけです。したがって、法そのものの持つ目的は一体何であろうか。公有水面埋め立てていわゆる工場団地を造成するのか、あるいは住宅用地を確保するためにやるのであるか、さらには公共施設、つまり公園あるいは子供の遊園地、そういう目的を持って公有水面埋め立てようとするのか、まずその辺が非常に明確でない。ところが実際に経過をたどってみてまいりますと、干拓は別にいたしまして、ほとんどが工場建設、いわば産業優先の考え方に基づいた公有水面埋め立てがなされてきたのではなかろうか。それによってたいへん矛盾が出てきておるとするならば、まずその目的を十分ここで考えることが一番大切だと思うのです。にもかかわらず、そういうことに一切とらわれずして、ほんの一部改正にとどまっておるということについてはたいへんふしぎに思うわけです。だから、その理由はともかく、大臣としては、一体これから公有水面埋め立てるのはどういう目的を持って行なわなければならないというふうに御理解をなさっていらっしゃるか、再度お尋ねしたいと思います。
  157. 金丸信

    金丸国務大臣 公有水面法改正の問題につきましては、全面改正することが私は常識だと思います。私もそう願いたいということで考えたわけでございますが、なかなかこれがそうはいかないという状況でございまして、そういうことになると全面改正ができない。また先生いま御指摘のように、目的もない法律というものがあるか、こういうようなことでございますから、実は提案も一年見送って、いま一年慎重に各省庁とも連絡をとりながら検討しようという考え方も持ったのですが、しかし公有地の埋め立ての姿勢というものを一刻も早く確立するということが必要であるということで一部の改正でとどまったわけでございますが、まことにぬるま湯に入っておる感じがしないわけでないということだけは、私も先生の考え方と同じであります。
  158. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 どうも質問に的確にお答えになっていないと思いますが、いまのこの法律というのは、公有水面埋め立てるためにはどこどこの手続をしなければいかぬとか、どういう知事の許可を得なければいかぬとか、いわば埋め立てというものに対する手続なんですね。そういうものが述べられておるにすぎない。しかし、実際何のために埋め立てるのであるかということがよくわからないのですよ。だからそれをはっきりしないと矛盾は解決しないのではないだろうか。いままでの経過から見て、先ほど私が述べましたように、どうも国民の福祉を増進するという目的ではないようだ、従来の実際の経過を見てみると。そういうためにいまたいへんいろいろな問題が出てきておる。そのためにまた法改正も必要だというふうに私はなってきたのだと思いますが、そうだとすれば、その後、この法が目的とするものすら実は一致点が見出せなかったわけですか。いかがでしょう。
  159. 川田陽吉

    川田政府委員 お答え申し上げます。  公有水面埋立法をあくまでも手続法としての姿のままで一部改正を行なうか、あるいは先生御趣旨のとおり公有水面埋め立てについて計画法とか事業法とか、そういった思想を持たせまして、内容的にもそうした条文にすべきかという点も一応私ども検討したわけでございます。全文改正という段階においてはもちろんそういった点は検討されなければなりませんし、きわめて重要な問題だと思うのでございますが、今回手続法としての改正にあたりまして、きわめて実害を生じているような条項を削除したり、あるいは現在の埋め立て行政についてはっきりとした免許基準を与えて、今後埋め立て行政を実施するにあたって正確な判断をしながら免許権者である知事あるいは大臣が行政を運営できるレールを敷いたという考え方でございまして、そういう意味で各省と相談の上で一部改正の姿をまとめた次第でございます。
  160. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 私は経過を聞いておるのではなくて、そういうことだから、この法の目的をどのように、たとえ書かれなかったとしても、大臣としてあるいは当局としてどのような認識を持っておられるかということを先ほどからお聞きしているわけです。法律には明記されていないけれども、しかし実際には経過を見るといろいろ問題があるから、この段階ではかりに書かれなかったとしても、それを所管する当局としてどういう認識のもとにおやりになろうとしておるのか、これをまず明確にしていただきたい。
  161. 松村賢吉

    松村政府委員 ただいま申し上げましたように、この法律手続法のままの姿に一応なっております。しかし、これを改正しなければならない理由といたしましては、現行の手続法そのものが非常に不備な点があるということでこれを改正しなければならぬと思います。それはどういうところから起こったかといいますと、やはり現在の埋め立て環境面等にいろいろな問題が起きているという事実がございます。こういう点を改めるべくこの一部改正をやるということでございますので、現下の情勢にかんがみまして、この埋め立てを、適正かつ国民の福利全体に資するような目的にこれを使うという理念を持ってやりたいと思っております。
  162. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 この法律改正しなければならないいきさつ、これは提案理由の説明の中にも書いてございますように、いまの社会情勢に適合しなくなってきたのだ、こういうことが書いてあるわけですけれども、おっしゃっておることは大部分が、埋め立てによって環境が破壊をされるとかあるいはいろいろな諸権利が侵されていく、そういう弊害がたいへん多くなってきたんだ、したがってそれらを極力規制をし、そういう弊害を取り除いていきたいのだ、こういうことがおもに述べられるわけですけれども、私は、しからばその埋め立てをするのは一体何の目的であろうか。埋め立て後の問題は、もちろんあまり自然を破壊しないようにしていかなければいけないことはこれは言をまたないわけでございます。埋め立てをするのは一体何のためであろうか。工場団地をつくるためなのか、住宅団地をつくるためなのか、国民のいこいの場所をつくるためなのか、その辺がどうも明確にされていないものですから。実際の実績を見てくると、住宅というのはきわめてわずかな面積、工場敷地が非常に膨大になっておる。干拓事業で一つ埋め立てれば農業も入るわけですが、それらを除けば、主として産業を発展させるために公有水面埋め立てていった、こういうのがいままでの実際には実績であろうと思うのですよ。ところがそのために、おっしゃっているようにいろいろな問題が出てきておるのだとするならば、今後の埋め立てについては一体どのような感覚でもってやっていかなければならないのか、こういうことがほんとうにしっかり理解をされ、認識されてこないと、末節のことでは同じことが繰り返されていってしまうおそれがある、こう考えておるものですから、ちょっとくどいようですけれども、再度そういう立場で、一体どういう方向が好ましいのか、どういう方向がいいとお思いになっていらっしゃるのか、お答えを願いたい。
  163. 松村賢吉

    松村政府委員 先ほども申し述べましたように、この法律手続法でございまして計画法ではないということから、埋め立てをこの法律によってどういう方向へ持っていくかということをここで論議しているわけではございません。国土の利用の適正化、こういうことは別の計画法的なもので考えるべき筋合いかとわれわれは考えております。ただし、埋め立ての申請が出てきたものを、これが国土の利用上適正であるかどうかということの判断はやはりしなければならぬということでございまして、現在私ども考えておりますのは、埋め立ての方向につきましてはいままでの企業一辺倒ということではなく、これは住宅地その他の造成、こういうものも重要でありますし、あるいは緑地の造成も必要でございましょう、こういう総合的な面におきまして、ケース・バイ・ケース、その場所におきましてどれが適当であるかという判断のもとにやっていくべきであるというふうに考えておる次第でございます。
  164. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 国土の適正な利用という観点から許認可をしておるのだから、その認可のときに十分に考えていきたいのだ、こういうふうにおっしゃっておろうかと思います。本来ならば法の目的——この公有水面埋め立てるという法律はこれしかないわけですから、すべてこれによって実際は埋め立てされていってしまうのですよ。したがって、いまおっしゃっておるように、埋め立てについて埋め立て許可を申請をされる。その申請をされた書類をチェックするときにのみ、この国土が適正に利用されるかどうかがチェックできるのだ、こういう状態ですからね。本来、私はそれはいけないことであって、むしろ法そのものあるいは埋め立ての目的というものが厳然とあって、それに向かって申請を出されるというのが普通であるわけですね。それが逆の立場になっておる。したがって、埋め立て計画するほうは一体どういう考え方でその申請をするのかわけがわからぬのですよ。書類が出てきて初めて審査をするときに、国のほうはそれから、国土が適正に利用されるのはどのほうが好ましいかという基準に従って——基準もきまっておるわけじゃありませんが、頭の中で考えられて、そしてチェックをしていく、こうおっしゃるわけですから、これはきわめて不適当な方向ではないであろうか。ために、せっかくそういう問題が起こってきて法改正をしようとするんだったら、そういう目的を厳然とうたわれることが必要ではなかったか、こう思うわけでございます。しかし現実に提案されておるものはこれらが明確にされておりませんので、余すところは、許可申請の出たときに、従来の考え方と大きく方向を転換した方向でその取り扱いをしていただかなければならぬ、かように思うわけでございます。  それでは具体的に若干法案の内容について御質問をしたいと思います。  その前に、本来、埋め立て計画し、許可をする、その末端はやはり都道府県知事であるわけですね。現実の姿を見ていきますと、事業主体というものはほとんど地方自治団体、県もしくは市町村になってしまっておる。まあ大きなものになればほとんど県自身が、県の企業局あたりが埋め立てを担当しておる。いわば知事が計画し、自分で認可をする、実際にはこういう形になっておるわけです。そこで国のほうのチェック機関としては主管大臣がこれの認可を与えるということになっておりますが、ほんとうに詳細にわたってそれらがチェックされておるかどうかについては、私はたいへん疑問があるのです。と同時に、実はそのように地方自治団体、あるいは民間が埋め立てする場合もあるか知りませんが、現今では公有水面埋め立ての坪当たり単価は数万円に及んでおると思います。したがって相当ばく大な資金になりますから、地方自治団体が埋め立てを行ないましても、持っておるだけでも金利がかさんでいく、早く処分をしなければならぬ、実はこういう立場に立たされておるわけなんです。そこで、規制面、利用面、いろいろ考えられておりましても、その資金を早く回収するために国の考え方とうらはらな処分がなされていかないかどうか、実はこの辺にたいへん心配な問題があるわけでございますが、その面にまでも実際には国のチェックが及んでいないと私は思うのです。ただ、埋め立てをするときそれが適法かどうか、あるいは利用目的はどうかという簡単なチェックであって、実態を見るとほとんどが、県の計画が国では素通りをしていっておるのではないであろうか。その結果が従来の繰り返しのようになっていってしまっておる。  だから、本来こういうばく大な資金を要するような広域的な埋め立てについては国そのものがやらないと、地方自治団体にまかしておいたならば、これは資金に限度がございますから、銀行から借り入れをしてきて埋め立てを行なった、一日も早く処分をしなければその金利負担がどんどんかさんでいくという現実の姿を見るときに、はたしてそれでいいであろうか、こう疑問を持たざるを得ないわけです。ほんとうに国土を適正に利用するという立場から見るならば、もっと国が大乗的見地から国費を投入して、そしてあわせて無理な処分をしなくていいような方向、それこそほんとうに国土の有効適正な利用に通じていくと思うのですが、実際いまの姿というものはそういう方向ではないのではないか、こう考えるのですが、この辺はいかがでしょう、大臣
  165. 金丸信

    金丸国務大臣 渡辺先生のおっしゃられることは、私もまさにそのとおりの感がいたすわけでございます。国でその一部を持ってやるなり、あるいは対案を持ってやるということになれば、いろいろの意味で非常によき結果を得られると思うわけでございますが、いまの状況ではそれができないわけであります。しかしそういう面につきましては十分なチェックをして、それが途中で手放さなくちゃならぬようなものに対しては、今後許可、認可というような問題は差し控えなければならぬというようなことを考えなくちゃならぬ。しかし根本においては、国土をふやすというような面から考えたら、国が持つことも至当であると私は考えます。
  166. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 私は、そのような基本的な問題について、ほんとうはもう少し整理をしていただかないといけないのではないであろうか。いろいろな問題が派生しておるのも、つまりは旧来の法にのっとって、そして事業主体というものが民間であり地方自治団体だ、こういう立場公有水面というものが埋め立てられておりますから、国は環境権、漁業権等々からチェックをしておるというだけでございまして、実際にその費用を回収するためにたいへん処分を急がれておるのです。本来公有水面であり、一般国民が共有をしておる水面を埋め立てたならば、これは本来的には国土であるべきであって、それに資金を投入したからそれの所有権が簡単にその方に移ってしまうというような、そういう方向ではたしていいんだろうか、この点もたいへん疑問を持たざるを得ないわけです。だとするならば、本来はやはり国がやるべきではないか。ほんとうに必要ならば国がやるべきではないか。環境の問題、いろいろな問題を十分に調査をして、その上になおかつ国として必要なものであり、国土として有効に利用しなければならぬという立場から見るならば、当然民間やら地方自治団体にまかせるべき問題ではないのではないか。むしろ、まかせるならば国自身が相当資金的な補助をし、そしていろいろな問題が起きないようにするとともに、やはりこの所有権の問題についてはもう一回考え直してみなければいけない問題が残っておる。いまのような状態のままで県なり民間なりにまかしておくならば、いま起こっておるいろいろな問題は、私は基本的に考えて決して解決できないのではないであろうか、それを心配するためにあえて質問をしておるわけです。どうもこの一部改正だけではまだまだ、環境を守るためにも不十分であるし、あるいはいろいろな諸権利を保護するためにもたいへん不十分な法改正ではないであろうか、こういうふうに私は実は考えておるわけなんです。まあ、一部の人によれば、むしろ簡単なこの法改正でも反対だ、いまの法律そのものを残してもらいたいという意見もあるようでございますが、それらの人々は、ただただ公有水面埋め立てて自分の土地になればいいんだという考え方が主体をなしております。環境がどうなろうと付近の景観がどうなろうと知ったことでない、所有権さえ自分のものになれば、そして利権に結びつけば、こういうようなのがどうも主体になりがちでございます。  そう考えていきますと、根本的にやはり公有水面埋め立てという問題については私は考え直さなければならない時期が来ておる。単なる今回提案されている一部改正だけでは、いままでの矛盾を解決することはできないし、さらには、これからほんとうに国土を適正に利用していこうという考え方にも実際にはそぐわないのではないか。さりとて旧法があるわけですから、これを廃案にしてしまって一切公有水面埋め立て禁止だとしてしまえば別なんですが、公有水面埋立法なるものがあるがゆえに、これを廃案にしない限り依然として続いてしまうわけですから、何らかの規制強化は加えていかなければならぬと思います。しかしそれでも、せっかく法改正をするならば、そのような基本的な問題についてこの際あらためて考え直さなければいけない重大な時期に来ているんだ、私はそう考えるのですけれども大臣、いかかでございましょうか。
  167. 金丸信

    金丸国務大臣 先ほど来私も申し上げておるわけでございますが、この法案につきましては、まさにぬるま湯に入っているような感じがするということを申し上げたわけですが、まさに、一部の改定ということですから抜本的な改正でない。公有地の埋め立て埋め立てた者の所有地になるというような問題等につきまして、いろいろ検討しなければならない問題点があったわけでございまして、十分にその点は心得ておるわけでございますが、しかしこれもいろいろの所管の関係もありますし、十分各官庁とも連携をとりながら今後の成案にまつということでなければならぬ。しかし私は、この一部改正ではこの法案の全きを得たというものではないということだけは先生の御指摘のとおりだ、こう考えております。
  168. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 きわめて不備な法案だということを大臣もお認めになっているわけですから、本来なら逐条審議に入る意欲があまり私はないわけです。全体がどうも不備な法案で、ぬるま湯に入っていると大臣みずからおっしゃっているわけですから、その不備なものを一生懸命逐条審議するというのはどうもこちらもおかしな感じがしてくるわけでございますが、しかし一応は出されておるものですから、この法案についての若干の疑点を質問をしておきたいと思うわけです。  第三条に、これも御質問があったかと思いますが、いわゆる出願事項の縦覧の項、これは今回の改正によって新たに設けられた問題ではないかと思うわけでございます。まあ普通の一般的な許認可のような問題も、利害関係者がいる場合は、一つのものごとがきめられていく場合にそれらの決定事項、出願の内容だとかあるいは決定の内容だとかというものが縦覧をされる、あるいは告示される、こういう状況で実は利害関係者に知らされておるというのが一般的なことなんですが、今度新たにつけ加えられた条項ではあるにいたしましても、このような一般的な形式なことでほんとうに住民の意見なんか十分参酌できるだろうか、あるいは市町村議会の意見というものが十分に参酌できるであろうか、たいへんに疑問に思うわけでございます。ほんとうに市町村の意見が——議会の議決を経なければならない、こういうふうになっておるわけですが、それがこの決定にあたってどのような実効性を持つものだというふうにお考えになっておるでしょうか。
  169. 川田陽吉

    川田政府委員 先生の御趣旨のとおり、第三条におきまして、今回初めて改正によりまして、免許官庁である都道府県知事埋め立て免許の申請を受理した場合、遅滞なくその事件の要領を告示する。それから所要の事項告示した日より起算いたしまして三週間公衆の縦覧に供し、かつ期限を定めて地元市町村長の意見を徴する。そうして地元の市町村長はその意見を述べようとするときには議会の議決を経るという手続を規定した次第でございますが、地方自治の精神から、また住民の意向というものを非常に行政の上に反映させなければならない現在の情勢でございますので、地元の市町村長、市町村会が反対であるという議決をした免許申請を都道府県知事免許するということはおそらく考えられないというふうに私ども思っております。
  170. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 考えられないと思っておるだけではたいへんなことであって、たとえば二、三の市町村にまたがるような場合に、たまたま二つの市町村が賛成をし、一つの市町村が反対をするというような場面も当然起こってくると思うのですよ。あるいはさらに、その同じ市の中で、市議会は賛成をしたけれどもその市に存在する漁業組合は反対をしたとか、いろいろな問題が起こってくるわけですよ。そういう場合に、それらの反対意見というものは一体どう処せられていくであろうか。つまり、簡単に数の上で賛成二、反対一、したがってこれはやるべし、こう簡単な結論が出されていくものかどうか、こういうことを実はお聞きしているわけですよ。
  171. 川田陽吉

    川田政府委員 先生の設例を前提にいたしまして私ども考えますと、数市町村にまたがるような埋め立てというものはおそらくこれは当然大臣の認可事項になると私ども考えます。大臣の認可事項に上がっております場合においては、地元のそうした市町村の大部分の者が反対する、反対者があるという場合には、そういった反対の原因とかそういうものをよく突きとめた上でなくてはとうてい認可はできないと思います。
  172. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 しごく当然なことをおっしゃっているだけであって、多数の方が賛成をされ、特定な部門、実際に公有水面にいろいろな権益を持っておる方々が反対というような場合、これも往々にして起こってくると思いますよ。   〔村田委員長代理退席、委員長着席〕 市町村にいたしましても、その市町村の中において特有の、公有水面に対して諸権益を持っておるグループ、これがあるわけですから。全体的に見ればたいして関係のないようなこともあるいはあるでしょう。しかし、私は特に重要視しなければいけないのは、直接的にそれらに関係しておる諸団体、あるいは現にその公有水面に権益を持っておられる方々の意見というものが一体どのように尊重されていくであろうか、こういう心配が実はあるわけですよ。この法案を読む限りではどうもその辺もたいへん不十分ではないであろうか、こを思わざるを得ないのですね。  たとえば第五条でしたか、いわゆる公有水面における権利者、権利を有すると称する者が列挙してあるわけでございますが、この法律に列挙してある公有水面における権利者だけではないのではないだろうか。まだまだそのほかにもたくさんあるのではないか。きわめて抽象的な文句ですから、あるいは具体的に政令等でおきめになっておるのかどうか、その辺よくわかりませんが、もしもこれがさらに具体的に政令等できめられておるのだとおっしゃるならばそれについて御説明を願いたいと思います。いずれにいたしましても私はここに書いてある一号から四号、これだけではどうもまだまだ漏れてる人たちがたいへんあるのではないだろうか。さらには間接的な権益者といいますか、間接的に影響を受けられる方々、これらの方々は一体どう保護を受けるであろうか、こういう点が実はたいへん疑問に思うわけですが、その辺は何か解明できますか。
  173. 川田陽吉

    川田政府委員 埋め立て人が申請書を提出するにあたって、申請を行なうにあたって完全な同意を得なければならない対象として掲げているのは一号から四号まででございますが、そのほか埋め立ての利害関係、影響を受ける方がその周辺に当然おられるわけでございます。そうした方々につきましては、具体的な実害がある場合には当然民法の不法行為責任によりまして損害賠償をしなければならないことになります。したがいまして事前に、そうした方々とは損害賠償を行なうなりあるいは損害賠償の予約を行なうなりというような行為が当然必要になると思いますけれども法律上の義務づけとして同意を得て持ってこいというにしては、範囲の特定に技術的に困難さがあるわけでございます。そこでこういった条文表現になっておりますが、運用上そうした方々を無視してはならないと思っております。
  174. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 無視してはならないのではなくて、十分にその権益は保護されているかということなんですよ、気持ちだけをお述べになっておっても。あなたは無視しないようにやっていきます、無視してはならないと思います、これだけでは実はその実際の該当者は済まされない問題であって、本来、その実際の関係者は十分に保護されるであろうか、こういう疑念があるから、その辺については十分に万全な対策をとられますか、こうお聞きしているわけです。ところが十分考慮をしなければならないと思いますという御返事では、これは私は疑念が解明されたとは言いがたいわけですよ。十分にそういう方々の権益も守られていくのです、これこれこういう状況でという、こういう答弁をひとつお願いしたいと思うのです。
  175. 川田陽吉

    川田政府委員 民法の不法行為の規定によって保障されている方々でございますから、そうした方々の権益に対しても絶対に支障を与えないようにいたします。
  176. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 実際にはいろいろな問題が起こっているのですよ。漁業補償一つにいたしましても、いま述べられておるようにそう簡単には、幾ら民法の規定といえども、補償に万全が期せられるというような状態ではないわけです。したがって、私はもう少しこの法律によって、それらの保護条項あるいは賠償条項、損害賠償ですね、これらのものがやはり明確に規定づけられていなければいけないのではないか、こう考えるわけでございます。  さらに、今回この法改正によって追認制度というものが廃止をされておるわけですが、従来追認制度がたいへん多かった。ところが、廃止をされたといたしましても、実際に工事施行者がやってしまった場合等が考えられるわけですね。原状回復は不可能だ、こういうような場合を見ていきますと、またこれにもいろいろな免除規定が述べられておりまして、実際には、規制は強めてみたけれどもまだほかの条文等関係あるのがたいへん多くつくられてしまっておる、こういう感を抱くわけです。したがって、本来、許可を与え、工事が進捗していく上において、一体だれがその監督をしておるのでしょうか、この埋め立て工事そのものは。
  177. 川田陽吉

    川田政府委員 免許権者である都道府県知事が監督いたします。
  178. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 先ほども言ったように、都道府県が工事主体になっているのですよ。だから工事をやる人、その人が自分自身を監督しておるわけだ。だからその辺にも実はたいへん問題があるわけですよ。ほとんどが公共団体が工事主体となって埋め立てをしておるところが非常に多いわけです。これはお調べになっておるからおわかりだと思いますが、その事業主体が実は監督者である。それはどうなるんだろうか。自分でやりながら、おい、いけないぞ、自問自答をしながら埋め立て工事をするのか。にもかかわらず、実はたいへんないろいろな追認をしなければならないというような事情が起きてきておる。これは皆無とは言えませんね、実際には。だからそういう場合には、いやしくも県が主体となるような場合には、その上の機関がこれをチェックするというようなことがなければたいへん問題があとに残されてしまうのではないか。工事主体即監督機構、こういう状態ではいけないのではないだろうか。まあこういうふうに質問するとどうせ、それは大臣が許認可をして与えることになっておりまして、という返事が返ってくると思うのですよ。しからば、国の機構の中で許認可を与えた大臣が工事に対するどういう監督をしていらっしゃるか、こういうふうにお聞きしたいわけですよ。
  179. 川田陽吉

    川田政府委員 無願埋め立てのケースを考えてみますと、免許権者である県知事、企業体としての県がそのような無願埋め立てをやったという例は、私どもとしてはいまのところまず皆無だと思っております。無願埋め立ての実際のケースということになりますと、大体考えられますのは、もちろん法について全く無知な地元の住民の方というケースもございますが、大体半分以上のケースは、いろんな市町村の事業として行なう他の工事、たとえば漁港工事というようなケースについての無願が多く発見されておりますが、それ以外のかりに市町村が行なった無願埋め立てというものについての監督ということでございますので、それは地域を管轄しておる都道府県知事が監督を行なうということで一応差しつかえないのではないかというふうに考えております。
  180. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 差しつかえないのではないかとおっしゃるけれども現実埋め立てがされておる、認可以外に埋め立てがされておる、そういうのはおもに市町村の主体の工事だといまおっしゃったけれども、それ自身をお認めになっているわけでしょう。したがって、その埋め立て工事自身の監督のやり方、実際、許可をしてからあと、それが適法に埋め立て工事が進められているかどうかのチェックはどこでやっていらっしゃるのですか、こう先ほどお聞きしたわけですよ。現実にないとは言えませんでしょう。いまおっしゃったのは、県が主体になっているところはほとんどありません、こういう返事だったわけです。しかし市町村がやっているところに間々そういうものがあります、こういうことですから、いえば、県当局が認可をした、その認可したあとの工事の進捗についての監督というものがきわめて不十分ではないか、こういうことが言えるわけですよ。国はそれに対してどのような処置をとられておるか、こういうことをお聞きしておるわけです。
  181. 川田陽吉

    川田政府委員 いままでの埋め立て行政の反省という点からまいりますと、追認というような制度に甘えて、無願埋め立てというようなケースもわりあいに甘く考えられていたというふうに私どもも反省している次第でございますが、今回の改正を機に、そうした無願埋め立てというようなことが絶対にないように、監督する立場である知事に対しても、建設、運輸両省で十分に指導通達等も出しまして、まずそのような無願埋め立てがないようにいたしますとともに、また工事中の監督等につきましても、適正化の指導を十分やっていきたいと思います。
  182. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 質問が重複をいたしますからなるべく避けてまいりますが、最後に環境の面について、これはいろいろな方々からもすでに御質問になっておりますので、私は別の角度から環境面を取り上げたいと思うわけです。  つまり、公有水面埋め立てをする場合は、泥土あるいはスラッジ、土砂等によって埋め立てられてまいります。したがって、その埋め立てられたあとは、これは山林等と異なりまして一木一草も実ははえていないのですよ。見渡す限り広漠とした土地が展開しておる。したがって、本来この埋め立て地には、環境を守る最小限のものとして三分の一ぐらいは緑化を義務づけなければいけないのではないか。多少書いてはあるようでございますけれども、本来的にはっきりした義務づけを行なう必要があるのではないか、こう考えるわけです。特に今回そのようなことが明確にされていないと思いますけれども、それは環境を守る上からいってたいへん必要なことであろう。前回の当委員会におきしても都市緑地を拡大をしていこうということが論議されておったわけですが、新たに公有水面埋め立て日本の国土が広がっていく。ところがその広ががった国土は、いまも申し上げておりますように一木一草もはえていない荒廃たる土地になっているわけですよ。したがって、公有水面埋め立てをする場合のその土地については、少なくとも三分の一ぐらいを緑化しなければいかぬ、植樹をしなければいかぬというような義務づけが必要ではないか、こう考えるわけですが、いかがでございましょうか。
  183. 川田陽吉

    川田政府委員 私どもといたしましては、このたびの改正の第四条の「免許の基準」の中に、第四号「埋立地ノ用途ニ照シ公共施設ノ配置及規模が適正ナルコト」ということで、緑地、空地というようなものの適正な規模をこの条項によりまして確保する考えでおります。
  184. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 「埋立地ノ用途ニ照シ公共施設ノ配置及規模が適正ナルコト」と、第四条第四号に書いてある。したがってこの中で緑化を義務づけていくんだ、こうおっしゃっている。それで間違いないんですか。
  185. 川田陽吉

    川田政府委員 そのとおりでございます。
  186. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 緑化といってもいろいろございまして、何十万坪の敷地に松の木を一本植えたら緑化になるのかどうか。その辺を少なくとも面積の三分の一くらいを緑化せしめるべきではないか、私はこう意見を申し上げておるわけです。いまこの法律四条四号により緑化が義務づけられてあるんだとおっしゃいますが、その義務づけてある面積はどの程度なんでしょうか。敷地に対してどういう割合なんでしょうか。
  187. 川田陽吉

    川田政府委員 四条四号の運用に関しましては、同じく第四条の第二項で、「前項第四号及第五号ニ掲グル事項ニ付必要ナル技術的細目ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム」ということで、命令の中にそうした必要な原則ないしは基準のようなものを私どもとしては掲げたいと思っておりますが、それが埋め立て地の面積の何分の一であるかというようなことにつきましては、まだ私どもとしては検討中でございます。
  188. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 少なくとも法律が提案をされておるわけですからね。「政令」とか「命令ヲ以テ之ヲ定ム」というような、その命令の内容とか政令の内容の要綱ぐらいは実際は当然もうできていなければならないのですよ。まだ全然ございませんか。
  189. 川田陽吉

    川田政府委員 いわば環境アセスメントに関連するそうした項目につきましては、環境庁とも十分相談いたしまして、運輸、建設関係省庁で今後至急検討を続けて、なるべく早く基準というようなものを定めたいと思っておりますが、現在のところまで作業はそこまで進んでおらない次第でございます。
  190. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 委員長、すでに法案が審議されておるわけですから、こういう法案の中に「政令」とか「命令ヲ以テ之ヲ定ム」というような問題については、当然その細部にわたって、それは完全なものができていないまでも、要綱は当然できていなければならないはずだと思うのですよ。にもかかわらず、当局の答弁は、これからまだまだ所管庁と相談をして一生懸命に努力をしていきます、こういうことですからね。本来からいけば、それ一言でもってこの審議はほんとうはできないわけですよ。実際には、法案の審議に入った、疑問点が出てきた、これはどういうことになっているのですかとお尋ねをすると、いま関係各省と相談をしてこれから一生懸命に煮詰めてまいります、こういうことですからね。これは重大な問題だと私は思うのです。実はこの法律の中にあります「政令」あるいは「命令ヲ以テ之ヲ定ム」と、昔のことばで書いてありますが、こういうものについては至急次の委員会までにその要綱を出していただきたいと要望して質問を終わります。
  191. 服部安司

    服部委員長 清水徳松君。
  192. 清水徳松

    ○清水委員 大臣がおられませんので雑件のほうから御質問を申し上げたいと思います。  まず最初に、埋め立てについての現在進行中のもの、あるいは計画されているものについて、用途別、埋め立て主体別、またその施工範囲、面積、それから期間、そういった今日の埋め立てについてのいろいろな状態が一望にわかるような資料をいただきたいと思うわけです。特に埋め立て後の、いわゆる分譲するのかしないのか、そういったようなことを含む所有関係を明確にした——所有関係がまだはっきりしないものもあるでしょうけれども、可能な限りそういったようなものを明確にしたものをぜひつくっていただきたいと思います。現在あるならばぜひお見せを願いたいと思うのですが、いかがでしょうか。専門調査室のほうからいただいた概括的な資料はここにあるわけです。ですからもう少しこまかくわかるものをぜひつくっていただきたいということです。
  193. 川田陽吉

    川田政府委員 運輸省と多少食い違いがあるかもしれませんが、御趣旨に沿うた資料を、先生に御相談の上で至急つくりまして、提出いたしたいと思います。
  194. 清水徳松

    ○清水委員 お願いします。  次に、現在日本の国内における埋め立て地の面積というものがどの程度のものであるか、お知らせ願いたい。
  195. 川田陽吉

    川田政府委員 私どもといたしまして現在把握しているものは昭和二十年から四十七年までの埋め立ての実績でございますが、十一万二千七百二十六ヘクタールという数字を把握しております。
  196. 清水徳松

    ○清水委員 それがどのような形で現在利用されているか、それをお知らせ願いたいと思います。  それからついでに、これからどの程度の埋め立てが予定されておるか。それだけなら多少おわかりじゃないかと思いますので一緒にお知らせ願います。
  197. 川田陽吉

    川田政府委員 概括的な利用目的といたしまして、住宅用地工場用地、それから農業関係用地、公共施設その他の用地というふうに四つの分類に仕分けて整理いたしますと、住宅用地が四千百十七ヘクタール、工場用地が三万八千六十七へクタール、農用地が四万五千二十二ヘクタール、公共施設その他の用地が二万五千五百二十ヘクタールというのがこの十一万二千の内訳でございます。
  198. 清水徳松

    ○清水委員 これから埋め立てが可能であるというふうに思われる、いわゆる予想なんですが、その面積は大体どの程度でしょうか。
  199. 川田陽吉

    川田政府委員 見当といいますか、定義の問題にもなるわけでございますが、公有水面埋め立て経済的な採算性といいますか、利益を無視しても一応土地をつくる意味があるというような、そういう経済判断を別といたしますと、水深二十メートルまでの日本の沿岸の海域と申しますのは大体一万平方キロ程度でございます。三十七万平方キロというのが日本の陸地の面積でございます。一万平方キロというのが大体……
  200. 清水徳松

    ○清水委員 これからどの程度埋め立てが予想されるかということですね。それはわかりませんか。
  201. 川田陽吉

    川田政府委員 運輸省建設省とでは若干その辺の立場は異なろうかと思うのでございます。と申しますのは、運輸省は直接港湾計画等に基づいて出てくるところの埋め立て計画というものが把握できるわけでございますが、建設省は全くの免許に対する認可官庁という立場で行政を実施いたしておりますので、先生の御質問でございますが、建設省としては将来の埋め立ての見通しについての数字というものを把握しておりません。ひとつ御了解いただきたいと思います。
  202. 清水徳松

    ○清水委員 今後どの程度埋め立てが予想されるかということの資料がないということでございますのでちょっと次の質問が困難になるわけですけれども、これは運輸省の管轄であろうと思うのですが、いま埋め立ての能力といいますか、それはどの程度のものであるか。埋め立て船といいますか、しゅんせつ船というのが大体何隻ぐらいで、馬力としては大体何馬力程度のものがあるのか。そしてそれはしゅんせつ能力、いわゆる埋め立て能力というものはどの程度のものであるか。現在ある隻数、それから馬力、そういったものから推してどの程度の埋め立て能力があるか、それをお知らせ願いたいと思います。
  203. 岡部保

    岡部政府委員 ただいま日本に存在いたしておりますしゅんせつ船の年間の埋め立て能力あるいは船の総馬力数等について御説明申し上げます。  現在わが国が保有いたしておりますポンプ式のしゅんせつ船、いわゆる埋め立てに使われるしゅんせつ船でありますが、このポンプ式しゅんせつ船は、大体馬力にいたしまして全体で約六十五万馬力でございます。隻数は、私本日ちょっと資料を持っておりませんが、大きいものでたとえば七千馬力、八千馬力、九千馬力という一ぱいの馬力がございますが、小さいものは何百馬力というオーダーもございます。それから、このしゅんせつ船総量によりまして年間どのくらい埋め立てができるかというのは、土の量にいたしまして約四億立方メートルでございます。
  204. 清水徳松

    ○清水委員 大体、四億立方メートルというとどの程度埋め立てできるものですか。それは場所によって違うでしょうけれども、さっきの質問でもどの程度の埋め立てが予定されているかということの数字が出なかったわけです。したがってこの質問もちょっと答弁いただけないのじゃないかとも思いますけれども埋め立て面積にして大体どの程度できるものであるか、お伺いいたしたいと思います。
  205. 岡部保

    岡部政府委員 これはおっしゃいますとおり、埋め立てますところの水深もしくは埋め立てする土地のでき上がりの高さによって非常に違うわけでございますけれども、一応十メートル平均の厚さを埋めるということにいたしますと、四億立方メートルでございますから四千万平方メートル、すなわち四千ヘクタールということになるわけでございます。したがって、十メートル平均の厚さとすれば年間に四千ヘクタールの埋め立て能力があるというふうに御了解願いたいと思います。
  206. 清水徳松

    ○清水委員 それから、目下しゅんせつ船を建造しておるものもあるだろうと思いますが、特に東京湾等に四十万トン、五十万トンというような非常に大きなタンカーが出入りするようになりますと、東京湾の水深は最低三十メートルは必要とするでしょうし、そういったようなことで相当高いしゅんせつ能力を持った新船を建造する必要があるだろうと思うのです。それで大体どの程度のものが建造されておるか、おわかりでしょうか。
  207. 岡部保

    岡部政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、確かに、港湾のたとえば水深でございますとかそういうふうなもので、全体から見ればスケールが大きくなってきておる。そのために新しい手段考えていかなければならないということで、しゅんせつ船も新しいもの、いわゆる大型化したしゅんせつ船をつくらなければならないということは事実でございます。ただ、先ほど約六十五万馬力であると申し上げましたが、この六十五万馬力というものをさらに増強するという気は現在私どもあまり持っておりません。大体このくらいで頭打ちにすべきではなかろうかという考え方でございます。したがって、非常に陳腐化したあるいは小型であまり使い道がない、不経済であるというようなものの代替でありますとか、あるいは先ほど先生も御指摘ございましたような深いしゅんせつのできる特殊な能力を持った船、そういうようなものになるべく限定するということで、このしゅんせつ船の建造計画というものを私ども見守っておるということが事実でございます。
  208. 清水徳松

    ○清水委員 そうすると、同じく六十五万馬力程度のところで押えたいということでございますが、その能力としては相当高度な能力を持ったものになるであろうということが予想されるわけです。そうすると、大体四千ヘクタールぐらいの、あるいはそれ以上のしゅんせつ能力というものが出てくるだろうと思います。それからすると、水深二十メートル以上ということで出されたデータですけれども、これからいわゆる埋め立て可能地域の面積が大体一万平方キロということになりますと何ヘクタールでしょうか、これは大体何年分ぐらいありますか。年間四千ヘクタールあるいはそれ以上埋め立てするとして、これから日本埋め立て可能地域は大体一万平方キロ、そうすると何年分ぐらいということになりますか。
  209. 岡部保

    岡部政府委員 一応、ただいまの先生の数字をそのままもとにいたしまして、一万平方キロでございますから百万ヘクタール、したがって百万ヘクタールを四千ヘクタールで割りますと二百五十年ということでございます。
  210. 清水徳松

    ○清水委員 何か数字を間違っていないですか。いまの日本のしゅんせつ能力というものは現在——これはもちろん埋め立て可能地域ですから、予想される地域の数字が出ないことにはちゃんとしたことはわからないわけですけれども、しゅんせつ能力が非常に余っておるというふうにわれわれは聞いておるわけです。したがって、この能力をいかにして回転をするかということで非常に苦慮しておる、したがって今後ともどんどん埋め立てをするような方向で、この埋め立て業者というものはそういったような立場からも埋め立てということについて一そう各方面で圧力をかけるようになってくるのじゃないかというふうに聞いておるものですからお伺いしたわけですけれども埋め立て船が余っておるというような状況はないですか。
  211. 岡部保

    岡部政府委員 現実の問題といたしまして非常に波がございます。現実埋め立てをするという、いわゆる発注量というものが、一般の市況と申しますか、好不況の波より若干少しおくれてまいっておるのが常でございますけれども、確かに波がございます。したがって、非常に不況の時代にはいまの六十五万馬力というのは余るということがいえます。それからちょっと景気がよくなり、いわゆる民間設備投資が少しふえてきて、工業用地需要——やはり工業用地需要が大きなウエートを占めておりますので、工業用地の需要がふえますとむしろ若干足りないぎみになるというようなことで、必ずしも一がいに足りるとか余っておるとか、あるいは足りないとかいう段階ではないのじゃないかという判断を私はいたしております。
  212. 清水徳松

    ○清水委員 そうすると、現在ではこの六十五万馬力という埋め立て能力というものは、埋め立てを刺激する材料にはなっておらないということですか。
  213. 岡部保

    岡部政府委員 変な話でございますが、しゅんせつ船があるからもっと埋め立てをしなければいけないのだという要素に大きくなっておるとは私考えておりません。
  214. 清水徳松

    ○清水委員 それではしばらくの間またこまかい問題を続けたいと思います。  いま各地で埋め立てが行なわれておるわけですが、ぼくが非常に関心を持ったのは、川崎市の日本鋼管がやっておる扇島の埋め立てでございます。ここは千葉県の山をくずしまして、船で砂や石、砂利を運んでおるわけです。これは運営の問題になってからの話なんですが、埋め立て自体も、それ環境破壊である、あるいは公害源にもなっておるとか、そういったようなことで非常に大きな問題になっておるところなんですけれども、この山をくずすほうもやはり同じような問題を引き起こしておるということでございます。扇島の埋め立てが千葉県の山をくずすと同じように、神戸港のほうでも新しい港の埋め立て、そうしてまた建設をされておるわけですけれども、そこでも六甲山をくずしておるというふうに聞いておるわけです。この山をくずす問題で非常に地元で大きな問題を起こしておるわけなんです。川砂利採取、それから採石の場合は、いま採石法あるいは砂利採取法等に基づいて許可制となり、認可制をとり、きびしいとまではいかなくても相当の規制が行なわれておるということになるわけですけれども、しかしいわゆる採土を中心とした山くずしには何らの法的な根拠がないということで、特に千葉県、埼玉県、神奈川県等においては非常に困っておる。この場合は一山これ破壊されるわけですから、大きな環境破壊になっておるわけです。それから土砂くずれの危険、あるいはそれを運ぶためのダンプ公害、こういったようなものも引き起こされておるわけであります。それから、その仕事のあとも、きれいに整地までやってくれればいいのだけれども、取りっぱなしであとはほったらかしておくというような状態になるわけです。  こういうような状態を見るときに——どうも埋め立ての話をしながら山の話をするのはまことに関連性がないような気がするわけですけれども、やはり埋め立てのほうと同じような問題が土砂を取るほうからも起こっておるということを考えるときには、あながち無縁のものではないという立場で、これは通産関係になると思いますが、ひとつ質問を申し上げたいと思うわけなんです。この埋め立てのための土砂というのはごく一部だと思いますが、いずれにしろ山間部あるいは平地における土砂の採取について今後どのような規制をするつもりであるか。特にこの埋め立てが行なわれておる周辺の千葉、埼玉、神奈川等では非常に困っている問題でありますので、その点について通産省の御見解をひとつ承りたいというふうに思います。
  215. 原野律郎

    ○原野説明員 業として砂利の採取を行なう者につきましては、現行の砂利採取法によりまして、まず第一に、災害防止等に関しまして一定水準以上の知識、技術等を有する業務主任者、これは国家試験の合格者でございますが、その業務主任者を置くというようなことを条件といたしました業者登録が必要となっております。そして登録された業者が実際にその地で砂利の採取を行なうということになりました場合には、災害の防止方法あるいは施設等に関する事項を記しました採取計画等を各都道府県知事に提出して認可申請をするわけでございます。そして都道府県知事がその認可をする場合にあたりましては、もちろん砂利採取が他の者に迷惑を及ぼしあるいは災害等のおそれがあるかどうかということを十分にチェックすることが、砂利採取法の十九条に規定されております。これがさらに災害防止という見地から、採取あと地の埋め戻しあるいは土どめ工事等、必要な条件を認可の際に付することができるようになっております。またさらに、実際に採取が行なわれましたあとにおきましても、災害防止上必要があるというふうに認められましたときには、二十二条によります採取計画の変更命令、あるいは二十三条による緊急措置、停止命令というようなことも発せられるようになっております。そのほか、特にこの砂利採取の問題につきましては、付近の住民あるいは関係市町村等が直接的な利害関係を有するということは当然でございますので、この観点から、現行砂利採取法におきましては三十七条において地元住民の声を反映させるような規定も設けられておりまして、そうした要請が都道府県知事に対してなされました場合には、都道府県知事は必ず必要な調査を行ない、その結果に基づきまして適当な措置を講ずるというような規定が定められておりますので、一応私どもは、現行砂利採取法の範囲におきましてはそうした災害の防止につきましては二重三重のチェック体制が制度上はできておるというふうに考えております。しかし、先生御指摘のように、この採取法の実際の運用につきましてはさらに都道府県とも十分連絡をとりまして、こうした災害防止の観点のより一そうの徹底をはかっていきたい、こういうふうに考えております。
  216. 清水徳松

    ○清水委員 いま通産省のほうからお答えいただいたのは砂利採取法ですね。採石法については御説明なかったけれども、大体同じような形で規制をされておるわけです。ところが、いま千葉県で、埋め立てのために日本鋼管のやっておるのはおそらく砂利採取法にも採石法にも規制されないような形で山をくずしているのじゃないかと思われるわけです。現に埼玉県、千葉県、そして神奈川県においても、昨年の七月になりましてやっといわゆる採土に対する規制の条例をつくりまして、何とか規制をしようとはしておりますけれども、いかにせん砂利採取法、採石法のような法的な根拠がない。したがって届け出制といったようなことで非常になまぬるい形でこれを監視しているにすぎない。そういう中で、今日のような非常な採土のためのあの破壊された状況、荒廃した状況というものが各地で起こっておるのでございまして、その点、通産省はどういうふうにお考えになっておるか。特に埋め立て関係のある採土についてひとつ御見解を承りたいと思います。
  217. 原野律郎

    ○原野説明員 先生の御指摘のように、土砂の採取に伴う災害は人命あるいはその他家財に対する影響が非常に大きいわけでございまして、現在商品としての骨材、いわゆる砂利あるいは砕石等につきましては砂利採取法、採石法等による規制が行なわれておるわけでございますが、土砂はこの砂利採取法、採石法の対象外となっております。しかし、一般に土砂の採取等は砂利採取の場合と非常に態様が異なっておりまして、土木工事の際の整地等のための除去あるいは宅地造成というような場合が一般的には考えられるわけでございますが、それらにつきましては別に宅地造成等規制法あるいは地すべり等防止法というような法律がございますわけでして、そちらのほうでの規制が行なわれておるというふうに私ども考えております。
  218. 清水徳松

    ○清水委員 これは取ってからの話ですからね。たとえば現在扇島の埋め立てで取る千葉県の採土場といいますか、その方面、あるいは埼玉県のわれわれの見聞する各地において起こっている状況というものは、全然そういったような規制の網にかからないような形で、非常に困っているという状態が出ておるわけでありまして、その点についてやはり砂利採取法ある採石法と同じような形で採土法というものをつくって、同じように規制をしていくというような御意思がないのかどうか、全く環境破壊あるいは公害、それからあと地の処理等においてむしろ砂利よりもこれはやっかいである。特に岩石の場合、採石法の場合なんかは、いわゆるがけくずれといったようなものの危険はむしろ土よりも少ないわけでございます。土の場合はちょっとした風水にも非常に流されやすいといったようなことでございまして、簡単に道路をふさぎ、そしてまた簡単に河川はくずれ落ちてくる。そして先般なんかは作業員が道路工事の最中に土に埋没いたしましてなくなるといったような事件も起こっておるわけでございまして、そういうように採土というものはかえって砂利採取あるいは採石よりもずっと危険の度合いが大きいのじゃないか。だからむしろきびしく規制して、環境破壊なり公害なり、あと地の処理などをきちりとした形で処理するようにすべきだと思いますけれども、その点、採土法をつくる御意思がないかどうか、ひとつお伺いをいたしたいと思います。
  219. 原野律郎

    ○原野説明員 先ほど御説明申し上げましたように、私どもといたしましては現行の各種関係法規の運用の強化ということである程度の規制はできるのではないかというふうに考えておりますし、特にこうした埋め立て等のために土石を採取するのはいわゆる土砂の移動というような形でこれをとらえるということが一般的には考えられておるわけでございますが、どうしてもそのような形では十分な規制ができない、直接土砂の採取を規制することを目的とした法律を制定するというようなことを考える場合におきましても、先ほど申し上げました宅地造成等規制法あるいは地すべり等防止法というような既存の法律との関係を十分に考慮した上でなければお答えができないということではないかと考えております。
  220. 清水徳松

    ○清水委員 それじゃ現在埼玉県、千葉県、そして神奈川県、またおそらく兵庫県あるいは京都府等々で起こっておる採土に対する問題について、県として条例をつくって何とかして災害を防止しよう、環境破壊から守ろうといったようなことでやっているわけですけれども、それに対する何らのてこ入れも通産省としては考えておらないのか。その辺のところ、あらためてひとつ御見解を伺いたいと思います。
  221. 原野律郎

    ○原野説明員 扇島地区を対象としました千葉県の例につきましては、私どもも実はすでにある程度の情報をつかんでおりまして、千葉県当局に対しまして、砂利採取業者に対しましては現行砂利採取法による十分な規制を行なうようにということを指示しておりまして、すでに千葉県におきましてもその旨の調査を行なっておるはずでございます。ただ、その他の土砂一般を対象といたしました規制につきましては遺憾ながら、窯業建材課におきましては砂利採取法を所管しておりますので、その他の物資を対象といたしましたことについてはお答えを保留さしていただきたいと思います。
  222. 清水徳松

    ○清水委員 各県においてはこの問題が非常に大きな問題であって、いわゆる河川の埋め立てあるいはいわゆる公有水面埋め立てにも現在密接に関係しておることですし、さらにそれのみならず各地域に非常に困った状態として頻発しておる問題、しかも災害を起こしておる一番大きな原因でもございますので、ひとつこういったような関係都府県の苦しい状況に対して国は当然法的な根拠を与え、的確なる行政指導をそれに基づいて行なうということをやるべきじゃないかというふうに思うわけですが、そちらも答弁を保留されましたので、こちらも保留をいたしまして次に進みたいと思います。  大臣が来られませんので、また雑件をやっていきたいと思います。  埋め立てなんかをやる場合に、やはり一番大きな問題は漁業権の補償であるようであります。しかし、いわゆるその補償をされた、そして漁業権を放棄せざるを得なかった漁民、あるいは漁民に限らず農民、こういったような方々は、一時的には高い補償金をもらったということで何とか生活をしていくということではあるわけですけれども、長期にわたってその方々の行く末というものを見た場合に、その後非常に生活のパターンが狂ったというか、そういうことで非常に苦しい生活、みじめな状態に落ち込んでいくというような状態が非常に多いわけです。補償の額が多いからきっとその後余生を安楽に送るだろうと思ったら大間違いであって、そういったような人はあまり持ったことのない金が原因で堕落をしたり、そういったようなケースが非常に多いわけであります。したがって、この際やはりそういったような方々に対する単なる補償ではなくて、いわゆる転業のための便宜を与えていかなければいかぬ。転業のための指導を行なうのが一番大切なことではないだろうか。特に漁民あるいは農民の方々というものはなかなかこれといった技術がないから、その点非常に気を使わなければならぬ面ではないだろうか。特に、駐留軍労働者、これは全く関係ないと言われればあれですが、年とってから、米軍が帰ってそして転職をせざるを得ないというような場合に備えて、国は離職者の特別措置法というものをつくりましてできる限りの指導を与えておるという、そういうたてまえになっておるわけですが、その点、漁業補償あるいは農地の補償によって職を失い転業せざるを得なかった方々に対して、そういったような転業に対する行政指導というものを行なうべきではないか、そういうふうに思うわけですけれども、その点について、これは建設省のほうですね、どのようにお考えになっておるか。
  223. 岡部保

    岡部政府委員 運輸省からお答えを申し上げますけれども、漁業補償をしたあとの漁民の転業もしくはその生活状態のいわゆる追跡調査と申しますか、そういう意味での問題点をいま御指摘があったわけであります。私ども非公式にいろいろな話を伺っております。ただ漁業補償したあとのアフターケアにつきましては、国が行なうというよりは、地元の事情に精通しております地元の公共団体において行なうという筋道でいままで私ども接しております。ちなみに、一つ千葉県の例を申し上げますと、昨年の末現在で、千葉県下で漁業権を放棄いたしました漁業協同組合が三十二組合ございます。この組合員、約一万四千六百人の組合員がおったわけでございますけれども、このうち約六千人が転業をいたしております。残りの八千六百人も転業を希望しておるというのが実態でございます。県はこの転業のための対策協議会を設けまして、いろいろ相談であるとかあるいはあっせん指導をやっておるところでございます。したがって、これの国としての財政援助であるとかなんとかいうのは、私どものほうの筋とちょっと筋が違いますものですから、そういうことは運輸省としてはしておりませんけれども、やはりこういうアフターケアをしていって、先生おっしゃったとおりその後のことまで考えないといかぬということは、私も全く同感でございます。
  224. 清水徳松

    ○清水委員 これは埋立法の非常に本質的な問題にも触れることになりますが、公有水面埋め立てるということは、あくまで公共団体あるいは国の責任でなければならぬ、そういうふうに思うわけです。したがって、そういういわゆる埋め立てといったような、しかも国の責任で行なうことのために職を失ったような方に対しては、国また地方公共団体が全責任を負って離職者対策をやるという制度的なものがやはり必要であろうというふうに思います。特に補償の問題がかえって、補償をされた方々のその後の状態というものを見るときに、必ずしもうまくいってないといったようなことがざらに見える、むしろ一般化しておる今日においては非常に大事なことではなかろうか。どうしてもこれは法制化が必要である。駐留軍の離職者対策と同じようなレベルの扱い方というものが必要じゃなかろうかというふうに、現実というものを見てつくづく考えたわけです。その点あらためてひとつ運輸省から、また農業——農業のほうは来てないが、お答えを願いたいと思います。
  225. 岡部保

    岡部政府委員 繰り返しの御答弁になるかと存じますけれども、先生のおっしゃること、全く私そのとおりだと存じます。私どものできる範囲内で、これは一つの事例でございますが、最近の漁業補償をいたします際に、いわゆる現金補償だけではいけない。たとえば埋め立てをいたしましたその土地の一部を漁業組合に提供する。それでその土地の活用ということで長い間、言うなれば利益があがるようにというような補償の方法等もみんな考えておる次第でございます。ただ、いまおっしゃいましたような直接の離職者等に対する対策というものは、まことに恐縮でございますが、私どもの直接の所管でございませんので、ここで、そうあるべきだとは存じますが、どういうふうにするということのお答えは私できませんので、御了承いただきたいと思います。
  226. 清水徳松

    ○清水委員 ほんとういえば、それをお答えできないというのじゃぼくらは引き下がれないわけなんです。というのは、もうあまりにもみじめな状況が多いものですから。特に漁業補償を受けたような人、農地の補償を受けて転職するような人というのはあまり技術のない人が多いわけです。私も農村出身なんですけれども、百姓をやめたらほんとうの話何にもやるものはないわけです。おそらく漁民の方も同じだと思うのですね。ですから、それを親切に追跡調査皆さんのほうでなさって実態をもう少しつかんだら、そのような無責任な答弁は返ってこないのじゃないかと思うわけなんですね。特に補償関係でこれは政府全体として考えてもらいたいのですけれども、ダムの補償だとか、それからいろいろな公共施設をつくるについて転業せざるを得ないような、土地を取り上げられるといったような場合が非常に多いわけですが、そういったもの全部にかかわる問題であります。そういうことのために転職せざるを得ないような結果に追い込まれるわけです。それはむしろ協力した人たちですから、それだけ国が責任を負わなければならない、法制化をしなければならない責任があるだろうということであるわけなんです。  ですから、どこか一カ所、たとえば鹿島なら鹿島という一点に集中してでもいいから、よく新聞社がやるでしょう、それと同じように追跡調査をして、この人たちは一体どういうようなことになっておるんだというぐらいのことは、それこそ賢明な政府にできないことはない気がするわけなんです。そういったような状態をわれわれは直感的に、あちこちで見るだけですから何となくそういう感じがするというだけで、全般的な把握はできないでおるわけです。しかしながら政府が本気になってその実態調査を、追跡調査をしてつかもうとすればできないことは絶対ないような気がするのです。それに基づいてひとつ救済のための法制化をしてもらいたい。そうでないと、補償したって補償だけじゃだめだというような声がますます大きくなって、おそらく何をやったって円滑にはいかない。そういう補償以前の問題でひっかかってしまうのじゃないかという感じがするわけです。非常に重要な問題でありますので、しつこいような気がするのですけれども、ぜひひとつ政府として重大なる決意を持って考えていただきたい、そういうふうに思うわけです。もう一ぺん責任のある答弁をしていただきたい。追跡調査をする決意があるのかどうか。
  227. 岡部保

    岡部政府委員 またどうも繰り返しの御答弁で恐縮でございますけれども、追跡調査、これは確かに必要だと存じます。先生のおっしゃるとおりだと存じます。したがって私ども、この企業者あるいは免許権者である地方公共団体に、こういうことをしてくれということをこれからも強く要望してまいりますし、その結果によってわれわれがどういうふうに考えるべきかという点についての考え方をまとめていきたいと思います。  そこで、先ほどおっしゃいました法制化というのを、私ども所管だけでないからという意味先ほど非常に否定的なことを申し上げましたが、現実の問題としては、本日の漁業権抹消に伴っての離職者という問題であるならばこれは水産庁の問題かと存じますので、これはさっそく水産庁とよく話をいたすことにいたします。
  228. 清水徳松

    ○清水委員 これは水産庁だけの問題でありません。農業の問題でもあり、さらにまた林業、農林省の管轄でありましょうけれども、非常に広範囲にわたる問題でありますので、これは大臣が来てからぜひもう一回お伺いしなければならぬことになりますが、政府としての強い態度をぜひ聞きたいわけです。離職者対策と同じようなものをぜひひとつやっていただきたいというのが、ぼくら身につまされるものがありますから、要求をしたいというところでございます。
  229. 大津留温

    ○大津留政府委員 ただいまの御意見は、各省が行ないます公共事業に大なり小なりみな問題を含んだ問題だと思います。政府といたしましては、そういった補償の基準として閣議決定をした補償要綱というのを定めておりますが、これは建設省が一応主として研究をいたしておりますので、ただいまお話しございました転業者の追跡調査、これはサンプル的にどこかを選びまして、ぜひひとつ徹底的に調査をいたしてみたいと思います。その結果を踏まえまして、ただいまやっております補償の要綱基準が現実に沿わないというような点がございましたら、これを改善いたしまして、そういった方々の生活の再建、ほんとうに転業がりっぱにできるというような形にもっていきたいと思います。
  230. 清水徳松

    ○清水委員 ほんとうは埋め立てに対する基本的な態度から始めるつもりだったのですけれども大臣がおられませんでしたので雑件から質問を申し上げたわけですが、その雑件の中でもなかなか答弁の得られないものがありました。本論に触れることは、運輸大臣も含めて大臣がおいでになってから御質問申し上げたいと思いますので、きょうはこれでやめさしていただきます。
  231. 服部安司

    服部委員長 次回は、来たる二十二日金曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時十八分散会