○土井
委員 いままでの事例が全く
環境庁の
意見を無視して決定されたかというと、私はそうは思わないのですよ。
環境庁が発足以後、やはり
建設省として
埋め立ての問題については
環境庁長官の
意見な
どもしんしゃくされたに違いないと私は
考えている。違いますか。そうでしょう。聞いてこられたけれ
ども、いろんな思わしくない事例があるわけであります、それでもなおかつ。いま自治体の臨海工業用地の造成というのはたいてい国の
港湾整備
計画のワクの中で実施される仕組みに、大まかにいうとなっていますね。国と自治体の責任というのはたいへんに重いということをいわなければなりません。そして
公有水面の
埋め立てについて、現行制度からすると
埋め立て免許を行なう前に、
公有水面に権利を持つ者、つまり漁業権を持っている漁民の間の同意が必要だということに一応手続の上でなっているわけですが、その漁業権放棄手続の問題をめぐって、御承知だと思いますが、大分県の臼杵で裁判になる事件が起こりました。そうして昭和四十六年の七月二十日に大分の地方裁判所はこういう判決を出しているのですよ。「
免許を受ける者が一般私企業の場合、それがもたらす経済的利益の程度と、埋立でこうむる権利者の
損害の程度とを計算するだけでなく、その地域住民の生活
環境に及ぼす
影響を正確に掌握」しなければならない、と。これはだいじょうぶ、
建設省にして責任をもってやり通せます、運輸省にしてだいじょうぶです、まかしておいてくださいとおっしゃるかもしれないけれ
ども、現に臼杵のほうでは、これが具体的に進められたらとてもたまったもんじゃないという住民の方々の声に押されて、漁業権放棄無効の確認訴訟というのを裁判所に出されているわけです。そうして出てきた判決の中身はこうなんです。このときだっておそらく、
環境庁、また
環境庁に匹敵するところの
各省庁がおっしゃる
意見というものを無視なすったはずはなかろうと私は思う。いままでのそういう事例
一つ一つを私はここであげつらいませんけれ
ども、あっちこっちで漁業権放棄をめぐって有効だ無効だという争いが絶えません。それは漁場を失うということのみならず、
埋め立てられてから後、私たちの
環境がどういうふうに変化をするか、大体
環境保全という点からして安心が持てるかどうかに対して不安を持っていられる住民の方々の声なんであります。こういうことに対して十分にこたえるだけの手だてをなさらずして何の
改正案かと私は言いたい。
そういう点からすると、どうして
意見を聞くにとどまらせておいて、協議に持っていくということができなかったのか、ふしぎでならないのであります。提案されたとおっしゃる。提案されるならばそこまで
考え及ぶのが当然じゃありませんか。法的性格がまるで別ならば私はここまで言わないですよ。だけれ
どもそうじゃないのであります。先ほどの御答弁もそれをお認めになった。したがいまして、再度申し上げたいのは、木で鼻をくくったように、
意見で十分だ、
意見を聞くことで十分だ、私たちは十分にそのことに対して留意をするから……ではおさまらない。いままでの事例だって
意見を聞かれているはずだという前提に立って私は再度申し上げたい。どうして協議にできないか。この
条文を協議に変えるという気持ちはおありにならないわけですか。