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1973-06-15 第71回国会 衆議院 建設委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月十五日(金曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 服部 安司君    理事 天野 光晴君 理事 大野  明君    理事 田村 良平君 理事 村田敬次郎君    理事 渡辺 栄一君 理事 井上 普方君    理事 福岡 義登君 理事 浦井  洋君       小沢 一郎君    梶山 静六君       野中 英二君    浜田 幸一君       林  義郎君    廣瀬 正雄君       渡部 恒三君    清水 徳松君       土井たか子君    中村  茂君       松浦 利尚君    森井 忠良君       渡辺 惣蔵君    瀬崎 博義君       中島 武敏君    新井 彬之君       北側 義一君    渡辺 武三君  出席国務大臣         建 設 大 臣 金丸  信君  出席政府委員         運輸省港湾局長 岡部  保君         建設大臣官房長 大津留 温君         建設省河川局長 松村 賢吉君         建設省河川局次         長       川田 陽吉君  委員外出席者         大蔵省理財局国         有財産第二課長 川崎 昭典君         運輸省港湾局管         理課長     鈴木  登君         建設省河川局水         政課長     伊藤 晴朗君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 委員の異動 六月十五日  辞任         補欠選任   佐々木更三君     中村  茂君   渡辺 惣蔵君     土井たか子君 同日  辞任         補欠選任   土井たか子君     渡辺 惣蔵君   中村  茂君     佐々木更三君     ————————————— 六月十三日  市町村の幹線道路県代行路線)の整備促進に  関する請願(下平正一紹介)(第七一九一号)  同(原茂紹介)(第七一九二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公聴会開会承認要求に関する件  公有水面埋立法の一部を改正する法律案内閣  提出第一二〇号)      ————◇—————
  2. 服部安司

    服部委員長 これより会議を開きます。  まず、公聴会開会承認要求の件についておはかりいたします。  公有水面埋立法の一部を改正する法律案について公聴会を開きたいと存じます。  つきましては、公聴会開会について議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 服部安司

    服部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、公聴会は、来たる六月二十五日開会することとし、公述人の選定その他の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 服部安司

    服部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  5. 服部安司

    服部委員長 次に、内閣提出公有水面埋立法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。林義郎君。
  6. 林義郎

    ○林(義)委員 ただいま議題になりました公有水面埋立法の一部を改正する法律案につきまして、若干の質疑をいたしたいと思います。時間の制約がありますので、私も率直に問題を提起いたしますから、御答弁されるほうも簡潔明瞭に御答弁いただきたいと思います。  まず第一にお尋ねいたしますが、公有水面埋め立てのこの法律であります。今回、当委員会にも国土総合開発法というものがかかっております。国土総合開発をやるのが国土総合開発法でありますし、公有水面埋立法はそれの関連法律で、国土というものは陸地だけではない、日本の主権の及ぶ範囲はやはり国土であろうと思うのであります。そういった意味におきまして、この公有水面埋立法というものもその一つの具体的な法律、具体化するための法律である。さらにいうならば、公有水面というところだけでなく、領海の範囲におけるところの海域全体の問題がありますから、私は、将来の形として、やはり海域をいかにして管理するかというような問題も当然議論しなければならないことになるだろうと思うのであります。そういったような考え方で、公有水面埋立法と国総法との関係、これをどういうふうにお考えなのか、まずお尋ねいたします。
  7. 松村賢吉

    松村政府委員 お答えいたします。  ただいまお話がございましたように、公有水面埋め立て、これに関しましては、やはり全国土開発と申しますか保全と申しますか、当然そういうものと関連してやるべきものと考えております。近年、土地利用が非常に緊迫化いたしまして、沿岸海域におきましても非常に利用される面が多くなっております。それで、これを総合的に利用すること、それから保全をはかる必要、これは確かに痛感されているわけであります。しかし、残念ながらこれを統一的に利用計画する、あるいはまた管理する法律、これがいま、まだ制度ができ上がっておりません。これにつきましては、われわれとしては十分考えております。しかし、まだ制定をするというところまで至っていないわけでございます。  ところで、公有水面埋立法、これにつきましては、本来、その特定要件を満たすときに公有水面公有を廃止いたしまして陸地を造成するものでありますので、以上のような認識に立脚して、またルールにのっとって行政運営をすべきものではございますけれども、現段階におきましては、免許権者側といたしましてはこの申請が出た際に、これが適切であるかどうかということをこういう精神にのっとって許認可しておるのでございまして、今回の法律改正もこの線に沿っているわけでございます。したがって、全国の埋め立ての量的な計画、許認可計画、こういうものを立てるような内容にはなっておりません。
  8. 林義郎

    ○林(義)委員 それでは大臣にお尋ねしますが、埋め立てというものはいろいろと問題があります。ありますが、国土の総合的な利用あるいは海域利用という問題についてまだ全体的な計画がないというのですが、大体法律をつくるときに、埋め立てそのものがいいのか悪いのか基本的に考えて、いいのだ、しかしながらそういったいろいろ問題があるから、そのいろいろな問題を調整していくという考え方なのか。そもそも埋め立ては悪いのだけれども、やむを得ないやっていくという考え方なのか。いずれの考え方に立ってこの法律をつくっておられますか、お尋ねいたします。
  9. 金丸信

    金丸国務大臣 広大な領土を持っておる日本でありますならば埋め立てをする必要もないわけでございますが、まことに領土の少ない、ことに最近土地という問題が非常にかまびすしくなってきておる状況を見ますと、埋め立てをして、環境保全する上に非常に阻害をする面もあろうと思います。そういうことについては十分な配慮をしなければならぬけれども、それにも増してやらなければならぬというのが今日の事態であろうと私は認識をしております。
  10. 林義郎

    ○林(義)委員 条文に入ってお尋ねします。  第二条の免許でありますが、五の「其ノ他命令以テムル図書」というのがあります。これは政令でどういうことを——命令をもって定めるのですから、これは何を考えておられるのか、お答えいただきたい。
  11. 川田陽吉

    川田政府委員 お答え申し上げます。  第二条第三項第五号の「命令以テムル図書」につきましては、現行の施行令第二条第二項第三号の関係水面権利者等同意書、それから第五号の実測平面図等、それから環境保全につきまして十分配慮されているというようなことを示す文書を予定している次第でございます。
  12. 林義郎

    ○林(義)委員 環境につき十分配慮せられることを示す文書というものはどういうふうな内容のものを予定されておられますか。
  13. 川田陽吉

    川田政府委員 埋め立てというものは海面を動かす行為にもなりますし、潮流等関係もございますので、主として工法等に関する環境保全についての配慮というようなものを私どもとしては考えておりますが、個々の具体的な地点の埋め立てケースバイケースによって判断していかなければならないと考えております。
  14. 林義郎

    ○林(義)委員 これは私の地元でも具体的な問題がありますからよく御承知だと思いますが、響灘埋め立ての工事がある。その埋め立てによって海流の流れが変わってくるし、また埋め立て工法によりまして海草類が相当にはえなくなったりなんかする。さらに響灘地元は北九州の工業地帯でありますから、その工業地帯のきたないものが山口県の沿岸のほうにだあっと流れてくるというような問題があるわけであります。  そこで、今回の法律案の中で二つほどお尋ねしますが、第三条に関係都道府県知事に対して内容を「通知スベシ」ということがございます。そうしますと、通知だけの規定でありますから、知事通知を受けたならば、それをポケットの中に入れておく、あるいは机の中に入れておくということではいけないと思うのです。やっぱり広く住民に知らせる必要があると思いますが、この規定はないのです。これはどういうふうな形でおやりになりますかということが第一点。それから、関係県知事がどうもこれは非常に影響があるという。ところが当該申請を受けたところの知事は、影響がない、こういう判断をする。そういったときにはどういうふうな形でもって取り扱いをされるのか、この辺についてお尋ねをいたします。
  15. 川田陽吉

    川田政府委員 まず、第一点の関係都道府県知事に対する意見の照会の必要性でございますが、これは大規模埋め立て等に起因する潮流、水流の変化によりまして、関係隣接都道府県もいろいろな影響を受けるということが実際問題として起こっておりますので、そういった知事間の連絡法律上の連絡義務として規定したということが一つメリットでございますが、この通知を受けた関係知事は遅滞なくその旨を公示するように、本改正法実施命令の中にはっきり書くつもりでおります。
  16. 林義郎

    ○林(義)委員 そういたしますと、関係県知事通知する、それから実施命令でもって告示をする、その内容はここに「各号ニ掲グル事項記載シタル書面及関係図書ヲ」ということが書いてありますから、第二条の二項、三項の書類は全部知事にいく、こういうふうに解してよろしゅうございますね。
  17. 川田陽吉

    川田政府委員 先生仰せのとおりでございます。
  18. 林義郎

    ○林(義)委員 次にお尋ねしますが、第四条の「免許の基準」の中に、第二項ですが「技術的細目ハ命令以テ之ヲ定ム」こう書いてあります。これの命令はどういう内容でしょうか。
  19. 川田陽吉

    川田政府委員 その命令におきましては、第四条第一項第四号の「埋立地用途ニ照シ公共施設配置及規模適正ナルコト」という条文の意向を確保するために、公共施設配置規模等についての詳細がわかるような内容にしたいと思っております。なお、五号の「第二条第三項第四号ノ埋立ニリテハ出願人公共団体其ノ他政令以テムル者ナルコト並埋立地処分方法及予定対価ノ額が適正ナルコト」というような項目につきましても詳細報告させるということにしております。
  20. 林義郎

    ○林(義)委員 ここで「前項第四号及第号ニ掲グル事項ニ付必要ナル技術的細目」と書いてありますが、第二号の「環境保全及災害防止ニ付十分配慮セラレタルモノ」についてはその技術的細目はつくらない、こういうふうに解してよろしゅうございますか。その環境保全についての技術的細目というのは、アメリカ等の例によりますと環境アセスメント法という中でいろいろ技術的細目検討が進められておるように聞いております。私は、これから環境問題が非常にうるさくなりますから、環境につき「十分配慮セラレタルモノナルコト」というようなきわめて抽象的なものでなくて、政府が、建設省環境庁、農林省、通産省その他の各省にはかって、いろいろと技術的細目をつくり上げていくことこそ一番必要なことだろうと思うのです。そういったことについてこの中に入ってないのですけれども立法趣旨はどういうふうにお考えでございますか。
  21. 川田陽吉

    川田政府委員 先生のただいまの御趣旨は、いわゆる環境アセスメントについての法文上明瞭な規定が必要であるとの御趣旨と解するわけでございますが、すべての埋め立てにつきましての共通の環境アセスメントというものを一律にきめるということにつきまして、私どもとしてもいろいろ努力している次第でございますが、いまだ関係各省並びにケースバイケース検討を行なっている最中でございます。しかし将来の問題といたしまして、そういうものがあれば埋め立て行政の上にも非常にプラスになりますから、そういう方向で今後研究を続けていきたいと考えております。
  22. 林義郎

    ○林(義)委員 御答弁をこう解してよろしゅうございますか。現在では技術的なものが発達しておらないから、しかしながら「環境保全及災害防止ニ付十分配慮セラレタルモノナルコト」ということですから、その点はケースバイケース事例ごとに積み上げていくのだ、むしろ第二号の環境内容はそういう形でやっていく、こういうふうに解してよろしゅうございますか。
  23. 川田陽吉

    川田政府委員 先生のおっしゃるとおりでございます。
  24. 林義郎

    ○林(義)委員 第三十二条に移りますが、第三十二条の第一項第六号「公害除却シハ軽減スル必要ナルトキ」とあります。これはどうも大正十年の昔から公害ということばを使ってあったようであります。私は、大正十年によく公害ということばを使ったなと思うのでありますが、実は公害ということばは、公害対策基本法の中に「公害」ということばの定義がしてあります。そこで、「公害除却シハ軽減スル必要ナルトキ」とこう書いてありますけれども公害対策基本法、一連の環境保全関係立法によりますと、公害軽減するのではやはり困るわけであります。公害をなくするという形で進めていかなければならないと思うのです。したがいまして、ここでの公害というのは立法当時の大正十年の話でありますから、ここでいう公害公害対策基本法にいうところの公害と違うのか、あるいはまた同じことで考えてよろしいのか。もしも同じということでありますと、公害を「軽減スル必要ナルトキ」というのは、どうも現在の時世に合わない。むしろ公害ができるだけなくなるとかなんとか書かないとここはおかしいと思うのでありますけれども、この辺はどういうふうな解釈でございますか。
  25. 川田陽吉

    川田政府委員 お答えいたします。  公有水面埋立法だけではございませんでして、河川法でもやはり「公害を除却し」云々という用語が使われております。当時の考え方といたしましては——現在公害対策基本法考えているのは騒音とかその他いろいろ損害発生原因公害対策基本法では一応規定しておりまして、そうしたものが公害であるというのが現代的な観念における公害であると私ども考えておるわけでございますが、古い法律体系において公害と使っております意味は、公衆、不特定多数の人に与える実害損害というような意味でとっていると解しております。しかし、法律運用にあたりましては、現在すでに社会通念として公害という観念が十分発達しておりますし、そういった観念を導入すること自体を拒否すべきではございませんので、現代的な意味における公害も含めて、なおかつ公害対策基本法に定めるような原因以外の原因によるところの損害埋め立てに伴って考えられますので、そういうものにつきましては監督規定等を発動する際には十分配慮していかなければならないというふうに考えております。
  26. 林義郎

    ○林(義)委員 公害対策基本法にいうところの限定的な公害ではなくて、もう少し広い社会通念的な意味での公害である。したがって、社会通念的な広い意味公害につきましては軽減ということもあり得る、こういうふうに解してよろしゅうございますか。
  27. 川田陽吉

    川田政府委員 大体先生の御趣旨のとおりでございますが、公害対策基本法考えておられますことよりももうちょっと実害的な損害的なもので、ただし原因は非常に広くとってあるという考え方だと思っております。
  28. 林義郎

    ○林(義)委員 そこで私はお尋ねしたいのです。「竣功認可前の違法行為等に対する匡正」というのが三十二条にあります。「竣功認可後の違法行為に対する匡正」というのが三十三条にあります。そこで、埋め立て竣功認可埋め立て免許申請をいたしまして、竣功認可をいたしました、それぞれにつきまして原状回復をするということの問題がありますが、私は具体的な問題として、竣功してからそのあと原状回復といったところが、埋め立てをもう一ぺん元どおりに返せ、埋め立てしたどろをどこかへ持っていって捨てて元の海面にしろ、こういうふうな話でありますが、現実問題としては非常にむずかしい問題だと思うのです。したがっていろいろと要件が書いてある。「違反ニ因リテ生シタル事実ヲ更生セシメ。」違反をした場合だけである。ところが公害が出るような場合は実際にあるだろうと思うのです。そうしますと、免許のときにいろいろと審査をする。しかも竣功認可という形で竣功のときも審査をする。そういった形で行政府のほうもいろいろとやる。しかも埋め立てをする申請者は、環境に対する悪影響については、図書を出したり監督官庁によく説明したりした上でやるわけでありますが、なおかつ実際に被害が出てくることがある場合が法律的に全然ないとは言えない。法律的には必ずあると思うのです。実際にないようにしてもらいたいのでありますけれども法律的にはあり得る。  そうした場合に、被害者、害を受けたほうからすると、これはどういったところの被害救済ができるか。原状回復をしてくれという形で都道府県知事申請することもできるでしょう。しかしながら現実には原状回復はむずかしい、金もかかるということであれば、損害賠償という話になるでしょう。損害賠償になりますと、それは民法規定に基づいたところの損害賠償でありますから、それは民法の七百十五条に基づく、工作物に基づく無過失責任という形で無過失賠償責任を問われるのか、そうではなくて原則に返って、七百九条の不法行為の故意、過失を問うという形になるのか、いずれでございますか。
  29. 川田陽吉

    川田政府委員 埋め立てが適法に行なわれている、条件等も順守された埋め立てであっても、確かに仰せのとおり実害を生ずる場合も現実的にあろうかと思います。したがいまして、そういう場合には、先生が前半に仰せになられました工作物の設置に伴うそういった、どちらかというと無過失責任に近いような賠償補償義務埋め立て業者は負っているものと解しております。問題はむしろそういうことよりも、そこらあたり因果関係立証のほうで双方意見が分かれましてトラブルがいろいろ起きているのではないか。もしそこに何らかの第三者も納得できるような因果関係があるならば、行政官庁としても当然指導いたしまして、民事上の争いになる以前に調停ということによって解決すべきではないかと考えております。
  30. 林義郎

    ○林(義)委員 埋め立てというのはこれからなお巨大化してまいります。相当大きな埋め立てというものがまだ依然として続くのだろうと思います。そういたしますとやはり、巨大なものによってまわりの小さなものが影響を受けるという問題が出てきます。しかも、当初には十分に配慮していろいろな研究をして、ずいぶん調査をしてやりましたが、結果として出てきた、そういう問題があると思うのです。  公害問題でも一般論として私は言えることだと思うのです。たとえば水銀のようなものにしましても、いまたいへん問題になっておりますが、これもやっぱりいろいろ調べてみると、戦争中とか戦後の、増産増産という時代に水銀をどうもたれ流しておったのではないかと思うのです。そのときには公害とか水銀とかなんとかということはいわれてなかった。しかしだんだん世の中が進歩してきて、経済も進歩してくる、医学も進歩してくると、やはり水銀がいかぬという形になる。先ほどもおっしゃいましたように、環境アセスメントという手法もはっきり確立してない。技術が進歩をすれば環境アセスメント技術も進歩してくる。水銀等も、いろいろな医学とかなんとかというものが進歩してくれば、そこで世の中情勢が変わってくるということは私はあると思うのであります。そういった問題を一括して取り上げていかなければならない。公有水面埋立法だけの問題ではないと思うのです。そういった世の中科学技術が進歩する、医学が進歩することによって考え方が変わってきたことによる補償というのは、民法の七百十五条とかなんとかいう問題だけでは解決できない。医学関係立証その他におきましてもなかなかむずかしい問題がありますから、これは建設省だけではありませんが、建設省当局がこの問題でいみじくも出てきますから、ひとつ中心になられて関係各省と相談されてやっていただきたいと私は思うのです。いま水銀の問題を申し上げましたが、水銀の問題だけではありません。森永の砒素ミルクの問題であるとか、あるいはこの前の避妊薬の何とかということがありました。スモン病とか、いろいろな問題がありました。この問題は全部同じ問題じゃないかと思うのです。そういったほんとうに基本的な人権をどういうふうな形で守るかというのは非常に大きな問題だと思うのです。  大臣は、これは国務大臣としてこの点をひとつぜひお取り上げになっていただきたい、これをお願いいたしたいと思いますが、大臣の御所見をお尋ねします。
  31. 金丸信

    金丸国務大臣 無過失責任補償の問題につきましてはいろいろ問題があると思います。しかし十分各官庁連絡をとりまして、その万全を期していきたいと思います。
  32. 林義郎

    ○林(義)委員 第四十七条に「都道府県知事の職権に対する主務大臣監督」という規定があります。この規定によりますと、「政令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣認可受ケシムルコトヲ得」ということがありますが、その政令は現在のところ、五十ヘクタール以上とか、重要河川港湾というようなもの、その他のものが主務大臣認可という形になっております。そういたしますと、主務大臣認可を受けるようなものにつきましては、ここに「環境保全上ノ観点ヨリスル環境庁長官意見求ムベシ」と書いてありますけれども、それ以下のもの、都道府県知事だけでやれるようなもの、これについては、環境保全上の観点よりする環境庁長官チェックはありません。これはどういうふうな形でチェックしようということでございますか。
  33. 川田陽吉

    川田政府委員 大臣認可事項運用につきましては、本法の改正に伴いまして関係都道府県知事通知するというようなことにもなっておりますし、当該埋め立てが他府県にも影響を及ぼすようなものにつきましては、先生の先ほどの御質問にもございましたように、大臣認可事項として両県間の見解の調整とか環境保全についての指導等を積極的に行なえるように運用したいと考えております。
  34. 林義郎

    ○林(義)委員 両県にまたがる大埋め立てをしたら、関係の府県が両方であるところの問題については当然、認可事項でありますから、これは建設大臣または運輸大臣に対して認可申請があるということだと思うのです。したがってそのときは環境庁長官によるところの環境保全上の観点よりするチェックが行なわれるということでありますが、問題は、そうでない小さな埋め立ての問題についても、論理的、観念的には環境保全上の問題がないとは言えない、あり得るのであります。しかしこの法文規定からすれば、小さなもの、これは環境庁長官の権限は何もないわけであります。これはどういうふうな形で環境保全上のチェックをするのかということであります。
  35. 川田陽吉

    川田政府委員 今回の改正を機にいろいろ免許官庁である都道府県知事行政あり方等を私どもも個別に調査した結果、いろいろなことがわかったわけでありますが、特に環境保全上の配慮という問題をつかまえてみましても、十分積極的な指導を必要とすると思っております。現在の情勢におきましては各県とも環境担当部局等は相当力を入れていることと思いますので、そうした部局と連絡を保ちながら適正な埋め立て行政をやるように指導してまいりたいと考えております。
  36. 林義郎

    ○林(義)委員 附則についてお尋ねいたしますけれども、この法律の施行の日以前に行なわれたところの認可は依然としてそのまま効力を有するということでありますけれども、実は御承知のとおり新しい法律で新しい要件が付加されているのであります。たとえば「埋立地ノ用途」というのが第二条の第二項第三号にございますが、現行法では埋め立て地の用途というものについては必ずしも明らかにしなくてもよろしい、目的が何であれ埋め立てをしてよろしい——よろしいというか、埋め立てができることになっておるのであります。しかし、今回の法律で用途というものを指定したわけですから、やはりいままでやった埋め立てにつきましてもできるだけ早く用途を指定することが必要であるし、また今度は、埋め立てをするときには公共事業団体であるならばよろしいとか、あるいは公共事業団体に売るときはよろしいというふうに非常に制約をつけております。そうすると、いままでの免許につきましてはそういった制約はつけておりませんが、この辺の調整はやはりアンバランスの問題としてやっていかなければならない。単に既得権を救済するだけではとどまらないと私は思うのです。なぜしなければならないかといえば、環境保全上の問題でありますから、環境保全ということであるならば、これはいままでたまたま認可されたものとこれから認可するというものとやはり同じに取り扱うべきであろう、私はこう思うのであります。そういった意味で、そこは法律的に、この法律が権利設定法でありますからなかなかむずかしいと思いますが、その辺は行政指導でおやりになるのか、そんなことは昔やったことだから知らないとおっしゃるのか、その辺につきましてはどうですか。
  37. 川田陽吉

    川田政府委員 改正前のもとのままの姿の公有水面埋立法施行令においても「埋立ノ目的」というものを出願事項に明記させることにしております。しかもその内容につきましては、私のほうとしては書類の上で、目的ないしは用途を全部、非常に詳細に出させております。それから別途「公有水面の埋立ての適正化について」という通達によりまして、埋め立て該当事業の順位とかいうようなものにつきまして、第一順位として「法令に基づき土地を収用し又は使用しうる事業のため必要な埋立て 国又は公共団体が行なう埋立て」ということで、事業の主体、事業の種別、埋め立ての目的というものも厳密に審査してやっている次第でございます。新法の考え方に基づきまして、行政指導というものを遺憾なくやっていきたいと思っております。
  38. 林義郎

    ○林(義)委員 私が知っておりますのでも、若干ここでは目的がはっきりしないような埋め立てがあります。私はあえて申しませんが、そういったところについても行政指導を強力にやっていただきたい、これをお願いいたします。  時間が来ましたから最後に締めくくりますが、私は今回の法律をざっと見まして、いままでの公有水面埋立法一つの権利設定法である。国土をつくる、だから非常にいいことである。被害が出るところについてはできるだけとめていくけれども、それをやる以上被害が出ないように、またいろいろな問題で環境に対する悪影響を防ぐということを考えてやっておられたと思いますけれども、今度の改正だけを見ますと環境保全という問題が非常に前面に出てきたことになっております。要するに私権の制限というものを環境保全上の観点から大幅にしていかなければならないのが私は今回の法律のあらわれだろう、こう思います。そういった意味で、これからこの法律運用にあたりましては、ひとつ大臣にお願いしたいのですが、やはり今回の法律改正趣旨環境保全上の観点からのものである、これが私は大きなものであると思いますから、こういった意味において十分配慮せられた運用をされることを心から期待しておるのです。大臣の御決意をお聞きしまして、私の質問を終わります。
  39. 金丸信

    金丸国務大臣 公有水面埋め立てにつきましては、あくまでも環境保全ということが今日の国民の一番希求しておる点であろうと思いまして、これなくして政治はないと私も考えておりますので、十分配慮して善処していきたいと思います。
  40. 林義郎

    ○林(義)委員 ありがとうございました。
  41. 服部安司

    服部委員長 福岡義登君。
  42. 福岡義登

    ○福岡委員 現在まで公有水面埋め立てがどれだけあるのかと思って建設省と運輸省のほうに尋ねてみましたら、合計しますと十一万ヘクタール余りあるわけです。これはたいへんなことなんですが、その中身についてはあとで触れたいと思うのです。ここでお尋ねしたいと思いますのは、この十一万ヘクタール余りの公有水面埋め立てが、正規の手続をとらないで、つまり免許を受けないで不法に埋め立てをしてそれがあとで追認をされておる、つまり公有水面埋め立て行政というものが非常にずさんになっておりはしないかということをお尋ねしたいのであります。  これは相当前でありますが、新聞にも出ましたので、具体的な例を申し上げてみたいと思うのですが、広島県に常石造船というのがあります。その常石造船が現在まで十一件の公有水面埋め立てをしております。これは港湾区域ではございませんから建設省の所管なんですが、その内訳を見ますと、正規に免許を受けて埋め立てたものはわずかに二件であります。面積は十万七千五百十六平米。あとで追認をされたものが八件であります。その面積は二十一万一千二百十四平米。さらにいま追認申請をしておるものがこのほかにもう一件ある。もう一つ、告発処分にされまして国有地にされたものが一件あります。合計しますと、申し上げましたように、正規に免許を受けて埋め立てたものが二件、追認をされたものが八件、国有化処分をされましたものが一件、合計十一件なんですが、これは県知事に権限があるとはいいながらも、一定規模以上のものは建設大臣承認を必要としておるし、一体今日までの公有水面埋め立てに対する行政というものはどういうことになっておるのか。さっき申し上げました十一万ヘタタール余りの公有水面埋め立て総面積なんですが、その中にこうしたものが相当数あるのじゃないか。そこで運輸省なり建設省にその事実を照会してみましたが、いまのところその資料がない、急いで各県に照会をしてみる、いまこういうことになっておるのですが、この一事をもってしましても公有水面埋め立て行政というものが非常に怠慢である。建設大臣としては一体こういう事実についてどのように考えられるか、御見解を承りたいのであります。
  43. 金丸信

    金丸国務大臣 ただいま福岡先生から承ったお話、私といたしましても、まことに行政がなっておらないという感じがいたします。こういうことがあってはならないことであります。その経過も私まだ熟知しておりませんから、なお詳細に調査をいたしますが、今後かかるようなことのないように善処してまいります。
  44. 福岡義登

    ○福岡委員 私は思うのです。普通の一般の国民が法を知らないために、埋め立ててあとで指摘をされて追認をされるという、これは善意といいますか、悪意でないわけですね。そういう場合はあり得ると思うのですが、こういう企業をやっておるような者は法を知らぬわけじゃない。もし八件が正規の免許を受けて埋め立てて、あと二件程度が追認をされたというならこれはまだ理解できるのですね。この資料を見ますと、昭和四十二年から現在に至るまで、ずっと年ごとに何件かずつ追認されておるわけです。追認した県知事県知事ですが、八件、追認申請一件、合計九件なんですが、九件も不法埋め立てをしておるというのはこれは許せぬ、説明がつかぬと思うのです。地元の住民がささやいておりますのは、どうもおかしい、裏に何かあったのじゃないかというようなところまで風評が立っておる。  そこで私は、資料がないと言われるからこれ以上ここでは追及ができないが、早急にこの十一万ヘクタール余りの公有水面埋め立てをしたその内容を、正規に免許を受けてやったものと、追認をされたものと、処分されたものと、詳細にこの中身を明らかにしていただくように資料要求を私ここでしておきたいと思うのです。  そこで、大蔵省に来ていただいているのですが、さっき言いました常石造船の場合、十一件の埋め立ての中で一件だけ国有化処分にされておる。その面積は二万八千八百五十八平米あるわけなんです。こういう不法埋め立てをしたために国有化処分をされたものが何件で、総面積はどれだけあるのか、説明を願いたい。
  45. 川崎昭典

    ○川崎説明員 お尋ねの件でございますが、国有地になるわけでございますけれども、大蔵省の所管になる、いわゆる大蔵省に引き継がれる国有地ということではないようでございますから、私どものほうには資料もございませんし、件数も、前例がないと考えております。
  46. 福岡義登

    ○福岡委員 それじゃ建設省、運輸省、それぞれ所管別に、国有化処分をしたのが何件で、どれだけ面積があるのか、明らかにしていただきたい。
  47. 鈴木登

    ○鈴木説明員 お答えいたします。  手持ちの資料によってお答えいたしますと、免許を受けまして埋め立てましたものが二件でございます。その広さは……。
  48. 福岡義登

    ○福岡委員 そういうことを聞いているのじゃない。不法埋め立てをして、国有化処分をされた件数は何件で、その面積は幾らか。
  49. 鈴木登

    ○鈴木説明員 告発いたしまして国有化処分をいたしましたものが一件でございます。その面積が二万八千八百五十八平米でございます。
  50. 福岡義登

    ○福岡委員 建設省関係では、ないですか。
  51. 川田陽吉

    川田政府委員 建設省関係が一万七千八百八十二平米一件ございまして、この二万八千八百五十八平米の中の内数でございます。
  52. 福岡義登

    ○福岡委員 それでは港湾区域とこの建設省所管との関係が重なっておるということですか。
  53. 川田陽吉

    川田政府委員 尾道のほうに近いほう、西のほうが建設省海域でございまして、そことすぐ隣合わせて運輸省関係港湾区域になっております。
  54. 福岡義登

    ○福岡委員 ちょっとこの地図で示してください。——国有化処分をしたのは全国でこれだけですか、昭和二十年以降。
  55. 川田陽吉

    川田政府委員 全国の数字については把握いたしておりません。
  56. 福岡義登

    ○福岡委員 それで港湾行政や建設行政が済まされるのですか。わからぬということでは、これは審議にならぬですよ。
  57. 川田陽吉

    川田政府委員 至急各省とも連絡いたしまして、至急調べます。——至急調べまして、御報告するようにいたします。
  58. 福岡義登

    ○福岡委員 いま資料がないので次の委員会の冒頭に出すということですからこの分はそれまで待ちますが、ほんとうに怠慢だと思うのですよ。これほど重要な決定をしておるのに国がそれを知らぬというようなことは言えるかどうかという問題ですよ。おそらく各県まかせで、しかも各県知事は追認、追認ということで、不法埋め立てとしてはほとんどこれは処分してない。資料が出てきたら明らかになると思うのです。  そこで、建設大臣にもう一つお伺いしておきたいと思いますのは、資料が出てくれば明瞭になるのですが、不法埋め立てなり、あるいは追認されたものにつきましては——われわれは原則として追認はよくないんだ、正規に免許を受けてやるべきだというのが法のたてまえでもあるし、そうだと思うのですが、不法埋め立てをしたものは最終的には国有地として没収される方法が一つある。あるいはまた三十九条かの罰則の規定がある。一年以下の懲役もしくは三千円以下の罰金というやつがあるわけです。そういう処分に付すべきであると思うのだが、ほとんどの場合追認をしておると思うのですね。その追認しておる土地は原則的にはやはり国有化として処分するべきである、私はそう思うのです。もう一ぺん資料が出てきてからこれはまた大臣の見解を伺いますが、ここでは基本的な考え方だけ示しておいてもらいたいと思います。
  59. 金丸信

    金丸国務大臣 無許可で公有地の埋め立てをするということにつきましては、許可というものが何のためにあるかということを考えれば、当然不法埋め立てというものに対しては制裁があってしかるべきだと私は考えます。そういう意味から行政の面で十分な指導をして、今後そういうことのないようにいたしたいと思います。
  60. 福岡義登

    ○福岡委員 国有化処分の問題、追認問題は資料が出てからあらためてやることにしたいと思います。  そこで次の質問なんでありますが、国有化処分にしたほうが、不法埋め立てをした者はかえってそのほうが有利になるという考え方もできるのじゃないかと思うのであります。たとえばどういうことかといいますと、公有水面免許を受けて埋め立てをする、竣功認可がおりますと所有権はそこで登記できるわけですね。その場合には登記料が第一要ります。これはおそらく千分の五十——ちょっと率は忘れましたが、相当の登記料が要るのですね。それから所有権がつけば当然固定資産税がかかるわけです。あるいは不動産取得税がかけられるわけです。ところが国有化処分をされますとそういうものは一切かからぬ。登記料も要らぬわけでしょう。固定資産税も不動産取得税も払わなくてもいい。そこでその土地を、無料ではないんだけれども、使わしてもらう。あとで言いますけれども、国有化処分をされてその土地がどこかに持っていかれるのなら、埋め立てをした人は金をかけただけ損だということになる。ところが不法埋め立てで国有化処分をされる、そうすると申し上げましたような公租公課がかからない。それを一定の使用料で使わしてもらえれば、自分の所有権にするよりも国有化されたほうが有利に考えられるのですが、どうですか。
  61. 川田陽吉

    川田政府委員 お答えいたします。  先生仰せケースは、常石造船所で違法埋め立てをやりまして、そうして国有地に没収をされた。しかしどうも造船所の庭先にある土地なので、国有地にしてみたものの、他の人の使用ということが不可能なような土地であるというようなことから……(福岡委員「そんな理由を聞いてないんだ、どっちが得になるかということだけ言えばいいんだ」と呼ぶ)まあそういった特殊なケースで公租公課等が減免されているケースだと思うのでございますが、一般的に追認が行なわれているケースは……
  62. 福岡義登

    ○福岡委員 これは追認じゃないのです。質問をよく聞いて正確に答えなければいかぬ。要らぬことは言わぬでもいい。  私がいま申し上げておるのは、正規に免許を受けて埋め立てをして竣功認可を受ければ所有権がつくわけでしょう。そうすると登記料も払わなければいかぬわけでしょう。不動産取得税がかかるわけでしょう。それから固定資産税もかかるわけでしょう。ところが国有化されればそういう公租公課は一銭も要らないわけなんだ。それを一定の使用料金を払って使わしてもらえば、自分に所有権をつけるよりも国有化されたほうが得じゃないかということを言っているので、そのとおりならそのとおりでありますだけ言えばいい。
  63. 川田陽吉

    川田政府委員 そのとおりの結果になります。
  64. 福岡義登

    ○福岡委員 そこで問題なんですが、これは非常にただみたいな使用料で貸しておるわけであります。どういう借地料になっておるのかといいますと、一平米でいいますと一カ月四円六十六銭で貸している。どういうことになっておるかといいますと、さっき言われました建設省関係の分一万七千八百八十二平米、これを一カ月八万三千三百九十三円で貸している。そうしますと一平米当たり四円六十六銭でしょう。坪当たりはこれを三・三倍ですから十五円三十七銭になる。運輸省も同じ料金なんですね。一体固定資産税は幾らかかるのでしょうか。ここら辺は最低五万円はするでしょう。大蔵省は一体どういう基準でこの使用料を計算しておるのか、積算の内容を明らかにしてもらいたい。
  65. 川崎昭典

    ○川崎説明員 大蔵省には国有財産の使用料につきまして一般的な基準がございまして、これを各省にはお流ししてございますけれども各省行政財産の使用料といいますのは必ずしもこの基準によらずに、独自の性格から独自のものを設定する場合がございます。いま御指摘の財産は建設省の財産かと思いますが、それの使用料は私のほうで定めておりませず、私どもが定めておりますのを参考にきめていただければいいという程度のものかと考えます。
  66. 福岡義登

    ○福岡委員 この財産は普通財産として大蔵省の財務局管理じゃないですか。行政財産じゃないでしょう。
  67. 川崎昭典

    ○川崎説明員 普通財産といいますのはほとんどが大蔵省でございますけれども各省の普通財産というのもまれにございます。たとえば、ごくわかりやすい例で申しますと、運輸省の航空機が耐用年数が来て摩滅するようになった。そこで行政財産として用途廃止をしまして普通財産にする。そういったものは普通財産としてスクラップ処分にするわけでございますが、これは全部運輸省の財産でございます。
  68. 福岡義登

    ○福岡委員 行政財産と普通財産との議論があるのですが、それは別な機会にしますが、それではこの四円六十六銭というのは、一体建設省、運輸省はどういう根拠で計算しておるのか、具体的に説明していただきたい。
  69. 鈴木登

    ○鈴木説明員 お答えいたします。大蔵省と協議してやっております。
  70. 福岡義登

    ○福岡委員 おかしいじゃないか。大蔵省はさっき答弁したでしょう。——協議をしてきめたならそれでもいいけれども、積算の内容を明らかにしなさいよ。第一協議していないというんだからな。
  71. 松村賢吉

    松村政府委員 この内容につきまして、私のほうの水政課長から詳細説明させていただきます。
  72. 伊藤晴朗

    ○伊藤説明員 私のほうの答弁の説明不足で混乱が生じておりますが、あらためましてちょっと整理して御説明申し上げたいと思います。  先ほど福岡先生御指摘のとおり、常石造船におきましては過去に不法埋め立てが年々行なわれておりまして、それを実は安易に県のほうで追認をしてきたという実績を去年発見いたしまして、あらためて、とんでもないということで今後一切追認をするなということで、これまで九回やった追認をやめさせまして、去年新しくやりました埋め立てにつきましては、一切今後追認をしないということからこれを国有帰属として没収の行為をとらしたわけでございます。なおその間、護岸堤防等が完成してない途中で発見したものでございますから、そこで護岸等を補強さしたということはございましたけれども、そうして国有帰属させましたために、この新しい土地につきまして——これは先ほど運輸省からも答弁ありましたように、運輸省と建設省分合わせまして、ちょうど港湾区域と一般区域とにまたがっているわけでございますから、合わせまして二万八千八百五十八平米でございますが、これを国有帰属になりましたので、一応大蔵省に引き継ぐべく協議をいたしたのでございます。ただ、非常にこれまでのいきさつ等が複雑でございまして、大蔵省のほうとしてもそれを白紙のままもらったのでは管理しがたいということで引き継ぎを断わられまして、やむを得ずそのまま暫定的に港湾管理者並びに広島県知事が管理をいたしておる。その過程で、この使用につきましては、先ほど河川局次長から申し上げましたとおり、ほかの人が使いものにならぬ土地なものですから、つい常石造船が使用を受けておるということになっております。  その場合の、御指摘の税金等の免除の関係とそれから使用料との関係ということで、あるいは結果的に、年々の出費は国有帰属になっているほうが本人は得になっているかもしれませんが、実はそのために、造成をやりました費用は全部むだにして、土地そのものは国のものになっております。その意味での損得ということをいわれますと、私どもはやはり国有帰属にすべきじゃないか。およそ無法埋め立てをしたものを損得、年々の出費の損得の問題ではなしに、それまでに投資をしたものを全部国が取り上げておるという意味で、私のほうは損得ということは必ずしも考えなかったわけです。  なお、その使用料の問題というものは確かに問題になるわけですが、実はそういういきさつもございまして、私ども建設省並びに運輸省のほうで特別に積算をするいとまがございませんでしたので、とりあえず、大蔵省のほうが普通財産の使用貸し付けの場合に使っております算定の根拠を県のほうで準じてやっておるのではないかというふうに考えておりますが、至急にそれを調べさしていただきたいと思います。
  73. 福岡義登

    ○福岡委員 答弁にならぬですよ。運輸省のほうも同じですよ。運輸省も一万九百七十五平米を五万一千百八十一円ですから、全く同じなんです。四円六十六銭なんです。大蔵省の算定基準を根拠にしてやったのではないかと言われるのだけれども、第一、さっきの普通財産にするべきものを、大蔵省が管理できないから暫定的に運輸省と建設省が管理している、それは県が直接的にはやるのだけれども、その辺にも問題があるのですね。どっちから議論をしてみましても、行政の怠慢というか、怠慢どころじゃないでしょう。悪いことをした人間に追い銭をつけてやるようなものだ。(「盗人に追い銭だ」と呼ぶ者あり)これは水政課長が言った、損得ではなしに、そういう不法埋め立てをしたものは国有化処分をすべきものだ、これはぼくは賛成ですよ。その、要件なりその他の使用料で特別の配慮がされておるならそれは当然だけれども、そんなことはしていない。さっきだれか盗人に追い銭と言ったが、まさに盗人に追い銭なんです。このままじゃ審議できませんよ。  それじゃ念のためにもう少し具体的にお伺いしますが、この常石造船は、広島県沼隈郡沼隈町字常石という、その一番近いところの地価公示があるはずだ。その地価公示あるいは固定資産税の評価が幾らで、一体、自分の所有権にした場合に、年間払わなければならぬ公租公課が幾らになるか、ひとつ計算してみてもらいたい。
  74. 鈴木登

    ○鈴木説明員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたのは、実は普通財産として都道府県知事が、広島県知事がこれを常石造船に貸しましたので、その貸します際に、大蔵省できめております貸し付け基準というものに準拠しまして、いわば財務局にも相談しながらやったのであろうということを申し上げたわけでございます。したがいまして、それが近々の地価と比べましてどれくらいになるかといいますのは、実は県のほうに聞きませんとわかりませんので、きょう午後からすぐ尋ねまして、この次の機会にはお返事いたしたいと思います。
  75. 福岡義登

    ○福岡委員 それじゃ使用料の積算、算定の内容につきましては午後お伺いしましょう。  そこで、これはこまかい数字を合計しなければわかりませんが、国有化処分されました数字は出ておる。さっき言われました二万八千八百五十八平米、これを正規に免許を受けて埋め立てをして所有権をつけた場合に、登記料は幾ら要るのか、不動産取得税は幾らになるのか、固定資産税は幾ら払わなければいけないのか、これもついでにここで数字を示してください。ここで指摘しておる問題はもうおわかりでしょう。そういう正規の手続を踏んでやったよりも、いま国有化されて安い使用料で借りておるほうが、不法埋め立てをした常石造船ははるかに有利なんだ。そんなばかな行政があるかということを言っておるんですよ。その数字が明らかになったあとで、一体それじゃこの措置をどうするのかということをあわせて聞きますから、答えられるように準備をしておいていただきたい。  それから、常石造船の問題はこの程度にしてあと午後に譲りますが、免許料をひとつ私はお尋ねしたいと思うのです。免許料は近傍類地の額の百分の三といまきめておられるようであります。そうしますと、坪当たり五万円する地価のところであれば、それの百分の三ですから千五百円ですね。妥当だと思われますか、どうですか。
  76. 川田陽吉

    川田政府委員 お答えいたします。  安過ぎると思いますので、本法の改正の一環といたしまして、政令改正の段階で考慮したいと考えております。
  77. 福岡義登

    ○福岡委員 百分の三の算定基礎はどういうことになっておりますか。
  78. 川田陽吉

    川田政府委員 お答えいたします。  私どもいろいろ調べた過程では、どうも古いときからのいきさつがございまして、まだはっきりこの場で先生にお答えできませんので、さらにこれも次回までにあらゆる調査をやりまして、百分の三というものを御説明したいと思います。
  79. 福岡義登

    ○福岡委員 私がなぜ百分の三の算定基礎をお伺いしたかというと、安いと思うから改定をしたいとおっしゃる、それなのに現在の算定基礎がはっきりしておらぬじゃ、高いも安いも言えぬじゃないですか。どうですか。現在の算定基礎がわからないのに高いか安いか言えますか。何を基準にして安いと言われる。
  80. 川田陽吉

    川田政府委員 お答えいたします。  この免許料というものの額、ないしは免許料というものは一体どういう料金であるのかということについて、一応解説書等、われわれの一般的な解釈としては、手数料ではない、一種の特許料であるというような考え方になっております。さりとて明確な意味での対価、そこに発生した土地の交付価格というような対価であるということにもなっておりません。その中間的なものであるというような解釈が行なわれているわけでありますから、最近の情勢に合わせましてさらに対価料としての土地払い下げ価格に近いものというような考え方で再検討している次第でございます。
  81. 福岡義登

    ○福岡委員 お答えしますと言ってもお答えにならぬですよ、それは。いまのお答えの結論は、基準を置いてそれに近いものにしたい、こう理解していいですか。
  82. 川田陽吉

    川田政府委員 ただいまそういう考え方も含めまして、関係各省検討している最中でございます。
  83. 井上普方

    ○井上(普)委員 ちょっと関連して。  いまの免許料についての解釈は、いま法律案が出されておる最中にその解釈を協議をしているというのはどうも私どもは納得できません。こんなのでは法律の審議はできません。このことをはっきり申し上げておきます。のみならず、先ほどの御答弁によりますと——免許料の性格それ自体は、大正十年の公有水面埋立法のときに明確になってきております。議事録を私は持っております。明確にしてある。ところがいまの解釈でございますとだいぶ違う。こういうのでは、一体統一的な政府の解釈としてはどんなのか、われわれは免許料の性格というものを、やはり免許料を取るのですから、明確にしていただかなければ審議に入ることはできないと思います。ここらあたりは明確にしていただかなければ審議に入れませんので、この点ひとつ、委員長において処置せられんことを望みます。
  84. 服部安司

    服部委員長 鈴木管理課長
  85. 鈴木登

    ○鈴木説明員 お答えいたします。どうもお時間をとらせまして申しわけございません。  実は免許料の点につきましては、立法当時の意向として、土地の対価の考え方が入っておるとか、あるいは特許料的なものであるとか、いろいろな解説書によりましていろいろ意見がございます。その点につきまして、現在の百分の三というのは、先生御指摘のとおりに、やはり一般社会人の常識からいたしましてもこれは安過ぎるというのが一般的な判断でございます。したがいまして、それを上げるべきという点につきましては政府部内としても一致した考え方をもっております。ただし、それを値上げいたします際に、はたしてどういう形で値上げするのか。ただ単に百分の三というものを百分の五、百分の六あるいは百分の十というような形で値上げするのか、あるいはそれとも土地の地価に応じて、たとえて申しますならば、東京の周辺を埋め立てますと坪当たり四十万、五十万の地価でございます。それから北海道とか九州の端を埋め立てます場合には、埋め立ての費用が坪当り約一万あるいは二万かかりますけれども、それ以下の値段、埋め立ての費用を地価がカバーし得ないというような場所もございます。そういう点で地価に応じた免許料の高低にするか、あるいは先ほど申しましたような一律に百分の十とかあるいは百分の十五とかという形にするか、その辺につきまして実のところ、建設省と運輸省、あるいは法制局とかほかの部局にも御相談しなければなりませんけれども、いまのところまだ意思の一致がはかられておりません。したがいまして、現在もやっておる最中でございますけれども、この法律が通りまして施行になるまでの間にそれを詰めようということになって、現在鋭意各省意見を聞いたり、都道府県意見も聞かなければなりませんので、検討中なわけでございます。
  86. 福岡義登

    ○福岡委員 現在協議中あるいは今後協議してということですが、この法案をいつ国会へ出したのですか。正直に申し上げましてこの法案の審議は相当おくれている。いま延長国会でしょう。本来ならば会期中に、五月の何日かまでに国会は終わっているのです。それをなお今日に至るまで協議中であるとか、方針が出せないとかというようなことで法案の審議ができますか。ほかの法案につきましては、例外を除いてはほとんど法案審議のときには政令改正考え方ぐらいは明確に説明できるようになっておるでしょう。海のものか山のものかわからないような、そういう前提でわれわれは審議はできませんよ。第一、百分の三の根拠なんてわかってないのはおかしいじゃないですか。
  87. 服部安司

    服部委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕
  88. 服部安司

    服部委員長 速記を始めて。  この際、午後一時十五分まで休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      ————◇—————    午後一時三十六分開議
  89. 服部安司

    服部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。福岡義登君。
  90. 福岡義登

    ○福岡委員 午前中質問したのですが、資料の提出も時間が若干かかるようですし、残余の質問も二、三用意しておるのですが、資料をいただいて、次回にあらためてやらしていただきたい。きょうはこれで終わりたいと思います。
  91. 服部安司

  92. 土井たか子

    ○土井委員 公有水面埋立法大正十年に制定されまして、その後改正を経てきたわけですけれども埋め立て免許の手続法としての性格を相変わらず今日に至るまで踏襲してきているわけであります。  ところで、まず最初にお尋ねしたいのは、今回のこの改正によりまして、公有水面埋立法の基本的な性格でございますが、免許法というふうに理解してよろしいか、それとも事業法というふうに理解してよろしいか、その辺の大まかな説明からひとつ聞かしていただきたいと思います。
  93. 松村賢吉

    松村政府委員 お答え申し上げます。  今回の公有水面埋立法改正でございますが、この改正内容につきましては、やはり性格としては許可法と申しますか、許可を与える一つの形式、手段、それの法律でございまして、いわゆる事業法ではございません。ただし、その内容において許可の基準等を明確にしたこと、あるいは環境保全等十分留意するようにしたこと、そういうようなことを加えまして、許可に対しての手続法としての万全を期していきたいということでございます。
  94. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、端的にいって免許法なんですね。免許法の範疇に入れて考えなければならないということなんですね。どうですか。それをまず確認してください。
  95. 松村賢吉

    松村政府委員 免許法の範疇に入れて考えていただきたいと思います。
  96. 土井たか子

    ○土井委員 免許法ということをいかにお考えかという問題も出てこようと思うのです。しかし、そもそも公有水面埋め立てという問題は、本来公有水面そのものは国土、共有財産の一部であります。したがいまして、埋め立てについては、元来私人の所有に属さない公有水面を排他的にしかも永久的に埋め立てをいたしまして、埋め立て免許に対する出願者に所有権を与える、そういう特許に属する行政処分と考えられます。いかがですか。これがすなわち公有水面埋立法の特徴だと私は思うのであります。この法の持っているところの特徴だと思うのであります。その点はどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  97. 松村賢吉

    松村政府委員 先生のおっしゃるとおり、特許法でございます。
  98. 土井たか子

    ○土井委員 そこで、それならばお尋ねいたすわけでありますが、埋め立て免許については、本来国民の共有財産に対して一般に安い価格でもって永久に特定の私人の所有にするということを認める行政処分だということをいまお認めになっているわけでありますから、そういうことから考えていくと、これからの、やはり国民の共有財産である公有水面に対しての利用が、はたしてこのような法律のたてまえに即して考えられていっていいかどうかという基本的な問題が一つあろうと思うのであります。  今回のこの法の改正の中に、先ほどの御説明でありますが、環境保全というふうなことが織り込まれている。今回の改正趣旨などを読んでみますと、まことしやかにその点は書いてありますが、その点を十分に今回の改正案の中に盛り込もうとするならば、基本的にこの問題に対しての認識なくして私はできることではないと思うのであります。いままでこの埋め立てによりまして特定の私人の所有にすることを認めてきたために、環境保全どころか、環境破壊ということが進められたという過去の経緯からしますと、はたして公有水面埋立法が持つ基本的な性格がいまのままでいいかどうかという反省がなければ、私は改正に手をつけるべきではないと思っているわけであります。その点が今回の改正案、一から十まで、端から端まで見ましても、何ら環境保全ということに対して認識の色が見えない。私はまずこの点からしまして、特に海面埋め立ての生態系に及ぼす影響等々についても問題にしていかなければならないわけですけれども、まず最初に申し上げたいことは、この免許法の性格を基本的につくりかえて、事業法の方向に持っていくという時期が来ているんじゃないか。公有水面埋立法がいままで持ってきた本来の意味というものをここで百八十度ひっくり返して、免許法を事業法という性格に打ち立てかえるという時期が来ているんじゃないか。環境保全ということを考えれば考えるほどであります。このことに対しての認識をどの程度お持ちなのか。またそういうことに対しての配慮をどの程度現に持っていらっしゃるのか。今回の改正法についてのいろいろな作業の経過などを私はお伺いする必要はないと思うのであります。ただ、現に建設省としてはそういう問題に対してどの程度の認識をお持ちになっていらっしゃるかということをまずひとつ伺ってみたい気がしてなりません。お答え願います。
  99. 松村賢吉

    松村政府委員 お答え申し上げます。  ただいま申し上げましたこの埋立法を全面的に改正して、計画法あるいは事業法、こういう性格を持たしてやるということにつきましても、一つの必要なる考え方かと思います。しかし私ども考えますに、免許法的性格の埋立法の現行法、これにつきまして不備な点が多々ございます。これは先生よく御存じのことと思います。これに対して、現在いろいろと問題点も生じており、それで焦眉の急といたしまして、現行法の体系のまま、それの特に必要な部分、これを改正いたしましてやっていきたいということで、焦眉の急の分をやったことでございまして、全面改正あるいはその性格を変えての法律体系をつくる、これについてもいろいろ検討していきたいと思っております。
  100. 土井たか子

    ○土井委員 いまの御答弁からすれば、現に支障を生じているところの、手続の上で一部の不備があることを何とか是正するという範囲にとどまっているわけであります。今回の改正のポイントに環境保全ということが述べられている。私は、いまの手続に対しての不備な点だけを手直しすれば環境に対する保全を全うできるとは断じて考えていないわけであります。むしろ、ほんとうに今度の改正の要点の中に環境保全ということを入れられるのであれば、先ほどから言うとおりに法の性格そのものを基本的に考え直す用意がなければならない。いろいろ急を要する問題もあるようでありますけれども、それはそれとして、基本的にこの法の性格をつくりかえることによってできるはずであります。いまから私は、単に手続の上での支障を来たしている点であるとかあるいは不備と考えられる点を手直ししさえすれば、それで事足りるものではないという点をひとつお尋ねしてみたいと思うわけであります。  まず最初に、全国の埋め立て干拓の問題について言ってみますと、いま御承知のとおりにPCBや水銀によるところの漁業被害というのが頻発しておりまして、きょうなどは漁協の方々が押しかけてこられて、一体どうしてくれるんだというふうな請願であるとか陳情をなさっているわけでありますが、全国で大体埋め立てについては、いま新経済社会発展計画によって考えた場合には昭和五十年までにあと四万ヘクタールの造成が必要だ。さらに新全国総合開発計画の見通しからすると、昭和六十年までに新たに二十万ヘクタールの工業用地のうち十万ヘクタールをどうしても埋め立てて、ものにしていかなければならないという数字が現に出ておるわけであります。  私は先日運輸委員会の連合審査の中で港湾法の一部改正が問題にされたとき、同じ環境保全という立場で、いまのままに新全総の中身を考え、新経済社会発展計画というものを考えている限り、手直しを一部法律改正によってしたってだめだ。ほんとうに港湾法についても基本的に環境保全ということを真剣に考えるのならば、いままで高度経済成長のもとに考えられたこれこれの基本計画というものを洗い直さなければだめだ、つくりかえなければだめだ。そういう基本的な姿勢がないことには、一部の法律の手直しをその易しのぎのようなかっこうでやったってだめだということを申し上げて、そして新谷運輸大臣から、関係各省庁の責任者と十分協議いたしまして、そういう環境をさらに悪化するような措置はしないつもりだという御答弁があったわけであります。  いま公有水面埋立法の一部改正ということで、先ほどから申し上げているとおり環境保全ということが大きく改正の要点として打ち出されているわけでありますから、少なくともいままでの新経済社会発展計画に伴うところの予定されている埋め立て、あるいは新全総によって計画が見通しとして立てられている埋め立て、こういう問題に対しての再吟味をなさっているはずだと私は思うのであります。  そこで、お尋ねとともに、私は資料をぜひ提出していただきたいことをこの席で委員長にも要請したいわけでありますが、現在あるところのそういう埋め立てに対する予定、それからさらにこの改正案を提案なさるに及んで、こういうふうに基本的にこの問題を考え直さなければならないという中身、それを出していただきたいと思うのであります。それなくして今回の改正の要点である環境保全なんということは決して全うできるものではない、私はこれをまず申し上げたいと思うのです。いかがですか。
  101. 岡部保

    ○岡部政府委員 ただいまの先生の御提案でございますが、私ども考え方として、そういう資料をつくって提出することは差しつかえございません。ただ、お断わり申し上げておきますが、埋め立て自体、これは、たとえば列島改造論でこういうふうな考え方でいくんだというような記述がございますけれども、いわゆる国家として、政府としてオーソライズした埋め立ての長期計画というものはまだ残念ながらございません。したがって、むしろ港湾整備五カ年計画に沿って一つのバランスをとった埋め立て計画ということで、港湾区域内の埋め立ての想定というものはいたしておりますので、そういうものでございますれば出させていただきます。
  102. 土井たか子

    ○土井委員 いまの御答弁で、もうすっかり私は質問する気持ちを失うくらいであります。環境保全なんというおこがましいことを言っていただきたくないという気持ちであります。いまあるところの港湾計画に伴って埋め立てというものは予定をされるのが当然であるから、したがってそういうことについて出せというなら出せますというような御答弁の趣旨じゃありませんか。これだけの改正をされるのならもっと責任を持っていただきたいと思うのであります。改正案を用意なさるに先立って、現在予定されているところの埋め立てに対してこのままでいいかどうかくらいの姿勢があってしかるべきです。そして、予定についてはどうもわかりにくいということをおっしゃいますが、建設省というのはこういうことに対して責任ある省じゃありませんか。建設大臣いかがですか。少なくとも公有水面埋め立てに対して建設省というこの役所が、大体いまままでの埋め立てについてはこれだけの面積がある、新全総ではこういうふうに考えられている、新経済社会発展計画ではこういうふうに考えられている、しかしわれわれとしては公有水面埋め立てによって環境を破壊するようなことは好ましくない、そのために今回の改正をするのである、したがって、そういう基本的な立場から考えるとこれからの埋め立てはこうあるべきだという考えに従って、いまあるところの新全総なり新経済社会発展計画なりの中身をもう一度見直すということから出発してしかるべきだと私は思うのであります。どういうことでしょう。
  103. 松村賢吉

    松村政府委員 現在政府でいろいろ考えております計画、この中に埋め立ても当然含まれております。しかしこれに対して、今回の埋め立て改正、これは先ほどから申し上げましたように免許法の性格でやっておりますので、これにこの内容を盛り込むということは私ども考えておりません。それで、この計画に基づく埋め立てについていかに環境保全をしてこの埋め立てができるか、あるいはそれに対する条件はどういうことか、またどうしても環境保全に支障があるものについては許可はできない、計画変更をするというようなことを、この埋立法のあとの実施においてはやっていきたいというふうに考えております。
  104. 土井たか子

    ○土井委員 ちょっとあとのほうの御答弁がはっきりしませんから、もう一回ちょっと言ってくださいませんか。いまあとのほうで言われた言語がはっきりしませんから、恐縮ですけれどももう一度……。
  105. 松村賢吉

    松村政府委員 この埋立法の施行後におきましては、環境保全等につきまして、この埋立法免許基準等に照らし合わせまして、この保全を全きようにする考えのもとに許可をしていきたいというふうに考えております。
  106. 土井たか子

    ○土井委員 いま、許可をしていきたいとおっしゃいますが、建設省さんのほうに許可権があるのですか。知事じゃありませんか。これに対してどういうお考えなんです。
  107. 松村賢吉

    松村政府委員 失礼いたしました。許可していきたいということばは取り消します。これは許可権は知事にございます。それで知事から大規模埋め立てにつきましては認可申請が上がってきます。これを認可する際にそう措置していきたいというふうに訂正いたします。
  108. 土井たか子

    ○土井委員 いままでそういう方式でやってきて、現にだめだったわけでしょう。それじゃお伺いしたいのです。臨海工業地帯、その周辺の海域の海水が汚濁されているという事実はお認めになりますね。いかがですか。
  109. 松村賢吉

    松村政府委員 主要な地域において汚濁しておると考えます。
  110. 土井たか子

    ○土井委員 主要な地域とおっしゃる。明示していただきましょう。
  111. 松村賢吉

    松村政府委員 一々名前はいまちょっとここで全部あげられませんが、いまの臨海工業地帯等の大部分の地域において汚濁しておるというふうに思います。
  112. 土井たか子

    ○土井委員 臨海工業地帯において汚濁しておるという事実をお認めになっておるわけですね。そうして環境保全ということを改正点として打ち出されたが、少なくとも、いまもう汚染も極度に達して、これ以上汚染されたら、漁業権を奪われておる漁民は言うまでもないのです、周辺の住民の生活そのものにも悪影響がはっきりと出るというところまで来ておるじゃありませんか。このときに、建設省のそういう問題に対する基本的な姿勢がどういうものであるかということをはっきりさせておかないで今回のこの改正に臨むということは、私はおかしいと思うのであります。環境保全ということをどの程度考えていらっしゃるか、その中身はどんなものであるか、ひとつここでしっかり聞きたいのです。先ほどから、港湾計画に基づくところの公有水面埋め立ての面積等々について出せと言われれば出せますというような、そんな問題じゃない。すでにあるところのそういう港湾計画に基づいて公有水面埋め立てがなされた場合には、もう環境保全という見地からして支障を来たすというふうな場合が現に多いことを一つははっきり認めてもらわなければならない。特にひどいのは、京浜であるとか、大阪港沿岸であるとか、瀬戸内海沿岸であるとか、播磨灘であるとか、さらに広島から山口に広がるところの瀬戸内海全域と申し上げてもいいと思います。  したがいまして、こういうことについて、先ほどから言うとおりひとつしっかりと、いまあるところの、再度申し上げますが、新全総なり新経済社会発展計画というのは昭和五十年を期してこうである、昭和六十年を期してこうである、さらには例の田中総理の日本列島改造計画に伴っておよそ練られておるところの計画の中身はこういうような青写真があるということをひとつ比較対照して、今回この改正案に臨む場合に建設省としてはこういう考えで臨むのだということをはっきり示すところの資料を提出していただきたいわけであります。委員長、それをお願いします。いかがですか、出してもらえますね。
  113. 松村賢吉

    松村政府委員 ただいまのお話ですと、個々の埋め立て計画、これにつきまして、これがだめかいいか、こういうものをはっきりその方針を出せというお話だと思いますが、私どものほうといたしましてはただいま申し上げましたように埋め立ての基本的な基準をつくったわけでございます。この個々の埋め立てについてこれがどうという資料につきましては現在できておりません。
  114. 土井たか子

    ○土井委員 そんなのが一応の青写真としてなくて環境保全に対する責任とれますか。責任持てますか。これからの公有水面埋め立てというのは、環境保全というふうな意味から与える影響が絶大だということはだれしも考えておるわけであります。そういうことに対してまだ用意がないとおっしゃるのは、この改正案を出す用意がないというのにひとしいのであります。いかがです、これを早急に準備する用意があるかどうか。そうでないとこの改正案に対して審議すること自身おかしいですよ。いかがです。
  115. 松村賢吉

    松村政府委員 先ほども申し上げましたとおり、この埋め立ての全部の計画を立てるのは私どもではございません。これに対して、これが適当であるかどうか、環境保全上どうかということを、その個々のケースについて審査し、それで認可をしていくことを考えております。
  116. 土井たか子

    ○土井委員 さあ、そういう方法でいままでやってこられたことが広域水面において海水汚濁をずいぶん促進したことになっているのです。つまり基本的に、先ほどから繰り返し言うとおり、公有水面埋立法そのものが免許法であるところに根本的な欠陥があったわけですよ。したがいまして、免許について申請をやる、認可についての申請をやる、申請が出てきてから何とか考えようというふうな態度じゃだめなんです。建設省自身がこういうことに対して基本的に青写真を手に持って臨んでいただくということが、この節どうしても必要になってきています。金丸建設大臣はこのことについてどういうふうにお考えになっていらっしゃるかということをおおよそお伺いして、そして再度、こういうことに対しての青写真をひとつ示していただきたい。何らかの形の資料によって示していただきたい。私は先ほど申し上げた資料をいただければ一番いいわけでありますが、それはどうもできかねるというふうな御答弁の向きでありますから、建設省としては今後免許申請認可申請についてこういうふうに臨みたいんだというふうな基本姿勢を示す資料をいただければと思います。これはぜひいただきたいわけであります。
  117. 金丸信

    金丸国務大臣 いろいろ御指摘がありまして、答弁に非常に苦労して、満足な答弁ができないような状況がある。また、大正十年来、五十年来の法律改正ということで画期的な期待を国民も持っておるだろうと私も思います。というような状況下にこの法案を出して、質問に当局が満足に答えられぬということにつきましてはまことに申しわけないわけでございますが、私も重大な決意を持たざるを得ないなという感じもいまいたしておるわけであります。  なお、資料等につきましては、十分事務を督励いたしまして提出するようにいたしたい、このように考えておりますから、あらかじめ御理解いただきたいと思います。
  118. 土井たか子

    ○土井委員 大臣、まことにお困りな御様子が手にとるようにわかるわけでありますが、さりとてやはり責任をもって提案された改正案であります。したがいまして、この中身について責任をもった御答弁をこの審議の場を通じて出していただかなければ基本的におかしいわけであります。そうですね、一たん提案なすっているんですから。したがって、いまから順を追いまして、ここにある環境保全、災害の防止に十分配慮されたものとして、考えていらっしゃる免許の基準あるいは国土利用等々について具体的にひとつ聞いてまいりましょう。よろしゅうございますか。  まずお尋ねしますが、認可免許というのは違うのでしょうか。どういうふうに違うのでしょうか。その辺をお尋ねいたします。
  119. 川田陽吉

    川田政府委員 お答えいたします。  免許は、申請人から国に対して、あるいは都道府県知事に対する申請がありまして、この申請に基づいて何らかの権利設定行為が行なわれるというものを免許と私ども解しております。さらに、認可ということになりますと、当該免許ないしは許可、特許等をする際におきまして、監督の立場にある官庁がそれに対して、平たく言いますと許しを与えるというようなことが認可と私ども心得ております。
  120. 土井たか子

    ○土井委員 いまの御説明はどうもいまひとつはっきりしない点があるわけであります。それじゃお伺いしますが、公有水面埋め立て事業について認可免許というのははっきり区別されておりますか、どうですか。
  121. 川田陽吉

    川田政府委員 はっきり区別しております。
  122. 土井たか子

    ○土井委員 ではその区別を具体的に述べていただきたいと思います。
  123. 川田陽吉

    川田政府委員 公有水面埋立法第二条に、これは改正前の法律でございますが、「埋立ヲ為サムトスル者ハ地方長官ノ免許ヲ受クヘシ」こういうふうになっております。それから同じく四十七条、「本法ニ依リ地方長官ノ職権ニ属スル事項ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣認可受ケシムルコトヲ得」としてございまして、そこで私先ほどお答え申し上げましたような区別をつけている次第でございます。
  124. 土井たか子

    ○土井委員 この認可についても免許についても、両者とも、今回の環境保全及び災害の防止に十分配慮されるという保障がこの改正案でできているとお考えですか。ならば、認可についてこうだ、免許についてこうだという点をひとつここで御説明していただきたいと思います。
  125. 川田陽吉

    川田政府委員 まず免許でございますが、改正法の条項で第四条の改正を御提案申し上げているわけでございますが、「都道府県知事ハ埋立ノ免許ノ出願左ノ各号ニ適合スト認ムル場合ヲ除クノ外埋立ノ免許ヲ為スコトヲ得ズ」という条文を挿入するという改正案でございます。一号は「国土利用上適正且合理的ナルコト」、二号「其ノ埋立が環境保全及災害防止ニ付十分配慮セラレタルモノナルコト」、三号「埋立地ノ用途が土地利用又ハ環境保全ニ関スル国又ハ地方公共団体(港務局ヲ含ム)ノ法律ニ基ク計画ニ違背セザルコト」というふうに改正条項をお願いしているわけでございます。  それから認可につきましては、認可の基準というものは特に定めておりませんが、監督官庁としては現在の情勢に即応した判断をいたしまして環境保全等に遺憾のないようにしたいと考えておりますし、また主務大臣認可を与えるという埋め立てにつきましては、必ず環境庁の長官の意見を聞くということに今度の改正考えております。
  126. 土井たか子

    ○土井委員 いまの御答弁を聞いていて、全くそれはお役所仕事もいいところだと思うのであります。環境保全や災害の防止が十分とられないときの被害者は一体だれでありますか。行政官庁じゃないですよ。そこに住んでいるところの地域住民じゃありませんか。また埋め立てによって海流が変わる、海域が変わる、海水の質が変わる、そのことによって直接被害をこうむる漁民じゃありませんか。いま御答弁になった一から十まで私は聞いておりましたが、それは認可免許の手続だけを答弁なさっているわけであります。私は手続を聞いているわけじゃない。先ほど質問申し上げたのは、環境保全や災害の防止にこれで十分な配慮ができている体制だと思っているかどうかということを聞いているわけであります。したがいまして、認可にしろ免許にしろ、主要な問題というのは、この埋め立てをされることによって影響をこうむるところの当事者が、関係者が一体どう考えるか、その中身がどのように反映されるかということじゃありませんか。これが一番大事ですよ。それに対する配慮を今回の改正でどれだけ問題にされているか、その点が大事であります。  そこでお尋ねをしますが、まず、事業の認可を行なう場合というのはこれでよいと、そういう点からお考えになりますか。私は机の上での字づらを追っかけるお役所仕事で答えていただきたくないわけであります。今回のこの改正の中身には、裏づけとして、埋め立てを実施するためにあたって、実施に先立ってそういう計画が促進される国の行政をお考えになる場合に、一番の当事者というのはそこに住んでいる人たちだということを終始忘れてもらっては困るということであります。したがって、そういう関係人の立場なり意見なり、今後の生活というものをひっかかえて、今回のこの認可の中身はどのように環境保全と災害の防止にこたえているかという点をひとつ答えていただきたいと思います。どうですか。
  127. 川田陽吉

    川田政府委員 お答え申し上げます。  先生のただいまの御下間は、認可に関連し、とのことでございますが、私ども監督官庁といたしまして、特に認可につきまして環境庁長官意見を聞くとか、あるいは東京湾、瀬戸内海地区というような地区におきましては、認可にかかる埋め立て審査の際は、もちろん環境庁も入っておりますが、関係各省連絡会議を持ちまして、その場におきまして計画自体その他必要な事項全部の審議を行なっております。また直接の免許に際しましては、今度の法律におきましては地域の住民の方々に対する一つの周知の方法といたしまして、公告、縦覧という手続を考えております。第三条の修正によりまして「都道府県知事ハ埋立ノ免許ノ出願アリタルトキハ遅滞ナク其ノ事件ノ要領ヲ告示スルトトモニ前条第二項各号ニ掲グル事項記載シタル書面及関係図書ヲ其ノ告示ノ日ヨリ起算シ三週間公衆ノ縦覧ニ供シ且期限ヲ定メテ地元市町村長ノ意見ヲ徴スベシ」、こういう手続を今度考えている次第でございます。
  128. 土井たか子

    ○土井委員 まず最初におっしゃったことから申し上げましょう。確かに今回、環境庁長官意見を聞くとなっております。それで十分だとお考えでしょうか。環境破壊によるところの被害が起きてから、被害地の被害者環境庁にいろいろ要望を持ってこられるという事例は最近ひんぱんであります。特にきょうなどは漁協の方が直接行っていらっしゃるはずでありますが、そういう問題を通じて関係省庁に環境庁長官意見を言われる。意見を言われるにとどまっている限りは、私はその結果を見た場合に、まことに環境庁そのものの考え方がずばり生きてないという事例をいままでに山ほど見せつけられてきているのです。今回も一応聞きおきましょう程度の意見を聞くということでは……。やはり環境保全ということをこれだけ打ち出されているわけであります。今後公有水面埋め立てがもたらす影響は大きいということを考えれば考えるほど、環境庁という環境保全に対しての責任担当庁があるわけでありますから、その長官の協議とかあるいは同意というところまで考えなければうそだと私は思うのであります。そこまで考えられる用意があるのかないのか、ひとつそれから伺っていきましょう。
  129. 川田陽吉

    川田政府委員 同じ中央官庁同士の事柄でございますので、協議とか同意とかいう表現でなくても、私どもの精神としまして、環境庁長官意見を聞いたら一〇〇%尊重しなければならないという姿勢をもって運用しなければいけない、こういう考え方でおりますので、条文はそういう表現をとったわけでございます。
  130. 土井たか子

    ○土井委員 条文の表現は非常に大事なんであります。お一人お一人はそういう心がまえでいらしても、ふしぎなことに縦割り行政という弊害が必ずいろいろな事例について見ると出ているのです。建設省環境庁考えが折り合わないときに、一体この問題に対して主務大臣というのはどの大臣でありますか。
  131. 川田陽吉

    川田政府委員 主務大臣建設大臣または運輸大臣でございます。
  132. 土井たか子

    ○土井委員 環境保全について考えられれば、現に環境保全に対しての担当庁として環境庁というものがあるのですから、主務大臣環境庁長官を加えて、協議事項にするなり同意事項にするなり考えるということは客観的に見て常識だと私は思うのであります。意見を聞くにとどまるということが、繰り返し申し上げますが、過去の縦割り行政の弊害として、生かされないという余地を残している。法文意見を聞くと書いてあったって、中身を一〇〇%尊重するというその心がまえはよしとするわけでありますけれども、その心がまえが事実役所仕事では生きないという場合が多いんですよ。そうして私たちがそのときに聞いてみますと、それは意見を聞くということになっておりまして、現に意見は拝聴いたしましたという答弁が必ず出てくる。だめなんであります。法文というものが大事だと先ほど申し上げたのはこういう意味です。  そこで、法文はいかに書いてあろうと私たちの心づもりはこうであるから御了承いただきたい、それじゃいま法文について審議している意味がないのであります。心がけはたいへんけっこうですよ。そういう心づもりでやっていただかなければそれこそ困るわけであります。しかしいま審議しているこの改正法案についていうならば、意見を聞くでは不十分だ。環境保全ということで問題になさるのならば、その環境保全についての担当庁の長官である環境庁長官の協議あるいは同意というところまでいかなければならない。これは別に私が言うわけじゃありません。私ももちろんそう考えている一人でありますが、在野のたとえば弁護士会あるいは地域、この埋め立てによって環境が変わってずいぶん住みにくい思いをする問題に対して、これからどういうふうに対処すればよいかということを考えていらっしゃる地域住民の意見としても強力にあるわけであります。改正のときにはそういう声を吸い上げて考えていただくということが、建設省として改正案を用意する行き方じゃなかろうかと思うのですよ。どうですか、この問題については。
  133. 川田陽吉

    川田政府委員 環境庁ができましてから、環境庁の反対を押し切って埋め立てをやっているという例はまず絶対にないと私ども考えております。要はやはり、法律条文の表現よりも、そういった精神を免許官庁といえどもみな理解しているわけでございますから、環境庁は特に専門の立場であるという意味で、その御意見を聞いて尊重してやっていく、こういう埋め立て行政を私ども考えている次第でございます。先生のおっしゃることもよくわかるわけでございますが、やはり要は免許官庁の精神なりそういった理解の問題であるというふうに私ども解しておりまして、十分環境庁意見は尊重してやっていくということで、決して御心配は要らないのではないかと考えております。
  134. 土井たか子

    ○土井委員 ならば申し上げたいです。それだけお考えなら、それだけの心づもりがおありになるのに、どうして今度の改正案で協議あるいは同意にできなかったかという由来をひとつお聞かせいただきましょう。
  135. 川田陽吉

    川田政府委員 埋め立て行政につきましての主務官庁は、埋め立て行政という見方からまいりますとやはりどうしても建設大臣ないしは運輸大臣にならざるを得ないのでございまして、環境庁の長官は別なサイドから、環境行政の立場から御意見を申し上げるという、そういう性格ではなかろうかと私ども法律的に考えましてそういう表現にしたわけでございます。決して環境庁意見を軽く見るとか、そういうような意図は毛頭ない次第でございますので、御理解いただきたいと思います。
  136. 土井たか子

    ○土井委員 そういう説明を繰り返し百万べん言われても、それならば、それだけお考えになっていらっしゃるのに、なぜいまのこの条文にこれを協議事項とすることができなかったか、なぜ同意事項とすることができなかったか、どこまでもこの問題はつきまとう問題としてあるわけであります。これは単に法文の体裁じゃないですよ。法律の中身について全体にかかずらってくる問題であります。確かに、環境保全に対しては十分環境庁意見も聞いて、できる限りの留意をいたします、それはあたりまえであります。しかしもう一つ、そのお考えになっている問題を担保することのためにはもう一歩押し出していいじゃないですか。なぜ一歩押し出すことをちゅうちょなさるのか、私はふしぎでしようがないです。埋め立てについての責任担当官庁建設省である、運輸省である、そのことは百も承知の上で私は言っている。埋め立てによるところの結果、それで環境保全が保たれていくかどうか、あるいは防災の観点から考えてそれで十分かどうかということについては、単に意見を聞くだけじゃなくて、やはり協議事項とする、同意事項とするというのがこれは常識じゃありませんか。なぜ踏み切れなかったのですか、それをさらにお尋ねします。
  137. 川田陽吉

    川田政府委員 おことばを返してどうも恐縮でございますが、所管行政という立場からまいりますと、埋め立て行政についての主務官庁というのはやはり建設大臣であり運輸大臣であり、それを別途の環境行政の立場から、わきから第三者的に批判的に御意見を述べられるという性格の環境庁がおられて、そこの御意見を徴するという立て方で、私どもとしては、あとは要は運輸省、建設省の姿勢の問題ではなかろうかと考える次第でございます。
  138. 土井たか子

    ○土井委員 どうも問題を混同なさっているようですね。環境庁長官認可権を認めよと言っているわけではないのです。あくまでも認可権というのはここに明記してあるとおり主務大臣にあるわけですよ。したがいまして、認可をするということと、協議をする、同意をするということとは全く別だということをひとつはっきり明確に区別していただきたいのです。環境庁長官認可をするということになってくると問題は別でありましょう。しかし、あくまで認可権というのは建設省にある、運輸省にある、そのことはもう言うまでもありませんと先ほど申し上げたとおりであります。ただ、その認可をするにあたって、いまここの改正案で問題にされているよりもう一歩進めて、本気になって建設省なり運輸省が環境保全や防災をお考えになるのなら、環境庁長官の協議や同意ということにしてよいではないか、なぜできなかったかということを聞いているのです。もう繰り返し聞いても、どうも御答弁は先ほどからかみ合わないわけでありまして、同じことを繰り返しますとこれこそ悪循環ということであります。少し私の言っている趣旨を御理解の上、御答弁願いたいと思います。
  139. 川田陽吉

    川田政府委員 同意とか協議とかを必要とする背景という意味で私申し上げたわけでございまして、同意あるいは協議という相談の背景には、埋め立て行政に対する同一の認可を行ない得るという、そういう立場が入ってくるわけでございますが、環境庁は全くそれからは別個の第三者という立場で、そうして御意見を申し上げる存在として考えておりますので、そこで環境庁長官意見を聞くという表現にしたわけでございます。
  140. 土井たか子

    ○土井委員 相変わらず誤解なさっているようですね。この認可権を、もう一度申しますが、環境庁長官に認めよと言っているわけじゃないのですよ。認可権者というのは建設大臣であり運輸大臣です。したがいまして、認可をされるについて、環境庁長官を含めて、環境保全、防災という観点から、この認可をするにあたって協議をする、同意をする、このことに対して何の支障がありましょう。そうして、意見を聞くという中身、これはなぜ法文の上で同意や協議にならなかったかという点、いま申し上げている趣旨、もう一度じっくり考えていただきたいのですよ。正確に理解していただきたいと思いますね。認可権ということと、協議する、同意するということとは別です。混同して考えられたら困るのです。  それでは繰り返し言いますが、一体何のために環境庁長官意見を聞くとなったのですか。
  141. 川田陽吉

    川田政府委員 環境庁の、認可にあたりまして環境上の配慮を必要とするということは当然のことでございます。そこで環境庁長官意見を求める、こういうことになったわけでございます。
  142. 土井たか子

    ○土井委員 ちょっと、いまの御答弁は支離滅裂で私よく意味がわからない。いまの御答弁の中身がどうも何をおっしゃっているのかよくわからない。ちょっとわからないですよ。環境庁長官認可をするにあたってというふうな発言だったように私は思うので、どうもそれならばまるでおかしいです。支離滅裂な答弁になる。それをちょっと確認させていただいて……。
  143. 川田陽吉

    川田政府委員 主語の位置を間違えましてたいへん失札いたしました。  建設大臣または運輸大臣認可をするにあたりまして、環境庁長官環境保全上の意見を聞いた上で認可等の処分をする必要がある現在の情勢であると考えておりますので、そういう条文を今度入れようとしたわけでございます。
  144. 土井たか子

    ○土井委員 それでは、意見を聞くということと協議ということと同意ということと、どういうぐあいに違うかということをひとつ説明してくださいますか。
  145. 川田陽吉

    川田政府委員 一番きついのは同意であると解しております。つまり、同意を得なければ当該行政行為はなし得ないというのが同意でございます。それから協議でございますが、協議は、一応道義的に協議した場合には、相手方が協議に応じなければ特定行政処分等をなし得ないと解しております。それから意見を求めるということは、相手の意見を尊重する姿勢があれば協議等と同じことになるわけでございます。その点の、協議と、意見を求めるというのは、ほんとうのわずかな差ではないかと考えております。
  146. 土井たか子

    ○土井委員 その中で一番ゆるやかな、意見を聞くということにわざわざ今回の改正案でなさったということに、私はやはり環境保全に対する姿勢がどの程度のものかをかいま見ます。いかがです。程度の差だといまおっしゃった。ならば、どうしてその意見を聞くということを協議にできなかったのですか。法的に性格がまるで別の問題なら私はこう言いませんよ。しかしいまの御答弁からすればそうじゃないんでしょうが。程度の差だとおっしゃる。それならばなぜ意見を聞くということを協議にできなかったかということをお伺いしますよ。どうです。
  147. 伊藤晴朗

    ○伊藤説明員 官庁間の意思疎通、連絡調整の問題といたしまして、法律上の手続また実質上の問題は別といたしまして、仰せのとおり同意、協議、それから意見を聞く——これはわれわれの改正案では「意見求ムベシ」という形になっておりますが、この三段階があることは事実でございます。  そこで、その同意、それから協議、意見を求むべしという点について厳密に仕分けをしていきますと、ただいま河川局次長がお答えいたしましたように、同意というのははっきり同意書をもらう、協議というのは相談だ、それから意見を求める、ないしは聞くというのは、意見を聞くということになるわけであります。そういうことでございますけれども、実質的に政府として所掌事務をいろいろ分担しております関係の中で、段階といたしましてこれが相対立して云々ということは、一般的にはそれをあえて押し切ってやるということはないわけでございます。その意味では、私は実質的にはそれほどの差はないのではないかというふうに考えます。実際に改正案を立案いたしまして関係省庁と御相談いたします段階で、各行政機関相互間の連絡調整の方法の表現等をいろいろ見ますと、同意というのはどちらかといいますと、たとえば下級行政庁の同意を得るとか、構成団体として全く別なところの庁の同意を得るとかというところに多く使われておる。それから、協議と、意見を求むべしというのは、その意味においては相互間において自由に行なえるわけでございますけれども、これまでの、環境庁がほかの各省庁との協議、意見関係の例をいろいろさがしました場合、どちらかといいますと、いわゆる各省計画を立案して、これをその方針で施策を進めていくという基本的な事項については協議という扱いをしておるのが立法例としては多い。それ以外に、特定の省庁におきまして一つの設権処分等を行ないますものについては、環境庁意見を求むべし、ないしは関係省の意見を求むべしというような立法例があるんじゃなかろうかということで、環境庁とも御相談の上こういう形にしたわけでございます。
  148. 土井たか子

    ○土井委員 関係省庁とも相談したからこうなった。それは省庁お互い同士の相談ということが大事なことは私も十分に承知しているつもりでおります。しかし何としても、今回責任担当省といたしまして改正案をお出しになるのに、改正点についてどれだけ留意なさるかというのはこれは大事な問題ですよ。ここで審議をする場合にはそれをはずして審議なんてないと言ったっていいのです。そういうことからしますと、いまの御説明賜わった中身を拝聴しておりまして、やはり各省庁でこういうことに、これは意見がそれこそまとまったからとか同意をしたからこういう法文の中身になったということであるかもしれませんが、そうじゃないですか。しかし、これはおっしゃるとおりに協議事項とするというふうな例が、河川法なんか見ましてもその三十五条なんかで使われている用語は協議であります。それからその次の、河川法の三十六条なんかにしてみますと、地方公共団体の長についていうならばこれは意見を聴取するということになっておるわけでございます。したがいまして、環境庁長官建設大臣運輸大臣、相互間での意見の調整、これはやはりいままでの単に、私は河川法だけを引き合いに出したわけでありますが、法令上の中身から考えても協議ということで矛盾しやしません。また今回の改正案というのは協議というふうに持っていかれてしかるべきだと私は思うのです。こういうことについて、それならば考え直してみようじゃないかという御用意がおありですか。また変えることにやぶさかでないというお気持ちがありますか。
  149. 伊藤晴朗

    ○伊藤説明員 先ほどもことばに気をつけたつもりでございますが、そういうのが一般的に多いということを申し上げたわけでございまして、もちろん私どもが言っておるのは絶対の差があるということで申し上げたつもりではございません。この場合、いまたまたま河川法の、これは水利権処分の問題に例をとって示されたんだろうと思いますが、河川管理者が水利権を付与いたします段階におきまして、建設大臣そのものないしは建設大臣都道府県知事等河川管理者の水利権処分を認可する場合に、関係行政機関の長に協議するという規定があることは御指摘のとおりでございまして、これは河川管理者が、どちらかといいますと水を供給するサイドに立ちまして水利権の配分ということを考えるわけですが、同時にその水というのはそれぞれ、たとえば農業用水に使われ、工業用水に使われるというふうな形で、農業用水なら農業用水としての所管をしておる省庁と十分相談いたしまして、処分に誤りなきを期したいという形で協議ということでございます。これと、先ほどの、重ねて申し上げますように、必ずしも絶対的な差ではございませんけれども埋め立て免許をするにあたって建設大臣なり運輸大臣認可するという立場を考えます場合に、環境保全という立場自体を、これは建設省なり建設大臣なり、運輸大臣も、責任をもってやらなければいかぬわけです。権限もあるはずです。それは埋め立て認可という権限の中で環境保全というのは一つの柱としてやるわけでございまして、これを環境庁長官におまかせするというわけではないわけです。したがいまして、建設大臣なり運輸大臣が責任をもって、環境保全の点を十分にこれは埋め立て認可という段階で行なうという一つの姿勢。ただし、確かに御指摘のとおり、環境庁長官というのもいわば、俗なことばでいえば環境保全について専門家でございますので、その御意見を承って十分配慮し、尊重していきたいという形で、別に関係省で相談したからこうなったということでなくて、それがよろしかろうという結論が出たという意味で申し上げたわけでございます。
  150. 土井たか子

    ○土井委員 それで、私の質問に対する御答弁はいかがです。いままでは、それのいきさつはこうだったああだったという由来を聞いたわけでありますが、さて肝心かなめの、それならば協議というふうに今度法文を変えることにやぶさかでないお考えなのかどうなのか、その辺の御答弁はまだ承っておりませんね。
  151. 川田陽吉

    川田政府委員 私どもとしてはやはり、意見を求めるということで、運用上、実行上全く同じ効果を発揮し得る、期待し得るという気持ちでおりますので、御了承いただきたいと思います。
  152. 土井たか子

    ○土井委員 いままでの事例が全く環境庁意見を無視して決定されたかというと、私はそうは思わないのですよ。環境庁が発足以後、やはり建設省として埋め立ての問題については環境庁長官意見どもしんしゃくされたに違いないと私は考えている。違いますか。そうでしょう。聞いてこられたけれども、いろんな思わしくない事例があるわけであります、それでもなおかつ。いま自治体の臨海工業用地の造成というのはたいてい国の港湾整備計画のワクの中で実施される仕組みに、大まかにいうとなっていますね。国と自治体の責任というのはたいへんに重いということをいわなければなりません。そして公有水面埋め立てについて、現行制度からすると埋め立て免許を行なう前に、公有水面に権利を持つ者、つまり漁業権を持っている漁民の間の同意が必要だということに一応手続の上でなっているわけですが、その漁業権放棄手続の問題をめぐって、御承知だと思いますが、大分県の臼杵で裁判になる事件が起こりました。そうして昭和四十六年の七月二十日に大分の地方裁判所はこういう判決を出しているのですよ。「免許を受ける者が一般私企業の場合、それがもたらす経済的利益の程度と、埋立でこうむる権利者の損害の程度とを計算するだけでなく、その地域住民の生活環境に及ぼす影響を正確に掌握」しなければならない、と。これはだいじょうぶ、建設省にして責任をもってやり通せます、運輸省にしてだいじょうぶです、まかしておいてくださいとおっしゃるかもしれないけれども、現に臼杵のほうでは、これが具体的に進められたらとてもたまったもんじゃないという住民の方々の声に押されて、漁業権放棄無効の確認訴訟というのを裁判所に出されているわけです。そうして出てきた判決の中身はこうなんです。このときだっておそらく、環境庁、また環境庁に匹敵するところの各省庁がおっしゃる意見というものを無視なすったはずはなかろうと私は思う。いままでのそういう事例一つ一つを私はここであげつらいませんけれども、あっちこっちで漁業権放棄をめぐって有効だ無効だという争いが絶えません。それは漁場を失うということのみならず、埋め立てられてから後、私たちの環境がどういうふうに変化をするか、大体環境保全という点からして安心が持てるかどうかに対して不安を持っていられる住民の方々の声なんであります。こういうことに対して十分にこたえるだけの手だてをなさらずして何の改正案かと私は言いたい。  そういう点からすると、どうして意見を聞くにとどまらせておいて、協議に持っていくということができなかったのか、ふしぎでならないのであります。提案されたとおっしゃる。提案されるならばそこまで考え及ぶのが当然じゃありませんか。法的性格がまるで別ならば私はここまで言わないですよ。だけれどもそうじゃないのであります。先ほどの御答弁もそれをお認めになった。したがいまして、再度申し上げたいのは、木で鼻をくくったように、意見で十分だ、意見を聞くことで十分だ、私たちは十分にそのことに対して留意をするから……ではおさまらない。いままでの事例だって意見を聞かれているはずだという前提に立って私は再度申し上げたい。どうして協議にできないか。この条文を協議に変えるという気持ちはおありにならないわけですか。
  153. 川田陽吉

    川田政府委員 どうも先生のおことばを返しまして恐縮でございますが、私どもとしてはやはり運用上の精神の問題であって、これはもう表現の問題ではないという、その精神をぜひ御理解いただきたいと思っております。
  154. 土井たか子

    ○土井委員 いまの御答弁はたいへんだと思うのですよ。そういうことであるならば法律の各条文、一切要りません。法律について第一条、この法律の目的さえあればそれでいいと思うのです。その目的に即して私たちは誠意をもって努力しますからまかしておいてくださいと、お役人に全部預けるかっこうになるじゃありませんか。何のために一カ条一カ条、こういう条文についての中身がこれでいいかどうかということを審議する必要があるのですか。それは端的にいうと国会無視の態度ですよ。国会というのは、やはり立法についてその条文を審議するという立法府でありますから、何のために法律条文が必要なのか、何のために国民の期待に十分こたえる法律をつくるための審議が必要なのか、その点をひとつ考えていただきたいです。単に法文の形式上の問題じゃありません。先ほどから言うとおり私は形式を問題にしているのじゃない。私は、どれだけ建設省環境保全や防災に対して考え及んで今回の改正案をものせられたかということを、これは大事な点でありますから先ほどから聞くにつけても、心さびしい限りであります。こんなことでは審議はもはやできないといってもいい。もう少しこの辺、基本的姿勢をつくりかえていただきたい。いまさら姿勢をつくりかえろといっても無理な相談であるからよけいに、法文について厳密な、誤解を生じない、その法文に即して行政措置を十分にとってもらえるような法文を用意することが必要なんじゃありませんか。これでもだめですか。いかがです。
  155. 川田陽吉

    川田政府委員 私、たいへん簡単なお答えをしたわけでございますが、その前にるる、まあ協議というも意見を求むべしというもほんとうのわずかな差でございます。原案をつくった立場といたしましては、運用上のほんとうにごくわずかな差でございますから、この案で支障ないと考えておりますということをたびたび申し上げた次第でございます。
  156. 土井たか子

    ○土井委員 それはひとつ保留にしておきまして、さらに次に進みましょうよ。ようございますね。  認可についての問題です。いままで認可がなされてから、この法文の第五条にいうところの権利者、すなわち利害関係人といってもいいと思うのですが、第五条の利害関係人の範囲をどう考えるかというのはあとで問題になってまいりますけれども、しかし当面のこの権利者である利害関係人が事業計画について知る機会はずいぶんあとになってからだという事例が多いです。たとえば私が住んでおります兵庫県の例を申し上げましょう。私は地元の問題を持ち出してたいへん恐縮なんでありますが、兵庫県のほうでただいま阪神間湾岸地域開発基本計画というのがあります。御承知だと思います。これの中身は阪神港利用計画ということに重点が置かれているわけでありますが、しかしこの問題が具体的に市や県で計画が練られて、そうして事業計画がきめられたのは昭和四十二年段階。いま兵庫県のこの阪神間の湾岸地域の基本計画について、部分的にしろこのままでは困るという声をあげている西宮住民が事実を知ったのは四十七年段階であります。四十七年の十二月十八日に初めて西宮、甲子園公有水面埋立計画の再検討および同工事一時中止に関する請願書という請願書を出している。そこで問題になりますのは、もうこれではおそいですよ。工事に着工してしまって、それに対して工事の一時中止をまずいって、その上で再検討してほしいという願いでありますから、いわば悲壮なものだといっていいと思う。おそいのです。なぜこうなったか。事業計画に関する情報の公開というものが保障されていないところにまず間違いの出発点があるようであります。それと同時に、先ほど答弁いただきましたけれども、知り得てから縦覧であるとか意見書の提出という問題がある。これで十分だとお考えになっているかどうかは私よくわかりませんが、しかし地域の住民からすれば、縦覧、意見書の提出ということだけで事十分だというわけにはいかないのであります。行政不服審査法ではこういう問題に対してどういう措置が講じられているか、御存じでいらっしゃいますか。その点ひとつお聞かせをいただきます。
  157. 鈴木登

    ○鈴木説明員 お答えいたします。  都道府県知事の処分に対しまして不服のある利害関係者は、その処分の取り消しを主務官庁であります行政中央官庁に対して要求することはできるわけであります。
  158. 土井たか子

    ○土井委員 いまのは全く御答弁になっていないのです。もう一度答弁してください。私はもう質問を二度と繰り返しません。先ほどお聞きになっていたはずでありますから。
  159. 鈴木登

    ○鈴木説明員 行政不服審査法は、埋め立てに関して申し上げますと、地方行政機関であります都道府県知事の行ないました処分に対しまして不服がありますときには審査請求というものを出してまいりまして、一応原則として審査の請求を書面で行なうことになっております。ただ、審査請求人または参加人の申し立てがありますときには、審査庁が申立人に口頭で異議を述べる機会を与えまして、それに対して審査するということに相なっております。
  160. 土井たか子

    ○土井委員 現行の行政不服審査法でもその程度考えているのですね。今回、認可を行なうについて十分に環境保全や防災の措置を講じようとすると、何といっても地域住民に計画の中身を公示しなければならない、公開しなければならない、それに従って地域住民がどう考えるかということを十分こっちは認識しなければならない。その結果の認可でなければならない。そうなってくると、はたしていまのように縦覧、意見書の提出ができるということだけで事足りるというふうに私は思わないのであります。そういう点からする手だてというものは、たとえば公聴会を認めるとか、それから実質的な資料の公開、閲覧等の確保等々、いろいろな制度が考えられていいのじゃないか。いまの要旨からすると、現行法と比べると改正案では十分に考えましたとおっしゃるに違いないと思うのですよ、あなたの答弁は。しかし改正する以上はよい改正をしてくださいよ、十分改正の要点に合うように、何のために改正をするかというポイントをはずさないように。それからすれば、今回公聴会であるとかあるいは口頭審理主義によるところの意見、それを住民から聞くという機会が考えられなかったようないきさつですね、なぜこの法文上そういう問題が全くオミットされたか、その辺ひとつ聞かせていただきましょう。
  161. 鈴木登

    ○鈴木説明員 お答えいたします。  利害関係人、住民その他の意見を聞くことにつきましては、新しく、先ほどから河川局次長の御説明にもありましたとおり、出願事項の縦覧あるいは告示という制度を採用しております。御指摘の、それに対して公聴会の制度あるいは審議会の制度というものを設けてはどうだという御意見でございますが、埋め立てというものは非常に小規模なものから大規模なもの、あるいは種々雑多なもの、非常に分類しがたいくらいの多岐にわたりまして、それについて一律にいま先生御指摘の公聴会あるいは審議会というような制度を採用し得なかったというのが実情でございます。したがいまして、非常に問題になるような埋め立てあるいは大規模埋め立てにつきましては、もろもろの、たとえば私どもで申し上げますと港湾審議会のようなものもございます。そういう点を現在でもすでに利用しておりますし、これからも行政指導的にもそういうものをどんどん使っていきたい、かように考えております。  それからもう一つ、御指摘の口頭審理の制度をなぜ採用しなかったのかという点につきましては、御答弁になるかどうかわかりませんが、実は先生すでに御存じのとおりに、行政不服審査法自体はこういう埋め立ての処分というものにつきましても適用になる法律でございますので、こちらのほうの法律を十分活用してまいりたい、かように考える次第でございます。
  162. 土井たか子

    ○土井委員 埋め立てにも規模があって一律に論じがたい、あたりまえであります。しかし、公有水面埋立法では一定規模以上の埋め立てについて問題にしているという前提がありゃしませんか。ないのですか、あるのですか。
  163. 鈴木登

    ○鈴木説明員 お答えいたします。  政令によりまして、都道府県知事免許したものを主務大臣認可にかかわらしめている条項がございます。その条項の中で一定規模以上のものという制限をしております。ただ、おことばを返すようではございますけれども特定重要港湾のような港湾の中におきましては、大規模なものであろうとあるいは一坪程度の小規模なものであろうと、すべて主務大臣認可にかかわらしめると  いうふうな規定もございます。
  164. 土井たか子

    ○土井委員 現行法からすれば、したがっていま先ほどおっしゃった答弁、その御答弁の趣旨というものは私はどうも理解に苦しむのであります。規模の大小によって、ある場合には知らせる、ある場合には知らせない。小さいものならいいじゃないか、これは間違いのもとであります。やはりまず知らせるという公開の原則、事業計画について万事知らせていいのじゃありませんか。先ほどおっしゃった趣旨は、何だかそのことを隠匿される向きすら、それはさらに勘ぐりを進めますとそういう感じがするわけであります。どうも不明朗きわまりないですね。  さらに私はこの事業認可の問題や免許基準の問題なんかについて、具体的な例を引っぱり出して聞こうと思いますが、先ほど来御答弁を伺っておりますと、どうも私の質問の中身について、まず的確に御理解を賜わっていないという向きがございますし、さらに、御理解くだすっておりましても答弁が的を得ていないということが相次ぎまして、どうも本日は私はさらに質問を続行するという気がございません。この質問を保留いたしまして次回に続行したいと思います あと大事なポイントが三、四点、これは非常に大事なポイントが残ったままでありますが、ひとつ時をあらためまして、十分に御答弁の用意できるような準備を整えてこの場に来ていただきたい。そのことを私、委員長にお願いいたしまして、きょうの質問を終わらせていただきます。
  165. 服部安司

    服部委員長 次回は、来たる二十日水曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後三時二分散会